Armはチップ設計に集中、大成功中のIoT事業は分社化してソフトバンク直轄に

米国時間7月7日、ArmはIoT事業をスピンオフしてソフトバンクグループ直轄の企業とする計画を発表した。ソフトバンクはアーキテクチャが多くのモバイルデバイスに採用されているArmを2016年に買収している。今回のArmの決定は同社をチップ設計に集中させることでモバイルIP事業おける地位をさらに強化しようとするものだという。

Armは事業分離について「今後、取締役会による承認に加えて規制当局の審査を必要とする」としており、こうした手続は2020年9月中に完了する見込みだ。現在ArmのIoT事業はIoT PlatformとTreasure Dataの2部門を内容とするISG(IoTサービスグループ)に集約されているが、同グループをスピンオフした後も密接な協力関係を続けていくという。Arm本体はIoTのデータ処理ソフトウェアとサービスをスピンオフする一方、チップ設計のIPは本体に残す。

ArmのCEOであるSimon Segars(サイモン・シガース)氏はプレスリリースでデータとコンピューティングハードウェアは今後も共生的に大きく成長していくとして、「ソフトバンクは初期段階の急成長ビジネスの運営に経験とノウハウがあり、ISGの企業価値を最大化するために最適だ。Armは将来に向けた発展のロードマップの中心をIPとしており、(チップ設計に特化することで)この立場はいっそう強化される。パートナーに対する幅広い分野におけるコンピューティングのソリューションとサポートの提供もさらに充実できる」としている。

ArmのIoTビジネスは大成功を収めている。Armアーキテクチャを採用したチップは市場の数十億のデバイスに搭載されており、次の目標である1兆台搭載も10年以内に可能になると見られている。

画像クレジット:Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップル、Mac搭載CPUをARMベース独自製品「A12Z SoC」に移行

Apple mac A12Z SoC

Apple(アップル)は6月23日、開発者向けカンファレンス「WWDC20」の基調講演において、Mac搭載CPUをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品「A12Z SoC」に変更すると発表した。

 

A12Z SoC

Universal Binary(ユニバーサルバイナリー)をもとにしたUniversal 2(ユニーバーサル バイナリー 2)技術を利用しており、Intel(インテル)向けバイナリーとApple Silicon向けバイナリーを単一のアプリケーション内に同梱するような形態となっている。またRosettaや仮想化技術を利用し、従来ソフトウェアの動作も可能としている。

このほか、iOSアプリなども次期macOS「macOS Big Sur」(ビッグサー)上で動作可能となった。

詳細は追って掲載する。

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Bloomberg(ブルームバーグ)は、「Apple(アップル)は早ければ今月下旬にもMacのCPU変更を正式に発表する」と報じた。発表は6月22日からオンラインで開催されるWWDCで行われる可能性もあるということだ。アナリストや業界の噂は何年も前から同社がMacのチップをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品に変えようとしているといっていた。

同社はWWDCでこれまで何度もmacOSやiOSなど重要ソフトウェアのバージョンアップの将来計画を発表している。実施に先立ってデベロッパーがソフトウェアを準備するのを助けるためだ。またWWDCは長年にわたって新しいMacBookやiMacなど、多数のMacハードウェアの発表の場となってきた。

ブルームバーグは「ARMベースのMacへの移行計画がここで発表されるなら、デベロッパーへの事前通知になる」と述べている。すぐに利用できるハードウェアの発表ではないが、2021年にリリースされるはずのARMベースのMac向けソフトウェアを準備する時間をデベロッパーに与えるために役立つだろうという。ただしARMベースのMacハードウェアが製造されるのははるか先であるため、発表のタイミングは変わる可能性もあると記事は注意している。

アップルがMacのプロセッサのアーキテクチャを全面的に変更するのはこれが最初ではない。2006年に同社はCPUベースをPowerPCからIntelに変えた。 切り替えが発表されたのは前年、2005年のWWDCだったが、これもデベロッパーに約半年の準備期間を与えるためだった。

ブルームバーグは4月に「アップルはARMベースのMacの販売を来年開始する計画だ」と報じている。アップルはARMアーキテクチャに基づいて、3種類のプロセッサを社内で開発しMacの試作機でテストしているという。同社はARMベースの独自開発のプロセッサをiPhone、iPadなどのiOSデバイスで数世代前から使っている。同社のエンジニアリングの能力は極めて優れており、独自CPUは、Macシリーズで使われているインテルチップよりもはるかに電力効率が高く、ほとんどあらゆる点で優れているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ARMは若いスタートアップにチップ設計への無料アクセスを提供

今年はハードウェアメーカーにとって、すでに波乱のスタートとなっている。新型コロナウイルス(COVID-19)が最終的に市場にもたらす本当のインパクトは、まだ見え始めたばかりだ。Apple(アップル)からQualcomm(クアルコム)、さらにSamsung(サムスン)まで、多くの会社が使うチップのベースを提供する英国の会社であるARMは、そうしたチップの75%におよぶ設計情報を、選抜されたスタートアップに提供することで開発を促進しようと考えている。

画像クレジット:PAU BARRENA/AFP/Getty Images

この戦略は、同社のFlexible Access(フレキシブルアクセス)と呼ばれるプログラムを拡張するもの。それによってARMは、まだ初期段階にあるスタートアップに対し、同社の持つ知的財産へのアクセスを提供する。大手企業の場合、そうした情報を得るためにARMに多額の料金を支払う必要がある。しかしそうした費用は、これから事業を始めようとする会社にとっては法外なものとなりかねない。

「現在のような困難なビジネス環境では、イノベーションを可能にすることが不可欠です。卓越したアイデアを持つスタートアップは、成功し、拡大していくための最速かつ最も信頼できる手段を、今はこれまで以上に必要としています」と、ARMの上級副社長、ディプティ・ヴァチャニ(Dipti Vachani)氏は声明で述べている。「ARM Flexible Access for Startupsは、半導体業界への新規参入者に、プロトタイピングを成功させるための高速でコスト効率の高いパスを提供します。その結果として、将来の資金調達のため、投資家からの信頼を強化することができるでしょう」。

これは、これからスタートアップを始めようとする人にとって心強いアクセスとなるはずだ。もちろんARMは、単なる良心からこうしたことを行っているわけではない。この業界は、ここ数年、投資と成長の勢いが増していた後で、今、前例のない減速に見舞われている。そうした中で同社は、ハードウェアのスタートアップの育成を支援することに強い関心を持っているのだ。

この話に興味のある人は、ここから利用可能な知的財産の完全なリストにアクセスできる。ARMは、Flexible Access for Startupsの制度によって、企業が製品を市場投入できるまでの期間を最大1年は短縮できると考えている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ARMは新しいCPUのCortex-MとNPUのEthos-UでAIに注力

ARMは米国時間2月10日、2つの新しいプロセッサーを発表した。あるいは、見方によっては1個半というべきかもしれない。世界中の大半のスマホやスマートデバイス用のチップを設計し、パワーを供給する同社は、最新のCortex-Mプロセッサ(M55)とArm Ethos-U55マイクロ・ニューラル・プロセッシングユニット(NPU)を発売した。

画像クレジット:SAM YEH/Contributor/Getty Images

前任機同様、新しいCortex-M55も、Armの組み込みデバイス向けのプロセッサーだ。これまでにArmのパートナーは、Cortex-Mのデザインに基づいて、500億個以上のチップを製造した。この最新バージョンは、もちろんさらに高速で、電力効率にも優れているが、Armとしては主に機械学習のパフォーマンスに重点を置いたものとなっている。Armによれば、M55は、ベクトル計算を高速化するためのArm独自のHeliumテクノロジーに基づく最初のCPUであり、MLモデルの実行が以前のバージョンよりも最大15倍速くなっているという。

多くのユースケースでは、M55はもちろん十分に速い。しかしさらにMLパワーを必要とする場合には、Ethos-U55が、デバイスメーカーにそのパワーを提供できる。これなら、Cortex-Aのエコシステムにステップアップする必要もない。ArmのスタンドアローンのEthos NPUと同様、これらのチップは機械学習のワークロードを高速化することができる。ただしU55はシンプルな設計となっていて、M55、M33、M7、M4など、最新のCortex-Mプロセッサとの組み合わせでのみ動作する。両者を組み合わせて使うことで、機械学習のパフォーマンスを最大480倍まで高速化できる。

「近年を振り返ってみると、人工知能はクラウド上でのデータ分析の方法に革命をもたらしました。そして、特に今日のスマートフォンのユーザー体験を増強したのです」と、Armのプロダクトマネージメント担当取締役、トーマス・ローレンサー(Thomas Lorenser)氏は語った。「しかし、次に来るもの、あるいは次のステップは、私にとってさらにエキサイティングです。どこでもAIを利用できるようになるのです。そしてAIのメリットが、マイクロコントローラーによるIoTエンドポイントでも享受できるようになります。つまり、はるかに大規模なユーザーとアプリケーションにも届くのです。その規模は、文字通り数十億以上にもなるでしょう」。

この言葉が、Cortex-MとEthos-Uの組み合わせの意味をよく表している。ここでのアイデアは、より多くのパワーを隅々にまでもたらすということ。多くのユースケースでは、クラウドへデータ送信するのは非現実的なのだ。ローレンサー氏も強調したように、無線通信によってクラウドにデータを送信するのは、AIモデルをローカルで実行するよりも多くのエネルギーを消費することになりかねない。

「初期のAIの議論の多くは、クラウド空間での処理についてのものが大勢を占めていたでしょう。しかし私たちが注目してきたのは、IoT空間でのイノベーションであり、実際の実装と展開です。これは大規模なものであり、非常にすばらしいユースケースがあります」と、Armの機械学習のコマーシャルおよびマーケティング担当副社長、デニス・ローディック(Dennis Laudick)氏は付け加えた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AWSが最大7倍高速なARMベース次世代プロセッサ「Graviton2」を発表

Amazonのクラウド部門でありAWSは、ARMベースの次世代プロセッサであるGraviton2発表した。7nmアーキテクチャを採用したカスタムチップで、64ビットのARM Neoverseコアを採用している。

第1世代のGravitonプロセッサー(A1)と比較すると、今回の新しいチップはA1インスタンスに対して最大7倍のパフォーマンスを発揮する場合もある。浮動小数点演算のパフォーマンスも2倍だ。メモリチャネルも増強され、キャッシュによるメモリアクセスははるかに高速になっているはず。

同社は、現在3種類のGraviton2のEC2インスタンスに取り組んでいて、いずれもまもなく利用可能になる。末尾に「g」が付いたインスタンスは、Graviton2チップを搭載している。「d」が付いたものは、NVMeタイプのローカルストレージを装備していることを意味している。

3種類のインスタンスは以下のとおり。

  • 汎用のインスタンス(M6gとM6gd)
  • 数値計算に最適化したインスタンス(C6gとC6gd)
  • メモリを最適化したインスタンス(R6gとR6gd)

最大64個のvCPU、512GBのメモリー、25Gbpsのネットワーク機能を備えたインスタンスを選択可能だ。ARMベースのサーバーは、単なる一時的な流行というわけではない。すでにAWSでは、ARMベースのインスタンスのコスパが、x86ベースのインスタンスと比較して40%も優れていることを確約している。

AWSは、OSのベンダーや独立系のソフトウェアベンダーと協力して、ARM上で実行できるソフトウェアのリリースを支援している。 ARMベースのEC2インスタンスは、Amazon Linux 2、Ubuntu、Red Hat、SUSE、Fedora、Debian、およびFreeBSDをサポートしている。さらに、Docker、Amazon ECS、およびAmazon Elastic Kubernetes Serviceといったいくつかのコンテナサービスでも動作する。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルにARMの主席CPU設計者が入社

Apple(アップル)はここ数年、製品に使われる部品を製造する際に、サードパーティに依存する必要のない世界を明らかに夢見てきた。ハードウェアメーカーの大手として、自社製チップを採用することで、すでにその方向に着実に歩み出していた。そして最近の雇用は、それをさらに推し進めることになった。

LinkedInのアカウントによると、半導体メーカーARM社での10年間におよぶ勤務を経て、同社の主席CPUアーキテクトだったMike Filippo氏は、先月Appleに入社した。この動きは、Appleのチップデザインの責任者だったGerard Williams III氏が、この3月に退社したことを受けてのものだと見られている。Filippo氏は、その役割に完全に適しているように見える。実質的に世界中どこでも使われているARMの設計に、重要な役割を果たしてきたからだ。彼は、数年間IntelやAMDでも働いた経験を持つ。

ARMは、ブルームバーグ誌に掲載された声明で、Filippo氏の退社を認めている。「Mikeは、長年に渡りARMコミュニティにとって重要なメンバーでした」と同社は述べている。「私たちは、彼のこれまでの努力のすべてに感謝し、今後の仕事がうまくいくことを願っています」。一方のAppleは、この動きをまだ正式には認めていない。

Appleは、できるだけ多くの部品を自社開発しようとしてきた。もうだいぶ前から、Macシリーズ用としてIntelプロセッサの使用を止めるのではないかと噂されてきた。これもまた長い間噂されているARヘッドセットの開発にも、自社製のチップで取り組んでいると言われている。

完全にゼロからの製品開発を社内で遂行することは、単に長年の願望というだけでなく、他社への依存を大きく減らすことにもつながる。しかしこのような展開は、5G iPhoneの発売に向けて、Qualcommとの関係を改善しようという最近の動きとは対照をなすものだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ARMが新しいCPUとGPU、そして機械学習チップを発表

ARM(アーム)は、世界でほとんどのスマートフォンが使っている基本チップを設計している会社だ。米国時間5月27日に同社は、高級スマートフォン向けの次期チップデザインを発表した。このデザインに基づいて作られたチップの完成にはまだ時間がかかるだろうが、これまでの例にならえば年末までには最初のチップを見ることができると思われる。今回同社は、Cortex-A77 CPU、Mali-G77 GPU、および省エネルギーを強化した機械学習プロセッサーを発表した。

最近のトレンドを踏まえると、新しいCortex-A77が総合性能の改善だけに焦点を当てていないことは驚きではないが、前世代に比べてIPC性能を20%改善したと同社が約束している点は見逃せない。ハードウェア、ソフトウェア一体となった最適化のおかげで、Cortex-A77は機械学習性能も著しく改善されている。

機械学習プロセッサーも提供している同社がなぜ、そこを強調するのか?ARMによると、現在専用のニューラルプロセッサーを使用しているスマートフォンはほとんどない。実際、スマートフォンの85%はCPUのみまたはCPU+GPUの組み合わせで機械学習の負荷を受け持っている。また、アクセラレーターが利用できる場合でも、それがGPUであれ専用機械学習チップであれ、そこにタスクを引き渡すのはCPUだ。

他の新世代ARM CPU同様、Cortex A77もエネルギー効率および生の性能の改善を約束している。実際ARMは、2013年以来性能を4倍にしたと言っている。

同社はモバイルゲーミングにも賭けている。その延長線上にはモバイルVRやAR体験がある。新しいMail-G77 GPUアーキテクチャは、同社のValhall GPUデザインをベースにした最初のチップであり、G76の1.4倍の性能を約束している。エネルギー効率も30%向上し、機械学習の推論とニューラルネットワークの実行は60%速くなった。

機械学習プロセッサーに関して、ARMはすでにProject Trilliumという、同社CPUと組み合わせて使用する異機種間機械学習処理プラットフォームを提供している。昨年Trilliumを発表して以来、同社はエネルギー効率2倍、最大8コアで32 TOP/秒のスケールドパフォーマンスを実現している。

「新しいスマートフォン体験は、高いハードウェア性能と新たなソフトウェアイノベーションを可能にする機能によって作られる。デベロッパーにとってCPUは、一般計算のみならず機械学習も扱うこれまでになく重要な存在になっている。没頭姓の高いAR/VRアプリケーションや高画質のモバイルゲームなどでも同様だ」と同社が発表文で述べた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ARMが米方針に従いファーウェイとの取引を停止

米トランプ大統領によるHuawei(ファーウェイ)を苦境へと追いやるドミノ倒しが続いている。BBCの報道によれば、ARMの内部メモには「すべての進行形のコンタクト、サポート、エンタイトル(資格)、未決定の契約を一時停止する」という決定が記されていたという。

ARMは英国ケンブリッジに拠点をおいているが、米国をベースとする技術を利用しているため、貿易問題の影響を受けると考えている。この動きは、スマートフォンのようなデバイスから米国の技術を排除することが最終的にどれだけ難しいかを示している。そして、多くの人が最終的にファーウェイを破滅に追い込むかもしれないと考えているのだ。

ファーウェイはTechCrunchにたいして、標準的な反応とふたたび政治に関する考えを回答している。「我々はパートナーとの密な関係を大事にしているが、政治的動機にもとづく決定により、いくつかのパートナーがプレッシャーにさらされていることを認識している」「この残念な状況は解決されうると確信しており、世界最高の技術とプロダクトを世界中の顧客に届けることが我々の優先事項だ」

Google(グーグル)は米商務省による「貿易ブラックリスト」へとファーウェイが追加されたことに真っ先に対応した企業で、Androidのサポートを引き下げた。Microsoft(マイクロソフト)はこの事態について、沈黙を守っている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

AWSがEC2向けARMベースのサーバを発表

ラスベガスで開催されているre:Inventカンファレンスで、AWSは本日(11月26日)、EC2クラウドコンピューティングサービス向けの、ARMベースのサーバーを立ち上げたことを発表した。しかし、使われているのはありふれたARMチップではない。AWSは標準のARM Coreを採用し、それをニーズに合わせてカスタマイズしたのだ。同社によれば、そのAWS Gravitonという名前のプロセッサは、多数の小さなインスタンにまたがって分散可能なワークロードの、スケールアウトに焦点を当てて、性能とコストが最適化されているということだ。

A1と呼ばれる最初のインスタンスセットは、米国とヨーロッパの多くのAWSリージョンで利用可能になった。オンデマンド、リザーブドインスタンス、スポットインスタンス、専用インスタンス、専用ホストといった、AWSのすべての標準インスタンス価格モデルをサポートしている。

現段階では、これらのマシンのOSとしては、Amazon Linux 2、RHEL、そしてUbuntuしか利用することができない。だがAWSは将来的には追加のオペレーティングシステムサポートが提供されることを約束している。

これらはARMサーバーなので、当然ながらアプリケーションを実行する前には、全てのネイティブコードを再コンパイルする必要がある。しかし、実質的にスクリプト言語で書かれたほとんどのアプリケーションは、おそらく何の変更も必要なく実行できるだろう。

これらのインスタンスの価格は、1 CPUと2 GiBのRAMを搭載したa1.mediumマシンの場合1時間あたり0.0255ドルから始まり、16 CPUと32 GiBのRAMを搭載するマシンでは0.4080ドル/時間に達する。 X86ベースのt3.nanoサーバーが0.0052ドル/時間から始まることを考えると、期待したほど安くはないかもしれないが、もちろんスポットインスタンスを使うことで、いつでもかなりの節約をすることが可能だ。とはいえ、ベンチマークを実際に見るまでは、こうした異なるタイプのマシンを比較することは難しい。

AmazonのJeff Barrが本日の発表で指摘したように、同社のいわゆるNitro Systemへの移行によって、より速いチップ上で新しいインスタンスタイプを起動することが可能になった。Nitroは基本的に、新しいインスタンスタイプを作成するためのビルディングブロックを提供し、必要に応じてチームがそれを混ぜ合わせたり組み合わせたりすることができる。

AWSが今月初めにAMD EPYCプロセッサのサポートを開始したことも注目に値する。

AWS re:Invent 2018カバレッジ

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(翻訳:sako)

ARM入りしたトレジャーデータ、芳川裕誠CEOはTC Tokyoで何を語るのか?

A1O8H0568日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」まで2カ月を切った。今年は11月15日(木)と16日(金)の2日間、東京・渋谷ヒカリエで開催される。現在「前売りチケット」(3万円)と、企業やまとめ買い向けの「団体チケット」(2万円)が発売中だ。団体チケットは5枚以上の一括購入が前提となるが、前売りチケットよりもオトクなのでぜひ購入を検討してほしい。

TC Tokyoに登壇するスピーカーも続々決まっている。今回はトレジャーデータ(Treasure Data)の共同創業者で、現CEOの芳川裕誠氏を紹介したい。トレジャーデータといえば、ソフトバンクグループ傘下のコンピュータチップ設計企業ARMが、約6億ドル(約666億円)で買収した話題の企業。同社は米国に本拠を置くビッグデータ分析企業で、2011年に芳川氏ら3人の日本人がシリコンバレーにて立ち上げた。

同社では多種大量なデータを即時に収集・分析し、外部システムとの連携を実現するクラウドベースのデータ管理基盤を構築。スマートウォッチから自動車まで、グローバル企業を含む300社以上のデータマネジメントをサポートしてきた。現在同社のプラットフォームでは1秒あたり200万件ものイベントを処理し、1日あたり数十万のクエリと50兆件のレコードを処理しているという。

今回の買収により、ARMではデバイスからデータまでを一貫して管理できるIoTプラットフォームの実現を目指していく方針だ。具体的にはトレジャーデータと同じく最近買収したストリームテクノロジーズ(Stream Technologies)の持つ技術をIoTデバイス管理サービス「Arm Mbed Cloud」と融合。あらゆる規模のIoTデバイスおよびデータを、シームレスかつセキュアに接続し管理できるプラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform」を提供する。なお芳川CEOは、ARMのIoTサービスグループにおいてデータビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーも務めている。

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芳川CEOにはTC TokyoのFireside Chatで、日本人が異国の地で創業した理由や苦労したことなど、興味深い創業ストーリーを語っていだだく予定だ。また、近年あらゆる分野で重要度が増しているビッグデータ解析についてもじっくりと話を聞きたい。

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Armは進化したモバイルチップのラップトップ適性を確信、向こう二年間が勝負と

世界中のほとんどすべてのスマートフォンやIoTデバイスで使われているチップを設計しているArmが今日(米国時間8/17)、今後二年間のロードマップを発表した。Armがそんなことをするのはこれが初めてだが、その理由はたぶん、同社のチップをラップトップにも持ち込みたいという意欲を、強調するためだろう。

今のところ、Armベースのラップトップといえば、遠く途(みち)半ばだが、でも最近Microsoftは、常時接続のWindowsラップトップという構想でArm方向へ大きく舵を切ろうとしている。それは理論的にはすごいかもしれないが、その一回の充電で一日中動くラップトップは、パフォーマンスでx86チップにかなわないだろう。でもArmは、そのギャップは急速に閉じつつある、パフォーマンスと電池寿命のもっと良いバランスを提供できる、と言っている。

それどころか、ArmのマーケティングプログラムのシニアディレクターIan Smytheは、同社の次世代アーキテクチャをIntelの中級機Core i5と、堂々と比較している(下図)。

Smytheは今日の記者発表の席でこう述べた: “画面の大きなデバイスに映像を満足に表示できるのも、コンピューターの性能アップのおかげだ。そして弊社のビジョンは、これまでのモバイルのイノベーションの力を借りてラップトップのパフォーマンスを上げることだ。そのためにはファウンドリと協力して、今日と明日の最先端のチッププロセスでそのパフォーマンスを実現しなければならない”。

Armが発表したロードマップはそれほど詳細ではないが、でも今年同社はCortex-A76アーキテクチャを製品化するだろうし、そのためにパートナーのファウンドリは10nmと7nmの両方のプロセスを使うだろう。そして来年同社は、Deimos CPUsをローンチするが、こちらはすべて7nmのプロセスだろう。2020年になれば、Herculesプロセッサーを7nmと5nmのプロセスでローンチする(下図)。

それらの裸の計算性能では、A76はIntel i5と競合し、Armは5WのTDPを約束している。単純に物理的な計算性能だけでコンピューターの実用性能が決まるわけではないが、あえてそれを持ち出すのは、Armとそのパートナーたちのラップトップ市場に賭ける意欲を表している。そして同時にまた、スマートフォンもより強力になるのだ。

しかし、Armのプロセッサーが本当にラップトップ市場に食い込むことができるのか? Smytheは、それを確信している: “各回のイノベーションがもたらす破壊的進化により、その都度、新たな機会が作られる。そのときわれわれが有利性を示すことができれば、ラップトップ市場にわれわれの足場が作られて、それが大きくなる。今度のArmデバイス上のWindowsという初の試みも、そんな機会の一つであり、今後のCortex A76ベースのデバイスとその先には、それらがもたらす能力と破壊的進化により、今あるものを超えた機会が開けるだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ArmがIoT事業というパズルの最後のピースとしてデータ管理のTreasure Dataを買収

あなたがたぶん今でもARMという名前で覚えておられる思う半導体企業Armが今日(米国時間8/2)、大企業向けのデータ管理プラットホームTreasure Dataを買収したことを発表した。買収価額等は公表されていないが、今朝のBloombergの記事は6億ドルと言っている。

この買収は、Armの新事業であるIoTのサポートが目的だ。Treasure Dataの得意技は、IoTなどのシステムが吐き出す大量のデータストリームの管理である。IoTのほかにも、CRMやeコマースなどのサービスがやはり、Treasure Dataが扱うような大量のデータストリームをコンスタントに作りだす。

これよりも前にArmは、IoTの接続性管理のためにStream Technologiesを買収している。そこで同社は曰く、Treasure Dataの買収は、IoTの実現というパズルの“最後のピースだ”、と。その完成したパズルはArm Pelion IoT Platformと呼ばれ、StreamとTreasure DataとArmの既存のMbed Cloudを一つのソリューションにまとめ、IoTのデバイスとそれらが作りだすデータを接続し管理する。

Treasure Dataは以前と変わらず操業を続け、新しいクライアントと既存のユーザーの両方に奉仕する。そしてArmによると、“IoTの重要な部分として新しい複雑なエッジとデバイスのデータにも対応していく。そして顧客の総合的なプロフィールの中で彼らのプロダクトを個人化し、それらの体験を改良する”、のだそうだ。

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ShippableとARMとPacketがパートナーしてARMベースのサーバーにCI/CDプラットホームを提供

継続的インテグレーションとデリバリー(CI/CD)の市場は、その大半がハイエンドのx86サーバーにフォーカスしているが、しかしARMベースのサーバーの出現により、ARMサーバーの上でネイティブに動くソリューションへの需要も芽生えてきた。そしてその気運に乗ったCI/CDプラットホームShippableは今日(米国時間7/9)、ベアメタルのホスティングプラットホームPacketおよびARMとパートナーして、まさにそのようなソリューションを提供しようとしている。

そのパートナーたちは、ARMベースのサーバーの採用が増えているのだから、デベロッパーはそれらをネイティブにサポートするCI/CDプラットホームが必要だ、と主張する。“正しいインフラストラクチャの上でテストできることが、楽しめるビルドプロセスと苦痛なプロセスをわける境界だ。エッジやIoTなど今急成長中の分野につきものの、多様なハードウェア環境ではとくにそう言える”、とPacketのCEO Zac Smithは言う。“Shippableは最初からARMをサポートしているので、その速いビルドとシンプルなワークフローの組み合わせは、他に類がないほど強力だ”。

Packetは現在、比較的強力なARMベースのマシンを1時間$0.50(50セント)で提供しているが、競合他社も多くて、たとえばScalewayはメニューがもっと豊富だ。

当然ながらShippableはPacketのARMマシン上に同社がホストするCI/CDプラットホームを提供し、その上でデベロッパーは32ビットおよび64ビットのアプリケーションを構築できる。オープンソースのプロジェクトを動かしているなら、そのワークフローのビルドとテストに無料でアクセスできる。

このようなコラボレーションがここでも再度強調しているのは、Packetのようなセカンドティアの(== あまりメジャーでない)クラウドプロバイダーと、彼らの周辺にあるデベロッパーツールのエコシステムは、パートナーシップを武器としてAWS, Google, Microsoftのようなハイパースケールなクラウドベンダーに対抗する、というパターンだ。たとえばPacketは最近、このほかにPlatform 9やBackblazeなどともパートナーシップを組んだ。今後このような動きが、さらに多くなると予想される。

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ARMのCEO Simon SegarsのSpectre/Meltdown観、そしてIoTのセキュリティについて

今年のCESは、SpectreとMeltdownに呪われていた。会場内の会話のほとんどが、どこかで必ず、この話題に触れていた。なにしろCESだから、われわれが会う人の数も多く、そしてその中にはこの問題に近い人も多い。今回はその一人、ARMのCEO Simon Segarsに、本誌TechCrunchのブースまで来ていただいて、その対応策などについてうかがった。

また、IoTやAIなど、同社の今後の大きなビジネス機会についてもお話を聞いた。同社の設計をベースとするチップはすでに1200億あまりのデバイスで使われているが、次のフロンティアである新しい技術分野は、さらに大きな機会を同社にもたらす。“IoTの普及により、数億どころか兆のオーダーのコネクテッドデバイスが出現する”、とSegarsは語る。

SpectreとMeltdownに関しては、その脆弱性の公表により、あらためて、今日の世界に膨大な量のマイクロプロセッサーがあることが人びとの意識にのぼった。しかしSegarsが強調するのは、この脆弱性が一部の高性能なチップに限られていること。彼によると、ARMがライセンスし、過去に販売されたチップのわずか5%が、危険にさらされるだけだ。

Segarsが今回明言できなかったのは、ハードウェアとソフトウェアのベンダーが今リリースしているパッチによって、ARMにとっての性能低下は起きるのか、という点だ。“率直に言って、それを言うのはまだ早すぎる”、とSegarsは述べる。“それは、ユースケース次第という面がとても大きいだろう…つまりアプリケーション次第、ということだ”。

しかし彼は、一部のハイパフォーマンスなユースケースではペナルティがありえる、と考えている。“しかしそんな場合でも、Webの閲覧やメールのような一般的なユースケース、そしてモバイルデバイス上の膨大な量のユースケースでは、誰も違いに気づかないだろう”、という。

インタビューの全体を、下のビデオでご覧いただける。

画像提供: Tomohiro Ohsumi/Getty Images



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleのProject ZeroチームはCPUの重要な欠陥を昨年発見していた

数分前(米国時間1/3)に公開されたブログ記事でGoogleのセキュリティチームが、今朝発表されたチップの脆弱性からGoogle Cloudの顧客を守るために彼らがやったことを述べている。その記事によると、この脆弱性は同社のProject Zeroのチームが昨年…時期不詳…発見していた。

発表によると、同社はその問題をチップのメーカーに報告した。それは、“投機的実行”と呼ばれているプロセスによって起きる。それは、CPUが次にやるべき命令を論理的に推測して実行し、処理速度を上げる、という高度なテクニックだ。そしてその機能に隙(すき)があり、悪者はそれを利用して、暗号の鍵やパスワードなどメモリ上の重要な情報にアクセスできる。

Googleによるとこれは、AMD, ARM, Intelなどすべてのチップメーカーに見られる現象である(AMDは否定)。Intelは、一部で報道された、脆弱性はIntelのチップのみという説を、同社のブログ記事で否定している。

Googleのセキュリティチームは、この問題を知った直後からGoogleのサービスを護るための措置を開始した、と書いている。早期に一般に発表しなかった理由は、調整版のリリース予定が来週(1月9日)だったため、という。そしてこのニュースがリークしたために、GoogleやIntelなどの関係企業は、情報を公開して憶測を終わらせることを選んだ。

なお、Google Apps/G Suiteには、被害が及んでいないので、ユーザーは何もしなくてもよい。そのほかのGoogle Cloudのユーザーは、何らかのリスク対策が必要かもしれない。ユーザーのアクションを必要とするプロダクトやサービスは、このページに詳細が載っている。

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Apple、iOSとmacOSのARM版カーネルをオープンソース化

AppleはmacOSの主要なリリースの後、常にカーネルを公開してきた。このカーネルはiOSデバイス上でも動作する。macOSとiOSが同じ基盤の上に作られているからだ。このほどAppleは、最新バージョンのカーネルをGitHubでも公開した。あわせてカーネルのARMバージョンも初めて目にすることができる。

先へ進む前に、まずはコンピューターの歴史を少し話しておくべきだろう。macOSの最初のバージョン(当初はMac OS Xと呼ばれていた)は2001年に登場した。ベースとなったNeXTSTEPは、NeXTのために作られたオペレーティングシステムだ。スティーブ・ジョブズは1985年にNeXTを創設し、1997年にAppleに売却した。そしてAppleはMac OS Xの基盤としてNextSTEPを使う決断を下した。

NeXTSTEP自身、オープンソースプロジェクトのBSDに由来している。今あなたが使っているかもしれないMacが、オープンソース技術に強く依存している理由はそこにある。それはAppleが毎年macOSのごく小さな部分をリリースする理由でもある。これをコンパイルして自分専用バージョンのmacOSを動かすことはできないが、このカーネルのソースコードに関心を持つデベロッパーもいる。

iOSはどうなのか? 2007年にスティーブ・ジョブズが最初のiPhoneを発表したとき、iPhoneのオペレーティングシステムはmacOSの派生物だと言った。「今日みなさんに、ソフトウェアのブレークスルーをお目にかけます。ほかのどの携帯電話よりも5年以上先を行くソフトウェアです。どうやってそれができたのでしょう? 実はある強力な基盤を元にしました ― iPhoneではOS Xが動いています」ジョブズはそう言った。「なぜ携帯端末にそんな高度なオペレーティングシステムを使うのでしょう? そこには私たちに必要なものが全部入っているからです」

AppleはこのオペレーティングシステムをiPhone OSと呼ぶようになり、後にiOSになった。iOSはフローティングウィンドウがないなどmacOSの完全なコピーではない。しかしiOSとmacOSは、Darwinと呼ばれる同じUnixベースのコアをはじめ多くのフレームワークを共有している。Apple WatchとApple TVも、やはりDarwinに依存するiOSの派生システムを使用している。

そういうわけで、ARMに最適化されたAppleカーネルのソースコードをダウンロードできるようになったことに、さほど大きな意味はない。Appleは、iPhoneのカーネルを公開することでオープンソースコミュニティーのフィードバックをもらいたいのかもしれない。AppleはARMチップで動くmacOSを開発中なのかもしれない。あるいは単なる間違いかもしれない。たぶんAppleはTwitterの反応を見たかっただけなのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ARMの次世代チップは人工知能にフォーカスした設計になる

ARMが今日発表したDynamIQなるものは、同社の次世代モバイルプロセッサーの基礎となる新しい技術だそうだ。モバイルのチップメーカーは将来の製品について語るとき、すごく饒舌だが、とくに今回のARMは“マイクロアーキテクチャの2011年以降における最大の変化”という、最大級の主張だ。

同社がとくにプロセッサーのスピードを強調するのは、将来の人工知能を意識しているからだ。確かに人工知能は、今後数年間、モバイルコンピューティングにおいてもますます主流の技術へと成長していくだろう。それは、スマートアシスタントや自動運転車や、それらを超えるものが、おびただしく繁茂する未来だ。

このチップメーカーのAIに関する主張は、確かに謙虚ではない。3年ないし5年後には、今の50倍の性能になるそうだが、しかしその数字は、同社によれば、あくまでも今あるAIアルゴリズムに基づく“控えめな予想”だそうだ。

その技術の普及についても、ARMは控えめな言い方をしない。そのほかのモバイルチップメーカーが自分の製品について言うときと同じく、同社も、モバイルに限定されないさまざまな広範囲なコンピューティングプラットホームをターゲットにする、と言う。確かに同社はここ数年のIoTデバイスの大ブームにおいて、多芸なコンポーネントメーカーとして自己を確立したから、これだけ大言壮語する資格があるかもしれない。

DynamIQチップの同社による位置づけは、(今後ワークロードがさらに増える自動運転車の)車載用と、インターネットに接続される家庭用デバイス、そしてもちろん、スマートフォンなどなどだ。Microsoftはすでに12月に、今後のアプリケーションの基礎をまとめ上げ、それらのアプリケーションはARMのモバイルプロセッサーに載る、と発表した。そのオペレーティングシステムが、より多様なデバイスに使われることを期待しているのだ。

またMicrosoftは先週ARMにおいしい言葉を進呈し、Windows Server OSは同社のチップでも動く、と言った。そのニュースが、今日の発表の前触れだったのかもしれない。ARMはDynamIQのアーキテクチャを、サーバーやクラウド、そして最近の新しいネットワーキングアプリケーションを担うコンピューティングハードウェアにも、推していくつもりだからだ。

発売日などは発表されなかったが、2021年までには、ハードウェアパートナーたちが今よりも1000億多いARMベースのチップを売る、と述べた。2013年から2017年までの販売総数はおよそ、その半分なのだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftbankのARM買収完了―240億ポンド(3.3兆円)は英国最大のM&A

2016-09-06-arm-sb

今年のテクノロジー界で最大級―かつイギリス史上最大―の買収が確定した。今日(米国時間9/5)、SoftbankはARM Holdingsの買収手続きを完了したと発表した

ARMはSoftBankが7月に240億ポンド(現在のレートで320億ドル、当時は310億ドル)で買収する意向を示した半導体メーカーだ。この買収によりSoftBankはIoTの世界に向けて大きく飛躍することになる。ARMは9月6日付でロンドン証券取引所(LSE)での上場が廃止となる。SoftbankではARMを今後も独立企業として運営する意向を示している。

今回のニュースは、買収完了のために必要とされる規制当局による承認が得られ、最後の障害が取り払われた直後に発表された。ソフトバンクは買収を発表した声明で次のように述べていた。

「買収契約の条件に従い、SBG〔SoftBank Group〕は発行済、未発行を含めてすべてのARM株式(ただしSBGないしSBG子会社が取得済み株式を除く)を総額で約240億英ポンド(310億USドル、3.3兆日本円相当)のキャッシュで買収する。買収手続きの完了後、9月6日(グリニッチ標準時)をもってARMのロンドン証券取引所への上場は廃止され、公開企業ではなくなる」

Softbankはまた「この買収に伴う財務および営業への影響は手続きの完了を待って行う」とも述べていた。ARMとSoftBankの財務は今日から統合が開始される

これまでSoftBankはモバイル網および固定回線におけるインターネット接続サービスを消費者に提供してきた。しかしニュースが発表された当初からわれわれはARM買収がSoftbankがIoTテクノロジーにおいて飛躍していくための重要なピボット点になると報じてきた

SoftBankのファウンダー、CEO、孫正義は今年初め、それ以前に公表していた引退の意向を取り消したことでテクノロジー界を驚かせた。そしてARM買収が発表された。孫CEOによれば交渉開始から終了までわずか2週間だったという。この買収はある意味でSoftBankという会社が次の時代をどう生き抜いていくかを予め示すものといえるだろう。

この取引について一部では、Softbankは機を見るに敏だったと評している。 Brexit〔イギリスのEU離脱〕によってポンドの為替レートが低落した瞬間にARMをさらったというわけだ。この国民投票では過半数の有権者がイギリスがEUを離脱することに賛成した。これが経済に与えた影響は大きく、英ポンドの為替レートは大きく下がった。

しかし孫CEOはARM買収を発表したプレス・カンファレンスで「Brexitは私の決定に何の影響も与えていない。多くの人々がBrexitについて憂慮している。この国の経済に与える影響は良かれ悪しかれ複雑なのもとなるだろう。…しかし私の投資の決断はBrexitが原因ではない」と述べた。

なるほどSoftBankとARMが買収について交渉していた2週間にポンドの価値は16%下落したが、逆にARMの株価はほぼ同率でアップした。つまり差し引きゼロだった。また考慮すべき経済的要素は他にもあった。この買収に先立ってSoftbankはAlibaba株の一部を売却、同時にフィンランドの有力ゲーム・メーカーSupercellも売却した。SoftBankは90億ドル(1兆円)という巨額の資金を起債によって調達する計画を発表している。孫氏は「これは為替レートの変動に便乗してできることではない」と述べ「もっと早く買収したかったのだが、資金が手元に入ってくるのを待っていたのだ」とジョークを飛ばした

「私は遭難しかけている会社に投資することはない。私はパラダイム・シフトに投資する。…これは私の情熱であり、ビジョンだ」と孫氏は述べた。

事実、Softbankは常にパラダイム ・シフトのまっただ中にいた。孫氏は社員がたった16人だったYahooを通じて「パソコン・インターネット」に投資した。その後はモバイル化に巨額の投資を行った。SoftbankはSprintの買収を始めとして多数のモバイル関連企業を傘下におさめている。そして孫氏の信じるところでは、世界がIoTに向けてシフトしていくのは必然的な流れだという。

ARMはイギリスにおけるテクノロジー企業のサクセス・ストーリーの代表だった。スマートフォン時代の到来の波に乗ってARMのチップ・デザインはppleを始め、世界の有力モバイル・デバイス・メーカーが採用するところとなった。

ARMにとってスマートフォン・ビジネスは依然として重要な柱だ。先月も長年のライバルであるIntelがARMのテクノロジーのライセンスを受けてスマートフォンのプロセッサーを製造すると発表しているのは興味深い。Intelはこれによって自社のスマートフォン向けチップ・ビジネスを大きく加速できると信じている。

しかし将来にむけてさらに重要なのは数年前からARMがビジネスの本質を IoTにシフトさせている点だ。ARMは現在の稼ぎ頭であるモバイル事業がいつかは頭打ちになることを予期していた。

そしてARMの予期通りに事態は推移している。スマートフォンの販売台数の伸びは事実上ゼロになった。世界の多くの市場でスマートフォンの普及は飽和点に近づきつつあり、すでにスマートフォンを所有しているユーザーは簡単に新機種に買い替えなくなった。

なるほど現在でもいわゆる「つながった」デバイスは多数存在する。冷蔵庫や玄関のドアのカギといったダム・デバイスが続々とスマート化され、インターネットにつながるようになった。しかし真のIoT時代の到来はまだこれからだ。ARM(いまやSoftbankだが)はこのパラダイム・シフトをいち早く参入したことにより、同社がスマートフォンで収めたような成功をIoTでも収められると期待している。

Featured Image: a-image/Shutterstock

〔日本版〕原文冒頭のニュースリリースへのリンクは日本からは無効なので相当するウェブページに差し替えてある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Intelがファウンドリ事業のテコ入れのためARMのチップを製造へ…台湾韓国勢に勝てるか

intel

チップメーカーのIntelとイギリスの半導体知財企業ARMが発表した合意により、Intelの注文生産型ファウンドリ事業に大きな弾みがつくことになった。

この契約は今日(米国時間8/16)サンフランシスコで行われたIntel Developer Forumでも発表され、IntelのCustom Foundryが、サードパーティが作るARMのプロセッサーの製造を担当することになる。

Intelの最新の決算報告は、同社が今、過渡期にあることを明らかに示している。また同社は、物のインターネット(IoT, Internet of Things)のための態勢整備が必要である。日本の大手テクノロジー企業Softbankに先月買収されたARM Holdingsとの合意は、そちらへ向けての第一歩になるだろう。

Chicago Morningstarの株式市場アナリストAbhinav Davuluriによると、“これによってIntelはTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)やSamusungのファウンドリと互角に、QualcommやAppleの仕事を取れるようになる”、という。

そのコラボレーションの一環としてARMとIntel Custom Foundryは、ARMのSoC(s)の、Intelの10ナノメートルプロセスによる開発実装を加速する。そのために、ARMの知財Artisan Physical IPが提供される。

Intel Custom Foundryの副ゼネラルマネージャーZane Ballが、ブログにこう書いている: “この技術をIntelの10nmプロセス向けに最適化することは、ファウンドリの顧客がこのIPを利用して最上級のPPA(power, performance, area)により、モバイルやIoTやそのほかの消費者製品のための彼らの設計の、電力効率の良い高性能な実装を実現できることを、意味している”。

Ballによると、Intelはこれまで、ANSYS, Cadence, Mentor Graphics, Synopsysなどとパートナーしたことがある。またIntelは、NetronomeやLG Electronicsなどの顧客のためのチップを作っている。とりわけLGは最近、世界初のAndroid 7.0実装機となるハンドセットを、新たな旗艦的デバイスとして発表したばかりだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))