Beatie WolfeがニューアルバムRaw Spaceのプロモで拡張現実を利用、あのベル研がテクノロジーで支援

シンガーソングライターのBeatie Wolfeは、テクノロジーを利用して、昔の音楽が持っていた不思議な力や身体性を取り戻そうとしている。

昨年はWolfeと彼女のNFCジャケットについて話をしたが、それはスマートフォンとジャケットをNFCで結んで、彼女のシングルを宣伝するWebサイトを開く、というものだ。

ニューアルバムのRaw Spaceでは、WolfeはNokia Bell Labs(昔のベル研を今はNokiaが所有)やDesign IOとパートナーして、5月5日から360度の映像無響室からストリーミングし、音はRaw Spaceのビニールバージョン(LPレコード)から流す。

そのビデオにはDesign IOが作った拡張現実のアニメーションが含まれ、曲の感情や考えを表す。一部のアニメーションはリアルタイムで作られるので、毎回内容が違う。

“こんなことを考えていた: 今のストリーミング全盛の世界でアンチ・ストリーミングを表現しようとしたら、どうなるだろうか?”、とWolfeは語る。“ストリーミング体験には、形や重さがあって実際に触(さわ)れるものや、強力なアートがない。それらを今の世代に生き返させるためには、どうすべきか?”。

彼女のこの企画は、ベル研で50年の歴史を持つExperiments in Arts and Technology事業の一環でもある。過去にはJohn CageやRobert Rauschenbergなども参加したコラボレーション事業だ。ベル研の社長でNokiaのCTO Marcus Weldonによると、その事業は昔ほど活気がないけど、Wolfeなどとのコラボレーションで新たに活を入れたい、という。

“今年は50周年記念じゃないか、そろそろやり方を再検討すべきだね”、と彼は語る。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Play Musicが今後のSamsung全製品のデフォルトのミュージックサービスになる

SamsungとGoogleが今日(米国時間4/1)発表した新たなパートナーシップにより、Galaxy S8とS8+以降のSamusung製スマートフォンとタブレットでは、全機種/全世界的に、Google Play Musicがデフォルトのミュージックプレーヤーおよびミュージックサービスになる。これにはSamsungユーザーへのボーナスもあり、自分の曲を最大10万曲までGoogle Play Musicに無料でアップロードできる。

今ふつうのユーザーの無料アップロードは最大5万曲までだから、10万になれば当然そのための無料ストレージも倍増する。

Samsungの新しいスマートフォンとタブレットにはGoogle Play Musicの3か月試用期間がつき、競合する音楽サービスSpotify, Apple Music, Pandora Premiumなどと変わらぬ機能が提供される。それらは、広告のない音楽、4000万あまりの曲へのオンデマンドアクセス、特選プレイリストなどだ。YouTubeで広告のないビデオを見られるYouTube Redにもアクセスできる。

以上の特典は、今春晩くにローンチするSamsungのパーソナルアシスタントBixbyにも付随する。つまり、音声で、曲や音楽ジャンルをリクエストできるようになる。

このパートナーシップを結ぶ前にはSamsungは昨秋、アメリカ向けのモバイルミュージックサービスMilk Musicを、成績不良で閉鎖している。その後Jay ZのTidalミュージックサービスを買収する噂もあったが、同社はそれを否定した。

Milk Musicの閉鎖を発表したときSamsungは、“今後はパートナーシップへの戦略的投資により、現時点で最良のミュージックサービスをGalaxy系列のデバイスにシームレスに統合していく”、と言っているから、そのパートナーとは実は、Googleだったのだ。

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ストリーミングだけでプラチナ・アルバムになる新時代、カニエ・ウェストのThe Life of Pabloがその先頭を切った

カニエ・ウェスト(Kanye West)の最新アルバムが、ストリーミングの歴史を作った

1年あまり前にリリースされたThe Life of Pabloが、のべ15億曲以上ストリーミングされ、プラチナアルバムになった。

人気アルバムがプラチナになるのは珍しくないが、カニエのアルバムがすごいのは、有料ダウンロードなし、ストリーミングだけでこの数に達したことだ。

では、説明しよう:

アルバムはふつう、100万枚売れるとプラチナになる。しかし昨年のRIAAのガイドラインでは、その数にストリーミングの数も含む、となった。その数え方は、1曲が150回ダウンロードされたら1曲ダウンロードと等しく、そして10曲ダウンロードが1アルバムのダウンロードに等しい、となる。つまり、アルバムが1枚売れた、と数えられるためには、それの曲が1500回ストリーミングされなければならない。

そこで、ストリーミング1500回がアルバム1枚の売上に等しいわけだから、アルバム100万の売れ行きは、15億回のストリーミングと等しいことになる。それが、プラチナ評価の条件だ。

ふつう、アルバムがプラチナになるのは、ストリーミングと有料ダウンロードの組み合わせによってそうなる。有料ダウンロードが混じれば、15億回ストリーミングされなくても、プラチナになる。でもカニエは、The Life of PabloをiTunesなどで売らずに、最初はTidalに限定、その後SpotifyやApple Musicなどストリーミング-オンリーのプラットホームへ広げた

このアルバムは彼のサイトで買ってダウンロードできるが、それは最初の週の総数の1%にも達しなかった。そしてアルバムは、この売上を含めなくてもプラチナに達した。

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ギターの自動チューナーRoadieがバージョン2を発表、ベース専用機も登場

初代のRoadieチューナーは、プラスチックケースに収まった奇跡だった。その小さなデバイスをスマートフォンにつなぐと、ギターのマシン・ヘッド(小さなチューニングノブ)を回して正しい位置にする。実に、見事だった。

そして今度のRoadie 2は、ギターを自力で(スマートフォン不要で)毎日一晩中チューニングする。Roadie 2とRoadie Bassがそれぞれ別のチューナーで、スマートフォンのアプリから目的のチューニングをロードする。目的のチューニングがロードされたら、デバイスの小さな画面をスクロールしてチューニングタスクをセットする。あとは、デバイスの振動〔==音の周波数〕検出システムがすべての仕事をする。完全に緩んだ弦でも、その弦を指定すれば正しく張る。

ひとことで言うとこれは、最初のRoadieの良いとこ+使用中にスマートフォンは要らない、だ。(最初に、使用するチューニングをロードするときだけ。)

とにかくRoadieがあるとセットアップの時間が短くて、すぐに演奏を初められる。ジミーがいなくなったり、ジョーディーが結婚したりして、さびしくなっても、Roadieがあればすぐに、ギターがぼくを慰める。弦はいつも綺麗で、血はつかない。ストラトキャスターでも5ドル10セントで買ったのでも、立派に仕事をする。

どちらも金属製のギアを使って、トルクを稼いでいる。ベース用は弦が重いから、ややトルクが強い。Kickstarterで初期の支援者は79ドルで買えるが、発売は10月だ。発送は申し込み順に行われるから、待ちきれない人は早めに79ドル(またはそれ以上)を支援しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpotifyとWazeのAndroidアプリが連携―カーナビと音楽ストリーミングがシームレスに作動する

車を運転しているときに音楽を聞く人は非常に多い。音楽ストリーミング・アプリのSpotifyとカーナビ・アプリのWazeがインターネット時代にふさわしく連携、シームレスに動作するようになった。Wazeアプリ内からSpotifyのプレイリストが再生できる。またSpotifyのアプリ内でWazeのカーナビ案内が聞ける。この提携でWazeアプリ内からSpotifyのプレイリストを切り替えることもできる(ただし車が完全に停止しているときのみ)。

新機能は全世界で利用可能だ。ただしAndroid版のみで、iOS版についてはコメントが得られなかった。

この提携はいろいろな意味で興味深いが、まず使い勝手から検討してみよう。

これまでカーナビ・アプリを利用中にSpotifyで音楽を聞こうとしたユーザーならよく知っているとおり、両者の関係には問題があった。

カーナビが音声案内をすると曲が飛んだりした。私のiPhoneではAppleのMusicプレイヤーがデフォールトになることもあった。“Waze and Spotify”というキーワードでGoogle検索するとユーザーが各種の問題で悩んでいることが分かる。両アプリの連携はこうした使い勝手の悪さを大きく軽減するという。

また画面表示も改善された。Spotifyアプリを立ち上げているときはナビの案内は短いバージョンが表示されるし、Wazeアプリにいるときは再生中の曲の紹介が短いバージョンになる。いちいちSpotifyアプリに移動しなくても曲をスキップしたり別のプレイリストに切り替えたりできる。.

Waze側からすると、ナビとの統合の相手方としてSpotifyを選んだところが重要だ。

Wazeの親会社はGoogleで2013年にWazeを11億ドルで買収している。Googleには独自の音楽サービスがある。しかし有料音楽サービスとしてSpotifyは世界的なリーダーだ。ユーザーは1億人以上、うち5000万人が有料契約者だという。つまりWazeから見るとこの連携が実際に利用される可能性がいちばん大きい相手ということになる。

Wazeに取材したところでは、Spotifyはこうしたアプリレベルでの提携では最初の相手だという。今後Wazeが提携の相手をさらに広げていくのかどうか注目される。

音楽ストリーミング・アプリにはPandora、Apple Music、Tidal…いやGoogle Playもある。カーナビと同時に利用されるアプリとして音楽ストリーミングはまず最初に思いつくが、車両の位置情報を利用するアプリは多数ある。たとえばどこかでランチを取ろうとすればFoursquareとかYelpを検索するだろう。こうしたアプリとの提携は便利に違いない。

しかし当面Wazeは他の面で存在の拡大に専念するようだ。

昨年、WazeはTransport APIプログラムをスタートさせた。これはクラウドソーシングと高度なアルゴリズムによって決定されるWazeのナビゲーションをサードパーティーの運輸系アプリにフィードするものだ。オンデマンド配車サービスのLyftとの提携の場合、ドライバーがLyftアプリを利用しているときにWazeによるルート案内が利用できるようになった。またWazeは新しいカープールの方式を別のレイヤーのサービスとして徐々に構築しつつある。

Spotifyにとっても、アプリ自身の改良とは別に、Wazeとの提携は注目すべきものだ。このプロジェクトは使い勝手を改善し、Spotifyアプリの利用を増やす効果が期待できるだろう。Spotifyでプレイリストが再生されるのは車内が一番多いはずだ。ドライバーは運転に集中しなければならないので、いちいち選曲できない。そこでプレイリスト再生とナビゲーションとのギャップを埋めるこうした連携は大いに歓迎されるはずだ。遅すぎたくらいかもしれない。

この機能を利用するためにはAndroidスマートフォン上に双方のアプリがインストールされている必要がある。どちらかのアプリの設定を開けば連携を実行できる。

Wazeから得た情報によって記事をアップデートした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

企業がアーティストのパトロンに―、伝説のCMの立役者が考える新しい音楽PRの仕組み

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Volkswagenは1990年代の後半に、Rykodiscというレコード会社にある提案を持ちかけた。彼らは、Rykodiscが版権を持っていた当時無名のシンガーソングライターの曲を、新しいカブリオレのCMに使いたいと考えていたのだ。

そのシンガーソングライターの名はNick Drake。結局カブリオレがどのくらい売れたかはわからないが、このCM(VWにとっては初のオンラインCM)は大きな話題となり、Nick Drakeの音楽は、彼の死からかなり時間をおいて再び注目されはじめた。さらにこのCMは、ヒット曲に頼り切るのではなく新しい(そして知られていない)音楽を消費者に届けるという、音楽と広告の新しい組み合わせ方のモデルとなった。

このCMの成功に関わっていた人物のひとりで、当時Rykodiscの社長を務めていたGeorge Howardは、オンラインマーケティング会社ReachLocalの共同ファウンダーでチーフ・レベニュー・オフィサーのNathan Hanksと一緒に、現在ブランドとアーティストをシステマティックに結びつける手段を作り出そうとしている。

ふたりがダラスで設立したMusic Audience Exchange(MAX)は、この度MATH Venture PartnersKDWC Venturesが中心となったラウンドで、600万ドルを調達したと発表した。他にもG-Bar VenturesやAware RecordsのファウンダーでCEOのGregg Lattermanがこのラウンドに参加していた。

彼らの狙いは、まだ一般に知られていない才能あふれるアーティストを、特定のターゲット層にリーチしたいと考えている国内もしくは国内外で有名なブランドの目に触れさせることだ。

著名なアーティストは考えられないくらいの大金持ちになることができる一方で、地元のバーで演奏するバンド売れっ子になるために必要な露出を得るのは、段々難しくなってきている。作曲ツールやオンライン流通網が一般に広がる中、音楽業界では細分化が進んでいるのだ。

実際のところ、Spotifyでは一回も再生されたことがない曲の方が、再生されたことがある曲よりも多いとHanksは話す(Forgotifyを試せばその雰囲気がわかるだろう)。

またCDビジネスの落ち込みやストリーミングサービスの興隆が、アーティストやレコード会社に違った形で影響を与えている。スタートアップの幹部の中には、レコード会社はA&Rよりも一定数のファンがいるバンドやアーティストにマーケティング力を投入していると主張している人もいる。

さらにアーティストの中には、スタジオでの録音というプロセスさえすっとばして成功を勝ち取った人もいる。3枚の(素晴らしい)ミックステープでキャリアを築き上げたChance the Rapperがその好例だ。

Chance the RapperやG Eazyのようなアーティストは、これまでの業界の常識から外れながらもキャリアとファンベースを築きあげることができたが、全てのミュージシャンがそこまで恵まれているとは限らない。

実際に、40歳間近の現在まで何度も起業を経験し、多数のミュージシャンの面倒を見てきてたHanksは、音楽業界の恐ろしさを知っている。「私はずっと音楽業界を観察してきましたが、業界で門番のような役割を担っている人たちの行動を理解できずにいました」。

アーティストが大事なチャンスを逃してしまっているという思いはHanksの中に残り続け、彼がマーケティング会社を立ち上げた後に確固たるものへと変わった。「当時(インターネット)検索やディスプレイ(広告)がデジタルの世界を支配していましたが、ブランドはもっと物語を伝えられるような場所を必要としていて、しかも(彼らには)昔発表されたコンテンツを探す手立てがありませんでした」。

ミュージシャンは成り上がりや忍耐力に関する物語など、ブランドが伝えようとしている思いに沿ったストーリーを作り上げることができるとHanksは語る。

その後、彼が立ち上げたReachLocalが上場しGannettに買収されると、Hanksは新たな挑戦をはじめる準備ができたと感じ、翌年MAXを設立した。

Hanksや共同ファウンダーのHowardの目から見ると、MAXは3つの大きなトレンドが交わる場所にいる。ひとつめは、コンテンツの中に散りばめられた、製品を宣伝するだけの広告に飽き飽きしている消費者の思い。ふたつめは、レコード会社の売上を侵食しているデジタル音楽プラットフォーム。そして最後が、音楽の制作・流通に素晴らしいチャンスを持たらすと同時に、音楽ファンが困惑するくらい楽曲数が増える原因となった音楽出版用ツールの普及だ。

HanksがReachLocalで開発していたツールと似たようなものを使い、MAXは765ジャンルにわたる240万人のアーティストをもとに、音楽ファンを200種類以上もの層に分類することができる。

FordやTwix、Dr. Pepperといったブランドは、MAXのサービスを使えば、特定の消費者層(皮肉屋で厭世的な考えに浸っている40歳前後の毒舌記者といった感じで)にリーチするような広告キャンペーンを打つことができる。MAXは彼らのターゲット層に人気のアーティストを特定し、ブランドの予算を考慮しながら両者をマッチさせるのだ。

ブランドのスポンサー契約の中には、アーティストをCMに出演させたり、地元や国内でのツアーの支援をしたり、スポンサーした曲を一定回数かけたりといった内容が含まれているのが一般的だ。

ミュージシャンが内容に合意した後に実際の契約が結ばれるが、中には合意に至らないケースもある。ある有名アーティストは、MAXがアレンジしたスポンサーシップ契約を、同じカテゴリーの競合製品の方が好きだという理由で断ったこともあった。これまでにMAXを通じてスポンサー契約を獲得したアーティストの中には、EEDTOBREATHEやLeela James、Aaron Watson、さらに2017年のグラミー賞にノミネートされたLa Maquinaria Norteñaなどがいる。

ブランドとアーティストのペアリングの中には、下のミュージックビデオのように全くの偶然で生まれるものもある。

「私はこれまでずっと、音楽業界でアーティストとファンの間にいる人たちを省こうとしてきました」とHowardは自身のキャリアを振り返りながら話す。

ブラウン大学在学中にミュージシャン兼Slow River Records(私の青春時代のサウンドトラックのひとつであるVivadixiesubmarinetransmissionplotをリリースしたレコード会社)のファウンダーとしてキャリアをスタートさせた彼は、その後Rykodiscの社長とバークリー音楽大学の講師を務めており、キャリア全体を通してミュージシャンとお金の間に立ちはだかる障害を取り除く努力を続けてきた。

「コンテンツをつくる人と、それを消費する人の間にあるものは、少なければ少ないほど良いと考えています」とHowardは言う。「MAXはコーディネートエージェントであって、中間業者ではありません。私たちの狙いはアーティストとブランドの結びつけて、両者の目的を揃えることにあります」。

さらにHanksは、ミュージシャンだけでなく、映画スターやユーチューバー、俳優など、さまざまなジャンルのインフルーエンサーにもMAXの戦略が応用できると考えている。

Facebook上に500万人ものフォロワーを抱えているインフルーエンサーが、自分を売り込むのにお金を払わなければいけないというのは確かにおかしな話だ。

「ブランドにはファンを構築するお金があり、メディアにはコンテンツをファンに届ける力があり、アーティストにはファンに物語を伝える力があります」とMAXのシステムについてHanksは説明する。

彼らのやり方こそが未来の音楽業界のあり方かつ、アーティストに収益をもたらす方法なのかもしれない。「アーティストの後ろにブランドがいるという形こそ、新時代のパトロンの在り方です」とHanksは言う。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

AIが作曲をするAmperが$4Mを調達、訓練次第でAIも本物の創造力を持つ、とファウンダーは主張

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AIで作曲をするAmperが、400万ドルの資金調達を発表した。

このラウンドはTwo Sigma Venturesがリードし、Foundry Group, Kiwi Venture Partners, および Advancit Capitalが参加した。Amperはこの前、Brooklyn Bridge Venturesから資金を調達している。

このスタートアップを作ったDrew Silversteinは映画音楽の作曲家だから(ほかにSam EstesとMichael Hobeが協同ファウンダー)、自分の仕事を奪いそうなプロダクトを作るはずがない、と思うかもしれないけど、Silversteinの考え方は違う。

彼によるとAmperは、コマーシャルやネット上の短編ビデオなどにつける“実用的な”音楽を、はやく、安価に、そして無権利で作る方法だ。これまで、そういう種類の音楽は、既存の権利切れの曲を利用していた。Silversteinは以前、そういう方面から作曲を頼まれたこともあったが、あまりにもギャラの提示額が小さすぎた、と言う。

“弊社の会社としての信条は、未来の音楽が人間とAIのコラボレーションで作られる、ということだ”、と彼は語る。“しかもそのコラボレーションによって、創造性は一層強化される。コンピューター自身も、訓練次第で本物の創造力を持つだろう”。

1年前の本誌主催Startup Battlefieldで優勝したJukedeckをはじめ、AIを利用する作曲システムはほかにもいろいろある。しかしSilversteinが唱えるAmperの差別化要因は、創造性なのだ。

Amper screenshot

彼は、“コンピューターが新しい画期的なアイデアを生み出したという例はまだないけど、人間とコラボレーションできるAmperはそれにいちばん近いだろう”、と言う。

Amperで曲を作るときには、まず、ムードと長さとジャンルを指定する。最初の作品は、数秒で返ってくる(その時間は曲の長さにもよる)。次は、人間がその曲を磨く。たとえば、特定の楽器をなくしたり、あるいは新たに加えたりする。

AmperはAPIを公開しているので、デベロッパーや企業は自分のアプリに作曲機能をもたせられる。もっと大規模な作曲も、やらせることができる。Amperの創造性はそうやって世界中に感染が広まる、とSilversteinは比喩的に言う。

でもそれは、一体どんな音楽なのだろう? 下にそのサンプルがある。SoundCloudには、もっとたくさんサンプルがある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

月額4.99ドルで1億2000万曲を聞き放題―、SoundCloudが新プランを発表

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SoundCludは、昨年の有料メンバーシップのローンチから1年も経たないうちに、料金の見直しを行い、新しく低額プランを発表した。

ベルリンに拠点を置く同社は、有料ユーザーの増加を目指し、昨年3月に発表された月額9.99ドルのプランよりも安い、月額4.99ドルの新プランを本日発表。一方で月額9.99ドルのオプションはそのまま残し、今後は両方のプランをSoundClound Go、SoundCloud Go+として提供していく。

SoundCloud Goユーザーは、1億2000万楽曲を広告なしで楽しめるほか、オフライン時にも曲を聞けるようモバイル端末へ楽曲をダウンロードすることもできる。そしてSoundCloud Go+ユーザー向けには1億5000万曲が準備されており、ユーザーは全ての曲を(プレビューだけでなく)フルで楽しむことができる。SoundCloud Goのメンバーだとどの楽曲が聞けなくなるかについてはハッキリしていないが、さらにGo+の価値を高めるために、「Go+ユーザー限定の追加機能」が今年中に発表されるとSoundCloudは話す。

2種類のプランを用意するというのは効果的な戦略であり、恐らくSoundCloudは有料プランのローンチ時からそうするべきだっただろう。まず低額プランを導入することで、SoundCloudはApple MusicとSpotify(どちらも有料プランは月額9.99ドル)に価格で勝ることができる。さらにSoundCloudは、これまで1億7500万人ものユーザーを抱えながらも収益化に苦しんでいたため、低額プラン導入によって有料サービスの利用を促進し、ようやく売上を伸ばすことができるかもしれない。収益化に苦しむSoundCloudは、今年の1月にFinancial Timesの取材に対し、昨年夏にTwitterから評価額7億ドルで調達した7000万ドルに続き、新たなラウンドを計画していると話していた。

2016年はSoundCloudにとって動きの多い1年だった。Spotifyによる買収話は同社のIPOに向けた不安のせいもあって12月にようやく消滅し、SoundCloudはさまざまな施策に取りかかりはじめた。広告収益の増大を狙ってアメリカではプログラマティック広告を導入し、新たなCTOを迎えてチームの再編を図ったほか、本日のニュースは、同社のビジネスを長期的に継続するための新たな作戦のように見える。

「有料プランを拡充することで、私たちはSoundCloudのユーザーエクスペリエンスを向上するだけでなく、新しい収益機会を生み出し、クリエイターに対してさらに売上を還元していこうと考えています」とCEOのAlex Ljungは声明の中で語った。

もちろんSoundCloudは、オンライン音楽業界でSoptifyやApple Music、Pandoraといった競合企業と厳しい戦いを繰り広げている。しかし、Spofiyは有料ユーザー数が4000万人を超え、登録ユーザー数は昨年1億人に達したと発表し、Apple Musicも昨年12月に有料ユーザー数が2000万人に達したとしている一方、SoundCloudはこれまで有料ユーザー数について具体的な数字を発表したことがない。

SoundCloud GoとSoundCloud Go+は、今のところアメリカ、イギリス、アイルランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ドイツで利用可能だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

お店のBGMが変わる―、”B2BのSpotify”Soundtrack Your Brandが2200万ドルを調達

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Spotify世界最大のコンシューマー向け音楽ストリーミングサービスの座に君臨し続ける中、彼らの地元ストックホルム発の(かつSpotifyも投資している)スタートアップが、エンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスを牽引すべく、大規模ラウンドで資金を調達した。

そのスタートアップの名はSoundtrack Your Brand(SYB)。元Spotify幹部とBeats(現在はAppleの一部)の共同ファウンダーが手を組んで設立した同社は、この度のラウンドで2200万ドルを調達した。調達資金は海外展開や、お店でBGMをかけるのに使われている同社のシステムの改良に充てられる予定だ。彼らのサービスは、スーパーなどにありがちな安っぽくて退屈な音楽を変えようとしている。もちろん、たまたま小売店が求めているのが安っぽさや退屈さであれば話は変わってくるが。

既にSYBはかなりの成長を遂げており、マクドナルドやTAG Heuer、Toni & Guyといったグローバル企業が彼らのサービスを利用しているほか、100ヶ国で「何千」という数の企業(スウェーデンのスターバックスのように、大規模チェーンの各国の統括企業を含む)を顧客に抱えている。

同社はさらにSpotify Business(Spotifyのインフラを利用したエンタープライズ向けサービス)を、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで運営している。SYBによれば、同社の売上と顧客ベースはどちらも400%以上伸びているが、具体的な売上額や顧客数は明かされていない。

Balderton CapitalとスウェーデンのIndustrifondenが中心となった今回のラウンドを受け、SYBの累計調達額は約4000万ドルに到達した。今回のシリーズCには、そのほかにもTelia、Northzone、Creandum、H&MのファミリーオフィスであるHMP、この業界をよく知るJörg Mohauptらが参加していた。

既存株主であるSporify、PlayNetwork、Wellingtonは今回のラウンドには参加しなかった(お気づきかもしれないが、Spotifyの株主の多くがSYBにも投資している)。

SYBは、2014年にAndreas Liffgarden(元々Spotifyでビジネスディベロップメント部門のトップを務めていた)とOle Sars(Beatsの共同ファウンダー)によって設立された。彼らは以前在籍していた企業でも起業仲間を募っていたが、ふたりともエンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスに大きな可能性を感じているということがわかり、ふたりでSYBを立ち上げることに決めた。多くのお店は、数が限られていながら面白みに欠け、ときには法に触れる可能性のある選択肢の中からBGMをかける手段を選ばなければならず、彼らはその問題を解決しようとしているのだ。

一般的には、お店の人が自分でまとめたCDやミックステープが店内でかかっていることが多い。中にはそのようなメディアを送ってくれるサービスもあるが、どちらも曲をアップデートする手間やコストを考えると理想的な方法とは言えない。ほかにも衛星・無線ラジオをかけているお店もあるが、この方法だと自分で曲を選ぶことができない。さらにSpotifyのような音楽ストリーミングサービスは、非商業目的の個人利用しか許可していないので、この方法をとると法律を破ってしまうことになる。

確かにエンタープライズ向け音楽ストリーミングサービスのニーズはあるようだが、だからといってSYBだけがそれに気付いたわけではない。Mood Media(Muzakの親会社で、アメリカではPandoraとパートナーシップを結んでいる)やPlay Network(Soundtrack Your Brandの投資家でもある)のほか、イギリスのImageSoundなどヨーロッパにも競合企業は存在する。

しかしLiffgardenとSarsは、SYBのサービスには他社とは違う点がいくつかあると言う。

まず第一に、同社のサービスを利用したい場合はサインアップするだけでよく、既にお店にある音響システムとインターネット環境を除けば、追加でハードウェアを準備する必要はない。料金は月々34.99ユーロ(37ドル)に設定されている。

次は提供されている楽曲数と、楽曲に関する同社の将来的なプランだ。世界中に5000〜6000万曲が存在すると言われている中、コンシューマー向け音楽ストリーミングサービスの中には3000万曲もの楽曲を揃えているものもある。しかし話の本題はここからだ。

ほとんどのストリーミングサービスに関し、繰り返し再生されている人気曲の数はせいぜい「数百万」曲だとLiffgardenは話す。「去年私たちのサービス経由で20万曲が再生されており、競合サービスの再生曲数も同じくらいでした」と彼は付け加える。SYBの競合サービスが現在配信している楽曲の数は約100万曲ほどで、SYBもSpotifyやPlayNetworkのようなプラットフォームと手を組んで、大体同じくらいの数の楽曲を配信できるよう現在リライセンスの努力を重ねている。

しかしSYBは、長期的には直接レコード会社とライセンス契約を結んでいきたいと考えている。Spotifyのような企業にとってライセンス契約は悩みの種となっており、ある情報筋によれば、Spotifyは利益を増やすために現在レコード会社と契約内容の変更について交渉しているという。

一方、今まさにレコード会社との契約交渉を進めているLiffgardenとSarsは、SYBがエンタープライズ向けサービスであることから、Spotifyと彼らの事情は違うと説明する。コンシューマー向けサービスに比べて、エンタープライズ向けは利用場面が限られていることから、同社は最終的に1500万曲程度のライセンス契約を結べればいいと考えているのだ。

これだけの楽曲数があれば、サービス内容においてSYBは競合との差を大きく広げられるだろう。さらに他のプラットフォームへの依存度も抑えることができる(これこそ以前同業界で活躍していたSoundropがサービスを続けられなかった理由のひとつで、Spotifyがプラットフォーム上でのアプリのサポートを終了した途端に、彼らのサービスは使えなくなってしまった)。

さらに競合他社に比べて高く設定されたユーザー当たりの料金も、最終的にSYBの利益率向上に貢献するだろう。

SYBが競合を打ち負かそうとしているポイントの3つめが、顧客に提供しているサービスだ。もちろん顧客は、同社が予め準備したプレイリストを流したり、好きな曲をオンデマンドでかけることができる。

しかしSYBはビッグデータやデータ解析の技術を利用し、顧客の売上や来客数、さらには店舗での滞在時間を増加させるため(さらには、もしかしたらお客さんをはやく店から出ていかせるため)にどの曲をかければいいのかという、選曲サポートサービスまで提供しようとしているのだ。

これはもはや音楽サービスの域を超えているとSarsは言う。「このサービスが完成すれば、小売テクノロジーやビジネスのデジタル化というもっと大きな領域に進出していくことになります」

以前TechCrunchではSYBに対して、なぜSpotifyは自社の幹部にSYBのようなサービスをB2B事業として社内で開発するよう促さなかったのかと尋ねた。その答えは今も変わっておらず、なかなか興味深いものだ。簡単に言えば、Spotifyはコアとなるコンシューマー向け事業を確立し、拡大していくことに現在注力しており、エンタープライズ向け事業をはじめるのに必要な交渉や戦略、リソースについて考えている暇がないのだ。

その一方で、皮肉なことにSYBは成長を続け、他サービスから独立しようとしているが、SpotifyはSYBが成長すれば投資家としてその恩恵にあずかれるため、最終的に両社はWin-Winの関係にあると言える。さらに万が一Spotifyがエンタープライズ向けサービスをはじめたいと思ったときのために、おそらくSYBの買収に関し、Spotifyは何らかの拒否権を持っていると私は考えている。

SYBがレコード会社と独自のライセンス契約を結ぼうとしているというのも、私の考えと辻褄が合う。彼らは独立した契約をレコード会社と結ぼうとしており(現在のところSYBは北欧外ではPlayNetworkの楽曲を利用している)、これが形になれば、SYBがSpotifyやその他の企業に買収されたとしても、契約内容について再度交渉しなくてすむ。

なお、今回のラウンドを受けて、以前はUberとDropboxでモバイル部門のトップを務めていたBaldertonのLars Fjeldsoe-Nielsenが、SYBの取締役に就任することとなった。

「私はこれまでディスラプションが起きるのを間近で見てきました。Dropboxはストレージサービスを変え、コンシューマー向けからエンタープライズ向けへの転換を果たしました。一方、Uberは私たちの交通手段に対する考え方を大きく変えました。今度は、Soundtrack Your BrandがBGMを変えていくでしょう」と彼は声明の中で語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebookで自作ビデオに有名曲が使用できるようになるかもしれない

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FacebookやInstagramのユーザーが、TwitterやSnapchat上のビデオより面白いものを作るためにはどうしたらいいだろうか?その答えは、耳に残るサウンドトラックだ。現在Facebookはライセンス契約獲得に向けて、レコード会社との交渉に力を入れている。

交渉が上手く行けば、両プラットフォームのユーザーは、自分の作ったビデオに人気曲を挿入できるようになり、撮影時に流れていた曲の著作権侵害を理由に、ビデオがブロックされるということもなくなるだろう。さらに以前私たちが提案していたように、ユーザーがビデオをアップロードするときに、人気曲をサウンドトラックとして挿入できるようなツールさえFacebookは開発できるかもしれない。

facebook-identify-tv-and-music同社は遅くとも2015年にはレコード会社との交渉を開始しており、当時The New York TimesはFacebookがユーザーのフィード上に音楽ビデオを配信するつもりなのではと報じていた。他にも、FacebookがSpotifyと競合するような、本格的な音楽配信サービスをローンチするのではと憶測している人までいた。

一方、昨年末にBillboardは、Facebookが以前開発した盗作(freebooting)動画を検出できる著作権管理ツール(Rights Manager)を補完する形で、音楽用にも著作権侵害対策ツールを開発しようとしていると報じた。そしてBloombergは、Facebookがユーザーの作ったビデオに含まれる音楽の著作権を守るために、一層の努力を重ねてきたと記している。

レコード会社との契約が形にならなければ、Facebookは著作権で保護されている楽曲を使用したビデオのアップロードを禁止したり、既にアップロードされているものを取り下げたりしなければならず、ユーザーの失望や怒りを買うことは必至だ。例えば、お父さんお気に入りのロック曲を挿入した家族旅行のビデオは、そのうちアップロードできなくなるかもしれない。また、車の中でふざけあっている友だちの様子を撮ったビデオも、撮影時にラジオから流れていたヒット曲をマイクが拾っているという理由で、ブロックされてしまう可能性があるのだ。

このようなことが起きれば、ユーザーはFacebookにビデオをアップロードしなくなり、同社は最もお金になる新鮮なコンテンツを失ってしまうことになる。

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YouTubeはこの問題を解決するために、Content IDシステムを導入した。このシステムは、動画内に含まれる著作権で保護された楽曲を検出し、著作権者に対して動画全体をブロックするか、動画に広告を表示させて収益の一部を受け取るかといったオプションを提供している。後者を選べば、ユーザーは自分のビデオがブロックされて苛立つことがなく、アーティストは楽曲のプロモーションができ、レコード会社も所有する楽曲から収益を生み出すことができるなど、関わっている人全員が何かしらのメリットを享受できる。

Facebookは既に独自の音声指紋テクノロジーを開発し、2014年に公開していた。ユーザーはこの音声指紋機能を使って自分が聞いている音楽の情報を入手したり、視聴している番組をステータスにタグ付けしたりできたのだ。あとは、レコード会社が動画に挿入された楽曲から収益をあげられるような契約がまとまれば、この問題を解決することができる。

つまりレコード会社は、Facebookというチャンネルや収益化の可能性を無駄にせず、問題をうまく解決するような選択をすることができるのだ。なお、Facebookはタイミングを見計らったかのように、元々Google・YouTubeの音楽パートナーシップ担当ディレクターを務めていたTamara Hrivnakをチームに迎え、今後彼女が音楽関連の戦略立案やレコード会社との交渉を担当していくことになる。

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残された問題は、楽曲がビデオを補完する付随物として利用されている場合と、ビデオが楽曲を収める箱のように使われ、実際はユーザーが楽曲を検索して無料で聞くことを目的にしている場合という、ふたつのケースの間にFacebookが上手く境界線をひくことができるかどうかだ。レコード会社の幹部が嫌う、後者のような楽曲の使用方法はYouTubeでよく見られる。

あくまで音楽はユーザーが作成するビデオに付随するもの、という位置づけの契約を結べば、プロが作った音楽ビデオを含め、レコード会社とFacebookのパートナーシップの幅が広がるかもしれない。さらにFacebookは、レコード会社との関係を使って、実際に動画に挿入するサウンドトラックを提案するようなツールを開発できる可能性もある。

しかし今のところ、Facebookはとりあえず主力サービスから、成長の妨げとなる要素を取り除こうとしているだけだ。ほとんどの人は、ビデオグラファーとしてもサウンドエンジニアとしても大した技術を持っていないので、ユーザーが作ったビデオの中には、つまらないものやひどい音声が収録されたものもある。しかし映像に合った楽曲が使われれば、パーティーの様子を収めた手ブレのひどいビデオやぎこちないパノラマビデオも、突然見ごたえのあるものへと変身する。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

天気に応じたオススメ曲を表示ーSpotifyがAccuWeatherと新サービスをローンチ

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天気や空模様はミュージシャンのインスピレーションを刺激し、ロンドンの霧太陽が顔を出したときの様子、さらには季節に合った服などをテーマにした曲がこれまでに誕生した。そこでSpotifyはAccuWeatherとタッグを組み、ユーザーの位置情報からリアルタイムで天気やムードを読み取り、それぞれのユーザーの状況にあったプレイリストを表示する、Climatuneというサービスをローンチした。

これは以前、Songza(後にGoogleに買収された音楽のレコメンデーションサービス)がWeather Company(後にIBMが買収)とのコラボを通してつくった機能に似ている。Songzaは、もともと時間や日付、ユーザーの位置情報をもとに楽曲をレコメンドするサービスを提供していたが、Weather Companyと組むことで、さらに気象情報を加味したものへとサービス内容を進化させていた

しかしClimatuneの機能はSongzaとはちょっと違う。Spotifyが新規に用意したClimatune用のウェブサイトは、ユーザーの現在地(もしくはそこから1番近いClimatuneがトラックしている地域)を検出し、その場所と天気に合うであろう30曲がおさまったプレイリストを表示してくれる。

Spotifyによれば、Climatuneのプレイリストは、1年分の気象データと850億件に及ぶSpotifyのストリーミングデータを紐付けて作られた。つまり同社は、雨が降っているとき、晴れているとき、曇っているとき、風が強いとき、雪が降っているときに、それぞれSpotifyユーザーはどんな曲を聞いていたかという情報をまとめてこのサービスを完成させたのだ。そして、その結果浮かび上がってきた曲や、それに似た曲からプレイリストは作られている。

インタラクティブな壁紙も準備されているClimatuneだが、Spotifyの狙いはユーザーをずっとこのサイトに留めておくことではない。Climatune上では各曲のプレビューしか表示されず、ユーザーは楽曲全体を聞くためにはSpotifyへ移動しなければならず、最終的にはSpotifyへユーザーとエンゲージメントが集まるような仕組みになっている。

現在音楽レーベルとのライセンス費用に関する再交渉を狙っているSpotifyは、ユーザー数やエンゲージメントといった指標に敏感になっている。私たちが入手した情報によれば、Spotifyはこれまで再生数に応じて楽曲使用料を支払ってきたが、定額制へ移行したいと考えているようなのだ。そのため、楽曲の権利者に対して、Spotifyユーザーはある特定の曲だけでなく、音楽全体を楽しんでいるという証拠を見せることができれば、Spotifyの希望は通りやすくなる。

さらにClimatuneのサービスは、自分が何を聞きたいかイマイチわからないような、そこまで音楽に熱心ではない人にリーチするためにも有効な手段だといえる。3000万曲ものストックがある中、カジュアルに音楽を楽しみたい人は、いちいち自分で聞きたい曲を探すよりも、良い曲をオススメしてほしいと考えているのだ。

Climatuneのサイトを開くと、ユーザーの現在地に応じたプレイリストが表示されるが、もしも周りは雨が降っているのに雪っぽい曲を聞きたいと思ったら、ユーザーは好みの天気を選ぶことができ、そうすれば違う街と天気に合ったプレイリストが表示される。

天気と音楽の関係については、ある程度であれば予想がつく。Spotifyによれば、晴れた日は「元気いっぱいで楽しい雰囲気が好まれる傾向にあり、テンポが速くラウドかつノイジーな”動き”のある曲や、長音階やその他の音楽的な要素とも関連して、ハッピーかつ陽気で幸せになるような曲が再生されることが多い」一方、雨の日は「アコースティックで落ち着いた、悲しい雰囲気の曲」を聞く人が多い。

しかし、シカゴの人は雨の日にアップビートな曲を聞きがちなど、意外な傾向も見られた。

その他にもさまざまなトレンドを見て取ることができるが、中には複数のプレイリストに繰り返し登場する楽曲もある。これについては、Climatuneを新しいプロモーションの手段に使おうとしていると考えることもできるし、単にその曲が天気や地域を超越して、高い人気を誇っていると考えることもできる。例えば、晴れた日のロンドンのリストと風が強い日のリスボンのリスト両方に、Twenty One PilotsのRideと、Selena GomezのKill Em With Kindnessが含まれている。

「天気とユーザーが聞く曲の間には、ハッキリと相関関係が見てとれます。私たちが調査した主要都市のほぼ全てで、晴れた日は明るい曲の再生数が増加していました。特にヨーロッパのユーザーは晴れた日に敏感に反応していましたね」とSpotifyでヘッド・データ・リサーチャーを務めるIan Andersonはからかって言った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Sprintが音楽配信サービスTIDALの株式の33%を取得へ、限定コンテンツの配信を予定

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音楽ストリーミングサービスの分野で面白いことが起きようとしている。ソフトバンク傘下のSprintが、TIDALの株式の33%を取得すると本日発表したのだ。TIDALは音楽ストリーミングサービスを提供しているノルウェイ発のスタートアップで、2015年にJay Zが同社の株式の大半を取得して以降は、人気アーティストの限定コンテンツに力を入れた高音質音楽配信プラットフォームとして、SpotifyやApple Musicと競合してきた。

さらにSprintは、TIDALのサービスを同社のモバイルユーザー(モバイル契約・プリペイドユーザーを合わせると4500万人に及ぶ)に提供する予定だと話す。「TIDALと同社に楽曲を提供しているアーティストは、新旧問わずSprintユーザー全員に向けて、限定コンテンツを配信していく予定です」と両社は言う。

2015年にTIDALが再ローンチしたときにも、両社はコラボレーションに関する発表を行ったが、実際に2社で何を行っていたかは明かされず、SprintはTIDALへは投資しないと明言していた。しかし今回の発表では、Sprint CEOのMarcelo ClaureがTIDALの取締役に就任するということまで明らかになった。

「アーティストがファンと直接繋がりを持って、自分たちの可能性を最大限発揮するためにクリエイティブ業界に革新をもたらすというTIDALのビジョンにSprintは共感してくれています」とJay Zは声明の中で語った。「Marceloは私たちのゴールをすぐに理解してくれました。今後Sprintが持つ4500万人の顧客ベースに私たちのサービスを提供していくのが楽しみです」

株式の取得額は開示されなかったが、Music Business Worldwideはその額が2億ドル(TIDALの評価額が6億ドル)に及ぶと報じている。TechCrunchはSprintに直接コンタクトして本件について尋ねたが、担当者からは「私たちは財務情報を公開していません」という回答しか得られなかった。

Jay Zと有名アーティストを含む株主会がTIDALを再ローンチした際に報じられていた、2億5000万ドルという評価額を考慮すると、今回の金額は8250万ドル前後になるはずだ。一方で、昨年SamsungがTIDALを買収しようとしているという噂が流れたときの金額は1億ドルだったので、そこからは3300万ドルという金額が導き出せる。しかしどちらも2億ドルという、本日報じられた金額には遠く及ばない。なおTIDALは、SamsungのほかにAppleやRhapsodyとも買収に関する話を進めていたと言われている

TIDALによれば、現在同社は52ヶ国以上でサービスを提供しており、プラットフォーム上には4250万曲の音楽と、14万本の高画質動画が登録されている。Spotifyのような他の音楽ストリーミングサービスとTIDALの違いは、無料会員がいないということだ。基本プランの料金は月々9.99ドルで、高音質な音楽が楽しめる上位プランの料金は月々19.99ドルに設定されている。さらにどちらのプランでもTIDAL限定の楽曲を聞くことができる。

しかしプラットフォーム上に楽曲を登録しているアーティストがサービス自体にも影響力を持つ新たな体制のもと、TIDALのビジネスがどのくらい上手くいっているかはよく分からない。

同社は2015年に2800万ドルの赤字を計上しており、これは2014年の赤字幅の3倍近い数字だ(2016年の数字はまだ発表されていない)。そして実際にTIDALを使っている人が何人いるのかについても、さまざまな憶測が飛び交っている。

TIDALは2016年3月に300万人の登録者がいると発表していた。しかし同社は以前TIDALを保有していた企業を登録者数の粉飾で訴えており、その一方で登録者数は現在も実際の数より多く計算されているのではないかと非難されている。例えばノルウェイの新聞社Dagens Naerinslivは、登録者数が300万人に達したとTIDALが発表した当時、実際の登録者数は85万人(+120万件の”アクティベート済みのアカウント”)しかいなかったと先週報じた。

さらにApptopiaの統計によれば、サービスがどのくらい利用されているかという観点でいうと、TIDALはPandoraやSpotifyに大きく遅れをとっている。

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つまり第三者の視点からだと、TIDALの財務諸表やデータは曖昧で乱雑に映る。ソフトバンクが私たちの知らないことを知っていればいいのだが。

いずれにせよ、Sprintからの出資によってTIDALは現金を手に入れることができ、今後登録者数をさらに伸ばせるかもしれない。さらにSprintが(他のキャリア同様)、どうやって他社と差別化を図ろうとしているのかということもわかってきた。

「Jay Zはもともと、ビジネスだけでなく文化的なニーズを感じてTIDALへの投資を決定しました。そしてその後彼は、TIDALを高品質なコンテンツを配信する世界レベルの音楽ストリーミングプラットフォームにするべく、情熱と勇気を注いできました」とClaureは声明の中で語った。「ファンと真摯に向き合うTIDALのアーティストの力を借りることで、Sprintはモバイルユーザーに限定コンテンツや他社では体験できないようなサービスを提供できるようになるでしょう」

モバイルキャリアと音楽ストリーミングサービスのコラボレーションは、両者のユーザー数を増やす上で有効な手段だと考えられており、特にSpotifyはこの分野に力を入れてきた。

実はSprintも2014年にSpotifyとのパートナーシップ契約に関する発表を行い、Sprintの上位プランに契約するとSpotify Premiumが6ヶ月間無料(しばらくして割引料金へと変わった)で使えるというキャンペーンを開始した。今でもこのキャンペーンは行われているが、Napsterとの似たような仕組み同様、Sprintは以前ほど積極的にはこのキャンペーンを売り出していない。

「今後もユーザーは希望すれば、SpotifyやNapsterのサービスを特別料金で利用できます」と担当者は話す。「しかし本日発表したTIDALとのパートナーシップはもっと大きな意味を持っており、Sprintは同社の株式の33%を保有することになるほか、Sprintユーザーはこれまでに見たことがないようなサービスを体験することになるでしょう」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Raspberry Piでロスレスオーディオを再生できるようになるJustBoom DACが発売

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これは驚き、JustBoomのおかげでロスレスオーディオが身近なものになった。それはRaspberry Piの拡張基板(hat)の集合(hats)で*、コンピューターにつなぐと高忠実度オーディオの再生や増幅ができる。この24ドルの“hats”の構成は、ロスレスDAC、小型アンプ、そしてCOAXと光オーディオによるハイレゾオーディオの出力だ。〔*: hat, 参考記事。〕

Neil Youngみたいに究極の高忠実度にこだわる人は、少なくともこの三つの低価格ソリューションがあれば、ロスレスの音楽ファイルをあまり苦労せずに再生できる。裸の基板を持ち歩くのはありえないから、ケースを買うか3Dプリントで自作するとよい。

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こいつをPonoWikipedia〕にするには、どうするか? たぶん必要なのは、電源とLiPoバッテリー、何らかのスクリーン、そしてポータブルにするための入力システムだ。デスクの上だけで頑張るつもりなら、スクリーンレスのキットがある。Raspberry Piの知識も、もちろん必要だ。高度なDIYプロジェクトの第一歩、と考えるのが妥当だろうが、でも完全32ビットのHarvest Moonを聴けたら感動するだろうな。挑戦する価値はあるね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

RolandのGo:MixerはYouTube投稿などのために気軽に使えるオーディオミキサーだ

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携帯電話やスマートフォンにはすばらしいカメラがあるけど、でもストリーミングやYouTubeへの投稿をしたければ、どこかよそを探してオーディオのミキシングをしなければならない。しかし、ミュージシャンやポッドキャストのヒーローにとって朗報がある。わずか99ドルで、RolandのGo:Mixerが魔法を使ってくれるかもしれない。

いつものことだが、ビデオに良いサウンドをつけようとすると、同期化、録音、、ミキシングなどなど面倒な作業で苦労しなければならない。それらの言葉は、一見、かっこよく響くかもしれないけど、そのための時間が十分にない人も多い。

Ooh. Pretty.

わあ。かわいいね。

RolandのGo:Mixerをスマホにつなぐだけで、その問題は解決する。このデバイスには、ギターとマイクロフォン用のプリアンプが収まっている。なんだか平凡に聞こえるかもしれないけど、YouTubeやFacebook Liveなどで音楽をよくプレイする人にとっては、とってもうまくできてるソリューションだ。ギターとマイクをこのミキサーにつなぎ、レベルを調節し、そして演奏開始。これで毎回、オーディオは完璧だ。

このデバイスは電源がスマートフォン本体だ。これも便利だし、マイクロフォンや楽器だけでなく、いろんなメディア〔CDなど〕の再生も入力端子が用意されている。もちろんもっと本格的なミキサーはあるけれども、こちらは値段が安いし、サイズは3.75×3.75×1インチだからポケットに気軽に放り込める。そこが、いいよね。

ステレオ出力もあるから、オーディオをを別に録音したり、両耳ヘッドフォーンでモニタするのにも適している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ザッカーバーグ家でホームAIが作動中―声はモーガン・フリーマンだった

FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグが「2016年の決意」として自分でプログラミングしたホームアシスタントAIのJarvisが作動中だ。ザッカーバーグは月曜日にこの開発について詳しく書いた記事を投稿しているが、火曜には作動の様子を収めたビデオを公開した。Jarvisがザッカーバーグ家でマーク、妻のプリシラ、娘のマックスをそれぞれ認識してさまざまな機能を発揮しているようすがよく分かる。

このビデオを見るとJarvisプラットフォームはかなり有能な音声認識と自然言語処理システムを備えた家庭用コマンドセンターのようだ。ザッカーバーグが自分で書いただけあってザッカーバーグ家の状況に合わせて高度なカスタマイズがされている―それとJarvisの声は他ならぬモーガン・フリーマンだ。この大スターを自分専用の声にできたのは、いかにザッカーバーグであるにしても大ヒットだろう。

Fast Companyによれば、ザッカーバーグがホームAIの計画を公表したとき、「誰の声がいいか?」という人気投票をしたところ、モーガン・フリーマンがトップだったのだという。ザッカーバーグは自身が加わって設立したBreakthrough賞の授賞式でフリーマンに会ったときに声の出演を依頼した。出演料が支払われたのか、払われたとすればその額や時期といった詳細は明らかにされていない。

お金といえば、ビデオの中で「ニッケルバックの曲はない」と言っているところをみると、Jarvisは5000万人の人間より賢いに違いない。

〔日本版〕 ビデオでJarvisは訪問者を顔認識してマークの両親と判断している。また娘のマックスが部屋から出ようしていることも認識している。 記事末のNickelbackはカナダの人気ロックバンド。バンド名はカナダの5セント硬貨の通称から付けられたとされる。ジャスティン・ビーバー同様、一部のロックファンからはとかく批判されがち。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Spotify、SoundCloud買収から手を引く

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結局、多くの人が期待していたデジタル音楽企業2社の合併は実現しないようだ。何ヶ月にも及ぶ話し合いの結果、SpotifyはSoundCloudの買収を諦めたと、本件に詳しいSpotifyの内部関係者は語った。

今年の9月には、両社の間で買収に関する「話が進行している」とThe Financial Timesが報じていたが、その後続報を目にすることはなく、先週この話自体が無くなってしまったことがわかっている。前述の関係者は、SoundClound買収によるIPO準備への悪影響を危惧して、Spotifyが最終的には買収から手を引いたと話す。

Spotifyは、公式には2017年中の株式公開を明言していないが、上場に紐づいたインセンティブが含まれる資金の調達など、それを裏付けるような情報が飛び交っている。関係者によれば、「IPOを行うかもしれない年に、ライセンシングの問題を増やしたくなかった」ため、SpotifyはSoundCloudの買収に踏み切れなかったようだ。これは、音楽レーベルとの交渉に伴う複雑なプロセスや金銭的なコストのことを指しており、SoundCloudにとってはとても重要な問題だ。というのも、クリエイティブやインディーアーティスト、リミキサーから愛されているSoundCloud上には、他のサービスよりもかなり多くの楽曲が登録されているのだ。

SpotifyとSoundCloudの両社は、本記事の公開段階ではコメントを求めるリクエストに応じていないが、返事を受け取り次第、情報をアップデートしていきたい。

実はSpotifyは過去2年間で、今回の件を除いて2回ほどSoundCloudの買収を諦めていたとThe Financial Timesは報じている。その際には、買収提示額が障害になっていたようだ。SoundCloudの買収には、Spotifyの広告ネットワークやユーザーベースの拡大以外にも、資金豊富な競合が音楽サービスに力を入れる中、Spotifyのポジションを強化することが期待されていた。Spotifyのユーザー数は今年の夏に、1億人を突破(うち4000万人が有料ユーザー)したが、競合もその背後に迫ってきている。Apple Musicは、ローンチから18ヶ月しか経っていないにも関わらず、購読ユーザー数が今週2000万を突破した。また最近Amazonも、Musc Unlimitedをアメリカ以外では初めてイギリス、ドイツ、オーストラリアで公開していた

SpotifyのIPOは、来年のテック業界でアツいとされる上場案件のひとつだ。スウェーデンに本社を置くSpotifyは、今年の3月に10億ドルをコンバーティブル・デット(転換社債)で調達しており、当時の記事内で以下のように説明されていた通り、契約書には2017年中にSpotifyが上場することで転換価格が同社にとって有利になるような条件が設定されていた。

もしも成績が悪ければ、攻撃的な内容の条文にもとづいて、Spotifyは多額のお金を失うことになる。

TPGとDragonnerは、最終的なIPO時にSpotifyが設定した株価から、20%割り引いた価格で債権を株式へと転換することができる。そして、もしもIPOが来年(2017年)中に起きなければ、割引率は6ヶ月ごとに2.5%ずつ上昇していく。

さらにSpotifyは、年間5%の金利を支払わなければならないばかりか、この年利も上限の10%に達するまで、半年ごとに1%ずつ上昇する。そしてTPGとDragonnerによる最終的な株式の売却は、IPOから90日目以降となっており、これはSpotifyの従業員や投資家に対して設けられている、180日のロックアップ期間よりも短い。

SoundCloudの買収話がなくなったということは、SpotifyのIPOへの野心を表すと共に、音楽ファンにとっては、残念ながら音楽ストリーミング業界の2大巨頭の同盟が、少なくともこの段階では発足しないということを表している。Spotifyが、上場企業としてSoundCloudの買収に向けて再度動きだすかどうかについては、今後の様子を見ていくしかない。

もちろん、これはSpotifyだけの話ではなく、2016年に大きく進化したSoundCloudのビジネスにもかかっている。

SoundCloudの年間売上は前年同期比で一気に43%増加し、ほぼ2800万ドルに到達したと推定されている。今年から導入された月額9.99ドルの有料サービスが成長の大部分を支えているが、同社の最終利益は設立からずっと赤字のままだ。ベルリンを拠点とするSoundCloudの最新の財務報告書によれば、2014年は4400万ドルの赤字で、監査人のKPMGが2016年はじめに、事業を継続するには追加資金が必要だと警告するほどであった。有料サービス導入によって、SoundCloudの財政状態がどのように代わったのかは、今後明らかになっていくだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Apple Musicの会員数が2000万に到達、数の威力で独占アーチストがチャートでTop 10入り

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Appleの音楽ストリーミングサービスApple Musicの成長は、昨年6月の立ち上げ以来、安定着実そのものだ。4月の時点で有料会員が1300万、そして9月には1700万を超えた。

今週同社は、Billboard誌の記事で、有料会員数2000万という、けっこうな一区切りに達したことを発表した。3か月で15%伸びたことになる。9月の数字で比較するとSpotifyの約半分だが、このスウェーデンの音楽サービスはAppleのOS埋め込み提供物よりも6年早く生まれている。

Appleのインターネット・コンテンツサービス担当VP Eddy Cueが挙げているおもしろい数字によると、まず、会員の半分はアメリカ以外の人たちのようだ。世界100か国で利用できるサービスだから、それも当然か。また、音楽消費の方法が変わってきたことの証拠として、会員の60%は過去一年、iTunesからまったく音楽を購入していない。

VPはついでに、グラミー賞にノミネートされているChance the Rapperの最新のミックステープColoring Bookが、このサービス独占でデビューしたことを宣伝した。CueはBillboard誌に語っている: “今年はすごい年だったね。アーチストたちはみんな、自分がナンバーワンになりたくて熱くなってた。Chance the Rapperは、Apple Music専属だが、それでもBillboardの(ストリーミング部門の)トップテン入りしている。そんなことは初めてだ、と思うね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Kickstarterで話題を集めたINSTRUMENT 1の出荷が開始された

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Chapman Stickの腹の中に山ほどテクノロジーを詰め込んで、そのお尻にUSBケーブルを挿せば、INSTRUMENT 1ぽく見える何かが手に入る。これはArtiphonによって開発された、全く新しいタイプの楽器だ。7桁の金額に達するKickstarterキャンペーンで資金を調達して、ついに楽器の出荷が始まった、皆がそれでどんな音楽を創ってくれるのか、待ちきれない思いだ。

このキャンペーンは、何度も挫折と遅延を経験した。多くはお馴染みの問題だ:プロトタイプから大量生産品に移行することは本当に大変なことなのだ。数日前のKickstarterの支援者への手紙で説明されたように、特に、製造パートナーとどのように協業するかがとても難しかった。しかし、その問題も最早過去のものであるようだ。そして今やINSTRUMENT 1は、400ドルという驚くべき安価で入手可能である。

楽器が実際に何であるかを説明するには、触ってみることが1番だ。これはギターやキーボードのように演奏できるが、圧力感知器と加速度計を内蔵しているので、さらなる創造性のレイヤを重ねて行くことができる。まずは、ただ以下のビデオを観て、ミュージシャンたちが戸惑いながらも同時に豊かな創造性への興奮に浸る様子から雰囲気を掴んで欲しい。

楽器を演奏する際には、サウンドを選択したり、チューニングなどを行うことを助けてくれるコンパニオンアプリを利用することができる。またこれは、MIDI互換でもあるため、GarageBand、Animoog、SampleTank、Ableton Live、ProTools、Logic、Maistage、その他沢山の、クリエイティブな音楽制作のためのモバイル並びにデスクトップアプリの膨大な資産との互換性がある。

この製品をどう考えれば良いのかは、実のところとても難しい。実際、最初にそれを試すプロミュージシャンたちの様子はかなり面白いものだ。彼らは創造的な可能性がどこかに秘められていることは認識しているが、この新しい楽器をしっかりと身につけるには明らかな学習曲線が横たわっていることにも気がついている。

INSTRUMENT 1は、急な学習曲線だけでなく、潜在的に無限の創造性を発揮します。

INSTRUMENT 1は急峻な学習曲線だけではなく、潜在的に無限の創造性も提供する。

これを使って演奏することが許されていない曲は「天国への階段」だけだ。天国への階段が、許されないなんて! OK、冗談だ、もちろんできる。そしてこれはINSTRUMENT 1の多様性を見事に示している。

いくつかの初期のレポートは、INSTRUMENT 1が万能選手(jack of all trades)であることを示している。それがミュージシャンたちの、新世代の主要楽器になる日も来るだろうか。とても待ちきれない思いだ。クリスマスへの絶好のタイミングを前にして、この小さくて美しい楽器が、世界中の多くのギークなミュージシャンの今年のウィッシュリストに載ったとしても驚きではない。

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(翻訳:Sako)

新たな音楽配信サービスElectric Jukeboxがデビュー、年間169ポンドで聞き放題

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定額制の音楽配信サービスは、まだかつての物理的な記憶媒体(CDやレコードなど)ほど一般には普及していない。しかしその主な原因はプロダクトマーケットフィットで、音楽配信サービスの多くが、気軽に音楽を聞くような一般層ではなく、少数のコアな音楽ファンを想定していると主張する人もいる。

そんな音楽配信の分野に、Electric Jukeboxと呼ばれる新製品が登場し、このギャップを埋めようとしている。まずイギリスで販売開始予定のElectric Jukeboxは、デバイスと音楽サービスが一体になった製品で、価格は初年度が169ポンド、そして2年目以降は52ポンド(週1ポンド)に設定されている。

SelfridgesやArgos、Amazonといった小売企業とのパートナーシップを通じて販売を行うほか、Electric Jukeboxは「大手テレビ局」とも販売提携している。さらには、Cheryl Crow(冒頭の写真)やRobbie Williams、Alesha Dixon、Stephen Fryといったセレブとタイアップし、彼らは製品の宣伝以外にも、プラットフォーム上で自分たちの”ミックステープ”を公開している。

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地元のバーやレストランに置いてあるバカでかいジュークボックスのように、ユーザーはElectric Jukebox上で自分の好きな曲を再生することができ、選べる曲はローンチ時点で既に2900万(アルバム200万枚以上に相当)種類も準備されていると製造元のMegic Mediaは話す。さらに同社によれば、楽曲はUniversal Music Group、Sony Music Entertainment、Warner Music Group、Merlin、PIAS、Believe Digital、InGroovesなどから提供される。

場所をとる昔のジュークボックスとは違い、Electric Jukeboxは手におさまるくらいの大きさに作られている。

販売が開始された初代バージョンは、ふたつのパーツで構成されている。ひとつはテレビの背面に接続するドングルで、もうひとつがボタンと音声インターフェースが搭載された、Wiiリモコンにちょっと似たコントローラーだ。

HDMI端子があるテレビ(=ほぼ全ての薄型テレビ)とそこに接続されているスピーカー、WiFiがあれば、それぞれがElectric Jukeboxの”スクリーン”、オーディオアウトプット、ネットワークになり、これだけで音楽を楽しめるようになっている。

Electric Jukeboxは、どこでも音楽が聞けるサービスではなく、家の中心となるようなテレビの置いてある部屋で音楽が楽しめる環境を提供しようとしているのだ。

ファウンダーのRob Lewisは「私たちはSpotifyのユーザーを奪うつもりはありません」とインタビュー中に話していた。さらに彼は、楽曲のライセンス契約も、他のサービスと競合するのではなく、利用者層を拡大することを前提としていると語った。

「現在定額制の音楽配信サービスを利用していない、消費者の90%にあたる層を私はターゲットにしています。彼らは高齢かもしれないし、たくさんデバイスを持っていないかもしれない上、テクノロジーにも詳しくないかもしれません。多くの一般消費者にとって、リビングや寝室においてある大きいテレビが、彼らの家にある唯一の家電製品です。私たちはそんな消費者のために、テレビに接続できる製品を販売しています」とLewisは話す。

確かにYouGovの最近の調査によれば、ストリーミングサービスが比較的普及しているイギリスでさえ、人口の約8%しかデジタル音楽サービスに加入していない。

そういう意味では、1番大きな課題は依然として、レイトアダプターにあたる一般消費者にとにかくどの企業のものであれ、音楽サービス自体の利用を促すことのようだ。

このようなマクロなトレンドが存在する一方で、競合企業や彼らの製品・サービスが全て左を向く中、Electric Jukeboxだけが右を向いているようなサービス内容には疑問が残る。広い世界の中で、利用できる場所を一か所に限定し、初めからモバイル要素のないサービスを提供するというのは、デジタルメディア界の大きなトレンドに逆行している。

しかし同時にLewisの洞察力は無視できない。連続起業家である彼は、過去にテックブログSilicon.com(後にCBS Interactiveが買収)を開設し、その後には音楽配信サービスの草分け的存在であるOmnifoneを設立した。Omnifoneは、自社のサービスを広めたいと考えていた携帯電話メーカーやキャリア、音楽レーベルと次々に契約を結んでいったが、最終的には類似企業がサービスを停止するのと時期を同じくして倒産し、SpotifyやPandora、Appleがその後勢力を伸ばしていった。

なお、TechCrunchでは、昨夜そのOmnifoneの資産の一部(従業員含む)を、Appleが吸収していたことを突き止めた。

その一方で、Electric Jukeboxを運営する、設立間もないスタートアップのMagic Worksは、これまでに既に何度か苦難を経験してきた。同社は2度(2015年のクリスマスと2016年のイースター)もローンチ日を逃してきたのだ。

ついに市場へ製品を出せることになった同社は、これまでに投資会社のYolo Leisureや、実業家兼スポーツチームオーナーのNigel Wrayを含む投資家から700万ポンドを調達している。

さらにElectric Jukeboxの価格面での競争力は高い。他のサービスを使って同じようなことをしようとすると、以下のようになるとMagic Worksは話す。

Apple Music:637.88ポンド
(内訳)
Apple Music利用料: 119.88ポンド
Apple TV: 139ポンド
iPad Air 2: 379ポンド
合計 637.88ポンド

Google:468.88ポンド
(内訳)
Google Play Music利用料: 119.88ポンド
Chromecast: 30ポンド
Nexus 9: 319ポンド
合計 468.88ポンド

Spotify:269.87ポンド
(内訳)
Spotify利用料: 119.88ポンド
Amazon Echo: 149.99ポンド
合計 269.87ポンド

まずはイギリスでサービスが開始されるが、Eletric Jukeboxのライセンスは全世界で有効なため、今後数ヶ月のうちに他のヨーロッパ各国、そして世界中へとサービスを展開していく予定だとLewisは話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

誰もが簡単にリミックスを作れるiOSアプリ8Stem、ニルヴァーナを見つけたBruce Pavittの作品だ

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そう、こいつは本当はかなりクールなやつなんだ。ぼく自身はほんのちょっとしか使ってないからあれだけど、でも、絶対やみつきになる。もっと、ミュージシャンの数が増えれば確実にね。現状では8Stemでリミックスできる音楽のコレクションは、相当少ない。今日ベータを終えたばかりのアプリだから、それも無理ないか。曲、というより、名前を知ってるアーチストも多少いるから、その点は嬉しい。

このサービスを着想したBruce Pavittは、知る人ぞ知る、80年代の中ごろに、その後むちゃくちゃ大きな影響力を発揮したインディーロックのレーベルSub Popを作った人物だ。彼の経歴には必ず載ると思うが、その後、ニルヴァーナやサウンドガーデンを見つけたのは彼だからね。

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8Stemはすごく良くできたiOSアプリで、簡単なドラッグ&ドロップ操作でリミックスができる。まず、好きな曲を見つける(ぼくの目には、シアトルのMerge Records傘下のTelekinesisが飛び込んできた)。そしてRemixをクリックする。するとアプリが曲の波形や楽節を分析し、分解する。それからユーザーは、曲の各部を並べ替えたり、ボーカルを入れたり、いろんなミックスを切り替えたり、ディレイを入れたりする。確かに現状はどう見ても、リミックスのためのミュージックエディターとして完全なアプリではないが、でも、けっこういろんな機能を詰め込んでいる。iPhoneのようなちっちゃな画面にしては、ね。

自分が作ったミックスは、保存してあとで再生できる。あるいはこのアプリのSNSにアップロードしてもよい。今のぼくは、いろんなイフェクトをマスターしていないから、大したことはできないが、それでも、リアルタイムで簡単にリミックスできることは楽しい。つまりこのアプリは、ぼくのようなDJ初心者にも、使いやすい。

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いちばんおもしろいのは、完成したリミックスをSpotifyやApple Musicなどにアップロードして、それが再生されるとロイヤリティがアーチストに来ることだ。音楽ファンならよく知ってるように、ストリーミングのロイヤリティは一般的に雀の涙だが、でもぼくの思うに、お金はお金だからね。

(しろうと)リミックス・アーチストの報酬といえば、明日(米国時間10/26)このサービスはコンテストを行う。そして入賞作品はシアトルの公共ラジオ局KEXPが放送する。

選べる曲の数がまだ少ない(Dubstepのところには1曲しかない!)が、今後もっとユーザーとファンが増えれば、活発なコミュニティができるだろう。今のところは、ちょっとした楽しいツール、といったところだが。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))