質問ベースで弁護士とスタートアップをマッチングする「ATTIVITA」公開

弁護士を探すためのオンラインサービスといえば、今や老舗となった「弁護士ドットコム」や、トラブル種別に合った弁護士に相談できる「カケコム」など、既にいくつかのサービスが提供されている。そんな中、10月15日に正式リリースされた「ATTIVITA(アッティヴィタ)」は、企業、特に立ち上げから間もないスタートアップが弁護士を探すためのクローズドな会員制プラットフォームだ。

24時間後に一斉公開される回答から弁護士を選択できる

ATTIVITAでは、まず登録企業が匿名で弁護士への相談を投稿。質問から24時間後、それまでに寄せられた複数の弁護士からの回答が、こちらも匿名で表示されるようになる。企業側は回答を比較した上で、適切と思われる弁護士にリクエストを送信する。リクエストは複数の弁護士に送ることが可能だ。リクエストを送信した後は互いの実名が分かるようになり、最終的にはリアルに接点を持つことができる。

また登録済みの会員は、ほかの企業の相談履歴を匿名の状態で閲覧することが可能。相談内容は、業種や従業員数など細かく設定されたカテゴリごとに探せるので、アクティブに質問を投げかける前に自社の悩みと同様の相談がないか、どのように解決すれば良いのかを確認する「企業法務メディア」としても使える。さらに回答した弁護士には、ほかのユーザー企業もリクエストを送信して連絡を取ることが可能だ。

ユーザー企業側は、いずれの機能も無料で利用でき、登録料・手数料は不要。弁護士に直接個別で払う費用だけを負担すればよい。弁護士側は、プラットフォームへの掲載料金を月額制のサブスクリプション費用として支払う。

サービスを運営するATTIVITA代表取締役の鷲尾悠介氏は「相談する方は企業名を知られたくない場合も多く、匿名なら相談しやすい。また弁護士側も匿名であることから、(知名度などではなく)回答内容から適切な弁護士を選択することができる。会員制匿名サービスであることにより、長期的に見てコミュニケーションの質も上がると考えている」と話している。

またATTIVITAは個人向けの相談についてはバッサリと切り捨て、企業法務に特化したB2Bサービスとして展開している。鷲尾氏は「弁護士は基準を持って選んでいる。回答の質も、マッチング精度も上げるため、幅広い領域の中から専門性を持つ人が回答するようにしている」と説明する。

ユーザー企業は登録後、自分の質問以外では誰が回答しているかは特定できないが、弁護士の一覧は見ることができる。リリース時点での登録弁護士は50名以上。「下町ロケット」の神谷弁護士のモデルとして知られる鮫島正洋氏など、スタートアップ界では著名な弁護士も多いと鷲尾氏はいう。

もうひとつ、ATTIVITAの大きな特徴として鷲尾氏が挙げるのが「質問への回答が24時間後に一斉公開されること」だ。ATTIVITAでは24時間後に回答をオープンするため、ユーザー企業だけでなく、弁護士もほかの弁護士がどのような回答をしているかを見ることができない。このため「Yahoo!知恵袋」などのQ&A掲示板サービスでありがちな「誰かが答えたのでもう回答しなくていいや」ということになりにくい。

利用企業の質問をきっかけとしたQ&Aベースでサービスが成り立つことから、「他のサービスより弁護士が意欲的・能動的に回答してくれることが期待できる」と鷲尾氏はいう。

「Q&Aの一斉公開は、回答の速さよりクオリティを重視したもの。優秀な弁護士ほど暇ではないので、回答時間を確保する仕組みとして採用した。ユーザーに比較されるとなれば、弁護士もがんばって良い回答をしようとするはず。とはいえ、期間が長すぎて1週間もかかるとなっても利用者が待てないので、24時間に設定している」(鷲尾氏)

「スタートアップが本業に集中できる環境を提供したい」

鷲尾氏は、前職では弁護士ドットコムで3年1カ月、営業に携わっていた人物。1260人の弁護士と対面で会ってきたという。その中で「弁護士ドットコムは誰もが弁護士を検索できるサービスで、個人間の問題を解決する街の弁護士にとってはよいが、企業法務とはミスマッチがある」と感じていたそうだ。

「個人事業主としての弁護士には、企業の力になりたいという人も多い。また、マッチングサービスではスタートアップ、ベンチャー企業をサポートしたものがない。スタートアップでは、本業に集中するあまり、リーガル対応の優先度が下がりがちだ。例えば契約書のサンプルが載っているサイトからダウンロードして、そのまま使うといったことがよくあるが、これで問題が起きれば結果として本業に影響が出てしまう」(鷲尾氏)

ATTIVITA代表取締役 鷲尾悠介氏

鷲尾氏は「法律は国のルールだ。資金などの面でVCやメンターに相談する起業家は多いのに、法務面では弁護士に相談できていないのはなぜか」と考え、企業が弁護士に相談しやすいプラットフォームづくりを目指して、2018年7月にATTIVITAを創業した。

今後の目標について尋ねると、鷲尾氏は「スタート時点で弁護士登録数50名のところを、半年で100名にしたい。また企業登録数では1年後に1000社を目指す」と答えた。

「スタートアップに『弁護士に会えて良かった』という成功体験を提供し、本業に集中できる世界を実現したい。1年後までには、さまざまな質問と回答を蓄積し、企業法務に関する知見が詰まった法律メディアの立ち上げも計画したい」(鷲尾氏)

ATTIVITAはイタリア語で「活発(Activity)」を意味するという。鷲尾氏は「中長期的には、公認会計士など企業を活性化する専門家と企業とを結び付け、企業が本業に集中できる環境を弁護士以外の領域でも用意したい」と語っている。「より専門家と企業の生産性を上げ、企業に貢献したい。『プロフェッショナルに眠っている潜在的価値を解き放ち、日本から全世界を活性化させる』という当社のミッションに一歩でも近づけるよう、努力していく」(鷲尾氏)

Galaxy Fold向けのコンシェルジュサービスが米国でスタート

Samsung(サムスン)のGalaxy Foldの発売とともに、Premiere Serviceが発表された。端末の強化と多くの警告ラベルに加えて、問題があった場合に備えて24時間のケアサービスが発表された。

私がテストした限りでは、オリジナルのGalaxy Foldにはなんの問題もなかったが、正式発売された端末ではたった1日で問題が発生した。サムスンはユーザーに慎重に端末を使わせようとしており、また私のケースと同様の問題は特に広まっていないように思える点は、同社にとっていいニュースだ。とはいえ、2000ドル(約22万円、あるいはそれ以上)もする大規模なベータテスト中のスマートフォンには、この手のサービスが必要だと感じられる。

そしてGalaxy Foldが米国で発売されてから2週間後、Premier Serviceが開始された。Sammobileによると、新しいソフトウェアアップデートによりFold Concierge(フォールド・コンシェルジュ)が追加され、電話やビデオチャットによるサポートが利用できる。それだけでなく、149ドル(約1万6000円)のディスプレイ同日交換サービスまで、サービスは多岐にわたる。これは多くの場所で、持ち込みでの交換が可能だ。

これは大手家電メーカーにとって、かなりユニークなオファーだ。個人的には、標準的なフラッグシップスマートフォンの2倍の価格がする、第1世代のデバイスの購入はお勧めできない。しかしもしその気があれば、サムスンはホットラインを提供する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ロスアラモス研究所からのスピンオフ、AIベースの地理空間画像分析のデカルトラボが約22億円を調達

衛星画像には産業、科学、人道上の問題解決に役立つ情報が豊富に含まれている。ただ従来の大きな課題は多様なデータを特定の用途に活用する効果的な方法がなかったことだ。

良質な分析を求める声は常にあった。その声に応える分析技術を開発するスタートアップが事業拡大に向けた資金調達ラウンドを発表した。米国ニューメキシコ州サンタフェを拠点とする地理空間画像分析のスタートアップであるDescartes Labs(デカルトラボ)は10月11日、2000万ドル(約22億円)の資金調達完了を発表した。CEO兼創業者のMark Johnson(マーク・ジョンソン)氏は筆者に、今回のラウンドは次の大規模ラウンドまでのつなぎ資金を得ることが目的だと語った。

資金調達はUnion Grove Venture Partners(UGVP)がリードし、Ajax Strategies、Crosslink Capital、March Capital Partners(前ラウンドをリード)も参加した。Descartes Labsの資金調達総額は6000万ドル(約65億円)となった。ジョンソン氏はバリュエーションを公表しないと述べているが、PitchBookによるとポストマネーで2億2000万ドル(約240億円)、プレマネーで2億ドル(約220億円)とのことだ。

比較の対象としては、同じく地理空間情報分析のスタートアップであるOrbital Insightが4億3000万ドル(約470億円)のバリュエーションで資金調達中との情報がある。この情報は今年1月のもので、資金調達が完了したかどうか、TechCrunchは同社に問い合わせている。

退職者に人気があり観光が最大の産業であるサンタフェでハイテクスタートアップを見つけることはまずない。Descartes Labsがサンタフェにあるのは、その近くに拠点を置くロスアラモス国立研究所から同社がスピンオフしたためだ。

サンタフェに本社を置くのは創業後半年程度だろうと思っていた、とジョンソン氏は言う。同氏は以前サンフランシスコに住んでいて、Descartes Labsの立ち上げ支援のためにサンタフェに来た。彼は以前メディア用アプリのZiteの開発に関わった経験があるため、ロスアラモスの科学者たちはDescartes Labsが検索エンジンの会社だと思ったようだ。

従業員がより多様な場所から働く傾向があること(及びそれを可能にするクラウドコンピューティング)、多くのエンジニアが物価の高いサンフランシスコに代わる場所で仕事を探していること、シリコンバレーで人材獲得競争が熾烈になっていることが、Descartes Labsの本社をサンタフェに置く要因となった。

独創的な哲学者かつ数学者であったルネ・デカルトにちなんで名付けられたDescartes Labsは、自身を「データ精製所」と形容する。意味するところは次のような内容だ。まず地球に関する大量の画像と非構造化データを取り込む。データソースは主に衛星だがセンサー類もある(ジョンソン氏によれば、データソースには一般に利用が公開されている衛星からのデータ、NASAおよび欧州宇宙機関からのデータ、企業からのデータがあるという)。次に、コンピュータービジョン分析や機械学習などのAIベースの手法を適用して、粒度の低い画像を意味のある情報に変換する。最後に情報の精度を高めて、地球で何が起こっているのか、今後はどうなりそうなのかについて洞察を得る。

地球の表面だけでなく上空で起こっていることも捉える。Descartes Labsは、油田のメタンガスレベル、山火事の広がり、特定の地域で作物がどのように成長するか、また、そうしたものに気象が与える影響などを情報として抽出するプロジェクトに取り組んでいる。

Descartes Labsの顧客は政府(上記のメタンガスの調査をニューメキシコ州の温室効果ガス排出削減の取り組みの一環として委託した)、エネルギー大手企業、アグリビジネス、トレーダーなど多様だ。

「オンラインで利用可能になる全てのデータを顧客が活用できるようにしたい」とジョンソン氏は言う。例えば、銀行が商品作物の取引価格や、もっと踏み込んで作物の土壌組成の変化が価格にどう影響するか予測できるようになる。

Descartes Labsの研究がエネルギー産業と結びついたことが、「データ精製」という言葉に深みを与えている(石油やガスの精製を連想させる)。ただデータが倫理的に正しい目的のためにのみ使用されるのか疑問に思っている人もいるかもしれない。ジョンソン氏は、同社が潜在顧客を事前に調査し、提供するデータが前向きな目的のためかどうかを判断すると説明した。

ジョンソン氏は「顧客の効率性追求を支援できると思う。地球のデータを見る人は、地球のことを気にかけているし、持続可能性を高めるよう努力している」と述べた。

またジョンソン氏は筆者の質問に対して、これまでDescartes Labsが特定の国や顧客との仕事を禁止されたことはなかったが、データが現代の油田であり力の源泉となりえる以上、将来は問題になる可能性があると答えた。例えば、Orbital InsightはCIAのベンチャー部門であるIn-Q-Telの支援を受けている。

将来に向けて、Descartes Labsは地球のデジタルツイン(物理的な空間の情報をコンピューター上で再現したもの)を構築している。画像をうまくモデル化し、さまざまな地域からのデータをきれいにつなげるためだ(結局、世界のある地域での気候変動は必然的に別の地域に影響を与えるものだ)。デジタルツインは、企業がAIによる精度の高い将来予測を行う際に適用する一般的な概念だ。例えば、Forward Networksが企業のネットワークのモデルを構築してアプリの動作や停止の背後にある理由を特定するときに採用するアプローチだ。

Descartes Labsは資金調達ラウンドの発表のほかに、Phil Fraher(フィル・フレイハー)氏を新しいCFOに指名し、エネルギーイノベーションディレクターのVeery Maxwell(ベリー・マックスウェル)氏と、UGVPを共同設立したPatrick Cairns(パトリック・ケアンズ)氏を取締役会に迎えると発表した。

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(翻訳:Mizoguchi)

トヨタのコンセプトカーLQは車載AIによって人間と友達になる


トヨタは、人を引きつけるような未来の車を開発するためのカギは、車と運転者の間に真の関係を築くことだという予想に対する自信をますます深めている。この「運転者」の部分は、自動運転モードを使う場合には「乗客」と読み替える必要がある。トヨタの新しいLQコンセプトは、2017年にCESで発表されたConcept-iをさらに進化させた車で、「Yui」という仮想車載アシスタントも搭載している。

LQは、Concept-iと共通するデザインの系統とテーマを継承している。その研究開発を担当するTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)と連携することで、LQはさらに高度な自動運転機能を獲得した。また、アップデートされたYuiは、運転者に対してより緊密に応答し、運転者の習性や好みを学習して適応する。

Yuiは、音声インターフェイスはもちろん、照明、空調、さらには香りを発散させて運転者と対話し、運転者の気分を整え、車と人間の絆を強くする。また、LQに搭載された自動運転機能から、運転者が操作を引き継がなければならないような場合には、運転者に注意力を維持するよう促すこともできる。

自動運転の能力についてLQは、SAEレベル4の自動運転機能を発揮できるように設計されている。つまり、運転席に座った人が、まったく何もしなくても完全に自動運転できるだけの能力を備えているのだ。パナソニックと共同開発した「Automated Valet」(自動従者)技術も自慢の種だ。これは、駐車場と駐車場、あるいは送迎場所の間を自動的に運行するもの。トヨタによれば、アクセシビリティに関する援助が必要な運転者を手助けすることができるという。

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トヨタとしては、そうすることが理にかなう場合には、運転者がシートに座っている必要があると認識している。そこでLQには、新たに設計されたシートシステムを採用している。座席の中に埋め込まれた空気袋を膨らませて、運転者が正面を向くよう姿勢を正すことができる。また、特に注意力を必要とする局面では、運転者に冷たい空気を吹きかけたりもする。普段は、空気袋はゆっくりとした呼吸リズムを模倣し、穏やかに膨らんだり縮んだりして、運転者にもリラックスした呼吸パターンを促す。

また、色分けされた内装の照明によって、Yuiは運転者や乗客に何かを伝えることができる。たとえば、床に埋め込まれた照明の色を変えることで、車に内蔵されたAIアシスタントが、誰に対応しているのかを指し示す。さらに外部にも、プログラム可能なパターンのプロジェクターを組み込んだヘッドライトなどがあり、車の外にいる人にも視覚的に「語りかける」ことが可能となっている。LQのダッシュボードに内蔵されたディスプレイは、すべてOLEDなので、視認性は高く、消費電力は少ない。また排気ガスの浄化システムも備え、この車の室内の空気の清浄度を新たなレベルにまで高めることに貢献している。

もちろんこれはコンセプトカーなので、こうした技術の多くはこの段階ではまだ理論と現実が混在している。しかしトヨタは、未来の車を機能的なだけでなく親しみやすいものにするというビジョンに熱中しているように見える。私もそれには大いに興味がある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleの新スマホPixel 4がBest Buyの予約ページに一時出現

Pixel 4は米国時間10月15日のイベントで発表される。そして、公式情報と非公式なリークのおかげで、さらに多くの詳細が知られている(昨日までの噂まとめはこちら)。そのうちどれが意図したものなのかはわからないが、Google(グーグル)は大げさな宣伝については気にしていないようだ。

そして現地時間10月14日、カナダのBest Buy(ベストバイ)から、発売日の3日前にして大きなリーク情報が登場した。Pixel 4の予約ページが掲載されたのだ。ページは削除されたが、9to5Googleがいくつかのスクリーンショットの撮影に成功している。

予約ページの内容は、噂どおりだ。標準モデルとXLモデルが存在し、それぞれの画面サイズは5.7インチと6.3インチだ。どちらのモデルもSnapdradon 855と6GBメモリー、64GBストレージを搭載し、新しいFace Unlock(顔認証)機能を採用している。またどちらにも、iPhone 11風の1200万画素と1600万画素のデュアルカメラが搭載されている。

前面には800万画素カメラが搭載され、Pixel 4とPixel 4 XLにはそれぞれ2800mAhと3700mAhのバッテリーが採用されている。その他にも、以前にも似たものは存在したが、手の動きを利用してデバイスを操作する「Quick Gestures」(クイックジェスチャー)が追加されることが期待されている。

一方で、予想されている「Oh So Orange(オー・ソー・オレンジ)」のカラーバリエーションは確認できなかった。これは予約注文に限ったものなのか、あるいはBest Buy CanadianではJust Black(ジジャスト・ブラック)かClearly White(クリアリー・ホワイト)を選択しなければならないのかもしれない。おそらく、Googleは現地時間10月15日のイベントのためにいくつかのサプライズを用意しているのだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

AIで消防士の安全を守るスタートアップ「Prometeo」がIBMのCall for Codeチャレンジで優勝

ニューヨークの国連内にあるカフェ、Delegates Dining Roomで行われたイベントで、IBMは毎年恒例の「Call for Code Global Challeng」の優勝者を発表した。世界的問題のコンピューターによる解決を目的としたコンテストで、救急の初期対応から医療情報まで5組が表彰された。

Prometeoは、ワトソンを使った消防士のためのAIソリューションで最優秀賞を獲得した。33歳の熟練消防士率いるチームは、作業中の医療と安全に関する情報を、長期および短期にモニターするツールを開発した。スペイン拠点のスタートアップが開発したスマートフォンサイズのデバイスは、利用者の手首につけて温度、煙、湿度などを測定する。

「カラーシグナルがグリーンなら消防士の健康状態はOK」と共同創業者のSalomé Valero(サロメ・バレロ)氏がIBMのサイトで説明した。「カラーシグナルがイエローやレッドになったら、指令センターが行動を起こす必要がある。救助あるいは消防士を現場から退避させるための緊急行動を起こさなくてはならない」

チームはこのデバイスをスペインでテスト展開する準備を進めているが、プロジェクトの資金源も探している。IBMからの賞金20万ドル(2160万円)がいくらか助けになるはずだ。

第2位は、インド/中国/米国拠点のSparrowで、自然災害時の身体的・心理的な健康状態を扱うプラットフォームを開発した。U.C.L.A(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のチームは似たコンセプトのRoveで、第3位に入った。

Call for Codeは5年間のプログラムで、世界で起きている社会問題に取り組むチームたちに総額3000万ドル(32億円)を授与することを目的としている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IACがMatch Groupのスピンオフの概要を発表

デジタルメディア持ち株会社IACは、Tinderなどのサービスを提供しているMatch Group(マッチグループ)をスピンオフする提案でプロセスの概要を説明し、次の一歩を踏み出した。

Match Groupは、Match、Tinder、PlentOfFish、OkCupid、Hingeを所有する上場企業だが、IACが株式の過半数を所有している。スピンオフにより、IACはMatch Groupの株式をIACの株主に分配し「2つの独立した公開会社が生まれる」と説明する。

IACのCEOであるJoey Levin(ジョーイ・レビン)氏は声明で「IACは今10月11日、IACからMatch Groupを分離する最初の重要なステップについて提案を行った。IACは、Match Group特別委員会に諮った提案が、Match Groupが独立した企業として成功する旅に出るための強力な基盤となると確信している」と述べた。

IACによれば、取締役会、前述の特別委員会、株主による承認が必要となるこの提案では、Match Groupのデュアルクラスの株式構造は排除され、シングルクラスの株式が用意される。

同社は8月、Match GroupANGI Homeservicesの両方のスピンオフを検討していると明らかにしていた。

レビン氏は10月11日の声明で「ANGI Homeservicesの株式の評価に絡むため、Match Groupの取引が完了するまでANGI Homeservicesスピンオフの問題に注力するつもりはない」と述べた。

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

量子機械学習のRahkoがシードラウンドで約1億8000万円調達

量子コンピューターの開発競争における問題のひとつは、実験でエラーが非常に発生しやすいことだ。英国のスタートアップであるRahko(ラーコ)は「量子機械学習」でこの問題に対処できると考えている。

Balderton Capitalがリードしたシードラウンドで130万ポンド(約1億8000万円)を調達した。通常はシリーズAで調達可能な金額でありシードラウンドとしては珍しい。ラウンドに参加したのは、マイクロソフトの企業戦略責任者を務めたことがあり、現在AI Seedを率いるエンジェル投資家でもあるCharles Songhurst(チャールズ・ソンハースト)氏、TGM Venturesの創業者であるTom McInerney(トム・マキナニー)氏、Capital EnterpriseのCEOであるJohn Spindler(ジョン・スピンドラー)氏、LabGeniusのCEOであるJames Field(ジェームズ・フィールド)氏だ。

Rahkoは化学シミュレーション用の「量子発見」機能を開発しているという。バッテリー、化学物質、先進材料、医薬品の分野で画期的な進歩が可能になる。共同創業者は、Leonard Wossnig(レナード・ウォスニグ)氏、Edward Grant(エドワード・グラント)氏、Miriam Cha(ミリアム・チャ)氏、Ian Horobin(イアン・ホロビン)氏の4人。

ウォスニグ氏とグラント氏は、かつてユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の博士課程で量子機械学習(QML)の研究に取り組んでいて長い間協力関係にあった。数年前から主任開発者のShuxiang Cao(シュシャン・カオ)氏、Hongxiang Chen(ホンシャン・チェン)氏とともに、すべての研究をQMLプラットフォームに統合した。

QMLプラットフォームがテクノロジーの巨人たちから熱い視線を集め、序曲が流れ始めた、と彼らは言う。ウォスニグ氏とグラント氏は、自分たちの仕事はすべて自分たちでコントロールすると決め、ビジネスを立ち上げて商業ベースに乗せることにした。

化学シミュレーションは化学の研究で重要な役割を果たしているが、古典コンピューターの計算能力には限界があり、近年著しく進歩しているとは言えない。同社の豊富な「武器」を使えば量子コンピューターをもっと身近に、商業的にも使えるものにできるという。古典コンピューターと併用するハイブリッドアプローチがその動きを加速するというのが同社の見解だ。

CEOのウォスニグ氏は次のように説明する。「量子コンピューターは謎めいていて、世界を救うのかぶち壊すものなのかわからないという人がほとんどだ。実際のところ、量子コンピューティングは袋小路に入ってしまったような研究開発に飛躍的な進歩をもたらすはずだ。ほんの数年前には解決できなかった問題にチームで毎日取り組めることに興奮している」。ウォスニグ氏は今年初め、名誉ある2019年のGoogle Fellowshipに選ばれた。コンピューターサイエンスの分野で量子コンピューティングの功績が認められての選出だ。

Balderton CapitalのジェネラルパートナーであるLars Fjeldsoe-Nielsen(ラース・フェルドソー・ニールセン)氏は次のように述べた。「Rahkoは科学とコンピューティングの最先端で複雑な問題に取り組んでいる世界のトップチームの1つだ。量子の振る舞いに見出したことはすでに広い分野で応用されており、世界の成り立ちに関する基本的な理解に影響を与えた。過去数年にわたるこの分野の変化のペースは驚くべきものであり、この優秀なチームが可能性の限界を広げ続けることをサポートできて非常に幸運だと感じている」。

RahkoはUCLのコンピューターサイエンスプログラムから生まれたスタートアップの1つ。同プログラムはディープテック(最先端の研究成果)を扱うスタートアップのベンチャービルダーであるConception Xが支援する。Rahkoは世界最大の量子ハードウェアメーカー数社、大手学術チーム、国立研究所と連携しながら活動している。

ウォスニグ氏は次のように付け加えた。「量子コンピューティングを実現するソフトウェアは比較的新しいフィールドだ。非常に早く成長しているが、現段階ではまだ狭い業界であるため、業界内の最高のチームはすべて知っており、彼らの多くと協力している。たとえば、IBMとMicrosoft(マイクロソフト)にある大規模なソフトウェアチームは両方我々のパートナーだ」。

業界全体が量子コンピューティングを実現するハードウェアに依存している。ハードウェアが進化しないと、商業的に価値のある強力なアプリケーションが生まれない。3〜5年後には可能になるとみられている。それまでは、誰がレースをリードしていると明言するのは時期尚早だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

ソフトバンクがWeWorkの経営権取得へ

日本の巨大ITコングロマリットで投資企業のソフトバンクグループは、コワーキングオフィスを手掛ける不動産会社であるWeWorkの親会社The We Company(We Co.)の差し迫った崩壊を救うべく準備をはじめた。 The Wall Street Journalが報じた

予定していたIPOが中止となったThe We Companyは財政危機に直面している。同社は上場直後に、数十億ドルの資金を負債調達して運用資金に充てる計画だった。

上場の中止は、The We Companyの共同創業者であるAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏のトップとしての立場と、およそ10年前に共同設立したコワーキング・レンタル事業を脅威にさらしている。ソフトバンクグループが計画している新たな財政再建計画は、ニューマン氏を会社の経営・運用からさらに遠ざけるものになるだろうとWSJは報じている。

ソフトバンクグループの提案はThe We Companyにとって唯一の命綱ではない。WSJによると、JPMorgan Chase & Co.の指揮のもとで数十億ドルの負債金融による資金調達が計画されている。

「WeWorkは、ウォール街の大手金融機関による資金手当の道を確保した」とThe We Companyの広報担当者がメールに書いた。「およそ60社の資金提供者が守秘契約に署名し、当社経営陣および銀行と先週から今週にかけて交渉を進めている」

ソフトバンクグループは同社の3分の1をすでに保有しており、今回の提案は株式および負債あわせて数十億ドル規模になる見込みだ。

The We Companyの苦戦は、Uber、Slackといった上場企業への投資の不調と相まって、野心的ビジョンファンドの第2弾を控えたソフトバンクに打撃を与えた。2017年に設立された同ファンドは、意欲的なスタートアップ企業に投資することを目的とした1000億ドル(約10.8兆円)の投資ファンドだ。

しかし、ファンドの経過は芳しくない。そして足を引っ張っているのはSlackやUberなどの上場企業だけではない。消費者向けビジネスの Brandlessや、ロボティクス・ピザ配達のスタートアップのZumeも、ソフトバンクによる数億ドル単位の支援にもかかわらず、目標を達成していない。

ソフトバンクグループは、TechCrunchのコメント要求の問い合わせに返信していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

暗号通貨に暗雲、SECがTelegramの17億ドルトークン売り出しを禁止

暗号通貨(仮想通貨)の暗いニュースが止まらない。米国証券取引委員会は緊急措置を申請し、Telegram(テレグラム)がブロックチェーンで17億ドル(約1842億円)ぶんのトークンを売り出す計画に対する禁止命令が発行された。

今回のSECの行動に先立ち、Facebookが計画する暗号通貨であるLibraを支援する企業提携から脱退が相次いでいた。

関連記事:FacebookのLibra AssociationからMastercardとVisa、eBay、Stripeが脱退

Telegramの野心的な創業者であるPavel Durov(パベル・デュロフ)氏は、Telegram Open NetworkをLibra同様世界の規制制度を離れた決済方法のひとつとして提供しようと考えていたとTechCrunchが初期に報じた

Telegramのトークン売出しは2018年1月以来準備が進められていたが、昨年半ばに問題が発生し、新しいプロトコルの将来はすでに危険にさらされていた。

SECの訴状によると、Telegram Groupと子会社のTON Issuerは、2018年1月に資金調達を開始し、ブロックチェーンのTONとMessengerの開発を始めとする同社のビジネスを支えようとした。

被告であるTelegramは、29億ドル(約3143億円)ぶんのトークンを初期投資家171人に割引価格で販売し、うち10億ドル以上を39人の米国バイヤーに売った。

Telegramは、2019年10月31日までにトークンを提供し、購入者はそれを市場で販売できるようになると言っていた。しかしSECの訴状によると、Telegramはトークンの提供と販売の登録を怠っていた。SECは同社のトークンを証券と考えている。

「本日の緊急措置は、われわれが違法に販売されたと考えるデジタル通貨を、Telegramが市場にあふれさせるのを防ぐことが目的だ」とSECの管理部門ディレクターであるStephanie Avakian(ステファニー・アヴァキアン)氏が声明で語った。「被告はGramsとTelegramの事業運営、財務状況、リスク因子、および証券法が定める管理方法などを投資家に提供していなかったことを、我々は断言する」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apesterがオンラインパブリッシャー向けにStory Stripを発表

デジタルパブリッシャーがコンテンツにインタラクティブな機能を追加するのを支援するApester(エイプスター)がStory Strip(ストーリーストリップ)という新しいフォーマットを展開している。

CEO兼共同創業者のMoti Cohen(モティ・コーエン)氏によると、Story StripはSnapchatとInstagramで普及したストーリーのフォーマットをモデルにしたという。コーエン氏はストーリーについて「モバイルエクスペリエンスにぴったりの」数少ないコンテンツタイプだと強調した。読者向けに高速でインタラクティブな体験を提供できるからだ。

SNSの世界からフォーマットを持ち出し、パブリッシャーが記事にストーリーストリップを埋め込むことができるようにし「Apester はメディア企業が新しい視聴者や若い視聴者を獲得する方法を開拓する」とコーエン氏は述べた。

ストーリーストリップは、NTVB MediaのポップカルチャーとエンターテイメントのウェブサイトであるTV Insiderで見ることができる。ストーリーストリップによって一つひとつの記事がストーリーにまとめられて回転表示される。読者が興味のあるストーリーを選択すると、ハイライトが要約されたスライド数枚をスワイプして読めるようになっている。

コーエン氏によると、ストーリーストリップはパブリッシャーの編集チームが作成することも、Apesterが記事に基づいて自動的に生成することもできる。 広告を含めることもできるため、サイト運営者にとって新たな収益化の機会が生まれる。実際、Apesterを利用して以来、TV Insiderの1日の売り上げは2倍になったという。

パブリッシャーが有料課金などの広告以外のビジネスモデルを検討する際に、どんなコンテンツウィジェットを選べばいいのか。コーエン氏は、ビジネスモデルが変化しても「ブレンドが重要になる」と言う。

パブリッシャーがユーザーと関わり、その行動に関するデータを収集できるようにすることで「Apesterによって、すべての視聴者をそれぞれにあった方法でマネタイズの対象にできる。ユーザーとの関係を利用するだけでなく、その内容を理解して正しいアクションにつなげることができる」。

画像クレジット:Apester

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(翻訳:Mizoguchi)

Waymoとルノーがパリで2024オリンピックに向けて自動運転交通ルートを探究

自動運転者を開発しているWaymo(ウェイモ)とフランス大手の自動車メーカーであるルノーが共同で、シャルルドゴール空港とパリに隣接する高層ビルの多い巨大業務地区ラデファンスを結ぶ、自動運転車による交通機関を作ろうとしている。ラデファンスには、大きなショッピングセンターもある。これはルノーと日産がこの前Waymoと交わした契約の一環であり、それにより3社は、日本とフランスにおける自動運転車による交通サービスの可能性を探ろうとしている。

とくにこのルートは、2024年夏にパリで開催されるオリンピックに備える準備的プロジェクトとして研究されている。目標は、パリのあるイルドフランス地域の住民に交通の便を提供し、さらに観光客や外国からの訪問者には交通手段の選択肢を増やすことだ。地元は、さまざまなプロジェクトから成る自動運転インフラストラクチャの開発に1億ユーロ(約120億円)を投ずる。

Waymoの自動車事業のチーフでパートナーシップ担当のAdam Frost(アダム・フロスト)氏は声明で「誰もが認めるとおり、フランスは世界のモビリティのリーダーだ。そして弊社はイルドフランス地域圏およびパートナーのルノーグループと協働して、Waymo Driver事業をパリシャルルドゴール空港とパリのラデファンスを結ぶルートに展開することを探究したい」とコメントしている。

特定のニーズを満たすルートを、しかもオリンピックのようなビッグイベントにタイミングを合わせて事業化することは、Waymoをはじめ自動運転サービスの展開にフォーカスしている人びとにとって、パイロット事業の好機だ。なぜならそれは、需要と規制免除とモチベーションと自治体やパートナーからのサポートの完全なブレンドだから。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple Watch Series 5の常時表示ディスプレイは改善の余地あり

Apple Watch Series 5のレビューは難しくない。昨年のSeries 4とそれほど大きく変わるところもない。大型ディスプレイ、触覚的に強化されたデジタルクラウン、転倒検出など前任機が獲得した利点を、そのまま受け継いでいる。その上、際立った特徴として、常時表示ディスプレイがある。毎年のように、独創性に富んだものを提供してくるApple Watchは素晴らしい偉業と言えるだろう。

アクセシビリティの観点からすると、すでにSeries 4で優れていたと思われる点は、すべてこのSeries 5にも受け継がれている。これは、これまでで最高のApple Watchであり、市販されているものの中では、アクセシビリティの点でもっとも優れたスマートウォッチだと言い切れる。それでも、いくつか気になることもある。

常時表示

私がレビューしたのは、Apple(アップル)から送られてきた44mmスペースグレーのアルミニウムケースのモデルだ。このSeries 5を長く使えば使うほど、常時表示ディスプレイについて複雑な気持ちにならざるを得ない。

時計として全体的に見た場合、この新しいディスプレイの意義は、何のためらいもなく認めることができる。その一方で、実際に使ってみるとこの常時表示ディスプレイには期待を裏切られることがあるのも事実だ。決して常時表示が悪いというわけではない。現状の実装では、視覚障がいのある私のニーズにマッチしない部分があるということ。

問題は明るさだ。現状の常時表示ディスプレイは、そのまま手首に視線を移して時刻を確認するには私にとって十分な明るさがない。私の場合、きちんと見えるようにするにはどんなデバイスでも常に最大の明るさに設定する必要があるので、その点は問題となる。他のレビューワーは「Watchを何気なく見下ろして時刻を見られるのは、機械式時計と同じ感覚で素晴らしい」というようなこと書いている。当然ながらそうした人たちは、私よりはるかに優れた視力を持っているのだろう。私は、文字どおりにそうすることができないのだ。そのため、これまでのApple Watchと同様に、手首を軽くひねるようにして時刻を確かめている。そうすることで、私の設定ではApple Watchの画面の明るさが最大となり、ようやく何時なのかわかるというわけだ。

これに関しては、ウォッチフェイスがアナログでもデジタルでも、まったく関係ない。例外は、Numerals Duoフェイスの「塗りつぶされた」スタイルを使う場合だけ。数字が非常に大きいので、何の問題もなく時刻が読み取れる。このフェイスは、コンプリケーションはサポートしていないものの、私の悩みの解決策にはなる。常時表示の状態で、画面の明るさが足りないことに対する回避策としては、十分機能するからだ。

私も、watchOSがディスプレイを暗く保つ技術的な理由は理解しているつもりだ。それでも「常にオン」モードでの輝度を調整する方法がないのは残念だ。アップルもそのような機能を将来追加するかもしれない。アクセシビリティの設定として意義があるはずだ。現状では、常時表示ディスプレイが一般的にいかに良いものであろうと私にとってはあまり意味がない。というわけで、私にとってはSeries 4でもSeries 5でも実質的にあまり違いがない。それは、Series 5としての魅力が失われてしまうことを意味する。Series 5を選ぶ最大の理由は、常時表示ディスプレイにある。オフに設定することもできるが、それではSeries 5の意味がなくなってしまう。

もし将来、常時表示ディスプレイが改善されれば、その時は、逆に私にとって大きなメリットをもたらす。頻繁に腕を持ち上げる必要がなくなるからだ。私はWatchを、右手首に装着している。これは、脳性まひのせいで体の右側が部分的にまひしているためだ。そのため、時刻を確かめたり、通知をチェックするために手首を上げるのは苦痛だし、それだけで疲れてしまうこともある。常時表示の状態で見えるようになれば、それもだいぶ改善されるだろう。ずっと明るく表示し続けるようになれば、Watchを見るために手首をねじる必要もなくなる。私だけでなく、同じような悩みを持つ人の苦痛や疲労を、和らげてくれるはずだ。

パッケージングには問題アリ

オリジナルのApple WatchであるSeries 1からSeries 3までは、Appleは「オールインワン」の製品としてWatchをパッケージングしていた。言い換えれば、バンドはWatch本体に固定されていた。そのままつかんで、すぐに使うことができた。Watchを箱から取り出すだけで、自分に似合うかどうか、iPhoneとペアリングする前から確かめることができたのだ。

昨年のSeries 4から、AppleはApple Watchのパッケージングを変更した。バンドとWatch本体は、別々に箱に収まっている。腕に巻く前に、まずバンドをWatch本体に取り付ける必要がある。私の以前のレビューでは、この変更は「退化」だと評価した。もちろん、なぜそうなっているのか、営業的な理由は理解している。このSeries 4のパッケージング方法は、Series 5でも継続されている。まったく残念だ。

このような構成についての問題は、昨年のレビューで私が書いた通りだ。つまり、Watchとバンドがバラバラになっていることでフラストレーションを感じる人もいるということ。認知的負荷と細かな運動能力の両面で、困難を感じる場合がある。私も、製品レビューワーとしての経験は長いが、それでもレビュー用の製品を組み立てているとき、イライラする気持ちを抑えきれないほどだった。

常時表示ディスプレイの明るさを暗く設定している理由と同じように、Apple Watchのパッケージがこうなっている理由も完全に理解している。新設されたApple Watch Studioを利用して、ケースの素材や、さまざまなバンドを自由に組み合わせることができるのを考えれば、それも当然だろう。これは、アクセシビリティと、その支援技術に関するレポートが、いかに重要かを示す端的な例だ。製品のパッケージがどうなっているかといったことを事細かに報告することは、障がいのある人にとって非常に重大なことなのだ。アップルの製品が、これだけ崇められている理由の1つは、そのパッケージの洗練されたシンプルさにある。製品を箱から取り出すことは、新しいApple Watch、iPhone、あるいはiMacを使い始める際の、最高の体験であるべきもの。特に障がい者にとってはそうなのだ。もしそれが、まるでジグゾーパズルのように、あれこれいじらなければならないものだと、その悪い印象はずっと後まで残ってしまう。私はなんとかすることができたが、できない人も多い。これは心に留めておくべき重要なことだ。すべては可能な限りアクセシブルでなければならない。

結論

Apple Watch Series 5が素晴らしい製品であることは間違いない。最もアクセシビリティに優れた、最高のApple Watchという称号を与えることができる。ただし、注釈が必要だ。私は、Series 5にアップグレードしたいという強い願望は持っていない。それでも正直に言うと、先月のイベント以来、チタニウムの誘惑はずっと頭の中に渦巻いている。常時表示ディスプレイに関して指摘した問題は、ソフトウェアのアップデートだけで簡単に解決できるはずのもの。もしアップルが明日にでも、明るさを調整するスライダーを追加したら、私は即座に1台発注するつもりだ。しかし今のところ、常時表示は常に明るいわけではない。これは最悪。

ともあれ、Apple Watch Series 5は、だれにでも勧められる製品だと心底思っている。私の弱い視力のせいで、そのままでは常時表示ディスプレイを見るのは難しい。そういう人は私だけではないはずだ。しかし、それによって、これが最高の、最もアクセシビリティに優れたスマートウォッチであるという事実は揺らがない。しかも他に大差をつけている。常時表示ディスプレイも、時間が経てば、世代を重ねて洗練されたものになるに違いない。それまでは、Series 4とwatchOS 6が、私にとってかなりイケてる組み合わせなのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

支払い残高が月割り定額で返済時1%キャッシュバックがあるUpgrade Cardとは?

ピアツーピア型の融資会社であるLendingClub(レンディングクラブ)を立ち上げたRenaud Laplancheルノー・ラプランシュ)氏は、3年前に2番目の事業を明らかにした。消費者金融のスタートアップのUpgrade(アップグレード)だ。現在、従業員数は350名。およそ20億ドル(約2170億円)を20万人の顧客に貸し出し、外部から14200万ドル(約154億円)の投資を受けている。

当時、この混雑する市場に飛び込むのは狂乱的なことだったが、フィンテック系スタートアップが急増する中、それ自体が既存の大手銀行や歴史あるクレジットカード会社に代わる、より確かな市場だと思われていた。例えば、VisaやMastercardなどの最大手では、支払い期限を過ぎると延滞金が発生するが、後払いサービスを提供しているスイスのユニコーン企業であるKlarna(クラーナ)は、小売店の取引手数料と延滞金を財源にしているものの、利息は取らない。また、Max Levchin(マックス・レヴチン)氏の金融会社であるAffirm(アファーム)は、多額の入金をしている顧客からは延滞金は取らないが、利息は取ることになっている。利息は30%という高利率になる場合もある。

Upgradeの場合は少し違う。あと払いを売り物にはしていない。とはいえ、顧客に有利で顧客のことを思ったサービスをうたっている点では、同じ枠に当てはまる。例えば、同社が力を入れている個人向けローン商品はクレジットカードの支払いに利用する人が多いのだが、同社はそれを信用健全化ツールとして表向きには信用スコアを高める方法を人々に提供している。

また、ごく一部の利用者には、年間35.89%という高い利率を課している。

最新のクレジット商品である「Upgrade Card」は、さらなる利便性で他の先頭に立っている。ラプランシュ氏によれば、このカードは「基本的にクレジットカードの支払い能力と、銀行ローンの低コストをひとつの商品に合体させたもの」だという。

さらにこのハイブリッド型カードについてラプランシュ氏は「LendingClubは12年前に個人向けローンの1000億ドル市場を創出しました。Upgrade Cardにはその10倍の規模があり、顧客にとっては10倍安いものになります」と語る。

我々は、顧客に向けた善良さや安さをうたった消費者金融商品には本能的に疑いを持つ。Upgradeは、カード利用者にカードの残高から毎月最小金額の支払いを求めるのではなく、残高を定額となるよう月割りにする。それに利息が加わる。それは1年から3年で支払いが完了するように組み立てることができる。

「これは、住宅ローンや自動車ローンのような明瞭な支払い計画です」とラプランシェ氏は話す。「それにより予算が立てられます。そして、適切な期間で、毎月支払いを続けて残高を減らしていこうという気になれます」。好きなだけ完済を先延ばしにできるクレジットカードと違うところだ。長期間先延ばしにすれば、結果として利息の支払額だけでも膨大になってしまう。

繰上返済違約金はなく、完済した時点でカードは補充される。さらに、使うほどにキャッシュバックやその他の特典がもらえる一般のクレジットカードとは異なり、Upgradeの利用者は残高を返済するごとに1%のキャッシュバックが受けられる。

もちろん、通常のクレジットカードと同様に年率があり、6.49%から上限は29.99%。他のカードと比べても決して優しい利率ではない。公正を期して言うなら、Apple Cardの最初の年率は13%だ。

ラプランシェ氏はさらに「どの融資商品もそうだが、返済を怠ったり、低い信用度からスタートした利用者は、カードを使いながら完済ができる利用者よりも利率は高くなる」ことを認めた。

Upgradeは、この新商品でCross River Bank(クロスリバー銀行)と提携した。同行はニュージャージー州フォートリーに11年前に創設されたが、これまでに少なくとも1億2800万ドル(約139億円)を調達している。その中には、昨年末に確定したバイアウトファンドであるKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)からの投資1億ドル(約108億円)、2016年にBattery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、Ribbit Capital(レビット・キャピタル)などが参加した投資ラウンドでの2800万ドル(約30億3000万円)も含まれる。事実Cross River Bankは、Affirm、TransferWise(トランスファーワイズ)、 Coinbase(コインベース)といったフィンテック系スタートアップ(少なくとも創設当初は、消費者保護規制への準拠を維持し、大手銀行との衝突を避けたいと願っている企業)の拠り所となっている。

昨年8月に6200万ドル(約67億2000万円)のシリーズCラウンド投資を決め、最後の資金調達を達成したUpgaradeは、おそらく新たな資金調達ラウンドに向かうだろう。しかし、それを問われたラプランシェ氏は「私たちは大丈夫」とだけ答えた。

それまでは、自前の資金で前に突き進む計画だ。Upgrade Cardの他に、このサンフランシスコを拠点とする企業は、来年の第1四半期に普通預金口座を始めようとしている。これは、今週の初めにRobinhood(ロビンフッド)が発表した高利回りの資金管理口座と同じ動きだ。

これは理解できる。経済が落ち込めば(米国と中国との間で続く小競り合いを見れば、そしてその他の解明されていない疑問のことを思えば、そうなる傾向にあるが)、人々は預金や資金管理口座などの安全な場所を求めるようになるからだ。

そうした動きが、Upgradeのみならず同様のフィンテック系企業が深刻な不況の中を生き延びる手立てとして十分なものかどうかはわからないが、ラプランシェ氏は以前にもっと厳しい経験をしている。

LendingClubは、初のピアツーピア型の融資会社として2014年の夏に華々しく公開市場にデビューし、2016年まで続いた。しかし、ラプランシェ氏は辞任を要求され、その直後に米証券取引委員会から会社の利益を不当に膨らませたとして起訴された。

彼は不正を認めることなく、昨年、米証券取引委員会と和解している。また、彼は罰金を支払い、証券業界からの3年間の追放という処罰を受け入れた。

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(翻訳:金井哲夫)

米国のAlexaがスペイン語を話す、多言語モードでも

先週シアトルで行われたAmazonのハードウェアイベントで、米国とカナダとインドにおいてAlexaデバイスの多言語モードをローンチする計画が発表された。すなわちこれらの国々ではAmazonの音声アシスタントが、英語とスペイン語、フランス語と英語、ヒンズー語と英語をそれぞれ話せる。そして米国時間10月11日のAmazonの発表によると、米国では多言語モードがEchoなどAlexa対応デバイスで実際に使えるようになった。ユーザーはスペイン語と英語を切り替えられるだけでなく、Alexaアプリの設定でスペイン語のみにすることもできる。

これによりデベロッパーは、スペイン語を話す人びとを対象とするプラットホーム向けのスキルを作れる。そしてスペイン語の音声がAlexaに新たに加わり、スペイン語圏のローカルな知識や、Univision、Telemundoなどが作った何百ものスペイン語のスキルが導入される。

米国でAlexaをスペイン語モードで使うには、Alexaアプリで「Español(Estados Unidos)」に切り替える。するとユーザーは、スペイン語でAlexaに、ニュース、天気予報、スマートホームデバイスのコントロール、備忘録(リマインダー)、スキルの起動などを求めることができる。

しかしこの多言語モードのもっと面白いところは、アプリで設定を変えなくても自然に、スペイン語と英語の切り替えができることだ。

たとえば、Alexaに天気予報を英語で求めると返事は英語だが、スペイン語で話すと返事もスペイン語になる。ひとつの家族内で両方の言語が使われている世帯ではとても便利だ。

スペイン語対応のオマケとしてAmazon Musicでは、米国で使うAlexaに最新のラテン系プレイリストをスペイン語でリクエストできる。それらは、Sin Filtro(シン・フィルトロ、都市系アーティスト)、Tierra Tropical(ティエラ・トロピカル、バチャータ、サルサ、クムビアス)、Puro Reggaeton(プロ・レゲトン)、Fierro Pariente(フィエロ・パリエンテ、メキシコの地方音楽)などだ。

Amazonによると、カナダ(英語、フランス語)とインド(英語、ヒンズー語)の多言語モードも提供される。ただしその日程は明らかでない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberが食料雑貨宅配サービスのコーナーショップを買収へ

Uber(ウーバー)はCornershop(コーナーショップ)を買収する。Cornershopは食料雑貨配達のスタートアップで、ラテンアメリカ市場にてサービスを提供し、最近は北米初となる都市トロントでのサービスへおシフトした。Uberは米国時間10月11日、必要な規制認可を受けた後に2020年初頭にCornershopの株式の過半数を買収すると発表した。

Cornershopは2015年にOskar Hjertonsson(オスカー・ヘルトンソン)氏、Daniel Undurraga(ダニエル・ウンドゥラガ)氏、Juan Pablo Cuevas(フアン・パブロ・クエバス)氏によって設立された。なお、本社はチリにある。Uberによると、Cornershopは現在の形態でUberのもとで運営され、取締役会の大半はUber出身者が構成するという。

4ラウンドの資金調達でCornershopは、Accel、Jackson Square Venturesなどから3170万ドル(約34億円)を調達している。同社はWalmart(ウォルマート)によって2億2500万ドル(約240億円)で買収されると2018年9月に発表されていたが、メキシコの独禁法当局がそれを阻止したため、今年6月に決裂した。

しかし、WalmartはCornershopとの関係を保っており、つい昨日までトロントで同スタートアップと共にサービスを提供していた。Uberは以前、Walmartとの提携を含め食料雑貨の配達を実験しており、UberでCEOを務めるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はUber Eatsの成功を考えると、食料雑貨の配達は同社が事業を拡大するのに適した分野であると述べた。Cornershopの競合企業にはInstacartやPostmatesなどの強豪がいるが、Uber Eatsも当初はずっと有名な企業との競争に直面していた。

この買収はまだ規制当局の承認が必要で、Walmartの買収が失敗したのもそれが理由であり、今後を見守る必要がある。これまで、Uberは食料雑貨の分野ではなんの目的も隠しておらず、なんらかの形でビジネスは成功しそうだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

PolteがLTE信号によるデバイス追跡技術で約14億円を調達

Polte(ポルテ)は1250万ドル(約14億円)を追加で調達した。同社は、4G(将来的には5Gも)信号を利用して商業用や産業用の追跡サービスを構築している。その主な利点は、GPSで位置情報を取得し携帯通信で送信するよりも、携帯通信のみのほうがはるかに消費電力が少ない点だ。

米国時間10月11日の資金調達ラウンドは、PolteのシリーズAラウンドの延長である。2017年にPolteは600万ドル(約6億5000万円)を調達しており、今年さらに1250万ドルを調達した。なお、Polteは投資家のリストを公開していない。また、このスタートアップはTechCrunchのStartup Battlefieldに参加している。

Polteには多くのユースケースが考えられるが、ほとんどはできるだけ少ないバッテリー消費で移動中の対象物を追跡するというものだ。また、エネルギー業界や自動車業界における物流や輸送のビジネスでは、サプライチェーンで応用できる。

IoTデバイスを使用して対象物を数週間追跡する場合、GPSで位置を特定しその位置を無線で送信する必要があるため、費用がかさむ可能性がある。GPSは非常に正確だが、デバイスを展開するだけでも大量の電力を必要とする。

このため、一部のデバイスではWi-Fi信号を利用して、Wi-Fiアクセスポイントからの電波による三角測量で位置を測定する。しかし、特に田舎ではこの方法はあまり正確ではない。

Polteは、携帯通信モデムからのデータを位置情報に変換する。これは、既存のモデムで動作可能だ。つまり、これはソフトウェア的なソリューションなのだ。デバイス自体による処理は行われない。Polteの対応デバイスは300バイトのデータを同社のサーバに送り返し、数秒後に位置が特定できる。

これにより、より安価なIoTデバイスで位置情報を追跡できるようになる。また、多量のアイテムを追跡したい企業の場合には、長期的に多額のコストを節約できる可能性がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Twitter公式アプリのMac版がMac Catalystアプリとして復活

Twitter(ツイッター)の公式アプリが、Mac Catalyst対応アプリとして米国時間10月10日に公開された。6月にアップルがWWDCでMac Catalystを公式に発表した後、同社はこれを利用してアプリを開発するといち早く表明していた。Mac Catalystは、iPad用アプリをMac版に移植するためのアップルの新しいツールセットで、最新macOS Catalinaに搭載されている。

Mac Catalystは、iOSの開発者がMacのエコシステム向けのソフトウェアを簡単に作れるようにするものだ。開発者は、既存のiOSプロジェクトとソースコードをベースに、Macのネイティブの機能を追加し、タッチ操作をキーボードとマウスの操作に変更することができる。

TwitterはMac Catalystアプリとして登場が待ち望まれていた。Mac Catalystで作られるからという理由だけではない。Twitter社は昨年、Macのデスクトップクライアントを廃止し、デスクトップユーザーに対しTwitterのウェブサイトを使うようにと案内していたからだ。

ウェブではなくネイティブのアプリを使いたいMacユーザーは、TweetDeck、Twitterific 5、Tweetbot 3などの他社製アプリに乗り換えた。TweetDeckはソーシャルメディアの仕事をしている人やパワーユーザー向けのアプリだ。Twitterific 5とTweetbot 3は公式のクライアントアプリの代替に適しているが、有料で余分な機能が多い。

Mac Catalystの新しいTwitterアプリは無料で、Twitterプラットフォームのほかのアプリとエクスペリエンスが一貫している。コードベースを共有しているのでインターフェイスにはなじみがあり、ダークモードにも対応している。ただ、タイムラインがリアルタイムで更新されないことが、ユーザーから多く挙げられている不満のひとつだ。

ほかに不満として挙げられているのは、フルスクリーンで適切に表示されないことや、ツールバーが2段になっているのは収まりが悪いといったことだ。さらにデスクトップクライアントとウェブアプリの不自然な相違点もいくつか指摘されている。

とはいえ、デスクトップに公式アプリが復活したことは、全般に好評だ。指摘されている不満はこれから解決するかもしれないし、そう願いたい。

TwitterアプリはmacOS Catalinaでのみ動作する。おそらく、macOS Catalinaにまだアップデートしていないユーザーもいるだろう。アプリは無料で、Mac App Storeからダウンロードできる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

FacebookのLibra AssociationからMastercardとVisa、eBay、Stripeが脱退

PaypalがFacebookの暗号通貨Libraとその関連団体から一抜けると発表してから1週間後に、さらにeBay、Stripe、そしてMastercardの3社が離脱すると報じられた。そしてVisaももその後を追うことが判明した。

TechCrunch宛てのコメントでStripeのスポークスパーソンは「Libraとの将来の協働の可能性のためにドアは開けておくが、今その可能性はない」と語った。

「Stripeは、オンラインの商業を世界中の人びとアクセスできるようにするためのプロジェクトを支持している。Libraにはその力がある。今後もその進歩を注視し、未来におけるLibra Associationとの協働に向けてオープンな姿勢を維持したい」。

eBayは、スポークスパーソンの談話がロイターに載った。「Libra Associationのビジョンを高く評価しているが、eBayは創立メンバーとして前進しないことを決定した」。

Mastercardが近く行う離脱は、WSJが報じた。3つの有力パートナーが揃っていなくなることは、このプロジェクトにとって大きな打撃だ。すべては、まだ表面化していない規制圧力のために多くのメンバーが支持を見直している、という記事のわずか数日後に起きたことだ。

アップデート:今度はVisaも脱退したが、規制に関する懸念を直接的に述べている:

Visaは現時点でLibra Associationに参加しないことを決定した。今後も評価は継続するが、弊社の最終的意思決定は、当団体がすべての規制要件を完全に満たすかなど、いくつかの要素に依存している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Pixel 4やPiexbook Goの登場は確実か、来週のGoogle新製品発表イベント予測まとめ

米国ニューヨークでは紅葉も始まり、すっかり秋の気配。つまり新ハードウェアがお披露目される季節だ。マンハッタンでは来週水曜の10月15日(日本では10月16日)にハードウェアイベントを予定している。

例年どおり、メインとなるのは同社のハードウェアのフラグシップであるPixelシリーズだが、Google Nest(Google Home)のアップデートも多数登場するだろう。スマートディスプレイ、Google Nest Hubが発表されたのは昨年のこのイベントだった。

Google(グーグル)の新しいハードウェアについての予測や噂はしばらく前から渦巻いている。Pixelシリーズに加えてPixelbookシリーズがアップデートされるだろう。Pixel Budsの新製品も発表されるかもしれない。現在判明していることをことをまとめてみた。まずはメインテーマから見ていこう。

最新スマートフォンのPixel 4とPixel 4 XLが発表されるのは間違いない。 グーグル自身が上のビデオのように新製品を予告している。この間のリーク写真で一貫しているのはiPhoneに似た四角い枠の中に2台のカメラを水平に並べた三角形のアレイというデザインが採用されていることだろう。Evan Brassの新たなリーク写真でもカメラが2台になっていることがわかる。

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グーグルはこれまでの「カメラは1台で十分」という方針を捨ててメインカメラ2台方式とした、Pixel 3ではカメラは1台だったがAI画像処理ソフトが駆使され夜景モードなど非常に高い画質を実現していた。今回はソニー製の1600万画素で望遠レンズ搭載のカメラが追加されており、写真性能が驚異的なものになっているのではないかと期待されている。

赤外線ビームにより撮影した画像の各ピクセルごとに光の反射時間を計測して一挙に3次元マップを生成できるToF(Time of Flight)センサーについてはまだ情報が少ない。ユーザーの顔でロックを自動解除する機能や手のジェスチャーで楽曲をスキップしたりボリュームを下げたしする3D認識機能が追加されることも予想されている。

OSはAndroid 10がプリインストールされる。5Gモデルも以前から噂に上っているが、今回登場する確率は低い。録音の自動文字起こし機能も噂されており、実現すれば私のようにインタビューを職業の一部としている記者にとってはこのうえなくありがたい。

まとめると、Pixelは5.6インチ標準サイズと、縦長6.3インチのXLの2シリーズとなる。カラーバリエーションにはホワイト、ブラックに新しくオレンジが加わる。

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ChromeOS搭載デバイスではプレムアムモデルとして新しいPixelbook Goが発表されるはずだ。 9to5Googleの記事によれば、これは現行Pixlebookのアップデートというよりまったくの新製品と考えたほうがいい。ストレートなノートパソコンというより、軽量化や携帯性に重点を置いたMacbook Air的な製品となるようだ。

GoogleはPixelbookシリーズの今後の展開について詳しいことは明かしていないが、Chromebookカテゴリーの製品が全体として大きな成功を収めている以上、なにか計画していることは間違いない。高性能化して低価格化するというのが順当な方向だが、そうなるとライバルと同程度の価格帯になるかもしれない。

リーク情報によれば13.3インチ、4Kのタッチスクリーン、ポートはUSB-Cが左右に設置される。ポート数が少なすぎるというのが前モデルに対する最大の不満だったから、2基のまま変化なしというのはやや不満が残る。

新しいスマートイヤフォン、Pixel Budsは出るだろうか?出てもいいはずだ。オリジナルのGoogle Budsは市場では空振り気味だった。しかしアップルやBeats(ビーツ)、Samsung(サムスン)、ソニーなどライバルがそろってスマートイヤフォンに力を入れているのだからグーグルが単に眺めているということはないだろう。同社のソフトウェア能力をもってすれば、他社と差別化できるような製品を開発できるのではないか?

来週のイベントにはGoogle Nest/Homeシリーズの製品が多数登場するはずだ。長くベストセラーを続けているGoogle Home Miniもとうとうアップされるらしい。Google Home MiniもNestファミリーのメンバーになったのだから、それらしい製品名に変える必要もある。音質を改善しカラーバリエーションを増やすなどが考えられる。本質的な部分に大きな変化はないだろうが、あの低価格なら気にすることはない。

もうひとつ以前から期待されているのがGoogle Wifiのアップデートだ。これもHomeからNestに分類が変わるはず。噂によればGoogleはスマートハウス、スマートディスプレイなどNestシリーズの各製品とのスマートシナジーを期待しているというのだが、どんなものだろう。

TechCrunchはGoogleのイベントをライブ(日本時間10月15日午後11時から)でカバーする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook