【レビュー】MINIクーパーSE、楽しいEVだが追いつくべきところが残っている

2ドアMini Cooper(ミニクーパー)のようなクルマを電動化することは「なぜ今まで思いつかなかったんだ」的なすばらしいコンセプトに思えるが、もちろんMiniも同じ意見だ。

同社はこのコンセプトを2009年以来試しており、全電動クーパーの実用性と魅力を実地テストするためのプログラム、Mini Eを限定販売したこともある。

テクノロジーの進歩と、そんなクルマへの需要からMini Cooper SEが生まれた。熱烈な支持を得ている同社の2ドア・ハッチバックの電動バージョンだ。これは、会社が自らに課した期限、2030年までの全電動化に向けた第1ステップだ。

結論:Mini Cooper SEは、ブランドが期待するの遊び心あるファンに向けた軽快な1台だが、残念ながら年老いたハッチバックに2022年には物足りない電動パワートレインを載せたクルマである。

ポイント

Mini Cooper SEは、2年前に登場したばかりの第3世代Cooper(市場によってはHatchで知られる)の完全バッテリー駆動バージョンだ。陽気な2ドア車の内燃臓器が、同社の新しい電動内蔵で置き換えられた。

燃料タンクの代わりにバッテリーが配置され、ケーブルはトランスミッション・トンネルを通り、エンジンルームの大部分を駆動ユニットが占めている。

従来のターボチャージャー付きエンジンに代わり、このMiniは前輪を駆動する電動モーターを備え、181馬力、最大トルク199ポンド・フィート(27.5kgf・m)を引き出す。

他のCooperと比較すると、Cooper Sあるいはターボチャージャー付き2.0リッター4気筒とほぼ同等だ。SEのパワーを蓄えているのが28.9kWhバッテリーで、フル充電で約114マイル(約183 km)の走行が可能。レベル3 DC高速充電器ならバッテリーの80%を約35分間で、レベル2充電器では1時間当たり20%充電できる、と同社はいう。家庭用コンセントでは1時間当たり2%充電できる。

テクノロジー

画像クレジット:Alex Kalogianni

標準搭載されているテクノロジーに関して、Mini Cooper SEは基本部分を押さえている。8.8インチのタッチスクリーンが運転席と助手席の主要なインターフェースだ。ここにエンターテインメントとナビゲーション機能があり、後者はリアルタイムの交通状況を表示する。BMW(ビー・エム・ダブリュー)ファミリーの他の車と同じく、Cooper SEには細かい機能をカスタマイズできる設定ページがたくさんある。すべて「ライブ・ウィジェット」形式になっていて、大きくてカラフルなグラフィクスを指でスワイプして操作する。これが肌に合わない人は、Apple CarPlayも利用できる。

安全および運転支援には、アダプティブクルーズコントロールと車線逸脱警報システムを備えている。車と歩行者の両方を監視する前方衝突予測警報もある。

ユーザー体験

BMW製フォーマットをデザイン変更、再使用して以来、MiniのデザインはCooperの精神を注意深く強調してきた。このため、ユーザー体験はさまざまな基本的部分が驚くほどドライバー・フレンドリーだ。

まず、運転席まわりは見た目以上にゆったりしている。コックピットは運転席と助手席にわたってこぢんまりと配置され、どちらの席でも心地よく感じられる。ドライバーのハンドル越しに見えるシンプルなディスプレイは、必要最小限の情報を提供して雑音をヘラしている。現在の速度の他には、充電状態と利用状況、回生充電状態かどうかを示す2つの計器がある。ドライバーはこれらの表示と常時変化を続ける予測走行距離を、ときとして過剰に、見続けることになる。ありがたいことに、別のクルマに近づきすぎた際には、常時有効な衝突予測警報が、同じディスプレイに明るい赤のグラフィックを表示して注意を促してくれる。

このMiniは、かつてスピードメーターを包んでいた丸形のダッシュボード・ディスプレイを継承している。このオリジナルMiniのユニークなデザインへのオマージュは、どこにでもあるインフォテイメント画面の時代に残された過去の痕跡だ。8.8インチのタッチスクリーンは丸い穴の中の四角い杭のように居座り、黒いピアノ型ボタンが隙間を埋めている。ウィジェットのUIは適切な色遣いで楽しいが、ナビゲーションの直感性は損なわれている。目的の機能を見つける方法は必ずしも明快ではなく、貴重な運転中の注意を削がれることがしばしばあった。

その他の物理的入力装置は、飛行機風のスイッチからエアコンのダイヤルまで、かなり重厚で存在感がある。すべてが理に適った機能的なかたちに配置されており、必要な瞬間に探さなくてはならないことは稀だろう。Mini SEを運転することがアクティブな体験であることから、これは重要だ。

走り

画像クレジット:Alex Kalogianni

いにしえのMiniたちほどミニではないが、それでもCooper SEはコンパクトで機敏なクルマであり、ずんぐりとした特徴あるスタイルを軽快な性能が支えている。電動モーターの優れたトルクと相まって、このクルマはポケモンのピカチュウカーのようにそわそわと動き回るだろう。

Miniの担当者はすかさず、このクルマの「ゴーカート」のような運転フィーリングを指摘し、そうすることは間違っていないと話した。

電動パワートレインの恩恵も大きく、Cooper SEの性能はレスポンスに優れ、持て余すこともないだろう。そのトルクはいつでも発揮可能で、0~60mphが7秒という数字は誰かを興奮させるものではないが、渋滞の隙間に入り込む能力は称賛に値する。

Cooper SEが機嫌を損ねることは滅多にないが、状況は個人による。スリルを求めて足回りがを気にする人もいるが、他の人達は今のままで満足だろう。

Cooper SEには運転モードが4種類ある。デフォルトの「Mid」モードでは、バッテリーは効率と性能のバランスをとり、アクセルを強く踏んだ時にはパワーを出すが、それ以外はできる限り電力を節約する。「Green」モードは、利用できる加速エネルギーを制限し、ペダルからの入力を緩和する。「Green+」は、人間の心地よさを一部犠牲にして最大の省エネを求める。「Sports」はアクセルの感度を高め、できる限りのパワーを出力するが、当然バッテリーを消耗させる。

どのモードを使うかによって走行距離は変わってくる。それぞれのモードによって、クルマの動作形態は大きく変わる。他に、2段階の回生ブレーキ発電が常時働く。デフォルトでは、ワンペダル運転を可能にする積極的な設定になっているが、効率の低いより自然な設定に変えることもできる。

これらのモードはどこにでもあるものだが、100マイル(160km)程度というMiniの走行距離は、運転体験に大きく影響する。この限られた距離のために、ドライバーが設定を繰り返し調節することが容易に想像できる。

典型的な乗り方はこんな感じだろう。Midモードで表示されている予測マイレージがなんであれ、Greenの方が常に心配が少なく魅力的なので、できる限りGreenモードで走り続け、交通量が増えてきたらMidに切り替える。Sportモードは非常に贅沢なごちそうとして常に背後で待機している、なぜならわずかな気まぐれの爆発が貴重な電力を貪り食うからだ。同時に、走行距離の延長と心地よさを天秤にかけて回生ブレーキモードを切り替えることも珍しくない。

普通の人は1日に100マイルも走らないという意見もあるだろう。それは真実だが、家庭の充電環境が充実していたとしても、バッテリー不足の心配は運転の楽しさを半減させる。

未来へ

今後のEV開発について、TechCrunchはMiniの考えていることを以前取り上げており、親会社のBMWが2030年までにMiniを完全電動化する計画であることもわかっている。

関連記事:Miniの電気自動車の未来はどうなる?期待されるコンバーチブル化やさらなる小型化

現在の取り組みは、急速に迫りくる期限を前にしてゆっくりとした歩みに見えるが、Miniの製品計画部門責任者であるPatrick McKenna(パトリック・マケンナ)氏、その理由の一部をTechCrunchに話した。「会社がどのように転換するかは現在も流動的ですが、今後数年の私たちの焦点は戦略的柔軟性であり、引き続きガソリン車とバッテリー駆動車を提供できる体制です」とマケンナ氏は語る。

「Cooper SEは、内燃機関のF56ハードトップと同じ生産ラインに載っています」とマケンナ氏は続けた。「(この柔軟性によって)隣り合わせで違うクルマを作ることが可能なのです」。

生産の視点から見て、2種類の顧客を満足させられるポジションにいることは理に適っているが、この戦略には自ずから限界がある。使用しているバッテリーに何か進化が起こらない限り、Cooper SE最大の問題は、改善の物理的な余地がないことだ。パワートレインは生産中止されたBMW i3からのものであり、近い将来それが起きるかどうかもわからない。

Cooper SEには、好きになれるところが山ほどあり、Miniの斬新なスタイルのファンならなおさらだ。しかしそうでない人にとっては、メーカーがいつまでこのクルマを楽しく運転させ続けてくれるかどうかを考えないわけにはいかない。

そして、既存の車両をEVに変換していることと走行距離の短さは、このクルマの売り方を難しくしている。十分なバッテリー寿命を備えたスポーティーEVが、数年前と比べて珍しくなくなっている今はなおさらだ。Miniという、その特徴を強く過去に依存しているブランドにとって、全電動化の未来はあるのかもしれないが、現在の取り組みはライバルの数歩後を歩んでいるように思える。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ベラルーシ当局がロシア語版ウィキペディアの主要編集者を逮捕、ロシア「フェイクニュース法」に抵触?

ベラルーシ当局がロシア語版ウィキペディアの主要編集者を逮捕、ロシア「フェイクニュース法」に抵触?

berean via Getty Images

ベラルーシの報道機関Zerkaloが、ロシア語版Wikipediaのトップ編集者マーク・バーンスタイン氏がベラルーシ当局に逮捕されたと報じました。バーンスタイン氏はロシアが先日定めた「フェイクニュース法」に違反したと伝えられています。

ロシアのフェイクニュース法は外国人も対象とされ、ロシア軍に関する「誤情報」、特にウクライナ侵攻に関する虚偽の情報(ロシア政府は特別軍事作戦と呼称)を拡散した者に対しては最長で禁固15年に処される可能性があるとされます。施行前後の3月4~10日にはウクライナ情勢を伝えるため現地に入っていた英BBCなどが取材活動を一時的に取りやめるに至っていました。

今回バーンスタイン氏はベラルーシの組織犯罪対策当局であるGUBOPiKに拘束されたとされ、逮捕直前にはバーンスタイン氏のWikipediaにおけるハンドルネームや勤務先といった情報がGUBOPiKの公開Telegramチャンネルに流れていたとされます。またこのチャンネルではバーンスタイン氏の逮捕の様子をとらえた動画も共有されたとのこと。

ただ、ロシアの法律をベラルーシ当局が適用して誰かを逮捕することは、普通ならできません。The Vergeはこの逮捕が一体何の罪状によるものなのか、どの記事がロシアのフェイクニュース法に抵触するのか定かではないとしています。

ロシアはウクライナ侵攻に関する政府公式の発表と異なる情報やその発信源の取り締まりを強化しており、フェイクニュース法によってロシア国内の独立系メディアを一掃しています。その独立系メディアのひとつである「Novaya Gazetaの編集長ドミトリー・A・ムラトフ氏はNew York Times紙に対して「ロシア政府によるプロパガンダ以外の情報はすべて削除される」と述べました。

Wikipediaを展開するWikimedia財団の広報は「財団の信頼と安全と人権のチームは、ウクライナで進行中の危機を監視してきました」と述べ「彼らの安全確保とニーズに対応するために、各地域の我々のコミュニティと連絡を密にしている」とし、状況を注意深く見守っていると述べました。

(Source:The VergeEngadget日本版より転載)

【3月14日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はロシアがInstagramのブロック、2位は第3世代iPhone SE

【3月14日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はロシアがInstagramのブロック、2位は第3世代iPhone SEが5G対応もミリ波がない理由

掲載記事のうち、3月14日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:ロシアがInstagramのブロックを発表

ロシア政府はInstagramへのアクセスを制限すると発表した。同国がウクライナ侵攻以来、海外の主流テックプラットフォームを標的とした最新の国家規制となる。

第2位:第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか


5G対応のiPhone SE(第3世代)が、3月18日に発売となる。日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが取り扱うが、今回はUQモバイルやワイモバイルといったサブブランドも同時に発売する。

第3位:ツイッター、被害者の妊婦を「とてもリアルなメイクをした役者」と主張するロシア大使館のツイートを削除


隣国ウクライナへのおそろしい侵攻が拡大するのにともない、ロシア大使館に関する一連のTwitterアカウントは誤情報をばらまいているが、長くは続かないだろう。

第4位:Netflixは「栄光のグランプリ」でF1を台無しにしたのか


2021年のF1に注目していた人なら、Netflixのドキュメンタリー「Formula 1:Drive To Survive(Formula 1:栄光のグランプリ)」の最新シーズンはきっとすごいことになると知っている。うれしいことに、もう間もなくだ。

第5位:「アニメとコミックとゲーム」好きのためのバーチャルソーシャルアプリ「MEW」が米国でコミックファンを魅了


バーチャルな世界とメタバースを作ると称するスタートアップが氾濫している。でもそれらの一部は、リアルの世界を模倣する、アバターを使ったソーシャルプラットホームにすぎない。それら以外は、ソーシャルな部分が少々あるゲームにすぎない、とGao氏は主張する。

画像クレジット:
Brands&People on Unsplash
Bryce Durbin/TechCrunch
Netflix

インドのEdTech大手Byju’sが約940億円調達、その半分を創業者が出資

インドの大手EdTech企業Byju’s(バイジューズ)の共同創業者兼CEOで、社名にもなっているByju Raveendran(バイジュー・ラヴェンドラン)氏が、このスタートアップ企業に4億ドル(約470億円)を出資したと、両者が現地時間3月11日に発表した。

この出資は、Byju’sが確保した8億ドル(約940億円)規模の資金調達ラウンドの一部であると、ベンガルールに本社を置く同スタートアップは述べている。

Sumeru Ventures(スメル・ベンチャーズ)、Vitruvian Partners(ヴィトルヴィアン・パートナーズ)、BlackRock(ブラックロック)もこの(同社が名前を明かしていない)ラウンドに出資。このラウンドにおけるByju’sの企業価値評価は約220億ドル(約2兆7000億円)になると、この件に詳しい人物は述べている。この資金調達は、Byju’sが新規株式公開を申請すると広く予想されている時期に行われた。

この新たな出資により、ラヴェンドラン氏とその家族の持ち株比率は25%になる。これはインドのスタートアップコミュニティでは珍しい例だ。

「私たちは、有機的および無機的なルートで、インドと国際市場で加速度的な成長に立ち会い続けています」と、ラヴェンドラン氏は語っている。

「私たちは、学ぶ人々の生涯価値を創造するという長期目標を達成することに、ずっと重点を置いています。そのために私たちは、学生が将来どのような学び、学んだことを忘れ、再び学び直すかを、想像したり想像し直したりしています。私たちの願望は、何十年も続くものを構築することです」。

Byju’sは、大学や大学院レベルのコースを目指す学生向けに設立されたが、近年は学校に通うすべての学生を対象にサービスを拡大している。ユーザー数は、2021年初めに公表された約8000万人から増加し、現在は1億5000万人を集めているという。同社によれば、年更新率は86%、NPS(ネットプロモータースコア、顧客ロイヤルティ、顧客の継続利用意向を数値化したもの)は76を示すという。

新型コロナウイルス感染流行が始まって以来、25億ドル(約2900億円)以上を調達してきたByju’sは、最近調達した資金のかなりの部分を企業買収に投じている。2021年は、200以上のセンターを持つ高校生向け受験指導機関最大手のAakash(アーカシュ)を10億ドル(1170億円)近い金額で買収した。また、Great Learning(グレート・ラーニング)、米国を拠点とするEpic(エピック)、子ども向けコーディングプラットフォームのTynker(ティンカー)を、現金と株式取引で合わせて12億ドル(約1400億円)超で買収している。

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロシア、アップルとグーグルに対し「野党支援アプリの削除か刑務所送り」と脅迫との報道―2021年秋から抑圧の下地作り

ロシア、アップルとグーグルに対し「野党支援アプリの削除か刑務所送り」と脅迫との報道―2021年秋から抑圧への下地作り進行

Mikhail Klimentyev/TASS via Getty Images

ウクライナ侵攻が続くなか、ロシア当局のハイテク大手に対する規制も強まり、プロパガンダを抑制しようとしたFacebookやTwitterも国内でブロックされました。そうした圧力は侵攻以前からあり、アップルやGoogleにプーチン政権にとって不都合なアプリを消すよう脅迫していたことが報じられています。

これはロシアの野党指導者で投獄されているアレクセイ・ナワリヌイ氏が構想したアプリ「Smart Voting」をめぐってのことです。本アプリはロシア政府や与党「統一ロシア」に選挙で対抗するために、最も有利な候補者を支援するものでしたが、ロシア当局はアップルとGoogleにアプリストアから削除するよう要請。はじめ両社とも従いませんでしたが、結局は圧力に屈してどちらも削除しています

米The Washington Postによると、アップルとGoogleのモスクワにいる幹部らは、このプーチン大統領が嫌っているアプリに関して、9月に直接脅迫されたとのこと。それぞれの幹部の自宅に捜査官が現れ「24時間以内にアプリを削除しないと刑務所に入れるぞ」と脅したと伝えられています。

そのうちGoogleは宿泊客と警備員が近くにいればある程度は守られると考え、速やかに幹部を偽名でホテルに移したそうです。が、捜査官は部屋に現われて「まだ時間は残っている」と告げたとのこと。この人物は、秘密警察KGBの流れを汲む治安機関FSB(ロシア連邦保安庁)の職員だと見られています。

この脅迫戦術は功を奏し、アプリは数時間のうちにGoogle PlayとApp Storeから削除されたと報じられています。その後にアップルを初めとしたハイテク大手に現地オフィスを開設を命じた(各企業や従業員らがロシアの法制度や政府の要求に対してより脆弱になる)ことも合わせて、The Washington Postは「現在ロシアで進行中の、ソ連式に表現の自由を抑圧する下地となった」と分析しています。

アップルはロシア政府の要求通りに現地オフィスを開設したとの報道もありましたが、他にも様々な圧力がかけられていたとすれば、やむを得なかったのかもしれません。

(Source:The Washington Post。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

Ubisoft「サイバーインシデント」後に従業員のパスワードをリセットした理由を明言せず

ゲーム業界大手のUbisoft(ユービーアイソフト)は、会社のパスワードが大量にリセットされたセキュリティインシデントを確認したが、実際の事件の内容については明言を避けた。

Ubisoftは簡単な声明の中でこう述べている。「先週、Ubisoftは当社のゲーム、システム、サービスの一部に一時的な混乱を引き起こすサイバーセキュリティインシデントを経験しました。当社のITチームは、外部の一流専門家と協力して、この問題を調査しています。予防措置として、全社的にパスワードのリセットを開始しました」。

「また、当社のすべてのゲームとサービスは正常に機能しており、現時点では、この事件の副産物としてプレイヤーの個人情報にアクセスまたは暴露された証拠はないことをお知らせします」と声明は述べている。

フランスに本社を置く同ゲーム会社は「Assassin’s Creed (アサシン クリード)」や「Far Cry(ファークライ)」シリーズで知られている。10月に発表された同社の最新の業績報告書によると、Ubisoftのアクティブプレイヤー数は1億1700万人とされる。

ユーザーのパスワードや従業員の認証情報が漏洩した恐れがある場合、企業がパスワードのリセットを開始するのは珍しいことではない。

TechCrunchは、Ubisoftにいくつかの質問を送った。その中で、ネットワークへの侵入かどうかなど、サイバーセキュリティインシデントの性質について説明するよう求め、不正なデータアクセスや流出の証拠を検出するためのログなどの手段を有しているかどうかを尋ねている。ログがあれば、データが流出したかどうかを、ログがなく証拠もない場合よりも高い確度で知ることができる。

Ubisoftの広報担当者は、このインシデントに関して「これ以上共有する情報は何もない」と述べている。

画像クレジット:Frederic J. Brown / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Den Nakano)

Slingshot Aerospaceは宇宙ごみなどの状況情報をリアルタイムで提供、衛星打ち上げ・運用業者を支援

地球低軌道が少々混雑してきた。小規模な人工衛星の急増や、SpaceX(スペースX)の「Starlink(スターリンク)」のような大規模な衛星コンステレーション、そして増え続ける宇宙ごみの間を抜けて、軌道上に衛星を打ち上げ・運用することは、まるでゲームの「フロッガー」をプレイしているように感じられるかもしれない。国際宇宙ステーションでさえ、定期的に「回避行動」をとらなければならないのだ。

宇宙にはまだ、たくさんのスペースがある。しかし、10億ドル(約1170億円)もする人工衛星を運用するのであれば、衝突しないように全力を尽くしたいと思うだろう。

そこで、Slingshot Aerospace(スリングショット・エアロスペース)の出番となるわけだ。同社は複数のソースからのデータを統合し、デジタルで構成した宇宙の全体的状況をリアルタイムで提供することで、宇宙事業者がその資産をより良く管理・保護できるようにする。2017年にMelanie Stricklan(メラニー・ストリックラン)氏、David Godwin(デイヴィッド・ゴドウィン)氏、Thomas Ashman(トーマス・アッシュマン)氏によって設立され、現在はテキサス州オースティンとカリフォルニア州エルセグンドを拠点とするこの会社は、2部構成のシリーズA投資ラウンドで3460万ドル(約40億6000万円)を調達。2020年10月に調達した約800万ドル(約9億4000万円)に続き、第2回目となる2500万ドル(約29億3000万円)相当の資金調達を、米国時間3月10日に発表した。

「宇宙には無限のチャンスがあります。しかし、我々は宇宙飛行の運用と軌道上の資産管理を最適化するために、デジタル革命を起こさなければなりません」と、ストリックラン氏は同社のプレスリリースで述べている。「宇宙を利用するすべての組織に、よりアクセスしやすく、タイムリーで、正確なリスク軽減を提供するためには、リアルタイムの調整が必要です」。

今回の2回目のラウンドは、Draper Associates(ドラッパー・アソシエイツ)とATX Venture Partners(ATXベンチャー・パートナーズ)が主導し、Edison Partners(エジソン・パートナーズ)、Embedded Ventures(エンベデッド・ベンチャーズ)、Valor Equity Partners(ヴァロー・エクイティ・パートナーズ)、Lockheed Martin Ventures(ロッキード・マーティン・ベンチャーズ)などが追加出資した。Slingshot Aerospaceの顧客には、NASA、Boeing(ボーイング)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、U.S. Space Force(米国宇宙軍)、U.S. Air Force(米国空軍)、OneWeb(ワンウェブ)などが含まれる。

「宇宙状況認識という分野は今、破壊的革新を起こすための機が熟しています。現在のところ、衛星オペレーターが実用的な情報をもとにリアルタイムで通信・協力し、軌道上のコンジャンクションを解決したり、グローバルな宇宙認識を最適化するための共通プラットフォームは存在していません」と、とEdison PartnersのDaniel Herscovici(ダニエル・ハースコビッチ)氏は述べている。

LeoLabs(レオラブズ)やKayhan Space(カイハン・スペース)など、他の宇宙関連のスタートアップ企業は、この評価に同意しないかもしれないが、Slingshotが魅力的なプラットフォームを構築していることは確かだ。

「Slingshot Beacon(スリングショット・ビーコン)」は「商業、政府、民間の顧客を1つのプラットフォームで結びつけ、衛星やその他の資産をより良く設計、管理、保護できるようにし、リスクを軽減し、すべての宇宙飛行事業者が安全で信頼できる運用を確実に行えるようにする」軌道衝突回避プログラムだ。その試験運用プログラムは、現在地球低軌道にある衛星コンステレーションの半分以上を占める資産を所有する参加者たちとともに、2021年8月に開始された。

同社が新たに調達した資金は、Slingshot Beaconをはじめとする製品の商業化のために使われる他、今後1年間で40人の従業員を新規雇用するために充てられる予定だ。2030年までに約11万5000個の衛星が打ち上げられると予想される中で、これはかなり良い、そしてかなり必要とされるアイデアだろう。

画像クレジット:Slingshot Aerospace

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(文:Stefanie Waldek、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

YouTubeがロシア国営メディアを世界的にブロック

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対応するポリシーをさらに拡大し、YouTube(ユーチューブ)はクレムリンの支援を受けたメディアを、欧州だけでなく世界的にブロックすると発表した。欧州では現地時間3月2日以降、ロシア国営メディアであるRT(旧ロシア・トゥデイ)とSputnik(スプートニク)、およびその子会社が、欧州連合(EU)による制裁として、放送や配信を禁じられている

このコンテンツをブロックするYouTubeの措置はいかなる法的義務をも上回るものだが、まったく前例がないわけではない。Apple(アップル)はウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相から要請を受け、世界中のApp Store(アップ・ストア)からRTとスプートニクのアプリを引き上げた。フェドロフ副首相はアップルのTim Cook(ティム・クック)CEO宛に、ロシアでのデバイス販売の停止とApp Storeへのアクセスを完全に遮断することを求める書簡を送っているアップルはロシアでの製品販売も停止した)。

つまり、YouTubeの文言は、EUが制裁した(合計で)6つのRTとスプートニクの事業を禁止するよりも、さらに進んでいく可能性を示唆しているということだ。同社は現在「ロシアの国営メディアとそれに関連するYouTubeチャンネルへのアクセスを、全世界的にブロックしている」と書いている(なお、TechCrunchでは禁止の範囲についての明確化を同社に求めているところだ)。

YouTubeがツイートで発表したポリシーの更新によると、ロシアの国営メディアに対するYouTubeのブロック拡大は「直ちに実施」されるものの、この変更が有効になるまで時間がかかる可能性があると注意を促している。同プラットフォームは「システムの立ち上げには時間がかかることが予想されます」と書いている。

もう1つの新たなステップとして、YouTubeはそのコミュニティガイドラインにある特定のポリシーから、ウクライナに焦点を当てた執行を実施するという。それは「十分に立証されている暴力事件」を、否定、軽視、または些細なものとして矮小化するコンテンツを禁止する規定だ。「私たちは現在、このポリシーに違反するロシアのウクライナ侵攻に関するコンテンツを削除しています」と、YouTubeは述べている。

ここまで執行を強化することは、おそらく初めてであり(ポリシー自体は新しいものではないが)、これはウクライナ国内で起こっていると報じられている現実を否定するため量産され、急速に流布されているロシアのプロパガンダに対応することを意図しているものと思われる。

例えば、ウクライナ南部の港町マリウポルがロシア軍に砲撃され、産科・小児科病院が爆破された最近の事件では、ロシアのメディアはすぐに陰謀論の標的にして、写真や動画に写った犠牲者が俳優であるとか、怪我をした演技をしていると示唆した。さらに、ウクライナ軍兵士の大隊が狙撃位置についたため、病院から患者や職員がいなくなり、病院そのものが正当な標的となったという、同じ様な偽りの主張も行っている。

TechCrunchは、この執行発表に関するより幅広い背景についても、YouTubeに質問を送っている。

YouTubeは、ウクライナ関連の措置を講じた最近の更新を実施して以降、ヘイトスピーチポリシー、誤報に関するポリシー、映像コンテンツなど、多くのポリシーに違反しているとして、1000以上のチャンネルと1万5000以上の動画を削除したと発表している。

また、YouTubeは戦争に関する「質の高い」情報を増幅させる、つまりクレムリンのプロパガンダよりも真実の報道が優先されるようにするという、以前発表した施策の進捗を示したいとも考えている。ユーザーをこのコンテンツに誘導する(ホームページのニュース速報と「トップニュース」セクションを通じて)変更を行って以来、ウクライナの「信頼できるニュースソース」の視聴回数は約1700万回を超えたと述べている。

ロシアのYouTubeユーザーを対象とするさらなるステップで、YouTubeは同国のYouTube広告およびGoogle(グーグル)広告を一時的に停止した措置を拡大し、ロシアのユーザーが同プラットフォーム上で収益化できる方法のすべてをカバーするようにした、つまり収益を生み出す機会をすべて断ち切ったことも認めた。これまでYouTubeは、ロシアのユーザーにいくつか収益化するための選択肢を残していた。

Googleはまた、ロシアの銀行を標的とする西側の制裁措置によって生じた「決済システムの混乱」を理由に、ロシアにおけるGoogle Play(グーグル・プレイ)ストアでの課金や、YouTubeの支払いシステムを一時的に停止すると、米国時間3月10日に発表している

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「NetWalker」ランサムウェア攻撃関与の元カナダ政府職員が米国に送還、約32億円超相当のビットコイン押収

数十のランサムウェア攻撃を行ったとして起訴されたカナダの元政府職員が米国に送還され、この事件に関連して2800万ドル(約32億8500万円)以上のビットコインが押収された。

LinkedInのプロフィールによるとカナダ公共事業・政府業務省(PWGSC)でITコンサルタントとして働いていたSebastien Vachon-Desjardins(セバスチャン・ヴァション=デジャルダン)容疑者は、米国時間3月9日に米国に身柄を引き渡され、NetWalkerランサムウェアグループに参加した疑いで複数の罪に問われると、米国司法省(DOJ)は3月10日に発表した

NetWalkerは「Mailto」としても知られるRaaS(ランサムウェア・アズ・ア・サービス)で、ランサムウェアを展開するアフィリエイトを募り、身代金の一部を分配することで事業を展開している。このグループは2019年に初めて表面化し、その後、いくつかのハイプロファイルのサイバー攻撃と関連している。2020年6月にはカリフォルニア大学サンフランシスコ校を標的にし、その際に同校は100万ドル(約1億1700万円)以上の身代金を支払った。その3カ月後、NetWalkerはサイバー脅威スタートアップのCygilant(サイジアント)を襲った

このRaaS運営グループは、アルゼンチンの移民局、パキスタン最大の民間電力会社、そして新型コロナウイルスのパンデミック中には、多くの病院や法執行機関も標的にしていた。暗号資産分析会社Chainalysisによると、2019年8月から2021年1月の間に、NetWalkerが関与するランサムウェア攻撃は、4600万ドル(約53億円)にのぼる身代金を引き出しているという。

ヴァション=デジャルダン容疑者は、NetWalkerランサムウェアグループを標的とした国際法執行キャンペーンの一環として、2021年1月にカナダの警察に逮捕された。ケベック州にある彼の自宅を捜索した際、警察官は執筆時点で約2810万ドル(約33億円)相当の719ビットコインと、79万ドル(約7280万円)のカナダ通貨を発見した。米国とベルギーの当局は、NetWalkerが被害者から盗んだデータを公開するために使用していたダークウェブのサイトも差し押さえている

当時、ヴァション=デジャルダン容疑者は、カナダの裁判所で、コンピュータデータの窃盗、恐喝、暗号資産の身代金の支払い、犯罪組織の活動への参加に関する5つの罪を認め、7年の禁固刑を言い渡された。

ヴァション=デジャルダン容疑者は現在米国にいるため、コンピュータ詐欺と電信詐欺の共謀、保護されたコンピュータへの故意の損害、保護されたコンピュータへの損害に関連した要求の送信で告発され、さらなる罪に問われている。

有罪判決を受けた場合、NetWalkerランサムウェア一味との関わりにより、2700万ドル(約31億6800万円)以上の没収を求められる可能性がある。

ケネス・ポリテ・ジュニア司法次官補はこう述べている。「カナダのパートナーによる暗号資産の押収に代表されるように、我々は、国内外を問わず、ランサムウェアの収益とされるものの押収・没収を法的に可能なあらゆる手段を用いて追求します。当省は暗号資産だからといって身代金の追求と押収をやめることはなく、これにより、暗号資産を使って法執行から逃れようとするランサムウェア犯の企みを阻止します」。

ヴァション=デジャルダン容疑者の送還のニュースは、REvilランサムウェアグループのメンバーがKaseyaハッキングへの関与の疑いで逮捕され、米国で告発を受けるためにテキサス州に送還されたわずか数日後に発表された。

画像クレジット:TechCrunch(スクリーンショット)

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(文:Carly Page、翻訳:Den Nakano)

今夏、いよいよアウディのセダンとSUVにHolorideのVR技術が搭載

この夏、Audi(アウディ)のセダンとSUVを皮切りに、バーチャルリアリティが量産車に導入されようとしている。

Holoride(ホロライド)は米国時間3月12日、オースティンで開催されたテック・音楽・映画のカンファレンス「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で、同社のヘッドセットを使ったバーチャルリアリティエンターテインメントシステムが、最新のMIB 3ソフトウェアを搭載したAudiの一部モデルで6月にデビューすると発表した。この発表は、数年前にAudiから独立した同社にとって画期的だ。消費者の注目を集める新しい方法を見つけようと、自動車メーカーの関心が高まっていることを示すものでもある。

Holorideは、後部座席に乗る人の物理的な世界を拡張現実と結びつけ、クルマの動きと連動した乗車体験を実現するシステムだ。このシステムはブランドに依存しないため、他の自動車メーカーもサポートすることができる。

Holorideは、スウェーデンのADASソフトウェア開発企業であるTerranet(テラネット)と提携した。提携により、VRシステムのセンサーとソフトウェアスタックの力で、環境を迅速かつ正確に捉え、解釈することが可能になった。TerranetのVoxelFlowシステムが、クルマから受け取ったデータポイントに基づきVRの動きを計算する。

車載用バーチャルリアリティコンテンツを構築するためのソフトウェアもオープンソース化されており、開発者がコンテンツを作成し、いずれはマネタイズできるようになっている。

今のところ、VRシステムの利用に必要な追加費用はヘッドセットだけだが、自動車メーカーや開発者がサブスクリプションサービスを販売したり、特定の機能に課金することで、クルマの所有者から収益を上げる可能性は無限にある。Allied Market Research(アライドマーケットリサーチ)のレポートによると、世界の自動車用AR・VR市場は2025年までに6億7400万ドル(約789億円)に達すると予測されている。

VRエンターテインメントを量産車に導入することは、ドライバーレスカーが登場した後にクルマの中で利用されるようなコンテンツを開発する最初のステップでもある。ミュンヘンに拠点を置くVR企業のHolorideと、同社の一部を所有するAudiは、自動運転車の技術スタックに早くから着手し、短期的には、人間が運転するクルマからより多くの収益を得たいと考えている。

ドライバーレスカーが普及すれば、誰もが乗るだけになるため、車内コンテンツとエンターテインメントの将来の市場機会は膨大だとHolorideは主張する。

また、一番乗りすることでHolorideが「Elastic Content」と呼ぶ新しいメディアカテゴリーを確立する機会にもなる。ヘッドセットを装着して空飛ぶ円盤や潜水艦を操作している間にも、VRシステムはクルマの動きに適応し、その人のVR体験はクルマの加速、旋回、停止といった動きを取り入れる。

HolorideとAudiによれば、その可能性は無限大だ。クルマに乗っている人は、仮想世界でElrondのブロックチェーンがサポートするNFTを購入・収集できるようになる。位置情報ゲームは、ポケモンGOのように、仮想世界を物理世界の場所やイベントと結びつけることができるだろう。

もちろん、VRでは乗り物酔いが気になるところだ。Holorideは、クルマの動きと同期させることで症状を軽減させるという。

2021年1200万ドル(約14億円)を3000万ドル(約35億円)の評価額で調達したミュンヘンの同社は、2019年のCESでVRシステムのプロトタイプをデビューさせ、ラスベガスモータースピードウェイで記者らをドライブに連れ出した。カラフルな仮想現実の世界は、Disney(ディズニー)などのパートナーとともに作られた。めまいを感じた記者もいれば、いい感じだという記者もいた。

画像クレジット:Holoride

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

スタートアップ成長のパラドックス

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

ようこそ!やっと週末を迎えることができた。ゆっくり休んで充電できただろうか。今回の内容はかなりリラックスしたものなので、コーヒーをもう1杯注いで、始めることにしよう。

スタートアップ成長のパラドックス

先週、The Exchangeはスタートアップ市場の変化に注目して、多くの時間を費やした。要約すると、投資家によってテック系企業の価値が見直されつつあり、2020年、2021年のスタートアップの業績を牽引した投機的な熱意が一部消滅したように見える。

多くの企業にとって、目先の市場の変化は大きな問題ではない。スタートアップの中には、十分な資金力を持ち、持続的な成長によって収益率の低下を回避できる企業もある。これをDatabricks(データブリックス)戦略と呼ぼう。

しかし、かなりの数のスタートアップ企業にとっては、状況は違っているようだ。ここで、いくつかのスタートアップ企業が現在置かれている状況を紹介する。

  • 市場が投機資金で潤っていたおかげで、2020 / 2021年には歴史的な大型ラウンドを行えた
  • 採用や成長目標に多額の費用を投じ、2021年末までの厳しいバーンレートを招いた

2022年を乗り切るだけの資金があるスタートアップならば、これはそれほど悪い状況ではない。そのころには、テック系企業に対する評価額も多少回復しているかもしれない。しかし、2021年かつてないほどのスピードで資金調達が行われた(時には1年で3回も資金調達が行われた!)一部のスタートアップは、どうしても現金消費型の成長目標に縛られることになった。つまり、多くの企業にとって、2020年、2021年の調達だけでは、この1年を乗り切れないということだ。

つまり、タイミングはどうであれ、もう一度調達しなければならないということになる。

そのため、一部の新興ハイテク企業は、2つの選択肢に迫られている。すなわち、よりゆっくりと成長してキャッシュを節約するか、キャッシュを気にせずペダルを踏み続けるかだ。厄介なのは、どちらを選んでもうまくいかない可能性があることだ。それはなぜか?

  • 急成長を期待されて多額の資金を調達したにもかかわらず、その期待に応えられないまま次のラウンド評価に向かおうとしているスタートアップの場合は、現金を節約するために成長を制限することができる。これにより、次の資金調達までの時間稼ぎをすることができる。しかし、このやり方では成長率が損なわれ、株式の価値が大きく下がり、資金調達の選択肢が狭まり、長期的な存続が疑問視されることになる
  • 一方、急成長を期待されて多額の資金を調達したにもかかわらず、その期待に応えられないまま次のラウンド評価に向かおうとしているスタートアップが、現金残高を逼迫させながら、成長のための支出を続ける可能性もある。キャッシュの持続時間は短くなるが、成長率は比較的高く保たれる。しかし、投資家が収益性を重要視している以上、単に成長するための支出は、悪魔に魂を売ることになってしまうかもしれない

これが、スタートアップの成長パラドックスだ。過去にさかのぼって、より少額の資金調達を行うか、あるいはより限定的な成長計画を立てることができればこの問題は解決できる。しかし、2021年はスタートアップの資金調達が量的にも価格的にも記録的だったことを考えると、もはや少々手遅れだろう。

スタートアップがこの課題にどのように対処するかが、2022年の重要なシナリオになると思われる。

良いこともある。投資家は、既存の投資先企業に対して、フラットな価格で追加ラウンドへ資金提供を行うことができる。スタートアップにとっては希釈化になるが、致命的なものではない。そして、スタートアップは、製品主導の成長など、よりコストの低い成長方法を活用することで、恐ろしい営業損失を出さずに良好な収益拡大を達成することを期待できる。

しかし、たとえそのような市場参入の方法を最初から念頭に置いて設立された企業であっても、そうした成長形態を追求することは容易ではない。販売スタッフを増やしたり広告費を増やしたりせずに新しいトップラインを獲得する方法をすぐにでも見つけたいスタートアップにとって、これまでの販売方法から転換する方法ははっきりしない。

最近、悪いニュースばかりで申し訳ないが、2021年のパーティーへの強壮剤だと思って欲しい。これが二日酔いというものだ。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

欧州議会、EU加盟国によるスパイウェア「Pegasus」の使用について調査を開始

欧州議会は11日、欧州加盟国が強力なモバイルスパイウェア「Pegasus(ペガサス)」を入手・使用した疑惑を調査するため、新たに「調査委員会」を設置することを決議した。

EU加盟27カ国におけるPegasusやその他の監視スパイウェアの使用を調査する委員会の設置について、議員たちは概ね賛成票を投じた。調査委員会は、議員が欧州法違反の可能性を調査することを可能にする。

欧州議会は声明の中で、同委員会は「監視を規制する既存の国内法を調査し、Pegasusスパイウェアが、例えばジャーナリスト、政治家、弁護士などに対して政治目的で使用されたかどうかを調査する予定である」と述べている。

Pegasusは、イスラエルのNSO Group(NSOグループ)によって開発された強力なモバイルスパイウェアで、ターゲットの端末内のデータにほぼ完全にアクセスすることができる。NSOは、より広範な監視シーンで有名なスパイウェアメーカーの1つで、デバイスのソフトウェアのセキュリティ上の欠陥や弱点を突くことで、政府や警察によるデバイスデータへのアクセスを可能にしている。だが研究者たちは、重大な犯罪者やテロリストのみが標的になっているという保証にもかかわらず、市民社会のメンバーであるジャーナリスト、活動家、人権擁護者などが、Pegasusスパイウェアを使用する政府によってターゲットにされていることを一貫して発見している。

この委員会の設立は、欧州データ保護監察機関(EDPS)が、ハンガリーとポーランドの2つのEU加盟国でこのスパイウェアが導入されたという報告を引用して「前代未聞のレベルの立ち入り」を恐れ、Pegasusとその他のモバイルスパイウェアの使用をEU全域で禁止するよう求めてから1カ月も経たないうちに行われた。

1月、Citizen Labの研究者は、野党議員のKrzysztof Brejza(クシシュトフ・ブレジザ)氏を含むポーランド与党の批判者が、このスパイウェアの標的になっていた証拠を発見した。ブレジザ氏の携帯電話から盗まれたテキストメッセージはその後流出し、改ざんされて国営テレビで放送され、その後彼は僅差で選挙に敗れた。ブレジザ氏はその後、ポーランド政府が選挙に介入したと非難している。

研究者たちは、フランス、ドイツ、スペインでもPegasus感染を報告している。

欧州の規則により、欧州議会のPegasus委員会は1年間運営されるが、最大で6カ月間延長が可能だ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Den Nakano)

ウクライナ出身のVC、故郷の難民のために支援金を募って送金

「今まであなたが会った中で最も幸運な人の1人だ」とニューヨークのオフィスで語るのはAlex Iskold(アレックス・イスコルド)氏だ。イスコルド氏はベンチャー企業2048 Venturesの共同創業者でマネージングパートナー。それ以前は、ニューヨーク市のプログラムのマネージングディレクターとしてTechstarsに5年間勤務し、100社以上のスタートアップに投資や支援を行った。

また、イスコルド氏は膨大な人脈を培ってきた。その人脈を2年ぶりに活用する。活用するのは今回が2回目で、1回目はパンデミック時に仲間のVCであるMinda Brusse(ミンダ・ブリュッス)氏とともに友人や知人に呼びかけて困っている家族に資金を提供した。ニューヨークタイムズ紙が表現したように、一種のヒューマンブロックチェーンを形成した。イスコルド氏によると、この活動は最終的におよそ1000世帯に300万ドル(約3億5000万円)を届けたという。

そして今、同氏は「1K Project」と名付けたこの活動を復活させ、国外に逃れたウクライナ難民、そしてウクライナ国内に取り残され、突然職を失い、もはや家と呼べる場所もない家族に必要な支援を提供しようとしている。

「1K Projectを再開することになるとは思ってもいませんでした。しかしロシアのウクライナ侵攻が何を意味するのかを理解するやいなや、電話をかけ始めました」と同氏はいう。

1カ月前には想像もつかなかったのに、すでに200万人超が避難し、1000億ドル(約11兆7000億円)超の被害が出ているこの戦争に、多くの人と同様、イスコルド氏も恐怖を感じている。しかし、それは個人的なことでもある。同氏はウクライナ人だ。人生の最初の19年間をウクライナで過ごし、今でも多くのいとこや友人、知人がウクライナにいる。実際、3番目のいとことその家族は、ロシア軍がウクライナに侵攻してすぐに出国した。その一方で、その他の人はウクライナ国内にとどまっている。というのも、家族の中に出国が禁じられている18〜60歳の息子や夫がいるためだ。

イスコルド氏のネットワークは、サポートの呼びかけにすばやく反応した。11日前、ウクライナの人々に支援金を届けるために1K Projectを復活させるとツイートして以来、開発者からデータアナリストまで30人のボランティアによるネットワークが活動を開始し、スポンサーと支援を受ける側が連絡を取り合うまでの道のりをスムーズにするために動き出した。

「私たちが構築した最も強力なものは、スポンサーと家族の迅速な申請を可能にする分散型ネットワークです。関心のある人は応募用紙を私たちのサイトで見つけることができます。スポンサーには軽い審査、支援を受ける家族の側にはより厳しい審査があります。しかし、スポンサーと家族が承認されると、両者はマッチングされ、スポンサーは(唯一の送金サービスである)Wise.comを通じて家族に資金を提供する方法をテキストまたは電子メールで指示されます」とイスコルド氏は説明する。

1000ドル(約11万7000円)単位の寄付は、税金の控除対象ではない。もっと多額の寄付をして税控除を受けたい人のために、財政スポンサーとして「OpenCollective.com」という団体を利用しているとイスコルド氏は説明した(例えば5世帯以上に寄付する場合、1K ProjectはOpenCollectiveへの寄付の方法を案内する。そしてOpenCollectiveを通じて1K Projectが各世帯に寄付を配分する)。

より多くのボランティア、そして寄付者が必要だ。1K Projectは「3人以上の子どもを持つ家庭を支援することに重点を置いている」とイスコルド氏は説明する。ここには紛争地域にいる女性、子どもを連れて避難している女性も含まれ、すでに対応しきれないほどの需要がある。「私たちにはランキングアルゴリズムがあり、間もなく1200世帯に資金を提供する予定です」と同氏はいう。「しかし、1万2000もの応募があり、全員に資金を提供することはできません。十分な資金がないのです」。

資金がどのように使われているかについては「実に多くの使用例があります」とイスコルド氏は話す。同氏はウクライナの銀行システムが完全な混乱の中でも機能し続けていることを評価している。

資金を使ってより安全な地域に移住した家族もいれば、すでにウクライナ国外にいて、子どものための食料を購入するのにこの資金を使う家族もいる、と同氏は説明する。

どのケースも家族は非常に困難な状況にあるという。「ある日はソファに座っていたのに、翌日には爆撃で家が完全に吹き飛ばされ、住むところもなく、Tシャツ1枚でそこから脱出する方法を考えなければならない、というような家族の話をたくさん聞いてきました」。

そうした話はイスコルド氏を苦しめる。「お礼のメッセージをもらって、いつも泣いているんです」。さらに悪いことに、同氏の広範にわたる熱心なネットワークにできることは限られていることを同氏は知っている。「軍用の弾薬や医療品など、私たちが支援できない問題が山積しているのです」。

そんな中、同氏は自身が知っている人のことを心配している。特に、彼らが追跡困難な状態に陥るときは心配だ。「(スマートフォンに)緑の点が表示されるときとされないときがありますよね?」。

その一方で、イスコルド氏は自分にできることを行い、少しずつ前進しているようだ。1K Projectを新たに立ち上げてから、人々は100万ドル(約1億1700万円)を800超の世帯に寄付した。すべてを一瞬で置き去りにした「難民にとって非常に役立つ」サポートだ。

しかし、そのニーズはさらに膨らみそうだ。「ウクライナ国内で避難生活を送る家族が運良く難民センターに入れた場合、多くのものが提供されます。難民センターに入れない家族は、食べ物や助けが必要なのです」とイスコルド氏は話した。

画像クレジット:Beata Zawrzel/Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

「アニメとコミックとゲーム」好きのためのバーチャルソーシャルアプリ「MEW」が米国でコミックファンを魅了

MEWの北京のオフィス。社員たちはアニメとコミックとゲーム(ACG)のファン

Raven Gao(レイヴン・ガオ)氏は、メタバースの波に乗るために「MEW」というバーチャルのソーシャルプラットフォームをつくったのではなかった。彼はTencentにいた人と一緒に、2019年半ばにMEWを作り始めたが、それは彼自身のような、人付き合いがヘタで内向的な者のための、バーチャルな安息所を作りたかったからだ。

MEWのインターフェースを初めて見た人は、戸惑うかもしれない。しかしこのアプリ独特の言葉遣いやグラフィクスは、「アニメと漫画とゲーム(ACG)」好きたちのサブカルチャーに明確にアピールするものだ、とガオ氏はいう。キュートなアニメ風の画像と柔らかい色遣いがアプリを飾り、コマンドボタンの言葉はACGファンにとっておなじみの用語だ。たとえば「signup」(ユーザー登録をする)ではなくて「create your traveling file(あなたの旅のファイルを作る)」となっている。ユーザーは、他のユーザーが管理しているDiscordに似たデザインの「本拠地」と呼ばれる関心別のハブで対話をする。MEWという名称は「Members of the Excellent World(すばらしい世界の仲間たち)」の略だが、ファンタジー好きたちの仲間意識が溢れている。

MEWの最初のバージョンは2020年の半ばにローンチされ、その広がりは今でも大きくはない。毎日のアクティブユーザーは数万人だが、滞在時間は平均100分間と長い。ゲームや映画やアニメなど、自分の関心のハブに住み着くことになるが、自己改善やフットボールなど、作品の固有名詞ではなく普遍的な話題もある。

シリコンバレーのMakers Fundが2020年初めにガオ氏に関心を示したが、当時中国の投資家たちの多くは、この創業者のことをTencentのような大手がすでに支配する業界で新たなソーシャルネットワークを作ろうとしている「変人」だと考えていた。2021年にはメタバースが米国でも中国でもブームになり、MEWの親会社であるTrophにも、突然自国の投資家たちが殺到した。

Trophは2021年末に、中国の5Y CapitalとZoo Capitalから資金を調達し、資金の調達総額が1000万ドル(約11億7000万円)ほどになったが、同社はこれまで資金の額を発表していない。

MEWアプリのスクリーンショット

現在、バーチャルな世界とメタバースを作るというスタートアップが氾濫している。しかしながら、それらの一部はリアル世界を模倣する、バターを使ったソーシャルプラットフォームであるにすぎない。そして、それら以外は少しソーシャルな部分があるゲームにすぎないとガオ氏はいう。

対照的にMEWでは、自分のオンラインにおける分身を誠実、正直かつ快適に生きることが求められる。

共同創業者のQiang Li(チャン・リ)氏は、中国のPC時代に最も人気のあったソーシャルネットワークであるTencentのQQに5年間在籍し、メッセンジャーのiPad版のフロントエンドチームを率いていた。現在でもQQは、ゲーム化された機能を多く持ち、中国の若者の間で大きな人気を誇っている。

MEWはまだマネタイズを始めていないが、ガオ氏は、広告やサブスクリプションや寄付といった従来のソーシャルネットワークにおける一般的な収益化のではない方法をとりたいと考えている。ユーザーを巻き込み、収入を共有するような方法が彼の狙いだ。

「ユーザーが私たちのプロダクトに貢献できて、報酬をシェアできる方式を探求したい」とガオ氏いう。

そのようなインセンティブの仕組みとして、当然ブロックチェーンがその候補として思い浮かぶが、ガオ氏によると、短期的にはコインの発行やブロックチェーンの採用はしないという。

Trophの2022年における目標は米国進出で、中国と同じく、ゲームやアニメのファンの心を捉えたいとのこと。現在、中国に約30名のスタッフがいるが、米国のスタッフは現地で精力的に雇いたいという。

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

1カ月ほどで家を建てる住宅建築ロボットのDiamond Ageが58.6億円を調達

ほんの数カ月前に800万ドル(約9億4000万円)の資金調達行ったばかりのDiamond Age(ダイアモンド・エイジ)が、シリーズAで5000万ドル(約58億6000万円)を追加調達した。3Dプリントとロボット技術を利用して住宅建設を大幅に安くすることで、住宅購入をより手頃なものにするというのが同社のミッションだ。

自らを「フルスタックロボットスタートアップ」と称する同社は、新しい家を建てる際の半分以上の手作業を置き換えるためのツール群を開発している。ロボットという要素を加えることで、これまで9カ月かかっていた住宅建築が、1カ月ほどで可能になるという副次的な効果もある。同社は現在、外装、内装、屋根構造のコンクリートをプリントできる3Dプリントシステムに加えて、26種類のエンドオブアーム型ロボットツール(ロボットアームの末端に装着してさまざまな仕事をこなすアタッチメント)を開発している。

今回の資金調達ラウンドは、科学駆動型イノベーションに注力するPrime Movers Labが主導した。Prime Movers Labは特にエネルギー、交通、インフラ、製造、人間能力拡大、アグテック(アグリテック)などを革新するスタートアップに注目している。シード投資家のAlpaca VC、Dolby Family Ventures、Timber Grove Ventures、Gaingelsは予定以上の投資を行い、Signia Venture Partnersも加わった。創業者たちにとって最も心強いのは、このラウンドの20%が住宅建設業者や土地開発業者であったことだろう。潜在顧客がスタートアップに投資するのは、常に良い兆候だ。

前回の資金調達以来、 Diamond Age は技術を大幅に進歩させ、今では2000平方フィート(約190平方メートル、約56.2坪)の平屋をプリントして建てることができるようになった。それが投資家たちを感心させ、評価額の火種に油を注いだことは間違いない。同社は最初のスケールアップ版システムと、フルスケールの3ベッドルーム+2バスルームの住宅を、予定より4カ月早く11カ月で納入した。このことによって、同社はとある全国規模の住宅メーカーと初めて契約を結んだ。この契約について、創業者たちは今のところ詳細を明らかにしていないが、この発表も近いうちに行われることだろう。

Diamond Ageの共同創業者Jack Oslan(ジャック・オスラン)CEOは次のように語る。「手頃な価格の住宅建設は、世界規模で人々に影響を与えています。初めて家を購入する人の平均年齢が20歳代半ばから30歳代半ばに移行したことで、賃貸物件に対する需要が高まりました。このため『質の高い住宅』を求めて賃貸市場の競争がますます激化しています。次世代の住宅購入者が最初の家に早く住めるようにすることは、住宅のエコシステム全体に貢献することができます」。

Diamond Ageは、ロボットプラットフォームの拡張を継続し、住宅建設に関する初の商業契約を締結するために調達した資金を使用する。同社はすでに規模を2倍に拡大し、さらにエンジニアリングと製作の人材を加える予定だ。これにより、Diamond Ageは住宅メーカーやデベロッパーと提携し、住宅建築をオンデマンド商品化し、住宅購入者が住宅を設計する際に、より多くの選択肢を提供することができるようになる。

Prime Movers LabのジェネラルパートナーであるSuzanne Fletcher(スザンヌ・フレッチャー)氏は「Diamond AgeのFactory in the Field(ファクトリー・イン・ザ・フィールド、現場の工場)システムは、建設現場に自動化をもたらし、住宅建設業界における大規模な労働力不足を補うものです」と述べている。「ジャックと彼のチームは、予定より早く重要なマイルストーンを達成し、分譲住宅の建設方法を変革していましたので、Prime Movers Labが同社のシリーズAを主導することは容易に決断できました」。

画像クレジット:Diamond Age

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)

ロシアがインスタグラムをブロックすると発表

ロシア政府はInstagram(インスタグラム)へのアクセスを制限すると発表した。同国がウクライナ侵攻以来、海外の主流テックプラットフォームを標的とした最新の国家規制となる。

ロシアは、ロイターが先に報じた、Meta(メタ)によるヘイトスピーチポリシーの変更が原因だと非難している。

だがこれは、プーチン氏がデジタル情報圏に対する支配力を強め続け、ロシア市民が国家のプロパガンダを迂回して戦争に関する検閲されていない情報にアクセスするのを阻む動きと一貫している。例えば、ロシア軍に関する独立した報道を犯罪とする新法(「偽」の情報を広めた者には最高で15年の懲役の脅威が伴う)が可決されている。

ロシア政府はInstagramのブロックを発表した声明の中で、インターネット規制当局Roskomnadzorが、Meta傘下の写真共有サイトであるInstagramへの「アクセスを制限する」と述べた。このプラットフォームが、兵士を含むロシア国民に対し「暴力行為を行うよう呼びかける内容を含む情報資料」(機械翻訳による翻訳)を広めるために使われているとある。

ロシア連邦検察庁の要求に基づき、ロシア連邦のInstagramソーシャルネットワーク(Meta Platforms, Inc.が所有)へのアクセスが制限されることになりました。

Instagramのソーシャルネットワークは、兵士を含むロシア連邦の市民に対して暴力行為を行うよう呼びかける内容を含む情報資料を広めています。

本稿執筆時点で、ロシア国内のある関係者は、Instagramのアプリはまだアクセス可能だと話した。しかし、同筋は「すべての携帯電話事業者とインターネットプロバイダーがブロックするまでに、通常数日かかる」と指摘した。

ロシア国内ではすでにFacebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)が規制の対象となっていたが、同国で非常に人気の高いInstagramはこれまで規制の対象として名前が挙がっていなかった。

Instagramのロシア国内でのユーザー数は約6000万人とみられている。

Facebookは2月25日、ロシア国内で「部分的」な規制を受けた。同プラットフォームは以前、多くの国営メディアへのアクセスを制限していた。

同じ頃、Twitterのユーザーからもサイトへのアクセスに関する問題が報告された。同社はその後、ロシアのユーザーによるサービスへのアクセスが「困難」だという報告があったことを認め、完全なアクセスを回復するために取り組んでいることを明らかにした。

Twitterはそれから専用の「Tor onion」サービスを開始した。国家の検閲を回避して同社のネットワークにアクセスしようとする人のための回避策を提供している。 Facebookは2014年からTorサービスを提供している。

Instagramに対するロシアの動きは、Metaによるポリシー変更に続くものだ。Metaのポリシー変更は、人権上の理由(国連からの指摘を含む)で多方面からの批判に直面している。

ロイターは3月11日、Metaがウクライナ戦争を踏まえ、一部の国のユーザーが一部のロシア人に対する暴力を呼びかけることを一時的に許可したことを確認したと報じた。つまり、Metaが標準としているヘイトスピーチに関する規約を一時的に停止したということになる。

「ロシアのウクライナ侵攻の結果、『ロシアの侵略者に死を』といった暴力的な言論のような、通常は規則に違反する政治的表現を一時的に許可した」と、Metaの広報担当者はロイターに声明を出し、さらに次のように述べた。「ロシアの民間人に対し暴力を求める信憑性を伴う呼びかけは、依然として認めていません」

ロイターが確認したコンテンツモデレーターへの内部メールには、ロシアのプーチン大統領やベラルーシのルカシェンコ大統領に向けられた殺害予告も許可される、ただしその予告が他の人も標的にしている、または追加の「信憑性の指標」(場所や方法など)を含んでいる場合は別だと明記されている。

Instagramの制限を発表したRoskomnadzorの声明は、ヘイトスピーチポリシーの変更に関するMetaの広報担当による発表(ロシア政府はAndy Stone=アンディ・ストーン氏を名指しで特定)を引用し、ポリシー変更により多くの国の住民が「軍人を含むロシア市民に対する暴力の要求を含む情報を投稿」できると主張している。

Meta傘下の別のプラットフォームであるメッセージングアプリのWhatsApp(ワッツアップ)が同様の規制に直面するかどうかは明らかではない。

WhatsAppはコメントを控えた。しかし、開かれたソーシャルネットワークではないため、ロシア当局の扱いは異なるという報道もある。

しかし、ロシア政府はある点でさらに踏み込んだのは確かだ。これと並行して、国家調査委員会は3月11日、ロシアでMetaとその従業員に対して刑事告訴したと発表した。どうやら、反テロ法を徹底的に活用して、同社を「過激派組織」(「ロシア連邦の市民に対する殺人と暴力の違法な要求」と表現している)に指定するようだ。

「そうした行為には、ロシア連邦刑法第280条及び第205条第1項(過激派活動の公募、テロ活動の援助)に基づく犯罪の兆候も含まれます」と、ロシアの調査委員会は3月11日、Metaの暴力行為を認めるポリシー変更に言及した。

「刑事事件の一部として、アンディ・ストーン氏とアメリカ企業の他の従業員の行動を法的に検討するため、必要な調査措置が実施されている」と付け加えている。

ロシアには長い間、プーチン政権の批判者に向けられ、自己検閲を促すような強硬な「反テロ」法がある。

2016年の改定では、「過激派」に対する最高刑が4年から8年に引き上げられた。例えば、ウクライナへのロシアの関与に批判的なソーシャルメディア利用者に対して、この罪がますます問われるようになったとGuardian(ガーディアン)は当時報じている。

ロシアは現在、米国を拠点とするストーン氏、そして潜在的には他の無名のMeta従業員に対して、過激派だとして告発するつもりのようだ。

明らかに、ロシアにいるMetaのスタッフは、逮捕や拘留の最大のリスクに直面している。主要なグローバルプラットフォームがトップダウンで適用する中央集権的なポリシー決定に伴う、非常に現実的な現場レベルでのリスクが、改めて浮き彫りになった。

MetaとInstagramに対し、この最新の動きについてコメントを求めている。

更新:InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)CEOは、8000万人のロシア人に影響を及ぼすと示唆した禁止令を「間違っている」とし、ツイートで反論した。

MetaのNick Clegg(ニック・クレッグ)社長も、ロシアが同社を過激派組織として指定する計画を非難した。Twitterに投稿した声明で、ウクライナ国内でロシアに対するヘイトスピーチを一定程度認めるポリシー修正は、「自国への軍事侵攻に対する自衛の表現としての言論の権利」を守るために必要だと弁明している。

「私たちは、ロシア恐怖症や、私たちのプラットフォーム上でのロシア人に対するいかなる差別、嫌がらせ、暴力も容認しません」とクレッグ氏と付け加え、ポリシーの変更は「一時的」であり「異常で前例のない状況下で行われた」と述べた。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

カメラだけを使う低コスト短期工事の自律型リテール技術AiFiがヨーロッパ各国に展開

コンタクトレスのお店はとくにヨーロッパで伸びているが、1月に開店したアトランタのNourish + Bloom Marketのように、アメリカでもちらほらと見かけるようになった。本稿では、そんなストアがAmazon Go7-ElevenWalmartなどのテリトリーに入り込んできたことを指摘したい。

これらキャッシャーレス(レジなし)ストアの技術を支えているのは、SenseiStandard CognitionZippinGrabango、そしてTrigoなどのスタートアップで、最近は全員がベンチャー資本を導入して技術の進歩を目指している。

VCが投資をした最新の企業がAiFiで、同社はリテイラーが高いコスパで自律型ショッピングを展開しスケールできるようにする。対象は食料品店やスポーツのスタジアム、コンビニエンスストアなどで、重さを秤る棚などがなくカメラだけを使うので、稼働までの費用と時間が相当少ない、と共同創業者でCEOのSteve Gu氏は言っている。

しかもその高度な追跡アルゴリズムは900平米のスペースをカバーし、また、アプリやクレジットカード、ゲート方式、そのハイブリッドなど、いろんなショッピング方法をサポートする。

サンタクララのAiFiはシリーズBで6500万ドルを調達し、それにはリテイルのパートナーAldiやZabka、そしてVerizon Venturesが参加した。後者は、AiFiが5Gの技術を使えるようにした。

このラウンドで同社の総調達額は8000万ドルになり、今年はAiFiがステルスを脱してから4年目、Gu氏の言う「プレ・シリーズB」から2年後になる。

Gu氏によると、新たな資金の主な用途は、同社のデプロイメントのチームを強化して、お店の立ち上げをもっと速く効率的にすることだ。この、展開に要する時間に関しては、Gu氏はAiFiが従来の公式を破ったと信じている。2020年には、お店がお客を迎えられるまでに6か月を要したが、今の同社はそれを1週間足らずに縮小している。

このほかさらに、製品開発と機能の強化にも新たな資金を投じていくつもりだ。

氏は曰く、「自律型チェックアウトはまだ始まったばかりだ。弊社が得たデータを見ると、人びとは自律店の管理方式をeコマースのWebサイトと同じもののように見始めている」。

今回の資金は、AiFiが成長を経験しているときに投入された。2年前の同社には一般的に利用されるお店が一軒もなかったが、いまではZabka(ポーランドのコンビニ)の30店を含めて40店ある。初めのころ、最大のお店は300平米弱だったが、今年の1月にはロンドンにその倍の面積のAldi(ドイツのディスカウント店)のストアを開店した。

昨年の11月にはAiFiはパリに進出し、カルフール(Carrefour)のコンセプトストア10/10 Flash(10秒で買って10秒で払う)を初めて手がけた。さらにNFLのスタジアムや音楽フェスティバルにも採用され、接客に要する時間と行列の待ち時間を半減し、一人あたりの売り上げを170%増やした。

Gu氏によると、AldiとCarrefourとZabkaは、コンピュータービジョンを利用した自律店が世界でもっとも多いが、目下同社はCompass Groupとの協働で、アイルランドで初めてのフリクションレスストアMarket x Flutterを準備中だ。

この間AiFiの年商は5〜6倍に増加し、社員数も2020年の40名から全世界で115名に増えた。

一方Gu氏によると、パンデミックで多くのリテイラーと消費者の両方が自律店の重要性を理解するようになった。とくに人手不足に悩む小売店にとって、都合の良い方式だ。

また、「Great Resignation(大退職時代)」による労働力不足は実はリテイラーを苦しめる第二波で、第一波は、人びとがお店で物に触りたくないから来店が減るという現象だった、とMoor InsightsのリテールテクノロジーアナリストMelody Brue氏が言っている。

しかし、お店のチェックアウト時間が減って購入量が増えるという、AiFiのパイロット時点のデータを彼女も認める。また、小さなお店ではサプライチェーンの管理が改善されて在庫管理が精密になる、という利点もある。

Brue氏はこう言っている: 「顧客の買い物の仕方に関するデータは大量にある。中でも重要なのは、お店のどこでたくさん買い物をして、どんな商品がいちばん売れるか、というデータだ。自律店では、店長などが人力でデータを集めていたときに比べると、もっとたくさんの情報が得られる。人力のデータ収集は時間がかかり、ポテトチップは2番通路よりも4番通路がよく売れるなんてことを、見つけにくい」。

自立型リテールという分野には、今でも投資が続いている。たとえば数週間前には、フランスの新興コンビニエンスストアBoxyが2800万ドルの調達を発表し、またWalmartなどの仕事をしているFocal Systemsも、そのリテールオートメーション技術で2580万ドルを調達した。

Brue氏はさらに続けて、「今はオートメーションと人工知能とリテールに投資が集中している。またある意味では、それらのフィンテック成分があるとも言える。AiFiへの最初の投資が小さかったように、ちょっと水に足をつけてみて様子を見る、という側面もあったが、今や大きな投資になっている。過去2年のVCたちの投資は、人びとの生活に便利と効率をもたらすという、テーマに惹かれての投資だった。そして金融とリテールの視野で見れば、今やブームになりつつある」、と言っている。

(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: AiFi/ワルシャワのZabkaの店の例

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次世代ライブビデオアプリを強化する100msが約23.3億円を調達

インドと米国を拠点とするライブビデオ会議インフラのスタートアップ100ms(ハンドレットエムエス)は、次世代のライブビデオアプリを強化するため、シードラウンドの完了からわずか5カ月でシリーズA資金として2000万ドル(約23億3900万円)を調達した。

この最新ラウンドは、Falcon Edge(ファルコン・エッジ)のAlpha Wave Incubation(アルファ・ウェーブ・インキュベーション)が主導し、Matrix Partners India(マトリックス・パートナーズ・インド)とLocalGlobe(ローカルグローブ)が参加、既存の投資家であるAccel(アクセル)とStrive.vc(ストライブ・ドット・ブイシー)が参加した。これにより、スタートアップが調達した資金の総額は2450万ドル(約28億6400万円)に達した。

同スタートアップは2020年、創業者らがインド最大のストリーミングプラットフォームの1つであるDisney+ Hotstar(ディズニープラス・ホットスター)で、インドの人々が試合のライブ中継を見られるようにする機能を開発していたときに設立された。

「アプリで試合を観戦し、友人とビデオ通話をして試合を楽しめる機能を構築することにしたのです。私たちは、世の中にあるソリューションを調査し、既存のビデオSDKプロバイダーの1つを選びました。その製品を動かすのに4カ月かかりました」。と100msの共同設立者でCEOのKshitij Gupta(クシティジ・グプタ)氏は、TechCrunchの取材で語っている。

「ほとんどの体験がライブ動画で行われるようになっているこの新しい世界で、このようなプラットフォームを構築するのに4カ月もかかるべきではない」と、Aniket Behera(アニケット・ベヘラ)氏とSarvesh Dwivedi(サルベシュ・ドゥイヴェディ)氏と共同でこのスタートアップを設立したグプタ氏は付け加えた。

彼らは、アプリを構築する際に経験した課題から、Edtech、フィットネス、エンターテインメントなどの企業が、アプリ内にZoomのようなビデオ会議を追加し、YouTubeやFacebookなどのプラットフォームでアプリをライブ配信できるようなライブビデオインフラを構築することを思いついたのだそうだ。

この新製品は約9カ月かけて構築され、企業が1週間以内に統合、テスト、本稼働できるようにした。

「この技術は非常に複雑なため、ほとんどの企業が構築を敬遠しています。私たちは、アプリケーションにビデオを埋め込もうとするすべての企業をターゲットにしています。オンライン授業を行うEdtech企業、医師と患者の間で遠隔健康診断を行う医療技術企業、ライブコマースで何かを販売する企業などです」と、Disney+ Hotstarに参加する前にMeta(メタ)でライブ映像インフラのプロダクトマネージャーとして働いていたグプタ氏は語っている。

100msは、アプリケーションに動画を埋め込むことを検討しているEdtech、遠隔医療企業、フィットネススタジオなどの企業をターゲットにしている(画像クレジット:100ms)

同スタートアップは、前四半期に20倍の成長を遂げた。ライブ体験が主流になりつつある現在でも、製品に対する需要は増え続けている。2021年8月以降、EdtechプラットフォームのFrontRow(フロントロウ)とWhiteHat Jr(ホワイトハット・ジュニア)、クリエイターとブランドのためのプラットフォームCircle(サークル)、ライブイベントプラットフォームのPaytm Insider(ペイティーエム・インサイダー)、コミュニティアプリのKutumb(クトゥンブ)など、2200以上の企業が100msのライブ動画インフラを使ってきた。

「このような加速が起こったのは、私たちが統合時間を短縮したためだと思います。また、企業がライブイベントをカスタマイズして、よりリアルな体験ができるようなテンプレートモデルを構築したいと考えています。【略】私たちにとって、これはメタバースの旅の始まりになると感じています」。と、銀行員としてキャリアをスタートさせた後、技術者としてのキャリアに転向したベヘラ氏は語った。

この資金をもとに、ビデオエンジニアを増員するなどしてチームを拡大し、製品にさらなる機能を追加していく予定だ。

Falcon EdgeのAlpha Wave IncubationのマネージングディレクターであるAnirudh Singh(アニルード・シン)氏は、100msへの投資について「オンラインジムは、トレーニング者に怪我の報告を求めています。オンライン・スクールは、ライブラリを追加し、1対1のヘルプ・セッションを可能にしています。オンラインデート・アプリは、より良いバーチャル・ミーティング体験を再現しようとしています。100msは、ビデオストリーミングの複雑さを抽象化することで、製品メーカーが洗練されたライブエンゲージメントを想像し、追加することを可能にします」。と語っている。

画像クレジット:100ms

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ロシアでテック企業が販売を停止するなか、スマホやクラウドサービスなどのビジネスへの影響は?

ロシアがウクライナを攻撃して以来、ここ数週間で、さまざまな業界の企業とともに、多くのテック企業がロシアでの営業を停止していることを耳にした。これは幅広い反響を呼んでおり、企業がロシアで通常どおりビジネスを続けることはできないというメッセージであることは明らかだが、これらの行動は、営業を停止した企業に実際にどのような経済的影響を与えるのだろうか?

IDCが今週初めに発表したレポートで指摘したように、ウクライナが攻撃を受けており、ロシアに制裁が適用されているため、その地域で事業を行うテクノロジー企業に何らかの影響を与えることは必至だ。

「紛争によってウクライナの事業活動は停止しており、ロシア経済は欧米の制裁の初期の影響を受けている。2022年には現地市場の需要は2桁の縮小し、両国の技術支出に強く影響するだろう」と、同社は書いている。

しかし、純粋な数字で見ると、ロシアとウクライナを合わせても、大国ではあるものの、世界の技術支出全体に占める割合はそれほど大きくはない。実際、IDCの報告によると、この2カ国を合わせても、ヨーロッパの技術支出の5.5%、世界の技術支出のわずか1%を占めるに過ぎない。

Canalys(カナリス)は、ロシアでの販売を停止していないテック企業は、停止するようにプレッシャーを受けていると述べている。「Accenture(アクセンチュア)、Apple(アップル)、Cisco(シスコ)、Dell(デル)、HP、HPE、Oracle(オラクル)、SAP、TSMC(半導体)などが、ロシアとの関係を断つ(あらゆるセクターの)国際企業のリストに名を連ねている。そうしない企業は、世界の情勢にますますそぐわなくなる」と、同社は今月初めに発表した報告書の中で述べている。

Canalysによると、ロシアはヨーロッパのスマートフォン市場の20%、PC市場の8%を占めている。AppleはロシアのPC市場の17%を占め、Lenovo(レノボ)とリードを分け合っている。HPは15%でわずかに及ばない。

画像クレジット:Canalys

Canalysによると、この数字はこれらの企業の売上高全体の約2%に相当する。市場をリードする3社ともロシアでの販売を停止している。中国企業であるレノボが、その決定を覆すよう中国政府から圧力を受けているとの報道は注目に値する。

スマートフォンについては、中国のスマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)が31%で市場をリードし、Samsung(サムスン)が27%で続き、Appleは11%で3位に大きく後退している。

画像クレジット:Canalys

これは、Apple全体の売上高の2%、Samsungの4%を占めている。Apple、Samsungともにロシアでの販売を停止している。

Canalysは、ロシアがこの問題を解決するために、中国の技術に目を向ける可能性があると推測している。「西側諸国が技術輸入に制裁を加えているため、ロシアは(制裁に反対すると表明している)中国にもっと目を向けると予想される。特にロシア政府は、西側ブランドを置き換え、主要技術へのアクセスを維持しようと急いでいる。欧米の貿易禁止措置の犠牲となったHuawei(ファーウェイ)などの中国ベンダーが勝者となる可能性が高い」と、同社は書いている。

しかし、Lenovoの状況が示すように、欧米の顧客と大きな取引をしている中国企業にとっては、より複雑な状況になっている。

Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)の3大クラウドベンダーはどうだろう。クラウド市場を調査するSynergy Research(シナジーリサーチ)の主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、ロシアがこれらの企業のビジネス全体の1%に満たないことを指摘している。

「AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの観点からすれば、ロシアの顧客を切り離してもほとんど影響はないでしょう」と、彼はいう。

しかし、それらの顧客にとっては、やはり痛みをともなう可能性がある。「もちろん、切り離されるかもしれない顧客にとっては、その影響は非常に意味のあるものになるかもしれません。ロシアは特に発展した市場ではありませんが、クラウドベースの業務に大きく移行した企業にとって、その後に軌道修正するのは大変なことです」と、同氏は述べた。

CanalysのアナリストBlake Murray(ブレイク・マレー)氏もこれに同意していますが、スマートフォンやPCと同様に、制裁によって窮地に立たされた顧客が中国のクラウド大手に目を向ける可能性もあると述べている。「全体として、ロシアの企業はYandex(ヤンデックス)のようなロシアのCSPや、国内にデータセンターを持つ中国のプロバイダーに軸足を移すと予想されます。また、Officeのようなソフトウェアをロシアで登録された同等品に置き換えることも検討されるでしょう」と述べている。

それは簡単なことではない。しかし、マレー氏によると、ロシア国内の多くの組織が、少なくともこの方向で移行作業を始めているとのことだ。

SaaS企業への影響も気になる。ディンズデール氏は、SaaS市場はより細分化される傾向にあり、国内にもより多くの選択肢があると述べている。とはいえ「ロシアは、世界のSaaS売上高の1%未満しか占めていない小さな市場です。MicrosoftとSalesforce(セールスフォース)の両社にとって、ロシアはSaaSビジネスの1%未満に過ぎません」。

最後に、インターネットバックボーンプロバイダーがロシアから撤退すると報じられており、Cogent(コジェント)とLumen(ルーメン)が今週、事業を停止することを発表した。

「我々が提供するビジネスサービスは、我々の物理的存在と同様に極めて小規模で、非常に限定的なものです」と、Lumenは声明で述べた。「しかし、我々はこの地域でのビジネスを直ちに停止する措置をとっています」。

Cogentは公式声明を出していないが、ロシアでの事業を停止していることは広く報道されている。どのような影響があるかは不明だが、Cogentのネットワークマップを見る限り、ロシアにデータセンターはないようだ。

それでも、インターネットアクセスが遮断されることは、国外のニュースを得ようとする人々や、ビジネスを行おうとする企業にとって、深刻な影響を及ぼす可能性がある。ディンズデール氏が指摘するように、インターネットに接続できなければ、どんなクラウドサービスにもアクセスできないので、深刻な影響を及ぼす可能性がある。

画像クレジット:kynny / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

Netflix、Disney+の発表を受けても広告付きオプションはまだ計画にないと述べる

Disney(ディズニー)は先週、同社のストリーミングサービスのDisney+に広告付きの定額制を導入する計画を発表したが、Netflix(ネットフリックス)は、自社の顧客向けに同様のオプションを用意することは当面の間、考えていないとしている。今週開催されたMorgan Stanely(モーガン・スタンリー)のテクノロジー・メディア・テレコム・カンファレンス で、NetflixのCFOであるSpencer Neumann(スペンサー・ノイマン)氏は、Netflixは必ずしも広告に反対しているわけではないが、広告付きモデルに傾倒することは「我々の計画にはない」と説明している。

この役員に投げかけられた質問は、Netflixがサービスのエントリープライスポイントを下げる方法として、広告の利用を考えられるかどうかというものだった。そうすれば、Netflixが価格に対してより敏感な市場を含む、よりグローバルな市場で地位を確立しようとする際に、Netflixの競争力を高めることができるだろう。例えば、Netflixが最近会員価格を下げたインド市場などだ。

しかし、ノイマン氏は、Netflixは「長期的な収益の最適化」に注力しており「会員にとってすばらしい体験となるような方法でそれを実現したい」と、同社の現在のサブスクリプションモデルを擁護している。

広告を導入することで、確かにサブスクリプションの料金が下がり、その結果、より多くの登録者が集まるかもしれないが、エンドユーザーの体験が損なわれる可能性もあるというのが、ここでの基本的な考え方のようだ。もちろん、CFOは、Netflixの計画が変更された場合に備えて、少しヘッジをかけ、もし同社が優れたユーザー体験を提供するという目標を達成できる広告付きスペースで活動する方法を見出したら、おそらくそうするだろうとも付け加えた。「決して絶対にないとは言いません」と述べた。

「今現在、私たちはすばらしいモデルと、グローバルに展開できるサブスクリプションビジネスを持っていると考えています」とノウマン氏はいう。「2年前の売上は200億ドル(約2兆3000万円)程度でしたが、今は300億ドル(約3兆5000万円)です。世界のどの地域でも健全な成長を遂げています」と語る。

もちろん、この威勢のいい言葉は、Netflixのビジネスの状況を完全に反映しているとは言えないかもしれない。今日の投資家たちは、たとえそれがサービスに広告を追加して価格を下げることであっても、Netflixがどこまで目先の成長を追い求めるべきか議論しているのである。そして、Netflixは2021年第4四半期の決算で、加入者数の伸びについてウォール街の予測を下回ったばかりだ。同社は当時、この落ち込みは一時的なもので、人気番組 『ブリジャートン家』 の第2シーズンなど、より期待されている番組のいくつかが四半期後半に開始されたことを反映したものだと主張していた。しかし、同社は株主宛ての手紙の中で、ライバルストリーマーとの競争激化が「当社の限界的な成長に影響を与えている可能性がある」と認めている。

現在、Netflixは、HuluやPrime Videoといった古くからのライバルに加え、Disney+、HBO Max、Paramount+、NBCU(NBCユニバーサル)のPeacockといった多くの新しい競合に直面している。

Paramount+とPeacockは、広告付きのオプションでスタートした。HuluはCM付きとCMなしの両方のプランがある。また、HBO Maxは2021年、広告付きサブスクリプションを開始した。そして今、Disney+が参入している。そのため、Netflixは、低価格の広告付きプランを持たないトップストリーマーの中で、ほぼ唯一の存在となっている。Amazon(アマゾン)のPrime Videoが広告を掲載していないのは事実だが、これは非常に異なるビジネスモデルの一部である。Prime Videoは、Amazonの高速配送オプションに代表される他の多くの特典を含む、より大規模で高価な定額制サービスの一部に過ぎないからだ。

一方、Netflixは、一部の市場で値下げとは正反対のことを行っている。代わりに、価格を上げているのだ。米国では、1月にNetflixは、プランによって1ドル〜2ドル(約1116円〜233円)の値上げを行った。今日(米国時間3月10日)、Netflixは英国とアイルランドでも値上げをすると発表した。

ノイマン氏は、この競争がいずれNetflixの広告に対する考え方に影響を与える可能性があることを認めた。

「私たちの計画にはないことですが、他社はそこから学んでいます。だから、他社がやっていることを無視することはできません」と認めた。「しかし、今のところ、それは我々にとって道理にかなっていないことなのです」と語る。

CFOは、カンファレンスでNetflixのビジネスの他の側面についても語った。彼は、ロシアの恐ろしいウクライナ侵攻を受けてNetflixが最近ロシアから撤退したのは、戦争の中で起こっている「本当の人間の苦しみ」を受けてなされた決定であることを最も重要な点として指摘した。しかし、その機会に関連して、ビジネスの観点からは、同国における制裁、規制の問題、決済に関する課題もあり、そこで事業を行うことはあまりにも困難となった。ロシアは、Netflixの収益の1%未満を占めているという。

Netflixの新興ゲーム事業についても簡単に質問されたが、ノイマン氏は、これを非常に初期の段階にあると特徴づけた。最初の12カ月は、ゲームをホストして世界中のアプリストアに配信するためのインフラという意味で「配管を正しくする」ことに集中していた。現在、同社は、ゲームの定着率やプレイ時間、会員が映画やテレビに対してどのような価値観を持っているかを学ぶことに取り組んでいる。

また、Netflixは現在までに約14のゲームをサービス上でリリースしているが、年内には「その何倍ものゲーム」をリリースする予定であり、新しいタイトルをより早く展開する計画を示していると述べた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)