Google、AIから偏見を排除する方法を研究中

Artificial intelligence and cybernetics

ガーベージイン・ガーベージアウト ― これは常にコンピューティングのルールであり、機械学習も例外ではない。基本的ぬAIは、教えられたことしか知らないので、データに何らかの偏見があれば、それに基づいて訓練されたシステムもそうなる。Googleは、そんな厄介で深刻な問題を引き起こしかねない状態を、”Equality of Opportunity” [機会均等]と名付けた方法を用いて系統的に回避しようとしている。

機械学習システムは、基本的に様々なデータ集合の性質学習する予測エンジンから成り、新たなデータを与えられるといくつかあるバケツのどれかに分類する。画像認識システムなら、車のタイプの違いを学習し、それそれの写真に「セダン」「ピックアップトラック」「バス」等のラベル付ける。

間違いは避けられない。スバルのBRATやシボレーのEl Caminoを考えてみてほしい。コンピューターがどう判断するにせよ、それは間違っている。この少数しか存在しない車両タイプのデータを十分に持っていないからだ。

この例の誤りから起きる問題は取るに足らないだろうが、もしコンピューターが車でなく人間を調べ、住宅ローン不払いのリスクによって分類したらどうだろうか? 共通パラメーターから外れた人々は、システムがデータに基づいて良好と考える条件に当てはまらない可能性が高くなる ― それが機械学習のしくみだからだ。

グループのメンバー情報に、繊細な属性、例えば人種、性別、障害、宗教等があった場合、不公平あるいは偏見をともなう結果を招きかねない」とGoogle BrainのMoritz Hardtがブログに書いている。「ニーズがあるにもかかわらず、繊細な属性に基づくこの種の差別を防ぐための十分吟味された方法論が、機械学習には存在しない」

Hardtは、同僚のEric Price、Nathan Srebroと共同で、この種の結果を避ける方法を説明した論文をまとめ、この種の結果を避ける方法を記載した。次のような数式がたくさん書かれている。

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しかし要点はこうだ:望ましい結果が存在し、誤った属性のために正しい結果を得られない可能性があるとき、アルゴリズムが自らを調整して、その属性によらず結果の分布が均等になるようにする ― 即ち、本質的でない属性間に等しい価値を置くようシステムを訓練する。

チームが作ったこのインタラクティブ・チャートを使うと直感的に理解できるだろう。これは道徳的に正しい数字をひねり出すためのものではない。モデルの結果はむしろ予測を正確に反映している。もし、ある属性に意味があるなら ― 地域に基づいて信仰する宗教を計算したり、性別による医学的予測を行う場合等 ― それを判定基準に含めればよい。

機械学習が多くの業界で急速に広まる中、Googleの取り組みは実に思慮深く、極めて意義が大きい。新たなテクノロジーの限界とリスクをよく理解しておくことは大切であり、これは地味だが重要な活動だ。

著者らはNeural Information Processing Systems会議で論文を発表する — 誰もがバルセロナを訪れる良い理由だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

起業家はSF小説を読むべきだ

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編集部注:Ben Narasinは25年のキャリアをもつ起業家だ。これまでに8社に対するシード投資の経験を持ち、現在はCanvas VenturesでGeneral Partnerとして勤務している。

この世界には3つのタイプのSF小説がある(あくまでも私の意見だが):駄作、駄作の続編、そして本格的なSF小説だ。最後のタイプのSF小説には未来の世界像が豊富に描かれている。その未来像のなかには、現在私たちが住んでいる世界ですでに実現しているものも多い。その未来像が多くのテック・スタートアップや世界レベルの起業家たちから参考にされ、彼らに影響を与えている。

1993年にfashionmall.comを創業した当時、生まれたばかりのWebをビジネスにしようとする人々がいて、どのような方法でビジネスにするのか、または、それは本当に可能なのかという議論がいたるところで交わされていた。そんな時、1冊のSF小説が私にWebの進化についての先見の明を与えてくれた。この本がなければ、その6年後に自分の会社を上場することなど不可能だったのかもしれない。

当時の人々の多くは、Webが平等主義者にとって素晴らしいコミュニティになるだろうと考えていた。すべてが平等で、たった1クリックで到達可能なコミュニティだ。Webを構築しさえすれば、人々が集まる。Neal Stephensonが書いたSnow Crashを読んだとき(PayPalの創業者であるReid HoffmanとPeter Thielが、創業前にこの本について議論を交わしながら週末を過ごしたことを後になって知った)、そこにより地理学的にWebを捉えたメタファーが書かれていることに気づいた。入口こそが最も価値のある土地であり、クリックを重ねてその土地から離れれば離れるほど、不毛の大地となっていくというメタファーだ。

その本から得た洞察をもとに、私は今でいうところのポータルサイトとの交渉に2年を費やすこととなった。そして、AOL、Excite、Yahoo、Netscape、Microsoftなどの企業との取引を成立させることになる。結局、私たちは自分たちがフォーカスする分野においてはこれらの企業以上の存在となることができ、自分たち自身がポータルとなり、そして上場企業の一員となることができた。1冊の本に書かれたビジョンが私たちの助けとなったのだ。

企業の創業者たちの間では、SF、ファンタジー、ロールプレイングゲーム、コミックが共通の関心ごとであることも多い。私はその関心を失うべきではないと言いたい。SFやコミックは未来のビジョンを与えてくれるものであり、そのビジョンを起業家が実現し、そのビジョンに投資家が出資するのだ。Charles Strossが書いたゲームについての著作のなかには、私が見る多くのピッチよりも優れたARやVRについてのアイデアが書かれている。StephensonのDiamond Ageに書かれた素晴らしいEdTechのコンセプトは、まだ実現されていない。John Barnesが書いたMother of Stormsは地球温暖化が与えるインパクトを予知しているだけではなく、パテント・トロール、市民ジャーナリズム、個人衛星の打ち上げなどのアイデアが、それらのコンセプトが誕生するはるか以前に描かれている。

中国でさえもSFの重要性に気がづいている。Neil Gaimanは「2007年に行われた中国初の国家主導によるSF大会」で交わされた共産党幹部との会話を詳細に語っている。なぜ中国で大会が開かれたのかという質問について、その幹部は:

この数年間、私たちは製造業で素晴らしい功績を残してきました。iPodを製造し、電話を製造してきたのも私たちです。私たちは世界の誰よりも製品を製造することに長けていますが、製品のアイデアを考え出したのは私たちではありません。そこで、アメリカに訪れ、Microsoft、Google、Appleなどから話を聞くことにしたのです。そこで働く人々に私たちは沢山の質問をしました。それによって分かったのは、彼らが皆SF小説を読んでいるという事でした。だからこそ、SF小説を読むことは良いことなのかもしれないと考えたのです。

それから10年が経ち、単にモノを製造するのではなく、モノを創り出すという中国の試みは著しい成功を納めている。SF小説だけが成功の理由だとは言わないものの、その要因の一部だったと考えられるだろう。

テック分野の起業家、その予備軍、そして企業の創業者たちはSF小説を読む必要がある。なかには若いころに夢中になったSF小説を今でも読み続けている人もいる。過去のSF小説を読むことによって現在を捉えることだけが重要なのではなく、現在出版されている小説も読むことで未来を想像する助けとなってくれるだろう。

私は数週間おきに図書館を訪れ、新しく出版されているSF小説をすべてチェックするようにしている。駄作もある。何章か読んだ後に読まなくなる本もある。暇つぶしに最適なものもある。しかし、ものの見方や考え方を変えてくれる本もある。私の心のなかにある未来への窓を開き、そのビジョンをもつスタートアップを探し求めるのだ。

NASAが宇宙から写真を持ち帰えると、数名のSF小説家などが招かれて写真のレビューが行われると聞いたことがある。SF小説家たちは、NASAが抱える数多くの優秀な人材を差し置いてチームに参加するのだ。SF小説家たちは彼らの人生を科学に捧げ、彼らが描く未来を小説という形で書きおこしている。思うに、彼らと同じく未来を創っていく起業家にとって、彼らの作品から何かを得るために週末の数時間を費やすだけの価値はあるだろう。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

個人事業主の開業届けに必要な書類を出力する「開業 freee」——青色申告を手軽に

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クラウド会計ソフト「freee(フリー)」を手がけるfreee。同社は2015年5月、会社設立に必要な書類を出力できる無料ツール「会社設立 freee」を無料公開したことで話題を集めた。そんなfreeeが10月10日、今度は個人事業主向けに、開業に必要な書類を出力できる無料ツール「開業 freee」を公開した。こちらも利用は無料となっている。

開業 freeeでは、個人事業主が開業するために必要な「開業・廃業等届出書」「青色申告承認申請書(青色申告を行う場合)」「青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を支払うか、家族への給与を経費にする場合)」「給与支払事務所等の開設届出(給与を支払う場合)」「源泉所得税に納期の特例の承認に関する申請書(給与を支払う場合)」の5つの書類について、サイト上の質問に回答していくことで出力することが可能だ。なお不動産業や旅行業などはそれぞれ業種ごとに別途届出が必要になるため、そのための書類は用意する必要がある。またサイト上でジャパンネット銀行の口座開設も可能なほか、クラウド会計ソフト・freeeも1カ月無料で提供する。

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開業により青色申告で控除を受けられるように

会社設立と個人事業主の開業には大きく異なる点がある。それは、会社設立であれば登記は必須だが、個人事業主は開業を税務署に届けることが必須ではないということだ。ではそこにはどういう違いが生じるのか? それは年1回行われる確定申告にある。

確定申告では(1)青色申告(65万円控除)、(2)青色申告(10万円控除)、(3)白色申告——のいずれかの申告方法を選択することになるが、手間のかかる青色申告のほうがより大きな額の控除を受けられる。月収20万円の場合、白色申告と青色申告(65万円控除)では年間で15万円以上納税額が変わるケースもあるという(シミュレーション結果は開業 freee上でも確認できる)。

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青色申告を行う(青色申告承認申請書を提出する)ためには開業の届出が必須になるのだが、freeeが独自にアンケートをとったところ、個人事業主の約3割は青色申告承認申請書を提出しておらず、そのうち約6割は提出しないことについて「特に理由はない」と回答しているという。つまり、「制度の構造が理解されず確定申告時のメリットを最大限受けられていない」(freee)のだそうだ。また、開業届の準備から提出までの期間を調査したところ平均11.2日、その後に提出する「青色申告承認申請書」については平均9.3日で、忙しい開業のタイミングで大きな負荷になっているのは事実のようだ。

開業 freeeではそういった開業届の手間を削減するほか、確定申告時に必要となる複式簿記で記帳したはクラウド会計ソフト・freeeで作成できるというわけだ。同社が会社設立 freeeを提供した際にも、設立したばかりの企業を囲い込む意図があるのではないかと報じたが、このサービスも個人事業主に利便性を提供すると同時に、彼らを囲い込むためのうまい施策となりそうだ。

Samsung、Galaxy Note 7交換品の発煙問題について声明を発表

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Samsung広報部門は、Galaxy Note 7の欠陥問題を巡る最近の報道を受け、被害を最小限の食い止めるべく対応を続けている。先週サウスウェスト航空機内で起きた事故は、以前機上で起きた問題を、いくつかの理由でさらに複雑化させている ― 以前の事故は幸いにして航空機がゲートにいる間に起きたものだった。

報道によると、問題の端末は事故発生時所有者のポケットの中にあり、客室乗務員の要請に従って電源が切られていた。さらに悪いことに、所有者によるとそのNote 7は、何十件もの欠陥報告を受けたSamsungがリコールを発行し、交換品として送った端末だった。

サウスウェストの緊急退避事故の後、本誌の質問に対してSamsungは次のように回答した:

端末が回収できるまで、この事象に新しいNote7が関わっているかどうかは確認できない。現在当局およびサウスウェストと協力して、端末の回収と原因の究明に努めている。調査結果がわかり次第、詳細な情報を伝える予定。

昨夜、広報担当者から追加の発表があり、広報的悪夢の中、その内容は以前よりも詳細だった。以下に全文を掲載する。

Samsungは、当社が提供したNote 7の交換品に関する最近の報道によって、当社のキャリアーおよび消費者が不安を感じていることを理解している。当社は引き続き、報告された件の調査を進めて原因を追及し、結果がわかり次第報告する。CPSC[消費者製品安全委員会]とは今後も密に連絡を取り続けていく。もし安全面の問題が発見された場合は、CPSCと協議の上直ちに対策を講じる。顧客に対しては、当社がいかなる報告も真摯に受け止めていることを伝えると共に、当社が全力で対応している間、辛抱いただいていることに深く感謝している」

この声明の前日、米国主要キャリアーの大半が、不安を抱えるGalaxy Note 7所有者に対して、他機種への交換に応じることを表明した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがジェスチャーでアバターに感情を持たせる「VR絵文字」を発明

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握った拳を振ると、仮想現実世界にいるアバターが「怒った」表情を見せる。映画「ホームアローン」の主人公のように、手を顔にあてれば「ショック」の表情だ。高々と手をあげればバーチャル世界のあなたが「喜んだ」表情を見せてくれる。

これはFacebookが開発する「VR絵文字」の例であり、Facebookが考える仮想現実世界での感情表現のあり方なのだ。アバターの頭の上に黄色の絵文字が表示されるわけではない。アバターの目、眉毛、口などが動き、現実世界さながらの表情をつくり出すのだ。

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FacebookのソーシャルVR部門を率いるMichael Boothが絵文字による感情表現について話してくれた。「私たちはテキストメッセージで感情表現をしたい場合、絵文字を使います」。テキストメッセージでは声のトーンや体の動きは伝わらない。だからこそ、テキストがもつ本当の意味を表すために絵文字が誕生した。これが無ければ、例えば「うそー」と書かれたメッセージを受け取った場合、それが「興奮」を表すのか、または「疑念」を表すのかを知ることは難しいのだ。

Boothが目指すのは、本当の顔を見ることができないソーシャルVRならではの感情表現の曖昧さを減らすことだ。その結果、単なる「いいね」以上に細かな感情を表現できる360 News Feedの「Reactions」よりも、さらに優れた方法を発明することに成功したのだ。

「アバターに感情を持たせるために、その引き金となるボディーランゲージを作るというアイデアです」と彼は語る。それこそが、Boothが言うところの「VR絵文字」なのだ。「私たちは無表情の存在にはなり得ません。(仮想現実にも)目があり、口がある。感情がなければ、なんの情緒も生まれないのです」。仮想現実世界で友人にショッキングな出来事を伝えるとき、無表情ではまったく臨場感が伝わらない。私たちは顔から情報を得ることに慣れ親しんでいるのだ。

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例えば、現実世界で何かについて長い説明を行うとき、相手の困惑した表情を見れば自分の話している内容が伝わっていないことが分かる。そのため、難しい言い方を避けたり、話の背景を説明したり、違う言い方でもう一度説明したりするべきだと分かるのだ。

VR絵文字がなかったとすれば、理解できてないことを伝えるために相手の話をさえぎるか、自分の言いたいことが伝わるか分からないまま手を振り回すか、話が終わるのを待つしかない。VR絵文字を使えば、そういう場合には手のひらを上に向けて肩をすくめるポーズをすれば、アバターが眉をしかめ、口をゆがませて困惑した表情を見せてくれるのだ。ただし、BoothはVR絵文字を使うためのジェスチャーは変更される可能性があると注意している。

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Mark Zuckerbergは、人間の脳がどのようにソーシャルVRを処理するのかを説明した

VR絵文字は目の動きや顔の表情のトラッキングを必要としない。VRヘッドセットにトラッキング機能を持たせるためには、追加のハードウェアが必要となってしまう。FOVEなど一部のスタートアップのなかにはアイトラッキングが可能なヘッドセットを開発する企業もあり、VRチャットアプリのAltspaceなどはアバターの目の動きをユーザーの目の動きと合わせている。しかし、アイトラッキング機能はOculus Rift、Gear VR、Google DaydreamとGoogle Cardboard、HTC Vive、Playstation VRヘッドセットには搭載されていない。

FacebookのソーシャルVRにおいて、実際の人間と同じようなアバターを生み出すうえでの4つのゴールをBoothが教えてくれた。

  1. “アバターで再現された自分の外見に満足できる”
  2. “一目見るだけで友人が自分だと気付いてくれる”
  3. “気味が悪かったり、不快にさせるような見た目ではない”
  4. “Facebookは17億人ユーザーそれぞれに似せたアバターを創り出すことができる”

Facebookはアバターをユーザーに似せる方法をまだ模索中だ。一つの選択肢は、ユーザー自身がアバターで再現する自分の顔を描くことができるイラストレーション・ツールだ。もう一つの選択肢として、Occipital Structureセンサーなどを使ってユーザーの頭部をモデリングする方法がある。SNSにアップロードされているユーザーの写真からVR用の顔を再現することも可能だろう。

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どのような方法が採用されたとしても、信頼するに足る働きをしてくれることだろう。さもなければ、上の1番と4番のルールに反したグロテスクな見た目のアバターが生まれるかもしれない。

ライブVR

幸いにも、Boothはアバターにとても精通する人物だ。彼はValveでゲーム製作に10年間携わり、同じくゲーム会社のBlizzardでも2年間勤務している。彼は自身のVRゲームスタジオを立ち上げる予定だったが、FacebookがBoothの元を訪れ、ソーシャルVR「Toybox」のデモを彼に見せつけた。彼はそのデモに「本当に圧倒されてしまった」と話している。BoothはFacebookのチームに参加することになり、本日プロトタイプが公開された名称未定のソーシャルVR「Toybox」の責任者に昨年12月から就任している。

リアルな存在感だけでは十分ではなく、VRに意味を持たせなければならない。仮想現実世界で「やること」が無ければいけないのだ。BoothとMark ZuckerbergはVR絵文字の発表に加えて、アバターとなった友人と一緒にVR上の目的地を訪れるというデモンストレーションを見せた。デモの中で彼らは、トランプを楽しんだり、テレビを見たり、ちゃんばらごっこをして遊ぶ姿を観衆に披露した。なにかクールなものを見つければVRでセルフィーを撮ることだってできるし、手首にあるボタンを押すことで、撮ったそばからFacebookでその写真をシェアすることもできる。VRでFacebook Messengerのビデオ通話を受け取れば、バーチャル世界の自分と現実世界の通話相手が会話することになる。

だが、これらの機能はまだ序の口だ。Facebookが計画しているのは、ユーザーをVR世界のビデオカメラマンにすることだ。Facebookは「バーチャルなカメラを持って動き回ることができる」機能を開発中だとBoothが話してくれた。これにより、VRヘッドセットを持っていない友人でもユーザーのFacebookにアップされたその映像を見てVRの楽しみを知ることができるのだ。「ユーザーは自分の友人のためにVR世界の2Dカメラマンになることができるのです」とBoothは語る。「ビデオをストリーミングすれば、スーパースターの一員です」。

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FacebookのソーシャルVRの進化過程。初期段階のアバターからブロック型のアバター、丸みを帯びるようになったアバター、そして感情をもった生き物へ。

Facebook Liveストリーミングを現実世界からデジタルな世界にまで広げるというコンセプトによって、ビデオにフォーカスするFacebookはソーシャルVRを同社の中心的製品と考えるようになった。OculusとFacebookはそれぞれが固有のものとして始まったプロダクトではあるが、その境界線が薄くなってきているのだ。

Facebookが思わず夢中になるようなVR体験を大規模に実現できれば、その後は「マネタイズの方法を考えることになるでしょう。VR世界での広告はとても面白い存在になることは明らかです」とBoothは話す。

ただ、現時点でのソーシャルVRは世界をつなげ、どこにいても友人とのつながりを感じさせるというFacebookのミッションを達成するための次世代の方法でしかない。ごく基本的なプロフィールから写真付きのプロフィール、そしてニュースフィードの自動再生ビデオへと進化したように、テキストチャットからマルチメディアで機能するMessengerアプリへと進化してきたように、ウェブからモバイルへ、そして今ではVRへと進化したようにFacebookはこれからも進化し続ける。それを実現するテクノロジーが何であれ、Facebookはその第一原理である「People First」に忠実であり続けるのだ。そうBoothは語っている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Tesla、10月17日に「驚きの新製品」を発表すると予告

PALO ALTO, CA - NOVEMBER 05:  A sign is posted at a Tesla showroom on November 5, 2013 in Palo Alto, California. Tesla will report third quarter earnings today after the closing bell.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

TeslaのCEO、ファウンダーのイーロン・マスクによれば同社は10月17日(日本時間10/18)に何らかの新製品を発表する。 マスクの日曜のツイートによれば、「誰も予期していなかったようなもの」だ。ただし17日に発表されるのはTesla/SolarCity関係のプロダクトではない。そちらの発表は28日だという。

17日にTeslaは新製品 (誰も予期していなかったもの)を発表する。その後、28日にTesla/SolarCityの発表がある。

マスクは電気自動車メーカーのTeslaと太陽光発電事業のSlarCityの共同で開催する10月28日のイベントについてはすでに予告を行っている。この発表には太陽光発電のSolar Roof、電力ストレージのTesla PowerWallの第二世代、Tesla EV充電システムなどが含まれるはずだ。

今回のマスクのツイートで、Teslaは上記のプロダクトの他になんらかの驚きの製品を用意していることが判明した。電気自動車の新モデルかもしれない(Roadster 2.0のお披露目が長らく待たれている)し、自動車運転車の改良かもしれない。Teslaは最近Autopilotを8.0にアップデートしたが、マスクは今年に入って「今年われわれは皆を驚かすようなスピードで自動運転テクノロジーを進歩させる」と示唆している。

今月のイベントについて発表したツイートに続いてマスクは「第4四半期にはTeslaにもSolarCityにも一部で観測されているような新たな資金調達の必要はない。また新しい会社の予定もない」と述べている。マスクが予告しているイベントの目的(の少なくとも一部)は、提案されているTeslaとSolarCityの合併が両社のビジネスにとって好ましい方向であると投資家を納得させることにあるのだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

若い世代ほどニュースを視ることよりも読むことが好き?

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さて、若い人たちに届くことを期待してビデオに投資を行っている全てのメディアパブリッシャーに素晴らしいニュースだ:Pew Research Centerが今週リリースした調査結果によれば、より若い人たちほど、ニュースを視ることよりも読むことに関心があるということがわかったのだ。Pewが明らかにしたのは、ニュースを読むよりも視ることを好むのは、まさしくより高齢の世代だということだ。

この結果は、若い世代に届けるためには、メディアパブリッシャーはFacebookやSnapchatのようなソーシャルメディアに投稿することのできる、活気のある短いビデオに投資しなければならないという、一般に言われている説とは少し矛盾する内容である。それはまだ各社のより大きなソーシャル戦略の有効な部分なのだが、若者がその日のニュースを取り込む際に好む方法には合わないのかもしれない。

Pewが米国の18から29歳の消費者たちに、ニュースを視る、聴く、そして読むのどの手段を好むのかを尋ねたところ、42パーセントが「読む」と答え、38パーセントが「視る」と答えた。そして19パーセントの若者だけが「聴く」と回答している。

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もちろん、視ることを好む人の数と、読むことを好む人の数の間には大きな隔たりがあるわけではない、またニュースの読み手が安定多数を占めているわけでもない。しかし、他の年代グループと比べてみると、より若いニュース消費者たちは高齢の人びとに比べて、より読むことに関心があることが明らかになった。

例えば、30から49歳の世代では40パーセントの人だけが読むことを好むと答えている一方、50から64歳の世代では29パーセントだけが読みたいと答えている。それよりもさらに少なく、65歳以上の世代では27パーセントの人が、ニュースは読むことが好きだと答えている。

一方、50から64歳の人の約半分(52パーセント)、及び65歳以上の人の58パーセントが、ニュースは視ることを好むと答えている、とPewは書いている。

ある程度、これは高齢の世代はニュースをテレビで視ることを好んでいることに関係付けられるだろう、一方より若い世代はニュースを読む手段を素早くデジタルプラットフォームやウェブに切り替えている。

言い換えれば、本当の意味で急速に消えつつあるのは新聞なのだ。

ft_16_09_30_newsreaders実際、人びとにどこで読むことを好むかとPewが問いかけた結果によって、この事実が裏付けられている。ニュースは「読みたい」と言った18から29歳の世代のうちおよそ10人中8人(81パーセント)が、ニュースはオンラインで読むのがベストだと答えている。一方新聞を好むと答えたのは10%だけだ。30から49歳の年齢層でも、同様の結果が示されている。

高齢の読み手たち(50から64歳)では、オンラインで読みたい人と新聞で読みたい人の割合はほぼ同じであった。41パーセントがウェブを好み、40パーセントが新聞を好むと答えている。

おそらくより多くの若い大人たちがニュースを視るよりも読むようになっている一方で、視る人たちも行動を変えつつあるということをこの調査は示している。

若い世代(18から29)の世代は、他のどの年齢層よりも多く – 30から49歳のパーセンテージに比べても倍だ ‐ ニュースビデオをテレビではなくウェブで視るようになっていることが分かった(テレビでニュースを視る57パーセントに比べて、37パーセントがウェブでニュースを視ている)。

また興味深いのは:デジタルニュースコンテンツを読んだり視たりする彼らの嗜好のせいで、Pewの調査が明らかにしたことは、若い世代は一般的にニュースに寄せる関心は薄いものの、デジタルメディアの領域では、このグループは他のより高齢なグループに比べて同じか、より高い関心をニュースの取得に対して示すということである。意図的ではないとしても。

その通り。若い世代はほとんど偶然ではあるものの、より情報通になりつつあるのだ、単により多くの時間をオンラインで過ごしているという理由によって。さて、彼らが皆、投票にも行ってくれることを願おう。

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(翻訳:Sako)

オンライン食品デリバリー市場には2100億ドルの可能性

A day's worth of meals from a raw-vegan delivery service, ready for a cleanse or detox. Includes: crepes, berries, collard green wraps, sushi, salad and pizza.

編集部注著者のEric Kim氏は、LA拠点のモバイル食品オーダースタートアップRushOrderの、共同創業者兼CEOである

昨年私は、広範囲にわたるオンライン食品オーダリングへの長期的シフトについての記事を書いた。その時には、対象領域に大量の資金が流入しているのを目撃した。それから1年が経ち、私たちは今や、非常に異なる資金調達環境を目にしている。調査会社のCB Insightsによれば、食品デリバリーカテゴリーへの国際的な資金の流入は、16年第1四半期に69パーセント減少し、そして更に第2四半期には49パーセント減少している。

Source: CB Insights

出典:CB Insights

ファイナンスの視点からは流れは間違いなく後退している一方で、オンライン食品デリバリー業界が示すマーケットの可能性は、相変わらずの大きさを誇っている。実際、今年6月の最新業界レポートのMorgan Stanley Researchの指摘によれば、(デリバリー業界からの)アプローチ可能なコアとなるレストランは年間2100億ドルを売り上げているのに対し、オンライン食品デリバリーはわずか100億ドルを計上しているのに過ぎない。5%以下である(Morgan Stanley Research: Restaurants and U.S. Internet)。この金額は「電子商取引の2分の1、オンライントラベルの8分の1」に過ぎない。これらのメトリクスが示しているのは、オンライン食品デリバリーは明らかに「いまだに成長待ち段階」ということだ。

Source: Public Company Filings, AlphaWise, PhocusWright, US Census Bureau, ComScore, Forrester, Euromonitor, Morgan Stanley, and Wall Street Research Reports

出典:Public Company Filings、AlphaWise, PhocusWright、U.S. Census Bureau、ComScore、Forrester、Euromonitor、Morgan Stanley、そしてWall Street Research Reports

あまり頻繁に議論されていない統計は、この2100億ドルのアプローチ可能なマーケットの60パーセントがピザだと見積もられていることだ。これ自身は興味深いデータであるが、一方AlphaWiseが4月に行ったサーベイの結果が示すのは、消費者はピザ以外のデリバリーオプションを欲しているという事実である。

5000人以上の米国の消費者を対象とした彼らの調査では、回答者のほぼ3分の2がそれ以前の半年の間にレストランでテイクアウトの注文を行っている;こうした、容易にデリバリー注文に置き換え可能なテイクアウト注文が、ピザの代わりに頼めるオプションとして使われているのだ。調査ではさらに、こうした需要の高まりが「都市や、郊外、そして農村のマーケットを問わず」一貫して起きていると述べている(Morgan Stanley Research: Restaurants and U.S. Internet2016年4月のAlphaWiseの調査)。

そしてオンライン食品デリバリーサービスが急速に拡大し続けるにつれ、これまでデリバリーを提供できなかったレストランが、ますます多くデリバリー向けにアクセス可能になって来ている。以上のことが意味することは、これまで歴史的にピザの領域であったパイの一部の1260億ドルが、急速に手に入れやすくなってきたということだ。

Source: Morgan Stanley, AlphaWise

出典:Morgan Stanley、AlphaWise

この考慮すべき2100億ドルマーケットの可能性が、固定された数字ではないということも忘れないようにしよう。もし消費者たちが全体としてレストランでの外食時間を減らし、より多くの時間をオーダーに使ったならば、全体のパイは大きくなる。実際に、市場調査会社のThe NPD Groupは、次の10年間の店外フードサービスの成長は、レストラン業界全体の成長の速度を上回るだろうと予測している。

もし私たちが外食産業全体を広く眺めれば、そのマーケット規模は4900億ドルとなり、食品デリバリーの可能性(アプローチ可能な部分)はそのうちのちょうど43パーセントとなる。この角度から眺めれば、このマーケットの半分以上はまだ技術的に追求可能である。そこでは、ただの1パーセントの成長が、ほぼ50億ドルのデリバリーマーケットの機会拡大につながる(Wall Street Research Reports)。

Source: Public Company Filings, Morgan Stanley, Technomic

出典:Public Company Filings、Morgan Stanley、Technomic

とは言ったものの、メディアから流される膨大なノイズのために、ここで追加された視点は容易に見過ごされてしまう。長期的傾向は時間をかけて生まれるものであることを忘れてはならない ‐ しばしば、かなりの数の上下する投資サイクルを経て。そして、これらのサイクルを通じて、歴史上常にそうであったように、企業は栄えたり没落したりしていく。覚えておくべき重要なことは、発生の頻度は低いものの、広範で長期的なシフトは、それを活用できた幸運な者たちには並外れた機会を与えてくれるということである。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

シンガポールのNugitが520万ドルを調達 AIを利用したビッグデータ分析サービスを提供

Colorful data graphs on glowing panel of computer screens

ビッグデータの時代が訪れ、データの組織化と処理の効率化が求められるようになった。それこそがマーケティングに特化したシンガポールのスタートアップであるNugitが得意とする分野だ。今週、同社はSequoia CapitalがもつIndia Fundから520万ドルを調達したことを発表した。Nugitは昨年、500社のスタートアップとThe Hub Singaporeから金額非公開のシード資金を調達している。

オーストラリア出身のマーケッターであるDavid Sandersonが創立したNugitは、顧客企業と顧客が持つデータ・プラットフォームの仲介役となり、そのデータが持つ意味を浮き彫りにする機能をもつ。現在はFacebook Ad Manager、Google AdWords、DoubleClickなど15個のデータ・プラットフォームをサポートしている。Nugitのアイデアとは、データに存在するノイズを排除するだけでなく、Nugit自体がPowerPointなどの「即座に意思決定につながる資料」を作りだすことで、デジタル・マーケッターの負担を軽減するというものだ。

マーケッターがデータを扱う際には、データのクリーニングやアラインメントなど数多くのプロセスを手作業でこなす必要がある。しかし、GroupMや他の広告代理店で勤務していたSandersonは、コンピューターを利用すればそのプロセスをただ完了させるだけでなく、データが持つ意味を浮き彫りにすることができると気づいたのだ。こうして、人間には相当の労力が必要なプロセスのオートメーション化を目的にNugitが設立されることとなった。

Nugit CEOのSandersonはTechCrunchとのインタビューの中で「そのようなプロセスは特にデジタル分野のマーケッターにとってエキサイティング時間でもあります。しかし、データの量が多すぎると質の高い分析を行うことが難しくなってしまいます。人間が処理できるデータの量は限られており、そのために置き去りにされるデータがあるのです。それに加え、人々はデータを集めることにうんざりしていて、代わりに即座に意思決定につながる情報を欲しがっています」と語る。

シンガポールを拠点とする25人のチームからなるNugitの顧客企業には、FacebookやJohnson & Johnson、Publicisなどがある。同社の料金体系はデータの量やソースによって利用料金が変わる会員料金型だ。会員料金は最低で500ドル、最高で2000ドルだ。また、特別なインテグレーションやホワイトラベル化された製品を必要とする顧客向けには、それぞれにカスタマイズしたオプションも提供している。

Sandersonによれば、元々は彼がよく知る広告代理店業界向けのビジネスとして始まったNugitではあるが、大量のデータを抱える他分野の業種にもビジネスの範囲を広げつつあるという。その最近の例として、金融業界の会計データの処理にNugitのテクノロジーを利用したいとのアプローチがあったとSandersonは話してくれた。

「多くの組織が大量のデータを保有してはいますが、社内に分析チームを抱えていてもデータを大規模に分析することができていません。そのような分析チームのほとんどが、多種多様なツールを使って人間の手でデータの分析を行っています」とSandersonは語る。「あと1年か2年もすれば、企業のコアとしてNugitが提供するようなデータマネジメント能力が必要だと気づくようになるでしょう。それはデジタルメディア向けのキャンペーンに関してのデータであっても、企業の財政データであっても、もしくは消費者の新製品購入に関するデータであっても同じことです」。

Nugitは今回調達した資金によって、R&Dを強化して同社のテクノロジーのさらなる開発に努めるとともに、新しい業種にもビジネスの範囲を広げていく予定だ。Sandersonによれば、来年の終わりまでに従業員の数を2倍に増やすことも考えているという。しかし、拠点はシンガポールのまま変わらず、今後もアジア地域の企業やグローバル企業にフォーカスしていくと話している。同社は顧客が利用できるSDKの開発にも取り組んでおり、これが実現すればNugitをベースにカスタマイズされたソフトウェアを顧客自身が構築することが可能になる。

Sequoia CapitalがアジアのAI系スタートアップに投資したのはNugitで2社目だ。今年の8月、Sequoiaはインドとアメリカを拠点にEコマース向けのサービスを開発するMad Street Denに対して金額非公開の出資を行っている。また、9月にはNugitと同じくシンガポールのAI系スタートアップであるViSenzeが楽天から1050万ドルを調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Websie /Facebook /Twitter

マセラティ、2020年に電気自動車市場に参入見込み

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Teslaのおかげもあって、電気自動車(EV)はごく一般的なものとなりつつある。しかし未だ参入していない自動車メーカーもあるわけで、その中からついにマセラティがEV界への参入を表明した。他のメーカーに比べて大きく出遅れたわけだが、このフィアット・クライスラー・オートモービルズ傘下の高級車メーカーは、2020年に販売開始を予定しているのだそうだ。それに先立つ2019年中に概要を示したいともしている。

方向としては、Tesla Model S風を追うのではなく、グランドツーリング・クーペとしての方向を目指すらしい。Car and Driverにて、マセラティのエンジニアリング部門のリーダーであるRoberto Fedeliが述べていた。先日行われたパリ・モーターショーでのインタビューによるものだ。

Fedeli曰く、他者に対する遅れは重々認識しているとのこと。高級自動車メーカーの中でも最後発のポジションとなる。それがためにマセラティとしては他メーカーと「大いに異なるもの」を発表するつもりであるとのこと。EV市場に参入するにあたっては、既存のブランドイメージをどのように活かしていくかを十分に考慮する必要もある。マセラティは独特のエンジン音や、車体の軽さに特徴がある。EVとなると音は小さくなり、そしてバッテリーのせいで車体は重くなる。これまでのマセラティとは真逆のものともなるわけだ。

マセラティほどのメーカーが、自らのブランドをどのように活かしたEVを生み出すのかは大いに注目したいところだ。EVは、EVであることの独自性などなくなりつつあり、消費者の要求レベルも高くなりつつある。技術面およびデザイン面で、ライバル社とどのような差別化を行うのかが楽しみだ。

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(翻訳:Maeda, H

New Labはハードウェアスタートアップのための新しいコラボレーションスペース

 

New Lab先月正式にオープンした 。その共同創業者のDavid Beltが、ロボティクスや人工知能といった分野の会社のための「コラボラティブワークスペース」と表現するスペースだ。

この施設はブルックリンのネイビーヤードに位置し、かつては造船に使われていた建物である。Beltはこの建物を、製造センターとして復活させたかったのだと語った。もちろん現在の産業と技術に対応できるようにして。

「ソフトウェア企業のためのリソースは、ニューヨークに沢山存在しています」と彼は私たちにに語った。「しかし、ハードウェアを作ろうとしている企業のためには、それほど多くのリソースは存在していません。そしてそれらのリソースには私たちが必要と考えるツールやコミュニティが備わっていないのです。なので、New Labは、人びとが集い、プロトタイプを行い、共にイノベーションを目指し、そういう人びとのプロダクトをマーケットに届けるために効率的な場所であることを目指しているのです」。

言い換えれば、ハードウェア企業は机と高品質なインターネット回線以上のものを必要としているので、New Labには溶接や、レーザーカッター、そして3Dプリンターといった設備が用意されている ‐ いずれも本当のプロトタイプを作る際に必要とされるものだ。

つい先日私たちは、建物のツアーを行う機会を得て、最初の登録メンバーの何人かに対するインタビューを行った。その中にはHoneybee Robotics(医療や火星探索までの幅広い用途のロボットを構築している)や、Nanotronics(産業用自動顕微鏡)、そしてStrongArm Technologies (倉庫従業員のような「産業アスリート」のための機器)の代表者たちも含まれている。

さらに詳しい情報とメンバーシップの申請はNew Labのウェブサイトへ

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(翻訳:Sako)

学生エンゲージメント管理ソフトのCheck I’m Hereが100万ドルを調達

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Check I’m Hereは、カレッジや大学が、キャンパス活動に対する学生の関わり(エンゲージメント)を追跡することを助けるプラットフォームだ。そのCheck I’m Hereがそのサービスの成長を継続するために、シリーズAファンディングで100万ドルを調達した。現時点で30の州、3つの国にまたがった80教育機関の40万人の学生が利用している。Check I’m Hereの優れた点は、単にあるキャンパスアクティビティに何人学生が参加したかのデータを集めるだけでなく、大学やカレッジがそのデータを将来より多くの学生を呼び込んだり、学校への残留者を増やしたりするために活用する手助けをすることである。

教育機関はこれまでずっと、リーダーシップセミナー、学生のクラブあるいは組織活動のイベント、コンサートといった課外活動に対する学生の出席状況を追いかけていた、なぜならそうした学生の関わりは学校へ残留する割合 ‐ つまり卒業まで留まる割合 ‐ と深く関係しているからだ。

header-phone収集したデータを利用して、学校はどのイベントが残留率を上げるのかを、そしてどの学生がそうしたイベントに参加しなかったのかを知ることができる。そしてそうしたイベントの「マーケティング」や「宣伝」の仕方をそれに従って変えていくことができるのだ。

また学校側は、ドロップアウトした学生が参加したイベントといったものを知ることもでき、そして高い残留率に紐付けられたイベントへの案内を、どのような経緯でドロップアウトした学生に届け損なったのかを知ることもできる。

Check I’m Hereプラットフォームは、教育機関が役立てることのできる様々なツールを提供している、学生がイベントにやってきたときにIDをスワイプするための小さなデバイス;デジタル同意書;ビルトインされたイベントマネジメントシステム(Eventbriteに類似);イベントとその詳細へのユーザーアクセスの作成、承認、そしてカスタマイズ;イベントの効率と学生1人あたりのコストを追跡する予算ツール;ウェブ、モバイル、ソーシャルメディア、そしてオフラインを横断して学生との関わりを実現するマーケティングツール;コミュニケーションと文書共有ツール;カスタムレポート;などなど。

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ほとんどの学校は、既に学生イベントのために確保されている予算を使ってCheck I’m Hereへの支払いを行っている。(授業料には、これに資金を回すための「アクティビティとサービス」料金が含まれていることが多い)。

あるケースでは、学校が、計数カウンターとスプレッドシートを使った、より手作業の多いイベントマネジメントとトラッキングからのアップグレードを行っている。また別のケースでは、学校が他のライバルシステム、例えばCampus LabsあるいはOrgsyncといったものからの移行を行うこともある。

興味深いのは、沢山の学校がCampus LabsあるいはOrgsyncをとても好んでいるように見えるにも関わらず、いまや両社ともLeeds Equity Partners買収されて、統合されつつあるということだ。統合の結果、生まれる新しいプロダクトを好きになれない学校が、Check I’m Hereに切り替える余地が生まれることになるかもしれない。

「主要な教育機関は、これまで何年も重厚長大なマネジメントシステムを使ってきています」と語るのは創業者でCEOのReuben Pressmanだ。「しかし、米国の4500以上の高等教育機関の大半は、まだこうしたエンゲージメントソフトを試したことがありません。彼らのニーズに合った既存のソリューションがなければ、どの教育機関にとっても重要な機能に対して、彼らは不利な立場になってしまうのです」。

「私たちはエンゲージメントプラットフォームへ賭けています」と彼は私たちに説明した。「(競合相手は)私たちがやっているようなデータトラッキングをしていません」とPressmanは付け加えた。

今日、Check I’m Hereは、7万人の学生を擁する大きな学校から、小さなプライベートカレッジまで、幅広い範囲の教育機関と提携している。四半期毎に顧客が25パーセントずつ増えていて、その継続率は98パーセントに及ぶ、とPressmanは語った。

フロリダ州タンパに拠点を置く、Check I’m HereのシリーズAは、Tampa Bay LightningのオーナーであるJeffrey VinikRonald Schlosser(McGraw-Hill Educationの元エグゼクティブチェアマン)、そして500 Mobile Collectiveを含むエンジェル投資家たちによって支援されている。

新しい資金は、雇用を含む、継続的な成長に向かって行くために使用される。現在15人のチームは、年末までにセールスとマーケティングに半ダースほどのスタッフ増強を計画している。

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(翻訳:Sako)

ニューヨーク州の新しい都市計画はディストピアへの第1歩か?

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今週の初め、ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモは、21世紀半ばの完成を目指した橋(とトンネル)に関する記者会見を開催した。知事の野心的で論争の種ともなるその計画は、高速道路の渋滞を削減し、排気ガスの低減をするためにデザインされた、一連の構想である。

この構想はまた、洪水を阻止するトンネル内バリアのデザインと、地震に備えた橋の強化も含んでいる。エネルギー消費を抑えながら、素晴らしい照明のショーを提供するために、橋のLED照明化もリスト上に載せられている。ここではJay Zの音楽に乗せてイメージが示されているが、この壮大な照明はあなたのインスピレーションを促すことだろう:

当然のことながら、構想には数多くの対テロ規制が含まれている。橋やトンネルの「構造上重要な地点」の周りには、カメラとセンサーが配置される。このNew York Crossings Projectという名前のプロジェクトには、車のナンバープレートや人間の顔を認識できる先進的な画像認識テクノロジーが取り込まれるのだ。

そうした地点に展開されたあと、このテクノロジーは空港やその他の交通ハブにも適用されることになるだろう。

人権擁護団体からの反応は予想通り迅速だった。発表の翌日New York Civil Liberties Union(NYCLU)は、計画をマイノリティ・リポートと比較しつつ、知事のクオモをディストピアだと非難している。 以下はNYCLUのスタッフである弁護士のMariko Hiroseが、フィリップ・K・ディックの作品に言及しながら述べたものだ:

知事クオモの計画は、誰が何を知っているかを政府が調査するために使える、巨大なデータベースに、何百万人もの人びとのイメージとデータを格納してしまう可能性がある。罪のない人々、特に技術の不正確さによって誤認識されやすい有色人種が、テロリストとして誤って特定されてしまうという、巨大な危険性もある。私たちは、そのことが意味する深刻なプライバシー上の懸念について何の議論も経ぬまま、マイノリティ・リポートのディストピア世界に1歩近付いたのだ。

出典 The Verge

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(翻訳:Sako)

GitHubがセカンダリーラウンドの資金調達をしているらしい、旧投資の部分的清算のため?

Workers install a billboard for GitHub Inc. in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Nov. 11, 2014. GitHub, which provides open-source code hosting services and has raised more than $100 million from investors, is among tech startups boosting demand for billboard space around Silicon Valley. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

いくつかの情報筋によると、GitHubは昨年7月の、評価額20億ドルでの2億5000万ドルの資金調達(プライマリーラウンド)に続き、セカンダリーの資金調達を今進めている、という。しかし噂では、このセカンダリーの資金調達は、投資家または社員の株式現金化(“清算”, liquidation)に備えてだ、とも言われている。

この話には二つの部分がある。ひとつは、この二度目のラウンドでは同社の評価額が最初の20億ドルより低くなる、という説だ。ある筋の推計では、15億あたりだろう、という。ただしこれも正確な数字ではない。しかし別の筋によると、このセカンダリーは普通株のためだろう、という。そうなると、話はややこしくなる。そうすると、優先株はどうなり、投資家はどんな権利を得るのか。そこで評価額の計算もやや曖昧になり、ふつうの意味のダウンラウンドではない、という理屈になるのかもしれない。

しかし、それよりももっとおもしろい噂は、MicrosoftがGitHubの買収を検討している、という説だ。買収ではなく戦略的投資だ、という説もあるが、噂としては大きな違いはない。M社がより深いパートナーシップを求めているのだ、という説もある。GitHubの代表者は、Microsoftによる買収の噂は真実ではない、と言う。Microsoft側は、ノーコメントだ。

このセカンダリーラウンドに誰が参加するのか、投資家なのか社員なのか? しかしいずれにしても、GitHubも今年で8歳だから、これまでの投資の清算があっても不思議ではない。

この種のセカンダリーラウンドは、企業が後期ステージへと成長し、しかしIPOはまだしない、というときに意義がある。GitHubは人も文化もきわめて分散的だから、昔からの社員が何らかの代償を求めてもおかしくない。現状は、入ったばかりの若手と、長年いるベテランとのあいだに、待遇や報酬の差はあまりない。そういう意味でGitHubは、フラットな会社だ。また、代償は引き止め策でもある。投資家たちの一部も、セカンダリーラウンドによる清算(現金化)を期待しているだろう。

GitHubは、世界でいちばん多く採用されているデベロッパーツールだろう。コードを管理するための場所であるだけでなく、オープンソースのエコシステム全体の、もっとも重要な部分だ。オープンソースのプロジェクトを健全かつ活発に維持することは、直接間接に必ずそれらを使っている大きな企業にとって、とても重要だし、オープンソースの寄与貢献者の中から有能な人材をピックアップできる。人だけでなく、多様なアイデアもそこで育つ。しかしデベロッパーが気軽に利用していたリソースも、持続可能なビジネスへ成長するためには、本格的なエンタープライズに自分を拡張する必要がある。それがおそらく、今GitHubが抱えている難問だ。

Microsoftに関しては、Visual Studio Team ServicesというGitHub的なツールがすでにあるので、そこがおそらく今回の噂の出処(でどころ)だろう。

最近IPOしたAtlassianをはじめとして、GitHubをめぐる競争は激化している。Atlassianは、昨年IPOした途端に株価は32%跳ね上がり評価額は58億にもなった。それは、IPOしたときすでに同社が黒字だったせいもある。また、最近元気なGitLabは、GitHub同様、オープンソースのgitをベースとしている。同社は先月、2000万ドルを調達した

〔参考記事: セカンダリーラウンドとは何か。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

幽霊が出そうな青く光るサイクリングロードは、太陽光を吸収する素材でポーランドのスタートアップが作ったのだ

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ポーランドではこんなクールなことができる。上の不思議な写真は、プルシュクフという町のクールなサイクリングロードだ。道路に発光素材を敷き詰め、昼間の太陽光で蓄光すると、暗い中で10時間光り、サイクリストを、心を落ち着かせる青い光に浸す。

これを作ったTPA sp. z o.oは、未来的技術が売りのエンジニアリング企業だ。ハイウェイのような大きなプロジェクトに使いたいのだが、まだテスト中の素材なのでサイクリングロードで我慢している。首都のワルシャワでも近くやる予定だが、そのときは複数の色で光るようにする、という。

この素材は発光団(luminophore(s))と呼ばれ、光を吸収する性質があるので夜のサイクリングロードを光らせる。青を選んだのは、湖の多いマズーリ地方の景観に合うからだ。ポーランド語を読める人は、Gazeta Wyborczaへどうぞ。実際にポーランドの奥深い森林地帯へ旅して、光るサイクリングロードの冷たい美しさを満喫するのも、よいだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

テンプレートを廃しブロック方式で自由度を高めた、一般人のためのWebデザインツールTilda

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メイカーに代表されるような、いろんなプロジェクトに次から次と手を出すタイプの起業家は、Webサイトも次から次とたくさん作らなければならない。そのための便利なツールとして、Bootstrap(これはやめた方がよい)やSquarespace、WordPressのクールなプラグイン、などなどがかねてからある。ここでご紹介するTildaも、そのひとつだ。

Tildaは使いやすくて応答性の良いページビルダーで、ふつうのランディングページだけなら月額15ドルで利用できる。FunkyPunkyというデザインスタジオをやっているロシアのWebデザイナーNikita Obukhovが、自分たちで使うためにTildaを作り、最近それを一般公開した。画像やテキストのレイアウトはドラッグ&ドロップ方式だから、何かを貼り付けるのは数秒で終わる。

その差別化要因のひとつが、Zero Blockと呼ばれる“Webエディター内のWebエディター”的なツールで、文字やフォントの管理(タイポグラフィー)、図形を描く、アニメーションを作る、などの作業ができる。いわばこれは、Tildaの秘密兵器だ。

Obukhovはこう説明する: “ユーザーは、予(あらかじ)めデザインされているブロックを組み合わせてWebサイトを作る。テンプレートはない。その方が柔軟性があり、ユーザーの自由度も大きい。ブロックは、わが社のプロたちの作品だから、ルックスがよろしい”。

試してみたら、こんなプロジェクトを15分で作れた。既存の写真とテキストを、ちょっと使っただけだ。終わったらすぐにそれをアップできるし、公開できる。ドメインを割り当てるのも簡単だ。とにかく、使用体験はとても快適だ。

Tildaはまだ自己資本のみで、今リピーターの顧客が約4000名いる。

あなたはまだ、Bootstrapから完全に抜け出せないかもしれないし、Tildaの月額15ドルは高いと感じるかもしれない。でも、ぼく自身の証言としては、とても使いやすいから捨てられないツールだね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleが自社ハードウェア製品のパイロットショップをニューヨークに開店…小売のノウハウ獲得に本気?

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Googleのハードウェア製品に、物理店としての小売店が…一時的に…与えられる。そのお店は10月20日にニューヨークの96 Spring St.(スプリング街96番地)に開店し、店名は“Made by Google”になる。これは、Googleが自社ブランドのハードウェアにつけるキャッチフレーズで、今のそれらは、Pixel, Pixel XL, Daydream View, Google Home, Google Wifiなどだ。

新製品のハードウェアを実際に見て触(さわ)れる物理店をGoogleがトライするのは、これが初めてではない。Appleがやってるような“お店の中のお店”を、Best Buyで試みたこともある。でも今回は、Googleがハードウェアビジネスにいよいよ本気のようだから、前よりもおもしろい。今週の同社のハードウェアイベントで取材したGoogleの代表者は、ハードウェアビジネスには小売の展開も含まれる、と言っていた

このお店そのものと、popup.withgoogle.comというドメインの今後も、おもしろそうだ。このURLには“Visit Us”というタブメニューのリスト(他店案内)があり、それは本来のMade by GoogleのWebサイトにはない。そしてWebアドレスの末尾に“nyc”があるのは、ほかの都市でも展開する、という意味ではないのか。

今後のGoogleが、Appleのような、ハードウェアの1から10までを手掛ける専業的な業態にも進出するのなら、当然、消費者体験をもっと大切にしなければならない。iPhoneの場合は、小売店舗がその大きな要素だ。今回の一時的なパイロットショップは、消費者の個人的で物理的肉体的な体験がPixelなどの評価にどのように貢献するのか、それを知るための良い機会になるのだろう。

出典: Engadget

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VerizonバージョンのGoogle PixelはAndroidのアップデートをGoogleではなくVerizonが行う

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今週行われたGoogleのハードウェアイベントには、それをネットで見ていた人がパニックに駆られる一瞬があった。“Verizon exclusive”(Verizonのみ)という言葉が画面に流れ、それを家で見ていた人たちは当然ながら、ぎくっとしただろう。キャリア限定機能は、言うまでもなく、消費者の神経を逆なでする。

しかし、特定の契約に縛られるのが嫌な人は、キャリアブランドのないアンロックバージョンをGoogleから直接買える。またVerizonブランドのバージョンも、その重要なセキュリティアップデートはGoogleが行う。

あまり良くないニュースは、9 to 5 GoogleがGoogleから入手したメモによると、Androidのアップデートはキャリア(==Verizon)が同社のソフトウェア認定過程の一環として行うので、関連する雑務も多く、遅れが発生するだろう。Androidのv.7.1を初めて搭載し、最先端機中の最先端機になるはずの同機らしくもない、マイナス点だ。

その見事に〔皮肉〕簡潔な声明文は、以下のとおりだ:

毎月のセキュリティアップデートはGoogleが行い(全機種)、システムアップデートはVerizonモデルはVerizonが、Google Storeで購入されたアンロックモデルはGoogleが行う。

やはり、v.7.1の今後のアップデートは、アンロックバージョンで待った方が良さそうだ。

Verizonは本誌TechCrunchの親会社AOLを昨年44億ドルで買収した

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleとMonotypeが全言語対応フォントのNotoを公開

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サービスで世界中をつなぎ合わせようとしているGoogleは、これまでモバイルサービスや検索エンジン、地図、コネクティビティ、デバイスなどさまざまな分野に挑戦してきた。そして本日Googleは、野望を叶える上で欠かせない分野である一方、あまり注目されることのないフォント界での取り組みについてある重要な発表を行った。

そこでは、フォントの専門家であるMonotypeとの協力のもとで生まれた、Notoプロジェクトがお披露目された。5年におよぶ両社のコラボレーションの末に誕生したこのタイプフェイスは、単一のスタイルで800以上の言語と100種類以上の表記に対応している。既にこのフォントはオープンソースのOFL(オープンフォントライセンス)として公開されており、そのまま利用するだけでなく、フォントデザインに改変を加えることもできる。

ユーザーがどの言語でデジタルコンテンツを創作・消費しようと、白いボックス(通称”豆腐”)として表れる”未知”の文字を表示させないようにする、というのが両社の大きな狙いだ(Notoは”No to(fu)”という意味でもある)。さらにGoogleとMonotypeは、全言語のフォントが視覚的に統一されれば見た目にもよいと考えている。

両社がこのプロジェクトに取り掛かりはじめたころ、疑いの目を向ける人がいたのも確かだ。そんな人たちの意見が、パキスタン系アメリカ人ライターAli Eterazの以下の言葉に上手くまとめられていると個人的には思う(2014年にNPRが引用しているが、この頃プロジェクトは既にかなり進行していた)。

「2つの考えの間で揺れているんです」と彼は言った。「このGoogleの普遍主義的なプロジェクトは、無害、もしくは有益でさえあるかもしれない。でもその一方で、技術的帝国主義のようにも感じるんです」

手元にさまざまな種類が揃っていれば、フォント選びはとても楽しく開放的である上、正しいフォントを選ぶことで自分のメッセージが上手く伝わる場合もある。

そういった意味では、Notoプロジェクトの結果生まれたのは、想像力をかき立てるというよりも機能的なフォントだと私は思う。文字ひとつひとつが、考えうる限り最も当たり障りなくニュートラルで(ベーシックな英語のサンセリフ体を下に掲載している)、フォントスタイルには、さまざまなウェイトや台詞・サンセリフ体、数字、絵文字(基本的にはGoogleの絵文字)、記号、楽譜用の記号などが含まれている。

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しかし機能面から考えると、真の意味でのグローバルフォントを作り出すというのは、価値のある素晴らしい取り組みであると同時に、その結果誕生したフォントもすっきりしている。

「Google Notoは、その規模や範囲を考えると気の遠くなるようなプロジェクトでした。それでも、これまで誰も挑戦してこなかった問題を解決できる素晴らしい製品を、5年間のハードワークの末に誕生させることができ、私は誇りに思っています」とGoogle国際化部門のディレクターであるBob Jungは声明の中で語った。

「Notoプロジェクトにおけるゴールは、私たちが販売するデバイス用のフォントを作ることでしたが、同時に情報を保護する活動にも興味がありました。話者数が減っている言語や、学問の世界でしか使われていない言語、さらには既に使われていない言語で残された情報を保護するのは、とても重要なことだと考えています。デジタルフォントのNotoがなければ、そのような文化資源を守っていくのは大変難しいでしょう」

私が面白いと感じたのは、プロジェクト開始当初のGoogleとMonotype間での仕事の割り振りだ。

Monotypeは実際のデザイン業務を主に担当していた。その業務内容は、「文字・表記システム・文字体系に関する研究やそのデジタルデザイン化、個別言語のルールや慣習をフォントに適用する作業、さらには世界中の外部デザイナーや、表記に詳しい言語学者の管理など」だったとMonotypeは言う。

Googleは、その強力なエンジニア陣やその他の力によって、クライアントの役割を務めていたようだ。つまり、Monotypeがやらなければいけない事項のパラメーターを設定したり、その対価を支払ったりというのをGoogleが担当しており、「プロジェクトの要件や範囲を定義し、主要言語のデザインの方向性に関する重要な指示を出していたほか、デザインレビュー、技術テストのリソース提供、さまざまな言語に関する専門的なアドバイスの提供以外にも、このプロジェクトを実現させるための資金を供給していた」。

さらに両社は、「世界中から何百人もの研究者、デザイナー、言語学者、文化学者、プロジェクトマネージャーがGoogle Notoに関わっていた」とも話す。

Googleは、さまざまなサービスをローンチすることで、インターネットに接続されている所であれば、どこにでもその足跡を残そうとしており、Google Notoの開発プロセスはその動きに沿ったものであった。さらにこれは、言語に関するGoogleの他の取り組みとも合致する動きで、話者数を問わずにさまざまな言語をカバーしている翻訳サービスがその筆頭だ(今年Google Translateの対応言語数は100を超えた)。

商業帝国主義的な要素があるのではないかというコメントに関し、2011年のUnicode 6.0(現行は9.0)リリース時からGoogleと提携しているMonotypeは、ある程度このような反応に配慮しながらプロジェクトに取り組んできたようだ。

例えば、チベット語へのアプローチについてMonotypeは「さまざまな文献や資料をしっかりと研究した後、仏教寺院の協力を仰いでフォントを批評してもらい、それをもとに修正を加えました。修道僧はチベット語の原稿を絶えず読み込んでいることから、チベット語版のNotoを評価するには最適な人材で、最終的なフォントのデザインを決定する上で、彼らの助言はとても有益でした」と説明する。

Notoフォントは本日リリースされたが、MonotypeとGoogleはこれが完成形とは考えておらず、Unicodeの進化にあわせて、今後新たな表記やウェイトが追加されていく予定だ。

「私たちは熱意をもって活字というものに取り組んでおり、さまざま文化・言語・地域で活字が利用されるように日々の活動に取り組んでいます」とMonotypeの社長兼CEOのScott Landersは話す。「歴史上最も重要な活字プロジェクトのひとつとなったNotoで、こんなに大切な役割を担うことができて光栄です。Monotypeのフォントに関する専門性とGoogleの革新性が合わさることで、こんなに生産的な関係が生まれることがわかったので、今後もフォントがさまざま場面で利用されるように、このコラボレーションを続けていくのが楽しみです」

Notoフォントの取り組みに関する詳細については、こちらのGoogleとMonotypeのビデオをどうぞ。

Creating Noto for Google from Monotype on Vimeo.

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

この「ballbot」は現実世界のBB-8?

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映画スターウォーズ「フォースの覚醒」に出て来る愛らしい球形ドロイドのように可愛くはないが、このカーネギーメロン大学のロボットには映画の特殊効果(それもクールであることは間違いないが)以上の有益さが宿っている。そして信じられるかどうかはともかく、このロボットは基本的に可動部品をもっていないのだ。

いま、あなたはこう考えているかもしれない、「このロボットに関するCMUの記事には『2つの可動部品』と書いてあるぞ、うっかりさん」。しかし、その記事をもっとじっくり読んで欲しい(そうしてくれた人に感謝!)。その可動部品の1つは部屋の中を動き回るロボット自身だ;私たちは紙飛行機を投げたとき、それを可動部品と呼んだりはしない。そしてもう一つは、それが移動に使うボールである。そしてそのボールは上に載ったロボットとは接続されていないのだ!だから私は専門家たちの意見にもかかわらず、可動部品ゼロにこだわっている。ここでは、 私が専門家だ。

ともあれ、このロボットは実際には10年ほどかかってデザインが進化してきたものだ: Ralph Hollisが「ballbot」を創造したのはだいぶ昔のことだが、そのときは機械的に駆動されていた。それが働く方法を説明するのはとても簡単だ:マウスのボールを想像して欲しい、ただしボールが内側の小さなローラーを動かす代わりに、ローラーがボールを動かしているものを。

慎重にこれらのモータを制御することで、任意の方向へボールを回転させながら、ロボットが基本的にボールの上でバランスを保つことを可能にする。生じる問題は、マウスに起きるものと同様だ:ローラーは摩耗したり汚損したりするので、交換しなければならず、モーターは再調整されなければならなかった。

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球面誘導モーター。詳細を示すために裏返されている。

この問題に対する解決策は、マウスに対して行ったような、ボールを無くすことではなかった。その代わりにローラーを無くしたのだ。新しいバージョンでは誘導モーターが使われている。これは磁気的に球体(銅で覆われた鉄球)を、固定子を使って駆動するものだ。なお他の誘導モーターでは球体の代わりにローターが駆動されている。

これによって摩耗が減り、ボールに対する制御のレベルが増大する、なぜなら考慮しなければならない機械的な力がより少なくなるからだ。電圧を調整してやれば、ボール上の磁気力が移動させたい方向へボールを推進してくれる。オンボードシステムは、ロボットを直立させバランスをとる、そして周りから押されたときに元に戻ることができる ‐ 脚付きロボットほどではないが、それでも。

このSIMbot(spherical induction motor=球面誘導モーターから命名)は、まだ研究室内での実験レベルに過ぎないが、おそらくその全方向運動と、洗練されてエレガントな制御メカニズムは、移動に脚または複数の車輪を使用するロボットたちの羨望の源となるだろう。

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(翻訳:Sako)