Canonicalはまず外部資金の調達を初体験してから将来のIPOに備えたいという

【抄訳】
Mark Shuttleworthが自分の投資でCanonicalとそのUbuntuプロジェクトを創業してから14年になる。当時はもっぱらLinuxのディストリビューションだったが、今では同社はエンタープライズサービスの大手としてさまざまなプロダクトサービス提供している。これまではShuttleworth自身がプロジェクトに資金を提供し、外部からの資金には関心を示さなかった。しかし今、それが変わろうとしている。

Shuttleworthによると、最近の彼はIPOを真剣に考えるようになり、そこへのひとつの過程として外部投資家を求めている。同社が最近エンタープライズへとフォーカスを変え、Ubuntu Phone(Ubuntuブランドのスマートフォン)やデスクトップ環境Unityを廃棄したことは、誰もがすでにそう思っていたように、どれもそれに結びついていた。Shuttleworthは外部資金の調達を、その方向へ向かう一歩と見なしている。そうやって、会社を徐々に、上場にふさわしい形に整えていくのだ。

“第一段階は、未公開株式だろう。外部投資家を募り、取締役会に外部のメンバーができたら、報告義務も生ずるし、それらはIPOに向かうプログラムの一部になる。私が考えてきた手順としては、未公開投資家たちが求めていたことにまず応じてから、そのあと、上場へ向かうべきだ。両者は、まったく違う文化だからね”。

最近はよく目立つひげを生やしているShuttleworthは、前はこれ〔未公開外部資金〕にも反対していたし、そのことを彼自身も認める。“それは私に関する正しい性格付けだった、と私も思う。私は、自分の独立をエンジョイしており、自分で長期の経営を構想できることも好きだ〔四半期決算報告などの短期的義務が生じないこと〕。今でも自分にその能力があると感じているが、人の金に対して責任が生じるのもすごく良いことだ。それが自分の金でなければ、金の使い方もやや変わるだろう”。

【後略】
〔IPOの前段としての未公開株式投資に関しても、投資家、金額、スケジュール等すべて未定。現状は、すべてShuttleworthの頭の中の構想である。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

UberがLinux Foundationに加盟してオープンソースツールへのコミットを強化

Uberが今日の2018 Uber Open Summitで、同社がLinux Foundationにゴールド会員として加盟し、オープンソースのツールの利用と寄与貢献にコミットしていくことを発表した。

UberのCTO Thuan PhamにとってLinux Foundationは、同社がオープンソースのプロジェクトを育(はぐく)み開発していくための場所だ。“オープンソースの技術はUberの中核的サービスの多くを、そのバックボーンとして支えている。会社の成熟とともに、これらのソリューションはますます重要になっている”、と彼はLFへの加盟を発表するブログ記事で述べている。

意外なのは同社が参加したことでなく、それまでに要した年月の長さだ。Uberはかなり前から、その中核的ツールにオープンソースを多用していることで知られていたし、同社の資料によると、これまで320あまりのオープンソースプロジェクトとリポジトリに関わり、1500名のコントリビューターが70000あまりのコミットに関わっている。

Uberのスポークスパーソンは次のように語った: “Uberは何年も前から、オープンソースによる共有的ソフトウェア開発とコミュニティのコラボレーションに有意義な投資をしてきた。その中には人気の高いオープンソースプロジェクト、分散トレーシングシステムのJaegerへのコントリビューションもある。また2017年にはLinux Foundation傘下のCloud Native Computing Foundationに加盟している”。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinも、Uberの加盟を喜んでいる。声明文に曰く: “彼らの専門的な技能や知識は、これからクラウドネイティブ技術やディープラーニング、データ視覚化など今日のビジネスにとって重要な技術の、オープンなソリューションを進めて行かなければならないわれわれのプロジェクトにとって、きわめて有益である”。

Linux Foundationは数多くのオープンソースプロジェクトがその傘下にある支援組織で、Uberのような企業がオープンソースのプロジェクトをコミュニティに寄与貢献しメンテナンスしていくための、組織構造を提供している。そしてその傘の下には、Cloud Native Computing Foundation, Cloud Foundry Foundation, The Hyperledger Foundation, そしてLinuxオペレーティングシステムなどの専門的組織が並んでいる。

これらのオープンソースプロジェクトをベースとして、コントリビューターの企業やデベロッパーコミュニティが改良やフォークを重ね、自分たちのビジネスに活かしていく。Uberのような企業はこれらの技術を使って自分のバックエンドシステムを動かし、サービス本体は売らないけどオープンソースのオープン性を利用して自社の将来の要求も満たしていく。その際はコントリビューターとして貢献することになり、取るだけでなく与える側に回る。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

分散ストレージCephが独自のオープンソースファウンデーションを設立しLinux Foundationに参加

まだあまり有名ではないオープンソースの分散ストレージCephは、実際にはすでに全世界的に、大規模なコンテナプロジェクトやOpenStackのプロジェクトで利用されている。ユーザーはたとえば、金融のBloombergやFidelity, クラウドサービスプロバイダーのRackspaceやLinode, 通信大手のDeutsche Telekom, 自動車のBMW, ソフトウェアのSAPやSalesforceなどだ。

今日のオープンソースプロジェクトは、その多様な関心を一手に引き受けて処理し管理する管理組織、ファウンデーションが背後にないと、成功を維持し今後の発展を築くことも難しい。そこで当然ながらCephも、自分専用のファウンデーションCeph Foundationを作った。そしてこれまでのオープンソースプロジェクトのファウンデーションの多くに倣い、それをLinux Foundationの下に置いた。

Cephの共作者で、プロジェクトリーダー、そしてRed Hat for CephのチーフアーキテクトでもあるSage Weilはこう述べる: “パブリッククラウドの初期のプロバイダーたちがセルフサービス型のストレージインフラストラクチャを流行(はや)らせ、そしてCephはそれを一般企業や個人、そしていろんなサービスブロバイダーたちに提供している。今では強力で堅固なデベロッパーコミュニティとユーザーコミュニティが育ち、ストレージの分野における未来のイノベーションを推進している。本日のCeph Foundationの立ち上げは、さまざまなオープンソースのコミュニティが協力し合えばデータストレージとデータサービスの爆発的な成長を強力に支えていけることの、証(あかし)になるだろう”。

Cephはすでに多方面で使われているから、ファウンデーションの創設メンバーもすごい顔ぶれだ: Amihan Global, Canonical, CERN, China Mobile, Digital Ocean, Intel, ProphetStor Data Service, OVH Hosting Red Hat, SoftIron, SUSE, Western Digital, XSKY Data Technology, そしてZTEなど。創設メンバーの多くがすでに、非公式団体Ceph Community Advisory Board(顧問団)のメンバーだ。

Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinはこう言う: “企業の高い成長率の維持管理を効果的に助け、彼らのデータストレージの需要を拡大してきたことに関して、Cephには長年の成功の実績がある。Linux Foundationの下でCeph Foundationは、より幅広いグループからの投資を活用して、Cephのエコシステムの成功と安定の継続に必要なインフラストラクチャをサポートできるだろう”。

cepha and linux foundation logo

Cephは、OpenStackとコンテナをベースとするプラットホームを構築するベンダーにとって重要なビルディングブロックだ。実はOpenStackのユーザーの2/3がCephをメインで使っており、またCephはRookの中核的な部分でもある。Cloud Native Computing Foundation(CNCF)傘下のRookは、Kubernetesベースのアプリケーションのためのストレージサービスを、より容易に構築できるためのプロジェクトだ。このように、今や多様な世界に対応しているCephだから、ニュートラルな管理機関としてのファウンデーションを持つことは理にかなっている。でも、ぼくの山勘では、OpenStack Foundationもこのプロジェクトをホストしたかったのではないかな。

今日(米国時間11/12)のこの発表のわずか数日前にLinux Foundationは、FacebookのGraphQLのファウンデーションGraphQL Foundationをホストすることを発表した

[↓Facebookのクエリ言語GraphQLが独自のオープンソースファウンデーションを設立(未訳)]

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Cockroach Labsが複数のクラウドにまたがるデータベースCockroachDBのマネージドサービスを開始

Cockroach LabのオープンソースのSQLデータベースCockroachDBは、昨年の立ち上げ以来徐々に伸びているが、しかしオープンソースの技術が成熟して市場により深く浸透するためには、アーリーアダプターを超えたもっと一般的なオーディエンスに採用されていく必要がある。そのために同社は今日(米国時間10/30)、CockroachDBのマネージドサービスを発表した。

このサービスはクラウドを特定しないが、手始めとしてAmazon Web ServicesとGoogle Cloud Platformで利用できる。2015年にローンチしたCockroachはつねに自分を、Oracleや、さらにAmazonのAuroraデータベースなどをも代替する現代的なクラウドデータベースと位置づけている。

CEOのSpencer Kimballによると、それらの先輩データベースたちは、ベンダーロックインが強すぎて彼の趣味ではない。それに対抗するオープンなデータベースとして立ち上げたのが、Cockroachだ。“Cockroachのクラスターは、クラウドAからクラウドBへダウンタイムなしで移行できる”、と彼は言う。

そのような柔軟性は、他のベンダーが提供しているものと比べて、大きなアドバンテージがある、と彼は信じている。そして今日の発表は、そのアドバンテージをさらに大きくする。データベースと関連インフラストラクチャのセットアップや管理という重い仕事を、これからはサービスとしてのCockroachDBが代わってやってくれる。

Kimballの認識では、このやり方により同社の市場も拡大するだろう。“これまでにもOracleやAWS Aurora、Cassandraからのマイグレーションが相当あったが、これからは、それをためらっていたような企業もManaged CockroachDBにより容易にマイグレーションできるから、うちの市場はより快調に大きくなるだろう”、という趣旨をKimballは声明文で述べている。

そのデータベース本体には、自己回復力の強さというアドバンテージもある。いろんな条件下で安定的に動くから、これまでのデータベースに比べて有利だ、という。大きなアップタイムをレプリケーションによって保証し、ひとつのインスタンスがダウンしたら、すぐに身代わりが動き出す。

これまではエンタープライズ向けの商用バージョンが収益源で、それは通常のオープンソース版にないバックアップやサポートなどのサービスを提供していた。しかしこれからは、“Datbase as a Service”の契約会費収入が主な収益源になる。

1年前に同社は、CockroachDBのバージョン1.0をリリースし、シリーズBで2700万ドルを調達した。そのラウンドはRedpoinがリードし、Benchmark, GV, Index Ventures, そしてFirstMarkが参加した。そのお金が有効に使われた結果、今日発表のマネージドサービスが完成したのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

使い慣れたプログラミング言語を使ってクラウドのインフラストラクチャを管理できるPulumiが商用バージョンを開始

シアトルのPulumiを使ってデベロッパーは、自分が知っているプログラミング言語を使ってクラウドインフラストラクチャを指定しそれを管理できる。同社は今日(米国時間10/22)、Madrona Venture GroupがリードするシリーズAのラウンドで1500万ドルを調達したことを発表した。Tola Capitalがこのラウンドに参加し、同社のマネージングディレクターSheila GulatiがPulumiの取締役会に加わる。Madronaからはすでに、元Microsoftの役員でMadronaのマネージングディレクターS. SomasegarがPulumiの取締役会に加わっている。

資金調達の発表に加えてPulumiは今日、その商用プラットホームをローンチした。それは、同社のオープンソース製品をベースとするものだ。

Pulumiの協同ファウンダーでCEOのEric Rudderはこう語る: “これまでは企業とコミュニティの両方からの関心がどちらも大きくて、彼らから大量のオープンソースのコントリビューションが寄せられている。たとえばVMwareとOpenStackのサポートは、コミュニティの尽力によるものだ。だからうちでは、オープンソースのコミュニティの活力が大きいが、それと同時に、商用化への関心も大きかった。つまり企業のチームはPulumiの運用面の充実を求めており、それを彼らのプロダクションに入れることと、プロダクトとして購入できることを要望していた”。

そこで、その機会に応えるべく同社は、チームとプロダクトの両方に底入れするために、新たな資金調達を決意した。そして今では、そのプロダクトには商用バージョンの‘team edition.’(チームエディション)が含まれ、この新しいエンタープライスバージョンには、ユーザー数を限定しないサポートと、サードパーティツール(GitHub、Slackなど)の統合、ロールベース(役割に基づく)のアクセスコントロールとオンボーディング(研修など)、そして12×5のサポート(月-金、昼間のみ)が含まれる。無料でシングルユーザーのコミュニティエディションと同様、このチームエディションもSaaSプロダクトとして提供され、すべてのメジャーなパブリックおよびプライベートクラウドプラットホームへのデプロイをサポートする。

Pulumiへの投資の動機を聞くとTolaのGulatiはこう答えた: “クラウドは今や規定の結論だ。でもエンタープライズがクラウドへ行こうとすると、厄介な問題を多く抱える。しかも、今のエンタープライズは、仮想マシンとコンテナとサーバーレスのすべてを理解し使いこなせねばならない。しかもそれを、1)単一のツールセットで、2)実際のプログラミング言語を使って、3)今日的な最新のスキルを使い、そして4)企業にとってもっとも有効にクラウドを利用しなければならない。率直に言ってPulumiは、このような複雑な課題と、それらをめぐるデベロッパーとITの現実によく応えている。デベロッパーとITは、ランタイムとデプロイの両側面から良好な関係を築かなければならない。それを助けるプラットホームとしては、私の知る限りPulumiがベストだ”。

オープンソースのツールは、今後も開発を続ける。また、コミュニティの構築にも厚く投資していく。同社によると、Pulumiにはすでにこれまでも相当な勢いがついていたが、新たな資金によりその努力を従来の倍にできる。

新たな資金により、オンボーディングのプロセスを容易にし、それを完全なセルフサービス型にしたい。でもそれをすべて企業任せにすることはできないから、Pulumiとしては売る前と売った後のお世話も充実させる必要がある。今現在は、この段階のスタートアップの多くがそうであるように、同社の社員はほぼ全員がエンジニアだ。だから営業の充実が、当面の優先課題になる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MongoDBがそのコードのオープンソースライセンスを改定、オープンソースの“食い逃げ”に むかつく

MongoDBは一部の、とりわけアジアの、クラウドプロバイダーのやり方にムカついている。彼らはそのオープンソースのコードを利用して、同社のデータベースの商用バージョンを、オープンソースのルールを無視してユーザーにホストしている。これと戦うためにMongoDBは今日(米国時間10/16)、Server Side Public License(SSPL)と名付けた新しいソフトウェアライセンスを発行した。それは同社のMongoDB Community Serverのすべての新しリリースに適用され、前のバージョンの新しいパッチに対しても適用される。

これまでMongoDBはGNU AGPLv3ライセンスを使ってきたが、今度はSSPLをOpen Source Initiativeに申請して承認を待っている。

現在コミュニティサーバーを使っている通常のユーザーは全員、新しいライセンスが適用されないので何も変らない。むしろこれは、MongoDBがAGPLv3ライセンスの誤用とみなしているものへの対策だ。MongoDBはこう説明している: “MongoDBはこれまで、GNU AGPLv3でライセンスされていた。したがってMongoDBを一般公開サービスとして動かしたい企業は、自分たちのソフトウェアをオープンソースにするか、またはMongoDBから商用ライセンスを入手しなければならない。しかしながらMongoDBの人気のゆえに、一部の企業はGNU AGPLv3の許容限界を試そうとしている”。

つまり、SSPLはGNU GPLv3とそれほど異なるライセンスではない。GPLとほぼ同じ言葉で、コードの利用、変更、再配布の自由が明記され、しかしSSPLが明示的に声明しているのは、MongoDB(やSSPL下のそのほかのソフトウェア)をサービスとして提供しようとする者は何人(なんぴと)たりとも、商用ライセンスを得るか、またはサービスをオープンソースにしてコミュニティに還元しなければならない、という点だ。

MongoDBのCTOで協同ファウンダーのEliot Horowitzは、声明の中でこう述べている: “市場はますます、ソフトウェアをサービスとして消費しており、そこに、オープンソースの優れたサーバーサイドソフトウェアのニューウェーブが生まれ育つすばらしい機会が作られている。しかし残念ながら、一度オープンソースプロジェクトの味をしめたクラウドベンダーはあまりにも安易に、それが自分が開発したソフトウェアではないにもかかわらず、その価値のすべてを取り込み、コミュニティに何も寄与貢献しなくなっている。われわれはオープンソースに大きく貢献し、大きな恩恵を受けている。そういう企業としてわれわれは、多くの企業に影響を及ぼす問題で先頭に立つべき、独自の立ち位置にある。これが今後さらに多くのプロジェクトを刺激して、オープンソースのイノベーションが守られることを望みたい”。

この動きが、一部の人びとの反感を招くことも確実だ。オープンソースのライセンスについて語るときには、その運動の本質をめぐって宗教的な口調にどうしてもなりがちだ。そしてMongoDBはそのソフトウェアの背後にいる商業的実体であり、コードへの外部からのコントリビューションを管理しているから、たとえば大きなオープンソースのファウンデーションなどが管理するプロジェクトと違って、コードに対する一社の権限や態度が実質的にきわめて強い。だからMongoDBがオープンソースの何たるべきかを語るのはお門違い、と見るむきもある。オープンソースはソフトウェアを開発するための実用的な方法にすぎない、という考えもある。

しかしいずれにしてもこれは、私企業とその企業のオープンソースプロジェクトの管理との関係はどうあるべきかをめぐる議論の、契機になると思われる。自分のコードの使われ方に関して、MongoDBのような企業は、どれだけのコントロールを及ぼしうるのか? 今日のHacker Newsを読むのが、楽しみだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

マイクロソフト、オープンソース特許ネットワーク(OIN)に加盟、特許6万件を開放

本日(米国時間10/10)Microsoftは、オープンソース特許団体のOpen Invention Network(OIN)に参加したことを発表した。同グループはLinuxを始めとするオープンソースソフトウェアを特許関連訴訟から守ることを目的としている。グループ参加の一環として、ソフトウェアの巨人は特許6万件を含むライブラリーをグループメンバーに開放する。この巨大特許データベースへのアクセスは無制限でロイヤリティフリー。

It is, as ZDNETによると、これは長年積極的に訴訟を起こしてきた同社の過去からの転換を意味している。同社は数々の訴訟に関わり、最近ではAndroidエコシステムの様々な企業を訴えてきた。Microsoftは今回の発表でもそのことを認め、このニュースは新たな出発への兆候と見るべきものだと付け加えた。

MicrosoftがOIN参加を決めたことを驚きと受け取る人たちがいることは知っている」とEVP Erich Andersenがブログに書いた。「Microsoftとオープンソースコミュニティーの間で特許問題に関するに軋轢があったのは周知のことだ。そしてわれわれの進化を見守ってきたその他の人たちには、この発表を当社が顧客や開発者の声に耳を傾け、Linuxを始めとするオープンソースソフトウェアを強く推進していくための必然的な一歩であると理解してもらえることを願っている」

このニュースは、同社がWindows開発とLinux開発の境界をなくし、.NEtやJavaを含め、開発者が両方のオペレーティングシステムのためにプログラム開発することを推進しようという方向性を示すものでもある。

先週Microsoftは、Google、Facebook、Amazonらに続き、パテントトロール対策団体のLOT Networkに参加した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GitHubがJira Software Cloudの統合を改良、パフォーマンスとユーザー体験をアップ

AtlassianのJiraは、多くの企業で、大きなソフトウェアプロジェクトを管理するためのスタンダードになっている。しかしそれらの企業の多くがソースコードのリポジトリとしてはGitHubを利用しており、JiraとGitHubを統合する公式な方法も、かなり前からある。しかしその古いやり方は、遅くて、能力も限られ、今多くの企業がGitHubで管理しているような大きなコードベースを扱うには、向いていないことが多かった。

しかしMicrosoftに買収されたあとでもGitHubは、オープンソースのエコシステムにコミットしていることを証明するかのように、今日(米国時間10/4)同社は、二つの製品の改良された統合を発表した。

GitHubのエコシステムエンジニアリング担当ディレクターKyle Daigleは、こう語る: “Jiraに関してAtlassianと協働することは、われわれにとってきわめて重要だった。われわれの顧客であるデベロッパーには、彼らが使っているこのオープンなプラットホーム〔GitHub〕から最良の体験を確実に得てほしいからだ。彼らが今、ほかにどんなツールを使っていようともね”。

そこで二か月前にGitHubのチームは、Jiraとの独自の統合を、完全にゼロから再構築することに決めた。そして今後は、それをメンテナンスし改良していくことにした。Daigleが言ってるように、改良の重点はパフォーマンスとユーザー体験の向上に置かれた。

この新しい統合により、JiraのIssue(課題)に結びついているすべてのプルリクエストやコミット、ブランチなどをGitHubから容易に見ることができる。GitHubからの情報に基づいてIssuesを検索できる。そしてまた、開発ワークのステータスをJiraの中でも見ることができる。GitHubで行った変更がJiraのアップデートもトリガーするので、そのデータはどんなときでもアップツーデートに保たれる。

いわゆるJira DVCSコネクターを利用するJiraとの古い統合は非推奨になり、GitHubは、数週間以内にアップグレードするよう、既存のユーザーへの告知を開始する。新しい統合はGitHubのアプリケーションなので、このプラットホームのセキュリティ機能をすべて装備している。

画像クレジット: TechCrunch

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Node.jsとJSが合併の意向を共同発表――JavaScriptコミュニティーの統合を図る

現在、JavaScriptの有力なオープンソース団体は2つある。2016年設立のJS Foundationと2015年設立のNode.js Foundationだ。JS Foundationの目的はJavaScriptを中心とするエコシステム全般の育成にあるのに対して、Node.jsは名称からも明らかなようにNode.jsテクノロジーを中心としてGoogleのV8エンジンなどの助けを借りながらサーバーサイドでJavaScript言語を活用していこうとするものだ。この2つの団体は合併を検討していることを明らかにした

合併はまだ確定したわけではなく、両組織はそれぞれのコミュニティーからのフィードバックを得ようとしている。まずはNode+JS Interactiveカンファレンスで直接に、またオンラインでもQ&Aセッションを設けて、多くの質問に答えていく計画だという。今日(米国時間10/4)の共同声明には次のように述べられている。

合併は両組織の技術的独立性や自治に変更を与えるものではない。Node.jsやAppium、ESLint、jQueryを始めとするJS Foundationの28のプロジェクトはすべてこれまでどおり運営される。JavaScriptは柔軟なプログラミング言語であり、ウェブのバックボーンという当初の役割をはるかに超えて発展している。新しい分野にはIoT、各種ネイティブ・アプリ、DevOps、各種プロトコルなどがある。JavaScriptのエコシステムはブラウザからサーバーへ、デスクトップから組み込みデバイスへと現在も拡大中だ。こうした中でエコシステムの健全な発展を助けるためにメンバーが共同作業する重要性はさらに高まっている。

エコシステム全体を通じて共同作業の重要性が増していることがこの合併のそもそもの動機だろう。Linux Foundationの戦略的プログラム担当バイスプレジデント、Mike Dolanは声明で 「JavaScript 団体のリーダー、重要な知的財産を保有する企業など、コミュニティーがさらに緊密に活動していくくとが団体の活動分野を広げると同時にNode.jsと各種のJavaScriptプロジェクトを一層助けることになると革新している」と述べている。

合併の最終目標は「運営の優秀性をさら強化することによってJavaScriptエコシステム全体の協調性を増し、あらゆるJavaScriptプロジェクトの本拠となれるような単一組織を立ち上げる」ことだという。

コミュニティーの賛成が得られるのであれば、両組織がLinux Foundationの傘下にあることは合併を推進し組織の統合を図る上でなにかと有利だろう。両方の組織に加盟しているメンバーもいるが、その数は予想より少ない。たとえばIBMは両組織のプラチナ会員だが、,GoogleはNode.JSのプラチナ会員でJS Foundation.のスポンサーにはなっていない。逆にSamsungはJS Foundationのトップレベル・スポンサーだがNode.JS Foundationsのリストには載っていない。そういうわけで統合の目的のひとつが「メンバーのコミュニティーへの参加を合理化する」ことにあるのは驚くに当たらない。

画像:imArbaev / Getty Images

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

フェイスブックを超える大きなデジタルドリーム「オープンブック」

大手ソーシャル系技術企業は、自身の強力なプラットフォームが持つ特性と、的確な舵取りと価値の創出に失敗したこと(自ら設定したと主張する規定にすら準拠できていないことが明らかになっている)の結果の両方によって生じたと反社会的な魔物と格闘を続けているが、それでも、よりよい方法があると夢見ている人たちがいる。人の怒りを食べて成長する広告技術の巨人、フェイスブックやツイッターを超えるソーシャルネットワークだ。

もちろん、「よりよい」ソーシャルネットワークを作る試みは数多くあったが、そのほとんどは沈没している。成功や利用度には差があるものの、今でも使われているものもある(スナップチャット、エロー、マストドンの3つは元気だ)。だが当然ながら、ザッカーバーグの王座を強奪できる者はいない。

その原因は、そもそもフェイスブックがイスンタグラムとワッツアップを買収したことにある。フェイスブックはまた同様に、自分たちよりも小さな成功の芽を持つライバル企業を買収して潰している(tbh)。そうやって、ネットワークのパワーと、そこから流れ出るリソースを独占することで、フェイスブックはソーシャルの宇宙に君臨している。それでも、もっと良いものを想像する人々の気持ちは止められない。友だちが作れて、社会に大きな影響を与えることができる、倫理的に優れ、使いやすいプラットフォームだ。

そんな、二面性のある社会的使命を持った最新の夢想家を紹介しよう。オープンブック(Openbook)だ。

彼らの理想(今はそれだけなのだが、自己資金で立ち上げた小さなグループと、宣言と、プロトタイプと、間もなく終了するキックスターター・キャンペーンと、そしてそう、希望に満ちた大志がある)は、ソーシャルネットワークを再考して、複雑で不気味なものではなく、より親しみやすく、カスタマイズができるオープンソースのプラットフォームを作ることだ。

営利目的のプラットフォームとしてプライバシーを守るという彼らのビジョンは、常に利用者を監視する広告やトラッカーは使わず、公正な料金設定(そしてプラットフォーム上で通用するデジタル通貨)によるビジネスモデルに立脚している。

彼らの中核にある考え方は、とくに新しいものではない。しかし、巨大プラットフォームによる大量にして目に余るデータの不正利用にさらされていると、その考え方が理にかなっていると思えるようになる。そのため、おそらくここではタイミングがもっとも重要なエレメントになる。フェイスブックは、度重なる舵取りの失敗、知覚評価の低下、さらに退陣する幹部役員のなかの少なくとも一人が、人を操作することに長け倫理に無関心であることから営業哲学が攻撃されるなど、これまでにない厳しい調査にさらされ、利用者数の伸び悩み知覚価値の低下を招いている。

より良い方向を目指すオープンブックのビジョンは、Joel Hernández(ジョエル・ヘルナンデス)が描いたものだ。彼は2年間ほど夢想を続けている。他のプロジェクトの傍らでアイデアのブレインストーミングを行い、周囲の似た考えを持つ仲間と協力して、彼は新しいソーシャルネットワークの宣言をまとめた。その第一の誓いは、正直な関与だ。

「それから、データスキャンダルが起きて、繰り返されるようになりました。彼らはチャンスを与えてくれたのです。既存のソーシャルネットワークは、天から与えられたものでも、不変のものでもありません。変えたり、改良したり、置き換えることができるのです」と彼はTechCrunchに話してくれた。

Hernándezによるとそれは、ちょっと皮肉なことに、昼食時に近くに座っていた人たちの会話を聞いたことから始まった。彼らは、ソーシャルネットワークの悪い点を並べ立てていたのだ。「気持ち悪い広告、ひっきりなしに現れるメッセージや通知、ニュースフィードに何度も表示される同じコンテンツ」……これに推されて、彼は宣言文を書いた紙を掴み取り、新しいプラットフォームを実際に作ろうと(というか、作るための金策をしようと)決意した。

現在、この記事を執筆している時点では、オープンブックのキックスターター・キャンペーンのクラウドファンディングは残り数日となったが、集まっているのは(控えめな)目標額の11万5000ドル(約1270万円)の3分の1程度だ。支援者は1000人をわずかに超える程度しかいない。この資金集めは、ちょっと厳しいように見える。

オープンブックのチームには、暗号文の神と呼ばれ、メール暗号化ソフトPGPの生みの親として知られるPhil Zimmermann(フィル・ジマーマン)も加わっている。開始当初はアドバイザーとして参加していたが、今は「最高暗号化責任者」と呼ばれている。そのときが来れば、プラットフォームのために彼がそれを開発することになるからだ。

Hernándezは、オランダの電気通信会社KPNが内部的に使うためのセキュリティーとプライバシー保護用のツールをZimmermannと一緒に開発していたことがある。そこで彼はZimmermannをコーヒーに誘い出して、彼のアイデアに対する感想を聞いたのだ。

「私がオープンブックという名前のウェブサイトを開いた途端、これまで見たことがないくらいに彼の顔が輝いたのです」とHernándezは話す。「じつは、彼はフェイスブックを使おうと考えていました。家族と遠く離れて暮らしていたので、フェイスブックが家族とつながるための唯一の手段だったのです。しかし、フェイスブックを使うということは、自分のプライバシーをすべて捧げるということでもあるため、彼が人生をかけてきた戦いで負けを認めることになります。だから、彼はフェイスブックを使いませんでした。そして、実際の代替手段の可能性に賭けることにしたのです」

キックスターターの彼らのキャンペーンページに掲載された動画では、Zimmermannが、営利目的のソーシャルプラットフォームの現状について彼が感じている悪い点を解説している。「1世紀前は、コカコーラにコカインが含まれていて、私たちはそれを子どもに飲ませていました」とZimmermannは動画の中で訴えている。「1世紀前の私たちの行動はクレイジーです。これから数年先には、今のソーシャルネットワークを振り返って、私たちが自分自身に何をしていたのか、そしてソーシャルネットワークで互いに傷つけ合っていたこと気づくときが来るでしょう」

「今あるソーシャルネットワークの収益モデルに代わるものが、私たちには必要です」と彼は続ける。「深層機械学習のニューラルネットを使って私たちの行動を監視し、私たちをより深く深く関わらせようとするやり方を見ると、彼らがすでに、ユーザーの関わりをさらに深めるものは、激しい憤り以外にないと、知っているかのようです。そこが問題なのです」

「こうした憤りが、私たちの文化の政治的な対立を深め、民主主義制度を攻撃する風潮を生み出します。それは選挙の土台を崩し、人々の怒りを増長して分裂を拡大させます。さらに、収益モデル、つまり私たちの個人情報を利用する商売で、我々のプライバシーが破壊されます。だから、これに代わるものが必要なのです」

Hernándezはこの4月、TechCrunchの情報提供メールに投稿してくれた。ケンブリッジ・アナリティカとフェイスブックのスキャンダルが明るみに出た直後だ。彼はこう書いていた。「私たちは、プライバシーとセキュリティーを第一に考えたオープンソースのソーシャルネットワークを作っています」と。

もちろん、それまでにも似たような宣伝文句は、ほうぼうから聞かされていた。それでも、フェイスブックは数十億という数の利用者を集め続けていた。巨大なデータと倫理のスキャンダルにかき回された今も、利用者が大挙してフェイスブックから離れることは考えにくい。本当にパワフルな「ソーシャルネットワーク」ロックイン効果だ。

規制は、フェイスブックにとって大きな脅威になるだろうが、規制を増やせば、その独占的な地位を固定化することになるだけだと反対する人もいる。

オープンブックの挑戦的なアイデアは、ザッカーバーグを引き剥がすための製品改革を敢行することにある。Hernándezが呼ぶところの「自分で自分を支えられる機能を構築すること」だ。

「私たちは、プライバシーの問題だけで、今のソーシャルネットワークから多くのユーザーを引きつけることは不可能だと、率直に認めています」と彼は言う。「だから私たちは、もっとカスタマイズができて、楽しくて、全体的なソーシャル体験ができるものを作ろうとしているのです。私たちは既存のソーシャルネットワークの道を辿ろうとは思っていません」

この夢のためであったとしても、データの可搬性は重要な材料だ。独占的なネットワークから人々を乗り換えさせるには、すべての持ち物とすべての友だちをそこに残してくるよう言わなければならない。つまり、「できる限りスムーズに移行ができるようにする」ことが、もうひとつのプロジェクトの焦点となる。

Hernándezは、データ移行のためのツールを開発していると話している。既存のソーシャルネットワークのアーカイブを解析し、「そこに自分が持っているものを開示し、何をオープンブックに移行するかが選べる」ようにできるというものだ。

こうした努力は、欧州での新しい規制が助力になっている。個人情報の可搬性を強化するよう管理者に求める規制だ。「それがこのプロジェクトを可能にしたとは言わないけど……、以前の他の試みにはなかった特別なチャンスに恵まれました」とHernándezはEUのGDPR(一般データ保護規制)について話していた。

「それがネットワーク・ユーザーの大量移動に大きな役割を果たすかどうか、私たちには確かなことは言えませんが、無視するにはあまりにも惜しいチャンスです」

製品の前面に展開されるアイデアは豊富にあると、彼は話している。長いリストを広げるように教えてくれたものには、まず手始めに「チャットのための話題ルーレット、インターネットの課題も新しいコンテンツとして捉え、ウィジェット、プロフィールアバター、ARチャットルームなど」がある。

「馬鹿らしく思えるものもあるでしょうが、これはソーシャルネットワークに何ができるかを見極めるときに、現状を打破することが狙いなのです」と彼は付け加えた。

これまでの、フェイスブックに変わる「倫理的」なネットワーク構築の取り組みが報われなかったのはなぜかと聞くと、みなが製品よりも技術に焦点を置いていたからだと彼は答えた。

「今でもそれ(失敗の原因)が支配的です」と彼は示唆する。「舞台裏では、非常に革新的なソーシャルネットワークの方式を提供する製品が現れますが、彼らは、すでにソーシャルネットワークが実現している基本的な仕事をするための、まったく新しい技術の開発にすべての力を注ぎます。数年後に判明するのは、既存のソーシャルネットワークの機能にはまだまだ遠く及ばない彼らの姿です。彼らの中核的な支持者たちは、似たような展望を示す別の取り組みに乗り換えています。そしてこれを、いつまでも繰り返す」

彼はまた、破壊的な力を持つ取り組みが消えてしまうのは、既存のプラットフォームの問題点を解決することだけに集中しすぎて、他に何も生み出せなかった結果だと推測している。

言い換えれば、人々はそれ自身が大変に面白いサービスを作るのではなく、ただ「フェイスブックではないもの」を作ろうとしていたわけだ(しかし最近では、スナップが、フェイスブックのお膝元で独自の場所を切り開くという改革を成し遂げたことを、みなさんもご存知だろう。それを見たフェイスブックがスナップの製品を真似て、スナップの創造的な市場機会を潰しにかかったにも関わらずだ)。

「これは、ソーシャルネットワークの取り組みだけでなく、プライバシーを大切にした製品にも言えます」とHernándezは主張する。「そうしたアプローチが抱える問題は、解決した問題、または解決すると宣言した問題が、多くの場合、世間にとって主流の問題ではないということです。たとえば、プライバシーがそうです」

「その問題を意識している人にとっては、そうした製品はオーケーでしょう。しかし、結局のところ、それは市場のほんの数パーセントに過ぎません。この問題に対してそれらの製品が提供する解決策は、往々にして、人々にその問題を啓蒙することに止まります。それでは時間がかかりすぎます。とくに、プライバシーやセキュリティーの問題を理解させるのは、そう簡単ではありません。それを理解するためには、技術を使いこなすよりも、ずっと高度な知性が必要になります。それに、陰謀説論者の領域に入って実例を挙げなければ、説明が困難です」

そうして生まれたオープンブックの方針は、新しいソーシャルネトワークの機能や機会を人々に楽しんでもらうことで、そしてちょっとしたおまけとして、プライバシーが侵害されず、連鎖的に人の怒りの感情に火をつけるアルゴリズムも使わないことで、世の中を揺さぶろうというものとなった。

デジタル通貨に依存するビジネスモデルも、また別の課題だ。人々に受け入れてもらえれるかは、わからない。有料であることが、すなわち障害となる。

まずは、プラットフォームのデジタル通貨コンポーネントは、ユーザー同士の不用品の売り買いに使われると、Hernándezは言っている。その先には、開発者のコミュニティーが持続可能な収入を得られるようにしたいという展望が広がっている。すでに確立されている通貨のメカニズムのおかげで、ユーザーが料金を支払ってコンテツにアクセスしたり、(TIPSを使って)応援したりできる。

つまり、オープンブックの開発者たちが、ソーシャルネットワーク効果を使い、プラットフォームから発生する直接的な支払いの形で利益が得られるという考えだ(ユーチューブのクリエイターなど、広告料金にだけ依存する形とは違う)。ただしそれは、ユーザーがクリティカルマスに達した場合だ。当然、実に厳しい賭けとなる。

「既存のソリューションよりも経費が低く、素晴らしいコンテンツ制作ツール、素晴らしい管理機能と概要表示があり、コンテンツの表示方法が細かく設定でき、収入も安定して、予測が立てやすい。たとえば、毎月ではなく、5カ月に一度といった固定的な支払い方法を選んだ人には報償があるとか」と、現在のクリエイターのためのプラットフォームと差別化を図るためのアイデアを、Hernándezは並べ立てた。

「そんなプラットフォームが完成して、人々がその目的のためにTIPSを使うようになると(デジタルトークンの怪しい使い方ではなく)、能力が拡大を始めます」と彼は言う(彼はまた、計画の一部としてデジタル通貨利用に関するその他の可能性についてMedium誌に重要な記事を書いている)。

この初期のプロトタイプの、まだ実際に資金が得られていない段階では、彼らはこの分野での確実な技術的決断を下していない。誤って反倫理的な技術を埋め込んでしまうのも怖い。

「デジタル通貨に関しては、私たちはその環境への影響と、ブロックチェーンのスケーラビリティーに大きな不安を抱えています」と彼は言う。それは、オープンブックの宣言に明記されたグリーンな目標と矛盾することになり、収益の30パーセントを「還元」プロジェクトとして、環境や持続可能性への取り組み、また教育にも役立てるという計画を、絵空事にしてしまう。

「私たちは分散化した通貨を求めていますが、じっくり調査するまでは早急に決めるつもりはありません。今はIOTAの白書を研究しているところです」と彼は言う。

彼らまた、プラットフォームの分散化も目指している。少なく部分的には分散化させたい考えだ。しかしそれは、製品の優先順位を決める戦略的決断においては、第一の焦点ではない。なので、彼らは(他の)暗号通貨コミュニティーからファンを引き抜こうとは考えていない。もっとも、ターゲットを絞ったユーザーベースのほうがずっと主流なので、それは大きな問題にはならない。

「最初は、中央集権的に構築します。そうすることで、舞台裏を支える新技術を考え出す代わりに、ユーザー・エクスペリエンスと機能性の高い製品の開発に集中できます」と彼は言う。「将来は、特別な角度から、別のもののための分散化を目指します。アプリケーションに関することで言えば、回復機能とデータ所有権です」

「私たちが注目しているプロジェクトで、私たちのビジョンに共通するものがあると感じているものに、Tim Berners LeeのMIT Solidプロジェクトがあります。アプリケーションと、そこで使われるデータを切り離すというものです」と彼は話す。

それが夢なのだ。この夢は素晴らしくて正しいように思える。課題は、独占的なプラットフォームの権力によって競争の機会が失われ、別のデジタルな現実の可能性を信じられる人がいなくなったこの荒廃した市場で、十分な資金と幅広い支援を獲得することだ。これを「信念の価値」と呼ぶ。

4月上旬、Hernándezはオープンブックのオンライン・プライバシーに関する説明と、技術コミュニティーから意見を聞くための簡単なウェブサイトへのリンクを公開した。反応は、予想どおり悲観的なものだった。「返事の90パーセントは批判と、気持ちが折れるような言葉で占められていました。夢を見ていろとか、絶対に実現しないとか、他にやることはないのか、とかね」と彼は話す。

(米議会の公聴会で、独占していると思うかと尋ねられたザッカーバーグは、「自分ではそんなつもりはない!」とはぐらかした)

それでも、Hernándezは諦めていない。プロトタイプを作り、キックスターターで資金を募っている。ここまで辿り着いた。そしてもっともっと作ろうと思っている。しかし、より良い、より公正なソーシャルネットワークが実現可能だと信じる人を必要な数だけ集めることは、何よりも厳しい挑戦だ。

しかしまだ、Hernándezは夢を止めようとはしない。プロトタイプを作り、キックスターターで資金を集めている。ここまで辿り着いた。もっともっと作りたいと彼は考えている。しかし、より良い、より公正なソーシャルネットワークの実現が可能だと信じる人たちを十分な数だけ集めることは、これまでになく大変な挑戦となる。

「私たちはオープンブックを実現させると約束しています」と彼は言う。「私たちの予備の計画では、補助金やインパクト投資なども考えています。しかし、最初のバージョンでキックスターターを成功させることが一番です。キックスターターで集まった資金には、イノベーションのための絶対的な自由があります。紐付きではありませんから」

オープンブックのクラウドファンディングの詳しい説明は、ここで見られる

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

機械学習のモデルのデプロイを標準化するツールGraphpipeをOracleがオープンソース化

オープンソースのコミュニティと仲が良いとは必ずしも言えないOracleが今日、Graphpipeと呼ばれる新しいオープンソースのツールをリリースした。それは、機械学習のモデルのデプロイを単純化し標準化するツールだ。

そのツールは、ライブラリの集合と、スタンダードに従うためのツールを合わせたものだ。

このプロジェクトは、NASAでOpenStackの開発に関わり、その後2011年にOpenStackのスタートアップNebulaの創業に加わったVish Abramsがリードした。彼によると、彼のチームが機械学習のワークフローを手がけたとき、あるギャップに気づいた。一般的に機械学習のチームはモデルの開発には大量のエネルギーを注ぎ込むが、そのモデルを顧客が使えるようにデプロイすることが苦手だ。そのことが、Graphpipe誕生のきっかけになった。

彼曰く、機械学習のような新しい技術は、誇大宣伝に踊らされてしまう部分がある。開発プロセスは改良を続けていても、デプロイに頭が向かわない人が多い。

“Graphpipeは、機械学習のモデルのデプロイを改良する努力の中から生まれた。また、この機械学習の分野全体を改良するためには、デプロイのためのオープンなスタンダードがぜひ必要だ、と考えた”、そうAbramsは語る。

これがOracleのプロジェクトになったとき、彼らは三つの問題に気づいた。まず最初に、機械学習のAPIをサーブするための標準的な方法がない。各フレームワークが提供しているものを、そのまま使うしかない。次に、デプロイのメカニズムにもスタンダードがないので、デベロッパーは毎度カスタムでそれを作らなければならない。そして第三に、既存の方法はパフォーマンスの向上に真剣に取り組んでいない。パフォーマンスが、‘ついでの問題’でしかない。機械学習にとっては、それは重大な問題だ。

“Graphpipeを作ったのは、これら三つの課題を解決するためだ。それは、ネットワーク上でテンソルデータを送信するための標準的でパフォーマンスの高いスタンダードを提供する。またどんなフレームワークを使っても、機械学習のモデルのデプロイとクエリーが簡単にできるための、クライアントとサーバーのシンプルな実装も作った”、…AbramsはGraphpipeのリリースを発表するブログ記事で、そう書いている。

同社は、これをスタンダードとしてオープンソースにすることによって、機械学習のモデルのデプロイを前進させたい、と決意した。“Graphpipeは、ビジネスの問題解決と、技術の高度化の推進という、二つの方向性が交差するところに座っている。そしてそれを進めていくためのベストの方法が、オープンソース化だと考えている。何かを標準化しようとするとき、それをオープンソースで進めなかったら、最終的にはいろんな競合技術の混乱状態になってしまう”、と彼は語る。

Oracleとオープンソースのコミュニティの間には長年の緊張があることをAbramsも認めるが、最近ではKuberenetesや、オープンソースのサーバーレス・ファンクション・プラットホームOracle FNへのコントリビューションなどを通じて、そんなイメージを変える努力をしてきた。そして彼によると究極的には、技術が十分におもしろいものであれば、誰がそれを提出したかとは関係なく、人びとはそれにチャンスを与えるだろう。そしてそのまわりにコミュニティができれば、オープンソースのプロジェクトとして自然に適応されたり、変えられたりしていく。それを、Abramsは望んでいる。

“このスタンダードが、今後幅広く採用されてほしい。実装は誰がやっても易しいから、Oracle独自の実装を広めたいとは思わない。人気の実装は、そのうちコミュニティが決めるだろう”。

GraphpipeはOracleのGitHubアカウントのGraphpipeのページで入手できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ハリウッドにオープンソース団体ができてLinux Foundationと提携、アニメなどはほとんどオープンソース

今やオープンソースは至るところにあるので、あのアカデミー賞の主宰団体Academy of Motion Picture Arts and Sciencesが今日(米国時間8/10)、Linux Foundationとパートナーして、映画とメディア分野のデベロッパーのための、新しいオープンソースファウンデーションAcademy Software Foundationを発表したことも、意外ではないかもしれない。

創立メンバーには、強力なメディアおよびテクノロジー企業が顔を揃えている。それらは、Animal Logic, Blue Sky Studios, Cisco, DreamWorks, Epic Games, Google, Intel, SideFX, Walt Disney Studios, そしてWeta Digitalなどだ。

Linux FoundationのCEO Jim Zemlinはこう言っている: “オープンソースのソフトウェアは、デベロッパーやエンジニアが、映画やテレビやビデオゲームなどにおいて毎日のように、すばらしい効果やアニメーションを作ることを可能にしている。Academy Software Foundationは、このオープンソースデベロッパーのコミュニティが互いに協力し、映画や幅広いメディア産業の全域にわたって、次の大きなイノベーションの波を起こしていくための、拠点を提供する”。

Academy Software Foundationの綱領はこう述べている: “複数のプロジェクトにまたがる取り組みを調整する、神経系のようなフォーラムでありたい。ビルドとテストのための共通のインフラストラクチャを提供し、個人や組織に、オープンソースのエコシステムを前進させるための明確な参加の径路を提供したい”。

Academyの調査によると、業界の84%の企業がすでに、主にアニメーションや視覚効果のためにオープンソースのソフトウェアを使っている。また、メディア業界でオープンソースの開発の妨げになっているものは、複数の企業から成る開発チームがそれぞれ、孤立して閉鎖的になりがちなことだ、という。

Walt Disney Animation StudiosのCTO Nick Cannonはこう語る: “Academy Software Foundationが作られたことは、映画産業にとって重要でエキサイティングなステップだ。この団体は業界内のコラボレーションを増進することによって、われわれ全員の努力を共通の技術基盤の上にプールさせ、相互運用性の新しいスタンダードを産み育て、イノベーションのペースを大きくする”。

今やハリウッドでさえオープンソースとその協力的性質を前向きに受け入れようとしていることは、ソフトウェア開発の世界がここ数年間でいかに変わったかを表している。近年では、伝統的な大企業が、自分たちのソフトウェアインフラストラクチャを動かすために開発した技術が、実際には彼らの顧客に価値を届けていないことに、気づきつつある。ソフトウェア開発という分野では、お互いが企業として激しく競争していても、協力することに意義がある。その抗しがたい事実を、ハリウッドの伝統的な映画スタジオも認めざるを得なくなっている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

最新のトランスポートレイヤーセキュリティ(TLS)プロトコルを強化するライブラリを、Facebookがオープンソース化

Internet Engineering Task Force(IETF)は何年にもわたって、Transport Layer Security(TLS)プロトコルの改善に取り組んでいる、このプロトコルはデータをインターネット上で移動させる際に、開発者がデータ保護を行いやすくするためのものだ。FacebookはFizzというAPIライブラリを開発していた。これは最新版であるTLS1.3を、Facebbokネットワーク上で改善するためのものだ。本日(米国時間8月6日)Facebookは、Fizzをオープンソース化し、誰でもアクセスできるようにそれをGitHub上に置いたことを発表した

Facebookは現在、トラフィックの50%以上をTLS 1.3とFizzを通じて扱っており、彼らはそれをこれまでで最も大規模なTLS 1.3の実装だと考えている。

これらはすべて、トラフィックがインターネット上をどのように動くのか、サーバー同士がどのように安全に通信するのかに関係している、これは、Facebookも指摘しているように、とても重要なことだ。なぜなら現代のインターネットサーバーアーキテクチャの中ではプロセスの重要な部分が世界中のあちこちに分散してしまっていることが珍しくないからだ。またこのことにより、データをサーバーからサーバーへ移動させる際のレイテンシー(遅延時間)を削減するという課題も生まれる。

主要な問題の1つは、膨大なデータをメモリ領域に書き込むことで、リソースのオーバーヘッドと速度低下が起きることだ。この問題を回避するために、Facebookはデータをメモリに移す際に、小さなチャンクに分割し、それらをその場で暗号化することを決定した。このプロセスはscatter/gather I/O(分断/結合を行うI/O)という名で呼ばれている。

ひとかたまりのデータを暗号化するのではなく、Scatter/Gather Fizzを利用してデータを小さな断片に分割しそれぞれを暗号化する。図提供:Facebook

TLS 1.3では、”early data”(これはゼロラウンドトリップデータ、もしくは0-RTTデータとしても知られている)という概念が導入され、レイテンシーの削減を助ける。ITEFによれば、これは「クライアントが直近にアクセスしたものと同じサーバーに接続しているのなら、クライアントが接続時の最初のラウンドトリップの際に、TLSハンドシェイクの成立を待たずにデータを送ることを可能にする」ものだ。問題は、このコンセプトが安全でない場合があることだ。そこでFizzはこのコンセプトに基くAPIを取り込み、既知の脆弱性を取り除きながらそのAPIの上にシステムを構築した。

FacebookはIETFと協力してきた、同社は日々扱う膨大な数のトランザクションに由来するユニークなニーズを抱えているからだ。Facebookによれば、TLS 1.3は「インターネットトラフィックをより安全にするための新しい機能が取り込まれている。例えば証明書をプライベートに保つための暗号化されたハンドシェイクメッセージの取り込みや、秘密鍵の導出方法の再設計、そしてゼロラウンドトリップコネクションセットアップ(これによりいくつかのリクエストは確かにTLS 1.2よりも速くなる)などだ」。

Fizzに関してFacebookは「TLS 1.3で実現された改良点に加えて、Fizzはミドルボックスハンドシェイクエラーへの改良されたソリューション、ディフォルトでの非同期I/Oサポート、そして余計なデータコピーを取り除くためにscatter/gather I/Oを利用する」と、ライブラリのオープンソース化を発表したブログ投稿の中で述べている。

Fizzは、Transport Layer Security(TLS)プロトコルの最新バージョンを改良したものだ。そしてそれをオープンソース化することにより、Facebookはこのテクノロジーを広くコミュニティで共有し、誰もがFacebookの作り上げた成果物を利用して開発が行えるようにしたのだ。

[原文へ]
(翻訳:sako)

写真: Maxiphoto / Getty Images

サービス間データ移行を容易にする「Data Transfer Project」、Googleら4社が発表

eng-logo-2015Google、Facebook、Microsoft、Twitterは7月20日(米国時間)、各サービス間でのデータ転送を容易にするオープンソースプロジェクト、「Data Transfer Project(DTP)」の立ち上げを発表しました。

現状、あるサービスから自分のデータをすべてダウンロードできたとしても、それをそのまま別のサービスにアップロードすることはできません。DTPはこれを可能にすることを目指すもの。プロフィールをコピーしたり、あるサービスに登録している連絡先をほかのサービスに移行したりが可能になります。

ほかにも、Instagramにアップした写真を一旦ダウンロードすることなく、GoogleフォトやFlickerに移したり、ある音楽サービスで作成したプレイリストをほかのサービスへ移すなどのケースが考えられています。

この取り組み、4社が独占するわけではなく、他企業とも協力して広く普及させたい考えです。ユーザーにメリットがあるのはもちろんですが、スタートアップ企業が新しいサービスを立ち上げる場合にも、DTPをサポートしていれば、サービス開始時から大量のデータを扱うことも可能になります。

DTPはまだ始まったばかりではありますが、サンプルコードがGitHubで公開されており自分で試すこともできます。具体的な形になるにはまだ時間がかかりそうですが、DTPが普及すれば、データが溜まっているからほかのサービスへ移りづらいという縛りからは、解放されるかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

GitHub Enterpriseと〜Business Cloudのユーザーがオープンソースのリポジトリにアクセスできる

Microsoftが最近買収したコードホスティングサービスGitHubが今日(米国時間7/13)ローンチした新しい機能により、企業ユーザーがこのサービス上のパブリックなリポジトリに容易にアクセスできるようになった。

GitHubの企業ユーザー向けバージョン、GitHubがホストするGitHub Business Cloudと、企業自身がホストするGitHub Enterpriseのユーザーは従来、このサービスの上に何百万もあるパブリックでオープンソースなリポジトリに直接アクセスできなかった。それが今回変わり、企業ユーザーは彼らのファイヤーウォールを越えてGitHubのコミュニティのすべてに直接関与し、コラボレーションできることになった。

そのためにGitHubが今回企業ユーザーとエンタープライズユーザーに提供することになった総合検索機能は、内部のリポジトリだけだなくオープンソースのリポジトリも検索できる。

最新のEnterpriseに導入されたそのほかの機能として、コードの変化を調べるときホワイトスペースを無視する指定ができる。また、コードの変更に対して複数のレビュワーの関与を必須とする指定や、サポートチケットの自動化などもある。アップデートの全貌は、ここで分かる。

Microsoftによる買収はそれほど意外でもなかったし、しかもまだ完了していないが、でもMicrosoftと、GitHubを拠り所とするオープンソースコミュニティという無理婚は、今だに議論を喚んでいる。両者はこれまで、目を合わせたことすらなかったのだ。でもぼく個人の考えとしては、それほど心配する必要はないし、現時点ではすでに一件落着して、Microsoftがこのサービスをこれからどうするのか、みんなが見守っている段階だと思う。

関連記事: MicrosoftがGitHubを75億ドルで買収(未訳)
    : MicrosoftがGitHubの運営の独立性を約束      

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Linux Foundationのブロックチェーン支援事業Hyperledger Projectがコードベースを充実

【抄訳】
ブロックチェーン革命が近づいているが、でも、その姿は目に見えないかもしれない。Linux FoundationのHyperledger Projectの事務局長Brian Behlendorfは、そう見ている。

スイスのツークで行われた本誌TechCrunchのブロックチェーンイベントTC Sessions: BlockchainでBehlendorfは、ブロックチェーンの導入でもたらされるイノベーションの多くは、いわば舞台裏で、人に知られることなく起きるのだ、と説明した。

Behlendorfは曰く、“多くの消費者にとって、銀行や政府のWebサイトのWebフォームが背後でブロックチェーンを使ってることは、分からないしどうでもいいことだ。LinkedInのプロフィールで、学歴が詐称だったらそこにグリーンのチェックマークが表示されても、その機能がブロックチェーンを利用していることを一般消費者は知らない。すべてが、舞台裏でひそかに行われる”。

“でもこれは、ストレージとネットワーキングと消費者の革命なのだ”。

ブロックチェーンが大きなインパクトを与える分野は何か。Behlendorfの考えでは、真っ先に大きく変わるのはオンラインのアイデンティティの領域だ。今のFacebookやTwitterなどのように情報の保存を中央集権的なシステムに依存するのではなく、ブロックチェーンは情報をもっと安全に保存でき、またその自己証明型身分証明(self-sovereign identity, 自己主権型アイデンティティ)システムには、より多様な用途がありえる。〔参考記事

“ブロックチェーンにさまざまな用途がありえる中で、いちばん重要と思えるのが、アイデンティティ、自己証明、本人証明の分野だ”、とBehlendorfは語る。“しかしどんなに正しいソリューションも、エンドユーザーにおける自分のアイデンティティの管理や利用が、ちょうど財布から運転免許証を取り出すときのように簡単にならなければ、普及しない”。

Hyperledgerは、それらによってブロックチェーンの分野でイノベーションを可能にする、とLinux Foundationが期待する、フレームワークとツールを提供している。そしてBehlendorfによると、現在は10のコードベースがあり、うち2つはプロダクション(本番開発)ですでに利用され、8つはブロックチェーンを構築するためのフレームワークだ。Hyperledgerは“オーガニックな”開発過程を重視しているので、オプションは今後もっと増える、という。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

JenkinsによるCI/CDの自動化サービスを提供するCloudBeesが$62Mを調達、ますます買収志向に

最近Codeshipを買収したCloudBeesは、主にJenkinsを使用するDevOpsプラットホームだ。同社はこのほど、6200万ドルの新たな資金を調達したことを発表した。そのラウンドは3700万ドルがDelta-v Capitalがリードする通常のエクィティラウンドで、2500万ドルがGolub Capitalのレイトステージレンディング(Late Stage Lending)による成長融資だ。既存の投資家Matrix Partners, Lightspeed Ventures, Unusual Ventures, Verizon Venturesもラウンドに参加した。

このラウンドで、2010年に創業されたCloudBeesの調達総額は1億ドルあまりになる。DevOps分野は急成長している競争も激しいビジネスだから、小さなプレーヤーを買い集めて拡大を早くし、大手と有利に競争できるほどのマーケットシェアを獲得するためには、これぐらいの資金が必要なのだ。

CloudBeesのCFO Matt Parsonは、次のように語る: “今日では、ほとんどの企業がソフトウェアを使って、製品と事業の継続的な改良に努めている。継続的経済のそのようなグローバル化により、DevOpsの市場も爆発的に拡大している。弊社も最近の数年間で、自分たちのビジネスの大きな成長を見てきたが、しかし今では、ソフトウェアの継続的デリバリがすべての企業にとって喫緊の戦略的課題になり、それに伴って弊社の目の前にもさらに大きな機会が出現している”。

CloudBeesの現在の顧客には、Fortune100社が46社、Fortune10社が3社いる。

オープンソースのJenkinsを動かすオートメーションサーバーが、CloudBeesのプロダクトの中核だ。Jenkinsの教育訓練や資格試験/証明も、提供している。オープンソースのツールを使って有料の商用サービスを提供する企業の例に漏れず、CloudBeesも主力ツールであるJenkinsをエンタープライズ向けにいろいろ拡張して、多種類のサービスを構築している。また、最近Codeshipを買収したことによって、Jenkinsにあまり縛られない継続的インテグレーションとデリバリのプラットホームをサービスとしてホストできている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

エンタープライズLinuxで好調のSuseをMicro Focusが手放す

Linuxの商用ディストリビューションとして歴史の長い、そして最近ではオープンソースのインフラストラクチャとマネージメントの面でも主要なプレーヤーであるSuseは、最近の数年間で何度かオーナー企業が代わっている。Micro FocusがAttachmate GroupからSuseを買収したのは2014年で、Attachmate〜は2010年に、当時SuseのオーナーだったNovellを買収した。今日(米国時間7/2)はMicro Focusが、Suseの今度の新たなオーナーがプライベート・エクイティ企業のEQTになったことを発表した

今回の買収の条件は公表されていないが、EQTによるとSuseの評価額は25億3500万ドルだった。

オーナーが何度も変わった企業としては珍しく、Suseはそのたびに強くなっている。かつてはエンタープライズ向けの堅実なLinuxディストリビューションだった同社は、今ではソフトウェア定義インフラストラクチャとアプリケーションデリバリのソリューションにフォーカスし、そのほかのマネージドクラウドサービスも展開している。同社の社員数は2017年で1400名、売上は3億2000万ドルだ。

同社自身はMicro Focusの下(もと)で好調を続けていたが、親会社のMicro Focus自身は、2016年に88億ドルで買収したHewlett Packard Enterpriseが裏目に出て大きく落ち込んだ。Micro Focusは、自分を立て直すためにSuseを売ることに決めた。

買った方のEQTは、おもしろい会社だ。同社の現在のポートフォリオには、ほとんど無名に近いテクノロジー企業数社と、消費者製品企業、不動産グループ、ヘルスケアサービス、数社のエネルギー企業、などなどが雑然と収まっている。

Suseの買収に関する今日の声明の中で、EQTのパートナーJohannes Reichelが述べている: “同社の過去数年間の強力な実績と、オープンソース分野のパイオニアとしての強力な企業文化と伝統に感銘を受けている。同社のこれらの性格は、強力で変化への対応力のある企業を支援し構築し、その成長を促進するEQTのDNAによくなじむものである”。

しかしEQTがオープンソース企業を傘下におさめるのはこれが初めてなので、今後に注目したい。Suseは実質的に独立性を維持すると思われるから、同社のオープンソースコミュニティとの関係には、大きな変化はないだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Gentoo LinuxのGitHubリポジトリにハッカーが侵入、無傷なコードをバックアップから復元

セキュリティ企業Sophosの研究者たちによると、人気のLinuxディストリビューションGentooが“完全にやられて”、現在そこにあるコードはどれも信頼できない、という。そして彼らは直後にアップデートをポストし、コードはすべて無事だった、と述べた。ただし彼らはGitHubのリポジトリをpullし、彼らが完全無欠なコードのフレッシュコピーをアップロードするまでは現状を維持する、と言っている。

Gentooの管理者たちは、次のように書いている: “本日6月28日のほぼ20:20 UTCに、未知の個人〔複数形〕がGitHub Gentooのコントロールを取得し、リポジトリのコンテンツと、そこにあるページを改変した。被害の範囲を目下調査中であり、コード編成とリポジトリのコントロールを取り戻すべく、努力している。現時点では、github上でホストされているすべてのコードが侵害された、と見なすべきである。ただし、Gentoo自身のインフラストラクチャの上でホストされているコードには、被害が及んでいない。そしてGithubはそのミラーにすぎないので、gentoo.orgからrsyncまたはwebrsyncするかぎり、何も問題はない”。

Gentooのアドミンたちがコードの自分たち用のコピーを保存しているので、回復不可能なまでに破壊されたコードは存在しない。Gentooによると、被害を受けたコードにはマルウェアやバグが潜んでいる可能性があるので、復旧するまではGitHubバージョンは避けるように、ということだ。

“Gentoo Infrastructureのチームが侵入箇所を同定し、悪用されたアカウントをロックした”、とアドミンたちは書いている。“GentooのコードとMuslおよびsystemdは、GitHubの三つのリポジトリにある。これらのリポジトリのすべてが、既知の良好な状態へリセットされた”、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Linux Foundationのシルバー会員だったGoogleが最高ランクのプラチナ会員に

Googleは長年、Linux Foundationの会員だったが、でもそのランクは比較的低いシルバー会員だった。同社は今日一挙に、このオープンソースNPOの最高ランク、プラチナ・スポンサーになった。シルバーの会費は年額10万ドルで、大企業にしてはささやかな額だが、プラチナの会費は50万ドルだ。これと並行して、Google Cloud Platformでオープンソース戦略を担当するSarah Novotnyが、Linux Foundationの理事会に加わった。

Googleと肩を並べるLFのそのほかのプラチナ会員は、AT&T, Cisco, Fujitsu, Hitachi, Huawei, IBM, Intel, Microsoft, NEC, Oracle, Qualcomm, Samsung, VMwareだが、Linux Foundationの総会員数は800以上になる。

Linux Foundationの理事長Jim Zemlinは、今日の発表声明でこう述べている: “Googleは世界最大のオープンソースのコントリビューターならびにサポーターのひとつであり、その同社がThe Linux Foundationへの関与を増強したことはまことに喜ばしい。またオープンソースコミュニティの指導的な立場におられるSarah Novotnyを当会の理事にお迎えできることは光栄であり、彼女が本会の大きな力になることは確実である”。

Googleによると同社はこれまで10000あまりのオープンソースプロジェクトをリリースおよび寄与貢献し、その中にはLFが管理するCloud Foundry, Node.js, Cloud Native Computing Foundation, Open API Initiativeなどがある。Cloud Native Computing Foundationは、Google由来のコンテナオーケストレーションサービスKubernetesの、母体的組織だ。

Googleはこれまで長年、非常に多くのオープンソースソフトウェアプロジェクトとそのエコシステムに関わってきたから、シルバー会員だったことの方がむしろ意外だ。

Novotnyはこう述べている: “オープンソースはGoogleの企業文化の最重要の本質であり、われわれは長年、オープンなエコシステムがよりはやく成長できる資質を持っていることと、変化に際して柔軟性と適応性が大きく、より良質なソフトウェアを作れることを認識してきた。The Linux Foundationはオープンソースのコミュニティに根付いており、当団体と密接に協働することによって私達は、コミュニティの総体と関係を持ち、誰もが利益を得る、誰に対しても開かれたエコシステムの構築に、これからも引き続き貢献していける”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa