韓国SK HynixがインテルのNAND事業買収で中国の認可を取得

韓国のチップメーカーSK Hynix(SKハイニックス)は米国時間12月22日、Intel(インテル)のNANDとSSD(ソリッドステートドライブ)事業を90億ドル(約1兆円)で買収することについて、中国の反トラスト当局から合併許可を得たと発表し、8つの管轄区域での規制認可確保完了への最終ハードルをクリアした。

2020年10月、この米チップ大手とSK Hynixは買収契約に合意した。その後、SK Hynixは韓国、米国、EU、台湾、ブラジル、英国、シンガポールの監督官庁から認可を得た。

SK Hynixは声明で次のように述べている。「SK Hynixは、国家市場監督管理総局による本取引の合併認可を心から歓迎し、感謝します。SK Hynixは、残された合併後の統合プロセスを継続することにより、NANDフラッシュメモリとSSD事業の競争力を高めていきたいと思っています」。と述べている。

SK Hynixの最大の買収案件である今回の買収は、SK HynixがNAND SSD事業を拡大し、市場リーダーのSamsung(サムスン電子)との差を縮めるのに役立つと思われる。一方、IntelはOptaneメモリ事業を継続して保持し、より高度な技術に投資していくと2020年発表した。同社はNAND部門を売却し、5Gネットワークインフラ、人工知能、エッジコンピューティングなどの技術開発を倍増させる計画だ。

SK Hynixの広報担当者は、2021年末までに最初の70億ドル(約7990億円)を支払い、2025年3月までに残りの20億ドル(約2200億円)を支払うと確認した。この取引が完了すると、この韓国のチップメーカーはIntelのNAND SSD、NANDのコンポーネント、ウエハー事業(NAND関連の知的財産と従業員を含む)、および大連のNANDメモリ製造施設を引き継ぐことになる。

米中間の緊張の中で、SK Hynixがこの取引について中国の許可を得られないのではないかという懸念があった。SK Hynixは、この取引が3カ国すべてにとって「相互に有益と考えられる」ため、大幅な遅延なしに適切なタイミングで承認されたと述べている。

中国の国家市場監督管理総局は、同日に発表した声明の中で、承認はしたが、5年間続くいくつかの条件付きでもあると述べた。

その条件とは、SK HynixがPCIeとSATAのエンタープライズクラスのソリッドステートハードディスク製品の生産量を拡大し、製品を公正、合理的、無差別的な価格で供給することであると発表している。また、SK Hynixは中国の顧客にSK HynixまたはSK Hynixが支配する会社から製品を独占的に購入するよう強制してはならないとしている。

画像クレジット:Igor Golovniov/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

慶応義塾大学、柔らかく伸縮性のある半導体デバイスで世界で初めて高周波数13.56MHz駆動に成功

慶応義塾大学、柔らかく伸縮性のある半導体デバイスで世界で初めて高周波数13.56MHz駆動に成功

慶應義塾大学は12月9日、柔らかく伸縮性のある半導体デバイスを、世界で初めて13.56MHzという高周波数で動作させることに成功したと発表した。伸縮性のある半導体デバイスはすでに発明されていたが、動作周波数は100Hz程度と低く実用化の壁になっていた。13.56MHzは交通系カードや携帯電話の無線充電などに使われる、とても重要な周波数だ。

慶應義塾大学理工学部電気情報工学科専任講師の松久直司博士と、スタンフォード大学化学工学科のポスドク研究員(研究当時)シミアオ・ニウ博士、ゼナン・バオ教授による研究グループは、薄いゴムのように肌に密着する柔らかい電子デバイスを使ったウェアラブル機器の実現につながる、柔軟で伸縮性のある半導体デバイスを開発した。これは、13.56MHzで駆動する伸縮性ダイオード。元の長さの1.5倍にまで引き伸ばしても、何度伸縮を繰り返しても、壊れることなく電気的特性が維持される。

開発の決め手になったのは「高周波駆動用に精密にチューニングされた様々な新しい伸縮性電子材料」だという。たとえば、割れやすい高分子半導体の化学構造の中に柔らかいシリコンゴムの化学構造を取り込んだり、導電性高分子材料や金属ナノ材料の一種である銀ナノワイヤなどの電子材料に伸縮性を付与し、電気特性が高周波動作の要件を満たすよう新しく設計した。

研究グループは、この伸縮性ダイオードを使ってセンサー・ディスプレイ・アンテナを備えた集積化したシステムを試作した。衣服に仕込まれたアンテナからワイヤレスで給電され、センサーの信号をリアルタイムでディスプレイ素子の色変化として表示する。こうしたデバイスは、肌に貼り付けても違和感なく使用できるため、長期間の生体情報の取得が可能となり、病気の早期発見などを行うヘルスケア分野のウェアラブルデバイスへの応用が期待されている。

慶応義塾大学、柔らかく伸縮性のある半導体デバイスで世界で初めて高周波数13.56MHz駆動に成功

【コラム】開発者と設計者が企業の半導体不足解消のためにできること

米半導体メーカーMarvell Technology(マーベル・テクノロジー)のCEOであるMatt Murphy(マット・マーフィー)氏は2021年10月、半導体不足は2022年さらにはそれ以降にも及ぶだろうとの見解を示した。供給不足はすでに世界中で甚大な影響をもたらしており、ドイツの自動車メーカーOpel(オペル)は一部ラインの稼動を2022年初めまで停止すると発表している。

Society of Motor Manufacturers and Traders(英国自動車製造販売協会)が最近発表したところによると、2021年9月の英国の新車登録台数は1998年以降で最低を記録した。世界的に自動車メーカーは半導体不足に苦しんでおり、需要を満たすだけの車を製造・販売できていない。

しその余波はさらに広がっている。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて需要が急増したコンシューマーエレクトロニクスも半導体不足の影響を受け始めており、調査結果からは、スマートフォンの生産に当初の予想以上の打撃が生じる可能性が示唆されている。Microsoft(マイクロソフト)のゲーミング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏は、Xbox(エックスボックス)とPlayStation(プレイステーション)のゲームコンソールは2022年も供給不足が続くだろうとの見通しを表明した。

このことは、当社The Qt Company(ザ・キュート・カンパニー)がForrester(フォレスター)と最近行った、世界の製造業が直面している課題に関する調査でさらに実証された。驚くべきことに、私たちが話をした組織の80%が現在、デジタルプロダクトやサービスの産出に苦慮しており、62%がその原因として半導体供給の遅れを挙げている。

迅速な解決策はない

2020年を通じて、デジタルプロダクトとサービスに対する需要は前例のないペースで増加し、この需要はまだ揺らいでいない。2021年上半期に実施した本調査では、さらに82%の組織が、市場での地位を維持または成長させるためには新しいスマートプロダクトやコネクテッドプロダクト、サービスを迅速に導入する必要があると回答した。10組織のうち8組織近く(79%)にとって、これはソフトウェアの研究開発ライフサイクルの加速に意識を向けることを意味している。

スピードは依然として企業の最重要事項であり、半導体の供給やソフトウェア開発サイクルの遅れは深刻な問題を引き起こしている。多くの場合、このような遅延は数カ月間続く。そして、ファームウェアの課題にしっかりと向き合うことは、開発者スキルの不足という絶えず存在する懸念とも関係していることを忘れてはならない。

人材不足や半導体不足をすぐに解決することはできないが、企業が即座に有益なインパクトを生み出せる変革は存在する。そしてその中心には、半導体や組み込みデバイスに依拠するプロダクトやサービスを創造し、送り出す設計者と開発者が位置している。

開発プロセスへの挑戦

企業は危機に陥らないために、迅速かつ効果的な改善を行うための働き方に今すぐ目を向けなければならない。プロダクトのライフサイクルを見ると、ほとんどの企業は設計と開発に対して非常にサイロ化されたアプローチをとっている。そうした状況は、プロジェクトの着手時からのインタラクションの方法(あるいは多くの場合なされていない)に関してだけではなく、チームが使用するソフトウェアやツールを検討する際にも当てはまる。

これは、迅速で効率的なモバイルアプリ開発における中核的な課題の1つである、過度に複雑な開発者 / 設計フィードバックループに直接つながっている。デジタルプロダクトの制作を任されている開発者と、ユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェイスのような要素をより考慮している設計者との間には、しばしば断絶がある。

連携して作業を行うべきときに、両者は異なるサイロで活動している。開発者と設計者のコラボレーションを有効にすることは、このプロセスを促進し、チップ不足により失われた部分を補うために極めて重要である。

プロセスの一元化

開発と設計のツールとプラクティスを一元化することで、設計イテレーションを、中断ではなく開発プロセスへの貢献に転換することができる。骨の折れるフィードバックループのサイクルを断ち切り、ブランドはより早くプロダクトを市場に投入できるようになる。

DevOpsによるソフトウェア開発と同じような考え方で、設計と開発を「DevDes」として統合することは、サイロ化を解消し、ワークロードを軽減し、デリバリーをシンプルにすることを意味する。

クロスプラットフォームのフレームワークとツールは、これらの市場の課題の影響を緩和するために不可欠である。デジタルプロダクトの意思決定者は、柔軟性を維持し、調達可能なものを調達できる限り利用する必要があるだろう。例えば、多種多様なシリコンをサポートする柔軟なソフトウェアツールやプラットフォームに投資することで、サプライチェーンの不足による負荷を低減できる。

しかし、利点はそれだけではない。半導体不足を超えて考えると、プロダクトチームは多くの場合、複数のデバイスで使用可能でありながら、なおかつシームレスでネイティブなエクスペリエンスをエンドユーザーに提供できるプロダクトを、迅速に開発して展開することが求められる。繰り返しになるが、サイロを取り除き、DevDesアプローチをクロスプラットフォームフレームワークで採用することで、チームがネイティブ環境で作業できるようになり、プロセスの迅速化が可能になる。

将来にわたって機能するプロセス

私たちすべてがパンデミックの視点を離れ、より持続可能な未来を見据えつつあることに喜びを感じる一方で、過去20カ月間に得た教訓を決して忘れることはできないし、忘れてはならないと思う。

これほど急激に需要が高まることはないと思うが、再びピークを迎える可能性は高い。そして、消費者と企業の両方から期待されている、より良い品質のプロダクトの迅速な提供と、増え続けるデバイス間でのシームレスなエクスペリエンスは、今後も確実に続いていくトレンドである。

開発者のバーンアウトは広く語られており、必要なサポートを受けずにより多くのものをより速く提供するというプレッシャーは、持続可能なものではない。開発者スキルの不足に対応するために、より多くの開発者を育成していく上で、開発者がプロダクトチームの他の部分と真に統合された方法で作業できるようにすることは、極めて重要な意味を持つ。

今後しばらくの間、半導体不足が混乱を引き起こすことは避けられないだろう。それゆえ、現在のプロセスで実現可能なステップに目を向けることが、企業に委ねられている。その取り組みは、この困難な時期を乗り切るのに役立つだけではなく、将来にわたって存続できる企業を確立することにもつながるはずだ。それは開発ライフサイクルの中核をなす人とプロセスから始まるものである。

編集部注:本稿の執筆者Asa Forsell(アサ・フォーセル)氏は、The Qt Companyのオートモーティブ担当シニアプロダクトマネージャー。

画像クレジット:Mykyta Dolmatov / Getty Images

原文へ

(文:Asa Forsell、翻訳:Dragonfly)

【コラム】開発者と設計者が企業の半導体不足解消のためにできること

米半導体メーカーMarvell Technology(マーベル・テクノロジー)のCEOであるMatt Murphy(マット・マーフィー)氏は2021年10月、半導体不足は2022年さらにはそれ以降にも及ぶだろうとの見解を示した。供給不足はすでに世界中で甚大な影響をもたらしており、ドイツの自動車メーカーOpel(オペル)は一部ラインの稼動を2022年初めまで停止すると発表している。

Society of Motor Manufacturers and Traders(英国自動車製造販売協会)が最近発表したところによると、2021年9月の英国の新車登録台数は1998年以降で最低を記録した。世界的に自動車メーカーは半導体不足に苦しんでおり、需要を満たすだけの車を製造・販売できていない。

しその余波はさらに広がっている。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて需要が急増したコンシューマーエレクトロニクスも半導体不足の影響を受け始めており、調査結果からは、スマートフォンの生産に当初の予想以上の打撃が生じる可能性が示唆されている。Microsoft(マイクロソフト)のゲーミング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏は、Xbox(エックスボックス)とPlayStation(プレイステーション)のゲームコンソールは2022年も供給不足が続くだろうとの見通しを表明した。

このことは、当社The Qt Company(ザ・キュート・カンパニー)がForrester(フォレスター)と最近行った、世界の製造業が直面している課題に関する調査でさらに実証された。驚くべきことに、私たちが話をした組織の80%が現在、デジタルプロダクトやサービスの産出に苦慮しており、62%がその原因として半導体供給の遅れを挙げている。

迅速な解決策はない

2020年を通じて、デジタルプロダクトとサービスに対する需要は前例のないペースで増加し、この需要はまだ揺らいでいない。2021年上半期に実施した本調査では、さらに82%の組織が、市場での地位を維持または成長させるためには新しいスマートプロダクトやコネクテッドプロダクト、サービスを迅速に導入する必要があると回答した。10組織のうち8組織近く(79%)にとって、これはソフトウェアの研究開発ライフサイクルの加速に意識を向けることを意味している。

スピードは依然として企業の最重要事項であり、半導体の供給やソフトウェア開発サイクルの遅れは深刻な問題を引き起こしている。多くの場合、このような遅延は数カ月間続く。そして、ファームウェアの課題にしっかりと向き合うことは、開発者スキルの不足という絶えず存在する懸念とも関係していることを忘れてはならない。

人材不足や半導体不足をすぐに解決することはできないが、企業が即座に有益なインパクトを生み出せる変革は存在する。そしてその中心には、半導体や組み込みデバイスに依拠するプロダクトやサービスを創造し、送り出す設計者と開発者が位置している。

開発プロセスへの挑戦

企業は危機に陥らないために、迅速かつ効果的な改善を行うための働き方に今すぐ目を向けなければならない。プロダクトのライフサイクルを見ると、ほとんどの企業は設計と開発に対して非常にサイロ化されたアプローチをとっている。そうした状況は、プロジェクトの着手時からのインタラクションの方法(あるいは多くの場合なされていない)に関してだけではなく、チームが使用するソフトウェアやツールを検討する際にも当てはまる。

これは、迅速で効率的なモバイルアプリ開発における中核的な課題の1つである、過度に複雑な開発者 / 設計フィードバックループに直接つながっている。デジタルプロダクトの制作を任されている開発者と、ユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェイスのような要素をより考慮している設計者との間には、しばしば断絶がある。

連携して作業を行うべきときに、両者は異なるサイロで活動している。開発者と設計者のコラボレーションを有効にすることは、このプロセスを促進し、チップ不足により失われた部分を補うために極めて重要である。

プロセスの一元化

開発と設計のツールとプラクティスを一元化することで、設計イテレーションを、中断ではなく開発プロセスへの貢献に転換することができる。骨の折れるフィードバックループのサイクルを断ち切り、ブランドはより早くプロダクトを市場に投入できるようになる。

DevOpsによるソフトウェア開発と同じような考え方で、設計と開発を「DevDes」として統合することは、サイロ化を解消し、ワークロードを軽減し、デリバリーをシンプルにすることを意味する。

クロスプラットフォームのフレームワークとツールは、これらの市場の課題の影響を緩和するために不可欠である。デジタルプロダクトの意思決定者は、柔軟性を維持し、調達可能なものを調達できる限り利用する必要があるだろう。例えば、多種多様なシリコンをサポートする柔軟なソフトウェアツールやプラットフォームに投資することで、サプライチェーンの不足による負荷を低減できる。

しかし、利点はそれだけではない。半導体不足を超えて考えると、プロダクトチームは多くの場合、複数のデバイスで使用可能でありながら、なおかつシームレスでネイティブなエクスペリエンスをエンドユーザーに提供できるプロダクトを、迅速に開発して展開することが求められる。繰り返しになるが、サイロを取り除き、DevDesアプローチをクロスプラットフォームフレームワークで採用することで、チームがネイティブ環境で作業できるようになり、プロセスの迅速化が可能になる。

将来にわたって機能するプロセス

私たちすべてがパンデミックの視点を離れ、より持続可能な未来を見据えつつあることに喜びを感じる一方で、過去20カ月間に得た教訓を決して忘れることはできないし、忘れてはならないと思う。

これほど急激に需要が高まることはないと思うが、再びピークを迎える可能性は高い。そして、消費者と企業の両方から期待されている、より良い品質のプロダクトの迅速な提供と、増え続けるデバイス間でのシームレスなエクスペリエンスは、今後も確実に続いていくトレンドである。

開発者のバーンアウトは広く語られており、必要なサポートを受けずにより多くのものをより速く提供するというプレッシャーは、持続可能なものではない。開発者スキルの不足に対応するために、より多くの開発者を育成していく上で、開発者がプロダクトチームの他の部分と真に統合された方法で作業できるようにすることは、極めて重要な意味を持つ。

今後しばらくの間、半導体不足が混乱を引き起こすことは避けられないだろう。それゆえ、現在のプロセスで実現可能なステップに目を向けることが、企業に委ねられている。その取り組みは、この困難な時期を乗り切るのに役立つだけではなく、将来にわたって存続できる企業を確立することにもつながるはずだ。それは開発ライフサイクルの中核をなす人とプロセスから始まるものである。

編集部注:本稿の執筆者Asa Forsell(アサ・フォーセル)氏は、The Qt Companyのオートモーティブ担当シニアプロダクトマネージャー。

画像クレジット:Mykyta Dolmatov / Getty Images

原文へ

(文:Asa Forsell、翻訳:Dragonfly)

サムスンが約2兆円でテキサス州テイラーに先端半導体工場建設を発表

Samsung Electronics(サムスン電子)は米国時間11月23日、先端ロジックデバイスを生産する半導体ウェハー製造工場をテキサス州テイラーに新設することを決定した、と発表した。

推定170億ドル(約1兆9580億円)の今回の投資は同社にとって米国における最大の投資となり、新工場がフル稼働すれば約2000人の新規直接雇用と数千人の関連雇用が創出される見込みだ。今回の投資により、Samsungが1978年に米国で事業を開始して以来、米国での投資総額は470億ドル(約5兆4140億円)超となる。

テイラー工場は、オースティンに現在あるSamsungの製造拠点から約16マイル(約25キロ)のところにあり、韓国・平沢の最新の新生産ラインとともに、Samsungのグローバルな半導体製造能力の重要な拠点になると期待されている。

テイラー新工場では、モバイル、5G、高パフォーマンス・コンピューティング(HPC)、人工知能(AI)などの高度なプロセス技術に基づく製品を製造する。

今回のSamsungの決定は、世界的な半導体不足が自動車や電子機器といった産業を弱らせているの中でのものだ。

同社は、先端半導体製造をよりアクセスしやすいものにし、急増する半導体製品需要に応えることで、世界中の顧客をサポートすることに引き続き注力すると述べた。

同社は、500万平方メートルを超えるテイラー工場の建設を2022年の第1四半期に開始し、2024年下半期の生産開始を目指す。

Samsung Electronicsのデバイスソリューション部門の副会長兼CEOであるKinam Kim(キナム・キム)氏は「テイラーに新しい施設を設けることで、Samsungは自社の未来における新たな重要な章のための基礎を築いています」と述べた。「製造能力の向上により、顧客のニーズにより良く応えることができ、世界の半導体サプライチェーンの安定に貢献することができます。当社はまた、米国で半導体製造を開始してから25周年を迎えるにあたり、より多くの雇用をもたらし、地域社会のトレーニングや人材育成を支援できることを誇りに思っています」。

製造工場の候補地として米国内の複数の場所を検討した結果、地元の半導体エコシステム、インフラの安定性、地元政府の支援、地域開発の機会など、複数の要素を考慮してテイラーへの投資を決定した。

報道によれば、アリゾナ州、ニューヨーク州、韓国などを候補地として検討したSamsungは、税制面で有利であることを理由にテキサス州ウィリアムソン郡を選んだ。7月にテキサス州当局に提出された書類によると、Samsungはテキサス州テイラーに半導体工場を建設するために(テイラー独立学校区からの)減税措置を申請した。

「Samsungは財政およびその他のインセンティブ(例:インフラやユーティリティーの支援)を通じてプロジェクトをサポートする強力な公的パートナーを求めています。このプロジェクトに関連して、Samsungはテキサス州企業基金からチャプター380およびチャプター381の支援に基づくリベートを求めています。加えて、提案されているプロジェクトの建設と運営を支援するために、特定のインフラやユーティリティーの改善、料金の引き下げ、その他の非現金給付に関連するインセンティブも追求しています」と文書にはある。

Samsungはまた、テイラー独立学校区(ISD)に、学生が将来のキャリア・スキルを身につけるためのサムスン・スキルズ・センターを設立し、インターンシップや採用の機会を提供するための資金援助を行う。

テキサス州のWayne Abbott(ウェイン・アボット)知事は「Samsungのような企業がテキサスへの投資を続けるのは、テキサスの世界クラスのビジネス環境と卓越した労働力のためです。Samsungがテイラーに新設する半導体製造施設は、勤勉なテキサス州中央部の人々とその家族に無数の機会をもたらし、半導体産業におけるテキサス州の継続的な卓越性に大きな役割を果たすでしょう」と述べた。

「テキサス州のパートナーに加えて、最先端の半導体製造を米国で拡大しようとしているSamsungのような企業を支援する環境を整えてくれたバイデン政権に感謝しています」とキム氏は述べた。「我々はまた、米国内の半導体生産とイノベーションに対する連邦政府のインセンティブを迅速に制定するために超党派でサポートした政権と議会にも感謝しています」とも語った。

世界最大の半導体メーカーの1社であるSamsungは8月に、グローバルプレゼンスを強化すべく、今後3年間で半導体、バイオ、IT、次世代通信ネットワークなどの分野に2050億ドル(約23兆6000億円)超の投資を行う計画を明らかにした。

先週、北米を訪れたSamsung Groupの事実上のリーダーであるJay Y. Lee(ジェイ・Y・リー)氏はワシントンD.C.で米政府関係者と面会し、第2の半導体工場と半導体のサプライチェーンについて協議した。リー氏はまた、ビジネス上の結びつきを強化するため、Microsoft(マイクロソフト)CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏、Moderna(モデルナ)やVerizon Wireless(ベライゾン・ワイヤレス)の幹部などハイテク企業のリーダーたちとも会談した。

Intel(インテル)は最近、アリゾナ州で2つの新しい半導体製造工場の建設に着手した。同時に、TSMCは120億ドル(約1兆3810億円)を投じるチップ工場の建設をアリゾナ州で開始し、10月には日本初の半導体工場の建設計画を発表した。また、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)は、テキサス州シャーマンに新たに4つの半導体製造工場を建設する投資計画を発表した。

画像クレジット:JUNG YEON-JE/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

英政府が国家安全保障と競争に関する懸念でNVIDIAのArm買収に対するより詳細な調査を開始

チップメーカーのNVIDIA(エヌビディア)が英国のチップ設計会社Arm(アーム)を400億ドル(約4兆5820億円)で買収する計画について、英政府は競争市場庁(CMA)に詳細な調査を行うよう指示し、英国の競争規制当局による綿密な調査が行われることになった。

英デジタル長官Nadie Dorries(ナディン・ドリーズ)氏は、競争および国家安全保障上の懸念を理由に、第2段階の調査を実施するようCMAに書面で指示したことを現地時間11月16日に発表した。

英政府は8月にCMAの予備調査の詳細を発表していた。調査では、この買収がデータセンター、IoT(モノのインターネット)、自動車分野、ゲームアプリケーションの市場における「実質的な競争の低下」につながる可能性があるとして、買収にともなう多くの競争上の懸念を指摘していた。

11月16日に公開されたCMAの第1段階報告書は、競争上の理由からより詳細な調査を推奨しているが、国家安全保障上の問題については判断を下していない。

2021年4月、英政府は国家安全保障上の理由で介入通知を出し、CMAに対してより詳細な調査が必要かどうかを判断するために、この取引の影響に関する報告書を作成するよう求めた。

ドリース氏は11月16日、国家安全保障上の利益は依然として「関連性がある」とし「さらなる調査の対象とすべきである」と述べた。

2002年に制定された企業法に基づき、デジタル長官は、国家安全保障上の問題を含むいくつかの公益上の考慮事項に基づいて、合併に介入するための準司法的な決定を下すことができる法的権限を有している。

ドリース氏は声明の中で次のように述べている。「NVIDIAが提案しているArmの買収に関する競争市場庁の『フェーズ1』報告書を慎重に検討し、さらに詳細な『フェーズ2』調査を行うよう要請することにしました。Armは、世界のテクノロジー・サプライチェーンの中で特異な地位にあり、この取引の影響を十分に考慮しなければなりません。CMAは今後、競争および国家安全保障上の観点から私に報告し、次のステップに関するアドバイスを提供します」。

「繁栄するテック部門に対する政府のコミットメントは揺るぎないものであり、外国からの投資を歓迎しますが、今回の取引の影響を十分に検討することは正しいことです」とドリース氏は付け加えた。

第2段階の調査への言及についてNVIDIAにコメントを求めている。

CMAは第2段階の調査を行い、その結果を政府に報告するまでに24週間(8週間の延長の可能性あり)を与えられる。つまり、少なくとも、NVIDIAによるARM買収は、取引の承認を得るまでにさらに数カ月の遅延が生じることになる。

デジタル長官は、国家安全保障上および(または)競争上の理由から、買収に関連して「不利な公益認定」を行うかどうかの決定を下すことになる。

国家安全保障の問題に関する最終的な判断は、英国の国務長官が行う。国務長官は、CMAの最終報告書を受け取ってから30日以内に判断を下す。

ドリース氏は、公共の利益に反する介入理由がないと判断した場合、CMAに案件を差し戻すが、CMAは競争上の理由で反対の助言をする可能性があり、また(あるいは)懸念を解消するために案件に条件を課すことができる。

つまり、国家安全保障上の理由と競争上の理由の両方、あるいはどちらか一方の理由で買収が阻止される可能性があり、承認にはかなりの障壁がある。

しかし、最終的に両方の懸念が解消され承認される可能性もある(CMAの第1段階の調査で重大な懸念が示されたため、競争面で懸念がなくなる可能性は低いと思われる)。

また、救済措置(特定の懸念に対処するための条件や制限)付きで取引が承認される可能性もある。

高まる懸念

NVIDIAによるArm買収計画は、英国内ではすぐに反対の声が上がり、Armの共同設立者の1人は、NVIDIAに買収されないように「ARMを救う」キャンペーンを始めた

世界的なチップ不足により、半導体分野におけるサプライチェーンの安定性への懸念が強まっている(ただし、Armは自社でチップを製造するのではなく、IPの開発やライセンス供与を行っている)。EUは最近、半導体供給に関する地域主権の強化を目的とした半導体法を制定する計画を発表した

欧州連合(EU)も10月末に独自の詳細な調査を発表するなどNVIDIAとArmの取引を直接調査しており、NVIDIAがArmを買収するための新たな障害となっている。

欧州委員会は、CMAの第1段階の調査と同様の見解を示し、NVIDIAとArmの合併に関する予備的分析では、多くの競争上の懸念があると述べた。

「欧州委員会は、合併した企業が、NVIDIAのライバル企業によるArmの技術へのアクセスを制限する能力と動機を持つことになり、提案されている取引が価格の上昇や選択肢の減少につながることを懸念しています」とEUの幹部は先月述べた。「ArmとNVIDIAは直接競合していませんが、ArmのIPは、たとえばデータセンター、自動車、IoTなど、NVIDIAと競合する製品の重要なインプットとなっています」と、競争担当のMargrethe Vestager(マルグレーテ・べステアー)氏は声明で述べた。

「我々の分析によると、NVIDIAによるArmの買収は、ArmのIPへのアクセスを制限または低下させ、半導体が使用されている多くの市場に歪んだ影響を与える可能性があります。我々の調査は、欧州で活動する企業が、最先端の半導体製品を競争力のある価格で生産するために必要な技術への効果的なアクセスを継続できるようにすることを目的としています」。

EUは2022年3月15日までにこの買収を認めるかどうか判断する。

10月のロイター通信の報道によると、欧州委員会はEUの綿密な調査を回避しようとするNVIDIAが先に提示した譲歩案に揺るがなかったという。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

台湾TSMCとソニーセミコンダクタソリューションズが熊本半導体工場設立を正式発表、22/28nmプロセス採用

ソニーのボードコンピューター「Spresense」向けに税別9980円のIoT/エッジAI開発用「ELTRESアドオンIoT開発キット」が提供開始
TSMCとソニーセミコンダクタソリューションズが熊本半導体工場設立を正式発表、22/28nmプロセス採用

FILE PHOTO: A man sits in front of the logo of Taiwan Semiconductor Manufacturing Co Ltd (TSMC) during an investors’ conference in Taipei


半導体大手のTSMC(台湾セミコンダクター)が、熊本県への半導体工場新設を正式発表しました。

発表によると、TSMCは22〜28nmプロセスを皮切りとした半導体の製造受託サービスを提供する子会社「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing」(JASM)を設立し、熊本県に新工場を建設。このJASMにソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)が5億ドル(約570億円)を出資し、SSSが20%未満の株式を取得する少数株主となります。

同工場の建設開始は2022年を予定し、2024年末までの生産開始を目指します。約1500人の先端技術に通じた人材の雇用を創出し、月間生産能力は4万5000枚(300mmウェーハ)を見込んでいます。

当初の設備投資額は約70億ドル(約8000億円)となる見込みで、日本政府から強力な支援を受ける前提で検討しているとのこと。

(Source:TSMCソニーセミコンダクタソリューションズEngadget日本版より転載)

米商務省への半導体データ提供、韓国サムスン・SKが11月8日の期限までに提出

韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)SK Hynix(SKハイニックス)が、一部の半導体データを米国政府に開示すると、韓国企画財政部(財務省に相当)が発表した。

企画財政部が米国時間7日に発表した声明によると、韓国に拠点を置くチップメーカー各社は、内部データを米国に引き渡す「任意提出」を準備しているという。

しかしロイターの報道によると、SamsungとSK Hynixは、ワシントンにデータを提出するにあたり、企業秘密を守るために機密情報は提供しないとのこと。地元メディアも、世界の2大メモリーチップメーカーである両社は米当局に「部分的に従う」と報じている

米商務省は9月23日、世界の半導体メーカーおよび自動車メーカーに対し、チップの在庫、販売、注文、顧客情報などのサプライチェーンに関するアンケート調査を「任意で」実施した。提出期限は11月8日だ。

Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)商務長官は、9月にロイターとのインタビューでこう述べていた。「我々は、彼らがデータを提供することを要求する他のツールを持っています。そのようなことにならないことを願っています」。しかし、企業が自主的な要請に応じなかった場合、「必要であれば、要求します」とも。

ライモンド氏は、自主的な情報提供の目的は、世界的な半導体不足の中で、グローバルサプライチェーンのボトルネックを特定し、課題を予測するための透明性を高めることにあると述べている。

世界的なチップ不足は、自動車、コンピューター、携帯電話、家電などの複数の分野に被害を及ぼしている。4月には、チップ不足の解決策を議論するために、グローバルなハイテク企業や自動車メーカーの幹部がホワイトハウスで会議を行った。

匿名の業界情報筋によると、半導体メーカーにとっては、この要求に従う以外の選択肢はないようだ。

経済財務省の声明によれば、韓国のチップメーカー各社は、データ提出問題について韓国政府と協議したという。

韓国企画財政部は、同国政府は米国との半導体サプライチェーンのパートナーシップを強化し、11月8日の期限後も米国側との緊密なコミュニケーションを継続するとしている。

10月には、世界最大の半導体製造ファウンドリであるTaiwan Semiconductor Manufacturing(台湾積体電路製造、TSMC)が、顧客の詳細情報を含まない回答をすでに米国に提出したと発表した。

SamsungとSK Hynixにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

画像クレジット:Torsak Thammachote / Shutterstock

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

Tencentのチップ開発進出はまったく驚くべきことではない

Tencentは今週初めて、チップ開発の進捗を公開し、その結果、同社の株価はわずかながら上昇している。ゲームやソーシャルネットワークで稼ぐ大企業であるTencentの主要分野からシリコンは遠い存在のように思えるが、観測筋によると、Tencentのこの動きは、半導体を自主開発するという中国の長期的目標に同社も一枚噛んでいることを示すものだ。しかもちょうど現在、ゲーム部門は規制当局から一連の攻撃を受けている。AlibabaやBaidu、Huaweiなどのテクノロジー大手も北京のシリコン推進に自社製チップで応えている。

その一方で、Tencentのようにデータの処理量が極めて多い企業は、もっと早く半導体の自社生産に取り組んでいてもおかしくなかった。

米国時間11月5日にTencentが発表した3つのチップはすべて自社製で、1つはAIの推論用、1つはビデオのコード変換用、そしてもう1つはネットワークインターフェース用だ。

巨大インターネット企業が自らの事業を強化するために専用のハードウェアを開発し始める例は、数え切れないほどある。2018年に、FacebookはAIチップの設計者を雇って、その途方もない量のユーザーデータを処理し、偽情報の問題を解決しようとしていた。

Tencentも、稼ぎ頭のアプリであるWeChatメッセンジャーの毎月のユーザー数は10億を超えており、処理すべきデジタルの足跡は大量だ。

しかしWeChatの管理者であるAllen Zhang(アレン・チャン)氏は、個人データを企業の私的目標に資することに消極的なことで有名だ。これまで、WeChatのユーザーフィードはただ時間順に並んでいるだけで、たまに自社広告が出るぐらいのものだ。

2020年のWeChatの年次大会でチャン氏は「ユーザーのチャットの履歴を分析すれば、巨額の広告収入が得られるだろう。しかし私たちはそれを行わず、WeChatはユーザーのプライバシーを非常に重視している」と述べている。彼が望んでいるのはWeChatが便利な使い捨てのツールであることであり、ユーザーの時間をアルゴリズムが生成する中毒性のあるリコメンデーション漬けにすることではない。

しかしチャン氏は、譲歩したようにも見える。最近のWeChatには、TikTokの最小限の機能を搭載したような短編動画もある。TikTokと同じくWeChatのビデオ機能も、ユーザーの好みを予測してコンテンツを提供している。

Tencentには、機械学習の高性能化が有利に働き、収益が増えそうな事業もたくさんある。たとえばニュースアグリゲーターのTencent Newsや、Netflixに似たTencent Videoなどだ。中国は検閲が厳しいため、コンテンツプロバイダーは、引っかかりそうなテキストやオーディオやビデオを事前に排除するためにより強力なコンピューターの力を必要としているだろう。

Tencentの上級副社長であるDowson Tong(ダウソン・トン)氏によると、同社のAI推論チップは主に、画像と動画の処理、自然言語処理、検索などに使われる。動画のコード変換用チップは、その名のとおりの仕事をしてTencentの膨大な量の動画処理に滑らかさと低レイテンシーを確保する。そしてスマートネットワークのインターフェースカード(SmartNIC)は、CPUサーバーのオフロードに利用される。

Tencentは、チップの開発だけに取り組んでいるのではない。トン氏によると、同社は今後、国内と海外のチップ企業が「深い戦略的なコラボレーション」を維持できるようなエコシステムを作っていく。たとえばTencentは4回の投資ラウンドで上海のEnflameを支援したが、同社はAIの訓練用チップを開発しており、Tencentもすでにそれを自らの事業に利用している

画像クレジット: Visual China Group / Getty Images

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

第3四半期のクラウドインフラ市場は年20兆円規模に、チップ不足でも減速せず

Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のクラウドインフラベンダーのビッグ3が決算を発表した。お察しのとおり、業績は好調で、成長する市場は全世界で450億ドル(約5兆1300億円)を突破した。年換算で1800億ドル(約20兆5200億円)と、気が遠くなるような金額だ。過去12カ月の売上高は1640億ドル(約18兆6960億円)に達した。Synergy Researchによれば、当四半期の売上高は全体で37%増加した。

問題は、これらのベンダーが、スマートフォンからコンピュータまで、テクノロジーのサプライチェーン全体に影響を及ぼしているチップ不足に先手を打てるかどうかだ。

まずは、今期の市場シェアの70%を占めるトップ3のベンダーから見てみよう。Amazonは今回も市場をリードした。シェアは33%とここ数年安定しており、売上高成長率は39%と前四半期比では2%増加、前年同期比では10%増加し、目覚ましい成長を遂げた。

Amazonの売上高は161億ドル(約1兆8354億円)で、前年同期の116億ドル(約1兆3224億円)から増加した。少し計算してみれば、この数字が450億ドル(約5兆1300億円)の3分の1ではないことはわかるだろう。Synergy Researchは、インフラ、プラットフォームサービス、ホステッドプライベートクラウドの金額を集計しており、コンサルティングやハードウェアなど、純粋にクラウドインフラのカテゴリに属さない売上高を除いているためだ。

Microsoftがクラウドインフラ市場全体の把握をさらに難しくする。Synergy Researchのデータに基づいて計算すると、Azureインフラからの売上高は90億ドル(約1兆260億円)となり、前四半期の84億ドル(約9576億円)から増加した。同社によると、Azureおよびその他のクラウドサービスは50%成長した。前四半期の51%成長からわずかに減速した。前年同期比では2%増加した。

最後にGoogleだが、シェアは10%と安定しており、売上高は45億ドル(約5130億円)で前四半期の42億ドル(約4788億円)、前年同期の29億ドル(約3306億円)のいずれからも増加となった。Googleはクラウドインフラ市場で着実な進歩を続けている。

Canalysは、全体の売上高を494億ドル(約5兆6316億円)とさらに大きく見積もっており、年換算で2000億ドル(約22兆4000億円)近くになるとしている。成長率は少し低い35%を見込む。また、ビッグ3の市場シェアも若干異なり、Amazonが32%、Microsoftが21%、Googleが8%と見積もる。

どの数字を使うにせよ、いまだ高成長を続ける重要な市場だが、チップ不足により来年の成長が鈍化する可能性があるとCanalysは警告する。「全体的なコンピュート需要はチップ製造能力を上回っており、クラウドサービスプロバイダーによるインフラの拡張は制限される可能性があります」とCanalysのBlake Murray(ブレイク・マレー)氏は声明で述べた。

サプライチェーンの制約は、企業自身やアナリストらが決算説明会で気にしていたことでもある。MicrosoftのCFOであるAmy Hood(アミー・フッド)氏は、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)のアナリストであるKash Rangan(カッシュ・ランガン)氏から、サプライチェーンの問題がデータセンターの拡張に与える影響について具体的に質問され、次のように答えた

「第二に、サプライチェーンの影響、特にデータセンターに関する良い質問をいただきました。今期の支出を踏まえると、次へのガイダンスも似たようなものになると思います。カッシュ氏がいうことの多くは、リードタイムの長いものであると考えています。私たちは、観測したキャパシティのシグナルを満たすために必要なリードタイムをよく理解しています。複数のサプライヤーを利用することは、こうした状況に対応するために重要です。チームは非常に良い仕事をしたと感じています」とフッド氏は決算説明で語った。

Synergy ResearchのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、これらの大手ベンダーが、チップ市場全体を覆う問題を横目に、その影響力により必要なものを入手できる可能性が高いと述べた。「これらの企業は、サプライチェーンの管理に長けており、巨大な顧客でもあるため、サプライヤーから優遇措置を受けられると考えるのが妥当だと思います」と同氏は話した。

「また、彼らが調整できる点がいくつかあります。建設とリースの意思決定、サーバーの寿命の若干の延長、ワークロードの異なる地域への切り替えなどです。今では、巨大で地理的に分散したデータセンターネットワークを持っているため、必要なものを手に入れる余裕が多くあります」と同氏は語る。

チップ市場の動向を注視しているMoor Insights and Strategiesの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏も、コストが上昇したとしてもハイパースケーラーはおそらく供給を受けることになると話す。

「今はまだその段階ではないと思います。不足がさらにひどくなればそうなるでしょうが、近々そうなるとは考えていません。チップメーカーは利益率の高いデータセンターを優先するため、コンシューマー向けのPCやスマートフォンよりも優先されるのです」とムーアヘッド氏は話した。

供給の問題がデータセンターの成長に短期的な影響を与えたとしても、長期的にはこの市場を減速させることはないようだ。企業はより多くのワークロードをクラウドに移行しようと準備しているため、成長は確実と思われるが、サプライチェーンの影響の有無については次の四半期にわかるだろう。

画像クレジット:Chris Clor / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Boschが528億円を追加投資し半導体製造能力を増強、ドイツとマレーシアの3工場を拡張

ドイツのテクノロジー&パーツサプライヤーであるRobert Bosch GmbH(ロバート・ボッシュGmbH)は、自動車や家電製品、パソコン、電動工具などあらゆる製品の生産に大打撃を与えている半導体不足に対応するため、チップ製造設備の拡張にさらに4億ユーロ(528億円)を投資する。

2022年を目標に、ドイツのドレスデンとロイトリンゲンにあるウェハー製造工場と、マレーシアのペナンにある半導体部品製造工場の拡張を行う。ドレスデン工場は、同社史上最大の投資となる10億ユーロ(1320億円)を投じて6月に開設された。同工場では、より大きなサイズの300ミリウエハーを製造しており、1枚のウエハーに搭載されるチップの数も多い。

ロイトリンゲンでは1970年から半導体部品を製造しており、2022年と2023年に約5000万ユーロ(約66億円)の投資が予定されている。ロイトリンゲンでは「クリーンルーム」を4000平方メートル以上拡大し、合計1万4500平方メートルになる見込みだ。クリーンルームはシリコンウエハーが半導体チップになる特別設計のところだ。Boschによると、この拡張で150人の新規雇用を創出する。

ペナンでは、Boschは新しい半導体テストセンターを建設し、2023年に操業を開始する予定だ。このテストセンターの広さは当初約1万4000平方メートルとなる。しかし、同社はペナンに10万平方メートル以上の敷地を持っており、最終的にはそのすべてを開発する予定だ。

今回の巨額の投資は、半導体の供給不足が長期化し、自動車メーカーの経営陣や業界アナリストが2022年まで続くと予測している中でのものだ。Ford Motor Company(フォード・モーター)とGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)の幹部は、今週行われたそれぞれの第3四半期決算説明会で、半導体不足は2022年、場合によっては2023年まで続くとの見通しを示した。

自動車メーカーやその他の企業に製品を供給するだけでなく、電動工具などの製品に自社製のチップを使用しているBoschにとって、これは賢明な動きだ。また、2030年までにEUの半導体生産量を世界の供給量の5分の1に引き上げることで、域内のサプライチェーンの回復力を高めることを目指している欧州連合にとっても朗報となる。

画像クレジット:Bosch

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi)a

チップ不足の影響が出始めたスマートフォン売上は6%減

Canalysが米国時間10月15日に発表した新しいレポートによると、今四半期の世界のスマートフォン販売台数は6%減少した。世界的なチップ不足が原因だ。

パンデミックはサプライチェーン全体に深刻な悪影響を及ぼしており、特にチップが大きな打撃を受けている。Canalysの主席アナリストであるBen Stanton(ベン・スタントン)氏によると、メーカーはできる限りの対応をしようとしているが、チップ不足は今のところ正真正銘の障害となっている。

「供給面では、チップセットメーカーが需要と供給のギャップを埋めるために、過剰注文を抑制するために価格を引き上げています」とスタントン氏は述べている。「しかし、それにもかかわらず、2022年に入っても不足はまだまだ解消されないでしょう」とも。

こうしたサプライチェーンの問題の結果、この四半期の市場はどうなったのだろうか?上位の常連メンバーは同じポジションを保ち、Samsung(サムスン)は前年と変わらぬ23%と安定したシェアを維持している。一方、Apple(アップル)は3ポイント増の15%となった。Xiaomi(シャオミ、小米科技)は、前年同期比横ばいの14%で3位を維持している。

画像クレジット:Canalys

特に年末商戦に向けて、メーカーはこのような事態を憂慮しているに違いない。Appleは9月末に新型iPhone 13を発売しており、今回の四半期報告には間に合わなかったが、ホリデーショッピングシーズンに合わせて発売したことは間違いない。チップ不足の問題は、その計画に水を差す可能性がある。SamsungもAppleも、モバイル機器用のチップセットを自社で製造しているとはいえ、各社ともチップ部品不足の影響を受けている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくカメラ機能も向上、税込9万8800円から

その結果、製造コストが上昇し続けている2021年、消費者がコストダウンを実感することはないだろうとスタントン氏はいう。その代わりに、購入インセンティブとして、携帯電話と他の機器をセットにして販売するケースが増えるのではないかと予想している。

「ユーザー側は、2021年のスマートフォンの値引きはそれほど積極的ではないと覚悟しておくべきです。しかし顧客の失望を避けるために、利益率に制約のあるスマートフォンブランドは、ウェアラブルやIoTなどの他のデバイスをバンドルして顧客に良いインセンティブを与えることを検討するでしょう」。

CNBCは14日、家電製品や消費財を製造するHisense(ハイセンスグループ)のJia Shaoqian(賈少謙)社長によると、コンシューマーチップの不足はスタントン氏の予測よりもさらに長く、おそらく2~3年は続く可能性があると報じていた。

画像クレジット:Tim Robberts / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

現代自動車が独自の半導体チップ開発を計画、世界的不足対策で

Hyundai Motor(現代自動車)のグローバルCOOであるJosé Munoz(ホセ・ムニョス)氏によると、同社は半導体メーカーへの依存度を下げるため、独自の半導体チップ開発計画を発表する。

パンデミックの影響で自動車の販売台数が減少し、自動車メーカーは一時、受注を停止した。同時期に、電子機器メーカーは、ノートパソコンやゲーム機などの需要増に対応するために生産を拡大しており、チップを買い漁っていた。消費者が再び自動車購入に向かうと、自動車メーカーは世界的な半導体不足に見舞われ、Tesla(テスラ)とトヨタを除くほとんどのOEMメーカーが生産ラインを休止し、自動車販売の低迷を招いた。また、ほとんどの自動車メーカーが電気自動車への移行を積極的に計画しているため、チップの必要性がかつてないほど高まっている。現代自動車以外では、TeslaGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)が自社でチップを生産し、中間業者を排除する計画を発表した。

関連記事
テスラ第3四半期の販売台数は半導体不足にもかかわらず過去最多24万1300台
GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長
ロボット、チップ、完全自動運転、イーロン・マスク氏のTesla AI Dayハイライト5選

ロイター通信によると、現代自動車の前四半期の販売はそれほど苦戦しなかったものの、ムニョス氏は「最も厳しい月」は8月と9月だったという。同社は2021年、複数の工場で一時的な閉鎖に追い込まれたが、同氏は、Intel(インテル)が生産能力拡大に向けた大規模な投資を行ったため、チップ不足の最悪の事態を脱したと述べた。

だが、同氏は記者団に対し、現代自動車は再び半導体供給不足に直面することを望んでおらず、この分野で自給能力を高める必要があると述べた。同氏は、チップの自社開発には多大な時間と投資が必要であることを認めた上で、これは「我々が取り組んでいること」であり、おそらく現代自動車の部品関連会社であるHyundai Mobis(現代モービス)と共同で取り組むことになるだろうと述べた。

「供給を確保できるかどうかが、今後の業界再編・統合を生き抜き、成功するOEM企業の特徴になるかもしれません」とソフトウェア開発会社Real-Time Innovationsのコマーシャルマーケット担当シニア・マーケット・ディベロップメント・ディレクターであるBob Leigh(ボブ・リー)氏はTechCrunchの取材に対して述べた。「OEM企業が供給を確保できる企業を買収したり、そうした企業と提携する可能性は高くなりそうです。しかし、供給不足により、業界はより経済的に生産できる新しいチップ技術を採用するようになるでしょう。チップメーカーは、自動車メーカーが求めるような従来のチップを作りたがらないのです」。

リー氏はまた、多くの自動車メーカーがチップの自社開発へと進むだろうが、専門知識がないため実現可能とは限らず、規模も大きくならないと考えている。

ムニョス氏は、現代自動車が自社で半導体を生産しないとしても、2022年に米国で電気自動車を製造する予定は変わらず、アラバマ工場を強化して生産能力を高める計画もあると話す。Hyundai Motor North America(現代自動車ノースアメリカ)の社長でもある同氏は、米政府から提案を受けた4500ドル(約51万円)の電気自動車税額控除の優遇措置を、労働組合がある工場だけでなく、ない工場で生産された車にも適用するよう働きかけた。現代自動車の米国工場以外では、Rivian(リビアン)、Tesla、トヨタ自動車の工場が組合に加入していない。

画像クレジット:DIRK WAEM/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIチップメーカーのHailoが約155億円調達、エッジデバイスにおけるAIモジュールの機会を倍増させる

世界的に半導体が不足するなか、AIチップ業界のスタートアップが、その技術に対する需要の高まりに対応するため、大規模な資金調達を発表した。スマートシティ、小売環境、産業用機器、次世代自動車システムなど、AIワークロード用にカスタマイズされたエッジデバイス用チップを製造しているHailo(ハイロ)が、シリーズCラウンドで1億3600万ドル(約155億円)を調達した。同社に近い情報筋にTechCrunchが確認したところ、今回の投資はHailoのバリュエーションを約10億ドル(約1140億円)とみているという。

このラウンドはPoalim EquityとGil Agmonが共同でリードした。Hailoの会長であるZohar Zisapel(ゾハー・ジサペル)氏、ABB Technology Ventures(ATV)、Latitude Ventures、OurCrowdの他、新たにCarasso Motors、Comasco、Shlomo Group、Talcar Corporation、Automotive Equipment(AEV)社も出資した。Halioの累計調達額は約2億2400万ドル(約255億円)になった。

約1年半前の6000万ドル(約68億円)のシリーズBに続くラウンドだ。同社は約1年前、Intel(インテル)やNVIDIA(エヌビディア)に対抗するHailo 8チップを搭載した最新のAIモジュールを発表した。

関連記事
イスラエルのAIチップメーカーHailoがNECなどから約64億円調達
テルアビブ拠点のHailoがエッジデバイス用新AIモジュールでインテルやグーグルに挑戦

共同創業者でCEOのOrr Danon(オア・ダノン)氏はインタビューで、最近、市場での関心が非常に高まっており、前四半期だけで、Hailoが取り組むプロジェクトの数が100件に倍増したと話した。今回のラウンドを受け、需要増加に応えて規模を拡大すると同時に、プロセッサーの用途にあわせたカスタマイズを継続する。

「現在、Hailo 8を市場に投入していますが、その効率の良さに人々は非常に喜んでいます」と同氏はいう。同社のエッジチップの独自性は、既存のリソースに適応してカスタムニューラルネットワークを動作させるよう設計されている点にある。そのため、同様のタスクを実行するためにデータセンターのコンピューターで必要とされる同等の処理能力より高速であるだけでなく、より少ないエネルギーで動作する。「私たちはこのサービスを拡大していきたいと考えています。そのために、ソフトウェアにも投資しています」と話す。

今回の資金調達は、2021年のチップ業界の複雑な状況の中で実施された。

パンデミックの影響で、一部の分野では旺盛な需要があったものの(例えば、コンシューマー環境では、活動が制限されている時期にユーザーはより良いデバイスへの乗り換えを始めた)、他の分野では活動が大幅に低下し(例えば自動運転車などの野心的なプロジェクト)、全体的に生産が大幅に減速した。

Hailoのようなエッジデバイスを扱う企業にとっては、より効率的でコスト効率の高いシステムをアピールするチャンスだ。ユーザー自身のニューラルネットワークや、TensorFlowおよびONNXなどの人気のある開発フレームワークと統合できることも後押しする。

ダノン氏によると、Hailoは自動車などの一部の分野で需要が軟化しているが、同社のビジネスの幅広さにより、全体的な需要は引き続き増加している。自動車分野は、一時期盛り上がり、その結果としてしばらく落ち込んでいたが、復調しつつある。

例えば、完全自動運転車を対象とするプロジェクトの数は減ったかもしれないが、半自動運転システムに取り組むプロジェクトはまだ数多くあり、それがHailoのビジネスにつながっていると同氏は話す。

「企業は今、現実的な展開を模索し始めており、現実的な課題に直面しています」と同氏はいう。「自動運転車に自動車専用の高速道路を走らせる必要はないかもしれませんが、それでも新しいタスクを学ぶ必要はあります」。

また、産業界や小売業界(エッジデバイスが、セキュリティシステム・自動レジ向けのコンピュータビジョンアプリケーションや、分析に使用されている)、さらには交通機関が今後もビジネスの主要な原動力となるスマートシティなどからも強い関心が寄せられているという。

投資家が同社に投資するのは、現在のビジネスのためだけでなく、今後のチャンスのためでもある。

「今後数年間で、AIは新たなビジネス価値を生み出し、これまでのユーザーエクスペリエンスを再構築する決定的な機能となるでしょう。AIベースの機能を市場に投入する能力は、企業の成功と失敗の分ける決定的要因となることが増えていきます」と語るのはMooly Eden(モーリー・イーデン)氏だ。同氏は、Intelに40年近く勤務し、直近ではイスラエル事業の社長を務めた後に退社した。現在はHailoの取締役を務める。「Hailoの革新的で超効率的なプロセッサー・アーキテクチャーは、従来のコンピューティング・ソリューションに挑戦し、新しいタイプのワークロードを処理する新しい種類のチップに対する需要増加に対応します」。

画像クレジット:Hailo

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウド化の進展が要求する接続の高性能化に応えるファブレスチップAstera Labsが約55.6億円調達

クラウドへ移行する企業が増えるとともに、アプリケーションの数も気楽に増やせるようになり、その結果、ワークロードとストレージのニーズが複雑化している。現在では、機械学習をはじめとする人工知能のアプリケーションが、複雑性をさらに増えている。そこで、その移行を高速化し効率化する技術を開発する企業が新たな資金調達ラウンドを発表し、進化する企業のニーズを支えようとしている。広帯域アプリケーションにつきもののボトルネックを取り除き、企業のデータのためのリソースの割当を改善するファブレス半導体メーカーAstera Labsが、5000万ドル(約55億6000万円)を調達した。

同社によると、このシリーズCでは、同社の投資後評価額が9億5000万ドル(約1056億3000万円)だったという。

Fidelity Management & Researchがこのラウンドをリードし、新たな投資家としてAtreides ManagementとValor Equity Partnersが参加した。以前からの投資家であるAvigdor Willenz GroupとGlobalLink1 Capital、Intel Capital、Sutter Hill Ventures、およびVentureTech Allianceも参加している。

2020年に最初の投資をしたIntelにとっては、それは戦略的投資であり、資金を投資するだけでなく、同社はAsteraの重要な顧客でもある。AsteraのチーフビジネスオフィサーSanjay Gajendra(サンジェイ・ガジェンドラ)氏によると、チップ業界の超大手企業が同社とコラボレーションするのはPCI ExpressとCXL(Compute Express Link)の技術および製品の開発のためであり、それにより「次世代のサーバーとストレージインフラストラクチャの、帯域と性能とリソースの可利用性を上げようとしている」。

関連記事:インテルが今年出資したスタートアップ11社紹介、年内に500億円超の出資を予定

特にAIのユースケースがIntelの次世代の成長戦略の中核にあるため、これらの目標はIntelのプロセッサーをベースとするAIシステムを構築するために不可欠だとガジェンドラ氏はいう。さらに氏によると、Intelの複数の参照設計と商用プラットフォームにはAsteraのリタイマーであるAries Smart Retimers for PCIeが組み込まれている。その他、TSMCやWistron、Samsung Electronics、Western Digitalなども同社の顧客だ。

これまでサンタクララに拠を置くAsteraは、3年間で調達した資金がわずか3500万ドル(約38億9000万円)で、それ自身同社の優秀な事業効率を物語ると同時に、収益も堅調であることを示している。

Astera LabsのCEOであるJitendra Mohan(ジテンドラ・モハン)氏は、今回の資金調達に関する声明で次のように述べている。「Fidelity、Atreides、およびValorと力を合わせて、インテリジェントなクラウドコネクティビティソリューションにおける当社のリーダーシップを確固たるものにして、Astera Labsを次の成長フェーズへ向けて誘うことには心踊るものがあります。今回の投資と、製造パートナーとのコラボレーションにより、弊社はその世界的なオペレーションを急速にスケールして、すばらしい顧客たちの要求を満たし、複数の新製品系統をローンチして、当業界のもっとも喫緊たるコネクティビティの課題を解決していけるでしょう」。

この最新の資金調達ラウンドは、より具体的にいうと、同社がパンデミックの最中でも比較的堅調を維持し、企業がクラウドへの移行を急ぐ中で行われた。

ガジェンドラ氏はTechCrunch宛のメールで次のように述べている。「自宅で仕事や勉強をするためクラウド上のSaaSアプリケーションに依存する人びとが徐々に増えているため、スケーラブルなハードウェアの展開が加速しています」。彼によると、そのソリューションは同じインフラストラクチャ上で、最大で従来の倍の帯域を提供している。「これにより私たちの、世界最大のクラウド事業者たちからの購買需要も推定25%から30%増加しています」。

Asteraはファブレスであり技術のスケールアップも比較的速く、帯域増を求める競争の中で、しかも限られた費用とリソースによりその需要に応ずることが比較的容易だ。しかしシステムの効率を改善するソリューションを構築している既存勢力の企業に対しても、市場と投資家の注目が増している。しかもこの問題は、エンタープライズITのさまざまな局面へと延伸している。たとえばFireboltは、ビッグデータ分析が必要とする帯域のニーズを抑える、アーキテクチャとアルゴリズムを構築している。

Avigdor Willenz(アビグドール・ウィレンズ)氏は、Astera Labsの創立投資家であるだけでなく、他にも有力なスタートアップを支援している。それらは後にAmazonが買収したAnnapurna Labsやインテルが買収したHabana Labsなどになる。そのウィレンズ氏は声明で「多様で混交的なコンピューティングと構成可能な非集積型インフラストラクチャという重要なニーズに対応する、複数の革新的なプロダクトのポートフォリオを開発するという、強大な仕事をAstera Labsは成し遂げました」という。現在のところ、Astera Labsは上場が目されているだけでなく、すでにその路線に乗っているともいえる。ただし、今後の大手たちの競争如何では、別の結果になるかもしれない。ウィレンズ氏は続けて「Astera Labsが作り上げた強力な実績と迅速な価値創造はたいへん喜ばしい。同社の前には複数のオプションが開いており、今後のIPOもその1つです」という。

Sutter Hills VenturesのマネージングディレクターでAstera Labsの取締役でもあるStefan Dyckerhoff(ステファン・ディッカーホフ)氏は「Astera Labsの成長と拡大はすばらしいものであり、同社の長期的なポテンシャルについても強力な楽観性を維持できます」と述べている。

画像クレジット:imaginima/Getty Images

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)

サムスンとハーバード大学がヒトの「脳をコピペ」できる半導体チップの研究を発表

サムスンとハーバード大学が人間の「脳をコピペ」できる半導体チップの研究を発表

VICTOR HABBICK VISIONS/SCIENCE PHOTO LIBRARY via Getty Images

サムスンとハーバード大学の研究者らは、ヒトの脳の仕組みを半導体チップ上で模倣するための新しい方法に関する研究を発表しました。

Nature Electronicsに掲載された論文では、研究では人間の脳が持つ情報処理特性、たとえば消費エネルギーの低さ、学習効率の高さ、環境への適応力、自律的な認知プロセスなどといった仕組みを模倣するためのメモリーデバイスを作る方法が解説されています。

と言っても、われわれ一般人の脳みそではなかなか理解できない話であることは間違いないので、超絶簡略化して説明すると、そのデバイスは、ナノ電極アレイを用いて脳の神経細胞の接続状態をマッピング、複製し、高度に集積した3次元ソリッドステートメモリー網上に再現、各メモリーセルは、マッピングされたニューロンごとの接続強度を反映したコンダクタンス(電気の流れやすさ)を保持します。つまり脳の神経ネットワークをコピペする、というわけです。

脳の中で大量の神経細胞がどのように配線されているかはほとんどわかりません。そのため研究ではチップ上に脳を正確に模倣するのでなく”インスピレーション”によって設計しているとのこと。とはいえ、ナノ電極アレイ技術は神経細胞の電気信号を高感度で効率的に記録可能で、コピー作業、つまり神経の接続状態の抽出もかなり正確にできると研究者は説明しています。

このしくみがうまく機能するなら、自ら新しい概念や情報を吸収し、上京に適応していける本物の脳のようにふるまう人工知能システムの実現がぐっと近づく可能性もあると研究者らは述べています。ただ、人の脳は約1000億のニューロンと、その1000倍のシナプスがあるため、理想的なニューロモルフィックコンピューティングチップを作るには約100兆個ものメモリーセルを用意しなければなりません。もっといえば。それら全てにアクセスして動作させるために必要なコードも必要です。とはいえサムスンの研究は、実際に学習して自律的に思考するAIの実現へ歩を進めるものになるかもしれません。

(Source:Nature Electronics。Via SamsungEngadget日本版より転載)

GMがシボレー・ボルトEVの生産停止を10月中旬まで延長

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、オリオン組立工場の操業停止を少なくとも10月中旬まで延長する。先日発表したシボレー・ボルトEVおよびEUVの安全性のためのリコールに関連したバッテリーパックの不足によるものだ。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたところによると、同社は10月11日の週まで同工場を休止する意向だ。

同社は声明で「今回の直近のスケジュール調整は、新型コロナウイルスに関連した国際市場からの半導体供給の制約により、部品不足が続いていることが原因です」と述べた。「私たちのチームは、需要は高いものの生産能力に制約のある車両への影響を最小限に抑えるために、創造的な解決策を見つけられると確信しています。状況は依然として複雑で非常に流動的ですが、GMは引き続き、需要の高いフルサイズトラックの生産を優先します」。

GMは先週、8月23日に始まったミシガン州の組立工場(オリオン組立工場)の操業停止を9月20日まで延長すると発表したが、遅れの原因への解決策がまだ見つかっていないことは明らかだ。その一方で、バッテリーサプライヤーであるLG Chem(LG化学)と協力し、製造工程と生産スケジュールの更新を継続するとしている。

関連記事
GMがシボレー・ボルトEVの生産中断をさらに2週間延長
米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

同社は7月、火災の危険性があるとしてシボレー・ボルトのリコールを開始した。米高速道路交通安全局は同社の顧客に対し、予防措置として住宅や他の車両から離れた場所にクルマを駐車するよう勧告している

GMは先週、フルサイズトラックとフルサイズSUVの生産を今週までに開始すると発表したが、チップ不足のため、北米の他の5つの組立工場でも生産を減速すると発表した。同社によると、シボレー・シルバラード1500とGMCシエラ1500モデルを生産しているフォートウェイン組立工場およびシラオ組立工場のような一部の工場は、世界的な半導体不足の影響を一時的に受けた後、9月13日時点ですでにフル生産に戻っている。

シボレー・トラバースとビュイック・アンクレイブを製造しているミシガン州のランシング・デルタ・タウンシップ組立工場は、9月27日の週にさらに1週間の稼働停止を予定しており、10月4日の週に生産を再開する。同工場は7月19日から操業を停止している。シボレー・カマロとキャディラック・ブラックウイングの生産停止も27日の週まで延長され、以前に発表されたキャディラック CT4とCT5の生産停止も同様だ。カマロの生産停止は9月13日から、CT4とCT5の生産停止は5月10日からだ。

また、カナダのCAMI組立工場、メキシコのサン・ルイ・ポトシ組立工場、ラモス組立工場で生産しているエクイノックス、ブレイザー、GMCテレインの生産も10月11日の週に延期された。ブレイザーは8月23日、エクイノックスは8月16日から、それぞれ生産を停止している。

キャデラックXT4は、2月8日から生産を停止していたが、来週からカンザス州のフェアファックス組立工場で生産を再開する。GMによると、同じくフェアファックスで2月8日から生産を停止しているシボレー・マリブの生産は、10月25日の週まで停止する予定だ。

画像クレジット:Veanne Cao

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

EUが半導体の自給体制の構築を目指す法律を制定へ

欧州連合(EU)は域内の半導体サプライチェーンを自給の強固なものにすべく、法制化という手段に出る。

欧州委員会の委員長は現地時間9月15日、来たる「European Chips Act(欧州半導体法)」を連合演説で予告した。委員長の​​Ursula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏は、半導体製造の自主権を得ることはEUの包括的デジタル戦略の鍵を握ると訴えた。

フォン・デア・ライエン氏は、クルマから電車、スマートフォン、他の家電に至るまで、データ処理を半導体に頼っているさまざまな種の製品の生産抑制につながった世界的な半導体不足について警鐘を鳴らした。半導体が不足する事態となって、この分野における欧州の能力に対する議員の懸念は募っている。

「半導体なしではデジタルは成り立ちません」と同氏は指摘した。「こうして話している間、増大する需要にもかかわらず、全生産ラインはすでに減速しています」。

「しかし世界需要が爆発的に高まった一方で、デザインから製造能力に至るまでバリューチェーン全体での欧州のシェアは縮小してきました。我々はアジアで生産される最先端の半導体に頼っています。ですので、これは我々の競争力の問題にとどまるものではありません。テックの自主権の問題なのです。そこに注力しましょう」。

欧州半導体法は欧州の半導体研究、デザイン、テスト能力をリンクさせるのが目的だとフォン・デア・ライエン氏は話し、EUの自給能力を高めるためにこの分野へのEUと国家による投資の「協調」を求めている。

「目的は、最先端の欧州の半導体エコシステムを共同でつくることで、ここには生産も含まれています。供給を保証し、画期的な欧州テックのための新しいマーケットを掘り起こします」と同氏は付け加えた。

同氏は、欧州の半導体保有量を補強するという試みは「困難な仕事」との考えを表しつつ、20年前のガリレオ衛星測位システムで成し遂げたミッションになぞらえた。

「今日、欧州の衛星は世界で20億台超のスマホに測位システムを提供しています。我々は世界のリーダーなのです。今回は半導体ですが、再び大胆に取り組みましょう」。

その後、EU地域政策委員会のThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏が法制化計画の詳細を補強し、欧州委員会は加盟国の取り組みを「理解しやすい」汎EU半導体戦略に統合し「単一市場を細分化する国の助成金に走ることを回避するための」フレームワークを構築したいと考えている、と述べた。

目的は「欧州の利益を守り、グローバルで地政学的に欧州の地位を確固たるものにする環境をつくること」だ、と付け加えた。

ブルトン氏によると、半導体法は3つの要素で構成される。まず、ベルギーのIMEC、フランスのLETI/CEA、ドイツのフラウンホーファー研究機構といった機関による取り組みをベースに構築する半導体研究戦略だ。

「既存の研究パートナーシップをもとに、技術を強化し、我々の戦略的利益を維持しつつ、研究の野心を次のレベルにもっていく戦略をデザインする必要があります」とブルトン氏は説明する。

2つめの要素は欧州の半導体生産能力を高めるための集合的な計画で構成される。

計画されている法制化は半導体サプライチェーンの監視と、デザイン、生産、梱包、設備、サプライヤー(ウェーハ製造者など)のレジリエンスのサポートを目的とする。

最終目標は、最も高度でエネルギー効率の高い半導体を大量生産できる欧州の「メガファブ(大規模工場)」の開発を支えることだ。

しかしながら、EUが必要とするすべての半導体を生産できる未来を想定しているわけではない。

欧州半導体法の3つめの要素は、国際協力・提携のためのフレームワークを提示することだ。

「欧州だけですべてを生産するという考えではありません。欧州での生産を盛んなものにするのに加えて、我々は1つの国や地域への過度な依存を減らすためにサプライチェーンを多様化する戦略を描く必要があります」とブルトン氏は続けた。「そしてEUがグローバルでトップの外国投資先であり続けることを目指し、特にハイエンドなテクノロジーの生産能力を高めるのに役立つ外国投資を歓迎する一方で、欧州半導体法を通じて我々は欧州の供給保証を保つために適切な条件を整えます」。

「米国は現在、特定の研究センターに資金を提供し、高度な生産工場を開所するのをサポートするための米国半導体法のもとで巨額の投資を議論しています。目的は明確で、米国の半導体サプライチェーンのレジリエンスを強化することです」と同氏は付け加えた。

「台湾は半導体製造における優位性を確保するという立場です。中国もまた、技術移転を回避するための輸出規制によって制約を受けている中で、テクノロジーギャップを埋めようとしています。欧州は遅れを取ることはできず、またそのつもりもありません」。

9月15日に発表された文書に加えて、半導体法はフォン・デア・ライエン氏率いる欧州委員会がすでに提示している他のデジタル面での取り組みをベースとする、とEUは述べた。その取り組みとは、インターネット大企業「監視」の力を持つようにし、プラットフォームの説明責任を増やすこと(デジタルマーケット法とデジタルサービス法)、ハイリスクのAI応用を規制すること(人工知能法)、オンラインの誤情報を取り締まること(行動規範の強化を通じて)、地域のデジタルインフラとスキルへの投資を増やすことなどだ。

関連記事:欧州がリスクベースのAI規制を提案、AIに対する信頼と理解の醸成を目指す

画像クレジット:Torsak Thammachote / Shutterstock

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがシボレー・ボルトEVの生産中断をさらに2週間延長

GM(ゼネラル・モーターズ)はミシガン州オリオン組立工場の閉鎖期間を2週間延長した。Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)とBolt EUV(ボルトEUV)のリコールにともなうバッテリーパックの不足が理由だ。

GMはオリオン工場の閉鎖は9月20日まで延長されると語った。同工場は8月23日から閉鎖している。

リコールは、Chevy Bolt EVおよびEUVの2017年型以降が対象で、メーカーがバッテリーセルに2件の火災危険度を高める恐れのある製造欠陥を発見したため発行された。火災危険の恐れから、GMはBoltオーナーに対して充電状態制限を90%に設定し、走行距離70マイル以下までバッテリーを消耗させないよう推奨している。幹線道路交通安全局はBoltのドライバーに対し、火災危険度を減らすために自宅から離れた場所に駐車することを推奨している

関連記事:米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

同社は車両の供給元であるLG化学とともに「製造プロセスの改訂」に取り組んでいると語った。

オリオン工場は当初8月に半導体チップ不足を理由に閉鎖された。その後GMは従業員に対して、リコールに関連するバッテリー不足のために工場閉鎖が継続することを通知した。

このリコールによってGMは18億ドル(約1977億6000万円)の損害を受けると予測されている。GM広報担当者は、今回の閉鎖期間延長によってその数字が大きくなるかどうかについて情報を提供していない。自動車メーカーはLG化学に償還を求めるつもりであると語った。

半導体不足

世界的な半導体不足が続く中、GMは今後2週間にいくつかの工場で製造を再開できる見込みだと語った。

同社のインディアナ州Fort Wayne(フォート・ウェイン)組立工場とメキシコのSilao(シラオ)組立工場でフル生産が始まる予定で、世界的半導体不足による小規模な影響のあと、Chevrolet Silverado 1500(シルバラード 1500)およびGMC Sierra 1500(シエラ1500)モデルの生産が9月13日から開始される。

GMの北米にあるフルサイズトラックとフルサイズSUVの工場は来週フル生産に入る予定だ。

7月中旬以来閉鎖していたGMのテネシー州スプリングヒル組立工場は、GMC Acadia(アカディア)とCadillac(キャデラック)XT5およびXT6の生産を9月20日に再開する。同工場は、新モデルの器具取り付けのために9月27日の週から11月22日の週まで予定されていた延長閉鎖期間の一環として再び閉鎖される予定だ。

2月8日以来中断しているCadillac XT4の生産は、カンザス州フェアファクス組立工場で再開する。GMによると、同じくフェアファクスで生産されるChevrolet Malibu(マリブ)の生産は引き続き停止する。

同社は、ミシガン州ランシング・デルタ・タウンシップ工場とミズーリ州ウェンツビル工場の閉鎖期間を1週間延長、メキシコのラモス・アリスペ工場でのChevrolet Blazer(ブレーザー)の生産中断を1週間延長した。

関連記事
GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明
GMがシボレー・ボルトEVに3度目のリコール、欠陥バッテリーから火災のおそれ
GMとAT&Tが2024年モデルから一部の車両に5G接続機能を提供すると発表
画像クレジット:GM

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インテルと米国防総省が米国内のチップ製造エコシステムを支援する契約を締結

Intel(インテル)は、米国防総省と米国内の商用チップ製造エコシステムを支援する契約を締結した。このチップメーカーは、米国内における半導体サプライチェーンを強化することを目的とした「RAMP-C(Rapid Assured Microelectronics Prototypes – Commercial)」と呼ばれるプログラムの第一段階を主導する。

このプログラムを主導することになるのは、インテルが最近起ち上げたIntel Foundry Services(インテル・ファウンドリー・サービス)部門だ。

RAMP-Cの一環として、インテルはIBM、Cadence(ケイデンス)、Synopsys(シノプシス)などの企業と提携し、国内の商用ファウンドリーエコシステムを構築する。インテルによれば、このプログラムは、国防総省のシステムで必要とされるカスタム集積回路や、商用製品を作るためのものだという。

「RAMP-Cプログラムにより、商用ファウンドリーの顧客と国防総省の両方が、インテルの最先端プロセス技術への多額の投資を活用できるようになります」と、インテル ファウンドリー・サービスのRandhir Thakur(ランディール・タクール)社長は声明で述べている。「当社の顧客や、IBM、ケイデンス、シノプシスなどのエコシステム・パートナーとともに、私たちは国内の半導体サプライチェーンを強化し、米国が研究開発と高度製造業の両面で、リーダーシップを維持できるよう支援していきます」。

インテルは最近、約200億ドル(約2兆2000億円)を投じてアリゾナ州に2つの新工場を建設する計画を発表した。その目的は、同社が米国内におけるファウンドリー顧客の主要な供給者となることだ。同社はこれらの新工場が、製品の需要拡大を支えることになると述べている。

国防総省とインテルの提携が発表されたのは、新型コロナウイルス流行とその世界的なサプライチェーンへの影響などにより、世界的な半導体不足が続いている中でのことだ。インテルは、他のハイテク企業や自動車メーカーとともに、この問題の解決策についてホワイトハウスと継続的に協議している。インテルのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)CEOは2021年7月に、Biden(バイデン)政権の高官と会い、チップ工場の増設計画について話し合い、補助金の獲得を訴えた。

関連記事:Google、Intel、Dell、GMなどテックと自動車業界のCEOたちが世界的なチップ供給不足問題で米政府と討議

ゲルシンガー氏は、今回のRAMP-Cに関する声明の中で「2020年で学んだ最も重要な教訓の1つは、半導体の戦略的重要性と、米国にとって強力な国内半導体産業を持つことの価値です」と述べている。

「2021年初めにインテル・ファウンドリー・サービスを起ち上げたとき、米国政府を含むより多くのパートナーに当社の能力を提供する機会が得られることを、私たちは大変喜びました。RAMP-Cのようなプログラムを通じて、その可能性を実現できるのが非常に楽しみです」と、ゲルシンガー氏は続けた。

1月にCEOに就任したゲルシンガー氏は、このチップメーカーの経営を立て直し、チップの製造と販売に関する新しい戦略を追求することを目指している。数カ月前、インテルはチップ製造業者のGlobalFoundries(グローバルファウンドリーズ)を300億ドル(約3兆3000億円)で買収する交渉を行っていると噂されたが、今のところ、その方面に関するニュースはない。

関連記事:Intelが3.3兆円でチップメーカーGlobalFoundries買収を交渉中との噂画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)