WeWork、さらに30億ドルをSoftBankから調達――今回は2019年9月期限のワラント

シェアオフィスのWeWorkがSoftBank本体から30億ドルの追加出資を受けることが判明した。これはSoftBankのVision Fundからの投資とは別だ。今回の投資はワラントによるもので、SoftBankは30億ドルのキャッシュと引き換えに2019年9月より前に1株あたり110ドルまたはそれを超える額でWeWork株式を購入する権利を得る。この株価をベースにするとWeWorkの会社評価額は420億ドル以上となる。

8月にSoftBankは転換社債で10億ドルをWeWorkに投じている。

Financial Timesによれば、SoftBankはWeWorkに対して2019年1月15日に15億ドルを支払い、4月15日に残りの15億ドルを支払う。

SoftBankはWeWorkでダントツ1位の大株主であり、SoftBank Vision Fundは昨年、44億ドルを投資している。

WeWorkの戦略は単なる不動産事業以上のものだ。

WeWorkでは物理的なスペースの提供に加えて働き方改革全般のハブとなることを目指している。同社は30万を超える会員の力をバックにして、さまざまなサービスのプロバイダーに「卸売価格」を提示させることに成功してきた。またWeWorkはMicrosoftのような大企業と長期にわたる有利なリース契約を結んでいる。実際、この種の収入がWeWorkの収入の29%を占めている。

最大の注目ポイントはWeWorkが今後どこまで驚異的な成長率を維持していけるかだろう。驚くべき会社評価額が正当化されるかどうかもこの点にかかっている。 WeWorkはまだ黒字化を達成していない。

ビジョンは現実になるだろうか? SoftBankは現実になることに大きく賭けているようだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Uber、オンデマンド人材派遣サービスをテスト中――B2Bビジネスにも意欲

Uberは短期間の業務に対する人材派遣ビジネスに乗り出す。最初に報じたのはFinancial Timeで、1099人の独立契約者1099人をイベントや会社の行事に派遣する。事情に詳しい情報源がTechCrunchに語ったところによると、Uber Worksというビジネスはウェイター、警備員などをビジネスパートナーの臨時業務に派遣するものだという。

Uberはロサンゼルスでテストを行った後、ここ数ヶ月、シカゴでこのビジネスを実施してきた。Uberには膨大な人数のドライバーのネットワークがあり、全員が独立の契約者として内国歳入庁に収入を申告する手続きに習熟している。そこでドライバーの仕事以外の副業にも興味を示す契約者もいるだろう。ただし、現在のUber Wiorksはパイロット版であり、契約ドライバーを対象にしていない。

Uber Worksを指揮するのは 6月に新モビリティー事業の責任者に就任したRachel Holtだ。Holtは2011年からUberに所属しており、モビリティー・ビジネスを自転車、スクーター、レンタカー、公共交通機関などに拡大する作業を実行してきた。

シカゴにおけるUberのスペシャル・プロジェクトの責任者を募集する文書によれば、 「われわれのビジネスは仕事のやり方の柔軟性を中心としている。ビジネス・パートナーの業務に対してオンデマンドで人材を派遣することが目的だ。パートナーにとって直感的に使いやすくタイムリーにニーズを満たせる人材を供給できるようにしていくことがもっとも重要だ」という。

Uberはこの件に関してコメントすることを避けた。しかし上場がいよいよ来年に迫る中、Uberは真剣にビジネスの多様化を図りつつある。スタートアップJUMPを買収して自転車共有事業を開始するなどモビリティーの手段を拡大するマルチ・モーダル化に全力を挙げているのもその一例だ。先月はサンタモニカで電動キックスケーター事業をスタートしている。

人材派遣が正式なビジネスとして発足するのかどうかはまだ不明だが、UberがB2Bサービスでも重要な地位を築こうとしていることは間違いない。またダイバーシティの推進を含め、ドライバーの人材獲得システムの強化にも努力中だ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Originのブロックチェーンによるマーケットプレース、UberやAirbnbのような中間搾取をなくせるか

【抄訳】
共有経済は、UberやAirbnbのような媒介者による、大量の労働収益の共有〔中間搾取〕に終わっている。そこで3800万ドルの投資を得たOriginは、次に主流になるべき二者間マーケットプレースはブロックチェーン上に分散化し、運転者と乗客や、ホストとゲストなどが直接結びつくことによって、20%以上もの高額な手数料を不要にすべきだ、と考えている。そのため今日(米国時間10/11)Originは、Ethereumのメインネット上にその分散マーケットプレースのプロトコルを立ち上げ、それにより、ユーザーとベンダーをスマートコントラクトで結びつける中央集権的な企業を不要にしようとしている。

“今のマーケットプレースは、利益をメンバーに分配していない。利益はファウンダーとベンチャーキャピタリストの方に溜まっていく”、とOriginの協同ファウンダーMatt Liuは語る。彼は、YouTubeの三人目のプロダクトマネージャだった。“このような非集権的マーケットプレースを構築することによって、マーケットプレースをpeer-to-corporate-monopoly-to-peer(ピア・ツー・独占企業・ツー・ピア)ではなく、本当のpeer-to-peer(ピア・ツー・ピア)にしたい”。

Originのマーケットプレースを利用するユーザーには、そのプロトコルを使うためのトークンが発行され、早期の利用者にはインセンティブを提供して、マーケットプレースの‘販売促進’とする。

Originの社内マーケットプレースDApp

今日ベータでオープンしたメインネットでは、Originが独自のベーシックな分散化アプリを提供し、それはブロックチェーン上のCraigslist(三行広告、classified adの大手)のように運用される。ユーザーはプロフィールを作って自分のEhereumウォレットに、MetaMaskのようなサービスから接続する。そして製品やサービスのリストを閲覧して互いにメッセージを交わし、手数料不要でスマートコントラクトによる商談を締結する。レビューや苦情などは、Originの仲裁人に送る。

デベロッパーは、Originのプロトコルを利用して自分自身のマーケットプレース…犬の散歩、家の掃除、ライドシェア、などなど…を構築できる。その場合、手数料を徴収してもよい。Originによると、それでもブロックチェーンの利用により、手数料は相当安くできるはず、という。

【後略】

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中国のDidi Chuxingが10社対象のタクシー呼び出しサービスを日本で展開

中国のDidi Chuxingは自分の国で火消しに追われているが、海外では新しい市場を開拓中で、今度日本ではタクシーの予約サービスを始めることになった。

すでに人口900万の都市大阪と関西国際空港などの周辺地区でサービスを開始しており、そのDidi Japanは乗客を地元のタクシー会社10社のドライバーとリンクする。Didiによるとそれは、AIを利用する配車と車両管理システムにより効率を上げている。

時価総額560億ドルのDidiは、SoftBankとのパートナーシップにより日本に進出した。SoftBankはもちろん、他の投資家たちと共に同社に投資もしている。Didiによると、今後は京都、福岡、東京などの大都市にサービスを拡張する計画だ。

同社のサービスはライセンスを持つタクシーに限定され、私有の車のライドシェアは日本では禁じられている。しかし日本では、従来型のタクシーがビッグビジネスである。売上(取引総額)は130億ドルで、世界第三位のタクシー市場だ。タクシー免許車両はおよそ24万台ある。

Uberも日本で似たようなタクシーサービスを試みているが、この分野はもっと大きな選手がいる。

JapanTaxiは、川鍋一朗が経営するライドシェアスタートアップで、彼は日本最大のタクシー会社日本交通のトップであり、タクシー企業の全国団体全タク連の会長でもある。JapanTaxi株式会社は、最近の6900万ドルの投資ラウンドでトヨタがリード投資家になるなど、ビッグネームの支援者がいる。

さらにまた、人気のメッセージングアプリLineがライドシェアを初めており、そしてアメリカ市場でUberのライバルであるLyftが、日本進出を検討している

Didiは、旅行者と地元民の両方に訴求することによって競合に抜きん出ることをねらっている。日本を訪れる観光客の関心を引くために、外国(中国、メキシコ、オーストラリア、香港、台湾など)のDidiアプリのユーザーが日本の通常のDidiアプリを使える“ローミングパスポート”という機能を作り出した。

SoftBankとDidiは2月に合弁事業を発表したから、日本進出はそのときから匂っていた。そしてこれは、Didiが今年行なう5つ目の拡張だ。同社は昨年末に40億ドルの資金を調達し、その資金をAIと同社のコアテクノロジー、および国際市場に投入した。

Didiのグローバル展開は、ブレーキを踏むことなく着実に行われている。メキシコオーストラリアには支社の形で進出し、またブラジルではユーザーのライバル99を10億ドルで買収、そして台湾はフランチャイズ方式で進出した。そのほか、投資や株式保有の形でのグローバル化もある。それらは、アメリカではUber、インドではOla、東南アジアではGrab、中東ではCareem、そしてヨーロッパとアフリカではTaxifyなどなどだ。

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Airbnb、ホストに株式付与を計画――SECに規則701改正のパブコメ提出

評価額310億ドルの巨大企業、Airbnbは宿泊施設を提供している契約ホストに会社のビジネスに参加する道を開こうとしている。Axiosの報道によれば、AirbnbはSEC(証券取引委員会)に株式の所有に関する規則の変更を求める要望書を提出した。

Airbnbが変更を求めているのは、SECが企業の株式保有に関する条件を定めた規則701だ。Airbnbでは共有経済に対応する新たな株式保有者の分類を設ける必要があるとしている。Uberは同様の措置を求めてSECと会談しているが、Airbnbの場合は要望を文書として明確化して提出した点が異なる。こちらから全文が読める(Axiosが発見した)。要望書には次のように書かれている。

共有経済市場におけるAirbnbの成功はホストの成功にかかっている。 われわれは ホストその他 早い段階から非公開企業の共有経済に参加している関係者がその企業の株式を得られるよう規則を改正することは共有経済における企業と参加者に成功へのインセンティブをもたらし、双方の利益になるものと信じる。 

Airbnbは早ければ来年にも株式を上場するもの.と見られている。

ホストやUberやLyftのドライバーに対する株式付与の仕組みの詳細はまだ明らかでないが、実現のためにはSEC規則の改正が必要だ。現在のSECの規則では非公開企業の株主が2000人を超えるか、非適格投資家株主が500人を超える場合、所有の登録や審査などの手続きが必要となる。

2008年の創立以来急拡大を続けてきたAirbnbは現在500万件以上の宿泊先をリストするようになっている。SECの株式保有に関する規則が同社にとって大きな障害となっていることははっきりしている。ただ規則が改正されたとしも、ホストのうちどれくらいの部分が株式を得られるようになるかはまだ分からない。またSECの規則に抵触するような人数の契約者に対して株式による報酬を与えようと考える共有経済のスタートアップがどれほどあるのかも不明だ。

いま一つの問題はAirbinbのビジネスの国際化が進んでいる点。Airbnbの宿泊先の大部分はアメリカ国外に所在している。Airbnbでは世界190カ国の8万1000都市でビジネスを展開していると主張している。このような状態の場合、ホストがアメリカ企業の株式を受け取ることからは複雑な問題が生じる可能性がある。

そうであっても、Airbnbが同社の成功にホストの役割が決定的であると公式に文書で認めたことは積極的な方向への一歩だ。共有経済企業がこのような形で参加者との関係をポジティブな文脈で論じるのは珍しい。

現在メディアで取り上げられる議論はほとんどが共有経済の運営企業と参加者との対立だ。たとえばUberの場合が典型だが、契約ドライバーは社員ではないという連邦地裁の決定が出ている。これにより、契約ドライバーは公正労働基準法を受けないとされた。

共有経済の参加者は柔軟な働き方ができる一方で、同様の仕事をしている常勤社員が受けるような、有給休暇、超過勤務手当、健康保険など、各種の福利厚生から取り残されるという問題を生じている。こうした問題をカバーしようとするスタートアップも多数生れていいる。しかし多くの場合、福利厚生のコストは労働者が負担することになる。共有経済に参加する労働者は当初から経済的に余裕がない場合が多く、問題を複雑化させている。

〔日本版〕SECは規則701の改正を検討しており、これに関してパブリックコメントを求めていた。Airbnbの文書はこれに応えたもの。連邦証券法によれば未公開企業の株式の売買、保有には各種の制限が課せられるが、SEC規則701はその例外を定めている。未公開企業がストックオプションなどにより報酬の一部として社員に株式を付与する場合はこの条項によっている。Airbnbは契約ホストのような共有経済参加者にも適用されるよう規則の改正を求めている。

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VW、電気自動車のカーシェアリングを来年スタート――2020年には北米、アジアにも拡大

オンデマンドによるカーレタルはダイムラー・ベンツやBMWが何年も前から提供しているが、、フォルクスワーゲン・グループはWEというカーシェアリング・サービスを準備中だ。このサービスで用いられる自動車はすべて電動だ。

VWグループの水曜日の発表によれば、全て電気自動車のカーシェアリングは来年まずスドイツでスタートする。その後2020年初めからヨーロッパの大都市、北アメリカ、アジアに拡大されていくという。

フォルクスワーゲンのセールス担当取締役、Jürgen Stackmannは声明で「カーシェアリングはまだまだ多くの可能性を秘めているとわれわれは確信している。それがわれわれがこのマーケットに参入する理由だ。VWは 数分の近距離からバケーションのための旅行まですべてのニーズに対応する単一のモデルを用意する」と述べた。

VWのWEビジネスは単なる自動車の共有以上のものを目指している。WEに使われるオンデマンド車両は当面は自動車だが、最終的にはキックスケーターに近い軽便な電気スクーターなどの交通手段を含むものとなる。

フォルクスワーゲンはこの3月、2種類の電動スクーターのコンセプトモデルを発表した。 Streetmate(左)、Cityskaterとwhich(右)都市内で「最後の1マイル」を移動するために理想的だという。VWによれば、WEプラットフォームは自動車だけでなく、将来はこうした「マイクロ交通手段」のレンタルやパーキングサービスを提供するものとなる。

2018年3月にフォルクスワーゲンが発表したマイクロ・モビリティー・コンセプト。写真左がStreetmate、右がCityskater。

またWEプラットフォームはVWのモビリティー事業、MOIAとの緊密に統合される。MOIAはすでに全電動の乗り合いサービスに用いられるミニバンタイプの車両を発表している。この電気自動車は6人までの乗客を運ぶことができ、さる12月にchCrunch Disruptベルリンでお披露目された。

 

WEプラットフォーム上でオンデマンドで移動手段を提供するサービスは2018年に入って設立されたVolkswagen AGの子会社UMI(Urban Mobility International)が担当する。

画像:Volkswagen AG

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Airbnbが日本の旅館業法の改正で予約をキャンセルされたユーザーのため$10Mのファンドを設立

Airbnbは、シリコンバレーで生まれた共有経済ブームの口火を切った企業のひとつで、その旅行者向けサービスプラットホームは現在の評価額が300億ドルに達する。それは、人びとがプライベートな家を宿泊などのために予約できるサービスだが、国によっては厳しい規制にぶつかることもある。

Airbnbは日本で、法律の改正でホストに免許を義務付けることになったため、大量の予約をキャンセルしなければならなくなった。期日までに免許を取得できなかったホストも、かなりいたからだ。

その影響を受けた旅客やホストの数は不明だし、ホストが免許を取得するとその数も変わっていくが、Airbnbは法の改正により追ん出された旅客への返金に備えて1000万ドルのファンドを立ち上げた。一部の推計によると、予約の80%が法改正の影響を受けた、という。

Airbnbの説明では、予約のキャンセルとそこから生じた結果は、日本の旅館業法の昨年の改定によるものだ。それによると、プライベートな家を1年に180日以上旅客の宿泊用に供する者は登録を要し、サービスの表示等にあたっては登録番号を併記しなければならない。旅行に関する主管局である観光庁は、その期日を6月15日までとし、6月1日までに免許を得なかった者は6月15日までの予約をキャンセルしなければならない、とした。Airbnbは、旅客が対応を取るために要する時間も考慮して、日限に幅を持たせた:

“日本におけるゲストの到着予定が6月15日から19日までで、ホストが免許を有しない場合、その予約はキャンセルされる。今後、政府が方針を変えないかぎり、日本で掲載されているいかなる予約も、ホストがゲスト到着の10日前までに免許を取得しなかった場合、われわれはそれを自動的にキャンセルし、全額を返金する”。

Airbnbによると、その1000万ドルのファンドは、キャンセルによって旅先の日本で生じた付加的支出(予期せざる支出)もカバーする。免許をめぐる状況により6月15日以降の予約をキャンセルされた者は、“予約額の少なくとも100%の”返金をクーポンで受け取り、将来のAirbnbの旅でそれを使用できる。またそのほかに彼らは、Airbnbで利用できる100ドルのクーポンを受け取る。

Airbnbの代替ホストは見つからなかったが予定の旅を続けたい者には、日本の旅行代理店JTBが紹介される。

このニュースの影響を受けた者に、Airbnbは次に何をすべきかを一歩々々記したインストラクションを提供する。それらはここで見つかる。

Airbnbが規制に躓いて転んだのは、これが初めてではない。アムステルダムでは規制当局が、民家を宿泊に提供してもよい日数をこれまでの年60泊から、2019年以降その半分の30泊にしようとしている。ベルリンバルセロナも、独自の規制でこのプラットホームの成長を制限しようとしている。

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メアリ・ミーカー、恒例のインターネット・トレンドを発表――全スライドと重要ポイント要約

テクノロジー分野の最新の数字を漏れなく知っておきたいなら朗報だ。伝説のアナリスト、ベンチャー投資家、 メアリー・ミーカーがInternet Trendsの2018年版を発表した。記事末に294ページに及ぶスライド全体をエンベッドしてある。モバイルからeコマースまであらゆるジャンルがカバーされている。ここでは特に重要と思われる点を選んで要約してみた。

  • Internetの普及: 2018年には世界の人口の半数、約36億人がインターネットにアクセス可能になる。これをもたらした大きな要因は安価なAndroidスマートフォンとWifiだ。ただしインターネットの普及が飽和点に近づくにつれ、個々のサービスは新たなユーザーを獲得することが困難になるものと予想される。
  • モバイル利用状況:インターネット・ユーザー数の増加率が低下するとともにスマートフォンの出荷は頭打ちとなった。一方、モバイルの普及によりアメリカの成人がオンラインで過ごす時間は増えている。 2016年には1日あたり平均5.6時間だったものが、 2017年には5.9時間に増加した。
  • モバイル広告: 消費者がモバイルにシフトするスピードは速く、広告費はそれに追いついていない。モバイル利用時間に広告費が比例するためにはさらに70億ドルの支出が必要。各プラットフォームはコンテンツの選別を次第に強め、内容が安全と認められるページに出広する傾向にある。
  • 暗号化:オンラインの暗号通貨はブームを巻き起こしている。Coinbaseのユーザー数は2017年1月以来4倍に増えた。
  • 音声: 音声テクノロジーがいよいよブレークした。音声認識の精度が95%を超えた。また2017年にはAmazon Echoの販売台数累計も1000万台から3000万台に増加した。
  • 1日あたり利用状況: Facebookなどのサービスの売上は1日あたりユーザー数の増加に強く結びついている。つまりユーザーがそのサービスの利用を習慣化するかどうかが収益性のカギとなる。
  • テクノロジー投資: 上場、非上場企業ともテクノロジー投資は過去最高を記録している。上場企業におけるR&D投資プラス資本的支出のトップ6社はすべてテクノロジー企業だった。

写真はMorgan Stanleyのアナリスト当時のメアリー・ミーカー。サンフランシスコで 2010年11月16日に開催されたWeb 2.0 Summitで講演中のもの。現在ミーカーはベンチャーキャピタル、KPCBのパートナーで、今年も11月17日に講演の予定。タイトルは「コントロール・ポイント:ネットワーク経済をめぐる戦い」。撮影:Tony Avelar/Bloomberg/ Getty Images

  • eコマース対現実店舗:eコマースの成長は加速し、全リテール支出の13%を占めるまでになった。オンライン・ショッピングと商品の発送数は急増しており、ショッピング・アプリにはビッグチャンスとなっている。
  • Amazon:ますます多くの消費者が検索エンジンよりむしろAmazonで商品の検索を行うようになった。AmazonのCEO、ジェフ・ベゾスは依然としてFacebookやYouTubeで消費者の購買意欲をかきたてる努力を続けている。
  • サブスクリプション・サービス:契約者数は急増している。2017年には対前年比でNetflixは25%、New York Timesは43%、Spotifyは48%それぞれアップした。フリーミアム・モデルは有料契約へのコンバージョンを加速する効果がある。
  • 教育: 学資ローンの返済額が急上昇するにつれ、雇用者は企業が必要とする新しい能力を学ぶためYouTubeや各種のオンライン・コースを利用する傾向を強めている。
  • フリーランス化:雇用者は在宅勤務を含めて柔軟性の高い労働時間を強く求めるようになった。またインターネットを利用したフリーランス雇用は全雇用の3倍の伸び率を示している。2017年にオンデマンド労働は23%増加した。これはUber、Airbnb、Etsy、Upwork、Doordashなどのサービスの成長によるところが大きい。
  • 運輸交通:自動車の購入台数は減少傾向にあり、長く乗るようになった。交通関連への支出はUberなどライドシェア・サービスにシフトしている。2017年にはライドシェアへの支出は倍増している。
  • エンタープライズ: エンタープライズ向けサービスがより良いインターフェイスを得てコンシューマ・アプリ化している。DropboxとSlackが.このような急成長の代表的な例。
  •  

  • 中国: 中国のユーザーはアメリカと比較してプライバシーと交換に利便性を獲得することをためらわない傾向がある。 これは中国企業の競争力を高めており、インターネット企業のトップ20にますます多くの中国企業が加わる結果を生んでいる。またこれらの企業はAIに巨額の投資を行っている。
  • 中国のeコマース: Alibabaが商圏を中国の外に急拡大している。売上では依然Amazonがリード。
  • 移民:アメリカのトップ企業の56%は移民1世または2世によって創立されており、経済成長にとって決定的に重要な要因となっている。

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東南アジアでUber事業を買収したGrab、フードデリバリーにも進出――インドネシアのGo-Jekは強力なライバル

さる3月下旬にUberの東南アジア事業を買収したタクシー配車サービスのGrabがフードデリバリー事業にも乗り出した。今日(米国時間5/28)、GrabFoodがスタートした。

このサービスはここしばらくタイなど数カ国でベータ版としてテストされていたが、いよいよGrabの本社があるシンガポールで正式にスタートした。また近くGrabの主要マーケットである東南アジア6カ国で営業を開始する。

Grabが東南アジアでUberの事業を買収した中にはUberEatsも含まれていた。UberEatsの運営を停止する前にマーチャントとユーザーベースはそのままGrabFoodに引き継がれる。

GrabFoodはシンガポールではスタンドアローンのアプリとなるが、オンデマンドでオートバイ・タクシーを提供している諸国ではGrabの配車サービスと一体で提供される。新サービスは既存のDeliveroo、FoodPanda、Go-JekのGoFoodその他がライバルとなる。

GrabFoodはGrabのポイント・システムなどのロイヤルティプログラム、GrabRewardsの一部となる。利用者は代金をキャッシュ、クレジットカード、GrabPayで支払うことができる。配達時間の指定ができること、利用最低額が設けられていないことが大きな特長だ。

前述のようにGrabは3月にUberの東南アジア事業を買収したことを発表しているが、現実の事業移行は難航した。 先月TechCrunchが報じたように、各国の規制、UberからGrabに移管されることになった従業員の不満、Grabが市場を独占することへのユーザーの懸念などがGrabにとっては「成長の痛み」となっている。

とはいえ、Grabは声明で「フードデリバリーへの参入は消費者の日々を生活をインターネットによって結び付けられたエコシステムによってさらに快適なものにする」という戦略において重要な部分を占める」と述べた。

最大のライバルだったUberを排除したことはこの目標を現実的なものにしたかもしれないが、依然として Grabは地域のライバル多数と競争する必要がある。たとえばインドネシアでは市場のリーダーはGoogle、Tencentが支援するGo-Jekだ。同社はベトナム、タイ、シンガポール、フィリピンの市場に近々参入することを確認している。Go-Jekはこの事業拡張に5億ドルを用意している。同社は他国への展開にあたって現地のパートナーを活用するモデルを採用するものとみられ、パートナーがそれぞの国情に合わせてブランドを含めた事業内容を決定していくという。

Grabも手を拱いてはおらず、 Wall Street Journalによれば、100億ドルの会社評価額で新たに10億ドルの資金を調達する。これは昨年7月に日本のSoftBankと中国の滴滴出行から20億ドルの資金を得たときの評価額60億ドルと比べて大幅なアップだ。

一方、Go-Jekも最近Tencent、JD.com、Google、Allianz、Meituan、シンガポールのファンド、GICやTemasekを含む多数の投資家から15億ドルを調達している。

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ベトナムのICOで6.6億ドルと首謀者7人が消えた――愚か者とその金は…?

ベトナムに本拠を置くスタートアップ、Modern TechはPincoinというトークンを売り出してICOを行い、3万2000人から6億6000万ドルを集めた。Modern TechはPincoin ICOの後、投資に対する継続的利益を約束しつつ、続いてiFan(セレブ向けソーシャルネットワーク・トークンとやらいうもの))を売り出した。Picoinの出資者は当初、キャッシュで配当を受けるが、その後iFanのトークンが利益として支払われるはずだった。

その後、連中は姿を消した。

こういう手口はエグジット・スカムと呼ばれるが、その中でも今回の事件は近年稀に見る規模だ。またICO市場の今後を考える上でも大いに示唆するものがあった。ベトナム国籍の7人組は、騙されたと知った大勢の投資家が本社に押しかける中、密かに国を脱出していたという。

Tuoi Treの報道によれば、

この事件の首謀者はベトナム国籍の7人で、チームはハノイやホーチミン市、さらに地方都市でもカンファレンスを開き、投資家を釣り寄せていた

7人組は投資家に対して最初の出資に対して月48%の利益が得られるとし、4ヶ月後には投資元本が回収できると説明していた。また新たな投資家を紹介できた場合、その投資額の8%がコミッションとして与えられると約束した。

この「新たなメンバーを引き込むとボーナスが支払われる」というPincoinの仕組みはどこかで聞いたことがある人も多いだろう。スカム屋どもはこの1月までは約束どおりキャッシュで支払っていたが、その後は支払をiFanトークンに変えた。そして先月、洒落たオフィスはもぬけの殻になった。後に残ったのは作りかけではあるが妙に出来のよいウェブサイトだけだった。

そのサイトを詳しく観察すると、ビジネスモデルが巧みなごまかしの上に成り立っていたことがよくわかる。「PINプロジェクトの使命は、共有経済の原則の上に世界のコミュニティーのために共同消費のプラットフォームを構築することであり、これにはブロックチェーン・テクノロジーによる暗号通貨が用いられる…」といった空中のパイ〔絵に描いた餅〕の羅列だけで、どこを探してもファウンダーやアドバイザーについての言及がない。しかも多国語の洒落たホワイトペーパーにさえファウンダーの身元をはっっきりさせるような情報がない。簡単にいえば7人組が力を入れたのはもっともらしいウェブサイトを作ることで、これによって大勢にちゃんとした会社であると信じ込ませることに成功した。

Viet Baoによればチームは以下の7人だという。Bui Thi My Ngoc、Ho Phu Ty、Ho Xuan Van、Luong Huynh Quoc Huy、Luu Trong Tuan、 Nguyen Duc Trong、Nguyen Trung Hieu、Vu Huu Loi。彼らはPincoinとiFanをゼロから立ち上げて数ヶ月で数千万ドルの規模にした。【略】

口先巧みに人を丸め込もうとした興味ある例がiFanのページに見出される。ページの中ほどに彼らのトークンは「Ethereumプラットフォームを利用している」とあり、続いてEthereumの値動きやビジネスの規模が紹介されている。つまりiFanトークンの価値がEthereumと直接連動しているかのように思い込ませようとした表現だ。

このくだりは7人組のホワイトペーパーの中にも出てくる。

現在のような規制のないICOビジネスは「愚か者とその金はすぐに別れる」ということわざの興味深い実例となる雲行きだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uber、東南アジアのビジネスをライバルに売却――Grabの27.5%を得たのはwin-winの取引

スポーツの世界では「強いチームは調子が悪くても勝つ」と言われる。Uberがそれに当たるかもしれない。

Uberが東南アジアのライドシェア事業をGrabに売却することは大きな反響を引き起こしている。しかしこれをGrabが勝ってUberが負けたと捉えるならものごとを単純化し過ぎる。以下この点について背景を交え検討してみよう。

普通に考えればUberの東南アジア市場からの撤退はGrabの勝利だ。しかし神は細部に宿ると言われる。この取引は詳しく見ていけば双方にとって利益をもたらすwin-winの関係だとわかる。勝敗というより新たな提携関係の樹立という側面が重要だ。

まず事実関係をみていこう。

Uberは最近60億ドルと評価されたGrabの27.5%を得た。この所有権は単純計算で16.5億ドルの価値がある。過去5年間にUberが東南アジア市場に投じた資金は7億ドル程度だったことを考えれば、まずこれだけで十分なリターンを得たことがわかる。

一方、Grabは最大のライバルの事業を閉鎖させることに成功した。急成長中のフードデリバリーサービスのUber Eatsも含め、Uberのドライバー、顧客のすべてを手にすることになる。

数年前にスタートしたGrabは、当初は免許のあるタクシーに限った配車サービスで、しかも顧客は料金をキャッシュで支払う必要があった。Grabがライドシェア・ビジネスに転じたのは3年前に過ぎない。Uberが進出したことによって市場の性格は一変した。今度はその市場をGrabがほぼ独占できることになった。この点、Grabにとって画期的な取引だったことは間違いない。

資金、戦略ともGrabが優勢

スタートは比較的ささやかなだった(マレーシアで創立され、後にシンガポールに本拠を移した)にもかかわらず、 Grabはこの2年で長足の進歩を遂げた。現在、タクシー配車、自動車共有、自転車共有、バイクタクシーなど10種類の交通サービスを8カ国で展開している。Grabのローカライゼーションの取り組みはきわめて印象的であり、成長の重要な要素となってる。

ライドシェア企業にとってフードデリバリーへの進出はいわば定石だが、Grabは GrabPayで金融サービス部門にも進出を果たしている。これはオフラインでの商品販売やサービス料金などの支払いを可能にするサービスで、Grabはさらに少額金融や保険といった新たな分野も手がけている。

Grabの目標は単に新しい交通サービスを提供するにとどまらない。交通サービス以外の新しい分野はユーザーに利便性を提供するだけなくGrabにとっても利益率が高いという。

ただし―ここが重要だが―注意すべき点があった。つまり新規事業が現実に利益に反映されるには時間がかかるため、Uberとの競争には役立っていなかった。

ビジネス上の競争は結局のところ資金という要素に行き着くことが多い。

簡単に言えば、Grabは投資家にひんぱんに新たな投資を要請する必要があった。過去2年間、資金調達はGrabに有利に展開してきた。2016年には7億5000万ドル、 2017年には25億ドルを調達することに成功し、60億ドルの評価額に対して総額40億ドルの資金を得ている。

この間、Uberが東南アジア市場に投じた資金は7億ドルだったことと比較すれば、Grabが資金という重要な側面で優位に立っていたことが見てとれる。Uberが世界の市場に投資した資金の総額は印象的だが、東南アジアに関してはUberは投資額に枠をはめていたようだ。

またGrabへの投資には戦略的な意味が見てとれる。

SoftBank と中国版UberのDidi〔滴滴〕は直近の20億ドルのラウンドをリードしている。またトヨタ、Hyundai、Tiger Global、Coatue Management、またインドネシアの有力企業Emtek、Lippoも年来Grabを支援してきた。

こうした広汎なネットワークの構築に成功したことがGrabに大きな利益をもたらしているが、その一つは優秀な人材の獲得だ。特筆すべきなのは1年半前に辣腕のディールメーカーとして名高いMing Maaをプレジデントとして迎え入れたことだろう。Maaはゴールドマン・サックス出身でSoftBankの投資部門にも在籍していた。

Uberは国際化に当って、現地支社にローカライゼーションの主導権を与えているとたびたび主張してきたが、東南アジアにおける現地化にはかなりの混乱が見られた。Uberは早くから東南アジアに参入したにもかかわらず、事業のトップを任命したのは4年後の昨年8月だった。このことはUberが東南アジア戦略の確立にあたってそうとうに出遅れたことをよく象徴している。

Win-winの取引

しかしUberは中国からの撤退でもロシアからの撤退でも有利な取引をまとめている。今回もその例に漏れない。

Grabは未上場企業なので正確な株主情報は得られないが、Uberは今回の取引で最大の株主の一人となったことは間違いない。 東南アジアはライドシェア市場としてもっとも有望と考えらえれているので、この市場で最大の企業の大株主となるのはUberにとってもその投資家にとっても理想的な展開だ。

GrabにとってもUberにとって東南アジア市場は赤字だが、売上は過去2年で倍増しており、Googleも加わっている最近のレポートによれば、2017年には50億ドルの大台に乗ったという。Uberは投資を続けて事業を継続することも十分可能だったはずだが、むしろGrabという代理を通して東南アジア市場におけるプレゼンスを維持することにした。前述したとおり、Uberが保有することになるGrabの株式は直近のラウンドの評価額をベースにすれば16億ドル以上の価値がある。しかも今後利益が出るようになればGrabの価値はさらに大きくアップする見込みだ。

今回の取引にきわめて近い情報源によれば、Uberの500人前後の社員とUber Eatsを含む3カ国でのライドシェア事業を引き取るにあたってGrabはキャッシュでUberに1億ドル弱を支払うという。

Uberは赤字を出す事業を止め、キャッシュを得るだけでなく東南アジアのGrab、中国のDidiに大株主として参加する。UberのCEO、ダラ・コスロウシャヒはGrabの取締役会に加わるという。これは単なる金銭的価値を超えてUberがGrabに強い影響力をもつことを保証するものだ。

東南アジアにおけるライドシェア事業の焦点はGrab対インドネシアのGo-Jekの対決に移る。同社はGoogleやTencentといった有力企業が支援する50億ドルのスタートアップだ。Go-Jekはインドネシアを超えて事業を拡大する野心をがあり、事業分野はまさにGrabとバッティングすることになる。

Go-Jekに近い筋がTechCrunchに語ったところでは同社は今月中にもフィリピンで事業を開始するかもしれないという。 Go-Jekは慎重に戦略を立てることで知られているが、Uberが退場した今、同社はいよいよ正面からGrabとの対決に臨むことになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Airbnbの予約時前金が安くなった、ただし総額250ドル以上なら

Airbnbが今日(米国時間1/16)、ユーザーのお勘定を楽にする機能を発表した。その機能は名前もずばりPay Less Up Front(前払いを少なく)で、予約時に少しだけ払い、残りはチェックインが近くなったら払う。

これまでは、Airbnbのユーザーは予約時に全額払っていた。週末旅行程度なら、それでも大した額ではないが、長期滞在で全額前払いはきつい。

Airbnbはこの前も決済方式の改定があり、団体旅行者に予約時の分割払いという便宜が提供された。

AirbnbがPay Less Up Front機能をテストしたときは、40%のゲストがこのオプションを選び、ちょっと高いのを予約した。またこのオプションを利用した旅客は、リードタイムが通常の予約の倍長かった。

これでチェックインの数日前に払う額は通常50%となったが、ただしそれは、チェックインの14日前に予約、総額250ドル以上、というルールがある。

この新しい機能は、すべてのプラットホームで使える。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Airbnbが巨大アパート企業からの訴訟にカリフォルニアで勝訴…Webサイトにコンテンツ責任なし

【抄訳】
カリフォルニアの判事は、Airbnbに対するアパート管理会社Apartment Investment & Management Company(Aimco)の訴えを棄却した。昨年の2月に、約50000件の不動産物件の保有者ないし管理代行者であるAimcoは、Airbnbが、同社の賃貸物件の不法使用を意図的に奨励しているとして同社を訴訟した。

Aimcoはこの訴訟をカリフォルニアとフロリダ両州で起こしており、損害賠償と、同社賃貸物件の不法使用の奨励をAirbnbにさせない裁判所命令を求めていた。Aimcoの訴えの主旨は、AirbnbがAimcoの建物に、“平和な地域社会を維持することに関心のない”、しかも“身元不詳で履歴審査もない”人びとを連れ込んだことにある。

10月にAimcoは、南カリフォルニアの4つの物件におけるAirbnbの操業に対する仮差し止め命令を裁判所に求めた。しかしAirbnbは、カリフォルニアの法律は物件の転貸(また貸し)を禁じていない、と反論した。

Airbnbはさらに、この問題の責任はAmicoの物件のテナント(店(たな)子)とそのゲストにある、と主張した。同社は、Communications Decency Act(通信適正法)が、人びとがWebサイトにポストしたコンテンツに関する法的責任はそのWebサイトの運用者にはない、と定めている条項を挙げて、この訴訟の却下を求めた。

しかしAimcoは、Airbnbは情報コンテンツのプロバイダーであるから、そのサイト上のコンテンツに関して法的責任がある、と主張した。しかし今回カリフォルニアの裁判所は、Airbnbは情報コンテンツのプロバイダーではない、と判定し、Airbnbはコンテンツをホストしているだけであり、それを作ってはいない、とした。

地裁判事Dolly M. Geeは判決文でこう述べている: “この行いは、Airbnbを情報コンテンツのプロバイダーにしない。上述のように、情報コンテンツのプロバイダーの法的定義は、インターネットやそのほかの何らかの対話的コンピューターサービスによって提供される情報の、全体的ないし部分的な作成や開発に責任のある個人や法主体である”。

Airbnbはもちろん、この裁定を歓迎し、次のような声明を発表した:

“弊社と家主とのパートナーシップは、ホームシェアリングが全員にとってウィンウィンの状況であることを明らかにしている。Airbnb Friendly Buildings Programによってテナントは彼らの最大の出費対象〔借りてる部屋〕を有効利用して副収入を作り出し、それが家主にとっても新たな経済的機会を作り出す。このようなパートナーシップが数多く成立していることは大きな喜びであり、弊社は今後とも継続的に、ホームシェアリングに関して前向きの家主からの大いなるご関心をいただき、とくに、歴史に残るほどの大きな負債を抱えている現代のミレニアル世代への、ソリューションを提供していきたい”。

【後略】
〔訳注: フロリダはまだ未決。Aimcoは控訴の構え。この記事からは、(1)Airbnbと家主(Aimco)の当初の契約ないし合意内容、(2)転貸(また貸し)に関する家主(Aimco)と店子(借り手)との当初の契約ないし約束内容、以上二点が不明である。〕

原文末尾に、判決文の全文があります。—

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

政治戦略家のブラッドリー・タスクは6分野の規制と戦う――Uber株はSoftBankに売却

ブラッドリー・タスクはニューヨークの元市長、マイケル・ブルームバーグの選挙を繰り返し成功させた政治戦略家として政界では以前から著名な存在だった。その後、Uberの元CEO、トラビス・カラニックの招聘に応じてシリコンバレーに拠点を移し、Uberが各種の既成勢力と戦うのを助けた。タスクはUberが契約した最初の外部コンサルタントだったが、料金の支払いをUber株式で受け取ることに合意したため大株主の一人となった。ここで一挙に現在に飛ぶと、タスクは現在、政治戦略のコンサルタント企業ベンチャーファンドを運営している。

TechCrunchのインタビューに対し、タスクはSoftBankグループが主導するUberへの大型投資に際し、このコンソーシアムにUber株式を売却するつもりだと語った。タスクは「これは絶好のタイミングだ」と述べ、その理由を次のように説明した。

「Uberの上場がどうなるか決まったわけではないが、私はこの問題に詳しい。 [Uberが上場しても]現在の株価の1.5倍以上で売るのは難しいだろう。もちろん歴史的な大型上場になるだろうが、まだあと2年はかかる。プラス、上場後、株主が株式を売却できるようになるまで[標準的な]6か月のロックアップがかかるはずだ。その代わりに他の分野に投資したら私はどのくらいのリターンが見込めるだろう? おそらく1.5倍以上だと思う」。

タスクは最近lUberの業務を手がけていないが、他のクライアントに対して諸規制と戦う戦略を授けている。TechCrunchは先週タスクから詳しく話を聞くチャンスがあった。2018年にタスクが反規制のコンサルティングとベンチャー投資を行う重要な分野は以下の6部門だという。タスクの説明を要約すると―

社員vs契約者:これはきわめて大きな問題だ。まず独立契約者とはどういうものなのか、定義そのものがはっきりしない。しかし社員であるかないかは、時間外手当の支払い、源泉徴収、福利厚生を始めとして双方に甚大な影響がある。他の人々もそう言っているが、州政府は規則の文言をもっと明確化すべきだ。しかし〔問題は〕労働組合が透明性の高い労働市場を好まないことだ。『ルールをはっきりさせてくれ。そうすればわれわれの対応も決まる。そのルールでビジネスが成立しそうなら続ける。そうでないなら撤退する。しかしルールを教えないのはデモクラシーではない』というのがシェアリング・エコノミー側の主張だ。

ただ現在ワシントンで審議中の減税案は「労働者を契約者として分類する傾向を強めそうだ。〔タスクは〕属人的な福利厚生システムを考えている。これは福利厚生をプールして持ち歩き可能にするもので、労働者がどこでどのような形態で収入を得たとしても常に福利厚生などの便益が得られるようにする。フルタイムの正社員が得られる便益がすべて含まれるわけではないが、〔Uberのような会社が報酬の〕一部を拠出し、ドライバーも一部を拠出して、ヘルスケアや年金などに充当するモデルだ。

もちろん一夜にしてこうしてシステムを確立することはできない。また問題点として、労働組合は(正社員だけでなく)契約社員の待遇にももっと関心を抱くべきだ。しかし誰もが独立の契約社員のフレキシブルな労働条件と正社員の福利厚生の双方を得られるようなったら、正社員に雇用されるメリットがなくなるかもしれない。

自動運転車:私の考えでは〔自動運転は〕乗用車についは順調に進むだろうが、トラックには問題が起きそうだ(タスクのチームはこの問題にも取り組もうとしている。

He pointいわゆる自動運転法(SELF DRIVE Act)は超党派の支持を受けて、去る9月に下院を通過したが、上院ではまだ可決されていない。

これが自動運転車を律するアメリカで最初の連邦法になりそうだが、困ったことに、下院で可決されたものも上院で審議中のものも、対象から自動運転トラックを除外している。これは職が失われる(と同時に安全性も低下する)と懸念するトラック運転手組合からの圧力によるものだ。(上院の法案では自動車メーカーが生産できる自動運転車の台数にも上限が設けられている。自動運転のみ可能な車両の上限は1年目が1万5000台、3年目までが8万台、4年目以降は上限なし、となっている)。

大型トラックの除外―これはチームスター〔トラック運転手組合〕にとっては勝利だ。しかし戦いは政府のあらゆるレベルで続いている。Uberや〔Googleの〕WaymoやTesla側とチームスターのような既存勢力の間に一大闘争が巻き起こるのは誰にでも予測ができる話だ。しかし一度瓶から出てしまった魔神をもとに戻すことはできない。チームスターのような勢力ができるのは物事の進行を少し遅くすることだけだろう。

モバイル投票: モバイル投票には以前から強い関心がある。最近、あるモバイル投票のスタートアップのプロモーションを手がけた。モバイル投票は投票率の低下、特に地方選挙への関心の低下に対する解決策になると思う。 地方選挙の投票率は10%から15%というのが普通だ。〔タスクが関与している〕スタートアップはVoatzといい、創立4年目でブロックチェーンを利用しており、TechStarsのアクセラレーター・プログラムを今年出たばかりだ。この会社のテクノロジーはアメリカにかぎらず、世界中いたるところでわれわれの選挙に対するあり方を変える可能性がある。(タスクはこの会社に限らず、モバイル投票に関するソリューションを提供できる考えるあらゆるチームを援助する用意があるという)。

乗り捨て方式の自転車共有: これはやっかいな問題になる。道路は混雑している。ホームレスの数も多い。そういう状況で自転車をあちこちに乗り捨てる方式ではうまくいかないはずだ。自治体は禁止に動くと思う。アメリカの本当に混雑した都市でこれが自然な交通手段になるとは想像しにくい。(タスク自身がBirdというサンタモニカのキックスターターのデザインの電動スクーターのシェアリング・サービスへの投資家であることを考えると興味ある意見だ。BindのCEO、Travis VanderZandenは以前Uberのグロース担当副社長だった)。

eスポーツによるギャンブル:現在アメリカ最高裁はChristie対NCAAの訴訟を審理している。焦点はニュージャージー州はe〔オンライン〕スポーツ・ギャンブルを合法化する権限があるかどうかというものだ。1992年の連邦法はネバダ州以外でのスポーツ賭博を禁止している。Yahoo Financeが最近報じたとおり、今回の判決がどちらになろうと、アメリカのギャンブル禁止法規は近く緩和されるだろうとeスポーツ業界は楽観している(トランプ大統領は以前カジノのオーナーだった)。

もしギャンブル推進派が勝てばアメリカ中の州政府がeスポーツ・ギャンブルに殺到するだろう。eスポーツの運営企業はアメリカ先住民が運営しているカジノとのバトルロイヤル・モード突入する。〔カジノを特権的に運営できるために得られる〕売上と雇用をeスポーツ・ギャンブルと奪い合うことになる。共和党の減税案が法制化されれば、多くの州政府と自治体が収入を失うことになる。これがeスポーツに追い風となると予想する。

マリファナ合法化: マリファナが合法化される地域は増えるだろう。関連するスタートアップにとってはグッドニュースだ。議会の共和党はドラグを嫌っているが、もし(減税によって)カリフォルニアやニュージャージーで税収がダウンすれば、どこかでその穴埋めをする必要がある。しかも〔不人気な〕増税はできないだろう。〔こうした事情から〕マリファナの合法化は予想よりずっと早まるはずだ。(タスクの会社はマリファナのオンデマンド配送のスタートアップEazeのアドバイザー、投資家でもある)。

画像: Tusk Ventures

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WeWork、Alexa for Businessのスタートに向けてビッグプランを準備中

Amazonは間もなくAlexa for Businessを発表する。コワーキングスペースの有力スタートアップ、WeWorkはAlexa for Businessプラットフォームの最初のパートナーの一つとなる。

WeWorkのビジョンは、新しいテクノロジーを最大限に活用して物理的な空間を共有して仕事をするコワーキングの生産性を全体として高めながら、利用者個々のニーズにも応えて容易に環境をカスタマイズできるようしていくというものだ。

コワーキングの巨人は1月ほど前からAlexa for Businessのベータ版をテストしてきた。チェルシーの会議スペースにはEchoが導入され、Alexa for Businessの各種のユースケースについてテストが行われている(現在このテストはWeWork自身の社員に限定されており、登録メンバーは利用できない)。

WeWorkのユーザーは‘ask WeWork’という新たなスキルが利用できる。これには会議スペースの予約、空室状況の確認、あるいは次の会議がいつから始まるか尋ねる、等の機能が含まれる。またスライドやビデオを投影するために照明をオン・オフしたりすることもAlexaに頼めるという。

WeWorkはまたAlexa for Businessをカスタマー・サポート・サービスのZendeskと統合している。ユーザーは会議室から音声で各種の問題をZendeskに報告することができる。

WeWorkのR&Dの責任者、Josh Emigによれば、「いちばん難しかったのはネットワーキングの処理や建物への物理的なインテグレーションよりも発言者が誰なのか特定することだったという。「今のところ、Alexaはここの部屋に関連づけられており、個人ではない。しかしAlexaが確実に個人を識別できるようになったら便利だろう。これを実現するためにわれわれは従来とは異なるアプローチを考えている」とEmigは述べている。

Alexa for BusinessとWeWorkの相性は非常に良さそうだ。WeWorkお本質は人々と物理的な場所の関係を調整しするために適切なインターフェイスを提供することだ。Alexaは現在そのインターフェイスとして最適なツールだろう。しかしもっと重要な点は、WeWorkはコワーキングスペースをメンバーにとって自宅のように親しみやすい場所にしたいと考えているところにある。

このビジョンでは、ロンドンであれロサンゼルスであれ、ユーザーがWeWorkのデスクの前に座ったときに、スマートフォンを軽くスワイプするだけで、自分の好みにカスタマイズした環境をすべて再現できるようにすることだ。これにはたとえばデスクや椅子の高さ、室温、照明といった物理的要素も含まれる。AlexaのiPhoneアプリを使えば、WeWorkはAlexa for Businessのインフラをスマートフォンから利用できる。つまりユーザーはデスクの上にEchoがなくてもスマートフォンからAlexaへの各種のリクエストができるようになるはずだ。【略】

現在Alexa for businessはChelsea HQのWeWork社員のみが利用できるが、間もなく各地域の本部ビルにも拡張される。その後、WeWorkのメンバー向けサービスがスタートする。

〔日本版〕WeWorkの日本進出についてのTechCrunch Japan記事。WeWorkがソフトバンクと合弁会社を設立、東京初のコワーキングスペースは2018年初めに開設予定

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uber、自動運転車のベースにVolvo XC90を2万4000台発注

ライドシェアリングの大手、Uberは2万4000台のSUV、XC90を購入することでメーカーのVolvoと合意した。Bloomberg NewsによればUberは2019年から2021年にかけて自動運転車によるフリートを構築するという。XC90はUberの新世代自動運転車のプロトタイプのベースとなっている。UberはXC90を購入後、独自にセンサーやコンピューターなど自動運転に必要な装備を取り付けている。

Financial Timesによれば、この契約は14億ドル相当と推定されている。アメリカではXC90の一般消費者向け最低価格は4万6900ドルだ。Uberは以前からXC90をアリゾナ州、サンフランシスコ、ピッツバーグでテストしている。このテストでは運転席に人間のドライバーが着座して万一に備えると同時にソフトウェアの改善のための情報を収集している。UberとVolvoは昨年、共同で自動運転車の開発を行うことで合意していた。

Uberの新しいXC90フリーとは現行のプロトタイプ車以上に機能を備えるという。複数系統のブレーキ、ステアリングによって安全性を高め、人間の補助なしで運用できることを狙っている。2万4000台のCX90はUberの要求によってメーカーでカスタマイズされる。またこの契約はVolvoに自動運転車フリート構築のための車両供給の独占権を与えるものではなく、Uberは必要に応じて他のメーカーに発注する権利を保有するという。

自動運転車のライバル、AlphabetのWaymoは最近独自の一般向け自動運転タクシー・サービスを開始すると発表した。この動きがUberの自動運転車プロジェクトを加速させる要因になったかもしれない。ただし両社とも具体的なスケジュールについては明かしていない。テストやプロトタイプではなく、われわれが町中で普通にこうしたサービスを受けられるようになる日時はまだ不明だ。

Uberの広報担当者は2万4000台の契約に関して「概ねそのとおりだ」と認めたが、具体的な確定発注台数については言及を避けた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SoftBank、「Uberとの交渉は継続中」と声明――100億ドル投資はまだ確定ではない

Uberは日曜日にSoftBank Groupからの投資の提案を承認したと発表した。しかしSoftBankの投資を管理するSoftBank Investment AdvisorsはCEO Rajeev Misra名で月曜日にメディア向け声明を発表し、投資はまだ確定していないと強調した。

「長期にわたる多大な努力を要する手続きを経てUberと株主はSoftBankによる同社株式の買付けの申し出を承認することとなったもようだ。しかしこのことはSoftBankが投資を決定したことを意味しない。われわれはUber投資に関心がある。しかし投資の決定は買い付け価格による。またSoftBankの〔取締役選任などに必要な〕最小限の株式持ち分割合にもよる」。

言い換えれば、株式買い付け価格はまだ決定されていないということだ。SoftBankは価格交渉が継続中であることを明確にしたかったものと思われる。同社は既存株主から90億ドル相当の株式を買い上げようとしている。

SoftBankはまた10億ドルをUberに直接投資しようとしている。これは前回のシリーズGの資金調達ラウンドの拡張という形式となる。この時点でのUberの会社評価額は700億ドル弱だった。SoftBankはUberの株式の14%の所有を求めているという。

SoftBankの月曜の声明はUberの日曜の声明に対する回答だ。SoftBank以下のように述べている。

SoftBankとDragoneer(Investment Group)が主導する投資に関して合意が得られた。この合意はUberの長期的な成長の可能性に対する強い信任の現れだと考える。この合意が正式に契約として締結されれば、SoftBankがコーポレート・ガバナンスを強化しつつテクノロジーへの投資および内外での活動を拡大することに資するものとなる。

UberとSoftBankはこの投資に関して数か月交渉を続けてきた。これほど時間がかかった理由の一つは共同ファウンダーで前CEOのトラビス・カラニックの取締役としての権限を巡って争いがあったからだ。情報源によれば、大口投資家のBenchmark Capitalはカラニックを訴えているが、SoftBankの投資が実現した場合は訴えを取り下げることに合意しているという。

この訴訟はカラニックが取締役を3名任命する権限を巡って争われている。カラニックは取締役会の同意を得ずにUrsula BurnsとJohn Thainを取締役に任命した。今後取締役が辞任すれば、カラニックは後任取締役の任命にあたって取締役会の承認を得る必要が生じる。

画像:Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SoftBankの投資の狙いを推理する

シリコンバレーではSoftBankが1000億ドルのビジョン・ファンドでいったい何を目論んでいるのかいぶかる声が聞かれる。私的な会話では「酔っぱらいのガンマンが四方八方に小切手の弾を撃ちまくっている」という声も陰口も出ている。

しかしSoftBankに近い情報源によれば、一見クレージーなSoftBankの行動にも原則があるのだという。この情報源はSoftBankはビジョン・ファンドの投資によって最低20%の内部利益率(IRR=internal rate of return)を確保することを目標としていると語った。ファンドの投資先は人工知能、機械学習から製薬、ユーティリティー、ライドシェアリングまで多種多様だ。SoftBankはこうした投資から得た情報をさらに無数のチャンスに変えていくという。

情報源によれば、SoftBankの狙いは、KKRのようなファンドよりも大きい利益を上げることだ。KKRの最初の18件の投資ファンドは投資額の2倍の価値を生み、正味IRRが18.9%だった。SoftBankに近い情報源の1人は「[ビジョン・ファンドに]投資していればKKRやBlackstoneに投資するより儲かるはずだ」と語った。

実のところ、20%のIRR(向こう7年間についての予測)というのはSoftBankにとってワーストケース・シナリオだという。「最良のケースではマサ〔孫正義氏〕がこれまで挙げてきた実績なみの収益を期待できる」と情報源は述べた。

18年間の投資でSoftBankは44%のIRRという成績を誇っている。しかし この成績の大半は「SoftBankのファウンダー、孫正義が2000年のAlibabaの設立最初期から投資したことによっている」と批判するものもいる。 孫氏は5800万ドルを投資してAlibabaの株式を取得したが、現在はこれに1300億ドルの価値があり、別の企業を買収するためにその一部を売却しただけでも100億ドルになった。

Higher And Higher

ビジョン・ファンドが目標とするようなIRR(7年にせよ、もっと標準的な10年にせよ)といえば、封筒の裏に走り書きするような簡単な計算でも、ファンドの投資者にとって1300億ドルから4300億ドルの間の金額から当初の投資額、管理費、借り入れ額など合計、440億ドル程度を差し引いた額を意味する。

LP(リミッテッド・パートナー)がこれだけの成績を挙げることをは容易ではないはずだ。いったいどうやって実現するつもりなのか? 情報源によれば、SoftBankはライドシェアリングを重要な柱と考えているという。もっと詳しく言えば、SoftBankは現在のライドシェアリング企業が順調に成長して巨大な自動運転タクシーのネットワークという新しい交通インフラとなることを期待している。

このビジョンにもとづいてSoftBankはすでに数多くの投資を行っている。中国では滴滴出行(Didi Chuxing)、東南アジアではGrabといったライドシェアリングのメジャー企業に多額の出資を」している。インドでこの分野最大の企業、 Olaが昨日20億ドルの資金調達ラウンドを完了したが、これにもSoftBankが加わっていた。

もちろんアメリカのライドシェアリング企業を成長させることもSoftBankの戦略のきわめて重要な部分だ。SoftBankはUberとLyftに関心を持っていることを以前から公言していたが、結局Uberに投資することになった。事情に詳しい情報源によれば、Uberの取締役会は10億ドル分の株式をSoftBankに売却するという案を承認したが、これはSoftBankがLyftに投資することになるのを恐れたために「金を受け取らざるを得なかった」のだという。

UberがSoftBankを恐れていたのか内心軽蔑していたのかは不明だが、SoftBankが投資してくれないと困るという不安はシリコンバレーに広がりつつある。

先月TechCrunch Disrupに登壇したベンチャーキャピタリストのSteve Jurvetsonに私がSoftBankの投資のインパクトを尋ねたところ、Jurvetsonhは「ある種のキングメーカーだ。ある会社に巨額の資金を投資、別の会社にはしない〔ことによって王を指名できる〕」と述べた。

「ただし長期的にみれば、そうした効果はノイズのようなものだ。成功は結局プロダクトやサービスの質にかかってくる。しかし〔大きな投資は〕短期的には競馬の順位を入れ替えるといった〔程度の〕シフトを生み出すかもしれない」とJurvetsonは付け加えた。

【略】

すべての投資が金を生んでいる

巨額の手元資金にもかかわらず、SoftBankはすでに痛い失敗もしている。

たとえば、先週だが、SoftBankがバイオ製薬企業Roivant$11億ドルの投資ラウンドをリードしてわずか1か月後、Roivantの子会社、Axovantが開発しブロックバスターになると期待されていたアルツハイマーの治療薬に効果がないと判定された。

Axovantの株価はたちまち暴落し、同社の最大の株主であるRoivantに大打撃を与えた。

これはSoftBankにとっても最悪のニュースと思われたが、これでSoftBankの投資戦略を判断するのは早計だったらしい。昨日、Roivantは良いニュースを受け取った。Roivantと日本の武田薬品が共同で設立した子会社が開発していた子宮筋腫の治療薬がフェーズ3の治験で好結果が得られたという。

SoftBankに近い情報源は「〔ビジョン・ファンドが〕何か間違った投資をしていたとしても1年半以内にその結果が分かることはない」と語った。

この人物はNvidiaに対する投資を例として指摘した。Nvidiaは公開企業だが、SoftBankはこの5月に40億ドル分の株式を買収した。この時点で株価は137ドルだったが、現在は180ドルに跳ね上がっている。「今のところすべて金を生んでいる」と情報源は述べた。

画像: Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソフトバンク、滴滴らUberに大型投資へ――会社評価額は700億ドル前後

日本のソフトバンク、アメリカの投資グループ、Dragoneer、中国最大のライドシェア・グループ、Didi Chuxing(滴滴出行)はジョイント・ベンチャーを通じてついにUberへの投資を実施することになるという。

情報源がTechCrunchに語ったところによれば、Uberに対する株式公開買付けの実施は今月末を目標として準備が進められており、 これにはUberへの直接投資に加えて社員、初期投資家の株式の買い上げも含まれるという。

Uberに対する大型投資の提案が取締役会で検討されていることが最初に報じられたのは1月前のNew York Timesの記事だった。TechCrunchが得た情報によれば、この投資は実施される可能性が高いだけでなく、何千人にも上る社員の売却可能な持ち株を買い上げるという株式投資の歴史上、最大となる市場外取引を含むことになりそうだ。

BloombergはUberは$20億ドルから100億ドルに上る投資を受け入れることになるだろうと報じていた。TechCrunchの得た情報では、投資額はこの数字の上限近く、80億ドルから100億ドルになるもようだ。

投資プロジェクトをリードするのはDragoneer、Didi、ソフトバンクだ。ことにソフトバンクはビジョン・ファンドの1000億ドルの資金が利用できる。しかしGeneral Atlanticも参加することになるという情報を得ている。この投資を実施するために特別の組織(special purpose vehicle)が組成されているという。

Uberはこの問題に対するコメントを避けた。

今回の投資ラウンドはきわめて重要なものとなる。投資額そのものも巨大だが、非公開企業であるUberにとってこのラウンドの会社評価額は700億ドル前後になる見込みだからだ。最近のトラブルにより、Uberの企業文化について正式の調査が行われ、その結果、共同ファウンダー、CEOのトラビス・カラニックを含む多数の幹部がUberを離れることとなった。これによりUberの企業評価額は下がるだろうという観測がなされた。しかし現実には大幅にアップしたことになる。

また今回の投資が実現すれば、初期の投資家と多くの社員が持ち株を現金化するチャンスを得る。Uberは長年にわたってこうした持ち株の売却に制限を加えており、社員はストック・オプションなどの形で得た報酬を現金化することが困難だった

Uberのポリシーが厳しい批判を浴びるようになり、今年に入って同社は株式の買い戻しを実施した。情報によれば、Uberは先週、2度目の買い戻しを完了した。対象は持ち株を最大20%まで売却する権利を得ていた数百人の社員だという。

今回報じられた投資が実現すれば、保有株式の現金化(liquidity event)についてUberが受けていた圧力を緩和するのに大いに役立つだろう。新CEOのダラ・コスロシャヒはUber社員に対して「株式上場は18ヶ月から36ヶ月先」だと発言している。

2010年以来、90億ドルを投資してきた株式保有者はこの新たな大型投資の提案を喜ぶはずだ。株式の買い上げが実施されれば紙の上の価値に過ぎなかったものが現金化され、数多くの富豪が誕生するだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LyftとAmtrakが旅のファーストならびにラストマイルの提供で提携

LyftとAmtrakは、Amtrakアプリユーザーがモバイルから直接旅行の予約ができるように、パートナーシップを組む。Lyft配車要求機能は、旅行者たちが旅の最初と最後の部分をアレンジできるようにデザインされていて、今回の提携により新しいLyftユーザーたちには最初の4回の乗車に5ドルのクレジットが供与される。

これはLyftが1週間のうちに発表した、自身の隣接領域で活動している主要プレーヤーとのパートナーシップを示すもう1つの例だ。他に発表されているものにはリゾートにおけるディズニーとの提携、そして途中立ち寄りを許すTaco Bellとの提携がある。

Lyftはそのエコシステムの成長を加速している。ライバルのUberが内部問題に苦しみ、経営陣の大幅な入れ替わりに対処している隙を突く形だ。このAmtrakとのパートナーシップは、他のトランジットプロバイダーとも共有できるモデルとしての可能性を秘めている。都市交通の改善に対しては、整備された長距離の大量輸送アーキテクチャが肝であり、これと(自宅から駅、駅から目的地などの)ファースト並びにラストマイルの提供はうまく組みわせることができる。

新しいAmtrak/Lyftのパートナーシップは今日(米国時間8月1日)から発効する。Lyftの新規ユーザーはキャンペンコード”AMTRAKLYFT”を使用すれば、最初の4回の乗車で5ドルのディスカウントを得ることができる。Lyftによれば、これによりAmtrakの乗客の97%にリーチすることが可能になるため、多くの新規ユーザー獲得の機会だと捉えているということだ。

FordのChariotをはじめとする他の企業は、ビジネスチャンスとしてのファースト並びにラストマイルを模索中だ。そしてより多くのスタートアップ、自動車メーカー、そして他の運輸会社の興味を、この先引き付けることになるだろう。

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(翻訳:Sako)