ウェアラブル市場の成長はパンデミックにより減速、しかし止まってはいない

ウェアラブル業界の成長は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって打撃を受けている。しかしスマートフォンやPCなどのほかのハードウェアと比較すると、実際にはそれなりに健闘している。調査会社のABI Researchの新しい予測によると、2020年のデバイス出荷台数は前年比5%増になる見込みだという。

この1桁の成長率は、2018年から2019年の間に見られた23%はいうまでもなく、今年の予測値である17%を大きく下回っている。2020年には2億5400万台のデバイスがメーカーから出荷されると予想されており、これは昨年の2億4100万台から増加している。第1四半期(1月〜3月)の最大の変化は、人々が必需品以外を買わなかったことだ。米国では、このパンデミックにより約4000万人が失業を申請した。

個人的には、すべてのジムが一時的に閉鎖されているなかで、フィットネストラッカーのような製品の購入への関心は低下すると予測している。多くの人は外出し出歩く機会が減ったが、自分自身の個人的な健康への関心の高まりによって、潜在的な低下が防がれている。

Apple WatchやFitbit製品のようなデバイスは、心電図や血中酸素飽和度の読み取り機能のおかげで、ヘルスケア製品としてより真剣に捉えられている。Fitbitはまた、新型コロナウイルスの研究グループとも協力している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

新型コロナ患者に早期警告する喉装着型ウェアラブル、NWUの研究者が開発

進行中のパンデミックによってあらゆる業界で大きな変化が生じているが、新型コロナウイルス感染症の影響を緩和するためのより長期的なソリューションの開発には、特に時間と労力を投資する価値があるだろう。ノースウェスタン大学の研究者がシカゴのShirley Ryan AbilityLabと共同で取り組み、新型コロナウイルスの感染者に早期警告を提供するウェアラブルデバイスを開発した同プロジェクトは、そういった取り組みの代表的な例である。

喉に装着できるよう設計されているこのウェアラブルデバイスは、約25人の個人によってすでに使用されており、自宅や診療所でのモニタリングを通じてその有効性に関する初期データが提供されている。関連ハードウェアが患者の咳や呼吸活動を監視し、研究チームによって開発された一連のアルゴリズムと連携することにより、初期症状や、感染が進行しより高度なケアを必要とする場合に発症する兆候を特定することができる。

この装置は24時間使用できるように設計されており、継続的なデータストリームを提供。症状が明らかに悪化してからでは早期治療の段階を過ぎてしまっており、通常の受診では頼りないが、この装置を使用すれば直ちに情報が提示されるため大きなメリットとなる。同ウェアラブルデバイスは切手サイズで薄いバンドエイドのような見た目だ。咳の音や頻度だけでなく、胸の動き、心拍数、体温、呼吸数も監視することができる。

同装置は特に発熱、咳、呼吸障害など、新型コロナウイルスの最も一般的な初期症状として医療専門家らが認識している症状をベースとして調整されている。同装置の開発チームをリードした、ノースウェスタン大学の研究者John A. Rogers(ジョン・A・ロジャー)氏によると、このウェアラブルデバイスが装着されるのは喉元にある「頸切痕」という部分で、ここは身体の呼吸経路の中でも「皮膚の表面付近で空気の流れが発生する場所」とのことだ。

このハードウェアにはさまざまな活用法があるだろう。第一に、最前線で働く医療従事者にとって貴重なツールとなる。起こり得る病気の早期兆候となるものを知ることができるため、同僚への感染を回避し、必要な治療を可能な限り効率的に受けることができる。第二に、すでに新型コロナウイルスに感染したと診断された人が、感染の経過や悪化する時期について貴重な情報を提供することができる。第三に、診療所内と自宅の両方にいる被験者からのライブ情報を用いて、治療の開発に取り組んでいる科学者に何が、どのように、どの程度うまく機能しているかの情報を提供するためにも活用することができる。

このデバイスは比較的簡単に生産が可能だ。チームによると毎週数百単位で生産でき、外部のサプライヤーに大きく頼る必要もないと言う。今回の危機に対応するために大量に必要となる可能性のあるハードウェアにとって、これは非常に大きな利点である。また、同デバイスはほぼ気付かれずに着用することができる上、臨床医と患者の両方にとって非常に使いやすい作りになっている。

OuraリングやKinsa体温計のように、生体からの測定値を監視するデバイスがウイルスの流行を抑えるのにどのように役立つかを考察中のプロジェクトが他にも進行中である。同ウェアラブルデバイスを手掛けた研究者らは、デバイス開発を管理するためにSonicaと呼ばれるエンジニアリング企業と連携してきた。これからはさまざまな機関と協力して(BARDAからの資金提供を含む)、より多くの場所にこのウェアラブルデバイスを導入し、広範囲に使用できるように製品化する可能性について検討していく予定だ。

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Category:ヘルステック

Tags:新型コロナウイルス ウェアラブル

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(翻訳:Dragonfly)

“新型コロナウイルス

工事現場で対人距離監視と接触者追跡をするウェアラブルデバイス

以前に電気工事従事者の安全を守る専用ガジェットを開発したスタートアップが、新たな脅威、新型コロナウイルスから工事現場を守るニーズに応えようとしている。バンクーバーを拠点とするProxxiは、手首につけるウェアラブルデバイスの「Halo」を発売した。適正な対人距離として推奨されている6フィート(約1.8m)以内に別のバンドが近づくと振動で知らせるデバイスだ。

Proxxiは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中でも現場での作業は不可欠であり、しかも通知システムがなければ従業員同士が適正な距離を保つのが難しい業務でガイドラインを守るために、このデバイスを設計したと説明している。

このバンドは低電力Bluetoothを使ってほかのバンドと通信する。また、新型コロナウイルスの陽性患者が発生した場合に現場内での接触者追跡ができるように、どのバンドが接近したかも記録する。Proxxiによれば、プライバシーを保護するためにバンドは位置情報を追跡しない。また情報はバンド間で共有、またはProxxiに送信され、身につけている従業員の個人を特定する情報とは紐づけられない。

Estimoteの職場用接触者追跡ウェアラブルなど、同様の取り組みはほかにもある。Proxxiのアプローチは、アクティブな監視や周囲との適正な距離の通知を主眼としている点で他社と異なる。Estimoteのウェアラブルは、接触した可能性のある人に関するアラートを視覚的に提供するシステムに力を入れている。

ProxxiのHaloシステムは、簡単にすぐセットアップし、使い始めることができるという。また、スマートフォンとの接続や、スマートフォン経由でのセットアップも不要だ。

バンドの価格は100ドル(約1万7000円)で、5月4日に出荷を開始する。接触者追跡、および現場での対人距離に関するコンプライアンスと有効性の監視のために、モバイルアプリとウェブベースのダッシュボードが提供される。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)

スタートアップ製ウェアラブルで新型コロナによる下気道感染症を早期発見する研究

現在の新型コロナウイルス(COVID-19)による危機的状況は、たった1つの試みや対処策で完全に「解決」できるという見込みはほとんどない。そこで、スタートアップのWHOOP(フープ)のフィットネスと健康管理のためのリストバンドなどを対象にした、新しい研究が重要性を増してくる。オーストラリアのセントラル・クイーンズランド大学が主導し、クリーブランド・クリニックが協力する研究では、新型コロナウイルスに感染したと自己判断している数百人のボランティアにWHOOPを装着してもらい、収集したデータから各自の呼吸活動の変化を継続的に監察する計画を立てている。

この研究で使用するデータは、WHOOP Strap 3.0という機器から回収される。このリストバンドには、装着した人の睡眠中の呼吸数から睡眠の質を数値化して示す機能があり、最近のアリゾナ大学の外部研究により、その呼吸数の測定値の正確性が認められている。その研究で、侵襲的手段を除いてはもっとも正確に呼吸数が測れる装置であることが示されたため、今回の研究に携わる人たちは、他の方法によって症状が検知される以前に新型コロナウイルス患者の呼吸活動の異常を知らせる早期警報装置として有効ではないかとの仮説を立てたのだ。

WHOOPは、彼らのハードウェアが報告する呼吸数は、正しいと認められた個々の基準値から外れることがめったにないと話している。そのため、基準値から逸脱するとしたら、極端に気温が高くなったり酸素濃度が変化するといった環境的な原因か、下気道感染症などによる身体的な異常しか考えられない。

新型コロナウイルスは、まさに下気道感染症だ。上気道感染症であるインフルエンザや風邪とは違う。つまり、(比較的簡単に解消できる)環境的原因では説明がつかない下気道の問題による呼吸数の変化と新型コロナウイルスの事例との間には、強力な相互関係があると言える。WHOOPのウェアラブルは数値の偏りを機能不全の兆候として検出するため、本人が呼吸の異常を自覚する前に、基準値と呼吸数との乖離から体の変化を知ることができる。

この研究は、現時点ではまだ仮設の段階でありデータによる裏付けが必要だ。研究チームは、それには6週間ほどかかると話しているが、その調査を開始するアプリには、すでに「新型コロナウイルスに感染したと自己申告した最初の数百人」が集まっているという。目標は、陽性と診断された500人を参加させることだ。またこの他にも、健康や運動をモニターするウェアラブルを新型コロナウイルスの早期発見システムにできないかを探る研究がいくつか進められている。そのひとつに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校とOura Ring(オーラ・リング)の共同研究がある。

以前のパンデミックと違い、この新型コロナウイルスの場合は、私たちがデータドリブンのアプローチで問題を解決する方法に慣れてきた時期に発生した。また、自分で数値を測定できる健康器具も数多く普及している。それらが、感染拡大の状況をより正確に評価するための手段となり、ウイルスが人々の間でどのように広がり、あるいは終息していくのか、その傾向を教えてくれるようになるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

まだ誰も知らないデジタル治療の効果をElektra Labsのツールが教えてくれる

どの調査を信頼するかにもよるが、ウェアラブル健康管理端末とデジタルヘルスの市場価値は、今後6年間で300億ドル(約3兆3000億円)から900億ドル(約9兆9000億円)の範囲にまで高まるとされている。市場規模を示す数値が定まらないのであれば、投入される数百億ドルの背後にある製品の正当性や効率性を測る方法を考えるべきだろう。

Elektra Labs(エレクトラ・ラブス)の共同創設者Andy Coravos(アンディー・コラボース)氏は、そう考えた。歯科医と専業看護師を両親に持つコラボース氏は、長年、医療について考えてきた。株式非公開企業に勤めたり、コンサルティング業を行った後、コーディングのブートキャンプに参加し、世間に復帰してからデジタル治療の企業であるAkili Interactive(アキリ・インタラクティブ)のインターンシップで修行を積んだ。

コラボース氏は、ずっと医療分野で働きたいと思ってきたのだが、ひとつだけ問題があった。彼女はこう話す。「血がまったくダメなんです」デジタル治療を選んだ理由が納得できる。Akili Interactiveでの経験から、彼女は米国食品医薬品局の駐在起業家のポジションを得た。それが、およそ2年後のElektra Labs設立につながった。

現在、同社は、消費者向け健康市場に溢れている生体情報モニター技術のカタログ化を目指してAtlas(アトラス)を立ち上げようとしている。

そうした生体情報モニター技術と、その上に構築されたアプリケーション層は、消費者の健康に多大な影響をもたらすものでありながら、それぞれの有用性、つまりそのツールが何に使えるかという提案がどれほど本当なのかを総合的に測れる場所がない。AtlasとElektra Labsは、その状況を変える。

食品医薬品局は、Apple Watchの心房細動検知アルゴリズムや、アクチグラフの生活活動モニターといったソフトウェア駆動による製品の認可を加速させている。ロシュファイザーノバルティスなどの大手製薬会社は、デジタルバイオマーカーを収集して臨床試験の向上に役立てようと、そうした技術への投資を続けている。

コネクテッドテクノロジーはよりよい医療を実現するが、テクノロジーにはどうしてもリスクが伴う。とくに、データの正確性や、誤ったデータセットを使用したことで生じる偏向の問題を考えると、まだ解決しなければならない見落とし箇所が数多くあることがわかる。そして消費者と製薬会社は、その業界に関するデータを簡単にアクセスできる形で提供してくれる場所が必要になる。

「テクノロジーへの膨大な投資とセットになった食品医薬品局のデジタル医療製品の認可拡大により、臨床試験でも日常の治療でも、コネクテッドツールの導入が加速されました。しかし、そこに反論がないわけではありません」とコラボース氏は声明の中で述べている。「食品医薬品局デジタルヘルス部門に駐在起業家として務めていた間に、私の中で明らかになったのは、創薬が評価、準備、医薬品成分の調剤を行っているように、私たちの医療システムにも、評価、準備、コネクテッド・テクノロジーの成分の調合を行うためのインフラが必要だということでした」。

Elektra Labsでは、治療法の評価は行うが準備と調合は行わないため、創薬とぴったり重ねることはできない。しかし、アトラスが、患者数が多く、最も費用のかかる慢性疾患(糖尿病など)の治療法となる画期的な薬の登場に期待を寄せるデジタル治療業界の最初の柱になることは明らかだ。

画像提供:Andrea Coravos/Elektra Labs

コラボース氏とそのチームは、デジタル医療で必要となるすべてのデータが一箇所で手に入る場所を求めている製薬会社や医療関係者に向けたAtlasツールキットを構築する際に、300名以上の専門家の意見を聞いている。薬のラベルや栄養素のラベルのように、Atlasは、使いやすさ、有効性、実用性、セキュリティー、データガバナンスのラベルを製品ごとに発行する。

今年の初めにクオーツに掲載された記事でコラボース氏は、Elektra Labsを売り込むとともに、芽生えたばかりのデジタル治療業界のためにモニターするデータのタイプについて述べている。また、情報源を一箇所にすることで報告しやすくするという、デジタル治療に伴う好ましくない出来事への対処能力、製品の機能に関する消費者向けの基本的な説明、デジタル製品ごとに特定のユーザーにどれだけ有効かを調べた結果に基づく、デジタル治療を受けるべき人の審査、デジタル治療の原点と開発の歴史、製品に伴う潜在的リスクのデータベース、製品のセキュリティーとプライバシー保護機能の記録などについても語っている。

市場規模の予測が示すとおり、問題点が縮小することはない。先日の、GoogleによるFitbit(フィットビット)の買収提案や、より多くの患者のデータ収集とデジタル化を目的とした米大手医療機関アセンションとのプロジェクト・ナイチンゲールでの提携の報道からは、テクノロジーと医療の交差点が、ハイテク企業にとっては巨大な好機になっていることが見て取れる。

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「Googleはさらに投資します。Appleはさらに投資します。それらのデバイスは次々と食品医薬品局の認可を得て、単なる健康管理ツールではなく、医療ツールとなるのです」と、医療と健康への潜在的なメリットを宣伝するように、デジタルデバイスの爆発的増加についてコラボース氏は話した。

Elektra Labsは、名前は明かしていないが、ある製薬会社と共同で、デジタル治療環境の図式化と、臨床試験でのパートナーとしてふさわしい、またはデジアル市場で買収目標となる企業の特定をすでに進めている。「食品医薬品局もそうしたデジタル・テクノロジーについて考えていますが、そこには大変なギャップがあります」とコラボース氏。そしてギャップこそ、Elektra Labsは埋めようとしているものだ。

その中心になるものとして同社は、現代のセンサー技術でトラッキング可能なデジタルバイオマーカーのカタログを開発している。それは、その測定結果を、どの製品がどれだけ効率的に提供するかを示すものだ。同社はまた、さまざまなデジタル製品の有効性に関する、同業者が審査し発行した研究論文や、あらゆる臨床試験データに目を光らせている。

コラボース氏と彼女のデジタル製薬の未来の夢を支えているのは、Maverick Ventures(マーベリック・ベンチャーズ)、Arkitekt Ventures(アーキテクト・ベンチャーズ)、Boost VC(ブースト・ブイシー)、Founder Collective(ファウンダー・コレクティブ)、Lux Capital(ラックス・キャピタル)、SV Angel(エスブイ・エンジェル)、Village Global(ビレッジ・グローバル)の各ベンチャー投資会社だ。

エンジェル投資会社の他にも、PillPack(ピルパック)、Flatiron Health(フラットアイアン・ヘルス)、National Vision(ナショナル・ビジョン)、Shippo(シッポ)、Revel(レベル)、 Verge Genomics(バージ・ジェノミクス)といった企業の創設者や最高幹部のベンチャー投資家が、コラボース氏のこの最新のベンチャーに290万ドル(約3億1500万円)を投じている。

「Elektra Labsが構築しようとしているものの、タイミングは正しいように見えます」と、ラックス・キャピタルの投資家Brandon Reeves(ブランドン・リーブズ)氏は話していた。彼は、同社の最初の機関投資家の一人だ。「私たちは、携帯電話での個人データ利用の周囲に時代精神を見てきました。そして今、公共の場で、私たちのもっともセンシティブなデータ(健康)の話がされるようになりました」

もし妥当性の検証がアトラス・プラットフォームの主要理念ならば、セキュリティーは同社のデジタル治療審査におけるもうひとつの重点だ。実際、コラボース氏は、その2つは協調関係にあると信じている。プライバシーの問題は、インターネット全体に広まっている。同じ問題が、人の最も慎重に扱われるべき情報、つまり個人の医療記録をモニターするインターネットに接続されたデバイスでも、加速度的に増加するとコラボース氏は見ている。

ワイヤードに掲載された記事の中で、コラボース氏は以下のように述べていた。

今の医療システムには、血液やゲノムデータといった患者の生体試料を守る強力な保護体制がありますが、私たちのデジタル試料はどうでしょう? 私たちの顔、歩き方、話し方、行動パターンを認識できるデジタルツールによる生体観察が増加すれば、データの権利やガバナンスが非常に重要になります。サービス規約にサインをしてもらい、一度だけユーザーの同意を得るという方法では不十分です。製品自体にインフォームドコンセントを埋め込むといった、また時とともにユーザーの考えが変わったときに対応できるような、より高度な社会契約が必要になります。

この業界には、しっかりとした倫理的基盤を築かなければなりません。それがあって、モニターツールや観察ツールはメインストリームになれます。患者主体の医療を提供するという有名な誓約であるヒポクラテスの誓いにならい、数多くのセキュリティー研究者が、コネクテッド医療機器のための誓いの新バージョンを起草しました。

有効な規制を設け、商業活動を増加させ、強力なガバナンスを持つことで、ソフトウェア駆動の医療製品は医療の提供方法に変革をもたらします。この調子でいけば、私たちが考えているよりももっと早く、アプリとアルゴリズムが医師を支援し、医薬品を補完する、あるいは置き換えることになるでしょう。

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(翻訳:金井哲夫)

Googleとリーバイスのコラボで生まれたデニムジャケットの第二弾

2015年のことだが、GoogleのATAPチームは、Google I/Oで新タイプのウェアラブル技術を披露した。機能性ファブリックと導電性の糸を使用して、ユーザーが衣服とやり取りできるようにするというもの。最終的にはポケットに入れたスマホを操作できる。同社は、その後2017年に、リーバイスと共同でジャケットを発売したが、値段は350ドル(約3万7800円)と高価で、ヒット商品になることはなかった。そして今、そのJacquard(ジャカード)が帰ってきた。2、3週間前には、Saint Laurent(サン・ローラン)が、Jacquardをサポートしたバックパックを発売した。しかし値段は1000ドル(約10万8000円)とかなりの贅沢品だ。今回、Googleとリーバイスが最新のコラボレーションとして発表したのは、Jacqurdをサポートするリーバイスのトラッカージャケットだ。

このジャケットには、今のところ2種類のスタイルが用意されている。1つはクラシックトラッカー、もう1つはシェルパトラッカーだ。それぞれ男性用と女性用がある。値段はクラシックトラッカーが198ドル(約2万1400円)、シェルパトラッカーが248ドル(2万6800円)となっている。米国に加えて、オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国でも発売予定だ。

考え方はシンプルで最初に発売されたものと変わってない。ジャケットの袖口に仕込まれたドングルが、ジャケットの導電性糸に接続されている。ユーザーが、袖の部分をスワイプしたり、タップしたり、手で覆うようにしたりすることでコマンドをスマホに送る。iOSとAndroidの両方に用意されたJacquardアプリを使って、さまざまなジェスチャーに対して機能を割り振ることができる。コマンドには、現在の位置情報を保存、Googleアシスタントを起動してヘッドフォンにつなぐ、音楽再生を次の曲にスキップ、カメラをコントロールして自撮り、あるいはその日に出先で飲んだコーヒーの杯数など、単純なカウンター機能といったものがある。もしBose製のノイズキャンセリングヘッドフォンを持っていれば、このアプリを使ってノイズキャンセリング機能をジェスチャーでオン、オフすることも可能だ。現状で、合計19種類の機能が使える。またこのドングル自体には、通知用のバイブレーション機能が内蔵されている。

ただ、むしろ最も重要なのは、今回の(再)発売に際して、Jacquardが以前よりもモジュール化された技術として登場したことの方だろう。Googleと、そのパートナーとなった企業は、今後数カ月から数年の間にJacquardの仕組みを利用して、もっといろいろな製品を出してくることも考えられる。

「リーバイスと組んで最初の製品を2017年の末に発売して以来、1つの製品として実現した技術を抜き出し、他のさまざまなブランドとも協力しながら、別の製品にも応用できるような、真の技術プラットフォームを創出するにはどうすればいいか、ということを考え続け、真剣に取り組んできました」と、GoogleのJacquardの責任者、Ivan Poupyrev氏は語った。彼に言わせれば、Jacquardのようなプロジェクトの基本的な考え方は、その技術をバックパック、ジャケット、靴など、私たちが日常的に使っているものに応用して、より便利なものにすることだという。彼によれば、これまでのところ、私たちが毎日使っているようなものに対して、このような技術が応用されたことは、ほとんどなかった。彼はリーバイスのような企業と協力して、「人々がすでに持っていて、毎日使っているようなものを通して、デジタルライフへの新たな接点が得られるようにしたい」と考えている。

Jacquard 2.0にとって、もう1つ重要なのは、服から服へと、ドングルを使い回すことが可能だということ。オリジナルのジャケットの場合、ドングルはその特定のタイプのジャケットでしか機能しない。しかしこれからは、ドングルだけを持ち出して、他の衣料品にセットして利用することも可能となる。ドングル自体も、かなり小型、かつ強力なものとなった。さらに、複数の製品をサポートするために必要なメモリ容量も増えた。それでいて、私自身がテストした範囲では、たまに使うだけなら、待機時間がかなり長くてもバッテリーは数日間も持続した。

またPoupyrev氏は、チームがコスト削減に注力していることにも明らかにした。「消費者にとってより魅力的な価格帯の製品に、この技術を導入するため」だという。ソフトウェアにも多くの変更が加えられている。その変更は、デバイス上で動くソフトウェアだけでなく、より重要なクラウド上のソフトウェアにも及んでいる。それによって、Jacquardが装着された製品ごとに、自動的に設定を変更したり、今後チームが新たに開発した機能を、容易にデバイスにインストールしたりできるようになる。これからは、このジャケットのソフトウェアを最後にアップデートしたのはいつだっけ、というようなことが話題になるかもしれない。

彼が望んでいるのは、時間が経つにつれて、Googleがこれに絡んでいたということを、人々がむしろ忘れてしまうこと。技術は裏方のものとなってもらいたいと考えているのだ。一方のリーバイスは、この技術によって、新しい市場に手を伸ばすことができることに期待を膨らませている。2017バージョンは、リーバイスのコミュータートラッカージャケットのみだった。今後同社は、他のさまざまなスタイルの製品にも拡げていくつもりだ。

「私たちの服を着て通勤する人のニーズを満たすことを強く意識して、この技術を応用した製品を開発してきました。都会のサイクリストに焦点を合わせたリーバイスのコレクションです」と、同社のグローバルプロダクトイノベーション担当副社長であるポール・ディリンジャー(Paul Dillinger)氏は、最初のJacquard製品に対する会社の取り組みについて、私の質問に答えていた。しかし彼によれば、サイクリストのコミュニティ以外からも、多くの関心が寄せられたという。最初の製品に組み込まれた機能は、自転車通勤という特定のニーズを強く意識したものであって、それ以外の人のライフスタイルには、それほど関係ないものが多かったにもかかわらずだ。最初のジャケットは、やはり、かなり高価なものだった。「このテクノロジーによって、もっと多くのことが可能となり、もっと使いやすいものになって欲しい、という欲求がありました」と、彼は言う。そして、その結果誕生したのが、今回新たに発表されたジャケットというわけだ。

またディリンジャー氏は、今回の変更によって、リーバイスと消費者との関係も変わってくるとも述べている。というのも、購入された後の製品のテクノロジー部分をアップグレードできるようになったからだ。「これは、まったく新しい体験です」と、彼は説明する。「ファッションというものに対する、まったく異なるアプローチなのです。通常のファッションの世界では、他の会社は、半年後にはまた別のものを消費者に売り込もうとします。リーバイスは、長く着続けることのできる、流行に左右されない価値を創造していることにプライドを持っています。さらに、すでに消費者のクローゼットに入っている衣服の価値を、実際に高めることまでできるようになったのです」。

今回の発売前に、シェルパジャケットを着て1週間ほど過ごしてみた。もちろん、仕様通りの機能を発揮してくれた。スマホとジャケットのペアリングには1分もかからず、両者の接続は、ずっと安定していた。ジェスチャの認識は、まったく良好で、期待を上回るものだった。装備する機能の範囲では、うまく動作する。そして開発チームが、その機能の範囲をむやみに拡げなかったことは高く評価できる。

とはいえ、Jacquardが実際に自分に合った製品かどうかは、各自のライフスタイルによって異なるだろう。理想的なユーザーは、外を出歩くことが多く、いつもヘッドフォンを着けているような人だろう。やはり音楽のコントロールが、メインの機能だからだ。ただし、Jacquardの価値を引き出すために、わざわざヘッドフォンを着けなければならない、というわけでもない。私自身、公共の場でヘッドフォンを使うことはめったにない。しかし、駐車した場所を簡単に記録したりできるのは重宝した。ヘッドフォンを着けている場合には、ジャケットの袖の操作によって、ヘッドフォンに直接触るよりも簡単に、次の曲に飛ばしたりできることも確認した。使用頻度は、人によってかなり違うものになるかもしれない。こうした製品を利用することで、スマホを取り出す頻度が減るのはありがたい。そのうえで言えば、この時点で、これを使う必要がどれほどあるのか、もう少し具体的には、Jacquardでできることで、普通のヘッドフォンでは直接コントロールできないことがあるのか、疑問に思わざるを得ないのも確かだ。Googleは、Jacquardを単なるギミック以上のものにしたいと考えているのは間違いない。しかし今の段階では、それ以外の何者でもない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

待望の常時表示ディスプレイを備えたApple Watch Series 5、Series 4からの買い替えは微妙か

Apple(アップル)も、このところiPhoneの販売台数には陰りが見られるものの、スマートウォッチに関しては、市場を完全に支配していると言ってもいい状態を維持している。Counterpointによる最近の数字では、Apple Watchの第1四半期の成長率は前年比で48%となり、全世界のスマートウォッチ市場全体の3分の1以上を押さえている。それに対して、Samsung(サムスン)の多様なモデルは、合計してもシェアは11%程度で、遠く離れた2位に位置している。

こうした数字は、アップルがここで何か正しいことをしていることを表している。そして、Fitbit(フィットビット)やFossil(フォッシル)のような競合他社が、スマートウォッチの分野で追いつくためには、まだまだやるべきことが多いということだ。アップルが、最初からかなりうまくやってきたことを考えると、このApple Watchの最新モデルが、すでにあるものを新たに作り直すのではなく、細かな改良に注力したものであるのも納得できるはずだ。

新世代のiPhoneシリーズと同時に発表されたApple Watch Series 5には、以前のアップデートで導入されたLTEやECG(心電図)モニターといった、目立ったハードウェア機能は追加されていない。確かに、常時表示ディスプレイとコンパス機能は新しい。しかし、いずれもスマートウォッチの機能として長年待たされたあげくにようやく実現したことを讃えるようなものではない。しかし全体的に見れば、こうした新機能も、世の中のスマートウォッチの序列の中で、このApple Watchの位置を最上位に保つ役には立っている。

Apple Watchの見た目は、これまでの世代のものと大きくは変わらない。画面サイズについては、すでに前作のSeries 4から大きくなっていて、今回は変更されていない。ただし、ディスプレイが常時表示となったのは、このデバイスの長年の欠点にようやく対処したことになるだろう。これまでのApple Watchは、使っていないときには画面が真っ黒になっていた。これは、ずっと放置されてきた欠陥のようにも思えるが、それも止むなしと思わせるものでもあった。というのも、このサイズの製品では、バッテリー寿命が常に大きな課題だからだ。画面を常に表示し続けていれば、1日も保たずにエネルギーが枯渇することは目に見えていた。

アップルは、この常時表示が可能となったApple Watchのバッテリー寿命については、やや妥協したのか、前任機と同じ18時間というスペック上の持続時間を実現している。もちろん、今後のアップデートでバッテリー寿命が延長されれば、かなり歓迎されることは間違いない。私の通常の使い方では、実際に問題なく1日を乗り切ることができる。私自身は、充電せずに20時間近く保たせることができているが、それでも、このデバイスは毎日充電しなければならないことに違いはない。もし充電を忘れると、翌日には必ず途中で干上がってしまうことになる。

以前から待ち望まれていた睡眠追跡機能は、このモデルでは見送られた。そこは、アップルが競合から遅れを取っている数少ない部分の1つだ。もちろん、そうした機能を実現するには、現状のような1回の充電で18時間保つバッテリーよりも、ずっと強力なものが必要となるだろう。

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アップルは、常時表示機能がバッテリー寿命に大きなインパクトを与えないようにするため、いくつかの巧妙な手法を採用している。まず、それぞれの文字盤のデザインには、低消費電力の常時表示版が追加された。私が試してみたのは、watchOS 6から使えるようになったMeridianで、黒い背景に白い文字のもの。これを自分の顔に向けると、色が反転する。このアクティブなバージョンは見やすいが、常時表示バージョンは消費電力を少なくすることを重視したものだろう。

また、Apple Watchが採用するLTPO(低温ポリシリコン酸化物)ディスプレイは、使用状況によってリフレッシュレートを調整している。その範囲は広く、最高は60Hz、最小はわずか1Hzとなる。さらに、環境光センサーが明るさを自動調整することで消費電力を節約する。時計を手で覆って見ると、すぐに低消費電力モードに入るのがわかる。

コンプリケーションや、その類のものを表示する機能は残っているが、以前よりシンプルなものになっていて、電力消費の大きな機能は削除されている。たとえば、標準の文字盤からは秒針が消えた。またワークアウトモードでは、文字盤をユーザーの顔の方に向けるまで、ミリ秒の表示も消えたままとなる。

環境光センサーによって、ディスプレイを暗くする機能もある。例えば、映画館で映画を観ているときなど常時表示の画面の明るさでも、まったくの迷惑になるような場合だ。それでも十分に暗くはなるが、そうした場合にはシアターモードに設定するほうがいいだろう。手首を動かしたりしても、デジタルクラウンを押すまでは、決して画面を表示しないようになる。

ハードウェアとしての、もう1つの大きなアップデートはコンパスを内蔵したこと。以前に追加されたLTEやスピーカーと同じように、これも、スマホの機能をスマートウォッチに持ち込んだものの1つに数えられる。現時点では、この新機能を利用するWatchアプリはほんのひと握りだけ。最もわかりやすい例は、アップル純正の「マップ」アプリだ。コンパスが追加されたことにより、このウェアラブルデバイスによって直接ナビゲートするのが、ずっと簡単になった。

これは実際にかなり便利だ。画面が小さいのは仕方ないが、知らない場所に行ったときにiPhoneを取り出さなくても、これだけで道順がわかるのは素晴らしい。アップル純正のコンパスアプリもある。ハイキングに行く際には便利だ。海抜高度の表示も追加された。この数字は、Wi-Fi、GPS、地図データ、さらに気圧センサーの値から算出している。

この製品が、まだ発売前であることを考えると、この機能を利用するサードパーティ製のアプリの数が、まだかなり限られているのも当然だ。とはいえ、人気の高い星座アプリのNight Skyは、このコンパスを最大限に活用した機能を実現している。腕をあちこちの方向に向けることで、この広大な、そして拡大し続ける宇宙の中で、自分が今どこにいるのかよく理解できるはずだ。

ハードウェアに対するもう1つの大きな追加は緊急SOS機能だ。一般にデバイスの新機能は、いろいろな事情で必ずしもすべて実際に確認できるわけではないが、この機能もその1つ。これについては、アップルの言うことを鵜呑みにするしかない。この機能は、Series 5のセルラーモデルでのみサポートされている。海外に旅行したとき、近くに電話機がなくても、現地の緊急サービスに電話をかけることができる。この機能は、前回のモデルから導入された転倒検出機能とも連動し、着用している人が倒れた際には緊急SOSを送信することができる。

一方、watchOS 6で新たに追加されたソフトウェア機能としては、まず周期追跡アプリがある。これは、月経についての健康状態、兆候、周期などの記録、妊娠可能期間の予測といったことが可能なもの。またノイズアプリは、Apple Watchの内蔵マイクを使って、周囲のノイズレベルが90デシベルを超えているかどうかを追跡する。このレベルの騒音を聴き続けると聴力に障害をきたす危険があるからだ。

Series 5の価格は、標準(GPS)モデルが399ドル(税別4万2800円)から、セルラーモデルが499ドル(税別5万3800円)からとなっている。これが最低価格で、価格はすべてこれ以上となる。例えば、新たに登場した魅力的なチタニウムケースのモデルは799ドル(税別8万2800円)からとなっている。中でも、最も見栄えのするのはおそらくセラミックケースのモデルだが、その1299ドル(税別13万3800円)からという価格は、私たちの大多数にとっては候補から外れてしまう要因となるだろう。安くて見た目の優れた製品など期待できないということだ。Apple Watchには、ケースとバンドの組み合わせが数え切れないほど用意されている。アップルの実店舗に行けば、さまざまな組み合わせを試して確認してから購入できる。あなたの知人が、みんなApple Watchを身に着けていたとしても、あなたのものをちょっとだけ目立たせるための余地は残されているわけだ。

低価格のiPhone 11の導入に加えて、アップルはApple WatchのSeries 3の価格を199ドル(同1万9800円)からに値下げした。初めてこのデバイスを買おうという人でも手を出しやすい価格帯だ。すでにApple Watchを持っているという人にとってSeries 5は、特に昨年のモデルから買い換えようというほどの十分な動機は感じにくいかもしれない。とはいえ、常時表示ディスプレイなどの新機能は新しいシリーズならではの特徴として十分魅力的なものだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPhoneの四半期売上が鈍るもウェアラブルは順調に伸びる


予想どおり、米国時間7月30日に発表されたApple(アップル)の第3四半期決算で、ハードウェアの売上に関する数字は悲喜こもごものものとなった。Appleは、引き続き、そのリソースの多くをサービスとコンテンツにシフトし続けている。

現にApple TV+には10億ドル(約1085億円)も注ぎ込んでいる。とはいえ、iPhoneの販売台数は減っているものの、ハードウェア面ですべての状況が芳しくないというわけではない。

ウェアラブルが顕著に大きく伸びているのだ。この部門の当四半期の売上は、前年同期の37億ドル(約4016億円)から55億ドル(約5970億円)に増進している。これには、新しいAirPodsの登場が少なからず貢献している。ワイヤレスの充電機能を備えながら、AirPowerという充電用のパッドが発売前にキャンセルされてしまったモデルだ。

「ウェアラブル部門は非常に好調です」と、ティム・クック氏は今回の発表で語った。「他の人が、おそらくあきらめかけたときでも、私たちはそれに注力し続けてきました」。

AppleのCFOであるLuca Maestri(ルカ・マエストリ)氏は、ウェアラブル部門の収益だけでも、フォーチュン200社に含まれる企業1社分の収益に相当するだろうと指摘している。

一方、iPadの売上は前年同期に比べて8%増えている。Macの売上も11%増加した。そして同社が最も注力しているサービス部門は、13%の増加だった。

「これは、第3四半期としては、これまでで最高の結果です。サービス部門の過去最高の記録的な収益と、ウェアラブル部門のさらに加速しつつある伸び、iPadとMacの力強い売上、さらにはiPhoneを取り巻く動向の改善によるものです」と、クック氏は今回の発表を含むプレスリリースで述べている。「こうした結果は、当社のすべての地理的なセグメントにわたって有望なものであり、今後の展望についても自信を持っています。カレンダー年での2019年の収支は、当社のすべてのプラットフォームにおいて、新しいサービス、いくつかの新製品が登場することにより、ワクワクするようなものとなるはずです」。

現時点では、iPhoneに関する楽観的な見方は、一般的なものとは言えない。iPhoneの売上高は、この四半期には前年同期に比べて減少しているからだ。具体的には、2018年の第3期には295億ドル(約3兆2022億円)だったものが、2019年第3期には259億ドル(約2兆8114億円)になっている。この結果iPhoneは、カテゴリーとしてAppleの全収益の50%を切ることになってしまった。過去何期かの四半期は、世界市場の全体的な停滞に、中国での予想よりも低い売上が追い打ちをかけ、iPhoneの売上は減少傾向にある。

これはつまるところ、中国の経済成長の鈍化の結果なのだ。実際のところ、Huawei(ファーウェイ)を除いて、中国での動向に抵抗できるようなメーカーはほとんどなかった。ところが、この難問を抱えたスマホ最大手のAppleも、米国内での売上は上昇している。それは、果敢な価格戦略が功奏したのと、海外で政治的な逆風にさらされてる同社に対して、愛国心からの購入の機運が高まったからだろう。

関連記事:アップル4〜6月期決算はサービス部門が前年同期比13%増の1.24兆円、予想は下回る

今回の発表で、クック氏は中国に関しては、楽観的になるだけの兆候がいくつか見られると述べた。「私たちの大中華圏での業績については、少し補足させていただきたいと思います。会計年度で2019年の上半期と比べて、大幅な改善が見られています。為替変動分を除けば、成長路線に戻っているのです。私たちは、中国でのiPhoneのビジネスに関して、過去2期の四半期と比較して、明らかに良い前年比の数字を得ています。そして、すべてのカテゴリーにおいて、パフォーマンスは継続的に向上しているのです」。

もちろんAppleは、今年後半には新しいiPhoneを発表する予定だ。ただし、それらの新製品が、売り上げを伸ばすのに十分な効果を発揮するかどうかはまだわからない。5Gは今後1年間で、スマートフォンの売上を増進するための重要なファクターとなることが予想されている。しかしAppleは、2020年まで、5Gを提供することはないとされている。

同社は最近、Intelのモデム部門を買収することも明らかにした。より多くのコンポーネントを自前で製造するためだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazonが感情を認識するAlexaウェアラブルを開発中

Amazonは、おそらく現時点でユーザーのあらゆることを知っているので、感情を監視しない理由はない。同社が開発中と言われているウェアラブル・ウェルネス・デバイスは、ユーザーの心の状態を認識できるらしい。Bloombergの記事が「内部資料」に基づいて伝えている。

この少し前、同社はAlexaが話者の心的状態を読み取り、感情に応じて返答する仕組みの特許を取得した。この特許は「幸福、喜び、怒り、悲しみ、悲哀、恐怖、嫌悪、退屈、ストレス」などの感情に注目する。スマートアシスタントにとってずいぶん幅広い種類のリアクションだ。

このスマートフォン接続の腕時計型デバイスは、AlexaチームとLab126が開発していると言われている。現在内部でテスト中でコード名は「Dylan」。ちなみに最近Amazonは、社内のハードウェアチームに多くの実験をするよう推奨しており、Alexa製品は特にそうだ。たとえばEcho Buttonsはそんな実験から生まれた。しかし、殆どは実験段階を超えることがない。

Amazonはこの件に関して口が堅く、デバイスに関わっていた匿名の人物も発売時期について一切情報を漏らさなかった。確実にわかっているのは、AmazonがAlexaを出来るだけ広範囲の製品に搭載しようとしていることであり、本製品には間違いなくその資格がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップル製品が1.7億台中4600万台、2018年の全世界ウェアラブル機器販売で

アップル(Apple)製品がウェアラブル市場をリードし続けていることがIDCの最新レポートでわかった。Appleは昨年4620万台のウェアラブル製品を販売した。全世界のウェアラブル市場は2018年第4四半期に31.4%拡大して出荷台数は5930万台、年間では27.5%増の1億7220万台だった。AppleはQ4にもウェアラブルでナンバー1の地位を守り1620万台のウェアラブル機器を出荷した。そのうち1040万台がApple Watchだった。

スマートウォッチは2018年に54.3%増加し、ウェアラブル機器全体の29.8%を占めた。Apple Watchはスマートウォッチ市場の半分近くを占めた。

IDCは、Appleのウェアラブルにおける成長は今後も続くと予測しており、新しい「Apple Watch Series 4」の好調なスタートを理由に挙げた。

IDCは、最近ウェアラブルの「ear-worn」(耳装着型デバイス)カテゴリーを改訂し、ボタンのタッチやホットワード検出によってスマートアシスタントを呼び出せるワイヤレスヘッドフォンを追加した。その結果、Appleの「AirPods」、Googleの「Pixel Buds」、Boseの「QuietComfort 35 wireless headphones II」なども同カテゴリーに入った。

ウェアラブル成長の大部分はAirPodsなどのいわゆる耳装着型デバイスの増加によるものだった。例えばQ4に耳装着機器は前年同期から66.4%伸び、ウェアラブル市場の21.9%を獲得した。

IDCによると成長の原因には複数の要因が関係しており、中でもスマートアシスタントの普及と、Appleが先陣を切ったスマートフォンのヘッドフォンジャック廃止が大きいとみている。

「耳装着型デバイス市場は昨年著しく成長し、今年も続くと予想している」とIDCモバイル機器担当上級研究アナリストJitech Ubrani氏が声明で語った。「ヘッドフォンジャックの衰退によってこの種のヘッドフォンが必須になりつつあることで、メーカーにとって次の戦場になった。スマートアシスタントと耳内バイオメトリックの普及も加わり、腕やポケットの中のデバイス・エコシステムを補助するデバイスとして消費者に売り込む絶好の機会だ」

スマートウォッチは55.2%伸びて、ウェアラブルの34.3%を占めた。リストバンドはXiaomi(シャオミ)、Huawei(ファーウェイ)、Fitbit(フィットビット)などの参入によって30%のシェアを獲得した。

メーカー別では、シャオミがAppleの27.4%に次ぐ第2位となる12.6%のシェアを獲得した。同社は母国中国で依然として強く、同社のスマートウォッチ「Mi Band 3」も好調だ。ちなみにMi Band 3は、Q4に出荷されたリストバンドの30%以上を占めた。

シャオミに次ぐ3位はファーウェイで、248.5%と大躍進した。これはスマートフォンの「HUAWEI」」や「Honor」のシリーズがウェアラブルに数多くバンドルされたことに加え、そのほかの新製品も発売されたためだ。トップ5の残りはフィットビットとSamsung(サムスン)で、フィットビットは新製品の「Charge 3」および「Versa」などの積極的なプロモーション、サムスは自社のスマートフォンにウェアラブルをバンドルしたことが理由だ。サムスンはQ4にウェアラブルを400万台出荷した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TCLのリーク画像、折りたたみスマホの奇妙な将来を示唆?

「折りたたみ」と名がつくプロダクトは、奇妙なものになりそうだ。CNETが入手した、中国TCLのリークされたレンダリング画像を見てほしい。これらの奇妙かつ興味深い、2つのタブレットと3つのスマートフォンは折りたたみ可能で、そのうち一つは腕に巻き付けることができる。また、タブレットもスマートフォンも外向き、あるいは内向きにも曲げられる点も注目だ。

確かに、これらのレンダリング画像の折りたたみ端末が製品化されれば、スマートフォンのデザインを新しく興味深い方向へと進化させるだろう。もちろん、現段階で確定している情報はなく、また初期の折りたたみスマートフォンが顧客の関心を引くことができるかどうかも、まだわからない。

我々は、来週から開催されるMWC 2019(モバイル・ワールド・コングレス)や、今週水曜日に開催されるサムスンのイベントにて、より多くの動向に触れることになるだろう。また、サムスンはGalaxyシリーズの折りたたみスマートフォンの詳細を公開すると期待されている。現時点で市場に投入された折りたたみスマートフォンは中国Royaleの「FlexPai」だけで、その完成度も高くはなかった。

TCLはあまり一般に知られているブランドではないが、TV製品やアルカテル、Palm、BlackBerryブランドの端末の製造などで、ディスプレイ業界にて経験のあるメーカーだ。

今回のレンダリング画像は、折りたたみ製品を開発しているすべての企業が、現在検討しているスタンダードなものだろう。現時点でわかることは、スマートフォン業界は定番となる折りたたみ端末のデザインをまだ見つけておらず、またその定番も時代と共に変化するということだ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Fitbit、新デバイスInspireで健保と企業福利分野に進出

Fitbitから新しいフィットネスモニターが登場したが、これは店舗で購入はできない。

Fitbitは先週金曜日にInspireをひっそりリリースした。これは同社として始めての健保加入者ないし企業社員向けのプロダクトだ。会社や健保が補助するプロダクトを手がけることで企業ヘルスケアの分野に一層深く浸透しようというアイディアだ。

新しいデバイスはクリップがオプションとして付属するリストバンドだ。ベーシック版の機能は標準的で、運動、睡眠のモニター、カロリー消費の推計、設定されたスマートフォンへのアラートなどだ。ハイエンド・モデルには、GPSによる位置追跡、心拍数モニター、詳細な睡眠時分析が含まれる。プロダクト紹介のページに価格は表示されていないが、これはユーザーは料金を支払う必要がないからだ。

CNBCの番組でのインタビューで、 CEOのJames Parkは 、「われわれのユーザーは680万人に上る。この中には企業の福利厚生の一環のウェルネスプログラムのメンバーや健康保険に付帯する各種プログラムのユーザーを多数含んでいる」と述べた。今回発表されたInspireはFitbitの中でいちばん入門的デバイスだが、ユーザーを大きく増やすことが目的だという。Parkは「FitbitはUnitedHealthなどの健康保険と協力しており、全米27州の42のMedicare Advantageプランでカバーされるフィットネス・デバイスになった」と述べた。

コンシューマ市場の競争は非常に激しい。Fitbitが健康保険、企業福利厚生の分野に進出したのは賢明だ。ウェエラブル・デバイスがパイオニア的な物珍しいプロダクトではなくなるにつれてライバル間の競争は激化している。Appleはヘルスケア市場に全力投球している。ハイエンド市場はほぼApple Watchの独占で、健康保険分野への進出も検討している。これに対してエントリーレベルではXiaomiやパートナーのHuamiが30ドルといった低価格のプロダクトで勝負を挑んでいる。

Fitbitの上場は2015年で売出価格は20ドル、初日の終値は29.68ドルだった。新製品発表で金曜日の株価は6.48ドルまでアップしたが、それでも上場時点を大きく下回っている。金曜終値による時価総額は約16億ドルだった。

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滑川海彦@Facebook Google+

AppleとAplhabetが進化させるヘルスケアウェアラブル

Appleが、Apple Watchのデータを活用する新しいアプリに関して、健康保険会社のAetnaと提携したという発表や、Googleの親会社のAlphabetの傘下にある健康にフォーカスする会社Verilyが、体重と動きを検知できる靴を開発しているといったニュースは、ウェアラブルからのデータを、臨床用の健康管理アプリや治療に活用しようという動きが勢いを増していることを示している。

ベンチャーキャピタルの投資家にとって、このようなAppleとAlphabetの動きは、ウェアラブルデバイス用の新しいアプリケーションへの道を切り開くものであり、正しい方向への第一歩となる。それは、むしろ遅すぎたくらいだ。

「医療サービス提供者として、私たちは予防医療の重要性についてかなり話してきました。しかし米国の医療システムには、それにお金を払うための適切なインセンティブがありません」と、Trinity Venturesの起業家、Cameron Sepahは書いている。「大会社の経営者は(メディケードやメディケア以外に)すでに多額の医療費を支払っているので、予防のためにまでにお金を出そうという気には、なかなかなりません。というのも、従業員がそれほど長く会社に留まることもないので、長期的な健康管理の費用を負担しようとは思わないからです。そのため、この分野のスタートアップのほとんどは、企業にとって見返りの少ない健康手当となりがちです。しかし、Aetnaのような保険会社が会員を十分長く引き止めておけるのであれば、うまく連携して、このアプリを普及させることもできるでしょう」。

Sepahは、健康保険会社とハイテク企業が提携すれば、さまざまな種類のデバイスによって健康状態を検出して診断することができる、という大きな可能性を視野に入れている。

「ほとんどの患者と保険会社との関係は、紙に印刷された請求書や通知を郵便で受け取るだけで、顧客満足度(NPS)はどこを見ても最低です」とSepahは電子メールに書いている。「しかし、もし手首に装着されたデバイスを通して、より密接な関係を築く方法があれば、他の健康関連技術のスタートアップと協力して取り組む可能性も広がります。たとえばMindstrongは、自覚症状が出る前に精神的な健康の問題を通知できます。またCardiogramは、高血圧や睡眠時の無呼吸を検出して治療を促します。あるいは、Omada Healthは、デバイスからの健康データを、慢性疾患の治療プログラムに活用することができます」。

(関連記事:Apple partners with Aetna to launch health app leveraging Apple Watch data

Aetnaは、Apple Watchのデータを健康保険に結び付けた最初の会社ではない。John Hancockは、2018年の9月にVitalityというプログラムを立ち上げた。ユーザーがJohn Hancockのアプリとリンクすれば、最新のApple Watchを割引するというものだ。さらに、ユーザーがダイエットとエクササイズに関する習慣を変えれば、会社が報奨金を支払う。

米国、英国および南アフリカ共和国の40万人を対象としてRand Europeが実施した調査によれば、Apple Watchを着用し、Vitalityのプログラムに参加したユーザーは、Apple Watchを着けていない人と比べて、運動量が平均で34パーセントも増加したという。その数字は、1ヶ月あたり、ほぼ5日分もトレーニング量を増やしたのに相当する。

「CVSとAppleの協力が、どのような結果になるのか興味深く見守っています。個人の医療履歴と、ウェアラブルからのリアルタイムのデータの組み合わせに基づいて、健康に関するパーソナライズされたアドバイスを提供することは、非常に大きな価値のある目標となるでしょう」と、ベンチャーキャピタルMenlo Venturesの共同経営者、Greg Yapは書いている。しかしYapは、「彼らの第1世代のアプリが、幅広い利用者に対して十分な価値を提供できるだけのデータや学習能力を備えているかについては疑問があります。しかし話題性はあるし、それも重要だと思っています」と続けている。

その一方で、消費者の健康情報を記録するデバイスの種類は増え続けている。これも、少なからずVerilyのおかげだ。

CNBCによれば、Verilyはユーザーの動きや体重を監視するセンサーを備えた靴の共同開発に取り組んでいて、さらに健康状態の監視および管理のための常時接続型デバイスの種類を拡張しているという。すでに同社は、FDAが承認した心電図を含む、患者の特定のデータを監視する腕時計を実用化しており、さらに、糖尿病に由来する眼の疾患を感知する技術や、白内障を治療するスマートレンズを開発中だという。

こうした動きは、ハイテク企業が、ほぼ3兆ドル規模にもなるヘルスケア市場に食い込もうとして、消費者の健康に密接に関わることをもくろんでいるのを示すものだ。

ウェアラブルデバイスから、あるいは消費者の行動から、より多くのデータを収集できれば、そしてそれを継続的に監視できれば、ハイテク企業が、より早い段階で通知することで、より低コストの治療を提供することもできるかもしれない。緊急の、あるいは救急医療の必要性をなくすことにつながるからだ。

ハイテク企業による、いわば大風呂敷を広げたようなコミュニケーションとモニタリングのサービスは、うまくすれば、ユーザーと将来に医療を受ける人を、今とは異なったシステムに移行させるかもしれない。それは、治療の量や処置の回数よりも、結果にフォーカスすることになり、低コストのものになる可能性が高い。

持続的なモニタリングが良質な治療に結びつくと、すべての医師が確信しているわけではない。スタンフォード大学の有名な教授であるDr. John Ioannidisは、データが実際に何を明らかにするのかをはっきり理解しない限り、モニタリングを有効に利用することはできないと主張している。

「情報というものは、それが何を意味するのかを知っていれば、有益なものとなります。その情報の大部分については、何を意味しているのか分かっていません。それをどう扱えばよいのか、皆目見当も付かないのです。単に不安の種を増やすだけでしょう」と、Dr. Ioannidisは述べた。

ライフサイエンスのスタートアップを支援している投資家によれば、目標は、機械学習を使用して問題を特定し、同時に治療方法を確立できるような、パーソナライズされたアドバイスを提供することなのだという。

「Omada、Livongo、Lark、Vida、Virta、といったスタートアップは、リアルタイムのデータと、個人の履歴データを組み合わせるというアイディアに、すでに取り組んでいて、それはうまくいくと私は考えています。しかし、スタートアップが成功するためには、さらに細かく絞り込むことで、より良い結果を提供できるようにする必要があるでしょう。もちろん、早急に経済的な利益を生み出すことも重要です」と前出のYapは付け加えた。

画像クレジット:VenimoShutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

スマートウォッチ開発のヴェルトがシチズンと資本業務提携、プラットフォームを共同開発

アナログ型スマートウォッチなどのウェアラブル製品・サービスを開発するスタートアップ、ヴェルトは1月21日、シチズン時計との資本業務提携を発表した。シチズンからの出資金額は約3億円で、ヴェルトが第三者割当増資により株式を発行する。

両社は提携により、スマートウォッチをはじめとしたIoT端末のためのプラットフォーム「Riiiver(リバー)」を共同開発する。Riiiverは、専用腕時計のほか、スマートフォン、タブレットなどとのデバイスにも対応。IoTデバイスを起点に「ヒト、モノ、コトを有機的に結び付けるマイクロコミュニティ」として、シチズンが2019年夏にサービス提供開始を予定している。

また、ヴェルトが2019年度中に発売予定のスマートウォッチ「VELDT LUXTURE(ヴェルト ラクスチュア)」の製造・販売の一部をシチズンが担当する。ディスプレイに画像で針を表示するタイプのスマートウォッチとは違い、VELDT LUXTUREは三針モデルのアナログ時計をベースに、文字盤上に間接照明型の光で情報を表示する、というデザイン性の高いモデルだ。VELDT LUXTUREはRiiiverに完全対応する予定だという。

ヴェルトは2012年8月の設立。針を持つアナログ型をベースにしながら、ネットと連動して情報を表示したりモバイル決済に対応したりする、スマートウォッチとしての機能を持つ「コネクテッドウォッチ」を開発・提供している。

ヴェルトではこれまで、2016年にアコード・ベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施。2017年にはファストトラックイニシアティブ、Darma Tech Labsほか投資家から約1.6億円を調達している。

MyMeは会った相手全員を覚えてくれる――OrCamから顔と名刺を認識するウェアラブル・カメラ登場へ

テキスト読み上げテクノロジーを利用して視覚にハンディキャップのある人々向けのデバイスを提供しているスタートアップ、OrcamからMyMeというミニカメラが登場した。Tシャツの襟元にもクリップできる小型デバイスで、 ユーザーが会った相手をすべて記憶する。

MyMeはスマートフォンからカメラ部分を独立させたようなプロダクトで、OrCam独自の顔認識アルゴリズムにより、顔と名前を一致させてくれる。会議やカンファレンスで大勢の初対面の人に会うような場合はもちろん、日常生活でも大いに役立ちそうだ。

OrCamは数年前から視覚にハンディキャップがある人々向けのMyEyeを販売している〔MyEye2は日本でも販売中〕 。これはメガネにクリップするウェアラブル・デバイスだ。カメラとスピーカーが内蔵されており、ユーザーが指さした部分を読み上げてくれる。

OrCamはこうしたリアルタイムの画像認識テクノロジーの延長線上にあるプロダクトだが、一般ユーザーを対象にしている。OrCamの秘密は非常に小型軽量のボディーにMyEyeのOCR機能と顔認識機能を搭載したところにある。当然バッテリーも小型だが、処理はすべて本体内で実行され、クラウドへの接続は必要ない。

またOrCam MyMeは画像や音声を一切記録しないのでプライバシーに関する懸念は少ない。デバイスが顔を認識すると特徴を抽出してシグナチャーを生成し、マッチする記録があるかどうかチェックする。MyMeはスパイカメラではないので相手はレンズが自分の方を向いているのに気づく。人によっては多少違和感を感じるかもしれない。

ユーザーが初対面の誰かに会う(相手が一定の距離で正面に立つ)とMyMeはスマートフォンないしスマートウォッチに通知を送る。ユーザーは通知が来たデバイス上で名前を入力できる。次にその相手と会ったときに.MyMeはシグナチャーをチェックし会ったことがある相手だと通知してくれる。

相手が名刺をくれた場合、ユーザーはMyMeのレンズの前にかざせばよい。デバイスは自動的に名刺のデータと顔データを結びつけて記録する。

ユーザーは人々を家族、同僚、友達などに分類してタグづけできる。過去数週間に会った人の数をタグ別に知ることもできるのでワーク・ライフ・バランスも数字で分かる。

MyMeはまだ市販が開始されていないが、すでにKickstarterで800台以上の予約を得ている。OrCamでは熱心なユーザーによるコミュニティーを組織し、新たなユースケースの開発に役立てたい考えだ。

私(Dillet)は先週のCESで実機に触れるチャンスがあったが、写真での想像よりずっと小型で軽いのに驚いた。それと知らなければ誰も気づかないだろう。Google
Glassのようにひどく目立って邪魔になるということはないはずだ。服装によってクリップが使えない場合はマグネットによる吸着キットも用意される。.

OrCamでは2020年1月までに399ドルでMyMeの市販を開始する予定だ。これは確かに役立つデバイスだと思うが、唯一の懸念は、「常時待機して顔認識する」というデバイスに対して人々がどう感じるかだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Marc Andreessenが語る:音声は「とてつもなく重要」でVRはARよりも1000倍大きくなる

ベンチャーファームの創業者であるMarc AndreessenとBen Horowitzによる、最新のa16zポッドキャストでは、Andreessenのお勧めテレビ番組から、Horowitzの素晴らしいバーベキューのコツといった、たくさんの楽しい話題が提供されている(まあ、ご想像のとおり、そんな「時期」だからだ)。

だが、読者の方々にとってより有用なのは、Andreessenのテクノロジーに関する予想だろう。特にウェアラブルについてはより詳細な予想を語っていて、そこには仮想現実(VR)が拡張現実(AR)よりも「1000倍」大きなものになるだろうというものも含まれている。これは同社がMagic LeapとそのARゴーグルに対して投資している事を考えると、興味深い発言だ。

ポッドキャスト全体はここで聴くことが可能である。本稿では、興味深い部分を以下に要約した:

音声について:

「現在、本当に重要なのは音声です。音声は一般的に重要性を増していて、特にAppleにとってのAirPodsはホームラン級の大当たりです。これはその小ささ故に、どれほど重要なものかがあまり認識されていないプロダクトなのです。ですが、基本的に必要ならばいつでも利用者の耳に届く音声だという意味で、私はこれがとてつもなく重要なものだと思っているのです。

例えば、新しい有名YouTuberたちが生まれていますが、皆の疑問は一体どうすればそうしたYouTubeビデオを観たり無数のYouTuberたちの番組を聴く時間を見つけることができるのかということです。そしてその答えは:仕事中に聴いているのです。人びとはこのbluetoothデバイスを耳に差し込み、帽子を被り、フォークリフトの上で10時間働き、Joe Rogan(有名なポッドキャスト提供者)の番組を10時間聴くのです。これは大したことです。

もちろん、ユーザインタフェースとしての音声は急速に増加しています。なので、音声はとてつもなく重要になると思っています」。

センサーについて:

「私がウェアラブルとして推薦する2番目のものは、身体上に装着するセンサーのコンセプトです。ここでは、Apple Watchがその心拍センサーを使ってやっていることで、先行しています。しかし、今後5年から10年の間に、私たちは自分たちの選択によって、自分の身体を完全に医療用センサーで補完するようになると思います。例えば心臓発作や脳卒中などが起こる前に、それらを予測できるようになると思っています。キラーアプリはこんな具合かな(笑い)『ピー。4時間以内に心臓発作が起こります。おそらく車を病院に向けるべきでしょう』とか。

病院における(心臓発作の患者の)生存率は、99%です。これに対して、自宅に居た場合の生存率は50%です。人びとが持つことになるセンサープラットフォームによって、生活の質が大幅に向上するチャンスがあるのです」。

ARとVRの将来について:

「光学は発展していると思います。それは長い道のりとなるでしょうけれど、ARとVRは上手くいくと思います。そして現在私たちが、そして小さなガラス板を通して世界を眺める必要性を取り除いてくれる、ヘッドアップディスプレイが手に入るようになるでしょう。全世界が私たちの周囲に開かれようとしているのです。

ARには、職場にも家庭にも沢山の潜在的なアプリケーションがあると思っています。ですが、私はVRの方が1000倍ほども大きくなると思っています。これは現在のシリコンバレーの一般的な見方には逆らうものですね。皆が耳にする一般的なテーマは、ARはVRよりも大きくなるだろうということです、そして明らかにそれはそうあるべきです。現実の世界に物体をオーバーレイすることができれば、それは仮想世界を1つ構築しなければならないことよりも本質的におもしろいはずですから。

ただ私は、それが当てはまるのは、本当に面白い実世界に住んでいる人たちだけだと思っているのです。さあ今日も沢山面白いことが待ってるぞと思える場所で、毎朝目を覚ますことができる人は、この地球上に1%いや0.1%もいるのかどうか。なので、すでに大学のキャンパスやシリコンバレーや、ある種の大都市に住んでいるような人たち以外に対しては、VRの中に私たちが生成することができる新しい環境の方が、本質的に遥かに面白いものになるでしょう。そしてそうしたものは沢山あるのです」。

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(翻訳:sako)

Soundbrennerのウェアラブルメトロノームがアップグレードしてモジュール構造に

Soundbrenner Coreがクラウドファンディングの満額に達するのに、14分しかかからなかった。すごいね。先週、このウェアラブルのメーカーは、目標額5万ドルの10倍以上でキャンペーンを終了した。その数日後に本誌は、香港のアクセラレーターBrincの本社で彼らを取材した。

Soundbrennerは、Pulseですでにかなり名を知られるようになっていた。その、インターネットに接続された腕時計型のデバイス(下図)は、メトロノームに賢いイノベーションをもたらした。その、ピアノの上につねにあったアクセサリーは、かなり前に、楽器店の埃をかぶったコーナーに追放されていた。そのウェアラブルは皮膚感覚でビートを伝え、バンドの全員をそのビートに同期させる。Pulseは、6万台売れた。

たしかに、単純であることがその強みだったが、Soundbrennerはそれをもっと改良したいと考えた。そしてKickstarter上の2477人が、その考えに同意した。Coreと名付けられたその製品は、4-in-1(フォーインワン)のツールだ。Indiegogoのページで、予約を受け付けている。

第一に、それは振動するメトロノームだ。ふつうのスマートウォッチの7倍ぐらい強い触覚フィードバックで、最大5人のミュージシャンがビートに同期できる。画面をタップして、ビートを手作りできる。

いちばん話題になるのは、Misfitの協同ファウンダーSonny Vuの指導によるモジュール構造だろう。磁石で付け外しできるディスプレイは、外してギターのチューニングペグにつけて、振動でチューニングをテストできる。デシベル計とプッシュ通知もある。ただし後者は、スマートフォンのプッシュ通知ほど完全ではない。

Coreは、前世代のPulseより小さい。でも、決して小型ではない。同社によるとそれは意図的で、これがミュージシャンたちの間で名刺のようなものになってるからでもある。ビートで秘密の握手をするのだろうね、たぶん。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

耳栓型の双方向翻訳機WT2が1月に発売、リアルタイム翻訳の実現も近い

Timekettleは、昨年のTechCrunch Shenzhen(深圳)で披露した翻訳をするウェアラブルWT2のその後の進歩を、われわれにどうしても見せたいようだった。昨年の3Dプリントしたプロトタイプと違って、このクラウドファンディングされた耳あては、今や発売可能だ。

すでに初期支援者には現物を送り始めており、1月には予約購入者にも送り始める。そのハードウェアは、しっかり作られている。外見は大きすぎるAirPodケースのようで、二つを磁石で閉じる。使い方は、開いた状態で片方を話す相手に渡す〔下のビデオ参照〕。

アプリで言語を選び、各自が一つ耳につける。二つの翻訳機は区別できないが、光っているロゴの上に細い線(“まゆげ”)がある方が二号機だ。

GoogleのPixel Budsなどのウェアラブル翻訳器はあまり売れなかったが、こいつはそれらよりもずっと巧妙だ。着用者がお互いにアイコンタクト(視線を交わす)したり、ボディーランゲージ(身振り手振り)を使えたりするところが、ミソだ。それらは、言葉が違う者同士のコミュニケーションでは、とても重要だ。

しかし、でも、それが障害になるかもしれない。多くの場合、見知らぬ人に片方の耳あての装着をお願いすることになるだろう。それが、つらい。でも、まじめなビジネスの場面なら、とっても便利なツールだ。

でも前者のような場合には、アプリとその画面でコミュニケーションできる(下図)。お互いにロゴをタップしてから話す、という、ウォーキートーキー(トランシーバー)的な使い方もできる。それは、まわりの騒音を拾わないための工夫だ。

全体的にぼくは、かなり感銘を受けた。同社のCEOとの会話を書き起こした上図の例でお分かりのように、翻訳は完璧ではない。でも、あたりのノイズと、上質でないセル接続と、会話の相手が‘歩きながら’にこだわったことを考えると、WT2の仕事は賞賛に値する。

現在は、翻訳に遅延がある。話終わってから数秒後に、相手の耳に翻訳が行く。これは、言葉の勉強を助けるためかもしれない。でも、発売までにはリアルタイム翻訳に近い性能にしたい、と同社は言っている。

〔訳注: WTはたぶん、Wearable Translatorの頭字語。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

HuaweiのWatch GTはWear OSを捨てて自社製OSを搭載、‘競争に勝てる’性能を目指す

LGの奇妙なハイブリッドウォッチWatch W7は、WearOSの小さいが重要な勝利だった。しかし今朝(米国時間10/16)のロンドンでGoogleは、少なくともこの機種に関しては、スマートウォッチの市場競争における重要な同盟を失った。Huaweiの最新のウェアラブルWatch GTはGoogleのオペレーティングシステムを捨てて、自社製のLiteOSを採用した。

Googleのウェアラブル用オペレーティングシステムは苦戦しているだけに、Huaweiのこの動きはショッキングだ。同社はWearOSの分断化を避けるという方針を貫いてきたが、それが結局、メーカーとしての企業を悩ませることになり、Samsung, Fitbit, そして今度はHuaweiが、我が道を行くを選んだ。

事情はメーカーによりまちまちだが、Huaweiの決定はかなり単純明快だ。同社は、電池寿命を極力長くすることに関心があった。その思想は、今日の発表に含まれていたほかのスマートフォンを充電できるスマートフォンにも表れている。

常軌を逸したような主張もある。Huaweiによると、こいつは、ふつうの使い方なら一回の充電で2週間動く。本当なら、これを他社製品と比較するのは馬鹿げている。余計なものが一切動いていなければ、30日は保(も)つらしい。そうなるとこれは、Kindleの領域だ。

当然このウォッチは、やや肥満タイプだ。ユースケースとしてフィットネスを挙げているから、肥満ウォッチは、まずいかもしれない。そもそも、ほとんどの競合製品がフィットネスをメインの用途としている。とくにAppleとFitbitは強敵だ。

心拍計は常時動いているタイプ、正確な走行追跡のために、3-GPSシステムを搭載、スマートフォンと並んでHuaweiは、ウォッチでもSamsungとのシェア競争を意識している。そこで、Wear OSは置き去りにされ、‘後塵を拝する’ことになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LGの奇妙なハイブリッドスマートウォッチはWear OSに命を吹き込めるか?

新しいV40 ThinQの発表に加えて、LGはこの一風変わった新製品を披露した。ハイブリッドスマートウォッチはもはや目新しくないのは確かだが、Watch W7は奇妙なアプローチでこの分野に参入した。

実際、同社が今週この製品について最初に語ったとき、多くの疑問が寄せられた——そしてスマートフォンとは異なり、現物に触ることができなかったため謎はいっそう深まった。

要するにこういうことだ。これは機械式針のついたWear OSスマートウォッチである。つまり、標準的スマートウォッチ画面の上に物理的な時計の針が2本置かれて自分の仕事をしている。タッチで操作できるが、実際には表面のガラスを通じて行われる。一方時針と分針は画面のテキストが見やすいように振るまう。

側面のボタンを押すと針が180度に広がる。その下のテキストは上にずれるので物理的部品に邪魔されることはない。さらに、針が戻る際ガラスがわずかに持ち上がるように見える。LGによると、この機能はLGのFrankensteinウォッチに対応するために最新版Wear OSに組み込まれているという。

これは素晴らしいアイデアか、落第アイデアのどちらかだ。私はレビュー用ユニットが届くまで、定を保留しておくが、最近の主流ウェアラブルの中では、ほかの何もよりこれを試してみたいというのが本心だ。つまりは、革新的であることだけが取りえだ。

LGは概要説明の中で、「腕につけてもらうために努力している」と言った。これはWear OSにとって最近の大きな課題だ。とにかくAppleがこのカテゴリーを支配しており、Android陣営ではFitbitとSamsungがリードしているが、どちらもGoogleのウェアラブルOSでは動いていない。

機械式針についても何か言うべきことはある——時間を見るために画面をオンにしなくてすむのでバッテリーの節約には大いに役立っている。さらには、ふつうの時計として見栄えもよい。純粋な目新しさのためにスマートウォッチを着ける時代は終わりつつあるのだろう。

W7の価格は450ドルと高額だ。奇妙な一品の予約受け付けは今週の日曜日から。店頭には10月14日に並ぶ予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook