レシピ動画サービス「クラシル」のdelyがライフスタイル事業に参入

レシピ動画サービス「kurashiru」(クラシル)を運営するdelyは1月21日、ライフスタイル事業に新規参入することを発表した。ライフスタイルの情報を扱うメディア「my kurashiru」(マイクラシル)を立ち上げ、今後は料理にとどまらず「くらし」に寄り添い提案できるコンテンツやサービス、ブランドの展開を目指すという。

具体的には、「いつもより、ちょっといい週末の食卓」をコンセプトにリリースしたInstagramメディア「1_weekends」をリブランディング。ファッションやメイク、ヘアケア、外出などのジャンルでストーリー性のあるコンテンツ配信する。今後はInstagramのほかにもウェブでの記事や動画配信、ライフスタイルメディアという枠組みを超えた多角的な事業展開につなげていく予定とのこと。

同社は2018年7月にYahoo!グループ入り。主軸事業であるクラシルは、2018年12月にiOS/Andorid用アプリの総ダウンロード数が1500万を突破したほか、レシピページ内にバナー広告を配信できる「クラシル レシピターゲティング広告」の提供を開始。そのほか食品メーカーとのコラボ商品の開発なども手がけている。新たにライフスタイル事業に参入することで、生活に欠かせない衣食住のすべてを取り扱うメディアになる。

スマートウォッチ開発のヴェルトがシチズンと資本業務提携、プラットフォームを共同開発

アナログ型スマートウォッチなどのウェアラブル製品・サービスを開発するスタートアップ、ヴェルトは1月21日、シチズン時計との資本業務提携を発表した。シチズンからの出資金額は約3億円で、ヴェルトが第三者割当増資により株式を発行する。

両社は提携により、スマートウォッチをはじめとしたIoT端末のためのプラットフォーム「Riiiver(リバー)」を共同開発する。Riiiverは、専用腕時計のほか、スマートフォン、タブレットなどとのデバイスにも対応。IoTデバイスを起点に「ヒト、モノ、コトを有機的に結び付けるマイクロコミュニティ」として、シチズンが2019年夏にサービス提供開始を予定している。

また、ヴェルトが2019年度中に発売予定のスマートウォッチ「VELDT LUXTURE(ヴェルト ラクスチュア)」の製造・販売の一部をシチズンが担当する。ディスプレイに画像で針を表示するタイプのスマートウォッチとは違い、VELDT LUXTUREは三針モデルのアナログ時計をベースに、文字盤上に間接照明型の光で情報を表示する、というデザイン性の高いモデルだ。VELDT LUXTUREはRiiiverに完全対応する予定だという。

ヴェルトは2012年8月の設立。針を持つアナログ型をベースにしながら、ネットと連動して情報を表示したりモバイル決済に対応したりする、スマートウォッチとしての機能を持つ「コネクテッドウォッチ」を開発・提供している。

ヴェルトではこれまで、2016年にアコード・ベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施。2017年にはファストトラックイニシアティブ、Darma Tech Labsほか投資家から約1.6億円を調達している。

Facebook、請願機能を米国で展開へ

Facebookは今度は、政治的な要求ができる機能を展開する。ニュースフィード上で請願が行えるコミュニティ・アクションと呼ばれる機能を明日開始するにあたって、Facebookは多くの新たな難題に直面するだろう。コミュニティ・アクションは、地元あるいは国レベルの役人や政府機関にリクエストするために近所の人たちを結束させることができるかもしれない。しかしまた、主張をしたいグループの威張った説教者が極端論で政治家や官僚に圧力をかけることになるかもしれない。

コミュニティ・アクションはFacebookが直面している主要な課題を体現している。ポジティブな表現や結びつきのためにデザインされた全てのツールは、対立や誤情報で次第にその力を失うことになるかもしれない。Facebookの会員は、最悪の人間性を伴う利己的な利用の格好のターゲットになってきた。攻撃的で危険ですらあるが、一部の人は合理的と考えている“(マイノリティグループの)弾圧”のような誤使用を思い浮かべることがきるだろう。問題は、Facebookがこの新ツールに適切なポリシーと節度でもってその前後にセーフガードを敷けるかだ。

コミュニティ・アクションは明日、米国で提供が始まり、数週間のテストののち、さらにいくつかのマーケットでも展開される。ユーザーはタイトル、目的、そして画像をコミュニティ・アクションに加え、関連する政府機関や政治家をタグ付けできる。最終目標は、コミュニティ・アクションが口コミで広まり、人々に“サポート”ボタンをクリックさせることにある。コミュニティ・アクションには議論のフィードがあり、そこで人々はコメントしたり、資金を募ったり、FacebookイベントやCall Your Rep(代議士に電話しよう)キャンペーンを組織したりできる。Facebookはコミュニティ・アクションのサポーター数も表示するが、ユーザーは自分と友達の人の名前、ページ、有名人だけを目にすることになる。

Facebookは、無作為要因で暴走している政府の動きにこれまで以上に集中できるよう、意図的にコミュニティ・アクションにフォーカスしようとしている。これは、Facebookが一般的なものから不条理なものまで扱うChange.org請願をすぐには置き換えないことを意味している。しかしニュースフィードから直にできるサポートのクリックは、サインアップという壁を劇的に減らすかもしれず、それゆえに動員する人の数を最大限にしたい団体や個人をひきつける。

コミュニティ・アクションのサンプルをチェックしてほしい。ここでのサンプルは、コロラドの非営利団体Colorado Risingが石油・ガスの採掘停止を政府に要求するものや、市民がフロリダの市長や州の役人に舞台芸術センター建設を求めるもの、フィラデルフィアの町内会が図書館横に横断歩道設置をリクエストするものなどだ。私はコミュニティ・アクションの最初の大きなものの一つは、ソーシャルネットワークユーザーが上院議員にFacebookの閉鎖またはMark Zuckerbergの退陣を求めるものになる、ということを期待している。

今回の機能の導入は、Town Hallや、政治家の資質を扱うCandidate Info、災害後に援助を探すためのCommunity Help、ローカルニュースダイジェストのToday Inに続くものだ。コミュニティ・アクションの初見の画像を我々に提供したFacebookの広報は以下のような声明文を出した。

「見聞の広い、市民参加型のコミュニティの構築はFacebookのミッションの基幹だ。政治家に接触を図ったり、募金を募ったり、グループを形成したりと、人々は懸念を主張するためにFacebookに毎日集う。これらおよび他のツールを使って人々はサポートを獲得し、自身にかかわる問題についての結論を得ている。コミュニティ・アクションはコミュニティの改善を主張したり、政治家や行政当局と共に解決を探ったりするための別の手段となる」。

疑問なのは、Facebookのモデレーターたちがコミュニティ・アクションとして何が適当なのか、どこで線引きをするのかということだ。線引きが引き起こすバイアスがその後に続く。Facebookはこの機能の管理に、要注意ユーザーの監視やプロアクティブなアルゴリズム感知、監視人の配置などの組み合わせで対応する。しかしそれでもハラスメントがあったり、表現の自由を求める声も出てくるかもしれない。もしFacebookが物議をかもすような主張のコミュニティ・アクションを許せば、キャンペーン展開者と共謀したとみなされるかもしれない。しかし、そうした主張を除外したら、検閲だとして批判されるかもしれない。フェイクニュースや人気の話題のように、この新機能はFacebookの「まったく価値のないもの最新版」となる可能性がある。

Facebookは、地域のメンバーが真剣に取り組むローカルのアクションを優先させるつもりだ。ユーザーに“選挙権を有する”というバッジをつけさせ、これによりユーザーの地元選出の代議士は自らが民衆扇動家に近い存在であることを知ることになる。ゆえに、Facebookはコミュニティ・アクションでは大統領ドナルド・トランプや副大統領マイク・ペンスがタグ付けされることがないようにする。しかし、見てお分かりの通り、ヌード・パークの要求に全ての州議会議員をタグ付けするのは自由だ。

別の問題は、人々がいかにコミュニティ・アクションに対して立ち上がれるかということだ。サポートを表明した人だけが議論のフィードに参加できるが、これはコメントでトラブルを煽動するためだけに偽ってサポートを表明することにもつながりかねない。さもなければ、ユーザーはコミュニティ・アクションを自分のフィードで不賛成のメッセージ付きで扱ったり、抗議のアクションを立ち上げたりしなければならなくなる、とFacebookは説明する。私の懸念は、煽動されたニッチなグループがFacebookグループやメッセージスレッドを使って、多くのサポートが集まっているように見せかけるために嘘に近いあいまいな表現を展開することだ。政治家は隅に追いやられ、怠慢だと見られないよう過激論者または不誠実な人物だと認めさせられるかもしれない。

最初のテストではさほどトラブルはなかった、とFacebookの広報は言うが、同社は安全性と効率のバランスを取ろうとしている。そして新たに起こる動きへの対応として、いかに新機能を展開するかを検討する。問題なのは、オープンアクセスには社会を崩壊させる方策を探している輩やペテン師を伴うことだ。Facebookはこのプロダクトの見張りという困難の多い責任を引き受けなければならないだろう。もしこれが成功すれば、市民が政府に民意を示すために結束する素晴らしい機会となる。一人で声高に言うより共に訴える方が状況を打開できる。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

民泊向けIoT鍵受け渡しサービス運営Keycafeが資金調達

Keycafe Smartbox 端末

本社をカナダのバンクーバーに構え、民泊やシェアリングエコノミー向けの鍵受け渡しサービス「Keycafe Smartbox」を運営・販売するKeycafeは1月21日、トヨタ自動車などが出資する未来創生2号ファンドを含む複数の投資家から資金を調達したと発表。出資金額は非公開とされている。

IoT鍵受け渡し端末のKeycafe Smartboxは主に民泊やカーシェアリングなどのシェアエコ関連サービスのユーザーに使われており、遠隔かつ無人での鍵の受け渡しを可能にしている。

利用方法はとても簡単だ。まず鍵のオーナーはアカウント登録し、アカウントに管理する鍵を追加。その上で近くのKeycafe設置場所へ行き、鍵に専用のキーホルダーを付けてSmartBoxに預ける。

ユーザーはアクセス権を付与された後、メールもしくはショートメッセージにてSmartboxの設置場所とアクセスコード、店舗の営業時間を受信。鍵を受け取りに行く。ユーザーはアクセス権を付与された後、メールもしくはショートメッセージにてSmartboxの設置場所とアクセスコード、店舗の営業時間を受信。鍵を受け取りに行く。

なお鍵の受領・返却時には自動的にオーナーにメールが送信される。

同サービスは北米・欧州・アジアを含む世界800ヵ所以上で展開。日本国内では現在、コンビニのやカフェなどの店舗を中心に東京・大阪・福岡・那覇など45ヵ所に展開されているが、今後も更に設置店舗を増やす予定だ。

同社は1つのアカウントで複数の鍵を管理できる、宿泊施設や不動産管理向けのサービス、また、日本の住宅宿泊事業法で必要とされる本人確認・宿泊台帳に対応しており、 鍵の受け渡しを行う前に本人確認やパスポート情報をゲストから入手して宿泊施設のチェックイン無人化・省力化を実現するサービスも開発・運営している。

Keycafeアジア太平洋地域代表・日本法人社長の小河内亮氏いわく、同社には不動産事業者やビル管理業者からの問い合わせも多いのだという。そのため、Keycafe Smartboxを「多様な事業者により使いやすい」サービスに進化させるべく、同社は調達した資金をもとにサービスおよび端末の開発、 そして世界展開を加速させていく予定だ。

野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

「顔の見える電力プラットフォーム」を提供するみんな電力は1月21日、シリーズBラウンドにおいてTBSイノベーション・パートナーズ、SBIインベストメント、TOKAIホールディングス、セガサミーホールディングス、丸井グループ、電通から11億8000万円を調達したと発表した。

みんな電力は電力小売業を営むスタートアップ。でも、普通の電力小売とはちょっと違う方法で電気を販売している。最近、道の駅や一部のスーパーなどでは野菜を作った人の顔が見えるように、農家の人々のプロフィールが入ったポップアップが売り場に用意されていることがある。みんな電力は、それと同じように、電気を発電した人の顔が見ることができ、その発電所を「応援」することが可能なプラットフォームだ。

みんな電力のWebページにいくと、電気の生産者の一覧ページがある。そこに掲載された発電所のプロフィールページでは、どんなひとが、どこで、どれくらいの電気を発電しているのかが分かる。みんな電力と契約して電気を買うユーザーがその中から応援したい発電所を選ぶと、電気料金の一部がその発電所に寄付される仕組みだ。みんな電力に供給される電気の約75%以上は、太陽光発電などの再生可能エネルギー電源で発電され、固定価格買取制度(FIT)を通して事業者に販売された「FIT電気」だ。だから、ユーザーはみんな電力を通して再生可能エネルギーの普及にも協力することにもなるというわけだ。

みんな電力は今回調達した資金を利用して、ブロックチェーン技術を用いたP2P電力流通プラットフォーム「ENECTION2.0」の商用化を進める。

固定価格買取制度は、個人などが再生可能エネルギー電源で発電した電気を一定期間のあいだは電力会社が固定価格で買い取ることを国が保証するという制度だ。しかし、みんな電力によれば、しかし前身となる「余剰電力買取制度」ができてから10年が経過した今年、2019年11月にはその買い取り期間が終了する電源が50万件以上発生する見通しだ。そうなれば、個人が電気の生産者にもなり、自由契約で電気を売ることが可能な時代になる。みんな電力はその時代に併せてENECTION2.0を拡大することで「誰でも再生可能エネルギーを作り、シェアできる社会」を目指すという。

世界を手中に収めたオープンソースソフトウェア

わずか5年前には、ビジネスモデルとしてのオープンソースの実現可能性について、投資家たちには懐疑的な考えが少なくなかった。よく言われていたのは、Red Hatは奇跡的な例外であり、他にはソフトウェア業界で重要な存在となるオープンソース企業は存在しないということだった。

話を現在にまで早送りしてみると、私たちはこの分野で高まり続ける興奮を目の当たりにしてきた。Red HatはIBMに320億ドルで買収された。これは同社の2014年の時価総額の3倍に相当する。 MuleSoftは株式公開した後に65億ドルで買収された。 MongoDBの価値は、現在40億ドルを上回っている。 ElasticはIPOによって、現在60億ドルの価値を持つとされている。そして、ClouderaとHortonworksの合併によって、時価総額が40億ドルを超える新しい会社が出現することになる。そして、進化の過程の成長段階を経て、さらに成長を続けるOSS企業の一団もある。たとえば、ConfluenceHashiCorpDataBricksKongCockroach Labsなどだ。ウォールストリートや個人投資家が、これらのオープンソース企業について見積もっている相対的な株の価値を考えると、何か特別なことが起こっていることはかなり明らかのように思える。

この、かつてソフトウェアの最先端の動きとされていたものが、なぜビジネスとしても注目を集めるようになったのか? それには、オープンソースのビジネスを推し進め、市場での展望を増大させる、いくつかの根本的な変化があったのだ。

M写真はDavid Paul Morris/Getty ImagesのBloombergから

オープンソースからオープンコアへ、さらにSaaSへ

当初のオープンソースプロジェクトは、実際にはビジネスというわけではなく、クローズドソースのソフトウェア会社が享受していた不当な利益に対する革命だった。Microsoft、Oracle、SAPといった企業は、ソフトウェアに対して「モノポリーのレンタル料」のようなものを徴収していた。当時のトップクラスのデベロッパーは、これを普遍的なものとは考えていなかった。そこで、進歩的なデベロッパーが集り、通常は非同期的に協力して、最も広く利用されているソフトウェアのコンポーネントであるOSとデータベースを皮切りに、素晴らしいソフトウェアの一群を作成した。そうしたソフトウェアは、単にオープンというだけではなく、彼らが付け加えたゆるい管理モデルによって改善され、強化されたことは誰の目にも明らかだ。

そうしたソフトウェアは、もともとデベロッパーによって、デベロッパーのために作成されたものだったので、最初はあまりユーザーフレンドリーとは言えないものだった。しかし、それらは高性能かつ堅牢で、柔軟性も兼ね備えていた。こうしたメリットは、ソフトウェアの世界にだんだん浸透し、10年ほどの間に、Linuxはサーバー用として、Windowsに次いで2番目にポピュラーなOSとなった。 MySQLも、Oracleの支配を切り崩すことで、同様の成功を収めた。

初期のベンチャー企業は、これらのソフトウェアのディストリビューションに「エンタープライズ」グレードのサポート契約を提供することによって、こうした流れをフルに活用しようとした。その結果、Red HatはLinuxの競争で、MySQLは、会社としてデータベースでの勝者となった。ただし、そうしたビジネスには明らかな制約もある。サポートサービスだけでソフトウェアを収益化することが難しいのだ。しかし、OSとデータベースの市場規模が非常に大きかったため、少なからぬ困難を背負ったビジネスモデルにもかかわらず、かなり大きな会社を築き上げることができた。

LinuxとMySQLの手法が成功したことによって、第2世代のオープンソース企業のための基盤が整備された。その世代のシンボルが、ClouderaとHortonworksだ。これらのオープンソースプロジェクト、そして同時にビジネスは、2つの観点で第1世代とは根本的に異なっている。まず最初に、これらのソフトウェアは主に既存の企業の中で内で開発されたもので、広い、関連の薄いコミュニティによって開発されたものではない。現にHadoopは、Yahoo!の中で生まれたソフトウェアだ。2番めに、これらのビシネスは、プロジェクト内の一部のソフトウェアのみが無料でライセンスされるというモデルに基づいたもので、別の部分のソフトウェアについては、商用ライセンスとして、顧客に使用料を請求することができる。そしてこの商業利用は、エンタープライズの製品レベルを意識したものなので、収益化が容易なのだ。したがって、これらの企業は、彼らの製品がOSやデータベースほど訴求力がないものであっても、多くの収益を上げる力量を備えていたことになる。

しかしながら、こうしたオープンソースビジネスの第2世代のモデルには欠点もあった。1つには、こうしたソフトウェアに対する「道徳的権威」を単独で保持する企業が存在しないため、競合する各社がソフトウェアのより多くの部分を無料で提供することで、利益を求めて競い合うことになった。もう1つは、これらの企業は、ソフトウェアのバージョンの進化を細分化することによって、自らを差別化しようとするのが常態化したこと。さらに悪いことに、これらのビジネスはクラウドサービスを念頭に置いて構築されていなかった。そのために、クラウドプロバイダーは、オープンソースソフトウェアを利用して、同じソフトウェアベースのSaaSビジネスを展開することができた。AmazonのEMRがその典型だ。

起業家のデベロッパーが、オープンソース企業の最初の2世代、つまり第1世代と第2世代に横たわるビジネスモデルの課題を把握し、2つの重要な要素を取り入れてプロジェクトを展開したとき、新しい進化が始まった。まず第1に、オープンソースソフトウェアの多くの部分を企業の内部で開発するようにしたこと。現在では、多くの場合、そうしたプロジェクトに属するコードの90%以上が、そのソフトウェアを商品化した会社の従業員によって書かれている。第2に、それらの企業は、ごく初期の段階から彼ら独自のソフトウェアをクラウドサービスとして提供するようにしたこと。ある意味では、これらはオープンコアとクラウドサービスのハイブリッドビジネスであり、自社製品を収益化するための複数の道筋を備えている。製品をSaaSとして提供することによって、これらの企業はオープンソースソフトウェアと商用ソフトウェアを織り交ぜることができるので、顧客はもはやどちらのライセンスに従っているのか心配する必要がない。Elastic、Mongo、およびConfluentなどの企業は、それぞれElastic Cloud、MongoDB Atlas、Confluent Cloudといったサービスを提供しているが、それらが第3世代の代表だ。この進化の意味するところは、オープンソースソフトウェア企業が、今やソフトウェアインフラストラクチャの支配的なビジネスモデルとなる機会を持っているということなのだ。

コミュニティの役割

それらの第3世代の企業の製品は、確かにホスト企業によってしっかりと管理されてはいるものの、オープンソースコミュニティは、オープンソースプロジェクトの作成と開発において、いまだ中心的な役割を果たしている。1つには、コミュニティはもっとも革新的で有用なプロジェクトを発見し続けている。彼らはGitHub上のプロジェクトにスターを付け、そのソフトウェアをダウンロードして実際に試してみる。そして優れたプロジェクトだと感じたものは拡散して、他の人もその素晴らしいソフトウェアの利益を享受できるようにする。ちょうど、優れたブログ記事やツイートが感染のように広まるのと同じで、素晴らしいオープンソースソフトウェアもネットワークの効果を最大限に活用している。その感染を発生させる原動力となっているのがコミュニティというわけだ。

さらにコミュニティは、事実上それらのプロジェクトの「プロダクトマネージャ」として機能しているようなものだ。コミュニティは、ソフトウェアに対して機能強化と改良を求め、欠点も指摘する。製品に付随するドキュメントには、要求仕様書こそ含まれていないが、GitHubにはコメントスレッドがあり、Hacker Newsというものもある。そうしたオープンソースプロジェクトがコミュニティに誠実に対応すれば、やがてそれはデベロッパーが必要とする機能と性能を備えたものに、自然となっていくのだ。

またコミュニティは、オープンソースソフトウェアの品質保証部門としても機能している。ソフトウェアに含まれているバグや欠陥を指摘し、0.xバージョンを熱心にテストし、何が動いて何が動かないかをフィードバックする。そしてコミュニティは、すばらしいソフトウェアに対しては肯定的なコメントによって報いる。それによって、利用者数の拡大を促すことになる、

しかし、以前と比べて変わったことは、ソフトウェアプロジェクトの実際のコーディングについては、コミュニティはそれほど関与しなくなったこと。こうした傾向は、第1世代と第2世代の企業にとっては障害となるとしても、進化し続けるビジネスモデルの不可避な現実の1つなのだ。

Linus Torvaldsは、オープンソースのオペレーティングシステム、Linuxの設計者だ

デベロッパーの台頭

こうしたオープンソースプロジェクトにとって、デベロッパーの重要性が高まっていることを認識することも大切だ。伝統的なクローズドソースソフトウェアの市場開拓モデルは、ソフトウェアの購買センターとしてのITをターゲットにしていた。ITは、いまでもそのような役割を果たしているものの、オープンソースの本当の顧客はデベロッパーなのだ。彼らは、ソフトウェアを発見し、ダウンロードして開発中のプロジェクトのプロトタイプバージョンに組み込む、ということを普段からやっている。いったんオープンソースソフトウェアに「感染」すると、そのプロジェクトは、設計からプロトタイプ作成、開発、統合とテスト、発表、そして最終的に製品化まで、組織的な開発サイクルに沿って進行し始める。オープンソースソフトウェアが、製品に組み込まれるまでに、置き換えられるということはめったにない。基本的に、そのソフトウェア自体が「販売」されるということは決してない。それは、そのソフトウェアを高く評価しているデベロッパーによって選定されるのだ。それは彼ら自身の目で確かめ、実際に使ってみての判断であり、経営者の決定に基づいて決められたものではない。

言い換えれば、オープンソースソフトウェアは真のエキスパートを介して普及し、選択のプロセスを、これまでの歴史には見られなかったような民主的なものにした。デベロッパーは、自分の意志に従って行動する。これは、ソフトウェアが伝統的に販売されてきた方法と好対照を成している。

オープンソースビジネスモデルの美点

その結果、オープンソース企業のビジネスモデルは、従来のソフトウェアビジネスとはまったく異なって見えるものになった。まず最初に、収益ラインが違う。比べてみるなら、クローズドソースのソフトウェア会社は、オープンソース企業と比較して単価を高く設定できる。しかし今日でも、顧客は理論的には「無料」のはずのソフトウェアに対して、高額の対価を支払うことに、ある程度の抵抗を感じている。オープンソースソフトウェアは、単価は安くても、市場の弾力性を利用して全体としての市場規模を確保しているのだ。ものが安ければ、より多くの人が買う。それこそが、オープンソース企業が大きな規模で、かつ急激に製品市場に適合できた理由だ。

オープンソース企業のもう1つの大きな強みは、はるかに効率的かつ感染性の高い市場開拓の動きにある。中でも第1の、そしてもっとも明白な利点は、ユーザーはお金を払う前から、すでに「顧客」になっているということ。オープンソースソフトウェアの初期導入の大部分は、デベロッパーがソフトウェアを組織的にダウンロードして使用することによるものであるため、販売サイクルにおいて、市場への売り込みと概念実証の両方の段階を、企業自体が迂回できるのが普通だからだ。セールトークは、「あなたは、すでに私たちのソフトウェアの500のインスタンスを、あなたの環境で使用しています。エンタープライズ版にアップグレードして、これらの付加機能を入手されてはいかがでしょうか?」といったものになるだろう。これにより、販売サイクルが大幅に短縮され、顧客担当者1人あたりに必要なセールスエンジニアの数を大幅に減少させることができる。そして、販売費用の回収期間も大幅に短縮できるわけだ。実際、理想的な状況では、オープンソース企業は顧客担当者に対するシステムエンジニア数の比率を好ましいものに保って業務を遂行でき、四半期以内にセールスクオリファイドリード(SQL)から商談成立まで持ち込むことができる。

このようなオープンソースソフトウェアビジネスの感染性は、キャッシュフローの面でも、従来のソフトウェアビジネスよりはるかに効率的でいられるようになる。最高のオープンソース企業の中には、中程度の現金バーンレートを維持しつつ、3桁の成長率でビジネスを伸ばすことができたところもある。そんなことは、伝統的なソフトウェア会社では想像するのも難しい。言うまでもなく、現金の消費が少なければ、創業者にとっては希薄化も少ないことになる。

写真はGetty Imagesのご好意による

オープンソースからフリーミアムへ

変化し続けるオープンソースビジネスにおいて、詳しく説明する価値のある最後の様相は、真のオープンソースからコミュニティに支援されたフリーミアムへの緩やかな移行だ。すでに述べたように、初期のオープンソースプロジェクトは、コミュニティをソフトウェアベースへの重要な貢献者として活用していた。その際には、商業的にライセンスされたソフトウェアの要素がわずかでも混入すると、コミュニティから大きな反発を受けた。最近では、コミュニティも顧客も、オープンソースビジネスモデルについてより多くの知識を持つようになった。そしてオープンソース企業は「有料コンテンツの壁」を持つことで、開発と革新を続けていけるのだ、という認識も広まった。

実際、顧客の観点からすれば、オープンソースソフトウェアの価値を決める2つの要素は、1)コードが読めること、2)それをフリーミアムとして扱えることだ。フリーミアムの考え方は、それを製品として出荷しなければ、あるいはある一定数までは、基本的に無料で使用できるということ。ElasticやCockroach Labsのような企業は、実際にすべてのソフトウェアをオープンソース化するところまで踏み込みつつ、ソフトウェアベースの一部に商用ライセンスを適用している。その論拠は、実際のエンタープライズ契約の顧客は、ソフトウェアがオープンかクローズドかにかかわらず料金を支払うが、実際にコードを読むことができるのであれば、商用ソフトウェアを利用する意欲も高まる、というものだ。もちろん、誰かがそのコードを読んで、わずかな修正を加え、亜流を配布するという危険性もある。しかし、先進国では、すでにさまざまな分裂が生じているが、エンタープライズクラスの企業が模倣者をサプライヤーとして選ぶことなどありそうもない。

このような動きを可能にした重要な要因は、より現代的なソフトウェアライセンスにある。そのようなライセンスを最初から採用してた企業もあれば、時間をかけて移行してきた会社もある。Mongoの新しいライセンス、そしてElasticやCockroachのライセンスは、その良い例だ。10年ほど前に、オープンソースプロジェクトの原点となったApacheのインキュベートライセンスとは異なり、これらのライセンスははるかにビジネス向きで、モデルとなるようなオープンソースビジネスのほとんどが採用している。

(関連記事:MongoDBがそのコードのオープンソースライセンスを改定、オープンソースの“食い逃げ”に むかつく

将来は

4年前に、このオープンソースに関する記事を最初に書いたとき、私たちは象徴的なオープンソース企業が誕生することを熱望していた。Red Hatという1つのモデルしかなかった頃には、もっと多くのモデルが登場すると信じていた。今日、オープンソースビジネスの健全な一団を見ることができるようになったのは、非常にエキサイティングなことだ。これらは、オープンソースの遺伝子プールから登場してくるのを目にすることになる象徴的な企業のほんの始まりに過ぎないと、私は信じている。ある観点から見ると、何十億ドルもの価値があるこれらの企業は、このモデルの力を立証するものだ。明らかなのは、オープンソースはもはやソフトウェアに対する非主流のアプローチではないということ。世界中のトップクラスの企業がアンケート調査を受けたとき、その中核となるソフトウェアシステムを、オープンソース以外のものにしようとするような企業はほとんどないだろう。そして、もしFortune 5000の企業がクローズドソースソフトウェアへの投資をオープンソースに切り替えれば、まったく新しいソフトウェア企業の景観を目の当たりにすることになる。そしてその新しい一団のリーダーたちは、数百億ドルもの価値を持つことになるのだ。

もちろん、それは明日にも実現するようなことではない。これらのオープンソース企業は、今後10年間で、成長、成熟し、自社の製品と組織の開発を進める必要がある。それでも、この傾向は否定できない。そして、ここIndex Venturesでは、この旅の初期に、私たちがここにいたことを光栄に感じている。

画像クレジット:aurielaki

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

株式のように自分の価値を取引できる「VALU」が5億円調達、Android版アプリも公開

まるで株式のように自分の価値を取引できる「VALU」を運営するVALUは1月21日、シリーズAラウンドでグローバル・ブレインから5億円を調達したと発表した。また、今回の資金調達を期に、グローバル・ブレイン代表取締役の百合本安彦氏がVALUの社外取締役に就任する。

VALUは、ソーシャルメディアのフォロワー数・友達数などの情報に応じて算出された価格で模擬株式(VA)を発行し、ユーザー間で取引できるサービスだ。また、株式の優待制度と同様に、各ユーザーは株主(VALUER)に向けてイベントの参加権やノベリティといった優待を設定することもできる。VALUERは将来に期待が持てる人のVALUを購入し、優待を楽しみながら、その人がさらに有名になったときに値上がったVAを売却して利益を得ることができる。その点では、VALUは文字通り「ヒトに投資」できるサービスだと言えるだろう。

2017年5月にベータ版をローンチしたVALUはこれまでに、約10万人のユーザーを獲得。ユーザーの累計支援総額(VAの取引総額)は10億円を突破したという。

そのVALUは2017年12月に個人投資家の千葉功太郎氏から数千万円規模の資金を調達。そして今回シリーズAラウンドとして5億円の資金調達に踏み切った。同社はこの資金をもとに、開発強化のための人材採用、新規事業開発に取り組むという。加えて、VALUは同時にAndroid版アプリのリリースも発表している。

今後の方針として、VALU代表取締役の小川晃平氏は「2019年の春までに、SNS機能の追加拡張と優待機能の改善を行います。また、夏までには、取引機能の大幅な刷新・改善を予定しています」とコメントしている。

「人事労務freee」と「SmartHR」がAPI連携開始、労務手続きと給与計算をよりシームレスに

クラウド型の人事労務ソフト「人事労務freee」と「SmartHR」が、1月21日よりAPI連携を開始した。

経理・会計ソフトのfreeeが生んだ人事労務freeeは、給与計算機能に強みを持ち、勤怠管理・労務管理機能を持った統合プロダクト。一方、SmartHRは社会保険・雇用保険の電子申請機能など、行政手続きに対応。入社手続きや年末調整といった労務手続きに特化したプロダクトだ。

今回のAPI連携では、人事労務freee、またはSmartHRのいずれか一方に従業員情報が登録されていれば、もう一方に転記することなく、従業員情報が同期できるようになった。これにより、双方のサービスが得意とする機能をシームレスに活用することが可能となる。

SmartHRでは、2018年に外部サービスとの連携強化や拡張機能ストア公開など、プラットフォーム化構想を打ち出している。今回のAPI連携にあたり、SmartHRは「今後も外部連携の強化と、拡張機能が追加できる『Plusアプリ』の開発・提供により、SmartHRの設計を複雑にすることなく、多様化するユーザーのニーズにお応えし、SmartHRのプラットフォーム化を実現していく」としている。

荷物預かりサービス「ecbo cloak」にアプリ版登場、プラットフォーム化への布石

手荷物預かりサービスを展開するecboは1月21日、これまで提供してきたWeb版に加えて新たにiOSおよびAndroid版のアプリをリリースすると発表した。

TechCrunch Tokyo2017の卒業生でもあるecboが提供する荷物預かりサービスの「ecbo cloak」は、荷物を預けたい人と荷物を預かるスペースを持つ店舗をつなぐサービスだ。すでに東京、京都、大阪、福岡など主要都市で利用することができ、店舗提携数も100を超える。

同社はサービスリリースからこれまで2年間、ecbo cloakをウェブアプリとして提供してきた。しかし、外国人観光客などの利用も増え、ユーザーからアプリ版の要望が多かったことからアプリのリリースに踏み切ったという。専用アプリを用意することで、UIや検索機能が刷新され、よりスムーズなユーザー体験を提供可能になるという。

しかし、ecbo代表取締役の工藤慎一氏によれば、今回のアプリリリースの理由はそれだけではないという。これまでecboは荷物をあずけたいユーザーと、預かるスペースを持つ店舗などとのマッチング機能の提供に専念してきたが、今後ecboはそれ以外の機能も提供していく。

同社がどのような機能を用意しているかはまだ分からないが、工藤氏はプレスリリースの中で「このアプリはただの荷物一時預かりアプリにとどまらず、今後僕たちecbo社が創り出したい、ボタン一つで自分のモノをすべて管理できる『モノの管理プラットフォーム』への大きな一歩になると確信しています」と語っている。

Uber、電動自転車とスクーターにも自動運転を適用へ

Uberは自動運転技術を自転車とスクーターのシェア事業に統合しようとしている。詳細はほとんどわかっていないが、3D Robotics CEOのChris Andersonによると、Uberは週末行われたDIY Roboticsイベントでこのことを発表し、開発チームはUberで電動オートバイ/スクーターのシェアサービスを担当するJUMPグループに所属するという。

Micromobility Roboticsという新部門が研究するのは、電動自転車/スクーターが充電のために自走したり、利用者が必要な場所まで自動運転する技術だ。Telegraph誌によると、Uberはこのチームのためにすでに採用を始めている

「Uberの新しいMobilitiesチームは、当社が貸し出す電動スクーターと電動自転車の安全性、ライダー体験、および運用効率を、センサーやロボット技術の応用によって改善する方法を研究している」とUberのAdvanced Technologies Groupが求人用Googleフォームに書いた。

昨年12月、 Uberは自己診断機能や交換可能バッテリーを搭載した次世代JUMP電動自転車を披露した。

「これは、システム活用、オペレーティングシステム、実車時間など車両シェアの運用に不可欠な要素の大きな改善だ」とJUMPのプロダクト責任者NIck Foleyが先月本誌に語った。「バッテリーが交換できるということは、充電するために自転車やスクーターを持っていかなくてもよいことを意味している。これはビジネス的にも良いことだ」

自動運転自転車/スクーターはUberのMicromobilityシェアビジネスの人間による充電への依存を減らす。Uberがフル充電の電動自転車/スクーターを、バッテリー残量の少ない車の多い地域に配車するところが想像できるだろう。交換可能バッテリーと合わせて(車両が車庫に戻ってきたらすぐにバッテリーを交換して再度配車できる)、Uberは整備された利用可能台数を増やすとともに、ライダー体験全体を改善することができる。

Uberはコメントを拒んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

面倒な“行政手続き”をITでスマートにするグラファーが1.8億円を調達

近年FinTechやHR Tech、リーガルテックなどテクノロジーを用いて“レガシー”な産業をアップデートしようと立ち上がったスタートアップが存在感を放っている。

1月21日に複数の投資家から1.8億円を調達したグラファーもその1社。同社が挑むのは個人や事業者が日常的に直面する様々な「行政手続き」の最適化であり、いわゆる「Govtech(ガブテック / 政府×テクノロジー)」領域のスタートアップだ。

プレシリーズAとなる今回のラウンドでは500 Startups Japan、インキュベイトファンド、および個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施。法人登記簿謄本の取得手続きがオンライン上でスピーディーに完結する「Graffer法人登記簿謄本取寄せ」など既存サービスの機能拡充に加え、2月に予定している新サービスに向けて開発面を中心に組織体制を強化する。

なおグラファーは2017年7月の創業期にもインキュベイトファンドから9000万円を調達済みだ。

アナログが主流の行政手続きをアップデートする

世の中であらゆるサービスのオンライン化が急速に進む中で、行政手続きは未だにアナログな要素が多い領域だ。

僕も昨年パスポートの更新のために最寄りの地域振興局に行ってきたけれど、住民票の写しなど「各種証明書の取得」や転出・転入、結婚、出生を始めとした「ライフイベントにまつわる関連手続き」といった目的で、誰しも一度は自治体の窓口を訪れた経験があるのではないだろうか。

もちろん行政手続きの対象は個人だけではない。事業者にも登記申請や登記事項証明書の取得、印鑑証明書の取得など様々な手続きが存在する。

これらの多くは市役所や法務局などの担当窓口に足を運び、紙の書類に手書きで記入するのが主流だ。ウェブサイトから電子申請ができる手続きもあるが、そもそも知られていなかったり、使い勝手に改善の余地があったりと十分に浸透しているとは言えないだろう。

また各手続きごとに別々のサイトや窓口で個別に進める必要がある、自治体によって進め方が異なる、など利用者にしてみればもっとわかりやすくなればいいなと感じる部分も多い。

そこに目をつけたのがグラファーだ。同社では行政手続きに関する「そもそもどんな手続きが必要なのかがわからない」という悩みと、それにまつわる膨大な手間をテクノロジーを活用しながら解決する。

行政手続きの「わからない」と「めんどくさい」を解決

2018年1月にリリースしたGraffer法人登記簿謄本取寄せはその代表例だ。プロダクト自体は非常にシンプル。ウェブサイトから謄本の取得手続きを実施でき、指定の住所まで届けてくれる(PDFで登記情報を閲覧することも可能)。

謄本を取得するためだけにスケジュールを調整してわざわざ法務局まで出向くことなく、スマホやPCから1〜2分で必要な手続きが完結。以前入力した情報を引き継ぐことで2回目以降は1クリックで済む。支払いはクレジットカード決済で、24時間365日受付可能だ。

以前から法務省でも「かんたん証明書請求」というサービスを公開してはいるものの、スマホからサクッと使える設計にはなっていない。支払い手段も銀行振込で、かつ平日の限られた時間帯にしか支払いできないなど、ユーザービリティの面で改善できる余地があった。

Graffer法人登記簿謄本取寄せは代行料という形でユーザーから直接利用料をもらう仕組みのため、ユーザーの視点では通常の取得手数料よりも高くなる構造。ただそれでも不便だと感じている人が多いようで、開始約1年で1400以上の企業・団体に利用されたという。

利用者からの要望に応じて、2月5日には法人印鑑証明書の取得請求をオンライン化する「Graffer法人証明書請求」のリリースも予定している。

通常この手続きは法務局の窓口に行くほか、手数料分の収入印紙を同封し書留等にて郵送申請を行う、もしくは法人の電子証明書を事前に取得した上で平日の8時〜21時に法務局の申請用総合ソフトで申請を行い、ネットバンクかATMで手数料を納付する必要があった。

今回のサービスでは登記簿謄本と同様にシンプルなインターフェースから手続きを進めることができ、カード決済にも対応。電子証明が必要にはなるものの、専用ソフトのインストールをする手間なくオンラインで印鑑証明書の取得請求が完結する。

裏側では独自のBotが法務省のサイトやアプリケーションを動かし、面倒な処理を実行。ユーザーとしては最低限の作業をするだけで、これまで手間だと感じていた複雑な手続きから解放されるのが特徴だ。

これは事業者向けのサービスならず、グラファーが運営する他のサービスにも共通する。2018年10月にリリースした「Grafferフォーム」は、住民票など各種証明書の請求をスムーズにする個人向けのサービス。書類作成から決済まで全てオンライン上で行えるのがウリで、郵送手続きが可能な1733自治体の3414手続きに対応する。

こちらも裏側では各自治体の手続き書式データを集め、オンライン上で入力できるフォームに転換。ユーザーからの申込情報を基に書類を作り、印刷や役所への郵送作業をグラファーで代行する仕組みだ。

返信用封筒や定額小為替など、場合によっては必要となる同封物の準備もお任せできる。

個人の手続きをサポートするサービスとしては行政手続き情報メディア「くらしのてつづき」も運営。wikiのような形で各手続きの解説がまとめられているほか、質問に答えていくと「転入」や「結婚」など各ライフイベントごとに必要な手続きを洗い出せる「手続きガイド(全国版)」を備える。

ただ各手続きに関しては、フローや窓口が自治体ごとでも異なるため、利用者にとっては自分が住む町のやり方をパパッと調べたいというニーズが強い。そこで“自治体向けのSaaS”のような形で、各自治体が内容をカスタマイズできるように「Graffer手続きガイド」として展開している。

1枚のエクセルシートで質問の順番や出し方を調整できるほか、ToDO管理の機能や書類の作成機能なども今後搭載していく計画。3自治体で導入決定済みとのことで、以下は鎌倉市の試験運用ページだ。

行政と利用者の接点を民間サービスとして提供

「マスに使われるようなサービスを作りたい」グラファーのアイデアはそんなディスカッションから生まれた。

ディスカッションの主は同社の創業者で代表取締役CEOを務める石井大地氏と、共同創業者でありインキュベイトファンドの代表パートナーでもある村田祐介氏だ。

石井氏は小説家としてプロデビューを果たした後で起業家に転身するという珍しい経歴の持ち主で、起業後に医療系スタートアップのメドレーで執行役員に就任。前職ではリクルートホールディングスで事業戦略の策定や国内外のテクノロジー企業へ投資をしていた経験もある。

父親が公務員だったため業界の課題を身近に感じる部分もあり、行政スタートアップは面白そうだと感じたと話す石井氏。一方で「それがビジネスとして成り立つのか、始めた当初は自分でも半信半疑だった」(石井氏)が、リサーチを進める中で海外の試算では多額の行政コストを事業者が負担していることがわかった。

日本国内においても事業者が年間数兆円規模の人件費を行政手続きに費やしていると推定できることから、このコストを市場と捉え“誰もが避けて通れない行政手続き”をテクノロジーで最適化するチャレンジを決めたという。

海外ではSeamlessDocsを始め大型の資金調達をしているGovtechスタートアップがあり、この領域に特化したGovtech Fundなども存在するなど、近年注目されている領域の1つだ。

日本でもグラファーのように行政手続きに関するサービスを次々と立ち上げているスタートアップは珍しいが、たとえば「SmartHR」や先日紹介した法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」なども広い意味でこの領域に関連するプロダクトだと言えるだろう。

「今手掛けているサービスだけをやりたくて会社を始めたわけではない」と石井氏が話すように、グラファーでは今後もユーザーやマーケットの状況を見ながら“行政と利用者の接点”となるようなサービスを増やしていく計画だ。

ディズニー、Huluが原因で昨会計年度の損失は5.8億ドル

ストリーミングメディア・ビジネスは厳しい。Huluの株式を30%保有するDisneyは、前会計年度に5.8億ドルの損失を記録していたことがSEC提出文書からわかった。

提出文書によるとこれは「主として当社のHuluへの投資による多額の損失によるものであり、前年度に買収したBAMTechによる損失の減少によって一部相殺された」

BAMTechはESPN+などのサービスを支えるストリーミング技術だ。昨会計年度全体でDisneyの損失のうち10億ドル以上がストリーミングによるものだった。

一方、Disneyは自社のストリーミングサービスDisney+を2019年に公開予定だ。DisneyはHuluへの投資を増額することも計画中で、オリジナルコンテンツと海外展開に力をいれる。

Disneyは21st Century Fox買収の一環として、さらにHuluの30%を取得する見込みだ。もしHuluのビジネスが今会計年度と変わらなければ、Disneyの損失は増えるばかりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AI市場は急成長中だが正確な数字を知るのは難しい

[この記事はCrunchbase Newsの編集者、ジャーナリストのHolden Pageの執筆]

テクノロジー業界の関係者なら誰でも人工知能がホットな話題だと知っているだろう。人間の仕事がどんどん取って替わられるという主張もあれば、逆に能力が誇張されているという懐疑論も聞かれる。AIは新たな軍拡競争をもたらしているという警告も出ている。

しかしCrunch Baseの関心範囲はもっと狭いが、もっと明確だ。この分野におけるスタートアップへの投資額はどれほどか? 投資者は誰か? 現在のトレンドと長期的見通しは?

まずAIスタートアップに対する総投資額について検討することにしよう。AIというバズワードをテコにスタートアップには巨額の金が流れている。投資は対前年比で大きくアップしている。ただし、われわれには正確な成長率はつかめなかった。

2018年にCrunchbaseにに次のような大型投資ラウンドが記録されている。

  • SenseTime:顔認識テクノロジーに優れた中国のスタートアップがシリーズDで10億ドルを調達。CrunchbaseによればAI分野では2018年最大のラウンドだった。さらに驚くべきことに、この会社は1年間に3回のラウンドを実施し、総額22億ドルを集めていることだ。百聞は一見に如かずというが、一顔は10億ドルになるらしい。
  • UBTech Robotics:これも中国のロボット・スタートアップで、シリーズCで8億2000万ドルを調達している。しかしUBTechのウェブサイトを眺めた限りではAI分野のイノベーターというより高級おもちゃメーカーのようだ。
  • Zymergen:シリコンバレーのバイオテック・スタートアップでFortune 500級大企業向けに遺伝子組み換え微生物を提供している。Crunchbaseによれば同社はシリーズCで4億ドルを調達。

普通ならここでグラフとAI市場の外用を400語で載せるところだが、注意深い読者ならすでにお気づきのように問題は「AI市場」にある。どこからどこまでがAIなのか?

たとえば、Zymergenだ。CrunchbaseのタグにはたしかにAIが含まれている。CrunchBase Insightsの記事を引用しているBloomberg,も同意見だしかしZymergenはAI企業だろうか?

しかしZymergen自身のウェブサイトではそうではない。なるほど、AIに関連した機械学習によるオートメーションというバズワードは用いられている。しかしもし私が自由に分類していいならZymergernはバイオテック企業だ。

CB Insightsは2018年1年間ででAI投資は72%アップしたとしている。しかしCrunchbaseだと38%の伸びだ。

つまりAI関連の非公開企業への投資が増加していることは間違いない。しかし、以上の数字を見れば明らかだが、AIスタートアップとしてで定義される範囲についてはコンセンサスが全くない。l

しかし驚くにはあたらない。専門家もどこまでがAIか現在も激しく議論している。ここには動物や植物の分類学のような整然とした体系は存在しない。ty.

AI企業だと必要以上に強調するスタートアップが多いのではないかと密かに疑っている。EWSのAIサービスをバックエンドのどこかに使っているだけでAIスタートアップと名乗っていいのか? 私に言わせれば、ノーだ。しかしCrunchbaseのデータによればそう自称するスタートアップは非常に多い。

定義の問題が出てきたついでに言えば、そもそもテクノロジー企業の範囲も問題だ。食材宅配サービスのBlue Apronの場合、 上場直後に10ドル近い高値をつけた後続落し、現在は1.4ドル台だ。われわれのAlex Wilhelmが分析したとおり、IPO前の株主の評価と市場の投資家の評価は大きく異なる結果となっている。

現在AIスタートアップに強い追い風が吹いているのは間違いない。しかし正確な数字となると不明だ。個々の投資の詳細がつかみにくいという点よりも、AIが意味する範囲にコンセンサスがない点がいちばん大きな問題だと思う。

画像:Paper Boat Creative (opens in a new window) / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Chrisは後付用スマート車内アシスタント

ビデオでは German Auto LabsのCEOのHolger WeissがChrisをデモしているところが見られる。このスマートアシスタントは自動車に後付し、音声とジェスチャーでスマートフォンをコントロールできる。

運転中にメッセージをやり取りするのに大変便利だが、Weisはこのスマートアシスタントにははるかに大きなユースケースがあると確信している。Chrisはオンラインストアですでに販売されている。

ビデオではドライバーがChrisに「ダニエルに10分遅れる。着いたら電話すると伝えてくれ」と音声で命じるところがデモされている。またChrisで用いられるジェスチャーは上下、左右、ハイタッチ(広げた手を近づける)の3種類のみで、覚えやすく安全性も高い。CEOのWeissは「Chrisはメッセージに使えるだけではない.。デジタル版コ・ドライバーだ」と強調している。

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滑川海彦@Facebook Google+

なんとLEGOで実物大シボレー・トラックを製作、新作ムービーも3月公開へ

なんとLEGOブロックでシボレー・シルバラードを作ってしまったチームがあった。出来上がったトラックは実物大で、シボレーと2月に公開される新しいLEGO Movie[日本では3.29公開] のCMのためだという。 素材には子供向け大型おもちゃ用のDuploブロックを使っているようだ。映画ではこのブロックは宇宙から来たことになっている。

ともあれ、LEGOのシルバラード2019は全高180センチ、自重1.5トンという大物だ。組立てられたのはコネティカットのLEGO Master Builders作業場で、使われたLEGOは33万4544ピース。組立には18人で延べ2000時間かかったという。シボレーでは「われわれの車がLEGOで実物大で組立られたのはこれが初めて」だと保証している。

ビデオは30秒程度の短いものだが、18人のモデラーがコンピューター・モデリングを使って一糸乱れず協力して作業しているところは見ものだ。


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滑川海彦@Facebook Google+

固定電話回線でメッセージを送受信できるようになるZipwhip、5150万ドルを調達

AIを使ったオーディオサービスが増え、カスタマーサービスで音声が頻繁に使われるようになっている。しかしモバイル時代のコミュニケーションとしては、メッセージが重要なプラットフォームであり続けている。そしていま、Zipwhipというスタートアップがテキストベースのメッセージをカスタマーサービスに持ってこようとしていて、このほど5150万ドルを調達した。このスタートアップは、固定電話、IPネットワーク電話、またはフリーダイアルなど、どの電話からもテキストメッセージで顧客とやりとりできるプラットフォームを事業者に提供している。

シリーズDとなる今回のラウンドはゴールドマンサックスが主導し、既存投資家のOpenView、M12(以前はMicrosoft Venturesという名称だった)、Voyager Capitalが参加して累計調達額は9250万ドルとなった。シアトル拠点のこのスタートアップの共同創設者でCEOのJohn Lauerはインタビューで「今回のラウンドに伴う評価額は公開しないが、数字は“間違いなく以前よりも大きい”」と述べた。

今回は、2017年9月に2250万ドルを調達した前回からZipwhipが取り組んできたことを成長させるためのラウンドだ。

顧客基盤としては、大企業100社を含む2万の事業所(2017年は6500事業所だった)の330万もの電話番号を扱っていて、昨年、売上高は80%増えた。そして、事業所の電話回線でテキストを使って質問に答えたり、物を売ったり、苦情を受けたりできるようにするために、米国の全ての大手通信会社と契約を結んだ。

その他の国の通信会社と事業所にはまだ取り組んでいる最中で、米国でもまだ大きく成長する余地を残している。同社は北米だけで事業所が所有する電話回線が約2億あると推定している。

Zipwhip、そしてOpenMarket(Lauerが以前働いた会社)やMessageBird、Twilioなどその他の似たような企業が取り組む中で、マーケットにおけるギャップは何かと言うと、多くの事業所が物を売ったり苦情を受けたり、テクニカルな問題やそのほかやりとりを要することを解決するのに顧客と電話や電子メール、ウェブサイトでコミュニケーションをとるインフラを備えているが、一方で顧客の多くは普段の生活ではテキストメッセージを使っていて、企業とのやりとりでもテキストメッセージが使えればいい、と考えていることだ。

実際、Lauerは、人々がテキストメッセージを受けられない番号にテキストメッセージを無意識に送ろうとしり、テキストしてきた組織に返事のテキストを送ろうとした結果、多くの接触を逸しているとしている。そうした電話番号は返事を受け付けないので、メッセージは届かない。

別の言葉で言うと、Zipwhipスタイルのサービスがいま存在している以上にもっとあってしかるべき、と多くの人が考えている。

(ちなみに、これは幾度となく私が考えてきたことで、私だけではないと推測している)。

Zipwhipは、企業がカスタマーサービスに使っているどの電話番号でも利用できるプラットフォームを提供することでこの問題を解決しようとしている。

テキストメッセージが電話番号を介して入ってくるとき(ここで通信会社の協力を必要とする)、テキストはZipwhipのプラットフォームを経由する。そうすることで、エージェントや販売員、またはテックサポートのダッシュボードにテキストが表示され、読んで返信できるようになる。

典型的な活用法はベーシックな顧客サービス・サポートだが、Lauerはスポーツチームが契約してチケットの販売に同社プラットフォームの使用を開始したことや、他の活用例も示した。

今のところ、メッセージは人に届けられていて、ロボット化は最小限だ(または、機械学習をベースにしたやや不自然な言葉による自動応答を活用している)。たとえば、テキストが送られたのが営業時間外だった場合、テキストの送り主に「営業時間にこちらから連絡します」との返答が送られたり、テキストプラットフォームを通じて基礎的な情報を得ることができるオプションを案内したりする。

「まだ初期段階だが、最近の反応としては、事業所や顧客はチャットボットを嫌っている」とLauerは話す。「まだ試行錯誤中で、今後が楽しみではあるものの、人にとって代わるというのはあまり考えられない」。

(Zipwhipの料金はボリュームに比例する。1つの電話回線の月額料金は35ドル、複数の回線だと100ドル。またかなりの回線を扱う企業向けの料金は応相談だ)。

もちろん、電話を使ったメッセージといったら最近はスマホのことで、FaebookのMessenger、WhatsApp、Viber、WeChat、Instagramといったアプリの使用をさす。こうしたサービスの多くはB2B2Cに参入する機会があることを認識し始めた。たとえばWhatsAppは、質問に答えたり、リクエストのあった情報を提供したりするのをサポートする企業向けにWhatsApp for Business APIの展開を開始した。また、MessengerはシンプルなQ&Aやボットを介した購入など、事業所がやりとりできるようにするサービスを倍増させている。

興味深いことに、Zipwhipは全く異なるアプローチをとっていて、そうしたアプリをまだまったく統合していない。その代わり、ネイティブのテキストアプリが電話にも使えることにフォーカスしている。Lauerは、これはプロダクトを展開する上で行なった調査の結果だ、と話した。

事業所のメッセージをアプリに取り込もうとメッセージアプリが努力しているにもかかわらず、Lauerは「ユーザーが企業にテキストメッセージを送ろうとするとき、ユーザーは本能的にMessengerやWhatsAppを使わないことが調査でわかった。テキストメッセージの使用は簡単で、デフォルトになった。これこそが、事業所が客に連絡をとる手段にしようとしている理由だ」。

大手のプラットフォームから、そうしたビジネスを展開しないか、との誘いもあった。ZipwhipはAppleの新たなサービスBusiness Chatの最初のパートナーのうちの1社だ。このサービスは事業所が顧客とコミュニケーションがとれ、iMessage経由で購入もできるというものだが、最近はさほど積極的に展開されていない。

そのことについて尋ねると、Lauerは「Appleは素晴らしい仕事をしている。そこに今まで以上に携わることを楽しみにしている」と如才なく言った。

Googleとの連携の方がより実のあるもので、RCSスタンダードを推進して数年になる。これは、アプリのような相互作用性と体験をベーシックなテキストメッセージに持ってくるというアイデアを推進するためのものだ。Googleと通信会社がメッセージアプリの出現に対処できるよう、まずはAndroidデバイスにもってくることを想定している。これは、Zipwhipがメッセージアプリの統合に積極的でない別の理由でもある。

「Googleは我々の顧客であり、パートナーでもある。RCSは我々が必要としていたもので、まさに取り組んでいるのはGoogleのためだ」とLauerは話した。RCSが使えるようにアクティベートされた電話はまだ多くはないが、増えつつある、と彼は付け加えた。「より多くの通信会社が、それに合わせて地上波をアップデートする予定だと聞いている」。

顧客として、GoogleはAdWordsのようなサービスを展開するのに多くのテキストメッセージを送っていて、このテキストは全てZipwhipのプラットフォームを介して行われている。

Lauerは、同社が成長し、アプリの人気がかなり高まっているにもかかわらずテキストメッセージ分野にまだチャンスが残されていることを投資家に示したため、資金調達は“かなり容易”になった、と語った。

「Zipwhipは、巨大なマーケット、産業イノベーションで証明された歴史、そして会社をそう遠くない将来に成長・進化させるSaaSベースのアプローチの3つが交わるパワフルな交差点にいる」と、ゴールドマンサックスのプライベートキャピタル投資グループ責任者Dorr. Hillel Moermanは声明文で述べた。「Zipwhipのプロダクト、チーム、企業ビジョンでもってZipwhipは成功路線を進み続ける。事業所と顧客がコミュニケーションをとるための良い方法に対する需要は増大していて、今後Zipwhipを率いるチームと共に働くのを楽しみにしている」。

とはいえ、VC後もやるべきことはたくさんある。「今後の課題は、より多くの事業所に解決策としてテキストメッセージを活用することができる、と気づいてもらうことだ。まだ初期段階にある」とMoermanは指摘した。

イメージクレジット: cornecoba / Getty Images (Image has been modified)

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

Instagramは禁止したはずのフォロワー販売サービスの広告をいまだに掲載

Instagramは以前、そのソーシャルネットワークにスパム広告を溢れさせるというビジネスで収益を得てきた。しかし同社は、今でも猫をかぶり、金を取って偽のフォロワーを増やしたり、顧客にフォローバックさせるために自動的に他人のフォローやフォローの取り消しを行うサービスに広告スペースを販売している。11月にはそうしたサービスを禁止する処置を何度も繰り返し、そのような活動を行うアカウントに警告を送ってきたにも関わらずだ。

TechCrunchが調査したところ、Instagramの規約に公然と違反して、偽のフォロワーの販売やフォロワーをおびき寄せるためのスパム広告の自動投稿をInstagram上で行うサービスが、まずは17件見つかった。これは明らかに、Instagramが自身のアプリやプラットフォームの監視を適切に行っていないことの証拠だ。そのような怠慢のおかげで利用者は、ボットや偽のアカウントが作り出すフォローや「いいね」に惑わされている。そうしたサービスから金を掻き集めてきたInstagramは、Instagramの通知の質を貶め、利用者の貴重な時間を奪っている。

我々の調査に反応してInstagramは、すべての広告を排除し、我々が報告した規約違反サービスのFacebookページとInstagramアカウントもすべて無効にしたと私に話した。ページもアカウントも、それ自体は違反ではないが、そこが流している広告が、FacebookとInstagramから追放されたということだ。しかしその翌日、TechCrunchは、同様のサービスの広告を2件、Instagramに発見した。また、フォロワー数を増やす規約違反のサービスに金を払っている企業5社も新たに発見した。

ここで大きな疑問がわく。Instagramは果たして、スパム業者から真剣にコミュニティーを守る気があるのかということだ。技術的にも人材的にも投稿内容をチェックする機能が備わっているだろうに、なぜ自社の規約に堂々と違反している広告や業者の存在を、一介のジャーナリストの調査から教えられなければいけないのか。Facebook傘下にあるInstagramというアプリの、ユーザー基盤とビジネスを拡大するために「迅速に動く」という信条は、どうやら自らの監視の目が届かないところまで走って行ってしまったようだ。

スパム業者を追え

私はこの調査を、GramGorillaというサービスのInstagramストーリー広告に悩まされたことをきっかけに、1カ月前に開始している。オールバックの格好をつけたセールスマンが、このサービスでどれほどのフォロワーを得たかをまくし立て、同じだけ金を払えば私も同じ数のフォロワーが付くと宣伝している。この広告は、Krends Marketingのウェブサイトにリンクされている。月に46ドルから126ドルを支払えば、1000から2500のInstagramのフォロワーを保証するというのだ。

このような広告の中には、フォロワーを直接販売しているところもあるが、大抵は偽アカウントだ。それでフォロワー数は増えるかも知れないが(その業者が摘発されて追放されなければの話)、そのフォロワーは自分が見せたいものに興味を示すわけでもなく、ビジネスの足しになるわけでもない。結果としてフォロワーの質は薄められ、投稿を実際に見てくれる人の数は減ってしまう。しかし、GramGorillaつまりKrendsなどのInstagramのフォロワーを販売するアプリには、もっと困った点があることを私は知った。

これらのいかがわしい業者に、自分のユーザー名とパスワードを与えてしまうということだ。しかも、関連する話題や個人情報も彼らに渡り、自動的に誰かをフォローしたり、フォローを解除したり、「いいね」を付けたり、知らない人のInstagramプロフィールに勝手にコメントを書き込んだりといった行為を許すことになる。その目的は、知らない人たちがそれを見て、好奇心を抱いたり、仲良しになりたいと思うようになり、フォロワーになってくれることを期待して通知を送ることにある。このようなスパム通知を大量に発信することで、大勢の知らない人たちが引っかかりフォローしてくれる。それで月額に見合うだけの体裁を保つというわけだ。

そこに私は腹が立った。FacebookもInstagramも、その他のソーシャルネットワークも、アクション、広告のビュー、毎日のユーザー数を増やすための裏技を教える通知を大量に送ってくる。しかし、彼らはそれが利用者の気分を損ね、ユーザーがすべての通知を非表示にしてしまうリスクを考えた方がいい。フォロワーを販売する業者は、Instagramが汚れようと、ユーザーが不快な思いをしようと、どうでもいいのだ。金が儲かりさえすればいい。彼らは、私たちの大切な共有資源における「コモンズの悲劇」の典型的な悪役だ。

そこから私は、スパム広告を記録するようになり、どれだけ多く存在することかと驚くことになった。間もなく、Instagramの広告ターゲティングと再ターゲティングのアルゴリズムが暴発し始め、Instagramの規約に違反している同類の企業からの広告が、私に意図的に送られてくるようになった。

私が最初に記録した、フォロワー販売とスパムの17のサービスは、Krends Marketing / GramGorillaSocialUpgradeMagicSocialmEZ-GrowXplod SocialMacurex、GoGrowthlyInstashop / IG ShopsTrendBee、 JW Social Media MarketingYR CharismaInstagrocerySocial SensationalSocialFuseWe Grow SocialIG WildfireGramflareだ。TrendBeeとGramflareは、Instagramがその活動を禁止したと発表した後も、ずっとInstagramで広告を出し続けていることがわかった。Instagramが取り締まりを行ったとされた後でも、これまでの調査では、禁止されているフォロワーの販売を行なっているサービスが見つかった。それは、FireSocialInstaMason/IWentMissingNexStore2019InstaGrowServantifyの5つだ。

悪いと知って井戸に毒を投げ入れる

私は、それらの企業はInstagramの規約に違反していることを知っているのか、スパムを配信することをどう正当化するのかを知りたいと思った。大抵のサービスは連絡先を伏せていて、顧客サポート用のメールアドレスだけが掲載されている。しかし私は、何人かの創設者に直接電話をかけることに成功した。

「私たちが行っていることは、明らかにサービス規約に違反しています」と、GoGrowthlyの共同創設者は、氏名の公表は拒否しながらも話してくれた。「私たちは彼らの無料のプラットフォームに便乗しているだけなので、彼らには何ひとつ利益はありません。Instagramは私たちを嫌っています。私たちは、顧客の位置情報に基づくプライベートなプロキシを利用しています。それが、あらゆる負担を軽減するための私たちの秘策です」というわけで、顧客のアカウントが停止されることはないのだそうだ。「Instagramとは慎重に足並みを揃えています。これは、SEO業者とGoogleとの関係に似ています。Googleは顧客に最大の結果を与えたいと考え、顧客は彼らに最大の結果をもたらしたいと考えている。じつに繊細なダンスなのです」と、Macurexの創設者Gun Hudsonは話していた。

EZ-Growの共同創設者Elonは、姓の公開を拒んだが、こう話してくれた。「(顧客は)いつも新しいものを求めています。最初はフォローといいねでした。今は、ストーリーに注目しています。Instagramが新しい機能を導入するごとに、私たちには、それを顧客にわかりやすく見せるという点で常に優位性があります」。EZ-Growは、広告費として1日500ドルをInstagramに支払っていて、それが、新しい顧客を開拓するための中核的な戦略なのだと彼は言う。SocialFuseの創設者Aleksandr(姓は非公表)は、InstagramとFacebookの広告費として1日数百ドルを使っていて、11月に彼の会社が行っているサービスの停止をInstagramが繰り返し訴えたときは、心配になったと言う。しかし、こうも話している。「もう停止は避けられないと覚悟したのですが、結局、何も起こりませんでした」

何人かの創設者は、スパム通知のサービスを擁護して、自分たちは少なくとも偽フォロワーを販売しているわけではないと抗弁している。自分のことは棚に上げて、MacurexのHudsonはこう言った。「やり方を間違えれば、利用者の楽しみを台無しにしてしまいます。そこには、下劣でスパム的な手法をとるマーケティング業者が群がっています。Instagramは、そうした業者の監視を続ける必要があります」。GoGrowthlyの創設者は私にこう明言した。「ターゲットを絞った交流によって、私たちは実際にコミュニティーにとって良いことをしています」と。またやはり姓の公表を拒んでいるWeGrowSocialの共同創設者Brandonなどは、競合他社であるSocialSensationalがフォロワーを売っていると告げ口したい風だった。

ただ、EZ-GrowのElonだけは正直だった。「ターゲティングは、適切な人を選ぶものなので……受け取った人は嬉しいはずです。スパムではありません」と話した後に、彼はあることに気がついた。「まあ、スパムと言えないこともないですが」

Instagramはついにスパム業者を追放

私たちの調査に応えて、Instagramの広報担当者は、私たちが発見した規約違反の広告やアカウントを停止する旨を正式に伝える長々とした声明文を発表した。その中で、Instagramは懸命に努力していると主張しているが、努力が足りないことも認めている。

スパム的なフォローや「いいね」やコメントを受け取って喜ぶ人はいません。Instagramでは、みなさまに本物の交流をしていただくことを何よりも重視しているため、このコミュニティーからスパム的な行いを締め出すよう懸命に努力しています。不正な「いいね」やコメントやフォロワーによってアカウントの人気を高めるサービス、およびそうしたサービスを宣伝する広告は、Instagramでは禁止しています。ここに示したサービスに対して私たちは、違反広告の削除、ページおよびアカウントの停止、ページへのさらなる広告掲載の禁止といった対策をとってきました。このうよな広告が、みなさまの目に触れる前に発見し、排除するためのシステムを私たちは複数導入していますが、私たちのプラットフォームに日々アップロードされる広告の数が膨大であるため、ときして、いくつかが網の目をくぐり抜けてしまことは避けられません。この件に関して、さらなる努力し、責任を持って改善を進める必要があることを、私たちは認識しています。

Instagramは、人気を高めるためのサードパーティーのアプリを利用しているアカウントを機械学習ツールを使って特定していると私に話してくれた。また、ユーザーが通知を受け取る前に、そのような不正な介入を排除していると主張している。そうしたサービスの効果をなくすことで、その魅力を失わせることができるとInstagramでは考えている。彼らは、公開される前に、画像、文章、そしてそれらすべての広告のリンク先のページを評価し、一部を人間の審査担当者に送るという自動化されたシステムを採用している。これにより、規約違反の広告のほぼすべてを捕まえることでき、そこをかいくぐったものは、ユーザーが通報できるようにしていると言う。

しかし、そうした広告や、それに関連するアカウントは、「フォロワーを集めよう」「Instagramのフォロワーを増やそう」「本物のフォロワー」「交流を拡大しよう」「承認を得よう」「交流の自動化」などといった、規約違反のサービスに強く結びついた言葉で満ち溢れている。そのことから、Instagramのこの問題に対する本気度が疑われる。彼らは最初から、スパムのボットや偽アカウントを見抜く、安価で、柔軟に規模の変化に対応できる技術的アプローチに頼ればよかっただけの話だ。行儀よく広告をスクリーニングしたり、人間の審査担当者を大勢雇い入れてネットワークを監視させる必要などなかったのだ。

そうした的外れなAIや技術的ソリューションに依存したがるのは、この業界の傾向のようだ。私が先日報告したように、子どもの性的虐待の画像はWhatsAppMicrosoft Bingで簡単に探すことができる。この2つの検索エンジンはどちらも、複雑なアルゴリズムでは見つけられない違法コンテンツを、常識で判断できる人間の審査チームが足りていないように思える。Instagramと同様、それらの検索エンジンも大変に儲かっている親会社の下にあり、規約を守らせるための予算はもっと使えるはずなのだ。

不正なサービスをInstagramから追放することは重要な一歩だが、もっと積極的にならなければいけない。ソーシャルネットワークとセルフサービス型の広告ネットワークは、あまりにも長い間、効率のいい金の成る木だとされてきた。そこから得られた利益は、今度はそれを取り締まるために振り向けられるべきだ。そうしなければ、我々の金や関心を盗み取る悪党どもを喜ばせるだけだ。

Instagramの未来に興味のある方は、この記事の著者Josh ConstineによるSXSW 2019の基調講演をご覧ください。Instagramの共同創設者Kevin SystromとMike Kriegerも、彼らが同社を去ってから初めて、ここで顔を合わせています。

 

Microsoft Bingは小児ポルノを見せるだけでなく、お薦めもしている(英語)

 

WhatsaAppが抱える暗号化された小児ポルノの問題(英語)

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(翻訳:金井哲夫)

LyftがGoogle幹部をエンジニア部門トップに引き抜き

ベテランのGoogle幹部Eisar Lipkovitzが、Lyftでエンジニア部門を率いるためにGoogleを退社する。彼は直近ではGoogleのビデオ・ディスプレイ広告チームを率いていた。

Lipkovitzは、今や1000人超に膨れ上がったLyftのエンジニアリングチームを代表取締役副社長として統率する。

Lyft、とりわけエンジニアリングチームは目をみはるほど成長していて、今回のLipkovitz採用となった。配車サービスを展開する同社のエンジニアリングチームの規模は昨年2倍になった。Lipkovitzとは別に、GoogleのエンジニアリングベテランだったManish Guptaも昨年8月にLyftのビジネスプラットフォームを構築するためにエンジニアリング担当副社長としてLyftに加わっている。

新体制ではLipkovitzがGuptaのボスとなる。

我々が生きている間で最も興味深いことの一つであり、世界を変えるエンジニアリングにLyftが取り組んでいることは明らかだ。そしてチームは、ライドシェアのために配車、マッチング、料金設定、マッピングといった並外れた仕事をした」とLipkovitzは話した。「Lyftが行なっていることと、極めて複雑なシステムを効率的に動かすことに注がれている私の情熱が互いに行き当たった。このチームに加わることができ、これにまさる喜びはない」。

LipkovitzはLyftの創業者でCEOのLogan Greenに直接報告する。Lyftの自動運転車テクノロジープログラムの副社長Luc Vincentとは別の系統となる。

Googleにいた15年間、LipkovitzはGoogleディスプレイ、ビデオ、アプリの広告プロダクトを制作するチームを率いた。Google Searchのインフラにも従事し、またAkamaiでも働いている。

Lyftは過去2年間、スタッフの配置と全米カバーを積極的に進めてきた。その取り組みは功を奏した。Lyftの配車アプリは米国の96%をカバーし、マーケットシェアは35%となった。

Lyftはまた、StarbucksやLAX、Allstate、Hewlett Packard Enterprise、JetBlue、Delta、Blue Cross Blue Shieldといった団体や企業とのパートナーシップを通じて企業向けのユニットLyft Businessを拡大させていると同時に、All-Accessという月極め購読のようなさまざまなプロダクトを展開している。

イメージクレジット: Smith Collection/Gado

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

無料でプレイできるゲームがエンターテイメントの世界を支配する、今やその売上は880億ドル

たしかにそれらは無料で遊べるかもしれないが、儲かるものであることは確実だ。SuperDataの年末のレポートによれば、入口は無料でありながら、様々な手段で課金を行うゲームたちが2018年に生み出した売上高は、880億ドル(約9兆6600億円)という驚異的な金額だった。従来のゲーム(や映画やテレビ)の売上をはるかにぶっちぎる結果である。

Fortniteが大ブレイクした2018年末の時点では、F2P(free to play:「無料プレイ」の略)がビッグビジネスであること自体は驚きではないかもしれないが、それでもその巨額さには驚かざるを得ない。

このレポートが示すように、ゲーム市場全体は驚異的な1100億ドルに達しているが、そのうち半分以上(約610億ドル)がモバイルから来ている。もちろんモバイルはF2Pプラットフォームの主たる発信地だ。

クレジット:SuperData

すべてのプラットフォーム合計で880億ドルという売上は、驚くべきトップ10と、長いロングテールを生み出すのに十分な額である。その中でもFortniteは、マルチプラットフォームに広がる巨大なフォロワーたちのおかげで、ダントツのトップである24億ドルの売上を稼ぎ出している。このゲームでは、PCとモバイル、アジアと西洋のゲームスタイルが入り混じっている。トップ10の売上合計は、146億ドルに達している。これはそれ以外の数千におよぶタイトルの売上に匹敵するほどの巨額さだ。

F2Pの売上の大部分はアジアから来ている。Tencentのような大手企業は、ゲーム内少額課金ベースのゲームを多数推進してきた。

これまで(その意味と意義が急速に失われつつある)「伝統的」なゲームは、個人がおそらく60ドルほど投資すれば、あまり大きな追加投資を行わずに遊ぶことができていた。こうしたスタイルは世界中のPCとコンソール上で合計160億ドル程度の売上を生み出していた。

一方、始めるために料金がかかるにもかかわらず、大きな売上を挙げているものの例は、「バトルロイヤル」ブームを引き起こした、PlayerUnknownの大人気作Battlegroundsである。これは1タイトルで10億ドルを稼ぎ出した。だがゲーム本体の売上とゲーム内少額課金の構成比率ははっきりしない。また驚くべきことに、5年前に発売されたゲームのGrand Theft Auto Vは、昨年およそ6億2800万ドルを生み出した(だがその売上の大部分は間違いなく、そのオンライン部分から得られたものだ)。

そうしたトップタイトルたちは、みなシリーズもので、その売上は西洋で売られているコンソールベースのものに偏っていて、アジア市場から得られる売上は(比較的)わずかな金額に留まっている。ゲームとその流通に関しては、中国はまったく異なる世界なので、これはそれほど驚くべきことではない。

最後に、YouTubeとTwitchの視聴者数の急増について触れないのは怠慢だろう。この両者を合わせれば、ゲーミングビデオの総売上の半分を占めることになる。また両者を比べるとTwitchの方がかなり先行している。しかし、本当の勝者はプレイヤーであるNinjaだ。これまでに彼は、驚くべきことに、のべ2億1800万時間の視聴時間をファンから稼いでいる。彼と他の人びとが、この奇妙で素晴らしい新市場で、生計を立てていることを祝福したい。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:sako)

双子のDNAを検査したらおかしな結果が出た…DNA検査は眉に唾して受けよう

【抄訳】
あなたが自分の唾液を真面目に郵送したことのある方なら、今のDNA検査企業が送り返してくる予想外の結果にも興味津々だろう。あなたの祖先は、イベリア半島でうろうろしていたのか? あなたの家族の何代にもわたる言い伝えの中に、科学が認めるものがあるとすれば、それはなんだろう?

メールオーダーのDNA検査を利用する人たちの多くは、その結果の背後にある科学について無頓着だ。なにしろ、それは科学だから。でも、DNA検査企業は強力な監督機関を欠き、自分たちのアルゴリズムをオープンにしないから、ユーザーが得たいと思っている先祖に関する知見が、これらの企業がそうでないと言えば言うほど、主観的であることもありうるのだ。

その点に関して、CBCのMarketplaceのホストCharlsie Agroと彼女の双子の妹Carlyが、5社のDNA検査キットを郵送してみた: それらは、23andMe、 AncestryDNA、 MyHeritage、 FamilyTreeDNA、そしてLiving DNAだ。

CBCはこう報告した: “事実上同一のDNAでありながら、この双子たちはどの企業からも互いに合致する結果をもらえなかった”。

このことに、驚くべきではない。各社が、それぞれ独自の試薬を使ってDNAを分析するから、違いが生ずるのは当然だ。たとえばある一社、FamilyTreeDNAは、双子のDNAの14%が中東起源とした。それは他の4社にはない結果だった。

それ以外では、素人でも予想できるような当たり前の結果が多い。しかし、23andMeのデータだけはおかしい。

CBSはこう言ってる:

23andMeの所見では、先祖が“大まかにヨーロッパ人”(“Broadly European”)はCharlsieがCarlyより10%近く少ない。Charlsieにはフランス人とドイツ人が各2.6%あるが、Carlyにはない。〔下図〕

この互いに同一の双子は、東ヨーロッパ人の継承も異なり、Charlsieの28%に対しCarlyは24.7%だ。そしてCarlyの東ヨーロッパ人の祖先はポーランドに結びついているが、Charlsieの結果にはこの国がない。

この双子は彼女らのDNAをエール大学の計算生物学グループと共有し、二つのDNAが統計学的に同一、と判定された。疑問に対して23andMeは、同社の分析が“統計的推定”だ、と言った。あなたが顧客なら、この言葉を覚えておくべきだ。

覚えておいた方がよいのは、その検査が正しい科学ではないことだ。対照群はないし、標本サイズは双子のDNAワンセットだけだ。ここから決定的な結果は導けない。でも、興味深い疑問が生ずることは確かだ。

アップデート: 23andMeのスポークスパーソンが次のような声明で、問題の結果のコンテキストを明かそうとしている:

CharlsieとCarlyの23andMeの結果の変位は主に、“大まかにヨーロッパ人”の推定値にある。このカテゴリーはわれわれのアルゴリズムが確信を持ってヨーロッパ人と同定できる層を捉えているが、国などもっと精密な分類の確信はない。双子の一方がより多くの“おおまかにヨーロッパ人”を持っていても、それは矛盾していない。それが意味するのは、一つの個体に関してはアルゴリズムが、より細かい粒度の予測をできるほどの確信を持っていなかったことである。たとえば双子の片方に関しては2.6%のフランス人とドイツ人を同定できたが、他方関してはゲノムのその部分が大まかにヨーロッパ人に割り当てられたのである。

同社が強調するのは、23andMeの先祖検査と健康診断のそれとの違いだ。後者はFDAの規則があり、その基準と精度と臨床的有効性を満たさなければならない。

双子の調査は長年、科学研究において重要な役割を担ってきた。たとえば双子の調査により、中毒や精神病、心疾患などさまざまな特性への生物学的影響と環境的影響の違いを研究できる。23andMeのような企業の場合は、双子の調査が〔今回のように〕同社の秘密のアルゴリズムの特質を明らかにし、ユーザーに対する今後の知見や、企業としての売上のアップに貢献するだろう。

【中略】

民間のDNA検査サービスは、祖先の判定だけでなく、将来の遺伝子病発病の可能性や、健康的な生活のためのアドバイスなど、‘商品’のメニューが多様化している。しかも検査の方法は年々変化し進化している。それとともに検査の‘結果’も変わる。

そこでもう一度言えば、CBCの非公式な実験は決して本物の科学ではなく、またDNA検査サービスもそうだ。ご自分の検査結果をどきどきしながら待っている方に申し上げたいのは、これらの企業がどうやってその結論に到達したのか、その方法や過程や理論について、われわれは知らないことが多すぎる。そのような営利企業を介してあなたの遺伝学的データが大手製薬企業の手に渡るとしたら、そこにはプライバシーをめぐる大きなトレードオフがある。こいつは、よーく考えてみたい問題だよね。

関連記事: 23andMeの祖先判定ツールが黒人や黄色人種に対しても詳しくなった

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa