Microsoft Teamsのビデオ通話の利用は3月に1000%増加

COVID-19のパンデミックで在宅勤務が一部の企業ではデフォルトになり、そして当然のことく、Zoom、Google Meet、Teamsなどのビデオチャットツールの利用が急増している。ZoomとGoogleからはすでにアップデートがあったが、今日(米国時間4/9)はMicrosoft(マイクロソフト)からの報告が、在宅勤務が増えたことへのTeamsのユーザーの適応ぶりを伝えている。

さかのぼって3月16日に同社は、Teamsを使う会議が9億分に達した、と報告した。そして今度は、それから1か月足らずで、3月31日のたった一日で27億のミーティングを記録した。それらのミーティングでは、ビデオカメラを使うユーザーもこれまでより多かった。全体として、カメラを使ったユーザーは今回の危機が始まる前に比べて倍増し、Teamsのビデオ通話の数は3月に1000%以上増加した。

会議以外にも生産的な仕事はあるはずだが、とにかくTeamsによる会議の数としては膨大な数だ。

ビデオの利用率を国別に分類すると、ノルウェーとオランダがトップで、60%の通話がビデオを使っている。アメリカでは、38%だ。その差は高速ブロードバンドの普及率の差だ、と同社は言っている。

またこの報告によると、ユーザーが一日にTeamsを使う時間も増えている。3月には、人びとが初めてTeamsを使った時間と最後に使った時間の間には平均で1時間あまりの増加が見られるが、でも同社によると、それは必ずしも仕事をする時間がそれだけ増えたのではない、という。仕事以外の個人的用途や、コンピューターを点けたままほかのことをしている、と報告は主張している。

企業がリモートワークに使っているサービスが何であれ、興味深いのはこの危機が終わった後にそれがどれだけ定着するかだ。中国では一部の従業員が仕事に復帰しつつあるが、Microsoftのこの報告では、それでもTeamsのDAUは増加が続いている。しかし一方では、正常に戻ったら利用がたちまち落ちる国や地域もきっとあるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Palantirの新型コロナモニタソフトを米CDCやNHSが利用中、EUにも採用働きかけ

多くのスタートアップが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって苦境に追い込まれている中、政府の感染抑制策を助けることによって事態が追い風となっている企業もある。その1社が謎めいた巨大企業、Palantirだ。

政府機関と密接な関係をもつ同社はビッグデータ処理を専門とし、膨大な情報を分析して個人を追跡し、トレンドを視覚化することができる。新型コロナウイルス感染の拡大が医療システムを崩壊させ社会、経済を混乱させる危険に直面している現在、極めて有用な能力だ。

3月中旬の Wall Street Journalの記事によれば、Palantirはウイルス感染の拡大をモデル化するためにCDCに協力したという。 Forbes(フォーブス)はCDCは現在新型コロナウイルスの流行状況を視覚化し、医療ニーズを予測するためにPalantirのアプリを使っている」と報じている。

記事によれば、Palantirはコロナウイルス関連のシ処理では個人を特定可能なプライバシー情報の取り扱いを避け、病院、ヘルスケア、研究機関、メーカーからの匿名化されたデータを分析しPalantir Foundryに集約している。

英国における新型コロナウイルス対策ではNHS(National Health Service、国民健康保険サービス)に同社のFoundryプラットフォームを通じてデータ分析を提供している。イギリス政府はブログ記事 で、Palantirとの提携に触れ、同社のFoundry ソフトウェアを利用するとして、「(このFoundryは)主として英国で開発されたものであり、異種データを組み合わせ、クリーンアップし、総合することにより意思決定に役立つ単一かつ確実性の高い情報源を提供する」と述べている。

Bloomberg(ブルームバーグ)によれば、Palantirはフランス、ドイツ、スイス、オーストリアの政府に対して同社の分析ソフトウェアの採用を働きかけている。同社はFoundryだけでなくデータ分析ツールのGothamも売り込んでいるという。このツールは政府の情報機関や捜査機関が個人を追跡するのに役立ていることでよく知られている。米国でICE( 移民税関捜査局)が不法滞在者を摘発するために用いているのがいい例だ。 FoundryとGothamは多数の情報源からデータを統合して新型コロナウイルスによるパンデミックの鳥瞰図を得られるとして各国政府の保健機関に提案されている。

危機に対応して監視テクノロジーへの関心が高まる中、プライバシー活動家は早くも警鐘を鳴らしている。 EFF(電子フロンティア財団)は「世界の政府はウイルスと戦うために並外れて強力な監視権限が必要だとしている。パンデミックから生じる政府と民間企業の間の新しい関係については綿密に検討しなければならない」と警告している

たとえばPalantirの共同創業者会長のPeter Thielピーター・ティール)氏は、テクノロジー界における最も強力はトランプ政権支持者の一人だ。ティール氏の推進するプロジェクト投資は、広く注目を集めると同時に賛否の議論を引き起こしているが、Palantirもその1つだ。

ICEの不法滞在者摘発強化に協力する謎めいたテクノロジーの巨人という一般のイメージがあることにPalantir自身も気づいており、プロダクトが多くの人々のプライバシーに影響することを認めている。Wall Street Journalへのコメントで、Palantirのプライバシー担当の責任者、Courtney Bowman(コートニー・ボーマン)氏は「新型コロナウイルス対策においてもプライバシーと市民的自由はわわれの指導的原理であり、付録のようなものであってはならない」と述べている。

Palantirは、米国の新型コロナウイルス対策でも大きな役割を担っているようだが、同社と米政府は長年にわたって協力して感染症の脅威に取り組んできた。たとえばCDCは2010年にハイチにおけるコレラの流行をモニターする同社のソフトウェアを利用している。

ごく最近の例もある。 この1月下旬、PalantirはHHS(保健社会福祉省)と360万ドルの契約を結び、PEPFARにソフトウェアを提供した。 PEPFAR(統領緊急エイズ救済計画)は HIVの感染者を援助するための啓蒙、救済活動だ。

画像:デンバーの新型コロナウイルス検査センター Michael Ciaglo/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ対策ではハイテク業界の慈善家を好意的に受け止めよう

米国時間4月9日の午後、ハイテク産業から新型コロナウイルス(COVID-19)との戦いに関連して2つの大きな発表があった。

ひとつは、TwitterとSquareのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が新型コロナウイルス対応事業に10億ドル(約1080億円)を拠出すると発表したことだ。その数時間後、LinkedInの創設者であるReid Hoffman(レイド・ホフマン)氏、StripeのCollison(コリソン)兄弟、Y CombinatorのPaul Graham(ポール・グラハム)氏、ベンチャー投資家のChris Sacca(クリス・サッカ)氏ら、ハイテク業界の億万長者たちが、新型コロナウイルスと格闘する研究者のための緊急助成金プログラムを発表した。この2つの発表は、最も有望な新型コロナウイルスワクチンのための工場建設計画を打ち出したBill Gates(ビル・ゲイツ)氏の自発的活動や、個人用防護具(PPE)の輸入や寄付、人工呼吸器の製造、地方企業の支援など細かい活動を主導するハイテク業界のリーダーたちに続くものだ。

だが、ハイテク業界の慈善家たちによる新型コロナウイルスのパンデミック対策が急増したところで、本来なら政府が行うべきことを慈善家が代行している現状を、慈善活動に詳しい批評家たちは嘆いている。またその他の評論家たちは、これは権力闘争だと批判している。Theodore Schleifer(セオドア・シュライファー)氏は、今週、Recordに以下のように書いた

それでも、億万長者の慈善活動を批判する人たちは、彼らの寄付は個人の力を誇示するためのものだという考え方を捨てられずにいる。実際のところ、Moskovitz(モスコビッツ)氏などの慈善家は、前例のない危機に際して米国の対応を形作る上でもっとも重要な人物となっている。だが彼らには、無責任で、不透明で、非民主的な支配力が染みついている。権力闘争になっても不思議ではない。寄付をすることで慈善家たちはヒーローとして承認され、彼らの事業を厳しく監視しようという人々の気持が削がれてしまう。

だが、それは誤った前提だ。たとえ政府が十分にパンデミック対策に資金を投入したとしても、またハイテク業界のリーダーたちによる新型コロナウイルス対策が権力闘争だったとしても(その証拠はないが)、ハイテク業界には、そしてハイテク慈善家には、果たすべき役割がある。

私たちが注視すべきは、彼らの取り組みが、テクノロジー固有の能力や資源を適切に活用しているか否かだ。もしTesla(テスラ)、あるいはGMが人工呼吸器を作れるなら、ソフトウェア企業が公衆衛生当局者を支援できるなら、プログラマーが各州の労働局と協力して時代遅れの失業者対策を刷新できるなら、慈善家が政府よりも早く研究者たちに資金を注ぎ込むことができるなら、そうするべきだ。ホテルがこの悲惨な状況の中、ファーストレスポンダーやホームレスに空室を提供するのとなんら変わらない。

国防生産法を発動して、製造業者にマスクや人工呼吸器の生産を命令することには、その能力が民間企業にしかないことをみんなが知っているため、まったく議論の余地はなかった。ハイテク業界にも、この国難に際して同様の貢献を求めるのは当然ではないか?また、国の医療研究施設に十分な予算がないなら、迅速に資金を投入してワクチンを開発させるべきだろう。資金は多ければ多いほうがいい。

関連記事:トランプ大統領が新型コロナ対策に国防生産法を発動、マスクと人工呼吸器の増産を約束

これは、TechCrunchのインタビューの間ずっと、私が考えをまとめようとしていた、よく引き合いに出され、さまざまに定義が変化する「インパクト」の概念につながる。慈善としての寄付に違いがあるなら、どこでわかるのか? 宣伝のためのパフォーマンスと、周到に練られた計画との違いをどう見抜けばよいのか? 適切な問題が果たして解決可能なのか否かは、どうしたらわかるのか?

データ駆動の慈善家でさえも、常に適切な問題を提示できるわけではないことに、私はずっと以前から気がついていた。大きな成果が得られたからと言って、それを成功とは断言できない。企業や財団が何か良いことをしたからと言って、それらの団体の社会的インパクトが最大化されたことにはならない。

やはり、社会的インパクトの最大化とは、単に、企業がその中核となる能力を発揮することだ。もしハイテク企業が(そしてそこから誕生した億万長者の慈善家が)公共の緊急事態に役に立つスキルセットを持っていたなら、彼らの責務はそれを使うこと、それをうまくやることだ。

現実世界の問題に目を向けるよう、我々はずっとハイテク企業に訴え続けてきた。だから、今それをしている彼らに、文句を言うのは止めよう。

だが、ハイテク企業が期待を裏切っても批判するなと言っているわけではもちろんない。人々は、Amazon(Whole Foodsを含む)、Instacart、Seamless、DoorDashが最前線の従業員の保護を怠ったとして、適切は批判を下した。ハイテク企業は、その主要な機能を完全に果たしたときも、負うべき責任は負わなければならない。

テクノロジーはサプライチェーンを動かし続ける以外にも、新型コロナウイルスのパンデミックに打ち勝つための戦略を実行する際には、必ず中心的な役割を果たすことになる。世界中にPPEを配布する場合には、FlexportやApple(アップル)といった企業が獲得した物流の専門知識が必要になる。大規模テストを行うには、Gilead Sciencesなどのバイオテクノロジー企業の新製品を素早く展開しなければならない。管理体制の監視には、VerilyやPalantirが行っているような大量のデータ収集と分析が必要になる。そしてもちろん我々は、ワクチンや治療薬を大量に製造して配布しなければならない。Amazonなどが、その役割を果たせると私は期待している。

そこでビル・ゲイツ氏が思い浮かぶ。彼は、有望なワクチンの製造工場を今すぐ建設すると発表したことで、新型コロナウイルス対策のハイテク分野における最も中心的な人物となった。ゲイツ氏は、単なるハイテク系慈善家ではない。長年の勉強の末、彼は世界でも屈指のパンデミック対応の専門家になっていたのだ。彼に指針を求めることは、一人のハイテク億万長者の力に頼ることではない。その工学とプロジェクト管理のスキルを、この数十年間に発生した厄介な公衆衛生上の問題の対策に活かてきた実績を持つ人物のリーダーシップを受け入れるということだ。

もちろん、理想的な世界では、ゲイツ氏が埋めている穴を、とっくに政府が埋めているはずだ。そうなっていないことは許しがたい。だが、健全な民主主義とは、社会全体に貢献を求めることができることでもある。そして優れた公共政策とは、解決策が見つかるごとに、そこから最良のものを選び出すことだ。

それは、ときにはワシントンD.C.の郊外にいる名も無い官僚であったり、またときには、公衆衛生オタクのハイテク業界の大御所だったりもする。

【編集部注】筆者のScott Badeは、マイク・ブルームバーグ氏の元スピーチライターであり、「More Human: Designing a World Where People Come First」の共同著者。

画像クレジット:Cole Burston/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

TikTokが新型コロナ救済基金に270億円拠出、135億円ぶんの広告クレジットも提供

ショートビデオアプリのTikTokは4月9日、新型コロナウイルス(COVID-19)対応の最前線で働く人、教育者、そして新型コロナウイルスの影響を受けている地域のコミュニティのサポートに2億5000万ドル(約270億円)超を拠出し、公衆衛生機関やビジネス再構築を図る事業所向けに1億2500万ドル(約135億円)分の広告クレジットを提供すると発表した。こうした資金の一部はCDC(米疾病予防センター)やWHO(世界保健機関)のような主要な衛生機関に向けられる一方、残りは個人や中小企業のサポートにあてられる。

2億5000万ドルの方は、TikTokヘルスヒーロー救済基金、TikTokコミュニティ救済基金、そしてTikTokクリエイティブラーニング基金の3つに活用される。

この中ではヘルスヒーロー救済基金向けが最も大きく、1億5000万ドル(約163億円)が医療従事者や物資の確保、ヘルスケアワーカーの救済に充てられる。このうちの1500万ドル(約16億円)が地方自治体を通じて膨れ上がっている新型コロナ対応スタッフをサポートするためのCDC基金に向けられる。そして1000万ドル(約11億円)がWHOのCOVID-19連帯基金向けだ。

加えて、中国インターネット大企業ByteDance(バイトダンス)が所有するTikTokは、同社の従業員マッチングプログラムで赤十字社やDirect Reliefのような非営利組織を手伝うと述べた。

TikTokはまた、マスクや個人保護備品をインドやインドネシア、イタリア、韓国、米国の病院に届けるためにさまざまなパートナーと協力しているとも話した。例えば、TikTokは今月始めにインドの最前線で働く医師やスタッフを守るために医療用防護スーツ40万着とマスク20万枚を寄贈したと発表した。

一方、TikTokコミュニティ救済基金はCOVID-19の影響を受けている脆弱なコミュニティに照準を当てている。

この取り組みでは、ミュージシャンやアーティスト、看護師、教育者、家族などを含むTikTokユーザーコミュニティの人々を支えている地元の組織に4000万ドル(約43億円)を現金で提供する。すでにAfter-School All-Starsへの300万ドル(約3億円)の寄付に使われた。After-School All-Starsはこれまで学校の給食に頼っていた家族に食料を提供している。そして、暮らしが滅茶苦茶になったアーティストやソングライター、音楽のプロをサポートするMusiCaresに200万ドル(約2億円)が提供された。

TikTokコミュニティ救済基金の一部として、TikTokは1000万ドル(約10億円)の寄付をコミュニティとマッチングする。

3つめのTikTokクリエイティブラーニング基金は、教育者や専門家、遠隔授業に取り組んでいる非営利組織に5000万ドル(約54億円)を提供する。TikTokは自らをクリエイティブリモート学習の場にするようだが、まだ詳細は明らかにされていない。

基金以外の部分では、TikTokは公衆衛生機関や零細企業に広告クレジットを提供する。

NGOや信頼できるヘルス関連団体、地元当局に2500万ドル(約27億円)分の「フィード内」広告スペースを提供し、重要なメッセージを何百万という人々と共有できるようにする。GoogleFacebookTwitterを含む他のテック大企業もそれぞれのプラットフォームで同様の取り組みを展開している。

TikTokはまた、WHOやIFRC(国際赤十字赤新月社連盟)などの代表、科学教育者Bill Nye(ビル・ナイ)が公衆衛生や科学について語るライブストリームを流すなど、他の方法でも教育情報を広める取り組みをしていると述べた。それからTikTok内にCOVID-19 Resources Page on TikTok’s Safety Centerという専用セクションも設けた。加えて、#HappyAtHomeといったキャンペーンのクリエイターとも提携した。#HappyAtHomeは金曜日の米国東部標準時間午後8時/太平洋時間午後5時(日本時間土曜日朝10時)にストリーミングしていて、ウィークデーに他のテーマでもストリームする計画だ。

またTikTokは、今後事業を立て直す中小企業向けに1億ドルぶん(約108億円)の広告クレジットを提供する。事業再開は公衆衛生当局の判断にかかっているため、この取り組みはまだ始まっていない、と同社は説明した。

「皆にとって困難な時だと理解している」とTikTokの会長 Alex Zhu(アレックス・ジュ)氏は声明文に書いている。「この困難な時に立ち向かっている世界中の企業、政府、NGO、そして一般の人々と共に、できる限りの支援を行うことを約束する。共に取り組むことで、危機を耐え、より良いコミュニティをつくり、そして我々が望んでいる世界が以前にも増して共通の目的で団結できるようになる」とジュ氏は述べた。

画像クレジット: Anatoliy Sizov / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

米疾病対策管理センターは社会に必須のインフラ従業員に「コロナ疑いがあっても無症状なら業務継続すべき」

米CDC(疾病対策管理センター)は新型コロナウイルス(COVID-19)流行抑制に関するガイドラインをアップデートした。これにより「社会に必須のインフラ業務」に従事する人々については新型コロナウイルス患者に接触した後の予防的隔離が緩和される。 これは多数の労働者、特にギグエコノミーやテクノロジー企業の社員に大きな影響を与える可能性がある。

新ガイドラインは、新型コロナウイルスにさらされた可能性のある従業員の隔離を緩和し、以前のように自宅での隔離を強制するよりむしろ職場での予防策の徹底に重点を置いている。

CDCの発表によれば、新ガイドラインは「社会的に重要な機能の継続を確保する」こと目的としている。CDCは、社会的に必須な業務に従事している人々の場合、新型コロナウイルスにさらされた可能性があっても無症状であるなら職場に留まって業務を継続すべきであるとしている。「さらされた疑い」は家族が新型コロナウイルスに感染した場合、または感染したか感染の疑いがある人々から2m以内にいたことが確認された場合を含む。

もちろんCDCはそうした人々が通常どおり勤務していいと助言しているわけではない。 この種のリスクにさらされた人々は勤務に就く前に検温と症状の有無の確認の必要があり、自身でも健康状態に注意を払わねばならない。また少なくとも14日間、勤務先でマスクを着用する必要がある。適切な防護機能を備えたマスクが品不足のために入手できない場合は布マスクでもよいという。また他の従業員から物理的に距離をとる必要があり、使用したり接触した器具等は定期的に消毒される必要がある。

CDCはさらに雇用者に対して「勤務中に体調の悪化があった人々はただちに帰宅させること、 症状が現れる前の2日間にさかのぼって接触した可能性のある人のリストを報告すること」を求めている。

CDCのガイドラインの変更は、水曜日のホワイトハウスのコロナウイルス・タスクフォースの記者会見で発表され、インフラを機能させるために必要な措置だとされた。「新型コロナウイルスの流行中、社会的に必須な重要サービスの中断を防ぐことは極めて重要だ」とホワイトハウスは考えている。新ガイドラインは、常勤社員だけでなく「契約社員」にも適用される。これはAmazonのフルフィルメントセンターの従業員やInstacart、Uber Eatsなどの宅配サービスの配送スタッフなどが含まれるのだろう。

ガイドラインのアップデートに先立って、新型コロナウイルスに関連した多数の労働問題が起きていた。これには労働条件に対する契約労働者の抗議ストライキ重要なサービスの中断などが含まれている。

画像クレジット: CHRIS DELMAS/AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Airbnbが新たに調達した資金で長期滞在の機能を強化

Airbnbは、ビジネスの成長部門に投資しようと、ランディングページに手を加え、長期滞在にフォーカスした新機能を導入する。

数日前にAirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は10億ドル(約1085億円)の資金調達や、3つのコアプロダクトに注力する計画を発表していた。コアプロダクトとはホスト、長期滞在、Airbnbエクスペリエンスだ。同社は10億ドル(約1085億円)をプライベートエクイティファンドのSilver LakeとSixth Street Partnersから債権と株式で調達した。

チェスキー氏は4月6日に、人々とつながり旅行したいという欲求は強まっており「それを具現化する方法は世界が変化するにつれて明らかになるだろう」との考えを示した。

Airbnbは人々の動きがどのように展開されるかを占っている。同社の予測では、その動きは長期滞在に向かう。Airbnbが公開した最近のデータがそうした考えを裏付けている。3月下旬の2週間、居住地と同じ町に長期滞在を予約したゲストの数は倍近くにのぼった。一方、Airbnbホストの80%が長期滞在を受け入れ、同社のリストにあるアクティブ物件の半数が1カ月以上の長期滞在を割引価格で提供している。

4月9日からAirbnbはランディングページで長期滞在をアピールする。同社はホスト向けに長期滞在の利点を案内する通知や、長期滞在の予約を受け付けるリスティングを更新するためのガイドを立ち上げた。ホストがリスティングを管理するのに使うポータルの中に機能を導入することも決めた。

同社によると、4月9日の新しいランディングページ立ち上げ時に、1カ月単位の滞在を提供する物件は100万件超となる見込みだ。これらの物件はキッチンや洗濯機、Wi-Fiなど長期滞在に必要なアメニティが備わっている。

新型コロナウイルス(COVID-19)は旅行産業を崩壊させ、と同時にヘルスケアワーカーや他の必要不可欠な職に従事する人が居住自治体に滞在するための場所を確保する必要性も生み出した。そして長期滞在分野の成長につながった。

しかしこの傾向はすでに2019年から見られていたようだ。Airbnbによると、2019年に予約された滞在7泊のうち1泊は長期滞在のものだった。

長期滞在の強化は、従来の1年単位での賃貸を扱う不動産管理会社との競合につながる。Airbnbの長期滞在は従来型の賃貸のようになっているという、いくつかの証拠がすでにある。

学生や医師、看護師、あるいは長期契約の仕事を請け負う人がAirbnbで6〜9カ月滞在できる物件を探すケースが増えている、とAirbnbは話した。2020年はすでに滞在600日以上の予約があり、今年これまでに予約されたものの中で最も長い滞在は700日超だったという。

長期貸しの促進が法的な措置につながるかどうかは不透明だ。同社は米国や欧州の自治体、観光協会と裁判で争ってきた。2019年12月に欧州の最高裁判所が、Airbnbは本格的な不動産エージェントというより、短期宿泊の設備を探す人々をつなげるオンラインプラットフォームだという考えを示し、同社は重要な法的ハードルをクリアした。この裁定によって、自治体当局はAirbnbに自治体の財産法遵守を強制するのが難しくなること考えられる。

画像クレジット: Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

Googleが公開した「COVID-19コミュニティモビリティレポート」のプライバシー保護の評価と問題点

Google(グーグル)は、同社が世界中の人々についてどれだけ多くのことを知っているかを、より明確に世界に垣間見せている。新型コロナウイルスの危機を契機に、パンデミック発生時における公共の利益に資するよう、ユーザーのロケーションおよび行動履歴の永続的追跡システムを再構成しているのだ。

Googleはこのほど「COVID-19 Community Mobility Reports」(COVID-19コミュニティモビリティレポート)を公開するとブログで発表した。このレポートは同社がマッピングし追跡している詳細なロケーションデータを社内で分析したもので、広告ターゲットの絞り込み、製品開発に利用される他、広範な商業戦略として世界中の人々の移動の変化を集計して提示する。

新型コロナウイルスのパンデミック発生により、世界各国では政府の対応を知らせるツールとデータを大至急用意する必要に迫られている。例えばEUの欧州委員会では、匿名化され集計されたロケーションデータを各電気通信事業者に依頼して入手し、新型コロナウイルスの感染拡大モデルを構築している。

今回のGoogleのデータ公開は、社会政策用ユーティリティと同様の考え方をちらつかせながら、世界中のユーザーから取得したデータから人の移動の変化について公開スナップショットを提供して注目を集めるという意図があるものと思われる。

政策立案者向けのユーティリティという面では、今回のGoogleの提案の効果はかなりあいまいだ。このレポートは政府と公衆衛生当局者向けに「生活に必要な訪問や外出の変化を把握して、推奨営業時間の設定や宅配サービスの提供状況の通知に利用していただく」ものであるという。

同レポートでは「同様に、交通の中心地に向かう人が減少していないことから、バスや電車の便を増やして、どうしても移動する人が間隔を開けて座れるようにする必要があるかもしれない。最終的には、人が移動しているかどうかだけでなく、行き先の傾向も把握することで、担当者が、公衆衛生を保護し、コミュニティの不可欠なニーズを満たすためのガイダンスを策定できるようする」と述べられている。

Googleが公開しているロケーションデータも同様にはっきりしないものだ。プライバシーの侵害を避ける必要があるからだ。同社によると同データには「Google製品で日常的に使用している世界クラスの匿名化テクノロジー」を使用しているという。

Googleは次のように述べている。「今回公開のレポートでは、差分プライバシーを使用している。これはデータセットに人工的なノイズを加えて、個人を特定することなく高品質の結果が得られるようにするものだ。ロケーション履歴の設定をオン(デフォルト設定ではオフ)にしているユーザーから取得したデータセットを集計および匿名化したものを元に、さまざまなインサイトを提供している」。

「Googleマップでは、特定のタイプの場所の混雑具合を示す匿名化された集計データを使用して、その地域の商業施設が最も混雑する時間帯を特定している。公衆衛生当局者の話によると、これと同じタイプの匿名化された集計データが新型コロナウイルスの感染を抑える上で重要な決定を下すのに役立つという」。Googleはこのように指摘し、Googleマップの既存の機能が新型コロナウイルス感染対策のために利用できることをほのめかした。

このレポートは、国または州ごとに用意されていて(当初は131カ国をカバー)さらに地域ごとのレポートも利用可能だ。レポートではコミュニティの動向が、新型コロナウイルス発生前の基準値平均と比較してどのように変わったかを分析している。

例えば米国全土を対象とする3月29日のレポートでは、娯楽関連施設の活動は新型コロナウイルス発生前に比べて47%低下しており、食料品店やドラッグストアへの来店は22%、公園やビーチへの外出は19%低下しているという(Googleのデータより)。

同日のカリフォルニア州を対象とするレポートでは、公園やビーチへの外出は大きく落ち込んでおり(地域の基準値より38%低い)、娯楽関連施設(50%低下)と食料品店やドラッグストア(24%低下)への外出も米国全土と比較して若干低下の度合いが大きい。

Googleによると上記レポートでは「集計の上、匿名化されたデータを使って地域別に、大分類された場所(娯楽関連施設、食料品店やドラッグストア、公園、公共交通機関、職場、住宅)における時系列の動向をグラフ化している」とのことだ。この動向は数週間単位で、48~72時間前の最新情報と一緒に表示される。

また、訪問の絶対数はプライバシー保護の観点から公開していないという。また「プライバシー保護のため、個人の場所、連絡先、移動先といった個人識別情報は、どの時点でも公開していない」とGoogleはいう。

ヨーロッパ諸国で新型コロナウイルスによる打撃が依然として最も大きいイタリアのレポートでは、全住民に対するロックダウン後の変化が示されている。娯楽関連施設の活動はGoogleの基準値と比べて97%、食料品店やドラッグストアへの来店は85%、公園やビーチへの外出は90%、それぞれ低下しているとのこと。

同じレポートから、公共交通機関の活動は87%、職場での活動は63%それぞれ低下しており、逆に住宅での活動は約4分の1(24%)増大していることがわかる。これは多くのイタリア人が通勤せずに自宅待機しているためだ。

イタリアと同様、新型コロナウイルスによって大打撃を被っているスペインでも状況は同じだ。ただ、フランスのデータには、自宅待機命令の影響がそれほど顕著に現れていないようだ。住宅地域での活動の増加は18%に過ぎず、職場での活動の低下も56%に留まっている(これはおそらく、フランスでは、確認されている感染者と死者の数は国全体で増え続けているものの、パンデミックの影響が比較的小さいためと思われる)。

政策立案者は新型コロナウイルス対策を知らせるためのデータとツールを用意するのに懸命になっているものの、プライバシー専門家と市民的自由の保護運動家たちは、こうしたデータを利用する手法が個人の権利に与える影響を懸念する声を上げると同時に、こうした追跡機能の広範な利用に疑問を呈している。

Wolfie Christl @WolfieChristl · 12時間
返信先: @WolfieChristl
Googleのデータの精度が低くなる理由はたくさんある。例えば測定方法、場所の座標へのマッピング、場所の分類など……。

いずれにしても、政府や研究者が今後もGoogleから非個人的な分析結果を取得する必要があるなら、少なくとも、すべてにおいて100%の透明性が確保されていなければならない。

Wolfie Christl @WolfieChristl
その通り。この免責条項の適用範囲は極めて広い。ほとんど宣伝活動でしかない。

これとは別に、Googleは同社のさまざまな二次的データ利用に対し責任を負う必要がある。Google/Alphabetのパワーはあまりに強大で、複数レベルでの対応を早急に実施する必要がある。

経済的なクラッシュを引き起こすロックダウンから西側諸国を救済する潜在的な解決策として、アプリの利用を叫ぶ声がどんどん強まっている。接触者追跡もそうした分野の1つだ。接触者追跡を行うと、中国で起こったように、モバイル端末がロックダウンを強制するツールとなる可能性がある。

「大規模な個人データの収集はすぐに大規模な監視につながる」と簡潔な言葉で警告するのは、ロンドンのインペリアル・カレッジ、コンピュータプライバシーグループに籍を置く3人の研究者たちだ。この3人は、新型コロナウイルス接触者追跡アプリに関するプライバシー上の懸念を、アプリ開発者が検討すべき8つの質問としてまとめている。

Googleが新型コロナウイルス対策としてモバイル端末ロケーションデータを公開したことについて、同グループのリーダーであるYves-Alexandre de Montjoye(イヴ-アレキサンドル・ドゥ・モンジョワイエ)氏は、同ロケーションデータ公開に際してプライバシー上のリスクを軽減するためにGoogleが行った手順を概ね評価する見解を示している。ただし外部の研究者が、Googleの主張するプライバシー保護の堅牢性を評価しやすくするために、使用された技術的プロセスの詳細情報も公開するようGoogleに要求している。

Googleが公開したロケーションデータの技術的側面について、ドゥ・モンジョワイエ氏は次のように語った。「このデータは集計されており、特定の日付セットに正規化されていて、人数が少なすぎる場合はしきい値によってふるいにかけられる。その上、データを差分プライバシーにするために(Googleによれば)ノイズが追加されている。従って純粋に匿名化という観点からすると、悪くない。この3点はプライバシー上のリスク軽減に使用できる主要な3つの手段だ。Googleのデータはいずれの点もよく処理されていると思う」。

「ただし、特に現在のように多くの人がデータを使用している状況では、より詳細な情報を公開して欲しかったというのが私の感想だ。しきい値によるふるいのかけ方、差分プライバシーの適用方法など、こちらで推測するしかない点がいろいろとあるからだ」。同氏はGoogleがどのくらいのノイズをデータに追加したのかという点についても疑問を呈している。「差分プライバシーを適用した方法がもう少し詳細にわかると良いのだが。特に現在のような状況では、透明性が高いに越したことはない」。

Googleのモバイル端末データの公開は、欧州委員会が新型コロナウイルス感染症追跡のため電気通信事業者にメタデータを要求したのと目的は同じだと思えるかもしれないが、データソースの違いによって重大な違いが生じている可能性があると、ドゥ・モンジョワイエ氏は指摘する。

ドゥ・モンジョワイエ氏は次のように述べている。「この2つのデータには常にトレードオフの関係がある。電気通信事業者のデータは基本的に粒度が粗くなる。GPSは携帯電話の場合より、空間的に非常に精度が高く、1日あたり、1人あたりのデータポイント数も断然多くなる。その一方で、電気通信事業者のデータは対象範囲が広い。GPSデータ収集の対象となるのはスマートフォンだけではない緯度の情報がオンになっているユーザーだけでもない。国内にいるユーザー(スマートフォン以外のユーザーも含む)すべてが対象になる」。

同氏は、地域の通信事業者を使った方が解決できる可能性の高い国特有の問題もあるとも指摘する(欧州委員会はEU加盟国あたり1社の通信事業者に、匿名化された集計メタデータを提供させる意向であると語った)。

ロケーションデータはそもそも本当に匿名化できるのかという今問題となっている点について、データ再特定化の専門家であるドゥ・モンジョワイエ氏は「どちらともいえない」と答え、元のロケーションデータを「匿名化するのは相当に難しい」と指摘する。

「このデータを処理して集計結果を匿名化できるかと聞かれたら、おそらくできると答えるだろう。要するに条件次第だ。ただ、元のデータは残っている。たいてい集計データが生成されるまでのプロセスでプライバシー上のリスクが発生しないように、さまざまな制御が適切に行われているかどうかという点が問題になる」(同氏)。

Googleの位置情報の提供についてはもっと大きな問題がある。そもそもユーザーを追跡することについて法的な同意が得られているのかという点だ。

Googleは位置情報の追跡はオプトイン方式に基づいている(つまりユーザー側の許可がなければ追跡できない)と主張しているものの、同社は2019年に、フランスのデータ監視機関により、ユーザーデータの使い方が不透明であるとして5,700万ドルの罰金を課せられた

関連記事:Googleに罰金5700万ドル命令、仏データ保護当局

その後、2020年初めに、欧州におけるGoogleのプライバシー規制を主導しているアイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、Googleの位置情報追跡活動の正式な調査を行うことを認めた。これは、Googleが広告ターゲティングの目的でウェブユーザーの位置情報を追跡し続けるため巧妙な戦術を使用しているとするEUの消費者団体からの2018年の苦情を受けたものだ。

「懸案事項の中から提起された問題は、Googleの位置情報の処理の合法性とその処理を取り巻く透明性に関連している」と、DPCは2月の調査発表の声明の中で伝えている。

法的に問われ続けている人々の追跡についての同意に関して、Googleは「ユーザーはオプトインを選択しており、設定で位置情報の履歴をクリアにすることもできる」ことを同社のブログで繰り返し伝えているという弁明をする可能性が高い。(実際の記述例 「位置情報履歴をオンにしているユーザーは、Googleアカウントからいつでも設定をオフにすることができ、いつでもタイムラインから位置情報履歴データを直接削除することができる」)

Googleは今後もこの危機の間、新型コロナウイルスのモビリティポルノレポートの提供を継続していくと明記しているが、さらに同社は 「新型コロナウイルスに取り組んでいる選りすぐりの疫学者が、パンデミックをより明確に把握し感染予測に役立てられるよう、既存の匿名化されたデータセットを更新し、協力している 」と述べている。

また「この種のデータは研究者による疫病の流行予測や、都市や交通インフラの計画、人々の移動性、紛争や自然災害への対応の把握に活用されてきた」と付け加えている。

画像クレジット: 写真 Omar Marques / SOPA Images / LightRocket via Getty Images / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

Netflixがメンタルヘルス関連の若者向けインスタライブシリーズを開始

世界的に新型コロナウイルスの感染が広がる中、Netflixがインスタグラムでメンタルヘルスをケアする新しいシリーズを始める。このシリーズはインスタライブで配信される。初回は太平洋標準時の4月9日午後7時、日本時間の4月10日午前11時からの配信で、Netflixで人気のヤングアダルト向け番組や映画のスターが登場する。

このシリーズは太平洋標準時の5月14日まで、毎週木曜日にNetflixのインスタグラムアカウントで配信され、健康を脅かしている今の時期に若者が直面する課題を取り上げる。

具体的には「眠れないときはどうするか」「ソーシャルディスタンシングをとりつつ、ほかの人とのつながりを保つには」「不安をマネジメントする方法」「セルフケアとは何なのか」といったトピックが予定されている。

登場するスターは、ノア・センティネオ(「好きだった君へのラブレター」に出演)、ジョーイ・キング(キスから始まるものがたり)、ロス・バトラー(13の理由)、ケイレブ・マクラフリン(ストレンジャー・シングス 未知の世界)、ラナ・コンドル(好きだった君へのラブレター)、ジェリー・ハリス(チアの女王)、アリーシャ・ボー(13の理由)など。

全米精神疾患患者家族会(NAMI)、Mental Health America、トレバープロジェクト、Crisis Text Line、全米自殺防止財団などの組織が協力しており、登場するスターはこれらの組織の信頼できるメンタルヘルスの専門家とともに話をする。

配信の初回には「好きだった君へのラブレター」に出演したノア・センティネオが登場し、全米精神疾患患者家族会(NAMI)の最高メディカル責任者、Ken Duckworth(ケン・ダックワーズ)博士とともに、セルフケアについて語る。

Netflixはこれまでにもインスタグラムでマーケティングをしてきたが、この新しいライブシリーズはNetflixの番宣の要素は薄く、人気スターのパワーを借りて役に立つことをしようというものだ。

家族などよりも友達とのつながりを大切にしがちな若者にとっては、パンデミックで生活が一変した。卒業パーティーや卒業式など、子供から大人へと成長する重要な節目も混乱している。COVID-19に関して若者が直面する困難は、大人が直面している仕事や収入、家族の健康などの問題とは違うとも言える。

Netflixはこのシリーズのコンセプトと登場するスターを紹介する予告編を公開した。同社は今後約1カ月間、エピソードの詳細もインスタグラムで共有していくとしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

WhatsAppが誤情報の拡散を遅らせるためにメッセージの転送回数を制限

Facebook傘下のインスタントメッセージングサービスのWhatsAppは、誤った情報の拡散を減らす取り組みとして、新たにメッセージの共有回数に制限を課す。

米国時間4月7日、WhatsAppはすでに5回以上転送されたメッセージには制限がかかり、一度に1つのチャット(連絡先)にしか転送できなくなると発表した。

WhatsAppの広報担当者はTechCrunchに対し、同日中にこの変更を世界中のユーザーに適用すると述べた。

この対策は、一度に5人を超えるユーザーへのメッセージの転送を制限するという2018年以降の取り組みを発展させたものだ。WhatsAppのユーザー数は20億人を超えており、この取り組みにより全世界で転送されるメッセージの量を25%減らせたという。

WhatsAppのメッセージはエンド・ツー・エンドで暗号化されているので、内容を読み取ることはできない(暗号化に関して同社はいくつかの市場で闘っている)。そのため、メッセージのメタデータでどの程度拡散しているかを測定する。

WhatsAppはブログに次のように書いている。「転送はすべて悪いことか? もちろんそうではない。しかし転送の量が大幅に増え、ユーザーからは、圧倒されてしまうし誤った情報の拡散を助長しかねないという声が出ている。我々は、誤ったメッセージの拡散スピードを抑え、WhatsAppを個人の対話の場にしておくことが重要だと考えている」。

ここ数年、Facebook社のサービス上で誤情報が拡散したことに関連する死者が少なくとも十数人出ており、その一部はWhatsAppの最大の市場であるインドで発生している。

世界中が新型コロナウイルスのパンデミックに取り組む中、Facebookもここ数週間でいくつかの動きを見せている。3月にはCOVID-19と闘うためにMessenger用の無料のデベロッパーツールを発表した。また、ニュースフィードの最上部に情報センターを置き、信頼できる情報を目立つように表示している。

さらに同社はWHO(世界保健機関)などの非営利団体と連携してヘルプラインを構築し、多額の寄付も表明した。MessengerとWhatsApp上で展開されているWHOのヘルプラインは、開始後数日で1000万人以上がアクセスできるようになった。インド政府は3月に、WhatsApp上にヘルプデスクのボットを開設した。

しかしFacebookの広大なリーチは、詐欺師たちにとっても魅力だ。Messenger担当副社長のStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は同社のサイトで「残念なことだが、詐欺師は現在の状況での人々のもろさと寛大さを悪用しようとするかもしれない」と書いている

WhatsAppはAndroidアプリのベータ版で、ユーザーが受信したメッセージのテキストやビデオをウェブで検索する機能もテストしている。

画像クレジット:@shrinivassg

WhatsAppの広報担当者は、この機能を近い将来に公開する予定だと語った。

トップ画像:Yucel Moran / Unsplash

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(翻訳:Kaori Koyama)

深い会話で孤独感を解消するビデオチャットアプリTwine

twine(トゥワイン)という新しいスタートアップ企業が、人々の孤立感や孤独を和らげようと頑張っている。準備にこれまで6カ月間ほど費やしてきたプロジェクトなのだが、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行と政府の外出自粛要請のために家族や友だちやご近所さんや仕事仲間たちと切り離され、人々が辛い思いをしているこの時期にローンチを決めた。「新しい人たちと出会うためのZoom」と、わかりやすい説明が付けられたtwineは、有意義な会話や新しい友情の芽生えを支援するグループビデオチャットサービスだ。

twineでは、利用者は自分の他に4人のパートナーとマッチングされ、それぞれが1対1の会話を8分間行うことになっている。この会合は、基本的なルールを説明するバーチャルガイドの時間を含めて全体で40分間続く。

参加者は250問を超える「深い」質問のライブラリーから話題を選ぶと、同じトピックについて話し合いたいパートナーとマッチングされる。そしてそれぞれのタイムゾーンで開催されるtwineのデジタル会合に参加申し込みをして、その開始時間が来たらチェックインする。

余計な話をスキップしていきなり本題に入ることで、人と人のつながりを作るというのが全体的な主旨だ。しかし、本来の目的はデートではなく友情。会合の後もつながりを維持し、将来の会合でまた集まれるよう、利用者たちにはリマインダーの設定が勧められる。

このアイデアには、どことなくChatrouletteを思われるものがある。少なくとも理論的には、この会合を引っかき回す目的で登録した人間とマッチングされる可能性があるからだ。だがtwineでは、その手段を厭わず他人に嫌な思いをさせた人間を永久追放することで、ショッキングなコンテンツを見せて人に不快感を与える「荒し」の危険性を低減させる努力をしている。また私たちは、このアプリに登録する際に、メールアドレス、電話番号、郵便番号が求められることを知った。つまり利用者は、まったくの匿名ではないわけだ。

さらにtwineでは、会話が終わった時点で、利用者にはその評価が求められる。さらに会話に参加する際には事前の承認が必要になる。荒らしをなくすために、将来的には「本物のIDのみ」に持っていきたいと同社は考えている。

とはいえ、踏み込んだ個人的な話題を見ず知らずの人とオープンに話し合うというのは、ちょっとリスキーに思える。twineのガイドラインには、会話の内容は他人には知らされないが、法的に秘密が守られる医師と患者の会話とは違うと書かれている。これは単なるグループチャットのアプリなのだ。参加者の中にはルールを守る者と守らない者がいておかしくない。

だがインターネットは今、新型コロナウイルスの影響である意味生まれ変わろうとしている。人々はつながりを求めてインターネットに集まって来ている。ソーシャルメディアは、現実のソーシャル(社会)になりつつある。人はそもそも善であり、テクノロジーを適切に使うとの信念に基づくtwiceのような楽観的なツールを試すには、理想的な環境だ。

twineのアイデアは、いくつもの企業を立ち上げてきた起業家であるLawrence Coburn(ローレンス・コバーン)氏とDiana Rau(ダイアナ・ラウ)氏によるものだ。コバーン氏は、モバイルイベント技術を提供するDoubleDutch(ダブルダッチ)を創設し、この9年間はCEOを務めてきた。その会社は2019年にCvent(シベント)に買収された。ラウ氏はその間、Veterati(ベテラティ)を共同創設しCEOを務めていた。ベテラティは、退役軍人のためのデジタル助言プラットフォームで、コミュニティー形成の訓練として1対1の対話を活かしている。

2人の共同創設者は、すでにジョージタウンの起業家エコシステムの中で知り合っていた。しかもコバーン氏はベテラティの顧問であり、ラウ氏はダブルダッチで働いていたことがある。

コバーン氏は、twineに関する彼のビジョンを、新しいソーシャルネットワークと、精神性は高いが宗教的ではない人たち、つまり「よりよい人間になりたい」と願う献身性のある人たちの代理との中間的存在と説明している。ラウ氏は、1対1の会話で人間性を探求できる場所を人々に与えることで孤独の解消に役立ちたいという気持ちから、twineでの仕事を望んだと話していた。

このアプリは、そもそもは人と人とを実際の会合で直接会わせることが目的だったのだが、同社は新型コロナウイルスの感染拡大のために計画を変更し、ローンの時期を早めたのだった。

「最高のタイミングで企業を立ち上げるのは、本当に難しいことです。世界的なパンデミック? ひえー!」とコバーンはローンチに関するブログポストに書いている。「しかし新たな現実が定着するようになると、世界はtwineのようなものが以前にも増して重要になるのは明らかだと、私は感じました。そんなマクロな力が、twineをスタートさせろとダイアナと私の背中を押したのです。孤独、分断、孤立を助長するのは、他ならぬ社会的距離戦略です。コロナウイルスが流行る前からすでに蔓延していた社会的孤立は、さらにずっと深刻化します」と彼は言う。

このスタートアップは、3月12日にDoubleDutchに投資しているHinge Capital主導のシードラウンド140万ドル(約1億5200万円)をクローズした。その他、DoubleDutchへの投資企業もtwineの投資に戻ってきた。その中にはFJ Labs、Brand Foundry Ventures、Bragiel Brothersが含まれる。このラウンドに参加したエンジェル投資家には、April Underwood(エイプリル・アンダーウッド)氏、Jay Hoffmann(ジェイ・ホフマン)氏、Scott Heiferman(スコット・ハイファーマン)氏、Vishal Kapur(ヴィシャル・カプール)氏などが名を連ねている。

将来twineは、サブスクリプション形式にして世の中が安全になったときに、当初の計画どおり人と人が直接会える会合を開けるようにしたいと考えている。

このアプリは現在、iOSとウェブでプライベートなベータテストを行っている。すでに1000人を超える予約者があり、そのほとんどはニューヨーク市とサンフランシスコの住民だ。だがtwineは全世界で使えるようになる。

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(翻訳:金井哲夫)

レビュー要員不足か?Facebookが新型コロナの偽情報広告を見過ごす

Facebookの広告チェックシステムは、新型コロナウイルスの偽情報が自分たちのユーザーをターゲットするのを防げなかったことがConsumer Reports(コンシューマー・レポート誌)の調査でわかった。

非営利の消費者擁護団体である同誌は、Facebookのシステムを試すために、Self Perservation Societyという架空組織のFacebookページを設定し、新型コロナウイルスに関する偽情報や誤解を招く情報を載せた広告を作った。30歳以下の人は「安全」であるという嘘や、新型コロナウイルスは「デマ」だといったメッセージだ。

ほかにも、漂白剤を「毎日少しずつ摂取して健康を維持する」よう人々を促すデマ広告もつくったと同誌は報告している。

実験結果はどうだったのか? Facebookのシステムはこれらの広告をすべて見逃し、問題も害を及ぼす可能性も見つけられなかった。「Facebookはすべて承認した」、とConsumer Reportsは言う。「問題の広告はFacebookから警告を受けることなく一週間以上配信予定になったままだった」

もちろん同誌は実際に配信される前に広告を取り下げ、Facebookユーザーが誤情報などにさらされることがないことを確認した。しかしこのテストによって、新型コロナ・パンデミックを狙った有害広告の発見、防止するためのFacebookの広告チェックシステムに、多くの抜け穴があることが露呈した。

この実験でFacebookが拒否した唯一の広告は、使用していた画像が理由で、人工呼吸式フェイスマスクのストック写真が用いられていたためだった。画像を「似たような別の写真」と置き換えたところ、Facebookはこの広告も承認した。

先月Facebookは、新型コロナのもたらす脅威を受けて、全世界のコンテンツ・レビュワーを「後日指示するまで」自宅待機としたことを発表し、その結果自動レビューシステムへの依存が高くなると語った。

「自動システムへの依存が高くなるため、間違いが起きる可能性がある」と発表文に書かれていた。

Consumer Reportの調査は、AI監視への高い依存によるこうした過ちがいかに深刻であるかを浮き彫りにした。Facebookは、家を出るな、ソーシャルディスタンスを保て、という公共の指示を無視するようユーザーを促したり、「安全」のために有毒物を飲むよう薦めたりする明らかに有害なメッセージを見過ごしていた。

Consumer Reportsの記事に対してFacebookは、同社が新型コロナウイルスに関連するポリシーに違反した広告を「何百万件」も削除してきたことを挙げて自らを弁護した。一方で、新型コロナウイルスに関する偽情報の排除は完璧にはほど遠いことも認めた。

「当社は新型コロナウイルスに関連するポリシーに違反する広告や商品掲載を数百万件削除してきたが、この非常時に関する有害な偽情報が当社サービスに拡散されることを防ぐべく、常にシステムの改善と強化に努めている」とFacebookの広報担当者、Devon Kearns氏がConsumer Reportsに話した。

Facebookのある広報担当者は、新型コロナ禍の中で何人の人間が広告チェックを行っているかを本誌が尋ねたとき、回答を拒んだ。しかし、同社は、現在「数千人」のチェック担当者が、在宅で作業可能であることをConsumer Reportsに伝えている。

さる2018年、Facebookは約1万5000人がコンテンツのレビューのために雇用されていると報告した。

(ユーザー)コンテンツのレビューと広告のレビューをそれぞれ担当している人の割合はわかっていない。しかし「数千」と1万5000を比べると、広告をチェックする目の数が著しく減っている可能性は高い(新型コロナ以前、Facebookは、世界で3万5000人以上が「安全およびセキュリティーチーム」で働いていて、その中にレビュワーが1万5000人いることにもよく言及していた)。

Facebookのコンテンツ・レビューチームは新型コロナに関連する打撃の結果著しく減っていることは明らかだ。現在何人の人間がコンテンツをレビューしているのか、Facebookは正確な数字の発表を拒んでいる。

Facebook広告のようなプラットフォーム(簡単に使えて、安価に偽情報を拡散できる)が害をもたらすリスクが、パンデミックの最中ほど高くなることはほかにない。市民の安全を守るために、政府や保険期間は必要な事実や行動規範を伝えなくてはならないときにだ。

Facebookが偽情報や誤解を招く情報の温床になることは、非常事態の公衆衛生を低下させる恐れがある。

先月同社は、新型コロナ関連の正統なニュースやウェブサイトのリンクをブロックしたことを公表した。AI手動の管理に切り替えた後のことだ。

先月末Facebookは、新型コロナ用マスクの広告を排除することに失敗し、公約を果たせなかった

同時にFacebookプラットフォームは、ユーザーが生み出す新型コロナ関連偽情報の温床でもある。塩水でうがいをしてウイルスを殺すといった偽の民間療法(殺せない!)や、「インフルエンザと同じ」(嘘!)などといって新型コロナの深刻さを軽視するような記事を、数多くのユーザーがシェアして拡散している。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images(画像加工済み)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フランスが新型コロナ抑制のためのBLEを利用した感染者追跡アプリの準備を正式表明

フランスの保健相Olivier Véran(オリビエ・ベラン)氏とデジタル相のCédric O(セドリック・オー)氏は、フランス政府が新型コロナウイルス(COVID-19)拡大を抑制するためのスマートフォンアプリに取り組んでいることを正式に明らかにした。「Pan-European Privacy-Preserving Proximity Tracing」(PEPP-PT)というプロジェクトにゴーサインを出すものだが、このアプリの今後については慎重姿勢を崩していない。

新型コロナを追跡するモバイルアプリを使うことは欧州ではセンシティブな問題だ。数十もの非営利団体が政府に対して人権を尊重するよう共同声明を出した。

非営利団体が恐れるのは、政府が規制に反する広範の監視手法を強行する機会として利用すること、新型コロナ危機後も使用することだ。個人情報を適切に扱わなければEU市民は感染者追跡アプリを信用しないと予想されることから、欧州委員会は各国政府に「適切なセーフガード」を講ずるべきだと釘を刺した。

だからこそフランス政府は、Stop Covidアプリをリリースする前に、予防的に人々を安心させようとしているのだろう。声明によると、デジタル省はテックベースのこの試みをうまく機能させるために、保健省、法務省、高等教育・研究・イノベーション省と取り組んでいる。

先週明らかになったドイツのフラウンホーファーハインリッヒヘルツ研究所(HHI)が主導するPEPP-PTプロジェクトは、複数の国にまたがる数十の研究機関が共同で実施する。フランスのINRIAはそのメンバーで、フランス政府はPEPP-PTの取り組みの一環としてINRIAに喜んで協力している。

彼らは感染者追跡アプリを開発するためにオープンの基準に取り組んでいる。そうしたアプリは、同じアプリを使っている他のスマホを特定するのにBluetooth Low Energyに頼ることになる。もしあなたが感染者の近くにいると、あなたに通知が送られる。

そしてフランス政府は、フランス国内に住んでいる人を追跡するためのアプリが登場すると話す。そのアプリはPEPP-PTプロトコルを使う。

感染者追跡アプリに賛成する人は、そうしたアプリを積極的なウイルス検査や自己隔離と組み合わせれば、感染の連鎖を断つのに役立つだろう、と言う。

ル・モンド紙とのインタビューでオー氏とベラン氏は取り組みの詳細を語った。フランスはこのアプリをインストールするよう人々に強制せず、「Stop Covid」はBluetoothを使うだけだという。プロトタイプに現在取り組んでいるが、開発には3〜6週間かかるとのことだ。

それでも、フランス政府はアプリをリリースしないかもしれない。「Bluetoothは人と人の間の距離を測定するようデザインされたものではないため、テクニカル的な問題を解決できるか定かではない。そうしたアプリの展開が役に立つのかどうか、後で判断する」とオー氏はル・モンド紙に語った。

プライバシーに関しては、アプリはオープンソースでフランスの監視団体CNILに発言権がある、とオー氏は話す。TechCrunchはCNILにコメントを求めたが「コメントするには時期尚早」とのことだった。

さらに重要なことに、フランスでのPEPP-PTプロトコル実行についての詳細はまだ詰められていない。プライバシー専門家がシステムのデザインについて問答している。一部の専門家は可能な限り分散化すべき、と主張する。スマートフォンはあなたの社会的関わりを記録し(セキュリティとプライバシー対策のために頻繁にIDが変わるEphemeral Bluetooth識別子を介して)、定期的に感染者のEphemeral  Bluetooth識別子を探すというタスクを実行する。

PEPP-PTプロジェクトは現在、集中型アプローチと分散化アプローチの両方をサポートしている。つまり各国政府はどちらを実行するか決めなければならない。集中型のシステムでは、サーバーは各ユーザーに匿名化された識別子を割り当て、あなたの社会的関わりについてのデータを集める。各ユーザーは関わった人が感染しているかどうかをチェックするために識別子の状態を確かめることができる。これは単一障害点を生み出す。誰かが匿名の識別子を個人の名前とマッチさせることができるのではないかというリスクだ。

デジタル省はまた、フランスが新型コロナ感染拡大の状況を把握し、新型コロナ治療を改善し、フランスでのロックダウンを終わらせるためにテック全般をいかに活用しているかについて詳細に語った。

現在取り組んでいるアプリに加えて、フランス政府は人々に情報を提供するために公式ウェブサイトを展開し、患者の診察に遠隔診療サービスを勧めている。また、人々が国内をどのように移動しているのかを理解するために通信会社提供の集合データを分析し、新型コロナ流行を予測するためのビッグデータに機械学習を用いている。

画像クレジット: Geoffroy Van Der Hasselt / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ユダヤ教の過越の祭が新型コロナの影響で今年はZoomに、来年こそエルサレムで

たくさんジョークが生まれそうだ。「なぜ今夜はいつもの夜と違うの?」で始まるユダヤ教の「4つの質問」は、今年のセーデル(過越の祭の晩餐)の席では、笑いを呼ぶ場面になるだろう。あの感染症にの話は、もううんざりだとお感じだろうか?

世界中に暮らすユダヤ人にとって「ペサハ」(過越の祭)は日常を取り戻すための儀式だ。その式次第には、慣行、祈り、厳格に定められたメニューなど、過越のための一貫した行事が定められている。

米国でも、過越の祭はユダヤ人の間では最も一般的な祝祭日となっている。Pew(ピュー)研究所の調べでは、毎月の礼拝に参加するユダヤ系米国人はおよそ23%だが、去年のセーデルに参加した人は70%に上ったという。その中には、ユダヤ教徒ではないユダヤ人が42%も含まれていて、伝承や慣習の力の大きさを示している。

だが今年は状況が違う。すべてが一変してしまった。もうずいぶん前から、今年の過越の祭が新型コロナウイルス(COVID-19)によって大きく変えられてしまうであろうことはわかっていた。その最初の兆しが、宗教行事を開催不可能にした集会の禁止だ。極めつけは、多くの家族が集まれなくなった自宅待機指示だ。

2020年(諸説あるがユダヤ暦5780年)の過越の祭は、遠隔会議サービス、おもにZoomの活躍が期待される。

「ユダヤ教には中央統制機関がないため、この危機にどう対処すべきかを個人や信者グループに教えることができません。またユダヤ教には技術発展との長い歴史があり、ラビたちはユダヤ人が築いてきた規範を守るよう絶え間ない努力を重ねています。産業革命の後でさえ、動揺するラビはほとんどいませんでした」と、Shalom Hartman Institute of North America(北アメリカ・シャローム・ハートマン研究所)招聘フェローであるDavid Zvi Kalman(デイビッド・ズビ・カルマン)氏はTechCrunchに話した。「とはいえ、このパンデミックによって、ユダヤコミュニティーは機能するのだろうかという疑問が数多く湧き上がっています。そのためラビたちは、この共同社会の対応策を打ち出すという、これまでになく大きな役割を背負うことになりました」。

先月、14人のユダヤ教正統派グループが、家庭では遠隔会議技術を利用してセーデルを執り行ってもよいとする宣言を許可する署名を行った。

この宣言文は、本来はテクノロジーの使用が全面的に禁止されている安息日においても、同様の例外を認めている。「軽症の患者が病気を治すために安息日に治療を受けること認めているのと同じで、これもそのケースに当たる」とラビたちは説明している。

「私たちは、この非常事態に臨み、禁止されている安息日での電子技術の使用を黙認し、物理的に離れていても魂のつながりを保てるようにと決断しました」と、ニューヨークのラビであるRachel Ain(レイチェル・エン)氏は、シナゴーグ(ユダヤ教集会所)が街のさまざまな場所に存在していることを説明しつつ、TechCrunchに話してくれた。彼女はニューヨーク市の自宅待機指示が出されている間中、奉仕活動を続けてきた重要な信徒の一人だ。

過越の祭は米国時間4月8日の日没から始まり、世界中のユダヤ人は、過越にまつわるあらゆる試練、苦難、新局面を通じても初となる「テレ・セーデル」を体験することになる。多くのキリスト教徒にとっても、これは来たるべき復活祭の面白い前例になるのではないか。なにせトランプは以前、ロックダウンは復活祭の前までに解除されると約束していたが、現実味が薄れてきたこともでもある。

私たちが人生のさまざまな局面で経験するように、これもいずれは新たな日常となって今後も続いてゆくものなのかという疑問を、世界中の人々が抱いている。セーデルの最後に唱えられる「来年こそはエルサレムで」の言葉には、多くの人たちが友人や家族と離れて過ごさなければならない今、特別な憂いが感じられる。

「この危機が去った後、ユダヤ人教育の仮想化が今よりもっと真剣に考えられるのではないかと危惧しますが、大多数のユダヤ人は、自分の体で礼拝に参加したいと思うはずです(少なくとも一度でも礼拝に参加したことのあるユダヤ人なら)」とカルマン氏はTechCrunchに話した。「大勢のラビが、バーチャル・コミュニティーの前例ができてしまい、実際に人と人が集まる機会を減らしてしまうのではないかと強く恐れています。同時に、この危機によって多くのラビが社会的に孤立しています。これは今回のパンデミックに特有の問題ではありません。もっとずっと深刻な問題です」。

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画像クレジット:Sam Feinsilver / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米国株は新型コロナ減速の兆候で再び反発

水曜日(米国時間4/8)、米国株式市場の主要インデックスはすべて上昇し、中でもダウ平均株価は3.44%高で引け、3月13日以来初めて2万3000ドルを超えた。

投資家は、国立アレルギー感染病研究所のアンソニー・ファウチ所長による、米国の新型コロナによる死者数は当初のモデルよりも少ないという水曜日の発言に勇気づけられたようだ。ただし、新たな症例の増加は減っても、死者数は今後も増え続けるとファウチ氏は警告した。

この日の動きは、今週月曜日の急反発に続くものだ。それでもダウ平均株価の終値は、前日の最高値である2万3537.44ドルよりも低く、まだ下げ相場の領域にある可能性を示唆している。
各インデックスの終値は次の通り。

  • ダウ平均株価:3.44%、779.71ドル高、終値2万3433.57ドル
  • S&P 500:3.41%、90.57ポイント高、終値2749.98ポイント
  • ナスダック総合指数:2.58%、203.64ポイント高、終値8090.90ポイント

株価は原油価格や民主党大統領候補バーニー・サンダース氏の指名争いからの撤退のニュースなども左右された。サンダース氏の政策は増税への懸念を煽っていた。

今日は輸送株も上がった。Uberは4.66%高、26.94ドルで引けた。それでも2月に記録した今年最高値の41.27ドルより34.7%以上低い。Lyftも7.78%上げて終値は29.64ドルだった。こちらも話はUberと同じだ。Lyftの株価は今年の最高値より約45%も安い(今年のUberとLyftは浮き沈みが激しく、まず黒字の約束で値上がりし、後に資金繰りなどの問題で暴落した。ライドシェアリング業界にとっては動きの激しい年だ。

今日特に目立ったのが航空会社で、この新型コロナの打撃を最も受けた業界のひとつだ。United(ユナイテッド航空)が12.38%高、247.51ドルで引けて先頭を走り、American Airlines(アメリカン航空)とDelta(デルタ航空)がそれぞれ10.9%高と4.4%高で続いた。Tesla(テスラ)は気まぐれな一日を送り、開始時とあまり変わらない0.62%高、548.84ドルで引けた。

自動車株も揃って値上がりした。GM(ゼネラルモーターズ)は8.59%高の23.13ドルで引け、Ford(フォード)は6.59%高の5.03ドル、Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー)は3.15%高の7.86ドルが終値だった。

そして、今日の復調はわれわれTechCrunchが注意深く追跡している重要分野の株価にも起きた。近代的ソフトウェア会社やクラウドに焦点を合わせた企業からなるSaaS株だ。この分野の企業を追跡する指標である、Bessemer(ベッセマー)クラウドインデックスは、5.8%高という強い反発を見せた。それでも最近の最高値より低いが、市場全体と合わせて復調した。この値上がりによって、SaaSベースのスタートアップが資金調達しやすくなるかどうかは、まだわからないが、同インデックスの上昇は、非上場ソフトウェア会社のファウンダーや投資家にとっても吉報に違いない。

画像クレジット:Towfiqu Photography / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

従業員が利用できる法人向けUber Eatsが20カ国に追加拡大

法人向けのプラットフォームのUber for Businessは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより在宅勤務をする従業員が増える中、需要の急増に応えてフードデリバリーのUber Eatsを20カ国以上に拡大する。今回の拡大は米国時間4月8日の水曜日に始まりブラジル、カナダ、フランス、英国から始まる。

配車サービスを手がけるUberは、従業員やクライアントの乗車料金の支払いを合理化するツールを企業に提供するため、Business for Uberを2014年に立ち上げた。そして2018年には、オンデマンドアプリであるUber Eatsの企業版が追加され、企業は従業員が特定の時間や場所、そして自動作成される支出枠で、食事を注文できるようにミールプログラムを設定できるようになった。

Uberは以前から、Uber Eatsのビジネスバージョンを拡大する計画を持っていた。同社は新型コロナウイルスの流行により、世界中の政府が何百万人もの従業員にリモートで働くように働きかけたことをうけ、この計画を加速させたと述べた。Uberによると、Uber for Business利用するUberの法人顧客数は、3月時点で前月比28%増加したという。

Uber for Businessでは、Uber Eatsにも新機能が追加されている。従業員は個人のUber Eatsアプリやウェブサイト上のビジネスプロフィールから個別の法人カードを利用し、注文を管理できるようになった。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

新型コロナで需要急増中の遠隔診療コンサルTyto Careが約54億円調達

在宅健康診断デバイスと遠隔診療コンサルテーションアプリのプロバイダーTyto Care(タイト・ケア)が、新たなラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達した。

声明によると、本ラウンドは Insight Partners、Olive Tree Ventures、 Qualcomm Venturesがリードし、Tyto Careの累計調達額は1億500万ドル(約114億円)超となった。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的パンデミックにより、需要が急増する中での資金調達となった。Tyto Careのツールキットは遠隔診療の診断ソリューションとして使われており、2019年だけでも売上は3倍超となっている。

同社は2019にBest Buyと提携し、American WellやTeladocなど主要遠隔医療プロバイダーのほとんどと協業している。

既存投資家のOrbimed、Echo Health、Qure、Teuzaなどが本ラウンドに参加したとTyto Careは声明で述べた。

今回調達した資金で、Tyto Careはすでにある診断プラットフォームをベースに新たなツールを購入したり構築したりするとともに、在宅健康テストキットを新分野に拡大する。

Scanwell Healthのような企業は、尿路感染症などの病気の在宅診断テストを提供している。Tyto CareのCEOで創業者のDedi Gilad(デディ・ジラッド)氏は、在宅で行えるさまざまな種類のテストに新しいプロダクトを用意する、とインタビューで話した。

Tyto Careの遠隔診療は現在かなりの需要があり、インスラエルの全病院で新型コロナウイルスに感染した隔離中の患者をリモート診察するのに使われている。他の病院ネットワークもまた同様の使用目的でTyto Careの診断ツールに目を向けている、とのことだ。

遠隔の医療検査はCOVID-19を引き起こすウイルスSARS-Cov-2への曝露から医療関係者を守り、感染していない患者が実際に医療機関に足を運ぶことなく基礎的な健診を受けられるようする。

「過去2年間、Tyto Careはそれまでよりも成長を加速させ、ヘルスケアのあり方の変革をリードしている。遠隔診療は新型コロナパンデミックで注目を集めている。我々のソリューションが、ウイルスとの戦いでヘルスシステムや世界中の顧客を支援していることを誇りに思う」とジラッド氏は声明で述べた。「今回の資金調達は遠隔診療の進化に向けた転換期に行われたものであり、新たな資金で我々は引き続き、最善のバーチャルケアソリューションでもって世界のヘルスケア産業を変えていくことができる」

画像クレジット: Tyto Care

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

パンデミックは我々が築き上げてきたテクノロジーに何を語るのか

機能不全は新しい日常ではない

チャットアプリで何度も繰り返しシェアされているジョーク*がある。そのジョークは選択式の質問になっていて、次のように問う。

「 職場のデジタルトランスフォーメーションの主役は誰か?」

正解は「A.CEO」でもなく「B.CTO」でもなく「C.COVID-19」だ。

この皮肉を裏付ける事実が少なからず存在する。新型コロナウイルス(COVID-19)は現在比喩的な意味で数多くのボタンを押している。世界中の多くの区域の人々が自宅軟禁にも似た隔離生活に直面している。これは人々や産業に対し多くの「一時停止」ボタンが押された状態だ。オフラインでのほとんどの社会活動および経済活動は突如として手の届かないものになった。

現代のライフスタイルにおけるこのような大規模な一時停止は、時間の経過とともに、物事の在りようを完全にリセットしてしまう可能性がある。今までは、通勤や気ままな旅行熱のために地球にかかる負荷は顧みられることなく、人々の移動は当たり前に受け取られていた。今までのこうした在り方が今後「平常通り」に戻ることはないだろう。

これを機会に世界のリーダーたちが立ち上がったとしたら、新型コロナウイルスによる危機は、二酸化炭素の排出を抑える方向へと舵を切るにはどう社会や経済を築くべきなのかを再考させてくれるきっかけとなるだろう。デジタル接続が利用可能で、またそれが信頼のおけるものである場合に、実際に会って行う必要がある会議はどれほどあるだろうか? 何百万ものオフィスワーカーが在宅勤務するようになりつつある現在、物理的な会議を行う必要性はほとんどなくなっているように思われる。

より多くの活動がオンラインで行われるようになっているなか、新型コロナウイルスは、ブロードバンドサービスを公益事業にするという主張を明らかに後押しする形になっている。全国的な危機に見舞われ、ごく近所の人にもリモートな手段を通じてしか会うことのできない現在、ソーシャルメディアでさえ、本当の意味で公共性のあるものに見える。

外出できない人々がデジタルな広場で思いのままにしゃべるために、再びFacebookに押し寄せているという報告がある。実際の目抜き通りが立ち入り禁止である今、年季の入ったソーシャルネットワークが新たな盛り上がりを見せている。

Facebookは当然この種の高度な社会的目的をすでに理解している。それゆえにFacebookは、自然災害、大事故、テロ攻撃などの異常事態の発生時に、ユーザーが自らを「無事だとマーク」するように誘導する機能を積極的に構築している(あるいは、それこそが民主主義を犠牲にしてでも、Facebookが政治家にそのデータプラットフォームを利用することを説得したそもそもの根拠である)。

平穏な時には、Facebookの「目的」は「暇つぶし」にくくることができるかもしれない。しかし、アテンションエコノミーに対する悪いイメージが増えている現在、Facebookの機能は、猛烈で持続的な攻撃にさらされている。

長期間に渡り、この大手のテック企業は、競合製品に対しスパイ行為買収を行ったり、あるいはクローン製品を作るなどといったエンジニアリング的手段を用い、社会的構造の頂点に立ち戻るように対応してきた。10年以上の間、Facebookはあらゆる手段を用いてこのやり方を成功させてきた。とはいえ、今回の利用の増加はFacebookの功績ではない。人々をだますダークパターンがパンデミックによって自然発生したからである。

ウイルスが蔓延する現在、最も興味深いのは、過去20年間にオンラインで構築されてきたデジタルテクノロジーのどれだけが、このようなディストピアを生き抜くためにうまく設計されてきたかである。

このレンズを通してみると、VRは決定的瞬間を迎えている。実際に目で見ることのできるものを、自ら選択するデジタルアドベンチャーと置き換えて、自宅にいながらにして仮想世界を探索させてくれるフェイスコンピューターはどうだろう。VRをもっと使えるようにするためにどんな工夫がされているか。パンデミック封鎖のためのロックダウンによる概念的な限界が、実際にはどのように影響しているか。

非常に特殊なニッチ的な用途以外では、バーチャルリアリティは豊かで質感のある現実の世界に匹敵する、説得力のある世界にはなれなかった。しかし突如として、我々は全員パンデミックに遭遇した。視野は劇的に狭まり、現実を伝えるニュースは常に悲惨だ。そこで、また皮肉たっぷりのジョークの登場となる。「次の休暇の行き先は?  A.ステイケーション(自宅や近場で過ごす)、B.(自宅の)空き部屋、C.VRによる逃避」

しかし、本当に脚光を浴びているのはビデオ会議だ。パンデミックの力を持ってしてもVRを普及させることはできないことがわかった。その代わりに、しばらく疎遠になっていた友情がZoomのグループチャットやGoogleのハングアウトを通じて再燃している。また、ビデオチャットアプリのHousepartyのダウンロード数が急増している。これはバーが閉まった今、毎晩飲み歩いていた人が別のナイトライフを探し求めているためだ。

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退屈した有名人はTikTokアプリで楽しんでいる。InstagramやFacebookライブを通じて即席コンサートがリビングルームからライブストリーミングされている。あらゆる種類の人々が、社会的距離戦略や1人で(または家族とともに)家にこもらなければならないストレスを、リモートな手段による交流で紛らわせている。リモートブッククラブに入会したり、 バーチャルディスコに参加したり、エクササイズセッションにベッドルームから参加する人もいる。友人と過ごす静かなパブでの憩いの時間は、ボトル持参のグループビデオチャットにすんなり変わった。

これは決して通常ではないが、驚くべきことでもない。我々は未曾有の時を生きている。オンラインで人のぬくもりを求めることは、大量破壊と物理的分離(毎日数千人が亡くなるという、現在進行形の公衆衛生における緊急事態というトラウマはいうまでもなく)に対する人間の反応として、それが動くピクセルに過ぎなくても、当然の反応であるように感じられる。物理的接触のない交流でも、まったくないよりはましである。

しかし、これらのツールがすでに存在し、人々がログオンしストリーミングを開始できるよう準備を整えて待機しているという事実は、背筋を寒くさせる。

このことは、消費者向けテクノロジーが、招かれざる第三者の利益を追求する形で、我々の個別の、あるいはグループでの相互の交わり方を作り変えるよう、強力に設計されていることをはっきりと示している。

新型コロナウイルスに見舞われる前は、ソーシャルメディアの持つ、ユーザーを惹きつけフィード消費を受動的な形で行わせてしまう機能、つまり本当の人との付き合いを相手の生活を覗き見的に確認するという形に置き換えてしまう能力が、主な懸念の対象であった。複数の研究により、テクノロジーと孤独やうつ病との関連が明らかになっている。外出し、友人に会うことが文字通りできなくなった今、人との接触の喪失は現実的かつ深刻な問題である。従って、パンデミックの最中にオンライン上で人気が出たとしても、実際にはなんの成功の指標にもならない

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例えば、Housepartyは自らを「対面のソーシャルネットワーク」と謳っているが、それは実際には正反対である。 アプリを通し仮想的に集まるということは、対面での接触を見合わせているということだからである。

Facebookへのアクセスが新型コロナウイルスの流行で急増しているという事実は、同社のビジネスモデルが社会の混乱や悲惨さの中でこそ成功するものであることを示唆している。正直にいえば、我々は既にこのことに気付いていた。データ駆動型の広告テクノロジーとは、人々が何をしているかをこっそりスパイし、広告を見せて購買欲求を掻き立てるよう仕向ける技術と言い換えることができる。コロナウイルスはただ問題の核心をはっきりさせただけである。

デジタルに繋がりを持つためのハイテクツールがこんなにも豊富に存在しているという事実は、この危機にあってはすばらしい偶然の発見のように感じられる。恐ろしい世界的トラウマへの対処を可能にするフリーミアムの大鉱脈を探り当てたというわけだ。しかし気前よく差し出されたこれらのツールは実にいやらしい裏面を持っている。感染性があり、油断ならない狡猾さをもっているのがアテンションエコノミーだ。「普通の生活」が突然中断される前は、この汚れたテクノロジーに付けられていたラベルは「平常時用」というラベルであり、「世界的緊急事態用」ではなかった。

人々の関心(アテンション)を貪るこれらのアプリやサービスの設計が今ほどはっきりしたことはない。つまり、我々を混乱させ収益化の対象とする。人間味を欠くような方法でさりげなく我々の友情や人間関係に入り込んでくる。感情と関係性の在り方をつなぎ替える。直接的な交流を、バーチャルな交流に変えるよう我々に指示する。そしてこのバーチャルな交流の場は、求められてもいないのに我々のプライバシーや社会生活に入り込んできた先ほどの第三者により、データマイニングおよび収益化のために設計されたものだ。

人との繋がりは、このように取り込まれ編集し直され、一連の希薄で無意味な電子的処理に成り下がる。これらのプラットフォームは、個人の犠牲を省みることなく、多数のエンジニアを擁して様々な手段を用いて広告の機会を最大化している。

また今までよりも広大で侵襲的な監視資本主義が出現しているのも偶然ではない。新型コロナウイルスによる緊急事態によって、平常時にはこれらのビジネスモデルを大勢の目から隔てるのに使用される難読化装置が一部取り外されているからである。データを漁るトラッカーたちはこの機会を逃すまいと殺到している。

テクノロジーおよび広告の大手企業は新型コロナウイルスを追跡するためのデータやアプリの提供に関与しようと熱心に取り組んでいる。政府は、命を救うためのツールとリソースを大いに求めている。その中で、すでに大衆を監視するビジネスに関与している大量データ産業のロビイストたちは、現在のパンデミックを絶好の機会として、人々はプライバシーにそれほど関心がないという嘘を押し通そうとしている。

まず、人々を追跡するプラットフォームは人々への攻撃を「関連広告」として潤色し、実際よりも美しく見せた。今や、データ産業複合体は、パンデミックを撲滅する企業の社会的責任として、警察国家並の大量監視を急回転させている。その回転のなんと早いことか。

しかし、プラットフォームは自らの行き先に気を付けるべきである。家に軟禁され自分の携帯電話がスパイ道具にされていることに気が付いた人々は、この奇妙な前例のない時期に親しみやすいビデオチャットにサインアップしたのと同じくらいあっという間に、ハイテク企業を急に非難し始めるかもしれない。

それと、Zoom (そしてその他のビデオチャットアプリ)に忠告。 多くの人が君の「プライバシーポリシー」を実際に読んでいるかもしれない。今人々はオンラインに費やす時間がたっぷりあるのだ。これは相当な危機ではないのか。

Zoomについて、プライバシー、セキュリティに関する新たなホラーストーリーを毎日目にする。なぜ今一時にこうしたことが起こっているのだろう?

答えは簡単。問題は別に新しいものではない。突然皆がZoomを使うよう強制されたからである。そのため、より多くの人が問題に気が付き、オプトアウトができないために、さらにフラストレーションを感じるようになる。

はっきり言おう。 Zoomはマルウェアなのだ。

*ソースは個人のTwitterアカウント「@MBA_ish」

画像クレジット:Bryce Durbin

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

新型コロナによりリアルから仮想イベントのカレンダーアプリへ方向転換中のIRLがカテゴリー1位に

あなたの企業がイベントディスカバリー関連のスタートアップ企業だったとする。ところが突然法律によって人々がイベントに出席することが禁止された場合、どうするか。文化的シフトと転換を推し進めるのが正解だろう。資本金1100万ドル(約12億円)のカレンダーアプリIRLは現在、「In Real Life」から「In Remote Life」に変化を遂げつつある。IRLは今後、ライブストリーミングコンサートからeスポーツトーナメント、Zoomでのカクテルパーティーまで、ユーザーが仮想イベントの検索、招待、計画、共有、チャットできるよう注力していく。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、IRLはより多くのユーザーに関わりのあるものとなった。以前はイベントがどこで開催されるかは非常に重要な点だったが、In Remote Lifeのコンテンツに地理的制限はない。IRLの共同設立者でCEOのAbe Shafi(エイブ・シャフィ)氏は「みなさんの日常生活がすっかり変わってしまったため、ニーズは飛躍的に拡大しています」と言う。4月3日現在、米国のApp StoreにおけるIRLのランクは第138位で、カレンダーアプリとしては第一位、Googleのカレンダーアプリ(第168位)よりも上位である。

IRL In Remote Life Calendar

RobinhoodのJosh ElmanがIRLに参画

この変化を推進するため、IRLは製品開発に携わる新しい人材を迎え入れた。株式取引アプリRobinhoodのプロダクト事業部長であるJosh Elman(ジョッシュ・エルマン)氏を雇用。同氏はGreylockの元インベスターでありFacebook、Twitter、LinkedInでの仕事を手掛けたことでよく知られている。エルマン氏は2018年の初めにRobinhoodに入社したものの、2019年後半に離職している。機能停止が急増しユーザーを激怒させた出来事が起こったのはその後である。

「私は会社が110%を捧げられる人材を何よりも必要としていることに気づきましたが、私がその人物に該当するか確信が持てませんでした」。エルマン氏は現在76億ドル(約8270億円)の価値があると評価され、拡大に苦心するRobinhoodについて語った。「私が第一に情熱を注ぎ、長年にわたって話してきたのは、ソーシャルとメディアでした」

今のところ、IRLは彼にとってパートタイムのギグワークであり、ここではシークレットプロジェクト部門を率いる予定だ。多くのアプリは「ユーザーの時間を奪おうとする」ものであるが、彼はIRLをこの貴重なリソースを人々に還元させることのできるチャンスと考えている。前職に関しては「Robinhoodはすばらしい企業です。私は株主としてとても満足しています」と付け加えた。

ボーダーレスなイベント

「当社は、実際のイベントに関連するアプリの使用率と成長で安定した状態に到達していました」と、Zoomでの会話中にシャフィ氏は話す。新型コロナウイルスによってもたらされたこの状況について「そして今回の出来事がおこったのです」と述べた。「イベントが開催できないため、すべてのコンテンツを回収せざるを得なかったのです」。

4月3日、IRLのiOSアプリは、ユーザーが自宅から参加できる仮想イベントを中心としたホーム画面コンテンツ「Discover」の新デザインをローンチした。ゲーム、ポッドキャスト、テレビ、教育、音楽、料理、ライフスタイル、「楽しいイベント」セクションのタブが追加された。 各イベントをカレンダーに追加してGoogleカレンダーと同期させたり、友人やファンがフォローできるよう「いいね」ボタンをユーザーのプロファイルに追加したりすることができる。また、IRLでイベントに関するグループチャットをすぐに開始したり、Instagram Storiesや他のメッセージングアプリでシェアすることも可能だ。

やりたいことが見つからない場合は、コンポーザーを使って「ビデオチャットをする」「Zoomワークアウト」「ゲームセッション」「Netflixパーティー」などの提案をし、友達とイベントの計画を立てることができる。これにより、他の人々を招待できるカレンダーイベントが自動的に設定される。また、イベントの開催日時がはっきりしない場合は、IRLの「Soon(まもなく)」オプションを使用すると、スケジュールは未定のままで、皆が参加できる時間を確認することができる。実際、シャフィ氏によるとIRLの計画の50%は「Soon」を利用して開始されるとのことだ。厳密な時間、日時カレンダーにニーズのギャップがあることがわかる。

IRLは個々のイベントだけでなく、ワークアウト、瞑想、その他の予定をユーザーがサブスクライブできるようにすることで、習慣として確立しやすくしたいと考えている。スポーツのシーズンは中断されたが、IRLを使用すると代わりにヒップホップアルバムのリリースなどの予定がカレンダーと同期できる。または、インフルエンサーの生活をサブスクライブし、デジタル上でイベントに同行することも可能だ。社会的距離戦略が収まってきたら、オフラインのイベントをIRLのコンテンツの推奨事項に少しずつ加えていくことが目標である。

IRLの最大の課題は、イベント推奨アルゴリズムを調整することである。イベントに対し従来使用されてきた関連性シグナル、例えばイベントが家にどれだけ近いか、費用がどれくらいか、イベントがユーザーの住んでいる都市で行われるかといったシグナルの多くが使用できなくなっている。 In Remote Lifeへの移行は、世界中のさまざまなイベントを誰もが利用できるようになることを意味している。また、無料でイベントを主催できることが多いため、参加するユーザーが少ない質の低いイベントが多数発生している。このためどのイベントを表示するかを決定することが非常に難しくなっている。

今のところ、IRLはホーム画面でユーザーの使用頻度に応じたリコメンド表示をしているが、それでは初期のユーザーエクスペリエンスにはかなり当たり外れがある。筆者が経験したところでは、各カテゴリーのトップイベントが面白そうだと感じることはほとんどなかった。しかし、IRLは、新規ユーザーが使い慣れていくプロセスを強化してユーザーが何に興味を持っているかを質問するとともに、Spotifyと統合することで、ユーザーがどのミュージシャンのオンラインコンサートに参加したいかを把握できるようにする予定である。

いずれにしても、シャフィ氏はIRLが他のソーシャルでない代替手段よりもすでに優れてたものになっていると考えている。「当社の主なユーザーの年齢幅は13歳から25歳で、大学生および大学卒業者のいる大都市圏、および大学のキャンパスで使用されています。IRLの一般的なユーザーは、これまでにカレンダーを使用したことがない人か、GoogleカレンダーやiCalなどのデフォルトのカレンダーを使用したことがあるだけの人です」。

孤独を癒やす

願わくば、自分と同じタイミングで友人に暇があり一緒に遊べるかどうかを把握できるようにする機能をIRLが発達させてくれることを望んでいる。 Down To Lunchがこの分野で失敗した一方、Facebook MessengerやInstagramは自動ステータス機能でその可能性を探っている。SnapMapやZenlyなどの位置情報アプリでは、ユーザーが自分がどこにいるかをシェアするだけでなく、交流する意図があるかをシェアすることができる。

「ほんの少しの刺激、透明性、サジェストによって、毎月のアクティビティを1つでも増やすにはどうすればよいのか」というのがシャフィ氏の問いだ。 IRLはユーザーが「自分は2時間空いている」ということを「相手が応答しない場合でも拒否されたと感じない」方法で、受動的に共有できる方法を見つけようとしている。

Facebookは2016年に独立したイベントカレンダーアプリを立ち上げたが、後にカレンダー機能を組み合わせて、レストランのおすすめに組み込み、Localという名前に変更した。 Facebookほど大きな企業でも、すぐ完璧にできることは限られています」とエルマン氏は以前自身が携わった企業について語った。「彼らは『イベント』機能でもっと多くのことができたのでしょうが、写真の投稿に関してほど絶対的な存在ではありませんでした」

シャフィ氏はこのような基盤となる分野でチャンスを得たことを喜び、カレンダーにおける同コンセプトが定着すると確信している。どれほど長く時間がかかっても、促進するため努力する価値があると考えている。一方で彼に投資しているGoodwater Capital、Founders Fund、Kleiner Perkins、Floodgateは、最終的に収益化につながるよう願っていることだろう。

アプリを介したイベントへのアクセス権の販売や、プロモーターや地元企業に対してディスカバリーを高めることで収益化できるだろう。だが今のところIRLは、イベントやコンテンツパブリッシャーとの深いつながりを構築しつつあり、サイトやメールに組み込むことができる無料の「カレンダーに追加」ボタンもまもなくリリースされる。エルマン氏によると、AppleやGoogleのカレンダーと連携するボタンは一部有料サービスとなるが、多くを無料で提供することで、アプリにイベントを増やし、ユーザーがより多くのことをできるようにしたいと考えている。

「当社のタグラインは『live your best life(自分にとって最高の人生を送る)』です。当社が誰かに価値観を押し付けることはありません。もしユーザーにとっての最高の生活がソファに座って友達とゲームをすることなら、それを楽しんでいただきたいのです」

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(翻訳:Dragonfly)

Relativity Spaceは3Dプリントとクラウドベースのソフトウェアで新型コロナの嵐をやり過ごす

他のどの業界とも同様に宇宙関連の若いスタートアップや企業でも、新型コロナウイルス危機の煽りを受けてレイオフが相次いでいる。しかし、Relativity Space(レラティビティー・スペース)は、なんとかレイオフを回避できた。それどころか、世界的パンデミックにも負けず、新規に従業員を雇用している。RelativityのCEOで創設者のTim Ellis(ティム・エリス)氏は、大型3Dプリントと、クラウドベースのツールとテクノロジーの導入にフォーカスしたことが、会社を苦境に追い込まなかった大きな要因だと話している。

Relativityが間もなく完成させるロケットは、エンジンから胴体、さらにはその中間にあるものまで、ほとんどが3Dプリント部品で構成されるため、基本的にほぼ途切れることなくプロトタイプの製造を進めることができた。Relativityは、航空宇宙と防衛に携わる企業の例に漏れず、必要不可欠な事業と認知されているのだが、相当早い時期から新型コロナウイルスの潜在的な危険性に対処し、従業員の健康と安全を確保すべく手を打ってきたとエリス氏は言う。米国でこの病気が問題視され始めた3月9日、公式な規制や自宅待機の要請が出される以前に、Relativityでは早くも従業員に自宅勤務を勧めていた。

「それができたのは、一部には私たちの自動プリント技術のおかげです。工場にはごくごくわずかな人間しかいませんが、それでもプリンターを動かし続けることができます」とエリス氏はインタビューで話してくれた。「現に今はたった1人で数台のプリンターを見ていますが、実際にプリントが行われています。文字通りワンマン運転です。その一方、この2週間ほどの間に、会社の業務の大半を自宅で処理できるようにしました」。

たった1人の現場担当者で工場全体を管理できる能力は、現在の状況において、競争上、非常に大きな強みであり、同時に従業員の健康と安全を大切に守る方策でもある。エリス氏によると、同社はすでに複数の地域で業務を行っているという。ケープ・カナベラルとフロリダに加えて、ミシシッピ州のジョン・C・ステニス宇宙センターとロサンゼルス本社だ。Relativityではまた、米国内の離れた場所からも数名の従業員がテレワークしている。同社は早くから、全員が一箇所に集まらなくてもデザインや開発が行えるように体制を整えていたのだ。

「私たちはワークフローを円滑にするために、独自のソフトウェアツールを開発しました。それが大変に優れています」とエリス氏。「しかも、ITAR(国際武器取引規制)と複数の暗号プロトコルに準拠しつつクラウドに深く対応した企業ということだけでも、本当に有利なのです」。

自社開発のソフトウェアとクラウドベースのツールに集中したことに加え、エリス氏は、一番新しい資金調達ラウンド 、 2019年10月にクローズした1億4000万ドル(約152億円) のタイミングも、新型コロナウイルス危機への備えに貢献したと考えている。Relativityはレイオフを回避し、新たな求人も開始しただけではない。パートタイムも含め、全従業員に給与を全額支給し続けている。これはすべて、今思えば先を見通したビジネスモデルのおかげなのだが、現在の国際的ビジネス状況におけるこの目覚ましい優位性は、実際のところ単に幸運の賜物だとエリス氏は言う。それでもこれまでのRelativityの回復力は、一部には新型コロナウイルスのパンデミックに起因する大きな永続的変化の現れだと彼は信じている。

「それによって本当に変わるもの【中略】は、国際的なサプライチェーンへのアプローチです」と彼は言う。「もっと多くのものを米国内で生産して、サプライチェーンの過度なグローバル化への依存を減らそうという圧力が高まると思います。私たちがずっと3Dプリンターを使ってきたのは、そのためでもあります。それは、ごくわずかな作業員で、今のような状況下でもロケットの第1段が作れてしまう自動化のテクノロジーというだけではありません。サプライチェーンに関して言えば、限られた数の供給業者と、いくつもの製造方法からなる簡素なサプライチェーンを持つことで、供給業者やサプライチェーンの停止による大打撃を大幅に減らせるのです」。

新型コロナウイルス危機が、2021年に最初の3Dプリントロケットを飛ばすという予定を含めた打ち上げスケジュール全体に、どこまで影響を与えるかはまるで予測できないが、テレワークと社会的隔離指示に難なく添える製造ラインで多くの業務がこなせるとエリス氏は期待している。ジョン・C・ステニス宇宙センターのエンジン試験場といった提携施設が閉鎖されれば、確かに打撃にはなる。だがRelativityの回復力は、この危機的状況が去ったあかつきには、あらゆる種類の製造業の模範となるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

遠隔医療が新型コロナ流行抑制に「まだ」大きく寄与していないのはなぜか

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが猛威を振るっている。

米国で感染者が激増する中、新型コロナの急激な感染拡大で最もありそうな可能性1つは、病院の対応能力がパンクしてしまうことだ。ニューヨークのような都市の病院はすでに患者であふれており、出動した病院船(「希望と連帯という名の7万トンのメッセージ」)や、現場を支援する退職医療従事者卒業前の医学生にも頼っている。

テレヘルス(遠隔医療)はその動きと並行して、米国の保健システムにとって「あるといい」ものから「なければならぬ」ものへと急速に進化している。

テレヘルスは名前先行から期待を経て、ついに導入へ

このタイミングは予見的だ。テレヘルスのテクノロジーは完成度はまちまちだが数十年にわたり存在してきた。ただこれまであまり実践に取り入れられてこなかった。2005年から2017年まで、テレヘルスを介した医師の診察は150回に1回、専門医の診察は5千〜1万回に1回にとどまった

導入の主なきっかけは2週間前の連邦政府の発表だ。テレヘルスの使用に関するメディケアの適用制限を一時的に解除すると発表したのだ。政策の変更には、専門分野や利用局面の点での対象範囲拡大、自己負担の撤廃、HIPAA(医療の携行性と責任に関する法律)のプライバシー要件緩和などがある。例えば、HIPAAは従来、AppleFaceTimeなどのユビキタスなテレビ会議テクノロジーを禁止していた。

発表を機に、いわば一夜にしてテレヘルスはついに主流となった。

米国最大級の医療機関でテレヘルスの採用が急速に進んでいる。マサチューセッツ総合病院では、オンライン診療の1週間の予約数が過去数週間で1020倍に増えた。ニューヨーク大学ランゴーン医療センターでは、新規予約の急増に対応するためスタッフを5倍にした。米国最大のバーチャルケアプロバイダーであるTeladoc(テラドック)では現在、毎週10万を超える予約が報告されている。

テレヘルスの利用事例の多様化

先駆的な医療システムを利用したテレヘルスの急増により、米国の医療業界ではこれまでになかったユニークな利用事例が生まれている。

利用事例はさまざまな局面で見られる。いくつか例を挙げれば、緊急治療、集中治療、トリアージ(重症度の選別)、経過観察などだ。病院以外では、ヒューストンのProject Emergency Telehealth and NavigationETHAN、緊急遠隔医療及びナビゲーションプロジェクト)などの国内の先進的な取り組みにおいて、救急隊員と救急救命士がテレヘルスを初期対応に使用した先例がある こうしたプログラムは、新型コロナに対応するRapidSOS(ラピッドSOS)などのスタートアップが積極的に開拓してきた

Kaiser Permanente(カイザーパーマネンテ)、Intermountain Health(インターマウンテンヘルス)、Providence Health(プロビデンスヘルス)などの医療関連企業は、フィラデルフィアのジェファーソン病院の業績に基づき、病院への玄関口となる緊急治療室で、医療提供者と新型コロナの疑い患者(patients under investigation)の接触を最小限に抑えるための遠隔受け入れプログラムを採用した

病院へ搬入する際にテレヘルスを使って患者の状態を観察し、医療提供者の安全を確保している。こうした技術は、個人用保護具が大幅に不足している状況で極めて重要であることが証明されつつある。

ワシントン州エバレットのプロビデンス地域医療センター(アメリカで最初に新型コロナの症例が発生した場所)では、ICU(集中治療室)患者の遠隔監視プログラムを6週間かけてゼロから構築したEarlySense(アーリーセンス)のようなスタートアップが、マルチモーダルセンサー(1つのチップで複数種類のデータを取得できるセンサー)と視聴覚機能を組み合わせ、混み合っていない病棟の臨床的悪化を遠隔で検出・評価することを可能にした。

緊急治療室や入院病棟から出た後は、TytoCare(タイトケア)のような遠隔スクリーニングツールを使用すれば、以前は医師で対面で行っていた治療や検査が遠隔から可能になる。新型コロナの不安定な臨床経過を踏まえれば、緊急治療室から出た後は効率的で定期的な診断によって症状を観察し、その後必要となる集中的な治療にうまく導くことが重要になる。

同様に、特にICUを出た後は病気がすんなりと回復しない可能性があるため、遠隔テクノロジーはいわゆる「退院後症候群」を緩和し、入院治療後の長期的な健康を確保するために不可欠だ。

最初に導入すべきはどこか、いやあらゆる場所か

さまざまな形のテレヘルスの利用がほぼ一夜にして解禁されたことはポジティブなニュースだが、米国では広範囲な普及を妨げる障壁が残っている。 現代医学のメッカで進められるプロトタイピングの段階から、ヘルスケアの広い局面で役立つツールへと移行する前に、テレヘルスはいわゆる「ラストマイル問題」の解決に取り組まねばならない。

ここで言うラストマイルとは、地域で医療を提供するにあたっての非技術的または現場実践的な要素を指す。テレヘルス同様、医療提供に伴う実践的な要素への対応が不十分である場合、医療提供者が患者に新しいテクノロジーを適用することはできない。テレヘルスの場合、ラストマイルは4つの領域にグループ化できる。(a)適用範囲と償還(b)法的な懸念(c)臨床治療(d)社会的課題の4つだ。連邦政府の今月の政策変更は、不法行為責任の制限、厳密にはHIPAAに準拠していない可能性がある一般的な電話会議プラットフォームの許可など、いくつかの法的問題を解決する上で大きな一歩だった。

ただし、特に米国人の86.5%を占めるメディケア非対象者にとって、テレヘルスの利用を妨げる大きな障害が他の3つの領域で立ちはだかる。新型コロナに効果的に対処するには、リソース不足の状況下で、米国28100万人にくまなくテレヘルスを届ける必要がある。ウイルスが広く蔓延する中、地域の医療システムは足下の症例急増に対処するためテレヘルスのようなテクノロジーに大きく依存している

テレヘルスの拡大に不可欠なもの

患者の補償範囲に関して、20194月の時点で保険プランにテレヘルスサービスの補償を義務付けている州は36のみだった。補償対象者の1回の診療にかかる自己負担額はおおむね5080ドル(約55008700円)だった。自己負担を免除しているプランもあるが、将来ほぼ上昇が見込まれる追加の年間保険料が必要だ。こうした個人の費用負担は、現在の感染拡大の中で、非メディケア患者のテレヘルス利用を妨げる。

United Healthcare(ユナイテッドヘルスケア、4500万人の米国人が加入)、Humana(フマナ、3900万人)、Aetna(エトナ、1300万人)などの民間保険会社は、この2週間でテレヘルスサービスの自己負担額を免除した。残りの数億人の米国人をカバーする民間保険会社はこれに続くべきだ。マサチューセッツ州は先月、すべての保険会社にテレヘルスをカバーするよう義務付けた。他の州が続けばこの動きは加速する。

医療提供者への償還に関しては、わずか20%の州が保険償還率の同等性(payment parity)を義務づけている(そもそもテレヘルスが保険でカバーされていればの話だ)。同等性とは、テレヘルスに関する保険からの償還率(日本の診療報酬点数に相当)を、同様の診断を対面で受けたときと概ね同じにすることだ。償還率の格差によってテレヘルスの採用が望ましくない、あるいは受け入れがたいものになってきていた。テレヘルスの償還率は同等の対面診療よりも平均2050低い

テレヘルス導入の障壁は独立系の医療機関にとってさらに高い。標準的なテレヘルスプラットフォームを使用するには利用料を支払う必要があるが、一方でテレヘルスを取り入れると収益が約30%減少してしまう。新型コロナの感染が拡大する中、大規模な医療機関や個人経営の医院によるテレヘルス採用を金銭面で実施可能にするために、各州はここでもマサチューセッツ州にならい、民間保険会社からの償還率の同等性を導入するチャンスを活かすべきだ。

最後に、臨床治療については、テレヘルスをどこでどのように実施しうるかに関して多くの課題がある。具体的な実践に移すにあたり、テレヘルスを臨床診療の既存のワークフローと統合する必要があるが、現在の保険ルールがこれを妨げている。たとえばオンラインでの「訪問」や定期検診は再診患者にのみ認められている。新規の患者については、精密検査を必要としない軽度の症状または一時的な問題を示す患者であっても許されていない。これは最近のCMS(メディケア・メディケイド・サービスセンター)のポリシーでもそうだ。

さらに、「ストアアンドフォワード」(医療情報を電子的に別の場所に送信すること)を利用した助言や遠隔患者モニタリングなどの非同期方式はほとんどの州で制限されている。これらは地域的に散らばった患者へ柔軟に医療を提供する上で不可欠であり、効率的で拡張性の高い方法だ。

また、テレヘルスを実施できる「場所」は、患者の自宅でのサービス提供を禁止する「サービス発生場所」の方針によって制限されている。いくつかの条件を満たす必要もある(脳卒中の診断アヘン吸引からのリハビリなど)。こうした一貫性を欠く過剰規制がテレヘルスの普及を非現実的なものにしている。さらに、求められる免許が州単位のため、医師は州境をまたいで医療を提供できない。これは、19世紀に州によって医療の質に差があったことが背景にある。

患者が集中している地域で新型コロナに対応する医療を支えるために、各州はニューヨーク州フロリダ州にならい、州外の免許使用禁止を一時停止して免許の移転を許可するか、少なくとも他州との「免許協定」を通じて相互の免許融通を進める必要がある。

社会的課題に関しては、人口層別にアクセスにかなりの格差が存在する。たとえば、米電気通信情報局の2018年の調査によると、高齢者などの脆弱さを抱える層は全人口平均に比べ、インターネットへアクセスする割合は21%低く、ビデオ通話については約50%低い。貧困層がオンラインで医師とコミュニケーションをとる割合は34%低い。その他の人口統計上の少数派(ヒスパニック系や低学歴層など)も、テレヘルスのテクノロジーにアクセスしたり利用したりする可能性は低い。

そうした層は、新型コロナにより死亡率が上昇する健康に影響する社会的決定要因や併存疾患に直面する可能性が高く、新型コロナなどへの感染リスクを減らす健康リテラシーのレベルも低い。そのため、テレヘルスへのアクセス不平等は、新型コロナの流行曲線を平坦化する国としての能力に重要な影響を及ぼす。

そうした人々の医療へのアクセスを広げる唯一かつ最良の施策1つは、医師以外の医療提供者の診療範囲を拡大することだ。医師以外の医療提供者は、難解な法律によって翼を奪われている。各州の医師会が、ほとんどの患者には医師による「監督」が必要だと主張し、この法律をがっちりと擁護している。これは1980年代以降に行われたさまざまな分析に反する見解だ。各種分析によって、医師以外のヘルスケアプロバイダー(看護師や医師の補助者など)が医師と同等の高品質のサービスを提供できることが示されている。

さまざまな医療関連従事者(登録看護師薬剤師歯科医救急隊員ソーシャルワーカーなど)を動員し、より裁量をもたせてスクリーニング、診断、治療、処方に従事してもらえば、新型コロナを前に「戦力倍増装置」としてテレヘルスの能力を補強できる。緊急事態で専門医と総合医を結ぶプラットフォームを提供するThe MAVEN Projectのようなスタートアップの可能性を解き放つこともできる。

カリフォルニア州のように地理的に広がりのある州では2030年までに、医療関連従事者がプライマリ・ケアの半分を占めると予想されており、彼らを活用する政策が特に重要だ。静かに進む新型コロナの感染拡大から全国の患者を保護するために、なかなか進まないカリフォルニア州議会法案890のような、医療関連従事者を活用する取り組みを推進するために設計された法案を承認すべきだ。

要約する。連邦および州の機関による初期の新型コロナ対応がテレヘルスの普及を促した。だが、ウイルスが国全体を包囲しつつある状況では、より包括的な解決策が早急に必要だ。この目に見えない敵を倒すために、テレヘルスを生み出す者、使う者、便益を受ける者に、何としても必要な武器を与えることになるからだ。今、テレヘルスを強化するには、ペンと紙が最も重要なテクノロジーだと思われる。短期的には上院議員へ送る手紙が、我々の手元にある最も強力な弾薬かもしれない。

【編集部注】筆者のEli Cahan(エリ・カハン)氏はニューヨーク大学の医学生で、スタンフォード大学のナイト・ヘネシー奨学生として保健政策の修士過程に進む予定。同氏はデジタル健康イノベーションの有効性、経済性、倫理性を研究テーマとしている。

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(翻訳:Mizoguchi