PelotonのCEOが是正措置は認めるもバイクとトレッドミルの「全生産停止」を否定

Peloton(ペロトン)のJohn Foley(ジョン・フォーリー)CEOは、同社の決算を控え「沈黙の期間」から一転して、機器の販売不振に関連する数々の報道に対応した。同社がスポーツジムのリニューアルオープンにともない、バイクとトレッドミルの全製品の生産を停止しているという件について、同氏は否定した。

関連記事:需要減退の中、Pelotonがバイクとトレッドミルの生産を一時停止との報道

「バイクとトレッドの全生産を停止しているという噂は間違いです」という見出しで、フォーリー氏はこう綴っている。

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行という100年に一度の出来事に遭遇し、3年かけて起こると予想していたことが、2020年から2021年にかけて数カ月の間で起こってしまったのです。

世界が私たちを本当に必要としている時に、迅速かつ真摯に需要に応えようとしましたが、それは、みなさんが毎日一生懸命努力してくれたおかげでもあります。私たちは、生産規模を適正化することに手ごたえを感じています。そして、より季節性の高い需要曲線へと進化する中で、持続可能な成長のために生産レベルを再設定しています。

決算速報に連動した別の声明で、フォーリー氏はこう述べている。

前四半期に説明したとおり、当社は収益性の見通しを改善し、全社的にコストを最適化するための重要な是正措置を講じています。これには、売上総利益率の改善、より変動性の高いコスト構造への移行、今後より集中を絞ったPelotonを構築するための営業費用の削減が含まれます。

また、2月8日の決算発表の際には、より詳細な情報を伝える予定であると付け加えている。これらには、需要減に対応するための生産の「適正化」が含まれる。しかし、同氏は、バイク / トレッドミルの4つのデバイスすべての生産が数週間または数カ月間停止するという報告には慎重な姿勢を示した。

また、コンサルティング会社McKinsey(マッキンゼー)の報告書を受け、リストラやレイオフが行われていることを認めた。「過去には、レイオフは最後の手段だと言ってきました」と彼は書いている。「しかし、今、私たちは、細心の注意と思いやりをもって、組織構造とチームの規模を評価する必要があります。そして、我々のビジネスをより柔軟なものにするための努力の一環として、あらゆる選択肢を検討している最中です」とも述べている。

このような報道は、前述の「100年に一度の出来事」で普及が進む中、Pelotonが手を出しすぎたことの裏づけとも見られている。このニュースは、同社が2020年の天文学的な上昇に続いて、2021年はパンデミック需要の強さから76%の株価下落を経験したことを受けてのものだった。

画像クレジット:Kimberly White / Stringer

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

世界的チップ不足の中、インテルは2.3兆円でオハイオ州に2つの半導体工場を建設

Intel(インテル)は米国時間1月21日、オハイオ州コロンバス郊外に2つのチップ製造施設を建設する計画を明らかにした。この計画はまだ初期段階だが、現在も続く世界的なチップ不足に対処するため、あるいは少なくとも将来起こりうる問題に対処するために、最終的に200億ドル(約2兆2750億円)を投じて工場を建設する。

同社は、最初の工場について、すぐさま計画に着手し、年内に建設を開始するという大まかなスケジュールを描いている。工場は2025年に稼働し、40年ぶりの新製造拠点となる予定だ。計画通りに進めば、このプロジェクトの敷地は1000エーカー(約4平方キロメートル)となる見込みで、最大で8つのチップ工場を建設できるほどの広さだ。

CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏はニュースリリースで「本日の投資は、米国が半導体製造のリーダーシップを回復するための取り組みをIntelが主導する、もう1つの重要な方法となります。Intelの取り組みは、より強靭なサプライチェーンの構築に役立ち、今後何年にもわたって高度な半導体への確実なアクセスを保証するものです。Intelは、世界の半導体産業を強化するために、最先端の機能と能力を米国に戻そうとしているのです」と述べた。

同社の発表によると、建設段階では7000人の雇用を創出し、稼働後は3000人を常時雇用する。バイデン政権下のホワイトハウスは、1月20日に発表した声明の中で、今回のニュースを「アメリカ経済の強さを示すもう1つのサイン」として宣伝している

オハイオ州リッキング郡に建設される2つの最先端Intelプロセッサー工場の初期計画を示す予想図。2022年1月21日に発表されたこの200億ドルのプロジェクトは、広さ約1000エーカーで、単一の民間投資としてはオハイオ州史上最大となる。2022年後半に着工し、2025年末に製造を開始する予定(画像クレジット:Intel)

ホワイトハウスはまた、機会に乗じて、新型コロナウイルス感染症によって世界的にサプライチェーンが逼迫する中で、国内の研究開発と製造の加速を目指す政策をアピールした。サプライチェーン逼迫は一部の人には政権の敗北として映っている。

「この進展を加速させるため、大統領は議会に対し、半導体を含む重要なサプライチェーンのための米国のR&Dおよび製造を強化する法案を可決するよう促しています」と政権は書いている。「上院は6月に米国イノベーション・競争法(USICA)を可決し、政権は上下両院と協力してこの法案を完成させているところです。この法案にはCHIPS for America Actへの全資金拠出が含まれており、民間部門の投資をさらに促進し、米国の技術面でのリーダーシップを継続させるために520億ドル(約5兆9110億円)を拠出します」。

両党はまた、米国でチップを製造することのセキュリティ上の利点を宣伝した。これは間違いなく、前政権の主要ターゲットとなったHuawei(ファーウェイ)などのメーカーに対する監視の強化にちなんだものだ。Intelは「オハイオ州の拠点はまた、米政府特有のセキュリティとインフラのニーズに対応する最先端のプロセス技術も提供します」と述べている。

今回のニュースは、IntelがSamsung(サムスン)などの企業との競争激化に対処する一方で、Apple(アップル)などの企業がファーストパーティーの設計を優先してIntel製チップの採用を取りやめることを選択した中でのものでもある。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

2月のイベントに向けてサムスンがGalaxy SとNoteの融合を予告

2021年夏、Samsung(サムスン)は10年ぶりに新型Noteデバイスを発売しないことを発表した。ハードウェアの巨人がフォールダブルに焦点を移すことを認めたため、愛されてきたこのファブレットの未来については、大きく、未解決の問題だった。

さらに、Samsungの主要なフラッグシップであるGalaxy Sシリーズは、Noteとの境界線を着実に曖昧にしてきている。「今回、新しいGalaxy Noteを発表する代わりに、我々はNoteデバイスで愛されてきた機能をさらに多くのSamsung Galaxyデバイスに広げていく」と、同社の社長は当時書いていた。

そのため、Sシリーズの画面サイズは年々着実に大きくなり、2021年1月にはS21 UltraでS-Pen機能が追加された。8月には、Galaxy Foldシリーズに独自のスタイラスを追加し、Noteは静かに廃止されるのではないかと考える人もいた。

CESを終え、MWCを目前に控えた今、私たちはUnpacked開催時期の範囲に突入していることに気づいた。毎年、Sシリーズの最新機種が発表される時期だ。Roh(ロー)氏は、2011年当時、その5.3インチディスプレイがいかに小さな混乱を巻き起こしたかを回想し、Noteの生涯を祝うやや曖昧な表現を用いた投稿をまたもや行っている。IFAでの発表の場にいなかった人たちのために触れておくと、当時、大画面のスマホは今よりもずっと大きく、厚いデバイスを意味していたのだ。

この投稿は、同社のフォルダブルのためにより多くのスペースを作るために、2つのフラッグシップが適切な統合を果たしたことを強く示唆している。

「SamsungのGalaxy端末が新しく進化するたびに、私たちはモバイルカテゴリー全体を再定義するような機能を導入してきました。そして、私たちは再び業界のルールを塗り替えようとしています。2022年2月のUnpackedで、私たちがこれまで作った中で最もnoteworthy(注目に値する[編集部が強調])Sシリーズのデバイスを紹介します。私たちのSamsung Galaxyの最高の体験を1つの究極のデバイスに集約した、次世代のGalaxy Sがここにあります」。と同幹部は書いている。

この中の「Noteworthy(注目に値する)」という言葉は、この文脈では多くのことを意味する可能性がある。一番わかりやすいのは、S22 UltraがS22 Noteになることだと思われる。それは、適切なスタイラススロットを意味するのだろうか?ライン全体にSペンが統合されると思っていいのだろうか?私は、この投稿が「注目に値するデバイス」という単数形を使っていることから、その可能性は低いと考えている。これらのデバイスを取り巻くリークの頻度を考えると、早期に回答されるかもしれないし、回答されないかもしれないが、まだイベントまでのリードでいくつかの大きな疑問が残っている。また、夜間や低照度での撮影の改善や、近年同社が重要視しているサステイナブルデザインの採用も予定されている。

Samsungは、新しいスマートフォンと無名のGalaxyタブレットの予約開始を控え、消費者の興奮とブランドロイヤルティがユーザーを乗せるのに十分であるということに再び賭けているのだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

需要減退の中、Pelotonがバイクとトレッドミルの生産を一時停止との報道

ここ数年はPeloton(ペロトン)にとってアップダウンの激しい日々だった、というのは控えめな表現だ。パンデミックによる爆発的な需要に支えられていた同社は、今度はトレッドミルやエクササイズバイクなどのコネクテッドフィットネス製品市場の「大幅な縮小」という問題に直面している。

米国時間1月20日にCNBCがニュース報道の中で指摘した内部資料によると、エントリーモデルの「Bike」は、2月から3月にかけて2カ月間生産が停止される予定だという。プレミアムモデルの「Bike+」はすでに生産を停止しており、資料によると生産を再開するのは6月になるとのこと。同社のトレッドミル「Tread」の生産は2月から6週間停止し、2022年度は「Tread+」の生産をまったく見込んでいないとのこと。

Pelotonは当初、パンデミックの影響で世界中のジムが閉鎖される中、最大のテック勝者の1つだった。実際、同社は最初、逆の問題に直面していた。つまり、一夜にして急増した製品需要に供給システムが対応しきれなかったのだ。2021年5月、同社はオハイオ州の工場に4億ドル(約456億円)を投じ、拡大する製品ラインを生産すると発表した。

長年コネクテッドホームフィットネスのリーダーとして存在してきた同社は、大方の見方では、コロナ禍は人々のワークアウト方法の一時的な変化というよりも、パラダイムシフトであると考えていた。そして、パンデミックが長引いている間にジムが再開され、他のスタートアップやSamsung(サムスン)、Apple(アップル)などの大企業によって競争が激化したことで、売り上げが低迷している。今週初めには、同社が財務状況の悪化を食い止めるために、コンサルティング企業のマッキンゼーと契約したというニュースが流れたが、これにはリストラと解雇がともなうと予想されている。前年の天文学的な上昇を経て、2021年末には、Pelotonの株価は76%も下落した。

初期の成功にもかかわらず、ここ数年は問題が多発していた。最も顕著な例は、安全性への懸念から同社のトレッドミル製品をリコールしたことだ。同社は当初、幼い子どもの死亡を含む70件の安全事故を受けて、米国消費者製品安全委員会と協力してリコールを行うことを躊躇していた

「創業者の1人である私の視点では、このカテゴリーの枠組みは十分ではありませんでした。カテゴリーとして考えていた安全性も十分ではありませんでした」と、John Foley(ジョン・フォーリー)CEOは2021年末のDisruptで筆者に語った。「私たちは、トレッドミルを市場に投入しようと考えました。ハードウェアの観点から見ると、最高のデザインのトレッドです。何十年にもわたってこのカテゴリーに存在する安全性を見て、私たちが学んだことは、さらに改善しなければならないということでした。当社はほとんどすべての分野で優れていますが、今度は安全性の面で改善する必要があります。

同社はパンデミック以前にも、人気のインストラクターやコンテンツプレイにより、カルト的な人気を集めていたことで知られている。しかし、その継続的な成長を過大評価し、継続的な支出で太陽に近づきすぎたといっても過言ではない(少なくとも短期的には)。同社は2021年末に「Peloton Guide」を発表した。Peloton Guideは、ホームフィットネスのエコシステムへの参入障壁を低くするために設計された、495ドル(約5万6500円)のコネクテッド筋力トレーニングシステムだ。また、ローイングマシンなどの追加製品の開発も進めていると報じられている。

20日のニュースがこれらの製品の発売にどのような影響を与えるかについては不明だが、大幅なリストラが行われた場合、支出を抑えるためにあらゆる手段を講じることは間違いない。同社の主な競合他社のいくつかも、最近、それぞれ変換期をむかえている。1月初めLululemon(ルルレモン)は、2021年9月に創業者が突然退社した後、Mirror(ミラー)に新しいCEOを任命したと発表した。

TechCrunchはPelotonに連絡し、今回の報道内容について確認を求めている。

画像クレジット:Mark Lennihan / AP

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

アルプスアルパインと宇都宮大学、映像の空中表示と空中入力を同時に実現した「ステルス空中インターフェース」開発

アルプスアルパインと宇都宮大学、映像の空中表示と空中入力を同時に実現した「ステルス空中インターフェース」開発

アルプスアルパインは1月18日、映像の空中表示と空中入力操作を同時に実現する「ステルス空中インターフェース」を、宇都宮大学と共同で開発したことを発表した。2025年をめどに、エレベーターや券売機など、公共空間での採用を目指す。

アルプスアルパインと宇都宮大学山本研究室が共同開発した「ステルス空中インターフェース」は、再帰性反射技術による映像の空中表示と、高感度静電容量検出技術による空中入力操作とを組み合わせた次世代型のインターフェースだ。エレベーターのボタンやスーパーのセルフレジなどで、ボタンの映像が空中に浮かび上がり、それを非接触で操作できるようになる。これにはまた、加飾印刷技術も取り込まれており、設置場所の素材やデザインに合わせることで筐体を目立たなくしておき、手を近づけたときにだけ操作部の映像が浮かび上がるようにもできる。

コロナ禍により、公共空間でのボタンなどにおいて非接触操作が強く望まれるようになったが、アルプスアルパインでは、2008年からすでに高感度静電容量検出技術による空中入力デバイスの開発を進めていた。昨今の非接触操作ニーズの高まりを受け、その技術に「AirInput」という商標を取得し、製品開発を加速させた。

一方宇都宮大学でも、2014年から再帰性反射技術を応用した映像の空中表示の研究に取り組んできた。その技術と、アルプスアルパインの高感度静電容量検出技術とを融合させることで、「より直感的で快適な非接触操作を実現し、非接触操作デバイスの社会普及を加速できる」と両者は考え、共同研究を決めたということだ。

今後は、2025年をめどに公共空間での表示や操作を行う装置としての採用を目指す。さらに、アミューズメント機器や車載機器などへの応用、ゴーグルなどのウェアラブル機器を必要としないXR視覚情報提示デバイスとしての事業展開も視野に入れるということだ。

物質・材料研究機構と筑波大学、新製法によるダイヤモンド電界効果トランジスターで高い移動度とノーマリオフ動作を実証

新製法によるダイヤモンド電界効果トランジスターで高い移動度とノーマリオフ動作を実証

(a)今回の研究で作製したダイヤモンド電界効果トランジスターの構造。正孔の密度と移動度を正確に評価するために、ゲート電圧をかけながらホール(Hall)効果の測定が可能な構造にした。(b)ダイヤモンド表面を水素プラズマにさらして水素終端化したあと、大気にさらさずArで満たされたグローブボックスに搬入し、その中で劈開(へきかい。鉱物などが特定方向に沿って割れること)した六方晶窒化ホウ素単結晶薄片を貼り付けることで、アクセプターとして働く大気由来の吸着物を低減した

物質・材料研究機構 (NIMS) と筑波大学は1月18日、新しい設計指針に基づいて作製されたダイヤモンド電解効果トランジスターで、高い正孔移動度とノーマリオフ動作を実証したことを発表した。低損失の電力変換や高速情報通信に資する素子の実現につながるという。

ダイヤモンドは、バンドギャップが広い炭化シリコン(SiC)や窒化ガリウム(GaN)と比べても、さらにバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体としての特性に優れている。そのため、電力を制御するパワーエレクトロニクスや情報通信などにおいて、高電圧・高温・高速・低損失で動作する素子の材料になりえる。だが、これまで研究されてきた、表面の炭素が水素と結合した水素終端ダイヤモンドを使った電解効果トランジスターでは、移動度(電流を担う正孔の動きやすさ)が本来の1/10から1/100に低下するといった問題があった。

そこで研究グループは、これまで使われてきたアルミナなどの酸化物に代えて六方晶窒化ホウ素をゲート絶縁体に使い、水素終端ダイヤモンドの表面を大気にさらさない新しい製造方法を用い、オン状態での移動度が従来の5倍以上という高性能なトランジスターを開発。同時に、安全性の面から重要となるノーマリーオフ動作(ゲートに電圧がかからないときは電流が流れない)も実現された。これまでのダイヤモンド電解効果トランジスターでは、逆のノーマリーオンの状態が示されおり、特にパワーエレクトロニクスにおいては、安全性に問題があった。

さらに、これまで水素終端ダイヤモンドで電気伝導性を生じさせるために不可欠とされていながらトランジスターの性能を制限していた「アクセプター」が不要であることも判明した。

移動度が高くなれば、抵抗を下げて損失を低減できるため、素子の高速化と小型化が実現する。この技術を応用すれば、電気自動車やドローンなどで利用できる低損失で小型の電力変換装置や、携帯電話基地局や人工衛星などで利用できる高出力高周波増幅器などの実現が期待されるという。

スマホ出荷台数がサプライチェーン問題で伸び悩む中、アップルが1位に返り咲く

サプライチェーンの問題は、引き続きスマートフォンメーカー各社に大きな影響を与えていることが、アナリスト会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字からわかった。2021年最終四半期の世界全体におけるスマートフォン出荷台数は、前年同期比でわずか1%の増加に留まっている。この数字は、部品供給をめぐる同様の問題から、全体で6%の減少を記録した同年第3四半期の報告に続くものだ。

Canalysは、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再燃をその要因と見ている。これによって多くの地域が、約2年前のウイルス感染流行初期を彷彿とさせる操業停止に陥っている。この影響は、新しいサプライヤーを見つけるのに最も苦労している市場の小さなメーカーが、最も大きく受けていることを、Canalysは指摘している。

「部品メーカーは辛うじて追加生産を行っていますが、大手チップメーカーが生産能力を大幅に向上させるには数年を要するでしょう」と、Canalysのモビリティ担当VPを務めるNicole Peng(ニコル・ペン)氏は、今回の発表に関連した声明の中で述べている。「スマートフォンブランドは、この状況を最大限に活用するため、すでに新しい取り組みを取り入れています。入手可能な素材に応じてデバイスの仕様を調整したり、ICの新しい供給源を確保するために新興のチップメーカーにアプローチしたり、ベストセラーモデルに製品ラインを集中させたり、新製品のリリース時期をずらしたりしています」。

画像クレジット:Canalys

より大規模な企業では、全体的に部品不足やボトルネックによる影響が少ない状態が続いている。当四半期には、Apple(アップル)が3四半期ぶりに世界市場の総合トップに返り咲いた。これはiPhone 13の成功と、世界最大のスマートフォン市場である中国本土での極めて堅調な業績によるものだ。

アップルの市場占有率は、前四半期の12%から23%に増加した。前四半期の落ち込みは、ここ数四半期に多くの地域で需要を満たすのが難しかったことにも一因がある。

「アップルのサプライチェーンは回復しつつありますが、それでも第4四半期には主要部品が不足して減産を余儀なくされ、需要に見合うだけのiPhoneを製造できませんでした」と、アナリストのSanyam Chaurasia(サンヤム・チャウラシア)氏は述べている。「優先順位の高い市場では適切な納期を維持していましたが、一部の市場では顧客が最新のiPhoneを手に入れるために待たなければなりませんでした」。

一方、Samsung(サムスン)は市場全体の23%から20%へ占有率を減らし、2位に順位を下げた。3位から5位は、中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、Oppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)が占めている。

画像クレジット:Apple event photo

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国のAIチップデザイン企業Moffett AIがシリーズAラウンドで「数十億円」を調達

中国では半導体技術の独立性を高めることが求められており、それにともない投資家たちはさまざまな種類のチップスタートアップを追い求めている。深圳のファブレスチップデザイン企業であるMoffett AIは、新たにシリーズAの出資を受けた。同社は正確な金額を公表せず「数千万ドル(数十億円)」とだけ述べている。

このラウンドは、CoStone CapitalGreater Bay Area Homeland Development Fundが主導した。後者のファンドは、中国が香港、マカオ、深圳、および広東省南部のいくつかの都市を統合する壮大なプロジェクトであるGBA(大湾区)経済圏のスタートアップを支援するために設立された金融ビークルだ。

シリーズAラウンドに参加した他の投資家には、Co-PowerGrand China Capital、深圳市政府が「次のHuawei(ファーウェイ)、Tencent(テンセント)、DJIを探し出す」ために設立した戦略的ファンドであるShenzhen Angel Fund of Funds(FOF)が含まれる。2020年3月に実施されたMoffettの前回のラウンドは、1億元(約1600万ドル、約18億円)でクローズされた。

自律走行車からビデオストリーミングのレコメンデーションまで、人工知能は私たちのデジタルライフに欠かせないものとなっている。AI機能の需要が急増しているため、コンピューティングパフォーマンスに負担がかかり、MoffettやFoxconnが出資するKneron(クネロン)のようなAIアクセラレーションを提供する企業が切望されるようになっている。

Moffettは、ニューラルネットワークモデルから冗長情報を取り除き、最終的に処理の高速化につなげるプロセスである「スパース化」と呼ばれる技術を用いて、同社のAIチップを差別化することを約束している。同スタートアップは新たな資金を、同社のスパース技術を利用するパートナーやクライアントの「エコシステム」の拡大と、TSMCが製造する最初のチップ「Antoum」の量産に充てる予定だ。

同社は、このチップのスパース率は32倍で、その処理能力は「国際的なフラグシップ製品」の5~10倍になると主張している。

Moffettは深圳に本社を置き、北京、上海、そして2018年に設立されたシリコンバレーのオフィスにも研究開発チームを置いている。このスタートアップは、カーネギーメロン大学のAI研究者や、Intel(インテル)、Qualcomm(クアルコム)、Marvel(マーベル)、Oracle(オラクル)などに所属していた半導体のベテランたちによって運営されている。

関連記事:AIチップメーカーのKneronが自動運転の推進に向けて約28.4億円調達

画像クレジット:Moffett AI

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

BLE対応「Arduino Nano 33 BLE」とセンサー搭載「Arduino Nano 33 BLE Sense」がスイッチサイエンスより発売開始

BLE対応「Arduino Nano 33 BLE」とセンサー搭載「Arduino Nano 33 BLE Sense」がスイッチサイエンスより発売中スイッチサイエンスは、BLE(Bluetooth Low Energy)に対応した小型開発ボード「Arduino Nano 33 BLE」(ピンヘッダー未実装・ピンヘッダー実装済み)と「Arduino Nano 33 BLE Sense」(ピンヘッダー未実装ピンヘッダー実装済み)の発売を開始した。Arduino Nano 33 BLEのピンヘッダー実装済みは、後日販売開始を予定。

それぞれプロセッサーにはNordicのワイヤレスSoC「nRF52840」を採用。IMU(慣性計測装置)が搭載されているので、地磁気、ジャイロ、加速度計の合計9軸を測定できる。Arduino Nano 33 BLE Senseには、さらに温湿度センサー、気圧センサー、マイク、ジェスチャー、色センサーが搭載されている。

TinyMLやTensorFlow LiteといったエッジAI向けの機械学習技術も使用可能。Arduino開発者とアドバイザーによるチュートリアルが用意されている。

直販価格は、Arduino Nano 33 BLEのピンヘッダー未実装が3278円(税込)、ピンヘッダー実装済みが円(税込)。Arduino Nano 33 BLE Senseのピンヘッダー未実装が5060円(税込)、ピンヘッダー実装済みが5445円(税込)。

「Arduino Nano 33 BLE」の仕様

  • 採用マイコン:nRF52840
  • 動作電圧:3.3V
  • 入力電圧:21V
  • 各ピンの出力電流:15mA
  • クロックスピード:64MHz
  • CPUフラッシュメモリー:1MB
  • SRAM:256KB
  • EEPROM:なし
  • I/O
    デジタルピン:14
    PWMピン:全デジタルピン
    UART:1
    SPI:1
    I2C:1
    アナログ入力:8
    アナログ出力:PWMピンを用いた出力

「Arduino Nano 33 BLE Sense」の仕様

  • 採用マイコン:nRF52840
  • 動作電圧:3.3V
  • 入力電圧:21V
  • 各ピンの出力電流:15mA
  • クロックスピード:64MHz
  • CPUフラッシュメモリー:1MB
  • SRAM:256KB
  • EEPROM:なし
  • I/O
    デジタルピン:14
    PWMピン:全デジタルピン
    UART:1
    SPI:1
    I2C:1
    アナログ入力:8
    アナログ出力:PWMピンを用いた出力
    割り込みピン:全デジタルピン
    組み込みLEDピン:13番
    USB:nRF52840コア直結
  • センサー
    IMU:LSM9DS1
    マイク:MP34DT05
    ジェスチャー、色:APDS9960
    気圧:LPS22HB
    温湿度:HTS221

Arduino Nano 33 BLE(ピンヘッダー未実装)


型番:ARDUINO-ABX00030
価格:3278円(税込)
ピンヘッダー2本同梱

Arduino Nano 33 BLE(ピンヘッダー実装済み)


型番:ARDUINO-ABX00034
価格:3685円(税込)
(後日発売予定)

Arduino Nano 33 BLE Sense(ピンヘッダー未実装)


型番:ARDUINO-ABX00031
価格:5060円(税込)
ピンヘッダー2本同梱

Arduino Nano 33 BLE Sense(ピンヘッダー実装済み)


型番:ARDUINO-ABX00035
価格:5445円(税込)

【レビュー】FightCamp、データドリブンな「パンチ」でワークアウト!

身体が痛い……。

座っていられないほどの痛み、というわけではない。「よし、長年無視していた筋肉を鍛えたぞ!」という感じ。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの低迷から抜け出そうとしている今、これは良いことだ。

原因はPeloton(ペロトン)のサイクリングではなく、コネクティッド(接続された)ホームジムの分野に新たに登場した製品である。その名も「FightCamp(ファイトキャンプ)」。名前が示すとおり、パンチングバッグとスマートトラッカーに接続したグローブがセットになったホームエクササイズシステムで、ボクシングとキックボクシングに特化している。

FightCampを1カ月以上使ってみた筆者としては「汗をかくワークアウトで、定期的に行えば体幹、バランス、スピード、ボクシングの基本的なノウハウを向上させることができる」と言って(書いて)も差し支えないと思う。ボクシングをやってみたいけれどもボクシングジムや総合格闘技センターに行くのは怖い、という人にも、誰からもジャッジされない安全な方法を提供してくれる。

成り立ち

FightCampが何であり、何をするものかを理解するために、その由来を振り返る価値はあるだろう。FightCampは、コネクテッドホームワークアウトシステム「FightCamp」が発売される4年前の2014年「Hykso(ヒクソー)」として設立された。その後の4年間、同社が開発したフィットネストラッカーは、オリンピックの出場経験もあるボクシング選手によってテストと改良を繰り返した。米国、カナダ、中国を含む複数のオリンピックボクシングチームがこのトラッカーを使用し、史上最高クラスのボクサーであるManny Pacquiao(マニー・パッキャオ)も初期のユーザーの1人だった。

これらのアスリートたちはすでに最高レベルのボクサーだったので、データにはユーザー層の違いによるレイヤーが存在せず、トラッカーはただトラッキングして大量のデータを蓄積していた。

しかし、おもしろいことが起こった。創業者かつCEOのKhalil Zahar(カリル・ザハール)氏によると、ボクシングのコーチたちが自分たちの顧客にFightCampを使い始めたのだ。

ザハール氏はこのコーチたちを「架け橋になってくれた」という。ここからFightCampのアイデアが生まれた。「私たちは、コーチと一緒にワークアウトをするだけでなく、ボクシングのテクニックを自宅で学べる初心者向けのプログラムを構築して提供しようと考えました」と同氏は話す。

オプション

FightCampには3つのハードウェアパッケージがある。Connectは439ドル(約5万円、ホリデーシーズンは399ドル[約4万6000円])、Personalは1219ドル(約14万円、ホリデーシーズンは999ドル[約11万5000円])、Tribeは1,299ドル(約15万円)である。また、月額39ドル(約4500円)のサブスクリプションに登録する必要がある。iOSアプリや最近追加されたAndroidアプリで1000以上のクラスやドリルなどのコンテンツにアクセスすることができる。ボクシングのパンチだけでなく、キックボクシングなどのワークアウトもあり、すべてのセッションの最後に腹筋やプランクなどの体幹トレーニングを行うようにアプリを設定することも簡単だ。

Connectパッケージはすでに自分のサンドバッグを持っているユーザー向けで、デジタルパンチトラッカーとクイックラップだけが付属している。筆者が試用したPersonalパッケージには、パンチトラッカー、クイックラップ、グローブ、自立型のサンドバッグ、バッグリングが含まれる。その当時はマットも付属していたが、残念ながら現在は付属しないそうだ。

Tribeパッケージはその名のとおり複数人で使用するもので、パンチトラッカー、クイックラップ×2、自立式バッグ、ヘビーワークアウトマット、プレミアムボクシンググローブ×2、バッグリング、キッズボクシンググローブが含まれる。

セットアップ

画像クレジット:Kirsten Korosec

Personalパッケージの箱は2つ。巨大な段ボール箱にはサンドバッグと台座が入っていて、もう1つの箱にはパンチ数とパワーを記録するパンチトラッカー、クイックラップ、マット、グローブが入っている(現在はマットは含まれない)。

サンドバッグの設置とパンチトラッカーの準備は簡単だ。しかし、サンドバッグはかさばり、置き場によっては少々厄介である。筆者は普段の生活の邪魔にならず、テレビが近くにあるゲストハウスに設置した(詳細は後述)。

マットを敷いたらバッグを乗せる台座を設置する。台座には水や砂を入れる。筆者はゲストハウスの中に外からホースを引き込んだので、設置にかかる時間が大幅に短縮された。そうしないと、水の入ったピッチャーや砂の入ったバケツを持って何度も往復することになる。大変だが、その分運動にはなると考えれば良い。

失敗したのは最初に台座を正確な位置に置かなかったことだ。台座に水や砂(あるいはその両方)を入れてサンドバッグを乗せると、台車がなければ動かせなくなる。

台座とバッグをテレビと反対になるように置いたのが失敗だった。これを直したら、トレーニングの質が格段に向上した。

長所と欠点

画像クレジット:Kirsten Korosec

長所は、上の写真にあるパンチトラッカーが広告で謳われているとおりに機能し、本当にすべてのパンチを追跡してくれることだ。アプリも使いやすく、米国ボクシング協会認定コーチやNASM認定パーソナルトレーナーが指導するワークアウトが豊富に用意されている。

筆者が特に気に入ったのは、ボクシングやキックボクシングの指導に合わせて、体幹のエクササイズを確実に行える設定である。また、シャドーボクシングのクラスもあり、サンドバッグやグローブ、クイックラップ、トラッカーが届く前に、ボクシング用語や基本的なパンチ、ジャブなどを学ぶことができるのも魅力的だ。

FightCampにはユーザーが嫌がるかもしれない欠点もいくつかある。

1つはシステムの大きさである。狭いアパートでは、バッグが貴重なスペースを占めることになり、それを良しとしない人もいるだろう。広い家やガレージがあれば、このシステムはいっそう魅力的に思えるかもしれない。筆者の場合はスペースがあったので、この点は問題なかった。

筆者が感じた主な欠点は、近くにテレビがないと、画面を見なくてもついていけるぐらいワークアウトを覚えなければ、インストラクターにきちんとついていくのが難しいということである。

実際の内容は明確でわかりやすい。コーチは、ユーザーがモチベーションを維持できるように身振りとインストラクションを適切に組み合わせて指導してくれる。筆者もとても勉強になった。

しかし、覚えるのは簡単ではない。テレビの画面を見ることができなかった最初の頃は、動画を止めて前の動きを何度も再生する必要があり、スムーズに進めることができなかった。

テレビの画面を見えるようにしてトレーニングを連続して続けられるようにしたら、より簡単についていけるようになった。正確な動作を見なくても何をすべきかがわかり、1-2-3といわれたら「ジャブ、クロス、フックだ」とわかるようになった。

また、自分のフォームが正しいのかどうかがわからない。パンチトラッカーやアプリにはそのようなフィードバックを提供する機能がないからだ。筆者のように汗をかきたいだけの人には関係のないことかもしれないが。

今後の展開

ザハール氏とFightCampは、コンテンツだけでなく、フォームに関するフィードバック機能の付いたトラッカーや、もっとゲーム化されたワークアウトなどへの拡張を計画している。

「あなたの身体をゲームのコントローラーにすることが基本的なコンセプトです」とザハール氏。「トラッカーは身体をコントローラーとして使えるようにするためだけのものです」。

FightCampでは手首に装着したパンチトラッカーから取得したデータを使って、他のユーザーと競争したり、進捗を確認したりすることができる。ザハール氏は、将来的には足にもトラッカーを付けたいと考えている。

同氏は次のように話す。「その後はユーザーが触れるものすべてに拡張して、コネクテッドフィットネスアクセサリーにしたいと考えています」「縄跳び、バトルロープ、ケトルベル、ボックスジャンプなど、ワークアウト中のあらゆる動きに応じて報酬が得られるようにしたいと思います」。

つまり、FightCampを器具だけのワークアウトシステムにはしたくないということだ。同氏は「トラッカーや、サンドバッグを必要としないコンテンツを追加することで、その目標を達成することができる」という。

すでにFightCampは無料コンテンツを強化している。同社は最近、毎週100以上の無料ワークアウトを提供すると発表した。「Tracker optional(トラッカーはオプション)」と表示されたこれらのワークアウトは、無料かつトラッカー不要で、シャドーボクシング、リカバリー、ストレッチ、キックボクシング、自重エクササイズがメインである。最近追加されたAndroidアプリはまだベータ版なので、現在のところ、これらの無料ワークアウトはiOSアプリでのみ利用できる。

画像クレジット:FightCamp

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

東大・京大・東北大ら研究グループが1個の水分子の量子回転運動の検出に成功、量子情報処理の基盤技術への発展に期待

1個の水分子の量子回転運動の検出に成功、量子情報処理の基盤技術への発展に期待

(a)1nm以下のギャップを有する電極を単一H2O@C60分子に形成し、さらにゲート電極も備えた単一分子トランジスタ構造(single molecule transistor。SMT)の概念図。(b)水分子の模式図。2個の水素原子が持つ核スピンの向きにより、オルソ水分子(左)とパラ水分子(右)の2つの核スピン異性体がある

東京大学京都大学東北大学からなる研究グループは、1個の水分子を流れる電流を計測することで、水分子の量子力学的な回転運動を検出することに成功した。これは、1個の原子が持つ量子状態を情報の媒体とする、つまり1個の原子や分子に量子情報を担わせる、量子情報処理の基盤技術につながるものと期待される。

水分子(H2O)は、その単純な構造から量子技術への応用に適しているとされている。しかし、水分子同士の強い水素結合により、単一の分子の量子状態を測定するのが困難だった。そこで研究グループは、フラーレン(炭素原子が球状構造になったカゴ状の化合物)分子に水分子を1個だけ封じ込めたH2O@C60分子を使用し、分子1個分の隙間をあけた電極にこのH2O@C60を挟み、「H2O@C60単一分子トランジスタ構造」を形成した。そして、そこを流れるトンネル電流を計測すると、1個の水分子の量子力学的な回転運動を検出することができた。

水分子に含まれる2つの水素原子の回転運動(核スピン)には、同じ方向に回転する平行状態(オルソ)と、違う方向に回転する反平行状態(パラ)とがある。H2O@C60単一分子トランジスタ構造で、水分子を経由して流れる電流を測定したところ、オルソのときに2meV(ミリ電子ボルト)と7meVで励起が生じ、パラとのきに5meVの励起が生じた。また、オルソとパラは、測定中の短い時間内にも入れ替われることがわかり、それは伝導電子と水分子の相互作用によるものと考えられるという。つまり、単一分子を経由して流れる電流を計測することで、水分子の水素原子の核スピンに関する情報を読み出すことができたということだ。

これを利用すれば、1個の水分子に量子情報を担わせることが可能になり、量子情報処理の基盤技術の形成につながる。このことは「原子や分子を用いた量子情報処理技術に大きな進展をもたらすとともに、物理、化学、生物学、薬学などの基礎から応用に関わる広い分野に大きな発展をもたらすと期待されます」と研究グループは話している。

ライカが新型フラッグシップのデジタルレンジファインダーカメラ「M11」発表、税込118万8000円

Leica(ライカ)は奇妙な会社である。毎年、ほんのひと握りのカメラしか出さず、そのほとんどが過去のモデルのリミックスかマイナーチェンジ版だ。2017年以来、同社のフラッグシップモデルは、堅実だがどこか古風な「M10」だったが、同社は今回、その後継モデルとして、さらに堅実だがどこか古風な「M11」を発表した

ライカは、カメラにおけるレンジファインダーのスタイルを確立し、そのフィルム用モデルは伝説的だ。デジタル時代のライカは、何よりもその高い価格で知られている。M10やQ2などのカメラのつくりや画質は文句のつけようがなかったものの、他のメーカーならもっとはるかに安い価格でもっと多くのカメラを手に入れることができた。この点についてはM11でも変わないが、少なくともこの最新モデルでは、必要とされていた現代的な機能がいくつか搭載されている。

中でもおそらく最も重要なのは、裏面照射型センサーへの変更だろう。裏面照射型センサーとは、センサーの受光部を配線などに囲まれた状態ではなく、裏面の開口側に向けて配置することをいう。裏面照射型センサーは通常、従来の表面照射型よりも性能が高く、ライカは概して当初からセンサー技術に長けていた。興味深いことに、ライカは優れたピクセルビニングを意識して、非ベイヤー方式のサブピクセルレイアウトを選択したようだ。

新しいフルフレーム(フルサイズ)6030万画素の裏面照射型CMOSセンサーは、もちろん最大解像度で撮影できるものの、最近ではそれを必要とする人はほとんどいない。6030万画素以外に選べる3650万画素と1840万画素での記録時には、線や領域だけでなく、センサー全体をサンプリングし、ノイズやアーティファクトを低減する。もし私がこのカメラを手に入れたら、36MP(3650万画素)に切り替えて、決して戻すことはないだろう。また、1.3倍と1.8倍のクロップモードも、そうやって楽しみたい人向けに用意されている。

画像クレジット:Leica

M11には簡単に割り当て可能な3つのファンクションボタンが新たに備わっている。背面のタッチスクリーンは、旧型のM10より解像度が2倍に増えているが、本当のライカファンであれば、光学ファインダーに目が行くだろう。

興味深いが議論の余地がありそうなのは、M11では常にCMOSセンサーを使って測光する方法が採られたことだ。基本的にこのカメラは常に「ライブビュー」モードにしておけば、正確な露出が得られるが、DPReviewに掲載された最初のレビューによると、起動時間が長くなっているという。一般的にライカのカメラは、電源を入れてから電光石火で撮影できるものなのだが。

M11にはUSB-Cポートが備わり、新しい大容量バッテリーを充電したり、SDカードや64GBの内蔵メモリからショットを取り出したり、スマートフォンやコンパニオンアプリに直接吸い出したりすることができる(フルレゾで撮影しないもう1つの理由だ)。

ライカのMシリーズは比類のないカメラであり、単に楽しむために写真を撮っているような人が選ぶカメラでは決してない。そういう人は、M11ボディの8995ドル(日本での価格は税込118万8000円)という価格には当然ながら抵抗を感じるだろう。M10は2017年に6600ドル(日本では税別85万円)で発売されたが、インフレを考慮しても新モデルの価格には目が飛び出そうになる。もちろん、これはレンズを購入する前に払う金額だ。

しかし、今回の記事のポイントは、特にこのカメラを人々に勧めることではない。それよりも私が言いたいことは、ライカという会社が今でも技術的に興味深く、非常に優れたカメラを作っており、その技術は時折、私やあなたのような一般人でも(1~2カ月間カップラーメンを食べて生活した後なら)買えるような価格にまで下がることがある、ということだ。

今後、M11のバリエーションが増えることを期待しつつ、ここで示されたデザインの知見の一部が、より手頃な価格の製品に応用されることも期待したい。いや「手頃な」価格ではなく「中古の自動車よりも安い」価格だ。

なお、ライカM11は日本では1月21日発売予定となっており、現在予約を受け付けている。

画像クレジット:Leica

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マスクに磁石で固定する「顔用FitBit」はヘルストラッキングに加えフィットもモニター

おそらく2022年は、コンシューマーヘルストラッキングが手首から他の場所へと広がる年になるだろう。ここ数年Ouraの台頭を見てきたが、CESではいくつかのリング型フィットネストラッカーが登場した。Google(グーグル)がNest Homeにバイタルや睡眠トラッキング機能を追加したのに続き、Sengledはスマート電球に健康状態の測定機能を追加している。

では、マスクはどうだろうか?健康に関連したフェイスカバーは中国など多くの国で古くから定着しており、現在のパンデミックワールドではいたるところに存在する。米国での一般的なマスクの利用がコロナ禍が終わってからも続くかどうかはわからないが、パンデミックが長期化する中で、当面は日常生活の一部として使われる可能性が高くなってきている。

画像クレジット:Northwestern University

顔は、特定のバイタルサインをモニターするのに適した位置にある。また、マスクの普及により、比較的固定された場所でデータを収集できる。そこで、ノースウエスタン大学のチームは、N95マスク、サージカルマスク、布製マスクなどに磁石で取り付けるいわば顔用FitBit「FaceBit」を発表した。FaceBitは、N95やサージカルマスク、布製マスクなどに磁石で取り付け、呼吸数や心拍数、マスク着用時間などをモニターすることができる。

チームリーダーのJosiah Hester(ジョサイア・ヘスター)准教授は声明の中でこう述べている。「私たちは、医療従事者のためのインテリジェントなマスクをデザインしたいと考えました。それも、シフトの途中で不便になるようなコンセントは必要ないものを。さまざまななソースからのエネルギーハーベスティングでバッテリーのエネルギーを増強したことで、1~2週間、バッテリーの充電や交換をせずにマスクを装着できるようになりました」。

このシステムは最近論文で詳細が発表されたが、マスクの使用に慣れていない人にとっての問題である、マスクの適正フィットも判断できる。マスクが緩んだり、位置がずれたりすると、接続されたアプリが着用者に警告を発する。現在、このシステムのバッテリーは1回の充電で約11日間持続するが、同大チームは、熱エネルギーや運動エネルギーなどを利用したバッテリーレスのバージョンを構想しているという。

製品開発を進めるにはさらなる臨床試験が必要となるが、本プロジェクトは関心のある人のためにオープンソース製品としても提供されている。

画像クレジット:Northwestern University

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフト、Armからアップルに移籍した腕利きチップ設計者を引き抜き―独自チップの開発を加速か

マイクロソフト、Armからアップルに移籍した腕利きチップ設計者を引き抜き―独自チップの開発を加速か

HJBC via Getty Images

先日アップルでM1チップ等の開発を主導していた人物がインテルに移籍したことが明らかになったばかりですが、今度はマイクロソフトがアップルからベテランのチップ設計者を引き抜いたと報じられています。

米Bloomberg報道によると、アップルのチップ設計者だったマイク・フィリッポ(Mike Filippo)氏が離職してMSに入社したとのこと。それはご本人のLinkedInプロフィールにも明記されていますが、Bloombergは同氏の移籍を、MSが「自社のサーバーチップへの取り組みを拡大しようとしている」動きだと推測しています。

フィリッポ氏は、10年間Arm社でトップの半導体設計者として活躍した後、2019年にアップルに入社。それ以前はインテルとAMDの両社に在籍したこともあり、Bloombergは「スマートフォンなどにおけるArmの基盤技術の能力を向上させたと評価されている」と実績を説明しています。

iPhoneのAシリーズチップとMacおよびiPad用のMシリーズチップは、Armアーキテクチャをベースにしています。アップルが2019年5月にフィリッポ氏を採用した際には、Mac用プロセッサにおけるインテル製からArmベースAppleシリコンへの移行(Appleシリコン正式発表は2020年6月で、約1年後)に大きな恩恵をもたらすものとして注目を集めていました。

またMSがサーバーやSurface PC向けに独自Armプロセッサを開発しているとの噂はこれが初めてではなく、2020年末に報じられたこともあります。その噂を伝えたBloombergは、インテルへのチップ依存度を下げるためのMSの戦略の一環だと示唆していました。

かたやアップル側から見れば、Appleシリコン開発を支えてきた主戦力が次々と退社し、競合他社に参加する流れにあります。

ここ数年でもM1チップやT2セキュリティチップ開発を主導してきたジェフ・ウィルコックス氏がインテルに移籍したほか、iPhoneのAシリーズチップ開発を率いた人物らがNuviaという半導体スタートアップを立ち上げ、最終的にはクアルコムに買収されました

こうした人材の引き抜きを防ぐため、アップルは2021年末に一部のトップ従業員に稀に見る高額な株式ボーナスを支給したと報じられていました。これらの額は約5万ドル~18万ドルで、ほとんどが4年間で権利確定するように設定されているのこと。

つまり、少なくとも主要な独自チップを開発している最中には離脱しないよう、対策しているのかもしれません。

(Source:BloombergLinkedInEngadget日本版より転載)

スイッチサイエンスがコンピュータービジョン向けLuxonis製「OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ」2種発売開始

スイッチサイエンスがコンピュータービジョン向けLuxonis製「OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ」2種発売開始

スイッチサイエンスは1月12日、同社ウェブショップにおいてLuxonis製コンピュータービジョン用ハードウェア「OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ」の発売を開始した。自動焦点版「OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ(自動焦点版)」と「OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ(固定焦点版)」の2種類がある。直販価格は、それぞれ1万8854円(税込)。

OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラは、高度なニューラルネットワークを動作させながら、ステレオカメラ2基と4Kカメラ1基で深度情報と色情報を取得できるAIカメラだ。顔認識、オブジェクト検知、オブジェクトトラッキング、Python APIの使用が可能となっている。

自動焦点版は、30cm以内の撮影対象に動的に焦点を合わせることができる(オートフォーカス)。ドローンやロボットなど、振動が大きな用途には向いていない。固定焦点版は、振動が大きい用途に対応でき、レンズが動かないためRGB深度調整にも向いている。30cmの距離で焦点が合うようになっている。

自動焦点版、固定焦点版ともに、特徴は以下のとおり。

  • リアルタイムバックグラウンド演算により動きの予測が可能
  • 12メガピクセル、JPEGエンコーディング(静止画)
  • H.264/H.265エンコーディング(4Kビデオ3.125 MB/秒、Raspberry Pi Zeroでは4K/30 fpsで録画可能)
  • 歪み除去、魚眼レンズに対応
  • オブジェクト検知、画像認識、セマンティックセグメンテーション
  • 対象のトラッキングが可能
  • MJPGエンコーディング
  • 3Dでオブジェクトのトラッキング可能
  • ステレオカメラ

電源はUSB Type-C経由で給電される。消費電力はスタンバイ時で0.6W。depthai_demo.py実行時で4W。最大時で4.5W。ビデオエンコーダーやニューラルネットワークを実行しているときに2Wの電力スパイクが発生する可能性があるとのこと。

OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ(自動焦点版)

  • 型番:LUXONIS-OAK-D-LITE-AF
  • 価格:1万8854円(税込)

OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ(固定焦点版)

  • 型番:LUXONIS-OAK-D-LITE-FF
  • 価格:1万8854円(税込)

スイッチサイエンスがコンピュータービジョン向けLuxonis製「OAK-D-LITE OpenCV DepthAIカメラ」2種発売開始

ペット追跡GPSトラッカーのTractiveが日本市場に正式参入、犬用トラッカーを販売開始・猫専用も販売予定

ペット追跡GPSトラッカーのTractiveが日本市場に正式参入、犬用トラッカーを販売開始・猫専用も販売予定

オーストリアのペット用品・アプリ開発メーカーのTractiveは1月12日、日本市場への正式参入を発表した。ペットの位置情報をほぼリアルタイムで追跡可能な「Tractive 犬用GPSトラッカー」(Android版iOS版)が日本で販売開始となった。また従来版より小型の猫専用トラッカーの準備を別途進めており、日本でも販売予定という。

ペット追跡GPSトラッカーのTractiveが日本市場に正式参入、犬用トラッカーを販売開始・猫専用も販売予定

Tractive GPSトラッカーは、本体をペットの首輪に取り付けることでペットの位置情報を追跡し、PCやスマートフォンで確認できるサービス。自宅の庭などを安全圏として指定し、指定した範囲からペットが出た際、また安全圏に戻った際に通知する「バーチャルフェンス機能」、ペットが動いている時間・休憩時間・カロリー消費量を記録して健康管理に活用できる「身体活動モニター機能」、2~3秒ごとに位置情報を更新することで、走って逃げている場合の正確な位置情報が把握できる「ライブトラッキング機能」などを搭載。現在150カ国以上での利用が可能で、欧米を中心とする50万人以上のペットオーナーに愛用されている。

ペット追跡GPSトラッカーのTractiveが日本市場に正式参入、犬用トラッカーを販売開始・猫専用も販売予定

Tractiveは今回の日本参入にあたり、まずは犬用GPSトラッカーの販売をAmazon.JPで開始している(Amazon.JP tractiveストア)。本体サイズは約71.4×28.0×17.5mmで、重量35g。4kg以上の愛犬であれば負荷なく利用できるという。バッテリー駆動時間は最長で7日間、通常トラッキング利用時は平均5日程度としている。

またトラッカー本体の価格は6900円(税込)。利用料金は、月額プラン1199円、1年プラン7499円(625円/月)、2年プラン1万1999円(499円/月)。日本語対応のカスタマーサービスの提供も開始している。

ペット追跡GPSトラッカーのTractiveが日本市場に正式参入、犬用トラッカーを販売開始・猫専用も販売予定

半導体不足にもかかわらず2021年の全世界でのPC販売台数は大幅増

2021年のパソコンの販売台数は、半導体不足によって全世界的に減少したと想定するのは容易だが、そんな月並みの考えは間違っているかもしれない。実は市場調査企業Canalysの調査報告によると、2021年のPCの出荷台数は前年比で15%伸び、2019年に比べると27%増加した。売れた総台数は3億4100万台というすごい量だ。

その調査報告によると、第4四半期は前年比1%増と微々たる伸びだが、しかしそれでも、2012年以降で最良の年だった。

CanalysのシニアアナリストIshan Dutt(イシャン・ダット)氏によると、半導体の供給不足にもかかわらずPCはすばらしい年を経験し、PCは私たちの仕事とレジャーの両方にしっかりと根を張った。そして世界の先進地域では、家庭に複数のPCがあることが標準的な姿になりつつあるという。

「供給の制約という暗雲が常に立ちこめている市場で、好調だった2020年を超える成果を達成したことは、過去12カ月のPCの需要がいかに大きなものであったかを示している。長期的に見た場合、2021年で最も重要な展開は、PCの普及率と使用率の大きな増加だ」。

2021年のPC市場におけるビッグ3は、Lenovo、HPそしてDellで、Appleは4位だった。下表にあるように、2021年は各社とも好成績だったが、前年比伸び率が最大だったのは28.3%を達成したApple(アップル)、次位が販売台数では5位のAcerの21.8%だった。

マーケットシェアでは、勝者は24.1%のLenovoと21.7%のHPとなる。3位のDellが17.4%、次いで4位のAppleは8.5%だった。

画像クレジット:Canalys

半導体不足は2022年も続くと予想され、また教育市場の飽和も囁かれているが、Canalysの予測では2022年もPCの売れ行きに関しては良い年だ。それどころか、CanalysのアナリストRushabh Doshi(ルシャブ・ドーシ)氏によると、供給問題がなければ2021年の市場はもっと大きかっただろうという。

「不足の一面には需要が大きかったということにもある。供給状況が良ければ間違いなくPC業界は、もっと強力に成長して大きくなっていただろう」とドーシ氏はいう。

彼は、今後も市場は拡大し続けると見ている。「自由な視点で見ると、より高性能で高速なPCに対する需要は、職場だけでなく家庭でもかつてないほど高まっています。過去2年間でPCの重要性が強化されたことで、成長は今後も続くと考えています」とドーシ氏は述べた。

画像クレジット:Irina Cheremisinova/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

富山大学、乾電池1本で発光する高輝度で低電圧な有機ELを開発

富山大学、乾電池1本分の電圧約1.5Vで発光する高輝度で低電圧な有機ELを開発

富山大学分子科学研究所は、乾電池1本分の起電力でディスプレイ並みの明るさで光る世界最小電圧の有機ELを開発したと発表した。これにより市販の有機EL製品の駆動電圧を大幅に低減でき、省エネルギー化につながる可能性がある。

有機ELは、PCやスマートフォンなどの高画質な画像を映し出すディスプレイとしてだけでなく、面発光光源でもあり、柔軟な被膜への製膜も容易ということで次世代照明としても期待されているが、駆動電圧が高い。600nm程度のオレンジ色の光をPCのディスプレイと同等の明るさ(100cd/m2。100カンデラ毎平方メートル)で点灯させるには、およを4.5Vの電圧(乾電池3本分)が必要となる。これに対して伊澤誠一郎助教らによる研究グループは、乾電池1本分のおよそ1.5Vでその明るさを得ることに成功した。

画像左(a):界面でのアップコンバージョン過程を利用した有機ELの構造。画像右(b):新たに開発した有機ELに用いた分子の構造

画像左(a):界面でのアップコンバージョン過程を利用した有機ELの構造。画像右(b):新たに開発した有機ELに用いた分子の構造

研究グループが開発した方式は、2種類の有機半導体材料(発光層と電子輸送層)を重ね合わせたその境界でアップコンバージョン(電子と正孔が結合した励起子が衝突して高エネルギーの励起子となって発光する過程)を起こさせるというもの。ちなみに従来の方式は、発光層を電子輸送層と正孔輸送層で挟んでアップコンバージョンさせている。富山大学の方式では、さらに電子輸送層に結晶性の高いペリレンジイミドを使いて界面での有機分子同士の相互作用をコントロールし、発光層にペリレン蛍光体を加えて発光を促進させるといった工夫で、従来方式に比べて約70倍の発光効率を実現させた。

画像左(a):有機ELデバイスの発光輝度-電圧特性。画像右(b):乾電池1本で高輝度発光を実現した写真

画像左(a):有機ELデバイスの発光輝度-電圧特性。画像右(b):乾電池1本で高輝度発光を実現した写真

研究グループでは、発光プロセスの変換効率のさらなる向上、駆動電圧の低減と発光効率の「高いレベルでの両立」を目指すと話している。