MesosphereはD2IQに名称を変更しKubernetesとクラウドネイティブにフォーカス

Mesosphereは、オープンソースであるMesosプロジェクトの、商用サービスを提供するために誕生した会社だ。仮想マシン群をより効率的に実行することは、確かに賢いソリューションだったが、時は移り企業も変化する。8月5日に同社は、名前をDay2IQ(略称はD2IQ)に変更し、Mesosの登場後、数年で急速に成長したKubernetesとクラウドネイティブに焦点を当てることを発表した。

D2IQのCEOであるマイク・フェイ(Mike Fey)氏は、新しい名前は会社自身の新しいアプローチを反映していると語る。Mesosプロジェクトだけに焦点を合わせるのではなく、より多くの成熟した組織がクラウドネイティブテクノロジーを採用することを支援することに、焦点を合わせたいと考えているのだ。

「Mesosphereという名前は、いくぶん窮屈なものだと感じていました。その名前では、会社がある技術に特化しているようなメッセージを出すからです。本当は私たちは通常運用(Day Two operations)をサポートすることをコアミッションとしているのです、すなわちクラウドネイティブアプローチを、単にアーリーアダプターたちのものではなくすべてのユーザーのために役立つものにすることが目的なのです」とフェイ氏は説明した。

なお同社が引き続きMesos駆動のDC/OSソリューションのサポートを続けるという点を、フェイ氏は注意深く指摘した。しかし会社の全体的な焦点はシフトし、新しい名称がそれを表現している。「Mesosプロダクトラインはまだ順調に機能しており、他のものでは提供できないものもまだあります。なので、私たちはそれを完全に放棄してしまうわけではありません。とはいえ、私たちは Kubernetesが非常に強力なことを理解しており、それを支えるコミュニティが素晴らしいことも知っています。私たちはそのコミュニティに付加価値を加えるメンバーの一員になりたいのです」と彼は言う。

彼は、この動きはクラウドネイティブの流行に突然跳び乗ろうとしたものではない、と付け加えた。彼の会社は、DC/OS上で実行されているKubernetesプロダクトを1年以上利用しており、クラウドネイティブコミュニティに貢献している立場なのだと指摘している。

今回の動きは、単に名前と会社の目標、そしてブランドの変更だけに留まるものではなく、同社が様々な顧客、より多くの成熟企業を支援するために開発した、いくつかの新しいクラウドネイティブプロダクトも含まれている(こうした新しいプロダクトたちが新しい会社名をインスパイアしたのだ)。

まず手始めに、同社はKonvoyという名の、独自の味付けを行ったKubernetesを提供する。これは「エンタープライズ品質のKubernetesエクスペリエンス」を提供するという。同社はまた、サポートおよびトレーニングサービスを提供する。これは現在世の中に欠けているものであり、クラウドネイティブに移行したい大きな組織が必要としているものだと同社が考えているものだ。

さらに、クラウドネイティブのやり方で、大量のデータを統合できるように設計されたデータ統合レイヤーを提供する。そのために、同社はKudoベータ版を導入する。これは、Kubernetesでステートフルな運用を構築するための、オープンソースのクラウドネイティブツールだ。同社はすでに、このツールを、Kubernetesやその他のクラウドネイティブプロジェクトを管理するオープンソース組織であるCloud Native Computing Foundationに寄付することを提案している。

同社は、この分野で、IBMとRed Hatの組み合わせのような新たな強打者との厳しい競争に直面している。だが同社は、強いオープンソースの精神を保つことで、Mesosの出自を乗り越えてクラウドネイティブ世界のプレイヤーになることができると信じているのだ。それがいい賭けだったかどうかは時間が経てばわかるだろう。

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画像クレジット: Andrey Suslov / Getty Images

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(翻訳:sako)

ユーザーデータをもとにフレッシュなイベント企画を創案するFeverに楽天などが投資

独自のアルゴリズムで企業のイベント企画立案を助けるFeverは米国時間8月3日、日本の大手インターネット企業楽天の投資部門である楽天キャピタルがリードするラウンドで3500万ドル(約37億2000億円)を調達した、と発表した。参加したそのほかの投資家は、Atresmedia、Accel、およびかつてAlibaba Groupへの米国からの投資をリードしたMichael Zeisser(マイケル・ツァイザー)氏だ。これでFeverの調達総額は7000万ドルになる。なおツァイザー氏は、Feverの取締役会に加わる。

マドリードとロンドンにオフィスのあるFeverのアプリは、ユーザーのために個人化されたイベントリストを作り、それを同社のSecret Media Networkに送る。そのネットワークは、企業のソーシャルメディアチャネルからもユーザーデータを集める。匿名化されたそれらのデータはFeverのアルゴリズムで分析され、企業のイベント立案を助ける。過去の例としてハリウッドの「The Alice in Wonderland MaddHatter G&T」や、ハロウィーンをテーマとするロサンゼルスの「House of Spirits」、若者向けのクラシック音楽コンサート「Candlelight Concerts」などがある。

現在同社の月間ユニークユーザーは、およそ2500万人がロンドンやニューヨーク、パリ、マドリードなどにいる。今度の新しい資金で、対象都市をもっと増やす予定だ。

FeverのCEOであるIgnacio Bachiller(イグナシオ・バチェラー)氏によると、次の拡張対象都市はシカゴとバルセロナだ。昨年はパリとロサンゼルスとリスボンとマンチェスターでローンチした。今後は2カ月に1都市のペースで主に米国とヨーロッパの都市に新市場を開拓したい。そして来年はアジアも狙う。イベント発見プラットホームはFeverのほかにもあるが、バチェラー氏によると同社の差別化要因は、「ユーザーの行動データを直接利用して需要を予測し、彼らのためにどんな新しい体験を作ってやればよいかを企業顧客に知らせること。体験のNetflix(既存再利用作品)というものは存在しないから、毎回新しい創造性がすべてだ」、という。

そしてバチェラー氏によれば、今後は楽天のそのほかのポートフォリオ企業とも協力して、中小企業が彼らの顧客の参加性を増やせるような企画を打っていきたい。

画像クレジット: Fever

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleの旅行支援アプリ「Trips」のサポートが終了

Googleは、旅の予定や計画を立てることをサポートするモバイルのTripsアプリを閉鎖するが、その機能の多くはマップ(Maps)や検索に組み入れられると発表した。Tripsアプリのサポートは8月5日で終わるが、そこにユーザーが書き込んだ情報や保存した場所などは、そのユーザーが自分のGoogleアカウントでサインインしていれば検索で得られる。

その地域の人気スポットやアトラクション、イベントなどは「my trips」で検索するか、Googleの新たに改良されたTravelページで見つかる。

GoogleはTravelサイトの変更を2018年9月に発表したが、その機能の多くはTripsアプリに分類されて入っていた。なのでこれからは、ユーザーはTravelに戻されることになり、またもっと多くの機能が、Googleが強い地図やナビゲーションのアプリに含まれることになる。

関連記事:Google、新しい旅行プランツールを公開

ユーザーはGoogle Tripsに書いたノートをブラウザーのTravelセクションに加えて編集したり、今後のまたは過去の旅行の保存したアトラクションや、フライト、ホテルなどを見つけられる。

マップ(Maps)で目的地や名所旧跡、ガイドリスト、イベント、レストランなどを検索するには、アプリの「Explore」タブをスワイプすればいい。

メニューのアイコンをタップすると、ユーザーが「Your Places」に保存した場所に行ける。そして、近く地図アプリでは予約情報が個々の旅ごとに整理されて提供される。予約情報はオフラインで見られるから、ダウンロードしなくてもいい。

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画像クレジット: Google Tripsのライセンスによる

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スマートニュースが米国市場拡大のため31億円調達、久夛良木氏招聘へ

スマートニュースは8月5日、日本郵政キャピタルをリード投資家とした総額31億円の資金調達を実施したことを発表。今回はシリーズEラウンドとなり累計調達額は122億円。同社によると、米国でユーザー数で前年比5倍以上と拡大しており、日米合算で2000万人の月間アクティブユーザーが利用しているとのこと。

今回調達した資金は、グローバルの開発体制を構築するために使われる。具体的には、プレイステーションの生みの親である久夛良木 健氏を社外取締役として招聘する。また5月からはFacebook News Feedのインフラ責任者を務めたYoulin Li(ユーリン・リー)氏が、エンジニアリングとバックエンド、基盤開発担当のバイスプレジデント(Vice President of Engineering, Backend System and Foundation、VPoE)として参画している。

同社の拠点は現在、東京、サンフランシスコ、ニューヨークにあるが、新たにパロアルト、アジア技術開発センターとして福岡、上海、計3つの技術開発拠点も開設。エンジニアやプロダクトマネージャー、データサイエンティストなどの採用を強化しているそうだ。

米国のトラフィック解析サービスであるParse.lyが2019年1月に発表した2018年12月時点での英語圏におけるメディアへの送客元としてはスマートニュース10位にランクイン。米Yahoo!が2018年10月、11月に占めていた10位のポジションをスマートニュースが奪取したかたちだ(編集部注:日本以外のYahoo!は米ベライゾンのサービスで、TechCrunchと同じグループに属している)。

とはいえ、7位にランクインしているDrudge Report(政治系ニュースアグリゲーターサイト)が占めるトラフィックでも0.8%。以下、bing、pinterest、スマートニュースと続くが、ぞれぞれの占有率は0.6%、0.5%、0.5%と影響力は限定的だ。

1位はGoogleで31.2%、2位はFacebookで14.4%。3位以下にもGoogle系のサービスがランクインしており、3位のnews.google.com(Googleニュース)が2.3%、6位のgoogleapis.com(GoogleChromeの「おすすめの記事」)が1.4%。Google系で合計すると34.9%と、3分の1以上のトラフィックを占めていることがわかる。

米国進出を果たしている国内企業としてはメルカリが思い浮かぶ。同社の2019年第3四半期(2019年1〜3月期)の国内事業の営業利益は64億円と好調だが、連結決算での最終損益は73億4100万円の赤字だった。第3四半期の連結決算で昨年より赤字が拡大したのはメルペイの販促費用がかさんだためだが、同社の場合は昨年に引き続き好調な国内事業の利益を米国事業に積極的に投資しているという状況だ。

スマートニュースは現在のところ非上場のため、国内事業の業績は明らかになっていない。しかし、米国事業の拡大には相当な時間がかかると考えられるので、足下の日本の事業も併せて強化、つまり大幅に黒字化していく必要があるだろう。米国で手強いライバルと戦うには、M&Aなどによるシェア拡大も戦略の1つになり得る。当面は、同社の国内の業績と、どのタイミングでIPOを狙っているのかが気になるところだ。

FacebookとInstagramがダウン(現在は復旧)

日本時間の8月4日夜、FacebookInstagramのユーザーから「トラブルが起きている」という報告が相次いだ。日本時間7月5日午前4時45分にFacebookは「問題は解決した」と発表 。

FacebookはTechCrunchに次のようなコメントを寄せた。

今日、ネットワーク上の問題によって一部のユーザーのFacebook系サービスへのアクセスに障害が出た。我々は問題を解決しており、運用は完全に正常な状態に戻っている。ご不便をおかけしたことにお詫びする。

モバイルアプリがロードしないユーザーが多数出ており、Twitterを利用して問題を訴えていた。. #facebookdownと#instagramdownというハッシュタグが用いられ、両方のタグともTwitterの人気トップのタグになっている。

【Japan編集部追記】 Facebookは日本でも昨夜障害に見舞われた。読み込みと表示は正常にできるものの投稿ができない状態が続いた。現在は復旧しており投稿も正常にできる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

クラウド上のデザインツールFigmaがプラグインとそのAPIをローンチ

デザインツールをクラウドに置くFigmaは米国時間8月1日、ユーザーが自分のワークフローをリセットして掃除できるプラグインを発表した。

Figmaの共同創業者でCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏によると、このプラグインは同社の立ち上げ以来、最も要望の多かった機能だ。そこでチームは昨年、2018年3月にローンチしたFigmaのAPIにプラグインの機能性を構築することに注力した。その際、3つのプライオリティを掲げた: 安定性、スピード、そしてセキュリティだ。

同社がプラグインのテストを始めてからかなり経つ今日、40個のプラグインがローンチOKとなった。それらの中で、とくに目立つのを以下にご紹介しよう。

ユーティリティとしては、まずRename Itは、デザイナーが今自分がやっているレイヤーを自動的にリネームして編成できる。一方Content Buddyは、適当なプレースホルダーとしてのテキストを置く(電話番号、名前など)。それらはあとで自動的に見つけて内容を入れ替えられる。StarkColorBlindはどちらもアクセシビリティのためのプラグインで、自分の仕事がWCAG 2.0のコントラストの指針に合ってるか確認できる。そのために、8段階の色弱を疑似体験できるレンズが提供されている。

そのほかに、アニメーションを加えるFigmotion、テーマを変えるThemer、デザインに地図を加えるMap Makerなどのプラグインがある。

だれでもFigmaのプラグインを作って一般公開できるが、企業など用にプライベートなプラグインも作れる。例えばMicrosoft(マイクロソフト)のある社員は、WordやOutlookなどMicrosoft製品をベースとするテーマに変えられるプラグインを作った。

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今のところ、プラグインで収益を得る計画はない。むしろプラグインを加えたのは顧客の幸福と満足に寄与するため、とField氏は言う。しかもFigmaのウェブサイトへ行くと、そこにはこのプロダクトが顧客と共に急速に進化する仕組みがある。個々の機能をそれぞれ別に作るのではなくて、今のFigmaはプラットホームをパワーユーザーに開放して、好きなものでウェブページを作れるようにしている。

Crunchbaseによると、Figmaはこれまで8300万ドル近くの資金を調達している。半年前のSequoiaがリードする4000万ドルのラウンドでは、調達後の評価額が4億4000万ドルだった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoft Azureでサーバーの専有利用が可能に

米国時間8月2日、Microsoft(マイクロソフト)は、Azure Dedicated Host(Azure専用ホスト)のプレビューリリースを発表した。これはシングルテナントの物理サーバー上で複数の仮想マシンを実行できる、新しいクラウドサービスである。すなわち、顧客はそのサーバー上のリソースを他の誰とも共有せず、そのマシンで実行されるものすべてを完全に制御することができる。

これまでにもAzureは、2つの非常に大きな仮想マシンタイプの分離型仮想マシンを提供していた。これらもまだ利用可能だが、その使い勝手は、今回の遥かに高い柔軟性を提供する新しいホスト機能と比べると、比較的制限されたものである。

今回の動きで、MicrosoftはAWSの足跡をたどろうとしている。AWSは既に非常に似通った機能であるDedicated Hosts(専用ホスト)を提供しているのだ。なおGoogle Cloudも同様に「 単一テナントノード 」(sole-tenant nodes)と呼ばれるものを提供している。

Azure Dedicated Hostは、Windows、Linux、およびSQL Serverの仮想マシンをサポートする。価格はホストごとに決定され、そのホスト上で最終的に実行される仮想マシンの数には影響されない。現在、最大48個の物理コアを持つマシンを選択でき、価格は1時間あたり4.039ドルからだ。

これを実現するために、Microsoftは2種類の異なるプロセッサーを提供している。Type 1は、最大3.5 GHzのクロック速度の2.3 GHz Intel Xeon E5-2673 v4をベースにしている。一方Type 2は、最大3.7 GHzのシングルコアクロック速度を持つIntelXeon® Platinum 8168を採用している。利用可能なメモリの範囲は144GB〜448GBだ。詳細はここで参照できる

Microsoftが指摘しているように、これらの新しい専用ホストは、企業が物理的なセキュリティ、データの整合性、および監視に関するコンプライアンス要件を満たすのに役立つ。専用ホストは、Azureデータセンター内の他のホストと同じ基本的インフラストラクチャを引き続き共有するが、ユーザーは、自分のサーバーに影響を与える可能性のある保守機能を完全に制御することができる。

これらの専用ホストは、特定のAzureリージョン内で、より大きなホストグループの中にグループ化することも可能だ。これにより、Azureデータセンター内に独自の物理サーバーのクラスターを構築することができる。実際の物理マシンをレンタルしているため、そのマシン上で起きるハードウェア問題は、そこで実行されている仮想マシンに影響を与える。このため結局は、フェイルオーバー戦略のために複数の専有ホストが必要となるだろう。

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(翻訳:sako)

デニーロがデジタルで脅威の若返り、Netflixが「アイリッシュマン」の予告編公開

Netflixオリジナルの「アイリッシュマン」が素晴らしいフィルムノワールである理由はいくつもある。まず監督が巨匠マーティン・スコセッシだ。主演はロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシというアカデミー賞俳優で、1960年代の米国の闇社会に君臨した労働組合のボス、ジミー・ホッファとアイルランド系ヒットマンのフランク・シーランを描いている。ただしTechCrunchとしては、この映画の驚異的なデジタルエフェクトを紹介したい。

一般メディアではスコセッシ監督の作品を紹介するのにデジタル・テクノロジーの話からは始めない(デニーロとパチーノという監督お気に入りのアカデミー賞俳優がスクリーンで顔をあわせる作品ならなおさらだ)。しかし「アイリッシュマン」におけるILMの役割は非常に大きく、少なくともインターネット上で大きな話題になっている。

ILM(インダストリアル・ライト&マジック)は1970年代に「スターウォーズ」のオリジナルの製作にあたってジョージ・ルーカス監督によって設立されたハリウッドを代表するSFX企業だ。「アイリッシュマン」ではILMは主演俳優、ことにデニーロをデジタル・テクノロジーで若返らせることに成功している。なんといっても現実のデニーロは1943年生まれで70代半ばだが、中年の人物を演ずる必要があった。昨日発表された最初の予告編にはジミー・ホッファからの電話受けるシーンが登場するがデニーロの若返りに驚く。

2分間の予告編を見たところでは、この作品はスコセッシ監督ならではのスタイリッシュな映画になっている。ドラマッティックな緊張が高まり、激しい暴力が散りばめられる。公開は「この秋」というだけで正確なスケジュールは不明だが、デニーロ、パチーノ、ペシに加えて共演者もハーヴェイ・カイテル、ボビー・カンナバーレ、アンナ・パキン、レイ・ロマノといったオールスターメンバーだという。

Netflixでのストリーミングに加えて劇場公開も予定されているが、これは劇場公開がアカデミー賞の選考対象の条件の一つだからだ。Netflixが昨年公開し、大きな反響を呼んだ60年代のメキシコの中流家庭を描いた傑作「Roma/ローマ」がこのアプローチを採用している。

【Japan編集部追記】この作品のワールドプレミアはニューヨーク・フィルム・フェスティバルが舞台で9月27日だという観測が出ている。またTechCrunchでは人工知能を利用した特殊効果技法の発達によって第三者の顔情報を用いて動画を合成する「ディープフェイク」が問題となっていることを報じている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Amazonへの米政府からのデータ提出要請が増加

Amazon(アマゾン)は、米政府からのデータ提出要請が2019年上期は2018年下期よりも増えたことを明らかにした。7月31日に密かにウェブサイトで公にしていたAmazonの透明性レポートの最新データによると、同社が受け取った要請の数は14%増え、捜索令状は35%近く増えた。

この数字には、Amazon Echo音声アシスタントサービス、Kindle、Fireタブレット、ホームセキュリティデバイスから収集されたデータが含まれる。レポートでは、Amazonがおおよそ5件のうち4件の割合でデータの一部または全てを提出したことが明らかになっている。

しかし、Amazonが受けた法的な要求の件数はわずかに減っている。

Amazonとは別に、年間営業利益のかなりの割合を占めるクラウド事業Amazon Web Servicesについてもデータを明らかにし、それによるとクラウドに保存している顧客データに関して受けた要請件数は77%増え、捜索令状の数は減った。

司法省が定めたレポートに関するルールにより、Amazonはコンシューマー、そしてクラウドの両方で0〜249件の国家安全リクエストがあった、とした。

プライバシー擁護者からのプレッシャーにもかかわらず、Amazonは最後まで透明性レポートを出さなかったメジャーなテック企業の1社だった。同社は最終的に圧力に屈し、告発者エドワード・スノーデンが米国国家安全保障局と世界の情報収集当局による大規模な監視を明らかにした、かなり機密性の高い文書をリークした数日後に初めてデータを明らかにした。

Amazonは当時、そして最近までその主張は続いていたが、NSAのいわゆるPRISMプログラムには「参加したことがない」と話していた。このプログラムでは政府が、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、そのほかいくつかのテック企業からデータを入手することができる。

しかしTechCrunchは、Amazonが数週間前にそうした文言を透明性レポートから削除したことに気づいた。そのことについてAmazonに問い合わせたところ、同社の広報は「変更は単にいくぶん古いレポートだからだ」と話した。

イメージクレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

グーグルが検索結果アルゴリズムを変更、最新情報を優先

フィーチャードスニペットは、Google(グーグル)が近年になって検索エンジンに追加した機能の中で、最も便利なものの1つだろう。米国時間の8月1日、Googleは、スニペット表示を実現するためのアルゴリズムを最近になってアップデートし、より新しい情報を優先するようにしたと発表した。

Google自身が示した例を見ると、これまでの検索結果には、平然と期限切れの情報が表示されていた。そうなってしまうのは、ユーザーが本当は何を知りたいのか、検索エンジンが理解しきれていなかったから。検索欄に入力されたクエリの本当の意図を理解するのは、けっこう難しいのだ。

「検索の真髄は言語の理解にあります。私たちの検索エンジンは、人間と同じように言語を理解するわけではありません」と、Googleの検索担当副社長、Pandu Nayak(パンドゥー・ナヤック)氏は述べている。「だからこそ私たちは、ユーザーによる検索の意図をよりよく理解し、適切な結果を提供するための新しい方法を開発し続けているのです。とりわけ、情報の鮮度に大きな意味があることが暗に示されている場合には、それを汲み取ることが重要です」。

Googleの例では、「upcoming uk school holidays」(今後の英国の学校の休校日)を検索している。その結果のスニペットには、以前は2018〜2019年の休校日が表示されていたが、今では2019〜2020年のものが表示されるようになった。

同様に、例えば今後のイベントについて検索したとすれば、新しいアルゴリズムによって、より新しい、的を射た情報が表示されるはずだ。Googleが示したもう1つの例では、「when does stranger things season 3 start」(ストレンジャー・シングスのシーズン3はいつから始まる)を検索している。今回のアップデートの前は、この今ひとつぱっとしないシーズン3がNetflixで始まる前に検索したとしたら、以前のアルゴリズムは、2018年の古い記事で日時もはっきり示されていないものを表示していた。それがアップデート後には、より新しく、正確な日付が掲載された記事を表示するようになる。

画像クレジット:JOHANNES EISELE/AFP/Getty Images/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazonは8月いっぱいでダッシュボタンを廃止

それは単純なアイデアのように思えた。コーヒーとか洗剤とか、同じ品物をAmazonから定期的に買う人は、その注文を家にあるボタンひとつでできたら便利ではないか。ボタンを押す、それだけだ。

そこでAmazonのダッシュボタンが生まれた。2015年のエイプリルフールの前日に発表されたから信じない人もいた。それは結局、嘘ではなかったことになる。

Amazonはすでに今年の早期からダッシュボタンの販売をやめている。そして今度は、そのサポートもやめるのだ。ユーザーへのメールでAmazonは、ダッシュボタンデバイスが2019年8月31日で機能を停止すると告知している。

なぜだろう?そもそもそれをすでに売ってないし、今実際に使っている人もとても少ない。Amazonの社員がCNETに、最近の数か月でボタンを使用頻度がとても減った、と言っている。

Amazonのアプリやウェブサイトの画面上でプッシュする「バーチャルダッシュボタン」は健在だし、自動再注文サービスも残る。それは、洗濯機に洗剤注文ボタンが付いていたり、コーヒーメーカーが自分で豆を注文するような仕組みだ。これまでの、商品別の物理的ボタンがなくなるだけだ。

ダッシュボタンは、Amazonの事業としては挫折したが、でも最初からいろんな人が独自の遊び方を考案していた。Amazonがインターネット上の目的を自由に設定できるボタンを発売してからは、外出時に自分の行きつけのスターバックスに好きなコーヒーを自動的に注文するボタンを作った人もいる。

家にダッシュボタンがあって、それをどうしたらよいかわからない人は、そのボタンをAmazonのリサイクル事業に送るよう、Amazonは勧めている。送料と廃棄の手間はAmazonがもつ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ローコードクラウドの成功には効果的なアドミンツールが必要

ローコード(low-code)プログラミングで会社の仕事は楽になる、と思われているのか? ローコードは、高価なソフトウェアエンジニアがいなくても、よく訓練されたアドミニストレーターがいればいろんなタスクを処理できる、という意味だが、テクノロジーによる問題解決には必ず、予期しなかった結果がつきまとう。自分の会社Steelbrickを2015年に3億6000万ドルでSalesforceに売ったMax Rudman(マックス・ルドマン)氏は、ローコードのデプロイメントにつきものの、ある問題に気づいていた。彼はそれをオートメーションとテストでフィックスできると確信して、Prodlyを立ち上げた。

同社は米国時間7月31日に350万ドルのシード資金を獲得したが、お金より重要なのは顧客の動勢だ。きわめて初期段階のスタートアップでありながら、同社にはこのプロダクトを使う顧客がすでに100社いる。ルドマン氏が気づいていたとおり、同じ問題を抱える企業がとても多いのだ。そして彼らは、Prodlyのアイデアの市場でもある。

彼が前の会社で学んだのは、データを有効に生かせる経営を志向して企業がSalesforceのようなプラットホームの顧客になったとしても、それは単に旅の始まりにすぎないことだ。サービスの構成や料金体系がよくアップデートされる企業では、その情報に結びついているすべてのテーブルをアップデートしなければならない。たしかにローコードではクリック一発ですむ約束だったはずだったが、48ものデーブルをアップデートしなければならないとなると、楽な仕事とは言えない。

Prodlyの基本的な考え方は、まず、構成のほとんどを自動化する。得られる情報が正しいかをテストする。そして最後は、デプロイの自動化だ。目下同社は構成の自動化に開発努力を集中しているが、資金が得られたのでテストやデプロイにも手を付けられる。

ルドマン氏は、同社のソリューションがSalesforce専用ではない、と念を押す。最初はSalesforceのアドミンをねらうけど、そのほかのクラウドサービスのユーザーでも、訓練されたアドミンを酷使してあちこちいじっているところがとても多い。

ルドマン氏は「Salesforceは取っかかりだけど、同じ問題がほとんどのクラウドプラットホームにある。ServiceNowでもWorkdayでもどこでも、うちがアドミン用に作ろうとしているようなツールがない。アドミンの生産性を上げるためには、彼らが複雑なアプリケーションを効率的に管理できるためのツールを提供しなければならない」とも語る。

今の顧客の中には、Nutanix、Johnson & Johnson、Splunk、Tableau、それにTechCrunchのオーナーであるVerizonなどがいる。350万ドルのシードラウンドはShasta Venturesがリードし、Norwest Venture Partnersが参加した。

関連記事: Salesforce”Quote-to-Cash” SteelBrick3.6億ドルで買収

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Spotifyが有料会員数1.08億人、MAU2.32億人を達成、ユーザー当り売上は減少

Soptifyが4~6月期に獲得した会員数は800万人で、予測値の850万人をわずかに下回った、とストリーミングの巨人が本日(米国時間7/31)発表した。

音楽スクリーミング最大手は6月末時点で月間アクティブユーザー数2.32億人、有料会員数数1.08億人を記録し、3月末の月間アクティブユーザー数2.17億人、有料会員数1億人をそれぞれ上回った。月間アクティブユーザーには有料ユーザー/無料ユーザーのいずれも含まれている。

「有料会員数が目標に届かなかった…これはわれわれの責任だ」と同社は語った。

有償購読者には30日間の無料トライアルを利用中のユーザーも含まれる。またSpotifyは、プレミアムサービスを1ドルで利用できる年2回のキャンペーンも最近スタートした。

これがユーザー平均売上が前四半期より1%ダウンの4.86ユーロ(5.42ドル)になった原因の一つだと同社は言い、この減少傾向は年内も続くと予想していることを付け加えた。

spotify users

Image and data: Spotify

一方、Apple Musicの有料会員数は今年6月に6000万人を超えたところだ(こちらも3ヶ月無料トライアルのユーザーを含む)。

収支を見ると、Spotifyの四半期売上は前年同期から31%増の18.6億ドル、営業経費は4%増だった。営業損失は334万ドルへと改善し、アナリストが予測した売上18.3億ドル、営業損失6200万ドルを上回った。

さらにSpotifyは、主要レコードレーベル2社とライセンス契約で合意に達し、他の2社とも鋭意交渉中であることを明らかにした。レーベル名は公表していない。

Sptofiyの将来の利益(あるいは損失)は、音楽レーベルとの交渉で現在の利幅をどう変えられるかにかかっている。Spotifyが生み出す売上の大部分は音楽レーベルに渡る。数年毎に全レーベルとSpotifyが交渉して契約を更新する。

Gimlet MediaAnchorParcastらの買収によってポッドキャストサービスを強化した同社は、ポッドキャスト利用者が前四半期に比べて50%増えたと言っている。Spotify CFOのBarry McCarthy氏は、同社がさらにポッドキャスト会社を買収することを検討していると語った。

Spotifyは今年3月に ヨーロッパでいわゆる「Apple税」について苦情を申し立てたが、今日はAppleについて語らなかった(Appleは申立てに異議を唱えている)。Spotifyは、同社が2月に音楽ストリーミングサービスを開始したインドについても多くを語らなかった。今年4月にSpotifyは、インドのユーザー数が200万人を突破したと語った。「最も新しい市場であるインドの業績は好調で、当社の予測とも一致している」と今日同社は語った。

関連記事:Spotifyが新興市場の36カ国でAndroid向けのLite版アプリを正式リリース

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonがフラッシュメモリーを使用するクラウドストレージ企業E8 Storageを買収

AmazonがイスラエルのストレージスタートアップE8 Storageを買収した。このニュースは最初ReutersCNBCGlobes が報じ、TechCrunchが確認した。これらの記事によるとE8のチームと技術は、テルアビブにあるAmazon Web Servicesセンターへ引っ越しする。

E8 Storage自身の言葉によると、同社はフラッシュメモリーを使ったストレージハードウェアの製造にフォーカスし、競合製品よりも高速なパフォーマンスを提供する。同社の人材と知財等をAWSがどのように利用する気か、それはまだ分からないが、同社のメインの事業の一環になることはほぼ確実だ。

AWSが今年行った買収には、データセンターのワークロードを最適化してそのオペレーションを効率化するバンクーバーのTSO Logicと、災害時にデータのリカバリを助けるイスラエルのCloudEndureが含まれる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSがマイクロソフトに続き中東・バーレーンに新リージョン開設

Amazon(アマゾン)のクラウドサービス部門AWSは米国時間7月30日、バーレーンに中東リージョン(Middle East Region)を開いたと発表した。中東はクラウドプロバイダーにとって新興市場だが、今度の新リージョンはこのクラウド大手の継続的拡張の一環だ。今日のニュースのすこし前にはMicrosoft(マイクロソフト)が、その中東データセンターをアブダビとドバイに置く、と発表した。

AWSのCEOアンディー・ジャシー(Andy Jassy)氏は昨年のAWS re:Inventで、クラウドは世界のさまざまな部分で成熟段階が異なる、と指摘した。そして当然ながらAmazonは、新興市場に進出してクラウドインフラストラクチャ市場におけるリードを広げたいと考えている。ジャシー氏はre:Inventで次のように語っている。

「米国のエンタープライズや公共部門はクラウドの採用の初期的段階だが、米国以外はさらにそれより1年ないし3年は後れている。だからそこでは、メインストリームのエンタープライズの多くが、クラウドへのアプローチをこれからやっと計画するという段階だ」。

AmazonはAWSの拡張を、中東の企業を助けることと見ている。これまで、米国やヨーロッパなどで、クラウドサービスにより、企業のデジタル化を助けてきたのとちょうど同じように。

今度の中東のリージョンはアベイラビリティーゾーンが3つある。この独特のAWS語は、その中に一つ以上のデータセンターを抱える地理的区域のことだ。同社の声明文は、次のように説明している。「各アベイラビリティゾーンごとに独立の電力系、冷房設備、そして物理的セキュリティが確保される。そして冗長性を持った超低レイテンシーのネットワークで接続される」。

Amazonは、これが継続的拡張の一環だ、と言っている。また今後数年以内に、インドネシアとイタリアと南アフリカに計9つのアベイラビリティゾーンを設ける、とも。

関連記事: Microsoft’s first data center regions in the Middle East are now generally available(Microsoftの中東初のデータセンターリージョンが供用を開始、未訳)

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップル4〜6月期決算はサービス部門が前年同期比13%増の1.24兆円、予想は下回る

今年のApple(アップル)について絶えず繰り返されていた文言の1つが、サービスへのシフトだ。そうした傾向は、4〜6月期決算発表に反映された。

実際、今回の決算リリースでは見出しでサービス部門の「過去最高の売上高」を取り上げた。そして、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は発表文で「サービス部門の過去最高の売上高、そしてウェアラブル、iPad、Mac、iPhoneの売上も貢献し、これまでで最高の4〜6月期となった」と表現した。

Appleのサービス事業には、iCloudやApple Music、Apple News+といった購読制プロダクトが含まれる。このカテゴリーは間もなく提供が開始されるApple TV+Apple Arcadeで今後さらに成長することが見込まれる。

今回発表された売上高は確かに1〜3月期の売上高を上回ったが、しかしさほど大きな差はない。1〜3月期が114億5000万ドルだったのに比べ、4〜6月期は114億5500万ドル(約1兆2400万円)だった。また、アナリストはAppleのサービス部門の売上高を116億8000万ドルと予想していて、少なからず落胆するものだったということは記すに値するだろう。

一方で、前年同期比でみると成長は目を見張るものがある。前年同期のサービス部門の売上高は101億7000万ドルで13%増となった。これは、部分的にiPhone販売の落ち込みにより売上高が前年から減って423億5000万ドルとなったハード部門と比較しても見栄えがするものだ。

イメージクレジット: Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

レストラン向けデリバリー管理の「Ordermark」が20億円調達

ロサンゼルスに拠点を置くOrdermarkは、レストラン向けのオンラインデリバリー管理サービスを提供するスタートアップだ。家族経営の有名なレストランであるCanter’s Deli(カンターズ・デリ)の御曹司が設立。同社は新規ラウンドで1800万ドル(約20億円)を調達したと発表した。

このラウンドは米国コロラド州ボールダーのFoundry Groupが主導した。これまでOrdermarkに投資した投資家はすべて今回も参加した。参加した投資家は、TenOneTen Ventures、Vertical Venture Partners、Mucker Capital、Act One Ventures、そしてシリーズAを主導したのはNosara Capital

Alex Canter(アレックス・カンター)氏は声明で「我々は家族が経営するレストランがモバイルデリバリー時代に対応し、成長できるように、Ordermarkを設立した。その後、企業として、同じ課題に直面しているほかのレストランをサポートできることに気づいた。我々は米国全土のレストランの顧客からよい成果を上げたことを喜ばしく思っている」と述べた。

レストラン経営の4代目のカンター氏は、家族が経営するデリのニーズからテクノロジーを構築した。POSシステム、キッチンのディスプレイ、会計ツールが統合され、ラストマイルの配送業者と連携する。

同社は声明で「事業の拡大に伴い、Uber EatsやSeamless/Grubhubなど、クラウドキッチンとデリバリーサービスで運営されているバーチャルレストランからの売上を増やしていきたい」としている。

利益は出ていないが、現在、Ordermarkは3000軒以上のレストランで使われ、50種以上の注文サービスと連携している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アペルザが総額約12億円調達、メディアとeコマースを活用した製造業営業支援ツール「アペルザクラウド」に注力

製造業向けカタログサイトやマーケットプレイスの運営を手がけるアペルザは7月31日、総額12億円の資金調達を発表した。内訳は、Eight Roads Ventures Japanをリード投資家として既存株主のGMO Venture Partnersやジャフコのほか、新たにSMBCベンチャーキャピタルと三菱UFJキャピタルを引受先とした第三者割当増資、日本政策金融公庫からのデットファイナンス(融資)。

写真に向かって後列左から、三菱UFJキャピタルの清水孝行氏、Eight Roads Ventures Japansの村田純一氏、SMBCベンチャーキャピタルの太田洋哉氏、GMO Venture Partnersの宮坂友大氏、前列左からアペルザでCEOを務める石原 誠氏(アペルザ)、同社COOを務める田中大介氏

同社は、2016年7月に設立された製造業のミスマッチの問題を解消するスタートアップ。創業期に、元ソニー会長の出井伸之氏、元楽天副社長の島田亨氏、 メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏がエンジェル投資したことでも有名だ。なお出井氏と小泉氏は現在、アペルザの経営顧問を務めている。

現在アペルザのサービスには約7600社の企業が登録しており、月間利用ユーザーは30万人になっているという。具体的には、FA・制御・センサ、電気電子・半導体、計測・試験・検査などの企業が登録している。これらの企業は各業界では知られた存在だが、専門性が高いため、その業界を離れると知名度が一気に落ちる。

知ってる人はすぐに調べられるが、知らない人はなかなかたどり着けない。こういったミスマッチを解消するため、同社はこれらの企業とその取り扱い製品・部品をジャンル別に分類・整理。目的の製品や部品を作っている企業を容易に見つけることができる。あくまでもB2Bだが、例えば電気電子・半導体のカテゴリであれば、半導体・セミコンダクタ→マイコンとさらにジャンルを絞り込んでいき、「遅延時間可変タイプ ボルテージディテクタ」(遅延回路内蔵CMOS RESET IC)といった部品の1情報が手に入るうえ、その場で購入することも可能だ。

そのほか、ものづくりニュース by アペルザオートメーション新聞ウェブ版IoTナビといった専門メディアを運営しており、キーパーソンへのインタビューや業界最新事情、新製品ニュースなどの記事を日々配信している。

同社は4月に、これらの既存サービスで蓄積されたデータを活用した製造業向けの営業支援ツール「アペルザクラウド」もリリース。同社が運営する専門メディアなどを活用したPR展開、各社の製品カタログデータのクラウド管理、見込み客の誘導や顧客の管理、eコマースの運用代行など、多岐に渡るサービスを提供する。

今回調達した資金は、このアペルザクラウドの顧客基盤拡大に向けた体制強化およびマーケティング費用に投資する。具体的には、カスタマーサクセスやマーケティングの部署の強化に当て、2020年1月までに社員数を現在の約50名から倍の100名体制に増やすとしている。

TechCrunchでは、アペルザでCEOを務める石原 誠氏に今回の資金調達について話を聞いた。

TC:今回の資金調達でデットファイナンスが占める割合を教えてください。
石原氏:1億円程度です。

TC:デット1億円程度なら第三者割当増資だけで十分かと感じましたが、あえて1億円を融資に頼った理由は?
石原氏:ダイリューション(株式の希薄化)を鑑みてということになります。また、自社サービスが製造業の中小企業向けということもあり、本業支援に熱の入っている金融機関との相性がよく、拡販のための営業を支援してもらうという思惑もあります。

TC:今回調達した資金はマーケティングやクライアントサクセスの向上に投下するとのことですが、具体的な施策を教えてください。
石原氏:マーケティングに関してですが、CMなどは現時点では考えていませんが、動画は想定しています。具体的にはタクシー広告などを検討しています。また、今回調達した資金を活用して、マーケティングの部署を新設します。そして、クライアントサクセス、営業、エンジニアはそれぞれ増員します。

TC:今回は主にVC、CVCからの資金調達ですが、今後事業会社から出資を受けることなどは検討していますか?
石原氏:事業会社との取り組みは、実はいくつか水面下で進めているものがあります。また今後始まる予定のものもあり、株式を絡める可能性がなくはないと考えています。

TC:期限を区切って人員をいきなり倍増する狙いは?
石原氏:これまでも100名規模で耐えられる組織整備を進めてきました。現在それが仕上がりつつあるため、大幅増員に耐えられると判断しています。事業も好調ですので、半年という短期間で積極採用を進めていく考えです。

TC:アペルザクラウドの利用社数は?
石原氏:非公開のため正確な数字は申し上げられないのですが、すでに数百社レベルです。アペルザクラウドの料金プランは、月額10万円(年間契約)となっています。

米公共放送PBSがYouTube TVで見られるように

YouTube TVのネットワークパートナーが、また1つ増えた。セサミストリートなどで日本人にもおなじみのPBSだ。PBSとYouTubeの発表によると、今年の終わりごろから、このアメリカの公共放送ネットワークの系列局はYouTube TVの有料会員に、ライブストリーミングとオンデマンドで番組を送れる。

PBSがデジタルのTVプロバイダーとパートナーするのは、これが初めてだ。これによって各局は、ローカルなライブストリーミングを「全米に」送れることに期待している。YouTube TVとのパートナーシップにはPBS KIDSも含まれ、その教育的コンテンツやエンターテインメントをこのプラットホームから送れる。すべてのコンテンツが、YouTube TVのビデオオンデマンドとDVRサービスによる録画可能コンテンツとして受信でき、その量に制限はない。

YouTubeは、子どもがアクセスできる一部のコンテンツについて批判されており、その対策も発表している。YouTube TVはYouTubeの本来の動画ストリーミングと違って、ネットを使うケーブルテレビや衛星テレビに似ており、月額49ドル99セントでさまざまな放送ネットワークや有料チャンネルにアクセスできる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google CloudがVMwareのレガシーアプリケーションをクラウド上に共存させるツールを発表

Googleが米国時間7月29日に発表したVMwareとの新たなパートナーシップにより、VMwareのワークロードをGoogle Cloud上で容易に動かせるようになる。具体的には、ハイブリッドクラウドをデプロイし動かすためのシステムVMware Cloud FoundationをGoogle Cloudがサポートする。Googleはこのソリューションを開発したCloudSimpleと組んで、高品質なサービスを提供していく。

Googleにとっては、すべてのエンタープライズがコンテナに移行し、同社のAnthosハイブリッドクラウドサービスを使ってくれると好都合だが、多くの大企業は現在VMwareを使っている。そういうワークロードをパブリッククラウドに移したい意思はあっても、長年使い慣れたツールを手放す気はない。今度VMwareと提携したことによって、Googleは新しいものや革新的なものを何も提供しないが、Googleとしてはこれによって企業顧客が他のクラウドに移る理由がなくなれば万々歳だ。

Googleは発表声明で「顧客はVMwareの広範なサポートをかねてから求めていたが、今回CloudSimpleのGoogle Cloud VMware Solutionを使って、顧客はVMwareのvSphereベースのワークロードをGCPで動かせるようになった。これにより顧客には、VMwareのワークロードをハイブリッドのデプロイメントで動かすための選択肢が広がり、Anthosによる現代的なコンテナ化アプリケーションとVMwareによるVMベースアプリケーションのどちらでも、GCPで動かせるようになる」とコメントしている。

この新しいソリューションは、vCenter、vSAN、NSX-Tなどを含むVMwareのスタックのすべてをサポートする。VMwareのCOOでカスタマーオペレーション担当のSanjay Poonen(サンジェイ・プーネン)氏は、次のように語っている。「弊社とGoogle Cloudのパートナーシップは常に顧客のニーズに応えることが目的であり、今回はそのパートナーシップをさらに拡張して、お互いの顧客がVMwareのワークロードをVMware Cloud Foundationを使ってGoogle Cloud Platformで動かせるようになる。Google Cloud PlatformでVMwareが使えれば、顧客はクラウドに移行しても従来から使い慣れているVMwareのツールや教育訓練の結果をそのまま生かせるので、これまでの投資を無駄にすることがない。新しいサービスを市場に出す場合にも、それらをハイブリッドクラウド環境でシームレスに、より安全に運用できるようになる」。

Googleの発表はVMwareとの長い縁を強調しているが、今回の技術的な主人公はむしろCloudSimpleだ。しかもVMwareとの長いご縁といえば、GCPのコンペティターAWSやMicrosoft Azure負けてはいない。どちらも、VMwareのワークロードをそのクラウドで動かすためのツールを提供している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa