FacebookがGPS以上の位置情報精度技術を持つの英国スタートアップを買収

英国ロンドン拠点のコンピュータービジョンスタートアップであるScape Technologies(スケープテクノロジーズ)は、GPS以上の位置情報の精度をもつ技術の開発に取り組んでいる。当局への書類によると同社はFacebook(フェイスブック)に買収された。

会社登記所の情報更新で、FacebookがScape Technologiesの過半数株(75%以上)を保有していることが明らかになったが、買収の条件などは不明だ。ただ、提出された他の書類を見ると、買収額は4000万ドル(約44億円)ほどのようだ。

また別の書類では、ベンチャーキャピタルの代表がScapeの役員を辞任し、代わりにFacebookから2人が役員会に加わったことが明らかになった。Scapeの投資家には、Entrepreneur First(EF)、 LocalGlobe、Mosaic Ventures、Fly Venturesが名を連ねていた。このように、Bloomsbury AIがソーシャルネットワーク巨大企業のFacebookに主に従業員獲得目的で買収されたときに、EFとFly Venturesは共同離脱していたというのは特筆すべきだろう。

2017年創業のScape Technologiesは、コンピュータービジョンに基づく「ビジュアル・ポジショニング・サービス」の開発を手がけていた。この技術では、デベロッパーがGPS単体以上の精度の位置情報を必要とするアプリを開発することができる。

当初は拡張現実のアプリをターゲットにしていたが、モビリティやロジスティック、ロボティクスのアプリケーションをパワーアップするのに使える可能性を秘めていた。さらに範囲を広げ、Scapeはカメラを搭載するあらゆるマシーンが周囲を認識できるようにしたいと考えていた。

ScapeのCEOで共同創業者のEdward Miller(エドワード・ミラー)氏は以前、同社の「Vision Engine」(ビジョンエンジン)を通常の画像やビデオから3Dマップを作る大規模なマッピングパイプラインと表現していた。カメラを通じて、同社のビジュアルポジショニングサービスのAPIを使ったVision Engineに、GPSが提供している以上の精度の位置情報を把握させることができる。同サービスはScapeのSDKを通じて一部のデベロッパーに提供されている。

買収がどのような形態であれ、VRやARを含む次世代プラットフォームへのFacebookの投資を考えたとき、今回の買収は同社にとってぴったりくるものだったようだ。しかし同時に、米国のテック企業が英国の機械学習やAIの人材を“刈り取ろうとしている「新たな憂慮すべき例」ともいえる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

FacebookのTwitterアカウントが乗っ取られてハッカー集団が犯行声明

金曜日になって、書くべきものはすべて書いたという気分になれたら、レポーターという仕事も快適だ。月曜日のための準備を始めてもよいし、仕事のリストを整理するのもよい。やっとメールを読める時間があるかもしれない。

しかし、今日のような金曜日(米国時間2月7日)は人目を引くようなことが起きてしまい、コンテンツの神様が犠牲者を要求する。では、その犠牲者になってやろうじゃないか。

FacebookのTwitterやそのメッセンジャーは、ときどきOurMineと名乗るハッカー集団に攻撃される。この1月にスポーツ関連のTwitterアカウントを大量にハックした連中だから、おなじみと言えるかもしれない。

TechCrunchのバックナンバーを漁ってみると、OurMineという名前は意外に多い。たとえば2016年には、OurMineはNiantic(ナイアンティック)のCEOのTwitterアカウントをハックした。その年の終わりごろには、OurMindは複数のメディア関連のTwitterアカウントもハックしている。なんと、OurMineはTechCrunchをハックしたこともある。今、それを思い出した。

TechCrunchはFacebookに、同社Twitterへの侵害についてコメントを求めた。中身のあるコメントが得られるとは思わないが、何かあったらこの記事をアップデートしよう。Twitterは、このハックに関してごく一般的なコメントをくれた。この事変に気づいてから以降、「侵害されたアカウントをロックし、Facebookのパートナーと緊密に協力して復旧に努めている」そうだ。

では、何がポストされていたのか? TechCrunchのセキュリティの鉄人Zack Whittaker(ザック・ウィテカー)が、スクリーンショットを残していた。

上のスクリーンショットを見ると、ツイートはKhorosからポストされたようだ。Khorosは、企業がソーシャルメディアを使って顧客やユーザーと対話するためのソフトを販売している。だからおそらくKhorosも、このヒマ人たちにやられたのだ。投稿はすぐに削除された。Crunchbaseによると、Khorosはオースチンにあるが、資金調達の履歴は載ってない。

というわけで、すてきな金曜日でした。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「Facebookg外のアクティビティ」が全ユーザーに公開、広告ターゲティングの管理が容易に

Facebookはサードパーティが送信してくるユーザー情報を本人が管理できるようにする「Facebook外のアクティビティ(Off-Facebook Activity)」というオプションを全ユーザー向けに公開した。この機能は2018年のデベロッパーカンファレンス、「F8 2018」で最初に紹介され、その年に一部地域のユーザーに公開された

2018年にプロジェクトが発表されたときは「履歴のクリア」というもっとわかりやすい名前だったが、FacebookはこれはユーザーがFacebookに投稿した記事を削除すると誤解される危険があると考えたようだ。「Facebook外のアクティビティ(Off-Facebook Activity)」というのは語感はともかく正確なことは間違いない。

またFacebookではデータ収集にあたって「Facebook自身によるもの」と「サードパーティによるもの」をはっきり区別したいようだ。Facebookがユーザー履歴を保存すること自体は実際には大きな問題ではない。しかしFacebookは広告収入に頼る無料サービスであるため、収集したデータを外部に販売、交換するなどしてマネタイズを試みると問題が生じる。

同社が説明したとおり、Facebookに広告を出稿している企業は自社サイト上の行動履歴を含むユーザー情報をFacebookに送信してくる。このデータを基にFacebookは関心を持ちそうなユーザーを選んで適切なタイミングで広告を配信する。これがターゲティング広告だ。「Facebook外のアクティビティ」を使うと、サードパーティが送信してくるユーザー情報の概要を閲覧することができる。

一般ユーザーの大部分は、広告モデルのウェブサービスの仕組みをよく理解していない。Facebookが表示してくる広告があまりにも適切にターゲティングされているため、Facebookはスマホのマイクの向こうでいつも聞き耳を立てているといった陰謀論もある。しかし実際は、Facebookがきわめてきめ細かく広告ターゲティング機能を調整している上に、サードパーティ企業も広告のコストパフォーマンスの最大化を狙って詳細なユーザーデータをFacebookに提供するからだ。[中略]

ただし「Facebook外のアクティビティ」は、当然ながらかなり複雑なツールとなっている。「Facebookでログイン」を日頃使っていたユーザーは何百ものサイトがFacebookと接続しているのを発見するかもしれない。またすでにFacebookにログインしていても、セキュリティ上の観点から、新しいツールにアクセスするためには再度パスワードを入力する必要がある。「履歴を削除(clear history)」ボタンは過去の履歴を削除するが、サードパーティが今後も情報をFacebookに送信してくることを妨げるものではない。データの送信を完全にストップさせるには「接続の削除」が必要となる。また「履歴を削除」しようとすると、関連性ある多数の広告が今後表示されなくなるという警告が出る。

すでに報じたように、 この機能はCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルに端を発するもので、「Facebook上で拡まる偽情報に対する懸念もあって、同社は透明性を確保するため、広告やコンテンツに関するいくつかの新しいツールを開発することにした」という。

「Facebook外のアクティビティ」機能を公開するまでにこれほど長時間かかった理由についてFacebookは「(本体のサービスの)プログラムの重要部分を再構築する必要があったため」としている。新機能にはこちらからアクセスできる。

「Fcebook外のアクティビティ」の世界公開を機に、Facebookでは「この2週間以内に自分のプライバシー設定をチェックするよう促すアラートを表示するようにするという。

Facebookでは2020年1月以降で「Facebookでログイン」を利用する際に、ユーザー履歴がFacebookと共有されることがあることを知らせる警告を表示するようにしている。Facebookログインは便利だが、企業サイト上のアカウントはFacebook上のアカウントと接続されることになる。「Facebook外のアクティビティ」の公開でユーザーはサードパーティとの接続を確認して設定を編集し、必要があれば履歴情報をすべて削除できるようになった。

[原文へ]

滑川海彦@Facebook

FacebookとInstagramはストーリーの再放送をやめるべきだ

InstagramからFacebookにクロスポストされたストーリーをどちらかのアプリで見たら、もう一方のアプリに行ったときには「既読」になっているべきだ。一度見たストーリーを見るのは時間の無駄だ。

Instagramのストーリーにクロスポスト機能がついてから2年以上になる。それぞれのサービスのデイリーユーザー5億人の膨大な時間が再放送を見るために費やされてきた。FacebookとMessengerはすでにストーリーの既読/未読状態を同期している。クロスポストにInstagramが含まれてから長い時間がたっている。

私はFacebookとInstagramに修正の予定があるか質問した。広報担当者は私に、クロスポストはFacebookどInstagramの異なるユーザーへのシェアを簡単にするために作られたものであり、ストーリーの使いやすさと改善の方法は今後も探求を続けると答えた。しかし、どれほどこれを迷惑であるかにFacebookが気づいているのか、解決策を検討しているのかについては何も言わなかった。

これが解決すると何が起きるのか?ユーザーが新しいコンテンツを見る時間が増え、見てもらえるクリエーターが増え、多くのアプリにストーリーを入れようとするFacebookにとっても無駄が減り侵略的でもなくなる。私があるアプリでストーリーに返信した時、数分後数時間後に別のアプリで同じストーリーを見た時に返信することはない。コンテンツが繰り返されると視聴方法が受動的になり友達との対話が減る。FacebookとInstagramがゾンビ的で不健康であると 強調している視聴方法だ。

この変更の唯一の欠点は、大親友のストーリーを二度目に見るときよりも、新しいコンテンツを見る方が広告インプレッションが減るかもしれないことだ。しかし、利益をユーザー体験に優先させるのは、これもMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookの戦略ではないと強調していることだ。

説明を繰り返す必要はないだろう。時間を返してくれ。再放送はやめよう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ハイテク業界の醜悪な真実を明らかにしたTechCrunch2019年調査レポートトップ10

Facebookがティーンエージャーをスパイしていたこと、Twitterアカウントがテロリストに乗っ取られたこと、そして児童性的虐待の画像がBingとGiphyで発見されたことなどが、2019年のTechCrunchの調査レポートで明らかになったもののなかでも、とりわけ醜悪な真実たちだ。安全性の欠陥や力の濫用が及ぼす影響が、ますます大きくなる中で、ハイテク業界はこれまで以上に多くの監視の目を必要としている。原因が悪意、無知、あるいは貪欲のいずれであろうとも、そこには嗅ぎつけられた数多くの不正行為があった。

TechCrunchは、セキュリティエキスパートであるZack Whittaker(ザック・ウィテカー)記者に率いられて、増大する問題に対処するために、より長期にわたる調査を実施してきた。実際、資金調達、製品発売、そしてすばらしいエグジットなどに関する私たちの記事は、物語の半分しか語っていないのだ。おそらくスタートアップ(と彼らのその後)に特化した、最大かつ最も長期間にわたって運営されているニュースソースである私たちは、そうした企業たちが誠実であり続けることや、技術に対するより倫理的で透明なアプローチを推進していくことに対して責任を負っている。

調査に値する潜在的なヒントがある場合は、TechCrunch(tips@techcrunch.com)に連絡するか、匿名のフォームから教えて欲しい。

画像: Bryce Durbin/TechCrunch

2019年に行われた調査レポートの上位10件と、その影響を紹介しよう。

1. Facebookはティーンエージャーたちのデータを覗き見するために、金を渡している。

Josh Constine(ジョシュ・コンスティン)記者の画期的な調査によって明らかになったことは、Facebookがティーンエージャーや成人に対して月額20ドル(約2200円)のギフトカードを支払い、VPNをインストールさせて、市場調査の名目ですべての機密モバイルデータをFacebookに送信させていたことだ。Facebook Researchが抱えていた問題として挙げられたのは、たとえば18万7000人のユーザーに「Project Atlas」に登録するまでデータがFacebookに送られることを通知しなかったこと、4300人以上の未成年者から適切な保護者の同意を受け取っていなかったこと、同プログラムに関して公言した場合、ユーザーに対して法的措置をとると圧力をかけたことなどだ。また、このプログラムは、App Storeのレビュープロセスを回避するために、企業内で従業員だけを対象にアプリを配布するためにデザインされた、Appleのエンタープライズ証明書プログラムを悪用していた。

影響は甚大だった。議員たちはFacebookに対して怒りの書簡 を送った。ほどなくTechCrunchは、同様の市場調査を行うScreenwise Meterと呼ばれるGoogle製のプログラムを発見した。Googleは直ちに同プログラムを中止した。Appleは、すべての従業員専用アプリを丸1日シャットダウンすることでGoogleとFacebookの双方を罰した。このことで、Facebookの従業員はシャトルスケジュールやランチメニューにアクセスできず、オフィスが混乱した。Facebookは、このプログラムが公明正大なものだと主張しようとしたが、最終的には反発に屈し、Facebook Researchと18歳未満のユーザー向けのすべての有料データ収集プログラムを中止した。最も重要なことは、この調査レポートによって、FacebookがそのOnavoアプリをシャットダウンしたことだ。このアプリはVPNを提供するという触れ込みだったのだが、実際はどのライバルを模倣すればよいかを知るために、大量のモバイル利用データを吸い上げるものだったのだ。Onavoは、FacebookがメッセージングのライバルであるWhatsAppを190億ドル(約2兆1000億円)で買収する必要があることをFacebookに認識させたものであったが、いまや同社に対する反トラスト調査の中心となっている。TechCrunchのレポートは、Facebookの搾取的な市場監視を弱め、技術の巨人同士を競わせ、データ収集に対する透明性と倫理の水準を引き上げた。

2. WannaCryキルスイッチの擁護

急速に広がるWannaCryランサムウェアから、インターネットを保護したヒーローたちのプロフィールを描いたザック・ウィテカー記者の記事は、サイバーセキュリティの不安定な性質を明らかにしている。WannaCryのキルスイッチ(停止スイッチ)を確立したMarcus Hutchins(マーカス・ハッチンズ)氏の善意の仕事を描いた魅力的な記事は、別件のティーンエイジャーでマルウェアを作成したという罪で彼を10年の刑務所送りにするのではなく、わずか1年の保護観察付きで釈放となった判決に、影響を与えた可能性がある。

3. イーロン・マスク氏のトンネルの危険性

TechCrunchの寄稿者であるMark Harris(マーク・ハリス)記者の調査レポートは、ワシントンDCからボルチモアへのトンネルを掘るという Elon Musk(イーロン・マスク)氏のBoring Companyの計画の中に、不適切な非常口やその他の問題があることを明らかにした。火災安全およびトンネルエンジニアリングの専門家たちに相談し、ハリス記者は、州および地方政府に対して、公共インフラに近道を導入しようとする破壊的テクノロジーに対して懐疑的であるべきだという強い証拠を提示した。

4. Bingの画像検索は児童虐待で溢れている

ジョシュ・コンスティン記者の調査は、Bingの画像検索結果が、子供の性的虐待画像がどのように表示されているかを示すと同時に、何も意識していないユーザーが、そうした違法コンテンツを呼び出しかねない検索ワードも示唆した。コンスティン記者の示したヒントは、反児童虐待スタートアップAntiToxin(現在はL1ght)によるレポートへと繋がり、Microsoftは英国の規制当局に対してこれを防ぐための大幅な変更の約束を強いられた。だが、TechCrunchのレポートを引用したNew York Timesによる追跡レポートによれば、Bingがほとんど改善されていないことが明らかになった。

ザック・ウィテカー記者の調査が、その追放に疑問があったタフツ大学の学生、Tiffany Filler(ティファニー・フィラー)氏による、成績改ざん疑惑の中にある矛盾した証拠を明らかにした。記事は告発そのものに大きな疑念を投げかけ、学生自身が将来の学術的または専門的努力を狙う際の、助けになる可能性がある。

6. 教育用ノートPCの発火

Natasha Lomas(ナターシャ・ロマス)記者は教育用コンピューターハードウェアスタートアップであるpi-topのトラブル報告を行った。記事には米国のある生徒を負傷させたデバイスの誤動作が含まれていた。分解できるように設計されたpi-top 3ノートPCによって、その生徒が「非常に厄介な指の火傷」を負っていたことを内部電子メールは明らかにした。信頼性が大きく問われ、レイオフが続いた。このレポートは、生徒のような特に傷つきやすい者たちを中心に置き物理的な世界で事業を展開するスタートアップたちは、いかに安全を最優先にしなければならないかということを強調している。

7.Giphyは児童虐待画像をブロックできない

Sarah Perez(サラ・ペレス)記者とザック・ウィテカー記者は、児童保護のスタートアップL1ghtと協力して、性的虐待画像のブロックに対するGiphyの怠慢を暴露した。このレポートは、犯罪者たちが違法な画像を共有するためにサイトをどのように使用し、それが検索エンジンによって、誤ってインデックスされたかを明らかにした。TechCrunchの調査が明らかにしたのは、自らのコンテンツに対してもっと警戒する必要があるのは、公的な技術の巨人たちだけではないということだ。

8.Airbnbの反差別に対する弱み

Megan Rose Dickey(ミーガン・ローズ・ディッキー)記者は、盲目で耳が不自由な旅行者の予約が盲導犬を連れていたためにキャンセルされた際の、Airbnbによる差別的ポリシーが現れたケースを調査した。ディッキー記者のレポートが1カ月の営業停止のきっかけになるまで、Airbnb は差別行為によって告発されたホストを単に「教育」しようとしただけだった。調査は、Airbnbが収益を生み出すホストを保護するためにどんなこと、そしてポリシーの問題によりIPOを損なう可能性があることを明らかにした。

9.期限切れのメールがテロリストたちにプロパガンダをツイートさせる

ザック・ウィテカー記者は、乗っ取られたTwitterアカウントを通じて過激派組織IS(イスラミック・ステート)のプロパガンダが拡散されていることを発見した。彼の調査により、Twitterアカウントに関連付けられたメールアドレスの有効期限が切れると、攻撃者はそれを再登録してアクセスし、Twitterから送信されたパスワードリセットを受信できることが明らかになった。記事は、ビッグテクノロジーのセキュリティ上の欠点を悪用する、巧妙だが決して高度ではないテロリストグループの手段を明らかにしただけでなく、すべてのサイトがふさぐべき危険な抜け穴を特定した。

10.ポルノとギャンブルのアプリがAppleを出し抜く

ジョシュ・コンスティン記者は、数十におよぶポルノおよびリアルマネーのギャンブルアプリが、Appleのルールを破りながらエンタープライズ証明書プログラムを悪用することでApp Storeのレビューを回避していることを発見した。それらのアプリの多くが中国を拠点にしたものだ。このレポートは、企業証明書が脆弱で簡単に詐取される要件を明らかにした。7カ月後、Apple は中国からのポルノおよびギャンブルアプリの削除リクエストが急増していることを明らかにした。この調査は、Appleが企業証明書ポリシーを厳しくする後押しをすることになり、さらにCEOのティム・クック氏が日頃他の技術大手のポリシーに対して頻繁にジャブを繰り出しているにもかかわらず、同社自身にも対処すべき問題がたくさんあることを証明した。

ボーナス:HQ Triviaの従業員たちがCEOを解任しようとして解雇された

『ゲーム・オブ・スローンズ』にも負けない物語は、その影響がすべてのスタートアップエグゼクティブへの警告であるにしても、除外するには興味深いものだった。ジョシュ・コンスティン記者は、ゲームスタートアップ、HQ Triviaの業績が急降下した際に、CEOの無能さと不作為に対して従業員たちが起こした反乱の物語を明らかにした。CEOを解任するために、取締役会への請願を組織した従業員は解雇され、さらなる人材の離職と停滞につながった。調査レポートは、スタートアップの幹部たちに、(団結したり離職することで力を発揮する)従業員たちに対する責任があることを思い出させるのに役立った。

ジョシュ・コンスティン記者へのタレコミ情報がある場合には、暗号化されたSignalアプリ、米国(585)750-5674へのSMS、joshc at TechCrunch dot com、あるいはTwitter DMを介して連絡することができる。

原文へ
(翻訳:sako)

Amazonがインドの小企業のデジタル化促進のため約1100億円を投資

インドは今週、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を反トラストの調査で迎えた。さらにまた、ふだんは互いに競争している小規模商業主たちが全国から何千人も集まって、eコマースの巨人の搾取的と言われるやり方に抗議した。しかし、Amazon(アマゾン)の創業者でありCEOのベゾス氏は、同社にとって最も重要な海外市場への愛をそんなことでは失わなかった。

1月15日のカンファレンスでベゾス氏とAmazon IndiaのトップであるAmit Agarwal(アミット・アガルワル)氏は、この米国の巨人が中小企業のデジタル化を促進するためにインドに10億ドル(約1100億円)を注入すると発表した。アマゾンはこれまでインドに約55億ドルを投資している。

ベゾス氏によると、同社はまたインドの生産品の輸出にも着目している。それはニューデリーのMake in India(地産地売)キャンペーンへの協賛でもある。Amazonが扱う量は、2025年に100億ドルと彼は想定している。

同氏は「今後の5年間で、Amazonは累計10億ドルをインド全域の市町村の零細企業に投資し、これまでなかったほど多くの顧客増大をみなさんのために実現したい」と語った。そして「この計画では、現在のアマゾンのグローバルな展開を利用して、2025年までにインドからの100億ドルの輸出を作り出したい。この投資によって何百万という多くの人々が未来のインドの繁栄に与れるようにし、それと同時にインドの豊かで多様な文化を表している『Make in India』製品を、全世界に紹介したい」と続けた。

インドでは最近の10年間で5億近い人々がインターネットに接続した。しかし、全国の何万もの都市や町や村に散在する小規模な企業はまだオフラインだ。GoogleやFacebook、Microsoftなども近年はこれら小企業がウェブ上に出店してデジタル決済を受け入れるよう、支援しツールを提供している。

Amazonが主催した「Amazon SMBhav」カンファレンスは、SMBが中小企業(Small and Medium Business)を表しているとともに、smbhavはヒンズー語で「できる、可能」という意味だ。開会時に上映されたビデオでは、インドの貧しい商人や職人たちがアマゾンのeコマースプラットホームに参加して事業を拡大する様子が映し出されていた。

同社の役員の一人によると、アマゾンはインドで50万社を超える売り手を集めておら、その中の数千の業者が世界中の12カ国のAmazonのマーケットプレースで商品を販売している。

しかし、カンファレンスの会場からわずか10マイル(16km)離れたところでは、多く業務がアマゾンを違った目で見ていた。

インドの業者が多数集まってアマゾンの搾取的なやり方に抗議(画像提供:Manish Singh / TechCrunch)

この国の6000万を超える販売業者を代表する業界団体であるConfederation of All India Traders(CAIT、全インド商業者連盟)によると、抗議活動をインドの300都市で組織した。連盟の代表によると、同団体はアマゾンとFlipkartが採用している搾取的な価格設定と反競争的な行為を世の中に知らしめたいという。

ベゾス氏とアガルワル氏は、抗議活動や反トラストの調査に言及しなかった。ここには、世界最大の途上国市場の将来がかかっている。NasscomとPwC Indiaの報道によると、インドのeコマース市場は今後3年間で1500億ドル成長すると言われている。

ベゾス氏もカンファレンスで「21世紀はインドの世紀だと私は予言したい。最も重要な同盟関係はインドと米国の関係だと思う。それは、世界最古の民主主義と世界最大の民主主義の関係だ」と語る。

1月13日にインドのCompetition Commission(競争委員会)は、アマゾンとウォルマートが保有するFlipkartに対する反トラスト調査を開始し、eコマースの二大大手がスマートフォンのベンダーと組んで排他的な協定を結び、一部の売り手を優遇していないか調べることになった。

その調査はアマゾンとFlipkartにとって最新の規制による逆風であり、特にFlipkartは2018年にインドでウォルマートに過半数の株を160億ドルで売却している。昨年、米国上院議員は外国企業が自分の子会社から在庫を売ることを禁じているニューデリーを批判した。その禁制によってAアマゾンとFlipkartは突然、そのマーケットプレースから数十万品目を取り去ることになった。

CAITのスポークスパーソンはTechCrunchに「会員の商業者たちはインドの反トラスト監視当局による調査を歓迎している」と述べた。今日の新しい抗議活動は、近年この業界団体が組織した複数の活動の1つにすぎない。先月は数千名の抗議者が、eコマースの担い手たちへの同様の懸念を表明した。

本日、一部の抗議者は「アマゾンとジェフ・ベゾスとフリップカートは帰れ!」と声を上げた。CAITの全国レベルの理事長Sumit Agarwal(スミット・アガルワル)氏はTechCrunchのインタビューで「Amazonの大幅値引きが小規模商業者の成長を妨げているので、政府の介入が緊急に必要だ」と述べた。

業界の推計では、eコマースはこの国の小売業の売上の約3%を占める。

画像クレジット:Anindito Mukherjee/Bloomberg/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramがウェブ版ダイレクトメッセージを近く公開、暗号化には懸念の声

Instagramのユーザーは近くウェブ版でチャットできるようになる。これは歓迎すべきアップデートだが、一方で現在広く使われているブラウザはモバイル・アプリのような強力な暗号化をサポートしていない。そのためすべてのメッセージ・アプリをエンド・ツー・エンドで暗号化していくというFacebookのセキュリティに関する基本方針との間で問題を作ることになった。

われわれがFacebookはブラウザでInstagramのダイレクトメッセージをテストしていると報じてからほぼ1年たったが、ブラウザ経由のDMの公開が始まった。今のところ対象は少数のユーザーだが、地域は世界各地に広がっている。

この機能が広くロールアウトされればブラウザのInstagramのユーザーもDMが届いていることを知ることができるようになる。またアプリの場合と同様、新しいメッセージスレッドを開始できる。グループチャットや写真その他の添付も可能になる(ただし写真を取ってその場で送信することはできない)。またダブルクリックで「いいね!」して、その投稿をDMで共有することも可能だ(ゴシップやミームの拡散に好適かもしれない)。ビデオを送付することはできないが、恒久的にアップされたビデオであれば再生はできる。InstagramのCEOであるAdam Mosseri(アダム・モッセリ)氏は「若干の問題が解決されたらすぐに一般向けに公開できると思う」と ツイートしている

ウェブのダイレクトメッセージはオフィスワーカーや学生に便利だ。こうしたユーザーは1日中デスクの前に座ってコンピュータのスクリーンを眺めていることが多い。こういう場合、スマートフォンでなければ利用できないチャットサービスは使い勝手が悪い。しかもSnapchatのStories機能を容赦なくコピーしてこれを追い抜いたInstagramにとって、ダイレクトメッセージをできる限り広い範囲のユーザーに届けることは極めて重要だ。Snapchatはビジュアルな機能に強く、手軽に連続投稿やチャットができるためティーンエージャーに依然高い人気がある。

他方、Facebookの元最高セキュリティ責任者のAlex Stamos(アレックス・ステイモス)氏は「これは興味ある展開だ。(DMをウェブ版に導入するのは)Facebook、Instagram、WhatsAppで共通のエンド・ツー・エンドで暗号化を実現するというこれまでの方針に正面から逆行するものだ。これまで誰もブラウザベースの安全なエンド・ツー・エンド暗号化を実現できたものはいない。私はFacebook Messengerがウェブのサポートを止めるのではないかと思っていた」とツイートした

1年前にFacebookは最終的にはFacebook Messenger、WhatsApp、Instagram Directでメッセージ規格を統一することを計画していると発表した。つまりこれが実現すればどのアプリのユーザーも他のアプリのユーザーと自由にチャットできるようになるわけだ。これには暗号化規格の共通化も含まれるということだったが、完成までには何年も要すると思われた。ここで要求されたセキュリティのレベルがエンド・ツー・エンドで、つまりメッセージの送信者と受信者以外は誰もメッセージ内容を見ることができないというものだ。つまりFacebook自身もハッカーも捜査機関も内容を知ることができないものとなる。

しかしステイモス氏の説明によれば、セキュリティ専門家はこれまでウェブ版Instagramを動作させているJavaScript環境で堅牢な暗号化を実現することができなかったという。ただし同氏も「今後は可能になるかもしれない」と可能性を認めている。しかしもっと問題なのは「(ウェブ版アプリの場合)ベンダーは誰でも自由にアクセスできる形でコードを公開している。つまり特定のユーザーのウェブアプリのコード中にバックドアを挿入することはモバイルアプリの場合よりはるかに簡単だ。モバイルアプリの場合、攻撃者はFacebook/InstagramだけでなくApple、Googleのアプリストアにも侵入して(コードを)改変しなければならない」という。

「この問題を解決するのは非常に困難であり、WWWそのものの仕組みを根本的に変える必要がある」とステイモス氏は書いている。 TechCrunchではモバイル分野の専門家である
Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が昨年2月にツイートしたときからInstagramがウェブにおけるチャットを準備していることに気づいていた。TechCrunchではInstagramにエンド・ツー・エンド暗号化の詳細について尋ねた。これに対し、Instagramの広報担当者から「モバイル版のInstagram Directでは暗号化は行われていない。FacebookグループはE2E暗号化およびチャットサービスの統合、標準化に現在も取り組んでいる」という回答があった。

Facebookの批判者はチャット・サービスの統合は反トラスト法によりFacebook、Instagram、WhatsAppが分割されるのを防ぐための目くらましだと主張している。しかし、FTC(連邦通信委員会)との和解条件として50億ドルの制裁金とさまざまなプライバシーの強化と透明性の確保のための施策を実施することを課されているものの、Facebookは既定のコースを進んでいる。

個人的にはこれは歓迎すべき展開だ。ウェブのInstagramでダイレクトメッセージが簡単に利用できるようになればいちいちポケットからスマートフォンを引っ張り出さなくてすむし、そこで何か別の興味あることを発見して仕事中に脇道に引っ張りこまれるのを防げる。Instagramがスタートしてから10年近く、ダイレクトメッセージ機能が追加されてからもすでに6年経っている。そろそろ単なる写真を共有するエンタテインメントから実用的なユーティリティーサービスに進化してもいい頃合いだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterは研究者をより丁重にサポートする戦略

Twitter(ツイッター)は新年に当たって、学術的な研究者が情報にアクセスしたり、APIについてのサポートを得るのが簡単になるよう、専用の新しいハブを用意した。この動きは、研究者コミュニティからのフィードバックに応えるものだと言う。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

新しいページは、「Twitter data for academic research」(学術的研究のためのTwitterデータ)と呼ばれ、ここからアクセスできる。

そこには、開発者アカウントを申請するページへのリンクが含まれている。開発者アカウントからは、TwitterのAPIへのアクセス、提供されるさまざまなAPIの詳細情報、さらに研究者向けのツールが利用可能となる。ツールには、データの統合とアクセス機能、分析、視覚化、インフラストラクチャとホスティング機能などが含まれる。

「この1年間、私たちは学術的な研究コミュニティの多くの人々と協力してきました。それにより、研究者が直面している課題について学ぶことができました。そして、どうしたらTwitterが研究者をもっとサポートして、この公の場での会話について深く理解することを手助けできるのか、についても学びました」と、Twitterは記している。また、「公の会話からさらに簡単に学べるようにしたい」とも考えているのだという。

さらにTwitterは、今年も、研究者に対して「さらなる機能強化とリソースの提供」を約束している。

2020年は、米国にとって重要な選挙の年であり、新たに選挙に干渉してしまうリスクに対する懸念が高まっていることを考えると、このタイミングでTwitterが学者向けに提供する機能を化粧直ししてきたのもうなずける。

Twitterでの会話の流れを追跡する際には、どうしても「ボットか、そうではないか」という判断を迫られることになる。これは、民主主義の健全性に大きな影響を与えるもの。またヨーロッパでは、Twitterは、他のいくつかの大手プラットフォームと並んで、偽情報に対する自発的な行動規範に2018年に署名した。それにより、偽アカウントやオンラインボットに対処することにコミットしたことになる。さらに、研究コミュニティによるプラットフォームデータへの「プライバシー準拠」アクセスを可能にし、オンラインの偽情報を監視する権限を与えることにもなった。

「Twitterでは、学術的な研究者の貢献を高く評価しています。私たちのプラットフォームをよりよく理解し、何がどうなっているのかを把握し、発見と革新によって新たな課題に取り組むのを助けてくれるだけの潜在能力あると見ています」と、研究者向けの新たなランディングページに記している。また、自らのプラットフォームの価値を持ち上げることも忘れずに、「この世に存在するものは、たいていTwitter上で話題になるものです」とも書いている。

もしTwitterが、研究者と、そのニーズに積極的に関与するという約束を守ることができれば、学術的な利用をサポートすることに失敗しているライバルのFacebookを、うまく出し抜くことができるかもしれない。

昨年Facebookは、自らのAPIにおいて、研究者に対する「透明性の洗浄」を行ったとして非難された。そして60人の学者グループは、広告アーカイブAPIを、役立つどころか害になると非難した。

それから数カ月経つが、FacebookはAPIを改善するために、ほとんど何もしていないと報告されている

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ザッカーバーグが毎年恒例の挑戦に代えて「2030年への希望」を語る

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、2020年をネクタイを締めて過ごすつもりも、中国語を習うつもりも、Facebookを改修するつもりもない。「毎年恒例のチャレンジではなく、世界と私の生活が2030年にどうあってほしいかを考えようと思う」と米国時間1月9日にFacebookに書いた。ただしご想像のとおり、ザッカーバーグ氏の世界をよくするビジョンには、Facebookのファミリー製品が数多く含まれている。

本日の発言の主旨はは以下のとおり。

    • AR(拡張現実):スマートフォンは今後10年のほとんどの間、主要なコンピューティングプラットフォームになるだろうが、ARが人と人との間からデバイスを取り払い、一緒に存在できるようになる。FacebookはARゴーグルを作っている。
    • VR(仮想現実):VR技術の進歩によってどこからでも仕事ができるようになり、住宅危機を救う可能性がある。FacebookはOculusをつくっている。
    • プライバシー:インターネットがつくったグローバルコミュニティーでは、人々が独自性を確立することが難しくなったが、小さなオンライングループをつくることによって再び特別な存在と感じられるようになる。Facebookはプライベートグループやメッセージングの方法を増やしている。
    • 規制:テクノロジーが直面している大きな問題は、民間企業が単独で対処するには厄介すぎるので、政府が選挙、コンテンツ管理、データポータビリティ、プライバシーなどに介入する必要がある。Facebookはこうした問題を含めあらゆる場面で自主規制することで、厄介な法律の制定を防ごうとしている
      Zuckerberg Elections

いずれも理にかなった予言と提案である。しかしザッカーバーグ氏の投稿は、2010年代に広まったFacebookのさまざまなサービスも、自身の提起する問題の多くに寄与していることについてほとんど言及していない。

      • 孤立 :FacebookやInstagramでの受動的なスクロールの連続は、友達との真のやり取りを経ることなく社交的でいられる手段を作った。
      • ジェントリフィケーション :シャトルバスで通勤するFacebook社員が住むことによって、世界中の都市、中でもベイエリアの家賃は急騰した。
      • 嫉妬:Facebookのアルゴリズムは、華やかでInstagramに値する生活をしている以外の人々の重要性を排除しねない。アカウントはハッカーに盗まれる可能性があり、管理システムが過ってアカウントを停止しても補償はほとんどない。
      • 怠慢: 成長第一のメンタリティーによって、Facebookのポリシーと安全性はその影響力に後れを取り、その結果民主主義、コンテンツ、反競争的行為、プライバシーなどに関わる問題が生まれている。

ザッカーバーグ氏の投稿で目に見えて欠けているのは、物議をかもしているFacebookのサービスや取組みについての明確な説明だ。「機会の非中央集権化」に関して小企業に販売ツールを与えることを書いているが、暗号通貨やブロックチェーンやリブラに関する直接の言及はない。代わりに、Instagramの店舗機能やMessengerによるカスタマーサポートやWhatsAppの送金機能で十分だと言っているように見える。さらに同氏氏はPortalも無視している。これはFacebookが作った遠くの家族を近くに感じさせるスマート端末だが、監視とデータ収集のツールと見る向きもある。

ザッカーバーグ氏が公人として、また人間の基本的インフラの運用者としての役割を果たそうとしていることを私はうれしく思う。彼が四半期利益を重要視するだけでなく、長期的問題について考えようとする意欲は重要だ。存在しないものを作るためには楽観が必要だ。

それでも、もし同氏が2030年を今よりよい世界にしたいのであれば、そしてもっとFacebookにやさしい世界にしたいのであれば、暗黒の未来を予言している懐疑派や反対派をもっと呼んでくるべきかもしれない。欲望とうぬぼれへの人間の衝動を理解している人々だ。Facebook製品がもたらす可能性のある社会的問題に関する彼らの予言は、ザッカーバーグチームの理想主義者たちが将来の可能性と現在へのリスクのバランスを取れる会社を作るのに役立つだろう。

Facebookが理想主義だけでは成功しないことについては、以下の記事も参照してほしい。

関連記事:Zuckerberg asks forgiveness, but Facebook needs change

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookとeBayが英国規制当局の圧力を受け「偽レビュー」の対策強化を誓約

FacebookとeBayは、両プラットフォームで行われている偽レビューによる売買の対応策を強化することを誓約した。これは英国の市場規制当局からの圧力を受けもので、問題の最新事例はFacebook傘下のInstagramで発覚した。

2019年6月、英国の競争・市場庁(CMA)は両社に対して、偽レビューの売買を防止するための努力を強めるよう警告し、「偽あるいは誤解を招くオンラインレビューの活発なマーケットプレイス」の存在を示す「憂慮すべき証拠」を発見したと語った。

当局の推定によると、英国人の4分の3以上がオンラインショッピングの際にレビューの影響を受けており、製品やサービスの評価記事を元に毎年数十億ポンドが費やされている。そしてそれが偽りや誤解を招くレビューの不法取引を助長する結果になっている。

CMAの警告が発行されてから数カ月後、英国の消費者権利団体「Which?」は、問題に関する独自の調査結果を公表し、Facebookが対策の強化を怠っていることを指摘した(eBayには進展があったことを認めた)。

米国時間1月7日、CMAは同団体の調査結果に基づいてFacebookが計188個のグループを削除し、24個のユーザーアカウントを無効にしたことを発表した。一方eBayは、介入後に140人のユーザーを恒久的に停止した。

当局によると、両社とも偽レビュー売買の「発見、調査、対応を改善する」ための基準を定め、将来にわたって該当コンテンツが現れないよう努力することを誓約した。Facebookはその種のコンテンツを発見、削除する「より堅牢なシステム」を導入することを約束し、eBayは既存のフィルターを改善し、オンラインレビューの取引に関する「リスティングの識別とブロックを強化」したと語った。

CMAの最高責任者であるAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)氏は声明で、「FacebookとeBayが正しい判断を下してこの問題に取組み、偽レビューを販売する投稿をサイトから追放することを約束してくれたことを喜んでいる」と語った。

「偽レビューは買い物客や店舗をひどく傷つける。何百万という人々が購入意思決定をレビューに頼っており、もしそれが誤解を招くものであったり嘘であったりすれば、買い物客は自分にとって適切でないものを買う羽目になり、ルールを守っている店は商機を失うことになる。

CMAのプレスリリースには、両社が同意した改善点の詳細については書かれていなかったが、FacebookはTechCrunchに対して、不正なコンテンツを検知・削除するための自動化技術を開発予定だと語った。Facebook広報は次のように声明で語った。

不正な行為はFacebookでもInstagramでも許されていません。偽レビューの売買もその1つです。Facebookはこの種の行動を防ぐために多大な投資をしてきましたが、まだすべき努力があることを理解しており、CMAと協力して問題に取り組んでいます。CMAから最初に連絡を受けて以来、当社は規則に違反していた180以上のグループと24のアカウントを特定し削除したうえで、この手の不正行為が再発することを防ぐ確固たる手段を講じてきました。そのために、問題のコンテンツが人々の目に触れて通報する前に素早く検出、削除するための自動化技術の導入も検討しています。

eBayの広報担当者はTechCrunchに「eBayは虚偽や誤解を招くレビューを一切許さない方針を貫き、ユーザーポリシーに反する売り手に対して引き続き措置を講じていきます。今日のCMAレポートを当社は歓迎しており、この問題に対するeBayの取組みを認めてくれたことに感謝しています」と語る。

CMAは両プラットフォームが消費者のために「さらに努力する」と約束したことを認めているが、一方ではFacebook傘下のInstagramで偽レビューが取引されている新たな事例を見つけたことも報告しており、もぐらたたき状態が続きかねないことを示唆している。そして、各社が確固たる規則を定め、自分たちが広く配信し、収益化しているコンテンツに厳格に適用していかない限り、状況は変わらないだろう。

CMAは、ウェブサイトには自らのプラットフォームを経由して、違法あるいは有害なコンテンツが宣伝、販売されないことを請け合う責任があると指摘する。しかし、現状では偽りのレビューの売買を取り締まらなかったことに対する罰則はほとんどない。

最近英国政府は、オンラインのさまざまな危害を取り締まるための法律を提唱しており、インターネット企業を規制するセーフティー・ファースト計画を立案した。これは将来プラットフォームのコンテンツに対する取り締まりが厳重になることを意味している。しかし現時点で当局は、IT巨人たちの行動を正すために厳しい言葉をぶつけることしかできない。

CMAは、同局が見つけたInstagramで取引されていた偽レビューの事例はFacebookに報告し、「Facebookは問題を調査することを約束した」と語った。さらに「今後も問題を防止する措置をとるようFacebookから誓約を取り付ける」つもりであると付け加えた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonが本社の敷地に収容300名弱のホームレスシェルターを建設

巨大テクノロジー企業がますます大きくなるに伴い、ホームレスの人たちを助けろという業界の指導者たちの声も高まっている。高い給与水準に並行して生活費がかつてないほど高騰している地域では、とくにそうだ。例えば2019年1月には、Facebook(フェイスブック)とChan Zuckerberg Initiativeがそのほかの人びとと共に作ったグループであるPartnership for the Bay’s Future(ベイエリアの未来のための連携)は、数億ドルを投じて庶民に手の届く住宅を増やし、サンフランシスコ周辺の5つの主な郡で低所得居住者の保護を強化しようとしている。一方Microsoft(マイクロソフト)は昨年1月の発表で、高い家賃のために低所得や中所得の人びとが逃げ出しているシアトルとその郊外地区を再び多くの人びとが住める場所にするために5億ドルを拠出すると約束した。

Mary’s Placeのファミリーセンター(画像提供: Amazon)

Amazonも過去にCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、ホームレス解消のために20億ドルを拠出し、同じ資金で教育などの行政サービスが行き届いていない地区にモンテッソーリ的な就学前教育施設を建設すると2018年の9月にTwitterで発表した。

しかし今回Amazonは、ホームレス救援事業のバーを他社に対して相当高く上げた。同社はシアトルの本社内のスペースにホームレスシェルターを作る。それは、ワシントン州で最大の家族向けシェルターになる。

Business Insiderが米国時間12月30日朝にこのニュースを報じている。そのシェルターのひと晩の収容人数は275名で、家族には個室が提供され、ペットを連れてきてもいい。業務用キッチンもあり、そこでは1年に60万食の食事を作れる。

その施設は新年の第1四半期にオープンし、長年Amazonとパートナーしている非営利団体Mary’s Placeとの提携事業の一環になる。同団体は2016年以降、Amazonのキャンパスにあるトラベロッジ・ホテルの外に、シェルターを運営している。Business Insiderの記事によると、その新しい施設には各年400家族向けのベッドと毛布が用意され、Amazonは施設のオーナーであるだけでなく、今後10年間、またはMary’s Placeが必要とする間、日常経費や修繕費、セキュリティ費用なども負担する。

ホームレスはシアトルのあるキング郡だけでも12500名と言われているが、Business InsiderによるとAmazonのシェルターは微々たる救いであるだけでなく重要な意義もある。それはAmazonが、自分の本社の敷地にシェルターを建設するからだ。

私たちの知るかぎり、ここまでやったテクノロジー企業はほかにない。この決定はまた、増加しているホームレス人口への支援策をめぐる他の都市の、あいまいな姿勢を際立たせる。記憶に残る1つの例は、3月にサンフランシスコ市長London Breed(ロンドン・ブリード)氏が、湾岸道路沿いの駐車場に市の7000名あまりのホームレス住民のうち最大200名を収容する案を述べたとき、周辺住民が反対の声を上げたことだ。その案は後日実現したが。

ニュースサイトのVoxによると、Microsoftの昨年の5億ドルの約束などの企業努力に対しては、賞賛と不満の2つの声がある。不満派は、そういう活動が受け取る無料のパブリシティを問題にしている。Amazonも、2018年の税前利益110億ドルに対して国税を一銭も払っていない。同社はまた2018年に、一般市民に手の届く住宅のために資金を調達しようとしている大企業に課税するなら、シアトルでの建設をやめると市を脅したことがある。

9150億ドルという世界最大の時価総額を誇るAmazonが、それにふさわしいことをしているか。これは確かに今後の探究を要するテーマだ。今や「世界を食べている」と称されるそのほかのテクノロジー企業にもれは言える。しかしそれでも、Amazonのような企業が会社の中心にホームレスシェルターを作ることは、肯定的に受け入れるべきだし見習ってもいいだろう。

Mary’s Placeの執行ディレクターであるMarty Hartman(マーティ・ハートマン)氏はBusiness Insiderに「1つの事業で解決する問題ではない。企業だけでは解決しない。団体でも政府でも解決できない。財団でもだ。全員が力を合わせる必要がある」と語る。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが脱Googleへ、ハードウェアのソーシャル化に向けて新OSを開発中

Facebookのハードウェア製品は、現在のところAndroid OSで作動している。しかしFacebookはOculusやARヘッドセットなどをGoogleの支配下から脱出させようと決心している。

FacebookはMicrosoft(マイクロソフト)のWindows NTの共同開発者として著名なMark Lucovsky(マーク・ルコフスキー)氏をオペレーティングシステム担当ジェネラル・マネージャーに任命した。Informationによれば、Facebookはまったく新しいソーシャル・オペレーティング・システムをゼロから開発しているという。もちろんFacebookのスマートフォンアプリは将来もAndroidデバイス向けに提供される。

Facebookのハードウェア担当バイスプレジデントのボズことAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏 は「次世代のコンピューティング環境に我々の場所を確保したい。市場やライバルに100%任せておくわけにはいかない。Facebook自身でそれをやる必要がある」と述べている。

Eye OS

独自OSを持てばFacebookはハードウェアにソーシャルな対話やプライバシーをさらに深く焼き込むことができるだろう。GoogleとFacebookが衝突した場合でも独自ガジェットの開発が挫折する危険を避けられる。FacebookはTechCrunchに対し「現在の目的はARヘッドセットを駆動(するOSの開発)だ」と述べた。ARデバイスの作動させるためにFacebookは独自開発だけでなく、他社との提携を含めてあらゆる選択肢を検討している。

Facebookが独自OSを持つこのメリットはほかにもある。Facebookへの囲い込みだ。FacebookはInstagramブランドのARヘッドセットを開発しているが、これが独自OSで作動するようになれば、買収した企業のエンジニアがスピンアウトすることを防ぐにも効果的だ。

Facebook Portal Lineup

FacebookはこれまでもVR/AR分野で独自のOSを所有していないことで痛い目にあってきた。 最大のライバルであるApple(アップル)やGoogleの好意に頼るしかないのはFacebookにとって極めて不利だ。プライバシーやデータ収集に関してアップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は繰り返しFacebookとマーク・ザッカーバーグ氏を批判してきた。 Voxの記事によれば、Facebookは2013年ごろモバイルOSの研究を進めていたという。これはOxygenと呼ばれる極秘プロジェクトで、Google Playストアを経由せずにFacebookアプリをAndroidデバイスに配布する方法を探るものだった。

しかしこうした試みは失敗に終わった。中でも目立ったのはFacebookがHTCと共同で開発したAndroidをフォークさせたOSの場合で、スマートフォンのHTC Firstもスマートホームを目指したFacebook Homeもきわめて評判が悪く、すぐに棚上げとなった。

テクノロジーの未来、AR/VRへの投資

こうした失敗からAR/VR開発の困難さを学んだFacebookは、独自デバイスの開発に本腰を入れることになった。本社の北24kmのバーリンゲームに、巨大なハードウェア開発キャンパスを建設したのだ。3500平方mにもおよぶこの施設は4000人の社員を収容できる。

TechCrunchの取材に対してFacebookは「ハードウェア開発チームは2020年下半期にこちらに移転する」と確認した。バーリンゲームにはラボ、プロタイプ製作施設、テストエリアなどが用意されている。現在FacebookのAR/VRチームはカリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州など全米各地に散在している。

PortalとOculusデバイスのセールスもさして爆発的でないこともあり、これまでFacebookのハードウェアに対する取り組みがどの程度真剣なものか疑問視する声もあった。Facebookはこの点についてコメントを避けている。

しかし来年は状況が大きく変わりそうだ。AR/VRデバイスのフラグシップがいよいよマーケットに登場する。私は一人称シューティングゲームの「Medal of Honor」(メダル オブ オナー) のOculus Quest版(2020年リリース予定)のプレビューを体験した。プレイしたのは1時間ほどだったが、第二次大戦の欧州戦線を舞台にしたこのゲームは私が体験した中で、単なるテクノロジーのデモに終わらず、何週間も楽しめそうな最初のVRゲームとなっていた。Medal of Honorは多くのゲーマーをOculus Questの購入に踏み切らせるのキラーアプリとなるかもしれない。

ソーシャルハードウェア

Facebookはエンタープライズ向けハードウェア体験の向上にも力を入れてきた。ビジネス向けFacebookのWorkplaceは今年始めに200万人のユーザーが登録しており、10月にはビデオコールをPortalに対応させた。発言者に自動的にズームするスマートカメラを利用すればとビジネスミーティングをリモートで開催するのも簡単になる。Informationの記事によれば、FacebookはVRを利用したビデオカンファレンスのプロトタイプを開発中で、ボスワース氏が自らテストしているという。

私の取材に対してFacebookはボスワース氏は、部内のイベントに2回VRで登場したことを認めた。またボスワース氏のチームのリーダー100人ほどがFacebookが開発したVRのQ&Aソフトを利用している。FacebookではVRを誰もが簡単に使えて信頼できるビジネスツールに仕上げ、VRでミーティングが可能になるよう努力している。

またハードウェア開発はFacebookのコアである広告事業にもフィードバックされている。OculusPortalのユーザー行動のデータを広告ターゲティングに利用する試みも始まっている。VRゲームでどんなアイテムを好んだか、バーチャル観光アプリでお気に入りのバケーションスポットはどこだったかなど、収益に結びつく広告の可能性は多数考えられる。

Facebookに取材したところでは、Portalディスプレイもログインしたユーザーの行動データを収集しており、通話回数や時刻、利用した機能などが広告ターゲティングに活用されている。例えば、ユーザーがビデオ通話をたびたび利用しているならそれに関連した広告が表示されることになるかもしれない。Oculusについても同様だ。

Facebookはユーザーが行動に移す前に頭の中で考えていることも知ろうとしている。脳とコンピュータを直結するインターフェイスサもかなり小型化してきた。これはセンサーで微弱な脳波を検知し、解析して言葉として認識できるようにしようというもので、当初冷蔵庫くらいのサイズがあったのが現在はノートパソコン程度になっている。もっともスマートフォンに導入できるのはまだだいぶ先だろう。

【略】

Facebookでは1分間100語程度のペースで「頭脳入力」ができるようにすることを目指しているという。

Oculusヘッドセット、スマートスクリーンのPortal脳直結入力システムなどの販売はFacebookが毎年広告から上げていている何十億ドルもの収入をもたらさないかもしれない。しかしこうしたハードウェアは明日のコンピューティング環境からFacebookが締め出されるリスクを大きく減らすものだ。VRのように完全に没入的であろうと、チャットに特化した便利なディスプレイであろうと、あらゆる場所に入り込める超小型センサーだろうと、Facebookはあらゆるデバイスをソーシャル化しようと考えている。どんなガジェットであれ、友達と一緒ならもっと楽しめるというのがFacebookの信念だ。 Facebookはテクノロジーデバイスが人間を孤立させるのを防ぎながら、当面少しずつでも利益を上げていく方針のようだ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Instagramが偽コンテンツを警告画面で遮蔽、ただし政治家は対象外

Instagramは政治家の偽情報拡散に対して、親会社のFacebook同じ自由を与えようとしている。Instagramは米国での限定的なファクトチェッキング(事実確認)テストを5月以降拡大してきた。このほど45のサードパーティー組織と協力して、アプリ内の写真やビデオコンテンツの真実性を審査する。偽物と判定されたコンテンツは「発見」タブおよびハッシュタグページから除外され、フィードやストーリーではコンテンツが警告画面に覆われ、ユーザーがタップするまで表示されなくなる。

これは偽コンテンツへのリンクに警告を付加するだけで、ユーザーがすぐに内容を見ることができるFacebookのやり方と比べて大きく前進している。10月にFacebookは、Instagramと同様のインタースティシャル(画面を占有する)警告システムを採用することを発表した。

Instagramは画像マッチング技術を使って偽コンテンツの複製にも同じラベルを付け、これをFacebookとInstagramのコンテンツを横断して行う。このことは、会社を分割してInstagramを分離させようとしている規制当局に対してFacebookが反論する際の論点になるかもしれない。一方でこれは、インターネットを守る価値あるスケールメリットであるとも言える。FacebookとInstagramとWhatsAppを分割することは、リソースの断片化を助長する恐れがある一方、競争によってアプリの自制を促す可能性もある。

Instagramはシステム全体にわたる安全対策の強化を目指している。今日(米国時間12/16)からInstagramは、写真やビデオのキャプションが侮辱的あるいはいじめにつながる可能性がある場合、警告を与えて投稿前に編集する機会を与える。今年Instagramはコメントについてこれと同じことをすでに始めている。さらにInstagramは、新規ユーザーの年齢を尋ね、13際以上であることを確認するようになった。これは以前私が必要だと書いていたことで、さもないと児童オンラインプライバシー保護法違反の罰金を課されるものだった。

しかし、このファクトチェッキングを免除される集団の1つが政治家だ。政治家のコンテンツは、広告を含め、たとえ明らかに不正確であっても、ファクトチェッキングの対象にならない。これは本誌を始めとする批評家から多くの反感を買ったFacebookのポリシーとも一致している。これには候補者がライバルを陥れたり、分極化を促したり、嘘によって資金を集める可能性がある。InstagramのCEO Adam Mosseri(アダム・モッセーリ)氏は、政治広告を禁止すれば宣伝を必要とするライバル候補者を困らせる可能性があり、また政治広告と意見広告の線引は困難であると主張した

幸いInstagramはこの点では危険性が低い。なぜならフィードの投稿からは、政治家が資金集めを行う外部ウェブサイトに直接リンクできないからだ。しかし、認証済みユーザーはストーリーにリンクを付加することが可能であり、誰でもプロフィールにリンクを1つ置くことができる。これは、Instagramを使う政治家が意図的に偽情報を兵器化し、真実を欺きInstagramで見るものを信じられるという人々の認識に乗じて、政治家がキャンペーンを拡大する可能性が残っていることを意味している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookがVR造形ツール「Oculus Medium」をアドビへ売却

Facebookは、クリエーター向けの3Dバーチャルリアリティ彫刻ツール「Oculus Medium」をAdobe(アドビ)に売却した。Facebook傘下のOculusは、このチームに多大なエネルギーを注ぎ込んできた。それを売却することは、Facebookが社内でのVRプロジェクトの取り組み対し、広範囲に再考中であることを意味している。

Oculusは、長年にわたって非常に多くの資金をMediumにつぎ込んできたことは明らかだ。今回の売却は、Oculus Mediumチームにとって、歓迎すべきことではないだろう。このかなりニッチなソフトウェアに対する買収額が、その投資に見合った金額だったとしても。契約の条件は明らかにされていないので、Adobeがどのような取引を成立させたのかは不明だ。

幸いなのは、FacebookがあえてMediumをうまくスピンアウトさせる方策を取ったこと。以前FacebookがOculus Story Studioを廃棄した際には、同社は従業員をひそかに解雇していた。Mediumは小さなコミュニティで好まれている。Adobeが、これを自ら同社の他の製品と統合することは、かなり理にかなっている。間違いなく、より良いソフトウェアになるはずだ。今後もMediumが生き続けることが分かって、ほっとしている。

「Beat Saber」のメーカー、Beat Gamesの買収後にMediumを売却したのは、現時点でOculusのVRコンテンツ戦略を要約するような動きだ。つまり、ゲーム以外のクリエイティブツールには新たな投資は行わず、映画レベルのVRコンテンツの優先順位は低く、Facebookはタイトル数を増やすためにもっと多くのゲームスタジオを買収する準備をしているということ。長年にわたって、遠い未来のことだけを語ってきた部門にとって、これはおそらく実際のハードウェア上での見栄えを重視するという、現実的な戦略なのだ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookは広告による差別への対策を拡大

ACLUや他の公民権団体との今年初めの和解条件に基づき、Facebookは差別的な広告ターゲティングを防ぐための措置を講じてきた。

画像クレジット:Getty Images

具体的には、「住宅、求人、貸付といった米国内の広告は、もはや年齢、性別、郵便番号、あるいは文化的多様性に基づいてターゲティングすることができない」と同社は述べている。また、そうしたカテゴリに関連する、より詳細なターゲティングもできなくなっているという。

米国時間の12月3日、Facebookは、同社の広告製品マーケティング担当副社長のGraham Mudd(グラハム・マッド)氏が「差別を削減し排除するための取り組みにおける次のマイルストーン」と表現したことの内容について発表した。

1つ目は、こうしたルールの適用をFacebook Ad Managerだけでなく、誰かがFacebook上の広告を購入する可能性のある他のすべての場所にも拡げていること。つまり、Ads Managerアプリ、Instagram Promote、Facebook Pages上の広告作成ツール、サードパーティの広告購入ツールが利用するFacebook Marketing APIなどだ。

2つ目に、当初は政治的な虚報に対する懸念に対処するために作成した、検索可能な広告ライブラリを拡大して米国内のユーザーをターゲットにした住宅広告も対象となるようにした。

その結果、もし規制当局や公民権団体、ジャーナリスト、その他だれでも、企業が実際にどのようにFacebookを利用して住宅販売の広告を出しているのかを確認したければ、アーカイブを確認できるようになった。これに関するライブラリは、米国時間12月4日以降に広告のアーカイブを開始する。Facebookによれば、いずれは求人や貸付の広告も含める予定だという。

マッド氏は、広告主が新しいルールの中でどのように仕事を進めるべきかを理解するのを、Facebookとして手助けしているとも語っている。またこれを、差別と戦うための「正しいトレードオフ」であると表現する一方で、年齢や性別に基づいたターゲティングを使用しながら「非常に合理的かつ合法的な非差別的広告手法」がこれまでもあったし、今もあることを示唆している。

また現状では、広告主は「こうした制約を考慮した上で、プラットフォームの使い方を再学習しなければならない」とも述べた。

関連記事:米住宅省が住宅広告におけるFacebookの広告ターゲティングを差別として告訴

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが災害対応ツールを拡張し、WhatsAppと統合

これまで80あまりの国の300件の災害で通信のために利用されてきたFacebookのCrisis Response機能が拡張される。米国時間12月2日に発表された新しい機能の中には、WhatsAppの統合、現地体験情報のサポートと共有、人道支援データに災害や避難などに関連した地図を含めるといった内容が含まれる。

Crisis Responseは最初、災害時に家族や友だちが連絡し合うささやかな機能だった。2年前にFacebookはそれらのSafety Check(安全確認)、Community Help(コミュニティ支援)、Fundraisers(募金)などのツールを、中心的なハブであるCrisis Responseへとまとめた。

本日、Crisis Responseに新たに加わったのは、被災地の人々が見たものや考えたことなどの体験情報を共有する機能だ。それらは例えば、建物の倒壊や道路の封鎖といった情報だ。これまでは、援助の要求とそれらへの対応という通信がメインだったが、これからは災害そのものの情報が加わる。

さらに、FacebookのCrisis ResponseがWhatsAppから使えるようになる。ただし、まだ浅い統合で、すべての機能ではない。ヘルプのリクエストをFacebook MessengerだけでなくWhatsAppのメッセージでも送れる程度のことだ。

Facebookの人道支援データツールであるData for Goodが、100あまりの企業団体とのパートナーシップにより拡大される。また災害地図の提供により、救援団体が支援物資の送り先を知ることができる。それらのまとめられたデータの上では、人名は匿名化されている。

Facebookによると、今回のアップデートでCrisis Responseは国や地方の行政も利用できるようになる。とくに米国では、Crisis Responseは災害救援NPOのDirect ReliefやNational Alliance for Public Safety GIS(NAPSG)Foundationもパートナーになっている。

災害地図も改良され、特ににInternational Displacement Monitoring Centreの協力により、国内避難民関連の情報が地図上でわかるようになる。また通勤のパターンや観光客の人口などの情報も、より正しくなった。新しい機能は現在展開中だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが写真をGoogleフォトに移行するツールをアイルランドで提供開始

それは友達のポータビリティーではなかったが、Facebookは米国時間12月2日「写真ポータビリティー」のツールを発表した。ユーザーはFacebook上の写真をGoogleの写真ストレージサービスに直接エクスポートできる。なお、データは暗号化して転送される。

新機能はまずアイルランドのFacebookユーザーに公開される。Facebook本社の所在地だ。現在まだテスト中でありユーザーのフィードバックを基に微調整を進め、2020年前半には「全世界に提供」する計画だとFacebookは表明している。

同社はさらに、転送先の写真ストレージサービスとして、将来はGoogleフォト以外のサービスも追加する可能性を示唆している。

Facebookによるとこのツールは、昨年始まったIT巨人5社、すなわちApple、Facebook、Google、Microsoft、Twitterが支援するData Transfer Projectという共同プロジェクトに参加する中で開発されたコードをベースにしている。同プロジェクトは「どのプラットフォーム間でも、ユーザー主導でシームレスに直接データを移行できる共通フレームワークをオープンソースコードで作る」ことを約束している。

Facebookは去る9月に発行した白書にも言及した。白書では移行を可能にすべきデータのタイプ、および「他のプロバイダーに移行する際に誰が責任を持ってデータを守るか」に関する「明確な規定」の必要性を主張している。

もちろんこうした行動の向こうには、反トラスト規制の脅威が待ち受けており、各社の市場、ユーザーおよびデータの囲い込みについて、大西洋の両岸で規制当局が目を光らせている。

Facebookが白書で、移行ツールは「オンラインサービス間の競争を活性化させる」ためだと表現していたのもそのためだ(ただし提示される「選択肢」が別のIT巨人にデータを移行することなら、競争状態の再編成にはなりそうにない)。

ユーザーのアップロードしたデータを移行できることによって「支配的サービスから移動できることが可能だとユーザーが感じられる」というのはたしかにそのとおりだ。

しかし、そこには偽装もある。特に、問題になっているプラットフォームがFacebookのようなソーシャルネットワークであり(この種のサービスに人を留めているのは他のユーザーである)、データの生み出した価値は写真そのものが他の場所に移っても維持されるからだ。

Facebookはユーザーがアップロードした写真などのデータを処理して個人的な知見を得ることによって、広告ターゲティングのためのプロファイリングを行っている。つまり、たとえ写真を他に送ったとしても、Facebookがすでに処理した自撮りや赤ん坊やペットの写真から学習した内容はなくならないさらに、移行ツールはデータの複製を送るのであって、元のデータはユーザーがさらに行動を起こさない限り(アカウント削除など)Facebookはユーザーの写真を持ち続ける。

Facebookは、写真などの個人データに基づいて同社が推測した内容の移行や利用する権利について、ユーザーは何の制御権も与えられていない。あるいは、ユーザーのFacebookの利用形態やインターネット全般の閲覧状況を分析して得られた知見についてもユーザーは何もできない。Facebookはソーシャルプラグインやピクセルの追跡などの手段によって、ユーザーだけでなくユーザー以外の行動も追跡している。

同社のターゲット広告事業が、ユーザー追跡(別名個人データ処理)の膨大な副産物に支えられていることを踏まえると、サブメニューのどこかに埋もれた移行ツールを提供して、ごく一部の物知りユーザーがクリックして別のIT巨人に写真を送り込んだとしてもリスクはほとんどない。

むしろ、将来別のプラットフォームから同じようにデータが送り込まれてくる利益に期待しているかもしれない。「このサービスによって、白書に記載したプライバシー問題に関する議論が高まることを期待している」とFacebookは記載している。「これは当社だけではできないことなので、もっと多くの会社がData Transfer Projectに参加して、データ移行のイノベーションを起こすことを期待している」。

デジタル市場の刷新を目指す規制当局は、こうした利己的な取組みの表面下を探り、プラットフォームの支配力を抑止する意味のある手段であるかどうかを見極める必要がある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「投稿は偽物」と断じたシンガポール政府の命令にFacebookが屈する

Facebook(フェイスブック)は、フリンジニュースサイト(主流ではないニュースサイト)の投稿に訂正通知を追加した。この投稿については、シンガポール政府が虚偽の情報を含んでいると主張している。同政府が「フェイクニュース」に対して国境を越えて新法を適用するのは初めてだ。

シンガポール政府によると、フリンジニュースサイトのStates Times Review(STR)の投稿には「中傷的な非難」が含まれているという。同サイトの投稿には、内部告発者とされる人物の逮捕と選挙不正を非難する内容が含まれている。

シンガポール当局は以前、STRの編集者であるAlex Tan(アレックス・タン)氏に投稿の修正を命じたが、オーストラリア国民である同氏は「外国政府からのいかなる命令にも従わない」と述べた。シンガポール生まれのタン氏は、自身はオーストラリア在住のオーストラリア国民であり法律の対象外だと述べた。フォローアップの投稿で同氏は「不当な法律はすべて無視し、抵抗する」と述べた。同氏は、Twitter、LinkedIn、Google Docsにも記事を投稿し、シンガポール政府はそれらにも修正を命じるべきだと抗議した。

Facebookの通知には「この投稿には虚偽の情報があるとのシンガポール政府の主張を、Facebookは法律に従い通知する義務がある」とある。通知は投稿の下部に新たに表示されたが、投稿の内容そのものには変更はない。シンガポールのソーシャルメディアユーザーのみが通知を見ることができる。

Facebookは声明で「フェイクニュース」防止法の下で必要な表示を行ったと述べた。正式名称である「オンラインの虚偽情報および情報操作防止法」は10月に施行された。

Facebookの「透明性レポート」によると、政府が現地法違反だと主張するコンテンツをFacebookがブロックすることはよくあり、今年6月までに世界で1万8000件近いケースがあった。

シンガポールにアジア本部があるFacebookは、法律は表現の自由に影響を与えないと政府が保証することにより「明確で透明なアプローチで運用される」ことを期待すると表明した。

法律違反には重い罰金に加え、最長5年の懲役の可能性がある。偽のアカウントやボットを使用して偽のニュースを広めることも禁じており、罰金は最高で100万シンガポールドル(約8000万円)および最長10年の懲役だ。同法がシンガポール国内外問わず表現の自由を危険にさらすと批判する向きもある。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

FacebookとInstagram、Messengerが世界中でダウン

米国時間11月28日の朝、Facebook(フェイスブック)が所有するさまざまなサービスで問題を経験したら、それはあなただけではない。Instagram(インスタグラム)、Messenger(メッセンジャー)、およびFacebook自体に影響を与える、大規模なサービス停止が発生しているようだ。

アプリは動作しているように見えるが、実際にはデータが取得できず、サーバがダウンする前にキャッシュされたものを表示しているだけだと多くのユーザーが報告している。また他のユーザーは、ページを読み込むことさえできない。

一方、Messengerのメッセージの場合にはいつまでも送られてこない状態のままだ友人との連絡にMessengerを使っているなら、プラットフォームを少し変えてみるのもいいかもしれない。

Down Detectorのユーザーレポートは、サービスダウンが太平洋の午前6時頃に始まったことを示唆している。また、InstagramはTwitter(ツイッター)にてサービス停止を認めた。

[原文へ]
(翻訳:塚本直樹 Twitter

ユーザー が報酬をもらえる生活状況調査プログラム「Facebook Viewpoints」がスタート

Facebookは、ユーザーが報酬をもらえる新しい市場調査・製品テストプログラムを始める。米国時間11月25日から米国在住で18歳以上のユーザーは、Viewpointsアプリをダウンロードして生活状況に関する質問に答えることで、Facebookが「ソーシャルメディアの与えるマイナスの影響を抑え、恩恵を拡大する」手助けができる。ほかにも、Facebookのオンライン作業を手伝ったり、新しいアプリやデバイスを公開前に試してFacebookの改善に協力する機会を得られる。

生活状況調査にはおよそ15分かかり、ユーザーは1000ポイントを獲得しPayPalを通じて5ドルに換金できる。興味のある人はここでViewpointsに登録できる。集めたデータは内部で利用するだけで売ることはないと会社は言っている。Facebook ViewpointsのアプリはiOSAndroidで利用可能で、来年から他の国にも拡大していく計画だと同社は表明している。

問題は、ユーザーがこれ以上Facebookにデータを渡すことに抵抗を感じないかだ。すでに多くの人達がFacebookに不安を感じている、金銭的インセンティブが分別を覆すかもしれない。

いずれにせよFacebookはアプリが乱用されることを防ぐ必要がある。最も重要なのは、未成年者が紛れ込まないようにする方法を確立することだ。子どもたちのほうが現金の誘惑に駆られやすく、自分の情報を渡すことの危険に対する関心も低い。

私もViewpointsを試してみたが、生活状況調査にもほかの作業にも招待されなかったので、報酬を得ることもやってみることもできなかった。一部の調査は特定の地域や年齢層に限定されているためだ。現在はFacebookアカウントでしかログインできないが、Googleや電話番号、メールアドレスによるログインボタンがグレイ表示されていて、近く利用できるようになるとFacebookは言っている。支払い処理には最大10日間かかり、ポイントは5年で失効する。Facebookはユーザーがアプリを通じて提供した情報を一切公開しない。

今回のViewpointsの公開は、Facebookが有料市場調査プログラムの”Research”と、ユーザーのデータを収集する無料VPNサービスのOnavoを終了したのを受けたものだ。TechCrunchは同社がAppleの規則を破り社内専用アプリを外部に配布して未成年者に報酬を支払っていたことを発見し、それがきっかけで中止に至った。

Facebookは、6月に「Study From Facebook」という名前で市場調査プログラムを再開し、子供の利用を許さないことを確約した。 ところが流出した裁判文書によってFacebookがOnavoで集めたデータを意図的に利用して競争相手のデータ利用を阻止しようとしていたたことが発覚した。ライバルを不利にさせたことで消費者はソーシャルアプリの選択権を奪われた可能性があるとして、現在Facebookは反トラスト法違反の疑いで捜査を受けている。

関連記事:若者に金を払い彼らをスパイするアプリをインストールさせるFacebook

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook