シェフによるおすすめレストラン情報を提供するChefs Feed、Android版の提供を開始

どこかおいしい食事のできる店を見つけたいのだが、Yelp上での評価などが信用出来ないと感じているとしよう。そんなときは、どうすれば良いだろう。そんなときは、お腹をすかせたプロの料理人が食事する店を教えてもらえば良いのではなかろうか。以前も紹介したChefs Feedは、まさにそうした目的で開発されたアプリケーションだ。料理のことを最もよく知っている人々からの情報を提供しようとしているわけだ。

数年前にiOSアプリケーションをリリースして、そしてついにAndroid版のリリースに至った。また、ビジネス展開をさらに強力に進めるため、Zinioの共同ファウンダー兼CEOであったRich MaggiottoをCEOとして招請した。

Chefs Feedを設立したのはSteveとJaredのRivera兄弟だ。レストラン業界での広報業務などを経験した後、そこで培ったシェフたちとのネットワークを活かして、おいしい店の情報を蓄えていった。そうして集まった情報や繋がりを活かしたいと考えるうち、Chefs Feedのアイデアが生まれたのだ。シェフたちが持つ情報をシェアするためのプラットフォームを作ってみようと思い立ったわけだ。

現在、Chefs Feedには1000名以上のシェフが参加し、いろいろなレコメンド情報を提供してくれているそうだ。そうした情報提供の見返りとして、シェフは利用者達と直接にコミュニケーション行うことができ、自分の店や、おすすめメニューなどについての情報を流すことが出来る。シェフと利用者の間にはこれまでに2300万の「コネクション」が生じ、それをきっかけとして、100万回以上のレストラン訪問の機会が生まれているのだとのこと。

今回、Android版をリリースしたことで、さらに多くの利用者を獲得するチャンスを得たことになる。

デジタルニューススタンドサービスのZinioを立ち上げたMaggiotoは、CEOとして優秀な人材の獲得やビジネス面での成長戦略を進めていくこととなる。ビジネスとしては、広告、スポンサーシップ、そして利用者ないしはシェフに関するアクション分析の提供などを行っている。

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(翻訳:Maeda, H


ドコモのインキュベーションプログラム第2期、グランプリは献立提案サービス「me:new」に

インキュベーションプログラムの総仕上げであり、スタートアップが自らの成果を発表する場である「デモデイ」。米国ではY Combinatorが開催されたばかりたが、時を同じくして日本でも開催されている。NTTドコモ・キャピタルは3月26日にインキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」第2期のデモデイを開催した。

約4カ月に渡るプログラムでサービスをブラッシュアップしたスタートアップは6社。サービスの概要を紹介していく。

forEst「ATLS

出版社と提携して市販の問題集をデジタル化。タブレット端末上で閲覧できるようにするサービス。端末はあくまで問題集の閲覧や時間の計測のみ。実際に紙と鉛筆を使って回答していく。「教育分野のAmazonを目指す」としており、教材の販売、そして教育実績のビッグデータ化、さらにそのデータを使って苦手な問題や忘れていそうな問題の再学習に向けたレコメンドの機能を用意する。すでに出版社、高校と組み、300人体制でユーザーテストを開始するという。

えがおの「えがおの本

在学中に学校行事の写真を購入でき、卒業時にその写真でオリジナルの卒業アルバムを作成できるアプリ。学校行事などで写真館が撮影した写真を、顔認識技術をもとにアプリ上でレコメンド。ユーザーが直接購入することができる。そして卒業時にはこれまで購入した写真を組み合わせて卒業アルバムの作成が可能。

アルバムはデジタルデータだが、印刷しての販売なども予定する。すでに複数の写真館から打診を受けており、導入が決まっているケースもあるそうだ。

だんきち「スポとも

動画アプリを通じたスポーツ通信レッスンサービス。フォーム分析や動画共有の無料機能も提供する。地域によって人材不足だったり、レッスン料が高額となったりするスポーツのコーチング。こういった課題をアプリ上でのマッチング、動画を使った指導で解決する。4月からは10人のスポーツ選手がコーチとして参画する予定だ。

wizpra「Pozica

職場の同僚、バイト仲間など一緒に働く人たちに対しての感謝を書いて送る「サンクスカード」。これをオンラインで実現するプラットフォーム。管理者向け機能も提供し、実際どの程度のやりとりがあるかを把握することができる。すでにベータ版を提供しているが、3カ月でコミュニケーションが増えたという実績もあるそうだ。

ミーニュー「me:new

利用者の好みや栄養を考えた最大1週間の献立を自動作成できるサービス。料理というとクックパッドや楽天レシピを思い浮かべることも多いが、このサービスでは、1つの料理の作り方を支持する「レシピ」でなく、1食の料理すべてのレシピを紹介する「献立」を1週間分提供するのが特徴。レシピに加えて、買い物リストの自動生成機能などを備えている。

WonderBee「WonderBee

ガジェットに特化したSNS。市販されている、これからされるガジェットの1つ1つを「コミュニティ」として用意し、そのガジェットのファン、ユーザーが集まる仕組みを提供する。ベータ版ではすでに100以上のコミュニティがあるという。

第3期プログラムは「ジャンル不問」でスタートアップを募集

その中からから見事最優秀チームに選ばれたのはミーニューだった。同社はデモデイの来場者投票による「オーディエンス賞」も同時に獲得。そのほか「ソニーセレクト賞」「ベストストレッチ賞」にはforEstが選ばれた。

デモデイの開催とあわせて、NTTドコモ・ベンチャーズでは、第3期プログラムの募集も開始した。応募条件は、設立3年以内、従業員数10人以下の企業または今後起業を予定している人、500万円の転換社債型新株予約権付社債を発行すること、プログラム終了までにベータ版のプロダクトをリリースできることなど。募集は5月8日までとなっているが、応募や条件の詳細は同社のサイトを参考にして欲しい。プログラムについて説明したNTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏は、「これは本当にドコモと関係するのか? というものでも応募して欲しい。ドコモを踏み台にして、使い倒して、ライバルになるような会社をお待ちしている」と来場者に語った。


「牛」のためのウェアラブルを提供するSilent Herdsman、300万ポンドを追加調達

「ウェアラブル」が人間だけを対象にしていると思ったら大間違いだ。すべての個体に強制的に着用させることのできる家畜マーケットにおいてこそ、「ウェアラブル」が一層有効に機能するという面もある。

そんなところに着目したのがイギリスのスタートアップであるSilent Herdsmanだ。首輪型のウェアラブルデバイスにて、牛の特徴的な行動を通じて発情期などを感知し、酪農家や畜産農家での管理をより効率的に行えるようにするものだ。

このSilent Herdsmanが、より多くの顧客獲得ならびに成長速度のアップを目指して300万ポンドの資金を調達した。現在はイギリスおよびヨーロッパにて「数百戸」の農場で利用されていて、稼働中の首輪型デバイスの数は「数万台」であるとのこと。

Silent Herdsmanは、2010年にこのデバイスを開発したストラック大学研究室からのスピンアウトで設立されたスタートアップだ。(当時はEmbedded Technology Solutionsという直接的な名前だった)。研究室では2006年から2009年にかけて、Scottish Enterpriseが資金を拠出するファンドからの475万ポンドの資金を得て研究を行ってきていた。

今回の300万ポンドはScottish Equity Partners(SEP)が主導する投資シンジケートおよびAlbion Ventures、Scottish Investment Bank、そしてScottish Enterpriseの投資部門などが出資したものだ。

Silent Herdsmanによると、調達資金は海外での市場拡大および、デバイスの機能向上のために活用していくとのこと。

動作の仕組みは、行動をモニタリングする首輪型デバイスと、特許技術を盛り込んだ分析ソフトウェアを組み合わせて、発情状態などの確認を行うというものだ。首輪型デバイスにて特定の状況が検知されれば、その情報がワイヤレスで基地局デバイスに送られ、そこから農場の担当者(スマートフォンやデスクトップ機)に情報がリレーされる。

飼っている牛全体の管理を容易にし、さらに個々の牛の行動に基づいた適切な行動をより迅速に行えるようにしようとして開発された技術だ。Silent Herdsmanによると健康管理がより効率的に行えるようになり、ミルクの生産量なども増加し、すぐに技術投資分を上回る利益をあげられるようになるとのこと。

SEPのパートナーであるStuart Patersonは、今回の投資にあたり次のように述べている。「現在、世界中には10億頭の家畜牛がいます。そのうち3400万頭がEUおよびアメリカで飼育されています。世界が豊かになり、そして畜産製品への需要は高まる傾向があり、飼育される牛の頭数も拡大傾向にあるのです。こうした傾向の中、Silent Herdsmanにとってのビジネスチャンスは年間で10億ドル以上となっているのです」。

「さらに、Silent Herdsmanの技術を活用すれば、世界的な問題のひとつである食料生産の効率性を向上させることにも繋がります。Silent Herdsmanはイギリス国内のみならず、国際的にもマーケットを広げつつあり、SEPとしてはその流れをお手伝いしたいと考えたのです」。

Albion VenturesのパートナーであるRobert Whitby-Smithも次のように述べている。「Silent Herdsmanの今後の成長プランをサポートする機会を得ることができて大変嬉しく思っています。動物の健康管理関連市場はさらなる成長が見込める分野で、Silent Herdsmanは、独自の特許技術を活用して市場を大きく広げていくことでしょう」。

Silent Herdsmanは現在、イギリス、中国、ニュージーランド、メキシコ、およびヨーロッパなどで特許を取得している。

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イスラエル経由世界行き――日本の起業家を募集開始、サムライインキュベート榊原氏が現地移住でベンチャー支援

サムライインキュベートの榊原健太郎氏

日本のインキュベーターの草分けでもあるサムライインキュベートが、シリコンバレーに次ぐ「スタートアップの聖地」と言われるイスラエルに進出する。5月に同社代表の榊原健太郎氏が自ら移住し、同国最大の商業都市であるテルアビブに支社を設立。起業家と共同生活して100%事業にコミットするためのシェアハウス「Samurai House in Israel」を開設し、世界を狙う日本のスタートアップを徹底的に支援するという。これに伴い、シェアハウスへの入居者募集を開始。応募条件は英語で日常的なコミュニケーションができることなどで、専用サイトで4月2日まで募集している

サムライインキュベートは榊原氏が2008年3月に創業。現在は東京・天王洲アイルに起業家支援のためのコワーキングスペース「サムライスタートアップアイランド」を構え、経営やマーケティング、財務などさまざまな面でサポートしている。2009年には「サムライファンド」を立ち上げ、1号ファンドからは、スマートフォン向けの広告配信サービスのノボットが創業2年目にKDDI子会社のmedibaに15億円で売却されている

今でこそ80社以上に投資しているサムライインキュベートだが、創業当初は東京・練馬に築20年を超える一軒家を借り上げ、スタートアップ5社と寝食を共にして24時間体制で起業家を支援していた。榊原氏が「サムライハウス」と名付けたこの一軒家は、日本で最初の共同生活ができる起業家向けのコワーキングスペースだという。このたび立ち上げるSamurai House in Israelは、イスラエル版のサムライハウスと言えそうだ。

IT業界の巨人が熱視線を送る中東のシリコンバレー

イスラエルは年間700社以上のハイテクスタートアップが設立され、中東のシリコンバレーとも評される。TechCrunch編集者のMike Butcherは「テルアビブで石を投げればハイテク分野の起業家に当たる」と、スタートアップの盛り上がりを表現している。大手VCの視線も熱く、SequoiaCapitalやKPCB、IntelCapitalなどが現地のスタートアップに投資し、これらの企業をIT業界の巨人が相次いで買収するなど、「イグジットのエコシステムが出来上がっている」(榊原氏)のだとか。

例えばFacebookは2012年6月、iPhoneで撮影した写真に写った友達にその場でタグ付けできるアプリを手がけるFace.comを買収。その金額は8000万ドルから1億ドルに上るとも報じられている。このほかにも、Microsoftは検索技術のVideoSurfを、AppleはXboxのKinectに採用された3Dセンサー技術のPrimeSenseを、Googleは地図アプリのWazeを買収するなど、M&Aの事例は枚挙にいとまがない。

ちなみに、イスラエルのスタートアップ事情を詳しく説明する書籍『アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるのか?』では、「もしイスラエルが“インテル・インサイド”にならって製品に“イスラエル・インサイド”のステッカーを貼ったとしたら、そのステッカーは世界中の消費者が手にするほとんどすべての製品が対象になる」とその技術力の高さを評している。

テルアビブの市役所には、TechCrunch編集者のMike Butcherのコメントが掲げられている。左から2番目が榊原氏

そんなイスラエルに進出するサムライインキュベートは、現地にシェアハウスを開設して何をするのか。

榊原氏によれば、現地の滞在先やシェアオフィス、シードマネーの500万円を提供するほか、イスラエルでの起業やチームビルディング、ファンディング、マーケティングなどの面で支援するのだという。「イスラエルは物価が日本より高いため、僕も入居者と自炊することになりそう」と話すように、文字通り寝食を共にするようだ。こうしたサポート以外にも、榊原氏が築いた現地のエンジェルやVCとの人脈を活かし、支援先のスタートアップへの投資を促していく。

海外のVCの多くは、そもそも日本の起業家がどういうものかあまり知らないため、日本に登記しているスタートアップに投資したがらない傾向がある。また、日本市場は世界の市場規模に比べて小さいことから、市場規模の大きい世界へ展開している企業が関心を持たれがちだ。

その点、日本の四国ほどの面積に人口がわずか776万人のイスラエルは国内市場がないに等しく、敵対するアラブ諸国からなる周辺国の市場も見込めない。だからこそ、世界レベルで活躍するスタートアップが生まれるのだと榊原氏は指摘する。現地のスタートアップに興味を持つVCも多いことから、「日本のスタートアップがイスラエルを経由してシリコンバレーや世界に進出できる可能性も大きい」(榊原氏)。

シェアハウスの入居応募条件は、英語で日常的なコミュニケーションができる人(ちなみに榊原氏自身も、週に3回ほど英会話学校に通って英語を特訓中らしい)。エンジニアを獲得できるCEO候補、長期滞在可能、イスラエルに知見がある、テクノロジー寄りのサービス、イスラエルと親和性の高い事業アイデアを持って実現できる人であれば、なお歓迎なのだという。応募は日本人起業家が大半を占めると思われるが、「サムライ魂を持っていれば、国籍は問わない」としている。

日本の住居を5月で引き払い、背水の陣でイスラエルに挑むという榊原氏。当面の目標としては、3年以内に現在のサムライインキュベートと同様、年間60社以上に投資することを掲げる。投資先としては日本人の起業家、日本人とイスラエル人のチーム、それ以外の海外起業家が対象。長期的には2020年の東京オリンピックが開催されるまでに、日本からGoogleやAppleといった「ホームラン級」のスタートアップを輩出したいと語っている。

「イスラエル経由世界行き」を実現するスタートアップが増えることを期待したい。


グロースハックツール提供のAppSocially、アライドアーキテクツと資本業務提携

TechCrunch Japanのゲストライターとしても活躍している高橋雄介氏がCEOを務めるAppSociallyは、米国シリコンバレーに拠点を置いてグロースハック向けのツールを開発するスタートアップだ。同社は、500 Startupsのインキュベーションプログラムにも参加しており、米国から世界に向けてサービスを展開している。

同社の「AppSocially」は、スマートフォンアプリ上で、ほかのユーザーに対してアプリの招待をしたり、ソーシャルメディア上への口コミ投稿をしたりする機能と、その効果測定機能を提供している。そのためAppSociallyのSDKをアプリに導入することで、スマホアプリユーザーが、いつ、どのようにして友人を新たにアプリへ呼び込んだかなどを計測、解析できるという。すでにリクルートやエキサイトなど、国内大手企業への導入実績もある。

そんな同社に対して3月24日、ソーシャルメディアマーケティング事業を展開するアライドアーキテクツが資本業務提携を発表した。増資額、バリュエーションは公開していない。

アライドアーキテクツでは今後、自社で展開するソーシャルメディアマーケティング支援プラットフォーム「モニプラ」のデータベースと、AppSociallyのデータ計測、解析技術を連携するとしている。AppSociallyを活用することで、モニプラのアプリユーザーの「影響力」を可視化し、モニプラで蓄積するキャンペーンやアンケート結果などのデータベースを充実させる。その後の具体的なマネタイズや、AppSociallyの日本展開への協力などに関しては未定としている。


シュート練習の成績を自動的に記録する、バスケットボール専用のスマートウォッチ登場

バスケットボールが上手だとは言えないが、それでもプレイするのは面白い。熱心に練習していた頃に、Hoop Trackerスマートウォッチがあれば、もう少しましなプレイヤーになれたのかもしれない。このHoop Trackerは一般的なスマートウォッチとは違って、バスケット専用のものとなっている。シュート回数や成功率などの分析を行ってくれるものなのだ。現在は、Kickstarterキャンペーンを展開中。説明によれば、練習時間および消費カロリーといった一般的なものに加え、3ポイント、フリースロー、フィールドゴール成功率なども記録・分析してくれるそうだ。

連続使用でバッテリー持続時間は7時間。重さは65gほどしかない。オフハンド(シュートする側でない腕)に装着して利用する。実際の練習にあたっては、バスケットゴールに「Shot Detector」というハードウェアも取り付ける。これによりシュートが入ったかどうかをチェックするわけだ。これをセットしておくことで、シュートの成否を自分で記録したりする必要がなくなる。リングないしバックボードには当たったものの、ネットを通過しないものをシュート失敗としてカウントしている。すなわちエアボールとなったものは失敗として記録されないことになる。

データ記録の有効範囲は14mほどとなっている。データはHoop Trackerのデスクトッププログラムにも送られる。ここで自分の友人と成績を競ってみることなどもできる。またコーチモードではダッシュボードにて同時に15名までのデータを管理できるようになっている。ダッシュボードにはどのエリアからのシュートが最も入りやすいのかなどのデータが表示される。シュート位置毎の成功率記録をチェックすることもできれば、あるいは一度のシューティング練習セッション中の成功率を過去のデータと比較したりすることもできる。

データは、アプリケーションを使わずともスマートウォッチ上で確認することができる。但し、さまざまな分析を行いたいのであれば、データをネットワークにアップロードしておくのが便利だ。得意なプレイを繰り返して時間を潰すのではなく、練習が必要なポイントを明確にして、より効率的な練習を行うことができるようになる。

Hoop Trackerの目標調達額は10万ドルだ。本Kickstarterキャンペーンでは、スマートウォッチおよびUSBコネクター、シュート検知のためのデバイス、そして検知用デバイスをリングに取り付けるためのポールも含めて99ドルからの価格で入手することができる。キャンペーン後の価格は199ドルを予定しているのだとのこと。キャンペーン成功の暁には、9月からの出荷を予定しているのだそうだ。こうした単一目的のデバイスは確かにニッチなものではある。しかしバスケットボール関連市場は大きなものであるし、またプロの世界に広がっていく可能性もあるだろう。こうしたニッチデバイスも、ウェアラブルのひとつの方向性として広がっていくのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


エレベーター内で「魅惑の深海パーティー」開催を目指すDigigage

さて、これは流行するのだろうか。これというのは、テルアビブのDigigageが開発したエレベーター用のデジタルスクリーンだ。エレベーターを使って「乗客を深海に誘う」プロダクトだ。確かにこれがあれば、たまたま乗り合わせた人と過ごす気まずい雰囲気を和らげることになるかもしれない。

このスクリーンは、エレベーターの壁に埋め込むタイプのものだ。このスクリーンに映し出される映像はエレベーターの動きに感応して上下に動くことで、インタラクティブなデジタル壁紙として機能するわけだ。サンゴ礁の海に潜ったり、あるいは浮上していって、現実の世界に出てくることになるわけだ。尚、スクリーンには最新ニュースなどを併せて表示することもできる(メイン画面でも、もちろん海以外のものを表示することもできる)。

かなり大きな仕掛けだが、事業展開の可能性はどれほどのものだろう。Digigageは強気の姿勢を見せている。

「エレベーター市場におけるコンテンツおよび各種情報取り扱いのプラットフォームとして攻勢をかけていくつもりです。たいていのエレベーターに取付可能で、利用者の満足度向上を狙うことができます。新たなコミュニケーションを生み出す可能性もあるでしょう」と、CEOのJonathan Einavは言っている。

プロダクトはまだうまれたばかりで、いろいろと機能改善の余地もありそうだ。今のところは相当に高いビルでなければ面白みが感じられないかもしれない。これまでも高層階用エレベーターを中心に、内部に小さなテレビをつけるという事例はみられた。このテレビを見ていれば、狭いエレベーターの中ながら、他の人との交流を避けて自分の世界に入り込むことができた。そうした小さなテレビの発展形にあたるものであるわけだ。エレベーター・フィッシュをあちこちで目にすることになるのかどうか、今後を見守っていきたい。

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(翻訳:Maeda, H


元Appleエンジニアがオフィス・デスクをスマート化―Stir Kinetic Deskにザッポス創業者らが150万ドル投資

最近、われわれの身の回りのものが次々にOSによって操られるスマート・ハードウェ化している。今度はJP Labrosseという元Appleのエンジニアがソフトウェアとエレガントな工業デザインを組み合わせてオフィスのデスクに革命をもたらそうと意気込んでいる。

今日(米国時間3/20)、LabrosseのStirというスタートアップは最初のプロダクト、Stir Kinetic Deskを市場に出すための資金、150万ドルを調達することに成功したと発表した。このラウンドをリードしたのは(現在はAmazon傘下の靴の通販ショップ)Zapposのファウンダー、CEOのTonyHsiehが設立したVegas TechFunとその幹部のZach Ware、バイオメディカル起業家のJosh Makower、John R. Woodard、Richard Kleinを始めとする元Apple社員だ。

Labrosseはありきたりの起業家ではない。AppleではiPodのチーフ・エンジニアであったし、その後何度も起業して一度ならずエグジットに成功している。同様にStirも単なるオフィス・デスクではない。

Stirは立っても座っても使える。しかも内蔵する頭脳がユーザーごとに最適の高さを学習していく。座っている時間、立っている時間をモニタし、消費カロリーを計算し、適切な間隔でストレッチを勧める。Labrosseは「魔法のデスクだ」と表現している。

デスクの横にあるボタンを押してアクティブ・モードを作動させておくと、適度な間隔を置いてデスクが数センチほど静かに上下して姿勢を変えるようユーザーに勧める。”Stirではこの機能を“Whisperbreath”〔ささやき〕と呼んでいる。これはカオス理論で有名になったバタフライ効果のようなもので、長年の間にユーザーの健康の改善に大きく貢献するはずだという。

もちろん立ち上がって作業したり、座って作業するためにマニュアルでデスクの高さを変えることもできる。

デスクにはWiFiとbluetoothが内蔵されており、表面のコンパートメントには各種の接続や充電のためのポートが収められている。

Labrosseによれば、Stirは「一連の生活を改善する物理的プロダクトの最初の試み」だという。

Stirのビジネスは順調に立ち上がっている。テクノロジー・メディアで好意的に紹介されたこともあり、最初のロットは1台4000ドルで完売したという。顧客には評価用に購入したFortune100の大企業も含まれる。.

Labrosseは明言しなかったが、Zapposの創業者でラスベガス経済界の大立者であるTony Hsiehの根回しが大企業への売り込みに貢献しているかもしれない。

Tony Hsiehらから調達した資金は新たなプロダクトの強化と流通チャンネルの拡大に充てられる(Labrosseによればいくつかの小売業者と交渉中だという)。

オフィス用品のスマート化が今後の大きなトレンドになっていくことを期待したい。私はファイル・キャビネットに言ってやりたいことがいくつもあるのだが、今のところ連中は聞く耳もたないのだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Yコンビネーターの支援するCodeCombat、プログラミング学習RPGを提供中

プログラミングの勉強を始めたいと思ったものの、どこから始めて良いのか迷っている人も多いはずだ。プログラム初心者向けのサービスはいろいろと出揃ってきている。そんな中、最近注目を集めているのはYコンビネーターの支援するサービスで、ゲームを通してプログラミングを学ぼうとするものだ。

ゲームはウェブベースのもので、コンピュータサイエンスの基本講座で学習するような、JavaScriptの基本を勉強することができる(訳注:日本語化もされています)。ゲームを進めていくには、提供されるレッスンを理解して、自分でプログラムを書いてきちんと動作させる必要がある。

ゲームの内容はRPG風のもので、ビギナー用のシングルプレイヤーモードと、経験者向けのマルチプレイヤーモードが用意されている。対象としては楽しみながら基本を学びたいと考える高校生程度を想定しているとのこと。共同ファウンダーのGeorge Sainesによると「すごい勢いで参加者が増えています」とのこと。

開発を始めたのは2013年2月のことだ。来週にYコンビネーターを卒業することになっている。昨年10月からベータ版として運用しているのだが、その前からRedditでアルファ版のソースを提供していた。1月にプロダクト全体をオープンソース化し、利用者が自分でコンテンツを作れるようにレベルエディターも公開した。

「この動きをさらに広げていきたいと考えています」とSainesは言っている。「多くの人がゲームをプレイしてくれていますが、コンテンツ制作にはどうしても時間がかかります」。

レベルエディターを公開してから、103人がコンテンツの投稿を行ってくれたのだそうだ。

ゲームは無料で、Saines曰く無料で提供し続けていくつもりだとのこと。そして採用活動と結びつけることによるマネタイズを考えているのだそうだ。CodeCombatでは、ゲーム上に現れる課題をどのように解決したのか、どういう方法で解決したのかを記録に残すこともできる。そうした記録を残しておけば、プレイヤーのプログラミング能力を正確に見極めることもできるわけだ。

こうした情報を、採用希望企業と共有することによって、CodeCombatはいわゆるプラットフォーム料金を得ることができるというわけだ。

CodeCombatは無料で、こちらにてプレイすることができる。

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(翻訳:Maeda, H


データ自動取得で火花を散らすクラウド会計、freeeとマネーフォワードが立て続けにレジ勢と提携

簿記の知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフト。国内ではfreeeマネーフォワードの2社が競合。どちらも顧客となる中小企業や個人事業主を取り込むために、機能強化を図りつつ、銀行やクレジットカード、ECサイトなど各種サービスのデータを自動取得するための提携を進めている。こうした施策の一環として、freeeが19日にリクルートライフスタイルの無料POSレジアプリ「Airレジ」、マネーフォワードが20日にスマートフォンやタブレットを使った決済サービス「Coiney(コイニー)」との提携を発表した。

freeeとAirレジの提携は、Airレジを利用する店舗の売上データを自動でfreeeに取り込めるようにするもの。Airレジで集計した売上のデータは1日1回、freeeに自動で取り込まれ、freee上で複式簿記の仕訳として反映される。現金だけでなく、クレジットカードやリクルートポイントでの支払いも区別して自動で取り込めるようになっている。従来のレジを使った場合、レジに売上データが入っていても、日々の締め作業でレシートを再度印刷し、会計ソフトにその内容を手入力する作業が必要だった。

マネーフォワードとCoineyの提携は、Coineyを導入している店舗の売上データを毎日マネーフォワードに取り込むことで、マネーフォワードへの売上データの手入力を省けるようにするもの。クラウド型会計ソフトでスマホ向け決済と提携するのは国内初といい、Square楽天スマートペイPaypal Hereといった同様のサービスともデータ連携に向けて協議を進めているそうだ。

マネーフォワードは2月17日、ECサイト構築サービス「BASE」、タブレット型POSシステム「EC-Orange POS」、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」とのデータ連携を開始。現時点では銀行1351サイト、クレジットカード51サイト、電子マネー6サイト、通販2サイトなど合計1420サイトから、自動的に売上データを取得することが可能となっている。

3月25日には、マネーフォワードにメールで請求書を送信する機能を追加する。これまでも請求書PDFをダウンロードすることは可能だったが、メール送信機能によって請求書を相手が受け取ったかどうか確認できるようになる。

freeeは、元グーグル社員の佐々木大輔氏が2012年7月に設立。2013年3月のサービス開始から1年で6万以上の事業者が利用しており、特に2014年以降はユーザー登録のペースが年末の5倍に達する勢いなのだという。その背景には、4月にWindows XPのサポート期間が終了し、インストール型の会計ソフトから乗り換るユーザーが増えていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていることがあるそうだ。

一方のマネーフォワードは、ソニーやマネックス証券に勤めていた辻庸介氏が2012年5月に設立。もともとは、銀行やクレジットカードなどの複数口座を一括で管理し、入出金情報を自動入力してくれる家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を手がけていたが、2013年11月にクラウド会計ソフト事業にも参入。2014年1月の正式ローンチ時には、月額料金をfreeeの980円より低い800円に設定するなど攻勢をかけている。現在の利用者数は「数万人」だという。


ロボコップが現実に、ロボット警備員を開発するKnightscopeにドコモ・ベンチャーズが出資

Knightscopeのサイトより引用。現時点では公道での使用は許可されていません

スターウォーズに登場するR2-D2のような姿をしたロボット警備員が街の治安を守る。そんな日がまもなくやってくるかもしれない。そう、自立走行型マシン「K5」ならね。

K5は高さ152cm、横幅81cm、重さ136kgと少しずんぐりとした体型のマシン。内部には、周囲360度の動画を撮影するHDカメラ、4方向の音声を収集するマイク、超音波式の近接センサー、対象物の移動速度や距離を図るセンサーなどがある。

開発元の米Knightscopeによれば、人々の挙動をリアルタイムに監視し、攻撃的であったりコソコソした身振りを察知した場合は、当局に通報して犯罪を未然に防ぐのだという。1台のK5が年間に収集するデータ量は90テラバイトに上る。

各種センサーで収集するデータに加えて、顧客企業が指定した地域で投稿されたソーシャルサービスのデータも活用する。具体的には、市民の抗議や違法行為に関する雑談などがあると、Knightscopeのセキュリティオペレーションセンターに警報が届く仕組みだ。

TechCrunch Japanのメールインタビューに応じたKnightscopeのCEO、William Santana Li(ウィリアム・サンタナ・リー)氏によれば、同社は2012年12月のサンディフック小学校銃乱射事件や2013年4月のボストン・マラソン爆発事件をきっかけに設立。現在、北米には約200万人のガードマンや警察官、約50万台の警察車両があるというが、「その数はこれ以上増えることは見込めず、治安を守るにはテクノロジーの助力が不可欠」という思いから創業した。

「K5が単調な仕事や、時として危険の伴う仕事までも請け負うことで、人間には高次元の思考や、細かい陣頭指揮が求められる衝突などに注力してもらいたい。将来的には特定エリアの犯罪を50%減らすことを目標に掲げている。」

2014年第2四半期にはシリコンバレーでベータテストを開始する予定で、「ウェイティングリストには30社近くの大企業が順番待ちをしている状況」。本格展開は2015年を見込んでいて、月額3000ドルで提供する計画。ショッピングモールやイベントスペースなど比較的広域なエリアでの利用を想定している。日本での展開は未定だが、リー氏は2020年の東京オリンピックを商機と捉えているようだ。

3月13日には、NTTドコモ・ベンチャーズが同社に出資したことを発表。出資額は明らかにしていないが、NTTグループの安心・安全に関わるビジネスや、機械と機械が互いに通信を介して情報をやりとりするM2M(Machine to Machine)分野への貢献を期待しているという。


SketchDeckは、最悪のスライドを1日で美しいプレゼンに変えてくれる

PowerPoiotを再発明しようとしたスタートアップは数多あるが、最近スタートしたSketchDeckは、PowerPointの代替品を作るのではなく、個人や企業が作ったスライドを、デザイナーチームが24時間以内に美しく変えるサービスだ。

SketchDeckの共同ファウンダー・CEO Chris Finneralによると、この種のサービスは以前から存在しているが、銀行やコンサルタント会社等、大企業の中だけだった。Finneral自身、ロンドンのMcKinseyではビジネスアナリストとして、何千ものプレゼンテーションを作ってきた。

McKinseyでは、Visual Graphics India(VGI)というサービスを利用しており、ラフに書いたスライドを海外のチームに送ると、翌朝には上質で美しいデザインのプレゼンテーションがメールで送られてきた。

「あれは非常に有用でしたが、大企業以外では事実上存在しません」とFinneralは言う。「しかし、あらゆるビジネスマンはプレゼンを作っています ― 役員会、売り込み、マーケティング等々 ― 誰もが作るのです。しかも多くの人々は十分な時間がないので、この価値提案は今も有効です」。

サービスの使い方は非常に簡単だ。利用者はスライドのドラフトをアップロードまたはメールでgo@sketchdeck.com に送る。すると24時間以内にプロがデザインしたバージョンが返ってくる。

SketchDeckでは、プレゼンはまず海外の初級デザイナーチームに送られ、書式の修正やテンプレートの適用など基本的な改善を行う。その後スライドは主に米国内にいる上級者チームに送られ、最終的な修正が施されて完成する(SketchDeckはデザイナーに時間給で支払っており、初級デザイナーが時給10ドル、上級者が50ドル程度)。

個人、企業ともに、スライド1枚当たり5ドルまたは20ドル(出来上がりのデザインによる)で利用できる。企業は月額100ドル~1400ドルのサービスとしてSketchDeckを使うこともできる。料金は企業の規模、スライドの数、カスタマイズの程度などによる。

SketchDeckは昨年11月の開業以来、250本のプレゼンテーション ― 最大スライド300枚 ― を、Y Combinatorのスタートアップ(VCへの売り込みが多い!)やFinneralがMcKinsey時代から知る顧客のために作成した。

長期的にはスライドだけでなく、カタログ、ハンドブック、チラシ等他のビジネスニーズのためのデザインサービスも手がけたいと考えている。実は既にそれらの仕事も秘かに受けているが、現在はプレゼンテーションを軌道に乗せることに集中している。

Y Combinator出身の同社は、現在カリフォルニア州マウンテンビューを拠点に、フルタイム社員2名のチーム(時間給のデザイナーは別)で作業している:Finneralと共同ファウンダーのDavid Mackだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


フランス版Hotel TonightのVeryLastRoom、欧州での足場固めを目指して210万ドルを調達

当日になってホテルの予約をするサービスのフランス版であるVeryLastRoomが210万ドル(150万ユーロ)の資金を調達した。アメリカのHotel Tonightと同様な仕組みを提供するサービスだ。出資したのはベンチャーキャピタルのAPlusFinance、Extend、そしてSigma Gestionなどだ。

過去には、エンジェルより55万ドル(40万ユーロ)を調達している。ちなみにHotel Tonight風サービスを展開するスタートアップはヨーロッパでもいろいろと登場してきていたが、Hot HotelsはGrouponに買収され、JustBookがSecretEscapesに買収されるなど、徐々にその数を減らしつつある。

VeryLastRoomは、Hotel Tonight同様に当日のホテルを予約するためのモバイルアプリケーションを提供している。ホテル側としては空室を割引価格で提供して、効率的な運用を行うことができるわけだ。但しHotel Tonightとは異なり、部屋の価格はリアルタイムで変化し続けていくようになっている。すなわち時間が遅くなるにつれて宿泊費は安くなる。午前2時が最終で、その時間に最も安く部屋を利用できるようになっているのだ。

「フランスおよびスペインでは、Hotel Tonightより上質なサービスを提供できていると自負しています」と、CEO兼共同ファウンダーのNicolas Salinは言っている。

今回調達した資金により、現在の8名体制を3ヵ月で倍にする予定なのだそうだ。VeryLastRoomとしては、Hotel Tonightが知名度を広げる前に、フランスマーケットを確実に握ってしまえるかどうかが今後の活動の鍵となる。フランスで確実な地位を掴めば継続的なサービス提供も可能となり、あるいはまた大きな買収ターゲットとして存在感を増すことにも繋がり得るだろう。

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(翻訳:Maeda, H


Googleの会長Schmidt曰く, 経済格差が民主主義の最大の阻害要因になる

Googleの会長Eric Schmidtは今日(米国時間3/7)、テキサス州オースチンのSXSWに集まったオーディエンスを前に、サンフランシスコにおける経済格差の拡大と、それによって起きている抗議活動が“非常に心配だ”、と述べた。“あそこの平均的市民は、自動化やグローバル化やテクノロジから恩恵をこうむっている”が、経済格差は“民主主義の第一番の問題”になるだろう、と彼は予言した。

Schmidtはそのとき、彼の本The New Digital Ageの宣伝を、共著者のJared Cohenと共にしていた。それは、プライバシー、政府、テクノロジの社会的影響など、話題がきわめて多岐に亙る長いインタビューの中の、ひとこまだった。

Googleはこのところ、拡大する経済格差がもたらす社会不安の渦中にいる。サンフランシスコの活動家たちは、同社専用の通勤バスを、格差の象徴として攻撃している。ぼくが話を聞いた何人かのエコノミストは、サンフランシスコはテクノロジ企業が多いため、中間層が不況の猛威から守られている、と言うが、地代や家賃の高騰によって長年住み慣れたこの都市(まち)を追われてしまう者も少なくない。

テクノロジは一部の人にとって恩恵だが、しかし格差は拡大している。労働経済の専門家の典型的な意見の一つとして、MITのDaron Acemoğlu教授は次のように言っている: “今合衆国の労働市場、そしてヨーロッパなどほかの国々も、経済格差の激化を経験している。原因は一つではないが、爆発的な格差拡大をもたらしている最大の動因が技術の変化だ”。

Schmidtが提案する対策は三つある: まず、スタートアップを支援することだ。“今のこの問題の究極の原因は失業の深刻化だ。仕事を作り出すためには(既存企業は人が足りているので)、成長性の高いスタートアップを作るしかない”。

第二は、“教育と情報とネット接続の拡充”だ。彼もオバマ大統領と同じく、テクノロジ業界の慢性的な人不足を解決するためには教育、とくに理工系の教育の拡大が必要、と主張する。“創造性と人間的な配慮や思いやり”と無関係な仕事は、繰り替えし的な仕事を自動化できるロボットが奪ってしまう。リポーターなど、一部の知識労働者にもその危機は迫っている。そうSchmidtは予言する。

第三は、高度な技術系の仕事はつねに数に限りがあるから、政府による失業者福祉の充実が必要。Schmidt、仕事のない人でも“最低限、住居と医療だけは得られる”ための“セーフティネット”が社会に必要だ、と主張する。

いずれにしても今は、激しい変化が進行している。それに対する“長期的なソリューションは、テクノロジの進歩は誰にも止められないことをみんなが理解することだ”、とSchmidtは言う。テクノロジによって生じている問題の対策が、テクノロジの抑制や規制であってはならない、と言うのだ。そう、抑制の風土にスタートアップは育たないからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


DeNA創業メンバ−が手がける学習基盤Quipper、既存株主から5億8000万円を調達

ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の1人である渡辺雅之氏によるクラウドベースの学習プラットフォーム「Quipper」。同サービスを手がける英Quipperが、既存株主であるベネッセホールディングス、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Atomico等を中心に340万ポンド(約5億8000万円)の第三者割当増資を実施したと発表した。同社は2012年にも約3億6000万円の資金を調達している。

Quipperは2010年12月の設立。2011年にユーザー誰もが学習コンテンツを作成したり回答したりできる学習UGCサービス「Quipper Quiz」を公開し、サービスをグローバルに展開してきた。これまで30万問以上がプラットフォーム上で制作され、アプリの総ダウンロード数は850万件以上となっている。

2013年には日本オフィスを開設。ベネッセホールディングスとオンライン学習に関する実証実験を開始した。また主力サービスである「Quipper School」 は世界で3000人の教師が登録。1万以上のクラスで利用されている。このサービスは生徒の学習や宿題の管理ができる。また、KDDIと中高生向けの学習サービス「GAKUMO」も展開している。

アジア展開も積極的で、フィリピンやインドネシア、ベトナム、タイなどで事業に注力。すでにアジアの複数の国でKPIに満足している状況だという。今後はラテンアメリカへの進出も検討中だ。

Quipper今回の増資をもとに、Quipperではプラットフォームの機能充実を図るとともにグローバル展開を加速するとしている。


ブラウザ画面で選択した言葉を探すSearchlet、画像および音楽も対象に加えて新版をリリース

Searchletをご存じだろうか。ブラウズ中に出てきた言葉を簡単に調べることができるようにするツールで、3ヵ月前にリリースされた。ブラウズ中の画面から離れずに検索することができるので、検索しているうちに何を調べていたのかわからなくなるような状況(Google amnesia)を防ぐこともできる。このSearchletが新しくなり、Google Imagesや、あるいは音楽ストリーミングサイトの検索もできるようになった。

開発したのはMark FazziniとSpencer Simonsenだ。ページ上で選択した語のさまざまなサイトでの検索結果をサイドバーに表示してくれるブックマークレットとして提供されている。

これまでは検索結果の詳細を見るにはクリックして別タブに表示させる形式だったが、今回のバージョンよりサイドバー内に検索結果を表示したり、あるいは音楽のストリーミングをさせることができるようになった。元々のページから離れる必要がなくなったのだ。
また、今回のバージョンからアカウント登録を行ってSearchletのカスタマイズもできるようになった。カスタマイズできるのは検索対象の選定で、Google ImagesTwitterUrban Dictionary、そしてGroovesharkなどの音楽ストリーミングサイトを指定できるようになった。

もちろん従来通りGoogleWikipediaGoogle News、およびオープンコンテンツ辞書のWiktionaryの検索も行える。検索対象として指定できるのは4つまでで、ここに記した4つが標準となっている。

個人的にはGoogle Imagesとの連携が嬉しい。たとえば中国語のサイトで出会う、セレブの名前やスラングなどはあまり一般の辞書には載っていない。しかしそうした言葉がGoogle Imagesの検索で引っかかってくれたりするのだ。

今回のアップデートに引き続き、SearchletはSearchlet for Businessという新サービスの立ち上げも計画しているのだとのこと。これはサイトにSearchletサイドバーを埋め込むサービスで、閲覧者がブックマークレットをインストールすることなしに、Searchletの機能を使うことができるようになるのだ。これにより、サイトの滞留時間を長くして、さらにページビューを高め、直帰率を低下させることに繋がる可能性もある。モバイル版も開発中だとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H


東大発のAgIC、インクジェットプリンターをプリント基板プリンターに変えるDIY KitプロジェクトをKickstarterで展開中

電子工学プロダクトのプロトタイプを作成するのに、ブレッドボード上にコードを這い回らせることすら無用にしてしまうプロダクトがKickstarterに登録された。

名前をAgIC Printというプロダクトで、以前にTechCrunchで紹介したアイデアを組み合わせたようなものとなっている。その2つとは、プリント基板を印刷するEx1 3D printerで、もうひとつは伝導インクにて回路を描くCircuit Scribeだ。これらプロダクトの直系というわけではないが、AgIC Printは、家庭用のインクジェットプリンターで伝導インクを使い、文字通りのプリント基板を作ってしまうプロダクトだ。

AgICはペンで利用することもできるようになっていて、その場合は前述のCircuit Scribeボールペンと同様の形で回路を描くことができる。

但し、このプロダクトの主な特徴は、やはりインクジェットプリンターをプリント基板プリンターに変身させてしまうことだろう。しかも299ドルという低価格にて変身させることができるのだ。299ドルのキットには以下のものが含まれる。

フィルターとシリンジ(注射器) x3 + 伝導シルバー・ナノパーティクルインク 25ml + 専用コート紙(A4) x20 + 伝導グルー(シリンジ3本分) + 伝導マーカー x1 + 伝導テープ x3

以上がプリント関連のものだが、これにさまざまなパーツがついてくる。

サーフェスマウントタイプのICソケット x4、電池 x2およびマウントケース、mbed MCU(LPC1114FN28) x2、サーフェスマウント・スライドスイッチ x2、チップレジスター x50+、チップLED x50+、そしてサーフェスマウント・ピンヘッダー(20×2ピン)

AgICのDIYキット購入者は、プリント基板プリンター化するためのインクジェットプリンターを自前で用意する必要がある。専用のインク注入器の利用できるプリンターが推奨される。また既に通常の印刷用途に利用しているものではなく、新たなものを購入した方が良いとのこと。既存のものを利用する場合には、内部に残ったインクを完全に除去する必要がある。

599ドルを出せば「完全版」を手に入れることができる。こちらにはインクジェットプリンターも同梱されている。この、プリンタ同梱版であっても、Kickstarter上で1499ドルであったEx1 PCBプリンターよりもはるかに安価となっている。

但し、Ex1の場合は木材、ガラス、プラスチック等、紙以外の素材にも印刷することができる。また印刷用回路を設計するためのソフトウェアも開発中で、よりトータルな用途への展開を考えているようだ。AgICの方はハードウェアプロダクトを提供するもので、設計にはAdobe IllustratorやCorel Drawなどを使うことになる。

AgICの目標調達額は3万ドルだが、既に2万5000ドルが集まり、締め切りにはまだまだ多くの日が残されている。目標額を調達できれば(おそらく調達できるだろう)、キットは8月までに出荷を開始したいとしている。

訳注:AgICは東大発ベンチャーで、ホームページはこちらになります。

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(翻訳:Maeda, H


スタートアップのカスタマサービスを代行するInfluxが$25Kを調達, すでに売上好調

新進のスタートアップも、徐々にビジターが増えてきて、その数が日に日に大きくなるのがうれしい、という時期はあっという間に去り、その次はサポート地獄がやってくる。サポートがまごまごして問題に迅速正確に応じられないと、その新進スタートアップの評判は地に落ちる。でも少人数のファウンダたちだけでサービスを運営しているときには、迅速なCS(カスタマサポート)対応はなかなか難しい。

このことに目をつけたオーストラリアのInfluxは、最近、SitePoint.com99designsのファウンダMark HarbottleとLeni Mayoらから、25万ドルのシード資金を提供された。

InfluxのファウンダMikey De Wildtが志向しているのは、スタートアップなどのオンラインビジネスが成長の勢いを削がれることなく、高品質なCSを維持できることだ。同社の商圏は今のところオーストラリアのみだが、今回得られた資金によりグローバルな展開を図るつもりだ。

そもそも新進のスタートアップは、スタッフの人数はまだ少ないが、世の中の人びとにとって初物だからCSの殺到数は多い、というジレンマを抱える。そこでInfluxのサービスは、ピーク時も含め、どれだけ多くのCSの来信があっても、月額199ドルから始まる定額制でそれらに対応する。今の、オーストラリアの企業に対応するオーストラリア人のスタッフは、全員英語をしゃべり、テクノロジに関する知識経験もある。同社は、顧客が言ってきたバグやクレーム、新機能や機能改良のリクエストなどをまとめた週報を、顧客企業に提供している。

De Wildtによると、スタートアップがCSの問題に対応するためには、フリーの専門家を雇う方法もある。しかしその場合、得られる人材の質が保証されない。また提供できる報酬が低額になりがちなので、良い人材が来ない心配もある。フリーの人材を探すoDeskFreelancerなどのサイトはあるけど、短期業務が条件だったり、事前に製品や技術について教育訓練が必要なことが多い。

“うちは、これまでのCSのアウトソーシングの仕方を、ディスラプトしたいんだ。アウトソーシングは便利だけど、問題も多い、というこれまでの一般的な評価の、後半の“問題も多い”の部分を完全にゼロにしたい”、と彼は言っている。

Influxは今後、世界各地にその地域の言葉で対応できるCSスタッフを置きたい、と考えている。たとえばメキシコのシリコンバレーと呼ばれるモンタレーなども、その候補地の一つだ。

Influxが代行するCSサービスはメールによるものだが、これはスタートアップの成長に合わせてスケールできるし、今すでに売上も好調だ。今後については、ドキュメンテーションの代筆やライブのチャットによるCS業務など、機能の拡張も構想している。

画像: picjumbo

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ヤフー、今春開始のカード決済「Fastpay」、手数料を最低水準の3.25%にするも値下げ合戦が勃発

ヤフーは3日、今春開始予定の開発者向けクレジットカード決済サービス「Yahoo!ウォレット Fastpay」の決済手数料を3.25%にすることを明らかにした。サイト運営者はcURLやPHP、Ruby、Pythonなどの言語で数行のコードを貼り付けるだけで、月額費用や初期費用が無料で自社サイトにカード決済機能を組み込める。支払情報はダッシュボードでリアルタイムに確認できる。カード情報はYahoo!ウォレットがPCIDSSに準拠した方法で管理する。4日には先行申込受付を開始した。

ヤフーは2013年10月、“eコマース革命”と銘打ち「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク!」のストア出店料(月額システム利用料)を無料化。Yahoo!ウォレット Fastpayは「売り手と買い手の摩擦係数をゼロにするeコマース革命の一環」(ヤフー担当者)といい、ネットビジネスを拡大するスタートアップ企業を中心に普及を図る考えだ。これまでカード決済機能を導入するには、決済サービスの複雑なAPIを利用したり、書類審査で何週間も待つ必要があった。

国内で同様のサービスとしては、先日1億1000万円を調達した「WebPay」関連記事:開発者向けカード決済サービス「WebPay」が1.1億円のシード資金調達)や、ベリトランスが手がける「VeriTrans Air」などがある。Yahoo!ウォレット Fastpayのサービス内容は2月に発表済みだが、手数料は公表されていなかった。3.25%という手数料はWebPayが設定する「3.4%+30円」を意識したものと思われるが、VeriTrans Airは4日、6月30日までの期間限定で通常の3.6%から3.2%に下げるキャンペーンを開始するなど、値下げ合戦の様相も呈している。


スタートアップが陥るIKEA効果の罠―MVPセオリーに固執するのは危険だ

イラスト: Marius Ursache

〔編集部〕 Bill AuletはMITのMartin Trust起業家センターの責任者であり、MIT Sloan ビジネス・スクールの上級講師。最近の著書はDisciplined Entrepreneurship: 24 Steps to a Successful Startup〔規律ある起業家精神:スタートアップの成功への24のステップ〕。Twitterはこちら

何かを闇雲に作るだけではスタートアップは成功できない。「でも素早く作ることが肝心なんでしょう?」と私はよく質問される。

それはそのとおりだ。昔、大企業が古臭いウォーターフォール型開発に固執していた頃、起業家はできるだけ速く実際に動くプロダクトを作ってしまうという「実用最小限のプロダクト」(MVP=Minimum Viable Product)手法を編み出し、開発のスピードを画期的に加速した。プロダクトの機能を本当に必要な範囲だけに絞り込み、いち早く製品をリリースしてユーザーからのフィードバックを得て、すばやく改良を加えていくというモデルだ。

しかし今や振り子は反対側に振れ過ぎている。ユーザーが何を求めているかを調べる時間を取らずにひたすらプロダクトを素早く作ることだけを考える傾向が見られる。そうした闇雲な開発の結果、プロダクトは方向性を失い、スタートアップは「IKEA効果」として知られる陥穽に落ち込むことになる。

IKEA効果は「人は自分で作ったものに本来以上の価値を与えてしまう」現象でMichael Norton、Daniel Mochon、Dan Arielyによって発見された。この3人は折り紙の愛好家を対象に実験を行った。愛好家に専門家が作った作品と自分たちの作品を評価させたところ、客観的に見て専門家の作品n方がはるかに質が高いにもかかわらず、愛好家は自分の作品の方を高く評価する傾向が見られた。IKEA効果という名前はもちろん誰でも知っているスウェーデンの組み立て式家具のメーカーにちなんでいいる。つまりわれわれは何かを自分で作るや否や、評価モードから擁護者モードに入ってしい、客観的な基準に基づく判断ができなくなる傾向がある。

われわれは何かを自分で作るや否や、評価モードから擁護者モードに入ってしい、客観的な基準に基づく判断ができなくなる傾向がある。

最近の私の教え子のチーム(次に述べるような事情から特に名を秘す)は、自分で開発したテクノロジーに心底夢中になってしまった。彼らはコンピュータ・インタフェースの改良に重要な貢献をなし得る画期的テクノロジーを開発した。デモを行うたびに強い関心が寄せられた。彼らは有頂天になり、デモの際に寄せられた要望にもとづいて新機能を追加していった。印象的なデモにより、このチームはビジネスプランのコンペと投資家から資金を得た。ところが結果的にこれが最悪の結果を招く原因になった。

カンファレンスでデモを見る人々、ビジネスプラン・コンペの審査員、ベンチャーキャピタリストは誰一人プロダクトに自分で金を払うユーザーではない。開発チームがMVP〔最小限実用的なプロダクト〕と称したものは、単に見栄えのするコンセプト・モデルだった。彼らは「仮説を実証している」と称したが、テクノロジー上のあるコンセプトが実現可能であることを示しているに過ぎなかった。そのうちに彼らは「ピボットした」。つまり有効なビジネス・プランを生み出せないままに金が尽き始めたのだ。結局彼らは現実的な成果を何も生み出すことができなかった。

なぜ彼らは貴重な時間と資源を無駄遣いする羽目に陥ったのか? それは自分たちで開発したためにそのテクノロジーに強過ぎる愛着を持ってしまったからだ。「きみたちはそのテクノロジーに金を払うユーザーを見つけるのに失敗している。ユーザーと会話して本当のニーズを調べなおすべきだ」と忠告しても聞く耳もたなかっただろう。彼らはまさにIKEA効果の犠牲者になっていた。

別の教え子チーム、FINsixはこれと別の道を行った。同社は従来のサイズの4分の1の超小型ノートパソコン用電源アダプターを開発し、先月CESで各種の賞を獲得し各方面から注目の的になっている

しかし彼らが私のクラスに入ってきたときに持っていたのは実験室で有望そうなテクノロジー・コンセプトに過ぎなかった。なるほどハードウェア・ギークには興味深いテクノロジーだった。従来のAC/DCコンバータより1000倍高速なVHF帯スイッチングを利用することによってサイズを10分の1にできる。また磁芯のような重い部品を使わずにすむ。物理的な衝撃、振動にも強い。

しかしながら、こういうテクノロジー上の特長は、一般消費者が金を払う動機にはならない。FINsixは賢明にもこの点を認識していた。そこでプロダクトの開発に突進する前に消費者のニーズを慎重に調査した。

「われわれは電子パンフレットを作って(VHFスイッチング)コンセプトに対する反応をさまざまな市場から収集した。広汎な調査の結果、われわれの新しい電源がもっとも受け入れられやすいのはノートパソコンの分野だと判明した」と共同ファウンダー、CEOのVanessa Greenは言う。パンフレット、というところに注目していただきたい。

実際に開発されたMVPに比べて電子パンフレットはIKEA効果を起こす危険性が格段に少ない。FINsixチームはスマートフォンからLED照明までさまざまな市場の可能性を探り、最終的にノートパソコンの電源がもっとも売れそうだと結論した。最初のプロダクトが売上をもたらせば会社を持続させ、さらに新しいプロダクトを開発することが可能になる。

自分が開発したプロトタイプに惚れ込んでしまって、それを誰も欲しがっていないことに気づかなければ、本当にユーザーが必要としている正しいプロダクトを開発するのは不可能だ。

優れたプロダクトを作るにはそれに見合った適切なユーザーグループの存在が不可欠だ。ところが自分が開発したプロトタイプに惚れ込んでしまって、それを誰も欲しがっていないことに気づかなければ、本当にユーザーが必要としている正しいプロダクトを開発するのは不可能だ。

「資金が尽きる前にテクノロジーに惚れ込んだ大企業に買収される」というのがスタートアップ設立の目的なら別だが、そうでなければテクノロジーに執着してプロダクトを作るのをひとまず措いて、ユーザーと虚心坦懐に会話して本当のニーズを探らなければならない。それはギークにとって開発に没頭するより面白くない経験かもしれないが、買収されるという運任せのルーレットに一喜一憂するよりずっと健全な方向だ。優れたテクノロジーと優れたマーケティングを基礎としなければ優れたプロダクトを作ることはできない。われわれはこれを「規律ある起業」と呼んでいる。テクノロジーとマーケティングを二律背反的に考えるのは近視眼的な誤りだ。

私の考えは東海岸の保守的な起業家精神を代表しているのだというように考える読者もいるかもしれない。しかし先週サンフランシスコを訪問して、T3 AdvisorsDavid BergeronRapt StudioのCory Sistrunk、Ed Hallらと話したところ、ぴったり意見が一致した。「行き過ぎたMVPメンタリティは、プロダクト・デザインにおいてもっとも重要jなユーザー中心主義を忘れさせる危険性がある。起業家は『どのように』開発する、『何を』開発するかを考える前に「なぜ」開発するかをを考えることが大切だ」と彼らは語った。

さらに言えば、起業家はMVPに執着するのを止めて、まず第一に「誰のために」開発するのかをを明確にさせることが大切だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+