ボーイングのStarliner宇宙船の発射台緊急脱出テストが成功

NASAの商業乗員輸送計画のパートナーであるBoeing(ボーイング)は、CST-100 Starlinerに実際に宇宙飛行士を搭乗させるための、重要なマイルストーンを達成した。発射台からの緊急脱出装置のテストは、宇宙飛行士をStarlinerに搭乗させる前に設置しておく必要がある、NASAが要求する重要な安全システムだ。

Starlinerのデモミッションでは、実際の有人打ち上げ時にULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のAtlas Vロケットの上に、どのように設置するかをシミュレートすることから始まった。そして緊急脱出用のエンジンを点火すると、Starlinerとそのサービスモジュールはロケットから安全な距離まで飛行した。問題は3つあるパラシュートのうち2つしか展開されなかったことだが、NASAが定義する安全性設計はこのような可能性も範囲内として想定している。

このシステムの必要性は、ボーイングとNASAによって非常に「ありそうにもない」シナリオとして記述されているが、ボーイングとNASAは、ボーイングとSpaceX(スペースX)の新しい宇宙船における安全性を強調している。

宇宙船にはセンサーが設置されたテスト用のダミー人形が搭載されており、アクシデント時に緊急脱出装置によってStarlinerに搭乗した宇宙飛行士が、どのような衝撃を体験するのかについての、詳細なデータを両社に提供する。これは、第3のパラシュートが展開されなかった理由を調査することと同じく重要な情報である。

ボーイングは12月に、有人飛行の前段階として無人のStarlinerを初めてISS(国際宇宙ステーション)に打ち上げる予定だ。今後の予定は、テスト結果の調査にもとづいて決定される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

シャオミがApple Watchのクローン「Mi Watch」を中国で発売へ

ウェアラブルマーケットでApple(アップル)とトップシェア争いを展開しているXiaomi(シャオミ)は11月5日、同社初のスマートウォッチ「Mi Watch」をホームマーケットの中国で発表した。これによりAppleとの競争はさらに興味深いものになる。Mi WatchはApple Watchにかなりそっくりだ。

Apple Watchと同様、Mi Watchは四角形のデザインで、デジタルクラウンとボタンを備えている。常にオン表示できる1.78インチのAMOLEDディスプレイを搭載し、GoogleのWear OSをベースとしたシャオミのウェアラブル・オペレーティングシステム「MIUI for Watch」で作動する。

アルミ合金製でマットな仕上がりのハウジングの内側は、両サイドに録音や受信のためのマイクがあり、音楽やかかってきた電話を聴くためのスピーカーが左側にある。ワンサイズ(44mm)展開のMi Watchの背面はセラミックで、ここに充電用のピンや心拍センサーがある。

Mi WatchはQualcomm(クアルコム)のSnapdragon Wear 3100 4Gチップで動き、CPUは4つのCortex A7 1.2GHzだ。メモリーは1GB、ストレージは8GBとなっている。セルラー通信(eSIM経由)、Wi-Fi、GPS、Bluetooth、そして支払い用のNFCをサポートする。セルラーモードの場合、フル充電で36時間駆動するとしている。

Mi Watchではまた、睡眠、そして水泳やサイクリング、ランニングなどのパフォーマンスの追跡もでき、心拍も測定する。TikTokやQQメッセンジャーなど、40以上の中国の人気アプリがMi Watchでは初めから利用できる。そしてXiaomiが展開するXiaoAIがデフォルトのバーチャルアシスタントとして搭載されている。

Mi Watchの価格は1299元(約2万円)で、中国で来週発売される。中国外での展開についてはまだ言及はないが、過去の例から見るとインド、シンガポール、インドネシア、その他の国で来期以降に発売しそうだ。サファイアガラスとステンレスのバージョンも中国で来月発売される。こちらの価格は1999元(約3万1000円)となっている。

ウェアラブルマーケットにシャオミが商品を投入するのはこれが初めてではない。同社の25ドル(約2700円)もしない、カラフルなディスプレイを備え、フル充電で数週間駆動するフィットネストラッカーはアジアマーケットで驚くほど人気だ。

また、同社がアップル製品を真似ていると批判されるのもこれが初めてではない。同社の初期のスマートフォンはかなりiPhoneに似ている。しかし近年は、Xiaomiのスマホにはオリジナル性が加わっている。「すべてのスマートフォンでではなく大半のもの」でということだが。同社はまた今年、アップルのMemojiを真似ているとも批判されていた。

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(翻訳:Mizoguchi)

マイクロソフトが会議室管理サービスを開始

好き嫌いに関わらず(たぶん嫌いな人が多いとは思うが)、会議は会社にとって不可欠のもの。そして、技術的な問題のために、会議を時間通りに始められなかった経験を持つ人も多いだろう。Microsoft(マイクロソフト)は、会議室の管理サービスを提供することで、こうした問題を解決したいと考えている。費用は1室につき50ドル(約5400円)から。このサービスは、Managed Meeting Rooms(マネージド・ミーティング・ルーム)と呼ばれている。現在プライベートプレビューの状態だが、米国時間11月4日の発表に先立って、同社はすでに100を超える顧客とこっそり協力して、1500を超える会議室を管理してきた。

同社のMicrosoft 365担当のコーポレートVPであるBrad Anderson(ブラッド・アンダーソン)氏が私に語ったところによれば、Microsoft Teamsのチームは、多くの仕事をこなしてソフトウェアを最適化し、ビデオ/音声ベースの会議を簡単に開始できるようにした。

「しかし、会議室についてちょっと考えを巡らせてみると、Microsoft Teamsを運営するソフトウェアだけでなく、部屋にはたくさんのハードウェアがあります。テーブルの上にもデバイスがあり、スクリーンがあり、マイクやカメラがあり、プロジェクターもあります。さらに、それらすべてをつなぐケーブル類もあります」とアンダーソン氏は言う。「会議をシームレスで素晴らしいものにするには、こうしたハードウェアが、すべて正常に機能している必要があります。そこで、Managed Meeting Roomsのソリューションでは、すべてのハードウェアの動作も確認することにしました」。

このソリューションは、Microsoft Teamsルームと、Skype for Businessルームのシステムをサポートしている。同社は、企業が会議室をセットアップするための適切なツールの選択を手助けすることもできる。すべてが適切に設定されれば、同社はクラウドサービスを通してすべての機器を監視し、正常に動作しているかどうかを確認できる。問題があっても、それがリモートで修正できるものであれば、チームはそれを修正し、会議を時間通りに始めることができる。

「会議室の管理に、実際に習熟できるほど余裕のある組織はまれです」とアンダーソン氏は言う。「そこで、そうした組織では、結局このように考えるしかなくなるでしょう。つまり、マイクロソフトが実際に非常に手頃な価格でソリューションを提供しているのに、会議のための専門家を養成する必要が本当にあるのかということです。【中略】もし、会議の開始が10分でも遅れることを防げるなら、1回で元が取れるでしょう」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoft TeamsにYammerとの統合やセキュアなプライベートチャネルなどの新機能

Microsoft(マイクロソフト)のYammer(ヤマー)といえば、原始的なSlackのような、あまりリアルタイムでもないチャットアプリで、もうなくなってしまったと思う人がいても無理はない。しかし実は生きていて、しかも元気だ。全社的なチャネルやチーム全体へのお知らせといった動きの速くないソーシャルネットワークの用途で使われている。米国時間11月4日、同社はYammerをSlackのライバルであるMicrosoft Teamsに統合すると発表した。Teamsでは、Yammerは左のサイドバーに置かれる。

SAN FRANCISCO, CA – MARCH 30: Microsoft CEO Satya Nadella delivers the keynote address during the 2016 Microsoft Build Developer Conference on March 30, 2016 in San Francisco, California. The Microsoft Build Developer Conference runs through April 1. (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

これにより、マイクロソフトの2つの企業向けコミュニケーションプラットフォームはついに一緒に成長していくことになり、ユーザーは動きの速いチャットはTeams、FacebookのMessengerやニュースフィードのような社内SNSはYammerと、お互いに補完しながら使い分けられるようになる。

Yammer自体も、全プラットフォームにわたってマイクロソフトのFluent Design Systemを使って再設計された。またYammerをOutlookにも組み込み、受信メールボックスから直接、メッセージに返信できるようになる。新しいYammerは12月にプライベートプレビューとして公開が開始される。

今回のアップデートで、Teamsにはほかにも、セキュアなプライベートチャネル、マルチウィンドウのチャットとミーティング、チャネルのピン固定、Microsoft To DoおよびPlannerとのタスクの統合(To Doアプリは1つでは不十分なようだ)など、多くの新機能が追加される。Teams Roomsも大幅に機能強化され、Cisco WebExとZoomのミーティングのサポート、緊急通話に対応したTeams Phone System、管理者がTeamsのセキュリティを守るためのIT管理機能が追加される。

Linux版のTeamsクライアントも開発中で、今年中にはパブリックプレビューが公開される予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アドビがデザインツール「Adobe XD」にリアルタイム共同編集機能を追加

今週は、毎年恒例となったAdobe(アドビ)のCreative Cloudイベント「Adobe Max」の週だ。そして例年どおり、同社のさまざまな製品に対して各種のアップデートが発表される。ものによっては、わずかな変更や、小さな機能の追加にすぎない場合もある。しかし、ウェブとアプリ開発用のデザイン/プロトタイピングツールAdobe XDについては、注目に値する興味深いアップデートが目白押しだ。

中でも最も目立ったアップデートは、ドキュメントをリアルタイムで共同編集できるようにするもの。これにより、離れた場所で作業するデザイナーの仕事がかなり効率的になる。この新しい共同編集機能は現在ベータ版だが、複数のデザイナーが1つのドキュメントに対して同時に作業できるようにするもの。AdobeのCreative Cloudバックエンドを使用して変更をリアルタイムで同期する。1つのドキュメントを共同編集できるようにするには、まずそのドキュメントをクラウドに保存してから、一緒に作業するチームメイトを招待すればいい。

またXDチームは、既存の共有機能もXDに取り込んだ。デザイナーがフィードバックを集めたり、アセットを分配できるようにするものだ。そうした機能を集めて「共有」という独立したモードにまとめ、既存の「デザイン」、「プロトタイプ」モードに並べて配置した。

「共有モードは、他の人と作業を共有する必要があるときに行く場所です」と、同社は説明する。「そこでは、対象となる作業への、共有可能なウェブリンクの作成と管理が可能です。その際には、共有される新しいプリセットを使用して、さまざまに異なるユースケース用の共有体験のカスタマイズもできます。そうしたユースケースとしては、デザインレビュー、開発の移管、プレゼンテーション、ユーザーテストなどが含まれます」。

XDは、Creative Cloudアプリケーションの中でも、完全に無料のモードを含む希少なものの1つ。無料モードのユーザーも、2020年4月までは、この新しい共同編集機能にアクセスできる。そして、他のすべての新たな共有、コラボレーションツールは、期限なしで、「XDスタータープラン」に加入している無料ユーザーにも使える。

XDの他の新機能も挙げておこう。まず、コンポーネントのステートのサポートが強化された。これによりデザイナーは、一貫したユーザーインターフェイスの作成が容易になる。また、ホバートリガーが追加され、デザインしたアイテムの上にホバーするとアクションを起動できるようになった。さらに基本的なインタラクションのプロトタイプを開発する新しいツールも加わっている。また、再設計されたプラグインマネージャによって、Jira Cloud、UI Faces、Stark、Arrangerなど、200以上のプラグインをサポートしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

優れたユーザー体験(UX)を提供し、SEOにおける勝利を勝ち取る

検索エンジンがユーザーファーストを掲げている以上、SEOもユーザーを考慮せず成立することはありえないでしょう。以前の状況とは違い、ユーザーを抜きにして語るSEOは存在しないといっても良いくらいです。

しかし、最近SEOを始めた方や、かつてのSEOのイメージを持った方にとっては、いまいちピンとこないかもしれません。

どちらかと言えば初級者向けの記事かもしれませんが、改めてSEOにおけるユーザー体験の重要性を解説している記事を紹介いたします。

10年前は、UXチームとSEOチームは犬猿の仲であった。彼らの目的が一致していなかったからである。

UXチームはユーザーに注視していた。ユーザーに素晴らしい体験を提供し、ユーザーが目的を果たすために、可能な限りの助力を与えていたのである。

しかし、不幸にも、UX観点では優れていることがそのままSEO観点でも優れた効果をもたらすとは言えなかった。

一方、SEOチームは、ファーストビューの上部にコンテンツの大きな塊を配置することを望んだ。

なぜだろうか。

理由は、そういった施策を検索エンジンが評価していたからである。

つまり、ページの内容をより関連性のあるものにするためであった。

また、多数のフッターナビゲーションやタグクラウドの設置も、SEOチームは望んでいた。なぜなら、クローリングとインデキシングのプロセスにおいて有効な施策であったからである。

SEOチームは、コンテンツの内容も検索クエリと合致させることを望んだ。「金融のページ(monery pages)」とするほど、検索クエリとの正確な合致を望んでいた。

また、こうしたページは他の関連するクエリにも最適化することが可能であったため、追加のコンテンツも必要とされていた。

こうした追加コンテンツがサイトを肥大化させた。コンテンツを管理することができなくなり、長期間の運用の結果、重複コンテンツの温床となった。その後、そうした重複ページは削除されることとなる。

ゆっくりと、しかし、確実に、検索エンジンはコンテンツの意味を理解する方法を変更していった。その変化は、前述したような「ハックするSEO施策」を必要としなくなったのだ。実際、このような施策は、SEOの助けとなるどころか、SEOを妨げる要因となっていった。

この変化は良い変化と言えるだろう。なぜなら、こうした変化は、UXチームとSEOチームが互いに協力しあえることを意味しており、ユーザーと検索エンジンの両方にとって有益な施策を共に行うことができるようになったからである。こうした状況が、現在と今後のSEOで勝利するための方法であるのだ。

では、「具体的に何をすべきか」を見ていこう。

ユーザーが本当に求めているものは何か

すべてのユーザーは疑問をもっており、それを満足させる答えを探している。彼らはその答えを素早く得ることを求めており、可能な限り使いやすいサイトから得たいと考えている。

このユーザーへの回答は以下の3つにまとめることができるだろう。

  1. ユーザーが満足のいく答えを作成し、それらを上位に表示させる
  2. 魅力的なスニペットを作成し、クリックを勝ち取る
  3. 素早く、使いやすいサイトで答えを提供する

この記事では、上の最初のステップに注視したい。なぜなら、ここ2年間でGoogleがロールアウトしたアップデートの多くは、「どのようなコンテンツが満足のいく答えとなるのか」という点を改善したものになるからである。

ユーザーが満足できる回答を作成する

ユーザーが果たしたい目的を理解できていなければ、どのようにして彼らが満足する答えを提供することができるだろうか。

ユーザーの検索意図を理解することが、最初のステップになる。

それを理解することができれば、彼らが満足する答えを作ることができるだろう。

ユーザーが満足する答えは、クエリに対する回答であり、適切な種類のコンテンツで提供することが重要だ。

例えば、「マインドハンター シーズン2 トレイラー」と検索された場合、動画のコンテンツを探しており、求めている動画は、マインドハンターのシーズン2のトレイラーとなる。

実際のGoogleの検索結果画面を見てみよう。

IKEAの中古のワードローブのクローゼットを購入した場合、検索クエリは、「ikea pax ワードローブ 組み立て方」となるだろう。

あなたはクローゼットの組み立て方の説明を欲している。なぜなら、以前の持ち主がマニュアルを紛失してしまうことはよくあるからだ。また、あなたには10ページのマニュアルを読んでいる時間はなく、すぐに理解できる答えを欲している。

下記は、「ikea pax ワードローブ 組み立て方」の検索結果画面である。

多くのユーザーはすぐに閲覧できる簡単な組み立て方の説明動画を欲し、PDFのマニュアルをダウンロードすることを(現時点では)欲していないことを、Googleは理解している。

検索結果画面をスクロールしていくと、マニュアルのダウンロードページが表示されている。動画が役に立たなかった場合に備えて表示させているのだろう。自身の経験からも、非常に理にかなっていると言える。

こうした両方のニーズを満たすために、組み立て方の説明動画とPDFのダウンロードを両方備えておくことが理想だろう。

別の例を見てみよう。「iPhone 11 購入 オンライン」という検索の場合だ。この場合、検索する目的は明らかだろう。iPhone 11を、オンラインで購入したいのだ(物理的な店舗での購入ではないため、近所の店舗の情報は表示されていない)。

この場合、iPhone11を販売しているECサイトがユーザーの満足のいく答えとなるだろう。そして、実際に買うべきECサイトはどこになるだろうか。

ここで非常に興味深いことは、この検索クエリにはニュース性のあるコンテンツも表示させているということだ。検索結果に表示されている「Top Stories」がそれにあたる。なぜなら、この原稿を執筆しているタイミングでは、iPhone11がリリースされてから間もないためである。

Top Storeisにしばしば採用される権威のあるサイトがiPhone11についての記事を書いている場合、こうしたキーワードで上位に表示される可能性は高い。もちろん、そうしたサイトがiPhone11を販売しているのであれば、特に魅力的となるだろう。

この検索クエリの場合、「Top Stories」は時間と共に表示されなくなると思う。小さい枠での表示は残ると思うが、それだけだろう。

ユーザーが満足する答えを提供するには、2つのプロセスを要する。

まずは、ユーザーが達成したい目的(検索意図)を理解することである。次に必要なことは、「適したコンテンツの種類」で提供された「適したコンテンツ」によって、答えを作成することだ。

ユーザーが満足する答えによってクリックを勝ち取る

潜在ユーザーが満足する答えの作成に成功した。しかし、あなたはクリック(サイトへの流入)を勝ち取らなければならない。

コンテンツ作成の初期から最後までを一貫して行う必要がある。訴求力のあるタイトルの作成・メタディスクリプションの記載・わかりやすいURLなどだ。

検索結果のレビューの表示をGoogleは頻繁に変更するが、検索結果で自身のサイトを目立たせる手法としては、今でも効果的である。

Googleがレビューを表示する場合は多くある。また、検索結果のビジビリティを高めるための新しい手法もある。FAQを例に挙げることができるが、「ホテル ニューヨークシティ」の検索結果を見てみよう。

回答をユーザーへ迅速に提供する

Googleの調査によれば、読み込みに3秒以上かかるページの場合、53%のモバイルユーザーが離脱してしまうということだ。ユーザーは皆忙しいし、待つのが嫌いであるため、非常に納得できる数字だ。

つまり、あなたは、いち早く答えを提供することを心がけなければならない。

早ければ早いほどよい。しかし、競合他社によって市場の勢力図は定義されており、ユーザーもそれに慣れているかもしれない。そのため、競合サイトよりもあなたのサイトの方が早くなれば、その投資から成果を得られる可能性はあるだろう。

ページスピードとユーザー体験の話をする際、私は常にTime to Interactive(TTI)、つまり、「ユーザーがページを使うことができるまでの時間」に注力している。

コンテンツをいち早く届けるためのベストプラクティスは以下のとおりである。

詳細な情報は、「あなたのWebサイトをさらに素早くさせる方法」の記事にまとめられている。

簡単に利用できる(使いやすい)Webサイトにする

私の見解では、簡単に利用できるサイト(使いやすいサイト)とは、優れたユーザービリティを提供しており、モバイルフレンドリーであるサイトだ。

優れたユーザービリティ

優れたユーザービリティにおいては、以下の項目が重要となる。

  • 明確なナビゲーションの構造
  • 明確な見出しの構造
  • 明確なコンテンツの構造。例えば、逆ピラミッド構造を採用し、最も重要なコンテンツを最上位に位置づける。
  • リスト、強調、パラグラフなどを活用した、優れたコンテンツフォーマット
  • 読者が詳細を学ぶのに役立つ有益なリソースの提供
  • ユーザーのコンテクストとの合致。例えば、複数の国々をターゲットとした場合、言語と貨幣の変換機能は重要となる。また、適切な日付、時間、数値単位なども同様だ。
  • 優れたアクセシビリティ

ユーザービリティについての別の記事も紹介しておこう。

モバイルフレンドリー

ユーザーがどのデバイスを使用していようとも、彼らにWebサイトを効果的に使用してもらう必要がある。多くの場合、レスポンシブ対応が最適解となる。

モバイルのデザインから設計すべきだろう。モバイルの設計が正しく行えれば、デスクトップ版への適応も容易になる。

このトピックについてはすでに多くの記事に書かれているため、ここでは有益なリソースを紹介するにとどめておこう。

Googleが提供するモバイルフレンドリーテストツールも非常に便利だ。まだ利用したことがないのであれば、すぐに確認して欲しい。

結論:優れたユーザー体験を提供し、SEOにおける勝利を手に入れる

今日、UXとSEOはそれぞれの目的を共有できる状態にある。そのため、優れたユーザー体験の提供の継続に注力していれば、自ずとSEOの勝利も見えてくるだろう。

優れたユーザー体験を届けるためには、ユーザーが満足できる答えをいち早く提供し、使いやすいWebサイトを構築することだ。

この内容を心に留め、最高なユーザー体験を提供し続けていけば、SEOで大きな成果を得られるだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「How to Win at SEO Through Great UX Today & Beyond」を翻訳した内容です。

かつて、SEOとユーザー体験は全く別の文脈で語られることが多く、それぞれが同じ目的を共有するという姿は想像さえできなかったと思います(もちろん、当時から両立した考えを持つ方もいらっしゃったと思いますが、明らかに少数派であったと思います)。

現在では、SEOを語る上で、ユーザー体験を外すことのほうが珍しくなってきました。

検索エンジンが進化し、ユーザーの嗜好や行動が変化する中、SEO担当者としてのスキルもしっかりと最適化していきましょう。

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SEO Japan|note

ミートアップで候補者と繋がりCRMで関係性構築、企業の採用マーケを加速する「Meety」公開

人材不足が加速するとともに働き方に対する価値観も多様化しつつある昨今、企業が自社に合った人材を採用するためには枠が発生してから候補者を募る「短期的なアプローチ」だけではなく、潜在的な転職者も含めてじっくりと関係性を構築していく「中長期的なアプローチ」が重要度を増してきている。

その流れを反映するように、国内でもタレントプールやタレントCRM(採用CRM)のようなコンセプトのプロダクト・取り組みの話をよく耳にするようになった。

TechCrunch Japanでも過去に「LAPRAS SCOUT」や「Refcome Teams」といった関連するプロダクトを紹介してきたけれど、本日11月6日に公開された「Meety」もまさに企業が候補者と中長期的に関係性を築く際に役立つものだ。

Meetyは大きく2つのサービスから構成される採用マーケティングSaaSだ。1つが少人数に特化したミートアップ(イベント)の企画・管理を簡単にするプラットフォーム。もう1つがミートアップで接点を持った候補者や社員から紹介された人材などとの繋がりを可視化するCRMサービス。これらによって候補者とのカジュアルな接点作りから、採用に至るまでの工程を管理できる仕組みを提供する。

まずは本日より先行してミートアッププラットフォームが公開されていて、2020年にはそこにCRMも追加される予定だ。

Meetyにおけるミートアップ機能は、わかりやすく言えば「Wantedly」のイベント版に近い(ちなみに同サービスにもミートアップを掲載する機能がある)。1対1で会話ができる「トーク」と参加者10人以下の座談会「グループトーク」という2つのフォーマットが用意されているほか、集客や当日の運営を効率化するツール・マニュアルが整備されているので、企業はそれに沿ってミートアップを企画し、Meety上に掲載する。

ゆくゆくはCRMもセットで月額定額制モデルで提供する計画だが、当面は無料の予定。完全なCGM形式ではなく審査制にして、厳選されたイベントのみを扱っていくという。

Meety代表取締役の中村拓哉氏はITベンチャーのSpeeeでマーケティングや人事を担当していた人物。自身でもエンジニア採用のためにミートアップを企画した経験があり、そこで感じた苦労などがこの領域で事業を立ち上げることにも繋がった。

「ミートアップは資料やケータリングの準備などが大変。またイベントを企画・管理できるサービスはすでにあるが採用用途に最適化されているわけではないので、アンケートはGoogleフォームなどで別途管理したり、情報をATSに手入力したりなどの負担もある。(CRMやMAツールを始め)マーケティング領域ではこういった業務を楽にするツールがあるのに、なぜ人事にはないのか。両方の現場の経験を掛け合わせたプロダクトがあればニーズがあるのではと考えた」(中村氏)

Meetyでは1対1で会話ができる「トーク」と10人以下の座談会「グループトーク」の2種類のミートアップが並ぶ

中村氏によると2019年5月の創業後は数社のミートアップをサポートしてきたそう。その中で少人数限定のミートアップであれば、ピッチ用の資料やケータリングなどの準備が不要で負担が少ないことに加え、数十人規模のイベントに比べて密にコミュニケーションを取れるので双方にとって効果的であることが結果にも表れてきた。

「近年は求職者の方がパワーバランスが上だということもあってか、“本当の意味でカジュアルすぎる1on1面談”に疲労している人事担当者が多いと感じる。(大人数向けのイベントに比べて)小規模のミートアップはいい意味でハードルも上がりものすごくゆるい感じで参加する人が少なく、参加者側にも満足してもらう設計がしやすい。最初の接点作りだけでなく、社内の雰囲気を深く知ってもらうために面接と面接の間に実施するような企業もある」(中村氏)

それらの結果も踏まえて、Meetyでは10人以下でのミートアップに特化。通常のイベントプラットフォームのようにエントリーしたメンバーが誰でも参加できるわけではなく、企業側が会いたいと思った人にだけ連絡する仕様にした。

またフォーマットやツールだけでなく、企業向けの勉強会なども含めて効果的なミートアップの開催を支援。ユーザー視点ではMeetyは様々な企業のミートアップ情報を集めたメディアとしての性質も持つので、特集ページなどを通じて集客にも繋げていきたいという。

Meetyのローンチパートナー

MeetyにはすでにDMM.comやマネーフォワード、ユーザベース、エウレカなどIT系のベンチャー企業やスタートアップ31社がローンチパートナーとして参画していて、まずはミートアップ文化のあるネット業界を中心に顧客を広げる計画だ。

なお同社では本日サービスのローンチと合わせてXTech Venturesを引受先とした数千万円規模の資金調達を実施したことも発表した。今回調達した資金を活用しながら組織基盤を強化し、採用マーケティングSaaS化の実現を目指す。

Meety代表取締役の中村拓哉氏(中央)とXTech Venturesのメンバー

マイクロソフトが共同編集ツール「Fluid Framework」の公開プレビューを開始

今年前半にMicrosoft(マイクロソフト)が開催したデベロッパーカンファレンスのBuildで、最も興味深く、そして最もわかりづらかったニュースのひとつが、同社のFluid Frameworkの初めての一般公開のデモだった。Fluidは複数のデベロッパーがリアルタイムでコードを共同編集するツールだ。しかし同社はそれをOfficeやOutlookのような自社のツールにも入れてしまった。そのため、単なるコーディングエディターというより、ドキュメントのルック&フィールの形を変えてしまうものだった。

米国時間11月4日、フロリダ州オーランドで行われた同社のクラウドテクノロジーのためのカンファレンスであるIgniteでは、そのFluid Frameworkのエンドユーザー体験の初めての公開プレビューと、デベロッパーのための非公開プレビューが提供された。

マイクロソフトが言うには、Fluidのメインの能力は3つある。ひとつは複数の人が共同でドキュメントを編集できること。そしてドキュメントモデルをコンポーネントに分割できること。それから、テキストのリアルタイム翻訳とか語句の提案などさまざまな機能を持ったインテリジェントエージェントを組み込めることだ。

これらは、あるところまではGoogle Docsとあまり変わらないし、Officeにあるマイクロソフト自身のコラボレーション機能にも似ている。新しいのは、マイクロソフトがこれをデベロッパーに公開し、Fluid Frameworkをドキュメントを解体してコンポーネントに分割する新しい方法と見なしていることだ。そのようなドキュメントを、いろんなアプリケーションで利用できる。

マイクロソフトの計画ではFluid FrameworkをMicrosoft 365全体の、さまざまなユーザー体験に組み込んでいく。具体的には、Teams、Outlook、SharePoint、OneNote、Officeなどいろいろだ。関心のある方は、公開プレビューを見て試してみればドキュメントの編集方法がどんな感じかわかるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デリバリーロボが地図なしで配達先のドアを自力で見つける方法

MITの研究者が開発した新しい行路発見方法は、さまざまな業界で客先まで物を届けなければならないロボット、いわゆるデリバリーロボットにとても役に立つ。彼らが考案したのは、前もって地図が与えられていなくてもロボットが客先の入り口のドアを見つける方法だ。

今ある自走デリバリーロボットの多くは、Starshipが開発してその後Postmatesなど多くの企業が採用した、車輪付きクーラーボックスタイプも含めて、顧客が外の路上に立っていなければならない。しかし未来のデリバリーロボットが自力でドアまで辿り着くためには、人間の配達員と同じく詳細な地図的能力(マッピング能力)だけが問題ではない。

MIT Newsによると、正確に客先のドアまで行けるためにご近所全体のマッピングができる能力は、それを全国レベルあるいは全世界レベルで実現しようとすると非常に難しい。それは一般的に難しいだけでなく、個々のユーザー企業の特殊性に合わせたマッピング能力ともなると桁違いに難しい。そこで研究者チームは詳細なマッピング方式を諦め、ロボットが現場で周囲の情報を処理してドアの場所を見つける方法を考えた。

これは、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)と呼ばれる方法の変形だ。MITのチームはちょっとした工夫により、ロボットがまわりの物を見つけてそれにラベルを付けていくセマンティックマップではなく、「前進するコスト」のマップというものを考案した。それは、訓練用の地図から得られたデータを使ってロボットが自分の身の回りのヒートマップを作る。そしてその色分けマップの中に「いちばん正面ドアらしいもの」を見つけ、そこへの最も効率的な経路を割り出す。

私たち人間も、初めて訪れる家では「家の正面ドアとはこんな形をしていて壁のどこそこにあるものだ」という過去の知識に基づいて入り口のドアの所在を判断する。MITのデリバリーロボットは、それと似たことをする。それはどちらも思考力を使わない直感的な判断だ。

ロボットが既存の地図に頼らずにAI的な能力で自分の周囲の環境を判断できることには、今後いろんなユースケースがありうる。でも商用のユースケースとして今のところいちばん需要が大きいのは、デリバリーロボットだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Cortanaはユーザーの個人秘書になってメールも読んでくれる

ほんの数年前、Microsoft(マイクロソフト)はCortana(コルタナ)が、Googleアシスタント、Alexa、Siriの有力な競争相手になることを望んでいた。それからだいぶ時間も経ったが、Cortanaは市場に食い込むことができなかった。

CortanaがWindows 10搭載PCに組み込まれていることを意識している人はどれくらいいるだろう。同社の野望は出鼻をくじかれた。マイクロソフトでは、これからはCortanaを、個人の生産性を向上させるアシスタントにしたいと考えている。同社のエコシステム全般を考えれば、天気予報をしゃべらせるより、Cortanaにはそのほうが適しているのは確かだろう。

画像クレジット:Justin Sullivan/Getty Images/Getty Images

米国時間11月4日に同社はIgniteコンファレンスで、Cortanaが日々の業務で役立つようなる多くの新機能を発表した。これらはいずれもAIを人間の知性を手助けし、増強することのできるツールと位置付ける同社の大きなビジョンに沿ったもの。

こうした機能のうち最初のものは、iOS用Outlookで、マイクロソフト独自のテキスト読み上げ機能を使ってメールを読んでくれるもの。男声と女声が用意されている。Cortanaは、会議のスケジュールを設定したり、参加者を調整するのにも役立つ。マイクロソフトは、以前のコンファレンスで、すでにこの機能をデモしていた。

来月以降Cortanaは、ユーザーの関わるすべての会議について要約し、関連するドキュメントを添付し、ユーザーが電子メールで送信したコメントについてのフォローに対するリマインダーを記した電子メールを、毎日送ってくれるようになる。特にこの最後の部分は、かなり興味深い。というのも、GoogleのGmailに表示される単純でうっとうしい返信文面の候補よりも、1歩進んだものと考えられるからだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

 

アドビのPremiere RushからTikTokに直接投稿できる

米国時間11月4日、Adobe(アドビ)はCreative Cloudのビデオ製品のアップデートを多数発表した。ほとんどはプロ向け、あるいはプロではないにしてもYouTuber向けの製品だ。しかしPremiere Rushは、ビデオで楽しみたいすべての人のためのツールと位置付けられている。だから、短いクリップの共有プラットフォームとして人気のTikTokに、Premiere Rushからビデオを直接共有できるようになったと発表されたことは驚きではないだろう。TikTokに直接投稿できる他社製のアプリは、これが初めてだ。

Rushは2018年10月に提供が開始され、よく使われているビデオ公開サービスへの共有をサポートしていた。今回のTikTokとのパートナーシップにより、TikTokユーザーも自動ダッキング、トランジション、カラーフィルター、タイムラプス、スローモーションなど、Rushの簡単なビデオ編集機能を活用できるようになる。

アドビの機械学習により、ビデオプロデューサー、特にTikTokで好まれる縦長のビデオをふだん撮らない人々も、ボタンをクリックするだけでアスペクト比を変更できる。するとPremiere Rushは自動でショットのフレームを調整する。

アドビはこの日の発表で「世界各地のビデオクリエイターと対話を重ねるなかで私たちが最も頻繁に耳にした要望は、スピード、使いやすさ、そして投稿のしやすさだった。そこで人気のプラットフォームのTikTokでもビデオを共有できるようにした」と述べた。

Premiere Rushの新機能は、無料バージョンも含めCreative Cloudの全ユーザーにすでに公開されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft AzureがFarmBeatsのプレビュー版を公開し農業テックに参入

Microsoft(マイクロソフト)がフロリダ州オーランドで開催中のイベント「Ignite」で、同社はこれまで主に研究目的だったプロジェクトのAzure FarmBeatsを、パブリックプレビューとしてAzure Marketplaceで米国時間11月4日から公開すると発表した。FarmBeatsは、IoTセンサー、データ分析、機械学習を組み合わせた同社のプロジェクトだ。

GROSSDERSCHAU, GERMANY – AUGUST 14: In this aerial view a combine harvests summer wheat at a cooperative farm on August 14, 2015 near Grossderschau, Germany. The German Farmers’ Association (Deutscher Bauernverband) is due to announce annual grain harvest results this week. Some farmers have reported a disappointing harvest due to the dry weather in recent months. (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

この日の発表でマイクロソフトは「FarmBeatsの目的は、農家が自分の農場のデータとデータドリブンの洞察によって理解を深め直感を強化するものだ」と説明した。FarmBeatsは、センサー、衛星、ドローン、気象観測などさまざまなソースからデータを集め、AIと機械学習によって農家にアクション可能なインテリジェンスを提供することを目指している。

さらにFarmBeatsは、ここで収集され、評価されるデータを利用するアプリを作る開発者のためのプラットフォーム的なものになることも狙っている。

マイクロソフトは開発プロセスに関し、次のように説明している。衛星画像は活用するが、それで農場のすべてのデータを捉えられるわけではない。現場に設置されたセンサーなどのデータが必要で、さまざまな種類のデータをまとめて分析する必要がある。また農場ではインターネットの接続環境が十分でないことも多いため、FarmBeatsはテレビの空いている周波数帯域を利用して接続するマイクロソフトの取り組みを初めて利用するチームになった。そしてもちろん、データの収集にはAzure IoT Edgeを活用する。

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(翻訳:Kaori Koyama)

スタートアップのチームを深めるコミュニケーション、採用、研修:TC School #16レポート2

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型イベント「TechCrunch School」第16回が9月26日、開催された。今年のテーマはスタートアップのチームビルディング。今シーズン3回目となる今回のイベントでは「チームを深める(エンゲージメント)」を題材として、講演とパネルディスカッションが行われた(キーノート講演のレポートはこちら)。

本稿では、パネルディスカッションの模様をお伝えする。登壇者はキーノート講演でも語ってもらったiSGSインベストメントワークス代表取締役/代表パートナーの五嶋一人氏に加え、atama plus代表取締役の稲田大輔氏、アペルザ代表取締役社長の石原誠氏、エン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏の4名。モデレーターはTechCrunch Japan 編集統括の吉田博英が務めた。

パネルディスカッションでは、従業員が増えていくフェイズに入ったスタートアップにとっての組織づくり、チームづくり、エンゲージメントについて、各氏から話を聞いた。

テクノロジーの力で教育を変えるatama+、製造業を変えるアペルザ

まずはスタートアップ2社から、簡単な事業紹介があった。教育系スタートアップatama plusでは、AI解析で学習時間を短縮するラーニングシステム「atama+」を学習塾などに提供している。2017年4月の創業で、これまでに2回、累計20億円を資金調達している。

atama plus創業者の稲田大輔氏は、150年前に最先端だった富岡製糸場の事業所風景と、現在最新の設備を備えるGoogleのオフィスを写真で比較。続けて昔と今の教室風景をやはり写真で並べて見せ、「最先端の職場で活躍する人を養成しなければならないのに、日本の教育の現場は全く変わっていない」と指摘した。

「もっとテクノロジーを活用して、日本でもこれからの社会で活躍する人を生み出す教育を提供していこう、というのが私たちの事業だ」(稲田氏)

稲田氏によれば、日本の教育で使う時間のうち、基礎学習習得にかける時間がほぼ100%を占めるという。「ここにかかる時間をテクノロジーの力で半分以下にすれば、時間が余るはず。余った時間で、社会でいきる力が学べる」(稲田氏)

atama+では、AI教師が生徒の得意・苦手な部分や伸びている部分、集中度などのデータを取得し、その生徒に最適な専用カリキュラムを作成する。一人ひとりに合わせたコンテンツによる学習で、高校の数IAなら文部科学省が指定する学校での勉強時間146時間を、atama+では31時間にできるという。

「活用している塾では、タブレットを使って、おのおのが学習する形になり、旧来の教室風景とは絵が変わる」という稲田氏。大手塾の2割以上に導入が進む中で会社も成長し、現在の社員は60名ほどだということだ。

アペルザは、製造業向けにカタログサイトやマーケットプレイスを運営するスタートアップだ。横浜を拠点とするアペルザは、創業以来2度の資金調達により24億円を得ている。

アペルザ代表の石原誠氏は「製造業は設備産業。教育と同じで設備の取引のスタイルは100年間変わっていない」と話す。「そこでアペルザでは、BtoBの組織購買のスタイルに合わせて、情報収集から選定、見積もり、比較、購入までの購買プロセスに沿って、メディアからマーケットプレイスまで、サービスをいろいろと提供している。売り手と買い手の間に立ち、売り手からのサブスクリプション費で収益を得ている」(石原氏)

現在の顧客は7500社ほど、というアペルザ。石原氏は「日本の製造業は非常に優秀。製造業というと家電業界などで『元気がなくなった』と言われがちだが、設備向けの部品販売の分野ではまだまだ強い。中小が93%を占める製造業を、我々はどんどん海外へ進出させたいと考えていて、そうした売り手をエンパワーメントするため、営業に注目している」という。

そこで4月から提供を開始したのが、製造業の営業を支援するSaaS「アペルザクラウド」だ。同社の調査によれば、営業担当が対面営業に使える時間は20%ほどで「実は営業できていない」実態が浮かび上がったという。移動や問い合わせ対応などに時間が取られる中で、会える顧客は15%ほどに限定されているとのことで、取引先のカバーができていない実情が読み取れる。

また、設備面ではスマートファクトリー、IoT化が進む中で、製造ラインがインターネットにつながり始めている(効率化が始まっている)。新商品が増えていくことで、営業担当は「商品が多すぎて、商品知識などが覚えきれない」という悩みも抱えている。

「顧客への対応と商品への対応、2つの軸で抜け漏れが発生している、というのが製造業の営業の実態。この隙間の部分をテクノロジーで埋めるのが我々の提供するSaaSの役割だ」(石原氏)

メディア、マーケットプレイス、SaaSなど多様なサービスを提供するアペルザ。石原氏は「我々が目指すのは『マーケットネットワークス』というビジネスモデルだ」と語っている。マーケットネットワークスは米国のVC、NFX Guildが提唱するモデル。2016年のSXSWで「マーケットネットワークスは向こう30年のBtoB市場をロックするビジネスモデルだ」と紹介されたときに「製造業に完全に当てはまる」と感じた石原氏は、現在アペルザでこのモデルを踏襲しようとしているという。モデルについては、NFXの共同ファウンダー/パートナーを務めるJames Currierによる寄稿をTechCrunch Japanでも掲載しているので、そちらも参考にしてもらえればと思う。

エン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏は、「LINEキャリア」を運営するLINEとのジョイントベンチャーLENSAの代表取締役も務める人物。2000年に入社したエン・ジャパンで寺田氏は、求人サイト運営などを経て「誰でも採用ができる、採用が続けられる世の中を実現したい」と2016年に「engage(エンゲージ)」を立ち上げ、運営に力を入れている。

engageは0円から使える採用支援ツールで、現在23万社に利用されている。企業が独自の採用ページを持ち、簡単に情報を掲載、発信できるほか、IndeedやLINEキャリア、Googleしごと検索などに求人情報を告知でき、求職者に届けられる。

また「応募してきた人が、採用対象でなければ放っておく状況が嫌だった。採用もブランディングのひとつ」という寺田氏は、応募者対応やエン・ジャパンが力を入れる「入社後の社員の活躍」にも対応できるよう、採用にまつわるさまざまな活動を支援するツールも、engageで提供している。

拡大するスタートアップのコミュニケーション術

ディスカッション最初のトピックは「チーム内外のコミュニケーション方法をどうしているか」。従業員数が大幅に増えるフェイズにあるスタートアップでは、チーム内、あるいはチーム同士のコミュニケーションが取りにくくなることも多いはずだが、どのような工夫があるのだろうか。

稲田氏は「atama plusでは基本的に全ての情報をオープンにしている」という。「チーム外にも情報が共有できるように会議室の壁を取り払った」というatama plusでは、資金調達や取締役会の報告も含め、全会議をオブザーブできる仕組みにし、「エンジニアでもビジネスの状況に興味があれば、いろいろと話が聞ける状態になっている」そうだ。

石原氏も「アペルザでも社内のミーティングに会議室は使わない」と話す。アペルザではデジタルとリアルの両面でコミュニケーションを工夫しているという。「デジタルでは、Confluence(コンフルエンス:Webベースの企業向け情報共有ツール)で議事録を書いてもらい、公開している。リアルでは全社ミーティングを毎週金曜日に実施し、月1回は経営方針を経営陣から発表している」(石原氏)

ちなみに、Confluenceはatama plusでも議事録に活用されているそうだ。全社での情報共有も、週1回のチームからの報告、月1回の会社からの方針報告と、タイミングがアペルザと同じだと稲田氏は話している。

iSGSインベストメントワークス代表取締役/代表パートナーの五嶋一人氏

五嶋氏からは「全社ミーティングはテーマを絞って実施するとよい」とのアドバイスがあった。「例えば数字の報告と、従業員の誕生日を祝うのを一度の会でやろうとすると、方向性がだいぶ違ってしまう。全社でやるなら、各回の目的は振り切って、同種の内容で1つか2つに絞る方がいい。でないと、ミーティングの意義や面白さが経営者のエンターテインメント性に依存してしまう」(五嶋氏)

ミーティング目的について、アペルザでは「最初は経営陣でコントロールしようとしていたが、今は任せている」と石原氏はいう。「そうすることで、コミュニケーションそのものが生まれる」とのことで、月1回の経営戦略シェアの際には、その延長線上で一緒に食事をとるそうだ。「最初はワークショップを開くなど、がんばっていろいろと(催しを)やっていたが、単に『同じ釜の飯を食う』という方が意外とうまくいく」(石原氏)

稲田氏は「コミュニケーションの目的はいいプロダクトを作ること」として「そのために必要な情報は全部オープンにしている。そうすると全体会議でも誰かから誰かへ一方通行に発信するものにはならず、双方向で質の良いものに変わる」と語っている。

エン・ジャパン執行役員 寺田輝之氏

エン・ジャパンはatama plusやアペルザと比べるとずっと大きな規模になっているが、寺田氏は「情報をフルオープンにするのは、さすがにIR的に難しいが、ミーティングの頻度や内容は基本的には同じ」と話す。「50人を超えた頃からは、その時々で成果のあった従業員を毎週の全社ミーティングで意図的にピックアップして、何をやったかを話してもらい、横のコミュニケーションで学び合いができる状況を作るようにしてきた」(寺田氏)

コミュニケーション、情報共有のツールとして寺田氏は「声の社内報」を挙げている。これは前回のTechCrunch Schoolのパネルディスカッションで登壇したVoicy代表の緒方憲太郎氏が、自社でも使っているサービスとして紹介したもの。音声で情報や報告を伝えられるこのサービスをエン・ジャパンでも取り入れてみたところ、社内で好評だという。

「集まらず、非同期で好きなときに聞けるところが利点。どこまで再生されているかも全部(ログで)分かる。声だと話し手の感情も伝わりやすい」(寺田氏)

採用はカルチャー重視、人柄の見極めは「合うか合わないか」

続く話題は「従業員が増えるフェイズのスタートアップで、人材採用のポリシーをどうしているか」。アペルザの石原氏は「まだ足りないファンクションがいっぱいあるので、マーケティングなど新しい組織を作るために採用を行っている。その際、セオリーどおりかもしれないが、組織の上の方から採用している」と現況を語る。基準としては「スキルより人間性を見ることを大事にしている」と石原氏。それも「人間性がいいかとか悪いかとかではなく、『合うか合わないか』を見ている」という。

atama plus代表取締役 稲田大輔氏

稲田氏は「スキルフィットとカルチャーフィット、両方とも大事にしている」と話すが、やはり「同じミッションに向かって一緒にやっていけるか、熱量の高いチームでメンバーと一緒に『新しい教育を作っていく』ことに合意できるかを大事にしている」と2つのうちでもカルチャーを特に重視しているそうだ。そのために「口説く」というよりは、会社のありのままを伝えて「このカルチャーに合うかどうか、選んでください」と面接では話すようにしているという。

atama plusでは、会社の知名度が上がるにつれ「応募してくる層が変わったという印象がある」と稲田氏は言う。「この会社は勝ちそうだ、とか、伸びそうだから入るという人が増えてきたが、そういう人は非常にスキルが高くても絶対に採らないようにしている。カルチャーが合うかどうかは大事にし続けている」(稲田氏)

五嶋氏は、買収した会社で新たな人を採用してきた経験から「スキルベースでふるいにかけて選別し、そこから人柄で選ぶというのが基本かと思うが、人柄の目利きはなかなか難しいもの」と語る。「何度か飲みに行って、意気投合して仕事の話でめちゃくちゃ盛り上がる、といったことは、採用のプロセスとして最低限やってもいいことかもしれない。自分はカルチャーというよりは人柄を見て『一緒にやって楽しそうだな』という人に入ってもらえるよう、ひたすらがんばる、ということを必死にやっていた。特に組織が大きくない段階では、それが採用では一番いい結果が出て、長く活躍してもらえる人材を獲得できていたと感じている」(五嶋氏)

エン・ジャパンでは「最近は採用する段階で、入社後に何を評価するかを決めておくようにしている。それを相手に話せるよう、準備できるまでは採用自体に踏み出さない」(寺田氏)そうだ。また寺田氏は「転職で違う会社に入るということは、外国に行ったようなものだ。入った後なじむためのプログラムはきちんと設計する必要がある」とも話している。「その上で採用の段階で『過去にこの職種・ポジションでなじまなかった人は、こういう部分が合わなかった』といった情報も伝えている。ネガティブな部分も伝え、認識してもらった上で入社した方が、うまくいく」(寺田氏)

研修はズレを正すものではなく、理解を深めるもの

atama plusでは、カルチャーフィットして採用した人に入社後、さらにカルチャーを理解してもらうために、研修をかなり行うそうだ。「ミッションやバリューの意味や思いなども説明するし、他チームの仕事理解も研修で進めてもらっている」というatama plusでは、「バリューとして『生徒が熱狂するプロダクトであるかどうか』を大切にしていることから、どの職種でも研修の一環で全員現場に行く」と稲田氏。またチーム間のコミュニケーションの場も設定しているそうだ。

アペルザ代表取締役社長 石原誠氏

石原氏はアペルザで「会社のフェイズが変わってきて、バリューやビジョンをあらためて見直しているところ」だそうだが、その過程で「アンラーニング(既存の価値観や知識を意識的に捨て、新たに学び直すこと)が重要だ」と感じているそうだ。「入社してうまくいかない人は、転職前の会社のやり方など過去を引きずってきている。そこを何とかできないかと考えているので、アンラーニングはうまく取り入れたい」(石原氏)

エン・ジャパンでもミッション、バリューなどを伝える研修を行っているそうだが、寺田氏からはほかに「新卒採用などでは、非常にうまくいく方法」として「直前に入社して研修を受けた人に研修を作ってもらう」方法が紹介された。研修終了時に「次に研修を作るのはあなたたちです」とバトンを渡して、研修期間も含めて考えてもらい、次の代へ引き継ぐのだそうだ。

ちなみにカルチャーフィットと研修との関係に関連して、五嶋氏から「カルチャーフィットに代わる言葉がほしい」との提言があった。「カルチャー“フィット”と言うから『カルチャーのズレは矯正して合わせられるもの』という誤解が生じるのだけれども、どうしたって合わない人は合わない。それよりはカルチャーが合っている人に自社を知ってもらうことが大切。ズレを正すのではなく、合わない人を採ってはダメだということ。『カルチャーフィット』という言葉によって、ミスリードが生まれているかもしれない」(五嶋氏)

寺田氏は「採用の際にできることは、カルチャーが合わない人をいかに排除できるかということだけ。そのためには、自社がどういう会社で、どういう人に来てもらいたいのかを面接なども含め、あらゆる機会に発信すること、それに尽きる」と述べている。

atama plusは現在、60名の社員の65%ぐらいがプロダクトに関わる人員で、25%が営業・カスタマーサクセスなどのビジネスサイド、残りの10%がコーポレート業務に関わるという。これからどういう人材が採用したいか、との問いに対しては、稲田氏は「人は多く採りたいけれども、こだわれる限りカルチャーの合う人にこだわりたい」と答えている。

一方、アペルザでは「ビジネスサイドがもう少し多く、プロダクトの人員と同じぐらい」と石原氏。人材は「全方位で採用している」という。特に今、組織固めを行っているという石原氏は「重点的に人事担当を採用したい」と述べている。キーノート講演での五嶋氏の発言に触れ、石原氏は「可視化が大切というのは、その通り。我々の今の状態を可視化して、それを見直している制度にも現段階からきちんと反映させたい。それができる人材がほしい」と語っていた。

最後に寺田氏からチームのエンゲージメントについて、キーノート講演の話とも絡めて「自分たちのメッセージが届く範囲(組織の規模・構成)を考え、コミュニケーションが取れる状況を常に大切にしたいところ。それが人数の関係でできなくなるのであれば、同じようなことができる人をどれだけ早く育てるか、ということに尽きるのではないか」と今回のイベント全体の振り返りがあった。「(むやみに従業員規模を大きくするのではなく)コミュニケーション量を密に取れる組織構成を最優先に考えた上で、『では拡大するためには何が必要なのか』を検討することが重要」という感想が述べられ、ディスカッションは締めくくられた。

Googleニュースアプリがバイリンガルに

Google Newsがバイリンガルになった。米国時間11月4日、Googleは2カ国語のニュースを簡単に読める新機能を発表した。世界に60%以上いる、2種類以上の言語で話し、ニュースを読んでいる人々の利便性を高めるものだ。

この変更によって、ユーザーは別の言語でカバーされているニュースを見るために言語設定をしょっちゅう切り替える必要がなくなる。これは、別の国に移ったが母国の最新ニュースを見たい人や、複数言語を話すことの多い地域に住む人にとって特に重要だ。

Googleは、英語とヒンディー語のニュースを同時に読めることを典型例として紹介した。このアップデートがその他のパーソナライズ設定に影響を与えることはない。ユーザーの興味にあったニュースが多く流れてくるだけだ

今回の変更は、Google Newsのアプリとウェブサイトで1年以上続いている大変更に続くものだ。2018年のGoogleデベロッパーカンファレンスで同社は、どのニュースを最初に表示するか、個人向けのニュースをどう選ぶかを工夫しながら、ファクトチェックや他の意見を読めなくなるいわゆる「フィルターバブル」を避けるためにAI技術を導入すると発表した。

AIを利用したこのGoogle Newsアプリは今年の春に公開された。その後GoogleはデスクトップのGoogle Newsタブを改訂し、カード形式で記事を整理することで、読みやすさを改善し、ニュースの出典をわかりやすくした。

ただし、本日発表されたバイリンガル機能は、モバイルアプリユーザーを対象にしている。新機能は、iOSとAndroidのGoogleニュースアプリで141カ国、41言語から選択できるとGoogleは発表している(デスクトップでは1言語しか選べないことを確認した)。

多言語のニュースを読めることで、問題に対する視野を広げるのにも役立つと同社は語る。「人々の気にかけている問題に関して質の高い信頼できるニュースを届けるためにはまだすべきことがたくさんあるが、今日のアップデートによって、異なる文化や視点をつなぎやすくなるだろう」とGoogleはコメントした。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

若者のクレジットカード取得を支援するDeserveが約54億円を調達

クレジットカードスタートアップのDeserve(ディザーブ)は若い人の自立をサポートしている。そして事業者向けのクラウドベースのクレジットカードプラットフォームも展開する同社は米国時間11月4日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)がリードする新ラウンドのシリーズCで5000万ドル(約54億円)の調達を発表した。このラウンドには既存投資家のSallie Mae(サリー・メイ)、Accel、Aspect Ventures、Pelion Venture Partners、Mission Holdingsも参加した。

今回調達した資金はDeserveの「Card as a Service」(CaaS)プラットフォームのさらなる開発に使われる。このプラットフォームは事業者やブランドが、顧客向けのクレジットカードプロダクトをしつらえるのをサポートする。

そうすることでDeserveは、Synchrony FinancialやAlliance Dataといったホワイトレーベルまたは共同ブランドのクレジットカード発行元とある程度張り合える。その際は自前の金融プロダクトを提供したい事業者、フィンテック企業、消費者ブランド、大学を対象としたCaaSサービスを活用する。

Deserveのターンキーである、クラウドベース・AIベースのDeserve Credit Platformでは、通常18〜24カ月かかるところを最短90日でセットアップできる。また、クレジットカードを作るのは初めてという人を含む多数の人を引き受けるために、従来のファイナンシャルデータや独占データソースとともに機械学習のようなテクノロジーも活用している。

負債を抱え込まないよう、多くの若い消費者がクレジットカードを避けてきたことを考えれば、これは極めて重要だ。例えば、1995年以降に生まれた人はクレジットカード負債を抱える米国の消費者の5%を占めるにすぎないとのレポートがある。しかしこうした消費者が初めてクレジットカードを持つとき、クレジットプロダクトよりもクレジットカードを往々にして選ぶことがTransUnionの最近のレポートで明らかになった。ただ、しっかりとしたクレジット履歴がない多くの若いユーザーは従来のカードの審査に通らない。

そこでDeserveの出番となる。消費者が携帯電話から素早くクレジットカードを申し込んで数分で承認されるのを手伝うだけでなく、このプログラムはDeserveのカード同様、ファイナンシャル教育やキャッシュバックなどの特典、アマゾン(プライム・スチューデント)のインセンティブ・プログラム、Mastercard(携帯電話保護)、プライオリティ・パス(空港のラウンジ)などを提供する。

2018年8月の資金調達以来Deserveは、Sallie Mae the New Jersey Institute of Technology Honor Societyのようなクライアントと提携し、特定の利用者向けのクレジットカードの発行を手伝ってきた。合計で消費者10万人超がDeserveのプラットフォームを利用している。

Apple Cardのパートナーであるゴールドマン・サックスがリードした新たな投資で、Deserveは今後、データサイエンスやエンジニアの人材を雇用してプラットフォームツールやAPI、機械学習能力をさらに構築する計画だ。その一方で、B2B販売とマーケティングの部門を拡大する。

「ゴールドマン・サックスは、クレジットカードへのアクセスを拡大し、あつらえのクレジットカードプロダクトの提供を組織のためにシンプル化するというDeserveのミッションを支える」とゴールドマン・サックスのマネージングディレクターであるAshwin Gupta(アシュウィン・グプタ)氏は声明文で述べた。「Deserveのカードプラットフォームが、さまざまな機関に意義ある節約と新たな機会をもたらすと確信している」。

今回のラウンドで、Deserveの累計資金調達額は1億ドル(約108億円)となった。同社はまだ黒字になっていないが、今達成しつつあるかもしれない。「今回のラウンドは収益化につながる」とDeserveの共同創業者でCEOのKalpesh Kapadia(カルペシュ・カパディア)氏は話している。

Deserveはバリュエーションは非公開とした。現在Deserveのチームは計60人だが、今後6カ月で100人超とすることを目指す。

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(翻訳:Mizoguchi)

未来のERPを志向するWorkdayが調達プラットホームのScout RFPを買収

企業の財務と人事管理をクラウドサービス(SaaS)で助けるWorkdayは米国時間11月4日、オンラインの調達プラットホームであるScout RFPを5億4000万ドル(約587億円)で買収する合意に達したと発表した。PitchBookのデータによると、同社はこれまでに6000万ドル(約65億円)あまりを、調達前の評価額1億8450万ドル(約200億円)で調達している。

この買収以前にWorkdayには既存の調達ソリューションとしてWorkday ProcurementとWorkday Inventoryがあるが、Workdayのプロダクト最高責任者(CPO)であるPetros Dermetzis(ペトロス・デルメツィス)氏はブログで「Scoutは同社に顧客のためのより完全なソリューションを与える」と表明している。

彼によると「サプライヤーと戦略的優位性の重要性が増している中で、Scout RFPの買収によりこのクラス最良の戦略的ソースによる総合的な調達サービス(Source-to-Payソリューション)を提供できる。これにより企業の調達部門の戦略的重要性を上げ、調達機能の変化を促進する」とのこと。

Constellation Researchの創業者で主席アナリストのRay Wang(レイ・ワン)氏によると、Workdayはクラウド上のエンドツーエンドのバックオフィスプレーヤーを目指してきたが、「大きな欠落の1つが調達だった」という。

ワン氏によると、Workdayはしばらくその欠落を埋めるための投資をしてきた。それどころか、2018年以来Workday VentureはScout RFPの投資家であり、同社は公式にWorkdayのパートナーだった。

「Workdayの投資対象の多くは、未来のクラウドERPという同社の大きなビジョンの欠落を補う企業だ。今日的なERPの定義には、財務、人事管理、プロジェクト、調達、サプライチェーン、そして資産管理が含まれる」とワン氏。

Scout RFPの創業者は本日の発表に関するブログ記事で「両社は良好な協力関係にあり、今回の買収はたいへん有意義だ」と述べている。そのブログ記事には「Workdayのチームとの密接な協働を通じて、両社の信念や企業価値の類似性を悟った。両社はユーザー体験をプロダクトのフォーカスの中心に置き、顧客の満足と社員のエンゲージメント、および事業への全体的なインパクトを重視している。両社の協働が容易であったことは意外ではなく、また、営業やマーケティングにおけるパートナーシップでも迅速な成功を見てきた。企業文化という観点から見ても、明らかに成功だ」と書かれている。つまり、これまでの両社の関係がすでに密接で良好だったということだ。

Scout RFPは現在、155か国に240社の顧客がいて強健な企業である。同社によると、現在のユーザー総数は30万人に達する。同社の160名の社員は買収の完了と共にWorkdayに移る。規制当局の審査が終わるのは、1月の終わりごろだろう。

関連記事: Scout RFP raises $15.5 million to help companies manage purchases(企業の購買管理を助けるScout FRPが1550万ドルを調達、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アドビからARオーサリングアプリ「Aero」が登場

Adobe(アドビ)が、拡張現実(AR)に真剣に取り組んでいることは、よく知られている。ARデベロッパーのための優れたデザインツール開発するための、十分なポテンシャルを備えていることも間違いない。昨年のMaxイベントで、同社はAero ARというオーサリングアプリを初めて披露した。そして米国時間の11月4日、そのアプリをリリースした。iOS版は無料アプリデスクトップ版は今のところプライベートベータとなっている。

Aeroの基本的な方針は、デザイナーがプログラムを書くことなくAR体験を開発できるようにすること。ビジュアルなUIによって、ARシーンを構築する手順を1ステップずつ指示してくれる。また、ユーザーのCreative Cloudライブラリから、2Dや3Dのアセットを取り込むことができる。完成したシーンをエクスポートするのも数ステップで済んでしまう。

「ARは、マーケティングやブランディング、小売や商取引全般、旅行やレジャー、学習や芸術など、あらゆる業界に広がっています。しかしながら、現状では、高品質のARコンテンツの作成は、多大な費用、長大な時間がかかる複雑な作業となっています。私たちのビジョンは、このプロセスを変革し、すべてのデザイナーが、3DとARの可能性を探求できるようにすることです」。

iOS版のアプリを使えば、基本的なAR体験を作成できるが、ARデザインツールとしてのフル機能を利用するには、デスクトップ版のアプリが必要となる。アドビによれば、デスクトップ版を使うことで、対話的なインターフェースを使って、カスタムな体験を設計できるという。

私が見たデモでは、もちろんAeroはかなり使いやすそうだった。たとえば、レイヤーを含むPhotoshopファイルを背景として取り込み、必要に応じてレイヤーの間隔を空けるように配置して、3Dっぽいシーンにすることも簡単にできる。オブジェクトの操作は、メニューなどを使わずに、タッチ操作だけで可能だ。基本的なアニメーションを追加したり、動きのトリガーを設定することもできる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookは企業ブランドを強化して傘下アプリの一体化を目指す

Facebookは人々に、グループ会社のInstagram、WhatsApp、Oculusなどをもっと知ってもらいたいと同時に、Facebookのメインアプリのアイデンティティーも独自に確立したいと思っている。そこで米国時間11月4日、Facebookはアプリとは別に会社としての新しいロゴを発表した。社名はすべて大文字になり、シフトするカラースキームはInstagramのパープルグラデーションとWhatsAppのグリーンの色合いを表している。

「近いうちに、当社のグループ製品や宣伝資料に新しいブランドを使い始める。公式ウェブサイトも同様」とFacebookのCMOであるAntonio Lucio(アントニオ・ルシオ)氏は書いた。例えば、Instagramのログイン画面の下端には「from FACEBOOK」のブランディングが表示される。これまでFacebookは、ブルーとホワイトあるいは白抜きで小文字の「f」をロゴに使用していた。

会社全体を包括する別のネーミングも考えたとルシオ氏は言った。「あらゆる選択肢を考えたが、社名を維持することが重要だという結論に達した。これまでずっと、そしてこれからも我々はFacebookであり続ける。我々が体現するもの、我々が下す決断、人々に対する我々の責任、そしてブランド間の関係を維持していくためには、名前を変えないことが重要だった」。実際、象徴である名前を変えていたら、会社が問題のある過去を消しさろうとしていると思われたかもしれない。

Facebookは去る6月からリブランディングのプロセスを始めていて、グループ会社のアプリに「from Facebook」のキャッチフレーズを付加した。The Informationによると、Facebook CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、FacebookがInsagramやWhatsAppを所有していることの功績に対する世間の評価に満足していないようだ。

ザッカーバーグ氏は今月の決算会見でも、同社への反トラスト捜査によって傘下企業が分割させられるのではないかとの質問に対してその感情を顕にした。5000万ユーザー以下だったInstagramを現在の10億ユーザーの会社に変えたのは、スパム対策、国際化、広告などにFacebookのリソースを使ったからだと同氏は強調した。

Facebookは機先を制して反トラスト捜査に対する防御に出ていると見る向きもある。リブランディングだけでなく、同社はFacebook Messenger、WhatsApp、Instagram Directを相互乗り入れ可能な統合暗号化メッセージングシステムにして、ユーザーがアプリ間でチャットできるようにしようとしている。集中化された基盤上にシステムを構築すればFacebookの分割はより困難になる。

一連のリブランディング行動は、尊大であり下手なやり方だという見方もある。「Facebookのグループ会社にInstagramやWhatsAppがいることをほとんどの人が知らない」という事実に助けられている可能性もあるからだ。Pewの最近の調査によると、両社がFacebookの子会社であることを知っていた米国人はわずか29%だった。

Facebookがデータ漏洩や選挙介入などのスキャンダルにまみれていることを考えると、Instagramを使うことで汚染されずにすむと人々が思ってくれたほうが恐らく得策だ。

Facebookは、中央集権的な会社を作るためなら、グループ会社の若きアプリたちの信用を損なってもいいと思っているようだ。FacebookがAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏とWill Cathcart(ウィル・キャスカート)氏という忠実な副官たちをInstagramとWhatsAppにそれぞれ差し向けて以来、買収された企業の自主性は薄まっている。

Facebookにとって、政府の規制より大きな問題はなにか?もし現在あるいは将来の有能な人材が、Facebookは子会社の可能性を抑制していると考えるようになれば、トップクラスの人たちはこのソーシャルネットワークファミリーの一族になりたいとも居続けたいとも思わなくなる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アドビが約束通りiPad向けPhotoshopをリリース、月額1080円で利用可能

Adobe(アドビ)がiPad向けPhotoshopをリリースした。人気のプロフェッショナル用写真編集ソフトウェアをApple(アップル)のタブレットに持ってくることを、アドビは昨年10月に発表していた。その際、アプリを2019年に立ち上げると明言していて、今日のリリースはスケジュールどおりのものだ。iPad向けのPhotoshopは無料でダウンロードでき、30日の無料トライアルが用意されている。トライアル以降はアプリを利用するのにアプリ内購入で月9.99ドル(1080円)かかる。あるいはAdobe Creative Cloudのサブスクリプションの一部として利用できる。

アドビが当初から言っているように、iPad向けPhotoshopの初期バージョンはデスクトップの編集ソフトウェアと同じ機能が搭載されているわけではない。しかし「iPad Proと最近のiPadモデル用のApple Pencilをサポートし、PSDファイルの編集もできる。初期バージョンではタッチとApple Pencilによる入力が利用できる機能にフォーカスした」とアドビは説明している。その機能には「合成やレタッチのツール」がある。また、ブラシやマスクキング、スマートセレクションなども今後加わる。

便利なのは(私はそれほどこのソフトウェアを使ってはいないが)、スポット修復やコピースタンプなどの機能だ。コピースタンプはその場で編集に磨きをかけるのにかなり便利だ。まだデスクトップと同様のことはできなくても、iPadでのLightroom取り込みはおそらく持ち運びやすさを最大限生かしたいプロ向けだ。また、Creative Cloudに保存するPSDはどこからでも編集できる。

現状がどうであれ、AdobeがiPad向けPhotoshopの開発とリリースのスケジュールを守ったのは素晴らしい。iPadはデスクトップやノートブックコンピューターにアクセスできないときのためのバックアップ選択肢、という状態を解消するにはまだなすべきことがあるにしてもだ。

Adobeは今週Adobe MAX 2019カンファレンスを開催していて、今後もたくさんのニュースが発表されるはずだ。TechCrunchでのイベント続報に乞うご期待。

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(翻訳:Mizoguchi)

ドローイングアプリ「Adobe Fresco」のWindows版が登場

9月にAdobe(アドビ)は、iPad用の次世代ドローイングペインティングアプリのAdobe Frescoをリリースした。

そして米国時間11月4日、FrescoのWindows版が公開された。まずはMicrosoft(マイクロソフト)のSurfaceシリーズ(Surface Pro 4、Surface Go、すべてのSurface StudioとSurface Book)、およびWacom(ワコム)のMobileStudioデバイスに対応する。iPad版と同様に、Fresco for Windowsにはアドビのベクターとラスターのツールが備わり、ペインティング、ドローイング、スケッチに使える。

アドビによれば、Fresco for Windowsはゼロから開発したという。同社はこの日の発表の中で「アプリを作るのは簡単ではなかったが、マイクロソフトおよびインテルと緊密に連携して、ブラシが適切に動作するようにし、ハードウェアとソフトウェアのパフォーマンスをできる限り引き出した」と説明している。iPad版と同様にWindows版もアドビのクラウドストレージと深く統合されるため、デバイス間でシームレスに作品を移動でき、PhotoshopやIllustratorにも持っていける。

ただしFresco for Windowsは今のところ、iPad版より機能が少ない。アドビは「Frescoの機能は重要でプラットフォームを問わず使えるようにするため、早急に未搭載の機能を実装できるよう取り組んでいる」としている。

Windows向けの無料版もある。機能は制限されるものの、このアプリで何ができるかを試すには適しているだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)