ますますリスクを背負うスタートアップ市場

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

米国東海岸からこんにちは。私はいま、新型コロナウイルスワクチンのブースターショットの副反応を払いのけようとドーナツを食べている。今のところ、Moderna(モデルナ)の3回目の接種の副反応は、2回目ほどひどくはないが、何が起こるかは誰にもわからない。ということで、途中で椅子からすべり落ちて、そのまま昼寝をしてしまうかもしれないので、今日は簡単にしたい。

まずはじめにみなさんに感謝を。このささやかな週刊ニュースレターには、今では3万人以上の購読者がいて、毎週の開封率は40%台半ばから後半に達している。これは、私がTechCrunchに戻ってきたときに始めた大きなプロジェクトの一部だが、平日のExchangeコラムにこのニュースレターを追加したときには、果たしてうまくいくものかどうかはわからなかった。

率直に言って、この週刊ニュースレターが受け入れられるかどうかは一種の賭けのようなものだと思っていたのだ。読者のみなさんのおかげで、賭けは成功し、通常のExchangeコラムは今では週6回発行されている。すばらしい。みなさんに感謝する。

さて、リスクについてだ!

少し前に、スタートアップ市場のリスクが公開市場に流れ込むケースが増えているという話をした。つまり、一般の投資家が、SPACやいくつかの興味深い株式公開のおかげで、以前よりも多く、新生スタートアップの高額な株式を手に入れることができるようになったということだ。

しかし、その中には、スタートアップのリスクが非公開市場の投資家にとっても高まっているという暗黙の了解があった。何が起こっているのかを話そう。

  • スタートアップ企業の評価額は、市場の潤沢な資金、利回りの高い限定的な投資、および関連する諸事情のおかげで上昇している。こうしたことはある程度聞いたことがあると思う。
  • スタートアップ企業の評価額も、より多くの投資家が投資プロセスの早期に投資するようになったことでも上昇している。このことも、これまでに聞いたことがあるだろう。しかし、それがどのように自己強化される問題であるかについては、意識していないかもしれない。大規模なファンドはその規模を後ろ盾にしてこれまでよりも「早い」段階的で投資することができる、実質的に、全体的なリターンプロファイルをリスクにさらすことなく、当該スタートアップの株式を大量に購入するオプション契約を結ぶことになるのだ。これにより後期ステージ資金が早期ステージに投入される一般的傾向が後押しされる。そして、その金額の差によって、後期ステージの投資家たちは早期ステージの評価額をあまり強く気にしないために、評価額が上昇するのだ。もっと簡単にいうと、もしあなたが10億ドル(約1133億円)の投資資金を持っていて、シリーズAに500万ドル(約5億7000万円)を投入する場合、プレマネー評価額が6500万ドル(約74億円)でも7500万ドル(約85億円)でも、それほど気にしないということだ。投資家が本当に気にしているのは、成功したスタートアップが次のラウンドで資金を調達するときに、5000万ドル(56億7000万円)を投資できるかどうかだ。
  • しかし、それだけではない。ベンチャー投資家たちがThe Exchangeに報告してくれたところによると、スタートアップの評価額が上昇しているのは、ハイテク企業の成長率が予想以上に高いだけでなく、成長率が予想以上に持続していることが証明されたからだという。つまり、これまでのスタートアップ企業が、多くの人が予想していたよりも速い成長を遂げて上場し、その拡大ペースを長く維持しているということだ。その結果、テクノロジー企業の将来価値は予想以上に高くなる可能性があるため、投資家はより多くの金額を今支払うことができ、期待していたほどの額の増加がなくても心配しないでいられるということだ。
  • メンローの投資家であるMatt Murphy(マット・マーフィー)氏が最近説明してくれた、評価額上昇に関するもう1つの要因は、昔のベンチャーが感じていたスタートアップの失敗率が今では正しくないということだ。失敗率は以前よりも低く、極めて重要なヒット率も高くなっているという。

上記を全体的に眺めて良く考えるならば、量産されるユニコーンや数十万ドル(数千万円)のラウンドも説明できるのではないだろうか。それは、どこか納得できる視点でもある。結局のところ、こうしたスマートマネーが賭けているのは、より速く、より持続的な成長と、より少ない失敗(本質的にSaaSは殺すのが難しい)が、より高いコストとバランスを取って、ベンチャー数学を満たすために必要なリターンを生み出すことだ。

しかし、しかーーしだ、新型コロナパンデミックによる初期のショックが収まった後に始まったソフトウェア企業買収ブーム以降、スタートアップ市場のファンダメンタルズはあまり改善されていないために、ますますリスクは高まっている。つまり。2021年、ベンチャー投資家が支援しているスタートアップたちは、2020年半ば以降、マクロ的な運勢はあまり良くなっていないのにもかかわらず、より多くの資金を、より早く調達することに躍起になっている。その分、投資リスクが高まっているのだ。

現在、市場には900社以上のユニコーンが存在しているが、これらのユニコーンはすべて、投資家が期待するリターンを得るために、IPOを必要としている。もし市場が最終的に少し修正されて、少しだけ歴史的な整合性が取られたとすれば、かなりの数の高額な非公開企業が、非公開市場での評価と公開市場での価格の間で行き詰まってしまう可能性がある。非常に厄介なことになる可能性があるだろう。皆はただ、そうでないことに賭けているだけだ。

つまり、スタートアップの価格の上昇に対する合理的な理由があるにもかかわらず、スタートアップがより多くの資本を、より早く調達するようになると、それは限界リスクゼロの賭けではなくなるということだ。

今日はここまで。残り物を食べて、オフラインになるとしよう。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

スタートアップエコシステムのAWSを目指す、VCとエンジェル投資家がファンドを形成・運営するためのプラットフォーム「Vauban」

Vaubanチーム

AngelList(エンジェルリスト)がなぜヨーロッパでうまくいかないのか、常々少々不思議だった。数年前、恵まれないヨーロッパのスタートアップにとって有効な資金調達の選択肢が不足していた時期があったことを考えるとなおさらだ。しかし理由はごく単純であることは状況を見ればわかる。第1に、米国テック業界は過去10年間に急発展した。自国の市場が上昇している時、リソースを他に分散させる必要はない、そうだろう? もう1つ、ヨーロッパの無数の規制障壁を超えてそんなプラットフォームを作ることは恐ろしく複雑で、かなりの勇者であってもたじろぐだろう。つまり、その手の資金調達プラットフォームの市場が長い間それなりに空き地状態にあったのはそれが理由だ。これまでは。

ロンドンを拠点とする新しいスタートアップVauban(ヴォーバン)は、ベンチャーキャピタルのファンドマネージャーに、資金調達や投資のためのツールを提供する。このほど同社は470万ポンド(約7億2000万円)の「ポストシード / プレ・シリーズA」調達ラウンドを完了した。

Vaubanによると、今後テクノロジーと規制のインフラを強化し、ロンドンの本社に加えてルクセンブルグにもオフィスを新設する計画だ。これでヨーロッパ全体のエコシステムに展開できるようになる。

今回の投資ラウンドを共同リードしたのは、Pentech(ペンテック)とOutward(アウトワード)で、7percent VenturesとMJ Hudsonも参加した。他に、NestedのCEOであるMatt Robinson(マット・ロビンソン)氏、GrabayoのファウンダーWill Neale(ウィル・ニール)氏、ComplyAdvantageのファンダーでCEOのCharles Delingpole(チャールズ・デリンポール)氏、Augmentum FintechのパートナーPerry Blacher(ペリー・ブラッチャー)氏、法務サービスプロバイダーAxiomのAl giles(アル・ガイルズ)氏ら数々のエンジェル投資家も参加した。

Vaubanを使うと、VCやエンジェル投資家は、資金の調達、エンジェル組織の設立、資金調達や投資活動の管理などを行うことができる。ユーザーはファンドやSPV(特別目的事業体)を世界中の審査権限の下で「通常の何分の1かの時間とコスト」で設立、展開することが可能で、組織構成、法的文書、投資家の研修、銀行取引、報告書作成などがカバーされている。

Vaubanは「少なくとも毎日1社新規顧客」を受け入れる計画であり、現在のVCユーザーにはAnthemis、Passion Capital、Octobus Venturesらがいると話した。現在合わせて5000以上のLP(有限責任パートナー)が同社のプラットフォームを使っているという。

ファンダーで共同CEOのRémy Astié(レミィ・アスティエ)氏は次のように語った。「私たちのゴールは資金を持つ人たちと、人類最大の問題を解決するために資金を必要としている人たちとをスムーズに繋ぐことです。そこで、デジタル線路のインフラストラクチャーを再構築するところから始めることに決めました。なぜなら、ゼネラルパートナー、リミテッドパートナー、そしてファウンダーなど業界の全員に優れたユーザー体験を提供することが不可欠だからです」。

Vaubanは、ヨーロッパのテック業界で膨大な投資行動が起きているちょうどその時に登場した。2021年前半にヨーロッパ全体で418億ユーロ(468.6億ドル/5.39兆円)の資金調達があり、2020年の326億ユーロから大幅に増加した。

ベンチャーキャピタルが複数のファンドを管理し、最近では特別目的事業体(SPV)を利用して特殊な取引に参加したり、セカンダリー投資を行ったり、EIS(企業投資スキーム)や主要な基幹ファンドと並行して「サイドカー」ファンドを設定するなどさまざまな活動をしている今、あらゆるプロセスが複雑化しているために、この分野の「プラットフォーム化」が進んでいる。スプレッドシートや類似の簡易ツールで行うことはもはやありえない。

加えて、ヨーロッパのエンジェル投資家の間では、取引形成や取引フローを強化するためにますます専門化と組織が進められているので、専用のプラットフォームが歓迎されるのもうなづける。

ファウンダーで共同CEOのUlric Musset(ウルリック・ムセット)氏はこう語る「新しいスタートアップ形成を促進した最大の功労者といえるのが2000年代初期のAmazon Web Services(AWS、アマゾン・ウェブ・サービス)の登場でした。Vaubanはスタートアップエコシステムに対して同じ影響を与えると私たちは信じています」。

Outward VCの投資家、Andi Kazeroonian(アンディ・カゼルニアン)氏は次のようにコメントした。「近年、代替的投資が急成長しているにもかかわらず、業界が依存しているインフラは進化していません。単に投資手段を作って監視するだけでは、冗長で面倒で金のかかるプロセスが複数のサービスプロバイダーに渡って散らばっているのと同じことです。Vaubanの統合プラットフォームが、プロダクトとユーザー体験に徹底的にこだわることでこれを一新し、その結果並外れた有機的成長を達成し、ヨーロッパでこの分野の傑出したリーダーになったことは驚くにあたりません」。

PentechのパートナーであるCraig Anderson(クレイグ・アンダーソン)氏はこう付け加えた「私たちが投資したいのは、カテゴリーをリードし、成長への大きな野望をもつ会社です。Vaubanは、ユーザーがファンドやSPVをわずか数時間のうちに設定、展開できる代替資産マーケットのための新しいインフラストラクチャーを作っていると、私たちは確信しています」。

Vaubanのファウンダー・共同CEO,アスティ氏は次のように語った。「私たちがAngelList(エンジェル・リスト)と違うのは、国際的、世界的であることを念頭に作っていることです。狙いはグローバルなプラットフォームを作ることで、それは世界中どこのLPS(投資事業有限責任組合)からでも資金を調達できて、世界中どこの企業にも投資できることを意味しています。そして、これは当社の中核となる強みだと考えていますが、すべてを国際的LPを想定して設計しているので、複数の通貨で資金調達することができます。

画像クレジット:Vaubanチーム

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

約950兆円の50歳以上の市場をターゲットにするコミュニティをAARPが設立

高齢者を対象としたテクノロジーは、ヘルスケア、フィンテック、エンターテインメントなどの分野で、目新しいものではないが、スタートアップ企業、投資家、国際的な産業界リーダーからなる新しいコミュニティが、この年間8兆3000億ドル(約950兆円)と言われる市場に注目している。

AARPが起ち上げたAgeTech Collaborative(エイジテック・コラボレーティブ)は、T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス)、Walgreens(ウォルグリーン)、Cooley(クーリー)、QED Investors(QEDインベスターズ)などの組織を集め、スタートアップ企業の製品やツールをスケールアップして、それらをAARPの3800万人の会員の目に触れるようにしようという取り組みだ。

このコラボレーションには、Voiceitt(ボイスイット)、Rendever(レンデバー)、Trust & Will(トラスト&ウィル)、Mighty Health(マイティ・ヘルス)など、50社のスタートアップ企業が参加している。これらの企業は、製品を試用するための6つのテストベッドを利用できる他、10を超える投資家やベンチャーキャピタリスト、50歳以上のコミュニティに関わる大手企業やサービスプロバイダーとアイデアを交換することができる。

AARPでイノベーション・製品開発担当シニアバイスプレジデントを務めるAndy Miller(アンディ・ミラー)氏がTechCrunchに語った話によると、50歳以上の人々の消費力はすでに8兆3000億ドルに達しているが、30年後には3倍になると予想されるという。

ミラー氏は、自身が率いるアクセラレーターのAARP Innovation Labs(AARPイノベーション・ラボ)には、30社ほどの企業が集まったものの、AARPの会員にはアクセスを提供できなかったことが、このアイデアの発端になったと語っている。そこでAARPは、スタートアップ企業に規模拡大の道筋をつける方法を考え始めた。その中には、スタートアップ企業が試験的に製品を試す機会を見つけたり、製品を試してくれる企業と提携できるようにすることが含まれる。

また、AARPには、50歳以上の市場をターゲットにしたスタートアップ企業や他のアクセラレータプログラムについて、AARPの見解を聞きたいというベンチャーキャピタル企業からの問い合わせも受けているという。

「私たちは、このようなエコシステムを構築する必要性を強く感じていました」と、ミラー氏はいう。「この年代層では毎日1万人が65歳になり、ミレニアル世代の最高齢者はあと10年で50歳になります。経済的な誘引もありますが、しかし我々の取り組みによって人々がより幸せな年齢の重ね方をできるようにすることで、社会の利益にもなります。私たちは、AARPという究極のコネクターの力を、VCや企業、スタートアップに活用することができます。老いに打ち勝つことができるものがあるとすれば、それはAARPであるはずです。私たちは、すべての人に成功して欲しいと思っています」。

Aging 2.0をはじめとする他の組織もまた、エイジテック分野に参入し、次の最も優れたイノベーションを模索している。一方、スタートアップ企業はさまざまな製品やサービスのために資金調達を続けている。例えば、高齢者向けフィットネスプログラムをてがけるBold(ボールド)は、2021年初めに700万ドル(約8億円)を調達している。

新型コロナウイルスが世界的に大流行する以前には、高齢者向けのテクノロジーは「あればいいもの」だった。しかし今では「最高の人生を送るためには絶対的な必要なもの」となっていると、ミラー氏は付け加えた。QRコードをスキャンしてレストランのメニューを注文することから、医師との遠隔医療の予約まで、高齢者にとってテクノロジーに慣れ親しむことが必要になっている。

これら2つの分野に加えて、Voiceitt(ボイスイット)が取り組んでいるような、うなり声や音を認識して照明を点灯させる技術などの音声認識分野や、世代を超えたファイナンシャルプランニングなどのフィンテック(金融テクノロジー)分野でもイノベーションが起こると、ミラー氏は考えている。

フィンテックは、QED InvestorsのマネージングパートナーであるNigel Morris(ナイジェル・モリス)氏が注目している分野の1つでもある。

退職後の選択肢を理解し、子どもに貯金を渡すかどうかを考えたいというニーズや、60歳で退職したら海辺に隠居するのではなく、むしろギグ・エコノミーを活用したいというニーズもあると、モリス氏はいう。

QEDは、贈与管理のためのソフトウェアであるFreewill(フリーウィル)や、介護者の財務管理を支援するTrue Link(トゥルー・リンク)など、4社のエイジテック企業に投資している。

「いくつもの企業がこの問題を考えており、それは時宜にかなっています」と、モリス氏は続けた。「この層は伝統的に格好良いものとは見做されておらず、多くの投資家がこの層を理解していないため、これまで見過ごされてきました。そこにチャンスはたくさんあり、AARPがこのような活動を行うのはすばらしいことです。その創設メンバーになれることを、私たちは大変誇りに思います」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

シード特化のYazawa Venturesが女性起業家向けインキュベーションプログラム「アントレジェネレーター」参加者募集

シード特化のベンチャーキャピタル(VC)「Yazawa Ventures」は11月16日、女性起業家を多数輩出すべく、起業直前・直後の女性に特化した、出資と事業計画・プロダクト構築支援をセットで提供する「Yazawa アントレジェネレーター」インキュベーションプログラムの募集を開始したと発表した。募集期間は12月5日23時59分まで。プログラム実施期間は、2022年1月15日〜4月15日の4カ月間。

Yazawa アントレジェネレーターは、起業して世界に大きなインパクトを出せる事業創造に挑戦する女性に対して、起業前もしくは起業直後に出資を行い、事業計画・プロダクト構築支援など創業期を伴走する4カ月間のインキュベーションプログラム。

アントレジェネレーターという名称の由来は、「Entrepreneur(起業家)」+「Generator(生み出す)」という。また「Entre」には「Enter」という意味もあることから、優秀な女性起業家がたくさんスタートアップへEnterできる環境を構築してきたいと思い、名付けたそうだ。

プログラムスケジュール

  • 募集期間:2021年12月5日23時59分まで
  • 審査期間:2021年12月6日〜27日
  • プログラム期間:2022年1月15日〜4月15日
  • 採択社数:3〜5社(目安)
  • 対象者:起業前・起業検討中の女性で、世界に大きくインパクトをもたらす事業を興したい女性(学生・社会人)
  • 事業テーマ
    ・「働く」を変革するスタートアップ(DX/SaaSなど産業や企業内の生産性・および効率性に寄与する事業。ヘルスケアや教育などを含め「個」の多様な活躍を推進するスタートアップ
    ・女性の社会進出における課題を解決するスタートアップ
  • 応募条件:「Yazawa Venturesからの支援によって起業し、事業価値の高いスタートアップへ挑戦したい起業前の女性」「創業して半年以内、他社からの支援を受けていない女性起業家」「解決したい課題があり、IT技術を活用した課題解決で創業しようとしていること」など。詳細は募集ページ参照
  • 応募方法募集ページを確認の上、応募フォームより申し込み

参加者のメリット

  • 採択後に500〜750万円の出資(第三者割当増資)
  • 4カ月でPMF(Product Market Fit。プロダクトマーケットフィット)の達成支援(およびメンタリング)
  • 各領域の経営者、専門家からのアドバイス
  • オフィススペースやスタートアップコミュニティの提供

またプログラムの詳細について、オンライン説明会を実施する。インキュベーションプログラムのコンセプト、募集する事業領域やスケジュールなどの詳細を説明するという。説明会の実施時期は、第1回は11月22日17:30~18:30、第2回が12月1日17:30~18:30。「『Yazawa アントレジェネレーター』始動!オンライン説明会【参加無料】」より申し込める。

オンライン説明会

暗号資産VC「Paradigm」が約2855億円の巨大ファンドを設立

暗号資産市場が最高値の更新に向かい続け、投資家が業界進出への意欲の高いLP(リクイディティプロバイダ-)を投資家が探求する中、新たに登場するベンチャーファンドは、2021年の基準に照らしても巨大だ。

Paradigm(パラダイム)は、Coinbase(コインベース)の共同ファウンダーであるFred Ehrsam(フレッド・エールサム)氏と元Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)パートナーのMatt Huang(マット・ハング)氏が2018年に創業した暗号資産VC会社だ。この会社が最近立ち上げたファンドは魅力的だ。同社が発表した25億ドル(約2855億円)のベンチャーファンドは、史上最大の暗号資産ファンドであり、2021年夏にAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が発表した暗号資産中心の22億ドル(約2512億円)のファンドを追い抜いた。

「この新ファンドとそのサイズは、暗号資産がテック業界で最も刺激的な最先端領域であることを表しています」と同社の共同ファウンダーらがファンド設立を報告したブログ記事で述べている。

Paradigmは、テック業界を横断して投資する投資会社を出し抜くことを目指すいわゆる「暗号化ネイティブ」VC分野の先端を走ってきた。Paradigmの投資先の中で目立つところとして、FTX、Coinbase、BlockFi、Maker、UniswapおよびSky Mavisがある。

現在、Paradigmはこれまでになく活気に満ちて変化に富んでいる業界に融資するべく、他に類を見ない規模の軍資金を持っている。若きVCは、暗号化分野に深く浸透し、従来型VCが既存の投資手順とそれを支える構造の有効性を考慮に入れなければならない中、新たなファンドを立ち上げる大きなチャンスを迎えている。

ウェブサイトによると、Paradigmには約30名の従業員がいる。2021年11月、Nathan Apsel(ネイザン・アプセル)氏をCFOとして採用した(同氏はJoe Lonsdale[ジョー・ロンズデール]氏の8VCで同じ役職に就いていた)。

ベンチャーキャピタルの中には暗号資産への取り組みが遅れているところもあるが、この分野でParadigmの主要なライバルになるのは、おそらくAndreessen Horowitzだろう。現在3番目の暗号資産中心ファンドを募集中で、2021年すでに数十件の契約を結び、新たな暗号資産ユニコーンを育て、数カ月後に多くの同じ投資先に倍賭けしている。最近大幅な増員を行った結果、暗号資産チームには50名以上のメンバーがいる。

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画像クレジット:Ethan Pines

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自閉症コミニュティの「投資・イノベーション部門」を目指すベンチャーファンド「AIF」

2018年、Christopher Male(クリストファー・メイル)氏の息子が自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された時、長年の投資家は自分が見知らぬ領域に置かれたことを知った。

「あの時、私は『自閉症』という言葉も、それが何であるかも、文字どおり初めて知りました」と同氏は回想した。

息子の力になるために、メイル氏はこの話題に没頭し「驚くほど断片化、両極化したコミュニティと、不適切で旧態依然の解決方法が法外な価格と長い待ち行列で提供されているマーケットプレイス」と同氏が評する状況を認識した。

同氏は「このマーケットプレイスで起きていることに関する科学的理解は存在しない」と結論づけた。部分的には資本主義から、しかしほとんどが、自分の子どもや同じような境遇の子どもたちを助けたいという動機から、メイル氏は決断し、Brian O’Callaghan(ブライアン・オカラハン)氏とともにAutism Impact Fund(AIF、自閉症インパクトファンド)を2021年立ち上げた。ファンドのミッションは「ベンチャーキャピタルモデルを通じて、自閉症の診断、治療、および自閉症とともに生きていくための現状に革命を起こす」ことだ。これまでにAIFはアーリーステージの企業、7社に投資してきた。

AIFは、GlaxoSmithKline(GSK、グラクソ・スミスクライン)からRob Saarazin(ロブ・サラジン)氏を最高投資責任者兼マネージングパートナーとして迎えた。メイル氏とサラジン氏は、ファンドの日常業務を管理している。

ニーズは存在している。自閉症スペクトラム障害(ASD)は子どもの54人に1人が診断され、世界で数百万の家族に影響を与えているとCDCの調査結果が報告している。

「私たちは自閉症インパクトファンドを、自閉症コミュニティの投資・イノベーション部門になるという野心をもって設立しました」とメイル氏は語った。「これはシステムが完全に崩壊している巨大な社会問題であり、私たちのゴールはそのシステムを変えることです」。

10年近くにわたり、メイル氏は家族の投資事務所を運営していた。その後、自らベンチャーファンドを立ち上げた。そして彼は、人生で現在の自分の役割以上に重要なものはなかったと打ち明ける。

AIFには著名なアドバイザー、Uber(ウーバー)CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏、バンダービルト大学、Frist Center for Autism & InnovationのJennifer Frist(ジェニファー・フリスト)氏、ARCH Venture Partnersの共同ファウンダー、Bob Nelsen(ボブ・ネルセン)氏らが名を連ねる。

メイル氏はAIFの損益を明らかにしなかったが、富裕層の組織やファミリーオフィスが参加していると語った。ファンドは現在積極的に資金調達を行っているところなので、一連の計画についてメイル氏は順調に進んでいるという以上のコメントはできなかった。

「市場は私たちにとってかなりポジティブで順調なので、思っていたよりかなり先へ進んでいます」と彼は言った。

AIFは、生物学、環境と行動など広い分野にわたって、さまざまなステージの会社に直接投資を行っている。同ファンドは意図的に営利企業に焦点を当てており、非営利との重複を避けている。

これは単なる個人の集まりではありません。私たちはプロフェッショナルな投資家です」とメイル氏は言った。「そして学界、政府機関、非営利団体、財団などを通じて複数のコミニュティーをまとめています」。

画像クレジット:Autism Impact Fund

投資先企業には、自閉症の主要症状を治療するための腸内制限小分子物質を開発しているAxial(アクシアル)、自閉症のためのバイオマーカーを開発しているBioROSA(バイオロサ)、AI駆動バーチャルリアリティープラットフォームを通してさまざまな治療法を提供するFloreo(フローレオ)、および特別な支援を必要としている人のためのデジタルケアプラットフォーム、Joshin(ジョーシン)がある。Joshinについては最近TechCrunchが資金調達について報じた

John Slattery(ジョン・スラッタリー)氏とMarie Causey(マリー・コーシー)氏はボストン地区のスタートアップBioROSAを2018年に立ち上げ、生後18カ月から幼児のASDを検出するバイオマーカーを開発している。

「これは、現在4歳以上である平均診断年齢を引き下げるものです。この障害は、うまく対応できない社会的少数者や低所得層に大きく偏っています」。

BioROSAは、これまでに300万ドル(約3億4000万円)を少し超える資金を調達しており、AIFが7月に参加したラウンドも含まれている。

「この会社の基礎をなつ理論には、支持している強力な学術研究があります」とスラッタリー氏は言った。「私たちのゴールは、早期発見を可能にして、介入の診断基準を変えることです」。

自閉症者のいる家族にとって、AIFが行った投資は生活を変える可能性がある。そして、それ以上に大きな意味のあるものはない。

画像クレジット:wildpixel / Getty Images under a iStock/Getty Images Plus license

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクは今年インドに約3420億円投資、2022年には最大1.1兆円の可能性

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのCEOであるRajeev Misra(ラジーヴ・ミスラ)氏は、ソフトバンクグループが2021年にインド企業に30億ドル(約3420億円)を投資しており「適切な企業」を「適切な評価額」で見つければ、2022年には同国に50億〜100億ドル(約5700億〜1兆1400億円)を投資できると述べた。世界第2位のインターネット市場であるインドに対するトップの投資会社の強気な姿勢を示す最新例だ。

「適切な企業を見つければ、2022年に50億〜100億ドルを投資するかもしれません」とミスラ氏は11月11日のバーチャル会議で述べ、ソフトバンクが「適切な評価額で」そのような機会を模索する、とも付け加えた。

ミスラ氏は、同社が中国への投資のペースを落としているとしながらも、アジア経済が世界のAIの主要な中心地であることから、今後も中国にとどまり続けると述べた。

世界第2位の人口を抱えるインドでは、多くのグローバル投資家が初期の勝者を探して過去10年間に数百億ドル(数兆円)を投資してきた。Tiger Global、ソフトバンク、Falcon Edge Capital、Sequoia Capital Indiaが積極的に案件を発掘し、過去最高の評価額で企業を支援したことで、2021年のディールフローは大幅に増加した。

特にTiger Globalは、2021年インドでスタートアップ20数社を支援し、その多くはまだ事業の初期段階にある。2021年初めにTiger Globalは株主に対し、新しいファンドではインドを最重要視すると述べたと報じられている。

ここ数年、ソフトバンクはインドに注力してきた。ミスラ氏は、かつては投資を正当化することが困難だったインドにおいて「驚くべき好転」があったと述べた。

ソフトバンクは、インドの重要なレイルロードを建設するために、多くの若いインドのスタートアップの形成をサポートした。その投資先には、決済サービスのPaytmや格安ホテルチェーンのOyoなどがあり、いずれも新規株式公開を申請した

また、2018年にWalmartに過半数の株式を売却したFlipkartの支援者にもなった。ソフトバンクはその後、Flipkartにさらに資本を投入している。同じくソフトバンクが支援している配車サービス大手Olaも、2022年には公開市場を開拓する予定だ。「テック系のIPOには多くの需要が埋もれています」とミスラ氏は話した。

2021年、インドで過去最多の30億ドルを投入したソフトバンクは引き続き、多くのスタートアップへの投資を検討している。

ミスラ氏は、ソフトバンクがインドでフォーカスしている主要なテーマの1つとしてフィンテックを挙げた。同氏は、ブルームバーグが開催したバーチャル会議で、インドが5兆ドル(約570兆円)規模の経済大国になるという目標を達成するためには、金融分野でイノベーションを起こすことが重要だと述べた。

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドネシアのVC、Alpha JWCが490億円の第3号ファンドを組成、東南アジア最大のアーリーステージ対象のVCファンドに

Alpha JWC共同創業者のジェフリー・ジョー氏とチャンドラ・チャン氏(画像クレジット:Alpha JWC)

ジャカルタに拠点を置くベンチャーキャピタルAlpha JWCは、第3号ファンドを4億3300万ドル(約489億円)で組成したことを発表した。同社によれば、当初の目標額だった2億5000万〜3億ドル(約283億〜339億円)を上回る応募があり、結果としてアーリーステージのスタートアップを対象とした東南アジア最大のVCファンドとなったという。この3つ目のファンドの出資者には、世界銀行の国際金融公社(IFC)が含まれている。また、Alpha JWCの最初の2つのファンドのパートナーの大半が出資をしている。

共同創業者でゼネラルパートナーのJefrey Joe(ジェフリー・ジョー)氏は、Bukalapak(ブカラパック)やSea Group(シー・グループ)のIPOのような注目を集めたイグジットのおかげで、グローバルな投資家から東南アジアへの関心が高まり始めていると述べている。

そしてTechCrunchに「米国のような先進国の市場に比べても、十分な価値を生み出すことができることを示しています」と語る。また彼は、Alpha JWCのポートフォリオ企業であるAjaib(アジャイブ)、Kredivo(クレディボ)、Carro(キャロ)を含む多くのスタートアップが、比較的短期間でユニコーンの地位を獲得したことから(投資アプリのAjaibは、ローンチから2年半でユニコーンとなった)、投資家の新たな関心の波が2020年から始まっていると付け加えた。Alpha JWCは、上記3つのスタートアップの最初の機関投資家だったのだ。

関連記事:インドネシアのミレニアル世代を対象にする投資アプリAjaibがシリーズAで約71億円を調達

Alpha JWCは現在、3つのファンドで合計約6億3000万ドル(約712億円)の資産を運用している。この1年間で、投資先企業はこれまでに合わせて10億ドル(約1130億円)以上の資金を調達しており、大部分がアルファJWCの最初の投資から1年以内に追加の資金調達を行っているという。

同社は、アーリーステージ(プレシード、シード、プレシリーズA)への投資を行っており、スタートアップの資本政策表上で最初の機関投資家となることが多い。ジョー氏によれば、Alpha JWCのパートナーたちは、米国の投資家を紹介したり、経営陣の育成を支援するなど、ポートフォリオ企業が後期段階に入ってからも緊密に連携している。

Alpha JWCは、2016年に第1号ファンドを5000万ドル(約56億5000万円)で立ち上げ、23社に投資した。その第2号ファンドは2019年に1億4300万ドル(約161億5000万円)で組成され、30社の支援に使われた。同社によると、第1号ファンドのTVPI(Total Value-to-Payed-In、投資倍率)は3.72倍に達し、IRR(Internal Rate of Return、内部収益率)は約37%となっている。その第2号ファンドのパフォーマンス指標はさらに高く、TVPIは3.45倍、IRRは87%となっている。

第3号ファンドの大半はインドネシアのスタートアップ企業に充てられるが、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピンなど他の東南アジア市場でも、インドネシアへの進出を目指す企業を中心に投資が行われる。投資額は、数十万ドル(数千万円)から複数のステージで構成される最大6000万ドル(約67億8000万円)までの範囲となる。Alpha JWCの第1号ファンドと同様に、第3号ファンドでも25~30社程度のアーリーステージのスタートアップ企業を対象とし、セクターを問わないアプローチをとる。

共同創業者でゼネラルパートナーのChandra Tjan(チャンドラ・チャン)氏は「現時点では、セクターに特化する必要はないと考えています」と語る。「市場はまだ若く、非常に高い可能性を秘めており、私たちが地元のチャンピオンを獲得できる産業はたくさんあります。とはいえ、私たちが本当に好んでいる分野は、ソフトウェアサービス、フィンテック、O2Oモデル、ソーシャルコマースです」。

Alpha JWCによると、コーヒーチェーンのKopi Kenangan(コピ・ケナガン)、B2BマーケットプレイスのGudangAda(グダガダ)、消費財メーカーのLemonilo(レモニロ)、中小企業向けデジタルファイナンスプラットフォームのFunding Societies(ファンディング・ソサイエティ)など、少なくとも11社のポートフォリオ企業がユニコーンのポジションに近づいているという。

デジタル導入は、いまだにジャカルタなどの大きな都市が中心となっているものの、ジョー氏はインドネシアの小さな市や町が急速に追いついてきているという。「第2、第3レベルの都市たちが猛追しています。そうなれば私たちの潜在能力が発揮されて、デジタルエコシステムの超々大規模成長が見られることになるでしょう」。

ジョー氏は、Ajaibのようにより優れたマネタイズプランや戦略、より強力なファンダメンタルズを早い段階で示すスタートアップが現れ始めているという。これにより、イグジットが明確になり、より多くの投資家が地域に集まってくることになる。

チャン氏は「私たちはAjaibの最初の機関投資家でしたが、創業者たちは当初から、ユーザーを獲得するためにお金を使うだけではなく、非常に強いファンダメンタルズを打ち立てるために努力をしていました」という。

IFCの東アジア・太平洋地域担当ディレクターのKim-See Lim(キムシー・リム)氏は、Alpha JWCの第3号ファンドへのIFCの投資に関する声明の中で「IFCとAlpha JWC Venturesとのパートナーシップは、インドネシアの経済発展とデジタルトランスフォーメーションに対する我々の長期的なコミットメントを明確にするものです」と述べている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

Beyond Next Venturesがバイオ領域スタートアップ向けシェアラボを6カ月無料で利用できる研究助成制度の公募開始

Beyond Next Venturesは11月8日、同社運営のシェアラボ「Beyond BioLAB TOKYO」における「研究助成制度」第2期の公募を開始したと発表した。対象の研究領域は生命科学分野全般。支援期間は、2022年2月1日~7月31日の6カ月間。募集締め切りは2021年12月31日まで。

Beyond BioLAB TOKYO(東京都中央区日本橋本町2-3-11 日本橋ライフサイエンスビルディング B101)は、2019年2月に開設した都心初のシェア型ウェットラボ。共有機器、専属ラボマネージャーによる支援体制を備え、スタートアップに最適な環境を整えているという。開設以来、累計32社のスタートアップ・研究チームが利用しており、利用者(卒業生含む)の資金調達額は累計32億円以上、事業提携52件、特許取得14件に上るそうだ。

Beyond Next Venturesがバイオ領域スタートアップ向けシェアラボを6カ月無料で利用できる研究助成制度の公募開始

Beyond BioLAB TOKYO研究助成制度では、同社の知見やネットワークの提供、定期的なメンタリングに加え、6カ月間にわたるBeyond BioLAB TOKYOのラボスペースおよび同社オフィスに隣接するコワーキングスペース「B-PORT」のフリーレントを提供する。同制度を通じ、研究成果の事業化に意欲をもつ研究者の活動を支援するとしている。

Beyond BioLAB TOKYO研究助成制度の概要

  • 募集期間:2021年12月31日まで
  • 支援期間:2022年2月1日~7月31日
  • 対象者:知的好奇心に基づきユニークな研究を行なっている方。研究の推進に必要なスキル、アセットをお持ちの方。チャレンジ精神をお持ちの方
  • 対象となる研究領域:生命科学分野全般(同ラボで受け入れ可能なBSL2レベルに限る。動物試料の持ち込み、特定病原体は不可。特定化学物質の持ち込みは可能だが、ダクトレスヒュームフードで対応可能な範囲に限定)
  • 採択予定数:1~2件程度
  • 応募条件:一定程度の研究開発の経験を有すること(所属は問わない)。日本橋での研究推進が可能なこと。国籍・居住地の制限はない
  • 応募方法:「特設ページ」を確認の上、専用フォームから必要書類を提出。必要に応じ面談を実施する場合がある

Beyond BioLAB TOKYO研究助成制度の提供内容

  • シェアラボ「Beyond BioLAB TOKYO」とコワーキングスペース「B-PORT」を6カ月間無料で利用可能:Beyond BioLAB TOKYOは、1席から利用できるオープンラボスペースと個室を完備した、P2 / BSL2まで対応可能な実験施設。高価な実験機器を共有設備機器として用意。B-PORTは、ラボから徒歩5分の同社東京オフィスに隣接し、投資家・研究者・起業家が交流する施設。Wi-Fi、コピー機、郵便ポスト、ロッカー設備あり
  • スタートアップコミュニティへの参画:ディープテック起業家が集うアクセラレーションプログラム「BRAVE」が開催する限定セミナーの受講、BRAVE卒業生・先輩起業家との交流機会の提供
  • Beyond Next Venturesメンバーによるメンタリング:シード期の資金調達、研究シーズの事業化ノウハウ、助成金の活用など、研究開発型スタートアップの成長支援に豊富な経験を持つ同社社員とのメンタリングの機会を提供

Riot Gamesの元同僚二人が設立した新しい投資会社Patronが約103億円確保

Axie Infinityからのワンシーン(画像クレジット:Yield Guild Games)

テック関連のニュースを追っている人なら、ブロックチェーンベースの「遊んで稼ぐ」トレンドに関する記事が増えていることにおそらくお気づきだろう。これは個人が暗号資産によるゲームをし、そのゲームの中で資産やトークンを稼ぎ、それを「現実」のお金に替えて生計を立てることができるものだ。

「Axie Infinity」と呼ばれるベトナムの会社が、この動きを推進している。同社は非常に人気があるため、フィリピンには「Axie Infinity」でゲームを始めたい人向けにお金を貸すためだけに存在しているスタートアップがあるほどである(ゲームを始めるにはまずデジタルクリーチャーを購入する必要がある)。このお金の貸し手も、ゲームの背後にある会社も、どちらも現在Andreessen Horowitzから資金援助を受けている。

このトレンドは一過性のものではないと、Patronと呼ばれるアーリーステージ専門の新しい投資会社を創設したある共同創設者2人はいう。彼らは「Axie」のようなゲームが分散型「Web 3」と呼ばれる時代の最大の消費者になると信じている。

私たちは、先にPatronの創設者たちにもっと詳しく話を聞くためにメールをした。彼らのうちの1人、Brian Cho(ブライアン・チャオ)氏は、過去7年間Riot Gamesで過ごし、ビジネスおよび企業開発のグローバル責任者を務めた(また、彼は2012年からアンドリーセンホロウィッツに2年間勤務している)。共同創設者であるJason Yeh(ジェイソン・イェ)氏は、過去4年間、ドイツのベルリンで自ら投資会社を立ち上げ運営していた。またそれ以前はEU Esportsの責任者としての業務も含め、8年間Riot Gamesで働いていた。

2人には多くの共通の知り合いがおり、そうした人々がPatronの新しい投資家層を形成している。その中には、Andreessen Horowitzのパートナー数人や、Union Square VenturesのFred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏、 Initialized CapitalのGarry Tan(ギャリー・タン)氏、GGV CapitalのHans Tung(ハンス・タング)氏などが含まれる。2人は、Patronの今度の道筋についても語ってくれた。

TC:お2人はRiot Gamesで知り合ったのですよね。ご自身の会社を立ち上げるために、いつ頃独立する決心したのですか?

BC:私たちはRiot Gamesで同僚として知り合い、過去10年ほどにわたってさまざまな取引に共同で投資する中で、次第に関係を深めて行きました。Patronのコンセプト自体は長い間温めてきたのですが、ごく最近になるまで、私たちがもともと思い描いていた種類の会社を作ることができるようなマーケットニーズがありませんでした。

TC:Patronには著名な多くのVCが投資していますね。最初に投資してくれたのはどこですか?

BC:私たちは、ゲームに個人的に関与し、私たちの会社がシリーズAを順調に達成できるよう支援したいと考えてくれている投資家を引き入れることに意図的に力を入れました。また、これは予期していなかったのですが、私たちの初期のLPが、全体的な資金調達と市場で最も競争力のあるシード取引を勝ち取ることに非常に大きな影響を及ぼしたようです。結果的に 4カ月で9000万ドル(約103億円)を集めることができました。

LPの多くは、過去10年ほ多くの期間、同僚や共同投資家として親しい関係にあった人々です。したがって彼らに最初に関わってもらうという判断は理にかなったものでした。最初に資金提供してくれたのは、私たちのボスでメンターだったa16zのChris Dixon(クリス・ディクソン)氏やMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏、FirstMarkのRick  Heitzmann(リック・ヘイツマン)氏やAmish Jani(アミッシュ・ジャニ)氏といった人々、そしてRiot Gamesの創設者です。個人からの資金提供額平均は40万ドル(約4600万円)を超えており、多くの方々が個人的に多額の資金援助をしてくれました。

TC:機関投資家は関与していないのですか?Riot Gamesはどうでしょう?

JY:Horsley Bridge PartnersとInvesco が当社の最も重要な機関投資家です。Riot Gamesは当社には出資していません。というのも、私たちは資金を提供するための戦略よりも個人や機関を優先したいと考えていたからです。

TC:「遊んで稼ぐ」は「Axie」のおかげで今突如としてトレンドになっていますね。お2人はこのトレンドにどれくらいの期間注目してきたのですか?そして興味深いスタートアップは他にもありますか?そしてそれはなぜですか?

BC:私は約4年前にRiot Gamesを退社して、Cryptokittiesの発売に合わせてNFTゲーム関連の会社を立ち上げました。残念なことに、当時は消費者や投資家の関心が高くなかったので、タイミングがよくありませんでした。2018年に市場の景気は底を打った後は特にです。それでも、過去1年間で私たちにとって最も重要なシグナルだったのは「AxieInfinity」や「 NBATop Shot」など非暗号ユーザーをプラットフォームにオンボーディングできる製品に関するものでした。

さらに、BAYCやPunksといった暗号資産ベースの製品がメインストリームになってきました。Coinbase NFTマーケットプレイスでの230万件のウェイティングリストと、AAAおよびWeb 2ゲーム開発者がこの分野で会社を立ち上げるために現在の勤め先を退社するという流れは、すべてすばらしい兆候でした。

TC:現在までにいくつ投資を行いましたか?

JY:発表はまだされていませんが、いままでのところ4つの投資を行いました。

TC:トークンや株式を買うために資金を使う予定ですか?これらの異なる投資のモードについてどうお考えですか、そしてこれについて御社のLPはどのように考えているのでしょうか?

JY:はい、その予定です。私たちの最初の取引の1つは純粋なトークン取引です。私たちはこれらを1つ1つ評価しています。またこのトークン取引が、創設者が構築しようとしているスタートアップや製品のタイプに適した配慮の行き届いたものであるべきだ、と考えています。私たちはLPに対し、ゲームとWeb 3の強力な融合を考えると、Web 3やトークンに資金の相当な部分を使うことになると伝えてあります。それが、彼らがPatronでの投資活動に興奮している理由の1つです。

TC:投資の対象を考えたとき、ロサンゼルスに拠点があるということは、なにか特別な利点があると思われますか?

JY:はい。ロサンゼルスには現在アート、創作、ゲーム、エンターテインメント、暗号資産が色濃く交差しています。そうはいっても、私たちは仮想的な性質をもった会社であり、ロサンゼルスやシリコンバレーで存在感を発揮する一方、サービス提供は国際的なものになるでしょうし、取引の約半分はアメリカ国外のものになると予想しています。

私は過去10年間のほとんどをベルリンで過ごし、最近ロサンゼルスに戻ってきたところです。そしてブライアンも私もRiot Gamesでは、東アジアや東南アジアにおけるビジネスチャンスのために働いていました。私たちは、こうした地域のどこからでも世界的な消費者ビジネスを構築できると信じています

TC:出資の額面についてですが、あなたが投資する際の最低出資額、そして上限については、どのようにお考えですか?

JY:私たちは高い信念と集中型ポートフォリオモデルを持っています。つまり、私たちは量よりも質を重視し、シードステージでの機会を主導または、共同で主導することを目指しています。これは、私たちが活動するステージにおいて、主要投資家として早い時期に高い割合でオーナーシップを持つことを目標に100万ドルから400万ドル(約1億円から4億6000万円)の間で投資することを意味しています。

TC:興味深いプロジェクトをどこで見出すのですか?

JY:私たちのLPは私たちの取引の流れ、そして競争の厳しい取引を勝ち取るための最善のソースです。また、もちろん、TwitterやDiscordが私たちにとって創設者たちと繋がるのに自然な場所になるでしょう。また私たちはDAOsや緊密に結びついたエンジェルシンジケート(私たちもその一部ですが)といった新しい領域が私たちの取引の流れの重要なソースになることを期待しています。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

科学者である創業者たちに議決権を譲渡するアクセラレーターかつファンドのSciFounders

2021年1月に600万ドル(約6億8000万円)の支援を受けて設立された、アクセラレータープログラムかつファンドのSciFounders(サイファウンダーズ)が、科学者である創業者たちが自分の会社を経営することを支援する新しい提案をしている。通常は投資にともなって得られる議決権を、投資対象の一部のチームに与える計画を立てているという。

なぜそれが重要なのだろうか?まあ、いろいろな意味で時代の流れを感じる。ベンチャーキャピタルは創業者に多くの要求をすることで知られてきたが、その一方でここ数年はトップの座を維持するためにあらゆる努力をしている。新しいオフィスを開設したり、独自の編集部門を設けたり、記録的な速さでタームシートを提供したり、資金調達を完了した直後の創業者への各種チェックを免除したりという具合だ。このため創業者は運転席に悠々と座ってきた。

しかし、SciFoundersの共同創業者であるMatt Krisiloff(マット・クリシロフ)氏は、SciFoundersの考えにはそれ以上のものがあるという。SciFoundersは、学界で満足できるポジションを得られない博士号取得者の増加に対応するために2021年設立された組織だ。

クリシロフ氏自身も、幹細胞を人間の卵子に変換するバイオテック企業Conception(コンセプション)を創業者として経営を行っているが、特にバイオテック企業の創業者たちが会社をコントロールできなくなるのを見るのはうんざりだと語る。

クリシロフ氏は「こうしたスタートアップ企業は、非常に多くの資本を必要とするため、このようなことが頻発するのです」と指摘する。「ソフトウェア企業なら数千ドル(数十万円)のプレシード資金でを立ち上げることができますが、ライフサイエンス企業の場合はおそらく数百万ドル(数億円)の資金が必要です」。このため創業者にとっての状況はいとも簡単に変わってしまい、所有権も発言権も弱められてしまうのだ。

彼の組織が望んでいるのは、科学者たちがより多くの力を発揮できるようにすることであり、それがSciFoundersから提供できるなら望むところだ。クリシロフ氏は「ソフトウェアの世界でStripe(ストライプ)のCollison(コリソン)兄弟やAirbnb(エアービーアンドビー)の創業者が自分の会社を取り仕切っているように、科学者が『私たちがすべてを担当する一級市民です』と言えることは、長期的にはすばらしいことだと考えています。私たちは、科学者の創業者の世界にも、そのようなことが広く行われるようにしたいと考えているのです」と語る。

SciFoundersは、これまでに7社に40万ドル(約4550万円)を提供し。10%の株式と引き換えにメンターシップを提供してきたが、この規模の企業が与えられる影響は限られている。

会社の課題について少なくとも発言権を持つことができる、議決権という現在のリミテッドパートナーが自由に使える数少ない手段を手放すようなVCに、賛同するパートナーはあまりいないだろうと私たちが言っても、クリシロフ氏がたじろぐ様子はなかった。

その動きをどこかで始めなければならないと彼は考えているのだ。さらに、SciFoundersは、学術関係者がこれまで受けてきたよりも多くの助言を行うことで、すでに神経を逆なでしていると考えている。クリシロフ氏によると、現在SciFoundersが支援しているのは7つのチームだが「イテレーションサイクルには非常に長い時間がかかる」ため、アクティブな支援は最長で1年間を予定している。その一方で、現在1000件以上の応募を抱えているが、その多くはツイッターでSciFoundersのローンチを告知した後に到着したものだ。

SciFoundersは、Y Combinator(Yコンビネーター)と提携して研究プロジェクトのポートフォリオを運営していたクリシロフ氏に加えて、分子生物学者でGenentech(ジェネンテック)の博士研究員だったAlexander Schubert(アレクサンダー・シューベルト)氏と、Mammoth Biosciences(マンモス・バイオサイエンス)の共同創業者で最高科学責任者のLucas Harrington(ルーカス・ハリントン)氏が共同で設立した。

ハリントン氏とMammoth Biosciencesを創業した、他の3人の共同創業者の中には、CRISPR-Cas(クリスパー・キャス)ゲノム編集技術の発明者であるJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)氏がいる。ダウドナ氏は長年の共同研究者であるEmmanuelle Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)氏とともに2020年ノーベル化学賞を受賞した。

画像クレジット:Andrew Brookes/Cultura/Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)

リコーのアクセラレータープログラムTRIBUS 2021、社内78件・社外117件の応募から参加11チームを選出

起業家向けシェアオフィスやコーポレートアクセラレーターなどを展開するゼロワンブースターは11月4日、リコーと共同運営するアクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」(トライバス)の参加11チームを発表した。これらのチームは、10月28日に開催された社内外の総合ビジネスコンテストから選出された。

「不可逆な世界でこれからの選択肢をつくる」をテーマとするTRIBUSの2021年の参加者は、社内起業家5チームと、スタートアップ企業6チーム。リコー社内から78件、社外から117件のビジネスアイデアの応募があり、その中から選ばれた。

募集領域は、以下7領域。
・事業活動を通じた社会課題の解決で、脱炭素社会と循環型社会を実現
・次世代太陽電池で作る「充電のない世界」
・認知機能の見える化と適切な介入で認知症の「未病」を改善する社会を実現
・働き方が変わる、働く場所が変わる、紙とデジタルの橋渡しで社会へ新しい価値を提供
・アナログとデジタルがシームレスにつながり、リアルを超えるUXの実現
・リアル×デジタル融合型の企業向けマーケティングサービス
・その他の事業領域(オフィス分野、HR、AI、ロボティクスなど)

アクセラレータープログラム期間中は、リコーグループとパートナー企業からの支援を受けて、ビジネスアイデアの検討や実証実験が行われる。成果発表は2022年2月17日を予定。パートナー企業には、2020年TRIBUS採択チームのグローバル・カルテット、CAMPFIRE Startups、KDDI、日本マイクロソフトが参加している。

採択チームと応募プランの概要は以下のとおり。

スタートアップ企業

  • APTO:AI開発でもっとも労力がかかるデータ作成を、安く、早く、大量に、高品質に行えるサービス
  • CALCU:次世代ダストボックス「CALCU」。食品廃棄の削減・最適化により、 事業利益の最大化をはかるIoTシステム
  • クリエ・ジャパン:様々なデータを基に1人1人に最適化した動画を自動で生成する動画DXサービス「PRISM」
  • JDSC:電力などのデータ×AIで、日常生活をしながらフレイル状態を検知し、高齢者の健康寿命延伸に挑戦
  • スマートショッピング:IoT重量計「スマートマット」を活用した在庫管理・発注自動化ソリューション
  • ユニフィニティー:現場を便利にするアプリを簡単に作成する業務用モバイルアプリのノーコード開発プラットフォーム

社内起業家チーム

  • リコーテクノロジーズ:特殊環境における映像事業
  • リコージャパン:緑化による環境改善
  • リコーITソリューションズ:オンライン商談をAIで支援
  • リコーエレメックス:技術者と現場のマッチングを支援するサービス
  • リコー:スポーツ動画の活用に関するソリューション

Walden Catalystがディープテック系スタートアップに投資する約628億円のファンドを設立

Walden Catalystの創業者(左)リップ・ブー・タン氏と(右)ヨン・ソーン氏。

過去20年間、ディープテック(世界を変えるようなビジネスを構築するための科学技術関連のブレークスルー)からの資本の逃避が続いていると、Walden Catalyst(ウォールデン・カタリスト)は述べている。このベンチャーキャピタル(VC)は、データを「燃料」、AIを「エンジン」として、それらが人々の生活、仕事、遊び方を変革する能力を信じている。

Lip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏とYoung Sohn(ヨン・ソーン)氏は、アーリーステージのディープテック企業、具体的にはビッグデータ、AI、半導体、クラウド、デジタルバイオロジーなどに投資するためにこのファンドを設立したと、Walden Catalystのマネージングパートナーであるソーン氏はTechCrunchに語っている。

サンフランシスコを拠点とするこのVCは、米国時間11月1日、申し込み過多となった5億5000万ドル(約628億円)のファンドのクロージングを発表した。同VCは、リミテッドパートナーの名前を公表していない。

半導体、クラウド、エレクトロニクス業界全体で実績のあるソーン氏とタン氏は、Zoom(ズーム)、Inphi(インフィ)、Berkeley Lights(バークレーライト)、Habana(ハバナ)、Nuvia(ヌビア)など、多くのテック企業に初期投資を行ってきた。

「Walden Catalystは、2021年初頭に設立された新しいファンドですが、Walden International(ウォールデン・インターナショナル)やSamsung Catalyst Fund(サムスン・カタリスト・ファンド)からの強力な遺伝子があります」。と語るのは、以前、Samsung Electronicsでコーポレート・プレジデント兼チーフ・ストラテジー・オフィサーの役職に就いていたソーン氏だ。タン氏は、Walden Internationalの創業者兼会長でもある。

Walden Catalystは、米国、欧州、イスラエルに焦点を当てている。これは、これらの3つの地域から、関心のあるディープテック分野で一貫したブレークスルーが見られるからだとヨン氏はいう。また、Walden Catalystのパートナーは、過去数十年にわたってディープテック産業に投資してきたことで、これらの国に深いネットワークを持っており、Waldenがトップの起業家を惹きつける画期的なアイデアを見つけるのに役立っているとヨン氏は付け加えた。

現在までに、Walden Catalystは、米国で3社、イスラエルで2社、EUで1社の計6社のディープテック関連のスタートアップ企業に投資している、とヨン氏は続けた。Walden Catalystのポートフォリオ企業には、Speedata(スピーダータ)、MindsDB(マインズDB)、AI21 Labs(AI21ラボ)の他、現在ステルスモードの他3社が含まれていると述べている。同社の最初のチケットサイズは、1ラウンドで数百万ドル(数億円)から2500万ドル(約28億5000万円)までとなっているとヨン氏は語った。

「データは絵を描きます。それは、情報を提供し、啓発するストーリーを語るものです。世界のデータ量は2年ごとに倍増し続けていますが、分析されているのは全データの約2%に過ぎず、意味のある洞察を集めるためにできることはたくさんあります。データの爆発的な増加を捉え、最終的に世界を変えるであろう、米国、欧州、イスラエルの次世代のディープテック起業家たちと協力できることに、私たちは興奮し、光栄に思います」。とソーン氏は述べている。

Shankar Chandran(シャンカール・チャンドラン)氏、Roni Hefetz(ロニ・ヘフェッツ)氏、Francis Ho(フランシス・ホー)氏、Andrew Kau(アンドリュー・カウ)氏の4人の追加パートナーによるチームは、ディープテック分野での投資やエグジットに関して数十年の経験を有している。

Walden Catalystは、事業運営と投資の経験を活かして、初期段階の起業家が次世代のビジネスを構築する際に、迅速なスケールアップとイノベーションを支援することを目指している。同社は、起業家こそが経済成長とイノベーションの中心であると考えている。

「私たちは、業界の次の波を担う夢想家たちと協力して、彼ら(起業家)がイノベーションを起こし、成長を加速するのを支援できることを楽しみにしています。起業家は我々の未来のエンジンであり、Walden Catalystはその旅を共有し、まだ到来していない多くの驚くべきブレイクスルーを支援するために設立されました」とタン氏は述べている。

Walden Catalyst は、国連の持続可能な開発目標に沿ったグローバルな課題に取り組む起業家を対象としたスタートアップコンテストであるエクストリーム・テック・チャレンジ(XTC)と密接な関係にある。Walden Catalystは、地球に意味のある影響を与えながら大規模なスケールに到達できる、次のすばらしい破壊的スタートアップ企業を見つけるというXTCのミッションを共有している。

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

グローバル化するスタートアップ市場にVCはどのように対応しているのか

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

親愛なるみなさんおはよう。良い週末をお過ごしだっただろうか。これからの数日間は、医者が眉をひそめるくらいの糖分を摂取するというのはどうだろう。結局、人間は最後には死ぬわけだし。そんな勢いをつけながら、さっそく仕事に取り掛かろう!

TechCrunchでは、ベンチャーキャピタルの動向を定期的に取り上げているが、スタートアップ市場があらゆる地域に拡大していることをうけて、VCもますますグローバルになる傾向がある。そのため、インドのスタートアップシーンの報告を強化するとともに、ご存知のようにアフリカ大陸で生まれるスタートアップにも注目しているのだ。

多くのスタートアップ企業が多額の資金調達を行っているため、すべてを把握するのは困難だ。しかし、グローバルな新しい現実への対応を続ける、新進のテクノロジー企業に注目しているのは、私たちだけではない。ベンチャーキャピタリストも同様だ。

近年のテクノロジーイノベーションのフラットな世界に合わせて、VCがオペレーションを変えていくのを目にするようになった。例えばより多くのパートナーを持つ大規模なファンドを設立して焦点を分散させたり、国や地域に特化したファンドを設立したりすることなどが挙げられる。

White Star(ホワイト・スター)は、そのような企業の1つで、ますます幅広い分野に焦点を当てている。最近このベンチャーグループは、3億6000万ドル(約410億4000万円)規模の3つめのファンドをクローズしたばかりだが、TechCrunchは数日前に創業者のEric Martineau-Fortin(エリック・マルティノー=フォルティン)氏にインタビューを行った。だがその話題の中心は、評価額や業界の話ではなく、ほとんどが地理的な話に終始した。

マルティノー=フォルティン氏が住むのはフランスとイギリスのほぼ中間に位置する小さな島、ガーンジー島だ。彼の最初のファンドが、アメリカとヨーロッパに焦点を当て、ほぼ半分ずつ投資を分けていたため、そうした中間的な場所に居を構えていることは都合が良かったのだ。

White Starの2つめのファンドは、地理的な範囲を広げて、アジアにも適度に焦点を当てたものだった。そしてグループの3つめのファンドは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアがほぼ40/40/20の割合で構成されているとマルティノー=フォルティン氏は語る。

特筆すべきは、同グループがインド市場を積極的に開拓していないことだ。インドにどれだけの資本が流入しているのかを考えると、これは際立った特徴だ。しかし、White Starは、韓国と日本の市場に重点を置いているため、インドをリストの上位に入れなくともアジアに広く投資することが可能だ。

マルティノー=フォルティン氏と、他の市場についても意見を交わした。彼は、ブラジルのスタートアップシーン(Nubank[ヌーバンク]のIPOが迫っていることを考えると驚きではない)やメキシコについて、肯定的な意見を述べた。もっと簡単に言えば、中南米のベンチャーキャピタル市場は、その地に現在焦点を当てていない投資家からも関心を持たれているということだ。

世界のベンチャー市場は、若干のフラット化は見られるものの、依然として不均一な状態が続いている。CB Insights(CBインサイツ)のデータによると、2021年第3四半期には、米国では総額723億ドル(約8兆2400億円)のVC活動があった。一方アジア全体では502億ドル(約5兆7200億円)である。そしてヨーロッパは242億ドル(約2兆7600億円)、ラテンアメリカはわずか53億ドル(約6042億円)だった。つまり、新しいタイムゾーンを対象に加えようとする投資家は、先行者利益を得る可能性があるということだ。

今後は、米国、ヨーロッパ、アジアに3分の1ずつ分割して投資することも考えられる。そのうち、それが普通の分け方になるのだろうか。結局のところ、北朝鮮や中国などの一部の市場を除けば、インターネットはどこにでもあるのだから、場所を問わずいろいろな企業に資本を投入してみてはどうだろうか?

消費者投資の未来

ここからは、大きく舵を切って、英国の消費者投資について話をしよう。上手くまとめるつもりだ。

先週The ExchangeはFreetrade(フレートレード)を取材したが、Robinhoodの低調な業績報告を受けての電話だったので、それは幸先のよいタイミングだった。思い起こせば、Robinhoodの株価は、同社が前四半期比で大幅な減収を発表した後、アクティブユーザー数が減少し、投資アカウントの合計数が減少したことで下落した。

2021年第2四半期から2021年第3四半期にかけてRobinhoodに何が起こったのかを簡単に説明すると、同社のプラットフォームでの暗号取引がつまずいてしまい、精彩を欠いた収益となった。第4四半期は、第3四半期よりもさらに縮小することが予想されている。残念な話だ。

私は、Freetradeが自身のユーザーベースから期待できるものを、Robinhoodの結果が示してくれることを期待していた。しかし、FreetradeのAdam Dodds(アダム・ドッズ)CEOによれば、そのようなことは一切ないとの話だった。実際、同社は先日、ユーザー数が100万人に達したことを発表したが、それ以上に重要なのは、10月に入ってからこれまでに11万件の新規出資アカウントを確保したことだ。1カ月で同社の総ユーザー数が大きく増えることになった。

そうした決して不調とはいえない事実を前にして、ドッズ氏はFreetradeの中核市場であるイギリスでの開拓の余地がまだあると考えており、さらに数ヵ月後にはカナダ、オーストラリアなどへの事業拡大を計画している。併せて、そう、暗号資産の取引も。

取り上げるべきRobinhoodとFreetradeのもう1つの違いは、ユーザー数の伸びが異なることの他に、Freetradeはオーダーフローに対する支払いを行っていないことだ。その代わりに、同社はサブスクリプション、FX取引に対するわずかな手数料、そしてユーザーから預かっている現金が生み出す利子で収益を上げていると、ドッズ氏は説明する。

このサブスクリプションの要素は、会社の長期的な価値の鍵を握っていると私は考えている。それはなぜか?ソフトウェアからの定期収入は投資家にとって魅力的なものであり、ドッズ氏によれば、4分の1程度の顧客が有料版のサービスを選ぶという。

この比率がこのまま維持されるか、あるいは小幅な減少にとどまれば、Freetradeは巨大なソフトウェアビジネスを構築できるだろう。海外はもちろんのこと、国内でのさらなる普及を考えれば、この先も収益が生み出される筈だ。次にFreetradeが資金調達をするときにもっと詳しくお伝えする。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

【コラム】スタートアップが口にするマーケティング策としての「インパクト」に投資家が惑わされないようにするための3つのサイン

2021年の初めに出されたEUの報告書によれば、42%の企業が自社の持続可能性のレベルを誇張していることがわかった。このような「グリーンウォッシュ」があまりにも横行するようになったため、ある団体が企業の真の環境負荷を計算し、誤解を招くようなマーケティングを避けるためのプラットフォームを立ち上げたほどだ。


現在、世界的なインパクト投資市場の規模は7150億ドル(約81兆5100億円)と言われており、成長を続けている。しかし、良いことをしているビジネスに資金を投入しようと躍起になっているベンチャーキャピタル、エンジェル、セレブリティたちは、十分なデューデリジェンスを行っていない。

創業者の中には、トレンドに乗って投資家の注目を集めるために、インパクトと自分を結びつける者もいる。自分のことを「インパクトプレナー」(impactpreneur)と呼ぶ者がいるのはそれが理由だ。

インパクトを与えることと、マーケティングのためにストーリーを押し出すこととは紙一重の差であるため、スタートアップの真正性を見誤ると投資家は資金と評判を失うことになる。多数のスタートアップ企業と仕事をする中で、私はスタートアップ企業が本当に変革を起こそうとしているのではなく、単にインパクトを利用して世間の注目を集めようとしているだけのことを示す3つの兆候を見出した。

インパクト指標を記録・追跡していない

もし企業が、自分たちが重視していると主張しているインパクトを測定していなければ、それは赤信号だ。本当にインパクトを与えようとしているスタートアップ企業なら、自分たちの目標は何か、どうやってそこに到達するのか、そしてその過程でどのような指標をモニターするのかを明確に定義している。

私の立ち上げたFounder Institute(ファウンダー・インスティテュート)では、スタートアップ企業がインパクトのステップを段階的に追跡するのに役立ついくつかの「インパクトKPI」を定義している。

例えば成功した女性創業者の数を増やすことを目的とした女性主導のアクセラレータープログラムなら、月ごと、年ごとの女性参加者数、事業を立ち上げた参加者数、それらの事業がどれだけの資金を得たかなどの評価指標を設けることができる。一夜にしてインパクトを生み出すことはできないものの、道筋を細分化することで、企業はインパクトへの道筋を切り拓き、改善していくことにコミットしていることを示せる。

また、そうしたインパクト指標を追跡することで、企業は公表しているインパクトに対して十分な説明責任を果たすことができる。実際の指標が悪くても公表を行う企業は、何が悪かったのかを深く追求し、状況を改善するための計画を立てていく姿勢を持つことが多い。

そのすばらしい例の1つが、2020年チームの多様性に関する目標を達成できなかったことを認める報告書を発表した、Duke Energy,(デューク・エナジー)だ。この指標を改善するために、同社は新たにチーフ・ダイバーシティ&インクルージョン・オフィサー(多様性並びに包含性担当責任者)を採用し、サービスを提供するコミュニティ内の平等性を推進するために400万ドル(約4億6000万円)を投じた。

私たち投資家はまた、スタートアップ企業が主張していることを実践しているのかどうかを見極めるために、そうした指標が企業全体に浸透しているかどうかを確認しなければならない。例えばより多くの人が教育を受けられるようにしたいと主張している企業なら、創業者は社内の研修プログラム、提供コース、開発計画、展開などに関する指標を提供することができるはずだ。

もし企業がこうした情報を持っていないとしたら、それはその会社のインパクトが外面的な目標のみを対象としていて、社内のオペレーションに組み込まれていないことの表れかもしれない。

CMOがインパクト戦略の責任者である

インパクトの責任は、最終的にはCEOの肩にかかっているはずだ。これは当たり前のように聞こえるかもしれないが、もしインパクトに関する会話や報告をする中心人物がマーケティング最高責任者(CMO)であるとしたら、それは極めて問題だ。

インパクトがマーケティングの立場だけから考えられていた場合、思いつきのインパクトやお手軽なインパクトが生み出されてしまう可能性は高い。インパクト戦略の直接的な成果ではなく短期的な成果を振り返って成功に満足しがちだからだ。例えばあるスタートアップ企業は、2020年にカーボン排出量を10%削減したと主張しているが、実際にはパンデミックの際に業務を停止したことによる減少だった。

同様に、スタートアップのインパクト目標があまりにも良すぎるように見える場合、それはたいてい見掛け倒しなのだ。マーケティング部門は世間に打って出ようとする際に大きく語りがちだ(Theranos[セラノス]のことを思い出そう)。しかし、インパクトを与えるためには、企業は月を目指す前に地に足をつけて行動しなければならない。

例えばExxonMobil(エクソンモービル)は、実験的に開発した藻類バイオ燃料を、輸送時の二酸化炭素排出量を削減する手段として宣伝した。だが消費者は、同社が二酸化炭素排出量を実質ゼロにできていないことを指摘した上で「よりセクシーな」インパクトのある代替品を求めた。

進捗ではなく予想である

創業者が資金調達をする際に、最も破壊的な側面を強調するのは当然のことだ。いわく、貧困をなくし、格差をなくし、気候変動の影響を減らすことができるなどなど。このような約束は投資家を驚かすかもしれないが、実現手段を担保したものでなければならない。

投資家なら誰でも、スタートアップのピッチデッキに書かれた財務予測のなかに盛り込まれた楽観的な気分を見て取ることができる。重要なのは数字ではなく、その背後にあるプロセスだ。インパクトの場合もまったく同じだ。

もしスタートアップを描き出すものが、インパクト目標の未来の数字だけならば、投資家は警戒すべきだ。数字よりも実現手段の方がはるかに多くを語ってくれる。

例えば、GSKは2030年までにネット・ゼロ・カーボンになるという野心的な計画を発表しているが、再生可能な電力、電気自動車、グリーンケミストリーへの切り替えといった主要な活動の内訳をみることで、同社が実際にそのインパクトに向かって動いているかどうかを確認できる。たとえトータル・ネット・ゼロに到達していなくても、意思は明確であり、やがて前進はしていくだろう──たとえペースは遅くとも。

Theranosの事例から学んだことがあるとすれば、企業が資金調達の際に、インパクトの魅力の嗅ぎ分けに敏感になったということだ。投資家が、真のインパクトとマーケティング上の策略とを見分けることができれば、自分自身を守ることができるだけでなく、その投資資金を実際に変化起こせる場所に投入することができる。

編集部注:著者のJonathan Greechan(ジョナサン・グリーチャン)は、世界最大のプレシードアクセラレーターであるFounder InstituteのCEOで共同創業者。

画像クレジット: alexkar08 / Getty Images

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(文:Jonathan Greechan、翻訳:sako)

日本クラウドキャピタルがベンチャー株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」提供に向け準備開始

日本クラウドキャピタルは10月26日、財務省関東財務局において第一種金融商品取引業への変更登録が10月22日に完了したと発表した。これに伴い、新たなサービスとして、ベンチャー株式のセカンダリーマーケット「FUNDINNO MARKET」(ファンディーノマーケット)の提供に向け、準備を進める。2021年12月1日に情報開示を目的としたサイトプレオープンを行い、12月8日のサービス開始を予定している。

FUNDINNO MARKETとは、個人投資家が、ベンチャー企業の株式をオンラインで注文可能となるサービス。日本証券業協会が提供している、地域に根差した非上場の企業などの株式売買・株式の発行により資金を集める仕組み「株主コミュニティ」制度を活用しているという。FUNDINNO MARKETにより、ベンチャー企業の株式を保有する個人投資家間の売買取引や、個人投資家からの資金を調達したい未上場企業の資金調達の場を創出するとしている。また、法人投資家の利用への拡大も順次進める。

ベンチャー企業への投資には、投資したい個人投資家と資金調達したいベンチャー企業との適切な出会いの場が限られており、同社は株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」(ファンディーノ)を通じてその機会を提供してきた。従来、ベンチャー企業の株式は流動性が乏しく、保持し続けることが一般的だったが、今回のマーケット創設に伴い、投資家はいつでもオンラインでの注文が可能となる。

FUNDINNO MARKETでは、ファン投資家の資金と応援により、IPOやM&Aなどのエグジットを目指すベンチャー企業だけでなく、地域経済を支える中小企業や社会課題解決を目指すソーシャルベンチャーなどが活用できるという。日本クラウドキャピタルは、同マーケットの創設により「フェアに挑戦できる、未来を創る」ことを実現するとしている。

FUNDINNOは、IPOやバイアウトを目指すベンチャー企業に1口10万円前後から投資できるサービス。審査を通過したベンチャー企業のみが投資家の募集を行えるという(投資家も投資適格性などの審査が必要)。FUNDINNOでは、普通株式や新株予約権への投資となり、投資先企業からのIR情報を定期的に確認できる。企業によっては投資に対してエンジェル税制を活用できる場合や、株主優待を設定している会社もあり、新しい投資体験が可能という。

ツイッターの元企業開発責任者で、現在はVCに身を置くセクソム・スリヤパ氏に話を聞く

Seksom Suriyapa(セクソム・スリヤパ)氏は、ベンチャーファームに身を置く運命にあったようだ。スタンフォード大学ロースクールを卒業後、2つの優良投資銀行で勤務し、その後サイバーセキュリティ企業McAfeeに上級企業開発部門の従業員として入社した。さらにヒューマンリソースソフトウェア企業SuccessFactorsで6年間勤務した後、2018年にTwitterに加わり、6月まで12人の企業開発チームを率いた。

意外なのは、スリヤパ氏はロサンゼルスに拠点を置くベンチャーファームUpfront Venturesに加わったばかりなのだが、もっと早い段階で飛躍を遂げなかったことだ。「きっかけは、私にぴったりの会社を見つけたことでした」とスリヤパ氏はいう。

サンフランシスコのベイエリアに住むスリヤパ氏に、Upfrontでの新たな役割と、創業者のYves Sisteron(イヴ・シスタロン)氏とともに成長ステージのプラクティスを拡大していくことについて話を伺った。

同氏はまた、最近少しばかり買収に拍車をかけているTwitterが買収についてどう考えているかについても明らかにした。我々の会話は長さのために軽く編集を加えている。

TC(TechCrunch):Upfrontに参加した経緯をお聞かせください。

SS(スリヤパ氏):(Upfrontで長年パートナーを務める)Mark Suster(マーク・サスター)氏と私は、ベンチャー業界におけるビジネス上の共通の知人の紹介で出会ったのですが、長い年月の間に同氏のことを知るにつれ、本当にすばらしい人物であることが分かりました。同氏はビジネスそのものに対して思慮深い、卓越したブランドビルダーです。(Upfrontは)ロサンゼルスをベンチャーマップに載せたと言えるかもしれません。

TC:同社は長い間アーリーステージ企業だった時期もありましたが、現在は「バーベル」戦略をとっています。あなたの新しい仕事は、ポートフォリオ企業が成長していく中で、その株式を維持できるようにすることですか?あなたはそのポートフォリオ以外で買い物をすることができますか?

SS:私にとってのミッションは、規模を拡大しようとしているUpfrontの100社を超える既存のポートフォリオ企業の中で最も優れた企業をサポートすることであると同時に、プラットフォーム上の通貨ではない企業に投資することでもあります。そして(後者では)今後ますます多くのことが起こると予想しています。

TC:Twitterは、あなたが在籍していた数年間、企業開発の分野でより活発に活動していました。理由を教えていただけますか?

SS:私が2018年に同社に参加したとき、約3年間CEOを務めていたJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、パブリックな会話を促進するというコアミッションに真に注力していました。そのためにTwitterは多くの事業から身を引き、賢明な人たちからも距離を置くことになりました。

TC:2016年に従業員をレイオフしたと記憶しています。

SS:それから派生したことの1つは、新プロダクトの生産性がかなり下がったことです。そのため、私が加わる前の3年間、新規の買収はありませんでした。運動をしないと筋肉は萎縮します。(私の参加の前に)ジャック(・ドーシー氏)は経営陣を刷新しました。それまでは比較的重役の回転ドアのようなものでした。そして私は、数年間沈黙していた会社の開発を復活させるという使命に導かれました。(CFOの)Ned Segal(ネッド・シーガル)氏がGoldman Sachsの銀行員だった頃とSuccessFactorsに在籍していた頃のことを知っていたので、人づてにその役割について聞いたとき、私はコンタクトを取ったのです。

TC:Twitterは、ニュースリーダーサービスのScroll、ニュースレタープラットフォームのRevueを買収して、買い物を始めました。これらの決定はトップから下ってきたのでしょうか、あるいはその逆でしょうか?

SS:それを説明する最善の表現として、それはプロダクトニーズ主導型であった、と言い表せるでしょう。同社にはいくつかの異なる目標がありました。1つは、Twitterが広告主導型のビジネスであることに依存するのを多様化することでした。収益の80%は広告から来ているといった点です。

第2に、企業として機械学習(ML)と人工知能(AI)を強化すべきであるという、驚くほどの必要性が存在していました。会話の中の有害性を探す場合、そのために何万人もの人を雇うことはスケーラブルではありません。それを見つけるには機械学習が必要です。またTwitterは、ユーザーにとって最も興味深い会話を表示できるようにすることも上手く成し遂げていますが、そのためには、ユーザーがフォローしたり、読むことに時間を費やしたりしているものや、ユーザーがやり取りしているものからのシグナルを取得する必要があります。その中核はML AIです。(関連して)ジャック(・ドーシー氏)には、ネイティブ言語でツイートする人は誰でも、グローバルな会話の一部としてネイティブ言語で他の人と話すことができるようにする必要があり、そのために(自然言語処理)技術を大幅に拡充しなければならない、というビジョンがあります。

TC:コンシューマーアプリケーションへのフォーカスというものもありますね。

SS:それが3つ目の目標です。フォロワーとクリエイターがお互いとの会話に使えるツールは何でしょうか?そこで(Twitterは)ClubhouseのライバルであるSpacesを通じて音声を追加しました。SubstackのライバルであるRevueを買収しました。このようにして、Twitter上で見たり作成したりすることが期待されるコンテンツの種類に関係する多くのイノベーションが起こっています。

TC:これらの買収について、プロアクティブ(先見的)とリアクティブ(反応的)のどちらであると説明しますか?

SS:外から見ると、リアクティブに見えるかもしれませんが、実際には私たちは、Clubhouseが離陸する前からSpacesのようなものについて考えていました。注目すべきなのは、Twitterのような企業が、その領域に特化した企業と真っ向から対決するケイパビリティと新プロダクト領域を構築し、それがDay 1から競争力を持つようになったのを(Spacesの事例で)初めて見たことだと思います。TwitterがClubhouseを打ち負かしたのは、Android版にリソースが注ぎ込まれていたからであり、Twitterの仕組みやクリエイターがTwitterを利用しているという事実の多くが、このセグメントを勝ち抜くための絶好のスポットにTwitterを位置づけていると私は考えています。

Twitterはまた、ソーシャルメディアを利用しているときに警戒すべき有害性や事柄を発見するための膨大な専門知識を持ち合わせています。Clubhouseほどの規模の企業は、少なくとも創業当初は、そこまで到達するのにかなり苦労することになるでしょう。

TC:Twitterは、暗号資産や分散化など、非常に多くの関心事を抱えていますね。

SS:Twitterの優先事項に関しては、今後5年から10年の間に登場すると予想される技術の点では多くが秘匿状態にあります。ですが、暗号資産とそれを取り巻く基盤プロトコルのインパクトについて、そして人々のプライバシーを保護し、コンテンツがどこに保存されているかを人々が心配しなくて済むような分散型インターネットが置かれている、信頼性の低い無許可状態(の世界)にTwitterがどのように参加するかについて(に多くの考慮が払われている)でしょう。人々はTwitterを単なるコンシューマーアプリと捉えているかもしれませんが、内部には驚くべき多様性が秘められています。

TC:現在の規制環境の影響で、FacebookやGoogleに吸収されたかもしれない企業やプロジェクトと協業する上で同社は優位に立っていると思われますか?

規制環境という点では、FacebookとGoogleを等式から外しても、競争力のある買収者が存在し、それがステップアップして買い物をすることになりますので、この2社だけを考えるのは少し近視眼的だというのが現実的です。しかし、彼らが活動的だったときでさえ、私たちは(取引を)勝ち取っていました。私たちが買収した企業の多くはTwitterに入ることを自ら選んでいます。Twitterが象徴しているもの、そして組織を率いるジャック・ドーシー氏のやり方を気に入っていて、同氏が取っている方針と、同氏とその指導者たちが主唱している見解を信じているからです。

TC:あなたは今、まったく異なるブランドを体現しようとしています。Twitterで行ってきたことは、Upfrontを代表して取引を勝ち取る上でどのように役立つと思われますか?

SS:私は世界中にすばらしい起業家のネットワークを擁しています。自分のキャリアを通じて買収を支援したり、買収を試みたりした企業や、ビジネスを運営している人々のネットワークです。私はさまざまなステージにいるVCとも関係を持っていて、世界中のビジネスを積極的に見つけて(そして企業の開発チームに紹介して)います。Twitterにはダイバーシティとインクルージョンのプログラムがあり、今後数年間で25%のリーダーシップを多様化させようとしていることを知っている人もいるかもしれません。私のチームはしばしば、多様性のあるターゲットを見つけて獲得するための最善の方法を見出すことに関わってきました。私はまた、新興ファンドへの一連のLP投資を指揮しました。ラテンアメリカ系のファンドもあれば、女性が設立したファンド、黒人が設立したファンドもあり、地理的な観点からも多様で、遠く離れた場所にある企業をスカウトしているファンドもありました【略】。

TC:Twitterは直接投資も行っていますか?

SS:私たちは直接投資を行いましたが、(ファンドマネージャーを支援することは)よりレバレッジドなアプローチです。そのほとんどはシードファンドで、30社から60社への投資につながります。しかし、そうです、私は(インドの)ShareChatを含む遠く離れた場所の企業をスカウトしました。ShareChatでは、私は2年間取締役を務めています。(編集部注:TechCrunchは2021年初め、TwitterがShareChatの買収を検討していると報じた。同社はその後何度も資金調達を行っており、直近では投資家から30億ドル[約3300億円]近くの評価を受けている。)

TC:あなたは豊富なリレーションシップを築いていますが、他にも多くの組織が投資している中で、成長ステージの取引で競争するのは非常に厳しそうに思われます。どのように競うことを想定していますか?

SS:こうしたネットワークを利用して取引を見つけていくことは間違いないでしょう。Upfrontがすでに投資しているセクターに投資するつもりですが、最初のうちは、私が強い関心を持っている、クリエイターエコノミーのエコシステムを含む領域でダブルクリックしようと考えています。その多くにTwitterで携わっていましたし「Web 3.0」、この無許可の(Twitterもフォーカスしている進化の)地帯でもあるからです。しかし、私は自分を甘やかすことはしません。バリュープロポジションが何であるかを学ぶことにより、競合していくことができるのだと思います。Twitterでは、私の戦略は、スピードで勝利すること、人々をより早く知ること、そして(取引をまとめるために)Twitterのバリュープロポジションを強調することにありました。まだ実装していませんので私の(VC)戦略についてお話しできることはありませんが、メガファンドが提供しないような、起業家にとって最も興味深い何かを見つけ出す必要があるでしょう。

画像クレジット:Seksom Suriyapa

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇デジタルガレージは10月19日、起業家支援プログラム「Open Network Lab」の第23期デモデーのオンライン開催を実施した。

Open Network Labは、2010年4月に開始した育成プログラムで、グローバル展開を志す起業家を対象としている。日本初のシードアクセラレータープログラムとして、これまでに130チーム以上のスタートアップを支援しており、ユニコーンやIPOスタートアップに成長したチームも輩出している。

同プログラムでは、卒業生を含む先輩起業家やDGグループの経営メンバー、その他専門家からなるメンターによる指導を3カ月間行う。プログラム参加者は、ときにはピボットをしながら「世界に通用するスタートアップ」としてビジネスアイデアを磨いてきたという。

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇

第23期は156社が応募し、デモデーには以下に挙げる5社が登壇。ベストチームアワードを「Tokuty」(コネクティー)チーム、オーディエンスアワードと審査員特別賞を「CAVIN」チーム、審査員特別賞を「CuboRex」チームが受賞した。

ここでは登壇した5社、またアルムナイ(卒業生。Alumni)およびゲストとして登壇した3社を紹介しよう。

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇

LAMILA(代表:迎健太氏)

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LAMILAの動画ナレッジ共有クラウドVideoStep(ビデオステップ)は、製造現場のアナログなコミュニケーションを動画で効率化するというサービス。これまでの口頭や紙では伝わりにくかった現場の作業を動画で見える化し、技術継承や外国人労働者教育における現場の負担を軽減する。

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コネクティー(代表:杉原尚輔氏)

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コネクティーの「tokuty」(トクティー)は、外国人人材業界で最も伸びている、特定技能ビザ人材と雇用主をつなぐマッチングプラットフォーム。豊富な選択肢から質の高い候補者を、迅速に、かつ低コストで採用することが可能。日本の課題、人手不足の課題解決に挑むという。

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CAVIN(代表:Yuya Roy Komatsu氏)

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CAVINが運営する「CAVINは、スマホで花の取引を実現する「生産者&花屋の直接取引プラットフォーム」。ITと流通の最適化によって、花屋はこれまでにない鮮度で花を店頭に並べることができ、生産者はマーケットインの生産ができるようになるという。同社は、「世界中の花業界をアップデートし、花によって運ばれる“気持ち” を増やす。」をミッションとして掲げている。

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xTension(代表:塔下太朗氏)

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xTension(エクステンション)が手がける「xTension」は、安価なプロジェクター投影により様々な個室・スペースを体感的なライブビューイング会場「ライブダイビング会場」に作り変えるサービス。

競合との最大の違いは、VRベースの投影技術を用いることで、実際のライブ会場にいるかのようにライブ中のアーティストと相互コミュニケーションが取れる点という。世界中のファンが場所にしばられることなく、等しくエンタメが楽しめる世界を目指している。

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CuboRex(代表:寺嶋瑞仁氏)

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇CuboRexは、あらゆる不整地に電動の足を提供する「不整地のパイオニア」。同社の駆動ユニットは、利用者自身が既存の作業機器に取り付けられため、低コストで負担を軽減可能な上、作業効率も向上するという。同社は、農業や土木業界といった不整地産業の課題を解決し、人と機械の新しい未来の実現を目指している。

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pickupon(代表:小幡洋一氏。ゲスト)

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pickuponは、通話情報から顧客の課題発言をピックアップし記録するAIを搭載した、クラウド電話サービス「pickupon」の開発・運営を手がけている。pickuponによって、通話情報のSFA(営業支援システム)/CRM(顧客管理システム)への入力コストが削減できるという。またチャットツールを通じ、顧客の課題発言を自動的にチームで共有することも可能。

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Tipssy(代表:伊藤元気氏。ゲスト)

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇

Tipssyは、米国で展開している日本酒ECスタートアップ。ミレニアル向けに日本酒をカジュアルに楽しめるようなミニボトルテイスティング体験と、オリジナルのテイストメトリクス、ビデオやバーチャルツアーなどコンテンツを提供している。

同社によると、米国における日本酒は、成長ポテンシャルがありながらも誤った認知がなされているという。ワインに次ぐ数千億円規模の醸造アルコールカテゴリーへ育成しながら市場をリードしていくとしている。

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matsuri technologies(代表:吉田圭汰氏。ゲスト)

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇

matsuri technologiesStayXは、オーナーの収支を改善し、空き家問題を解決するテクノロジーベースの不動産運用サービス。

StayXは、現在は宿泊+短期賃貸や貸別荘+オーナーの別荘利用など、1つの空間に様々な用途を盛り込んで無人で運用することを可能にした技術という。同社が開発した6つのSaaSを基に、人手が必要だった箇所をソフトウェアに置き換え、無人でサービスを提供できるようにしたことで実現した。

Open Network Lab第23期デモデーが開催、特定技能ビザ人材マッチングや生産者と花屋の直接取引など5社が登壇

ガイアックスが学生のうちに起業体験ができる教育機関をリストアップした「全国起業部マップ」第1弾を公開

ガイアックスが学生のうちに起業体験ができる教育機関をリストアップした「全国起業部マップ」第1弾を公開

ガイアックスは10月20日、起業に興味がある高校生また大学生に向け、「全国起業部マップ」を公開した。同マップでは、学業で専門性を学びながら、部活・サークル活動という形式で起業の経験を得られる教育機関をリストアップしている。また、全国起業部マップ掲載の大学一覧は「全国起業部マップ by GaiaxStartupStudio」で確認できる。

ガイアックスが学生のうちに起業体験ができる教育機関をリストアップした「全国起業部マップ」第1弾を公開

全国起業部マップ掲載の大学一覧「全国起業部マップ by GaiaxStartupStudio

同社調査によると、コロナ禍の影響を受け、Z世代の64%が「自分らしさ」や「変化に強い」進路を目指すと回答しているという。同社ではそのニーズに応えるため、大学のうちから起業の経験を得られる大学リストを作成、また国内で初めて公開したという。同社は起業という選択肢を人生の早い段階から提供する環境作りに貢献することで、新しい未来を作る人材の育成に取り組むとしている。

  • 調査期間:2019年1月〜2021年9月
  • 対象:大学の公式・非公式の起業部またはサークル、その他ビジネスコンテスト運営組織
  • 手法:インターネットリサーチ
  • 調査方法:「全国起業部マップ」は、内閣府「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」選定地域に拠点を置く大学を中心に、起業部または起業サークルの有無を調査

同社調査では、日本国内のZ世代の約64%が、学生時代に未曾有の厄災を経験したことが「自身の将来選択に影響する」と回答した。将来の選択肢としては、「より安定的な進路を選択したい」(17.5%)という人よりも「より自分らしい進路を選びたい」(43.2%)や「より変化に対応できる進路をもちたい」(21.3%)と回答する人が多いという。

また同調査において、全国の大学で起業部の設立が続いており、2018年より起業部の数が250%増加していたことが明らかになった。ただ、社会人経験が少ない学生が、アイデアと技術だけで起業を選択することは容易ではない。そのため起業を目指す人は、大手企業やスタートアップに就職し、首都圏などに出てビジネス経験を持ち、起業する傾向があるという。

ガイアックスによると、今回一般公開したマップにより学生が起業経験を得られる大学が地方都市にもあるとわかるようになり、潜在的な起業家層となる学生が、首都圏に出ずとも起業を試みることができるとしている。

香港のスタートアップエコシステム強化を目指すFoundersHKが最初のデモデーを開催

2年以上におよぶ政治的混乱、および新型コロナウイルスのパンデミックを乗り越えた香港で、FoundersHKは、香港のスタートアップコミュニティを強化するために設立された。イベントおよびメンタリングネットワークとして開始されたFoundersHKは、先日FoundersHK Accelerateの最初のデモデー(香港本拠のスタートアップの資金調達と世界市場への進出を支援するための同社のエクイティフリーのアクセラレータープログラム)を開催した。

さまざまな分野を代表する11のスタートアップ(ペットケア、フィンテック、保険、教育など)がメンターや投資家など約500人の聴衆を相手にプレゼンテーションを行った。これらのスタートアップは、150の応募チームの中からFoundersHKのクリエーターが選択したものだ。FoundersHKのクリエーターには、BEA Systems(2008年に85億ドルでOracleに売却)の共同創業者Alfred Chuang(アルフレッド・チュアン)氏、500 Startupsの前ジェネラルパートナーEdith Yeung(イーディス・ヤン)氏、Homecourt(ホームコート)の共同創業者Philip Lam(フィリップ・ラム)氏などがいる。

FounderHKの目的の1つは、香港のスタートアップエコシステムに希望を取り戻すことだ。その意味をヤン氏に尋ねると、次のような返答が返ってきた。「2019年、私が香港の空港に到着したときには、数千人の若者が抗議のデモを行っていました。私は悲しみに襲われ、この混乱で自分が感じたことを忘れないように写真まで撮りました。香港で生まれ育った人間として、何もせずにただ傍観することはできませんでした。そして、起業家精神を結集して、創業者たちがスタートアップを立ち上げるのをお手伝いするのが、今の香港に貢献する最善の方法だと感じました。そうしてFounderHKが生まれたのです」。

FounderHKの目的の1つは、スタートアップがより多くの資金を調達できるようにすることだ。「香港で活発に活動している多くの投資家たちは香港の地元の会社には投資していません。本当に皮肉な話ですが、香港で生まれたすべてのユニコーン企業は海外から資金を調達していました」とヤン氏はいう。

FoundersHKはスタートアップとメンターとのつながりを形成する。メンターの多くは香港出身で、Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)、LinkedIn、Apple(アップル)、Grab(グラブ)などの大手ベンチャー企業やテック企業に在籍している。FoundersHKは、2019年に最初にイベントを開催したが、パンデミックが発生した後は、教育イベントをオンラインで主催していた。

FoundersHKがエクイティフリーである理由の1つは、まずは香港のスタートアップカルチャーを変えることを重視したいからだ。「香港は利益第一主義の場所なので、FoundersHKが利益優先ではないと聞くと、多くの人が驚きます」とチュアン氏はいう。「私たちが何はさておき修正したいのは人と人のネットワーキングの問題です。人は他の人から学習しますが、香港のスタートアップコミュニティでは人のつながりが薄いため、学習が非常に困難です」。

チュアン氏によると、香港の創業者たちは最初自分がやろうとしていることを話すのを嫌うところがあるものの、ビジネスチャンスを活かそうとする意欲は強いという。「最初の1人が何が最大の問題なのかを話すと、すべての人がそうするようになります。皆が共通の問題を抱えていると認識するからです。そうして多くのチームがつながるようになり、カルチャーに変化が生じます」。

チュアン氏によると、数百のスタートアップがFoundersHKのメンターシッププログラムを終了したという。FoundersHKがこのアクセラレータープログラムを始めた理由の1つは、多くのチームが投資家にアプローチする前にサポートを求めていたからだ。500 Startupsの前ベンチャーパートナーBonnie Cheng(ボニー・チェン)氏はFoundersHKに引き抜かれ、FoundersHK Accelerateの運営を任された。このプログラムでは、参加スタートアップが毎週FounderHKのリーダーたちとチェックインミーティングを開く。また、Sequoia Capital(セコイアキャピタル)、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)、Alibaba(アリババ)、Monks Hill(モンクスヒル)、Matrix Partners(マトリックスパートナーズ)といった企業の社員で構成されるメンターシップネットワークも用意されている。

「香港のスタートアップコミュニティを支援し、どのようなスタートアップがあるのか知りたいと思っている香港出身投資家たちを世界中から集めています」とヤン氏はいう。

この数週間は、デモデーに向けたスタートアップたちの準備に費やされた。また、彼らが自分たちを必要以上に控えめに表現することのないようアドバイスも行われた。これはFoundersHKが推進したいと考えているもう1つのカルチャー面の変化だ。「資金の調達は確かにこのアクセラレーターの大きな目的ですが、本当に重要なのは、スタートアップたちに何をすべきか、つまり、自分たちの魅力とそれをプレゼンする方法を教えることです」とチュアン氏はいう。「我々の仕事の大半はスタートアップと彼らがプレゼンする相手である投資家たちをつなげることです」。

FoundersHKには、スタートアップがしかるべき市場でパートナーを見つけられるよう支援するという仕事もある。香港は小さな市場なので、ほとんどのスタートアップたちは、最初から東南アジア、米国、中国本土などの地域への進出を目論んでいる。

これらの海外市場から100人を超える投資家たちがFoundersHK Accelerateのデモデーに出席した。

「多数の香港スタートアップのプレゼンテーションに世界中から100人もの投資家たちを集めるなどということは、これまでになかったことです」とチュアン氏はいう。「これは初めての試みであり、これが今後のプログラムに繋がっていくことを願っています。立案者はボニーで、我々の目的はこうしたイベントをどんどん増やしていくことです」。

FoundersHK Accelerateのリーダーチームの面々と最初の創業者たち(画像クレジット:FoundersHK)FoundersHKの最初の創業者たち

Sleekflowはソーシャルコマース企業向けに設立されたB2B販売プラットフォームだ。大半のソーシャルコマース販売者は、WhatsAppや他のメッセージングアプリを使って顧客と対話し、取引を成立させる。中央ハブが存在しないため、ソーシャルコマース販売者は多くの面倒な業務を行う必要がある。そのため、コンバージョン率を上げることができる貴重なデータを見逃してしまう。Sleekflowは、企業向けのSaaS販売プラットフォームで、カスタマーフローオートメーション(例えば買い物かごが放置されている場合に値引きを申し出るなど)や分析を行って、販売実績を維持する。Sleekflowには、メッセージングアプリ、ソーシャルメディアネットワーク、Salesforce(セールスフォース)などのCRMソフトウェアが統合されている。Sleekflowは、主に中堅企業向け市場やエンタープライズ向けだが、チャネルパートナーと協力して、海外展開を計画している。

DimOrderは「レストラン管理用スーパーアプリ」で、現在、香港の5%のレストランで使用されているという。共同創業者のBen Wong(ベン・ウォン)氏は、レストラン経営者の家族の出で、業務に費やす労働量を削減すると同時に利益を増やすソリューションを開発したかったと話す。DimOrderのフロントエンドには、注文、香港中の物流業者との統合による配達、およびマーケティングツールが配置されている。バックエンドでは、仕入れ、支払い、分析を処理する。DimOrderは、来年には、香港の108の学校向けに集中調理施設と学校給食の注文機能をフロントエンドに追加し、運転資金貸付、在庫管理、人事システムをバックエンドに追加する予定だ。来年は東南アジアに事業拡大する。

Spaceshipは、分断化した国際宅配便、特急便、小包サービス市場に特化した物流プラットフォームで、すでに10万人を超える利用者がいる。Spaceshipを利用することで、販売業者は、各物流プロバイダーの比較、出荷荷物の内容の宣言、出荷日時の選択、支払いを行い、出荷元から配達先まで荷物を追跡できる。また、消費者向けに、物流の予約、移転、引っ越しサービスも提供しており、マーケットプレイスやトラベルプランニングなどの分野でもサービスを立ち上げる予定だ。今後は、まず台湾に事業を拡大し、その後、シンガポール、タイ、日本などの市場にも参入する計画だ。

FindRecruiterは、企業が従来の方法よりも極めて迅速に人材を見つけられるよう支援する報奨金ベースの求人プラットフォームだ。共同創業者のLawton Lai(ロートン・ライ)氏は10年間採用担当者として実績を積んだ後、このスタートアップを立ち上げた。同氏によると、現在、空いたポジションを求人で埋めるのに52日くらいはかかるという。FindRecruiterは、アジア6か国に配置された各専門分野の500人を超えるオンデマンドの採用担当者と連係することで、この期間を約17日に短縮する。FindRecruiterでは、求人を掲載し、分野、専門知識、ニーズに基づいて求人側とリクルーターをマッチングする。FindRecruiterによると、同社のリクルーターは手数料で従来の25%以上を稼ぎ、毎月の売り込み電話に要する時間を30時間節約できるという。クライアントには、さまざまなスタートアップユニコーン企業と優良企業がいる。

PowerArenaは、製造作業を監視するためのディープラーニング分析プラットフォームだ。現時点では、主に電子および自動車分野を対象としており、Wistron(ウィストロン)やJabil(ジャビル)などの顧客がいる。多数のオートメーションマシンが稼働している製造フロアでさえ、72%以上の作業が今でも手作業で行われている、とPowerArenaの創業者たちはいう。製造業者がPowerArenaを使うには、画素数1080pのカメラを設置し、プラットフォームに接続してリアルタイム分析を行う。例えば製造プロセスで急に製造速度が低下した場合、PowerArenaは原因(工場の一部でメインテナンスが実施されているなど)を突き止めることができる。

WadaBentoは、人通りの多い地域に自動販売機を設置することで、レストランの業務拡張と利益向上を支援する。これまでに、香港で14万個の弁当を販売している。業務拡張を目指すレストランには通常、新規店を開くか配達アプリを導入するという2つの方法があるが、どちらもコストが高い。WadaBentoは、レストランが用意したランチボックスを回収して、同社の特許取得済みの自動販売機に入れる。食品は、配達中も自動販売機内でも65度以上に保たれ、衛生状態もIoTデバイスで監視される。WadaBentoは日本、米国、中国で特許を取得し、最近、香港最大の食料品チェーンと契約を結んだ。また、最初の海外市場である日本にも自動販売機を出荷した。2022年上半期までに、200台以上の販売機を設置する計画だ。

Retykleは、妊婦服や子ども服の再販売を容易に行えるようにして、衣服の無駄を削減したいと考えている。LVMHなどの高級ファッションブランドで10年間経験を積んだ創業者のSarah Garner(サラ・ガーナー)氏によると、子どもたちは、成長して18歳になるまでに平均で1700着の衣服が着られなくなるという。しかし、中古市場に流れてくる子ども服は5%ほどしかない。Retykleの目的は、できるだけ多くのアイテムが循環する状態を維持することだ。Retykleは、赤ん坊から10代半ばまでのアイテムを用意している。すべてのアイテムは委託販売される。売り手がRetykleに送った衣服は、すべてチェックされてからサイトに掲載される。アイテムが売れると、ユーザーにはメールで通知され、現金または口座振替で代金が支払われる。Retykleは来月シンガポールに、2022年にはオーストラリアに進出する計画だ。

Preface Codingは、拡張可能だがカスタマイズ可能なコーディングのクラスを提供するテック教育プラットフォームだ。生徒は先生をオンデマンドで予約できる。バーチャルでも対面でもクラスを受講できる。このプラットフォームで先生のトレーニングも可能で、ほとんどのクラスはマンツーマンで行われる。生徒は、3~15歳の子ども、大学生(特に米国やオーストラリアのアジア人留学生)、金融、マネージメント、コンサルティング業界の上級プロフェッショナルまで多岐にわたる。大学や銀行とも提携しており、今後世界中に事業展開していく計画だ。

ZumVetは、動画による獣医相談、自宅訪問、薬の配達(薬の処方と自宅での診断テストを含む)を提供するペットケアスタートアップだ。共同創業者のAthena Lee(アテナ・リー)氏によると、かかりつけの獣医のいない、または動物病院の少ない地域に住んでいるペットオーナー向けにZumVetを創業したという。獣医は、相談を受け、治療計画を作成し、遠隔からのサポートや往診も行う。Zumvetは開業獣医のネットワークを活用しており、ペットケア費用を安くするためにサブスクリプションプランも提供している。

Big Bang Academyは、STEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)教育への需要の高まりに応え、子どもたちにとって学習を「映画のように魅力的で、テーマパークのように楽しく、授業のように教育的な」ものにするために創業された。その公認カリキュラムには、各生徒向けの動画、個別レッスン計画が含まれる。また子どもたちの自宅に届けられる実験キットを使った手作業によるアプローチも行われている。現在、200の対話型セッションが用意されており、コース修了率は70%とEdTechプラットフォームとしては高い数字を残している。ビジネスモデルとしては教育機関と提携したB2B、およびB2Cサブスクリプションモデルがあり、顧客の80%は繰り返し受講している。また、コンテンツの多様化と学習用おもちゃの開発も計画している。

YAS Microinsuranceは、わずか5秒でポリシーを有効化できるインシュアテックスタートアップだ。補償範囲には、ランニング、自転車、ハイキングなどでの事故も含まれる。最近、香港最大の公共バス会社の1つKowloon Motor Busと初めて提携し、乗客の持ち物の紛失や盗難、事故発生時の医療費などを補償の対象としている。創業から4カ月で80万ドル(約8950万円)の確定収益を達成している。この2カ月間で約6,300のポリシーが有効化されており、現在も毎週約600のポリシーが新たに有効化されている。

画像クレジット:guowei ying / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)