イザナギゲームズが4億2980万円調達、ビリビリと業務提携し中国・アジア中心にオリジナルIP展開強化や新たな展開を推進

イザナギゲームズは2月8日、第三者割当増資による4億2980万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はHODE HK(ビリビリグループ)、コロプラネクスト4号ファンド投資事業組合、アカツキ。累計調達額は7億9860万円となった。調達した資金により、人材採用の強化および新たなプロジェクトのクオリティアップにつなげ、ヒット作を生み出すことを目指す。

また同社は、ビリビリグループとの業務提携締結も明らかにした。これにより、中国本土およびアジアを中心とする世界各国に向けたゲームパブリッシング事業とオリジナルIP展開の強化や新たな展開を推進する。

イザナギゲームズは、日本のクリエイターとともに作ったゲームを世界のマーケットにダイレクトにアピールしていくことを理念に掲げる、コンシューマーゲームを中心とする、インタラクティブエンターテインメントプロデュース企業。

資金調達の幅を広げることで、優れたクリエイターが新しいIP・ゲームを創り出すチャンスを増やし、全世界を販売マーケットとして大きくアプローチすることで、数多くのユーザーにゲームを中心としたインタラクティブエンターテインメント体験を届けることを目指している。

LINE起点CRMを構築するマーケティングSaaS「MicoCloud」のMicoworksが12億円調達、新規プロダクト開発注力

LINE起点CRMを構築するマーケティングSaaS「MicoCloud」のMicoworksが12億円のシリーズA調達、新規プロダクト開発注力

顧客体験のパーソナライズによって興味や関心に応じた個別のメッセージを届けるコミュニケーションプラットフォーム「MicoCloud」(ミコクラウド)を開発・提供するMicoworks(ミコワークス)は2月9日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資および新株予約権付社債による総額約12億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、ALL STAR SAAS FUND、Eight Roads Ventures Japan。累計資金調達金額は約20億円となった。

MicoCloudは、LINE公式アカウントを起点にCRMを構築し、パーソナライズされたコミュニケーションで顧客のファン化を促進させ、企業の売上増加につなげるコミュニケーションプラットフォーム。顧客データに基づいた個々の興味・関心に合ったメッセージを発信することで、集客からファン化までをサポート。様々なデータを一元管理をはじめ、複数拠点・複数スタッフからのアクセスなども可能で、業務の効率化にも貢献する。2021年12月末時点には導入アカウント数が500を超え、約500万人のエンドユーザーに利用されているという。BtoC事業を展開する企業を中心に、美容サロンや学習塾、百貨店や小売業、人材紹介業、不動産業など、幅広い業種での導入実績があるそうだ。LINE起点CRMを構築するマーケティングSaaS「MicoCloud」のMicoworksが12億円のシリーズA調達、新規プロダクト開発注力

Micoworksは今回の資金調達により、MicoCloudの開発体制の増強と、さらなる機能拡充・EC特化の新規プロダクト開発に注力したいという。また、セールスやマーケティングへの投資、CxOクラスとマネージャークラスの採用を強化し、中長期的な成長の加速を目指す。現在は日本およびアジアで普及しているLINEを起点にMicoCloudを提供しているが、将来的には他サービスへの対応や、年代・性別・居住地だけでなく顧客ごとのリアルタイムデータを反映してマーケティングを行なうダイナミックセグメンテーションの活用も視野に入れているという。

EC・SaaS企業に収益ベース融資で資金を提供する仏SilvrがシリーズAで約171.5円調達

フランスのスタートアップ「Silvr」は、シリーズAラウンドで1800万ユーロ(約23億7500万円)の資金を調達するとともに、同社の活動のために1億1200万ユーロ(約147億8000万円)のデット調達も実施した。Silvrは、eコマース企業やSaaS企業に新たなクレジット機会を提供したいと考えている。基本的にSilvrが目指しているのは、米国のPipe(パイプ)やカナダのClearco(クリアコ)のような経験をヨーロッパに導入することだ。

中央ヨーロッパ時間2月8日の資金調達ラウンドには、XAnge、Otium、Bpifrance、Eurazeo、ISAIが参加した。また、Alexandre Prot(アレクサンドル・プロット)氏、Steve Anavi(スティーブ・アナビ)氏、Raphaël Vullierme(ラファエル・ヴァルリエム)氏、Louis Chatriot(ルイ・シャトリオ)氏、Pierre Dutaret(ピエール・デュタレ)氏などのビジネスエンジェルも出資している。

2020年にスタートしたSilvrは、Cuure、French Bandit、Almé Paris、Emma&Chloéなど、すでに100社に出資している。VCファンドとは異なり、Silvrは資本を提供するが、株式は取得しない。また、従来の銀行とは異なり、Silvrは資産を持たないリスクの高いビジネスにも融資することができる。

企業がSilvrにクレジットを申請すると、企業は銀行口座、Google Analytics、Shopify(ショッピファイ)などのECプラットフォーム、Stripeなどの決済に使用しているプラットフォームなど、さまざまなデータソースへのアクセスを許可する。

Silvrは独自のスコアリングアルゴリズムを開発しており、これらのデータに基づいて意思決定を行う。同社は今のところ、主にeコマース企業とSaaSスタートアップに焦点を当てている。そうすることで、過去の売上をもとに将来の収益を予測しやすくなるからだ。

平均して、クライアントはSilvrから何らかの融資を受けた2カ月後には、収益が64%増加している。また、Silvrのクライアントの35%がVCファンドから資金を調達していることからわかるように、Silvrは必ずしもVC資金に取って代わるものではない。

Silvrは、さまざまな資金の受け取り方を提供している。従来の電信送金に加えて、このスタートアップはバーチャルカードを提供したり、パートナーに直接支払うこともできる。たとえば、新しい広告キャンペーンのためにSilvrを利用したい場合、Silvrが直接請求書を支払うことも可能だ。

返済に関しては、クライアントは従来の月払いプランで返済することもできれば、収益の一部を返済に充てることもできる。

欧州でCapital-as-a-Service(CaaS、キャピタル・アズ・ア・サービス)に取り組んでいるのはSirvrだけではない。Karmenはフランスで、Uncappedは英国で、それぞれ同様の製品に取り組んでいる。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

フェムテックブランドNagiを運営するBLASTが総額1.5億円のシリーズA調達、ブランド拡大を強化

フェムテックブランドNagiを運営するBLASTが総額1.5億円のシリーズA調達、ブランド拡大を強化

フェムテックブランド「Nagi」(ナギ)を運営するBLASTは2月9日、シリーズAラウンドにおいて、とした第三者割当増資および日本政策金融公庫などからの融資を合わせ、総額1億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、赤坂優氏らが運営するエンジェルファンド、ANRI、セゾン・ベンチャーズ。調達した資金により、生理期間に限らずすべての女性たちがどんな日も自分らしく過ごせる世界の実現に向けて、Nagiブランドの拡大に取り組む。

Nagiは、吸水機能や防水機能に加え、防臭機能、制菌効果(菌を減らす効果)のある機能素材を使用した吸水ショーツ。ショーツの形は、フル、スタンダード、スリムの3タイプ。防水布を折り返す独自の積層構造を採用しており、特許出願中という。2020年5月にブランドをスタートしてから、2022年2月までで約6万枚を超えるショーツを販売したそうだ。

また日本の生地メーカーの生地を使用しており、高い技術を持つ国内の工場で生産。1枚ずつ丁寧に人の手で縫製し、パッケージ包装は、プラスチック素材を一切使わず紙素材のみを使用している。自宅でお手入れ可能で、くり返し使うことを考慮し環境にも配慮したエコフレンドリーなプロダクトになっているという。フェムテックブランドNagiを運営するBLASTが総額1.5億円のシリーズA調達、ブランド拡大を強化

2018年1月設立のBLASTは、「すべての女性たちが人生をコントロールできる世界へ」というビジョン、また「女性をエンパワーメントする」をミッションに掲げる、WOMEN EMPOWERMENT COMPANY。メディアとプロダクト、コミュニティの3軸の事業で女性のライフスタイルをエンパワーするとしている。フェムテックブランドNagiを運営するBLASTが総額1.5億円のシリーズA調達、ブランド拡大を強化

SaaS企業向け使用ベース価格設定技術のm3terが約20億円調達、定額制サブスクリプションからの移行需要に対応

SaaS製品の多くは定額制のサブスクリプションで販売されている。しかし、特に価格に敏感な顧客の間では、よりきめ細かい価格設定を求める傾向が強まっており、現在はデータサイエンス、予測分析、クラウドコンピューティングを組み合わせることで実現可能な世の中になっている。こうした需要に応えるツールを開発している企業の1つ、m3terというスタートアップが現地時間2月8日、ステルス状態から登場した。市場の状況を示すように、同社はすでに顧客を持ち、まとまった額の資金を調達している。

ロンドンを拠点とするm3terは、製品の開発を続け、さらに顧客を増やしていくための資金として、Kindred Capital、Union Square Ventures、Insight Partnersから1750万ドル(約20億円)を調達した。顧客にはSiftStediRedcentric、そしてm3terと提携して自社の顧客にこの技術を効果的に販売している話題の課金スタートアップPaddleといった企業が含まれている。

m3terは2月8日にステルス状態から登場したが、いきなり出てきたわけではない。同社の創業者であるGriffin Parry(グリフィン・パリー)氏とJohn Griffin(ジョン・グリフィン)氏は、以前GameSparksという、利用ベースの料金設定に基づいたバックエンドゲーム・アズ・ア・サービスのエンジンを設立したが、AmazonのAWSに静かに売却し、ゲームの世界のためのツールを構築するという、クラウド界の巨人の野心的な戦略に組み込まれた(補足:この買収を筆者はスクープした。当時は、この2人よりもエリザベス女王1世に話しかけるのを試みる方が簡単だったかもしれず、今やっと追いつくことができて良かった)。

AWSにとってこのゲーム戦略は、おそらく最も慈善的な、非常に長期的な遊びだった(Gamesparksベースの製品を出す計画があったようだが、5年後の現在もまだ実現していない)。しかし、その場に居合わせたことで、利用ベースのサービスのコンセプトを他の場所に適用する方法についてインスピレーションを得た、とパリー氏とグリフィン氏は話す。

「心強いことに、利用ベースの料金設定については、Amazonも我々と同じような問題意識を持っていました」。しかし、Amazonがすでにこのコンセプトに基づいて提供しているものは非常に多く、例えばクラウドインスタンスの販売方法の中核をなしている。「彼らが構築しているカスタムツールを見る機会がありました。我々は、良いものがどのように見えるかを目にしました」と2人は続けた。

2人の結論はこうだ。SaaSサービスは活況を呈しており、これらのビジネスには、Amazonが自社のために構築しているものと同等のツールを提供する価値がある。

m3terの初期の牽引役は企業だった。急速に成長するSaaSビジネスが、今度は企業顧客に利用量に応じた料金設定を提供するようになった。パリー氏は、この市場自体がサービスの多様性に富んだ巨大な市場であり、この市場にのみ注力する価値は十分にあると確信している。しかし、通信事業者や公益事業者など、使用量に応じた料金体系を採用してきたレガシーな分野では、システムのアップグレードが進んでおり、請求方法もアップグレードする予定であるため、明らかにチャンスがある。同様に、消費者は今日、ストリーミング、ブロードバンド、クラウドストレージ、eコマースのポイントクラブ(Primeなど)、その他多くのものに定額料金を支払うことに満足しているようだ。しかし、破壊者が現れ、人々が欲しいものを消費し、実際に使用するものだけに金を支払う、より安価で公平な別の方法を提供するのは時間の問題だ。消費者もまた、m3terの潜在的な顧客となる可能性がある。

あるいは、そうでない人も顧客となる可能性がある。先週、利用ベース料金設定を導入したMetronomeが資金調達ラウンドを発表したばかりだ。パリー氏は、Metronomeが市場に出てきたことをこの上なく喜んでいる、と述べた。

「彼らは我々の正当性を証明しているし、競争は良いことです」とパリー氏は述べ、世の中には多くのユースケースに対応する複数のプレイヤーが存在する余地があると指摘した。「当社は、高いレベルの複雑性とスケールをサポートできるよう注力しています。スタックには隙間があり、多くの優れた既存ツールは使用ベース価格設定では機能しません。つまり、我々には大きな可能性があるのです」。

「m3terの共同創業者は、使用ベースの料金設定に関する苦労を深く、直接的に理解している起業家たちです」と、Kindred Capitalからの投資を主導したChrysanthos Chrysanthou(クリサントス・クリサントス)氏は声明で述べた。「彼らの技術力と商業実績により、SaaSビジネスが価格に関する悩みの解決策を模索する中で急速に形成されつつある市場において、リーダーとしての地位を確立するためのユニークな位置につけています」。

「m3terは、より多くのソフトウェア企業が摩擦のない利用ベースの価格設定によってその真価を発揮し、SaaS業界を活性化させる可能性を持っています」とUnion Square VenturesのパートナーであるRebecca Kaden(レベッカ・ケーデン)氏は付け加えた。「グリフィンとジョンはすばらしいチームを作り上げ、世界中のSaaS企業の価格設定を再定義していくために協業することを楽しみにしています」。

画像クレジット:Bet_Noire / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

オープンソースの3Dコンテンツコラボプラットフォーム、中国Taichi GraphicsがシリーズAで約57.7億円を調達

共同創業者のユアンミン・フー氏とイー・クアン氏(画像クレジット:Taichi Graphics)

長年、中国のオープンソースソフトウェアは開発者から注目されるだけで、リターンを求める投資家からの理解はなかなか得られなかった。しかしついに、欧米のような動きが現れつつある。

資金調達を果たした中国の最新オープンソースプロジェクトが、Taichi Graphics(タイチグラフィックス)だ。同社は創業10カ月のスタートアップで、3Dコンテンツを簡単に制作できるようにすることを目指している。同社は、3Dグラフィックスの制作、共有、リモートでの共同作業をするクラウドベースのプラットフォームで「3DコンテンツのためのFigma(フィグマ)」と表現する「Taitopia」を運営している。このプラットフォームの基盤は同社のオープンソースのプログラミング言語「Taichi」で、3Dビジュアルグラフィックスのような空間的にスパースなデータ構造に対してパフォーマンスの高いコンピューティングを可能にしている。

Taichi GraphicsはSource Code Capital、GGV Capital、BAI Capitalが主導するシリーズAで5000万ドル(約57億7000万円)を調達した。このラウンドには以前に投資したSequoia Capital Chinaも参加した。TechCrunchは同社の事業や評価額について問い合わせている。

Taichi Graphicsの3Dコンテンツプラットフォーム「Taitopia」を利用して、クリエイターはリモートで共同作業ができる(Taichi Graphicsのデモビデオから撮影したスクリーンショット)

同社は、米国で学んだり働いたりしてから中国に戻った中国人が創業したオープンソースソフトウェア企業の1つだ。このような創業者たちは中国市場にフォーカスするというよりは、米中双方での経験を活かして最初から世界のユーザーに向けたプロダクトを作っている。クラウドネイティブのイベントストリーミングプラットフォームで2021年にシリーズBで2300万ドル(約26億5400万円)を調達したStreamNative(ストリームネイティブ)は、Twitterの元従業員が創業し中国と米国の両方で事業を運営している。非構造化データ分析スタートアップのZilliz(ジリズ)も同様の経緯をたどっている

Taichi Graphicsを創業したのは、MITでコンピュータサイエンスの博士号を取得したYuanming Hu(ユアンミン・フー)氏と、Googleに在籍していたYe Kuang(イー・クアン)氏だ。同社は世界の開発者コミュニティで徐々に関心を集めてきた。同社のプロジェクトはGitHubで2021年現在、1万7700個のスターを獲得し、これは2020年の1万2700個からの増加であると同社は説明している。2021年までに10数カ国、152人の開発者がTaichi Graphicsにコントリビュートした。

2019年にTaichiを紹介した論文の中で、フー氏と共同執筆者は3Dコンテンツのコンピューティングにドメイン特化言語が必要である理由を次のように説明している。

3Dビジュアルコンピューティングのデータは空間的にスパースであることが少なくありません。このようなスパース性を利用するために、階層的なスパースデータ構造が開発されてきました。マルチレベルのスパースボクセルグリッド、パーティクル、3Dハッシュテーブルなどです。しかしこのようなハイパフォーマンスなスパースデータ構造の開発や利用は、本質的に複雑でオーバーヘッドであるため難しいものです。我々は、このようなデータ構造に対して効率よくオーサリング、アクセス、メンテナンスをする新しいデータ指向プログラミング言語のTaichiを提案します。

Taishi Graphicsのツールはこれまでに物理的なシミュレーション、AR、AI、ロボティクス、映画やゲームの特殊効果に使用されている。

同社は新たに調達した資金でこの並列プログラミング言語の影響力を強化し、デジタルコンテンツのクリエイター向けツールを開発する計画だ。また、研究開発、プロダクト開発、収益化、戦略、デザインの人材採用も継続する。

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

サブスクなど継続収益型モデルのビジネスに特化した販売・請求管理SaaS「Scalebase」を提供するアルプが12.5億円調達

サブスクなど継続収益型モデルのビジネスに特化した販売・請求管理SaaS「Scalebase」を提供するアルプが12.5億円調達

販売・請求管理SaaS「Scalebase」(スケールベース)を提供するアルプは2月9日、第三者割当増資により総額12億5000万円の資金調達を行なったことを発表した。引受先は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、GMO VenturePartners、電通ベンチャーズ。累計調達額は19億円となった。

調達した資金は、Scalebaseの機能強化と新サービスの開発、採用・組織体制の強化にあてる。また、将来的にScalebaseの導入を検討しているスタートアップ企業を対象に、特別プランの提供を同日より開始している(期限・諸条件・審査あり)。

Scalebaseは、SaaSやサブスクリプションビジネスのほか、あらゆる継続収益型モデルのビジネスに特化した販売・請求管理SaaS。顧客ごとに異なる契約条件を柔軟に設定でき、複雑化しがちな請求業務を誤ることなくスムーズに行える。MRR(月次経常収益。Monthly Recurring Revenue)やチャーンレートといった重要指標も可視化し、販売戦略の意思決定と実行をサポートするという。2019年のサービス開始以来SaaS事業を展開するスタートアップから大手企業まで、70社を超える企業に利用されているそうだ。

アルプは、今回調達した資金をScalebaseの開発、採用・組織体制の強化に充当し、ユーザー層の拡大とさらなる提供価値の向上を目指す。これまでScalebaseは、SaaS企業をはじめとしたBtoB企業を中心に利用されてきた。しかし、情報通信サービスやインターネット広告、メディア事業、リース・レンタルサービスなど、顧客と継続的に取引するあらゆる「継続型収益モデル」のビジネスでも、同様の価値を発揮できるものとの手応えを得たという。今後は複雑な事業構造や大規模なトランザクションにも対応できるプロダクトとして柔軟性と汎用性を高め、多様な事業領域および事業のステージごとに異なるニーズにも対応にしていきたいという。

またアルプは、販売実績や収益性、利用状況、顧客とのコミュニケーション状況などの相関性を分析して収益最大化を支援する新たなサービス「Scale Analytics(仮称)」の提供を2022年内に予定している。

Scale Analyticsは、継続型収益モデルの知見と収益拡大のノウハウを持つデータサイエンティストらが企業の各種実績データを横断的に分析し、アップセル・クロスセルの機会を抽出することで事業の収益成長をサポートする。アクションの効果測定や継続的実施のためのダッシュボードを提供し、サービス終了後も社内で改善し続けられる仕組みを構築する。

ブティックホテルテックプラットフォームNUMAがポストパンデミックでのノマドな労働力ニーズに応える約51.9億円調達

米国を拠点とするSonderは、テクノロジーを駆使したホスピタリティを提供する企業だ。同社は5億2960万ドル(約611億8500万円)を調達した。リモートワークにより人口の移動が圧倒的に多くなったポストパンデミックな世界で、このグローバルでノマドな労働力ニーズに応えるため、同様の事業者が資金調達を行っている。

私たちがNUMA Group(NUMAグループ、当時の社名はCosi)を取りあげたのは、2019年に同社がブティックホテルに代わる「フルスタック」のホスピタリティを提供するために500万ユーロ(約6億5800万円)を調達したときだった。その後、2000万ユーロ(約26億3400万円)を調達したときにも取り上げた。

今回、NUMA GroupはDN Capital Group(DNキャピタル・グループ)(以前はAuto1、HomeToGo、Shazamも支援していた)が主導するラウンドで成長資本として4500万ドル(約51億9800万円)を追加調達した。この投資の共同リードはHeadline(旧eventures)である。また、Cherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)、Soravia(ソラヴィア)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)、TruVenturo(トゥルーベンチュロ)、Scope Hanson(スコープ・ハンソン)が参加している。

NUMAはベルリン、ミュンヘン、ローマ、ミラノ、マドリッド、バルセロナ、ウィーンで約2500室のブティックホテルを提供。投資家、不動産所有者、デベロッパー、ホテル経営者と提携し、テクノロジーを駆使した部屋を構築している。このプラットフォームは、ビジネスプロセスの自動化、インテリジェントな価格設定、稼働率の向上を通じて、ホテル経営者の利益を増大させるように設計されている。ドイツに本拠を置くNUMAグループは、2021年にスペイン、イタリア、オーストリア、チェコ共和国に進出した。

NUMAグループのCEO、共同創業者であるChristian Gaiser(クリスチャン・ガイザー)は「私たちの明確な目標は、NUMAをヨーロッパのまったく新しいホテルの時代における、圧倒的なテクノロジーと創造的なソリューションのプロバイダーとして確立することです。NUMAは、パンデミックを利用して、ビジネスモデルの回復力を証明しました。NUMAのコンセプトと独自の技術を使って、新型コロナにもかかわらず500%の収益増と85%の予約占有率を達成したのです」と述べている。

NUMAがSonderと大きく異なる点は、宿泊客から見て、NUMAはより幅広い層を対象としていること(Sonderはより高い価格帯にフォーカス)だ。さらに「NUMA go」という「技術フランチャイズ」ソリューションを開始し、売上の一定割合を条件に、NUMAの技術スタックをサードパーティのホテル経営者に提供していることだ。

DN Capital Groupの創設者兼マネージングパートナーであるNenad Marovac(ネナド・マロヴァチ)氏は「我々はNUMAの戦略、業績そして非常に厳しい市場環境下での一貫した拡大に非常に感銘を受けています。NUMAを支えるチームは、新型コロナにもかかわらず、一貫して高い稼働率と部屋の持続的な収益性を達成しています。NUMAのビジネスモデルは、不動産パートナーやオペレーターにとって魅力的なリスクリワードプロファイルを提供し、そして最も重要なことは、現代の旅行者にまったく新しい旅行体験を提供することです」と述べている。

画像クレジット:NUMA Group

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

輸送ネットワークをサイバー攻撃から守るShift5が57.7億円を調達

普段はあまり意識することはないかもしれないが、移動に使う電車や飛行機などの交通機関の背後には、電子機器やデバイス、データなどの広大なネットワークが張り巡らされており、そのおかげで電車は線路を走り、飛行機は空を飛ぶことができる。

たとえば米国時間2月8日に、5000万ドル(約57億7000万円)のシリーズB資金調達を発表したShift5(シフトファイブ)のような企業が、今日の交通ネットワークに不可欠なシステムを守ろうとしているのだ。Shift5によると、この分野は十分な支援を受けてはいないものの、急速に成長しているという。

輸送ネットワークは、列車や航空機、さらには戦車などの軍事機器の運行に不可欠な車載部品などの運用技術(OT)システムに依存しているが、かつては他と隔離されていたこれらのシステムがインターネットと接点を持つネットワークに徐々に加えられるケースが増えているため、サイバー攻撃を受けやすくなっている。

関連記事:ランサムウェアの次のターゲットは組み込み機器か?

OTネットワークへの攻撃は稀だが、OTシステムの障害は、数百万ドル(数億円)の損失やダウンタイムにつながり、また、事態が悪化した場合には安全上のリスクも生じる。米国政府のサイバーセキュリティ機関であるCISAは、重要インフラに対する脅威が高まっていると警告している。

しかし、OTシステムはその用途に応じて固有のものであることが多く、例えば戦車から部品を取り外してセキュリティの脆弱性をテストすることは現実的ではなく、また戦車を容易に入手することもできない。

Shift5はこの問題を解決するために、交通機関の企業やリーダーたちのOTネットワークに監視機能を提供し、全体的な攻撃対象を減らそうとしている。この監視機能は、脅威を検知し、インターネットベースの攻撃からシステムを守ることを目的としている。

その努力が実を結んでいるようだ。今回の資金調達は、前回の2000万ドル(約23億1000万円)のシリーズA資金調達からわずか数カ月後に行われた。2021年数百万ドル(数億円)規模の取引を行い、従業員数を倍増させたこともそれを後押ししたのだ。今回のシリーズBラウンドはInsight Partnersが主導し、シニアアドバイザーのNick Sinai(ニック・シナイ)氏がShift5の取締役に就任した。

Shift5は、今回のラウンドで調達した資金を、需要に対応するための人材への投資や、製品開発の強化に充てるとしている。

Shift5の社長であるJoe Lea(ジョー・リー)氏は「このいたちごっこは重要なインフラにも影響が及んでいて、防御側はその守備範囲を運用技術にまで広げなければなりません。この1年で証明されたことは、鉄道、航空、国防の各分野の主要な防御者たちが、先見性のあるリスクを認識し、コストを強いられる損害を未然に防ぐために動いているということです」と語っている。

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画像クレジット:Shift5

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(文:Zack Whittaker、翻訳:sako)

Polygonがプライベートトークンセールを実施、ソフトバンクなどから約520億円を調達

Polygon(ポリゴン)が、新たなベンチャー資金調達ラウンドで4億5000万ドル(約520億円)を調達した。評価額は130億ドル(約1兆5000億円)。Ethereum(イーサリウム)スケーリングソリューションのポートフォリオを積極的に拡大する同社は、より大きな開発者エコシステムの獲得に努める。

Polygon初の大規模な資金調達ラウンドは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導。Tiger Global(タイガー・グローバル)、SoftBank(ソフトバンク)のほか、Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)、Republic Capital(リパブリック・キャピタル)、Makers Fund(メーカーズ・ファンド)、Alameda Research(アラメダ・リサーチ)、Alan Howard(アラン・ハワード)氏、Dune Ventures(デューン・ベンチャーズ)、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven Six(セブン・セブン・シックス)、Steadview Capital(ステッドビュー・キャピタル)、Unacademy(アナカデミー)、Elevation Capital(エレベーション・キャピタル)、Animoca Brands(アニモカ・ブランズ)、Spartan Fund(スパルタン・ファンド)、Dragonfly Capital(ドラゴンフライ・キャピタル)、Variant Fund(ヴァリアント・ファンド)、Sino Global Capital(シノ・グローバル・キャピタル)、Kevin O’Leary(ケヴィン・オレアリー)氏も、今回のプライベートトークンセールに参加した。

暗号資産領域へのベンチャー投資を追跡するウェブサイト、Web3 Signals(ウェブ3シグナルズ)を見ると、これらの投資家の多くが、Ethereumのスケーリングソリューション、あるいはこのブロックチェーンインフラストラクチャの取り組みに賭けるのは初めてのことだ。

米国時間2月8日の発表は、12月初旬にTechCrunchが報じたこの投資に関する初期段階の情報を裏付けるものとなった。

Ethereumは、あらゆるブロックチェーンの中で最大の開発者エコシステムを集めているものの、速度の遅さと高い取引手数料(「ガス代」として知られている)に悩まされている。

Polygonは、いわゆるレイヤー2またはサイドチェーンと呼ばれる企業の1つで、幅広い取引情報をブロックチェーン外に移動させる技術を採用することで、Ethereumのネットワークが成長痛を解決するのを助けようとするものだ。

Ethereumのブロックチェーンから多くの情報を移動させることによって、PolygonはEthereumのブロックにより多くの取引情報を詰め込むことができ、処理できる取引数を大幅に増やすことができる。

Polygonは最初の数年間、Ethereumのブロックチェーンから情報を移動させるPlasma(プラズマ)という技術に注力していたが、近年はこの課題に取り組むために、ZK rollups(ゼロナレッジ・ロールアップ)、Optimistic rollups(オプティミスティック・ロールアップ)、Validium(バリディアム)など複数の技術に焦点を拡大している。

Polygonはここ数四半期の間に10億ドル(1156億円)近くを投じて数社の企業を買収し、提供するサービスの幅を広げてきたと、同社の共同創業者であるSandeep Nailwal(サンディープ・ネイルワル)氏は、TechCrunchによるインタビューで語っている。

「以前、MATIC Network(マティック・ネットワーク、Polygonの旧社名)では、Plasmaのソリューションを構築していました」と、同氏は語る。「10~15のチームがPlasmaを宣伝して資金を調達したものの、Plasmaの機能を備えた適切な製品を出荷したのは我々のチームだけでした」。

「その後、コミュニティ全体が、このアプローチには確かに限界があるというコンセンサスに達しました。そこで彼らはOptimistic rollupsに移行しました。それからZK rollupsに移行し、そしてValidium。私たちは、このようなハイプサイクルを繰り返したくないとわかっています。今後何十年にもわたって存在し続けるプラットフォームを、私たちは構築したいのです」。

この2年間、レイヤー1やEthereumのスケーリングソリューションが出現し、ベンチャー投資家やヘッジファンドが、今後主流になると思われるブロックチェーンやその仲間に対して、早い段階で大胆な投資を行うというゴールドラッシュが続いている。

ネイルワル氏はこの競争を、10年以上前に見られたデスクトップOS戦争になぞらえた。「私たちは、アプローチに特化したり、テクノロジーに特化したりはしたくありません。私たちの目標は、ブロックチェーンが提供している分散コンピューティングに、インターネットレベルのスケールを提供することです」と、同氏は語った。

筆者はネイルワル氏に、Polygonがゼロナレッジ・スケーリングというアプローチにどのような自信を持っているのかと尋ねてみた。Polygonは過去2四半期に、2つのZK rollupsのスタートアップを買収している。ネイルワル氏は、ゼロナレッジがブロックチェーンスケーリングの最終ゲームになると信じていると語った。なお、Ethereumの共同創業者であるVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は、Polygonに対する自身の考えを語っている

Mark Cuban(マーク・キューバン)氏を多くの支援者の中に持つPolygonは、Ethereumの拡張を目指すレイヤー2やサイドチェーン・プロジェクトの中でも、明らかにリーダー的存在として浮上してきている。1月20日の時点で、Polygonは2300万ブロック、13億件以上のトランザクションを処理してきた。この人気の高まりは、過去1年間で急速に採用が増えたためだ。DeFi(分散型金融)プラットフォームのAave(アーベ)、Curve(カーブ)、Sushiswap(スシスワップ)、Pool(プール)、Uniswap(ユニスワップ)、巨大なNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)、メタバースプロジェクトのDecentraland(ディセントラランド)やSandbox(サンドボックス)など、今や7000を超える分散型アプリケーションがPolygonに展開されている。

筆者がネイルワル氏に、Polygon上で展開するアプリはさらに増えると予想しているかと尋ねたところ、同氏は「すべてのアプリがレイヤー2チェーンに移行すると予想しています」と答えた。Polygonがどれほど普及しているか、ほとんどの人は認識していないと、同氏は語っている。

「今、ブロックチェーン上で構築するためのプラットフォームとして選ばれているのは、Polygonです。様々なアプリケーションの何千人もの開発者が、PolygonとそのEthereumエコシステムのためのスケーリングソリューション一式を選択しています」と、Sequoia Indiaのマネージング・ディレクターであるShailesh Lakhani(シャイレシュ・ラカニ)氏は声明で述べている。

「野心的でアグレッシブなチームであり、その中核にイノベーションを重んじるチームです。Sequoia Capital Indiaは、この重要な資金調達ラウンドを主導できることに興奮しています」。

今回の多額の資金調達は、初期の頃、VCの誘致に苦労していたPolygonにとって転機となる話だ。Web3分野の創業者の多くは、Polygonがその技術力と実行速度にもかかわらず、チームの大部分がインドに拠点を置いていたために、初期には他社から軽視されていたと思うと述べている。

「私たちは新参者ではありません。2017年から一生懸命働いています。昨年までは見放されていました」と、今回のラウンド前にはわずか75万ドル(約8700万円)のVC資金を調達しただけだったPolygonの共同創業者、Jaynti Kanani(ジャインティ・カナニ)氏は語る。同氏は、このスタートアップが3000万ドル(約35億円)未満の評価額で資金調達に苦労していたときの会話を思い出していた。

「茶色い顔が金色の顔になった」と、ネイルワル氏は笑いながら冗談を言った。

「昨年になってようやく、我々が多くのアプリケーションを取り込み、その多くがバイラルになったことで、コミュニティが我々に注目し始めたのです。シリコンバレーのプロジェクトとは違って、私たちはインド式のボトムアップグラインドをしなければなりませんでした。これは長期的に見て持続可能だとも思います」と、同氏は付け加えた。

機関投資家の参加は、Polygonのブランド構築やパートナーシップの獲得に役立つと、ネイルワル氏は述べている。

「私たちは、市場で非常に流動性の高いトークンと、かなりの資金を持っています。資金調達のために市場に出向く必要はありませんでした。世界の市場が暗号資産の世界に目を向けるようになると、デイリーアクティブユーザー数や取引量などのオーガニックな指標では、当社はSolana(ソラナ)の5~10倍、Avalanche(アヴァランチ)の20倍も大きいにもかかわらず、必要な認知度を得ていないことに私たちは気づきました。前述したこれらのプロジェクトは、機関主導のマーケティングを多く行うことができているのです」。

今回調達した資金は、Polygonがいくつかの市場でより大きな開発者のエコシステムを構築するためにも役立つと、ネイルワル氏は語る。

「私たちは、彼らのために少なくとも3年から5年の十分に余裕のあるランウェイを確保したかったのです」。Polygonは1億ドル(約115億5000万円)のエコシステム資金を用意しているが、新たに調達した資金を使って、より多くのアクセラレータ、ハッカソン、助成金などの活動を支援・拡大していく予定だと、同氏は述べている。

近い将来にPolygonが計画しているもう1つの賭けは、アイデンティティの領域であるとネイルワル氏は言う。「Polygonの目標は、Web3のAWSになることです。 Web3のAWSには、アイデンティティの部分が必要です。ですから、この分野にも力を入れていきます」と、同氏は語った。

機関投資家を得たことで、Polygonは大物を雇うこともできるようになると、カナニ氏は述べ、最近ではYouTube Gaming(ユーチューブ・ゲーミング)を率いていたRyan Wyatt(ライアン・ワイアット)氏を雇用したことを例として挙げた。

画像クレジット:Getty Images
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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ハイパースペクトル衛星画像技術Wyvernが新たに約4.6億円獲得、スマートファーム施設での実験でも使用される

カナダのスタートアップ企業で、衛星画像技術を手がけるWyvern(ワイバーン)は2021年12月、450万ドル(約5億2000万円)のシードラウンド(新たな取り組みが発表されたおかげで終盤にほぼ倍増した)を実施し、Y Combinator(Yコンビネーター)への参加を発表したばかりだが、さらに今回、カナダのSustainable Development Technology(SDTC、持続可能な開発技術)プログラムを通じて、新たに400万ドル(約4億6000万円)の資金を獲得したことを明かした。

SDTCプログラムは、シード期、グロース期、スケールアップ期の各段階にあるスタートアップ企業に対し、官民の機関や企業とのパートナーシップを通じて、クリーンテックに革新を起こす可能性のあるプロジェクトへの資金提供を行うというもの。SDTCが提供する資金は、スタートアップ企業に株式の譲渡を要求するものではなく、また返済義務のあるローンでもない。その代わり、SDTCとそのパートナーが設定した測定可能な結果と成果物をもとに契約を結び、その目標を達成することで資金を得られる。

Wyvernの場合、SDTCは、BASFのxardio digital farming(ザルビオ・デジタルファーミング)、Olds College(オールズ大学)、SkyWatch(スカイウォッチ)、MetaSpectral(メタスペクトラル)、Wild + Pine(ワイルド+パイン)のコンソーシアムと協力。この3年間におよぶプロジェクトの概要は、オールズ大学にある2800エーカー(約11.3平方キロメートル)の「スマートファーム」施設を使って、Wyvernのハイパースペクトル衛星画像をテストするというものだ。

Wyvernは現在、自社の技術を実際に宇宙へ持って行くことに取り組んでいるため、資金が豊富にあることは非常に重要だ。同社は今後数年内に、最初の観測衛星「DragonEye(ドラゴンアイ)」を打ち上げることを計画している。

画像クレジット:Olds College

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

話者映像とPC画面を組み合わせ「非同期コミュニケーション」を支援するQudenのzipunkが5000万円調達、正式版も公開

B2BビデオコラボレーションSaaS「Quden」(クデン)を提供するzipunk(ジパンク)は2月7日、シードラウンドとして5000万円の資金調達を行ったことを発表した。引受先はOne Capital。同時にプランや機能を拡充した正式版を2022年2月よりリリースしたことを明らかにした。

調達した資金は、「プロダクト開発体制の強化」「PLG(Product-Led Growth)モデルの実践を通じたグロースサイクルの確立」「ユースケース・事例などのコンテンツ制作」、またこれらに必要な採用活動にあてる。

Qudenは、話者の映像とPC画面を自由に組み合わせた動画をワンクリックで作成・共有できるSaaS。テクニカルサポートやサービスの機能説明といったカスタマーサクセス業務に活用することで、顧客対応効率や顧客満足度が改善できるとしている。また、社内トレーニング用動画コンテンツや業務フィードバックに用いれば、繰り返し発生する定型業務やビデオ会議を削減でき、組織の生産性が向上するという。

同社は、Qudenを単なる画面録画ツールではなく「時間や場所に制約のない働き方を推進するコミュニケーションインフラ」と捉え、社内外のあらゆるワークフローに活用されるサービスを目指しているという。代表取締役CEOの兵藤佑哉氏は、「業務コミュニケーション手段として『非同期×動画』というフォーマットを活用することで、業務の中断を招く同期的(≒リアルタイム)なコミュニケーションを減らし、異なる時間帯や場所で働くメンバーとの協働がよりスムースになると考えています」とコメントしている。

またこの2022年2月にフリープラン(無料)と、より多くの機能を備えたチームプラン(月額750円)を用意し正式に公開した。フリープランの利用の際は、カード情報などは不要。話者映像とPC画面を組み合わせたビデオメッセージを作成・共有可能なQudenのzipunkが5000万円調達、正式版もローンチ

ジパンクは2019年12月に設立されたスタートアップ。「『働く』をもっと自由に」というミッションを掲げ、Qudenの開発と運営を行っている。

話者映像とPC画面を組み合わせ「非同期コミュニケーション」を支援するQudenのzipunkが5000万円調達、正式版も公開

B2BビデオコラボレーションSaaS「Quden」(クデン)を提供するzipunk(ジパンク)は2月7日、シードラウンドとして5000万円の資金調達を行ったことを発表した。引受先はOne Capital。同時にプランや機能を拡充した正式版を2022年2月よりリリースしたことを明らかにした。

調達した資金は、「プロダクト開発体制の強化」「PLG(Product-Led Growth)モデルの実践を通じたグロースサイクルの確立」「ユースケース・事例などのコンテンツ制作」、またこれらに必要な採用活動にあてる。

Qudenは、話者の映像とPC画面を自由に組み合わせた動画をワンクリックで作成・共有できるSaaS。テクニカルサポートやサービスの機能説明といったカスタマーサクセス業務に活用することで、顧客対応効率や顧客満足度が改善できるとしている。また、社内トレーニング用動画コンテンツや業務フィードバックに用いれば、繰り返し発生する定型業務やビデオ会議を削減でき、組織の生産性が向上するという。

同社は、Qudenを単なる画面録画ツールではなく「時間や場所に制約のない働き方を推進するコミュニケーションインフラ」と捉え、社内外のあらゆるワークフローに活用されるサービスを目指しているという。代表取締役CEOの兵藤佑哉氏は、「業務コミュニケーション手段として『非同期×動画』というフォーマットを活用することで、業務の中断を招く同期的(≒リアルタイム)なコミュニケーションを減らし、異なる時間帯や場所で働くメンバーとの協働がよりスムースになると考えています」とコメントしている。

またこの2022年2月にフリープラン(無料)と、より多くの機能を備えたチームプラン(月額750円)を用意し正式に公開した。フリープランの利用の際は、カード情報などは不要。話者映像とPC画面を組み合わせたビデオメッセージを作成・共有可能なQudenのzipunkが5000万円調達、正式版もローンチ

ジパンクは2019年12月に設立されたスタートアップ。「『働く』をもっと自由に」というミッションを掲げ、Qudenの開発と運営を行っている。

VRイベント「バーチャルマーケット」のHIKKYがシリーズA調達を70億円で完了、メディアドゥと提携し「メタバースと読書」追求

VRイベント「バーチャルマーケット」のHIKKYがシリーズA調達を70億円で完了、メディアドゥと提携し「メタバースでの読書」追求

「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」としてギネス世界記録に認定された

世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」をはじめVRサービスの開発ソリューションを提供するHIKKYは2月8日、シリーズAラウンドのセカンドクローズとして、第三者割当増資による5億円を調達したと発表した。引受先はメディアドゥ。シリーズAラウンドにおける調達総額は、2021年10月のNTTドコモを引受先としたファーストクローズの65億円を含め、70億円で完了したことになる。

またHIKKYとメディアドゥは、2022年1月18日に資本・業務提携を締結した。

メディアドゥは、2200社以上の出版社・150店以上の電子書店と取引があり、電子書籍流通において国内トップシェアという。「本との出会い方」や「読書の仕方」について、両社はメタバース空間を通し新たな幅広い体験に昇華させるとしている。同メタバース空間では、ユーザー同士やクリエイターとファンなどのコミュニティを創出し、ファンアートなどを介した交流やIPコラボの可能性を拡大予定。また、メディアドゥグループが取り組む世界最大級のアニメ・マンガコミュニティ&データベース「MyAnimeList」(マイアニメリスト)を通じたシナジーも追求する。

調達した資金についてHIKKYは、スマートフォン・PCブラウザー上で動くVRコンテンツ自社開発エンジン「Vket Cloud」(ブイケットクラウド)を中心としたVR関連サービスの開発体制の強化、同エンジンを用いたオープンメタバースの開発・運営、バーチャルマーケットやVket Cloudを含むVRサービス事業の国内外への拡大、新規事業であるVRコンサルティング業務、組織基盤強化などにあてる方針。

資金調達の目的と今後の展開

  • オープンメタバースの開発、およびサービスの提供
  • Vket Cloudエンジンの開発体制の強化
  • バーチャルマーケット事業の開発体制の強化
  • 海外展開を含めた事業拡大
  • 新規事業であるVRコンサルティング業務
  • 人材採用強化

HIKKYが掲げるオープンメタバースとは、「プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境」「オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション」などを実現するサービスという。

HIKKYが掲げるオープンメタバース

  • プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境
  • オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション
  • 独自ドメインでのオリジナルのコンテンツ展開
  • デバイスフリー&アプリレスでの簡単なアクセス
  • リアルとバーチャルを融合した体験の提供

今後HIKKYは、バーチャルマーケット事業によってつながった数多くのクリエイター、パートナー企業の力を借りながら、Vket Cloudを用いたオープンメタバースの開発・サービス展開を行う。また、オープンなメタバースにおいて、これまでの社会では評価されることのなかったあらゆる人の創造性やコミュニケーションが新しい価値として認められ、新たなイノベーションを生み出すべく様々なサービスを提供するとしている。

リモートでカットの指示が出せる撮影プラットフォームのSoona、シリーズBで約40.1億円調達

eコマースの劇的な成長と並んで、一部ではパンデミックが追い風となり、販売業者がオンラインビジネスに参入することを容易にするサービスの需要も増加した。Soona(スーナ)というスタートアップは、シリーズBで追加調達した3500万ドル(約40億1000万円)の資金をバックに、このマーケットに参入している。Soonaのプラットフォームでは、写真や動画の「仮想」撮影によって、ブランドのeコマース用ウェブサイトやマーケティングのコンテンツを作成できる。つまり、Soonaのテクノロジーを使えば、販売業者は別の場所で写真撮影を行うためにアイテムを送付してその結果を待つ代わりに、リモートかつリアルタイムでブランドの写真撮影プロセスに参加することができるのだ。

「私たちはブラウザで写真撮影に招待します。Zoom(ズーム)の会議に参加するのとそれほど変わりません」と、Soonaの共同創業者兼CEOであるLiz Giorgi(リズ・ジオルジ)氏は説明する。「カレンダーの招待をクリックすると、写真撮影の様子がブラウザに表示され、リアルタイムでキャプチャされる写真やビデオクリップをすべて確認できます。それらのアセットは操作できるので、お客様やチームはアセットのフィードバックをカメラマンに提供することができます」。

画像クレジット:Soona

Soonaの顧客は、構図の変更や、シーンの小道具の追加・削除、写真撮影のその他調整など、要望に応じてカメラマンとやり取りができる。その上、販売業者にとってサービスの前払いをしなくていいのはありがたい。写真1枚につき39ドル(約4470円)、ビデオクリップ1つにつき93ドル(約1万700円)を支払って、実際に必要なアセットだけ購入すればいいのだ。選び終えると、写真や動画は24時間以内に納品され、ウェブサイトやマーケティングチャネルにアップロードする準備ができる。また、いつでも過去の撮影記録にアクセスして追加のオーダーをすることもできる。

ビジネスの成功によって今回新たな資金の調達にこぎつけたSoonaは米国時間1月24日、Bain Capital Ventures(ベインキャピタルベンチャーズ)の取りまとめによって3500万ドル(約40億1000万円)の資金を新たに調達したとアナウンスしている。前の投資者であるUnion Square Ventures(ユニオンスクウェアベンチャーズ)、Matchstick Ventures(マチスティックベンチャーズ)、Starting Line Ventures(スターティングラインベンチャーズ)、2048 Ventures(2048ベンチャーズ)、Range Ventures(レンジベンチャーズ)もラウンドに参加し、Soonaの合計調達額はこれまでに5100万ドル(約58億5000万円)に達した。

ジオルジ氏のバックグラウンドは専門的なメディア制作だ。Soonaを始める前は、インターネットビデオ制作のMighteor(マイテアー)という自分の会社を経営し、その前はメディアおよびテレビの制作会社で働いていた。そうした経験を通して、コンテンツの作り方、特に美しいコンテンツの作り方を見定める目が養われた、と氏は述べている。一方、氏の共同創業者、Hayley Anderson(ヘイリー・アンダーソン)氏のバックグラウンドはアニメーションにあり、マイテアーのクリエイティブディレクターだった。マイテアーは後に、クリエイターネットワークのStandard(スタンダード)に買収された

ヘイリー・アンダーソン氏とリズ・ジョルジ氏(画像クレジット:Soona)

2人は2019年にSoonaを設立し、その年に最初の商品を発売した。最初の頃、Soonaの業務では、顧客に写真や動画の撮影のために実際のスタジオに来てもらい、ソフトウェアを使用して映像をすぐにアップロードして、顧客がすぐに購入できるようにしていた。しかしパンデミックのために、Soonaは再調整して仮想モデルに切り替えることを余儀なくされた。結果的には、このモデルを採用したことがビジネスの成長に役立った。パンデミックの最中に直接接触をともなう活動ができなかったときだけでなく、リモートワークが普通のビジネス環境になってからもそうだ。Soonaの収益は、2020年から2021年にかけて400%増加し、2021年から2022年にかけてさらに300%増加した。Soonaは年間収益の数字を公開しないが、ビジネス上の評価基準は非公開ながらも競争上の優位性に言及している。(参考までに)。

Soonaは現在、約1万の販売業者にサービスを提供しており、Wild Earth(ワイルドアース)、Lola Tampons(ロラタンポン)、The Sill(ザシル)、SNOW(スノー)、Birchbox(バーチボックス)などの顧客がいるが、サブスクリプションモデルではなく、取引ベースのビジネスをしている。ジオルジ氏は、これが商品市場に適していることが明らかになったと考えている。2021年は月ベースで、収益の63%はリピート客から得た。顧客の約60%は100万ドル(約1億1500万円)から500万ドル(約5億7300万円)のeコマースストアであり、その多くはShopify(ショッピファイ)を利用している。ショッピファイは化粧品、美容、健康、ファッション、履き物に強く、現在は消費者向けパッケージ商品や栄養商品の分野の成長が大きい。

「私たちのビジネスモデルは繰り返し型ではないかもしれませんが、ブランドでこうしたアセットが必要とされる頻度は高いレベルにあります。それで、こうした視覚的なアセットにいつどのようにお金を使い、投資するか、選択できるようにすることで、本当に簡単にSoonaを使い続けることができるようにしました」と、ジオルジ氏は述べている。「しかし、サブスクリプションを検討の対象から外しているわけではありません」。

現在、リモートでの写真撮影のために販売業者が商品を送付できるようにしている企業は、Pow Photography(パウフォトグラフィ)など他にもあるが、Soonaのようにリアルタイムではない。従来のeコマースサイト向けに「白地に商品」の写真、つまり白い背景の商品画像に主に重点を置いているライバルもいる。これは、たとえばリビングルームやキッチンセットの写真ショットで商品とモデルを組み合わせて作るリッチコンテンツなどとは逆である。一方、どちらかといえば市場方式で業者とカメラマンを直接結びつけようとする競合他社もある。

画像クレジット:Soona

しかし、Soonaの独自テクノロジーでは、オンラインでの写真撮影を計画するために必要なものをすべて顧客に提供する。人とペット両方のモデルやスタイリストを使用することもできる。モデルは、他のギグエコノミーの仕事と同様、契約ベースで働く。しかし、Soonaのカメラマンは、ギグワークとして仕事を請け負うか、フルタイムの従業員に移行することができる。現在、カメラマンは、フルタイムのスタッフとして約35人、請け負いで100人ほどいる。

Soonaは追加の資金を得て、モデルのサービスの市場を拡大することを目指している。この市場は現在、Soonaのビジネスで最も成長の速いセグメントの1つであり、実際、2021年のビジネス全体の20%を占めた。Soonaは、2022年にこのプラットフォームの規模を3倍にして、さまざまな人材のタイプを増やし、販売業者の顧客のために商品の見栄えをよくする新しい方法を取り入れることを計画している。また、精選したビジネスデータと販売業者の目標について尋ねることで、ブランドのためにどんなタイプの写真撮影をすればよいかに関する提案を増やすのに役立つテクノロジーにも投資する。Soonaはすでに、Amazon(アマゾン)およびInstagram(インスタグラム)推奨の撮影を始めており、類似のことをTikTok(ティックトック)で始める計画を立てている。

また、この会社は、APIプラットフォームを拡張して、ショッピファイ以外にも統合を拡大することも計画している。ショッピファイは現在、顧客ベースで55%を占めている。計画を進めるにあたり、Soonaは、たとえばKlayvio(クラビヨ)やBigCommerce(ビッグコマース)など、他のeコマーステクノロジー企業との統合に狙いを定めている。

この会社は、デンバー、オースティン、ツインシティーズに拠点を持っており、ミネアポリスの現在のチーム以外のエンジニアを増やすことで、エンジニアリングチームも3倍にする。商品チームも拡大する。

ジオルジ氏はSoonaの現在の評価額について話すことを避けたが、Soonaは女性が創業した次のユニコーンになる「道を歩んでいる」と考えている。「私たちは間もなくそこに到達します」と氏は断言した。

画像クレジット:Soona

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

シンガポールのXR企業Refractが約6.8億円調達、ゲーム指向の全身モーションキャプチャソリューション「AXIS」開発を強化

シンガポールを拠点とするXR(エクステンデッドリアリティ / クロスリアリティ)スタートアップのRefract(リフラクト)は米国時間1月25日、Sea Limited(シー・リミテッド)がリードするシリーズAラウンドで約850万シンガポールドル(約6億8300万円)の資金を調達したことを発表した。他にも海外のファミリーオフィスや個人投資家が参加している。

今回の資金は、ウェアラブルで、ゲーム指向の全身モーションキャプチャソリューションである「AXIS(アクシス)」の研究開発の強化に充てられる。同社はまた、2022年後半のAXISの商用化に向けてチームを拡大し、急速に成長するゲーマー、テクノロジーアダプター、コンテンツクリエイター、フィットネス愛好家の市場の要求に対応していく計画である。このシリーズAラウンドで、Refractの調達総額は900万ドル(約10億2500万円)となった。

2018年、Refractの共同創業者であるChong Geng Ng(チョン・ゲング・ウン)氏、Michael Chng(マイケル・チャン)氏、Eugene Koh(ユージーン・コー)氏の3氏は、ゲーミング関連のプロジェクトに取り組む中で、次の課題に直面した。ゲーミングと身体活動のギャップをいかに埋めるか?RefractのCEOであるチャン氏がTechCrunchに語ったところによると、同氏らはそのソリューションを、プレイヤーが自分の体をゲームのコントローラーとして使うということに見出した。3人の共同創業者は、ゲーミングや他の業界のアプリケーションにおける最先端の技術イノベーションについて関連する文書や記事を精査した後、その市場にギャップがあることを認識し、Refractを設立した。

「Refractの目標は、ARおよびXRゲームのキープレイヤーになることです。今回の資金調達により、このプロセスを加速することができます」とチャン氏は語っている。

画像クレジット:AXIS

この資金調達は、Kickstarter(キックスターター)でAXISのクラウドファンディングキャンペーンを成功させ、Deep Dive Studios(ディープ・ダイブ・スタジオ)の買収によってXRゲームパブリッシング部門を立ち上げた直後に発表された。

AXISは、Perception Neuron(パーセプション・ニューロン)やRokoko(ロココ)、Xsens(エックスセンス)のような全身モーショントラッキングシステムとは異なり、リアルタイムのゲーミングやエンターテインメント用途に適している。またAXISでは、ユーザーはゲーミング用に7から10ノードまで、またはより高精度なモーショントラッキング用に業界標準の17ノードまでを柔軟に使用できる。AXISにはベースステーションは必要ないが、ユーザーのコンピューター接続にWi-Fiが必要となる。

「AXISは完全に無接続かつワイヤレスで、外部のベースステーションやセットアップを必要としません。すべてがボディ上にあり、独自のインサイドアウトトラッキング機能を備えています。これはHTC Vive(エイチティーシー・バイブ)の類に見られる、システムのオクルージョンやスペース要件といった一般的な問題に対処するものです」とチャン氏はTechCrunchに語った。

Refractは、ウェアラブルのAXISに代表される同社のテクノロジーとゲームを通じて、没入型でエンゲージメントの高いXRやVRの体験を、成長を続ける29億人のゲーマーに継続的に提供していくことを見据えている。

Deep Dive Studiosによって、Refractはさらに没入的なタイトルを制作できるようになる。現在開発中の格闘ゲーム「FreeStriker(フリーストライカー)」のような、AXISのすべての顧客に無料で提供されるオファリングのリストを補完していく。

Refractのソフトウェアスイートは、OpenVR(オープンブイアール)、OpenXR(オープンエックスアール)、Unity(ユニティ)、Unreal Engine(アンリアル・エンジン)などのプラットフォーム、既存のVRシステムやアプリケーションと互換性があり、ゲーム開発者やコンテンツクリエイターのアクセシビリティを高めている。チャン氏によると、AXISはOculus Quest 2(オキュラスクエスト2)などの人気VRヘッドセットとも連携できるという。

Refractは、このセクターにおけるさらなる垂直統合と水平統合を進めている。

Refractはすでに、バーチャルスポーツプログラムの一環として、World Tekwondo(ワールドテコンドー)のような組織との戦略的関係を確保している。同連盟と協働し、近い将来、バーチャルテコンドーをメダル競技にすることを目指していく。World Tekwondoは、このスポーツをゲーム化し、新しい領域を創出することで、より幅広い、技術に精通したオーディエンスにリーチするというオポチュニティを見出した。そしてこのパートナーシップが生まれた、とチャン氏はTechCrunchに語っている。またRefractは、トルコのイスタンブールで開催予定の2022年Global Esports Games(グローバル・eスポーツ・ゲームズ)でAXISをフィーチャーすることも計画している。

画像クレジット:Refract

「AXISは、高忠実度モーショントラッキングテクノロジーとキャプチャテクノロジーをより幅広いオーディエンスに提供する上で、大きな前進を果たします。この分野でイノベーションを起こし、より没入感のあるゲーミング体験を提供します」とRefractのエグゼクティブディレクターであるチョン・ゲング・ウン氏は語っている。「私たちの投資は、Seaや他の投資家たちが私たちのビジョンと創造性を強く信じていること、そしてXRゲーミング市場の未開拓である大きなポテンシャルを反映するものです」。

「Refractのようなシンガポールの会社が、XRやVRの革新的なテクノロジーの開発を推進しているのを見るのは、とてもエキサイティングなことです」と、Seaのデジタルエンターテインメント部門であるGarena(ガレナ)で戦略的パートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるJason Ng(ジェイソン・ウン)氏は述べている。「彼らの成長とシンガポールにおけるイノベーションエコシステム全体の発展をサポートできることを、私たちは大変うれしく思っています」。

「Seaや他の投資家たちは、Refractの才能と、AXISの持つ巨大なポテンシャルを認識してくれました。AXISのKickstarterキャンペーンにおける成功は、このビジョンを共有するゲーマーたちの献身的なコミュニティの存在を証明しています。2022年にAXISとFreeStrikerを彼らに提供できることを心待ちにしています」とチャン氏は語った。

画像クレジット:Refract

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(文:Kate Park、翻訳:Dragonfly)

自動車用シミュレーションプラットフォームのMoraiがグローバル展開のために24億円のシリーズBをクローズ

自動運転システムの安全性と信頼性を検証するための自動車用シミュレーションツールを自動運転車の開発者に提供するMorai(モライ)が、米国、ドイツ、日本、シンガポールを中心としたグローバルな展開を強化するために、シリーズB資金調達ラウンドで250億ウォン(約24億円)を調達したことを発表した。

この新たな調達は、Korea Investment Partnersが主導し、KB InvestmentとKorea Development Bankも加わっている。このラウンドには、既存の投資家であるNaver D2 Startup Factory、Hyundai Motor Group、Kakao Ventures、Atinum Investmentも参加した。これによりこれまでの資金調達額は300億ウォン(約28億9000万円)となった。

MoraiのCEOであるJiwon Jung(ジワン・ジョン)氏はTechCrunchに対して、韓国に本社を置き84名の従業員を抱える彼のスタートアップが、2022年末までに世界中の人員を倍増させるためにこの資金を使用すると語った。

共同創業者のジョン氏、Jun Hong(ジュン・ホン)氏、Sugwan Lee(スガン・イー)氏の3人は、2018年に同社を設立し、自動運転車メーカーが実際のテスト走行をシミュレートできる自動運転シミュレーションプラットフォームを構築した。

多くの自動運転車メーカーが、自身の自動運転車の検証のために、安全性と信頼性を証明するためのシミュレーションテストを繰り返し行っている。

Morai SIM(モライSIM)と呼ばれるMoraiのシミュレーターソリューションは、高精細(HD)マップベースの3Dシミュレーション環境により、ユーザーにさまざまな仮想テストシナリオを提供する。Moraiの共同創業者であるホン氏はTechCrunchに対して、Moraiの最もユニークな特徴の1つは、現実世界の物体のデジタルレプリカであるデジタルツイン技術によって実現された、大規模なシミュレーションプラットフォームだと語った。Morai SIMは、すでに世界の20都市以上で展開されている。

1月に開催されたCES 2022では「Morai SIM」のSaaSモデル、通称「Morai SIM Cloud」が発表された。このサービスを使えば、ユーザーがローカルコンピュータにソフトウェアをインストールすることなく、クラウド上でシミュレーションテストを行うことが可能になる。その結果、ユーザーは運用するハードウェアに関係なく、無数のシミュレーション環境で自動運転(AV)ドライバーをテストすることができる。

Morai SIMが開発したデジタルツイン環境、ラスベガス(画像クレジット:Morai)

Moraiは、Hyundai Mobis(現代モービス)、Hyundai AutoEver(現代オートエバー)、Naver Labs(ネイバーラボ)、42dot(42ドッツ)などの100社以上の企業顧客や、韓国科学技術院(KAIST)、韓国自動車技術研究所(KATECH)、韓国交通安全公団(KTSA)などの研究機関を顧客としている。またNVIDIA(エヌビディア)、Ansys(アンシス)、dSPACE(ディースペース)などのグローバル企業ともパートナーシップを結んでいる。

ジョン氏は、同社のシミュレーション・プラットフォームは、自動運転をはじめ、UAM(アーバン・エア・モビリティ)、物流、スマートシティなどの分野に応用できるため、大きな成長が期待できると述べている。

同スタートアップは、2021年に170万ドル(約2億円)の収益を計上し、2018年から2021年にかけては226%の年平均成長率(CAGR)を達成した。2021年には、Moraiはサンフランシスコに米国オフィスを開設している。

ジョン氏は「自動運転シミュレーションプラットフォームにおけるグローバルな競争力をさらに高めるために、技術的な優位性を高めることに全力を注ぎます」と述べていいる。

Korea Investment PartnersのエグゼクティブディレクターであるKunHo Kim(クンホ・キム)氏は「Moraiのシミュレーター技術は、自動運転車の安全性と機能性の向上に重要な役割を果たすことが期待されています」と述べている。続けて「韓国だけでなく、世界の自動運転市場をリードする可能性を秘めているので、今後も成長を期待しています」としている。

画像クレジット:Morai

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(文:Kate Park、翻訳:sako)

遺伝子治療による視覚再生の早期実用化を目指すレストアビジョンが3億円調達、網膜色素変性症治療薬の臨床試験目指す

遺伝子治療による視覚再生の早期実用化を目指すレストアビジョンが3億円のシード調達、網膜色素変性症治療薬の臨床試験目指す

遺伝子治療による視覚再生の早期実用化を目指すレストアビジョンは2月4日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による総額3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リアルテックファンド、ANRIおよびRemiges Venturesがそれぞれ運営するファンド。

調達した資金は、慶應義塾大学とともに採択された日本医療研究開発機構(AMED)などの補助金計3億円とあわせて、6億円の資金をもって、同社リードパイプラインである網膜色素変性症の遺伝子治療薬RV-001の製剤開発、非臨床試験などを推進し、RV-001の臨床試験の早期実現を目指す。

レストアビジョンは、慶應義塾大学医学部と名古屋工業大学の共同研究成果をもとに、オプトジェネティクス技術の臨床応用による、遺伝性網膜疾患に起因する失明患者の視覚再生の実現を目指して、2016年11月に設立。いまだ有効な治療法のない遺伝性網膜疾患に対し、同社の治療を提供していくことを第1のミッションに掲げて開発に取り組み、日本発・大学発の遺伝子治療技術の産業化による日本経済への貢献を目指している。

RV-001は、AAV(Adeno Associated Virus)ベクターに独自の光センサータンパク質である「キメラロドプシン」を目的遺伝子として搭載した遺伝子治療薬。ヒトの網膜において光センサーの役割を担う視細胞が、遺伝的要因で変性消失してしまう網膜疾患を主な対象として、簡便かつ低侵襲な投与方法である硝子体内注射によりRV-001を投与し、残存する介在神経細胞内でキメラロドプシンを発現させることで、視覚再生を実現する治療法という。

ドイツの金融スーパーアプリVivid Moneyが評価額約1020億円で130億円調達、欧州全域で展開へ

50万人の顧客を持つベルリン発のチャレンジャーバンクVivid Money(ビビッドマネー)は、基本的な当座預金と資金管理のサービスに加え、株式や暗号資産投資も扱う金融ワンストップショップの「スーパーアプリ」として有名になった。そしていま、同社はプラットフォームにサービスを追加し、欧州全域で事業を展開しようと、1億ユーロ(約130億円)を調達した。同ラウンドはGreenoaks Capitalがリードし、Ribbit Capitalと新規投資家のソフトバンク・ビジョンファンド2が参加した。

今回の資金調達でのVividの評価額は7億7500万ユーロ(約1020億円)だ。参考までに、この数字は同社が6000万ユーロ(約79億円)を調達した2021年4月の前ラウンド時の評価額(約473億円)の2倍以上だ。また、この間にユーザー数は5倍、売上は25倍になったという。Vividはプラットフォームへの預け入れ総額や取引件数など詳細については公表していないが、Vividの共同創業者であるAlexander Emeshev(アレクサンダー・エメシェフ)氏は、2022年中にユーザー100万人達成を目標としている、と述べた。

Vividは現在、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアの4つの市場で事業を展開しており、2022年中に新たに5つの市場に進出し、2023年末までに欧州全域で利用できるようにする計画だ。新商品としては、保険商品の展開が初期段階にあり、エメシェフ氏によれば、2022年後半に初のクレジット商品を導入する予定だ(Vividは現在、ユーザーにVisaデビットカードを提供している)。

2020年にスタートしたVividは「COVIDネイティブ」のスタートアップと言えるかもしれない。モバイルファーストのサービスは、従来の銀行や投資サービスからすでに遠ざかっていただけでなく、パンデミックのために自宅で過ごす時間が増え、金融面の管理方法を再考していた30代のユーザーに訴えるものだった。

他の多くのネオバンクと同様、Vividの基本となるフリーバンキングは、他のプロバイダー(Vividの場合は、ドイツの組み込み型金融の大手Solarisbank)のインフラの上に構築されている。顧客が目的に応じて資金を最大15個の「ポケット」に分けることができ、ポケット間の移動も簡単にできるなど、よりカスタマイズされた資金管理サービスやその他のパーソナリゼーションサービスを加えている。

こうした基幹サービスとともに、暗号資産やETF(上場投資信託)などの新しい取引形態の金融サービスの波も押し寄せてきており、Vividはこれらも取り込むつもりだ。

Vivid Moneyのもう1人の共同創業者であるArtem Iamanov(アルテム・アイアムノフ)氏はインタビューで「当社のビジョンは、投資と貯蓄の巨大市場であるヨーロッパ大陸をターゲットにすることでした」と語った。「我々は、分散型金融や他の種類の代替投資アプローチがブームとなっていて、それらが従来型の銀行の世界とあまりよくつながっていないことを知っていました」。

そのつながりのなさは、理解という点でだけでなく、消費者の金融生活全体が伝統的なプラットフォームに基づいているときに、新しいサービスに足を踏み入れる方法という点でもそうだった。

Vividのソリューションは、ユーザーが既存のフィアット口座を使って簡単に株式や通貨について学び、その後投資できるような一連のサービスを作ることだった。例えば、同社は現在50の暗号資産と3000の株式やETFを選択できるポータルを提供し、分散型金融の分野に慣れておらず、さまざまなことを試しているかもしれないユーザーにアピールするように設計されている(これらの新しい投資ビークルの中にはSPACもあり、Vividは欧州で一般消費者がこれらのビークルに投資できる数少ないプラットフォームの1つだ)。

「古いものと新しいものの間に大きなギャップがあることがわかったので、この2つの世界の間で交わる商品にユーザーがアクセスできるようなスーパーアプリを作ることにチャンスを見出しました」とアイアムノフ氏は話した。

Vividのプラットフォームでの投資は無料で、ユーザーが米国株に投資する場合など、為替レートやその他の手数料でVividは利益を得る仕組みになっている。また「Prime」(Amazonはどう思っているのだろう)として販売するサブスクリプションを設け、月額9.90ユーロ(約1300円)を払えば、ユーザーはそうした手数料を払わなくてもいいようになっている。

チャレンジャーバンクがひしめく市場で、Sequoiaの支援を受けたネオブローカーのTrade Republicなど、Vividと非常に近い競合相手もいるが、Vividの出資者は同社の牽引力と、新しい消費者投資家にアピールするオールインワンで簡単なアプローチにより、同社が事業を拡大するにつれ、ユーザーと利用が増えるだろうと考えている。

「Vivid Moneyはわずか1年余りで、すでに欧州で最も愛されている消費者向けバンキングプラットフォームの1つを構築し、ユーザーは金融生活全体を1つのアプリで管理できるようになりました。2021年投資して以来、Vivid Moneyの新製品開発のペースの速さを目にして感激しており、Vivid Moneyは既存ユーザーを喜ばせ、新規顧客を引き付け、プラットフォームの価値提案を深化させています」とGreenoaksのパートナー、Patrick Backhouse(パトリック・バックハウス)氏は声明文で述べた。「我々は消費者金融における革命のまだ初期段階にいると考えており、事業を拡大し続けるVividとのパートナーシップをさらに深化させることをうれしく思っています」。

画像クレジット:Vivid Money

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクとゴールドマン、インドの小規模小売店プラットフォームElasticRunにユニコーン出資

ソフトバンクが世界第2位のインターネット市場における商業的な賭けをさらに強化する中、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)は、ElasticRun(イラスティックラン)の3億ドル(約345億2000万円)の最新ラウンドをリードした。

ElasticRunがインド時間2月7日に規制当局へ提出した書類によると、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と既存投資家であるProsus Venturesも、プネーに本社を置く同社のシリーズEラウンドに参加した。今回のラウンドで、ElasticRunの評価額は15億ドル(約1727億円)となった。

TechCrunchは1月初め、ソフトバンクとゴールドマン・サックスがElasticRunを支援する交渉を行っていると報じていた。

ElasticRunは、インドの数百の市町村にある数十万の小規模小売店が、トップブランドの在庫や運転資金を確保できるよう支援している。ElasticRunは、eコマース企業やその他の大手ブランドとの協業をサポートすることにより、これらの近隣店舗の収益向上を支える。EC企業やブランド側は、これまで参入が難しかった巨大な市場へのアクセスを得ることができる。

今回のラウンドにより、ElasticRunの累計調達額は4億3000万ドル(約495億円)以上となり、これまでのすべての資金調達を合わせた額よりも多くの資金が同社にもたらされた。

ElasticRunはクラウドソーシングにより、近隣店舗(キラナとして知られているパパママストア)にサービスを届けるパートナーの物流ネットワークを構築してきた。ElasticRunと協力してこのネットワークを利用している大手企業には、Amazon(アマゾン)、Tata Consumer Products(タタ・コンシューマー・プロダクツ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、PepsiCo(ペプシコ)、インド最大の小売チェーンであるReliance Retailなどがある。

このスタートアップは、ソフトバンクがインドのコマース市場で行ってきた一連の賭けの中で最も新しいものだ。ソフトバンクはこれまでにも、Flipkart(Flipkart)やソーシャルコマースのスタートアップであるMeeshoなどを支援している。

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)