Facebookが広告ターゲティングの理由説明を改善

これまでFacebookは、なぜその広告やコンテンツが表示されるのか(そして、それに対して何ができるのか)をユーザーが知るための新しい方法を追加してきた。しかし今日のブログ記事で、プロダクトマネジャーのScreethu Thulasi氏は、「まだ理解するのが難しく、操作方法がわかりにくいことがユーザーからのフィードバックでわかった」と書いた。

同社はそれに対処するべく2つの変更を行う。第一に「この広告が表示される理由」(Why am I seeing this ad?)に表示する情報を増やす。

これまで「この広告が表示される理由」では、地域・年代情報や過去にウェブサイトを訪問したかなど関係ありそうな理由を1つか2つ挙げていた。今後はもっと詳しく、その広告と一致したユーザーの興味分野やカテゴリーなどのターゲティング情報も表示されるようになる。また、その情報がどこから来たか(例えば、過去に訪れたウェブサイトや「いいね!」をつけたFacebookページなど)をより明確にして、ユーザー体験を自分に合わせるために使用できる機能を明示する」。

ブログに掲載されたビデオには、ユーザーの関心事や居住地、年代、さらには過去に広告主のウェブサイトを訪れたことがあるかなどの情報がどのようにターゲティングに利用されたかが表示されている。そのような広告を見たくない場合は、Facebookに登録した興味分野を加減するか、「What You Can Do」セクションをクリックすれば、その広告主の広告をブロックしたり、第三者に提供される個人データを制限するためのオプションが案内される。

そして第三者へのデータ提供に関して、ユーザーに関するデータをアップロードしている企業について今まで以上に詳しく知らせるとFacebookは言っている。広告設定の中にある企業一覧を2つのセクションに分け、過去7日以内にそのユーザーの情報を含むリストをアップロードしそれを利用して広告を掲載した企業、および、そのユーザーを含むリストを別の広告主に提供し、過去7日以内にそのリストが広告掲載に使われた企業をそれぞれ表示する。

多くのプライバシー機能と同じく、ほとんどのFacebookユーザーはこれらの機能になじみがない。しかし、こうした問題に関心があり、気にかけている人たちにとって、これは機能レベルを下げすぎることなく、情報をアクセスしやすくするすぐれた方法といえるだろう。

そしてもちろん、これは最近強まっている当局の監視(Facebook分割の提案さえある)を受けて同社が取り組んでいる透明性拡大への取組みのごく一部にすぎない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

盗聴の恐れありでApple Watchのトランシーバー機能を一時停止へ

Apple(アップル)は、Apple Watchのトランシーバーアプリ(米国ではWalkie Talkieアプリ)を、まだどこにも報告されていない脆弱性があるため無効にした。その脆弱性により、ほかの人のiPhoneを同意なく聞くことができる(盗聴できる)と同社は米国時間7月10日の夜に公表した。Appleはそのバグと、バグが直るまで使えない不便さについて謝罪した。

Apple Watchのトランシーバーアプリを使うと、互いにお誘いをOKした二人のユーザーが「ボタンを押して話す」という昔の携帯電話のPTT(Push-to-Talk)ボタンのようなインタフェイスを使って音声でチャットできる。

Appleは次のようにコメントしている。

Apple Watchのトランシーバーアプリに関連する脆弱性を先ほど告知し、早速そのフィックスに着手するとともにアプリを無効にした。その不便を顧客にお詫びし、できるだけ早急な回復を図りたい。この脆弱性の、顧客に害を与える使い方や、それを悪用するための特定の条件や事象の継起はないはずであるが、私たちは顧客のセキュリティとプライバシーをきわめて真剣に重視している。私たちの結論としては、アプリを無効にすることが正しい行為である。なぜならこのバグにより、べつの顧客のiPhoneを同意なく聴取できるからだ。この問題とご不便に関して、再度お詫び申し上げたい。

Appleは「脆弱性をご報告ください」と名付けたポータルで直接このバグを知らされたが、現在のところそれの悪用が広まっている証拠はないそうだ。

同社はこの機能をフィックスが完全に行われてデバイスへ展開されるまで一時的に無効にしている。そのトランシーバーアプリはデバイスにインストールされているままだが、バグフィックスでアップデートされるまでは機能しない。

今年の初めに見つかった、FaceTimeのグループ通話機能のバグでは、通話を受け入れる前に相手の声が聞こえてしまう。それを発見したGrant Thompson少年は、Appleに報告したが何も応答がなかった。Appleはそのバグをフィックスし、最終的には彼にバグ発見賞金を贈った。しかし今回Appleは、「脆弱性をご報告ください」ポータルを頻繁に見ることによって脆弱性報告に遭遇し、早めにその機能を無効にできたようだ。

米国時間7月10日、AppleはMacのアップデートを黙ってプッシュし、ビデオ会議アプリのZoomから通話の開始を簡便にする機能を削除した。その機能を使うと、メールやウェブサイトがユーザーの許可なくそのユーザーを今行われているビデオ通話(ビデオ会議)に加えてしまえるからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Pinterestは新機能を用意して動画投稿の増加を狙う

PinterestとInstagramは、日ごとますます似たものになっていく。

Pinterestは、株式を公開したすぐ後に、クリエーターやブランドがそのビジュアル検索エンジンに動画を直接アップロードしやすくなるような新機能を実現した。同社によれば、「インスピレーションを刺激するような動画」の検索が、2018年以降31%増加し、「Pinterestのユーザーは、他のメディアプラットフォームと比較して、動画に触発されて行動を起こした、と表明する割合が54%も高い」とのことだ。

そうした状況を受けて、Pinterestは、新たに改良された動画のアップローダーなど、さらにいくつかの新機能を導入している。ビジネスユーザーのプロファイルには動画専用のタブを設け、そのブランドの動画をすべて一箇所で確認できるようにした。またビジネスユーザーは、分析ツールによってトラフィックをより良く理解し、時間の経過とともに変化するパフォーマンスについて考察することが可能となっている。さらに、クリエーターやビジネスユーザーがビデオの投稿を前もってスケジューリングできるよう、「予約投稿ピン」も用意した。

こうした新機能を利用して、本当に実行可能でインスピレーションを刺激するようなハウツービデオやチュートリアルを一般ユーザー向けに投稿するよう、Pinterestは有料ユーザーに促している。Pinterestの動画は、時間が経っても、何度もトップに戻って掲載されるので、Pinterestに直接アップロードされた動画の賞味期間は長く、理屈の上では他のプラットフォームに投稿した場合よりも高いエンゲージメントが得られるはずだと同社は説明している。

さらに同社は、ブランドやビジネスユーザーをサポートすることを意図した新しいツールによって、エンゲージメントを向上させることができ、広告収益も増加すると見込んでいる。

今や上場企業となったPinterestは、身を粉にして自らの仕事に取り組んでいる。Instagramは、かつては単なる写真共有アプリだったが、今ではアプリ内でユーザーが簡単に直接購入できるようになっている。今ではFacebookの子会社となった同社は、今年の初めに「Checkout on Instagram」という機能を導入した。ショッピング可能な投稿の中の商品タグをタップしたユーザーは、アプリを離れずにその商品を購入できるようになったのだ。Pinterestもアプリ内ショッピングを促進する機能を昨年末に導入している。

アプリ内でのショッピングする際の操作を簡略化するため、Pinterestは「プロダクトピン」の背後にあるインフラを作り直した。そこに最新の価格や在庫状況を反映できるようにし、ピンした人を販売店のウェブサイトに誘導するリンクを加えている。また新たに「似たような製品」といったカテゴリを、ファンションや屋内装飾品のピンの中に設置している。

TechCrunchのJosh Constineによると、InstagramはPinterestのようなパブリックコンテンツのキュレーション機能の実現を模索しているところで、それは「コレクションズ」と呼ばれている。

関連記事:Instagramの新機能、投稿写真の商品を選べばその場で購入できる

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

テレビ番組の視聴者提供映像を支える、JX通信社が約5億円を調達

JX通信社は7月11日、約5億円の資金調達を発表した。グローバル・ブレイン(グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合)、SBIインベストメント(SBI AI & Blockchain投資事業有限責任組合)を引き受け先とする第三者割当増資で、累計調達額は計約14億円。

今回調達した資金は、リスク情報SaaS「FASTALERT」を軸としたサービスの強化、「記者のいない通信社」としての新しい報道プラットフォームの確立に使うとのこと。また今回の第三者割当増資に伴い、グローバル・ブレインで代表取締役社長を務める百合本安彦氏が社外取締役に就任する。株主にはグローバル・ブレインのほか、共同通信グループ、QUICK、サイバーエージェント・キャピタル、SBIインベストメント、ベクトル、テレビ朝日ホールディングス、三菱UFJキャピタル、フジ・スタートアップ・ベンチャーズなどが名を連ねる。

FASTALERTは、SNSから災害、事故、事件などのリスク情報を収集して配信するシステム。最近では事故や災害の際に視聴者から提供される写真や映像が増えたが、実はこれらを数あるネットコンテンツの中から抽出できるのがFASTALERTの特徴だ。テレビ局は同システムを使うことで短時間で著作権者に使用許諾について連絡できるようになる。現在、NHKとすべての民放キー局に導入されているほか、地方テレビ局、新聞社、警察、消防、自治体などでの採用実績もある。

そのほか同社では、報道価値をAIが判定するニュース速報アプリ「NewsDigest」、自動電話世論調査サービス「JX通信社 情勢調査」などのサービスも提供している。

データウェアハウスOSを提供するDataformが2億円超を調達

Googleの元社員たちが始めた英国のDataformは、企業によるデータウェアハウスの管理を容易にする。同社はこのほど、LocalGlobeがリードするラウンドで200万ドル(約2億1600億円)の資金を調達した。この投資には、多くの無名のエンジェル投資家たちが参加した。同社はシリコンバレーのアクセラレーターY Combinatorを、2018年の後期に卒業した。

Googleの社員だったLewis Hemens(ルイス・ヘメンス)氏とGuillaume-Henri Huon(ギョーム・アンリ・フォン)氏が創業したDataformは、データの豊富な企業がデータウェアハウスに保存したそれらのデータからインサイトを取り出せるようにする。データをマイニングしてインサイトやビジネスインテリジェンスを取り出すことは、通常ならデータエンジニアとアナリストのチームを必要とする。Dataformはそのタスクを単純化して企業がもっと高速かつ安価にそれができるようにし、データの有効利用を可能にする。

フォン氏は次のように説明する。「企業はこのところますます多くのデータを作り出して、それらをGoogle BigQueryやAWS Redshift、あるいはSnowflakeのようなクラウド上のデータウェアハウスに集中的に保存している。でも、BIツールを使って分析するなど、それらのデータを利用するためには、大量の生データをノイズのない、信頼性のある、アップツーデートなデータセットに変換しなければならない」。

「しかしデータの担当チームには、ウェアハウスのデータを有効に管理するためのツールがないことが多い。その結果、彼らは独自のインフラストラクチャを作ることとデータパイプラインの管理に多くの時間を取られている」、と彼は言う。

フォン氏によると、Dataformはデータウェアハウスにあるデータを管理するための完全なツールキットを提供して、その問題を解決する。それによりデータチームは毎日もしくはもっと頻繁に、新しいデータセットを作ってデータセット全体を自動的にアップデートできる。その処理全体をひとつのインタフェイスから管理でき、新しいデータセットのセットアップは5分ぐらいでできる。また同社は、これまでのベストプラクティスを使ってデータの管理を助けるオープンソースのフレームワークを提供している。その中には、再利用できるファンクションや、テストツール、依存性管理機能などがある。

今回のシード資金は、営業と技術両面の強化と拡大に充てられる。また、製品開発にも充当される。収益はSaaSの利用料金から得られ、通常はユーザーの人数に対して課金される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AT&Tの新配信サービス「HBO Max」は2020年ローンチ、Friendsを独占配信

AT&TによるHBOの買収は、単にプレミアムTV番組を提供するのにとどまらない。同社は米国時間7月9日、新しいWarnerMediaのストリーミングサービスをHBO Maxと名付け、来年春にローンチし、購読者に1万時間以上のコンテンツを提供すると明かした。

さらに、大ヒットドラマのFriends(フレンズ)も登場する。この90年代にNBCにより制作されたドラマは、英ドラマのThe Officeとともに、長らく番組の支配権を巡って企業が争ってきた。

HBO MaxがHBOのコンテンツだけを提供するわけではないのは、Friendsの存在からも想像できるだろう。またThe Wall Street Journalの記事によると、この名称はTVブランドのHBOが消費者にとっていかに重要なのかを示している。言い換えれば、たとえその過程でHBOブランドが希釈化されたとしても、彼らはその多くを購入するだろう。HBOでCEOを努めていたRichard Plepler(リチャード・プレプラー)氏が2月に辞任した理由は明らかだ。

この新サービスはAmazonプライムビデオやHulu、Netflixなど、数多くの競合サービスに割って入ることになる。また、Apple(アップル)もApple TV+の開始を予定しており、さらにDisney+も11月にスタートする。The Wall Street Journalによれば、HBO MaxはHBO Go単体の月額14.99ドルよりも少し高くなるという。

AT&TはFriendsの権利の高い購入価格や、Reese Witherspoon(リース・ウィザースプーンさん)やGreg Berlanti(グレッグ・バーランティ)など映画、テレビ業界のトップタレントとの契約など、コンテンツに投資している。今後のCWテレビジョンネットワークの番組もNetflixではなくHBO Maxで放送されるだろうが、これはArrowやThe FlashなどDCのスーパーヒーローの番組を楽しみにしている私のような人にとっては悪いニュースだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マンガへの危機感から「少年ジャンプ」が3期目アプリコンテストにかける思い

週刊少年ジャンプ編集部が新しいアプリ、Webサービスの企画を公募する「少年ジャンプアプリ開発コンテスト」。ジャンプ50周年を記念して2017年に開催が始まった同コンテストは、今年で第3期目となる。なぜ、コミック誌の編集部がアプリ開発コンテストを主催するのか。その狙いや、これからのマンガ業界、マンガアプリへの思いについて、コンテストの担当者に話を聞いた。

新人賞で作家と出会うようにコンテストで優れたアイデアと出会う

今回取材したのは、集英社 週刊少年ジャンプ編集部の細野修平氏と籾山悠太氏。細野氏はジャンプのWeb・アプリ版として展開されている「少年ジャンプ+」編集長を務め、籾山氏も少年ジャンプ+を担当する。

写真左から:集英社 週刊少年ジャンプ編集部 細野修平氏、籾山悠太氏

アプリ開発コンテスト実施のきっかけについて、籾山氏は「ジャンプ+を運営し、デジタル事業に取り組む中で課題を感じており、外から新たに技術やアイデアを借りたいと考えたから」と話す。そこで「週刊少年ジャンプ」刊行50周年を期にコンテストを開催。「ジャンプ50年の歴史を振り返るとともに、新しいこともやっていくという意気込みを、コンテスト開催を通じて訴えたかった」と籾山氏は説明する。

細野氏は「ジャンプ+も当時のマンガ誌や既存のマンガアプリに対する危機感から立ち上がったアプリで、ジャンプとして何がアプリにできるのかを考え、実現しようとしてきた」という。2014年に創刊したジャンプ+のアプリは現在1000万ダウンロード、WAU(週間アクティブユーザー)が250万に達しており、リニューアルなどを行いながら「成長はしている」と細野氏。だが細野氏も籾山氏と同様、「もっとやれることがあるのではないかと感じている」という。

コンテストの第1期では、合計373件の企画応募があった。最優秀賞に輝いたのは、現実のマップ上でマンガを交換できる「マワシヨミジャンプ」。ミライアプリが企画したこのアプリは、ほかのユーザーが地図上に置いた電子版コミックスや「週刊少年ジャンプ」のバックナンバーを拾って読むことができ、置くことで再び誰かが拾うことができる。昔あった、電車の網棚に置き去りになっていたマンガ誌を拾い読みして、また次の誰かに置いていくといった体験を、スマートフォンと位置情報で再現したサービスだ。

マワシヨミジャンプは受賞後、開発が進められ、今年1月にローンチした。「ユーザーからもいい評価を得ている」(細野氏)という。籾山氏によれば「マワシヨミで読まれた作品が、電子書店での売上も上がっていて、読者ももちろん、作家にも喜ばれている」とのこと。細野氏は「新しいマンガと思わぬ出会いがある、という面でよかった。どのストアにアクセスしても同じ、という横並びのアプリが多い中で、マワシヨミジャンプは新しい発想だった」と述べている。

コンテスト第1期入賞作「マワシヨミジャンプ」

「1期目の時点で、思ったよりもよい企画が集まり、想定を超えるアイデアもあった」という細野氏。初回コンテストで手応えを感じた編集部では、昨年も続けて第2期を開催した。第2期では3企画が入賞し、年内リリースに向けて現在開発が進められているという。

細野氏は「編集部にとっては、マンガ新人賞で才能のある新人作家と出会うように、コンテストで優れた開発会社や新しいアイデアとの出会いがあった」と述べている。コンテストはプロダクトや仕様ではなく、企画の段階で募集を行っているが、2次選考以降ではプレゼンテーションがあり、「そこでのコミュニケーションが面白い」と籾山氏も付け加える。「個性、人柄も含めて、コンテストを開催しなければ出会えなかった人たちと出会えた。マンガやジャンプについて、いろいろな意見交換をすることもできた」(籾山氏)

マンガ、アプリに広がる袋小路感を払拭するアイデア求む

ジャンプ編集部では、ジャンプ+のほかにもさまざまなアプリを提供している。『ONE PIECE』や『NARUTO-ナルト-』『銀魂』など人気作の単独公式アプリやジャンプのキャラクターで遊べる「きせかえジャンプ」や「ネコの大喜利寿司」といったファンアプリ、マンガ制作のための作画ツール「ジャンプPAINT by MediBang」や投稿プラットフォーム「ジャンプルーキー!」といった描き手のためのアプリ、海外向けに最新作を即翻訳して月曜に公開する「MANGA Plus by SHUEISHA」など、多様なアプローチでアプリを展開してきた。

「少年ジャンプ+」Webサイト。iOS/Androidアプリも提供されている

籾山氏はしかし「大志を持ってジャンプ+を立ち上げ、5年間、マンガが盛り上がるように運営してきたつもりだけれども、道半ば」と語り、コンテストにかける期待について次のように述べる。

「子どもの頃、月曜にみんながジャンプを読んで話題にしていたような存在感が今あるだろうか。作品でもアプリでも、日本中全員が読んでいるようなものはない。でもみんなスマホは持っている。だからチャンスも大きい。読者や作家のためにも、いろんな人の力を借りたい」(籾山氏)

籾山氏は「インターネットの普及で、読者がマンガに使う時間が減り、新連載の単行本も部数が減っている。YouTubeとマンガとの間でユーザーの取り合いが起きていて、『マンガは読まない』という人も増えている」とマンガ業界全体への危機感を表す。

「多様性が求められる時代だということは分かっている。ただ、ジャンプとして、みんなが国民的作品を楽しみにしていた世界観も大切にしたい。コンテストを開催することで、時代にあらがって、むしろ昔より大きなムーブメントにしたい。(スマホとアプリがあることで)以前より可能性はあると思っている」(籾山氏)

また、籾山氏は「ジャンプの本質は新作が生まれることにある」と述べ、「旧作を読み直すのがマンガアプリのよくある使われ方だったが、新作が生まれるアイデアをコンテストでは求めている。新作がお金になる、作家が新作をかけて稼げる、新作が世界に広まる、といったアイデアを形にすることで、作家や読者をエンパワーしたい」とも話している。

細野氏も「マンガアプリの可能性が袋小路に入りそうな予感」を抱えているという。「マンガがデジタルに変わる、というシフトによる変化がこれ以上膨らまない感じに、漠然と危機感を覚える。新しい出会いによって、全く違う可能性をつかみたい」(細野氏)

さらに細野氏は「ジャンプだけでなくマンガ、アプリ全体に広がる袋小路感を払拭したい。わくわく感やエンタメとしての見せ方、読み方、課金方法など、必ず違うアイデアがあるはず。『アプリで収益が上がればいいのでは』という考え方もあるだろうが、それではつまらない。マンガ界を変えるようなアプリがほしい」と語る。

「このままではマンガが、元気なファンがいるサブカルになりそうでこわい。SNSを通じてバズるマンガもあるが、昔、誰もがその作品なら知っている、というような幅広い人気ではない。マンガアプリ全体のダウンロード数は主要アプリの合計だけでも1億ぐらいある。MAUも大きく、ジャンプ黄金期よりもマンガは読まれているのかもしれない。でも『みんなが』『お金を払って』マンガを読み、『新しいマンガの表現が生まれ続ける』状況になければ、マンガはマイナーになっていくのではないか」(細野氏)

現在開催中のアプリ開発コンテスト第3期では、7月31日まで企画を募集中だ。今年のコンテストでは「ジャンプの枠をぶち破り、マンガのミライを切り開く」というキャッチフレーズを掲げ、ジャンプが抱える作品群などのIP(知的財産)の枠に縛られず、マワシヨミジャンプに匹敵するような斬新なアイデアを求めているという。

「ジャンプは昔から新しいことをやってきた。デジタル漫画賞なんかは早すぎたぐらい。アプリもその新しいことのひとつとしてのチャレンジ」という細野氏。「読み方、読ませ方や、リアルの本棚ではすぐに読みたい本にアクセスできるのに電子書籍だと電子本棚から探せない、といった解決できていない課題はまだまだある。マンガにもっとフォーカスして、特有の課題を解決したい」と話している。

籾山氏からも「ジャンプには人気作を生み出し続けるシステムが完成していたが、システム自体が変化している」と課題感が述べられた。「アプリ、テクノロジーがその変化に関連している。マンガ界にとってアプリ、テクノロジーが重要になりつつある」(籾山氏)

その一例として、読者アンケートの仕組みが挙げられた。ジャンプ編集部では、2000年ごろには高度なアンケートシステムが確立していたが、2000年代後半からスマートフォンにも「面が増えた」ことで変化が起きているという。

「アンケートのほかにも『ジャンプ連載を目指す』という作家たちのための漫画賞や原稿持ち込みの仕組み、マンガの表現方法や、雑誌の発行頻度、紙質、ページ数など、さまざまな面で時代ごとに最善の施策が探られてきた。それが今起きている変化によって、自由になっている。昔の人もいろいろと試行錯誤してやってきたことを、新しい形でチャレンジしていきたい」(籾山氏)

籾山氏は「完成したアプリとしての企画でなく、1つの機能でも、プロフェッショナルなアイデアなら大歓迎」という。

「先ほど挙げた読者アンケートの画期的なシステムとか、月曜の話題になるようなコミュニケーションのあり方とか、アイデアがたくさんあればあるほどいい。読まれ方や広告・課金の方法にしても、最近主流になっている『チケット制』(一定期間待てば無料で1話ずつ読めるが、すぐ読むためには課金が必要なマンガアプリの仕組み)なども、韓国発のシステムが急激に広まったもの。同じように僕らがまだ知らない展開の仕方があるなら、見てみたい」(籾山氏)

細野氏も「アプリそのものではなく、マンガを取り巻くエコシステムの企画でもいい」と話している。細野氏が一例として挙げたのは、直接コンテストとは関係がないが、アプリ向けのマーケティングツールを提供するRepro(リプロ)と少年ジャンプ+が共同で実施した実証実験だ。作品の閲覧数等を分析すると、「3話分の閲覧数があれば、そのマンガが読まれ続けるかどうか分かる」という結果が出たそうだ。この結果は、これまで編集者の間で語られていた経験知とも一致するものだったという。

「マンガ業界以外からの新たなアイデアを待っている。また、アプリ制作者でなく、自由な表現を求める漫画家からのマンガの見せ方・読み方のアイデアもぜひ寄せてもらいたい」(細野氏)

「賞金100万円とは別に、開発資金を最大5000万円まで用意している。創業したばかりのスタートアップであっても、アイデア、技術、熱意があれば、それを実現できるチャンス。ぜひ応募してほしい」(籾山氏)

米連邦控訴裁、トランプ大統領はTwitterで批判者をブロックできないと判示

トランプ大統領とTwitterにおける批判者の法的闘争が新たな段階に進んだ。大統領のTwitterアカウントに対して批判を投稿していたユーザーをブロックしたことについて、ニューヨークを管轄する連邦控訴裁判所は「大統領はツイートをブロックしてその相手の閲覧を遮断することはできない」と判決した。

これは「大統領の意見あるいは政策に批判的な相手を大統領がブロックすることは合衆国憲法修正第1条に違反する」とした連邦地裁の判断を維持したものだ。 

この判決でBarrington D. Parker判事は以下のように述べた。

公職にある者が公の職務に関連してソーシャルメディアのアカウントを用いて発言した場合、これに対する批判は憲法修正第1条が保障する表現の自由であるから、アカウントの所有者は何人に対してもその閲覧ないし対話を妨げる措置を取ることは許されない。

Twitterのブロック問題は2017年にトランプ大統領のツイートに対して批判的なリプライを投稿した7人がブロックされたことを不当として訴えを起こしたことに端を発している。

簡単にいえば、大統領が公にしたツイートからは何人であれ排除されてはならいというのが裁判所の見解だ。

 

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滑川海彦@Facebook

ミネソタの倉庫労働者がAmazonプライムデーのストライキを計画

Amazonのミネソタ州シャコピーの倉庫の労働者たちが、大売り出しが行われる7月15日のプライムデーにストライキを計画している。Bloomberg(ブルームバーグ)の記事によると、約100名の従業員が労働条件ないし労働慣行の改善を求めて合計6時間の職場放棄を行う。要求は、臨時雇いを正社員にすること、生産性の義務的割り当て量の緩和などで、特に後者は労働者の安全性にかかわるという。

そのストライキには、数名の技術者も参加して連帯を示す。運動のリーダーであるAwood Centerは労働者の権利擁護団体だ。このほか、サービス産業被雇用者国際労働組合や運転手と倉庫労働者の全国労働組合、ムスリム人権団体ミネソタ支部などが協賛する。

ブルームバーグへの声明でAmazonは「この外部団体の要求はすでに提供している」と主張している。たとえば時給を16ドル25セントから20ドル80セント+福利厚生に上げたことなどだ。また、シャコピーの倉庫の労働者の「平均」90%はフルタイム(正規雇用)だそうだ。さらに同社は、生産性割り当てに達しない人びとの指導育成も行っているという。

Amazonは昨年10月に全労働者の最低賃金を15ドルに上げると発表したが、この上げ幅を不十分とする労働者が多く、賃上げに伴い成績報奨や株式によるボーナスがなくなったことも不満としている。しかし同社は、賃上げの中にそれら報奨等に相当する額も含まれていると主張した。

Amazonの倉庫は米国に100拠点以上あり、この職場放棄がプライムデーのロジスティクスに影響することはないと思われるが、同社の労働条件に対する最新の運動の例として注目に値する。またその労働条件は、一部の国会議員も問題視している。民主党の大統領候補だったBernie Sanders(バーニー・サンダース)氏とElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏は、Amazonの労働条件を選挙演説の重要なテーマとした。例えばサンダース氏は、AmazonやWalmart(ウォルマート)などの大企業の賃上げを義務化する法律を提案し、またウォーレン氏は、Amazonなど巨大企業の分割を主張した。

ブルームバーグの記事によると、労働組合が強いヨーロッパではAmazonの従業員がプライムデーやブラックフライデーなどの重要な売り出し日にストライキを画策することが多い。しかし、大規模な売り出し日を狙ったストライキは米国ではこれが初めてだ。ミネソタではこれの前にも、労働条件の改善を求める3月の3時間ストライキや、昨年はラマダンの絶食期間中における礼拝時間増加の要求などがあった。後者は、アフリカ東部からのムスリム移民たちが主導した

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Spotifyが新興市場の36カ国でAndroid向けのLite版アプリを正式リリース

昨年ベータ版が公開されたSpotify Liteアプリが、アジア、ラテンアメリカ、中東、アフリカの36カ国で正式版としてリリースされた。日本は対象となっていない。

Liteアプリはインターネット接続が不安定、あるいは遅くても動作するように作られている。アプリ自体はわずか10MBで、古いデバイスやストレージ容量が少ないローエンドのデバイスでも使える。Spotify LiteはAndroid 4.3以降のデバイスで動作し、有料ユーザーも無料ユーザーも利用できる。契約プランの容量の上限が気になるユーザー向けに、月内の上限をあらかじめ設定し、その通信量に近づくと通知するオプションもある。

Lite版でも通常のアプリの90%の機能は使えるという。ビデオなどいくつかの機能は楽しみ方の基本的な部分には大きな影響を与えないとして省略されている。

広報担当者はTechCrunchに対し、現時点ではiOSのLite版をリリースする計画はないと述べた。制限のあるLite版から恩恵を受けるのはAndroidユーザーが多いとみられるため、これは合理的な方針だろう。

インドは重要な市場のようだ。Spotifyはインドで2月にすべてのサービスが提供開始となり、その後、6月にLite版を公開した

Lite版の大きな目的は、新興市場や古い機種を使っているユーザーを狙い、現在のユーザーベースを広げていくことだ。Spotifyは、現在2億1700万人のユーザーがいて、そのうち1億人が有料ユーザーだとしている。これに対しApple Musicのユーザー数は6月に6千万人を超えた

Spotifyのマーケット担当グローバルヘッド、Cecilia Qvist氏(左)は香港で開催中のイベント、RISEのステージでSpotify Liteのリリースを発表した(写真:David Fitzgerald/Sportsfile、Getty Images)

Google Play Storeのデータを見ると、Spotify Liteは100万回以上ダウンロードされている。Lite版がSpotifyのサービスの新たなエントリーポイントであることが知れ渡れば、この数は急上昇することが予想される。

Lite版のアプリは、Facebook、Facebook Messenger、YouTubeなどのサービスでも人気だ。特に新興市場では通信速度が不安定でローエンドのデバイスが多く使われているので、需要が高い。

画像:BRYAN R. SMITH/AFP / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Instagramの新しい機能で悪質コメントを牽制したりいじめユーザーを制限できる

Instagram(インスタグラム)が今日(米国時間7/8)、ネット上のいじめと戦うための二つの新しい機能を発表した。

今回このFacebook傘下のサービスがやろうとしているのは、どちらも、露骨に投稿をブロックしたりユーザーを締め出したりせずに悪い行いを制限することだ。

InstagramのトップAdam Mosseri氏は発表の中でこう述べている。「Instagramでいじめ防止のためにできることや、いじめのターゲットが自分で戦う方法はもっといろいろある。今日発表するのは、その両方での新しい機能だ。これらのツールは、いじめの実態に対する深い理解に基づいて考案されているが、でも今後の長い道のりのわずか二歩にすぎない」。

最初の機能は人工知能を利用してコメントに、「悪質かもしれない」というマークをつける。コメントを投稿しようとするユーザーにはそのとき、「これを本当に投稿したいですか?」という質問と、「投稿しない」というボタンが表示される。

ユーザーはそのコメントを投稿したければできるので、これは対策として弱いのではないか。でもMosseri氏によると、これまでのテストでは、「反省する機会を与えられたら考えなおしてもっと無害なコメントをシェアする人が多かった」そうだ。

Instagram warning

もうひとつの機能はMosseri氏によると、「ユーザーが人のアカウントを見ることを制限する」機能で、近くテストを開始する。

Mosseri氏は曰く、「低年齢のユーザーには、いじめをブロックしたり、アンフォローしたり、報告することをためらう人が多い。それは、ネット上でなく現実世界のいじめへとエスカレートすることが多いからだ」。

そこで、この新しいオプションを使うと、ほかのユーザーが自分のアカウントと対話することを制限できる。アカウントを隠す必要はない。対話を制限すると、コメントはそれを承認するまでは投稿した本人にしか見えない。いじめる相手が今Instagram上にいるか、ダイレクトメッセージを読んだか、などもコメントの投稿者には分からない。

4月に行われたFacebookのデベロッパーカンファレンスF8で、Mosseri氏はこれらの機能の初期のバージョンを説明した

関連記事: Instagramは「いいね!」数の非表示などの新機能をカナダで公式テストへInstagramが「いいね!」数公開を中止を検討、群衆心理の抑制を狙う

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

楽天モバイルがDMMからMVMO事業などを約23億円で継承、第4のキャリアに向け着々準備

楽天モバイルは7月9日、DMM.comが運営するMVNO事業「DMM mobile」およびインターネットサービス事業「DMM光」を承継することを発表した。7月4日に開催された同社の取締役会において決定した事案で、9月1日を効力発生予定日として会社分割の方法によりDMM.comから事業が移管される。今回の事業移管により、楽天モバイルはDMMに約23億円を支払う。

DMM mobileはNTTドコモの回線を利用したMVNOで、200kbpsの速度制限ながら440円から使い放題のメニューを用意するなど低価格路線がウリだった。DMM光は、NTTの「フレッツ光」を使用したインターネット通信サービスで、契約回線数約2万件とのこと(2019年6月30日時点)。

一時は乱立気味だったMVMOも収束の時期に差し掛かっている。UQモバイルやワイモバイルなど大手キャリアのサブブランドが低料金のサービスを提供したこともあり、圧倒的な価格優位性が保てなくなったためだ。そして多くの場合、サブブランドはMVMOよりも通信品質が高い。

大手キャリアのMVMO買収もある。2016年12月にはBIGLOBEはKDDI(au)の100%子会社となっているし、2018年3月にはLINEモバイルはソフトバンク傘下となった。各社とも買収したすべての事業がうまくいっているとは言いがたいが、NTTドコモからMVNOに流れた顧客をKDDIやソフトバンクが間接的に獲得し、両社の顧客基盤を強化したのは間違いない。

さて楽天モバイルだが、10月に移動体通信事業者(MNO)としてのサービスを開始し、国内で4番目のキャリアとなることが決まっている。同社は2017年9月に経営破綻したプラスワン・マーケティングからFREETELブランドのMVNO事業を継承して顧客数を増やした。今回のDMM mobileとDMM光の事業移管についても、モバイル事業の顧客基盤の拡大「楽天エコシステム」におけるメンバーシップの強化を図るの狙いがあるとのこと。最後発キャリアとなる楽天モバイルだが、国内では2020年に本格化する5Gの通信サービスに向けて基礎固めを着々と進めているようだ。

近大なまずも素材に、ドックフードD2Cサブスク「PETOKOTO FOODS」が予約受付開始

シロップは7月8日、国産素材を使ったドッグフード「PETOKOTO FOODS」(ペトことフーズ)のサブスクリプション(定額)サービスの予約受付を開始した。

PETOKOTO FOODSは、獣医師が監修したヒューマングレードのドックフードで、販売形態はメーカー直販、いわゆるD2C(Direct To Customer)だ。予約受付開始を記念して、7月21日までに申し込んだ利用者の中で、先着150名は初回配送のサブスクリプション料金が70%オフになる。

同社は、ペットライフコミュニティ「ペトこと」や保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」を運営している2015年3月設立のスタートアップ。同社が運営するサイト(メディア)では、がん専門獣医師などペットの専門家が140名以上執筆しており、今回のフードはこの専門性を生かして食材・製法・栄養に徹底的にこだわったという。なお、PETOKOTO FOODSの売り上げの1.2%はOMUSUBIに登録する動物保護団体へ寄付される。

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今回発売されるのは、全米飼料検査官協会(AAFCO)の栄養基準(7月取得予定)を満たしたグレインフリーの総合栄養食で、「ビーフレシピ」「ポークレシピ」「チキンレシピ」「フィッシュレシピ」の4種類を用意。ドックフードの製造は、ペットフードだけでなく、食肉や水産物の加工、卸売りなどを手がける鹿児島を拠点とするNフードサービスが担当する。

ビーフレシピの原材料は、牛肉、卵、米、ブロッコリー、人参、りんご、米麹、フィッシュオイル、米油。

ポークレシピの原材料は、豚肉、卵、米、人参、ブロッコリー、りんご、米麹、フィッシュオイル、米油。

チキンレシピの原材料は、チキン、チキン(皮)、さつまいも、卵、ブロッコリー、人参、りんご、フィッシュオイル、米麹。

フィッシュレシピの原材料は、さつまいも、近大ナマズ、卵、ブロッコリー、人参、りんご、米麹、フィッシュオイル、米油、しいたけ、えのき、のり。いずれのフードも、人工甘味料、香料、保存料、着色料、遺伝子組み換え作物は使用していない。なお、フードの原材料はNフードサービスが拠点する九州産のものを中心に利用する。
初回配送の参考価格は、2.5kgの小型犬だと300gのフード×12パック(3.6kg)となる。通常料金は5500円だが、先着150名の70%オフを適用すると約1650円だ。水分量が同程度のウェットフードの価格を比較すると、シーザーのパウチタイプが3.6kg換算で4000円弱なので若干割高になる。

初回配送後は、それぞれの犬のカロリー量に合った頻度で配送される。配送されるごとに自動課金されるが、契約期間に縛りはないのでいつでもキャンセル可能だ。フードは、300gパック12個入り(3.6kg)もしくは、300gパック24個入り(7.2kg)などの単位で届く。

ペットフード協会はペットフード(総合栄養食)を「ドライ」「ソフトドライ」「セミモイスト」「ウェット」の4つに分類しているが、PETOKOTO FOODSは厳密にはどの分類にも属さない。ウェットで定義されている水分量と同じ75%程度ながら保存料を使用していないのが特徴で、同社はこのフードを「フレッシュ」と定義している。ちなみにウェットでは、品質保持のために殺菌工程を経て缶詰やレトルトパウチなどに充填される。

一方従来のドライフードは、常温保存を可能にするために水分量を10%以下まで落とす加熱発泡処理が施されており、栄養価やビタミンがどうしても失われてしまう。PETOKOTO FOODSでは、必要最低限の加熱処理によって食材の栄養価を損なうことなく摂取できるという。

同フードを監修した獣医師は、世界小動物獣医師会(WSAVA)のグローバル栄養委員会創立メンバーであり、ニュージーランド・マッセー大学博士のニック ケイブ氏。国内ではなく海外の獣医師に監修を依頼した理由としては「栄養学に関しては海外のほうが研究が進んでいるのが現状で、最新の栄養学を基にフードを開発するため」とのこと。

犬種や体格、体重によって与えるフードの量は異なるが、ニック医師と作成した独自の計算式によって最適な1日のカロリー量を提案。カロリー量に合った配送頻度で指定した宛先に届く。フードは、Nフードサービスの工場で、製造後にすぐに瞬間冷凍で密封殺菌された状態で配送される。

フードを与える際は、事前に冷蔵保存で解凍したあとに40度の湯で温めることで香り豊かなフードになる。冷蔵保存ではなく、40度の湯で30分温めて直接解凍することも可能だ。

今度の展開として同社は、フードのカロリー量と犬の体重の変化をモニタリングし、データを蓄積していくとのこと。また、目黒にある同社のオフィスをドッグラン&ドッグカフェとして開放する予定。この反響を検証して、街中へのポップアップストア、店舗開設を検討するそうだ。

フードに関しては、アレルギーフリーやフリーズドライなどさまざまなメニューを開発予定で、ジャーキーなどおやつも用意したいとのこと。将来的には犬の食生活すべてをデータで管理する方針で、同社は療法食やヴィーガン食などにも注目している。

なお日本では猫の飼育数が犬を上回っているが、猫用フードの開発・販売については「時間がかかります」との回答。猫は犬と食習慣が異なり、嗜好性が高いためだそうだ。まずは犬用フードのクオリティーをさらに上げることに専念するという。

オンライン秘書サービス「nene」運営が資金調達、法人向けは質で挑む

オンライン秘書サービス「nene(ネネ)」運営のneonは7月8日、3500万円の資金調達を実施したと発表。調達先は非公開。今回が同社にとって初の資金調達となる。調達した資金をもとに、2018年10月設立の同社はneneのサービスを強化し、本日より開始した法人向けサービスの拡大を目指す。

neneはLINEを使い仕事を依頼することで秘書が代行してくれるサービス。

2018年12月よりサービスを開始した個人向けのneneでは、「会食におすすめなお店探し」や「旅行先の手配」などを代行してくれる。

法人向けでは、競合調査、市場調査を行いリスト化するなどといったリサーチ業務や、文字起こし、データ入力などに対応。今後は、人事業務に介入し従業員の勤怠管理をしスカウトメールを送ったり、一次面接までの日程調整を行うなどといった、採用関連の業務にも対応できるようにする。個人向けと違い、法人向けではLINE以外にもChatwork、Slack、メール、Facebookメッセンジャーが利用できる。

料金プランはカスタマイズ可能だが、基本的には時給2500円程度。実際に秘書が稼働した時間を利用初月に記録し、利用社に対し2ヵ月以降の料金を提案する。代行は9時から24時まで対応可能だ。

neneの競合として挙げられるのはオンラインアシスタントサービスの「CASTER BIZ(キャスタービズ)」など。neonのCOO、矢澤佑紀子氏いわく、同社は「対応の質の振れ幅の小ささ」で競合に挑んでいく。

「neneでは、私たちが雇用している正社員が対応している。対応の質のブレは基本的にほぼ無いと考えていただきたい」(矢澤氏)

neonは宮崎県にオフィスを構えており、そこには秘書業務を行う社員が在籍している。その社員たちは業務を的確にこなせるよう、ビジネスマナーを始めとし、メール文章の打ち方、(チャットを使っているため文章が長くなりすぎてはいけないので)文章のまとめ方、そして的確なリサーチを最短の時間で行う方法などに関する研修を受けている。

宮崎を選んだ理由は「助成金制度が整っており、かつ人件費が安い」から。矢澤氏ならびに代表の百合草諒氏は宮崎とは縁もゆかりもないが、neonは誘致企業として宮崎で雇用を創出することに意欲的だ。

neonの宮崎オフィスには現在、10名ほどの社員が在籍し秘書業務を行なっているが、調達した資金をもとに年内には20名ほどに増やしていく。また、同社では個人向けneneのアプリを開発中のほか、新サービスの展開も考え始めている。

矢澤氏いわく、neneのサービスを展開する中、「人のあたたかさ」に関するフィードバックが多かった。そのため、「例えば独居老人とのコミュニケーションに特化したサービスを展開すれば日本の家庭に安心を与えられるのでは、という話がでている」(矢澤氏)

化粧品ECのスタートアップ「NOIN」が総額8億円調達、メーカーへCRM解放へ

化粧品のECプラットフォーム「NOIN」を運営するノインは7月8日、DGインキュベーション、STRIVE、500 Startups Japan、みずほキャピタル、DK Gate、AGキャピタルなどから約8億円の資金調達(払込予定分を含む)を発表した。

今回の調達ともない、リードインベスターであるDGインキュベーションの上原健嗣氏が社外取締役に就任する。なお、3月にはGunosyで執行役員を務めていた千葉久義氏が取締役に就任している。

写真に向かって左から、DGインキュベーションの上原健嗣氏、ノインで社長を務める渡部賢氏、同社取締役の千葉久義氏、STRIVEの堤達生氏

経済産業省の調査「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、化粧品のオンラインでの購入率は約6%とオンラインストアが普及している現在でも未成熟な市場。同社は、オンラインストアと化粧品のミスマッチを解消するために化粧品ECプラットフォーム「NOIN」を立ち上げた。メディアとしての側面もあり、化粧品の購入だけでなく、メイク術や悩み解決といった記事をテキストや動画で手に入れることもできる。

今回の資金調達では、人材採用や育成、NOINのブランディングおよび認知拡大を目的としたプロモーションを強化。同時に、連携する化粧品メーカー各社への購買データ展開、CRMツールの解放など実施する予定だ。

今回の資金調達についてTechCrunchは以下の質問について同社から回答を得た。

——化粧品はやはり試してみないとなかなか購入につながらないと思うのですが、オンライン購入率を向上させる施策があれば教えてください。

実際に試すという点においては、店舗でテスターを用いて試せるものは数としては限られています。また、試すにあたっても直接顔につけるというよりも手元での色みやテクスチャーの確認というものが多いかと思います。当社では商品詳細のコンテンツに力を入れており、商品イメージの写真やタッチアップした際のスウォッチ画像、記事コンテンツ、動画コンテンツと1つの商品に対してのコンテンツがかなり充実しています。実際、商品詳細コンテンツを充実させた商品の売れ行きはないものと比較すると購入率は大きく違います。コンテンツのカバー率も高まっており、店頭よりもカバーできている商品は多いです。

また、ユーザーの平均年齢は25.8歳とかなり若いですが、1回あたりの購入単価が4000円を超えるほど高くなっています。当初は2000〜2500円程度を予想していましたが、かなり購入単価が高めです。コンテンツを通じてよいものであるという理解が深まると購入意欲も引き上げられるのだと考えています。

——ほかのコスメ系ECと差別化できるポイントを教えてください。

取り組み先のメーカー、ブランドに対して販売データを提供している点は差別化ポイントと考えています。アプリに溜まってきている「ユーザーがどのような商品と比較検討の末、その商品を購入したのか」「一緒に購入される商品にはどのような傾向があるのか」など、ブランドのマーケティング活動に有益となるデータをメーカーやブランドと共有しています。

「ブランドの商品をお気に入り登録しているユーザー」「過去購入経験のあるユーザー」というようなセグメントを切り、そこに対して各ブランドのCRMのツールとして使ってもらえるような機能提供も考えており、こちらも差別化ポイントとなるのではないかと思います。

——今回の資金調達で採用を強化するとのことですが、具体的なポジションや職種などあれば教えてください。

エンジニア採用を強化します。ユーザーの手元に届いて使ってもらうまでが我々のプロダクトでの体験だと考えているので、CSやロジスティクスの体制に関しては最重要と捉えています。多量の受注を受けても迅速にお客様に商品をお届けできるよう、ピッキングや配送などの倉庫管理のアプリケーションを完全に内製で開発しているほか、CS部門をツールを含めて充実させることにより、トラブルの際には利用者の問い合わせに対し、社内の配送データなども使って迅速なトラブル解決ができるフローを整えています。加えてメーカーに渡すマーケティングデータの解析ツールの開発も行わなければなりません。

――今回の資金調達で強化する、プロモーションについて具体的に決まっていることがあれば教えてください。

CMなどの大型のプロモーションも次の施策として進めていきます。リアルの場でのユーザー接点も重要と考えており、夏フェスのようなリアルなイベントへの協賛も行っていく予定です。プロモーション以外の資金使途としては 、化粧品メーカー・ブランド向けのマーケティングデータの解析ツールやCRMツールの開発に当てていこうと思っています。

――今回の資金調達で強化する、ブランディングついて具体的に決まっていることがあれば教えてください。オリジナルブランドなども検討されていますか?

オリジナルの商品に関しては検討していますが、完全にオリジナルということではなく、メーカーやアーティストと一緒に新しい商品やブランドを立ち上げていくという方向性で考えています。現在進行中のものとしては、ヘアメイクアップアーティストと一緒にヘアオイルの開発を進めているところです。

——新たにCOOに就任された千葉氏は、どのような組織改革を進められる方針ですか。

ノインはこれまでCEOの渡部を中心として対ユーザーに全力で向かい合い、toC向けのプロダクトを磨き上げるという方向に関しては素晴らしいものがあると思っています。一方でパートナーであるコスメブランドやメーカーとの関係構築はこれからの課題です。toBでのパートナーの課題解決ができる組織にしていきたいです。組織全体としては、やはりプロダクトや各種施策に対しての数値感覚の強い人を一人でも多く育てていきたいです。

アマゾン版「ロード・オブ・ザ・リング」は「ジュラシック・ワールド/炎の王国」のバヨナが監督

Amazon(アマゾン)のジェフ・ベゾスはプライム・ビデオでオリジナルの「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを製作し、Netflixの「ゲーム・オブ・スローンズ」の成功に張り合うつもりだ。 Deadlineの記事によれば、 ベゾスお気に入りの新シリーズを監督するのはフアン・アントニオ・バヨナだという。

バヨナはハリウッドのブロックバスター、「ジュラシック・パーク/炎の王国」を監督したことで記憶に新しい。バヨナはネタ切れかと思われた恐竜復活シリーズに最後のひとひねりを加えて、さらに興行収入を稼ぐ道を開いた。バヨナはそれ以前に母国スペインで「永遠のこどもたち」や「インポッシブル」など批評家から高い評価を得た映画を監督している。

バヨナが監督するAmazon版の「ロード・オブ・ザ・リング」の最初の2作は、ピーター・ジャクソンの映画、「ロード・オブ・ザ・リング」の原作であるJ.R.R.トールキンの「指輪物語」3部作が語られる直前の世界を舞台としている。映画版同様、Amazon版もニュジーランドでのロケが予定されている。

バヨナには脚本家としてJD・ペインとパトリック・マッケイが加わる他、著名な映画人多数が参加してシリーズが一大叙事詩となることを目指すという。

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滑川海彦@Facebook

子供向けのアクティビティや習い事を探して予約できる「Karamel」

フランスのスタートアップであるKaramelは、子供が何かやれそうなことを探すのを手伝いたいと思っている。同社はユーザーの周辺である、子供に適したアクティビティを探し、予約までできるモバイルアプリをこのほど立ち上げた。

また同社はKima Ventures、Roxanne Varza、Thibaud Elzière、そしてOleg Tscheltzoffから56万ドル(約6074万円)を調達したばかりだ。VarzaはAtomico Angel Programmeに参加していて、つまりAtomicoが複数のアーリーステージ企業に投資するために10万ドルを拠出したことを意味する。AtomicoとVarzaはKaramelが今後成功すればリターンを得ることになる。

Karamelは、子供が参加できるアクティビティを手配できるワンストップショップになりたいと考えている。アプリを立ち上げると、ユーザーの周辺で利用可能な精選されたアクティビティが表示されるので、たとえばユーザーは週末にやることを探す、ということができる。

もし何か特定のアクティビティを探しているのなら、子供の年齢やアクティビティのカテゴリー、値段、距離、曜日などの条件で検索できる。

また、新しい楽器を習ったり新しいスポーツを始めたりと、何回も通うタイプのアクティビティも扱っている。

この分野では、アクティビティを扱う多くの団体が存在している。個々がそれぞれに展開していて、そうした団体はどうやれば効率的に子供を持つ人にアクセスできるかを知らない。

Karamelを活用すればそうした団体は利用を増やすことができ、またアクティビティにより専念できる。Karamelには月間利用料などはなく、取引の手数料をとる。ユーザー(親)が払う額は、直接予約してもKaramelを介しても同じだ。

このサービスは現在パリで利用できる。マルセイユやリヨン、ボルドー、モンペリエでもアクティビティの検索はできるが、まだ予約はできない。

米国ではKidPassが似たようなサービスを展開しているが、こちらは月間使用料をとる。また、KidPassはAudibleやClassPassのようなクレジットベースのシステムを採用している。

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(翻訳:Mizoguchi)

Mozillaがニュース購読サービスを準備中

2月にMozillaは、ニュースメディアに資金を提供する方法を探るためにScrollと連携すると発表していた。サービス開始の準備が整いつつあるようで、Mozillaはユーザーに向けて、アンケートとこれから開始される「Firefox広告フリーインターネット」のベータ版への招待を送信している。

ジャーナリストの視点がかつてないほど重要になっている現在、より効果的にマネタイズして不況のメディアを支援するプラットフォームはたくさんある。このサービスもそのひとつだ。このジャンルではおそらくApple Newsが最も注目されているが、Mozillaのサービスはスタンドアロンのアプリに代わるものである点が興味深い。

Firefox版ではユーザーが毎月5ドル(約550円)支払うと広告なしでお気に入りのメディアにアクセスできるようになる。Mozillaは以下のように述べている。

このサービスによりウェブのユーザーは有料で好きなサイトを複数のデバイスにわたって広告なしで見られる。メディアがより直接的に資金を集められるScrollのモデルは、エコシステムにおける有力な選択肢だろう。新たな資金集めのモデルの一部として、我々はScrollと連携し、ウェブを広告なしで利用することに対する消費者の態度や関心をさらに把握していく。

BuzzFeed、Gizmodo Media、Slate、The Atlantic、USA Todayはローンチ前からサービスを提供するようだ。

画像:Pau Barrena/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

中国のゴミ分別はテックをフル活用、画像認識やQRコード、ミニアプリで

中国のゴミ問題についての取り組みは、国がそうであるようにデジタルをフル活用している。ゴミの入った袋がどこからきたのか、市の行政が追跡できるQRコードのついたゴミ袋がいい例だ。

7月1日、世界で最も人口密度の高い都市である上海市はゴミ分別を義務化するプログラムを開始した。新しい規則(中国語)では、家庭や企業はゴミを4種に分類し、決められた時間に決められた場所に捨てなければならない。遵守しなければ罰金が科せられる。そして、遵守しなかった企業やビルは信用レートが下げられる可能性がある。

この厳しいルール体制は、2400万人超の住民の間でプログラムの柔軟性のなさや、分別が分かりにくいと評判になった。しかしありがたいことに、中国のテックスタートアップが手助けする。

例えば、中国最大のインターネット企業は、どんなゴミが「ウェット(堆肥にできるもの)」「ドライ」「有毒」「リサイクルできるもの」になるのか特定できるよう、新たな検索機能の提供を始めた。たとえかなり環境問題に明るい人でも正しく分別できない。「イヌのフンを回収するのに使った新聞紙はどの分類のゴミ箱に捨てればいいのか」といった疑問などだ。WeChatやBaidu、Alipayのミニアプリを開いてキーワードを打ち込むといい。するとテック企業がその答えと理由を表示する。

Alibabaの電子支払い子会社であるAlipay(アリペイ)は、ゴミ分別ミニアプリを導入してわずか3日間でユーザー100万人を獲得した。ダウンロードしなくても10億人のユーザーを抱えるアプリの中で使えるこのライトバージョンのアプリは、これまでのところ4000タイプ以上のゴミの分類を案内する。データベースはまだ大きくなりつつあり、ゴミの写真を撮れば、分別を調べるのにタイプするのではなく画像認識を利用できるようになるだろう。AlexaのようなAlibabaのTmall Genieはすでに、「濡れたおしぼりはどのゴミに分類されるのか」などの質問に答えることができる(中国語)。

もし忙しすぎて、あるいは単に怠惰で回収日に間に合わせることができないようであれば、スタートアップが玄関先までゴミを回収に来るサービスを提供している。サードパーティのデベロッパーが手伝って、Alibabaはリサイクルミニアプリをつくった。そしていま、11市にある8000もの団地からゴミを回収している。これまでに200万人がこのプラットフォームを通じてリサイクル可能なものを売却した。

Alibabaのフードデリバリー部門であるEle.meは、展開車両が提供する「彼女への謝罪」「犬の散歩」といった御用聞きサービスのリストに「ゴミ回収」を加えた。

テック企業はまたビル管理者を手助けするためのソフトウェアも作っている。国営通信社・新華社の報道によると、上海の一部の住宅ビルはゴミの出元を追跡するためのQRコードの使用を開始した。各家庭はゴミ袋に識別QRコードの貼り付けが求められ、ゴミステーションに出されると分類のためにQRコードがスキャンされる。

こうすることでその地域の当局はどの家庭がそのゴミを出したのか正確に把握できる。しかし、上海市の現在の規則では個人の特定は求めていない。また新華社の別の報道(中国語)によると、正しく分別した人は少額の報奨金、1日あたり0.1元(1.45セント)をもらえる。

イメージクレジット: Photo by Wang Gang/VCG via Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

音楽配信を支援するUnitedMastersがミュージシャン向けiPhoneアプリを提供開始

レコードレーベルに代わる音楽レーベル流通スタートアップで、Google(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)の出資を受けているUnitedMastersは米国時間7月4日、アーティスト向けのiPhoneアプリをリリースした。

ウェブでしか利用できなかった同社のサービスを、このiPhoneアプリで利用できるようになる。アーティストは自分の作品をiCloudやDropboxから、あるいはテキストメッセージから直接アップロードし、Spotify、Apple Music、Tidalといったあらゆるストリーミングプラットフォームに配信できる。UnitedMastersは配信手続きやパフォーマンスの分析を実施し、配信売上の10%を受け取る。ただしコンテンツの権利はアーティストが100%保持する。

UnitedMastersはBose、NBA、 AT&Tといったブランドパートナーとも連携して、ブランド資産と配信コンテンツのマーケティング利用も管理する。アーティストはPayPal経由で支払いを受け取る。アーティストのソーシャルアカウントと関連づけて、オンラインのプレゼンスを音楽に結びつけることもできる。

アーティストはこのアプリを使って曲に加えて高品質のカバーアートもアップロードする。さらに制作に参加したプロデューサーや、露骨な歌詞を含んでいないかといった情報も入力し、すべてまとめてリリースできる。リリース日を指定すれば、コンテンツの承認待ちを経てどのサービスでもその日に配信が開始されるようにUnitedMastersが最善を尽くす。

UnitedMastersはInterscope Recordsの社長だったSteve Stoute(スティーブ・スタウト)氏が設立した。アンドリーセン・ホロウィッツと20世紀フォックスも同社に出資している。同社は、旧来のレーベルモデルでは権利を奪われ、リスナーが本当に音楽を聴いているサービスで配信したいと願う新世代のアーティストの支援を目指している。iPhoneで配信までのプロセス全体を管理することは、まさに現代のリスナー層との親和性が高い。

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(翻訳:Kaori Koyama)