SoftBankのDeepcoreと香港のZerothが提携――アジアのAIスタートアップの育成へ

アーリーステージのAIスタートアップを支援する2のプログラムが力をあわせることになった。AIの世界でも一人より二人のほうが心強いらしい。

有力デジタルメディアのAnimoca Brandsから投資を受けることに成功した香港のアクセラレータ、Zerothは、SoftBankグループのアクセラレータ、ファンドDeepcoreとリソースやディールの共有など密接な提携関係に入った。

DeepcoreはAI全般のスタートアップの支援、育成に力を入れている一方、ZerothAIと機械学習に特化したアジア初のアクセラレータだ。後者はAnimoca Brandsから300万ドルのベンチャー資金を調達しており、同時にZerothの運営会社の株式の67%を取得している。

一方、SoftBankは今年に入ってDeepcoreを設立し、AIスタートアップ支援事業に足場を築いた。DeepcoreはWeWorkと協力してコワーキング・スペース、インキュベータ、R&D施設を兼ねるKernel Hongoを運営している。 また投資部門としてDeepcore Tokyoを有している。

Zerothは2年前に設立され、3回のバッチですでに33社を育成している。参加スタートアップの株式を平均6%取得するビジネスモデルだ。卒業後サードパーティからの追加投資を受けるスタートアップもある。たとえば、Fano Labs(現在のAccosys)は香港最大の富豪と考えられている李嘉誠(Li Ka-Shing)のHorizons Venturesや日本のLaboratikから投資を受け入れている。

Zerothのファウンダー、CEOのTak Lo はTechCrunchに対して、「われわれのエコシステムが成長するのを見ることができて嬉しい。このエコシステムが目指すところは偉大な会社を築こうとするファウンダーによりよいチャンスを提供していくことだ」と述べている。

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滑川海彦@Facebook Google+

【以上】

フリマアプリ「Fril」創業者がエンジェル投資の課題解決へ「ANGEL PORT」ローンチ

ANGEL PORTの開発チーム。写真左からtakejune氏、堀井翔太氏、堀井雄太氏。3人は「Fril」を立ち上げたFablicの創業メンバーだ。

近年、国内スタートアップの資金調達ニュースに“エンジェル投資家(個人投資家)”の名前を見かけることがグッと増えてきた。それこそ数千万円規模であれば、VCや事業会社ではなくエンジェル投資家のみから資金を調達するようなケースも珍しくなくなってきている。

特に最近はここ数年でエグジットを経験した20〜30代のエンジェル投資家が目立つ一例をあげるとフリークアウトの創業に参画し現在はヘイの代表取締役を務める佐藤裕介氏、エウレカ(Pairs)創業者の赤坂優氏、コーチ・ユナイテッド(サイタ)創業者の有安伸宏氏、ペロリ(MERY)創業者の中川綾太郎氏など(カッコ内は代表的なサービス名)。

起業家側からすれば、資金だけではなくリアルな起業経験を踏まえた知見や独自のネットワークを持つ投資家に応援してもらえるのであれば、かなり心強いだろう。

前置きが少し長くなってしまったけれど、今回紹介するのはこの“エンジェル投資”に関するミスマッチや情報の非対称性を解消することを目指して立ち上げられた「ANGEL PORT」だ。

運営するのは2016年に楽天へと会社を売却したFablicの創業メンバー(当時フリマアプリ「Fril(フリル)」を開発)。特に同社で代表取締役を務めていた堀井氏は現在個人で複数のスタートアップに投資をしていて、冒頭で紹介した面々と同様にTechCrunchでも“投資家”として紹介したことがある。

本日正式ローンチとなったANGEL PORTは、いわば現役のエンジェル投資家であり起業家でもある堀井氏自身が感じた課題から生まれたサービスだ。2018年5月に先行登録を開始して以来、現在までに150社以上のスタートアップが登録。30名以上のエンジェル投資家が自らの投資先を公開している。

エンジェル投資家と起業家を繋ぐコミュニティ

ANGEL PORTはエンジェル投資家と起業家を結びつけるコミュニティだ。良質なマッチングを実現する仕掛けとして、大きく3つの特徴を備える。

  • エンジェル投資家が自身のプロフィールとポートフォリオを公開できる機能
  • 起業家が自身のアイデアをまとめられるピッチブックとメッセージ機能
  • エンジェル投資家の思考や原体験を掘り下げた長文インタビュー

機能自体は非常にシンプル。まずエンジェル投資家は、自身のプロフィールと投資先のポートフォリオを公開できる。これまでどんなスタートアップに投資をしてきたのか、どんな経歴を歩んできたのか、どんな領域の事業に関心があって、年間でどのくらいの会社に、どのくらいの金額投資をしているのか。

起業家はここに書かれた情報を基に自社にマッチしそうなエンジェル投資家を探し出す。とはいえ、プロフィールだけでは各投資家の個性や考え方まで把握するのは難しいこともあるだろう。それを“補完”する役割を担うのが、エンジェル投資家のインタビューコンテンツだ。

なんでもこのインタビューには堀井氏がどっぷりと関わっているそうで、人生の生い立ちから起業の原体験、投資をする際の基準までかなり細かく掘り下げている。堀井氏曰く「エンジェル投資家の人となりがわかること」が目的だ。

ここまでは起業家がエンジェル投資家の情報を得るための機能。一方でエンジェル投資家が起業家のことを理解するための機能として搭載されているのがピッチブックになる。

これは起業家向けのプロフィール作成機能に近い。「サービスのカテゴリ」「進捗状況」「(ユーザーの)課題/解決策」などあらかじめ用意された項目を埋めていくと、投資家が最低限知りたい内容を網羅したコンパクトなピッチ資料を作成できるというもの。中身は一度作ってしまえば何度でも使える。

ANGEL PORT上で気になる投資家を見つけた起業家は、作成したピッチブックとともにメッセージを送れば後は投資家から返事を待つだけだ。

エンジェル投資に関する機会損失や情報の非対称性なくす

さて、少し話は変わるのだけれど堀井氏はANGEL PORTのインタビューで「人が本当に欲しがるプロダクトを作れているか、をすごく重視する」とした上で、「ユーザーがどんな課題でそのプロダクトを使うのかや、誰に、何を提供しているのかがはっきり分かるプロダクトが良いなと思っています」と話している。

ではANGEL PORT自体は一体誰のどんな課題を解決するべく生まれたプロダクトなのだろうか。そんな質問をしてみたところ、最初のきっかけは自身や周りのエンジェル投資家が抱えていた課題にあったという答えが返ってきた。

「周りのエンジェルに話を聞いても、基本的にはTwitterやFacebookのDMで投資依頼のメッセージがたくさん来ている。ただその中には投資を検討する上で知りたい情報が極端に足りないもの、反対に必要以上に情報量が多かったり構造化されていなかったりして読むのが大変なものも少なくない。これを解決できないかと考えた」(堀井氏)

堀井氏自身も少ない時でさえ週に3〜4件はSNS経由で出資の相談が来るそう。エンジェル投資を始めた頃は多少情報が足りなくてもメッセージのやりとりを通じて細かくフォローするようにしていたそうだけれど、何往復もしているとそれだけでかなりの時間を要する。案件が集中したり忙しい時期と重なると、1件1件時間をかけて対応するのには限界がある。

他の投資家も同じような状況にあるので「事業内容などの前に『そもそも相手のことも考えながら容量を得たメッセージを送れているか』を見て、出資の判断をする」投資家もいるそう。「とはいえ送り方一つで決まってしまうのは業界としてはもったいないし、機会損失でもある」(堀井氏)と思ったことが、ANGEL PORTを作るひとつのきっかけになった。

また堀井氏は起業家側にとって「誰がエンジェル投資家なの知れる場所」がなく、エンジェル投資家側としても「自分がエンジェル投資をやっていることをオープンに表明する場」がないといった“情報の非対称性”にも課題を感じていたという。

だからこそANGEL PORTではエンジェル投資家が実名でポートフォリオを掲載。加えてピッチブックを通じて出資の判断に必要な情報をどんな起業家でも整理できる仕組みを整えた。

「ANGEL PORT」では実名で各エンジェル投資家の投資先や経歴などが公開されている

日本におけるAngelListのようなプラットフォームを

冒頭でも少し触れた通り、ここ数年でM&Aによるエグジットを果たした起業家がエンジェル投資家として活動するケースが増え、従来は少なかった若い年代のエンジェルも生まれてきている。堀井氏によると「数十万円単位でもエンジェル投資をしてみたいというニーズがあることにも気づいた」そうで、今後さらにエンジェル投資のマーケットが広がっていくと考えているようだ。

これは国内スタートアップにおける環境の変化も関係する。近年AWSなどのクラウドサービスや起業のノウハウ、資金調達環境など起業する際に必要となるインフラが整い始め、プロダクトを立ち上げるハードルも下がってきた。

だからこそ「グロースのスピードを重視するケースが増え、いかにノウハウを持っているチームを作れるか、強い応援団を巻き込めるかが重要になってきた」(堀井氏)と感じる機会が増えたという。ある程度資金を集めやすいからこそ、より事業を加速させるスキルや経験を持つ起業家の“先輩”的なエンジェル投資家の需要が高まってきているわけだ。

現在のANGEL PORTはミニマムの機能しか実装されていないけれど、今後アップデートが予定されている。今回の話の中では方向性として「日本におけるAngelListのような位置付けのサービス」を意識しているという話もあった(AngelListは2010年にローンチのスタートアップと投資家をマッチングするサービス)。

あくまで検討段階とのことだけど、たとえば「テレビCMを実施したことがある」「C2Cのプロダクトが得意」など投資家の強みに応じて検索をかけられるような仕組みや、少額からでもエンジェル投資ができるシンジケート(共同出資)のような概念、AngelListと同様にスタートアップの求人を支援する機能なども考えているそう。

ゆくゆくはVCが参加したり、スタートアップの従業員メンバーを登録できるようになったりする可能性もあるという。

「まずは自分自身にとっても手触り感のある課題から解決していきたい。今後も広がっていくエンジェル投資を支えるようなサービスを通じて、日本のスタートアップエコシステムの発展に貢献していきたい」(堀井氏)

最短1時間で届く買い物代行サービス「Twidy」が7000万円を調達

地域密着型の買い物代行サービス「Twidy(ツイディ)」を展開するダブルフロンティアは11月20日、東京電力フロンティアパートナーズと澤田ホールディングス(エイチ・アイ・エス創業者の澤田秀雄氏が代表取締役会長を務める持株会社)を引受先とした第三者割当増資により総額7000万円を調達したことを明らかにした。

今回は6月に実施したシードラウンドの追加調達という位置付け。前回プラネットより調達した5000万円と合わせ、同ラウンドでトータル1億2000万円を集めたことになる。

Twidyは“近所のスーパーでのちょっとした買い物”をクルーに依頼できる買い物代行サービスだ。ユーザーはアプリ上から欲しい商品と届けてもらいたい日時を選んで決済するだけ。リクエストを受けたクルーは商品をピックし、指定の場所まで配送する。

ローンチ時に「日本版のインスタカート」と紹介したように、インスタカートを知っている人にとってはイメージがつきやすいサービスかもしれない。

特徴は注文してから商品が届くまでのスピード感だ。配送エリアを近隣に絞って地域密着型にしていることもあり、最短1時間で自宅まで配送する。

たとえば9月6日にスタートしたライフ渋谷東店の場合は、11時から20時が目安の配達時間。この時間内であれば1時間単位で指定が可能だ。お昼すぎに注文すれば夕飯を作る時間には十分間に合うし、夕方になって急に足りない物が出てきても夜には届けてもらえる。

現在はライフ渋谷東店のみが対象のためサービスを利用できる人も限られているけれど、子育て中のお母さん達を中心に利用が進んでいるそう。ダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏によると「頼んだらすぐに持ってきてもらえる点が1番好評」とのことで、利用者の半分以上が再度利用しているという。

商品を届けるクルーについてはピック担当のピッキングクルーと配達担当のドライビングクルーの分業制。ピッキングはダブルフロンティアのパートスタッフが、配達に関しては日経新聞の配達員が担う。

これは前回も紹介した通り、実証実験時に配送スタッフがピッキングも含めて担当した結果、商品を間違えてしまうことなどの課題があったため。分業することでオペレーションは複雑化するものの「結果的にはユーザーの満足度向上に繋がり、それがリピート率の高さなどにも影響を与えている」(八木橋氏)そうだ。

11月からは試験的にピッキングの一部を“近所に住む個人ピッカー”が担当する取り組みも始めた。個人ピッカーには対応した件数に応じて報酬が支払われる仕組み。最終的にはこの層を増やして、ユーザー同士が協力し合う地域密着型の小さな経済圏を作り、各地に広げていくのが狙いだ。

今後ライフの別店舗や別のスーパーへの対応も計画していて、3月末までに5店舗くらいまで広げていきたいとのこと。ただし今は店舗数ではなく「ライフ渋谷東店できちんと成功事例を作ること」を重要視している段階。

「まずは勝利の方程式を確立した上で、拡大に向けて本格的に動き出したい」(八木橋氏)という。

Virgin Orbitの747、ロケット吊り下げ飛行に成功――LauncherONe衛星打上システムさらに前進

Virgin OrbitはLauncherOne発射母機のロケットを吊り下げて飛行することに成功した。これによりVirginグループの宇宙事業は新しい低軌道衛星打ち上げシステムの実現に向けてさらに一歩前進した。

この発射母機はVirgin航空を退役した747-400を改造したものだ。発射母機が翼下に全長21メートルのカーボンファイバー製の2段ロケットを吊り下げて飛行できることが実証された。

Virgin Orbitが来年に予定している実際の衛星打ち上げに向けてこのテストは必須の段階だった。

テスト飛行はカリフォルニア州ロングビーチの Virgin Orbit工場に近いモハーベ・エア・スペースポートで行われた。実際の衛星打ち上げもこのスペースポートが利用される予定だ。

Virgin Orbitのチーフ・テストパイロット、Kelly Latimer空軍中佐(退役)は声明で「今日の飛行は万事順調だった。機上のクルーも地上のスタッフも機体、吊り下げパイロン、ロケットそのものから得られたデータに大いに満足した。コックピットからの感触では機体は信じられないほどスムーズに反応した。シミュレーターで訓練されたとおりの反応だった」と述べた。

同社では、LauncherOneロケット搭載、非搭載、双方の状態で747-400母機の飛行テストをさらに数回続けるという。山場はドロップ・テスト、すなわち747母機(Cosmic Girlと命名されている)からロケットを実際に投下する実験だ。

ドロップテストでは747側システムの状態と共に自由落下状態のロケットの挙動についても詳細なデータを収集する。

 

Virgin Orbitは最近急速に数を増やしつつある低軌道衛星打ち上げを目指す民間企業の一つだ。これにはVirgin Orbitを始め、RocketLab、Relativity Space、ARCA、AstroSpace、Blue Origin、Generation Orbitに加えてロッキード・マーティンやノースロップ・グアマン(Orbital ATK)などの大企業も加わり、巨額の投資が行われている。

画像: Virgin Orbit

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Office 365とAzure、多段階認証がダウンして接続不能――Microsoftは復旧に全力

読者がMicrosoftクラウドのユーザーなら今朝はグッドモーニングという気分ではないだろう。

月曜の朝から世界的にMicrosoftの多段階認証システムがダウンし、クラウドに接続することができない事態が続いている。このサービスを利用しているユーザーは通常であればアカウント接続にあたってパスワードを入力するとテキスト・メッセージ、音声通話などにより認証コードが送られてくる。ところがパスワードを入力しても何も起きない。テキスト・メッセージも音声通話もその他の方法も一切沈黙だ。

Office 365の サービス・ヘルスのページでも「影響を受けたユーザーはサインインすることができない」と事態を認めている。

ダウンしてからそろそろ半日たつのにサービスはダウンしたままだ。

この記事の執筆時点で、Microsoftは多要素認証をクラウド・サービス本体から切り離すホットフィックスを導入し、一部のユーザーは運用を再開できたとしている。Microsoftでは引き続き「ユーザーが二段階認証が利用できなくなった原因の分析に全力を挙げている」としている。

しかし今のところはっきりした理由は分かっていない。TechCrunchではMicrosoftに問い合わせ中だ。回答があり次第アップデートする。

単なるパスワードによる保護に比べて、多段階認証はセキュリティーを大きく高めた。それだけにこの部分がダウンするとシステム全体のダウンを招いてしまう。セキュリティーが高いのはけっこうだが、ユーザーも接続できないほど高くては困る。やれやれだ。

〔日本版〕Microsoftのサポートページによれば、「ホットフィックスが全ユーザーに展開されるまでには時間がかかる」という。

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Googleは元Oracle幹部だったThomas Kurianに、クラウドビジネスの舵取りを託す

Diane Greeneは金曜日に、3年にわたって務めてきたGoogleのクラウドビジネスの責任者の地位を辞することを発表した。彼女の後継者であるThomas Kurianへの引き継ぎを助けるために、彼女は来年の頭までは留まる予定だ。KurianはOracleを9月の末に辞任しているが、Oracleには20年以上在籍していた。彼の責務はGoogleのクラウド部門をより企業向けなものにすることである。この目標へはこれまで同社はあまり上手く近付けていなかった。

Greeneは、Googleのクラウドビジネスに安定と企業向けの体質をもたらすために、2015年に着任した。彼女はその道筋にそった計画を押し進め、クラウドビジネスを成長させたが、結局十分な成果を挙げることができなかったのだ。Greeneが辞任を決める迄には、何ヶ月にも渡って、様々な不満が積み上げられて来ていた。

そのため、そのバトンが、Googleとはおそらく正反対性質の企業で20年以上を過ごしたKurianに渡されようとしているのだ。彼は、従来型の企業向けソフトウェア会社であるOracleで製品を担当していた。Oracle自身もまたクラウド企業に移行するために苦労してきた、しかし9月にブルームバーグがレポートしていたように、その当時Kuranが休暇をとっていた理由の1つは、Larry Ellison議長とのクラウド戦略上での意見の相違があったせいである。そのレポートによれば、KurianはAWSやAzure(そしてGoogle Cloud)といったパブリッククラウド上で、Oracleのソフトウェアを利用できるようにしたいと考えていたようだ。どうやらEllisonはそれに同意せず、その数週間後にKkurianは辞任を発表した。

Kurianのバックグラウンドは、Googleと完璧にマッチするものだとは見えないかも知れないが、彼の考えが進んでいたことは心に留めておくことが大切だ。また彼は数多くの製品を担当し、大切なOracleのクラウドへの移行を支援していた。彼は企業たちが望んでいる製品を上手に育成した経験があり、それこそが次のクラウドリーダーに対してGoogleが探していた知見なのかもしれない。

Constellation Researchの創業者兼主席アナリストのRay Wangによれば、Googleは企業支援についてまだまだ多くのことを学ばなければならない。そして彼はKurianがGoogleにそうした学びを行わせるための正しい人物だと信じているのだ。「Kurianは、クラウド会社が企業ユーザーたちにとって役立つためには、何が必要とされているかを知っています」とWangは語った。

もし彼が正しいとすれば、従来型の企業の幹部こそ、Googleがそのクラウド部門を企業向けの強固な組織に転換させるために求めていた人物だ。Greeneはずっと、クラウドとしてはまだ初期段階であり、Googleが未開拓の市場の一部を切り取るための時間ははまだ残されていると主張してきた。このことは金曜日の彼女のブログでも繰り返されたポイントだ。「クラウドの世界はまだ初期段階で、先々には巨大なチャンスが残されています」と彼女は書いている。

その点について、彼女は正しいのかもしれない。しかしマーケットシェアの位置付けは厳しさを増しているように見える。市場のトップを走るAWSは、大方の予測では、30%以上という巨大なマーケットシェアを握っている。Microsoftは現時点でAmazonに市場での強さで張り合える唯一の企業であり、Amazon以外で唯一の2桁の市場シェアを持つ企業でもある。事実として、Synergy Researchのデータによれば、Amazonは後続の4社を合わせたものよりも大きなマーケットシェアを握っている。

GoogleはAWSやMicrosoftと並んで、3大クラウド企業とは呼ばれているものの、およそ40億ドルの年間収益では、他の企業と同等のレベルに追いつくにはまだまだ時間が必要である。Greeneの主張にもかかわらず、勝つための時間は失われつつあるのかもしれない。おそらくKurianは、企業たちがより多くの作業負荷をクラウドに移行していく中で、未開拓の市場を手に入れる方向へGoogleを推し進める人物となるだろう。現時点では、Googleは彼がただそれを成し遂げることを期待しているのだ。

画像クレジット: Bloomberg
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(翻訳:sako)

3GSが「最も儲かるiPhone」だった?アップルの利益率が低下傾向にあるとのウワサ

eng-logo-2015年を追うごとに高価になっている印象のあるiPhoneですが、実はアップルの利益率はピーク時から下がっているとの分析が報じられています。

米テックニュースサイトThe InformationがTechInsightの計算したデータを元に作成したチャートによると、利益率がピークに達したのは2009年に発売されたiPhone 3GSだったとのこと。ここ数年のiPhoneは、小売価格が上がっている一方で利益率は60%前後に横ばいという、興味深い傾向が見て取れます。

The Informationの作成したチャートは、2007年発売の初代iPhoneから2018年のiPhone XSまで、毎年の代表的デバイスの小売価格および部品コストの棒グラフと、その利益率(小売価格-部品コスト/小売価格)の折れ線グラフを併記したもの。年々の端末価格と利益率の変化が分かりやすく確認できます。

このチャートでは、アップルの利益率はiPhone 3GSでの74%を頂点として、全体的には緩やかに低下。そして最低の利益率は、iPhone SEの53%となっています。2016年3月に発売された当時の価格は399ドルで、構成パーツの合計は186.70ドルということで、廉価モデルは利ざやの旨味が少ないようです。

一方、2016年のiPhone 8から2018年のiPhone Xまでの利益率は、およそ60%前後といったところ。つまりiPhone 3GS当時よりも「価格に対して高価な使用パーツ」ということで、製造コストをそのまま価格に反映しているわけではないことが伺えます。

とはいえ、このチャートには「アップルが、各モデルのストレージ容量ごとの差額でどれだけ儲けているか」は反映されていません。たとえばiPhone XS Maxの64GB版と512GB版の価格差は350ドルに対してコストは109ドル増に留まり「1台あたり241ドル余分に儲かる」との試算も報道されていました。

さらに今年2月、投資会社Canaccord Genuityは、アップルのiPhoneが全世界スマートフォン出荷台数の17.9%に過ぎないにもかかわらず、業界全体の87%もの利益を上げていると分析していました。

今回のチャートに反映されていない、製造コストの下がった旧モデルのiPhone(2018年であればiPhone 7やiPhone 8など)が、アップルの高収益体質を根強く支えているのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

生体認証Liquid関連会社で3Dスキャニングサービス提供のSYMBOLが1億円調達

生体認証・空間認識エンジン「Liquid」の研究・開発などで知られるLiquidの関連会社で、アパレルおよびフィットネス産業に3Dスキャンニング及びSizeCloudシステムを開発・提供するSYMBOLは10月5日、シードラウンドで日鉄住金物産ならびに三菱商事ファッションより約1億円を調達したと発表した。調達した資金をもとにSYMBOLは開発態勢を強化する予定だ。

SYMBOLは2016年12月、LiquidとDEFIANT代表取締役の今井賢一氏が合弁で設立。Liquidはこれまでに生体認証に関わる技術開発の過程で3Dスキャニングの画像解析の技術を蓄積してきている。一方、SYMBOLの代表取締役を務める今井氏は2012年からアパレルとフィットネス・ボディメイクの相関関係をソリューション化して提供するべく人体の3Dスキャニングシステムの研究を開始し、アメリカ最先端の3DスキャニングベンチャーにR&D資金を投じてきた。

SYMBOLの「3D Body Scanning System」は現時点のスペックでは20基のデプスセンサーで150万点群を5秒で取得、約40秒で3Dアバター生成から全身170ヵ所の計測値抽出が可能だ。マネキンを用いたスキャンデータ比較テストでは2000年代まで浜松ホトニクス社が製造していた高性能Body Line Scanner(光学式3次元計測装置)との計測値比較では+/-5mm未満までを実現し、なおかつアテンドスタッフ不用のセルフスキャニングを実現した。

前置きが長くなったが、ここでSYMBOLが何をやっている会社なのかを説明したい。

2017年には長年神戸のスポーツ科学研究所にて人体の3Dスキャンの研究をしていたASICSがSYMBOLのシステムを旗艦店で展開する「ASICS FITNESS LAB」に導入することを決定。このASICS FITNESS LABでは3Dスキャンを用いて体形や姿勢を分析・採寸した上で専門スタッフがランニングフォームなども測定し、その結果をもとにカスタムランニングタイツをオーダーすることができる。ASICSと同様に1980年代から自社の研究所にて3Dスキャニングを駆使し女性の体形を研究してきたワコールも今後国内100拠点にてSYMBOLのシステムを導入し、サービスの中核とする次世代型店舗を開発すると発表。また、パーソナルフィットネス大手のRIZAPの一部店舗でもSYMBOLのシステムで3Dスキャンから顧客の体形のビフォーアフターおよびトレーニングメニューを分析するサービスが提供されている。

2018年はZOZOがリリースした水玉模様の身体計測スーツ「ZOZOSUIT」が大きな話題となった。なので今年は「計測したデータをもとに顧客にカスタマイズした衣類」を提供する受注生産型アパレルの“元年”とも言えるのではないか。

そんななか、SYMBOLは「アパレルの設計から生産までの『モノづくり』にも、寸法だけではなく形状を伴う精緻な人体の三次元データが必要であり、スマホカメラでの撮影や既に所有しているアパレル製品を顧客自らが採寸した情報を基にアプリ等でサイズレコメンドを行うという、導入コストの低い簡易なシステムからは一貫して距離を置き、研究・開発を続けてきた」という。

SYMBOLの共同創業者でLiquid代表取締役の久田康弘氏は、徹底的に指紋データを収集検証し生体認証によるATMシステムまで開発してきた経験則から、縮む国内アパレル市場の中で大量生産大量在庫に身動きが取れなくなっているアパレル業界に関して「最初から低コストで中途半端な精度の体形データをアプリ等で収集しても、その先の機械学習やAIの活用に向けては結局回り道をする事になる」と話した。

一方、SYMBOL代表取締役の今井氏は「アパレルのサプライチェーンの中核に位置する両株主から学ぶアパレルのモノづくりのメカニズムをしっかりと把握し、3Dスキャニングシステムを介して収集したデータに時間(加齢ないしはダイエット・トレーニング期間)という概念を加えた精緻な4次元人体体形データが、確実にサプライチェーンと連携・活用されるようなソリューションを開発する事で、悩める巨人のような現在のアパレル産業の地殻変動に大きく貢献していきたい」と語った。

ミニアプリ構築サービス「Anybot」運営のエボラニがLINEなどから7000万円を調達

ミニアプリ構築サービス「Anybot」を運営するエボラニは11月19日、LINE Ventures、D4V、および個人投資家の有安伸宏氏などから合計で約7000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。

中国出身の代表取締役 宋瑜氏が率いるエボラニは2018年3月に設立された。宋氏はミニアプリを「中国でテンセントが運営するメッセージングアプリWeChat上で拡大した新たなマーケティング・顧客管理手段のひとつ」だと説明。同氏の説明によると、企業はWeChat上にアカウントを設け、アカウントにEC、決済、予約などウェブやアプリと同等の機能を追加する。結果、メッセージングアプリ上で簡単かつ効率的に顧客管理をすることが出来るようになる。同氏は「僕たちはこのトレンドの可能性を強く信じていて、日本に持って来たいと考えた」と話した。

エボラニによると、中国のWechat上には1000万以上の企業アカウントが開設され、100万以上のWeChat上で機能する軽量アプリ(ミニアプリ)が誕生しているという。

エボラニが提供するミニアプリ構築基盤のAnybotは多言語・多プラットフォームに対応しており、外部API連携も柔軟に行える。顧客管理(CRM)およびマーケティングオートメーション(MA)機能によりパーソナライズされた自動接客対応が可能で、セグメント別の顧客管理等を実現した統合的なソーシャルマーケティング・顧客管理ツールとなっている。今後はLINEを始めたとしたSNS上で予約、決済、アンケートなどができる追加機能も提供される予定だ。業界別のデモや機能概要に関してはホームページに動画が用意されているのでそちらも参考にしていただきたい。

エボラニは2018年3月に設立されたばかりだが、既に複数の業界100社以上向けに提案を実施し、いくつかの日本国内および国外の企業が導入を決定している。今後は様々な業界のパートナーと手を組み、業界・業務特化型のソリューションを展開していく計画だ。

今回のエボラニへの投資はLINEにとってミニアプリ領域に対する初の投資となる。今後は両社の「多方面での業務提携」が期待できるそうだ。また、IDEOのデザイン・ブランディング面の指導をもとに、世界展開を見据えたブランディング戦略の構築を進めていくという。

京大発の“大気計測技術”でドローンの安全運航を支援、メトロウェザーが2.2億円を調達

日本郵便が11月7日から福島の一部地域で始めた“ドローンによる郵便局間輸送”が、国内初の目視外飛行ということもあり話題を呼んだ。

近年、物流を始めインフラ点検や測量、農業など人手不足が深刻化する業界においてドローンが注目を集めている。日本郵便のケースでは約9km離れた郵便局間を2kg以内の荷物を積んだドローンが行き来するというものだけれど、従来は人が担っていた役割をドローンと分担する事例が徐々に増えていきそうだ。

このように今後様々な領域でドローンが活躍していくことを見据えた際、大前提となるのが「ドローンが安全に運航できる」こと。特にドローンが飛行する地上付近は風の影響を強く受けるため、その状況を高精度に観測する技術が欠かせない。

今回紹介するメトロウェザーは、まさに京都大学の研究をベースとした大気計測装置によってドローンの安全運航を支えようとしているスタートアップだ。

同社は11月19日、Drone Fund、リアルテックファンド、個人投資家を割当先とする第三者割当増資とNEDOからの助成金により、総額で2.2億円を調達したことを明らかにした。

通り1本ごとの風の乱れも測定する技術

メトロウェザーは2015年の設立。京都大学で気象レーダーを用いた乱気流の検出・予測技術の研究開発などを行なっていた代表取締役CEOの東邦昭氏と、京都大学生存圏研究所助教の古本淳一氏が2人で立ち上げた。

現在同社ではリモート・センシング技術と信号処理技術を基に、上空や海上における風の情報を高精度に測定する独自のドップラー・ライダーを開発している。

ドップラー・ライダーとは光を使って大気を測るシステムだ。具体的にはレーザー光を大気中に発射。その光がPM2.5などの微粒子に当たりドップラー・シフトして返ってくる(反射してくる)ものを受信し、風の情報に焼き直す。微粒子は風に乗って動いているため、ドップラー・シフトを見ることで風の動きもわかる仕組みだ。

東氏によると気象学においては高層大気の研究が比較的進んでいる一方で、ドローンが飛ぶような低層大気においては未解明な部分が多かったのだという。これは「低いところの方が建物や橋など障害物の影響を受けやすく難易度が高いから」で、難しいからこそ低層大気の状況を測定できる技術にはニーズがある。

たとえばゲリラ豪雨の予測など都市の防災や洋上風力発電事業を検討する際の風況観測、航空機の安全運航などいろいろな用途で使えるそう。ドローンもその一例だ。ドップラー・ライダーはビルの影や橋のたもとなど至る所で発生している風の乱れを測れるため、ドローンの安全運航をサポートするシステムにもなりうる。

ここで付け加えておくと、何もドップラー・ライダー自体は新しい技術というわけではない。すでに製品化されているものだ。ただし古本氏が「価格が高く、1台で約1億円するものもある」と話すようにコスト面がネックになっていたことに加え、サイズもより小型化できる余地があった。

「自分たちはライダーをばら撒きたいと考えている。そのためには価格を数百万円までに抑え、ビルの屋上に置けるようなコンパクトなものを作らなければならない」(東氏)

特にドローンとの関係においては、この“ばら撒く”というのが大きなポイントになるそう。たとえば都市部の複数のビルに、複数のライダーを設置することで「通り1本ごとの風の乱れまで細かく把握できるようになる」(古本氏)からだ。

出発点は野球場1個分の大型レーダーから

この点については今回Drone Fund代表パートナーの大前創希氏にも話を聞けたのだけれど、やはり低空領域の気象状況を高い解像度で、かつ即時に測定できることが重要なのだという。

「都市部で高層ビルの間をドローンが飛べるようにするには、そもそも高層ビルの間の気象状況を細かく把握できないとどうにもならない。そのためにはライダーを1台置けばいいというものではなく、複数台設置していくことが必要だ。1億円のライダーをポンポン設置するのはハードルが高いが、数百万円なら可能。だからこそ価格を下げられる技術を持ったチームであることが重要になる」(大前氏)

メトロウェザーの強みはかねてから研究を重ねてきた信号処理技術にある。もともとレーダーを用いてノイズだらけの状態から有益なデータを取得する研究をしてきたため“ノイズを取り除く技術”が高い。結果として弱いレーザーからもしっかりとしたデータがとれるので、低価格や小型化も実現できうるのだという。

ここに至るまでの歴史を紐解くと、メトロウェザーのチームはものすごく大きなレーダーの施設からデータを収集しつつ、どんどんサイズを小さくしていった経緯があるそう。東氏曰く「出発点は野球場1個分の大型レーダー」から。古本氏がコアとなっている技術の研究を始めたのは約20年前、東氏がポスドクとして古本氏の研究室に加わってからでも約10年が経つ。

今はレーダーからライダーに変わってはいるものの、長年の研究で培った技術やノウハウは変わらず活かされている。

ゆくゆくはライダーを作る会社から、データを扱う会社へ

左からDrone Fund最高公共政策責任者の高橋伸太郎氏、 Drone Fund代表パートナーの千葉功太郎氏、メトロウェザー 代表取締役CEOの東邦昭氏、 同社取締役の古本淳一氏、リアルテックファンドの木下太郎氏

同社のプロダクトは日常生活において多くの人が直接触れるようなものではないけれど、ドローンが安全に飛ぶためのインフラとして重要な役割を担う。Drone Fundで最高公共政策責任者を務める高橋伸太郎氏も「今後ドローンが社会的な課題解決ツールとしていろいろな場面で活用されていく中で、気象状況を把握できる技術は絶対になくてはならない存在」だと話す。

「レベル3、4の物流や広域災害調査を実現する上では『いかに気象状況を把握して安全なフライトプランを立てられるか』が重要だ(レベル3は無人地帯での、レベル4は有人地帯での目視外飛行)。そういった所でメトロウェザーの情報が必要になる。さらに先の未来の話をすると、空飛ぶクルマが人を運ぶようなエアモビリティ社会においても、低高度における天気の情報は不可欠だ」(高橋氏)

メトロウェザーでは、今年から来年にかけてまず洋上風力発電領域での利用を見据えたハイスペックなドップラー・ライダーを提供していく計画。並行して、調達した資金を基に小型の試作機作りにも取り組む。

将来的に製品化が進んだ先には「ドローンの飛ぶところを一網打尽にしたい。データを網羅的に確保してドローンが安全に飛べて、堕ちない社会の実現を目指していく」(古本氏)方針だ。

「(ライダーをばら巻くことができたら)メトロウェザーはライダーを作る会社から、だんだんとデータを扱う会社に変わっていき、データビジネスを展開するようになると考えている。たとえばドローンを運航する人に対してリアルタイムに風の情報を提供したり、ドローンの管制をする人にも同じような場を提供したり。今までは測定が難しかった低層領域の風のデータを扱うことで、ドローン前提社会に貢献していきたい」(東氏)

急増するライブコマース市場の全体図、2018年版カオスマップが登場

企業ECのHTMLに数行のコードを書き加えるだけでライブコマースの機能を追加できるクラウド型ライブコマースサービス「TAGsAPI」。同サービスを提供するMoffly(モフリ)は、「ライブコマース・サービス カオスマップ」の2018年版を公開した。

同社はここ数年で急増するライブコマースサービスを、SaaS型、越境EC型、ECモール型、SNS型など全11種類に分類。「2018年はECモール型とキュレーション型以外に、越境EC型、SaaS型などのサービスが増加した」とコメントしている。また、ライブコマースの運営を支援する“黒子”サービスも増えており、今後も新たな企業による参入や領域自体の成長が見込まれるとしている。

Pepperの次はR2-D2みたいな掃除ロボ、ソフトバンクが第2弾「Whiz」を発表ーー月額2万5000円

ソフトバンクが初めに発表した人型ロボット「Pepper」はさまざまな事ができる万能型だったけれど、今日発表されたばかりの第2弾ロボは、たった1つだけの使命を与えられてこの世に生まれてきたみたいだ。

ソフトバンクロボティクスは11月19日、オフィスや業務フロア向けのバキューム掃除ロボット「Whiz(ウィズ)」の申し込み受付を2019年2月に開始すると発表した。カーペットなど床の清掃を目的とした自律走行ロボットだ。

本体には乾式バキュームクリーナーが搭載されているので、ルンバなどの他の掃除ロボットとは違って縦に長い機体が特徴だ。ハンドルを引き伸ばした時なんかは、掃除機そのもの。もちろんコミュニケーションも取れないし、レイア姫のホログラムも映してくれないけれどR2-D2に似ているので個人的には親近感が持てる。

使い方はかんたん。最初にWhizを手押しして清掃エリアを学習させてあげると、自動的にエリアの地図データを作成して記憶する。一度ルートを作成したあとは、スタートボタンを押すだけで地図データをもとに自律走行してくれる。本体には複数のセンサーが搭載されているため、人や障害物に衝突してオフィスの厄介者になってしまうこともない。

手押しをして地図データを覚えさせるというのは一見スマートには思えない方法だけれど、ロボットに触れたこともない人たちでも簡単にWhizを使いこなせるという点では非常に優しい設計だと思う。

ソフトバンクロボティクスは、2019年3月から開始予定のレンタルプランも併せて発表。60ヶ月の貸し出しで月額は2万5000円だ(ロボット手続き手数料の9800円が別途必要)。保証などのオプションサービスの詳細はまだ明らかになっていない。

ソフトバンクはこれまでにも、「AI掃除PRO」という自動運転技術「BrainOS」を搭載した自動運転清掃・洗浄機を利用するためのサービスを提供してきた。同サービスに対応するロボットとしては、2018年8月に発売した「RS26 powered by BrainOS」に続きWhizは2機目となる。最後にWhizの仕様テーブルを下に載せておくので、参考にしてほしい。

 

イーロン・マスク、トンネル工事の残土で作るブロックを店舗販売へ

イーロン・マスクは過去いくぶんクレイジーで、信じられないような発言をツイートしているが、ブロックについて冗談を言っているわけではなかった。TechCrunchが入手した公的書類によると、マスクはブロックを作って販売するThe Brick Store LLCという会社を設立している。

7月に設立された新会社は、SpaceXの元エンジニアでThe Boring Company(TBC)を経営しているSteve Davisが舵取りすることになっている。

TBCは新たなトンネル掘削と輸送テクノロジーを手がけていて、ブロックはトンネルを掘削して掻き出される土で作られる。イーロン・マスクは、ブロックの値段はわずか10セントになり、手頃価格の住宅プロジェクトにつながるかもしれないとツイートしている。

Brick Storeの最初の実店舗は、Teslaのスマートなデザイナーショールームからは程遠いものになりそうだ。ロサンゼルス郡南部のHawthorneに提出された計画書には、TBCやSpaceX本部から約1マイル離れたところの荒廃した化粧漆喰の建物が示されている。近づきがたい黒い鋼の安全格子が“入り口や窓のアクセントに活用される”と、TBCは建物をリノベするための申請書に書いている。

こうしたデザインにもかかわらず、TBCはこの建物を美的アピールのために選んだのではない。この建物ー以前はキッチンキャビネットの事業に使われていたーは、TBCが初のテストトンネルから掘削機械を抜き出すために掘っているトンネル出口真上に位置する。このトンネルはLoopという、人や車を乗せた独立式電動スケートが最高時速150マイルで走るという地下交通システムのショーケースとなる。

トンネルは元々、SpaceXの隣の駐車場の建物から2マイルほど公道の地下を伸びる計画だった。しかしながら今年4月、TBCは計画ルートの中程にあたるHawthorneの角地を、子会社を使って密かに200万ドルで購入していた。

7月、TBCはその角地にトンネル掘削機械を取り出すためのシャフトをつくる許可をHawthorneに申請した。トンネル掘削機というのは後ろには進めず、取り出しシャフトがなければ掘削の最後にマシーンを捨てることになるからだ。

同じ月、マスクはThe Brick Storeを設立した。州に提出した書類によると、目的は“ブロックの製造・販売”だ。TBCはすでにトンネル残土でできたブロックによる構造物を造り、マスクは15日、これら構造物はトンネル入り口に設ける監視塔に使われるだろうとツイートした。

トンネル掘削残土を価値ある商品に変えるというのは、マスクの環境を重視する傾向にあっているーそしてTBCは、それら残土を処理する費用を節約できる。TBCはさらに、このブロックをトンネルのライニングそのものの一部に活用できるかもしれない、としている。マスクは先日、トンネルは12月10日に正式にオープンすると明らかにした。

この件について、TBCはコメントの要請にはすぐさま応えなかった。

残土でできたブロックは通常、compressed earth blocks(圧縮土ブロック、CEB)と呼ばれ、その歴史は古代にさかのぼる。CEBはまだ今日でも発展途上国で使用されていて、カリフォルニア州とニューメキシコ州では建築基準で認められている。しかしそれでもなお、CEBマーケットはかなり小さいーそれはおそらくCEBの建物は建てたり、配線したり、断熱材でカバーしたりするのが難しいからだろう。

Dwell Earthは、残土と少しのセメントを混ぜたものに圧をかけてCEBを作る機械を販売している。

「イーロンは、エネルギーと才能でもって大きなチャレンジに立ち向かおうとしているようだ。我々がそうであるように、イーロンが[CEBについて]張り切っているかもしれないというのは嬉しい」とDwell Earth創業者のBob de JongはTechCrunchに対しこう語った。

TBCは今年初め、マスクから1億1200万ドルを受け取った。これらの資金は、ドジャースタジアムをLAの地下鉄につなげるループ、シカゴとオヘア空港を結ぶループ、さらにはワシントンD.C.とメリーランドを結ぶという野心的な通勤ループなどを含め、米国中でいくつものトンネルを掘るのに使われることになる。

ただ、これらのプロジェクトは、米国と中国の間で加熱している貿易戦争のために、反対にあうかもしれず、少なくなとも遅延するかもしれない。

TBCの弁護士は7月、トランプ大統領が中国製トンネル機械パーツに課す関税により、プロジェクトが最大2年遅延し、これにより雇用機会が失われる、と米国通商代表宛に書いている。TBCは、まだ正式に発効していないこの関税から免除するよう求めた。

もし、残土をリブランドしてCEBマーケットを構築できる人がいるとしたら、それはイーロン・マスクだ。しかしもしThe Brick Storeが火星ミッションや地球保護のための十分な資金をつくれなくても、少なくともこのブロック事業は“火炎放射器でない”という以上に少しは実用的だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

ブロックチェーン・ゲーム盛況、Mythical GamesがシリーズAで1600万ドル調達

ブロックチェーン・ゲーム盛況、Mythical GamesがシリーズAで1600万ドル調達
Fortnite。この無料マルチプレーヤー・サバイバルゲームはゲーム内のバーチャル購入だけで驚異の10億ドルを稼いだ。そして今ゲーム業界では、別の誰かがどうすればゲームの新しいトレンドで自分たちも儲けられるかを実験している。

今日(米国時間11/18)ステレスモードを終えてシリーズAラウンドで1600万ドルを調達したスタートアップMythical Gamesは、未来のゲームではユーザー生成コンテンツやプレイヤー、コンテンツクリエイター、ブランド、デベロッパーらが親密に結びつくのが当たり前になると考えている。Mythicalはこのベンチャー資金を使ってPC、モバイル、ゲーム機向けゲームをブロックチェーンプラットフォームEOSIO上に構築する。そこはデベロッパーが「プレイヤーが経済を所有する」ゲームを開発するためにも解放される。

Mythicalはゲームの初期ラインアップがについても近く発表する予定。

Mythicalはゲーム業界のベテラン集団が率いている。最高経営責任者のJohn Lindenは元Activisionのスタジオ責任者でNianticが買収したSeismic Gamesのプレジデントも務めた。他の幹部には、コンプライアンス責任者で同じくActivisionの元スタジオ責任者Jamie Jackson、プロダクト責任者で元Yahooプロダクトマネジメント・ディレクターのStephan Cunningham、ブロックチェーン責任者で元Blizzard(Activisionの子会社でWorld of Warcraftの開発で知られている)のシニアプロデューサーRudy Kockらが名を連ねる。チームメンバーらは過去にCall of Duty、Guitar Hero、Marvel Strike Force、およびSkylandersなどのゲームを送り出してきた人たちだ。

Galaxy DigitalのEOS VC FundがMythicalの調達ラウンドをリードした。今年設立された3.25億ドルのファンドは、EOSISブロックチェーン上で開発するスタートアップへの戦略的投資を通じて、EOSIOエコシステムの拡大に焦点を絞る。Javelin Venture Partners、Divergence Digital Currency、暗号通貨交換所のOKCoinなどもラウンドに参加した。

投資家たちがゲームビジネスの盛り上がりに興奮しているは、Epic GamesやTwitch、Discordらの成功を踏まえれば当然のことだ。

Epic Gamesは社会現象になった同社のゲームFortniteのおかげで、先月末12.5億ドルの調達ラウンド完了した。KKR、Iconiq Capital、Smash Ventures、Vulcan Capital、Kleiner Perkins、Lightspeed Venture Partners 他も同ラウンドに参加した。ゲーマー向けチャットアプリケーションのDiscordは、4月に16.5ドルの評価額で5000万ドルを調達し、Benchmark Capital、Greylock Partners、IVP、Spark Cpital、およびTencentが投資した。ブロックチェーンベースのゲームCryptoKittiesで知られるDapper Labsも今年VCラウンドを行い、Venrockのリードで1500万ドル調達し、GVとSamsung NEXTも参加した。

PitchBookによると、今年ベンチャーキャピタル全体で18億ドルをゲームスタートアップに投資した。。

画像クレジット:Jasmin Merdan / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft、ディスクレスXbox Oneを発売か?

Thurottの最新記事によると、MicrosoftはXbox Oneファミリーの新しいコンソールを開発しているらしい。この低価格モデルは通常のXbox Oneのゲームをプレイできるが、Blu-rayドライブはない。

これによってエントリーレベルのXbox Oneの価格を下げることが可能になる。Xbox One Sの公式価格は299ドルからだがAmazonでは250ドル前後で見つかる。ディスクレスXbox Oneなら199ドルからにできるかもしれない。

Xbox Oneとゲームディスクを持っている人は、公式販売店に行ってディスクをデジタル・ダウンロード用コードと交換することも考えられる。通信速度の遅い人のために、新しいXboxには大きなハードディスクドライブが付いてくることを期待したい。

2013年にXbox Oneを発表したとき、Microsoftはデジタルゲームを強く推進しようとしていた。当初の計画ではゲーム媒体はユーザーのXboxアカウントに紐付けられていた。その後、ディスクを入れなくてもプレイできるようになった。さらにMicrosoftは、ゲームディスクを30日間友達に貸し出せる方法も計画していた。

その後反発を受けたMicrosoftはこの計画を断念し、従来の方法に戻した。しかしあれから5年が過ぎ、デジタル・ダウンロードはこれまでになく普及し、インターネットの接続速度もこれまでになく速くなった。

Microsoftは将来のゲームはサブスクリプションベースになるとも考えている。 Xbox Game Passを定期購読すれば数十種類のゲームを月額10ドルで利用できる。Xbox OneでEA Accessを購読することもできる。最終的にはストリーミングサービスのサブスクリプションがXboxそのものに取って代わることも考えられる。しかしまだそこまでは行っていない。

Thurottによると、MicrosoftはXbox One Sの改訂版も準備中で、少し安くなるかもしれないという。こちらには従来どおりディスクドライブが付いてくる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

話題のAlexa電子レンジを使ってみたけれど…いまいち

私は一般にAlexa、そして音声コンピューティングのファンだ。しかし、AmazonがAlexaを電子レンジに持ってくると発表したとき、どんなものかなと訝った。音声コンピューティングの価値というのは、ニュースや情報、音楽を入手したり、空調を操作したり、Echo Showでセキュリティカメラの映像をのぞいたりといったスマートホームでできるようなシンプルなタスクを行うことにある。しかし、電子レンジ? 本当に?

電子レンジというのは、キッチンで最もありふれた電化製品の一つだ。従来のオーブンに比べ、恐ろしいほどに使い方はシンプル。

しかしながらAmazonはそうは思っていないらしい。

消費者は電子レンジの進歩したセッティングーそれらは必要以上に複雑だーを十分に活用していない、とAmazonは思っている。それを手伝うのがAlexaだ、とAmazonは言う。

「多くの人は、電子レンジができる全ての機能を使っていない。プリセットや、もっとできるはずの複雑な料理は多くの人にとって手に負えないものになっている」とAmazonデバイスの副社長Charlie Tritschlerは語る。「そして、往々にして人々は“30秒加熱”のボタンを何回も押すだけで終わっている」と続ける。「(電子レンジは)ポップコーンのようなシンプルな料理にもってこいだが、何かを解凍したり他のプリセットを使いたい時、ユーザーは時にマニュアルを参照しなければならない」。

もちろん、それに例外がないわけではない。おそらく、いくつかの電子レンジはすごく直感的なインターフェースを持っているわけではないだろう。しかし学習カーブは急ではない。強さを設定したり何ポンドの肉を解凍しようとしているか入力することを学んだら、大体においてその知識を後のためにとっておく。

しかしもしあなたが、電子レンジの操作は手強いと感じているのなら、音声でアクティベートする電子レンジを活用する価値はあるかもしれない。操作にかかる時間が同じだろうが、少なかろうが、“楽しい”と感じれば消費者の中には購入する人もいるかもしれない。多分(???)。

残念ながら、それは全く楽しいものではなかった。

実際のところ、往々にしていらただしかった。

Alexa電子レンジはEchoのようなものではない。Alexaコネクトキットテクノロジーを活用していて、どちらかというとEchoのコンパニオンデバイスだ。使うには、電子レンジをEchoスピーカーとペアリングしなければならない。そうして、“Alexa”で始まる音声コマンドで操作したり、あるいはボタンを押してコマンドの“Alexa”部分を省略したりできる。

そして、発見したのだが、Echoスピーカーはまた、電子レンジの近くに置いておく必要がある。最初に、リビングルームにあるAlexaに向かって叫んでみたのだが、私の家はオープンフロアにもかかわらず、その半分は届いていなかった。これは、Alexa電子レンジを使うにはキッチン専用のEchoをおそらく買う必要があることを意味する。

Amazonがこの電子レンジをお試しで貸してくれたのは1日だけだったので、より素敵なレシピは試していないーおそらくそこに価値があると思われるーしかし我々の最初の感想というのは、Amazon.comの未来のトップセラーというよりAlexaテクノロジーのデモに近いものだった。

AmazonBasics電子レンジそのものは、小型の700W卓上デバイス(17.3 x 14.1 x 10.1インチ)で、重さは21.9ポンドある。パワーは10段階で、Amazonの最新のwi-fiシンプルセットアップをwi-fiネットワークに接続するー正直、このwi-fiシンプルセットアップが最も感銘を受けた機能だった。AmazonBasics電子レンジの小売価格は59.99ドルだ。

このレンジをオンにすると、まず時刻の0:00が数秒点滅する。そして正しい時刻に設定する。すると、Echoとペアリングする用意が整ったとしてAlexaアプリに新デバイスが検出される。今後の全ての製品がこのように簡単なセットアップであってほしい。

この電子レンジにはリングとターンテーブルも含まれる。そしてマニュアル操作のために正面に標準のボタンがある。一番下にある“Ask Alexa”ボタンに加え、時間と重さによる解凍ボタン、パワーレベルボタン、ポップコーン専用ボタン、タイマー、スタート/ストップ・一時停止ボタンがある。

また、Amazonの補充サービスを通じてポップコーンを再注文できるように電子レンジを設定できる。しかしこれを利用するには、ポップコーンがいつものブランド、いつものパックサイズである必要がある。私はおそらく他の人と同じくらいポップコーンが好きだが、なしでも大丈夫だ。しかしながら、もしあなたが大のポップコーン好きなら…たぶんこの機能はあなたのためのものだ。

この電子レンジを使ってみた限り、あらゆる音声コマンドに反応した。たとえば、「Alexa、コーヒー1杯を温めて」「Alexa、スープ1杯を温めて」「Alexa、ジャガイモ2つを加熱して」「Alexa、ディナープレート1皿を温めて」「Alexa、8オンスのパスタを温めて」などなど。これらはすべて電子レンジについているいくつものクイック調理プリセットのおかげだ。

また、Alexaに調理時間を指示して温めたりすることもできる。

Amazonがつくったコマンドセットから察するに、人々はそれぞれの食品をどれくらい電子レンジにかけたらいいか知らないようだーディナープレートの再加熱? コーヒー1杯? パスタ?

しかし実際には多くの人はおそらくプレート(またはカップ)を見て推測でき、電子レンジにかけるために1分、2分、3分、あるいはもっと、必要に応じて数字のボタンを操作するはずだ。

おそらくパワーレベルを調整するのに時間をかければ、より良い調理となるーしかしもっと“良い”ものにしたいのなら、本物のオーブンを使うはずだ。

いずれにしろ、ボタンひとつを押すというのはオーブンを扱うより随分シンプルだ。

ひとたびセットアップが終わると、他のスマートホームガジェットのように、Alexaコマンドを使えるようになる(“Alexa”の後にコマンドが続く)。または、電子レンジに付いている “Ask Alexa”ボタンを押すとAlexaと呼びかけなくても命令できる。

えーっと、最初にマニュアルを読まなかったのだがー人々は読まない! とAmazonが指摘していたことだー私は今回もそれがあてはまると初め気付きさえしなかった。

なので、“Alexa”音声コマンドにレンジが思った通りに反応しなかったとき、私は最初、“Ask Alexa”ボタンを毎回押す必要があるのかと推測した。

しかしそうではなかった:間違ったコマンドを言っていただけだった。この場合では、正しい音声コマンドはこうであるべきだった:“Alexa, microwave for 2 minutes(Alexa、電子レンジを2分かけて)”。ボタンを押してからのコマンドの場合は、「2分」だけであるべきだった。

「Alexa、2分」というコマンドはタイマーと勘違いされるかもしれないということを今は理解している。しかし、Alexaには私がレンジのドアを閉めたばかりということがわからないだろうか。論理的に、そしてAIパワーで。(結局、Alexaは“ドア感知”のような能力は備えているようだ。レンジをしばらく使わなかった後で、私はAlexaに何かを温めるように命令したー私はレンジの中に水の入ったカップを置きっ放しにしていたーそしてAlexaは電子レンジのドアがあまりにも長くしまったままだと指摘したー残念ながらAlexaはコマンドを実行しなかった)。

マニュアルを読んだ後、自分の過ちに気付き、私はようやくボタンあり、なしどちらでもレンジを使えるようになった。

しかし時々Alexaのコマンドを理解する能力は困惑させるようなものだった。

たとえば、Amazonのマニュアルでは、電子レンジ調理中に音声で命令できるとある。しかしレンジ作動中に私が「Alexa、30秒追加して」と言った時、Alexaは「それはわかりません」と答えた(それから私はその操作のためにボタンを押さなければならなかった)。

しかし、これはAlexaが理解できなければならないコマンドのように思える。電子レンジはそのとき動いていたのだ! タイマーは使っていなかったのだ! 一体全体どうしてAlexaが「30秒追加」を理解できないことがあるだろう。

繰り返しになるが、この問題は語義論の一つだ。ボタンなしの音声コマンドは「Alexa、電子レンジに30秒追加して」であるべきだった。

わかってる。

ああああああ!!! というのが正直な感想だ。

あるときは“Alexa”と言うことはできるが、別のときには音声コマンドを使うのに先立って付け加えなかった。物事を簡単にするかわりに、複雑なものにしている。

ボタンを押した後だと、「2分」とだけ言えるようになる。

しかし驚くことに、長く音声コマンドを使っていると、忘れずに“Alexa”を省くようにするのは実際難しい。

いい例:

この電子レンジは、音声コマンドの出し方が2通りではなく1通りであった方が機能すると思う。あるいは、ボタンを押す代わりに、レンジのドア開閉に“ボタン押し”と同じ機能を持たせるといいのではないか。

結局のところわかったのは、電子レンジを使うにはもっと簡単な方法があるということだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

ユニコーンはもう珍しいものではない

Kleiner Perkinsの前パートナーでシードステージベンチャーキャピタル会社Cowboy Venturesの創業者Aileen Leeが2013年にまさにこのサイトで“ユニコーン”という言葉を作りだしたとき、このタイトルを持つ企業はわずか39社だった。

彼女はそれらの企業を“数少ない幸運/特殊な企業”と呼んだ。彼女の定義:2003年以降に設立された米国のソフトウェアスタートアップで、企業価値が10億ドル以上のもの。彼女がその投稿を書いた時、彼女の計算では毎年たったの4社がそうした企業価値を達成するはずだった。しかし5年後、PitchBookの最新の調査によると、スタートアップがユニコーンになる率は353.1%上昇している。

今日、米国だけで145社もの“アクティブユニコーン”が存在し、合計の企業価値は5559億ドルだ。

なぜなのか。理由はいくつかある。具体的には、企業がより長く非公開企業にとどまっていることが挙げられる。非公開から抜け出し、別のクラブー公開クラブに移行する企業は少なく、これによりユニコーンの数は増大し続けている。加えて、マーケットに資金が、正確にいえば801億ドルもあり、レイトステージの企業はフォームS-1であらゆる情報を公開する代わりに、ソフトバンクが提供する“ミニIPO”を選択している。

ユニコーンが生まれるスピードが緩やかになる気配はない。最新のデータでは米国のユニコーンがそのステータスを得るまでに平均6年かかっているのに対し、わずか3年前は平均7.5年だった。平均年数よりも随分早くユニコーンになっている企業もいくつかある。BrexLime、そしてBirdは記録的な早さで最近10億ドル超になった企業だ。

企業価値の増大はまた、これまでになく内容が充実している。レイトステージの企業価値の平均は前年比50.7%増えている。一方、アーリーステージ、シードステージの平均価値はそれぞれ28%増と12%増だった。2018年のベンチャーキャピタル投資がドットコムブーム以来の活況を呈していることは言うに及ばないだろう。

要するに、その企業がどれくらい大きいか、あるいはどれくらい早く10億ドルを達成したかにかかわらず、スタートアップの企業価値は問題であるべきではない。しかしこれらはスタートアップエコシステムの人がスタートアップの成功度を測り、価値があるかどうかを決める物差しとなるー少なくとも投資家かがいくら出すかを決定するのにかかわってくる。

ユニコーンという言葉、そしてコンセプト全てを廃止したいと思っても、10億ドル企業の増加は無視できないものとなっている。

イメージクレジット: annick vanderschelden photography / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Tesla、中国顧客からのModel 3注文受付を開始

Teslaのウェブサイトによると、Teslaは中国の顧客からModel 3の注文の受け付けを開始した。

この件については、Reutersが最初に報道した。

Teslaは、同社の中国専用ウェブサイトにある情報について、特段コメントはしていない。TeslaのCEOイーロン・マスクは木曜日、中国の顧客への納車はおそらく3月に始まるだろうが“4月がより確実だ”、とツイートしている。

同社の中国専用ウェブサイトによると、中国の顧客は予約するにあたって、8000人民元、おおよそ1153ドルをデポジットとして払わなけれなならない。デポジットを払った顧客はその後、好みの設定(例えば塗装の色や他の機能など)へと案内される。車購入の契約が終わると、残金を支払うことになる。

FAQセクションに基づくと、Teslaは米国マーケットで展開するオプションのほとんど(異なるパフォーマンスを含む)を中国の顧客にも提供するようだ。Model 3の低価格ミッドレンジバージョンが中国で販売されるかは不明だ。

世界最大のEV市場である中国でのTeslaの事業は混ぜこぜ状態だ。2014年に中国でModel Sを納車し始めた時、Teslaは大量に人材を採用し、社員数は600人に膨れ上がった。Teslaは店舗やサービスセンターを設け、スーパーチャージャーで知られる急速充電ステーションを建設した。

そしてTeslaは2014年に推計3500台を販売したが、これは目標を下回り、電気自動車とプラグインハイブリッドを生産する中国のライバルメーカーBYDやBAICの後塵を拝した。販売停滞は2015年初めも続いた。そして、2016年になってようやく好転した。販売が前年の3倍になり、2017年にはさらに売り上げた。

しかしいま、新関税という逆風に直面している。

先月、Teslaは関税や輸送コスト、インセンティブの欠如が同社の車の価格を吊り上げ、需要をそいでいるとして、上海での工場建設を急ぐことを発表した。

米国と中国の貿易摩擦により、米国以外の国からの車には15%の関税が課せられているところ、Tesla車へは40%となった。関税、そして海上輸送によるコスト、中国で生産されたEVへの現金インセンティブの対象外となっていることなどが組み合わさっている。

結果として、中国で生産される同じ車と比較してコスト的に55〜60%不利な状態となっている、とTeslaは語っている。

イメージクレジット: Tesla

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(翻訳:Mizoguchi)

Airbnbの前四半期売上は10億ドルを超えた、このペースでIPOに突入か

Airbnbの来年のIPOに先駆けて、このホームシェアリングスタートアップは2018Q3における10億ドルを超える売上を発表した。

Airbnbによるとこれは、これまでで最強の四半期で、売上は10億ドルを“相当大きく”上回った。

しかしAirbnbは2月以降、常勤のCFOを欠いていた。それはLaurence TosiがAirbnbのCEO Brian Cheskyと不和になってからだ。この間、Airbnbの財務計画と財務分析のトップEllie Mertzが、暫定CFOを務めた。

CNBCによると、Airbnbは二年続きでEBITDAベース(諸払い前)で黒字だった。

“Airbnbのミッションは、誰もがどこにいても構わない世界を作ることであり、今後も、数週数か月という頻繁なペースで、私たちの仕事のアップデートを続けていく”、と同社は今日(米国時間11/16)のメモで述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

YouTubeが広告入りで無料の映画提供を始めた、次はAmazonもか?

AdAgeの新しい記事によると、YouTubeは先月から、およそ100本のハリウッド映画を広告付きで加えた。“Rocky”、“The Terminator”など古い名作が多く、“Zookeeper”(Mr.ズーキーパーの婚活動物園)、“Agent Cody Banks”(エージェント・コーディ)、“Legally Blonde”(キューティ・ブロンド)などのファミリー向けもある。

これまでYouTubeのムービーやテレビ番組は、AppleののiTunesやAmazon Videoのような有料制のみだった。

現在、YouTubeのこれら無料のムービーは広告入りだが、上記の記事によると今後はアドバタイザーとの契約で、スポンサー制や特別会員制などもありえる。

ムービーの提供でYouTubeの利点といえば、月間アクティブユーザー数190万という大きなユーザーベース、そしてGoogleのデータを利用するターゲット広告だ。

YouTubeの広告入りムービーは、昨年Rokuが提供を始めた無料映画、The Roku Channelに倣ったものだ。

それは新しいタイプの広告ビジネスとして快調らしく、今年のRokuは広告入り無料コンテンツをABC News, Cheddar, Newsmax, Newsy, People TV, Yahoo, The Young Turksなどのニュース放送にまで広げた。最近では、エンターテインメントやスポーツの生中継もある。

Walmartも無料ムービーをVuduから提供しているが、最近はMGMと組んで、オリジナルコンテンツも提供するらしい。Tubiも、広告入りコンテンツを無料で提供している。そして噂では、Amazonも同じようなサービスを開発中だそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa