アップルがVR配信スタートアップのNextVRを買収した理由

これまで、次世代のコンピューティングプラットフォームとしてのAR(拡張現実)について多くの話題が出されてきたが、Apple(アップル)は、これまで予想されていたものよりもさらに強く、仮想現実に興味を持っているのかもしれない。

9to5macによる4月のレポートに続き、米国時間5月14日に同社は、Bloomberg(ブルームバーグ)の取材に対して、VR配信のスタートアップであるNextVRの買収を認めた。現在NextVRウェブサイト上では、同社が「新しい方向に進んでいる」との知らせが強調されている。

表面的には、この買収はアップルにとって少し奇妙なものに思える。同社はこれまで、モバイルARに全力を注いでいた。そしてVRの世界に対する公の活動や関心の表明を控えており、その領域を完全にFacebookの手に委ねてきた。昨年末にThe Informationは、アップルが従業員に対して、2022年にARとVR機能を組み合わせたデバイスを、Oculus Questと同様のフォームファクターで出荷する可能性があると伝えたことを報告した。この件と今回の買収を合わせて考えると、同社がこれまで示してきたものよりもVRについてより深い計画を持っている可能性があることが伺える。

数年に渡るiOSでの提供を通して、優れたARがどのように見えるものかについて、アップルが素晴らしい結果を残せたのかどうかはあまりはっきりしていない。そのため、数年以内にMR(混合現実)ヘッドセットを発売し、ユーザーが満足するVRコンテンツの裾野を広げながら、ARコンテンツに対する開発者のイノベーションを推し進めていくことは、第1世代のARデバイスとしては現実的な意味を持っている。

9to5macはNextVRの買収額を約1億ドル(約107億円)と特定していた、この金額はこれまで合計で1億1500万ドル(約123億円)を投入してきた投資家にとっては、まったく満足できるものではないが、現在のVRコンテンツ市場の様子から考えると驚くほど真っ当なイグジットだと言えるだろう。ただし、この取引をもって終了と考えているなら、アップルにとっては具体的な計画を持たずに、ただ大枚をはたいただけいうことになる。

NextVRの最大の強みの1つは、長年にわたってスポーツリーグとの間に築いてきたパートナーシップだ。アップルは、そのパートナーシップに最適化されたデバイスを売り出すまでは、そのパートナーシップを積極的に保つことにはあまり関心を向けないだろうと私は推測しているが、VRコンテンツを配信するためのNextVRの技術は、将来のアップルコンテンツ操作像を描き出す可能性がある。

アップルは、Apple TV+のような取り組みを中心にコンテンツ分野で組織的な影響力を発揮してきたが、この先彼らがリリースを考えている新しいデバイス向けに、コンテンツネットワークを広げていく際に好スタートを切るには、今回のような買収を活用したいと考えることはあり得る話だ。

こうしたことに関わる主要な問題は、VRに最適化されたコンテンツはARにうまく変換されないということだ。NextVRのソリューションは、既存のVRヘッドセットの全視野を活用してユーザーを完全な3D環境の中に没入させる。ARヘッドセットのユーザーが最終的に同じ方法でこのコンテンツを体験できなないという技術的な理由はないが、このタイプのコンテンツを活用できる性能を備えるARヘッドセットは存在せず、ここでの進歩はかなり遅いものだった。既存のARデバイスはおそらくVR用には最適化されていないし、またその逆も真である。しかしアップルはすでに、それは長期的には解消されるという前提で組織を動かしていると思われる。

FacebookはOculusハードウェアを活用するために、意味のあるVRコンテンツネットワークを構築しようと何年にも渡って苦労している。ユーザーにとって十分なコンテンツが存在せず、そして一方コンテンツ開発者を引きつけるには十分なユーザーがいないという「鶏と卵問題」を解決しようとする試みは、Facebookに対して、VR開発に対する一方的な出資を何年も強いることになった。アップルにも、ARで似たような運命が待ち受けているかもしれない。

Magic Leapが徐々に影をひそめる中で、アップルは最終的にARデバイスを発表した際に、非商業的な開発が散発的に行われるだけの死んだセクターに到着してしまったことに気がつくことになるのかもしれない。同社は長い間、新しいプラットフォームに対して早い段階での関心を集めるために、開発者との関係に頼ってきたが、これまでのところARKitに対する消費者の関心の構築には大枠では失敗している。このため多くの開発者が野心的なARに対して様子見アプローチを取るだろうと予想するのは当然だ。このことはアップルにとって、ARローンチコンテンツの確保に重い負担を残すことになるだろう。

これまでのところ、ARKitに対するアップルの最大の失敗は、モバイルデバイス上でのARプラットフォームの可能性をわかりやすく提示できていないことだ。AR開発プラットフォームを何度か改訂するうちに、同社は代表的な使用例を紹介することに対して、これまで以上に保守的になってきた。最も注目を集めているのは、ダウンロード可能な3D測定アプリだ。その一方で、空間プラットフォームを独自に活用するヒット作品はほとんど生まれなかった。

というわけで、VRはアップルにとってしばらくの間は投資するためのより安全な場所なのかもしれない。優れたバーチャルリアリティコンテンツは一般に作りやすい。現実世界とのやり取りに依存することが少なく、開発者はエクスペリエンスをエンドツーエンドでより多く制御できるからだ。

NextVRの技術を活用することで、アップルはより幅広いVRコンテンツに向かうスムーズなパイプラインにアクセスすることが可能になる。そうしたコンテンツは登場が予定される「MR」デバイスや、将来的にはより技術的に進歩したARメガネで楽しむことができるだろう。

アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏をはじめとする多くの同社のリーダーがARの可能性に興奮していることを率直に公言してきたが、開発者がその可能性を見出すのに苦労し続けている中で、VRの魅力が長期的な戦略にとってより重要になってきているのかもしれない。

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(翻訳:sako)

NFLのLAラムズがSnapchatとMadden NFLで新ユニフォームをARで公開

新型コロナウイルスのパンデミックによって社会的距離の確保(ソーシャルディスタンス)が強いられ、米国中で神聖なる国家的娯楽の大々的な再開を待ち望む中、スポーツチームは新しい時代のファンとつながりを持とうとソーシャルメディアやビデオゲームといったデジタルツールの新しい波に目を向けている。

Los Angeles Rams (ロサンゼルス・ラムズ)は、この流れに乗ったばかりのNFLのチームだ。今年後半にNFLで最もハイテクなスタジアムがオープンするのを前に、ソーシャルメディア大手のSnap、そしてEA Sportsのアメリカンフットボールゲーム「Madden NFL」シリーズと協業して、新しいユニフォームのデザインを発表した。このユニフォームは、SnapchatのAR(拡張現実)レンズをカスタムメイドしたもので、ラムズファンの行動を駆り立てる機能が備わっている。

ARを使ってユニフォームを披露するという驚きのアイデアは、カリフォルニアで施行された社会的距離規制によって決断されたものだが、全NFLチームの中でも初めての試みだ。またラムズは、Madden NFLシリーズのゲームに登場するラムズの選手に、新ユニフォームを着せるというスニークプレビューも行った。

Instagramでも、新スタジアムのオープン前にその本拠地で新ユニフォームのインタラクティブなコンテンツを見ることができる。

「私たちは、ARをどのように使うか時間をかけて話し合いました」とラムズでパートナー・マーケティング責任者を務めるLexi Vonderlieth(レクシー・ボンダリエス)氏。「ユニフォームに命を吹き込む方法を探りました。ちょっとだけ見せて興味を引きつける方法です」。

Snapのレンズから見える世界では、Jared Thomas Goff(ジャレッド・ゴフ)やAaron Donald(アーロン・ドナルド)が、ユーザーのアパート、居間、ガレージなどに現れる。Snapの自撮りモードを使うと、ユーザーは新しいユニフォームとラムズのヘルメットを着用できる。

ロサンゼルスを本拠地とするSnapは、以前からラムズと親交があった。地理的に近いこともあるが、ロサンゼルスのビジネス界でのつながりだ。本日の新ユニフォーム披露は、Snapにとっては初めての、NFL全体ではなくひとつのフランチャイズとの共同事業となった。

今シーズンは、このフィルターの使用より前にもNFLのドラフトに向けたSnapのフィルターやカメラが登場している。Snapは、ファンが贔屓のチームの称賛し応援できるように特別なカメラを公開している。

NFLは実際、Snapのレンズの歴史に大いに貢献してきた。スーパーボウルで勝っているチームの監督が仲間の選手からゲータレードを浴びせかけられるという、あの有名な「ゲータレードかけ」の伝統が味わえるレンズは、Snapが開発した最初のレンズのひとつだった。

「ARを楽しく使うことで、どれだけ素晴らしいつながりが生まれるかを私たちは見てきました」と、グローバル・クリエイティブ・ストラテジー上級ディレクターのJeff Miller(ジェフ・ミラー)氏は言う。「Snapは、親しい友だちや家族とつながるために作られたプラットフォームです。そうしたつながりの中で、スポーツの情熱が発散されるのです」。

画像クレジット:Electronic Arts

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(翻訳:金井哲夫)

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ゲームエンジンのUnityがAR/VRスタートアップのFinger Foodを買収

Unity(ユニティ)は5月7日、AR・VRサービスで知られるバンクーバー拠点のFinger Food Advanced Technology Group(フィンガー・フード・アドバンスド・テクノロジー・グループ)を買収すると発表した。Finger FoodのCEO、Ryan Peterson(ライアン・ピーターソン)氏はUnityのソリューション担当副社長に就任し、同社の225人のチームもUnityに移る。

2011年創業のFinger Foodは企業向けにカスタムソフトウェアを開発していた。過去数年はARやVRにかなり力を入れていて、HoloLens関連プロジェクトでMicrosoft(マイクロソフト)と緊密に連携を取ってきた。Finger Foodはまた、AIやブロックチェーン、ロボティクス、IoT分野の数多くの話題のテックソリューションも追求してきた。Finger Foodのこれまでのクライアントには、Lowe’s、Enbridge、ソフトバンクロボティクスなどがある。

Finger Food買収を通じてUnityの顧客の企業は、プロのサービスをいつでも利用できるようになる。社内の専門家を増強あるいは再訓練したり、プロセスを最初から経たりしなくてもリアルタイムの3Dをすぐさまクリエイトできる」とUnityの広報担当はTechCrunchに語った。

Unityにとって、買収はARやVR に向けられたFinger Foodの強い関心を強化し、そしてゲーム開発の顧客だけでなく企業クライアントを獲得するというUnityの願望を前進させるものだ。Unityのゲームエンジンは新作ビデオゲームの半分超に使用されているが、同社のバリュエーションは揺れ動いていて、Finger Foodの野心でもって価値の高い顧客の引き込みを狙う。UnityはこのほどUnity Industrial部門を立ち上げ、Finger Foodはここに合流する。

Unityは昨年忙しく、やや騒々しかった。前副社長が昨年6月に同社のCEOを相手取ってセクシャルハラスメントの訴訟を起こした。同社は虚偽だと主張している。Unityはこれまでに13億ドル(約1380億円)を調達し、その半分は昨年調達した。

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(翻訳:Mizoguchi

SteamVRのサポート対象からmacOSが外れる、利用者はわずか4%

Valveは、同社の仮想現実プラットフォームのmacOSサポートを廃止する。Valveの社員が、同社が運営するSteamVRフォーラムに情報を投稿した。それによると「SteamVRはmacOSのサポートを終了し、WindowsとLinuxに専念することにした」という。

Apple(アップル)は、2017年6月に「Metal for VR」を導入し、Valveとのパートナーシップを強調した。当時ValveはVRを1つのプラットフォームとして推進しており、ViveシステムについてHTCと協力関係にあった。それが2020年になると、Valveはハイエンドのヘッドセットを独自に用意し、待望のゲームタイトル「Half Life:Alyx」(ハーフライフ・アリックス)もリリースした。

これは、実際にはゲーマーよりも、開発者に対する影響が大きい。macOSをサポートしているゲームはほとんどなく、アップルの最高スペックのノートPCであるMacBook Proでさえ、OculusやSteamVRの最小限の仕様要件を満たしていないのが実情だ。Uploadが指摘するように、Valveの最近のハードウェア調査では、そもそも同社のプラットフォームを利用するゲーマーのうち、わずか4%しかmacOSを使っていないことが判明している。つまり実際のゲーマーのうち、Macを持っているVRユーザーはほんのひと握りというということになる。

macOS上でVRコンテンツを開発しているゲームデベロッパーは、おそらく1台のマシンで開発とテストができるというメリットを享受していた。アップルがMac ProやiMac Proのような高額な機材を、プロ向けに積極的に売り込んでいる状況で、主要なソフトウェアプラットフォームがその梯子を外すような決定をしたことは、決して好ましいものではない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Magic Leapに投じられた26億ドルはいったい何だったのか

【編集部注】本稿はJosh Evans氏による寄稿記事である。同氏は、HappyFunCorpエンジニアリング担当CTOだ。グラフィックノベル、紀行本など6作品を発表し、受賞歴もある著述家でもある。2010年よりTechCrunchの週末コラムを担当。

筆者は2年前、Industrial Light & Magicが開催した「Innovation in Immersive Storytelling」というイベントに参加した。そのイベントでは、Magic LeapのChief Game Wizardが紹介されていた。魔法のような製品であるというイメージを植え付けようとするイベントの題名を見た時に、この製品の終焉が不可避であることに気づくべきだった。しかし実際は、イベントに出席する前はMagic Leapに対して半信半疑だったのに、イベントが終わった頃にはその疑念が半減していたのである。

Magic Leapは数年の間に多くの信奉者を引き付け、26億ドル相当の資金を集めた。Andreessen Horowitz(a16z)、Kleiner Perkins、Google(Google VenturesではなくGoogle本体)をはじめ、多数の企業が出資に加わった。また、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はMagic Leapの取締役会に名を連ねた。そして、これらの出資者たちはMagic Leapを大絶賛したのである。ベンチャーキャピタルが自社の出資先を絶賛するのはよくあることだが、Magic Leapの場合はそれとは違った。

これは画期的だ。ピクセル数やフレームレートが桁違いになったではなく、センサー、光学機能、モバイル機器側のボリューム、さらには飛躍的に向上したコンピュータビジョンなど、常々私が夢見ていた機能がすべて搭載されている。この製品は驚くほど素晴らしく、他の製品と一線を画している。

Kleiner PerkinsBing Gordon

没入感が信じられないほど自然で、部屋の中にいるのに、自分の周りを本当にドラゴンが飛び回っているようだった。開いた口がふさがらないほど驚いて、顔がニヤけて仕方がなかったよ。
— Legendary PicturesのCEO、Thomas Tull

Legendary Picturesとa16zは、Magic Leapに出資する前に、Oculus Riftに出資していたことがある。Tull(タル)氏は「Magic Leapのアプローチは他社とはまったく異なっている」とTechCrunchに語ったことがあるほどだ。この発言は興味深い。というのは、Magic Leapが5年の歳月と16億ドルの資金を注ぎ込んでやっとリリースしたMagic Leap Oneという製品について、OculusのPalmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏が手厳しく批判するレビューを発表したからだ。確かに同氏の批判は想定の範囲内だった。しかし、その詳細は非常に印象的だった。

その製品は「Lightwear」と呼ばれている。Magic Leapが主に「フォトニック明視野チップ」、「ファイバ走査型レーザーディスプレイ」、「デジタル明視野をユーザーの目に投影」、さらにはヘッドマウントディスプレイ開発者を何十年にもわたって悩ませてきた輻輳調節矛盾を解決するという夢のような話について延々と語ることで注目を集めてきたのが、このLightwearである。(長いので中略)「フォトニック明視野チップ」とやらは単にシーケンシャルカラー反射型液晶ディスプレイやLED照明を導波管と組み合わせたものにすぎない。Microsoftの最新世代のHoloLensをはじめ、他社がこれまで何年も使ってきた技術と同じものだ。Magic Leap Oneは、一般的に受け入れられているどんな定義に照らしても「明視野プロジェクター」や「明視野ディスプレイ」とは言えない。

「他社とはまったく異なっている」と言われたMagic Leapのアプローチに何が起きたのだろうか。

ほとんど見かけ倒しのテクノロジーに投資家の関心を何とかつなぎとめようと策が講じられたことは注目に値する。Magic Leapは「当社の社員が今まさにオフィスでプレイしているゲームの映像です」と言って、動画付きのメールをプレス関係者に配信した。しかし後に、その動画はすべてWeda Digitalが制作した特殊効果映像だったことがThe Informationによって暴露された

Magic Leapは次に、「Magic Leapのヘッドセットを通して見た映像を直接撮影したものです。撮影日は2015年10月14日。特殊効果や合成は一切使用していません」と言って、別の動画を公開した。信じていいのか。前回の動画の件を考えると、疑うのは当然だ。しかし、総合的に考えてみると「おそらく大丈夫」という答えになりそうだ。Kevin Kelly氏が、2016年にWired誌でMagic Leapの目玉機能についてあまり詳細に触れていないことにも注目してほしい。

主な3つのMR(複合現実)ヘッドセットのいずれにおいても、半透明の物体(大抵はナノスケールのリッジ加工が施されたガラス)に対して斜めに投影される画像が使用されている。ユーザーが、そのガラスを通して外の世界を見ると、バーチャルな物体はガラス部分の横にある光源から投影され、ガラスに施されたビーム分割ナノリッジ加工によって反射されて、目に届く。Magic Leapは、光線を目に届けるこの方法は自社独自の技術だと話しているが、その詳細については現時点で説明することを拒否している。

このことが、Magic Leapの超目玉である「Lightwear」テクノロジーはまったく特別なものではないとするLuckey氏の報告(筆者の知る限り反論は出ていない)とどのように整合するのか。投資家やジャーナリストを歓喜、熱狂させた社内デモ版のような手ごたえが感じられる製品をリリースできなかったという点については言うまでもない。

答えは簡単だ。「The Beast」である。

ザ・インフォメーションのReed Albergotti(リード・アルベルゴッティ)氏が3年以上前に報じたように、The BeastというのはMagic Leapの最初のデモ機だった。これは注目の的になった。驚くほど素晴らしく、夢のような、画期的なテクノロジーだった。そして、重さは100kg以上もあった

The Beastの後継モデルである「The Cheesehead」は人間の頭部にフィットする大きさで、「Magic Leapが発明した明視野発信機を小型化できる可能性を示した」モデルだと言われた。しかし、依然として重さは10kg以上あり、実用化するには明らかに重量オーバーだった(この2つのモデルの写真はCNETのリンク記事で見ることができる)。

The BeastとThe Cheeseheadを見れば、複数回にわたって多額のベンチャー投資が行われたことにも納得がいく。しかし重要なのは、Magic Leapがその後、自社の画期的テクノロジーを実用化可能なレベルまで小型化できたのかということである。

明らかにできなかった。そして、それこそが問題の核心、つまり、Magic Leapが26億ドル(約2800億円)の資金を集め、従業員の半数をリストラしながら7年間ほとんど何の製品もリリースしてこなかった理由である。Vanity Fair誌はMagic LeapのCEOであるRony Abovits(ロニー・アボビッツ)氏がThe Informationに語った言葉を引用し、こう書いている。

アボビッツ氏はThe Informationに対し、The Beastに使われているテクノロジーは「当社が最終的に実用製品として発表するものではない」と語った。また、プロトタイプは投資家をはじめとする関係者に、製品の「長所と短所」を紹介するためだけのものであるとも語った。

悪意があったかどうかにかかわらず(筆者は、悪意があったとは考えていない)、Magic Leapは26億ドルの見かけ倒しプロジェクトとなってしまった。この先どうなるかは明白だ。

TechCrunchライターのLucas Matney(ルーカス・マトニー)は、1年前に「なぜMagic Leapに大金を投ずるのか?」という記事を書いている。Magic Leapのデバイスの売上は散々だ。同社は先月、100億ドルという金額で身売り先を探したが、TechCrunchライターのJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)がこれを「馬鹿げている」と評したのも当然である。その後、同社は従業員の半数をリストラして会社を守った。こうなると、次の問題は「Magic Leapが倒産したらどうなるのか」ということである。

「The Beast」のテクノロジーがいつか実用化されて、一般家庭、学校、オフィスなどで使用されるようになる可能性はあるのだろうか。ないとは言えない。2014年から6年間かけて26億ドルを注ぎ込む価値はあったのか。やはり、なかったとは言えない。しかし、投資に見合う利益をあげることはできなかった。結局のところ、Magic Leapの一件で、ハードウェアの開発、さらには人間の感覚(特に視覚)を操るプラットフォームの開発は困難だと投資家が嘆くことはあっても、彼らがMagic Leapに対して激怒したり腹を立てたりすることはないだろう。

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(翻訳:Dragonfly)

xRテックのバルスがテレビ局向けにリモート有料配信プラットフォームを提供、バーチャル楽屋訪問も実現

「どこでもVTuber」やイベント会場でのVRライブ、VR謎解きゲームのコンテンツ作成などを手掛けるバルスは4月27日、BS-TBSとクリエイティブボードに有料配信プラットフォームを提供したことを明らにした。

バルスが開発した配信プラットフォームは、BS-TBSとクリエイティブボードが共同設立した「うち劇」に利用される。うち劇は、自宅で楽しめるリモート配信劇場で、新型コロナ禍で作品の発表の場をなくした俳優や演出家が安心できる環境で芝居をできるプラットフォームを目指して開設された。

うち劇は、出演する俳優が自宅や事務所など別々の場所からPCを通して観客に向けて演じた内容をネット配信するシステム。背景を合成するなどして異なる場所でも役者が演じやすい仕組みを構築。これにより、演出や臨場感を醸成していくのが狙いだ。

第一弾は舞台「マトリョーシカの微笑み〜刑事は二度死ぬ〜」を4月25日に配信済みで、朗読劇上演後は出演キャストの染谷俊之、平野 良、赤澤 燈の3氏がそれぞれのPCでファンからのコメントにこたえるかたちで、観客が楽屋に行くのに近い方向のファンサービスも実施した。

配信された舞台の概要は以下のとおり。

  • 配信舞台:マトリョーシカの微笑み〜刑事は二度死ぬ〜
  • 脚本:太田善也 塩塚晃平
  • 演出:太田善也
  • プロデュース:丹羽多聞アンドリウ
  • 技術プロデュース:バルス株式会社
  • 公演スケジュール:4月25日(土)(昼夜2部制)
  • キャスト:染谷俊之、平野良、赤澤燈
  • 料金:3000円(ライブ配信舞台&楽屋トークつき)
  • 舞台公式サイト

ダイジェスト・メイキング動画が公開されているので、その内容をチェックしてほしい。

Facebookがバーチャルリアリティー会議を「バーチャルのみ」で開催

毎年春に行われているテック、デベロッパー向けカンファレンスが、新型コロナのために中止を余儀なくされていることはすでに明らかだが、テック各社は2020年後半のイベントからも撤退を始めている。

本日(米国時間4/16)Facebook(フェイスブック)は、バーチャルリアリティーに特化した同社のOculus Connect 7(オキュラス・コネクト7)カンファレンスのリアル部分を新型コロナのために中止し、デジタル方式のみとすることを発表した。Facebookはイベントの日付をまだ発表していないが、例年9月か10月始めに開催されている。

「新型コロナによる公衆衛生危機の広がりを鑑み、今年後半に開催予定のOculus Connect 7をデジタル方式に転換することを決定した」と同社のブログに書かれている。「苦渋の決断だったが、われわれは当社のデベロッパー、従業員はじめOC7カンファレンスに関わる全員の健康と安全を優先する必要があった」

今週、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、観衆を伴うスポーツイベントがこの夏に戻ってくることは「ありそうにない」と語った。主要なテック企業は春と夏のデベロッパーカンファレンスのリアル部分をすでに中止しているが、知事によるこの中止要請は、春から秋へとスケジュール変更されたテックイベントの日程がどれほど現実的であるかに疑問を投げかけた。

この種のカンファレンスはインディーゲーム業界にとって従来から非常に重要な存在であり、小さなゲーム会社はこうした集まりをパブリッシャーとの関係構築に利用している。ここ数年バーチャルリアリティー界の主要イベントが、誇大流行の衰えとともに次々と終了する中、Oculus ConnectはVRデベロッパーの間でおそらく最も重要な年次イベントとなっている。

F8カンファレンスのリアル部分中止の際と同様、Facebookは「サンノゼ地域住民に貢献している組織を重点的に」50万ドル(5500万円)を寄付すると言っている。

画像クレジット:GABRIELLE LURIE

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

伊藤忠がバーチャルアーティストのアジア展開に本腰、「にじさんじ」運営のいちからと資本業務提携

バーチャルアーティスト(VTuber)事業を展開するいちからは4月14日、総額19億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先はLegend Capital、ソニー・ミュージックエンタテインメント、けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合、伊藤忠商事。累計の資金調達額は、これまでの10億円超と併せて30億円超になる。

今回調達した資金は、バーチャルアーティスト事業を支える人材への投資とバーチャルアーティスト事業における新規事業開発に投下される。

伊藤忠はバーチャルアーティスト事業について、現実の世界では困難な演出にも挑戦できるなど事業開拓の可能性が高い新たなエンターテイメント領域として注目。今回の提携は、既存のアニメコンテンツ産業を押し上げる日本発の新たなIPとして海外展開を見据えたものとなる。今後、伊藤忠グループのネットワークと知見を生かし、中国をはじめとする海外におけるバーチャルアーティスト事業の展開を支援していく。具体的にはバーチャルアーティストのキャラクターグッズの商品化、音楽展開、リアルイベントの実施といったの複合的な展開をサポートし、新たなアニメコンテンツ市場の創出を目指すとのこと。

いちからは、国内最大級のバーチャルアーティストグループ「にじさんじ」など、バーチャルアーティストに特化した事業を展開する、2017年5月設立のスタートアップ。YouTubeにおける累計チャンネル登録者数は1000万人超、配信動画の累計再生回数は10億回超となっている。人気アーティストの商品・デジタルコンテンツの販売、リアルイベントの実施など事業を多角的に展開している。さらには、中国、インドネシア、インド、韓国などにも事業を展開している。

絶滅危惧種の動物とその保護を扱うARゲーム「Wildeverse」がローンチ

ケニアの拡張現実ゲーム開発会社Internet of Elephants(インターネットオブエレファンツ)は米国時間4月3日、Borneo Nature Foundation、Goualougo Triangle Ape Foundation、Zoo Atlanta、Chester Zooの保護科学の専門家と提携して、最新のゲームをローンチした。

Wildeverse」という名前のこの新しいゲームは、ARを使って仮想の森を作り、そこでプレイヤーは特定の動物を探したり、動物の居場所を知る手がかりを探したりすることができる。

本来は屋外でのプレイを想定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から、方向転換を行い、ゲーム内の操作で仮想的に移動したり、より狭い場所で歩き回ったりできるオプションを開発した。

ゲームは、まずチャット形式でゲームプレイを紹介し、プレイヤーが探索する仮想環境をセットアップするところから始まる。そのグラフィックは没入型のジャングル環境を完全に再現することには焦点を当てていないが、プレイヤーが探索するための理想化された木々に覆われた森が生成される。例えば特定の動物の識別や、彼らの存在の痕跡を探すミッションを、ARで作られた森の中で行い、プレイヤーがどのくらい時間がかかったかが計測される。

ミッションが完了した後は、プレーヤーは、実際の自然保護活動家による解説を読むことができる。その保護活動家はInternet of Elephantsのゲーム開発者たちにゲームのコンセプト作りで協力し、調査を助け、そして実際にゲームの中に登場する実際の動物に関するサポートを提供した。

画像提供: Internet of Elephants

ゲームは、ARKitまたはARCoreをサポートするiOSまたはAndroidデバイスでプレイできる。

ゲーム内で与えられるミッションは、動物自身やその足跡、食べ残しや糞を探すことから、違法な人間の活動や、実在のオランウータン、チンパンジー、ゴリラ、テナガザルの生息地への脅威を探すことまで、多岐にわたっている。

このゲームを作るために、創業者Gautam Shah(ゴータム・シャー)氏が率いるInternet of Elephantsの開発者たちは、実際にボルネオとコンゴのジャングルに行き、保護活動家とその仕事についての話を聞いたり、ゲームの中で使用するための野生動物のスカウトを行った、という。ゲーム開発者は複数のサルの家族を追跡した。

「類人猿の人口は世界中で減少しています。野生生物の保護は、十分な数の人々が関心を持って初めて、世界的な優先事項になるのです。世界の保護活動家たちは、ほんのひと握りの人びとの支援だけで困難な戦いを繰り広げています」とシャー氏は声明で述べている。「私たちには、今日世界でゲームをプレイしている20億人を、野生生物愛好家かつ保護活動の支援者に変える使命があるのです」。

シャー氏にとって、Internet of Elephantsの最新製品の立ち上げは、同社の使命を堅持するものだ。その使命は、アメリカ生まれのシャー氏がARベースのゲーム会社を立ち上げるためにコンサルティングのキャリアを投げ捨てた2015年に始まった。Internet of Elephantsチームの他のメンバーたちも、同様に興味深いストーリーを持っている。Aardman Animationsのクリエイティブディレクターとして6年を過ごした製品責任者のJake Manion(ジェイク・マニオン)氏もその1人だ(Aardman Animationsは「ウォレスとグルミット」や「ひつじのショーン」を作成したアカデミー賞受賞スタジオである)。

関連記事:Internet of Elephants uses AR to get up close to endangered species, turns their migrations into a game(Internet of ElephantsはARを使用して絶滅危惧種に近づき、その移動をゲームに変える、未訳)

シャー氏は、Wildeverseゲームの中に3つの大事な保護要素を見ている。第1に、それはゲームプレイヤーと、会社が協力する保護活動団体の間に絆を生み出す。なぜならゲームが保護団体の実際の活動を理解させる役割を果たすからだ。またこのゲームでは森林火災、違法伐採、密猟などの問題や、開発や人間の消費によって、動物たちが住むジャングルの構成が変化してしまい悪化する保護活動を取り巻く課題に、プレイヤーは立ち向かうことになる。最後に、ゲームは教育的な要素を持つ。

「本当に本当に興味深いことをたくさん学びます、そして私たちは専門的になることをためらいません」とシャー氏は言う。「これらを総合することで、セントルイスで座っているあなたと、オランウータンを研究している誰かとのつながりを生み出すことができるのです」。

本来このゲームは完全に楽しむためには屋外の半径30メートルのエリアを使ってプレイすることを想定していたが、ローンチ前にチームが修正を加えたことによって、ロサンゼルスの小さなワンルームマンションでも十分にプレイできるようになった。

ゲームのテキスト部分は有益な情報を含み、プレイヤーはオランウータンの食べ物や、彼らの生息地、そしてジャングルにおける彼らの生活について学ぶ機会を得られる。解説は少しぎこちないが、退屈すなものではなく、異なる森で働いている実際の自然保護活動家との会話に基づいている。

最終的にシャー氏は、生息地の数とゲームの幅を拡大して、プレイヤーがさまざまな地域を探索し、すべての大陸の絶滅危惧種について学ぶことができるようにしたいと考えている。

ゲームにはまだ収益化手段がなく、この先も無料でプレイできる予定だが、マルチプレイヤー機能の開発とともに、何らかの収益要素を付け加えたいとシャー氏は語った。

最終的には、このゲームは、最新のテクノロジーとゲームプレイを通じて、新しい世代の人たちに自然保護のすばらしさを伝え、教育することを目的としている。

「私たちは野生動物を、現在保護活動とは無縁の大勢の人びとにとって、日常会話の中のポジティブでエキサイティングな話題にしたいと思っているのです。私たちは、ゲームに登場する実在の類人猿たちであるFio(フィオ)、Buka(ブカ)、Chilli(チリ)、Aida(アイーダ)を、Kim Kardashian(キム・カーダシアン)、Messi(メッシ)、Donald Trump(ドナルド・トランプ)に並ぶくらい有名にしたいと思っています」とシャー氏は言う。「人びとの注目を集めることは、とても重要です」。

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(翻訳:sako)

NianticがARスタートアップの6D.aiを買収してアップルとFacebookに対抗

新型コロナウイルスの感染拡大で、Niantic(ナイアンティック)はポケモンGOなど屋外型ゲームの変更を余儀なくされている。しかし同社は、ユーザーが現実世界を取り入れて楽しめるARプラットフォームの構築に突き進んでいる。

米国時間3月31日、Nianticは6D.aiを買収したと発表した。6D.aiは米国サンフランシスコを拠点とするARの有望なスタートアップで、スマートフォンのカメラで周囲の空間の3Dレイアウトを高速で検知するソフトウェアを開発している。両社は買収の条件を明らかにしなかった。

Nianticの主力製品はモバイルゲーム、特にポケモンGOだが、同社はさらなる発展のために5億ドル(約540億円)近くを調達し、FacebookとAppleに対抗するAR開発プラットフォームを構築している。6D.aiの買収は、今後に向けて興味深い一手だ。

Nianticはコンシューマゲーム企業で、6D.aiは主にエンタープライズのクライアントと取引していた。担当者がTechCrunchに語ったところによれば、Nianticは来月には6D.aiのこれまでの開発者向けツールを終了し、その技術をNiantic Real World Platformと統合して、開発者が「コンシューマ向け、そしてエンタープライズも含むビジネス向けのあらゆるアプリで使えるARエクスペリエンスを構築」できるようにするという。

TechCrunchでは2018年に、オックスフォード大学のActive Vision Labから創業したばかりの6D.aiを取り上げていた。このとき、CEOのMatt Miesnieks(マット・ミエスニークス)氏はTechCrunchに対し、都市の3Dモデルをクラウドソーシングしたいと語っていた。

ミエスニークス氏は次のように述べた。「コンテンツがほんとうに物理的な世界の一部だと感じられなくては、魅力的なARにはならない。そのような効果を実際に作り出すには、世界全体とはいかないまでも、少なくとも自分の部屋の3Dモデルは必要だ」。

AppleもFacebookもARプラットフォームにはかなりの投資をしており、開発者を取り込んで早い段階でリードしたいと考えている。ARへの取り組みはテック業界の多くが予想したよりも遅く、むしろAppleとFacebookの早期のアドバンテージだけが目立っている。

Nianticは、今も同社の収入源であると言われるポケモンGOで、コンシューマに最も広く受け入れられているARを提供している。調査会社のSensorTowerは、2016年にリリースしたポケモンGOが2019年になって9億ドル(約965億円)の最高売上を記録したと推計している。ただポケモンGOの大成功は、2019年に同社がリリースした「ハリー・ポッター:魔法同盟」には今のところ反映されていない。

Nianticにとっての究極の問題は、このような買収をして技術のプラットフォームの面で積極的に戦うのが最大の利益になるかどうかということだ。投資の回収にかかる期間は不確かで、AppleやFacebookは不確かな期間がはるかに長くても余裕があると考えられる。

買収後は、6D.aiの共同創業者であるVictor Prisacariu(ビクター・プリサカリウ)氏はNianticのロンドンオフィスに加わり、ミエスニークス氏はアドバイザリーとなる。6D.aiは資金調達について一部を明らかにしていなかった。シードラウンドはGeneral CatalystのNiko Bonatsos(ニコ・ボナトソス)氏が主導し、オックスフォードからも資金提供を受けた。Amitt Mahajan(アミット・マハジャン)氏、Jacob Mullins(ジェイコブ・マリンズ)氏、Greg Castle(グレッグ・キャッスル)氏などのエンジェルも投資していた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

子供も大人も自宅待機の中、バーチャルな世界が主流となる機会は到来しただろうか?

TechCrunchはこれまで、「メタバース」とも呼ばれるバーチャル世界の発展をつぶさに取材してきた。

Robloxなどのプラットフォームや、フォートナイトといったオープンワールド形式のゲームが成長した結果、ゲームのバーチャル世界を友達と一緒に楽しむのが近年で人気を集めつつあるが、若年層以外ではまだ主流の社会活動となってはいない。

TechCrunchのメディアコラムニストであるEric Peckhamは、3週間前に発表した詳細なレポートでソーシャルメディアの新たな時代としてバーチャル世界を位置付けた。8部に分かれたこのシリーズを通じて彼はバーチャル世界の歴史を振り返り、ゲームがすでにソーシャルネットワークと化している理由ソーシャルネットワークがもっとゲームを必要とする理由業界における今後数年間の動向およびゲームを通して社交することがまだ主流になっていない理由バーチャル世界が社会関係を健全にしていく仕組みバーチャル経済の未来この新たな市場で成功を収めつつある企業などを解説した。

たった3週間で、知識経済の大部分が突然バーチャルにすべてをやりとりする状況など、誰が想像できただろうか。そういうことから、私は、新型コロナウイルスが蔓延する中、人気が高まっているバーチャル世界の状況をよりよく把握したいと考えた。私はEricと電話対談し、その内容を公開することにした。

Danny Crichton:タイミングについて話そう。あなたがバーチャル世界に関する全8回の連載記事を書き終えた直後に突如として、この未曽有の現象、新型コロナウイルスの世界的流行が起こり、人類の大半が自宅にこもってオンラインのみでやりとりすることになった。今、バーチャル世界では何が起こっているのだろう。

Eric Peckham:私が一連の記事を執筆したのは、オープンワールド系MMOゲームに対する消費需要の増加と、FacebookやSnapなどの巨大ソーシャルメディアがバーチャル世界やソーシャルゲームを自社プラットフォームへ取り込もうとしている両側面で、すでにマルチバースへの関心が高まっていることに気づいていたからだ。大手企業は、バーチャル世界を将来のヴィジョンとして掲げるだけではなく、実行可能なやり方で計画している。また近年は、人々が長時間過ごすことのできる次世代のバーチャル世界、ユーザの貢献によって形作られる複雑な社会を持つバーチャル世界の構築に焦点を当てたスタートアップへのVC投資も盛んに行われている。

ゲーム業界の創業者や投資家に話を聞くと、ここ数週間で、大人も子供も自宅でのゲーム人口が増加し、利用率が大幅に上昇しているという。

こうした次世代バーチャル世界のほとんどはまだ非公開のベータ版だが、Roblox(ロブロックス)やマインクラフト、フォートナイトといった既に人気のプラットフォームは普段よりもかなり利用されている。自宅に閉じこもっている人々の多くが、ゲームの仮想世界を経由して脱出しているのだ。

あなたがそうした分析のすべてを連載記事に執筆したのはパンデミックの規模を知る前だった。この業界の見通しはどう変わったのだろうか。

日常的に人々がバーチャル世界で交流して社会活動を行うことが主流になるまでのタイムラインが加速すると考えられる。この自宅待機は数週間ではなく数ヶ月間続き、それによって人々の社交や在宅勤務に対する考え方も変わってくるだろう。

これは真に大きな文化的変化だ。コアのゲーミングコミュニティを超えて、より多くの人がバーチャル世界で時間を過ごし、友達とやりとりすることを楽しみ始めている。

インターネットユーザーの中でも、最も若い世代でこの傾向が特に顕著だ。9~12歳の子供の大半がマインクラフやRobloxのユーザーであり、そこで放課後に友達と時間を過ごしている。以前よりも急速に、高い年齢層へもこの傾向が広がるだろう。

史上最大規模で自宅待機が強制されているにも関わらず、VRヘッドセットはほとんど売り切れているという苦情をTwitterで目にしている。VRはバーチャル世界に不可欠な要素なのだろうか。

まあ、VRヘッドセットがなくても、バーチャル世界で他の人と交流して楽しむことはできる。スマートフォン、PC、ゲーム機を使って、今でも無数の人々がそうして楽しんでいる。

ゲームが要求するミッションをこなしながら、他の人々とやりとりできる、長い時間を過ごせるバーチャル世界を構築することが、ゲーミング業界が目指す理想だ。昨年最も人気を集めていたモバイルゲームとPCゲームの分野に、大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)が挙げられる。

ゲームについていえば、一連の記事で特に興味深いと私が感じた点は、ゲーミングはまだそれほど人々へ浸透していないという事実だった。

年間でいえば、20億人以上の人がビデオゲームを楽しでいる。これ自体は、驚異的な市場浸透率だ。しかし、少なくとも私が得た米国のデータによると、毎日ゲームを楽しむ人口の割合は、毎日ソーシャルメディアを利用する人口に比べてずっと低いことがわかっている。

ゲームプレイのミッションを超えて、社会活動を行って互いとやりとりするためのバーチャル世界にゲームが進化するにつれ、スマートフォンで5分間楽しむ時間があれば、バーチャル世界で社会活動やエンターテイメントを選ぶ人々も増えていく。ソーシャルメディアは、生活の中でこうした短い時間を埋めている。現時点でMMOゲームがそうなってないのは、時間がかかり、継続して集中しなければならないというゲームプレイを中心に構築されているからだ。Robloxのように、友達と共に過ごすための系統に属するバーチャル世界は、インスタグラムとより直接的に競合できる。

RegalやAMCなどの映画館チェーンは、ウイルスの流行が終息するまで、すべての映画館を閉鎖すると今週発表した。これはバーチャル世界の企業に影響を与えるのだろうか。

私は、この2つは別々のメディアに属していると考えている。映画館の観客数は長年にわたって減少を続けており、これに対して映画産業は、映画館でプレミアム体験を提供し、チケット価格を上げることで対抗してきた。子供であれば、金曜日の夜に映画館へ行くのと同じ感覚で、あるいはより積極的に、友達と集まって一緒にゲームを楽しむだろう。若い人にとって、映画館はかつてほど文化的に身近な存在ではない。

一種のバーチャル世界、または少なくともバーチャル職場である、在宅ワークの大規模な実験が行われている。バーチャル世界の人気が高まるのは、エンターテイメント分野と、生産性指向のプラットフォームのどちらから始まるのだろう?

エンターテイメント側から始まるだろう。その理由の一部は、ビジネス環境で会議をする人々が、バーチャル世界をあまりプロフェッショナルではないと感じるのと比べて、礼儀作法をそれほど気にされない若い人々がそれを社会活動に使用するからだ。時間をかけて、バーチャル世界が社会活動で一般的になれば、ビジネスについても自然に話し合える場所になるだろう。

オンラインで仕事し、バーチャルでやりとりする人々が増えるにつれ、私たちが直面する大きな課題は、今市場にあるZoom通話やバーチャル会議用に出回っている技術の範囲を超えて、直接人々と触れ合って会話しているような状態へどうやって持っていくかだ。バーチャル世界で歩き回ることができなければ、それは難しいだろう。Zoom通話やその他のブロードキャストソフトで各自がボックスに収まっているだけでは、気さくに小さなグループを形成したり、1対1でやりとりできない。バーチャル世界の技術を基にした、バーチャルビジネス会議がどのように発展していくかを見るのは興味深い。この課題に取り組む企業をいくつか目にしている。

最後の質問になるが、今後大規模な経済不況が予想される。バーチャル世界で収入を得ている人々は、コロナウイルスでどのような変化に見舞われるのだろう。

私のシリーズ記事の最後から2番目では、バーチャル世界をめぐり形成されたバーチャル経済を扱っている。バーチャル世界であればどれでも、商業行為が行われており、人々はすでにゲームやSecond Lifeといった初期のバーチャル世界から実際の収入を得ている。

コロナウイルスの影響で自宅に待機する人々と、今後予想される不況の両方が、オンラインで収入を得るよう人々を後押しするだろう。バーチャル経済がゲーム内に公式に組み込まれた場合や、ゲームをめぐる未認可や非合法に形成されるバーチャル経済(こちらの方が一般的だ)のいずれであれ、その活動は増え続けるだけだ。

ありがとう、Eric。

画像クレジット: Shutterstock

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(翻訳:Dragonfly)

未来のAR/VRヘッドセットはスイスのCrealが研究するライトフィールド技術が本命か

何年にもわたって話題になってきたARとVRはこのところ静かになっているが、一部の投資家たちは、技術的欠陥が克服されれば、それらはモバイルデバイスに取って代わるかもしれないという展望を持っている。

ディスプレイの基本的な技術を研究開発しているスイスのスタートアップCrealは、VRとARのヘッドセットをさらにリアルな光学的技術によって、今よりも快適なデバイスにしようとしている。

同社は2019年にInvestiereとDAA Capital Partnersから、シリーズAで740万ドル(約8億2000万円)を調達した。さらに今週にはEUの技術革新促進事業であるHorizon 2020から助成金を獲得して、同社のライトフィールドディスプレイ技術の研究開発を継続することになった。

関連記事: Can Apple keep the AR industry alive?… アップルはARを産業にできるか(未訳、有料記事)

ライトフィールドディスプレイは、これまでとはかなり異なる種類のディスプレイだ。今あるARやVRのヘッドセットは、右の目と左の目に若干異なる像を見せることで立体画像を表示するが、未来のヘッドセットは、目がどこを見ているかによって像のフォーカスを変える。ライトフィールドディスプレイやライトフィールドカメラは、前方でも奥でもどこにでも焦点が合う像を作り出す。この技術によって、輻輳(ふくそう)調節矛盾(vergence-accommodation conflict)に由来する目の疲れがなくなり、顔に近いオブジェクトとも対話でき、VRの視界が細部までもっとわかりやすい世界になる。

下の動画は、同社の技術を一般的なレンズで撮影した映像で擬似的にデモしている。

ライトフィールド技術の実装には、いろんなやり方がある。Magic Leapはこの技術の軽量バージョンを同社のヘッドセットに採用し、目の動きの捕捉によって切り替わる2つの焦点面を利用している。この可変焦点(varifocal)方式には、Oculusを通じてFacebookも投資しており、複数の面の間でユーザーが焦点を変えられるヘッドセットのプロトタイプを披露したことがある。

関連記事: Oculusが次世代ヘッドセットのプロトタイプを公開

Crealもライトフィールドの技術を小型化するために、Facebookのような大企業と同じ困難に対処しなければならない。それは何を犠牲にするか、という問題だ。同社の最も近い目標は、その技術を仮想現実のヘッドセットに組み込むことだが、数年後にはそれを軽量のARヘッドセットにも応用したいと考えている。

新しい技術を構築するCrealのようなスタートアップは、世界不況の影響を受けやすいだろう。最前線にある技術への投資は、不況の犠牲になりやすい。不安定な経済が今後も続けば、Facebookのような大企業がますます有利になり、同様の技術に取り組んでいるスタートアップは生き抜くためにコスト削減を強制される。

Oculusは最近、VRニッチ市場に成功しているが、拡張現実のハードウェアはスタートアップにとってもっと難題だ。2019年はMeta、ODG、 Daqriなど多くの企業が閉鎖された。3月初めにはBloombergが、Magic Leapは数十億ドル(数千億円)の資金を獲得した後、売却を視野に入れていると報じている。ARは特に売ることが難しい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

xRテックのバルスが東急レクリエーションと事業提携、109シネマズなどでのVRライブ開催、ARコンテンツ提供を拡充へ

xR関連のイベントの企画・運営などを手掛けるバルスは3月23日、東急レクリエーションとの事業提携を発表した。ライブビューイング網の共同開発や、XRライブの共同企画・運営などを両社で進めていく。

具体的には、東急レクリエーションが首都圏を中心に全国19カ所で展開しているシネマコンプレックスチェーン「109シネマズ」でのバーチャルアーティストのライブ興業を促進する。また、バルスがライブイベントなどに利用している自社開発の遠隔ライブシステム「SPWN」をベースとして、109シネマズなどの映画館や劇場でライブネットワークを拡大していくとのこと。

ライブ以外では、バルスが持つxR技術を使ったエンターテインメントコンテンツの共同開発などを進める。バルスでは、大規模商業施設でバーチャルアーティストを起用したAR謎解きゲームなどを手掛けた実績があり、今後は東急レクリエーションが所有する施設でこういったコンテンツを楽しめるようになるだろう。

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仮想現実も現実世界に合わせてビジネス縮小

触覚フィードバックスーツを身にまといコンピューターを顔につなぐことほど、社会的な距離を感じられるものはないと思える今日このごろだが、位置情報ベースの仮想現実(VR)のスタートアップも、その他のエンターテインメントビジネス同様、事業縮小を余儀なくされている。

こうした動きは、映画館をはじめとする人の多く集まる場所の閉鎖が始まってすぐに起きた。ディズニーが支援するVRのスタートアップであるThe Voidは、米国時間3月16日に北米の全店舗を閉鎖すると発表した。ロサンゼルスのTwo Bit Circusも閉店した。COVID-19のためだ。Dreamscape Immersiveもロサンゼルス、ダラス、コロンバス、およびドバイのVRエンターテイメント・センターを一時的にすべて閉店したと発表している。

「私たちには仮想現実を世界のみんなと共有する楽しみがある一方で、現実世界で起きていることも無視できない」とDreamscape Immersiveのウェブサイトに書かれている。

米国本土にある位置情報ベースのVRスタートアップがすべて、営業停止しているわけではない。A16zが支援するSandbox VRは、ロサンゼルスとサンフランシスコ(これらの市ではほとんどのエンターテインメント施設の閉鎖を義務付けている)の施設を一時的に休業したが、米国のその他の地域ではウェブサイトでの予約受付を続けている。TechCrunchは同社に連絡を取り詳細を確認している。

全米の地方自治体が不要不急のビジネスの一時閉鎖を推奨していることから、広範囲にわたる営業停止は驚きではなく、中でもエンターテインメントビジネスは真っ先に影響を受けている。AMCとRegalは3月16日に、米国の全劇場を一時閉鎖すると発表した。

関連記事:AMC will close all US theaters for six to 12 weeks

位置情報ベースVRのスタートアップ各社は、ここ1年厳しい状況に直面している仮想現実業界の中で、耐久力の高い企業だ。Sandbox VRは8200万ドル(約87億8800万円)以上の資金を投資家から集め、Dreamscape Immersiveは3600万ドル(約38億5800万円)、The Voidは2000万ドル(約21億4300万円)をそれぞれ調達している。

これらのスタートアップのほとんどが、ゲームコンテンツを開発あるいはライセンスして、ユーザーが予約してタイトルを試す環境を提供している。彼らの成功は、大々的に売り出されながら当初の期待を大きく裏切る結果になった消費者向けVRヘッドセットとは無関係でいたことも大きな理由だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ARヘッドセットメーカーMagic Leapが身売りを熱望、売却希望価格は約1兆円

AR(拡張現実)ヘッドセットメーカーのMagic Leap(マジック・リープ)は物理法則と格闘し、商品の展開に失敗した。そしていま身売り先を探しているが、BloombergのEd Hammond(エド・ハモンド)氏の記事によると、Facebook(フェイスブック)そしてJohnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)との話し合いは実を結ばなかった。

Magic Leapはこれまでに20億ドル(約2100億円)を調達し、バリュエーションは一時60億〜80億ドル(約6300〜8400億円)あったが、「もし商品の発売を追求したら100億ドル(約1兆円)超のバリュエーションになっていたかもしれない」とハモンド氏は買いている。この額は馬鹿げている。「プライドの高い企業が、たとえ実際の買収額がこれより低いものになるとしても、買収への関心を引き寄せるという望みをかけて戦略的にリークしたのかもしれない」というような数字だ。

スタートアップは上場する時に、バリュエーションを「細切れ」にされる。そして経済全体が新型コロナウイルスっで弱っている。ARは公共の場を避ける人々にとってVRよりもそう面白くは映っていないようだ。中古のARヘッドセットをデモで人々の顔に装着してもらうのは、未来が見通せない中で難しいことだろう。

高価で装着するのが奇妙なガジェットであるARアイウェア。消費者を引きつけるような使用方法を誰も考えついていない。スマホですでにARを利用でき、しかもスマホではARヘッドセットができないセルフィー撮影やビデオチャットができる。私は昨年Sundance Film Festival(サンダンス映画祭)でMagic Leapを試したが、かさばるハードウェアにぼんやりとした投影、狭い視野と、笑えるほどにひどい体験だった。

Apple(アップル)とFacebookがiPhone販売とNews Feedの売上を、より良いコンシューマーヘッドセット開発につぎ込んでいる。ARヘッドセットが広く受け入れられるようになるまで10年かかるとSnapchat(スナップチャット)のCEO、Evan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は考え、同社はそれまでのつなぎとなるメガネをつくった。Microsoft(マイクロソフト)のようなARライバルの製品ではより良いエンタープライズ体験ができ、接続もよく流通もいい。企業向けARスタートアップのDaqriは廃業した。

Magic LeapのCEOは初年に2300ドル(約24万円)のヘッドセットを100万台売ろうと考えていたが、その後販売予想を10万台に修正した。しかしThe InformationのAlex Heath(アレックス・ヒース)氏の記事によると、最初の6カ月で売れたのはたったの6000台だった。2014年のMagic Leapの1400万ドルの資金調達をGoogleがリードしたにもかかわらず、AlphabetのCEO、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はMagic Leapの役員を降りた。Business InsiderのSteven Tweedie(スティーブン・トゥウィーディー)氏とKevin Webb(ケビン・ウェブ)氏は、CFOのScott Henry(スコット・ヘンリー)氏とクリエイティブ戦略のSVP、John Gaeta(ジョン・ガエタ)氏がMagic Leapを去ったと報道した。そして同社は従業員を何十人も解雇した。同社はまた昨年Microsoftとの5億ドル(約530億円)の契約も失った。Apple、Google、そしてFacebookのCEOたちは買収について話し合うために2016年にMagic Leapの本部に足を運んだが、いずれも交渉には至らなかった。

ARアイウェアは未来の一部なのだろうか? おそらくそうだろう。そしてMagic Leapは価値があるのか? おそらく、幾分そうだろう。効率に執着するマーケットに何億ドルもの金をつぎ込むというのは同社にとって早すぎた。そして額としては少なすぎた。100億ドルという売却価格をつけるには、遠い将来の成功につながる、他社が真似できないような才能とテクノロジーをMagic Leapが持っていると、世界でも有数の大企業に確信させる必要がある。

巨額の買収に馴染みのあるFacebookがMagic Leapを買収しようとはしなかったという事実は何かを物語っている。これは何億ものユーザーのためのプロダクトでもなければ、急速に売上高を押し上げるものでもない。サイコロ博打のようなビジョンとタイミングによるギャンブルだ。Magic Leapが人々に使ってみたいと思わせるような、飛んでいるクジラや部屋の中の恐竜といったレンダリングをいつ現実のものにできるのかは不透明だ。

どんなことができるのかを示す、Magic Leapの初期のレンダリングの1つ

金額的なもの、そしてARヘッドセット実現のための幅広い需要が出てくるまでにまだ時間があることから、人材の獲得や開発時間の短縮を目的とした買収が考えられる。もし誰かがMagic Leapをかなりの額で買収するなら、すぐ帳消しにするかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi

Oculus Riftのベストゲーム「Asgard’s Wrath」を制作したSanzaru GamesをFacebookが買収

Facebookは2019年に立ち上げたVRハードウェアを、自らの投資で制作したVRソフトで肉付けしていく気だ。

同社は米国時間2月25日、ベイエリアのVRスタジオSanzaru Gamesを買収したことを発表した。Sanzaru Gamesの「Asgard’s Wrath」は、多くの熱心なファンがOculus Riftのベストゲームというタイトルだ。買収の条件は公表されていないが、米国とカナダにあるオフィスはそのまま仕事を続け、社員の大多数は海外から来るとFacebookは言っている。

創業13年のゲームスタジオはこれまで、Oculus Rift用に4つのタイトルを制作しているが、「Asgard’s Wrath」と「Marvel Powers United VR」は、Oculus Studiosが一部の資金を出している。Sanzaru Gamesには、ゲーム機やモバイル用のタイトルも多く、自社のIPのほかにSonicやSpyroのようなプロパティをライセンスされたものもある。

Facebookは2019年11月にBeat Gamesを買収しているが、今回のSanzaru Gamesの買収もやはり、VRゲームスタジオに対するFacebookの継続的な関心のあり方を示している。つまりFacebookは、ゲームスタジオをサポートしながらも彼らが自らの関心に合わせて独立して運営できるようにしている。Beat Gamesの「Beat Saber」はどちらかというとマスマーケット向けのタイトルだが、Sanzaru Gamesの「Asgard’s Wrath」は長編の一人称アドベンチャーで、本格的なゲーマーを狙っている。

FacebookのVRへの投資はすでに数十億ドル(数千億円)に達しているが、同社はOculus QuestやOculus Rift Sといった2019年にリリースした自社ハードウェアを軸にして、コンテンツのエコシステムを築こうとしている。この方向にある投資の勢いは、今後も衰える気配はない。

関連記事: Facebook buys VR studio behind Beat Saber…FacebookがBeat SaberのVRスタジオを買収(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

HTCがProject ProtonとViveのコンセプトヘッドセットを公開

モバイル界のほぼ全員がそうであるように、MWCの突然の中止によってHTCは見捨てられるかたちになった。HTCの本来の事業は、スマートフォンからは遠く離れているのだが、この台湾のメーカーは、磨き上げたVR技術を披露する場所としてMWCを利用していた。

今回、HTCはCosmos(コスモス)ラインアップにいくつかの主要な単品製品を加えたのだが、MWCの穴を埋めようとヘッドセットのコンセプトモデルも公開した。Project Proton(プロジェクト・プロトン)は、現行のかさばるViveヘッドセットとはずいぶん違うものになっている。どちらかと言うと、Magic LeapのARヘッドセットを流線型にしたような感じだ。

いかにも「コンセプト」といったデザインだが、HTCも、まさに研究室で開発段階にある技術実証用プロトタイプだと話してくれた。だが「そのいくつかのバージョンは今でも製品化できる」とのことだった。いろいろある中で、特にマイクロディスプレイの研究が、この手のデバイスに求められるコンパクト化と軽量化に寄与している。だが、消費者向けデバイスとして、ヘッドセットの利用頻度がスマートフォンの画面と比べて限定的であることを考えると、最初はこの技術によって価格が押し上げられることも予想される。

HTCには、コミュニティーにもよく検討して意見を出してほしいと願っている懸案がある。現在この製品には2つのバージョンがあり、どちらにするか流動的な状態にある。ひとつはオールインワン型。すべてをヘッドセットで処理する。もうひとつは「オールインツー」型。ヘッドセットとスマートフォンなどのデバイスとケーブルで結ぶものだ。なぜ5Gストリーミングを採用しないのかを尋ねるとHTCは、基本的に携帯電話の電磁波の悪影響を大変深刻に心配する立場にあるのだと答えてくれた。5G送受信機をユーザーの頭に巻きつけるような製品は出したくないという。

この技術は、HTCの複合現実(XR)に対する強い興味から生まれたものでもある。さらにCosmos XRも見せてもらった。この装置は、周囲の現実世界を見るためのパススルーカメラを備えたフェイスプレートで構成されている。周囲の映像に画像を重ねる方式とは違う伝統的な(と言ってもいいと思うが)ARとは違う。合成映像によってより現実的な質感が得られるのだ。

現在この装置は、開発者をターゲットにしている。未来のARコンテンツを制作してもらうためだが、VRコンテンツを開発しながらキーボードなどの現実のツールを同時に見られる環境を提供するためでもある。ここからHTCは、ゲーム用と業務用の、仮想会議やテレワークなども含むARとXRの開発が進むことを期待している。

Cosmos XRには、スタンドアローンのヘッドセットと、既存のCosmosヘッドセットで使えるモジュラー型フェイスプレートの2つのタイプがある。詳しい内容は3月16〜20日に米国サンフランシスコで開催されるGDC(Game Developers Conference)で公開される予定だ。

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(翻訳:金井哲夫)

xRスタートアップのバルスがVTuberとARを組み合わせた謎解きイベントをラゾーナ川崎で開催中、好評につき期間延長へ

VRやARなどのxRテックのサービスを開発・提供するバルスは、神奈川県川崎市にある大型ショッピングモール「ラゾーナ川崎プラザ」で、AR空間に出現するバーチャルアーティスト(VTuber)からヒントをもらい、謎を解いていくという期間限定イベントを開催中だ。「ナゾトキバレンタイン」というタイトルで当初は2月16日までの開催予定だったが、好評につき3月1日までの延長が決まった。

バルスは、2018年1月設立のスタートアップ。池袋の映画館や渋谷のライブハウスなどで、バーチャルタレントの公開ラジオやライブを開催するなど人気を博している。バーチャルタレントはライブを開催する際、同社所有のスタジオで高精度なカメラを利用したモーションキャプチャーによってダンスや歌をパフォーマンスする。そのほか、小型カメラとPCだけで身体の動きを捕捉してバーチャルアーティストと連動させることが可能な「どこでもVTuber」、東京・銀座でバーチャルタレントが「ママ」として接客する会員制スナック「バーチャルスナック」をオープンするなど、xRを活用したさまざまなサービスを展開している。

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ナゾトキバレンタインをプレイするには、謎解きキットとAR対応のスマートフォン、スマートフォンに接続するイヤフォン、同社が無償配布している「SPWN AR」アプリが必要だ。

謎解きキットは、SPWN公式サイトで事前購入、もしくはポップアップストアの「SPWN Store」で当日購入する必要がある。価格は2800円。

ポップアップストアは、2月16日まではラゾーナ川崎プラザの2FのPLAZA East、2月17日〜3月1日までは同じくラゾーナ川崎プラザの5Fにある109シネマズ川崎に設置される。謎解きに登場するのは、バルスに所属するバーチャルアーティストである、風宮 祭、夜子・バーバンク、銀河アリス、MonsterZ MATEのコーサカとアンジョーの4組。

キットには、暗号(ナゾ)を解くためのキーワードを書き込む用紙などが入っており、暗号がわかったらバルスが無償配布している「SPWN AR」アプリにそのキーワードを入力すると、次の暗号の手がかりとなる動画を見られる。キーワードがわからない場合に備えて、ヒント動画も用意されている。

暗号を解く手がかりは、ラゾーナ川崎プラザ内のほか、VTuberの知識を動画で理解、SPWN AR内の動画を見るといった3つ方法がある。暗号は全部で5つあり、すべてを解き明かすっとエンディングのキーワードをわかるようになっている。なお、クリア画面をポップアップストアのスタッフに見せると、クリア特典として特別なARマーカーがもらえるほか、特典動画を見られるようになる。

このイベントは2月7日から開催されていたが、初日から謎解きキットを買い求める来場者が列を作るなど大好評を得ていた。謎解きイベント自体はショッピングモールや街中など各地で開催されているが、ARとバーチャルアーティストを使った新しい謎解き体験ということで、来場者の興味を引いたようだ。バルス所属のバーチャルアーティストのファンだけでなく、一般来場者も謎解きに参加していた。

 

アップルが高速プレビュー機能「Quick Look」を拡張、AR中で購入可能に

前から気になっているあのソファは、うちのリビングに合うのだろうか?

10年前のキャッチフレーズを引っ張り出せば、「そのためのアプリがあります」(There’ an app for that)。今なら山ほどそんなアプリがある。家具を部屋に置くとどんな風になるかをこの目で見ることは、拡張現実の典型的な利用例であり、専用アプリでそれをやっている小売店は少なくない。

しかし買いたいと思っても、例えばSafariであちこち見て回っている人に、その場でアプリをダウンロードさせるというのは大きな障壁だ。

そんなケースを想定して、Apple(アップル)は去る2018年に、「これを見ましょう、ただしあなたの部屋で!」のコンセプトをiOSとiPadOSに直接組み込む機能を導入した。

それはQuick Lookと呼ばれ、ユーザーはすでに持っているSafari、メッセージ、メールなどのアプリの中でインスタント/ワンタッチAR体験ができるようになる。小売店が3DモデルをPixarと共同開発したUSDZファイルフォーマットで提供すると、アップルがARKitを使ってレンダリングし、現実世界に重ねる。スケーリンク、ライティング、シャドウなどはすべてアップルが処理してくれる。

ただし、当初Quick Lookはほんとうにそれだけの見るためだけの機能だった。ARで商品を見ることはできるが、それがすべてだったのだ。そこで同社はコンセプトを少し拡大し、デベロッパーはカスタマイズ可能なボタンを載せられるようにした。たとえば購入ボタンなら、Apple Payのプロンプトをその場でポップアップさせる。ほかにも店がやりたいどんなシングルアクションとも結び付けられる。例えば、カスタマーサポートとのチャットを起動して、顧客が色の選択について質問する、あるいは、在庫のある実店舗を紹介して実際に見に行かせることなどができる。

さらに同社は、Quick Lookでスペーシャルオーディオをサポートして、iOS、iPadOSの最新デベロッパービルドで密かに公開し、3Dモデルから音を発せられるようになった。オモチャからピッピー、ブーブー音が聞こえたり、スピーカーから音楽が聞こえてくるなど、部屋にバーチャルに置かれたあらゆるものから音が聞こえてくる。部屋を歩き回ると音も合わせて変わっていく。

内蔵ARツール自身にユーザー体験を直接追加することは、小さなことに思えるかもしれないが、実はこれが興味深い。2018年にHouzzのCEOであるAdi Tatarko(アディ・タタルコ)氏は、彼らのARツールのユーザーは、購入する可能性が11倍高いと発言した。またBuild.comは、ARで商品をチェックアウトした人は返品率が22%低いことを発見した。

ARはモバイル購入プロセスにおいて明白な利点をもっている。しかし、これを活用するには簡単に使えて、素早く自然に動作しなければならない。手順に障壁があればあるほど、購入前に脱落する人が多くなるからだ。

アップルは昨年のWWDC(世界開発者会議)でこの機能のプレビューを公開した。そして今週、Home Depot(ホーム・デポ)、Wayfair(ウェイフェア)、Band & Olufsen(バングアンドオルフセン)、1-800-Flowersといった大手小売業者がそれぞれの実装を公開する。もし売上や返品の数字が改善されるという上の話が本当なら、今後は主要小売業者の間でかなり一般的になると私は予想する。それと同時に、ARもメインストリームへの大きな一歩を踏むことになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Glassはエンタープライズ用のバージョン2で生き残りを目指す

Google Glassの登場は時期尚早だった。もちろん外でそれを身に着けていたら、イカれた人物として目立ちすぎるというのはあるが、まだ世の中はウェアラブルの拡張現実を受け入れるほど成熟していなかったのだ。しかし、この珍品はEpson(エプソン)やMicrosoft(マイクロソフト)などのおかげでエンタープライズアプリケーションの世界に蘇っている。

Googleもその波に乗る気だ。昨年5月に同社は、GlassのEnterprise Editionのv2を発表した。そして米国時間2月4日、同社はデベロッパーがヘッドセットを数社から入手できるようにした。昨年Google Xを卒業したこのAndroidデバイスは、ちょっとだけデザインをすっきりさせたが、Glassの最初期のバージョンにとてもよく似ている。

関連記事:ハードウェアをアップデートしたGoogle Glassの新モデルが登場

最初のモデルから7年が経ち、今やそのGlass Enterprise 2は決して安くない。パートナーのサイトでは1000ドル(約11万円)で販売されている。また、カードのテキスト表示や画像、QRスキャナーなどのアプリケーションもある。

上の記事で筆者のLucas(ルーカス)が書いているように、Glassのシステムは最近のHoloLensなどに比べると貧弱だ。HoloLensとは異なり、XRを楽しむようにはできていない。使い勝手はいかにも軽いので、それが求められる用途もあるだろう。例えば、土木建設の現場などでは、その場に応じた情報を現場作業員に伝えることができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa