Googleのコアアルゴリズムアップデートによる変動からサイトを回復させるために重要な4つのポイント

2019年9月にGoogleのコアアルゴリズムアップデートが行われました。

自身が管理しているサイトにおいて、特にYMYL領域であれば、サイトの順位が大きく変動したという方も多いのではないでしょうか。

今回はジョン・ミューラーへの質疑から、コアアルゴリズムアップデートの認識について、Search Engine Journalがまとめた記事をご紹介します。「なぜ、サイトの順位が下落するのか」、その原因を正しく理解し、分析する手助けとなる記事です。

Googleのジョン・ミューラーは、2019年6月に行われたコアアルゴリズムアップデートによって、サイトの順位やトラフィックが減少した場合に、どれくらいの期間を経てそれらが回復するのかを回答した。

ジョン・ミューラーは、コアアルゴリズムアップデートの影響があったサイトを回復させる方法に関して、4つのポイントを提示している。

Googleのコアアルゴリズムアップデートによる影響から回復させる方法に関する重要な4つのポイント

  1. トラフィックを失ったページ(サイト)はペナルティを受けたわけではない
  2. コアアルゴリズムアップデートは、関連性が高いページの順位を向上させるものである(関連性が低いとみなされた場合は、順位を失う)
  3. 次のコアアルゴリズムアップデートまでリカバリーを待つ必要はない
  4. 基本的にコアアルゴリズムアップデートはスパムに対するものではない

Googleのジョン・ミューラーは、「コアアルゴリズムアップデートによってサイトの順位が下落する理由は、Googleが他のサイトをより関連性が高いとみなしているためだ」と強調した。

重要なことは、「関連性と関連性の欠如」にある。

コアアルゴリズムアップデートによる影響からサイトを回復させる方法を理解するための鍵は、Webサイトの関連性が低いとみなされた理由について考えることである。

Googleのコアアルゴリズムアップデートによる影響からリカバリーするまでの期間

質問者は、GoogleBotに対して誤った認識を抱いていた。

「GoogleBotは、コアアルゴリズムアップデートでペナルティを受けた(とされる)サイトをリカバリーさせるかどうかを決定するもの」という認識である。

しかし、GoogleBotは、Webページをダウンロードする単なるソフトウェアプログラムである。一般的にはクローラーと呼ばれている。

クローラーによってダウンロードされたすべてのWebページを評価し、順位付けするのは、データセンターのGoogleのアルゴリズムによるものだ。コアアルゴリズムアップデートによって更新されるのは、これらのアルゴリズムである。

コアアルゴリズムアップデートは、サイトへペナルティを与えるものではない

Webサイトが2019年6月のコアアルゴリズムアップデートによる影響を受けてしまった。現在、高品質のコンテンツの作成に取り組んでいる。サイトの状況が回復するまでは何か月待つ必要があるだろうか。また、GoogleBotは、コアアルゴリズムアップデート以外でペナルティの削除を決定することはできるのか。

以下は、ジョン・ミューラーによる回答である。

まず、コアアルゴリズムアップデートはサイトへペナルティを課すものではない。Googleのアルゴリズムは、個別のサイトに対してペナルティを課しているわけではない

コアアルゴリズムアップデート後に順位が下落した場合、ペナルティが課せられたように感じることがある。順位が下落するという意味では、一緒だろう。

しかし、厳密に言うと、コアアルゴリズムアップデートによる順位の下落と、ペナルティによる順位の下落は異なるものである。

ペナルティが課された場合、Googleはウェブマスター向けのガイドライン違反について、Googleサーチコンソールを通じてサイト運営者に通知を送る。

一方、コアアルゴリズムアップデートによって順位を失った場合、そのような通知が送られることはない。

ジョン・ミューラーが伝えているのは、「コアアルゴリズムアップデートによって順位が下落したからといって、Webサイトの運営者が何か致命的な誤り(※)を犯しているわけではない」ということだ。
※致命的な誤り:コンテンツスパムやリンクスパムなど

コアアルゴリズムアップデート後にサイトの順位が下落する理由

ジョン・ミューラーは、サイトの順位が下落する理由を繰り返し論じている。

端的に言うと、「サイトの順位が下落する理由は、Googleの新しいアルゴリズムが、他のサイトの方がより関連性が高いと評価したためである」とのことだ。

ジョン・ミューラーは、順位を上下させるコアアルゴリズムアップデートと、その影響を受けるサイトについて以下のように述べている。

コアアルゴリズムアップデートによる影響とは、本質的には、Googleのアルゴリズムがページの関連性を評価する計算方法を変更し、より関連性が高いと思われる他のページを見つけたことによるものである。

つまり、あなたが何か間違ったことをしたというわけではなく、また、アルゴリズムアップデートがあったからといって、直ちにサイトを修正する必要はない(例え、何か対応を行ったとしても、アルゴリズムに沿って評価が行われるだけである)。

さらに言うと、サイトの順位が下落する理由は、アルゴリズムが検索クエリに対するサイトの関連性が高いと判断しなかったことによるものである。そして、順位の変化は時間の経過と共に起こる。

Googleのコアアルゴリズムアップデートとは何か

アップデートによって順位が下落するパターン

ジョン・ミューラーは言及しなかったものの、我々がサイトレビューを行ったところ、コアアルゴリズムアップデートによる順位の下落には、少なくとも2つのパターンがあることがわかった。

順位が下落するパターン

下位のサイトがより上位を獲得し、それまで上位にあったサイトの順位が下落するパターンである。

完全に順位を失うパターン

特定のサイトが完全に順位を失う=検索ランキングに現れなくなるパターンである。こちらはより深刻な問題であり、SERPsを詳しく調べなおす必要があるだろう。

Googleによる公式な手引き

その後、ジョン・ミューラーはGoogleがコアアルゴリズムアップデートの手引きを提供した2019年8月のブログ記事を紹介した。

参考:Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと(2019年10月)

我々はコアアルゴリズムアップデートに関して、我々が見ているものをかなり詳細に説明したブログ記事を投稿している。私もこちらの記事を再確認したいと思う

Googleのコアアルゴリズムアップデートから回復するまでの待ち時間

最後に、ジョン・ミューラーは「Googleのアルゴリズムは常に更新されている」と答えた。

つまり、Webページの改善が役立ったかどうかを確認するのに、次のコアアルゴリズムアップデートまで待つ必要はないということである。改善はランキングにすぐ反映されるはずだ。

ジョン・ミューラーは言及していなかったが、コアアルゴリズムアップデート後に順位が戻る場合がある。これは過度に広範囲なアップデートになった結果、影響を与えるつもりのないサイトにまで影響を与えることがあるためだ。そして、彼らはアルゴリズムを微調整することがあるかもしれない。

要するに、コアアルゴリズムアップデート後にサイトの順位が戻るのは、アルゴリズムの変更について、その一部を撤回したためである可能性が考えられる。

ジョン・ミューラーのコメントは以下のとおりである。

コアアルゴリズムアップデート後にWebサイトの大幅な改善を行った場合、いつその結果は反映されるのだろうか。結論を言うと、その結果は順次反映されていく。

アルゴリズムの更新には2種類がある。大幅な変更であるコアアルゴリズムアップデートと、常に変化し続ける小さなものだ。

インターネット全体は時間の経過と共に変化する。その結果、基本的に検索結果は毎日変化するし、毎日改善することもできる。

したがって、Webサイトを大幅に改善した場合は、それらの細かい変更も時間の経過と共に反映されるだろう。よって、アルゴリズムの変更がされたことを確認するまで待つ必要はない

コアアルゴリズムアップデートによる順位の下落は必ずしもサイトの品質に関するものではない

ジョン・ミューラーは、「順位が下落したからといって、それはサイトに問題があったことを示すものではない」ことを繰り返して、質疑応答を終了した。

繰り返すが、コアアルゴリズムアップデートは、Webサイトに問題があることを示すものではない

Googleのコアアルゴリズムアップデートによる影響からのリカバリーに関して重要なこと

広範なコアアルゴリズムアップデートのすべてについて、それを品質に関するアップデートであるとみなす者がいる。彼らは、サイトが順位を失う度に「それは、サイトの質が低いからだ」という。

一方で、順位の下落を技術的な問題によるものであるとみなす者もいる。例えば、サイトの表示スピードが遅い・リダイレクトが連鎖しているなどだ。

確かにサイトの品質や技術的な問題は、サイトの順位に関する正当な懸念事項だろう。これらの問題には、対処していく必要がある。

しかし、一般的にコアアルゴリズムアップデートの目的はそれらの一部のみに対応するものではない。

コアアルゴリズムアップデート後にサイトの順位が下落した場合、品質及び技術的な問題が存在する可能性がある。

だが、その場合には一部の問題のみに注目することなく、順位の下落に関連するであろうすべてについて、特にページの関連性についても確認することが望ましい。

ジョン・ミューラーはサイトの関連性が重要であることを繰り返し述べた

コアアルゴリズムアップデートによってサイトの順位が下落した場合、品質または技術的な問題の改善点が見つかることがある。

しかし、順位を失ったサイトをチェックした私の経験から言うと、サイトの関連性について調査することが有効なケースもあるだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Google on Broad Core Algorithm Update Recovery – 4 Takeaways」を翻訳した内容です。

Googleのコアアルゴリズムアップデートは、通常、個別のサイトに対するペナルティを課すものではありません。また、サイトの品質や技術的な問題など、単一の問題に対応するものでもないということが簡潔にまとめられた記事でした。

Googleの動向ばかりに注視しすぎるのは良くありませんが、一方でコアアルゴリズムアップデートの傾向を分析することによって、「Googleが何を重要視しているのか」を客観的に見ることができるのも事実でしょう。

ユーザーにとって価値のあるサイトとは何か。Googleはそれをどう判断しているのか。様々な情報や経験を元に考えていきましょう。

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シリコンバレーは分散可能か?ビジネスは最前線でパーティは遠隔地で

長い間、シリコンバレーの魅力は、この地にやって来ることができるかどうかにかかっていた。そのエコシステムは遠隔地からは機能しなかったからだ。Google VenturesのJoe Kraus(ジョー・クラウス)氏は、私が初めて参加したDisruptイベントで、Y Combinatorを含むほぼすべてのVCを代表して、「私たちは何処に居るのかがとても大切であることを知っています。シリコンバレーに来るべきです」と語ったものだ。

米国人ならそれは簡単だ。だがもしここに来るためにビザが必要な場合は、はるかに大変なことになる。今だにシリコンバレーは遠隔地から機能させることはできないのだろうか?それとも最近は、遠く離れた国々のスタートアップたちに、別の道があるのだろうか?先週私はInitialized CapitalのパートナーであるAlexis Ohanian(アレクシス、オハニアン)氏と、彼の祖先の故郷であるアルメニアの地で、この件について話す機会を持った。

最近は、どんな国でも自国のインキュベーターとシード投資家がいるようだ。アルメニアも例外ではない。私がオハニアン氏と会ったのは「アルメニアとアルメニア人のための」VCファンドである、Aybuben Venturesのローンチイベントでの事だった。私が先週報告したように、アルメニア人のディアスポラ(世界的な民族離散)は多大な効果を発揮している。

さて、もし真剣にシリーズAに取り組む必要が出てきたのに、地元の市場があなたのスタートアップを支えられるだけの規模がない場合には、次はどうなるだろうか?

ほんの5年前でさえ、シリコンバレーと関係を築くためには大変な苦労を強いられていたはずだ。しかし、その後事情は変化した。ベイエリアの人材と(そして不動産)の高騰が、Andreessen HorowitzのAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏の命名による、いわゆる「マレット・スタートアップ」(Mullet Startup)の台頭を促したのだ。そうした会社たちは、シリコンバレーを活用するために、その本社をベイエリアに置いているが、彼らの技術チームはもっと安くスペースも広い場所に置くのだ。つまり「ビジネスは最前線で、パーティは遠隔地で」ということだ。

オハニアン氏が指摘した点は、このマレットモデルが逆方向に働かない理由はないということだった。すなわち、どこか遠隔地で強力な技術チームを持った会社を起業し、ある発展段階に達したらベイエリアオフィスを開設して経営チームを移動し、マレット・スタートアップへと転じるのだ(もし企業として米国にやってくるのなら、ビザのオプションとして例えばEB-5移民投資家ビザを選べるようになるといった事実にも助けられる)。このスタイルを「リバース・マレット」と呼ぼう。PicsArtは、その好例のひとつだ。

このモデルは、遠隔地の技術チームが継続的な競争上の優位となるので、エンジニアリングや技術の厚い才能を抱えている国にとってはとりわけ実現可能なやり方なのだ(これこそが、オハニアン氏がアルメニアの滞在中ずっと、故国の人たちに対してコードを書くことを学ぶことの重要性を説き続けていた理由の一部だ。これはすでにチェスを必修科目としている国にとっては比較的取り組みやすいことだろう)。これらはすべて、理屈の上では素晴らしいもののように聞こえる。

とはいえ、今はまだリバース・マレットのユニコーンたちの群れがいるようには見えない。しかし、もしそれが実現すれば、多大な影響を持つ新しい成長モデルとして、非常に興味深いものとなるだろう。実質的にシリコンバレーが世界中に転移する方法のひとつとなるからだ。だが皮肉なことに、多くの非中央集権化の声は挙がりながらも、そのモデルの成功はやがてシリコンバレーの世界のテック産業の中心としての優位な地位を(すべての惑星を周回軌道上に従える太陽のように)強化することになるだろう。これから3年以内に生まれるリバース・マレットのユニコーンを数えてみよう。ほんの数個以上あれば、答えがわかるだろう。

【編集部注】「Mullet」というのはもともとは魚の「ボラ」を指す単語だった。そこから派生してトップの写真にあるようなヘアスタイル(前が短く襟足が長い)を「Mullet Hairstyle」と呼ぶようになった。それが転じて「立派なトップページは用意されているものの、それ以外の部分はそれほど手間のかかっていないウェブサイト」のデザインを「Mullet Strategy」(マレット戦略)と呼ぶようになっている。上記の「マレット・スタートアップ」という名称はそれがさらに転じたものである。

トップ画像クレジット:Tony Alter/Flickr より CC BY 2.0 ライセンスによる

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(翻訳:sako)

ディープラーニングでユーザーの食事を記録管理するFoodvisor

Foodvisor(フードバイザー)は、食事の内容を記録して減量、食事療法、健康増進に役立てるモバイルアプリを開発したスタートアップ。食べる前に食事の写真を撮ってデータとして保存する。

「2018年にフランスでアプリをリリースする前に、2年余りを研究開発に費やした」と共同創業者でCMOのAurore Tran(オロール・トラン)氏は言う。Foodvisorはこれまでに140万ユーロ(約1億6000万円)を調達した

同社は画像認識とディープラーニングであなたが食べるものを把握する。食品の種類を見分けるだけでなく重さも推定する。具体的には、カメラのオートフォーカスデータを利用して食べ物と携帯電話の距離を測る。次に、各食品の面積を計算し、種類に応じて重さを推定する。

Foodvisorで何か問題が発生した場合は、食事を記録する前に手動で修正できる。栄養管理は手間がかかるため諦める人が多いが、 同社のテクノロジーがデータ入力をスムーズにしてくれる。データを入力すると、カロリー、タンパク質、炭水化物、脂肪、食物繊維など、食事で摂った栄養の分析結果が表示される。目標を設定し、アクティビティを記録し、毎日の進捗を管理できる。

アプリダウンロード数はすでに180万回に達した。iOSおよびAndroidで利用可能だ。フランス語、英語、ドイツ語、スペイン語版がある。「プロダクトを改良し、データベースを充実させて、米国市場で受け入れられるようにした」とトラン氏は語る。

月額5〜10ドルのプレミアムプランがある。主な特徴は、より豊富な分析やダイエット計画に加え、アプリから登録した栄養士と直接チャットできること。AIが人間の栄養士に完全に取って代わることまではできないようだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Google Pixel 4のカメラはAIと機械学習で圧倒的、ハイブリッドズームも可能に

これが長らく噂になっていたGooglePixel 4だ。Googleのハードウェアイベントで実機に触ることができたのでご紹介しよう。現場で撮影した写真も何枚か掲載した。

Googleの日頃の水準からしても新しいスマートフォンに関する情報は大量にリークされていた。このリークは頭打ちのスマートフォン需要を喚起するためにGoogleが意識的に情報を流していたのだと一部では推測している。いずれにせよ新Pixel 4の出荷は1024日、799ドルから(日本での公式発表は間もなくの予定)となる。.

新デバイスのフロント側の見た目はさほど大きく変わってはいない。標準のPixel 4には従来どおりかなりの幅のベゼルが天地にある。フロントカメラは流行の切り欠きやスクリーン透過式で設置されてはいない。

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しかしリアは大きく進化している。ここ2世代ほど単一カメラで来たGoogleだが、ついにトレンドのカメラアレイを採用した。 iPhone 11に似た四角い枠の中に2台のカメラが設置されている。

水平に並んだ2台のカメラの上にセンサー、下にフラッシュがある。カメラは広角と望遠で、それぞれ12メガピクセルと16メガピクセルだという。 撮影した写真は下を見ていただきたい。ほとんど理想を実現したカメラだと感じた。本格的レビューは落ち着いてテストができるようになってからとなるが、とりあえずの印象はお伝えできるかと思う。

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正直、このカメラには興奮させられた。Googleは(いつものとおり)人工知能、機械学習には圧倒的な力を発揮した。単一カメラでもソフトウェアによって高い撮影能力を実現していたが、今回デュアルカメラに進化したことで現在の市場で最高水準のカメラに仕上がっているようだ。

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詳しくはカメラのレビューを中心とした記事に譲るが、撮影能力はあらゆる面で進化してる。現行モデルでも非常に優れている夜景モード、ポートレートがさらに改良され、AIを活用したハイブリッドズーム機能が加わった。これは新しい望遠レンズによる物理的ズーム画像とデジタル処理によるズームをAIによって最適に組合わるものだという。今日のイベントにはエリザベス女王のポートレートを撮影したことでよく知られている世界的写真家のアニー・レイボヴィッツ氏が登壇してGoogleと共同でPixel 4を使った撮影プロジェクトを進めていると語った。レイボヴィッツ氏に十分ならもちろん私にも十分以上だ。

 
 

録音機能も進化しており、特に我々のようにインタビューを仕事の重要な一部としているジャーナリストには大きな期待を抱かせるものだった。正直、今回は周囲があまりに騒がしく十分なテストができなかったが、これも後日、ちゃんとレビューする予定だ。ともあれ、いちいちクラウドにアップせずにデバイス内で音声の文字起こしができるようになったのは大進歩だと思う。

これによりレスポンスが速くなったのはもちろんだが、機密性の高いインタビューの場合でもプライバシーがはるかによく守られるようになることが大きい。録音をスタートさせると、録音中を示す灰色の帯が音声を探知するとブルーに変わる。ここで「文字起こし」(transcript)をタップすればその場で結果が表示される。その後はソーシャルメディアに投稿してもいいし、Googleドライブに保存してもいい。

CMB 8450

Googleがマイクロジェスチャー認識とデバイスを握ることで反応するアクティブエッジ機能したのは興味深い。他のメーカーも各種試みたもののあまり成功していない分野だ。Googleが採用したレーダー処理チップが指のジェスチャー認識の向上にどの程度の効果を発揮するのか検証してみたい。

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Googleはマイクロジェスチャーを認識するSoli機能を普及させるためにピカチューに手を振る、指差すなどの動作をすると応えてくれるポケモンゲームを作っている。正直言って私はそれらの効果にやや懐疑的だ。指のジェスチャーを高精度で認識できるというのは画期的テクノロジーだが、ユーザーに新しいインプット方式を学習させるのは容易なことではない。

ただしデバイスを取り上げて覗きこめばアンロックされる機能は便利だし、ユーザー側で新しい動作を学ぶ必要はない。ここでもPiexl 4内蔵のレーダーがユーザーの顔の認識精度のアップにひと役買っているという。

Piexl 4の出荷は1024日から、価格は799ドルからだ。準備ができしだいもっと本格的なレビューをお届けする。

Japan編集部追記】 Pixel 4他の新ハードウェアに関してはGoogleストアで間もなく(1016朝)公開の予定。ジェスチャーを認識するSoli機能は端末発売時には日本はカバーされないものの「近日対応」とのこと。小出力レーダーが日本の技適をクリアしていないためという情報がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NASAが月面用新型宇宙服を開発、人体3Dスキャンでジャストフィット、HDカメラ搭載で高速通信も可能に

次に月面に足を下ろす米国人は、まったく新しい宇宙服を着て行くことになる。それは1970年代に最後に月面を歩いたオリジナルのアポロスーツをベースにしながらも、大幅に改良されたものだ。簡単に装着でき、楽に動けて、コミュニケーション能力も向上する。体が自由に動かせない制約の大きかった過去のものとは雲泥の差があるが、それでも家の中を着て歩けるような代物ではない。

Exploration Extravehicular Mobility Unit(xEMU、探査船外活動移動ユニット)と呼ばれるこの新型宇宙服は、まだ開発初期段階だが仕様はほぼ固まっている。すでに水中でのテストが行われ、2023年には軌道上でテストされる予定だ。

一からまったく新しいものを作る代わりに、NASAのエンジニアは、従来の実績あるデザインで苦痛だった部分(文字どおり本当に痛いところも含め)を改良する方式を採用した。そのため、外見は私たちがよく知っている、宇宙飛行士たちが月面を飛び跳ねていたときのあの宇宙服によく似ている。元のデザインなら、高真空と宇宙放射線から体を守ることが比較的簡単だからだ。

NASAでは、宇宙服は「過酷な環境からの保護と、地球とその大気がもたらす基本的な資源のすべてを模倣するパーソナルな宇宙船」だと言われている。そのために必要な空間しか確保されていない。

しかし、昔からほとんど変わらない部分もあるものの、大きく改良される部分もある。最初にして最大の改良点は、安全性とミッションの目的を両立させるための、動きやすさが大幅に改良される。

NASAの新しい改良型xEMU宇宙服の図解

上図の左上から左下へ、高速データ通信、HDビデオと照明、情報ディスプレイと制御装置、統合コミュニケーション(スヌーピーキャップは廃止)、自動スーツ点検、強化された上半身の可動性、環境保護下着(EPG)防塵機能付き、歩きやすい。右上から右下へ、29647.5から56537パスカルの気圧変動に対応、緊急帰還1時間、真空再生二酸化炭素除去システム、薄膜蒸発冷却、モジュレーター/ORU PLSSデザイン、後方脱着。xEMUは、月面を歩く最初の女性、そして第二の男性が着用する宇宙服です。新世代のテクノロジーと能力がこの宇宙服に投入され、新宇宙での宇宙遊泳(EVA)、月面、さらに火星表面の探査を可能にする

ひとつには、既存の宇宙服に新しい関節が導入されて可動域が広がった。よく言われる宇宙飛行士の立ち方はアポロスーツの動き辛さを示唆した言葉だが、自由度が高い新しいxEMUのユーザーにはもう縁のないものになる。通常の範囲の動きが楽になるばかりでなく、自分の胴体の反対側に手を伸ばしたり、頭上に何かを持ち上げることも可能になる。

柔軟になった膝と、靴底が柔らかいハイキングスタイルのブーツにより、しゃがんだり、立ち上がったりも楽にできる。そんな基本的な動作もできないまま、よくもここまで来たものだ。

xEMUのデジタル・フィッティング・チェック。体を3Dスキャンして(点で表示)、スーツの各部分や部品がどのようにフィットするかを確認する

xEMUのデジタルフィッティングチェック。体を3Dスキャンして(点で表示)、スーツの各部分や部品がどのようにフィットするかを確認する。

宇宙服の体へのフィット感も向上する。NASAは人体計測、つまり体を3Dスキャンして、それぞれの宇宙飛行士ごとに、各部分がぴったり体に合うようにするのだ。

フィットと言えば、宇宙服の各部分はモジュラー式になっていて、簡単に交換ができる。例えば下半身は、宇宙遊泳と地表探査のときで、それぞれに適したものに交換できるようになる。ヘルメットのバイザーは“犠牲”防護式なので、ダメージを受けたら新しいものと簡単に交換できる仕組みになっている。

ヘルメットの中は、マイクなどを内蔵した、馴染み深いが明らかにみんなが嫌っているスヌーピーキャップが廃止され、現代的な音声起動式マイクとヘッドホンが組み込まれた。これで音質がずっと良くなり、汗をかくことも少なくなった。

さらに、通信スタック全体が新しいHDカメラと照明に置き換えられた。これは高速無線データリンクで接続される。月面からのライブ映像などはもう古臭い感があるが、1969年の荒いモノクロ映像とはちょっと趣が違って見えるはずだ。

最も重要な改良点に、背後からの着脱方式がある。昔のEVA宇宙服の着脱はかなり厄介な作業で、広い空間と人の手が必要だった。新しい宇宙服は、背後のハッチから中に入る仕組みになっているため、肘の位置決めなどが自然に行えるようになる。これはおそらく、宇宙服の着方を変えるものだ。宇宙服がエアーロックのような役目を果たすことは、誰でも簡単に想像がつく。背中から中に入ると、密閉されて、そのまま宇宙に出ることができるという感じだ。実際はそれほど単純ではないのだが、背後の着脱用ハッチは、その工程をずっと楽にしてくれるはずだ。

関連記事:NASAは月面用の宇宙服を将来的には民間企業にアウトソーシングへ

NASAはこの宇宙服のデザインと認定を行うが実際の製造は手がけない。NASAは先週、民間宇宙産業に宇宙服の製造を委託するもっともいい方法について意見を求めた。

これは、2024年の有人月面着陸に向けて、請負業者や民間企業の依存度を高めていくというNASAの決定の一環だ。もちろん、アポロ計画でも請負業者は重要な役割を担ったが、現在のNASAはさらに自由度を高め、民間の打ち上げサービスの利用も考えている。

今後ももちろん、宇宙服に関する最新の情報をお届けする。NASASuitUpタグも要チェックだ。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

グーグルが最新スマートフォンPixel 4イベントのライブ配信を実施

Google(グーグル)は新型スマートフォンのPixel 4とPixel 4 XLをまもなく発表する。Androidスマートフォンのファンならご存知のように、Pixelスマートフォンは余計なアプリが搭載されていないOSと、いくつかの素晴らしいカメラ機能のおかげで最も面白いAndroidスマートフォンのうちのひとつだ。

Googleのカンファレンスは米国東部時間午前10時(日本時間で午後11時)から始まり、下のYouTube動画でライブ配信される。

によれば、Googleが発表するのは新型スマートフォンだけではない。新型Pixelbook、新型Pixel Buds、また音声アシスタント対応の新型デバイスの登場も期待できる。Google Home Miniが大いに成功をおさめているなか、Google HomeシリーズはGoogle Nestへと名称がアップデートされつつある。

TechCrunchはイベントにチームを送り、新型デバイスについてのニュースやハンズオンをお届けする予定だ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

シェアリング事業でない電動キックボードに存在意義はあるのか

Makuakeで先行発売中の「Kintone α GO」

日本ではLuupやmobby ride、mymerit、加えて海外のキープレイヤーであるLimeやBirdなどのスタートアップが、実証実験などを通じて電動キックボードのシェアリング事業の本格的な社会実装を目指している。

だが、この国には「所有」から「共有」へのシフトという国際的なトレンドを逆行するプレイヤーも存在する。Makuakeで「Kintone α GO」の先行販売を開始したKintoneだ。

Kintone α GOは電動キックボードに国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動付自転車登録を可能に。そうすることで、日本の公道を走行できるようにした。

一方でシェアリング事業の展開を目指す各社は現在、サービス提供の開始を目指し、超保守的とも言えるほど街や自治体との連携体制を重要視している。電動キックボードは海外では事故に関する報道なども目立つため、慎重に話を進めなければ満たすべきニーズも満たせなくなってしまうからだ。

Luupは4月、浜松市、奈良市、四日市市、多摩市、横瀬町との連携協定を締結した際に、「まずは電動キックボードの安全性や利便性の検証のために実証実験を行って参ります」とプレスリリースに綴った。LimeとBirdは「国家戦略区特区制度」を活用し電動キックボードの普及を加速できないかと考える福岡市で実証実験を行い、同市でのサービスインを目指し奮闘中だ。

KintoneのMakuakeのプロジェクトは、同社いわく開始から約30分で目標金額の50万円に到達。10月15日現在、「集まっている金額」は1200万円を超えているなど、注目を集めているのは確かだ。マイクロモビリティ推進協議会の会長も務めるLuup代表の岡井大輝氏は9月10日のプレスリリースで「電動キックボードは、世界で普及が進む一方で、日本の社会においてどういった形での実装が最も安全で望ましいのかが分かっていない状況です」と述べているが、単に公道での走行を可能にしたKintoneの電動キックボードは、果たして社会からの理解や市民権は得られるのだろうか。

そして、以前にTechCrunch Japanの取材に応じたLimeCEOBrad Baoは、同社の電動キックボード事業はシェアリングモデルである点がキモであり、所有せずに必要な時にいつでもアプリから機体を探すことができるという利便性がユーザーに愛されており、事業の急成長に繋がっていると説明した。Kintoneは「世界のスタンダードになっている『新しい移動の体験』を提供したいと考え、道路交通法に適合したモデルの開発に至りました」としている。電動であるがゆえにエコであり短距離移動を便利にするマイクロモビリティのソリューションであるという点は他社と変わりないが、もし重さ10kgだというKintone α GOを常備するユーザーが増えたとしても、「世界のスタンダードになっている」電動キックボードのシェアリング事業の本格的な展開は日本ではまだ先の話だ。

VisaやStripe、eBayなどのLibraメンバーが離反、Facebookがいまやるべきことは?

Visa、Stripe、eBayなどが、Facebook(Facebook)率いる暗号通貨Libra Association(Libra協会)から離脱したことにより戦略的コストが発生している。これらの企業は単に名簿から名前を消しただけではない。各社はLibraをより便利にし、広く普及させ、または評判を高めてくれるはずだった。しかし今では、Libraのローンチや成長の障害になる恐れがある。

Libraとの関わりばかりでなく、その他の事業についても規制当局から取り調べを受けることを恐れて各社少なくとも今のところは手を引いた。この中のどの企業も、Libraの自社製品への統合を確約せず、後に統合する可能性があるとだけ話していた。だが、これらの企業の撤退により計画の未来には暗雲が立ち込め、Facebookは心変わりによるダメージを受け止める立場に残されることとなった。

ここに、Libra協会を離脱したメンバーが、もともと何をもたらすはずだったか、そしてその離脱によってどんな困難が生じるかを列記する。さらに離脱企業が増えれば、その都度報告する予定だ(更新:2019年10月14日、情報提供Bookings Holdings)。

Visa

もっとも広く受け入れられている決済手段のひとつであるVisaは、Libraをあらゆるものの支払いに使用できるようにしてくれることになっていた。金融業界でもっとも権威あるブランドでもあるため、この計画に多大な信用を与えてくれるはずだった。Visaの撤退で、Libraは単なる決済事業に割り込んできたハイテク企業とみなされるようになり、もしLibraに問題が起きれば、その素早い動きと破壊的なアプローチが金融業界に荒廃をもたらすという恐怖を振りまくことになる。さらに、Visaの撤退は、実店舗でのLibraの存在感をずっと薄くしてしまう恐れもある。価値が認められず、使い道も限られた暗号通貨など誰が使いたがるだろうか。

Mastercard

VisaとともにMastercardが加わったことで、既存の大手企業が最新テクノロジーを受け入れたという印象を与えてくれることになっていた。これが暗号通貨への恐怖心を和らげ、暗号通貨は今後は必須の存在になるという雰囲気を醸成するはずだった。 Mastercardはまた、Libraがいずれは支払いに使われるであろう場所の大きなネットワークを提供してくれるはずでもあっt。それが今は、MastercardとVisaは、その決済システムを時代遅れにし、ブロックチェーンにより取引手数料を廃止するというLibraに対して、共同して積極的に抵抗する立場となった。Libraの最大の同胞が、最大の敵になってしまったのだ。

PayPal

Facebookは規制当局に対して、LibraのウォレットはCalibraアプリとMessengerとWhatsAppへの統合だけではないと、PayPalを示唆して繰り返し伝えてきた。FacebookのLibra代表であるDavid Marcus(デイビッド・マーカス)氏は、自身が所有するCalibraを通じてソーシャルネットワークの強大な力をLibraに投入するのではないかと議会で尋ねられたときにこう答えていた。「PayPalなどの企業もあります。これらはもちろん、協力関係にありますが、競争相手でもあります」。

今やFacebookは、LibraのウォレットとしてCalibraもMessengerWhatsAppも信用できないという人たちに、それに代わる相応の決済方法を提示できなくなった。Libra協会はまた、Libraを受け入れていたPayPalのオンライン小売商の巨大なネットワークと、Venmoとの統合によるピアツーピア送金への参入も逃してしまった。PayPalは、主力となる一般大衆にオンライン決済の信頼性を確信させたサービスだ。それはFacebookがどうしても手に入れたかった種類の信頼だ。マーカスはPayPalの元社長であるにも関わらず、PayPalを引き留めることができなかった。そのことが、連帯関係の構築における協会の技量に不安を抱かせる結果となった。

Stripe

Stripeは、電子商取引業者の絶大な人気を誇り、そのためLibra協会の貴重なメンバーとなっていた。PayPalとともに、Stripeは中国以外での電子商取引の大きな部分の円滑化に貢献している。統合が簡単なため開発者から高い支持を受け、FacebookもLibraの上に位置するものと期待していた。Stripeの離脱により、Libra定着に寄与するはずだったフィンテック系スタートアップのエコシステムにつながる、決定的な意味を持つ橋が破壊されてしまった。これでLibra協会は、Stripeの助けなしに決済ウィジェットを一から自分で開発しなければならなくなった。それがローンチされたとしても、Libraの受け入れは遅れることになる。

これらの決済処理業者が逃げ出したのには、明らかな理由がある。Brian Schatz(ブライアン・シャーツ、民主党ハワイ州選出)とSherrod Brown(シェロッド・ブラウン、民主党オハイオ州選出)の両上院議員は先週、Visa、 Mastercard、Stripeの各CEOに書簡を送り「もしそれを受け入れるなら、貴社は規制当局からLibra関連事業のみならず、その他の決済事業についても高度な調査を受けることになる」と伝えたのが原因だ。

eBay

最も歴史ある電子商取引企業のひとつであるeBayは、Libraなら信用のない見知らぬ相手とでも、高価な仲介人を雇うことなく取引が行えるという信念を持っていた。同社には、西側諸国でAmazonと並ぶそのトップクラスのオンラインマーケットプレイスの運営にLibraを活用する可能性があった。eBayのような目的地を失えば、平均的なネチズンは、取引手数料を取らないLibraの可能性に接する機会から遠のくことになる。

Mercado Pago

Libra協会の中ではあまり名前が知られていない企業だが、Mercado Pagoは小売業者が支払いを電子メールまたは分割で受け取れるようにするサービスだ。金融機関と縁遠い人たち同士を結びつけるという考え方は、なぜLibraが必要かを説明するFacebookの売り文句の中核的なアイデアでもある。そのような人々に具体的にどのように貢献するかについて、Libra協会は詳細を語ってこなかったが、Mercado Pagoのようなパートナーに頼って後に説明がなされるはずだった。Mercado Pagoが離脱したことで、Libraは経済的に恵まれない人々の支援という大義を失い、単に金融業界の支配権が欲しいだけの存在と見られるようになってしまう。

Bookings Holdings

Booking.com、Kayak、Pricelineといったパートナーたちは、旅行の予約という大きな購買カテゴリーでの取引手数料の廃止をLibraで実現することになっていた。そこは、一度に数百から数千ドルの買い物がクレジットカードで行われる世界だ。そこでLibraは、Booking傘下の企業に競合他社よりも安い価格を提示できる強力な決済方法になるはずだった。eBayと並ぶ最も人気の高い大きなショッピングカートであるLibraの電子商取引パートナーが抜けてしまった。それにより、面倒でもLibraを採用すべき価値をユーザーに示すのが難しくなる。

残っているのは?

米国時間10月14日、Libra協会の残りのメンバーが最初の正式メンバーを決める目的で集合する。さらに、理事を選出し、計画を規定する憲章を立ち上げる。これが、上に示した企業の撤退を促した。これが、Libraとの深い関係を決定してしまう前に抜け出す最後のチャンスだったからだ。

上院銀行・住宅・都市問題委員会「Facebookが提唱するデジタル通貨およびデータ・プライバシーへの配慮に関する調査」公聴会で質問を待つFacebookのCalibraデジタル・ウォレット・サービス代表デイビッド・マーカス氏(写真:Bill Clark/CQ Roll Call)

残っているのは、ベンチャー投資企業、ライドシェア企業、非営利団体、暗号通貨企業だ。これらは、現状の決済処理事業とは、あまり深い関わりを持たない企業であるため失うものも少ない。ブロックチェーンに特化した企業は、Visaのような金融大手がLibraを承認してくれることに期待し、業界全体で正当化されることを望んでいた。

関連記事:Libraをドルに固定すれば規制当局は安心するとa16zが提案(未訳)


これらのパートナーたちは、Libraエコシステムの開発資金を提供し、日常の使用事例を重ね、発展途上国にそのシステムを普及させて、Libraと暗号通貨企業との同盟関係化を推し進めるだろう。経済を一方的に破壊する者と見られないようにするには、Facebookはこれらの企業をなんとしてもつなぎ止めておかなければならない。

Libraを実際にローンチさせるには、Facebookは大幅な譲歩と初期バージョンからの転換を余儀なくされる。さもなければ、もしこのまま規制当局との衝突を続けた場合、さらにメンバーが抜けていくことになる。Libra協会のメンバーであるAndreessen Horowitz(アンドレッセン・ホロウィッツ)が運営するベンチャーファンドのa16z Crypto(エイシックスティーンズィー・クリプト)のパートナーを務めるChris Dixon(クリス・ディクソン)氏が打ち出した選択肢は、Libraを国際通貨のバスケットにするのではなく、米ドル建てにするというものだ。これなら、Libraがドルと直接競合するという恐怖心を軽減できる。

Facebookは、その理想の暗号通貨を旅立たせることができないということがはっきりした。100件のスキャンダルに反撃されるのは有名税だ。今、Facebookが目指すべきは、水で薄めたバージョンのLibraをローンチして、それが本当に銀行口座を持てない人たちの助けになることを証明し、彼らの行いが善意によるものだと規制当局にわかってもらうことだ。

[原文]

(翻訳:金井哲夫)

サムスンがAndroid 10 One UIのベータ版を公開

予定していた10月初旬のリリースを延期した後、Samsung(サムスン)はAndroid 10で動作するOne UIのベータ版を配信した。Androidのスキンに相当するバージョン2.0は、最初のバージョンのベータ版(2018年11月にリリース)からわずか1年足らず後に登場した。そのコンセプトは初期バージョンに逆行するもので、Google(グーグル)のオペレーティングシステムをよりシンプルにしようとしている。

メーカー各社がAndroidに独自カスタムをほどそうとしているのは、たとえ時に見当違いだとしても、理解できる。Samsungの最初のOne UIの狙いは、ソフトウェアとハードウェアが完璧な調和で協力し、動作することだ。

One UIは主にこの分野で成功している。そして当然ながら、サムスンはそのロールアウトに慎重で、Android 10のリリース前に、再度パブリックベータ版の配信を選択している。「いくらかの」米国のGalaxy S10の所有者は、米国時間10月14日からパブリックベータプログラムにサインアップできる。なお、正式リリースは「数カ月後」に予定されている。つまり、多くのGalaxyスマートフォンからフィードバックを集めようとしているのだ。

サムスンによると、新機能は次のとおりだ。

  • 新しくよりスマートなアニメーションアイコンのレイアウトと、エッジライティングの改善
  • コンテンツ表示時に画面の明るさを下げ、バッテリー消費を節約する拡張ダークモード
  • 小型化したポップアップ、埋め込み式の読み込みインジケータ、必要なボタンのみの表示機能
  • アプリケーションを一時停止するフォーカスモード

サムスンのブログには、詳細な情報が掲載されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」が発売直後に製造停止へ

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は、同社初の電動モーターサイクル「LiveWire」に仕様とは異なる点を発見されたとして製造を停止した。

同社は、すでに出荷されたLiveWireをリコールすることはないとTechCrunchに語った。同社が製造と出荷を中止したことはReuters(ロイター)が最初に報じた。

「最近の最終品質検査で仕様とは異なる点が発見されたため、製造と販売を保留し、追加のテストと分析を開始して順調に進めている」とハーレーダビッドソンが声明で語った。

「当社のLiveWireディーラーおよび顧客とは密な連絡を取っており、今後もモーターサイクルに乗り続けられることを伝えた。高品質を維持することは常にわれわれの最優先事項だ」。いつ製造、販売を再開できるのか、あるいは異常状態に関する詳細情報についてハーレーダビッドソンは発信していない。

製造中止は同社の電動化推進を脅かすものだ。2万9799ドル(325万円)、105馬力の電動モーターサイクルは、将来モーターサイクルから自転車、スクーターへと広がる同社のEVラインアップの先陣を切る。

LiveWireは数年前からの情報やコンセプト車両のデモンストレーションのあと、2019年に製造開始された。ディーラーへの配車は9月27日から始まった。

LiveWireとそれに続くEV製品群は、ハーレーダビッドソン伝統の内燃式クルーザー・モータ位サイクルを補完するものであり、置き換えるものではない。

関連記事:LiveWireで考えるハーレー・ダビッドソンの電動シフト

景気後退以来、米国でのモーターサイクルの新車販売は40歳以下の顧客では特に不調が続いている。 同社の売上は過去10年間下降している。同社の電動モーターサイクルへのシフトは、忠実なガソリンモーターサイクル顧客を維持しつつミレニアルやオンデマンドモビリティー市場にアピールする製品を作ろうというハーレーダビッドソンの賭けだ。

これで米国を象徴するモーターサイクル会社は、Zeroを始めとする数多い電動バイクスタートアップとの戦いに遅れを取ることなく、既存モーターサイクル会社の中でEVのリーダーとして前進することができる。しかし、今回の製造中止はその戦略を阻むことになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

東京五輪までに1000室の民泊の新規開業を目指すmatsuri technologiesが5.8億円の資金調達

2020年には東京オリンピックが開催され、目標とされている訪日外国人の数は約4000万人。だがみずほ総合研究所の試算によると、オリンピック開催中の8月には最大1万3700室程度の宿泊施設不足が発生する。ホテルやホテル従業員の深刻な不足が騒がれる中、それらの課題を民泊と不動産テックという切り口での解決を目指しているのがmatsuri technologiesだ。

2016年8月設立のmatsuri technologiesは民泊の管理・運用関連のソフトウェア「m2m」シリーズなどを提供すると同時に、前回の調達時に発表しているとおり、ファンドクリエイションと民泊マンスリーファンドを立ち上げ、すでに300室以上を借りている状況だ。そんな同社は10月14日、グロービス・キャピタル・パートナーズや朝日プランニングなどから合計で5.8億円の資金調達をシリーズBラウンドで実施したことを発表した。

matsuri technologies代表の吉田圭汰氏は「今回調達した資金を元に物件借り上げを促進する予定だ」と話す。より具体的には、2020年8月までに1000室の民泊の新規開業を目指すという。加えて、同社は民泊管理ソフトウェアを改善し、採用を強化する予定だ。

これまでに170万人以上の訪日旅行客の宿泊をソフトウェアを通じてサポートしてきたというmatsuri technologiesは「観光庁によると訪日旅行客の約6割は世帯年収500万円以下、特に低価格帯の宿泊施設に対するニーズが強くなっている傾向がある。2018年に施行された新しい法律『住宅宿泊事業法』によって、住宅を改装し、宿泊施設として合法的に提供できるようになった民泊は、時代の流れにマッチした宿泊施設の一形態だと考えている」と説明している。

GoogleはTitanセキュリティキーのUSB-C版を発売へ

 画像クレジット:Google

Google(グーグル)は、USB-Cポートに直接接続可能な最新のTitanセキュリティキーを発表した。

Titanキーの最新版は、この市場でのライバル関係にあるYubico(ユビコ)が、USB-CとLightningポートのいずれでも使えるキーを発売してから数週間後の発表となった。実はYubicoは、Googleのセキュリティキーの製造元でもあり、USB-C専用のキーはほぼ2年前に発売している。

こうしたセキュリティキーは、フィッシング詐欺から国家規模の攻撃に至るまでオンラインアカウントに対するさまざまな脅威に対して、ほぼ完璧なセキュリティを提供する。アカウントにログインする際に、デバイスにキーを差し込むことで認証できるようになる。ほとんどの人は、セキュリティキーなど必要ないだろう。しかし、敵対する国によって頻繁に攻撃の標的とされるようなジャーナリスト、政治家、活動家など、特にリスクの高いユーザーには有効だ。

Googleが独自に調べたところによると、スマホにテキストメッセージを送信するといったほかの手法に比べて、セキュリティキーはずっと強力だという。

Coinbase、Dropbox、Facebook、Twitter、そしてもちろんGoogleなど、多くの企業は、セキュリティキーをサポートしている。こうした企業の数は膨大なものではないが、セキュリティキーの利用が増えるにつれて、サポートする企業の数も増え続けている。

Googleによれば、Titanの最新版は米国時間の10月15日から、40ドル(約4330円)で販売を開始するという。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

WeWorkがホルムアルデヒド発生で電話ボックス1600室を閉鎖

コワーキングの最大手で、かつては評価額が470億ドル(約5090億円)だったこともあるWeWorkは、上場中止やCEO辞任といったトラブルに続き新たな問題に直面している。

問題は米国とカナダでWeWorkのコワーキングスペースを利用しているユーザーに影響を与えるものだ。10月14日に同社は、WeWorkのスペースに設置された約1600室の電話ボックスで基準値を越えるホルムアルデヒドが検出されたと発表した。

電話ボックスの製造メーカーの責任だとWeWorkは表明している。問題の電話ボックスは、共有スペースが満杯のときに人に聞かれずに電話ができる場所として提供されている。

「利用者から異臭や目がひりひりするなどの連絡を受け、WeWorkは分析を行い、外部コンサルタントによるさまざまな試験を実施した。先週遅くに結果を受け取った後、影響を受ける可能性のある電話ボックスをすべて利用中止とした」と同社がメンバー宛てのメールに書いた。どのボックスが安全かを知りたいメンバーは、WeWorkの各ロケーションに連絡するよう同社はコメントしているWeWorkは、代わりに利用できる場所として会議室や未使用のオフィススペースなどを提供する予定とのこと。

ホルムアルデヒドは建造物のさまざまな材料に使われている薬品で、「高濃度のホルムアルデヒドを短時間吸入すると鼻、喉、呼吸器系に一時的な炎症が起き、咳や息切れを伴うこともある。こうした症状は一過性であることが多く、ホルムアルデヒドの発生源を除去することで鎮静されるのが普通だ」とWeWorkのメールに書かれている。「高濃度のホルムアルデヒドに長期間露出すると発がんの恐れがある。詳細情報は労働安全衛生局のFAQで読むことができる」。

メールには、健康に不安のあるWeWorkのメンバーは医者の診察を受けることが推奨されている。TechCrunchにメールをくれたある情報提供者は「焼けるような目の痛み」を経験したと訴え、
チームの他のメンバーも同じ問題を経験したと言っていた。WeWorkのスペースのうち問題の起きている場所がいくつかあるのかは現時点でわかっていない。

WeWorkは一部の電話ボックスが「数カ月間」設置されていたというだけで、メンバーがどれだけの期間、高濃度のホルムアルデヒドに接していたかの詳細情報は提供していない。「影響を与える可能性のあるボックスは過去数カ月間に設置されたが、正確な時期は場所によって異なる」とWeWorkは書いている。

また、ホルムアルデヒドへの露出レベルは、当然電話ボックスの利用頻度によって異なる。米国以外のWeWorkスペースがこの問題の影響を受けているかどうかについて質問したが、回答はまだ得られていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Huluが4KコンテンツをXbox OneやAmazon Fire TVなどにも提供へ

Huluは今夏、4Kコンテンツの提供を再開した。しかし2018年には、ほかのことを優先して4Kを引っ込めてしまった。そのときの4KコンテンツはApple TV 4KとChromecast Ultraだけでしか見られなかった。しかし米国時間10月14日からはXboxOneがサポートされ、Amazon Fire TVとLG WebOSにもまもなく対応する。同社によると、サポート対象デバイスは近日中にもっと増えるそうだ。

Huluが初めて4Kコンテンツを提供したのは2016年の12月だったが、その2年前にはNetflixAmazon Prime Video4K配信を始めている。Huluは4Kにあまり熱心でなかったと言えるが、内容もジェームズ・ボンドの映画とHuluのオリジナルが少々あるだけで寂しかった。そして、その後止めてしまった。

今回のHuluの4Kはオリジナル優先で、「The First」「Castle Rock」「Catch-22」などがある。同社のFAQによると、オリジナルの多くは4K Ultra HDで提供され、16Mbpsでストリーミングされる。

対照的に、オリジナルに積極的に投資しているNetflixには大きなライブラリがあり、それらは4Kで撮られることがここ数年は多くなっている。Amazon Prime Videoにも同社のオリジナルが4Kであり、ほかにライセンスされている映画が50本ぐらいある。

ただし、Netfliで4Kを観るには月額15.99ドルのプレミアムプランに入会する必要がある。一方.Huluの4Kはアカウントのアップグレードが要らない。

4Kコンテンツを見る方法はほかにもたくさんあり、iTunesやGoogle Play Movies&TVが代表的だが、後者は4Kの有料提供を2016年に始めている。Rokuのメニューにも4Kの欄がある。Apple TV+のオリジナルも11月のローンチ以降、4K HDRとDolby Atmosで見られる。Disney+は、追加料金なしの4Kを約束している。また、Vudu、YouTube、FandangoNow、fuboTV、などにも4Kコンテンツがある。

でも4Kがないことは消費者にとって重要な欠点ではないから、Huluの業績は伸びている。米国の定期サービス加入者の数は2018年から12%も増えて、今年4月には2800万人に達した。今後、Disneyのメニューに含まれたら、成長がさらに加速するだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ポルシェが完全電動車の低価格モデル「Tycan 4S」を発表

Porsche(ポルシェ)が同社で3番目の完全電動自動車「Taycan 4S」(タイカン4S)を米国時間10月14日に発表した。

Taycan 4Sには「パフォーマンス・バッテリー・プラス」(performance-battery-plus)オプションがあり、外観は9月に発表されたTaycan Turbo 2とよく似ている。実際、Taycan 4Sを含め同シリーズはいずれも同じシャシーとサスペンション、永久磁石同期モータなどを使用している。しかし今回の車種は、やや軽量かつ低価格で、わずか7週間前に発表されたTaycanのハイエンドモデルより少し遅い。

ポルシェは以前からTaycanには複数のバージョンを作ると言ってきた。今年9月、同社は10億ドルの初期投資の成果として、全電動4ドアスポーツカーの上位車種であるTaycan Turbo SおよびTaycan Turboをそれぞれ18万5000ドル(約2000万円)と15万900ドル(約1630万円)で発表した。それに対して、Taycan 4Sのベースモデルは最上位モデルより8万ドル安い。

Taycan 4Sのバッテリーサイズは2種類ある。標準モデルは10万3800ドル(約1120万円)からで、79.2 kWhバッテリーパックと429馬力(320kW)を生み出す電動モーター2台を備える。ランチコントロールを有効にすると522馬力(384kW)に上がる。

Taycan 4Sのパフォーマンス・バッテリー・プラスのオプションを装備した場合は価格が11万380ドル(約1200万円)となり、93.4 kWhのバッテリーとデュアル電動モーターが最大563馬力(420kW)を生み出す。いずれの4Sモデルも最高速度は155mph(250km/h)で、0~60mph(96km/h)を3.8秒で走る。Taycan 4Sは2020年春に米国ディーラーに届く予定だ。

4Sの性能は、最も強力なTaycanで616馬力(ランチコントロール有効時は751馬力)のTurbl Sとは比較にならない。Turbo Sの最大トルクは774ポンド・フィート(107.01kgf·m)、0~60mph加速は2.6秒。当然価格もTurbo Sのほうが高く18万5000ドル(約2000万円)からだ。

ポルシェはいずれのTycan Turbo車についてもまだEPA予測航続距離を発表していない。欧州WLTP基準の1回充電当たりの予測航続距離は、Turbo Sで256マイル(約412km)、Turboで280マイル(約450km)となっている。

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関連記事:ポルシェのEVTycan」とテスラ「Model S」をスペックで比較

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UberがEatsや自動運転部門で新たに350人解雇

Uberは、社内のさまざまな部門で計350人ほどを解雇した。これは今年初めに始まった一連のプロセスにおける3度目にして最後の解雇となると、CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は米国時間10月14日、従業員に宛てた電子メールに書いている。TechCrunchが入手した電子メールの全文は記事末のとおりだ。解雇の対象となったのはEats、パフォーマンスマーケティング、高度テクノロジーグループ、人材採用、そしてグローバルライドとプラットフォーム部門内のさまざまなチーム。また、一部の社員は配置転換が打診された。

「今日のような日は私たち全員にとってタフなものだ。今後このような日がないよう、できる限りのことをするつもりだ」とコスロシャヒ氏は書いている。「我々は皆、どのように働くか新たな常態を確立することで、それぞれの役割を果たす必要がある。その新たな常態の確立とは、業務の重複を特定してなくし、パフォーマンスを高い水準で維持し、また目標を達成できなかったとき直接的なフィードバックを提供して行動に移すこと、社内で増えつつある煩雑な手続きをなくすことだ」。

Uberの広報がTechCrunchに語ったところによると、解雇者数は全部で社全体の1%にあたるとのことだ。今回の解雇は、Uberがマーケティングチームの400人を解雇して3カ月もしないうちに、そしてプロダクトとエンジニアリングの部門で435人を解雇して1カ月もしなうちに行われた。これでUberの大半の部門で解雇が行われたことになる。

自動運転部門においては、今年初めに独立部門としてスピンアウトして以来、今回が初の解雇となる。Uberは以前、この部門が1200人超で構成されていると語っていて、広報によると、今回の解雇後でも1200人超を抱えているとのことだ。4月に行われたATGの10億ドル(約1080億円)の資金調達に基づくと、自動車運転部門のバリュエーションはポストマネーベースで72億5000万ドル(約7860億円)だ。

今回の解雇の70%超が米国とカナダの従業員で、残りはAPAC、ラテンアメリカ、EMEA(ヨーロッパ、中東アフリカ)の従業員となる。

TechCrunchが以前報じたように、こうした解雇はコスロシャヒ氏が各部門の責任者に、それぞれの組織をゼロから見直すよう求めた結果だ。

「ご存知のように過去数カ月、部門の責任者たちは今後数年間で成功できるような体制になっているか注意深く見直した」とコスロシャヒ氏は従業員向けに書いている。「この結果は厳しいものになったが、正しい人材が正しいロケーションで正しい任務につくようにするために必要な変化だ。これこそが、常にトップパフォーマンスを追求できるようにする」。

2019年第2四半期、Uberは50億ドル(約5400億円)超の赤字だった。四半期の赤字額としてはこれまでで最大で、赤字の大半は同社が5月に行なったIPOに伴う従業員への株ベースの保障によるものだ。

Uberの事業の他部門では、いまだに1099人が独立契約者のままでいるドライバーの保障に引き続き投資している。LyftDoorDashと同様、Uberもすでにドライバーを独立契約者として位置付けられるようにする2020年投票イニシアチブに3000万ドル(約33億円)を投じている。ギグワーカー保護法案AB-5がカリフォルニア州の上院を通過したことについて、Uberの法務責任者Tony West(トニー・ウェスト)氏は同社がさならる資金をキャンペーンイニシアチブに投入することを明らかにした。カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事は法案に署名していて、新法は2020年1月1日に発効する。

ウェスト氏は「Uberがテストをパスし、ドライバーが正しく分類されていることを証明することになると信じている」と語ったが、もしこのテストに失敗すれば経済的打撃を受けることになる。ウェスト氏はその影響がどのようなものになるかコメントしなかったものの、産業アナリストはドライバー分類の変更はコスト30%増になるかもしれないと予測する。

Uberは第3四半期決算を11月4日に発表する予定だ。同社の株は現在31.26ドルで取引されていて、IPO価格45ドルを下回っている。

「Stronger moving forward(さらに力強い前進)というタイトルのコスロシャヒ氏の電子メール全文は以下の通りだ。

Uberチームへ、

ご存知のとおり過去数カ月、責任者たちは今後数年間で成功できるような体制になっているか注意深く見直した。この結果は厳しいものになったが、正しい人材が正しいロケーションで正しい任務につくようにするために必要な変化だ。これこそが、常にトップパフォーマンスを追求できるようにする。

数カ月前にマーケティングチームで始まり、直近ではプロダクト、エンジニアリングのチームであった一連の解雇は今日で最後だ。今回はATG、Eats、グローバルライドとプラットフォーム、パフォーマンスマーケティング、人材採用の部門が対象となった。この解雇に伴い、一部の従業員には配置転換が打診され、350人が社を去る」。

今日のような日は私たち全員にとってタフなものだ。ELTと私は今後、このような日がないよう、できる限りのことをするつもりだ。我々はみな、どのように働くか新たな常態を確立することで、それぞれの役割を果たす必要がある。その新たな常態の確立とは、業務の重複を特定してなくし、パフォーマンスを高い水準で維持し、また目標を達成できなかったとき直接的なフィードバックを提供して行動に移すこと、社内で増えつつある煩雑な手続きをなくすことだ。

我々は、世界で最も野心的でイノベーティブな企業の1社であるばかりでなく、最も回復力のある1社でもあることを証明してきた。我々は常に困難な時期を乗り越えてきていて、これが社をより良いものに、そして強いものにしている。これは明日にも、明日以降にも言えることだ。

いつものことだが、明日(米国時間10月15日)全社会議を行い、質疑応答に大半の時間を割く。質問があればslidoに投げてほしい。

目を前に向け、基礎固めに戻る。

ダラ

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

“アクション促す動画”で動画マーケに変革を、インタラクティブ動画編集SaaSのMILが1.3億円を調達

SaaS型のインタラクティブ動画編集プラットフォーム「MIL」を提供するMILは10月15日、SMBCベンチャーキャピタル、マイナビ、フォーイットを引受先とした第三者割当増資により、約1.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社にとっては昨年8月に融資も含めて総額8000万円を調達して以来、約1年2ヶ月振り。今回集めた資金を活用してプロダクトの機能強化や新アプリの開発、アドネットワークなど配信面の拡張を進めるとともに、人員体制の強化に取り組む。

動画をインタラクティブにすることで一歩進んだ視聴体験を

MILはPRやマーケティングに活用する動画を簡単に“インタラクティブな動画”へと変換できる編集ツールだ。大雑把に言うと「動画内にタグを埋め込むことで、視聴者に何らかのアクションを促す」動画を簡単に作れる。

たとえば動画に映っているコスメや服をクリックすると商品詳細がポップアップ形式で表示されるようにしたり(購入ページへ誘導することもできる)、採用PR用の動画にでてくる社員をクリックするとその人にフォーカスした別の紹介動画に遷移するような仕掛けを作ったり。一般的な動画のようにただ再生してもらうだけではなく、視聴者に行動を促すことで一歩進んだ体験を提供できる点が特徴だ。

Webメディアの記事中にインタラクティブ動画を差し込んだ事例。動画内で子どもが着ている服にタグを付けておき、視聴者がクリックすると商品の概要がポップアップで表示されるようにしている。「詳しく見る」をクリックするとECサイトの商品ページへ遷移する

使い方としては、まずベースとなる素材動画を用意した上でMILの管理画面からタグを付けたい場面と該当箇所を選択し、ポップアップの作成など視聴者が実際にクリック(タップ)した際に起こる変化を設定していく。

用途はポップアップで詳細を表示するだけにとどまらない。ユーザーの選択によってその後のストーリーが異なる「ストーリー分岐」の仕掛けを取り入れることもできるし、動画内にアンケートや応募フォームを設置したり、電話番号をタップすればそのまま電話できる「電話リンク」を埋め込むことも可能だ。

レシピ動画×ストーリー分岐の事例。「豚肉」「鶏肉」「牛肉」の3つの選択肢が提示され、ユーザーが何を選ぶかで次に表示されるレシピが変わる

動画マーケティングで効果的なPDCAを回せる仕組みを確立

純粋な動画をインタラクティブ動画にすることで何が変わるのか。MIL代表取締役の光岡敦氏は「動画マーケティングにおいて効果的にPDCAを回せるようになることで、コンバージョン(CV)の増加が期待できる」と言う。

動画をインタラクティブ化することで視聴数や視聴完了率といったデータはもちろん、視聴者がどのリンクをクリックしたのか、最終的にCVに至った視聴者はどんな行動をとっていたのか(どの導線がCVに貢献したのか)といった数値も浮かび上がってくる。

現在MILでは動画アドネットワークとの連携を通じて、自社サイトだけでなく「外部の面」にインタラクティブ動画を配信できるような動きを強化しているところ。これによって媒体ごとに「このメディアのユーザーは積極的にアクションしている」といった結果もわかるという。

インタラクティブ動画の場合、改善の仕方は大きく2パターン。元となる動画クリエイティブ自体を変えるほか、同じ動画を基にMILを使ってタップできる場所を増やしたり、表示される内容を調整することで「WebサイトのABテスト」のような感覚で効果検証を重ねることができる。

「動画は取得できる数値がかなり限られているため、これまで振り返りが難しく結果的に納品ゴールになりがちだった。MILを使うことでちゃんと振り返りができて次の施策に活かせたり、施策を試している中でレポートの結果をみながらスピーディーにアウトプットを変えたりもできる。この点はこれまでの動画マーケティングでは実現できなかったことであり、顧客からも評判がいい」(光岡氏)

光岡氏によると、これまでは採用や商品のPR(動画コマースの文脈)での利用が特に多いそう。2017年12月のリリースから2年弱、2019年9月末時点で登録アカウント社数は433社、インタラクティブ化された動画は累計1200本を超える。

現在は月額3万円からの定額モデルで提供。8月からは1000視聴まで無料で外部公開ができるトライアルプランも始めた。

今後は今回新たに株主になったマイナビとは採用領域を中心に、フォーイットとはアフィリエイト領域で連携しながら事業を強化する計画。「(この市場では)ある程度リソースをかければ伸びることがわかってきているので、インタラクティブ動画の市場を一緒に作っていきたい」(光岡氏)という。

そのほかプロダクトの機能強化に加えてコンシューマー向けのアプリ(広く一般層向けにというよりは、インフルエンサーやアフィリエイター向けとのこと)の開発なども進める予定。中朝的にはMAツールを始め外部サービスとの連携などにも取り組むことで、MILをハブにインタラクティブ動画を通じて実現できることを広げていく方針だ。

インフルエンサーの“個人ブランド”が主流の時代へ 、D2C基盤「picki」が5つのファッションブランドを公開

「これからは個人が立ち上げたパーソナルブランドが主流になる」

そう話すのはインフルエンサーのファッションブランド作りを支援するD2Cプラットフォーム「picki」を手がけるpicki代表取締役の鈴木昭広氏だ。

同社では服作りやブランド作りのノウハウを持っていない個人でも自身のブランドを作れるように、企画から生産、物流までの工程を全面的に支援するサービスを手がける。鈴木氏の表現を借りれば「出版社が企画段階から入って作家をプロデュースするように、ブランドの企画段階から入ってインフルエンサーをプロデュースする」のがpickiの役割だ。

そのpickiは10月15日より、人気インフルエンサーが手がける5つのファッションブランドを順次リリースする。

インフルエンサーの個人ブランド作りを全面バックアップ

今回pickiが発表したのは2019年秋冬物シーズンにリリースする5ブランド。バチュラーのシーズン3に出演する中川ゆり氏を始め、田島ひかる氏、佐々木ののか氏、Rinkarin氏、anna氏の5名が各々のファッションブランドを開設する。pickiにとっても本格的なブランドのリリースは今回が初めてだ。

pickiは冒頭でも触れた通り、インフルエンサーのもの作りに伴走するプラットフォーム。社内にデザイナーを始めとしたプロフェッショナルを抱えるとともに、パートナー工場や生地店とのネットワークを活用することで商品の「企画、生産、販売、発送」をトータルでプロデュースする。

従来のアパレル産業では分業体制が進んでいたため、消費者の手に商品が届くまでの工程を複数のプレイヤーが分担していた。一方「D2Cプラットフォーム」を謳うpickiではその中間に位置していた商社やメーカー、卸売、小売店の業務をまるっと担い、消費者に直接商品を届ける。中間業者が減ればマージンも減るため、その分だけ利益率も高くなりインフルエンサーの取り分も増える構造だ。

創業者の鈴木氏は、pickiを始める前に韓国や日本でアパレルOEM会社を経営していた人物。その後「世界に挑戦できるような事業をやりたい」という思いから、約1年半の間に世界50ヶ国以上を回ったそうだ。

「海外では日本のものづくりに対する評価が高かったことに加え、ちょうどアメリカでD2Cモデルのブランドが勢いを増していた。この領域なら自分でも挑戦できると考え、2017年に日本で再び会社を立ち上げた」(鈴木氏)

最初はアパレルOEMの経験も生かしD2Cブランドの立ち上げを下請けすることからスタート。いくつかの案件に携わる中で、特に伸びていたのがインフルエンサーが立ち上げた個人ブランドだ。

わずか1週間で1000万円規模の売上を記録するブランドがいくつか生まれたほか、世の中には年商で二桁億円規模に達するようなものも登場。そういった影響から最近ではインフルエンサーによるブランド立ち上げ事例がどんどん増加していっているという。

「これまでECで売れていたのはマス向けのものが中心だったが、近年はロングテールのエッジが効いたブランドがより売れるようになってきている。その中でアパレル企業のデザイナーが1人で何十ものデザインを考えてPDCAを回していくやり方よりも、コミュニティの中心にいる人が、熱狂的なファンに対して自らデザインした商品を届けていくスタイルが広がっていくのではないかと考えるようになった」(鈴木氏)

それならばインフルエンサーが自身でブランドを作ってしまえば良いと思う人もいるだろうけど、多くのインフルエンサーは服作りやブランド立ち上げのプロではない。そこでpickiのように全体をプロデュースできるプレイヤーが求められるわけだ。

国内でもインフルエンサーのブランド立ち上げをサポートする会社はいくつかあるものの、鈴木氏によると「実は韓国から買い付けてきた商品のタグを変えて販売しているケースも多い」そう。完全にオリジナルでこだわりのブランドを作れることはpickiのウリとなっている。

ブランド作りの過程をエンタメ化しファンを巻き込む

pickiで展開するような個人ブランドにおいては、いかにファンを巻き込み熱量の高いコミュニティを築けるかが1つのポイントになる。その上で鈴木氏が重要視しているのが「ブランドを作る一連の過程自体をエンタメ化すること」だ。

ブランド作りにかける思いをまとめた記事や制作過程を追った映像をInstagramを中心としたSNSやECサイトを通じて発信したり、生地や服の型、袖の色などに対するファンの意見を各工程ごとに募ったり。服作りのストーリーをファンと一緒に作っていくことで強固なコミュニティができるという。

「よく話しているのが『7割のサンプル』を作るということ。あえて3割の余白を残すことで、ファンの人たちが一緒にものづくりに参加できる隙間を設ける。たとえばサンプルの段階で試着会を開き、着心地やボタンの色や形のような細かいデザインに対してフィードバックをもらう。そうするとファンの人たちは『この服は自分が一緒にデザインした』と感じることができ、コミュニティに対して一層愛着がわく」(鈴木氏)

鈴木氏はこの仕組みがうまく機能することで「実際に売る前から商品が売れるモデル」が成立すると話していた。

もちろん個人を軸としたコミュニティから生まれたブランドには課題もある。そのコミュニティがよっぽどの影響力を持たない限り、そこまで大きな規模には育たないという点だ。

鈴木氏もそれが1つの欠点であるとした上で「30億円などの大規模なブランドではなく、年間で1億円〜数億円売れるブランドが作れればいい」と話す。

「季節ごとに複数の型数の商品を作れば、数百〜数千人のコミュニティでも年間1億円規模は十分に目指せる。自分たちの目標はそういったニッチなブランドを100個生み出すこと。どんどんブランドを作っていけばデータが蓄積され、この領域で日本で1番データを持っている会社になる。そうすればブランド間でナレッジを横展開したり、データに基づいてコミュニティを育てていくこともできる」

「ニッチでも尖っているブランドは海外にも需要があると考えている。売れてるものをコピーして同じような商品を作ったり、他国から仕入れてきたものを自社ブランドとして海外に展開していくのは難しい。自分たちがやらなきゃいけないのは日本発の尖ったブランドを立ち上げ続けることだ」(鈴木氏)

「ブランドメイクカンパニー」としてブランド開発を加速

左からGOコピーライター 飯塚政博氏、picki代表取締役 鈴木昭広氏、GO代表取締役 三浦崇宏氏

pickiでは今年5月にサイバーエージェント・キャピタル、Coral Capital 、VOYAGE VENTURES、コルクらから6000万円の資金調達を実施したことを発表していたが、今回新たにクリエイティブカンパニーのThe Breakthrough Company GOと資本業務提携を締結したことも明かしている。

株主との連携については、たとえばpickiで最初にインフルエンサーの原体験を聞き出す際に、コルク代表取締役会長の佐渡島庸平氏直伝の質問集が使われているそう。今後はそこにGOのナレッジもプラスしながら、ファッションブランドを立ち上げたいインフルエンサーを支援する「ブランドメイクカンパニー」としてブランド作りを加速させていく計画だ。

「当初から思い描いているのは『日本のものづくりをエンタメ化して、誰もがクリエイターになれる世界』を実現すること。YouTuberが動画を作って稼げるように、個人がファッションクリエイターとしてブランドを立ち上げ稼げるような世界を作っていきたい」(鈴木氏)

レシート買取アプリ「ONE」のAndroid版登場、アンケート機能などが追加

どんなレシートも1枚10円に変わる——。2018年6月にiOS版がリリースされた「ONE」はそのわかりやすさとキャッチーさから、約12時間で10万枚ものレシートが売られる(買い取られる)など大きな注目を集めた。

あれから1年と4ヶ月。ONEのAndroid版が本日10月15日に公開された。

一時はサービスを停止していた時期もあったが、現在のONEは当初の仕組みにいくつかのアップデートを加えた形で運営されている。まず最大のウリとなっていた「どんなレシートでも1枚ごとに買い取る」機能に関しては、1日あたりの上限が5枚に設定(リリース時は10枚)。買取金額も一律10円ではなく、1枚あたり1円〜10円の間で変動する設計に変わった。

「画像がお金にかわるサービス」という打ち出し方をしているように、レシート以外の画像にも買取の対象が広がっている。たとえば今だと海外航空券を撮影した画像は10〜100円で、引越しの見積書やバイクの自賠責保険証券であれば最大400円で買取ってもらうことが可能だ。

iOS版のイメージ画像

画像の買取だけでなく「アンケート」や「封筒」といった機能も追加された。

アンケートは10問程度の質問に回答することで最大100円程度のお金を得ることができるというもの。封筒はワンファイナンシャルCEOの山内奏人氏いわく「DMをアップデートしたようなもの」で、ユーザーのデータに基づき、企業からお金とともに広告が送られてくる(なお封筒機能は現時点ではiOS版のみ利用可能、表示されるキャンペーンに関してもiOS版とAndroid版では一部違いがあるとのこと)。

またONEで手にしたお金についても銀行口座に出金するだけでなく、コンビニやコーヒー店などで使用可能なチケットに交換することもできるようになっている。

山内氏によるとサービス再開後は「きちんと継続的にデータを買い取り続けるということに注力してきた」とのこと。同サービスのビジネスモデルは顧客企業にデータを提供するモデルが中心でのため(一部広告案件のタイプが含まれる)、ユーザーの使い勝手とマネタイズの双方に大きく関わる「画像の判別や認識エンジンの強化」にも力をいれて取り組んできたという。

「今後は買い取る画像の幅を増やすことなどを通じて(ツイートを買い取っていたりスクリーンショットを買い取る事例もあります)ユーザーのみなさんに日常的に使ってもらえるサービスを目指していきます。ゆくゆくはここで培った画像解析だったり、データの加工の仕方やそれらとの向き合い方などのノウハウや技術を、あらゆるサービスに昇華していけたらと考えています」(山内氏)

なおONEの現状については「インストール数もMAUも数十万人」とのことだ。

Logitech傘下のBlueがポッドキャスト向きのUSBマイク「Yeti」の新モデル発売

Logitech(ロジテック)が2018年7月にBlueを買収した理由は明らかだ。この南カリフォルニアのオーディオ会社は、2005年に最初のSnowballを発売して以来、USBマイクロフォンの代名詞となっていたBLUEという頭文字は「Baltic Latvian Universal Electronics」から来たものだ。

その当時はニッチな製品だと思われていたものが、その後文化的な基準となり、会社も、ポッドキャスターたちやTwitchストリーマーたちにまず選ばれるような位置に押し上げられた。BlueのUSBマイクは、ポッドキャストやゲームストリーミングなどの目的のために購入できるものの中で最高の品質を提供するものではないが、そのプラグアンドプレイ機能は最初に登場したときはかなり革新的なものに思えた。

同社は最近ベストセラー商品のYetiに対して、長年待ち望まれていたアップデートを行った。そのYeti Xは、ほとんどの意図と目的にとってはわずかなアップデートだ。私はこの数週間、あちこちで少しずつ使ってみている。私は自分のポッドキャストの最新エピソードのエンディングをこれで録音したし、同僚記者のアンソニーにもオリジナルコンテンツのエピソードの録音のために数回貸し出している。

Blue Yeti X

洗練された黒塗装仕上げは別にして、最大の外装上の変化は、ボリュームノブの周りに配置されたリアルタイムLEDメーターの追加だ。これはちょっとしたことだが、ライブストリーマーにとっては重要なものだ。このモニタリング機能は、多くのストリーミングアプリではほとんど見当たらないか、アクセスするのに苦労するようなものだ。この機能を使えば、ピークがレッドゾーンに飛び込むようなときに、音声レベルを調整するためのヒントを得ることができる。

カプセルコンデンサー(マイクユニット)は3個から4個に増えて、サウンドは改善されている。YetiのサウンドはすでにUSBマイクの世界では確立されているが、それでも同社がその改善を続けているのは素晴らしいことだ。Yeti Nanoのような最近のマイクのいくつかに対しては、正直一歩後退したように感じていた。Xのサウンドは非常に明快である、私は準備中のリモートポッドキャスティングプロジェクトで全面的に採用する予定だ。

ちょっとPの音が耳障りなので、おそらく何らかのポップガード(マイクの前に置くフィルター)を探すことになるだろう。

まだ高品質のスタジオマイクの代わりにはならないが、それは問題ではない。もし真のホームポッドキャスティングスタジオを構築する財力と情熱がある場合には、おそらく他の機種を探したほうがいいだろう。Yetiは、幅広いカテゴリーに広がる大勢のホームブロードキャスター向けに存在している。パートタイムTwitchストリーマーやポッドキャストホビーストの多くは、この機種を気に入ることだろう。

CMB 8101
Blueには設定を微調整するための独自のソフトウェアがあるが、正直に言って重要なことは、基本的に箱から出せばすぐに使用できるという点だ。マイクの先端を自分の方に向けたくなるかもしれないが、そこは説明書に従って先端が上を向くようにしてほしい。背面には、ステレオ、カーディオイド、無指向性、そして双方向といった4種類の標準設定がある。ほとんどのポッドキャストスタイルの利用では、2番目の設定(カーディオイド、片方向に指向性が向けられた設定)を使用するだろう。ここで最も残念なことは、USB-CではなくmicroUSBを使うことを決定したことだ。どちら向きにでも挿せるUSB-Cケーブルと一緒にリリースすれば将来大いに役立つだろうに。

169ドル(約1万8000円)のYeti Xは初心者にとってかなりリーズナブルな位置付けの商品だ。そして確かに長期的には70ドル(約7600円)のSnowballよりもいい投資だ。

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(翻訳:sako)