Google、Play Storeでチャートのランク上昇を狙うインチキ・アプリ退治フィルターを強化

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今日(米国時間10/31)、GoogleはPlay Storeに新しいアプリの検知・削除システムをロールアウトしたと発表した。このフィルターは、不正な手段でチャートにおけるアプリのランキングをアップさせようとするデベロッパー対策だ。

Googleは従来からこの種の不法行為を探知するテクノロジーをPlay Storeで利用してきたが、 新システムは正確性がさらに一歩強化されているという。アプリの順位が上昇した場合、Googleは不当な手段によるものではないかどうかチェックし、不当な手段を発見した場合、新システムはこれをフィルターする。またデベロッパーが繰り返しこうした手段を取る場合は、アプリ自体をGoogle Playから抹消する。

Googleもブログで説明しているとおり、こうした不当な行為はGoogle Play デベロッパー・ポリシーに違反するだけでなく、Androidコミュニティー全体に損害をもたらすものだ。アプリが不当に順位を上げると、正当な順位に表示されるはずだったアプリ開発者には不利益になるし、消費者はアプリを選択する上で誤った情報を見ることになる。

アプリの表示に関して詐害的行為が監視されているのはGoogle Plaだけではない。Appleも iTunes App Storeで同様の問題に直面してきた。デベロッパーはストア内の表示順位をアップするためにダウロード数を「買う」、つまり専門業者にダウンロードとインストールを依頼することがある。

この間、われわれは自動ダウンロード・ボットからアプリの強制インストールを企むインチキ広告正真正銘の詐欺評価の偽装までさまざまな怪しげな試みを報じてきた。こうした不当行為は一部のデベロッパーのアプリを本来あるべきランク以上に位置づけてきた。

もっともGoogle Playではユーザーがこれまでどんなアプリをインストールしたかという履歴に基づいてカスタマイズされた推薦によってアプリの発見が行われている。つまりiTune App Storeの場合ほどトップ・チャートの役割は大きくない(ランキングのチャートは別のタブ内にある)。

Googleによれば、新システムは今日から稼働するという。デベロッパーがサードパーティーのマーケティング・サービスを利用する際は、合法的な手段のみ利用するものであるかどうか確かめるようGoogleでは勧めている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本人起業家率いる広告プラットフォーム「C1X」が850万ドルを調達

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C1XはシリーズBラウンドの一環として新たに850万ドルを調達した。

C1XはMukundu Kumaran(CEO)とDaisuke Nagayama(チーフ・オペレーティング・オフィサー兼チーフ・グローバル・ストラテジスト)が創業し、KumaranはYahooでエンジニアリング・デイレクターを務めた経験がある。彼らの目標は「広告トランザクションの基本的な仕組みをシンプルにすること」と話す

C1Xのプラットフォームには、広告主とパブリッシャー向けのプロダクトがあり、C1Xでは「買い手と売り手が現在直面している重要な課題を解決するフルスタックのプラットフォーム」を提供するとKumaranは話す。

フラグメンテーション、未熟なワークフロー、透明性の欠如などの問題があるとKumaranは考えている。買い手側には、例えば広告主が媒体を横断してターゲットとなるオーディエンスにリーチできる「C1X Audience Guarantee」を提供しているという。また、パブリッシャーには広告在庫をよりうまく管理できるよう、プログラマティックダイレクトやヘッダー入札といったツールを提供している。

今回の資金調達は、日本企業のベンチャーラボインベストメントがリード投資家を務め、既存投資家がラウンドに参加した。C1Xはシリコンバレーに本社を置いているが、日本とインドにもオフィスを構えている。電通、サイバー・コミュニケーションズとトレーディングデスクを開設し、さらなる事業拡大を目指すという。

C1Xは、他にも日本の投資家から出資を受けている。東京大学エッジキャピタルもその1社で、彼らはC1Xが510万ドルを調達したシリーズAラウンドを率いた。

「私たちはグローバル展開を積極的に進めています。私たちの所有する一連の多才なプロダクトは、各市場の主力プレイヤーが抱えている重要な問題に合わせ、それを的確に解決することができるからです」とNagayamaはメールの声明で伝えた。「私たちは、アメリカ、インド、東京で有力なパートナーシップを築くことができました。今年はドバイとシンガポールにもオフィスを開設し、アジア太平洋、中東、アフリカ市場にも進出する予定です」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Facebookがグループへの広告配信テストを開始、新たな収益源となるか

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Facebookの収益拡大に向けた次の一手は、グループ機能を利用している10億人のユーザーに対する広告配信だ。これでFacebookはニュースフィードを広告で溢れさせなくてすむ。”We’re testing ads in Groups(グループ内での広告テストを行っています)”という通知を見たユーザーからの連絡を受け、TechCrunchが確認したところ、Facebookはオーストラリア・カナダ・アイルランド・ニュージーランドを対象として、モバイル・デスクトップ版のグループ機能内で広告配信のトライアルを行っていると認めた。

「この度Facebookグループ利用者への広告配信テストを開始しました。ユーザーの反応を精査してから、今後どうするかについての決定が下される予定です」とFacebookはTechCrunchに語った。グループ内で表示される広告は、ニュースフィード上のものと同じスタイルになるようだ。掲載される広告は、グループのトピックや通常の個人情報に基いたターゲティングをもとにして決まる。

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Facebookは、2017年の半ばにはニュースフィードの広告数が上限に達すると見込んでおり、近年右肩上がりの収益増加率を支えるための新たな収益源を必要としている。本日ローンチされた、ユーザー数に応じて料金が変わる企業向けSNSのFacebook Workplaceからの収益や、Instagramの広告上限数の拡大によって、複数のサービスでその負担を分散できるかもしれない。ほかにもFacebookは、ライブ配信の途中に表示される広告や、Messenger経由で広告を配信するスポンサードメッセージのテストも行っている。

groups-heroしかし収益を拡大するための最も簡単な方法は、単にこれまでのような広告を掲載するチャンネルを増やすことなのかもしれない。その方法を取る上で、グループ機能は最適の対象となるだろう。

グループはFacebookにはじめから搭載されている機能のひとつで、もともとは、人権保護から音をたてて枯れ葉を踏みしめる喜びまで、ユーザーがあるアイディアや信念を支持しているということを表すためだけのものだった。その後グループ機能は2010年に改良され、ユーザーがただグループに加わるだけでなく、他のユーザーと交流もできるようなフォーラムへと姿を変えた。

2014年までにグループ機能の利用者数は5億人に達し、スタンドアローンのアプリも配信されはじめた。以降も、ユーザー間でモノを売買するグループやその他のコミュニティのおかげで、ユーザー数がさらにその倍に増加した。家族や友人で構成されるグループのほかにも、くだらないミームを共有するためのグループや同じ趣味を持つ人たちの集い、抗議活動や専門的な議論を行う場としてのグループなど、この機能はFacebookに欠かせないものとなった。

そして、各グループのテーマがここまで多岐に渡っているからこそ、グループ広告には価値があるのだ。Facebookが各グループを正確にカテゴリー別けする方法をみつけ、広告のターゲティング精度を上げることができれば、関連度合いが高く収益率の良い広告を、さまざまな興味をもったターゲットユーザーのもとへ配信することができる。

マンチェスター・ユナイテッドのページを「いいね!」しているという情報は、マンチェスター・ユナイテッドの熱狂的なファンのグループページをよく訪れているという情報に比べて、広告のターゲットを絞るためのシグナルとしては弱い。後者の方が、スポーツグッズを購入する可能性が高いということを正確に表すことができる。そのためFacebookは、ひねった名前が付けられたグループや、さまざまな内容の話が飛び交っているグループのトピックを正確に掴むための方法を考え出さなければならない。

groups-buy_sell-12また、毎月4億5000万人ものユーザーが売買グループを利用しており、ちょうどFacebookは彼らのための専用マーケットプレイスをローンチしたところだ。このような売買グループも広告主にとっては有力なターゲットとなるだろう。例えば、テレビやパソコンの売買が行われているグループをチェックしているユーザーに対しては、電機ブランドの広告を表示することができるのだ。もちろんユーザーが機嫌を損ねてサービスを使わなくなってしまわないように、Facebookは表示する広告の数には気をつけなければいけない。

Facebookグループは、公になっているニュースフィードと、閉じられたプライベートメッセージの中間点として機能することでユーザー数を伸ばしてきた。そして誕生から10年以上が経ち、ようやくこの機能がFacebookの利益に貢献するときがきた。念のためハッキリ書くと、Facebookはサービスのマネタイズにとんでもなく長い期間をかけることをいとわないのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Instagramの広告主、50万社に―2月の20万社からさらにアップ

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Instagramの広告ビジネスに興味のある読者はこの見出しに見覚えがある感じがするかもしれない。実はFacebookグループの写真共有サービスは去る2月にも広告主の数を発表している。しかしその時点では広告主は20万社だった。つまり今日発表された50万社という数はその2倍半になる。

この広告主の数は正確に言えば、各月のアクティブ広告主だ。つまり1年前に広告主として登録して1度だけ広告を掲載したが、その後は何もしていないというようなアカウントは数に入っていない。またInstagramを利用している企業のうち150万社が夏の始めにスタートした新しいビジネス・プロフィールを利用し始めた。

今回の発表におけるInstagramが主張したかったのは「広告主は単に大勢の目に触れることを目的とするだけでなく、ユーザーにプロダクトを実際に買うよう説得するためにInstagram広告を使い始めた」ということだろう。たとえば、Instagramが昨年9月に世界でスタートさせた広告プログラムは、これまでに10億回のユーザーの反応を集めた。またこの広告キャンペーンによってオフラインの売上が2%アップしたという。

Instagramはハンドバッグのブランド、Dagne Doverを例に挙げた。同社はキャリヤ・ウーマン、母親、学生などそれぞれの購買層にターゲットしたInstagram広告と購入ボタンを組合せたキャンペーンにより、広告費用の13倍の見返りを得たという。

「もっとも重要なメッセージはスモールビジネスがInstagramキャンペーンの成功を獲得したフォロワーや『いいね!』の数で測らず、現実のユーザー反応で測るようになったということだ」と Instagramの副社長で収益化担当ゼネラル・マネージャーのJames Quarlesは述べた。

Quarlesは私のインタビューに答えて、「企業はInstagramからこれまでよりはるかに豊富なデータを得るようになる。Instagramの広告主はこれまでとは異なるストーリーを語ることができる」と述べた。つまり新しい広告フォーマットがローンチされるという。これによって「顧客の行動をより深く理解できる」、つまり、広告主はアイテムの購入に興味がないユーザーに無駄に広告を表示することなく、ユーザーが商品に関心を抱いた時に適切な広告が表示できるようになる。

新フォーマットのスタートによってInstagramのフィードの広告比率が増えるのかどうかについてQuarlesは「われわれは顧客のエンゲージメントを慎重にモニターしている。われわれはあるべき広告比率に関して固定した数字を持っているわけではない。重要なポイントはユーザーにとって意味のある広告かどうかという点だ。フィードに表示される広告はユーザーのニーズに適合し、かつ高品質でなければならない」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookが新たなコードでAdblock Plusにさらなる反撃

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クラウドソースで集まったAdblock Plusのハッカー軍は、Facebookが誇る統制の取れたエンジニア軍に追いつけていないようだ。

Facebookが、広告ブロッカーへの対応策をはじめて発表してから2日後に、Adblock Plus(ABP)はその回避方法を考えだし、「私たちは、オープンソースコミュニティを通してすぐに解決策をみつけると約束していました。私たちのコミュニティは、Facebookのような巨大企業にさえ勝っているようです」と豪語していた。

しかし、FacebookがABPの最新広告回避方法への対応策を実装してからすでに1ヶ月が経ち、Facebookの広告は、依然ユーザーのもとへ届けられている。ブラウザーのエクステンションとして提供されているABPが、最終的にスクリーン上に現れる情報を決めているにも関わらず、Facebookは送信するコードを完全にコントロールしていることから、ABPのフィルター開発が間に合っていないのだ。

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Adblock Plusのコミュニケーション担当マネージャーBen Williams

ABPの親会社であるEyeoで、コミュニケーション・オペレーション担当マネージャーを務めるBen Williamsも、Facebookと戦いを続けるには、もっと深い研究やソフトの大幅な変更が必要になると認めている。「要するに、Facebookは広告の表層に見られた識別子を全て取り除いてしまったんです」と彼は語り、将来的にユーザーがFacebookの広告とコンテンツを見分けられなくなってしまう恐れについても触れていた。

Williamsは、このような事態がおきることをABPが予期していたと主張する。「Facebookのような企業であればプレイブックを準備している、という前提に立たなければいけません。これまでに起きたことは、ほぼ私たちの予想通りでした」

この発言は、1ヶ月前に公開されたブログポスト上でWilliamsが見せていた、自信溢れる言葉とは対照的だ。ブログの中で彼は、「ユーザーの皆さんに覚えておいて欲しいのが、誰も止めることのできない巨大なコミュニティが私たちのそばにいるということです」そして「もしも、Facebookがまた対応策をみつけたとしても、私はオープンソースコミュニティから、また新たな回避方法が生み出されると確信しています」と記していたのだ。

adblock-generalそして現在、ABPはFacebookに反撃するのには時間がかかると言っている。「私たちはソフトウェアに変更を加えなければならず、細心の注意を払って取り組んでいます。テストも必要になってくるでしょう」。さらにWilliamsは、Facebookが広告コードの親要素を取り去ってしまったものの、「現在、子要素にもとづいて広告をブロックする技術を開発中で、完成にはあと数週間かかると思います」と語る。

その間に、ABPはAcceptable Ads Platformと呼ばれる広告プラットフォームをローンチした。このサービスを利用することで、ウェブサイトの運営会社は、広告料の6%を同社に支払うことで、ABPをブラウザーエクステンションとして利用している9000万人ものユーザーに対して、プライバシーの保護された広告を表示することができる。1クォーターで20億ドルの利益を稼ぎ出す、Facebookのような巨大テック企業とAdblock Plusが戦い続けたいと考えているならば、この収入はとても重要になってくるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleがアプリの広告とYouTube上の広告に新機軸…広告からのユーザーアクションを多様化

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Googleが今日(米国時間9/13)、ドイツで行われたデジタルメディアカンファレンスDMEXCOで、同社の広告機能のアップグレードを二つ発表した。

ひとつはUniversal App Campaigns(普遍的なアプリ広告キャンペーン)。これはその名のとおり、アプリの宣伝を検索広告、ディスプレイ広告、Google PlayやYouTubeの広告など多岐にわたって展開できる。Googleによると、このキャンペーンはこれまで、30億あまりのアプリダウンロードを誘起したが、今年の初めにGoogleは、アプリのインストール以外のアクションもターゲットにできるようになる、と言った。そして今日の発表では、このターゲッティングオプションをすべての広告出稿者が利用できるようになった。

Googleのブログ記事は、こう説明している:

あなたがターゲットにしたいアプリ内アクティビティを、選択できる。それは、お買い得情報のタップ、ゲームのレベル10への到達などさまざまで、それらのアクティビティの測定には、サードパーティの測定パートナーや、Firebase AnalyticsのようなGoogleのアプリ測定ソリューションを使える。アプリ内アクティビティをAdWordsで定義したら、ご自分のアナリティクスのソリューションを利用して、1インストールあたりのコストを設定する。Googleの機械学習のアルゴリズムが、その値を使うだろう。Universal App Campaignsはさまざまなシグナルをリアルタイムで評価し、広告を継続的に改善して、もっとも価値あるユーザーに、正しい価格で、業界最大のGoogleの〔広告〕プロパティ全域にわたって到達できるようにする。

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もうひとつの発表は、新しいタイプのTrueView広告(YouTubeの視聴者向け)だ。TrueViewのフォーマットは広告をスキップでき、広告出稿者は全部ちゃんと見られた広告や、ダウンロードや購入の誘起に対してのみ支払う。今度の新しいアクションフォーマットでは、広告出稿者がカスタムのアクションボタンを置くことができる。それらは、“見積もりがほしい”、“今申し込む”、“登録する”、などさまざまだ。

このような、アクションの多様化とカスタム化は、金融、自動車、旅行など、ユーザーの検討事項の多い商材に適している、とGoogleは言っている。このフォーマットは、年内にかけて、テストされる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのLookはファッションの検索と購入サービス―SNSのコンテンツ囲い込みに巻き返し

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Google検索に弱点があるとするなら、現在のインターネットで新しく生成される情報の半分以上がInstagramやSnapchatのようなモバイル・アプリに投稿されていることだろう。つまりGoogleの検索エンジンが簡単にインデックスすることができない。

仮にGooglが写真などコンテンツの一部を取り出せたとしても、その写真のソーシャルネットワーク上のコンテキストには手がとどかない。写真のコンテキストが分からなければ検索結果として表示できず、広告収入に結びつけることができない。これはGoogleのビジネスにとって大きなな問題だ。

しかしGoogleは、すくなくともファッション関係の分野においては、回避策を発見しつあるようだ。Googleは先ほどShop the Lookという機能を発表した。これはファッション・ブログに掲載されたコンテンツを検索結果に表示し、しかも購入を可能にする。

Googleが表示するコンテンツ(ファッション・アイテムを購入するためのリンクも含めて)はrewardStyleのLIKEtoKNOW.itを利用している。この会社はファッション・ブロガーのソーシャル投稿を収益に結びつけることを目的としている。このサービスは影響力のあるブロガーがソーシャルメディアに投稿した記事をベースに、記事とプロダクト購入のためのリンクをフォロワーに知らせることを助ける。たとえば、あるインフルエンサーがInstagram内のファッション・アイテムの写真に「いいね!」を付与したとする。するとrewardStyleはそのアイテムの写真と購入リンクをフォロワーにメールしてくれる。

Googleはこのメール内容とアイテムの詳細情報を次のように結びつけている。

ユーザーが、たとえば"cocktail dress"〔カクテル・ドレス〕というキーワードでGoogle検索をしたとする。するとGoogleはそのブロガーがフォロワーに送ったコンテンツからキーワードにマッチする写真を選び出して表示する。続いてユーザーが写真の一つをタップするとGoogleはその写真にマッチするアイテムの検索結果と購入可能なリンクを提供する。

興味深いことに、GoogleはこのShop the Lookサービスととショッピング用広告キャンペーン用を連動させている。つまりアイテムのリテラーはファッション・アイテムについて、Shop the Lookの検索結果に表示される可能性のある広告を作成することができる。

これはGoogleにとって一見したよりずっと大きな動きだ(つまりInstagramなどのメディアから検索トラフィックの大きな部分を奪える可能性がある)。同時にユーザーのファッションの選択に影響を与える有力ブロガーにとっても重要な意味がある。インフルエンサーはLIKEtoKNOW.itのようなサービスをビジネスに結びつけることができるかもしれない。コンテンツ(とアフィリエイト・リンク)がGoogleの検索結果に含まれるなら、従来よりはるかに多くの人々の目に触れるチャンスがあるだろう。

GoogleとrewardStyleの提携はまだ始まったばかりで、両者は収入の分配などの細部についてまだ交渉中だ。しかしブロガーのアフィリエイト・リンクを通じてアイテムが購入された場合はブロガーとGoogleの間で収益が分配されると考えて間違いないだろう。rewardStyleとコンテンツを制作したインフルエンサーが第一に収益の配分を受けるはずだ。

〔日本版〕 LIKEtoKNOW.itは日本語のサインアップ・ページと利用法の説明を用意している。ただしキャプションの日本語は機械翻訳的でユーザー側にかなりの推理力が必要かもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

広告業界がAdBlockを受け入れなければならない理由

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【編集部注】執筆者のVinay Kumar Mysoreは、デジタルストラテジスト兼ライター。

私も今この問題の一端を担っているひとりだ。広告業界にいる人が、広告ブロッカーの成長や普及を嘆き、拳を震わせている一方、私もその誘惑に勝てないでいる。そして、何百万人という人たちもそうであるように、私は広告ブロッカーが大好きだし、恐らく今後も完全に使わなくなることはないだろう。

だからこそ、広告ブロッカーを使っている人を非難するのではなく、その背景や私たちの未来に広告ブロッカーの必然性がどのような意味を持つか、さらにはこのトレンドが受け入れるに値するものなのかについて検討したい。

このトピックに関してもっとも多く引用されている統計によれば、世界中で約2億人がパソコンに広告ブロッカーをインストールしている(2015年8月時点)。そして、その数は急速に増加している。

  • Mary Meekerの2016年版Internet Trends Reportは、デスクトップ・モバイルの両プラットフォームに関し、世界中で広告ブロッカーの利用率が上向きに加速していることを示している。
  • HubSpotのGlobal Interruptive Ads Survey(2015年Q4から2016年Q1)では、回答者の50%が既にAdBlockをインストールしており、18〜35歳の回答者の60%以上が2016年Q3までに同ソフトをインストールする予定であるほか、35歳以上についてもそこまで大きな差はない。
  • PageFairとAdobeは、2014年Q2から2015年Q2までに、アメリカでの広告ブロッカーの利用率が約50%増加したと発表している。
  • 最近のIABの発表によれば、デスクトップユーザーの26%がオンライン上の広告をブロックしている。

上記のレポート全てを考慮すると、広告ブロッカーの利用者数は、今後1、2年の間に倍々ゲームで増えていくことになる。そしてその影響は甚大だ。OvumとThe Wall Street Journalによれば、広告ブロッカーのせいで、2015年だけでもメディアは合計240億ドルの広告収入を失っている。

広告ブロッカーは、利用していない場合に表示される広告のほぼ全てをブロックすることができる。検索連動型広告、バナー広告、リマーケティング広告、プレロール広告、YouTube広告、ソーシャルメディア広告、さらには”ネイティブ”広告まで全てカバーされている。ウェブサイトを読み込む際に、AdBlockはコンテンツをどこから引っ張ってきているかを解析し、その情報を使ってどれが広告でどれが広告でないかを推測しているのだ。パソコン上のAdBlockは、主にブラウザにインストールするプラグインとして配布されている。モバイル端末では、ブラウザそのもの、もしくはブラウザ上の設定で同じ効果が期待できる。導入は簡単で、設定もほとんど必要ない。1、2回クリックするだけで、誰でも広告フリーのインターネット環境を楽しむことができるのだ。

それに対して、ウェブサイトの中にはAdBlockウォールを設定しているものが存在する。ウェブサイトを訪れると、AdBlockユーザーはそのサイトをホワイトリストに加え、広告を表示するよう促されるのだ。多くのユーザーはそれに素直に従っており、New York Timesによれば、高品質なコンテンツを提供するのにかかる費用に関するメッセージを表示したところ、40%以上のユーザーが同サイトをホワイトリストに加えていた。

しかし、多くの広告在庫を抱えるインターネットメディアのほとんどは、このような対策をとっていない。おそらく彼らは、クリックを誘導する見出しやコンテンツの再利用だけでは、ユーザーに広告ブロッカーの利用をやめさせるには足りないと(当然のことではあるが)考えているのだろう。彼らの目的はトラフィック、それも膨大な数だ。その一方で、主要なメディアは、コアオーディエンスがどれだけ広告が散乱しているのを嫌っているか理解し始めており、そもそもAdBlockの必要性を無くしてしまうような商品さえ提供している。New York TimesのようなメディアやYouTubeでさえ、広告に飽き飽きした熱心なユーザーに対して、広告が表示されない上位プランを販売している。

ほとんどのユーザーは理由があって広告をブロックしており、その理由は対処可能なものだ。

しかし根本的には、全ての人がオンライン広告の無い世界というのは維持できないと理解している。AdBlock Plusによれば、同サービスを利用しているユーザーの75%が、広告の数が多すぎず邪魔にならなければ、ウェブサイト上に広告が表示されてもかまわないと答えている。この結果を受けて、AdBlock Plusはサイト上の広告に関するルールをAcceptable Ads Manifestoにまとめ、その内容のほとんどが常識的なものだった。この基準に従うことに合意すれば、AdBlock Plusはサイト上の広告をブロックしないようになる。

さらに、New York Timesの実験の類似例として、イギリスの広告ブロックに関するIAB/YouGovの最新の調査では、半数のユーザーがコンテンツと引き換えに、進んで広告ブロッカーを停止させると回答している。また、IAB U.S.の調査によれば、ほとんどのユーザーは理由があって広告をブロックしており、その理由は対処可能なものだ。人々はコンテンツをサポートする上での広告の価値を理解しており、彼らは広告掲載側がもっと責任を持った態度で臨むことを求めているだけなのだ。

広告の未来の一部を担い、そこから収益を上げるメディアにとって、これは将来的に広告数が急激に減少することを意味する。さらにはバナー広告やプレロール広告などの広告料の高騰、そしてこれまでのデジタル広告モデルによって成り立っていたコスト削減の終焉までも恐らく意味することになる。つまり、複数のバナー広告を打ったところでキャンペーンは成立しなくなってしまうのだ。印刷広告のスタイルを真似た安っぽい広告ではもはや儲からなくなってしまうため、もっと多くのメディアがより革新的な方法で自分たちの商売をコンテンツ結びつけていかなければいけなくなる。

これこそ、広告業界全体が今後受け入れていかなければならない考えなのだ。厳しい現実として、現在主流の、代わり映えしない安っぽい広告で構成されたデジタル広告は機能していない。このモデルは、最悪の行動につながるインセンティブとなってしまったのだ。メディアは散らかったスペースに広告を絞り出し続け、マーケターは成功の証としてのインプレッション数やクリック数ばかり気にするようになってしまった。さらには、見えない広告や、ボットによる架空クリック、インターネット中に存在するファントム広告、視聴されないビデオ広告などが誕生した。これらは全て、質より量を優先したビジネスモデルの結果だ。

これがルールだとすれば、必勝法は単純な数字ゲームになってしまう。

さらに悪い事に、一般に普及しているデジタルアトリビューションモデルが同様の葛藤を生み出している。標準的な慣例として、サイト上での成約は、最後に閲覧もしくはクリックされた広告に紐付けられるため、多数のBoFu(Bottom-of-the-Funnel)広告が生まれた。つまり、コンバージョンに繋がった消費者の決定に関する全ての手柄が、成約直前の広告を掲載していた人のものになるのだ。そして、このモデルも最悪の行動を引き起こすこととなった。メディアは手柄を収めるため安っぽい広告を洪水のように消費者に届け、マーケターは成功の証としての広告の費用対効果にばかりとらわれるようになってしまった。

上手くいくマーケティングは実用的でなければ意味がない。これがマーケティングにおける成功の本質である限り、全てのプレイヤーが同じように終局へ向かおうとしているのも驚きではない。確かに、他の媒体と違って、全てのデジタル広告の質や量を管理できるような人や団体がいないため、広告業界がコントロールできない部分もある。

しかし、デジタル広告モデルがインプレッション数やビデオの視聴回数といった量だけを重視し、デジタル広告の媒体が毎日何千もの広告の集中砲火をユーザーに浴びせているうちは、成功の確立を高めるために広告数を出来る限り増やすことこそ正しい戦略だ。これがルールだとすれば、必勝法は単純な数字ゲームになってしまう。

しかし、広告ブロッカーが普及したことでこのモデルが覆され、デジタル広告界のウロボロスを仕留めるチャンスが生まれたのだ。メディアには、ユーザーが広告を表示するのに同意するくらい高品質なコンテンツを提供するか、もしもコンテンツに自信がなければ、表示できる広告の数に本当に制限をかけるかという選択しか残されていない。どちらの選択もできなければ、広告は全く閲覧されないようになる。

この結果、デジタル広告界が直面している、多数の広告在庫に関する問題は解決されようとしている。広告エコシステム内で容認される広告の数が大きく減少すれば、ファントム広告や広告の可視性は問題にならなくなる可能性が高い。メディアの質が高ければ、コンテンツに対するデジタル広告料も上昇し、広告を見せる機会が減れば、ひとつひとつの広告の品質も向上することになる。広告主も、掲載媒体のコストを勘案し、相応の予算を準備して高品質な広告を作らなければならなくなる。そして消費者は、大嫌いな低品質のバナーの集中砲火を受ける代わりに、質の高い広告を目にするようになるのだ。

この影響で、広告業界は単なる軍拡競争の拡大版ではなく、他の方法を考えださなければならなくなった。ユーザーに強制的に広告を見せるような技術が発展すれば、それに対抗して広告をブロックする技術もさらに発展することとなり、現時点でその攻防は加速度的に激化している。Facebookの最近の発表と、そのすぐ後に行われたAdBlock Plusのアップデートが良い教訓だ。悲しいことに、ユーザーは全ての広告ではなく、現在市場に存在する広告の数を問題視しているということを、Facebook自身の発表が認めてしまったのだ。

消費者の身勝手さを非難したり、実際には存在しない広告ブロッカーに潜んだ秘密の利益についてとがめたりする代わりに、広告業界は、自分たちがユーザーとの友好関係を築けていないばかりか、立ち止まることなく積極的に問題を発展させてしまったことが、今の消費者の行動に直接つながっているということを認識しなければいけない。

デジタル広告のインセンティブのせいで、広告業界はあまりにも頻繁に単純な公式に立ち返り、より多くの広告を、より高い頻度で、さらにいら立っている消費者に向けて発信している。しかし、それでも私たち広告業界は方向転換をしなかったのだ。消費者はサービスを欲していて、広告によるサポートの重要性についても理解している。彼らは高品質な広告を目にしたいだけなのだ。今では、消費者は広告業界にその責任をとらせることができるほど強力なツールを持っており、彼らの声がようやく届くことになった。

消費者理解を自慢とする広告業界が、消費者の声を聞くのにこれだけの時間を費やすことになってしまったのは残念でならない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

続報:AdBlock PlusとFacebookの戦いは続く―相互に無効化の応酬

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昨日(米国時間8/11)、Adblock PlusはFaceookの広告ブロックを無効化するアップデートを回避して広告をブロックするアップデートをリリースした。しかしFacebookがTechCrunchに述べたところによれば、AdBlock Plusの回避策は「広告だけでなく友達の投稿や有益なページも削除してしまう不器用な仕様」だという。.Facebookの主張はこうだ。

問題の広告フィルター会社の新しい広告フィルターが広告をブロックするだけでなく、友達の投稿やページもブロックしてしまうことによってユーザーの体験を大きく損なっていることにわれわれは失望した。これはユーザーにとって望ましいことではないのでこの問題への対処を計画している。 広告ブロック・フィルターは洗練さを欠く製品だ。Facebookが広告表示設定のようなツールを提供してユーザーに広告の表示を委ねているのはこれが原因だ。

この「対処計画」はすぐに公開されるらしい〔アップデート参照〕。Facebookの事情に通じた情報源によれば、今日中、あるいは数時間後にもAdblock Plusの広告フィルターを再び無効化するアップデートが公開される。当初Adblock PlusがFacebookの広告をブロックするのに2日かかっていたのに比べるとFacebookに対応はその何分の一かの時間しかかからないようだ。

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アップデート:情報源によれば、FacebookはAdblock Plusの広告ブロックを無効化するアップデートの公開を始めた

アップデート2: 太平洋時間8月12日午前4時30分:Adblock Plusはさらに新しい回避策を公開したとツイートした。

アップデート3:太平洋時間8月12日午前10時05分:FacebookはAdblock Plusの新しい回避策を無効化したと発表。Adblock Plusはこれにもすぐに反撃するとブログ記事で宣言した。「イタチごっこ」が盛大に始まっているのは間違いない。

火曜日にFacebookはウェブの広告をHTMLコードの中に埋め込むことによって広告ブロックソフトのフィルターを回避するようにしたことを発表した。Facebookは広告ターゲティングにおけるユーザー側のオプトアウトをさらに強化し、広告ブロッカーが使われる最大の理由に対処すると同時に、ビジネスとユーザーを結びつけるという重要な機能を果たしていくとした。また広告によって成立しているウェブサービスから広告を奪うのは誤りであるとも指摘した。【略】

このイタチごっこでAdblock Plusは不利な状況にある。一部のプラットフォーム上ではユーザー側はフィルターをアップデートするかマニュアルで編集する必要がある。一日一回のアップデートでさえ遅すぎるかもしれない。FacebookはAdBlock Plusのフィルターを無効化するコードを一方的にリリースすることができるし、ユーザー側では何もする必要がない。つまりAdblock Plusのユーザーが新しいフィルターにアップデートしたときにはFacebookは一足先にそのフィルターを無効化するコードを実装ずみということがあり得るわけだ。

さらに重要な点は広告フィルターによってAdBlock Plus得る収入よりFacebookが失う収入のほうがはるかに大きいことだ。

しかし一方でFacebookはFTC〔連邦取引委員会〕の規定に従い、消費者を誤認させないため、広告に必ずSponsoredと表示しなければならない。このラベルはAdblock Plusがターゲットを特定するのに役立つ。

How Adblock Plus works

この戦いは広告ブロックというソフトウェアの正当性についての議論を再燃させた。広告ブロックを利用するユーザーの考えも多様だ。一部のユーザーは広告ブロックは広告テクノロジーの暴走をチェックし、プライバシーを保護するのに役立っていると感じている。単に広告を見たくない、あるいは広告が読み込まれる無駄な時間を省いてウェブ閲覧を高速化したいというユーザーも多いだろう。

逆にソーシャルメディアやオンライン・ニュース・サービスは広告ブロックに反発している。広告ブロックはメディアとそのコンテンツのクリエーターから正当な収入を奪うものだとしている。また「広告ブロックのデベロッパーは実のところユーザー体験の向上などは考えておらず、ある種のランサムウェアを開発しているだけだ。その証拠に料金と引き換えにフィルターを通過させ広告表示を可能にしているではないか」という主張もある。

オンライン広告テクノロジーは近年大幅に進歩した。広告ブロッカーは洗練を欠くフィルターであり、マルウェアやプライバシーを侵害する広告をブロックする一方で比較的無害なサービスの表示を妨害して収入の機会を奪っている。どちらの側も譲る気配はない。Facebookとクラウドソースされた広告ブロックのハッカーの戦いはまだまだ続くだろう。

画像: Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AdBlock Plusが「広告ブロックにブロックされないFacebook広告」を再びブロック

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気づいた読者も多いだろうが(ともかく私は気づいた)、最近Facebookが広告の表示を方法を変えた。広告を一般投稿のように変装させブラウザの広告ブロック機能をすり抜けて表示させようとした。広告は至るところに溢れたが、幸いこうした現象は長く続かない。AdBlock Plusのコミュニティーはわずか2日で広告ブロックを無効化する広告を再びブロックする方法を発見した。

火曜日にFacebookは広告表示方法の変更を実施した。Adblock Plusは「別に世界の終わりではない」と冷静に受け止めた。 Adblock Plusのブログは「Facebookが〔直接的に排除に〕動いたことは、広告ブロックがメインストリームの機能となったことを意味する」と述べた。

これはむしろひとつの時代の始まりだったかもしれない。断固たるアンチ広告派のプログラマー、ハッカーは世界中にいる。彼らは力を合わせて即座に結果を出した。

「オープンソース・コミュニティーは素早く対処するだろうと書いたが、実際、期待を上回る成果が出た。とはいえ、これは偉大な勝利というわけではないということは注意しておくべきだ。広告ブロックという地道な作業の一日に過ぎない」とブログは書いている。

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「オープンソース・コミュニティーの広告ブロックの努力と広告掲示側のすり抜けようとする努力の応酬は広告ブロックが発明された当初から続いている。近々Facebookがわれわれの最新のフィルターを無効化するコードを追加するのは大いにあり得る。そうなれば広告ブロック・コミュニティーはまた対応するだろうし、Facebook側もそれをまた無効化するコードを考え出す、等々だ」という。

実際、この記事が発表された後、TechCrunchの取材に対してFacebookの広報担当者は「われわれはこの問題に対処する計画だ」とメールで返事をよこしている。

もちろんハッカーが押し付けられた規制に反発して無効化を試みるのは普遍的現象だ。ある場合には称賛される努力となる。 たとえば〔脱獄などの〕デバイスのブートローダーのハッキングは所有するハードウェアにユーザーが好みのソフトウェアをインストールすることを可能にした。しかし別の場合には、スパマーやマルウェアの拡散者となり、セキュリティーを無効化し、多くの人々に深刻な被害をもたらす。さらにその中間のグレーゾーンもある。広告ブロックというのはこの場合に相当する。

ある考え方によれば、広告ブロックというのはウェブサイトなりサービスなりから売上を盗むことだ。別の考えによればユーザーには自分の見るコンテンツに関して完全な決定権があるべきだということになる。オンライン広告は無意味であり価値がないという主張もある。広告ブロック・ソフトのデベロッパー自身がある種の不当な金儲けをしているという意見もある。ターゲティング広告は役立つが絨毯爆撃的な広告は無意味だからブロックされるべきだと考えるものもいるし、逆に一般広告はよいがターゲティング広告はプライバシーの侵害だと考えるものもいる。

この他にもさまざまな視点があるだろうが、そうした議論を深めるのは別の場所に譲りたい。はっきりしているのは広告ブロックのテクノロジーは誰にでも自由に利用可能であり、何千万人ものユーザーがウェブ体験の改善のために日々利用しているということだ。広告収入によって成り立っている企業はその事実を認める必要があるし、広告ブロックによって妨げられない収入の方法を探る必要があるのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

確定―VerizonがYahooのインターネット事業を48億3000万ドルで買収

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何ヶ月にも渡った価格交渉数回にわたるレイオフの末、アメリカYahooはついに売却先を確定した。

Verizon(AOLの親会社。AOLはわれわれTechCrunchの親会社)はYahooの本体事業を48億3000万ドルのキャッシュで買収することを公式に発表した。買収される事業にはYahooの広告、コンテンツ、検索、モバイル活動の一切が含まれる。

Verizonの会長、CEOのLowell McAdamはプレスリリースで、「われわれは1年と少し前にAOLを買収し、あらゆるサイズのスクリーンを利用する消費者、クリエーター、広告主を結びつけるという戦略を一歩進めた。今回のYahoo買収でVerizonはトップクラスのグローバルなモバイル・メディア企業としての競争力をさらに高めることができた。同時にデジタル広告における売上の加速も期待される」と述べた。

YahooのAlibaba、Yahoo Japanの持株は今回の買収の対象となっていない。これらの資産には数百億ドルもの価値がある。7月22日現在、Yahooが保有するAlibabaの15%の持ち分は312億ドル、Yahoo Japanの34%の持ち分は83億ドルだった。 Yahooの特許ポートフォリオも今回の売却の対象外だが、10億ドル前後の価値があるとみられている。TechCrunchがつかんだところによるとサニーベールのYahoo本社は売却の対象だという。

Yahoは最終的にAOLと統合される。Verizonの執行副社長、プロダクト・イノベーションと新事業の責任者、Marni Waldenが買収プロセスを指揮する。AOLのCEO、ティム・アームストロングは社内向けメモの中で、マリッサ・メイヤーと緊密に協力していることについて触れている。メイヤーはYahooの社内向けメモの中で、「個人的には(Yahooに)留まるつもりだ。私はYahooとそのチームを愛し、信じている。Yahooを次の章に飛躍させることは私にとって重要だ」と書いている。メイヤーは買収手続が完了するのは2017年の第1四半期の末と予想している。【略】

昨年、Verizonは AOLを44億ドルで買収した。Verizonは現在でもトップクラスのテレコム企業だが、AOLとYahooを買収したことからすると、今後は事業とその売上の多様化を図っていくつもりのようだ。

買収手続が完了した後、YahooとAOLを統合すれば、巨大なメディアと広告の子会社が生まれる。AOLははるかに大きなスケールでウェブとモバイルのオーディエンスにリーチすることが可能になる。広告事業のターゲットは10億人単位になるかもしれない。

〔ティム・アームストロングのメモにあるように〕最終的にVerizonはデジタル広告事業でGoogle、Facebookと競争できる存在になるつもりらしい。オンライン広告は現在、シリコンバレーのこの2社にほぼ独占されたかたちだ。Verizonは3番目のプレイヤーになろうとしているようだ。

反トラスト法当局により買収が承認されるとして、Verizonはさらに2つのハードルを超えなければならない。直近の四半期決算の電話記者会見でYahooは社員8800人、契約社員700人を擁していると述べた。これに対してAOLの社員は6800人だ。どちらも数千人という規模の2つの会社を統合するのは誰にとっても容易な仕事ではない。第二に、 Yahooは近年相当の赤字を出し続けている。VerizonはYahooをまず黒字体質に変える必要がある。そうでなければYahooはAOLの足を引っ張る存在になってしまう。

プレスリリースで VerizonはYahoo買収の理由を説明し、同社には10億人のユーザー(うち6億はモバイル)がいることを挙げた。またYahooが数多くの優良ブランドを所有していることも指摘している。Verizonはニュース、スポーツ、Yahoo Mail(月間アクティブ・ユーザー2億2500万人)を例示した。広告媒体と広告テクノロジーではBrightrollFlurryGeminiを例に挙げている。面白いことに VerizonはTumblrについては触れなかった。

Yahooが公式に 事業売却の可能性を認めたのはこの2月だった。【略】マリッサ・マイヤーが 2012年にYahooに加わったとき、Yahooを再活性化するビッグ・プランがあるということだった。マイヤーやモバイル化の努力を倍加し、人材獲得のためのスタートアップ買収を10回以上実行した。Tumblrは11億ドル、Brightrollは6億4000万ドルだった。またYahoo Mail、Flickr、Yahoo Weather、Yahoo Messengerなど既存プロダクトのアップデートにも力を入れた。

しかしこうした努力もYahooの収益構造を目立って改善するには至らず、ついにオンライン事業の売却という結果になった。

今から考えれば、売却先は当初からVerizon以外なかったかと思えるがYahoo買収に関心を示した企業にはAT&T、TPGグループ、Dan GilbertのQuicken Loans関連の投資家などがある。Verizonはこの後電話記者会見を予定しており、さらに詳しい説明が聞けるかもしれない。このニュースが流れた後のVerizonの株価は、市場取引スタート前の数字だが、特に動きがない((+0.21%)。 この買収の情報は金曜日にリークし始め、株主、投資家は今日の発表を十分に予期していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Volkswagenのレースゲーム、IKEAの拡張現実アプリにみる効果的な「顧客体験」創出の事例

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【編集部注:本稿の執筆者、Pratham MittalVenture Pactの共同創業者】

広告はもはや、あまり効果的でなくなっている。

まず第一に、あまりにも多くの広告が存在しているからだ。画面、生活の至る所に広告が溢れかえっており、企業、スタートアップはその他大勢の中で目立つことが恐ろしく難しいことに気づいている。

確かに、広告コピーによってクリエイティブであることは可能だ。ユーザーへの徹底的なリマーケティングで話題となり、共感を得ることもできる。しかし、結局は他の企業もそのまま同じようなことをしているところで未だに競い合って、ユーザーの視界から外れてしまう。

今日、経験豊富なマーケターはコンテンツ・マーケティングが非常に重要なものだと認識している。しかし、現実を見てみよう。一体どれだけのEブックとブログが座って読むに値するものだろうか?さらには、かなり良質なコンテンツを作ったとしても、競争の激しいキーワードで順位を獲得するのは簡単ではない。Eブックがバイラルになる、もしくはDharmesh Shah氏からElon Musk氏のような人が自社のコンテンツをツイートしてくれると思ってるなら、あなたの成功を祈るよ!

一般の消費者はオンライン広告・マーケティングに対して慣れきっている。どのようにしてこの状況を変えようか?消費者が広告に興味を持たないこの状況下で何が有効なのか?顧客がEメール、電話番号を渡すに値するとどのように証明しよう?

顧客の興味を引くのはデートに誘うときとそんなに変わらない。いかに自分が素晴らしいのか、もしくは月並みな口説き文句をいったりはしない。その人自身が特別な存在だと感じさせる、信頼を築くために一層の努力をする、本当に気にかけていることを示す、そしてさりげなく電話番号を聞くのだ!

今日の顧客は、あなたが顧客に対して気を配っていないこと、またいかにもなセールストークを言っているだけだと気づいている。
前述したことがあなたが顧客にすべきことだ。記憶に残る体験を構築すること、交流の機会を設けること、個々の顧客に合わせてカスタマイズを行うこと、付加価値を与えること、信頼を築くことだ。

それでは実際のこれらの顧客体験はどのようなものなのだろうか。

私たちは有名スタートアップとFortune500入りの企業に調査を行った。素晴らしい顧客体験のほとんどは後述の5つのデジタル体験のうちの1つに当てはまる。

カリキュレーター(計算機)

オンラインスクールに登録するもしくは、保険を購入する際にあなたが真っ先に知りたいのは「費用は一体いくらなのか」だろう。カリキュレーターがそんな喫緊の質問に答える手助けになる。費用は一体いくらなのか?投資対効果は何か?いくら節約できるのか?

現実に、購入決定のためのカリキュレーターを使った投資対効果、費用の計算が毎月数百万回実施されている。

カスタマーに平凡なランディングページを突きつけるのではなく、彼らの質問に直接答えられるようにしたらどうだろうか?インタラクティブなカリキュレーターの出番だ。

想像してもらいたいのだが、病院のサイトに「心臓病を患うリスクを計算しよう」というカリキュレーターがあればどれだけ顧客のエンゲージメントを高めることができるだろうか。もしくはオンラインスクールのサイトに「学問を修めるための費用をいくら節約できるか計算しよう」というカリキュレーターがあればどれだけコンバージョンを得ることができるだろうか。

レベル判定

顧客はいつも自分自身について知りたいと思っている。とりわけ自分がしている良くないことについて。もし成績をつけることができる場合、顧客は判定「A」を獲得するために努力することだろう。そして、その過程で顧客からの高いエンゲージメントと多くの顧客データを手に入れることができる。

一般の消費者はオンライン広告・マーケティングに対して慣れきっている。

SEOの判定、もしくはWebサイトのスピードの判定で自社のWebサイトをテストしている時のことを考えてみよう。一旦判定Aを獲得するためにしなければならないことがわかったら、そのために多くの努力をするだろう。

HubSpotを例に取ろう。Webサイトがマーケティングにしっかり対応しているか、ユーザーフレンドリーがどうかを判定するツールがある。インバウンド・トラフィックがどこで遅くなっているのかHubSpot の見込み顧客に伝えることで、信頼を築くだけでなく大量のWebサイトの情報を集めることもできている。
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Webサイトの判定が最も一般的なものだが、さらに他の可能性もある。大学は論文の成績判定ツール、IQレベル判定などを開発できる。ヘルスケア企業は腎機能値、BMI(肥満指数)などの人の健康データを判定するツールを利用できる。

コミュニティー

業界フォーラム、コミュニティーはまだ手がつけられていない有用かつ有望な分野だ。買い手は何か買う前に、ほとんどいつでも他の人からの意見を求めている。意見の交換ができるフォーラムはかなり価値が有るだろう。

すぐに、しっかりした回答をもらうことができる業界フォーラムを立ち上げることができたら、業界に関することを質問するための行きつけのサイトになることができる。そして、しっかりSEO対策をしている場合、フォーラム上での質問も検索に引っかかり多くの検索トラフィックを得ることができるだろう。
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最高の見本となるのはクラウドに関する意見をもらうことができるGartherのCloudAdviceフォーラムだろう。GartherはIT分野の調査・研究を行う企業だ。ITに関わる人のためのコミュニティーを作っており、そこで技術的な質問を投稿したり、課題となっていることを議論することができる。このフォーラムによってGatnerは見込み顧客に自社の存在を認知してもらえるし、また彼らをその業界の権威として確立することができる(示すことができる)。

Gartnerはフォーラムに「Weekly Heroes」というカテゴリーを設けゲーム感覚を追加している。ユーザーに報酬を与え、投稿を続けてもらえるようにインセンティブを設けているのだ。

ゲーム

ポイントサービスから実際のモバイルケームのようなゲーム体験はユーザーがゴールを達成したいように仕向ける。正しく使えば、ユーザーのエンゲージメント向上に役立ち、ブランドを印象づけることができる。
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チョコレートを販売する企業のKinder Joyは5〜12歳の子供向けのアプリの提供を開始した。アプリでクイズ、パズル、教育ゲームなどがある教育環境下に子供を置くことができる。コンテンツを楽しんでいる間、子供は継続的にKinder Joyのブランドに接することになる。子供の親がアプリの利用時間、接続を管理することができるので、信頼できるブランドという印象をあたえることができる。

これだけ大勢の企業がごっだ返している中では、最高のセールストークも効果的でない。
他の例にはVolkswagenがあげられるだろう。Volkswagenの車でレースができるクラッシクカーのレーシングゲームのアプリを作った。アプリ自体は非常にシンプルなものだが、ユーザーはゲームで新しいモデル、パーツを手に入れるために奮闘しながらVolkswagenのすべての車に詳しくなっていくのだ。

AR(拡張現実)

AR(拡張現実)とVR(仮想現実)は顧客のエンゲージメントを高めることにつながる新たなタイプの体験となる。お気に入りの例の1つはL’Oréalの「Makeup Genius」アプリだ。このアプリを使うことで、スマートフォンの画面上でL’Oréalの様々な化粧品を仮想で顔に試すことができる。報告によるとアプリは2000万回以上ダウンロードされているそうだ。

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2000万人もの潜在顧客を深くブランドにエンゲージするというのはマーケティングの世界で未曾有のことだ。L’Oréalは正確にあなたがどのアイライナーが好きなのか、あなたの顔がどんなタイプか、その他様々な情報を把握しているということだ。販売において、どれほど個々の顧客にカスタマイズした販売が可能になるか想像してほしい。

IKEAはAR(拡張現実)の利用成功例を持つ企業だ。IKEAのアプリは仮想でリビングスペースに家具を置くことができる。外出することなく数百万の机、椅子、洋服だんすを試してみることができるのだ。そしてここにIKEAにとって素晴らしいメリットが存在している。IKEAはあなたが何色の机を好きかといった情報だけでなく、家の間取り、部屋数、その他いろいろな情報を集めることができるのだ。

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このアプリという特効薬によって、IKEAがまるで顧客の家に上がりこむのと同じだけの多くの情報を得ることができ、大きな価値をもたらしている。

今日の顧客は、あなたが顧客に対して気を配っていないこと、またいかにもなセールストークを言っているだけだと気づいている。これだけ大勢の企業がごっだ返している中では、最高のセールストークも効果的でない。

それゆえ顧客を獲得する競争は広告への入札や誇大広告でクリックを誘ったりすることではなくなる。顧客との相互の交流、個々の顧客にカスタマイズしたやり方で真の価値をもたらすテクノロジーの最新の手法を駆使できた人が勝者になるだろう。

マーケティングのあり方が大きく変わっていることを考慮して、マーケティング部門は自社の「デジタル指数」は何かについて、そしてそれを最大化するにはどうすれば良いのか考え始めるべきだ。テクノロジーに精通した自社専属の科学技術者を雇い、IT/テクノロジー部門にもより力を入れ、熱心に製品開発に取り組むとよいだろう。

マーケティングが新たなITとなる日はそんなに遠くない。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

マーケティング・テクノロジー企業Performance HorizonがシリーズCで1540万ドルを調達

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Performance Horizonは、広告主がマーケティングパートナーとの関係を良好に保つのをサポートする企業だ。Performance HorizonはシリーズCラウンドで1540万ドルを調達したことを発表した。

Performance Horizonのソフトウエアは、ブランドや代理店はオンライン・パブリッシャーの多くが依存しているアフィリエイト・ネットワークをバイパスするという。パブリッシャーは、購入につながるアクセスやその他のコンシューマー・アクションと引き換えにマーケッターから利益を得るため、アフィリエイト・ネットワークを使用している。Performance Horizonのツール(キャンペーンのトラック機能や支払い機能など)で、マーケッターはパブリッシャーと直接的な関係を築くことができるようになる。

Performance Horizonのマーケティング部門のVPを務めるErik Mikischは、アフィリエイト・ネットワークの問題点は、多くのブランドと何千ものパートナーとやりとりしているため、「全てのクライアントに似たサービスを提供しなければならないことにある」と指摘する。すると、提供できるデータは限定され、シンプルなキャンペーンしか行うことできない。

「Performance Horizonのプラットフォームでカスタマーはとても詳細なデータを元に洗練されたキャンペーンを打つことができます。これで、利益の高いプロダクトのコンバージョンを促し、ブランドにもたらす売上や利益に応じて主要パートナーに報酬を提供することが可能です。高いライフタイム・バリューのコンシューマーの獲得にもつながります」とMikischはメールで答えた。

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シリーズCの調達ラウンドには、Greycroft Growth fund、Mithril、DN Capitalが参加している。本社をイギリスに構え、サンフランシスコ、ニューヨーク、シドニー、東京にもオフィスを持つPerformance Horizonは、調達した資金で売上の拡大とマーケティングチームの世界展開を進めるという。アメリカ、ヨーロッパ全土、中国と日本市場を狙っているようだ。

Performance Horizonは、これで累計3500万ドルを調達したことになる。同社は200以上のクライアントを抱え、次の12ヶ月で会社規模を倍にする計画だという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

FacebookがPOSシステムと連携、ユーザーの来店と購入までトラックできるように

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Facebookは広告収入における聖なる杯を見つけた。そして、今回SquareやMarketoといったPOSシステムとパートナーシップを結ぶことで、Facebookの広告を見て、どのくらいのユーザーが購入に至ったかを示すようになる。何も購入しなかったとしてもFacebookはGPS、ビーコン、WiFi、無線信号、携帯電話基地局などの情報と物理店舗の位置を照らし合わせる新機能で、その店舗を訪れたユーザー数が分かるようになる。

このデータがあれば広告主はFacebook広告により資金をつぎ込みやすくなる。Facebookでの広告のビュー数が、来店や購入に結びついたかを正確に示すことができるからだ。まだ物理店舗での売上が90%を占め、オンラインは少ない状況だ。Facebookは広告のビュー数、クリック数といった断片的な指標ではなく、広告が実際にどの程度購入につながったを測定できるよう、業界の進化を促そうとしている。

Offline Conversions API(オフライン・コンバージョンAPI)で、FacebookはGoogleと広告費を巡って競うことができるようになる。Googleは2014年からAdWordsに来店指標を導入し、最近では近くの店舗を示す地図付きの広告商品を出した。Facebookが広告主を惹きつけるには、人気のあるニュースフィードの広告を提供した上で、広告を見ている人が誰で、何に関心があるといったディープデータセットをも提供する必要があるだろう。

Facebookはプライバシーを守るために、データを匿名化して統計処理を行っているが、明確にオプトアウトできる選択肢が用意されていないのは不安な気持ちになる。特定の広告をフィードで表示しないように設定するか、Facebookの位置情報サービスを全部オフにするくらしかできない。この施策に不満を持つ人は、Facebookの他の機能が使えなくなったとしても、位置情報機能を切ってしまうことだろう。

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これまで広告主は、手元の広告購入と売上の推移の関係を漠然と予想するしかなかった。Facebookとパートナーシップを結んでいるDatalogixといったオフラインの購入データプロバイダーの提供データさえ正確とは言えないものだった。しかし、新たなオフライン・コンバージョンAPIでFacebookは店舗のレジスターやEコマースの売上管理ソフトウェアに直接アクセスし、店舗とオンラインの両方の取引状況をリアルタイムで取得することができる。それに加えデモグラフィックの詳細情報を得ることで、今後打つ広告キャンペーンの効果を上げることもできるようになるだろう。

店舗への来客を促したい広告主向けに、Facebookは新たなStore Locator広告商品も用意した。これは、ユーザーの近くにある企業の物理店舗の位置をカルーセル広告の最後に表示して、ユーザーが目的地への道順を取得できるものだ。Facebookを離れ、慣れないサイトの店舗検索を使用せずとも店舗の住所、営業時間、電話番号、ウェブサイト、各店舗への到着予定時刻がソーシャルネットワーク上で分かる。広告をクリックするとネイティブ地図アプリで目的地までの道順を確認することができる。

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FacebookのMonetization Product Marketing部門でディレクターを務めるMaz Sharafiは「オンライン広告の初期の頃を思い返すと、これが広告主が長らく待っていたことだったと分かります」。

広告主も同意する。アルゼンチンの電化製品の小売店、Fravegaでデジタルマーケティングマネージャーを務めるMariano Tordoは「Fravegaでは、Facebook広告経由のEコマース収益の1ドル毎に対し、実際には物理店舗で2.20ドルを得ていたことが証明されました。新たなソリューションで私たちは、広告投資を最適化し、納得して広告費を増やすることができました」と言う。

フランスの小売店E.Leclercは、彼らが出した広告の1つでは、クリックの12%が7日以内の来店につながっていたという。こういったデータは広告主がFacebook広告をさらに購入する動機となるだろう。

広告主はIBM、Index、Invoca、Lightspeed、LiveRamp、Marketo、Squareらとパートナーを組みAPI経由でオフラインのコンバージョン率を取得するか、あるいはFacebookと直接組むことができる。全てのユーザーが位置情報サービスを常にオンにしている状態ではないので、Facebookはサービスをオンにしている代表サンプルから、広告のビュー人数の何割が広告主の店舗へと足を運んだのかを推定する。

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位置データはStore Visits(店舗来客)指標として、次の数ヶ月間内にFacebookの広告パフォーマンス・ダッシュボードでの展開が完了した時点から利用できるようになる。FacebookのプロダクトマネージャーSam Englandはこの指標は「ブラックボックスへと通じる窓」と呼ぶ。このデータは、プライバシーの安全のため、匿名化して統計的に処理しているため、広告主は誰が広告を見て、来店して購入したかを特定することはできない。広告キャンペーンでターゲットした中の誰かが来店や購入したということだけだ。

投資対効果の不透明さが、どのプラットフォームでも企業がそれ以上に広告に投資することを躊躇わせる障壁となっていた。テレビ、印刷物、看板では、まるで売上や広告の閲覧数を特定する方法はなく、オンライン広告でもオンラインから直接広告をクリックして、売上につながった場合にしかトラックすることができなかったが、今回のFacebook広告はそれと比べると多くのことが分かるようになる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Apple、App Storeをアップデートへ―審査を高速化、検索広告と開発者取り分85%プラン等を導入

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恒例のWWDCカンファレンスの開催を控えて、AppleはApp Storeにおける一連のアップデートを発表した。Appleはこれらの変更がデベロッパー、消費者の双方に利益をもたらすと期待している。

ワールドワイドマーケティング担当上級副社長で、昨年11月にApp Storeの担当になったフィル・シラーは、登録申請から公開までの時間短縮、Appleと開発者の取り分の見直し、アプリの発見などを改良したと述べた。アプリの発見についてはApp Storeに検索広告が導入されることになったのが注目される。

今回のアップデートについては「遅すぎた」との批判が多く出そうだ。デベロッパーは開発したアプリをApp Storeに登録させるにも、ユーザーに気づかせるにも、ダウンロードしてインストールさせるのにも長年苦労してきた。実際、消費者は新しいアプリを試すのに飽きてきたようだ。大半のユーザーはここ1月以内に一つもアプリをダウンロードしていないという調査も発表されている。

新しいを獲得し、引き止めることがますます難しくなりつつあるモバイル・アプリの世界で、 App Storeは心機一転したフレッシュな外観の下で適切なアプリと適切なユーザーを引き合わせ、デベロッパーの収入を最大化することに努力しようとしている。

アプリの審査

AppleはまずApp Storeのアプリ審査のプロセスを改良した。これまで受付から公開まで5日かかっていた。アプリが関係法律を順守しており、消費者がインストールしても安全であるなど、Appleの定めたガイドラインに添っているかを確認するためにそれだけかかっていたわけだ。しかし、シラーがThe Loopのインタビューで述べたところによると、最近、公開までにわずか1日しかかからなかったアプリが多数あった。

シラーによれば、Appleは毎週10万本のアプリを審査しているが、このプロセスを高速化する方法を発見したという。Appleは現在安定的に50%のアプリを24時間で審査し、90%を48時間で審査できる。

これまでApp Storeに対してGoogle Playはアプリの審査時間が短いという大きな優位性があった。これはGoogleがアプリの審査過程の大部分をアルゴリズムで処理していたためだ(最近、Googleは人力による審査も加えたが、これは全体的な処理スピードには影響していないもようだ)。

サブスクリプションに85/15の取り分比率

またAppleはビジネスモデルにも改良を加え、売上をサブスクリプションに依存するデベロッパー向けに新しい取り分比率を導入した。現在Appleは伝統的な70/30の配分率を採用している。デベロッパーが70%を得るという配分率は、アプリが主として売り切りだった時代に確立された。しかし時代は変わった。

今回の変更で、サブスクリプションの場合、1年めは従来通り70/30だが、2年目以降は85/15の分配率となる。これはゲームだけでなく、App Storeで公開されるあらゆるジャンルのアプリに適用される。

Appleによれば、サブスクリプションの認定を受けるためには次のような条件がある。つまりアプリが定期的にアップデートされるかコンテンツが配信されなければならない。あるいはクラウド・ストレージや多人数ゲーム(MMOG)のようにアプリ内から既存の有料サービスにアクセスできる必要があるということだ。

Appleは現在すでにユーザーが1年以上にわたって利用しているサブスクリプション・ベースのアプリは上記の新しい配分率が適用され、売上の85%をを受け取る資格があるとしている。この変更は次の月曜日、6月13日から適用される。

デベロッパーはまた地域別に異なる料金を設定したり、新規ユーザーに対するサブスクリプション料金をアップしたりすることもできるようになった。新システムはユーザーにとってもアップグレード、ダウングレードなどがしやすくなっているという。

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Above: App Store search ads (via The Loop)

アプリの発見と広告

最後に、今回のアップデートでいちばん影響の大きい点だろうが、アプリの発見についてもAppleは大きな変更を行った。

多くのデベロッパーはApp Storeはアプリが発見しにくいという問題に長年つきまとわれてきたと考えている。

Appleはこの秋、 App Storeのおすすめ(Featured)セクションを全面的にアップデートし、ユーザーがすでにインストールしているアプリは表示されないようにするなどの変更を予定している(Appleは今月、同様の改良をApple TVでも実験したが、この場合はトップ・チャートに影響が出てしまった)。

Appleはまた「カテゴリー」のタブを復活させる。ユーザーはApp Storeのナビゲーションがしやすくなるはずだ。また圧力を感知する3D Touch機能が利用できるデバイスの場合、友達とアプリ情報を共有できる。iOSデバイスのホーム画面でアイコンを押すとソーシャルネットワークでの共有が可能になる。Appleは便利な割に利用されていない3D Touchのショートカット機能をプロモーションしようとしているようだ。

現在App Storeは木曜日ごとにアップデートされているが、AppleがiMoreで述べたところでは今後は更新の頻度が増える。

ビジネスモデル上の最大の変化は、App Storeにおける検索広告の導入だろう。ユーザーが名称ないしキーワードでアプリを検索する際に広告が表示され、デベロッパーは掲載料金についてオークションで入札することができるようになる。これはGoogleのAdWords広告と似た仕組みだ。

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App Storeに150万ものアプリが登録されるようになり、アプリの発見に関して検索はますます重要性を高めている。Appleによれば、App Storeでダウンロードされたアプリの65%は検索を発端としている。

App Storeの検索広告は、検索1回について1件だけ表示されるとAppleでは強調している。また広告は検索結果一般とはっきり区別できるよう表示される(青地にAdのアイコンが付される)。表示内容はApp Storeに登録された内容そのものとなる。どのユーザーが広告をクリックしたかなどのデータはデベロッパーには知らされない。デベロッパーは広告のパフォーマンスに関するレポートは受け取るが、ユーザー情報を受取ることはできない。またAppleが不適当と認めた場合、広告は13歳以下のユーザーに対しては表示されないとシラーはThe Loopに語った。

検索広告の料金は最低料率や独占的契約を排除した純然たるオークション・システムで決定される。これは大手デベロッパーが広告で独占的な地位を占めるのを防ぎ、小規模なデベロッパーにも広告を利用しやすくするためだ。

検索広告は来週月曜日にまずアメリカ市場にベータ版として導入される。全世界に拡大されるのはこの秋になる予定。

今回のアップデートは単にiOSだけでなくAppleが運営するすべてApp Storeが対象となる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Instagram、近くビジネス向けにアプリ内広告ツールをリリース―投稿がその場で広告になる

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今朝(米国時間5/31)、Instagramはビジネス・ユーザー向けツールをリリースすることを公式発表した。これには新しいフォーマットのビジネス・プロフィール、アナリティクス、そしてInstagramアプリ内からの投稿をそのまま広告にする機能などが含まれる。

今回のローンチについてはしばらく前から情報が流れていた。全般的にみて新しいプロフィールアナリティクスを通して得られるユーザー情報などに関する事前の情報は正しかったようだ。

Instagramではツールの正式公開前に何百社ものベータテスターから広告プラットフォームに関するフィードバックを得ていた。ビジネス・オーナーからの各種の要望が新しいプロフィールやInsightsと呼ばれるアナリティクスになったものだろう。

Instagramのビジネスとブランド開発のグローバル責任者、James Quarlesは、今回のビジネス・ツール発表の背景をこう説明する。「われわれの広告のアクティブ・ユーザーは20万に成長した。その大部分はスモール・ビジネスや中規模のビジネスだ。それに加えて、Instagramのユーザーの50%はなんらかのビジネスをフォローしている。60%のユーザーはプロダクトやサービスに関してInstagramで情報を得ている」

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われわれが以前報じたとおり、ビジネス・オーナーは新しいプロフィールにアップグレードすると拡張されたビジネス・ツールを利用することができるようになる。これには消費者がビジネスに電話、メール、メッセージで問い合わせできる能力、所在地が簡単に分かるナビゲーション付の地図などが含まれる。

ただしInstagramaのユーザーが誰でもこの機能を使えるわけではない。すでにFacebookページを開設しているビジネス・オーナーだけが、このページをInstagramのビジネス・アカウントに変換することができる。

「この方法ならば、Instagramのアカウントを作成する際にわれわれはユーザーの身元や支払情報に関する情報を得ている。またユーザーが望む場合はFacebookページのビジネス名、住所、電話番号、ウェブサイトのURLなどを再入力せずに利用できる」とQuarlesは説明する。

さらにこの方式であればビジネスを運営していないにも関わらず、Instagramを利用して売名行為に走る困り者を排除できる。こういしたユーザーはInsights(アナリティクス)のようなInstagramのすぐれた新機能を利用できない。ただし機能の詳細は利用コミュニティーの拡大とともに多少変更される可能性がある。

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Insightsを利用するとビジネス・オーナーは投稿した広告のパフォーマンスを調べられるだけでなく、顧客の人口動態統計もモニターできる。既報のとおり、このツールでは閲覧者属性、閲覧者数、インプレッション数、エンゲージメント数などが分かる。またフォロワーの性別、年齢、居住地域に関する統計も表示される。

Insightsはモバイル第一主義でデザインされている。つまり大企業の場合、担当者が出先から手軽に利用できること、スモール・ビジネスの場合はモバイル・デバイスがInstagramの主要な利用手段になるということなどを念頭に置いている。

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また今回、Instagramは手軽なモバイル広告作成手段の提供を始めた。ユーザーは投稿のアナリティクスを調べ、人気の高い投稿をアプリ内から広告に変換できる。アプリはまたオーディエンスの反応と広告予算をベースに適切な広告方法を提案する。ビジネス・オーナーはこうした機能の数回のタップで利用できる。ただしFacebookが提供する本格的な広告ツールであるAds ManagerPower Editorと比較するとアプリからの出稿には機能面でやや制限がある。

たとえばFacebookのデスクトップの広告ツールの場合、ユーザーはターゲットとなるユーザーを指定するためにメールアドレスのリストを送信したり、ランディングページでFacebook Pixelなどの高度なトラッキング機能が利用できた。Instagramのアプリ内広告ツールはこうした機能が省かれているかわりに使い勝手とスピードとが大きく改善されている。

ただし、InstagramがFacebookグループの一員であるというメリットをフルに利用するためには、豊富なk情報が得られるFacebookのデスクトップ広告ツールを併用するのが効果的だろう。【略】

Instagramの新しいビジネス・プロフィールはこの数ヶ月以内にアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで公開される。年末までには全世界で利用可能になるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Supership、SSP事業「Ad Generation」でスマホネイティブ広告を強化

Facebookオーディエンスネットワークを含むAd Generationのイメージ図

Facebookオーディエンスネットワークを含むAd Generationのイメージ図

2014年10月にKDDIが中心となって立ち上げたモバイルインターネットの新ポータル構想「Syn.」。このSyn.のプロジェクトに参画するKDDI傘下のスケールアウト、nanapi、ビットセラーが合併して立ち上がったのがSupershipだ。

同社ではこれまで3社で展開してきた事業に加えて、新事業の立ち上げを進めている。Syn.のアライアンス拡大も着々と進めているが、サイト上にあるプレスリリースを見ると広告ビジネスの会社の印象が強い。中でも旧・スケールアウトが展開するSSP「Ad Generation」が好調なのだそう。月間広告リクエスト数は160億インプレッション。2015年11月にはFacebookとのパートナー提携も発表。Facebookのオーディエンスネットワークによる広告配信も可能になった。

「サービスの開始は年半前。すでに競合がおり、最後発のサービスだった。だがまだアプリに強いSSPはウェブに比較すると少ない状況。SSPとして自由に使え、透明性の高いモノを無料で提供できるように考えた」—Ad Generationの事業を統括するSupership ジ・アドジェネの池田寛氏はこう語る。

あまりTechCrunchは広告の話題を取り扱ってきていないので改めて説明すると、SSPとはSupply-Side Platformの略称。複数のDSP(Demand-Side Platform:広告在庫の買い付けから配信までを管理する広告主側のツール)やアドネットワークから、メディア(アプリなどの「面」を持つサービスを含めてのメディアという意味だ)にとって最も収益性の高くなる広告を自動で選択・配信するツールを指す。

中の人が「最後発のサービス」と語るとおりで、配信規模で同社を上回る国内SSPはあるが(例えばジーニーの「Geniee SSP」で月間500億インプレッション、VOYAGE GROUPの「Fluct」は月間250億インプレッションをうたっている)、Ad Generationはスマートフォンアプリで導入が盛んだという。時期の詳細は明かされたなかったが、App Storeのランキング上位100アプリの40%がAd Generationを導入しているというケースもあるそうだ。

そんなAd Generationだが、今後はネイティブ広告の配信を強化したいと語る。

「comScoreが発表したレポートによると、84%のユーザーは1カ月に一度もバナーをクリックしないという話があった。またGoogleの発表では、モバイル広告の半数は意図しないクリックだという話もある。スマートフォンユーザーにとって、結局バナー広告は無駄で邪魔なモノでしかない」(池田氏)

とは言え、まだまだすべてのネイティブ広告が洗練されているかというとまた別の話。「記事だと思って読んだら広告だった」ということで媒体価値を落とす可能性もある。そのため、「文字の色を変え、通常の記事とは数ピクセル空けるなど、広告だと一目で分かるレイアウトを用意する。間違えて広告を押してくれるほうが儲かるかも知れないが、真面目にやっていく。広告でも有益な情報であればユーザーは広告を押すし、クライアントの商材価値も上がる。『バナー広告を捨てる』は言い過ぎだが、それくらいの気持ち」(池田氏)

池田氏はこういった取り組みの結果がFacebookとのパートナーシップにも結びついたと語る(なおSupership代表取締役社長の森岡康一氏はFacebook Japanの元副代表だ)。Facebook広告の売り上げは2015年通期で前年比44%増の179億ドル。これは2015年通期で674億ドルのGoogleに次ぐ世界第2位の数字で、急速に売り上げを拡大している。

実際オーディエンスネットワークによる広告は、CTR(クリック率)で国内のアドネットワークと比較して約1.2〜2倍、eCPM(1000ページビューあたりの収益)で約1.5倍程度になるのだという。「オーディエンスターゲティングによってユーザーに最適な広告が配信されているほか、世界約300万社の広告主が配信するため、国内のアドネットワークと比較して広告への興味が摩耗しにくい。またネイティブデザインのため、ユーザーの抵抗が少ない。またオーディエンスターゲティングに基づいた配信のため、広告効果も高い」(Supership)

YouTubeが長さ6秒のバンパー広告を導入、ビデオ広告の俳句だとさ

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YouTubeが今日(米国時間4/26)発表した広告形式は、とにかく短いことが特徴だ。

ブログ記事でプロダクトマネージャーのZach Lupeiが、YouTubeはスマートフォンでビデオを見る場合に適した広告形式を探していた、と述べている。そして作られたのが、バンパー広告(Bumper ads)、長さが6秒しかないビデオ広告だ。

とても短い広告(コマーシャル)は、前からある。短いバンパービデオをどなたもテレビで見たことがあると思うが、それをヒントにしている。今は、オンラインビデオの多くがとても短くなっているから、広告もそれに合わせるべきだ。30秒のプリロールでコマーシャルが1分もあるのは、困りものだね。

ただしYouTubeの考え方では、この形式が既存の広告形式をリプレースするのではなく、新しく加わるのだ。アドバタイザーは前と同じく、長いビデオを主に使う広告キャンペーンを展開するが、そこに短いバンパー広告を加えて、到達視聴者数を増やす。とても短い広告だから、スキップもできない。

たとえばAtlantic Recordsはバンパーを使ってRudimentalのセカンドアルバムをプロモートしているが、各バンパーがゲストミュージシャンを一人々々紹介している。一方Audi Germanyは、長いビデオ短く切った小片を使っている

“バンパー広告はビデオ広告の‘俳句’だと考えたい。クリエイティブの人たちから、どんな名作が生まれるか、今から楽しみだ”、とLupeiは書いている。アドバタイザーたちが一般的に利用できるのは、5月からだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookの国内アクティブユーザーは2500万人、92%がモバイル利用——10代ユーザーの割合は少ない?

Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏

Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏

Facebookの国内月間アクティブユーザー(MAU)は2500万人、その92%はモバイルからアクセスしている。InstagramもMAU1200万人まで成長——Facebook Japanは4月20日に東京・六本木で開催したプライベートイベント「Mobile Moves People」を開催。Facebook Japan代表取締役の長谷川晋氏がこんな数字を発表した。

モバイルの時代は「もう来ている」

イベントの冒頭に登壇した長谷川氏は、2015年7〜9月期に国内スマートフォンユーザー数は5080万人と5000万人の大台を突破したとし、あわせて人々が携帯電話やスマートフォンに接触する時間が10年で7倍に増加(これはテレビや新聞、ラジオなどの各種メディアのうち21%を占める数字だ)していると説明。スマートフォンがブランドと消費者、ビジネスと消費者を繋ぐ役割を担っていると語った。

この流れは若い世代ほど大きい。すでに10代、20代のファーストスクリーン(一番接触している「画面」)がスマートフォンになっており、20代女性の78%がスマートフォンで商品購入経験があるというデータも示した上で、若い世代にとって、スマートフォンがマーケットの窓口にもなっていると話した。

そんなスマホシフトした時代により重要度が増しているのが「動画」だ。長谷川氏は動画について「単独のトレンドで見るのではなく、モバイル上でのコミュニケーションという点で捉えるべきだ」と語る。つまり昔は携帯電話上でテキストによるメッセージが生まれ、携帯電話にカメラがついて写真でのコミュニケーションが生まれた。さらにカメラの品質が向上することで動画を撮影するようになった、と(Facebookがその次のコミュニケーションとして考えているのは「AR/VR」による体験の共有だが、今はまだ動画が台頭してきた段階だ)。

事実、Facebookでは毎日80億回の動画が再生されている。ユーザーの急増するInstagramも動画の割合が増えてきた。具体的な数字は公開されなかったが、過去6カ月での動画再生伸び率は40%だという。自分自身やペットの動画もあれば、イベントレポートや著名人の情報発信など、様々な利用シーンがある。こういった背景から長谷川氏は「あらゆるシーンで動画の重要度が上がっている」と説く。

動画の重要性は広告の世界でも同じだと長谷川氏は続ける。Facebookではすでに動画広告、カルーセル(複数の写真をスライドして表示する)、360度動画、キャンバス(全画面表示で動画、カルーセルを組み合わせた広告)など、各種の広告商品を展開すると会場に向けて語った。「モバイル化する時代が来る来ると言われて何年も経っているが、モバイルのプラットフォームを運営している立場からすれば『もう来ている』。人を動かすマーケティングが求められている」(長谷川氏)

Facebookの広告フォーマット

Facebookの広告フォーマット

 

イベントではこのあと、Facebook Japan マーケティングサイエンスリードの小関悠氏がFacebook広告の成功事例に関するプレゼンを行った。Facebook広告は、ブランド広告に求められる(1)狙った人に届く精度(ある会社(社名は非公開とのことだった)とのテストでは、Facebook広告によるターゲットへのリーチ精度が95%以上だったのに対して、その他のターゲティング広告でのリーチ精度が62%以下だった)、(2)記憶に残るフォーマット(広告接触者、非接触者を比較したところ、一般的な施策では6ポイント程度の広告認知が進むところ、Facebookで9ポイント、Instagramで18ポイント上昇したという)、(3)他メディアとの相乗効果(テレビとFacebook、Instagramは利用シーンが異なるため、相乗効果がある)——の3つの要素を実現している、といった話だ。

FacebookとInstagram、テレビの利用シーンに関する調査

FacebookとInstagram、テレビの利用シーンに関する調査

 

実は10代ユーザーは少ない? スライドに疑問

最後にちょっと気になったスライドがあるのでここで掲載しておく。これはその小関氏のあとに登壇したFacebook Japan クリエイティブストラテジストの田中徹氏によるプレゼンの一部だ。

田中氏は、プレゼンの前に広報ストップがかかって数字(世代ごとの割合)を削除したと語っていたのだが、これは冒頭に書いた2500万人の国内Facebookアクティブユーザーの世代ごとの割合を示した図だ。数字が非公開ということなのでなんとも言えないところではあるが、この図の「世代ごとの割合」自体が正しいとしたら、実は国内Facebookのユーザー層は30代、40代以上が半分以上の割合をしめており、一方で10代(とはいえ16〜19歳の数字なので、そもそも対象となるのが他の世代の半分以下ではある)は全体から見ると決して大きい割合ではない…そんなことも考えられるものではないだろうか。

Facebook Japan クリエイティブストラテジストの田中徹氏によるプレゼンの一部

Facebook Japan クリエイティブストラテジストの田中徹氏によるプレゼンの一部

Googleは今年から‘ソーシャルエンジニアリング’的な広告をホストするWebサイトも警告の対象にする

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[アップデート: Googleはこのニュースを今日(米国時間4/12)、同社の企業ブログに載せたが、しかしこれは、今年の比較的早い時期にも発表されている。これがエラーなのか、それとも最初の発表以来、何かが変わったのか、今Googleに問い合わせている。]

Googleによると、同社はその”Safe Browsing”イニシアチブによって、Webサーファーたちを欺瞞的なオンラインコンテンツから守る努力を拡大している。この検索の巨大企業は今では、Googleが“ソーシャルエンジニアリング”広告と呼んでいるWebサイトにユーザーが遭遇したとき、そのことを告げて警報を発している。それらは、ユーザーに、Webブラウザーの通知やソフトウェアのアップデート、PCのエラーメッセージ、通常のWebサイトなど、信頼できるメッセージやコンテンツを受け取ったと思わせてしまう広告のことだ。

Googleはさらに続けて、こういうタイプの広告を載せたり、ホスティングしているサイトはGoogleがマークし、ビジターにそのWebサイトやWebページを開かずにすぐに去るよう、警告すると言っている。

上図のようなGoogleの”Safe Browsing”の警告メッセージを前に見たことのある人なら、Googleは“いい仕事してますね”と思っただろう。問題のページをユーザーのブラウザー画面にすなおに開く代わりに、赤いエラーページを出す。そして、ここから先へは行かない方がよい、と通告する。メッセージはユーザーが”Back to safety”ボタンをクリックするよう促すが、その疑わしいサイトやページを完全にブロックするのではなく、どうしても開きたい人には開かせる。

過去にはGoogleは、マルウェアをホストしたり、フィッシング攻撃に手を染めているサイトでは警報メッセージを出して、ユーザーのトラフィックを遮断していた。

昨年11月にGoogleは、Safe Browsing事業を拡張して、これからはソーシャルエンジニアリングの“攻撃”からもユーザーを守る、と発表した。ユーザーを騙して悪質なソフトウェアをインストールさせたり、個人情報を開示させたりする「騙しのサイト」に関しても警告する、というのだ。そして今日の発表では、その保護原則を広告に対しても適用することになった。

[このUpdateボタンをユーザーがうっかり押すと…]
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こんな広告(そう!広告です!)は、誰もがおなじみだろう。今ユーザーが使っているソフトウェアは古いからアップデートしろ、と言いつつ実は、良からぬプログラムをインストールさせようとしているのだ。

下図のように、”Download”ボタンや”Play”ボタンを押させようとする広告もある。これは健全なビデオのように見せかけて、実は著作権侵犯など不法なビデオサービスにユーザーを誘おうとしている。最近はテレビよりもインターネット、というメディア視聴者が増えているから、そういう人たちをカモにするサイトも増殖しているのだ。

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また下図のような広告や埋め込みは、上級のWebユーザーでも見抜けないことがある。Webサイトの、そのほかのコンテンツと同じようなデザインを、使っているからだ。まるで、そのWebサイトの機能の一部のような外見をしてるが、実は外部から挿入された悪質広告なのだ。

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Googleは今では、以上のような策略を使っているサイトや、そんな広告を載せているサイトに対して警告を表示する。どれも一見、信頼できるメッセージのような外見だが、実際にはソーシャルエンジニアリングのコンテンツだ。パスワードの再入力や、技術サポートの呼び出しを誘うメッセージも、つい信じてしまいがちだ。

Googleがこれらの悪質な広告をマークし、警告する場合、若干の許容幅がある。目標はあくまでも、頻繁に欺瞞的広告を出すサイトとの戦いであり、たまたま広告ネットワークがそんな悪質な広告を載せてしまった場合は罰しない。Googleが警戒するのは、ビジターがしょっちゅうソーシャルエンジニアリングなコンテンツに出会ってしまうようなサイトだ。

*アップデート: Googleによると、このコンテンツが今回、再掲載されてしまった経緯(いきさつ)は不明であり、現在調査中である。このニュースは、以前にも発表されている。

ソーシャルエンジニアリングとは、人間の社会的能力(とりわけ言葉…巧みな騙し言葉)を駆使した詐欺行為、詐欺技術のこと(コンピュータ技術ではなく!)。まるで当たり前のことのように何かをクリックさせてしまう(実は)悪質なダイアログは、その典型的な産物。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))