ヒョンデの新型ハイブリッド車に装備されたソーラールーフにはどれほど価値があるか?

Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)の新型ハイブリッド車「Sonata(ソナタ)」のルーフには、太陽電池が組み込まれている。1日中太陽に照らしておくと、航続距離が3〜4マイル(約4.8〜6.4km)ほど延びる。しかし、私が所有している電気自動車は、駐車して座っているだけで、航続距離が1日に3〜4マイル以上減る。運転していないときにTesla(テスラ)が何をしているかはわからない。何もしていないのに電力が消費しているところをみると、ひそかにクルマに自意識が芽生え、感情が生まれていて、Elon Musk(イーロン・マスク)への愛を俳句に詠んでいるのではないかとしか思えない。

「ソナタ・ハイブリッドのソーラーパネルは、正確には204Wの容量を持っています。つまり、日当たりの良い場所で太陽に照らされたパネルは200Whの電力を生み出します」と、ヒョンデはウェブサイトに書いている。200Wはゼロではないが、電気自動車の文脈では、200Wはそれほど印象的な数字ではない。50アンペアブレーカーの家庭用急速充電器は9.6kWで充電できる。ソナタの屋根で焼かれる哀れな小さな太陽電池より約50倍も速いのだ。

ヒョンデは「1日5.8時間充電することで、1年間に走行可能な距離が1300km増える」と主張している。計算してみると、1日あたり2.5マイル(約4km)の航続距離がプラスされるだけでラッキーだということがわかる。もしあなたが健常者で、通勤距離が2.5マイル以下なら、歩いた方が環境にも健康にも、そして全体的な交通インフラの平常性にも良いと主張することができそうだ。しかし、1日に2.5マイル以下しか走らない人はたくさんいる。そして、たとえ天候の影響で航続距離が大幅に伸びなかったとしても、駐車していたクルマのバッテリーが、数日間放置した後も同じかあるいは少し増えているなら、それは決して悪いことではないだろう。

平均的なドライバーの年間走行距離が1万マイル(約1万6000km)の世界では、無料で走行可能な距離が1300km増えたら、それは約8%の燃費向上を意味する。どんな世界でも、8%の値引きを提示されたら買ってしまいそうなものだ。ハイパーマイリング(省燃費追求)の本からも引用すれば、それがすべて現実の数字になるのだ。

ソーラールーフの追加費用と複雑さが、長い目で見て本当にお金の節約(あるいは環境の保護)になるかどうかはわからない。しかし、私はここに原則的な問題があると思う。どのクルマにも、トランク、ルーフ、ボンネットなど「役に立つ」ことに使われていない数平方メートル分の不動産がある。もし、それが全体のエネルギー消費量を8〜10%減らすことができるのであれば、バッテリーの蓄電能力を持つすべてのクルマ(EV、ハイブリッド車など)の分を掛け算すれば、すぐにプラスになるだろう。ソーラールーフ機能は、2022年型ヒョンデ・ソナタ・ハイブリッドの最上級仕様である「Limited(リミテッド)」グレードに標準装備されており、その車両価格は3万5500ドル(約430万円)からとなっている。

ヒョンデやその他の企業をグリーンウォッシングと非難することは超簡単だ。そしておそらく、これは車両の寿命を考えると最終的には正味のマイナスとなるギミックであることが判明するだろう。しかし、ここで1つ言いたいことがある。私は排ガス試験で不正を行う「クリーン」なはずのディーゼルよりも、ほとんど何もしない屋根の上に設置されたソーラーパネルで走るクルマの方を運転したいと思う。

画像クレジット:Hyundai under a license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、車内アクセサリーを自分で作れる3Dプリント用CADファイルを公開

Ford(フォード)は、ハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した際に、3Dプリントで自分のオリジナルなアクセサリーを作成できるようになる可能性を予告した。その約束は守られたようだ。3D Printing Industry(3Dプリンティング・インダストリー)とNewsweek(ニューズウィーク)によると、フォードはマーベリックのセンターコンソール後方に備わるFord Integrated Tether System(FITS、フォード・インテグレーテッド・テザー・システム)スロットと、シート下の収納ボックスに対応する追加アクセサリーを3DプリントするためのCADファイルを公開した。これを使ってオーナーは、お気に入りの飲み物に合わせたカップホルダーや、所有する最新型スマートフォンに合った電話機ホルダーなどを、自分で作ることができる。

もっとも、フォードの動きは遅れていると言ってもいいだろう。マーベリックが発売されてから数カ月の間に、すでに愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーをデザインしている。ダッシュボードの棚や、フォード車以外でFITSアクセサリーを使うための非公式なFITSスロットさえ見つけることができる。とはいえ、公式ファイルがあれば、それだけアクセサリーの作成は容易になるはずで、ユーザーによるデザインが急増しても不思議ではない。

画像クレジット:Ford

同社は既製のFITSアクセサリーの販売にも積極的だ。しかし、デザインマネージャーのScott Anderson(スコット・アンダーソン)氏がNewsweekに語ったように、フォードが3Dプリントをサポートするということは、同社のユーザーに対する態度の「かなり大きな変化」を意味する。これは、自分でアクセサリーを作る人が増えていること、そして自動車のカスタマイズには、性能向上のためのチューニングや、見た目のドレスアップだけではなく、それ以上のものが含まれると、同社が認知していることの表れだ。フォードがアクセサリーの販売で失うものは、同ブランドの車を再び購入してくれる忠実なファンとして還ってくるかもしれない。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォード、車内アクセサリーを自分で作れる3Dプリント用CADファイルを公開

Ford(フォード)は、ハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した際に、3Dプリントで自分のオリジナルなアクセサリーを作成できるようになる可能性を予告した。その約束は守られたようだ。3D Printing Industry(3Dプリンティング・インダストリー)とNewsweek(ニューズウィーク)によると、フォードはマーベリックのセンターコンソール後方に備わるFord Integrated Tether System(FITS、フォード・インテグレーテッド・テザー・システム)スロットと、シート下の収納ボックスに対応する追加アクセサリーを3DプリントするためのCADファイルを公開した。これを使ってオーナーは、お気に入りの飲み物に合わせたカップホルダーや、所有する最新型スマートフォンに合った電話機ホルダーなどを、自分で作ることができる。

もっとも、フォードの動きは遅れていると言ってもいいだろう。マーベリックが発売されてから数カ月の間に、すでに愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーをデザインしている。ダッシュボードの棚や、フォード車以外でFITSアクセサリーを使うための非公式なFITSスロットさえ見つけることができる。とはいえ、公式ファイルがあれば、それだけアクセサリーの作成は容易になるはずで、ユーザーによるデザインが急増しても不思議ではない。

画像クレジット:Ford

同社は既製のFITSアクセサリーの販売にも積極的だ。しかし、デザインマネージャーのScott Anderson(スコット・アンダーソン)氏がNewsweekに語ったように、フォードが3Dプリントをサポートするということは、同社のユーザーに対する態度の「かなり大きな変化」を意味する。これは、自分でアクセサリーを作る人が増えていること、そして自動車のカスタマイズには、性能向上のためのチューニングや、見た目のドレスアップだけではなく、それ以上のものが含まれると、同社が認知していることの表れだ。フォードがアクセサリーの販売で失うものは、同ブランドの車を再び購入してくれる忠実なファンとして還ってくるかもしれない。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ランボルギーニは同社初のEVについて未だ思案中、4人乗りクーペになる可能性が有力

Lamborghini(ランボルギーニ)の会長兼CEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏は、超高級SUV「Urus(ウルス)」の需要に支えられて2021年の販売台数が過去最高を記録した自動車メーカーの指揮を執っているにもかかわらず、祝杯を挙げる暇もない。

このイタリアのスーパーカーメーカーを率いるヴィンケルマン氏は、販売台数が前年比13%以上増加したことや、1月が終わる前に2022年の生産台数をほぼ完売させた成功の余韻に浸るよりも、もっと差し迫った問題を抱えている。

それ以上にヴィンケルマン氏は、同ブランドを電動化の世界に導くことに集中しているのだ。これは、効率性よりも大げさなエンジンで知られるランボルギーニとは、相反する動きのように思える。

ランボルギーニは、2023年にハイブリッド車を投入するなど、いくつかの目標を設定している。しかし、そこから先のEV計画は不明瞭だ。

ガソリンの代わりに電気を使ってどのように車を走らせるのか、また、顧客にどのような体験を提供するのか、ランボルギーニは未だ決定できていない。

「私たちは、ランボルギーニのためのクルマを作るだけでなく、10年後にも対応するために、バッテリー技術やどのようなタイプのエンジンを搭載する必要があるのかということについて、よく検討しているところです」と、ヴィンケルマン氏はTechCrunchに語った。

「私たちには、EVを真っ先に採用する必要はないという利得があります」と、ヴィンケルマン氏はいう。それは、世の中の動きに目を光らせ、未来を見極めるようとしているという意味だ。EVの技術は急速に進化し続けているため、それは簡単なことではない。「もしかしたら、5年後には誰も気にしていないようなことを話しているのかもしれません」とCEOは認めている。

先行しようとする中で、自動車メーカーとしては、いくつかの点で間違っているかもしれないことを認めなければならないと、CEOは語った。それはつまり、適切なタイミングで適切な判断を下すことであり、あまり先を見過ぎてはいけないということだ。

「良いアイデアを持っていても、それが5年後、6年後、7年後、8年後には正しくないとわかるかもしれません」と、ヴィンケルマン氏は付け加えた。

ランボルギーニは、少なくとも全体的なデザインプランは持っている。

ヴィンケルマン氏によると、ランボルギーニ初のEVは2020年代の後半に登場する予定だという。それは現行モデルの「Aventador(アヴェンタドール)」や「Huracan(ウラカン)」のような純粋なスーパーカーではなく、(ウルスを除く)ランボルギーニに人々が期待する以上の地上高を持つ、より実用性が高い2+2シーターの4人乗り2ドアクーペになるとのこと。

もちろん、それはランボルギーニらしいルック&フィールを備えた車になるだろう。スーパーカーではないランボルギーニというものが冒涜のように感じる人は、同社が1968年から1978年まで、4人乗り2ドアクーペの「Espada GT(エスパーダGT)」を販売していたことを思い出していただきたい。

Lamborghini Espada GT(画像クレジット:Lamborghini)

そのクルマのデザインは、電気自動車であるがゆえに未来的になると同時に、ランボルギーニのDNAに沿ったものになると、ヴィンケルマン氏はいう。パワートレインも、EVならではの強大なトルクで、ランボルギーニ車のオーナーがこのブランドから思い描くパフォーマンスを実現するだろう。しかし、1つだけ決定的に失う要素がある。エンジンの咆哮だ。

「その代わりとなり得るスーパーカーとは何かという新しい見解を、どうやって示すことができるか、我々は見極めなければなりません」と、ヴィンケルマン氏は語った。ランボルギーニの魅力の1つは、そのエキゾーストノート(排気音)だ。これは、ランボルギーニの車を所有することで得られる「俺を見ろ!」という威勢の誇示に欠かせない。ランボルギーニには、ブランドに相応しい何かを考え出すための時間がある。それが車内にだけ聞こえる音なのか、それとも車外にも聞こえる音になるのかは、まだわからない。

今後のハイブリッド車については、まずアヴェンタドールのV12プラグインハイブリッドが登場する予定だ。PHEVパワートレインの採用は、特定の都市において排ガスを出さない電気駆動を求める規制の拡大に対応するためだ。

2021年発表された限定生産モデル「Lamborghini Countach LPI 800-4(ランボルギーニ・カウンタックLPI 800-4)」。2019年に発表された限定モデル「Sián(シアン)」のために開発されたスーパーキャパシタ技術とV12エンジンを組み合わせたハイブリッド・パワートレインを搭載する(画像クレジット:Lamborghini)

内燃機関については、2022年がランボルギーニにとって新型の非電動車を導入する最後の年となる。パワートレインの進化の始まりが、2023年に迎える同自動車メーカーの創立60周年と重なるのは、ある意味で相応しいとも言える。

ランボルギーニは、規制と筋金入りのファンの両方を満足させる方法として、今度のプラグインハイブリッド車をできるだけ長く製造したいと考えている。もし、合成燃料を使った低排出ガス化が実現すれば、2030年代に入ってもスーパーカーの導入と生産を続けることができるだろう。

しかし、最終的にランボルギーニとそのCEOは、同社初のEVとその後に続くモデルについて、決断を迫られることになるだろう。「この変化の一端を担えることを誇りに思いますし、光栄に思います」とヴィンケルマン氏は語る。

しかし、同氏はこれから起こることの重さを理解していると主張する。

「その一方で、私には当社で働く人々やその家族の将来に対する責任だけでなく、ブランドとその新製品という船を安全な場所に導き、対岸で待っているお客様の情熱的な手に引き渡すという、大きな責任があります」。

将来のランボルギーニの電気自動車に搭載されるバッテリーやパワートレインの技術について語るのは、少し時期尚早かもしれない。だが、ヴィンケルマン氏は、やや胸を張って次のように語った。「本当に信じられないほどパワフルで、ランボルギーニの精神に非常に忠実な車になると期待してください。まだ我々には時間が十分にあります。この車が発表されるときには本物のランボルギーニになっていると、私は強く確信しています」。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

トヨタが米国初のバッテリー工場をノースカロライナに建設

自動車メーカーの多くが自社のバッテリー生産工場でサプライチェーンの主導権を握ろうとしている中、トヨタ自動車は米国初のバッテリー工場をノースカロライナ州に建設する。同社と同州政府幹部が米国時間12月6日、明らかにした。

トヨタは、トヨタ・バッテリー・マニュファクチャリング・ノースカロライナ(TBMNC)という名称のこの工場に12億9000万ドル(約1460億円)を投資し、2025年に生産を開始する予定だ。この投資は、2030年までに米国で自動車用バッテリーに34億ドル(約3860億円)を投資するという広範な約束の一部だ。

稼働開始時にはTBMNCには4本の生産ラインが設置され、各ラインが電気自動車やハイブリッド車約20万台分のバッテリーを生産できるようになる。トヨタは、生産ラインを少なくとも6本に拡張し、年間120万台分のバッテリーを生産することを目指している。新工場では約1750人の新規雇用を創出し、バッテリーの生産には100%再生可能エネルギーを使用すると同社は述べている。

このニュースは、米議会が電気自動車に対する消費者税控除の見直しを検討している中でのものだ。現在、電気自動車の販売台数が20万台以下のOEMに対しては約7500ドル(約85万円)の控除が適用されている。民主党のグループは、電気自動車のバッテリーが米国内で製造されたものであれば追加で500ドル(約5万7000円)を、また組合員のいる米国内工場で生産された電気自動車についてはさらに4500ドル(約51万円)を加算することを提案している。

トヨタは、この税控除の改正に真っ向から反対しており、議員に宛てた手紙の中で「露骨に偏っている」と指摘している。この法案は、Ford(フォード)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Stellantis(ステランティス)の大手3社と全米自動車労組に支持されている。

トヨタは、バッテリー生産工場の設置を発表した最新の主要自動車メーカー企業だ。こうした動きは、原材料や主要バッテリー部品のサプライチェーンが逼迫する可能性を考慮した取り組みの一環だ。Rebecca Bellan(レベッカ・ベラン)がTechCrunch+に書いたように、GMがLG Chem(LG 化学)との合弁会社Ultium(アルティウム)を設立したり、Ford MotorがSK Innovation(SKイノベーション)と契約したりするなど、バッテリーサプライヤーとの提携や合弁事業は、OEMが供給をコントロールする必要性を認識していることを示している。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMW、Mの伝統とロックスターの美学を融合させたV8ハイブリッドSUVを開発

BMWは、高性能なMシリーズの50周年を、ありきたりなコンセプトカーで祝うことはできなかった。その代わりに、このドイツの自動車メーカーは、V8パワーとネクストレベルのMデザインを融合したプラグインハイブリッドコンセプトによって、David Lee Roth(デイヴィッド・リー・ロス)が誇りに思うようなロックスターの美学をとりいれた。

社内で「ロックスター」というコードネームで呼ばれている(これについては後述する)XM SUVプラグインハイブリッドコンセプトは、史上2番目のMシリーズ専用車だ。

2021年11月初めにTechCrunchがロサンゼルスで覗き見したXM SUVは、コンセプトカーで終わることはない。規制に準拠するために多少の調整を行った後、2022年に生産が開始する。同社によると、XM SUVは、11月初めにロサンゼルスで公開された奇抜なコンセプトカーにかなり近いものになるという。これは、外向的な人にとっては朗報だ。

BMW XMは、BMWのSUVラインアップとMシリーズの遺産からヒントを得ているが、それらのデザインを大胆に補完している。ラインはよりアグレッシブになっている。猫のようなLEDライト、ガラスに刻まれたBMWのロゴ、そしてMクワッド・エキゾーストを備えたこのコンセプトのリアエンドは、BMWの他のラインアップとは異なる。パイプが水平に配置されているのではなく、六角形のエキゾースト・チップがワイド・ディフューザーの両側に垂直に取り付けられている。また、フロントの大きなキドニーグリルには、LEDを使用した独自の処理が施されている。

このクルマのすべてが「俺を見ろ!」と叫んでおり、 それこそが、まさにBMWが目指していたものだ。

画像クレジット:BMW

「お客様からのフィードバックは、私たちのクルマを本当に愛しているということです。しかし、その次のステップは、彼らはさらに表現力のあるぜいたくさをクルマに望んでいるのです」と、BMW Mの取締役会長であるFranciscus van Meel(フランシス・ファン・ミール)氏は、このクルマの発表の際に述べた。

BMWによれば、これらの顧客は、外向的で表現力豊かな、型にはまらない人たちで、XMをランボルギーニ・ウルスやメルセデスGクラスと比較検討する可能性が高いという。ただし、BMWは現時点で価格を公表していない。

そして「俺を見ろ」と叫んでいる外観に勝るとも劣らないインテリアがある。

画像クレジット:BMW

内側で起きていることに比べて、外観は基本的に2000年代半ばのトヨタ・カムリだ。フロントローは、BMWが「ビンテージ・ブラウン」と呼ぶレザーで覆われており、パフォーマンスとドライバーの志向に特化したものになっている。リアシートは?Russel Brand(ラッセル・ブランド)のベッドルームを想像したら、それが、BMWがXMの後部座席に乗る人のために準備したものだ。後部座席とフロアは、それぞれブルーとグリーンのベルベットで覆われており、ラウンジのような雰囲気を醸し出している。欠けているのは、ラバライトと茶色を取り除いたM&Msのボウルだけだ。

運転席と助手席の上には、クリスタル構造のヘッドライナーがある。側面からの間接照明で、ライトアップされると、本当に芸術作品のような、いや、プラネタリウムのレーザーショーのような感覚になる。

もしBMWがTame Impala(テーム・インパラ)の最新アルバムに合わせてライトを点灯させることができれば、特定の音楽ファンやハーブサプリメントのファンを獲得することができるだろう。

画像クレジット:BMW

このローリングミュージッククラブのようなクルマは、BMWのV8エンジンとプラグインハイブリッド技術を融合させたものだ。パワートレインは、750馬力と737ポンドフィートのトルクを発揮する。BMWは、バッテリー容量については明らかにしていないが、EV専用モードでのEPAテストによる航続距離は30マイル(約48km)を目標としていると述べている。これは、トヨタの製品に匹敵するものではない。しかし、多くの関心を起こすことなく、静かに会場を後にするには、十分すぎるほどの機能だ。もちろん、誰かがデザインや輝くキドニーグリルに注目しなければの話だが。

画像クレジット:BMW

BMW Mデザインの責任者であるMarcus Syring(マーカス・シリング)氏によると、XMは常に特別なものになる予定だった。BMWの取締役会は、デザイナーに予想外のものでショックを与えて欲しいと具体的に要請した。

「BMWは継続的にこれらの特定のハイテクモデルをつくっており、i3やi8だけでなく、iXでも新しい分野を探求しています」と、シリング氏は夜の終わりにTechCrunchに語った。「私たちは何かを探求しています。あのクルマ(XM)も同じです。とてもユニークで、新しいことを試しています」。

自動車の販売でロックスターやその音楽を利用することが多い業界において、BMW Mは、元ヴァン・ヘイレンのフロントマンであるデイヴィッド・リー・ロスに相当するクルマを製作した。大声で、派手で「挑戦する」準備ができており、最後にはベルベットであなたを抱きしめてくれるのだ。

画像クレジット:BMW

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Yuta Kaminishi)

持ち運びも簡単なスーツケースサイズの電気自動車用パワーバンク「ZipCharge Go」

ZipCharge(ジップチャージ)は、航続距離で不安を感じている人にガソリン車から電気自動車(EV)への乗り換えを納得させることができるかもしれない新しいタイプのEV用充電プロダクトを発表した。英国のスタートアップZipChargeは、Cop26気候サミットでZipCharge GoというEV用のパワーバンクを披露した。ZipCharge Goは、スーツケースほどの大きさで、重さは約50ポンド(約22キロ)。車輪と格納式ハンドルが付いているので、ユーザーはトランクに入れておいて、充電したいときには簡単に取り出すことができる。

同社によると、車にGoを30分間つなげると、最大20マイル(約32キロ)の走行が可能になる。さらに容量を増やしたバージョンでは、最大40マイル(約64キロ)走行分を給電できる。このデバイスは、タイプ2のソケットを備えたプラグインハイブリッド車とEVに対応し、30分から1時間で車をフル充電することができる。デバイスそのものの充電はコンセントに差し込むだけで簡単に行うことができる。また、ユーザーはアプリを使ってデバイスの操作やモニタリングを行い、充電をオフピークの時間帯に予約して電気代を安く抑えられることができる。

航続距離への不安は最近ではあまり問題にならなくなっているが、それでもまだEVへの乗り換えに踏み出せないでいる人がいる。この問題を解決するために、Gogoro(ゴゴロ)はスクーター用の交換可能なバッテリー技術を開発したが、EVのバッテリーは通常、交換できない。SparkCharge(スパークチャージ)にはRoadieというポータブルEV充電システムがあるが、Goのように持ち運びは簡単ではない。

とはいえ、ZipCharge Goはまだ発売されていない。InsideEVsによると、ZipChargeは、4kWhと8kWhのバージョンをリリースし、2022年の第4四半期に発送を開始する予定だという。最低月額49ポンド(約7600円)でリースすることができるが、1台分のお金を払うことを気にしないEV所有者や、充電設備を設置していないホテルなどの事業者は購入することもできる。ZipChargeはまだ価格を明らかにしていないが、The Sunday TimesのDrivingセクションによると、7.2kWの家庭用充電ポート設置と同程度の価格での販売を目指しているとのことだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:ZipCharge

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

トヨタが米国でも車載用電池生産に約3800億円投資を発表、新会社を設立し2025年稼働を目指す

Toyota Motor(トヨタ自動車)は、他の大手自動車メーカーと同様に、電動化に向けて巨額の資金を投入している。同社は米国時間10月18日、米国での車載用電池生産に、今後約10年間で約34億ドル(約3800億円)を投資すると発表した。

この投資はトヨタの北米部門を通じて行われるもので、その第一歩としてトヨタの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)が、トヨタグループの総合商社である豊田通商とともに、米国で車載用バッテリー工場を新会社として設立する。2025年の生産開始を目指すというこの工場には、2031年までに約12億9000万ドル(約1430億円)の投資が予定されており、現地で1750人の従業員を新規雇用する見込みだという。なお、工場の場所は現時点では発表されていない。

今回の計画は、トヨタが2030年までに世界全体における電池供給体制の整備と研究開発を行うため、約1兆5000万円(約135億ドル)を投資するという大きな目標の一部であり、すでに電池開発の促進とラインナップの電動化に向けて巨額の投資を約束している他の自動車メーカーに追いつくためのものでもある。General Motors(ゼネラルモーターズ、GM)など他の大手自動車メーカーも同様の、しかしさらに大きな投資を発表している。例えばGMは、2025年までに350億ドル(約4兆円)を投じて、電気自動車の生産能力を増強し、30車種の新型EVを世界市場に投入することを計画している。

関連記事:GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

トヨタはこの新工場で、まずはハイブリッド車用のバッテリーを製造すると述べている。新工場の生産能力は明らかにされていない。

トヨタの新工場建設計画は、他の自動車会社が最近発表した計画と足並みを揃えるものだ。Ford(フォード)は電池メーカーのSK Innovation(SKイノベーション)と共同で、114億ドル(約1兆3000万円)を投じて、米国内に2カ所のEV用バッテリーの製造拠点を設けると発表している。また、Fiat Chrysler(フィアット・クライスラー)とGroupe PSA(グループPSA)の合併により誕生した自動車会社のStellantis(ステランティス)も、LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)と予備的な契約を結び、北米でバッテリーセルとモジュールを生産すると発表したばかりだ。

しかし、今回のトヨタの発表は、これら他の自動車メーカーとは少々異なる印象を与える。トヨタが他の電池メーカーと提携せず、車載バッテリーの完全な内製化を計画していることを明確に示すものだからだ。

トヨタは他の自動車メーカーと比べると、電気自動車の展開で遅れを取っている。同社は現在、米国でBEV(内燃機関を搭載せず、バッテリーだけで走る純粋な電気自動車)を販売しておらず、いくつかのプラグインハイブリッド車やハイブリッド車をラインナップに揃えているだけだ。しかし、2021年6月にはクロスオーバーSUV型BEVのコンセプトカー「bZ4X」を公開し、2022年にその量産モデルを発売すると発表した。同社は2025年まで世界全体でBEVのラインナップを15車種へと拡大することを目指している。

関連記事:フォードとSKが1.27兆円をかけEVとバッテリーに特化した2つの製造キャンパスを米国に建設

画像クレジット:HECTOR RETAMAL/AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】2022年のフォード・マーベリックは可能性を秘めたコンパクトトラック

Ford(フォード)のFシリーズピックアップは、米国のトラックである。少なくとも数字を見る限りその事実は間違いない。

半世紀近くにわたって米国で最も売れているトラック、それがフォードのFシリーズピックアップだ。Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)やRam(ラム)のピックアップシリーズも立派な競争相手ではあるが、フォードはいまだにそのどちらよりも数万台多く販売している。

一度実際に乗ってみると、その魅力がわかるかもしれない。大きくてパワフルなトラックは、モバイルオフィスとしても作業台としても機能し、あらゆるタスクやあらゆる地形に対応することができるからだ。しかしフォードも、このオールインワンのユーティリティービークルがすべての人に向いているわけではないことくらいわかっている。

このトラックに対して否定的な人にとって、Fシリーズは大きすぎて面倒で無駄が多い。不愉快な気持ちにさえしてしまうかもしれない。フォードが必要としていたのは、フォードのNo.1セラーに嫌悪感を抱いている人たちのために向けたトラックであり、ピックアップのあるべき姿という一般的な期待から外れた、常識にとらわれないクルマだったのである。

そこで登場したのが、Ford Maverick(フォード・マーベリック)である。

フォードはおよそ10年間にわたって北米のコンパクトピックアップトラック市場を放棄してきたが、同社はマーベリックによってそのブランクを破り市場に戻ってきた。先代モデルのRanger(レンジャー)は中型トラックに改良されて戻ってきたが、新型マーベリックはこれまでの流れを継承している。ちなみにマーベリックという名前は、1970年代にフォードがコンパクトセダンのシリーズに初めて使用したものである。

基本概要

画像クレジット:Alex Kalogianni

ユニボディ構造の同新型トラックは、4ドア5人乗り の「SuperCrew」キャビンと約54.4インチ(140cm強)の荷台を備えている。比較のために書くと、この長さはSuperCrewキャビンを持つレンジャーよりも15cmほど短いものとなっている。

TechCrunchが試乗したマーベリックは、ハイブリッド化された2.5リッター4気筒エンジンを標準搭載し、191馬力と155ポンドフィートのトルクを発揮。無段変速機と組み合わされて、前輪にパワーを送る仕組みだ。

標準的な構成を持ちながらも、この小さなトラックは優れた燃費性能を実現している。都市部では推定40mpg、1タンクで500マイルの航続距離となっている。また、1500ポンド(約680kg)の荷物を積み、2000ポンド(約900kg)の荷物を牽引することが可能だ。

さらなるパワーを求めるなら、オプションの2.0リッターEcoBoostエンジンにアップグレードすることで最高出力250馬力、最大トルク277ポンドフィートを発揮する。このエンジンはより伝統的な8速オートマチックギアボックスと組み合わされ、前輪または4輪を駆動できる。性能面ではペイロードの数値は変わらないものの、単体で2000ポンドの荷物を牽引し、オプションの「4K Tow Package」(AWDモデルのみ)を付ければその2倍の荷物を引くことができるという。

EcoBoostを搭載したマーベリックのAWD(全輪駆動)車には、オフロードでの活動をサポートするアンダーボディプロテクション、サスペンションのチューニングの調整、オフロードに特化した追加のドライブモードを揃えたFX4パッケージを加えることも可能だ。

XL、XLT、Lariatの各トリムレベルは、フォードファミリーらしい馴染みのあるものだ。マーベリックではXLとXLTに大きな違いはないが、XLTにはより豊富なアクセサリーが装備されている。どちらも布製シートで、パワートレインは好みのものを選択できる。

Lariatトリムでは複数の付属品が追加されている他「activeX」と呼ばれる合成素材を使用してキャビンに若干のプレミアム感を与えている。マーベリックの初値はベースとなるハイブリッド車で2万ドル(約223万円)を下回り、その他のトリムは2万ドルから3万ドル(約335万円)の範囲に収まっている。フル装備の場合でも最大で3万5500ドル(約396万円)程度となっている。

搭載テクノロジー

画像クレジット:Alex Kalogianni

同社の大型版と同様に、このコンパクトトラックにも最新の安全技術や便利なテクノロジーが搭載されている。しかし感心させられるような技術はほとんどがオプションだ。歩行者検知機能つきの自動緊急ブレーキや衝突警告機能は標準装備されているものの、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシスト、ヒルディセントコントロールなどの、さまざまな運転支援機能を希望する場合は追加のテクノロジーパッケージとして装備する必要がある。

車内にはApple CarPlayとAndroid Autoに対応した8インチのタッチスクリーンが搭載されている。内蔵のWi-Fiホットスポットでは、最大10台のデバイスがFordPass Connectを介してインターネットにアクセス可能だ。ちなみにFordPass Connectは契約が必要になる前の3カ月間、無料トライアルが用意されている。

一方で、スマートフォンのアプリを使ってクルマにアクセスできるなど、便利な機能を備えているFordPassは無料だ。スマートフォンのアプリでクルマにアクセスすると、クルマの始動やドアのロック解除、クルマの状態の更新などが遠隔操作で行える。

マーベリックの真骨頂は、多様なニーズに対応するために構築された標準装備の荷台「Flexbed(フレックスベッド)」にある。マルチポジションのテールゲートや内蔵式の収納スペース、フォルスロードフロア用のスロット、リアカーゴを固定するための複数のアタッチメントポイントなど、細やかな工夫が施されている。

マーベリックは柔軟性を重視し、あらゆる面で実用性を高められるように設計されている。例えばユニボディ構造を採用したことで、燃料タンクを後方に移動させることができ、後部座席の下にかなりの量の収納を確保することができた。また、今人気のマルチユースのドリンクボトルを想定してドアを設計したり、空いているスペースをすべて収納機能として活用したりしているのである。

マーベリックのデザインには、フォードのトラックオーナーのDIY精神が反映されている。

ユーザーたちが自分のトラックを最大限に活用するために考え出したユニークなソリューションを観察した同社。その結果としてマーベリックは、ユーザーが配線するためにテールランプをハッキングしたり、ブラケットを取り付けるためにトラックの荷台にドリルで穴を開けたりする必要がないよう改めてレイアウトされたのである。マーベリックオーナーは車内各所に設置されたQRコードから、ハウツー動画が掲載されたサイトにアクセスすることが可能だ。また、一部の部品のCADファイルもアップロードされ、3Dプリンターでオリジナルのアクセサリーを作ることもできるようになる。

ユーザーエクスペリエンス

F-150のような大型トラックの走りを敬遠してしまう人にも、マーベリックはフレッシュな親しみやすさを感じさせてくれる。半分はクルマ、半分はトラックというデザインのため、ボディオンフレーム車のような走りではなく、シートポジションを高くしたサブコンパクトカーのような感覚になっている。ユニボディ構造のサスペンションにはしっかりとした安定感があり、重厚なピックアップにありがちな車体のロールはない。スポーツカーではないが乗り心地は良く、楽しい道も無駄なく楽しむことができる。

前輪駆動のこのハイブリッド車は、ノーマルモードでもスポーツモードでもよく走る。後者は効率を重視したアトキンソンサイクルエンジンにもう少しスロットルレスポンスを求める人のためのものだ。また、CVTトランスミッションとの相性も良く、良い意味で普通である。ハイブリッドのマーベリックのドライビングエクスペリエンスを表現するには「無難」という言葉が最適かもしれない。マーベリックは日常の足として期待を裏切らずに仕事をこなしてくれるが、特に何かが優れているわけではない。期待を裏切らないという意味では勝利と言えるだろう。

ある意味十分なパフォーマンスを発揮してくれたため、EcoBoostを搭載したマーベリックのパワーに大きな期待を抱く必要もなかったが、クルマを乗り換えたときに良く分かった。ちょっとしたパワーがあるのはいいことだが、ハイブリッドを差し置いて選ぶほど路上でのダイナミクスが劇的に変化することはなかったのだ。オフロードでは別の話だろうが、それはまた複雑な話になってくる。

ハイブリッドへのためらい

フォードはマーベリックのオフロード性能に対して慎重に言葉を選んでいる。「Built Ford Tough」ではあるものの、このトラックはドライバーを冒険のスタート地点に連れて行くためのものであり、トラック自体が冒険なのではない。これは、マーベリックがフォードのオフロード性能ランクの下の方に位置することを遠回しな言葉で伝えているのである。

どこまでも旅をしたい冒険家はBroncoを、また放浪好きなドライバーにはBronco Sportがおすすめだ。マーベリックと同じプラットフォームを採用していながら、ホイールベースの短さとクリアランスの面で、コンパクトトラックよりも優れている。

実際には、スロットルとホイールのスリップを制御するドライブモードが追加され、より高性能なタイヤと組み合わされたマーベリックは、試乗会のオフロードでも活躍を見せた。大きな岩がゴロゴロしたヒルクライムを除けば、平坦な砂利道と草原の中のよく整備された道では特に難しいことはなかった。

マーベリックは荒れた道でも問題なく走破した。オフロード経験者にとってはなんてことのない道だろうが、まだ慣れないクルマに乗っているドライバーにとっては一瞬躊躇するほどの岩場である。

全輪駆動のEcoBoostバージョンのマーベリックが、軽い障害物を乗り越えられるというのは疑う余地もない。しかしハイブリッドは別の話である。今のところフォードは全輪駆動のハイブリッドを提供していない。また、前輪バージョンをオフロードで走らせることはできなかった。

メカニズム的には、マイルドハイブリッドシステムは非常にインパクトの少ないシステムだ。大雑把に言えば、大容量のパワーパックを搭載したマルチモーターのPHEVとは逆に、ドライブトレインに組み込まれた小型モーターと小型バッテリーを組み合わせて、軽快な動力回復を実現するというものである。ハイブリッドマーベリックに独自の全輪駆動を搭載することは、不可能ではなさそうではないか。オフロードではEcoBoostよりも性能が落ち、燃費が下がるのは間違いないだろうが、その落差はごくわずかなものだろう。

例として燃費を見てみよう。フォードは前輪駆動のハイブリッドマーベリックで40mpgの燃費を実現したと大々的に発表している。より重く、よりパワーを必要とする全輪駆動システムは、このリターンを下回る可能性が高いが、とは言え30または25といったところだろう。40とはいかなくとも、コンパクトトラックとしてはかなり良い数値だと言えるのではないだろうか。

フォード自身も認めている通り、最もたくましいマーベリックでもオフロード機能に関しては限界がある。オフロードで最も重要な数値である277ポンドフィートのトルクというのは、150ポンドフィートに比べれば間違いなく優れているが、それでもマーベリックが必要とするパラメーターを考えれば十分である。

FX4を搭載したEcoBoost AWDマーベリックの方が優れていることは間違いないが、ハイブリッドシステムが標準搭載され、かつ最も魅力的であることを考えると、ハイブリッドのマーベリックが最も売れるであろうことは明らかであり、ドライバーたちが試乗しようと思うのはまずはハイブリッドだろう。

ライバルたち

フォードはマーベリックをデザインするにあたり、トラックからダウングレードしようと考えている人に向けてというよりは、乗用車をアップグレードしたい人に向けてデザインしている。中型のレンジャーとマーベリックの間には顧客がオーバーラップする部分があるかもしれないが、厳密には対立するものではないだろう。

都市部や郊外での使用を想定しているため、マーベリックの最も近いライバルとなるピックアップは、Honda Ridgeline(ホンダ・リッジライン)と言ったところだろうか。洗練されたクルマのような中型トラックとしての実績は、今のところ他の追随を許していないが、マーベリックや新型Hyundai Santa Cruz(ヒュンダイ・サンタクルス)がその地位を揺るがす可能性もある。

フォード・マーベリックは、その実力というよりも、可能性を秘めた「白紙状態」のクルマとしての魅力が高いトラックである。

このトラックは、コストパフォーマンスに優れた低燃費のコンパクトユーティリティービークルであるのと同時に、そこそこの性能を持つオフローダーでもあるわけだ。新たな家族にと犬を探す際、セントバーナードではなくテリアを選ぶのと同様、トラックのような実用性を持ちながらも価格や物理的な制約が少ないクルマを探している人の目に留まるのだろう。

乗用車のように扱えるため、初めて運転する人にも、重厚なSUVやフルサイズのピックアップを運転するのが苦手だという人にも親しみやすいのがこのトラックだ。フォード・マーベリックは 極めて「無難」であり、またその可能性は無限大なのである。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Dragonfly)

ハイブリッド、EV、代替燃料の未来に対するランボルギーニのビジョン

自動車愛好家には、電気自動車を敬遠してきた歴史がある。電化やハイブリッド化を全面的に支持する人もいる一方で、依然としてガソリンにこだわりを持つ人もいる。Lamborghini(ランボルギーニ)のような、高尚で価格設定の高い領域では特にその傾向がある。

電動化とハイブリッドパワートレインの推進は、世界最大級のパワフルなガソリンエンジンを備えた印象的な特注車両を作ることで知られる自動車メーカーに、大きな課題を突きつけている。ランボルギーニの上層部からは、それに対する若干の抵抗感が感じ取れる。

ランボルギーニは2024年までにすべてのモデルをハイブリッドパワートレインに移行するとしている。すでにハイブリッドの限定モデルとしてSián FKP 37(シアンFKP 37)とCountach LPI 800-4(カウンタックLPI 800-4)を発表しているが、ハイブリッド化されたパワートレインを搭載した初の量産(つまり限定ではない)車両が来年までにリリースされるという。Ferrari(フェラーリ)、McLaren(マクラーレン)、Porsche(ポルシェ)などはハイブリッドパワートレイン搭載の量産車と限定車の両方を作り続けており、ランボルギーニはこの分野に参入する最後のスーパーカーメーカーの1社となる。

ランボルギーニは、同社の忠実な顧客の力を借りて、彼らの象徴的なスーパースポーツカーの未来を革新したいと考えている。

ランボルギーニの燃料の未来

「一方で、当社は極めてニッチな存在であり、CO2の方程式に占める割合はごくわずかです。しかし私たちは自分たちの役割を果たしたいと考えています」と、ランボルギーニの北米の新CEOであるAndrea Baldi(アンドレア・バルディ)氏は、今後もリリースを予定しているガソリン駆動車として同社最後のモデルとなるHuracán(ウラカン)の1つ、Huracán STO(ウラカンSTO)のローンチイベントで語っていた。「ハイブリッド、電気、そして代替のパワートレインへのシフトは、私たちにパフォーマンスの再考を迫るものであり、電動化が長期的な方向性であるかは確信が持てません」。

「ハイブリッドや電動パワートレインを搭載した4番目のモデルをリリースするにしても、異なる種類の燃料を使用する内燃機関のソリューションを見つけるにしても、私たちは今後もさらに学びを進めていきます。エモーション(感情)と真のランボルギーニ体験という、共通の目標を実現する必要があるのです」とバルディ氏は語っている。

同氏は自社が採用する可能性のある燃料や技術の詳細については語らなかったが、ランボルギーニのCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏からは、ランボルギーニの将来的な完全電動化を示唆する興味深い研究についての言及があった。

「ハイブリッドパワートレインは、私たちがイノベーションを起こせると確信している次のフロンティアです」とレッジャーニ氏は分けて語っている。「当社の存在意義は、独自のDNAを有していることにあります。私たちはエモーションをエンジニアリングしているのです。例えば、振動のような物理的な事象が感情の流れにどのようなインパクトを与えるかについて、ミラノ工科大学と共同で研究を行っています」。ICEエンジンの物理的効果がジャイロスコープとオーディオトラックによってシミュレートされる世界を見ることができる。

技術的には、サンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニの工場は2015年以来カーボンニュートラルであるとバルディ氏はいう。しかし、従業員1800人のこの企業は、はるかに規模が大きく、炭素排出量の多いVW(フォルクスワーゲン)グループの一員である。自動車生産台数は少なく、イタリア政府が今後の内燃機関の規制からランボルギーニやフェラーリのような自動車メーカーを除外する動きを見せているにもかかわらず、ランボルギーニは代替燃料への移行を余儀なくされている。

バルディ氏によると、ランボルギーニは世界の自動車の1万1000台に1台を占めているが、トヨタやホンダのような巨大自動車メーカーと比べれば小さな数だ。「ハイブリッド化と電動化は、エモーションの未来を広げる機会をランボルギーニのオーナーに提供します。夢を手に入れるのです。大多数の顧客は、自分の成功を表現する車を求めています」とバルディ氏。それでもやはり、将来にわたって内燃エンジンを使い続けたいとランボルギーニの顧客がいくら望んだとしても、そうしたエンジンの時代は終わりに近づいている。

顧客との直接的なつながりの構築

ランボルギーニは一貫して、顧客のニーズに応えることをブランドの核に据えてきた。2025年のCO2排出量50%削減に向けた今後のモデルの方向性を見極めるために、忠実なオーナーたちからの協力を得ている。すでに完売したCountach LPI 800-4のペブルビーチでの最近のローンチは、ランボルギーニが顧客ベースを活用してハイブリッドパワートレイン搭載の高需要の新製品を生み出したことを物語る好例だ。

「関りを持つことなくただクルマを作るだけということはありません。顧客体験の全体を通して、顧客との絆を深めてきました」とバルディ氏は語る。「Countachで実施した特別プロジェクトは、会社と顧客の間の直接的な信頼を高めるものでした。1対1のミーティングを友人同士のように行い、Countachでの当社の取り組みを伝えることができました。エモーショナルな決断が生み出したこの車の構築は、優れたビジネスケースとなったのです」。

新型コロナウイルス感染症の発生とその結果としての旅行制限により、工場訪問は2020年の間にほぼ中止された。しかしランボルギーニは、2018年にUnicaというデジタルプラットフォームをローンチしており、オーナーが期待する特別な顧客コンタクトやサービスを提供することを可能にしている。アプリはスマートフォンにダウンロードでき、オーナーは専用のイベント、ローンチ、ソーシャルメディアへのアクセスを得る。サインアップするには、ランボルギーニのVINと所有権証明書の提出が必要だ。

このアプリは、結果的に会社と消費者間の直接販売の可能性を開いた。「直接販売は、私たちが探究する必要のある分野です。私たちは加速する時代の中にあり、顧客と直接的な関係を持ちたいと思っています。問題は、顧客との直接接触をどの程度拡大できるかです」とバルディ氏はいう。「車の価値が維持されるという感覚を確実にするためには、顧客との人間的な触れ合いが必要です。現在、車の待ち時間は平均で1年を超えています。待機時間はこれらの車を販売する時間であり、顧客との直接的なコンタクトがありますので、価値は維持されます」。

ランボルギーニの最新モデル、Huracán STOはストリートホモロゲーションレーシングカーだ。現在2022年まで売り切れの状態で、Unicaアプリと車両を介したコネクティビティが付属している。このシステムでは、ラップタイム、スロットルとブレーキのインプット、ハンドルアングルなどのドライビングセッション中のデータや、内蔵カメラが撮影したトラック上のラップの動画を記録し、アプリにアップロードすることが可能だ。ランボルギーニのオーナーにとっては一種のエリートソーシャルネットワークであり、より直接的につながる方法が会社にもたらされる。

「顧客はランボルギーニを体験するための適切なコンテキストを求めています」とバルディ氏。「スーパースポーツカー市場は拡大の一途を辿っています。このようなカーライフスタイルやモータースポーツにおける体験を提供し、人間的な触れ合いの幅を広げていくことができれば、顧客はブランドの範囲内に留まり続けるでしょう」。

関連記事:【レビュー】ランボルギーニ Huracán STO、強力なエンジンの代名詞的企業がハイブリッド化に向かうとき何が起こるのだろうか

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

ジープが新型グランドチェロキーのプラグインハイブリッド車を発表、電気のみで約40kmを走行可能

公約通り、Jeep(ジープ)は米国時間9月29日、「Grand Cherokee(グランド・チェロキー)」初のプラグイン・ハイブリッド車に関する詳細を明らかにした。この「Grand Cherokee 4xe(グランド・チェロキー・フォーバイイー)」は、2022年初頭に北米のディーラーに並ぶことをジープは認めている。そしてその性能は期待以上と言っていいだろう。電気のみで25マイル(約40km)の距離を走行可能、といっても必ずしも毎日の通勤をすべてカバーできるわけではないかもしれないが、ジープは2.0L直列4気筒ガソリンエンジンに火を入れなくても、坂道をぐんぐん登っていける、荒削りだが目的に適ったPHEVであることを約束している。ちなみにガソリンも使った場合の航続距離は440マイル(約708km)となっている。

電気のみによる走行の他に、エンジンとモーターを組み合わせて最適なパフォーマンスを発揮する「ハイブリッド」モードや、容量17kWhのバッテリーをなるべく残しておくために、エンジンを優先的に使用する「eSave」モードを選択することもできる。

車内にも期待通り、多くの新しいテクノロジーが採用されている。前席と後部座席の前に備わる10インチのディスプレイには、Amazon Fire TV(アマゾンファイヤーTV)が組み込まれており、つまり移動の間、後席の子どもたちはPrime Video(プライム・ビデオ)を観ていられる。車載インフォテインメント・システムには「前世代より5倍も速い」という最新の「Uconnect 5」を採用。無線アップデートにも対応している。

4xeを含む新型グランド・チェロキーは、電子制御式セミアクティブ・ダンパーを採用したエアサスペンションを装備し、オフロード走行性能が向上した。路面状況から全輪駆動が必要ないと車両が判断した際には、前輪の駆動力が自動的に切り離され、駆動装置の抵抗を軽減させて燃費を向上させる。オプションの「Active Driving Assist(アクティブ・ドライビング・アシスト)」システムを使えば、ハンドルに手を置いて道路を注視している限り、半自動運転が可能だ。ジープによれば、グランド・チェロキー4xeのプラグインハイブリッド・システムは、1基の内燃エンジンと2基のモーターの組み合わせで、最高出力375馬力(280kW)と最大トルク637Nmを発生し、最大6000lbs(2720kg)の牽引力を発揮するという。

グランド・チェロキー4xeには、Limited(リミテッド)、Trailhawk(トレイルホーク)、Overland(オーバーランド)、Summit(サミット)、Summit Reserve(サミット・リザーブ)という4種類の仕様が設定されるが、いずれも価格はまだ明らかにされていない。しかし、これがジープ・ブランドにとって重要な車であることは、すでに明らかだ。ジープを傘下に収めるStellantis(ステラティス)は、ライバル企業に追いつくために電動化を競っており、2025年までにすべてのSUVに完全電気自動車バージョンを投入する計画を掲げている。プラグインハイブリッドは、それに向けた重要な第一歩である。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Jon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Jeep

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カリフォルニア州は2030年までに自動運転車のゼロエミッション化達成を義務化

2030年から、カリフォルニア州で運用される小型車の自動運転車はゼロエミッションでなければならない。SB500はGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)カリフォルニア州知事は、米国時間9月23日に署名した法律で、温室効果ガスの排出削減を目的に、内燃機関の新車販売を制限するための最新の取り組みとなる。ニューサム知事は2020年に、2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する大統領令に署名した。同年、同州の大気資源局は、2045年までにカリフォルニア州で販売されるすべての新型トラックの排出量をゼロにすることを義務づけている。

Cruise(クルーズ)のグローバル・ガバメント・アフェアーズ部門の責任者であるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、Engadgetに寄せた声明の中で、「これが業界標準となることを確実にするためのカリフォルニア州のリーダーシップに感謝します。AV業界は、都市における温室効果ガスの排出量削減をリードする素地があり、そのために私たちは当初から電気自動車やゼロエミッションの車両を運行してきました」という。Cruiseは、自律走行型配送サービスのスタートアップであるNuroを含むEmission Zero Coalitionへの参加を通じて、SB500を支援した。

環境保護庁によると、2019年以降、米国の温室効果ガスの唯一最大の排出源は運輸部門であり、その半分以上を小型車が占めている。しかし、現在、カリフォルニア州の道路を走る約1500万台の自動車のうち、自律走行車はごく一部に過ぎない。さらに、カリフォルニア州で完全自律走行型タクシーサービスをテストしている代表的な企業であるCruiseWaymoは、電気自動車ハイブリッド車だけで車両を運用している。今回のカリフォルニア州の動きは、自律走行車が将来的に大きな汚染源となることを防ぐためのものであり、特に完全自動運転のタクシーサービスが通勤者の間で人気になれば、その危惧は現実のものとなる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Screenshot/GM

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

モントレー・カーウィーク開催、未来のEVと高性能ハイブリッド車が注目を集める

現地時間8月15日(日曜日)に閉幕したMonterey Car Week(モントレー・カー・ウィーク)では、ペブルビーチにコンクール・デレガンスが戻ってきた。太平洋を望むペブルビーチ・ゴルフコースで開催され、2021年で70回目を迎えるこのショーでは、黒の1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurierがベストショーの栄冠に輝いた。しかし、2021年目立ったのは、ビンテージカーではなく、EVハイパーカーや高性能ハイブリッド車である。

絵画のように美しいモントレー半島一帯で、自動車レース、展示、パレード、販売を中心としたさまざまな催しが一週間以上も開催されるモントレー・カーウィーク。このペブルビーチのイベントは年を追うごとに華やかになり、2020年は中止となったが、2021年は(新型コロナウイルスの蔓延が懸念されていたにもかかわらず)シャンパンが振る舞われた。

デルタ型変異ウイルスの懸念を受け、2021年8月初めにニューヨークモーターショーの中止が決定した際には、モントレー・カーウィークも中止になるのではないかという憶測が流れた。しかし、秋に向かって先行き不透明なパンデミック禍でもショーを行う必要があることから、カーウィークは事実上のショーとして開催された。

2021年8月15日、ペブルビーチで開催された「2021年ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、ベスト・オブ・ショーを受賞した1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurier(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

コンクール・デレガンスまでの数日間、カーメルやモントレーの街は静かで人通りも少なく、走行しているビンテージカーも少ないように感じられた。駐車スペースでは、ランボルギーニやベントレー、フェラーリなどのモダンカーがスタンバイしていた。霧のような雨と低い気温にもかかわらず、ほとんどが屋外で行われたイベントでは、多くのゲストがマスクをつけたり外したりしていた。日曜日になると、大勢の観客がやってきて、コンクールは例年のような賑わいとなった。

メインイベントであるペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、かつては戦前のレストアされたビンテージカーを対象としたイベントだったが、世代や嗜好の変化に伴い、会場のゴルフコース上には新車も登場するようになった。来場者の年齢層が若くなったことから、今では高性能なスポーツカーが数多く展示されている。

8月13日(金曜日)の夜に行われたGooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークションでは、1995年式マクラーレンF1が2000万ドル(約22億円)という記録的な高値で落札された。一方、自動車メーカー各社は、高額なスーパーカーの限定モデルを、メディアやプライベートイベントに参加している上顧客に向けて、慌ただしく発表した。

Lamborghini(ランボルギーニ)のCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏は「ペブルビーチは要です」と話す。「ペブルビーチのイベントは、車の美しさという側面で、人々が何を好んでいるかを教えてくれます」。

注目すべきは、現地時間8月11日(水曜日)、Audi(アウディ)が未来的なSkysphere conceptを展示したことだ。金曜日にはMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が、カリフォルニアスタイルの新しいコンバーチブルSLをプレビューしたが、このモデルは9月まで正式には発表されない。Aston Martin(アストンマーティン)は、ペブルビーチのゴルフコースを見下ろす広々としたスタンドで「Valkyrie」と「Valhalla」のモデルを展示したが、モデルを間近で見ることができたのはメディアと十分に吟味された顧客のみだった。

Rimac Automobili(リマックアウトモビリ)とLucid Group(ルシードグループ)の両社は、最も高価なEVパワートレインに投資する余裕のある潜在顧客と接触するためにペブルビーチに登場。Rimacは台座の上に圧倒的なスピードを誇るスポーツカー「Nevera」をデビューさせた。2021年のモントレー・カーウィークは、モダンカーと新しいプレイヤーが、周りの古い車を追い抜いてしまったように見えた。

超高級車に対する1年越しの鬱積した需要の高まりの中で、モントレーやカーメル周辺のレーストラック、道路は、パンデミック禍で購入したすべての車を披露できる最高の舞台だ。オークション価格が高騰し、7桁台(日本円では1億円以上)のスポーツカーが完売する中、ハイパフォーマンスカーへの情熱が衰えていないことが明らかになった。今回、ペブルビーチでお披露目された新車には、高価格、スポーツカーテクノロジーの集結、生産台数が少ないという共通点がある。以下、ハイライトを紹介する。

Aston Martin

画像クレジット:Tamara Warren

ここ数年、何度か延期されていたAston Martin Valkyrie Spiderだが、新CEOのTobias Moers(トビアス・ムアース)氏によってすでに完売したと発表された。Valkyrieは、取り外し可能なルーフパネルを備え、最高速度は時速350kmにも達する。パンデミック中にCEOに就任したムアース氏は、同社の生産方法を大幅に改良している。

ムアース氏は、新しい車載技術を加えることはブランドの将来にとって不可欠であり、それによって前世代のメルセデス・ベンツの技術から脱却できると話す。Astonのブースでは、ハイブリッドパワートレインを搭載したValhalla(2024年モデル)も展示されていた。

Audi Skysphere

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」(カリフォルニア州カーメル)に出展されたEVコンセプトカー「Audi AG Skysphere」(画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg)

自動運転のコンセプトカー「Skysphere」は、ビンテージカーのコンクールというよりも、CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)に出展されているような印象を受けたが、ペブルビーチで発表された車の中で、最も興味深い車として注目を集めていた。Audiによれば、グランドツーリングモードとスポーツモードでホイールベースを変化させられるとのこと。

Bentley Flying Spur Mulliner

Bentley Flying Spur Mulliner(画像クレジット:Bentley)

Bentley Flying Spur Mullinerの豪華なインテリアは、贅沢なレザーで賛辞を集めたが、Bentley(ベントレー)にとって重要な意味を持つのはハイブリッドパワートレインを搭載するというニュースだ。

Bugatti Bolide

2021年の「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」でBugatti Bolideの横に立つBugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)のプレジデント、Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏(画像クレジット:Bugatti)

Bolideはペブルビーチではなく、金曜日にザ・クエイルで開催されたプレスカンファレンスで発表された。超高級自動車メーカーにとって、新型車は大きな意味を持つが、特に最後のガソリン車となるモデルは重要である。Bugattiによれば、Bolideは40台製造され、価格は1台400万ドル(約4億4000万円)。最高速度は時速480kmにもなるという。

Lamborghini Countach LPI 800-4

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された「Lamborghini SpA Countach」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

デビュー50周年を記念し、初代モデルをオマージュしてデザインされたCountach。ボンネットの中には2.8秒で時速100kmに達するというハイブリッドパワートレインを搭載した、まったく新しいモデルである。

Acura NSX Type S

Acura NSX Type S(2022年モデル)。(画像クレジット:Acura)

Acura(アキュラ)は、現行最後のスーパーカー「NSX」の最終モデルとして、ハイエンドのハイブリッドバージョンを発表した。350台限定生産を予定し、価格はおよそ17万1000ドル(約1900万円)から。

Rimac Nevera

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された高級EVスーパーカー「Rimac Nevera」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

Rimacは、244万ドル(約2億7000万円)のEVスーパーカー「Nevera」を米国でデビューさせ、モントレーにその名を刻んだ。Rimacによると、Neveraはフル充電で最大400マイル(約640km)走行可能で、最高速度は時速258マイル(約410km)とのこと。モントレーでのRimacの華やかな存在感は、かつてはビンテージカーの象徴だったペブルビーチで、競争相手を凌駕する新たなEVプレイヤーが求められていることを示している。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

ランボルギーニカウンタックLPI800-4は802馬力のハイブリッドスーパーカー

編集部注:著者のIgor Bonifacic(イゴールボニファシック)は、 Engadget寄稿者である。

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様々なリークや焦らし情報のあと、ランボルギーニはついにその新しいハイブリッドエンジンのカウンタックを発表した。

ありがたいことに、車について知りたいことのほぼすべてが、LPI800-4というモデル名に集約されている。

最初の部分(LPI)はLongitudinale Posteriore Ibridoの略で、これはエンジン機構が「縦置き」「後方」「ハイブリッド」だという事実を表現したものだ。

一方、2つの数字は、カウンタックのV12 6.5リッターエンジンと48ボルトの電気モーターが合わせて出力できるのが約802馬力であることと、4輪駆動であるという事実を示している。

画像クレジット:ランボルギーニ

それらが合わさって1台のパワフルな車が生まれた。このカウンタックは、時速0マイルから時速60マイル(約97キロ)までを3秒未満で加速し、時速0マイルから時速124マイル(約199.6キロ)までを9秒弱で加速することができる。最高速度は時速221マイル(約355.7キロ)、最大トルクは531lb-ft(約720N・m)だ。

画像クレジット:ランボルギーニ

カウンタックの電気モーターに電力を供給するのは、同じ重量のリチウムイオン電池と比較して3倍の電力を供給できるとランボルギーニが主張しているスーパーキャパシターだ。ランボルギーニは、V12エンジンから得られるパワー伝達の感覚を保持するために、ギアボックスに直接電気モーターを取り付けたという。

カウンタックLPI800-4のシャーシと外装の大部分をカーボンファイバーが占めている。「70年代と80年代の象徴的なカウンタックが、ここ10年間のカウンタックににどのように影響を与え進化させたかを想像させてくれます」とランボルギーニ社は、元のモデルよりもアヴェンタドールを彷彿とさせる今回のデザインについて語っている。内部には、CarPlay(カープレイ)統合が行われ「Stile」(スタイル[イタリア語])というラベルの付いたボタンを持つ、8.4インチのタッチスクリーンディスプレイがある。そのボタンを押すと「カウンタックのデザイン哲学が、その特権的な顧客に対して説明される」のだ。

特権的な顧客と言ったが、ランボルギーニはこのカウンタックLPI800-4を112台しか製造しない。自動車メーカーが送ったプレスリリースには価格さえ言及されていない。ランボルギーニも熱心に取り組んでいるようだが、カウンタックはあまりにも重要なので、限定といえども無視するわけにはいかなかった。

編集者注:この投稿は元々Engadgetに掲載された

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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷は8月4日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、無人搬送車(AGV)などのための、薄型・軽量・低コストの11.1kW(キロワット)の大電力に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発したことを発表した。大日本印刷では、この製品化を進め、2025年までに年間50億円の売上げを目指す。

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル

11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。

大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

このシート型コイルには、以下の特徴がある。

  • 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
  • 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
  • 材料を削減できるためコスト低減が可能
  • 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
  • コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
  • コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能

今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。

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大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大日本印刷は8月4日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、無人搬送車(AGV)などのための、薄型・軽量・低コストの11.1kW(キロワット)の大電力に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発したことを発表した。大日本印刷では、この製品化を進め、2025年までに年間50億円の売上げを目指す。

大日本印刷が11.1キロワット(WPT3)の大電力に対応したEV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発

大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイル

11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。

大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

このシート型コイルには、以下の特徴がある。

  • 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
  • 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
  • 材料を削減できるためコスト低減が可能
  • 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
  • コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
  • コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能

今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。

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電動化を推進する英高級車メーカーのベントレーが新型車「フライングスパー・ハイブリッド」を発表

102年の歴史を持つ英国の超高級自動車メーカーであるBentley Motors(ベントレー・モーターズ)は現地時間7月6日、最新のハイブリッドモデルを発表した。Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)傘下の同社によれば、この最新型「Flying Spur Hybrid(フライングスパー・ハイブリッド)」は、ベントレー史上最も環境に優しい車であるという。

この新型車は、ベントレーの「Beyond100(ビヨンド100)」戦略の一環であり、同社は2023年までにラインナップをすべて電動化し、2030年までにはすべてのモデルを電気自動車のみにして、カーボンニュートラルな企業になることを目指している。ベントレー初の電気自動車が2025年に発売予定であることを考えると、これは大変な目標だ。今のところ、ベントレーの電動化モデルは、まだこのフライングスパー・ハイブリッドと、SUVのBentayga Hybrid(ベンテイガ・ハイブリッド)しかない。

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ほとんどの主要な自動車メーカーは同じような公約を掲げており、Ford(フォード)、GM、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Kia(起亜)、Nissan(日産)などのメーカーはすでに電気自動車を生産している。ベントレーのような自動車メーカーが目標を達成するためには、電動化モデルの生産台数を飛躍的に増加させなければならない。特に、現在はTesla(テスラ)が独占している高級EV市場に割って入ろうとするのであれば、なおさら努力が必要だ。

ベントレーの発表によると、フライングスパー・ハイブリッドの新しいパワートレインは、2.9リッターV型6気筒エンジンと1基の電気モーターを組み合わせたものであるという。エンジン単体で最高出力416psを発生し、550Nmのトルクを5650rpmまで維持する。トランスミッションとエンジンの間に配置されたモーターは、最高出力136psと最大トルク400Nmを発生。システム総合では最高出力が544ps、最大トルクは750Nmにもなる。これはベンテイガ・ハイブリッドよりも、それぞれ95psと50Nm上回る。

容量14.1kWhのリチウムイオンバッテリーは、(地域によって異なるが)約2時間半で満充電が完了する。ガソリンも満タンにすれば、700km以上の距離を走行できるという。0-100km/h加速はV8エンジン搭載バージョンのフライングスパーとほぼ同等の4.3秒(フライングスパーV8は4.1秒)。最高速度は285km/hに達する。

ドライバーは、センターコンソールに備わるスイッチで3種類のEモードを切り替えて、バッテリーの使用を管理することができる。クルマを始動させると、可能な限り電気のみで走行するEVドライブ・モードがデフォルトで選択される。ハイブリッド・モードは、ドライバーがナビゲーションシステムで目的地を設定すると、そのルートに合わせて適切なドライブ・モードを予測し、自動的に選択する。この予測に基づいてエンジンの惰性回転も積極的に利用する。システムは走行中にバッテリーの電力を最も効率的に利用するための計算を絶えず行い、例えばこれから都市部に向かう場合は、バッテリーに電気を蓄えておき、都市部に入ったら最適なEVモードで走行できるようにする。逆に高速道路ではV6エンジンをより多く作動させることができる。そして3つめのホールド・モードは、エンジンと電力をバランス良く使い分け、必要なときに電力で走行できるようにバッテリーの充電量が維持される。ドライバーがスポーツ・モードを選ぶと、デフォルトでこのホールド・モードになり、電気モーターによるブーストと減速時のエネルギー回生が確実に行われる。

フライングスパー・ハイブリッドのインフォテイメントスクリーンでは、エンジンとモーターのエネルギーフローを確認できる。航続可能距離、バッテリー残量、充電状況などのEV走行に関する情報は、センタースクリーンの他、インストルメントパネルやヘッドアップディスプレイにも表示できる。フライングスパー・ハイブリッドには使用地域にあった充電ケーブルが付属するが、家庭で充電したいオーナーには、充電ユニットと充電ケーブルを収納できるベントレーのロゴ入りウォールボックスが無償オプションとして提供される。

フライングスパー・ハイブリッドは、現在ほとんどの市場で注文可能だが、ベントレーによると、今のところ、EU加盟27カ国、英国、スイス、イスラエル、ウクライナ、ノルウェー、トルコ、ベトナムでは受注が開始されていないとのこと。

また、ベントレーは同日、シングルモルト・スコッチウィスキーのメーカーであるThe Macallan(ザ・マッカラン)とのパートナーシップも発表。「特徴的なコラボレーションを展開し、より持続可能な未来に向けた両社のビジョンを推進する」と声明で述べている。ベントレーの広報担当者によると、このパートナーシップの一環として新しいシングルモルトウイスキーが発売される予定だという。さらに「今後、両社のコラボレーションによる製品や体験が追って発表される」とのこと。体験とは…高級飲酒運転ということだろうか? より具体的な両社のコラボレーションとしては、スコットランドのストラスペイ地域にあるThe Macallan Estate(ザ・マッカラン・エステート)で、ベントレーの完全な電気乗用車のフリートを2025年までに導入することが発表された。さらに、ベントレーは2021年中に2台のハイブリッド車を、ザ・マッカラン・エステートに納車する予定だという。

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画像クレジット:Bentley Motors

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォードがコンパクトな新型ハイブリッドピックアップ「マーベリック」発表、市街地燃費17km/Lで約220万円から

Ford(フォード)は米国時間6月8日、潜在需要を喚起するコンパクトな新型ハイブリッドピックアップトラック「Maverick(マーベリック)」を発表した。

新型マーベリックは、これまでのフォードのピックアップトラックよりも小さくて扱いやすいサイズで、価格は1万9995ドル(約219万円)から。SUVやトラックのあるライフスタイルを欲しながらも、狭い市街地における取り回しや駐車のしやすさを求めるエントリーレベルの顧客に向けたモデルとなっている。

間もなく発売される「F-150 Lightning(ライトニング)」のように完全な電気自動車トラックではないものの、マーベリックはフォードの電動化推進計画の一環だ。同社は先日、電動化のための投資額を、これまで予定していた「2023年までに220億ドル(約2兆4080億円)」から、「2025年までに300億ドル(約3兆2840億円)」に引き上げると発表していた。

関連記事:フォードが電動化への投資を3.3兆円に引き上げ自社バッテリー研究開発を加速、30年までにEV比率40%に

また、マーベリックには、フォードのバンダイク・エレクトリック・パワートレイン・センター(かつてのバンダイク・トランスミッション工場)で設計・開発・テスト・製造された電気モーターを初めて搭載するという特徴もある。

コンパクトなピックアップは、市街地での駐車も簡単(画像クレジット:Ford Motor Company)

電気モーターを組み合わせた2.5リッター直列4気筒アトキンソンサイクル・エンジンは、最高出力191馬力と155ポンド・フィート(約210Nm)を発生し、CVT(無段変速機)を介して前輪を駆動する。最大2000ポンド(約907キログラム)までの牽引が可能だが、これは現在市販されている大型の5輪キャンピングカーを運ぼうと考えている人にとって魅力的ではないかもしれない。しかし、市街地における燃費の目標値がEPA(米国環境保護庁)基準で40mpg(17km/L)ということであるから、フォードは他にこのクルマの購入者を見つけることができるだろう。また、マーベリックには2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ「EcoBoost(エコブースト)」エンジンと8速トランスミッションの設定もあり、こちらは最高出力250馬力、最大トルク277ポンド・フィート(約376Nm)を発揮。前輪駆動の他に4輪駆動も選べ、オプションの「4K Tow Package(4Kトー・パッケージ)」を購入すれば、牽引能力は最大4000ポンド(約1814キログラム)に増大する。

トリムレベルはFシリーズと同様に「XL」「XLT」「Lariat(ラリアット)」の3種類が用意されている。

「メイカースペース」にもなる荷台

  1. Ford-Maverick_2L-EcoBoost-AWD_Lariat_12

  2. Ford-Maverick_2L-EcoBoost-AWD_Lariat_09

  3. Ford-Maverick_2L-EcoBoost-AWD_Lariat_10

「F-150」の荷台が5.5 × 4.3フィート(1676 × 1310ミリメートル)であるのに対し、マーベリックの荷台は4.5 × 4フィート(1372 × 1219ミリメートル)という上品なサイズで、さまざまな用途にフレキシブルに対応できるように設計されている。このメッセージを確実に伝えたいと考えたフォードは「flexbed(フレックスベッド)」というブランド名を付けた。

フォードの代表的なピックアップトラックであるF-150シリーズは、仕事で使う電動ツールのための十分な電力を供給できるソケットと収納力を備えたユーティリティー性を重視している。これに対しマーベリックは、DIYを楽しむ人向けに作られた。フォードは12個のアンカーポイントとスロットを用意し、オーナーが好きなように区切って使えるようにした。このフレックスベッドには、DIY用工具に最適な12ボルト20アンペアの電源ソケット2つと、フォードが「ノートパソコンやテールゲートパーティーのために」電力を供給すると書いている110ボルトのコンセント2つが装備されている。

テールゲートといえば、マーベリックのテールゲートは多段式になっており、ドライバーは荷物に合わせて最適な位置までテールゲートを開けて固定することができるため、ベッドエクステンダーとしての機能も備えている。

ベッドサイドの外から荷台に手を伸ばすことができるのも、小型ピックアップならではの特長だ。特にデザイナーは、女性の5分の1が手を伸ばせば届くようにすることを重視したという。

テクノロジー

マーベリックは、最近の新型車に期待されるとおりの完全なコネクテッド・ビークルだ。このフォードの最新ピックアップには、最大10台のデバイスにインターネット接続を提供するモデムが内蔵されており、Apple CarPlay(アップル・カープレイ)とAndroid Auto(アンドロイド・オート)にも標準で対応する。オーナーはスマートフォンから「FordPass(フォードパス)」アプリを使って、エンジンの始動 / 停止、ドアの施錠/ 解錠、燃料レベルの確認、そして広大な駐車場などではクルマの位置の確認などができる。

このコンパクトピックアップは「Ford Co-Pilot360(フォード・コパイロット360)」と呼ばれる先進運転支援機能も搭載しており、自動緊急ブレーキ付き衝突回避支援機能や、前方に他の車両がいない時に自動でハイビームに切り替えるヘッドランプが標準装備されている。さらにオプションで、車線変更時に斜め後方の死角を監視して危険を知らせるブラインドスポット・インフォメーション・システム、車線維持アシスト、アダプティブクルーズコントロールなども追加できる。また、走行状況に合わせてNormal(ノーマル)、Eco(省燃費)、Sport(スポーツ)、Slippery(滑りやすい路面)、Tow/Haul(牽引や重い荷物の積載時)と5種類のドライブモードに切り替えられる機能も標準装備となっている。

インテリア

マーベリックのインテリアは、スマートフォンの充電台を備えたセンターマットや、空調の吹出口など、人との関わりを示す部分にカラフルなアクセントが施されている。トリムにはフェイクレザーやフェイクウッドは使わず、石目調のテクスチャーや斑点模様のプラスティックを採用している。

後部座席に装備されたFord Integrated Tether Slots(フォード・インテグレーテッド・テザー・スロット)は、カップホルダーや子どもたちを楽しませるためのiPadホルダーなど、顧客が車内に追加したいさまざまなアクセサリーを組み合わせることができる。また、燃料タンクを後部座席の下ではなくキャビンの後方に配置したことで、シート下の収納スペースが大幅に拡大した。フォードによれば、このキャビンには、前述の「テールゲートパーティー」のための、氷の入ったバケツも収納できるという。

マーベリックでは、ドアのアームレストや後部座席用ドアのスピーカーを廃止することで、みんなが大好きなS’well(スウェル)のウォーターボトルを収納できるスペースが確保されている。

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画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2025年までにすべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づけるカリフォルニア州の法案

自動運転車を電動化する期限を設定する最初の州が、カリフォルニア州となる可能性がある。

2025年までにすべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づける法案が、2021年2月中旬のカリフォルニア州議会にひっそりと提出された。提案されたSB 500法案は、Dave Min(デイブ・ミン)上院議員によって提出され、Union of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟、UCS)が賛同した。この法案は、配車サービス、配送、トラック輸送などのかたちで新たに登場しようとしている自動運転車業界に対して、直接的な影響を与えることが考えられる。

この修正案は、カリフォルニア州で取り組んでいる二酸化炭素排出を削減するさまざまな目標と一致しており、可決されれば自動車に関連する州の法律に加えられる。現在、州の法律では、Clean Vehicle Rebate Project(クリーン自動車補助金プロジェクト)やCharge Ahead California Initiative(電動化促進カリフォルニアイニシアチブ)など、ゼロエミッション車を奨励するプログラムが施行されている。

Gavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事は、今後販売される新車はすべて、2035年までに二酸化炭素排出量ゼロにする意向であると述べている。ただし、商用車は除外される。この法案が否決されれば、この意向が適用されることはない。提案された法案は初期段階にあるため、却下される可能性も十分ある。しかし、急成長する自動運転車業界や、カリフォルニアで自動運転技術を開発および商業化しようとする企業に対して、この法案が一石を投じている。また、電気自動車だけを使用する企業を後押しすることにもなり得る。

「気候変動に積極的に向き合っているカリフォルニアでは、重要な基準を定めてきました。私の提案したSB 500はこのような動きと一致しており、自動運転車が広く普及する前の段階でゼロエミッションを義務づけるための重要な一歩となります」とミン氏はTechCrunchに述べた。

法案の提案者たちは、今後開発されるであろう交通手段にこれまでの技術を活用することを望んでおらず、二酸化炭素を削減するうえで自動運転車が役立つ可能性と役立たない可能性を指摘している。カリフォルニア州では、他の州に先駆けて電気自動車を採用したり、二酸化炭素排出に関連するその他の政策を推進したりしているため、この法案の成否が国全体に波紋を広げる可能性もある。

「配車サービスや配送などの分野で自動運転車が登場するのは間違いないと思います。だからこそ、そのような分野で使用されるのが電気自動車であるというは、非常に重要です。平均的なドライバーは、走行距離が年に1万8000から2万1000kmになりますが、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)のフルタイムドライバーの走行距離は、4万8000kmを超えます」とUCSの輸送担当シニアアナリスト、Elizabeth Irvin(エリザベス・アービン)氏は述べた。

戦略

カリフォルニアの温室効果ガス排出量の半分近くが、交通手段から発生している。スモッグがかかるロサンゼルスの夕暮れはとてもユニークだが、自動運転車の業界に規制を課さないなら、商用車が自動運転となり、その動力源は化石燃料になるのは目に見えていると、法案の支持者たちは考えている。

自動運転車が普及することで楽な生活に慣れると、車に乗る人が大幅に増える結果として、排出量も劇的に増加する可能性があることを示す研究があることを、UCSがこの法案を支持する声明の中で指摘している。2040年時点で自動運転車がワシントンD.C.の都市圏の輸送システムに及ぼす影響を調べた研究によると、自動運転車によって車の走行量が2040年の基準に比べて66パーセントも増加することがわかった。

アービン氏がTechCrunchに語ったところによると、カリフォルニアですべての自動運転車に二酸化炭素排出量ゼロを義務づける政策が本格的に導入される前に、その政策を推進する戦略に関して、ソフトバンクが支援する自動配送スタートアップのNuro(ニューロ)や、General Motor(ゼネラルモーターズ)の自動運転子会社のCruise(クルーズ)などのさまざまな利害関係者との話し合いがUCSと重ねられてきた。

「業界のクリーンエネルギーへの移行を推進する取り組みを支持しています。このような取り組みはニューロが掲げる目標や価値と一致しています。自動運転車が自動車業界の礎となることを楽しみにしており、この取り組みが環境にも健康にもやさしい未来につながると考えています」とニューロの広報担当者は述べた。

画像クレジット:Nuro

2020年にOrigin(オリジン)という無人運転車を発表したCruiseも、同じ方向に向かっている。オリジンは、カーシェアリング向けに設計されており、GMが開発した全電動プラットフォームが動力源で、ホンダとの何年にもわたるパートナシップにより生み出された。Cruiseの自動運転車オリジンは、サンフランシスコでのテストが開始されていない。バッテリーのプラットフォームがGMの試験場でテスト段階であるが、自動運転車を本格展開するという熱い思いに変わりはない。テストの初期段階では、全電動のChevrolet Bolt(シボレー・ボルト)を使用する。これは、サンフランシスコの配車サービスや一部の配送サービスで展開される可能性がある。

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「この業界は発足して間もないので、誰でも電気自動車をオプションに入れられます。既存の車両を改造するということではありません。最初に電気自動車を選択すると、現状を維持し続けて後で変更を強いられるということがありません」とCruiseの政府業務担当副社長、Rob Grant(ロブ・グラント)氏はTechCrunchに語った。

ハイブリッド自動車と電気自動車

自動運転車が電気自動車であるとは限らない。Ford Fusion(フォード・フュージョン)のハイブリッドやChrysler Pacifica(クライスラー・パシフィカ)のプラグインハイブリッドミニバンは、Argo AI(アルゴAI)、Aurora(オーロラ)、Waymo(ウェイモ)、Voyage(ボヤージュ)などの自動運転車開発企業に人気のある選択肢だ。

テクノロジープラットフォーム企業のアルゴAIでは、Volkswagen(フォルクスワーゲン)やフォードなどの大手自動車メーカーと共同で自動運転システムを開発している。フォルクスワーゲンのID.Buzz(アイディーバズ)は、同社初の全電動自動運転車になる予定だ。フォードの手法はもう少し慎重で、ハイブリッドのフォード・フュージョンをベースに開発している。

「バッテリーを原動力とする電気自動車に最終的には移行したいと考えていますが、実行可能で収益性が高いビジネスモデルを開発するための適正なバランスも必要です。結果として、手始めにハイブリッド車を開発することになりました」とFord Autonomous Vehicles(フォードオートノマスビークルズ)のチーフエンジニア、John Davis(ジョン・デービス)氏は述べた。

デービス氏が概略した全自動の電気自動車を開発する際の課題には、車載技術で電気を使用することにともなう航続距離の減少、充電にともなう車の使用率の低下、バッテリーの劣化などがある。

「テスト結果よると、バッテリーを原動力とする電気自動車では、自動運転システムの計算処理に航続距離の50パーセント以上が消費されています。加えて、配車サービスでは乗客が快適に乗車できるように、エアコンやエンターテインメントのシステムが必要だと思われます。バッテリーが化学的に向上しており、コスト面でも改善が続いているので、このような問題に前向きに取り組んでいます」とデービス氏は述べた。

 DPAの画像(画像クレジット:Andrej Sokolow/Getty Images)

Waymoはロボタクシーのテスト完了後に、Phoenix(フェニックス)郊外でエリアを調整しながらサービスを開始した。カリフォルニアでのサービス提供に関して、Waymoからの公式な発表はないが、サービスを提供する方針であることを何年にもわたる活動が示している。カリフォルニア州Mountain View(マウンテンビュー)に本拠を置く同社は、サンフランシスコとその周辺で車のテストを周期的に実施しており、電気自動車のJaguar I-Pace(ジャガー・I-PACE)の試験も進められている。Waymoは、ニューサム氏が発出した直近の行政命令を支持すると述べたが、ミン氏の法案で言及されている文言を支持するまでには至らなかった。

「カリフォルニアで将来的にすべての自動車を電動化するという包括的な取り組みである、ニューサム知事が発出した直近の行政命令N-79-20で概略されている目標を、完全自動運転の技術を市場に初めて展開する企業として強く支持します。Waymoには、配車サービスからトラック輸送、地域の配送にわたる事業分野とパートナーシップがあります。電気自動車に関するカリフォルニアの政策が、さまざまな問題や政策の影響を受ける業界に適合したものとなることを願っています。現時点でこの法案は初期段階です。尽力されているミン上院議員と取り組んでいけることを楽しみにしています」とWaymoの広報担当者はTechCrunchに語った。

法案に詳しい業界情報筋の指摘によれば、現在の文言は単語を置き換えただけのかなり簡素な内容で、この会期で大きな進展を見る見込みはなさそうだ。同じ情報筋は賛同者や起草者を批判し、インフラの整備や小型車と大型車の区別に関する計画の規定が滞っていると述べた。自動運転が最初に普及する車種は、貨物を運ぶトラックであると予想されるが、自動運転トラックの開発はカリフォルニアではなく、アリゾナやテキサスなど規制が緩い州で進められている。自動運転の電動トレーラーも開発されてはいるが、テストされているのはディーゼル車がほとんどだ。このため、カリフォルニアで開発を進める企業は、大型車の適用除外を設けるように上院議員に直訴する可能性もある。

「プロセスの進展とともに法案の詳細が決定していくかどうかに注目していますが、この法案の目的が電動化の義務づけとなることが、UCSの願いです」とアービン氏は述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:カリフォルニア二酸化炭素電気自動車ハイブリッドカー

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)