法律×IT領域で起業・サービス普及しやすく——LegalTech協会発足、RPAテクノロジーと業務提携も

テクノロジー、特にデジタルテクノロジーを既存の産業の中で活用する動きを指して「○○(産業)×テック」と、TechCrunchでも紹介することがある。金融×ITの「フィンテック(FinTech)」や広告×ITの「アドテック(AdTech)」などは、読者の方なら目にする機会は多いだろう。

とはいえ、日本でも話題になることが多くなったフィンテックでさえ、老若男女に広く知られているかと言えばまだまだ怪しいもので、ほかの領域ならなおさら認知されていないのが現実だ。法律×テクノロジーの「リーガルテック(LegalTech)」もまた、そうした領域のひとつ。この状況を打破するため設立されたのが、LegalTech協会だ。

今日発表されたLegalTech協会が設立されたのは、2018年9月。代表理事には集団訴訟プラットフォーム「enjin」を運営するクラスアクション代表取締役CEOで、弁護士の伊澤文平氏が就任している。

伊澤氏は日本のリーガルテックについて「対象企業も少なく、この領域で事業運営をするための下地もなければ社会的認知もほとんどないのが現状」と憂慮する。

「この状況では、弁護士の間や法務の領域では顕在化している課題のIT活用による解決だけでなく、クラスアクションが行おうとしているような、潜在マーケットへの進出もままならない。関連する士業に携わる個人をはじめとした、多くの人が、リーガルテック領域で起業しやすく、サービスを普及しやすくするための啓蒙活動などを行うのがLegalTech協会設立の目的だ」(伊澤氏)

先行するフィンテック業界では、2015年9月にFintech協会が設立されている。同協会は、この領域でスタートアップや一般企業、関係省庁との連携を図り、市場の活性化や日本の金融業界のプレゼンス向上を目指して活動。2018年10月末現在でベンチャー107社、一般法人241社と個人会員が参加し、一大業界団体として機能している。伊澤氏はFintech協会をモデルに、LegalTech協会でも活動を行っていく考えだ。

具体的には、国内外の関連する団体などとの情報交換や連携・協力のためのミートアップや、ビジネス機会創出のための活動、関連省庁との連携や意見交換、リーガルテックに関する調査研究や情報発信などを実施していくことを予定している。

特に省庁への政策提案やガイドラインの策定・提言については「クラスアクション自身でも法律の壁を経験した」と伊澤氏は述べ、積極的に手がけていくという。

「幸い、弁護士や法務に携わる、法的素養を持つ人の集まりとなるので、ほかの領域の団体に比べてこうした活動は進めやすいだろう」と伊澤氏は話す。「弁護士や関連領域に携わる士業、リーガルテック領域のサービスを利用するユーザー企業も巻き込んで、議論やアライアンスの場、営業ツールとしても機能させたい」(伊澤氏)

既に弁護士や、クラスアクション以外のリーガルテック企業からの賛同も得ているというLegalTech協会。Wordで作成した法務文書の履歴管理・共有サービス「Hubble」を運営するRUC CEOの早川晋平氏、契約書の作成・締結・管理サービス「Holmes」(旧社名リグシー)の代表取締役 笹原健太氏、オンライン商標登録サービス「Cotobox」のCEO 五味和泰氏、東大発の判例検索サービス「Legalscape」の代表取締役CEOの八木田樹氏など、TechCrunchでも紹介してきたリーガルテックのスタートアップのほか多数の関連企業が参加を表明。さらに日本マイクロソフトが顧問として参加、ココペリSmartHRといった法務以外の領域の企業の参画も決定している。

伊澤氏は「リーガルテックに関わるすべての企業に参加してもらいたい」と話していて、年内にもセミナーを開催予定、そのほかにも研究会や分科会を協会内に設置していくということだ。

RPAテクノロジーズとの提携で士業の自動化を推進

活動の一環として、LegalTech協会は発足発表と同じ11月16日、RPAホールディングスの子会社RPAテクノロジーズとの間で業務提携契約を締結したことを発表した。

提携は、弁護士事務所をはじめとした士業の業務効率化を目的としたもの。RPAテクノロジーズが提供するRPA(ソフトウェアロボットによる業務の自動化)サービス「BizRobo!」を活用することで、士業関連業務に合わせたロボットを共同開発し、業務の置き換えによる負担の軽減を図る。

例えば、手書き書類のデジタル移行の自動化や契約書類の自動チェック、使用ツール間のデータ連携、判例検索とその絞り込みの自動化などの業務へのRPA適用が考えられている。

両者はまた、導入効果を測定・記録し、さらに業務改善につながるRPAソリューション開発のための提案も行っていくとしている。伊澤氏は「弁護士だけでなく、ほかの士業のニーズも把握したい」と話す。

「実は士業のRPA導入のハードルは高い。一方で、手書き書類の多さや業務の煩雑さなど、RPAで改善されるはずのことも多い。日本のRPAサービス提供者としては大手のRPAテクノロジーと組むことで、業界の業務改善を進めていきたい」(伊澤氏)

LegalTech協会とRPAテクノロジーズは、必要に応じて、これらの取り組みを行う別事業体の立ち上げも視野に入れながら、協業していく予定だ。さらにRPAの普及後は、各種業務へのAI導入・普及にも取り組んでいくという。

OracleがJavaの著作権侵犯裁判でGoogleに勝利

Oracle vs. Googleの因縁話はとっくに終わった、と思っていた方にとっては悪いニュースだ。火曜日(米国時間3/27)に連邦控訴裁がこの訴訟に新しい命を吹き込み、GoogleがOracleのJava APIsを使ってモバイルオペレーティングシステムAndroidを作ったことは著作権法の侵犯にあたる、と裁定した。判決文の全文はここにある。

この訴訟に中心にあるのは、こんな問いだ: Javaのようなプログラミング言語に著作権の保護は適用されるのか? Oracle vs. Googleの三度目の裁判を見るかぎり、著作権の適用範囲を広げようとするこのこの論争は、まだまだ決着していない。

Googleは、同社のJavaの使用は公正使用だ、とする立場を堅持してきた。2016年の陪審は、これに合意した。Googleは、Oracleが同社を訴訟した2010年の最初のラウンドでも勝利した。そのときOracleは90億ドルの損害賠償を求めたが、この訴訟は金額だけでなく、広義のソフトウェア開発の世界にとっても、大きな意味を持っている。

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Facebookは選挙広告に関する市の条例に違反したとシアトルが主張

シアトルの選挙管理委員によると、Facebookは市の条例に違反して、選挙戦のときの広告費の出所を公表しなかった。Reutersの記事は、シアトルの倫理および選挙管理委員会の事務局長Wayne Barnettが、Facebookは昨年の市の選挙の広告支出の情報を明らかにすべきであり、それをしなければ広告の購入一件につき5000ドルの罰金を課せられると述べた、と報じている。

Facebook, TwitterおよびGoogleは上院における証言を要求され、大統領選をロシアが妨害するためにソーシャルメディアをどのように利用したかを明かすよう求められてきた。昨年の秋にFacebookは、同プラットホーム上の政治的広告に関する透明性を高めると約束し、広告費をどこが払ったかユーザーに分かるためのツールなどを用意した。その前にFacebookは、2016年の大統領選に関連した3000あまりの広告が、ロシアと関連のあるバイヤーによって買われた、と認めた。

FacebookのVP Will CastleberryがReutersに語ったところによると、同社は“政治的広告の透明性を強力に支持している。シアトルの選挙管理委員会からの求めに応じて、適切な情報を提供した”、という。しかしBarnettによると、Facebookは市の職員に会って部分的な支出データを彼らに与えたものの、あれでは“公共の義務を満たすレベルにはほど遠い”、という。

Facebookは、選挙戦時の広告支出に関するもっと詳しい情報を提供する、と誓っているが、それをFacebookに強制した自治体はシアトルが初めてかもしれない。問題の核心は、ラジオやテレビやケーブル企業などが政治的広告を扱う場合のやり方、たとえば、どの候補にも平等に放送時間を配分し局の政治委員会は広告支出を公表すべし、といったことを定めている国や地方の法律がすべて、ソーシャルメディアの勃興以前に書かれたものであることにある。その結果、Facebookのようなオンラインのプラットホームに法を適用しようとすると、多くの混乱が生ずるのだ。

本誌TechCrunchは今、シアトルの倫理および選挙管理委員会とFacebookにコメントを求めている。

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一般庶民の日常的法律問題を助けるDoNotPayの訴訟書式チャットボットがついに1000種を超えた

[画像: 駐車券問題の対応]

自作のチャットボットDoNotPayが駐車券争いで役に立ち、一躍話題になった19歳のJoshua Browderはそれ以来、できるだけ多くの、よくある法律的ニーズをできるかぎり自動化して、司法を民主化したいという彼のクェストに、さらに没頭を続けた。その結果Browderは、アメリカのすべての州とイギリスで、これから訴訟を起こす人びとの訴訟文書の作成を助ける、およそ1000種あまりのボットを作ってしまった。

最初のDoNotPayボットは、徐々に新しい機能を加えていくにつれて、何のためにどうやって使うのかわからない、と訴えるユーザーが増えてきた。そこで彼はその路線をやめて、個々の訴訟案件タイプごとのアシスタント機能をできるだけたくさん作り、フルサービスの消費者向け法律ツールとして出直すことにした。

今日ローンチした新しいDoNotPayは、庶民がぶつかるあらゆる法律問題…出産育児休暇を認めないブラック企業、家主地主の契約違反、などなど…で、誰でも訴訟用のトランザクションフォームを書ける。その1000以上あるボットは、自然言語で検索できるから、ユーザーが自分の問題を述べれば、DoNotPayが自動的に関連のアシスタントへ連れて行く。

Browderはこのツールを作るときに、関連書式や法律の地域(州〜国)ごとの違いが膨大で、しかもそれらに対応しなければならないと覚悟した。今のDoNotPayはユーザーの位置を自動的に確認して、その地域に合った適切な情報を提供する。

[世界初のボット弁護士が今や1000種の案件をさばく]
[お困りの問題はなんですか?]
[出産休暇を延長したいんです]
[それはたいへんですね.やり方をお教えしましょう]

ここまで大きくなれば、誰もがVCからの資金や、収益化について考えるだろう。でもBrowderはVCには目もくれず、自分の作品が無料であることにこだわる。彼は今Greylockの社員起業家だから、給料もアドバイスも会社からもらえるのだ。

今後は、結婚、離婚、倒産などもっと面倒な法律処理にも対応したい、と彼は考えている。IBMはDoNotPayに対し、Watsonの利用をタダにしてくれている。ユーザーが自然言語で検索できるために、Watsonが必要なのだ。そんな技術も自分で作りたいが、今のところ彼の関心はほかのところ…訴訟関連とユーザー対策…にある。

今Browderがとくに力を入れているのは、エンゲージメントの増大だ。今のユーザーは数か月に一回ぐらいのペースで利用しているが、利用頻度がもっと増えても平気で処理できるほどの能力を、システムに持たせたい。

それが達成できたら、収益化が視野に入るだろう。Browderは、今でも自分が何をやりたいのかはっきりしていない、というが、一応構想としてあるのは、一部のボットには企業をスポンサーにできる、ということだ。たとえば駐車券問題のボットには、自動車販売店がスポンサーになりたがるかもしれない。

DoNotPay(そんな金払うな!)の語源となった駐車券問題ボットでは、人びとの930万ドルを節約し、37万5000件の紛争を扱った。今や、社会を変えたといっても過言ではない。そのツールは、AIの必要性を人びとが自然に理解できる理想的なケーススタディだ。技術的に革命的なところは、何もなくってもね。

VCたちがIPに私権の鎧を着せて、独創的なアルゴリズムや機械学習の博士号を守ろうとするのは当然だが、でも結局のところは、世界に対するAIのインパクトの多くは、既存の技術をうまく利用する、彼のような熱心な自由人の発想から生まれるのだ。

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ネット上の仮想民事法廷FairClaimsが$1.8Mを調達して司法の大衆化に挑戦

2年前にStephen Kaneは、彼の次のビッグアイデアを探していた。弁護士として超大手法律事務所O’Melveny & Myersにいたが、その後、弁護士たちのために判例法を分析するソフトウェア企業Lex Machinaに在籍、その間彼は次にやるべきことを探していた。

そこから生まれたアイデアが、FairClaimsだ。小額裁判になるような軽い訴訟をネット上で解決するサービスで、Kaneはそれを仮想“Judge Judy”(ジュディ判事)*と呼ぶが、良いたとえだ。〔*: Judge Judy, 小額民事裁判をエンタテイメント化したCBSの長寿(1996-)リアリティー番組。〕

小額裁判は法廷への出頭が必要で、おそろしく長期化することもある。そこでロサンゼルスのFairClaimsは、それに代わるものを提供する。

実際の裁判の費用は、州によって違うが75ドルが相場だ。FairClaimsはそれよりやや高い79ドルを払って、問題をプロの調停人に調停してもらったり、仲裁人の前で略式裁判を申し立てたりできる。企業の場合は、250ドルだ。

つまり個人だけでなくAirbnbのような企業は、ゲストとホストの争いを、このような仮想審理で解決する方向へ変わりつつある。

Kaneによると、彼のこのサービスは今や、共有経済に従事している企業の定番的サイトになりつつある。

“レンタカーのTuroはサービス規約にうちの利用を載せている”、と彼は言う。

同社の取り分は、仲裁人が要らない場合で解決額の10-20%だ。仲裁人は、証拠審理のあとで係争を解決した判事である場合が多い。そして、裁決までの時間は通常3週間以下だ(実際に裁判になってしまうと数か月かかることもあり、さらにその後聴聞に回されたりすることもある)。

主張や議論はすべて、調停人、仲裁人、原告、被告らのあいだで、ネット上または電話で行われる。

営業とマーケティングを拡大したい同社は、ロサンゼルスの大物投資家たちから定額転換社債で180万ドルを調達した。

そのラウンドには、Greycroft, Crosslink, それに新顔の投資ファンドFikaらが参加した、とKaneは言っている。

その資金調達は、同社の宣伝機会でもあった、とKaneは考えている。法律サービスを大衆化する、という同社のメッセージが多少は世の中に伝わっただろう、と。

“わが社のミッションは、司法へのアクセスをサービスとして提供することだ”、とKaneは語る。

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テクノロジーの利用による効率化が遅れている大企業の財務や法務にコラボレーションを持ち込むClauseMatch

ClauseMatchのCEO Evgeny Likhodedは、契約交渉というものがどんなものだったか、よくおぼえている。彼がMorgan StanleyやGazpromにいたときは、各種金融製品や商品取引をめぐって契約や合意を交渉するチームに配属されていた。

エンタープライズの多くの部分でテクノロジーが進化したが、Likhodedによると、財務や法務、保険関連などコンプライアンスが厳しい部門では、圧倒的にMicrosoft Wordに依存して文書の作成や編集を行い、それらの変更や承認を行う部署への配布には、圧倒的にメールが使われていた。

“大企業の、とくに法務の連中の仕事は、そこに何らかの文書が絡んでくるといつでも、何人かの利害関係者たちが意見を述べ、変更を加え、その文書を承認していた。文書を10か20の部署に送ると、それぞれ異なる10通が返ってきて、それらをすべて原本に取り入れなければならない”、とLikhodedは往時を語る。

関連部署が増えるとさらに複雑になる。80から100名ぐらいからの入力や承認が必要になると、Likhodedによれば、人びとは原始的な変更追跡とバージョンコントロールのフォームとしてスプレッドシートを作った。そして多くの場合、監督部門は文書の作成過程を理解するために監査証跡〔完全詳細な変更・編集履歴〕を見たがるので、問題はさらにややこしくなった。

これらすべてを踏まえてLikhodedは、ClauseMatchの構築に取り組んだ。財務や法務関連のチームがリアルタイムでコラボレーションしながら文書を作成編集し、変更を記録追跡し、承認のシルシを付け、そしてサインをもらうソフトウェアだ。

単純にすべてのアップデートをインデクシングして、すべての文書に完全な監査証跡が備わるようにする。文書がどう変化・進化してきたかよく分かり、誰がいつどこをどう変えたかも分かるから、機密情報も管理しやすい。

2016年の初めにソフトローンチしたClauseMatchは、バークレーズ(Barclays)に採用されて、同社のポリシー管理の合理化に貢献している。概念実証の段階で採用した数社は、近く完全なデプロイメントへ移行する予定だ。

その結果ClauseMatchは、Speedinvestがリードするラウンドで160万ドルのシード資金を獲得でき、それには既存の投資家SparkLabs Global VenturesとTechstars、元Thomson ReutersのCEO Tom Glocer、元SunGardのCEO Cristobal Condeらが参加した。

新たに資金を得たClauseMatchは、すでに成長しているチームをさらに大きくしたいと考えている。社員数は、1年前の6名から20名に増えた。今後はプロダクトチームを増員するとともに、営業とマーケティングを本格的に展開したい意向だ。

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資金難の公益訴訟をクラウドファンディングするイギリスのCrowdJusticeがアメリカに進出、$2Mのシード資金を獲得

公益訴訟をクラウドファンディングするスタートアップCrowdJusticeが、米国進出に際して200万ドルのシード資金を調達した。

First Round CapitalとVenrockがそのラウンドをリードし、Bessemerおよびこれまでの投資家Kindred Capitalが参加した。同社は、JustGivingの最初の投資家Bela HatvanyとJustGivingの会長Jonathan McKayを支援者として挙げている。

元国連の弁護士Julia Salaskyが2015年にロンドンで立ち上げたCrowdJusticeの事業は、訴訟費用を得ることが困難な事案にKickstarterモデルを持ち込むことだ。より一般的には、そのねらいは、司法にアクセスして社会の変化のために法を利用することを、誰にでもできるようにすることだ。Salaskyによると、今どこよりもそれを必要としているのがアメリカだ、という。

しかもそれは言葉だけではない。CrowdJusticeのファウンダーは12月に実際にニューヨークに引っ越した、と聞いている。実質的に会社を大西洋の向こう側へ移したのだ。イギリスでの操業は、“そこそこやれていた”というのに。

話題になった利用例としては、Brexitに対する“People’s Challenge”〔仮訳: 人間からの異議申し立て〕がある。それは最高裁における勝訴で、EU離脱は議会の議決が必要、とした。また最初のアメリカの事案は、トランプの移民の入国禁止に対する異議申し立てだ。

今日(米国時間5/30)のアメリカでのシード資金調達と時を同じくして、新たな募金キャンペーンが始まった。それは、カナダのスタートアップPirate JoeのファウンダーMike Hallattに対する巨大企業Trader Joeからの訴訟〔“商標盗用”〕で、Hallatの弁護費用を捻出するためだ。

Hallattは車で米加国境を越え、Trader Joeの品物を大量に仕入れ、それに利ざやを付けてバンクーバーの自分の店で売っている。Trader Joeは、カナダに店舗がないにも関わらず、Hallattの事業をやめさせようとして何度も訴訟を試みている。

Salaskyはこう声明している: “法律を誰もが利用できるようにすることが、今ほど重要な時は過去になかった。力のある者もない者も、権利を擁護し守り、あるいは行政の責任を問うことが、できなければならない。CrowdJusticeにおける私たちの目標は、訴訟の準備と資金調達に革命をもたらし、正義へのアクセスに格差をなくし、それを民主化することである。それが、ゴリアテ(巨人)に挑むダビデ(小柄な若者)であっても、あるいは行政を糺す非営利団体であっても、私たちは人びとに法へのアクセスを与えたい”。

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著作権管理ブロックチェーンのBindedが、朝日新聞などから95万ドルを資金調達

Bindedは、ブロックチェーンを使う公開データベース上に著作権の恒久的な記録を作ることによって、写真家が自分の知財を容易に保護できるようにする。

それまでBlockaiという名前だった同社は、今日からBindedになる。テクノロジーっぽい名前から、ユーザーが得る利益、すなわち法的拘束力(binding)のある記録を作ること、を前面に打ち出した名前に変えたのだ。これなら、ビットコインやブロックチェーンを知らない人たちにもアピールするだろう。

ついでに同社は今日、新たな95万ドルの資金調達を発表した。その投資家は、Mistletoe, Asahi Shimbun, Vectr Ventures, M&Y Growth Partners, Tokyo Founders Fund, そしてSocial Startだ。Mistletoeを率いるTaizo Sonはゲーム企業GungHoの創業者で、SoftBankのMasayoshi Sonの弟、Asahi Shimbunは日本の新聞「朝日新聞」だ。これでBindedの資金総額は150万ドルになる。

BindedのCEO Nathan Landsは、日本の投資家が顔を揃えたことで、同社が著作権管理のグローバルスタンダードになる道が拓(ひら)けた、と示唆している。

なぜそんなスタンダードが必要なのか? さよう、たとえばアメリカの場合なら、作品は作られたときから著作権を有するが、それが法的効力を持つためには特許庁に権利を登録しなければならない。Landsが主張するBindedのメリットは、それが権利発生と法的有効化との中間に位置する点だ。登録に比べると時間もお金もかからないが、それでも第三者による記録として法的価値を持ちうる。

“著作権というものを簡易化し大衆化したいんだ”、と彼は述べる。

その主張に即してLandsは、Bindedのコアプロダクトを“つねに無料”、としている。そして今後加えていくさまざまなサービス…登録代行など…を有料化して、収益源にするつもりだ。

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パテント・トロールに示談金を払わずに完勝する方法、Cloudflareの先行技術調査戦術に学ぶ

“トロールに餌をやるな”、と教えられる。しかし企業向け多目的逆プロキシサービスとして今や著名なCloudflareは、彼らから儲けの源泉を取り上げることによって、トロールを餓死させようとしている。

テクノロジー企業に対する特許訴訟はほとんど日常化しているので、多くの企業は高価な法務費用(そして短くない法廷関与時間!)を負担するよりも、示談ですませてしまうことが多い。企業がそうやって早くケリをつけようとするので、特許訴訟は原告トロールにとって濡れ手で粟の金儲け手段になっている。トロールたちはテクノロジー関連の特許を1ドル程度の安値で買い、その特許をネタにお金持ちの企業から示談を引き出す。

しかし先月Blackbird Technologiesと名乗るトロール企業がCloudflare(そしてクラウドプラットホームのFastly)を、プロキシシステムのエラーメッセージに関する1998年の特許で訴えたとき、Cloudflareは反撃を決意した。このCDN企業はProject Jengoと名付けた懸賞プロジェクトを立ち上げて、Blackbirdが保有する70あまりの特許のすべてを無効にすることをねらった。

Project Jengoは、特許が“先行技術”(prior art)である証拠を見つけるために、総額5万ドルの資金を用意した。その特許が謳っている技術が、特許が申請される前に広く使われていたことを示す証拠だ。先行技術の証拠は、特許侵犯の主張を‘根拠なし’にする。そして5万ドルの資金のうち2万ドルは、CloudflareとFastlyの訴訟に関わっていた特許を無効化するために使われ、残る3万ドルは、Blackbirdのそのほかの特許の無効化に投じられる。

CloudflareのCEO Matthew Princeがブログに書いている: “Blackbirdは2014年の9月以来107件の訴訟を起し、今後も同社の特許を使ってそのほかの企業を訴訟していくだろう、と思われた。そこで、Blackbirdの特許に先行技術の有無を調べることが重要であり、それによって今後彼らが弊社やそのほかの企業を訴訟できないようにする必要があった”。

その調査の結果、Project Jengoの訴訟ではCloudflareの勝訴が確定し、一般的なパテントトロールの事案と違って同社は、示談(〜和解金支払い)を回避できた。

Cloudflareの法務部長Doug Kramerはこう語る: “迷惑行為に対しては、示談で済ませる企業が多い。しかし弊社は、いかなる点でも示談にするつもりはなかた。示談は、問題の劇症化に貢献するだけである。すべての企業が、立ち上がって戦う必要がある”。

CloudflareはProject Jengoでトロールの特許訴訟を無効にしただけでなく、Blackbirdのトップも訴追している。同社は弁護士たちが創り、テクノロジーとはまったく無縁の企業だ。パテントを買ってそれらに関する訴訟を起こすことが、彼らの“事業”である。それは非倫理的である、とCloudflareは主張し、Blackbirdの弁護士たちを訴えている。

今Blackbirdにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

アップデート: “Blackbird Technologiesは弊社に対するCloudflareの申し立てを検討した。これらの申し立てには訴訟としての理非がまったくなく、したがって弊社としては強力に、それらから弊社を守りたい”、BlackbirdのCEO Wendy Verlanderは、本誌にこう語った。

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GoogleとIntertrustの共同事業PatentShieldはスタートアップを特許訴訟から守る

GoogleとIntertrustが今日(米国時間4/25)、スタートアップを特許をめぐる訴訟から守るプログラムPatentShieldのローンチを発表した。この事業の‘参加料’は、スタートアップ各社の所有権(株式など)の小部分だ。

その基本的な仕組みは、この事業に参加するスタートアップに、GoogleとIntertrustのポートフォリオにある一定のパテントの所有権を与えることだ。そしてそれを抑止力に利用して、既成勢力からの特許訴訟から自分を守る。Googleが同社の特許の一部を提供してこのプログラムの基礎を築き、メディアストリーミングやIoT、セキュリティなどの分野のパテントポートフォリオを持つIntertrustは、同社の特許の一部と同社知財チームの力をスタートアップに提供する。

スタートアップが訴訟されたら、PatentShieldのポートフォリオから特許を選び、原告を反訴して自分を守る。

Google法務部の特許担当次長Allen Loはこう説明する: “このプログラムは、些細でほとんど意味のない訴訟をテクノロジーの世界から減らすためにGoogleが開発した一連のイニシアチブの延長だ”。実際にGoogleは、かなり前から、特許訴訟からほかの企業を守ることにも、一定の関心を示してきた。たとえば同社のOpen Patent Non-Assertion Pledgeでは、サードパーティが作った無料またはオープンソースのソフトウェアが同社の一定のパテントに抵触しているおそれがあるときは彼らを訴訟しない、と確約した。ただしその特許集合は、2014年以降アップデートされていない。

Google, Microsoft, Facebook, IBMなど数社が昨年共同で、特許を売り買いするマーケットプレースを作った

でも、この事業のいちばんおもしろい部分は、参加企業がPatentShieldに株式(ないし企業所有権)のごく一部を付与することだ。Intertrustによると、その付与ぶんの大きさが“会社とその製品の成熟度や、彼らのマーケットにおける訴訟リスクを測る目安になる”、ということだ。

今Googleに、この事業における同社の役割と、同社自身もこれらの企業の持ち分を得ることになるのか、問い合わせている。答が得られたら、この記事をアップデートしたい。

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Googleがアプリのプリロードを反競争的とするロシア当局の裁定で780万ドルの罰金を払う

ロシアの検索ライバルYandexがかねてからGoogleを、ロシアにおける競争のルールに違反しているとして提訴していたが、このほどやっとGoogleは、ロシアの公正取引委員会に相当する連邦独占禁止庁(Federal Antimonopoly Service, FAS)との和解に達した。この訴訟の中心的争点は、Google Play Storeへのアクセスを容易にするためにGoogleが各社のスマートフォンデバイスに、同社のアプリケーションを強制的にプリロードさせている件だ。それをYandexおよび今回のロシア当局は、違法と見なした。

FASがGoogleに命じた罰金の額は、米ドル換算でおよそ780万ドルである。プリロードが反競争的と裁定されたのは、2015年の9月だ。ロシアの通信社TASSによると、この金額は2014年のロシアにおけるGoogleの売上の9%に対し今日までのインフレ率を適用した額だ。

示談という決着を最初に報じたのはReuters(ロイター通信)で、詳細はFASのWebサイトにも載っている。ロイターによると、この和解をロシアの裁判所が承認したのは月曜日(米国時間4/17)で、期限は6年9か月とされている。

裁定には罰金のほかにいくつかの協定も含まれ、Googleはロシアではメーカーに対しAndroid機に同社アプリケーションの排他的搭載を要求できない。また他社の検索エンジン等がAndroid機のホーム画面などにプリロードされることを、Googleが禁じてはならない。Android機にプリロードされる汎用の検索エンジンとして、GoogleはメーカーにGoogle検索を強制してはならない。これまでメーカーとのあいだに存在したその種の強制的契約ないし協定は、すべて無効とする。

Googleは、サードパーティが自社の検索エンジンを選択ウィンドウに含めることを、許容しなければならない。またChromeブラウザーのためには、ユーザーが既定の検索エンジンを自由に選べるような選択ウィンドウを、Googleは開発しなければならない。

また、これまでのようにホーム画面に最初からGoogle検索のウィジェットがあるのではなく、新たにChromeウィジェットがあって、そこから〔検索エンジンの〕選択ウィンドウが立ち上がるようにしなければならない。

そして和解の承認から60日以内にGoogleは、来年以降の選択画面にロシアの、参加希望を持つすべての検索エンジンが載るように、取り計らなければならない。

ロシアではメーカーがAndroid機に、Google以外のそのほかのアプリケーションも自由にプリロードできなければならない。

Googleの反競争的振る舞いを調査しているのは、ロシアだけでなない。EUも同様の嫌疑でAndroid OSを調べているが、それに対しGoogleは、アプリやサービスのプリロードは他社(すなわちApple)との競合のためだ、と反論した。この件では2月にBT〔‘イギリスのNTT’〕がGoogleの味方をしたため、結論は先送りされている。

Googleのスポークスパーソンは和解の詳細を確認して、次のような声明を述べた:

“Yandexとの商業的合意、およびロシアの競争規制当局Federal Antimonopoly Service(FAS)との和解により、Android上のGoogleアプリの配布をめぐる競争上の問題が解決したことは、欣快至極である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ISPがユーザーの承諾なしで個人データを収集してもよい、と米上院が議決、下院はどうなるかな?

FCCが昨年作ったブロードバンドのプライバシー規則は、上院における昨夜の激しい議論と今朝(米国時間3/23)の投票により、危機に瀕している。この規則でとくに重要なのは、ISPがそのサービスから得た、閲覧履歴などの要注意データを使用するためには消費者の許可を要する、という部分だ。

これは、まずいんじゃない、ねぇ? 昨晩の記事に詳しく書いたけど、1996年の通信法の制定を主導したマサチューセツ州のEd Markeyをはじめ、多くの上院議員が、この議決に反対した。

上院は50対48で、規則廃止に傾いた。規則が廃止されるだけでなく、Congressional Review Act(CRA)という法律により、同様の規則の今後の制定もできない。次は、下院だ。

FCCのMignon Clyburn委員とFTCのTerrell McSweeny委員が、共同声明で次のように述べている: “大統領の署名によりこの法律は、広く支持されていたブロードバンドのプライバシーの枠組みを無効にし、ケーブルとブロードバンドのプロバイダーは、顧客の重要な個人情報を売る前に承諾を得るべし、という要件を廃棄する”。

ネットアクセスに関する消費者保護団体Access Nowの法務担当Nathan Whiteは、こう言う: “この決議は人権と市民的自由よりも企業の利益を優先している。下院が消費者のために立ち上がり、インターネットのプライバシー保護がCRAによって葬り去られることを防ぐ必要がある”。

関連記事(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

自動運転車をめぐるGoogleとUberの法廷闘争が過熱、問題の技術者の一人が行方不明

自動運転車の開発をめぐるGoogleのUberに対する法廷闘争が、すでに最初から醜い様相を呈している。両社の弁護士はこれまでの二日間、Uberへ移った元社員〔複数形〕に盗まれたとGoogleが主張する企業秘密の閲覧許可に関して、激しく言い争った。そして今日、Uberの弁護士は法廷で、それらの技術者の一人を見つけることができなかった、と述べた。

Googleの自動運転車部門〔Waymo社〕は、自動化車両の開発で第一級のエンジニアだったAnthony LevandowskiがGoogleから企業秘密を盗み、その後唐突に退社した、としてUberを訴訟した。直後に彼は自分自身の自動運転トラックの会社Ottoを創り、それをUberが6億8000万ドルで買収した

原告企業のWaymoは、Googleの親会社Alphabet傘下の自動運転車企業だ。同社の主張では、2016年の1月にLevandowskiは、セキュリティ対策の施されているリポジトリから14000件の機密文書を無断でダウンロードし、その直後に退社した。同社は、ほかに二人のエンジニア、Radu RadutaとSameet Kshirsagarを、いくつかの文書を無断で持ちだしてから、同じくUberに雇用された、として告訴している。

Radutaは、すでにUberにいない、とUberの弁護士Arturo Gonzalezは法廷で語り、Uberは彼の所在を見つけられなかった、と言った。Waymoの主張によるとRadutaは、同社のメカニカルエンジニアだったが、Uberへ移る直前の昨年7月に、自動運転車関連の文書数件をダウンロードした。

Gonzalezは記者たちに、今後Uberは、この件はすべてGoogleとLevandowskiとの間(あいだ)の問題である、と主張していくつもりだ、と述べた。Gonzalezは、Levandowskiと彼の元雇用主〔Google〕との契約を、引証した。

Uberはまた、同社の社内弁護士の誰一人として、Googleの企業秘密が含まれている法廷提出文書の、元の完全な形を見ることが許されなかった、とWaymoを反撃した。そして両社は、Uberの社内弁護士Nicole Bartow一人だけが、その文書の閲覧を許される、という合意に落着した。

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デベロッパーが直面する難題、オープンソースのライセンス管理を助けるFOSSAが$2.2Mのシード資金を獲得

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FOSSAは、デベロッパーのために、オープンソースのライセンスの管理という面倒な仕事を助けたい、と願っている。その同社が今日(米国時間2/23)、220万ドルのシード資金の調達を発表した。また、その社名と同名のプロダクトが、今日から公開ベータで提供されることも発表した。

今回の投資はBain Capital Venturesがリードし、Salesforceの会長でCEOのMarc Benioff, YouTubeの協同ファウンダーで元CTOだったSteve Chen, Skypeの協同ファウンダーで元CTOのJaan Tallinn, Clouderaの協同ファウンダーでCTOのAmr Awadallah, Tinderの協同ファウンダーでCMOのJustin Mateen、というオールスターメンバーが参加した。

これらの個人たちは、オープンソースのライセンス管理が重要かつ困難な仕事であることを、十分に理解している人たちのようだ。FOSSAの22歳のファウンダーKevin Wangによると、今時(いまどき)のプログラムは一連のオープンソースおよびサードパーティ製の部品で組み立てられる傾向があるが、しかしその一つ々々に独自の権利要件がある。それらすべてと正しくつき合っていくことはデベロッパーにとって大変な仕事であり、しかも既成のソリューションは乏しい。というか、今はほとんどの人がスプレッドシートを使って手作業でライセンス要件をチェックしている、とWangは述べる。

“今年はすでに2017年だが、私たちは未だに、自分が何を作って何をリリースしたのかをよく知らない。デベロッパーは、自分のコードのコントロールを握っていない”、と彼は語る。

彼のプロダクトはこの問題を、すべてのコードを自動的に分析することによって解決するようだ。そのシステムはライセンス要件を見つけて、問題があれば修復を提供する。追跡のためのツールとしてJiraや、Slackなどを推薦することもある。報告は正しい法律用語で書かれているが、Wangによるとそのためにオープンソースの法務ソフトを利用し、また詳細情報や著作権情報は自動的に生成する。

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写真提供: FOSSA

同社への投資ラウンドをリードしたBain Capital VenturesのマネージングディレクターSalil Deshpandeによると、この分野でエンタープライズ級のソリューションを見たのは、これが初めてだそうだ。“現代のソフトウェア開発のトレンドは、スピードの向上とリスクの増大の両方を抱えている。ライセンス管理の自動化はもはや、あればいいねの段階ではなく、なければ危険の領域だ”、と彼は声明文で述べている。

今やコード中に正しい権利情報が書かれていないと、コードの無断使用で訴えられることすらある。Wangは自分のソリューションが完璧だとは言わないが、開発チームが手作業で正しい完全なコンプライアンスをやるのはほとんど不可能だ、と述べる。一つのソフトウェアが、サードパーティ製のプラグインやライブラリを何百も使っているからだ。“そして結局は、責任を顧客に押し付けることになる。でも私たちは、最小の努力で実現できる、できるかぎりのコンプライアンスを提供していきたい”、とWangは語る。

FOSSAは2014年に創業し、今では10名弱の社員がいる。シード資金は、技術者と営業の増員、そしてマーケティング努力に充てたい、とWangは言っている。

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大手アパート管理代行企業がAirbnbを訴訟…物件の一部が‘Airbnbホテル’のようになるのは困る、と

PARIS, FRANCE - APRIL 11:  A view shows an underwater room structure installed by the Airbnb accommodation site in the Aquarium of Paris, on April 11, 2016 in Paris, France. Airbnb and the Aquarium of Paris offer contest winners a night underwater sleeping with sharks.  (Photo by Chesnot/Getty Images)

早くも立場が逆に。サンフランシスコニューヨーク市アナハイムを訴えたAirbnbが今度は、訴えられる側になった。およそ5万件の不動産物件を抱えるアメリカ最大のアパート管理代行会社Apartment Investment & Management Company(Aimco)がAirbnbを、同社(Amico)が管理or保有する賃貸物件に関する違法行為を意図的に奨励した、として訴訟した。Wall Street Journalが、そう報じている

カリフォルニアとフロリダの2州で訴状を提出したAimcoは、金銭的被害を訴え、また、裁判所命令でAirbnbが、賃借者がその賃借物件を違法に取り扱うこと〔Airbnb利用者への又貸し〕を、奨励できなくなることを求めている。訴えの主旨は、Amicoが管理代行している建物にAribnbが、“コミュニティの平和な環境の維持に価値を認めない身元不詳の個人”を連れ込んでいる、というものだ。

“弊社の賃貸物件に対する意図的な不法行為を積極的に奨励しそれから利益を得ているAirbnbのやり方は、許しがたい。また同社はそうするにあたって、同じ建物内の常住者とその家族を完全に無視し、彼らに対する無礼な態度を貫き、彼らにとって安全でない状況を作り出している”、とAimcoのCEO Terry Considineは声明文で述べている。“Amicoにその損害が賠償されることと、今後のAirbnbに弊社物件に対する違法行為への関与を禁じ、法を順守する住民たち*が良質な生活体験を享受できるようになることを、法廷に求める”。〔*: アパート全体がAirbnb化していない場合のこと。〕

Amicoによると、この訴訟に至るまでにAimcoは、昨年8月と10月と12月にAirbnbに対し、Airbnb上の物件の一部はAmicoの賃貸契約に違反している、という主旨の文書を送付している。

AirbnbのスポークスパーソンがWSJに語っている反論は: “それは強力な利益代表者によるミドルクラスに対する攻撃であり、裁判の本案(実体事項)にはなり得ない主張だ”、である。

Airbnbは家主たちをなだめるために、売上の一部を提供しているが、それに対する評価や成果は今のところ不明だ。今回の裁判の結果次第では、家主たちがAirbnbに対して、さらに強気な法的アクションを起こすかもしれない。

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Qualcommの反競争的行為を母国アメリカのFTCも告訴

LAS VEGAS, NV - JANUARY 06:  Qualcomm CEO Steve Mollenkopf speaks during a press event at the Mandalay Bay Convention Center for the 2014 International CES on January 6, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs from January 7-10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

世界各地で同様の告発を受けていたQualcommが、故国のアメリカでも大きな反発を食らっている。連邦通商委員会(FTC)は同社を告訴して、Snapdragonのメーカーであるこのサンディエゴの企業が反競争的な手法によりチップビジネスにおける独占を維持しようとした、と非難している。

同委員会が今日発表した声明は、同社がそのいわゆる“ライセンスなければチップなし”(no license, no chips)政策により特許の免許料をつり上げ、また競合他社のチップを使っている電話機メーカーにはより高いライセンス料を強要している、とその非難を詳述している。

FTCはこう述べている:

“No license, no chips”は、半導体デバイスの他の供給者たちが課していない条件である。Qualcommのベースバンドプロセッサーへのアクセスを失うことのリスクは携帯電話のメーカーにとって担うことができないほど大きい。なぜならばそれによってメーカーは、主要なセルネットワーク上で使用できる携帯電話を売れなくなるからである。

訴状は反競争的行為の例としてAppleのケースを挙げ、QualcommはiPhoneのメーカーのビジネスをめぐる競争から他のチップメーカーを閉め出した、と非難している。Appleとの大きな契約は、メディアに対する効果も非常に高いからである。

告訴が要求しているのは、“Qualcommにその反競争的行為をやめさせて、競争的条件を回復する”、ことである。

このFTCの告訴は、世界中のQualcommに対する一連の反競争訴訟の、最新のものである。過去には同社は、韓国で8億5400万ドル、中国で9億7500万ドルという、巨額な罰金を科せられている。EUでは、今も調査が続いている。

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Googleが8通の国家安全保障書簡を公開、近く公開専用ページを立ち上げる予定

A Google logo and Android statue are seen at the Googleplex in Menlo Park, California on November 4, 2016.  / AFP / JOSH EDELSON        (Photo credit should read JOSH EDELSON/AFP/Getty Images)

Googleは最新の透明性報告書に一通の国家安全保障書簡(National Security Letter, FBIの命令書)を、とくに騒ぐこともなく含めたが、しかし今日(米国時間12/13)同社は、政府によるGoogleユーザーの監視行為をより多くの人に知ってもらうために、さらに8通のNSLを公開した。

今日公開された8通の書簡は、全国各地のFBI支部からGoogleへ送られた。それらは全体で、約20のユーザーアカウントの内容のほぼすべてにアクセスしようとしている。そのユーザー名は消されているが、FBIがそれを要求しているわけではない。Googleのスポークスパーソンによると、名前を消したのはプライバシー保護のためであり、当の個人には通知が行っている。

これらのNSLは、2010年から2015年までの5年間にGoogleに送られたもので、とくにノースカロライナ州シャーロットのFBI地方支部からのものが多い。そのほか、フロリダ、アリゾナ、ニューヨーク、カリフォルニアからのものがある。

NSLはこれまで、それをもらったことや内容について、無期限の緘口令が布かれていたが、昨年のUSA Freedom Actにより、公開可になった。もらったNSLを最初に公開した大手テク企業が、Yahooだ。同社は3通を6月に公開した。その後、GoogleとInternet Archiveがそれに続いた。

Googleの法執行/情報セキュリティ担当ディレクターRichard Salgadoが、ブログでこう述べている: “弊社はユーザーデータに関する政府の要求に対し、透明性を維持増強することに努めており、今日はその一環として、弊社が受け取った国家安全保障書簡の一般公開を開始した。それは、法と法廷の両者において、弊社の不開示義務が消滅したためである”。

Googleが書簡の公開を争ってきたのは、FBIがそれらを発行するときに事前の法的検討や監督がまったくないためでもある。テク企業の多くもその点を問題視し、彼らが抱えるユーザー情報はなにしろ膨大なので、データが裁判所の承認なしに秘密裏に探索の対象になるべきではない、と主張した。過去数年間でGoogleは19通のNSLに関して法廷で争い、昨年の勝訴では、Wikileaksの社員に、同社のデータを政府から要求された、と言わせることに成功した。

近くGoogleは、その透明性報告書の一部としてNSL公開のため専用のページを設ける、とSalgadoは語っている。それまでは、8つの書簡をここで読むことができる。

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Amazonがまたまた偽レビューを載せた販売者を訴訟

Amazon, the US e-commerce and cloud computing giant is said to hire 1,000 people in Poland. The company already hires almost 5,000 people in Poland and has service centers in Gdansk, Wroclaw and Poznan ON 14 April 2016. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

【抄訳】
やらせレビュー取り締まり努力を継続しているAmazonが、今回はアメリカの2社とEUの1社を、カスタマーレビュー濫用の証拠がある、として訴訟した。被告らは自分たちの製品の偽のレビューを作り、それが顧客の購買決定に影響を与えたこともありうる、というのが訴件だ。訴訟の目的はこれまでと同じく、販売者が法的措置の対象になりうることを知って、レビュー濫用を控えるようになることだ。

昨年以降の2年足らずでAmazonが訴えた被告は1000(社)以上にものぼり、彼らは報酬を払って偽(にせ)レビューを投稿させていた。同社は、偽レビューを投稿した販売者だけでなく、軽作業のマーケットプレース(やります/払いますサイト)Fiverr.comで偽レビューを書いて報酬をもらった人たちや、そんな行為をさせていたWebサイトの運営者も被告として訴えている。

今回の3件の訴訟の被告は、偽レビューを投稿させて報酬を払った販売者だ。

たとえば被告Arobo Trade INC/Aumax Directの場合は11の製品に対する2343件のレビューのうち、その54%の1269件が濫用だ、とされている。またCyande Groupのレビューでは、582のレビューの52%300件が、濫用に該当、とされている。このほか、今回はないが、Amazonは、買収の外見を避けるために製品を景品として提供して偽レビューを書かせる販売者も訴訟している。

Amazonは主張する: “これらの意図的な努力の結果はAmazonの顧客に対する詐欺行為であり、また、Amazonのマーケットプレース上の販売者に対する不当競争にあたる”。

偽レビューがはびこることは、Amazonに対する顧客の信用や信頼の失墜につながり、ひいては顧客の喪失にも結果しうるので、Amazonとしては法に訴える強硬措置を採らざるをえない。買い物をするときの重要な参考情報であったレビューに、偽レビューが大量に混在するようになると、そのコマースサイトの人気と評価は180度逆転してしまう。だから偽レビューは、eコマースサイトの命(いのち)取り、と言っても過言ではない。

【後略】
〔この記事の原文には、今回の訴状原本の写しがあります。〕

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名誉毀損で敗訴のGawker.com、来週閉鎖へ―Gizmodo他のサイトはUnivisionが運営継続か?

FILE - In this Wednesday, March 16, 2016, file photo, Gawker Media founder Nick Denton arrives in a courtroom in St. Petersburg, Fla. Spanish-language broadcaster Univision has bought Gawker Media in an auction for $135 million. That's according to a person familiar with the matter who asked not to be identified because the deal had not been formally announced. (AP Photo/Steve Nesius, Pool, File)

ニック・デントンが創立したGawker.comはウェブ・メディアのパイオニアのひとつだったが、Gawker自身の発表によれば来週サービスを停止するという。Gawkerサイトの閉鎖はGawker MediaをUnivisionが買収することになったのを受けたもの。

GawkerはTerry Bollea(タレントとしてはハルク・ホーガン)による名誉毀損の訴訟に敗れ倒産に追い込まれていた。この訴訟はシリコンバレーの富豪、ピーター・ティールが支援していたことで有名だ。

Univisionによる買収はニューヨークの破産裁判所の承認を受ける必要があるが、金額としては1億3500万ドルだったという。この数字はGawkerのファウンダー、デントンが社員向けに閉鎖を説明する中でメモで明かされた。ただし過去記事の取り扱いについては「まだ最終決定をみていない」ということだ。

Gawkerは2002年にFinancial Timesの元記者、ニック・デントンと当時の編集長、Elizabeth Spiersにより創立された。スタートはニューヨークを中心とするゴシップ記事を扱うオンライン・メディアだった。その後、ゴシップ記事以外にもカバー範囲を広げ、セレブのニュースを幅広く取り上げるようになった。

2012年に当時の編集長、A.J Daulerioがハルク・ホーガンとその友人の妻ヘザー・クレムの短いセックス・テープを掲載した。ホーガンの弁護士からの度重なる取り下げ要求をGawkerは拒否した。そのため事件は法廷に持ち込まれた。ピーター・ティールはGawker.comに対する訴訟を財政面その他で支援した。ティールはこの裁判における自身の役割について今週、New York Timesの意見コラムに書いている。 TechCrunchではKate CongerとAnthony Haが別の意見を紹介した。

UnivisionによるGawker Mediaの買収オファーはGawker.comを含め、既存の7つのメディアすべてを含んでいる。 運営中のウェブサイト、Jezebel、Gizmodo、Deadspin、Lifehacker、Kotaku、io9、Jalopnikが今後どのように運営されるかについてはまだ明らかになっていない。デントンのRecordに対する声明によれば、Univisionは今後もGawkerのウェブメディアの運営を続けていく計画のようだ。〔原文にデントンの声明の引用あり〕

画像:: Steve Nesius/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonは金で買ったレビューを載せた売り手企業3社を訴訟

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買い手売り手はご用心! あなたの製品のレビューを、誰かにお金を払って書いてもらったら、Amazonはあなたを訴える。

Amazon上の偽造レビュー対策の一環として同社は、なりすましアカウントを使って偽(にせ)のレビューをポストした3社を訴訟した。Amazonは昨年から、同社が本物と認めなかったレビューとそれらの投稿者を、精力的に追ってきた。過去には、偽レビューを投稿して稼いでいる‘業者’を訴訟したことはあるが、Amazon上の売り手自身を訴えるのは今回が初めてだ。

今日の訴訟によると、売り手たちは偽のアカウントを使って自分の製品に対するポジティブなレビューを掲載した。これらの売り手は、レビューの30〜45%が偽レビューだった。被告はカリフォルニア州のMichael Abbara、ペンシルベニア州のKurt Bauer、そして中国の企業CCBetter Directだ。

Amazonは被告たちに、同社サイトで製品を販売することを禁じ、同社のサービスへのアクセスも禁じようとしている。また損害賠償額(+Amazonの訴訟費用)として、25000ドル以上を要求している。

Amazonによると、同社は2015年以来、お金が目的で偽レビューを投稿した者1000名あまりを訴えてきた。そして今度は、リテイラー自身をやっつけようとしている。そのねらいは、ほかの売り手たちが偽レビューという悪行に手を染めないようにするためだ。

“当社の目的は、レビューの悪用は割に合わないことを売り手たちに自覚させ、有料で偽レビューを投稿する者たちのエコシステムを解体することだ”、とAmazonのスポークスパーソンは語った。

Amazonは偽レビューと戦うために、売り手の中断や彼らのアカウントの閉鎖など、いろんな手段を講じている。偽レビューを検出し、その掲載を自動的に禁ずるアルゴリズムも開発中だ。昨年の夏から同社は、レビュワーの信頼度ランキングを開始し、買い手たちの便宜を図ろうとしている。

Amazonによると、訴訟もあり、アルゴリズムもあり、といった多様な展開によって、偽レビュー対策は成功を収めつつある。“Amazon上のレビューはその大半が本物であり、何百万人もの顧客たちを助けて、日々、彼らの賢い買い物をガイドしている”、とスポークスパーソンは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))