ショッピング体験の視覚化を進めるShopifyがARスタートアップPrimerを買収

Shopify(ショッピファイ)が米国時間6月11日に発表した買収のニュースの中で、同社は拡張現実(AR)のスタートアップPrimer(プライマー)のチームを獲得したことを明らかにした。Primerはユーザーがタイルや壁紙、ペンキで自分の家の中の壁がどのように変わるかを視覚化できるアプリを手がけている。

ブログへの投稿の中で、Primerの共同創業者のAdam Debreczeni(アダム・デブレチェニ)氏とRuss Maschmeyer(ラス・マッシュマイヤー)氏は、買収取引の一環としてPrimerのアプリとサービスが7月に終了すると明らかにした。買収後、Primerの8人のチームはShopifyに移る。

Primerは、ユーザーが iPhoneやiPadとAppleのARプラットフォームのARKitを使いながらデザインがどんなものになるのかを直接視覚化できるようにするために、何十ものタイルテキスタイルデザインブランドと提携した。PrimerのアプリはAppleに何回か取り上げられ、App Storeの編集チームが素敵な感じに紹介したりしている。

買収取引条件は明らかにされなかった。Primerの出資者はSlow Ventures、Abstract Ventures、Foundation Capital、Expaなどだ。

ARがいかにオンラインショッピングに影響を与えるかについての話はたくさん交わされてきた。しかしホームデザインでの統合はさておき、実際に消費者が活用する方法はそれほど多くなかった。Shopifyは自社でAR統合に取り組み、ユーザーが現実空間に商品を取り込めるよう、売り手による店舗への3Dモデルの統合を可能にしたが、開拓する余地がまだ多く残されているのは明らかだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopify拡張現実買収eコマース

画像クレジット:Primer

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

NVIDIAが高精度マップスタートアップのDeepMapを買収、自律走行車テクノロジーを強化

半導体メーカーNVIDIAが高精度マップスタートアップのDeepMapを買収すると発表した。NVIDIAは、DeepMapのマップ技術はNVIDIAの自律走行車テクノロジーであるNVIDIA Driveに活かされるとしている。

NVIDIAの自動車部門バイスプレジデントでジェネラルマネージャーのAli Kani(アリ・カニ)氏は発表の中で「DeepMapのユニークなビジョン、テクノロジー、人材を高く評価して買収することになりました。DeepMapは我々のマップ製品を拡張し、マップの運用をワールドワイドにスケールし、完全な自動運転に関する専門性を高めるものと期待しています」と述べた。

乗用車の完全な自動化を達成する上での最大の課題として、各地域への適合と現在の道路の状況を反映した地図情報の更新が挙げられる。NVIDIAの自律走行スタックにDeepMapのテクノロジーを統合することで、精度が上がって自動車が自分の位置を把握する性能が高くなる。

DeepMapの共同創業者でCEOのJames Wu(ジェームズ・ウー)氏は発表の中で「NVIDIAと協力することで我々のテクノロジーをさらに迅速にスケールし多くの方々に早く利用していただけるようになるでしょう。NVIDIAのチームの一員として我々のジャーニーを続けていくことを楽しみにしています」と述べた。

DeepMapはGoogle、Apple、Baiduに勤務していたウー氏とApple、Googleに勤務していたMark Wheeler(マーク・ウィーラー)氏によって設立された。DeepMapはNVIDIA Driveのソフトウェアデファインドプラットフォームを使って自律走行車全体に対してマップを迅速にスケールすることができ、Over the Airのアップデートでデータストレージをそれほどたくさん必要としない。NVIDIAは今後、連携の一環としてDeepMapの新しい機能にも投資していく。

買収は2021年第3四半期に完了する予定だ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:NVIDIADeepMap買収地図自動運転

画像クレジット:DeepMap

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

宇宙開発企業のAstraが推進装置メーカーのApollo Fusionを買収

特別買収目的会社(SPAC)との合併から上場を計画している宇宙開発企業のAstra(アストラ)は、電気推進装置メーカーのApollo Fusion(アポロ・フュージョン)を買収すると、米国時間6月7日に発表した。AstraのチーフエンジニアであるBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は、同日のブログ記事で、電気推進システムは宇宙船を低軌道から高軌道へ、さらには月へと移動させるのに有効であると述べ、Astraが地球軌道を超えたミッションも計画していることを示した。

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今回の取引条件では、AstraはApollo Fusionを株式3000万ドル(約33億円)と現金2000万ドル(約22億円)、合計5000万ドル(約55億円)で買収する。さらにApollo Fusionが一定の業績ベンチマークを達成した場合、最大9500万ドル(約104億円)の追加対価を支払う可能性もある。PJT Partners(PJTパートナーズ)は、この買収に関してAstraの財務アドバイザーを務めていると、アラメダに拠点を置くこのスタートアップ企業は月曜日に発表した。

AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、同社を打上げから宇宙サービスまで提供する垂直統合型宇宙ビジネス企業にするという目標を公言しており、Apollo Fusionのスラスター技術はそのパズルの主要なピースとなる。Astraは2020年12月にアラスカのコディアックから最初のテストロケットの打ち上げを成功させたが、ケンプ氏は公式声明の中で、毎月商業打ち上げを行う計画を示している。

Apollo Fusionは「アポロ・コンステレーション・エンジン(ACE)」と「ACE MAX(ACEマックス)
」という2種類の電気推進装置を製造しており、どちらもクリプトンとキセノンの推進剤に対応している。同社は、York Space Systems(ヨーク・スペース・システムズ)から、2022年に打ち上げが予定されている低軌道(LEO)衛星コンステレーション・プログラムの推進システム供給メーカーに選ばれているという。

AstraによるApollo Fusionの買収は、AstraがSPACであるHolicity(ホリシティ)との合併を2021年末に完了させた後、成立する予定だ。ケンプ氏はTwitter(ツイッター)で、同社が7月1日に「ASTR」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する意向であることを明かした

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カテゴリー:宇宙
タグ:Astra買収

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

eコマースEtsyが中古品も扱う英国のZ世代向けマーケットプレイスDepopを約1780億円で買収

eコマース業界におけるかなり大きなニュースが6月2日、欧州から届いた。手芸クリエイターやスタイルに関心のある人がさまざまなアイテムを発見したり購入したりできる、ニューヨーク拠点のマーケットプレイスEtsy(エッツイ)が、ソーシャルショッピングという新たなアプローチでミレニアル世代とZ世代の消費者をターゲットにしているロンドン拠点のマーケットプレイスDepop(デポップ)を買収すると発表した。買収額は16億2500万ドル(約1780億円)で、Etsyは大半をキャッシュで支払う取引だとしている

わずかな差で、今回の取引はEtsyにとってこれまでで最大の買収ではない。同社はこの他に7件の買収を行ったが、ほとんどが10億ドル(約1095億円)以下だった。とはいえ、欧州のeコマースにとっては大きな買収で、ビジネスモデルの中でも特に若い、そして、あるいはよりクリエイティブなユーザーをターゲットとしているコマースモデルを構築している企業にとってはかなり心強いものだ。

Depopのユーザーの90%ほどが26歳以下で、EtsyはDepopのそうした若い人々やそのコミュニティにアクセスする大きな機会を手にするが、Depopはより多くのコンテンツや若い買い物客をEtsyに持ってくる橋渡しのように機能しそうだ。Etsyは若い人に目を向け始めたが、かなりの数の若くないユーザーも抱えている。同社は上場企業であり、直近の時価総額は200億ドル(約2兆2000億円)を超えている

Depopが最後に資金調達したのは2019年のようで(6200万ドル、約68億円のラウンド)、ユーザー1300万人を抱えて米国で急成長中と当時は絶好調だった。それから約2年、同社のユーザー数は2100万人を超え、その多くはスタイリストやデザイナー、アーティスト、コレクター、ビンテージ販売者などで、米国(Etsy最大のマーケットだ)とホームマーケットである英国(こちらもEtsyの大きなマーケットだ)でかなりのユーザーを抱えている。

Etsyにとってこれはボリュームゲームだが、必ずしも最初から利益をともなうわけではない。2020年のDepopの流通総額は6億5000万ドル(約712億円)だったが、売上高はわずか7000万ドル(約77億円)で、いずれも前年は100%増だった。

ただし、Etsyが自社の成長についてのとらえ方、特に衣服、家庭用品、そして消費財の買い物という分野における反Amazonという点で、Depopの精神は有望だ。Depopはまた現代の風潮にもぴったり合っている。2020年はeコマースが急成長したばかりでなく、人々が地元で買い物したり個人をサポートしたりし、またこれまでよりも中古品を買うようになった結果、零細事業や家内工業が繁盛した。Depopが強みを持っている分野だ。

「Z世代にとっての再販のホームだと我々が信じているDepopがEtsyファミリーに加わることに胸躍らせています。Depopは活気がある二面性のあるマーケットプレイスで、情熱的なコミュニティ、高度に差別化されたユニークなアイテムの提供をともなっています。そして我々はさらなる展開の大きな可能性を確信しています」とEtsyのCEOであるJosh Silverman(ジョッシュ・シルバーマン)氏は声明文で述べた。「Depopのワールドクラスの経営陣と従業員はこのコミュニティを育て、EtsyのDNAそしてKeeping Commerce Humanというミッションとよく一致している方法でオーガニックで正真正銘の成長を推進するというすばらしい仕事を成し遂げました。我々は専門性を共有するすばらしい機会、それぞれに異なる巨大な「ハウス・オブ・ブランド」ポートフォリオ、そしてかなり特別なeコマースブランドになる成長シナジーを目にしています」。

シルバーマン氏はeBayで何年もShopping.comを率いた経歴を持ち、これはEtsyの成長を今後どのようにとらえるか考えるときに考慮するに値するものだ。

DepopのCEOであるMaria Raga(マリア・ラガ)氏は次のように述べた。「我々はDepopを次世代がユニークなファッションを見つけるために訪れ、買い物方法を変えるコミュニティの一部になる場所にするというすばらしい旅をしています。当社のコミュニティは新たなトレンドを確立し、古いものから新しいものをつくることで新しいファッションシステムを創造する人によって構成されています。彼らは衣服のためにDepopにやって来ますが、カルチャーのためにとどまります。当社はいま、Etsyファミリーの一員としてジョッシュと彼のチームの専門性、Depopのものと一致する価値観を持つ大企業のリソースの恩恵を受けながら、エキサイティングな躍進を遂げようとしています」。

米国と英国の当局の承認やクロージング条件次第ではあるが、買収は2021年第3四半期に完了する見込みで、取引完了後はEtsy、そして2019年に買収された楽器マーケットプレイスReverbとともにDepopは別のブランドとして運営されるとEtsyは話した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Etsy買収Z世代ミレニアルイギリスマーケットプレイスファッションeコマース

画像クレジット:Paul Zimmerman / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが老舗映画製作会社MGMを約9210億円で買収、ストリーミング競争にさらなる勢い

大型のメディア統合が続いている。Amazon(アマゾン)によるMGM買収の噂が駆け巡った翌米国時間5月26日、オンライン小売大手Amazonは100年近い歴史を持つ映画製作会社を84億5000万ドル(約9210億円)で買収すると発表した

買収はAmazonがストリーミング分野における競争を勝ち抜くための、映画4000本をともなう新たな策となる。MGMの作品リストには「James Bond(ジェームズ・ボンド)」や「Rocky(ロッキー)」シリーズ、そして「Fargo(ファーゴ)」「Robocop(ロボコップ)」から「Silence of the Lambs(羊たちの沈黙)」に至るまでのクラシック作品などがある。また1万7000超のテレビ番組も含まれる。取引が完了すれば、すぐさまAmazonのプライムビデオプラットフォームはそうした作品へのアクセスが自由になり、これによりAmazonはNetflixやHulu、HBO Maxといったライバルに対抗できる。

Disney+のような映画製作会社のストリーミングプラットフォームの立ち上げで目にしたように、買収取引は既存の契約が終了し次第、競合サービスからコンテンツが消えるという結果になりそうだ。「取引の真の資産価値は膨大なカタログにあるIPの宝の箱です。当社はこれをMGMの才能あるチームと一緒に再考し、開発する計画です」と Amazon Studios/Prime VideoのシニアバイスプレジデントであるMike Hopkins(マイク・ホプキンス)氏はリリースで述べた。「非常にエキサイティングで、高品質のストーリーテリングの多くの機会を提供します」。

Amazonはまた、古い映画を保存する取り組みも行うと話す。発表資料には、高齢の人と若い人の結婚で聞くような一般的な文言が並んでいる。MGMの取締役会会長Kevin Ulrich(ケビン・ウルリヒ)氏は次のように述べた。「ハリウッドの黄金時代を生み出してきたMGMのライオンが名高い歴史を継続させ、United Artistsの創設で生まれたアイデアが才能ある人と彼らのビジョンによって創業者が当初意図した方法で生き続けることをとても誇りに思います。MGMの名高い歴史をAmazonに合流させるというのは刺激的な組み合わせです」。

もちろんAmazonは、自前の製作会社と配給会社を通じてオリジナルコンテンツをすでに積極的に展開している。映画に関していうと、同社はアカデミー脚本賞を獲得した有名作品「Manchester By the Sea(マンチェスター・バイ・ザ・シー)」を制作し、その他の作品には「Transparent(トランスペアレント)」がある。Amazonは「Lord of Rings(ロード・オブ・ザ・リング)」を元にした大規模(そしてかなり費用がかかる)シリーズにも乗り出している。

Amazonが潤沢な資金で成長してきた一方で、MGMにとって21世紀はかなり厳しいものだった。MGMは何度か所有が変わったのちに米連邦破産法11条の適用を申請した。同社は再建され、債権者が主導権を握った。

AmazonによるMGM買収は、DisneyとFox、ViacomとCBS、AT&TとTime Warnerなどを含む相次ぐメディア統合の最新事例だ。これらの巨大な取引と同様、MGM買収も当局の審査次第となる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon買収MGM映画

画像クレジット:MGM / MGM

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ドライバーモニタリングのSmart Eyeが感情検知ソフトウェアAffectivaを約80億円で買収

ドライバーのモニタリングシステムを自動車メーカー12社に供給しているスウェーデンの上場企業Smart Eye(スマートアイ)が、感情検知ソフトウェアスタートアップのAffectiva(アフェクティヴァ)を現金と株式合わせて7350万ドル(約80億円)で買収した。

MIT Media Labから2009年にスピンアウトしたAffectivaは人間の感情を検知して理解できるソフトウェアを開発した。このソフトウェアはSmart Eyeが自社のAIベースの視線追跡テクノロジーと合体させたがっているものだ。両社の創業者たちは、ドライバーの覚醒度を追跡・計測するための高度なドライバーアシスタンスシステムによく使われているテクノロジーであるドライバーモニタリングシステム以上の機会を目にしている。両社が一緒になることで、そのテクノロジーは新たに生まれている「インテリアセンシング」マーケットに参入するのに役立つかもしれない。インテリアセンシングは車両の乗車空間全体をモニターし、乗車している人の感情に応じたサービスを提供するのに使われている。

買収取引条件に基づき、6750万ドル(約73億円)が新規発行されるSmart Eyeの235万4668株で支払われることになっており、うち201万5626株は取引完了時に発行される。残りの33万9042株は取引完了から2年以内に発行される。そして2021年6月の取引完了時に約600万ドル(約6億5000万円)が支払われる。

AffectivaとSmart Eyeは競合していた。2020年のテクノロジー展覧会CESでのミーティングが合併につながった。

「マーティンと私は、両社が互いに競うために同じ道を歩んでいて、もし力を合わせればさらに良くなるのではないかと気づいたのです」とAffectivaの共同創業者でCEOのRana el Kaliouby(ラナ・エル・カリウビー)氏は米国時間5月25日のインタビューで述べた。「一緒に取り組むことで、OEM企業のインテリアセンシングに関する要求のすべてを満たし、我々は競争で優位に立ちます。個々にやるよりもずっとうまく、そして早く達成する機会を手にします」。

ボストン拠点のAffectivaは感情検知ソフトウェアを買収取引に持ち込み、これによりSmart Eyeは既存の自動車業界のパートナーにさまざまなプロダクトを提供できるようになる。Smart EyeはAffectivaが開発やプロトタイプ作業を超えて生産契約に移れるようサポートする。Smart EyeはBMWやGMを含むOEM13社から生産契約84件を獲得した。スウェーデン・ヨーテボリ、デトロイト、東京、中国・重慶市にオフィスを置いているSmart Eyeは忠実に再現できる人間工学研究のためのアイトラッキングシステムをNASAのような研究組織に提供する部門も抱える。

Smart Eye創業者でCEOのMartin Krantz(マーティン・クランツ)氏は、ラグジュアリーでプレミアムな車両を製造している欧州のメーカーがドライバーモニタリングシステムの変化をリードした、と話した。

「インテリアセンシングでも同じパターンが繰り返されています」とクランツ氏は述べた。「初期の契約の大半はMercedes、BMW、Audi、JLR、Porscheといった欧州のプレミアムなOEMになるでしょう」。そしてCadillacやLexusなどを含む欧州外の地域でターゲットにする他のプレミアムなブランドも数多くある、と付け加えた。

まずは人間が運転する乗用車に照準を当て、高度な自動運転がマーケットに導入されるにつれゆくゆくは拡大する。

ボストンとカイロのオフィスに従業員100人を抱えるAffectivaは感情検知ソフトウェアをメディア分析に応用する別の事業部門も擁している。買収取引に含まれ、別に運営されるこの部門は収益をあげているとカリウビー氏は話し、世界の大手広告主の70%がメディアコンテンツへの感情反応を測定して理解するのにこのソフトウェアを使っているとも指摘した。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Smart EyeAffectiva買収インテリアセンシング自動車

画像クレジット:Smart Eye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ターンキー宇宙サービスを目指すPhantom Spaceが衛星プログラムのStratSpaceを買収しさらに前進

2021年の打ち上げ回数は新記録になる勢いだが、需要は急速に伸びている。Phantom Space Corporation(ファントム・スペース・コーポレーション)のような会社は、これまで宇宙産業で見たことのない量産技術を使ってその需要を満たそうとしている。このほど同社は、衛星プログラムのデザインと管理を行うStratSpace(ストラトスペース)を買収したことを現地時間5月25日に発表した。これは、宇宙輸送・製造のターンキーサービスを構築するための重要な一歩である、とPhantom Spaceの共同ファウンダーであるMichal Prywata(マイケル・プライワタ)氏がTechCrunchに話した。

「StratSpaceは、宇宙船を運行するために必要なノウハウ、ツール、衛星構成、通信システムをすべてもっています」と同氏は説明した。「これは当社にとって極めて重要です。なぜなら私たちはスタートからフィニッシュまであらゆる宇宙サービスをカバーする最初の企業になろうとしているからです」。買収の条件について会社は公表を拒んだ。

Phantom Spaceの狙いは、ロケット量産戦略に買収を組み合わせることで「ワンストップショップ」となり、宇宙へのアクセスをコストダウンすることだ。同社は最大450kgの貨物を低地球軌道に運ぶ専用打ち上げを400万ドル(約4億4000万円)で提供することを目指している、とプライワタ氏は語った。

「私たちは年間何百、もしかした数千回という話をしています」、と会社の目標打ち上げ回数についてプライワタ氏は語った。「現時点で、市場は間違いなく年間数百回の打ち上げを支えています」。

まだロケットモデルの飛行テストすら始めていない会社としては壮大な願望だ。Phantom Spaceは、同社がエンジンや航空電子機器など開発に何年もかかるような部分を外部調達していると語った。その他の部分やサービスについては、買収戦略を利用するつもりだ。

「買収に非常に積極的なのはそれが理由です。今こそ必要なテクノロジーと企業を1つの傘の下に集め、アイデアを採用して宇宙へ持っていくことのできる会社の総合インフラストラクチャーを作り始めるチャンスだと思っています」と彼は言った。そこには衛星の開発、統合、打ち上げ、データ通信が含まれている。「私たちは全方位をカバーすることを目指しています。そうすることで宇宙に持ち込みたいと思っているアプリケーションをもつ他の会社を助けることができます。そのために必要な要素を私たちはすべて持っているからです」。

Phantom Spaceは、2023年第1四半期に、2段式ロケットDaytona(デイトナ)を最初に打ち上げることが目標で、ステージレベルのテストは2022年に開始予定だ。同社の「働き手」となる打ち上げ機であるDaytonaは、高さ18.6mで、8基のエンジンを使って450kgを低地球軌道に運ぶことができる。Daytonaは完全に使い捨てだが、同社の大型モデルのロケットLaguna(ラグナ)は再利用する計画だ。

会社はカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地の第5発射施設に入る権利を取得しており、ここが最初の打ち上げの場所になる可能性が高い。同社は最近アラスカ州のパシフィックスペースポートコンプレックスとの契約にも署名した。そこではAstra(アストラ、こちらもロケット量産を目指している企業)が打ち上げを行っており、最終的にフロリダ州のケープ・カナベラル宇宙基地と打ち上げ契約を結ぶ計画だ。

しかし、仮に飛行テストが順調に進んだとしても、年間数百、数千もの打ち上げを行うことは、この国の宇宙基地の数を考えると現状では不可能だ。

「打ち上げを米国内で行うだけでは十分ではありません、なぜならこれら3カ所だけで年間数百回に到達することは不可能だからです」とプライワタ氏はいう。そこでPhantom Spaceはスウェーデン北部、オーストラリア北部、およびブラジルで発射場所を探している。同社は米国の連邦航空局とも、水平打ち上げに限定されている宇宙基地で垂直打ち上げを可能にするライセンスについて交渉している。

Phantom SpaceによるStratSpaceの買収は、数多い買収の始まりにすぎない、とプライワタ氏は述べた。「私たちはまだ小さいので、成長するために貪欲になろうとしています」と彼はいう。「そのために、小さいけれども私たちの全体戦略を可能にする非常に重要な買収から始めています」、

カテゴリー:宇宙
タグ:Phantom Space Corporation買収民間宇宙飛行

画像クレジット:Phantom Space Corporation

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

元Uberチームの地理空間スタートアップUnfolded.aiをシード後すかさずFoursquareが買収

いやはや、これは早かった。

シードラウンドを調達してからわずか数カ月後のUnfolded.aiは米国時間5月20日、Foursquare(フォースクエア)に買収されることを発表した。買収の条件は明らかにされていない。このスタートアップは前回TechCrunchが確認したときには、合計で約600万ドル(約6億5000万円)を調達していた。

元Uberの地理空間エンジニアたちによって設立されたUnfolded.aiは、地理空間データセットを取得して視覚化できるウェブアプリケーション「Kepler.gl」や、地理空間データセットを処理して可視化する準備をするための拡張可能なアプリケーションフレームワークを提供する「Deck.gl」などを含む、同社の創業者たちが作成した人気のオープンソースライブラリの上に製品を構築していた。

2021年初めの記事で書いたように、

このスタートアップの主要製品は「Unfolded Studio」と呼ばれるもので、データ管理やサーバー通信などのコンポーネントを扱うKepler.gl(それ自体はフロントエンドライブラリに過ぎない)の上に構築されたアプリケーションのBaaSとして機能する。具体的には、異なる地理空間データセットを1つにまとめ、それらすべてが1つの統一されたビューで相互作用できるように設計されている。

今回のFoursquareによる買収は、Unfoldedの地理空間技術をFoursquare Everywhereに導入することを目的としている。Foursquare Everywhereは、あらゆる種類の顧客にスケーラブルな位置情報サービスを提供することを目的とした、Foursquareの新しいブランド・製品だ。

Foursquareは近年、位置情報に特化した広告・マーケティングプラットフォームへと大きく進化している。2020年4月にはFactualとの合併を発表し、同年11月にはDavid Shim(デビッド・シム)CEOからCEO兼社長のGary Little(ゲイリー・リトル)氏にトップが交代した。今回の買収は、リトル氏が指揮を執ってから初めてのものとなるようだ。

FoursquareのCEO兼社長のゲイリー・リトル氏(画像クレジット:Foursquare)

プレスリリースの中で、同社は次のように述べている。「今回の買収によりFoursquareは、高品質で使いやすい位置情報データとそれを活用するために必要な技術に関して、企業が信頼する唯一のソースへと進化することができました」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Unfolded.aiFoursquare地理空間買収

画像クレジット:Prasit photo / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Aya Nakazato)

Snapが同社のARグラスに技術を提供するWaveOpticsを545億円以上で買収

米国時間5月20日にAR(拡張現実)メガネ「Spectacles(スペクタクルズ)」の最新バージョンを発表したSnapは、その翌日にさらなるニュースを発表した。それは同社の躍進を後押しする技術を持つスタートアップ企業を買収するというものだ。

写真共有アプリ「Snapchat(スナップチャット)」で知られるこの企業は、ARメガネに使われる導波管とプロジェクターを製造するARスタートアップのWaveOptics(ウェーブオプティクス)を買収する。ARメガネは、それをかけた人が見ている現実世界の景色の上に、バーチャルな画像を重ね合わせて見ることができるというもので、Snapはその最新モデルをWaveOpticsと協力して開発した。

この動きはThe Verge(ザ・ヴァージ)が最初に報じたもので、TechCrunchはSnapの広報担当者に直接その詳細を確認した。SnapはWaveOpticsの買収に、現金と株式交換で5億ドル(約545億円)以上を支払うという。そのうちの半分は、買収が正式に完了した時点で株式の形で支払われ、残りは2年後に現金または株式で支払われる予定だ。

これはWaveOpticsにとって大きな飛躍だ。同社はこれまで、Bosch(ボッシュ)やOctopus Ventures(オクトパス・ベンチャーズ)、そして英国のベテラン起業家で、現在はFiveAI(ファイブAI)に在籍するStan Boland(スタン・ボランド)氏や、初期ARスタートアップのBlippar(ブリッパー)創業者の1人であるAmbarish Mitra(アンバリッシュ・ミトラ)氏などの個人を含む投資家から、約6500万ドル(約70億8000万円)の資金を調達していたが、直近の評価額は1億500万ドル(約114億円)程度にとどまっていた

WaveOpticsはオックスフォードで設立されたが、我々が知る限りでは、今後も英国を拠点に置くようだ。

TechCrunchでは、この会社がホログラム物理学とフォトニック結晶をベースにした導波路という、非常に興味深く、時代を先取りした技術を展示した初期の頃から取材してきた

重要なことは、同社の技術が、画像の処理と表示に必要なハードウェアのサイズと負荷を、劇的に圧縮するということだ。これは、WaveOpticsの技術をベースにしたARハードウェアのフォームファクタが、より幅広く、より適応性が拡大することを意味する。

買収後もWaveOpticsが他の企業と協力を続けていくかどうかは不明だが、Snapにとっては、このスタートアップ企業の技術を自社だけのものにすることが、大きなアドバンテージになることは明らかだと思われる。

Snapはここ最近、同じような買収を繰り返している。1月以降だけでも、eコマースへのAR活用を目指してFit Analytics(フィット・アナリティクス)を買収した他、3Dマッピング技術のPixel8Earth(ピクセルエイトアース)や、位置情報プラットフォームのStreetCred(ストリートクレド)など、少なくとも3社のスタートアップ企業を買収している。

しかし、今回の取引は、Snapにとって評価額の面ではこれまでで最大の買収となる。

これは、基礎的な人工知能技術に依然として高い価値がある(加えて、WaveOpticsを設立した科学者たちのチームは12件の出願済みおよび進行中の特許を保有している)ということを示すだけではない。SnapがARを使用するソーシャルアプリだけに留まらず、ハードウェアにおいても影響力のある地位を築き上げ、その技術を使うだけでなく、どこでどのように展開するかという進行と計画を握る中心的存在でありたいという、財務的な、はっきり言いえば実存的な、コミットメントの表明だ。

これは粘り強い取り組みであり、必ずしも報われるものではないが、しかしSnapは(同社は長い間、自らを「カメラ会社」と表現してきた)、ハードウェアを将来の戦略に不可欠な要素として位置づけている。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:SnapARグラス買収Snapchat

画像クレジット:Snap

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マーケター向けプラットフォームのUnbounceが自動コピーライティングのSnazzy.aiを買収

Unbounce(アンバウンス)は、カナダ・バンクーバーのスタートアップで、マーケターが自動化されたランディングページを作る機能で知られている。現地時間5月19日午前、同社は自動コピーライティングのアーリーステージスタートアップであるSnazzy.ai(スナジー・ドット・エーアイ)を買収して、新たな特色を加えた。両社とも買収条件を明らかにしていない。

Unbounceの最高戦略責任者であるTamara Grominsky(タマラ・グロミンスキー)氏は、会社はUnbounceユーザーが顧客を売上へと転換するのを助けることに焦点を当てており、Snazzyが加わることで、GPT-3人工知能技術に基づく優れたテクノロジーを手に入れたと語った。

「現在、当社では、マーケターがコンピューターを使ってコンバージョンの真の可能性を引き出すためのコンバージョン知識ソフトウェアの開発に注力しています 【略】 Snazzyには、特にコンテンツ作成とコピー制作の分野で当社の戦略を加速してくれることを大いに期待しています」とグロミンスキー氏は説明した。

グロミンスキー氏は、ランディングページの管理を任され、コピーライティングを含むさまざまな業務に責任をもつマーケティングゼネラリストがこの製品の真のターゲットだと指摘する。「Unbounceの平均的顧客は専門のコピーライターではないので、1日中コピーを書くことはありません。私たちがマーケティングゼネラリストやマーケティングの広い範囲の責任を持つ人について考えているのはその点です」と彼女は言った。

Snazzyの共同ファウンダーであるChris Frantz(クリス・フランツ)氏は、この技術は人々にスタートを切らせることが第一で、必要に応じて結果は微調整できるという。「いつでも最もむずかしいのは、最初の1行、最初の1ページに最初の何ワードかを書く部分です。Snazzyはそれを完全に取り除きます。結果はいつもすばらしいコピーになるとは限りませんが、何度でもボタンをクリックしてやり直せるが良いところです」と彼はいう。

フランツ氏は、この分野の競争は非常に激しいため、Unbounceのように大きなプラットフォームソリューションの一部になることで、ずっと早く市場を作れると彼と共同ファウンダーは考えたと語った。

「私はUnbounceの未来に対するタマラさんのビジョンが大好きです。彼女は非常に野心的なビジョンを持っていると思います。プロセスのごく早い段階で彼女は私の心を掴みました。同時に、この分野には数多くのライバルがいるので、Unbounceのように長年のマーケティング経験とコミュニティの厚い信頼をもつ会社と組むことは大きな差別化になります。当社のオーディエンスをさらに拡大する非常に強力なバネになると思っています」。

Snazzyは、ランディングページからGoogle広告のコピーまで、あらゆるタイプのコピーを書くために使える。会社は2020年10月にアルファ版を公開し、すでに3万社の顧客がおり、Unbounceはそれを自社の顧客に変換することを望んでいる、とグロミンスキー氏はいう。Snazzyユーザーにとってはうれしいことに、UnbounceはSnazzyを今後もスタンドアローン製品として継続しながら、今後そのテクノロジーをUnbounceプラットフォームに組み込んでいく計画だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Unbounce買収コピーライティングカナダ

画像クレジット:grivina / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターが予定するサブスクサービスの充実を狙い広告を取り除きページを読みやすくするScrollを買収

Twitter(ツイッター)は、米国時間5月4日朝、Scroll(スクロール)の買収を発表した。Scrollはウェブ上の長いコンテンツを読みやすくするためのサブスクリプションサービスで、記事を読む邪魔になる広告やその他のウェブサイトの飾り部分を取り除く。Twitterによれば、このサービスはTwitterによる大規模なサブスクリプション投資の計画の一部であり、やがてTwitterがサブスクユーザーに提供する機能の1つになるという。

サブスクユーザーはScrollを用いることで、ニュースサイトや、Twitter独自のニュースレタープロダクト、そして最近買収されすでにTwitterのサービスに統合されているRevue(レビュー)を楽に読むことができるようになる。サブスクユーザーがTwitterを通してScrollを利用すると、そのサブスクリプション料金の一部が、パブリッシャーやコンテンツライターへ支払われるのだと、Twitterは説明している

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現在、Scrollのサービスは、The Atlantic(アトランティック)、The Verge(ヴァージ)、USA Today(USAトゥデイ)、The Sacramento Bee(サクラメント・ビー)、The Philadelphia Inquirer(フィラデルフィア・インクワイラー)、The Daily Beast(デイリー・ビースト)など、何百ものサイトに対して動作する。読者にとっては、Scrollの利用体験はいわゆる「リーダービュー」に似ている。つまり広告、トラッカー、その他のウェブサイトのゴチャゴチャが取り除かれ、読者がコンテンツに集中できるようになるのだ。

画像クレジット:Twitter

パブリッシャーに対するScrollからのアピールは、Scrollに対応することで、広告だけよりも収益を上げることができる、クリーンなコンテンツを配信できるようになるということだ。

取引条件は公開されていいないが、Twitterは合計13名のScrollスクロールチーム全体を取り込む。

当分の間Scrollは、Twitterのサブスクリプション作業に自社製品を統合し、予想される成長に備えることに焦点を当てることができるように、新しいユーザーのサインアップを一時停止する。ただし買収終了後も、Scrollのネットワークに参加したい新しいパブリッシャーの登録は引き続き行われる。

そしてScroll自体は、チームが製品をTwitterに統合する作業を行うので、プライベートベータ状態に戻る。

画像クレジット:Twitter

Twitterはまた、ScrollのニュースアグリゲーターNuzzel(ナッツェル)プロダクトも縮小されるが、やがてNuzzelの中核機能の一部がTwitterの中に組み込まれるようにするという。Nuzzelのブログ記事には、Twitterとともに拡大するためにはプロダクトを再構築する必要があることがより詳しく説明されている。

「Twitterは開かれた対話を提供するために存在しています。ジャーナリズムは対話のミトコンドリアです。それは起点であり、増幅を行い、そして知らしめます。それは視点を転換し裏返します。理想的には、お互いの立場に立たせ、お互いの共通の人間性を理解するのに役立つことでしょう」とScrollのCEOのTony Haile(トニー・ハイレ)氏は、同社の買収に関する同社のポストで語った。

そして彼は「(Twitter CEOの)ジャック(・ドーシー氏)とTwitterチームによって与えられた使命はシンプルです。Scrollが構築してきたモデルとプラットフォームを切り出し、それをスケールすることです。つまり、ニュースを愛する人たちのすばらしい集まりがその金銭的支援を続けてくれるように、Twitterを使用するすべての人が面倒やフラストレーションなしでインターネットを体験する機会を得られるようにすることです」と付け加えた。

Twitterは2021年の初めに、自社のビジネスを広告収入以外へ多様化する手段として、サブスクリプションに向かう計画を詳述した。同社は「Super Follow」(スーパーフォロー)構想を発表したが、これは、サブスクユーザーに、限定コンテンツ、プレミアムユーザー専用のニュースレター、お得情報、バッジ、有料メディアなどの幅広い特典を提供する、クリエイター中心のサブスクリプションサービスだ。Twitterは、この新機能を提供することで、2020年の37億ドル(約4042億円)から2023年には75億ドル(約8193億円)以上に、収益を倍増することを目指している

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter広告買収サブスクリプション

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Epic GamesがアーティストコミュニティのArtStationを買収、直ちに手数料を12%に引き下げ

Fortnite(フォートナイト)のメーカーであるEpic Games(エピックゲームズ)は、Apple(アップル)のApp Storeのビジネスモデルに対して史上最大の訴訟を起こしたその同じ日に、アーティストポートフォリオコミュニティのArtStation(アートステーション)を買収し、直ちに販売手数料を値下げしたことを発表した。今後ArtStationの一般クリエイターは、Epic自身のPC向けGames Storeと同じ12%の手数料で利用できる。これまでは30%だった。この値下げは、幅広いコミュニティに対して「適切な」手数料率の見本を示す狙いがある。つまり今後の裁判で、Apple App StoreがEpicなどの大規模デベロッパーに課している30%の手数料との比較基準になる可能性がある。

現在ArtStationは、ゲーミング、メディア、エンターテインメントなどのクリエイターが自分たちの作品を披露し、新しい仕事を見つけるための場を提供している。同社はEpic Gamesと長年の関係があり、AirStationのクリエイターの多くがEpicのUnreal Engineの仕事をしている。しかし、ArtStationは、Unreal Engineを使わないさまざまな分野の2Dおよび3Dクリエイターの居場所でもある。

買収によってそれが変わることはない、とチームは発表文の中で述べている。むしろ、この契約によってクリエイターが作品を収益化する機会は広がる。中でも大きいのが、手数料引き下げだ。一般クリエイターの手数料は30%から12%に下がる。Pro(プロ)メンバー(月額9.95ドル、約1086円のサブスクリプション料金を払っている)の場合、手数料はさらに低く、20%から8%に引け下げられる。そしてセルフプロモーションによる販売では、手数料はわずか5%だ。ストリーミングビデオサービスのArtStation Learning(アートステーション・ラーニング)も2021年いっぱい無料だと同社はいう。

しかし手数料の引き下げこそが、EpicのArtStationに対する最も重要な変更だ。なぜならそれは、Epicが自身のクリエイターコミュニティをどう扱っているかを示す具体例になるからだ。同社はこの買収と手数料変更と自身のEpic Games Storeの低い手数料率を、Appleとの裁判で引き合いに出すに違いない。すでにEpicの動きはMicrosoft(マイクロソフト)のゲーム販売における取り分減少へと波及しており、最近同社は同様に手数料を30%から12%へと引き下げることを発表した

Epic Gamesは裁判で、AppleがiOSアプリのエコシステムを独占していることによる市場支配力を濫用し、デベロッパーにAppleの決済システムを使用することを強制し、販売およびシステムを通じて行われるアプリ内購入で手数料を支払わせていると主張するつもりだろう。Epic Gamesは、他の大手アプリメーカー同様、自らの決済システムを使用して手数料を回避したいと思っている。あるいは、最低でもユーザーが直接支払いできるウェブサイトへと誘導できるようにしたい。しかし、Appleはこれを許していないことがApp Storeガイドラインに記されている。

2020年Epic Gamesは、モバイル端末で直接支払って大幅な割引を受けられる方法を新たに導入したことで、FortniteがApp Storeから追放される事態を招いた。それは計算された行動だった。その結果AppleとGoogleは両社ともに、それぞれのApp Storeのポリシーに違反したとして同ゲームを排除した。そしてEpicが訴訟した。

Epicの戦いは厳密にはAppleとGoogleを相手にしているが、エネルギーの大部分は前者に集中している。なぜならAndroidはアプリのサイドローディング(ストア外でのインストール)を許しているのに対して、Appleは違うからだ。

一方Appleの主張は、Epic GamesはAppleの規約とガイドラインに同意しながら、意図的に違反して特別な特典を得ようとしたというものだ。Appleは、ガイドラインは全デベロッパーに公平に適用されるものであり、Epicが例外になることはないと言っている。

しかし大手テック企業に対する一連の米国反トラスト捜査の結果、実際にはAppleが過去に特別契約を結んでいたことが発見されている。下院司法委員会が捜査結果の一環として公開したメールは、AppleがAmazon Prime Videoアプリの手数料をスタート時から15%とすることに同意していたことを暴露した。通常サブスクリプション・ビデオ・アプリの手数料は1年目が30%で、2年目以降は15%になる(AppleはAmazonが新たなプログラムの要件を満たしただけだと言っている。さらに別の古いメールは、Appleが手数料を30%以上に上げる交渉を何度か行っていことも明らかにしており、Appleが手数料率に柔軟性があると考えていたことを示している。

今回のEpic Gamesによる買収以前に、ArtStationはパンデミックさなかの不確実な期間を乗り切るために、Epicから「MegaGrants」と呼ばれる巨額の資金提供を受けている。これがその後両社の繋がりを強くするきっかけになった可能性がある。

「過去7年間、私たちはクリエイターが自分の作品を世に紹介してチャンスを掴み、大好きなことをなりわいにできるための努力を続けてきました」とArtStationのCEOで共同ファウンダーであるLeonard Teo(レオナルド・テオ)氏が声明で語った。「Epicの一員となることで、私たちはこのミッションを推し進め、自分たちだけではできなかった形でコミュニティに還元し、かつArtStationの名前と精神を維持することができます」

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Epic GamesArtStation買収Apple

画像クレジット:ArtStation

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウドゲームShadow運営のBladeを仏クラウドホスティングOVHcloud創業者が買収

クラウドゲーミングサービスのShadowを提供するフランスのスタートアップBladeが、裁判所の命令によりOctave Klaba(オクターブ・クラバ)氏のファンドに買収された。クラバ氏はフランスのクラウドホスティング企業OVHcloudの創業者として知られている。同氏はOVHcloudではなく、投資ファンドのJezby Venturesを通じてBlade(とShadow)を買収した。

Shadowはゲーマー向けのクラウドコンピューティングサービスだ。ユーザーは月額料金を支払うことで、データセンター内のゲーミングPCにアクセスできる。このゲーミングPCには自分のコンピューター、スマートフォン、タブレット、またはスマートテレビから接続できる。画面にはビデオストリームが配信され、操作はサーバに中継される。

Google StadiaやAmazon Luna、さらにはNVIDIA GeForce Nowとは異なり、サーバーには好きなゲームをインストールできる。Windows 10のインスタンスはSteamからPhotoshop、Excelまでサポートしている。

フランスのスタートアップ企業であるBladeは、複数の資金調達ラウンドで1億ドル(約110億円)以上を調達してきたが、予約注文に対応できずに自立可能なだけの十分な収益を上げられず、サービスを拡大するための資金を確保できなかった。10万人の有料ユーザーを獲得したにもかかわらず、Next INpactは同社が商業裁判所の管理下に入るしかないと報告した。

複数の企業とグループが買収提案を提出した。特にBladeのJean-Baptiste Kempf(ジャン・バティスト・ケンプ)CTOは他の従業員とチームを組み、Octave Klabaは独自のオファーを提出した。Klaba氏はJean-Baptiste Kempfをのぞく全従業員を雇用する予定だ。

今後数週間で、サービスがどのように変わるのかは興味深い。現在のサブスクリプション価格はヨーロッパで月額12.99ユーロ(約1700円)から、米国では月額11.99ドル(約1300円)からとなっている。この価格でShadowが提供され続けるのか、仕様がどのように進化するのか、または新規顧客獲得のためにサーバを増設するのかどうかは不明だ。

 

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:BladeOVHcloud買収フランス

画像クレジット:Blade

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ZyngaとRollicがハイパーカジュアルゲームメーカーUncosoftを買収

Zynga(ジンガ)は2020年にハイパーカジュアルゲームメーカーRollic(ロリック)を買収した。現在RollicはZyngaの子会社であり、そして4月29日、RollicはUncosoft(アンコソフト)という別のゲームスタジオの買収を発表した。

Rollicと同じく、Uncosoftもハイパーカジュアルなゲームを開発し、トルコ拠点の会社だ(Rollicの場合イスタンブールで、Uncosoftはイズミルだ)。実際、RollicはすでにいくつかのUncosoftのゲームを公開していて、その中で最も知られているのはHigh Heelsだ。High Heelsではプレイヤーは馬鹿げているハイヒールで障害のあるコースに挑む。同社はHigh Heelsが1月の提供開始以来、6000万回超ダウンロードされたと話した。同ゲームは「App Storeチャートのトップに風変わりな喜び」をもたらしたとして称賛されした。

Rollicの共同創業者でCEOのBurak Vardal(ブラク・ヴァルダル)氏は、ハイパーカジュアルゲーム事業に携わっていると、「常に製品指向のチームを探す」と筆者に語った。これはヴァルダル氏がUncosoftのチームに見出したものに感銘を受け、「High Heelsのような新しいタイトル」をうまく制作できると自信を得た、というふうに聞こえる。

「開発スタジオ、そしてパブリッシャーとして共にゲームを制作することで、合併した会社のようにすでに機能し始めています」とヴァルダル氏は述べた。「1日中ゲームデザインについて議論し、戦略を共有し、そして企業がどのように事業を展開するか、創業者はどうなのか、アートのチームはどういう状況なのか、といったことを意図せずに学び始めます」

一方、UncosoftのCEO、Edip Enes Çakır(エディップ・エネス・チャクル)氏は、2つのチームがここ数年協業する中で「前例のない調和」があり、「グローバルなゲームを制作するという当社のカルチャーとビジョンは、RollicとZyngaの専門的ノウハウでもって増大します」と声明文で述べた。

Rollicは実際には、Zyngaのイスタンブールにおける4つめの買収で、イスタンブールやトルコがハブのようになっているのは明らかだ。ヴァルダル氏はRollicがトルコ外にもパートナーを抱えていると指摘したが、トルコが学生の多さゆえにハイパーカジュアルゲームで特に成功していると示唆した。

同氏はまた、他のハイパーカジュアルなゲームも続いて成功するようHigh Heelsが道を示した、との考えも示した。つまり、TikTokだ。

「ゲームのアニメーションとキャラクターメカニックは、我々がTikTokできるもの、と呼んでいます」と同氏は話した。「Z世代に大きなインパクトがあり、TikTokでかなりのオーガニックなリーチがありました。新世代はエコシステムを養うコンテンツを求めています」

買収の取引条件は明らかにされなかった。

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画像クレジット: Rollic

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

IBMがクラウドアプリとネットワーク管理のTurbonomicを最大2179億円で買収

米国時間4月29日、IBMは顧客企業に提供する、ネットワークやワークロードを管理するAIベースのサービスを深化させる新たな買収を行った。同社が発表したのは、アプリケーションのパフォーマンス(特にリソース管理)やKubernetes、ネットワークのパフォーマンスを管理するツールを提供しているTurbonomic(ターボノミック)の買収だ。これは、IT運用に、より多くのAIを取り込む(IBMはそれをAIOpsと呼んでいる)という大きな戦略の一環である。

買収の金銭的条件は公表されていないが、PitchBookのデータによれば、Turbonomicは最後に行われた2019年9月の資金調達ラウンドでは10億ドル(約1090億円)近く、正確には9億6300万ドル(約1049億円)と評価されていた。米国時間4月29日の少し早い時間に流されたロイターの記事では、この取引は15億ドル(約1634億円)から20億ドル(約2179億円)と推定されていた。ある関係者によれば、この数字は正確だということだ。

ボストンを拠点とする同社にはGeneral Atlantic、Cisco、Bain、Highland Capital Partners、Red Hatなどが出資していた。もちろん最後のRed Hat(レッドハット)は、現在はIBMの傘下となっているので、理屈の上ではIBMも投資者だったのだ。Red HatとIBMは、通信事業者、エッジ、企業のユースケースに対応した、さまざまなクラウドベースのツールを開発してきた。

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今回の買収は、その動きをさらに拡大するものであり、また、最近のIBMが積極的に取り組んでいる分野でもあるのだ。2020年11月にIBMは、アプリケーションパフォーマンスマネジメントを自社の一員とするために、Instana(インスタナ)を買収したが、今回のTurbonomicの買収はそれを補完するものであり、2つの技術のツールは統合されるだろうとIBMは述べている。

Turbonomicのツールは、オンプレミスやクラウドのワークロード単体に対して有効なだけでなく、通常は複数のクラウド環境にまたがって拡張されるワークロードを含む、ハイブリッドクラウドアーキテクチャにおいて特に有効だ。ハイブリッドクラウドアーキテクチャは、コストや場所、その他の実務的な理由から、人々がより多くのレジリエンスを求めるアーキテクチャかもしれないが、実際のところ、管理が大変であることは間違いがない。Turbonomicのツールは、管理を自動化し、パフォーマンスを分析し、ネットワーク運用エンジニアに対して、利用上の要求を満たすための変更を提案する。

TurbonomicのCEOであるBen Nye(ベン・ナイ)氏は声明の中で「企業はアプリケーションをクロスクラウドで実行する際の規模と複雑さの課題を管理するために、AI駆動のソフトウェアを求めているのです」と述べている。「Turbonomicは、お客様に行動を提示するだけでなく、実際の行動を起こさせることが可能です。IBMとTurbonomicの組み合わせにより、たとえピーク時でも目標とするアプリケーションのレスポンスタイムを継続的に保証することができます」。

IBMにとっては、サーバーを中心としたレガシービジネスから、サービス、特に未来のインフラであるクラウドベースのネットワーク上へのサービスへの移行が進んでいることを示す、また別の兆候だ。

IBM Cloud and Data Platform(IBMクラウドアンドデータプラットフォーム)担当副社長のRob Thomas(ロブ・トーマス)氏は「IBMは、ハイブリッドクラウドとAIの企業として未来を再構築し続けます」と声明の中で述べている。「Turbonomicの買収は、この戦略を推進するために最もインパクトのある投資を行い、お客様がデジタルトランスフォーメーションを推進するための最も革新的な方法を見つけられるようにするという、当社のコミットメントを示すもう1つの例なのです」。

ネットワークとIT運用の世界におけるAIの可能性の大部分は、企業がいかに自動化に頼ることができるようになるかという点にあり、IBMはこの分野にも積極的に取り組んでいる(この技術のまったく異なる応用であるビジネスサービス分野では、同社は2021年4月、イタリアのMyInvenioを買収し、プロセスマイニング技術を自社に導入した)。

一方、自動化によって期待されるのは、運用コストの削減であり、これはハイブリッド・クラウドの展開において、ネットワークのパフォーマンスと可用性を管理するための重要な課題だ。

IBM Automation(IBMオートメーション)のゼネラルマネージャーであるDinesh Nirmal(ディネッシュ・ナーマル)氏は声明の中で「私たちは、AIによる自動化は避けられないものになり、そのことは情報を中心としたすべての仕事の生産性向上に役立つと考えています」と述べている。「だからこそIBMは、ビジネスプロセスとITにまたがるAIを活用した自動化機能を、ワンストップでお客様に提供するための投資を続けているのです。Turbonomicが加わったことで、お客様はハイブリッドクラウドのインフラ全体、そして企業全体で何が起こっているのかを完全に可視化できるようになり、そのことで当社のポートフォリオはさらに大きく前進することになります」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:IBMTurbonomic買収クラウドコンピューティング

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:sako)

トヨタのウーブン・プラネットが配車サービスLyftの自動運転部門を約600億円で買収

配車サービスのLyft(リフト)は、その自動運転車部門をトヨタの子会社であるWoven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)に5億5000万ドル(約600億円)で売却した。自動運転車技術の商品化にかかる大量の費用と時間に対処しようと各企業の買収合戦が続いているが、これはその最新の動きだ。

米国時間4月27日に発表された買収の条件によると、LyftのLevel 5(レベルファイブ)と呼ばれる部門がWoven Planet Holdingに統合される。Lyftは5億5000万ドルを現金で受け取るが、そのうち2億ドル(約220億円)が先払いされる。残りの3億5000万ドル(約380億円)は5年をかけて支払われることになる。LyftのLevel 5に所属していたおよそ300人の従業員は、Woven Planetに移行する。2020年初頭には、米国、ミュンヘン、ロンドンで400人以上を数えていた同チームのメンバーだが、彼らは引き続きカリフォルニア州パロアルトのオフィスに勤務する。

2021年第3四半期に締結完了を予定しているこの契約により、4年近くにおよんだLyft独自の自動運転車開発は、公式に終了することとなる。

この買収で、Lyftは膨大な年間経費を削減できる。同社は、Level 5を売却することで、年間のnon-GAAP(公式な会計基準に沿わない)運営費は純額1億ドル(約108億円)の削減を期待しているという。収益性を追求するLyftにとって、この節約は極めて大きい。共同創設者で社長のJohn Zimmer(ジョン・ジンマー)氏は今回の発表で、この点を特に強調していた。

「契約が予定期間内に完了し、新型コロナからの回復が順調に続けば、2021年の第3四半期の調整EBITDA(償却前営業利益)では収益性が向上すると確信しています」とジンマー氏は声明で述べている。

この年間経費から解放されがLyftは、同社が創設以来ずっと本気で目指してきたもの、つまり、頼りになる配車ネットワークと、種類を問わずあらゆる商用ロボタクシーサービスが利用できる車両管理プラットフォームになることに資源を集中できるようになる。Lyftはすでに、自動運転車の開発企業数社との提携関係を結んでいる。とりわけ、40億ドル(約4340億円)規模のHyundai(ヒュンダイ)とAptiv(アプティブ)の合弁事業Motional(モーショナル)とWaymo(ウェイモ)だ。その目的は、他者の封じ込めだ。今回の買収では、Woven Planetは、Lyftのプラットフォームと車両管理データを使う商業契約も交わしている。

Lyftは、このWoven Planetとの取り決めは、独占契約ではなく、Motioalなど他企業との提携は今後も継続されると話している。MotionalとLyftは、すでに3年以上も提携を続けているが、これはそもそも、2018年にラスベガスで開催された技術見本市CESの期間中に、Lyftネットワークの自動運転車の試乗会を1週間だけ共同で行うことを想定したパイロット・プログラムだった(実際この提携は、Hyndaiとの合弁事業よりも前からある)。安全のために人間のドライバーを乗せて行われたこの短期の実験は、結局今日まで延長され、継続している。2020年2月には、同プログラムが提供したLyftのアプリを使ったAptive(今はMorional)の自動運転車による賃走が、10万回を超えた。Motionalは2020年12月、Lyftの配車ネットワークを使ったロボタクシーによる完全な無人運転での運行を米国の主要都市で2023年に開始すると発表している。

Lyftは、この新しくなった目標に向けた組織改編の最中だ。自動運転車の配車手配と乗車の顧客体験開発に取り組むエンジニア、製品マネージャー、データサイエンティスト、UXデザイナーは社内に残し、Jody Kelman(ジョディー・ケルマン)氏が彼らを率いることになる。このチームはLyft Autonomous(オートノマス)と呼ばれ、レンタカーとExpress Drive(エクスプレス・ドライブ)プログラムで使われる1万台以上の車両を管理する同社のフリート部門に組み込まれる。2019年に設立され、Cal Lankton(キャル・ランクトン)氏が率いていたLyft Fleet(フリート)は、2030年までに同社ネットワークの車両を100パーセント電気自動車に移行する事業も牽引することになる。この組織改編の狙いは、シェア、電動化、自動運転への取り組みをすべて1つ屋根の下で行うことにある。

その他にも、戦略的な改変がトヨタのWoven Planetで起きている。Level 5、Toyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)、Woven Planetは、1200人の従業員からなる1つのチームに統合される。Woven Planetは、Level 5の買収はLyftから自動運転部門を切り離し、自動運転技術の安全性の加速的な向上に注力させるためのものであり、自動運転スタートアップAurora(オーロラ)など、トヨタの他のパートナーとの関係には直接影響しないと話している。

Woven Planet Holdingsは、すでに大きな波紋を呼んでいる新企業だ。これは、Toyota Research Institute Advanced Development Inc.(TRI-AD)に組み入れられた持ち株会社であり、Woven Capital(ウーブン・キャピタル)として知られる投資会社、相互接続されたスマートシティーの実証都市Woven City(ウーブン・シティー)もここに含まれている。2021年2月、トヨタは富士山の麓、静岡県裾野市にある東富士工場跡地でWoven Cityの建設を開始した。

2021年の初め、Woven Capitalは8億ドル(約866億円)の戦略的ファンドを開設し、自動配送車両のメーカーNuro(ニューロ)への投資を発表した。

関連記事:トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

カテゴリー:モビリティ
タグ:トヨタウーブン・プラネットLyft買収自動運転

画像クレジット:Lyft

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:金井哲夫)

GoogleのCore Web Vitalsを見据えて機械学習を活用するビデオアドテックCedatoをEX.COが獲得

EX.COは同社初の買収を発表した。2015年創業のビデオ収益化スタートアップCedatoを買収する。

かつてPlaybuzzとして知られていたEX.COは、「Experience Company」の略語で、パブリッシャーや他の顧客にインターラクティブ要素やビジュアル要素(投票やプロダクトレコメンデーションなど)をコンテンツに加える簡単な方法を提供している。同社はパブリッシャー事業の売上高が2018年から2020年にかけて300%成長したと話す。

共同創業者でCEOのTom Pachys(トム・パチス)氏によると、同氏は2020年、人工知能が「我々が行うすべてのことを乗っ取る」と確信するようになった。

「我々は洗練された方法でビデオを作っている、つまりコアエンジンの一環として機械学習を使っている企業を探し始めました」とパチス氏は話した。「つまり、正しいコンテンツや正しい広告を選ぶ、正しい方法で(広告)オークションをどのように管理するかを知っている企業ということです」。

同氏はCedatoがこれらのことすべてをページロードタイムに影響を及ぼすことなくできるため、抜きん出た存在だったと述べた。この能力はGoogleのCore Web Vitals測定にとって、ますます重要になり、検索ランキングにとっても重要になるだろう。

「一般的に、効率と売上は常に歩み寄らなければならない関係です。しかしCedatoは、かなり驚くような方法でスピードを上げ、売上高を増やすことができます」とパチス氏は話した。

Cedatoのテクノロジーを加えることで、EX.COは顧客にビデオコンテンツの予想されるレコメンデーション、ビデオ広告のためのヘッダービディング、コネクテッドTVのための改善されたサポートといったものを提供できる。逆にEX.COはCedatoの既存客を引き続きサポートしながら追加のプロダクトも提供する。

「我々は何もなくしはしません。ソリューションを加えるだけです」とパチス氏は述べた。

買収の取引条件は明らかにされなかったが、Cedatoのチーム(ニューヨークとイスラエル拠点)はEX.COに加わる。

「当初からCedatoは、シンプルで顧客ファーストのアプローチで最も高度なビデオツールの開発にピンポイントでフォーカスしてきました」とCedatoの創業者でCEOのRon Dick(ロン・ディック)氏は声明で述べた。「EX.COは似たようなビジョン、パワフルなテクノロジー、そして忠実な顧客ベースを持っています。協業により我々は最先端のテクノロジーを世界中のパートナーに提供でき、引き続きマーケットの主なニーズをサポートするプロダクトイノベーションでリードします」。

パチス氏はEX.COがAI関連のさらなる買収を検討しており、次はコマース分野になりそうだと付け加えた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:EX.CO買収広告

画像クレジット:Ex.co

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

Discordがマイクロソフトによる買収を固辞、独自に新規株式公開を目指す

Microsoft(マイクロソフト)が人気ボイスチャットアプリ「Discord(ディスコード)」の買収を検討していると報道されてから1カ月が経過したが、その話し合いは打ち切られたと、この件に詳しい関係者がTechCrunchに認めた。

Discordは独立を維持する計画を検討しており、そう遠くない将来に独自に新規株式公開への道を切り開く可能性がある。この交渉が打ち切られたというニュースは、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が最初に報じた。

両社は、マイクロソフトがDiscordを約100億ドル(約1兆600億円)の評価で買収するという条件で交渉を進めていた。WSJによると、Discordは3社と行っていた買収交渉を終了させたとのことだが、名前が挙がったのはマイクロソフトだけだった。

Discordの評価額は2020年後半の6カ月足らずで2倍に増え、2021年になってますます高騰している。当初ゲーマー向けに開発されたボイスチャットアプリとして親しまれてきたDiscordは、Clubhouse(クラブハウス)が火をつけたボイスチャットのトレンドよりもはるかに早く、その地位を確立していた。Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などの企業が音声ベースのコミュニティツールの構築に躍起になっている中、Discordは2021年3月末、そのプラットフォーム上でユーザーが音声イベントを行うための新機能を導入した。

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DiscordがClubhouseのような音声イベント用チャンネルの提供を開始

Discordが売却に踏み切らなかったことは、大企業の既存製品に組み込まれるのではなく、独自のDNAを維持したいと考えている企業にとっては理に適っている。また、同社はこの選択により、長引く独占禁止法上の問題から距離を置くこともできる。米国では、業界のさらなる統合を防ぐために、大手ハイテク企業の合併を阻止する法案が議員によって検討されているからだ。

関連記事:巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

カテゴリー:ネットサービス
タグ:DiscordMicrosoft買収新規上場音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:Tiffany Hagler-Geard/Bloomberg / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

HRテックのEDGEが約1.5億円を調達してMBO完了、社員の価値観を可視化する新サービスも提供開始

左から3人目がEDGEの佐原資寛代表

HRテックのスタートアップEDGEは4月20日、第三者割当増資で9600万円とりそな銀行から融資6000万円を合わせ総額1億5600万円の資金調達を行い、人事課題解決に特化した「エアリーシリーズ」を提供する旧EDGEの株式65%超を取得したと発表した。同日付でEDGEは旧EDGEを合併し、経営陣が自らの会社を買収するMBO(マネジメント・バイアウト)の手続きをすべて完了した。

今後、EDGEは既存事業はもちろん、社員の価値観などを見える化する「エアリーマネジメントクラウド」と、1on1ミーテイングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」の新事業に力を入れていく。なお、引受先はエアトリ取締役会長の大石崇徳氏、PCIソリューションズ、インサイト、Legaseedとなる。

昨今のコロナ禍によって、企業における働き方は大きく変わり、マネジメントや組織開発の難しさが顕著になっている。旧EDGEは2017年4月にHRテクノロジー「エアリー」を主力事業として創業して以来、社内SNSを活用した組織内コミュニケーション支援事業を展開してきた。

コロナ禍の状況を踏まえ、これまでよりスピード感を持ち、課題解決策を提供していくため、MBOに踏み切ったという。旧EDGEの筆頭株主だったガイアックスは引き続き株主として一部の株式を保有する。

「エアリーマネジメントクラウド」でより適正なマネジメントを

社員1人ひとりに重点を置く診断

エアリーマネジメントクラウドは、発達心理学などをベースにした診断から、社員の価値観や幸福度を可視化して組織課題を改善するサービスとなる。今回の発表に合わせ、4月20日からサービス提供を始めた。

働き方改革などが進む中、社員のキャリアや働き方に対する価値観や考えを把握する重要性が増している。ただ、EDGEが取引先に行ったヒアリングによると、上司と部下間で信頼関係の構築が上手くいっていないケースが多かったという。コロナ禍により対面でコミュニケーションを取る機会が減ったことで、上司は以前にも増して社員の思いを汲むことが難しくなった。

エアリーマネジメントクラウドでは、これまでの組織診断ツールとは異なり、平均値ではなく社員1人ひとりの状態を把握することに重点を置いた。社員には自身の価値観に関する50個程度の質問をウェブ上で受けてもらい、意識構造のどの階層にいるかを診断する。

客観的な診断結果からマネジメントができる

同社は「価値観は意識構造に関連しているので、その意識構造では何に価値を感じ、どのような思考をするかを診断結果から提示できます。また幸福度については、目の前の仕事に没頭しているかなどの短期的な満足度と、未来の理想像に近づいている実感があるかという中長期的な満足度も計測し、総合的にスコア化しています」と説明した。

上司はこれらの情報を、社員の個別フォローや目標設定、適正配属などの決定に活用していく。客観的な診断結果から判断できることで、より適正なマネジメントを行えるようになるのだ。EDGEは2021年中に、100社へのサービス導入を目指す。

1on1ミーティングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」

音声分析により感情を可視化

エアリーフィードバッククラウドは音声分析から上司と部下の感情の推移を可視化して把握し、理想的な1on1の実施を支援するサービスだ。

近年、社員の生産性向上や人財育成の観点から、上司と社員が定期的に1対1でミーティングを行う1on1が注目されている。ただ「部下とどのように個別に話をすればいいのかわからない」「価値観や考えを引き出すことができない」といったノウハウ不足などの理由から、1on1導入に踏み切れない企業も多い。

このため、EDGEは2020年からエアリーフィードバッククラウドのベータ版を提供して質の高い1on1の特徴を分析してきたが、2021年5月初旬を目途に製品版をリリースする。製品版ではベータ版の分析を元に、上司が1on1を振り返って改善し「互いに本音をぶつけあうことができる」といった心理的安全性の高い状態を実現できるようになるという。

製品版リリース時には、上司と部下間における発話割合の測定機能を実装する予定だ。これにより、上司が1on1中に一方的に話すことなどを防ぎ、部下の意見もしっかりと引き出せるようにしていく。

また、音声分析から感情の推移を把握した後、相手にどのような印象を与えているかを客観的に評価してフィードバックする機能も追加する予定だ。この他、1on1開始時と終了時で、部下の活気スコアが増えているかなどを分析し、ポジティブな方向に導けているかをフィードバックする機能なども加えていくという。なお、この2つの機能の実装時期は現時点で未定となっている。

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Mastercardがオンラインコマースでの急速なDXに対応するためオンラインID認証Ekataを約918億円で買収

オンラインID管理の重要性が増す中で、Mastercard(マスターカード)は米国時間4月19日、ID認証企業Ekata(エカタ)を8億5000万ドル(約918億円)で買収したと明らかにした。

Mastercardは、オンラインコマースで起こっている急速なデジタルトランスフォーメーションを目の当たりにしている。この動きは新型コロナウイルスによって加速した。たとえパンデミックが収まっても、1度始まれば古い事業展開方法には戻らないであろうトランスフォーメーションだ。

Ekataの買収でMastercardは、アカウントを開いたり取引したりする際に詐欺ではないかどうかを示すことができるさまざまなシグナルを使って、決済取引する人物のオンラインIDをリアルタイムに認証できるソリューションを得る。Ekataは、人物が自分だと主張する人物であるかを予想するデータとスコアを提供している。IDであるという点を除き、クレジットカードのリスクスコアと違いはない。

MastercardのサイバーインテリジェンスソリューションのプレジデントAjay Bhalla(アジェイ・バラ)氏によると、それがEkata買収を決断した主な理由の1つだという。「Ekataを取り込むことで、当社はID能力を高め、消費者が新たなデジタル経済の中で自身を証明するのに安全でシームレスな方法を作ります」とバラ氏は声明で述べた。

両社は、Mastercardの詐欺検知ソリューションにEkataのスコアアプローチを組み合わせることで、悪意ある人物が悪事を働くためにオンラインプラットフォームを使うのを防ぐのに役立つと考えている。「オンライン決済の加速は、デジタルトラストを構築して世界中の詐欺と戦うための最大の機会の1つとして、グローバルなデジタルID証明を最前線に押し出しました」とEkataのCEOであるRob Eleveld(ロブ・エレフェルト)氏は声明で述べた。

以前はWhite Page Proとして知られていたEkataは、2019年6月にスピンアウトした。PitchbookとCrunchbaseのデータによると、Ekataは資金調達をしていない。まったく資金調達していない企業にとって8億5000万ドルというのはすばらしいエグジットかもしれないが、Lyft、Stripe、Equifax、Checkout.com、Intuitなど200の顧客を抱える平均的なスタートアップよりもEkataは明らかに成熟している。

EkataのID認証のようなソリューションがかつてなく必要不可欠なものとなり、Mastercardは手に入れたいと思っていた企業を獲得するのに喜んでお金を払ったと思われる。買収は当局の承認次第ではあるが、2020年VisaとPlaidの取引を却下したのは覚えておくべきだろう。Mastercardによると、当局のチェックをパスすれば、取引は6カ月以内に完了する。

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タグ:Mastercard買収

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi