拡張現実用ディスプレイのメーカーDigiLensが自動車部品大手から$25Mを調達、そのココロは?

拡張現実(augmented reality, AR)はまだ、モバイルのプラットホームが初期的段階にあり、決定的なユースケースを欠いているが、それでも大企業やハードウェアメーカー企業は、消費者用ARヘッドセットというものを市場に定着させるために、さまざまな技術開発に明け暮れている。

そんなスタートアップのひとつが、拡張現実用のディスプレイを作っているDigiLensだ。同社は今日(米国時間5/17)、シリーズCで2500万ドルの資金を調達したことを発表した。その投資家は、自動車部品メーカーの大手、ドイツのContinentalだ。

DigiLensは、導光板ディスプレイ(waveguide displays)というものを作っている。それは前からある技術だが、ARのヘッドセット用には最適、とされている。

VR(virtual reality, 仮想現実)のヘッドセットなら、前からある液晶やOLEDのディスプレイにカメラからパススルーされるフィードを入れて“混成現実”をシミュレートできるが、しかしスマートグラス的(メガネタイプ)なARヘッドセットを醜悪でないデザインで作りたいハードウェアメーカーは、導光板技術に頼らざるをえなかった。それはふつうのバックライト液晶のように裏面に光源を置くのではなく、液晶版の側面から光を入れる〔参考記事〕。ここではその技術的な詳細は省略するが、側面から光を得るとパネルそのものは透明にできることを、お分かりいただけるだろう。つまり、画面に表示される「現実」の向こうに、本物の実在する「現実」を見ることができるのだ。まさに、ARにぴったし!

そしてDigiLensの技術が独特なのは、導光板の反射成分をガラス板に直接、印刷することだ。これにより、競合製品よりもコストを低くできる。

サニーベールのDigiLensは、第一世代のARヘッドセットにぴったりの小さな導光板ディスプレイで大きく報道されたが、ほかのディスプレイメーカーと同様に同社も、車やオートバイのヘルメットの、ヘッドアップディスプレイにもっと至近の機会があることを理解している。Continentalから得た大金により、同社の株式の18%を自動車部品メーカーが持つことになっているのだ。

DigiLensのこれまでの資金調達総額は6000万ドルで、CrunchbaseによるとSonyやFoxconnも投資している。

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Appleが8+8=16Kの超精細VRヘッドセットを開発中か

Appleはかなり前から、拡張現実グラスを開発していると噂されていたが、今日はある記事が、同社は仮想現実でもGoogleやMicrosoftやFacebookと競合しようとしている、と示唆している。

そのCNETの記事によると、AppleはARとVR両用のワイヤレスヘッドセットを2020年に出すつもりらしい。その記事は、T288というプロジェクトのコードネームまで挙げている。そしてCNETの情報筋によると、そのヘッドセットはディスプレイが片目8Kで、専用の“ボックス”にワイヤレスで接続する。

VrvanaのTotemヘッドセット

市場ではこれまで、Appleはユーザーと現実世界との間にライフスタイルにフォーカスしたARを置くことに関心があるので、エンターテインメントにフォーカスしたVRは“スキップする”、という想定が一般的だった。

ぼくも、この記事のAR/VR両用説には懐疑的だ。むしろそこで“AR”と呼ばれているものは、MicrosoftがそのVRヘッドセットで実装した“混成現実”(mixed reality)に近いものではないか。それは、ヘッドセットの中で体験するVRの世界を、まわりの現実の情報でコントロールしたり、より豊かにする技術だ。Appleが昨年買収したVrvanaは、まさにそれをやろうとしていた。Appleが本当にARとVRをその解像度で合体させようとしたら、ARとは思えない相当でっかいデザインになってしまうだろう。

片目で8Kの画像は、microLEDだろう。それは現状ではものすごく高価なものになり、電力消費もすごいだろう。今の8Kのディスプレイを二台並べてテストすることを想像すると、複数のハイエンドのGPUをつないで動かすことになる。記事によれば、これはワイヤレスで、Appleが設計したチップが動く外部システムに接続する。二本の8Kフィードをワイヤレスで送るとなると、それもまたたいへんなチャレンジだが、アイトラッキング(eye-tracking)によるレンダリングだから、そのストリーミングの負荷はそれほど大きくはないかもしれない。

Magic Leapのライトウェア(lightwear)

今から2年先とは遠い話だが、Appleはディスプレイのコストを下げる技術に自信があるのだろう。Bloombergの最近の記事では、Appleは、ある特定タイプのディスプレイの製造工場をひそかに作り、その重要なユースケースがヘッドマウントディスプレイだ、という。レンズがあって、しかも人間の目にとても近いから、画素の高密度が重要な要素になる。

その記事でも、このディスプレイの完成を2020年としている。もちろん、それが変わることもありえるが。

VRは着実に改良が進んでいるようだ。初期のブームの原動力だった誇大な扱いは萎えてしまったが、実力に余裕のある大手のテクノロジー企業は、今もVRをひとつの産業に育てようとしている。FacebookとOculusの取り組みは、ある面ではとても洗練されている(限界はまだとても多いけど)。そしてAppleは、バスに乗り遅れたときの大損害を、今から意識しているようだ。

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Apple、iPhoneとiPad向けにiOS 11.3をリリース――ARKitが1.5に、アニ文字もクール

さきほど、AppleはiPhoneとiPad向けにiOS 11.3をリリースした。このアップデートでは多数のバグ修正が行われただけでなく、新機能も含まれている。われわれが以前に報じたiPhone X向けアニ文字も今回のリリースで4種類が追加された――オリエンタルなドラゴン、クマ、ライオン、ドクロだ。

しかし新機能はアニ文字だけではない。Appleは数ヶ月前にベータ版を公開しているが、11.3にはARKitのメジャー・アップデートとなるARKit 1.5が含まれている。Appleの拡張現実はさらに多くの対象物やその表面の質感を認識できるようになった。

iOS 11.3では待望のバッテリー駆動時間の改良も実施された。設定からさらに詳しいバッテリー情報が得られる(ベータ)。現在のバッテリーの容量や交換時期について教えてくれる。

古いバッテリーを保護するためにiPhoneのパフォーマンスを絞るという仕組みはあちこちで批判を浴びたため、Appleはこの機能をユーザーが無効にできるようにした。ただしこれもベータ版だとい。

AppleはiPhone向けヘルスケア・アプリに新機能を導入した。ユーザーはすべての健康関連情報をこのアプリにまとめることができる。各種の情報を得るためにいちいちそのアプリを開く必要がない。

またAppleはメッセージ・アプリにカスタマーサポートとの会話機能を導入した。ショップやレストランはメッセージを通じて注文や席の予約などを受け付けることが可能になる。Discover、Hilton、Lowe’s、Wells
Fargoは初期ユーザーとしてすでにこの機能を利用し始めている。ただいヘルスケアとメッセージのビジネス機能は当面アメリカでベータ公開となる。

You’ll also see a new privacy icon across the operating system. A new website to export all your data is coming in May as well. Apple needs to add those features to comply with GDPR.

Apple Musicにはビデオクリップのセクションが追加された。App Storeのアップデートのタブにはアップデートのサイズが表示される他、さまざまな目立たない改良が実施されている。セキュリティーに関してもデバイスを常に最新の状態に保っておくのが最上の策だ。残念ながらiOS 11.3ではまだiCloudにiMessageがサポートされていない。

アップデートをインストールする前にパソコンないしiCloudにデータをバックアップしておくことをお勧めする。あとは「設定」アプリで「一般」を開き、ソフトウェア・アップデートを選択するだけでよい。この他macOS、watchOS、tvOSのアップデートも今日公開された。

〔日本版〕iOS 11.3は日本でも公開済み。最初に起動する際に個人情報の保護に関するAppleのポリシーが表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Artopiaは世界中いたるところに3Dアートを置けるアプリ

公共の場所はそのうち拡張現実アプリを使うと見えてくる秘密のアートで埋まってしまうかもしれない。Artopiaというのは大いにクリーティブなARアプリだ。ユーザーは自分の3Dアートを特定の位置に関連付けて保存し、公開できる。つまり誰でもその場所でArtopiaを起動すれば保存された3Dアートを見ることができる。

現在Artopiaはベータ版がAndroidとiOSで入手できる。3Dお絵かきとARをストレートに結合した興味深い試みだ。3Dアートの作成には各種のブラシ、色彩その他標準的なツールが使える。アートを仕上げるためにスマートフォンを動かすことが可能だ。対象をつかんでぐるりと回すこともできる。

3Dアートを作成してセーブすると、Artopiaのサーバーはその正確な位置を記憶する。この位置はArtopiaのマップに表示されるので、近くを通りかかったユーザーはスマートフォンの画面で現実空間内に浮かぶアートを見ることができ、アートの制作者などの情報も表示される。そのアートの付近に関連するアートを付け足すこともできる。

アイディアはシンプルだ(実装はそうとうに込み入っている)が、体験は楽しく、見え方も自然だ。もちろん誰かが卑猥な3D落書きなどをした場合などにそなえて「問題を報告」するボタンもある。しかし全体として適切な利用はクラウドの知恵に任されている。

Artopiaはクウェートのデベロッパー、Omar Khalilが開発した。そのため3Dアートの分布はクウェートのアメリカン・ユニバーシティーの付近に集中している。しかしArtopiaに興味を抱いた読者は上のリンクからベータ版を入手して近所の公園や街角に自由に3Dアートを置いてみることができる。

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eBayのARツールを使えばその品物の発送にぴったりのサイズのボックスを見つけられる

拡張現実(augmented reality, AR)の実用的な用途は画面にPokémonを出すことだけではない、ということにやっと誰かが気づいたようだ。オークションの大手Ebayが今日(米国時間3/19)導入したAR応用機能は、売り手が自分の商品を発送するのに最適のボックスを見つけるお手伝いをする。同社によると、商品はバックパックでもキッチン用品でも自動車部品でも何でもよい。とにかくUSPS(≒“郵便”)の定額料金でそれを送れるのに最適な箱を早く見つけて、時間を節約してくれる。

Ebayによると、これにより売り手は、いちいち郵便局へ行って正しいサイズの箱を探す必要がなくなり、送料も発送作業の現場で分かる。

この機能は、GoogleのARCoreを使った初期のアプリのひとつで、現在はARCoreに対応しているAndroidデバイスでしか使えない。

ARCoreはAppleのARKitに対抗するGoogleのAR SDKで、今年の2月に一般公開され、今ではその1.0を全世界に1億台あまりあるAndroidデバイスが利用できる。その主な機種は、Pixel, Pixel XL, Pixel 2, Pixel 2 XL, Galaxy S8, S8+, Note8, S7, S7 edge, LGE’s V30, V30+(Android Oのみ), ASUS Zenfone AR, OnePlus 5などだ。

このARを利用した発送機能は、スマートフォンの距離計機能や地図機能を利用して現在地を知り、移動した距離や方向を知ることもできるそうだ。

使い方は、このアプリを開いたら“Selling”をタップし、次いで“Which Box?”をタップ、するとアプリは、品物を反射のない平らな面の上に置け、と指示する。テーブルや床の上でよいだろう。次に、その品物のまわりに仮想ボックスを作って、どの箱が合うかを見つける。緩衝材の必要な品物なら、そのぶんのスペースも考慮する。

品物に仮想のボックスをかぶせたら、その状態で箱の上下や左右を見て、はみ出しがないかチェックできる。

Ebayによると、このAR利用の発送機能は、同社の例年のハックウィークのときに作られ、今年いくつかあったAR応用作品の中で唯一採用された。iOS版も今作っているそうだが、スケジュール等は未定だ。

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Blue Visionから複数ユーザーが共有するARプラットフォームのSDK――Google他から1450万ドルを調達

今日(米国時間3/15)、ロンドンを本拠とするAR(拡張現実)のスタートアップ、Blue Vision Labsはステルス状態を抜け出し 世界で初となるコラボレーションAIを実現する新しいプラットフォームを発表した。共同ファウンダーはオックスフォードとインペリアル・カレッジのコンピュータービジョンの専門家だ。

今回発表されたAPIとSDKを通じてBlue Visionのテクノロジーを用いると、複数のユーザーが同一のバーチャル空間にオブジェクトを表示させ、対話的に操作できるようになる。特にバーチャル・オブジェクトを表示するための空間認識の精度はこれまでのARに比べて格段にアップしているという。

こうしたテクノロジーが有効なユースケースはマルチプレイヤーゲーム、複雑な経路の案内、教育、ソーシャルメディアなど広い範囲にわたる。

共同ファウンダー、CEOのPeter Ondruskaは、私の取材に答えて、「Blue Visionのテクノロジーが特に優れているのは人間その他の動くオブジェクトをピンポイントでバーチャル空間に定位できる点だ。 対象の現実の位置を数センチの誤差で同定できる。GPSデータを用いた他のシステムと比べて桁違いに正確性が高い。たとえばライドシェアリングのように2人のユーザーが出会う必要がある場合、互いの位置を正確に認識できることになる」と述べた。なるほど、Uberを呼んだのはいいが、ドライバーが顧客の位置を把握できず時間を空費してしまったという経験をした読者も多いだろう。

Blue Visionは過去2年表立った発表をせず、いわゆるステルスモードでプロダクトの開発に専念していた。Ondruska、Lukas Platinsky、Hugo Grimmettに連続起業家のAndrej Pancik、Bryan Baumもチームに加わっている。共同ファウンダーたちは2011年からこのアイデアの実現に取り組んでいたが、このほどいよいよ実地で作動するプロダクトが完成した。

SDKの発表と同時に、Blue Visionは総額1700万ドルの資金を調達したことを発表した。このうち1450万ドルは新規のシリーズAラウンドで、Googleの親会社、Alphabetの投資会社GVがリードした。これ以前に調達した250万ドルのシード資金はAccel、Horizons Ventures、SV Angel 他が出資した。これらの投資家はすべてシリーズAにも参加している。

Ondruskaによれば、当面SDKの利用は無料だ。

この2、3年、VR/ARに対する関心が急速に高まっており、GoogleやAppleのような大企業からもSDKや作成したアプリを作動させるハードウェアが各種リリースされている。有力メディア企業はこうしたプラットフォーム向けにコンテンツを製作するための多額の投資をしており、投資家はソフト、ハードのさまざまなスタートアップに何百万ドルも注ぎ込んでいる。

しかしこうした試みの一部は明らかに大胆なムーンショットだという印象を受ける。Magic Leapは長期にわたって巨額の投資を受けながらこれまで何のプロダクトも生み出していない。一方でAppleのARKitやGoogleのARCoreはすでに利用可能な堅実なプロダクトだが、その影響は限定的だ。

VRの世界では、多数ユーザーの協調動作を可能にすべく努力が開始されている。たとえばFacebookのOculus事業部が開発しているRoomsでは複数のユーザーが同一の拡張空間を体験できる。

しかしBlue VisionのアプローチはOculusなどと異なり、専用ハードウェアを必要としない。誰もが持っているスマートフォンと内臓カメラだけで複数ユーザーによる協調的AR体験を実現する。Blue Visionはユーザーが利用し始める上でのハードルを下げるために画期的なARのバックエンドを開発したとしている。これに成功しているのであれば、このスタートアップのテクノロジーの利用範囲と影響は注目すべきものとなるだろう。

今回のラウンドを機に取締役に就任したAlphabetのGVのTom Hulmeは「(Blue Visionは)特定の専用ハードウェアなしで作動できるプラットフォームを開発した。これまで(正確な位置定位を行うには)複数のレンズを必要としたが、同社のテクノロジーは通常のスマートフォンのカメラで同様の結果を得られる」と述べた。

こうした効果を達成できた秘密の一部はデベロッパーがきわめて精密な現実空間のマップを利用できるようにした点にある。デベロッパーはこのマップをカンバスとしてその上に各種のオブジェクトが表示し、協調的なARを構築できる。

Ondruskaはインタビューに答えて、「われわれはまずロンドン、サンフランシスコ、ニューヨークの中心部の精密なマップ製作を行った。将来はカバー範囲をさらに拡大していく。同時にユーザーはそうしたマップが存在しない場所でもBlue Visionのアプリを作動させることで随時ロケーションを追加していくことが可能だ。この場合は精密マップが存在するエリアに比べて精度は下がる。特に動きが速い環境ではそうだ。こうした場合、正確な位置定位を行うためには多数の精密な基準点を知ることが必要になる」と述べた。

ある推計では、ARベースのアプリの市場は2022年までに850億ドルから900億ドルに、VRは100億ドルから150億ドルになるという。

これは現状から見れば飛躍的拡大だ。2018年現在でのARベースのプロダクトにおける最大のヒットはポケモンGOだろう。OndruskaはAR市場の拡大が進まないのはシームレスかつ快適なAR体験を可能にするテクノロジーがまだ欠けているためだと信じている。こうした「欠ている部分」を実現するのがBlue Visionの目標だ。

「ARプロダクトがマスマーケットの主流になっていない原因の一つは現在のテクノロジーだ。シングル・ユーザーしかサポートしないARは応用が限られたものになる。われわれはこれを次の段階に進め、複数の人々が同一AR空間を見られるようにする。こうしたこと実現できるようなバックエンドがこれまで存在しなかった。Blue Visionはこの欠けたピースを埋め、誰もが毎日利用するような重要なARテクノロジーを実現し、新たなユースケースを切り開いていきたい」とOndruskaは述べた。

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東芝がWindows 10で動く企業向けARヘッドセットを発表、地味だが実用性に配慮

今日(米国時間3/12)Toshibaが、企業向けARヘッドセットdynaEdgeを披露した。その、あまりセクシーとは言えないヘッドセットは、多くの点で平々凡々だが、独特なのは、Windows 10 Professional PCの完全バージョンが付随することだ。

その1899ドルのパッケージを構成するものは、Vuzix製のGoogle Glassふうヘッドアップディスプレイと、それが接続するIntelの第6世代プロセッサーを搭載するバッテリー駆動のWindows 10 PCだ。

ヘッドセットは片目を覆うだけで、ユーザーがそれを視界から外すことも容易にできる。工場などのタスクに向けて最適化されており、たとえばスクリーン上のチェックリストおよび画像と棚の上の現物を対照していく(上図)といった作業に向いている。現場の労働者がそのデザインを気に入ることはないと思うが、安全帽の上からでも着用できるし、邪魔なら簡単に視界から外せるので、他社製品ほど、うっとうしくはない。

インタフェイスもAR向けに最適化されているから、PDFのドキュメントを仕事をしながらページを繰ったり、今見たい必要なビデオをストリーミングさせたり、製品のQRコードをスキャンしたり、などなどのことができる。

ARヘッドセットを企業が生産ラインに持ち込むときの、最大の問題のひとつが、使用者の訓練と、その企業のITのセキュリティとの統合だ。これまでのヘッドセットはその多くが、Windowsの世界に迷い込んだAndroidの孤児だ。そこでToshibaが考えたのは、ヘッドセットもWindows化することによって、それを企業顧客が採用しやすくすることだ。

またToshibaという名前とブランドイメージが、企業顧客には一定の安心感を与える。ほんの数年前に生まれたばかりのスタートアップから買うことを、渋っていた企業でも。

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謎のARスタートアップ、Magic Leapがサウジから4.61億ドル調達

Magic Leap依然として何のプロダクトもリリースしていない。しかし多額の資金の調達は続けている。今日(米国時間3/7)、フロリダ州フォートマイヤーズに本拠を置くARスタートアップはサウジアラビア王国の国営投資機関、The Public Investment Fundを始めとする投資家から4億6100万ドルを調達したことを発表した。 同社によると、サウジのファンドが4億ドル、「新たな投資家」が6000万ドルを出資したという。

今回の投資はシリーズDを補完するもので、Magic Leapは昨年10月、Temasekのリードで5億200万ドルのシリーズDを実行している。今回の新たな投資でシリーズのDラウンドの総額は9億6300万ドルになったとMagic Leapは発表した。

Magic Leapが集めた資金の総額は23億ドルに達した。

しかしMagic Leapはなぜかくも多額の資金を必要とし続けるのだろう?  この疑問はだいぶ前から多くの人々が抱いているが、Magic
Leapが「全てを自前でやる」方針なのは確実だ。

Magic Leapが製作しようとしているプロダクトはこれまでに全く存在しなかったものなので、ハードウェアもゼロから開発しており、ディスプレイ・テクノロジーやセンサーの開発には途方もなく大規模なりソースを必要とする。このプロダクトはユーザーの周囲の環境を素早く効果的に認識できる。また同社はプロダクトに適合する独自のOSも開発している。従来のOSと似た部分もあるがユニークなアイディアを必要とする部分も多い、という。

この何もかも同時に「自前でやる」戦略は、Magic Leapのスケジュールに多大の遅延をもたらしている。しかしヘッドセットを1台も完成させていなくても巨額の資金を投ずる有名投資家が次々に現れるためMagic Leapは資金にこと欠く心配はないらしい。ヘッドセットといえば同社のMagic Leap OneのCreator Editionは今年、2018年にリリースが予定されている。ともあれ同社が広く信任を集めるためには、数多くの疑問に答える必要があるだろう。

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Googleの仮想現実プラットホームARCoreが1.0に達し、13の機種で可利用に、Lensのプレビューも対象を広げる

これまで実験で遊んできたGoogleの拡張現実プラットホームARCoreがいよいよ1.0のリリースとなり、全世界で1億を超えるAndroiddバイスで使えることになった。

新しいPixelスマートフォンを持ってる人は、Star WarsやStranger Thingsの世界を現実世界に重ねるGoogleのARステッカーで遊んだことがあるかもしれない。今日のARCoreのローンチでは、デベロッパーが自分の作品をPlay Storeに置くことができ、プレビューできなかったスマートフォンの持ち主もスマートフォンの拡張現実を初体験できる。

GoogleはすでにSnap, Sony, Wayfare, Porscheなどの企業に声をかけて、ARCoreの本格的なアプリを共に作ろうとしている。

ARができるためには、次の機種のどれかが必要だ: Pixel, Pixel XL, Pixel 2, Pixel 2 XL, Galaxy S8, S8+, Note8, S7, S7 edge, LGEのV30, V30+(Android Oのみ), ASUS Zenfone AR, OnePlusのOnePlus 5。これは、今あるAndroidスマートフォンのごく一部、と言わざるをえないが、Googleの最終的なターゲットはあくまでも、1億のスマートフォンなのだ。

またGoogleによれば、同社は目下“Samsung, Huawei, LGE, Motorola, ASUS, Xiaomi, HMD/Nokia, ZTE, Sony Mobile, Vivo”と共同で、彼らの次の新機種にARCoreを載せようとしている。ということは、Galaxy S9は買ったときからARCoreをサポートしていることになりそうだ。

AppleのARKitとの比較、という話になると、Googleかなり同じようなものをローンチした、と言える。違いといえば、Googleの方がデジタルモデルを投影する面のサイズに柔軟性があり、そしてARCore 1.0は、“環境を正しく理解するのでユーザーは仮想オブジェクトをどんな質感の面にも置ける”そうだ。

ARKitは床やテーブルや壁など、大きな水平/垂直面を前提しているが、ARCoreは何が面であってもよい。そこで、AR作品を手のひらや枕の横などにも置けるだろう。もちろん、壁や床の上でもよい。

ARCoreはプレビューを終えて1.0になるが、コンピュータービジョンツールLensに関してはまだプレビューをやっている。でも、今後はもっと多くのユーザーが使えるようにする、と言っており、まず近日中にAndroidと9より上のiOSのGoogle Photosアプリに導入される。そうすると撮った写真に対していろんな機能がLensの機能を使えるようになり、Google Assistantのライブ機能もSamsung, Huawei, LG, Motorola, Sony, HMD/Nokiaの今後の新機種に載ることになる。

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今設計しているものの構造や形が目の前で3Dプリントで分かるプロトタイピングマシンをMITらが開発中

MITとコーネル大学の共同プロジェクトRobotic Modeling Assistant(RoMA)は、最新のさまざまなテクノロジーを組み合わせて、従来よりも良いプロトタイピングマシンを作ろうとしている。

上図のように拡張現実ヘッドセットと二つのコントローラー、そしてCADプログラムを使って、設計者は3Dモデルを作る。するとロボットアームが、自分に装着されている3Dプリンターからプラスチックを射出してスケルトンモデル(骨格モデル)を作っていく。

チームリーダーのHuaishu Pengはこう言う: “RoMAを使うと、現実世界の制約を早めに設計に反映できるから、形の良い、実際に手で触(さわ)れる工作物を設計段階で作れる。既存のオブジェクトから直接、設計を起こすこともできるから、単なる工作物でなく、インシトゥ(in-situ)な作り方もできる”。

Pengがアップロードしたビデオでは、このシステムの3Dプリントはまだかなり粗い。ふつうの3Dプリンターのようにプリントベッドなどかんじんの部品が固定されてなくて、自由に動くロボットアームの先端がプリンターだから、現状では細密な動きが難しそうだ。

でも、デスクトップの3Dプリンターで多く使われているFDM法に比べると、相当速い。だから、今設計中の物をリアルタイムで3Dスケッチしていくことも、究極には可能だろう。もうちょっと細かいコントロールができるようになると、3Doodlerのような3Dプリンティング・ペンが得られるだろう。

そのアームは設計者のアクションにリアルタイムで反応して動く。Pengは書いている、“設計者はいつでも、プラットホームのハンドルにさわってモデルのパーツを回転し、見たい部分を前面に出すことができる。ロボットアームは、ユーザーから離れて待機する。設計者がプリンティングプラットホームから退(しりぞ)くと、ロボットがプラットホームのコントロールを完全に握って、プリンティングのジョブを完了する”。

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Intel、スマートなスマートグラスを発表――網膜走査、単色、カメラなし

スマートグラスについては長年実用化の努力が続けられてきたが、まだ成功していいない。 Google Glassesはひどく嫌われて失敗したし、Snap Spectaclesもブレークしなかった。しかしIntelの参入で事情は変わるかもしれない。

Intel VauntはまずVergeで報じられたが、普通のメガネと外観ではほとんど区別がつかない。 Intel Vauntわずらわしいさばるスクリーンを必要としな方式で、重量は50グラム(Snap Spectaclesとほぼ同じ重さ)だ。このスマートグラスは度入り、度なし、どちらのレンズにも対応し、カメラは内蔵していない。

装着者はワービーパーカーの洒落たメガネをかけているとしか見えない。

しかしツル部分にはクラスIの低出力レーザー、CPU、Bluetooth、コンパスが内蔵されている。

このレーザーはIntelによれば「きわめて低出力でクラスIにしてもその下限」だという。赤の単色光で網膜に直接400×150ピクセルの像を描写する。

スマートフォンからの各種通知が表示される他に、キッチンにいるユーザーにレシピを表示するなどの能力がある。網膜走査型のためユーザーがメガネを使っているかどうかと関係なく常に像は明瞭な焦点を結ぶ。将来のモデルにはマイクが追加され、 Alexa、Siri、Gogle Assistantのようなスマートアシスタントからの操作ができるようになるはずだが、第一世代のVauntは装着者が頷くことで操作される。これはかなり小さい動作だ。Intelではこのメガネができるだけ目立たずに日常生活に溶け込むことを狙っている。

現在のところVauntグラスの販売のスケジュールやチャンネルについては未定だが、Intelでは「直接販売よりOEMチャンネルを通すほうが可能性が高いだろう」としている。

またこれに関連してIntelはこのプラットフォームをサードパーティーのデベロッパーに開放し、利用するプログラムを開発するSDKも提供するという。

このデバイスがメインストリームの製品となるかどうかまだ不明だが、Intel Vauntこれまででもっとも成功の可能性が高いスマートグラスのように思える。まだ開発のきわめて初期の段階なので、価格や出荷時期、またそもそも大規模に生産されるのかどうかなどは不明だ。

画像: courtesy Vjeran Pavic/The Verge

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ポケモンGOのNiantic、ARのEscher Realityを買収――マルチプレイヤーARゲームが可能に

ポケモンGOで有名なNianticがAR(拡張現実)のスタートアップ、Escher Realityを買収することを発表した。Escher RealityはマルチOSのモバイルARのプラットフォームを提供する。このバックエンドを利用したゲームでは、複数のユーザーが現実世界上で仮想の対象を共有するゲームが可能になる。

Eshcer Realityが提供する複数プレイヤーに体験を共有させる能力は現在GoogleのARCoreやAppleのARKitには欠けている。

拡張世界を複数プレイヤー間で持続的に共有させることができるのは、ARシステムが複数のユーザーの現実の位置、動作と仮想の対象の位置、動作を共に記憶できるからだ。プレイヤーAが自分のAR世界にピンポン球を持ち込むと、プレイヤーBもそれを認識し、球を打ち返すことができる。プレイヤーAも同様なので拡張現実でピンポンをプレイできる。このプラットフォームは体験の共有を提供するので、さらに複雑な関係を構築することが可能だ。

Escher RealityはY Combinator出身のスタートアップの中でも目立った存在であり、われわれはお気に入りリストに加えて紹介している。このスタートアップの傑出しているところは、バックエンド・プラットフォームという地味なジャンルでありながら、誰もが興奮する(そして今のところ理解できない)ような体験を生み出していることだ。

Nianticによる買収の詳細は明らかにされていない。Escherへの投資家にはUncork Capital、Founders Fund、Y Combinator、Liquid 2 Ventures、 Webb Investment Network、iRobot Ventures、Presence Capital、Into Venturesなどが含まれる。

NianticはARゲーム市場のきわめて強力なリーダーなのでEshcerを買収したことは順当だ。Nianticは同社のブログで、まもなくEscherのテクノロジーを現実のゲームに利用するつもりだと書いている。

Escher ARのテクノロジーを得たことでNianticは大いに興奮している。 Nianticは現実世界をベースにしたARプラットフォームを開発しており、このテクノロジーはそこで複数プレイヤーが体験を持続的に共有することを著しく加速させるはずだ。今年後半までにARにおけるクロスプラットフォーム・テクノロジーを広い範囲のデベロッパーが利用できるようにすることがわれわれの目的だ。デベロッパーに対する提供スケジュールについては続報をお待ちいただきたい。

NianticはポケモンGOの次のメジャータイトルとしてハリー・ポッターの世界のゲーム化したHarry Potter Wizards Unite を今年後半にリリースする。

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AR/VRは空ブームが去って小休止、巨額な投資の大半は大物企業の底入れに向かう

拡張現実や仮想現実の技術に取り組んでいるテクノロジー企業は2017年に、30億ドルあまりのベンチャー資金を調達した。このニュースを報じたアナリティクス企業Digi-Capitalのデータによると、ARやVRをめぐる空騒ぎは下火になったものの、そこに注ぎ込まれるキャッシュの量は相変わらず増え続けている。

たしかに2017年の金額は2016年の投資額に比べて増えているが、しかしディールフローそのものは軽くて、わずか4つの案件が総額30億ドルの大半を占める:

億単位の資金を調達したNiantic, Improbabl, Unityなどの大物はAR/VR技術の将来性を投資家たちにうまく売り込んだと思われるが、それだけの資金量を獲得できた背景には、強力で伝統的なゲーム業界がある。

その中にあってMagic Leapは、業界の最大の一匹狼だ。彼らの最初の製品がどんなものか、そろそろわかりかけてきた今日では、彼らがだんだん、まともな企業に見えてきている。その製品がいつなんぼで出るのか、それはまだ不明だが、もっと分からないのは、彼らが企業市場と消費者市場のどっちに軸足を置くのか、という点だ。

2016年と2017年にVRのプロジェクトでシードラウンドを稼いだ小さめの企業は、Crunchbaseが示すように案件は徐々に減少し(右図)、泡沫企業の整理と、AR/VRスタートアップに対する継続投資の先細り、そして廃業が続くものと思われる。

2017年の後半はヘッドセットを使うVRからモバイルのARに焦点が移り、AppleのARKitやGoogleのARCoreなどが関心を集めた。しかし実際のアプリケーションは単なる視覚化があまりにも多く、平凡なものばかりだったので、受けはあまり良くなかった。消費者向けARヘッドセットは市場が大きく枯渇し、AppleやMicrosoft、Magic Leapなどが10年後の消費者に向けて今年以降何をやるか、様子見モードに入った。

今後伸びるであろう芽はいくつかあるが、AR/VRの空騒ぎは2017年で一掃され、勢いはなくなった。次の一歩は、Google, Apple, Facebook, Microsoftなどの大金持ちたちの動静次第だ。スタートアップのための資金は今年も潤沢と思われるが、AR/VRのような新興技術は、落ち込みがしばらくは続くだろう。

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ポケモンGOが現実の天候に連動する――第三世代の新キャラも続々登場へ

Nianticによれば、新種のポケモンが今後末から数週間かけて多数登場するという。しかしビッグなアップデートはそれだけではない。

ポケモンGOはプレイする場所の現実の天候と連動するようになる。これがゲームに大きな影響を与える。Nianticではゲーム内の天候を「ダイナミック・ウェザー」と呼んんでいる。私はNianticのArchit BhargavaとMatt Slemonにこの新システムについて話を聞いてきた。

期待できる変化の例:

  • 現実の天候が出現するポケモンに影響する ―プレイする場所で雨が降っていれば、水に関連するポケモンが多く出現するようになる。雪なら、たとえば、Snorunt〔ユキワラシ〕が走り回るかもしれない。
  • 天候は新しく登場する第三世代ポケモンだけでなく、既存のポケモンにも影響を与える。
  • 天候によって出現したポケモンは強い―つまり普段の出現時よりCPが高い(CPの上限値は変更なし)。
  • マップも天候によって変わる。常に青空で野原は緑というわけではなくなる。
  • 天候によって出現したポケモンからは普段より多量のほしのすな(stardust)が得られる
  • 天候はジムバトルにも影響する―たとえば雨が降っているとみずポケモンは強くなるが、逆にほのおポケモンは弱くなる。雪の場合、こおりポケモンは強化される。これは攻撃、防御ともに当てはまる。ジムを防衛する場合、一日中雨が続きそうだったらみずポケモンをできるだけ集めておくのが得策だ。

私が調べたところでは天候は以下の5要素とそのミックスになる。

  • 晴: くさ、じめん、ほのおポケモンが強くなり、出現率もアップ(以下同様)。
  • 霧: ダーク、ゴースト
  • 雨: みず、でんき、むし
  • 雪: こおり、はがね
  • 風: ドラゴン、ひこう、エスパー

ダイナミック・ウェザーを含む第三世代ポケモンが導入されるのはまずルビー・サファイアとなる。

われわれサンフランシスコ周辺のベイエリアの住民の場合、雪が降っているところはいちばん近くても数百マイル離れているので、雪の影響は考えなくてもいいだろう。NianticのSlemonに聞いたところでは各種のポケモンは基本的に天候と無関係に現れるのだという。天候は出現率に影響するだけだそうだ。

ちょっとおかしいのは、ポケモンGOが登場した初期に「どんなポケモンがどんなタイミングで現れるか」について大量の都市伝説が生まれたことだ。単なる偶然の体験だったものが、「墓地ではゴーストポケモンがよく現れる」とか「ゆきポケモンはお菓子屋が好き」とかいう根拠のない説となって広く信じられた。その中には天候に関するものも多く、Dratini〔ミニリュウ〕が雨の日に出現しやすいというものもあった。ダイナミック・ウェザーの実装でこうしたことの一部は今後は本当にそうなるかもしれない。

極めて洗練されたARテクノロジーを用いているだけに、Nianticには「冬になって屋外が寒くなるとプレイヤーが減少する」という本質的な問題を抱えていた。新しいダイナミック・ウェザーウェザーはこの課題を利用してプレイヤーに外に出るインセンティブを与えようとするものでもある。非常に巧妙な戦略だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Niantic、ハリー・ポッター・ゲーム開発に2億ドル調達へ――ポケモンGOに続く世界的ヒットを狙う

ポケモンGOゲームを開発したことで知られるNiantic Inc.が2億ドルの資金調達を図っている。Wall Street Journalの記事によれば、このシリーズB の資金調達ラウンドはSpark Capitalがリードし、Founders Fund、Meritech、Javelin Venture Capital、You & Mr. Jones、NetEase, Inc.が参加する。Sparkのパートナー、Megan Quinnはこのラウンドの一環としてNianticの取締役に就任する。

NianticはAR〔拡張現実〕テクノロジーの開発を強みとしているが、もともと同社がGoogleの社内ベンチャーだった頃に開発されたSF的スパイゲーム、Ingressで培われたものだ。2015年にNianticはGoogleからスピンオフsて独立の企業となり、2016年の7月にポケモンGOをスタートさせた。ポケモンGOのARは当初から世界的に話題となり、多くのユーザーを集めて大ヒットした。プレイヤーにインセンティブを与えるゲームの仕組みにより、各地で大勢のプレイヤーが実際の場所に集まる現象が起きている。

NianticははシリーズAラウンドでGoogle、任天堂、Alsop Loui Partners、The Pokémon Company、Cyan and Scott Banisterなどから3000万ドルを調達した。今年に入ってNianticは最初の企業買収を行い、モバイル・ソーシャルゲームのデベロッパー、Evertoonを傘下に収めた。また最近、ハリー・ポッター・シリーズをテーマにしたARゲームを開発することを明らかにしている。

この新ゲーム、Harry Potter: Wizards Uniteは来年リリースされ、Warner Bros. Interactiveと共同で開発される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ミニロボットがAR環境で戦うMekaMonがApple Storeに――背景に日本のアニメ

最初のバッチ、500台を売った後、 イギリスに本拠を置くReach Roboticsは750万ドルの資金調達ラウンドを成功させた。これによりAR環境で現実のミニロボットを戦わせるプラットフォームがさらに手頃な価格で一般消費者向けに販売できるようになる。このスタートアップに注目していたのはベンチャーキャピタルだけではなかったようだ。AppleもMekaMonに強い関心を示していたことが判明した。

今日(米国時間11/15)から、MekaMonロボットはApple Storeのチャンネルを通じて独占的に販売される。今日はまずオンライン・ストアに登場するが、明日からは現実店舗でも販売が始まるという。Appleはスタートアップのハードウェアの製品が同社独自のテクノロジーを利用するのに適しており、大きな人気を集めそうだと考えた場合、これをプロモートするため同様の契約を結んだことがある。

Reach Roboticsの場合、Appleにとって相乗効果があるのは明らかだ。MekaMonは現実のトイ・ロボットが戦う環境を作るためにARテクノロジーを利用している。つまりAppleが全力で普及を図っているARKitと対象までの距離を把握できるカメラのユースケースとして理想的だ。

ファウンダーのSilas AdekunleはTechCrunchのインタビューに答えて、「サンフランシスコで開催されたGame Developers Confereceでロボットをデモしたとき、わが社への4人の投資家の一人が〔Appleとの〕ミーティングを設定してくれた。Appleはすっかり気に入ったようだった。当時私はARKitがすぐに発表されることを知らなかったが、発表されたものを見て、これは使えると感じた。正しい方向だと思った」と述べた。この時系列を考えると、現行バージョンのMekaMonはARKitを利用しているわけではないようだ。しかしReachは将来のバージョンではARKitを使うことになるだろう。Apple Storeで独占販売されるとはいえ、ロボットの操縦、主観表示、AR環境の表示、距離の測定などすべてiOSとAndroidの双方で作動する。ロボット本体はBluetoothで接続され、対戦あるいは協調モードでさまざまな動作が可能だ。

MekaMonはAppleのSwift Playgroundsと完全に互換性がある。ユーザーはロボットの動作をカスタマイズしたり、アニメーションに利用するプログラミングを書き、アプリ開発を学ぶことができる。Adekunleは「Swiftベースのプログラミングをさらに追加してロボットを進化させたい」と述べている。

ロボットは今日から発売されるのでクリスマス・プレゼントにも間に合うだろう。1セット300ドルだ。

〔日本版〕 MekaMonのキット内容はこちら。MekaMon1台、ARマット、電池、充電器、カスタマイズ用パーツが含まれる。発売はEU、イギリス、アメリカのApple Storeで、日本から入手できるかどうかは情報がない。ファウンダーは上のビデオで1:30あたりからMekaMon開発の背景について触れ、「日本のアニメ」を挙げている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

交通騒音も路上と室内では違う…3D空間内の複雑な音響編集を助けるResonance AudioをGoogleが発表

拡張現実(augumented reality, AR)は、コンピューターとの対話を三次元化するという展望により、徐々に伸びつつあるが、すでにいろんなプラットホームを提供しているGoogleは、その三次元空間に視覚だけでなく五感のすべてを持たせたいようだ。

今日(米国時間11/6)Googleは、同社のVR Audio SDKをベースとして、より総合的な空間オーディオプロダクトResonance Audioをモバイルとデスクトップ両用に作っていることを発表した。

Googleの説明によるこのSDKの用途は、“本物の音が人間の耳や環境と対話する”様相を再現することだ。たとえば、現実の音が物や環境によって歪むという現象も、ARの仮想的シナリオにおいて再現する。

たとえばあなたが大型ラジカセを持って歩いている仮想キャラクターだとすると、何かの曲を鳴らしながら開放的な空間を歩いているときと、吹き抜け階段を降りているときとでは、音はどう違うのか? Resonance Audioが対応しているこのような多様な状況により、ユーザー(デベロッパー)もそんな状況を三次元の奥行きの中で音で再現できるようになる。

またResonanceはデベロッパーがシーン中の音源を指定できるだけでなく、音源が動く方向も音質の変化で表すので、たとえばあなたがデジタルのキャラクターのうしろを通るときと、顔の前を通るときでは、反響音を変えられる。

上で例を述べたようなさまざまな状況の変化は、ゲームのデベロッパーにとってはおなじみのものだが、しかし複数の(数十の)音源が同時にいろんな状況で対話的に鳴るといった複雑な設定では、その対応も難しい。CPUはビジュアルにかかりっきりで忙しいことが多いから、音の表現のこのような複雑性は予想外の困難性をもたらし、結局ベーシックなオーディオだけで発売してしまうこともありえる。Resonanceはたとえば、一部の音のリバーブを、いろんな環境ごとに事前に作っておくといったトリックにより、音のリアルであるべき対話性が時間的にずれる、といった問題を解消する。

ResonanceはUnityやUnrealのようなゲームエンジンとも併用でき、またいろんな音響編集作業のためのプラグインも用意しているから、既存のワークフローとの相性も良いだろう。

GoogleはVRやARの基盤的技術への関心をベースとして、さらにそれらをゲームの開発に応用しようとしているようだ。先週Googleが見せたPolyは、3Dのアセットや環境のためのホームだ。そしてResonance Audioが空間的オーディオを提供し、よりリアルな音の開発を容易にする。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Polyは3Dオブジェクトを多数掲載したサイト――CCライセンスで自由に使える


GoogleはAR(拡張現実)のARCoreやVR(仮想現実)のDaydreamにデベロッパーを招き入れようと努力している。これらのプラットフォームはモバイル・デバイスのスクリーンにリアルなオブジェクトを作り出すテクノロジーなので、ゲーム・デベロッパーが世界を構築するにあたって非常ぶ重要であり、詳しくチェックする価値がある。

今日(米国時間10/31)、Googleが発表したPolyは3Dオブジェクトを作るクリエーターの負担をかなり軽減するはずだ。

このプロダクトは「世界中の情報を組織化する」というGoogleの基本的ミッションに沿ったもので、現実世界のさまざまなオブジェクトが3D化されてここに掲載される。GoogleのTilt BrushやBlocksで作ったAR/VR世界に3Dオブジェクトを配置しようとするユーザーのためのワンストップショップを目指している。PolyはVRやスマートフォン・ベースのAR向けに使われることを念頭においている。

ユーザーが独自のコンテンツをアップロードする呼び水として、 Googleはアーティストを動員して何千ものオブジェクトを3D化し、ローンチ時点でサイトに掲載している。オーブン、ハンバーガー、氷山から恐竜までありとあらゆるオブジェクトが含まれている。比較的シンプルな描写なのでエントリーレベルの世界でも用いることができるだろう。

Creative Commonsのライセンスによるいわば「食べ放題」の仕組みでクリエーターは自由に利用できる。 Googleは(少なくとも当面)3Dオブジェクトの利用の促進を図ることに重点を置いており、クリエーターがオブジェクトを作って販売することができるようになるのは後日のようだ。

登録されたオブジェクトの多くはGoogleのVR 3Dオブジェクト構築ツールのBlocksでおなじみの目の荒いポリゴンを用いている。Googleによると、その理由の一部はスタイルの一貫性を求めたためだというが、主としてDaydream VRプラットフォームにフィットさせるためのようだ。VR環境はリソースを食いがちで、オブジェクトをシンプルにすることでレンダリングの負荷が負荷が大きく軽減される。

PolyのようなプロジェクトはGoogleのゲーム・デベロッパーの世界での存在感を一層高めることになりそうだ。 Polyに掲載されるのはUnityやUnrealといった他のゲームエンジンのアセット・ストアにもあるオブジェクトだが、デベロッパーが無料で自由に使えるというのは思い切ったアプローチだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

ReactとJavaScriptで仕事をしているデベロッパーがアプリに容易にAR効果を導入できるViro Media

ARやVRも、ゲームを作るならUnityやEpic Gamesなどに最高のツールがある。でもそれらは、ゲームのデベロッパー以外の人にとっては、ちょっと近寄りがたい。そこでViro Mediaは、Webやモバイルのデベロッパーに、ゲーム以外のAR/VRアプリを簡単に作れる方法を提供する。

Viroは、ふだんJavaScriptとReactを使ってお仕事をしているデベロッパーを、拡張現実の楽しさに近づける。そしてiOS 11のARKitを完全にサポートしているので、ARによる自撮りフィルターとか、Magic Portalsのようなアプリを容易に作らせてくれる。

同社のVR志向については、今年の3月にSoftbank NYやLowercase Capital, Betaworksなどから250万ドルを調達したときに本誌も取り上げた。そして今回はARKitをサポートし、近くGoogleのARCoreもサポートするそうだから、ARという新しい技術に向けて最適化されている非常に多くのデバイスにアクセスできることになる。VRのヘッドセットはまだそれほど多くないけど、ARKitは世界中で5億台もあるAppleのデバイスをサポートしている。

同社のサンプルアプリFigment ARを見ると、このプラットホームの実力を理解できる。デベロッパーは彼らの新旧のアプリに簡単にいろいろなイフェクトを導入できる。しかも遊びやゲームだけでなく、Viroはエンタープライズの顧客向けにも最適化されている。

これまでのAR体験は、相当小細工的なものが多かったが、WebとモバイルをサポートするViro Mediaを使えば、既存のアプリにAR機能を容易に付加できる。そしてデベロッパーたちは、すぐにでも実験を始められる。

ViroのARプラットホームは、無料で今から利用できる。ここで、ユーザー登録をしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

iOS11ですぐに試せるARKitアプリ6選

AppleがiOS 11を公開した。大きな特徴の1つは、開発者たちがすばらしい拡張現実アプリケーションを簡単に作成できる、SDKのARKitだ。

Appleが数ヵ月前にARKitを発表していたにも関わらず、電話機の上でARを試してみるためのオプションはそれほど多くはない。とはいえ、私たちは、拡張現実とARKitの可能性をチラ見せしてくれる、幾つかの良いアプリを見つけた。

iPad Pro、Phone 6s/6s Plus、iPhone 7/7 Plus、iPhone SE、またはiPhone 8/8 Plusを使っているのならiOS11を今すぐダウンロードしてAppStoreからこれらのアプリをダウンロードしてみよう。

以下に拡張現実を使う幾つかのアプリケーションをスクリーンショットと簡単な説明と共に紹介した。2D画像を見るだけでその雰囲気を感じるのはとても難しいので、是非自分でダウンロードして試して欲しい。

1/6 :World Brush

WorldBrushは、現実世界に3Dの図形やデザインを描くことができる。GoogleのTilt Brush VRアプリによく似ている。とってもクールな点はあなたが描き込んだものがそのまま(意図的に削除しない限り)そこに留まり続けるということだ。なのであなたが公共の場所に描いたものを別の人たちがそれぞれの電話機から見ることができる。

2/6 :Edmonds

車の調査と購入アプリのEdmondsは、目の前に実物大の車を置く機能を持っている。Edmondsによれば、あなたが買いたいと思っている車がガレージに入るかどうかをみるために使えると言っている。何千種類もの車を選ぶことができるが、変わるのはボディの形と大きさだけだ。そして現段階ではAR車は本物のようには塗装されていない。、

3/6 :Stack AR

Stack ARは、目の前にブロックを積み重ねるシンプルなゲームだ。とてもシンプルだが、もし友人がARとはどんなもの?と聞いてきたときにはすぐに試して貰える楽しいゲームだ。

4/6 :Thomas and Friends(ミニミニサイズのThomasと仲間たち)

Thomas and Friends MINISは、今日Appleが米国App Storeでフィーチャーしている唯一のARアプリだ。トーマスが走るための線路をデザインすることができる。そしてARをオンにすれば、作った世界を床などの平面の上に出現させることができる。かなりシンプルなゲームだが、子供たちにARの可能性を示す良いやりかただ。

5/6 :Housecraft

Housecraftは、家のどこにでも実物大の家具を置くことができる。Techcrunch Disrupt SFの会場の外に置かれたこのベッドの写真を見て欲しい。アプリは様々な種類の大量の家具のカタログを内蔵している。そしてARKitをまだ見たことがない人に対して説明をするときに、私が使うお気に入りの方法だ。多くの家具会社たちが、この先とても似通った機能を提供してくるだろう。例えばWayfairのARアプリIkeaのもうすぐリリースされるアプリなどだ。

6/6 :AR MeasureKit

AR MeasureKit(ARメジャーキット)はその名が示す通りものだ。ARKitを使って身の回りの現実世界の寸法を測ることができる、多目的測定ツールだ。これもまた友人向けの素晴らしいデモだ。他に物差しを持ってきて、それがどれほど正確なものかを友人たちに見せてみよう。

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(翻訳:Sako)