オフィス賃貸業向けデータプラットフォームestie proなど運営のエスティが10億円のシリーズA調達、採用・組織体制を強化

オフィス賃貸業向けデータプラットフォームestie proなど運営のエスティが10億円のシリーズA調達、採用・組織体制を強化

オフィス賃貸業向けデータプラットフォーム「estie pro」と賃貸オフィスマッチングサービス「estie」を運営するestie(エスティ)は1月12日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による約10億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、新規投資家のグローバル・ブレイン。

調達した資金は、複数サービスを継続的に開発・提供するマルチプロダクト戦略を支える人材採用の強化に充当される。今後の採用活動を通じ、特にプロダクト、オペレーションの両部門を拡大し、トップマネジメント人材の採用を視野に入れ、物件からエンドユーザーに至るまでの一貫したデータフローを構築し、商業用不動産市場のDXの推進を目指したいという。

2018年12月設立のestieは「産業の真価を、さらに拓く。」を理念とし、不動産業界に関連する情報の流通・取引を円滑にすることを目指すスタートアップ。

同社が提供する不動産データ分析基盤のestie proでは、50以上の不動産デベロッパー、管理会社、仲介会社などから構築されたデータパイプラインの独自情報を日々集約し、オフィス賃貸業に必要なあらゆる情報を提供。全国8万棟・40万フロアの建物情報、500万坪の募集情報、24万件の賃料情報、都心20万件の入居企業情報などのデータを網羅すると同時に、独自開発したAIアルゴリズムによる推定賃料「e-賃料」を搭載し、データを活用した不動産関連業者の意思決定をサポートしている。サービスリニューアルを行った2020年7月から2021年12月まで、約14倍(月平均約+15%)ものMRR(月次経常収入)成長を続けているという。

子どもにデジタルスキルを教えるKodlandが約10.4億円調達、オンラインのコーディングスクールを拡張

ロンドンに拠点を置くKodlandは、2018年に起業して子どもにコンピュータプログラミングなどのデジタルスキルを対面で教えるコースを提供し、2020年前半からはオンライン教育にシフトした。同社はシリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)を調達し、これから市場を拡大していく。

このラウンドはRedseed Venturesが主導し、他にBaring Vostok、Kismet、Flyer One Ventures、ニューヨークに拠点を置くI2BFのパートナーであるAlexander Nevinsky(アレクサンダー・ネビンスキー)氏が参加した。

Kodlandが提供する6〜17歳向けのリモートコースは現在、英国、アイルランド、米国、カナダ、独立国家共同体地域、マレーシア、インドネシア、アルゼンチンで利用できる。同社はそれぞれの地域に応じてローカライズしたコンテンツを提供している(同社のユーザーはおよそ40カ国に広がっている)。同社によれば、これまでにおよそ1万6000人が有料コースに申し込んだ。

Kodlandは新たに調達した資金でオンラインコースの対象地域をさらに広げていく。

同社のコースはグループ学習またはプロジェクト学習で、コーディングやウェブサイト構築、ゲーム制作、アニメーション、ビデオ編集といったデジタルスキルを、従来のクラスルーム形式のレッスンよりも楽しくインタラクティブに教える。同社プラットフォームが提供するオンライン教育は、自己学習ではなく講師が指導する。

Kodlandによれば、同社プラットフォームには約1000人の講師がいて、市場によって雇用している場合もあればギグワーカーの場合もある。通常は、生徒15人に対して講師が1人つく。ただし個人指導も提供している。

同社は、学校に対してツールやリソースを販売するのではなく、デジタルスキルの課外学習に集中しているという。その方が学校教育の複雑な導入要件に対応する必要がなく、グローバルに拡大しやすいからだ。

また、クリエイターエコノミーに関して「Out of the Box」という独自のアクセラレータを設けている。これは優秀な生徒の目を「現実の」プロダクトに向けさせ、デジタルの成果物を収益化できるように特別に支援するものだ。

今回のラウンドで、Kodlandのこれまでの調達金額合計は1100万ドル(約12億7000万円)となった。同社は今回調達した資金を使い、今後2年間でコースの対応言語をさらに8言語増やして市場を拡大する計画だ。プロダクト開発にも資金を投入するという。

同社はTechCrunchに対し「2022年中に現在の英国やアイルランド以外にも英語圏の国に拡大し、スペイン語圏や東南アジアの国々にも拡大します」と説明した。

資金の一部はアクセラレータプログラムに使われる。

Kodlandは生徒たちから「大きなトラクション」を得て「最大級の成長を確実に遂げている」ことを背景に、今回のシリーズAを実施した。同社は2021年第3四半期に前年同期比6.5倍の売上を達成した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、EdTechは全般に急成長した。外出や人に会うことが制限されたため、画面を見る時間が増えたからだ。保護者が在宅で仕事をしている間に手頃な価格で子どもに使わせることのできるツールを求める需要があることはいうまでもない。

しかしそれは、競争が激化しているということでもある。

ソフトバンクのような大手投資家が教育分野に多額の資金を投じEdTechのユニコーン各社も活発M&Aをしている。コホート方式の学習プラットフォームも同様にEdTechとクリエイターエコノミーをつなごうとすることで投資を集めてきた。

子どもに関連するところでは、この分野の大手には以前からRobloxがある。Robloxはソーシャルゲームを活用して、プログラミング学習と収益化の可能性に対して子どもたちに興味を持たせようとしている。

しかし、講師が指導するクラスで子どもたちにSTEMのスキルを教えるというKodlandの構造とやり方は、拡大を続けるEdTechの世界で認められるようになるかもしれない。

同社は「国際的な子ども向けオンラインデジタルスキルスクール」として質の高い教育コンテンツという概念を保護者に売り込んでいる。4つのクラス(「モジュール」と呼ばれる)のセットは110ユーロ(約1万4000円)、全32クラスのコースは660ユーロ(約8万6000円)だ。

シリーズAに関する発表の中でRedseedマネージングパートナーのEugene Belov(ユージン・ベロフ)氏は次のようにコメントした。「従来の教育機関にとって現在の急激なテクノロジーの進歩についていくのは難しいことです。そのため供給(若年層のスキルや能力)と人材に対する需要(現代の職場で求められる要件)とのギャップがしばしば発生しています。(共同創業者の)Alexander Nosulich(アレクサンダー・ノスリッチ)氏とOleg Kheyfets(オレグ・カイフェッツ)氏は、これまでの学校教育では手付かずになることが多いにもかかわらず現在のデジタルの世界では不可欠になりつつあるスキルを生徒たちに教えることで、このギャップを埋めようと熱心に取り組んでいます。成果重視のユニークなプログラムは現代の子どもたちに強くアピールしています。我々はKodlandのジャーニーを支援できることをたいへん喜んでいます」。

補足資料の中でFlyer One VenturesゼネラルパートナーのVital Laptenok(バイタル・ラプテノク)氏は次のように述べた。「教育分野には現在、独占的な存在がありません。そのため多くのプレイヤーが市場に参入し、増加する教育サービスの需要に応えようとしています。顧客のリアルなニーズを理解しているプレイヤーが成長し、市場の流れを決めるでしょう。Kodlandのチームは子どもたちにとって実用的な知識と機会にしっかりと的を絞り、インタラクティブな職業教育をしています」。

画像クレジット:Kodland

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Kaori Koyama)

全国一律プランの葬儀を提供する「よりそうお葬式」など手がける葬儀ITベンチャー「よりそう」が35億円超のシリーズE調達

全国一律プランのお葬式を提供する「よりそうお葬式」など手がける葬儀ITベンチャー「よりそう」が35億円超のシリーズE調達

葬儀ITベンチャーの「よりそう」は1月12日、第三者割当増資および金融機関4社からの融資により、シリーズEラウンドとして、総額約35億1000万円の資金調達を実施したと発表した。内訳は、第三者割当増資が約30億9000万円、融資が4億3000万円。引受先は、フィデリティ・インターナショナル、農林中金キャピタル、Sumisei Innovation Fund、博報堂DYベンチャーズ、Sony Innovation Fund by IGV、HT Asia Technology Fund、ヤマシタ。第三者割当増資での累計調達額は約63億円となった。

調達した資金により、終活・葬式・供養・相続まで包括的に提供する「ライフエンディング・プラットフォーム」(LEPF)構想を強化するとともに、新規事業創出および認知拡大に努める。

日本は、少子・高齢・多死が進む「課題先進国」として年間死亡者数が増加傾向にあり、2040年には約168万人(内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」)に達する見込み。また1人の方が亡くなる前後において、その家族は介護や葬式、供養、相続といった様々なライフイベントを経験することになり、そのたびにサービスの比較検討や申し込みを繰り返すことが大きな負担となっている。そこで「よりそう」は、各家族が各ライフイベントで感じる負担や不安を「一元化」「テクノロジー」「安心感」によって解消するため、葬式を起点として前後のタイミングまで一元的にサポートするLEPF構想を強化する。

また同社によると、その実現には、起点となる葬式の施行を担うパートナー葬儀社のDX支援も重要という。葬儀業界は業界構造的な背景から、数年前までIT化やDXの重要性が認識されていなかったことから、業務効率化まで手が回らず、本来遺族のケアに割くべき時間をアナログな事務作業や業務管理にあてざるをえない葬儀社も少なくないとしている。

「よりそう」は、パートナー葬儀社のDX支援によって葬儀社スタッフが遺族に向き合える時間を増やし、遺族がお別れに集中できる時間を提供したいと考えているという。今回の調達を通じ、遺族の不安に寄り添い、事業者課題も解決することで葬儀業界の負を解消するサービスを構築し、両面から業界構造の変革を促すプラットフォーマーとなることを目指すとしている。

重点投資領域

  • LEPF構想の推進:LEPF拡張にともなう事業シナジーを見越し、保険や介護といった葬儀周辺領域に強みを持つCVCによる出資を実現。また、さらなる領域拡大および強化のため、他業種との業務提携を本格的に検討する予定
  • 葬儀社向け事業の立ち上げ:今後はDXによる経営向上支援を目的とした葬儀社向け新規事業を本格化する予定。2022年度中に事業部を立ち上げ、2023年度中に主要事業とすることを目指す
  • 採用強化:LEPF構想の推進および新規事業立ち上げに際し、よりそうの事業成長を支える人材の採用強化を決定
  • マスプロモーションへの投資:主力サービス「よりそうお葬式」は、一般には比較的新しく、認知が低いカテゴリーに含まれるサービスであることから、認知を広めていく必要があると考えているという。葬式運営経験が少なくても絶対に失敗したくない方が、事前に「よりそうお葬式」を知ることで安心して利用いただけるよう、マスプロモーションを強化する

「よりそう」は、2009年3月に設立後、2013年に「よりそうお葬式」(旧「シンプルなお葬式」)、「よりそうお坊さん便」(旧「お坊さん便」)の提供を開始。高齢化や核家族化による葬儀・供養の価値観の変化などを取り入れたサービスを展開している。2018年3月には葬儀・法要・供養などの「ライフエンディング」サービスをワンストップで提供するブランド「よりそう」を発表している。

インドネシアの魚やエビの養殖業者向けサービスeFisheryが約104億円調達、アグリテックとして世界最大規模

インドネシアのeFishery(イーフィッシャリー)は現地時間1月10日、アグリテックのスタートアップとしては世界最大規模の資金を調達したと発表した。魚やエビの養殖業者向けに給餌機器やソフトウェア、融資を提供する同社は、Temasek、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2、Sequoia Capital Indiaが共同でリードしたシリーズCラウンドで9000万ドル(約104億円)を調達している。復帰投資家のNorthstar Group、Go-Ventures、Aqua-Spark、Wavemaker Partnersも同ラウンドに参加した。

調達した資金は、プラットフォームの拡大、そして中国やインドなど養殖業における上位10カ国に進出するのに使用される予定だ。

eFisheryの製品には、エビ養殖業者がオペレーションを監視できるeFarmや、魚養殖業者向けに同様の機能を提供するeFisheryKuといったソフトウェアがある。融資商品にはeFundがあり、これは資材や原材料といったものを購入するための後払いサービスなどのために養殖業者と金融機関をつなげる。これまでに7000人以上の養殖業者がeFundを利用し、承認された融資総額は2800万ドル(約32億円)超だという。

その他の製品にはスマートフィーダーなどがあり、現在インドネシアで3万人以上の業者が利用している。

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズの投資ディレクターであるAnna Lo(アンナ・ロー)氏は「インドネシアは世界最大の水産物生産国の1つであり、養殖業界は世界の増大する人口に食料を提供するという大事な役割を果たすと信じています」と声明で述べた。

最近、多額の資金を調達した他のインドネシアのアグテックスタートアップには、マーケットプレイスのTaniHubEden Farm「海から食卓へ」企業のAruna、ソーシャルコマーススタートアップのChilibeliなどがある。

画像クレジット:Wokephoto17 / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

5分でフル充電できるEV用急速充電バッテリーのStoreDotがベトナムのVinFast主導で約92億円を調達

イスラエルの次世代バッテリーテクノロジー企業StoreDotは、ベトナムのEVメーカーであるVinFast(ビンファスト)が主導する最新の資金調達ラウンドのファーストクローズを完了した。同社は今回のシリーズDラウンドで、最大8000万ドル(約92億4000万円)を調達する予定だ。

この資金は、StoreDotの研究開発の完了と、同社技術の量産スケールアップに使用される。現在、自動車メーカーに出荷してテストを行っているという。

VinFastは、ベトナムでBMWベースの自動車をライセンスして製造している。シリーズDには他にも、BP VenturesとGolden Energy Global Investmentが参加した。

StoreDotのCEOであるDoron Myersdorf(ドロン・マイヤースドルフ)博士は、次のように述べている。「今回の戦略的な資金調達は自動車、エネルギー、テクノロジーの大手企業が主要な投資家となっており、StoreDot、同社のXFCバッテリー技術、長期的な製品ロードマップ、そしてEVドライバーの航続距離に関する不安を解消するためのワールドクラスの技術とイノベーションに対する大きな信頼の証です」。

StoreDotは、Daimler(ダイムラー)、Samsung(サムスン)、TDK、中国のバッテリー量産メーカーであるEVE Energy(EVEエナジー、恵州億緯鋰能)とのパートナーシップも獲得している。同社の革新的なリチウムイオン電池の設計は、非常に高速な充電が可能であり、わずか数分で車両をゼロ状態からフル充電できるとしている。

同社のXFC(超高速充電)バッテリーは、一般的な黒鉛を使用した負極ではなく、シリコン系の負極を使用しており、エネルギー密度が高く、従来の電池よりも長持ちする可能性がある。

VinFastのPham Thuy Linh(ファム・トゥイ・リン)副社長はこう述べている。「当社は、研究に献身的に取り組み、画期的な技術を持つ企業とパートナーシップを結び、投資することでグローバルな知性をつなげてきました。特に、StoreDotやその独自技術である超高速充電(XFC)などのEVバッテリーには注力しています」。

画像クレジット:StoreDot

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

豪Fertilisが体外受精胚培養の自動化に向け約2億円調達

Fertilis共同創業者のジェレミー・トンプソン教授(画像クレジット:Fertilis)

体外受精(IVF)を患者と臨床医にとってよりストレスの少ないものに、そしてIVFをより成功させようと世界の多くの企業が取り組んでいるが、アデレード拠点のスタートアップFertilis(ファーティリス)はその輪に加わった最新の企業だ。

創業2年のFertilisは、超小型医療機器を使って細胞培養を自動化する技術で投資家から支持を取り付けた。香港の大物Li Ka-shing(李嘉誠)氏のベンチャーキャピタルで、Facebook(フェイスブック)やSpotify(スポティファイ)の初期投資家でもあるHorizons Venturesはこのほど、Fertilisの275万豪ドル(約2億円)のシードラウンドをリードした。他の投資家は明らかにされていない。

英国の国民保健サービスによると、2019年に出産に至った体外受精治療の割合は、35歳以下の女性でわずか32%だった。患者の年齢や精子・卵子の質といった要因が、成功率に影響を与える可能性がある。

胚の選別の改善に取り組むスタートアップが相次いでいる。例えば、TechCrunchが取り上げたイスラエル拠点のEmbryonics(エンブリオニックス)がある。生殖生物学者のJeremy Thompson(ジェレミー・トンプソン)氏と連続起業家のMartin Gauvin(マーティン・ゴービン)氏が創業したFertilisは、胚の培養という別の角度からこの問題に取り組んでいる。

体外受精のクリニックは「非常に忙しい場所」であり、専門家は「やらなければならないことすべてについて訓練を受けている」とトンプソン氏はTechCrunchのインタビューで語った。標準的な体外受精のプロセスでは、胚の発育に合わせてシャーレの中で細胞をさまざまな環境に移し替えていく。しかし、採卵からシャーレをラボに運び、胚を生殖器官に入れるまで「うまくいかないことがいろいろある」と同氏は指摘した。

「胚が臨床医に取り出されるたびに、環境は悪影響を受けるのです」とトンプソン氏はいう。「患者の希望や夢は文字通り、臨床医の一挙手一投足にあります」。

Fertilisのソリューションは、特許取得済みの3Dプリントのクレードルに各胚を入れることで、体外受精のプロセスを標準化し、自動化することだ。髪の毛ほどの幅のこの装置により「より人体に近い環境」で細胞を培養することができる、とトンプソン氏はいう。このクレードルはシャーレの上に置かれるため、臨床医は胚を直接扱う必要がない。

生殖技術に関する規制という点で、同社はユニークな立場にある。人間ではなく細胞に作用する医療機器を製造しているため、直面する規制は「一部の国ではもっと簡単なもの」だとゴービン氏は話す。同社は現在、FDA(米食品医薬品局)の承認を申請中だ。

Fertilisが調達した新しい資金は、継続的な科学的開発を支える。2022年後半には、カリフォルニア州の不妊治療クリニックと共同で臨床試験を開始する予定だ。また、欧州やアジアのパートナーとも話を進めており、今後数カ月以内に契約を締結する見込みだ。2023年までには、最初の市販製品を発売することを目指している。

技術的には、Fertilisの粒子サイズの装置は、他の種類の細胞の培養にも使用することができる。受精はスタート地点にすぎない。

「Fertilisの技術は、診断や治療から特定の細胞培養製品の製造に至るまで、幅広いヘルスケア用途に変革的な影響を与えると確信しています」と、Horizons Venturesのオーストラリアを拠点とする投資家Chris Liu(クリス・リュウ)氏は述べた。

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

新資金で潤うFoxtrotの「未来のコンビニ」があなたの近くにやってくる

シカゴにあるFoxtrotの店舗の1つ(画像クレジット:Foxtrot)

Foxtrot(フォックストロット)は、コンビニエンスストアに対する考え方を変えようとしている。同社は、今後2年間で実店舗を50店舗まで拡大するために、新たに1億ドル(約115億5100万円)のシリーズC資金を調達した。

前回、シカゴを拠点とするFoxtrotに注目したのは2020年初頭、世界的なパンデミックに世界が震撼する直前のことだった。成長ラウンドで1700万ドル(約19億6300万円)を確保し、商品を店舗で購入するか、オンラインで注文して配送するかという選択肢を顧客に提供していた。そして当時、ダラスとシカゴに小売店舗を構えていた。

関連記事:窮地のコンビニを再構築するFoxtrotが19億円を調達

2014年にMike LaVitola(マイク・ラヴィトラ)氏とTaylor Bloom(テイラー・ブルーム)氏が創業した同社は、街角のコンビニエンスストアを再構築しようとしている。その起源は、デジタルファーストのコマースプラットフォームだが、彼らはそこに小売り店舗の体験を追加した。Foxtrotの主力商品であるコーヒー、すぐに食べられるカフェ料理、ワインに加え、同社は現在地元の職人による最高レベルの食品を探し求めている。

前回、FoxtrotはワシントンD.C.をマーケットリストに加え、その後、この3都市で16の小売店をオープンした。5分以内のピックアップ、迅速なオンデマンド配送「Foxtrot Anywhere」という全国配送ツールなどを提供している。

加えて、同社は1年前にプライベートブランド商品にも着手し、現在では同社の小売商品の約30%、小売とeコマースの売上のほぼ半分を占めるまでになったと、CEOのLaVitola(ラヴィトラ)氏はTechCrunchに語っている。同氏は、今後1年間に約200の新しいプライベートブランド商品が発売されると期待している。

米国時間1月11日の新たな資金調達は、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)が主導し、既存の投資家であるMonogram Capital(モノグラム・キャピタル)、Imaginary(イマジナリー)、Almanac(アルマナック)、Wittington(ウィッティントン)、Fifth Wall(フィフス・ウォール)、Beliade(ベリアード)、Lerer Hippeau(レラー・ヒポー)、Revolution(レボリューション)が参加したものである。このシリーズCにより、Foxtrotの総資金額は1億6000万ドル(約184億円)に達した。

パンデミックでの現状で見られるように、ほとんどの販売はオンラインに移行した。しかし、ラヴィトラ氏はFoxtrotの小売店舗へのアクセスが増加したことに気がついた。小売店舗へ足を運ぶのは、新しいスナックを発見するのにはそれほど激しくなく、かつレストランや食料品店に行くよりも「人々の日常の中の20分の楽しみとなった」ことに言及した。

同社は2021年、事業を倍増させたが、小売店の導入は、新たな資金を使って2022年に25店舗を新たにオープンするための原動力の1つにもなっている。新店舗には、ボストンのバックベイ地区、オースティン初となる2店舗、シカゴのウィリスタワー、トリビューンタワー、リグレーフィールド付近への追加店舗が予定されている。2023年には、ニューヨーク、ナッシュビル、マイアミなどの新市場にも進出し、現在の都市でも店舗を拡大する予定だ。

「私たちが見た最大のトレンドは、顧客が小売体験に完全に傾倒し、それがオンラインビジネスの主要な顧客獲得ポイントになっているということです」と、ラヴィトラ氏は述べている。「配送は今後も続くでしょうが、お客様は最終的に私たちの商品の価値を理解するようになります。その結果、私たちは、誰が一番おいしいドーナツ、コーヒー、トルティーヤを持っているかという点にとことんこだわりながら、対面での体験に私たちの90%の時間を費やしています」。

Foxtrotは小売店舗に加え、新たな資本を商品化モデルの拡張に投資し、エンジニアリングの人材を追加採用し、2023年にはチームの規模を3倍にする計画だ。ラヴィトラ氏は物流、店舗決済、在庫管理、パーソナライゼーション、Foxtrotのロイヤルティプログラムである「Perks(特典)」の分野でも採用を予定している。

Perks自体は2021年に110%以上の成長を遂げ、同時期に、5分以内マーケットピックアップは250%、カフェオーダーは375%の成長を遂げたという。

Monogram Capitalの共同創業者でFoxtrotの取締役を務めるJared Stein(ジャレド・スタイン)氏は、Foxtrotがオムニチャネルブランドとローカルプロダクトキュレーターとして支配力を発揮している点を「カテゴリーキリングモデル」と称した。

「Foxtrotは、我々の中では、稀有な存在です。Foxtrotは、一から技術スタックを構築しました。それに、同じレベルのキュレーションとおもしろいブランドとのローカルなパートナーシップを持つ会社を見つけるのは難しいものです。それが、人々が物語に入ってくる理由なのです。他の企業もこれをやっていますが、複雑です。Foxtrotは、それをスケールアウトする前に取り組んだのです」。

編集部注:1月11日6:29 a.m. PT:Foxtrotは、投資家のリストにM3 VenturesのBeliadeへのブランド変更を含むように修正しました。

画像クレジット:Foxtrot/シカゴにあるFoxtrot社の店舗の1つ

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

学習プログラム紹介サービスCareer Karmaが企業向けに事業転換を画策、世界最大の人材紹介会社を目指す

Career Karma(キャリアカルマ)は、コーディング・ブートキャンプを検索したことがある人なら誰でも共感するような速さで、最初の数百万ドル(数億円)を調達した。それは、意欲を持った学生や社会人のためのナビゲーションツールだ。Career Karmaは独自のカリキュラムを作成するのではなく、学生が自分の予算とキャリア目標に最適なプログラムを見つけられるように支援する。

2018年にRuben Harris(ルーベン・ハリス)氏、Artur Meyster(アルトゥール・メイスター)氏、Timur Meyster(ティムール・メイスター)氏の3人によって設立されたこのスタートアップは、現在、行き詰まったブートキャンプの学生以外にもサービスを提供しようと意欲を高めているところだ。

この数カ月の間、Career Karmaは雇用者とのパートナーシップの種をまいてきた。これによって同社は、一般消費者に向けとして始めたEdtechスタートアップが、規模の拡大にともなって雇用者から利益を得るルートを開拓した最新の企業となった。ハリス氏は現在、Career Karmaが過去数年間に構築してきたマーケットプレイスで、従業員や契約社員に職業訓練プログラムにマッチングさせるというビジョンを掲げている。

この段階へ進むために、Career Karmaは米国時間1月10日、非公開の評価額で4000万ドル(約46億円)のシリーズB資金調達を実施したことを発表した。このラウンドは、Top Tier Capital Partnersが主導し、旧Google Ventures(グーグル・ベンチャーズ)であるGV、Bronze Venture Fund(ブロンズ・ベンチャーズ・ファンド)、Stardust(スターダスト)、Trousdale Ventures(トロウスデール・ベンチャーズ)、Alumni Ventures Group(アルムニ・ベンチャーズ・グループ)などが参加。既存投資家であるSoftBank(ソフトバンク)、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)、Backstage(バックステージ)、4S Bay Partners(4Sベイ・パートナーズ)、Y Combinator(Yコンビネーター)なども参加した。

ハリス氏はTechCrunchによるインタビューで「第1段階は、インターネット上でナンバーワンのキャリアアドバイスサービスになること、第2段階では、世界最大のキャリアトランジショナーのコミュニティになることでした。そして今回の第3段階は、世界最大の人材紹介会社になることです」と語っている。

数十億ドル(数千億円)規模のビジネスとして評価されているHandshake(ハンドシェイク)やGuild Education(ギルド・エデュケーション)と同様、Career Karmaは仲介役を担う。従業員の福利厚生として、Career Karmaは雇用者が費用を負担する従業員の受講者を得ることができ、彼らにより理想的な高度な仕事のスキルを身につけるための再教育や技能向上を提供することが可能になる。

雇用主は、Career Karmaが大規模に多くの被雇用者と結びつくためのゼロコストの獲得チャネルとなるわけだ。それは同社が起ち上げ当初から取り組んでいる事業である。

「ユーザー側に関しては、興味のある職業訓練プログラム、現在持っているスキル、希望する仕事を、我々の方で特定することができます」とハリスはいう。「最終的には、当社内に強力なデータベースを持つことになるでしょう」。

Career Karmaの戦略変更は、そのビジネスモデルも一新する必要があることを意味する。同社はこれまで、ブートキャンプが提供するプログラムに首尾よく学生を斡旋できた場合、そのブートキャンプに手数料を請求していた。料金は通常、入学した学生の授業料の10%で、ハリス氏によればその授業料は1万ドル(約115万円)から5万ドル(約577万円)の間になるという。この戦略はインセンティブを揃えているように見えるかもしれない(Career Karmaは学生をブートキャンプに参加させることに成功した場合にのみ利益を得る)が、それは学生斡旋のパーソナライゼーションよりも斡旋を成功させるペースを重視するように圧力がかかるということでもある。企業向けビジネスは、プログラムのマッチングだけでなく、就職紹介サービスを提供することを目的に構築されるため、必ずしも同じ種類の圧力をもたらすことはないだろう。

同社の企業向け事業では、新たに最適な価格戦略を検討するための人材を募集しているとハリス氏はいう。2021年、Codecademy(コーデカデミー)は、自社のサービスを企業向けに販売するために、シリーズDラウンドで同じく4000万ドルの資金を調達した。数週間前には、同じ会社が5億2500万ドル(約607億円)でSkillsoft(スキルソフト)に買収されている

画像クレジット:Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

息を呑むような没入型バーチャルコンサートの未来を切り開くAmazeVRが約17億円調達

コンテンツ生成ツールでお気に入りのアーティストのVRコンサートを体験できるバーチャルリアリティコンサートプラットフォームAmazeVR(アメイズVR)は、1500万ドル(約17億円)を調達した発表した。このラウンドでは、3週間で募集枠を超える申し込みがあった。

Partners InvestmentMurex Partnersがこの資金調達ラウンドを共同でリードし、Smilegate Investment、Quantum Ventures KoreaABC Partners、Everrich Group、GS Groupのコーポレートベンチャーキャピタル部門のGS Futures、We Ventures、Base Investment、Dunamu&Partners、そして既存投資家のMirae Asset Venture Investment、Mirae Asset Capital、Partners Investment、Timewise Investmentが参加した。

AmazeVRは2015年の創業以来、合計3080万ドル(約35億円)を調達しており、急成長を推進するために2022年初めにシリーズBを調達する計画だという。同社の共同CEOであるErnest Lee(アーネスト・リー)氏はTechCrunchに対し、新たな資金をさらなる従業員の採用に充てる予定だと語った。リー氏によると、AmazeVRは2021年を12人の従業員でスタートしたが、現在はハリウッドとソウルに3倍の41人を抱えている。

「当社は、関わっている(音楽、エンターテインメント、テック、ゲーム)業界から、優秀な人材を集めることができました」と同氏は話した。「これにより、VRとメタバースの人気の高まりを最大限に活用し、主要アーティストの息を呑むようなVRコンサートを、まず映画館に、そして世界中の家庭に届けるのに理想的な位置につけています」 。

ソーシャルメディアの登場で、ファンはお気に入りのアーティストにかつてないほどアクセスできるようになったが、それでもスクリーンで隔てられているのが現状だ。AmazeVRによるVRコンサートは、ファンをスクリーンの向こう側に連れて行き、お気に入りのアーティストと対面させることで人間的なつながりを生み出す、とリー氏は語る。ユーザーはアバターとして参加し、他のユーザーとぶらついたり、一緒にVRコンサートを体験したりする。

「ファンの記憶に残るのは、すばらしいVR体験ではなく、幻想的な没入感の中で好きなアーティストと実際に対面し、現実との境界線を曖昧にする、目に見えないような優れた技術を構築することが当社のゴールです」とリー氏はTechCrunchのインタビューで述べた。

ロサンゼルスに本社を置き、ソウルにオフィスを構えるAmazeVRは、JB Lee(JB・リー)氏、Steve Lee(スティーブ・リー)氏、Jeremy Nam(ジェレミー・ナム)氏、Steven Koo(スティーブン・クー)氏という、韓国のメッセージングアプリKakao(カカオ)の元幹部が設立した会社だ。Kakaoの株式市場デビュー後、グローバルなインパクトを持つ企業の設立に再挑戦しようと考えた共同創業者4人は、ソウルを離れ、VRで未来を切り開くためにシリコンバレーに移住した。

リー氏によると、AmazeVRは2015年からVR技術を開発していて、2019年末にVRコンサートに完全に方向転換したという。

同社はパンデミック以前から、VRコンサートを通じたより没入感のある音楽体験の必要性を信じていた。しかし、音楽業界は少し距離を感じ、懐疑的だった。その主な理由は、最も収益性の高い収入源であるライブコンサートのカニバリゼーション(共食い現象)に対する懸念だったとリー氏はいう。

最近では、新型コロナウイルスの大流行によって市場での採用が加速し、AmazeVRは製品とマーケットの適合性を迅速に見つけられるようになっている。音楽業界も新しい技術に対して考え方が柔軟になり、そしてVRコンサートがライブコンサートではなく、新しいカテゴリーのエンターテインメントであることに人々が気づき始めたと、リー氏は続けた。

「音楽業界はパラダイムシフトを迎え、多くの企業が次の大きなものを取り入れようとしています。ライブストリームからバーチャルコンサート、Fortnite(フォートナイト)のショーまで多くの試みを目にしました。パンデミックはこのシフトを加速させただけです」とリー氏は語った。「これらの他のすべてのソリューションは、すでに存在するものから増分価値を提供するだけであり、他のソリューションはファンにとってカバーする価値、すなわち人間的なつながりを真に捉えていません」

AmazeVRは2022年春、グラミー賞を3回受賞しているMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオ)氏とともに、米国内の一部のAMCシアターを巡演する初の商業VRコンサートを展開する。AmazeVRはすでに2人目のアーティストとして世界的な一流アーティストを確保し、3人目のアーティストを最終決定しているとリー氏は語った。同社初のVRコンサートツアーは、長年の研究開発の結果、独自の9Kカメラと、複雑なUnreal EngineベースのVRコンサート視覚効果(VFX)モジュールを自動化し、一度に100台以上のヘッドセットを駆動できるソフトウェアによるものだ。同社は、コンテンツ制作の規模を拡大し、2024年までに新しいVRコンサートをシアター内と自宅の視聴者の両方に毎週リリースする予定だ。

「VRコンサートがいかにインパクトがあるかは、実際に体験してみないとわかりません。VRはついに2Dの体験をすべて吹き飛ばすことができるのです。当社の技術のおかげで、スクリーンからは得られないリアルな臨場感、お気に入りのアーティストがすぐそばにいて、あなたと向かい合っているような感覚を呼び起こすことができます」とリー氏は話した。「これは音楽の新しい次元を切り開くもので、録音が登場して以来、アーティストとファンがつながる初の新しい方法の1つです。投資家がこのことを理解し、当社の革新と成長を支援してくれることに感激しています」。

画像クレジット:AmazeVR

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

企業のセキュアなデータ活用を促進するデータカタログSaaSを手がけるQuollio Technologiesが5000万円のシード調達

データカタログSaaSによりデータガバナンスの実現を目指すQuollio Technologies(クオリオ)は1月11日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による5000万円の資金調達の実施を発表した。引受先はインキュベイトファンド。調達した資金はプロダクトの開発と組織体制の強化にあてる。またα版を近日リリースする予定。

現在データは「21世紀の石油」とも呼ばれるほど大きな存在となっており、様々なデータを資産として活用することが企業に求められている。しかしデータは、活用可能性と同時に誤用や漏洩・損害・賠償のリスクも含んでおり、未然防止が大きな課題となっている。そのため、「詳細がわからないデータについてはリスクを恐れ利用禁止にする」といった、データ活用そのものを萎縮させるという課題も発生している。

そうした問題を解決するための施策がデータガバナンスだ。データの入手背景や禁止事項などの詳細情報(メタデータ)を正しく理解し、リスクをカバーした状態でデータを活用するために欠かせないものとなっている。データ資産1つ1つのメタデータを管理し、より細かい粒度で制限することで、従来「アクセス禁止」「利用しないでおこう」とひとくくりで利用を否定していたデータに対して、「特定の条件下なら、このデータを使用しても大丈夫だ」といった柔軟な判断を可能とし、セキュアで自由なデータ活用を促進する。

データガバナンスは最近登場した新たな概念ではなく、DMBoK (Data Management Body of Knowledge) を筆頭に、2000年代から議論が重ねられてきた領域という。昨今では、企業の扱うデータ量が膨張し、データ利活用に関わる人数も増加している潮流から、データガバナンスを再び重要視する企業が増えているそうだ。

ただ、データガバナンスの概念自体の移り変わりの速さや、企業ごとに必要なデータ基盤・体制が大きく異なるためにデファクトスタンダードが生まれにくいという状況にある。特に日本では、市場を牽引するプレイヤー不足や経営側がデータ基盤について理解が浸透していないことから、海外よりも遅れを取っているという。こうした状況を解決するためクオリオは、データガバナンスに対する専門的な知見とデータ活用における現場オペレーションへの深い理解によって国内市場を牽引する存在となり、企業のデータ活用にイノベーションを起こすことを目指しているという。

クオリオは、「世界中の情報と知を繋げ、人類の新たな価値創造を促進する」をミッションに掲げ、2021年8月に設立。創業メンバーは、データサイエンスやデータエンジニアリングといった各領域におけるプロフェッショナルを中心に構成しており、データガバナンスの実現に向けた最初のソリューションとして、データカタログサービスの開発を行っている。

自動外観検査AIをノーコードで開発可能なAI開発プラットフォームを提供するMENOUが約2.5億円のシリーズA調達

自動外観検査AIなどをノーコードで開発可能なAI開発プラットフォームを提供するMENOUが約2.5億円のシリーズA調達

自動外観検査システムなどAIによるディープラーニング技術を身近にするソリューションを提供するMENOU(メノウ)は1月11日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による約2億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はニッセイ・キャピタル、DEEPCORE、三菱UFJキャピタル。累計資金調達総額は約3億7000万円となった。

調達した資金は、検査AIをノーコードで開発するAI開発プラットフォーム「MENOU-TE」(メノート)の機能拡張、また検査工程を自動化するための導入支援サービスである「MENOU-IN」(メノーイン)をより多くの企業に提供できる体制を整える。

MENOU-TEでは、AIとルールベースのハイブリッドな検査を構築し、導入するまでの開発を容易にする体制を整える。また、機能開発を加速し、プログラミングやAI、画像処理の専門人材がいなくてもAIの社内開発が可能になるMENOU-TEの利便性や使いやすさつかいやすさを増していく計画という。

MENOU-TEは、ディープラーニングの検査AIを、ノーコードで開発可能なソフトウェア。GUIによるアノテーションラベリング(学習操作)や解析精度の視覚化と最適化支援、ルールベース解析とのハイブリッドな推論・検査といった機能を備える。これらにより、画像検査やAIの専門知識のない技術者であっても、製造現場に必要な外観検査・画像検査を実施する環境を構築できる。

自動外観検査AIなどをノーコードで開発可能なAI開発プラットフォームを提供するMENOUが約2.5億円のシリーズA調達

MENOU-INは、検査AIの総合的な導入支援サービス。外観検査の画像取得に向けた照明やカメラなどの最適な撮像構成を提案しつつ、運用やメンテナンス体制も含めたAI外観検査導入を総合的にサポートする。企業内のAI・DX人材の育成を行うトレーニングなども行うなど、開発人材育成も支援する。

MENOUは、日本の製造業にとって身近なAIを普及させることをミッションに掲げ、ニコンのエンジニアが2019年6月に設立したAIスピンアウト。独自のAI開発プラットフォームを中心に、様々な製造業への導入支援を展開している。MENOU-TEは、直感的操作でアノテーションができるだけでなく、AI開発に必要なファイル管理、モデル管理を一括管理できる統合開発環境を提供し、導入後もメンテナンスしやすい画像検査を可能にするという。

MENOU-TEを用いたMENOUチームの解析画面。外観検査に特化したソフトウェアだが、人物特定AIなども短時間で実現できるという

MENOU-TEを用いたMENOUチームの解析画面。外観検査に特化したソフトウェアだが、人物特定AIなども短時間で実現できるという

閉経を遅らせ、さらにはなくすことを目指すGametoに著名投資家が出資

多くの科学者や学者が毎年、人間の寿命を延ばし、その延びた年数を生きるに値するものにしようと、具体的に取り組んでいる。寿命を延ばす手段として癌の早期発見に注力しているチームもあれば、新陳代謝の向上に取り組んでいるチームもある。

小さいながらも成長中のグループが、人口の半分に影響を及ぼす閉経に取り組んでいる。閉経は、高血圧「悪玉」コレステロール、血中脂肪の一種である中性脂肪、さらに恐ろしいことに乳がんや心臓病、骨粗しょう症のリスクの増加など、さまざまな健康症状に関係している。

女性の健康と平等の軌道を変えるために卵巣の老化を加速させる問題を解決したいと語るGameto(ガメト)は、この問題に注力している最新の企業だ。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、キャリアの大半を計算医学に費やしてきた同社の共同創業者でCEOのDina Radenkovic(ディーナ・ラデンコヴィッチ)氏の説明によると、卵巣は、肝臓や脳、あるいは皮膚よりもはるかに早く機能停止し、どの臓器よりも5倍も早く老化する。女性は生まれながらにして一定数の卵母細胞(未熟な女性細胞で、後に完全に成熟した卵子細胞を生み出す)を持っているが、いずれこの卵母細胞を使い果たし、その時点で卵巣は臓器として機能しなくなり、女性の生理機能を司るホルモンの分泌も停止する。

Gametoは、卵巣治療のプラットフォームを開発することで、このプロセスを遅らせられる、あるいは女性が選択すれば永遠に遅らせられるようにしたいと考えている。このプラットフォームは、まずは不妊治療のプロセスを改善するために使われるが、最終的には、ラデンコヴィッチ氏が「医学的負担」と表現する閉経を防ぐための細胞治療法の特定にも使われることが期待されている。さらに詳しい説明を求めると、ラデンコヴィッチ氏は詳細に踏み込むのは避けながらも、Gametoがすでに卵巣をサポートする細胞が卵の成熟を助け、妊娠を望む多くの女性が現在耐えている体外受精の回数を減らすことができるかどうかのテストを始めている、と説明した。

「私たちのプラットフォームを信じるに足る強力な前臨床試験の証拠があります」とラデンコヴィッチ氏は話す。同社の会長は連続起業家のMartin Varsavsky(マーティン・ヴァルサヴスキー)氏で、同氏が興した最新の会社であるPrelude Fertility(プレリュード・ファーティリティ)は全米に不妊治療センターのネットワークを構築している。

著名な投資家もGametoに賭けている。同社はFuture Venturesがリードするラウンドで2000万ドル(約23億円)を調達したばかりで、共同創業者のMaryanna Saenko(メアリーアンナ・サエンコ)氏は「閉経を迎える女性のより良い治療スタンダードのビジョンにかなり興奮しています」と話す。閉経で起こる苦痛は生物学的に必須のものではなく、特に早期の閉経にともなう多くの合併症は、現在のホルモン補充療法で完全に避けることができる。ただし、サエンコ氏はホルモン補充療法について「鈍いハンマーで、パーソナリゼーションが欠けている」と指摘する。

その他の投資家はBold Capital Partners、Lux Capital、Plum Alley、TA Ventures、Overwater Ventures、Arch Venture Partnersの共同創業者Robert Nelsen(ロバート・ネルセン)氏、23andMeのCEOのAnne Wojcicki(アン・ウォジスキ)氏だ。

Gametoは2021年のシードラウンドで、Atomic(アトミック)の創業者Jack Abraham(ジャック・アブラハム)氏、SALT Fund、FJ Labs、Coatue Managementの創業者Dan Rose(ダン・ローズ)氏、CoinbaseのCEO、Brian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏などから300万ドル(約3億4000万円)を調達した。

確かに、市場機会は巨大であり、人々が長生きしていることを考えると、その理論は非常に理に適っている。実際、他のスタートアップも閉経を遅らせることに真っ向から注力し始めている。

すでにGametoは競合相手を抱えている。ここには、女性の卵巣予備能力の減少を遅らせる薬物プログラムを作成し、Gametoと同様に女性の内分泌機能と生殖機能を分離しようとしている創業12年のCelmatix(セルマティック)が含まれる。フォーチュンによると、Celmatixは過去にビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けて非ホルモン性避妊薬に取り組み、2021年初めには製薬大手Bayer(バイエル)と医薬品開発会社Evotec(エボテック)との提携を発表している。

一方、研究者たちは少なくとも数年前から、閉経を治療可能な病気として扱うという問題を検討してきた。2019年の以前の論文はこちらで閲覧できる。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

仏の卸売マーケットプレイスAnkorstoreが起業2年で評価額約2296億円に

フランスのスタートアップAnkorstore(アンコールストア)は、2億8300万ドル(約327億円)のシリーズC資金調達ラウンドを実施した。2019年11月に設立されたAnkorstoreは、資金調達後の評価額が20億ドル(約2296億円)に達するまでに約2年を要した。同社は、ヨーロッパ全域で独立系小売業者向けの卸売マーケットプレイスを運営している。

Ankorstoreは、独立系ブランドが独立系小売業者に製品を販売できるようにする。そして、小売業者は、それらの商品を自社の顧客に販売することができる。これは、チェーンの末端のオフラインでの販売に焦点を当てたB2B2Cモデルだ。

Ankorstoreでは、家庭用品からメープルシロップ、キャンドル、ヘッドバンド、入浴剤、文房具まで、ちょっとしたものが手に入る。特に、生鮮食料品、美容製品、自宅用アイテムなど、かなりうまくいっている分野もある。

そして、同社の軌跡を考えると、非常にうまくいっている。現在、20万人の小売業者が同マーケットプレイスを利用し、1万5千のブランドから商品を調達しているす。2021年5月、AnkorstoreがシリーズBを調達したとき、同社は5万店舗と5000ブランドと取引していると話していた。

これが今日の資金調達ラウンドにつながる。Bond(ボンド)とTiger Global(タイガー・グローバル)がシリーズCをリードし、Eurazeo(ユーラゼオ)とCoatue(コータツ)もこのラウンドに参加した。Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)、GFC、Alven(アルヴェン)、Aglae Ventures(アグライ・ベンチャーズ)など、既存の投資家の中には、さらに資金を投入する者もいた。

この分野で競争している企業はそれほど多くはない。卸売マーケットプレイスで最も有名なのは、10億ドル(約1157億円)以上を調達した米国を拠点とするFaire(フェア)だろう。最近、ヨーロッパへの展開を開始した。Creoate(クリオネ)Orderchamp(オーダーチャンプ)もヨーロッパで卸売マーケットプレイスを運営している。

在庫を持たないマーケットプレイス

Ankorstoreは、フランス、英国、ドイツ、オランダ、スウェーデンの5カ国にチームを持っている。ヨーロッパの23の市場で商品を販売している。小売業者は、注文から60日以内での支払いが可能であり、隠れた手数料はかからない。基本的に、Ankorstore は、小売業者がキュレーションやサービスに集中できるよう支援し、同社が調達の面倒を見る。

Ankorstoreに商品を掲載しているブランドは、Ankorstoreを通した最初の注文で20%カットされるのに続き、各取引ごとに10%のカットを受ける仕組みだ。

ブランドによっては、まだ百貨店などの巨大小売業者と直接取引をしているところもある。そして、Ankorstoreは、ブランドが販売スタッフを雇ったり、フェアに出たりすることを妨げるものではない。同マーケットプレイスは、単なる販売チャネルであり、顧客を見つけるための新たな機会なのだ。

そして、これこそが卸売マーケットプレイスというビジネスモデルのすばらしさでもある。Ankorstoreは倉庫を持たず、在庫も持たない。同社は、ブランドと小売業者間の取引を促進するだけで、資本投資は一切必要ない。

「私たちは、プロフェッショナルのネットワークであり、プロフェッショナル同士のつながりをサポートするという点で、LinkedInに近い存在だと考えています」。と、共同創業者で共同CEOのNicolas Cohen(ニコラス・コーエン)氏は私に語ってくれた。

他のソーシャルネットワークと同様、このプラットフォームが大きくなればなるほど、強力なネットワーク効果が期待できる。特に、Ankorstoreは、生鮮食品など新しいカテゴリーへの拡大を期待している。

同社は、すでにUPSと契約しており、ブランドの配送を支援している。しかし、小規模なブランド向けの倉庫のソリューションに関しては、まだあまり手をつけていない。これも、この先の新たなチャンスと言える。

400人の従業員と多額の資金を持つAnkorstoreは、この非常に断片化された業界を統合するレイヤーとして機能する可能性がある。

画像クレジット:Christelle Bourgeois / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

企業や政府機関による有害な「話」の追跡を支援するPendulumが6.8億円を調達

Pendulumは、企業や政府、その他の組織が、ソーシャルメディアプラットフォームやウェブ上の他の場所で有害なナラティブ(話)を追跡するのをサポートしている。同社は米国時間1月7日、シードラウンドで590万ドル(約6億8000万円)を調達したと発表した。同ラウンドはMadrona Venture Groupがリードし、Cercano Managementなどが参加した。PendulumはMadrona Venture Labsでインキュベートされた。

「Pendulumのプラットフォームは、AIとNLP(神経言語プログラミング)の技術を応用し、ナラティブに含まれる脅威とチャンスをその形成初期段階に発見し、オンラインで拡散する際に追跡します」と、MadronaのマネージングディレクターであるHope Cochran(ホープ・コクラン)氏は説明する。「ソーシャルメディアプラットフォーム上のテキスト、ビデオ、オーディオコンテンツに含まれるナラティブを分解・分類することで、企業はこれまで以上に準備し、コミュニティと自由に関わることができるようになります。現在、YouTube、BitChute、Rumble、Podcastsをサポートしており、今後数カ月の間に重要なソーシャルプラットフォームを網羅します」。

Pendulumを支えるチームは、このようなプロダクトを構築するのにうってつけのようだ。例えば共同創業者のSam Clark(サム・クラーク)氏は、以前はDecide.comでデータマイニングのエンジニアとして働き、その後eBayがその会社を買収してからはeBayに勤務していた。また、YouTubeの政治チャンネルを分類・分析するプロジェクトTransparency Tubeも共同開発した。Transparency TubeはPendulumとかなり多くのDNAを共有しており、クラーク氏はその後、オンラインで誤情報や偽情報を追跡するという一般的なアイデアをもとに商用プロダクトを作るためにMadronaと手を組んだ。そこで共同創業者であるMark Listes(マーク・リスティーズ)氏とチームを組むことになった。リスティーズ氏は政府機関での豊富な経験をチームにもたらしている。同氏は以前、米選挙支援委員会の政策担当ディレクターを務め、National Security Innovation Network(国家安全保障イノベーションネットワーク)ではスタッフ責任者として、米国防総省のベンチャー企業との関わりを管理する役割を担っていた。

Pendulumの共同創業者、サム・クラーク氏(左)とマーク・リスティーズ氏(右)(画像クレジット:Pendulum)

リスティーズ氏は選挙支援委員会でかなり落ち着いた時間を過ごすことを期待していたが、2016年に加わった同氏は明らかにそのタイミングを間違えていた。「2016年の11月と12月には、選挙分野はずいぶん異なるものでした」と同氏は筆者に語った。「我々は、外国の干渉や情報概要、その他多くのものを扱っていました。かいつまんで話すと、その後2年半の間、私と同僚は米国の選挙システムから外国からの干渉を排除するための取り組みを主導しました。我々は個人的にも組織的にも干渉を経験し、そして私たちのシステム全体から排除するための戦いを支援しました。有害なナラティブと、それが誤情報であれ偽情報であれ、悪意あるナラティブが社会全体に与えうる影響の排除です」。

とはいえ、Pendulumは政府機関がネット上のナラティブを追跡するために使うこともできるが、商業サービスがメーンだ。「商業第一です。もちろん、簡単で直感的な政府機関向けのサービスもありますが、まず商業部門に特化し、そこで本当に強力なパートナーシップを構築しています」とリスティーズ氏は述べた。

画像クレジット:Pendulum

リスティーズ氏は、Pendulumのようなプラットフォームが機能するためには、できるだけ多くのプラットフォームをカバーする必要があると強調した。人口の代表的なサンプルを提供しないTwitterや、YouTubeを追跡するだけでは不十分だ。このため、Pendulumは例えばBitChuteやRumbleも追跡している。

しかしリスティーズ氏は、Pendulumが真否を判定するビジネスをしているわけではないとも指摘した。「実際には、真実か嘘かには依存しない、実に強力なナラティブ追跡エンジンを持っています」と説明する。「真否の判定をしないことで、より幅広い用途に対応できます」。例えば企業は、コミュニケーションだけでなくセキュリティのためにも、役員や資産に関するナラティブを追跡したいかもしれない。

Pendulumは何かが真実かどうかを判断することを望んでいないため、悪意ある人物にも利用される可能性がある。しかしリスティーズ氏は、同社が個人を特定できる情報を追跡しているわけではなく、チームはこの可能性をかなり認識していると主張する。「我々のツールの使用を通じて、不公平な競争の場を作り出したり、悪意のある人物に力を与えたりすることがないように価値を高めています」と同氏は述べた。

画像クレジット:Thodsapol Thongdeekhieo / EyeEm / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

米議事堂襲撃事件から1年、右派系ソーシャルアプリParlerが約23億円を調達

2021年に起こった米国会議事堂襲撃事件の記念日である米国時間1月6日に署名・提出されたSEC報告書によると、保守系ソーシャルメディアプラットフォームのParler(パーラー)が2000万ドル(約23億円)を調達した。登録ユーザー1600万人超とうたうこのアプリは、そのミッションを「ビッグテック、ビッグ政府、そしてキャンセル・カルチャーの権威主義の力」に抵抗することに焦点を当てたものだと説明している。このアプリはまた、超党派だと主張しているが、名誉毀損防止同盟南部貧困法律センターを含む反ヘイト組織や研究者は、議事堂での暴動における役割から反ワクチン誤情報の拡散まで、極右情報エコシステムにおけるParlerの影響力に注意を向けている。

新たな投資家が誰なのか、Parlerはコメントのリクエストに応じていないが、申請書によると、10人の非適格投資家が今回出資しているとのことだ。前回の額非公開のエンジェルラウンドでは、共和党の主要政治献金者であるRebekah Mercer(レベッカ・マーサー)氏が資金を提供した。マーサー氏は、提出報告書に執行役員および取締役として記載されている。また、保守系風刺サイトBabylon BeeのCEOであるSeth Dillon(セス・ディロン)氏も取締役に名を連ねている。

Axiosがこの報告書に最初に気づき、AxiosもまだParlerからコメントを得ていない。

Parlerは、2021年1月6日の暴動の頃に、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディア企業がDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領を自社のプラットフォームから追放したことで注目されるようになった。この禁止令は、トランプ氏が自身のフォロワーを利用して、大統領権力の平和的な移行を妨害しているという懸念から、再三警告経て実行された。

トランプ氏が主流のソーシャルプラットフォームから姿を消したことに触発され、同氏の支持者の多くが、コミュニティガイドラインがそれほど厳しくないParlerに集まった。Parlerは議事堂攻撃の数日後にApp Storeでランキング1位に上昇したが、2021年1月8日にGoogle Playから削除された。Amazon(アマゾン)と(Apple(アップル)もすぐに、利用規約違反を理由にプラットフォームからParlerを削除した。両社は、このアプリがトランプ氏の支持者や他の極右ユーザーによって、暴力を呼びかけ、議事堂を襲撃する計画を組織するために使用されていたと述べた。

「Parlerは、人々の安全に対するこうした脅威が拡散していることについて、適切な対策を取りませんでした。当社は、Parlerがこれらの問題を解決するまで、App Store利用を停止します」と、Appleは禁止措置の際にTechCrunchに述べた。

Parlerの当時のCEOであるJohn Matze(ジョン・マッツェ)氏は、App Storeからのコンテンツモデレーション改善計画の提出要求に協力しない、と自身のParlerアカウントに投稿した。しかし、同氏は1月29日、マーサー氏が支配するパーラーの取締役会から解雇された。4月には、新CEOのGeorge Farmer(ジョージ・ファーマー)氏のリーダーシップのもと、ParlerアプリはApp Storeに復活した。

ファーマー氏は最近のニューヨーク・タイムズとのインタビューで、Parlerが自身の着任前にApp Storeから削除されたとき、アプリにはAIによるモデレーションがなく、人間のモデレーションのための仕組みである陪審システムも初期段階だったと説明した。

ファーマー氏によると、自身のリーダーシップの下、ParlerはApp Storeから削除された時点では搭載していなかったAIコンテンツモデレーションを実装した。今回の2000万ドルの追加資本注入は、Parlerが人間のモデレーションと並行して使用するこのフィルタリング技術の構築を継続するのに役立つかもしれない。また、Parlerのコミュニティガイドラインには現在、同アプリが「犯罪、民事上の不法行為、その他の不法行為のためのツールとして使用されることを故意に許可しない」と明記されている。

Sensor Tower(センサータワー)のデータによると、Parlerのモバイルアプリはリリース以来、全世界で約1130万回ダウンロードされた。2021年5月にParlerがApp Storeに復帰してから現在までの間に、同アプリのダウンロード回数はわずか14万1000回にすぎないと、Sensor Towerは指摘している。Parlerが発表している登録ユーザー1600万人超という数字が正確であれば、大半は元々のモバイルアプリからParlerにアクセスしていることになる。

Parlerは、2月21日の大統領の日に立ち上げられる予定のトランプ氏自身のソーシャルネットワークTRUTH Socialという新たな競争相手を間もなく得る。

画像クレジット:Photo Illustration by Thiago Prudêncio/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ベンチャーウォーター、フィンテック、バイオテックへの投資

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

みなさん、再び仕事の世界へようこそ。デスクへと無事にたどり着き、暖かく健康であることをお祈りしている。現時点の新型コロナウイルス感染症の隆盛は非常に困った事態だが、ロックダウン、大量死、抱擁の欠如という不安の中で、生産性を取り戻すために苦労するのはおそらく2022年が最後だろう。そう願っている。

ともあれ、今日は世界情勢をつかの間でも気にせずに済むような楽しいネタをたくさん用意した。

今日はまず、Liquid Death(リキッド・デス)についてお話ししよう。この見事な名前の会社は、その名の通り、喉の渇きを水で「殺して」くれる企業だ。それがこの会社の簡潔な説明である。Liquid Deathは缶入りの水を販売しているが、反プラスチックのスタンスと一般的なヘビーメタルの雰囲気に合わせて作られている。うまいやり方だ。

しかし、Liquid Deathは今週7500万ドル(約86億7000万円)の調達もしていて、最近は何を作るにも金がかかるものだと思わずにはいられない。なぜ水販売の会社が1回の投資でプレシード資金をすべて調達する必要があるのだろうか?何のためにそのお金が必要なのか?研究?水を売っているだけなのに!

数年前には、スタートアップを作るのがかつてないほど安くなったという一般的な見方があった。既製のソフトウェア、クラウドコンピューティング、最新のフィンテックのバックエンドといった現代のビジネス要素を組み合わせることは、ますます速くそして安く行うことができるようになった。ソフトウェア開発者を雇うコストの高さを除けば、スタートアップ企業はより少ないコストでより多くのことを行うことができるようになるように見えた。

それなのに、スタートアップたちは、かつてないほど多くの資金を調達しているのだ。The Exchangeは来週、ベンチャーキャピタルのデータを調査する予定だが、ベンチャーキャピタルやスタートアップクラスが嬉々として資金を動かし続けていることは明らかだ。そうした中で、Crunchbaseのデータによれば、Liquid Deathはこれまでに1億3000万ドル(約150億2000万円)以上を調達している。

スタートアップコストの削減とメガラウンドの実現、できるものなら見せて欲しい。マーケティング費用を自己資本から調達しているのだろうか?そうだとすると、ちょっと心配になる。

(なお、Liquid Deathは利益率が高く、経済的にも優れた凄いビジネスである可能性があるが、私はその数字を知らない。しかし、もしそんなに調子が良いのなら、なぜ7500万ドル[約86億7000万円]も必要になるのか?何か私がまだ知らないことがあるのだろうか?)

Levelが資金調達

メモ帳を掘り起こして、Level(レベル)についての簡単な説明をしよう。Levelは、2021年2月に記事で取り上げた会社だ。そのときこの会社は、150万ドル(約1億7000万円)の資金調達を行ったばかりだったが、私たちはその事業内容を「現在のフリーランス収入をもとに、従来なら不可能だった前借りを行えるような信用供与を行う」と説明した。

多くの人々が、働いてはいるものの資産重視のライフスタイルを送っていない世界では、キャッシュフローではなく資産に基づく融資は少々ばかげているので、これはすばらしいモデルだった(もちろんこれは総論賛成各論反対のブーマーたちを皮肉る丁寧な言い方だ)。

ともあれ、Levelは2021年の終わりに今度は700万ドルのシリーズAを行った。Anthos Capitalがこのラウンドを主導し、NextView Venturesやその他の既存投資家も資金を提供した。今回の資金は、同社のデータによれば「10倍」の規模に成長した後に得られたものだ。

Levelのニュースで最も注目すべき点は、同社がより多くの資金を調達したという点ではなく、その目標設定が非常に大きいという点だ。同社は「マイクロビジネスのための金融OS」を構築したいのだという。

伝統的な金融機関は小規模ビジネスを相手にしたがらないので、これはよく理解できる。フィンテックは、技術を応用して壁を壊し、より多くの人々に価値をもたらす手法であるべきだと私は考えている。Levelは、その線に沿った活動をしながら、ベンチャー企業に役立つビジネスを構築しているように見える。すばらしい!

PsyMedがバイオテックファンドを組成

a16zがベンチャー、グロース、バイオテック投資のために90億ドル(約1兆円)の新規ファンドを設立したというニュースを聞くと、市場には小規模なファンドも存在することを忘れそうになる。また、その中には実際かなり新しいものもある。

バイオテック分野では、PsyMed Venturesが2500万ドル(約28億9000万円)のファンド組成に奔走しており、その第一次分の800万ドル(約9億2000万円)が銀行に入金されたところだ。私は彼らのモデルについてもう少し掘り下げるために、金曜日(米国時間1月7日)にこのグループと対話をした。

まずは基本。PsyMedには3人の投資パートナーがいる。Dina Burkitbayeva(ディナ・ブルキトバエワ)氏、Greg Kubin(グレッグ・キュービン)氏、Matias Serebrinsky(マティアス・セレブリンスキー)氏だ。最初のファンドサイズの目標からもわかるように、この会社は、麻薬医療分野とその関連分野での初期段階の投資を行う。このグループは共同作業は初めてではなく、以前にもAngelList(エンジェルリスト)の技術を使って投資グループを結成し、これまでに約1500万ドル(約17億3000万円)の投資を行っている。

PsyMedについて少し考えてみよう。まず、医療用にテストするものの対象の境界を広げていることに興奮する。私の国では、慎重さがこの種の仕事を妨げ、私たちに不利益を与えている。第二に、バイオテックへの投資は、たとえば企業向けソフトウェア市場で見られるようなものよりもずっと早く上場する企業が多く、私にとって興味深いものだ。そのため、より多くの企業を、よりすばやく、より頻繁に見ることができる。

バイオテック企業へのベンチャー投資家にとっては、今日のユニコーン時代によく見られるような流動性の可能性よりも早い時期に流動性が得られることを意味する。

ブルキトバエワ氏、キュービン氏、セレブリンスキー氏と話していると、規制、科学、医学の進歩の面で合流点に近づいているという印象を受けた。この合流点では、人間の厄介な問題に対する多くの優れた新しい治療法が生み出される可能性がある。たとえばPTSD、治療抵抗性うつ病など、そして個人的に気に入ったのは薬物利用障害だ。

ともあれ、このグループが新しいファンドをどのように活用し、初期段階の製薬スタートアップをどれだけ早く公開市場に送り出すことができるかに注目していきたい。2022年も来年も、バイオテックのS-1申請書類をたくさん読めることだろう!

最後に

来週からEquityは週3回のペースに戻るので、お好きなポッドキャストアプリでお会いしよう。ではまた!

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

実物大の3D製品イメージで消費者のショッピング体験を向上させるAvataarが52億円調達

eコマースの顧客の大多数は、購入前に商品を見ておきたいと思っている。かつてAmazon(アマゾン)のような企業が、ファッションや家庭用品のオンライン化に苦労してきたのはそのためだ。サンフランシスコとベンガルールを拠点とするスタートアップがこの問題を解決しようとしており、事業規模拡大のため、このほど新たに資金を調達した。

AIとコンピュータービジョンのスタートアップであるAvataar(アバター)は、現地時間1月7日にシリーズBで4500万ドル(約52億円)を調達したと発表した。このラウンドはTiger Globalがリードし、既存の投資家からSequoia Capital Indiaが参加した。6年の歴史を持つこのスタートアップは、創業者兼最高経営責任者から初期に調達した金額も含め、これまでの資金調達ラウンドで約5550万ドル(約64億円)を調達した。

Avataarは、消費者直販ブランドやeコマースマーケットプレイスが製品を3D表示し、コンシューマージャーニーを形成する支援を行う。企業はAvataarのプラグアンドプレイ技術を自社システムに組み込むことができる。顧客は携帯電話のカメラを使い、リビングルームにいながら、製品の実際の大きさと雰囲気を視覚化することができる。

Avataarの創業者で最高経営責任者のSravanth Aluru(スラバント・アルル)氏はTechCrunchのインタビューで、家具や大型家電などのカテゴリーで上位2社のeコマース・マーケットプレイスを含む数多くの企業と現在提携していると述べた。同氏は、守秘義務契約を理由に、顧客企業名の公表を断った(Samsungや Pepperfryなど、Avataarとの提携を公に認めている企業もある)。

アルル氏はデモで、提携するeコマースマーケットプレイスのアプリから、ソファや机などいくつかの製品を、自分のリビングルームにドラッグ&ドロップし、家の中でバーチャルアイテムの位置を変えずに色やアイテムを変更してみせた。アイテムをインタラクティブにすることもできる。例えば、冷蔵庫をバーチャルで再現すると、ユーザーはドアを開けたり閉めたりすることができる。

ブランドは、Avataarのサービスを利用するために何か大きな変更を加える必要はない。商品画像の解像度が1080p以上であれば、Avataarがバーチャル3D版を作り上げることができるとアルル氏は話す。消費者側でも、近年発売されたiPhoneやAndroidスマートフォンなら、バーチャルオブジェクトの表示やインタラクションをサポートする計算能力とグラフィックパワーを備えている可能性が高いという。

「カメラがホームスクリーンであることを考えると、エンゲージメントの時間を著しく長くとることができます。ブランドの売り上げへのコンバージョンは3.5倍以上になっています」と同氏は語る。同社は、エンゲージメント情報を提携ブランドに提供する。提携ブランドは、顧客によりよいサービスを提供するため、さらにパーソナライズする。

アルル氏は、この技術がもたらす利点を認識し、採用する企業がますます増えてきているという。この傾向は、今後ますます強まることが予想される。

ブランド名は明かさなかったが、いくつかのスマートフォン企業はAvataarの技術を利用してバーチャルローンチを行ったという。「当社は現在、ほとんどのプラットフォームに統合されています。もし、大容量のサービスで3Dを見ているなら、それは我々が提供したものである可能性が高いと思います」と述べた。

Avataarの創業チーム。左からMayank Tiwari(マヤンク・ティワリ)CBO、Sravanth Aluru(スラバント・アルル)CEO、Prashanth Aluru(プラシャント・アルル)取締役、Gaurav Baid(ガウラブ・バイド)CPO(画像クレジット:Avataar)

2025年までに、世界人口の75%近くと、ソーシャルアプリやコミュニケーションアプリを利用するほぼすべての人が、頻繁にARを利用するようになると、Snap(スナップ)はDeloitte(デロイト)と協力した最近のレポートで述べている。同レポートによると、ARを使って買い物をする顧客はすでに1億人を超えているという。

アルル氏は、メタバースが浸透していくなかで、同社は最前線に立つための準備をしており、この分野のいくつかの主要なプレイヤーと関係を持っていると述べた。

「メタバースはすでに存在しています。Avataar.meは、最大手のブランドに規模を創造する能力をもたらし、商売を実現する道を切り開いています。ARやVR環境において非常に有望なアプリケーションです」と、Sequoia IndiaのマネージングディレクターShailesh Lakhani(シャイレーシュ・ラカーニ)氏は声明で述べた。

「スラバント、ガウラブ、マヤンクと一緒に仕事をするのは楽しく、Sequoia Capital Indiaは、彼らのシリーズBラウンドに再びコミットすることをうれしく思います」。

業界の推計によると、デジタルおよびデジタルに影響される市場は、2025年までに18兆ドル(約2090兆円)に拡大し、2Dから3Dへのコマースシフトを推進する基盤としてのプラットフォームに対し、今後10年間で500億ドル(約5兆8000億円)を超える収益化の機会を提供すると予測されている。

「史上初めて、ライブカメラ映像により、消費者の物理的な現実を検知、理解、拡張、操作することができるようになりました。当社の特許取得済みのAI・CV機能はメタバース全体の進化に適用可能ですが、先行して消費者のショッピング体験の再定義に着手しました」とアルル氏は話す。

「このプラットフォームは、自宅のモバイルデバイスやARメガネ・ウェアラブルを通して、あるいは実店舗であっても、デジタル化されたカタログという無限の通路を見て回る消費者のショッピング体験を変革します」。

Tiger GlobalのパートナーであるEvan Feinberg(エバン・ファインバーグ)氏は声明で次のように述べた。「消費者はより良いeコマース体験を求め続けています。Avataarが生み出した革新的な技術は、この需要に応えるための強力なプラグアンドプレイ・ソリューションを顧客に提供しています。デジタル世界が2Dから3Dに移行する中、Avataarとその有能な経営陣は、この急成長市場において好位置につけています」。

画像クレジット:Avataar

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

慶應発の再生医療スタートアップ「セルージョン」が11億円調達、水疱性角膜症に対する再生医療等製品の社会実装加速

慶應発の再生医療スタートアップ「セルージョン」が11億円のシリーズB調達、水疱性角膜症に対する再生医療等製品の社会実装加速

慶應義塾大学医学部眼科学教室発の再生医療スタートアップ「セルージョン」は1月7日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額11億円の資金調達を2021年12月に完了したと発表した。引受先は、リード投資家の東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、新規投資家の東邦ホールディングス、東洋製罐グループホールディングス、Gemseki、既存投資家のSMBCベンチャーキャピタル、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、DBJキャピタルが運営する投資事業有限責任組合。

2015年1月設立のセルージョンは、iPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自技術を基に、世界の角膜移植課題をはじめとした、現在の医学が抱えるアンメット・メディカルニーズ(未解決の治療ニーズ。Unmet MedicalNeeds)の解消を最先端の細胞治療技術により解決し、全世界の健康福祉向上への貢献を目指している。

調達した資金により、先行開発品であるiPS細胞由来角膜内皮代替細胞(CLS001)の国内および海外の臨床試験準備、研究・組織体制の強化、後続パイプラインの研究開発を進める。また、医薬品卸業者の東邦ホールディングスや包装材メーカーの東洋製罐グループホールディングスとの事業連携を進め、CLS001の社会実装へ向けたサプライチェーンを整備し、水疱性角膜症に対する新たな治療法提供へ向けた取り組みを加速する。

角膜移植以外では失明を防げない水疱性角膜症のような眼科疾患は、全世界では1300万人以上の待機患者が存在するにもかかわらず、年間実施される角膜移植はわずか約18万件という。この治療需給ギャップの原因は、角膜移植にはドナーからの角膜提供が必要な点に加えて、熟練した角膜移植医の確保やアイバンクの整備を要することが治療提供の大きな制約となっている点が挙げられるという。

そのためセルージョンは、「増殖性に優れるiPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す技術」と「簡便な手技で属人的技術を不要とする細胞移植法」を組み合わせ、角膜移植適用症例の半数以上を占める水疱性角膜症に対する再生医療等製品CLS001による治療の開発を進めている。CLS001は、慶應義塾特定認定再生医療等委員会および厚生労働省の厚生科学審議会から2021年7月にヒトでの安全性を評価する医師主導臨床研究の実施承認を得ており、準備が整い次第、慶應義塾大学病院にて同研究が開始される予定だ。

脳ドック用ソフトウェアBrainSuiteを手がけるCogSmartが3.5億円のシリーズA調達、事業拡⼤・国内外での研究開発推進

脳ドック用ソフトウェアBrainSuiteを手がけるCogSmartが3.5億円のシリーズA調達、事業拡⼤・国内外での研究開発推進

脳ドック用ソフトウェア「BrainSuite」(ブレーン スイート。受信者向け医療機関向け)を手がけるCogSmart(コグスマート)は1月6日、シリーズAラウンドにおいて、総額3億5000万円の資⾦調達を実施したと発表した。引受先は、オムロンベンチャーズ、アイロムグループ各社、DG Daiwa Ventures、アイティーファーム、MAKOTOキャピタルが運営・関与するファンド、個⼈投資家。累計調達額は4億1000万円となった。調達した資⾦により、国内外でのさらなる研究開発の推進や事業拡⼤に取り組み、社会課題の解決に挑み続けるとしている。

2019年設⽴のCogSmartは、「早期段階からの認知症予防」の普及を目指す東北大学発の医療テクノロジー系スタートアップ。「脳医学とテクノロジーの⼒で、⼀⼈ひとりがいつまでも健やかに、⼼豊かに暮らすことができる社会を作る」をビジョンに掲げ、認知症の早期段階からの予防や、認知機能の改善・維持のための医療・ヘルスケア機器の製造販売事業、またこれらに関する解析・データサイエンス事業を手がけている。

同社が手がけるサービスの1つがBrainSuiteで、首都圏の病院・健診施設を中心に提供。さらに、東北や⻄⽇本エリアの病院でも提供を開始しており、今後全国各地での展開を予定している。

同サービスは、30代から70代までを対象に、頭部MR画像のAI解析技術などを利用することで、海馬の体積や萎縮程度を測定・評価し、同性・同世代と比較した脳の健康状態を可視化するものという。これにより行動変容のための「気づき」を提示し、脳の健康状態の維持・改善方法について受診者に合ったアドバイスを提供することで、「認知症にならない生涯健康脳」の実現を脳医学の観点から支援する。脳ドック用ソフトウェアBrainSuiteを手がけるCogSmartが3.5億円のシリーズA調達、事業拡⼤・国内外での研究開発推進

またCogSmartは、⼤規模頭部MRIデータベースを⽤いた医⽤画像分析に関する研究にて⻑い蓄積を持つ東北⼤学医学研究所 瀧研究室をはじめ東北大学と密に連携し、画像解析ソフトウェアなどの開発を実施。⼈⼯知能技術を活⽤した頭部MR画像解析プラットフォームを構築していることから、企業・医療機関様などの要望に応じて、認知症分野以外にも脳疾患・症状などに関する画像解析ソフトウェアの受託開発、またそのデータ分析を柔軟に⾏うことが可能という。

韓国Doosanがコンテンツクリエイター向けロボットカメラを発表、さらに約39億円を調達

Doosan Robotics(斗山ロボティクス)は韓国時間1月4日、Praxis Capital PartnersとKorea Investment Partnersが主導して3370万ドル(約39億円)を調達したことを発表した。この資金調達のニュースは、ソウルを拠点とする同社が、ラスベガスで開催中のCESに新製品を出展するのと時を合わせ発表された。

同社はこの資金調達により、研究開発を強化し、新しいパートナーを獲得して、世界的な事業拡大を目指すとしている。また、Doosanはリリースの中で、同社の協働ロボットシステム(コボット)が年間販売台数1000台に達し、韓国以外の地域(主に北米と西ヨーロッパ)での販売がその約70%を占めるようになったと述べている。同社はIPOも視野に入れているとのこと。

Junghoon Ryu(リュウ・ジョンフン)CEOはリリースでこう述べている。「今回の資金調達により、事業の成長を加速させたいと考えています。当社独自の技術を搭載した新製品やソフトウェアの競争力をさらに高め、世界のコボット市場でシェアNo.1の地位を獲得することを目指します」。

Doosanは協働ロボット(collaborative robot=cobot)で知られており、その用途は製造業や研究機関から、2021年末にデビューしたコーヒーを作るバリスタロボット「Dr. Presso」まで多岐にわたる。

今回の発表では、資金調達の他に「NINA(New Inspiration. New Angle)」カメラシステムも発表された。数週間前にCESイノベーションアワードを受賞した際の記事で言及したが、今週、3月に発売予定の同ロボットシステムの情報をさらに得られた。

同社はNINAを「プロシューマー」システムと呼んでいるが、複雑な撮影を比較的簡単にボタン操作だけで行えるようにするためだろう。その一部は、オブジェクトトラッキングなどの機能に加え、ユーザーがさまざまなショットをプログラムできるオープンプラットフォームによるものだ。

リュウCEOは別の声明で、次のように述べた。「NINAは、Doosanがエンターテインメントとコンテンツのジャンルにラインアップを拡大していく中で、当社にとってまったく新しい時代の到来を告げるものです。私たちの目標は、エンターテインメント、広告、ソーシャルメディア、その他の関連業界のプロのコンテンツクリエイターに、親しみやすく、かつ革新的なものを提供することでした。NINAはそれらすべての面で大きな成果を上げてくれると確信しています」。

画像クレジット:Doosan Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)