レアル・マドリードやリヴァプールなどと提携するファンタジーサッカーNFTゲーム仏Sorareがソフトバンク主導で約743億円調達

フランスのスタートアップ企業であるSorareは、重要な資金調達ラウンドを実施したと発表した。SoftBank Vision Fund 2(SVF2)が6億8000万ドル(約743億円)のシリーズBラウンドを主導し、同社の評価額は43億ドル(約4700億円)に達した。

Sorareは、NFT(非代替トークン)をベースにしたファンタジーフットボール(サッカー)のプラットフォームを構築している。各デジタルカードは、イーサリアムのブロックチェーン上に固有のトークンとして登録されており、プレイヤーは他のプレイヤーとカードを売買することができ、取引はすべてイーサリアムブロックチェーンに記録される。

Sorareの特徴は、レアル・マドリード、リヴァプール、ユヴェントスなど、欧州で最も有名なクラブを含む180のサッカー組織と提携していることだ。これは同業他社にとって参入障壁となる。

今回の資金調達により、同社は新たなスポーツ分野への進出、米国でのオフィス開設、人材採用、マーケティングキャンペーンへの投資などを計画している。今後、他のプロスポーツ団体とのパートナーシップ発表も期待できる。

今回のラウンドには、SoftBank Vision Fundのチームに加え、Atomico、Bessemer Ventures、D1 Capital、Eurazeo、IVP、Liontreeも参加した。また、Benchmark、Accel、Headline、さまざまなビジネスエンジェルを含む、既存投資家からも再び出資を受けている。

Sorareは、プラットフォーム上で新しいカードを発行することで収益を得ている。プレイヤーはそれらの新発行カードを購入し、自分のコレクションに加えることができる。また、プレイヤーはチームを管理し、実際のパフォーマンスに応じてポイントを獲得することもできる。

時間の経過とともに、カードの価値は上がったり下がったりする。そのため、プレイヤーは他のプレイヤーとカードを売買することが多く、オークションを追跡するためのサードパーティウェブサイトも存在する。このプラットフォームでは、1月以降、1億5000万ドル(約163億9000万円)相当のカードが取引されている。Sorareは今のところ、プレイヤー間の取引からは利益を得ていない。

取引量はかなり多いものの、ユーザー増加の可能性はまだまだある。現在、60万人の登録ユーザーがおり、毎月15万人のユーザーがカードを購入したり、(ファンタジー)チームを編成しているという。2020年の第2四半期から2021年の第2四半期にかけて、同社の売上は51倍に伸びている。

Sorareの共同創業者兼CEOのNicolas Julia(ニコラス・ジュリア)氏はこう述べている。
「当社は、ブロックチェーンとNFTがもたらす計り知れない可能性が、サッカークラブ、サッカー選手、そしてそのファンが互いにより深いつながりを体験するための新しい方法を解き放つと考えました。これまでの成功に感激していますが、これは始まりに過ぎません。次のスポーツエンタテインメントの巨人を生み出し、より多くのサッカーファンや組織にSorareを提供し、世界中の他のスポーツやスポーツファンに同じ実証済みのモデルを紹介する大きなチャンスだと考えています」。

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SorareのシリーズBは、特にフランスのスタートアップにとっては巨大な資金調達ラウンドだ。ファンタジースポーツゲームは、新しい人々にNFTの世界に触れてもらう最良の方法の1つだ。NBA Top ShotがNBAファンに絶大な人気を誇るのもそのためだろう。

そして、これらのプラットフォームは、暗号資産取引を始めるためのすばらしいオンランプになっている。今後、Sorareでプレイする人が増えてきて、規制が厳しくなるかどうかが注目される。

画像クレジット:Sorare

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

花き産業の世界的独占の打破を目指すColvinはB2Bによる中間業者排除に向かう

サプライチェーンには今、とても興味深いことが起こっており、しかもそれはずっと続いている。ただしパンデミックがそれを加速したことも事実だ。テクノロジーのスタートアップたちは、またまた中間業者を排除しようとしているが、今回はサプライチェーンのレベルでだ。彼らにとっての商機は、サプライチェーンをプラットフォームで置換することにある。いうなればそれは「サプライチェーンのプラットフォーム化」だ。

最新例の1つであるColvinは、花き産業のためのプラットフォームで、今回はEurazeoのリードで4500万ユーロ(約58億6000万円)のシリーズCを調達した。Eurazeoは知る人ぞ知るフランスのプライベート・エクイティおよびベンチャーキャピタル企業で、これまでFarfetchやGlovo、ManoManoなどのマーケットプレイスに投資している。他に、同じくフランスのアグテックとフードテックのVCであるCapagroがこの投資に参加した。

D2Cのブランドとしてローンチし、今でもそうであるColvinは最近、プロを狙ったB2Bのカテゴリーも作った。

Colvinの共同創業者であるSergi Bastardas(セルギ・バスターダス)氏によると「2020年はColvinにとって加速の年で、今後の成長のペースを確定したという意味で転機でもありました。Colvinの目標は、花き産業のデジタルトランスフォーメーションをグローバルなレベルでリードしていくことです」という。

Eurazeoの投資ディレクターChloé Giard(クロエ・ジャルド)氏は、次のように話す。

フラワーデリバリーの市場におけるColvinの軌跡はずば抜けています。彼らは、急速な成長と利益が両立することを証明し、しかも市場を地球レベルで拡大しています。これは、花き産業の未来を築こうとする彼らの意欲の、第一歩にすぎません。AnkorstoreやChoco、Sennderなどの例に見られるように、ますます多くのB2Bカテゴリーがオンライン化している今日は、花きの卸売市場に新たなスタンダードを導入する天恵の好機です。Colvinはこの業界における長年の経験と専門的技能とスケーラブルなサプライチェーン、および信頼に足る生産者たちのグローバルなネットワークを生かして、この数十億ドル(数千億円)規模の市場機会を掴もうとしています。

電話インタビューで、バスターダス氏は「オランダには花きと植物の市場の独占体制があります。世界の花きと植物のおよそ65%は、オランダにある巨大なオークションを物理的に通過しなければなりません。それらが、どこで栽培されたかは問われません。この状態が長期に維持されているのは、業界がデジタル化されていないからです。それが、私たちが解決しようとしている問題です。ステークホルダーたちを、もっとダイレクトに結びつけなければなりません」という。

彼によると、同社は生産者と顧客をB2Cのプラットフォームで結びつけた。「今度はB2Bのソリューションを構築して、卸と小売など生産者同士を結びつけ、不必要な中間業者をテクノロジーの力で回避しなければなりません」。

あなたは業界の邪魔者になりますね、と尋ねたら彼は「確かにそうですね。中間業者たちは今、私たちに対して頭にきているからね」と答えた。

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カテゴリー:その他
タグ:Colvin資金調達フランス観葉植物B2B

画像クレジット:Colvin

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

2023年までに1000量子ビットの量子処理ユニット(QPU)完成を目指すフランスPasqalが約32億円のシリーズA調達

2023年までに1000量子ビットの量子処理ユニット(QPU)完成を目指すフランス・Pasqalが約32億円のシリーズA調達

世界有数の量子研究センターであるパリのInstitut d’Optique Graduate School(IOGS。光学研究所)から2019年に独立し、基礎研究からビジネスまで広範に利用できる量子処理ユニット(QPU)の開発・製造・販売を行うスタートアップPasqal(パスカル)は7月20日、2500万ユーロ(約32億円)の資金調達を発表した。ベンチャーキャピタルのQuantonation(クアントネシオン)と仏国防省防衛イノベーション部門が率いたシリーズAラウンドとして、6月に実施された。これにより、QPU開発とともにアプリケーション共同設計の取り組みを強化し、ハイブリッドクラウドを介した量子コンピューティングサービスの構築を加速する。

Pasqalでは、すでに100量子ビットQPUを搭載した量子コンピューター1台を運用しており、フランス電力と共同開発したEV用充電スケジュールの最適化といった具体的なユースケースの検討に使われているという。さらに2台の100量子ビットQPU搭載量子コンピューターの用意を進めており、2022年の初めにはクラウドベースのアクセスを提供する予定。

また2023年には、欧州HPCプロジェクトへの参加などを目的にフランス政府が設立した企業GENCIと、ユーリッヒ研究所(ドイツ)のスーパーコンピューティングセンターに、オンプレミスで導入されることになっている。

EUでは、2018年10月に「量子技術フラッグシップ計画」が立ち上げられ、続く2021年1月にフランスが18億ユーロ(約2346億円)を投じる量子技術の国家戦略を発表している。これにより、人材育成、科学研究、技術実験を大幅に強化し、2023年からの第1世代汎用量子コンピューターの完全なプロトタイプ実現を目標に掲げている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:QPU / 量子処理ユニット(用語)Pasqal(企業)量子コンピューター(用語)資金調達(用語)フランス(国・地域)

実験室でフォアグラを生み出すスタートアップ「Gourmey」

フランスのスタートアップGourmey(グルメイ)が、株式と融資による1000万ドル(約11億円)のシードラウンドを実施した。このスタートアップは、実験室で動物の細胞からの食肉培養に取り組んでいる。特に同社は家禽類に力を入れており、世の中のシェフたちに同社の製品をレストランで採用してもらうことを目指している。

「私たちは2万年前から動物を飼育してきました」と語るのは共同創業者でCEOのNicolas Morin-Forest(ニコラ・モラン・フォレスト)氏だ。「私たちは細胞を育てます。こうすることで食べる分だけ生産できるので、はるかに効率的なのです」。

他の2人の共同創業者であるVictor Sayous(ビクター・サユー)氏とAntoine Davydoff(アントワーヌ・ダヴィドフ)氏は、分子生物学と細胞生物学のバックグラウンドを持っている。スタートアップのためにチームを組んだ彼らは、集約的な畜産の検討を始めた。

「このテーマに足を踏み入れてみると、これは単に動物愛護だけではなく、地球や人類にも関わることなのだと気づかされます」とモラン・フォレスト氏は語る。

Gourmeyは、肉の代替品を作り、それを大衆向けの商品にしたいと考えているスタートアップ企業たちの一員だ。従来の食肉を代替しようとした第一世代のスタートアップたちは、植物由来の代替品に大きく賭けていた。Beyond Meat(ビヨンド・ミート)やLivekindly Collective(ライブカインドリー・コレクティブ)などがよく知られている。

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最近では、Eat Just(イート・ジャスト)、Mosa Meat(モサ・ミート)、Meatable(ミータブル)など、細胞を使った肉に注目している新世代のスタートアップ生まれている。Gourmeyは、実験室で肉の培養を行うフランス初のスタートアップだ。

他の実験室食肉培養スタートアップと同様に、Gourmeyは幹細胞(ステムセル)を利用している。その細胞を、適切な温度で適切な栄養素と組み合わせて、バイオリアクターの中で成長させる。

Gourmeyは、プレミアム製品とプレミアム販売戦略からスタートする。彼らのスタートアップは、人工培養されたフォアグラ──彼らの言葉を借りるなら、屠殺を行わないフォアグラに取り組んでいる。フォアグラの味を再現するのもまた複雑な作業であるため、Gourmeyはそこに大きな期待を寄せている。

国によっては、フォアグラには大きな不名誉が与えられ、スーパーの棚から撤去されている。その結果、実験室で培養されたフォアグラに魅力を感じる人もいることだろう。Gourmeyは、特にシェフたちに第1弾の製品を試してもらい、高級レストランで使用してもらいたいと考えている。またGourmeyは、その製品を通常のフォアグラとほぼ同じ価格で販売したいと考えている。

そしてスタートアップの規模が大きくなるにつれて、より多くのマスマーケット向け製品を発売することを考えている。生産ラインが最適化され、Gourmeyの製品に十分な需要が生まれれば、他の鶏肉や鴨肉などの製品も登場することだろう。

スタートアップが実験室で作った製品を世界で販売するには、いくつかの規制上のハードルをクリアする必要がある。Eat Justはシンガポールで、実験室で培養された肉の販売を開始したが、たとえばヨーロッパで培養肉が見られるようになるにはまだ数年かかるだろう。そのような新製品は、食品安全規制当局が承認する必要があるからだ。

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Gourmeyの資金調達に関しては、Point NineとAir Street Capitalが共同で1000万ドル(約11億円)のシードラウンドを主導している。Heartcore Capital、Partech、Big Idea Ventures、Eutopia、Ataraxia、Beyond Investingそして数名のエンジェル投資家もラウンドに参加している。Gourmeyは、Bpifrance(公共投資銀行)や欧州委員会などの公的機関からも支援を受けている。

Point NineのマネージングパートナーであるChristoph Janz(クリストフ・ジャンズ)氏は「培養肉は、エネルギー効率が高く、持続可能なタンパク質を世界に提供するための最も有望なソリューションの1つです」と述べている。「しかし、本物に負けない味が成功の鍵を握っていることに変わりはありません。私たちは、Gourmeyのおいしい製品と、科学と味の両面で記録的な速さで進歩する同社の能力に、心から感銘を受けました」。

今回の資金調達により、同社はパリにパイロット生産ラインを設置する予定だ。フォアグラ製品を販売できるようになるのは、2022年後半から2023年前半を予定している。

画像クレジット:Gourmey

カテゴリー:フードテック
タグ:Gourmeyグルメ食事資金調達培養肉フランス

画像クレジット:Gourmey

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

フランスがグーグルに650億円の罰金、記事使用料交渉で命令に従わず

コンテンツ使用対価の支払いに関するメディアとの協議で重大な違反が認められたとして、フランスはGoogle(グーグル)に5億ユーロ(約650億円)の罰金を科した。コンテンツ使用での対価支払いは、著作隣接権をニューススニペットにも拡大したEU新デジタル著作権指令で求められている。

制裁金は、Googleが2020年10月に発表したニュース対価総額10億ドル(約1110億円)の半分を上回り、この規模はかなりのものだ。Googleは自社プラットフォームに表示される「高品質のコンテンツを制作してキュレートする」ためにメディアに対価を支払うと述べていた。

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当時、Googleのそうした動きは、コンテンツを「ショーケース」する幅広い権利をGoogleに与える取引条件を受け入れるようメディアに迫ることで、コンテンツ再使用のためにメディアに対価を支払う法的義務を小さくしようという意図があったようだ。

フランスの監視当局はいま、声高にその慣行に制裁を科した。

ロイターによると5億ユーロという額はGoogleがフランスのメディアに払うとすでに同意した額をかなり上回り、このことも注目に値する。ロイターは2021年2月、Googleが今後3年にわたって7600万ドル(約84億円)を支払うことで121のメディアと契約を交わした、と報じた。

フランスの競争当局は7月13日、メディアの保護されたコンテンツの表示の対価を支払うためにメディアと誠実に協議するようGoogleに命じた2020年4月の決定に関して、同社が数多くの命令に従わなかったとして制裁金5億ユーロを科すと発表した

当初、GoogleはフランスでGoogle Newsに表示していたリンクとともにコンテンツのスニペットの表示を停止することで著作隣接権を回避することを模索した。しかし監視当局は、それは支配的な地位の乱用だととらえ、Googleに対し法律の回避をやめて誠意を持ってコンテンツ再使用の対価を払うためにメディアと交渉するよう命じた。

ただ、Autorité de la Concurrence(フランス競争委員会)はGoogleがこの命令に関して取った対応について快く思っていない。

多くのメディアが、交渉は誠実なものではなかった、Googleは支払いを知らせるのに必須の鍵となる情報を提供しなかった、と競争委員会に苦情を申し立てた。

雑誌出版社組合(SEPM)、出版社団体Alliance de Presse d’Information Générale(APIG)、フランス通信社(AFP)は2020年8〜9月に苦情を申し立て、監視当局による調査が始まった。そして7月13日の重大違反の発表に至った。

もしGoogleが監視当局の命令に反し、2カ月以内にメディアに必要な情報すべてを提供しなければ、1日あたり最大90万ユーロ(約1億2000万円)という罰金を追加で科すこともあり得る。

調査についての詳細を説明するプレスリリースの中で、競争委員会はGoogleが著作隣接権を「別の資産価値をともなわない付随するもの」として組み込むことを求めて、メディアとの協議の中でPublisher Curated Newsと呼ぶ提携のもとに「Showcase」というグローバルの記事ライセンスプロダクトを一方的に押し付けることを模索したと述べた。

競争委員会の調査によると、メディア側は著作権報酬の交渉は拒否されたとして対応することを求めている。

競争委員会はまた、Googleが保護されたニュースコンテンツの表示で発生する収入の範囲に関して、協議の幅を「不当に」狭めたとした。Googleはメディアにニュースコンテンツを表示するGoogle Searchページからの広告収入のみが報酬支払いのレベル決定で考慮される、と伝えていた。

他のGoogleサービスからの収入とコンテンツに関連する非直接的な全収入の排除は著作権法違反であり、先のコンプライアンス命令に反するものだと当局は判断した。

Googleはまた、政治および一般情報証明を持たないコンテンツを排除することで、著作隣接権に関する法律の範囲を「故意に制限した」。この点について監視当局は知的財産に関する基準の「誠意のない」解釈としてとらえた。

そして監視当局は、Googleがサードパーティのメディアによって使用された場合、そのコンテンツに関する支払いから通信社を排除しようと模索したことも確認した。「フランスの議員は通信社を含める必要性についてかなりはっきりとした考えを示してきました」と指摘することで、当局はGoogleのこの試みが2020年4月の命令に従わないものと強調した。

その他には、Googleは「報酬の透明性ある評価」のために「部分的」で「不十分」な情報をメディアに提供しただけだったとも指摘した。さらには、命じた期限のわずか数日前まで情報提供を遅らせ「遅い」とも非難した。

当局の調査は、著作権法で保護されているコンテンツがいかにGoogleのプラットフォームで表示されるかという点での中立の義務に関連する別の命令のコンプライアンス問題を強調している。これについて監視当局は次のように述べている。「Googleが導入した戦略はこのように、メディアにShowcaseサービスの契約条件を受け入れ、保護されたコンテンツの現在の使用に特に関連する交渉を放棄するよう、強く促してきました。これは、提案された条件を受け入れた競合相手より見劣る表示と支払いを行っているという違反に基づく差止命令の対象でした。ゆえに、Googleは保護されたコンテンツを自社のサービスで表示することに交渉が影響しないようにする必要な方策を取ったと主張することはできません」。

別の命令は、著作隣接権のためにメディアに支払った対価を相殺することで支配的な地位の利用をGoogleに模索させないようにするものだった。

これに関して監視当局は、Googleのプラットフォームでの表示のためにShowcaseがメディアにコンテンツのスニペットの制作だけでなく「大量のエキス」と全記事すら求めていると指摘し、このアプローチについても問題視した。

GoogleはShowcaseプログラムの参加を、Subscribe with Google (SwG)という別のサービスとリンクさせていることもわかった。これはGoogleが著作隣接権に関する交渉を、自社の収入につながり得る新しいサービスのサブスクと結びつけられるようにしている。

「極めて深刻な慣行」と糾弾している小見出しの下で、当局はGoogleの「意図的で念入り、かつ組織的な遵守しない戦略、そしてすでに数年にわたって展開している著作隣接権の原則とは「逆の戦略」の継続、そしてEUとフランスの法律に織り込まれた後に「著作隣接権の具体的な範囲をできるだけ最小化することを模索したこと」を非難した。

Googleは、メディアへの支払いを「可能な限り回避あるいは制限する」ための口実としてShowcaseを使い、と同時にサブスクやプレスタイトルなど、さらなる収入確保につながり得るメディアの新たなコンテンツへのアクセスを入手する機会として著作隣接権にかかる交渉を使うことを模索し、コンテンツ対価を国レベルで交渉するメディアの能力をなくすためにグローバル戦略を使うことを検討した、と当局は主張する。

「罰金5億ユーロの制裁は、確認された反則の重大さと、Googleが著作隣接権についての法律の正当な適用をさらに遅らせた行為を考慮しています。これはメディアや通信社のコンテンツの価値をさらに考慮に入れることを目的としています。当局は命令の適切な遂行について非常に神経を尖らせていて、不履行は過料につながります」と競争委員会の委員長Isabelle de Silva(イザベル・デ・シルバ)氏は声明で述べた。

5億ユーロの罰金と、もし当局の指示を無視し続けた場合、その慣行が1日ごとに科せられる罰金につながるという警告は、商業取引の詳細がフランスでは認められないことをGoogleに知らしめている。

「コンプライアンス」の利己的バージョンを形成しようという試みはおそらく当局からのさらなる制裁につながる。これは最近、Googleの広告事業の数多くの相互運用性の要件に適用され(2億6800万ドル、約296億円の罰金を科した)、メディアからの苦情に対処している。

Googleがフランスで著作隣接権問題に関して同意していることは、商業取引で少なくとも他のEUマーケットで達成できるものに対する基準を設けることだろう。EUマーケットでは著作権延長法も適用される。

フランス当局の制裁に関する声明で、Googleは調査の結果に失望を表明し、メディアとの交渉は誠意を持ってあたったと主張した。

「決定に非常に失望しています。当社はプロセス全体を通じて誠実に対応してきました。罰金は当社の合意を図る努力、ニュースがいかにGoogleプラットフォームで機能しているかという現実を無視しています。Googleはこれまでに著作隣接権に関する合意を発表した唯一の企業です。当社はまた、AFPとの合意をまとめるところでもあり、この合意にはグローバルライセンス契約、AFPの出版物の隣接著作権に対する報酬も含まれています」。

Googleは、当局の決定が「主に」2020年5〜9月に行われたフランスでの交渉に関するものであるとも指摘し、同社がそれ以降も「ソリューション」を見つけるためにメディアや通信社と引き続きやり取りしていると主張した。

その例として同社は、Alliance de la Presse d’Information Généraleと結んだ2021年1月のフレームワークエンゲージメントを指摘した。Googleはまた、Le MondeやCourrier International、L’Obs、Le Figaro、Libération、L’Expressなどを含むフランスの他のメディアとの合意も挙げた。

Googleはまた、AFPとのグローバルライセンス提携を結ぶことができるという自信も繰り返し示した。この提携に関してGoogleは、AFPの出版物の隣接著作権の対価も含めたい、と述べた。

フランス競争当局の「フィードバックを考慮し、当社のオファーを適応させる」と話し「当社の目的は変わりません。正式契約で物事を前に進めたいと考えています」と付け加えた。「CPPAPに認められている出版物をカバーすることで、『オンラインプレスサービス』として当社はすでにIPGを超えてメディアや通信社と関わっていて、我々の取り組みを評価する立場の独立したサードパーティを持つという申し入れを繰り返し、これにより事実についての議論をベースとできます」。

Googleが近年フランスで科された主要な罰金には、前述の広告テックの不正使用に関する先月の2億6800万ドル、2020年12月の同意なしのCookie使用に対する1億2000万ドル(約133億円)、2019年12月の不透明で一貫性のない広告ルールに対する1億6600万ドル(約184億円)、2019年1月のプライバシー違反での5700万ドル(約63億円)などがある。

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EU以外ではオーストラリアがこのほど、商業取引条件に同意しなかった場合、メディアのコンテンツ再使用に関してGoogleとFacebookにメディアとの強制仲裁を求める法律を成立させた

いかにパワフルなテックプラットフォームを制御し、インターネットによるデジタル出版への移行で収入面で打撃を受けてきた従来のメディア企業の持続可能性を確かなものにするかに議員たちが取り組むなかで、オーストラリアの法律は世界中からかなり注目された。

たとえば英国の競争・市場当局は、戦略的な市場支配力を使ったプラットフォームの乱用に積極的に競争当局が取り組めるようにするために英政府が前もって規制体制を整えるのに取り組んでいる中で、商業取引条件の交渉がうまくいかなかった場合の強制仲裁というオーストラリアの安全装置を「道理に適った」アプローチと表現した。

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オーストラリアの法律が採択されるのに先立ち、Googleはもし議会がそのまま法案を通せばオーストラリアでのサービスを停止せざるを得ないかもしれいないと警告し、加えてプロダクトの質を下げたりプロダクトを有料としなければならないかもしれないと示唆した。結局、Googleはオーストラリアでのサービス提供をやめなかった。

同社はまた、EUのニュースコンテンツのスニペットをカバーするためのデジタル著作権の拡大計画に対し、積極的なロビー活動を展開した。そして2019年にはニュースに決して支払わないと誓っていた。

それから数年後、コンテンツのライセンスを得るためにメディアに支払う10億ドルを発表した。しかしGoogleの他のジャーナリズムに便乗した広告事業のための最終的な請求書は10億ドルよりも大きな額になるかもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フランスGoogleメディア著作隣接権

画像クレジット:Vincent Isore

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

技術的、機械的なメンテナンスや修理をより効果的にする拡張現実プラットフォーム「SightCall」

新型コロナウイルス(COVID-19)が企業にデジタルトランスフォーメーションの波を引き起こすはるか前から、カスタマーサービスやカスタマーサポートはオンライン上やバーチャル上で運用されるよう設計されてきた。それでもなお、この分野はテクノロジーの力を借りて引き続き進化し続けているようだ。

2021年5月、SightCallというスタートアップが4200万ドル(約46億円)の資金調達を発表した。同社はフィールドサービスチームやそのチームが所属する企業、そしてその顧客が技術的および機械的なメンテナンスや修理をより効果的に行うための拡張現実プラットフォームを構築している。今回の資金は人工知能ツールの追加や顧客基盤の拡大など、同社の技術スタックへの投資に充てられる予定だ。

CEO兼共同設立者のThomas Cottereau(トーマス・コテロー)氏によると、同社のサービスの中核となるのはAR技術であるという。この機能は同社のアプリや顧客が使用するサービスアプリに組み込まれており、またMicrosoft、SAP、Salesforce、ServiceNowなどの顧客サービス環境で使用される標準的なソフトウェアにも統合されている。この拡張現実では、ビデオストリーム上に追加情報やポインターなどさまざまなツールが重ねて表示される。

例えばフィールドサービスエンジニアが機器を修理する際に本社と連携したり、または緊急時や何かが故障した際にエンジニアを呼ぶよりも顧客自身で修理したほうが早い場合にメーカーが利用したり、あるいはコールセンターがAIの助けを借りて問題を診断したりする際などに、このテクノロジーが使用される。これまで作業指示書や急いで用意した図面、取扱説明書、口頭説明に頼って作業を進められてきた状況が、これにより大きく前進することになる。

「我々はフィールドサービス組織とお客様の間に存在する壁を打ち壊しているのだと自負しています」とコテロー氏は話している。

長年かけて構築された同テクノロジーはSightCall独自のもので、一般的なスマートフォンを使って通常のモバイルネットワークでも使用できるように設計されている。電波状況が悪かったり、離れた場所にいたりする際などに活躍するのだが、その仕組みについては後ほど詳しく説明したいと思う。

当初はフランスのパリで設立され、その後サンフランシスコに移転した同社だが、これまでに保険、電気通信、輸送、テレヘルス、製造、ユーティリティー、ライフサイエンスや医療機器など幅広い分野で大規模なビジネスを構築してきた。

SightCallはKraft-Heinz、Allianz、GE Healthcare、Lincoln Motor Companyなど約200社の有名企業の顧客を抱えており、B2Bベースでサービスを提供している他、現場に出て消費者顧客のために尽力するチームにもサービスを提供している。2019年と2020年の年間経常収益が前年比100%の伸び率を達成したSightCall。同社CEOは2021年もその伸び率を達成できそうだと話し、年間経常収益1億ドル(約110億円)を目標としている。

今回の資金調達は欧州のプライベートエクイティ企業であるInfraViaが主導し、またBpifranceも参加する。今回のラウンドの評価額は公表されていないが、ある投資家から聞いた話によると、PitchBookが発表したポストマネーの1億2200万ドル(約133億5000万円)という見積もりは正確ではないようだ(この件についてはまだ調査中のため、何か分かったら更新しようと思う)。

InfraViaは複数の産業ビジネスに投資しており、最近ではJobandtalentへの投資など産業ビジネスに関連したサービスを提供するテック企業への投資も行っている。これは戦略的な投資であり、SightCallはこれまでに6700万ドル(約73億円3000万円)を調達している。

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近年、最前線や現場で働く人々が使用する技術スタックを構築するスタートアップが続々と登場している。これは新世代のアプリケーションを構築するスタートアップが、ナレッジワーカーに注目しているから故の変化である。

WorkizJobberは中小企業のビジネスマンが仕事を入れたり管理したりするためのプラットフォームを構築しており、BigChangeは大規模なフリートマネジメントをサポート。Hoverは建設業者が自身や潜在顧客のスマートフォンのカメラで撮影した画像をAIで分析することで、工事のコストを評価して見積もることができるプラットフォームを構築している。

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Streemは比較的SightCallに似た競合企業で、同社はGoogleでのSightCallの検索結果に基づいてGoogle広告を取得しているようだ。新型コロナのパンデミックが始まる直前、General Catalystが支援するStreemがFrontdoorに買収され、Frontdoorのホームサービス事業の構築に貢献していることからも、こういった事業がいかに躍進を遂げているかよくわかる。

SightCallが他と比べて際立っている理由はその技術にある。2007年、現在は製品・エンジニアリング担当SVPのAntoine Vervoort(アントイン・ベルボー)氏コテロー氏とが共同で設立した同社だが、この2人は通信業界に長く身を置き、ともに次世代ネットワーク構築の技術面を担当してきた。

モバイルウェブやSMSアプリにリッチメディアサービスを導入しようと各社取り組んでいた当時、同社はWebRTCベースのフレームワーク上で動作するビデオチャットサービスを構築するWeemoという会社として事業を開始している。一般消費者や多くの企業にとって「オーバーザトップ」(携帯電話会社ではなく、携帯電話のOSを運営する企業が配信し、そのために一部をコントロールする)で動作する携帯電話アプリは、メッセージングやメッセージングにおけるイノベーションの市場をリードし、現在も優位に立っている。

その後Weemoは方向性を転換してSightCallに社名を変更し、自社で開発した技術を企業顧客が望むアプリ(ネイティブまたはモバイルウェブ)にパッケージ化することに注力した。

SightCallが構築された方法こそが、同社の仕組みのカギとなったとコテロー氏は説明する。同社は10年の歳月をかけて顧客に近いデータセンターにネットワークを構築、最適化してきた。このネットワークはTier 1の通信事業者と相互接続しており、アップタイムを確保するためにシステムには多くのレイテンシーを持たせている。「この接続性がミッションクリティカルな企業と仕事をしているため、ビデオソリューションは完璧でなければなりません」。

同氏の説明によると、SightCallが構築したハイブリッドシステムはテレコムハードウェアとソフトウェアの両方で動作する独自のIPを組み込んでおり、その結果、ビデオストリーミング向けの10種類の方法を提供するビデオサービスと、ユーザーがどこにいるかによって特定の環境下で最適なものを自動的に選択するというシステムを実現している。これにより、モバイルデータやブロードバンドの電波が届かなくてもビデオストリーミングが可能になるというわけだ。「通信業界とソフトウェア業界の間にはいまだに大きな壁があり、考え方も異なります。だからこそ我々の秘密兵器であるグローバルローミングメカニズムが重要になってくるのです」。

同社がこれまでに構築してきた技術は、この分野への参入を検討している他の企業に対して確固たる基盤を与えたと同時に、顧客からの強い支持も得ることができた。SightCallの技術をすでに使用している業界で採用されている自動化をより深く活用するため、その技術を継続的に構築していくというのが同社にとっての次のステップである。

InfraVia Capital PartnersのパートナーであるAlban Wyniecki(アルバン・ウィニエツキ)氏は声明の中で次のように述べている。「SightCallはARを利用したビジュアルアシスタンスの市場を開拓し、リモートサービスにおけるデジタルトランスフォーメーションを推進するためのベストポジションに立っています。グローバルリーダーとしての能力をさらに押し広げ、よりインテリジェントなサービスを提供するとともに、人々が最大限の力を発揮できるようにするため、今後もますます多くの自動化を実現してくれることでしょう」。

「今回の4200万ドルのシリーズBは、この分野では最大の資金調達ラウンドです。資本、R&Dリソース、業界をリードするテクノロジー企業とのパートナーシップにおいてSightCallは紛れもないリーダーとして確立し、同社のソリューションを企業の複雑なITに組み込むことを可能にしました。より大きなスケールでの顧客中心性を実現すると同時に、効率性を引き出し、継続的なパフォーマンスと利益をもたらす知識と専門性で技術者を増強する、SightCallのようなソリューションを企業は求めています」とBpifranceのAntoine Izak(アントイン・イザック)氏は付け加えている。

コテロー氏によると、同社はこれまでに何度も買収のオファーを受けてきたという。信頼性の低いネットワーク環境でも機能し、異なるキャリアやデータセンター間のビデオネットワークを構築する方法について同社が築き上げてきた基盤技術を考えれば、これはむしろ当然のことである。

「独立した存在であり続けたいと思っています。この先に巨大な市場があると信じているため、自分たちでこの旅を進め、リードしていきたいと思っています。それに、独立性を保ちながら皆とともに仕事を続けていく方法が私には見えているのです」。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:SightCall資金調達拡張現実フランス

画像クレジット:yoh4nn / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ファンタジーの世界でドラゴンや魔法とともに算数・語学・科学を学ぶゲーム「PowerZ」が約9.2億円調達

フランスのスタートアップであるPowerZは、100万ユーロ(約1億3000万円)の負債を含む700万ユーロ(約9億1500万)の資金を新たに調達したと発表した。残りは従来のエクイティラウンドだ。PowerZはEdTechスタートアップであると同時に、野心的な目標を持つビデオゲームスタジオでもある。同社は「Minecraft(マインクラフト)」や「Fortnite(フォートナイト)」のように魅力的なゲームを、教育に焦点を当てて作りたいと考えている。

2021年2月、PowerZはPC上でゲームの最初のバージョンをリリースした。コンテンツはまだ多くないが、同社はできるだけ早くイタレーションを開始したかったのだ。6歳以上の子どもを対象としたPowerZは、かわいいドラゴンや魔法の呪文が登場するファンタジーワールドにプレイヤーを連れて行く。

「このアイデアは、まさにハリーポッターのようなものです」と共同創業者兼CEOのEmmanuel Freund(エマニュエル・フロイント)氏は語る。「この世界はとても素敵で、興味深いものです。ホグワーツのように、定期的に戻ってきたくなり、非常に長い時間をかけてストーリーが進行していきます」。

1万5000人の子どもたちがゲームの第1章を試し、彼らは平均して4時間ゲームに没頭したという。フロイント氏は、この数字に満足しているのだろうか。彼は、自分の会社のビジョンが「完全に証明された」と思っていると答えた。

今回のラウンドには、Bpifrance Digital Venture、RAISE Ventures、Bayardが出資した。また、既存投資家のEducapital、Hachette Livres、Pierre Kosciusko-Morizet、Michael Benabou(マイケル・ベナボウ)氏も同社に再び投資している。

画像クレジット:PowerZ

ここからは、コンテンツの追加、他のプラットフォームへの展開、新しい言語の立ち上げを行う時期だ。コンテンツについては、同社は他のゲームスタジオと提携していきたいと考えている。新しい島々を作り、若いユーザーに新しいことを学ばせるゲームをデザインする予定だという。Zero Games、Opal Games、ArkRepは「PowerZ」に貢献してくれる初期のサードパーティスタジオとなる。

これらの新しいチャプターがプレイ可能になると、子どもたちは暗算、幾何学、ボキャブラリー、外国語、手話だけでなく、天文学、写真、建築、彫刻、料理、野生動物、ヨガなどの練習ができるようになる。

フロイント氏はいう。「基本的に当社は、パブリッシャーとしての地位を確立したいと考えています。自社で維持したいのは、主なストーリーラインだけです」。

新しいプラットフォームとしては、PowerZは今週、iPadでゲームをローンチする。同社は、PCでのリリースは間違いだったと気づいたのだ。大人はすでに自分がコンピュータを使っていたり、子どもを1人にして使わせたくないと思っている。そのため、PowerZはiPadでスタートし、iPhoneがそれに続く。2022年には、Nintendo Switchや、潜在的には他のゲームコンソールでのリリースも予定されている。

現在このゲームはフランス語でしかプレイできないが、同社は近いうちに英語版のリリースも考えている。

「今のところ、このゲームは完全に無料です。当社には収益化のアイデアがあります。他のゲームと同じように、ビジュアルアイテムをアプリ内で購入できるようにします」とフロイント氏は語った。

さらにロードマップを見てみると、PowerZは非常に野心的な目標を掲げている。フロイント氏は、教育用ゲームはすぐに主流になると考えている。スクリーンは子どもに悪影響を与えるという理由で、この種のゲームは開発したくないという企業も多い。

「ただスクリーンは悪いというだけでは、算数を学ぶためのAmazon(アマゾン)の商品ができてきて、それを使うことになってしまいます。スケールアップできるスクリーン用の教育プラットフォームを開発しなければならないという危機感があります」とフロイント氏は筆者に語った。

PowerZは、できるだけ早く何十万人もの子どもたちにリーチしたいと考えている。そして、FortniteやMinecraftのように、同社はこのゲームが他のもののためのプラットフォームとして機能し、時間をかけて進化していくことができると信じている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:PowerZ資金調達フランスゲーム

画像クレジット:PowerZ

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

パリ裁判所がAirbnbに違法掲載で10.7億円の罰金

パリの裁判所が、民泊のマーケットプレイスとして人気の高いAirbnbに罰金を科した。裁判所によると、そのテクノロジー企業は同社のプラットフォームにアパートを載せるにあたってパリ市の規制に違反した。Airbnbはパリ市に960万ドル(約10億7000万円)を払わなければならない。

判決は確定までに数年を要している。世界中の大都市の多くと同じく、Airbnbはパリの住宅市場に何らかの影響力を及ぼしている。多くのアパートが住宅市場から姿を消し、Airbnbの常設のアパートになり、賃料が上がっている。

2017年には、パリの住民は自分の家をAirbnbに載せることがやや困難になってきた。たとえばアパートは、年間120泊以上貸すことができない。そこで家主たちは、常住のテナントからAirbnbの顧客に切り替えることを、ためらうようになった。

民泊プラットフォームは複数あるため、パリ市は登録方式を採用した。自分のアパートをAirbnbに載せたい人は、まず登録をする。するとAirbnbのようなプラットフォームは、登録番号を確認してから、1年で120泊位内までのキャパシティを載せる(市による泊数の管理ができる)。

当初市は、およそ1000件の不正登録のアパートを摘発し、それらの掲載中止を求めた。

2019年にパリ市は、今度はAirbnbを同じ理由で訴訟を起こした。規制はやや変更され、責任をホストとプラットフォームが共有することになり、本日の罰金につながる。

パリ市のIan Brossat(イアン・ブロサット)副市長は声明で「フランスで自治体がテクノロジー大手に勝訴したのはこれが初めてのことになります。ついにプラットフォームが有罪になりました。パリ市民にとってすばらしい勝利です」。

AirbnbはAFPの取材に対して、パリの2020年の掲載物件の95%は、120泊以下の予約だったと述べている。5%の物件が予約泊数の5%を超えていた。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Airbnbフランスパリ裁判

画像クレジット:Nelson Minar / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クラウド電話の仏Aircallがユニコーンに、リモートワークの普及が追い風

Aircallが、Goldman Sachs Asset Managementが率いるシリーズCラウンドで1億2000万ドル(約133億円)を調達し、評価額が10億ドル(約1100億円)を超えるユニコーンのステータスを獲得した。フランスで16番目のユニコーンとなる。

同社は、企業のコールセンターや電話サポート、営業チームなどのためにクラウドベースの電話システムを開発、現在ではSalesforceやHubSpot、Zendesk、Slack、Intercom、そして広く使われているCRMやサポート、コミュニケーションシステムに統合されている。

Aircallの顧客は独自の番号を作り、音声による対話的な応答ディレクトリをセットアップする。同社のサービスは顧客に代わって起呼のキューを管理し、顧客側のユーザーはインバウンドの通話への応答を開始できる。ユーザーは通話を転送したり、顧客を待たせたりできる。アドミンはアナリティクスを見たり、通話をモニタしたり、各ユーザーが今、何を行っているのかを確認できる。

Goldman Sachs Asset Managementの他に、これまでの投資家であるDTCPやeFounders、Draper Esprit、Adam Street Partners、NextWorldCap、Gaiaなどが再度、今回のラウンドに参加した。

クラウドベースのソフトウェアであるため、Aircallはリモートやハイブリッド(リモート+リアル)のチームが便利に使える。2020年は世界中各地でロックダウンになり、企業は新しい電話システムを求めた。そしてAircallは、そんな顧客増加の波に乗った。

数字を挙げると、2020年に新規登録が65%増え、その中にはCaudalieやOpenClassrooms、Too Good To Goなどがいる。Aircallの顧客はおよそ8500社だが、その15%がフランス、35%が米国、そして50%がその他の国々となる。

新たな資金で同社は、プロダクト開発を継続してサードパーティツールの統合をもっと増やしたい、特に各業界固有のツールを統合の対象にしたい、と述べている。またロンドンとベルリンに新しくオフィスを開き、ニューヨークやパリ、シドニー、マドリッドなど既存のオフィスでは社員数を増やしたいという。

さらに同社技術基盤の拡大強化により、既存の通信企業とのコラボレーションの実現、通話の書き起こしや感情分析など、新しい機能も加えていきたいとのことだ。

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フランスで介護専門フリーランサーを派遣するマーケットプレイスMediflash
ハイブリッドワークに適したホワイトボード重視のカプセル風会議室をKlaxoonが発表
有機太陽電池をプリント、周囲の光をエネルギーに変えるDracula Technologiesの技術

カテゴリー:ネットサービス
タグ:クラウド電話フランスAircallユニコーン資金調達

画像クレジット:Aircall

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フランスで介護専門フリーランサーを派遣するマーケットプレイスMediflash

療養施設やクリニック、メンタルヘルス施設のようなヘルスケア施設への人材派遣を改善しようとしている、フランスの新しいスタートアップMediflash(メディフラッシュ)を紹介しよう。同社は自らを従来の人材派遣エージェントに代わるものと位置付けている。派遣スタッフ、施設両方にとってより良い契約を提供するとうたう。

「介護スタッフへの支払いは少ない一方で、ヘルスケア施設側にはかなり費用がかかります」と共同創業者のLéopold Treppoz(レオポルド・トレポズ)氏は筆者に語った。

従来の人材派遣エージェントは給料を払って介護スタッフや看護師を雇っている。施設が十分なスタッフを確保できないときは人材派遣エージェントに派遣を依頼する。そしてエージェントはスタッフを派遣し、施設に課金する。

「我々がMediflashを立ち上げたとき、人材派遣エージェント業をしようと考えていました。しかしよりデジタル化され、テックを使った手法でです」とトレポズ氏は話した。だがMediflashは従来の人材派遣エージェントと同じ問題に直面するだろうということに気づいた。

そして同社はデベロッパーやプロジェクトマネジャー、マーケティング専門家などのためのフリーランス専用マーケットプレイスに取り組んでいるスタートアップに目を向けた。フランスではそうしたスタートアップの数社は極めて成功している。CometMaltStaffMeBrigad などだ。一部の企業はヘルス分野のプロに特化したサービスも展開している。しかしMediflashは特に介護スタッフに注力したいと考えている。

Mediflashに登録する介護専門職の人はフリーランサーだ。Mediflashはヘルスケア施設とそうしたフリーランサーをつなげるマーケットプレイスとして機能する。マーケットプレイスを通じて派遣される介護スタッフはより多くの収入(最大20%増)を見込め、その一方で施設側は人件費を抑えられる、とMediflashは話す。

もちろん、人材派遣会社は介護スタッフを雇っているため、これは公正な比較ではない。フリーランサーはフルタイムで働く従業員と同じ福利厚生、特に失業手当を受けられない。

「しかし介護専門職の多くの人は、需要が多いためこれは問題ではない、と言います」とトレポズ氏は話した。プラットフォームには、小遣いを稼ぎたい看護師養成学校に通っている生徒、すでにパートの仕事を持っていて追加の仕事を探している人、フルタイム職の代替人員となりたい人などがいる。

通常、ヘルスケア施設は人材不足を解消するために3日間だけ人手を欲しがる。Mediflashはヘルスケア施設が1つの人材派遣エージェントを利用することをよく知っている。だからこそ、同社はそれぞれの施設と1対1で話すセールスチームを抱えていえる。目下、MediflashはMetz、Nancy、Strasbourgに注力している。

Mediflashはつい最近、Firstminute Capitalがリードするラウンドで200万ドル(約2億2000万円)を調達した。MaltのAlexandre Fretti(アレクサンドル・フレッティ)氏、NablaのAlexandre Lebrun(アレクサンドル・レブルン)氏、Batch.comのSimon Dawlat氏(シモン・ダウラ)、Twitterに買収されたAiden.aiのMarie Outtier(マリー・アウティエ)氏などのエンジェル投資家も参加した。

これまでにMediflashは派遣要請のあった1400日に対応した。Mediflashは各派遣取引で手数料を取る。同社は他の都市や国にも事業を拡大する計画だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フランス介護フリーランスMediflash

画像クレジット:Mediflash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

ハイブリッドワークに適したホワイトボード重視のカプセル風会議室をKlaxoonが発表

フランスのスタートアップ「Klaxoon」がホワイトボードコラボレーションプラットフォームのアップデートと新しいハードウェア製品を発表した。同社がこれから販売するハードウェア製品は「Hybridity」で、オフィスにいる人と別の場所にいる人の間で実施するハイブリッド会議に最適化された、すぐに使える会議室だ。

ソフトウェアのアップデートから紹介しよう。Klaxoonは2020年にビデオ会議中に共同作業ができるビジュアルインターフェイスの「Board」を公開した。ホワイトボードのインターフェイスでアイデアを共有したりコラボレーションしたりすることができる。付箋の作成、テキストの追加、画像の挿入、アイテムの移動、ホワイトボードからのビデオ会議の開始といった機能がある。

関連記事:プレゼンやアイデア提案に使えるビデオ通話向け共有キャンパスツール「Board」をKlaxoonが発表

会議の参加者は小さいサムネイルで表示されるため、デジタルホワイトボードに集中できる。Boardを既存のビデオ会議ツールに接続することもできる。

6月14日の週にBoardのアップデートが実施され、名称が「Board Hybrid」と変更された。創業者でCEOのMatthieu Beucher(マシュー・ボイカー)氏は記者会見で「Boardの新バージョンはリモートワークだけでなくハイブリッドワークにも使えるように設計したものです」と述べた。

Board Hybridではあらゆる種類のファイルをホワイトボードに追加できる。このため、ファイルを共有ドライブにアップロードし、リンクを作成してホワイトボードにペーストする手間が省ける。PowerPointのプレゼン、Wordの書類、ExcelのスプレッドシートなどをKlaxoonのインターフェイスから直接表示できる。

コネクタなど新しい描画ツールもいくつかあり、例えばマインドマップの作成に使える。Klaxoonのビデオ会議ソリューションから画面を共有することもできるようになった。

画像クレジット:Klaxoon

新製品は、既存の製品とはだいぶ異なる。会議室のHybridityだ。六角形の宇宙カプセルのようだ。窓はなく、外から見るとブラックボックスのように見える。

内部にはイス、画面、カメラ、Klaxoon Boxデバイスが3つずつある。ボイカー氏は「全員が全員をしっかり見て、1人ひとりがコンテンツに集中できます」と説明した。

自宅からハイブリッド会議に参加したことがあるなら、会議の状況に関わる問題点はよくご存じだろう。自分以外のメンバー数人がオフィスにいて同じ部屋から参加していると、そのメンバーたちは小さいアクションフィギュアのようで、誰がしゃべっているのかわからない。

Klaxoonはオフィスにいる人と家にいる人との会議を簡単にすることを目指している。Klaxoon Hybridity会議室の設置には5平方メートルの床面積が必要だ。ある場所に設置して、数年後に別の場所に移動できる。床に固定されていない。

予約注文はまもなく開始される。1カ月2000ユーロ(約27万円)からのサブスクリプションモデルでの販売を予定している。Klaxoonの新しい収入源になるか、単なる楽しい試みか、注目したい。ただ、オフィスに置かれている小さな電話用ブースの代わりにはなるかもしれない。

画像クレジット:Klaxoon

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Klaxoonハイブリッドワーク会議室フランスビデオ会議デジタルホワイトボードリモートワーク

画像クレジット:Klaxoon

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

G7は有害オンラインコンテンツ規制に取り組むべきと仏マクロン大統領が力説

エリゼ宮での記者会見で、フランスのEmmanuel Macron(エマニュエル・マクロン)大統領はオンライン規制、特に有害なコンテンツ規制に繰り返し言及した。G7サミットが今週英国で開催されるため、マクロン大統領は国際協力を呼びかけた。

「効果的な多国間主義の恩恵を受けるかもしれず、また我々が今回のG7サミットで取り上げる3つめの大きなトピックはオンライン規制です」とマクロン大統領は述べた。「再度話すことになると私が確信しているこのトピックは我々の民主主義にとって不可欠なものです」。

マクロン大統領はまた、記者会見の場を利用してこの件に関するフランスの取り組みを総括した。「2017年夏に我々はオンラインテロリストコンテンツに取り組むイニシアチブをTheresa May(テリーザ・メイ)首相と立ち上げました。当時も今日同様にクレイジーでしたが、イニシアチブはほとんど失敗に終わりました。言論の自由のために、人々は余計なお世話だ、というようなことを言いました」。

2019年にニュージーランドのクライストチャーチで恐ろしいモスク銃乱射事件が起こった。その銃撃の様子をとらえたビデオの複数のコピーがFacebook、YouTube、Twitter上で出回った。マクロン大統領はニュージーランドのJacinda Ardern(ジャシンダ・アーダーン)首相や何人かのG7のデジタル大臣、テック企業をパリに招待した。

出席者は「Christchurch Call」という拘束力のない誓約に署名した。ソーシャルプラットフォームを運営するテック企業は基本的に有害コンテンツ、なかでもテロリストのコンテンツの阻止でさらに取り組むことに同意した。

Facebook、Twitter、Google (そしてYouTube)、Microsoft、Amazon、その他のテック企業も誓約に署名した。17カ国と欧州委員会もまたChristchurch Callを支持した。ただし1つ大きな例外があった。米国は誓約に署名しなかった。

「誓約に署名したすべてのオンラインプラットフォームが従ったため、この戦略はいくらか具体的な成果につながりました」とマクロン大統領は話した。「この証拠はフランスが昨秋テロ攻撃に直面したときに起こったことに見られます」。2020年10月、フランスの教師Samuel Paty(サミュエル・パティ)氏がテロリストによって殺され、斬首された。

「プラットフォームはコンテンツにフラッグを立て、1時間以内にコンテンツを削除しました」とマクロン大統領は続けた。

その後、さらに多くの国やオンラインプラットフォームがChristchurch Call支持を表明した。2021年5月に米国のJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領も有害コンテンツに対する国際的な取り組みに加わった。「米国で法人化されている企業の数を考えたとき、大きなステップであり、私はこれを歓迎します」とマクロン大統領は述べた。

しかしChristchurch Callの次に何がくるのだろう。マクロン大統領はまず、Christchurch Callを支持するようさらに多くの国に働きかけたいとと考えている。たとえば中国とロシアはChristchurch Call支持の輪に加わっていない。

「2つめは、あらゆる種のオンラインのヘイト言論、差別的言論、反ユダヤ主義言論、そしてオンラインハラスメントに関連するフレームワークづくりを進める必要があります」とマクロン大統領は話した。

そしてこの件に関するフランスの規制についても手短に言及した。オンラインプラットフォーム上のヘイトスピーチに関するフランスの規制は2020年、新しい法律が合憲かどうかを判断する最高機関である憲法評議会によって違憲だと判断された。

ヘイトスピーチコンテンツのリストは長く広範で、その一方で科され得る罰金はかなり高額だ。憲法評議会はオンラインプラットフォームがあまりにも早くコンテンツを検閲するのではないかと危惧した。

しかしそれでもマクロン大統領は欧州レベルとG7レベルでンラインコンテンツに関する新しい規制を支持するのをやめはしないようだ。

「G20サミットで議論でき、またオンラインでのやりとりの中の粗暴な行為に対して戦えるようにする効果的なフレームワークを構築する唯一の方法です。ゆえに、我々の新しい世界の秩序の中に粗暴な行為をおくことになります」とマクロン大統領は物議を醸している「粗暴な行為」という暗喩(フランス語ensauvagementは「野蛮化する」の意を使って述べた。この言葉は最初に極右の政治家によって広まった

マクロン大統領によると、世界のリーダーがオンライン規制で共通点を見つけ出せなかったらインターネットの崩壊につながる。たとえば一部のオンラインサービスをブロックすることを選択する国も出てくるかもしれない。

そして最近の事件は、そうした事態がすでに起こりつつあることを示している。ナイジェリア政府は数日前にTwitterを禁止した。テロリストコンテンツを阻止するために合意するのは簡単だが、他のコンテンツをモデレートしようと思えばあっという間に大変な作業になる。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:エマニュエル・マクロンコンテンツモデレーションSNSフランスG7

画像クレジット:Pascal Rossignol / AFP / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

有機太陽電池をプリント、周囲の光をエネルギーに変えるDracula Technologiesの技術

コウモリの形をした光発電モジュール(画像クレジット:Dracula Technologies)

IoTデバイスの増加し多くの人の仕事がより便利になっているが、それにはコストがかかる。国連は、2021年に世界で発生する電子廃棄物の量が5220万トンに達すると予想しているが、そのかなりの部分が使用済みバッテリーだ。

フランスのスタートアップ企業で、現在、Computexにバーチャル出展しているDracula Technologiesは、インクジェットプリントによる有機太陽電池(OPV)の技術を提供したいと考えている。LAYER(Light As Your Energetic Response)」と名づけられた同社のOPVモジュールは、自然光や人工光を利用して室内で動作し、低消費電力の室内機器に使用することができる。OPVモジュールは、シリコンではなくプリントされているため、形状をカスタマイズすることが可能で、多くのバッテリーと違いレアアースや重金属を使用していない。また、多くのバッテリーとは違い、レアアースや重金属を使用せず、炭素ベースの材料で作られている。

環境への配慮に加えて、LAYERは経済性にも優れており、バッテリーと比べて総所有コストを4分の1に抑えることができるという。

Dracula Technologiesは現在、日本の半導体メーカーであるルネサスエレクトロニクスと英国のAND Technology Research(ANDtr)との提携を含め、メーカーと協力して、BLEでモバイルアプリにメッセージを送れる自己発電型のバッテリーレスIoTデバイスを開発している。

Dracula Technologiesは2011年に創業されたが、その前はフランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)との協同プロジェクトに関わっていた。CEOのBrice Cruchon(ブライス・クルション)氏がその技術の商用性を見抜き、6年の研究開発を経て、ディープテクノロジーのスタートアップを育成するHello Tomorrowの事業からLAYERを開発した。

これまでDracula Technologiesは総額440万ユーロ(約5億9000万円)の資金を調達しており、その中には2016年のエンジェル投資家たちによるパイロット育成事業からの200万ドル(約2億2000万円)と、2020年MGI DigitalとISRA Cardsから調達した240万ドル(約2億6000万円)が含まれる。これらの資金によりDracula Technologiesは、まだ工業化以前の段階で同社の光発電モジュールを増産することができた。2024年には工業化に移行して、年産数百万モジュールの生産規模を目指している。

デジタル印刷と印刷仕上げ工程のMGI Digitalと、免許証やギフトカード、ポイントカードなどの高品質電子カードを作っているISRA Cardsが、Dracula Technologiesの工業化を支えるパートナーだ。同社はSolar Impulse Foundationの#1000 Solutionsに、同社が育成する大規模な実装の可能なグリーンエネルギーソリューションとして選ばれている。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Dracula Technologiesフランス太陽光発電IoT有機太陽電池 / OPV

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hiroshi Iwatani)

指紋認証でロック解除できる大型スマートスーツケースを仏Kabutoが販売開始

スマートスーツケースの開発と販売を手がける仏スタートアップのKabutoが、米国時間6月2日に新しいスーツケースの販売を開始した。Kabuto Trunkという製品名で、同社製品ではこれまでで最も大きいスーツケースだ。他社のスマートスーツケースとは異なり、単にバッテリーを内蔵しただけではない。

特徴的なのは、スーツケース上部に指紋読み取り装置があることだ。最大10個の指紋を登録できる。登録した後はスマートフォンの指紋読み取りと同様に、装置に指を当てるとスーツケースのロックが解除される。

つまり、ファスナーのロックが解除される。他の人がスーツケースを使っているときやバッテリーが切れているときは、従来のスーツケースと同様に鍵で開けられる。

Kabuto Trunkはハードシェルのデザインで容量は95リットルだ。金属製のベアリングホイールとタイヤを備える。バッテリー容量は1万mAhか2万mAhのどちらかを選べる。バッテリー容量が大きくなると重くなるので、どちらを重視するかを考えて選ぶことになる。

磁石でスーツケースに取り付けるバックパックを一緒に購入するオプションもある。旅行を考慮してデザインされたバックパックの容量は9リットル、マチを2倍に広げられるようになっていて広げると18リットルになる。

画像クレジット:Kabuto

現在はKickstarter価格でスーツケースが729ドル(約8万円)、バックパック付きが1059ドル(約11万6000円)となっている。Kickstarterのキャンペーンが終了したら価格は引き上げられる予定だ。

これまでのKabuto製品と同様に、万人向けではない。普通のスーツケースより高めの価格だ。しかし重要なものを収めるための特別な方法を求める人もいる。KabutoはこれまでにFrédéric Mazzella(フレデリック・マゼラ)氏、Michel & Augustin、Bpifrance、Fabien Pierlot(ファビアン・ピエルロ)氏などから90万ユーロ(約1億2000万円)を調達した

画像クレジット:Kabuto

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Kabutoスマートスーツケースクラウドファンディングフランス

画像クレジット:Kabuto

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

メンバーの出社、在宅勤務がひと目でわかるハイブリッド型スケジューリングアプリ「Café」

当初2人の兄弟によって創業されたフランスの新しいスタートアップCafé(カフェ)は、リモートとオフィスのハイブリッド就労モデルへの、企業の切り替えを支援する。Caféは、これまでみられたようなデスク予約ツールではない。その代わりに、チームのメンバーがいつオフィスに来るのかを確認して、自分がいつオフィスに行くべきかを計画できるようにしてくれる。

Caféは、作業場所を重視するのではなく、まず人を重視する。共同創業者でCTOのArthur Lorotte de Banes(アスチュー・ルーホー・ド・バネス)氏は「私たちは、ユーザーに直接デスクを予約させないことを決めました」と語る。

アプリを開くと、シンプルなカレンダービューが表示される。それぞれの日ごとに、オフィスに来ている人、自宅で仕事をしている人などのグループごとに分けられたチームメンバーを見ることができる。

数回タップするだけで、他の同僚に自分の予定を伝えることができる。そうすることで、ミーティングの予定を立てたり、直接会って話をしたり、単に出社のタイミングを合わせたりすることが簡単になる。また、同じプロジェクトに取り組んでいる場合、特定の同僚と予定が合う日を見つけやすくなる。

「150社にインタビューをしたのですが、最初の5社にインタビューした時点で、各社が同じ問題を抱えていることがわかりました。みんながスプレッドシートを使っているのです」というのは共同創業者で現CEOのTom Nguyen(トム・ニュイゲン)氏だ。

画像クレジット:Café

Caféのようなツールを使うことで、自分のオフィスについての洞察を得ることもできる。例えば、曜日や日付ごとに、オフィスの平均出勤人数を確認することができる。管理者は、全員に情報を確実に記入してもらえるように、毎週発行するリマインダーを設定することができる。

モバイルアプリとウェブアプリに加えて、Caféは既存のツールとの統合が可能だ。例えば、CaféのアカウントとSlackを連携させることで、SlackでのステータスをCaféでのステータスに反映させることができる。チームメンバーは、他のメンバーの名前にカーソルを合わせことで、相手がオフィスにいるのか、在宅勤務中なのかを知ることができる。

また同社は、PayFit(ペイフィット)などの人事情報システムとの統合も進めており、休暇がCaféと自動的に同期されるようになる。

画像クレジット:Café

各企業が、オフィスへ戻るための計画を立て始めた絶好のタイミングで、Caféは市場に登場した。企業は、それぞれのニーズに合わせてカスタムステータスを作成することができる。例えばあるCaféユーザーはオフィスが開いていることを確実にするために、誰がオフィスの鍵を持っているかがわかるステータスを作成した。

今回同社は、100万ドル(約1億1000万円)のシードラウンドを行った。出資者は122West、Kima Ventures、Jonathan Widawski、Guillaume Lestrade、Jacques-Edouard Sabatier、そしてWeWork(ウィーワーク)、Dropbox(ドロップボックス)、Github(ギットハブ)、Snapchat(スナップチャット)、Intercom(インターコム)、Stripe(ストライプ)、Alan(アラン)、PayFitに勤務する、または勤務した経験のあるさまざまなビジネスエンジェルたちだ。

Typeform(タイプフォーム)、Doodle(ドゥードゥル)、Slido(スライド)と同様に、Caféはフリーミアム戦略を選択している。チームは無料でサインアップし、身近な同僚たちと一緒に製品を使い始めることができる。登録に際してカード情報の入力は不要だ。

ユーザー数を増やして組織全体に展開したい場合には、支払いを始める必要がある。スタートアップは、そうした従業員たちが全社のための製品支持者になってくれると考えている。また、職場の従業員の幸福度向上を目的とした製品には、適切な戦略だと思える。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Caféスケジュール管理オフィスリモートワーク資金調達フランス

画像クレジット:Café

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

クラウドゲームShadow運営のBladeを仏クラウドホスティングOVHcloud創業者が買収

クラウドゲーミングサービスのShadowを提供するフランスのスタートアップBladeが、裁判所の命令によりOctave Klaba(オクターブ・クラバ)氏のファンドに買収された。クラバ氏はフランスのクラウドホスティング企業OVHcloudの創業者として知られている。同氏はOVHcloudではなく、投資ファンドのJezby Venturesを通じてBlade(とShadow)を買収した。

Shadowはゲーマー向けのクラウドコンピューティングサービスだ。ユーザーは月額料金を支払うことで、データセンター内のゲーミングPCにアクセスできる。このゲーミングPCには自分のコンピューター、スマートフォン、タブレット、またはスマートテレビから接続できる。画面にはビデオストリームが配信され、操作はサーバに中継される。

Google StadiaやAmazon Luna、さらにはNVIDIA GeForce Nowとは異なり、サーバーには好きなゲームをインストールできる。Windows 10のインスタンスはSteamからPhotoshop、Excelまでサポートしている。

フランスのスタートアップ企業であるBladeは、複数の資金調達ラウンドで1億ドル(約110億円)以上を調達してきたが、予約注文に対応できずに自立可能なだけの十分な収益を上げられず、サービスを拡大するための資金を確保できなかった。10万人の有料ユーザーを獲得したにもかかわらず、Next INpactは同社が商業裁判所の管理下に入るしかないと報告した。

複数の企業とグループが買収提案を提出した。特にBladeのJean-Baptiste Kempf(ジャン・バティスト・ケンプ)CTOは他の従業員とチームを組み、Octave Klabaは独自のオファーを提出した。Klaba氏はJean-Baptiste Kempfをのぞく全従業員を雇用する予定だ。

今後数週間で、サービスがどのように変わるのかは興味深い。現在のサブスクリプション価格はヨーロッパで月額12.99ユーロ(約1700円)から、米国では月額11.99ドル(約1300円)からとなっている。この価格でShadowが提供され続けるのか、仕様がどのように進化するのか、または新規顧客獲得のためにサーバを増設するのかどうかは不明だ。

 

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:BladeOVHcloud買収フランス

画像クレジット:Blade

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

実店舗を持たない21世紀のレストランチェーン構築を目指すパリのTasterが約40億円調達

フランスのスタートアップTasterはシリーズBのラウンドで3700万ドル(約40億円)を調達した。資金はOctopus Venture、Battery Ventures、LocalGlobe、HeartCore、楽天、GFC、Founders Futureからのものだ。同社はフードデリバリープラットフォーム上にしか存在しないレストランを、数十店舗運営している。テーブルがないので、予約はできない。

Tasterはこれまで「Bian Dang(台湾料理)」「A Burgers(植物性バーガー)」「Mission Saigon(ベトナム料理)」「Out Fry(韓国料理)」「Stacksando(日本のストリートフード)」という5つのストリートフードにインスパイアされたコンセプトに注力してきた。その後、同社は40の異なる都市で数十のキッチンをオープンし、DeliverooやUber Eatsなどのフードデリバリープラットフォームにキッチンを掲載している。

Tasterは21世紀の新しいレストランチェーンを構築したいと考えている。同社は実店舗を持つレストランをオープンする代わりにフードデリバリーに焦点を当てているが、これは今ブームとなっている分野だ。パリではTasterのレストランは、McDonald’s(マクドナルド)とBurger King(バーガーキング)に次ぐDeliverooの中で第3のレストラングループとなっており、1日あたり5000食以上を提供している。

自前のキッチンを運営してきたTasterは、DeliverooやUber Eatsで注文が少ない既存のレストランと提携したいとも考えている。Tasterは独自のブランドとメニュー、そして技術的なツールを持っている。

TasterはAndroidとiOS向けに独自の配達アプリを開発したが、サードパーティーのプラットフォームでもTasterのレストランを見つけることができる。同スタートアップは車輪を再発明して、食品注文プラットフォームを置き換えることは望んでいない。しかし、エンドユーザーに直接サービスを提供するのは理に適っている。

Tasterのブランドがより身近なものになれば、初日から需要が生まれるはずだ。レストランでは最初の1週間で4000ユーロから6000ユーロ(約53万〜79万円)の収益が期待できる。Tasterはこのパートナーシップモデルにより、2025年までに1000都市で事業を展開したいと考えている。

画像クレジット:Taster

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Tasterフランス資金調達レストランゴーストキッチン

画像クレジット:Roam Robotics

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

自動運転シャトルバスの仏EasyMileが72.5億円を調達

レベル5の完全な自動運転車が公道を走るのはまだ先のことかも知れないが、その一方で、限定された閉鎖的なキャンパス向けの、特定の用途の自動運転車やシャトルを製造している企業たちは、商用運行への道を歩んでおり、そのための資金を調達していると語っている。この度、乗客や貨物を運ぶシャトルバスを製造している、フランスのトゥールーズのスタートアップEasyMile(イージーマイル)が、シリーズBで5500万ユーロ(約72億5000万円)を調達した。

今回の資金調達は、今週初めにFCC(連邦通信委員会)の元議長Ajit Pai(アジート・パイ)氏を新たなパートナーに任命したSearchlight Capital Partnersが主導し、McWinとNextStage AMが参加している。また、これまでの出資者である鉄道業界大手のAlstom(アルストム)、Bpifrance(仏公共投資銀行)、自動車大手のContinental(コンチネンタル)も参加した。Searchlight Capital Partnersは、他にGet Your Guide(ゲット・ユア・ガイド)やUnivision(ユニビジョン)にも出資している。

EasyMileは自社を、自動運転シャトルの世界的リーダーであるといい、世界市場の60%で同社の車両が使用されていると主張している。同社の車両は、世界30カ国、300カ所以上で80万kmを走破したという。しかし、その一方でEasyMileは、その市場の小ささと新しさを示すように、同社は全世界で180台の車両しか配備していないのだと語る(興味深いことに、競合大手ののNavya(ナビヤ)もフランスに本社を置いている)。

EasyMileはこの資金を、閉ざされたキャンパス環境での商用展開を推進し、事業を拡大するために利用すると述べている。また、公共交通機関に自社の車両や技術を導入するという長期的な戦略にも引き続き投資していくが、より身近なユースケースに焦点を当ててきたことが、成長や新たな投資を呼び込むことにつながったと考えているとのことだ。

EasyMileの創業者でCEOであるGilbert Gagnaire(ジルベール・ガニエール)氏は声明の中でこう語る「私たちは、現実的なタイムフレームの中で提供できるものに集中し、今すぐにでも対応可能なニッチ市場のリーダーたちと提携してきました。「EasyMileの初期の投資家の方々全員に、今回のラウンドにも参加していただけたことは、当社の拡大計画に対する強い信頼の証です。そしてSearchlight、McWin 、NextStageをお迎えし、彼らの専門知識のおかげで当社の成長が加速することを大変うれしく思っています」。

EasyMileは評価額を公表しておらず、募集枠を超えたと同社が形容するラウンドで、これまでに調達した金額も公表していない。現在、同社に問い合わせ中だが、詳細が分かり次第、この記事を更新する。

EasyMileの車両には、人を運ぶシャトルバスのEZ10(イージー10)や、自動運転で荷物を運ぶ牽引式のトレーラーシステムTractEasy(トラクトイージー)などがあり、これまでに航空貨物の地上輸送のTLDで使われた他に、現在はPeugeot(プジョー)、Chrysler(クライスラー)、Fiat(フィアット)グループのStellantis(ステランティス)と共同で、EasyMileの技術を使った自動運転車の開発を進めていいる。

同社は挫折も経験している。2020年、EasyMileが事故を起こした後、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は同社が乗客を乗せてサービスを行うことを禁止した(乗客なしでの運行は禁止されていない)。この件に関する最新の状況については、同社に問い合わせている。

その点では、新しい投資家が規制上の問題にどのような影響を与えるのかが注目される。

Searchlight CapitalのパートナーであるRalf Ackermann(ラルフ・アッカーマン)氏は「EasyMileの成長にとって重要な節目であるタイミングで投資をできることを、大変うれしく思っています」と述べている。「彼らの持つ、堅牢で品質を重視したアプローチと業界をリードする技術を見て、この会社が商業的に拡大できる十分な立場にあると確信しました。その発展の道のりに参加できることが喜びです」。

自動運転分野での再編や、場合によっては縮小も見られる時期に行われたという点で、この資金調達は興味深いものだ。今週Lyft(リフト)がLevel 5(レベル5)部門をトヨタのWoven Planet(ウーブン・プラネット)に5億5千万ドル(約597億2000万円)で売却したばかりだ。EasyMileは、閉環境のシャトルを中心とした特定の市場に焦点を当て続けてきたことが、さらに多くの変化や障害が起こることが予想される未発達の市場ので、事業を進め、より多くの支持と注目を集めることができたとのだ考えている。

Benoit Perrin(ブノワ・ペラン)GMは声明の中で「今回の資本注入は、EasyMileの戦略の正しさを立証するもので、技術開発の最終仕上げとスケールアップ戦略を可能にしてくれるものです。私たちは技術を産業レベルにまで引き上げ、実際の商業サービスを提供します」と述べている。

関連記事:トヨタのウーブン・プラネットが配車サービスLyftの自動運転部門を約600億円で買収

カテゴリー:モビリティ
タグ:EasyMile資金調達自動運転フランス

画像クレジット:EasyMile

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

フランスのオンライン学校OpenClassroomsが86.9億円のシリーズCを調達

フランスのOpenClassroomsが、Lumos Capital GroupがリードするシリーズCのラウンドで8000万ドル(約86億9000万円)を調達した。同社はフランスと英国でオンライン教育のプラットフォームを運営している。54のプラグラムがあり、終了した生徒は終了証書をもらうことができる。中には、フランス政府公認の学士号や修士号をもらえるプラグラムもある。

今回のラウンドにはGSV VenturesとChan Zuckerberg Initiative、Salesforce Venturesが参加した。これまでの投資家であるGeneral AtlanticとBpifranceも、再び同社に投資している。

OpenClassroomsには、極めて多様なプログラムがある。ウェブ開発もあれば、デジタルマーケティングやプロダクト管理、人事、営業などもある。いずれも相当ヘビーで、フルタイムでも6カ月から12カ月はかかる。しかしOpenClassroomsには契約メンターがいるため、やる気を失いそうなときは助けてくれる。

プログラム終了後の就職を同社は保証している。仕事がなかなか見つからないときには、同社がキャリアコーチと協力して、本人に合った仕事を見つける。2020年には4300名の生徒が、OpenClassroomsを受講後に、仕事を見つけたり昇進したりした。

フランスには専門教育を受けるための政府補助金制度があるため、OpenClassroomsの授業料をこの公的補助でまかなうこともできる。

同社によると、パンデミックでオンライン教育の人気が増した。現在、多くの人びとが自分のスキルのブラッシュアップや新たなスキルの習得を目指しており、そういう人たちがOpenClassroomsに頼る。同社は個人向けのプログラムの他に、1400社の企業にコースを提供している。

Capgeminiなど一部の企業は、OpenClassroomsと協力して見習い修行による職業教育を提供している。生徒たちはCapgeminiで働き、同時にスキルを学ぶ。この見習い制度は、単純な求人では必要な人材が得られない企業に好評だ。現在は1500名の生徒が見習いプログラムを受けている。

同社は経営も順調で、2021年第1四半期の収益は前年同期比で140%高かった。最近OpenClassroomsはB-Corp認定を申請した。フリークラスにはまだ余裕があるので、来週やることを探している人にはうってつけだ。

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カテゴリー:EdTech
タグ:フランスOpenClassroomsオンライン学習資金調達

画像クレジット:NeONBRAND/Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フランス家電修理会社SOS Accessoireが約13億円調達、消費者の節約だけでなく環境への貢献を目指す

家電製品の診断・修理を支援するフランスのスタートアップSOS Accessoireは、ETF Partnersが主導する資金調達ラウンドで1000万ユーロ(約13億円)を調達した。このラウンドにはQuadia、Starquest、Seed for Goodが参加した。

現在、このようなスタートアップ企業が提供する家電修理市場が成長しており、人々はお金を節約できるだけでなく、廃棄物を減らし、最終的には環境にも貢献できるようになる。

家電製品の約80%が修理されずに買い替えられており、環境問題が深刻化している。一方でSOS Accessoireによると、スペアパーツ市場はEUだけでも41億ユーロ(約5400億円)の価値があるという。そのような消費者の欲求を利用しない手はあるのだろうか。

しかしスペアパーツを調達するのは容易ではなく、何百ものサプライヤーが存在し、マニュアルはアマチュア修理業者ではなくプロを対象としている。

SOS Accessoireは家電製品の故障を診断したり、スペアパーツを入手したり、修理手順のビデオチュートリアルを提供したりしている。

SOS Accessoireによると、2020年には50万台の家電製品が廃棄されなかったと推定されており、これは2万トンの二酸化炭素排出量に相当する。また、これは4375人のフランス人が1年間に排出する二酸化炭素に相当する量が削減されたと推測される。

SOS Accessoireの創設者であるOlivier de Montlivault(オリビエ・ド・モンリヴォー)氏は「私達には家電製品の廃棄量を削減し、壊れたら交換しなければならないという常識を覆す大きなチャンスがあります」と述べている。

SOS Accessoireの直接の競合相手はSparekaやAdepemなど、小売店の顧客に焦点を当てた他のデジタルプレイヤーだ。しかし同社によると、規模の大きさやスペアパーツの入手のしやすさ、カタログやデータベースの充実度などが競争上の優位性だとしている。

ETF PartnersのパートナーであるRemy de Tonnac(レミー・ド・トナック)氏は「消費者が家電製品を捨てるのではなく、メンテナンスしたいと考えるようになってきている。SOS Accessoireはそのようなニーズに応えるための理想的な場所にあります。市場を深く理解している経営陣と、eコマース部門の中でこのニッチな分野を支配するだけでなく、より広く市場自体を破壊するビジネスモデルを持っています」と述べた。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:SOS Accessoire資金調達フランス家電修理

画像クレジット:SOS Accessoire

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter