中規模クラウドベンダーたちは協力してスペクターとメルトダウンに立ち向かう

先週の半ばに、SpecterとMeltdownと呼ばれる、2つの巨大な、チップ脆弱性のニュースが登場した(概要説明についてはこの記事を参照 )。Amazon、Google、Microsoftなどの大規模クラウドベンダーたちは、チップベンダーたちと接触しており、脆弱性を緩和するために舞台裏で取り組んでいたことがわかった

しかしそうした内輪には入っていない、LinodeOVHPacketといった、より小さなクラウドホスティングベンダーたちはどうだろうか?どのように対処しているのだろう?

徐々に詳細が伝えられ始めたようだ。こうした取り残された企業たちは、その数10万におよぶ顧客のために迅速に回答を見出し、巨大な脅威から顧客を守る手段を講じる強い必要性に迫られている。この「中規模ベンダー」の経営層たちは、脅威のニュースが公開された水曜日以降、非公式に連絡を取り合い始めている。

レオ・レオニのスイミーという子供向けの本のように、それらの企業は集まって、あたかも大きな魚のように振る舞う必要性があることを認識した。

そしてスイミーは叫びました。「いい考えがある!皆で集まって、大きな魚のようになって泳くんだ!」

– レオ・レオニ(スイミー)

これらの企業によって提供された情報によれば、この接触はまずフランスのホスティングプロバイダーであるScalewayのマーケティング戦略担当副社長のEdouard Bonlieuが、PacketのCEOZac Smithに、情報共有のために連絡したことから始まったということだ。またBonlieuは同時に、仲間であるフランスのプロバイダOVHにも連絡していた。

最終的に6社のクラウドプロバイダーたちが、協力し情報共有するするためのコンソーシアムのようなものを立ち上げた。その6社とは、Scaleway、DigitalOcean 、Packet、Vultr、Linode、OVHである。プロセスをより効率的にするために、各企業のCEO、CTO、エンジニアたちが参加するSlackチャネルが設定され、情報や修正などが共有されている。

アップデート#7 – ハードウェアメーカーから提供される情報が不完全であるため、私たちは@linode@packethost、そして@ovhなどを含む、影響のあるクラウドプロバイダーたちで集まり協力し、情報の共有を行うことにしました。 https://t.co/iVHi72nmFJ

— scaleway (@scaleway) January 4, 2018

このアプローチのおかげで、Slackのようなエンタープライズコミュニケーションツールを活用して、彼らは情報をより迅速に入手することができた。「一部のグループのように、MeltdownとSpectreについて事前の通知を受けることができなかった私たちは、追いつくために頑張っています。Scaleway、OVHといったベンダーたちと一緒になることで、電話による遅々とした連絡をショートカットし、システムのどこがどのように脆弱なのかを知りたがる顧客たちに対して、最大限に詳細な情報を提供できるようになりました」。こう説明するのはPacketの技術担当上級副社長のNathan Gouldingである。

Scalewayの上級副社長であるYannLégerは次のように付け加えた。「私たちは完全な開示が行われる前に、これらの脆弱性を報道で知らされたのです。完全な事態把握を迅速に行うことができるように、メーカーたちに対して圧力をかけ始めたところです。他のクラウドプレイヤーたちと協力することは、問題を最も的確に軽減するために行ってきた、最善の意志決定の1つです」。

同社はまた、顧客たちに彼らの持つ最新情報を伝えるために、ツイートを行い、ブログ投稿を行っている。

これはクラウドコンピューティングの真の協力精神を発揮するために 、通常は互いに激しく競争しているクラウド企業たちが、協力せざるを得なくなったケースだった。大規模ベンダーたちは、パッチ、修正、そして詳細情報を提供してくれる、様々な関係機関への直接のパイプラインを持っている。中規模ベンダーたちには、そのような贅沢は許されておらず、このレベルの協力は彼らにとって、真に困難な状況に対処するための役に立っているようだ。

注:この記事を最初にリリースした後、Nexcessprgmr.comExoscaleの3社も、上の6社に加えてSlackチャンネルに加わったことが分かった。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: JOHANNA PARKIN/GETTY IMAGES

Hey Glooglel

CES 2018がやってきた。TechCrunchチームはいつもと違う何かを感じている。飽きてきただけかもしれない。何年も続けてこの乱雑な町で人を押しのけて戦ってきた。

CES 2018は過去数年と比べて企業色が強くなったように感じる。Googleが初めて本格的に参加している。2階建てのブースには滑り台もついている。これまでの遅れを取り戻したいのかもしれない。CES 2018でGoogleを見逃すことは不可能だ。

CESは消費者市場の変化と共に変化を続けてきた。今はAppleとAmazonが勝ち、スタートアップは負け始めている。ハードウェアのステートアップは足場を固めるのに苦戦しているがまだ挑戦を続けている。だからここにいる。

ほとんどの企業にとってCES 2018に参加する理由は、ここにいないことを恐れているからのように思える。念のために言っておくがCESはトレードショウであり、主たる目的は企業がバイヤーやパートナーと出会うことにある。報道は二の次であり一般公開もされていない。発表される製品が市場に出回るのは数カ月先で、永久に出てこないものもある。

TechCrunchはCES 2018に送り込む人数を減らし、ステージショウや会場からのライブストリームもやめることにした。われわれはその2つを実施した最初のメディアの一つであり、今回はもっと親密な企画を予定している。会場にスペースは持っているが、広いミーティングスペースの一角なので多くの会社とゆっくり会話することはできないかもしれない。興味があれば立ち寄って予約の空き時間をチェックしてほしい。

イベントの開始は1月9日(火曜日)だが、プレスイベントは今夜(1/7)行われる。John BiggsがCES 2011について書いているように、退屈な時間が始まろうとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、2018年初の打ち上げは謎の宇宙船Zuma(ライブ中継)


まもなくSpaceXが2018年最初の打ち上げを行う。打ち上げ可能期間は、米国時間1月7日 5 pm PST(日本時間1/8 10 am)から2時間で、予備期間は翌日の同じ時刻。当初この打ち上げは昨年末に予定されていたが、発射に用いられたフェアリングに関連するデータをSpaceXが見直したいという理由で延期された。

今回の積荷である宇宙船 ‘Zuma’ は米国政府のトップシークレットで、Northrop Grummanが依頼を受けている。Zumaについては、低地球軌道のどこかの挿入位置を目標としていること以外殆どわかっていない。

SpaceXはZumaの打ち上げにFalcon 9を使う(今月中に同じフロリダ州ケープカナベラルで打ち上げ予定のFalcon Heavyではない)。

今日の打ち上げでもロケットの回収が試みられる。SpaceXはFalcon 9の第一段ブースターをケープカナベラルのLZ-1パッドに着地させる計画だ。

SpaceXのライブウェブキャストは、発射予定期間開始の15分前(4:45 PM PST/日本時間 1/8 9:45 AM)頃から始まる予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、CESに拠点を構える

Googleがやってきた。そして何か大きなことを計画しているようだ。ラスベガスコンベンションセンターに向かうParadaise Roadを走っていて、この会社の存在を見落とすことはない。駐車場に作られたGoogleのブースは、多くの他社と同じくまだ建設中だが、白と黒の巨大な “Hey Google” の看板はすでに高く掲げられ、数ブロック先からでも目に入る。

これはイベントに前に同社から送られた風変わりな招待状 のデザインをわずかに変えたもので、仮設ブースの側面のネオンブルーのループ状スライダーにいたるまで再現されている。

そしてGoogleがこれ以上このイベントに何を注ぎ込めるのかと思った矢先、ラスベガスを走るモノレールの線路を行き交う車両に見逃しようのない大きな文字で “Hey Google” と描かれているのが目に入った。

Googleの動きは急だった。これまで同社のソフトウェアソリューションの肩に乗ったサードパーティー以外、このショウでGoogleの存在感はほとんどなかった。それが突然、どこへ行ってもGoogleだ。もちろん前兆はあった。昨年のMobile World Congressでは大きな展示を出し、スムージーや砂で作ったAndroidの彫像まであった

もちろんモバイル専門のイベントにAndroidメーカーが出展するのは理にかなっているが、CESははるかに巨大で広範囲にわたる化け物イベントだ。しかし、筋書きは一貫している。MWCでのGoogleは、端末上のAssistantがすべてだった。過去1年、Googleはスマートホームの主導権をめぐってAlexaと激しい戦いを展開してきた。2017年に同社は様々なHomeファミリー製品や新しいスマートイヤホンを発売するとともに、サードパーティー製スマートスピーカーへのAssistant搭載を進め始めた。

そのサードパーティーとの提携が、このイベントの鍵になりそうだ。同社自身のI/Oイベントのように新製品の発表があるかどうかはわからない。しかしCESは、様々なパートナーとの関係を次のステップへと進める理想的な舞台だ。Sony、HTC、Lenovo、LG等々、主要なハードウェアメーカーが勢ぞろいしている。
独自のアシスタントBixbyを開発しているSamsungは、Googleと手を組む動機付けが必ずしも強くないが、それ以外のメーカーにとってGoogleエコシステムの構築に手を貸すことで得られるものは大きい。Alexaと同じく、スマートスピーカーから他の家電製品へと展開を進めていくことはこの手のイベントでは当然の流れだ。

そしてGoogleにとって、これはAlexaの影から抜け出しスマートホーム分野での地位を確実なものにする絶好のチャンスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号通貨バブルはイノベーションを絞め殺している

以前からバブルかもしれない、バブルっぽい、と言われてきたが、いや間違いなくバブルだ。しかしこれは良いことでもあると擁護する声もある。これまでバブルは必要な分野に注目と資金を集めるために役だってきた。バブル投資がインフラを作り、それが結局イノベーションの基礎となった、というのだ。

たとえばドットコムバブルだ。大勢の投資家が金を失ったが、これによって全世界がファイバー回線で結ばれ、安価なデジタル通信が可能になった。AmazonやGoogleが登場したのも結局はドットコムバブルの遺産だ。最近の暗号通貨バブルも同じようなものだ…というのだが。

しかし私の意見ではこうした合理化の試みは脆いものだ。なるほど部分的には正しいが、それ以上のものではない。暗号通貨の現状をみると、投機的利用法が他のあらゆる利用法を押しのけてスポットライトを浴びている。現在の暗号通貨の価値上昇はもっぱら投機によるものだ。

ほとんどの「暗号通貨トークン」は大げさに飾りたてられているものの、Ethereumのブロックチェーンに格納されたハッシュ値にすぎない。実際の内容は「アドレスA:10,000、アドレスB: 20,000」といった数字の列で、標準的な規格( ファンジブル・トークンならERC20、非ファンジブル・トークンならERC721)でコード化されて取引の容易化が図られている。

つまりEthereumブロックチェーンで実行されるあらゆる取引はその時価に比例した手数料がかかる。時価がロケットのように急上昇しているので(この記事を書いている時点で1000ドル)、これに歩調を合わせてEthereum上の取引の手数料は平均して2.50ドルにまでアップしている。

ハッシュ値生成に必要な計算量に比例してgas(手数料)を決定するメカニズムも実際にはあまり助けにならない。手数料は需要と供給によって決定される。これはEthereumだけではなく、BlockstackのDNSもBitcoinブロックチェーンに依存している。Bitcoinの取引に必要なコストもBitcoin価格と共に青天井で上昇中だ。

ともかく相場で一儲けを狙って何千ドルか何万ドルかの価値のトークンを取引しているなら手数料が高騰しても構わないかもしれない。しかしブロックチェーンのメカニズムを使って投機以外の目的のアプリケーションを書こうとすると事情は変わってくる。

もしブロックチェーンを利用して分散的な身元認証のようなサービスを作ろうとしても、そのコストは禁止的に高くなる。業者からブラウザが自動的に処理してくれるインターネット・ドメインを買うよりはるかに高いものになる。ユーザーが何らかのバーチャル資産を保有していることを証明するサービス、あるいは分散的ストレージへのアクセス・サービス等々を考えてみよう。トークンの取引はおろか、トークンを利用するという点だけで、そのコストは懲罰的から不可能までのさまざまな価格となるだろう。

つまりEthereumトークンを使って少しでも処理件数が多いサービスを作るという考えは忘れたほうがいい。そんなビジネスモデルはトークン価格の高騰により破滅的な結果をもたらす。Ethereumの場合、コストは常に送り手が負担するモデルであることもことをいっそう困難にする(ただしこの点については近く変更があるかもしれない)。逆に処理件数は極めて少なく、1件ごとの価値が極めて高いようなサービスなら可能だ。つまり現在のような投機だ。

Ethereumがトークン化のコストを劇的に下げる方法を考え出せば別だ。もちろん実験的サービスは多数作られてはいる。しかしほどんど誰も利用しない。こうしたサービスには好奇心の強いユーザーが近づいてみるものの、一回限りの実験にしても高すぎる手数料に驚かされている。まして日常利用するようなことにはならない。結果として、暗号通貨テクノロジーを利用する実験もイノベーションも投機バブルが破裂するまでは一時停止状態だ。

デベロッパーはブロックチェーン・テクノロジーを使ってアプリを書いても現実のユーザーが得られず、したがって現実のフィードバックも得られない。したがって新しい有望な応用分野を発見することもできない。ブロックチェーン・エコシステムの大陸は厚い氷河に覆われて活動を停止しているのが実情だ。

長期的にみて現状より桁違いに低い手数料が可能かどうかということも不明だ。 たとえばマイクロペイメント場合、普及にあたって最大の障害は手数料やインフラそのものより、むしろマイクロペイメント・サービスを利用しようというインセンティブの不足にある。AngelListのParker Thompsonはマス市場で成功する唯一の方法は手数料ゼロの分散的アプリが登場することだと論じている。この主張は正しいと思うが、手数料がゼロになった場合、ブロックチェーンを利用したスパム取引を判別したり防止したりできるのかという別の疑問が生じる。

しかし現状ではこれはあまり現実的な意味が議論だ。誤解しないでいただきたいが、私は手数料アポカリプスによって暗号通貨テクノロジーは永遠に呪われているなどと主張しているわけではない。現に、sharding, Raiden, PlasmaなどEthereumをスケールさせるための興味深い研究や開発が数多く行われている。こうした研究に対する期待は十分に高い。

しかしそうした新しいEthereumがロールアウトするまでは、暗号通貨に対してはきわめて注意深くあるべきだろう。株の値動きについて「市場は最初は投票だが最後は秤りになる」という言葉がある。つまり最初は人気投票のように動くがやがって実質を見るようになるという意味だ。現在、投機以外の暗号通貨トークン・プロジェクトは無期限の冬眠を強制されている。 本当にイノベーティブなサービスを作ろうとしているチームにとって、現在の暗号通貨バブルが弾けることは冬ではなく、むしろ春の到来を告げるものだ。

画像: Bitterbug/Wikimedia Commons UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

カセットテープが(やや)復活

過去2年は最近の記憶の中でも特別にけったいな年だが、その数々のおかしなことの中に、カセットテープの復活というサプライズが加わる。ビニールのレコードはこのところ強力に復活しているが、それを継いだメディア〔カセットテープ〕も好調な12か月を経験しNielsen Musicによるとアメリカにおける売上は35%増加した。

カセットテープは過去10年ほどビニールが経験しているロマンチックなルネッサンスの路線には乗っていないようだが、でもポップカルチャーのさまざまな話題がその数を押し上げている。その貢献要因の最上位3つは、Guardians of the Galaxyのサウンドトラックが占め、このメディア形式の2012年以降で最良の年を作った。

そのMarvel Cinematic Universeの映画と2017年の続編は、かつて強力だったメディアに新しいロマンチシズムを持ち込んだ。同じくNetflixのStranger Thingsシリーズも、この夏カセットテープによるサウンドトラックを出してカセットの人気復活に貢献した。こういうレトロなサウンドトラックが、貢献最上位4位までを独占し、またHamiltonのミックステープが6位だ。PrinceのPurple RainやNirvanaのNevermindのような、時代を象徴するアルバムも上位に入っている。

アメリカの総売上は17万4000本となり、一昨年(2016)の12万9000を上回った。その前の2015年と比べると、74%というすごい増加だ。しかしこの年(2017)のビニールの売上は1432万枚(前年比9%の増)に比べると、微々たる量だ。

しかしそれでもなお、2017年のアルバムの全売上数1億6910万の中では、大海の水一滴にすぎない。でもアルバム総数は前年比で17.7%ダウンしている〔リスナーをインターネットに取られている〕中では、業界にとって良いニュースだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Robomartは街角の小売店に挑戦する最新のスタートアップ

つつましい近隣の小売店たちに対する、スタートアップたちの攻撃はますます激化している。

最初に登場したのは名称が物議を醸(かも)したBodegaだ。街角の小売店が扱う生鮮食品以外の食品や生活必需品を、様々な場所で売ることで、街角の小売店を「置きかえよう」という試みだが、その登場はいささか問題含みだった(※Bodegaという言葉はスペイン語で「お店」と言った程度の意味で、米国内に多く存在する「bodega」は南米からきた住民たちのコミュニティの中心となる機能を果たしている)。

そして今度はRobomartだ。卸売業者や大手小売業者が使うことを想定したサービスで、食品や雑貨、焼き菓子、スーパーの惣菜などを顧客の玄関先まで届けるというものだ。

創業者のAli Ahmedが、構想10年を経て生み出したRobomartは、自律移動する食品雑貨店だ。

Robomartは、この連続起業家の最新スタートアップなのだ。Unileverの従業員だったAhmedは、10年前に移動食品雑貨店のコンセプトを思いつき、その後メディアコンテンツのソーシャルシェアリングを行うLuteBoxを創業した。

LuteBoxの後、このロンドンに本拠を置く起業家は、現在はもう運営されていないDispatchを起業した。これは、Magicなどの米国に拠点を置くオンデマンドコンシェルジュサービスと競合するサービスだった。なおMagicはカスタムサービスを売りにしており、ユーザーは(料金を支払えば)およそ望むものを何でも手に入れることができる(とはいえ虎を手に入れることはできなかったが)。

最盛期にはDispatchは1500人の配達員を抱えていたが、入ってくる注文の多くは食品雑貨の配達を希望する人びとからのものだった(これはInstacartなどが食品雑貨の配達を始める以前の、オンデマンド黎明期の話だ)。

投資家たちがDispatchからAhmedを引き抜いた後、起業家はカリフォルニア州サンタクララに移り、Robomartを開始した。

「私たちは新しいカテゴリーを作り出していると信じています」とAhmedは言う。「私たちはサイドウォークロボット(街中で自動配達を行うロボット)と競合していると考えているのです」。とはいえ実際のところ、Ahmedは街角の小売店たちと競合しているように見える。そうした小売店たちと似たような品揃えの商品を少量だけ扱い、近隣性と便利さを武器として。

サイドウォークロボットたちがカリフォルニアで数々の抵抗に直面しているように、Robomartも様々な困難に直面することが予想されている。運行場所と駐車場所が、その中でも最大の課題だ。

Ahmedは、地元の小売店たちが共同で、大規模小売業者たち(もしくは直販手段を探している卸売業者たち)と競争するために、この自律配送車両を購入することができると主張しているが、そうした大規模小売業者たちこそがRobomartを採用する可能性が高い。

Robomartを採用する際には、プラットフォーム、車両などのすべてを24ヶ月のリースで契約する。「新しい店舗を開くよりもかなり安くつきます」とAhmedは語る。「そして消費者の皆さんは、事前注文しなくても商品を買うことができるのです」。

車両には冷蔵システムまたは保温システムが装備されている。Ahmedは卸売業者たちと、食品雑貨店の通路を模倣した複数のトラック(乳製品、肉類、野菜類など)を用意する話を進めていると語った。

小売業者たちの得られるメリットは、Ahmedの言うところによれば、この技術をライセンスした食料雑貨店や小売業者たちは、買い物客の情報を他者(Uber、Postmates、Instacartその他)に渡すこと無く、手元に留めることができるというものだ。

Nvidiaのスタートアッププログラムに参加しており、Architypeのインキュベーターならびにコンサルティングプログラムの卒業生でもある同社は、Corbinとの提携によって、現在プロトタイプを開発中である。Corbinはかつてもてはやされ、やがて失望を招いた過去をもつ、試作電気自動車の開発者である。そしてもう1社の協力社がHevo Powerだ。Hevo Powerは電気自動車へのワイヤレス充電を目指すスタートアップだがまだ製品の出荷はしていない(とはいえHavo Powerはカリフォルニアの砂漠にあるグーグルの最高機密自動運転車本部のプロトタイプに採用されていると伝えられている)。

これらはオペレーションの成功を確信させるパートナーたちではないが、Ahmedは食品卸売業者や大規模小売業者たちと車両の開発について協議していると語る。

そしてAhmedは、実際の展開が始まるときには、完全に自律的なものになると主張している。同社は、そのテクノロジーを食品雑貨店にライセンスすることを目指している。提供されるものはRobomartの車両、ワイヤレス充電装置(Hevo Powerによる)、そして自動車両管理システムならびにオンデマンド注文システムである。これらはRobomartの3人の技術者によってデザインされているものだ(彼らは皆LuteBoxの時代からAhmedと一緒にやってきた者たちだ)。

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(翻訳:sako)

GE Appliancesがクラウドソーシングな製品開発サービスを企業顧客向けに売っていく

GE Appliancesは今や中国の家電メーカーHaierの子会社だが、このたびクラウドソーシングによる製品開発事業をスピンアウトして、企業顧客にそのサービスを提供して(==売って)いくことになった。その企業名は、Giddyだ。

クラウドソーシングは不死鳥のように不滅のアイデアだ。ただし過去数年間では、失敗した企業も少なくない。たとえばQuirkyLocal Motorsのような企業は、メイカーたちのコミュニティからアイデアを得る製品開発ショップを作り、才能のあるアマチュアたちの技術やデザインと、手作りプロトタイピングによる製品を、マスマーケットに向けて売った。

そのような企業がこれまでに調達した資金総額は1億ドルを超えているが、しかしQuirkyは挫折し、1000人の自動車設計エンジニアを育てるというビジョンを掲げたLocal Motorsは失速した。

GE AppliancesもかつてはQuirkyとご縁があったが、今回はそれと同じモデルを企業顧客向けに生かそうとしている。

GE Appliancesはケンタッキー州ルイヴィルの本社に、Quirkyに倣ったFirstBuildという子会社を作った。そしてそれを、新製品のテストに利用しようとした。一部の製品、たとえば新しい製氷機水出しコーヒーマシンは成功して、実際に市販された。

GiddyのCEOに就任したTaylor Dawsonは、声明文でこう述べている: “企業がイノベーションにアプローチする方法はたえず進化している。しかも最近ではますます、会社の四方の壁の外にアイデアを求めようとしている。弊社も新鮮な考え方にビジネスとしてアクセスし、人びとが自分の好きなことをして経験を積んでいくための、機会を提供していきたい”。

一方FirstBuildはルイヴィルから上海に移転してオフィスを拡張し、2018年にはインド進出を計画している。

そしてGiddyはQuirkyとFirstBuildのモデルを取り入れ、モバイルのプラットホームとして企業に売っていく。企業顧客はここに開発テーマをポストして、社員たちや外部設計者/デザイナーにアイデアの開発を訴求する。

その最初のチャレンジ(開発テーマ)はCESで発表する予定で、その詳細はこのページにある。

企業顧客はGiddyに料金を払うのだが、アマチュア投資家やホビイスト、メイカーたちの参加は無料だ。彼らはさまざまなチャレンジの中から、自分の関心に沿うものを見つけて取り組む。

Dawsonは、こう言っている: “テクノロジーはすばらしいが、でもその価値はGiddyのクリエイティブコミュニティにある。そのアーチストたちやエンジニアたちが、テクノロジーのさまざまな価値を提供する。すでに弊社はFirstBuildで、コミュニティとオープンなイノベーションのパワーを経験した。そしてそれがGEの製品にとって有効なら、同じやり方がほかの企業にも有効なはずだ”。

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機械学習によりセキュリティの脅威を自動的に検出するNiddelをVerizonが買収

本誌TechCrunchのオーナー企業であるVerizonが今日(米国時間1/5)、セキュリティの脅威を自動的に検出するサービスNiddelを買収したことを発表した。

Niddelの主要製品であるNiddel Magnetは有料会員制のサービスで、機械学習により顧客の会社内の感染ないし侵されたマシンを見つける。それは、顧客がコードやルールなどを書かなくても完全に自律的自動的に仕事をする。

Verizonのセキュリティサービス担当部長Alexander Schlagerは、声明文の中でこう説明している: “機械学習を利用して情報の精度を大きく上げ、擬陽性を減らし、検出と対応の能力を大幅に改良できる”。それが、今回の買収の主な理由でもある。

人間の誤判断による擬陽性を減らせることが、Niddelのソリューションの大きな目標だ。システムをモニタする有資格のセキュリティアナリストが不足しているから、それがとくに貴重だ。“Niddel Magnetは、従来の人間の目視による方法に比べて、擬陽性を最大96%減らすことができる。弊社が特許を取得している監視つきの機械学習が脅威に関する既存の知識を外挿することにより、得られるアラートの40%は(従来の方法で検出できなかった)新しい脅威だ”、と同社のWebサイトは書いている。

Niddelは、社内社外の50あまりの多様なソースから情報を取り、それらを分析して、顧客の組織内の被害機を襲ったセキュリティの脅威を追跡する。企業がそれらの被害に真剣に対応しようとしたときには、同社が完全に自動化されたソリューションを提供し、簡単には見つからない有資格のアナリストを不要にする。

Niddelは、2014年に創業された。VerizonはNiddelの技術を今後数か月以内に自社システムに組み込む予定だ。

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AR/VRは空ブームが去って小休止、巨額な投資の大半は大物企業の底入れに向かう

拡張現実や仮想現実の技術に取り組んでいるテクノロジー企業は2017年に、30億ドルあまりのベンチャー資金を調達した。このニュースを報じたアナリティクス企業Digi-Capitalのデータによると、ARやVRをめぐる空騒ぎは下火になったものの、そこに注ぎ込まれるキャッシュの量は相変わらず増え続けている。

たしかに2017年の金額は2016年の投資額に比べて増えているが、しかしディールフローそのものは軽くて、わずか4つの案件が総額30億ドルの大半を占める:

億単位の資金を調達したNiantic, Improbabl, Unityなどの大物はAR/VR技術の将来性を投資家たちにうまく売り込んだと思われるが、それだけの資金量を獲得できた背景には、強力で伝統的なゲーム業界がある。

その中にあってMagic Leapは、業界の最大の一匹狼だ。彼らの最初の製品がどんなものか、そろそろわかりかけてきた今日では、彼らがだんだん、まともな企業に見えてきている。その製品がいつなんぼで出るのか、それはまだ不明だが、もっと分からないのは、彼らが企業市場と消費者市場のどっちに軸足を置くのか、という点だ。

2016年と2017年にVRのプロジェクトでシードラウンドを稼いだ小さめの企業は、Crunchbaseが示すように案件は徐々に減少し(右図)、泡沫企業の整理と、AR/VRスタートアップに対する継続投資の先細り、そして廃業が続くものと思われる。

2017年の後半はヘッドセットを使うVRからモバイルのARに焦点が移り、AppleのARKitやGoogleのARCoreなどが関心を集めた。しかし実際のアプリケーションは単なる視覚化があまりにも多く、平凡なものばかりだったので、受けはあまり良くなかった。消費者向けARヘッドセットは市場が大きく枯渇し、AppleやMicrosoft、Magic Leapなどが10年後の消費者に向けて今年以降何をやるか、様子見モードに入った。

今後伸びるであろう芽はいくつかあるが、AR/VRの空騒ぎは2017年で一掃され、勢いはなくなった。次の一歩は、Google, Apple, Facebook, Microsoftなどの大金持ちたちの動静次第だ。スタートアップのための資金は今年も潤沢と思われるが、AR/VRのような新興技術は、落ち込みがしばらくは続くだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

仮想通貨の税金計算をサポート、取引履歴から売買損益を算出できる「G-tax」ベータ版公開

2017年の1年間で、ビットコインを始めとした仮想通貨の知名度は急上昇した。

以前から注目していた層や投資家はもちろん、大手取引所のテレビCMやマスメディアで取り上げられる機会が増えたこともあり、一般層にも広がってきている。VCやエンジェル投資家に2017年の振り返りと2018年のトレンド予想をしてもらっても、やはり仮想通貨に注目している投資家が多かった。

仮想通貨の取引を始める人が増える一方で大きな課題となりそうなのが、税金の問題だ。法整備が追いついていないことに加え、対応できる税理士も多くないのが現状。確定申告でどうしていいかわからず困っている人もいるだろう(仮想通貨の売却や使用により生じた利益は原則として雑所得に区分されるため、年間で20万円以上の所得を得た場合には確定申告が必要)。

この問題の解決に取り組むのがAerial Partnersだ。同社は1月6日、仮想通貨の売買損益を計算できる新サービス「G-tax」のベータ版をリリースした。まずは500人限定でユーザー登録を受け付け、順次拡大していく予定だという。

少数の取引所で売買だけを行う「ライト層」向けの利益計算サービス

G-taxは対応する取引所の取引履歴をアップロードすることで、仮想通貨の売買による利益金額を自動で計算するサービスだ。

現時点でZaifやbitFlyer、coincheckなど10の取引所に対応。海外の取引所で行った売買履歴の円貨換算、国税庁の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」に示される方法に基づいて損益計算を行える。

TechCrunch Japanでは仮想通貨の税務問題に取り組むスタートアップとして、2017年11月にAerial Partnersを紹介した。同社は12月に税理士紹介・記帳代行サービス「Guardian」をリリース。ユーザーへ仮想通貨に詳しい税理士を紹介しつつ、税理士には税務計算をサポートする独自の計算システムを提供している。

G-taxはこの「独自の計算システム」の一部を切り出し、個人向けに無料で公開したものだ。Aerial Partners代表取締役の沼澤健人氏によると、今回G-taxのリリースに至った背景には「税務問題に悩む投資家からの問い合わせが想定以上に多かった」ことがあるという。

Guardianではこれまで2度ユーザーの募集を行っているが、100人の枠を設けた1次募集が30分、200人の枠を設けた2次募集も1時間で締め切りに達した。現在も問い合わせが続いていて、Guardian以外の解決策も検討。G-taxの開発に踏み切った。

「(取引所の口座開設数の状況や、投資家の方のサポートを通じて感じたことも踏まえると)確定数値ではないが、仮想通貨取引により確定申告義務が生じる人は数十万人単位にのぼると考えている。投資家の数が増えるとともに幅も広がり、少数の取引所で売買だけを行っている比較的ライトな層も多い印象。そのような投資家には自分で利益の計算ができるシステムを提供していくべきだと決断した」(沼澤氏)

税理士から断られる投資家も多い

仮想通貨に精通した税理士によるサポートがあり、マイニングなど売買以外もカバーするGuardianと違い、G-taxでできることは限られている。対応する取引所も一部のみで、損益計算は自動でできるが計算結果の正確性を税理士が検証、保証するものではない。そのためG-taxで算出した結果をもとに税理士に相談することを推奨しているという。

「これまで個人的に税務相談を受けた人や、Guardianの応募者の約半数は税理士から『受けられない』と断られた人たち。税理士側も仮想通貨の知識が必要な上に、各取引所ごとにデータの形式が異なるため、相談されても対応できないのが現状」(沼澤氏)

正確な取引データを集めて損益計算をするという工程が特にハードルが高いため、そこに焦点をあてたサービスとしてG-taxのリリースに至った。一方のGuardianは主にG-taxでは対応できないユーザーに向けて引き続き提供。利用価格を減額するとともに、電話対応や節税提案なども含めた上位プラン「Guardian+顧問」も始める。

Aerial Partnersではまず仮想通貨に関する「税金」の問題に取り組みながら、今後はポートフォリオ管理や取引管理など税金以外の領域への拡張も目指していくという。

電気自動車に自動充電するソーラーハイウェイ、中国でパネルの小片が盗まれた

ソーラーパネルを道路に敷くことは、必ずしも迷案ではないが、しかし問題もあるようだ。たとえば、それを盗む人がいるかもしれない。中国ではまさにそれが起きて、世界で初めてのソーラーパネルで舗装したハイウェイ、と称する道路が、開通からわずか5日後にやられた。

Qilu Evening Newsが報じTechNodeが孫引きしている記事によると、山東省にあるその長さ1キロメートルの実験用道路は、1万枚あまりのソーラーパネルでおおわれ、それらは丈夫な保護層でサンドイッチされている。表側はもちろん透明だ。全体の厚さは3センチになる。パネルには電磁誘導コイルがあり、その上を電気自動車が通ると充電される。表面の雪や氷は熱で溶かす。その実用試験は12月28日に始まった。

しかし1月2日の点検で、小片が切り取られていることが見つかった。幅15センチ長さ2メートル足らずで、勝手に外れたものではない。誰かに盗まれたのだ。でも、誰が何のために?

ソーラーパネルは安いし、大量に盗まれたわけでもない。修理には数千ドルかかると言われるが、でもなぜ、そんな小片を? なぜわざわざ道路開通後に盗んだのか? 妨害行為が目的なら、小片をきれいに切り取るのではなく、大面積を破損したり塗りつぶしたりしただろう。

地元のニュースチャネルが引用している業界筋の話では、それは“プロの集団の”仕業だ、という(Googleの中→英翻訳による)。それなら、説明がつくかもしれない。彼らは技術に関心があったのだ、という説もある。

このソーラーパネルのサンドイッチの模造品を生産して安く売ることに関心のある集団なら、小片を切り取って持ち去ったことも理解できる。模造品は中国ではありふれているが、でもそれは多くの場合、もっと単純な消費者製品に限られているのだが。

道路は修理後再び開通し、その後盗難事件は起きていない。最大の被害は、修理工事の間に通勤者が迷惑したことだろう。警察は、まだ捜査を続けている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「Google Homeは昨年10/19以来毎秒1台以上売れた」――CESを控えてGoogleが発表

今日(米国時間1/5)、Googleは 「昨年は何千万台ものGoogleデバイスが家庭に入っていった。10月にGoogle Home Miniが出荷されて以降、毎秒1台以上の割合で複数のGoogle Homeデバイスが売れている」と発表した

Home Miniが正式に販売開始されたのが昨年10月19日だから、それ以来ざっと675万秒経過している。情報を総合すると各種のGoogle Homeは750万台程度売れたようだ。

2017年に入ってGoogleはGoogle AssistantとGoogle Homeデバイスの普及に本格的に力を入れるようになった。新しく登場したGoogle Home Miniは 29ドル(場合によってはわずか19ドル)で買える。Home MiniでGoogleは低価格デバイスでAmazonのEcho Dotと正面から競争できるようになった。もちろんハードウェア・ビジネスでGoogleが得られる利益自体は大きくないだろうが、全体としてみればこの戦略は功を奏したといえる。

残念ながら, GoogleはGoogle Homeの販売台数の内訳を教えてくれなかったので、レギュラーサイズ機とMiniがそれぞれ何台売れたかは不明だ。常識的に考えれば低価格のMiniのほうがかなり多く売れたはずだ。

また今日GoogleはAssistantが4億台のデバイス上で作動していることを発表した。この台数には各種のAndroid版スマートフォン、スマートウォッチの他にiPhoneで作動するアプリも入っている。作動可能なGoogle AssistantとAmazon Alexaの数を比較してみたら興味深いだろうが、Amazonは知ってのとおり秘密主義で数字については固く口を閉ざしている。公式発表には逸話的情報は多いものの具体性には乏しい。

当然ながら、Google Assistantの拡大とともに、これをめぐるエコシステムもデバイス・メーカーにとって魅力を増しており、自社製品にAssistantを組み込む動きが目立ってきた。当面、ホームオートメーション部門が中心で、Nest、Belkin、Samsung、Philipsその他がすでに製品を投入している。現在Google Assistantをサポートするスマートホームデバイスは225のブランドから1500種類程度が市場に出ている。

Googleが今日この情報を発表したのは偶然ではないだろう。世界最大級のエレクトロニクス製品のトレードショー、CESはこの週末からスタートする。実はGoogleは会社の歴史始まって以来初めてCESに本格的に登場する。(フロアプラン)。目玉となるのはAssistantデバイスとエコシステムだ。この数日中に多数のGoogle Assistantをサポートするスマートデバイスが発表されるに違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サードパーティコードの脆弱性をチェックするAppcanaryのチームがGitHubにスカウトされた

Y Combinatorで孵化したサービスAppcanaryは、デベロッパーが使用するサードパーティのパッケージやライブラリのセキュリティを調べる*。その同社が今日(米国時間1/4)、6月1日をもってサービスを閉鎖し、チームはGitHubに加わる、と発表した。〔*: canary,カナリアは、坑道の中で落盤の危険性を鳴き声で知らせてくれる、とされている。〕

両社の契約内容、とくにその財務的側面は公表されていないが、本誌TechCrunchの理解ではそれは、主として人材獲得を目的とする買収だ。

今日の発表声明の中でAppcanaryのファウンダーMax VeytsmanとPhill Mendonça-Vieiraはこう述べている: “私たちは最初にRubysecを作り、その後(今は亡き)Gemcanaryを作り、それからAppcanaryを始めたが、その間一貫して私たちの目標は、脆弱なソフトウェアの使用を防ぐことによって世界のセキュリティを向上させることだった。当時は、そのためのビジネスを作ることが必要と思われたが、しかしさまざまな理由により、その方向性は実らなかった”。

これまでAppcanaryは、最大三つのエージェント(三つのサーバー)をチェックしモニタするサービスに月額29ドルを課金していたが、近く料金を上げる予定だった。

なお、GitHubも最近、デベロッパーのコードの脆弱性をモニタする同種のサービス発表している。そこで当然ながらAppcanaryのファウンダーたちは、GitHubのセキュリティツールの今後の機能拡充が自分たちの仕事だと自覚している。

買収に関するGitHubの説明は、Appcanaryの発表とよく似ている: “AppcanaryのチームとPhillip Mendonça-VieiraおよびMax VeytsmanがGitHubにチームに加わったことはとても嬉しい。彼らはその専門的知識と技能をGitHubのコミュニティにもたらし、デベロッパーたちのセキュリティ能力を強化するだろう。GitHubはセキュリティアラート(Security Alerts)の分野への投資と機能拡充を、メインの重要業務の一環と見なしている”。

6月1日になるとAppcanaryのサービスはすべて閉鎖し、コードの脆弱性スキャンを求めるユーザーのニーズは、SpacewalkLandscape, CoreOS Clair, Nessus Agents, そしてThreatStackなどへリダイレクトされる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

メルトダウンとスペクターの暴露で、Intel CEOの株式売却のタイミングが問題に

Intel CEO Brian Krzanichが11月に大量の株を売却したことが議論を呼んでいる。証券取引委員会(SEC)の提出書類によると、その取引は同社がMeltdownとSpectreバグについて報告を受けた後だが、公表される前だったからだ。

当該株はSEC 規則10b5-1プランに沿って売却され、同規則は会社幹部が事前に自動売却プランを設定できるようにすることで違法なインサイダー取引を防ぐことを目的としている。しかしKrzanichが提出したForm 4には、売却プランが2017年10月30日に設定されたと書かれている —— バグについてGoogleがIntelや他の影響を受けた会社に通知したという6月より何カ月も後だ。その後今週になってようやくThe Register らのメディアによって公にされた。

Intel広報担当者はTechCrunchに対して、「Brianの売却は無関係だ。取引は事前に設定した株式売却プラン(10b5-1)に従って自動的に行われた。彼は会社のガイドラインに沿って今後も株を保有し続ける」と伝えた。しかし、SECへの申告によって取引が暴露された時点で、Krzanichは25万株を保有していた —— これはIntelのCEOでいるために必要な最低株数だとMotley Foolは言っている。

Form 4によるとKrzanichは、申告書類に書かれていた取引を実行する前に49万5743株を持っていた。Krzanichは11月29日にストックオプションを行使して取得した64万4000株を直ちに売り、持ち株数は変わらなかった。同じ日にKrzanichはあと2回取引を行い、計24万5743株を売却した —— その結果残った持ち株数は25万株ちょうどになった。

ちなみに会社幹部が株を売るのはよくあることで、必ずしも会社の業績を示すものではない。しかし、MeltdownとSpectreによる影響(事態が暴露された後Intel株は2%値下がりした )を別にしても、Krzanichの売り方は注目に値する。一般に会社幹部は最低必要数以上の株を保有することで、投資家に自信を示すのがふつうだからだ。つまり、来週のKrzanichのCESキーノートに暗雲が立ち込めることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WordPressにビジネスグレードのホスティングを提供するWP Engineが、Silver Lakeから2億5000万ドルを調達

モバイルアプリはデジタルワールドへの主要な入口としての存在感を増し続けているが、ウェブにも非常に重要な役割が残されている。そして本日(米国時間1月4日)、企業たちがウェブサイトを構築し運用する際に、特にWordPressに特化して支援を行う、とあるスタートアップが非常に多額の資金調達を行った。

世界最大のWordPressホストの1つであるWP Engineは、Silver Lakeの主導するラウンドで2億5000万ドルを調達した。同社はこの資金を、国際展開の促進と、基盤製品であるDigital Experience Platformの開発に投入する予定だ。

同社はその資金調達発表の中で、評価額を開示しなかったが、前回の2015年のラウンドでは控え目な2000万ドルとされていた。PitchBookによれば、そのときの投資後企業価値は1億9400万ドルだったということだ。このことが意味するのは、現在の評価額は少なくとも4億4400万ドル、もしくはそれ以上だということだ。

そうであっても不思議はない、同社は現在年間1億ドル以上の収益を誇り、7万5000以上の顧客を抱え、前年に比べて30%の成長を遂げている。

実際、同社は、そのプラットフォームはすべてのインターネット訪問の約5%を占めていると語っている。WP Engineによれば、インターネット全体におけるWordPress自身のシェアは、2010年には13%だったが、現在は29%を占めているということだ。

これにより、WP Engineはインターネット上にある最もアクセスの多い100万サイトの中で、最大のWordPressホストとなっていて、それ自身重要なプレイヤーともなっている。そして自分自身の所有していないプラットフォーム(WP Engineの場合はWordPress)の上に構築された企業は、不安定な状態だと考えられるようになっている。

(興味のある人向けに。29%という数字は2017年11月のW3Techsの調査に基づくものだ。そして「最大の」という結果は「調査会社Alexaによって挙げられた最も訪問された100万サイトに対する、Web Content ManagementシステムのフィンガープリントをWP Engineが調査したもの」である)。

他の企業のために働く会社にしばしば期待されるように、WP Engineにもホスティング以上の役割が求められている。AWSやGoogle Cloud Platformなどのサービスと統合し、インフラストラクチャだけではなく、分析、セキュリティ、そしてサポートを、開発者からマーケティング担当者に至る、企業のデジタルオペレーションのエコシステム全体に含まれる人びとに提供できるプラットフォームとして提供することだ。

これまでに、テキサス州オースティンに本社を置く同社は、最新のラウンドからのものも合わせておよそ2億9000万ドルを調達している。投資家に名を連ねるのは、他でもないAutomatic(WordPressを所有する会社だ)、そしてGuidePost Growth Equity(以前はNorth Bridgeという名で知られていた)、Eric Ries(「リーン・スタートアップ」で有名)、そしてSilvertonだ。

Alibaba、Didi Chuxing、SoFi、Teslaその他多数の、有名かつ大規模なスタートアップに対する投資実績を持つSilver Lakeの参加は、重要な意味を持つ。

「Silver Lakeと提携する理由は、その素晴らしいテクノロジー投資家としての実績からです。私たちのようなデジタルプラットフォームビジネスに理解を持ち、私たちと共有できる価値を持っているからです」とWP Engineの会長兼CEOのHeather J. Brunnerは述べている。「このパートナーシップは、私たちのDigital Experience Platformへの投資をさらに促進し、世界中のWordPressユーザーに当社のプラットフォームの力をお届けするのに役立ちます」。

「WP Engineのエンタープライズレベルの技術と優れたサービスによって、最高のパフォーマンスも持つ高品質のWebサイトを、迅速に作成することができます」とSilver LakeのLee Wittlingerは述べている。「私たちはWP Engineが、急速に成長しているWordPressのエコシステムで世界をリードできる立場にあると考えており、次の開発フェーズに取り組む、同社の才能あふれるマネジメントチームと共に働くことを楽しみにしています」。

この取引の一環として、Silver LakeのWittlinger、Greg Mondre、そしてMark GillettがWP Engineの取締役会に参加した。

 

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(翻訳:sako)

Twitterのツイートスレッドを読みやすいテキストに変えるボットThread Reader App

Twitterというプラットホームは、人によって好き嫌いが激しいが、しかし愛が激しくても憎が激しくても、それらがときどき、Twitterの上にホットでリアルで有意義な議論が展開されるきっかけになる。Twitterの上で時間と人生を消耗することが多いのも、そんな議論が気になってしまうからだ。

ブログは、どうだったか? そこでは、ソーシャルメディア上の痙攣と発作の連鎖ではなくて、センテンス(文)とパラグラフ(段落)で考えを述べる。それが、昔はありえたのだ。そしてここでご紹介するものも、それに近い。

そのThread Reader App(@threadreaderapp)と呼ばれるTwitterボットは、読みづらいTwitter上の暴言怒号の連鎖をふつうのテキストに変えて、簡素でノーマルなページに載せる。以下のツイートは、このアプリの取扱説明書だ。

ツイートの嵐をブログ形式にするためには、@threadreaderappにキーワード“unroll”でリプライする。ツイート数の多いスレッドは扱いにくいものだが、それらがテキストの塊になると、とても読みやすくなる。

このボットにはChromeの拡張機能があって、テキストへの変換作業を一連のクリックでできる。ぼくはまだ実際に試してないが、気に入ったら作者に寄付をしよう

でもTwitterは、良いスレッドとくだらないスレッドが1対100ぐらいだ。それに、200人以上もの人たちが、まったく同じことをオウム返ししているスレッドもある。Thread Reader Appのトレンドページによると、選挙時に、虚偽とデマに基づくヒラリーの悪評をTwitterで広めたフェイクニュース集団Pizzagateも、ツイートの嵐を読みやすいブログ形式に変えることが好きだったそうだ。

しかし、illuminatiによる世界制覇説*を信じてないぼくらでも、Twitterのスレッドがもっと読みやすくなることは歓迎だね。〔*: Twitter上には自称illuminatiがたくさんいる。小説/映画『ダ・ヴィンチ・コード』で大衆的に有名になった。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple曰く、メルトダウンとスペクター問題は「全MacシステムとiOSデバイス」に影響を与えるが長くは続かない

Appleもメルトダウンとスペクターに免疫はない。昨日発表されたコンピューターの基本アーキテクチャーの重大なバグは驚きと恐怖を拡散した。Appleは 発表文で、「全MacシステムおよびiOS端末が影響を受ける」と言った。たしかにその通りだが、緩和策は準備中あるいはすでに提供されている。

大騒動の全容がまだわからない人のために、昨日詳しい記事を書いた。つまるところ、過去何十年もCPUが使っていたしくみに、極めて深刻な脆弱性が見つかり、様々な保護データが悪意のハッカーに暴露される可能性がある」。

幸い、Appleが言うように、「現時点でユーザーに影響のある悪用方法は見つかっていない」。しかし、その状態が長く続くと思わない方がいい。過去10年で最大のセキュリティー問題の幸運な最初の被害者にならないために、自分の機器が最新状態にあることを確認してほしい。

一部の機種については、しばらく前に対応が済んでいる。「AppleはiOS 11.2、macOS 10.13.2、およびtvOS 11.2でメルトダウンの緩和策を公開した」。Apple Watchは安全だ。なぜならメルトダウンはIntelプロセッサーの問題でありWatchでは使われていないからだ。性能低下を指摘する記事もあるが、Appleはベンチマークスコアに「測定可能な低下は見られない」としている。

スペクターは、悪用するにも修正するにも面倒な代物で、まもなくパッチが発行される予定だ。「Appleは数日のうちにSafari、macOS、およびiOSのアップデートを公開し、各種の侵入被害を緩和する」。

なぜ「緩和」と言って「修正」や「対抗」などと言わないのか不思議に思うかもしれないが、それはメルトダウンとスペクターが利用しているコンピューター機能は非常に基本的であるため、回避することは著しく困難かつ複雑だからだ。しかも、新たな変異種による攻撃は、これらの攻撃が非公開だった過去数カ月間にメーカーが実施した保護対策を回避する可能性が非常に高い。緩和策やパッチはおそらく何度も発行されるだろう。

なお、これらの侵入はマシン上でネイティブに動くコードにのみ影響を与えるため、Appleは「ソフトウェアはApp Storeのような信頼できる場所からダウンロードする」ことを推奨している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

任天堂のSwitchはアメリカでも記録破りの売上、Wiiを上回る

任天堂のNintendo Switchは短期間で大量に売れたので、同社の最速売れ行きのゲーム機になっただけでなく、アメリカにおける最速売れ行きを記録、ないし記録を更新した。それまでのトップは、発売直後におけるWiiだった。Switchは最初の10か月で480万台以上売れて、同じ期間のWiiの400万台を抜いた。

Switchの成功は、それをすでに持っている人にとっては不思議でも何でもないだろう。あるいはその過程をウォッチしていた人にとっても、当然と頷(うなづ)ける。なぜかというと、まず、旗艦的タイトルThe Legend of Zelda: Breath of the Wild(ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)でスタートを切ったこと。Switchのオーナーの55%以上が、これを買っている。さらに任天堂によると、Super Mario Odysseyが保有率55%以上、Mario Kart 8 Deluxeが50%以上だ。明らかに、任天堂自身による第一級大衆作品が、この家庭用/携帯用ハイブリッド機の初期需要を強力に引っ張ったと言える。

この成績をベースとして、任天堂の2018年は明るいだろう。Switchの今のパフォーマンスを見ると、あまり大衆受けしなかったWii Uの全生涯売上を短期間で軽く抜きそうだ。ただし長期的な売れ行きとなると、Switchの場合でも、今後のゲーム作品の人気と出来栄え次第だ。

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トランプ政権、ホワイトハウス内での個人携帯電話を禁止

米国時間1月4日の声明で、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、ウエストウィング内での個人用携帯電話の使用を禁止すると発表した。

「ホワイトハウスITシステムのセキュリティーおよび整合性はトランプ政権にとって最優先項目であるため、今後ウエストウィングでの個人携帯端末の使用は来客、スタッフともに禁止する。スタッフは業務遂行のために政府支給の端末を利用することができるので、今後もアメリカ国民のために職務に励んで欲しい」と新しい方針に関する声明でサンダース氏が語った。

禁止の噂は数カ月前から出回っていた。「ある職員は、施設のワイヤレスネットワークに接続される端末があまりにも多く、また個人携帯電話は政府支給の端末と比べてセキュリティーが低いと話していた」と11月に情報筋がBloombergに語った。ホワイトハウスのジョン・ケリー主席補佐官がこの行動の推進者だと言われている。

昨年2月にCNNは、当時のショーン・スパイサー報道官が自身のスタッフに対して抜き打ちの端末検査を行い、報道関係その他へのリークにつながる秘密の会話を調べたと報じた。「『緊急ミーティング』」と言われてスパイサー氏の部屋に入ると、テーブルに携帯電話を置くように命じられ、何も隠していないことを証明するために「携帯チェック」が行われた」と当時Politicoは書いている

トランプ政権はこの新しい「個人端末禁止」ルールをセキュリティー問題の一環だと位置づけようとしているが、ジャーナリストのMichael Wolffによるホワイトハウス爆弾暴露記事によるとそれも疑わしい。政権は当初から情報漏洩を非難してきており、今回の個人端末禁止はカオス状態の大統領任務遂行状態に関する発信を制御しようとする、遅きに失した(おそらく不毛な)努力と思われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook