Amazonの電子ベストは労働者とロボットの安全な共同作業を支える

昨年Amazonは、25あまりの倉庫等で、労働者の安全性のための新しい着衣を採用した。そのRobotic Tech Vestと呼ばれる着衣は、一見すると二本のサスペンダーを電子回路を内蔵するベルトにくっつけたもののようだ。このAmazon Roboticsが設計した製品は、労働者がロボットシステムを修理したり、落下した品物を回収したりするときの安全を確保することが目的だ。Amazonのロボットシステムのセンサーが着用者を感知すると、動きを遅くして衝突を避けようとする。

つまりこのベストは、ロボットの障害物回避検出機能と協働する。

Amazon RoboticsのVP Brad Porterはこう語る: “われわれのロボットシステムは全体的に、複数の安全システムを採用している。それには、訓練素材もあれば、入り口の物理的なバリヤー、プロセス制御、オンボードなどさまざまだ。過去には、人間が自分が作業しているセルのグリッドをマークすると、ロボットのトラフィックプランナーがその区域の方向へルートを回していた。しかしこのベストで可能になったのは、ロボットが遠くからでも人間を検出して、その旅程プランをスマートにアップデートする。人間がそのゾーンを明示的にマークしなくてもよい”。

仕事の現場に人間とロボットの対話があるときには、言うまでもなく安全が重要な課題になる。労働安全衛生局OSHA(Occupational Safety and Health Administration)はこう言っている: “調査によれば、ロボット事故の多くがルーチン以外の運用条件で起きている。それらは、プログラミング、メンテナンス、試験、セットアップ、調整などだ。このような運用の間に、労働者が一時的にロボットの作業圏域に入ってしまうことがある。そしてそこで、意図せざる操作が傷害を招くことがある”。

12月には、Amazonの20数名の倉庫労働者が病院に搬送された。その、熊撃退スプレーの爆発事故には、ロボットが関与していた疑いがある。ロボットと人間のコラボレーションが一般的になるに伴い、安全を最優先して、これらの巨大な金属製マシンと付き合うことが重要だろう。

Porterによると、ベストのテストは“大成功”だったそうだ。ベストの総起動回数は100万回を超え、その結果がすべて、システムのログと共に記録された。

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SonyのVC部門がジオコーディングのスタートアップwhat3wordsに投資

Sonyのベンチャーキャピタル部門が、what3wordsに投資した。世界全体を57兆個の3メートル四方の区画に分割して、そのそれぞれにアドレスとして三つの語を割り当てるサービスだ。

投資の金額等は、明らかにされていない。

この新奇なアドレシングシステムだけが関心の的ではない。what3wordsを音声アシスタントに統合することが、Sonyなどの関心と投資を喚(よ)んでいるのだ。

Sony CorporationのSVP Toshimoto Mitomoが、声明文の中でこう言っている: “what3wordsは、音声で正確な位置を機械に入力するという重要な問題を解決した。音声で操作するシステムが急増しているので、すべてのデジタルプラットホームとチャネルで使えるシンプルな地理符号化方式(geocoder*)が必要になっている。それは、書き表すのも話すのも容易でなければならない”。〔*: geocoder, Wikipedia記事

昨年、Daimlerはwhat3wordsの株式の10%を取得し、その前の2017年にはこのアドレシングシステムを、Mercedesのインフォテイメントとナビゲーションシステムに統合すると発表した。そのシステムはMercedes-Benz User Experience、略してMBUXと呼ばれ、Mercedes A-ClassとB-Class、および商用車Sprinterに搭載されている。これらの車のオーナーは、インフォテイメントシステムに三つの語を言うかタイプするだけで目的地に正確にナビできる。

また、TomTomやライドシェアのCabifyは最近、ナビにwhat3wordsを利用する計画を発表した。

ユーザー企業は今後もっと増えるだろう。what3wordsはSonyからの投資を、自動車業界向けのさまざまな応用技術に投じたい、と言っている。

画像クレジット: what3words

参考記事: ソニー、住所革命のwhat3wordsに出資 地球上を57兆分割し3単語で表現

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AR/VR 2.0を生かすためにはAR/VR 1.0を殺さなければならない

拡張現実と仮想現実(AR/VR)の未来は明るい可能性があるが、それは現状から脱出できた場合のことだ。2018年は、2つの変化の年の前触れの年だったと言える。2019年には淘汰が起こり、2020年後半には転換期が訪れる。まずは、現状の確認から始めよう。そして、私たちはどのような未来へ向かうのか、そこへ到達するためには、何を変えなければいけないかを考えていこう(注意:AR/VRにはもっと前の世代もあるが、ここでは2014年後の市場に着目している)。

AR/VR普及台数(モバイルARを含む)

青のAIRKit、緑のARCore(Google)、赤のARCore(中国)が多く、Apple、Oculus Quest、Samsung、HTC Vive Focus、Sony PSVR、Magic Leap、Microsoft HoloLensなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

AR/VR 1.0は今どうなっているか?

AR/VR 1.0は、FacebookがOculusを真剣に考えるようになった2014年にキックオフとなった。それには、起業家、企業、VCの特定の世代が大きく反応し、初期のAR/VRの開発が進められ、技術的に大きな進歩があったものの、まだ大衆市場は形成できないと、業界内部の人間すら認める状態だった。

モバイルARは、30億ドル(約3250億円)という、私たちが出した2018年の収益予測を2パーセント上回る結果となったが、その牽引役となったのは、アプリストアの売り上げ(おもに『Pokémon GO』)、広告費(メッセージアプルへのモバイルAR機能の導入など)、そして電子商取引での収益だ(たとえばHouzzはネット販売が11倍に伸びた)。モバイルARのインストールドベース(デバイスに組み込まれた形での普及数)も、期待を上回ってゆっくり伸びを見せ、世界で8億5000万件に到達している。ただ不安が的中し、2018年にはスタンドアローン型モバイルARの大ヒットアプリは現れなかった。モバイルARの何が売れて何が売れないのかを知ろうと、開発者たちは今でも頭を捻っている。

スマートグラスの2018年はいろいろだった。MicrosoftのHoloLensは、アメリカ陸軍との4億8000万ドル(約520億円)の契約を勝ち取った。Magic Leapは、一般向けの製品よりも開発用キットのほうがよく売れた。その他のスマートグラスの先駆者たちからは、資産を売却したり社員を一時解雇したという話が伝わってきている。スマートグラスの収益(おもにハードウエア、企業向けソリューションやサービス)は億単位にのぼるが、モバイルARを加えると、AR市場全体の収益は予想よりも3パーセント低かった。そのため、これまでの3年間のARの収益は、投資会社Digi-Capitalの予測にほぼ沿う形となった。

VRでは、携帯電話とヘッドセットの予約とのセット販売を電話会社が大幅に縮小するとは、昨年初めの時点では予想できず(これがモバイルVRの売り上げと普及数に悪い影響を与えた)、Oculus Questの2018年クリスマスシーズンの発売は延期されてしまった(昨年末の発表では2019年の春とのこと)。Oculus Goが昨年中期に発売されたことと、ソニーPSVRの売り上げが予測どおりになったことはよかったが、減少率を含めて考えると、2018年のVR市場の収益は前年比で少なくとも30億ドル(約3250億円)落ち込んだ(我々は適度な成長を予測していたが)。

AR/VR 2.0で私たちはどこへ行くのか?

モバイルARとスマートグラスを含むARは、2023年までには、25億台普及し、売り上げは700億から750億ドル(約8兆1300万円)に達する可能性がある。モバイル、スタンドアローン、ゲーム機、PCを含めたVRは、同じ時期までに300億台が普及し、100億から150億ドル(約1兆6300億円)の売り上げが得られる可能性がある。この開きはかなり大きい。なぜそうなるのか、少し掘り下げて考えてみよう。

AR/AVプラットフォームの収益

青はモバイルAR、緑はスマートグラス、赤は高級/スタンドアローンVR製品、紫はモバイル/スタンドアローンVR (Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

モバイルAR

モバイルARの収益は昨年をわずかに上回ったものの、プラットフォームのレベルでの根本的なデータを見ると、長期的なモバイルARの普及台数は見積もりを下方修正する必要がありそうだ。AppleとFacebookはそれぞれプラットフォーム(ARKitとSpark AR)を保有しているが、Googleにはそれがない。昨年、ARCoreを組み込んだデバイスを1億台から2億5000万台に増やすには、Android端末のメーカーとの協力に頼らざるを得なかった。

それでも大きな数字だが、私たちのAR/VR分析プラットフォームの予測では、ARCoreの普及台数の成長曲線は、2021年までAppleやFacebookの跡を追うことになっている。ARKitとSpark ARの成長曲線が、これまでの予測のまま維持されたとしても、ARCoreが伸び悩めば、モバイルAR市場全体の普及台数は、2023年までに25億台をわずかに超える程度にとどまる。

ARモバイル・ビジネスモデルの収益

緑はアプリストア、赤は電子商取引、紫は広告費、オレンジは事業向け
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

自動車、衣料からオモチャまで、大きな10のカテゴリーをカバーする電子商取引は、モバイルARの最大の収入源になることは確実と思われている。それに、小売から消費者向けパッケージ製品、旅行にいたる11の主要広告主カテゴリーが加わると、それはモバイルARの長期的な収益の4分の3を占めるようになる。

AR電子商取引の売り上げ

青のその他、緑の衣料、赤の一般消費者向け電子製品、紫の自動車、オレンジの家具、深緑の医療/介護、ピンクのオモチャ/ホビーなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

モバイルARのアプリストアでの収益(アプリ内購入と単独購入を含む)は、現在のところ『Pokémon GO』を筆頭とするゲームに独占されているが、将来的にモバイルARが組み込まれたデバイスが増加すれば、ゲーム以外の主要アプリによるモバイルARの売り上げは、2023年までに総収益の半分を超えるだろう。モバイル市場全体を見渡せば、スタンドアローンのモバイルARアプリがアプリストアのトップに登りつめるまでには、まだまだ苦戦を覚悟しなければならない。モバイルARには、独立した新しいアプリとしてよりも、一般に浸透しているアプリの中のひとつの機能としてのほうが、大きく成長できたはずだ。

アプリストアでのモバイルARカテゴリーの収益

青のゲーム、緑のソーシャル、赤の写真/動画、紫の娯楽などと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

スマートグラス

スマートグラスが大衆市場の一般的なデバイスになるためには、5つの大きな課題を解決しなければならない。それは、(1)ヒーロー・デバイスになること(たとえばApple社製のクオリティー。そこではAppleが作ったのかどうかが問われる)、(2)1日使えるバッテリー寿命、(3)ネットへの接続性、(4)アプリのエコシステム、そして(5)価格だ。一筋縄ではいかない課題だが、これらが解決すれば、2020年の中期以降も企業の注目を集めることができる。今年は、スマートグラスの販売台数は、全世界で数千万台を維持できるだろう。

スマートグラスのビジネスモデルの収益

青がハードウエア、緑がアプリストア、赤が電子商取引、紫が広告費、オレンジが事業向け、ピンクが位置情報 (Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

2016年に私たちが予測したとおり、もしAppleが2020年後半にiPhoneに接続して使うスマートグラスを販売したなら、AR/VR市場はついに転換点を迎えることになる。とは言え、2023年はまだ、スマートグラスの長期的収益は、ハードウエアとハードウエア以外の事業向けの収益がほとんどを占める状態が続くだろう。一般消費者向けスマートグラスの大衆市場は、Appleが参入したとしても、まだまだ先の話だ。

スマートグラスの事業収益

青の製造/資源、緑の技術/メディア/通信、赤の政府(軍を含む)、紫の小売りなどと続く
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

これまで、スマートグラスの事業者向け試驗プロジェクトと本格的な展開が初期段階の技術プラットフォームの兆候とされてきたが、現実には、HoloLensやScope ARを使うことで衛星製造作業を50パーセント以上減らすことができたロッキード・マーティンなどの企業からの需要に生産が支えられている。スマートフォンに接続して使うスマートグラスがシステムのコストを削減し、応用の幅を広げてくれるなら、製造/資源、技術/メディア/通信、政府(軍を含む)、小売り、建設/不動産、医療、教育、運輸、金融サービス、公共施設などの産業は2021年に転換期を迎え、事業者向けスマートグラスの収益は跳ね上がるだろう。

VR

VRは、今年、ハードウエアとゲームによる収入を引き続き柱として、適度な成長を取り戻す可能性がある。第二世代のスタンドアローンの高級VRヘッドセット(今年発売されるものではない)は、2020年から2021年の間、促進剤として活躍するだろう。そのためには、高い性能と、充実したコンテンツと、低価格が欠かせない。幸いなことに、そのころにはVRプラットフォームを運営する業者は、散乱した現在のプラットフォームを整理して製品の範囲を絞り込んでいることだろう(これはスティーブ・ジョブズの1997年のシナリオからの受け売り)。

VRビジネスモデルの収益

青はハードウエア、緑はアプリストア、オレンジは事業、深緑は動画、赤は位置情報
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

VRの収益は、おもに娯楽によるものだ。そしてそれは、普及率とユニットエコノミクスの関係で、スタンドアローンのモバイルVR製品よりも、高級な、またはスタンドアローン型VR製品によるところが大きい。長期的収益の大部分はゲームが占め、続いてハードウエア、事業向け(ハードウエアを除く)、動画、位置情報を使った娯楽となっている。VRプラットフォームの運用者はゲームに焦点を当てているため、ゲーム機でのゲーム以外の収入源を多様化しようと思うと、ソニーやMicrosoftが戦ってきたのと同じ困難に遭遇することとなる(結果はまちまちだ)。

AR/VRの国ごとの収益

青は広告、緑はアプリストア、赤は電子商取引、紫は娯楽、オレンジはハードウエア、深緑は位置情報、ピンクは動画
(Digi-Capital AR/VR分析プラットフォームより)

 

これからの5年間は、アジアがAR/VRを支配することになり、2023年には、北アメリカとヨーロッパを合わせたよりも多くの収益を得る。この市場への中国の関与は群を抜く。長期的にそこは、単独でもっとも大きなAR/VR市場となるだろう。

では、AR/VR 1.0からAR/VR 2.0に移行するには何が必要か?

AR/VR 1.0からAR/VR 2.0に移行するには、数多くのものが必要となる。

大きな摩擦を小さくする:AR/VR 1.0には、その大部分において、インストール、ユーザー・エクスペリエンス、ユーザー・インターフェイスの面で、いまだに大きな摩擦がある。いろいろな意味で、今のこの市場は、スティーブ・ジョブズがiPodを発売する以前のMP3プレヤーの市場によく似ている(アナログの感覚を捨てきれずにいたときだ)。AR/VR 2.0の摩擦を小さくする努力はまだ道半ばだが、今必要なのはAppleのスマートグラスだ(名前はiGlassesとなるかどうかは別として)。第二世代の高級なスタンドアローンのVR製品(Oculus QuestやHTC Viveの次の世代)とモバイルARの開発者は、NianticやHouzzなどの教訓を学び、それを超えるためのイノベーションに取り組んでいる。

エクスペリエンスからユースケースへ:AR/VR 1.0ではいろいろな「エクスペリエンス」があった。なかには、見た目は強烈だが有意義なユーザー・エクスペリエンスを提供してくれないアプリもあった。AR/VRのドラゴンやポータルには最初はびっくりするが、すぐに飽きてしまう。AR/VRの次の段階は、一日中、しかも毎日使う重要なアプリの機能として、決定的なユースケースに対応することだ。

スタンドアローンから機能へ:今日まで業界は、スタンドアローンのアプリに大きく集中してきたが、私たちが使っているアプリの主要な機能は、もっと利用度が高く、より大きな商業的な成功をもたらしてくれる。ナビゲーション(Google Map)、電子商取引(AmazonWalmartAlibaba)、メッセージ(Facebook Spark ARSnapchat Lens Studio)などは、そのほんの一例だ。

高価から安価へ:初期のAR/VR製品の価格は、3000ドル(約30万円)のHoloLensから200ドル(約2万円)やOculus Goから無料のモバイルARまでさまざまだった。しかし、モバイルのように、すでにユーザーがデバイスを所有している場合は、特定のユースケースを除けば、競争の激しいプラットフォームは価格以上のものを提供している。AR/VR 2.0では、価格は問題とならないため、高い価値を提供しなければならない。

点のソリューションからエコシステムへ:初期のAR/VRアプリの娯楽用(ゲームや動画)または、特定の問題を解決するためのひとつのソリューションを提供するものが大半だった。上で述べたように、AR/VRは、その規模を拡大するためには独自のリアリティー・エコシステムが必要だ。

低い投資利益率を高く:消費者にとってこれは、単に「わぁ!」とびっくりする以上のものが得られるアプリを意味し、企業にとっては、投資した以上の実益をもたらすアプリのことを意味する。これは、ロッキード・マーティンやBellといった企業の活動で実現し始めている。

試験から生産へ:企業向けAR/VR 1.0では、数多くの試験プロジェクトが行われてきたが、製品化されて本格生産に移ったものは少ない。これが変化しつつある。Walmart(STRIVR)などは、本格生産に入ろうとしている。

内輪ネタからブランドへ:AR/VR業界は、いまだにAR、VR、MR、XR、あるいは空間コンピューティングという言葉で自分たちを言い表すことのメリットについて論議し続け、それらをパイプでつなぐ内部的な作業に多くの時間を費やしている。しかし、初期の支持者ではない一般の消費者や企業にとっては、どうでもいいことだ。彼らは、決定的なユースケースに対応してくれるブランドを買うだけだ。それには、ユーザーに明確な焦点を当てることが必要であり、彼らにどのようにマーケティングするかが成功の鍵となる。

細分化から支配へ:AR/VR 1.0は、まだ初期段階であり、ユーザー基盤も比較的小さいのにも関わらずハードウエアとソフトウエアにまたがって細分化したままの状態にある。しかし現在、この業界は、重要な少数のプラットフォームに絞り込む腹を決めたようだ。市場の中のカテゴリーごとに、プラットフォームが自然淘汰され、少数の支配的なものが残ることになるだろう。

夢想からデータ駆動型へ:AR/VR 1.0の企業は、初期の市場の独立した情報源提供者が参入してこなかったこともあり、その多くが実際の数字の公表を怠ってきた。しかし、Digi-CapitalのAR/VR分析プラットフォームが開発され、ロードマップ、国際展開、投資額、評価額などに関する細かい疑問に答える確かなデータや分析結果が得られるようになると、もう隠してはいられなくなった。

VC投資からゴキブリ(資金調達)へ:昨年は、豊富な資金を持ついくつもの先駆者的企業の市場から撤退が始まった。2019年には、収支の合わない企業の大淘汰が行われる可能性がある。アメリカのAR/VR投資市場は、2018年の第四四半期の下落から回復し始めている(中国の投資も加速している)が、AR/VR 2.0では、VC投資を求めるよりも、金儲けをして、「ゴキブリ」のように無節操にバーンレートにこだわることが重要だ。

その他からAppleへ:2020年後半にAppleがスマートフォンと使うスマートグラスを発売したならば、AR/VR 2.0に「iPod現象」が起きる。つまり、新しい標準となるフォームファクターが生まれ、長期的な大衆市場が始まるのだ。ただしこれは、かならずしも業界においての「iPhone現象」ではないことを覚悟しておくべきだろう。こうした促進剤が登場しても、大衆市場が確立されるまでには5年以上かかるからだ。

否定から受容へ:2019年は「AR/VRの年」ではない。また、マーク・ザッカーバーグが言う「10億人がVRへ」も実現しないだろう。マークもそれを認めている。なので、市場の次の段階では、慎重な楽観主義が広がることに期待しよう。

AR/VR 3.0はどうなのか?

2023年までにAR/VR市場は、800億ドルから900億ドル(約9兆7600億円)規模に成長する潜在力があると私たちは見ているが、そこでAR/VR 2.0が完結するわるわけではない。それには、価格が同じでiPhoneに取って代わる軽量なスタンドアローン型スマートグラスなどの誕生が必要だ。そうしたAR/VR 3.0のビジョンを実現させるには、技術的にもコンテンツ的にも骨の折れる仕事を経なければならないわけだが、その前に、AR/VR 2.0を正しく導くことが重要だ。

これからエキサイティングな時代になる。次に何が現れるか、とても楽しみだ。

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(翻訳:金井哲夫)

子どものモバイル端末の使用は悪ではない

【編集部注】著者Siri Fiskeは、メリーランド州ベセスダとワシントンD.C.にある少人数教育の学校MYSA Schoolの創設者であり校長だ。

ショッキングなNew York Timesの報道によると、我々が使うテックガジェットをデザインしたシリコンバレーのエンジニアたちは、彼らの子供にはガジェットをいつでもは使わせないのだという。こうしたエンジニアたちはスマホやiPadの長時間使用は子供の脳に悪影響を与えると信じている。Facebookの前従業員の1人は、テクノロジーは“我々の子供をダメにしている”と警告した。

こうした親はリラックスする必要がある。子どもに明け方までソーシャルメディアをブラウズさせるのは良いものではない、というのは事実だ。しかしまた、スマホやiPad、その他のガジェットが家庭と学校の両方においてパワフルな教育ツールであるということも事実だ。

全てのデバイスを悪いものとして禁止するより、親はスクリーンタイムを調整し、ためになる方法で子どもにテクノロジーを使用させるべきだろう。

シリコンバレーや世界中の高等教育を受けたコミュニティの親たちのパニックにもかかわらず、研究ではモバイル端末の使用が子どもにポジティブな影響を与えるかもしれない、としている。スイスの研究者が米国の大学を対象に実施した研究によると、親がスクリーンタイムを厳しく制限する子どもは学校での成績が悪いという。

そして迅速なフィードバックやマルチメディアの特集のおかげで、iPadは素晴らしい読書ツールとなっている。ロンドンのインスティチュート・オブ・エデュケーションの研究者によると、本だけを利用する子どもに比べ、iPadで読書をする子どもはより熱心で協力的、そして積極的に発言する。さらに本、iPadの両方で読書する社会経済的困難を抱える家庭の子どもは、学校での成績がかなり良い傾向にあるという。

スクリーンの使用そのものではなく閲覧する内容が鍵

そうした研究からわかるのは、善悪の鍵となるのはスクリーンそのものにあるのではなく、閲覧する内容にある。Cartoon Networkを2時間観るのと、National Geographicのドキュメンタリーを観るのとはかなり違う。教育的でないコンテンツの閲覧時間を制限したり、ソーシャルメディアを使用禁止にするというのは良い選択肢だ。

学校では生徒をサポートするのに授業を工夫するが、教育者はテックガジェットやアプリを使って学習プロセスをスピードアップすることができる。

初等、中等の生徒がiPadでさまざまな数学ゲームができるプラットフォームDreamBoxを考えてみてほしい。このツールは各ユーザーのためにレッスンをパーソナライズするのに1人の生徒につき1時間あたり4万8000超のデータポイントを集める。似たようなプログラムであるAlgebra Nationは、生徒がどうしたときに壁にぶつかるかを理解するためにクリックパターンを分析し、個人に合ったアドバイスを提供する。

そのような“対応性のある学習”プラットフォームはすでに高等教育においてものすごい結果を出している。コロラド工科大学では、対応性のある学習ツールの活用でコース習得率が27%、最終成績の平均が10%上がった。

教室でのテックの活用で教師はまた、問題を把握して予想する超人的な能力を獲得した。たとえば、ワシントン州スポケーンの学校では、どれくらい集中できているか、社会環境がどれくらい包括的か、どれくらいの頻度であきらめたい気持ちになるかを追跡するために生徒にオンライン調査を行う。そして教育者らは、生徒が教室内外のどういうところでサポートを必要としそうかを理解するためにダッシュボード経由でそのデータを分析する。

10年前は、学校が全ての生徒それぞれの日々の考えや気持ち、取り組んでいることなどを追跡するというのは非現実的だった。教室にテックを取り込むことでそのようなプラクティスがスタンダードになっていて、またそうなるべきだろう。

道理をわきまえていない人は、子どもが常にスクリーンにかじりつくのはいいことだと考え、人とのかかわりをアプリに置き換える。スクリーンの使用は本質的に子どもにとって有害だというのは、馬鹿げている。そろそろ教師や親は、懸念を広めるのをやめ、子どもにワールドクラスの教育を提供するのに最新テクノロジーを活用するときだ。

原文へ 編訳:Mizoguchi)

Googleが通話ログやSMSのメッセージにアクセスする未審査Androidアプリを削除

Googleが今、通話ログやSMSのメッセージにアクセス許可を求めるアプリで、Googleのスタッフが検査していないものを削除している。

Googleによるとこれは、機密性のある通話やテキスティングのデータにアクセスするアプリをGoogle Playからなくす努力の一環だ。

Googleは10月に、デベロッパーには新しくて安全な、プライバシーに配慮したAPIを使ってほしいので、今後Androidアプリがレガシーのパーミッションを使うことを禁止する、と発表した。これまでは多くのアプリが、通話ログやテキスティングのデータへのアクセスをリクエストして、ソーシャルな共有やスマートフォンのダイヤラーをリプレースするために、二要素認証のコードを調べようとしていた。しかしGoogleの認識では、このレベルのアクセスを一部のデベロッパーが悪用し、パーミッションを誤用して機密データを集めたり、単純に間違った扱い方をしたりしている。

GoogleでGoogle Playのプロダクト管理を担当しているPaul Bankheadは次のように語る: “今度の新しいポリシーは、アプリがその主要な用途を実現するために機密データへのアクセスを要し、ユーザーもそのことを理解している場合のみ、これらのパーミッションを許可するようにしていくためだ”。

通話やテキスティングのデータへのパーミッションを求めることを今後も維持したいデベロッパーは、パーミッション宣言に記入しなければならない。

Googleはそのアプリと、アクセス許可を維持したい理由を調べる。なぜこのデベロッパーはアクセスをリクエストするのか、それによるユーザーの利益は何か、逆に、通話やテキスティングのデータにアクセスされることのリスクは何か。

Bankheadによれば、新しいポリシーでデータアクセスが禁じられると、実用性がなくなるアプリもありえる。

Googleによると、すでに数万のデベロッパーがアプリのニューバージョンを提出しており、その中には通話やテキスティングのデータへのアクセスを不要にしたアプリもある。それ以外のアプリは、パーミッション宣言を提出した。

宣言を提出したデベロッパーは3月9日までに、承認またはパーミッションの削除要請を受け取る。どんな用途なら承認される(データアクセスが許される)のかに関してGoogleは、承認される用例のリストを用意している。

これまでの2年間だけでも、Androidアプリやそのほかのサービスによる、通話やテキスティングデータの重大なリーク事件がいくつかあった。2017年の晩くには、人気の高いAndroidのキーボードアプリai.typeが、ユーザー3100万人という大きなデータベースを露出し、3億7400万もの電話番号などが盗まれた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

プライバシー活動家、データアクセスでAmazonやAppleを告訴

欧州のプライバシー活動家Max Schremsは新たにテック大企業を告訴した。ここにはAmazon、Apple、Netflix、Spotify、YouTubeなどが含まれる。

Schremsの非営利のプライバシーとデジタルにかかる権利団体noybを通じて行われた告訴は、そうしたテック企業によるサービスが地域のデータ保護規則に照らしてどのようにデータアクセスリクエストに応えているかについてのものだ。

欧州一般データ保護規則(GDPR)の第15条ではデータ主体によるアクセス権が認められている。

告訴では、テック企業が構造的にこの権利を踏みにじっていると主張している。データアクセスのリクエストに応える自動システムを構築したが、noybが試してみたところ、法的に認められた関連する全ての情報を提供しなかった。

実際、noybは全部で8企業を欧州8カ国で試し、どのサービスの反応も満足するものではなかった、としている。noybは8企業を相手にオーストリアデータ保護当局に告訴した。この8企業には音楽とポッドキャストのプラットフォームSoundCloud、スポーツストリーミングサービスDAZN、ビデオオンデマンドプラットフォームFlimmitも含まれている。

GDPR第80条では、データ主体をnoybのような非営利団体が代表することができるとしていて、告訴はユーザー10人を代表して提出された。

下記に、noybが行なったテストの結果の詳細を示している。ここには各企業が直面するかもしれない罰金の最大額も示されている。

noybによると、8社のうちDAZNとSoundCloudの2社は全く対応せず、残る6社も部分的なデータのみの対応だった。

また、生のデータ取得に加え、ユーザーはソースや受取人、彼らの情報の情報が処理された目的を知る権利を有する、とnoybは指摘する。しかしFlimmitとNetflixだけがテストリクエストに対する反応でバックグラウンド情報(しかしフルデータではない)を提供した。

「多くのサービスがアクセスリクエストに対応する自動システムを設定しているが、ユーザー全員が権利を有するデータをリモートですら提供しなかった」とSchremsは声明文で述べている。「ほとんどのケースでは、ユーザーは生データを得ただけだった。しかしたとえば、そのデータが誰とシェアされたのかについては情報がない。こうしたシステムは関連情報を差し控えるように設計されていて、これは構造的にユーザーの権利の侵害につながる」。

TechCrunchは訴状にある企業にコメントを求めている。アップデートSpotifyは「我が社はデータのプライバシーと、ユーザーに対する義務を極めて真剣にとらえている。国内、そして我々が完全に受け入れていると確信しているGDPRを含む海外の関連する法律に従っている」とコメントした。

昨年5月、欧州の新たなプライバシー法律が施行された直後にnoybは計画していた第一陣の告訴を行なった。この告訴は“強制された同意”と名付けたものをターゲットとしていて、Facebook、Instagram、WhatsApp 、GoogleのAndroid OSではサービス利用にあたっては同意を必須としていて、ユーザーに彼らのデータを広告向けに処理することに対する同意について選択の自由を与えていない、としている。

この告訴については多くのデータ保護当局による調査が今も続いている。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

CoinstarのマシンがスーパーマーケットでBitcoinを売り始める

スーパーマーケットに置かれていて、ペットボトルに溜め込んだ小銭をもっと使いやすいように、紙幣とかに交換してくれる機械のことは、もちろん知っているよね?あの機械が今度はBitcoinを売り始めようとしている。

この衝動買いの夢を叶えるために、小銭交換機械をそこここに設置しているCoinstarが、全国に暗号通貨ATMの小規模なネットワークを展開しているスタートアップのCoinmeと提携した

CoinstarのCEOであるJim Gaherityは、GeekWireで流された第一報の中で次のように述べている。「Coinstarはいつでも、キオスク端末の前にやってくるお客さまに、価値を提供する新しい手段を模索しています。Coinmeの革新的な提供機構とCoinstarの柔軟なプラットフォームによって、お客さまが現金で手軽にBitcoinを買うことが可能になります」。

全世界で2万台の機械を構えるCoinsterは、デジタル通貨の提供も可能にできる、巨大なネットワークを運用している。同社の発表にあるように「米国市場には、Bitcoin取引を引き受けることのできる機械が数千台存在している」が、当面はそこまでの規模で運用されることはないだろう。

一方Coinmeは、テキサス州、ワシントン州、そしてカリフォルニア州などを含む、11の州でデジタル通貨ATMを運用している。当初Bitcoinに対応する機械の台数は明らかにされてはいないが、Coinmeのサイトにはこの提携によって「Bitcoinを購入できる数千の場所」が生まれると書かれている。

私たちが試してみたときには、Coinstar Bitcoin設置場所検索ツールは具体的なキオスクの場所をまだ教えてくれなかったが、もし適切な設置場所を検索できるようになったら、更新された機械からBitcoinを購入することはとても簡単になるようだ。なお、この交換を行うためには現金が必要であることは注意しておく必要がある。他のデジタルマネーやクレジットカードを使って、暗号通貨を購入することはできるようにはならない。

紙幣を機械に挿入すると、新型のキオスク端末は、CoinmeでBitcoinに交換可能なコードが印刷されたクーポンを発行する。上限は2500ドルで、携帯電話番号をその取引にリンクする必要があるが、疑わしい操作を回避するために、登録できる電話が一台に限られるのかどうかははっきりしていない。

昨年の恐ろしい高騰と、痛みを伴う下落を経験した後では、暗号通貨のクールオフ期間はしばらく続くかもしれない。特に株式市場が皆をハッチの下に閉じ込め続けてしまうようなときにはなおさらだ。そうした状況を考えれば、今回のキオスクは、誰もが最初の暗号通貨をを買おうと複雑な手続きに四苦八苦していた2018年前半の最盛期にこそ、より多くの興味を引きつけることができただろう。まあそれでもCoinstarがどこにでもあることを考えれば、このBitcoinキオスク端末は、手元の30ドル分の10セント硬貨をまとめたい一部の買い物客たちの興味は刺激できるかもしれない。

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(翻訳:sako)

CNCFプロジェクトへのトップコントリビューターは変わらずGoogle

ある企業が、オープンソースにどれだけコントリビュートしているかを視覚化するプロジェクトStackalyticsの最新のデータによれば、CNCFオープンソースエコシステムに対して、Googleが変わらぬ大きな影響力を保持していることが明らかになった(Stackalyticsは、Mirantisによって設立され、OpenStack Foundationによってホストされている)。確かに、このデータによれば、GoogleはCNCFプロジェクトへコミットされる全てのコードの、およそ53%を担っている。2番目に大きなコントリビューターであるRed Hatは、7.4%とはるかに引き離されている。

CNCFはKubernetesの総本山だ。KubernetesはGoogleがオープンソース化した非常に人気の高いコンテナオーケストレーションサービスである。このことを考えれば、Googleがトップコントリビューターである事実に大きな驚きはないだろう。しかし、データによれば、Kubernetesを考慮に入れなかったとしても、Googleは依然として、全CNCFプロジェクトに対するトップコードコントリビューターなのだ。その理由の一部は、同社がCNCFに寄付したキューイングプロジェクトであるGRPCと、YouTubeのために開発したデータベースクラスタリングシステムVitessの主要コントリビューターでもあることにも由来している。

それでもGoogleが主なコントリビューターではないプロジェクトも沢山ある。例えばJaegerの64%のコントリビューションはUberから提供されたものであり、LinkerDのコードコミットの84%はBuoyantのエンジニアから出てきたものだ。興味深いのは、レポートによれば、特定の1社が40%以上のコントリビュートを行っていないプロジェクトは1つしかないということだ。それはモニタリングソリューションのPrometheusである。これはSoundCloudによってCNCFに寄付されたものだが、現在その大部分がRedHatの個人開発者たちによって保守されている。

こうした統計情報を読めば、GoogleはCNCFエコシステムの中で少々支配的すぎると言いたくなるかもしれない。だがもちろんGoogleは、そうは考えていない。

「Googleは、オープンソースソフトウェアへのコントリビューションに対して、長い貢献と尊重の歴史を持っています。私たちは還元することが喜びなのです」と語るのは、GKEならびにKubernetes、そしてGoogle CloudのグループプロダクトマネージャーであるAparna Sinhaである。「まず心に浮かぶ例はKubernetesです。オープンソース史上最も速く成長したプロジェクトの1つであり、現在は活発なコミュニティと幅広い業界からの支持を受けています。Googleは、コミュニティとより広範なCNCFの中で変わらぬ推進力を発揮し、中心的な役割を果たして来ました。その勢いの主要な部分は、広範なエンジニアリングの専門知識、コードのコントリビューション、そして計算機リソースの供与、あるいはプロジェクトマネジメントや、テストならびにドキュメンテーションの提供といった、Googleによるプロジェクトの成功への深いコミットメントによるものです。私たちはこれまで同様に、プロジェクトに献身的に取り組んでおり、より広いKubernetesコミュニティがプロジェクトの未来を形作り、その長期的な成功を確実にし始めていることに興奮を抑えることができません」。

CNCFがDevStatsツールを介して自身のデータを公開していることも注目に値する。これは内容的にはStackalyticsと似たような傾向は読み取れるものの、コントリビューターとしてのGoogleの優位性をさほど大きく示してはいない。Mirantisの共同創業者でCMOのBoris Renskiにこれらの不整合について尋ねたところ、Stackalyticsがコミットそのものに焦点を当てているのに対し、CNCF自身のツールはレビュー、コメント、提出されたイシューなどへのコントリビューションに着目していることを指摘した。またStackalyticsは、Red Hatがかなりのコントリビューションを行っている、CNCFのサンドボックスプロジェクトも考慮に入れていない。2つのツールはまた、属性を異なる方法で処理している。DevStatsは、以前CoreOSから提供されていたコントリビューションに関しては、RedHatによる買収後は全てRedHadからのコントリビューションとして取り扱っている。

Twitter上でRenskiは、それぞれの組織はこうした不整合を取り除くために各データソースをマージすべきであると提案した。だが筆者の見るところ、CNCFとOpenStackが、現在どれほどきちんと共同作業を行うことができるのかはわからない。

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バックアップサービスのBackblazeが6.0へアップデート、ストレージも容量アップ

Backblazeは元々、消費者向けのバックアップサービスだったが、最近ではクラウドストレージなど、そのほかのサービスも提供している。しかし今日(米国時間1/17)は元のルーツに戻り、Backblaze Cloud Backup version 6.0をローンチした。その同社のメインのサービスは、無制限のストレージとデータ転送をユーザーに提供している。

今回のアップデートにより、最大50%のスピードアップとオーバヘッドの減少が提供され、そしてまた、モバイルのホットスポットを使っているとき、ISPの帯域不足などにより有料のネットワークを使ってしまうことを防ぐ。このほか、Googleのシングルサインオンがサポートされる。

ユーザーはバックアップされるスナップショットをBackblazeのクラウドストレージサービスB2に保存できる。これによりたとえば、古いコンピューターのデータをすべて保存して、新しいコンピューターへ移行できる。また恒久的なアーカイブとして使ってもよいし、すべてのSteamダウンロードをB2に移して自機のスペースを確保するような使い方でもよい。ユーザーが自分のバックアップからファイルをリストアするときと同じく、直接ダウンロードしてもよいし、あるいはUSBドライブにコピーしたものを送ってもらってもよい。

USBドライブといえば、BackblazeはそのUSBキーの容量を256GBに倍増し、ハードディスクは最大8TBを保存できる。8TBで契約しても、そんなに使わなければ返金してもらえる。

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ドローン画像と機械学習を利用する果樹園精密農業は果樹の個体管理ができる

テルアビブ生まれのSeeTreeは、ドローンと人工知能を使って果樹園に精密農業を持ち込む。同社は今日(米国時間1/17)、Hanaco VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1150万ドルを調達した、と発表した。これまでの投資家Canaan Partners Israel, Uri Levineと彼の投資グループ(iAngelとMindset)らも参加した。これで同社の総資金は、1500万ドルになる。

同社はカリフォルニアとブラジルにもオフィスがあるが、ドローンを使う精密農業はこれまで、果樹のような永年作物には合わなかった。SeeTreeのCEO Israel TalpazTheは次のように語る: “精密農業というコンセプトが生まれてからこれまでの20年間、その技術の適用も結果の計測(定量化)も、大きな成功を得られなかった。とくに、永年作物では、精密農業にある、とされた約束が、実現しなかったんだ”。

彼によると、精密農業の未来は、農園をもっと全体的に見ることから育つ。またこれまでのやり方ではデータの整備が雑だったので、永年作物の果樹園を経営している農家に具体的なアクションのリコメンデーションを提示できなかった。

そこでSeeTreeは、ドローンから得られた画像から果樹個体のデータを拾い上げ、それに機械学習を適用して分析する。それによりたとえば、この個体は元気がないから別の木にリプレースしよう、などの知見が得られる。画像から果実の大きさや、その成長過程などを見て、収穫の正しいタイミングも分かる。またそれらのデータを総合して、灌水や施肥の計画も立てられる。

Talpazは語る: “これまで大規模農家は、肉眼による小規模な試験で、直感的に意思決定をやってきた。だから、間違いも多かった。SeeTreeを使えば、重要な意思決定をデータに基づいて正確に行える。そして、やったこととその結果を、正確に知ることができる”。

ファウンダーのTalpazは、イスラエルの起業家の多くがそうであるように、国の諜報サービスで働いていた。また、以前my6senseを起業したBarak Hachamovと、画像処理と通信システムの企業でR&D担当役員だったGuy Morgensternも、SeeTreeの創業に参加した。

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Facebook、追加でロシア関連の512フェイクアカウントを削除

米国大統領選挙から2年がたったが、Facebookはいまだにロシアのソーシャルツールを使った偽情報拡散に悩まされている。

今日のブログ投稿で、Facebookはロシア絡みの新たなフェイク活動を明らかにした。そして、プーチン政権が地政学的に眈々と興味を示している地域でプロパガンダを広めたとして、計471のFacebookページとアカウント、41のInstagramアカウントを削除した、としている。

“ごまかしを意図する行為”の最新の暴露で、Facebookはロシアを起点とする2つの運用を確認し、明確な直接的つながりはないものの2つとも似たような手法を使っていると明らかにした。“ごまかしを意図する行為”というのは、大量のシェアできる政治的プロパガンダを広めるために、信頼のおけるもっともな装飾を付け加えるツールに頼った誤情報キャンペーンについてFacebookが使った婉曲表現だ。

1つの運用は特にウクライナをターゲットとし、もう1つはバルト海、中央アジア、コーカサス地方、中東欧の多くの国で活動していた。

「我々はこうしたページやアカウントを、投稿したコンテンツではなく、彼ら行いに基づいて削除する」とFacebookのサイバーセキュリティポリシー責任者のNathaniel Gleicherはブログに書いている。「これらのケースでは、裏にいる人たちが互いに連携を取り、素性をごまかすためにフェイクアカウントを使っていた。これが今回の対応のベースにある」。

スプートニクとの関連

複数の国をターゲットとしたロシアの偽情報行為について、Facebookは無害、または普通に見えるページがロシア政権の広報部隊であるスプートニクの従業員とつながっていて、ページのいくつかは抗議活動とプーチンの方針を促進していることを発見した、とGleicherは語る。

「ページ管理者とアカウント保有者は初め、独立したニュースページ、または天気や旅行、スポーツ、経済、それからルーマニア、ラトビア、エストニア、リトアニア、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、ダジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、モルドバ、ロシア、キルギスタンの政治家といったトピックに関する一般的なページと称していた」と書いている。「彼らの身元詐称にもかかわらず、我々はこうしたページやアカウントがモスクワ拠点の通信社スプートニクの社員につながっていて、ページのいくつかは反NATOや抗議行動、反汚職行為のような話題で頻繁に投稿していたことを発見した」。

Facebookは、削除されたアカウントのいくつかのサンプル投稿もブログに示した。ロックコンサート、歴史的建造物、雪景色などの写真から、明らかに軍事的そして政治的な抗議を意図するイメージなどミックスして示している。

全部で、ロシアのネットワークに関連する289ページと75Facebookアカウントを削除した、とFacebookは説明している。こうしたページを少なくとも1つ以上フォローしていたアカウント数は約79万にのぼる。

Facebookはまた、ロシアのオペレーターによる広告で13万5000ドルを受け取っていたことも明らかにした(この代金はユーロ、ルーブル、米ドルで支払われた)。

「最初の広告は2013年10月に掲載され、直近のものは2019年1月だ」とし、さらに「我々はまだこうしたアカウントのコンテンツのレビューを終えていない」と付け加えている。

ロシアの政権につながったページはまた約190のイベント開催を掲示していた。Facebookによると一番最初のものは2015年8月に予定され、直近のものは2019年1月だ。「こうしたイベントの中で直近のものには1200人が興味を示した。これらイベントが実際に開催されたのか、我々は確認することができない」とも記している。

Facebookは、偽情報を調べるパートナーのオープンソースのレポートと作業により、このネットワークを特定した、としている。(オープンソースの調査についてもっとよく知りたい人は、DFRLabのこのブログ投稿を見てほしい)。

Facebookはまた、今回の調査の情報を、米国の司法当局、米国議会、他のテック企業、そして影響を受けた国々の議員と共有したことも明らかにした。

ウクライナ情報

ウクライナをターゲットとしたロシアのネットワークについては、Facebookは計107のFacebookページ、グループ、アカウントと、41のInstagramアカウントを削除したとしている。米国司法当局からの最初の情報により、そうした動きがあることを特定した。

18万のFacebookアカウントが、削除されたページを1つ以上フォローしていた、としている。またフェイクのInstagramアカウントについては、5万5000超のアカウントがフォローしていた。

ここでも再び、Facebookは偽情報供給者から金を受け取っていて、その金はFacebookとInstagramでの広告費として額にして約2万5000ドルだった、としている。これは全てルーブルで支払われ、最初の広告は2018年1月、直近のものは2018年12月だった。(そしてこちらも繰り返しになるが、そうしたアカウントのコンテンツのレビューはまだ終わっていない、としている)。

「こうしたアカウントを操っている個人は当初、ウクライナ人としていた。彼らはさまざまなフェイクアカウントを運用し、天気や抗議、NATO、生徒の健康状態といったさまざまな話題についてのウクライナのローカルニュースを共有していた」とGleicherは書いている。「我々は、米国中間選挙前に見られたロシア起点の活動とのテクニカル的な類似をとらえた。その類似点には、ロシアのInternet Research Agency(IRA)と特徴が似ている行動が含まれる」。

ウクライナのケースでは、ページが主催するイベントは見つからなかった、としている。

「セキュリティにおける我々の努力は、一歩先をいく取り組みになるよう、そしてこうした種の乱用を発見するために続けられていて、特に今年欧州で重要な政局や選挙があることを考慮している」とGleicherは加えた。「我々はさらなる改善を図り、こうした乱用を実際に感知して阻止するため、世界中で強いパートナーシップを構築することを約束する」。

1カ月前、Facebookは別の政治的フェイクアカウントを削除したことを発表した。そのケースでは、ページを管理するネットワークがバングラデシュの総選挙の10日前に同国で偽情報を広めていた。

今週Facebookは、今後大型選挙を控えているより多くの国々に、政治広告主の条件を適用するなどして選挙セキュリティの措置を厳格化することを明らかにした。その手法とは、政治広告主がその国にいるかどうかをチェックする、というものなどだ。

しかし、今年大きな投票が行われる他の国については、Facebookは政治的なフェイクに取り組む方策をまだ発表していない。

イメージクレジット: Max Ryazanov

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

紙の契約書にまるでクラウドのような体験を、法務書類の共有サービス「hubble」に新サービス

最近、TechCrunch Japanでも「リーガルテック」と呼ばれるサービスを紹介することが多くなった。クラウド契約サービスの「Holmes」や、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルにも登場したGVA Techの「AI-CON」シリーズなどがその例だ。

ただその一方で、特に契約書など法務関連の書類はいまだにWord文化が強いとの考えから、Wordとクラウドのあいだの「橋渡し」を担うリーガルテック系サービスを開発するスタートアップがある。Wordドキュメントの共有サービス「hubble」を手がけるRUCだ。

契約関連書類の共有・管理に適したhubbleの特徴は大きく分けて3つある。ローカルのWordファイルを従来よりも簡単に共有・管理できること、ドキュメントの編集履歴やコメント履歴を自動で記録(バージョン管理)できること、そして複数人で同時に並行編集できることだ。保存ボタンひとつで書類を簡単に共有することができ、編集ログも残るので複数人での契約書作成などにも使いやすい。

また、電子契約サービスのクラウドサイン、DocuSign、AgreeとのAPI連携しているため、hubbleで作成した契約書であれば電子契約までシームレスに行うことができる。

hubbleについては2018年7月の先行リリース時にも紹介しているが、その後2018年10月に正式リリース。導入社数などの数字は公表されていないが、サービスへの問い合わせは約300件。上場企業から弁護士事務所まで幅広い法人から引き合いがあり、上場済みのIT企業を中心に導入が進んでいるという。

そのRUCは本日、新サービスの「押印代行サービス」を発表。従来のhubbleはデータ化された契約書を扱うサービスだったが、それに加えて「紙の契約書」の保管・管理業務にも拡大する。

本サービスでは、ユーザーがhubble上のボタンをクリックすると、RUCがhubbleに保存された契約書を印刷し、押印、契約先への郵送および保管までのすべてを一括して代行する。契約先に郵送された書類が押印されて返ってくると、その書類はhubbleにデータとして保存される。そのため、郵送などのアナログな部分はRUCが行うものの、ユーザーは紙の契約書でもクラウドサービスのような体験を得ることができるというわけだ。

RUCはプレスリリース上で、「昨今、日本において電子契約の普及が著しいものの、その普及率は約2割に過ぎない」とサービス開発の背景を説明。紙の契約書でもクラウドのような体験をユーザーに与えることが目標だという。

価格設定などはまだ検討段階だが、月あたり10通を上限として、月額1万円プラス送料などの実費分を課金することを検討している。サービス開始は2019年2月の予定だ。

SpaceXのCrew Dragonカプセル回収の様子はこうなる

宇宙から高速で帰ってくるときは、いくつかの理由により、陸地より水の上に降りる方が安全だ。SpaceXのCrew Dragonカプセルももちろんそうする。そして、地球に帰還して回収船GO Searcherに載せられる様子はこんな感じになる。ただし、実際には英雄たちを歓迎する場面があるはずだ。

GO Searcherを見るのはこれが初めてではない。昨年海上でヘリコプターの着船テストを行ったときにも少しだけ公開された。

ご覧のとおりGO Searcherは、落下した飛行物体を捕獲するためだけの巨大なミットではない。大きくて重いカプセルを海上から回収するだけではなく、乗組員を収容しなくてはならない(医療行為が必要な場合もある)。つまりこれは作業用の船というよりも動く海上基地のようなものだ。

これはフロリダ州ポートカナベラル(もちろんあの有名なケープカナベラルの近く)のドックに船が帰還するところ。おそらく海上で何らかの訓練を行った帰りだろう。

船上にはCrew Dragonカプセル(実際の製品版ではなく実寸大のモックアップかプロトタイプと思われる)が載っているようなので、おそらく海面から拾い上げてソフトに着船させる訓練を行っていたのだろう。

訓練から戻ってくる様子はおそらくこんな感じだろうが、距離やミッションによっては、宇宙飛行士や宇宙旅行者たちをヘリコプターに乗せて急いで帰す可能性もある。けが人がいる場合はもちろん、場所や天候によっては遅い船ではなく空路を使う方が望ましい場合もあるだろう。

いずれにせよ、これからはこの種の船を頻繁に見かけるようになるだろう。SpaceXには、今回の作業の詳細、および同社が予定しているCrew Dragonのテスト飛行との関連について質問している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleがAndroidウェアラブルの希少定数Fossilのスマートウォッチ技術を$40Mで入手

Google Pixelシリーズのウォッチ製品Pixel Watchの噂はかなり前からあった。GoogleにはAndroid OSのウェアラブル版Wear OSがあるぐらいだから、Googleがウェアラブル製品を出してもおかしくない。というわけで同社はやっと、その気になったようだ。今日(米国時間1/17)、Fossilは、同社のスマートウォッチ関連の知財をGoogleに4000万ドルで売る、と発表した。

これは、Googleにとっても良いスタートではないだろうか。この商談は“現在開発中のスマートウォッチ技術”が対象であり、Fossilの社員数名がGoogleに移籍することも含まれている。

GoogleでWear OSを担当しているVP Stacey Burrが、声明文の中でこう言っている: “健康とシンプルであることと個人化と利便性に配慮したウェアラブルには、ユーザーが求める情報と知見を素早く一目で提供することにより、その人生を良い方向に変える機会がある。Fossil Groupの技術とチームを得たことは、Googleがウェアラブルに本気であることを示すものであり、スマートウォッチのポートフォリオを豊富にすることによって、活動的で楽しいことを求める消費者たちの、絶えず進化しているニーズをサポートする意思を表すものである”。

Pixelスマートフォンに加えGoogleがスマートウォッチも作ることは、究極的に、同社のオープンなオペレーティングシステムの実証基盤をGoogleが持つことになる。ウェアラブルは一般的にこのところ市場で苦戦しており、Wear OSもその例外ではない。ブランド名とデザインを変えても、低迷の蜘蛛の巣は消えなかった。むしろ、Fossilだけは希少定数として市場に生き残り、ソフトウェアに注力しながら、リーズナブルな価格のフィットネス向けスマートウォッチを一貫して開発してきた。

スマートウォッチというカテゴリーは依然としてAppleが支配し、最上位コンペティターのFitbitとSamsungはそれぞれ、Pebble由来のFitbit OSとTizenに向かった。それにより、Androidウェアラブルのブランド差別化の重荷がGoogle一人の肩にかかることになったが、しかし今回縁を得たFossilのチームには、堅実なウォッチハードウェアを作るノウハウがある。良縁、と言えるのではないだろうか。

Fossilが発表声明の中で言うことを忘れなかったのは、同社には200名のR&Dチームが残ることだ。優秀な技術者の一部を失うものの、ウェアラブル技術の追究は今後も十分に続けられる。

FossilのEVP Greg McKelveyが声明で言っている: “Fossil Groupはこれまで、ウェアラブルのビジネスで大きな成功を経験してきた。それは製品のデザインと開発に集中し、また消費者のニーズとスタイルの好みをしっかり理解してきたことの成果である。われわれは先進的な技術を開発してきたため、弊社の既存のスマートウォッチプラットホームは他のプラットホーム〔Google〕の改良にも資するものである。Googleをわれわれのイノベーションパートナーにすることによって、ウェアラブルにおける成長の開錠を今後も無限に繰り返していきたい”。

何か既視感があるな、と思ったらこれは、GoogleとHTCの契約に似ている。あのときGoogleが得たのはスマートフォンの開発製造技術だが、今回はそれよりもやや小規模に、スマートウォッチの優秀なチームを獲得したのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleがPixel 3 Liteでヘッドホンジャックを復活か

Pixelファミリーの次期メンバーの噂はクリスマス直後から漏れ始めていた。そして今、噂のPixel 3 Liteが、3分間のYouTubeビデオのおかげで見えてきた。ビデオではGoogleのフラグシップ製品ラインに追加される格安機種と思われるものが紹介されている。

おそらく一番興味深いのは(第3のPixel 3モデルの存在そのものを別にして)ヘッドホンジャックの復活だ。初代Pixelでヘッドホンジャックに関して騒ぎを起こしたあと、Googleは次機種ですばやく方針転換した。

製品ラインへの中級機種の追加は、ヘッドホンジャックを復活させる理想的理由だったのだろう。最近はBluetoothヘッドセットがずいぶん身近になってはきたものの、専用ヘッドホンは、端末代を節約したい人々にとってはいまだに高いハードルだ。

コスト削減の要因は、Snapdragon 670とプラスチックボディーの採用や第二セルフィーカメラの省略などだ。全体的に見て同端末はGoogleのiPhone XR対抗のように感じるが、背面カメラの構成は高価な兄弟機種とほぼ同じように見える。これは、最近の端末では重い画像処理を(ハードウェアではなく)AIが受け持っているからだろう。

元々Pixelの各機種はAppleやSamsungのフラグシップ機よりも低価格だが、Googleにとって新機種の追加は、Androidがローコスト機種でも輝けることを示すよい機会になるかもしれない。

アップデート:ビデオは(驚きではないが)元の投稿者によって削除されたようだが、その後 別の投稿者が再浮上させた

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SBI損保、LINEで写真と位置情報を送るだけで事故報告が完了する新サービス

SBI損害保険(以下、SBI損保)はメッセージアプリ「LINE」のトーク上で事故受付を完了できる新サービスを1月17日より開始した。トーク画面上に表示される「自動車事故LINE受付」というボタンをタップし、損害状況を移した写真とスマホから取得した位置情報を送るだけで事故報告が完了する。

事故を起こした直後の電話では、気が動転して事故状況や現在位置を的確に伝えることができないこともある。一方、今回の新サービスでは、ユーザーが普段から見慣れたUI上で写真と位置情報を送るだけでいいので、より正確な情報をスピーディーに伝達することが可能だ。それを考えると、このサービスはユーザーにとってはもちろん、SBI損保にとってもメリットが大きいサービスと言えるだろう。

SBI損保は2017年12月にLINE公式アカウントを開設。同社はこれまでにも、LINEで自動車保険証券や車検証などをアップロードするだけで保険料の見積もりがとれる「カンタン見積もり」を提供してきた。

Amazonの株主たちが顔認識技術を法執行機関に売らないことを要請

Amazonの株主たちが、同社の顔認識ソフトウェアRekognitionを法執行機関(警察など)に売らないことを求めている。その技術が“人権侵害と市民的自由の侵犯を惹起する可能性はない”、と取締役会が判断しないかぎり、Amazonがそのソフトウェアを政府機関に売らないことを、株主たちは要求している。

Amazon Web Services(AWS)の一部であるRekognitionには、顔の画像やビデオを分析する能力がある。その技術は人を認識し追尾できるだけでなく、人の感情も認識する。Amazonはこれまで少なくとも二つの州の法執行機関にRekognitionを売った、と過去に報道されている。合衆国移民税関執行局(U.S. Immigration and Customs Enforcement, ICE)に売り込んだ、という報道もある

昨年5月にアメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union, ACLU)の北部カリフォルニア支部がRekognitionを調べて、同支部が得た関連文書は人権と市民的自由に関する深刻な懸念を喚起する、と述べた。そのときACLUが得た試験報告は、Rekognitionが28名の国会議員を誤判定したとし、とりわけ黒人の議員を犯罪者と認識した、と言っている。

今回の決議文は非営利団体Open MICがまとめたもので、決議に参加した株主たちの総株数は資産額13億2000万ドルに相当する。

Open MICの事務局長Michael Connorが、同団体のブログにこう書いている: “これはよくあるパターンで、先進的なテクノロジー企業が画期的な技術としてマーケティングしているものが、人間や社会に及ぼす影響をまったく認識配慮していない、という例だ。Rekognitionを政府に売ることは、会社と投資家の双方にとって大きなリスクだ。だからその販売を即刻やめることは、喫緊の要請なのだ”。

この決議は、Amazonの今春の株主総会で票決される予定だ。

Amazonはこの記事へのコメントを拒否した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ANYmalはシミュレーションで起き上がり方を学んだ――チューリヒ工科大学、ロボット訓練システムを開発

高機能なロボットの開発はコストのかかる作業だ。新たに複雑な動作を教え込もうとすればおそろしく時間がかかる。しかし適切なシミュレーション・システムがあれば、マシンを訓練する費用も時間も大きく節約できる。スイスのチューリヒ工科大学のRobotic Systemsラボはこれが可能であることを実証する論文を発表した。

Robotic Systemsのサイトによれば、犬型4脚ロボット、ANYmalを訓練できるニューラルネットワークを利用したシミュレーション・システムを開発したという。TechCrunchではANYmalが倒れても起き上がれることを紹介したが、このアルゴリズムもシミュレーションによって実現した。

このシステムでは同時に2000台のANYmalの作動をリアルタイムでシミュレーションすることができるという。つまりどんなアルゴリズムがどんな結果をもたらすか、短時間に極めて多数の可能性を調べることができるわけだ。

収集されたデータは現実のロボットのソフトウェアにフィードバックされる。Popular Scienceによれば、多くのメーカーが自動運転車を開発する際にもこうした方法を用いているといいう。

チューリヒ工科大学の研究チームは、「シミュレーションによって得られた戦略を用いることにより、われわれの4脚ロボットは転倒してどんな姿勢になっても起き上がることができる能力を獲得した。これは従来の方法では不可能だった。ANYmalシステムでは無駄なエネルギーを使わず各パーツを正確にコントロールする高度な作動コマンドが発行される。これによって走る速度もアップし、困難な姿勢に転倒しても立ち上がることができるようになった」と述べている。

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滑川海彦@Facebook Google+

【以上】

引越しシェアの「Hi!MOVE」はトラックの共有で低価格実現、荷物写真を使った即時見積もりも

時間が経つのは本当にあっという間だ。つい先日2019年がスタートしたと思いきや、気づけば1月もすでに半分以上が経過した。今の時期と言えば、4月から新たな環境でチャレンジを始めるにあたって、そろそろ引越しの準備を本格的に始めようという人もいるのではないだろうか。

本日1月18日にリリースされた「Hi!MOVE」は、シェアリングエコノミーの概念を取り入れた“新しい引越し体験”を提案するサービスだ。トラックをシェアすることで「少しでも引越し料金を抑えたい」というユーザーに新たな選択肢を提供するとともに、荷物の写真を撮ることで手軽に見積もりを算出できる仕組みを構築した。

荷物写真を用いて即時見積もり、トラックのシェアで低価格実現も

同サービスでは引越し予定日や現在および新居の住所・間取りといった最低限の住所を入力し、荷物の写真を撮るだけで即座に見積もりを確認することができる。

一般的な引越し会社のサイトや一括見積もりサービスの場合、最初の段階で名前や電話番号といった個人情報を求められたり、家財情報など多くの項目を入力しなければ次のステップへ進めないケースも多かった。一方でHi!MOVEは基本情報と荷物写真から算出された金額にユーザーが納得した場合のみ、詳しい情報を入力して手続きを進めるフローを採用している。

手元のスマホを使って対象となるモノの写真を取ればその場ですぐに料金が表示され、その情報を基に申し込みの意思決定ができるという点は「CASH」を始めとする即時買取サービスの体験にも似ているかもしれない。

またHi!MOVEは単に見積もりをすぐに確認できるだけでなく、一般的な相場よりも料金を安くできるのも特徴だ。

上述した通り同サービスでは1台のトラックを複数の引越しでシェアするほか、作業時間フリーを前提とすることでトラックの空き時間や空きスペースを有効活用。運営元のGLIDEで代表取締役を務める荒木孝博氏によると「(一般的な貸切型の引越しと比べて)だいたい3〜4割は安い価格を提示できる想定」だという。

もちろん多少高くても時間をピンポイントで指定したいユーザーにとっては従来の仕組みの方が使いやすいかもしれない。ただ近年話題になっている「引越し難民」のように、料金がネックになって引越しができずに困っている人には新しい選択肢になりうるだろう。

Hi!MOVEではまず1名の引越しを対象に、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県からスタートする計画。サービスの利用状況などを踏まえながら対象ユーザーやエリアの拡大を進めるほか、相場確認から支払いまでをスマホで完結できるクレカ決済やQRコード決済機能(現時点の決済方法は指定口座への振込み)、トラックの空満状況を表示する機能、不用品の買取オークションサービスなども検討していくという。

「引越し一括見積もりサイト」を5年続ける中で見つけた課題

2014年1月創業のGLIDEは、これまで5年間に渡って「引越し達人セレクト」という引越し一括見積サイトを運営してきた。

約20年ほどの歴史があるというこの業界においては後発ながら、ここ2〜3年で着実に実績を積み上げてきた同社。その反面いくつかの課題にも直面し「件数が伸びてきた中で今後もこのモデルだけで続けるのはどうなのだろうということもあり、何かしら新しいサービスにも取り組みたいと考えていた」(荒木氏)という。

実際に引越しを検討するユーザー側にとって、一括見積サイトは一度情報を入力すれば複数社の見積もりが確認できるという点では効率が良い仕組みだ。ただ僕自身も経験があるのだけど、各社からひっきりなしに電話がかかってきて、毎回似たようなやりとりを繰り返すのはなかなか大変。人によっては相当ストレスに感じるかもしれない。

荒木氏の話でも、やはり引越し会社とのやりとりで不便を感じているユーザーが一定数いたほか、見積もりをすぐに調べたいというニーズや、(最初の段階で)個人情報を提供するのに抵抗があるという声も多かったという。

引越し業者としても一括見積サイトは重要な集客チャネルとなっている反面、相見積もりが前提となるため成約率が低いことや、特に中小の業者ではスタッフの人数が限られていて十分な対応ができないことが課題だ。

これらに加えて、近年は引越し業者の人手不足などが原因となり引越し難民のような新たな社会問題も生まれている。

「昔は繁忙期で需要があれば何が何でも対応するという企業もあったが、今は労基問題や人手不足などもあり1日あたりに対応できる件数が限られてきている。取扱件数が減少すれば引越し料金の高騰も続くので、引越し難民問題を解決するには引越し業者の生産性向上をサポートし、人手不足を解決する仕組みが不可欠だ」(荒木氏)

Hi!MOVEの場合は同サービスが引越し案件を集客し、引越しが確定したユーザーのみをプラットフォーム上で業者にマッチングする。具体的にはユーザーからどのような依頼が来ているのかを示す「発注依頼表」のようなものを共通のデータベースで共有し、それを各業者が取りにくるような構造だ。

業者の視点では確定した案件だけが紹介されるので営業人件費などのコストを削減できるほか、空いている時間やスペースといったリソースを有効活用できればトラック1台当たりの受注を増やすことにも繋がる。これまで十分な対応ができず、取りこぼしてしまっていたような案件をカバーできる可能性もあるだろう。

イメージとしては「ラクスル」に近いという旨の話もあったが、確かにシェアリングを軸に業界の仕組みをアップデートするという意味では共通する部分がありそうだ。

「(双方にこの仕組みがどれほど受け入れるかなど含めて)ハードルとしては結構高く、自分たちにとっても大きなチャレンジ。引越し会社の賛同がないと難しく、そこも含めて構想からここまで時間をかけて取り組んできた。引越しで不便や課題を感じている人たちをサポートするとともに、良いサービスを提供している引越し会社を少しでも応援できる仕組みを目指していきたい」(荒木氏)

Facebook、Amazonに書いたPortalの好意的レビューを削除するよう社員に依頼

Facebook Portalの評判は、よく言って、賛否様々だ。進行中のプライバシー問題とパッとしない反響は、Facebookが初の自社開発ハードウェアに期待した結果ではなかったに違いない。それにも関わらず、PortalPortal PlusはAmazonで4つ星前後の評価を得ている。悪くない。

New York TimesのコラムニストKevin Rooseはこの状況にうさん臭さを感じ取り、「購入済みラベル」付きレビューの多くが、Facebook社員と同じ名前の投稿者によるものであることをTwitterで指摘した。「自社製品をレビューすることはAmazonのルールに間違いなく違反している」と彼は書いた。「そしてこれは、商品の売れ行きを正確に表す指標ではない!」

FacebookのAR/VR担当VP、Andrew Bosworthはすかさずこれに反応して次のようにツイートした。「会社が仕組んだり指示したりしたものではない。発売時に社内投稿で「Facebook社員にはAmazonで販売する当社製品のレビューを〈書いてほしくない〉」旨を伝えてある。投稿者には削除するよう依頼する」

これは発売から間もない同製品にまつわる多くの問題のひとつにすぎない。発売当初Bosworthは、Facebookがこの製品を使って通話を聞いたりデータを集めたりするのではないかという懸念を払拭する必要があると感じていた。そしてこれはFacebookが計算したことではなかっただろうが、同製品への否定的反響にまつわる社内分裂を予感させる結果となった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook