続報:AdBlock PlusとFacebookの戦いは続く―相互に無効化の応酬

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昨日(米国時間8/11)、Adblock PlusはFaceookの広告ブロックを無効化するアップデートを回避して広告をブロックするアップデートをリリースした。しかしFacebookがTechCrunchに述べたところによれば、AdBlock Plusの回避策は「広告だけでなく友達の投稿や有益なページも削除してしまう不器用な仕様」だという。.Facebookの主張はこうだ。

問題の広告フィルター会社の新しい広告フィルターが広告をブロックするだけでなく、友達の投稿やページもブロックしてしまうことによってユーザーの体験を大きく損なっていることにわれわれは失望した。これはユーザーにとって望ましいことではないのでこの問題への対処を計画している。 広告ブロック・フィルターは洗練さを欠く製品だ。Facebookが広告表示設定のようなツールを提供してユーザーに広告の表示を委ねているのはこれが原因だ。

この「対処計画」はすぐに公開されるらしい〔アップデート参照〕。Facebookの事情に通じた情報源によれば、今日中、あるいは数時間後にもAdblock Plusの広告フィルターを再び無効化するアップデートが公開される。当初Adblock PlusがFacebookの広告をブロックするのに2日かかっていたのに比べるとFacebookに対応はその何分の一かの時間しかかからないようだ。

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アップデート:情報源によれば、FacebookはAdblock Plusの広告ブロックを無効化するアップデートの公開を始めた

アップデート2: 太平洋時間8月12日午前4時30分:Adblock Plusはさらに新しい回避策を公開したとツイートした。

アップデート3:太平洋時間8月12日午前10時05分:FacebookはAdblock Plusの新しい回避策を無効化したと発表。Adblock Plusはこれにもすぐに反撃するとブログ記事で宣言した。「イタチごっこ」が盛大に始まっているのは間違いない。

火曜日にFacebookはウェブの広告をHTMLコードの中に埋め込むことによって広告ブロックソフトのフィルターを回避するようにしたことを発表した。Facebookは広告ターゲティングにおけるユーザー側のオプトアウトをさらに強化し、広告ブロッカーが使われる最大の理由に対処すると同時に、ビジネスとユーザーを結びつけるという重要な機能を果たしていくとした。また広告によって成立しているウェブサービスから広告を奪うのは誤りであるとも指摘した。【略】

このイタチごっこでAdblock Plusは不利な状況にある。一部のプラットフォーム上ではユーザー側はフィルターをアップデートするかマニュアルで編集する必要がある。一日一回のアップデートでさえ遅すぎるかもしれない。FacebookはAdBlock Plusのフィルターを無効化するコードを一方的にリリースすることができるし、ユーザー側では何もする必要がない。つまりAdblock Plusのユーザーが新しいフィルターにアップデートしたときにはFacebookは一足先にそのフィルターを無効化するコードを実装ずみということがあり得るわけだ。

さらに重要な点は広告フィルターによってAdBlock Plus得る収入よりFacebookが失う収入のほうがはるかに大きいことだ。

しかし一方でFacebookはFTC〔連邦取引委員会〕の規定に従い、消費者を誤認させないため、広告に必ずSponsoredと表示しなければならない。このラベルはAdblock Plusがターゲットを特定するのに役立つ。

How Adblock Plus works

この戦いは広告ブロックというソフトウェアの正当性についての議論を再燃させた。広告ブロックを利用するユーザーの考えも多様だ。一部のユーザーは広告ブロックは広告テクノロジーの暴走をチェックし、プライバシーを保護するのに役立っていると感じている。単に広告を見たくない、あるいは広告が読み込まれる無駄な時間を省いてウェブ閲覧を高速化したいというユーザーも多いだろう。

逆にソーシャルメディアやオンライン・ニュース・サービスは広告ブロックに反発している。広告ブロックはメディアとそのコンテンツのクリエーターから正当な収入を奪うものだとしている。また「広告ブロックのデベロッパーは実のところユーザー体験の向上などは考えておらず、ある種のランサムウェアを開発しているだけだ。その証拠に料金と引き換えにフィルターを通過させ広告表示を可能にしているではないか」という主張もある。

オンライン広告テクノロジーは近年大幅に進歩した。広告ブロッカーは洗練を欠くフィルターであり、マルウェアやプライバシーを侵害する広告をブロックする一方で比較的無害なサービスの表示を妨害して収入の機会を奪っている。どちらの側も譲る気配はない。Facebookとクラウドソースされた広告ブロックのハッカーの戦いはまだまだ続くだろう。

画像: Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがフィードアルゴリズムを再変更。有益性の予測はニュース記事に有利か

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Facebookが6月に実施した、パブリッシャーより友達を優先するフィードアルゴリズムの変更によって、ニュース配信会社は集客力を失ったが、その一部を取り戻せるかもしれない。今日(米国時間8/12)Facebookは、有益な記事を予測し、「ユーザーの興味に関連が深い、活溌な議論の材料になる、あるいはニュース価値がある」記事を優先して表示する計画を発表した。

どんなフィード記事が有益であるかを知るために、Facebookは夥しい人数を対象に調査を行った。その結果上に挙げたような基準で人々が記事を認識していることがわかった。それを元にFacebookは、パーソナル化したニュースフィードのモデルを作り、関連性の高い記事と共通点の多い記事や、ユーザーが以前から好んでいる記事と似た記事を選ぶ。

Screen Shot 2016-08-11 at 10.05.31 AM「それは今起きてる出来事のニュースかもしれない」とFacebookは書いている。しかし、何が有益かについては誰もが主観的な視点をもっているので、「好きな有名人の話題やローカルニュース、近日公開の映画やレシピなど、その人にとって意味のある情報ならなんでも」選ばれるかもしれない。

Facebookはこれについて、劇的な変更ではなくすでにフィードの上位に来るような記事の順番が変わる程度で、特定の記事が選ばれたり外れたりするものではないと言っている。「ほとんどのFacebookページにとってニュースフィードへの配信状況が変わることはない。参照トラフィックがわずかに増えるページもあれば、わずかに減るページもある」。

この変更によって、友達の他愛もないコンテンツが重要なニュースより上に表示されてしまうのではないかという恐れを、一部のパブリッシャーに抱かせるかもしれない。パブリッシャーは2ヶ月前の「友達と家族優先」という変更の影響を今も評価しているところだ。伝聞ではあるが、フィードに現れるパブリッシャーの記事が明らかに減ったというユーザー報告もある。

Facebookはこうして有益性を予測する

今日の変更を発表したFacebookのブログ記事は少々曖昧だったが、私はどうやって新しい予測モデルを構築したのかを同社に問いただした。

開発チームはまず、クラウドソースによる調査結果と、フィード品質プログラムの結果を検討した。後者は、記事の重要さ、面白さ、および有益性を1(全く有益でない)から5(非常に有益)までの尺度でユーザーにランク付けさせたものだ。有益性ランク4と5の記事を予測モデルに取り込み、何を探すべきかを教えこむ。

Facebook Surveys

次に、ユーザー毎に記事の著者との関係、過去の投稿へのコメント頻度、どんな記事をよくクリックしているか等に基づき、モデルをパーソナル化する。こうして得られたヒントを、ユーザーが関心を持った記事のコンテンツ解析に従来から使用している機械学習アルゴリズムと組み合わせることによって、そのユーザーがどんな話題を気にかけているかを判定する。

ニュースフィードのアルゴリズムは、このモデルを使って閲覧可能なあらゆる投稿を解析する。その人にとって有益であると予測された記事は、露出度が高くなる。

Facebookによると、何が有益と考えるかは人によって異なるため、この変更によってニュースの認知度が上がるとは限らないという。それでも、ウェブ広告ブロッカーを回避する ― パブリッシャーの嫌悪する行為 ― という最近の発表と同じように、今日の変更はFacebookとニュース業界との関係を改善するかもしれない。ニュースに関心のある人は、さらにニュースを見るようになるのだから。

このようにニュースフィードの変更を詳しく公表することは、参照トラフィックをフィードに頼っている企業の不安を掻き立てるおそれがある。しかし、Facebookがフィードの法則を密かに変更している、というかつて繰り返し囁かれた疑惑はなくなるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AdBlock Plusが「広告ブロックにブロックされないFacebook広告」を再びブロック

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気づいた読者も多いだろうが(ともかく私は気づいた)、最近Facebookが広告の表示を方法を変えた。広告を一般投稿のように変装させブラウザの広告ブロック機能をすり抜けて表示させようとした。広告は至るところに溢れたが、幸いこうした現象は長く続かない。AdBlock Plusのコミュニティーはわずか2日で広告ブロックを無効化する広告を再びブロックする方法を発見した。

火曜日にFacebookは広告表示方法の変更を実施した。Adblock Plusは「別に世界の終わりではない」と冷静に受け止めた。 Adblock Plusのブログは「Facebookが〔直接的に排除に〕動いたことは、広告ブロックがメインストリームの機能となったことを意味する」と述べた。

これはむしろひとつの時代の始まりだったかもしれない。断固たるアンチ広告派のプログラマー、ハッカーは世界中にいる。彼らは力を合わせて即座に結果を出した。

「オープンソース・コミュニティーは素早く対処するだろうと書いたが、実際、期待を上回る成果が出た。とはいえ、これは偉大な勝利というわけではないということは注意しておくべきだ。広告ブロックという地道な作業の一日に過ぎない」とブログは書いている。

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「オープンソース・コミュニティーの広告ブロックの努力と広告掲示側のすり抜けようとする努力の応酬は広告ブロックが発明された当初から続いている。近々Facebookがわれわれの最新のフィルターを無効化するコードを追加するのは大いにあり得る。そうなれば広告ブロック・コミュニティーはまた対応するだろうし、Facebook側もそれをまた無効化するコードを考え出す、等々だ」という。

実際、この記事が発表された後、TechCrunchの取材に対してFacebookの広報担当者は「われわれはこの問題に対処する計画だ」とメールで返事をよこしている。

もちろんハッカーが押し付けられた規制に反発して無効化を試みるのは普遍的現象だ。ある場合には称賛される努力となる。 たとえば〔脱獄などの〕デバイスのブートローダーのハッキングは所有するハードウェアにユーザーが好みのソフトウェアをインストールすることを可能にした。しかし別の場合には、スパマーやマルウェアの拡散者となり、セキュリティーを無効化し、多くの人々に深刻な被害をもたらす。さらにその中間のグレーゾーンもある。広告ブロックというのはこの場合に相当する。

ある考え方によれば、広告ブロックというのはウェブサイトなりサービスなりから売上を盗むことだ。別の考えによればユーザーには自分の見るコンテンツに関して完全な決定権があるべきだということになる。オンライン広告は無意味であり価値がないという主張もある。広告ブロック・ソフトのデベロッパー自身がある種の不当な金儲けをしているという意見もある。ターゲティング広告は役立つが絨毯爆撃的な広告は無意味だからブロックされるべきだと考えるものもいるし、逆に一般広告はよいがターゲティング広告はプライバシーの侵害だと考えるものもいる。

この他にもさまざまな視点があるだろうが、そうした議論を深めるのは別の場所に譲りたい。はっきりしているのは広告ブロックのテクノロジーは誰にでも自由に利用可能であり、何千万人ものユーザーがウェブ体験の改善のために日々利用しているということだ。広告収入によって成り立っている企業はその事実を認める必要があるし、広告ブロックによって妨げられない収入の方法を探る必要があるのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookが360度動画に自動モードを設定するGuideや視聴者の関心を示すHeatmapなどのツールを発表

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マーク・ザッカーバーグは将来ビデオ・コンテンツがFacebookのベースとなると約束した。これを実現するためにFacebookはビデオ・アナリティクスを公開した。ビデオの作成者は視聴者の人口動態、ライブ放映の場合の視聴者数の時系列変化、各種共有の影響などを簡単に知ることができるようになる。

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しかし標準的なビデオ・アナリティクス・ツールよりさらに興味深いのはFacebookの360度動画の設定を効果的にするツールだ。Facebookにはすでに25万本の360度動画がアップされている。現在のところ視聴者はビデオのどこからスタートしてどこを見るか、すべて自分で決める必要がある。ビデオの作成者はどのアングルから見るのがいちばん面白いかを視聴者に伝えることができなかった。この問題を解決する2つの新しいツールが公開された。

360度動画でストーリーテリング

Guideツールは 360度動画のデフォールト視聴パスを設定できる。つまり視聴者側から何もしなくてもビデオの視聴アングルはクリエーターがあらかじめ指定したラインに沿って動く。360度動画をアップロードするとき、詳細設定コントロールに新しいタブが追加され、「Guideを有効にする(Enable Guide)」をクリックすると画面中に視聴アングルを指定するポイントが表示され、動的なパスを設定できるようになる。Guideを使用して視聴パスが設定された動画をユーザーが再生すると、このパスに沿って360度動画の視聴窓が動くので興味ある箇所を見逃さずにすむ。

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Guideを使えばクリエーターは視聴者が重要なポイントを見逃すことを心配せずに360度動画でストーリーを表現できるようになる。Facebookによれば、Guideでパスを設定すれば「〔水中撮影の場合〕ダイバーが飛び込んでくる瞬間やサメが背後から近づいてくるところ」を視聴者は見逃さずにすむというわけだ。視聴はスワイプ動作でいつでもGuideを中断させ、関心を抱いた場所を見ることができる。またGuideボタンをタップすることでいつでもGuideを再開できる。

360度動画にGuideが実際に使われている例のひとつはNew York Timesのオリンピック記事だ。リオデジャネイロのメインスタジアムでウサイン・ボルトが100m走で世界最速を記録した様子を見ることができる。

Heatmapを利用すると、ビデオのクリエーターは360度動画がどのように視聴されているかを知ることができる。30度以上の窓の移動データが記録され、累積視聴回数に応じて色分けされるため、もっともポピュラーな視聴アングルが簡単に分かる。

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4月下旬以降、ユニーク視聴回数が5万回以上のビデオすべてでHeatmapが利用できるようになる。クリエーターはHeatmapの地図を利用して視聴者の関心を知り、Guideでデフォールト・パスの設定を行う助けにすることができる。

Facebookは今回発表されたツールにより、 ソーシャルメディアの360度ビデオでますます有利な立場を獲得しそうだ。YouTubeも360度ビデオの再生機能があるが、TwitterとSnapchatにはまだ欠けている。ザッカーバーグはこれまでも繰り返し「Facebookはテキストと写真ベースからビデオ、特に360度動画ベースの存在になっていく」と述べている。しかし新しい新しい表現媒体が登場した場合、クリエーターが効果的な使い方を発見するまでには時間がかかる。Facebookのアナリティクス・ツールとビデオ設定ツールは360度ビデオを本格的なアートの段階に推し進めるために役立ちそうだ。

〔日本版〕Facebook日本語版では360 videoを「360度動画」と訳している。再生時にコンパスの上部が点滅している場合はGuideによる自動モードが設定されている。視聴者がコンパスをクリックすると自動モードが開始される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookの新アルゴリズムはクリックベイトを判定―トラフィック稼ぎの釣り記事は排除へ

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Facebookはニュースフィードの表示アルゴリズムに新しくアンチ・クリックベイト機能を追加し、順次公開していく。この新機能のおかげで、 重要な情報を歪めたり、隠したり、誇張したりするページや記事へのリンクはニュースフィードに表示されなくなる。

Facebookは人力で何万という記事のクリックベイト指数 〔clickbaitiness score〕を算定し、このデータを用いて新しいアルゴリズムを訓練した。これにより、システムは「ベッドの下を覗くとなんとこれがいました! 大ショック!」、「ニンニクを靴に入れた結果が信じられないことに」、「犬が配達人を吠えた―その結果が大爆笑もの」といった記事を自動的に発見できるようになった。

このアルゴリズムは単なる二分法で「これはクリックベイト」、「これはクリックベイトではない」とラベルを貼るのではなく、記事の悪質さの度合いに応じてクリックベイト指数を付与する。仕組みはメールのスパムフィルターと似ており、主として通常の記事にはめったに使われない迷惑記事特有の表現を探す。

個々の記事のクリックベイト指数が高いほどアルゴリズムはその記事へのリンクを掲載、共有したFacebookページ、あるいはウェブサイトを全体として罰する。つまりこうしたページやサイトの表示順位がダウンする。Facebookのニュースフィード・プロダクト・マネージメント担当副社長、Adam Mosseriは私の取材に答えて、「毎日50回も投稿している場合、1回くらいクリックベイトが混じっていても問題はない。逆に一日中クリックベイトをアップしているスパマーの場合影響は非常に大きいはずだ」と説明した。

さいわい「パブリッシャーがクリックベイトを投稿するのを止めればリンクのトラフィックも元に戻る」とMosseriは言う。アルゴリズムはFacebookページとウェブサイトのドメインの双方のレベルで違反者を特定するので、スパマーはページに掲載する記事のURLを細かく変えることでクリックベイト発見アルゴリズムを逃れることはできない。

これまでもクリックベイトはニュースフィードで最大の苦情の原因だった。一部のユーザーはこれをニュースフィードの表示アルゴリズムのバグとしてレポートを出している。今回のアルゴリズムのアップデートはFacebookが最近発表したニュースフィードの価値〔News Feed Values〕という考え方に沿ったものだ。 価値の判定に用いられる5つのカテゴリーのひとつは「コミュニケーションの正統性(“Authentic Communication)」だ。これは「友達と家族を優先」する。先月のフィード・アルゴリズムの変更で新たなパブリッシャーの表示順位が下げられたのもこの考えに基づくものだ。

Facebookはクリックベイト対策の詳細を他のソーシャルメディアやサービスのデベロッパーと共有していくという。「われわれがどういう方法を採用しているか他社が研究し、採用することを歓迎する」とMosseriは語った。

しかしFacebookはこの情報を一般に公開するつもりはないという。「ドキュメントの大部分はクリックベイトと判定されるタイトルの例なので、スパマーに悪用されるおそれがあるからだ」という。

以前、Gizmodoは匿名の情報源のデータを基に「Facebookはトレンドから保守的な記事を不当に排除している」と主張したことがあった。それと関係があるのかどうか、Facebookの文書中のクリックベイトのサンプルのドメイン名はGizmotecho.comだった。〔下のポールペンの画像。誇大宣伝の例としてFacebookが作ったもの〕

Facebook Clickbait

Facebookは2014年にもユーザーのリアクションに基づいたアンチ・クリックベイト・アルゴリズを導入している。このアルゴリズムはユーザーが「いいね!」をして記事を見に行ったものの、すぐにFacebookに戻って「いいね!」を取り消したリンクを探すものだった。

この2月のアップデートではユーザーがクリック先のサイトに滞在した時間をクリックベイトの判定に用いるようになった。多数のクリックがあるのに滞在時間の合計が少なく、後まで残った「いいね!」の数も少ないサイトが対象だった。今日のアルゴリズムの改良は、個々の記事がクリックベイトであるかどうか判断するだけでなく、パブリッシャーそのものをスパマーとして特定するところに主眼がある。

Facebookはパブリッシャーがクリックベイトと判定されることを避けるための方法を紹介している。 Facebookは「赤絨毯の上でつまづいて転んだのはなんとあの人」などという情報の重要部分をタイトルから隠し、続きを読むためにクリックさせる手法を避けるよう求めている。また「このボールペンは絶対、決してインクが切れません。購入は早い者勝ち!」といった誇張もクリックベイトと判定される可能性があると警告している。

当然ながらニュースのパブリッシャーはニュースフィードのアルゴリズムの変更に神経質になっている。リンクのトラフィックに大きな違いが出てくるからだ。先月、「ページより友達を優先する」という方針が発表されたことはパブリッシャーを不安にさせていた。

今回のクリックベイト対策が功を奏するなら、正当と認められたパブリッシャーの掲載するニュースへのトラフィックはアップするだろう。投稿されたURLがクリックベイトではないと安心できればクリックするユーザーは増えるはずだ。

9月12日から14日にかけて開催されるのTechCrunch Disrupt SFでFacebookのAdam Mosseri副社長がニュースフィードについて講演する予定。

画像: Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ローンチ5年で10億ユーザー、Facebookメッセンジャーの過去と未来

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users   TechCrunch

Facebookがメッセンジャーのダウンロードを強制させるという賭けに成功した。その反動にかかわらず、20ヶ月の間にメッセンジャーはユーザー数を倍にし、開始から5年でユーザー数は10億人に到達した。メッセンジャーはFacebookや、Facebookが買収したWhatsApp、GoogleのYoutubeなどで構成される10億ユーザークラブに参加した。

メッセンジャーアプリは他にも印象的な記録を残してきた。毎月170億枚の写真が送信され、ユーザーと企業の間で10億メッセージのやりとりがなされている。また、毎日3億8000万のスタンプと2200万のGIFが送信されている。そしてVoIP電話全体の内10%はメッセンジャー経由とのことだ。メッセンジャーが新しく開設したチャットボットのプラットフォームには現在1万8000チャットボットが存在し、2万3000のデベロッパーがFacebookのWit.ai ボットエンジンに登録してきた。

ユーザー数10億人という節目となる記録はFacebookが企業、デベロッパーのメッセンジャーのプラットフォームへの関心を引くことを容易にする。メッセンジャーの普及が進むことは次のようなことを意味する。新たにメッセンジャーを利用し始めた他のユーザーの存在が、未だにSMSやメッセンジャーの競合サービスを使っている人にメッセンジャーをより便利なアプリだと思わせるのだ。

Facebookのようなネットワーク効果を持っている企業は他に類を見ない。

Facebook Messenger Team

David Marcus氏とマーク・ザッカーバーグ氏がロゴをかたどったメッセンジャチームの万歳をリードしている

メッセンジャーは元Googleの社員が起ち上げたチャットアプリBelugaを元に名前だけ変えて始めたものだ。FacebookはBelugaを2011年の3月に買収している。「10億人ものユーザーを獲得するなんて想像もできませんでした。しかし、それを実現したいとは思っていました。それが私たちのビジョンでした。世界中の人々をそのようにつなげたかったのです」Beluga共同創業者のLucy Zhang氏はそう語る。

「みんなが飛び上がってこのことを祝うと思っていますよね」Facebookの現在のメッセンジャーの責任者David Marcus氏はそう語る。「しかし、サービスをユーザーに提供すること、正しいものを作ること、問題なく運用すること、人々の日々の生活を支援することなど一層の責任が発生します」。

すべての人がメッセンジャーのユーザー数10億人突破のお祝いに参加できるようにしている。風船の絵文字をFacebook上で送ると画面上でユーザー数10億人突破を祝うライトアップを見ることができる。

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users TechCrunch

ユーザー数10億人への道のり

Zhang氏とMarcus氏は、派手な機能、利用のしやすさ、地味だがパフォーマンスの向上につながることまでの全てに継続的なイテレーション(分析、設計、開発、テストのサイクルを回すこと)を行ったことがメッセンジャーの発展につながったと語る。以下に時系列でメッセンジャーのこれまでの変遷を紹介する。

Beluga

Belugaは「グループ」ではなく「ポッド」を持っていた

Belugaは「グループ」ではなく「ポッド」を持っていた

2010年、グループチャットが人気を獲得し始めていたが、SMSはひどい有様だった。同年に開催されたTechCrunch Disruptのハッカソンで生まれたGroupMeは勢い良く成長した。しかし、GroupMeはネイティブアプリではなくコストの高いSMSに依拠していた。

2010年の7月、Belugaはデータ通信のチャットに焦点を当てて設立され12月までに大きく成長した。「友達のそばにいたいという私たち自身の希望、要望から生まれました」とZhang氏は語る。その時、Facebookチャットはどちらかというと非同期のメッセージサービスで、Facebookアプリの中に埋もれていたために快適さに欠けていた。Facebookはメッセージに特化したアプリをリリースする機会を得るためにBelugaを2011年の3月に買収した。

 メッセンジャーのファースト・バージョン

「メッセンジャーのファースト・バージョンをリリースするのに3、4ヶ月を費やしました」とZhang氏は回想する。その当時、メッセンジャーのチームメンバーはZhang氏、共同創業者のJonathan Perlow氏(現Facebook社員)、Ben Davenport氏、そしてエンジニア1名、プロダクトマネージャー1名、デザイナー1名だった。

メッセンジャーは2011年の8月にサービスの提供を開始した。デスクトップ、モバイルなどの異なるプラットフォームでメッセージを送受信することができるものだった。写真と位置情報の共有以外の今でもメッセンジャーにあるいくつかの機能を備えていた。その1年後には既読機能を実装し、まるで顔を合わせて話しをしているかのようなチャットへと変化した。

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左がメッセンジャーファースト・バージョン、右が現在のメッセンジャーのデザイン

Facebook本体のアプリから分離した初めてのアプリとして、メッセンジャーアプリは1つの重要な機能に特化したシンプルなモバイルプロダクトの価値を証明した。

使いやすくなったメッセンジャー

Facebookはメッセンジャー普及のために戦略を練ってきた。ユーザーがやりたいコミュニケーションができるようにフレキシブルさを追加してきた。2012年から2013年までの間に、メッセンジャーを利用するのにFacebookアカウントを必要とする条件を撤廃し始めた。Facebook友達でない場合、電話番号を利用してSMS経由で連絡を取ることができるようにした。VoIP電話をコミュニケーションツールとして当たり前のものとするための賭けに打って出た。メッセンジャーのデザインは本元のFacebookとは異なり、操作スピード、シンプルさを追求するためより洗練されたものとなった。

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メッセンジャーはデザインの一新でアイデンティティーを得た

アプリダウンロードの強制

How Facebook Messenger clawed its way to 1 billion users 2TechCrunchメッセンジャーのサービス提供開始から3年間の成長は停滞していた。しかし2014年4月、Facebookがユーザー数2億人到達を発表する少し前、同社の高圧的な告知によりコミュニティーがざわついた。その告知とはFacebookアプリからチャット機能をなくし、代わりに強制的にメッセンジャーをダウンロードさせるというものだった。この強制の言い分としてはメッセンジャーアプリによって、ユーザー間でのやり取りがより早くなり、メッセージを見逃すことも少なくなるということだった。

ユーザーは腹を立てている。Facebookがスマホのホームスクリーンを占有しようとしているとしてFacebookを責めた。ユーザーは1つのアプリでも十分快適だったのに、なぜFacebookのアプリを2つも利用しなければならないのだろうか?メッセンジャーの平均的なレビューは星1つとなったがAppストアでダウンロード数がトップにもなった。

Facebookは膨らみすぎたアプリからメッセンジャーを解放することで、新たにメッセンジャーにたくさんの機能を追加することができるようになった。そして結果的に、ユーザーもついてきたのだ。ユーザーはメッセンジャーを頻繁に使うようになった。もしメッセンジャーがFacebookアプリに埋め込まれたままだったとしたら、メッセンジャーを開く手間にストレスを感じるほどにだ。2014年の11月までにユーザー数は5億人に到達した。

スピードの必要性

さほど関心を集めなかったが、2014年の末にFacebookはメッセンジャーの大幅な技術的改良を実施した。数十億のメッセージがやりとりされる規模においては、ミリ秒の短縮はメッセージの送受信に大きな差を生み出す。私がここで説明する言葉より表現豊かに、メッセンジャーチームはユーザー間の送受信における遅延を減らすためのパフォーマンス、安定性に対して多くの時間を費やしたとMarcus氏は語った。Marcus氏はPayPalの会長を務めた人物で、Paypalを退任後に初めて取り組んだのがメッセンジャーのプロジェクトだった。

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ユーザーが送信したメッセージがどのような状況にあるのか分かりやすくするため、メッセンジャーはメッセージの横に小さなサークル(円のマーク)を設置した。サークルが空白の表示は送信中であること、空白にチェックマークが表示されれば送信完了、サークルに色とチェックマークが付けば相手に届いたこと、サークルにプロフィール写真が表示されると相手がメッセージを読んだことを示す。繰り返すが、これは小さなことかもしれないが、これによりSMSで発生していたようなコミュニケーションにおける曖昧さを排除することができた。それは2014年初めにFacebookがWhatsAppを買収した後からMessengerにとって問題となっていたことだった。

アプリとビデオ

2015年はメッセンジャーが単なるチャット以上の存在になった年だ。SMSを時代遅れなものとし、現代風のメッセンジャーを通してユーザーの生活を支えるように改良がなされた。ビデオがいたるところで盛り上がりを見せ始めていたが、ビデオチャットはFaceTime、GoogleHangoutsのような限られたプラットフォームのみだったところで、メッセンジャーはビデオチャットを開始した。Marcus氏はビデオチャットを実装したことがメッセンジャーが電話に代わる多機能なコミュニケーションツールになるきっかけになったとしている。

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メッセンジャーのプロダクト責任者Stan Chaudonovsky氏がビデオチャットを実演

FacebookはVenmo風の個人間で送金ができる機能をメッセンジャーに追加した。そしてF8デベロッパー・カンファレンスにおいてメッセンジャー・プラットフォームについて明らかにした。そのプラットフォームでは、Giphyのようなコンテンツを共有することを始め、最終的にUberの車を呼んだり航空会社のカスタマーサービスを受けることができるようになった。2016年内には、チャットボットのデベロッパーやニュースメディアもメッセンジャーに参加するだろう。また、Facebookはたらい回しにされ苛々させられる電話のカスタマーサービスの代わりにメッセンジャーを使うことを法人に提案している。

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メッセンジャー・プラットフォーム

 

有用であることが先、おもちゃではない

ユーザーがチャットボットに慣れ始めているところだが、世界中のユーザーがメッセンジャーを利用できるようにすることに再び焦点を当てている。「全ての人が電話を持っているように思いがちですが、世界のすべての国には当てはまらないのです」とMarcus氏は語る。

Marcus氏は、最近のメッセンジャーの成長の理由についてアカウントの切り替え機能を実装し始めたことを挙げる。一家で1台の電話を共有しているような発展途上国の家族全員が自分のアカウントでメッセンジャーを使うことができる。

メッセンジャーは電話番号の代わりとなるため、メッセージリクエストを実装した。これはユーザーが誰にでもメッセージを送ることを可能にし、知らない人からのメッセージはフィルタリングして別の受信箱へと選り分ける門番のようなものだ。新しくなったメッセンジャーではユーザ名、短縮URL、QRコードでよりシンプルにユーザー同士がお互いに見つけることができるようになった。
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メッセンジャーのこれらの特徴は、誰かと連絡するために任意の連絡先情報を必要とすることから、幅広く使われている名前だけでコミュニケーションができる世界への抜本的な転換を示す。良くも悪くも電話番号を聞くというような気まずい質問をする必要がなくなる一方、受信者は話したくない人をブロックすることも容易になる。

失速するSMSをついに葬り去ることに期待して、先日FacebookはAndroidユーザーがメッセンジャー上でSMSの送受信をできるようにした。今月7月にはFacebookはさらに高度なセキュリティが必要な送受信のためにエンドツーエンドの暗号化機能「秘密の会話」を実装した。

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メッセンジャーの未来

これらの着実な発展で、Facebookメッセンジャーは競合である他のモバイルメッセージアプリよりも一歩抜きん出ている。KakaoTalkは5000万人ユーザー、Kikは1億7500万人ユーザー、LINEは2億1800万人ユーザーだ。今のところ、メッセンジャーの最大の競合は、メッセンジャーが営業できない中国拠点の7億6000万人ユーザーを持つWeChatだ。そしてメッセージを送るためというよりは話題を共有したり、写真を送ることで人気のあるアプリ1日1億5000万人の利用ユーザーを持つSnapchatだ。

WhatsAppがいる中国を除く地域では、Facebookのメッセンジャーはチャット市場の覇権争いで優位に立つだろう(打たれ強いSMSを除く)。Marcus氏は以下の様に結論付ける。もともとのテキストメッセージのスタンダードを打ち壊すには、メッセンジャーを徹底的に普及させなければならない。ユーザーの友達が1人でもメッセンジャーを利用していないだけで、ユーザーをiMessageやAndroidのメールに引き戻してしまうからだ。

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Sheryl Sandberg氏とDavid Marcus氏

「1つのプラットフォームに話したい人がほとんどいる場合、電話番号は必要なくなります。名前で彼らを見つけることができるし、さらに多くのものを送ることができて、ビデオ電話も可能です」。Marcus氏は自信を持って、「メッセンジャーはこの世界にとって重要なコミュニケーションツールになりつつあると信じています」と言う。

 

現在、メッセンジャーが必要としていることに関して、Marcus氏は「一番必要なのは時間です。メッセンジャーに対して多くの人が持つイメージを変えなければならないのです。多くの人は、電話番号を持っていないFacebookの友達にメッセージを送る手段と考えています。10億人を超えるユーザーの考え方を変えるために多くのことをしなければならないのです。しかし徐々にですが、その方向に進みつつあります」と語った。

これまでの人類の歴史で、無料でここまで活発に多くの人がつながったことはない。10億人が名前とインターネットアクセスのほか何も必要なく、簡単にコミュニケーションを取ることができるのだ。歴史的に「恐怖」というのは分離や未知から発生する副産物であった。しかしメッセンジャーによって私たちはより簡単にお互いを知ることができるようになるのだ。

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原文

(翻訳:Shinya Morimoto)

 

Instagram、Storiesをリリース―24時間後に消えるスライド共有は「Snapchatのフォーマット」とCEO認める

LONDON, ENGLAND - MARCH 09:  Kevin Systrom arrives at a party hosted by Instagram's Kevin Systrom and Jamie Oliver. This is their second annual private party, taking place at Barbecoa on March 9, 2015 in London, England.  (Photo by David M. Benett/Getty Images for Instagram)

シリコンバレーにいないものといえば、他の人間のアイディアをコピーしたと認める起業家だ。ところがFacebookの本社―世界有数の巨大なビジネスが運営されている場所―でInstagramのファウンダー、CEOのケビン・シスストロムの発言は私を仰天させた。

シストロムはInstagramがリリースしたInstagram Storiesのデモを見せてくれた。この新しいプロダクトは24時間で消える気軽な写真共有サービスだが、あまりにもライバルのSnapchatに似ているので、シストロムの洒落れたオフィスでプレゼンのスライドを見せられながら私は笑いをこらえるのに苦労するほどだった。

シストロムはInstagramをFacebookに10億ドル近くで売却した、しかしどうやら彼自身はそこから想像されるような華々しい生活をしていないらしい。Instagramのフィードにあまり写真を投稿していない。Instagramは基本的に「生活のハイライト」の写真を投稿するサイトだ。10代のユーザーは投稿後数分で十分な数の「いいね!」が付かないと写真を削除してしまうことが多い。そのためInstagramにはSnapchatのような「なんでもない日常の情景」を写した写真が少ない。【略】

これがシストロムがInstagram Storiesを作った理由だ。

...including an interview with Instagram CEO Kevin Systrom where he says Snapchat "deserves all the credit"

記録を残すのか、体験を共有するのか?

24時間で消えるスライド共有がソーシャルメディア全般にどういう影響を与えるかはまだ不明だ。しかしInstagramという巨大なフィードに欠けていた部分を補うサービスなのは間違いない。Storiesは「大人向けSnapchat」だ。Snapchatの機能や画面への書き込みツールがInstagramにあったらいいと考えていたユーザーは多い。

Storiesのようなサービスに対する私の懸念は、日常の些細な場面を常にフィードするライフキャスティングが人々のポピュラーな行動パターンになりはしないかという点だった。美しい夕日が沈むの見ているときでも、あわててスマートフォンを引っ張りだして自分の体験を放り出し、記録を残さねばならなくなる。

しかしシストロムはそういうふうには考えていなかった。記録か体験かという問題を尋ねられるとシストロムは「なるほどネガティブな面もあるが、ポジティブなユースケースの可能性が圧倒的に上回ると考えた」と答えた。たとえばこれまで北朝鮮や難民キャンプでの日常がInstagramにアップされることはなかった。

「美しい夕日を見ているときに慌ててスマートフォンを引っ張り出すという側面と、世界の無数の人々とつながり、多様な生活を直かに見て新しい考え方、異る文化を理解するためのハードルが低くなる側面〔との比較だ〕。Instagramは世界を巨大な共時的存在と感じさせることに役立った。いつでも誰とでもつながることができ、自分自身は非常に小さいものでありながら多くの人々と共にあるという感覚だ」とシストロムは言う。【略】

テクノロジー・ビジネスで稀な正直さ

なるほどこれまでInstagramには「共有性が足りなかった」かもしれない。しかし私には Instagram Storiesは「共有が過剰」ではないかという思われた。しかしそれはともかくとしてシストロムのオフィスでデモを見た全員の頭上に”Snapchat”という口に出されない大きな疑問がずっとわだかまっていた。そこで私は率直に尋ねた。

「重要な点だと思うが、24時間で消えるライフキャストの共有というフォーマットはSnapchatがパイオニアで、実際、コンセプトから実装手法、細かい機能まで…」

「そのとおり。すべての功績はSnapchatのものだ」とシストロム

シストロムの言葉に私はのけぞった。

Facebookは以前にもPokeやSlingshotでSnapchatをまるごとコピーして失敗に終わったことがある。Facebookの「過去のこの日(On This Day)」は TimeHopというスタートアップをまるごとコピーしたものだ。ハッシュタグや話題のトピックの採用はTwitterのコピーだ。にもかかわらずこうしたプロダクトの責任者は「われわれのユーザーの行動を詳しく観察した結果だ」とか「他人の動向を気にしたことはない」とか述べるのが普通だった。

しかしシステムは大胆にも真実を口にした(強調は筆者)。

これはフォーマットの問題だ。新しいフォーマットをサービスに取り込んで、独自の性格をもたせることができるかどうかだ。【略】

誰もが周囲を見回して最良のフォーマット、最高の先進テクノロジーを採用しようとする

Snapchatで好評の顔フィルターは既存の顔認識テクノロジーを採用したものだ。スライドショーももちろん既存の技術だ。スライドショー作成はFlipagramがだいぶ前から提供している。シリコンバレーのおもしろいところはここだと思う。ゼロから新しいプロダクトを考えつくのは不可能だ。 しかし「このフォーマットはここがすごい」と見極めて、それを自分のサービスに適用することはできる。

Snapchatは非常にいい仕事をした。Facebookもいい仕事をした。Instagramもいい仕事をした。われわれはみないい仕事をしたと思う。彼らはあれを発明した。われわれはこれを発明した。そういう世界だ。

Gmailだって最初のメール・クライアントではない。Googleマップも最初のオンライン地図ではない。iPhoneが最初の携帯電話ではないのは誰もが知っている。重要なのは既存のフォーマット何を付け加えられたかだ。【略】

エンジニアリングの世界でこれは「正しいやり方(The Right Thing)」と呼ばれている。困難な問題を解決するために誰もが採用すべきベストの方法といった意味だ。テクノロジーのバックエンドに「正しいやり方」を採用したプロダクトには、「自分が発明したのではない」としても、標準に成長したものが多数ある。Amazon Web Services、Twilio SMS、各種のMySQL データベース、みなそうだ。

しかしシリコンバレーには病んだプライドが蔓延しており、本質的にはコピーであるにもかかわらず、見た目を少々変えるだけで独自性を主張する例が多い。

Instagram Stories vs Snapchat Stories

Instagram Stories(左)とSnapchat Stories(右)

しかしシストロムはプライドという病とは無縁のようだ。願わくば多くの起業家がシストロムを手本として、透明性を口に唱えるだけでなく堂々とコピーしたソースを名指せるようになってもらいたいものだ。

Instagram Storiesについてのわれわれの記事はこちら。:

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがすべてのオープンソースプロジェクトの窓口をGitHub上に一本化、それをFacebook Incubatorと呼ぶ

BERLIN, GERMANY - FEBRUARY 24:  Coffee mugs adorned with the Facebook logo stand at the Facebook Innovation Hub on February 24, 2016 in Berlin, Germany. The Facebook Innovation Hub is a temporary exhibition space where the company is showcasing some of its newest technologies and projects.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

【抄訳】
先週Facebookは、Reactによる開発を簡易化するためのプロジェクトCreate React Appを立ち上げた。しかし実はそれは、もっと大きな話の一部だった。GitHub上にFacebook Incubatorというものが作られ、そしてCreate React Appはそこに入る最初のプロジェクトなのだ。

Facebook Incubatorは、Facebookがオープンソースのプロジェクトをリリースするときの総合窓口になる。しかも今後長期的に。それは、Facebookが提供するオープンソースプロジェクトのベータのためのステージ、実験場、のようなものだ。

Facebookのオープンソース部門の長、James Pearceによると、主なねらいは、すべてのプロジェクトの良質なライフサイクル管理を維持すること。Facebookがオープンソースにしたプロジェクトはこれまでにおよそ400あり、GitHub上には数十万のフォロワーがいる。“どんなに数が多くなっても、良質な管理をキープしたい”、と彼は語る。そのために、すべての新しいプロジェクトが最初にこのFacebook Incubatorに入り、コミュニティの反応や採用の過程を一望できるようにする。

Pearceが強調するのは、このIncubatorはFacebookのそのほかのルートリポジトリの場合と同じく、同社自身が社内的に使うプロジェクトであり、活発に開発とメンテナンスを続けるチームが必ず存在する。休眠プロジェクトのための物置ではない。

このIncubatorを卒業するためには、ユーザーや愛好家が多くなることはもちろんだが、そのほかに、Facebook内部やその関連以外でも使われるようになっているか?、良質なドキュメンテーションが完備しているか?、ほかのツールと容易に統合できるか?、などが、重要な要件となる。Facebookがそのユーザーコミュニティにエンゲージできることも、要件の一つだ。

“業界全体からの反応があれば、それは、卒業してもよい兆候だ”、と彼は述べる。〔卒業、よりも、独立、と言うべきか?〕

Pearceは、ドキュメンテーションの重要性を何度も強調した。オープンソースでは、ドキュメンテーションが粗略になることが、少なくないからだ。Facebookは、このFacebook Incubatorリポジトリ専任の、テクニカルライターのチームを確保し、また技術者たちもドキュメンテーションの良質化に積極的に協力すべし、としている。また一部のドキュメンテーションに関しては、StackOverflowがこのたび新設したドキュメンテーションサービスも利用する予定だ。

なお、Open Compute Projectなどの、大きな組織や企画に属するオープンソースプロジェクトは、このIncubatorリポジトリには最初から入らない。デベロッパーは、最初からそっちの方へアクセスするだろう。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookが誕生日お祝いメッセージのまとめビデオを作ってくれる

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Twitterもプロフィールに誕生日の入力を求めるようになった。Snapchatはメッセージをギフトラッピングする機能を追加した。しかし多くの人々にとって誕生日のお祝いとなればFacebookがメインのサイトだろう。個人のプロフィール情報に基づいた友達との交流をさらに強化すべく、Facebookは「誕生日のお祝いのまとめビデオ」機能をリリースした。Facebookはユーザーのウォールへのハッピー・バースデイ投稿を編集した短いまとめたビデオを作成する。

こちらがサンプルだ。

ユーザーがプロフィールに誕生日を記入しており、すくなくとも3通のお祝いメッセージを受け取り、あるいはタグ付けされた場合、Facebookは翌日まとめビデオを作ってくれる。はっとするほどよく出来ているとはいえないが、いちおうキュートだ。背景には派手に七色のスモークを吐くバースデーケーキもフィーチャーされる。

多少懸念があるとすれば「最低3通」というしきい値が低すぎないかとう点だ。一部のユーザーは何百通ものお祝いメッセージを受け取る。そういう場合にはまとめビデオも面白いものになるかもしれない。しかし会ったこともない相手から“HBD!”〔Happy BirthDayの略〕という決まり文句のメッセージを3通もらっただけのユーザーの場合、 なにやらアンチ・ユートピア風のビデオが出来上がりそうだ。

Facebook birthday video editor

ともあれ、まとめビデオを受け取ったユーザーはビデオ・エディターを使って写真やビデオを追加、編集したうえで友達と共有するために公開できる。今年に入って、FacebookはBirthday Camという誕生日のお祝いビデオを簡単に送れる機能を追加している。

こういうプロダクトをわざわざリリースしたところをみると、Facebookは誕生日を重視する社風のようだ。いずれにせよこの機能は17億1000万人のユーザーにFacebookをよりいっそう使わせるのに役立つのだろう。

〔日本版〕日本のFacebookでこの機能が公開されているかはまだ確認できていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがIKEAスタイルの説明書と共にSurround 360をオープンソース化

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Facebookは、自社のNews FeedやOculus Rift、そしてGear VR向けに360度コンテンツを充実させたいと考えている。そして本日(米国時間7月26日)、4月に発表が行われた通り、Surround 360カメラシステムのハードウェアとソフトウェアの情報全てをGithub上で公開した。IKEAにインスパイアされた気の利いた説明書のおかげで、誰でもパーツの購入やカメラの組み立て、画像をつなぎ合わせるソフトの実装の仕方が分かり、360度コンテンツを撮影することができる。

基本的に、17台のカメラが搭載されたUFOのようなものとポールで構成されているSurround 360は、約3万ドル(パーツ代)で作ることができる。4メガピクセルのレンズで、4K、6K、8Kの360度動画を撮影することができ、さらには上下についた魚眼レンズで死角がない。Facebookはランダムに選ばれたエンジニアに、公開した説明書をもとにSurround 360を組み立てさせたところ、約4時間で完成させることができた。

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「私たちは、Surround 360をオープンソース化することで、エコシステムや360度動画撮影の発展を加速させようとしています。Surround 360が、恐らく初めて完全にオープンソース化されたカメラだと思います」とFacebookのエンジニアリングディレクターで本プロジェクトに関わっているBrian Cabralは語った。「ユーザーが自分で組み立て、改造し、違うバージョンを作るというのが私たちの目指すゴールです。私たちは、世界の人々と新しくて豊かなメディアを結びつけたいと考えており、今回のプロジェクトがそこに早くたどり着くための方法です」

こちらのビデオでSurround 360の組み立ての様子を見ることができる。

360FlyRicoh Thetaといった400ドル以下の市販のものに比べると、Surround 360は、値段や組み立てにかかる労力から、一般的な消費者には間違いなく手がとどかない存在だ。

しかし、柔軟で持ち運びができ、耐久性もあり、商業用にも使える360度カメラを必要とするプロは、Surround 360の他には、NokiaのOzo(6万ドル)や、Googleの支援を受けて誕生した数量限定のGopro Odyssey(1万5000ドル)を選ぶか、Lytro Immergeの発売を待つしかない。Surround 360は、一般的に販売されているパーツですぐに組み立てることができ、作る人の好みに合わせて微調整することもできる。

Open Computeサーバーや、インターフェースデザイン用のReact JavaScriptライブラリーといった、Facebookのその他の主要なオープンソースイニシアティブと同様、Facebookは、Surround 360でも開発者や製作者が自分たちの好みに合わせたカスタマイズを行うだけでなく、彼らが改善点や機能向上の提案を行い、コミュニティ内で共有することを期待している。「彼らに私たちが作った青写真をより良いものにしてもらいたい」とCabralは言う。

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Surround 360で撮影された360度映像は、Facebookが開発した画像をつなぎ合わせるソフトのおかげでほとんど後処理が要らず、さらに撮影者は低画質のライブプレビューでカメラがどんな映像を撮っているのか確認することができる。そのため、処理済みの映像をチェックするために1日以上待つことなく、完璧な映像をとても素早く撮影することができるのだ。また、特別な長いケーブルを使うことで、ユーザーは自分が映像に映り込むことなくカメラの操作を行うことができる。

Surround 360で撮影されたコンテンツを見ると感動する。特に8Kで撮影されたコンテンツは驚くほどシャープだ。しかし、Gear VRのようなヘッドセットでは、そこまで高い画質のビデオを十分なスピードでストリーミング再生したり処理したりすることが出来ないため、Surround 360はダイナミックストリーミングにも対応している。

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Surround 360の底に付いた2つの魚眼レンズで撮影された画像を組み合わせることで、カメラが取り付けられているポールを画像から取り除くことができる。

これにより、ユーザーがヘッドセットで見ている映像は8Kの高画質になるが、頭を動かすと、そのアングルの映像が読み込まれるまでの少しの間、低画質の映像が表示される。ラグは気にはなるが、視野を狭めつつも極めて高画質な映像の再生を可能にするという賢いトレードオフだといえる。

VRや360度コンテンツの大きな問題は制作の難しさにある。このボトルネックのせいで、VRヘッドセットの熱心なユーザーは、一級品のコンテンツを視聴しきってしまい、ヘッドセットを使わなくなってしまう可能性がある。そこでFacebookは、コンテンツ制作を促進することで、VRコンテンツの流通網を広げようとしているのだ。Surround 360は、特にNews Feed向けの素晴らしい映像や写真の撮影を行うのに優れている。SnapchatやTwitterなどの他のソーシャルメディアが360度コンテンツに対応していないことから、これによってFacebookはユーザーをひきつけることができるだろう。

しかしそれ以前に、Surround 360はDIYプロジェクトとしてはこれ以上ないくらいとっつきにくい。そこで、組立説明書はIKEAの白黒印刷の説明書から直接影響をうけているのかと尋ねられたCabralは、「説明書をとっつきやすくするため、私たちは馴染みがあって分かりやすいものを作ろうとしていました。IKEAの真似をするつもりはありませんでしたが、結果的にその方向に進んでいきました」と言いながら声を立てて笑っていた。

360 Surround parts

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebookのユーザー17.1億人―好調Q2の売上は64.4億ドル、株価は7.5%アップ

2016-07-28-facebook-users-q2-2016

123.34ドルという過去最高の株価を記録して好調を続けるFacebookが2016年第2四半期の決算を発表した。Facebookは3.63%と昨年同期 3.77%よりやや低めだが、依然として着実な成長を続けている。ユーザーを今期さらに6000万人増やして17億1000万人とした。売上は64.4億ドル、1株あたり利益は0.97ドルと60.2億ドル、0.82ドルというアナリスト予想をはるかに上まわった。

Facebookが38ドルで初上場して以來17四半期が過ぎ、今回は16回目の決算発表だった。市場は決算内容に好感し、株価は時間外取引で7.5%アップして132.60ドルを付けた。

対前年比の売上伸び率は59%で、昨日Twitterが成長率が昨年の60%から今年は20%に転落したことを発表したのと強い対照をなした。広告売上の総額は62.4億ドル、うち84%はモバイル広告だった。

Facebook DAU Q2 2016

ソーシャルメディアでは月間アクティブ・ユーザーが数が大きいため話題になりやすいが、ビジネスの健康状態を表すのは1日あたりアクティブ・ユーザーだ。Facebookの1日あたりアクティブ・ユーザーは(MAU)11.3億人、モバイルの月間アクティブ・ユーザー(DAU)は15.7億人だった。Facebookで驚くべきなのはステキッキネスと呼ばれる値(DAUをMAUで割った数字)が66%と高止まりしている点だ。つまりFacebookは誕生以來かなりの時間がたち、さらに規模の拡大を続けているにも関わらず、ユーザーの利用頻度は減少していないということだ。

Facebookは昨年の7.19億ドルからアップして20.5億ドルの利益を計上した。1ユーザー当たりの利益は3.82ドルで、対前年比15%の大幅アップとなった。手持ちキャッシュは230億ドルに上る。大型買収を繰り返すのに十分な資金だろう。

Facebookはメディアの評判が悪いが中身では勝ち続けている

Facebook Q2決算の好成績に影を落としたのはメディアのネガティブな記事だ。匿名の情報源が右サイドバーに表示される「トレンド〔現在英語版のみ〕で意図的に保守的言論を抑圧している」と非難した。Facebookでは部内調査を行ったが意図的な操作が行われたことはないと判明した。ただしFacebookでは偏向の疑いを避けるためにキュレーションを改善すると発表した。

その後Facebookはニュースフィードの表示アルゴリズムを変更し、ユーザーの家族や友達からの投稿がブランドやパブリッシャーのページより重視されるようにした。このアップデートのパブリッシャーの投稿の表示回数に与える変化を判断するには時期尚早だが、Facebookでは大きな影響が及ぶだろうとしている。

Facebook Messenger Growth Graph

Facebookのライブ動画機能も成長を続けている。 Twitterがライブ動画でブームになったPeriscopeを買収したことと関連し注目されている。ライブ動画にはクリエーティブ機能が拡張された。また同時にに追加されたAPIがプロ用機器を利用して動画を配信するメディアに役立っている。

Facebookのもうひとつのプロダクトにも重要な達成があった。Facebook Messengerのアクティブ・ユーザーが10人に到達した。これはFacebookが端末間通信の暗号化のように有益な新しい機能を追加する努力を怠らなかったことも一因だろう。ともかくFacebookはメインのアプリからチャット機能を削除し、ユーザーはMessengerをインストールすることを強制される形となった。

一方、Instagramも5億ユーザーを得た。Facebookが表示の順序を単純な時間の逆順(最新投稿が先頭)からアルゴリズムによって判定された人気の順に表示するという変更を行ったことはユーザー・コミュニティーの一部の反発を買った。しかしこの反発はInstagaramにとってはそれほど深刻なものとはならなかったようだ。

Facebook ARPU Q2 2016

全体としてみれば、Facebookはスタート以來相当の時間が経過した巨大なサービスであるにも関わらず、順調に成長を続けている。買収によりサービス内容も多様化されたが、さらに買収を進める資金にもこと欠かない。途上国市場を開拓中であること、またそうした地域に低料金のインターネット接続を提供する努力のおかげでFacebookには四半期ごとに多数の新規ユーザーが追加されている。個々のユーザーからさらに多くの売上を得ることにも成功している。

Snapchatが日々の「ライフ・キャスティング」の主流になり、Twitterがメディアと提携してライブ・ストリーミングのプラットフォームとなることを目指しているものの、ソーシャル・ネットワークとチャットの核心となるのは依然としてFacebookだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

芸術写真フィルタアプリPrismaがAndoroid版をリリース

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Prismaの人気が続いている。iOSでの公開からほんの1か月余りでInstagramの多数の利用者の想像力をほとんど根こそぎにさらったAIベースの写真加工アプリケーションのPrismaが、ついにすべてのAndroidユーザーのために開放された 。これはGoogleのモバイルOS上でベータ公開されたわずか5日後のことだ。

このアプリはもちろんスマートフォーンのスナップ写真を「芸術作品」に変貌させる初めての製品ではないが、数多い「アートフィルター」を使って、印象的な速度と複雑な結果と共に、写真を異なるスケッチや描画スタイルへと変換する。アプリはすぐにApp Storeのチャートの上位へと浮上し、私たちが共同創設者兼CEOのAlexey Moiseenkovを取材した数日前には米国では10位となっていた。その勢いはその後少し落ち着いているものの、アプリはまだ17位の位置を保持している。

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これは間違いなく、App Storeにおける最新人気アプリにとっての分水嶺である。InstagramがAndroidバージョンをリリースしたわずか1週間後にFacebookに10億ドルで素早く買収されたことを業界人たちは忘れてはいない。買収の噂はすでにこのロシアの会社の周りに流れている − そして、なんと、同社の代表は図らずも私たちの取材前後でソーシャルメディアの巨人を訪れていたのである。

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Facebookはこの憶測に対しては言葉を濁しているが、Moiseenkovは謎めかして「現段階ではこの情報は何も明かせないのです。週の終わりまでに、私たちはより多くを議論することができると思います」と付け加えた。それが買収、資金調達または何か他のものを意味しているのかは、見守らなければならない。

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とりあえず今は、Google Playストアで何がそんなに騒がれているかを知ることができる。 アプリのAndroidバージョンには、3ダースほどの異なるフィルタが含まれていて、そのスタイルは現代風から古典そしてアニメにまで及んでいる。その中にはブレイキング・バッドスタイルさえ含まれているのだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ソーシャルメディア上のビジネスコミュニケーションはチャットボットが担うこととなる

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編集部注:本校執筆はCory Edwards@coryedwards

2000年代となって、さまざまなブランドがインターネットを使った顧客および未来の顧客との対話に乗り出した。多く活用された最初のプラットフォームは「ブログ」だった。そしてFacebookやTwitterなどといった、ソーシャル・ネットワークの時代に移った。それから利用法などについては洗練された面があるにせよ、ソーシャルメディアは「人対人」のコミュニケーションツールとして発展を続けてきた。

そこに介入してきたのがロボットだ。

入り込んできたのはロボットの中でも「仮想ロボット」のことで、すなわち「チャットボット」のことだ。人工知能(AI)のパワーを身にまとい、ブランドと顧客のつながりを進化させようとしているのだ。たとえばこの方向に初期段階から踏み出した企業のひとつとしてDominoがある。Dominoは@Dominos宛にピザの絵文字をツイートすることで、ピザのオーダーができるようにした。絵文字オーダーはボットが確認して、正式なオーダーであれば注文を処理するという流れになっていた。

もう少し新しい話をすれば、Taco Bellだ。Slack上でTacoBotの運用を開始したのだった。Slack上でのチャットしたり、もちろんタコスをオーダーしたりすることができたのだ。またFacebookのF8では1-800-Flowers、CNN、あるいは小売系スタートアップのSpringなどがFacebook Messenger向けのチャットボットをリリースした。チャットボットを通じた、Facebookプラットフォーム上での新しい買い物体験やニュース体験を実現しようとする動きだ。

それぞれに面白い試みだ。こうした試みの結果、消費者にとってどのようなメリットがあるのだろうか。また、ソーシャルメディアに参加する人々の行動に何か新しい影響を与えたりするのだろうか。

ビジネスツールとしてのチャットボット

企業が利用しようとするチャットボットは、SNSを最大限に活用して、企業自身と商品ないしサービスの利用者のエンゲージメントを強めるために利用される。

消費者はチャットボットを3つの方法で利用するようになる。すなわちコンテンツ消費、カスタマーサービス、そして販売状況や取引履歴確認などだ。これまでも、ソーシャルメディアを使った顧客との対話はなされてきてはいた。しかしたいていの場合、ソーシャルメディアはあくまでも企業側のサイトやブログ、ないし特別のチャネルに誘導することが多かった。いわばソーシャルメディアを「ポータル」として使っていたわけだが、それがチャットボットを介して直接に、欲しかった情報を受け取ったり、テクニカルサポートを受けたり、あるいは何か必要なパーツを購入したりすることができるようになるのだ。

カスタマーサポートはどのように変わるのか。サポートを求めるユーザーのうち3分の1以上の人が、電話でなくソーシャル・メディアを利用しているという現状がある。また、こうした利用者は1時間以内の返答を望んでいる(逆にいえば1時間は猶予を認めるということではある)とのこと。これは企業側にとって、かなり厳しい要求だといえよう。しかしチャットボットの導入で、そうした要求にも応じられるようになる。

ソーシャルメディアでのチャットボットの活用は広がっていく

従来の自動音声応答システムなどとはまったく異なったものだ。カスタマーサービスへの要求が高まる中、必然の流れということもできるかもしれない。また、利用者自身に問題を特定して用意したメニューに従ったプッシュボタン操作を強いるのでなく、ボット側で利用者の要求や問題を把握することになる。

個々の利用者に応じた的確なサポート

パーソナライズの面にも注目しておきたい。ここに、チャットボットがSNS上で発達していくと思われる理由がある。AOLのInstant Messengerでかつて導入されたSmarterChildの時代とは異なり、ボットにできることは利用者が支持したタスクのみでなく、個々の利用者の背景をも理解した内容に広がりつつあるのだ。たとえばFacebookとチャットボットが連動することにより、ボット側で利用者がデバイスを操作する間隔や興味の対象、あるいは大切な人間関係や今後の予定なども把握できるようになる。チャットボットは位置情報やその他のコンテクストに応じた情報やレコメンデーションを行えるようになってきているのだ。

これまでも特定の層で特定の地域に住む人などに限定したコンテンツ配信などは行われてきた。しかし配信内容やタイミングを完全にパーソナライズするような方法は開発されていないのだ。それがチャットボットの導入により変化することになる。もちろん、現状のチャットボットではまだまだ実力不足ではある。使ったことのない人にはぜひ試してもらいたいと思うが、現状は更新情報をプッシュ通知してくるだけの仕組みにしか見えないという人もいるはずだ。しかしチャットボットは人間と関わることで一層進化することとなり、利用者がどのような情報を、どのようなタイミングで欲しがっているのかを理解できるようになると考えられているのだ。

「未来」への流れは止められない

ボットがチャットの世界で大活躍するようになるのは間違いのないことだと思う。ただし、さまざまな企業の公式ツールとして活躍するには、さらなる進化を必要とするのも事実だ。「コンテクスト」を理解する能力を高める必要があるだろうし、情報発信のタイミングについても改善の余地は大きい。またチャットボットとの会話方式もわかりやすくする必要がある。

現状は欠陥だらけであるとは言えるのかもしれない。しかしAI(人工知能)は経験に基づいて賢くなるものだ。ブランド側および消費者側の双方が経験を重ねることで、ツールとしてのチャットボットは発展していくことになる。方向を間違えることにはなったが、Microsoft Tayも、AIの学習能力を示すことにはなった(おかげでチャットボット導入側は、不穏当で攻撃的な言葉を身につけたりしないような仕組みを考える必要も生まれた)。

ボットの進化がはじまり、主要な役割を占めるようになるのは間違いない。ただしそれまでには3年ないし5年の時間も必要となるだろう。言い方を変えれば、まだまだ人間が活躍する場が残っているということだ。しかしボットがテキスト化された情報をより深く理解できるようになるに従い、企業側も利用者側もボットの活躍を願うようになるはずだ。ボットは仮想現実や拡張現実をも利用しながら、利用者との結びつきを深めていく方向で進化する。「人間対ロボット」の話が改めて注目されている昨今ではある。現在のところは双方が共存するのがソーシャルメディアの世界ではあるものの、この状況も変わりつつあるところだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Facebookが新しいオープンソースプロジェクトでReactの敷居を低くする

BERLIN, GERMANY - FEBRUARY 24:  The Facebook logo is displayed at the Facebook Innovation Hub on February 24, 2016 in Berlin, Germany. The Facebook Innovation Hub is a temporary exhibition space where the company is showcasing some of its newest technologies and projects.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

FacebookのReactは、JavaScriptで手早くアプリケーションとそのユーザーインタフェイスを作りたいときのための、オープンソースのライブラリだ。ただし、実際の話はこれほど単純ではない。Reactでアプリケーションを作るためには、JavaScriptのほかにも、いろんなツールを勉強しなければならないのだ。

FacebookはReact用の自社のツールについて語っているが、でも個人のデベロッパーやスタートアップの多くは、Facebookのような企業が持ってるリソースがない。

そこで、もっと多くの人がReactで仕事ができるために、同社は今日(米国時間7/22)、新しいオープンソースプロジェクト”Create React App”(Reactアプリケーションを作ろう)を立ちあげた。それは、あるハッカソンから生まれたプロジェクトで、Reactでアプリケーション開発を始めるために必要なツール集合を、たった一つのコマンドラインツールにまとめたものだ。

[Marcはあとちょっとで彼のReactの”hello world”アプリケーションを実装できるところだった]〔実際には複雑すぎてできなかった〕

FacebookのDan Abramovが今日の発表声明で次のように述べている: “従来、このようなプロジェクトはうまく行かないことが多かった。しかし先日、Christopher [Chedeau]がぼくに、複数の’React CLI’(Reactコマンドラインインタフェイス)を作り始めたけど、Facebookには無視された、と言った。コミュニティにも、同じような目標のツールが存在している。でも今のところは、それほど人気がない”。

Create React App(すごい分かりやすい名前だ!)の場合は、構成ファイルというものがない。環境のセットアップは、自動的に行われる。しかも、デベロッパーが手にするのは単一のツールだ。だから依存性も単一だ。しかし内部的には、JavaScriptやReactのエコシステムの既存のツールをたくさん利用している(Webpack, Babel, ESLint, などなど)。

このツールがユーザーをロックインしないことも、強調されている。この種のサービスでは、よくあることだが。ユーザーはつねに単一のコマンドを発行し、それが基本的にやるのは、ユーザーの構成を‘イジェクト’して、依存性を新しいプロジェクトへ構築することだが、プロジェクトはCreate React Appには依存しない。

Abramovはこう書いている: “‘イジェクト’によっていつでもCreate React Appの居心地の良いセットアップを去ることができる。コマンドを一つ発行するだけで、ビルドのすべての依存性、構成、そしてスクリプトがユーザーのプロジェクトへ移動する。その時点でユーザーは必要なものを何でもカスタマイズできるが、しかしそれはわれわれの構成をフォークして自分の道を進むことだ”。

これによって初心者がReactを使い始めるのが容易になるが、しかし経験豊富なデベロッパーでも、この新しいツールをは試してみたくなるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookの「空からインターネット中継」プロジェクトが前進―ソーラー発電ドローンAquilaが飛行に成功

2016-07-22-aquila-drone

Facebookが2年がかりで開発してきたソーラー・パワー・ドローンのAquilaは滞空時間90日、幅が60マイル〔約100km〕の地域にインターネット接続を提供できるようにするのが目標だ。FacebookはAquillaの最初の公式テスト飛行を実施し、無事に成功させた。

Aquilaはインターネットが使えないでいる16億人もの人々にインターネット接続を提供することになるはずだ。無人飛行機の主翼幅は113フィート〔34m〕あり、ボーイング737より広い。しかし消費電力はヘアドライヤー3個以下だという。この効率の高さが途上国の辺鄙な地域での長時間の滞空を可能にする秘密だ。Aquillは地上との間でインターネット接続を確立し、地元の人々がインターネットに参加できるようにする。

以下のビデオでAquilaの離陸と飛行のようすを見ることができる。

〔日本版〕Googleも遠隔地にインターネット接続を拡大することを目標にProject Loonを推進している。気球利用の他にAquilaタイプのドローンを開発するTitan Aerospaceを買収している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AI利用の写真アート化アプリ、Prismaが大ブーム―大手ソーシャルメディアが買収?

2016-07-20-prisma

Prismaはユーザーが撮った写真を簡単にピカソやモンドリアンの描いた絵のように変えてくれるアプリで、 AppleのApp Storeのアプリのチャートのトップにいきなり躍り出た。今日(米国時間7/19)、Prismaは非公式にAndroid向けベータ版のアプリケーション・パッケージ(APK)を公開した。さて、この超ホットなアプリを作ったスタートアップの今後はどうなるのだろう?

われわれはPrismaが投資家と資金調達に関して話し合っているとう情報をつかんでいる。しかしPrismaにとってはFacebook/InstagramあるいはTwitter、Snapchatといった有力なソーシャルメディアに買収されるほうがメリットが大きいかもしれない。

私はPrismaの共同ファウンダー、CEOのAlexey Moiseenkovに今後の動きを尋ねてみた。Moiseenkovは「今のところその点については話せるような情報がない。今週末までにはもう少し話せるだろう」と答えた。つまり現在何らかの重要な交渉が進行しているらしい。

実は今週、MoiseenkovはFacebook本社を訪問し、Facebook LiveのビデオにPrismaフィルターを適用したらどんな効果が得られるかをデモしていた。Prismaはまだビデオ・フィルターを発表していないが、開発は進んでいるのだという。つまりFacebookがPrismaを買収しようと考えている可能性はある。FacebookがMSQRDを買収する数日前、Facebookのトップは本社でそのアプリを試しているのが目撃されている。私がFacebookにPrismaを買うつもりなのか尋ねると、「われわれは噂や推測にはコメントしない」というお決まりの答えが返ってきた。

次世代のクリエーション・ツール

ともあれPrismaはすごいアプリだ。私は数多くの古い写真にPrismaのフィルターを適用してみた。すると何気ない自撮り写真や風景写真が特別に意味あるもののように見えてくるのだった。

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Prismaがスタートしたのはわずか1ヶ月前で、TechCrunchのNatasha Lomasが即座に注目し、紹介した。Moiseenkovは写真を古典絵画風に変貌させるオープンソースの人工知能アルゴリズムを発見したが、このアルゴリズムの欠点は非常に遅いことだった。1枚を処理するのに数時間もかかることがあった。Prismaのチームは独自に数秒で処理できるAIアルゴリズムを開発した。そこでモバイルでアプリ化することが可能になった。

App Annieによれば、PrismaはすでにアメリカのApp Storeの全ジャンルで10位、写真・ビデオアプリの部で3位となっている。この躍進にはフィルターを適用された作品に表示されるPrismaという透かしも貢献している(多くのユーザーはなぜか気づいていないが、実はアプリの設定メニューから透かしの表示をオフにできる)。作品をFacebookないしInstagramで共有するのも非常に簡単だ。

Prisma Charts

ただしPrismaには独自の共有フィードがない。つまりフィードを有料化することはできない。現実的な収入の道は追加のフィルターに課金するしかない。しかしPrismaは画像のAI処理では先頭を走っている。現在Prismaは「写真を絵画に変容させる」処理の代名詞だ。しかし収益化を急ぎ過ればクローンやライバルの登場といった副作用が出るかもしれない。

買収?

となれば最近優秀なツールを開発した他のスタートアップの辿った道、つまり大手ソーシャルメディアによる買収が適切かもしれない。SnapchatはLookseryを1億5000万ドルともいわれる金額で買収し、 自画撮り共有アプリのLensesに統合した。Snapchatはユーザーが簡単にアバター絵文字を作れるBitmojiを買収した。金額は1億ドルといわれている。今日Snapchatは Bitmojiの機能をメインのアプリに追加した。FacebookもMSQRD〔マスカレード〕を買収した。このアプリはLooksery同様、顔認識機能をベースにユーザーの顔を思い切って奇妙な顔マスクと入れ替えるものだ。

Prisma App

Prismaはおそらく大規模なソーシャルメディアのアプリに組み込まれることで大量のユーザーを獲得することを考えているはずだ。Prismaを獲得したソーシャルメディアは共有されるオリジナル写真を大きく増やすことができる。

Facebook自身のオリジナル・コンテンツの共有が頭打ちと伝えられる中、ライバルのオリジナル・コンテンツが増えることは是が非でも避けたいはずだ。ユーザーはニュースフィードよりも手軽なSnapchatでの「ライフキャスト」にシフトする傾向を見せているため、Facebookは最近ニュースフィードの表示アルゴリズムを変更し、ユーザーの友達の投稿に高い優先順位を与えている。

Facebook LiveとPrismaは適合性が高いだろう。Prismaのフィルターを通せば、自撮りビデオに付随する気恥ずかしさや貧弱な照明といったハードルを下げ、Facebook Liveの利用を大きく拡大できる可能性がある。FacebookがPrismaを買収すれば、他のソーシャルメディアによる買収を妨げるというメリットもある。

4年前、InstagramはAndroid版を公開した直後にFacebookに買収された。その後Instagramは5億人のユーザーを有するまでに急成長した。今となれば10億ドルの買収価格はポケットの小銭同様に思える。 l

Prismaはこのまま独自の道を歩むのだろうか? それともすぐにPrismagram(あるいはSnaprism)へと変貌するのだろうか?

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LinkedIn買収に名乗りを上げていた企業5社

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米国証券取引委員会(SCE)が先週金曜日に公開した文書を見ると、Microsoftが260億ドル以上でLinkedInを買収した背景について、もう少しわかってくる。さらに、Microsoft以外にも有望な買い手がいたことがこの度判明した。

この文書によると、LinkedIn CEOのJeff Weiner氏と、Microsoft CEOのSatya Nadella氏は、今年の2月16日に買収に関する話し合いを開始していた。これは、LinkedInの利益が大幅に減少し、株価が暴落したほんの12日後であった。

さらに同文書には、Microsoft以外に、名前が伏せられた企業4社や、各社とLinkedInの話し合いの詳細について書かれている。

既に、SalesforceがLinkedIn買収の入札に参加していたことは報じられており、文書内ではParty A(恐らくSalesforce)が、最終的に1株あたり200ドルで入札したと書いてある。これは、Microsoftの入札額である1株あたり現金196ドルよりも高い。しかし、Party Aの200ドルは現金と株式の組合せであった一方、Microsoftの196ドルは全額現金であった。(これによってMicrosoftは買収額を何億ドルも抑えることができた)

さらに、最終的には入札から退いた、少なくとも他3社との話し合いの詳細についても記載されていた。これらの企業が、どの程度LinkedInの買収に本腰を入れていたのか、はたまた単にLinkedInの財務状況や競合戦略の詳細について知りたかっただけなのかというのはわかっていない。

その他にも同文書には、買収手続きが頓挫してしまった場合、LinkedInがMicrosoftに対して7億2500万ドルに及ぶ違約金を支払わなければならないとも記載されている。

他の買い手候補がどの企業であったかハッキリとは分からないものの、私たちは、Alphabet、IBM、OracleそしてFacebookの4社全てがLinkedInとの話し合いの場を設けた可能性があると考えている。(Recodeは、AlphabetとFacebookが買い手候補だったと報じている)

以下がそう考える根拠だ:

Alphabet:Googleはメールからカレンダーまで私たちの生活全てを管理したがっており、さらにはクラウドサービスを有効な企業向け製品として売りだすことで、法人向けサービスの拡大にも精力的に取り組んでいる。そこにLinkedInが加わることで、フルスタックの営業活動ができるようになる。根底にあるインフラから、接続サービスや営業ツール、さらには実際の法人との結びつきまでと言った具合に。ここでの大きな疑問は、もしもGoogleがフルスタックの顧客獲得・営業ツールを構築したがっているとすると、Salesforceがその画のどこにおさまるかという点だ。LinkedInは、未だに拡大するユーザーベースを持つプロフェッショナルネットワークである一方、取引のきっかけづくりの極めて有効な手段のひとつとしても利用されている。(それが偶然、リクルート活動に対してもプラスに作用している)

Facebook:Facebookが、少なくとも話し合いの機会を設けてLinkedInのビジネスについてよく調べてみようと考えたとしても不思議ではない。Facebookのソーシャルネットワークは仕事よりもプライベート寄りではあるものの、Facebook at Workの開発など、ビジネス領域への進出にも同社は取り組んでいる。

Oracle:LinkedInを買収していれば、営業・顧客獲得・人材管理全てについてのソリューションを提供できただろう。さらにOracleにとっては、人々が仕事上どのようにお互いと繋がり合っているかという、LinkedInが保有する膨大なデータの山からも得られるものがあっただろう。

IBM:IBMは、LinkedInを買収するだけの資金力を持った業界内でも数少ない企業のひとつであり、法人向けテクノロジービジネスとのシナジーも期待出来ただろう。また、IBMの比較的旺盛な買収欲も買い手候補となり得る理由だ。

私たちは、その他の情報の発掘に向けて、このとても長いリストに含まれる文書の内容を引き続き調査していく予定だ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

¡Finalmente! Facebookの近況アップデートが複数言語で書けるようになる

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本日(米国時間7/1)Facebookは、近況アップデートを複数の言語で簡単に投稿できる新機能を発表した。これまでは、各言語の翻訳テキストを含めた長い記事を投稿するか、言語毎に別々の記事を投稿する必要があった。

去る2月にFacebookは、Facebookページのオーナーが複数言語で近況アップデートを書ける機能のテストを開始したことを発表したが、このたびそれが一般ユーザーにも拡大されることになった。

使い方はこうだ。まず、ある言語で記事を書き、”Write post in another language”[他の言語で投稿する]のリンクを押す。どの言語を使うかを選び、翻訳記事を書いたら、それで終るかさらに別の言語を追加することもできる。読者は好きな言語のテキストを読むことができる。

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簡単そうに聞こえるが、Facebookによると、これを実現するにはかなりの開発が必要だったという。例えば、翻訳テキストを全部保存する方法が必要になるが、元々システムは一メッセージに一言語という前提で作られていた。

もう一つの課題は、どのユーザーにどの言語を見せるかの決め方だ。Facebookは「いくつかの情報を元に、どの言語を読者が求めているかを決める。アカウント設定の言語や地域、そのユーザーが通常投稿しているテキストの言語等だ(単純ベイズ分類器を使って、システムが識別できる全言語のテキストについて確率分布を求める)」と言っている。

Facebook広報はわれわれにこのシステムを「AI」として売り込もうとしたが、単純ベイズ分類器はかなり古くから出回っている(トーマス・ベイズがこの理論を示したのは18世紀のこと)。しかしFacebookは、この複数言語の翻訳テキストを、同社の機械翻訳システムの改善に役立てる計画であるとも言った。「これは、Facebookに分断する言語の壁をなくすという当社のビジョンに、われわれを一歩近づけるものだ」と同社は言った。

テストグループに入っている人は、アカウントの「言語」セクションで複数言語による投稿を有効にすることができる(Facebookページのオーナーでまだ機能を有効にしていない人は、ここに説明がある)。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、非営利団体に代ってユーザーが寄付を募るしくみを提供

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AIDSの蔓延と戦うAIDS Walk San Franciscoのような募金イベントに参加しようとする人たちが、Facebook上で寄付する方法を探しているのをよく見かける。今日(米国時間6/30)Facebookは、誰もが非営利組織に代って募金活動できるしくみの提供を開始する。

このユーザー向けツールは、昨年Facebookが非営利団体を支援するためにスタートした機能を拡張したもので、組織が自分たちの目的を伝え、寄付を集めるのを助ける。この新しいツールを使って、Facebookユーザーなら誰でも米国の501(c)(3)非営利団体のために寄付を募ることができる。自分たちのために人々が寄付を集められるようにしたい団体は、ここで登録できる。

当初は、募金機能を利用できるのは米国ユーザーの1%だけだが、数週間のうちに米国の全ユーザーに行き渡る予定だ。募金ページを作れるのは米国ユーザーだけだが、イタリア、オーストラリア、カナダ、フランス、南アフリカ等20ヵ国以上のユーザーはそうしたキャンペーンに寄付することができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、「知り合いかも?」の判定に位置情報は使っていないと主張

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Facebookは、あなたの位置情報に基づいて友達を薦めているのか? その答は日々変わっているように思える。

昨日(米国時間6/29)Fusionは、Facebookが位置データを使って友達を薦めていると報じ、それが不幸なプライバシー事故につながりかねないことを指摘した。ユーザーは、匿名であるべき状況を暴露される可能性がある(例えば、アルコール依存者更生会で知り合った人を薦めたり、公共交通機関でいやらしい目を向ける観察者に、あなたを紹介するかもしれない)。記事は単なる憶測ではなかった ― Facebook広報はFusionに対し、位置データが友達の推薦に寄与していることを認めた。

しかし、Facebookが前言を翻し、位置情報に基づく友達推奨はして〈いない〉と言い出してから、ことはややこしくなった。この話は後に再び変わり、Facebookは昨年、少人数のグループを対象に都市レベルの位置データに基づく友達の推奨を実験していたが、プロジェクトは終了したと説明した。

これはシリコンバレー企業としては稀な広報の失態だ。いったい何が起きたのか? そして、友達の推奨は実際どのような行われているのか?

Facebookの言い分は、位置情報に基づく推奨の実験が広報チームを混乱させ、誤った情報をFusionに伝える結果になった、というものだ。もちろん、皮相的な見方もある。Facebookは実際に位置情報を友達推奨に使っていたが、セキュリティー専門家がこのやり方をNSAの監視方法と比較し、 FacebookがFTCと結んだ合意に反する恐れがあると指摘したので撤回したとするもの。

われわれは、友達推奨に関する秘密のレシピを知らないので、どうやって推奨が行われているか正確にはわからない。Facebookは、位置データは断じて材料に入っていない、と主張している。

「われわれは位置データ、例えば端末の位置やユーザーがプロフィールに載せた位置情報を『知り合いかも』の推奨に使ってはいない」とFacebookの広報担当者がTechCrunchに伝えた。「共通する友達や職場、学歴情報、参加しているネットワーク、インポートした連絡先、その他の要素に基づいて人を紹介することはある」

陰謀論を固く信じている人でも、Facebookが「知り合いかも?」の表示に都市単位より細かい位置情報を使っていない、とわかれば少しは安心するだろう。しかし、友達推奨に使われる「その他の要素」とは一体なんなのか。それは永遠の謎だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook