Microsoft、過去最大の組織再編―セクショナリズムを一掃し、ハードウェアとクラウド・サービスに集中へ

今日(米国時間7/11)、Microsoftは過去最大の組織再編を実施した。CEOのスティーブ・バルマーが発表した人事異動では、事業部門の長が全員、新しい職に就くこととなった。また相当の規模の研究組織のトップもOS、エンタテインメント、モバイル事業の強化のためにそれらの部門に異動を命じられた。

Windows Phone事業部の責任、テリー・マイヤーソンはOS部門の長に異動。Windows部門の共同責任者で次期CEOの有力候補と目されるジュリー・ラーソン-グリーンはエンタテインメント事業部へ、Bing始め各種オンライン・サービスの担当だったチー・ルーはアプリケーションとサービス・エンジニアリング担当にそれぞれ異動となった。

これほどの大規模な組織再編はMicrosoftの歴史上かつて例がないものの、意外ではない。

バルマーがOSの天才でSurfaceの開発を成功させたスティーブ・シノフスキーを切ったことは、近く大きな動きがありそうだと予想させた。シノフスキーはWindows事業部に絶対的に君臨しており、他の事業部との合併を拒否したのだという。シノフスキーの辞職後、バルマーは「全社的意思統一と事業部間の協力が必要とされている」という長文のメモを社内に回した。

Microsoftでチーフ・ソフトウェア・アーキテクトを務めたレイ・オジーは在職当時、プロダクトを統合するアプローチを強く主張したがバルマーはWindows部門の独立を主張するシノフスキーにに軍配を上げた、オジーは世界はポストPC時代に向かっていると考え、クラウド・サービスを主唱、Microsoftの主要なクラウド・サービス、Windows Azureの開発を強力に推進した。AzureはポストPC時代のMicrosoftの生き残りのカギを握る存在になっている。今や主要な対立は「パソコン対それ以外」ではなく「パソコン対クラウド」になっている。

MicrosoftはモバイルではAppleとSamsungに脅かされ、クラウド・アプリとOSではGoogleの後塵を拝している。今回の組織再編は、エンタテインメント分野などでの今までの強みを生かしながらクラウド分野での競争力を抜本的に強化する必要があることを認識したものだろう。またユーザーのオンライン化が進むにつれてMS Officeの売上が減少する可能性に対処しなければならない。

Microsoftはこうした主要な事業部門に惜しみなく人材を投入することとした。たとえば研究部門の責任者、Rick Rashidは古巣のOS部門に戻され、Windowsのイノベーションの推進を求められている。

Microsoftは近年、多くの戦略的分野でライバルに水をあけられてきたが、やっと巻き返しに出ることになったもようだ。モバイル戦略の失敗からiOSとAndroidの独走を許し、Windows 8の人気もいま一つ盛り上がらない。コンピューティング環境がデスクトップからモバイルにますます移行していくトレンドを考えると、Microsoftの将来にとってはWindows OSよりむしろWindows Phoneのほうが影響が大きいかもしれない。ところがIDCの統計によると、今年の第1四半期のスマートフォン市場におけるシェアはAndroidが75%、iOSが17.3%であるのに対してWindows Phoneは3.2%と一桁台に留まった。

MicrosoftのOSのモバイル化はそれでなくても遅れて2010年になってWindows Phone 7として登場したが、2012年の秋にはカーネルを一新してWindowsPhone 8としたため、初期のユーザーはアップデートできないプラットフォームに取り残される破目になった。

こうした過去の混乱をふまえてバルマーは社内向けメモで「われわれは事業部の寄せ集めであってはならない。われわれはワン・カンパニーの元に結集しなければならない」と檄を飛ばした。

バルマーはこれに続けて「一連のデバイスのファミリー、サービスのファミリーを構築する戦略が求められている。…ゲームから業務までユーザーの一日の生活をすべてまかなえるような決定的に有効なデバイス・ファミリーの提供に成功したテクノロジー企業はまだどこにも存在しない。ここにはソフトウェア、ハードウェア、サービスのすべてにわたって膨大なイノベーションの余地とチャンスがある」と述べている。

バルマーが特に名指したデバイスの「ファミリー」は、「スマートフォン、タブレット、パソコン、〔タブレットとクラムシェルの双方に使えるウルトラブック〕2-in-1、テレビのセットトップボックス」などだ。このうちではMicrosoftはSurfaceタブレットの開発には成功しているものの、スマートフォンではOEM(主としてNokia)に頼っている。Surface同様にスマートフォンを始めとするデバイスを独自に開発、販売する必要性がますます高まっている。

ここでMicrosoftの新組織とその責任者をリストアップしておこう。

  • Terry Myers:すべてのデバイスのOS
  • Qi-Lu:アプリケーションとサービス
  • Julie Larson-Green:Xboxをはじめとするコンシューマ・デバイス
  • Satya Nadella:クラウド・サービス
  • Kirill Tatarinov:ダイナミクス、新テクノロジー
  • Eric Rudder:調査研究
  • Tami Reller:マーケティング
  • COO:Kevin Turner
  • Tony Bates:事業開発(M&A)

Microsoftは企業内官僚制と事業部間のライバル意識の強さで有名だ。バルマーは「ワン・マイクロソフト」を合言葉にこの長年の欠陥の一掃についに乗り出したようだ。「ワン・マイクロソフト」はこれまでのような単なるスローガンから組織再編の原理に高められることになった。今日の発表はおそらく第一歩であり、ここ数ヶ月さらに改革が続くものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


自分のUSBハードディスクを自分専用無料のDropboxにしてしまえるPlug, Kickstarterで資金募集中

Plugの69ドルのアダプタがKickstarterで資金募集を開始した。このアダプタにUSB接続の外付けドライブをつなぐと、自分のあらゆるデバイスからそれに“私家版Dropbox”としてアクセスできる。ドライブは通常のファイルシステムの一部としてアクセスされ、この機能のための特殊なフォルダや仮想ドライブを作る必要はない。Plugのアプリケーションを立ち上げたら、そのあとは外見的には通常のファイルシステムがあるだけなので、ワークフローは従前どおりで何も変わらない。ただし、自分のすべてのデバイスに、同じファイルがあることになる。

TechCrunch Disruptの先輩Bitcasaにたいへんよく似ていて、フォルダやファイルをローカルのハードドライブにキャッシュしたり、あるいはそれらをPlugからストリーミングできる。Plugの場合の唯一の制約は、容量がそのUSBドライブの容量に制限されることだ。〔Bitcasa参考記事: (1)(2)(3)。〕

Plugの物理的な実体は小型のLinuxマシンで、それがVPNを作っている。たとえばiPhoneから自分のファイルにアクセスしたくなったら、Plugのクライアントソフトが黙ってそのVPNにアクセスし、ファイルを見せてくれる。その点ではDropboxのアプリとそっくりだが、ただしファイルは自分の家に保存されているので会費などを払う必用がない。要するに自分のストレージデバイスがネットワークに接続されていると考えればよいのだが、ただしPlugのソフトウェアが完全なユーザ自身のファイルシステムの仮象を提供する〔上のビデオ参照〕。

だから協同ファウンダでCEOのSéverin Marcombesは、“うちがPlugでやったイノベーションはハードウェアのイノベーションというよりソフトウェアのイノベーションだ”、と言う。“それは、クラウドがもっと安上がりで速ければクラウドで実装してもよかったのだ”。

Plubのアプリケーションを立ち上げると、すべてのファイルアクセスがPlug経由になる。USB 2.0とEthernet 100だから映画のストリーミングはちょっときびしい。アダプタに複数のドライブがぶら下がっているときは、とくに遅くなるだろう。そこで、ファイルを各デバイスにキャッシュすることもできる。まるでローカルなファイルのようにアクセスできる、とPlugは主張しているが、でも実際にそう思えるようになるまでは時間がかかるだろう。Marcombesはキャッシングの機能を、Spotifyのオフラインプレイリスト機能になぞらえる。Spotifyのユーザならよく知っているあのボタンだ。

Kickstarterでの資金募集は始まったばかりだが、目標額が6万9000ドルと少ないから、このパリ生まれのスタートアップにおそらく1000人ぐらいの出資支援者が集まるのではないか。ただし、実際にアダプタが手に入るのは12月だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YouSendItがHightailへ改名–サービスの多様化と高度化に対応

YouSendItは2004年の創業以来の累積ユーザ数が4300万に達する。分かりやすい名前、そして分かりやすい仕事、まさに、あなた(You)が送る(Send)データ(It)を保存して共有できるサービスだった。

しかし今日からは、その数百万のユーザが、このサービスの新しい名前を覚えなければならない。YouSendIt退場、そしてHightailのご入場だ。

YouSendIt/Hightailの人たちによると、改名の理由は、サービスの内容が最初の単純なファイル共有から、今では内部開発や買収などによって大きく進化し、多様化しているためだ。今日の新しい姿には、新しい名前がふさわしい。

1年あまり前にCEOに就任したBrad Garlinghouseの指揮の下(もと)で、同社にはさまざまな重要な改変が行われ、改名はいわば、その総仕上げだ。

クラウドストレージという業態は今、大きな成長と変動の真っ只中にいるから、その中でGarlinghouseがやってることは非常に大胆だ。本誌は本誌のテレビスタジオに氏をお招きして、改名の意義や、同社の今後の方向性について語っていただいた。上のビデオを、ご覧いただきたい。

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OS X用の初の高品質3DスキャナーソフトSkanectがOccipitalから

[筆者: Stephanie Yang]

3Dスキャンのソフトは、これまでWindows用がAppleのものより優れていたが、今日(米国時間7/10)はOccipital Inc.がOS X用のSkanectを発表して、その状況を変えようとしている。

最初フランスのManCTLが開発したSkanectは、Appleのコンピュータの上でMicrosoftのKinectやASUSのXtionのような安価なセンサを使って3Dスキャンができる。OccipitalはManCTLを今年の6月に買収した

ハイエンドのグラフィクスカードがなくても簡単迅速安価にカラー3Dスキャンができる、とSkanectは自慢している*。アプリケーションと、カメラのセンサを利用して3D画像を作り、それをすぐに印刷や共有できる。Occipitalのマーケティング部長Adam Rodnitzkyによると、Skanectの月間ユニークアクティブユーザ数は約3000だそうだ。〔*: サンプルページ。〕

Skanectの最新リリースには、テクスチャマップのモデルをOBJやPLY形式でエクスポートする機能がある。このほか、エクスポート時におけるデテールレベル(詳細度)の調整、VRMLによるエクスポート、ハイエンドのグラフィクスカードなしでマシンのパフォーマンスをアップ、などの新機能も盛り込まれた。これらの新機能は当面OS Xバージョンのみだが、Rodnitzkyによれば、Windowsバージョンも“もうすぐ”対応、ということだ。

Occipitalは2011年に、 Foundry Groupが仕切る最初のラウンドにより700万ドルを調達した。同社はRedLaserや360 Panoramaも作ったが、前者はeBayが買収した

Skanectには、商用利用とエクスポートのできない無料バージョンと、99ユーロの有料バージョンがある。

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AmazonがEC2の専用インスタンスを最大80%値下げ

Amazonが今日(米国時間7/10)、クラウドコンピューティングプラットホームEC2の専用インスタンスを最大で80%値下げする、と発表した。たとえば、EC2の通常の料金にプラスして課金されるリージョン専用料金は、1時間あたり10ドルから2ドルに値下げされる。これは、クラウドサービスの薄利多売を常とするAmazonとしても、相当大幅な値下げだ。Amazonによると今日の値下げは、“コスト削減の方法を絶えず模索し、その節約効果を顧客に還元する弊社の伝統の”一環だそうだ。新価格の適用開始は7月1日にさかのぼり、すべてのインスタンスタイプとAWSリージョンに適用される。

専用インスタンスの‘専用’とは、ハードウェアがその顧客専用、という意味だ。通常のインスタンスのような、どこかの仮想マシン上のインスタンスではない。このタイプのインスタンスを設けている理由は、同社によれば、“企業のポリシーや業界の規制等によりEC2のインスタンスがほかの顧客に属するインスタンスから、ホストのハードウェアのレベルで隔離されている必要がある場合”に対応するためだ。

リージョン専用の料金だけでなく、オンデマンドの専用インスタンスも値下げされる。それは長期契約がなくて、時間あたりで課金されるインスタンスだが、最大で37%の値下げとなる(例: 合衆国東部リージョンのm1.xlargeインスタンスが$0.840から$0.528へ)。また、長期利用の専用予約インスタンスも大幅値下げとなり、前金の額が57%値下げされる。

今日の発表の前には4月に、EC2の通常のインスタンスの小幅な値下げが行われた。そのときは、Windows用のオンデマンドインスタンスが最大で26%値下げされた。

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日本のイベント切符販売のスタートアップ、PeatixがシリーズAのラウンドで300万ドル調達―アメリカとシンガポールに進出

東京に本拠を置くオンライン・チケット販売のスタートアップ、Peatixはフィデリティ・ジャパンがリードするシリーズAのラウンドを完了し、300万ドルを調達した。

PeatixはアジアのEventbriteを目指しており、各種イベントの主催者にチケットはんbプラットフォームを提供している。2011年5月のサービスのスタート以来すでに1万件のイベントを処理してきたという。

同社はちょうど1年前に100万ドルのシード資金を調達している。投資家は500 Startups、DG Incubation伊藤忠テクノロジー・ベンチャーズ、SurveyMonkeyのCEO、Dave Goldberg〔FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグの夫〕などだった。

500 Startupsと伊藤忠テクノロジーは今回のシリーズAのラウンドにも参加している。またフィデリティ・ジャパンのDavid MilsteinがPeatixの取締役に就任した。

今回の増資を機に、Peatixは海外への進出を行う。共同ファウンダー、竹村詠美取締役は家族ぐるみでシンガポールに移住するという。また今日からサービスをアメリカにも拡大する。日本、シンガポール、アメリカで社員を採用する計画だ。現在Peatixの社員は日本に20人、シンガポールに3人、ニューヨークに6人いる。

竹村氏はわれわれの取材に対し、来年には3万から5万のイベントを取り扱うべく計画していると語った。

シンガポールにはSisticという現地のチケット販売で圧倒的なシェアを誇る手強いライバルが存在する。Sisticは主要なイベント会場やイベント・プロモーターとの間で独占的な販売だり契約を結んでおり、 The Business Timesによれば、2010年にはシンガポール市場の60%から70%を押さえていたという。

竹村氏は「PeatixはSisticに正面から競争を挑むつもりはない。日本でもアメリカでも既存の支配的なチケット販売プラットフォームが存在する。Peatixは日本でこの2年間、そうした大手チケット販売会社と直接競争することなく成長を続けてくることができた。伝統的なイベントに適した既存のチケット販売ルートに乗りにくい、オンライン登録に適した非伝統的なイベントが膨大に存在するからだ」と述べた。

ここでいう非伝統的なイベントとは、インディーの主催者によって小規模な会場で行われる各種イベント、勉強会、パーティーなどだ。竹村氏によれば、こうしたイベントの数は急速に拡大しているという。

〔日本版〕シリーズA資金調達についてのPeatixのブログ記事はこちら。こちらはTechCrunch Japanによる紹介記事[jp]PeaTiXはクレジットカード課金でチケットを発行できるイベント作成・管理ツール。 

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


養蜂家にクラウドとWebから巣箱の状況データを提供するBeezinga

養蜂業はテクノロジと無縁なようだが、でもそれは合衆国だけでも年商3億ドル近いビッグビジネスであり、また世界の養蜂業には今、テクノロジが徐々に浸透しつつある。Microsoftの学生テクノロジコンペImagine Cupにスロベニアから出場してファイナリストに残ったBeezingaは、標準的な巣箱のためのセンサシステムを作った(養蜂用のミツバチの巣箱には世界標準がある)。そのシステムは巣箱の中の温度や湿度を計り、蜜の生産量を(重量で)調べ、また巣箱の入り口に設置したビデオカメラにより蜂たちの活動をモニタする。

概算の設置費用は巣箱一箱あたり40ドルだ。この値段なら養蜂企業が喜んで払う額だろう、とBeezingaは考えている。システムは目下ベータテスト中だが、本番では会費制を考えている。

巣箱のデータは一定の時間間隔でBeezingaのクラウドに送られ、養蜂家たちはWeb上で蜂たちの状況を知る。また、異状が検出されたらリアルタイムでアラートが行く。遠隔地の養蜂家には携帯電話のデータ接続を使ってデータを送る(一台の携帯で複数の巣箱に対応)。また電話などを使わずに、巣箱から直接、無線でデータが送られる方式も、検討中だ。

Beezingaがクールなのは、データの分析をするだけでなく、巣箱がほかの蜂から攻撃された時の防御ができることだ。システムは音声を分析することによって攻撃を感知し、巣箱の前面に水を噴霧して敵を撃退する。たいていの場合、それぐらいで十分だそうだ。

蜂たちの集団崩壊という異常事に関してBeezingaは、世界中の養蜂家からデータを集めて大きなデータベースを作り、研究者たちに蜂の生態に関する資料として提供したい、と言っている。

Imagine Cupのファイナルは今サンクトペテルブルグで行われている。すでにプレゼンは昨日(米国時間7/11)までの2日間で完了し、明日の発表を待つのみだ。今年の優勝/入賞者は、どこの国の学生たちだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


研究者が作る奇妙に魅力的な3Dプリント金属


BGMに軽快なストリングスを使う3Dプリンティング・プロジェクトはまずないが、このビデオにはふさわしい。これは新しい注射器ベースの金属プリンティングシステムで、ノースカロライナ州の研究者らが作った。使用するのはガリウムとインジウムの合金で、空気中で酸化して液滴が固着する。このプロセスで3Dピストルを作ることはできない ― 非常に遅くサイズは極小 ― が、自己修復ワイヤーや伸縮可能な回路を作ることはできる。

「私たちは、ガリウムとインジウムの液体合金が、室温で空気中の酸素と反応して「皮」を作り、液体金属がその形状を維持できるようになることを発見した」とDr. Michael Dickeyは語る。

また彼らは、液体金属を鋳型に注入し、その後鋳型を溶かすことによって金属だけを残すシステムも開発した。射出された金属は「盛られる」のではなく、液滴同士が「固着」するため、小さな金属の「塊」ではなく3D作品を作ることができる。

このプロセスを通常のプラスチック3Dプリンティングと併用すれば、作品内部に通じるリードを作ることもできる。材料は非毒性だが ― 大量に食べてもいいかもしれない ― 相当高価なので、今すぐステンレス製のネズミができることは期待しない方がいい。

via New Scientist

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google、ようやくHangoutsで音声通話をサポート、ただしモバイルアプリはまだ

Googleファンの中には、Gmailから音声通話機能が削られたことに、激しく腹を立てている人もいるが、ようやくあの機能が戻ってきた。Google Hangoutsの下に。しかも、単にGmailから通話ができるようになるだけでなく、ユーザーはGoogle Plusで誰かにちょっかいを出したり、HangoutsのChrome拡張機能を使いながら、友達や家族に電話をかけられる。

これはHangoutsの歴史に注目している人にとっては驚くことではない。Googleは、HangoutsでGoogle Voice統合を使ってVoIP通話を受信する機能を去る5月から提供しているので、いずれ発信もできるようになるのは自然な流れだった。あなたの画面に音声通話オプションが見つからなくても慌てないこと。Googleはこの機能を今後数日間で展開すると言っている。

古いGoogleマニアたちはこの機能の復活を喜ぶにちがいないが、Google+の中からの通話と言えば、Facebookへの威嚇と考えないわけにいかない。ソーシャルの巨人は今年、無料VoIP電話を米国、カナダ、および英国のユーザーに提供したが、Facebookのアプローチは、VoIP機能をモバイルアプリのMessengerに組み込むことだった。アプリが動いている端末の特性を考えば当然だ。しかし、GoogleのHangoutに関する最新の扱いは対照的だ。デスクトップでの通話体験の改善(VoIP発信者をビデオチャットの会話に参加させる等)には多くの注目が集まっているが、iOSやAndroidのHangoutsアプリには採用されていない。

はっきりいってガッカリだ。Googleは以前からHangoutsを「Google Voiceの未来だ」と言っている。聞こえはいいが、Google Voice体験には修正が必須で、今も私はあれこれ修正を待っているところだ。私はGoogle Voiceを何年も使っている。今でも会う人みんなにGoogle Voiceの電話番号を渡している。しかし、1つの番号で私の全携帯電話にかかってきた通話やメッセージを受取れる便利さも、概してパッとしないアプリ(特にiOS版)とアプリの改善の遅さによって少々差し引かれる。Hangoutsは、Google Voiceのために書かれた処方箋通りに進んでいるのかもしれないが、そろそろ待ちくたびれてきた。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Groopicは集合写真の最大の問題を解決するiPhoneアプリ―画像合成で撮影者を仲間に入れてくれる

スマートフォンの驚くべき点の一つは、カメラとコンピュータを常時持ち歩けるコンパクトなパッケージに収めただけでなく、以前だったらPhotoshopのような高価なソフトウェアを使わなければできなかった高度な画像処理がだれでもできるようにしたところにある。

今日(米国時間7/10)、App Storeで公開されたGroopicがまさにそういったアプリで、集合写真を撮ったときに撮影者もその写真内に合成してくれるという。

7月4日、独立記念日の週末に私がビーチでリラックスしていると、近所でテイーンエイジャーたちが海を背にiPhoneを手から手に渡しながら写真を撮っていた。耳をすますと、1人が「私はあなたと一緒に写りたいの」言っている。するともう1人も同じことを言う。そういうわけでこのグループは際限ない順列組み合わせで写真を写しあっていた。

Groopicはまさにこういう問題を解決するアプリだ。 誰か見知らぬ相手にiPhoneを渡して写真を撮ってくれと頼む気恥ずかしさも、相手が大切なiPhoneを岩の上に落としやしないかとひやひやすることもなくてすむ。

撮影者も含めた集合写真が手軽に合成できるのだ。

開発したのはEyedeus Labsという総勢5人のスタートアップで、Groopicのテクノロジーについて特許を申請中だ。CEO Ali Rehanによれば「博士はほとんど2人いる」(1人は論文の仕上げにかかっているという)。この5人のコンピュータビジョン研究の経験年数を合計すると25年になるという。このスタートアップはコンピュータビジョンを応用した新しカメラアプリの開発に専念している。

最初のプロダクトがiPhone向けアプリのGroopicだ。アプリの使用法はごく簡単で、撮影者が2人交代で2枚の写真を撮り、それぞれの写真で撮影者をタップして指定するだけでよい。するとGroopicが魔法のように撮影者を含めた写真を合成してくれる(もちろんこの場合、写真に写る人物は立つか座わるかじっとしている必要がある)。

Eyedeus Labsでは現在GroopicのAndroid版を開発中だ。現在はGroopic is App Storeで1.99ドルで販売中

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アメリカ連邦地裁、反トラスト法裁判でAppleに有罪判決―「電子書籍価格操作の共謀と実行で中心的役割」

Appleとアメリカの有力出版社による電子書籍の価格操作の共謀容疑に関して すべての出版社はすでに司法省と和解し、Appleだけが法廷闘争の道を選んでいた。Reutersによれば、今日(米国時間7/10)、 ニューヨークのマンハッタン連邦地裁はiBookstoreの価格操作に関する反トラスト法違反の容疑に関して有罪の判決を下した。また判決で検察側は消費者に代わって損害額を査定し、Appleに賠償を求める裁判を起こすべきだと命じられた。

アップデート: われわれはAppleの広報担当者から以下の声明を受け取った。

Appleはeブックの価格を操作するために共謀したことはなく、この事実に反する訴追に対してあくまでも戦う。2010年にiBookstoreをオープンした際、われわれが目的としたのは、消費者により大きな選択の自由を提供し、当時市場で強く求められていたイノベーションと競争を実現し、 出版産業におけるAmazonの独占的地位を打破することだった。われわれは何ら不正な行為をしていないので、今回の判決に対しては控訴する。

2012年4月に司法省はAppleと出版業界の主要6社を反トラスト法違反としてを訴追した。これに対してAppleは「司法省の主張は根本的に誤りであり、馬鹿げている」と反論した。

出版社6社(ペンギンとランダムハウスの合併により現在は5社) はすべて和解に応じ、Appleだけが法廷闘争の場に残った。EUでのこれに類似したeブック関連の反トラスト法訴訟ではAppleは欧州委員会に対して「有罪を認めないまま和解」の道を選んでいる。

“Appleは価格操作の共謀と実行において中心的な役割を果たしたと認められる

2010年にiBookstoreが発表された際、Appleはストア側ではなく出版社側が価格を設定する、いわゆるエージェンシー・モデルを導入した。Amazonが巨人であり、Appleは新参で、出版社はAmazonによる市場支配を恐れていた。紙の本でもeブックでもAmazonは自ら価格を設定していた。そこで出版社側はAppleに市場シェアを奪い返させ、利益率の向上を図ろうとした。出版社は新刊書についてAmazonの9.99ドルではなく、12.99ドルあるいは14.99ドルに設定した。この値上げに伴ってAppleはiBookstoreだけでなくKindleStoreその他あらゆるeブックストアで同一の価格とするよう出版社に要求した。

Denise Cote判事は「Appleはこの共謀とその実施において中心的役割を果たした。Appleは好機を捉えてきわめて巧妙に動き、エージェンシー・モデルの採用によって誕生したばかりのeブック市場における価格を上昇させた。一部の例では上昇は50%以上にも及んだ」と判示した。PaidContent判決の全文がある。.

Wall Street Journalによればペンギン・グループとハーパー・コリンズは当初Appleの価格設定に反対したが、結局同意した。 出版社はAmazonの価格決定権を奪うためにAppleのiBookstoreを利用し、これに成功した。AppleのKindleコンテンツ担当副社長、Russell Grandinettiはこの訴訟で「出版社はKindleストアからコンテンツを引き上げると脅した。AmazonはやむなくAppleと同様のエージェンシー・モデルに切り替えざるを得なかった」と証言した。

この判決で関連する出版社とeブックストアは向こう2年間、同様のエージェンシー・モデルの採用を禁じられた。

(写真:Casey Hussein Bisson

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


TechCrunch Japan編集長交代のお知らせ

2010年5月以来、TechCrunch Japanの編集長としてその職を務めてきたが、個人的な理由でこの職を退くことになったのでお知らせしたい。代わりに、新たな編集長を迎えることになった。

読者の方々には西村賢(@knsmr)という名前に聞き覚えがあるかもしれない。彼は直近の6年半ほどは@ITの編集記者としてニュース記事執筆や技術系連載の編集担当をしてきていて、副編集長を務めていた人物だ。@ITでは技術向けやいわゆる企業向けのエンタープライズ関連の話題についての動向を取材していたので、インターネットのビジネスを追いかけていた私とは趣が異なるかもしれない。本人曰くソフトウェア技術を追いかけていた記者なのだそうだから、よりテクノロジー向きな内容もTechCrunch Japanで取り上げられることになるだろう。

@IT以前もテクノロジー媒体の編集者として活躍してきたこの業界のベテランなので、TechCrunch Japanの新しい編集長として私以上にふさわしい人物であると考えている。今後は西村氏の手によって新しいTechCrunch Japanが作られていくことになるが、これまでとは違った新しい媒体の価値が形成されるに違いないと確信している。

なお、私ごとではあるが、これまでTechCrunch Japanでお世話になった方々にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。テクノロジー業界でもっとも影響力のある媒体の日本のローカルの小さな部分を担ってきたが、個人的には非常に刺激的な仕事であり、楽しい時間だったが、やり尽くしていないこともあって実際には心残りも多い。

ただ、もう何年もテクノロジーメディアの仕事をしてきていてそろそろ新しいチャレンジをしたいと考え続けていた。このタイミングが適切だったかどうかはわからないが、今回、編集長の座を降りることとさせていただいた。

今後はベンチャーキャピタリスととして日本のインターネットの産業の中やスタートアップとの関わりで活躍の場を作っていきたいと考えているが、引き続きTechCrunch Japanでの執筆活動は続けていく予定である。

いままで支えてくだった方々には心からお礼を申し上げるとともにこれからもTechCrunch Japanの応援をお願いしたく思っている。本当にどうもありがとうございました。


DropboxのDatastore APIとDrop-Ins APIでアプリからのデータシンクが確実に

今日(米国時間7/9)Dropboxは、デベロッパのアプリケーション内でユーザのデータをシンクしたり見たりできるための強力なAPIを二つローンチした。これでいよいよ同社は、最初の単純なストレージサービスという姿から、大きく変身していくようだ。

最初のDatastore APIでは、アプリケーションが各種の構造化データやメタデータを保存できる。ユーザがオフライン状態でそれらのデータに変更を加えても、Dropbox上にシンクできる。だからもっと分かりやすい名前は、Syncing APIかもしれない。ユーザが、連絡先やTodoリストなどを、どんなデバイス/プラットホームの上で、オンライン/オフラインで書き換えても、正しく保存されるのだ。

二つめのDrop-Ins APIとネイティブのChooserは、デベロッパがこれらを使ってユーザのDropboxからファイルを自分のアプリケーションに引っ張り込み、アプリケーション内で表示できる。しかもそれらのファイルは…上記APIにより…Todoでも写真でも何でも、つねに最新状態にシンクされているファイルだから、それらを見るユーザも大満足だ。

目標はデベロッパにクロスプラットホーム性を与えること(iOS、Android 、JavaScript)だから、環境が違うたびに異なるAPIを使う必要がなくなる。またこれらのAPIは、ほかのデベロッパのアプリケーションとの衝突に正しく対応でき、”Datastore Explorer”によりデベロッパは、アップデートされたデータをすぐに見ることができる。

この二つのAPIは、同社のバックエンド環境をデベロッパに提供して、複数のプラットホームとデバイスにまたがるデータの移動やシンクを可能にする。Dropboxはクラウド上に汎用のファイルシステムを持っているようなものだが、これからはこれらのAPIを利用したアプリケーションにより、ユーザのDropboxアカウント…そしてその上のファイル…がなお一層有効利用されることになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleはAndroidの重大なバグに対するパッチの提供を開始, Samsung製品の一部は適用済み

Googleは、Bluebox Securityが発見したAndroidの根幹的なセキュリティホールの修復を、OEM向けにリリースした。ZDNetがそう報じている。本誌はこの件に関する確認をGoogleのAndroid Communications Manager Gina Sciglianoから昨日(米国時間7/8)得た。それによると、“パートナーたちにパッチが提供された”ということだ。彼女によると、Samsungなど一部OEMはすでにパッチの製品への適用を開始している。

本誌はGoogleにいくつか質問をしているので、回答が得られ次第この記事をアップデートしたい。この欠陥によりハッカーは、正常なアプリを悪質なトロイの木馬に変えてしまえるらしい。つまりアプリの暗号化されたサインを破らなくてもAPKのコードを書き換えられるのだ。GoogleはすでにPlay Storeのアプリ登録過程を変えて、この被害を逐一チェックしているので、この脆弱性を悪用して書き換えられたアプリが今後Playから配布されることはない。

Bluebox Securityはこのセキュリティホールを、Androidのコードの中に見つけた。同社によるとこのホールは、既存のAndroidデバイスの99%に被害をもたらしうる。発見しGoogleに報告したのは2月だったが、公表されたのはやっと先週だ。そのとき、すでにパッチされているAndroidデバイスとして、SamsungのGalaxy S4の名が挙げられた。Sciglianoは、きっとこのことを言っているのだろう。そのほかの修復済み製品については、今Samsungに問い合わせ中だ。

Androidのユーザにとっての問題は、パッチがOEMにリリースされても、今および当分の間は、店頭で修復済みの製品を買えないことだ。OEMからパッチを当てた製品が出ても、さらにそれらをキャリアがテストする期間もある。こんな問題が起きると、Androidのオープン性と分裂がなおさら厄介にも思えてくる。もちろん、悪い点ばかりではないが。

しかしこのバグは、被害がまだそれほど広がっていない。SciglianoはZDNetにこう語っている: “Google Playとそのほかのアプリストアにおいて、このバグを利用したアプリの書き換えは一つも見つかっていない。Google Playでは各アプリのスキャンを行っており、Play以外からダウンロードしたアプリに関しては、ユーザはVerify Appsを使ってチェックができる”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、新iPhone向けスローモーションビデオ機能 “Mogul” を開発中か

昨今、あらゆる有能なスマートフォン・プレーヤーは、時間とリソースを投入してカメラゲームに参入しているようだが、Appleも例外ではない。9to5MacのMark Gurmanの最新記事によると、iOS 7ベータ版に潜むコードの断片から、Appleは “Mogul”と呼ばれるカメラ機能を開発中であると推測され、120フレーム毎秒のビデオを撮れるものらしい。

これは現在のiOS端末が撮影可能なビデオとは大きくかけ離れている。Appleは、iPhone 5のビデオを”最大30フレーム毎秒“と説明しており、今年のWWDCのプレゼンでは、iOS 7ではその限界を60フレーム毎秒まで押し上げることを約束した。その結果は? 鮮明でスムーズなビデオが期待できる。YouTubeで120fpsのビデオを見れば(正確な比較でないことは承知の上)、iPhoneで将来何が可能になるかのヒントは得られるだろう。

ただし、この機能をすぐに利用できることは期待しない方がよい。9to5チーム必死の努力にもかかわらず、新機能を現行ハードウェアで動かすことはできなかった。これは、Mogulが次期iPhone向けだということを示すサインだと彼らは捉えている。

Mogulが登場する頃、Appleのライバルたちはカメラ能力という点で、はるか先を行っているかもしれない。SamsungのGalaxy S4、NokiaのLumia 920、HTC Oneの3台は、増えつつあるスローモーションビデオ撮影可能スマートフォンの中でも最新の機種群だ(前者の2つは120fps、HTCは未発表)。さらには、NokiaのLumia 1020という、驚異の41メガピクセルカメラを塔載した機種もあり、旧機種の808 PureViewから想像するに、実にすばらしいビデオが撮れることだろう。

もし記事の通り、AppleがそのMogul機能をいつの日か世に出すなら、ライバルたちの通った道を追いかけることになる。しかし、Appleにとって問題は多くないと私は予想している。iOS愛好家たちは、同じく後発だったパノラマ機能の時と同じようにこれにハマり、Mogulはスローモーションビデオを今後スマートフォンの必須機能にするかもしれない(真面目な話は私は、誰かがVineかInstagramもどきのスローモーション専用アプリを作ってくれて、人々が転ぶところを撮れる日を待ち焦がれている)。

こうしてモバイルカメラに様々なオプションが増えることは、消費者がiPhoneやLumiasで決定的瞬間をとらえるチャンスが増えるということだ。しかし、スマートフォンカメラ戦争はすでに一部のカメラ会社に重くのしかかっており、高機能カメラ携帯が脆弱なコンパクトデジカメの価値を下げる中、ビジネスの維持に苦闘している。

Nikonはその典型例だとBloombergは言う。木村眞琴社長は「カメラ以外の消費者製品」によって衰退するコンパクトデジカメの売上を埋め合わせることを示唆した。一部にはこれを、Nikonがスマートフォン参入を検討していると解釈する向きもある。かつて、画像の革新はカメラ専門会社に始まり、他の消費者向けガジェット市場に降りてくるものだった。この流れが逆になるのは何年先だろうか。

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(翻訳:Nob Takahashi)


ポストPC時代のファイルマネージャを自称するPearltrees, やっとAndroidにも

ブックマーク情報をツリー状に視覚化するPearltreesの、Androidアプリ(携帯とタブレット)がついに出た。2009年にWeb上で始まった同サービスは、2011年にiPad、昨年iPhone用が出た。CEOのPatrice Lamotheによると、Androidのリクエストもたいへん多かったので、このローンチでユーザベースが一挙に拡大するだろう、という。

Lamotheによると、Androidには柔軟性があるので、デベロッパは共有やブックマーキングを扱いやすい。そのため、同社のビジョンである“ポストPC時代のファイルマネージャになること”、がAndroidの上で初めて完全に実現できる。つまりAndroid上のPearltreesでは、アプリケーション(Flipboardなど)からのコンテンツとWebのコンテンツを一緒にブックマークして整理できる…ほかのプラットホームではそれは非常に困難だった。

チームは、Androidデバイスの多様性への対応に力を入れた。おかげで、2009年のEclair以前を除き、携帯もタブレットも、Androidのどのバージョンでも使える。後方互換性を重視したため、Androidの最新機能を無視した面もあるが、ユーザベース拡大のためには正しい決定だった、とLamotheらは自負している。

Pearltreesはこれまで、1150万ドルの資金を調達している。同社によると、現在のアクティブユーザ数は約200万、同社のデータベース上では5000万あまりのアイテムが管理されている。その多くはブックマークだが、最近はユーザのライブラリに写真やテキストも置けるようになった。また昨年Pearltreesは、高度なプライバシー管理や個人化機能のある有料プランの提供を開始した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Dropboxのユーザー数は1.75億人。2012年11月には1億人だった

「今日のテーマはみなさん全員の生活を便利にすることがすべて」と、CEO Drew Houstonが同社初の開発者向けカンファレンス「DBX」の開会に際して言った。現在同サービスには1.75億人のユーザーがいる。2012年11月には1億人だった。さらにDropboxは、同プラットフォーム上のアプリ10万本のために、新たなAPIをいくつか公開した。

このプラットフォームこそが、Houstonのキーノートのテーマだったようだ。あらゆるアプリと端末で使うデータを統合することがゴールだ。Houstonは「多くの会社が驚くような製品を作っているが、互いの顔を殴り合っている」と言った。続けて彼は、スマートフォンとアプリはわれわれがデータを落としてしまう小さな割れ目のようなもので、落としたデータは身動きがとれない。Dropboxは、それをどこからでも瞬時にアクセスできるようにしたいと考えている、と説明した。

Houstonは、サンフランシスコ、Fort Mason Centerのカンファレンス会場に誰かがスカイダイビングしてくることはないが、座席の下にDropboxのストレージ100GBの生涯無料クーポンがあると教えてくれた。

同イベントの発表には他に、端末がオフラインの間に追加・変更されたユーザーデータの保存と保護を行うDatastore APIもあった。一方、ネイティブのChooserとSaverを含む新しいDrop-Inを使えば、Dropboxから簡単にファイルを取り出して自分のアプリで使える。「今日は、みなさんの人生でこのことを気にする必要のなくなった最初の日。すばらしいアプリを開発することに集中してほしい」とHoustonは語った。

DBXのキーノート講演では、Android向けYahoo MailのDrobox連携や、Dropboxに買収されたMailboxもDropboxを統合した新しいiOS版を公開することが発表された。

しかし、何より驚かされるのはDropboxの成長ぶりだ。報道によれば真剣な買収提案をいくつか断わり自らに賭けたということだが、それが報われたかたちだ。日常のストレージはもはやオタクのためのニッチサービスではない。現代生活にとって不可欠になりつつある。

Houstonの本日のキーワードは、会社の新しいスローガンとして何度も口にしていた “sync not save”[同期せよ保存するな]だ。そのアイデアは、Dropboxが単にユーザーのファイルを保管するだけではなくなるという意味だ。データとクラウドをリアルタイムで双方向に繋ぐことによって、あなたはデジタル装備を失ったり、置き忘れたり、アクセスできなくなったりすることがなくなる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazon、独自のコミック出版、Jet Cityをローンチ―ニール・ステーヴンスンやジョージ・R・R・マーティンが参加

Amazonが今度はMarvelとDCに挑戦するようだ。今日(米国時間7/9)、Amazonはコミック専門の新しいインプリント〔出版事業のブランド〕をローンチするとプレスリリースで発表した

ブランド名はJet City Comicsで、ニール・スティーヴンソン(Neal Stephenson)のSymposiumが最初の出版物となる。今年中にジョージ・R・R・マーティン(George R. R. Martin)原作のコミックも刊行される。また2014年にはディストピアものSFのWoolがグラフィックノベルとしてシリーズ化される。

当面Amazon Jet CityはSFとファンタジーという手堅い分野を専門にするようだ。強力なオリジナル・シリーズを揃えるMarvelコミックスやDCコミックスを直接脅かすような存在ではないが、これはおそらく他の分野へ進出するための地ならしなののだろう。

今回のJet Cityの他に、Amazonの既存のインプリントとしてはMontlake Romance(ロマンス)、Day One(短編、新人作家)、Skyscape(青少年向け)などがある。 Amazonは独自出版事業の拡大に全力を挙げている。今回は著名SF作家の作品でJet Cityを立ち上げたが、急速にオリジナル作品(Amazonのセルフ出版事業からの作品の採用が有望だろう)によってタイトルを拡充していくはずだ。

中長期的に見ると、Amazonの新しい出版ブランドはコミックや小説の出版にとどまらず、オリジナル・ビデオやグッズなどとのタイアップ事業にも役立つだろう。Amazonはメディア関連事業のあらゆる分野に進出して独自の環境を建設する考えだ。そうなれば著作権も一元的に管理できるし、利益を確保するのに非常に好都合だ。

またこれはKindleコミックでもあるので、Kindle Fireの普及にも役立つし、他のプラットフォームでの電子書籍販売も促進できる。デジタル・コミックスはcomiXologyなどがリードする急成長分野だ。Amazonの参入で競争は激化するだろう。ともあれJet Cityから出版される作品がどんなレベルであるかを早く見てみたい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


自己運転車を研究開発しているのはGoogleだけじゃない–自動車AIのベテランMobileyeが評価額$1.5Bで$400M増資

自己運転車とか自律型車両に関してはGoogleに多くの関心が集まるが、でもこの世界の選手はほかにもいろいろいる。今月の初めにはイスラエルとオランダの先進的運転者介助技術の企業Mobileyeが、“自己運転車は2016年に実用化される”、と主張した。Googleのはレーダーやカメラ、センサ、レーザーを使うレンジファインダ(距離測定)など機能山盛りだが、Mobileyeは数百ドル程度のふつうのカメラだけを使って、安上がりに自律運転機能を実装するつもりだ。

Audi A7などが搭載しているMobileyeのシステムは、Googleのような“自律”機能ではなく、高度な運転者介助技術だ。業界の専門家たちは、運転者のいない車の実用化は2025年ごろ、と予想しているが、進んだ運転者介助技術の普及は、それよりもっと早いだろう。たとえばカメラを使ったインテリジェントな“交通アシスト”技術は、同社が提携している大手自動車メーカー5社がこの夏実装する。そして同社の現在の株高を、同社自身が好機として利用したい意向だ。

そこでMobileyeは今日(米国時間7/7)、4億ドル相当の新株を同社との融資投資関係のない投資企業5社に売却する、と発表した。今朝のプレスリリースによると、5社の中には、“合衆国最大のグローバルな機関資産管理企業と中国の政府系大手投資企業が含まれる”、という。この取引における同社の投資前評価額は15億ドルで、監査をGoldman SachsとMorgan Stanleyが行い、完了は8月と予測される。

同社は増資のタイミングを、規制当局からの現状の支持と、グローバルな安全性基準の進歩のせいでもある、という。新しい安全性基準により自動車メーカーは、インテリジェントな運転者介助技術の導入を加速している。

Mobileyeは1990年代に創業され、Google同様、主たる関心は人口知能技術にあって、中でもとりわけ、カメラのインテリジェンスの向上を利用した自律運転技術による、運転者介助に力を入れてきた。車を作ることは志向していない。同社の技術はさまざまな機能でテストされてきたが、とくに注力しているのは運転者による衝突の回避だ。

The New York Timesによると、過去に同社の技術は、Volvoの“運転者の死角における歩行者や他車両発見警報”機能に実装されている。

この夏のMobileyeのシステムは、断続運転時の運転者のハンドル操作を介助する。ただし自動運転ではないので、ハンドルはあくまでも運転者が操作する。そして今年中に実用化される次の技術では、ハンドルから手を離すことができるようになる。

今後同社は、車に搭載するカメラを複数にすることによる、運転介助技術の高度化について実験をしていく計画だ。それは、GoogleのSergey Brinが約束している完全な自律運転車に、また一歩近づくものかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebook、ビデオ中の全フレームを認識し、音声を把握する特許を取得(Instagramのカバーフレーム自動選択にも活用)

顔認識、位置情報認識、そしてビデオ撮影の際に録音した音声を認識する技術まで実用に供される時代となりつつあるそうだ。そうしてFacebookは、収集したデータをもとに短編ビデオ(Instagram)で「カバーフレーム」にすべきシーンのサジェスションを行ったり、タグ情報の提案を行ったりするという特許を取得した。映っている人それぞれに通知を出す等、多くの写真やビデオの中で注目してもらえるようにする技術をいろいろと実現しているようだ。

実のところ、1ヵ月前にこの特許をみたときは、何のためのものであるのかがよくわからなかった。それまでFacebookはビデオ関連にはあまり注力してこなかったからだ。特許書類の図表によれば、撮影したビデオからカバーフレームをセレクトするようなことが書いてあったが、これは当時のFacebookではサポートされていない機能だった。ビデオからカバーフレームを選ぶのに、スマートフォンの全機能を総動員するものらしいとはわかったが、どのような形で実装するつもりなのかがよくわからなかったのだ。

しかしInstagram Videoの発表で、いろいろなことが腑に落ちた。

カバーフレームの重要性

現在、Instagramで動画を撮ると、撮影シーンの中からカバーフレームにするシーンを選択することができるようになっている。これはVineに比べても少々面倒な作業手順追加となっていて、ビデオ投稿を面倒がらせる一因ともなっているようだ。

但し、面倒であるかどうかには関わらず、カバーフレームを選択するというのは非常に重要なステップだ。ビデオの閲覧には、写真を見るよりもより多くの「投資」が必要となるからだ。以前までのInstagramであれば、望みのままの速度で全体を見渡して面白そうなものを見つけ出すことができた。しかしビデオについては、実際に見てみるまで、それが面白いものなのかどうかよくわからないのだ。見ると決断するということは即ち、時間を「投資」することになる。ほんの15秒程度のことではある。しかしモバイル環境でわざわざビデオを再生し、そしてそれがつまらないものであるとなると、多くの時間を損したように感じてしまうものだ。

閲覧者として、事前に「投資効果」をはかるのは、投稿者の人気度合い、ビデオの説明、そしてカバーフレームしかないのだ。

ビデオに含まれる全てのフレームが、ビデオ自体の魅力を伝え得るものでないことは明らかだ。そこで現在のところFacebookは、自動的にビデオの中から15フレームを抜き出し、その中からカバーフレームとして適していそうなものを選ばせるという形をとっている。そのうちのどれがベストなのかを判定する機能は持たず、時系列的に並べて投稿者に選ばせる形となっているのだ。

しかし、新しい特許技術を実装することにより、FacebookないしInstagramではビデオ中から最も面白そうな瞬間を抜き出すことができるようになる。映っている人などから判断し、カバーフレームに適した瞬間を選び出し、また注目を集めるのに適したタグの提案までをも行なってくれる。

笑顔のみならず、笑い声からも「最高の瞬間」を判定

特許が認められたのは2013年4月で、申請されたのは2011年10月のことだ。申請者はFacebookおよび従業員であるAndrew “Boz” BosworthDavid Garcia、およびSoleio Cuervoとなっている。申請タイトルはAutomatic Photo Capture Based on Social Components and Identity Recognition (’80)、Preferred images from captured video sequence (’00)、およびImage selection from captured video sequence based on social components (’65)となっている。

申請技術の基本にあるのは、ビデオフレームをひとつひとつ写真のような分析対象とするというものだ。ここで顔認識やパターン認識などの技術を用いて、映っている人々や文字情報、ブランド、風景などを把握する。

画像キャプチャプロセスにおいて、ビデオフレームを順次走査して…場所(エッフェル塔、金門橋、ヨセミテ国立公園、ハリウッド等)やショップや企業(コーヒーショップ、サンフランシスコ・ジャイアンツ等)、さらにはブランド商品(コカ・コーラ、ルイ・ヴィトンなど)を認識します。

認証プロセスを経て、映っている人物や場所、そしてブランドに対する適格なタグがサジェストされることになる。あるいは誰のニュースフィードに表示すべきかということを判定するために、収集したデータを活用していくこともできる。つまりビデオ中に映っている場所の近くにいる人に対して集中的に配信したり、あるいは場所やブランドないし映っている人と親しい関係にある人に配信するということが自動的に行える。Instagramでは5月から写真に対するタグ付けをサポートしているが、新しい特許技術と結びつくことにより、一層効果的に機能するようになる。

人やプロダクトがタグ付けされることにより、そうした人ないしモノをフィーチャーしたビデオでも、自動的に魅力的なカバーフレーム選択が行われることになる。また特許には、明るさやコントラストを判断してベストフレームを選択したり、また人の表情すら読み取って最適なカバーフレーム選択に利用すると記載されている。大勢が並んで映っているビデオを撮影したようなときは、みんなが晴れやかに笑っている瞬間のフレームがカバーフレームとして選択される。また加速度センサーからの情報も判断して、手振れのないシーンを選択するというようなことも行うそうだ。

いろいろと面白そうな機能が書かれているが、マイクで拾う音声さえも、ビデオの中のベストフレームを選ぶのに利用されるというのが面白い。

フレーム選択プロセスでは、ビデオ中の音声データも分析します(音声認識プログラムなども利用します)。そして重要な瞬間をセレクトするのです(「チーズ!」、「すごい!」、「素晴らしい!」等)

Instagramが「聴覚」を持つというようなことだ。美しい日没の風景などを見て驚嘆の声をあげたり、あるいは笑い声をあげた瞬間をInstagramはキーフレームとして選択することができるようになるわけだ。

Instagram、Vine、その他のサービスの間で争われている主力ビデオサービスの座を巡っての戦いの中、こうした技術要員が地位獲得のためのキーとなっていくのだろう。アプリケーションには軽快さと簡単さが求められ、公開までの手順は少なければ少ないほど良い。種々の機能追加はパワーユーザーに歓迎されるだろう。但し、コア部分については機能を絞込み、シンプルに使えるようにしておくことが重要だ。

Facebookは、ずっと写真などの投稿をスムーズかつシンプルに行えるように研究開発を進めてきた。Boz、Garcia、そしてSoleioは、ビデオの扱いも写真と同じようにシンプルにすることを目指して研究をすすめてきたのだろう。特許の成果がInstagramで結実すれば、投稿ビデオの世界に新たな地平が生まれることにもなるかもしれない。投稿される写真にも面白いものが増え、友人たちの撮影したビデオを閲覧する機会も増えることになるだろう。

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(翻訳:Maeda, H)