フォードの自転車共有、GoBikeスタートへ――年末までにシリコンバレー周辺に7000台配置

フォードの自転車共有プロジェクト、GoBikeが明日からスタートする。これは各ステーションのドックと呼ばれるデバイスに自転車を固定する仕組みで、ベイエリア〔サンフランシスコ周辺〕で6月28日から利用可能となる。

フォード自動車は自転車共有ネットワークのプロバイダー、Motivateの共同プロジェクトと共同でこの夏の終わりまでにサンフランシスコ周辺からサンノゼにかけて3500台の自転車を配置するという。今年の末までにドック・ステーション546カ所、自転車7000台と大幅に増強される予定。自転車共有ネットワークの規模としてアメリカ最大となる。

Ford GoBikeは昨年9月のイベントで発表され、その直後に「単なる実験ではなく、サンフランシスコ、オークランド、バークレー、エメリーヴィル、サンノゼの各地区を含む本格的な事業となる」というニュースが流れた。

フォードによれば、このプロジェクトは人口の密集度がますます高まる都市において住民の交通手段に対する多様な需要を満たすためのものだという。GoBikeプログラムはChariotコミューター・バス・プロジェクトと平行して計画された。Chariotはもとともサンフランシスコをベースにしたスタートアップだったが、昨年フォードが買収し、シアトルですでに運営を開始している。

画像: Lora Kolodny/Lora Kolodny

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uber、セクハラで20人を解雇――差別、いじめは構造的問題の可能性

配車サービスの大手Uberがセクシャル・ハラスメントの調査に関連して社員20人を解雇したことをTechCrunchは確認した。今年に入ってセクハラ問題によって揺れているUberは、215人の社員について調査を行った結果、20人について各種の差別、いじめ、その他のハラスメント行為があったと認定した。

最初にBloombergが報じ、続いてUber自身も確認したところによれば、 215件の問題について調査した結果、100人ついては措置の必要を認めなかったが、57人については調査が続行され、31人に対してはカウンセリングや研修などが義務付けられ、7人は文書による戒告を受けた。

Uberはこの問題に関し、大手法律事務所、Perkins Coie LLPに12000人の社員に関して調査を依頼していた。、UberはPerkins Coieからの報告を受けて全社員ミーティングを行って詳細を議論した。セクシャル・ハラスメントおよびハラスメント一般を対象とするこの調査はUberの元エンジニア、Susan FowlerによるUberを厳しく批判する公開状をきっかけに開始された。FowlerはUberに勤務していた期間に管理職層からセクハラと女性差別を受けたと述べていた。

Arianna(Huffington)とLiane(Hornsby)は構造的なセクハラはなかった、Susanの場合だけだと主張。しかし外部の法律事務所は215件のセクハラがあったことを認定。 — Susan J. Fowler

元司法長官のEric Holderも別途調査を行い、Uberの取締役会に勧告を行っている。

調査内容が公表されるのは来週になるということだが、Uberには企業文化に関して構造的な問題があったことが明らかだ。いずれにせよ、セクハラは構造的な問題だったと見るしかないだろう。これは同社のトップが以前発表していた見解とはまったく異なる。Uberの取締役、アリアナ・ハフィントンはセクハラ調査のための小委員会の委員長を務めたが、去る3月、CNNのインタビューに答えて、「セクハラに関して構造的な問題はなかった」と述べていた。

「たしかに『腐ったリンゴ』が何個かあった。しかしこれは構造的な問題ではない」というのがハフィントンの発言だった。

Uberは管理職の資質に大きな問題があり、これが同社の多数の失敗や近視眼的企業文化の原因だと批判されてきた。実際1万2000人の社員のうち3000人が管理職だが、その多くはUber以前にまったく管理職の経験がないという。

しかしUberも急きょ態度を変えようとしているようだ。昨日、UberはHarvard Business Schoolの教授、Francis Freiを差別問題を担当する上級副社長に任命した。Freiは性差別問題に関してアメリカを代表する学究であり ベストセラーの著者でもある。また女性でありアフリカ系であることでAppleの幹部の中でも目立っていたBozoma St. JohnもUberに加わった。ただ社内で果たす役割についてはまだ情報がない。

画像: Jaap Arriens/NurPhoto/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

トヨタ、ブロックチェーンを自動運転車開発に導入へ――MIT始め多数の企業と提携

Fordが新CEOを任命、経営陣を一新して車作りでの未来志向を明確化させたのと同じ日に、トヨタは次世代テクノロジーの採用に踏み切ったことを発表した。

Fordの人事は自動運転車、電気自動車製造でこれら分野のトップ企業に追いつこうとする努力だが、トヨタ、正確にはTRI(Toyota Research Institute)は自動運転車、電気自動車を現実化する上で非常に重要な選択を行ったといえる。

MIT〔マサチューセッツ工科大学〕のメディア・ラボと協力して、トヨタはブロックチェーン・テクノロジーを専門とする一連のソフトウェア・パートナーと提携したことを明らかにした。ブロックチェーンは分散暗号化台帳テクノロジーで、bitcoinのような暗号通貨のベースとなっている。トヨタはこの提携により、ブロックチェーン・テクノロジーを次世代自動車開発に適用する方法を探るとみられる。

トヨタは消費者が自動運転テクノロジーを信頼することを可能にするソフトウェアの開発を目的としたプロジェクトを複数発表した。これには安全性に関して個々の自動車をモニタリングし必要な情報の配信することや悪意ある試みを排除することなどが含まれる。

トヨタTRIの最高財務責任者で、モビリティー・サービスのディレクター、Chris Ballingerは声明で、.「安全かつ信頼性の高い自動運転車を実現するためには延べ何千億キロもの人間による運転データが必要になる。ブロックチェーン・テクノロジーを用いた分散台帳(distributed ledger)システムは個人オーナー、企業の運行管理者、自動車メーカー間での安全な情報共有を可能にするだろう。自動運転車の安全性、効率性、利便性が広く利用されるようになるという目標への到達を早めることが期待される」と述べた。

当面、自動運転車が走行するつど運転データを共有する点にブロックチェーン利用の努力が集中されるという。自動車共有を容易にし、ユーザーが望めば走行距離ベースの自動車保険も利用できるようなツールの開発が目標だ。

MITのメディアラボでデジタル通貨イニシアティブの責任者を務めるNeha Narulaは声明で 「ブロックチェーン・テクノロジーを用いてユーザーが自らの運転データを確実にコントロールできるプラットフォームを開発するプロジェクトにトヨタが深くコミットすることになったのは喜ばしい。安全かつ信頼性の高い自動運転車の実現に向けてさらに一歩を踏み出すために、業界の他のメンバーもこのプロジェクトに参加するようわれわれは期待している」と述べた。

TRIはMITと提携するにとどまらず、ブロックチェーン分野で有力な他のスタートアップや企業ともコンソーシアムを組む。 BigchainDBは柔軟かつ規模の拡大に対応できるブロックチェーン・ベースの元帳システムの開発で300万ドルの調達に成功している。ベルリンを本拠とするこのスタートアップはトヨタが必要とする分散暗号化データベースを提供する。一方、テキサス州ダラスのOaken InnovationとイスラエルのテルアビブのCommuterzはブロックチェーンを用いたカーシェアリングと関連する支払いなどを処理するアプリを開発する。

さらにトヨタはロサンゼルスを本拠するブロックチェーン・デベロッパー、Gemと提携し、同社がヘルスケア分野で開発した保険アプリを自動車保険に応用する。Gemはブロックチェーンを利用した暗号化元帳により、多種多数の分散した情報源からのインプットを記録し、保険金支払請求の自動処理に役立てるシステムを開発している。トヨタとの提携でGemは個別車両の使用の度合いに基づく従量制保険の開発にあたる。

TRIのパートナー企業には以下の各社が含まれる。自動運転車のテスト走行における運転データの交換のシステムを開発しているBigchainDB(ベルリン)、新しいテクノロジーにより自動車へのアクセスや費用精算を含めたP2Pカーシェアリング・アプリを開発しているOaken Innovations(ダラスとカナダのトロント)、TRIと共同でP2Pカープール方式を開発中のCommuterz(イスラエル)、 Gem(ロサンゼルス)、テレマティクス自動車保険のTIMS(Toyota Insurance Management Solutions)などだ。TIMSはトヨタ、トヨタファイナンシャルサービス、あいおいニッセイ同和損害保険のジョイントベンチャーで、ユーザーに利便性が高いテレマティクス自動車保険を開発している。

画像: chombosan/Shutterstock

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自動車共有のGetaround、4500万ドルをトヨタ他から調達―メーカーとの提携を拡大へ

自動車共有サービスのGetaroundはBraemar Energy VenturesがリーダーとなったシリーズCのラウンドで4500万ドルの資金を調達した。このラウンドにはトヨタと中国のSAIC自動車が参加した他、以前からの投資家であるMenlo VenturesとTriangle Peak Partnersも加わっている。

Getaroundはこのラウンドで得た資金をベースに世界各地の有力交通関連企業との提携を拡大していく計画だ。世界中の人々があらゆる場所で即座に自動運転車にアクセスできるようにすることが最終的な目標だという。

Getaroundはこれまでもパートナー・ネットワークの拡大に熱心だった。最近ではUberとの提携を発表している。これはGetaroundのユーザーがサンフランシスコ地区で付近に駐車しているUber車を利用できるようにするためだ。これはUberにとっても稼働率をアップさせる効果がある。昨年10月にはトヨタと提携している(Getaroundはこのときトヨタが戦略的な投資を行うことも発表した)。

トヨタはリース契約においてGetaroundに参加することを奨励するインセンティブを設けた。つまりトヨタ車をリースする場合、Getaroundに参加していれば、レンタル料金がリース費用から差し引かれて所有者の負担が軽減される。

Getaroundはメルセデス・ベンツともパートナー契約を結んでおり、所有者がGetaroundを通じてレンタルを行えるようにしている。Getaroundではこうしたパートナー・ネットワークを世界の主要自動車メーカーに広げていきたい考えだ。Getaroundではメーカーがレンタル機能を工場で組み込んだ自動車を提供することを期待している。新たに調達した資金はこうした目標を達成するために用いられる。

自動車共有ネットワークの仕組が来るべき自動運転車の時代に与えるインパクトを想像することは容易だ。Getaroundでは自動運転のテクノロジーが現実のものとなったとき、車両を誰もが手軽に共有できるようにするソフト、ハードの開発に全力を挙げている。ただしそれまでの間は、現行自動車の共有を助けることによって自動車保有の負担を軽減し、将来生産台数が漸減することによって自動車メーカーが被るかもしれない損害を軽減するのを助けようとするもののようだ。

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大手アパート管理代行企業がAirbnbを訴訟…物件の一部が‘Airbnbホテル’のようになるのは困る、と

PARIS, FRANCE - APRIL 11:  A view shows an underwater room structure installed by the Airbnb accommodation site in the Aquarium of Paris, on April 11, 2016 in Paris, France. Airbnb and the Aquarium of Paris offer contest winners a night underwater sleeping with sharks.  (Photo by Chesnot/Getty Images)

早くも立場が逆に。サンフランシスコニューヨーク市アナハイムを訴えたAirbnbが今度は、訴えられる側になった。およそ5万件の不動産物件を抱えるアメリカ最大のアパート管理代行会社Apartment Investment & Management Company(Aimco)がAirbnbを、同社(Amico)が管理or保有する賃貸物件に関する違法行為を意図的に奨励した、として訴訟した。Wall Street Journalが、そう報じている

カリフォルニアとフロリダの2州で訴状を提出したAimcoは、金銭的被害を訴え、また、裁判所命令でAirbnbが、賃借者がその賃借物件を違法に取り扱うこと〔Airbnb利用者への又貸し〕を、奨励できなくなることを求めている。訴えの主旨は、Amicoが管理代行している建物にAribnbが、“コミュニティの平和な環境の維持に価値を認めない身元不詳の個人”を連れ込んでいる、というものだ。

“弊社の賃貸物件に対する意図的な不法行為を積極的に奨励しそれから利益を得ているAirbnbのやり方は、許しがたい。また同社はそうするにあたって、同じ建物内の常住者とその家族を完全に無視し、彼らに対する無礼な態度を貫き、彼らにとって安全でない状況を作り出している”、とAimcoのCEO Terry Considineは声明文で述べている。“Amicoにその損害が賠償されることと、今後のAirbnbに弊社物件に対する違法行為への関与を禁じ、法を順守する住民たち*が良質な生活体験を享受できるようになることを、法廷に求める”。〔*: アパート全体がAirbnb化していない場合のこと。〕

Amicoによると、この訴訟に至るまでにAimcoは、昨年8月と10月と12月にAirbnbに対し、Airbnb上の物件の一部はAmicoの賃貸契約に違反している、という主旨の文書を送付している。

AirbnbのスポークスパーソンがWSJに語っている反論は: “それは強力な利益代表者によるミドルクラスに対する攻撃であり、裁判の本案(実体事項)にはなり得ない主張だ”、である。

Airbnbは家主たちをなだめるために、売上の一部を提供しているが、それに対する評価や成果は今のところ不明だ。今回の裁判の結果次第では、家主たちがAirbnbに対して、さらに強気な法的アクションを起こすかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Webの最古参の一人Craig NewmarkがWikipediaのハラスメント防止のために50万ドルを寄付

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CraigslistのファウンダーCraig NewmarkがWikipediaの“Community health initiative”(コミュニティ健全化運動)に50万ドルを寄付し、このサイトのハラスメントや乱暴な行為を減らし、モデレーターが毎日使うツールを改良して、平和を維持したい、と訴えている。

一見おだやかに見えても、今のWikipediaは戦場だ。編集者やボット、そして野蛮な破壊者たちがいつも戦っていて、そしてもちろん、コンテンツそのものと同じく、その戦いへの停戦介入や鎮静努力は、大量のボランティアに任されている。彼らは、効果的なツールを持つべきだ。

NewmarkはWikimediaのブログ記事でこう言っている: “Wikipediaがその活力を確実に維持できるためには、善意の人びとが協力して、トロルやハラスメントやサイバーいじめを防ぎ、公共財を妨害行為から守る必要がある。その目的のために私は、Wikimedia Foundationのハラスメント防止努力を支援したい”。

この寄付は、craigslist Charitable FundとCraig Newmark Foundationからのそれぞれ25万ドルずつだ。寄付の宛先(指定目的)は、Wikimedia FoundationによるCommunity health initiativeの立ち上げ努力だ。これからの2年間で、Wikipediaの悪用の発見と報告と撃退努力が、大きく改善されることを期待したい。

でも、Wikipediaの主幹Jimmy WalesがCraigにジョークをメールしている。この気前の良い寄付を、今後も繰り返してほしい、というおねだりだ。

please-craig

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

2016年度のUberの赤字は30億ドルに拡大へ―収入も拡大中

FILE - In this Dec. 16, 2015 file photo a man leaves the headquarters of Uber in San Francisco. Uber and advocates for the blind have reached a lawsuit settlement in which the ride-hailing company agrees to require that existing and new drivers confirm they understand their legal obligations to transport riders with guide dogs or other service animals. The National Federation of the Blind said Saturday, April 30, 2016, that Uber will also remove a driver from the platform after a single complaint if it determines the driver knowingly denied a person with a disability a ride because the person was traveling with a service animal. (AP Photo/Eric Risberg, File)

The Informationその他の情報によれば、 Uber赤字は昨年の22億ドルからさらに増え、2016年は30億ドルになるという。Uberといえばすでに確立された世界的なブランドというイメージが強いが、ビジネスとしての収益性には分かりにくい点が多い。

ドレイクやウィズ・カリファといったヒップホップのスターは歌詞で始終Uberに言及している。ハリウッドのビッグネーム、ウィル・ファレルはUberのドライバーをテーマにしたコメディを製作し、主演することも決まっている。

Bloombergの推計によれば、リムジン、タクシー配車サービスのパイオニアは2016年の純収入は55億ドルで昨年の20億ドルから大幅にアップしている。こういった金額や伸び率は普通なら驚くべき数字のはずだが、30億ドルの赤字が予想されるということはUberは1ドルの収入を得るたびに1.55ドルを支出している計算になる。

Uberの広報担当者は財務情報に関してコメントしないとしている。

Uberの赤字がどこから来ているのかだが、少なくとも次ような支出先がある。自動運転車の開発、食品配達ビジネスの拡大、ドライバーと社員の人件費、訴訟多数、ロビー活動、等々。Uberではここ昨年コスト削減のために報酬体系の見直しを行ったが、それでも人間のドライバーに対する支払いは大きなコストセンターになっている。

ドライバーへの支払の他に、Uberはライバルとの競争にも多大の費用を必要としている。つまりインセティブ、ボーナス、広告、ドライバー側アプリの改善などだ。またUberは契約者ではなく雇用者であることの確認を求めるドライバーのグループを始めとして多数の訴訟にさらされている

またUberは外部のパートナー企業に運転のためのナビゲーションを頼らなくてもすむよう、数億ドル地図テクノロジーの開発につぎ込んでいるという。

今年、Uberは引き続き企業買収を行ってきたが、特に 人工知能のスタートアップ、Geometric Intelligence自動運転トラックのスタートアップ、Ottoの買収が目立った。自動運転とロジスティクスの分野でもリーダーになろうとする戦略的投資なのだろう。

しかしこうした買収の一方で、20116年の下半期は配車回数が減少傾向だ。もっともこれはUberが中国でライバルとの競争を諦めたことから予想されたことだった。Uberは中国での事業を最大の地域的ライバルであるDidi Chuxing(滴滴出行)に売却し、両社を統合した会社の持ち分を得るという戦略に転じている。しかしこれは世界的にみてUber自身による配車回数の減少という結果をもたらしている。ただし中国市場から撤退したことにより、リソースを他の有望分野、料理の配達のUberEATSサービスを世界50都市に拡大するために振り向けることが可能になった。

ビジネスの観点からすると、一番重要なのは、ピッツバーグ、最近ではサンフランシスコにおける自動運転タクシーの実験だろう。将来、自動運転車が実用化されれば、Uberは膨大な人間のドライバーを必要としなくなる、少なくとも大幅に減少させることができる。株主はUberがこの分野に投資することを引き続き支持するだろう。

ただ同時に、スマートフォン配車ビジネスに多数のライバルが参入中だ。これによりドライバーの採用と引き抜き防止のための費用は大幅に上昇した。またGoogleはWaymoという新会社を設立し、自動運転テクノロジーの全面的なビジネス化を図ろうとしている。

ところが、Uberの内外のライバルはアメリカのLyft、インドのOla、東南アジアの Grab、ヨーロッパのGettを含めて、ほとんどが非公開企業であるためビジネスの内情をUberと正確に比較することが非常に難しい。しかし配車サービス事業に詳しい情報源によればUberはライバルのLyftなどより賢明な支出を行っているという。両社の財務内容に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによれば、顧客サービスのための割引やドライバーへのインセティブを含めて、Lyftのコストは1配車ごとにUberより50%も高いという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uber、サンフランシスコで自動運転タクシーの実験開始―〔アップデート〕州当局が中止命令

2016-12-15-ubercar-taxi

Uberは今週火曜、サンフランシスコで 自動運転車に実際に乗客を乗せるタクシー営業の小規模な実験を開始した。Uberが自動運転による実車営業の実験を行うのはサンフランシスコが2都市目だが、カリフォルニア州の規制当局は快く思っていないようだ。州の運輸車両局(DMV=Department of Motor Vehicles)は自動運転車を州道で走らせる際にテストを行い、合格した相手に許可を出している。

DMVの自動運転実験テストに合格した車種のリストには20社が掲載されているが、Uberはその中に入っていない。DMVは「申請してテストを受けるべきだ」としているが、Uber側は「実験の内容に照らしてその必要はない」と主張している。

カリフォルニア州DMVの声明は「 〔自動運転車の走行実験にあたって〕実施各社の責任ある態度を要望してきたが、実験者が常に責任ある態度を取ると想定することは不十分であるかもしれない」と述べ、Uberがテスト手続きを行うよう強い態度で要求している。【声明は原文参照】

これに対してUber側は、実験の本質からみてDMVの許可を得る義務はないという立場を崩していない。つまり「自動運転車」といっても運転席にはドライバーが乗っており、ハンドル付近に手を置いて、不調があればただちに運転を取って代われる体制であるため、本質的には「人力による通常のタクシー営業である」という立場だ。

UberはTechCrunchの取材に対して今回の実験でDMVの許可を受ける考えがないことを確認した。またブログ記事に掲載された同社のAdvanced Technology Groupの責任者、Anthony Levandowskiのコメントの一部を以下のように引用した。

しかし根本的な問題はこうだ。いつ、またどのようにして企業は自動運転車テクノロジーを実際に運用すべきか? われわれにはこの点に関して独自のアプローチがある。多くの州ではこのテクノロジーに交通安全を大きく改善する可能性を見ている。またいくつかの州や都市は複雑な規制がイノベーションを不当に遅らせる状況に気づいている。ピッツバーグ市、アリゾナ州、ネバダ州、フロリダ州はこの面で特にリーダーの役割を果たし、プロ・テクノロジーであることを明らかにしている。われわれは当社の本拠であり世界経済に果たす役割も大きいカリフォルニア州が同様の見解に立つことを希望している。

Uberが運営地の規制当局と衝突するのはこれが初めてではない。これまではアメリカ国内でも国外でも規制との戦いで勝利を収めることが多かった。ただし今回の紛争の結果がどうなるかはもちろんまだ不明だ。

〔日本版〕カリフォルニア州はUberの自動運転タクシーの実験に対して中止命令を出したという。TechCrunchの続報

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Googleの自動運転車ユニット、Waymoとして独立―クライスラーと提携して事業展開も

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Googleは自動運転車事業を独立の企業としてスピンアウトさせる。今日(米国時間12/13)、GoogleからWaymoという新会社の名称が発表された。この会社名は「移動のための新しいやり方(a new WAY forward in MObility)」を開発するという使命を表したものだという。

「われわれはAlphabet傘下の独立企業となった」とWaymoのCEO、Jon Krafcikは今日開催されたプレスイベントで述べた。Krafcikによれば、Waymoは「公道の日常の状況下でハンドルもペダルもない完全な自動運転車を走らせた世界最初の会社」だという。これは昨年のオースティンの市街地で行われた実験を指している。

この走行ではWaymoの上級エンジニアのNathaniel Fairfieldの友人で、視力を失っていることが法的にも認定されているSteve Mahanが単独で自動運転車をオースティンの公道で走らせた。 Mahanはそれ以前にも Googleの自動運転車のテスト走行を行ったことがあるが、いつも警察のエスコートを受けていた。しかしこのときはいっさい警察の保護を受けなかった。自動運転車はこの走行で4ウェイストップ(4方向一時停止)の交差点に正しく対処し、歩行者を避け、狭い道路を通過するなどの成果を挙げた。

Googleは自動運転車ユニットのCEOに元現代北アメリカの幹部、Krafcikを任命し、元Airbnb、元TripAdvisorのShaun Stewartも採用した。こうした動きは自動運転テクノロジーを技術的実験から収益事業の柱の一つに格上げするため、自動車会社を新規に立ち上げるなどの現実のビジネス経験がある人材を必要としたものと受け止められている。

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Krafcikは今日のイベントで、「われわれは公道ですでに200万マイル(360万キロ)以上の走行実験を行った。これから次の100万マイルに向けて走行中だ。しかし重要なのは現実の走行距離だけではない。われわれはコンピューター・シミュレーションで10億マイル以上走っている。[…]またマウンテン・ビュー、オースティン、フェニックスなどでゲストを乗せた走行を1万回も行っている」と述べた。

Waymo(これまではGoogle X所属だった)は膨大な実験を繰り返してきたが、テクノロジーのトップ、Dmitri Dolgovによれば、適切な地図の製作、 挙動のスムーズさの改善、雪や大雨などの過酷な気象条件下での走行などまだ克服すべき課題がいくつも残っているという。

Waymoの企業としての方向性についてKrafcikはいくつもの可能性を挙げた。

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「 [このテクノロジーは] 共有経済にも、交通機関にも大きな影響を与える。自動車メーカーだけでなく、トラック運輸などの公共輸送産業を変革するだろう。ロジスティクスにおける『最後の1マイル問題』を解決し、ゆくゆくは個人にも利用されるかもしれない。自動運転車はこうしたカテゴリーすべてにとってすばらしい意味を持つ」とKrafcikは述べた。

Krafcikによれば新会社の努力の中心はテクノロジーの開発であり、必ずしも自動車自体の製造ではないという。これはGoogleの自動運転車戦略に関する従来の報道とも一致する。

「われわれは自動運転テクノロジーの会社であり、自動車メーカーを目指してはいないということはこれまでも繰り返し明確にしてきたつもりだ。ときにはこの点について多少の混乱〔した報道〕が見られたが、われわれのビジネスは良い車を作ることではない。われわれのビジネスは良いドライバー〔システム〕を作ることだ」とKrafcikは付け加えた。

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Krafcikによれば、Waymoのビジネスは現在新しい「ビルド」の段階にあり、次世代のセンサー関連技術はクライスラー・パシフィカの最新モデルに搭載されるという。【略】

Bloombergの火曜日の記事によれば、Alphabetに新しく誕生する自動運転車ユニットトは独立企業となり、自動車の共有利用事業でクライスラーと提携する。半自動運転によって乗客を輸送するサービスの展開には、手頃なサイズのミニバンであるパシフィカが利用される予定であり、2017年末には実用化が計画されているという。

Googleはパシフィカをベースにした自動運転車のプロトタイプを100台製造することを発表していた。しかし今回の計画はそれより幅広いもので、自動運転車に必要とされるテクノロジーも一層高度なものとなるだろう。クライスラーの親会社であるフィアットはラスベガスで開催される今年のCESでパシフィカ・ベースの電気自動車を発表する計画だ〔現在のパシフィカはハイブリッド〕。この電気自動車がGoogleのWaymoとの提携のカギを握るハードウェアかもしれない。オンデマンドの自動運転車サービスを展開するならば、通常動力よりもEVの方がはるかに実用的だろう。

Alphabetグループ内の独立の事業会社となったことで、Waymoはテクノロジーの進展や収益性について、これまでよりさらに直接的に外部の風にさらされることになる。他の企業との戦略的提携や販売、ライセンスなどのビジネスモデルについて今後の動きを詳しく観察していく必要があるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ベンチャーキャピタル、Tuskがトランプ政権の政策予測メモ配布―ビジネスへの干渉は減る

ORLANDO, FL - NOVEMBER 2: Republican presidential candidate Donald Trump speaks during a campaign event at the Orlando Amphitheater at Central Florida Fairgrounds in Orlando, FL on Wednesday November 02, 2016. (Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images)

Tusk HoldingsはTusk Venturesと Tusk Strategiesの親会社で、Uber、FanDuel、Handy始め有力スタートアップ多数の最初期からの投資家として著名だ

巨大で多様なポートフォリオを持つこのベンチャーキャピタルが資金を投じているポートフォリオ企業すべてを対象にメモを配布した。

これはトランプの大統領当選がビジネスに与える影響を詳細に分析したもので、メモはさまざまなビジネス分野ごとに、次期政権の(人事を含めて)政策を予想している。

抜粋:

反ビジネス的で規制の強化を強く推進する閣僚を見る可能性は低くなった。このことは同時に、現在保留中の合併、買収が承認される可能性がはるかに高くなることを意味する。たとえば〔補助金を受けるが私的団体が運営する〕チャーター・スクールは合併に当たって連邦政府の反対を受けにくくなるだろう。連邦政府が規制を改正し、労働者の区分を変更することによって共有経済を破壊するような事態は避けられよう。SEC〔証券取引委員会〕は現金化しにくい私企業や資産に強く干渉しなくなる。ピア・ツー・ピア・レンディング〔ソーシャル融資〕も連邦政府の反対を受ける可能性が減る。その他同種の干渉の減少が多数予想される。

われわれはこのメモがテクノロジー・ビジネス全般に多いに参考になると思ったのでScribにアップロードし、以下ににエンベッドした。

〔日本版〕下記エンベッド冒頭のWhat Does This Mean for You by Jordan Crook on Scribdはリンクではないので作動しない。Scribdサイトで原文を見る場合は上の記事末のリンクから開ける。抜粋中の「労働者の区分変更」はUberのドライバーを契約者ではなくUberの被雇用者として認定しようとしていることなどを指す(関連記事

What Does This Mean for You by Jordan Crook on Scribd

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

車のセキュリティを守るデバイスErnestがKickstarterでキャンペーンを開始、共有経済の時代における権利保護とは?

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Ernestは、説明が難しい。それはデバイスだけど、2台のデバイスで、アプリでもあるし、そしてファウンダーのArturs Pumpursによると、それは一種の仮想執事だ。ユーザーの車の安全を確保し、運転者に現在位置を教え、自動ドア方式のガレージのある人にはドアの開閉をする。これのKickstarterキャンペーンは、10月28日から12月7日までだ。

このプロジェクトは、Bluetoothを使って車を保護するデバイスとして構想された(Bluetooth 4.0)。ユーザーがインストールすることもできるが、たぶんインストールはプロがやることになるだろう。車にイモビライザー(盗難防止装置)がついてると、Ernestはオーナーを認識するまで燃料がエンジンに行かないようにする。ただしほかの人がその人のデバイスで自分の車を運転できるように、設定はできるし、その設定を無効にもできる。

ErnestにはGPSデバイスもあり、車の位置を教える(そんな車載アプリは今多いが)。スピードや走行距離なども教える。車をどこに置いたか思い出せなかったり、あるいはほかの人に貸してるとき、その所在が分かる。

自動開閉式の門やガレージにも、同様の、Bluetoothによる共有化ができる。ただし各ドアにはそれら専用のErnestが別途必要だ。スマートフォン上のアプリは、一つでよい。ドアの開閉権も、車と同様、共有化でき、共有の停止もできる。

Ernestは個人や家族のカーライフには便利だが、共有経済におけるセキュリティには問題がありそうだ。車とガレージをほかの人と共有した場合には、たとえば自分の休暇期間が終わったら共有も無効になる、といった設定ができるとよいだろう。また、どの人がどんだけ走ったかを、知りたいかもね。アプリで、現在の使用者を設定できるとよいかもしれない。

お値段はKickstarterで60ドルからだから、大量の車を抱えるタクシー会社など用には高すぎるかもしれない。日常の共有関係がそれほど複雑多様でないユーザーなら、無事に使えそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber、今月末に自動運転車で営業開始―元Google社員らが設立したOttoのテクノロジーを利用

2016-08-19-uber-volvo-self-driving

2015年にUberが自動運転車を開発しているという記事が出た。今年に入ってUberはピッツバーグで自動運転車をテスト中だと公表した。しかしここ1年半でわれわれがUberの自動運転車について得た情報は他にはほとんどなかった。

この分野のリーダー、 Googleは遅い歩みながらも着実に進歩を続けている。これに対して自動運転車という敵味方が混沌としたフレネミーの世界でUberの出遅れはひどいものだと人が思ったとしても責められない状況だった。

しかし事実はそうではなかった。

自動運転でUberは驚くべき進歩を遂げていた。Uberは100万人以上のドライバーをかかえているが、将来これをコンピューターに置き換えようと真剣に考えている。Uberのドライバーには悪いニュースだ。

Bloombergの取材に対して、UBerのファウンダー、CEO、Travis Kalanickは「今月、ピッツバーグで自動運転車を実際の営業車両に加える」と述べた。

Uberが使用するのは自動運転用にカスタマイズされた100台前後のVolvo XC90で、 それぞれの車両には必要があれば即座に運転を代わることができるドライバー・エンジニアと詳細な記録を取るナビゲーター役の2名が乗車する。また車のトランクには運行の記録とマップデータの取得を行う液冷コンピューターが鎮座するという。

ピッツバーグでたびたびUberを利用する乗客は自動運転車を体験するチャンスが十分にあるわけだ。自動運転車に乗った場合、料金は無料だという。

Uberの自動運転車計画の詳細についてはまったくといっていいほど情報がないが、Bloombergの取材で明らかになったのはGoogleのように自動運転車をゼロから開発するのではなく、既存の車に自動運転キットを後付けする道を選んだことだ。

この目的のためにUberは密かにOttoを買収していた。同社はトラックの自動運転化を目標として今年設立された有望なスタートアップだ。Ottoのテクノロジーは既存のトラックに適用されるもので、Bloombergによれば、lidar(レーザーによる目標検知)システムを用いるという。Uberの自動運転車にはOttoのlidarが使われる。

Ottoの買収は単に期待の高いスタートアップの買収というに留まらず、人材獲得の面で影響がきわめて大きい。

Ottoの共同ファウンダーは元Google社員のAnthony LevandowsとLior Ron、それにDon Burnette、Claire Delaunayだ。 LevandowskiはGoogleの自動運転車のリーダーだった。RonはGoogleマップとMotorola事業の幹部で、他の共同ファウンダーもApple、Teslaなど自動運転車の開発で有名な企業に勤務していた。

買収は早ければ今月中にも完了する。その後、LevandowskiはUberの自動運転車チームの責任者となる。自動運転のテクノロジー開発を加速するためにUberでは新たなR&Dセンターを2箇所オープンするという。

Bloombergのインタビューに対してLevandowskiは「プロダクトをいち早くローンチできるチャンス〔を得たからだ〕」とGoogleを去った理由を説明している。

LevandowskiはKalanickを「異母兄弟のようだ」と評しているが、これはGoogleの自動運転車開発が慎重に過ぎてスピードが遅いことに不満があったことを示すものかもしれない。Uberの自動運転への動きははるかに速く、大胆なようだ。

Uberの自動運転プロジェクトの成否については今後に待つしかないが、少なくとも結果の一部はすぐに分かりそうだ。

画像: Uber/Bloomberg

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uberとトヨタ、配車サービスとリースで戦略提携を発表

2016-05-25-uberx_frontview_bw

配車サービス戦争が一段と激しさを増すようだ。Uberトヨタとの間で配車と自動車リースに関連した戦略的投資協定を結んだことを明らかにした。

UberはTechCrunchへのメールで「トヨタは世界の自動車産業のリーダーの1社であり、トヨタ車はUberのプラットフォームで世界的にもっとも多数利用されている車種のひとつだ。Uberはトヨタとさまざまなパートナー関係にあり、今回は自動車購入の資金調達プログラムへも協力関係を拡大した」と述べた。

Uberはこの資金計画の詳細を明らかにすることは避けた。公表された事実は多くないが、トヨタ自動車のプレスリリースによれば、同社はUberと提携して将来の交通機関のあり方を探る計画に興味があり、この点に関連してUberと覚書(MOU=memorandum of understanding)を交わしたという。これにはUberの自動車共有ビジネスが拡大中の諸国において、当局の規制、ビジネス環境、顧客ニーズなど多くの要因を検討しつつ、実地にテストを行うことが含まれている。

トヨタがリースを支援するという契約はドライバーの自動車取得を援助するUberのプログラムの拡大を助けるだろう。同時にUberが自動車走行車を利用しようとする計画も大きく前進させるとみられる。

今回の発表では自走走行車については特に言及されていない。しかし、さまざまな自動車メーカーと有力テクノロジー企業が配車サービスに投資を始めており、自動走行車の開発においてもトヨタの存在はひときわ大きい

トヨタは昨年11月に10億ドルを投じてTRI(Toyota Research Institute)をパロアルトに新設し、自動走行車の実現に向けてAIとロボディクスの研究を行っている。

なおGMは今年に入って 5億ドルをUberのライバル、Lyftに投資している。こちらもLyftの事業拡張と同時に自動走行車の採用の実現を目標の一つとしている。

今朝フォルクスワーゲンはニューヨークを本拠とする配車サービスのGettに 3億ドルを投資することを発表した。Appleも自動走行車の開発を行っていると噂されている。Appleは5月上旬に中国最大の配車サービス、滴滴出行(Didi Chuxing)(以前の滴滴快的、Didi Kuaidi)に10億ドルを投資している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、中国最大のタクシー配車アプリ、滴滴出行に10億ドル出資

2016-05-14-applechina

今日(米国時間5/12)、Appleは中国最大のタクシー配車アプリ、 滴滴出行(Didi Chuxing)(以前の滴滴快的、Didi Kuaidi)に10億ドルを投資することを発表して世界を驚かせた。

滴滴出行はアメリカでは「Uberの中国版」と説明されることが多いが、中国ではすでにUberをはるかに引き離してトップシェアを獲得している。同社は昨年1年で10億回配車しており、中国のタクシー配車サービス市場の87%を占めた発表している。

Reutersのインタビューに答えて、AppleのCEO、Tim Cookは「われわれが投資を決めたのはいくつかの戦略的な理由による。これにはこうした中国市場についてさらに実地の知見を得たいという動機も含まれている。もちろん投資自体も十分な利益を生むと信じている」と述べた。

一方、滴滴出行はReutersに対し、「(Appleの投資は)わが社として過去最大の資金調達ラウンドだった」と認めた。このインタビューによれば、同社は毎日1100万回の配車を実施し、このプラットフォームを利用するドライバーは1400万人に上るという。Apple以外の大株主にはTencent、Alibabaという中国の2大インターネット企業に加えて日本のSoftBankが含まれる。

2月のWSJ記事によれば、当時、滴滴出行は評価額200億ドルで10億ドルの投資を受け入れる交渉の最終段階にあるということだった。同社の幹部はAppleがこの投資ラウンドのメンバーであることを認めたが、会社評価額を明かすことは避けた。TechCrunchはAppleにメールでさらに情報を求めていた。

プレスリリースで滴滴出行のファウンダー、CEOの程维(Cheng Wei)は「〔10億ドルの投資という〕Appleからの信任を受けたことはわれわれの過去4年間の努力に対する非常に大きな激励であり、インスピレーションの源だ。信頼性が高くかつ柔軟な移動手段をあらゆる人々に提供すべく、滴滴チームはドライバーや世界のパートナーと共に日々懸命に努力している。また中国の都市が抱える交通機関、環境、雇用の問題を解決するためにも協力している」と述べた。

中国はApple最大のiPhone市場となる途上にあったが、最近そこで激しい競争と若干の後退を経験している。Apple中国でアメリカ企業としては比較的自由に行動できていたが、中国政府はiBooks Store、iTunes、映画の各サービスを現地でのスタート後わずか半年で閉鎖を命令した

それに加えてAppleの中国市場での売上は依然伸びているとはいうもの、中国経済の成長の減速にともなって、伸び率は大きく減少している。またスマートフォン市場そのものにも需要の減退が感じられていた。Appleが中国市場に強く依存していることは、カール・アイカーンのような「もの言う株主」の懸念を高め、Appleの持ち株をすべて手放すという行動を取らせた。

滴滴出行への出資でAppleは中国におけるスマートフォン以外のテクノロジー市場への足場を築くことができた。もし滴滴出行がCarPlayを利用するならAppleは中国でソフトウェアやサービスを販売する有力なチャンネルを手に入れることができる。またソフトウェアやサービスを中国市場に適合させるために欠かせない中国のユーザーに関する貴重なデータを入手することもできるだろう。もしApple版の自動走行車が実現した際には滴滴出行は有力なユーザーになるはずだ。

画像:: August_0802/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ユーザーの愛車をまるごと広告スペースにするWrapifyが毎月100%で急成長中

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車を所有するのには金がかかる。ガソリン、税金、保険、整備費用、その他車関連の出費の項目は無数にある。一部の都市部ではすでに車を持つよりUberやLyftなどの共有経済型の車の利用に切り替えた方が安くつくようになっている。

そこでWrapifyというスタートアップはカー・オーナーが維持費のいくぶんかをキャッシュで取り返せる方法を提案している。半年前に創立されたWrapifyは、車にペイントされるラップアップ広告を掲出したい広告主と車のオーナーを仲介することがビジネスだ。

仕組みを簡単に説明しよう。

Wrapifyの市場は両面を向いている。一方では車に広告を出してもいいと考えるカー・オーナーがリストに登録できるようになっている。オーナーは全車広告、一部広告、パネル広告から希望の種類を選べる。他方では企業などの広告主が掲出したい広告の条件などを指定して登録ができる。

広告掲出契約が成立するとオーナーは車をペイントショップに持ち込んで塗装してもらう。オーナーは広告の掲出期間について月平均450ドルの収入が得られるという。

Wrapifyは専用のスマートフォン・アプリを用意しており、ユーザーの車の移動をモニターする。ユーザーは通勤やショッピングなどさまざまな目的、ルートで車を使う。Wrapifyは単なる移動距離だけでなく、多くの要因を総合して距離あたり広告単価を決定する。たとえば車が人口密集地域を通過したときには単価が高くなる。また交通渋滞などで目立つ場所に長時間停車している(当然注目を集める)場合も単価は高い。

Wrapifyには現在1万人のカー・オーナーが登録しており、メリカの10以上の都市をカバーしている。成長率は毎月100%という高さだ。ア広告主にはeBay、Petco、Harrah’s Resortsのような大企業が含まれる。

興味深いのはWrapify Swarmという仕組みだ。 Wrapifyはアプリを通じて、その名のとおり〔(昆虫などの)大群〕、特定の場所に大量のユーザー車両を集めることができる。Wrapifyから送信されたプッシュ通知を受け取ったユーザーはSwarmへの参加を承諾すると余分のキャッシュを得ることができる。特定企業の広告を掲出した車両が何十台も繁華街を走ったり、パーキングに並んで駐車したりすれば人目を引くこと間違いなしというわけだ。Uberが需要に応じて価格を吊り上げるのと同様、こうした特別のプロジェクトでWrapifyは高い広告単価を得ることができる。

これまでも自動車のラップアップ広告を仲介しようという試みはあったが、規模が小さく、いずれも成功していない。しかしWrapifyは悲観的な見方に対して「われわれはテクノロジー企業である点が〔過去の例とは〕まったく違う」と強く主張している。Wrapifyは最近画期的な進歩を遂げたモバイル・コミュニケーション・テクノロジーをカー・オーナー集めや広告料金の算定に最大限に活用している。

WrapifyはLudlow Ventures、Social+Capital Partnership、Haystack、The LAUNCH
Fundから100万ドルのシード資金を得ており、さらに現在シリーズAのベンチャー資金を調達しようとしている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

レーザー光で絵文字を投射し車の運転者の注意を喚起するBlazeの自転車用ライトをロンドン市が共有自転車事業に採用

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2年前に本誌主催のHardware Battlefieldコンペに出て話題になったBlazeが、このほど大きなクライアントをつかまえた。それはロンドン市の、自転車共有事業だ。

来年からBlazeは、このSantander Cyclesプロジェクトの自転車に、同社の安全なライトを提供する。11500台の自転車すべてが、Blazeのライトを装着する。でもなぜ、ロンドン市が市の公共事業にこの特殊なライトを必要とするのだろうか?

Blazeの自転車用ライトは、これまでのふつうのライトとは違う。目の前の地面に、グリーンの絵文字を投射する。自転車事故の多くは、車が自転車の前を右折や左折するとき、自転車に気づかないことによって起きる。そこで、車の運転者の視界に不思議な光の絵文字があることによって、「おやっ?」と気づかせ、急ブレーキを踏ませる。

ロンドン市交通局によると、Santanderの自転車でのテスト結果は“圧倒的にポジティブ”だそうだ。それはBlazeのような若いスタートアップにとって、大きな成果だ。

ロンドン市が負担するライトの装備費用(USドル換算)130万ドルのうち、90%近くがSantanderの料金収入から賄われ、残りが交通局の予算から出る。もちろんロンドン市は、来年以降の自転車事故の減少を期待している。

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出典: Wired

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

クリスマスにはUberをFacebook Messengerから呼べる―近くLyftも加わる

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人気アプリ、Facebook Messengerがついに公共交通機関の手配の領域に進出してきた。FacebookはまずMessenngerでUber車の呼び出しを可能にするが、Lyftなど他のサービスも順次追加されるという。

Facebookの新機能の特色にはMessengerを利用することでスレッドを共有しているチャット仲間に本当に出先でUberを「捕まえた」ことが分かる点も挙げられる。パジャマ姿でベッドの中から「今タクシーに乗ってそっちへ向かっているとこだ」などといい加減なメールを送るというわけにはいかない。

メッセージ・アプリに共有乗車の手配機能が追加されたのはこれが初めてではない。たとえば中国などで人気のある通話、チャットアプリのWeChatからもやはり中国のDidiなどの車の手配が可能だ。しかしWeChatの場合、親会社のTencentが頻繁にUberをブロックしているという。これ中国における共有乗車サービスの激しい競争を反映したものと見られている。

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Facebookは、もちろんだが、WeChatからヒントを受け取ったわけではないとしている。 「われわれが(もっとも大きなヒントを得たのは)Messenのユーザーの利用のパターンからだ」とFacebook におけるMessengerのプロダクト・マネージャーのSeth Rosenbergは語った。

作動の仕組み

新しいMessengerには車のアイコンが追加された。何かメッセージを書いている途中でUberが必要になった場合は、3点…メニューから「交通機関を見つける」も選択すればよい〔日本版にはまだこれらの機能は追加されていない〕。 どちらの場合でもクリックするとすぐにUberの「配車手配」の画面が開く。ユーザーは通常どおり配車希望場所、目的地、希望する車の種類などの入力に進む。

Messengerの「公共交通機関」機能を利用したユーザー全員に20ドル分のUberポイントが付く。Uberが既存ユーザーに無条件にこうしたクレジット・ポイントを付与するのは非常に珍しい。Facebookが相当に説得力ある根拠を示したのだろう。

Facebook、Uberともに売上の分配の有無やその率については沈黙している。いずれにせよFacebookはMessengerにおける交通機関手配をさらに拡大していく構えだ。Rosenbergは飛行機のチケット予約など数多くの可能なユースケースについて触れた。「われわれはMessengerアプリから個人相手だけなく、交通機関にもメッセージを送れるんだという考えに早く慣れてもらいたいと期待している」とRosenbergはわれわれの取材に対して答えた。

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FacebookのMessenger強化はUberの強気な拡大戦略とちょうどうまくマッチした。Uberは多数のサービスにAPIを使った呼び出しプラットフォームでを提供中だ。Uberは今年初めにlデベロッパー向けプラットフォームを発表し、アプリ内に「Uberを呼ぶ」というボタンを実装したサイトに対し、これによる新規獲得ユーザー1人あたり5ドルを支払うというインセンティブを提供していた。

われわれはMessengerアプリから個人相手だけなく、交通機関にもメッセージを送れるんだという考えに早く慣れてもらいたいと期待している。

— Seth Rosenberg, Facebookのプロダクト責任者

LyftもSlackとほぼ同様の提携を行っているが、Rosenbergによれば、Messengerの交通機関手配の最初のパートナーとなったのはやはりUberだったという。

Uberが公開している「配車手配( Request Ride)」ボタンのAPIの利用規約ではライバル交通機関と関係あるパートナーを利用から除外することを定めている。しかしUberに取材したところでは「Messengerとの提携は個別のプライベートAPIを通じて行われている(のでMessengerがLyftのようなライバルをサービスに含めても)問題ない」とのことだった。

Facebookも、当然ながらUberも、Lyftとの関係について詳細は明らかにしなかった。しかし事情をよく知る立場の情報源によれば、Lyftからの配車手配は来年1月にもスタートするだろうという。KLM航空とはフライト予約を含めるための作業が行われているが、スタートややや遅れて、やはりこれも来年になる。

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MessengerはUberのカスタマー・サポートの主要チャンネルに

Ubeは Messengerの利用をリアルタイムのカスタマー・サービスの実験の一つと位置づけている。Uberはこれまでリアルタイムの カスタマー・サービスの能力が低いという批判を受けてきた。 UberのAPIと戦略的提携の責任者、Rahul Bijorは「リアルタイム・サポート機能をユーザーに提供する上で提供する上でこれ(Messenger)がわれわれが求めている最良の手段となるのかチェックしたい」と語った。

Facebookによれば、Messengerのユーザーは世界で7億人だという。同アプリからUberを呼び出す機能は今日、アメリカの主要都市で公開された。Uberの広報担当者がTechCrunchに語ったところでは、この機能はクリスマスまでに全米のほぼすべての地域に行き渡るだろうという。アメリカ人にとって今年のクリスマスパーティーへの行き帰りは楽なものになりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オンデマンドでメイクやネイル、マッサージの施術を受けられる「careL」、MOSO mafiaがサービス公開

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昨日もシェアリングエコノミー協会設立のニュースがあったが、人やモノ、スペースなどさまざまな遊休資産の貸し借りを行うプラットフォームは多数登場している。その市場規模は10年後には3350億ドルにも上るなんていう話も出ている。

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東京・恵比寿に拠点を置くスタートアップのMOSO mafiaもシェアリングエコノミーの文脈に沿ったサービスを手がける1社だ。同社は12月15日、ネイルやヘアメイク、エステなど美容・リラクゼーションのCtoC型のオンデマンド予約サービス「careL(ケアエル)」を公開した。当面はオープンベータ版サービスとして、東京都内の渋谷、恵比寿、表参道、代々木、六本木、麻布十番、赤坂周辺でサービスを展開する。

careLは、ドライマッサージ、ヘアセット、メイク、ネイルケアのリアルタイム予約サービスだ。サイト上では、ユーザーが現在いる場所をもとにして、最速・最短距離で予約できる施術者を探して、予約までを行うことができる。口コミやレビューの投稿も可能。決済は今後カードに対応する予定だが、現在は当事者間で現金を手渡しで支払う仕組み。店舗に行くだけでなく、出張サービスを受けることも可能だ。

料金はサービス内容によって統一しており、施術者に関わらず、ドライマッサージでは15分980円、ネイルケアではパーツ付け放題のプランで5800円いった設定をしている。

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サービスを支える施術者は、MOSO mafiaが独自にネットワークするヘアメイクアーティストやネイリストなど約50人。彼らの多くはフリーランサー、もしくは小規模の事務所で仕事を請け負っている。本業を持つかたわらで、隙間時間にcareLでのサービスを引き受ける。

代表を務める渡辺大介氏は、学生時代にアート作品に興味を持ち、それがきっかけでクリエイティブコモンズの存在を知り、ついには弁理士になったという人物。その後は弁理士事務所、ユニチャーム、コンサルティング会社のプライマルで務めた後、独立。本業と並行して、エステサロンを経営することになった。

「エステサロンはクオリティと場所、料金設定を調整できれば儲かるビジネス。しかし課題があった。どれだけ抑えても、1店舗出店するには2000万円以上の初期投資が必要になる。一方で年間の売上は3000万〜5000万円。これでは一気に店舗を増やすことは難しい。また広告を打つにしても店舗数が多くないとレバレッジが効かない」(渡辺氏)。そこで目を付けたのがシェアリングエコノミーの仕組みを使ったサービス提供だった。

ユーザーのニーズもまさにシェアリングの仕組みがマッチしたのだという。カットやパーマであれば店舗もスケジュールも決まっていることが多いが、ヘアメイクやマッサージ、ネイルなどは突然オーダーしたいニーズが高い。そのためリアルタイムに施術を受けたい個人と時間の空いている施術者を結び付けることが価値を生み出すと考えたという。米国には先行するオンデマンドメイクサービス「Glamsquad」などがある。同社は今年10月、700万ドルの資金を調達している。

Facebook、クラウド資金集めのFundraiserをスタート―Kickstarterのライバルに成長するか?

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Facebookは全インターネットをわが物としたいようだ。この巨人はいまやクラウウド・ファンディングの世界への進出を始めた。今日(米国時間11/18)、FacebookはNPO向けの新しいクラウド資金集めのサイト、Fundraiserを発表した。

NPD組織はこのサイトに資金集めのキャンペーン・ビデオを表示し、目標や実現のための手段を説明することができる。もちろん資金の受け入れも可能だ。資金を提供したユーザーはサイト内の「共有」ボタンを押すことでFacebookの友達にそのことを広く知らせることができる。

NPOが対象という意味ではFacebookの新しいプロダクトはCrowdriseのようなサイトによく似ている。

しかし少し考えていただきたい。NPOというのは「非営利団体」の頭文字だ。だが将来FacebookがこのN―non―を外したらどうなるだろうか。それは間違いなくKickstarterの強力なライバルになるだろう。私が取材した限りでは当面FacebookはNPOの資金集めの手助けに集中するようだ。なるほどそうなのだろう。しかし記憶が正しければ、FacebookはNPO団体がニュースフィードで資金を集められるよう、2013年にチャリティーに寄付するというボタンを設置した。しかしその後で通販でショッピングするボタンが登場した。Fundraiserは今のところNPO向けかもしれないが、このメカニズムはそのまま別の目的に転用できる。

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重要なのはクラウド・ファンディングのきわめて大きな部分がソーシャル・ネットワークの力に頼っていることだ。KickstarterやIndiegogoのサイトをわざわざ訪れて興味ある投資先がないか探す人間はほとんどいない。仮にあるプロジェクトがKickstarterなどのサイトのトップに目立つように表示されたとしてもスタートアップへのトラフィックの25%を占めるにすぎない。12%が普通で、場合によっては 3%くらいまで探す。Plinth Agencyのクラウド・ファンディングのコンサルタント、Desi Dangananが私に語ったところでは、クラウドで資金集めを目指す人々の大半はプロジェクトを自分自身のソーシャル・グラフを使って周知させようとする。資金集めを効果的にするためにFacebookのようなサイトが大きな役割を果たしているという。

ところがクラウド・ファンディングにFacebookを利用する上での問題は、ユーザーが資金を提供するつもりになるといったんFacebookサイトを離れてKickstarterやIndiegogoなどのサイトを訪問しなければならないことだ。これは余計な手間―われわれの用語では「フリクション」だ。ユーザーは他のサイトに行って、それが最初の訪問であれば、クレジットカード番号などの支払い情報を登録しなければならない。これもフリクションだ。これこれのプロダクトに出資を約束したことをFacebookの友達に知らせようとすれば、また何度もクリックが必要で、フリクションは増えるばかりだ。

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Facebookはこういうフリクションを嫌ってきた。Facebookほどの巨大サービスになると、フリクションをほんのわずか減少させるだけで莫大な利益が生まれることになる。最近、FacebookメッセンジャーがPhoto Magicという共有を簡単にするサービスを開始した。このサービスの顔認識機能などで節約できるのはせいぜい5秒だろうが、現在Photo Magicは毎月95億枚の写真共有を処理している。スタート以来節約できた時間は延500年分にもなる。.

Facebook上のクラウド資金集めにも発見、支払、バイラル拡散などさまざまな面で大きな可能性がある。ファンドレイザーは大金を払わずにFacebookのリソースを利用して誰がキャンペーンに興味を持ちそうかなど、さまざまな情報を集められる。

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ひとたびクラウド・ファンディングの仕組みが確立すれば、ファンドレイザーはFacebook上でのキャンペーンの広告に力を入れるだろう。現在でもFacebookでKickstarterやIndiegogoのプロジェクトの広告をたびたび目にする。もしこうした広告をクリックしてもFacebookの外に連れ出され、ユーザー体験が損なわれることがないなら、大いに魅力的だろう。Facebook自身のクラウンド・ファンディング・サービスには十分な可能性が感じられる。【略】

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KickstarterのFacebook版、いわばFacestarterをスタートさせるのであれば、優秀なプロジェクトに報酬を与えるシステムや有害な詐欺的プロジェクトを監視するシステムなども整備されねばならないだろう。

だがその程度のコストはFacebookにとってほとんど問題になるまい。Facebookほどのサイズがあれば、 どんな事業であろうと自由に実験できる。そこでKickstarterのタイヤを蹴って〔収益性をチェックして〕みるのは有益だ。万一不調であれば次のプロジェクトを考えればよいだけだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

人が集まるためのスペースのレンタルマーケットプレースPeerSpaceが早くもシリーズAで$5Mを調達しニューヨーク進出を目指す

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一時的な集会の会場を貸し借りするマーケットプレースPeerSpaceが創業1年ちょっとでシリーズAに到達、Foundation Capitalが率いるラウンドで500万ドルを調達した。これまでの投資家Structure Capitalも、このラウンドに参加した。

同社のやり方はAirbnbに似ているが、目的は個人のB&Bではなくて、複数の人が集まるスペースだ。古くからある貸し会議室やカンファレンス会場などでなく、そこらに適当に空いてる場所のクリエイティブな利用を目指す。

協同ファウンダのRony Chammasは曰く、“ユーザたちは、仕事を離れたお楽しみ会などをつまらない古めかしい施設でやるなんてうんざり、と言うね”。でもユニークな集会スペースのレンタルマーケットは、早くもコンペティタが出現している。

たとえばモントリオールのBreatherも、イベントや集会のためのクリエイティブなスペースを貸し借りするプラットホームだ。イスラエルのSplacerも、同様のマーケットプレースとして急成長している。この二社は今のところニューヨークに展開している。

PeerSpaceは1年あまり前に150万ドルのシード資金と80万ドルの借金で創業し、このプラットホームを開発してきた。するとすぐに、LinkedInやInstacart、General Assemblyなどなどの先輩スタートアップたちが集会スペースを予約するようになり、今では計700万ドルの資金を調達するまでになった。

PeerSpaceは創業地のサンフランシスコとロサンゼルスが主な市場で、同社によると、前四半期は70%の成長、3四半期の前年比では1000%近い成長を見た。

Chammasともう一人の協同ファウンダMatt Bendettは、今回の資金を、これまでの勢いを維持し、サービスをニューヨークにも展開するために使う、と言っている。ニューヨークと言えば、前述のSplacerやBreatherともろに競合することになる。

最終的には合衆国の主要都市すべてでPeerSpaceを利用できるようにしたい、と彼らは言っている。実質的にはすでにシアトルでは、やってるそうだ。PeerSpaceの社員はまだいないが、スペースのレンタルを提供している企業数社とは契約している。

同社はCOOとして、SquareからRusty von Waldburgをスカウトし、ロジスティクスという企業経営の重要な側面をやってもらうことにした。このほか取締役会には、元AirbnbのCFO Andrew Swainと、前述FoundationのPaul Hollandを招聘している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。