レシートが1枚10円にかわるアプリ「ONE」公開、17歳起業家が新たに目指すのは“次世代の金券ショップ”

突然だがTechCrunch読者のみなさんは買い物をした際に渡されるレシートをどうしているだろうか?

面倒くさがりな僕はたいてい「レシートはけっこうです」と言ってもらうことすらしないのだけど、家計簿に記録するために丁寧に保管している人もいれば、なんとなく財布の中に溜め込んでしまう人、すぐに捨ててしまう人などそれぞれだろう。

そんなレシートは多くの人にとって日々の買い物(支出)の記録以上の価値はないかもしれないけれど、もしかしたら他の誰かからすればお金を払ってでも買う価値のあるものなのかもしれない。

前置きが長くなってしまったけど、ワンファイナンシャルが6月12日に公開した「ONE」はまさにそのような世界観のサービス。どんなレシートでも1枚10円に変わってしまうというものだ。

レシートが1枚10円になるカラクリ

「きっかけはスイスの友人から現地の小銭をもらったこと」——ワンファイナンシャルCEOの山内奏人氏によると、この出来事がONEのひとつのテーマでもある“価値の非対称性”に着目する契機になったという。

「日本にいる自分にとってはスイスの小銭もただの金属の塊と変わらない。その時に自分にとっては価値がないけれど、他の誰かには価値があるものが面白いなと思った。普段多くの人が日常的に使っているもので同じような例はないか考えた時に浮かんだのが、レシートだった」(山内氏)

先にいってしまうと、ONEはユーザーから「レシートという形をした決済データ」を買い取り、そのデータを手に入れたい企業に販売していく構造になっている。

近年パーソナライズという言葉が頻繁に使われるようになったように、大まかな統計データではなく個人個人の消費傾向を把握し、個々に最適な提案をすることが求められる時代だ。だからこそ「どんな人がどのタイミングで、どのような商品を買っているのか。その商品と一緒に買っているものは何か。といった購買データに価値がある」と山内氏は話す。

ONEの機能はシンプルで、ユーザーはアプリからレシートの写真を撮影するだけ。買い物の金額や購入した商品数などの違いはなく、どんなレシートも1枚10円に変わる(アプリ内のウォレットに10円が振り込まれる)。

ユーザー1人あたりが1日に撮影できるレシートは10枚まで。アプリ内に貯まったお金は300円から出金でき、メガバンクを始め国内ほぼ全ての民間金融機関に対応しているという。利用料等はかからないが、出金時の手数料200円についてはユーザーの負担となる。

出金時には本人確認が必要になるため、ONEの運営側から見ればこのタイミングで大まかな属性データが取得できる。これを送られてきたレシートのデータと合わせて、決済データが欲しい企業へ提供していく仕組みだ。

レシートからは金銭感覚や消費傾向がわかるため、マネタイズの方法としては取得したデータを純粋に企業へ売っていくというのがひとつ。そしてもうひとつ、特定のユーザーにクーポンを配信することで送客をするモデルも考えているという。

目指すのは次世代の金券ショップ

ワンファイナンシャルについては、同社が1億円の資金調達を発表した2017年10月に一度紹介している。当時16歳ながらすでに複数のサービス立ち上げを経験していた山内氏は、スマホ1台あれば数分でカード決済を導入できるアプリONE PAYを手がけていた。

その後ONEPAYMENTへと名前を変えサービスを伸ばしていたが、それに伴い不正利用も増加。2018年4月には不正利用リスクが原因でStripe社から出金APIの利用を止められ、サービスを停止せざるをえない状況に陥った。

一時は再開したものの不正利用のリスクは消えない。山内氏が「多くのユーザーに使ってもらっていたので申し訳ない気持ちはあったが、そのままの形で続けるのは難しかった」と話すように、最終的にはサービスの継続を断念。ユーザーへサービスの終了を通知していた(6月29日に決済機能を停止し、7月31日に出金を含むすべてのサービスを停止)。

ONEPAYMENTはクローズすることになったが、決済データを活用したビジネスへの関心や、新しい金融の仕組みを作りたいという気持ちは変わらなかったという山内氏。上述の通りスイスの小銭がひとつのけっかけとなって、新しいサービスを立ち上げるに至った。

ONEについてはどのような使われ方をされるのか予想できない部分もあるというが、将来的には「次世代の金券ショップのようなものを作っていきたい」という構想を持っているようだ。

「多くの人にとってレシートはものすごく身近なものでもあるので、まずは第一弾としてレシートから。いずれはたとえばギフト券など、もっと多くのものを扱えるようにしたい。データがたまっていけば、与信スコアのような形でレシートの買い取り価格を変えたり、レンディングなど別の展開も考えられる。ここを中心に新しい金融の仕組みを作れるように、サービスを作りこんでいきたい」(山内氏)

外国人が自国語で医師に相談できる「UrDoc」、7月公開を前に医師向けアプリのベータ版を公開

TechCrunch読者の中には、海外で体調が悪くなったり、けがをしたりして不安になった経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。症状や自分の状態を外国語で伝えるのはなかなか難しいことだ。それは海外から日本に来た、日本語に通じていない人も同じこと。「UrDoc(ユアドク)」は日本に滞在する外国人が急な体調不良やけがに見舞われたとき、アプリを通じて自分が慣れ親しんだ言語で医師に相談できるサービスだ。

UrDocを開発するサーティーフォーは6月11日、7月のサービス正式公開に先駆け、相談を担う医師のための専用アプリ「UrDoc for Dr.」ベータ版を公開した。

UrDocでは、ユーザーのリクエストに応じて、登録した医師がそれぞれの空いている時間にオンラインで相談を担い、収入を得ることができる。ユーザーは相談に使った時間あたりの従量課金で費用を支払う。サーティーフォーはそのうちの一定の割合を手数料として得る形だ。

登録医師は、UrDocの審査にパスした現役の医師。2018年2月からクローズドで実施されてきたUrDocのアルファ版では、10名前後の医師と、協力するホテルの宿泊客などを対象に実証実験が行われてきた。

サーティーフォーのヘルステック事業担当者によれば、アルファ版の評判は上々で、外国人ユーザーから「助かった」との感謝の声や、以前滞在していた時に子どもが具合が悪くなった経験を持つ人から「こういうサービスを待っていた」との感想も届いているそうだ。また意外にも、日本人で本当に具合の悪い人が利用したケースで「医者がなかなか見つからなかったので役に立った」との声もあったという。

医療相談アプリでは、TechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した「小児科オンライン」や、1月に1.5億円を調達したiCAREの「Carely」など、いくつかのサービスが既にある。UrDocは多言語対応している点と、事前予約や月額での利用登録不要で、必要なときに必要なだけ、リアルタイムに利用することができる点が特徴となっている。

サーティーフォーでは今後、当面は多言語対応を基本としてサービスの整備を進める予定だ。そして次のフェイズでは日本語での相談や、日本から海外へ出かける日本人への医療相談などにもサービスを展開していきたい、としている。

サーティーフォーは神奈川県相模原市に本社を置く、総合不動産業を営む企業。2017年4月より業務多角化の一環としてヘルステック事業部を新設し、UrDocの開発に当たってきた。2017年10月には経済産業省のベンチャープログラム「飛躍 Next Enterprise」でシリコンバレーコースに採択されている。

古い家電もスマート化するIoTリモコン「Nature Remo」に低価格モデルが登場

家電をインターネットに接続してスマホアプリ経由で操作できる、Natureのスマートリモコン「Nature Remo(ネイチャー リモ)」。その機能を絞って価格を抑えた「Nature Remo mini(ネイチャー リモ ミニ)」が発表された。6月11日より予約受付を開始、正式発売は6月下旬〜7月上旬を予定している。

以前もTechCrunchで紹介した発売中の上位機種Nature Remoは、温度・湿度・照度・人感センサーを備えた家庭用のIoTプロダクトで、専用のスマホアプリを使って、エアコンをはじめとした家電のリモコン操作を戸外からも行える。また、Google HomeやAmazon Echoと連携して声で家電を操作することも可能だ(以前の記事ではIFTTTを利用する方法を紹介していたが、現在は直接設定ができるようになっている)。

新製品のNature Remo miniは、温度センサーのみを搭載することでコンパクトなサイズとなった。価格もNature Remoが1万3000円のところ、Nature Remo miniは8980円となっている。また現在は数量限定の特別価格、6980円で予約を受け付けている(価格はいずれも税抜)。

Nature Remo、Nature Remo miniでは、スマホアプリとのペアリング、Wi-Fi設定、リモコンの学習(製品に向けて家電の赤外線リモコンを発信し、信号を認識させる)といった設定をすれば、アプリ経由でリモコンの操作が可能になる。旧式のエアコンやテレビであっても、リモコンで動くものであれば「スマート家電」化することができる点がミソだ。

Natureではさらに、iOS版アプリのリニューアルを6月下旬に、Android版を7月中旬に予定している。リニューアル後は、Nature RemoやNature Remo miniのセンサーを使ったルールの設定が可能になるという。これにより例えば「温度が25度を超えたらエアコンをつける」といった自動制御もできるようになる。また複数家電を一括で操作する「シーン機能」も追加される予定だ。

義足テック、法律×IT、ランチの事前予約・決済——東大IPC起業支援プログラムの新たな支援先が決定

東京大学の投資事業会社としての活動を通じて、大学周辺でスタートアップ・エコシステムの構築を目指している東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)。同社は6月11日、現役の東大生や卒業生などの大学関係者や、東大関連ベンチャーを支援する「東大IPC起業支援プログラム」の新たな支援先を決定したことを明らかにした。

2回目となる今回のプログラムで新たに支援先として選ばれたのは、3Dプリンティングと機械学習技術を活用した義足を手がけるインスタリム、自然言語処理技術に基づく法律業務の支援サービスを開発するLegalscape、ランチの事前予約・決済サービスを提供するダイニーの3社だ。

インスタリム : テクノロジーの活用で低価格・高品質な義足を開発

インスタリムは3Dプリンティングと機械学習テクノロジーを組み合わせることで、価格と納期を従来の約10分の1に抑えた新しい義足を開発するハードスタートアップだ。

代表取締役CEOの徳島泰氏は大手医療機器メーカーでAEDや医療系ソフトウェアの開発に従事した後、青年海外協力隊としてフィリピンに2年半滞在。そこで糖尿病が原因で足を切断し、義足を必要とする人が多いことを知ったという。

一般的な義足は職人が自身のノウハウを活用しながらアナログな手法で製作するため、1本あたり2〜3週間の時間がかかる上に費用も30万以上。お金に余裕がない家庭でないととても手に入らないものだった。

インスタリムの開発する仕組みでは3Dプリンタを活用することで材料費や設備費、制作納期を大幅に抑え、1本あたり3〜5万円で提供することが可能だという。また患部データの状態と、フィッティング後のデータを機械学習にかけることで、作れば作るほど高精度の義足を製作できる仕組みを構築している。

現在はフィリピンで実証実験を進めている段階。まずは発展途上国を中心に事業を展開する方針だ。

Legalscape : 自然言語処理技術を用いたリーガルテックサービスの開発

Legalscapeが取り組むのは、法律の専門家でなくても法的な問題に直面した際に解決の糸口を見つけられるようなサービスの開発だ。

代表取締役の八木田樹氏は東京大学でコンピュータサイエンスを先攻。そこで培った経験をビジネスに活用できないかと模索した結果、親族に法曹関係者がいて身近であり、IT化も進んでいなかった法律領域に的を絞ったのだという。

在学中の研究を生かした判例検索サービスが、2017年度の経済産業省IPAの未踏アドバンスト事業に採択。現在は実現可能性を調査しながら新たなプロダクトの開発も進めているそうだ。チームは八木田氏とマイクロソフト出身の2名によるエンジニア3人体制。自然言語処理技術を含めコンピュータサイエンスの技術を生かしたリーガルテックサービスを目指す。

ダイニー : ランチの事前予約・事前決済サービス

現役東大生4人が開発する「ダイニー」はランチを事前に予約、決済することで、列に並ぶ手間やレジで会計をする手間をなくすサービス。

ここ最近TechCrunchでも「PICKS」や「POTLUCK」といったテイクアウトの事前予約・決済サービスを紹介したけれど、ダイニーの場合は実際に店舗でランチを食べる際のストレスを減らしてくれるものだ。

2018年2月に本郷エリアでテスト版をリリース。現在はβ版という形で六本木エリアで9店舗、本郷エリアで13店舗の飲食店で利用できる。代表取締役の山田真央氏によると、まだ店舗が少ないため利用者の数は限られているが、一度使ったユーザーの継続率は高いという。今後は人気店を含めた飲食店の開拓が、事業を拡大していく上での鍵となりそうだ。

山田氏はメルカリやDeNAなどでインターンを経験した後、自らサービスを立ち上げた。一度は別のプロダクトを作っていたそうだが、リリース後ほとんど使われなかったため方向性を転換。あらためてチームで解決したい課題を約120個リストアップした結果、ダイニーの元となるランチタイムの問題に取り組むことを決めたという。

過去の採択チームからは2社が資金調達済み

東大IPCでは1号ファンドを通じてシード・アーリーステージの東大関連ベンチャーを支援する複数のVCへのLP出資に加え、ミドルステージ以降の東大関連ベンチャーへ直接投資もしてきた。

具体的には現時点でUTEC(東京大学エッジキャピタル)など6つのVCファンドへ出資、バイオベンチャーのタグシクス・バイオ資金調達時に紹介したスマートアパレルを展開するXenomaなど4社に投資しているという。

今回の東大IPC起業支援プログラムはこれらの投資活動を補完する取り組みのひとつという位置付け。VCなどから出資を受ける前のプレシード段階にあるスタートアップや、起業の前段階にあるグループに対して市場調査資金の提供や経営面のサポートをすることで、さらなる事業展開や資金調達の実現を目指している。

今回採択されたチーム以外にこれまでに3社が採択されていて、2017年12月に紹介したヒラソル・エナジーを含む2社はすでに資金調達を実施済みとのことだ。

VTuberになれるアプリ「ホロライブ」提供元が2億円を調達、今後はVTuber版「SHOWROOM」の開発も

バーチャルYouTuber(VTuber)向け配信サービス「ホロライブ」を提供するカバーは6月8日、グリーベンチャーズ、オー・エル・エム・ベンチャーズ、みずほキャピタル、個人投資家の千葉功太郎氏を引受先とした第三者割当増資により総額約2億円を調達したことを明らかにした。

同社では調達した資金をもとに専属VTuberのマネージメント体制の強化、ホロライブの開発強化を進める方針。なお今回のリード投資家であるグリーベンチャーズの堤達生氏がカバーの社外取締役に就任する。

もともとホロライブはVRデバイスを用いて3Dキャラクターを自由に操作し、インタラクティブな番組を配信できるライブ配信サービスとして2017年12月にリリースされたサービス。当時TechCrunchでも紹介している。

カバー代表取締役の谷郷元昭氏も「(サービスローンチ前は)VTuberの流れがまだできていなかったので、サービスの説明をしてもIT業界の人はポカーンとしていた」と話すように、2017年末から2018年にかけて日本国内でVTuberがトレンドに。

カバーでは当初LINE LIVEや17 Liveでのライブ配信をメインにしていたが、徐々に録画したコンテンツをYouTubeに配信するなどしながら事業を拡大してきた。

ホロライブのアプリ自体もスマホやPC、HTC Viveを使ってキャラクター(Live2Dと3Dに対応)になりきり、動画やライブを配信できるVTuber向け配信サービスとしてアップデートしている。

「ブログが普及して『出版革命』が起き、一般の人でも自分の文章やコンテンツを発信できるようになった。同じようにこれまで3DCGのアニメーションを作るのは難しかったが、それが簡単になり誰でもキャラクターになりきって動画やライブ配信ができるようになってきている」(谷郷氏)

またカバーではホロライブの開発に加えて、専属のVTuberをマネージメントする「VTuber事務所」のような機能も持つ。現在は約15万人のチャンネル登録者をかかえる「ときのそら」や「ロボ子さん」を展開するほか、6月1日には6人の専属バーチャルYouTuber「ホロライブ一期生」がデビューしている。

引き続き配信プラットフォームであるホロライブと専属VTuberのマネージメントがカバーの軸となるが、VTuberとして活動したい個人を支援するプラットフォームとして、今後は自社でコンテンツの視聴までできる仕組みも作っていきたいという。

「それこそVTuber版の『SHOWROOM』のようなプラットフォームを作れないかなと考えている。(カバーでは)今まで配信する仕組みだけを作っていたので、視聴まで完結できるような環境を整えたい」(谷郷氏)

カバーは2016年6月の設立。これまでも2017年8月にみずほキャピタル、TLMおよび個人投資家数人を引き受け先とした総額約3000万円の資金調達を実施している。

クルマを買えない世界の20億人を救う、新たな金融の仕組みーーGMSが11億円を調達

自動車の遠隔起動デバイスを活用したプラットフォームを通じて、これまで金融にアクセスできなかった人たちに向けた新たな金融サービスを提供しているGlobal Mobility Service(GMS)。同社は6月8日、イオンファイナンシャルサービスなど10社を超える東証一部上場企業から11億円を調達したことを明らかにした。

今回GMSに出資した企業は次の通り。

  • イオンフィナンシャルサービス
  • 川崎重工
  • 凸版印刷
  • 大日本印刷
  • 双日
  • G-7 ホールディングス
  • バイテックグローバルエレクトロニクス
  • そのほか非公開の一部上場企業

各企業とは資本業務提携を締結し、事業の拡大へ向けて取り組んでいくという。なお同社は2017年4月にもソフトバンク、住友商事、デンソー、クレディセゾン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、SBI インベストメントなどから総額約7億円を、2015年8月にもSBI インベストメントから3億円を調達している。

与信審査の概念を変える新たなファイナンスプラットフォーム

GMSが取り組んでいるのは、既存の与信審査の仕組みでは自動車を手に入れることのできない人達を救うためのデバイスとプラットフォームの開発だ。

同社代表取締役の中島徳至氏によると「リースやローンといったモビリティファナンスが利用できない人が世界に20億人いる」とのこと。特に新興国では劣化した車両を長年使い回すことにもつながり、騒音や排気ガスといった新たな問題の原因にもなっているという。

前回の調達時にも紹介したとおり、GMSでは自動車を遠隔から起動制御できる車載IoTデバイス「MCCS」を開発。月額の料金支払いがないユーザーの自動車を遠隔で停止、位置情報を特定できる手段を作ることで、従来とは異なる新しい金融の仕組みを構築した。

これまでの与信審査を省略することで、より多くの人が自動車を手に入れるチャンスを掴めるようになる。

中島氏によると、現在GMSのサービスは2000台を超える車で利用されていて、毎月導入台数が200台ペースで増えているとのこと。中心となっているのはフィリピンの三輪タクシーで、日本やカンボジアでもすでに事業を展開している。

最近フィリピンではGMSの仕組みを利用して三輪タクシーを手に入れたユーザーが、1回目のローンを完済した上で、次は自動車を入手するべく2回目のローンを組む事例も増えているそう。新たなエコシステムが生まれてきているだけでなく、三輪タクシーから車に変わることで金額も一桁変わるため、ビジネス上のインパクトも大きい。

日本でも年間約190万人がローンやリースの審査に通過できないと言われている。従来は金融機関が保証会社を通じて審査をするのが一般的だったが、GMSの仕組みを使って自分たちでやってしまおうという企業もでてきた。

すでに西京銀行やファイナンシャルドゥとは業務提携を締結済み。今後も金融機関やメーカー系のディーラーと連携を深めていくという。

「今までは台数を重視するというよりも『この仕組みでビジネスが成り立つのか、そもそもユーザーからニーズがあるのか』を検証しながら関係者とのパートナーシップを進めてきた。結果として新興国のファイナンスではデフォルト率が15〜20%が一般的と言われている中で、(GMSでは)1%以内に押さえることができている」(中島氏)

事業会社10数社とタッグ

これまでは技術開発と市場開発に加え、金融機関からの理解を得るために話し合いや実証実験に時間を費やし、少しずつ体制が整ってきたという。たとえば今回出資しているイオンファイナンシャルサービスとは実証実験からスタート。手応えがあったため資本業務提携に繋がった。

同社以外にも今回のラウンドには東証一部に上場する各業界の事業会社が10社以上参加している。GMSによると「国内Mobility、IoT、FinTech の各業界における未上場ベンチャー企業の中では最多」とのことで、各社とは業務提携を締結し事業を推進していく方針だ。

「たとえば初めのベンチャー投資となる川崎重工は、GMSの中で最も取り扱いの多いバイクを開発している企業。今後はタッグを組むことでさらにサービスの価値を向上させていきたい。また当社の事業において『セキュリティや個人認証』が大きな鍵となる。凸版印刷や大日本印刷とはお互いのナレッジやリソースを活用しながらサービスを強化していく」(中島)

今回調達した資金をもとに、GMSでは組織体制を強化しプラットフォームの機能拡充とともに、ASEAN各国での事業開発を加速する計画。直近ではインドネシアでの展開を予定しているという。

「GMSが取り組んでいるのは『Financial Inclusion(金融包摂)』と呼ばれる、これまで金融にアクセスできなかった人たちをサポートする仕組み作り。その点では、導入台数を増やすというよりは、どれだけの雇用を創出していけるかを大事にている。20億人がローンを組めないという中で、まずは1億人の雇用を生み出せるようなサービスを作っていきたい」(中島氏)

ウォレットアプリの「Kyash」がリアルカードを発行、Visa加盟店舗で利用可能に

個人間で送金や請求ができるウォレットアプリ「Kyash」を提供するKyashは6月7日、全国のVisa加盟店で利用できるリアルカードの発行を開始した。

2017年4月に個人間で送金や請求が無料でできるアプリとしてスタートしたKyash。受け取ったお金はアプリ内で発行されるバーチャルカード「Kyash Visaカード」に貯まり、オンラインVisa加盟店での決済時や、モバイルSuicaにチャージすることでコンビニや交通機関などで利用できた。

そして今回のリアルカードの発行によりコンビニやスーパー、飲食店といった実店舗での決済時にもKyashを使えるようになる。以前TechCrunchでも紹介した通り、Kyashでは実店舗での決済対応を見据えて2018年3月にUIを刷新。5月にはGoogle Payに対応し、今夏以降は国内のQUICPay対応店舗で支払いができるようになることも発表したばかりだ。

また決済時にインセンティブを提供するプログラムも開始。決済金額の2%を翌月にKyashの残高としてキャッシュバックし、そのまま送金や決済に利用できるようにする。これはリアルカードの決済だけでなく、アプリ内で発行されたバーチャルカードでの決済も対象だ。

Kyashではウォレットアプリとしての使いやすさ向上を目指し、今後も機能追加や外部連携を進める方針。「キャッシュレス社会の実現に貢献するべく、サービスの拡大に努めてまいります」としている。

ウォレットアプリの「Kyash」がリアルカードを発行、Visa加盟店舗で利用可能に

個人間で送金や請求ができるウォレットアプリ「Kyash」を提供するKyashは6月7日、全国のVisa加盟店で利用できるリアルカードの発行を開始した。

2017年4月に個人間で送金や請求が無料でできるアプリとしてスタートしたKyash。受け取ったお金はアプリ内で発行されるバーチャルカード「Kyash Visaカード」に貯まり、オンラインVisa加盟店での決済時や、モバイルSuicaにチャージすることでコンビニや交通機関などで利用できた。

そして今回のリアルカードの発行によりコンビニやスーパー、飲食店といった実店舗での決済時にもKyashを使えるようになる。以前TechCrunchでも紹介した通り、Kyashでは実店舗での決済対応を見据えて2018年3月にUIを刷新。5月にはGoogle Payに対応し、今夏以降は国内のQUICPay対応店舗で支払いができるようになることも発表したばかりだ。

また決済時にインセンティブを提供するプログラムも開始。決済金額の2%を翌月にKyashの残高としてキャッシュバックし、そのまま送金や決済に利用できるようにする。これはリアルカードの決済だけでなく、アプリ内で発行されたバーチャルカードでの決済も対象だ。

Kyashではウォレットアプリとしての使いやすさ向上を目指し、今後も機能追加や外部連携を進める方針。「キャッシュレス社会の実現に貢献するべく、サービスの拡大に努めてまいります」としている。

ヤフーが実店舗でのQRコード決済サービスを開始、飲食チェーンなどでも順次導入へ

ヤフーは6月5日より、「Yahoo! JAPAN」アプリにおいてバーコード(1次元バーコード、QRコード)を活用した決済サービス「コード支払い」を開始した。

コード支払いは口座数が4000万を超える「Yahoo!ウォレット」の新機能という位置付け。ユーザーがアプリ上でバーコードを表示し、店舗の端末やレジに提示することで決済できる消費者提示型の決済サービスとなっている。

支払い方法はあらかじめ登録したクレジットカードと、コンビニや銀行口座などからチャージした「Yahoo!マネー」の2種類だ。

2018年秋には店舗側が提示したQRコードを、ユーザーがアプリで読み取って決済する店舗提示型の「読み取り支払い」も開始する。

同サービスではヤフーが保有する特許技術を用いて、ユーザーが任意の金額を入力して決済できる仕組みを構築。どのような商品・サービスの購入にも店舗ごとに一つのQRコードで対応できるようにするという。これにより加盟店は特別な設備投資が不要で、QRコードを店頭に掲示するだけで導入可能。小規模な店舗でも取り入れやすい仕組みを作る。

なおコード支払いの加盟店については、6月5日より福岡ソフトバンクホークスの「タマホーム スタジアム筑後」内のショップにて導入がスタート。今後は家電量販店の上新電機が展開する店舗や、白木屋や魚民など外食チェーンのモンテローザが運営する店舗での導入を予定している。

QRコード決済ではLINEが4月にQRコードで決済できるStayPay端末を開発するネットスターズと資本業務提携を締結。LINE Payを利用できる店舗を2018年内に100万店舗まで拡大する目標を掲げているほか、IT業界では楽天やOrigamiなどがサービスを展開している。

Microsoft、GitHubを75億ドルで買収へ――将来も独立の運営を約束、新CEOはXamrinの共同ファウンダー

今日(米国時間5/4)、MicrosoftはGitHubを75億ドル相当の株式で買収する計画を発表した。予想どおり、この発表は依然としてMicrosoftに対して反感を抱くメンバーが残るデベロッパー・コミュニティーに衝撃を与えている。今朝のカンファレンス・コールにはMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラ、XamarinファウンダーでGitHubのCEOに就任するNat Friedman、GitHubの共同ファウンダーでCEOを離任する予定のChris Wanstrathが出席し、Microsoftグループの一員となってからのGitHubの未来像を説明した。

ここで出席者全員が特に強調したのは、GitHubは今後も独立の企業として運営されるという点だ。これはMicrosoftがこれまでにLinkedInを買収したときのアプローチであり、順当といえる。しかしMicrosoftとしてはGitHubを本拠と考えるデベロッパーの多くが同社にネガティブなイメージを抱いていることを暗に認めたものとも考えられる。GitHubは今後ともオープンプラットフォームであり、いかなるデベロッパーであろうと自由に利用できることをMicrosoftは約束した。GitHubはあらゆるクラウド、あらゆるデバイスをサポートしていく。

GitHubの本質はまったく変わらないとした上で、当然ながら、MicrosoftはGitHubのエンタープライズ向けサービスを拡張し、自身やパートナー企業のセールスチャンネルに乗せていくことを発表した。ナデラは「GitHubはMicrosoftのデベロッパー向けツールとサービスを新しいオーディエンスに紹介していく」と述べた。

Nat FriedmanがGitHubの CEOに就任することで、同社は尊敬されているテクノロジー専門家をリーダーに迎えることができた。Friedmanが共同ファウンダーであるXamarinのMicrosoftによる買収は(少なくともわれわれの目から見て)成功を収めている。実際、私がFriedmanと話した感触では、XamarinがNovellからMicrosoftに移った結果について好感を抱いているように思えた。GitHubの将来についてもポジティブな見通しなのだと思う。

Microsoftの買収後、Friedmanはこのデベロッパー・サービスのチームの責任者となっている。Wanstrathは前任者がハラスメント・スキャンダルで失脚した後、CEOに就いたが、1年近く前から経営者のポジションを離れてもっと直接にプロダクトを開発する仕事をしたいと語っていた。Microsoftの買収でこれが実現したことになる。WanstrathはMicrosoftのテクニカル・フェローに就任し、「戦略的ソフトウェア・イニシアティブ」に携わるという。

今日の電話記者会見でFriedmanはMicrosoftがGitHubをオープンにしておくと約束したことを強調すると同時に、「われわれはさらに多くのデベロッパーとさらに多様な機能をGitHubにもたらしたい」と述べ、GitHubのサービスとコミュニティーを拡大していく計画を発表した。

私はカンファレンス・コールの後、Friedmanにインタビューした。Friedmanは「デベロッパー・コミュニティーには常に健全な懐疑の念があるものだ。しかし、ここ数年のMicrosoftの行動を詳しく検討すれば、本当の意味でオープンソース・コミュニティーの一員に変身したことが理解できるだろう」と述べ、デベロッパーがMicrosoftをそうした事実に基づいて評価するよう求めた。もちろん本当に重要な点はMicrosoftが今日の約束をどのように守るのかにある。

プロダクトそのものに関してFriedmanは。GitHubの本質はすべてデベロッパーの努力を助けるところにあるべきだと述べた。その手始めとして、クラウドの利用をさらに容易にすることに取り組むという。【略】

もうひとつ力を入れていく分野はGitHubのマーケットプレイスだ。Microsoftは同社のすべてのデベロッパー・ツールやサービスをGitHub Marketplaceに登録する。また当然ながらMicrosoftのオープンソースのエディター、Visual Studio CodeがGitHubに統合される。【略】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

新Gmail、来月から使えるように

Googleは今日、Gmailの新バージョンを一般向けに提供すると発表した。G Suiteユーザーは来月から利用できる。正確な日付は未確定だが、私の予想では間もなくとなるはずだ。

新Gmailでは、メッセージのスヌーズ、アタッチメントのプレビュー、カレンダーのようなGoogleアプリとTrelloのようなサードパーティーのアプリの両方で使えるサイドバー、オフラインサポート、一定の時間がたつと自動的に消滅する機密メッセージなどの機能が使える。またGmailオリジナルの機能として、ユーザーの文章入力を手伝うSmart Composeもある。

G Suiteユーザー向けの新バージョンがどんなものか以下に紹介しよう(Googleは一般ユーザー向けのものがどうなるのか詳細を明らかにしていない。しかしもしあなたがG Suiteユーザーでなければ、いずれにせよ今日新Gmailを試すことができるだろう。たとえそのチャンスを逃しても、G Suiteユーザーと似たようなタイミングで新バージョンに移行するはずだ)。

7月から、G Suite管理者は全ユーザーを新Gmailにすぐに移すことが可能になるが、各ユーザーは12週間移行しないという選択をとることもできる。そして期限がきたら全G Suiteユーザーは新Gmailを使うことになる。

管理者は各ユーザーに、それぞれのペースで新Gmailを試すことができるオプションを提供することが可能だが(デフォルト設定となっている)、これは4週間という期限つきで、その後は自動的に新Gmailとなる。

一般向けに提供が始まって8週間後、つまり9月のどこかで全ユーザーは自動的に新バージョンに移行する。この場合も、4週間の猶予が与えられる。

必要以上に複雑な設定となっているような気もするが、要約するとこうだ:新Gmailは来月から使えるようになるが、気に入らない場合は少し引き延ばせる。それでもやはり新Gmailが気に入らないという人は、残念ながらどんなにもがこうが新Gmailを使うことになる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

AppleのSiriはShortcutsツールでユーザーが簡単にコマンドを作れるようになった

Siriは長年、iOS上のもっともぶっ壊れたユーザー体験だった。Appleもその改良を口にすることは少なかったが、今回のWWDCで発表されたアップデートによりインタフェイスが改良され、ユーザーが自分のコマンドを作ったり、Siriからの早めのアップデートをもらいやすくなった。

Siriの提案機能でこのデジタルアシスタントは、ユーザーのビヘイビアから学ぶ。いつも決まった時間にコーヒーをオーダーしていると、Siriはその時間になると、そのことを提案する。会議に遅れそうだったら、Siriは連絡のメッセージを誰かに送るよう提案する。

今度登場したShortcuts(ショートカット)というアプリでは、ユーザーが“add to Siri”ボタンを使ってサードパーティのアプリを利用するカスタムコマンドを作れる。これによりユーザーは、たとえばKayakアプリのショートカットを使って、次の旅行の情報へジャンプできる。

これに関するAppleのプレゼンはかなり簡潔だったから、もっと詳しく知る機会がほしいね。Siriに対しては、いつも疑ってかかるのがベストだが、でもこれらのアップデートは、iOSだけでなくWatchやHomePodにとっても前向きの展開だろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

チャットボットの“スマホ店長”がバイトのシフト管理を半自動化する「CAST」公開

近年ビジネスの現場ではSlackやチャットワークのような、業務用のチャットサービスを活用するシーンが少しずつ増えてきた。特にTechCrunch読者のまわりではその傾向が強いのではないだろうか。

ただこれは僕自身もそうだったのだけど、数年前を思い返すとFacebookのグループやメッセンジャー、LINEのグループといった普段プライベートで使うツールがその役割も担っていたように思う。

今でもこれらのツールが業務で使用されるケースも多く、その典型例が飲食店なのだそう。つまり「お店とアルバイトとの連絡」を専用のLINEグループなどで行うのだけど、公私が分けられないなど抵抗を覚える人もいるという。

ビジネス用のチャットツールが現場のコミュニケーションを円滑にしたように、課題が残るお店とアルバイトのコミュニケーションも改善できないか。6月5日にhachidoriがリリースした新サービス「CAST(キャスト)」はまさにそのような思いから生まれたサービスだ。

アルバイトに関するすべてのことが完結するアプリを目指す

CASTは主に飲食店などを対象とした、店舗とアルバイトのコミュニケーションアプリ。チャット機能はもちろんのこと、店長やバイトリーダーにとって大きな負担となっていたシフト管理を、チャットボットのスマホ店長が半自動化する機能を搭載している。

5月21日にアルバイト向けの機能を先行リリース。自分のカレンダーと同期することでシフト管理が簡単にできるほか、登録した時給とシフトを元に給与を自動で算出できる環境を整備。またシフトの登録数などに応じてバッチがもらえる仕組みを導入し、ちょっとしたゲーム要素も加えている。

本日からは店舗向けの「SHOPプラン」も公開した。事前に設定した期日に沿って自動でシフトの提出依頼ができるほか、提出の催促やシフトの作成、メンバーへの周知なども極力スマホ店長が代行。店長として各メンバーの時給や役割を設定できる管理機能も備える。

アルバイトユーザーは無料で利用可能、店舗向けには無料プランと月額500円からの有料プランを提供していく方針だ。

hachidoriでは2017年よりCASTのプロジェクトをスタート。アルバイト400人、飲食店40店舗へのヒアリングとテスト運用を重ねてきた。

アルバイト400名へアンケートを実施した結果わかったのが、冒頭でも触れた飲食店におけるチャットを介したコミュニケーションの実情。アルバイト先でLINEグループがあると答えた割合が63%だった一方で、全体の57%がそもそもバイトのグループに否定的な意見を持っていることがわかったという。

hachidori代表取締役の伴貴史氏の話では「公私が分けられない」「シフトの管理が煩雑になる」など多数の要因があがったそうだが、中には「最終的にはバイト先のLINEグループを見なくなった」人もいた。そのような影響もあってか、バイトリーダーや店長は毎月のシフト調整に多大な労力を割かなければならない状況にある。

「店舗にヒアリングをしてみると、グループでシフトの提出を呼びかけて返ってくるのは6割くらい。再度催促をしても反応があるのは2割ほどで、残りの2割には個別で連絡をする。苦労して集めたシフトをエクセルに入力し、スクショをしてグループで再度共有すると『やっぱり難しい』と言われ、シフトを組み直すことも珍しくない」(伴氏)

伴氏によるとある店舗ではアルバイト1人あたり月に1時間程の時間を要していたが、CASTを使うことでこの作業が5分程に軽減された事例もあるそう。また店舗からはバッジ機能がアルバイトのモチベーション向上につながるとして、評判がいいという。

今後は8月を目処に他店舗のヘルプを管理できる機能や、タスク管理機能を追加する予定。また2018年中には勤怠管理や給与振込、タイムラインといった仕組みも取り入れる計画で、「アルバイトに関するすべてのことが、CASTひとつで完結することが目標」(伴氏)としている。

今後見据えるのは「金融」と「求人」領域での展開

hachidoriは2015年の設立。プログラミング不要のチャットボット開発ツール「hachidori」と法人向けソリューション「hachidori plus」を軸に展開してきた。hachidoriで作られたチャットボットは約5000個、hachidori plusのアカウント数も企業と学校を合わせて90ほど立ち上がっているという。

2017年2月にはベクトル、コロプラネクスト、エボラブルアジア、オークファンと島田亨氏を含む個人投資家数名から1億円を調達。直近では自社プロダクトに加え、OEM提供のような形で他社と組んで事業を拡大している。

今回リリースしたCASTの原型は、工場向けに提供していたLINE上でシフトの申請や有給の申請をできるサービス。飲食店などとも話をする機会が多い中で、単価や機能面を中心にブラッシュアップするような形でCASTが生まれた。

CASTではこれから2018年末にかけて複数の機能を追加していくが、伴氏はその先に2つの展開を見据えている。それが金融と求人の領域だ。

現時点では構想段階のものもあるそうだが、金融では給料の前払い、そして長期的にはマイクロローンのような分野にも参入する可能性があるという。

「お金に困っているからアルバイトをしているという人も多いので、その人たちをサポートする仕組みを作る。給料の前払いは特に個別の手数料はとらず、システム利用料に含まれる形で提供したい。またCAST上に蓄積される過去の勤怠データや平均時給などから『今後どのくらい働ければ、いくらぐらい返済できるか』を割り出し、ローンに活用するといった展開も将来的には検討したい」(伴氏)

求人領域も同様だ。CASTに溜まった情報をもとに、アルバイト希望者と人員を欲している店舗をうまくマッチングする仕組みを構築。採用面談から採用後にCASTのグループに追加されるまで、入り口から出口までをカバーしていく計画だという。

「hachidoriが軌道に乗りサービスとして形ができあがってきた中で、継続して成長させつつも、2次関数的に成長するようなサービスを新たに作りたいという思いがあった。金融や求人は時間がかかる領域ではあるが、まずはCASTのアップデートをしながら、この事業に力を入れて取り組んでいきたい」(伴氏)

 

アメリカ農務省に海軍も、3万社が使う日本のVRアプリ作成ツール「InstaVR」が5.2億円を調達

VRコンテンツの制作・配信・分析プラットフォーム「InstaVR」を提供するInstaVR。同社は6月4日、YJキャピタルなど日米のVC複数社を引受先とした第三者割当増資により総額5.2億円を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドに参加した投資家陣は以下の通り。

  • YJキャピタル(リード投資家)
  • 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • みずほキャピタル
  • グリーベンチャーズ
  • コロプラネクスト(Colopl VR Fund)
  • The Venture Reality Fund

上記VCより、グリーベンチャーズのジェネラルパートナーである堤達生氏、YJキャピタル取締役副社長の戸祭陽介氏がInstaVRの社外取締役に就任する。

同社では調達した資金をもとに開発体制および事業体制を強化し、人材育成VRプラットフォームを中心にさまざまな事業用途に特化したプラットフォームの開発を進める方針。また機械学習や人工知能の研究開発を推進し、蓄積してきた視聴データの活用にも力を入れていく予定だ。

InstaVRは2015年11月の設立。2016年8月にもグリーベンチャーズとColopl VR Fundから約2億円を調達している。

世界で3万社が利用、海外売上比率が9割

InstaVRはビジネスの現場でVRコンテンツを活用したい事業者向けのプラットフォームだ。プログラミングなど専門知識は不要で、ブラウザ上からVRアプリをスピーディーに作成できる。

さまざまな種類のVR動画、画像フォーマットに対応するVR再生プレイヤーを自社で開発。コンテンツは幅広いVRデバイスへ出力可能で、配信方式もアプリへの埋め込み、クラウドやイントラネットからのダウンロード、ストリーミングなど柔軟性に優れる。

世界最大のサーフィンリーグであるワールド・サーフ・リーグ (WSL)では1名の担当者がInstaVRを活用。2週間でiOS、Android、Daydream、Gear VR、Oculus Riftなどの主要なVRヘッドセットに、自社VRアプリを配信した事例もあるそうだ。

現在までに世界140ヶ国、3万社で導入。トヨタやサンリオ、エルメスを始めとした大企業のほか、少し変わったところではアメリカ合衆国農務省やアメリカ合衆国海軍、スタンフォード大学、イギリス政府、国連なども含まれる。海外での利用が多く、売上の約90%が海外企業によるものだ。

当初は不動産の内見や観光案内などの目的で使われることが多かったそうだが、現在は配信されたコンテンツも約20万本となり、利用用途も広がってきた。特にInstaVR代表取締役の芳賀洋行氏も意外だったというのが「90%がマーケットプレイスを利用せず、社内配布している」こと。

中でも直近では人材育成や人材採用用途での利用が増えてきているという。

人材育成に特化したプラットフォームの提供を開始

そのような背景も受けて、InstaVRでは人材育成VRプラットフォーム「InstaVRセントラル」の提供を始めた。これは簡単にいうと「OJTや職場体験をVR化」するようなイメージだ。

最大の特徴は専門知識や、実際に撮影した時間の10倍〜20倍の時間が必要となる「VR撮影後の現像工程」を不要にしたこと。InstaVRの独自再生プレイヤーを機能拡張することによって、ユーザーが360度カメラで撮影したデータをアップロードしさえすれば、自動でVRコンテンツが生成されるようになった。

「(以前から提供していたInstaVR本体でも)プログラミングスキルは不要で、ドラッグアンドドロップなどで直感的に作れるようにしていた。そのため十分簡単だとは思っていたが、それでもITになじみのない人からすれば難しいと言われたこともある。その作業を自動化し、ボタンをカチカチ押すだけでVRコンテンツができるようになった」(芳賀氏)

僕も実際にデモを見せてもらったのだけど、承認ボタンを押すような感覚で、順を追ってボタンをただ押すだけ。UIもエディタという感じはなく、かなりシンプル。Googleのトップページのようなイメージに近く、中央にボタンのみが設置されているような設計だった。

従来コストがかかっていた編集作業の自動化に加えて、InstaVRでは導入企業の担当者が自身で撮影できるように機材のマニュアルや講習を提供。専門のスタッフを派遣せずに済むようなフローを構築している。

これらによって「専門の制作会社に頼むと数百万円かかっていたようなVRコンテンツを、月額30万円から定額で作れるようになる」(芳賀氏)という

とはいえ、そもそもVRコンテンツにする必要性があるのか疑問に思う読者もいるはずだ。

芳賀氏自身も当初はEラーニングで十分ではないかと思っていたそうだが「VRは没入感がすごく、自身が現場を体験しているような感覚になれるのが大きい。業務が完全にマニュアル化されていない複雑な業務や、実地訓練を必要とするものに向いている。熟練従業員の技術を実際に体験するといった使い方もできる」という。

InstaVRセントラルは2017年より一部の企業向けに先行して導入済み。アメリカ合衆国農務省では、食肉加工工場のライン作業の訓練をすべてVR化したところ、訓練時間が1/3に短縮。年間研修費用が1/5に削減されるほか、離職率も10%以上低下できたそうだ。

すでに国内においても大手企業から中小ベンチャーまで導入実績があるが、今後は調達した資金も活用して組織体制を強化し、InstaVRセントラルを本格的に広げる計画。

またInstaVRではこれまで約1億再生分の視線データ、視野内の物体を人口知能によって認識した100億個超のタグデータを蓄積している。これらのデータを事業に活用するべく、人工知能の研究開発にも力を入れる方針だ。

Airbnb CEO、「来年のIPOは可能、だけどないかもしれない」

Airbnbは年間数十億ドルの売上をもたらし、EBITDAベースで黒字なので、この宿泊シェアリング会社がいつ上場するのか多くの人々が注目している。今日(米国時間5/30)のCodeカンファレンスで、Airbnb CEO Brian Cheskyは、「来年IPOはできるだろうが、するかどうかはわからない」と言った。

Airbnbが上場するときは、それが間違いなく会社にとって大きな利益になることを考えなくてはならないと付け加えた。いくつかの質問のあと、Cheskyは「上場することに問題はない。上場は可能だ」と語った。

一方Airbnbは規制問題に関しては2010年以来苦闘を続けている。中でもサンフランシスコとニューヨークは規制の観点から見てもっとも困難な2都市だとCheskeyは言った。

たとえばニューヨークは2010年以来停滞状態にある。Cheskyによると、彼はニューヨークの問題は解決にあと数年かかると予想している。

「この挑戦には終わりがないように思える」とCheskyは言った。Cheskyによるとこの問題には、ホテル業界および「この終わりのない戦いに人々を駆り立てた」組合も関係しているという。

ほかにAirbnbに対する批判として、家賃の上昇と立退きの問題が挙げられている。Cheskyはこれを単なる経営判断だとして付け加えた。ニューヨークには「住む価値がなかったということだろう」。しかしCheskyは、Airbnbで収入を得ることに依存しているホストもいると言う。

CodeカンファレンスでCheskyは、AirbnbのExperience製品を説明し、同社の宿泊サービスの10倍以上の速さで伸びていることを自慢した。Airbnb ExperienceはAirbnbが2014年にテストを始め、正式には2016年にスタートした、旅行者が世界中の都市でなにかを見つけるのを手伝うサービスだ。

スタート当初、Airbnbはそれぞれの体験について調べていなかったが、悪い体験がいくつかあって以来、Aibrnbは検証を始めた

「非常にうまくいっている」とCheskyは言った。さらに、「Experience経済」は成長中であり、「おそらく各種の体験を中心にして大きな経済が生まれるだろう」と付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

誰でも3ステップでWebページが作れる「OnePage」がリリース、「Wovn.io」や「formrun」との連携も

イベントの開催、新サービスの発表、セミナーの参加者募集などのためにWebページを作成したいが、時間もないし予算も限られている。そんな時に利用できるのが、ベーシックが5月29日に発表した新サービスの「OnePage(ワンページ)」だ。

OnePageの利用に必要なのは3ステップだけ。ページの新規追加ボタンを押し、「セミナー募集」などのWebページの利用シーンを選択する。あとは、その利用シーンごとに用意された全20種のデザインの中から好みのものを選択するだけでいい。ユーザーがHTMLやCSSを理解している必要はないし、サーバーも不要だ。

Webページのデザインには、ユーザーが選択した利用シーンに沿って画像や文章がプリセットされている。画像やテキストをWebブラウザ上で変更すればオリジナルのWebページが完成するので、短時間でページを公開することが可能だ。

「(Wixなどの)競合サービスと比べたOnePageの利点は、ユーザーが迷わないように、画像や文章を含めたWebページのデザインが用意されている点だ」とOnePageプロダクトオーナーの福田ひとみ氏は話す。もちろん、あらかじめフォーマットが決められているので、デザインの自由度は低くなる。自分でCSSをいじってWebページを作りたいという人には不向きなサービスだろう。

でも今の時代、 HTML/CSSの知識をまったく持ち合わせていない人が個人イベントの集客のためにWebページを作ったり、個人事業主がセルフブランディングのために限られた予算の中でWebページを作ったりするケースはある。そのような人向けの、必要十分な機能を備えたWebページ制作ツールがOnePageだと言える。

実際に僕もデモページを見せてもらったけれど、大抵のことはOnePageで実現できそうだ。「WOVN.io」でページの自動多言語化もできるし、ベーシックが2017年12月に買収した簡易CRM付きフォームの「formrun」も簡単に埋め込むこともできる。モバイルにも自動で対応し、簡易なアクセス解析ツールも付いている。Webページはあくまで、その奥につながるサービスやプロダクトに通じる玄関であり、ページを“公開する”ことこそが最も重要であるときもある。OnePageはその公開までにある障害を取り除いてくれるサービスだ。

OnePageは1アカウントにつき3ページ、総PV数が5万ビューまでといった制限が設けられた無料版を本日公開。2018年夏には、独自ドメインでの運用も可能な有料版のリリースを予定している。

LINEや電話で最適な施設を提案、Reluxが民泊物件などのコンシェルジュサービスを開始

昨年からスタートアップ界隈でも注目を浴びていた「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が施行される6月15日まで、1ヶ月を切った。

2017年から2018年にかけて、民泊領域の新会社や新サービスの発表が相次いだ。TechCrunchでもリクルート住まいカンパニーがAirbnbと提携して民泊事業を展開することを始め、関連する話題を紹介してきたが、新法の施行を皮切りに各サービスが事業を本格化していくことになるだろう。

宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partnersもそのうちの1社だ。2017年の時点で新法施行後に新たなサービスを展開することを発表し、2018年1月には町家や古民家などを紹介する「Vacation Home」をリリース。6月15日以降は、このサイトに民泊物件も掲載されるようになる予定だ。

それを見越して同社では本日5月29日より、Vacation Homeに掲載される施設を対象としたコンシェルジュサービスを開始した。

ユーザーの要望に応じた宿泊施設を提案、代理予約まで

今回Loco Partnersが始めたのは、コンシェルジュがユーザーの要望にあったVacation Homeを提案し、代理予約(一部店舗を除く)までしてくれるというサービスだ。

ユーザーはReluxの公式LINEの他、電話や専用の依頼フォームを通じてコンシェルジュに無料で相談が可能。以前からRelux内で提供していた「Reluxコンシェルジュ」の対象をVacation Homeの施設にまで広げる形で運営する(少なくともリリース時点ではReluxコンシェルジュと切り分けず、ひとつのサービスとして提供)。

今回コンシェルジュサービスの対象を広げるに至った背景には、旅行者と宿泊施設のベストマッチを実現するという意図はもちろんのこと、旅行者が民泊物件に対して危険や不安といったイメージを抱いていることがあるという。

たとえばマクロミルが全国の20~69歳の男女1000名を対象に実施した「民泊に関する意識調査」では、民泊に対して「安い」、「外国人向け」、「利用者のマナーが悪い」といった印象を持つ人が多いという結果がでている。

そのイメージもあってか、全体の7割が民泊利用に抵抗感を示しているようだ(民泊の利用意向について、43%が全く利用したくない、27%があまり利用したくないと回答)。これはあくまで参考程度にしかすぎないが、口コミなどが少なければ余計に不安を覚えるユーザーも多いことが想定されるため、安心して宿泊できるようにコンシェルジュサービスの拡張を決めた。

現在Vacation Homeでは旅館業法における簡易宿所の許可を取得した町家や古民家、貸別荘など約200施設を掲載。家族旅行など大人数の宿泊客や外国人観光客から特に人気があるそうで、価格帯はだいたい1万円〜20万円と幅も広い。

今後はここに民泊物件も掲載される予定だが、Loco Partnersの広報担当者によると「通常のホテルや旅館では100項目にもおよぶ審査基準をクリアした施設のみが掲載されている。民泊物件の場合は別途独自の基準で審査をすることになる」ため、当初から膨大な数の民泊物件が並ぶということはないという。

“チャットでまるっと旅行相談” のニーズが広がる

普段からスタートアップやWebサービスのトレンドを追うのが好きな人なら、もしかすると最近話題になった「ズボラ旅(ズボラ旅 by こころから)」に似ていると感じたかもしれない。

ズボラ旅は旅行へ行きたい日付と出発地を伝えれば、専門のスタッフが旅行プランを提案してくれるというLINE@のチャットサービス。リリースから数時間で数千件の相談が寄せられ、運営がパンクしたことも記憶に新しい。

Loco Partnersの広報担当者にズボラ旅について聞いてみたところ、やはり社内でも話題になったそう。実際Reluxコンシェルジュのユーザーもある種丸投げに近い形で、ふわっとした要望から自分にあった施設を探して欲しいというニーズが多いとのこと。

ただ「Reluxの場合は厳選された宿泊施設のみを紹介しているのが特徴。また年間100泊以上している審査委員会とコンシェルジュが密に連携をとっているため、その知見も生かした提案ができるのが強み」(Loco Partners広報担当者)であり、民泊などに対象が広がってもこの特徴を軸にしていきたいということだった。なおReluxでは2015年5月よりLINE@でのコンシェルジュサービスを開始。電話とメールではそれ以前より、同様のサービスを提供している。

民泊新法が施行された後の民泊市場の行方はもちろん気になるところだが、チャットなどをベースにした新しい旅行サービスの形も今後広がっていきそうだ。

米商務省、新組織「SPACE」で商用宇宙開発を効率化

米国商務省は、宇宙事業に携わる企業の増加に対応するための規制状況改善の一環として、複数の部門を統合して新たな組織とすることを提案した。その名は、Space Policy Advancing Commercial Enterprise Administration(SPACE Administration)だ。

トランプ政権は先週発表した声明で、国による宇宙開発の管理を整備する計画を示唆したが、詳細はほとんど語られなかった。Space Policy Directive 1(宇宙政策大統領令1)は月と火星のミッション遂行を目的とし、Directive 2は、維持管理目的が中心だ

管理業務の一環として、ウィルバー・ロス・ジュニア商務省長官は「商務省内で商用宇宙飛行活動を管理、規制する『ワンストップ・ショップ』を作る計画の推進」を命じられており、同氏は意欲的に取り組んでいるようだ。

「本省だけで6つの局が宇宙産業に関わっている。企業のニーズに応じた統一組織を作ることで宇宙関連事業の協調を推進できる」とロス長官は言う。「企業が衛星打ち上げの指示を仰いだ場合、新たな宇宙管理部門は、リモートセンシング、経済開発、データ購入政策、GPS、スペクトラム政策、貿易推進、宇宙交通管理など、様々な宇宙関連活動を紹介できる」

こうした組織変更の一部は以前から検討されていたため、関連部門にとって驚きではない。むしろ歓迎しているかもしれない。宇宙規制は部門間メモとお役所仕事の山からなり、ロケット・衛星産業における米国のリーダーシップは、この規制のおかげではなく、にも関わらずというべきだろう。

部門の統合は出発点だが、混沌とした規制を整備する組織変更だけでは済まない。この新しい管理部門は議会により恒久的に設置される必要があり、予算と監督部門の割り当ても必要だ。そして、あらゆる政治部門を横断する宇宙政策の同期、重複排除、その他の改善は、季節単位ではなく年単位の取組みになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

東南アジアでUber事業を買収したGrab、フードデリバリーにも進出――インドネシアのGo-Jekは強力なライバル

さる3月下旬にUberの東南アジア事業を買収したタクシー配車サービスのGrabがフードデリバリー事業にも乗り出した。今日(米国時間5/28)、GrabFoodがスタートした。

このサービスはここしばらくタイなど数カ国でベータ版としてテストされていたが、いよいよGrabの本社があるシンガポールで正式にスタートした。また近くGrabの主要マーケットである東南アジア6カ国で営業を開始する。

Grabが東南アジアでUberの事業を買収した中にはUberEatsも含まれていた。UberEatsの運営を停止する前にマーチャントとユーザーベースはそのままGrabFoodに引き継がれる。

GrabFoodはシンガポールではスタンドアローンのアプリとなるが、オンデマンドでオートバイ・タクシーを提供している諸国ではGrabの配車サービスと一体で提供される。新サービスは既存のDeliveroo、FoodPanda、Go-JekのGoFoodその他がライバルとなる。

GrabFoodはGrabのポイント・システムなどのロイヤルティプログラム、GrabRewardsの一部となる。利用者は代金をキャッシュ、クレジットカード、GrabPayで支払うことができる。配達時間の指定ができること、利用最低額が設けられていないことが大きな特長だ。

前述のようにGrabは3月にUberの東南アジア事業を買収したことを発表しているが、現実の事業移行は難航した。 先月TechCrunchが報じたように、各国の規制、UberからGrabに移管されることになった従業員の不満、Grabが市場を独占することへのユーザーの懸念などがGrabにとっては「成長の痛み」となっている。

とはいえ、Grabは声明で「フードデリバリーへの参入は消費者の日々を生活をインターネットによって結び付けられたエコシステムによってさらに快適なものにする」という戦略において重要な部分を占める」と述べた。

最大のライバルだったUberを排除したことはこの目標を現実的なものにしたかもしれないが、依然として Grabは地域のライバル多数と競争する必要がある。たとえばインドネシアでは市場のリーダーはGoogle、Tencentが支援するGo-Jekだ。同社はベトナム、タイ、シンガポール、フィリピンの市場に近々参入することを確認している。Go-Jekはこの事業拡張に5億ドルを用意している。同社は他国への展開にあたって現地のパートナーを活用するモデルを採用するものとみられ、パートナーがそれぞの国情に合わせてブランドを含めた事業内容を決定していくという。

Grabも手を拱いてはおらず、 Wall Street Journalによれば、100億ドルの会社評価額で新たに10億ドルの資金を調達する。これは昨年7月に日本のSoftBankと中国の滴滴出行から20億ドルの資金を得たときの評価額60億ドルと比べて大幅なアップだ。

一方、Go-Jekも最近Tencent、JD.com、Google、Allianz、Meituan、シンガポールのファンド、GICやTemasekを含む多数の投資家から15億ドルを調達している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

freeeにAIが会計上のエラーを自動チェックする新機能、今後は修正提案の自動化も

近年さまざまなWebサービスの登場によって、これまで手間のかかっていたアナログな作業の効率化、自動化が進みはじめている。「クラウド会計ソフト」の知名度が増してきている会計の領域は、まさにこの代表的な例といえるだろう。

クラウド会計ソフトといえば、銀行口座と連携することで入力や仕分けを自動化したり、領収書などのデータをスキャンすることで電子化したりなど、「入力業務」の負担を大きく削減してきた。それだけでも大きな効果があるが、会計業務にはテクノロジーによってさらに効率よくできる部分がまだまだ残されている。

クラウド会計ソフト freee」を提供するfreeeが5月28日にリリースしたのは、会計上のエラーを自動でチェックする「AI月次監査」機能だ。同機能は試算表の作成に必要な月次監査業務を効率化するもので、まずは会計事務所向けに提供する。

会計上のエラーを自動でチェック

月次監査とは、会計士や税理士が毎月顧問先の企業に対して行っている業務のひとつだ。残高試算表や仕訳帳をチェックし、請求書や領収書、立替経費などと照合を行った上で、月次試算表を確定。それをもとに経営や経理処理上のアドバイスを行い、月次報告書としてまとめて顧問先に送付する。これらの一連のプロセスを指す。

税務においてはもちろん、経営状況を把握するという意味でも重要な業務である一方で、freeeの担当者によると「これまではアナログかつ属人的な側面が強く、効率化のニーズがあった」という。具体的には資料のチェックがひとつひとつ目視で行われ、スタッフによって知識のレベルやチェックの質がバラバラであることも珍しくないそうだ。

「たとえばあまり知見のないスタッフが担当すると、同じような間違いを複数繰り返してしまっていることもあるが、それをアナログで見つけるのはかなり難しい。あらかじめルールを設定することで、ある程度機械的にチェックをすれば負担は軽減できる」(freee担当者)

AI月次監査機能では、貸借対照表や損益計算書の各勘定科目について「税務上のルールとの相違」「freeeを利用する際に発生しやすい作業漏れや誤り」「過去との変動率が大きいなどの異変」に基づいて、修正の必要がありそうな仕訳を自動で探し、ハイライトする。

また該当する仕訳を修正すると「類似の仕訳」も自動で判定。これによって知識のスタッフが誤った仕訳をまとめて登録してしまっていたとしても、漏れなく修正点を探しやすくなる。

「入力業務」だけでなく「チェック業務」も自動化

今後は会計事務所がチェック項目を柔軟にカスタマイズできるようにするほか、エラーをチェックするだけでなく「どのように修正すべきか」を提案するところまで対応する予定。従来力を入れていた「入力業務」の自動化に加え、「チェック業務」の自動化をさらに進めていくという。

「ユーザーからも『データの電子化や自動仕訳など入力業務は自動化されていて楽だけど、それ以降のフローはまだまだ効率化できそう』といった声はあるし、会社としても強化していきたいという思いは強い」(freee担当者)

今回のAI月次監査機能については会計事務所向けとなっているものの、今後は一般ユーザー向けに機能を調整して提供していくを検討している。また、たとえば資金繰り計画の自動化など、経営の意思決定をサポートする機能にもAIを活用していく計画もあるという。

今後はこれまで以上にAIが会計業務をサポートする時代へと突入していきそうだ。