AWSがクラウドのインフラストラクチャをさらに拡張、AMD EPYCを使うT3aインスタンスを供用開始

Amazonは常に、AWSを使っているデベロッパーに提供するオプションを増やそうとしている。そして米国時間4月25日、同社はそのためにAMD EPYCプロセッサーによるT3aインスタンスを数多く発表した。これらは最初、昨年のデベロッパーカンファレンスre:Inventで発表された。

しかし今日のは、その一般供用の開始を告げる発表だ。それらはバーストのある特殊なタイプのワークロードに適したインスタンスで、ユーザーの通常の計算力のニーズはそんなに、バースト時ほど高くはないというものだ。

AWSのJeff Barr氏がブログにこう書いている。「これらのインスタンスはバーストに対応できる費用効率のいいパフォーマンスを提供し、常時維持されるコンピュートパワーとしてはそれほど高いパワーを必要としないが、使用時に一時的なスパイクがあるワークロードに適している。そのため、十分に余裕のある、確実に保証されたベースラインの処理能力を提供するとともに、さらなる処理能力が必要なときには、必要十分な時間、完全なコアパフォーマンスにまで透明にスケールアップする能力がある」。

これらのインスタンスは、Amazonが数年かけて開発した特製のネットワーキングインタフェイスハードウェアAWS Nitro Systemを使用する。このシステムの主要な部位は、Nitro Card I/O Acceleration、Nitro Security Chip、そしてNitro Hypervisorだ。

今日のリリースの前身として、昨年発表されたArmベースのAWS Graviton Processorsを使用するEC2インスタンスがある。これもまた、スケールアウトするワークロードのためのソリューションを探しているデベロッパー向けのオプションだ。

さらにこの直前の先月には、低コストのAMDチップを使用するM5およびR5インスタンスが発表された。これらもやはり、Nitro Systemを基盤としている。

EPCYプロセッサーは今日から7つのサイズで可利用になり、必要に応じ、ユーザーが選んだスポットインスタンスやリザーブドインスタンス、あるいはオンデマンドインスタンスで提供される。可利用域はUS East(Northern Virginia)、US West(Oregon)、EU(Ireland)、US East(Ohio)、そしてAsia-Pacific(Singapore)だ。

画像クレジット: Thomas Cloer/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる

関連記事: AWSはアグレッシブに世界制覇を目指す――エンタープライズ・コンピューティングで全方位路線

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonの2019年第1四半期は市場の楽観的な予想すら上回る純利益

Amazonは米国時間4月25日の発表は、それ自身すでに楽観的だったウォール街の予想をも上回っている。すなわち同社の2019Q1の売上はやや伸び悩み、時間外取引で若干の乱調を招いたが、基本的にはその売上利益率の安定的な増加基調に強力に下支えられた。

本四半期の純利益は36億ドルに達し、同社の新記録となった。粗利益の増大に特に寄与したのは、広告を含むオンラインサービス、そして特に顕著なのがAWSによるクラウドサービスだった。

本期決算報告は、Amazonが昨年買収したWhole Foodsの結果も含むなど、同社ポートフォリオの多様化ぶりを示している。このグロサリーストアチェーンは、Amazonの一部になって以来、数回におよぶ値下げの影響で、同社のクラウドサービスに比べると成長は鈍った。

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はこの機会をとらえて、同社の教育への投資の増大を強調した。Amazonがこのようにソフトな側面を目立たせようとしているのも、フルフィルメントセンターにおける労働条件や、ニューヨーク市クイーンズ地区の第2本社計画の撤回などをめぐって、このところ批判が厳しくなっているからだ。

彼は声明の中でこう述べている。「母親が働いている母子家庭で育ったLeo Jean Baptisteは、ニュージャージーのインターネットのない家でハイチ語しか話せない子だった。彼はまた、100名の高校上級生から成るAmazon Future Engineer奨学金制度の創始グループの一人として4万ドルを受け取り、Amazonのインターンになった。創造への情熱がわれわれをAmazon Future Engineerの創設へと導き、全国のLeoのような若者を被差別集団から救出する手助けをしている」。

決算報告に登場するとは誰も思わないバラ色のお話だが、しかしQ2は成長が鈍化しているのでそれほど強気ではない。Amazonが出したガイダンスではウォール街の予想42億ドルを16億ドルも下回っている。CNBCによると、それは近々の大きな投資を予告している、という。

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AmazonがAlexaのスキルを作れるデベロッパーの資格証明制度を立ち上げ、企業ニーズに応える

Amazon EchoなどのAlexaデバイスを作っているデベロッパーに、自分の能力を証明する新しい資格証明制度として、AWS Certified Alexa Skill Builder – Specialtyというものが立ち上げられた。Amazonによると、同社がAlexaデベロッパーのための資格証明を提供するのは、これが初めてである。

資格証明はテクノロジー業界ではよくあり、AmazonのAWSもすでに教育訓練事業とともに独自の資格証明を提供して、企業がAWSの知識とクラウドの専門的技能を持った技術者を確実に雇用できるようにしている。

今回のAlexa技術の資格証明はAWSの資格認証事業の一環となり、その人がAlexaの音声アプリ開発のすべての側面を正しく理解していることを確認する。

検証されるのはアプリケーションの開発や試験の仕方、スキルの検査とトラブルシューティング、Alexa Developer Consoleの使い方、Alexaのスキルのオペレーションとライフサイクルの管理など、実践的な要素が多い。また、声の価値や、音声のユーザー体験のあるべきフロー、など、今多くのAlexaデベロッパーが悩んでいるような高レベルのコンセプトの知識も試される。

試験のガイドがあるので、これを見ると、スキル習得のために勉強すべきチュートリアルや技術的ドキュメンテーションなどがわかる。またオンラインのトレーニングコースもある。

準備万端でこれから試験を受けようというデベロッパーは、AWS Trainingのアカウントを取得して、試験のスケジュールを決める。

Amazonが主張する目標は、今日市場に存在する1億以上のAlexa対応デバイスの顧客の心をつかむような、魅力的な音声アプリ体験を作る機会を、もっと多くのデベロッパーに提供することだ。

つまりAmazonが求めるのは、デベロッパーがAlexaのスキル開発をちょっと浅く体験するだけでなく、そのベストプラクティスも身につけて、顧客に対し強い訴求力を持つアプリケーションを作ってもらうことだ。

この資格証明事業はスマートスピーカーがここ米国でクリティカル・マスに達したそのほぼ同じタイミングで展開される。でもサードパーティのスキルはまだ、大ヒットに乏しくスマホのアプリストアほどの人気を獲得していない。それはBloombergが最近報じたとおりだ。

音楽やタイマー、スマートホームのコントロールなどはスマートスピーカーのヒットと言えるかもしれないが、でもそれらは、ネイティブの(最初からある)ファンクションだ。消費者の採用が今後伸びないなら、今80万以上あるサードパーティのAlexaスキルの将来性も危うい。

しかしそれでも、企業は今でもこのプラットホームに強い関心を持っている。なんといっても、Alexaの大きなインストールベースは魅力だ。今でも毎日、1日に1つは、どこかの企業がスキルを発表している。今日のそれは、赤十字だった。

AWSで資格証明と教育訓練事業を担当しているディレクターKevin Kelly氏が、声明の中でこう言っている。「音声アプリ(Alexa用語では“スキル”)を作れる有能なプロフェッショナルは、最近ますます多くの企業から求められている。この新たな資格証明はAlexaにフォーカスした唯一の認証制度として、そういうプロフェッショナルなスキルを検定できる」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Cloud Nextカンファレンス開幕、Googleはオープンソース提携でAWSに挑戦

米国時間4月9日、米国サンフランシスコのモスコーニ・センターでオープンしたCloud Next 19カンファレンスで、Google(グーグル)はオープンソースのデータマネジメントとアナリティクスのトップ企業多数と提携したことを発表した

これらの企業はプロダクトをGoogle Cloudプラットフォームに統合させ、マネージドサービスとして顧客に提供する。パートナー企業には、Confluent、DataStax、Elastic、InfluxData、MongoDB、Neo4j、Redis Labsが含まれる。

Googleによれば、 この試みはGoogle Cloudを通じてユーザーにオープンソースのテクノロジーをシームレスなクラウド体験として提供するものだという。しかしカンファレンスの内容を見ていくと、Googleは明言こそしていないが、意図するところははるかに大きい。今回、オープンソース・コンピューティングをめぐるGoogleの方向はAmazonとまったく異なることが鮮明になった。

AmazonのAWSクラウドは最良のオープンソースプロジェクトを取り上げ、独自のプロダクトにフォークさせてAWSブランドのパッケージとして提供していることが広く知られている。この際AWSはオリジナルのオープンソースプロジェクトに対してほとんど何も貢献しないのが普通だ。AWSのこの方式には変化の兆しが見えるものの、こうした姿勢に反発した有力なオープンソースプロジェクトのいくつはオープンソースライセンスの条項を改正してAWSのタダ乗りを防ごうとし始めている。

そしてここが興味ある点となる。このオープンソースコンピューティングのトップ企業というのがまさに、Confluent,、Elastic、MongoDB,Neo4j、Redis Labsなど今回Googleクラウドと提携した会社なのだ。ただし、今日の提携企業のうち、InfluxDataはライセンス条項の改正を行っておらず DataStaxはたしかにオープンソーステクノロジーにも力をいれているものの、独自のエンタープライズアプリケーションも提供している。

プレス発表でGoogle Cloudのインフラ提携担当の責任者、Manvinder Singh氏は次のように述べている。

オープンソーステクノロジーをクラウドサービスでどのように利用するのが最適か、多くの議論がおこなわれてきたことはよく知られている。Kubernetes、TensorFlow、Goなどのプロジェクトによって証明されてきたように、オープンソースモデルこそはGoogleのDNAであり信念だ。多大のリソースをオープンソーステクノロジーを進歩させるために投じてきた企業同志が密接に協力することが最も重要だとわれわれは確信している。

簡単にいえば、AWSはオープンソースプロジェクトを利用して独自のブランドのプロダクトを作っている。これに対してGoogleはオープンソースプロジェクトを開発してきた企業と提携し協力していく道を選んだ。Googleも提携企業も財務面の詳細に関してはコメントを避けたが、売上の共有、配分に関してなんらかの取り決めが行われたものと推定される。【略】

提供されるプロダクトの機能に関するGoogleの基本方針は、Cloud Consoleへの密接な統合の実現だ。これはMicrosoftのAzureクラウドにおけるDatabricksと比較できるかもしれない。提携各社のプロダクトはマネージドサービスとして提供される。つまりGoogle Cloudが料金の積算、請求、支払などの事務を一括して引き受ける。カスタマーサポートもGoogleが窓口となるため、ユーザーは多数のオープンソースサービスをあたかも単一のサービスのように利用することができる。

Redis Labsの共同ファウンダー、CEOのOfer Bengal氏はこの点についてこう述べた。

今回の提携でRedis LabsとGoogle Cloudはオープンソースによるイノベーションの成果をエンタープライズユーザーに提供できるようになった。ユーザーはクラウド上でどんなテクノロジーを利用してコンピューティングを行うか自由に選択できる。また必要に応じてRedis Enterpriseを利用して独自のアプリケーション開発を行い、GCP(Google Cloudプラットフォーム)上でマネージドサービスとして利用することもできる。例えば、Redis EnterpriseをGCPコンソールから実行することも可能だ。この場合、料金処理からプロビジョニング、サポートまですべての煩雑な業務をGCPが処理してくれる。

【日本版】GoogleはYouTubeでカンファレンスのキーノートを中継録画している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazonがニューヨークの大学とパートナーしてクラウドコンピューティングの技術者を育成

昨日(きのう)(米国時間1/29)、ニューヨークのハイスクールにコンピューターサイエンスのクラスを開設するための出資を発表したばかりのAmazonが、今朝(米国時間1/30)は第二の教育プランとして、ニューヨークの市立と州立の大学を対象とする教育事業を発表した。ニューヨークのクイーンズ区に第二本社を置くことになったAmazonは、将来そこで働く技術者たちも当地区に自力で確保したいのだ。

Amazonが構想している大学対象事業では、LaGuardia Community College(LAGCC)とCity University of New York(CUNY)、およびState University of New York(SUNY, 州立大)の3学で、学生のためのクラウドコンピューティング技術者資格認定事業を展開する。目標は、学生たちがAmazonやそのほかの企業で、初歩的な技術職を担当できるようになることだ。

この事業は今秋始まり、3学合計で数万名の学生を対象とする。またLAGCCは1校以上のハイスクールとパートナーして、15単位時間の認定課程を並行展開する。

ハイスクールの課程がAmazon Future Engineer事業から出資されるのに対して、この大学向け資格認定事業はAmazonのAWS Educate事業が対応する。このEducate事業はをすでに1500あまりの教育機関が利用して、AWSの実習を伴うクラウドコンピューティングの教育訓練を行っている。そのスキルの資格認定は、Amazonやそのほかの企業への求職で利用できる。

この事業には教師向けのカリキュラム開発ワークショップとAWSの教育訓練が含まれ、また学生にはプロジェクトの宿題を実行するためにAWS Promotional Credits(AWS無料利用)が提供される。

また求職部が設けられるので、学生たちはそこに履歴書をアップロードしたり、求人告知をもらったり、企業の求人担当と会話したり、クラウドコンピューティングの求人やインターン募集をAmazonやそのほかのテクノロジー企業で検索したりできる。

クラウドコンピューティングは高給のIT職だ、とAmazonは言っているが、この事業はもちろん慈善事業ではない。これもまたハイスクールののコンピューターサイエンス教育支援と同じく、ニューヨークの新本社をはじめ、同社の事業拡大に伴う人材確保が目的だ。それと共に、地元企業のクラウドコンピューティング人材の確保にも貢献する。ニューヨーク州労働局の予測では、人材需要は2024年に今の17%増加する。

Amazonの労働力開発担当VP Ardine Williamsがこの事業に関する声明文で述べている: “ニューヨークにおける弊社のプレゼンスが拡大を続けている中で、コミュニティと協働してスキル開発の機会増大に貢献できることは、きわめて喜ばしい。ニューヨークは人材が豊富であり、私たちとしては多様なバックグラウンドを持つニューヨーカーたちの心を確実に捉えたい。弊社は現在、当地区で25000名を雇用している。今回のLAGCC、CUNY、およびSUNYとのコラボレーションにより、より多くの学生たちが、Amazonなど多くのテクノロジー系人材を求めている企業で確実に働けるようにしたい。これは、弊社のニューヨークにおける労働力開発努力の第一歩である。今後のさまざまな事業企画により、ニューヨーカーたちがご当地に居ながらにして新たなスキルを求める機会を手にし、より高給な職を得られるよう、努力していきたい”。

画像クレジット: Ron Miller

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MLのモデルをチューニングするオープンソースのツールNeo-AIをAWSがローンチ

AWSはどちらかというとオープンソースとは縁の薄い企業と思われているが、それが変わりそうな兆しもある。この、Amazonのクラウドコンピューティング部門は今日(米国時間1/24)、Neo-AIのローンチを発表したがそれは、Apache Software Licensetheによるオープンソースのプロジェクトだ。この新しいツールは、同社が機械学習サービスSageMaker Neoのために開発して使っている技術の一部を、オープンソースのエコシステムに持参した(お返しした)ものだ。

その主な目的は、機械学習のモデルを複数のプラットホームで使うために行なう最適化を、もっと容易にすることだ。そしてAWSの文脈では、その複数のプラットホームとは多くの場合、これらのモデルをエッジで動かすマシンのことだ。

今日の発表声明でAWSのSukwon KimとVin Sharmaがこう書いている: “通常、機械学習のモデルを複数のハードウェアプラットホームのために最適化することは、プラットホームのハードウェアやソフトウェアの構成に合わせて手作業でモデルを調整しなければならないから難しい。とくに難しいのが、エッジデバイスの場合だ。コンピューターのパワーやストレージが限られていることが多いからだ”。

Neo-AIは、TensorFlowやMXNet、PyTorch、ONNX、XGBoostなどのモデルを最適化できる。AWSによると、Neo-AIがこれらのモデルのスピードを、精度の損失なく最初の倍ぐらいに上げてしまうことも多い。ハードウェアに関しては、IntelとARMとNvidiaのチップをサポートし、Xilinx、Cadence、そしてQualcommにも近く対応する。Nvidiaを除きこれらの企業のすべてが、このプロジェクトに寄与貢献している。

IntelのArtificial Intelligence Products GroupのトップNaveen Raoはこう語る: “AIが価値をもたらすためには、ディープラーニングのモデルがデータセンターでもクラウドでも、そしてエッジのデバイスでも、等しく容易にデプロイできなければならない。IntelがNeo-AIに寄与貢献することによって、nGraphで始めたイニシアチブを拡張できたことは、きわめて喜ばしい。Neoを使えば、デバイスのメーカーとシステムのベンダーが、オールIntelのコンピュートプラットホーム上の、ほとんどどんなフレームワークで開発されたモデルでもパフォーマンスをアップできる”。

このツールはモデルの最適化に加え、それらを新しいフォーマットに変換して、モデルが実際に実行されるデバイス上の互換性と、ローカルなランタイムの問題を防ぐ。

AWSによると、Neo-AIコンパイラーの開発の一部はワシントン大学のTVMTreeliteのプロジェクトで始まった。“本日、AWSのコードをNeo-AIプロジェクトとしてオープンソースにお返しすることにより、だれもがプロダクション級のNeoコンパイラーでイノベーションを追究できる”、とAWSは言っている。AWSはオープンソースのプロジェクトを自分のクラウドサービスに利用するだけ、という世評もあったが、今度からはお返しもするようになったのだから、めでたい。

Amazonのオープンソースへの取り組みとしては、同社のFirecrackerハイパーバイザーを挙げておくべきだ。これは今ではOpenStack FoundationのKata Containersプロジェクトをサポートしている。そのFirecrackerもオープンソースだから、いずれOpenStack Foundationに寄贈されたとしても、意外ではない。

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AWSが早くも今年ニつ目の買収、今度はクラウドリソース最適化のTSO Logic

AWSは新年早々から買い物マニアだ。まず先週はイスラエルのディザスタリカバリ(クラウドの災害復旧)屋さんCloudEndureを買い、そして今週は、クラウドのリソースの有効利用を企業に教えるバンクーバーのTSO Logicだ。

両社とも、買収価額は明かさない。

Amazonはこの買収をメールで確認し、TSO LogicのWebサイトにあるCEO Aaron Ralloの声明を読め、と言っている。Ralloはそこで、“TSO LogicがAWSの家族に加わることはとても嬉しい”、と述べている。

同社はワークロードやアプリケーションに関するデータを分析し、リソースのニーズ優先かコスト優先かなどの要求を勘案しながら、それらを動かすためのもっとも効率の良い場所や、ニーズとコストの正しいバランスを見つける。

ワークロードのバランスは、クラウドのパブリックvs.プライベートにおいても重要だ。11月にAWSのre:Inventで発表されたAmazonのOutpostsは、ワークロードの載せ方をオンプレミスとクラウドとの間でバランスするためのツールだ。同社はそれを便利に利用する。

関連記事: AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

TSO Logicは成長しているスタートアップの体の一部になって、クラウドのワークロードを最適化する方法を見つける。そしてときにはスポットインスタンスすら使ってワークロードを安いクラウドオプションへ移し、顧客のお金を節約する。

企業がますます多くのワークロードをクラウドに移していくと、そのコスト管理が難しくなる。そこでTSO Logicのようなツールが、クラウドリソースのより効率的な利用法を知るための手助けをする。

Microsoftgが2017年に買ったCloudynも、これと同様のサービスだ。大手クラウドベンダーたちが好位置を取ろうとして頑張ると、こんなサービスが常備薬になる。高いお薬でも、MicrosoftやAmazonにはお金がたくさんある。

Amazonのスポークスパーソンによると、同社はバンクーバーで操業を続け、社員たち全員にAmazonの職階が与えられる。

関連記事: Update: Amazon has acquired Israeli disaster recovery service CloudEndure for around $200M…Amazonが CloudEndureを買収(未訳)

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AWSがMongoDB互換データベースを提供、オープンソースに独自の異議申し立て

AWSが今日(米国時間1/9)、MongoDBのAPIと互換性のあるデータベースDocumentDBローンチした。同社はDocumentDBのことを、“既存のMongoDBアプリケーションやツールと互換性のある、高速でスケーラブルで高可用性のドキュメントデータベース”、と説明している。実質的にそれは、MongoDBをリプレースするためにAWSがホストするドロップインで、MongoDBのコードはまったく使っていない。

AWSによると、MongoDBは基本機能は良いが、そのオープンソースのプラットホームでは、数テラバイトもの、しかも毎秒数百から数千のリード/ライトがあるような規模にもスケールできる、高速で可用性の高いアプリケーションの構築が難しいことを、顧客は体験している。そこで同社がやったのは、自社独自のドキュメントデータベースを作り、それに、オープンソースのApache 2.0 MongoDB 3.6のAPIとの互換性を持たせることだ。

最近の数か月のオープンソースの政治学をフォローしてきた読者なら、これがあまり歓迎されない動向であることを、理解されるだろう。しかも、誰もが知っているように、AWSはオープンソースプロジェクトの良いとこ取りをして、それらの再利用と名称変えをしながら、コミュニティには何も還元していない、と長年非難されている。

しかも選りに選ってMongoDBは、それをやめさせようとした最初の企業のひとつだ。同社は、同社のオープンソースツールのライセンス規約を変えて、そういうことをしたい企業は商用ライセンスを買え、とした。ほかのオープンソース企業も、それに倣った。

MongoDBのCEOで社長のDev Ittycheriaはこう言っている: “模倣はいちばん正直な形の追従だ。だからAmazonがそうやって、MongoDBのドキュメントモデルの人気と勢いに乗っかろうとするのも意外ではない。でも、十分な技術力のあるデベロッパーなら、本物とお粗末な模倣の違いをすぐに見分けるだろう。MongoDBは今後も引き続き、市場に存在するどんな‘そっくりさん’にも勝る性能を維持するだろう”。

これはかなり戦闘的なコメントだが、昨年11月にIttycheriaは、本誌のRon Millerの取材に対して、AWSはドキュメントDBで大量のリソースを消費するMongoDBを愛しているはずだ、と言った。そのインタビューで彼は、“最近の5年間、顧客たちは、自分を大型ベンダーの束縛から解き放とうと努力してきた。彼らが絶対にやりたくないのは、同じ映画をリプレイすることだ”、と語った。〔次の5年間も同じ努力で苦しみたくない。〕

MongoDBの協同ファウンダーでCTOのEliot Horowitzも、同じことを言う: “デベロッパーに彼らが望むものを与えるためにAWSは2年前から、MongoDBのコードをベースとするMongoDBサービスの模倣を提供せざるをえなくなった。わが社は、その全体が一つのことにフォーカスしている。それは、デベロッパーにデータを処理するための最良の方法を与え、またそれをどこで動かしてもよい自由を与えることだ。今後どんな模造品が登場してきたとしても、このたった一つのミッションへのわが社の献身こそが、本物のMongoDBをそれらと差別化する要因だ”。

そして同社のスポークスパーソンによると、AmazonのDocumentDBが互換性を保証しているMongoDB 3.6は2年前の古いバージョンであり、ACIDトランザクションやグローバルクラスター、モバイルのシンクなど、多くの最新機能を欠いている。

しかしAWSも最近ではオープンソースに、ある意味で前よりも熱心になっており、デベロッパーの要望にも応えようと努力している。たしかに、MongoDB自身がホストするサービスに満足していないデベロッパーもいる。MongoDBのライセンスをバイパスしてAPIレベルの互換性を選んだことは、MongoDBがなぜ今のようなライセンス方式にしたかをAWSが知ってるからであり、それはつねに論争の元であったし、同社がオープンソースのコミュニティに愛されない理由でもあった。〔訳注: MongoDB社によるオープンソースソフトウェアの商用化(有料化)ライセンス方式については、この記事を参照してください。〕

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Cloud Native Computing Foundationが抱えるオープンソースプロジェクトにetcdが加わった

KubernetesVitessなど、クラウドに関連したオープンソースプロジェクトが身を寄せる事務管理団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)が今日、その技術委員会が新しいプロジェクトの入会を認める票決を行った、と発表した。そのプロジェクトetcdは、CoreOSで開発されたキー-ヴァリューストアで、今回Red HatがこのプロジェクトをCNCFに寄贈した。CoreOSはかつてRed Hatが買収、そしてそのRed Hatは近くIBMがオーナーになる、という関係だ。

etcdはGoで書かれていて、すでに多くのKubernetesデプロイメントの主要な部位のひとつだ。そこではetcdが、他と重複しない唯一の真実の情報源として機能し、クラスターのコーディネーションやシステムのステートの管理に使用される。同じくオープンソースのCloud Foundryもetcdを使い、Alibaba, ING, Pinterest, Uber, The New York Times, Nordstromなどの企業はプロダクション(本番稼働)でetcdを使っている。

CNCFのCOO Chris Aniszczykが、今日の発表声明で言っている: “KubernetesやCloud Foundryなど多くのプロジェクトが、信頼できるデータストレージをetcdに依存している。etcdがインキュベーションプロジェクトとしてCNCFに加わったことは喜ばしいし、今後はドキュメンテーションやガバナンスなどなどの改良によりコミュニティをさらに育成していきたい。etcdがわれわれのプロジェクトのコミュニティに加わったことは、本当にすばらしい”。

今日、etcdには450名を超えるコントリビューターと、8社からの9名から成るメンテナーがいる。すでにKubernetesをホストしているCNCFに身を寄せたことは、きわめてロジカルだ。これでCNCFがホストするプロジェクトは17になり、それらが同団体の“育成技術”の傘下に入る。それらはetcdのほかに、OpenTracing, Fluentd, Linkerd, gRPC, CoreDNS, containerd, rkt, CNI, Jaeger, Notary, TUF, Vitess, NATS Helm, Rook, そしてHarborだ。Kubernetes, Prometheus, そしてEnvoyは、すでに育成段階を卒業している。

ひとつのファウンデーションが管理するプロジェクトにしては多いが、しかしCNCFのコミュニティ自体が相当大きい。今週だけでも、シアトルで開かれた同団体最大のカンファレンスKubeCon/CloudNativeConに8000名のデベロッパーが集まり、コンテナに関するありとあらゆることを議論しあるいは講演した。AWS, Microsoft, Google, IBM, Oracleといった大物が参加してコラボレーションしていることの意義も大きい。OpenStackプロジェクトのように、成長後期に手を広げすぎて焦点がぼやける危険性もあるが、そうならないための、同団体の今後の管理の手腕を見守りたい。たぶん次にCNCFに加わるのは、ますます人気急増中のサービスメッシュIstioだろう。

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CTO of the year 2018にはatama plus川原氏を選出

11月21日、東京・目黒にあるAWS Loft Tokyoにて、2018年に最も輝いたスタートアップ企業のCTO(最高技術責任者)を決める「CTO of the year 2018」が開催された。CTO of the year 2018は例年、TechCrunch Tokyoの初日の夜に「CTO Night」として開催されてきたイベントだが、今年は場所日程を変えての開催となった。

AWS Loft Tokyoは10月1日にオープンしたばかりのAWS運営のコワーキングスペース。AWSを利用している企業であれば10:00〜18:00の間、誰でも自由に利用できる。AWSの専門スタッフが常住しており、その場でサポートが受けられるのも特徴だ。

CTO of the year 2018は歴代優勝者を含む以下のメンバーで審査され、最終的にatama plusの川原尊徳氏を選出した。

■審査委員長
藤本真樹氏(グリー 取締役上級執行役員/最高技術責任者)

■審査員
白井 英氏(Craft Egg、ジークレスト、サムザップ各社におけるCTO)
松尾康博氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクト)
吉田博英(TechCrunch Japan編集統括)

■特別審査員
竹内秀行氏(2014年CTO of the year、ユーザベース チーフテクノロジスト、UB Venturesテクノロジーパートナー)
安川健太氏(2015年CTO of the year、ソラコムCTO/Co-founder)
橋立友宏氏(2016年CTO of the year、Repro CTO)
大竹雅登氏(2017年CTO of the year、dely CTO/執行役員)

■atama plus/川原尊徳氏

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Lean AI開発により、3ヶ月でプロダクトマーケットフィット
1年で大手塾の2割に導入するまで至った話

atama plusは2017年4月創業。創業9カ月目で5億円の調達に成功している。事業内容は、AIを活用して中高生の学びを個別にカスタマイズしたタブレットアプリを提供している。このシステムは全国の学習塾や予備校に導入されているとのこと。川原氏は新卒でマイクロソフトに入社して11年勤務したあと、atama plusを共同創業したCTOだ。

学習塾や予備校は、夏期講習でどれだけ人を集められるかが非常に重要で、4月創業の同社は、その年の夏期講習が始まる7月までにアルゴリズムを完成させる必要があったとのこと。そのため、Lean UX/Lean AI開発という手法を採用したそうだ。

そのうえで、アーキテクチャーの開発には、ブラックボックスの少ない「多数の小さなアルゴリズム」を利用することに決定。規模が小さいのでアルゴリズムへの修正が容易なのが特徴だ。アルゴリズムに問題データや正誤情報、所要時間などのデータを入力することで、習熟度の推定や単元間の関連性、学習優先度などを判断して、生徒それぞれが学習すべき教材を判断する。

また「ルールベースアルゴリズムとの共存」も開発の秘訣だったという。多次元のデータを扱えるモデルベースを重視するとルールベースアルゴリズムは排除されがちだが、ルールベースアルゴリズムは変更が容易という利点がある。これら2つのアルゴリズムをいいとこどりにより、ある単元を学習するためにどの単元を次元に理解しているべきかの依存度がわかる「依存関係グラフ」が完成したという。

同社は創業4カ月目から収益化を果たし、10カ月目で2週間講習受講者のセンター試験の得点が50%アップ。そして創業1年を迎えたころには、大手塾の2割にatama plusのシステムが導入されているそうだ。

■FACTBASE/前田 翼氏

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組織の外側にHRアーキテクチャを築く

FACTBASEは仮想通貨投資家向けのサービスを展開している会社。プレゼンでは、社内外のHRアーキテクチャを構築した話が中心となった。

前田氏はFACTBASEのCTOとして「2018年12月31日までに日本一仮説検証の早い開発チームを作る」というミッションをCEOと握って、アプリ開発をスタート。とはいえ、2018年前半は技術スタックのない状態だったという。その後、副業として携わったエンジニアの尽力で5月中旬にクローズド版のリリースに漕ぎ着ける。しかし、この副業エンジニアが二人とも卒業したことで問題が発生。この2人が中心となって開発していたことで、社内にノウハウがたまっていなかったそうだ。

とはいえ、フルタイムの人材を採用するコストや人材を教育する社内リソースがなかったとのこと。そこで考えたのが、社内開発とは直接関係な分野で同じ目標を達成する仲間を集め、勉強会の開催や書籍の出版などを実施。具体的にはReact Native OSSのコミュニティーを立ち上げ、ベアプロについては累計30回を以上を実施したという(React Nativeは、Facebookが開発したJavaScriptのフレームワーク)。

この結果、14人のエンジニアとの関係が深まり、14人の技術メンターがいる状況になった。その後、インターン1名とフルコミットメントするエンジニアが1名参加して開発が急激に加速したそうだ。社内リソースと予算が限られている中、社外のエンジニアとの深い関係構築によって開発の質とスピードがアップしたとのことだった。

■GVA TECH/本田勝寛氏DSC07799

リーガルテックへ凸って見えた楽しい踊り方
GVA TECHは2017年1月に創業、本田氏はGVA TECHにはCEOを除く1人目の社員として2017年9月に参加。同社はクラウドとAIを活用した契約リスク判定サービス「AI-CONレビュー」を提供している。

本田氏は入社後まず、内製化によってプロダクト化を進めたとのこと。入社前、AI-CONレビューなどはオフショア開発、つまり外注で開発していたそうだ。しかし、数多くの人が開発に参加していたこともあり、ファイルの差分やバグも多くコントロールも難しかったことから関係を断ち切って完全内製化の道を選んだという。

内製化にあたって、セキュリティ、スピード、イノベーション、面を取りに行く選択、という4つの柱で開発を進めたそうだ。ちなみにセキュリティについては、AWS Well-Architectedフレームワークを活用。開発スピードについては、さまざまな手法やツールを積極的に取り入れたという。

そのほか、コミュニティへの情報提供も積極的に進めたそうだ。そのうえで本田氏はチームビルディングに徹し、別にCPOに権限を移譲して開発スピードをアップさせたとのこと。本田氏はCTOとして、「TeamUp」ツールを利用して1 on 1時の内容をログ化して成長の促進を図ったり、「wevox」で開発組織力のモニタリングを実施したりしたという。

■カケハシ/海老原智氏

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2mmぐらい強くて? ニューゲームのCTOとしての取り組み

カケハシは2016年3月に設立、海老原氏はその2カ月後に入社したそうだ。同社は全国に6万店以上ある調剤薬局のSaaSを開発している会社。

調剤薬局が処理する処方箋枚数は年間8億枚あり、調剤薬局は患者と累計8億回も薬の受け渡しをしていることになる。同社は、この受け渡しのタイミングで「患者が健康になっていくための手助けができるのではないか」という想いで創業。現在、患者に対して実施した服薬指導の内容(薬歴)の記録を電子化する「Musubi」を開発・提供している。

海老原自身は同社で取締役CTOを務めているが、実際にはCPO/VPoE的な役割を担っているとのこと。CTOを二度経験していることを生かし、働き方の改善、組織や社内文化への理解度を深めるために尽力しているそうだ。具体的には、アジャイル/アーキテクチャ/DevOps/設置・採用/採用・組織化、という5つのフェースで自分の役割を変えていったそうだ。アジャイルのフェーズでは、開発手法だけでなく組織運営についても議論を重ねて意識を共有したとのこと。設置・採用フェーズでは、一時的にCTOの役割を返上して、調剤薬局へWi-Fi構築を含むPCへの設置などの業務も担当したという。現在は採用・組織化フェーズだが、今後拡大する業務内容を踏まえ、どこかのタイミングで再度アーキテクチャフェーズに戻ることを予定しているとのことだ。

■scouty/伊藤勝悟氏

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スケーラブルな開発組織を目指して~推測より計測~

scoutyに3人目のメンバー、1人目の開発者として入社。2018年7月から取締役CTOに就任。scoutyはエンジニアをヘッドハンティングするサービスで、SNSから公開されている情報をクロールして人材のデータベースを構築。このデータベースを企業の人事部が参照することで、自社に必要な人材にスカウトメールを送れるという仕組みだ。

ちなみにこれまでのデータ分析の結果、転職を希望するエンジニアはその直前にプロフィール写真を変える傾向が強いとのこと。伊藤氏は入社後、クロールの手法などに改良を加えたことで、データベースの登録者数を6万人から約13倍の80万人に増やしたそうだ。

伊藤氏がCTOとして取り組んだのは、開発人員と開発速度が比例する組織。一般的に人が増えると、コミュニケーションや調整タスクが増えるため開発スピードは鈍化するが、同社では7人までに増えた8カ月後の開発スピードは当初の2.1倍、残業時間は一人当たり7.4時間となったそうだ。

この開発チームを実現するために、それぞれの役割分担を明確化し、目的や責務などを明文化。そのうえで、妥協しない採用ポリシーによってチームを強化。具体的には、既存メンバーの平均よりも高い能力、既存メンバーが持っていない知識/経験、カルチャーマッチを重要視、という3つのポリシーを貫いたそうだ。この採用ポリシーを徹底するために、評価ポイントの設定、採点基準の明確化、それを基にした社内エンジニアの平均点の算出などを実施したとのこと。さらにカルチャーマッチをテストするため、採用候補者を社員全員が取り囲んで質問し、あらかじめ用意されたチェック項目を埋めていくという作業も行っているそうだ。

正直、このような仕組みを使うのは「めちゃくちゃ大変」だそうだが、スケーラブルな開発チームを運営していくために今後もやり続けていきたいと話を締めくくった。

■空/田仲紘典氏

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プロダクトから顧客や様々な職種へ

田仲氏は空で、CPO(Cheif Production Officer)として、ビジネス要件と技術要件の両軸を考える、顧客価値を作る仕事を担当している。

ホテル業界の課題として、料金設定の「手間」と「精度」があるとのこと。料金設定に関わるデータを得るには、1日あたり2~3時間の時間が必要で、合計すると月に60時間以上の時間を費やしているという。またノウハウが属人化しており、担当が変わるとやり方が変わるという問題もある。同社は、前者を「ホテル番付」、後者を「Magic Price」というサービスで効率化している。この2つのサービスを顧客が横断的に使うことを考えて、サービス基盤は共通化しているとのこと。

シンプルなUI/UX、統計学を利用したデータ分析手法、問題解決に取り組む体制によって顧客満足度90%を実現しているという。新しいバージョンは週1でリリースしているそうだ。

具体的には、AWSサービスを駆使することで、フロントエンド、バックエンド、インフラを構築。今後はホテルだけでなく、航空券やが外食など他業種にサービスをスケールさせるために、サービスの共通基盤とマイクロサービス化を進めて行くという。

■Voicy/窪田雄司氏

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サービスを最速で伸ばす先回りの技術

Voicyは、手軽に音声を生活のあらゆる場所に届けるサービス。今後は出力先を増やして事業を拡大したいとのこと。窪田氏はCTOの仕事を「未来を予測して事前に準備しよう」というスタンスでの臨んでいるとのこと。

具体的には、CEOは5~10年後の未来を見据えたうえで、経営・事業計画の直近の1年をどうするかという計画を立てる。一方CTOは、CEOを考える1年後よりも少し先の未来を見据えて行動するのが大事とのこと。このタイミングに何が起こって、何が必要なのかを事前に準備、把握しておくべきだとしている。

例えば、突然のアクセス増加に対してもリリース前から高負荷に堪えうるインフラ構成を用意。スマートスピーカーへのスキル提供やAPI連携についても事前に準備するなど、想定される出来事に対処していったという。

窪田氏は、事前準備した内容の90%は使われないため、エクストリーム・プログラミングにおける原則としてはYAGNI(機能は実際に必要となるまでは追加しないのがいい)を思い浮かべる人も多いと思うが、少し根性論かもしれないが「CTOならその予測を当てにいけ」という持論で進めたそうだ。そのためには予測の精度を上げる努力が必要とのこと。

さらにCEOとのコミュニケーションで、優先順位をすり合わせやお互いの仕事内容を共有することも重要と窪田氏。そのうえで、1年後や5年後、どうありたいか語り合うことも必要とのこと。「未来を予測し、技術の力で攻めの準備とリスクの回避を行い、サービスを最速で伸ばす」という言葉でプレゼンを締めくくった。

CTO of the year 2018の審査委員長を務めた、グリー取締役/上級執行役員/CTOの藤本真樹氏は「審査に関わるのは今年で5年目だが、間違いなく毎年レベルが上がっている。この賞に参加すること自体登壇者のレベルが上がっていることは、業界としても非常にいいこと」というコメント。

TechCrunchも審査員として参加したが、最後まで票が分かれ、最終的には協議のうえでの1位選出となった。TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルと同様、年々レベルがアップしているCTO of the year。来年はどういった企業が出場するのか、これから楽しみだ。

AWSはアグレッシブに世界制覇を目指す――エンタープライズ・コンピューティングで全方位路線

eコマース企業のちょっとしたサイドビジネスとして始まったAWSだったが、目をみはるような拡大を続け、今や通年換算270億ドルという怪物的存在となっている。しかもまだ前年比45%という成長率を維持している。先週ラスベガスで開催されたre:InventカンファレンスでAWSの経営トップの話を聞いたが、こうした大成功に安住しそうな気配は全くなかった。その逆に、AWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に覇権を打ち立てようと全力を挙げているという強い印象を受けた。

急速な機能拡張は永遠に続けられるものではあるまい。しかし今のところAWSが拡張の手を緩めるようすはない。新機能の発表に次ぐ発表が続いている。これらはユーザーの要求に応えるものという建前だが、仔細に検討するとライバルに対する回答という面も見えてくる。

ライバルを叩き潰せ

去年までAWSはOracleに向けて多少嫌味を言うことはあったにせよ、競合他社への言及はできるだけ避けてきた。しかし今年のキーノートではライバルへの対抗心がアップしていた。AWSのCEO、アンディー・ジャシー 、AmazonのCTO、Werner Vogelsはデータベース市場で最大のライバルとなるOracleをはっきり批判した。もちろんクラウド市場ではOracleはさしたる脅威にはならない

しかしAWSはオンプレミスのコンピューティングというOracle自身の市場でシェアを奪おうとしている。Outpostsという新しいシステムが武器だ。ユーザーはAWSが用意する専用のラックマウントのサーバーを利用してオンプレミスでAWSの環境を利用できる。ユーザーはVMwareのサーバーを利用することもできる。これはむしろラリー・エリソンがOracleのために構想しそうなシステムだが、ジャシーは特にOracleその他のライバルを念頭に置いたものではないとした。「Outpostsは別にライバルへの警告射撃といったたぐいのものではない。われわれのすることはすべて顧客の要望によりよく答えようとするものだ」とジャシーは先週の記者会見で述べた。

先週のAWS re:Inventでの記者会見で質問に応えるAWSのCEO、Andy ジャシー

とはいえ、AWSはOracleに対する批判を手控えはしなかった。またMicrosoft SQL Serverを槍玉に挙げると同時に、 Amazon FSx for Windows File Serverを発表した。これはMicrosoftのファイルをAWSで処理する専用ツールだ。

InferentiaとElastic Inferenceの発表に際してGoogleについても言及した。AWSはAI市場をGoogleのTPUインフラに独占させないという決意のようだ。こうしたツールやシステムは単に「ユーザーの要望に答えた」というには大掛かり過ぎる。おそらくはライバル各社にAWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に参入することを宣言する意図があったに違いない。

ますます成長するとの予測

クラウド・コンピューティング市場は劇的なスピードで成長中だ。AWSはそのマーケット・リーダーとして市場制覇のために絶好の位置につけている。Googleのダイアン・グリーンやOracleのラリー・エリソンも述べていたが、ジャシーは「クラウド化はまだ始まったばかりだ」と強調した。エンタープライズには今後クラウドに移行すべきプロセスがきわめて多く残っているとしてジャシーは次のように述べた。

アメリカ市場における私企業、公的セクターのいずれを見ても、エンタープライズ・コンピューティングのクラウド化はごく初期段階にある。しかもアメリカ以外の市場の現状はアメリカに1年から3年遅れている。つまりメインストリームの大企業は業務を本格的にクラウドに移行させる計画をようやく立て始めたところだ。

Moor Insights & Strategyのファウンダー、プリンシパル・アナリストのPatrick Moorheadは、AWSは市場における現在の強力な立場を活かして異なる分野に事業を拡張していくだろうという。MoorheadはTechCrunchの取材に対し、「Google Cloud PlatformやOracle Cloudを始め、他の企業では手に余るような事業に進出する規模がAWSには十分にある。.AWSは数千にもにも及ぶ新機能、新サービスを導入することでこれを実証している。これは十分なりソースを欠いているクラウドには逆風となり、中長期的には脱落する企業も出てくるだろう」と述べた。

ただしイノベーションは現在のような熱狂的なペースで永久に続くわけではないとMoorheadは考えている。「クラウド化にともなうユーザーの要求の95%が満足させられる状況になるのはいつだろうか? そうなれば現在のようにしゃにむにイノベーションが求められることはない。どんなマーケットであれ、かならずこの水準に達するときが来る。だから正しい質問は『もし』ではなく『いつ』だ」という。

しかしもちろん衛星通信の地上局サービス AWS Ground Stationのようなまったく新しいクラウド化の分野は今後も出てくるだろう。 従来のエンタープライズ・コンピューティングの枠を超えてクラウド化事業を構想できる能力は重要だ。AWSはこれまでわれわれが想像もしなかったようなクラウド事業の分野を創造してくるかもしれない。

今年のre:Inventはオンプレミスであろうがクラウドであろうが、AWSはエンタープライズ・コンピューティングのあらゆる分野に進出する意思も能力もあることを世界に示すものとなった。AWSはどの分野であれライバルに譲るつもりはまったくないようだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

AWSがサーバーレスLambdaの機能を多様化、複数のプログラミング言語をサポート

AWSは2015年にLambdaをローンチし、それによってサーバーレスコンピューティングが広く利用されるようになった。ユーザーはイベントトリガーとなるコードを書き、それを動かすための計算処理やメモリ、ストレージなどの手配はすべてAWSが担当する。今日(米国時間11/29)ラスベガスで行われたAWS re:Inventで同社は、Lambdaをもっとデベロッパーフレンドリーにするいくつかの新しい機能を発表した。サーバーレスは複雑性を減らしてくれるが、でもそれが成熟するためにはより高度なツールが必要なのだ。

デベロッパーは、コードは書くけどその実行に必要なサーバーの心配はしない。だからサーバーレスと呼ばれる。すべての面倒をクラウドベンダーが見てくれて、イベントの実行に必要なリソースの手配をすべて行なう。デベロッパーは、インフラストラクチャまわりのコードを書く必要がなくなり、アプリケーションが仕事をするために必要なコードだけを書けばよい。

AWSのやり方は、とにかく最初に何かをベースサービスとしてリリースし、顧客の利用とともに要求が増えてくると、サービスの機能を増やしていく。AmazonのCTO Werner Vogelsが木曜日(米国時間11/29)のキーノートで指摘したように、デベロッパーたちはツールについてよく議論をするが、それを聞いていると、誰もが自分の仕事のためにほしいツールのアイデアを持っていることが分かる。

そこで最初に同社は言語に着目して、新しい言語のサポートを導入した。たとえばRubyを使っているデベロッパーは、これからはRuby Support for AWS Lambdaを使って、“LambdaのファンクションをRubyに合ったコードで書き、それらをAWSの上で実行できる。Ruby用のSDKはLambdaの実行環境にデフォルトで含まれている”、とAWSのChris Munnsが、この新しい言語サポートを紹介するブログ記事で述べている。

C++派の人たちのためには、C++ Lambda Runtimeが発表された。また、これら以外の言語のためには、Lambda Runtime APIが新たに用意された。AWSのDanilo Pocciaはブログ記事でこれを、“ファンクションの開発に、さまざまなプログラミング言語やその特定のバージョンを使えるための、シンプルなインタフェイスだ”、と説明している。

またIDEに関しては、PyCharm, IntelliJ, そしてVisual StudioのサポートがLambdaに導入された(現状はプレビュー)。

AWSは、言語とIDEのサポートだけで満足していない。たしかにLambdaは(一般的にサーバーレスは)デベロッパーのためにあるレベルまでの複雑性を取り去ってくれるが、でもサーバーレスのアプリケーションは簡単なイベントトリガーだけではない。より高度なサーバーレスアプリケーションでは、システムレベルの要素を持ち込んだり、複数の部位をまとめたりしなければならない。Vogelは今日のキーノートで、このことを指摘した。

そこで複雑高度なサーバーレスアプリケーションのためにAWSが導入したのが、Lambda Layersだ。それは、彼らの説明によると、“複数のファンクションが共有するコードとデータを管理する方法”だ。それは複数のファンクションが使用するカスタムコードでもよいし、ビジネスロジックを単純化するためのコードを共有するような場合でもよい。

Lambdaの成熟と共に、デベロッパーの要求もうるさくなる。今回のさまざまな発表は、それらのニーズに応える努力の一環だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

紙の帳票のデジタル化に今でも使われているOCRをやや賢くするAmazon Textract

ほとんどの企業が困ってることのひとつが、各種の伝票をはじめ、いろんな書式(フォーム, form)をデジタル情報に変えて、保存したりソフトウェアで処理したりすることだ。よくあるやり方は、人間の事務職員がコンピューターにデータ入力すること。最新技術を使う方法としては、OCRに書式を自動的に読ませるやり方がある。

しかしAWSのCEO Andy Jassyに言わせると、OCRは要するに無能な読み取り機にすぎない。それはテキストのタイプなどを認識しない。それを変えたいAmazonは今日(米国時間11/28)、Amazon Textractという、ややお利口なOCRツールを発表した。これなら書式上のデータを、もっと使いやすい形でデジタル化してくれそうだ。

Jassyが例として見せたのは、表のある書式だ。通常のOCRは表を認識しないから、表の各欄の枠を超えて、ひとつのテキストとして読み出す。Textractは、表などの、よく使われる成分を認識して、妥当な形でデータを取り出す。

Jassyによると、書式はよく形が変わるので、OCRの無能を補うためにテンプレートを使っていても、形が変わるとテンプレートは役に立たない。一方Textractは、よく使われるデータタイプ、たとえば社会保障番号、誕生日、住所などなどを知っているので、それらがどんな形で収まっていても正しく解釈できる。

“Textractには、この形の文字集合なら誕生日、これなら社会保障番号、等々と教えてあるので、書式が変わってもそれらを見逃さない”、とJassyは説明した。

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Amazonが開発者たちに機械学習を教えるために、縮小版自動運転車を発表

Amazonは本日(米国時間11月28日)、開発者が機械学習を学ぶのを助けることを目的とした、完全に自律的な1/18スケールのレースカーAWS DeepRacerを発表した。定価は399ドルだが、現在は249ドルで提供されている。このレースカーは、強化学習(RL:Reinforcement learning)と呼ばれる機械学習技術を、開発者が文字通りハンズオンで学習できるようにする。

RLは、他の機械学習手法とは違った訓練モデルへのアプローチを取っている、とAmazonは説明している

それは、インタラクティブな環境内で「エージェント」が試行錯誤的に行動することが許されている場合に機能する機械学習の一種である。実行したアクションからのフィードバックを使用して、あらかじめ決められた目標に達したり、またはスコアまたは報酬などを最大限にするために、時間をかけて学習を行う。

これによって、他の機械学習技法との違いが生まれる。例えば教師あり学習に比べると、開始に当たってラベル付きのトレーニングデータを必要とせず、長期ゴールを最適化しつつ短期意思決定を行うことができる。

新しいレースカーは、自動運転を通じた学習で、開発者にRLを実験させる。

開発者はまず、AWS RoboMaker上に構築されたクラウドベースの3Dレーシングシミュレータ内で、仮想自動車とコースの利用を始める。ここでは、自動運転モデルを、シミュレータ内で事前に定義されたレースコースに対して訓練することができる。そしてそのモデルを仮想的に評価したり、実世界の物理的なAWS DeepRacerカーにダウンロードしたりすることができる。

彼らはまた、車が発表されたre:Invent会議で開催される、最初のAWS DeepRacer Leagueへ参加することもできる。このイベントはAWS DeepRacerワークショップとMGM Speedwayで24時間に渡って行われ、Amazon SageMakerAWS RoboMaker、およびその他のAWSサービスが利用される。

6つのメイントラックがあり、それぞれにピットエリア、ハッカーガレージ、トレーニングや実験に使用できる2つの拡張トラックが追加されている。DJもいる。

このリーグは、今回のイベント終了後も、世界中のAWS Global Summitで、2019年以降に始まる一連のライブレースイベントとして継続される。Amazonによれば、re:invent 2019におけるAWS DeepRacer 2019 Championship Cupでの優勝を目指して、仮想トーナメントがこれから1年を通して実施される。

車のハードウェア自体は、インテルAtomプロセッサを搭載した1/18スケールのラジコン式四輪駆動車である。プロセッサでは、Ubuntu 16.04 LTS、ROS(ロボットオペレーティングシステム)、そしてIntel OpenVinoコンピュータビジョンツールキットが実行される。

車には、1080pの解像度を持つ4メガピクセルのカメラ、802.11ac Wi-Fi、複数のUSBポート、持続時間約2時間のバッテリ電源も含まれている。

ハードウェアはAmazonのここから購入することができる。

AWS re:Invent 2018カバレッジ

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(翻訳:sako)

AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

AWSはつねに純粋なクラウドベンダーだったが、ときにはハイブリッドにも目を向け、そしてこれからはそれを全面的にサポートする気だ。今日同社はVMwareと共に、AWSをデータセンターに持ち込むためのオプションを発表した。

えっ?企業のデータセンターにAWS?…そう、そのとおり。これからは、あなたの会社のデータセンターにAWSを置ける。AWSのハードウェアを使用し、設計もAmazon本体のAWSとまったく同じになる。そのために、AWS Outpostsの二つのプロダクトを利用する。

二つとは、「VMware Cloud on AWS Outposts」と「AWS Outposts」だ。最初のは、VMwareのコントロールパネルを使う。そして後者は、AWSのクラウドで使われているのと同じAWS APIを使って計算処理やストレージをオンプレミスで動かす。

実際にre:InventのステージにはVMwareのCEO Pat GelsingerとAWSのCEO Andy Jassyが一緒に立って、共同発表を行った。両社はかなり前から協働して、AWSのクラウドへVMwareを持ち込む作業を続けていた。しかし今回の発表ではそれが逆になり、AWSのクラウドをオンプレミスに持ち込んでVMwareと併用する。どちらの場合も、AWSはそのハードウェアをユーザーに売り、お望みならインストールもするし、メンテナンスも担当する。

これは、クラウドのビジョンをひたすら追うAWSにとって、後れていた分野だ。データセンターに戻るなんて! でも近年の暗黙の了解としては、近未来の顧客は両方の場所での運用を望むのだ。

この発表は、同社のクラウドネイティブ的ビジョンを拡張するものでもある。月曜日(米国時間11/26)に同社は、Transit Gatewaysを発表したが、それは、クラウドやオンプレミスなど、いろんなところにあるネットワークリソースを一元的に管理する仕組みだ。

そして今回AWSは、そのクラウドをオンプレミスに持ち込む。それは、MicrosoftやCanonical、Oracleなどなどが前からやっていたことだ。

なお、今日の発表は公開プレビューであり、本番のリリースは来年後半になるようだ。

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〔outpost, 前進基地。Amazonにとっての前進基地だ。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSがEC2向けARMベースのサーバを発表

ラスベガスで開催されているre:Inventカンファレンスで、AWSは本日(11月26日)、EC2クラウドコンピューティングサービス向けの、ARMベースのサーバーを立ち上げたことを発表した。しかし、使われているのはありふれたARMチップではない。AWSは標準のARM Coreを採用し、それをニーズに合わせてカスタマイズしたのだ。同社によれば、そのAWS Gravitonという名前のプロセッサは、多数の小さなインスタンにまたがって分散可能なワークロードの、スケールアウトに焦点を当てて、性能とコストが最適化されているということだ。

A1と呼ばれる最初のインスタンスセットは、米国とヨーロッパの多くのAWSリージョンで利用可能になった。オンデマンド、リザーブドインスタンス、スポットインスタンス、専用インスタンス、専用ホストといった、AWSのすべての標準インスタンス価格モデルをサポートしている。

現段階では、これらのマシンのOSとしては、Amazon Linux 2、RHEL、そしてUbuntuしか利用することができない。だがAWSは将来的には追加のオペレーティングシステムサポートが提供されることを約束している。

これらはARMサーバーなので、当然ながらアプリケーションを実行する前には、全てのネイティブコードを再コンパイルする必要がある。しかし、実質的にスクリプト言語で書かれたほとんどのアプリケーションは、おそらく何の変更も必要なく実行できるだろう。

これらのインスタンスの価格は、1 CPUと2 GiBのRAMを搭載したa1.mediumマシンの場合1時間あたり0.0255ドルから始まり、16 CPUと32 GiBのRAMを搭載するマシンでは0.4080ドル/時間に達する。 X86ベースのt3.nanoサーバーが0.0052ドル/時間から始まることを考えると、期待したほど安くはないかもしれないが、もちろんスポットインスタンスを使うことで、いつでもかなりの節約をすることが可能だ。とはいえ、ベンチマークを実際に見るまでは、こうした異なるタイプのマシンを比較することは難しい。

AmazonのJeff Barrが本日の発表で指摘したように、同社のいわゆるNitro Systemへの移行によって、より速いチップ上で新しいインスタンスタイプを起動することが可能になった。Nitroは基本的に、新しいインスタンスタイプを作成するためのビルディングブロックを提供し、必要に応じてチームがそれを混ぜ合わせたり組み合わせたりすることができる。

AWSが今月初めにAMD EPYCプロセッサのサポートを開始したことも注目に値する。

AWS re:Invent 2018カバレッジ

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(翻訳:sako)

CTO of the year 2018の登壇者が決定!TC Tokyo Startup Battle卒業生も参加

例年、TechCrunch Tokyoの初日の夜に開催してきた「CTO of the year」。今年は11月21日(水)の単独開催となり、アマゾン ウェブ サービス ジャパンがJR目黒駅前に10月1日にオープンさせたばかりのコワーキングスペース「AWS Loft Tokyo 」に場所を移すことになった。

CTO of the yearは、スタートアップ企業のCTO(最高技術責任者)によるピッチコンテストを開催して、技術によるビジネスの貢献度を審査するイベントだ。独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営などを評価対象として今年1年最も輝いたCTOが選出される。今年もTechCrunch Japanが審査員として参加する。

前回の記事では審査員を公開したが、今回は登壇が決定した各社のCTOを紹介したい。 昨年のTechCrunch Tokyo 2017のStartup Battleで優勝した空や、会場投票でファイナルステージに進みバンダイナムコ賞を獲得したVoicy、日本マイクロソフト賞、IBM BlueHub全力サポート賞、Jooto AWARD BY PR TIMESなどを獲得したscouty、そしてTechCrunch Tokyo 2018のStartup BattleのファイナリストであるGVA TECHなど、TechCrunch読者にもなじみのある企業が多数参加する。

CTO of the year 2018の概要は記事の最後に記載しているが、CTOもしくは、それに準じるポジションの人であれば参加はいつもどおり無料だ。オープンしたてのAWS Loft Tokyoの視察がてら立ち寄ってほしい。

■登壇者一覧
海老原 智氏(カケハシ取締役/CTO)
慶應義塾大学大学院政策メディア・研究科修了後、凸版印刷でバーチャルリアリティ用3DCGビューア/SDKの開発、3DCGコンテンツ制作会社でテクニカルディレクションに従事。グリーにてSNS/プラットフォーム系開発に携わった後、サイカの取締役CTOを経て、創業直後のカケハシに参画。

 

窪田雄司氏(Voicy CTO)
2016年2月にVoicyを共同創業しCTOに就任。 当初はすべて一人で開発を行い、現在はチームビルディングやサービスの企画・品質管理のほか、プロダクトの開発も引き続き手がける。 創業以前は金融、流通、EC、広告などさまざまな業種においてシステムの開発・マネジメントやPMO業務にもに携わってきた。

 

川原尊徳氏(atama plus CTO)
2006年に東京大学大学院情報理工学系研究科を卒業し、マイクロソフトに入社。Hotmail開発、日本語IME開発、データサイエンティスト等を経て、2017年に大学時代の仲間とともにatama plusを設立し、CTOになる。現在は主に組織づくりとレコメンドエンジンのコアロジックを担当。

 

田仲紘典氏(空CPO)
立命館大学大学院卒業後Yahoo! JAPANに就職。主にインフラエンジニアとして活動し、ヤフーアカデミアでリーダーシップについても学ぶ。また在職中にAPProgにて、技術サポートとして副業も経験。その後、現職である空に、MagicPriceの立ち上げ期からエンジニアとして携る。

 

本田勝寛氏(GVA TECH取締役/CTO)
フリーランス、インフラ・ネットワークエンジニア、プログラマーを経験。プログラマーでは、主にスタートアップにてソーシャルゲーム、アドテク、シェアリングエコノミー領域に携わる。2017年9月にGVA TECHにCTOとして参画、プロダクト開発・エンジニア組織の内製化を進め、現在に至る。

 

伊藤 勝梧氏(scouty取締役/CTO)
2015年に京都大学工学部情報学科を卒業。大学1年でRailsの魅力に引かれ、在学中に受託開発を行う。クックパッド, ビービット(beBit)のインターンを経て、2015年よりウェブの受託開発企業を経験後、scoutyにジョイン。現在CTOとしてホラクラシーな開発組織づくりやプロダクトオーナーを担当。

 

前田 翼氏(FACTBASE CTO)
React Native OSSというReact Native周りのOSSにペアプログラミングで貢献するコミュニティのオーガナイザー。 近日発売の著書に「実践Expo ~React NativeとFirebaseでSNSアプリを最速ストアリリース~」(11/18ごろにAmazonなどで予約受付開始)。

 

CTO of the year 2018
【日時】11月21日(水)17時〜19時30分
【会場】東京・AWS Loft Tokyo(東京都品川区上大崎3-1-1 目黒セントラルスクエア内)
【審査基準】技術によるビジネスへの貢献度(独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営についても評価対象)
【審査】CTO of the year 2018実行委員会による
【主催】CTO of the year実行委員会
【メディアパートナー】TechCrunch Japan
【運営パートナー】イベントレジスト
【企画、運営協力】アマゾン ウェブ サービス ジャパン
【チケット】無料(参加登録は必須)
【事務局連絡先】cto-of-the-year2018@amazon.com(CTO of the year運営事務局)

11月21日に開催決定!最も輝くCTOを選出する「CTO of the year 2018」

例年、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」の初日の夜に開催されてきた「CTO Night/CTO of the year」。もちろん今年も開催が決定した。

今年はTechCrunch Tokyoとは分離し、アマゾン ウェブ サービス ジャパンがJR目黒駅前に10月1日にオープンさせたばかりのコワーキングスペース「AWS Loft Tokyo 」に場所を移しての開催となる。開催日はTechCrunch Tokyoから約1週間後の11月21日(水)だ。

CTO of the yearとは、新進気鋭のスタートアップ企業のCTO(最高技術責任者)によるピッチコンテストを開催し、技術によるビジネスの貢献度を審査するイベント。独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営などを評価対象として今年1年最も輝いたCTOが選出される。TechCrunch Japanも審査員として参加する。

■審査委員長
藤本真樹氏(グリー 取締役上級執行役員/最高技術責任者)

■審査員
白井 英氏(Craft Egg、ジークレスト、サムザップ各社におけるCTO)
松尾康博氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクト)
吉田博英(TechCrunch Japan副編集長)

■特別審査員
竹内秀行氏(2014年CTO of the year、ユーザベース チーフテクノロジスト、UB Ventures テクノロジーパートナー)
安川健太氏(2015年CTO of the year、ソラコム CTO/Co-founder)
橋立友宏氏(2016年CTO of the year、Repro CTO)
大竹雅登氏(2017年CTO of the year、dely CTO/執行役員)

CTO of the year 2018の概要は以下のとおり。CTOもしくは、それに準じるポジションの人であれば参加はいつもどおり無料だ。ぜひ目黒のAWS Loft Tokyoに立ち寄ってほしい。

CTO of the year 2018
【日時】11月21日(水)17時〜19時30分
【会場】東京・AWS Loft Tokyo(東京都品川区上大崎3-1-1 目黒セントラルスクエア内)
【審査基準】技術によるビジネスへの貢献度(独自性、先進性、業界へのインフルエンス、組織運営についても評価対象)
【審査】CTO of the year 2018実行委員会による
【主催】CTO of the year実行委員会
【メディアパートナー】TechCrunch Japan
【運営パートナー】イベントレジスト
【企画、運営協力】アマゾン ウェブ サービス ジャパン
【チケット】無料(参加登録は必須)
【事務局連絡先】cto-of-the-year2018@amazon.com(CTO of the year運営事務局)

Google Slidesの解説ナレーションがリアルタイムで自動的に字幕表示される

GoogleのプレゼンテーションツールSlidesに、プレゼン中のリアルタイムの自動字幕というおもしろい機能が加わる。耳の不自由な人や、聴くより読んだ方がよく分かるという人には、とても便利だろう。

この新しい機能は、画面読み上げツールの改良や、Braille、Google Docs/Sheets/Slidesの拡大表示などを作った同社のアクセシビリティーチームの作品だ。この自動化字幕は社内のハッカソンで生まれ、それが今回からは、デフォルトの言語がアメリカ英語である人がChromeブラウザーを使ってる場合に利用できる。対応言語は今後徐々に増やしていく予定だ。

この機能はSlidesのナビゲーションボックスの“CC”ボタンを押すと使えるようになる。あとは、コンピューターのマイクロフォンに向かって、ふつうに話すだけだ。

これはアクセシビリティーの機能であるだけでなく、プレゼンのナレーションの書き起こしを作って、それを後で何かに利用するためにも使える。

なお、最近MicrosoftのTeamsにも、同様の字幕/書き起こし機能が加わった。GoogleとAWSとMicrosoftは、その音声書き起こし技術をAPIとして提供しているので、自分のアプリケーションにこの機能を組み込むデベロッパーも徐々に増えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWS、VPSサーバーのLightsailを半額に値下げ

2016年に提供開始したAWS Lightsailは、Digital Ocean、OVHを始めとする低価格バーチャルプライベートサーバー(VPS)製品に対するAmazonの答だった。Lightsailはごく基本的なサービスとしてスタートしたが、この2年間にブロックストレージ、Windowsサポートの追加、リージョンの拡大などが加わった。

本日(米国時間8/23)Amazonは、新たに2つのインスタンスサイズを追加し、LinuxベースのLightsailインスタンスのほとんどを半額に値下げした。Windowsインスタンスも値下げされるが、値下げ幅は大部分が約30%だ。

Linuxインスタンスの中で唯一50%の値下げでなかったのは、5ドル/月の512 MBインスタンスで新価格は3.50ドル。これでも悪くはない。ニーズによっては512 MBでもプロジェクトをいくつか動かすのに十分なので、1 GBが必要ないユーザーはLightsailを使えばDigital Oceanの最小構成である5ドル/月よりも数ドル安くできる。実際、Lightsailの1 GBインスタンスも5ドル/月になったのも驚きではない。

どのインスタンスタイプも、SSDストレージ、SSHアクセス、固定IPアドレスを含めVPSホスティングサービスに期待される機能をすべて備えている。

例によってWindowsインスタンスは少々高くて(つまるところWindowsのライセンスはただではない)512 MBインスタンスが月額8ドルだ。より使いでのある1 GBインスタンスには毎月12ドルが必要だ。

新しいインスタンスサイズについては、16 GBインスタンスが4つのvCPUと320 GBのストレージ、および余裕の6 TBデータ転送速度を備える。32 GBインスタンスはvCPUとストレージが倍になりデータ転送速度が7 TBになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook