iPhoneハッキングは中国政府によるウイグルのムスリム攻撃の疑い

この2年半、iPhoneをハッキングするために多数の多数の悪意あるウェブサイトが作られてきたと Googleが発表したことをTechCrunchは先週報じた。

この問題に詳しい情報源はこうしたサイトの一部はウイグルのムスリムをターゲットとしており、国家的背景があったと考えていることをTechchCrunchはつかんだ。おそらくは新疆ウイグル自治区のムスリムコミュニティに対する中国政府の攻撃の一環だという。

そうであれば、近年繰り返されてきた中国政府によるムスリムマイノリティ迫害の新たな例だ。国連人権理事会が「ウイグルで100万人以上のムスリム住民が不当に拘束されている」として北京政府に強く抗議したことを先週 WSJが報じたところだ。

iPhoneをハッキングするための悪意あるサイトを発見したのはGoogleのセキュリティ専門家だが、これまで誰をターゲットとしているのか明らかでなかった。

Googleが発見したサイトは訪問してページを開くだけでサーバーが訪問者のデバイスをハッキングし、ユーザーの活動をモニタリングを行うマルウェアを埋め込むブービートラップ式攻撃を行うという。ひとたび感染するとiPhoneのソフトウェアに無制限のアクセスが可能となり、攻撃者はユーザーのメッセージ、パスワード、位置情報などをほとんどリアルタイムで知ることができるようになる。

この攻撃を可能にしたiOSの脆弱性についてGoogleがAppleに密かに警告したため、 同社はiOS 12.1.4のアップデートで修正したという。この攻撃が行われたのは今年2月だったが、明らかになったのは先週だ。

こうした悪意あるウェブサイトへの訪問者は「少なくとも2年間にわたって毎週数千人いた」とGoogleは述べている

米国時間9月1日、Forbes(フォーブス)も我々の記事を受けて、 このハッキングの事実を確認した。iPhoneだけでなく、AndroidやWindowsのユーザーもターゲットだったという。この攻撃は当初Googleが発表したよりはるかに広範にウイグルの住民をターゲットとしたものとフォーブスの記事は示唆している。

被害者は悪意あるサイトへのリンクを開くよう誘い込まれる。サイトがユーザーのデバイスに読み込まれるとマルウェアに感染してしまう。これはスパイウェアを仕込むためによく用いられるテクニックだ。

TechCrunchが取材した情報源によれば、マルウェアを含むサイトはGoogleにインデクシングされるため、ウイグル住民だけでなく、Google検索から偶然サイトを開いたユーザーのデバイスにも感染するという。このためFBIはGoogleにこうした悪意あるサイトを検索結果の表示から削除するよう要請した。

Googleの広報担当者は公表された事実以上のコメントを避けた。 FBIの広報も報道に対して「肯定も否定もしない」方針だと述べた。

これらのサイトは訪問しただけで無差別にユーザーが被害を受ける「ウォーターホール攻撃」であるため危険度が高かった。ブログ記事を公開した後、Googleは「なぜサイト名などの詳細を発表しなかったのか?」と一部から批判された。またGoogleはこの攻撃を行った容疑者についても沈黙している。

Appleはこの件についてコメントを避けた。ニューヨーク市の中国領事館に対してメールでコメントを求めたがこれにも回答がない。

アップデート:フォーブスの記事を受けて関連する部分を補足した。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

休んでいる人にメールしようとしたらGmailは送信の前にそれを教えてくれる

休んでいることを知らずに同僚にメールしてダルい思いをすることは誰にもある。「不在」の自動応答が来たときに、同僚がハワイに行くと言ってたことを思い出し、自分の馬鹿さ加減にあきれる。それから「これちょっと手伝ってくれない?」「いいよ、旅を楽しんでね」のスレッドが大量に発生するのだ。

Google(グーグル)は今度の新しい機能で、G Suiteのユーザーにはこれが頻繁に起きないようにしようとしている。G Suiteとは、有料の企業ユーザーとしてGmail、Docs、Hangouts、Calendarなどなどを使うことだ。その中のCalendar(カレンダー)に、しばらくいないことをマークしておくと、同僚たちのところには、彼らがメールをする前に通知が行く。

その注意書きは、黄色のバナーで「送信」ボタンの右上に出る。そこには、その人が今いないことと、いつ帰るかが書かれている。

Hangouts(ハングアウト)でも、メッセージを送ろうとすると注意書きが出る。

この機能は、Googleがカレンダーに昨年導入した不在通知を利用している。これまでは、カレンダーに不在通知をマークしておくと、自動的に会議への出席を断ることができた。

ほとんどの人が、赤の他人に自分の休暇プランを教えたくないだろうから、メールとハングアウトのこの注意書き機能は、あなたのカレンダーへのアクセスを認められているG Suiteのユーザーに限定される。つまりそれは、各人がすでに持ってる情報だけど、何もしなければ知らないままというタイプの情報だ。

黄色いバナーが仕事の邪魔だ、という人は、カレンダーの「アクセス許可」のところで「他人のカレンダー情報を見る」を無効にすればいい。

この機能がG Suiteの全ユーザーに行き渡るのは9月16日だそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グーグルが AndroidアプリやChrome拡張機能の脆弱性発見に報奨金支払いへ

Google(グーグル)は、同社のプラットフォームを使用したデータの不正使用の「検証可能かつ明白な証拠」を発見したセキュリティ研究者に、報奨金を支払う。

これは、AndroidアプリやChrome拡張機能を通じて収集されたユーザーデータを悪用したハッカーを捕らえようとする同社の取り組みの一環であり、2016年の米国大統領選挙中に何百万ものFacebookプロフィールが削除され、浮動票を誘導するのに使われたCambridge Analyticaのようなスキャンダルの再現を避けるためだ。

Googleによると「ユーザーデータが予期せず使用または販売されたり、ユーザーの同意なしに不正な方法で転用されたりする状況」を特定した研究者は誰でも、データ悪用に関する報奨金の対象になる。

ブログ投稿によれば、「アプリやChrome拡張機能に関連するデータ悪用が確認された場合、そのアプリや拡張機能はGoogle PlayやGoogle Chrome Web Storeから適時削除される」としている。「アプリ開発者がGmailの制限範囲へのアクセスを乱用した場合、APIアクセスは削除される」。同社は、開発者向けAPIの悪用もバグ報奨金の対象になると表明した。

Googleは報奨金の一覧をまだ提供していないが、データの不正使用に関する一つの報告が5万ドル(約530万円)の報奨金となる可能性があるという。

今回の報奨金の拡大のニュースは、ブラウザ拡張機能が数百万人のユーザーからデータを収集して共有していた、DataSpiiのスキャンダルを受けたものだ。これらのChrome拡張機能は、ユーザーが訪れたすべてのサイトのアドレスとページタイトルをアップロードし、所得申告、医療データ、旅行日程などの機密データを公開した。

GoogleはChrome拡張機能の問題により、一時的に利用を停止したことがある。Instagramは最近、相次ぐデータ関連の事件を受けて、ユーザーデータの悪用を含む独自のバグ報奨金を拡大した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

トップチャートに入るには?ダウンロード数で見るストアアプリ人気の国際的傾向

Apple(アップル)は、2017年秋のApp Storeの大きなリニューアル以降、消費者の注目を、トップチャートからお勧めのコンテンツに移そうとしてきた。しかし、アプリのデベロッパーは、相変わらずNo.1になることを目指している。アプリストアの調査会社、Sensor Towerによる新たな調査結果によれば、ここ数年で、ゲーム以外のアプリについては、ランキングトップになることが以前よりも易しくなっているように見える。

具体的に言うと、米国のiPhoneのApp Storeでは、ゲーム以外のアプリが1位になるのに必要な1日のダウンロード数の中央値は、2018年の間に13万6000から9万へと約34%減少した。その後、今年になってからは、それが9万4000となり4%ほど増加している。

同時期に、米国のApp Storeでのゲーム以外のアプリのインストール数は、2016年の第1四半期から2019年の第1四半期の間に33%増加している。

こうしたSensor Towerによる調査結果を見れば、米国市場では、上位のソーシャルアプリやメッセージングアプリは、すでに飽和状態になっていることがわかる。FacebookやMessengerのダウンロード数は、むしろ徐々に減り続けているのだ。さらに、SnapchatやBitmojiが、2016年から2017年にかけて達成したのと同じレベルの成功を収めたアプリは他にないことも、そのレポートが示している。

例えばMessengerは、2016年11月に米国のApp Storeでの1カ月間のインストール件数が500万に達した。BitmojiとSnapchatは、それぞれ2016年8月と2017年3月に、やはり500万件のインストールを達成している。そして2017年3月以降、ゲーム以外のアプリが、1か月で350万件のインストールを超えたことはない。

一方、Google Playで1位を獲得するために必要なダウンロード数の減少は、さらに大きなものだった。ゲーム以外の上位アプリの1日あたりのダウンロード数の中央値は、2016年の20万9000件から、2019年のこれまでの7万4000件へと、65%も減少している。

やはりGoogle Playでも、Messenger、Facebook、Snapchat、Pandora、Instagramなど、トップアプリのインストール数は減少した。例えば、Messengerの年間インストール数は、2016年には約8000万件もあったが、2018年には2600万件へと68%減少している。

ゲームの場合

ただし、モバイルゲームに関しては2つのアプリストアで状況が異なっている。

AppleのApp Storeの場合、2019年にはゲームのランキングのトップに達するには、1日のダウンロード数が17万4000件必要となっている。これは、ゲーム以外のアプリがチャートのトップに達するのに必要な9万4000件より85%も多い。

Sensor Towerによれば、この数字は、2016年にチャートのトップに立つために必要だった1日のダウロード数の中央値、11万8000件よりも47%多くなっている。

ある部分では、このような傾向は、ハイパーカジュアルゲームの台頭によるもの。2019年になってから今日まで、米国のApp Storeで1位になったゲームは28本ある。その中で、4本を除く残りすべてが、ハイパーカジュアルゲームなのだ。そしてその4本のうち、1日以上に渡ってチャートのトップに留まったのは「ハリー・ポッター:魔法同盟」だけ。その一方で、「aquapark.io」や「Color Bump 3D」といったハイパーカジュアルゲームは、それぞれ1位を25日と30日の間維持している。

Google Playの場合、1位を獲得するための1日あたりのインストール数の中央値は、2017年には7万件だったものが、2019年のこれまでのところでは11万6000件に増加している。上げ幅は66%だ。ただし、ゲーム全体のダウンロード数は、2017年第1四半期には6億4600万件だったものが、2019年第1四半期には5億4400万件になり16%減少している。

やはり同じように、今年トップの座を獲得した23本のゲームのうち、21本がハイパーカジュアルのタイトルだった。たとえば「Words Story」や「Traffic Run!」のようなものだ。

トップ10に入るには

ここ数年の傾向として、ゲーム以外のアプリがチャートのトップに立つことは、だんだん容易になってきているものの、逆にトップ10に入るのは難しくなっている。ゲーム以外の無料アプリで10位になるために必要な1日のダウンロード数の中央値は、米国のApp Storeで2016年には4万4000件だったが2019年には4万9000件になり11%の増加が見られる。

一方のGoogle Playでは、ゲーム以外のアプリが10位になるための1日のインストール数の中央値は、2016年の5万5000件から、2019年には3万1000件と50%近くも減少している。

ゲームの場合、まずApp Storeでは10位になるための1日あたりのインストール数の中央値は、2016年の2万5000件が2019年のこれまででは4万3000件になり72%も増加している。これがGoogle Playでは、2万7000件から3万4000件へと26%の増加にとどまる。

トップ10に入るのが難しいカテゴリ

トップ10に入る難しさをカテゴリ別に見てみると、App Storeでは「写真/ビデオ」がもっとも敷居が高い。このカテゴリには、YouTube、Instagram、TikTok、さらにSnapchatなどが常駐していることもあり、10位に入るだけでも、1日のダウンロード数の中央値が1万6000を超える必要がある。

その次が「ショッピング」で、10位のアプリのダウンロード数が1万5300、さらに「ソーシャルネットワーキング」の同1万4500、「エンターテインメント」の同1万2600、「仕事効率化」の同1万2400と続く。

一方のGoogle Playでは、Hulu、Netflix、Bitmojiなどが入る「エンタメ」カテゴリでは、米国で10位に入るためには1日あたり約1万7100件のインストールが必要となる。これに続くのが、「ショッピング」の1万800件、「ソーシャルネットワーク」の9100件、「音楽&オーディオ」の8200件、そして「ファイナンス」の8000件となっている。

米国以外では

米国以外の市場にも目を向けてみよう。ゲーム以外のアプリでは、中国のApp Storeでトップ10に入るためには、約9万1000のダウンロードが必要となる。これは、米国でトップ10に入るために必要な4万9000よりもずっと多い。 ただしゲームに関しては、トップ10に入るのは、米国がもっとも難しく、1日あたりのダウンロードの中央値で4万3000が必要となっている。

Google Playの場合には、トップ10に入るのに最もハードルが高い国はインドだ。一般のアプリでは、1日あたり25万6000件、ゲームでは11万7000件のダウンロードを必要とする。

もちろん、App Storeのランキングのアルゴリズムは、アプリのダウンロード数のみに依存しているわけではない。Google Playでもそれは同様だ。Appleでは、ドキュメント化されているわけではないものの、ダウンロード数とともに増加の速度を考慮しているようだ。Google Playでも似たような方式だと考えられる。

しかし最近では、デベロッパーはチャートのトップになるよりも、ストアの検索結果で上位に表示されることを目指している。そのためには、ダウンロード数以外にも、かなり多くの要素が絡んでくる。例えば、キーワード、説明、ユーザーのエンゲージメント、アプリの品質、その他多くの要因を考慮しなければならない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

GoogleがNestのドアベル用カメラに荷物検知機能を追加

Nest(ネスト)のGoogle(グーグル)ブランドへの移行は、もう少し改善されるかもしれない。これに関してGoogleは、エコシステムに魅力的なソフトウェア機能を追加し続けると約束しており、また米国時間8月27日の朝の発表はかなり良いスタートだ。

同社はNest Awareを購読しているNest Helloのユーザー向けに、荷物検出機能を追加すると発表した。荷物の集荷や配達の追跡に利用できるこの機能は、今日からユーザーに公開される。

ここで特に興味深いのは、荷物が通常配達される上り段や玄関の場所を区別するために「Activity Zones」を設定する機能だ。これは、既存のNest Aware機能を次のように活用する。

Activity Zonesでは、ゾーン内で重要な動きがあったときにカメラからアラートを送信したり、ビデオ履歴のタイムラインを記録できる。また、独自のカスタムゾーンを設定したり、あるいはNestが自動的にゾーンを作成するので、より正確かつ意味のあるアラートを受け取ることができる。

荷物が届いたり集荷されたりすると、Next Awareから通知が送られる。また、アプリは機能が有効になったことを通知し、ユーザーはそれをオン/オフすることができる。

この機能を最大限に活用するには、Helloのビデオストリームにパッケージが表示され、現場が明るいことを確認することをお勧めする。表示されない場合は、Helloの角度を変更する付属品のウェッジを利用するか、Helloのカメラを邪魔している物体を取り除く必要がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Google マップに自転車とライドシェアのオプションが追加、複数モードでの乗り換えを表示

Google(グーグル)は、ライドシェアと自転車のオプションを交通案内と組み合わせたコンボナビゲーションを導入する。米国時間8月27日から、Google マップで道順を検索して 「乗り換え」 をタップすると、最寄り駅への徒歩での移動がすこし遠い場合に、ライドシェアのオプションが表示されるようになる。同様に、特定の区間では自転車の提案があるルートも表示され、同一手段での乗り換えと一緒に表示される。

新しいハイブリッドナビゲーションのオプションには、ライドシェアの価格、待ち時間、交通状況などが含まれる。地域で利用可能なライドシェアのプロバイダを指定したり、希望の方法(つまり、安価またはエコノミー)を選択することもできる。

自転車利用者は、自転車が通るのに最適な道順を知ることができ、どちらの場合も、利用可能な情報はすべてETA(予測到着時間)から提供されるため、目的地にいつ到着する必要があるかにおうじて、どの経路や交通手段を利用するかを、十分な情報にもとづいて決定することができる。

Googleによると、乗り換え/ライドシェアの複合ナビゲーションは今日からAndroidとiOSの両方でロールアウトされ、自転車のオプションはiOSユーザーには今日から、Androidユーザーには数週間以内に提供される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Android 10からはお菓子の名前をバージョンの愛称にすることを廃止

ネーミングにデザートの名前を使うことは、Googleの一番愛された伝統のひとつだ。中には疑問符が付くのもあったが。同社のモバイルオペレーティングシステムは、新しいバージョンが出るたびに、今度はどんなスイーツの名前になるのだろう?という推測で盛り上がった。でも、名前がPで始まるお菓子はたくさんあったけど、その次のQは難問だ。

Quiche(キッシュ)はお菓子ではないし、その点ではQuesadillas(ケサディーヤ)やQuinoa(キヌア)も同じだ。では次のリリースはどうするか。おおいに悩んだGoogleはついに、スイーツの名前という長年愛されてきた方針を捨てた。もちろん、Googleが挙げる捨てる理由は「Qで始まるお菓子を思いつきませんでした」という率直なものではない。

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代わりに同社が挙げるのは、デザートの名前は世界中で25億台も現役で使用されているデバイスの愛称として普遍性がないというものだ。

かなり前から、世界には特定の名前が理解されない地域や民族もある、というフィードバックをいただいてきた。たとえば一部の言語の話し言葉では、LとRが区別されない。

なので「Androidの次のバージョンはAndroid Lollipopだ」と我々が大声で言っても、それがKitKatの次のバージョンであることが伝わらない人たちがいる。またAndroidの新しいユーザーには、この命名の慣行をまったく知らない人も多いので、それが自分のスマートフォンに載っている最新バージョンのオペレーティングシステムであることが、全然理解されない。それに、世界にはパイ(Pie)がお菓子ではない地域があるし、我々にとってはおいしいマシュマロ(Marshmallow)も、日常的に食べられていない地域が世界には多い。

関連記事:Android Pieよりはマシだったかもしれない名前を考えてみた

もちろん、オンラインの時代においては普遍性は明確でない概念だ。例えば、Appleという今やグローバルな商標は最初、カリフォルニアをテーマとするデスクトップOSの名前だった。でも率直に言えば、今のペーパーバックのスパイ小説みたいな政治的風土の中では、Qの文字を最初から避けたほうが良かったかもしれない。それに同社が市販のお菓子の商品名Raisinetes(レジネッツ)やSkittles(スキットルズ)やTwizzlers(トウィズラーズ)を使うことを、想像したくないね。

そして今度からは、Androidの商標のデザインがやや変わって文字がグリーンから黒になる。それについて同社は「小さな変更だが、グリーンは目の不自由な人たちなどにとって読みづらいことがわかった。また、文字と同じ色だとロゴが目立たないので、文字の色とのコントラストを改善した」とコメントしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが「中国政府は香港へのデマ拡散、不穏化にYouTubeを組織的に利用」と発表

Googleは中国政府がYouTubeを利用して香港のデモ参加者の間に「不和と混乱をもたらそうとしている」と発表したが、これに続いてビデオプラットフォーム、YouTubeのアカウント210件の削除が発表された。

今週始め、TwitterとFacebookは、中国政府がソーシャルメディアサイトを使って香港情勢に関連してフェイクニュースなどニセ情報を拡散し、デモの弱体化を図っていると発表した。Googleグループの有力メンバーであるYouTubeもこれに続くこととなった。一国二制度による特別地域である香港で中国政府に反発するデモが広がっていることに対し、同政府は鎮圧を警告し、介入を図っていた。

「プラットフォームの公正さの維持」と題するGoogleのブログ記事で、同社の脅威分析グループののShane Huntley(シェーン・ハントリー)氏は「香港の現下の情勢に関連して組織的な方法でビデオがアップロードされていることが探知されたためこの措置を取った」と述べている。

ハントリー氏はさらに「この事実の発見はFacebookとTwitterによる最近の判断を裏付けるものだ」としている。

今週はじめ、Twitterは「中国政府は抗議参加者の間に「不和をもたらすために我々のソーシャルメディアを利用している。背後に政府がある組織的な活動だ」とした。

Googleのブログによれば、アカウントオーナーの身元を隠すためにVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)その他の手法が使われていることが発見された。Facebook、Twitter、Googleはいずれも中国では禁止されており、VPNは中国の巨大な検閲システム、いわゆるグレート・ファイアウォールをくぐり抜けるために一般市民にも広く使われている。

ただしGoogleは不正な活動を行っていたアカウントについては詳しく言及せず、研究者、専門家向けに技術的詳細が明らかにされるかどうかは不明だ。

Googleに取材を申し込んだが解答は問題のブログへのリンクだけで、コメントはなかった。

この週末には100万人以上が中国政府の支配強化に反対するデモを平穏行った。租借期限が切れるのを機に1997年に英国政府は香港を中国に返還した。この際合意された一国二制度により香港の民主主義は保障されることとなっていたが、今年初め、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は逃亡犯条例の改正を強行しようとした。これは理由を問わず香港人を逮捕して中国本土で裁判にかけることを可能にするもので、香港および民主主義各国の強い反発を呼んだ。条例改正は凍結されたが「中国政府は香港の自治に介入しようと図っている」として抗議行動が続いている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

カザフスタン政府によるブラウザー閲覧盗聴行為をGoogleとMozillaが共同でブロック

Google(グーグル)とMozilla(モジラ)が珍しくも協力して、カザフスタン政府が発行した信頼できない証明をブロックしている。その証明発行行為を批判する人たちによると、政府は国民のインターネットトラフィックを監視する取り組みの一環として、一般市民にその証明のインストールを強制している。

2つのブラウザーメーカーは米国時間8月21日の共同声明で、政府が発行した証明をブロックするための「技術的ソリューション」を適用したと表明している。

国民監視政策の一環として、一般市民が自分のコンピューターやデバイスに政府発行の証明をインストールするよう命じられた。インストールすると、そのデバイス上のネットワークトラフィックに政府がrootアクセスできるようになり、政府が一般市民のインターネット閲覧行為を傍受し、盗聴・盗視ができる。

研究者たちは、実際にモニタされているサイトがFacebookやTwitter、Googleなどごくわずかであることを見つけた。

カザフスタン政府は、彼らが「システムテスト」と称するものを中止し、その証明を削除してもよい、と言っているが、しかしGoogleとMozillaによれば、彼らの技術的ソリューションは証明がインストールされていてもデータの傍受などを不能にする。

Mozillaのセキュリティ担当上級ディレクターであるMarshall Erwin(マーシャル・アーウィン)氏は、「我々はこれを軽い気持ちでやっているのではない」と言う。そしてGoogleのブラウザー担当チーフParisa Tabriz(パリサ・タブリッツ)氏は、「Chromeのユーザーのデータを危険にさらす試みは、誰がやろうとも、たとえ政府の行為であっても、絶対に許さない」とコメントしている。

Apple(アップル)のスポークスパーソンによると、「その証明が信用されないようSafariに手を加えたので、現在ユーザーはこの問題から保護されている」そうだ

その悪質な証明に対するMozillaらのブロックは、ユーザーのアクションを必要とせず、不可視の状態で有効になる。

カザフスタンの人口は1800万人だ。研究者たちによると、インターネットのトラフィックを傍受しようとする政府の取り組みは、この国最大のインターネットプロバイダーを通るインターネット接続のごく一部にしか及んでいない。

中央アジアに位置するこの国は、インターネットの自由のランキングでずっと下のほうにいる。監視団体のFreedom Houseが作ったそのリストによると、同国よりもランクが低いのはロシアとイランのみである。

ニューヨークのカザフスタン領事館のスポークスパーソンは、コメントの要求に応じなかった。

関連記事:Mozillaは悪名漂うUAEDarkMatterHTTPSの証明提供者として否認

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

G Suiteユーザー向けHangoutsの寿命がすこし伸びる

今年Google(グーグル)は、2019年10月までにG SuiteのHangoutsユーザーをすべてHangouts ChatおよびMeetに移行させ、Hangoutsを廃止すると発表した。しかし、G Suiteユーザーの多くはHangoutsを気に入っており、GoogleはHangoutsの終了日程を「2020年の6月まで」に変更し、今後「より確定的な日程」を発表すると明かした。

ただし、これは有料のG Suiteユーザー向けのHangoutsに関する発表だ。GoogleのAlloが失敗したことを考えると、一般向けのHangoutsがどうなるのかは不明だ。

今年Googleは、G Suiteの移行後に消費者をHangouts ChatとMeetの無料バージョンに移行させたいと発言していた。Googleのスポークスパーソンによると、この計画は今も変わっておらず、G Suiteへの移行後に開始されるという。

G Suiteユーザーについては、GoogleはG Suiteユーザーの新しいプラットフォームへの移行をより容易にすることを計画している。管理者はすでに、高速化されたタイムラインにジャンプし、従来のHangoutsを今すぐ無効にすることができる(しかし、そのためにはやはりGoogleからの案内が必要だ)。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

IFTTTがNestデバイスをGoogleアカウントに移行しないよう警告

Google(グーグル)はシンプルさのために、NestのデバイスをGoogleのエコシステムに統合すると発表した。しかし、時としてそれは問題を生むことになる。同社は5月、ユーザーの反発をうけ、サードパーティー製品との統合のためにWorks with Nestの接続を維持すると発表した。

IFTTTのカメラや煙探知器、サーモスタットなどの人気アプレットも例外だ。これは、IFTTTの機能を時間をかけて統合したユーザーにとっては良い兆候だ。

しかし、NestのアカウントをGoogleのアカウントに移行しようとすると、その過程で接続が切断されるようだ。IFTTTの組織はユーザーに移行を促すブログ投稿をうけて、米国時間8月19日の夜遅くに2つの警告を発した。以下は、その内容である。

  • NestアカウントをGoogleアカウントに移行しないように。Nestアカウントの移行はIFTTTや他のWorks with Nestの統合を切断する。この過程はやり直せない。
  • 再接続ができなくなるので、8月31日以降にNestをIFTTTから切断しないように。これはNestアカウントをGoogleアカウントに移行していないユーザーに影響する。

一方Googleは、現在IFTTTのようなサードパーティーによる統合を必要としているNestにも、同様の自動化機能を提供したいと表明している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

手の動きを追跡するGoogleのアルゴリズムで手話を認識できるか

手話でコミュニケーションをとっている人は大勢いるが、手話の複雑な動きをとらえて音声言語に翻訳する取り組みはあまり成功していなかった。しかしGoogleのAIラボが研究しているリアルタイムのハンドトラッキングが進歩し、翻訳を待ち望んでいる人々にとってはこれが突破口になるかもしれない。

この新しい技術では巧みに効率化を図っている。そしてもちろん機械学習全般の効率が上がったこともあり、スマートフォンのカメラだけで手のひらとすべての指のマップをリアルタイムで正確に作成することができる。

Googleの研究者のValentin Bazarevsky(バレンティン・バザレヴスキ)氏とFan Zhang(ファン・チャン)氏はブログに次のように書いている。「現在の最先端のアプローチでは主にパワフルなデスクトップ環境に頼って推論しているが、私たちの方法では携帯電話でリアルタイムのパフォーマンスを出している。また複数の手にスケールすることもできる。手をリアルタイムで確実に認識するのは、コンピュータビジョンのタスクとしては明らかに難しい。手の一部、あるいは2つの手が重なり(指と手のひらが重なる、握手をするなど)、高コントラストのパターンでなくなることが多いからだ」。

しかも手の動きは速く、微妙だ。こうした動きをリアルタイムでとらえるのは、コンピュータは得意でない。正しく認識するのはとても難しく、速く認識するのも難しい。複数のカメラを使っても、SignAllのような深度を検知する装置で動きをすべて追跡することはなかなかできない(しかしこの方式を止めるわけではない)。

Googleの研究チームの目標は、一部だけを取り出して言えば、アルゴリズムが計算するのに必要なデータの量を減らすことだった。データが少なくなれば、動作は速くなる。

そのひとつとして、研究チームはシステムに手全体の位置と大きさを検知させるアイデアを捨てた。その代わりに、システムに手のひらだけを見つけさせる。手のひらは特徴的で信頼性の高いパーツであり、しかも正方形として認識できる。つまりシステムが縦長の長方形のイメージを扱えるのか、縦方向が短い場合はどうかなどと気にする必要がなくなった。

手のひらを認識したら、指はその手のひらの端から延びているものであり、別々のものとして解析できる。別のアルゴリズムがイメージを見て、21カ所に座標を割り当てる。大まかには指の関節と指先に座標が割り当てられ、座標間の距離も認識される(手のひらの大きさと角度などから推測できる)。

このように指を認識するために、研究チームはまず手作業でさまざまなポーズとライティングの約3万の手のイメージに21個のポイントを割り当て、機械学習システムはこれを使って学習した。いつだって、AIがうまく動作するには人間のハードワークが必要なのだ。

手のポーズが判定されたら、そのポーズを既知の大量のジェスチャーと比較する。既知のジェスチャーとは、文字や数字の一つひとつを表す指文字や、「平和」「金属」といった単語を表す手のポーズのことだ。

このハンドトラッキングのアルゴリズムは速く正確で、最適化されたデスクトップやクラウドではなく(クラウドは最適化された誰かのデスクトップだ)、一般的なスマートフォンで動作する。このアルゴリズムはすべて、マルチメディア技術系の人はおそらくご存じのMediaPipeフレームワークで動作する。

幸いなことに、ほかの研究者もこのシステムを利用できる。このように手を認識してジェスチャーを識別するには、既存のシステムでは強力なハードウェアが必要だが、この状況がおそらく改善されるだろう。しかし手話を本当に理解するのは、ここからが長い道のりだ。手話では、手、顔の表情、その他の手がかりから、ほかにはない豊かなコミュニケーションができる。

この技術はGoogleの製品にはまだ使われていないので、研究チームは無償で公開している。ソースコードはここにあり、誰でも入手して使える。

研究チームは「この手認識機能を公開することにより、多くの研究開発コミュニティからクリエイティブな利用例や刺激的な新しいアプリ、新しい研究手法が生まれるよう期待している」と書いている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

トランプ大統領は何の証拠もなく何百万もの票を操作したとグーグルを非難

大統領は米国時間8月19日の朝、Twitter(ツイッター)でGoogle(グーグル)を激しく非難した。2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントン氏に票が傾くようにGoogleが操作したと訴えたのだ。この重大な告発の元になった情報の出所は、何カ月も前の議会証言を蒸し返した古い報告書の中で語られていた仮説に過ぎない。

今朝のトランプ大統領のツイートには、実際の報告書からの引用は一切ないが、保守系監視団体Judical Watchのタグが付けられている。恐らく同団体に調査を依頼しているのだろう。大統領が誰にGoogleを訴えろと言っているのかは、定かではない。

https://platform.twitter.com/widgets.js
ワオ、報告書が今出た!2016年の大統領選挙でGoogleは260万から1600万もの票をヒラリー・クリントンに流していた!これはトランプ支持者ではなくクリントン支持者からもたらされた情報だ!Googleは訴えられるべきだ。だが、私の勝利は実際はもっと大きかったということだ! @JudicalWatch

偶然にも、FOX Newsはそのような報告書が存在することを、5分ほど前に報道している。トランプはまた、先日、さまざまな中傷を受けたとしてGoogleとCEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏を批判した

実際のところ、この報告書は「今出た」ものではなく、大統領が指摘しているような内容も書かれていない。FOXとトランプが言っているのは、おそらく2017年に発表された報告書のことだ。そこでは、2016年の大統領選挙の前哨戦でGoogleや他の検索エンジンに偏りがあったことを執筆者たちが解説している。

なぜ、そのような調査があったことに気がつかなかったのかと不思議に思っている方のために、その理由をお教えしよう。でたらめな調査だからだ。その内容には得るものが何もなく、ある大企業が選挙に介入したと非難するに値する証拠すら示されていない。

執筆者たちは、選挙前の25日間に95人が行った検索の結果を見て、最初のページで偏向の有無を審査した。彼らはほとんどの検索結果で、特にGoogleの結果ではクリントン氏が有利になる傾向にあったとの「クラウドソーシング」による判定を基に偏向を認識したと主張している。ただしその判定方法は説明されていない。

この検索に関するデータ、つまり、サンプル検索とその結果や、なぜそれを偏向と判断したかの理由などは示されていない。ファクトの考察もない。例えば、Googleが日常的に、またはオープンに、その人の普段の検索の内容、報告されている嗜好、地域などに合わせて検索結果を提示していることなどは考慮されていない。

関連記事:トランプ大統領が朝のツイートでGoogleとサンダー・ピチャイ氏を攻撃(未訳)

実際、Epstein(エプスタイン)氏の報告書は、通常の調査報告書の体をまったく成していない。

要約や序論もない。統計上の計算方法の解説もない。用語説明、考察、出典の記載もない。こうした基本的な情報がなければ、同分野や他分野の専門家の査読も叶わないばかりか、まったくの捏造された仮説と判別がつかない。この報告書の真偽を判断できる材料が何ひとつないのだ。

しかしRobert Epstein(ロバート・エプスタイン)氏は、自身のたった1件の報告書を大いに参照している。それは、2015年にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に掲載された、故意に操作を加えた検索結果が候補者の情報を探す有権者にどのような影響を与えるかを解説したものだ。この題材に関して、彼は非常に多くの意見記事を執筆している。Epoch TimesやDaily Callerといった最右翼のメディアに頻繁に登場しているが、USA TodayやBloomberg Businessweekなどの無党派メディアにも寄稿している。

この調査で提示された数値には、まったくなんの恩恵もない。計算方法が説明されていない数字の中には、「Google検索でのクリントン支持の偏向は、時を重ねることで、少なくとも260万票がクリントンに移動する結果を招く」とエプスタイン氏が話しているものがある。この主張の裏付けとなる仕組みも正当な根拠も示されていない。あるのは、今回の報告書との共通点がほとんど見られない、2015年の彼の報告所に示された非常に空論に近い見解と憶測のみだ。その数値は、実質的にでっち上げと言える。

つまり、この報告書と呼ばれているものは、じつに異質なのだ。その主張に科学的な正当性を持たない事実無根の文書であり、ほぼ毎月Google批判の論説を掲載している出版社の人間の手によるものだ。これは、雑誌などに掲載されたわけではない。American Institute for Behavioral Research and Technology(行動調査およびテクノロジーのためのアメリカの研究所、AIBRT)という非営利の私的調査機関がネット上で発表したものに過ぎない。エプスタイン氏はこの研究所のスタッフだが、ここは今回の報告書など、もっぱら彼の文章を発表するためだけに存在しているように見える(私の質問に対してAIBRTは、資金提供者の公開に法的義務はなく、公開しない方針だが、「研究所の調査に偏向をきたすような寄付」は受け付けないと話していた)。

報告書の巻末でエプスタイン氏は、この報告書のために収集していたデータをGoogleが操作していた可能性を推測している。Gmailユーザーとそれ以外のユーザーからのデータの差を引き合いに出して、Gmailユーザーのデータは、報告書作成中ではあったが、すべて破棄することにしたという。

おわかりのとおり、非Gmailユーザーが見た検索結果は、Gmailユーザーが見た結果よりもずっと大きく偏っている。おそらくGoogleは、Gmailシステムを通じて我々の協力者を特定し、偏向していない結果が彼らに示されるよう計らったのだ。現時点でそれを確認することはできないが、我々が発見したパターンの説明としては妥当だ。

この仮説を妥当と見るかどうかは、みなさんの判断にお任せする。

これだけでも十分に酷すぎる話だ。しかし、トランプ大統領がこの軽薄な報告書を引き合いに出したことで、さらにファクトが歪められてしまった。大統領は「2016年の大統領選挙でGoogleは260万から1600万もの票をヒラリー・クリントンに流していた」と主張したが、そのようなことはこの報告書にすら書かれていない。

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この虚偽の主張の根源は、7月にエプスタイン氏が米上院司法委員会に出席したことにあるようだ。そこで彼は、テキサス州選出のTed Cruz(テッド・クルーズ)上院議員からスター扱いされ、投票における技術操作の可能性について専門家としての意見を求められた。それまでこの問題でクルーズ氏を支えていた専門家は、保守系ラジオのトーク番組のホスト、Dennis Prager(デニス・プレガー)氏だった。

またしても、データも調査方法も仕組みも示さず、エプスタイン氏は、Google、Facebook、Twitterなどが影響を与えたかも知れない260万票を「どん底の最低数」と説明している(影響を与えた、またはそれを試みたとは明言していない)。彼はまた、今後の、特に2020年の大統領選挙において「もしこれらすべての企業が同じ候補者を支持したなら、150万の浮動票が、人々が知らないうちに、当局が追跡できないよう紙の資料を残さず、流れる可能性がある」とも話している。

「彼らが用いている手法は目に見えない。潜在意識に働きかけるものであり、私が行動科学の世界で見てきたいかなる効果よりもずっと強力なものだ」とエプスタイン氏は言うが、その手法が何かは、はっきり説明していない。しかし彼は、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が民主党支持者だけに「投票に行こう」と呼びかける可能性があり、それは誰も知り得ないとも述べた。馬鹿げている。

すなわち、数値がでっち上げであるばかりでなく、2016年の選挙とは何の関係もなく、しかもGoogleだけの話ではなく、これはすべてのハイテク企業が関わることなのだ。たとえもし、エプスタイン氏の論にいくばくかの正当性があったとしても、トランプ大統領のツイートがそれをねじ曲げ、すべてを台無しにしてしまった。何もかもが、真実からは遠くかけ離れている。

Googleは、大統領の批判に対して声明を発表した。「この研究者の不正確な主張は、それが発表された2016年の時点で誤りが証明されています。当時私たちが主張したとおり、私たちが政治的信条を操る目的で検索結果の順位の操作や変更などは行ったことは一度もありません」。

下にその報告書の全文を掲載する。

EPSTEIN & ROBERTSON 2017-A Method for Detecting Bias in Search Rankings-AIBRT(エプスタイン、ロバートソン 2017年 検索結果順位の偏向を見抜く方法 – AIBRT)
TechCrunch on Scribd

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(翻訳:金井哲夫)

Googleのゲームストリーミングサービス「Stadia」にFFやDOOM、Cyberpunk、ESOがやってくる

Googleのゲームストリーミングサービスは11月に提供開始予定だが、同社は8月中旬というこの倦怠する時期にGamescom Stadia Connectライブストリーミングで大々的に宣伝を行った。オンライン上での記者会見は、約束どおりサービス開始時の(そして開始後の)ゲームがどのようなものになるかに絞った「ゲームについてだけ」のものだった。

明らかになったゲームの一覧には、Cyberpunk 2077、ファイナルファンタジーXV、アサシン クリード オデッセイ、そしてモータルコンバット11など有名どころが含まれている。また、Bethesda(ベゼスダ)やスクエア・エニックス、Ubisoft(ユービーアイソフト)といった多くのトップゲームメーカーのものも並んでいる。しかし、EAやカプコン、Rockstar(ロックスター)を含む主要メーカーの多くは、サービス開始直前までゲームリストを伏せたままにする。

以前報道したように、ゲームストリーミングサービスは月10ドルでゲームが利用でき、また購入時に割引が受けられる。基本バージョンのサービスも来年利用できるようになる見込みだ。11月のサービス開始時は、米国やカナダ、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、フィンランドなど14カ国で展開される。そして2020年にさらに拡大される見込みだ。

Googleは現在「Founder’s Edition」のプレオーダーを130ドルで受け付けている。ここにはコントローラーやChromecast Ultra、友達と一緒に利用できる3カ月ぶんのサービスが含まれる。

これまでにわかっているStadiaのゲームリストは以下のとおりだ。

  • バンダイナムコ ドラゴンボール ゼノバース 2
  • Bethesda DOOM Eternal, DOOM 2016, Rage 2, The Elder Scrolls Online, Wolfenstein: Youngblood
  • Bungie Destiny 2、Destiny 2 : Shadowkeep Expansion
  • CD PROJEKT RED Cyberpunk 2077
  • Chump Squad KINE
  • Coatsink Get Packed
  • Codemasters GRID
  • Dotemu Windjammers 2
  • Deep Silver Metro Exodus
  • Drool Thumper
  • Giants Software Farming Simulator 19
  • Larian Studios Baldur’s Gate 3
  • nWay Games Power Rangers:Battle for the Grid
  • オメガフォース Attack on Titan 2 : Final Battle
  • Pandemic Studios Destroy All Humans!
  • Robot Entertainment Orcs Must Die 3
  • セガ Football Manager
  • SNK Samurai Shodown
  • スクウェア・エニックス ファイナルファンタジー XV – Tomb Raider Definitive Edition、Rise of the Tomb Raider、Shadow of the Tomb Raider、Marvel’s Avengers
  • SUPERHOT SUPERHOT
  • 2K NBA 2K、Borderlands 3
  • Tequila Works  Gylt
  • Warner Bros Mortal Kombat 11
  • THQ Darksiders Genesis
  • Ubisoft Assassin’s Creed Odyssey、Just Dance、Tom Clancy’s Ghost Recon Breakpoint、Tom Clancy’s The Division 2、Trials Rising、The Crew 2、Watch Dogs : Legion

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(翻訳 Mizoguchi)

Googleがモバイル学習アプリSocraticを買収してiOS版を再提供

Google(グーグル)は先週の発表の中で、宿題ヘルパーアプリSocratic(ソクラティック)の買収を公表しし、アプリに対する同社のAIテクノロジーの追加サポートと、iOSでの再提供について詳しく説明した。買収はどうやら水面下で行われていたもので、Googleによればアプリの買収自体は昨年だったという。

創業者の1人のLinkedInアップデートによれば、それは2018年3月のことだった。Googleは買収の詳細に関する質問にはコメントを拒否した。

Socraticは、すべての生徒が学習できるようにするコミュニティを作成することを目標に、2013年にChris Pedregal(クリス・ペドレガル)氏とShreyans Bhansali(シュレヤン・バンザリ)氏によって創業された。

当初このアプリは、Quoraに似たQ&Aプラットフォームを提供し、生徒たちの質問に専門家たちが答えていた。SocraticがシリーズAで600万ドルを調達した2015年の時点では、そのコミュニティは約50万人の生徒を抱えるまでに成長していた。その後同社は、ユーザー同士のつながりよりも、実用性に置くようになった。

2015年に提供が開始されたモバイルアプリでは、簡単な説明を得ることができるように宿題の写真を撮る機能が提供された。これは、Photomath、Mathway、DoYourMathといった、この分野の他の多くのアプリに類似した機能だ。

ただし、Socraticは単なる数学ヘルパーではない。科学、文学、社会科などの課題にも取り組むことができるのだ。

2018年2月には、Socraticはアプリのソーシャル機能を削除することを発表。そして6月には、同社はユーザーが投稿を行っていたQ&Aウェブサイトを閉鎖することになる。この決定は、失望したユーザーたちからのちょっとした反発を招いた。

Socraticは、アプリとウェブサイトは異なるプロダクトであり、同社は前者に集中することを戦略的に選択したのだと説明した。

「私たちは、他の人たちと同様に、現実の制約に縛られています。すべてを行うことはできません。それは必要に応じて意思決定とトレードオフを行うことを意味しています。この決定は特に痛みを伴うものでした」と、当時のコミュニティリーダーだったBecca McArthur(ベッカ・マッカーサー)氏は書いている

その戦略とは、明らかに、SocraticをGoogleのAIを活用したプロダクトにすることだった。現在Socraticのエンジニアリングマネージャーであるバンザリ氏が執筆したGoogleのブログ投稿によれば、アップデートされたiOSアプリは、ユーザーを支援するためにAIテクノロジーを使用している。

質問する

iOSアプリの新しいバージョンでも、写真をスナップして回答を得たり、自分自身の質問をしたりすることができる。

例えば、生徒が教室での配布物を写真に撮ったり、「距離と変位の違いは何?」といった質問をすると、Socraticは最も適切な検索結果を返してくる。その後には説明やQ&Aセクション、そして関連するYouTubeビデオやウェブリンクさえもが続いている。それはまるで、宿題に関する質問に特化した検索エンジンのようなものだ。

Googleはまた、学生の質問を分析して、必要なリソースへ導くための基礎概念を特定できるアルゴリズムを、構築し訓練したと説明している。さらに支援が必要な学生のためには、アプリは概念をより小さく、理解しやすいレッスンに分解することができる。

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さらに、アプリには、教育者たちの支援を受けて開発された、高等教育と高校の1000個以上のトピックに関するガイドが含まれている。学習ガイドは、学生がテストの準備をしたり、ただ特定の概念をより良く学習したりするためにも役立つ。

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「教師と生徒のための教育リソースを構築する中で、私たちは彼らが直面する課題と、それを私たちがどのように支援できるのかについて、多くの時間を割いて彼らと語り合い合いました」とバンザリ氏は語る。「私たちは、生徒たちが勉強中にしばしば『行き詰まる』と聞きました。教室の中でなら、質問に教師が素早く応答してくれますが、自分で学習しているときに答を何時間を探すことは、生徒たちにとって苦痛なのです」と彼は言う。

ここがSocraticが役立つ場所だ。

とはいえ、この買収は他の点でもGoogleに役立つ可能性があるという。宿題ヘルパーへの重点的な注力に加えて、この買収はプラットフォームをまたがるGoogle Assistantテクノロジーを助けることになるかもしれない。なぜなら仮想アシスタントは、GoogleのKnowledge Graphがまだ取り込んでいない、より複雑な質問に答える方法を学ぶことになるからだ。

AIが搭載された、GoogleによるSocraticの再提供バージョンは、米国時間の8月15日にiOS上で提供された。そのリリースノートには、アプリが現在Googleの所有になったことも書かれていた。

アプリのAndroidバージョンは、この秋に登場する予定だ。

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(翻訳:sako)

Google検索が米国の大学に関する情報をさらに拡充

Googleは米国時間8月15日、米国の大学に関する情報を探している学生のために、いくつかの新しい機能を発表した。昨年、Googleの検索には、4年制の大学に関する情報を載せたウィジェットが新たに導入されたが、今日はそれが2年制のカレッジにも拡張された。

大学に関する検索は願書の受付が始まる前の8月から秋にかけて急上昇するが、Googleによると特に最近の2年間では「家から近い地域の大学」の検索が120%(2倍強)増えている。

今回のアップデートで高校生たちは、大学の学費や倍率などを4年制と2年制の両方に関して比較できる。4年制の大学については、その大学で人気の高い資格授与事業やアソシエイト(准学士制)事業を調べられる。また、特定分野に強い大学のリストを作って、それを距離でソートすることもできる。これは、地域のカレッジなどに在宅通学したい人にとって便利だろう。また、大学を規模でソートすることもできる。

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これまでと同様、今回の拡張されたデータも教育省の一般公開データがベースだ。

Googleは今日の発表で「私たちは教育の研究者や専門家、非営利団体、高校のカウンセラー、選抜試験の専門家などと協働して、生徒たちのニーズに合った有益な情報体験を構築した。そしてこれからも、情報がもっと容易に入手できる方法の発見に努め、ユーザーの未来の教育機会を見つける努力をお手伝いしたい」とコメントしている。

sb cc

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google アシスタントで家族へのリマインダーが設定可能に

月曜日の夜にゴミを出すようになど、家族にメッセージ(小言)を伝えなければならないこともあるだろう。そして現在、より攻撃的でない方法として、本人ではなくGoogle アシスタントを通じてリマインダーを送ることが可能になった。

必要なのは「ねえ、グーグル、アレックスに午後8時にゴミを出すようにいってくれ」というだけだ。家族(またはGoogleのファミリーグループに追加したルームメイト)はスマートフォンやスマートディスプレイから通知を受けることになる。

「Google アシスタントの通知機能を使えば、家族や同居人との家や外出先での作業や整理が簡単になります」とGoogleは説明している。「つまり、パートナーやルームメイトに、食料品を受け取ったり、定期的な支払いをしてもらったり、犬を散歩させたり、励ましのメッセージ(Google、マリーに明日の試験がうまくいくように伝えてくれ)が送れるのだ」。

Maryは直接この励ましを伝えてもらった方がうれしいのは間違いないが、ときにはGoogle アシスタントを使わなければならないこともあるだろう。

 

 

技術的には、リマインダーを送信する相手は連絡先リストとGoogle Familyグループに登録されている必要がある。また、スマートディスプレイやスマートスピーカーで利用するには、Voice Matchを設定する必要がある。13歳未満の子供なら「Family Link」 で親がアカウントを設定できる。

この新機能は、米国、英国、オーストラリアにて英語言語かつスマートフォン、スマートスピーカー、スマートディスプレイで利用できるようになる。また他のGoogleのリマインダーと同様、メッセージが表示される時間と場所を設定できる。

なお、ありがたいことに 「Assistant Settings」のメニューに他人からのリマインダーをブロックする機能も新たに追加されている。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

教師が盗作と戦うためのツール「Google Assignments」が登場

Google(グーグル)の教育部門であるGoogle for Educationは米国時間8月14日、新学期に合わせて教師が盗作と戦うためのツールAssignmentsを発表した。これは前にCourseKitと呼ばれていたソフトウェアのアップデートで、教師が生徒の作品を調べて、引用のマナーが正しくて盗作がないことをチェックする機能が新たに加わっている。

Googleによると、この新しいツールは生徒の利益にもなる。つまり生徒は自分の作品を提出前にこのツールのチェッカーに最大3回かけて、作品がオリジナルであることをチェックできる。

それは生徒にとってエラー修正の機会にもなるし、また教師にとっては評価の作業が楽になる。

しかしこの、今回アップデートされてGoogle Assignmentsになったプログラムには、盗作チェック以外のこともできる。

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このソフトウェアにはGoogle DocsやGoogle Drive、そしてGoogle検索の機能も組み合わさっているので、宿題などの作成と管理もできる。すなわち、それらを集める、点をつける、生徒に対しフィードバックする、といった作業だ。それプラス、今では盗作チェックもできる。

コメントバンクという機能を利用すると、同じようなフィードバックを毎回新たに書かなくてもすむ。また参考文献などのファイルを、コピー(ゼロックスなど)を使わずに生徒に渡せる。宿題の評価は、次々と対象生徒を変えながら赤点を入れていくことができる。

盗作チェック機能は、「Originality Reports」(オリジナリティー報告書)と呼ばれている。教師は、引用が正しく引用扱いされていない箇所や、そのほかの問題点を見つけることができる。そのためにこのツールは、Googleによると、生徒のテキストを「何千億ものウェブページや数千万冊の書籍」と比較対照する。

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生徒はこのチェック機能を、ひとつの宿題や課題に対して最大3回利用できる。これによって見過ごし箇所を直せるが、長いレポートの複数箇所を、盗作の発見を避けるために書き直すことはできない。

生徒は宿題や課題にOriginality Reports付けて提出できるので、教師は引用が正しくない箇所や、ウェブページや書籍などの出典が記されていない箇所を見つけやすくなる。

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G Suite for EducationのプロダクトマネージャーであるBrian Hendricks(ブライアン・ヘンドリクス)氏は、このツールの発表声明で「今の学生や生徒は難しい問題に直面している。インターネットの上でありとあらゆる考え方を探求できるが、そういう外部の発想と自分自身の独自性をどうやって均衡させるのか?生徒たちはほかの人たちの考えと自分自身の考えの境界を正しく見つけなければならないし、何らかの出典を引用するときの正しいやり方とその正しい場所をわきまえないといけない。これらは、本当にすごく難しい問題だ」と述べている。

この盗作チェック機能は本日からベータ版のテストに入る。学校や教師への招待状は数週間以内に送付される。Assignments自体は、G Suite for Educationの正規ユーザーが無料で利用できる。

このソフトウェアは学校の学習管理システムの補助ツールとして利用してもよいし、あるいは学校のアドミンがこれを、Googleではなく既存の学習管理システムに統合してもいい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleがProject Euphoniaの包括的な音声認識を支えるAIの詳細を発表

アクセシビリティに向けた新たな取り組みの一環として、Googleは5月のGoogle I/OでProject Euphonia(プロジェクト・ユーホニア)を発表した。これは標準的ではない発声を行う人や、障害を持つ人の発話を理解する音声認識を開発しようとする試みである。同社は、この新しい機能を可能にしてくれるAIの一部を説明する投稿とその論文を公開した。

問題を理解することは簡単だ。筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの変性疾患によって生じる運動障害を持つ人の話し声は、単純に既存の自然言語処理システムでは理解されないのだ。

その様子は、自らも発話に問題を抱えるGoogleリサーチサイエンティストのDimitri Kanevsky(ディミトリ・カネフスキー)氏が、Googleのプロダクトの1つと対話しようとする以下のビデオの中に見ることができる(最後には関連する仕事であるParrotronの助けを借りている)。

研究チームはこのプロジェクトを次のように説明している。「ASR(自動音声認識)システムは、ほとんどの場合、『典型的な』音声を使ってトレーニングされています。つまり、発話障害や強いアクセントを持っていたりする少数派のグループは、同じような利便性を受けることができません。現在の最先端のASRモデルは、ALSによって中程度の発話障害しか持たない話者に対して高い単語エラー率(WER:Word Error Rates)を示し、実質上ASRに依存する技術の利用が不可能になっています」。

少なくとも、一部をトレーニングセットのせいにしていることは注目に値する。これは人間を識別したり、それどころか単に人間がいるか否かを判別するような他の場合でも、AIを高いエラー率へと導く可能性のある、暗黙的なバイアスの1つなのだ。肌の黒い人たちのような主要なグループを含めなかったというミスも、 癖をもった発話を行う人たちを含めなかったというミスも、どちらもより包括的なソースデータを使うことで解決を図ることができる。

Googleの研究者たちにとって、それはALSを持つ人たちから何十時間にもわたる音声を収集することを意味していた。だが、ご想像のとおり各人はそれぞれの状態によって異なった影響を受けているために病気の影響に対応することは、例えば単なる一般的ではないアクセントに対応することとは同じプロセスではない。

関連記事:Google I/Oはアクセシビリティ強化に全力、聴覚障害者にも電車でYouTubeを見るにも便利

標準的な音声認識モデルをベースラインとして使用し、いくつかの実験的なやり方で微調整して、新しい音声を使ってトレーニングを行った。これだけでWERが大幅に減少し、オリジナルのモデルに対して比較的少ない変更で対処することができたのだ。これが意味することは、新しい音声に対して調整する際にも、あまり強力な計算パワーを必要としないということである。

研究者は、特定の音素(「e」や「f」のような個別の音)に対してモデルの混乱が続くときに、2種類のエラーがあることに気がついた。1つ目は、意図されていた音素が認識されないため、単語も認識されないという事実があるということ。そして2つ目は、モデルは話し手が意図した音素を推測する必要があり、2つ以上の単語がほぼ同じように聞こえる場合は間違った音素を選択する可能性があるということだ。

特に2番目のエラーは、インテリジェントに処理できるエラーだ。例えば話者が「I’m going back inside the house」(家の中に戻ります)と言った際に、システムがbackの「b」とhouseの「h」を認識できなかったとしても、それが「I’m going tack inside the mouse」(ネズミの中を鋲で留める)と言うつもりだったという可能性は低いだろう。AIシステムは、人間の言語およびあなた自身の声または話している文脈に対する知識を利用して、ギャップをインテリジェントに埋めることができる。

しかし、そのためにはまだまだ研究が必要だ。現時点におけるチームの成果については、来月オーストリアで開催されるInterspeechカンファレンスで発表される予定の「Personalizing ASR for Dysarthric and Accented Speech with Limited Data」(限られたデータのもとで行う、構音障害とアクセントの強い発話に向けた自動音声認識のパーソナライズ)という論文で読むことができる。

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(翻訳:sako)

Googleドキュメントやスプレッドシートのフォントが新しく読みやすくなった

Googleの8月13日の発表によると、Google Docs(ドキュメント)とSheets(スプレッドシート)とSlides(スライド)の英語用フォントが新しくなり、独自にデザインされた書体により速く読めるようになる。そのLexendと呼ばれるフォントを作ったThomas Jockin(トーマス・ジョッキン)氏は、Quicksandフォントの作者として知っている人が多いだろう。Googleは学生のためにいいと言っているが、読みやすいフォントはみんなが歓迎する。

2019 08 13 0847そのLexendファミリーは8種のバリエーションがあるけど、書体そのものは一見ごく普通だ。標準的なサンセリフと言ってもいいだろう。でもその背後には、ジョッキン氏の詳細な研究の成果がある。そして彼のその研究は、Bonnie Shaver-Troupの研究がベースだ。

まず、サンセリフにはノイズが少ないから、それだけでも文字を読むスピードを上げる。さらに、バリアブルフォント(Variable Font)の技術を利用してLexendは字間のスペースや字形を拡張できる。

新しいフォントを試してみたい人は、ツールバー上のFontメニューへ行って「more fonts」を選び、そこからLexendを探す。見つかったらそれを自分のフォントリストに加えてDocsやSheetsやSlidesで使えるようになる。

lexend

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa