AWSはやはりAmazonのドル箱――第2四半期決算でさらに輝く

AWSは引き続きAmazonのバランスシートのスターだ。第2四半期の決算でAWSは新事業に期待しうる限りの好成績を挙げた。 しかも通販ビジネスよりもはるかに高い利益率を計上している。

いまや生鮮食品の宅配も運営するAmazonの本業の利益率はきわめて低い。しかしAWS事業部は現在なんと25%の利益を得ている。しかも昨年同期と比較して49%も成長している。

AWSは四半期だけでなく、この半年の対前年比成長率も49%ある。第2四半期だけの売上でも60億ドル以上を記録しており、売上は通年で100億ドルを楽に超えるはずだ。Amazonのリテール事業の売上は470億ドル弱だが、純利益は13億ドルにすぎない(監査ずみ数値ではない)。一方、AWSは61億ドルの売上から16億ドルの営業利益を上げている。

つまり簡単にいえば、AWSはとてつもなく高利益率で、Amazon全体で最大の利益を生む事業となっている。同社の発表によれば、今期の1株あたり利益は5.07ドルだったが、これはアナリストの予想2.50ドルのほぼ2倍だった。ただ529億ドルという売上は予測をやや下回った。好材料と悪材料が帳消しとなった形で時間外取引の株価はほとんど動かなかった。AmazonはGoogle、Apple、Microsoftと並んで時価総額1兆ドル企業を目指すレースを続けている。

AWSの成功はある意味で当然かもしれない。AWSはクラウドのパイオニアであり、世界のコンピューティングをクラウド化する有力な要因だった。AWSの好調さをみてMicrosoftとGoogleがこの分野への参入を決め、できるかぎりのシェアをもぎ取ろうと奮闘している。MicrosoftはAzure単独での詳細を明らかにしていないが、「われわれのグループで最速で成長している事業」だとしている。Googleの「その他事業」にはGoogle Cloud Platformが含まれるが、やはり最速で成長している事業ののひとつだとされている。大量のサーバーのコンピューティング能力をオンデマンドで販売することは、コマース事業の薄いマージンと比較して非常に旨味のあるビジネスだと判明したようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWS EC2にさらに高速、大容量の新インスタンス登場

今日(米国時間7/17)はAmazonからAWSクラウド・コンピューティングについてビッグな発表がいくつかあった。EC2をSnowball Edgeデバイスで作動させることができるようになっただけでなく、新しいEC2のインスタンスも多数発表された

このためデベロッパーは新しいタイプのインスタンス(Z1d)をカスタムXeon CPU(最大4.0GHz)で作動させることができる。メモリ最適化が行われた新しいインスタンス(R5)の場合は3.1GHzだ。この場合、従来に比べてCPUの能力は50%、メモリは60%それぞれアップする。ベアメタルサーバーの一種であるインスタンスを作動させることもできる。またR5dバージョンはNVMeを通じてSSDストレージを利用できる。

AmazonのJeff Barrが今日の発表で述べたところによれば、こうした新しいインスタンス・タイプはAWSのNitroシステムをベースとしている。このシステムはEC2を構成する要素を従来とは異なる方式で統合することを可能にした。

今回発表された新しいZ1dインスタンスは極めて大きなコンピューター・パワーを必要とする(かつそのためにGPUを利用することが不適当な)アプリケーションを作動させることが目的なのは明らかだ。Amazonでは電子回路設計のオートメーション、金融業における大容量コンピューティング、RDBなどをユースケースとして挙げている。

R5インスタンスは最大でコア96、メモリ768GiBが利用でき、ビッグデータ分析など主としてメモリ内キャッシングを使うアプリケーションを作動させるのが目的だ。

〔日本版〕GB=10^9、GiB=2^30だが、サイズはほぼ同じ。コンピューティング関係ではGBと表記されていても実際のサイズはGiBの場合が多い。

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Snowball EdgeでEC2を現場で動かせるようになった――AWS、エッジ・コンピューティングをさらに強化

AWSのエッジコンピューティング・デバイス、Snowball Edgeはすでに広く使われている。しかし今日(米国時間7/17)、AWSはきわめて役立つ新機能を追加した。これまで、このデバイスは大量データの保管、転送、GreengrassサービスとLambdaを利用したある種のタスクの実行などに使われていた。しかしAWSはさらに一歩を進め、フラグシップ・コンピューティング・サービス、EC2をSnowball Edge上で利用できるようにした。

これにより、たとえば、工場内にデバイスを設置してそれまで使ってきたAmazon Machine Imagesを実行することができる。これによりまず帯域幅が大きく節減できる。ユーザーはEdgeデバイスですべてのコンピューティングを実行するか、プリプロセッサとして利用し、処理済みのデータをAWSに転送することができる。操作には従来のAWSのマネジメント・コンソール(ないしコマンドライン)を使える。Snowball Edgeは1.8 GHzのIntel Xeonプロセッサを内蔵しており、最大32GBのメモリで24のvCPUまで作動させることができる(メモリサイズ、vCPU個数の組み合わせは自由に設定できる)。

従来どおりの単一のマネジメント・コンソールから管理できるサーバーの中にSnowball Edgeが含まれるようになった、つまり他のAWSのクラウド上のマシンとまったく同様に扱えるようになったというのがAmazonが強調するメリットだ。念のために付け加えれば、OpenStackのエッジ・コンピューティングの基礎をなすアイディアだ(ただしSnowballはOpenStackより設定がはるかに簡単)。またMicrosoftのAzure Stackや各種のエッジ・コンピューティング・サービスが目指すのも同じ方向だ。

デバイスをレンタルする必要があるためSnowball Edgeのコストは決して安くはない。しかしオンデマンドによるコンピューティングのコストの大半はデータ転送費用で、これは500ドルからスタートする。Snowball Edgeを1台、1年間使うと少なくとも1万5330ドルかかる。しかし企業がエッジ・コンピューティングで処理を完了する前に、 AWSとデータをやり取りする必要が起きるケースはめったにないだろう。 また公平に言って、1万5330ドルという価格は同種のライバルに比べてはるかに安い。

〔日本版〕AWS日本語ページのSnowball Edgeの説明はこちら(EC2の利用に関してはまだ説明がない)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SnowflakeがAmazonだけではなくAzureクラウドにも拡大

クラウドデータウェアハウスであるSnowflakeが、Microsoftとの提携を発表し、そのプロダクトをAzureクラウドへと拡大した。新製品はまだプレビュー中だ。

SnowflakeのCEOであるBob Mugliaが、Microsoftで20年以上働いていたことを思えば、創業以来のパートナーであったAmazonに続いて、Microsoftが第2のパートナーとなったことは不思議ではない。しかし、Mugliaによれば、Microsoftとの旧来のコネよりも、市場からの要求の方が本当に多く寄せられているのだという。実際、現時点では、毎日1、2社のAzure顧客からの問い合わせを受けているという。

計画では、本日よりプライベートプレビューを開始し、サービスを他のプラットフォームに移植する際に発生する様々な課題を解決して、秋の適当な時期に一般開放をする予定だ。

このパートナーシップは突然結ばれたわけではない。それは既に1年を超える開発期間を経ているのだが、MugliaによればAzureはAmazonと比べると色々な点でまだ成熟しておらず、それらを解消するためには技術的な協力が必要なのだという。

「私たちはプロダクトを彼らのプラットフォーム上で動作させるために、いくつかの点についてMicrosoftと協力する必要がありました、特にAzure Blob Storageに関しては、少々異なるやり方をAzure上で行う必要がありました。よって動作させるために、私たちのプロダクトの内部に手を入れる必要がありました」と彼は説明した。

とはいえ、全体として両社のエンジニアたちは、こうした課題を解決するために協力しており、Mugliaによれば、プレビュー版の中ではまだ作業中のいくつかの機能はあるものの、秋にAzure版が一般公開されたときには、基本的にはAmazon上で提供されているものと同じものになるという。「私たちの目標はAmazon上のプロダクトと文字通り同じものを提供することです。私たちはMicrosoftと共に、その目標を達成することができると信じています」と彼は語った。

もちろんSnowflakeにとって、それは大幅な市場の拡大を意味する。今やAzureとAmazonどちらのプラットフォームを使う企業に売り込むことは可能になり、全く新しい顧客へのパイプラインを開くことができるからだ。Azureは、Amazonに続く第2位のクラウドプロバイダーだ

最も興味深い点は、もちろんAmazonとMicrosoftがクラウドの中で競合することだが、Snowflake自身もそれぞれのクラウドプロバイダーと、そのプロダクトで戦っている。この種のパートナーシップは、クラウドの世界ではますます標準的なものになって来ている。複数のプラットフォームにまたがって作業を行い、得意なところで競争を行うのだ。

「業界内での関係のほとんどに、なんらかの競合要素は含まれています、まあそれが普通ですけどね」と彼は語った。

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(翻訳:sako)

AWSのBIツールQuickSightがセッション課金制を導入して気軽な利用を促進

Amazon AWS上のビジネスインテリジェンスツールQuickSightは2015年にローンチしたが、しかし競争の激しいBI市場にこのサービスが与えたインパクトを量るのは難しい。でも同社にこのプロジェクトをギブアップする気配はなく、今日はQuickSightのダッシュボードのセッションあたりの課金という、新しい料金プランを導入した。それは明らかに、TableauやMicrosoftのPower BIが大きなマインドシェアを握っている市場に、食い込む努力の一環だ。

この新しい料金プランでも、ダッシュボードの作成と発行に関しては一人あたり月額18ドルのままだ。しかしダッシュボードの内容を読んで利用する者は、1セッションあたり30セントを払い、最大月額が一人あたり5ドルになる。1セッションの定義は、ログインしてから最初の30分のことだ。

それまでのQuickSightの料金プランは、一人あたり月額9ドルのスタンダードプランと、Active Directoryと保存時の暗号化がサポートされる24ドルのエンタープライズプランの二種類だった。

月額9ドルのプランは今後も残り、ダッシュボードを作る人と利用する人が同一人物であることの多い小企業にはこれで十分だろう。今回の新しい料金プランは、既存のエンタープライズプランと併存せず、それを置換する。

QuickSightはすでに、Tableauなどに比べるとかなり低料金だったが、しかしその機能の揃いぐあいについては、評価が低かった。今度のセッションあたりの料金制は、安売りをさらに強調するだけだ。

AWSでQuickSightを担当するVP Dorothy Nichollsは、今日のコメントでこう述べている:

“Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)が提供するスケーラビリティの優れたオブジェクトストレージや、従来のソリューションの1/10の費用で利用できるデータウェアハウジングサービスAmazon Redshift、そしてAmazon Athenaが提供するサーバーレスのアナリティクスにより、AWSは、かつてなかったほどのペースで、顧客がデータを保存し利用する場所になりつつある。そしてそれにより、知識労働者たちのほぼ全員が、それらのデータと、そこから得られるインサイトへの、容易なアクセスを求めるようになっている。それは、ほとんどの企業における近年の大きな変化だ。企業が全社にわたってそのような要求を満たすことは、かつては費用的に不可能だったが、Amazon QuickSightのこのたびのセッション課金制により、情報とアナリティクスへのアクセスが、新しい時代を迎えようとしている”。

QuickSightの現在のユーザーの中には、NFL, Siemens, Volvo, AutoTraderなどがいる。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSのグラフデータベースNeptuneが一般公開、既存の主要なグラフAPIもサポート

AWSが昨年のre:Inventカンファレンスで紹介したグラフデータベースNeptuneが、今日(米国時間5/30)から一般公開された。それはあのとき発表された数十ものプロジェクトのひとつだから、思い出せない人がいても不思議ではない。

NeptuneはTinkerPop GremlinSPARQLのグラフAPIをサポートしているので、いろいろなアプリケーションと互換性がある。AWSによるとこのサービスはエラーから30秒以内に復旧し、99.99%の可利用性を約束する。

AWSでデータベースとアナリティクスと機械学習を担当しているVP Raju Gulabaniは次のように語る: “世界がますます接続された世界になるに伴い、互いに接続された大きなデータセットをナビゲートするアプリケーションが顧客にとってますます重要になる。そういう時期に、スタンダードなAPIを使って何十億もの関係性を数ミリ秒でクェリできる高性能なグラフデータベースサービスを提供できることは、たいへん喜ばしい。これにより多くのデベロッパーが、高度に接続されたデータセットを扱うアプリケーションを容易に作って動かせるようになるだろう”。

Neptuneに好適なアプリケーションといえば、ソーシャルネットワーク、リコメンデーションエンジン、不正行為検出ツール、エンタープライズのインフラストラクチャの複雑なトポロジーを表現しなければならないネットワーキングアプリケーションなどだ。

Neptuneにはすでに、有名企業のユーザーがいる。それらは、Samsung, AstraZeneca, Intuit, Siemens, Person, Thomson Reuters, そしてAmazon自身のAlexaチームなどだ。AlexaのディレクターDavid Hardcastleが、Neptuneの発表声明の中でこう述べている: “Amazon Neptuneは、Alexaの数千万の顧客のためにAlexaの知識グラフを継続的に拡張していくための欠かせないツールキットだ。今日はその正式スタートの日だが、これからもAWSのチームと協力してさらに良いユーザー体験を顧客に提供していきたい”。

今このサービスは、AWSのU.S. East(N. Virginia), U.S. East(Ohio), U.S. West(Oregon), EU(Ireland)の各リージョンで利用できる。そのほかのリージョンでも、今後随時提供されていく予定だ。

・関連記事: Amazon、re:inventカンファレンスでグラフDB、Neptune発表

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AWSの仮想マシンサービスEC2にローカルなNVMeストレージが付随するインスタンスが登場

AWSの仮想サーバーEC2は、そのオプションが日に日に増えている。今日(米国時間5/18)加わった新しい仮想マシンは、ローカルなNVMeストレージによって、標準的なSSDよりも相当速いスループットを提供する。

このC5dと呼ばれる新しいインスタンスは、このサービスがすでに提供している、コンピュート(処理能力)優先で最適化されているC5インスタンス群の仲間に加わる。AWSはC5について、ハイパフォーマンスコンピューティングのワークロードやリアルタイムのアナリティクス、マルチプレーヤーゲーム、ビデオエンコーディングなどのユースケースに適する、としているが、今回高速ストレージのオプションが加わったことによって、さらなるパフォーマンスの向上が望めるだろう。

そのローカルストレージは仮想マシンに付随するので、インスタンスが停止したらそれも終了する。だから長期的なストレージではなくて、一時的なファイルの保存に向いている。

C5とC5dのインスタンスは共に、同じプラットホーム、3.0GHz Intel Xeon Platinum 8000プロセッサーを共有する。

この新しいインスタンスは今、アメリカとカナダのリージョンで利用できる。料金は通常のC5インスタンスよりやや高くて、オレゴン州のリージョンではもっともベーシックなRAM 4GBのマシンで1時間$0.096からだ。通常のC5マシンは、1時間$0.085からだ。

なお、FPGAを使用できるF1インスタンスも、NVMeストレージを提供している。それらは非常に高度な専用マシンで、C5のような一般的なデベロッパー向けではない。

AWSは今日のNVMeインスタンスの発表と並行してEC2のベアメタルインスタンスの一般公開についても言及した。これらの仮想マシンはその下の物理マシンへのダイレクトアクセスを提供し、仮想マシンだけでは要求を満たせないアプリケーションに理想的な運用環境を提供する〔関連記事〕。またコンテナのクラスターの安全な稼働にも適している。これらベアメタルインスタンスも、NVMeストレージをサポートしている。

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AWSがIoTデバイスのワンクリックでLambdaファンクションを実行するアプリを発表

Amazonが2015年にAWS Lambdaを導入したときには、サーバーレスコンピューティングという概念がまだよく知られていなかった。デベロッパーはそれによってソフトウェアを、それを実行するサーバーの管理等をせずに配布できる。サーバーはAmazonが管理し、そのインフラストラクチャは何かのイベントが要求をトリガしたときだけ動く。今日同社は、AWS IoT 1-Clickと呼ばれるアプリをiOS App Storeにリリースして、サーバーレスコンピューティングの概念をさらにまた一歩、前進させた。

その名前の“1-Click”の部分はちょっと大げさだが、とにかくこのアプリは、ラムダのイベントトリガーへのさらに素早いアクセスをデベロッパーに提供する。それらは、バッジを読むとか、ボタンを押すといった単純な目的のデバイスに向いている。たとえばそのボタンを押したらカスタマサービスやメンテナンスにつながるなど、そういった単純なシナリオだ。

そもそもAmazonにその好例といえるダッシュボタンがある。それは(Wi-Fiなどインターネットのある環境で)、ワンプッシュで特定のもの(洗剤、トイレットペーパーなど)を一定量注文できるボタンで、AWS IoT 1-Clickでデベロッパーは、自分のデバイス*にそんなシンプルな機能を持たせることができる。〔*: ローンチ直後の現状でサポートされているデバイスはボタン2種のみ、今後増える予定。〕

この機能を利用するためには、最初に自分のアカウント情報を入力する。利用するWi-Fiを指定し、デバイスとそのデバイスのLambdaファンクションを選ぶ。今サポートされているデバイスは、汎用ダッシュボタンとも言えるAWS IoT Enterprise Buttonと、AT&T LTE-M Buttonだ。

デバイスを選んだら、Lambdaファンクションをトリガーするプロジェクトを定義する。単純に、メールやSMSを送らせてもよい。イベントをトリガーするLambdaファンクションを選びNextをタッチすると、構成画面になるのでトリガーアクションを構成する。たとえば、会議室にいるときそのボタンを押したらIT部門を呼び出し、IT部門は送られてきたページから、どの会議室からヘルプの要請があったか分かる、など。

そして、適切なLambdaファンクションを選ぶ。それは、あなたの構成情報どおりに動くはずだ。

これらの指定、選択、構成などのプロセスはもちろんワンクリックでは済まないし、テストや構成変えも必要になるだろう。でも、シンプルなLambdaファンクションを作るアプリ、というものがあれば、プログラミングのできない人でもボタンを単純なファンクションで構成できるだろう。ちょっとした学習は必要だが。

このサービスはまだプレビューなので、アプリは今日ダウンロードできても、現時点では参加を申し込む必要がある。

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AWSのデータベースサービスAuroraにアンドゥ機能が誕生、72時間の遡及可能

AWSの‘マネージドMySQL/PostgreSQL’データベースサービスに、アンドゥ機能がつく。今日の同社の発表によると、そのAurora Backtrack機能により、ユーザーは“時間を逆行できる”。今それはMySQLのみだが、この機能を有効にするとそれ以降新たに作られるデータベースクラスターとバックアップからリストアされたクラスターに対し、アンドゥができるようになる。それまであったデータベースは、ノーだ。

この機能を有効にすると、AWSは最大72時間ぶんのトランザクションのログを取る。本番のデータベースに不正なテーブルを入れた、などの間違いに気づいたら、アプリケーションをポーズして、どこまで戻りたいか、時間(時刻)を指定する。するとAuroraはデータベースもポーズして、開いているすべての接続を閉じ、まだコミットしてないものをすべて落としてから、指定された時点までロールバックする。

もちろん、トランザクションの逆行はAWSが初めてではない。MySQLも含め、多くのデータベースシステムが、すでに何らかの形で実装している。ただしそれらの多くは、今日AWSが発表したものに比べると範囲が狭い。

AWSのチーフエヴァンジェリスト(Chief Evangelist) Jeff Barrが今日の発表で言っているが、それは災害復旧だけが目的ではない。彼はこう書いている: “あなたも、このクールな新しい機能の、クリエイティブで奇抜な使い方を、きっと思いつくだろう。たとえば、本番データベースでいろんなテストをして、そのテストの痕跡をすべて掃除することもできる。復旧の指示は、APIまたはCLI(コマンドライン)からできるから、この機能を既存のテストフレームワークに統合するのも容易だ”。

Aurora Backtrackは今、すべてのデベロッパーが使える。料金は、アメリカリージョンではレコードの書き換え100万文字につき約0.012ドルだ。ヨーロッパとアジアでは、やや高くなる。

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Amazonからブロックチェーン・アズ・ア・サービス――BaaSのライバルはOracleとIBM

Amazon Web Servicesは先週末、Blockchain Templatesを発表した。このプロダクトはブロックチェーン・アズ・ア・サービスでOracle、IBM.の同種のプロダクトのライバルとなるものだ。Amazonの参入でこれらのテクノロジー大企業がブロックチェーンでライバルに先駆けようといかに熱心に努力しているかが分かる。とはいえ、その顧客企業の多くはブロックチェーン・テクノロジーをどのように利用するのがもっとも効果があるかまだ検討中だ(一方、一部の投資家はやや興ざめめしつつある)。

AWSのバイス・プレジデントでチーフ・エバンジェリストのJeff BarrはBlockchain Templatesの利用法を説明するブログ中で、今のところブロックチェーンにはいろいろ不明確な点があることを認め、1970年代の人気コメディー番組、サタデーナイト・ライブのShimmer床ワックスというコントに触れている。このワックスは植物性油脂でできており、床も磨ければデザートのホイップクリームも作れるという触れ込みだった。

「私が話し合った人々の一部はブロックチェーンは新しい金融システムの基盤を提供し、国際送金のあり方を一変させると考えている。別の人々はブロックチェーンは分散台帳による偽造困難なデータソースをもたらす点が重要だと考えている。このテクノロジーはロジスティクス、サプライチェーン、不動産登記、クラウドファンディング、その他多数の方面に応用が可能だ。どちらの考え方を取るにせよ、数多くの魅力的な可能性が開けるはずだ。AWSでは新しいサービスによって顧客がブロックチェーンをいっそう効果的に利用できるようになるものと期待している」とBarrは書いている。

AWS Blockchain Templatesを利用すればユーザーはEthereumまたHyperledger Fabricネットワークを利用するブロックチェーン・アプリケーションを効率的に開発できる。同種のサービスとしては、半年前にOracle OpenWorldでOracleがHyperledger Fabric向けクラウドサービスを、1年前にIBMがHyperledgerベースのBaaSクラウドサービスを発表している。

BaaSとしては、先週深センで開かれたアナリスト・カンファレンスでHuaweiがHyperledgerベースのBlockchain Serviceを発表している。またBaiduやTencentなどの中国の巨大企業も以前からブロックチェーン・プラットフォームを展開している。

画像:David Ryder/Stringer / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FargateによってAWSはコンテナをもっとクラウドネイティブにしたい(Kubernetesなどのインフラを完全抽象化)

AWSのデベロッパーカンファレンスre:Inventは、たくさんの発表があるので、同社自身の重要な新製品の、影が薄くなってしまうこともある。同社の待望のElastic Container Service for Kubernetesはかなり大きく報道されたが、より斬新なコンテナサービスであるFargateローンチは今もまだ、あまり知られていない。

今週たまたま会う機会があったAmazonのCTOでAWS担当VP(そしてEDMの熱心なファン) Werner Vogelsも、それを認める。彼曰く、“Fargateはそのほかの発表の下に埋もれてしまったようだ。しかしそれは、コンテナをもっとクラウドネイティブにするための重要なステップだと思うし、すでにかなりの数の顧客がFargateを採用している。”

Fargateは、AWSのコンテナサービス、Elastic Container Service(ECS)やElastic Kubernetes Service(EKS)のために、コンテナを動かすためのインフラストラクチャを抽象化する技術だ。ユーザーはコンテナオーケストレーションエンジンを指定するだけで、あとのことはこのサービスがやってくれる。個々のサーバーやクラスターをユーザーが管理する必要はない。むしろユーザーは単純に、ECSやEKSに、Fargateでコンテナをローンチすると告げ、そのアプリケーションのCPUとメモリの要求を定義し、あとはサービスにまかせる。

Fargateに関する長いブログ記事を今日(米国時間4/11)発表したVogelsにとってこのサービスは、デベロッパーが、インフラを気にせずに自分のアプリケーションだけに集中できるようにするというAWSのミッションの一環だ。彼曰く“クラウドの初期のころを、よく思い出す。AWSが登場するまでは、クラウドから仮想マシンを提供するサービスしかなかったんだ。多くの企業がそれを利用してビジネスを築き成功させてきたが、でも仮想マシンを動かすときには、依然としてハードウェアを管理しなければならない。[…] われわれがAWSのクラウドコンピューティングサービスの中核であるECSをかつて導入したときに起きたことの一つは、いろんなものをハードウェアから切り離してしまったことだ。[…]それによってデベロッパーの生産性は、ものすごく上がったと思うね”。

しかしAWSやECSの上でコンテナを動かそうとすると、初期のコンテナツールでは、コンテナを実際に動かすこととは無関係な多くのことを、やらなければならなかった。“それは、クラウドの初期と同じだ”、とVogelsは語る。“仮想マシンがコンテナにとってのハードウェアになってしまっている。デベロッパーはコンテナのオーケストレーションのために、VMを相手に大量の作業をしなければならない”。

しかしAmazonの顧客が求めるのは単純に自分のコンテナを動かすことだけだ。Vogelsの言う“ハードウェアに直接触(さわ)るような管理作業”なんか、やりたくない。“それはまるで、クラウド以前の時代に戻ったみたいだ”、とVogelsは述べ、そして今日のブログ記事では、“コンテナのオーケストレーションは、あまりクラウドネイティブではない、といつも感じていた”、と言っている。

Vogelsは、インフラストラクチャを気にしなければならないならそれはクラウドネイティブではない、と考えているようだ。彼によると、AWSの最初の約束は、インフラストラクチャに関してはAWSが面倒見るからデベロッパーはビジネスにとって重要なことだけに専念すればよい、というものだった。その哲学をさらに徹底したサービスがFargateであり、Lambdaだろう。

ECSやEKSのようなクラウドサービスがあっても、クラスターはまだ完全に自動的に動くわけではなくて、つねに必要とはしない能力や容量でも、ユーザー自身が確保(プロビジョニング)しなければならない。Fargateの約束は、そのようなスケーリングを自動化し、ユーザーは実際に必要とする能力と容量だけに支払えばよい、という状態にすることだ。

Vogelsはこう言う: “顧客は、ソフトウェアを作りたいだけだし、自分のアプリケーションを作りたいだけだ。このコンテナをどの仮想マシンに置くか、なんてことで悩みたくはない。でも今は、デベロッパーがそれをやっている。Fargateがあれば、ユーザーはタスクに対するCPUのタイプを指定するだけで、スケーリングは自動的に行われる。実際に使う能力容量に対してだけ、支払えばよいのだ”。

インフラの抽象化という点では、Fargateはコンテナのためにそれをやるのだが、AWS Lambdaのようなプロダクトはもっと徹底している。それは Vogelsにとってはひとつの連続体であり、顧客の要望が生んだものだ。今のAWSはコンテナをきわめて重視しているが、彼の現実的な見方によれば、近未来がコンテナ一色に塗りつぶされてしまうわけではなくて、VMを必要とする開発ニーズも残る、VMはなくならない、という。

Lambdaのようなサーバーレスのプロダクトでは、インフラストラクチャのことをまったく考える必要がない。コンテナのことすらも。ユーザーはただ単に、やりたい処理を指定するだけだ。そしてそのコードの実行に対して支払う。しかもVogelsの視界の中では、VMとコンテナとサーバーレスは一つの連続体の各部だ。顧客は、そのどれからどれへ移行してもよい。彼によると、今ではコンテナを完全に飛び越えて、何もかもサーバーレスで行くエンタープライズも見かけるようになった、という。

〔関連記事: 昨年のre:InventにおけるFargateの発表

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSのストレージサービスS3にゾーンを一つしか使えない低料金バージョンが登場

AWSのストレージサービスS3が今日(米国時間4/4)、データをクラウドに保存するための、低料金なオプションを導入した。デベロッパーは、それほど頻繁にストレージにアクセスしないアプリケーションのために、高い可用性を求めないことにより、最大でS3の標準料金の20%引きで利用できる。S3のこの新しいティアの名前は、S3 One Zone-Infrequent Access(ゾーンがひとつの非頻繁アクセス)だ。

S3は、AWSが最初から提供していたサービスのひとつだ。これまで、ティアの種類が少しずつ増えてきた。S3 Standardティアは、99.999999999%の永続性と99.99%の可用性を約束しているが、S3 Standard-Infrequent Accessは、同じ永続性と99.9%の可用性を約束している。またGlacierは、コールドストレージだ。

StandardとStandard-Infrequentに保存されるデータは、三つ以上のアベイラビリティゾーンへ複製される。しかし低料金のOne Zone-Infrequent Accessティアは、名前が示すように、一つのアベイラビリティゾーンにしか保存されない。複数のマシンへ複製することはできるが、しかしそのゾーンがダウンしたり破壊されると、データにアクセスできない。

そのため、この新しい低料金ティアは可用性が99.5%で99%のSLA(アップタイム率)しか提供しない。しかしその機能や永続性は、S3のほかのティアと違いはない。

今日(米国時間4/5)サンフランシスコで行われたAWS SummitのキーノートでCTOのWerner Vogelsが言ったように、ストレージのコストは複製を行うアベイラビリティゾーンの数で決まる。彼の見解では、この新しいサービスは、頻繁にアクセスされないけど複製はできる、というデータに利用すべきだ。

99.5%の可用性は、1年に1日か2日の、データにアクセスできない日がある、という意味だ。一部のアプリケーションにとっては、それで十分だが、Vogelsの説では、顧客はこのストレージを二次的なバックアップコピーや、複製可能なメディアファイルの保存に使うだろう、と言う。

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Googleがサードパーティ製のクラウドソフトウェアをショッピングできるストアを開店

Googleが、企業などの顧客にクラウド上のサードパーティ製ソフトウェアを売るためのデジタルストアを立ち上げる。このニュースを最初に報じたBloombergは、この動きはAmazon Web Servicesなどクラウドの先頭企業集団に、この検索大手が後れを取らないための最近の努力の一環だ、と言っている。

Googleが単独でストアを立ち上げるのではなく、MobileIronとパートナーする。後者は2014年に上場したモバイルのデバイス管理企業だ。この新しいストアに関するGoogleのブログ記事によると、このコラボレーションによって、Google Cloud上のコマースプラットホームOrbiteraに、MobileIronのアプリ配布やセキュリティ、アナリティクスなどの能力が統合される。

Googleによると、このホワイトレーベル方式のサービスには、複数のサービスを顧客の層別に同梱(バンドル)したり、独自のブランドを作ったり、顧客のデバイスやデータやサードパーティのクラウドサービスにアクセスできたり、ユーザーやアプリを限定するセキュリティ、利用状況のアナリティクスなど、いくつかの機能が最初から提供されている。

GoogleがOrbiteraを買収したのは2016年で、そのときは買収価額が1億ドルあまりと言われた。Orbiteraはクラウドベースのソフトウェアを売買するプラットホームを開発したが、Googleによる買収によって、AmazonのAWSやSalesforce, Microsoftなどと競合してクラウド上でエンタープライスサービスを売っていけるように改良された。

Googleのこの新しいイニシアチブにはコンペティターがいる。Bloombergの指摘によると、AT&Tは、ユーザーがVPNで安全に接続できるクラウドサービスを提供している。しかしそれでも、一回のアクセスで容易かつ簡単に多くのクラウドサービス〜クラウドソフトウェアの中から気に入ったものを選べるこのような‘ストア’は、ユーザーにとって便利だろう。あちこちアクセスして探すよりは。

うまく行けば、これはGoogleの新しい強みになるかもしれない。

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Amazon AWSがSqrrlを買収してセキュリティの脅威検出能力を強化

AWSが、NSAにルーツを持つセキュリティ企業、マサチューセッツ州ケンブリッジのSqrrlを買収した。同社は、機械学習を利用してさまざまなソースを分析し、セキュリティの脅威を企業ユーザーが迅速に追跡および理解できるようにする。

発表はSqrrlのホームページで同社のCEO Mark Terenzoniが行っている。“SqrrlがAmazonに買収されたことを共有できて嬉しい。私たちはAmazon Web Servicesの家族の一員になり、共に顧客の未来に貢献していきたい”、と彼は書いている。

では、この買収によって顧客は何を得るのか? 上記の声明を読むと、Sqrrlは少なくとも既存の顧客へのサービスを継続するようだ。

2016年のComputerworldのレビューによると、Sqrrlのソリューションはさまざまなソースからデータを集め、見つけた脅威をセキュリティ担当者のためのダッシュボードに表示する。担当者は、今後ありうる脆弱性の、視覚化された表現を見ることができる。

最近では大規模な侵害事故が増えているので、誰の心にも、その最上部にはセキュリティの懸念があるようになった。昨年はEquifaxの大規模ハックがあったし、年頭早々、チップの脆弱性SpectreとMeltdownが見つかった。セキュリティの脅威は、確かに増大している。最先端のクラウドプラットホームを誇るAmazonのAWSも、その点は同じだ。

Sqrrlは2012年に、NSAやホワイトハウスでセキュリティを担当していた政府職員たちが創業した。同社はこれまで、2600万ドルを調達している。至近の2017年6月には、Spring Lake Equity Partnersがリードするラウンドで1230万ドルを調達した。

その発表は、12月のAxiosの記事が確認している。その記事によると、買収価額の交渉は、4000万ドル周辺で行われている、ということだ。確定額は、本誌もまだ確認していない。

今Amazonにコメントを求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSの成長にかげりなし

AWSにとって、今年はあらゆる意味で成功した年だった。同社は、大きなマーケットシェアを握る既存勢力には通常見られないような、エネルギーと新しい分野むけの投資によって、まるでスタートアップのような姿勢を継続している。

その1年の出来はどの位のものだっただろうか?Synergy Researchの調査よれば、これまでのところ同社は、35%のマーケットシェアを握るカテゴリリーダーであり続けている。Microsoftのシェアは11%で、2番手につけている。しかし、AWSの成長率は四半期ごとに40%を超えているのだ。巨大なマーケットシェアを占めたときに、そのような大きな成長率を維持することがどんなに難しいかを考えれば、この数字は驚異的なものだ。

「2017年は市場全体で40%の成長が見込まれていますが、AWSのような規模のビジネスが、一貫して収益を40%以上伸ばしているのを見るのは少々驚きです」と語るのは、Synergy Research Groupの主任アナリスト・リサーチディレクター、John Dinsdaleである。

2017年度に報告された3つの四半期の同社の業績は、第1四半期の36億ドルから第2四半期には41億ドルに増加し、第3四半期には45億ドルとなった。これで14四半期連続で成長を続けて来ている。16四半期連続になる可能性もあったのだが、2014年の第1ならびに第2四半期にやや減少した時期があった。

この快進撃の理由の一部は、そもそもクラウドマーケットそのものが急速に成長しているという事実に帰すことができるだろう。すべてのクラウド企業たちは、パイが拡大するにつれて急速に成長している。クラウドコンピューティングは、過去数年の間にはまだ辿り着けていなかった、マーケットによる受け入れ地点に到達し、それがマーケット全体の成長をもたらしたのだ。Amazonはその成長の恩恵を受け続けている。

座して敵を待つことはしない

おそらく普通なら、IaaS(サービスとしてのインフラストラクチャー)マーケットを10年以上も前に定義する際に、大きな役割を果たしたAmazonのような会社が、そろそろ守りの姿勢に入ったとしても不思議はないだろう。非常に成功した企業が、そのマーケット優位性を守ろうと、安全でより慎重なアプローチをとることは珍しくない。しかし同社の場合はまるで逆なのだ。

守りの姿勢どころか、その成長する提供サービスリストに、膨大な新サービスをひたすら追加し続けているのだ。今月初めに開催された、AWSの年次ユーザーカンファレンスである、re:Inventにおいて、Amazonは熱狂的なペースで発表を続けていた。そのときに、私は以下のように書いている:

カバー範囲の広さの感覚を、読者に得てもらうために、今週のTechCrunchはこのイベントに関連した25の記事を掲載した――しかし到底全ての話題をカバーできてはいない。インフラストラクチャー市場での圧倒的優位にも関わらず、AWSはただ座して競合が追いつくのを待つつもりはないことを、明確に示しているのだ。

またre:Invent後にも、シングルサインオン市場への参入を発表して私たちを驚かせた。

2018年に向かう中で、このペースが続くことを疑う理由はほとんどない。同社のCEOであるJeff Bezosが、座して競争を待ったことは一度もないのだ。彼は常に彼の会社が顧客を見つめ続け、顧客が何を求めているかを知り、それらを与えることを目指している。来年もマーケットが加速し続ける中で、Amazonはこれまでのように、1ミリもその持ち分を譲ること無く、マーケットの一角を切り取り続けることだろう。

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(翻訳:sako)

AWSがパリに新リージョンを開設、フランスのデータプライバシー法への準拠が容易に

Amazon Web ServicesがEUの顧客のために、フランスのパリに新しいリージョンを立ち上げた。これはドイツ(フランクフルト)、アイルランド、イギリス(ロンドン)に次ぐヨーロッパ第四のリージョンだ。パリ・リージョンのアドバンテージは、フランスのテクノロジー企業にとってデータプライバシーの規制に準拠しやすいことだ。

このリージョンにはアベイラビリティーゾーンが三つあり、それぞれが自分のインフラストラクチャを持って地理的に分かれている。電力などのインフラを独自化しているのは、災害時などにサービスが全滅しないためだ。パリ・リージョンではさらに、顧客がフランスに保存したユーザーデータが、顧客自身が移動させないかぎり、AWS自身の都合などでは移動されない。フランスのデータ独立法は厳しくて、テクノロジー企業はフランス国民からのデータを国内に保存しなければならない。AWSはすでにフランスに三つのエッジネットワークロケーションを持ち、顧客がそこからWebサイトなどのサービスをエンドユーザーに届けられるようにしている。

声明文の中でAWSのCEO Andy Jassyが言っている: “すでに数万ものフランスの顧客がフランスの外のリージョンからAWSを使っているが、彼らはフランスの国内にリージョンができることを熱烈に要望していた。それはレイテンシーに敏感なワークロードの多くを容易に運用できるためであり、またフランスの国土の上に在住すべきデータをすべてそこに格納できるためだ”。

AWSのすべてのリージョンに共通する同一のセキュリティ準拠規格もあるほか、AWSのインフラストラクチャは、さまざまな国のプライバシー関連法を守りつつ大西洋にまたがって情報交換を行うためのフレームワークEU-U.S. Privacy Shieldを認定されている。またEUが2018年5月25日に実装する予定のGeneral Data Protection Regulation(GDPR)にも、準拠している。

AWS EU(Paris)と呼ばれるパリのリージョンの開設により、AWSのリージョンは全世界で18になり、アベイラビリティーゾーンは49になる。AWSのフランスの顧客には、Canal+, Decathlon, Les Echoes, Schneider Electric, Societe Generaleなどがいる。

〔参考記事: AWSのリージョンとアベイラビリティーゾーン

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSがre:Invent後のサプライズ、シングルサインオンの市場に参入

Steve Jobsはキーノートの終わりに必ず、“there is one more thing…”と言うことで有名だった。しかしAWSは、そのre:Inventカンファレンスが終わってから、彼らのmore thingを発表することにしたらしく、昨日(米国時間12/7)になってAWSのクラウドのシングルサインオンプロダクトを鳴り物抜きでリリースした。

詳しい情報はまだ乏しいが、それはAWSの一連のプロダクトにシングルサインオン(single sign on, SSO)を提供するもののようだ。AWSの発表声明はこう説明している: “AWSのSSOにより、SSOへのアクセスと、AWSという組織体のすべてのアカウントへのユーザーのパーミッションを容易に管理できる”。それは、OktaOneLoginなど、そのほかのシングルサインオンプロダクトのやり方とは、きわめて異なっている。

これらの企業はシングルサインオンへのもっと総合的なアプローチを提供し、すべてのクラウドサービスへの(ときにはオンプレミスも)ログインを一点で管理できるようにする。それにより、各アカウントごとにユーザー名とパスワードが違う、という苦痛をなくす。一度ログインすれば、そのサイトのすべてのクラウドサービスに単純にアクセスできるようになる。

しかしAWSも、それができないわけではない。発表声明は続けてこう言っている: “AWSのSSOには、Salesforce, Box, Office 365など多くのビジネスアプリケーションへのSAML認証が含まれている”。それこそがまさに、OktaやOneLoginがやってることだ。

Oktaは実は目下、この市場の中心的なプレーヤーで、2009年にクラウドのシングルサインオンを導入した。これまでに2億2900万ドルの資金を調達して、今年の4月に上場した最近の決算報告では売上が6820万ドルで、アナリストの予想6284万ドルを上回った。3000あまりの顧客がいて、Oktaのプラットホーム上のユーザーは4000万人いる。

OktaのCEO Todd McKinnonによると、大企業がアイデンティティの分野に手を出すのは、AWSが初めてではない。“Salesforce Identityの例もあるし、MicrosoftやGoogleもやっている。でもうちは独立のアイデンティティプロバイダーであり、そのマーケットリーダーとしてのイノベーションでは、今後も負けないつもりだ”、と語る。

AWSのSSOが専業のOktaほどに使いやすいか、それはまだなんとも言えない。でも、AWS全域にわたるより総合的なシングルサインオンを目指して、今回その基礎を提供しようとしているのだ。

大企業が新たな市場に参入したからといって、成功が保証されてるわけではないが、でも今朝OktaやOneLoginらは、ややうろたえたのではないか。AWSがクラウドで新しい何かをやらかすとなれば、そのニュースはJobsのone more thingに似た重みを持ってしまうのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSのSageMakerを使えばふつうのデベロッパーが機械学習のモデルを作れる

クラウドサービスは、ソフトウェアやインフラストラクチャの‘管理’という面倒な部分を取り除いてくれる。今日では、機械学習が多くのデベロッパーたちのあいだで急速に関心を集めつつあるが、AWSはそれのいちばん面倒な部分、すなわち機械学習のモデルの構築とデプロイの過程を、同社のクラウドサービスにより、単純化しようとしている。

そのサービスが、今日(米国時間11/29)のre:Inventカンファレンスで発表されたAmazon SageMakerだ。それは、デベロッパーやデータサイエンティストに、機械学習のモデル制作プロセスを管理するためのフレームワークを提供し、そのプロセスに通常含まれる複雑面倒な部分を取り去る。

AWSのシニア・テクニカル・エヴァンジェリストRandall Huntが、このサービスを発表するブログ記事〔上記リンク〕で、デベロッパーが新しいアプリケーションで機械学習を利用するときのプロセスを加速化するフレームワークを提供することが、サービスの基本コンセプトだ、と言っている: “Amazon SageMakerは、完全な管理を伴う。エンドツーエンドの機械学習サービスであり、データサイエンティストやデベロッパー、それに機械学習のエキスパートが、大規模な機械学習モデルを迅速に構築・訓練・ホストできるようにする”。

またAWSのCEO Andy Jassyは、このサービスを紹介するとき、こう述べた: “Amazon SageMakerを使えば、ふつうのデベロッパーが機械学習のモデルを容易に訓練しデプロイできます”。

この新しいツールには、三つの主要部分がある。

まずNotebook。これはオープンソースの標準的なツールJupyter Notebooksを使って、モデルのベースとなるデータを概観し整理する。この最初のステップは、EC2の標準的なインスタンスを使ってもよいし、もっと厳しい処理要求があるならGPUインスタンスを使う。

データが用意できたら、モデルの訓練を始める。これには、モデルのためのベースアルゴリズムも含まれる。モデルのフレームワークは、TensorFlowなどを自分で持ち込んでもよいし、あるいはAWSが事前に構成したものを使ってもよい。

re:Inventのステージで、JassyはSageMakerの柔軟性を強調した。すぐに簡単に使えるツールとして使ってもよいし、自分のフレームワークを持ち込んでもよい。どちらの場合でも、そしてソースが何であっても、サービスはもっともポピュラーなアルゴリズム向けに調整されている。

Constellation ResearchのVPで主席アナリストのHolger Muellerによると、この柔軟性は両刃の剣だ: “SageMakerはアプリケーションを作るときの作業努力を大幅に減らしてくれるが、そのためにAWSは多くのモデルを無理やり多面的に(polyglot)サポートしようとしている。AWS/Amazonが本当に欲しいのは、多くのユーザーをつなぎとめることと、計算とデータの負荷が大きいことだから”。

彼は、AWSがTensorFlowのような独自のニューラルネットワークフレームワークを提供すべきだ、と主張する。しかしまだ、そんな話はどこにもない。

今のところAmazonは、モデルを動かすために必要なインフラストラクチャのすべてを自前で整え、ノードのエラーやオートスケーリング、セキュリティパッチなどの問題を…フレームワークが何であれ…自分で処理する。まさに、多面的だ。

Jassyによると、モデルが出来上がったらそれをSageMakerから動かしてもよいし、ほかのお好きなサービスを使ってもよい。彼曰く: “これはデータサイエンティストやデベロッパーにとってすばらしいツールだ”。

このサービスは、AWSの無料ユーザーなら無料で利用できる。しかし処理量が一定のレベルを超えたら、使い方やリージョンに応じて課金される。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon Transcribeは、AWS向けの高度な書き起こしサービス

今日(米国時間11/29)Amazonは、AWS専門のデベロッパー会議、AWS Re:INVENTを主催している。同社はそこで期待の新サービス、Amazon Transcribeを発表した。このサービスは現在プレビュー版が公開されており、数ある自動書き起こしサービスとは一線を画している。

ビデオやオーディオがウェブの多くを占めるようになった今、メディア内の情報を解析することは益々困難になっている。一つの方法はオーディオ部分を書き起こしてテキストに変換することだ。テキストはインデックス化や検索が可能なので新たな可能性が開かれる。

Amazon Transcribeのために、同社は音声認識エンジンを開発した。Amazon S3アカウントに保存されているオーディオファイルを文法的に正しいテキストに変換する。

Amazon Transcribeは、現在英語とスペイン語で利用できる。同社は数週間のうちにもっと多くの言語を追加すると約束した。

Amazon Transcribeの隠し味ともいえるのが、賢い書式設定と句読点の追加だ。複数の話者も識別し、タイムスタンプを付加するので会話の区別がしやすくなる。

Amazonはいくつかの利用場面を紹介した。たとえば、オンラインビデオに自動で字幕をつけることができる。カスタマーサポートへの電話を記録して分析するのにも適している。

同サービスは通話録音などビットレートの低いオーディオファイルでも利用できるほか、システムが製品名を理解しやすくするために、独自の語彙を追加することもできる。

Amazon Transcribeは、 本日発表されたAmazon TranslateとAmazon Comprehendという2つの新サービスと合わせて使うのにも便利だ。こうしてオーディオ録音を意味のあるデータに変えられるようになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSがIoT専用のデータ分析ツールAWS IoT Analyticsをローンチ、機械学習にも対応

物のインターネット(Internet of Things, IOT)は、近未来のもっともホットなテクノロジー、今やどこのカンファレンスへ行っても主役級の扱いだ。IoTという技術の突出した特徴のひとつが、多くのデバイスが常時大量のデータを吐きつづけること。そしてそれらのデータの意味を知ることが、システムの重要な課題になる。そこでAmazon AWSは、独自のIoTアナリティクスサービスAWS IoT Analyticsを、今日(米国時間11/29)のre:Inventカンファレンスで立ち上げた。

AWSのテクニカル・エヴァンジェリストTara Walkerブログ記事によると、このサービスの究極の目的はIoTが吐き出すデータをすべて管理することだ: “AWS IoT Analyticsを利用して、メッセージを処理したり、大量のデバイスデータを収集保存したり、データをクェリしたりできる。このサービスはデータ視覚化サービスAmazon Quicksightや、オープンソースのデータサイエンスツールJupyter Notebooksを統合している。後者によって、データを機械学習で処理することも可能だ”。〔参考記事

上記の最後の部分は、センサーやデバイスからやってくるデータをベースに機械学習のモデルを作るときに便利だ。AWSが今日発表した、機械学習のモデル制作支援ツールSageMakerも、やはりJupyter Notebooksをサポートしている。

IoTから出てくる膨大な量のデータをユーザーが直接、QuickSightのような汎用ツールで処理するのは酷である、と考えたAmazonは、このAWS IoT Analyticsという専用ツールを作ったのだ。しかもQuickSightでは、何が起きたのかを見ることはできても、これまでのデータの傾向に基づく予測ができない。

たとえば、このIoT Analyticsを使えば、工場などの機械が実際に故障する前に、メンテナンスが必要である状態を知ることができる。本番稼働時に急に停止するのではなく、ユーザーが自分の意思で余暇時間などにメンテできる。

このIoT専用のアナリティクスツールは、IoTのセンサーからのデータを収集、保存、そしてクェリでき、特定のデータ集合を一定の時間間隔で取り出すことができる。

Amazonが汎用のBI(ビジネスインテリジェンス)サービスAmazon QuickSightを立ち上げたのは、2015年だ。

画像提供: Bloomberg/Getty Images


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa