AWSがノーコードのMLサービス「Amazon SageMaker Canvas」を発表

AWSは米国時間11月30日、新しい機械学習(ML)サービス「Amazon SageMaker Canvas」を発表した。新サービスは既存の機械学習サービスとは異なり、高度な技術を持つデータサイエンティストやエンジニアではなく、企業内のあらゆるエンジニアやビジネスユーザーをターゲットオーディエンスにしている。SageMaker Canvasは、ポイント&クリックインタフェースを使って、誰でも機械学習の予測モデルを構築できることを約束している。

この謳い文句に聞き覚えがあるとすれば、それはAzureなどが同様のツールを提供しているからかもしれないが、それでもAWSには、多くの企業がすでにすべてのデータをAWSに保存しているという利点があるかもしれない。

画像クレジット:Amazon

「SageMaker Canvasは、Amazon SageMakerと同じ技術を活用し、データを自動的にクリーンアップして結合し、何百ものモデルを内部的に作成し、最もパフォーマンスの高いモデルを選択して、新しい個別予測またはバッチ予測を生成します」とAWSのAlex Casalboni(アレックス・カザルボーニ)氏は今回の発表で書いている。「二値分類、多クラス分類、数値回帰、時系列予測など、複数の問題タイプをサポートしています。これらの問題タイプにより、コードを1行も書かずに、不正行為の検知、解約の削減、在庫の最適化などのビジネスクリティカルなユースケースに対応することができます」とも。

当然のことながらこのサービスは、AWSのフルマネージド機械学習サービスであるSageMakerに支えられている。

ここでの基本的なアイデアは、ベーシックなCSVファイルに至るまで、ユーザーはあらゆるデータセットを使用することができ、そのデータセットのどの列をCanvasが予測すべきかをユーザーが決めるということだ。しかし、従来のMLツールに比べてはるかに簡単なユーザーエクスペリエンスではあるが、ドラッグ&ドロップとまではいかないのが現状だ。結局のところ、AWSだからだ。全体としては、最新のノーコードアプリケーションというよりも、AWSコンソールでの作業に近いものとなっている。

画像クレジット:Ron Miller

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

AWSがKubernetesクラスタを自動的にスケーリングするオープンソースツール「Karpenter」を公開

米国時間11月30日、Amazonはラスベガスで開催されている同社の顧客向けカンファレンスAWS re:Inventで、オープンソースの新しいKubernetesクラスタスケーリングツールであるKarpenter(カーペンター)を発表した。

クラウドコンピューティングの利点の1つは、必要なリソース要求に合わせて自動的にスケーリングできること、と少なくとも理論的にはいわれている。しかし現実には、Kubernetesクラスタの管理担当者は、サービス停止を防ぐために適切な量のリソースがあるかどうを注意深く監視していなければならない。

Karpenterは、そのクラウドコンピューティングの理想を現実にするために開発された。その利点について、AWSのChanny Yun(チャニー・ユン、尹 錫璨)氏は、新機能を紹介するブログを書いている。

「Karpenterは、変化するアプリケーション負荷に応じて適切なサイズのコンピュートリソースを割り当てることで、お客様のアプリケーション利用率とクラスタ効率を改善します。Karpenterは、アプリケーションのニーズを満たすリソースをジャスト・イン・タイムで計算する機能を提供しており、近々クラスタのコンピュートリソースを自動的に最適化してコスト削減、性能改善ができるようになります」とユン氏は述べている。

Karpenterは、Kubernetesの負荷を分析し、リソース制限のために開始できないポッドが必要としているリソースを特定する。次に、クラウドプロバイダーに情報を送り、それに基づいてコンピュートを追加あるいは削除してもらう。

ここで重要なのは、オープンソースツールであるため、KarpenterはAWSクラウドリソースに特化して作られているのではなく、あらゆるクラウドプロバイダーに対して内在するKubernetesクラスタに関する情報を送るのに使えることだ。Karpenterは、Kubernetesの負荷を判定するために、KubernetesのパッケージマネージャーであるHelm(ヘルム)を利用している。Karpenterが対象のプロバイダーでコンピュートリソースを自動的に設定するための許可も必要になる。

Karpenterは、Apache 2.0ライセンスの下で提供されるオープンソースツールで、すでに利用可能だ。

画像クレジット:Ron Miller / TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSがより早いメインフレームの移行とモダナイゼーションのための新ソリューションを発表

米国時間11月30日朝に開催されたAmazon(アマゾン)のカンファレンス「AWS re:Invent」で、同社はメインフレームの移行とモダナイゼーションのための、シンプルな名称の新プラットフォーム「AWS Mainframe Modernization」を発表した。

同社のユーザーは本日から、メインフレームから移行するために、いくつかの異なる方法を取ることができる。それは「リフト&シフト」アプローチでアプリケーションをほぼそのまま持ってくるか、リファクタリングを行ってクラウド上でアプリケーションをマイクロサービスとして分解するかだ。しかし、どちらの方法もそう簡単ではなく、アプリケーションのソースコードの複雑さを評価し、他のシステムとの依存関係を理解し、コードを変換またはリコンパイルし、さらにすべてが動作するかどうかをテストしなければならないため、プロセスが完了するまでに数カ月から数年かかることもある。

「これは非常に面倒な作業であり、多くの要素が絡み合っています」とAWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は会見で述べた。「また、AWSパートナーが移行を支援してくれるとはいえ、長い時間がかかることもあります」と付け加えた。

新しいソリューションの「AWS Mainframe Modernization」では、その代わりにAWS上でメインフレームアプリケーションの移行、モダナイゼーション、作動をより迅速に行うことができる。同社は、一連の開発、テスト、展開ツールとメインフレーム互換のランタイム環境を用いて、メインフレームのワークロードをクラウドに移行するのにかかる時間を最大で3分の2に短縮できる、としている。また、このソリューションでは、顧客がメインフレームアプリケーションの準備状況を評価・分析した上で、再プラットフォーム化とリファクタリングのどちらの方法を取るかを選択し、計画を立てることができる。

再プラットフォーム化したい場合、Mainframe Modernizationソリューションは、コードを変換するためのコンパイラと、変換中に機能が失われていないことを確認するためのテストサービスを提供する。アプリケーションのリファクタリングや分解をしたい場合、例えばコンポーネントをEC2やコンテナ、Lambdaで実行できる場合は、Mainframe Modernizationソリューションを使用して、COBOLコードを自動的にJavaに変換することができる。Migration Hubでは、複数のAWSパートナーやソリューションにわたる移行の進捗状況を1カ所で追跡することができる。

Amazonはこのシステムを、セキュリティと高可用性、スケーラビリティ、弾力性を提供する、機敏でコスト効率の高い(オンデマンドの従量制リソースによる)管理されたサービスだとアピールしている。


画像クレジット:Ron Miller

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが数日でプライベートモバイルネットワークの設置・拡張できるAWS Private 5Gのプレビュー版公開

米国時間11月30日午前、Amazon(アマゾン)のAWS re:Inventカンファレンスで、同社はAWS Private 5G(AWSプライベート5G)のプレビューを発表した。ユーザーが独自のプライベートネットワークを容易に展開、管理するサービスだ。新機能の狙いは、現在多くの企業が直面している5Gの活用という課題に対応することだ。AWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は、AWS Private 5Gを使えば、プライベートモバイルネットワークの設置と拡張が数カ月ではなく数日でできるようになる、と語った。

「モバイル・テクノロジーの利点を、長い計画サイクルや複雑な統合、高額の初期費用といった障壁なく享受することができます」とセリプスキー氏が基調講演で述べた。「ネットワークをどこに作りたいのか、ネットワーク容量をどうしたいのかを当社に知らせていただければ、必要なハードウェアとソフトウェアにSIMカードをお送りします」。

画像クレジット:AWS

セリプスキー氏は、AWS Private 5Gがネットワークの設定、展開を自動的に行い、デバイスの追加やネットワークトラフィックの増加に合わせて、容量をオンデマンドで拡張できることを説明した。初期費用やデバイス当たりのコストはかからず、顧客は要求したネットワーク容量とスループットに対してのみ料金を支払う。

「多くのお客様が、さまざまな制約に対応するために独自のプライベート5Gネットワーク構築を望んでいますが、プライベートモバイルネットワークの展開には、多くの時間と費用、予測されるピーク容量に合わせたネットワーク設計が必要になり、複数ベンダーのソフトウェアとハードウェアのコンポーネントを購入、統合しなくてはなりません。また、お客様自身でネットワークを構築できたとしても、現在のプライベートモバイルネットワーキングの価格モデルでは接続デバイスごとに課金されるため、数千台のデバイスを利用するケースでは価格的に利用が困難です」と新サービスを紹介するブログで会社は述べた。

Amazonは、AWS Private 5Gは展開を簡易化することで、顧客が独自の4G/LTEあるいは5Gのネットワークを迅速に展開し、接続デバイス数を容易に増減できること、使い慣れたオンデマンドクラウドの価格モデルを利用できることなどを説明している。

AWS Private 5Gのプレビュー版は米国で公開される。利用するためには、ここで申し込みができる。

画像クレジット:AWS

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターが安全ポリシーを拡大、本人承諾なしの人物画像投稿を禁止

Twitter(ツイッター)は米国時間11月30日午前、private information safety policy(個人情報に関するポリシー)を改訂し、個人のプライベートな画像や動画を本人の承諾なくシェアすることを禁止した。すでに同プラットフォームは、ユーザーが他人の個人情報を許可なくシェアすることを禁止している。住所や位置情報、個人を特定する文書、非公開の連絡先、財務情報、医療情報などだ。しかし今回の改訂によって、反ハラスメントや反ドキシング(doxxing、他人の個人情報をインターネット上にさらす行為)に関わるポリシーがさらに厳格化された。

これは、投稿前に写真やビデオに写っている人全員の承認を得ることを要求するものではない。しかし、写っている人がメディアの削除を要求した場合、Twitterは削除する。

「描写されている個人あるいは正式な代理人から、自分のプライベートな画像また動画がシェアされることを承諾していないという通知があれば、当社はそれを削除します」とTwitterがブログに書いた。「このポリシーは著名人や公人が写っているツイート・テキストをともなうメディアで、公共の利益のため、あるいは公的発言に価値を付加するものには適用されません」。

しかし、著名人のケースについてTwitterは、嫌がらせを目的としたコンテンツは、攻撃的な行為および相手の意に反するヌード画像を禁止する現行ポリシーに沿って削除する場合があることを明確にした。また同社は、著名人に関するコンテンツを削除するかどうかを判断する際、その情報がすでにテレビ、新聞など他の公開メディアに掲載されているかどうかを評価すると語った。

それでも、多くのTwitterユーザーがこの新ポリシーへの懸念をプラットフォーム上で表明している。例えばフットボールの試合で観衆の写真を投稿するとき、全員の承諾を得なくてはならないのではないか、このポリシーはユーザーを沈黙されるために使われるのではないかと、などを心配している。このため、懸念にこたえるべく、後に専用アカウントのTwitter Safetyが発表のスレッドにコメントを追加した。

「この意味をわかりやすく説明します」と同アカウントは書いた。「このポリシー改訂は、メディアの乱用による嫌がらせ、恫喝、個人情報の暴露など、女性、活動家、反対意見の人々、少数コミュニティのメンバーなどを不当に傷つける行為を抑制するものです」。

Twitterはさらに、大規模イベントに参加している人々を写した画像やビデオはポリシーに反しないことを説明した。もし、画像に写った人物、あるいはその人物の正式な代理人からの報告を受けた場合、Twitterは投稿を削除する決断を下す前に、そのツイートが「公的発言に価値を付加しているか」どうかを検討する。それでも、批判する人々は、どのコンテンツが価値を付加しているか、Twitterがどうやって判断するかについて懸念を示している。

「文脈が重要です。当社の現行の情報ポリシーには、ニュース価値の高いイベントや公共の利益になる発言に関する妥協のない報道を可能にするために、多くの例外が示されています」と同社は言った。

ちなみに、昨日インターネットを見なかった人のために書いておくと、Jack(ジャック・ドーシー氏)はTwitterのCEOを退任した。ただし、今回のポリシー改訂が彼の離脱と関係しているという痕跡はない。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWS CloudWatchにユーザーモニタリングとA/Bテスト機能追加

2009年に導入されたAmazon CloudWatchは、AWSの顧客が自分のクラウドの利用状況や、それに対する支出をモニタできるツールだ。ラスベガスで行われているクラウドの顧客のためのAWS re:Inventカンファレンスで同社は、このプロダクトの2つの強化機能を発表した。

Amazonは、CloudWatchが提供するデータのタイプを徐々に増やしてきた。そして米国時間11月29日、ユーザーのモニタリングを追加された。そのReal User Monitoring(RUM)機能でAWSの顧客は、いつデプロイの問題が起きるのかを理解し、顧客が実際にそれを感じる前に修正行為を行なう。

AmazonのJeff Bar(ジェフ・バー)氏はブログで次のように述べている。「Amazon CloudWatchのRUMは、この体験を見つけて理解し改善するためのインサイトを与えるメトリクスを、あなたが集めるのを助けます。自分のアプリケーションを登録し、JavaScriptのコード片を各ページのヘッダーに加えてデプロイするだけです」。

これは驚異的なイノベーションとは言い難く、AppDynamicsやNew Relicなどが何年も前からやっていたことだ。しかし、Amazonの提供物の多くに倣ってこれらもAWSの内部の顧客にフルコースの体験を提供し、特にこのようなモニタリングは、ユーザーのAWSアプリケーションがおかしくなりそうなときに、そのことを教える。

もう1つの新機能は、CloudWatch Evidentlyと呼ばれる新しい体験ツールで、デベロッパーがこの機能のフラグを立てると、AWS上で構築中のアプリケーションの中でA/Bテストができるようになる。ユーザー全員にアプリケーションのアップデートを一斉に提供するのではなく、一部のユーザーを対象にしてアップデートをテストし、ユーザーがこの新しいアプローチやデザインを選ぶと何か問題が起きないか、むしろデベロッパーは前もって知りたいだろう。

新しい機能を経験する人びとの数を制限するためには、コード中のフラグを立て、この機能のためのパラメータをセットする。しかもこの機能では、実験のもう1つの形式としてA/Bテストができる。これもやはりごく一部のユーザーに対してアプリケーションの機能をテストし、どの機能やデザインが気に入られたかを知ることができる。

これらのどれも新しいものではない。Split.ioなどはいろいろな機能フラグを管理できたし、またOptimizelyなどは、A/Bテストの高機能バージョンを開発した。

CloudWatch EvidentlyはすでにAmazonの9つのクラウドリージョンで。従量制の課金により利用できる。CloudWatch RUMは、集めるイベント10万件につき1ドル(約113円)で、10のリージョンで利用できる。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AWSが変化するデータを自動で更新できるData Exchange for APIsを公開

開発者は、他社のデータセットを利用して機械学習モデルを構築することがよくある。他社のデータセットを自分のモデルに追加するのだ。しかしデータは常に静的であるとは限らない。そのため、余分な作業ではあるが、何らかのパイプラインのようなものを構築して定期的にデータを集めることになる。

米国時間11月30日にラスベガスで開催されたAWS re:Inventで、AWSはAWS Data Exchange for APIsを発表した。これは変化する他社APIを自動で更新できる新しいツールで、更新の仕組みを構築する必要がなくなる。

AWSのAlex Casalboni(アレックス・カサルボニ)氏は同社プログの投稿で、APIを使うことによりデータサイエンティストはパイプラインがなくても株価のように頻繁に変化する情報をもとにして質問の答えを得られるようになると指摘している。APIが1つだけならこれでいいが、複数のAPIを使う場合はAPIに関する通信や認証、ガバナンスなど新たな問題が発生する。

AWS Data Exchange for APIsはこのような問題の解決に役立つ。カサルボニ氏はブログで「本日、AWS Data Exchange for APIsの公開を発表し、うれしく思っています。これはAWSのSDKを使って安定したアクセスで他社APIを見つけ、購読し、利用できる機能です。AWSネイティブの認証やガバナンスも一貫して利用できます」と述べている。

ここで重要なのは、今週発表された多くのツールと同様にこれもAWS独自のツールであるという点だ。アプリケーションやデータモデルをAWS上で構築しているなら、このツールでAWSのSDKにアクセスし、AWSの認証やガバナンスのツールを利用して、他社APIのアクセスと更新を自動化できる。

データプロバイダにもメリットがある。Data ExchangeのカタログにデータプロバイダのAPIが掲載されれば、多くの開発者の目に留まりデータソースを利用してもらえる。カサルボニ氏は「データプロバイダはOpenAPIの仕様でAWS Data ExchangeカタログにAPIを掲載し、Amazon API Gatewayのエンドポイントに配置することで、膨大な数のAWSのお客様にAPIを発見してもらえるようになります」と説明した。

Variety Business Intelligence、IMDb、Foursquareなど多くのプロバイダがData Exchangeでデータを提供している。ツールは開発者とAPIプロバイダの両方を対象に、米国時間11月30日から公開が開始されている。

画像クレジット:Blue Planet Studio / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

現実世界への影響とポジティブな変化に焦点を当てたソーシャルアプリ「Alms」

多くのスタートアップが、より良いソーシャルアプリとはどのようなものかを試行錯誤している。Alms(アルムス)というスタートアップの場合、その答えは、個人の成長や持続可能性など、ポジティブな影響を与えるクリエイター主導のチャレンジに参加することで、ユーザーのウェルビーイングに焦点を当てるソーシャルネットワークだ。他のソーシャルアプリのように「いいね!」を集めるのではなく、Almsはチャレンジと、それにともなう具体的なステップや行動を通じて、現実世界での活動を促すことを目指している。

Almsの創業者、Alexander Nevedovsky(アレクサンダー・ネヴェドフスキー)氏は、アプリを利用するとき、ユーザーがより幸せで有意義な人生を送れるようなものにすることを目指している。それは、現代のソーシャルプラットフォームでは約束できないことだ。

このプロジェクトは、2020年のパンデミック初期に始まったとネヴェドフスキー氏は話す。

「私たちの多くは、友人や家族にあまり会えず、家で落ち込んだり悲しんだりしていました。世界は、単なる瞑想や日記、気分のトラッキングを超えた何かを本当に必要としていると感じました。そうしたアプリやテクニックはどれもすばらしいものですが、現実の世界でやり取りしながら日々の生活を改善するためのものではありません」。

しかし、2020年リリースされたAlmsのオリジナルバージョンには、アプリを「粘着質なもの」にするための何かが欠けていた。ユーザーは、コンセプトが気に入って登録しても、ある時点で脱落し、アクティビティに参加しなくなってしまう。Almsは、ユーザーを自分の旅に結びつけるための何かが必要だと考え、現在ではよりソーシャルなコミュニティへと移行している。

画像クレジット Alms

まず、新デザインのAlmsアプリを起動すると、簡単なオンボーディングプロセスを経て「個人の成長」「持続可能性」「インパクト」という3つの主要なトピックエリアから興味のあるものを選択する。例えば「個人の成長」には、メンタルヘルス、ウェルネス、スピリチュアリティ、人間関係などが含まれている。「持続可能性」では、環境や自然に関連した関心事を取り上げる。そして「インパクト」には、アクティビズム、ボランティア活動、地域コミュニティなどが含まれる。

設定が完了したら、チャレンジを投稿しているクリエイターをフォローしたり、個々のチャレンジに参加することができる。それぞれのチャレンジには、完全にクリアするために必要な一連のステップが設定されている。例えば、在宅ワークのライフスタイルを改善するためのチャレンジでは、ワークスペースやワークライフバランスを改善するためのステップ(休憩時間を設けたり、休みを挟んだりするなど)や、日常のルーティーンに身体活動を取り入れることなど、具体的な行動が示される。

チャレンジに参加して各ステップをクリアしてチェックを入れると、そのステップに関するストーリーをそのチャレンジのフィードに投稿するよう促される。他の人に刺激を与えることができ、励ましのコメントが付けられることもある。しかし「いいね!」やコメントを集めることがAlmsの目的ではないとネヴェドフスキー氏はいう。

「私たちは、個人の成長、持続可能性、さまざまな種類のインパクトなど、これらのテーマに精通した多くの人々が、基本的に私たちと一緒にそのインパクトを拡大しようとすることに大きな可能性を感じています。私たちは、彼らの知識やコンテンツをすべて拡張可能な方法で提供し、人々がそれを気に入ったり、コメントしたりするのではなく、実際にそれを繰り返してみることができるようにしています」。

Almsでは現在、約30人のクリエイターがアプリ上でチャレンジ形式でコンテンツを共有しており、さらに15人のクリエイターが参加を予定している。今後数カ月のうちに数百人に拡大したいと同社は考えている。これまでのところ、アプリの新バージョンは数千人のユーザーを引きつけている。

画像クレジット:Alms

このアプリでの多くのチャレンジには数百人のユーザーが参加し、クリックして参加すると、より大きなイベントに参加しているという感覚がある。ただし、筆者は個人的には、ストーリーの投稿とフィードへの共有が任意であることが望ましいと考える。すべてのステップが独自の投稿に値するわけではないと感じているからだ(また、完了した些細なステップについて何もいうことがない場合もあり、あまり役に立たない投稿でフィードを混乱させてしまったように感じることもある)。

Almsは、Flo.Health、Simple Fasting、Zing Fitness Coachなどのアプリを提供するスタートアップスタジオPaltaと共同で設立された。PaltaはAlmsの株式の過半数を所有しており、その他外部からの投資はない。14人のチームが遠隔地に分散してAlmsのアプリを開発しているが、現在は収益をあげていない。

ネヴェドフスキー氏によると、チームは何らかのトークンベースの経済や、現実世界の報酬を伝えるDAOを追加することを検討しているという。例えば、Almsのガバナンスに参加できたり、クリエイターファンドに参加できたりといったものだ。このトークンは、少なくとも短期的には取引できない。同社は、アプリ内チップのような、よりシンプルなアイデアも検討するかもしれない。しかし、Almsは現時点では製品と市場の適合性や、ユーザーベースの拡大に取り組んでいるため、まだ何も決まっていない。

全体的に、Almsはソーシャルアプリでの時間の使い方にもっと気を配り、影響を与えたいと思っている人や、より具体的な方向性を持ったインスピレーションを求めている人にアピールできそうだ。

「人は多くの場合、実際に影響を与えることなく、将来起こることに期待を寄せていると思います。ですので、自分が何を共有し、何を推奨しているかを知っている人たちから、アイデアやインスピレーションを得られるアプリがあると、とても助かると思います。特にサポートに関してはそうです」とネヴェドフスキー氏は指摘する。「(Almsの人々は)実際に気にかけてくれています」。

このアプリはよくできており、魅力的なデザインだ。しかし、今日のモバイルデバイスにおけるスクリーンタイムの競争を考えると、新しいソーシャル要素にもかかわらず、ユーザーが脱落してしまうという当初の問題に直面する可能性がある。

Almsは当面、iOS版のみの展開で、無料でダウンロードできる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターのジャック・ドーシーCEOが退任

CNBCは米国時間11月29日朝、Twitter(ツイッター)のCEO、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、Twitterでの職務から退く見込みだと報じた。その直後、ドーシー氏自身はこの噂を認め、Twitterは詳細を記したプレスリリースを発表した。ドーシー氏の後任には、2011年にエンジニアとしてTwitterに入社し、2017年からCTOを務めてきたParag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏が就任する。

「会社が『創業者主導』であることの重要性についてよく耳にします」とドーシー氏はTwitterのスタッフに宛てたメールの中で書いており、それをツイートした。「結局のところ、それは非常に限定的であり、単一障害点であると考えています。私は、この会社が創業者や創設者から脱却できるように努力してきました」と述べている。

ドーシー氏は、Twitter、そして消費者と企業の両方に決済・現金管理・送金サービスを提供している金融会社Square(スクエア)の両方のCEOを務めている。

Twitterの株価は、ドーシー氏が退任する可能性があるというニュースを受けて上昇し、週明けの取引時間中に序盤の利益を手放した後、本稿執筆時点で6.1%上昇している。

Twitterによると、ドーシー氏は2022年の株主総会で任期が満了するまで同社の取締役にとどまる。ドーシー氏の退任と同時に、取締役会会長Patrick Pichette(パトリック・ピシェット)氏の後任として、Bret Taylor(ブレット・テイラー)氏が指名された。ピシェット氏は取締役会に残り、引き続き監査委員会の委員長を務める予定だ。

参考までに、Twitterの11月29日時点の価値は約400億ドル(約4兆5485億円)となっている。しかし、990億ドル(約11兆2575億円)強の公開市場価値を持つSquareの半分以下だ。

1社だけでも上場企業を運営するのは大変だ。2社を運営するのは並大抵のことではなく、簡単なことではないと思われる。Squareの株価も、11月29日の朝は若干ではあるが上昇している(CEOが時間を分散していることでTwitterは投資家の反感を買っていた)。

Salesforce(セールスフォース)の社長兼COOであるブレット・テイラー氏は、Twitterの取締役会長にも就任する。

ドーシー氏は「これは私が決めたことであり、私の責任であることをみなさんに知っていただきたいと思います」と書いている。「自分のエゴよりも会社を選んだ創業者は多くありません。これが正しい行動であったことを証明できると信じています」、

すばらしいプロダクト展開

Twitterのリーダーシップとプロダクトの方向性は長年にわたり、保守的すぎる、遅すぎる、あるいはその両方であるという批判を受けてきた。しかし、ここ数四半期はTwitterの新プロダクトやサービスの開発・出荷能力が加速していた。

Twitterの機能は、ツイートできる文字数を増やすなどの大きな変更を除いて、何年もほぼ停滞していたが、数多くの新機能を導入し、買収も行なってきた。

TwitterはSpacesでライブオーディオに参入し、Ticketed Spaces、Tip Jar、ライブストリームショッピングなどのマネタイズ機能を導入した(FacebookやInstagramなどのMetaアプリもeコマースに関してはペースを上げてきている)。最近では、よりカスタマイズ可能なユーザーエクスペリエンス(ツイートの取り消し機能など)を提供する月額2.99ドル(約340円)のサブスクサービスTwitter Blueを開始した。

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Twitterはまた、サービスにさらなる機能を追加するために買収も行なった。2021年これまでのところ、Threader(Twitter Blueのスレッド閲覧機能の開発に貢献)、Sphere(グループソーシャルメッセージングアプリ)、Breaker(Spacesの開発に貢献)などの企業を買収しており、中でも注目すべきは、ライターが自分の投稿をプロフィールに直接リンクできる便利なニュースレタープラットフォームであるRevueだ。

最後に、ドーシー氏が暗号資産に興味を持っていることは公になっている。同氏のTwitterの経歴は文字通り「#bitcoin」だけだが、同氏だけが会社の支持者ではない。Twitterは、ユーザーが自分のプロフィールにNFTを表示する方法に取り組んでおり、もっと広く言えば、Twitterは分散型ウェブプロジェクトであるBlueskyを有している。しかし、ドーシー氏の退任は、特に同社が2021年11月初めに暗号資産専門チームを構築すると発表したこともあり、Twitterの暗号資産の勢いを緩めたりはしないかもしれない。当時、同社はTechCrunchに対し、アグラワル氏は新しい暗号資産チームと協力してTwitterにおける暗号資産の将来について検討し、ブロックチェーン技術によるソーシャルメディアの分散化に向けた取り組みを支援する、と述べていた。

なお、今回のニュースに関する詳細なコメントを求めたところ、同社からすぐには回答は得られなかった

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画像クレジット:Amal KS/Hindustan Times / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

産総研がミリ波電波を高効率で特定方向に反射する140GHz帯サーフェス反射板開発、基地局増設せずポスト5G・6Gエリア拡大

産総研がミリ波電波を高効率で特定方向に反射する140GHz帯サーフェス反射板開発、基地局増設せずポスト5G・6Gエリア拡大可能に

産総研は11月26日、大阪大学大学院基礎工学研究科と共同で、次世代通信規格となるいわゆる「ポスト5G/6G」時代に利用が予定されている140GHzというミリ波帯の電波を特定方向に高効率で反射させる「メタサーフェス」反射板を世界で初めて開発したと発表した。これを利用すれば、基地局を増設しなくとも反射板を設置するだけで通信エリアの拡大が期待される。

メタサーフェスとは、波長よりも小さな構造体を周期的に並べて、電磁波を任意の方向に反射させることができるメタマテリアル(人工媒質)のこと。不要な反射をなくし、特定の方向だけに反射させる(異常反射)が可能なため、電磁波を高効率に伝搬できる。これまで、100GHzを超えるミリ波に対応したメタサーフェス反射板は、その効果の計測が困難であったため世界的に開発や実証は行われてこなかったのだが、産総研はミリ波帯の高精度の材料計測技術を活かしてこれを克服した。産総研がミリ波電波を高効率で特定方向に反射する140GHz帯サーフェス反射板開発、基地局増設せずポスト5G・6Gエリア拡大可能に

ポスト5G/6Gで活用されるミリ波は、高速で大容量の電波帯域として期待されている反面、障害物によって簡単に遮蔽されてしまう問題がある。これを解決するには基地局を増やして高密度化するという方法があるが、それでは消費エネルギーやコストが増大してしまう。メタサーフェス反射板なら、電源を必要としない。設置免許もいらず、ビルの窓などに設置できるので、街の景観を損なうこともない。これで、障害物の影になる地域でも通信が可能になる。

産総研が開発したメタサーフェス反射板は、理論的な反射効率が99%以上に達した。また、反射板の素材損失を除いた実測値でも最大88%という高効率が実証された。今後は、300GHzまでの高周波化や反射方向の動的制御、マルチバンド動作などの高効率化を目指すという。

宝くじをユーザーの代わりにゲットしてくれるアプリ「Jackpocket」、購入者層も変化

これまで実際にその場へ出向いて行わなければならなかったことを、バーチャルでできるようにしたアプリは過去20カ月間のパンデミック渦で飛躍的な伸びを見せているが、そのうちの1つが米国時間11月9日、好調な成長を背景に大きな資金調達を発表した。Jackpocket(ジャックポケット)は250万人のアクティブユーザーを擁するアプリで、ユーザーが同アプリを通して米国10州で宝くじのチケットを購入できるというものだ。その同社が今回シリーズDラウンドで1億2000万ドル(約136億9000万円)を調達した。CEO兼創業者のPeter Sullivan(ピーター・サリバン)氏は、宝くじ販売というコアビジネスからより幅広いモバイルゲームへと事業を拡大し、他社との提携も見据えて米国内外のより多くの市場に事業を展開していく計画であると話している。

「第1四半期末までに少なくとも5つの州に新しく進出する予定です」とサリバン氏は意気込んでおり、テクノロジーへ投資してeコマース、サブスクリプション、モバイルウォレットサービスの世界からの「ベストプラクティス」を導入しつつ、他の形態のゲームも検討していると付け加えている。

「多くの人はご存じないでしょうが、宝くじの何パーセントかは慈善活動に使われています」と同氏。Jackpocketは新たにラッフル、懸賞、ビンゴ、ソーシャルカジノゲームなどの分野を開拓しようとしている。「より楽しいゲームプレイと勝利のチャンスを提供し、より多くをお返しできる方法を考えています」。

Jackpocket最新のピッチデッキによると、同社の拡大戦略は以下の通りである。

今回の投資はLeft Lane Capital(レフトレーンキャピタル)が主導しており、コメディアンのKevin Hart(ケヴィン・ハート)氏、Whitney Cummings(ウィットニー・カミングス)氏、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Manny Machado(マニー・マチャド)氏などが参加している他、Greenspring Associates(グリーンスプリング・アソシエイツ)、The Raine Group(ザ・レインル・グループ)、Anchor Capital(アンカーキャピタル)、Gaingels(ゲインジェルズ)、Conductive Ventures(コンダクティブ・ベンチャーズ)、Blue Run Ventures(ブルーラン・ベンチャーズ)などの以前からの支援者、そして新たにSanta Barbara Venture Partners(サンタバーバラ・ベンチャーパートナーズ)が出資している(Jackpocketはニューヨークで設立されているが、カリフォルニア州サンタバーバラからも事業を展開しており、CEO兼創業者のピーター・サリバン氏はここを拠点にしている。この記事のためにインタビューをさせてもらった際も同氏はサンタバーバラにいた)。

サリバン氏は今回のラウンドでの評価額を公表していないが、これにより同社の調達額は2億ドル(約228億1000万円)弱となった。

もう少し背景を説明しよう。PitchBook(ピッチブック)のデータによるとJackpocketが最後に資金調達を行ったのは2021年2月の5000万ドル(約 57億円)のシリーズCラウンドで、その時の評価額は1億6000万ドル(約182億6000万円)(ポストマネー)だった。しかしそれ以降も同社は成長を続けており、現在のアクティブユーザー数は250万人、過去8カ月で300%の増加となっている。

サリバン氏によるとJackpocketのアイデアは「ニューヨーク州の宝くじをいつも買っていたがパソコンには弱い、ブルックリン生まれのブルーカラー階級」というサリバン氏の父親から一部着想を得ているという。

時は2012年、テック界における当時の大きなテーマの1つは、それまでオフラインであったサービスをデジタル化するという「アプリの台頭」だった。もう1つの大きなテーマは、モバイルゲームへの関心の高まりだ。サリバン氏はこれらのトレンドを考慮して、宝くじを注文するアプリを作るチャンスがあると考えたのだ。従来はコンビニに行かなければできなかったことが、携帯でできるようになればと。

「私たちは自身を宝くじ版のUber(ウーバー)やInstacart(インスタカート)のような存在だと位置づけています」と同氏は話す。

Jackpocketは宝くじ売り場であると同時に、宝くじ体験全体を仮想化するものだと考えて良い。サリバン氏が説明してくれたように、ユーザーはモバイルアプリを使って宝くじを注文する。バックエンドではJackpocketが独自に開発したソフトウェアを使って、プレイヤーに代わって実際のチケット購入を行い、プレイヤーが注文した各チケットの「スキャン」を行っている。プレイヤーはそのチケットを見ることができ、チケットにはJackpocketが透かしを入れているため真正性も維持することができる。

他のリアルマネーオンラインゲームと同様に、Jackpocketは年齢や地理的位置(Jackpocketが運営されている州に物理的に位置していないと注文できない)など、さまざまな規制に対応するためにあらゆる対策を講じている。GPS技術を使ってユーザーの位置を特定するだけでなく、VPNを使用していないかどうか、あるいは他のアプリケーションを使ってコンピュータに接続していないかなどもチェックしているようだ。また、プレイヤーは本人確認と年齢確認のために身分証明書をアップロードする必要がある。

また、同社はギャンブル界でより「責任ある」プレイヤーになることを目指しており、ユーザーの支出を監視して1日あたり100ドル(約11400 円)を上限として設定しているが、それ以下の価格に自身で制限することも可能である。

ビジネスモデルは、顧客から入金された金額に対して9%の手数料を取ることを基本としている。つまりアプリにお金を入れてチケットを購入すると9%の手数料がかかるわけだが、獲得したお金を使ってプレイする場合に手数料はかからない。また、お金を引き出す際の手数料がかかることもない。

かなり明確な市場機会があったにもかかわらず(当時の最大の競争相手は、細分化されたコンビニ市場のみ)、当初は資金調達が非常に困難だったという。

サリバン氏は初期の頃にサンドヒル・ロードで各投資家を個別にまわった経験を振り返る。「当時はリアルマネーゲーミングを行うことはタブーとされていました」。2021年のシリーズCまでに調達した資金が約2500万ドル(約28億6000万円)と比較的少なかった理由の1つがこれである。「9年前投資家は見向きもしてくれませんでしたが、私は宝くじが鍵を握ると信じていました。宝くじは最大のリアルマネーゲームにして最大のネットワークであり、他のフォーマットとのクロスセルにも適しているのです」。

FanDuel(ファンデュエル)などのリアルマネーゲームの成功を受けて投資の流れが本格的に変わり始めたことで、宝くじ、そしてJackpocketにも変化が訪れた。業界団体であるNorth American State and Provincial Lotteriesが発表したところによると、消費者が宝くじに費やす年間の総額は856億ドル(約9兆7805億円)と推定されるという。これは、印刷およびデジタル書籍(18億ドル、約2057億円)、映画チケット(119億ドル、約1兆3597億円)、ビデオゲーム(315億ドル、約3兆5996億円)、コンサートチケット(104億ドル、約1兆1884億円)、スポーツイベント(177億ドル、約2兆226億円)など、他のレジャーカテゴリー消費額の合計を上回る額である。

「父が宝くじを買っているのを見たことはありますが、それがどのくらいの規模なのかは知りませんでした」とサリバン氏はいう。また、Jackpocketが把握している宝くじ購入者の層は変化しており、購入者の約70%が45歳以下であることにも注目したい。サリバン氏は「テクノロジーに精通した裕福な購入者が増えています」と話しており、これはアプリベースの体験にも最適な条件である。

過去2年間の特殊な状況も、Jackpocketのような企業に大きな影響を与えている。以前は宝くじなどを買うために街角の店を訪れていた消費者が、新型コロナウイルスの蔓延を避けるためにソーシャルディスタンスを保って自宅で過ごす時間を増やした他、営業を続けていた小規模店舗の多くも配送サービスに切り替えるなどしたため、チケットを買いに行くことが容易ではなくなったのである。

サリバン氏がいうような他のフォーマットの「クロスセル」は、今後重要な分野になるだろう。他のタイプの宝くじ体験を販売することだけでなく、例えばインスタント食料品配送のスタートアップなど、これまで宝くじの小売業の糧となってきたコンビニのデジタル拡張である企業や他のゲーム会社と提携する可能性もあるだろう。その可能性こそが、まさに今多くの資金を集めている理由の1つなのである。

Left Lane Capitalの創設者兼マネージングパートナーであるHarley Mille(ハーレー・ミル)氏は声明の中で次のように述べている。「モバイルゲームと宝くじは今、エキサイティングで前例のないレベルの成長と拡大を経験しています。Jackpocketがこの進歩の先頭に立ち、この業界でかつてないペースで革新を続けていることが我々には明白です。我々はこの歴史的瞬間に参加する機会を得たことに胸を踊らせており、この状況下でJackpocketの役割をサポートできることを楽しみにしています」。

画像クレジット:adventtr / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

ペット動画のマーケットプレイスCamlistが約1.4億円のプレシード資金を調達、英国での成長を目指す

ペットのための動画マーケットプレイスのCamlist(カムリスト)は、プレシードラウンドで130万ドル(約1億4900万円)を調達した。この資金は、プラットフォームの開発と従業員の増員に充てられる予定で、2021年初めに参入したアラブ首長国連邦に次ぐ2番目の市場である英国での事業拡大を目指している。

他のマーケットプレイスとは異なり、Camlist(カメラリスティングからきている)では、売りたいペットの動画を掲載することができ、コンタクトが取れれば、買い手と売り手はアプリ内で動画とテキストチャットの両方を使ってやり取りすることができる。

マーケットプレイスでは、今のところペットだけ出品できるが、近い将来、他の商品にも拡大していく予定だ。

「クラシファイド、あるいはP2Pコマースは、eBayが登場して以来、古いやり方に固執しています。それ以来、大きな革新はありませんでした。ただ、画像と電話番号が掲載されているだけです」と、Camlistの共同設立者で最高経営責任者のMoustafa Mahmoud(ムスタファ・マフムード)氏は述べている。

「しかし、Camlistではそれを変えようとしています。マーケットプレイスをビデオ体験に変えようとしています。すべての所有物にストーリーがあるからです」。

マフムード氏は、誰もが安全にペットを探すことができるように、検証済みの健康診断や、一括払いができない人のためにサードパーティと提携した無利子融資も保証していると述べている。Camlistは、これまでに6000匹以上のペットを新たな飼い主に繋げている。

「当社のアプリ内GMV(流通取引総額)は、2四半期ごとに100%成長しています。そのため、四半期ごとに倍増しており、総GMVは月に約200万ドル(約2億3000万円)になります」とマフムード氏は語っている。

このY Combinator(Yコンビネータ)企業は、2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが発生する直前に、アラブ首長国連邦のドバイで設立され、事業を開始した。その結果、家に閉じこもることを余儀なくされた人々が、一部退屈しのぎだが、世話をする時間も増えたため、ペットを購入するようになりサイトは人気を博した。

「私たちはマーケットプレイスをカテゴリーごとに構築していますが、ペットのリスティングは非常に大きく、また十分なサービスが提供されていないと感じています。今後、成長に合わせてさまざまなアイテムに拡大していく予定です」と、コンピューターサイエンティストでもあるマフムード氏は語る。

他の共同設立者には、最高製品責任者のMaha Refai(マハ・リファイ)氏がいる。彼女は、デジタル製品の構築と拡張での16年の経験を持っている。彼女は、MBC(中東最大の無料放送局)のプレミア・ビデオ・プラットフォームや、その他の複数のビデオ・ストリーミング製品のクリエイターでもある。

Camlistの最高技術責任者であるAlsayed Gamal(アルサイード・ガマール)氏は、15年のソフトウェアエンジニアリングの経験を持っている。モバイルプラットフォーム、データエンジニアリング、DevOps、API設計、マイクロサービス、サーバーレスアーキテクチャに関する知識と経験を持っている。

マフムード氏は、アラブ首長国連邦のドバイでクラシファイドサイトを利用して購入した際に、商品が誤って紹介されていたり、詐欺が多かったりした嫌な経験に対抗する必要があったことが、Camlistを始めるきっかけになったと述べている。

Camlistの最高経営責任者であるムスタファ・マフムード氏は、同社の最高製品責任者であるマハ・リファイ氏、最高技術責任者であるアルサイード・ガマール氏と共同で動画マーケットプレイスを設立した

駐在員の街でもあるドバイでは、クラシファイドサイトは荷物の処分のために利用されるため人気があるが、一方で詐欺師が無防備な人々を狙う機会にもなっている。このような状況に対処するため、Camlistはアプリ内での支払いを可能にしている。購入者がペットを受け取ったことを確認した時点で資金が支払われる仕組みだ。この機能により、業者を装った詐欺師を防ぐことができ、購入者が詐欺に遭うことがなくなる。

マフムード氏と彼の他の共同設立者は、購入者が購入する前に、興味のあるアイテムをビデオで体験できるマーケットプレイスを提供している。これは、購入者が詐欺の手口から守られ、高品質のサービスを保証することに加えてのことだ。

また、同社はプラットフォーム上の販売者が、ペットを健康的な環境で飼育・繁殖しているかどうか、ワクチン接種や駆虫、マイクロチップの装着などを行っているかどうかしっかりフォローアップしている。

「また、私たちはワクチン接種、マイクロチップ、駆虫、保険、ペットフードを無料で提供することで、購入者と販売者をサポートしています。買い手と売り手に最高の体験を提供することを心がけています」と同氏は述べている。

同スタートアップは、Y-Combinator、テクノロジー・スタートアップ・アクセラレーターであるAct One Ventures(アクトワン・ベンチャーズ)、アーリーステージのベンチャーファンド、そしてHouseparty(ハウスパーティー)、Mux(マックス)、Facebook(フェイスブック)などのエンジェル投資家から新たな資金を調達した。

「私たちは、未来のマーケットプレイスを構築するというビジョンを信じてくれる投資家を心待ちにしていました。そして、このビジョンを信じ、実際にビデオ業界で働き、アプリケーションを構築している人たちを得られたことは、本当に幸運でした」とマフムード氏は述べている。

英国での成功を収めた後、Camlistは米国市場への参入を計画している。これは彼らにとって巨大で重要な市場になると確信している。

「英国はかなり大きな市場なので、現在の私たちの状況は英国内での拡大です。ここで、私たちが行っていることの反響を確認することもできます。しかし、市場の過半数を占めるような一定の段階に達した時点で、米国への進出を開始する予定です」と、エジプトで生まれ、6歳のときに家族でドバイに移住してきたマフムード氏は語る。

画像クレジット:Camlist

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

バックオフィス支援サービスSUPPORT+iA運営のグランサーズが約1.5億円調達、プロダクト開発・人材採用強化

バックオフィス支援サービスSUPPORT+iA運営のグランサーズが約1.5億円調達、プロダクト開発・人材採用強化

バックオフィス業務を支援するアウトソーシングサービス「SUPPORT+iA」(サポーティア)運営のグランサーズは11月24日、第三者割当増資による約1億5000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、グリーベンチャーズ、個人投資家。調達した資金はプロダクト開発、正社員や外部協力者の採用・教育資金に充当される。

グランサーズは、会計税務・バックオフィス全般を支援する税理士法人を母体として2013年に設立された。税理士法人を含めたグループ全体の累計顧客数は1500社を超え、会計士・税理士業務、経理・給与計算などのバックオフィス支援を通じて、顧客の多様なニーズと課題解決に応える事業を展開。バックオフィス業務のアウトソーシングサービスのほか、コンサルティング、SES(エンジニア派遣)、コワーキングスペースの運営を手掛けている。

サポーティアは、庶務・財務・経理・人事労務・総務など、バックオフィス業務を幅広く支援するサービス。従来の派遣やアウトソーシングサービスと異なり、オンラインコミュニケーションによって業務を完結できる。作業量に合わせた費用プランが用意されており、最低月6時間から契約することが可能。ユーザーがコア業務に集中できる環境づくりをトータルサポートする。

また昨今では、専門性が求められる経理・財務・人事労務などのバックオフィス業務を担う人材の不足や、「ノンコア業務を必要な分だけ誰かに任せたい」というニーズが増加傾向にある。グランサーズは会計士・税理士業務とバックオフィス支援で培ったノウハウをデータベース化し、システム開発とRPAなどの技術を組み合わせることで、多くの企業に共通するバックオフィス業務を効率化・自動化するプロダクト開発を進めている。今後もより多くのユーザーに対し、DX化された生産性の高いバックオフィス業務の提供を目指したいという。

SpotifyがTikTokに似た縦方向ビデオフィードのテストを開始

TikTokのショートビデオのフィードはInstagramからSnap、YouTube、さらにNetflixに至るまで、多くの競合に模倣されている。今度はSpotifyも模倣の仲間に加わるようだ。Spotifyはアプリ内でDiscoverという新機能をテストしていることを認めた。Discoverはミュージックビデオを縦方向のフィードで表示する機能で、ユーザーは上下にスクロールして見ていく。お気に入りにしたりスキップしたりすることもできる。この機能が提供されているユーザーに対しては、アプリ画面下部のナビゲーションバーで「ホーム」と「検索」の間にタブが1つ増え、タブが4つになっている。

この新機能を初めて指摘したのはChris Messina(クリス・メッシーナ)氏で、Discover機能の動作を動画でツイートした。同氏はこの機能について、ミュージックビデオを表示するTikTok風フィードの「簡略版」と表現している。

メッシーナ氏はTechCrunchに対し、SpotifyのTestFlight版(iOS用のベータ版)でこの機能を見つけたと語った。ナビゲーションバーに新しいアイコンがあり、タップするとすぐにビデオのフィードが表示されるという。上下にスワイプしてフィードを移動する操作がTikTokによく似ている。さらにハートをタップして曲をお気に入りにしたり、3つの点のアイコンをタップして標準で使われている曲の情報画面を表示したりすることができると同氏は説明した。

同氏は、この機能はSpotifyに以前からあるCanvasのフォーマットを活用しているのだろうと推測している。

2019年に広く導入されたCanvasは、Spotifyアプリで曲とともに表示されるビデオをアーティストが設定できる機能だ。この機能にはユーザーからさまざまな意見がある。音楽を聴くときは静止画のアルバムアートワークだけが表示されている方が好ましくビデオがループしているのは邪魔だという人がいる一方で、ビデオのループが好きだという人もいる。ともあれCanvasはSpotifyが狙っていた効果をあげているようで、同社はユーザーがCanvasを見ているとストリーミングを継続し、曲を共有したり保存したりする傾向が強いと発表している。

メッシーナ氏が共有したビデオやそれ以外に我々が見たビデオから、縦方向のフィードで再生されているのは既存のCanvasビデオであることが確認できた。しかしSpotifyはこれに関してはっきりとは認めなかった。

TechCrunchはSpotifyに対し、この機能を広く公開する予定があるか、iOSとAndroidの両方で利用できるか、どのマーケットで利用できるかなどの詳細を問い合わせた。Spotifyは詳細を明らかにしなかったが、縦方向のビデオフィードのアイデアを試していることは認めた。

同社は「Spotifyはユーザーエクスペリエンスを向上させるために常に多くのテストを実施しています。最終的にユーザーエクスペリエンスの幅を広げることにつながるテストもあれば、重要な研究として実施されるだけのテストもあります。現時点で共有できる情報は、これ以上はありません」と補足した。

つまり、このテストはごく初期のものであり、広く公開されない可能性がある。しかし広く公開されなかったとしても、Spotifyの動きとしては驚くにはあたらない。同社はこれまでもソーシャルメディアで人気のフォーマットに目を向けてユーザーを引きつけようとしてきた。インフルエンサーが自分で作ったプレイリストを投稿できるストーリーズ機能をテストしていたこともある。しかしこの機能はSpotifyの全ユーザーに公開されることはなかった。

TikTokのフォーマットは人気のソーシャルプラットフォームに取り入れられてきた。Instagramのリール、SnapchatのSpotlight、YouTubeショート、Pinterestのアイデアピンなどだ。コンテンツを見つけるのに理想的なフォーマットであることも証明されつつある。例えばNetflixは最近、縦方向の短尺ビデオフィードをアプリに取り入れ、Fast Laughs機能として公開した。これは同社のコンテンツライブラリからクリップを配信するもので、番組をウォッチリストに保存したりストリーミングをすぐに開始したりするツールとなっている。これと同様に動画をベースとしたSpotifyのDiscover機能も、おなじみのフォーマットでユーザーに新しい音楽を紹介し、ユーザーの関心をSpotifyに伝える役割を果たすかもしれない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

新世代チームコラボレーションツールAirtableのようなCRM構築を目指すAttio

Attioは、AirtableNotionZapierのような新世代のコラボレーションツールをよく知ってる人たち向けの新しいCRMだ。同社が作ろうとしているのは、ユーザーの顧客やサプライヤーやパートナーに関する重要な情報をすべて収められるプロダクトだが、それにはまた同時に、データを容易に編成し、一覧し、操作できる柔軟性がある。

AttioはPoint Nineがリードする770万ドル(約8億9000万円)のシードラウンドを調達し、これにBalderton CapitalHeadlineが参加した。同社の以前からの投資家であるPassion Capitalと、数名のエンジェル投資家も参加した。後者はFrontの共同創業者でCEOのMathilde Collin(マチルデ・コリン)氏、Loomの共同創業者でCTOのVinay Hiremath(ヴィネイ・ヒレマス)氏、LoomとHyperの共同創業者であるShahed Khan(シャヘド・カーン)氏、そしてIndeedの共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォースター)氏らとなる。

投資家のリストがこんなに長いのも、創業者の経歴を見ればうなずける。Attioの共同創業者でCEOのNicolas Sharp(ニコラス・シャープ)氏は以前Passion Capitalのアソシエイトで、その後Alexander Christie(アレクサンダー・クリスティー)氏とともにAttioを起業。彼は、同社のディールフロー(取引の流れ)部分の処理に多大な時間を投じた。

シャープ氏は特に、AirtableとNotionからヒントを得たという。「現在、ビジネスソフトウェアの世界にはすばらしいことが起きつつあり、特に変化が著しいのはCRMです。今のCRMは、顧客が望むものを何でも作ることができます。その一方で、このようなことが起こっており、それ自体が興味深いものです。CRM市場では、新しい販売方法のパラダイムシフトが起きています。今や、さまざまなチャネルを通じて関係性を育むことが重要になっています」。

つまりCRMソフトはもはや、営業のチームに限定されていないということだ。現在では、A社で仕事をしている多くの人たちが、B社のさまざまな人たちとやりとりをしている。そのような状況で、単一のコンタクトポイントにこだわっていると全体の把握も、追跡もできなくなってしまう。

画像クレジット:Attio

Attioは、既存のさまざまなツールからデータを取り込む。アカウントをセットアップするときは、自分のチームのコンタクト(連絡先)もインポートする。また、メールの会話をCRMのプラットフォームと同期できる。共有のレベルは、メタデータだけか、または件名とメタデータかのどちらかを選ぶ。そしてもちろん、カレンダーの同期もできる。

そうやって設定したあと、AttioはユーザーデータをTwitter、LinkedIn、Facebookといったサードパーティのソースから自動的に補足する。自分の会社と特定のコンタクトとの最近の対話のタイムラインを見ることもでき、他の企業を検索して、その企業にいる自分が知っている人を調べることもできる。

さらにおもしろいのは、コレクションの構築だ。コレクションは、特定のプロジェクトのためのコンタクトのリストだ。例えばすべての投資家のコレクションを作ったり、営業のための情報通信チャネル(いわゆる「コネ」)のコレクションを作れる。知っている記者たちのコレクションもあるだろう。

コレクションの見方は、いろいろある。Airtableのように、行と列からなるスプレッドシート状のインターフェースで、データを加えてもよい。あるコレクションに必要になったら、新しい属性の列(カラム)を増設できる。

あるいは、コンタクトをあるカラムから別のカラムに移動できる。カレンダー形式でもよい。それぞれのビューは、さまざまなフィルターや整列(ソート)の基準でカスタマイズできる。

画像クレジット:Attio

Attioは、多くのSaaS同じような設計なので、チームで利用するのに適している。タブ方式で最新のアクティビティをそれぞれで確認できるし、タスクを作って注記を加えれば、そこからチームとしてのプロジェクトが始まる。

現在、同社には120社ほどの有料顧客がおり、Coca-ColaやSupercell、Saltpay、Causal、Upfront Venturesなどの企業でチームが利用している。しかし、このようにしてCRMを「再発明」しよとしているのはAttioだけではない。競合他社には、最近紹介したFolkや、4DegreesAffinityなどがいる。

シャープ氏がこのプロダクトを思いついたときは、競争がまだそれほど激しくなかった。「当時はNotionが開業したばかりでしたし、みんな新しいスプレッドシートや新しいノートアプリのようなものを開発していました。新しい原理をCRMに応用しようとしている人は皆無でした」とシャープ氏はいう。

ユーザーにとっては、CRMプラットフォームの選択肢は大きく増えた。この分野がどのように進化していくのか、興味深く見守っていきたい。

画像クレジット:Attio

画像クレジット:Attio

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Redditがショート動画のDubsmashを停止、動画ツールを自社アプリに統合

Reddit(レディット)は、TikTok(ティックトック)のような短編動画プラットフォームである「Dubsmash(ダブスマッシュ)」を2022年2月22日に停止する。同社によると、2月以降、DubsmashはApple App StoreやGoogle Play Storeでダウンロードできなくなるという。現在ダウンロードされているアプリも、同じ日に機能を停止する。

同社は2020年12月にDubsmashを買収し、同社の動画作成ツールをRedditに統合するとしていた。買収後、DubsmashのリーダーシップチームはRedditに参加した。それから約1年が経過した現在、Redditは、Dubsmashチームがアプリの動画提供を加速させており、DubsmashユーザーにとってRedditは身近に感じられるだろうと述べている。

「Dubsmashチームは、Redditに参加して以来、 Redditのクリエイターが、コミュニティに適した独自の方法で自分自身を表現できるようにするという目標のもと、彼らの革新的な動画作成ツールをRedditに統合するために取り組んできました」。とRedditは、ブログで述べている。「力を合わせることは、完璧な組み合わせでした。Redditは、情熱的なコミュニティが、自分たちにとって重要なトピックについて、タイムリーでインタラクティブな本物の交流を求めて集まってくる場所であり、動画は人々がつながりたいと思う方法の中核をなしています」。

今回の統合の一環として、Redditは新しい動画作成ツールを導入することを発表した。カメラの新機能として、録画速度の変更やタイマーの設定が可能になった。また、ユーザーは、ランドスケープ、ポートレートモード、フィルで動画をアップロードできる他、複数のクリップの調整やトリミングも可能になった。また、テキストステッカー、ドローイングツール、フィルターを含む新しい編集画面を追加している。ユーザーは編集画面で直接ナレーションを入れたり、音量を調整したりすることもできる。

Redditは8月に、iOSユーザー向けに、TikTokのような構成で動画のストリームを表示するビデオフィード機能を展開した。動画が表示されると、ユーザーはその動画に対してアップボートやダウンボート、コメント、アワードの授与、共有などを行うことができる。TikTokと同様に、ユーザーが上にスワイプすると別の動画が表示され、ユーザーが購読しているサブレディットや関連するサブレディットのコンテンツがフィードされる。新しいビデオフィードの発表は、ソーシャルメディアのプラットフォームがTikTokに対抗しようと模索する中、Instagram(インスタグラム)の「リール」機能やSnapchat(スナップチャット)の「スポットライト」ツールが人気を博していることを受けて行われた。

関連記事:Redditが人知れずiOSアプリにTikTokのようなビデオ機能を実装

Redditによると、全体の視聴時間が70%近く伸びていることから、Redditでは動画コンテンツが急上昇しているという。毎日のアクティブな動画視聴者数の伸びも30%増となっていると指摘している。また、Redditの新しいビデオプレイヤーでは、2秒未満のショートビデオの視聴者数が、前四半期比で50%増加している。

注目すべきは、Redditが2017年に初めてネイティブ動画プラットフォームを立ち上げ、ユーザーがMP4やMOVファイルをサイトにアップロードできるようにしたことだ。その後、2019年8月には、選択したサブレディットへのライブストリーミングを可能にするRPAN(Reddit Public Access Network)を開始している。

RedditがDubsmashの統合を完了した今、TikTokとの競争を続けることを目指して、新しい動画作成ツールの立ち上げでより多くのユーザーを集めようとしているのは当然のことだ。しかし、TikTokやSnapchatのようなアプリは、単純に動画を作成するだけではなく、音や音楽を活用したプラットフォームを提供している。Redditが今後、動画に続いてさらなる野望を抱くことになるかどうかは明らかではない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Instagramのアダム・モセリ氏、 10代のメンタルヘルスについて上院で証言

Instagram(インスタグラム)の責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、子どもや10代の若者のオンラインの安全性に関する一連の公聴会の一環として、初めて上院で証言する。The New York Timesによると、モセリ氏の公聴会は米国時間12月6日に行われる。

モセリ氏の公聴会は、Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党)が、Facebook(現Meta)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に手紙を送り、彼かモセリ氏のどちらかが上院の公聴会に参加するよう要請したことに端を発する。

モセリ氏は、上院議会への出席のニュースを受けて動画を投稿した。彼は、10代の若者のオンラインでの安全性に対する懸念が高まっていることを話し、10代の若者のアカウントをデフォルトで非公開にしたり、若者が目にする広告の種類を制限したりするなど、Instagramが若いユーザーを保護するために行ってきた過去の対策を紹介した。

関連記事:Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

「これらの問題について、比較的近いうちに議会で話すつもりです」とモセリ氏は語った。「これらは重要な問題ですが、私たちは共通の目標を持っています。私たちは皆、若い人たちがオンラインで安全に過ごして欲しいと願っています」。

9月にInstagramが10代の少女に危険な影響を与えていることを知っていたという報道が流れたとき、上院商務科学運輸委員会はそれを重くみた。委員会はまず、Facebookのセキュリティ部門のグローバルヘッドであるAntigone Davis(アンティゴン・デイビス)氏に質問したが、上院からの直接の質問には答えなかった。その数週間後、委員会はFacebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の証言を聴取した。ハウゲン氏は「Facebook Papers(フェイスブック・ペーパーズ)」として知られる何千もの内部文書を流出させた元シビックインテグリティプロダクトマネージャーだ。ハウゲン氏はこの証言で、Facebookはユーザーの安全よりも利益を重視していると上院に訴えた。

「Facebookが、私や他の議員、一般市民に対して完全に透明性を保とうとせず、若者のメンタルヘルスや依存症に関する重要な情報を隠しているように見えることに失望しています」と、この公聴会を主催する上院委員会の議長を務めるブルメンタール上院議員は書いている。「私が8月の手紙でInstagramと10代の若者に関する具体的な情報を求めたとき、Facebookは、ハウゲン氏が直接反論した明らかに回避的で誤解を招くような回答をした」。

2021年10月、Snap(スナップ)、TikTok(ティックトック)、YouTube(ユーチューブ)の幹部から話を聞いた後、再びInstagramの代表者から話を聞くために委員会は開催される。思春期の摂食障害の発症とInstagramの関連性について委員会が関心を示していることを考えると、モセリ氏は、Instagramが10代の少女に与える影響についてMetaが行いリークされた内部研究について質問されることが予想される。

関連記事:Snap、TikTok、YouTubeの公聴会で、米議員がオンラインで子どもたちを守る新ルールを声高にアピール

The Wall Street Journalが入手し、後にMeta自身が発表したこの内部研究によると、Instagramは10代の女の子の3人に1人のボディイメージの問題を悪化させ、10代の女の子は不安や鬱病の増加をInstagramのせいにしていることがわかった。自殺願望のある10代の若者の間では、6%のユーザーが自殺で死にたいと思ったきっかけをInstagramだとしている。さらに、調査対象となった10代の女の子の32%が、自分の体に悪い印象を受けたとき、Instagramがその気持ちをさらに悪化させたと報告している。

これらの文書が流出した直後、モセリ氏はInstagramがInstagram Kids(インスタグラムキッズ)の構築を一時停止することを発表した。Metaには、13歳未満のユーザーが親の承認した相手とチャットできるMessenger Kids(メッセンジャーキッズ)などの製品がすでにある。

「この体験を開発する必要性を支持しますが、このプロジェクトを一時停止することにしました」とモセリ氏は書いた。「これにより、保護者、専門家、政策立案者、規制当局と協力し、彼らの懸念に耳を傾け、10代の若者のオンライン経験にとってこのプロジェクトの価値と重要性を示すための時間を得ることができます」。

しかし、批評家たちは、Metaが責任を持ってInstagram Kids製品を構築する能力があるかどうかについて懐疑的だ。2021年11月に発表された調査によると、Facebookは広告ターゲティングのために10代の若者を監視し続けていると言われている。

「あなたかアダム・モセリ氏が証言して、記録を整理し、議会のメンバーや親たちに、あなたがどのように子どもたちを守るのかという計画を示すことが緊急かつ必要です」とブルメンタール上院議員はザッカーバーグ氏に書き送った。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッターがiOSアプリをアップデート、読み途中にツイートが消えるタイムライン自動更新を廃止

Twitter(ツイッター)は米国時間11月23日、ユーザーが読んでいる最中にツイートが消えることがなくなるようiOSアプリをアップデートしたと発表した。この変更は、ソーシャルメディアの巨人である同社が最近、ウェブ版プラットフォームをアップデートし、新しいツイートがタイムラインを自動的に更新しないようにしたことを受けたものだ。Twitterはこれまで、ユーザーのタイムラインが自動的に更新される際に読んでいたツイートが途中で消えてしまうことが多く、ユーザーにとってフラストレーションの元になっていたと認めていた。

関連記事:消えてしまうツイートにサヨナラ、Twitterがウェブ版で新しいツイートの自動読み込みを廃止

「iOS版では、ツイートが読んでいる途中に消えてしまうことを防ぐため、いくつかのアップデートを行いました。ツイートを見るためにタイムラインのスクロールを一時停止しても、そのまま残るようになりました!」とTwitterはツイートで説明している。

Twitterは9月、ユーザーがツイートを読んでいる間に消えてしまわないように、ツイートの表示方法を変更すると発表していた。このアップデートは、現在、Twitterのウェブ(ブラウザ)版およびiOS版プラットフォームに適用されている。Twitterによると、Androidでもツイートが消えないように変更する作業を行っているとのことだが、このアップデートがいつリリースされるかは不明だ。

他にもTwitterは、2021年前半にモバイル向けにフルサイズの画像プレビューを導入した後、最近、ウェブ向けの画像プレビューを自動的にクロップしないことを発表した。ウェブ版のTwitterでは、画像はトリミングされることなくフルサイズで表示される。これにより画像がタイムラインにどのように表示されるかを心配することなく、撮影時と同じような画像が表示される。Twitterは、3月にiOSおよびAndroidユーザーの一部を対象に、この変更をテスト導入していた。

これらの微調整は、Twitterが自社のプラットフォームを強化し、サービスをより利用しやすくするために行っているものだ。最近では同社は、ユーザーが自分のSpacesへのダイレクトリンクを共有することで、他のユーザーがTwitterにログインすることなくウェブ上でライブオーディオセッションに参加できる機能を導入した。また、18歳以上のすべてのAndroidユーザーを対象に、アプリ内で投げ銭機能を導入した。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

フランス当局が偽造品や危険な製品を扱うeコマースプラットフォームWishの削除を検索エンジンなどに要請

フランスの複数の閣僚が共同声明を発表し、フランスで運営されている主要な検索エンジンとモバイルアプリストアに対し、Wish(ウィッシュ)のウェブサイトとモバイルアプリを完全に非表示にするよう要請したことを明らかにした。Wishは、人気のeコマースプラットフォームで、主に中国の業者の商品を扱っている。商品は業者から顧客に直接発送されるため、在庫は抱えていない。

消費者の権利と詐欺を担当するフランスの行政機関は2020年、Wishの調査を開始した。当時、DGCCRF(競争・消費・詐欺防止総局、Director générale de la concurrence, de la consommation et la répression des fraudes)は、Wishが有名ブランドのロゴを示す画像を不正確に掲載したスニーカーや香水など消費者を簡単に誤解させる偽造品を販売しているのではないかと疑っていた。

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そこでフランス政府は、Wishで販売されている140種の商品を注文したが、そのほとんどが輸入品だった。これを受け、政府はそうした商品が安全かどうかを調べることにした。

Wishで購入したおもちゃの95%が欧州の規制に適合しておらず、そのうち45%が危険だと判断された。電子機器については、95%が欧州では販売されてはいけないはずのもので、そのうち90%が何らかの形で危険なものだった。

さらに、同プラットフォームで販売されている安価なコスチュームジュエリーにもリスクがあり、政府が注文したものの62%が危険とみなされた。繰り返しになるが、これらの指標は商品140点という非常に小さなサンプルに基づいている。

Wishが危険な商品を販売しているという通知を受けた場合、それらの商品は24時間以内にマーケットプレイスから削除されることが求められる。しかし「ほとんどの場合、それらの商品は別の名前で販売されたままであり、時には同じ販売者からも販売されている。同社は、不適合で危険な商品の取引に関する記録を一切残していない」とフランス経済省は声明で述べている。

同調査によると、Wishは危険な製品を購入したことを顧客に通知する際、製品回収の理由については言及していない。

2021年7月、消費者の権利と詐欺を担当するフランスの行政当局はWishに通知し、eコマースと製品安全に関する欧州の規制を遵守するよう求めた。当局は、さらなる行動を起こす前に2カ月間の猶予を与えた。

そして4カ月後、フランス政府は最近の欧州規制の変更を利用して、問題のあるウェブサイトやアプリの参照元を外したり、ブロックしたりしている。これは複雑なプロセスだが、経済省は検索エンジンやアプリストアにWishの参照解除を要請するよう、担当行政機関に依頼した。本稿執筆時点では、WishはまだApp Storeで利用でき、Googleの検索結果にもWishのウェブサイトが表示される。

今後、Wishはフランスでシャドーバンされる。ウェブサイトは今後も利用でき、すでにスマホにダウンロードしているアプリも機能する。しかし、App Store、Play Store、Googleの検索結果には表示されなくなる。

Wishがフランスの規制を遵守するために適切な変更を実施したと行政が判断すれば、シャドーバンを解除する可能性がある。今回の過激な決定によってフランスは前例を作り、ウェブがますます細分化されていることを改めて示している。この場合、フランスは消費者の最善の利益のために行動するとしている。

また、欧州で予定されているデジタルサービス法が、ドロップシッピング全体に大きな影響を与えるかどうかも注目される。欧州は、2000年に制定されたeコマース指令をデジタルサービス法で抜本的に見直す予定だ。

画像クレジット:Kira auf der Heide / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

音楽の使用権を取引できるマーケットプレイスAudiostockが6.7億円調達、登録クリエイター2万組・取り扱い音源数70万点超

音楽の使用ライセンスを売買できる、ロイヤリティフリーのストックミュージックサービス「Audiostock」(オーディオストック)を運営するオーディオストックは11月24日、シリーズCラウンドにおいて、第三者割当増資による約6億7000万円の資金調達を発表した。引受先は、リードインベスターの米Susquehanna International Group(SIG)、新規株主のセレス、ベクトル、既存株主の日本ベンチャーキャピタル、中国銀行グループ、HBCC Technology Investment。創業からの累計調達額は約11億円となった。

2007年10月設立のオーディオストックは、音楽クリエイターの音楽作品を預かり、Audiostockを通して販売・配信を行うプラットフォーム事業を展開。登録クリエイターは2万組、取り扱い音源数は70万点以上と世界最大の楽曲数を誇るという。

同サービスでは、音楽クリエイターは自身で制作した音楽を登録して使用権を販売でき、売上に応じた印税を受け取れる。顧客は、単品購入・サブスクリプション方式で購入手続きを行うだけで音楽の利用許諾を得ることができ、映像・ゲーム・アプリ・広告・SNS投稿動画などの商用コンテンツに音楽を組み込める。契約から印税分配まですべてオンライン上で完結させることで、適切な収益を得られる環境を構築し、音楽作品を生み出す方々を支援している。

2019年より開始した定額制プランの利用者数が伸長し、日本の音楽コンテンツの海外需要も高いことから、さらなる国内外でのシェアの拡大を目指し、システム開発費や広告宣伝費などを強化する目的で資金調達を実施したという。これまでに同社は、2018年3月にシリーズAラウンドにて2億6200万円、2020年6月にシリーズBラウンドで1億2000万円の資金調達を行っている。

調達した資金の使途としては「国内外の新規顧客獲得のための広告宣伝費用」「Audiostockシステム強化のための開発費用」「良質な音楽コンテンツ獲得・制作のための費用」を挙げている。

国内外の新規顧客獲得のための広告宣伝費用

同社は、国内向けの新たな定額制プランとして、法人・個人の区分けをなくし使用シーンや人数に合わせて選択できるプランを11月1日から開始。これにより用途ごとに使いやすいサービス環境を整えているが、クリエイターにとって良質な音楽コンテンツのプラットフォームであることを知ってもらうため、動画マーケティングなどを行い認知拡大を図る。

また海外では、ストックミュージックサービス市場の高まりを受けて、類似企業が数百億円などの巨額な資金調達を果たすなども動きもある中で、Audiostockは和楽器を使った楽曲やアニメゲームの映像に合うものなど、日本ならではのコンテンツ需要がアジア圏を中心に高いため、今後海外向け定額制プランも提供する予定。海外シェア拡大のためにマーケティングを強化する。

Audiostockシステム強化のための開発費用

Audiostockは、取り扱う音源数70万点以上となる一方で、ユーザーが求める音源にどのように出会えるかという点においてシステムに対する課題やユーザーの意見があるそうだ。より良い環境を作るためにAIなどのテクノロジーを活用するなど、ユーザーの利便性を高めるアップデートを目指し、システムの強化を予定している。さらに、海外向けの定額制プランのシステム開発を行う。

良質な音楽コンテンツ獲得・制作のための費用

同社は、プロの奏者によるスタジオで生演奏の収録をしており、高品質な生演奏BGMは人気コンテンツの1つとなっていることから、今後はレコーディングコンテンツの拡充を行う。また、著名人の音楽コンテンツの販売も視野に入れており、エンターテインメント性の高い著名人のコンテンツを積極的に配信する取り組みは業界的にも珍しいため、ユーザーに他にない良質なコンテンツを届けられるよう、準備する。