SpaceXが有人宇宙船「クルードラゴン」のパラシュート試験に13回連続成功

SpaceXは、13回に渡るパラシュート試験に成功した。同社の宇宙船であるCrew Dragon(クルー・ドラゴン)で利用予定の第3世代パラシュートシステムだ。直近のテストでSpaceXは、短く編集ビデオをTwitterで公開し、パラシュートの一つを意図的に作動させないシステムの実験を見せ、仮に部分的に不具合が起きた場合にも飛行士がが安全に着地できることを示した。

NASAの宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonを打ち上げる計画のSpaceXにとってこれは大きな一歩だ。先月NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はカリフォルニア州ホーソンのSpaceX本社を訪れ、SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOとこの商用クルー計画の進捗状況について話あった。その時Musk氏は、改善したMark 3パラシュートシステムのテストを最低10回成功させてから飛行士を乗せると話していた。

「宇宙飛行士を飛ばす前に、最低でも10回連続でテストに成功させるつもりだ」と当時Musk氏は話した。「パラシュートの動作が安定していることを10回のテストで確実にするためだ」

当時Musk氏は、年内に少なくとも10回テストする予定であることも言っていたので、13回という数字は十分計画を満たしており、これはMusk氏が概して楽観的な目標日程を設定するSpaceXにとって、予定より早い進捗という珍しい事態だと言える。

Crew Dragonに使われているこの第3世代のパラシュートは、ナイロンの代わりにザイロンを使用している。SRI(スタンフォード研究所)で開発されたポリマー材料で、パラシュートで使用する糸の強度をナイロンの約3倍にできる。SpaceXは縫製パターンも変更し、新しいパラシュートの負荷バランスを最適化している。

SpaceXの次のステップは打ち上げテストで早ければ今週水曜日にも行われる。地上で行われCrew Dragonの脱出用エンジンをテストする。その後は空中での脱出用エンジンテストを年内に実施することを期待しており、非常時に離陸後のFalcon 9ロケットからCrew Dragonが脱出するところを見せる。

NASAとSpaceXは両者とも、今後のテストが順調に行われれば来年早くに有人飛行が実施できると楽観的な見方をしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoPro MAXは最高のアクションカメラ、SNS投稿は特にお勧め

GoPro FusionでGoProは360度カメラ市場に参入した。これは最初の試みとしては十分に優れていたが、新しいGoPro MAX(499ドル、日本では6万1000円で予約受付中)は大幅に改良されており、ビデオ、音声ともに没入型で記録できる。MAXには多少のトレードオフもあるが、手頃な価格、コンパクトなサイズでタフ、多機能であることを考えるとトラベルやネイチャー分野の動画共有には理想的なアクションカメラといっていいのではないか?

スクエアなデザインもおしゃれ

GoPro MAXのデザインはHeroシリーズのファンにはおなじみだが、違うところもある。簡単にいえばMaxはGoProを2台背中合わせに合体させてケースに収めたデザインだ。これで周囲360度の撮影、録音が可能でタッチスクリーンも内蔵されている。これはHeroモードに設定してセルフィー動画を撮影するときのファインダーとして必須だ。

水深5m保証の防水機能もある頑丈なケースに入っており、さらにアクションスポーツなど特に過酷な環境で利用するドーム型の保護レンズ2枚もパッケージに含まれている。筐体の前後左右のメッシュ部分はマイクで360度モードの場合、全周の音をクリアに録音できる。逆にセルフィーモードでビデオブログを撮影する場合など、極めて指向性の高いショットガンマイクとなる。

GoPro MAX 3新しいHero 8同様、MAXもバタフライ式のアクセリマウントが筐体底部に内蔵されており、必要に応じて引き出すことができる。 これで各種のGoPro用ケージや取り付け具に接続できる。従来の外付けマウントに比べ、携帯性が大幅に向上した。特に旅行などで荷物をコンパクトにまとめたいときにありがたい。

コーティングはゴムの皮膜となり、単体でもしっかり握ることができる。 GoProはもとから操作が簡単だが、Maxには上部に大きなシャッターボタン、サイドにパワースイッチがある。操作ボタンはこれだけだ。バッテリーは取り外し式で素早く交換可能になった。

360度か非360度か?

MAXの360度撮影機能は優秀だ。前後のカメラの映像は自動的に結合される。MAX Gripを三脚、一脚に取り付けてあればカメラを握っている手のあたりの不自然な継ぎ目などは想定内。360度用ソフトを使えば編集し効果を加えることもできる。パン、ズームのほかにフッテージの間にトランジション効果を加えることもできる。数台のカメラを使ってもできないような高度の効果も可能だ。

もちろん限界もある。GoProのソフトウェアは裏表の2台の広角カメラから得られた映像をつなぎ合わせるので多少ではあるが継ぎ目が見えることがある。GoProの編集ソフトは非常にユーザーフレンドリーで使いやすい。ただしビギナーは正面がどちらかわからない映像を作ってしまいやすい。

ただし360度撮影能力はMAXの優れた点の1つに過ぎない。 そのほかの注目点としてはHyperSmoothがある。この機能とMAX独自の水平維持機能と組み合わせると、ジンバルに搭載せずに非常に滑らかで安定したビデオが撮影できる。

Maxの水平維持機能はランドスケープでもポートレートでもデフォールトで作動する。縦横の切り替えはカメラの向きを90度帰るだけでよい。ただしランドスケープ・モードでロックした場合、MAXは傾きに関わらず動画の水平の維持する。すこしばかり奇妙な感じがするほどだ。

Maxで撮影中に縦横の向きを変えると多少のぼやけが目につく場合がある。これは完全に90度回転した場合にのみ発生するが、さほど気になるレベルではない。それ以外の場合はカメラが多少傾いたりぐらついたりしても映像は滑らかに水平を維持する。これは驚くべきテクノロジーだ。実際にこれがどれほどすごいかは実際に手に取って撮影してみないと実感できないかもしれない。

速攻デバイスとして完璧

GoPro MAXは、外出時に常時携帯したいカメラだ。この点に関してMax SuperViewモード以外にさまざまな機能がある。例えば、GoProでは360度キャプチャでの撮影時にデジタルレンズを使える。デジタルレンズとは、視野角を変えて歪みを補正できる機能だ。Maxでは3種類の画角を選べ、「狭角」モードは人物の描写などに向いている。スーパービューは通常のGoProモードよりさらにワイドでドラマティックな描写になる。

360度モードは6K(5.6K/30p)で撮影するため、HEROモードで切り取られたときに4K映像にはならない。しかし、1080pに加えて1440pがサポートするので、旅行記録などたいていのビデオブログには十分だろう。描写力が少し不足していると感じるかもしれないが、このあたりはコンパクトさとのトレードオフだ。しかしMAXは高いレベルで両立させていると思う。

すでに述べたように、Maxはタフなカメラでこのまま海に持っていってスノーケリングもできる。ビデオブログでは話しながら自撮りする必要があるので、セルフィーモニターと指向性の高いマイクは理想的だろう(上の私のビデオでは雨がマイクにかかったときに若干音質が落ちている)。利用者が何をしたいか決まっていなくても、とりあえずGoPro Maxを持って出かければ、ほとんどのことができるはずだ。小型三脚になるグリップはパッケージに含まれているのでほとんどの場合これで用が足りるだろう。GoPro MAX 2

まとめ:SNSなどにビデオを共有するユーザーに特にお勧め

MAXの安定化機能はエクストリームスポーツに熱中しているようなアクションカメラマニアトより、ソーシャルメディアやブログでビデオを共有するユーザーに適しているかもしれない。映像は非常にスムーズで洗練されている。デジタル一眼や三脚など重くてかさばる装備をパックせずに旅行に行きたい場合など理想的だ。内蔵ソフトウェアは多機能で魔法のような効果をかけられるのはクリエーターにとって素晴らしい経験だろう。

GoPro Fusionは魅力的なプロダクトだがある程度ユーザーを選ぶカメラと感じた。逆にMAXは操作の習得が簡単でGoProないしアクションカメラを初めて使用するユーザーにも取っつきやすい。使い慣れればますます強力になるオールラウンダーの特徴も備えている。誰にとっても素晴らしい強力なプロダクトだと感じた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

MITのブロック型ロボットは相互通信によって集団行動

MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(コンピューターサイエンスと人工知能研究所、 SAIL)が考案したこのキューブ状のロボットは、自力で移動し、お互いとコミュニケーションして協調しながら自分たちを何らかの構造物へ組み立てる。その振る舞いをMITの研究者たちは蜂の巣作りみたいだと述べた。ビデオを見るとその様子がよく分かる。


このキューブ状のロボットは平らな面の上を転がったり、お互いの上や向こう側に行ったり、短い距離をジャンプしたりする。そして最近の改良で簡単なコミュニケーションができるようになった。固有のバーコードを自分のIDとして持っているので、互いに個体を同定できる。16のブロックが自分のコミュニケーションシステムを使い、自力で動き回って仕事をする。主な仕事はさまざまな形状を作ることだが、矢印や光線に従うこともできる。

今の彼らにできることはごく限られているが、研究者たちが夢見ているのは、このような自己組み立て型ロボットが、災害時などに自力で橋や傾斜路や階段などになってくれることだ。それにもちろん、もっと世俗的なアプリケーション、例えばゲームなどに応用しても面白いと彼らは感じている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple TV+がスタート、iOSやApple TV、Macを購入すれば1年間無料

Apple(アップル)は定額制のストリーミング動画サービスを開始し、購読者が数多くの多様なコンテンツを利用できるようにした。このサービスを利用するには、月額4.99ドル(約540円)のプランを申し込む必要があるが、9月以降にiPhone、iPad、iPod touch、Apple TVまたはMacを新たに購入し、デバイスに関連付けられたApple IDでサインインしている場合、1年間の無料トライアルサービスが自動的に適用される購読ボタンが表示される。

Apple TV+のコンテンツはApple TVアプリに存在し、macOSやApple TV、iOS、iPadOSデバイスで視聴可能で、デバイスから削除したり古いバージョンのOSを使っていない限り、アプリがプリインストールされているはずだ。新しい番組はアプリのホーム画面のAppleTV+の項目だけでなく、インターフェースのさまざまな場所にも表示される。

ローンチ時の番組としては、「The Morning Show」 「See」「For All Mankind」「Dickinson」「Snoopy in Space」「Ghostwriter」「Helpsters」、そしてドキュメンタリー番組の「The Elephant Queen」、トークショーの「Oprah’s Book Club」などがある。これらの中には、最初に3話が公開され後に段階的にリリースされるものもあれば、ローンチ時に全シーズンが視聴可能なものもある。

オフラインで視聴するために番組をダウンロードすることも可能で、AppleTV+ではインターネットに接続されている場合には再生状況を記憶し、デバイス間で中断したところから再開できる。Apple TV+のコンテンツはすべて4Kで、Dolby VisionとDolby Atmosもサポートしている。

私は「The Morning Show」を数秒間視聴し、すべてがうまく動作していることを確認しただけなので、コンテンツの質についてはわからない。しかし、最近Appleの新しいハードウェアを購入した人なら、少なくとも無料の試用期間をチェックする価値はある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

自律飛行シャトルのEHangが100億円超のIPOを申請

中国の自律航空機メーカーのEHangは、1億ドル(約110億円)の新規株式公開をともなう米NASDAQへの上場に必要な書類を、証券取引委員会(SEC)に提出した。同社は以前から乗客を乗せたデモ飛行を行っていたが、地元や国の規制当局からドローンを展開する許可を得て、広州で商用サービスを開始する準備を進めている。

ローンチ時には、EHangは2人乗りの垂直離着陸機(VTOL)を使用する予定である。EHangは単に機体を開発するだけでなく、最終的には完全な多数の航空機(Forbes誌によると 「数千機」)による自律輸送ネットワークを構築し、混雑した地上交通の緩和と回避に役立てようとしている。推定人口1300万人以上の広州は、その交通量に悩まされている。

同社はまた乗客サービスだけでなく、ロジスティクスや貨物輸送システムも構築している。同社は、40〜60%もの時間短縮が可能な短距離都市間輸送を提供できると考えており、規模が拡大すれば50%ものコスト削減ができると述べている。

EHangは2014年に設立され、2015年にGP Capitalが主導しGGV Capital、ZhenFund、Lebox Capital、OFC、PreAngelが参加したシリーズBラウンドで、4200万ドル(約45億円)を調達した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

小型人工衛星ネットワークを利用するIoTシステム向けSDKをKeplerが公開

トロントのKepler Communications(ケプラー・コミュニケーションズ)は、通信サービスを提供するための靴箱サイズの人工衛星を開発し、その実際の打ち上げ配備もしている。同社はこのほど、最初のSDKを作って関心あるデベロッパーの登録を待っている。同社の衛星を商用利用する顧客はこのデベロッパーキットを使ってKeplerが来年から提供するナローバンドのIoT接続を利用でき、それが実際に有料で提供される来年からは同社のパートナーにもなる。

SDKをこのように早期に公開するのは、Keplerが提供するIoT接続を関心のある企業に試用しテストしてもらうためだ。Keplerのサービスの供用範囲はグローバルなので、IoTのオペレーターは単一のネットワークで比較的安くシステムを構築運用でき、輸送用コンテナの追跡とか鉄道のネットワーク、家畜や穀物などの積荷の追跡をグローバルに行うことができる。

Keplerによると、同社のIoTネットワークはこの目的のために特製された重量10kg以下のナノサテライトの集合で構成されてる。実際の打ち上げは来年以降になるが、消費者向けHDビデオストリーミングなどのように広帯域を必要としない業種に狙いを定めている。そういう業種にとっては、カバー範囲が広くてリモートアクセスの多い、しかも安定性の良い堅牢なネットワークが鍵だ。

軌道上に衛星の星座と呼ばれる複数の人工衛星を配置して提供するIoT接続は、最近ますます関心が高まり投資の対象にもなっている。そして大企業はそれらを利用してモニタリングや積荷などの追跡を現代化しようとしている。例えば、Swarmは同じ目的の150個の小型衛星の打ち上げをFCCに許可された

2015年創業のKeplerは、これまでに2000万ドルあまりを調達し、2つの小型衛星を昨年11月と今年の1月に打ち上げている。同社の発表によると、来年半ばにはISKとGK Launch Servicesとの契約でさらに二つをソユーズロケットで打ち上げる予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Volocopterが大型貨物輸送用ドローンのVoloDroneを発表

都市型エアモビリティー企業のVolocopter(ベロコプター)は、これまで文字どおり電動ドローンのビジネスの浮上に注力してきた。しかし今回ドイツのスタートアップは、パイロットなしに大量の荷物を輸送する新しい電動垂直離着陸機(eVTOL)を発表した。

新しいVolocopterのVoloDroneにはおなじみの王冠のようなローターがあり、同社の有人ドローンに使っているのと基本的に同じデザインだ。しかし、VoloDroneの機体は人間のためのものではなく、四角いプラットフォームで、下部に貨物をフックするためのアタッチメントと、2つの長いランディングスキッドがついている。

VoloDroneは、貨物コンテナの中の着陸ローターの間か、あるいはペイロードを保持するスリング、または同様の運搬機構により440ポンド(約200kg)まで持ち上げられる。1回の充電で35マイル(約56km)飛行でき、農業や公共インフラなど距離がそれほど問題にならない産業や、地上走行車を使って複雑な地形を進むような産業にサービスを提供できる。

Volocopterによると、新しい航空機はミュンヘン近郊を拠点とする専門チームによって開発されたもので、その設計はeVTOLが対象とする業界の戦略的パートナーとの作業によって決定されたという。VoloDroneは今月にも最初のデモ飛行を行っており、これは単なるコンセプトではない。

これは、Volocopterがドローンプラットフォームを目的にあわせてカスタマイズし、バリエーションを新しい分野に拡張する方法の良い例だ。同社が現在のテストとトライアルを超えて、持続可能で収益を生み出すビジネスを構築しようとしている今、これはおそらく重要な要素になるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

WaymoがB2Bでの自動車部品の配送試験へと自動運転サービスを拡大

自動運転技術を開発するWaymo(ウェイモ)は米国時間10月29日、自動車販売会社のAutoNationとのビジネスを拡大したと発表した。この提携は、Waymoがアリゾナ州フェニックスで車両サービスを提供し、AutoNationの顧客が販売店に向かう際にWaymoが自動運転による輸送手段を提供するという、昨年のWaymoとAutoNationによる既存の提携に基づいている。

現在、このパートナーシップは第3段階、つまりB2B輸送でのプロダクト輸送に移行している。アリゾナ州フェニックスのWaymoの車両は、AutoNationのToyota Tempeと同地区のサードパーティーによる修理店舗との間で、自動車部品の輸送に使用されることになる。

Waymoは主に乗客の輸送に注力しており、許可を得て自動運転車を使った試験配車サービスをフェニックス試験地区で開始し、運用している。Alphabet(アルファベット)傘下の同社CEOのJohn Krafcik(ジョン・クラフティック)氏は、日曜日(10月27日)にデトロイトにて記者に対し、無人での配送は乗客輸送よりも早く実現する可能性が高いと語り、日常的に繰り返し輸送される商品の配達ルートでの最新の試験に、Waymoが取り組んでいる理由を説明した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

自動運転車からは見えない歩行者を影で予見するシステムをMITが開発

どの点を見ても自動運転車の能力はまだ人間ドライバーを超えてはいない。でも、最終的には自動運転車に搭載された技術が、コーナーの向こう側を見るなど人間には推測すらできないことをやってのけるかもしれない。この件については、何年も前から研究開発が進められているが、MITの最新システムは既存技術を使って低コストで、まるで手品のようなワザをやり遂げる。

Toyota Research Institute(TRI)が支援しているMITの研究プロジェクトが、影の微小な変化からコーナーに何か動くものが入ってくることを予見するシステムを作った。それは自動運転車で使えるだけでなく、同じスペースで人間と一緒に仕事をするロボットにも役に立つ。例えば、病院のお手伝いロボットなどだ。

そのシステムは汎用の学式カメラを使い、コンピュータービジョンの一連のテクニックで光の強さや密度の変化をモニターして、影が動いているものの影か、静的なものの影かを判定する。そして動いているものなら、その道筋を予測する。

これまでのテストでは、この方法はカメラではなくLIDAR(ライダー、レーザーによるセンシング技術)を利用する既存のシステムよりも有能だった。もちろん、LIDARはコーナーの向こう側を予見できない。コーナーの向こう側から何か動くものがやってくることの検出では、このMITのシステムがLIDARを使ったシステムより0.5秒早かった。自動運転車の世界で0.5秒は十分に長い時間だ。事故を起こすと避けるの違いにも結びつくだろう。

目下、この実験は屋内で行われていて、コーナーの向こうからやってくるものの速度はそんなに速くないし、光は都市の本物の屋外のように激しい変化がない。だから実用化までには、研究者たちの課題がまだ山のようにたくさんある。でもうまくいけば未来の自動運転車は、路上の歩行者や自転車やほかの車に、十分敏速に対応できるようになるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国空軍の宇宙試験機「X-37B」が780日間の軌道滞在から帰還

米国空軍が運用する試験宇宙機X-37Bが軌道を離れ、NASAのケネディー宇宙センターに無事着陸した。SpaceXのロケットで打ち上げられてから2年以上を経ての帰還となった。

かつてはX-37B Orbital Test Vehicle(軌道試験機)と呼ばれた同機はこれが5回目のミッションだったが、何が行われていたのかはよくわからない。X-37Bの本質はそのミッションのほとんど秘密なので、この軌道小旅行で何が起きていたかの詳細を知ることは今後もないだろう。それでもこれが米国空軍の使用しているテクノロジーを誇示するものであり、中でも「高信頼性、再利用可能、無人宇宙試験プラットフォーム」の開発に役立てようとしていることはわかっている。

空軍の情報から、航空電子工学、誘導システム、熱遮蔽、推進システム、大気圏再突入システムなど一連のテストが行われていることがわかっている。さらに、機体の長さが約9メートルで、スペースシャトルの縮小版とも言えること、空軍から請け負ったボーイング社が作ったこともわかっている。そしてなにしろこれは空軍の話なので、この宇宙飛行機で行われるあらゆる実験が最終的に防衛ないしは軍事に使われることもわかっている。米国にとってそれは、宇宙が急速に新興都市となりつつあり、他の多くの国々が宇宙の防衛と軍事に予算を投入していることを踏まえると当然の行動だ。

X-37Bは、新記録となった780日間の飛行を終えしばらく地上に滞在したあと、2020年のいつか再びケープカナベラル空軍基地から飛び立つ予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ポルシェが米国とドイツでオンライン車両販売展開へ

Porsche(ポルシェ)は米国時間10月28日、米国にて初めて車両をオンライン販売すると発表した。同社は米国を拠点とするディーラー25社とのパイロットプログラムを進めているが、これは現在同国に展開している191社の独立系ポルシェディーラーにも拡大される可能性があるという。

このパイロットプロジェクトでは、ポルシェ車両の購入者が新車か中古車を選んで注文できるが、手続きは完全にオンライン化されておらず、購入者はディーラーに出向いて最終書類にサインし、新車を受け取る必要があった。しかし、面倒な作業はすべてオンラインで処理され、これには融資や支払いの計算、クレジットの承認や追加する保険オプションなどが含まれる。

米国でのオンライン購入者は、プログラムに参加しているディーラーのウェブサイトに統合された新しいセクションから、この手順を進められる。一方ドイツでは、より広範囲なヨーロッパでの展開に向けたパイロットプログラムとして、ポルシェが独自のウェブサイト「www.porsche.de」を立ち上げ、オンラインでの自動車販売を一元化する。

オンラインでの自動車販売は新しくはないが、ほとんどの市場、特に既存の独立系ディーラーシステムが確立している米国では、まだ普及していない。Tesla(テスラ)がオンライン自動車販売に注力したのは、独立系ディーラーパートナーが提携に消極的だったことと、そのシステムを保護する柔軟でない州法が原因だった。しかし、テスラの自動車販売のEコマースへの投資は明らかに他の企業の追従を引き起こしており、ポルシェがこの分野に参入する最後の企業ということにはならないだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

電動自動車のMini Cooper SEが米国にて約330万円で発売

電気自動車として初めて設計されたMiniこと電気自動車のMini Cooper SEは、米国で税制優遇措置を考慮しない場合に2万9900ドル+配送手数料850ドル(約330万円+約9万3000円)で販売される。なお、合衆国および州の税制優遇措置を考慮した場合の最終的な価格は1万7900ドル(約190万円)程度に抑えられるほか、一部の州ではEV所有者への優遇措置として、乗車率の高い車のために確保されている車線へのアクセスなども可能だ。

BMWグループ傘下のMiniは今年7月にMini Cooper SEを発表しており、電動自動車へのカテゴリーへの初参入となった。車両の航続距離は146〜168マイル(約230〜270km)で、Tesla Model 3とは比較にならないが、市内や市外への通勤には十分な航続距離となり、その価格は税制優遇措置を考慮したTeslaのセダンをかなり下回っている。

Mini Cooper SEは時速0〜60マイル(約97km) を6.9秒で走行できる。ベースモデルでも、6.5インチのインダッシュディスプレイ、Apple(アップル)のCareplay対応、ヒートフロントシート、クルーズコントロール、オートワイパー、ヘッドライト、最大50kWのDC高速充電を備えるなど、かなり魅力的だ。

また、最大7.4kWの家庭用充電器を使えば4時間で満充電でき、さらに対応する充電ステーションなら、わずか35分で80%まで充電できる。米国ではMini Cooper SEは2020年3月にも販売が開始される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAの火星探査車「Mars 2020」が6輪ホイールで初接地

NASAの火星探査車であるMars 2020は、地球から何億マイルも離れた過酷な環境の中で、自律的に活動しなければならない。現在はまだNASAのジェット推進研究所で開発中だが、どのマイルストーンも重要なものだ。そして今週、Mars 2020は完全に組み立てられ、自身の6輪のホイールで自重を支えながら接地した。

この接地テストは、原子力エンジンやホイールの移動能力、センサーアレイ、ナビゲーションシステムなど、探査車で進められている多くのテストのうちの1つだ。この6輪のロボット探査プラットフォームは、2020年7月に予定されている打ち上げの準備を進めており、火星探査機のCuriosityのミッションを引き継ぐために火星へとに送られる予定だ。

Curiosityは2011年に打ち上げられ、2012年8月に火星に着陸した。この探査機は2年間のミッション用に設計されていたが、2012年12月に無期限のミッション延長が決定された。そして着陸から7年たった今も、今年にはコンピューターを切り替えつつ稼働を続けている。

Mars 2020の探査車はCuriosityから多くのアップグレードが実施されているが、これは新しい探査車の開発チームによる、何年にも及ぶCuriosityの火星表面での経験の恩恵であることは想像に難くない。Mars 2020では環境に対する耐久性の向上などの改良が施されており、Curiosityを補完するさまざまな科学・研究装置も搭載される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXは2022年までに月面にStarshipを着陸させ、2024年までに月面着陸に備える予定

毎年恒例の国際宇宙会議(IAC、International Astronautical Congress)で行われた、SpaceXに対する一連の簡単なインタビューの中で、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、まもなく登場するStarship宇宙船のミッションスケジュールに関する同社の現在の考えについて少しばかり明らかにした。Starshipは現在、SpaceXの南テキサスとフロリダの施設で並行して開発されているが、これらはFalcon 9とFalcon Heavyの後継者であると同時に置き換えを意図した多目的ロケットである、搭載重量はより多く月や最終的には火星に到達する能力を有する。

「私たちはStarshipを1年以内に軌道に乗せたいと熱望しています」と、ショットウェル氏は語る。「そして必ず2022年以前に月に着陸したいと考えています。そしてうまくいったなら2024年までに月面着陸する人たちのために必要な資源の運搬を始めたいと考えています。とても野心的なタイムフレームですね」。

まさにそれは大胆なタイムラインであり、ショットウェル氏自身が繰り返し述べているように、「野心的な」タイムラインだ。テック産業同様に、宇宙産業では、プロジェクトで作業しているチームに実際の能力の限界を発揮させるように、積極的なスケジュールを設定することは珍しくない。SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏も、しばしば現実と一致しないタイムラインに取り組むことで知られており、ショットウェル氏はIACでのステージ上のインタビューの別の部分で、マスク氏の野心的な目標設定をいいものだとほのめかした。

SpaceX President and COO Gwynne Shotwell at IAC 2019

SpaceXの社長兼COOであるグウィン・ショットウェル氏。ワシントンDCのIAC 2019にて

「イーロンがこうした信じられないほど大胆な目標を出すと、世間は『そんなことはできっこない、軌道なんかには行けない、軌道に到達できるロケットなんか作れっこない、Heavyが軌道に乗ることなんてない、Dragonがステーションに到達することはない、Dragonが帰還できるはずがない、そしてロケットを再着陸させることなんて不可能だ』と言うのです」と彼女は言った。「だから、率直に言って、私は世間が『できっこない』と言うのを聞くのが大好きです。それは、私の素晴らしい6500人の従業員たちを鼓舞して、そのことをやり遂げる気にさせるからです」。

SpaceXは以前、1年以内という短期間のうちにStarshipによる最初の軌道試験飛行を開始するという目標について公表していた。これまでのところ同社は「Starhopper」という名のデモンストレーション用宇宙船を建造しテストした。これは、宇宙船のベース部に新しいStarship打ち上げシステムとSuper Heavyに使用するRaptorエンジンの1つを組み合わせて構成したものだ。

その機体を使った低空飛行を成功させた後、SpaceXはStarshipテスト機のMk1ならびにMk2の組み立てを始めた。これは、最終的な軌道宇宙船のフルスケール品と同等のもので、それぞれボカチカ(南テキサス)とケープカナベラル(フロリダ)のチームによって建造されている。これらは、SpaceXが軌道用、そして最終的には人間のテスト飛行のために追加のプロトタイプを構築する前に高高度試験を実施する予定だ。

SpaceXはすでに、NASAと連携しているIntuitive Machinesやispaceと契約を結んでいる。両社は2024年のArtemisプログラムによる月面着陸に先行して、月に貨物を運ぶ役割を担っている。とはいえ、これらの貨物輸送ミッションはすべて輸送にFalcon 9を使うことが指定されている。

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(翻訳:sako)

アルテミス有人月飛行計画にはもっと多くのスタートアップを呼び込みたいとNASA長官が呼びかけ

世界の宇宙産業、宇宙機関、研究者が一堂に集まり宇宙技術と宇宙ビジネスについて話し合う国際宇宙会議が今週開かれたが、私はNASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスティン)長官に、NASAが意欲的に推進するアルテミス計画におけるスタートアップの役割をどう考えるかを尋ねた。アルテミス(ギリシャ神話に登場するアポロの双子の姉妹から命名した)計画とは、月に再び人類を送り(今回は滞在も予定している)、そこを拠点に火星などのさらに遠くの宇宙探査につなげようというものだ。

ブライデンスティン長官は、報道向けの質疑応答で、この質問に見事に答えてくれた。それによると、この計画では、大小さまざまなスタートアップによる貢献が非常に期待されており、若い宇宙企業が大きなインパクトを与える形で貢献できる分野が数多くあるという。

「企業には、大企業もあれば中小企業もありますが、知っておいて欲しいのは、この(ルナ)ゲートウェイで私たちが構築しているものはオープンアーキテクチャーであり、民間のパートナーと進めてゆきたいと考えていることです」とブライデンスティン長官。「そのため実際に、この国際宇宙会議には数多くの企業が参加しています。月に行くと公言している大企業です。彼らは持続性を求めており、アルテミス計画に加わりたいと考えています。ゲートウェイは、そんな企業に開放されています」。

NASAルナ・ゲートウェイの想像図。オライオン・カプセルがドックに接近しているところ

ルナ・ゲートウェイは、NASAが月の周回軌道に載せて、宇宙船の拠点にしようと計画している宇宙ステーションだ。物資をいったん月の軌道に集めておくことで、月面に下ろす作業を確実に、簡単にする重要なステップとなる。だがブライデンスティン長官は、NASAがアルテミス計画のために最初に提示した公募告示(BAA)では、ゲートウェイを利用せず、直接、月面に降りる民間企業の提案も歓迎していると指摘していた。

これまで月探査は、SpaceX(スペースエックス)のような潤沢な資金力と強固な基盤を持つニュースペース企業と呼ばれる一部の革新的企業が受け継いでいた。しかし、アルテミス計画が求める企業の役割は、地球から月の軌道まで移動できる宇宙船の建造のような膨大な資金を要する仕事に限らないとブライデンスティン長官は言う。

「月面に物資を届けておく必要があります」と彼は話す。アルテミス計画では2024年に人を月面着陸させる予定だが、そこで使用されるスペース・ローンチ・システム(SLS)とオライオン有人カプセルがミッションを確実に達成できるように、前もって物資を送り込んでおく必要があるという。「ゲートウェイで着陸船を準備する際にも、おそらくバイパー中性子分光計や赤外線分光計など、地表や氷や、月面上に何がどこに、どれくらいの量で存在するかを調査するためのハードウェアを月面に設置する際にも【中略】そうした科学機材を月に送り届けなければいけません」。

ブルー・オリジンのブルー・ムーン着陸船

実際、NASAが予定している2024年の月面有人着陸に先駆け、または同時期に月着陸船で物資を運び込む準備を進めている企業がある。Peregrine(ペレグリン)月着陸船を2021年に打ち上げる予定のAstrobotic(アストロボティック)と、Blue Moon(ブルー・ムーン)着陸船のBlue Origin(ブルー・オリジン)だ。どちらの着陸船も、そしてその着陸船が運ぶ物資も、月での人類の持続可能な活動を円滑化するために、スタートアップが開発した機材やシステムを利用する可能性がある。事実、ブライデンスティン長官は、計画中の機材の中には、高度なデータ収集ハードウェアよりもずっとワイルドなものがあると話していた。

「たぶん、これも予算によりますが、また今から2024年の間に実現できるとは確約できませんが、月面に空気で膨らむ住居を建て、そこを月面に降り立った宇宙飛行士たちの拠点とし、長期間の滞在を可能にするといったことも考えられます」と彼は言う。「実現可能な範囲なのかって?もちろんです」。

さらにブライデンスティン長官は、NASAがすでに数多くの小規模ながら革新的な企業と協力していること、そしてさらに多くのパートナーを探し続けたい旨を話していた。NASAから発注される月への物資輸送の需要は確実なものであり、発展性があり量も増えていくと長官は指摘していた。

「SLSとオライオンに加えて、さらなる可能性を私たちは必要としています。そこでは、あらゆる種類の民間事業者にチャンスがあります」と彼は言う。「また私たちは、NASAが関わるスモールビジネスへの投資や調査も行っており、常にスモールビジネスを支援しています。事実、私たちは商業月運搬サービス(CLPS)プログラムを進めています。契約した企業は現在9社。【中略】そのうち2社は、2021年に月に物資を輸送するという依頼に取り組んでいます。【中略】この9社に留まらず、さらなる企業を引き込みたいと考えています。もっと大規模な月着陸の可能性を提供してくれる大きな企業の参加も期待しています。なぜなら前にも述べましたが、月面への物資輸送の需要は今後さらに高まるからです」

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(翻訳:金井哲夫)

テスラがソーラールーフの施工を開始、ソーラーパネルより安価

Tesla(テスラ)は、住宅用のソーラー屋根材の3つ目のバージョンを、米国時間10月25日のブログ記事と記者会見で発表した。テスラのCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、この3代目Solar Roof(ソーラールーフ)の解説から記者発表を開始し、いくつもの質問に答えていた。同社は、数週間後にはソーラールーフの設置を開始し(すでに始まっているものもあるとマスク氏は言っていた)、1週間に1000件の新規設置を目指しているという。

設置後の外観は通常の屋根材と変わらず、それでいて発電ができるようデザインされたテスラのソーラールーフ屋根材は発展途上の技術だと言える。テスラでは、このコンセプトを発表してから3年間、ずっと改良を重ねてきおり、今までに、2つのバージョンを試験施行している。「バージョン1とバージョン2は、模索段階のものでした」とマスク氏は、先週開かれた収支報告会で話していた。加えて彼は「バージョン3で、ついに成功の準備が整いました」と語った。

テスラのソーラールーフのウェブサイトには、およその見積もりを計算できるページがあるが、それによると10KW(キロワット)のパネルで、平均的な2000平方フィート(約186平方m)の屋根の場合、4万2500ドル(約460万円)となっている。米国の8550ドル(約93万円)の税額控除を受けると3万3950ドル(約369万円)になる。家の住所を入力すれば、その地区での施行費用と、その地方の税額控除から価格を割り出してくれる。テスラのホームバッテリー「Powerwall」(パワーウォール)を追加した価格も知ることができる(2000平方フィートの場合は3台が標準で付属)。

「このソーラーグラスの屋根は、比較的新しい屋根をお持ちの方には経済的なメリットはないでしょう。これそのものが、発電する屋根材だからです」とマスク氏は説明する。続けて彼は、このバージョン3の製品により、テスラは「標準的な屋根の建設費用と(その屋根に載せる形の)ソーラーパネルの価格を下回る」プライスポイントを実現できたと述べていた。

「効果的な設置方法は実に簡単に知ることができます。私たちは、その目的でインストラソンを開催する予定です」とマスク氏。インストラソン(施行マラソン)とは、2つのチームが、小さなあるいは凝ったデザインの屋根にいかに早く施行できるかを競わせる企画だ。「施行方法だけに関しても、かなりの研究開発を行った」とマスク氏は後に繰り返し述べていた。

またマスク氏は、最初は専門の職人を雇い訓練するという。この計画は、最終的にはあらゆる外部の施工業者にも広げる予定だ。収支報告会では、マスク氏とテスラの担当者たちが、施行時間を通常の屋根材をふいて、その上にソーラーパネルを設置する場合よりも短くなるように力を注いでいると話していた。そしてマスク氏は、このソーラーグラスの屋根材を、通常の屋根材よりも早く施行できるようにすることが最終目標であると語った。これはバージョン2と比較して雲泥の差があると、マスク氏は言い足している。

「私たちは、今後数週間以内にできるだけ早く施行を開始します」とマスク氏は準備が整っていることを告げると目標は「数カ月以内」に「1週間に1000件」だと語った。

2018年9月付けのCNBCの記事は、発表から彼らが調査を行った日までの間に2年のギャップがあるにも関わらず、テスラはソーラールーフの施行をほとんど行っておらず、同年1月にニューヨーク州バッファローにあるテスラのギガファクトリーでソーラールーフの製造が開始されたが、ほとんど作られていないと伝えていた。だが、6月に開かれたテスラの定期株主総会では、マスク氏は3代目のソーラー屋根材の準備は進んでおり、正確な数は明らかにしなかったものの、その時点で米国の8つの州で施工を進めていると話していた。

マスク氏は、今日までに一部の製造に遅延があったこと、以前までのバージョンは施工が難しかったことを認めた。そして彼は、テスラのモデル3の増産に触れ、「この1年から1年半の間、ソーラー部門からは実に多くの資源を融通していました」と話した。モデル3による障害が大幅に取り除かれたことで、会社としてこちらのチャレンジに本腰が入れられるようになったという。

マスク氏は、この製品の到達可能市場を世界の住宅1億軒のオーダーで見積もっており、実際に世界展開を意図していると強調した。

ローンチ時点では、ソーラールーフの仕様は1種類しかないが、できるだけバリエーションを増やしてゆくとマスク氏は話していた。それには、陶器やその他の素材に似せたものも含まれる。

ソーラー屋根材と施行には、耐風雨性(最大風速約58m毎秒など)と発電性能に25年間の保証が付く。ソーラールーフは、同等サイズの従来式の後付けソーラーパネルよりも多くの電力を発生する。しかし一方、個々のタイルの発電効率は従来式のソーラーセルよりも低い。それでも、カバーできる屋根の面積が広いためにソーラールーフのほうが高性能ということになるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXは衛星ブロードバンドサービスStarlinkの供用を2020年内に開始

SpaceNewsによると、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が、今週のInternational Astronautical Congress(国際宇宙飛行会議)の間にワシントンの同社オフィスで行われた記者会見で、来年中には一般消費者向けのStarlinkサービスを立ち上げると明言した。このイベントのステージにも立ったショットウェル氏は「それまでには6回から8回、グループにまとめたStarlink衛星のペイロードをローンチする必要がある」と述べた。今年の5月に打ち上げられたものもその中に含まれる。

同社のこれまでの話では、地球全域をカバーするためには24回の打ち上げが必要とされていた。そして来年の最初の供用域は、米国北部とカナダの一部と言われていた。またショットウェル氏によると、24回で地球全域がカバーされるがそれでもまだ粗いので、あと数回の追加的打ち上げが必要だそうだ。

SpaceX President and COO Gwynne Shotwell

SpaceXの社長兼COO Gwynne Shotwell氏

SpaceXが最近提出した文書によると、これまで許可を得ている1万2000基に加えてさらに3万基を打ち上げて、合計4万2000基の衛星群になる。SpaceXのスポークスパーソンの、TechCrunch宛てのこの前の話では「それはStarlinkのネットワークの総容量の応答性とデータ密度を高めて、ユーザーが求めるニーズの今後の成長に備えるため」とされていた。

グローバルなブロードバンドの衛星群を保有し運用することによりSpaceXの収益は大きく伸び、また究極の月への打ち上げを含め、今後のより意欲的な事業を追究するときの重要な柱となるだろう。衛星群の整備は、これだけの規模ともなると費用も膨大になるが、しかしSpaceXはほかにもStarshipのような大きな製品開発を目指している。それはペイロード容量を拡大して軌道への貨物搬送量を増やし、同社自身と顧客のコストを長期にわたり削減するプロジェクトだ。

記者会見でショットウェル氏は「すでにStarlinkの接続テストを米空軍の研究所のために行っている」と述べた。料金は明らかにしなかったが、SpaceNewsによると米国の場合80ドルという低料金らしい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ヴァージン・ギャラクティックが10月28日に初の宇宙旅行関連上場企業に

Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏が率いるVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は10月28日に、商用宇宙旅行を実現するという野心的な計画について、市場がどう判断するかを知ることになる。同社の株主は今年発表された、米国時間10月25日の金曜日にスタートするChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏のSocial Capital Hedosophi(ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィ)との合併と10月28日のニューヨーク証券取引所への上場を認めた。

Virgin GalacticとPalihapitiyaは今年7月に、Virgin Galacticへの8億ドル(約870億円)の投資を含む契約を発表した。Branson氏のVirgin Galacticは、Virginブランドの2社の宇宙企業(もう1社はVirgin Orbit、ヴァージン・オービットで、商業的な小型衛星の打ち上げを目的としている)のうちの1社で、宇宙船のSpaceShipTwoと改造飛行機による発射プラットフォームを使って、観光客をサブオービタルの宇宙空間に連れていくことを目指している。

Virgin Galacticは最近、最新スケジュールによれば来年前半に始まる25万ドル(約2700万円)の宇宙旅行で、乗客が着用する宇宙服を発表した。同社の宇宙船は最大で6人の乗客を乗せるられるため、各フライトで最大150万ドル(約1億6000万円)の収入を得られる。Virgin Galacticによると、すでに600人以上がこの旅に参加するために予約を済ませている。

10月28日の取引開始日には、市場の投資家がそのビジネス計画の価値に信頼を置くかが明らかになるはずだ。一方、Virgin Galacticは研究ミッションを望む顧客と契約しており、収益源として有望である以上の将来性を示している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

小型ロケット打ち上げスタートアップFireflyがロケット産業大手Aerojet Rocketdyneと提携

Firefly Aerospace(ファイヤーフライ・エアロスペース)は、Aerojet Rocketdyne(エアロ・ロケットダイン)と手を組むことになった。これは、小規模な新規参入の宇宙スタートアップが経験豊富な伝統的ヘビー級企業と提携するという理想的なかたちだ。Firefly2013年に設立され、小型衛星用の打ち上げ機Alpha(アルファ)を市場に送り出すために、これまでに216万ドル(約2億3500万円)を調達している。

同社は、決定的な意味を持つ最初の打ち上げを、来年の2月から3月の間に予定し準備を進めていると、同社の創設者でCEOのTom Markusic(トム・マルクシック)博士は、今年ワシントンD.C.で開催された国際宇宙会議で発表。同社の成長に関する近況と、FireflyとAerojetとの新しい提携話について語った。

Firefly Aerospaceの創業者でCEOのトム・マルクシック氏

マルクシック氏は、Aerojetのスペースビジネス部門上級副社長であるJim Maser(ジム・メイザー)氏と同席し、AerojetがFireflyに、Beta(ベータ)というわかりやすい名称の次世代打ち上げ機にエンジンを供給すること、その本格的な開発はアルファの打ち上げ後に始まること、そして定期的な商用サービスを開始することを説明してくれた。

ベータは中型の打ち上げ機で、アルファに比べて積載容量が大きく最大積載重量は8.5トンとなる。アルファはFireflyの最初のロケットで、1トンの衛星を軌道に打ち上げることができる。「Fireflyはそのサイズを需要はあるが供給が足りていないスイートスポットに特定した」とマルクシック氏は話していた。

その中間領域は、あまり活用されていない部分でもある。その比較的大きなペイロードを軌道に載せるには大きなエンジンが必要になるからだ。彼らはその解決策を探し回り、AerojetのAR-1エンジンを見つけた。推力50万ポンド(2200キロニュートン)という完璧なソリューションだった。

マルクシック氏とメイザー氏は、一般論として、この業界に参入したばかりのスタートアップや若い企業は、Aerojetのような老舗企業にとって最重要パートナーになると力説していた。Aerojetは1942年に設立され以来、ロケットおよびミサイル業界で貢献してきた。

Fireflyのアルファ打ち上げ機。

「早く動くことも、失敗することもオーケーですが、他者の失敗や、自分自身の失敗を繰り返したくはありません」とマルクシック氏は、経験豊富な企業と提携する利点を述べた。「この提携はエンジン供給の合意に留まらず、より広範囲な恩恵をFireflyにもたらす」とマルクシック氏は話している。

「Aerojetは、宇宙空間のための素晴らしい推進装置を揃えています。例えばXR-5です」とマルクシック氏。「これは5kw(キロワット)のホールスラスターで、私たちのOTV(軌道間輸送機)にも、地球と月との間での大規模なミッションに使用する高度なOTVにも使えます。さらに彼らは、他のステージでも利用できる、飛行実績のある提案中の化学スラスターも数多く保有しています」。

プリバーナーの試験を行うAerojetのAR-1エンジン

Fireflyは、軌道間輸送機を使って、より高度な打ち上げ能力を提供することを計画している。その野心は、打ち上げ機を超えて宇宙空間での製造にまでおよんでいる。それは同社にとって大変に魅力的な事業だマルクシック氏は言う。なぜなら、打ち上げコストを削減する究極の方法は打ち上げコストの必要性を丸ごとなくすことだからだ。Fireflyの最終目標は、その方法を問わずたくさんの商用人工衛星を軌道に載せることだ。そこには山ほどのチャンスがある。しかし現在のところ、同社の最大のチャレンジは目の前にあるもっとも重要なゴールに集中することだとマルクシック氏。

「我が社と同じように宇宙を目指す企業は、少なくとも100社はあります」と彼は言う。「今は、その夢を語る大勢の人たちの中に私たちも紛れています。私は、この会社を通じて、そうした空論家の集団から一刻も早く抜け出て、実際に宇宙で宇宙船を飛ばしているエリート集団に加われるよう精力を傾けています」。

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(翻訳:金井哲夫)

Sense PhotonicsのフラッシュLiDARが量産体制に移行

自動運転車やドローンやロボットの界隈では、まだ理論の段階のものも含めてLiDAR(ライダー、自動運転用センサー)によるさまざまなソリューションがある。しかし、理論から大量生産への移行は、まず最初に理論を生むことよりも困難だろう。Sense Photonicsは、どうやらその部分を終えて、今ではその高度なフラッシュLiDARの予約販売を開始している。

LiDARはさまざまなタイプがあるが、これまで多く見られた回転式のタイプはその時代を終え、もっとコンパクトで信頼性も高い平面型タイプが主流になりつつある。LiDAR大手のLuminarもこちらへ乗り換えつつあるが、しかしSense Photonicsも静観はしてはいない。ただし、両社は長所がそれぞれ異なる。

Luminarや一部の企業は、狭い視界で数百フィート先の形状を検出する前向きタイプのLiDARを作っているが、Senseはもっと短い距離で物を広角で捉える。そしてそれは通常のカメラと相性がいいので、RGBの画像に奥行きデータをマップするのも朝飯前レベルに容易だ。

Sense Photonicsは従来のカメラの視野と奥行きデータを容易にマッチできるようにした

車の後部や側部に搭載したいLiDARはこういうタイプだ。そして、環境を広い視野で捉えて動物や子どもや自転車などを迅速にそして正確に検知する。でもこういう技術的な話は、同社がステルスを脱したときに記事にした

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本日のニュースは、製品がプロトタイプを脱して生産のための設計になったこと。頑丈になったので埃や雨の環境でも外部に取り付けられる。性能もアップして状況によっては最大距離が40mを超えた。前より相当大きい。

2900ドルの基本製品は視野角が80×30度、もっと広い95×75度のもある。LiDARの標準より相当大きく、しかも他社のフラッシュLiDARよりも精度が高い。ただしワイドにするために犠牲にした部分もある。同社の特許技術により、LiDARの検出器はレーザーのエミッター以外ならどこにでも取り付けられる。車全体の設計も多少やりやすくなるだろう。

当然ながらこれは、ネットで気軽に買うというものではなく、自動運転車の本格的な研究開発やテストをしている企業がバルクで買う。

自動運転車の大量生産時代になったとき、LiDARはSense Photonicsとなるのか、それとも幸運な他社製品になるのか、今から予見することはできない。でも同社の強みは、製品が今すでに現存していることだ。同社のLiDARについてもっと知りたい人は、こちらへどうぞ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa