SkyDriveとスズキが「空飛ぶクルマ」事業・技術連携に関する協定締結、機体開発・製造・量産体制・インド市場開拓検討

SkyDriveとスズキが「空飛ぶクルマ」事業・技術連携に関する協定締結、機体開発・製造・量産体制・インド市場開拓など検討

SkyDriveスズキは3月22日、「空飛ぶクルマ」(eVTOL)の事業化を目指し、連携協定を締結したと発表した。「機体開発および要素技術の研究開発」「製造・量産体制および計画」「スズキの四輪・二輪・マリンに『空飛ぶクルマ』を加えた新しいモビリティの具体化」「インドを中心とした本件対象の海外市場開拓」について、検討を開始する。

SkyDriveは、空飛ぶクルマの機体メーカーとして、日常の移動に空を活用すべく現在2人乗りの機体を開発中。2025年の大阪・関西万博開催時の大阪ベイエリアでのエアタクシーサービスの実現、また各地域での事業展開を目指している。

SkyDriveは、自動車同様の世界最小のコンパクトで電動の「空飛ぶクルマ」の製造を目指して開発を推進。スズキはコンパクトカーの製造・販売を得意としている。

SkyDriveとスズキは、相互の連携を図ることで、四輪・二輪・マリンに続く、新しいモビリティ「空飛ぶクルマ」への事業参入を検討し、多様な選択肢を顧客に提供したいという思いから連携協定を締結することとなった。

今後、事業・技術連携を行うことで、技術の研究開発、製造・量産体制の計画、インドを中心とした海外市場開拓を推進し、カーボンニュートラルへの取り組みも推進する。

ブリヂストンが自動運転シャトルのMay Mobilityに少数株主として出資

タイヤメーカー大手のBridgestone(ブリヂストン)は、米ミシガン州に拠点を置く自動運転シャトルのスタートアップ、May Mobility(メイ・モビリティ)に少数持分出資を行い、自律走行車のスタートアップにまた1つ投資することになった。

ブリヂストンはこれまでにも、スウェーデンの自律型貨物輸送技術のスタートアップであるEinrideと協力し、自動運転EVトラック輸送のための持続可能なモビリティソリューションを模索したり、自動運転トラックによる長距離輸送スタートアップのKodiak Roboticsに出資してきた。

ブリヂストンは最近、カーケアサービスに特化したラストマイル配送プラットフォームのYoshi、およびタイヤセンサーとデータ管理企業のTyrataとの提携も発表している。他の最近の戦略的投資と同様に、ブリヂストンはMay Mobilityの株式をどれだけ保有しているかは明らかにしていない。

ブリヂストンとMay Mobilityのパートナーシップにより、後者は2022年後半にブリヂストンのタイヤ摩耗予測モデリング技術を同社の車両に搭載する予定だ。ブリヂストンのインホイールセンサーと予測アルゴリズムが、タイヤの空気圧、温度、トレッドの摩耗など、タイヤの健康状態を監視し、最終的にMay Mobilityの総所有コストの削減とAV車両の安全性の向上に貢献すると、Mayの広報担当者は述べている。また、今回の統合により、ブリヂストンはAVの運用に関する知見を得ることで、同社の主力タイヤ製品の改良につなげることができる。

ブリヂストンの米国子会社であるBridgestone Americas(ブリヂストンアメリカスインク、BSAM)のモビリティソリューション&フリートマネジメント社長、Brian Goldstine(ブライアン・ゴールドスティン)氏はこう述べている。「ブリヂストンの予知保全に関する知見を統合する今後の計画は、May Mobilityの車両がより安全、効率的、持続可能な形で運用されることを保証するものです」。

また、May Mobilityは、ブリヂストンが2021年に買収したクラウド型フリートモビリティソリューション「Azuga」を活用することで、業績の向上が期待される。Azugaは、フリート管理、カメラインテリジェンス、ルートプランニング機能をMay Mobilityにもたらす。

May Mobilityは、Waymo(ウェイモ)やCruise(クルーズ)のようなロボタクシーではなく、公共交通機関の補強を目的とした低速AVを、広島を含む5都市で運用している。2021年は、テキサス州アーリントン、ミシガン州アナーバーとグランドラピッズで、交通技術企業のViaと共同でオンデマンドの自動運転シャトルサービスを開始した。

同社は2022年初め、車両をハイブリッドのLexus(レクサス)SUVからハイブリッドのToyota(トヨタ)シエナミニバンに変更する計画で、8300万ドル(約99億1700万円)のシリーズCを調達した。この資金は、Mayが米国と日本で事業を拡大し、黒字化するために使用される予定だという。

またブリヂストンは、Mayの事業拡大を支援するため、同社のAVサービスやメンテナンスサポートを、BSAM傘下のFirestone Complete Auto Care、Tires Plus、Hibdon Tires Plus、Wheel Worksブランドの店舗や、ブリヂストンのモバイルサービス会社であるFirestone Directを通して提供する予定だ。

May MobilityのCEOであるEdwin Olson(エドウィン・オルソン)氏は、声明でこう述べている。「ブリヂストンの全国2200店舗を利用した車両運行・サービスにより、May Mobilityは全米で比類ないスケールアップを実現できます。このコラボレーションは、安全で持続可能なモビリティソリューションをグローバルに提供するという、我々の共通のミッションに基づくものです」。

画像クレジット:May Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Den Nakano)

マスク氏、テスラ事業を「極限サイズ」まで拡大する計画を明かす

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)初の欧州工場の開所を翌日に控えた現地時間3月21日、Twitterで同社の「マスタープラン・パート3」の発表を予告し、同社の事業を「極限」まで拡張する計画を示唆した。

マスク氏は同日、同社の長期計画の次の内容を支えるテーマ、すなわち人工知能と自動車メーカーの事業規模の拡大をTwitterで明らかにした。

「Teslaの主なテーマは、人類を化石燃料から解放するために必要な極限規模への拡大とAIです」とマスク氏はツイートした。「しかし、SpaceX(スペースエックス)、Tesla、The Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー)に関する項目も盛り込む予定です」。

この計画は、Teslaにとって「極限サイズ」がどのようなものかを詳述し、世界的なパンデミックとサプライチェーン逼迫の中で製造とサプライチェーンを拡大するための同社の戦略を概説する可能性がある。

同社は3月22日に欧州初の工場を開設し、そこで生産された初の量産車を引き渡す予定だ。50億ドル(約5970億円)を投じて建設したベルリンの工場では、欧州最大の自動車メーカーVolkswage(フォルクスワーゲン)と同社の1000億ドル(約11兆9500億円)ものEV投資に対抗するために、年50万台超の電気自動車を生産する予定だ。

Teslaは先週、中国のオミクロン新規感染者数の増加とサプライチェーンの制約を受けて、24時間稼動の上海ギガファクトリーを2日間閉鎖した。同工場は1日あたり約2000台を生産し、相当数のModel 3とModel Yを欧州に輸出している。

「マスタープラン」の第1章と第2章は、同社の製品と技術の開発に関する正確なロードマップであることが証明された。第1章は「The Secret Tesla Motors Master Plan(秘密のTesla Motors マスタープラン」と題した2006年のブログ投稿でTeslaの概念実証の概要を示した。

その10年後、「パート2」として更新されたマスク氏のマスタープランは、バッテリーストレージの開発、バッテリー電動ピックアップトラックとSUVを含む新モデルの発売の計画についてだった。第2章が終わりに近づいた今、マスクはTwitterでテスラの次の章を予告し始めた。

また、マスタープランがマスク氏の各会社に焦点を当てるのは今回が初めてで、同氏が親会社を作ってすべての会社を1つ屋根の下に置くつもりではないかとの憶測を呼んでいる。しかし、ツイートでのSpaceとThe Boring Companyへの言及は、将来における両社のコラボレーションを暗示している可能性もある。

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポルシェが、独自のEV充電ステーション網を構築すると発表

Porsche(ポルシェ)は、2023年より独自に世界的な専用充電ステーションのネットワークの構築を開始すると発表した。これは他社との提携に依存するとしていた当初の戦略から逸れることを意味する。

同社の年次総会で明らかにされたこの計画は、ポルシェが電気自動車のラインナップ拡大に向けて準備を進めていることを受けたものだ。同社は2025年までに、現在の「Taycan(タイカン)」以外に少なくとも2モデル「Macan(マカン)」と「718」の電気自動車を市場に投入する予定だ。

ポルシェブランド初の充電拠点は、来年よりまずはドイツ、スイス、オーストリアの需要の高い地域に建設される予定だと、同社幹部は述べている。

しかし、ポルシェのビジョンは単なる充電ポートに留まらない。プレスブリーフィングで詳細を語ったOliver Blume(オリバー・ブルーメ)CEOとLutz Meschke(ルッツ・メシュケ)取締役会副会長によると、充電ステーションにはラウンジのような施設が備わり、バッテリーを充電しながらコーヒーを飲んだり、仕事をしたりできるようになるという。

「充電だけでなく、お客様の利便性を高める方向に持っていきます」と、メシュケ氏はいう。「クルマの電動化に集中するだけではなく、クルマに留まらないカスタマージャーニーにも力を入れることが、私達にとって非常に重要なのです」。

ポルシェはまず欧州市場に注力する予定だが「特別なサービスを提供し、公共の充電インフラをサポートできる」中国や米国への拡大も検討していると、ブルーメ氏は述べている。

ポルシェは、欧州最大の急速充電ネットワークを擁する複数の自動車メーカーによる合弁事業、IONITY(アイオニティ)との提携も継続する。IONITYは、現在400カ所の充電ステーションを、2025年までに1000カ所まで拡大することを計画している。

「私たちは、パートナーと共同でプレミアム充電ステーションに、そして私たち自身の充電インフラに投資しています」と、ブルーメ氏は述べている。

ブルーメ氏は、ポルシェが建設を計画しているステーションの数、開設までのタイムライン、コストに関する数字を示すのは、時期尚早であるとした。しかし、同氏のコメントは、同社がこのプロジェクトへの投資に熱心であることを示唆している。

世界のEV市場が軌道に乗る準備を進める中「今後数年間は、このための迅速な増強が非常に重要であり、ゆえにポルシェは多額の投資を行っています」と、同氏は付け加えた。

ポルシェの取り組みは、この分野で先行するTesla(テスラ)に倣ったものだ。テスラは2500以上の拠点に約3万台のSupercharger(スーパーチャージャー)と呼ばれる急速充電器を備えた独自のグローバルネットワークを構築している。最近では、オランダをはじめとする欧州数カ国で、このネットワークを他メーカーの電気自動車にも開放し始めた。Rivian(リヴィアン)も独自の「アドベンチャー」ネットワークを構築しているが、同社はその充電システムに、近年欧州や米国で普及しているオープンな国際規格であるCCS(Combined Charging System、通称コンボ方式)直流コネクタを採用している。このため、CCS規格を持つ他の電気自動車も、ソフトウェアでブロックされる可能性はあるものの、理論上はRivianのネットワークを利用することができる。Rivianは2023年末までに、米国とカナダの600カ所以上に3500基の急速充電器を増設することを計画している。

ポルシェは今後もIONITYとの提携を支援しながら、米国では46州とワシントンD.C.に670基の充電ステーションを持つElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ)ネットワークの利点をアピールしていく。しかし、ポルシェ独自のネットワークを持つことによって、顧客体験と充電ステーションの品質を、自社で直接コントロールすることが可能になる。同社の広報担当者によると、この戦略は既存の急速充電インフラの欠落部分を埋めるためのものであるという。

ポルシェと同じくVolkswagen(フォルクスワーゲン)グループ傘下のAudi(アウディ)もまた、2階建てのラウンジのようなコンセプトの試験運用を欧州で開始している。この充電ステーションでは、顧客は下でクルマを充電しながら、上階で寛ぐことができるようになっている。

画像クレジット:Porsche

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ポルシェがミドエンジンスポーツカー「718」を2025年までに電気自動車にすると発表

Porsche(ポルシェ)のモータースポーツの歴史を現代に伝えるミッドエンジン・ロードスター「Porsche 718(ポルシェ718)」は、2025年までに完全な電気自動車として生まれ変わる予定だ。

ドイツ時間3月18日に、ポルシェの年次総会で予告されたこの718 EVは、同社の野心的で最近拡大されたラインナップ電動化計画の一部だ。同社はこの日、2030年までに新車販売の80%を電気自動車にしたいと述べている。

「世界の各地域によって変革のスピードは異なるため、我々は非常に柔軟なエンジン戦略を持っています」と、ポルシェのOliver Blume(オリバー・ブルーメ)CEOは語った。「我々が目指すのは、エモーショナルな内燃エンジン、パワフルなプラグインハイブリッド、スポーティなハイブリッド、そして完全な電気自動車です」。一部のモデルはさまざまなパワートレインを並行して提供すると、同氏は付け加え「911」には今後も内燃機関を搭載していくことを強調した。

ポルシェ718EVは、2019年にデビューした「Taycan(タイカン)」、近々登場が予定されている次期型「Macan(マカン)」に続く、ポルシェのラインナップで3台目の完全電気自動車となる。

この新たに掲げられた販売目標は、タイカンとその多数の派生車種の人気を上昇させるだけでは達成できない。完全電気自動車のマカンと718 EVがその隙間を埋めることになると、同社の幹部は年次総会前のブリーフィングで述べた。同社はこの日、独自のEV充電ステーション網の構築が計画に含まれていることも明らかにした。このポルシェ専用の充電ステーションは、バッテリーの充電を待つ間、顧客は仕事をしたりコーヒーを飲んだりできるラウンジのような場所を備えるという。

次期型マカンのEVは、これまでの計画通り、まずは2023年に欧州で発売され、続いて2024年に米国へ導入される予定だ。ブルーメCEOによると、718 EVは2025年にデビューする予定だという。マカンEVは、ポルシェとAudi(アウディ)が2018年に共同で開発に着手した電気自動車用アーキテクチャ「PPE(Premium Platform Electric)」プラットフォームがベースとなる。

ポルシェは718EVのために特別な構成を開発しており、タイカンのような800ボルトのシステム電圧も採用し、業界屈指の高速充電を可能にするとブルーメ氏は付け加えた。

ポルシェは、象徴的スポーツカーである911のハイブリッドモデルも製造する予定だと述べている。これはプラグインハイブリッドではなく、ル・マン24時間レースで優勝した「Porsche 919 hybrid(ポルシェ919ハイブリッド)」のテクノロジーを受け継ぐスポーティなハイブリッドになるという。

画像クレジット:Porsche

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国のドライバーレス配達スタートアップWhale Dynamicが約3億円調達、米国市場を狙う

Nuro(ニューロ)に挑む中国の新進気鋭のスタートアップは米国の配達市場に照準を合わせており、その野望を前進させるためにシード資金を調達した。

Baidu(百度、バイドゥ)のベテラン社員David Chang(デイビッド・チャン)氏が設立した深センの自律配達スタートアップWhale Dynamic(ホエール・ダイナミック)は、約250万ドル(約3億円)のシードラウンドをクローズしたと発表した。中国の大手金融機関出身のベテランが運営する北京の投資会社Qianchuang Capitalがラウンドをリードし、不動産デベロッパーが出資する中国のファンドShangbang Huizhongが参加した。

2018年に設立されたWhale Dynamicは、ハンドルと運転席をなくすことを目的としたNuroのようなドライバーレスの配達バンを開発している。そして、配達ボットがBYD製であるNuroと同様、自動運転車の生産を中国のメーカーと契約しているが、契約が確定していないためメーカー名はまだ明かせない。

Baiduの知能運転グループでプロダクトマネージャーを務めたチャン氏は、Whale DynamicがNuroにわずかに勝るのはコスト面だと指摘する。Nuroは米国で部品を組み立てているが、Whale Dynamicは製造から組み立てまですべて中国で行っているため、価格面で優位に立つことができる。価格は1台約2万ドル(約240万円)だ。

今回の資金投入により、Whale Dynamicは現在30人の従業員からなるチームを拡大し、中国と米国での製品使用例を検討することが可能になる。Huawei(ファーウェイ)出身のエンジニアリングディレクター、Qi Wei(チー・ウェイ)氏をリーダーに、5月に中国のいくつかの都市で最初のプロトタイプ車のテスト走行を実施することを目指している。

中国ではWhale Dynamicは、Meituan(メイトゥアン)やJD.com(JDドットコム)などの小売テック大手との競争に直面しており、これらの企業は2021年、独自の商品専用配達車のテストを開始した。チャン氏は、車輪のついた箱を直接製造するのではなく、乗用車の研究開発とテストを行うという、より時間とコストのかかる方法をとる同社の技術は時の試練に耐えることができると考えている。

乗用車を使っているWhale Dynamicのテスト車両

チャン氏は、最終的には米国を拠点にして、速達サービスやスーパーマーケットをターゲットにしたいと考えている。「中国なら、もっと早く、低コストでテストができます」とチャン氏は中国からスタートした理由を説明する。

中国と米国の規制当局が、国家安全保障上のリスクがあるとしてハイテク企業への監視を強化しているため、2つの国にまたがる企業はより大きな規制に従うか、どちらかの国を選ばなければならなさそうだ。中国のソーシャルメディア大手Sina(新浪)の関連会社が出資するカリフォルニア州の自律型トラック運送会社TuSimple(トゥシンプル)は中国部門の売却を検討している、とロイター通信は報じた。

TuSimpleの車両のほとんどは米国で稼働しており、中国で動いている車両はわずかだ。しかし、米国の規制当局は同社の中国との関わりや中国支社のデータへのアクセスについて懸念を示しており、これがTuSimpleの中国部門を売却する決断につながったと報じられている。

Whale Dynamicではセキュリティ・コンプライアンスを最優先しているとチャン氏は話す。米国市場に参入する際には、AWSやGoogle Cloudといった米国のクラウドサービスを利用し、中国のチームはハードウェアの開発のみを担当する予定だ。LiDARはOster(オスター)とイスラエル拠点で米国にもオフィスを持つInnoviz(イノビズ)、チップはNVIDIA(エヌビディア)、Intel(インテル)と、主要サプライヤーも米国系だ。自社で車両を運用するNuroとは異なり、Whale Dynamicはすぐに使える車両とSaaSのみを提供し、運用部分は顧客に任せる予定であるため、同社が取得できる機密データの量は制限されるはずだ。

画像クレジット:Whale Dynamic’s delivery bot

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが自動運転の子会社「Cruise」のソフトバンク株を買い取りへ

General Motorsが、自動運転技術の子会社であるCruiseの持ち株を増やそうとしている。

米国時間3月18日の夜、同社は、Softbank Vision Fund 1のCruiseの持ち株を21億ドル(約2500億円)で取得すると発表した。またGMは、同ファンドが以前2018年に行ったコミットメントに代わり、Cruiseに対して13億5000万ドル(約1610億円)の追加投資を行う。

この発表の6週間前にCruiseは、一定の制約のある自動運転のロボタクシーサービスをサンフランシスコの公道で開始した。それはSoftbankにとっては、以前の13億5000万ドルの追加投資の約束を実行に移すすべきタイミングだった。

なぜ今、ソフトバンクが売却に踏み切ったのか、その理由は明らかではない。GMの広報担当者は、同社の出資比率が高まることで、クルーズの株主構成がシンプルなものになるだけでなく、GMとクルーズがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すために最も価値のある道を追求するための最大限の柔軟性を提供することができると述べている。

GMのCEOで会長のMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、これにより株主の価値が増大するという。

「GMがバランスシートの強みを生かし、Cruiseへの出資を増やし、当社の統合的な自律走行車戦略を推進する機会を得たことを発表できることを非常にうれしく思います。私たちの投資は、長期的な株主価値を創造するための特別な機会であると引き続き信じています」とバーラ氏は声明で述べた。「私たちの投資ポジションの拡大は、Cruiseの株主構成を簡素化するだけでなく、GMとCruiseがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すための最も価値ある道を追求するための最大の柔軟性を提供します」。

GMの出資比率が高まることで、同社がCruiseをスピンオフさせたり、株式公開に踏み切ったりするといった可能性もある。GMは、短期的な計画としてIPOがあるかどうかについては明言しなかった。しかし同社の広報担当者は、GMが前進する際には「株主のために価値を創造するあらゆる機会を検討する」という。GMは、将来におけるCruiseのIPOを否定していないと広報担当者は付け加えた。

CruiseのCEOであるKyle Vogt(カイル・フォークト)氏の発表によると、GMの投資の増加に加えて、同社は反復性のある流動化機会プログラムをローンチした。それは、人材獲得および引き止めるための「目の前の人参」の1つだ。フォークト氏によると、このプログラムは従業員に流動性を与え、同社の上場に際してはIPOに参加しなくても株価上昇による利益が得られるようにするというものだ。

このプログラムでは、現在と過去の社員が権利の確定した株式の任意の量を、各四半期に売ることができる。フォークト氏によると、買うのはGMまたはその他で、その価値はサードパーティーの金融企業が会社の業績や財務予測、マーケットの条件、関連する取引や資金調達案件、そしてマーケットにおける他社との比較などによって決まる。

「私たちの技術のデプロイとスケールが順調であれば、従業員持ち株の価値は上がるはずだ」とプログラムを発表するブログ記事でフォークト氏で述べている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マセラティ、2025年までに6車種の電気自動車を市場に投入

イタリアの高級車ブランド、Maserati(マセラティ)は、2025年までにラインナップの各モデルに電気自動車バージョンを導入し、2030年までには内燃エンジンの廃止を計画している。これによって同社は、Aston Martin(アストンマーティン)からVolvo(ボルボ)まで、電気自動車への移行を公約に掲げる自動車メーカーの長いリストに加わる最新のブランドとなった。

マセラティは2023年に、3車種のバッテリー駆動電気自動車を発売する予定だ。次世代型の2ドアクーペ「Granturismo(グラントゥーリズモ)」とコンバーティブルの「Grancabrio(グランカブリオ)」、そして新型ミッドサイズSUV「Grecale(グレカーレ)」のEVバージョンである。さらに2025年までに、スーパースポーツカー「MC20」と、次世代にモデルチェンジする4ドアセダン「Quattroporte(クアトロポルテ)」およびSUV「Levante(レヴァンテ)」にEVが登場する。つまり、2025年までにマセラティは、全部で6車種のEVを提供することになるわけだ。

3月22日に発表イベントが予定されているグレカーレは、現行のレヴァンテに続くマセラティのSUVだ。レヴァンテは、現在マセラティのラインアップで唯一のSUVだが、同社の売上の60%近くを占めている。グレカーレは、EVと高級SUVに対する消費者の需要の高まりに対応することで、市場のスイートスポットを突く可能性がある。

マセラティのクルマは、今後もイタリアで生産が行われる予定だ。マセラティの親会社で、Fiat-Chrysler(フィアット・クライスラー)とPSA Group(PSAグループ)の合弁会社であるStellantis(ステランティス)は、積極的に電動化を推進している。このコングロマリットは、2030年までに全世界で500万台のEVを販売するという目標を掲げ、そのために75車種以上のバッテリー電気自動車を用意する計画を立てている。

マセラティのDavide Grasso(ダヴィデ・グラッソ)CEOは、これらマセラティの新モデルが親会社の他の車種とプラットフォームを共有するかどうかについては明言を避けた。

「もちろん、ステランティスの中で、私たちは多くの機会を持つビッグファミリーの一員です」と、グラッソ氏は語った。「マセラティがパフォーマンスとラグジュアリーの象徴であることは明らかであり、それは将来も確実に守られていくはずです。電動化に向けて、マセラティでは最高の航続距離とパフォーマンスの実現に焦点を当てた専用アーキテクチャを、より多く目にすることになるでしょう」。

グラッソ氏によると、マセラティは今のところ、Formula One(フォーミュラ・ワン、F1)から距離を置き、自動車メーカーがバッテリー技術をテストするために役立つ電気自動車レースシリーズのFormula E(フォーミュラE)に集中するという。「今はフォーミュラ・ワンの参戦は計画していません。しかし、今後も絶対にないとは言いません」。

画像クレジット:Maserati

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが上海ギガファクトリーを2日間閉鎖、新型コロナ感染者急増で

中国のオミクロン感染者数が増加し、政府が現地での規制を強化する中、電気自動車メーカーのTesla(テスラ)は上海ギガファクトリーを2日間閉鎖する。

ロイター通信によると、Teslaは米国時間3月16日、従業員とサプライヤーに工場閉鎖を知らせる通知を送付した。

Teslaは、16日と17日に生産を停止する理由を明らかにしていない。しかし、世界二大自動車メーカーのトヨタとVolkswagen(フォルクスワーゲン)も今週、新型コロナウイルス感染者が中国で増加し、政府がその急増を抑制するために追加の規制を行ったため、現地での操業を一時停止している。Teslaの生産停止はそうした中でのものだ。

また、サプライチェーンの制約が操業停止につながっている可能性もある。

24時間稼働する工場はTeslaのグローバルな事業、そして収益にとって重要な役割を担っている。Teslaの工場の中で生産台数が最も多い上海ギガファクトリーは、かなりのModel 3およびModel Yを欧州に輸出している。同工場は1日あたり約2000台を生産しているため、2日間の操業停止でも同社の生産台数は激減し、納品がさらに遅れる可能性がある。

中国では新型コロナが再び急増し、2022年1~3月の感染者数は2021年の総数を上回った。1日あたりの新規感染者数は、2020年3月にパンデミックが発生して以来の水準に達しようとしている。

パンデミックを通じて、中国政府は感染を封じ込めるために集団検査と隔離を実施してきた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

Teslaが電気自動車の全ラインナップを値上げ

Tesla(テスラ)が3月で2度目となる電気自動車の値上げに踏み切った。前週である3月7日の週にロングレンジモデルの一部を1000ドル(約11万8200円)値上げしたのに続き、今度はラインナップ全体をさらに大きく値上げした。Electrekが報じた通り、ベースのModel 3は4万6990ドル(約555万4300円)からで、これまでより2000ドル(約23万6400円)高い。Model 3デュアルモーターAWDは5万4490ドル(約644万700円)で2500ドル(約29万5500円)の値上げ、パフォーマンスモデルは6万1990ドル(約732万7200円)で3000ドル(約35万4600円)の値上げとなった。

画像:Tesla

Model Yはロングレンジモデルで6万2990ドル(約744万5400円)からで2000ドル(約23万6400円)高くなった。パフォーマンスモデルは3000ドル(約35万4600円)高くなり、6万7990ドル(約803万6400円)。Model Sは両オプションとも5000ドル(約59万100円)の値上げで、9万9990ドル(約1181万8800円)からとなる。Model Xの値上げ幅が最も大きく、1万ドル(約118万2000円)上がって11万4990ドル(約1359万1800円)となった。

Teslaはひっそりと値上げをしたが、この動きは突然のことではなかった。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏はTwitterで値上げの可能性を示唆していた。同氏は、TeslaとSpaceXのどちらも「原材料(と)物流が最近の激しいインフレ圧力」に直面していると述べた。同氏は詳しくは述べなかったが、ロシアから輸出される原材料不足に対する懸念から物価が急上昇しているとする記事をリンクした

ロシアによるウクライナ侵攻で影響を受けている原材料の1つがニッケルで、ニッケルの価格は侵攻開始から2倍以上に高騰している。ロシアはニッケルの重要な供給国で、ニッケルはTeslaなどの電気自動車メーカーが使用するリチウムイオンバッテリーに欠かせない材料だ。さらにElectrekによれば、ガソリン価格上昇による電気自動車への関心の高まりを受けてTeslaに対する新規の注文が大幅に増えているという。

今後数年間にわたって見込まれるインフレ率を、あなたはどう考えるだろうか?

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Tesla

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(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

フォードが欧州での新たなEV生産・販売計画を発表

2035年までに欧州でカーボンニュートラルの達成を目指すFord(フォード)は、欧州における電気自動車の販売計画を加速させている。

同自動車メーカーはドイツ時間3月14日、今後2年間で3台の新型電気乗用車と4台の新型電気商用車を欧州で発売すると発表した。また、2035年のカーボンニュートラル達成に向け、2026年までに欧州における電気自動車の年間販売台数を60万台以上に引き上げる計画も明らかにした。

これらのマイルストーンは、米国ディアボーンに本拠を置く自動車メーカーが最近発表した一連のEV戦略で最も新しいものだ。フォードは3月初め、2026年までに年間200万台のEVを生産するという世界的な目標に向け、従来の2025年までに300億ドル(約3兆5000億円)を電動化に投資するという計画を、2026年までに500億ドル(約5兆9000億円)へと引き上げると発表した。

その際、同社は現在「Ford Model e(フォード・モデルe)」と呼ばれているEV部門を「Ford Blue(フォード・ブルー)」と名付けられた内燃機関事業から分離すると発表している。

欧州向けの新世代電動モデルは、ドイツのケルンとルーマニアのクラヨーヴァにあるフォードの工場で生産される予定だ。

フォードは3月14日、韓国のバッテリーメーカーであるSK On Co.,Ltd(SKオン)およびトルコのコングロマリットであるKoc Holding(コチ・ホールディング)と、トルコに欧州最大級の商用車用バッテリー生産拠点を建設する非拘束的合意に達したことも発表した。

2023年、フォードはケルンで中型のオール電動クロスオーバーの生産を始める予定だ。2024年には、同工場の生産ラインに2車種目のEVモデルを追加する他、欧州で最も売れているフォードの乗用車「Ford Puma(フォード・プーマ)」の電動バージョンをクラヨーヴァで生産開始する。

欧州のベストセラー商用車ブランドである「Transit(トランジット)」ファミリーには、新たに4種類の電気自動車が加わる。新型「Transit Custom(トランジット・カスタム)」1トンバンと「Tourneo Custom(トゥルネオ・カスタム)」MPVは2023年に、よりコンパクトな次世代の「Transit Courier(トランジット・クーリエ)」バンと「Tourneo Courier(トゥルネオ・クーリエ)」MPVは2024年に導入される予定だ。

画像クレジット:Ford

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】MINIクーパーSE、楽しいEVだが追いつくべきところが残っている

2ドアMini Cooper(ミニクーパー)のようなクルマを電動化することは「なぜ今まで思いつかなかったんだ」的なすばらしいコンセプトに思えるが、もちろんMiniも同じ意見だ。

同社はこのコンセプトを2009年以来試しており、全電動クーパーの実用性と魅力を実地テストするためのプログラム、Mini Eを限定販売したこともある。

テクノロジーの進歩と、そんなクルマへの需要からMini Cooper SEが生まれた。熱烈な支持を得ている同社の2ドア・ハッチバックの電動バージョンだ。これは、会社が自らに課した期限、2030年までの全電動化に向けた第1ステップだ。

結論:Mini Cooper SEは、ブランドが期待するの遊び心あるファンに向けた軽快な1台だが、残念ながら年老いたハッチバックに2022年には物足りない電動パワートレインを載せたクルマである。

ポイント

Mini Cooper SEは、2年前に登場したばかりの第3世代Cooper(市場によってはHatchで知られる)の完全バッテリー駆動バージョンだ。陽気な2ドア車の内燃臓器が、同社の新しい電動内蔵で置き換えられた。

燃料タンクの代わりにバッテリーが配置され、ケーブルはトランスミッション・トンネルを通り、エンジンルームの大部分を駆動ユニットが占めている。

従来のターボチャージャー付きエンジンに代わり、このMiniは前輪を駆動する電動モーターを備え、181馬力、最大トルク199ポンド・フィート(27.5kgf・m)を引き出す。

他のCooperと比較すると、Cooper Sあるいはターボチャージャー付き2.0リッター4気筒とほぼ同等だ。SEのパワーを蓄えているのが28.9kWhバッテリーで、フル充電で約114マイル(約183 km)の走行が可能。レベル3 DC高速充電器ならバッテリーの80%を約35分間で、レベル2充電器では1時間当たり20%充電できる、と同社はいう。家庭用コンセントでは1時間当たり2%充電できる。

テクノロジー

画像クレジット:Alex Kalogianni

標準搭載されているテクノロジーに関して、Mini Cooper SEは基本部分を押さえている。8.8インチのタッチスクリーンが運転席と助手席の主要なインターフェースだ。ここにエンターテインメントとナビゲーション機能があり、後者はリアルタイムの交通状況を表示する。BMW(ビー・エム・ダブリュー)ファミリーの他の車と同じく、Cooper SEには細かい機能をカスタマイズできる設定ページがたくさんある。すべて「ライブ・ウィジェット」形式になっていて、大きくてカラフルなグラフィクスを指でスワイプして操作する。これが肌に合わない人は、Apple CarPlayも利用できる。

安全および運転支援には、アダプティブクルーズコントロールと車線逸脱警報システムを備えている。車と歩行者の両方を監視する前方衝突予測警報もある。

ユーザー体験

BMW製フォーマットをデザイン変更、再使用して以来、MiniのデザインはCooperの精神を注意深く強調してきた。このため、ユーザー体験はさまざまな基本的部分が驚くほどドライバー・フレンドリーだ。

まず、運転席まわりは見た目以上にゆったりしている。コックピットは運転席と助手席にわたってこぢんまりと配置され、どちらの席でも心地よく感じられる。ドライバーのハンドル越しに見えるシンプルなディスプレイは、必要最小限の情報を提供して雑音をヘラしている。現在の速度の他には、充電状態と利用状況、回生充電状態かどうかを示す2つの計器がある。ドライバーはこれらの表示と常時変化を続ける予測走行距離を、ときとして過剰に、見続けることになる。ありがたいことに、別のクルマに近づきすぎた際には、常時有効な衝突予測警報が、同じディスプレイに明るい赤のグラフィックを表示して注意を促してくれる。

このMiniは、かつてスピードメーターを包んでいた丸形のダッシュボード・ディスプレイを継承している。このオリジナルMiniのユニークなデザインへのオマージュは、どこにでもあるインフォテイメント画面の時代に残された過去の痕跡だ。8.8インチのタッチスクリーンは丸い穴の中の四角い杭のように居座り、黒いピアノ型ボタンが隙間を埋めている。ウィジェットのUIは適切な色遣いで楽しいが、ナビゲーションの直感性は損なわれている。目的の機能を見つける方法は必ずしも明快ではなく、貴重な運転中の注意を削がれることがしばしばあった。

その他の物理的入力装置は、飛行機風のスイッチからエアコンのダイヤルまで、かなり重厚で存在感がある。すべてが理に適った機能的なかたちに配置されており、必要な瞬間に探さなくてはならないことは稀だろう。Mini SEを運転することがアクティブな体験であることから、これは重要だ。

走り

画像クレジット:Alex Kalogianni

いにしえのMiniたちほどミニではないが、それでもCooper SEはコンパクトで機敏なクルマであり、ずんぐりとした特徴あるスタイルを軽快な性能が支えている。電動モーターの優れたトルクと相まって、このクルマはポケモンのピカチュウカーのようにそわそわと動き回るだろう。

Miniの担当者はすかさず、このクルマの「ゴーカート」のような運転フィーリングを指摘し、そうすることは間違っていないと話した。

電動パワートレインの恩恵も大きく、Cooper SEの性能はレスポンスに優れ、持て余すこともないだろう。そのトルクはいつでも発揮可能で、0~60mphが7秒という数字は誰かを興奮させるものではないが、渋滞の隙間に入り込む能力は称賛に値する。

Cooper SEが機嫌を損ねることは滅多にないが、状況は個人による。スリルを求めて足回りがを気にする人もいるが、他の人達は今のままで満足だろう。

Cooper SEには運転モードが4種類ある。デフォルトの「Mid」モードでは、バッテリーは効率と性能のバランスをとり、アクセルを強く踏んだ時にはパワーを出すが、それ以外はできる限り電力を節約する。「Green」モードは、利用できる加速エネルギーを制限し、ペダルからの入力を緩和する。「Green+」は、人間の心地よさを一部犠牲にして最大の省エネを求める。「Sports」はアクセルの感度を高め、できる限りのパワーを出力するが、当然バッテリーを消耗させる。

どのモードを使うかによって走行距離は変わってくる。それぞれのモードによって、クルマの動作形態は大きく変わる。他に、2段階の回生ブレーキ発電が常時働く。デフォルトでは、ワンペダル運転を可能にする積極的な設定になっているが、効率の低いより自然な設定に変えることもできる。

これらのモードはどこにでもあるものだが、100マイル(160km)程度というMiniの走行距離は、運転体験に大きく影響する。この限られた距離のために、ドライバーが設定を繰り返し調節することが容易に想像できる。

典型的な乗り方はこんな感じだろう。Midモードで表示されている予測マイレージがなんであれ、Greenの方が常に心配が少なく魅力的なので、できる限りGreenモードで走り続け、交通量が増えてきたらMidに切り替える。Sportモードは非常に贅沢なごちそうとして常に背後で待機している、なぜならわずかな気まぐれの爆発が貴重な電力を貪り食うからだ。同時に、走行距離の延長と心地よさを天秤にかけて回生ブレーキモードを切り替えることも珍しくない。

普通の人は1日に100マイルも走らないという意見もあるだろう。それは真実だが、家庭の充電環境が充実していたとしても、バッテリー不足の心配は運転の楽しさを半減させる。

未来へ

今後のEV開発について、TechCrunchはMiniの考えていることを以前取り上げており、親会社のBMWが2030年までにMiniを完全電動化する計画であることもわかっている。

関連記事:Miniの電気自動車の未来はどうなる?期待されるコンバーチブル化やさらなる小型化

現在の取り組みは、急速に迫りくる期限を前にしてゆっくりとした歩みに見えるが、Miniの製品計画部門責任者であるPatrick McKenna(パトリック・マケンナ)氏、その理由の一部をTechCrunchに話した。「会社がどのように転換するかは現在も流動的ですが、今後数年の私たちの焦点は戦略的柔軟性であり、引き続きガソリン車とバッテリー駆動車を提供できる体制です」とマケンナ氏は語る。

「Cooper SEは、内燃機関のF56ハードトップと同じ生産ラインに載っています」とマケンナ氏は続けた。「(この柔軟性によって)隣り合わせで違うクルマを作ることが可能なのです」。

生産の視点から見て、2種類の顧客を満足させられるポジションにいることは理に適っているが、この戦略には自ずから限界がある。使用しているバッテリーに何か進化が起こらない限り、Cooper SE最大の問題は、改善の物理的な余地がないことだ。パワートレインは生産中止されたBMW i3からのものであり、近い将来それが起きるかどうかもわからない。

Cooper SEには、好きになれるところが山ほどあり、Miniの斬新なスタイルのファンならなおさらだ。しかしそうでない人にとっては、メーカーがいつまでこのクルマを楽しく運転させ続けてくれるかどうかを考えないわけにはいかない。

そして、既存の車両をEVに変換していることと走行距離の短さは、このクルマの売り方を難しくしている。十分なバッテリー寿命を備えたスポーティーEVが、数年前と比べて珍しくなくなっている今はなおさらだ。Miniという、その特徴を強く過去に依存しているブランドにとって、全電動化の未来はあるのかもしれないが、現在の取り組みはライバルの数歩後を歩んでいるように思える。

画像クレジット:Alex Kalogianni

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(文:Alex Kalogiannis、翻訳:Nob Takahashi / facebook

PG&Eとフォード、家庭用バックアップ発電機としての電動トラックの可能性を開拓へ

Pacific Gas and Electric Company(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー、PG&E)とFord Motor Company(フォードモーターカンパニー)は、Fordの新しい電動ピックアップトラックF-150 Lightningが、カリフォルニア州の電力会社サービスエリア内の顧客宅にバックアップ電源を供給できるかを共同で調査する。

今週初め、PG&EはGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)と共同で似たような試験を行うと発表した。停電時に送電網からEVのバッテリーに電気を送ったり戻したりする双方向充電機能のテストが含まれる。電力会社は2021年、危険性の高い気象条件下で送電線が山火事を引き起こすのを防ぐために、何百、何千もの家庭や企業への送電を停止しなければならなかった。そこで、電力会社は自動車メーカーと協力して送電網に過度の負担をかけない方法を模索している。

PG&EのCEO、Patti Poppe(パティ・ポッぺ)氏は「私たちは今日、エネルギー産業と輸送産業が交差するところで、画期的な機会を目にしています。より多くの電気自動車と新しい充電技術が利用できるようになるにつれ、電気自動車と電力網の相互作用について理解を深め、どのように顧客をサポートするのが最善かを考えることが重要です」と声明で述べた。

Fordは、2021年5月に双方向充電機能を備えたLightningを製造する計画を発表した。Lightningでデビューするピックアップの9.6kWの車載発電機「インテリジェント・バックアップ・パワー」は、家庭の電力使用状況にもよるが停電時に最大10日分の電力を供給できるとPG&Eは話している。Fordはこれまで、フル充電で最大3日間、家庭の電力を供給できると発表していた。

Fordのインテリジェント・バックアップ・パワーは、停電時にLightningが接続されていれば自動的に家庭への電力供給を開始し、電力が復旧すれば再び充電に切り替えるというもので、2022年春に最初の設置が行われる予定だ。太陽光、バッテリー、エネルギーサービスを提供するSunrun(サンラン)がサポートする。同社はFordと提携しており、80アンペアのFord充電ステーションProとホームインテグレーションシステムを設置する。

少数の顧客宅への初期導入を通じて、PG&EはFordの技術を研究し、電力網への接続方法と、送電停止時の顧客の回復力を支援する方法を学ぶことを目指している。両社はその後、双方向充電技術のさらなる使用例を検討する予定だ。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

新興電気自動車メーカーRivianが第4四半期の決算を発表、株価は最安値を更新

2021年末に上場した米国の電気自動車メーカー、Rivian(リビアン)が、第4四半期の決算と2021年暦年の業績を発表した。この結果は、2022年の生産予測とともに、ウォール街を失望させ、同社の株価は最安値を更新した。

Rivianが米国時間3月10日に発表した決算報告資料によると、2021年第4四半期の収益は5400万ドル(約63億3000万円)で、通年の総収益である5500万ドル(約64億4000万円)のほとんどを占めている。同社は2021年度に合計920台の車両を納車したが、そのうち909台は最後の3カ月間に納車したものだ。

同社は2021年第4四半期に大規模な納車に移行したものの、予想通り損益分岐点に近づくためには、単純に十分ではなかった。調整後ベースでは、Rivianは1株当たり2.43ドル(約285円)の損失を出した。

事前にYahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)は、同期の総収益が6399万ドル(約75億円)に対し、調整後ベースで1株当たり2.05ドル(約240円)の損失となる見込みと報じていた。簡単にいえば、Rivianは人々の予想より少ない収益を計上し、より多くの損失を出したということだ。

通常取引では、Rivianの株価は6.35%急落して41.16ドル(約4800円)となり、52週間ぶりの安値となった他、ナスダック総合株価指数も1%近く下落した。決算発表後の時間外取引では、リビアンの株価は13%以上も下落した。

当然ながら、我々は調整後の数字には常に懐疑的なので、GAAP(米国会計基準)の結果にも目を通しておこう。2021年第4四半期、Rivianの収益は5400万ドルで、粗利益は3億8300万ドル(約449億円)の赤字、すべての費用を含む純損失は24億6000万ドル(約2900億円)、1株当たり4.84ドル(約567円)となる。2021年通期では、同社の収益は5500万ドルで、粗利益は4億6500万ドル(約545億円)の赤字、純損失は46億9000万ドル(約5500億円)、1株当たり-22.98ドル(約2690円)だった。

我々は単に得意げに粗利益の結果を載せているわけではない。これは決算報告で「2022年を通じてマイナスの粗利益を認識している」と述べた同社の問題だ。だから、同社が2022年、営業的に損益分岐点に近づくことは期待できない。代わりに粗利益の中立に向けて必死にもがくことになるだろう。

しかし、それはあくまで数字の話である。また、生産増強に忙しいEVメーカーにとって、赤字は当たり前のことだ。というわけで、ここからは、納車、価格設定、混乱するサプライチェーン、そして同社にとって今後の数4半期がどうなるかについて話そう。

今後の展望は?

Yahoo Financeは、Rivianが2022年に4万台の納車を目指すというアナリストの予想を事前に報じていた。しかし、同社が決算報告で「当社のR1およびRCVプラットフォーム全体で2万5000台を生産するのに十分な部品や材料がある」と述べたことで、この数字は大幅に縮小されることになった。

この生産台数は、Rivianの予想する47億5000万ドル(約5570億円)の調整後EBITDA損失と調和せず、同社はより厳密な利益指標を示していない。

Rivianの2022年は、サプライチェーンが逼迫する中、GMやFord(フォード)など、自社でEVピックアップトラックやSUVを発売する他の自動車メーカーとの競争にさらされる、厳しい年になりそうだ。

同社のRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)CEOは、生産規模の拡大とサプライチェーンの管理を支援する新しい最高執行責任者を来週発表する予定だと述べている。

「現在、我々が直面している最大の制約は、まさにサプライチェーンにあります」と、スカリンジ氏は電話会議で投資家に語った。「本当に少数の部品しか供給されず、当社の生産ラインの増強と同じ速度でサプライヤーが部品の生産を増強しているわけではありません」。

「サプライヤーの制約がなければ、2022年中に5万台以上の生産を達成できると確信しています」と同氏は続けた。

つまり、もし世界が違えばリビアンの収益拡大も、まあ、違って見えるということだろう。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Alex Wilhelm、Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国で自動運転車のための国家安全基準がついに決定

無人運転車や自動運転機能を備えた自動車に、独自の安全基準が定められることを米国連邦機関が米国時間3月10日に決定した。規則はまず、運転席やハンドルのない車で乗客の安全をどう定義するかを明確化している。

米国運輸省の幹線道路交通安全局(NHTSA)は、この種のものとして初めての最終規則を制定し、人間ドライバーが関与する手動制御装置をもたない車両の乗客のために安全要件を改訂した。

今回の決定は、いくつかの修正に加えて、連邦自動車安全基準(FMVSS)の用語を変更して、自動運転車の空間レイアウトを反映したもので、同局の自動運転の普及にともなう公共の安全確保の取り組みに基づいて作られている。2021年NHTSAは、自動運転車(AV)の運用会社およびメーカーに事故報告書の提出を義務付ける命令を発令し、2020年には、州や企業がAV試験に関する情報を提出し、市民が閲覧できる仕組みを立ち上げた。

「自動運転システム装備車両で運転者が人間から機械に変わっても、人間の安全を維持する必要性は変わることがなく、当初から組み込まれている必要があります」とNHTSAのDr. Steven Cliff(スティーブン・クリフ博士)局長代行が声明で語った。「この規則によって、NHTSAはメーカーが安全を最優先することを求めます」。

さまざまな意味で、この規則はすでに本格化している業界に対応しようとしている。しかし、専用に作られた自動運転車が公道に解放されたことはまだなく、今新しいタイプの車両のための規則の基盤を形成することは、正しい方向への一歩であることは間違いない。

規則ではまず、従来型自動車向けに決められた用語を変更し、曖昧さと不要な用語を排除している。「driver’s seat(運転席)」「steering wheel(ハンドル)」「passenger seat(助手席)」といった用語は、該当する機能をもたない専用自動運転車の空間的参照に用いる意味がない。たとえばCruise(クルーズ)およびZoox(ズークス)の両社が作っているカーシェアリング目的の自動運転車には、伝統的な意味の車内空間がない。

一方、 Waymo(ウェイモ)、Motional(モーショナル)、およびArgo AI(アルゴAI)が路上に送り出しているのは、自動運転システムまたは操舵制御によって操作が可能であるため区別が必要である、とNHTSAはいう。

Nuro(ニューロ)などの自動運転車は、商品の配達に用いられており、人間は乗せないため、NHTSAの基準は、これらの車両を除外するように変更され、保護すべき乗客がいない場合は元の安全要件がなくなることを規定している。

NHTSAの最終規則は、用語を改訂した結果発生するメーカー要件の変更についても言及している。例えば自動運転システム装備車両における先進的エアバッグおよび先進的エアバッグ抑制テルテール(警告表示)、ロック可能義務の扱い、中型バスと大型スクールバスのシートベルト義務の変更などが、「driver」 という用語の削除に続いて記載されている。

自動運転車メーカーは、すでに乗客の安全を考慮して新型車を設計している。たとえばZooxは、まったく新しい形のエアバッグを作りし、センサー、スイッチ、カメラなどを利用したシステムを開発して、乗客の適切なシートベルト利用を確認しているという。しかし、NHTSAの決定は、今後のガイドラインとメーカーが進化する業界の責任をもつための方法を提供するものだ。

「2020年代を通じて、米国運輸省における安全政策の重要部分は、安全基準を自動運転および運転支援システムの進歩に確実に追随させることです」と、Pete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)米国運輸長官が声明で語った。「この新しいルールは、自動運転システム装備車のための堅牢な安全基準を確立するための重要な一歩です」。

画像クレジット:Zoox

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【米国】Google Payによる駐車料金支払いを音声でできるようになった

筆者: Jaclyn Trop

米国のAndroidユーザーはこれで、これまでのように駐車違反切符を切られることがなくなるかもしれない。少なくともそれが、最新のアップデートでGoogleがユーザーに約束していることだ。

Googleは木曜日(米国時間03/10)に、その最新のソフトウェアアップデート新しい機能をたくさん発表したが、その中には、ParkMobileとのパートナーシップにより、音声で駐車料金を払える機能がある。これによって、寒すぎたり、会議が予定より長引いたり、カップ・ホールダーの小銭が少ないときにメーターで払う苦痛とおさらばできる。

このパートナーシップは、最近のGoogleが交通に力を入れていることの最新の例だ。これまでは、Googleマップに自転車やライドシェアを加えたり、デジタルキーを開発したり、自動車メーカーと共同でAndroidオペレーティングシステムを車に統合したり、などがあった。

消費者の日常生活を便利にしようとGoogleが志したとき、中でも駐車は同社にとって易しい問題だ。Parkmobileとのパートナーシップにはやや制限があるが、でも過去の例を見るかぎり、パートナーシップの拡大はすぐだろう。

音声による駐車機能は、読んで字のごとしの機能だ。どこかに駐車して「Hey Google, pay for parking」(ヘイ、グーグル、駐車料金を払って)と言うと、あとはGoogle Assistantのプロンプトに従うだけだ。その決済は、Google Payが処理する。

Googleのキャッチフレーズは、「硬貨と混乱にさようなら(No more coins, no more confusion)」だ。

混乱の原因は、ダウンロードして使える駐車アプリの不出来にもある。今回の駐車料金支払い機能は、使いづらいアプリを無視してデフォルトでParkMobileを使う。これは、米国の400以上の都市の駐車場に対応している、最上位のアプリだ。

そのアプリのAndroid用のアップグレードでは、残り時間をチェックしたり、時間を増やしたりが音声コマンドでできる。「Hey Google, parking status」とか、「Hey Google, extend parking」と言うだけだ。

これが重要なのは、Googleが車からユーザーの個人情報を知るためにも使えるからだ。たとえば、車の現在位置が分かる。そしてデータ収集に関しては、GoogleがAppleに勝ちとなる。

AppleやGoogleやAmazonにとって、ユーザーの車から得られるデータは、サブスクリプションサービスを売ったり、あるいはそのデータをサードパーティに売って広告の個人化に使わせたりすることに利用できる。そんなデータが多くなれば、テクノロジー大手の売り上げも増える。

昨年GoogleとParkMobileは路上駐車の支払いをGoogle Mapsからできるようにしたが、でも今回の音声による支払いはAndroidユーザーとGoogleとParkMobileにとって大きな進歩であり、さらに、ターゲティング用のデータに飢えているサードパーティの顧客にとっても、すごくありがたい。

(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Getty Images

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Kodiak Robotics、Ceva Logisticsを顧客に迎えた自動運転トラック貨物輸送の商業運用を発表

自動運転トラック輸送のスタートアップ企業であるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、Ceva Logistics(シーバロジスティクス)と提携し、ダラス・フォートワースとオースチン間およびダラス・フォートワースとオクラホマシティ間で、自動運転走行による貨物輸送を行うと、米国時間3月9日に発表した。KodiakにとってCevaは、初めて公に発表した顧客となる。

これは、Kodiakの技術を公道でテストするための実証実験や試験的な契約ではない。CevaはKodiakの有料顧客の1つであり、Kodiakは事業を継続するための収益を得る。Kodiakは11月に1億2500万ドル(約145億円)のシリーズB資金を調達したばかりだが、Waymo(ウェイモ)やAurora(オーロラ)といった競合と比べると資金が圧倒的に少なく、この分野ではまだ小さなプレイヤーの1つだ。

Cevaとの提携は、Kodiakが商業化への道をさらに進むということを示すだけでなく、Cevaの貨物業務に関する貴重な洞察をKodiakにもたらすことになると、Kodiakの共同創業者でCEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏はTechCrunchにメールで語った。

「これには、Kodiak Driver(コディアック・ドライバー)を、Cevaの既存インフラに最も効果的に統合する方法についての洞察も含まれます」と、バーネット氏はいう。「パートナー企業と貨物輸送を行うことは、物流業界の顧客が実際に望む製品を作り上げるために、非常に重要であると私たちは考えています」。

自動運転システムの背後にある技術は、公道で展開する準備がすでに整っているか、ほぼ整っている。ほとんどの業界の専門家たちは、貨物輸送が自動運転技術にとって最初の大規模な商業用途になると考えている。そのため、物流会社、荷主、輸送業者との提携をめぐり、業界では争奪戦が始まっている。

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転トラック輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)は、2022年1月にJ.B. Hunt(J.B.ハント)を同社の完全自動運転貨物輸送の最初の顧客とすることを発表し、続いて翌2月にはC.H. Robinson(C.H.ロビンソン)と提携して試験運用を開始することも発表した。Auroraは自動運転トラックのテストを行うためにFedEx(フェデックス)と契約した他、Uber Freight(ウーバー・フライト)の顧客のために貨物の運搬も始めている。

「顧客と一緒に仕事をすることで、私たちはロジスティクスビジネスを深く理解し、彼らやその他の企業とシームレスに事業を展開することができます」と、バーネット氏は語っている。「私たちの顧客は高い要望を持っています。現実世界のシナリオで貨物輸送を行うということは、最適な時間帯や最適なルートを選んで運行することができません。そのため、当社のシステムはより強固なものになります」。

米国内における自動運転輸送のほとんどは、テキサス州で行われている。オクラホマ州では、州議会が完全自動運転車の公道における無人運転走行を認める法案を、先日可決したばかりだ。KodiakとCevaは同州で率先して自動運転による公道走行を始める企業となる。

もっとも、KodiakのトラックはまだWaymoやAuroraと同様に、運転席に人間の安全オペレーターが乗り込み、常に運行を監視することになる。ドライバーはルートの高速道路部分を自動運転モードで運行する。Kodiakはいかなるポリシーの離脱も行わないため、特定の定められた状況では、人間が介入して手動でトラックの運転を引き継ぐ必要はないだろう。

「私たちは、Kodiak Driverが高速道路で遭遇する状況に対応できると期待しています」と、バーネット氏は述べている。「人間のドライバーは、必要と感じた時にはいつでもシステムを解除する権限を持っています」。

2021年11月以来、Kodiakはダラス・フォートワースとオースティン間の200マイル(約322km)の貨物レーンで、Cevaのために毎週荷物を輸送している。この提携は2022年2月、ダラスのCeva施設とオクラホマシティの配送地点を結ぶ、州間高速道路35号線をオクラホマ州へ向かうルートにも拡大された。Kodiakによると、どちらのルートでも、長距離トラック用に作られたコディアックの自動運転トレーラーヘッドが、荷物を詰めたCevaのトレーラーを引っ張るという。

「Cevaでは、イノベーションとはビジネスに影響を与える新しいアイデアの実行であると定義しています。Kodiakとのパートナーシップは、特に現在のサプライチェーン危機や進行中のドライバー不足の観点から、当社の顧客にさらなる事業価値を提供することになるでしょう」と、Cevaの北米事業部で社長兼マネージングディレクターを務めるShawn Stewart(ショーン・スチュワート)氏は、声明で述べている。

Kodiakは、Cevaのために運行している2つのルートに加え、2019年からダラスとヒューストンの間で、そして2021年からダラスとサンアントニオの間で、毎日貨物輸送を行っている。同スタートアップは韓国のコングロマリットであるSKとも戦略的パートナーシップを結び、同社の技術をアジアで展開する可能性を探っているところだ。また、少数株主であるBridgestone(ブリヂストン)とは、幅広いパートナーシップの一環として、スマートタイヤ技術のテストと開発を行っている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

台湾Gogoroが電動バイク用交換式全固体電池パックのプロトタイプ発表、容量はリチウムイオン式の1.47倍

台湾Gogoroが電動バイク用交換式全固体電池パックのプロトタイプ発表、容量はリチウムイオン式の1.47倍

Gogoro

電動スクーターの開発販売とバッテリー交換ステーションの運営している台湾のGogoroが、世界初となる電動二輪用交換式全固体電池を発表しました。現在はまだプロトタイプの段階ですが、Gogoroは「将来的に商用製品に発展させることを楽しみにしている」と述べています。

電気自動車などで使用される大容量の充電式バッテリーは、その容量の大きさからリチウムイオン電池が主流になっていますが、可燃性電解液を使用するため熱や変形などによって発火のリスクが高い問題があります。一方全固体電池は電解液ではなく固体の電解質を使用して電極間を接続するため、先に挙げたリスクが小さく、小型軽量化、高エネルギー密度化できると期待される次世代の充電池です。

Gogoroが同じ台湾のProLogium Technologyとの提携により開発したという全固体電池式(プロトタイプ)は内部にリチウムセラミックを使用したもので、Gogoroの電動スクーター用交換バッテリーパックと互換性を持たせて設計されています。そしてその容量は従来のリチウムイオン式の1.7kWhに対して2.5kWhとされ、1.47倍の容量アップを果たしています。

Gogoroは台湾だけでもすでに1万か所以上のバッテリー交換ステーションを設置しており、45万人を超える人々がサービスを利用しているとのこと。台湾の電動二輪車の95%がGogoroのバッテリー交換システムを使用しており、全体のバッテリー交換回数は累計2億6000万回を超えているとのこと。

まだ試作段階ではあるものの、台湾でこれほどに浸透したシステムで利用可能になれば、より大容量かつ安全、航続距離も伸びるであろう全固体式へのシフトはあっという間に進むものと考えられます。

またバイク向けで実用化・普及すれば、バイクよりも航続距離延長と軽量化の需要が高い電気自動車向け全固体電池の実用化にもGogoroとProLogium Technologyの技術が大きく寄与する可能性もあるかもしれません。

電気自動車向け全固体電池の実用化にはまだ数年の期間が必要と言われており、世界各国の自動車メーカーやベンチャー企業などが材料や内部構造を工夫して最適解となるもの生み出すべく開発競争を繰り広げています。

(Source:GogoroEngadget日本版より転載)

自動運転システムに対する初のリコール、Pony.aiが同社ソフトのリコール発表へ

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によれば、自律走行車両スタートアップのPony.ai(ポニー・エーアイ)はカリフォルニア州で2021年10月に発生した衝突事故を受けて3台の車両に対しリコールを今後発表する。

ロイターが最初に報じたところによると、当局は米国時間3月8日に「これは自動運転システムに対する初のリコールだ」と述べた。

NHTSA局長代行のSteven Cliff(スティーブン・クリフ)氏は声明の中で「自動車を操作するのが人間のドライバーであっても自動運転システムであっても、道路使用者を守る必要があることに変わりはありません。この自動運転システムに対する初のリコールで明らかな通り、NHTSAは自動車メーカーと開発者が安全を最優先に最新のテクノロジーを推進するよう、これからも確実に対応します」と述べた。

トヨタが支援するPony.aiは数カ月間にわたってカリフォルニア州でHyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)の電気自動車10台を人間の安全オペレーターなしでテストしていた。その際に、そのうちの1台がフリーモントで中央分離帯と道路標識に衝突した。巻き込まれた他の車両はなく、けが人もいなかったが、この事故を受けてカリフォルニア州車両管理局はPonyの無人テスト許可を一時停止し、NHTSAも正式に調査していた。

書類の中でPony.aiは、当局は同社に対しソフトウェアに安全上の問題があるとの考えを伝えてリコールを要請したと述べている。

Pony.aiによれば、事故車両のソフトウェアの問題は他に2台で発見され、すでに3台とも修正済みだという。同社はソフトウェアのコードを修正したとも述べた。

Pony.aiの広報はTechCrunchに対し「Pony.aiの自律走行車両で事故が発生したのはこの1回限りです」と述べ、これまでに実際に600万マイル(約966万km)以上を自律走行し、2021年にカリフォルニア州で30万5617マイル(約49万km)を走行したと補足した。

当局担当者はTechCrunchに対し、Ponyがテストの一時停止の原因となった問題を修正する適切な行動を完了したとカリフォルニア州車両管理局が確認するまでは、無人テスト許可は停止されると述べた。同社のカリフォルニア州における有人テストの許可は影響を受けない。

数日前の米国時間3月7日にPony.aiは、シリーズDの1回目のクローズ後に評価額が85億ドル(約9775億円)に急上昇したと発表していた。同社の米国トラック部門が事実上解体され幹部数人がライバル企業数社に移るなど米国でとてもうまくいっているという状態ではないが、中国ではトラックとロボタクシーの事業を着実に成長させている。

画像クレジット:Pony.ai

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

トヨタが支援するロボタクシースタートアップ「Pony.ai」の評価額が約9775億円に急上昇

中国と米国を拠点とするPony.aiは米国時間3月7日、シリーズDの1回目のクローズ後に評価額が85億ドル(約9775億円)に急上昇したと発表した。自律走行車両が大量に投入されるにはまだ数年かかるこの分野を投資家が追いかけ続けていることの表れだ。

2016年に創業しトヨタが支援するPonyは、中国と米国の両方でテストと運用をしている一連のロボタクシースタートアップの1つで、同様の他のスタートアップにはWeRide、Deeproute、AutoXなどがある。Ponyの前回の評価額は2020年11月の53億ドル(約6095億円)だった。

Ponyがこの1年で直面した困難の数々を考えると、今回の評価額は驚きだ。同社ではトラック部門とロボタクシー部門を統合する経営判断が不評で、その後自律走行トラック部門の主要メンバー数人が退社し、ライバル企業数社のメンバーとなった。米国の同社トラック部門はその後解散したが、中国でのトラック事業は成長を続けている。

12月には衝突事故を受けてカリフォルニア州がPonyの無人運転テストの許可を一時停止した。

テック企業に対する中国当局の監視が厳しさを増す中、PonyはJPMorgan Chaseの幹部だった人物を最高財務責任者として迎えた直後に米国での上場計画をせざるを得なかったと報じられた

ロボタクシーの開発は費用がかかることで知られるが、Ponyは資金は潤沢だと述べている。一般に、自律走行車両スタートアップにとってはトラック事業はロボタクシーに比べると早く収益化できる手段とも見られている。同社はシリーズD-1の後に10億ドル(約1150円)近い「バランスシートの流動性」を有していると述べた。

同社は今回の調達金額を明らかにしていないが、ラウンド全体が完了したら詳しく発表するとしている。

グローバルで1000人以上の従業員を抱えるPonyは、自律走行車両を中国の主要4都市(北京、上海、広州、深セン)、そしてカリフォルニア州のフリーモントとアーバインでテストしている。同社のロボタクシーはBaidu(百度)の自律走行車両とともに、北京郊外の実験区域で乗客への課金を開始する許可も受けた。

資金の用途についてPonyの共同創業者でCEOのJames Peng(ジェームズ・ペン)氏は発表の中で次のように述べた。「我々の技術開発とバランスシートの強みの両方がそろうことで、2022年の採用を大幅に拡大し、新しい自律走行車両のテストと運用の拠点をグローバルで多数開設し、戦略的パートナーシップを進展して、車両を急速に展開します」。

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)