Alexa機器に不正コマンドをしゃべらせてドア解錠や不正注文させる攻撃「Alexa vs Alexa」が報告される―すでに対応済み

Alexa機器に不正コマンドをしゃべらせてドア解錠や不正注文させる攻撃「Alexa vs Alexa」が報告される―すでに対応済み

Engadget

Amazon Echo製品自らに音声コマンドをしゃべらせることで、ハッカーがドアの解錠や電話を掛けさせたり、意に沿わない発注や電子レンジなどスマート家電を乗っ取れる新たな攻撃方法が発見されたと報告されています。

この攻撃を報告したのは、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校とイタリア・カタニーナ大学の研究者らです。ざっくり言えば、Alexaの音声コマンドを含む音声ファイルをEcho機器のスピーカーで再生させるというもの。それにより近くに不審なスピーカーを置かなくとも、長時間にわたってEcho機器の制御を奪えるわけです。「Alexa vs Alexa」(AlexaによりAlexaを攻撃)ということで、「AVA」と名付けられています。

「AvA」は、攻撃者のデバイスが脆弱なEchoデバイスと接続されるところから始まります。それ以降、攻撃者は音声合成アプリなどを使ってEcho製品側のスピーカーにしゃべらせることで、任意の音声コマンドを実行できるとのこと。音声にウェイクワード(「アレクサ」など)が含まれ、その後に実行可能なコマンドが続くと実行され、口頭での確認を要求する場合でも、コマンドを発行してから約6秒後に「はい」という言葉を追加すれば、この措置をかんたんに回避できるそうです。Alexa機器に不正コマンドをしゃべらせてドア解錠や不正注文させる攻撃「Alexa vs Alexa」が報告される―すでに対応済み

次にあるのは、AvAが実際に動作している動画です。1:40~2:14の間にあるものを除き、あらゆるコマンドが実行できていることが確認できます。

また「FVV」(フルボイス脆弱性)と呼ばれる脆弱性を使うことで、自己発行コマンドの認識率を倍にして、追加のコマンドも実行しやすくなるとのこと。これはEcho機器がコマンドを聴き取るときの「デバイスの音量を一時的に下げる」動作をなくすと説明されています。

もっとも、この研究を受けてアマゾン側がセキュリティパッチを公開したため、論文で示された攻撃はできなくなっているそうです。研究者らは、この攻撃が第3世代および第4世代のEcho Dotデバイスに対して有効だったことを確認しています。

不正な買い物であればメールが送られてきますが、パスワードや個人情報を抜き取ったり、被害者が発言した内容をすべて傍受してデータベースに保存できる「マスク攻撃」という手口は気づくのが困難と思われます。

スマートライトは93%の成功率で制御でき、アマゾンへの不正注文は100%、リンクされたカレンダーは88%の確率で改ざんできたとのことです。実際に被害があったのかどうかは不明ですが、アマゾンが速やかに対応したのは不幸中の幸いと言えそうです。

(Source:Cornell University。Via Ars TechnicaEngadget日本版より転載)

パナソニックが音声アシスタントAlexa対応のオーブンレンジ発表、100種類以上の音声コマンドを用いてハンズフリーで操作

パナソニックが音声アシスタントAlexa対応のオーブンレンジ発表、100種類以上の音声コマンドを用いてハンズフリーで操作このオーブンレンジ、声だけで操れるので、料理が捗りそうです──。

パナソニックが2022年1月5日に発表したのは米Amazonの音声アシスタント「Alexa」(アレクサ)で操作することが可能なオーブンレンジ「NN-SV79MS(以下、本製品)」。

一般的なオーブンレンジといえばボタンやダイヤルなどで操作するものがほとんど。例えばパンや魚を焼いたりするときにもプリセットされたメニューを物理ボタンで選ぶ必要があります。

本製品は100を超える音声コマンドを用いてハンズフリーで操作できるのが最大の特徴。

例えば「Alexa, reheat one cup of coffee.」(アレクサ、コーヒーを1杯温めて)と声で指示すれば、すぐに動作する様子が動画で伝えられています。ただ公式YouTubeの動画をよく確認しますと、オーブンレンジのそばにアレクサ対応のスマートスピーカーが置かれていることがわかります。両機器同士の連携によって動作するのかもしれません。

また音声操作だけでなく、20種類のオートメニューが備わり、ピザ、スープ、マフィン、ケーキなど、さまざまな料理にもしっかりと対応し、一般的な製品のようにボタンやダイヤルでの操作も可能なのだとか。

一見すると『いちいちメニューを覚えていられない』『もっとかんたんに扱える製品が欲しい』──という人に向けた製品でしょうが、「触らなくても使える」本製品は直接ボタンなどに触れるのをためらう人に打ってつけかもしれません。

なかなか収束を迎えないコロナ禍により、感染対策として注目されているのが触らなくても使えるATMやチケット購入機などです。空中に浮かび上がらせたボタンに指が触れると、それをセンサーで感知するような技術です。

音声操作タッチレス、その両方が今後、テクノロジーのキーワードとなりそうです。

(Source:PanasonicEngadget日本版より転載)

CES 2022でスマートホームデバイスの接続規格「Matter」に注目が集まっている理由

現在、ラスベガスで開催中の2022年CESテクノロジーショーで各社が新しいスマートホーム機器を発表する中、スマートホームデバイスは他のシステムとシームレスに統合され、安全で信頼できるものであるべきだという共通の信念に基づいて作られたオープンソース接続規格「Matter(マター)」が大きな話題になっている。

Deloitte(デロイト)によると、スマートホームデバイスを導入している家庭の割合は66%に上り、デバイス好きな人はおそらくきっとこの数字の中に含まれていることだろう。また、1つの会社やブランドにこだわらず、少なくとも6つの異なる会社からデバイスを購入されていることだろう。そのため、2022年スマートホームデバイスを発売する企業にとって、Matterのサポートはとても助かるものだ。

このプロトコルは、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)といった大手テック企業やスマートホームデバイスメーカーによって開発されているだけでなく、断片化したスマートホームシステムに関する問題を最終的に解決し、すべてのデバイスを1つの場所から簡単にセットアップしてルーティングできるようにするために設計されている。

Matterは、ローカル・コントローラー・デバイスを介した、すべてのデバイスの通信を可能にするインフラ、パイプライン、言語となる。そのインターネットプロトコルは、デバイス認証のためのIPベースのネットワーク技術の特定のセットを定義し、メーカーがApple SiriやAmazon Alexa、Google Assistantと互換性のあるデバイスを製造できるようにしてくれる。Matterの最初のプロトコルは、Wi-FiとThreadのネットワーク層で動作し、コミッショニングにはBluetooth Low Energyを利用する予定だ。

最初のMatter認定デバイスのテストを組織しているConnectivity Standards Alliance(通信規格標準化団体、旧Zigbee Alliance)は、2022年のCESでブースや会議室、バーチャル会議においてMatterを展示または紹介している企業を20社以上特定した。その中には、NXP、Qualcomm(クアルコム)、Samsung(サムスン)SmartThings、Telink(テリンク)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Universal Electronics(ユニバーサル・エレクトロニクス)が含まれている。

5月にGoogleは、MatterをAndroidとNestに導入すると発表し、米国時間1月5日、数カ月後にAndroidの「Fast Pair」機能を使って、新しいMatter対応スマートホーム機器を数クリックでホームネットワーク、Google Homeや他のアプリにすばやく接続できるようになると発表した。

関連記事:グーグルがFast Pair機能をヘッドフォン以外にも拡大、デバイスと生活で使うさまざまな機器をつなぐプラットフォームに

そして1月5日未明、Amazonは、その「フラストレーションフリーのセットアップ」ドキュメントが現在デバイスメーカーに公開され、インターネット接続がダウンしてもそれらをコントロールできるように、そのデバイスをMatterデバイスの第二管理者として追加するなど、セットアップ体験とAlexa機能の両方について多くの企業と協働していると述べている。

また、同社はシリコンベンダーと協力して、フラストレーションフリーのセットアップをサポートする「Matter System-on-a-Chip」となるものを開発中だという。これらはすべて、ほとんどのEchoデバイスがMatterをサポートし、第4世代のEchoとeeroデバイスがMatter Threadボーダルーターになるという2021年の発表に続くものだ。

その他、Matterに対応する新しいデバイスやサービスを発表した企業を紹介する。

  • Comcast(コムキャスト)は、スマートライト、スマートプラグ、スマートロックなどのIoTおよびホームオートメーションデバイスの中央コネクタとして機能するZigbeeおよびMatter互換の「未来のスマートホームのためのIoT」機能を備えた新しい「xFi Advanced Gateway Router」を発表しながらそれに言及した。
  • コネクテッドホーム製品を製造するEve Systems(イヴ・システムズ)は「Eve MotionBlinds」を制作し、同製品を「Threadに対応した市場初のコネクテッドブラインドとシェードモーター」だとアピールした。
  • ホームセキュリティブランドのArlo Technologies(アーロ・テクノロジーズ)は、セキュリティハブと統合キーパッドに対応した8種類の機能を持つセンサーセット「Arlo Security System」を、よりDIY的なセキュリティ監視ソリューションを求める小規模企業や消費者向けに発表した。また、スマートホームの分野で幅広い互換性を確保する姿勢を固めるため、Matterへのコミットメントも表明した。
  • エッジコンピューティング企業のVeea(ヴィーア)は、Matter、Thread、Wi-Fi 6のサポートを含む「Smart-home-as-a-Service」を発表した。これには「STAX」と呼ばれる家庭用Veea SmartHubメッシュ・ルーターが含まれる。
  • Belkin(ベルキン)がCESで発表した家庭向けのMatter対応製品の中には、AppleのHomeKitと連携する新しい「Wemo」スマートビデオドアベルや、Thread上でMatterと連携するスマートライトスイッチ、スマートディマーがある。
  • Mui Lab(ムイ・ラボ)は、スマートデバイスを「より落ち着いたもの」に変えるMatter対応の「muiPlatform」をデビューさせた。これにはAmazonのAlexaをより視覚的なインターフェースに変えるボードが含まれる。

Connectivity Standards Alliance(CSA)のマーケティング担当副社長であるMichelle Mindala-Freeman(ミシェル・ミンダラ=フリーマン)氏は、米国時間1月4日に発表されたSchlage(シュレージ)の新しいスマートWi-Fiデッドボルトに注目している。

彼女は、2022年はMatterにとって大きな年になるだろうと述べている。CSAとMatterの両方に関わっている企業は数百社あり、50社がすでに134の製品を持ち込んでいると、同氏ははTechCrunchに語っている。

CSAは、2022年の半ばまでに認証、仕様、テストツール、SDKをリリースする予定だ。これにより、企業は新しいハードウェアやイノベーションをより早く市場に投入することができるようになり、より幅広い消費者にリーチすることが可能になる。

ミンダラ=フリーマン氏は「根本的なレベルでは、CSAの仕事は、断片化をなくし、企業が成長し、消費者にとって価値の高い方法でそれを実現するのを支援することです。Matterのような標準規格は、それを実現するものであり、すべての船を上昇させる潮流であると信じています」。と述べている。

画像クレジット:Schlage / Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadbolt

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ステランティスがアマゾンと提携、コネクテッドカー体験をアップグレード

世界的な自動車メーカーStellantis(ステランティス)は、ソフトウェアから年間225億ドル(約2兆6130億円)を生み出すという計画の一環として、2024年までに一連の車載製品とサービスを同社の車両に導入するため、Amazon(アマゾン)とタッグを組む。

米国時間1月5日に2022 CESで発表されたこの提携は、Stellantisのビジネスのほぼすべての側面に影響を与えるものと思われる。両社によると、Amazonの技術は、Stellantisの自動車開発、車載接続体験の構築、次世代の自動車ソフトウェア・エンジニアの育成に活用されるとのことだ。

この複数年契約の一環として、Stellantisは車両プラットフォームの優先クラウドプロバイダーとして、Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス、AWS)を選んだ。最近、既存社員および新入社員向けのソフトウェア・アカデミーを立ち上げたStellantisは、AWSと協力してソフトウェア、データ、クラウド技術を網羅するカリキュラムの作成にも取り組んでいる。

Stellantisは12月にソフトウェア計画を発表したが、その時はAmazonには触れていない。Stellantisは、ソフトウェアと電動化に2025年までに337億ドル(約3兆9140億円)以上を投資すると発表している。この投資には、2024年までのソフトウェアエンジニア5000人の雇用も含まれる。

同社の最終目標は、2030年までに3400万台のコネクテッドカーを走らせ、消費者に販売した後も何年も収益を上げられるようにすることだ。この目標を達成するために、BMW、Foxconn(フォックスコン)、Waymo(ウェイモ)、そして今回のAmazonとのパートナーシップに傾注している。

Stellantisが自動車のソフトウェアを利用して乗客やドライバーに製品やサブスクリプションを販売する計画には、すでに開発が進んでいる3つの構成要素が含まれている。

それは、同社がSTLA Brainと呼ぶ、基盤となる電気およびソフトウェア・アーキテクチャから始まる。このシステムはクラウドと統合されており、車両内の電子制御ユニットを高速データバスで車両の中央高性能コンピュータに接続する。これにより、同社は「無線」、つまりワイヤレスで車両のソフトウェアをアップグレードすることができるようになる。

この「頭脳」に、Stellantisは「SmartCockpit」を追加した。これはFoxconnと共同で構築したプラットフォームで、ナビゲーション、音声アシスト、eコマースマーケットプレイス、支払いサービスなどのアプリケーションをドライバーに提供するものだ。最後に、BMWと共同開発した3つめの自動運転プラットフォーム「AutoDrive」で、Stellantisのソフトウェア計画は完了する。

同社は1月5日に、Amazonと協力してSmartCockpitプラットフォームをさらに発展させ、ドライバーと乗客にパーソナライズされた車内体験を提供できるアプリケーションを搭載すると発表した。Stellantisの14種の自動車ブランドのいずれにおいても、乗車する人はアプリストアにアクセスしてサービスやエンターテインメントを見つけることができるようになる。また、音声アシスタントAlexaもSmartCockpitに搭載される予定だ。

AmazonのAIテクノロジーは、顧客の行動や関心事を把握し、それに適応するのに使用される。これは、顧客が厳しい地形の道を走る前に車両を調整し、性能を最適化するのに役立つデジタルオフロード「コーチ」がJeep車に搭載される可能性があることを意味する、とStellantisは述べた。

車載ソフトウェアは、スマートホームやサービスなど、Amazonの他の製品とも連携し、ユーザーは車に乗ったまま自宅を監視・管理できるようになる。また、この機能は逆にも作用する。自宅のAlexa対応デバイスやスマートフォンのAlexaアプリにコマンドを送ることで、車に乗る前に車内の温度を設定することができるようになる。

画像クレジット: DENIS CHARLET/AFP / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

NASAが「アルテミス1号」にAlexaおよびCiscoのWebex統合、音声操作でテレメトリー読上げやビデオ通話なども可能に

NASAが「アルテミス1号」にAlexaおよびCiscoのWebexを統合、音声操作でテレメトリー読上げやビデオ通話なども可能に

Amazon

NASAは、Amazon、Cisco、ロッキード・マーティンと協力して宇宙飛行士がAI音声アシスタントなど商用技術によって、その活動に利益を得られるかどうかを確認する実験計画「Callisto」を発表しました。

Callistoでは、Amazonの音声アシスタントAlexaおよびCiscoのWebex技術をOrion宇宙船に組み込み、音声アシスタントやビデオ通話およびホワイトボード機能といった商用コミュニケーション技術の宇宙空間での有効性を確認します。

音声アシスタントにビデオ通話といえば、映画『インターステラー』でマシュー・マコノヒー演じるクーパーが、宇宙船に届いた家族からのビデオメッセージを見るシーンが思い出されます。あの場面ではクーパーが「数十年分のビデオメッセージがたまっている」と言うコンピューターに対して「最初から再生しろ」と音声で指示を出し、それを視聴します。

実験ではそれと同じようなことを、AmazonやCiscoの商用技術で実現できないか探ってみようというわけです。

最初の試験飛行は、無人のOrion宇宙船が月を周回したのちに地球に戻るアルテミス1号ミッションで実施されます。無人で行われるため、ヒューストンの宇宙センターにいるオペレーターが、仮想の乗組員として宇宙船に音声コマンドを送信、それが船内のスピーカーで再生され、Alexaがそれに対して期待するように動作するか、Webexを使用できるかなどを確かめるとのこと。Alexaは宇宙船のテレメトリーを監視できるように組み込まれ、飛行士は宇宙船の移動速度や月まで残りの距離をたずねたりすることができるようになるでしょう。

また、ホワイトボードの機能は機内の複数のカメラを使用してテストされ、地上管制からの書き込みが機内できちんと表示されるかを確認します。地上と宇宙で落書きを送りあうのにかかる時間は、管制センターが通信の遅れに対処するための方法を検討することにも役立ちます。

深宇宙ではインターネット接続など利用できるべくもありませんが、AlexaやWebexが機能するには代替の通信ネットワークが必要になります。そのため、惑星間ミッション中の通信に使用されるNASAのDeep Space Network(DSN)が使用されます。

Amazonは、Artemis I の実験で得た知見を元に、将来のミッションのため、また地上のインターネット接続環境がほとんど利用できない人々のためにAlexaに改良を加えるとしています。また仮想乗組員として音声コマンドの送信などを体験する機会を、将来の宇宙飛行士である学生らへのSTEM教育の一環として提供することも考えています。

ゆくゆくは、宇宙船に統合された音声AIアシスタントが、長い深宇宙の旅で暇を持て余した飛行士の会話相手になることも想像できます。しかし飛行士には「何か面白いチャレンジを教えて、とだけは聞くな」とアドバイスしておくべきかもしれません。

(Source:AmazonEngadget日本版より転載)

2022年、Amazon Fire TVがもっと多くのクルマに搭載される

Amazon(アマゾン)のストリーミングプラットフォーム「Fire TV」が、今後より多くの自動車に搭載されることになることが、米国時間1月5日にCESで発表された。2021年第4四半期、Stellantis(ステランティス)は自動車メーカーとして初めて、新型WagoneerとGrand Wagoneerに車内エンターテインメント用のFire TVを統合し、現在、Jeep Grand CherokeeとChrysler Pacificaにもエンターテインメント体験を提供している。さらに、Fire TVはFord ExplorerとLincoln Navigatorの2022年モデルにも内蔵される予定だとAmazonは述べている。

自動車メーカーは、クルマのオーディオシステムや快適な操作系と統合するなどしてFire TVの使用体験をカスタマイズし、その車のために設計された独自の機能を提供することができる。

自動車向けFire TVは、Alexaのハンズフリー機能を活用する。同乗者、あるいは後部座席の子どもたちのために番組を流したい親は、音声コマンドを通して簡単にコンテンツを再生することができる。また、親は前席でコンテンツを選択して、後席の乗客向けに再生することもできる。さらに、後席に複数のスクリーンがある場合は、そのコンテンツを同時にミラーリングすることも可能だ。しかし、もし子どもたちが見たい番組で合意できない場合、Fire TVを使えば、後席の人たちがそれぞれのディスプレイで個別のコンテンツを見ることもできる。視聴者は、必要に応じて、Bluetoothまたは有線のヘッドフォンを使って、あるいは車のスピーカーから番組や映画を聴くことが可能だ。

また、Fire TVのAlexaに「Alexa、フロントドアの様子を見せて」などの音声コマンドを送ることで、Ringのドアベルによる映像を表示させることもできる。

米国では、Fire TVのユーザーは、Prime Videoを含む100万本以上のテレビ番組や映画にアクセスすることができる。また、移動中は携帯電話の電波が不安定になるため、車載用Fire TVはダウンロードに対応し、オフラインでの視聴も可能だ。

また、独自のレコメンデーションを含むパーソナライズされたプロファイルのサポートと、ホーム画面のユーザーエクスペリエンスの更新を展開した家庭用Fire TVの消費者体験に追いつくために、同システムもまもなくアップデートされる。このアップデートにより、Fire TVのユーザーは、自宅で番組を一時停止した後、クルマの中でも中断したところから視聴を再開することができるようになるとAmazonは述べている。

Amazonは以前から、Fire TVをより多くの自動車に搭載することに取り組んできた。2020年には、BMWおよびFiat Chrysler Automobiles(FCA)と提携し、ハンズフリーAlexaと車内でのFire TVストリーミング機能を提供するとともに「Alex、ガソリン代を支払って」のように自動車に特化した新しいAlexa音声コマンドを追加し、1万1500のExxon(エクソン)とMobil(モービル)のガソリンスタンドでガス代が払えるようにした。同年、Rivian(リヴィアン)のEVなどにAlexaとFire TVの両方を搭載する計画を発表している。

本日のCESでFire TVのさらなる計画を詳述したAmazonは、最新のFire TVのマイルストーンも紹介し、2021年第4四半期時点で世界中でFire TVデバイスを1億5000万台以上販売したことを発表した。もちろん、実際にこのプラットフォームを定期的に利用する人は少ない。以前、同社は、2020年12月時点でFire TVの月間アクティブユーザー数が5000万人であると発表していた。Amazonは、2021年のブラックフライデーの週に買い物客が過去最多のFire TVスマートTVを購入し、Fire TV Stickがブラックフライデー自体で最も売れた製品だったと報告しているので、おそらくこの数字はその後、上昇したはずである。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

2022年、もっと「エイジテック」に注目しよう

この2年間、私たちの多くは、画面を通してしか高齢の身内と会うことができず、安全とひきかえに物理的な距離を取りながら、年老いていく身内を見守ってきた。今回のパンデミックでは、何よりも高齢者の脆弱性が浮き彫りになった。創業者、投資家、ジャーナリストなど、テック業界の関係者はみんな「エイジテック」にもっと注意を払う必要がある。

「エイジテック」はニッチな分野ではなく、人口の高齢化は一部の国に限られた話でもない。世界保健機関(WHO)の最新レポートによれば、2030年には6人に1人が60歳以上の高齢者になり、80歳以上の高齢者は2020年から2050年にかけて3倍の4億2600万人に増えると予想されている。

またレポートには「人口の高齢化と呼ばれるこのような分布の変化は、高所得国で始まったものですが(例えば、日本では人口の30%がすでに60歳以上)、現在では低中所得国が最も大きな変化を経験し始めています」と書かれている。「2050年には、世界の60歳以上の人口の3分の2が、低中所得国に住んでいることになるでしょう」。

WHOの報告書は続けて「グローバル化、技術開発(交通・通信など)、都市化、移住、ジェンダー規範の変化などが、直接的・間接的に高齢者の生活に影響を与えています」と述べている。公衆衛生上の対応としては、現在および予測されるこれらの傾向を把握し、それに応じて政策を策定する必要がある。

大手テック企業は、こうした高齢人口増加の可能性をとらえ、既存のプラットフォームやハードウェアに新しいサービスを作り始めている。例えば、2021年12月初めにAmazon(アマゾン)は「Alexa Together」を正式に発表した。これは、Alexaデバイスを介護者のためのツールに変えるもので、ユーザーが助けを求めることができる機能や、緊急時のヘルプライン、転倒検知、デバイスの設定を管理するためのリモートアシストオプション、いつもより活動的でないことを家族のだれかが確認できるアクティビティフィードなどを備えている。一方、Google(グーグル)は、2020年老人ホームで「Nest Hub Max」の簡易版インターフェースの試験運用を開始した。これは、ロックダウン時に入居者が孤立感を感じないようにするための取り組みだ。

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しかし、私がもっと興味を引かれているのは、エイジテックに焦点を当てたスタートアップだ。ハードウェアのイベントを取材していると、高齢者向けの技術を開発している企業が多いことに勇気づけられる。来週のCESでの発表はまだほとんどが伏せられたままだが、イベントのエイジテック系のスタートアップをまとめて紹介する予定だ。

関連記事:ユーザーの動きに合わせて点灯、家族が倒れたら介護者に通知が届くスマートランプNobi

2021年1月に開催された前回のCESでは、Nobi(ノビ)のスマートランプが最も興味深い製品の1つだった。このスマートランプは、転倒や不規則な動きを検知すると介護者に警告を発したり、人が立ち上がって歩くと自動的に床を照らしたりする、控え目なシーリングランプだ。

そのときには他にもエイジテック関連のプレゼンテーションがいくつか行われたが、その中には、非営利団体のスタートアップアクセラレータープログラムであるAARP Innovation Lab(AARPイノベーションラボ)による9社のプレゼンテーションも含まれていた。その多くは、高齢者が介護施設に入居するのではなく自宅で過ごす「エイジ・イン・プレイス」を支援するものだった。その中には、既存の構造物や敷地に合わせてアクセス可能なモジュール式の仕事場や自宅スペースを提供する「Wheel Pad」(ホイールパッド)、自宅で利用者の転倒リスクを予測できる体重計「Zibrio」(ジブリオ)、家族やその他の介護者が利用者の様子を確認できるApple Watchアプリやウェアラブル(ジュエリーなども含む)を開発する「FallCall Solutions」(フォールコール)などがある。

関連記事:CES 2021で注目を集めた高齢者の暮らしや介護者を支えるテックスタートアップ

しかしハードウェアができるのは今のところその程度だ。世界中のスタートアップは、介護者のニーズにも目を向けている。介護者の燃え尽き症候群は大きな問題だが、テクノロジーで支援できる余地がある。例えば現在シンガポールとマレーシアで展開しているHomage(ホーミッジ)は、今後2年間でさらに5カ国に進出する予定だ。同社は介護者を評価し、患者とのマッチングを支援するために、各医療提供者のプロフィールを作成し、また看護師と協力して、医療提供者が手動移送技術などの必須タスクをどのように実行できるかを評価する。これらのデータはすべて、マッチングエンジンによって使用され、家族や患者にとって介護者を見つけるプロセスを迅速にすることができる。

一方、英国では、Birdie(バーディ)が介護事業者を支援するためのソフトウェアツールを構築している。これには、管理コストの削減、介護者のチェックイン、投薬に関する通知をリアルタイムに行うことができるものなどがある。このスタートアップの目標は、よりパーソナライズされた予防的なケアを提供することで、成人が年齢を重ねても自宅で長く暮らせるようにすることだ。

家族構成の変化にともない、世界の高齢者は徐々に孤立化していて、それはテクノロジーを使っても解決するのは難しい問題だ。しかし、オンデマンドの高齢者支援とコンパニオンシップのプラットフォームであるPapa(パパ)は、高齢者の孤独感に対処することが有望なビジネスモデルになることを示している。マイアミを拠点とし、現在27州で事業を展開しているこのスタートアップは、前回の6000万ドル(約69億1000万円)のシリーズCからわずか7カ月後の先月に、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が主導するシリーズDで1億5000万ドル(約172億7000万円)の資金を調達したことを発表した

誰もが安全だけでなく、快適さと尊厳をもって人生の終わりに到達する権利を持っている。テクノロジーは高齢者が愛する人たちから遠く離れざるを得ない社会力学の変化に対する解決策の一部となり得る。私の新年の抱負の1つは、TechCrunchでもっと多くのエイジテックスタートアップを取り上げることだ。もし私が注目すべきスタートアップをご存知ならshu@techcrunch.comまでメールを送って欲しい。

画像クレジット:eclipse_images / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

アマゾンがAlexaの「スキル」開発者への手数料引き下げ、2022年から

Amazon(アマゾン)は、他の大手テック企業と同様、開発者が得る収益からの取り分を引き下げる。開発者が、スマートスピーカーやその他のAlexa(アレクサ)対応デバイスで動作する音声アプリ、いわゆるAlexaの「スキル」から得る収益が対象だ。

同社は今週、スキル購入(有料インストール)、スキル内購入(アプリ内購入のAlexa版)、スキルサブスクリプションなどの収益が100万ドル(約1億1400万円)未満のAlexaスキル開発者の手数料を2022年、30%から20%に引き下げると発表した。この変更は2022年第2四半期から適用される。サードパーティーの開発者がトラフィックを生み出し、スキルの認知度を高められるよう、開発者特典も拡充する。Amazonによると、新しくプログラムの対象になるのは、前年の収益が100万ドル未満の開発者や、新規のAlexa開発者だ。

AmazonによるAlexa開発者の収益に対する手数料体系の更新は、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)など他の大手テック企業による同様の動きに続くものだ。

ちょうど1年前、AppleはApp Store事業に対する規制当局の監視強化に対応し、1年間のApp Store収益が100万ドル未満の小規模開発者の手数料率を15%に引き下げた。以前は、Appleの標準的な30%の手数料を支払わなければならなかった。Googleもすぐにその動きを追い、Google Playで同様のプログラムを実施し、手数料を15%に引き下げた。ただし、引き下げ後の手数料適用時の計算方法には若干の違いがあった。両社はその後、ニュース出版社やその他のサブスクリプションアプリなど、特定のカテゴリのアプリについて、標準の手数料率にさらに例外を設けることにした。

また、Microsoftは2021年、収益分配の条件をより開発者に有利なものに更新し、同社の決済プラットフォームを利用するアプリ開発者の収益分配を85対15、ゲーム開発者の収益分配を88対12とした。

しかし、AmazonのAlexaプラットフォームは、そうした他の大規模なアプリのエコシステムとまったく同じカテゴリにあるわけではない。

同社は当初、他のアプリストアに匹敵する音声アプリのカタログを計画していたが、現実には、米国の消費者家庭におけるAlexaの大きな足がかりを利用してビジネスで利益を生み出すことができた開発者はほとんどいなかった。

実際、Amazonは長年にわたってスキルの発掘に苦心してきた。調査によると、Alexaデバイスの所有者は、スマートスピーカーやスクリーンを主に内蔵機能のために使用していることがわかっている。すなわち、スマートホーム機器の制御、音楽の再生、買い物リストの作成、タイマーの設定、ニュースの視聴、天気やスポーツ試合結果などの最新情報の取得などだ。Alexaデバイスを通じて行われると期待された音声ベースのショッピングが本格的に普及することはなかった

つまり、Amazonの手数料率の調整を、他のアプリストアのポリシー変更と同じようにとらえることはできないということだ。Amazonは、ある程度、市場動向に追随しなければならないというプレッシャーを感じている。他方、手数料引き下げが、Alexa開発者による自社プラットフォーム向け開発を促すことを期待していることも明らかだ。

Amazonは同じ発表の中で、2022年から始まる新しいプログラムのもとで、開発者の収益を増やすために設計された、さらなる特典を展開するとも述べた。追加特典は、開発者の収益の「最大10%」に相当する可能性があると同社は指摘している。特典には、インセンティブプログラム、開発者のスキルを最適化するための個別フィードバック、マネタイズの機会を見出すための支援などが含まれる予定だ。

Amazonはこれまでにも、優秀なスキル開発者に対し、直接支払う試みをを繰り返してきた。新しいインセンティブがこれまでと異なるものなのか、それとも同じことの繰り返しなのかは、今のところわからない。同社は、このプログラムの詳細について、2022年の開始前に詳細を公表すると述べた。

同社は2020年、Alexaスキルを収益化する機会を増やすことで、スキル開発への関心を呼び戻そうとしてきた。消費者が前払いしてアドオン音声アプリにアクセスする「Paid Skills」の開始、開発者がスキル内でAmazon.comから販売できる(そしてアフィリエイト収入を得られる)「Alexa Shopping Actions」の導入、スキル内購入にアクセスできる海外の開発者の範囲拡大、スキルのホスティングコストのほぼ0ドルへの引き下げなどがある。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

米アマゾンが月額約2200円の家族向け高齢者介護サブスク「Alexa Together」を提供開始

Amazonは米国時間12月7日、まだ自立した生活をしているものの、さらなるサポートを必要とする高齢者を介護する家族を対象としたサブスクリプションサービスAlexa Togetherの正式な開始を発表した。この機能は、同社の2021年秋のイベントで初めて紹介されたもので、Amazonの既存製品Alexa Care Hubを拡張し、月額19.99ドル(約2200円)または年額199ドル(約2万2000円)のサブスクリプションサービスとしてパッケージ化したものだ。

関連記事:アマゾンが高齢者介護のサブスクサービス「Alexa Together」を開始

Alexa Care Hubは、家庭内のAlexaデバイスを高齢の家族を介護するためのツールにするという、同社の最初の試みだった。そのサービスには、家族が年老いた両親やその他の大切な人を(本人の許可を得て)見守り、例えば家族が助けを求めた場合などに、特定の行動に反応するような機能が含まれていた。

Alexa Togetherは、Care Hubの機能を拡張したもので、緊急時のヘルプラインへのアクセス、転倒検知対応機能、家族が高齢者のデバイスの設定を管理できるリモートアシストオプション、愛する人がAlexaや他のスマートホームデバイスを使っているときに通知したり、普段の活動が滞っているときに通知したりすることができる家族向けのアクティビティフィードなどを備えている。

これらの機能は、有効にするには、双方が一緒にサインアッププロセスを完了する必要があるオプトイン・コンセント型の環境で使用されるように設計されている。

一度設定すれば、高齢者の方が緊急時の助けが必要な時に「Alexa、助けを呼んで」と声をかけることができる。すると訓練を受けたエージェントが、警察や消防、救急車などを、他のホームセキュリティシステムと同じように、その場所に派遣することができる。しかし、Alexa Togetherシステムは、カスタマーが緊急支援を必要としているかどうかを検知するために、Assistive Technology Service(アシスタント・テクノロジー・サービス)やVayyar(ヴァイヤ)のサードパーティ製デバイスと連携することができる。

Vayyar Care(ヴァイヤ・ケア)は、転倒を検知することができる壁に取りつけるセンサーで、ATSのSkyAngelCare(スカイ・エンジェル・ケア)は、高齢のカスタマーが首から下げる転倒検知ペンダントだ。SkyAngelCareはペンダントのボタンを押すと検知できるように、どちらも転倒を検知する。Amazonによると、Alexa Togetherには今後さらに多くのデバイスメーカーが追加される予定だ。

リモートアシスト機能は、家族が高齢者のデヴァイスのさまざまな設定を管理できる機能だ。これには、リマインダーの設定、電話やメッセージの連絡先の追加、買い物リストの追加とチェック、音楽サービスのリンクなどが含まれる。これにより、高齢者の方がAmazonに助けを求める電話をしなくても、家族がITのサポートを行うことができる。

画像クレジット:Amazon

アクティビティフィードは、高齢の家族が1日を過ごし、Alexaやその他の接続されたスマートホームデバイスと初めて対話したことを知らせるために、家族にアラートを送信する。これは、家族が定期的にAlexaと関わることを前提としているため、家族が問題なく過ごしているかどうかを知るための代理として機能するという点では、不完全なシステムだ。しかし、何のアクティビティもない場合にアラートが送信されることは、家族が愛する人に連絡を取り、問題がないかどうかを確認することを思い出させることができる。

このサブスクリプションサービスは、このソリューションが適しているかどうかを判断するために、6カ月間の無料トライアルを提供している。また、Alexa Care Hubの既存顧客は、本日から2022年12月7日まで、Alexa Togetherを1年間無料で利用できるようになる。

将来的には、Alexa Togetherが家族や友人、さらには隣人など複数の介護者をサポートする機能などを展開していくと、Amazonは述べている。

Amazonは、Alexaを使った高齢者や病弱な人々の介護への投資を増やしている。Care HubやAlexa Togetherに加えて、2021年の秋には、Atria(アトリア)やEskaton(エスカトン)のリビングセンターや、Cedars-Sinai(シダーズサイナイ)、BayCare(ベイケア)、Houston Methodist(ヒューストン・メソジスト)などの病院にAlexaを導入することを発表した。また、K4Connect(K4コネクト)、Lifeline Senior Living(ライフライン・シニア・リビング)、Aiva(アイヴァ)、Vocera(ヴォケラ)など、高齢者介護市場に特化したソリューションを開発できるAlexa Smart Properties(アレクサ・スマート・プロパティ)のツールやAPIを活用できるパートナーと協力していくとしています。これらのソリューションを実現するために、AmazonはAlexaの医療スキルをHIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)に準拠させることに取り組み、その他のHIPAA規制をナビゲートするヘルスケアチームを構築した。

関連記事:アマゾンがAlexaを病院や高齢者施設に導入、Alexaで家族の呼び出しやニュースの確認などが可能に

しかし、これらの既存の高齢者ケアソリューションの多くは、企業間取引(B2B)での販売を想定しているが、Alexa Care Hubと今回のAlexa Togetherのサービスは、消費者市場を対象としたサブスクリプション型のサービスとなっている。

Alexa Togetherは、Echo、Echo Dot、Echo Showなどの対応するAlexaデバイスで動作し、アドオンサービスまたはデバイスバンドルのいずれかで利用できる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

米アマゾンの新型スマートバンド「Halo View」予約注文を開始、限定期間約5700円に

9月のハードウェアイベントでフィットネスバンド「Halo」の新バージョンを発表したAmazon(アマゾン)は米国時間11月19日、予約注文の受付を開始した。Amazon初のディスプレイ付きウェアラブル「Halo View」は、予約期間中は50ドル(約5700円)。通常価格は80ドル(約9100円)だ。

12月中に出荷される予定のこのデバイスには、Haloメンバーシップ1年分が付いてくる。Haloプランにはワークアウトと栄養管理ガイドが含まれており、通常は月額4ドル(約450円)で利用することができる。

Halo ViewはFitbitのChargeバンドと似たデザインで、AMOLEDカラーディスプレイには、ライブワークアウト、アクティビティ履歴、血中酸素濃度、睡眠スコアなどの詳細が表示される(これらの機能の一部は、Haloサブスクリプション限定)。テキスト通知も表示可能だ。

「水泳可能」防水レベルのデバイスには、皮膚温度センサー、心拍数モニター、加速度計が搭載されている。Amazonは、1回の充電でバッテリー持続時間は最大7日間、フル充電に2時間かかるとしている。

Halo Viewにマイクは内蔵されていないが、Alexaとの連携機能がある。Haloアプリの設定で音声アシスタントに接続すれば、Alexa対応デバイスにヘルスサマリーや睡眠の質などを教えてもらうことができる。

Amazonは、Haloを設計するにあたり、プライバシーを重要視したとのこと。「データを安全に保ち、ユーザーがコントロールできるよう、何重にも保護されています」と同社は主張している。また、ユーザーに直接リンクされている健康データを転売しないことを約束している。自分の健康データをダウンロードしたり、Haloアプリから削除したりすることも、いつでも可能だという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Amazon

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(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾン、Echo Show 10でより自然な「会話モード」を正式提供開始

Alexa(アレクサ)は、より自然な会話ができるように学習している。Amazon(アマゾン)は米国時間11月18日、Echo Show 10(第3世代)デバイスに新機能「Conversation Mode(会話モード)」を展開することを発表した。これにより「Alexa」というウェイクワードを言わずに、バーチャルアシスタントと自由な会話をすることができる。このモードは、ユーザーが音声コマンドで有効 / 無効を切り替えることができるため、必要に応じてオンにすることが可能だ。

同社は、2020年のハードウェアイベントで、Alexa Conversations(アレクサカンバセーション)を他のA.I.と一緒に紹介した。そこでAmazonの副社長兼ヘッドサイエンティストであるRohit Prasad(ロヒト・プラサド)氏は、よりパーソナライズされた回答、明確な質問をする機能、会話の中で自然な流れを作る機能など、Alexaの新しい機能をデモした。

このようなインタラクションは、人間にとっては簡単なことだが、AIにとっては大きな課題だ。

Amazonは、そのイベントで、2人の人間がピザの注文について話しているときに、会話モードがどのように機能するかを紹介した

「Alexa、会話に参加して」と言ってこの機能を有効にした後、2人は、時にはバーチャルアシスタントと会話をしながら、ピザの注文について話し合った。Alexaが好みのトッピングを選んだところで、ひとりが「それ!」というと、Alexaは注文を調整した。また、Alexaは、例えば「Mサイズで十分だと思う?」など、2人の会話なのか、それとも自分に向けられた質問なのかを理解しているようだった。そして、ある人が、それほどお腹が空いていないので、小さいピザが欲しいというと、Alexaは自動的に注文を変更した。

同社によると、視覚的な手がかりと音響的な手がかりを組み合わせて、カスタマーの発話がデバイスに向けられているかどうか、返事が期待されているかどうかを認識しているそうだ。これはAIにとって非常に難しい問題だ。Amazonが説明したように、どの映画をみるかについての会話の中で「コメディはどう?」というように、多くの質問はデバイスと人のどちらにも向けられている可能性があるからだ。

さらに、会話モードの機能は、Alexaに向けた発話の開始をより正確に検知するために、反応が早い必要がある(普段はウェイクワードがきっかけでAlexaが話を聞くようになる)。

画像クレジット:Amazon

Amazonによると、デバイスの視界に入っている各人の頭の向きを推定することで、デバイスの指向性を把握する方法を開発したという。

「私たちは、与えられた入力画像のテンプレートの係数を推論し、画像内の頭の向きを決定するために、ディープニューラルネットワークモデルを訓練しました」と、同社は、Amazon Scienceのブログ記事の中で、高いレベルのAI技術の見解を示した。「そして、実行時間を短縮するために、モデルの重さを量子化しました。実験では、このアプローチにより、視覚デバイスの指向性検出の誤認識率(FRR)を、標準的なアプローチと比較して、約80%低減しました」。

また、Amazonは、音声ベースのデバイス音声アクティビティ検出(DVAD)モデルを使用して、Alexaが聞いている音声に反応すべきかどうかを示す音声キューを処理する。これを視覚のみのモードに追加することで、Amazonは反応にかかる時間を増やすことなく、周囲の騒音による誤作動を80%削減し、Alexa自身の応答をきっかけとした誤作動を42%削減することができたという。

会話モードを使用するには、ユーザーは「Alexa、会話に参加して」と言えば良い。有効にすると、Echo Show 10の画面の周りには青いボーダーが表示され、画面下部には水色のバーが表示され、リクエストがクラウドに送信されるタイミングを知ることができる。終了するときは「会話をやめて」と言って終了できる。

また、Alexaは、短時間に対話がなくなった場合、自動的にモードを終了する。

同社は、この会話の開発に以前から取り組んできた。

2020年7月には、人々が好みのフレーズを使って「制約の少ない方法」でAlexaに話しかけることができる、より自然な感覚の会話を可能にする音声アプリの開発を支援するためにAlexa Skillsの開発者にAlexa Conversations機能のベータ版を提示した。これに先立ち、Amazonは「毎回『Alexa』と言わずに、人々がAlexaスマートデバイスに同時に複数のコマンドを与えることができる『会話継続モード』と呼ばれる機能を開発していた

新しい会話モード技術は2020年発表されたが、AmazonはTechCrunchに本日から正式に開始され、Echo Show 10がその機能を使える最初のデバイスになると伝えている。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

障がい者向け脳モニタリングヘッドセットを開発するCognixion、Alexaと統合しスマートデバイスのハブにもなる

身体障がい者向けの直感的な脳モニタリングヘッドセットとインターフェースを設計しているスタートアップCognixionが、アクセシビリティの向上を追求するため、1200万ドル(約13億8000万円)のAラウンドを実施した。今回の資金調達により、同社は医療機器や支援機器が広く普及するために必要な長い要件を満たすことができるはずだ。

5月に詳しく紹介したように、同社は脳波を検査して脳の活動パターンを見つける。そしてそれがカーソルをコントロールして、画面上を行き来するための完全なインターフェースを構成する。現在の対象機器はiPhoneとそのディスプレイだが、そこからさらにスピーカーやアクセシビリティデバイスに信号を送り、単一のUIで必要なことはすべてできる。

その基盤となっているのは、新しいタイプの(人体に傷を付けない)電極と、ヘッドセットに埋め込まれた電極から発生する信号をすばやく解釈する機械学習システムだ。脳波は有用ではあるが一般的には遅くてノイズが多いが、Cognixionのアプローチだと、脳を使って最新のUIを確実にナビゲートできるほど、迅速で比較的正確なものとなる。

この脳波によるUIコントロールシステムは、ジョイスティックや視線追跡デバイスといった従来から存在するアクセシビリティの手法が使えない人にも向いている。そんな状態の人のための選択肢はほとんどなく、あっても遅くて面倒なものばかりだ。

ステルス状態を脱してから以降のCognixionは、支援デバイスを市場に出すための、さまざまな困難な仕事に追われていた。アーリーアダプターたちによるパイロットテストは何度か行ったが、保険やメディケイドなどの対象になるためには、もっといろいろなことが必要だった。また支援者にとっても、使いやすく、人にすすめたくなるものでなければならない。

関連記事:考えるだけで操作できる脳モニタリングデバイス「Cognixion One」、重度障がい者の円滑な意思疎通をアシスト

CEOで共同創業者のAndreas Forsland(アンドレアス・フォースランド)氏によると「最近では臨床と規制という2つの方面で仕事が多く、最適化と効率アップが重要でした。開発に参加してくれたユーザーや医療関係者や支援要員は150名近くに達し、彼らを顧問としてとても充実したフィードバックが得られた。ハードウェアの改良は何度もやったのsで、そろそろ最終設計に近いといえるでしょう。今後は、ユーザーインターフェースと言語システムで細かい改良がたくさん必要になりそうです」という。

2つの新しい機能にも取り組んでいる。1つは、予測的発話認識のアルゴリズムで、ユーザーの断片的な発話から完全な文を構成し、そのニーズに対応すること。もう1つは、Amazon Alexaとの直接的な統合だ。CognixionはAmazonと強力して、ヘッドセットに強化された真のスマートデバイスのハブを統合した。直接的な統合であるため、ヘッドセットからの脳波信号が言語に翻訳されてAlexaへ入力されるというわけではない。

画像クレジット:Cognixion

「この工程のサポートに関して、Amazon Alexaのチームにすごく感謝している。また企業としてのAmazonがこのような例外的な開発努力を認めてくれたことにも、深く感謝したい。重要なのは、そのコンテキストだ。現在、ホームオートメーションのシステムやツールはたくさんあるが、それらとのコミュニケーションを補助したり、それらに直接インターフェースする支援技術はほとんど存在しない。そのためAmazonの尽力は、アクセシビリティ業界にとって最初の大きな第1歩であり、ユニバーサルデザインにとっても初めてのことです」とフォースランド氏は語る。

1200万ドルのラウンドはPrime Movers Labが主導し、Northwell Health、Amazon Alexa Fund、Volta Circleが参加した。

Prime Movers LabのゼネラルパートナーであるAmy Kruse(エイミー・クルーゼ)氏は同社のプレスリリースで次のように述べている。「Cognixion ONEは、まだ存在していなければ、SFの世界のものだと思うでしょう。私たちは、脳性麻痺、脳幹の脳卒中、ALSをはじめとする言語障がいや運動障がいを抱えて生きるあらゆる年齢層の人々を支援するために、AIソフトウェアプラットフォームとハードウェアを融合させた、根本的に人生を変える不可欠なものになると信じています」。

ONEのヘッドセットが購入できるようになるまでには、まだ少し時間がかかりだが、フォースランド氏によると、ほぼすべての研究大学と提携しているリセラーとディストリビューターをすでに確保しているという。この革新的なアクセシビリティへの取り組みは順調に進んでおり、近い将来、必要とする人の頭に届いて欲しい。

画像クレジット:Cognixion

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンがAlexa用スマート空気質モニターを12月に米国で発売、約7980円

Amazon(アマゾン)は2021年9月下旬にスマートホーム機器の新製品を次々と発表したが、ホリデーシーズンを前にして、まだ製品を続々と登場させている。確かに、Smart Air Quality Monitor(スマート空気質モニター)は、巨大なEcho Showやホームロボット、あるいはサーモスタットのようにエキサイティングな製品ではないが、少なくともこのような製品に内在する価値は明らかだ。

このデバイスは、一酸化炭素を含む粒子状物質、ほこり、揮発性有機化合物(空気中の化学物質で体に害を及ぼす可能性があるもの)を測定するように設計されている。また、温度と湿度の検知機能もビルトインされている。製品ページに記載されているように、このデバイスにはマイクやスピーカーが内蔵されていない。つまり、何かがおかしい状態になったときの警告は、接続されたEchoデバイスやAlexaアプリに頼ることになる。なので、家の中のマイクの数が1つ減るわけだ。これはプラスだ。

同社によると、このデバイスはテスト期間中のユーザーのフィードバックから生まれたものだという。同社は次のように説明している。

部屋の換気を頻繁に行う、料理中に窓を開ける、空気清浄機や加湿器をつけるなど、小さな工夫をすることで、テスト参加者は空気の質が目に見えて向上したことを実感しました。また、これらの細かな調整により、家の中での呼吸が楽になり、夜もぐっすり眠れるようになったとテスト参加者は教えてくれました。

アラート機能に加えて、モニターするレベルの経時変化も測定できるので、ユーザーはさまざまな活動がこれらの問題にどのように影響するかを知ることができる。Smart Air Quality Monitorは11月3日から予約受付を開始し、12月に出荷が始まる。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがAlexaを病院や高齢者施設に導入、Alexaで家族の呼び出しやニュースの確認などが可能に

Amazon(アマゾン)はすでにホテル集合住宅などの分野をターゲットに含めていたが、米国時間10月25日、医療機関や高齢者施設向けに新しいソリューションを展開すると発表した。このソリューションは、Alexa Smart Properties(アレクサ・スマート・プロパティーズ)の一部だ。Alexaデバイスを大規模に導入するニーズに応えるために特別に設計されており、施設の管理者は、患者や入居者のためにカスタマイズされた体験を作り出すことができる。

高齢者施設の入居者は、Alexaデバイスを使って家族など大切な人を呼び出したり、コミュニティでの出来事などのニュースを把握したりすることができる。Alexaデバイスは、お知らせ、音声メッセージによる入居者同士のコミュニケーション、音声通話やビデオ通話、チェックインやメンテナンスの依頼、さまざまな管理業務など、施設での活動の効率化にも利用できる。Amazonは、これが施設の効率化と生産性の向上に資すると考えている。

Amazonによると、Atria(アトリア)やEskaton(エスカトン)などの高齢者施設が、この新しいソリューションを導入するという。

高齢者施設でAlexaを利用する市場は、K4Connectのようなサードパーティプロバイダーがすでに開拓している。K4Connectは2020年、Alexaの音声アシストを含む新しいテクノロジーを高齢者や障害者に提供するため、シリーズBで2100万ドル(約24億円)を調達した。K4Connectをはじめ、Lifeline Senior Living、Aiva、Voceraなどの企業も、Alexa Smart PropertiesのツールやAPIを利用し、独自にカスタマイズしたソリューションやソフトウェアを展開しようとしている。

画像クレジット:Amazon

一方、AmazonはすでにCedars-Sinai(シダーズ・サイナイ)と共同で、試験的にAlexaを病室に置いている。患者は音声コマンドを使って、テレビのチャンネル変更などの基本的なタスクを実行したり、介護スタッフとコミュニケーションを取ったりすることができる。日常的な作業の一部をAlexaに任せ、看護師を医療に専念させる構想だ。

Amazonの病院向け新ソリューションにより、患者はAlexaを使って介護スタッフとコミュニケーションをとったり、自室の機器を操作したり、ニュースや音楽を楽しんだりすることができる。また、医療従事者は、Alexaの通話やDrop-In(ドロップイン)などの機能を使い、病室に入らなくても患者とコミュニケーションをとることができる。これが病院の生産性を向上させ、医療用品や手袋、マスク、ガウンなどの保護具を節約することもできるとAmazonは指摘する。パンデミックで新型コロナウイルスの症例が急増し、個人防護具の不足が複数の現場で継続的に問題となっていた。

Amazonによると、Cedars-SinaiはAlexa Smart Propertiesソリューションを正式に展開する企業の1つであり、上記のパイロットプログラムに続き、BayCareやHouston Methodistもその動きに名を連ねている。

「音声は、年齢や技術的な知識に関係なく、患者にとって直感的に使えるものです」とCedars-Sinaiの医療・外科サービス部門のエグゼクティブ・ディレクターであるPeachy Hain(ピーチー・ヘイン)氏は声明で述べた。「患者は、部屋に入ってすぐに、Alexaを使ってケアチームと連絡を取り合い、いろいろ楽しむことができます。ケア提供者は作業を効率化して患者さんのケアに時間を割くことができます。これは、私たちの病院での体験を向上させる完全なゲームチェンジャーです」と同氏は付け加えた。

Amazonはこれまで、音声の録音や書き起こしに関連したプライバシーの問題に悩まされてきた。医療機関や高齢者施設向けのソリューションでは、音声の録音は保存されず、ユーザーがデバイスを使用する際にAlexaと個人情報を共有する必要もないと説明する。また、ユーザーは上部のボタンでいつでもEchoのマイクをミュートすることができる。加えて、Amazonは、HIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)適格のAlexaの技術に基づく通信により、保護の対象となる健康情報を守るとしている。

Amazonは以前から、Alexaを医療機関に導入しようと取り組んできた。CNBCの2018年の報道では、音声アシスタントを医療の分野で役立てるために、Alexaを使ったヘルスケアチームを構築中だと伝えていた。そのために必要となる複雑なHIPAA規制をクリアすることも目指していた。翌年、HIPAAに準拠した最初の医療用技術を発表し、デバイスの病院での試験運用を開始した。Amazonは、他にもヘルスケアソリューションに投資しており、医師の診断書や患者の健康記録などから情報を収集する機械学習ツール「Amazon Comprehend Medical」のようなソリューションや、オンライン薬局PillPackのような買収などが投資の対象だ。

新しいAlexa Smart Propertiesソリューションは、いずれも11月から米国で展開されるとAmazonは話している。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ディズニーとアマゾンが提携、カスタム音声アシスタント「ヘイ、ディズニー」を開発し搭載Echoをディズニーワールドリゾートのホテルに展開

Amazon(アマゾン)は、初めてEcho(エコー)デバイスで別の音声アシスタントを利用できるようにする。同社は先に開催した秋のイベントで、Disney(ディズニー)が開発し、Alexa(アレクサ)の技術をベースに作られた新しい音声アシスタント「Hey, Disney(ヘイ、ディズニー)」を発表した。このアシスタントは、独自の声を持ち、ディズニーファンが探索できる1000以上のカスタム・インタラクションを備えており、その多くは、本物のキャラクター音声やディズニーの膨大なライブラリーからのオリジナル録音を含んでいる。また、大規模なパートナーシップにより「Hey, Disney」の機能を追加したAlexaデバイスが、2022年からオーランドのDisney World Resort(ディズニー・ワールド・リゾート)ホテルに設置される予定だ。

まず最初に「Hey, Disney」は、ジョークややり取り可能なトリビア、お気に入りのディズニーキャラクターからの挨拶、ディズニー映画にインスパイアされた「soundscapes(サウンドスケープ)」と呼ばれるオーディオ環境へのアクセスなど、ディズニーファンのためのさまざまな体験を提供する。ユーザーがこれらの新機能を使うと、ディズニー、Pixar(ピクサー)、Marvel(マーベル)、Star Wars(スター・ウォーズ)などのお気に入りのキャラクターの声で応えてくれる。その間、このエクスペリエンス全体は「Disney Magical Companion(ディズニー・マジカル・コンパニオン)」と呼ばれるものによって動いている。

このコンパニオンは、基本的にはディズニー版のAlexaであり、新しい体験を通してユーザーを案内するために、ディズニー自身が開発したカスタムボイスだ。このコンパニオンの声はまだ明らかにされていないが、ディズニーは本物の声優を使って音を作っており、その声は「男性の声色」になるとのことだ(ミッキーだろうか?)。

画像クレジット:Amazon/Disney

2022年以降、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのホテルの部屋に「Echo Show 5(エコー・ショー5)」が置かれ、宿泊するゲストは、それを使って「Hey, Disney」体験にアクセスできるようになる。ここでは、パークの開園時間やパークへの最短ルート、食事できる場所など、リゾートのゲストが抱きがちな特定の質問にアシスタントが答えてくれる。また、アシスタントを使って、タオルの追加やルームサービスでの食事の注文など、特定のゲストサービスのリクエストをすることもできる。お気に入りのディズニーキャラクターが、ゲストのためにパーソナライズされたメッセージを1日中流すこともできる。

Amazonは、2021年初めに発表したAlexaカスタムアシスタント技術に続き、ディズニーと共同でこの新しい音声アシスタントを開発した。このソリューションでは、機器メーカーやサービスプロバイダーが、ブランドの個性や顧客のニーズに合わせた独自のインテリジェントアシスタントを作成することができる。自動車メーカーのFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は、Alexaカスタムアシスタントの最初の顧客だったが、今回のディズニーのものは、アマゾン自身のEchoデバイス上で直接動作する最初のアシスタントとなる。このソリューションにより、ディズニーはアシスタントに独自のウェイクワード(「Hey, Disney」と特有の声、そして個性を与えることができた。また、顧客専用のインタラクション・ライブラリにつながり、それらのほどんとが「Hey, Disney」を最初に起動してからでないと利用できない仕様となっている。

画像クレジット:Amazon/Disney

Amazonは、あるアシスタントから別のアシスタントに引き継ぐことができるようなインタラクションがいくつかあるかもしれないとも触れている。例えば、誰かが「Hey,  Disney、アラームを止めて」と言ってアラームを止めようとした場合、アラームは通常Alexaの機能であるにもかかわらず、Echoが適切に反応してくれるだろう。しかし、いくつかの簡単なユースケースを除き、ディズニー固有のインタラクションのほとんどは、ディズニー自身のアシスタントで指示する必要がある。

Alexaの導入に関する提携も、今回の両社の新契約の大きな要素の1つだ。

Amazonは2018年に「Alexa for Hospitality(アレクサ・フォ・ホスピタリティ)」というプラットフォームを発表しており、Marriot(マリオット)だけでなく、LEGOLAND Parks(レゴランド・パークス)でも採用されていた。しかし、今回のディズニーの契約は、オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのホテルの数千室を網羅するものであり、Alexa for Hospitalityの大きな一歩となる。

関連記事:Amazon、ホテル向けAlexaシステムの提供開始

Amazonによると、リゾートで提供される「Hey,  Disney」体験は、ゲストが個人のアマゾンアカウントにログインできないことや、アマゾンが室内でのインタラクションの音声記録を保存しないことから、家庭での体験とはまた異なるものになるとのことだ。しかし、家庭用の「Hey, Disney」は、Alexa上で実行される他の子ども向け機能のガイドラインに従うこととなる。つまり、まず親の同意を得る必要があり、顧客は既存のプライバシーダッシュボードやインターフェースを使って音声記録を閲覧・管理することができる。

これに関連して、Amazonは新しいEcho Show 5スマートスクリーン用の新しいディズニースタンドも発売した。

画像クレジット:Amazon/Disney

画像クレジット:Amazon/Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アマゾンはなぜ家庭用ロボット「Astro」を作ったのか

iRobotのCEOはかつて筆者にいたずらっぽくこう言った。「掃除機のセールスマンになって初めて私はロボット技術者として成功した」と。いいセリフだし、ロボット業界の根本的な真実をさらけだしてもいる。ロボットは難しく、家庭用ロボットはさまざまな意味でさらに難しいのだ。

ルンバなどのロボット掃除機が収めた大成功を超える術を誰も解き明かしていないのは、挑戦していないからではない。これまで、主にAnkiJiboなどスタートアップに分類される企業が取り組んできたし、珍しい例外としてはBoschが作ったKuriもある。ところが米国時間9月28日、Amazon(アマゾン)がこの問題に莫大なリソースを投入していることを明らかにした。

画像クレジット:Amazon

単にリソースを投入しているというだけではない。Amazonは同社初のロボット「Astro」を発表した。この製品はAmazonのDay One Editionプログラムの1つとして市場に第一歩を踏み出す。以前に同社はKickstarterやIndiegogoのように顧客が予約注文に投票できるこのプログラムを活用していた。新しいロボットには、アニメ「宇宙家族ジェットソン」の犬、The White Stripesのデビューアルバムに収録されている曲、ヒューストンのプロ野球チームと同じ名前が付けられ、2021年中に限定発売される。Day One Editionプログラムで発売された製品には小型プリンタやスマート鳩時計などがあったが、Astroはこのプログラムの中では飛び抜けて野心的なデバイスだ。999ドル(約11万円)と、このプログラムの中では最も高価でもある。

関連記事:アマゾンが予約注文で新しいAlexaデバイスの人気投票を実施、ラインナップにはスマート鳩時計も

ただしこの価格は早期購入者に限られる。Amazonの報道資料には以下のように書かれている。

Astroの価格は1,449.99ドル(約16万円)ですが、Day 1 Editionsプログラムの一環として999.99ドル(約11万円)の早期購入価格で提供します。Ring Protect Proの6カ月間無料試用が付属します。

画像クレジット:Brian Heater

発売時点のこのロボットには、主に3つの機能がある。

  1. ホームセキュリティ
  2. 大切な人の見守り
  3. 家でのAlexa体験のモバイルバージョン

Amazonはおよそ4年前からロボットに取り組み始め、社内のさまざまな部門を活用して完全に実現可能なホームロボットを開発した。

AmazonのバイスプレジデントであるCharlie Tritschler(チャーリー・トリッシュラー)氏はTechCrunchに対し「AI、コンピュータビジョン、処理能力について話し合い、そこで挙がったトピックの1つがロボットでした。消費者が利用できるようにするためにロボットはどう変化しているのでしょうか。我々にはもちろんフルフィルメントセンターでロボットを利用してきた経験は大いにありますが、家にいる消費者に利便性や安心を提供するために何ができるかを考えたのです。そこから考え始め、最終的には『ねえ、これから5年後か10年後に家にロボットがいないと思う人がいる?』ということになりました」と語った。

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2012年にKiva Systemsを買収したことから始まったAmazon Roboticsが、コンシューマチームのアイデアに共鳴した。しかしAmazonのそれまでのロボット技術は業務用で、最短の時間で荷物を配送することに主眼が置かれている。最終的に同社はAstroのコンポーネントをゼロから作らざるを得なかった。その中には最も注目すべきものとして、家の中のマップを作り移動するために使われるSLAM(Simultaneous Localization And Mapping、自己位置推定と環境地図作成の同時実行)システムがある。

SLAMシステムは複雑な仕事を引き受けているだけでなく(これはiRobotが10年間かけて改良してきたことだ)、現在Amazonが有しているロボットテクノロジーをも考えると、筆者はこれには特に驚いた。Amazonは2019年に完全自律型倉庫用カートのスタートアップであるCanvasを買収した。しかしAmazonはこの新しいSLAMシステムはゼロから開発したもので、ロボット関連スタートアップの買収を検討したものの最終的にはAstroを作るための買収はしなかったと主張している。ただし、Ringのセキュリティ監視や、Alexaとホーム関連テクノロジーといった社内の技術は、Amazonのスマートアシスタントとなるこのロボットに組み込まれている。

画像クレジット:Brian Heater

筆者は発表の前週にAstroに触れる機会があり、このロボットはちょっと二重人格っぽいと感じた。このロボットのメインの人格は、R2-D2やBB-8、Wall-Eのようなものと表現するのが最も適切だ。顔は、実際には画面、あるいはタブレットと言えるもので、太い小文字のo(オー)が2つ並んでいるような極限までシンプルな目が表示されている。この目が時折まばたいたり動いたりするが、Ankiがピクサーやドリームワークスのアニメーターだった人材を雇って作ったCozmoほど表情豊かではない。

ときどき電子音が鳴って、前述したスター・ウォーズのR2-D2やBB-8をさらに思い起こさせる。ロボットに「Astro」と呼びかけることができるが、もっと直接的に会話をしたいときはどこかの段階で音声アシスタントでおなじみの「Alexa」と話しかける必要がある。

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Astroの10インチタッチスクリーンの顔はちょっとした人格を表現することに加え、標準的なEcho Showのディスプレイとしても機能するので、動画を見たりビデオ通話をしたりスマートホームのコントロールをしたりすることができる。画面は自動で動くが、見やすいように手で60度傾けられる。この画面はAmazonの新しい顔認証であるVisual IDにも対応し、Astroは相手に合わせたやりとりをする。

スピーカーも2つ搭載されている。ロボット自体は驚くほど静かだ(ロボット掃除機ではないですからね)。Amazonが筆者に語ったところによると、実は家の中を動いていることがわかるように電気自動車のような音を付ける必要があったという。ただし車輪の向きを変えて方向転換をするときにはサーボ音が鳴る。

後方のスペースには4.4ポンド(約2キロ)まで物を積むことができる(オプションのカップホルダーがある)。内部にはUSB-Cポートがあり、携帯の充電に使える。Astro自体はルンバのようなドックを使用し、バッテリーが空の状態から1時間未満でフル充電される。

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当然のことながら、多数のセンサーが搭載されている。例えば土台部分には近接センサーがある。カメラは2つ組み込まれている。顔である画面のベゼルには5メガピクセルのRGBカメラがあり、もう1つは驚くこと間違いなしだが頭の上から飛び出してくる。飛び出してくる方の12メガピクセルのRGBと赤外線のカメラは、ライブストリーミングのためのものだ。このカメラの土台は伸縮式で4フィート(約120センチ)の高さまで伸び、ロボットが周囲をよく見るための潜望鏡のような役割を果たす。

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筆者はロボットや制作チームと1時間ほど一緒に過ごした結果、このチームが作ったものにかなり心をひかれた。もちろんどれほどの人がこれを所有することに関心を持つかはまったく別の問題だ。AmazonはAstroを「数千の」家庭でテストし、曲がり角で止まってしまうなどの不具合を解決したという。Day Oneプログラムはパブリックベータというよりは製品に対する顧客の関心を測定する手段だ。

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トリッシュラー氏は次のように述べている。「私は、これは我々が取り組んでいるロボットシリーズの第1号だと思っています。これは招待制のみのプログラムです。家庭などいろいろな場所での難しさはあると思いますが、Astroを手に入れた人々がすばらしい体験をしてくれるよう願っています。長期的に消費者向けロボットを考えると、もちろんさまざまな価格帯や機能があり、その1つとしてわかりやすく主力となる製品が欲しいところです。しかしAstroは、我々が価値を作り出そうと開発当初から取り組んできたことを再確認し、我々のしてきたことが消費者にとって意味があると確かめる出発点としては良いものだと思います。2021年中にこの製品の出荷を開始し、フィードバックが寄せられることに期待しています」。

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    画像クレジット:Brian Heater
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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

新Amazon Echoデバイスは音声をローカルで処理してプライバシーをさらに強化

これまでのAmazon Echoデバイスでは、Alexaがインターネットへの接続してリクエストを処理し、レスポンスを行ってきた。しかし、Wi-Fiに接続するスマートデバイスがいつもウェイクワードを聞いていることに不安を感じる消費者も一部存在していた。Amazonは本日のイベントで、Echo Show 10と最新のEchoをはじめとするAmazon Echoデバイスは、音声情報をクラウドへ送らずにローカルで処理できるようになったと発表した。

Amazonは、自分たちはこのようなプライバシーファーストの技術をスマートスピーカーで提供する初めての企業だと主張する。2020年、Amazonは現行のAmazon Echoデバイスを動かす「AZ1 Neural Edge」プロセッサーを発表したが、新しいEcho Show 15には「AZ2」プロセッサが搭載される。同社によると、このプロセッサーは前世代に比べて22倍のTOPS(1秒間に数兆回の演算)が可能だという。

Echo Show 15は、ローカルでの音声処理に加えて「ビジュアルID」と呼ばれる新機能をサポートする。これによりAlexaは、1つのビューフレームに複数の人がいるとき、各人を認識できる。個人化されたコンテンツを送ることができるので、たとえばカレンダーの内容を尋ねたら、その日のその人の予定を教えてくれる。他の家族のスケジュールを教えることはない。

Amazonによると、このビジュアルIDもプライバシーがを基本に作られているという。この機能はオプションであるため、使用したい場合は登録が必要だ。また、すべての処理がローカルで行われ、自分のビジュアルIDはいつでも削除することができる。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ユーザーがニーズに合わせてAIを訓練、パーソナライズできるAlexaの3つの新機能

Amazon(アマゾン)は、消費者がAlexa体験をさらにパーソナライズできる3つの新機能の展開を準備している。簡単なツールを使ってAlexa(アレクサ) AIのトレーニングを行えるようにするのだ。数カ月後には、家庭内で鳴っているドアベルやインスタントポットのチャイム音などの特定の音を識別するといった仕事を、消費者がAlexaに教えることができるようになる。また、Ring(リング)ユーザーの場合は、閉まっているはずのドアが開いているといった、何かが視覚的に変化したことをAIが気づくことができるようになる。さらに、好きなスポーツチームや好みの天気予報アプリ、食べ物の好みなどを、自分の好みに合わせてAlexaにはっきり指示を出すことができるようになる。

この機能は、アマゾンが最新のEchoデバイスやその他の新しいハードウェアを発表する秋のイベントで、米国時間9月28日紹介された。

この新しい音識別機能は、Alexaがすでに提供しているAlexa Guard(アレクサガード)という機能をベースにしている。この機能は、ガラスが割れる音や、火災や、一酸化炭素の警報音など、特定の音を識別することができるため、外出中の人や耳の不自由な人にとっては、緊急事態が発生しているかもしれないことを知ることができて便利だ。さらにサブスクリプションをアップグレードすると、スマートカメラが家の外の動きを検知したときに、犬の鳴き声を再生することもできる。

このAlexaの音検知機能を、今回アマゾンは、必ずしも緊急事態ではないものへどのように利用できるかを考えている。

画像クレジット:Amazon

新機能によって、消費者は自分にとって重要な特定のタイプの音を聞き分けるようにAlexaを訓練することができるようになる。例えば、鍋のビープ音、オーブンのタイマー、開けっ放しにしておくとビープ音が鳴る冷蔵庫、ガレージのドアが開く音、ドアベルの音、水の流れる音など、繰り返し同じような音が鳴り特定しやすいものがある。

6個から10個のサンプルをAlexaに与えることで、Alexaはこの音が何であるかを「学習」する。これは、アマゾンがAlexaに他の音を学習させるためにかつては数千個のサンプルを必要としたことに比べれば大幅に削減されている。ユーザーは、Echo(エコー)デバイスやAlexaモバイルアプリから直接、Alexaに新しいカスタムサウンドを教えることができる。

ただし、登録やトレーニングのプロセスはクラウド上で行われる。とはいえ、実際の利用時の音の検出はデバイス自体で行われ、登録が終わった後にアマゾンが音声をクラウドに送ることはない。

一度学習させれば、ユーザーはAlexaがその音を聞いたときに、自分で設定した通知やルーティンを起動するように選択することができる。たとえばAlexaがドアベルの通知をFire(ファイア)TV上に表示することで、アクセシビリティの観点や高齢者介護にも役立つ可能性がある。その他にも、たとえばガレージのドアの音がしたら、Alexaが「おかえりなさい手続き」を起動して、照明をつけたり、好きな音楽をかけたりするといった日常生活を支援することができるようになるかもしれない。

アマゾンによると、Custom Sound Event Detection(カスタムサウンド・イベント検知)機能は2022年にはローンチされるという。

同様に、消費者はRingカメラに搭載されたAIを訓練して、カメラの視野上で関心のある領域を特定し、その領域が変化したかどうかを判断することができるようになる。この「変化」は今のところ、2つの状態に区別できるものでなければならない。例えば、物置の扉が開いているか閉じているかといった状態だ。バリエーションの多い、より特殊なものには対応できないかもしれない。

Custom Event Alerts(カスタムイベント通知)と呼ばれるこの機能は、数カ月以内にRing Spotlight Cam Battery(リング・スポットライト・カム・バッテリー)の利用者が使えるようになる。

Alexaの最後の新機能は、食べ物やスポーツ、スキルプロバイダーに関するユーザーの好みを、スマートアシスタントが学習できるようになるというものだ(これらのスキルはAlexaデバイス上で実行されるサードパーティの音声アプリだ)。利用者は「アレクサ、私の好みを覚えて」などということで、Alexaを教え始めることができるようになる。しかし、この学習はもっと繊細な方法でも行うことができる。例えば、Alexaに近くのレストランを尋ねた際に、続けて「アレクサ、私たちの中にはベジタリアンの人がいます」などということで、ステーキハウスを候補から外させることができる。

一方、Alexaがあなたのお気に入りのスポーツチームを学習した後は、スポーツハイライトを質問した際に、あなたのお気に入りのチームのハイライトをAIがより多く盛り込んでくれるようになる。

また、Alexaにどのサードパーティ製スキルを使用したいかを伝えれば、AIアシスタントは以降、自身のネイティブな応答ではなく、そのスキルを使用することをデフォルトとする。

とはいえ、今のところ、対応しているサードパーティスキルは天気予報だけだ。それをアマゾンは時間をかけてより多くのスキルへと拡大したいと考えている。このことは、ユーザーが起動したいスキルを覚えられないことに起因する、スキルの利用率の低さを解消することができるだろう。この機能によって「一度設定したら忘れてしまって良い」式のカスタマイズが可能になる。つまり良いスキルを見つけたら、それをデフォルトに設定することで、あとは自然な言葉で(たとえば「お天気は?」など)話すことができるようになる。

アマゾンによると、この嗜好データは匿名化された顧客IDにのみ関連付けられていて、調整も可能だという。例えばベジタリアンの人が肉も食べるように戻った場合には、次にAlexaにレストランの候補をたずねる際に「アレクサ、私はベジタリアンじゃない」ということができる。このデータは、Amazonサイトでのショッピングのお勧めをカスタマイズするためには使用されないとアマゾンはいう。

この「嗜好ティーチング機能」は、年内に利用できるようになる。

アマゾンはこれらの機能を、アマゾンが「アンビエント・インテリジェンス」(環境知性)と呼ぶものをより多くの人々に提供するという目標に向けた、さらなるステップであるとしている。

AlexaのSVPで主任サイエンティストであるRohit Prasad(ローヒット・プラサド)氏は、アンビエントAIについて「あなたのことを学び、あなたがそれに合わせるのではなく、あなたのニーズに合わせることができるものなのです」と指摘している。

「Alexaは、私にとって単なる音声言語サービスではありません。むしろ、自分の周りの多くのデバイスで利用できるアンビエント・インテリジェンス・サービスであり、環境の状態を理解し、さらには自分に代わって積極的に行動することができるものなのです」と述べている。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

米アマゾンがHaloサブスクでフィットネスと食事プランナーのサービスを提供

Amazon(アマゾン)はユーザーの健康とフィットネス、そしてHaloパーソナルヘルスデバイスに関係する2つの新サービスを導入する。Apple Fitness+のようなインタラクティブなホームビデオによるエクササイズのHalo Fitnessと、パーソナライズされたガイド付き食事プランナーのHalo Nutritionだ。

これらのサービスはいずれも、AmazonのHaloラインナップのフィットネストラッカーを使用する人向けのHalo会員サービスに含まれる。ラインナップにはOLEDディスプレイを搭載している新しいHalo Viewアクティビティトラッカーも加わる。HaloのサブスクはHalo Bandに付いてくる3カ月の無料トライアル、あるいはHalo Viewに付属する12カ月のトライアルの後は月3.99ドル(約450円)だ。Fitnessは2021年後半に提供が始まり、そして2022年1月からはNutritionも提供される。

Halo Fitnessは「業界の専門家」による「スタジオ品質のワークアウト」を提供し、Haloフィットネスバンドがとらえる心拍や心拍強度ゾーンなどの数値をリアルタイムに表示する。ワークアウトのコーチにはMichael Hildebrand(マイケル・ヒルデブランド)氏、Elena Cheung(エレナ・チュン)氏、Elizabeth Andrews(エリザベス・アンドリュー)氏らがいる。そしてワークアウトには有酸素運動、強度トレーニング、ヨガ、屋外移動クラスなどがある。

Halo Nutritionはレシピの検索や食事プラニングを提供し、食事の好みや必要に応じたメニュー、あるいはクラシック、ケト、地中海、北欧、パレオ、完全菜食、ベジタリアンといった特定の食事のためにあらかじめキュレートされたメニューを作るオプションもある。サービス開始時は、Whole Foods やWWなどのパートナーが提供する500超のレシピをライブラリーに備え、材料を探すためのAlexa買い物リストも統合している、とAmazonは説明している。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンの最新「Echo Show」は15インチの壁掛け型スマートピクチャーフレーム

Amazon(アマゾン)は先ほど、最新かつ最大の、Echo Showファミリーメンバーのベールを剥いだ。Echo Show 15は同社のスマートスクリーン技術を生かし、15.6インチ、1080pのディスプレイを壁に掛け、巨大デジタルピクチャーフレームとの二役を担わせる。

250ドル(約2万7900円)の新デバイスは、すでにEcho Show 5とEcho Show 8、さらには部屋にいる人に合わせて首を振る画面で一部の不評を買ったEcho Show 10(同じく価格は250ドル)が揃っている商品ラインへの間違いなく斬新な追加アプローチだ。新しいデバイスは、顔認識を利用して個人を認識しカスタマイズされたコンテンツを提案する新機能、Visual ID(ビジュアルID)の追加によってレベルアップを図っている。

画像クレジット:Amazon

新しい体験は、Alexa(アレクサ)ホームエコシステムのコントロールパネルのような役割を果たすカスタマイズ可能なホーム画面を中心につくられている。機能は主にカスタマイズ可能なウィジェットを通じて実現されていて、カレンダーイベント、ToDoリスト、レシピなどを追加できる。デジタルホワイトボートか冷蔵庫に貼られたマグネットのようでもある。他に、防犯カメラや玄関インターホンの映像を1つのウィジェットで見られるスマートホームコントロールもある。

Echo Show 15の明確な強みの1つは画面の広さだ。これはさまざまな情報を同時に見られることを意味していて、タイリング効果やピクチャーインピクチャーなどを使って、玄関ベルが鳴った時など特別な状況下でビデオを表示できる。実際これは、Samsung(サムスン)のスマート冷蔵庫の扉で見るような夢の機能を、何千ドルも払うことなく実現していると言えるかもしれない。

これ以外にもこのデバイスは、現在Echo Showに期待することはおよそ何でもこなし、実質的に大きなキッチンテレビとして機能する。たとえばPrime Video(プライムビデオ)、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)、Sling TV(スリングTV)などのストリーミングが可能だ。最後のSling TVはTikTok(ティックトック)のコンテンツとともに近日提供される予定で、好きな人は15.6インチの画面で見られるようになる。

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1080pのスクリーンの左右にはサイドファイアリング方式スピーカーが付いている。短いビデオクリップには十分だろうが、ストリーミング・ミュージックや映画、テレビなどを長い時間鑑賞するつもりなら別のEchoかBluetoothスピーカーとつなぎたくなるだろう。

カメラは大きめのベゼル(額縁用語にこだわるなら「マット」)に組み込まれている。この場合、白い縁取りが右上隅にある5メガピクセルカメラの存在を際立たせているのは良いことだ。隠しカメラのような存在は、間違いなくプライバシー問題の元になるが、少なくともここでは鮮やかな15.6インチ画面の横に白い背景にくっきりと黒い円形が見えている。、

画像クレジット:Amazon

デバイスはビデオチャットにも使用可能なので、Alexa for Businessを職場へのハードウェア進出手段として推進しているAmazonにとって、いずれ興味深い提案商品になるだろう。予算が厳しくたくさんの会議室のある会社向けの(比較的)低価格なリモート会議デバイスとして、この商品が使われることが想像できる。使っていないときには天気予報や社内イベント、会議室予約などをカレンダーに表示することもできる。Amazonが本格的にIT部門に売り込むことになれば興味深い。

カメラをふさぐ物理的遮断ボタンがついているらしい(未確認)。しかし私ならAirbnbで泊まった部屋にこれが掛けられていたら、コンセントを抜いて裏返しておくだろう。もちろん私はEcho Show 10の顔追跡機能を特に気味悪がった1人なので、そう思って読んでいただきたい。2020年、Amazonがその機能を発表したとき、顔の細かい特徴は追跡に使っていないとすかさず指摘していた。

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ここでもAmazonは、Visual IDを利用するにはユーザーがオプトインして自分の顔を登録必要があることを強調した。ユーザーは、気が変わったら、自分のプロフィールをデバイス上でもAlexaアプリからでも削除できる。この機能はカメラを内蔵した同社のさまざまなShow製品全体に今後搭載されていくと私は予想している。ディスプレイはAmazonが最近発表したクアッドコアAZ2チップ(2020年のAZ1の後継)とオンボードのニューラルプロセッサーが駆動する。このカスタムビルトインチップはほとんどの処理をボード上で実行するので、Visual IDのデータをクラウドに送ることはない。しかしながらAmazonの顔認識にまつわる過去の経緯を踏まえると、この機能がプライバシー擁護派の間で懸念を呼ぶことはまず間違いない。

関連記事:アマゾンが顔認識技術を地方警察には1年間提供しないと表明、FBIへの提供についてはノーコメント

Show 15は2021年初めにベータ版が公開されたSound Detection(音声検知)機能の改訂版を搭載している。当初この機能は、ガラスの割れる音や赤ん坊の鳴き声などの決められた音を検知し、その時点でアカウント所有者に警告を送るように作られていた。新たに追加されたCustom Sounds(カスタム・サウンド)は、デバイスに音を聞かせることで実質的にシステムを訓練することができる。

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Echo Show 15の価格は250ドルで、2021年中に発売される。実際に商品を近くで見ていないので製造品質について語ることはできないが、この価格からは、単なるデジタルフォトフレームのスケールアップ版以上のものを期待したい。壁に掛けたりカウンターやテーブルの上に常時置かれるものなのでなおさらだ。この商品は、多かれ少なかれ背景に溶け込むようにデザインされていた初期のスマートスピーカーに対する事実上のアンチテーゼだ。カウンタートップスタンドとキャビネットマウントも用意されているが別売りだ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook