カスタマイズ可能なオンラインセクハラトレーニングプログラムを提供するEthena

会社勤めの方なら経験があるはずだ。年1回のセクシャルハラスメントと無意識の偏見に関するトレーニングの時期が来たことを告げる電子メールを受け取る。メールには「この日付までにトレーニングを終えることができれば大変素晴らしい」とある。

典型的なプログラムの内容はいかにも映画「Office Space」(邦題:リストラ・マン)に出てきそうだ。ハーバード大学を出たコンピューターサイエンティストのAnne Solmssen(アン・ソルムセン)氏が最近電話した友人の反応は驚くにあたらない。勤務する会社が指示したオンライントレーニングプログラムを受けた友人は「野球をしているときのほうが面白い」とつぶやいたそうだ。

ソルムセン氏には、セクシャルハラスメントのトレーニングをもっと面白く、うんざりさせない内容にするアイデアがある。同氏は最近、同じくハーバードの卒業生であるRoxanne Petraeus(ロクサーヌ・ペトレイアス)氏と力を合わせてEthena(エシーナ)というSaaSのスタートアップを立ち上げた。同社はカスタマイズ可能なセクシャルハラスメントのトレーニングプログラムを提供する。一コマが「ひと口サイズ」になっていて、職場のセクシャルハラスメントに関する個々人の理解度に応じたプログラムを提供する。来年の第1四半期に大々的にリリースされる頃には、ソフトウェアは業種の特性を加味した内容になる予定だ。

ペトレイアス氏がリードするかたちで2人はこの夏に活動を始めた。同氏はアイビーリーグの学費捻出のため米予備役将校教育課程に入り、民事担当官を含めて米軍で7年間過ごした。その後オンラインの食品向けマーケットプレイスを共同で創業した。マッキンゼーでも1年間過ごし、会社経営について学んだ。

ペトレイアス氏は、これまでのキャリア、特に陸軍で素晴らしいリーダーに出会ってきたという。「良いリーダーは自身の仕事上の成長目標と私生活について深く考えるし、他人に劣等感や疎外感を感じさせずに、むしろ強みを引き出す」。

ペトレイアス氏は、ほとんどのハラスメント研修が十分に練られておらず、本社を置く州の法令を順守するための単なるチェックリストになっていると感じていた。同氏が驚いたのは、多くの会社で従業員が受けているプログラムが「1980年代の法律事務所向けに作られた」ようなものだったからだ。

一方ソルムセン氏は、ベンチャーキャピタルが支援する公共安全ソフトウェア会社であるMark43で働いていた。同氏の仕事は順調だったが、2人のエンジニアリングの才能とビジョンから何かが生まれると友人が予感して、2人を引き合わせた時、予感が的中したことがわかった。「ビジネスを始めることに特に興味はなかったが、ロクサーヌとともにこのアイデアに恋をした」とソルムセン氏は語った。

Ethenaが開発しているものと、世の中に出回っているものはどう違うのか?多くの点で明らかに異なる。Ethenaが望むのは、毎年最後に従業員に受けさせる1、2時間のトレーニングで「一気に片付けてしまう」方法ではない。そうではなく、特定のテーマに関するケーススタディや質問を毎月従業員に届ける材料を用意している。後日、全従業員会議であるテーマに言及して、目標の達成に役立てることができる。

Ethenaは反復性があり、回答次第で変化するコンテンツや質問に力を入れている。新入社員は、女性を部下に持つ役職者とはまったく異なる回答をするかもしれない。すべての従業員が通常提示される白黒ハッキリしたシナリオ(例えば「『ジュディとブライアンが仕事の後にバーに行く』状況を考えてください」といったシナリオ)とは対照的なアプローチだ。

ペトレイアス氏は次のように語った「年々問題が微妙になっているため、伝統的なトレーニングでは、仕事以外で異性が一緒に時間を過ごすことはメンターシップにとってよくないと暗に従業員に伝えている。だから次のような質問が出る。『出張中に女性とUberに同乗することはできますか?』」。異性の同僚が居合わせるあらゆる機会を地雷原に変えることは「私たちが伝えるべきメッセージではない」。

だが従業員はそう理解している。LeanIn.OrgとSurveyMonkeyが今年始めに実施した調査によると、男性マネージャーの60%は、1対1での女性とのメンタリング、協働、交流を嫌がる。この割合は1年前から32%上昇した。同じ調査で、これが上層部の男性になると、後輩の女性との1対1のミーティングを12倍、一緒に出張することを2倍、ビジネスディナーを一緒に取ることを6倍嫌がる。

米雇用機会均等委員会(EEOC)でさえ、セクシャルハラスメント訓練はどこか間違っていると考えている。単に法的責任を回避すればいいと考えているため、予防ツールとして機能していないと指摘する。実際、EEOCの委託を受けた職場のハラスメントを研究するタスクフォースは数年前、最終的に「効果的なトレーニングは真空の中では実施できない。トップが率先して会社全体に非ハラスメント文化を浸透させる活動の一部でなければならない」と結論づけた。「すべてのケースに有効な解決策があるわけではない。トレーニングは従業員や職場ごとに内容を変えるのが最も効果的だ」とも述べている。

カスタマイズできることだけではなく、もちろんコンプライアンスにも配慮し、Ethenaは配信するコンテンツの刷新を進めている。テーマは職場恋愛(間違いなく起こる)、妊娠中の同僚を排除しないこと(密かに疎外されている)、トランスジェンダーの同僚(よくあるセクシャルハラスメントのトレーニング資料では誤解されているか見落とされている)。

アナリティクスにも重きを置いている。たとえば、従業員の60%が職場恋愛に関する社内規程を知らない場合や、会社のコアバリューに関してマーケティング部門の従業員の理解度が他の部門より低い場合、Ethenaがフラグを立てて会社のマネージャーに予防措置を促す。ソルムセン氏は次のような例を挙げた。「LAのオフィスでは従業員の回答が一貫していないとする。そこへ新しいマネージャーが入社したら、そのマネージャーに早く追いついてもらうよう追加のトレーニングを提供する」。

引退した将軍で元CIAのディレクターであるDavid Petraeus(デイビッド・ペトレイアス)氏の義理の娘であるロクサーヌ・ペトレイアス氏にとって最も重要な目標は、従来のお決まりのトレーニングをなくすことだ。大抵のトレーニングで従業員が学ぶ重要な基準は「間違ったことを言ったら刑務所行きになるか?」といったものだ。

Ethenaの成功の可能性を判断するにはまだ早い。現時点ではパイロットトレーニングプログラムの半分しか形になっていない。だがソルムセン氏とペトレイアス氏は売り込みがうまい。同社のソフトウェアは来年の第1四半期から、従業員1人4ドルで利用可能になるという。他のeラーニングプログラムと同水準だ。

同社は投資家からすでに得ている85万ドル(約9300万円)を新規採用に使う予定だ。 投資家には、シリアルアントレプレナーのAli Partovi(アリ・パルトヴィ)氏が昨年始めたベンチャーファンドのNeo、Village Global、女性経営者のスタートアップに特化するファンドのJane VCが名を連ねる。

エンジェル投資家もEthenaに小切手を切っている。Girls Who Codeの創設者であるReshma Saujani(レシュマ・ソジャニ)氏や退役軍人も何人か投資している。

ペトレイアス氏は「退役軍人は通常スタートアップに投資するとは考えられていない。だがリーダーシップや、多様なチームを同じ目標に向かわせるという点で、非常に相性がいい」と語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

SpaceXの再使用可能ロケットは1回あたり約2億2000万円で打ち上げられる

SpaceX(スペースX)の目標は、真に再使用可能なロケットの打ち上げを実現することで、それには妥当な理由がある。それは、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が飛行機が乗客を移動させるのに例えて説明したように、使い捨てではない再使用ロケットによるコストの削減だ。彼らはその目標に向けて多くの進歩を遂げ、今ではFalcon 9ロケットの一部とDragon補給船が頻繁に再飛行しているが、宇宙船のStarshipはさらに再使用化が進むはずだ。

マスク氏は今週にロサンゼルスで開催された米空軍の年次ピッチデーにサプライズゲストとして登場し、SpaceXやその顧客がどれだけコストを節約できるかのアイデアを披露した。Space.comによると、同氏はイベントで米空軍中将のJohn Thompson(ジョン・トンプソン)氏と会話し、Starshipの打ち上げの燃料費は約90万ドル(約9800万円)、そして運用コストを考慮すれば1回の打ち上げ費用は約200万ドル(約2億2000万円)になるだろうと語った。「これは小型ロケットよりもはるかに安い」と同氏は付け加え、このシステムが「必然だ」と説明した。

Starshipは大容量のペイロードを輸送するためにゼロから設計されており、現在開発中のSuper Heavyブースターや軌道上での燃料補給と組み合わせることで、大量の物資や衛星を月の軌道、あるいは火星まで輸送する能力も備えている。Starshipは最終的にはSpaceXのすべてのロケットに取って代わることを期待されており、一度完成して飛行すれば、最終的にはFalcon 9やFalcon Heavyよりもはるかにコスト効率のいい運用ができるはずだ。

現在SpaceXはプロトタイプ機のStarship Mk1と同Mk2による、大気圏内での高高度制御による飛行と着陸を準備している。同社はまた、わずか6カ月以内に軌道試験が実施できると楽観的に考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルがプライバシーサイトを刷新、技術白書を公開

Apple(アップル)は4年連続で、プライバシーに関するページを更新した。同社は毎年、ウェブサイトのプライバシー項目を更新し(通常は製品発売の約1カ月後)、顧客に最新の機能や技術を説明している。テロリストのiPhoneの内容を知るために連邦捜査官が同社にバックドアの作成を強要していたFBIとの戦い以来、同社はこれまでの秘密主義的なやり方を捨て、セキュリティとプライバシーのポリシーを全面的に公開している。

アップルのプライバシーページは、プライバシーに対する同社のさまざまな取り組みを掲載するように進化し、さらにはユーザーへのヒントやトリック、そして政府からのデータ公開要求の数を記載した、年2回の透明性レポートを掲載している。

今年には初めて、同社はいくつかの最も人気の技術がどのように機能するかを記述した技術白書を公開した。これまで、同社はSafariや写真、位置情報サービス、サインインに関する技術白書をリリースしてきた。昨年同社はヨーロッパのGDPRによる法的要件に応え、「データをダウンロードする」ページを公開し、ユーザーが保存しているすべてのデータを入手できるようにした。

アップルによると、同社のプライバシーページはサイト全体の中で最も訪問者の多いページだという。これまでと同じく、アップデートされたプライバシーページには、iOS 13と、今年リリースされたmacOS Catalinaに関する、Safariの追跡防止や位置認識、連絡先メモの保護といった新しいプライバシーとセキュリティ機能がすべて含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Rocket LabのNZロケット発射施設のバーチャルツアー動画

Rocket Lab(ロケット・ラボ)はロケットを打ち上げる非常に小さなスタートアップで、実際にペイロードを宇宙に輸送しており、すべてのロケットはニュージーランドの東海岸に位置する景色の良い半島から打ち上げられている。その理由は、高頻度の打ち上げに理想的な位置であることから、エレクトロンロケットによる打ち上げを拡大するのに役立つからだ。また別の利点として、実に素晴らしい景色が楽しめる。

今回のLC-1ツアーでは、カリフォルニア州ハンティントンビーチからオークランドまでで製造されるパーツが組み立てられる、Rocket Labの最終組み立て場を見学できる。燃料充填と打ち上げのためにロケットがどのように設置されリフトされるのか、あるいはRockst Labのロケット打ち上げの際に発生する、信じられないほどの大音量のノイズの一部をどのように軽減するのかについてのヒントがある。

最後に、Rocket Labが現在バージニア州ワロップス島に建設中の2番目のLC-2発射施設の簡単な紹介がある。これは同社初の米国の射場で同国の顧客向けに利用され、来年初旬に初打ち上げが実施される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

アドビのProject Sweet Talkは肖像画に命を吹き込む

Adobe MAXで最も興味深いセッションの1つは、伝統的なSneaks基調講演だ。Adobe(アドビ)のさまざまな部門のエンジニアが登場して、最先端の仕事を見せびらかす。そこから製品化されるものもある。もちろん、そうならないものもある。最近は、やはりAIに焦点を当てた仕事が多くなっていて、Adobe Senseiプラットフォームもよく利用されている。今年は、まだ初期の段階のProject Sweet Talkがお披露目された。今回のイベントの注目の1つだ。

画像クレジット:Lisa Werner/Getty Images

アイデアは非常に単純なものだが、それを実現するのは難しい。これは、スケッチでも絵画でもいいが、肖像画を入力すると、そこに描かれた顔のパーツを認識し、ナレーションに合わせて口の動きをアニメーション表示するというもの。すでに、同社のCharacter Animatorでも似たようなことができる。Stephen Colbert(ステファン・コルバート)のThe Late Showのようなショーで見た人もいるだろう。ただし、アニメーションのコマ数に制限があるので、最高のアニメーターの手にかかっても、常にリアルに見えるとは限らない。少なくとも、この製品を使って線画をアニメーション化するような場合にはリアリティに欠けるきらいがある。Project Sweet Talkは、それよりはるかによくできている。ナレーションを分析し、AIを使用して、キャラクターの口と頭の動きをリアルにアニメーション化できるのだ。

このチームは、アドビの研究者のDingzeyu Li(ディンゼユ・リ)氏がリーダーとなり、マサチューセッツ大学アマースト校のYang Zhou(ヤン・チョウ)氏、ともにAdobe ResearchのJose Echevarria(ホセ・エシュバリア)氏、Eli Shectman(エリ・シェクトマン)氏がメンバーとなっている。実在の人々がカメラに向かって話している何千時間ものYouTubeの映像を、独自のモデルに入力した。驚くべきことに、そのモデルは、スケッチや絵画に非常にうまく適用できる。その顔が、単純な動物の顔のスケッチのように、人間の顔には似ても似つかないものであってもだ。

「アニメーションは難しいものだということを、私たちはみな理解しています」と、リ氏は私に語った。「顔の動きを、与えられたオーディオトラックに揃えたいとすれば、さらに難しいものになります。Adobe Character Animatorには、すでに「自動リップシンク」と呼ばれる機能があり、動きをオーディオに合わせることができます。しかし、実際に使ってみると、限界も見えてきます」。現在のCharacter Animatorで動かすことのできるのは口だけ。他のすべての部分は静止したままだ。それでは、もちろんリアリティのある動きは再現できない。この記事に埋め込んだProject Sweet Talkの作成を見れば、自動的に顔を巧みにゆがませて、うまくリアルに見せていることがわかる。これらの元になっているのは、すべて普通のJPEG画像だ。

だたし、この顔の輪郭をゆがませる処理のため、Project Sweet Talkは、写真に対してはそれほど優れた効果を発揮できない。単純に結果の見栄えがよくないのだ。しかしそのせいで、このプロジェクトがディープフェイクに悪用される心配はないということになる。「リアルに見えるディープフェイクを生成するには、多くの学習データが必要となります」とリ氏は言う。「私たちの場合は、目印となるものだけに注目しています。画像の中から抽出できるものです。そして、このようなアニメーションには、目印だけで十分なのです。しかし、私たちの実験によれば、目印だけでは、写真を使ったアニメーションには不十分だということもわかっています」。

将来的にアドビは、この機能をCharacter Animatorに組み込んでくる可能性がある。リ氏は、現在のCharacter Animatorでも可能となっているような、リアルタイムシステムを開発することは、チームの優先順位の上位にあると語った。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

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GitHubにプロジェクトのロードマップ追跡管理を統合したZenHub

GitHubを統合した人気の高いプロジェクト管理ツールであるZenHubは米国時間11月6日、新しいプロダクトとしてRoadmapsを発表した。その名のとおりロードマップを作成して管理する機能で、チームがプロジェクトを前もって良質に計画し、そのステータスを視覚化する。そしてそのすべてを、GitHubの中から操作できる。

ZenHubの共同創業者であるAaron Upright(アーロン・アップライト)氏は「これはまったく新しいカテゴリーのプロダクトだから超エキサイティングだった。従来のように、ソフトウェアの開発チームが将来のことを考えながらプロジェクトを管理するのではなくて、具体的にいつ何をするかを前もって計画するんだ。これをZenHubを進化させる機会として生かし、プロダクトのロードマッピングという新しい世界への入り口を提供したい」と語る。

このプロダクトそのものは、かなり単純明快だ。デフォルトでは、チームがすでに定義している既存のプロジェクトや作品を対象とし、タイムラインに沿ってそれらを視覚化する。そこには、まだ残っている未解決の問題に関するデータも含める。このツールの現在のバージョンはかなり基本的なものしかないが、将来はブロッキングなどの高度な機能も入れる予定だ。アップライト氏が言ったように、目標がチームの計画を助けることだから現状で十分役に立つが、ZenHubが望むのは「プロジェクトのステートの概要が30000フィートと超長くても、GitHubやJiraの中で個々の問題をクリックしまくらなくてもいい」という理想的な計画管理の状態だ。

アップライト氏によると、既存のソリューションはチームが本当に必要とすることに対応していない。彼によると「しかもそれらのツールは高すぎて10名から20数名程度のチームには手が出せない。またロードマップを追跡するのにExcelのファイルやGoogleのスプレッドシートを使っているところが多い。スプレッドシートは、その毎日毎時間のアップデートが大変で、それ専門のフルタイムの人間を必要とする」とのこと。

手ごろな価格のツールでは、そのツールとGitHubの間で同期できないので、肝心のGitHubの最新状態を維持できない。ZenHubはGitHubの中にいるから、そんな問題はそもそもない。

ZenHub Roadmapsはすでにすべてのユーザーが利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Friendedは現実を重視する新しいSNS

ソーシャルメディアの世界は、数社のメジャーなプレーヤーに支配されている状態だが、それでも消費者は常に新しい何かを求め続けているようだ。TikTokもその1つだろう。

そして、また新しいソーシャルアプリがリリースされた。このFriendedと呼ばれるアプリは、人々をオンラインでつなぐことについて、これまでとはまったく異なった戦略を採用している。Friendedは、Thumbの共同創立者でCEOのダン・クラニ(Dan Kurani)氏が始めたもの。ユーザー同士のつながりが、より深く、意義のあるものになることを目指している。同社はそれが不可欠だと考えている。

Friendedのユーザーは、自分が考えていることや感じていることについて、コミュニティに投稿できる。しかし、街の集会所的なスタイルのグループ会話を育むのではなく、コミュニティのメンバーが、投稿者本人に個人的に応答し、洞察、逸話、アドバイスなどを伝えることができる。

つまり、デリケートな1対1の関係に置かれたときにどう感じるか、ということを共有する機会を作ろうという考え方だ。私自身、しばらくこのアプリを使ってみた。その際には、ニューヨーク市で友達を作る方法とか、自分が他の人について気にかけているほどには、他の人は自分のことを気にかけてくれないと感じるのはなぜか、といったことについて人々と会話してみた。

スレッドには誰でも応答でき、そのスレッドに加えたコメントには、投稿者や応答者が「いいね」を付けることができる。しかし、応答が来た瞬間から、その会話は1対1のプライベートなものになる。

「人々は、これまでにないほど孤独を感じています」とクラニ氏は言う。「その責任の一端は、ソーシャルメディアのアルゴリズムにあります。広告インプレッションを稼ぐために、ユーザーの注目度を高めようとしているだけだからです。みんなが幸せそうにしているのを見れば孤独感は強くなります。そのくせ何か微妙な問題について話そうとすると誰も応答しないのです。それに、完璧であろうとするプレッシャーもあるので、自分を開いて感情を共有するのもかなり難しいものです」。

Friendedでは、常に誰かと話すことができる場所になることを目指しているので、収益源としての広告を排除した。その代わり、一部を有料化する実装に取り組んでいる。現在では、ユーザーは会話のスターターを8時間に1回だけ投稿できる。プレミアムユーザーは、週4.99ドル(約540円)を払えば、好きなだけ投稿できるようになる。また、近所にいる人に話しかけるなど、いくつかのプレミアム機能も使えるようになる。

Friendedは、Jonah Goodhart(ジョナ・グッドハート)氏、Lara Otte(ララ・オッテ)博士、Jared Fliesler(ジャレッド・フライスラー)氏、Bobby Goodlatte(ボビー・グッドラテ)氏などの投資家から50万ドル(約5450万円)のシードラウンドを達成している。同社は毎月のアクティブユーザー数を公開していないが、ベータ期間中に50万人の登録ユーザーを集め、1アクティブユーザーあたり、1日平均11のセッションが開始されたことを明かした。先月だけで、250万件以上のメッセージが送信されたという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ファーウェイがバグ発見褒賞会議を開催、ミュンヘンにハッカーを集める

中国のテクノロジー大手のHuawei(ファーウェイ)は、今月下旬にミュンヘンで開く秘密会議に全世界の優秀なスマートフォンハッカーを招き、各国政府の同社に対する懸念を払拭しようとしている。

TechCrunchの情報筋によると、その11月16日の会議でファーウェイは、新しいバグ褒賞事業を非公開で提示する。それにより、セキュリティの脆弱性を指摘した研究者には賞金が贈られる。情報筋によると、そのバグ褒賞事業は過去と未来のモバイルデバイスを対象とし、またAndroidに対抗する同社製モバイルオペレーティングシステムであるHarmonyOSも、バグ発見賞の対象になる。

Apple(アップル)やGoogle(グーグル)、Samsung(サムスン)など、そのほかのスマートフォンメーカーにもバグ褒賞制度がある。

ファーウェイの新しいバグ発見褒賞制度は、同社と中国政府との関係に対する批判が最近ますます高まっていることと関係がありそうだ。同社が中国政府のためにスパイ行為をしているという米国の主張をファーウェイは否定しているが、それでもなお連邦政府は制裁と米国での事業に対する制限を解こうとしない。同社に対するこのような圧力の中で、グーグルなどはファーウェイに対する同社スマートフォンに使われていたAndroidのサポートを停止し、そのため同社は独自のOSを使わざるをえなくなった

ある情報筋はこのイベントを、アップルが8月に主催した秘密会議に似ているという。そこではiPhoneをハックしてセキュリティの弱点を見つけたセキュリティ研究家に、特別製のiPhoneが贈られた。

情報筋によるとファーウェイのバグ褒賞会議の目的は、セキュリティ研究者たちと同社との積極的な協働ぶりを各国政府に見せつけることにある。ファーウェイは通信企業が使用するネットワーキング機器も作っているが、これに関しては今年初めに英国の政府当局から、同社は国のセキュリティの脅威にはならないと主張しながら、深刻で意図的な欠陥を直そうとしないと批判された。

ファーウェイのスポークスパーソンであるChase Skinner(チェイス・スキナー)氏は、コメントの求めに応じなかった。

関連記事:米通信委がファーウェイとZTEの設備排除を通信会社に要求へ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NBA TVがネット視聴者向けに試合のライブやオリジナルコンテンツを配信

コードカッター(ケーブルテレビの契約をやめてネットで動画を視聴する人のこと)のバスケットボールファン向けに、バスケを余すところなく楽しめる新たな選択肢が登場した。NBA TVは11月5日、公式に消費者と直接購読契約を結ぶサービスを開始した。こうした動きはスポーツリーグネットワークとしては初めてだ。ウェブのNBA.comとNBAアプリの両方で利用できるこのサービスは、視聴が制限されている100以上の試合やオリジナルプログラム、オンデマンドビデオを月6.99ドル(約760円)で閲覧できる。年払いの59.99ドル(約6500円)だと少し安くなる。

このサービス開始による有料テレビ視聴者への影響はなく、これまで通りTVプロバイダーの認証によりNBA TVを視聴できる。

NBAとTurner Sportsが共同で管理するNBA Digitalはこのほど、Center Courtという名称の新たなフランチャイズを発表した。新たなカメラのアングルや、セレブのインフルエンサーを含むライブのオンスクリーンチャット、徹底分析、統計グラフィックスなどを含めた、視聴体験を向上させるための実験を行う。

ゲーム(リストはここにある)はウェブとモバイルのほか、メーンのCenter Courtブロードキャストを通じてNBA TVでも特集される。そこでは改善された「フロントコート」と「バックコート」のストリームが用意されている。フロントコートのストリームは、順番で担当が代わるNBAインフルエンサーのグループによるオーディオ代替のオプションとなる。一方で、バックコートストリームは統計の重ね合わせなどSecond Spectrumテクノロジーを活用する。

Center Courtのカバレッジは2019〜2020年にかけてのシーズン期間中に利用できる。

視聴体験の向上に加え、NBA TVは放映権許諾地域でのみ放映される100以上の試合と、WNBA、NBA Gリーグ、LNBA サマーリーグのライブを約束している。そしてスタジオ番組やレポート、「Beyond the Point」のような雑誌スタイルの番組、「Shaqtin’ a Fool」のようなタレントショー、試合前の番組、「The Warm Up」、そして「NBA Crunchtime」「NBA Game Time」といった毎晩の番組などオリジナルのプログラムも用意されている。

新しい番組は、「The List」「#Handles」「Say What」「High Tops」「Basketball Stories」などソーシャルなやりとりやレジェンド、現役のプレイヤーにフォーカスしている。そして、昔の試合や2000〜2019年のNBAファイナル、その他のアーカイブコンテンツに24時間いつでもアクセスできる。

NBA TV購読者はまた、NBA TVを購入したり加えたりするのと同じNBAアプリとウェブサイトからすべてのNBAの試合にアクセスできるようになるプレミアムな購読サービスNBA League Passを購入することもできる。購読すれば、ウェブやモバイル、ネットに接続しているTVデバイスやゲームコンソールでNBA TVを視聴できる。

「イノベーションは常に、NBA Digitalパートナーシップと直接消費者に向けたプロダクトの立ち上げの中心にあった。新たなコンテンツイニシアチブでもって、NBA TVとブランドの蓄積されたポートフォリオを利用する機会をNBAファンに提供する」と Turner Sportsの上級副社長兼ゼネラルマネジャーのTina Shah(ティナ・シャー)氏は発表文で述べた。「スポーツ消費は発展しつつあり、ファンがプレミアムなNBAコンテンツにアクセスして楽しめるよう新たな機会の模索を続ける」

ライブスポーツへのアクセスは、ファンが従来の有料TVの契約を続ける要素の1つだった。しかしこのところ、ケーブルからネットへの移行を簡単にするさまざまなリソースが登場している。ここには、MLBのMLB.TVのような特定のスポーツ専門のものや、Amazon Prime VideoでのNFLの試合のような、ソーシャルメディアなどを介しての試合のライブストリーミングも含まれる。また、より包括的なライブのスポーツに対するスポーツファンの需要から生まれたfuboTVのようなフルサービスもある。

しかし新たな鑑賞方法があっても、ブラックアウト規制はファンを有料テレビにつなぎとめ(ログインするのにおそらく友人のアカウントを使用する)、またはVPNへと向かわせる。NBA TVではこうしたものを解決できないだろうが、ファンに試合やNBAのコンテンツをもっと視聴してもらうことはできる。

画像クレジット:Moses Kinnah / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

金融のプロが最適な資産運用プランを提供、「資産のセレクトショップ」目指すOneMile Partnersが約1.3億円調達

「資産のセレクトショップ」をコンセプトに、個々人のニーズに合わせて厳選した資産運用プランを提供するOneMile Partnersは11月6日、Coral Capital、マネックスベンチャーズ、電通国際情報サービスなどを引受先とした第三者割当増資により総額約1.3億円を調達したことを明らかにした。

同社は個人の資産運用に関する三重苦(わからない、選べない、続けられない)の解消を目的として2018年11月に設立されたスタートアップだ。

代表取締役の小田嶋康博氏、取締役の原田慎司氏、取締役の泉田良輔氏ら経営陣はそれぞれが創業前にヘッジファンド、証券会社、生命保険会社などで勤めていた経験のある金融のプロフェッショナル。彼らが厳選した既存の金融商品を、各顧客のニーズや状況を踏まえて“適切に組み合わせながら提案する”というのがOneMile Partnersの事業の根幹であり、資産のセレクトショップを謳っている由縁だ。

原田氏と泉田氏はもともと2013年にナビゲータープラットフォームを立ち上げ、金融関連のプロダクトを複数手がけてきた。中でも「経済ワイドショー」をテーマにお金の話を解説する「LIMO」は、開始から3年強で多い月には月間1000万PVに達するなど、30〜40代の女性を中心にユーザーから反響が大きかったという。

一方でLIMOがある程度の影響力を持つメディアに育ったにも関わらず、それでも解決できない課題に直面し葛藤を感じることもあった。

「読者向けに有料で勉強会などを開催すると、わざわざ遠方から新幹線などに乗って参加してくれるような人もいたが、銘柄の選定の仕方など資産運用のレクチャーをしても最終的に実際の行動に移せる人は少なかった。立派な学歴や職歴がある人でも『本当に買っても大丈夫なのか』『このタイミングでいいのか』など選んだ銘柄に対して自身が持てず、前に進めないという人が多く、明確なペインがあった」(原田氏)

原田氏によると、日本株の勉強会でも米国株の勉強会でも、熱心なユーザーが集まるものの最終的には同じ課題に行き着くことが多かったそう。OneMile Partnersはまさにその状況を打破するために立ち上げた会社だ。

同社の事業構造は「ほけんの窓口」の資産運用版というとイメージしやすいかもしれない。顧客との接点となるリアル店舗を開設した上で、お金のプロによる無料相談や勉強会などを実施。顧客ごとのニーズや状況を踏まえながら個々に合わせた資産運用プランの提案やフォローアップを行う。

「一口に金融商品と言っても、保険や投資信託、株式、債券などその種類は多岐にわたる。『自分に合ったものがわからない』『何からやったらいいかわからない』というのが多くの人に共通する課題。自分たちが目利きをして商品をある程度絞り込んだ上で、顧客ごとのシチュエーションに応じて個別でカスタマイズをすることによって購入までのお膳立てをしていきたい」(原田氏)

泉田氏は「資産運用のラストワンマイルをきっちりサポートする」という表現をしていたけれど、いくら資産運用について学んでも結局金融商品を買わなければ目標達成や課題解決には繋がらないということをこれまでの経験で強く感じていたそう。

OneMile Partnersではそこにコミットするため、まずはオフラインの店舗を軸としてスタートするに至ったようだ。同社では丸の内に1号店となる店舗を開設し、2019年11月27日にオープンする予定。今後は各地に店舗を拡大していく計画だという。

また中長期的にはテクノロジーの活用にも取り組む方針。アプリなどを活用しながら複合的に顧客のサポートを行っていきたいとのことだ。

イベント会場や飲食店での“待ち時間”を減らすモバイルオーダーサービス「narabee」公開

BEENOSの連結子会社で新規事業の開発を手がけるBeeCruiseは11月6日、SaaS型のモバイルオーダー&ペイサービス「narabee」の提供をスタートした。

オンライン上で事前に商品を注文し、受け取り時間を設定した上で決済しておくことで、ライブ会場や飲食店などで長時間列に並ぶストレスから解消されるのが最大の特徴。近々ユーザー向けのスマホアプリ版もリリースする予定で、さらなる利便性の向上を目指していく。

店舗とユーザー双方に共通の「待ち時間」という課題があるだけでなく、直近は軽減税率の影響などもあってか国内でも飲食店のテイクアウトを中心に事前注文・決済の取り組みが加速している。

過去に何度か紹介しているShowcase Gigの「O:der」やDIRIGIOの「PICKS」といったスタートアップに加え、「LINEポケオ」などメガベンチャーもこの領域でプロダクトを展開中だ。

今回のnarabeeは飲食店に限らず、スポーツスタジアムやアミューズメント施設など行列が発生する幅広いシーンでの利用を予定してはいるものの、初期のユースケースとしてはアーティストやアイドルのライブ会場におけるイベントグッズ販売所での利用を見据えているそう。

そもそもBEENOSグループ自体がコマース領域の1事業として人気グループのイベント会場におけるグッズ販売や公式ECサイトの管理・運営を手がけていて、そこで感じた課題感などがnarabeeの構想にも繋がっているようだ。

BeeCruiseおよびBEENOSの代表取締役社長を務める直井聖太氏の話では、グッズ売り場には長蛇の列ができ、2〜4時間ほどの待ち時間が発生することも珍しくないとのこと。ここにモバイルオーダー&ペイの仕組みを取り入れることで待ち時間を減らすだけでなく、決済の手間や並んでいる最中にお目当のグッズが売り切れてしまうリスクなどをなくしていくことが狙いだ。

またグッズを販売する側の視点では待ち時間が発生することによる機会損失(並ぶのを諦めてしまう顧客の削減)の軽減や、イベント会場における大量の現金のやりとりの削減も見込めるという。

プロダクトの使い方自体はシンプルで、ユーザーはnarabee上で欲しい商品と当日の受け取り時間を設定し、決済をしておくだけ。イベント当日にSMSにて事前通知を受け取り、指定時間に会場の受取窓口でQRコードを提示すればOKだ。

企業向けのSaaSプロダクトとして提供する形になり、企業には売上管理や分析の機能を備えたシステムを提供する。

今後はユーザー向けにソーシャルログインの仕組みや後払い決済機能、事前注文した商品を当日ホテルなどに届けてくれるサービス(たとえばライブ中に使いたいタオルやペンライトなど)、多言語対応などを実装していく計画。企業向けにはPOSレジや在庫管理、ポイント機能なども提供していきたいという。

脳内チップでオピオイド依存と闘う米国初の臨床試験が始まる

オピオイド(医療用合成麻酔薬の一種)依存は米国が直面する深刻な健康問題であり、効果的といえる緩和方法は見つかっていない。しかし、ウェストバージニア大学ロックフェラー神経科学研究所(RNI)とウェストバージニア大学医学校(WVU)の研究者らは、他の有効な治療方法がない症例において、脳内埋込み技術を使ってオピオイド依存を抑制する方法の臨床試験を開始する。

RNIとWVUによる神経外科チームは「脳深部刺激」(DBS)装置と呼ばれるチップを、最初の被験者である33歳男性の脳に埋め込むことに成功した。DBS装置は小さな電極の集まりからなり、脳内の依存や自己制御行動に関連があるとされる部分に接続される。

DBSは、理論的には、関連する刺激を送り込むことで依存症状を抑制するとともに、患者の欲求をリアルタイムで監視することによって、治療抵抗性オピオイド依存症で起きていることを研究するための貴重なデータを提供する。

オピオイド依存は、2017年にウェストバージニア州で10万人中49.6人の死亡原因だったとWVUは指摘する。これは、オピオイド関連死の比率として米国で最大の数値だ。ほかに侵襲性の低い治療方法もあり、Codaというスタートアップが開発している慢性患者の鎮痛に用いられる代替オピオイドもその1つだ。しかし、既存の患者、特に他の有効な治療方法がないオピオイド依存患者の大半は、DBSのような最先端医療が唯一の手段になるかもしれない。

今回のRNIの臨床試験は4名の患者が対象で、いずれもさまざまな治療プログラムを受けた後も依存症が続いている。研究チームは、てんかんや強迫性障害など他の疾患のFDA(食品医薬品局)承認済み療法で、脳深部刺激に関わった豊富な経験を持っている。

脳内埋め込みは最後の手段に違いないが、もしこの臨床試験で有効な結果が見られれば、他の手段が枯渇した最も深刻な症例にとって新たな選択肢になる可能性がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウォルマートがソーラーパネル火災でテスラと和解

米スーパーマーケット最大手のWalmart(ウォルマート)は、同社の7店舗で火災を起こしたとされる屋根用ソーラーパネルに関わるTesla(テスラ)の契約違反並びに重大な過失の責任を問う訴訟を取り下げた。

「両社間で和解が成立し却下規定書が法廷に提出された」とウォルマートの広報担当者がメールで伝えた。和解条件は明らかにされていない。TechCrunchは追加情報を両社に要求している。

両社は米国時間11月5日に共同リリースを発行し、ウォルマートが提起した問題が解決したことを発表した。「安全は両社にとって最優先であり、問題への対応が進んでいることから、我々の維持可能エネルギーシステムが安全に再活性化させること両社を共に望んでいる」と声明に書かれていた。

和解はウォルマートがニューヨーク州裁判所に提訴してからわずか3カ月後のことだった。訴訟の標的だったTesla Energy Operationsはクリーンエネルギーと電気自動車のメーカーの一部門であり、以前はSolarCityと呼ばれる会社だった。

訴状が提出された数日後、両社和解に向けて話し合っており、ソーラーパネルの設置サービスは継続すると発表した。

この発表は解決への道筋を示唆したものの、裁判の行方は不透明だった。本日までは。

ウォルマートは、テスラを訴えた理由は長年の重大な過失と業界標準不履行のためだった、と訴状に書いた。ウォルマートはテスラに対して、設置済みの240カ所のソーラーパネルの撤去、およびパネルが原因とされる店舗火災の損害賠償支払いを求めた。訴状には、テスラ製ソーラーパネルが原因とされる同社店舗屋上の火災が複数件挙げられている。

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Shopify上のオンライン店舗で手軽にメールマーケティングが可能に

誰でもネットショップを開けるサービスShopifyがこのところ、eコマース以外のサービスを次々と提供している。最近立ち上げた新サービスが、メールによるマーケティングのShopify Emailだ。

Shopifyのプロダクト担当最高責任者のCraig Miller(クレイグ・ミラー)氏とマーケティングテクノロジー担当部長のMichael Perry(マイケル・ぺりー)氏は米国時間11月4日、そのデモを見せてくれた。ミラー氏はそれを、「eコマースのために設計された初めてのeメールプロダクトだ」と主張している。

まずそれはShopifyの上でユーザーが開いている店舗に組み込まれているので、簡単にメールによる商品の宣伝ができる。また、そのメールが実際に売上に及ぼした効果もわかる。そしてShopifyのデータに基づいて、メールを送るべき顧客を選別できる。

ペリー氏は「自慢できるのは、われわれがメールマーケティングのプロになったことだ。いろいろ調べたところ、セグメンテーション(層別分類)の価値を分かっていない人が多い。そこでうちは、送付先の正しいリスト機能を組み込むことによってメールマーケティングの効果を高めたのだ」と語る。

Shopify Emailは現在、Shopify上の限られた店舗でテストしている。本番展開は来年の予定だ。ミラー氏によると、使用料はテストの時点では無料だが、一般公開時の料金は追って発表するそうだ。

Shopifyは最近ほかにも、ネット上ではない実店舗のためのPOSハードウェアや、広告キャンペーンのためのツールを新製品として発表している。

ミラー氏によると「うちの新製品に共通しているのは、各お店が顧客に直接売れるようにすることだ。最近は、消費者に直接という言葉が流行っているけど、それは弊社が15年も前からやってることだ」とのこと。

関連記事:Shopifyが密かにB2BeコマースプラットフォームHandshakeを買収

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Mac用アプリの定額制サービス「Setapp」が企業向けプランを開始

SpotifyのMacアプリ版ともいえるSetappが、企業内のチーム向けに作られた新しいサブスクリプションプランをスタートした。現在は公開ベータとして提供されている。Setappは、160種類のMacアプリ用を固定のサブスクリプション料金でダウンロードできるサービス。アップデートも無料でアプリ内課金もない。

Setappは月額9.99ドルで誰でもサインアップ利用できる。年間契約なら月額8.99ドル。ユーザー3名、Mac5台まで利用できるファミリープランは月額19.99ドルだ。

「Setapp for teams」は企業向けに設定されたサービスで、価格は1ユーザー当たり月額8.99ドル。使用できるアプリは個人向けでもビジネス向けでも変わらない。

新しいサービスを使うとソフトウェアライセンスの管理が簡単になる。料金はまとめて請求され、ユーザーの追加削除を行える管理パネルもある。

利用できるアプリは、Ulysses、PDFpen、ForkLift、Mindnode、iStat Menusなど。Setappは、Mac App Storeのミニ版のような位置づけで、有料ダウンロードはない。特定の作業を行うアプリが必要になったら、Setappを開いてアプリライブラリを探して目的にあったものを見つけてダウンロードする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

空き時間に合うバイト求人を自動表示、過去の評価が好待遇やスカウトにも繋がる「CAST JOB」

シフト管理アプリ「CAST」などを展開するhachidoriは11月6日、同アプリ上にて新たにアルバイト求人サービス「CAST JOB」の提供をスタートした。

CASTと一緒に使うことで、アプリに登録したスケジュールの空き時間にマッチしたスポットワーク(単発バイト)が自動表示される仕組みを搭載。ユーザーが毎回自ら検索する手間を減らし、効率的に自分のスケジュールや興味に合ったバイトを探せるようなサービスを目指していく。

CASTは昨年6月のリリース時にも紹介した通り、シフト管理を軸に店舗内のコミュニケーションを活性化する業務管理アプリだ。法人向けに勤怠管理や労務管理などの機能を備えたプロダクトを有料で提供しつつ、同サービスを導入していない店舗に勤務する個人でも無料でシフト管理や給料計算ができるツールとして展開。アプリのダウンロード数は20万件を超える。

今回リリースしたCAST JOBは、このCAST上で使える1サービスという位置付け。これまでCASTを使ってシフト管理をしていたユーザーは新らなアプリをダウンロードすることなく、CAST JOBを使うことが可能だ。

仕組み自体は比較的シンプルなバイト探しアプリ。まずは東京23区内を中心としたスポットワーク求人に特化する形で開始するが、年内を目処に長期のバイトにも対応する予定だという。

個人ユーザーにとっての特徴は、冒頭でも触れた通りCASTに登録したスケジュールと連動することで効率よく求人を探せることと、CAST JOBでの頑張りや評価が好待遇に繋がるチャンスがあることだろう。

ユーザーは「一般的なアプリと同じように自分から条件を入れて検索」「スケジュールに合わせて表示されたものから選択」「店舗からのスカウトを承諾(今後搭載予定)」という3通りの方法でバイトを探すことができ、特に2番目の方法はユーザーの隙間時間を可視化されているCASTならではのものだ。

最近は先日20億円を調達したタイミーの「タイミー」やリクルートの「Job Quicker」など、履歴書や面接が不要でアプリ上から簡単にスポットワークを検索・応募できるアプリが増えてきているが、「毎回毎回検索して求人を選択するのが手間になっているのではないか」というのがhachidori代表取締役社長である伴貴史氏の見立て。CAST JOBではシフト管理アプリを軸にしているという特性を活かしてその手間の解消を狙う。

スケジュールの空き時間にマッチしたバイト案件が自動で表示されるのはCAST JOBの特徴の1つ

またCAST JOBではスポットワーク後に店舗とユーザーで相互評価をする仕組みを導入。高評価を貯めたユーザーは本来の時給に上乗せ金をもらいながら働いたり、採用後にお祝い金がもらえる長期バイトのスカウトを受け取れるチャンスを得られるという。

「アルバイト採用に『正社員採用のあたりまえ』を持ってくるというのが1つのコンセプト。過去の評価や実績、能力が時給にしっかりと反映されたり、企業側からダイレクトリクルーティングのような形でスカウトを受けたり。正社員採用ではあたりまえになっている仕組みを設けることで、求職者にとって働きやすい環境の実現や定着率の向上などに繋げていきたい」(CAST JOBの責任者である真後淳氏)

そのような思想があるため、スポットワークはあくまで1つの働き方にすぎず、今後は長期のバイトにも広げていく計画。スポットワークが企業と求職者双方にとって「インターン」的な形で使われ、お互いが納得すれば適正な条件で長期バイトに移行するような流れも考えているとのことだった。

利用料金はWantedlyのような月額制(求人記事数に応じた従量課金)で展開する方針。まずは長期も含めてアルバイト求人の拡充やエリア拡大を進めつつ、ゆくゆくは他社サービスの応募者も一括で管理できる採用管理システム(ATS)機能の提供や、相互評価データを用いた正社員採用領域への参入も検討していくという。

YouTubeがクリエーターを支援するスタンプ[Super Stickersを公開

YouTubeは7月に予告していたクエリーター向けの新たな収入源としてSuper Stickersを世界で公開した。このステッカーないしスタンプはファンがクリエーターを支援するために少額の「投げ銭」を支払える仕組みでSuper Chatと似ている。

有料のSuper Chatを購入すると投稿メッセージがライブチャットのストリームのトップに一定期間ハイライトされる。クリエーターがSuper StickersないしSuper Chatを利用するには収益化可能なチャンネルを設置し、1000人以上の登録者を集めている必要がある。

熱心なファンから随時収入を得る方法としてSuper Chatがスタートしてからすでに3年近くたっている。この機能は大量のメッセージが飛び交う人気あるクリーエターのライブチャットのストリーム中で非常に有効であることが示されている。 ライブ配信のチャットで投稿者のメッセージがハイライトされるという点ではTwitchのCheering機能に似ている。

購入者のプロフィール写真と色付きメッセージが購入金額に応じた一定期間ストリームのトップに表示されるのでたいへん目立つ。YouTubeによれば、公開以後すでに10万以上のチャンネルがSuper Chatを利用しており、なんと毎分400ドル(4.4万円)もの収入を生んでいるという。

これに対してSuper StickersはTwitchでいえばCheermotesに似ており、チャット内に有料でスタンプないしステッカー(GIFアニメの場合もある)を投稿する仕組みだ。

YouTubeのSuper Stickersのルック&フィールはもちろんTwitchとはまったく異なる。TwitchのGemやカスタマイズされたCheermotesよりも一般のソーシャルメディアのメッセージで用いられるスタンプに近い。YouTubeでは「Super Stickersはゲームだけでなく、ファッション、美容、スポーツ、音楽、料理など広いカテゴリーで有効だ」と述べている。

ローンチ時点で8種類のSuper Stickersが利用可能だ。5種類はアニメ化されている。「Hi, Popo」はカバ(ヒポポタマス)をキャラクターにしている。「Baby Lemon」はレモン、「Energetic Lemon」は元気のいいレモン、「Bushiba」は日の丸の鉢巻でサムライの格好をした柴犬、それに「Biggest Fans」(大ファン)などがある。

これらのSuper Stickersは、英語、日本語のほかにフランス語、韓国語、ポルトガル語のキャプションがつく。Super Chatを利用している60カ国のクエリーターは即日利用可能だ。YouTubeによれば、Super Stickersの価格は99セントから50ドルまでだという。

YouTubeがSuper Stickerの登場を予告したのはこの7月のVidConイベントで、「新しいステッカーが2019年中に利用できるようになる」としていた。その後Super Stickerは一部でベータテストが開始されたものの、世界で広く利用できるようになったのは今日が初めてだ。

Super StickersはこのところYouTubeが力を入れている収入のチャンスを増やしてクリエーターを支援する仕組みの一環だ。同社は2018年以降、チャンネル登録、商品販売、プレミアプランなどを導入していいる。

YouTubeのこうした努力にはTwitchの影響が強く感じられる。Super Chat、Super StickersがTwitchの機能によく似ていることのほかにも、ゲーム・カテゴリー、YouTube Gamingに導入されたスポンサーシップはTwitchのライブビデオ視聴の有料メンバーシップモデルにそっくりだった。

YouTubeではTeespring、Crowdmade、DFTBA、Fanjoy、Represent、Rooster Teethなどのパートナーと提携し、チャンネルの動画の下部に商品購入棚を用意した。最近ではMerchbarと提携し、アーティストが物販からも収入を得られるようにしている。またこれ以外にも広い層ののクリエーターを支援するプログラムが実行されている。

YouTubeではこれらのプロジェクトがどれほどの効果を上げているのか具体的な数字は示していないが、今年始めに「Super Chatなどのプログラムを導入した数千のチャンネルが収入を2倍以上に増加させた」としている。

Super Stickersは本日、全種類が公開されたが実際にライブチャット中で利用できるようになるには数日かかる場合もあるという。プロセスは今週中に完了するとYouTubeは述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

英国でドローン登録の受付開始、フライヤーIDの取得も

英国のドローン登録の受付が始まった。登録締め切りは今月末だ。英国政府は2年前にドローン登録制度の導入を発表していた。この登録ルールは重量250g〜20kgのドローンやモデル航空機に適用される。

所有するドローンを自分で飛ばしたい所有者は、フライヤーIDを取得するために11月30日までに学科試験を受けて合格する必要もある。誰かが所有するドローンを飛ばしたい人もまた学科試験に合格してフライヤーIDを取得しなければならない。

昨年12月に英国で最も離発着の多い空港でドローンが目撃され、これにより何千人という旅行客が影響を受けた事件以来、英国の大臣は近年ドローン規制の導入が遅いとかなり批判されてきた。今年1月には、ヒースロー空港で未確認ドローンが目撃され、フライトの運航が一時取りやめられた。

ドローンによるガトウィック空港の閉鎖について、警察の調べでは少なくともドローン2機が関わっていたことがこの秋、明らかになった。9月に警察は、捜査対象から96人を除外し、いまだに容疑者を特定できていないと話した。

ガトウィック空港での混乱を受け、政府は空港周辺でのドローン飛行に関するそれまでの法律を厳しくし、禁止飛行区域を1kmから5kmに拡大した。しかし今年導入されるはずだったドローン法案はまだ施行されていない。ドローン所有者に11月30日まで民間航空当局のウェブサイトで機体登録を義務付ける法的措置の導入と同じく、新たなつなぎのルールではドローンを使用する組織にオペレーターIDの登録を求めている。こちらの費用は年間9ポンド(約1300円)だ。

すべてのドローンはまた、オペレーターIDの記載が求められる。この記載は機体のメインボディにはっきりと見えるものでなければならず、地上で読みやすいよう、3mm以上の黒の大文字で書く必要がある。

オペレーターIDを取得する登録者は18才以上が対象で、フライヤーIDを持つ個人のドローンだけを扱う責務がある。フライヤーIDを取得できる個人は13才以上が対象となる。そして、フライヤーIDを取得するオンラインテストは択一式の20問で、16問以上の正解で合格となる。テストを受けられる回数に制限はない。

民間航空当局は、テストに合格するために必要な情報はThe Drone and Model Aircraft Codeにあるとしている。テストを受けたりフライヤーIDを取得したりするのに費用はかからない。

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(翻訳:Mizoguchi)

UPSとCVS、ドローンで処方薬を米住居に初配送

UPSはドローン配送プログラムにてパートナーのCVS Pharmacyと協力し、新たに展開する商用ドローンによって顧客の自宅に処方薬を配送する。11月1日には、UPSはMatternet(マターネット)と提携して開発したドローンシステムのM2を利用し、2人の顧客に医薬品を配送した。

UPSは10月初めにFAAから商用ドローンの飛行許可を得ており、今後数カ月でドローン配送プログラムを複数回実施し、規模を拡大しつつ商業的にドローンを展開できるようにする計画だ。同社はまた、ドローンの自動配送に特化した部門となるUPS Flight Forwardをローンチした。

今回の初期配達では、ノースカロライナ州ケアリーにあるCVS施設にて、薬剤師が処方した医薬品がドローに満載された。UPSの従業員が荷物をドローンに積み込むと、ドローンは店舗から近くの顧客の家まで自律的に飛行し、約20フィート(約6.1m)の高さから荷物を落下した。UPSによると、顧客の1人はCVSの店舗に足を運んで処方箋を受け取るのが難しい状況にあるという。

UPSが医療業界にドローンを導入するのは、今回が初めてではない。同社はノースカロライナ州ローリーのMattternetやWakeMed Hospital(ウェイクメッド病院、ノースカロライナ・ローリーにある大病院)と協力して、B2B分野での医療サンプルの商業配送を行っている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

グーグルがセキュアチップのオープンソースプロジェクト 「OpenTitan」 を公開

Google(グーグル)は、安全なチップ設計の新オープンソースプロジェクト 「OpenTitan」 の開発と構築のため、複数のテクノロジー企業と提携した。この提携の目的は、データセンターやストレージ、およびコンピューター周辺機器に使用される、信頼性の高いチップ設計を構築することにあり、これらはオープンで透明性が高く、誰でもハードウェアのセキュリティの脆弱性やバックドアを検査できるようになっている。

現在ハイテク企業大手や政府は、敵対する国家が長期的な監視やスパイ活動を実施するために、サプライチェーンに侵入し工作しようとしていることに気づきだしている。

OpenTitanは、Google独自のカスタムチップ 「Titan」 に基づいて開発され、マルチファクター認証キーや独自ブランドのPixelスマートフォンに搭載されている。チップの成功にとって重要なのは、チップが改ざんされていないことを暗号で保証するRoot-of-Trust技術だ。Root-of-Trustは、チップ上で実行されるOSとアプリケーションに強固な安全性を提供する。

同社によると、OpenTitanはNPOのLowRiscが運営し、ETH ZurichやG+D Mobile Security、Nuvoton Technology、Western Digitalといったパートナーがプロジェクトをサポートするという。さらに、OpenTitanはプラットフォームに依存せず、ほぼすべてのデバイスやソフトウェアに対応できるそうだ。

セキュアなチップ設計に特化したプロジェクトは、これが初めてではない。Facebook(フェイスブック)、Intel(インテル)、グーグルが支援するOpen Compute Projectは、データセンター運用の効率化を目標とする取り組みの一環として、コア・インフラストラクチャ・サーバのオープンソースデザインとして創設された。

Apple(アップル)も独占的ではあるが、最新MacBookに搭載されている独自のセキュリティチップ 「Apple T2」 を所有しており、デバイスのセキュリティ機能を制御したり、ユーザーのパスワードや暗号化キーを保存したりするために使用されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter