京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

京都大学パナソニックは3月24日、京都大学生存圏研究所の篠原真毅教授とパナソニックが共同開発してきたマイクロ波を使った長距離のワイヤレス電力伝送システムについて、プロトタイプ開発が完了し、試験用サンプルの提供を開始すると発表した。この技術が実用化されたなら、IoTセンサーやウェアラブル機器などの電源ケーブルや電池交換が不要になる。

これは、920MHz帯のマイクロ波を利用したワイヤレス電力伝送システム。2022年に電波法施行規則等に関する省令の改正が予定されており、それを見据えてサンプルが提供される。免許を取得すれば、屋内の一般環境で利用が可能となるのだが、規制によって送電できる電力は1ワット以下に制限される。そのため、この範囲内で電力を効率的に伝送し、広範囲に設置された受電機へ電力を送ることが開発のポイントとなった。京都大学とパナソニックは、高効率な送電方法、受電用の小型アンテナ、受電したマイクロ波電力を高効率に安定して直流に変換する回路の開発に取り組んだ。

ワイヤレス送電は、特に人の見守りや健康管理用のバイタルセンサーのためのウェアラブル端末への応用が期待される。しかし既存のアンテナでは、人に近づけると電波が人体に吸収されてしまうという課題があった。そこで、人体に装着しても受電効率が低下しないアンテナを開発した。またこのシステムでは、1つの送電機から複数の充電器に一括で送電が行える。そのため、工場やオフィスに多数設置されるIoTセンサーの電源としても利用できる。

パナソニックは、このシステム「Enesphere」(エネスフィア)としてサンプル化し提供を行う。システムには、1ワット以下の送電機と、カードタイプ、人体装着タイプ、液晶表示タイプ、基板タイプなどさまざまな形態の充電器で構成される。提供開始は「準備が整い次第」ということだ。京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

IoTシステム構築・デバイス開発・通信回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」を提供開始

IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

さくらインターネットは3月24日、「技術・ビジネス・人・物をひとつにつなげるIoTの道具箱」をコンセプトに掲げる、IoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」(モノプラ)の提供開始を発表した。

また同社は、「【さくらのモノプラットフォーム】正式サービス説明会」をオンライン開催(Zoom)する。開催日時は3月31日16時30分から18時30分。対象は、同サービスのベータテスターユーザー、また同サービスに興味がある方(先着順で30名)としている。参加費は無料。

IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

さくらのモノプラットフォームは、「IoTシステムの構築を楽にするプラットフォーム」「IoTデバイス開発のための設計情報」「マルチキャリア対応通信回線」の3つの機能・環境を提供するPaaS(Platform as a Service)。1デバイスあたり220円の基本利用料に加え、通信データ内容に合わせたオプション料金、さくらのセキュアモバイルコネクトの利用料金を追加することで利用可能。利用実績がない月は課金されず、在庫時の課金停止などの面倒な管理を簡素化できるという。また、利用開始に関する事務手数料や解約に関する違約金は一切発生しないそうだ。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

IoTシステムの開発負荷やデバイスの管理負荷を軽減

「IoTデバイスの管理」や「データの中継」などIoTシステムの構築・運用に広く求められる機能について、ウェブブラウザー経由でIoTデバイスを管理できるコントロールパネル、またシステムから大量実行および自動化が可能なAPIを通じて提供。これにより、開発負荷やデバイスの管理負荷を軽減すると同時に、拡張性に優れたシステムの構築を実現する。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

IoTデバイス開発のための設計情報をMITライセンスで公開

IoTデバイスの開発に必要なハードウェアやソフトウェアの設計情報は、従来開発に携わる企業や開発者によってそれぞれ独自に管理されることが多く、新たなシステムの設計時には多くの時間や人などのリソースを用いて基礎的な技術検討を行う必要があった。

この課題を解決するため、さくらのモノプラットフォームでは、IoTデバイスの電気設計に役立つDIP型LTEモジュール基板やM5Stack向け変換基板などのサンプル基板、デバイスの組み込みソフトウェアやクラウドアプリケーションの設計に役立つ開発キット(SDK)を提供する。これらの設計情報はMITライセンスの基で公開するため、商用利用も含め、ライセンスの範囲内で自由に複製・変更・掲載・頒布することが可能。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

マルチキャリア対応通信回線

さくらのモノプラットフォームでは、高セキュアな閉域型ネットワークを提供するIoT/M2M向けのSIMサービス「さくらのセキュアモバイルコネクト」を通信回線として提供する。将来的には、さくらのセキュアモバイルコネクト以外の通信回線を経由した利用にも対応する予定。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

電力会社のメーターをスマート化するCopper Labsが6.5億円調達

電力会社は問題を抱えている。電力会社の「スマートグリッド」は10年前の請求問題を解決するために作られたもので、電気自動車、ソーラーパネル、そしてリアルタイムデータへのこだわりを持つ2022年の消費者のニーズや期待に応えるためのものではないからだ。この問題を解決すべく、処理能力の低いスマートメーターと消費者のインターネット接続の間を橋渡しする、エレガントで小さなハードウェアデバイスを展開するCopper Labs(コッパーラボ)が550万ドル(約6億5000万円)を調達した。

「問題は、現在最も洗練されたSmart Grid(スマートグリッド)でさえ、昨日起こったことを15分間隔でしか電力会社に伝えられないことです」とCopper LabsのCEOであるDan Forman(ダン・フォーマン)氏はいう。「多くの電力会社は、30日に1回しかそのデータを取得できません。電力だけでなく、ガスや水道の場合も、30日に1回しかデータにアクセスできないところがほとんどです。送電網のディスラプションのペースは、技術革新のペースに見合っていません。当社は、電力会社が必要なソリューションを提供するために、より費用対効果の高い方法を見つける手助けをしています」。

Copper Labsは、アーリーステージの気候に特化した技術革新に資金を提供するベンチャーキャピタルClean Energy Ventures (CEV)がリードしたラウンドで550万ドルを調達した。同ラウンドには既存投資家のNational Grid PartnersBlue Bear Capitalも参加した。新たに調達した資金により、Copper Labsは2023年にかけて営業、エンジニアリング、マーケティングの各チームを増強し、公益事業全域での浸透を加速させる計画だ。今回の資金調達に加え、同社はClean Energy Venturesのベンチャーパートナーで米連邦エネルギー規制委員会の元コミッショナーのNora Mead Brownell(ノラ・ミード・ブロウネル)氏を取締役に迎える。

ブラウネル氏は「Copper Labsのチームは、電力会社が逼迫し限られた資源で将来を計画し、目的に合った供給システムを再構築できるよう支援することを使命としています」と述べた。「このチームが顧客に力を与え、より持続可能な未来のために急速に変化する外部性に適応している成熟した産業と提携するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Copper Labsは基本的に、電力会社がこれまでアクセスできなかったデータの宝庫を解き放つ。リアルタイムデータが行動の変化の潜在的推進力となる世界では、特に重要なことだ。例えば、11日前のピーク時にTesla(テスラ)車両を充電していたと消費者に伝えても、その時点ではエンドユーザーはなぜ車を接続したのか思い出すことができず、意味がない。充電時点で、電気代や環境に対するダメージはすでに終わっている。

「これまで家庭用の需要管理プログラムは、主にスマートサーモスタットに接続し、ピーク時の負荷を軽減することを目的としていました。そうすることで、電力会社は高価で汚れたガスで稼働する尖頭負荷発電所(電力需要が急激に高まったピーク時にだけ運転する発電所)への依存を減らすことができます。しかし、スマートサーモスタットが設置されているのは米国の家庭の20%未満であり、そのうちの半数程度がこうした制御プログラムに申し込んでいるのが現状です」とフォーマン氏は説明する。「スマートサーモスタットは例えばEVの充電器など、今後発生するであろう他の問題をすべてカバーできるわけではありません。グリッドエッジのリアルタイムな情報だけでなく、ターゲットとなるユーザーを引き込むチャンネルが必要です。例えば、ピーク時に誰がEV充電器を使っているかがわかれば、電力会社にとっては価値の高い情報です。そして、その人をターゲットにして、負荷を抑えるインセンティブを与えることができます」。

Copper Labsのモバイルアプリは、住宅所有者に電力消費の最新情報を提供し、電力・水・ガスを節約するための実行可能な洞察とインセンティブを提供する(画像クレジット:Copper Labs)

既存のスマートメーターをインターネットに接続する家庭内ブリッジや、数十軒から数千軒の住宅に対応する近隣規模のソリューションなど、いくつかのソリューションがある。

「スマートグリッドのメーターには、ZigBeeホームエリアネットワークが内蔵されているものがあります。当社は安全なハンドシェイクを行い、翌日まで待つことなく約30秒間隔でデータを取り戻すことができます。設置するには、電力会社から郵送でデバイスが送られてきます。Copperのモバイルアプリをインストールし、すべてを接続します」とフォーマン氏は説明する。「これを壁に差し込むだけで、すべてをワイヤレスで行えます」。

近隣型ソリューションも同様で、有線または既存の無線ネットワークによる独自のインターネット接続が必要だ。電柱に設置し、より多くの家庭にサービスを提供することができる。

「当社の近隣レベルの装置では、1台の装置で数百軒の家庭から約1分間隔のデータを取得します」とフォーマン氏は話す。「その価値は、明らかに家庭のハードウェアコストを劇的に削減することです。消費者に何もしてもらう必要はなく、専用のブロードバンドやワイヤレスネットワークがあるので、消費者のWi-Fiに頼る必要もありません」。

クールなのは、Copperのデバイスは、太陽光発電メーターを追跡し、どのような電気が発電されグリッドに供給されているかを示すこともできる点だ。分散型の屋根上の太陽光発電アレイを可視化できない電力会社にとって、これは特に強力な独自の視点だと同社は主張する。また、このアプリは異常検知、使用状況データ、さらなる洞察をも可能にする。

「スマートメーターの有無にかかわらず、Copper Labsは迅速な意思決定を可能にすべく消費者、電力会社、スマートホームプロバイダーにとって高頻度データの宝庫を開きます」とBlue Bear Capitalのパートナー、Carolin Funk(キャロリン・ファンク)博士は述べた。

つまり、Copper Labsが解決しようとしている課題は、メーターベンダーの遅いイノベーションサイクルを回避して、古いグリッドを最先端のスマートグリッドよりも賢くすることだ。さらに、同社のソリューションは電柱に設置するため、、家庭レベルでまったく問題なく使用できる100個の電力メーターを交換するよりもはるかに安く、早く、そして環境にも配慮したものだ。

画像クレジット:Copper Labs (Merrick Chase Photography) under a license.

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nariko Mizoguchi

くら寿司、「AI桜鯛」を3月11日から数量限定で全国販売―ウミトロン開発のAI搭載スマート給餌機で生育した真鯛を商品化

くら寿司、「AI桜鯛」を3月11日から数量限定で全国販売―ウミトロン開発のAI搭載スマート給餌機で生育した真鯛を商品化

「【愛媛県産】AI 桜鯛(一貫)」。販売期間は2022年3月11日~3月15日(なくなり次第終了)

ウミトロンは3月4日、AI・IoT技術を活用したスマート給餌機「UMITRON CELL」(ウミトロンセル)で育成した真鯛が、回転寿司チェーンの「くら寿司」において販売されることを発表した。「【愛媛県産】AI 桜鯛(一貫)」として、3月11日から3月15日まで数量限定で全国で取り扱う(なくなり次第終了)。価格は110円。同養殖技術で育てた魚を大手外食チェーンで商品化するのは初めての試み。

ウミトロンは、水産養殖にAIやIoT、衛星リモートセンシングなどの技術を活用することで、持続可能な水産養殖の実現に取り組むスタートアップ企業。同社のUMITRON CELLは、スマートフォンなどから生け簀の魚をリアルタイム動画で確認したり、遠隔操作での餌やり操作を行えたりできる水産養殖者向けスマート給餌機。くら寿司、「AI桜鯛」を3月11日から数量限定で全国販売―ウミトロン開発のAI搭載スマート給餌機で生育した真鯛を商品化くら寿司、「AI桜鯛」を3月11日から数量限定で全国販売―ウミトロン開発のAI搭載スマート給餌機で生育した真鯛を商品化

また、AIが魚の食欲を判定して餌量やスピードを最適化・制御できるため、水産養殖者の労働負荷削減、魚のサイズや品質を保つための給餌をはじめ、海への餌の流出を防ぐなど環境面での配慮にも貢献。現在、近畿・四国・九州地域を中心に、主に真鯛、シマアジ、サーモントラウトなどの魚種に導入されている。

くら寿司は、2010年より「漁業創生」をテーマに様々な活動を行なっており、2021年11月には業界初の水産専門会社である子会社「KURA おさかなファーム」を設立。漁業における人手不足と労働環境の改善を目指し、UMITRON CELLを導入した「スマート養殖」の実証実験として、2021年春から愛媛県内で真鯛の委託養殖を開始した。今回販売するAI桜鯛は、このスマート養殖で育てた真鯛で、大手外食チェーンでの商品化は初の試みとなる。

ウミトロンは、UMITRON CELLを活用した真鯛の委託養殖事業を、KURAおさかなファームとの協業で2021年6月頃から本格始動する予定。養殖用の稚魚や餌を委託養殖事業者に提供し、スマート養殖で寿司ネタにできる大きさまで生育してもらい、養殖した魚の全量をKURAおさかなファームが買い取る計画となっている。今後もくら寿司およびKURAおさかなファームとの協働により、クオリティの高い商品の安定供給と、養殖生産者の経営リスクや労働負荷の軽減・収入の安定化に貢献したいという。

脅威ではなく機会、すべてに対して安全なネットを構築するためのサイバーセキュリティ再構成

TechCrunch Global Affairs Projectとは、ますます複雑に絡み合うテクノロジー分野と世界政治の関係性を検証するためのプロジェクトである。

2021年を通して、新型コロナウイルスの新たな反復の急速なまん延とサイバー犯罪との間で、世界的なニュースが飛び交ったように思われる。いずれも、生き残りをかけた戦いの中で変化するにつれて、ますます創造的かつ破壊的になっている。新型コロナウイルスのロックダウンによる急激なデジタル化からサイバー犯罪者は利益を享受しており、両者は相互に関連し合っている。サイバーセキュリティ業界のある著名な幹部は最近のインタビューで、出生、死、税金と並び、私たちの現在の生活においてもう1つの確実なものは、デジタル脅威の指数関数的な増加であると指摘した。

それにもかかわらず、サイバーセキュリティについての誤解、特にそれが複雑で費用がかかり、面倒かつ無益でさえあるという誤った認識により、多くの新興経済国が第四次産業革命への参加を模索する中でサイバーセキュリティを置き去りにした。だが、成熟したサイバーセキュリティ政策の存在なくしては、デジタルエコノミーのポテンシャルを十分に実現することが困難な状態に各国は陥るであろう。

イノベーションエコシステムの開発における機会と競争優位への道筋としてサイバーセキュリティを再構成することは、個々の国家のサイバーレジリエンスを向上させると同時に、すべてに向けた世界的なデジタルエコシステムを強化する鍵となる可能性を秘めている。

イノベーションかセキュリティか?

2025年までに100億台ものデバイスがモノのインターネット(IoT)に加わることが予想される中、新興のデジタルエコノミーはこの革命の中心になろうと競い合っている。2020年には、約24億ドル(約2775億円)相当の投資がアフリカのスタートアップへと展開され、アフリカのeコマース売上は2025年までに750億ドル(約8兆6713億円)に達すると予測されている。同地域は、急速に成長している新興国・発展途上国40カ国の半分を擁し、現在最も起業家精神に富んだ大陸である。この傾向は、2030年までにデジタルディバイドをなくすことを目指す取り組みにより、人口の残りの78%がインターネットに接続されることで加速するであろう。

しかし、インターネットアクセスの拡大に伴い、世界的なサイバー犯罪も増加することになる。専門家は、サイバー犯罪が2025年までに世界経済に年間10兆5000億ドル(約1214兆円)の損失を与えると推定している。デジタル先進国はサイバー防衛を強化することで対応してきたが、アフリカのイノベーションエコシステムは依然として世界で最も保護されていない状況にある。

アフリカ55カ国のうち、データ保護とサイバーセキュリティに関するアフリカ連合条約(通称:マラボ条約)を批准しているのは10カ国のみであり、アフリカは国際電気通信連合(ITU)のグローバルサイバーセキュリティインデックスで最も低いスコアを記録している大陸であり続けている。ITUと世界銀行のイニシアティブにもかかわらず、アフリカにおいてサイバーセキュリティに関する何らかの法律を設けている国は29カ国に過ぎず、サイバーインシデントと緊急対応チームを置いているのはわずか19カ国である。このため、アフリカの経済は危険にさらされており、アフリカの指導者たちは世界的なサイバーセキュリティ政策を形作る組織体の枠外に取り残されている。

世界的に見ると、セキュリティへの同時投資を伴わないイノベーションシステムへの急速な投資は、デジタル成熟のセキュリティにおけるパラドックスを生み出す。このパラドックスでは、攻撃者が成熟度の2つのレベルの間のギャップを悪用し得る。そして、国家間のこうしたエンティティと各国家自体が二重の形で無防備かつ脆弱性を放置された状態となり、機会主義的で悪意のあるサイバー犯罪者の攻撃を受けやすくなる。

画像クレジット:Garson

ワクチンの地政学を連想させるような動態の中で、このことは、まだ黎明期にあり脆弱なイノベーションシステムを抱える国家を無防備にするリスクを冒すことになる。

サイバーセキュリティの争いか、それとも飛躍か?

サイバーインシデントの増加とそれに付随する衝撃的に高い代償が、サイバーセキュリティの強化を導くと考えるのは理に適っている。しかし、直感に反して、西側諸国における行動を促すサイバーセキュリティのナラティヴは、政策の麻痺や制限的な反射的反応にもつながっている。

ゲーム理論家でノーベル賞受賞者のThomas C. Schelling(トーマス・C・シェリング)氏は次のように指摘している。「私たちは計画を立てるとき、馴染みのないことを起こりそうにないことと混同する傾向がある【略】起こりそうにないことを真剣に検討する必要はないと判断する」。多くのデジタル発展途上国は、悪意のあるサイバー活動の基盤となっている大国政治の枠外にあると考えている。ロシアと米国のサイバースペースでの対立、デジタル覇権をめぐる中国と米国の競争、あるいはイランとイスラエルのデジタル消耗戦で見られたような、大規模な行動の犠牲者になることは、そうした国々には起こりそうにないことのように感じられる。その政策上の必須事項のリストにおいて、このようなサイバー攻撃からの保護は低い位置に置かれている。

デジタル先進国は、サイバー脅威の急速な拡大に対応するために、サイバーセキュリティの機構を導入している。サイバーインシデントやランサムウェアの支払いを報告しなかった場合に厳しい罰則を科す新たな法律の制定、REvilのようなランサムウェア集団を麻痺させるための国際的なイニシアティブの調整などがその例である。一方、デジタル発展途上国では、こうした脅威に対処するために必要とされるサイバーセキュリティ対策の複雑さを理解する上でのインセンティブや能力が不十分であることが多い。

これは、多くが潜在的な技術的新植民地主義の一形態として見ている、欧米のサイバーセキュリティパラダイムへの警戒感によって悪化している。欧米のサイバーセキュリティ技術の規制遵守、規範の採用、購入に対する要求は、これらの国家の成長機会を抑圧していると受け止められることが多い。また、国家をサイバーセキュリティコンプライアンスの対象に加えようとする試みは、国家の主権に対する攻撃と受け取られる場合もある。それは裏目に出ることになり、自由でオープンかつ相互運用可能なインターネットの利益へのアクセスを最終的に脅かすかもしれない、インターネットのシャットダウンのような代替パラダイムを求めるように国家を駆り立てる可能性がある。

しかし、それよりも頻度が高いのは、圧倒的な脅威に対して麻痺状態で反応し、行動を起こすことがまったくできないことであろう。

サイバーセキュリティはチームスポーツ、というのがCISO(最高情報セキュリティ責任者)のモットーである。グローバルなコンテキストでは、これは発展途上のデジタルエコノミーがチームの一員に加わる意思を確実に持つことを意味する。そのためには抜本的な改革が必要となる。

サイバーセキュリティの抜本的再構成

サイバーセキュリティの支持者たちは、サイバーセキュリティを、負担や制約というものではなく、活力に満ちたレジリエンスの高いイノベーションエコシステムを構築する機会として捉え直すことから始めることができる。サイバーセキュリティの魅力と価値を際立たせる新たなナラティブが、イノベーションを抑圧する不合理な基準の認識を払拭するために必要である。

例えば、サイバーセキュリティとデータプライバシーは小売業者の競争力の主要な源であり、価格の敏感性さえも上回ることが調査で示されている。時を同じくして、新設の米国務省サイバー局や英国の国家サイバー戦略2022のような米国と英国における最近のイニシアティブは、強固なサイバーエコシステムを戦略的優位性として強調している。

成熟したデジタルエコノミー、多国間機関、サイバーテックプロバイダーを持つ政府は、自らを守ることができる国家がデジタル革命において最も求められるパートナーであることを、強く主張すべきである。また、サイバーセキュリティに関する世界的な対話を形作ることもできよう。

すべてに対してより安全なネットという価値

すべてに繁栄をもたらす活発で競争力のあるデジタルエコノミーには、信頼でき、安全かつセキュアな、オープンで相互運用可能なネットワークが必要である。ベストプラクティスを活用して自らのイノベーションエコシステムを確保できる国家は、ディスラプションをもたらす開発を先導することになるであろう。ただし、国家や中小企業、個人がサイバーセキュリティを真剣に捉えるように導くためには、脅威から構築された政策を支持するのではなく、サイバーセキュリティの楽観的な論拠に基づいた政策にシフトする必要がある。

ナラティブを変えるには、デジタル的に成熟した国家が、より脆弱な国家に継続的な支援を提供する必要もある。これは、デジタル技術の輸出や、サイバーセキュリティ戦略の青写真のための単なる市場としてのデジタル発展途上国家という枠を超えて、サイバーセキュリティの恩恵を地域的にも世界的にも解き放つインフラの開発を支援するコミットメントを示すものである。サイバーセキュリティを機会として抜本的に再構成することを通じて、安全なデジタルインクルージョンの上に構築されたイノベーションシステムによる、すべてに対してより安全なネットの創出を、国家と社会が協働して確保することができる。善に向けた原動力としてのインターネットのポテンシャルが実現に向かうであろう。

編集部注:執筆者のMelanie Garson(メラニー・ガーソン)博士はTony Blair Institute for Global ChangeのInternet Policy Unitでヨーロッパ、イスラエル、中東の政策責任者。また、University College Londonの政治学部で国際紛争解決と国際安全保障の講師を務め、サイバー戦争とデジタル時代の紛争の未来、および国際交渉について教えている。

画像クレジット:LeoWolfert / Getty Images

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(文:Melanie Garson、翻訳:Dragonfly)

横浜国立大学とゼロゼロワン、家庭用ルーターなどIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」を無料提供開始

横浜国立大学とゼロゼロワン、家庭用ルーターなどIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」を無料提供開始

横浜国立大学ゼロゼロワンは2月24日、家庭用ルーターやスマート家電を始めとしたIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」(アム・アイ・インフェクテッド)の提供を開始したと発表した。費用は無料で、オプションなどによる追加料金は発生しない。

両者は、同サービスの提供により、脆弱なIoT機器の根本原因の解決や効果的な注意喚起手法などに向けて、さらなる研究開発に活かすとしている。今後もサイバーセキュリティの研究を通じて、安全・安心な社会の実現に貢献する。

「am I infected?」は、家庭用ルーターやスマート家電などIoT機器がマルウェアに感染していないか、脆弱な状態で利用していないかを利用者自身で検査・対策できる無料サービス。

専用サイトにおいて、検査結果を送信するメールアドレスの入力と、検査を実施する環境に関するアンケートに回答することで、同ウェブサイトにアクセスした際に利用しているIPアドレスに対して検査を実施する。

検査結果は、入力したメールアドレス宛てに検査結果ページへのリンクが送付される。万が一、マルウェアへの感染が疑われる場合は同ページの推奨対策を参考に利用者自身で対策を行う。

横浜国立大学とゼロゼロワン、家庭用ルーターなどIoT機器のマルウェア検査サービス「am I infected?」を無料提供開始

安全な状態の表示例

マルウェア感染が疑われる際の表示例

マルウェア感染が疑われる際の表示例

同サービスは、横浜国立大学 情報・物理セキュリティ研究拠点が運用しているハニーポットのほか、ゼロゼロワンが開発・提供するIoT検索エンジン「Karma」(カルマ)のデータ、情報通信研究機構(NICT。エヌアイシーティー)が開発・運用するサイバー攻撃観測・分析システム「NICTER」(ニクター)のデータを利用している。

横浜国立大学 情報・物理セキュリティ研究拠点とゼロゼロワンは、2021年6月より横浜国立大学内外のセキュリティスキャンに関する共同研究を行っており、今回のサービスは学外のIPアドレスに対するセキュリティスキャンの成果を活用しているという。

また横浜国立大学は、NICTが2021年4月に創設した産学官連携拠点「CYNEX」(サイネックス。Cybersecurity Nexus)に参画しており、CYNEXのサブプロジェクト「Co-Nexus S」(Security Operation & Sharing)よりNICTERの観測データの提供を受けている。

横浜国立大学 情報・物理セキュリティ研究拠点では、サイバー攻撃の実観測、分析に基づき、対策を導出する研究を行っている。IoT機器のウェブインターフェースを模倣したハニーポットと、Telnetと呼ばれる脆弱なサービスを動作させたハニーポットを運用しており、IoT機器の脆弱性を利用した攻撃や、IoT機器に感染するマルウェアを収集しているそうだ。

同ハニーポットによりサイバー攻撃をひきつけ、詳細に観測する受動的観測や攻撃の対象となる脆弱なシステムを探索する能動的観測により、これらの状況を把握し、独自の分析により、そのメカニズムを明らかにすることで、効果的な対策を導出するという。また、これまでIoTにおけるサイバー攻撃やマルウェア感染の蔓延、超大規模サービス妨害攻撃の観測、分析を行い、その観測・分析結果を多数の公的機関・民間企業・研究コミュニティに提供している。

ゼロゼロワンは、IoT機器開発事業者向けに設計段階におけるセキュリティ面での不安解消や想定外の脅威を作らないための支援を行うとともに、IoT機器を安全・安心に利用してもらうための啓蒙活動を行う会社。

公開情報を情報源とするOSINT(オシント。Open Source INTelligence)を含む様々な情報を可視化する検索エンジンであるKarmaと、より安全な製品開発のためのコンサルティングサービスを事業の柱としている。

環境移送スタートアップのイノカ、サンゴ礁の海を人工的に再現した水槽内でサンゴに真冬に産卵させることに世界初成功

環境移送スタートアップのイノカ、サンゴ礁の海を人工的に再現した水槽内のサンゴに真冬に産卵させることに世界で初めて成功

産卵中のエダコモンサンゴ

環境移送企業のイノカは2月18日、人工的にサンゴ礁の海を再現した閉鎖系水槽(東京虎ノ門)においてサンゴ(エダコモンサンゴ)の産卵に2月16日に成功したと発表した。季節をずらしたサンゴ礁生態系を再現することで、通常日本では年に1度6月にしか産卵しないサンゴを真冬に産卵させることに成功した。

同実験の成功により、サンゴの産卵時期を自在にコントロールできる可能性が見込まれるという。また研究を進めることで、年に1度しか研究が行えなかったサンゴの卵、幼生の研究がいつでも可能となる。今後は、サンゴが毎月産卵するような実験設備を構築し、サンゴ幼生の着床率を上げるための実験や高海水温に耐性のあるサンゴの育種研究につなげる。

イノカでは、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐にわたるパラメーターのバランスを取りながら、IoTデバイスを用いて特定地域の生態系を自然に限りなく近い状態で水槽内に再現するという同社独自の「環境移送技術」により、完全人工環境下におけるサンゴの長期飼育に成功している。完全人工環境とは、人工海水を使用し、水温や光、栄養塩などのパラメーターが独自IoTシステムによって管理された水槽(閉鎖環境)のことを指す。

今回の実験では、環境移送技術を活用し沖縄県瀬底島の水温データを基に、自然界と4カ月ずらして四季を再現することで、日本では6月に観測されるサンゴの産卵を2月にずらすことに成功した。また今回、同社の管理する水槽で3年以上飼育したサンゴを使用している。

環境移送スタートアップのイノカ、サンゴ礁の海を人工的に再現した水槽内のサンゴに真冬に産卵させることに世界で初めて成功

産卵実験に使用した水槽

研究手法

  • 環境移送技術を活用し、サンゴを長期的・健康的に飼育できる人工生態系を構築。海水温を24度にキープしていた水槽の水温制御を2021年8月23日より開始
  • 2021年8月23日より沖縄県瀬底島の12月の海水温と同期
  • 飼育を継続し、2022年2月17日未明、エダコモンサンゴの産卵を確認することに成功

イノカは、日本で有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリストと、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアが2019年に創業。アクアリストとは、自宅で魚や貝、そしてサンゴまでをも飼育する、いわゆるアクアリウムを趣味とする人々を指すという。自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力とIoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する「環境移送技術」の研究開発を行っている。

スマート畜産の普及を目指すNTT東日本の通信環境実証実験にAI家畜管理サービスPIGIが協力、IEEE802.11ah活用

養豚プラントの設計施工や畜産のDXを推進するコーンテックは2月9日、AI家畜管理サービス「PIGI」(ピギ)について、NTT東日本による「スマート畜産」普及に向けた通信環境実証実験に提供することを発表した。

この実証実験は、NTT東日本が、NTTアクセスサービス研究所と連携し、神奈川県の畜産業者臼井農産の養豚場を実験場として行われるもの。畜産現場でのプラチナバンド(700〜900MHzの周波数帯域)のIoT向けWi-Fi「IEEE802.11ah」が活用可能かどうかを確かめことを目的としている。同通信規格を試す理由は、従来のWi-Fiに比べてカバーエリアが広く、中継器や無線LANの親機を減らすことができ、カメラやセンサーの台数を増やせるなどのメリットがあるためだ。

ここで、コーンテックのPIGIがデータを提供することになる。PIGIは、豚の頭数・体重をカメラで撮影した画像から解析するというシステム。通常は、大人の男性2名が3分間以上をかけて行う作業を10秒程度で済ませられるという。勘と経験に頼らず、人の介在も減らして、効率的に管理が行えるだけでなく、最適な体重での出荷を可能にし、収益率を上げられるとしている。

コーンテックは2021年、NTT東日本、臼井農産とPIGIを使って、豚の体重・体格・肉質を計測する実証実験を行っている。今後もこの取り組みで蓄積されたデータを活用して、臼井農産は「最高品質の豚肉の提供」を目指し、NTT東日本とコーンテックは、神奈川県内の養豚業へのIoTサービス導入の支援と、養豚業の発展に向けた新たな仕組み作りを検討してゆくとしている。

高齢者などの見守りロボ「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ」に離れた家族の見守りを支援する4つの新機能

高齢者などの見守りロボ「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ」に離れた家族の見守りを支援する4つの新機能

家庭向けIoTサービス事業などを展開するネコリコは、コミュニケーションロボット「BOCCO emo LTEモデル Powered by ネコリコ」(emo。エモ)に4つの新機能を追加し、サービスの提供を開始した。新機能は、すでにemoを利用している人も無料で利用できる。

emoは、ユカイ工学による共感型コミュニケーションロボット「BOCCO emo」(ボッコエモ)のバリエーションモデルとして、家族と離れて暮らす高齢者の見守り機能&LTE通信機能を搭載した製品。2021年5月に提供を開始した。

専用アプリを使った家族同士の遠隔コミュニケーション機能の他にも、センサー情報から熱中症やインフルエンザの危険性を注意したり換気を促す「おせっかい通知」のような能動的な機能も備えている。LTE内蔵のため、WiFi環境への接続などの手間がかからず、簡単に利用できる。

ネコリコでは、これまでにユーザーから寄せられた要望をもとに、次の4つの新機能を開発した。

おかえり機能

おかえり機能は、内蔵の人感センサーで同居人を見守る機能。しばらく見かけないとき、何をしていたのか、体調に変化はないか、声かけをする。メッセージを録音すれば、アプリに音声メッセージが届く。

長期不在通知機能

長期不在通知機能は、12時間、24時間、48時間以上同居人を見かけなかったときにアプリに通知する。

おへんじ機能

おへんじ機能では、emoに「おはよう」「おやすみ」などとあいさつをすると返事をしてくれる。あいさつをすると、それがアプリに通知される。

記念日でおしゃべり機能

記念日でおしゃべり機能は、記念日を設定しておくことで、その日になるとemoがメッセージを話してくれるというもの。

「おかえり機能」と「長期不在通知機能」には、同居人の起床や帰宅を検知したときにemoが声かけすることで、emoと見守られる人とのコミュニケーションの頻度を高めるという狙いもある。スマートフォンのアプリで見守っている人たちは、相手の生活リズムをより細かく感じられるようになり、声かけを必要とするタイミングを把握しやすくなるということだ。「おへんじ機能」と「記念日でおしゃべり機能」には、emoへの愛着を高めてもらい、関わりを増やしてもらう目的がある。

韓国の不動産テックZigbangがSamsung SDSのIoTスマートホーム事業を買収

不動産取引サービスを提供する韓国の不動産テックスタートアップのZigbang(ジグバン)は現地時間1月27日、Samsung SDS(サムスンSDS)のホームIoT(internet of things)部門を買収し、スマートホーム業界へ進出すると発表した。

Samsung SDSは、傘下唯一のB2C事業であるIoTスマートホーム部門を売却し、B2Bに集中する。同部門の主な製品は、ユーザーのスマートフォンに接続するデジタルドアロックやウォールパッドなどだ。Samsung SDSは2016年、IoTスマートホーム部門をアイルランドのAllegion(アレジオン)に売却しようとしたが、合意に至らなかったと報じられた

IoTはどうしても利幅が薄く、簡単なビジネスではないため、長期にわたり業界にとどまりたいプレイヤーは、より多くのスケールメリットを求めてライバルをすくい取っていく。

Zigbangは、IoTスマートホーム事業を買収することで、技術的なシナジーを生み出し、市場シェア拡大を狙う。

「Zigbangの住宅コンテンツとSamsung SDSの住宅IoTハードウェアを組み合わせ、私たちはスマートホーム市場に革命を起こします」とZigbangのCEO、Sung-woo Ahn(スンウー・アン)氏は声明で述べた。

同社のSunwoong Lyuh(スンウー・リュー)副社長はTechCrunchに対し、Samsung SDSのIoT部門は現在16カ国以上で堅実な収益を上げているため、今回の買収により、Zigbangは世界のスマートホーム市場に参入し、成長を加速させることができるだろうと語った。

1月27日に買収契約を締結したZigbangは、2022年第2四半期の買収完了を目指すとリュー氏は述べた。同社は、買収取引の評価額についてはコメントを避けた。メディアの報道によると、取引規模は1000億ウォン(約97億8000万円)と推定されている。

Zigbangは、不動産取引からスマートホームデバイスまで、生活空間のすべてをデジタル化したいと考えている。また、セルフストレージや住宅の検査・修理サービスにも参入する計画だ。

Zigbangは2018年以降、買収拡大路線を歩んでいる。

2018年に韓国のプロップテックスタートアップHogangNoNoを、2019年には「co-living(コリビング)」プラットフォームの WooZooと、商業仲介プラットフォームのSugarhillを買収した。また、2021年には住宅管理サービスプラットフォームのMovillを買収した。

Zigbangによると、同社のユーザー数は合計3350万人、月間アクティブユーザー数は810万人だという。現在、600人の従業員数を擁している。

直近では2019年7月に1600億ウォン(約152億円)を調達し、これまでの資金調達総額は2265億ウォン(約216億円)に、評価額は7000億ウォン(約660億円)に達した。韓国の中小ベンチャー企業省が1月27日に発表した報告書によると、Zigbangの2021年6月の評価額は1兆1千億ウォン(約1044億円)だった。

画像クレジット:Zigbang

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

流通小売・メーカーDX支援やリテールメディア運用のアドインテにグローリーとSony Innovation Fund by IGVが資本参加

流通小売・メーカーDX支援やリテールメディア運用のアドインテにグローリーとSony Innovation Fund by IGVが資本参加

IoTとAIを活用し流通小売・メーカーDX支援、リテールメディア開発・運用を行うアドインテは1月24日、グローリー、また新たにSony Innovation Fund by IGV(Sony Innovation Fund、大和キャピタル・ホールディングス)などを引受先とする28.6億円の資本参加を受けたことを発表した。これにより、総額52億円の資金調達と資本参加の実施が完了した。

今回の資本参加により、現在同社が構築しているリテールメディア事業のさらなる拡大と、流通小売・メーカー向けDXソリューション開発を強化する。

今後もアドインテは、店舗でのユーザー体験向上を目的としたリテールメディア開発・運用など販促DX支援と、流通小売企業様と連携したプロダクト開発やサービス強化を進める。また、今後控えているデータ連携の拡大や分析レポートの高度化を図り、デジタルマーケティングキャンペーンにおいて、ファーストパーティデータを活用した、精度の高いマーケティング施策の実現を目指す。

アドインテは、人・モノ・流通の変革を促し、持続可能な社会を構築すべく、様々な社会課題・経営課題を解決するソリューションサービスの提供を目指し事業を展開している。

昨今では、IoT・AIなどを活用した流通小売業のDXとともに、オフラインの消費者行動のデータ化・可視化が進展、また店頭のアナログ販促のデジタル化も進み、リアル空間データとID-POSデータなど既存のデータ資産を掛け合わせることで、店舗を起点としたリテールメディア事業が国内外で成長しているという。

また同社は、消費者ニーズの多様化・消費行動変化を捉えた購買起点でのマーケティングデータ基盤は、GoogleによるサードパーティCookie利用の段階的な制限など、ウェブ広告の活用方法が世界的に見直される方向にあることから、プライバシーに配慮した広告効果の高いマーケティングソリューションは、今後さらに重要になると考えているという。流通小売・メーカーDX支援やリテールメディア運用のアドインテにグローリーとSony Innovation Fund by IGVが資本参加

eSIMの進化版iSIMをクアルコムがデモ、SIM機能をSoCに統合し専用チップ不要

eSIMの進化版iSIMをクアルコムがデモ、SIM機能をSoCに統合し専用チップ不要

クアルコムとVodafone、Thalesの3社は、「iSIM」搭載スマートフォンのデモを実施しました。Snapdragon 888を搭載したGalaxy Z Flip3を用いました。

「iSIM」は、従来のeSIMソリューションの進化版です。

SIMの機能をSoCに統合することで、別チップが必要なeSIMに比べて省スペース化を実現。IoTや小型ウェアラブル端末など、これまでSIM機能を組み込めなかったモバイル端末でもセルラー接続を実現します。

加えて、SoCにSIM機能が組み込まれるため、パフォーマンス、メモリ容量も向上できるといいます。

オペレーターは既存のeSIMインフラを活用したリモートでのSIM提供が可能となります。

Engadget日本版より転載)

「高齢者に役立つテクノロジーはすべての人の役に立つ」とスタートアップはCESで示す

2022年のCESではエイジテックのスタートアップが可能性の広さを示した。テクノロジーが高齢者の生活をもっと快適にする助けになるなら、他の多くの人々の助けにもなるだろう。移動のサポート、健康状態をモニタリングするプラットフォーム、長期的な資金計画などが役に立つのは高齢者に限ったことではない。

米国時間1月5日、筆者はAARP Innovation Labsのバーチャルプレゼンに登場したスタートアップの記事を公開した。このプレゼンではファイナンスのリテラシーに関するプラットフォームから更年期対策プロダクトを開発するD2Cのスタートアップまで、さまざまなテーマが取り上げられた。

TechCrunchでは他にも、開閉式のトレイシステム、棚、オプションの冷蔵庫を備えたLabrador Systemsのロボットカート「Retriever」を紹介した。最大25ポンド(約11.3kg)を運搬できるRetrieverは移動に制限のある人の助けとなり、家庭で洗濯物や食事などを運ぶことができる。このカートはAlexaの音声コントロールにも対応している(同社はAmazon Alexa Fundの支援を受けている)。

関連記事:Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

Sengledは心拍数や体温、睡眠の記録などをレーダーでセンシングして健康状態を把握できるスマート電球を発表した。スマートモニタは新しいアイデアではないが、Sengledの電球は極めて控えめだ。TechCrunchのハードウェア担当編集者であるBrian Heater(ブライアン・ヒーター)は「転倒検知など、高齢者介護に役立つ可能性のあるアプリケーションを搭載している」と記している。

関連記事:この電球はユーザーの健康状態をモニターする

テック大手が家庭用ヘルスモニタリングに参入する傾向も続いている。LGは、2021年と2022年の同社の全スマートテレビにリモートヘルスプラットフォーム「Independa」のアプリをインストールすると発表した。これにより、ユーザーはLGのテレビで遠隔治療の予約を取り、薬剤給付のプランを利用できる。

医療機器スタートアップのEargoは、最新の補聴器「Eargo 6」を発表した。新機能として自動で設定を調整する専用アルゴリズムの「Sound Adjust」を搭載し、ユーザーは騒がしい環境で手動で切り替えをして会話を聴きやすくする必要がなくなる。また、Eargoのアプリで選択できる環境設定の「マスクモード」も追加され、マスクをつけている人の話がこれまでよりクリアに聞こえるようになる。

Sensorscallは、Apple WatchやFitbitなどのヘルストラッキングデバイスと統合されたリモートモニタリングアプリ「CareAlert」のアップデートを公開した。家族や介護者は新しい健康状態ダッシュボードを通じて、毎日のルーティン、睡眠パターン、衛生の状況、キッチンの使用に関する傾向を見ることができる。CareAlertを開発したのは、自立して生活する(つまり住み慣れた家で生活し、その多くは家族と離れている)高齢者だ。

BOCCO emoロボット

BOCCO emoは介護施設での見守り用に作られた最新のロボットだ。開発したのはクッション型ロボットのQooboを作ったユカイ工学で、テーブルに置ける小型のBocco emoは医療用のIoTデバイスと接続して患者のバイタルを監視し、状態を看護師に通知する。患者が助けを必要とする場合は、看護師が到着するまでBOCCO emoが患者に話しかける。患者の状態を家族に知らせることもできる。BOCCO emoはすでに日本で試験運用を実施し、現在は日本国内の病院で使われている。この小さなロボットは「emo言語」を使う。ユカイ工学はこれについて、ユーザーの話と感情を理解し、それに応じて「効果音、顔の表情、ジェスチャー」で反応するものと説明している。

IoTセンサーを活用して自立した生活を支援するスタートアップには、Nodeus SolutionsのKoKoonがある。これはモバイルアプリに接続された小さなIoTセンサーのネットワークで、介護者や家族を対象としている。アルゴリズムが個人の習慣を学習し、行動に変化があれば介護者に知らせる。

IoTセンサー、AI技術、モバイルアプリを組み合わせたスタートアップとしては他にCaregiver Smart SolutionsUnaideSmart Macadamがある。

画像クレジット:Marko Geber / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

CES 2022で発表された愛犬・愛猫向けの新しいテクノロジーをまとめて紹介

CESでは毎回、ペットオーナー向けの楽しいテクノロジーが紹介されるが、2022年も例外ではない。しかし、2022年は犬や猫を単なる愛すべき毛皮で覆われた友人としてではなく、独自の行動や感情、さらには自己表現の欲求を持つ知的な動物として扱うことに配慮したガジェットがいくつか出展されていた。

最も基本的なレベルとしては(数年前に比べればかなり進んだレベルといえるが)、飼い主が猫の日々の動きを把握するのに役立つ、猫用スマート首輪と体重感知プラットフォームを組み合わせた「Catlog(キャットログ)」がある。

この首輪は動きや振動を感知し、寝る、座る、前足を洗う、食べる、飲む、さらには動き回るといった「猫らしい行動」と関連付ける機能を持つ。これらの行動(毛づくろいも含まれる)は、IoTハブを通じてほぼライブで飼い主に送られる。そしていつ、どのくらい遊んだか、どのくらい寝たかなど、愛猫の1日を振り返ることもできる。

自分がいないときのペットの日常生活を明らかにするという、このデバイスの基本的な機能は、ペットが単なる膝の上のアクセサリーではなく、飼い主が見ていないときにも存在し、行動していることを理解するために最適な最初の一歩となるだろう。

Invoxia(インヴォクシア)は、犬の位置情報だけでなく、心臓や呼吸器の状態も追跡するスマート首輪を開発した。現時点でその効果を保証することはできないものの、人間の有害な事象や状態を検知するスマートウォッチやウェアブルデバイスが進歩していることを考えると、同様のものが犬用に開発されてもまったく不思議ではない。

動物も人間と同じように心臓や肺に問題を抱えていることがあり、悲しいことに犬種によってはその傾向がある。年に2回、獣医に連れて行って犬の呼吸を診てもらうのはもちろんだが、何かおかしいと思われる時には、飼い主に知らせてくれる首輪を装着するのもよいのではないだろうか。我々自身と同じように「予防のための努力は治療のための努力に値する」のだから。

画像クレジット:Inupathy

犬の背中に装着するバックパック型デバイス「Inupathy(イヌパシー)」は、単に生理的なサインを検知するだけでなく、さまざまな心理状態を検知できるとメーカーは主張している。とはいえ、現時点では過度な信用は禁物だ。この種のデバイスは、人間に焦点を当てたものもあるが、結果はまちまちだからだ。しかし、このInupathyを製造しているLangualess(ラングレス)は、次のようにその機能を説明している

動物の心臓は、穏やかなリズムで鼓動している状態であっても、その持ち主が緊張を感じ始めると鼓動のリズムを早めます。これは、活動時に働くとされる交感神経が活発化することで起こる現象です。私たちは、心拍の変動を独自に研究解析することで、さらに細かく持ち主の精神状態を読み解けることがわかってきました。

心拍数解析は、もちろん長く豊富な歴史を持つ分野であり、ヒット製品もあれば失敗した製品もある。しかし、犬がリラックスしているのか、一時的に興奮しているのか、あるいは長期的な怒りや不安の状態に入っているのかを見分けることができると考えるのは、理に適っていないというわけではない。同社の中核的な技術革新は、動物の心拍数を確実に検出し、解析するローカルセンサーと回路を開発したことである。

もちろん、尻尾の位置や体勢、声の出し方など、より外見的な要素からそれを知ることはできる。しかし、すべての犬がそれほど感情を表すとは限らない。ともかく、もう少しデータを追加してみるのもいいだろう。

データを追加するといえば、台湾最大の応用研究機関であるITRIは、犬の心臓発作を予防するためにデータに基づく早期警告信号を提供する「iPetWeaR(アイペットウェア)」というすてきなコンセプトを発表した。この低消費電力の生理学的検出レーダー技術は、ペットの肌に触れる必要がない無害なもので、ペットの首輪に取り付けたり、犬用ベッドに組み込むなど、柔軟なやり方でセンシングすることができる。

80ドル(約9300円)の基本パッケージには、センサーデバイス、多彩なオプションから選べる首輪、モバイルアプリが含まれており、猫と犬の両方に対応している。同社では愛くるしいデモ映像も制作しており、それは私たちがこの種の製品をまとめて紹介する理由にもなっている。

iPetWeaRによって収集された生理データは、Bluetoothによって飼い主の携帯電話に転送される。不規則な脈や呼吸が検知された場合は、飼い主がすぐに対応できるように通知が送られ、ペットの基礎的な健康状態の異常を早期に発見できることを、この製品は約束している。

しばらく前に登場したWagz(ワッグズ)の「Freedom Collar(フリーダム・カラー)」は、バーチャルなジオフェンスを導入することで、4本足の友達をその場所に留まらせておくことができるようになった。この首輪は、GPSトラッキングとフィットネス記録機能、そして「人道的」な矯正機能(電気ショックは使わない)を備えており、子犬のトレーニング用ソリューションとして人気を博している。しかし、CES 2022では新たに「Wagz Tags(ワッグズ・タグ)と呼ばれる製品が追加された。このアイデアは、犬を家の中で自由に歩き回らせる一方で、入ってはいけない小さな区域を設定するというものだ。犬に付けられた首輪がWagz Tagに近づきすぎると、ジオフェンシングが作動する。これは、愛犬を家具から遠ざけるための優れた、そして非常に賢い方法と言える。

Wagz Tagzでは、3フィート(約0.9メートル)から15フィート(約4.6メートル)までのカスタマイズ可能なKeep Out Zone(立ち入り禁止区域)を作成することができ、近づいてほしくない場所から安全にペットを遠ざけることができる。

画像クレジット:Wagz

せっかく一緒にいるのだから、犬と直接会話してみたらどうだろう?それがFluentPet(フルーエントペット)のアイデアだ。同社は犬に人間の語彙を使って自分を表現することを教えるためのボタンセットを製作している。下の写真のように、犬が前足でボタンを押すと、人間の言葉が出てくるという仕組みだ。

画像クレジット:FluentPet

明らかにFluentPetのボタンは、ソーシャルメディアで人気者となった、ボタンを押して自分の言いたいことを表現する犬、Stella(ステラ)とBunny(バニー)から着想を得たものだ。彼らの一見筋が通った言葉は、我々の予想以上に豊かな知的世界を示唆している。FluentPetのボタンは、あなたの愛犬が同じような才能を持っているかどうかを簡単に調べることができる(正直にいうと、すべての犬は優秀だが、すべての犬が確実に文章を作れるわけではない)。

数種類のセットが用意されているボタンキットには、個別の絵と文字で意味が書かれたさまざまなボタンが含まれており、ボタンを押すと「お外」や「ごはん」、そしてもちろん「大好き」などの言葉が出てくる。これらのボタンは、犬が目で見て簡単に覚えられるように、識別しやすい大きな発泡マット(味がしないことを祈る)に貼り付けて使う。

果たして犬は「大好き」という言葉の意味を本当に理解しているだろうか? おそらくそうではないだろう。好きであることは間違いないだろうが、そのボタンを押すと可愛がってもらえるというように理解しているのかもしれない。同様に「ごはん」のボタンを押すと夕食が早くなる傾向があり「お外」を押すとドアをじっと見ているよりも早く散歩に連れ出してもらえる。飼い主のあなたは、犬と完全な会話を楽しむことはできないかもしれないが、親友が自分自身を表現する方法を変える楽しい手段にはなるだろう。犬は時々、残念な方法で自分の気持ちを表現することがあるからだ。

画像クレジット:alfpoint Images / Getty Images

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(文:Devin Coldewey, Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

CES 2022でスマートホームデバイスの接続規格「Matter」に注目が集まっている理由

現在、ラスベガスで開催中の2022年CESテクノロジーショーで各社が新しいスマートホーム機器を発表する中、スマートホームデバイスは他のシステムとシームレスに統合され、安全で信頼できるものであるべきだという共通の信念に基づいて作られたオープンソース接続規格「Matter(マター)」が大きな話題になっている。

Deloitte(デロイト)によると、スマートホームデバイスを導入している家庭の割合は66%に上り、デバイス好きな人はおそらくきっとこの数字の中に含まれていることだろう。また、1つの会社やブランドにこだわらず、少なくとも6つの異なる会社からデバイスを購入されていることだろう。そのため、2022年スマートホームデバイスを発売する企業にとって、Matterのサポートはとても助かるものだ。

このプロトコルは、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)といった大手テック企業やスマートホームデバイスメーカーによって開発されているだけでなく、断片化したスマートホームシステムに関する問題を最終的に解決し、すべてのデバイスを1つの場所から簡単にセットアップしてルーティングできるようにするために設計されている。

Matterは、ローカル・コントローラー・デバイスを介した、すべてのデバイスの通信を可能にするインフラ、パイプライン、言語となる。そのインターネットプロトコルは、デバイス認証のためのIPベースのネットワーク技術の特定のセットを定義し、メーカーがApple SiriやAmazon Alexa、Google Assistantと互換性のあるデバイスを製造できるようにしてくれる。Matterの最初のプロトコルは、Wi-FiとThreadのネットワーク層で動作し、コミッショニングにはBluetooth Low Energyを利用する予定だ。

最初のMatter認定デバイスのテストを組織しているConnectivity Standards Alliance(通信規格標準化団体、旧Zigbee Alliance)は、2022年のCESでブースや会議室、バーチャル会議においてMatterを展示または紹介している企業を20社以上特定した。その中には、NXP、Qualcomm(クアルコム)、Samsung(サムスン)SmartThings、Telink(テリンク)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Universal Electronics(ユニバーサル・エレクトロニクス)が含まれている。

5月にGoogleは、MatterをAndroidとNestに導入すると発表し、米国時間1月5日、数カ月後にAndroidの「Fast Pair」機能を使って、新しいMatter対応スマートホーム機器を数クリックでホームネットワーク、Google Homeや他のアプリにすばやく接続できるようになると発表した。

関連記事:グーグルがFast Pair機能をヘッドフォン以外にも拡大、デバイスと生活で使うさまざまな機器をつなぐプラットフォームに

そして1月5日未明、Amazonは、その「フラストレーションフリーのセットアップ」ドキュメントが現在デバイスメーカーに公開され、インターネット接続がダウンしてもそれらをコントロールできるように、そのデバイスをMatterデバイスの第二管理者として追加するなど、セットアップ体験とAlexa機能の両方について多くの企業と協働していると述べている。

また、同社はシリコンベンダーと協力して、フラストレーションフリーのセットアップをサポートする「Matter System-on-a-Chip」となるものを開発中だという。これらはすべて、ほとんどのEchoデバイスがMatterをサポートし、第4世代のEchoとeeroデバイスがMatter Threadボーダルーターになるという2021年の発表に続くものだ。

その他、Matterに対応する新しいデバイスやサービスを発表した企業を紹介する。

  • Comcast(コムキャスト)は、スマートライト、スマートプラグ、スマートロックなどのIoTおよびホームオートメーションデバイスの中央コネクタとして機能するZigbeeおよびMatter互換の「未来のスマートホームのためのIoT」機能を備えた新しい「xFi Advanced Gateway Router」を発表しながらそれに言及した。
  • コネクテッドホーム製品を製造するEve Systems(イヴ・システムズ)は「Eve MotionBlinds」を制作し、同製品を「Threadに対応した市場初のコネクテッドブラインドとシェードモーター」だとアピールした。
  • ホームセキュリティブランドのArlo Technologies(アーロ・テクノロジーズ)は、セキュリティハブと統合キーパッドに対応した8種類の機能を持つセンサーセット「Arlo Security System」を、よりDIY的なセキュリティ監視ソリューションを求める小規模企業や消費者向けに発表した。また、スマートホームの分野で幅広い互換性を確保する姿勢を固めるため、Matterへのコミットメントも表明した。
  • エッジコンピューティング企業のVeea(ヴィーア)は、Matter、Thread、Wi-Fi 6のサポートを含む「Smart-home-as-a-Service」を発表した。これには「STAX」と呼ばれる家庭用Veea SmartHubメッシュ・ルーターが含まれる。
  • Belkin(ベルキン)がCESで発表した家庭向けのMatter対応製品の中には、AppleのHomeKitと連携する新しい「Wemo」スマートビデオドアベルや、Thread上でMatterと連携するスマートライトスイッチ、スマートディマーがある。
  • Mui Lab(ムイ・ラボ)は、スマートデバイスを「より落ち着いたもの」に変えるMatter対応の「muiPlatform」をデビューさせた。これにはAmazonのAlexaをより視覚的なインターフェースに変えるボードが含まれる。

Connectivity Standards Alliance(CSA)のマーケティング担当副社長であるMichelle Mindala-Freeman(ミシェル・ミンダラ=フリーマン)氏は、米国時間1月4日に発表されたSchlage(シュレージ)の新しいスマートWi-Fiデッドボルトに注目している。

彼女は、2022年はMatterにとって大きな年になるだろうと述べている。CSAとMatterの両方に関わっている企業は数百社あり、50社がすでに134の製品を持ち込んでいると、同氏ははTechCrunchに語っている。

CSAは、2022年の半ばまでに認証、仕様、テストツール、SDKをリリースする予定だ。これにより、企業は新しいハードウェアやイノベーションをより早く市場に投入することができるようになり、より幅広い消費者にリーチすることが可能になる。

ミンダラ=フリーマン氏は「根本的なレベルでは、CSAの仕事は、断片化をなくし、企業が成長し、消費者にとって価値の高い方法でそれを実現するのを支援することです。Matterのような標準規格は、それを実現するものであり、すべての船を上昇させる潮流であると信じています」。と述べている。

画像クレジット:Schlage / Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadbolt

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

混雑情報のバカンが初詣など分散参拝を支援、福岡県太宰府天満宮や三重県伊勢市主要観光地の混み具合を可視化

混雑情報プラットフォーム「バカン」が初詣など分散参拝を支援、福岡県太宰府天満宮や三重県伊勢市主要観光地の混み具合を可視化

AI×IoTを活用してあらゆる空き情報を配信するスタートアップ「バカン」は12月27日、福岡県太宰府市および三重県伊勢市観光協会との観光DXに関する取り組みを発表した。

福岡県太宰府市

太宰府天満宮は、日本屈指の人気観光スポットであるとともに初詣期間は参拝客が集中しやすく、三が日には毎年200万人が訪れるという。ただ昨今、国内外での新型コロナウイルスのオミクロン株感染拡大もあり、参拝者の快適性向上や感染拡大防止に向けて「分散参拝」の重要性が増しているという状況にある。

太宰府市との取り組みでは、太宰府天満宮参道のリアルタイム混雑情報の検知・配信(12月28日開始)を行う。太宰府市内の太宰府天満宮参道に定点カメラを設置し、リアルタイムの混雑情報を24時間自動で検知。またAIなどでそれら情報の映像解析を行うことで、混雑情報を可視化し配信する(カメラによる混雑の可視化は、個人が特定されない形で実施)。参拝者が、任意のタイミングでリアルタイムの混雑情報を把握できるなど、分散参拝しやすい環境の構築を支援する。また、同取り組みを推進し参道の混雑を抑制することで、観光客の満足度の向上や地域住民の理解につなげていくことも目指す。

混雑情報の可視化は、リアルタイム空き情報配信プラットフォーム「VACAN」を活用。VACANには混雑情報をマップ上に表示する機能「VACAN Maps」があり、今回参拝者は、専用ページとVACAN Mapsから混雑情報を確認できる。スマートフォンやPCを通し誰でも閲覧可能。

また今後、得られた混雑データを用いて混雑予測や人流解析といった新しい活用方法を含む観光DXの推進についても、太宰府市とともに検討するという。

三重県伊勢市観光協会

混雑情報プラットフォーム「バカン」が初詣など分散参拝を支援、福岡県太宰府天満宮や三重県伊勢市主要観光地の混み具合を可視化三重県・伊勢市観光協会との取り組みでは、同協会による非接触型デジタルサイネージを活用した混雑状況配信(12月27日開始)をサポートし、配信を実施する。非接触デジタルサイネージには、市内の主要観光地9カ所とそれらのリアルタイムの混雑状況が表示される。筐体に設置された赤外線センサーにより指の動きを検知することで、画面に触れることなく操作でき、各場所の詳細情報を閲覧可能。混雑状況などはすべて多言語対応しており、海外の方も利用できるそうだ。混雑情報プラットフォーム「バカン」が初詣など分散参拝を支援、福岡県太宰府天満宮や三重県伊勢市主要観光地の混み具合を可視化

伊勢神宮は、年間600万人以上が参拝し、三が日には毎年50万人の参拝客が集中するという(数値はコロナ禍前のもの)。やはり日本屈指の人気観光スポットだが、コロナ禍により分散参拝を重視するようになっている。2020年よりVACANは、伊勢市との観光DXの一環として、市内観光地の混雑情報を可視化する混雑状況配信サイト「空きです、伊勢♪」の配信・運営をサポートしてきた。

伊勢市の取り組む主要観光地の混雑データは、市内9カ所にカメラなどを設置し、リアルタイムに混雑状況を検知しAIなどを用いた画像解析により混雑状況を可視化したもの(カメラによる混雑の可視化は、個人が特定されない形で実施)。今回の取り組みでは、「VACAN Maps」および専用ページを介した混雑情報の提供に加えて、非接触型デジタルサイネージを通して混雑を確認できるようにしたという。これにより、スマートフォンやPCを持っていない方や、それらデバイスを使いにくい状況でも、利用者の利便性向上が期待できるとしている。従来以上に手軽に混雑情報を把握できるようにすることで混雑の抑制を促し、感染症などのリスクを抑えた安全な観光地の実現を目指す。

非接触型ディスプレイの設置場所

  • :JR伊勢市駅(三重県伊勢市吹上1-1-4 JR伊勢市駅構内)
  • 案内所
    ・宇治浦田観光案内所(三重県伊勢市宇治浦田1-10-25 内宮B2駐車場横)
    ・宇治山田駅観光案内所(三重県伊勢市岩渕2-1-43 近鉄宇治山田駅構内)
    ・二見浦観光案内所(三重県伊勢市二見町茶屋111-1 二見生涯学習センター内)
    ・伊勢市駅手荷物預かり所(三重県伊勢市吹上1-1-1 JR伊勢市駅正面右側)

 

【コラム】米国のスマート道路への投資は好景気への道を開くだろう

米国の交通システムが直面している課題は数多く、年々悪化している。米国の道路への需要が高まるにつれて、安全性、効率性、持続可能性の問題も増大している。

歴史的な1兆ドル(約114兆円)規模のInfrastructure Investment and Jobs Act(インフラ投資・雇用法)は、数十年間で最大かつ広範囲に及ぶインフラパッケージの1つであり、この国の投資ニーズに対する巨額の頭金となって、すべての州で数千もの重要なプロジェクトの鍵を握ることになる。しかし、公的資金だけでは、特に5年間に配分される場合、人口や都市、そして道路を毎日走る車両の新たなニーズに対応するには不十分である。

例えば、老朽化し荒廃した高速道路、橋、道路の補修に1000億ドル(約11兆円)が割り当てられている。残念なことに、米国は長年にわたり道路の財源を不足させてきたため、公共道路の43%が劣悪あるいは並以下の状態に置かれており、その結果、道路補修の必要額として4350億ドル(約49兆円)の未処理分が生じている。道路の修理に特化した公的資金をもってしても、私たちは依然として必要とされるレベルに達していない。

交通インフラ産業は歴史的にリスク回避の傾向があり、公共交通機関の資金の利用可能性によって制限されてきた。しかし、今日に至るまで私たちすべてが依存してきている初期のテクノロジーネットワークの歴史的な例がいくつかあり、それらは国民経済に劇的なインパクトをもたらしている。これらのプロジェクトは、公共投資によって促進され、地元の公共事業機関による地域での実施を必要とし、大部分は民間組織によって提供され、維持されてきた。

初期の自動車を支えるために舗装道路が導入されたのは、100年と少し前のことである。州間高速道路網は、Dwight D. Eisenhower(ドワイト・D・アイゼンハワー)大統領が1956年のFederal Aid Highway Act(連邦補助高速道路法)に署名して以来「史上最大の公共事業」として知られている。毎日の移動、商業、文化の手段となっている。

この記事をコンピューターやタブレット、スマートフォンの画面で読むには、全国的な電力網やケーブル、携帯電話ネットワークの恩恵が欠かせない。私たちがより多くの生活をテクノロジーに依存し、信頼し、そして放棄するようになるにつれ、交通機関の研究者やスマートインフラのプロバイダーの多くが、安全性、効率性、持続可能性を向上させる創造的な新しい方法を取り入れている。

米国には国を横断する400万マイル(約644万キロメートル)余りの公道が存在する。スマート道路は、次世代の車両、人、都市のインフラを変革するための、わかりやすくアクセスしやすいソリューションである。古いテクノロジーを改良するために新しいテクノロジーを発明するという頻度は非常に高くなっている。道路をネットワーク化することは、テクノロジーを可能にするソリューションの1つである。

道路をデータと通信のプラットフォームに変えることで、オンライン小売業者がインターネットのトラフィックから得るのと同じレベルで、実店舗が車両向けのインサイトを捕捉するために使用できるような匿名性の高いデータが収集されるようになる。オンライン小売業者には、顧客の人口統計、ショッピングおよび購買習慣、市場動向、そしてトラフィックパターンについての情報がもたらされている。インターネットのインフラとサービスにより、トラフィックデータが自動的かつ受動的に収集されるのである。

これに対し、実店舗は基本的に顧客ベースについて何も把握していない。起業家は数百万ドル(数億円)を現地経済に投資するが、その前に何カ月もかけて場所を見つけて調整し、在庫を確保し、人員を配置する。こうした一連の作業を経て、1つの取引が成立する。道路から収集された匿名データは、事業主がオペレーションを改善し、従来の小売業者がオンライン小売業者との競争力を維持するのに役立つだろう。

このようなスマートインフラサービスを活用すれば、道路はその新しいケイパビリティからのキャッシュフローに依存することで、自己資金を得ることができる。携帯電話やインターネットのインフラ市場が概ね自立しているのと同様の構図である。これは、一部の公道において持続可能な財源と自己資金調達が実現可能になることを意味しており、都市は限られた予算を道路から他のコミュニティのニーズに振り向けることができる。

ブロードバンドアクセスのための650億ドル(約7兆4200億円)のインフラ計画は、農村地域や低所得世帯、部族コミュニティのためのインターネットサービスを改善することを目的としている。この計画には、電気自動車の充電ステーションに75億ドル(約8560億円)が割り当てられており、気候変動を抑え、石油への依存度を減らすために電気自動車の普及を加速させることを目指している。

スマート道路が、5GワイヤレスアクセスやワイヤレスEV充電など、当初からソフトウェアアップグレードが可能なように設計されたケイパビリティのメニューを提供するなら、わが国の道路網は進化するテクノロジーに歩調を合わせることができるだろう。道路はすでに農村地域に整備されているので、新たに基地局を建設する必要はない。ワイヤレスEV充電機能を道路に組み込むことで、ガソリンスタンドのように充電ステーションを設置する必要はなくなる。実際、EVの所有者やドライバーは、道路を離れて充電に接続しなくても済むようになる。

こうした道路を介して提供される商用サービスの利用料金、すなわちネットワーク事業者が支払う通信サービス、自動車所有者が支払うEV充電やナビゲーション、あるいはそれらを利用する事業者が支払うデータサービスなどの利用料金を評価することで、スマート道路はこれらの新たなケイパビリティから得られるキャッシュフローに基づいて、自らの費用を支払うことが可能になる。

スマート道路導入の主な課題は、公金ではリスクをとることはできないし、とるべきではないというマインドセットにパブリックオーナーが陥っていることである。歴史的に公的資金はリスク資本であり、そしてこれらのオポチュニティにおける最初の資金でもある。私たちはこのリスクフリーのマインドセットからパブリックオーナーを脱却させ、公共機関がインフラを通じて経済発展を可能にすることはできないし、そうすべきではないという考えに立ち向かう必要がある。

大規模な経済開発を可能にするインフラ整備のオポチュニティに公共投資を投入することにより、私たちは100年前に舗装道路を、60年前に州間道路を建設した。したがって、それはすでに検証されているアプローチであり、米国人が毎日使用している顕著な実証ポイントもいくつか存在している。これらは新しい方法ではない。私たちが何度も行ってきた古いやり方であり、社会の新たなニーズに応じてアップデートされる形でパッケージ化されているものだ。

もう1つの課題は、いかに長期にわたる公共事業を市場活動と比較するかである。公共機関が道路工事許可証を発行するのに18カ月かかるが、ソフトウェアとハードウェアの世代全体が通り過ぎるのを見ることはできても、1つのショベルも地面を打つことはない。公共事業の速度が遅いということは、私たちがはるかに先を見なければならないことを意味する。短期的な目標はプロジェクトが設計段階を終える前になくなってしまうため、焦点を合わせることができない。公共事業の範囲、規模、速度(またはその欠如)は、私たちが非常に長い計画対象期間を設定しなければならないことを意味する。

わが国の道路への投資は、繁栄する経済を成長させる鍵であり、国の将来にとって不可欠である。各都市は現在、都市化への対応、交通流量の合理化、汚染の削減、安全性の向上という重圧に直面している。

スマート道路のテクノロジーは、都市計画者や政府がこれらの課題に正面から対処することに貢献する。交通管理から歩行者や車両の安全性、環境モニタリングに至るまで、モノのインターネット(IoT)は道路をよりインテリジェントに、効率的に、そして適切に管理できるようにする。

インフラ投資・雇用法は、わが国のインフラの現状に取り組むための第一歩である。この投資がどのように使われるかが変化をもたらす。もしそれが単に近年のやり方であるというだけの理由で、老朽化したプロセスに一時しのぎの解決策を適用するために配布されるならば、そのお金は急速に使い果たされ、意味のある改善もないまますぐに忘れられてしまうだろう。

だが、この投資を革新的なインフラプロジェクトの頭金として使ったとしたらどうだろう。その場合私たちには、より強固な未来に向かって前進し、新しいテクノロジーを容易かつ迅速に統合できる、一貫性のある有意義なアップグレードの適切なケイデンスを構築するオポチュニティが用意されている。

編集部注:本稿の執筆者はTim Sylvester(ティム・シルベスター)氏は建設業界で20年の経験を持つ電気・コンピュータエンジニアで、Integrated Roadwaysの創設者兼CEO。

画像クレジット:RBV T / 500px / Getty Images

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(文:Tim Sylvester、翻訳:Dragonfly)

トレッタキャッツ「Toletta」とNEC「waneco talk」が連携、ねこの排泄状況をLINEで飼い主にメッセージ

トレッタキャッツ「Toletta」とNEC「waneco talk」が連携、ねこの排泄状況をLINEで飼い主にメッセージトレッタキャッツは12月7日、ねこヘルスチェックサービス「Toletta」(トレッタ)と、NECの「waneco talk」(ワネコ トーク)を連携させ、ねこがTolettaで排泄するとそのデータをLINEで飼い主に送るサービスを発表した。2022年1月から提供開始する。

Tolettaは、ねこがスマートトイレ(Tolettaトイレ)に入ると、体重・尿量・尿回数・トイレ入室回数・滞在時間・経過時間の6つのデータが自動計測されるサービス。データは24時間スマートフォンで確認でき、体重や尿の量の変化もわかるため、ねこの体調変化に気づくきっかけとなる。AIねこ顔認証カメラが搭載されているので、多頭飼いをしてても、それぞれのねこが識別される。

waneco talkは、留守番をしている犬やねこの状況を、遠隔地からLINEのトーク形式で把握できるというサービス。ペット用IoT機器から取得したデータをNECの最先端AI技術群「NEC the WISE」で分析して、公式アカウントからペットが話しているようなLINEメッセージを飼い主に送付する。

この2つのサービスが連携することで、たとえばねこがTolettaで排泄をすると、飼い主に「トイレしたにゃ〜!」や「用を足したとこ……」といったメッセージと写真が届くようになる。「まるでねこちゃんと会話しているかのように、楽しく健康管理ができる」とのことだ。さらに、Tolettaから取得した排泄データをNECのAI技術により分析し、飼い主がねこの「いつもと違う変化」により早く気づけるような通知機能の追加も予定している。

waneco talkは12月19日まで、応援購入サイト「Makuake」で応援購入できる。応援購入を行うと、現在Tolettaを利用あるいは利用を検討している場合は、2022年1月から「waneco talk(Tolettaオプション)」が利用できるようになる。

また現在、Tolettaとwaneco talkの連携を記念して、ねこの排泄通知の大切さと楽しさを知ってもらうための「第2回 #ねこが入りました選手権」が開催されている。これは、Tolettaに入ったねこの写真コンテスト。Tolettaの「ねこ入室通知」画面の写真に「#ねこが入りました選手権」と「#wanecotalk」という2つのハッシュタグを添えてTwitterで応募する。募集期間は12月7日から12月19日。

IoTやコネクテッドカーのセキュリティを手がけるKaramba Securityにベトナム自動車会社VinFastなどが出資

Karamba Security(カランバ・セキュリティ)は、IoTと自動車業界に特化したセキュリティをてがけるイスラエルのスタートアップ企業だ。同社は現地時間12月2日、2017年に実施した1200万ドル(約13億5000万円)のシリーズBラウンドを延長し、新たに1000万ドル(約11億3000万円)を調達したと発表した。この延長ラウンドは、ベトナムのコングロマリットであるVingroup(ビングループ)に属する新興自動車メーカーのVinFast(ビンファスト)が主導した。なお、Vingroup自身もVinFastのために10億ドル(約1130億円)の資金調達を目指していると報じられている

このラウンドには、既存投資家のYL Ventures(YLベンチャーズ)、Fontinalis Partners(フォンティナリス・パートナーズ)、Liberty Mutual(リバティ・ミューチュアル)、Presidio Ventures(プレシディオ・ベンチャーズ)、Glenrock(グレンロック)、Paladin Group(パラディン・グループ)、Asgen(アスゲン)に加えて、韓国のSamsung Venture Investment(SVIC、サムスン・ベンチャー投資)も参加した。これにより、Karamba社の資金調達総額は2700万ドル(約30億5000万円)となった。

「IoTデバイスやコネクテッドカーへのサイバー攻撃による国家的・個人的なリスクから、強力な規制要件が求められています」と、Karambaの共同設立者兼CEOであるAmi Dotan(アミ・ドタン)氏は語る。「IoTデバイスメーカーや自動車メーカーは、研究開発プロセスを変えたり、市場投入までの時間を遅らせたり、製品の製造コストを増加させることなく、こうした規制に早急に対応する必要に迫られています。Karambaがワンストップで提供する製品とサービスは、こうした自動車メーカーやIoTデバイスメーカーの強い市場牽引力となっています。これらの企業は、Karambaがデバイスのライフサイクルを通してシームレスなセキュリティを提供することに魅力を感じています」と、ドタン氏は続けた。

Karamba Securityの「XGuard」(画像クレジット:Karamba SecurityVinFast)

IoT、特に自動車業界からこのようなニーズがあることを考えれば、VinFastのような企業が同社への投資に興味を持ったのも当然と言えるだろう。Karambaは設立以来、メーカーの研究開発やサプライチェーンのプロセスを妨げることなく、デバイスのライフサイクル全体に渡って保護できるセキュリティソリューションを提供することに力を入れてきた。

最近、クラウドベースのインシデント分析サービスを起ち上げたKarambaは、現在、Fortune 500(フォーチュン500)に入る企業と80件の「成功した契約」を結んでいるという。最近の最大の案件の1つは、100カ国以上の地域で80万台のフリートのセキュリティをてがけるというものだった。

VinFastの副CEOであるPham Thuy Linh(ファム・トゥイ・リン)氏は、次のように述べている。「当社の市場に対する見解と広範な技術評価に基づきながら、Karambaのコア技術を直接目にして、さらに他のメーカーからも学んだ結果、私たちの会社がサイバーセキュリティへの道を飛躍的に進めるためには、Karambaの力を借りるのが、どんなに有利であるかということがわかりました」。

画像クレジット:Karamba Security

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AWSが新しいロボットフリート管理支援プログラム、ロボティクスアクセラレーターを開始

AWSのフラッグシップカンファレンス「re:Invent」の開幕にあたり、クラウドコンピューティングの巨人である同社は米国時間11月29日、大規模なロボットフリートの共同作業を支援するアプリケーションを構築するための新サービス「AWS IoT RoboRunner(IoTロボランナー)」を発表した。この新サービスは、Amazon(アマゾン)が自社の倉庫で利用しているようなロボットフリートを運用するために必要な、作業およびフリート管理アプリケーションを構築するためのインフラを提供することを目指している。

また、同社は新しいロボティクスアクセラレータープログラムを発表した。

RoboRunnerは、さまざまなメーカーのロボットと統合するアプリケーションの構築や、アプリケーションのライフサイクルの管理を支援する。AWSは、現在、異なるベンダーのロボットを単一のシステムに統合することは困難であり、企業はロボットを管理するために多くのサイロを抱えていると論じている。

画像クレジット:AWS

RoboRunnerは開発者に対して、フリート全体の集中的なデータリポジトリを提供するとともに、特定の施設内のすべての目的地をモデル化するためのレジストリや、これらのロボットが実行するすべてのタスクを記録するためのレジストリを提供する。

このサービスがターゲットとしているのは、無人搬送車、移動ロボット、ロボットアームなどのフリートを運用している大規模な産業企業だ。

RoboRunnerに加えて、AWSはMassRobotics(マスロボティクス)と共同で、新しいロボティクススタートアップ・アクセラレーター「AWS Robotics Startup Accelerator」を発表した。

AWSのCTOであるWerner Vogels(ワーナー・ヴォゲルス)氏は、29日の発表で次のように述べた。「今日、成功している商業用ロボット企業は数えるほどしかありませんが、これにはいくつかの大きな理由があります。第一に、実世界の環境はダイナミックで予測不可能であるため、適切なニッチ分野と適切な能力を組み合わせることが難しく、ロボット製品市場に適合する企業を見つけることがなかなかできません。第二に、高度な自律性と知能を備えたロボットを作るには、多分野にわたるスキルが必要であり、そのようなスキルを持った人材の確保は困難です。第三に、ロボティクスは資本集約的であり、センサーやアクチュエーター、機械的なハードウェアがすでに市販されている場合でも、多額の先行投資が必要となります」。

この新しいプログラムは、アーリーステージのスタートアップ企業(売上高1000万ドル / 約11億4000万円未満、調達額1億ドル / 約114億円未満)を対象としている。選ばれた企業は、ロボティクスのエキスパートによる専門的なトレーニングやメンターシップを受けられる他、最大1万ドル(約114万円)のAWSクレジットを獲得できる。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)