Facebookは言論の自由ではない、暴言に最適化された増幅アルゴリズムだ

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は10月17日に講演を行い、「すべての人に発言力を与える」こと、そして「できる限り表現の自由の定義を広く保つ」ための戦いを称賛していた。もちろん、それはいい考えだ。表現の自由は、彼の道標ではないにしても、リベラルな民主主義の道標だ。それに反論する人間はいないだろう。

問題は、Facebook(フェイスブック)が言論の自由を与えていない点だ。それが与えているのは、自由な増幅だ。最初のころのFacebookのように、誰かのページや暴力的な投稿を読むために、そこまでわざわざナビゲートしなければならないとしたら、たとえ嘘であろうが憎悪に満ちた内容だろうが、ほとんど問題にされない。

だが人々がFacebookで実際に読んでいるのは、自分のニュースフィードだ。その中の投稿は、すべての人に同等の発言力を与えられた結果として表示されるわけではない。厳格な時系列に沿って表示されるわけでもない。私たちがFacebookで読んでいる内容は、完全にFacebookのアルゴリズムによって選ばれたものだ。ニュースフィードが自由な言論の場であり、増幅もほとんどされない場だと勘違いしている人からしてみれば、めちゃくちゃ排除され、めちゃくちゃ検閲されている場所だ。

では、増幅とはなんだろう?投稿内容には2つの形式がある。通常のネイティブコンテンツは、エンゲージメントを高めるアルゴリズムにより最適化される。これは、人々にFacebookでより長い時間を過ごさせるためのものだ。それにより、増幅されたもうひとつの形式のコンテンツ、つまり有料広告に触れる時間が長くなる。

もちろんこれは完璧ではない。ザッカーバーグ氏が講演で述べていたように、Facebookは捏造記事や誤った医療情報などが拡散しないように阻止する努力をしている。それがなくともアルゴリズムによって排除されるにも関わらずだ。しかしザッカーバーグ氏は、有料広告による政治的な誤情報の拡散は阻止しないと決意している。

この決断には、私は個人的には同意できないし、分別のある人なら、合意しにくい問題だろうと私は考える。ところが、それを言論の自由を擁護するためだと主張するのは、非常に不誠実なことだと私は感じた。もし誰かが、どこかのプラットフォームなりネットワークに露骨な偽政治広告を出そうとして掲載が拒否されたとき、それを言論の自由に対する攻撃だと真剣に考える人はいるだろうか?いるはずがない。それに対する反論には、まともに応じる必要もない。

だがさらに深刻なのは、アルゴリズムが内容を感知していなければ公正だとFacebookが考えているらしい点だ。ザッカーバーグ氏が人々に発言権を与えることに言及したとき、彼が本当に意味していたのは、Facebookのアルゴリズムによって選ばれた人に発言権を与えるということだ。「人には大規模に自己表現をする力があります。それは世界の新たな権力、第5権力です」と彼が発言したとき、その真意は、Facebookのアルゴリズムこそ第五権力だという点にあった。

その信念とは、明らかに、法律が求め社会契約が示唆する必要最低限のことを超えたコンテンツに基づく人間の判断、つまり、彼が講演の中で指摘していたヘイトスピーチ、嫌がらせ、危険な偽医療情報のフィルタリングは、危険で間違っていて、それはネイティブコンテンツにも有料広告にも通じるというものだ。それに従えば、Facebookのアルゴリズムは、コンテンツに関与しない限りは完全に公正ということになる。

だがこの信念は、完全に間違っている。これまで見てきたとおり、「エンゲージメントのための最適化」は、怒りや二極化や不誠実な偽情報のための最適化であることが非常に多かった。それぞれの問題に関して特定の側に味方することは、たしかになかった。しかしそれは、どちらの側でも、極論、陰謀説、感情的な罵倒を助長してきた。不信感、疑念、争いをいたるところで煽ってきた。私たちは、ずっとそれを見てきた。その中に私たちは暮らしてきた。

Facebookの、内容に関わらず政治広告を承認するという判断は、本質的には、彼らのアルゴリズムがエンゲージメントを最適化する方法の理論的な延長線上にある。それは、内容に基づく判断をしない限り、現在進行中の、今後永遠に続く、人々に何を見せて、何を見せないかの操作(これが言論の自由に反するとお考えなら検閲と読んでもいいだろう)は、したがって公平かつ公正なのだと物語っている。こうした考え方には、10年前いや5年前までは対抗できた。しかし、今はもう対抗できない。

これはもう、変えられないことでもある。Facebookのそもそもの罪は広告ではない。それは利用者にもっと広告を見せることを目的としたエンゲージメントのための最適化だ。Facebookが世界のポジティブな力になるためには、そこを変える必要がある。とは言え、彼らは決して変わらないだろう。なぜなら、そのエンゲージメントこそFacebookのビジネスモデルの基本だからだ。

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(翻訳:金井哲夫)

米国の今年上半期のデジタル広告費は6.3兆円し伸びは鈍化

2019年上半期に広告主たちは米国のデジタル広告に579億ドル(約6兆2800億円)を費やした。Interactive Advertising Bureau(IAB、オンライン広告業界団体)にPwCが提供した最新のレポートで明らかになった。2018年上半期から17%の伸びで、上半期の額としては過去最高となった。

しかしPwCのDavid Silverman(デイビッド・シルバーマン)氏は、実際には昨年下半期に比べると「わずかに減少している」と指摘した。2009年以来成長を続けてきたが、今回初めて減に転じた。

シルバーマン氏はこの減少の要因の1つは、モバイルとソーシャルメディア広告の成長の鈍化であるとの考えを示した。もっとはっきり言うと、どちらの部門も対前年比では伸びている。モバイル広告は29%増の309億ドル(約3兆3500億円)、ソーシャルメディア広告は26%増の165億ドル(約1兆7900億円)だった。

しかし、「それらの部門は熟しつつあるようで、近年みられたようなレベルの成長はない」とシルバーマン氏は語った。

一方、IABの研究・分析担当の上級副社長Sue Hogan(スー・ホーガン)氏は2018年末から2019年初めにかけての減少は誤差の範囲と指摘している。実際、レポートでは両期間の支出額をいずれも579億ドルとした。

全体としてホーガン氏はどの部門も健全であり、注目すべきは36%増の95億ドル(約1兆300億円)となったビデオ広告の成長だと主張する。

レポートではまた売上高の集中度合いも取り上げていて、トップ10のデジタル広告企業の支出額を明らかにしている。具体的な企業名は挙げていないが(この分野を独占しているのはGoogleとFacebookだ)、過去10年間にわたり売上高の69%から77%をトップ10の企業で占めているとしている。

2019年第2四半期でもトップ10企業が売上高の大半を占め、その割合は76%にのぼった。一方で11〜25位の企業が占める割合は7%にすぎなかった。

画像クレジット:Image Source / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

業務管理プラットフォームのAsanaが自動化ツールを公開

米国時間10月17日、業務管理プラットフォームのAsanaが、日常的に繰り返すタスクを軽減する新機能のサービス開始を発表した。この新機能は「オートメーション」と呼ばれていて、ユーザーは「もしこうだったら、こうする」というオリジナルのルールを作成できる。さらにOCRツールや、このサービスの機械学習の能力を統合する新しいスマートテンプレートのほか、音声の文字起こしサービスも提供する。

Asanaのプロダクト担当トップのAlex Hood(アレックス・フッド}氏は次のように語る。「今年前半に我々は、チームがもっとアジャイルに仕事の計画、監視、管理ができるようにする『ワークロード』を導入した。今回のオートメーションではルーティンのタスクを自動化できるので、面倒な反復作業はAsanaに任せて仕事にもっとエネルギーを使えるようになる」。

ルールビルダーにはサービス開始時に70以上のルールがプリセットされているが、もちろんユーザーは独自のルールも作成できる。例えばこのサービスを使ってタスクを特定のチームメンバーに自動で送ることができる。同社が今回発表した新機能はすべてそうだが、このアイデアもチームを1日中振り回している「仕事のための仕事」を自動化するものだ。

新たに追加されたOCRと文字起こしのサービスは、AsanaのiPhoneアプリで利用できる。これももちろん自動化のためだ。ミーティングでの話やホワイトボードを簡単に取り込むもので、取り込んだデータはAsana内で特定のタスクに割り当てることができる。

スマートプロジェクトテンプレートも、Asanaの利用に関する作業を軽減する。同社は「これからはイベントプランニングやキャンペーンのローンチといったテンプレートを使えば、業務スケジュールを即座に仕上げられる。タスクの締め切りで問題が生じたらAsanaが自動で修正するので、プロジェクトやワークフローの準備にかかる時間が短縮され、仕事に多くの時間を使えるようになる」と説明している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AI契約書レビュー「AI-CON」に新機能、NDAを500円で“即時チェック”できるように

AI契約書レビュー「AI-CON」や法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」などを提供するGVA TECH。そんな同社は10月21日、AI-CONをリニューアルし、新機能である「即時チェック」の提供を開始したことを発表した。

2017年1月設立のリーガルテック領域のスタートアップであるGVA TECHの当初のミッションは法務担当者いのいない中小企業やスタートアップにサービスを提供し、法務格差を解消することだった。だが、大手企業からのニーズに気付き、9月には「AI-CON Pro」のα版をリリース。年内には正式な提供を開始する予定だ。

そして、本日発表されたAI-CONの新機能である即時チェックのターゲットは、フリーランサーや企業に所属しながら副業する人。これまで、そのような人たちもAI-CONを利用していたが、「1通あたり数千円〜1万円程度かかる今までのAI-CONでは、フリーランスや副業をされる方にとっては高額だった」(GVA TECH)。

即時チェックを使えば、WordやPDFといった形式の契約書をアップロードするだけで「契約書内のリスク判定」「トラブル事例」「修正例」などのチェック結果を数秒程度でフィードバックしてくれる。

GVA TECHいわく、同社がこれまでに提供していた契約書チェック機能と比較すると、即時チェックでは特にトラブルに繋がりやすい項目を重点にフィードバックする。そうすることで「今まで法務ノウハウやコストが原因で契約書チェックができていなかった中小企業や創業間もないスタートアップ企業、フリーランサー、副業される方の契約書関連業務をサポートする」(GVA TECH)。

即時チェックの提供開始に合わせ、GVA TECHでは「秘密保持契約書(NDA)」を対象に、ワンコイン(税別500円)という低価格でのAIによる契約書チェックを実現した。ワンコインで即時チェック、リスク判定、そして修正例までを提供する。今後はNDAだけでなく、業務委託契約書など他の契約書類型にも対応していく予定だ。

GVA TECH代表取締役の山本俊氏はAI-CONのリニューアル、そして即時チェックの提供開始について後述のように説明した。

「(同社の)メインターゲットは今まで通り、スタートアップや中小企業なのは変わりありませんが、昨今の働き方改革により、エンジニアやデザイナーといったフリーランスに向いている職種だけでなく、企業に勤めながらも副業をする方も増え、個別に相談をもらう機会がでてきました。そのような方にも使っていただきやすいように都度課金かつ500円の安価なサービスにすることにしました。今後も創業の想いである『法務格差を解消する』ために、より多くの方に使っていただきたいです」(山本氏)。

MediaLabがメッセージアプリKikを買収し閉鎖を回避

人気のメッセージアプリであるKikは、ロサンゼルス拠点のマルチメディア持株会社のMediaLabによる買収で本当に生き残ることになる。

米国証券取引委員会と争いを展開している最中にKikがシャットダウンすることになるかもしれないないという先の報道をはねつけたときのKikのCEOであるTim Livingston(ティム・リビングストン)氏の発言のとおりだ。リビングストン氏はKikが素晴らしい企業との覚書にサインしたが、まだ取引は完了していないとツイートしていた。

そして相手企業が明らかになった。MediaLabだ。金曜日に投稿されたKikのブログには、MediaLabはKikメッセンジャーを買収することで“合意した”と語った、とある。

Kikは、大望を抱いていた初心に我々を立ち返らせる素晴らしい場所のひとつ」とブログにはある。「変な漫画に対する情熱だろうが、あるいはお気に入りのサッカーチームに対する情熱だろうが、Kikは携帯電話を通して築かれる新たな友情のためのプラットフォームを提供するという驚くべき能力を示してきた」。

MediaLabは、匿名のソーシャルネットワークであるWhisperやミックステープのアプリのDatPiffなど、いくつかのモバイルサービス企業を傘下に持つ持株会社だ。Kikの買収で、保有するモバイルアプリの数をさらに増やす。

「アプリの動きを早くし、不要なメッセージやスパムボットを減らすなど、Kikをさらに発展させるためのいくつかのアイデアがある」とMediaLabは話した。「プラットフォーム運営の費用を賄うために数週間以内に広告を導入する」とも語った。

Kikメッセージプラットフォームを買収することで、MediaLabと同社のCEO、Michael Heyward(マイケル・ヘイワード)氏は新たなソーシャルメディアの武器を手に入れることになる。

ヘイワード氏は8年ほど前に匿名のメッセージサービスのWhisperを立ち上げ、新進のロサンゼルス拠点スタートアップコミュニティのスターだった。当時、WhisperはSecretやYikYakなどを含む一群の匿名アプリの1つにすぎなかった。Whisperは告白の日記やburn book(怒りの内容の本のこと)、心情吐露の場をオンラインに設けるために数千万ドルを調達した。

2017年にTechCrunchは、Whisperが閉鎖を回避し、収益化を図るためにかなりの解雇を行ったことを報じた。

当時、Whisperはアプリとウェブでおおよそ2000万人の月間アクティブユーザーを抱えていて、過去に売上に貢献したスポンサーブランド広告よりも、プログラマティックな広告で収益を上げる方策を模索していた。ウィジェットを通じて、同社は1カ月あたりさらに1000万人のコンテンツ視聴者を獲得した。そして、視聴者数はさまざまなウィジェットとFacebookや投稿が掲載された他のソーシャルネットワークを介して2億5000万人に達した。

Whisperに詳しい人によると、当時の総売上高は約100万ドル(約1億円)だったが、2017年の売上高は1250万ドル(約14億円)になろうとしていた。情報筋は当時「2018年までに売上高は最高3000万ドル(約33億円)となることが見込まれる」としていた。

フラッグシップのWhisperアプリでは、ユーザーは匿名でテキストや画像を投稿でき、そうした投稿にライクの意思表示をしたりコメントしたりできる。ヘイワード氏はこのアプリが人々にとって個人的で密やかなことを共有する手段となることを意図していた。ハラスメントではなく、告白やサポートのためのソーシャルネットワークだ。

このアイデアは投資家の注意を引き、WhisperはSequoiaやLightspeed Venture PartnersShasta Venturesといった投資家から6100万ドル(約66億円)調達した。Whisperの直近のラウンドは3600万ドル(約39億円)を調達した2014年のシリーズCだ。

話を2018年に進めると、YikYakは破産した一方で、Secretは3年間シャットダウンされていた。YikYakはエンジニアリングのチームを約100万ドル(約1億円)でSquareに売り払った。一方のWhisperは、他のアプリも傘下に持つ持株会社として MediaLabを立ち上げた。同社は2018年6月にカリフォルニアに会社登録の書類を提出した。

書類には、投資会社であるSierra Wasatch Capitalのパートナー、Susan Stone(スーザン・ストーン)氏の名がMediaLabのディレクターとして記載されている。

ハワード氏にコメントを求めたが、返事はなかった。

【編集部注】この記事にはライターZack Whittakerも協力した。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

転売業者の荒稼ぎを防ぐYellowHeart、チケットをブロックチェーンで一元管理

YellowHeart(イエローハート)は、人気コンサートのチケットを買おうとしたことのある人の誰もが経験した思われる問題を解決しようとしている。そういう人気チケットは、転売業者(ダフ屋)がかっさらってしまい、非常に高く転売されることが多いのだ。

CEOのJosh Katz(ジョシュ・カッツ)氏によると、彼がYellowHeartを創業したのは彼自身が大の音楽ファンであると同時に、ダフ屋に食い物にされることにうんざりしてきたからだ。同時にまた、彼によると、それはコンサートに行く人たちだけの問題ではない。むしろそれは、ファンとアーティスト両方が、ウィンウィン(Win-Win)の逆のルーズルーズ(Lose-Lose)になっていることだ。ミュージシャンは高く売られたチケットにふさわしい額の利益をシェアできない。

そこでYellowHeartは、ミュージシャンやコンサート会場やそのほかのイベント主催者たちに、チケット転売のルールを作らせる。カッツ氏が望むのは「勇敢なアーティストがチケットを正価より高い値段で売るのはノー!と宣言する」ことだ。しかし彼が予言する現実としては、チケット価格の天井を設定し、転売で得た利益は売った者とアーティストまたは指定したチャリティーと分け合うルールになるだろう。

「チケットがどこで売られようと、そのルール守らなければならない」とカッツ氏は付け加える。なぜ守らざるをえないかというと、チケットの販売はすべてオープンなブロックチェーンの上で行われるからだ。そして「すべてのトランザクションがYellowHeartを経由し、売り上げもすべてYellowHeartを通る」。

計画では、そのようなチケット発行のプラットホームを来年の第2四半期に作る。カッツ氏によると、ユーザーは自分のチケットをYellowHeartのスマートコントラクトを使えるマーケットプレースならどこででも売れる。「でもそんなパートナーができてスマートコントラクトの統合が行われるまでには少々時間がかかるだろう」とカッツ氏は認める。

関連記事:BOTS Act punishing online scalpers passes Senate, moves on to the House(ネット上のダフ屋を罰するBOTS法が上院を通過、未訳)

カッツ氏によると、ブロックチェーンにはそのほかの利点もある。どのチケットにもユニークな(それ1つしかない)キーが付いていて、それはユーザーの本人性に結びついておりユーザーの仮想ウォレットに所在する。したがってニセモノは作れない。チケット発行のプロセスはエンドツーエンドで完全にデジタルであり、その例外は会場側が切符売り場でチケットをプリントするときぐらいだ。

同氏は音楽業界にいた履歴があり、以前はホテルやレストランなどの顧客のためにオリジナルのプレイリストを作るEl Media Groupを創業した。彼はザ・チェインスモーカーズと一緒にYellowHeartを作り、マネージャーのAdam Alpert(アダム・アルパート)氏はDisruptor Records(ディストラプター・レコーズ)のCEOでもある。

「ザ・チェインスモーカーズとは長年、転売業者の問題を率直に話し合ってきた。今回はうれしいことにYellowHeartがパートナーとなり、アーティストとファンがコントロールを取り戻せるスマートで効果的なソリューションを提供してくれた」とアルパート氏は声明で述べている。

そしてカッツ氏によると、YellowHeartはコンサートに限らず、どんなイベントのチケット管理にも利用できる。彼によるよ「スポーツや劇場などでも便利に使えるはずだ。今回はたまたま創業者が全員音楽業界出身だから、手はじめが音楽になっただけだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

The Informationがテックニュース専門アプリTickerを開設

ジャーナリストのJessica Lessin(ジェシカ・レジン)氏が2013年に設立して以来、The Informationは広告なし、サブスクリプションによるビジネスモデル(先取り感を高めつつあるようだ)という点でテックニュース分野で抜きん出た存在であり続けている。

そしていま、間もなく立ち上げるTickerというアプリで同社はサブスクリプションモデルを維持しつつ読者のさらなる獲得を目指す。Tickerは初の消費者向けアプリだ、とThe Informationは説明する。現在399ドル(約4万3000円)の年間購読料を払っている人は、仕事のために購読している人たちだ。具体的には、投資家であったり、起業家であったり、またはテック業界のプロフェッショナルだったりする。

一方、新アプリは最新のテックニュースに興味のある、あらゆる人のためのものだ。購読料は年間29ドル(約3150円)と、リーズナブルなものとなっている(Informationの購読者もアクセスできる)。

明らかに、このアプリはInformationウェブサイトのBriefingセクションの影響を受けている。Briefingでは主要なテックニュースの短い要約を提供している(往々にして他の媒体からの引用だ)。

その一方でTickerにはTodayというセクションがあり、その日のテックニュースのヘッドラインの概要を案内する。Briefingと似ているが、一般消費者向けに書かれている。また、読者が知りたいと思うような、来たるIPOや会議、イベントを表示するカレンダーもある(Informationの全記事やオリジナルの報道は含まれない)。

「テックニュースを仕事のためにフォローしているのではなく、暮らしの中心にテックニュースを据えつつある読者の声を耳にするようになっている」とレジン氏は声明文で述べている。「私たちはそうした人のためにTickerを立ち上げる。The Informationのチームが書いた重大なニュースの最もいい要約を提供する」。同社はTickerをこの秋にリリースする予定だ。サインアップはここからできる。

画像クレジット:Michael Kovac / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

アプリ使用状況を把握するPendoが約109億円調達

Pendo(ペンド)は、ユーザーのアプリ操作時の振る舞いを、アプリを提供する企業が把握できるよう支援するレイトステージのスタートアップだ。同社は10月17日、10億ドル(約1090億円)のバリュエーションで1億ドル(約109億円)のシリーズEラウンドを発表した。

ラウンドは、Sapphire Venturesがリードした。新たにGeneral AtlanticとTiger Globalが、既存株主からBattery Ventures、Meritech Capital、FirstMark、Geodesic Capital、Cross Creekが参加した。Pendoによれば、これまでに2億600万ドル(約220億円)を調達した。

同社のCEO兼共同創業者であるTodd Olson(トッド・オルソン)氏は多額の資金を必要とする理由について、現在市場を定義しているのは同社であり、潜在的な市場規模は非常に大きいとみているからだと説明した。「正直に言って、潜在的な市場規模を顕在化するのは我々の役割だと思っている。この6年で刺激的だと感じたのは、デジタルエクスペリエンスの改善があらゆるビジネスで最も重要になっていることだ」とオルソン氏は言う。

Pendoは顧客のアプリに接続した上で、ユーザーの行動を捕捉し、データをプロダクトチームにフィードバックして、アプリの機能の優先順位付けとユーザーエクスペリエンスの向上を支援する。さまざまな機能をユーザーに案内したり、更新情報や新機能を通知したりするなど、ユーザーを支援する方法も提供する。開発者がユーザーから直接フィードバックを求めることもできる。

オルソン氏によると、ユーザーの多くはテクノロジー企業だったが、保険、金融サービス、小売など他の業種にも拡大した。企業はデジタルエクスペリエンスをますます重要視している。「調達した資金で営業チームとプロダクトチームを増員して我々のメッセージを確実にマーケットに伝え、企業の変革を支援する」と彼は言う。現在、Pendoの顧客は1200を超える。

オルソン氏は株式公開の見込みについて明らかにしなかったが、検討はしていると述べた。その時が来た時のために社内組織を整備し始めた。「株式公開は確かに我々が検討しているオプションだ。市場環境が良好でいよいよ公開したいと判断した時に公開できる会社であるために、今すべきことを考えている」

画像クレジット:Ade Akinrujomu / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

米司法省が世界最大のダークウェブ児童ポルノサイトを摘発

米司法省は、ダークウェブ上で運営されていた最大規模の児童ポルノサイトの1つを摘発したと発表した。英国と韓国の協力のもと、児童虐待映像を宣伝・制作・配信した疑いで韓国人のJong Woo Son(ジョン・ウー・ソン)容疑者を起訴した。

ソン容疑者は2018年8月に逮捕されていたが、起訴は米国時間10月16日に明らかになった。NBCニュースが最初にこの起訴を報じた。サイトには児童が撮影された25万本以上のビデオがあった。データ量にして8TBにのぼる。

「サイトはダークウェブ上でのみアクセスが可能だった」と検察は話した。ダークウェブは、Tor匿名ネットワークのようなサービスを通じてアクセスできる、インターネットの暗号化・匿名バージョンを指す。捜査当局はウェブサイトのソースを確認することでサイトの現実世界でのインターネットロケーションを特定した。ウェブサイトのソースはソン被告の韓国の住居で運営されていたサーバーを指していた。

「児童の性的搾取で収益を得ているダークネットサイトは犯罪の中でも最も卑劣で非難すべきものだ」と検事総長のBrian A. Benczkowski(ブライアン A. ベンチョースキー)氏は指摘した。「本日の発表は司法省が被害に遭った子供を救うために、そしてこうした忌まわしい犯罪の加害者に司法の裁きを受けさせるために、韓国や世界中のパートナーと密に連携しながら取り組んだことを示している」。

このサイトに関わった3ダース(36人)超の個人もまた逮捕・起訴されている。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

トトロやもののけ姫、千と千尋の神隠しがHBO Maxに、ジブリ全21作品がストリーミング配信

HBOのストリーミングサービスはオリジナル番組を強みにして成功してきたが、AT&Tに買収されて以来、並外れたコンテンツを集めたストリーミングサービスのスーパーグループを作って消費者を引きつけ、さらに売上を伸ばすことを求められてきた。

これまでもHBOは、ストリーミングサービスのHBO Maxのためにコンテンツを買い漁ってきた。「フレンズ」や「ビッグバン・セオリー」などの権利を買い取った同社がは、その膨大な資金に物を言わせて、多くの人々に愛されている日本のアニメーショングループであるスタジオジブリの作品を、米国契約ユーザー限定でウェブに公開する。

「Princess Mononoke」(もののけ姫)、「Spirited Away」(千と千尋の神隠し)、「My Neighbor Totoro」(となりのトトロ)、「Howl’s Moving Castle」(ハウルの動く城)など、21作品すべてが2020年中にやってくる。「The Wind Rises」(風立ちぬ)が2020年秋になるほかは、来春の早い時期に配信予定だ。

この契約はスタジオジブリにとって極めて注目すべきものだ。これまで同スタジオの作品はいかなる形でもオンラインで合法的に視聴あるいはダウンロードできなかった。それは意図的な方針だっと見られており、HBOの札束が長年抱かれていた信念を変えさせたものと思われる。

契約条件は公表されていないが、今年ある代理人がゲーム関連のニュースを扱うウェブメディアのPolygon(ポリゴン)に次のように語っていた。

「スタジオジブリは、ダウンロード、ストリーミングを問わず、世界のどこであれ、作品をデジタルで提供することはない。劇場に集まって映画を体験することは、観客が鑑賞するうえで不可欠な機会であると今も会社は信じている」。

これはHBOにとって望外の勝利といえる。スタジオジブリがストリーミング契約を結ぶとすれば、長年の関係からみてパートナーはディズニーだろうと誰もが思っていた。しかしHBO Maxは小切手帳を手元に置いていたようで、この契約を勝ち取った。

関連記事:‘The Big Bang Theory’ goes to AT&T’s HBO Max streaming service for over a billion

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

RokuのデバイスでApple TVアプリを楽しめる

米国時間10月15日、Apple TV+の登場に先立ち、新しくなったApple TVアプリがRokuのデバイスで使えるようになった。このアプリでは現在、アップルのサービスを利用しているユーザーが自分のiTunesのビデオライブラリにアクセスでき、Rokuのデバイスから直接Apple TVのチャンネルを定期契約できる。そして11月1日からは、このアプリでApple TV+のストリーミングサービスを楽しめる。「ザ・モーニングショー」「See〜暗闇の世界〜」「ディキンスン〜若き女性詩人の憂鬱〜」「フォー・オール・マンカインド」「真相 – Truth be Told」など、アップルのオリジナル番組が配信される予定だ。

ユーザーはApple IDで認証するので、このアプリで、購入済みコンテンツへのアクセス、お勧めコンテンツのパーソナライズ、有料チャンネル(HBO、Starz、Showtimeなど)の定期契約、そして10万本を超える映画やテレビ番組の購入やレンタルができる。これに加え、Rokuのユーザーはまもなく1カ月4.99ドル(日本では600円)でApple TV+をこのアプリから定期契約できる。

通常、Rokuは自社のプラットフォームで発生したサブスクリプションの売上の一部を受け取っているが、アップルとどのような取り決めになっているかは不明だ。

Apple TV+のストリーミングサービスは、アップルの新しいデバイスを購入すると1年間無料で利用できるが、Apple TV+を利用できるのはアップルのハードウェア所有者だけではない。

アップルはサービスを拡大する過程で、他社のプラットフォームに入り込むようになってきた。この傾向は、Apple MusicやApple TV+といったストリーミングサービスで特に顕著だ。

例えばApple TVのストリーミングサービスは、AirPlay 2に対応したサムスン、LG、VIZIO(ビジオ)のスマートTVに加え、2018年以降のサムスンのスマートTV、Amazon Fire TV、LG、Roku、ソニー、サムスン、VIZIOのプラットフォームで利用できる。また、tv.apple.comのウェブサイトでもストリーミングされる。

Apple TVアプリは、Roku TV、ストリーミングスティック、ストリーミングメディアプレイヤーなど、新旧を問わずRokuのほとんどのデバイスで利用できる。ただし一部の古いメディアプレイヤーには対応しない。対応デバイスのリストはこちら

このアプリから、米国、アルゼンチン、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、エルサルバドル、フランス、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、アイルランド、英国でApple TV+を利用できる。

Rokuのシニアバイスプレジデントでプラットフォームビジネス担当ゼネラルマネージャーのScott Rosenberg(スコット・ローゼンバーグ)氏は、発表の中で次のように述べている。「Apple TVアプリを利用できることで、Rokuのお客様は待望のApple TV+など、さらに幅広いエンターテインメントを楽しめる。Rokuは多くの熱心な視聴者にアプローチしたいコンテンツプロバイダにとって、価値のあるパートナーだ。Rokuのユーザーに、この新しいオプションを楽しんでいただきたい」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleがマップアプリを強化、iOSからも事故や交通取締をレポート可能に

Googleマップの表示がさらにWazeに近づいた。 米国時間10月17日、GoogleはGoogleマップをアップデートし、新機能を追加すると発表した。ドライバーはiOS版でも、事故、交通取締、渋滞などの道路情報をマップにアップできるようになる。 この機能はAndroid版で人気があったが、今後はiOSでも同様の機能が利用できる。

またiOS、Androidともマップ・アプリのユーザーは道路工事、レーン閉鎖、故障車両、路上落下物など交通の障害となる可能性のある情報をアップして共有できる。こうした機能はすべて2013年にGoogleが買収したナビゲーション・アプリ、Wazeのセールスポイントだ。道路状況を共有できる機能が利用できることでマップよりWazeを好むドライバーも多かった。

Mid trip UGC Report

今回のアップデートはマップのWaze化が着々と進んでいることを裏付ける。

例えばこの5月に、Androidアプリのマップにはスピード制限区域を通報する機能が40カ国で追加された。 各種の道路上の障害を通報する機能も以前からテストされている。Googleマップはナビを利用中に案内を一時中断 したり、ルート付近のガソリン価格を調べるなどWazeの機能を移植してきた。

マップでナビモードを利用している場合、画面上の「+」アイコンをタップするとドロップダウンメニューが表示され、衝突事故、スピード違反取締、軽い渋滞、工事(以上の項目は日本のAndroidですでに利用可能)、レーン閉鎖、故障車、落下物をワンタッチで通報できる。

マップ本体のWaze化によって、Wazeを使わねばならない理由が次第に薄れている。

とはいえ、カレンダーと連動させて旅行の予定を立てたり、Facebookにイベントを投稿したりするにはWazeのソーシャル機能が便利だ。Wazeでは相乗り情報の設定も可能。これに対してGoogleマップはユーザーの通勤やショッピングなど日常の移動を助けることに重きを置いている。

マップを強化することによってWazeその他のアプリからユーザーを移動させることができればGoogleの他のプロダクトとの連携に有利だ。

Googleマップにおけるデータ収集はたとえばレストランなどの施設の待ち時間、混み具合、滞在時間などにおよんでいる。またマップはGoogleのマイビジネスへの参加を促す入り口としても役立っている。このプラットフォームはFacebookページのライバルに成長しており、マップのユーザーがひいきの店を登録して最新情報を受取ることを可能にしている。

Googleによれば新機能はAndroid版、iOS版とも今週中に世界に公開されるという。

【Japan編集部追記】道路情報のレポート追加のスクリーンショットは日本におけるAndroidアプリのもの。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWS Nitroの競合技術を有するPensandoが脱ステルス

元Cisco(シスコ)の技術者たちが創業したエッジコンピューティングのスタートアップであるPensando(ペンサンド)がシリーズCで1億4500万ドル(約157億7000万円)を調達し、ステルス状態を終えた。同社のソフトウェアとハードウェアはデータセンターにおけるクラウドコンピューティングサーバーの柔軟性を拡大し、Amazon Web ServicesのNitroと競合する技術と位置づけられる。

今回のラウンドはHewlett Packard EnterpriseとLightspeed Venture Partnersがリードし、これによりPensandoの調達総額は2億7800万ドル(約303億円)になる。HPEのCTOであるMark Potter(マーク・ポッター)氏とLightspeed VentureのパートナーであるBarry Eggers(バリー・エッガース)氏が、Pensandoの取締役会に加わる。同社の会長は元CiscoのCEO John Chambers(ジョン・チェンバース)氏で、彼はJC2 Venturesを介してPensandoの投資者の一人でもある。

Pensandoは2017年に、Mario Mazzola(マリオ・マッゾラ)氏、Prem Jain(プレム・ジャイン)氏、Luca Cafiero(ルカ・カフィエロ)氏、およびSoni Jiandani(ソニ・ジャンダニ)氏によって創業された。この技術者チームはCiscoの重要な技術開発のいくつかを先頭に立って推進した人々であり、その前にはInsieme Networksなど4つのスタートアップを創業して、それらはいずれもCiscoが買収している。

ロイターのインタビューで、前にCiscoの執行副社長だったPensandoのCFOを務めるRandy Pond(ランディ・ポンド)氏は、CiscoがPensandoの買収に関心があるかは明らかでないが、「現時点でうちはIPOを志向している。でもお金に関しては常にほかの可能性もある」と述べた。

同社によると、そのエッジコンピューティングプラットホームのパフォーマンスは生産性とスケールで比較するとAWS Nitroの5倍から9倍だ。Pensandoは、エッジコンピューティングのためのデータセンターインフラストラクチャを5Gからのデータや人工知能、そして物のインターネット(IoT)アプリケーションに対し最適化して用意する。ステルスの間に同社は、HPE、Goldman Sachs、NetApp、Equinixなどの顧客を獲得した。

プレス向けの声明でポッター氏は「現在のような変化が激しく、超稠密に接続された世界では、以前にも増して柔軟性と選択肢の幅の大きい操業環境を企業は必要とする。HPEとPensando Systemsとの関係が拡大しているのは、エンタープライズとクラウドの理解を互いに共有しているからだ。我々はPensandoへの投資とソリューションレベルのパートナーシップを誇らしく感じており、顧客のニーズを前もって把握したソリューションを今後とも推進していきたい」と語っている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デザインツールのCanvaが約11億円調達、企業向けバージョン提供へ

オーストラリア拠点のデザインツールメーカーであるCanvaは米国時間1016新たに1000万ドル(約11億円)を調達し、バリュエーションが32億ドル(約3480億円)になったと発表した。5月時点でのバリュエーションは25億ドル(約2720億円)だった。

投資家には、Mary Meeker’s BondGeneral CatalystBessemer Venture PartnersBlackbirdSequoia Chinaが名を連ねる。

新たな資金調達とバリュエーションの発表とともに、Canvaは「Canva for Enterprise」を立ち上げて企業分野にも進出することを明らかにした。

これまでCanvaは、マーケティングやセールスの飾り、ソーシャルメディアの材料、そのほかプロダクトデザインにほとんど関係のないデザインプロダクトを作るための軽量のツールセットをユーザーに提供してきた。というのも、プロダクトデザイナーを除き、ほとんどの組織が使用している材料でブランドの価値を維持するのに苦慮しているからだ。

Canvaは個人ユーザー向けには無料で提供されているが、ブランド価値を維持したいという組織の増大するニーズにはCanva Proで対応してきた。Canva Proはプロダクトのプレミアムバージョンで、月12.95ドルで利用できる。

そしていま同社は、Canva for Enterpriseを立ち上げて組織向けサービスを拡大しようとしている。新しいプロダクトはブランドキット(Design Systemと呼ばれている)を提供するだけでなく、マーケティングとセールスのテンプレート、承認ベースのワークフローを提供する。また、Canvaの膨大な量のデザインライブラリーを隠し、従業員が承認されたブランドアセット、フォント、カラーなどだけにアクセスできるようにする。

Canva for Enterpriseはまた、整頓という要素も備えている。コメントやり取りでのコラボ、チーム作業や役割分担を管理するダッシュボード、チームフォルダーなどが利用できる。

「我々は幸運な立場にある。というのも、マーケットの競争が緩やかになってきているからだ」とCanvaCEOで創業者のMelanie Perkins(メラニー・パーキンス)氏は話す。「消費者が抱える困難についての我々の考え方は、人々がブランドと相容れない考えるものだ。組織内にはかなりの非効率な部分があり、それゆえに人々はCanvaにこのプロダクトを作るよう、文字どおりリクエストしてきた」。

毎月、190カ国超で2000万人以上がCanvaにサインインしていて、同社によるとFortune 50085%の企業がCanvaを利用している。

最終目標は、インターネットとデザインにアクセスする世界中の人がCanvaのプラットフォームを利用するようになることだとパーキンス氏は語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

アーティストがビデオ配信と同時にグッズ販売可能に、YouTubeとMerchbarと協業

YouTubeがMerchbar(マーチバー)をパートナーして新しい機能を組み込み、世界中のファンにアーティストが配信する映像と一緒にグッズを販売できるようになる。これで映像の作者は、広告収入やサブスクリプション(会費)以外にも収益源を持てることになる。

昨年YouTubeは、作者が売上を得るための一連の機能強化を発表した。それらは、チャンネルメンバーシップ(有料会員制チャンネル)やプレミア公開、マーチャンダイズ(物販、YouTube Merchandise Store、略称Merch)などだ。

特に目立つのがマーチャンダイズ機能で、それにより作者は映像配信画面に下に商品棚を置いてファンに直接売ることができる。例えば、自分のブランドのシャツや帽子などがある人は、それらを売れるのだ。

YouTubeもまずシャツに目をつけて、オリジナルTシャツのメーカーであるTeespringをパートナーした。パートナーは今年になってさらに増えCrowdmadeDFTBAFanjoyRepresentRooster Teethなどが加わった。

そのときYouTubeは、Merch(物販)やスーパーチャット(プレミア公開、投げ銭機能のあるチャット)、チャンネルメンバーシップなどの機能を組み込んで何千ものチャンネルが売上を倍増した、と発表した。

youtube merchbar

今回のMerchbarとのパートナーシップは、主にアーティストのコミュニティが対象だ。Merchbarには今、3万5000名のアーティストからの100万件あまりのアイテムがあり、音楽と物販を組み合わせるサービスとしては世界最大だ。Official Artist Channel(公式アーティストチャンネル)のあるYouTubeアーティストは、自分の音楽ビデオの画面の下で商品を宣伝できる。マーケティングの機会に目ざといミュージシャンのMarshmello(マシュメロ)は、早くもMerchbarとYouTube専用のサッカーユニフォームを作った。

この前の物販機能と同じく、Merchbarの商品棚も映像の下に表示される。ユーザーはそこからクリックしてアーティスト自身のMerchbarサイトへ行くこともできる。売れたら、例によってYouTubeが小額の手数料を取る。MerchbarとYouTubeとの契約内容は公表されていない。

今回のローンチのタイミングは、GoogleがYouTube Musicに力を入れ始めた時期と一致する。同時期にライバルのSpotifyやApple Musicは音楽とビデオの両方を提供し、ライブやリミックスの中にはよそで聴けないものもある。最近GoogleがYouTube MusicをAndroidのデフォルトの音楽アプリにしたのも、その注力の一環だ。

米国内に品物を配送できるMerchbarのストアのあるアーチストは、YouTube Studioからその商品棚を登録しセットアップできる。米国以外の国にも、徐々に展開していく予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ギグワーカーに柔軟な保険を提供するThimbleが約24億円を調達

中小企業やフリーランサーが短期でも加入できる柔軟設計の保険を提供するThimble(シンブル)は、IACがリードするシリーズAラウンドで2200万ドル(約24億円)を調達したことを発表した。

以前の社名はVerifly(ベリファイ)だった。本業だったドローンパイロット向け保険にちなんだ名前だ。創業者兼CEOであるJay Bregman(ジェイ・ブレグマン)氏は、同社が顧客の需要に応えてさまざまなビジネスに新しい保険を提供してきたと語った。広くなった会社のビジョンを反映するため社名を変更した。なお同氏は、以前ライドシェアリングの会社Hailoを創業したことがある。

Thimbleの顧客はギグエコノミーの労働者(ギグワーカー)だとまとめてしまうのは簡単だが、ブレグマン氏はUberを運転したりPostmatesで配達する人たちだけが対象ではないと指摘する。同社の顧客のうち自身をギグワーカーだと認識しているのは4%にすぎないとのことだ。

「ギグエコノミーと呼ばれる大きなマーケットがある。その担い手であるギグワーカーたちは自身が決めた条件で柔軟な働き方をしている」とブレグマン氏は言う。

Thimbleは100を超える職業の顧客に賠償責任補償を提供しているという。便利屋、造園業者、DJ、ミュージシャン、美容師、犬の散歩代行などの顧客もいる。保険は、時間、日、週、月、年単位でThimbleのウェブサイトまたはアプリから直接加入できる。

「細切れの仕事を繰り返し請け負うようになると、年単位の保険に加入する意味がなくなる」とブレグマン氏は言う。例として同氏は、Thimbleの顧客の75%が以前は保険に加入していなかったこと、50%が1日未満の保険に加入していることを指摘する。同社は年末までに10万口の保険販売を見込む。

Thimbleの保険はMarkelが引き受ける。ブレグマン氏が「インフラと人材」が優れていると称賛した保険会社だ。

同氏は「我々はこれまでプロダクト自体の所有者であって、基本的に保険代理店と協力してプロダクトを市場に投入してきた。そのようなやり方は今後プロダクトが成熟していくと変わるかもしれない」と述べた。

Thimbleは、これまでに48州で保険販売に関する規制当局の承認を受けた。ギグワーカーが被雇用者なのかをめぐる広範な政治的議論が同社のビジネスに影響を与えるかと尋ねられたブレグマン氏は、同社の顧客の大多数は自身がギグワーカーであるとは考えていないと改めて指摘した。

「唯一恐れているのは、長期のギグワーカーに特有の問題を議論しているのに、関連する法律が意図せず正当なフリーランサーを心配させたり網にかける可能性があることだ」とブレグマン氏は言う。

IACの最高戦略責任者であるMark Stein(マーク・スタイン)氏は今回の投資に関して、デジタルメディアホールディング会社である同社がアーリーステージの会社へのマイノリティ出資をこれまであまり行ってこなかったことを認めた。だが同氏は今回の投資を「種をまく」ようなものだと語った。

「IACが考えているのは次の2つだ。どうすれば将来の成長の種をまくことができるのか?次のANGI HomeservicesやMatch Groupになるのはどういった会社か? 」。スタイン氏は、将来のスピンオフが取り沙汰されているIAC所有の2つのビジネスを引き合いに出し「その2つのように見込みが高く大きな市場機会を見出す必要がある。狙いは将来業界を変える大企業に育てることだ」と述べた。

既存株主であるSlow Ventures、AXA Venture Partners、Open Oceanもラウンドに参加し、Thimbleのこれまでの調達資金は2900万ドル(約32億円)となった。

画像クレジット:Thimble

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonが100以上の消費者サービスをOracleからAWSに移行

AWSOracle(オラクル)は互いにやり合うことが好きだが、このところAmazon(アマゾン)の優勢が続いているから、実はAmazonはOracleの顧客だったと認めざるをえない状況になってしまった。というのも、米国時間10月15日のAWSのブログ記事で同社は、Oracle for AWSを廃止して最後のOracleデータベースを実質的に閉鎖したと発表した。

それは具体的には、7500近くのOracleデータベースに保存されていた75PB(ペタバイト)のデータだ。この移行を発表するブログ記事でAWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏で「このデータベース移行作業が完了したことをご報告できてとても嬉しい。Amazonの消費者事業がついに、その最後のOracleデータベースを廃止した。ただしOracleと密接に結びついている一部のサードパーティアプリケーションは移行しなかった」と書いている。

これまで数年かけて同社はデータベースのOracle離れを進めてきたが、Amazonほどの巨大企業になると移行は容易な作業ではない。しかし、バー氏によると移行すべき理由がたくさんあったという。「何千ものレガシーのOracleデータベースを管理しスケールするために費やす時間があまりにも大きすぎた。データベースの管理者たちは、差別化のための高度な仕事ではなく、データの保存量が増えトランザクションレートが高くなると、とにかく無事に動いていることを確認するだけのために大量の時間を消費した」と彼は書いている。

100あまりの消費者サービスがAWSのデータベースに移された。その中には、AlexaやAmazon Prime、Twitchなど顧客対応のツールもある。AdTechやフルフィルメントのシステム、外部決済、発注など社内的ツールも移った。これらはいずれも、Amazonの中核を支える重要なオペレーションだ。

それぞれのチームが、OracleのデータベースをAmazon DynamoDBやAmazon Aurora、Amazon Relational Database Service(RDS)、Amazon RedshiftなどAWSのデータベースに移した。どれを選ぶかは、それぞれのニーズや要求に応じて各グループに任された。

Oracleに問い合わせたが、この件についての回答はなかっった。

関連記事:AWSはアグレッシブに世界制覇を目指す――エンタープライズ・コンピューティングで全方位路線

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Twitterが世界のリーダーたちの暴言のリツイートを禁止

Twitterは、ルールに違反している世界のリーダーからのツイートへの対話の仕方を制限することを発表した。

同社によると、今後は人を不快にさせるようなツイートをいいねしたり、リプライ、シェア、またはリツイートすることを禁ずるが、コメントや普通のツイートの中で問題のツイートを引用することは許される。

その理由は、ユーザーは今世界で起きていることを、口汚いツイートも含めて知るべきだが「ルール無視の黙認は許さないためだ」という。

口汚いツイートへのいいね、リプライ、シェア、リツイートはできなくなる。コメントでリツイートして自分の意見を表明することはできる。

Twitterは「ルールを破っている世界のリーダーに対して何もしない」という非難と、表現の自由の間で板挟みになっていた。

Twitterは米国時間10月15日の無署名のブログ記事で、「世界のリーダーたちのTwitter上の行為に対して前例のない措置を講じた」と言っている。

昨年Twitterは「北朝鮮に対する宣戦布告の脅しなど物騒なツイートを書くドナルド・トランプを禁じない」という立場を明らかにした。しかし、イランの最高指導者ハメネイ師の場合は、彼のツイートの1つが削除された

Twitterは「世界のリーダーたちのアカウントが弊社のポリシーよりも上位にあることはない」とし、「テロを奨励するツイートや暴力による脅し、プライベート情報のポストなどを行う者は、誰であれ禁止される」と説明する。

しかし、Twitterはこれに続けて「世界のリーダーが関与している場合は、その発言への公共的関心が明らかに存在するならば、そのコンテンツをそのまま残すという小さな過ちを、私たちはあえて犯すこともある」とも語る。、

そしてそんな場合には「そのコンテンツにルール違反であるという注記を付け、人々がコンテンツを見られるためのリンクを置く」として、7月の約束を補足している。

Twitterは、こんなツイートもしている。「目標は、ルールを正しく公平に適用することである。そうすることによって、弊社の検閲方針を正しく理解していただけると思っている。弊社はオープンな会話の場を提供するとともに、人々がリーダーの言葉を聞き、彼らの説明責任を明らかにする権利を保護する」。

関連記事:Twitter asserts that it won’t ban Trump because he’s a world leader(トランプは世界のリーダーだから暴言ツイートを禁じないとTwitterが発表、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トランプ大統領がゲーム実況向けTwitchで選挙集会をストリーミング

米国は来年秋の大統領選挙に向けて政治の季節に入りつつあるが、選挙集会のライブストリーミングプラットフォームとしてトランプ大統領はAmazonのTwtchを選んだ。

Twitchはもちろんゲームの世界では有名だが、政治を含めてそれ以外のコンテンツではこれまでさほど知られていなかった。

本人認証されたDonaldTrumpというTwitchアカウントは、まずReuters(ロイター)が発見した。 アカウントのトップにはダラスの選挙集会が予告されているが、アップロードされたビデオはまだミネアポリスの選挙集会1本だけだ。

アップされたビデオにはユーザーが製作した各種のビデオリプライが表示されている。称賛しているものもあればLOLとかKEK(LOLと同じ意味のネットスラング)というビデオもある。

Twitchを活用している大統領候補はトランプ氏だけではない。民主党の有力大統領候補であるバーニー・サンダース上院議員も数カ月前からこのプラットフォームを使っており、フォロワーは8万8795人とトランプ大統領の3万7754人を大きく上回っている(現在はサンダース氏は8万9309人、トランプ氏は7万5476人)。

トランプ大統領は8月6日にはお気入りの拡声器、TwitterでGoogleのスンダー・ピチャイCEOを名指しで取り上げて攻撃している。

@sundarpichai (Google)はホワイトハウスの執務室にで私に好意を持っている、政権はよくやっていると思う、Googleは中国の軍と無関係だ、2016年の選挙でロクでなしのヒラリーを応援して私の足を引っ張ろうとしたことはない等々と懸命に説明した。

Twitterはこの物議をかもすトップユーザーがAmazonグループのストリーミングプラットフォームといちゃついているからといって不満を感じることはあるまい。もっともジェフ・ボゾと罵られたベゾス氏がトランプがTwitchを使い始めたことを喜ぶかどうかは別だ。

Twitter自身のストリーミングツールであるPeriscopeもトランプ氏は使っているが、Twitchのほうがゲーマー向きであるだけに選挙集会をストリーミングするには向いていると考えたのだろう。Periscopeはどちらかというとリアルタイムで現場の状況をモバイルデバイスに中継するのが目的だ。Twitchは自宅でくつろいでデスクトップの大画面から見るユーザーが多いだろう。

ゲーマーの世界はトロルが多く生息することでも悪名高いが、それならトロル大王のトランプにはさらにぴったりだ。

最近、PeriscopeではTwitterは不適切なコメントに対して 以前より強い方法で規制を行っている。また会話の健全さを守るという目標を実現するためにフェイクやスパムに対する取り締まりも強化している。それやこれや考え合わせるとトランプ大統領がTwitchを使ってくれたのはTwitterにとって面倒ごとを避けられることを意味したのかもしれない。

TwitterのCEOであるジャック・ドーシー氏はそれでなくてもトランプ大統領が次にどんなツイートをするかいつもヒヤヒヤしてきたに違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

複数レストラン共用のデリバリー専用キッチンをDoorDashがベイエリアにオープン

フードデリバリー大手のDoorDashが、初めての共用業務用キッチンを、米国カリフォルニア州・レッドウッドシティーにオープンし、アサートン、メンロパーク、パロアルトなど、ペニンシュラ(先端にサンフランシスコがある半島)のあちこちの町の顧客にデリバリーとピックアップ(持ち帰り)の新しいオプションを提供する。

これは大きなトレンドの一部であり、Deliverooのようなデリバリーのスタートアップが共用キッチンをオープンすると、そのパートナーのレストランたちは新規開店のための巨費を投ずることなく、デリバリー(出前)の範囲を拡大できる

DoorDashによると、この最初のキッチンを利用するレストランは、Nation’s Giant Hamburgers、Rooster & Rice、Humphry Slocombe、そしてThe Halal Guysだ。

キッチンはパートナーのレストランとの共同設計だ。同社によると、これだけ多様なレストランが1カ所にあると、顧客はユニークなメニューや組み合わせを注文できる。Rooster & Riceにタイ風チキンライスを頼んで同時にHumphry Slocombeのアイスクリームを数パイント(1パイントは約500cc)頼んでもいい。

Rooster & RiceのCFOであるMin Park(ミン・パーク)氏が声明でこう述べている。「うちはルーツがベイエリアだから、食べ物の配達や共有をテクノロジーがどう変えていくかについて、常に関心があった。その意味で、DoorDashが提供するパートナーシップとそのリーチの大きさには感心している。今度レッドウッドシティにオープンするデリバリー専用のキッチンはとても魅力的であり、新しい市場における需要をテストし、新たな顧客と地域に迅速に到達できることはすばらしい」。

ローンチ記念にDoorDashは、年内にはキッチンを利用するパートナーのレストランに、デリバリー料金をいっさい請求しない。

関連記事:DoorDash, now valued at $12.6B, shoots for the moon(ソフトバンクが巨費を投資したDoorDashが早くもシリーズGへ、未訳)

画像クレジット:DoorDash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa