MozillaのVR用ブラウザーFirefox Realityが完成、VRがWebのふつうのコンテンツになる日も近い?

Mozillaが構想したVRファーストのWebブラウザーがついに完成し、一般消費者のダウンロードと判定を待っている。

そのFirefox Realityは、完全に仮想現実のために作られたブラウザーだ。デスクトップのFirefoxやChromeにWebVRのサポートを加える、という話は読んだことがあると思うが、Firefox RealityはVRヘッドセットの中だけで使うブラウザーだ。いろんなURLを訪ねたり、何かを検索したり、そのほか2Dや3Dのインターネットをこの新しいブラウザーの中で、マウスを使わずに閲覧できる。VRの手動コントローラーを使うだけだ。

関連記事: MozillaがFirefoxのVR/AR専用バージョンのデモを公開、Web上にまったく新しいメディアが出現か?

Firefox Realityが使えるのはOculus, Viveport, そしてDaydreamのプラットホームで、最新の単品のモバイルヘッドセットOculus GoやLenovo Mirage Soloに向けて最適化されている。

これはバージョン1.0で、まだこれから使い方をめぐる質問や問題をかき分けかき分け、前へ進まなくてはならない。なにしろVRだから、完成度が高いことが、当然追求すべきスタンダードだ。実験作ならUXの不安定も許されるかもしれないが、ユーザーにかなり奇妙なものを与えてもよい、ということにもなる。

このブラウザーの第一作は、ユーザーがコントローラー上でテキストをタイプしなくてもすむための音声検索など、クールな機能がいくつかある。

MozillaはWebVRのスタンダードに心血を注ぎ、おかげでかなりの数のVRデベロッパーたちが、このスタンダードを良く知るようになった。

VRはWebに似合うコンテンツだが、残念なことにこれまでは、仮想現実のコンテンツの多くが各プラットホームに限定されていて、それらの各サイトにユーザー登録したり、ダウンロードしたり、それをWebからでなく自機ローカルから立ち上げる、という面倒がつきまとっていた。このプラットホーム限定主義は、利益を追う企業やコンテンツを開発するデベロッパーには都合が良いかもしれないが、ユーザーにとっては、WebVR用のヘッドセットだけで、もっとシンプルなコンテンツを楽に見たいだろう。

そういう、VRの中のWebが実現するためには、多くのことを再検討しなければならない。今は当然のように、2DのWebコンテンツが圧倒的に多いけど、MozillaやGoogle、Appleなどのブラウザー提供者がもっとAR/VRに力を入れるようになり、多くの3Dモデルやライブのレンダリングが日常的に見られるようになれば、ずっとおもしろいだろう。

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HTCがViveヘッドセット用のワイヤレスアダプターを発表, 9月5日から予約販売

HTCは今でも、VRでは大物でいたい。同社は今日、Vive Wireless Adapterの予約販売の開始を発表した。このアダプターを使うと、ViveとVive Proのオーナーは、いわば、コードをカットできる。そしてユーザーは、ワイヤレスで自分のPCに接続できる。

そのBase Adapter*はViveとVive Proの両方で使えるが、ただしVive Proは、60ドルの互換性パックというものが必要だ。それには、Vive Proの接続ケーブルや、発泡プラスチックの緩衝材、Vive Pro用のアタッチメントデバイスなどが入っている。〔*: 別途エンタープライズ用がある。後述。〕

Vive Wireless Adapterは単体で299ドルで売られる。

同社のブログによると、インストールはこうなる:

Vive Wireless Adapterのインストールは数分で終わる。PCI-eカードをインストールして、今やワイヤレスになったViveのヘッドセットとPCが通信するためのセンサーを取り付けるだけである。アダプターのブロードキャストレンジは、センサーを起点として視界150度/6メートルであり、IntelのWiGig仕様により、妨害のない60Ghzの帯域を使用する。コーデックはDisplayLinkのXRを使用し、低いレイテンシーと高いパフォーマンス、および数時間の電池寿命を確保する。

アダプターはHTC QC 3.0 PowerBankを電源として使用する。これはスマートフォン用のポータブル充電器としても使え、アダプターの価格に含まれている。

HTC Viveのワイヤレスアダプターはこれが初めてではなく、2016年にTCPCastが220ドルのアダプターを発売したし、またこのアダプターのエンタープライズバージョンは2kのコンテンツを2ms未満のレイテンシーで複数のHTC Viveに送れる。

このHTC自身によるアダプターは、9月5日よりAmazon, Best Buy, Microsoft, NewEgg, Vive.comなどで予約販売を開始する。

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GoogleがChromeブラウザーを仮想現実(Daydream)対応にした…VRの新時代か?

Googleの今日(米国時間7/30)の発表によると、同社はVRプラットホームDaydreamにChromeブラウザーを持ち込み、そのヘッドセットからWebを閲覧できるようにするつもりだ。デスクトップとモバイルのChromeにおける、GoogleのWebVRの実験はもうかなり長いから、ついにそのときがきたという感じだ。

同社の発表によると、その実験が始まったのは2017年のGoogle I/Oカンファレンスからというから、確かにかなり長い。

Daydreamの大型アップデートの歩みが遅いのに対してFacebookのOculusは、新たに登場したスタンドアローンのヘッドセットを中心に、とくにモバイル方面で大きな発表が相次いだ。Daydreamは夏の初めに位置追跡機能のあるヘッドセットをLenovoと共に発表したが、コンテンツの不足がその足を引っ張っている。しかしWebの一部をDaydream対応にできたら、その問題も解消し、しかも多くのモバイルデベロッパーの関心をWebVRに向けることになるので、コンテンツの発見をもっと単純化しようとしているGoogleにとってさらに追い風が吹く。

昨年同社はWebVRのコンテンツをスマートフォン上のChromeで開き、それをCardboard(ボール紙製)ヘッドセットで見られるようにした。それによって、VRの中で何かをローンチしたり、探検したり、ほかのところへ移動したりが、できるようになった。

デスクトップのWebページをVRヘッドセットにロードできるようになったからといって、何かすごいことが起きるわけではないが、Googleが行なう最適化によって、WebVR対応ではないふつうのページでも、“シネマモード”と呼ばれる特殊効果をつけられる。ほかにも、匿名モードや音声検索、ユーザーが保存したブックマークへのアクセス、などの効果・機能がある。

[VRでWebを閲覧するとどうなるか]

そのブラウザーはLenovoのMirage Soloや、Google自身のDaydreamヘッドセットViewで利用でき、またAndroid上でChromeをアップデートしてもアクセスできる。

Webは仮想現実にとって、まだまだ未開の大陸だ。ヘッドセットは大衆的普及にはほど遠いし、最近はVRそのものがやや沈滞している。でもWebという要素が加われば、ソーシャル環境の仮想化などで面白いことができそうだし、VRに熱心な各社の中で今回Googleがブラウザーをヘッドセットに持ち込んだことは、デベロッパーの関心を再び呼び覚ますのではないだろうか。

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Oculus Go、企業向けバンドルを299ドルで発売

Facebookのバーチャルリアリティー部門であるOculusは、ヘッドセットのOculus Goのビジネスユーザー向けセットを直販する。今日(米国時間7/17)から、企業ユーザーは64GB Oculus Goのビジネスバンドルを299ドルで注文できる。

Oculusはビジネスユーザーに対してさほどの追加料金を要求していない。50ドルで追加のアクセサリーと延長保証、専用のサポートなどを提供する。

現在OculusはRiftのビジネスバンドルを799ドル(Rift単体は399ドル)で販売しており、セットには今回と同様の追加がなされている。OculusがOculus Goに数多く売れることを期待しているの明らかであり、利幅も下げているのだろう。

Oculusには本格的ビジネスチャンスがある。複数のRiftとPCを動かすことは想像を絶する苦労であり、専門のトラブル対応要員が必要になりスケーリングも困難だ。Oculus Goなら機能的に多少制限されていても圧倒的にシンプルであり、Samsungのスマートフォンを挿入しなくてすむのは、スマホ自身のアップデートの手間を考えると大きな魅力だ。つまるところ、PCのパワーを必要とする一部のパートナーやゲームデベロッパーを別にすれば、スタンドアロンのヘッドセットの方がカジュアルなビジネスユースに適していることは明らかだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Oculus Go、専用TVアプリを発表

Oculusは、ヘッドセットOculus Goの大きなバーチャルスクリーンでストリーミングビデオを見るためのTVアプリを公開する。

同社はFacebookのF8デベロッパーカンファレンスで、低価格ヘッドセットの能力を最大限に引き出す専用アプリ4種のうちの1つとしてOculus TVを披露した。アプリは5月末に公開されるはずだったが、ようやく目にすることができた。

Facebookは199ドルのOculus Goの大きなセールスポイントを、最も安いホームシアターにしたいと思っている。Oculus TVは、伝統的ビデオ視聴に関わるあらゆる機能を揃えるための大きな一歩だ。アプリは既存のヘッドセットユーザーに無料で配布されるほか、今後はデバイスにプレインストールされる予定。

アプリは巨大2Dスクリーンのあるバーチャルリビングルームを中心に展開され、ユーザーはそこで好きなビデオを見られる。このアプリが専用ビデオ視聴スペースを持つソーシャルアプリのOculus Roomsと別に存在する理由は明確ではないが、会社としてはこのデバイスのビデオ視聴能力を特別に強調したかっただけなのかもしれない。

公開時点で対応するのはFacebook Watch(当然)の他、Red Bull TVとPluto TV。また、スポーツネットワークのESPNとの提携についても先行紹介した。

Oculus Goはストリーミングネットワークの関心を引くことに期待をかけており、その多くはすでに独自のバーチャルリアリティープラットフォームを作っている。HuluやNetflix、ShowtimeなどでダウンロードしたネイティブアプリをOculus TVアプリ経由で動かすこともできるが、それは組織的な改善にすぎない。

2Dビデオ専用の本拠地を持つことはOculusにとってよい選択だが、ユーザーにとっては自分が興味をもつコンテンツを所有するパートナーをFacebookが確保してくれれば一層嬉しいだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MicrosoftはXbox上のVRの約束を破りWin 10上のPCゲームに没頭か

[筆者: Sarah Wells]
Microsoftが2016年に約束した仮想現実機能をまだ待ってる人に、不幸なニュースがある。先週のE3でMicrosoftのチーフマーケティングオフィサー(CMO)Mike NicholsがGamesIndustry.bizに、同社にはその約束を果たす計画がない、と語った。

彼は同誌に、“仮想現実や混成現実のXbox固有の計画はない”、と述べている。

しかし2年前にはXboxのチーフPhil SpencerがThe Vergeに、Xbox One X(当時はXbox Scorpioというドラマちっくな名前だった)は、“今PCにあるようなハイエンドのVRを”サポートする、と言っている。

Xbox One XのリリースにはVRを統合するというニュースが伴わなかったが、しかしそのころMicrosoftは、Windows 10用のヘッドセットWindows Mixed Realityをリリースして、PCゲームのVRや混成現実に踏み出していた。

今日のNicholsの説では、Microsoftは当面、PCゲームの世界に固執するらしい。

“PCは没入的なVRやMRにとってたぶん最適のプラットホームだ。しかしXboxに関しては、ノーだね”、と彼は言っている。

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フィラデルフィア・イーグルスのためにプレイするならホワイトハウスを仮想ツアーするこのアプリ

ホワイトハウスとその周辺を仮想ツアーできるAndroidとiOSのアプリがある。CuseumとWhite House Historical Associationが共同開発したそのアプリで、三つのツアーを体験できる。オーバルオフィスやリンカーンベッドルーム、プレスオフィスなどの各部屋を、MAGAハットをかぶるプレッシャーもなく訪問できる。

White House Historical Associationがメラニア・トランプとクレジットされている声明文をリリースした:

“White House Historical Associationの前向きなお考えにより、より多くのアメリカ人にPeople’s Houseを訪問できる機会を提供されたことを、とても嬉しく思います。White House Historical AssociationとAmazon Web ServicesとCuseumのみなさまに、このアプリの設計におけるクリエイティブで革新的なコラボレーションを感謝いたします。実際に、または仮想的に来訪されるみなさまに、この新しい機能はどなたにも、すばらしい邸宅の多くの歴史的な居室、居住区やイーストウィング、そしてウェストウィングをお見せできます。”

Cuseumは前から、こんなアプリが得意だ。同社ははSFMOMA(サンフランシスコ近代美術館)や, MF Houston, ICA Bostonなど100を超えるパートナーのために、このような仮想ツアーアプリを開発している。

ホワイトハウスのアプリには、新しい機能がある。ユーザーが自撮り写真を撮ると、歴代のどの大統領またはファーストレディーと似ているか、アプリが判断する。比較するのは、White House Collectionにある大統領らの肖像画だ。ただし、手のサイズまでは比べてくれないようだ。

〔訳注: 国家斉唱のとき一部の選手が抗議のため起立しなかったフィラデルフィア・イーグルスは今年のスーパーボウルで優勝したがトランプは彼ら“非国民たち”のホワイトハウス表敬訪問を断った。〕

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AR/VRヘッドセットのマスマーケットの到来に備えてQualcommが低コストな専用チップセットを発表

今やスマートフォン用に最適化されたチップセットの上で、大量のプロセスが動いている。かつては、パソコンがあれば携帯電話にそれほど強力な処理能力は要らない、と思われていたのに。さらに最近の5年間では、ヘッドセットのパワーアップ競争が日に日に激しくなってきた。そして今日では、スマートフォンやヘッドセットなどのハードウェアに盛り込める処理能力はほぼ限界に達し、これからはむしろ、コストの低減と製品の特徴や仕様が勝敗を決する、とまで言われるようになってきた。

その新しい時代の先駆けとして今日(米国時間5/29)Qualcommが、スタンドアローンのヘッドセットのための専用チップセットを発表した。そのSnapdragon XR1は、同社としては初めてのARとVR専用のチップセットで、同社はその新しい機種ジャンルを“XR”と総称している。

XR1を搭載したデバイスの上では、たとえば、4K/30fpsのコンテンツをストリーミングできる。発表のステージには、 HTC Vive, Vuzix, Meta, そしてPicoなど、主なヘッドセットメーカーが招待された(上図)。今日実際に発売されるヘッドセットは多くないが、Qualcommは近年中に総出荷台数が1億台を超える、と想定している。

Qualcommの最新機でVR向けの参照設計でもあるSnapdragon 845との詳しい比較は発表されなかったが、しかしおそらくXR1は不要不急の機能をすべて省き、ハードウェアのメーカーが必要とする機能と性能だけを提供するローコスト機だ。

Snapdragon 845は、ヘッドセット上のコンテンツをハイエンドのPCが駆動する高性能なARやVR並にすることをねらっているが、XR1は店頭で大量に売られるローコストデバイスを目指している。XR1は845のように6DoFの自由度をサポートしないが、835のVRプラットホームのような、しっかりした動きをサポートするだろう。

Qualcomm XR設計チームのトップHiren Bhindeにメールでインタビューしたところによると、電力消費と温度上昇に関する同じベンチマークで比較すると、XRが扱えるワークロードは845より小さい。ただし、845がサポートするようなハイエンドのグラフィクスやメモリサイズを必要としないARの顧客もいるから、XR1は彼らにはぴったりだ、という。

今日のスタンドアローンのVRヘッドセットと比較すると、現在のPCをつながない消費者向けARヘッドセットは要求される計算処理能力が、それほど高くなくて、VRがねらっているような高忠実度な世界の再現を目指していない。そんなヘッドセットは簡単なヘッドアップディスプレイとして利用されることが多く、それに音声アシスタントがつく。Qualcomm XR1のパートナーVuzixがデモしたそんなヘッドアップディスプレイは〔その現場での利用目的が〕、Magic LeapやMicrosoftの“混成現実”が追っている、高度な、本物のように自然な環境マッピングを必要としない。

低コストでマスマーケット向けのヘッドセットに適したチップセットを発表したQualcommは、今がその発表の好機と信じており、XR1はAR/VR分野のメーカーたちに、より売りやすいハードウェアを作る能力を与える、と考えている。

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GoogleのVR180対応のカメラがLenovoから登場

Lenovoは、ヘッドセットのMirage Solo発売に合わせて、Googleの180度テクノロジーに対応した最初のカメラを発表した。Lenovo Mirage Cameraは、YouTubeクリエイター向きを強く意識した製品で、13メガピクセルの魚眼レンズ2基が両目の位置に配置され、VRビューイングに最適な高画質の3Dビジョンを提供する。299ドルというか価格は、試してみようというクリエイターにとって高すぎることはないが、そのニッチの大きさが果たしてどのくらいなのかは考えなくてはならない。今日から出荷される。

カメラはYouTubeのVR180プラットフォームをベースに作られていて、クリエイターが少しでも簡単にVRのライブ撮影できることを目的としている。実際360度カメラは多くの注目を集めてきたが、クリエイターはこれで何ができるのかわかっていなかった。Googleの割り切りは、撮影対象を360度の半分にしてメディアとカメラを簡易化することで、そこまでコストをかけずに鮮明な3D 4Kビデオを提供することだった。

カメラの作りは非常にしっかりしている。はっきりした高級感はないものの、十分堅牢で何よりも携帯性が非常に高い。多くの360度カメラと同じくバッテリーの持ちは2時間とさほど長くないが、交換可能で1台スペアがついてくるのがうれしい。VR180とは180度を意味している。これは、特にカメラの上端に指がかかっていると180度の半球に映り込んでしまうのでよくわかる。

GoogleのVR180アプリを使うと、写真をプレビューしたり、カメラからYouTubeにライブストリームすることができる。

これは成功のための正しい答なのかもしれないが、問題は商品の登場が遅すぎたのではないかということだ。山ほどのYouTubeクリエイターが、VRビデオを試そうとしてフラストレーションを募らせていることは間違いない。ヘッドセットの数は増えているものの、VR視聴者の数はチャンネルを維持できるのにはいたっていない。「マジックウィンドウ」モードを使うとヘッドセットがなくてもモバイルやデスクトップでVR180ビデオを見ることはできるが、当然のことながら最大の売り物である3D機能は失われる。

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GoogleがモバイルVRの計算負荷を減らすツールSeuratをオープンソース化

今日(米国時間5/4)はGoogleが2017年のI/Oで行った、VRに関する多くの約束を果たす日だ。さきほど同社は、モバイルの高忠実度なVRから計算の複雑さを減らし、パフォーマンスを大幅に向上するツール、Seuratをオープンソースにする、と発表した。

このローンチは、Mirage Soloのリリースと平行している。こちらは同社のVRプラットホームDaydreamの初めてのヘッドセットで、それはGoogleの位置追跡システムWorldSenseを使っている。このヘッドセットはスタンドアローンで、〔クラウドなどではなく〕モバイルのチップセットで動くから、ゲーム用PCに接続されるヘッドセットよりもリソースの制約が厳しい。

Seuratは、ポリゴン(多角形)の数を減らすことをねらったソフトウェアツールだ。Seuratが基本的にやるのは、VRのユーザーが、さまざまな動きの中で持つすべての視点から、実際には見れない/行けない領域を取り除くことだ〔前面に物がある、など〕。たとえばSeuratは、そこに恒久的にあるオブジェクトを取り除く。仮想現実の中で見えない部分は、実際に存在しないと見なしてもよい。だからそこは、ポリゴンの計算をしない。

上のBlade Runnerの例では、ひとつのシーンに4660万個の三角形があるが、Seuratはそれらを30万7000に減らした。高性能なハードウェアから描画能力に制約のあるモバイルのVRハードウェアへ移植するときは、このような省略能力がデベロッパーにとって助かる。

このツールのソースコードとドキュメンテーションは、GitHub上にある。

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Appleが8+8=16Kの超精細VRヘッドセットを開発中か

Appleはかなり前から、拡張現実グラスを開発していると噂されていたが、今日はある記事が、同社は仮想現実でもGoogleやMicrosoftやFacebookと競合しようとしている、と示唆している。

そのCNETの記事によると、AppleはARとVR両用のワイヤレスヘッドセットを2020年に出すつもりらしい。その記事は、T288というプロジェクトのコードネームまで挙げている。そしてCNETの情報筋によると、そのヘッドセットはディスプレイが片目8Kで、専用の“ボックス”にワイヤレスで接続する。

VrvanaのTotemヘッドセット

市場ではこれまで、Appleはユーザーと現実世界との間にライフスタイルにフォーカスしたARを置くことに関心があるので、エンターテインメントにフォーカスしたVRは“スキップする”、という想定が一般的だった。

ぼくも、この記事のAR/VR両用説には懐疑的だ。むしろそこで“AR”と呼ばれているものは、MicrosoftがそのVRヘッドセットで実装した“混成現実”(mixed reality)に近いものではないか。それは、ヘッドセットの中で体験するVRの世界を、まわりの現実の情報でコントロールしたり、より豊かにする技術だ。Appleが昨年買収したVrvanaは、まさにそれをやろうとしていた。Appleが本当にARとVRをその解像度で合体させようとしたら、ARとは思えない相当でっかいデザインになってしまうだろう。

片目で8Kの画像は、microLEDだろう。それは現状ではものすごく高価なものになり、電力消費もすごいだろう。今の8Kのディスプレイを二台並べてテストすることを想像すると、複数のハイエンドのGPUをつないで動かすことになる。記事によれば、これはワイヤレスで、Appleが設計したチップが動く外部システムに接続する。二本の8Kフィードをワイヤレスで送るとなると、それもまたたいへんなチャレンジだが、アイトラッキング(eye-tracking)によるレンダリングだから、そのストリーミングの負荷はそれほど大きくはないかもしれない。

Magic Leapのライトウェア(lightwear)

今から2年先とは遠い話だが、Appleはディスプレイのコストを下げる技術に自信があるのだろう。Bloombergの最近の記事では、Appleは、ある特定タイプのディスプレイの製造工場をひそかに作り、その重要なユースケースがヘッドマウントディスプレイだ、という。レンズがあって、しかも人間の目にとても近いから、画素の高密度が重要な要素になる。

その記事でも、このディスプレイの完成を2020年としている。もちろん、それが変わることもありえるが。

VRは着実に改良が進んでいるようだ。初期のブームの原動力だった誇大な扱いは萎えてしまったが、実力に余裕のある大手のテクノロジー企業は、今もVRをひとつの産業に育てようとしている。FacebookとOculusの取り組みは、ある面ではとても洗練されている(限界はまだとても多いけど)。そしてAppleは、バスに乗り遅れたときの大損害を、今から意識しているようだ。

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Web上にロボットたちのソーシャルなVRを作るMozillaのHubsはWebVRの実験作

Web上のソーシャルなネットワークは厳しくて怖いものでもあるけど、フレンドリーなロボットとチャットできたら、それがもっと気楽になるかもしれない。

今日(米国時間4/26)、WebブラウザーFirefoxを作っているMozillaが、Hubsというサービスのプレビューを公開した。それは、すごくシンプルでソーシャルなWebVR体験で、ユーザーが二度のクリックでそこに入ると、URLを共有してほかの人たちと出会える。それは、モバイルからでも、デスクトップからでも、あるいはVRの中からでもよい。

それは架空世界Second Lifeではないし、ましてやソーシャルVRのFacebook Spacesでもない。もっとローキーだ。あなたは控えめで慎ましやかなロボットになり、ほかの人たちもロボットになって、互いにお友だちになる。

こういうユーモラスで子どもっぽいVRのソーシャルアプリは、ほかにもある。PS1(プレイステーション1)のようなグラフィクスと、参加型ゲームClub Penguinのような設定が、そんな感じを与える。でも、ここでねらっているのは、高品質で細かいグラフィクスや巧妙なインタフェイスではなく、みんなが一緒にソーシャルな環境に入って互いに結びつく、それだけの単純さだ。

Mozillaがここで取り組んでいる問題はほかの者たちと同じだが、MozillaはHubsをWebVRだけで作ることによって、最初から、クロスプラットホームな互換性という重いアプローチで行こうとしている。MozillaによるとHubsは、今あるメジャーなVRヘッドセットのすべてをサポートしている。WebをVRサービスのバックボーンにすることは一見安易だが、でも、そのほかのソーシャルVR体験の多くは、アプリストアとかダウンロードというものを必要とする。URLを使ってソーシャルな環境に飛び込むのは、なぜかユニークだ。

VRの実現能力としてはWebVRはまだまだだが、Mozillaは実験を継続してデベロッパーたちを惹きつけようとしている。Hubsもまだ現状はプレビューだが、次は新しいアバターシステムを導入し、その中に独自な空間を作れるためのツールを提供する予定だ。

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GoogleとCyArkが協力して世界中の著名な史蹟や遺跡を3Dモデルで保存、その中を歩き回れる

インディ・ジョーンズの“これは博物館のものだ!”、という叫びがデジタルの時代へタイムスリップしたら、遺跡をクラウドに保存しようとするGoogleのプロジェクトになるだろう。

Googleの非営利事業部門Arts and Cultureが、オークランドの同じく非営利のCyArkとパートナーして、何千もの写真とデータで史蹟の細密な三次元モデルを作る。現場のスキャンには、複数のカメラのセットアップとドローンを用い、写真測量製図法とライダーの技術を利用する。CyArkは前からそういうスキャンをやっていたが、これまでは一般公開されなかった。しかし今度はGoogleの協力により、それらへのアクセスを公開するとともに、さらに新たな史蹟のスキャンも行うことになった。

CyArkの本来のミッションは、史蹟の保護だ。同社によると、これらの歴史的構造物は天災と人災の両方にさらされているので、同社のデータを利用する今度の企画では、それらの正確な視覚的再現が、次世代にとっても有益だ、という。

GoogleのArt and Cultureチームはこれまでにも、世界中の優れた美術作品の高解像度な保存作業を大量にやってきた。過去数年で大きな3Dモデルを捕捉するためのさまざまな方法が発達してきたので。Googleが次の段階として物理的な構造物の保存に目を向けるのも理にかなっている。こういう3Dのデジタル化技術は、初期段階の消費者向けVRから始まっているので、それらを見るための高品質なプラットホームはすでにある。それらは今後、もっともっと良くなるだろう。360度写真と違うのは、見る人が実際に遺跡のまわりを歩いたり、中を覗いたり、何かのうしろにあるものを同じく3Dで見たりできることだ。

これは相当エキサイティングだし、文化を原寸大で保存してその中を歩けることは、歴史を肌で感じる感覚を人に与え、またそれは、現代のテクノロジーの最高の到達点でもある。Googleが非営利でも活動していることは大いに素晴らしいが、今後は参加し助力するリソースがもっともっと増えて、これらの努力の対象と結果を世界中各地で広げ、世界のみんなが体験できるようになると良いね。

今は、18か国25の史蹟をこのプロジェクトで見ることができる。これらのモデルと環境は、デスクトップモードやPC、モバイルのVRヘッドセットなどで見ることができる。

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MozillaがFirefoxのVR/AR専用バージョンのデモを公開、Web上にまったく新しいメディアが出現か?

インターネットの次の挑戦課題は混成現実(mixed reality)だ、とMozillaは予想している。そこで同社は今日、ヘッドセット専用のブラウザー“Firefox Reality”を披露した。Mozillaはこれまで、A-FrameとかWebVR/WebARといったスタンダードを作ることによってこの動きにとても重要な貢献をしているから、それもとくに意外ではない。

Mozillaがこの、クロスプラットホームでオープンソースなプロジェクトに注力していることは、これまでそれぞれ独自の方法で従来的なWebのコンテンツにアクセスしていたヘッドセットメーカーたちにとって歓迎すべき変化のはずだ。

Firefox Realityはまだ主流的メディアに採用されるほどの完成度ではないが、チームはとりあえず短いデモを公開した(上のビデオ)。

このデモはブラウザー上の仮想現実としてそれほどの説得力はないと思うけど、VRをWebで体験することに伴う大きな問題が反映されている。Webという2Dの世界に、なぜVRを持ち込むのか? わざわざヘッドセットのユーザーのためにコンテンツを3D化することに、どれだけの投資価値があるのか?

結局のところこのようなブラウザーは、本誌TechCrunchのような既存のサイトがそのコンテンツを仮想化しておもしろくするためにあるのではなくて、Webの上にまったく新しいユーザー体験を作りだすためにあるのだ。やや長めの短期としては、それはゲームだろう。しかしFirefoxのブログ記事は分野を特定せず、どこから始めてもいい、と言っている。“これは、エキサイティングな新しいプラットホームでまったく新しい体験を提供していく、私たちの長期的なプランの第一歩だ”、とその記事は言っている。

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ライトフィールドの捕捉と再現がリアルなVRのための重要な鍵、Googleが試作的な無料アプリケーションを発表

写真にとって、ライティングはとても重要だ。ユーザーがその中を動きまわる仮想現実の静的な環境に関しては、ライティングの重要性がさらに大きい。

今日(米国時間3/14)Googleは、VRのユーザーが“ライトフィールド”(light fields)を感取経験できるための、VRデバイス用のアプリケーションをリリースした。このアプリケーションに関連する研究について、ブログ記事も発表している。

ライトフィールド(光線空間)の実際的な意味は、空間内の一つの点からのさまざまなパースペクティブ(見え方)のことで、見る角度によってライティングの見え方も変わる。スマートフォンのスクリーンに映っている画像がリアルに見えるとしたら、それはその画像が実際のライトフィールドを写し込んでいるからだ。物理的なオブジェクトの多くは、そのまわりの世界を映すクリアーな鏡を提供しているわけではないが、それでもたとえばあなたの皮膚は、見る人の角度によってテクスチャーが大きく変わる。それも、ライトフィールドの現れの一つだ。

ゲームエンジンが描画する世界では、コンピューティングの十分なパワーさえあれば、そこらのありとあらゆるものを巧拙さまざまに写し込むことができる。また、ライトフィールドをカメラで捉えるとしたら、Googleなどの企業は複数のカメラを使ってオブジェクトの複数のパースペクティブを捉え、それらのレンズの間にあるパースペクティブを計算で求める。そうやって捉えたオブジェクトのパースペクティブ集合は、頭にライトをつけたあなたが動きまわるときの、あらゆる角度と距離からのオブジェクトの見え方を表すことができる。

ライトフィールドについてもっと詳しく知りたい方は、Googleがこのアプリケーションについて書いた“Welcome to Light Fields”(ライトフィールドへようこそ)という記事とそのページを見てみよう。仮想現実の世界が本当に本物っぽくて快適な世界であるために、ライトフィールドが重要な技術であることが分かる。そのアプリケーションには、実際にユーザーが歩き回れる世界のデモが、いくつか含まれているようだ。

このアプリケーションを利用できるのは、HTC ViveとOculus Rift、そしてWindows Mixed Reality platformsだ。かんじんのGoogleのDaydreamに対応していないのは、ライトフィールドを正しく模倣〜再現するためには3Dの位置追跡機能が必要だからだ。Daydreamがその機能を持つのは、Lenovoのスタンドアロンのヘッドセット6DoFからだ。それを待つしかないね。

ライトフィールドは、それを捉えることだけでなく、ほかにもさまざまな技術的問題をデベロッパーにもたらす。そのトップが、帯域だ。空間内の、あらゆる点からの、あらゆる角度と距離の、正しいライティングによる像をVRがあらかじめ用意するためには、膨大な量のデータとストレージを要する。Googleがこのアプリケーションで捉えているのは、写真のような静止画像の世界だが、これがビデオになればほんの数分の動きのために数テラバイトを消費するだろう。それは今のところ、考えて理解するだけ、の世界だ。

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Nvidia CEO、同社のGPUはMeltdownとSpcectreの影響を「一切」受けないと明言

1月9日(米国時間)Nvidiaはセキュリティー情報を公開し、GoogleのProject Zeroが発見したいわゆるMeltdown CPU脆弱性に対応する、同社のドライバーソフトウェアのアップデートについて詳細を説明した。この情報は一部メディアによって、Nividiaが同社のGPUも影響を受けていると認めたものと誤解された。

「当社のGPUはこうしたセキュリティー問題の影響を受けていない」と、NvidiaのCEO Jensen Huangが記者との一般質疑で語った。「われわれが公開したドライバー・アップデートはCPUのセキュリティー脆弱性にパッチを当てるためだ。われわれがこのCPU脆弱性のパッチを当てるのは、Amazonと同じく、SAPと同じく、Microsoftやその他の会社と同じく、われわれもソフトウェアを持っているからにほかならない」。

Huangは、どんなソフトウェアを動かしている人でも、研究者らが発見したこのCPU脆弱性を修正するパッチを当てる必要があると説明した。同氏はNvidiaが自社ハードウェアに関する問題のためにパッチを当てていることは一切ないことを強調した。

「私は当社のGPUが影響を受けていないことを100%確信している」とHuangは言い切った。

またNvidiaは、セキュリティー情報を更新し、現在わかっている限り、同社のハードウェア製品が今回発見された脆弱性の影響を受けていないことを明言した」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleがARヘッドセットのスタートアップVrvanaを3000万ドルで買収

2020年に拡張現実感(AR)ヘッドセットを出荷する作業を進めていると噂されているAppleは、その作業を助けてくれるであろう、モントリオール(カナダ)のスタートアップを買収した。TechCrunchは、AppleがTotemヘッドセットのメーカーであるVrvanaを買収したことを知った。同ヘッドセットは様々なレビューでは話題になっていたものの、これまで出荷されてはいなかった。この取引額は約3000万ドルであったことを、2つの情報源がTechCrunchに明かしている。

私たちはAppleに連絡したが、同社はコメントを拒否した。しかしストーリーそのものは否定していない。Vrvanaは私たちからのコメント要求に答えていない。取引に近い情報源によって私たちは買収の事実を確認している。

AppleがARハードウェアに対して持つ興味に関する、報告や噂を見聞きしてきた私たちにとって、この取引は重要な意味を持つ。Appleは口が堅く、特に完全に新しい未来のプロダクトに対しては、一般にとても秘密主義だからだ。この買収は、おそらく同社が開発したいと考えているものを最も明白に示唆するものだ。

スタートアップの多くの従業員たちはカリフォルニアのAppleに加わった。Vrvanaのサイトは、現在まだ稼働しているが、今年の8月にはソーシャルアカウントとニュースの更新が中止されていた。

Vrvanaの既存製品、製品ロードマップ、または現在のビジネス(同社はNDAの下に、Valve、Tesla、Audiなどと協力していた)のうちの、どれがAppleに向かうのかは明らかではない。

Vrvanaがそのサイトで披露している唯一の製品は、未発売のTotemヘッドセットだ。これはARとVR(仮想現実感)の両方のキーテクノロジーを利用して、単一のヘッドセットで両者の体験を可能にする「拡大現実感」(extended reality)デバイスである。

VrvanaのTotemプロモーションビデオの1シーン

接続されたデバイスは、現在市場にある多くのVRヘッドセットと似通った大きさを持つ。しかしユニークな特徴として、複数の前方にパススルーカメラを備えていて、外部の世界をヘッドセット内部のOLEDディスプレイ上に映すことが可能だ。このヘッドセットのカメラシステムは、3D空間内でのデバイスの位置を把握する6DoF(six degrees of freedom)トラッキングを提供し、同時に赤外線カメラを用いてユーザーの手の位置を追跡することができる。

VrvanaのカメラベースのARアプローチは、Microsoftのような競合相手のアプローチとは異なっている。例えばMicrosoftの場合には、透明で投影可能なディスプレイをそのHoloLensヘッドセットに採用している。Totemはそうした競合システムに対して数多くの利点を持っている。最も素晴らしい点は、実世界上に完全に不透明で意図した色彩を持つアニメーションを表示することができるということだ。他のヘッドセットでは黒が投影できないために、映像は幽霊のような投影画像となる。このことによって、ヘッドセットは、VRとAR環境間の移行に際して、同社が「シームレスブレンド」と呼ぶ自然な移行を可能にする。

どうしても大型になってしまう外観はさておくとして、この種のシステムの主要な欠点は、外界をキャプチャするカメラとヘッドセット内に表示される速度との間にしばしば顕著な遅れが出てしまうことだ。VrvanaのCEOであるBertrand Nepveuは、この夏の談話でこの問題を詳述し、スタートアップはこの遅れを3ミリ秒にまで短縮したプロトタイプを作成していると語った。

TotemがいかにARモードとVRモードの間をスムースに移行できるかを示すアニメーション。

このような 「拡大現実感」テクノロジーのためのコンシューマアプリケーションがある。たとえば、ゲームやその他のエンターテインメントなどだ。しかしVrvanaが主に注力していたのは企業での利用だ。

「Totemのハンドドラッキングと、環境の中での位置トラッキングによって、従業員たちが仮想オブジェクトを何処ででも扱えるようになります」と、同社はヘッドセットの宣伝素材のなかで語っている。

これはAppleの関心――自分自身が、あるいは他のITプロバイダーたち、例えばIBM、Cisco、SAPなどと組んで、異なる企業のビジネスプロセスに入り込もうとする試み――から考えると注目に値するものだ。8月には、CEOであるティム・クックは、ARを使った野望の中心的な目標の一つとして、企業向け利用を選び出した。そして最新の業績では、Appleの企業向け用途への成長率が2桁を超えていることが公表されている。同社の企業向けセールスが伸び始めたのは2015年である、クックはそれを250億ドルのビジネスだと表現してみせた。

しかし、事業拡大はスタートアップ(特にハードウェアのスタートアップ)にとっては、最も難しいことの1つだ。これは特にまだ主流とはなっていない新興テクノロジーに取り組んでいるスタートアップにとっては更によく当て嵌まる。

2005年に創業したVrvanaは、その調達資金について多くを公開していない。情報源の1つは、TechCrunchに対して、このスタートアップは、ハードウェアの世界では控え目な200万ドル以下の調達を行っていると語った。PitchBookによれば、投資家に名を連ねているのは、Real Ventures(そのパートナーであるJean-Sebastian Cournoyerは、Montrealの野心的なAIスタートアップでありインキュベーターでもあるElement.aiに参加している)、Canadian Technology Accelerator、他のVRスタートアップでも活躍しているエンジェルのRichard Adler などだ。

これまでのところ、Appleは今日の市場におけるVRとARハードウェアへの取り組み状況をかなり批判されていて、ゲームに対する取り組みも控え目なものである。

「現在のテクノロジー自身は、まだ十分なものではないと言わなければなりません。このディスプレイテクノロジーは、あなたの顔の周囲に十分なものも配置しなければなりませんが、これは大変な挑戦なのです」と、クックはヘッドセットを作っているのかという問に答えてThe Independentに対して語っている。「視界や、ディスプレイの品質そのもの、いずれもまだまだです…私たちは最初の体験がラットを使った実験のようになることを望んではいません、私たちは最高のものでありたいのです、そして人びとに素晴らしい体験を提供したいと思っています。しかし、この先すぐにマーケットに出てくるようなものは、どれも私たちを満足させてくれるようなものにはならないでしょう。それだけでなく、世の中の多くの人びとも満足させることはできないと思います。

もちろんこれはAppleが拡張現実空間に熱中していないという意味ではない。しかしこれまでのところ、この関心は主に、専用のデバイスではなく、ソフトウェア(特に同社のiOSベースのARKit SDK)や、ますます洗練されたiPhoneのカメラアレイによって表現されてきている。とはいえAppleの所有する膨大な特許はそうした専用デバイスの存在を潜在的に示唆しているのだ。

Appleはまた、ハードウェアを強化する技術の開発に関心を持っていることを示す、他の買収も行っている。6月には、AppleはSMIを買収した、これはVRとARヘッドセットのための視線追跡ソリューションに取り組んでいる会社である。その他のARならびにVR関連の買収として含まれているのは以下のような企業だ、Flyby MediametaioEmotient、そしてFaceshiftである。

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(翻訳:Sako)

交通騒音も路上と室内では違う…3D空間内の複雑な音響編集を助けるResonance AudioをGoogleが発表

拡張現実(augumented reality, AR)は、コンピューターとの対話を三次元化するという展望により、徐々に伸びつつあるが、すでにいろんなプラットホームを提供しているGoogleは、その三次元空間に視覚だけでなく五感のすべてを持たせたいようだ。

今日(米国時間11/6)Googleは、同社のVR Audio SDKをベースとして、より総合的な空間オーディオプロダクトResonance Audioをモバイルとデスクトップ両用に作っていることを発表した。

Googleの説明によるこのSDKの用途は、“本物の音が人間の耳や環境と対話する”様相を再現することだ。たとえば、現実の音が物や環境によって歪むという現象も、ARの仮想的シナリオにおいて再現する。

たとえばあなたが大型ラジカセを持って歩いている仮想キャラクターだとすると、何かの曲を鳴らしながら開放的な空間を歩いているときと、吹き抜け階段を降りているときとでは、音はどう違うのか? Resonance Audioが対応しているこのような多様な状況により、ユーザー(デベロッパー)もそんな状況を三次元の奥行きの中で音で再現できるようになる。

またResonanceはデベロッパーがシーン中の音源を指定できるだけでなく、音源が動く方向も音質の変化で表すので、たとえばあなたがデジタルのキャラクターのうしろを通るときと、顔の前を通るときでは、反響音を変えられる。

上で例を述べたようなさまざまな状況の変化は、ゲームのデベロッパーにとってはおなじみのものだが、しかし複数の(数十の)音源が同時にいろんな状況で対話的に鳴るといった複雑な設定では、その対応も難しい。CPUはビジュアルにかかりっきりで忙しいことが多いから、音の表現のこのような複雑性は予想外の困難性をもたらし、結局ベーシックなオーディオだけで発売してしまうこともありえる。Resonanceはたとえば、一部の音のリバーブを、いろんな環境ごとに事前に作っておくといったトリックにより、音のリアルであるべき対話性が時間的にずれる、といった問題を解消する。

ResonanceはUnityやUnrealのようなゲームエンジンとも併用でき、またいろんな音響編集作業のためのプラグインも用意しているから、既存のワークフローとの相性も良いだろう。

GoogleはVRやARの基盤的技術への関心をベースとして、さらにそれらをゲームの開発に応用しようとしているようだ。先週Googleが見せたPolyは、3Dのアセットや環境のためのホームだ。そしてResonance Audioが空間的オーディオを提供し、よりリアルな音の開発を容易にする。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

仮想現実の中で使えるキーボードをLogitechが実験中、SDKも提供

キーボードは誰もが知ってる単純な装置だが、これで仮想現実(virtual reality, VR)を操作しようとすると、ものすごくたいへんである。ブラインドタッチのベテランの人でも、VRのヘッドセットが目を覆っている状態では、その仮想世界の中にいながらにしてキーボードを見つけることすら、難しい。

これまで何千億種類ものキーボードを作ってきたLogitechは、キーボードがVRの世界から村八分になることを望まない。そこで同社は、VR用キーボードというものを作った。というか、現状はHTC Vive用だ。これがあれば、仮想世界の中で自分の手がわかり、キーボードの所在もわかる。

そのキットには、三つの部分がある: (1)キーボード、(2)Viveにキーボードの所在を教えるためのセンサー、(3)キーボード操作のあるVRアプリをデベロッパーが書けるためのSDK。

下のでもビデオでお分かりのように、仮想世界の中にあなたの青い手と、キーの色がさまざまなキーボードが現れる。Logitechに、その仕組みを聞いたら、“Viveの既存のトラッキング機能を利用しただけ”、とだけ彼らは答えた。

なお、現状はまだささやかな実験の段階だ。現状でキットを50用意しているので、試してみたいデベロッパーは11月16日までに申し込むこと。詳細は、このページにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AR/VRのWeb上の標準的なサポートとは?…Mozillaがそれを独自のJSライブラリWebXRで実験中

現時点ではVRやARの有用性を疑問視する声もあるが、開発とデプロイをもっと容易にしろ、という意見では全員が一致するだろう。とくに問題なのが、Web上だ。そこでMozillaは、総合的なフレームワークに取り組むことによってデベロッパーに、ユーザーが選んだ(多様な)混成現実のプラットホームにアクセスするための、標準的でドキュメンテーションの充実したツールを提供しようとしている。

Web上では基本的に何でも、デスクトップブラウザーとモバイルの両方に容易にデプロイしようとすると、難しくなる。これにVRやARのヘッドセットなど混成現実の要素が加わると、さらに難しい。だからWeb上でVR/ARが本格化するためには、容易なデプロイが必須条件だ。

Mozillaは以前、Googleなどと共にWebVR APIを作った。それにより昨年は、ブラウザーが面倒なプラグインなしでVR体験を提供することができた。上述の‘総合的なフレームワーク’仮称WebXRは、そのAPIの拡張で、WebVRに拡張現実(AR)の要素を加える。だからここでは、‘総合的’とは‘混成’という意味だ。

つまり、AR/VRのいろんな概念、たとえばオブジェクトのアンカーリングなどの実装が、ARCore, ARKit, Hololensなどプラットホームごとに異なっていても対応できる共通言語を作ろう、というのだ。けっこう、たいへんな仕事である。今回Googleはパートナーしていないが、しかしMozillaのこの仕事は、ほかの企業の既存のデモに対する補完および互換性をねらっている。

Mozillaの主席研究サイエンティストBlair MacIntyreは、こう説明する: “WebでARをどうやって実装するか、前にGoogleの連中と話し合ったことがある。そのときは彼らがWebARでやった実装例に対するフィードバックを彼らに見てもらったが、そのときの経験から、今作っているJavaScriptのライブラリWebXRは、彼らのアプリでも使えて、また一般的にデベロッパーが自由に自分の好きなアプリで、これらのWeb上の新しい技術〔AR+VR on Web〕を実験できるものでなければならない、と思っている”。

WebVRを完全にリプレースするものではないが、今後のことはまだ分からないから、そのスタンダードでARの実装が相当変わったりしたら、その実用性が危ういのではないか。

MacIntyreはこう語る: “長期的には、WebVRが進化してARもできるようになることが、最良の結果かもしれない。それほど大きな変更にはならないし、APIはそのままWebVRと呼ばれるだろう。あるいはコミュニティが、もっと広範な抜本的な変化を望めば、それがWebXRあるいはWebMRと呼ばれるかもしれない”。

というわけで現状のそれは、本格的な提案というより、デベロッパーたちによる自発的な実験だ。それはデスクトップのFirefoxをサポートしており、iOSのApp StoreにはWebXR Viewerがある。それらを試してもよいが、でもデベロッパー以外の人は単純に待つべきかもしれない。

提案および、わずかばかりの実験は、GitHubでチェックできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))