あらゆる肌色の顔を美しく見せるPixel 6カメラのReal Tone、多様性を広げるAI技術

スマホメーカー各社が写真での顔の写り方に特別な注意を払っているのは、理に適っている。米国時間10月19日、Google(グーグル)が発表した新しいPixel 6には、人間をこれまで以上によく見せるための、AIを搭載した新しいツール群が導入されている。その中でも特に注目されているのが、動く顔のブレを軽減する「Face Unblur(顔のぼかし解除)」と「Real Tone(リアルトーン)」だ。後者は、Googleの新しいTensorチップを搭載したAIによる後処理機能で、あらゆる肌色の顔を可能な限り美しく見せることを目指している。

関連記事
Google Pixel 6のカメラはAIでスナップショットをスマート化する
Pixel 6のAI機能向けに設計されたTensor SoCで、グーグルは独自チップに賭ける

スマートフォンで撮影される写真の大半は、自撮りであれ、他撮りであれ、人間が写っている。従来、複数の顔が写っている写真、特に顔の肌色がすべて異なる場合、露出をきれいにするのは非常に難しいとされてきた。新しいPixel 6では、コンピュテーショナルフォトグラフィーのレイヤーが加わり、写真に写っている全員ができるだけきれいに見えるようになっている。Pixelチームは、さまざまなエキスパートのイメージメーカーやフォトグラファーと協力して、ホワイトバランス、露出、アルゴリズムの調整を行った。同社は、これにより、どんな肌色の人でもうまく撮れるようになったとしている。

Googleは、リアルトーンをフォトグラファーが直面している課題に対する決定的な解決策ではなく、同社のカメラシステムの改善そして、1つのミッションとして捉えていると強調している。Googleは、すべての人々、特に有色人種が、カメラによる顔の撮影においてよりよく表現されるよう、多大な資源を投入している。

AndroidチームのAdvanced PhotographyプロダクトマーケティングマネージャーであるFlorian Koenigsberger(フロリアン・ケーニヒスベルガー)氏は、Pixel新機種の発売に先立って行われたブリーフィングインタビューで、次のように述べた。「私の母はダークな肌の黒人女性で、父は白人のドイツ人です。私の人生を通じて、ずっと疑問でした。どうしたらみんながきれいに見える写真が撮れるだろう。新しいカメラは、その道のりの一歩です。Googleの多様性の数値はもはやミステリーではありません。当社には、実体験や、この問題に関してオーセンティックに語ることができる人材という点で、明らかに不足しているものがあると理解していました」。

カメラチームは、フォトグラファー、カラリスト、シネマトグラファー、撮影監督、ディレクターなどと協力して、多様な肌色の人々、特により暗い肌色の人々に照明を当てて撮影する際の課題を深く理解しようとした。中でも、ドラマシリーズ「Insecure(インセキュア)」の撮影監督であるAva Berkofsky(アヴァ・バーコフスキー)氏、フォトグラファーのJoshua Kissi(ジョシュア・キッシー)氏、撮影監督のKira Kelly(キラ・ケリー)氏など、幅広い分野のプロフェッショナルの経験を活用した。

「エスニシティや肌の色だけでなく、さまざまな手法を含め、実に多様な視点を取り入れることに注力しました」とケーニヒスベルガー氏は語る。「カラリストたちは、映像制作の過程で起こるサイエンスとして考えているので、実際に話してみると最も興味深い人たちでした」とも。

Googleのプロダクトチームは、画像処理の専門家たちと協力して彼らにカメラを渡し、混合光源、逆光、室内、1枚の画像に複数の肌色を入れるなど、非常に難しい撮影状況に挑戦してもらった。

「私たちは、特にこのようなコミュニティにおいて、どこが問題なのかを学び、そこからどのような方向に進むべきかを考えなければなりませんでした」とケーニヒスベルガー氏は説明する。「イメージングのプロフェッショナルたちは非常に率直で、我々のエンジニアと直接会話をしていました。私はこの会話の進行を手伝いましたが、技術的な学びだけでなく、この空間で起こった文化的な学びも興味深いものでした。例えば粉っぽさ、よりダークな肌のトーン、質感などのことです。ミッドトーンのニュアンスはさまざまです」。

このプロセスは、カメラの顔検出アルゴリズムから始まる。カメラが顔を見ていることを認識すると、カメラはどのように画像をレンダリングすればうまくいくかを考え始める。複数のデバイスでテストを行った結果、Pixel 6は競合メーカーの製品や旧世代のPixelデバイスよりも一貫して優れたパフォーマンスを発揮していることが、Googleのチームによって明らかになった。

この機能が実際にどのように機能するのか、グローバルな編集(画像全体に同じフィルターを適用すること)を行うのか、あるいはAIが編集パスの一部として個々の顔を編集するのかは、すぐには明らかになっていない。近いうちに、カメラのこの特定の側面が実際にどのように機能するのか、より詳しく調べてみたいと思う。

カメラチームは、この分野での取り組みにより、カメラアルゴリズムを作成するためのトレーニングセットの多様性が25倍になったことを強調している。リアルトーン機能は、カメラアルゴリズムの中核をなすものであり、オフにしたり無効にすることはできない。

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルが新OS「Android 12」配信開始、セキュリティを改良しよりパーソナルに

世界で最も使用されているモバイルOSであるAndroidは、独自のセールスポイントを確立し、AppleのiOSとの差別化を図るべく、着実な歩みを続けている。Pixel 3以降で利用可能なこの新OSのAndroid 12は、同OSの長所をさらに強化するとともに、いくつかの新機能も追加されている。

誰もが、これまでに製造された他のすべてのデバイスと基本的に同じに見えるスマートフォンを持つようになると、パーソナライゼーションがより重要になる。Google(グーグル)はMaterial You(マテリアルユー)機能をOSに導入し、壁紙を変更すると、Android 12エクスペリエンス全体がその色に合わせて変化するようになった。OSには色抽出アルゴリズムが搭載されているため、すべてが統合され、洗練されて見える。ロックスクリーン、通知、設定、ウィジェット、そしてアプリまで、すべてがパーソナライズ可能だ。Material YouはPixelに先行して搭載され、他のデバイスメーカーの端末にも順次搭載されていく予定だ。

完全にカスタマイズ可能なOSで、あなたのスマホともっとあなたらしく(画像クレジット:Google)

セキュリティとプライバシーは、このOSのもう1つのテーマだ。例えば、Android 12では、スムーズに機能するためにおおよその位置情報しか必要としないアプリから、正確な位置情報をプライベートにしておくことができる。また、アプリがマイクやカメラ機能を使用しているかどうか、ステータスバーに表示される新しいインジケーターで確認できる。さらに、OS全体でカメラとマイクをオフにしたい場合は、クイック設定で新しいトグルスイッチを使ってオフにすることができる。また、忘れていたアプリをロックダウンする機能も追加され、数カ月間使用しなかったアプリの許可を自動的に取り消すことができる。

またこのOSでは、位置情報とBluetoothの関係がようやく切り離された。Googleは次のように述べている。「ワイヤレスヘッドフォンは携帯電話に接続する必要があるが、あなたがどこにいるかを知る必要はありません」。Android 12では、それがようやく可能になった。

Googleは、以前のOSリリースで、Googleレンズのための大量の新しいAndroid機能を導入した。例えば、任意のスクリーンショットで光学式文字認識(OCR)を行うことができるようになった。Android 12では、その機能に加えて「スクロールスクリーンショット 」などの拡張機能が追加されている。画面の端に到達したからといって、スクリーンショットの端に到達する必要はない。新しいスクロールスクリーンショットを使えば、ページ上のすべてのコンテンツを1枚の画像に収めることができる。これは賢い。

新フィーチャーは機能性にとどまらず、Android 12では省電力機能やアクセシビリティの向上も実現している。また、ホットアップデートの導入により、同じアプリのアップデートがバックグラウンドでダウンロード、インストールされていても、そのアプリを使い続けることができる。ポケモンGOを数分間中断しなければいけないことなど、あってはならない。

GoogleのAndroid 12 OSは、米国時間10月19日より対応機種に順次導入される。

画像クレジット:Google

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

アップル、次期macOS Montereyを10月26日にリリース

Apple(アップル)は、本日開催されたバーチャルイベントで、MacBook Proの新モデルを発表した。また、この新型ノートブック発売のタイミング合わせて、macOSの次期メジャーリリースが行われる。Macユーザーは、米国時間10月25日(日本時間10月26日)からmacOS Monterey(モントレー)へのアップデートが可能になる。この新しいmacOSのメジャーリリースは、App Storeから無料で提供される。

macOS MontereyにはSafari(サファリ)12がプリインストールされるが、macOS Big Sur(ビッグサー)ですでに利用している人もいるだろう。新しいSafariはタブグループを作成してデバイス間で同期することができ、デザインも一新されている。新しいタブのデザインには賛否両論があるものの、Appleはまだ調整を続けているようだ。

関連記事:アップルのMacBook Proがデザイン一新、新M1チップとMagSafeを採用した14・16インチモデル登場

FaceTimeにも新機能が追加される。SharePlay機能は今回のアップデートには含まれないが、画面の共有、ポートレートモード利用、通話相手のグリッド表示、リンクの作成などが可能になり、他のデバイスを使う人も(そう、たとえWindows PCからでも)会話に参加できるようになる。

iOS 15で導入された新しいフォーカスモードは、Macにも搭載される。仕事モード、ゲームモードなど、好きなモードを作ることができる。1台のAppleデバイス上でモードを変更すると、同じユーザーが使っている他のすべてのAppleデバイスでもモードが変更される。

関連記事:【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて採用、アップデートは任意だが個人的にはオススメ

macOS Montereyを使うことで、MacがAirPlayデバイスになる。つまりスマートフォンから音楽や動画をMacのディスプレイに送ることができるようになるのだ。要するに、Apple TVのAirPlayと同じように動作するようになる。

自動化といえば、Macに「ショートカット」アプリが登場する。これは徐々にAutomatorを置き換えていることになるだろうが、当面Automatorも存続していく。

また「メモ」「メッセージ」「マップ」などをはじめとする数多くのアプリも、大なり小なりアップデートを受けている。また、長時間の移動中にMacBookを使いたいときには、コンピューターの「低電力モード」をオンにすることができる。

なお、AppleはmacOS Montereyへのアップデートを強く推薦していない。もし、現在使っているMacの動作に満足している場合は、これまでのメジャーリリースのmacOSをそのまま使い続けることもできる。

関連記事:【レビュー】アップルのiOS 15は欠けていた小さな機能をすべて採用、アップデートは任意だが個人的にはオススメ

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

なにはともあれGitLabの巨額IPO

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。
みなさん、こんにちは。良い週末をお過ごしだっただろうか。では始めよう!

先週スタートアップの世界でおきた重要なマネーストーリーといえば、なにはともあれ巨額のGitLab(ギットラボ)のIPOだ。

ご存じない方のために。私たちはGitLabが株式公開を申請したことを報じ、同時に現在の市場価格で、このDevOpsの巨人は約100億ドル(約1兆1400億円)の価値があることを指摘した。その後GitLabは、IPOの価格帯を当初の予想よりも大幅に引き上げ77ドル(約8790円)とした。金曜日(米国時間10月15日)の午後遅くには、一株あたり108ドル(約1万2300円)以上の価格となっている。

GitLabのCEOであるSid Sijbrandij(シッツェ・シブランディ)氏に、今回の公開についての話を電話で聞いた。私はシブランディ氏とは、この話題を皮切りに、以前からあちこちで話をしていた。ということでIPOの日に、通常のSEC規則に縛られている彼と話をするのはとても楽しかった。私が聞き出したのは以下のような話題だ。

  • なぜ今、GitLabを公開したのか?シブランディ氏は、収益規模、収益の予測可能性、コンプライアンスなど、すべての条件を満たしているからだと述べた。IPOの日は、共同創業者のDmitriy Zaporozhets(ディミトリー・ザポロゼツ)氏が同社のための初めてのコードを書いた日から10年後の同じ月となった。なので、それはいい循環のタイミングになった。なにしろ人間はキリの良い数字が大好きなので。
  • GitLabの力強い総合継続メトリクスは、収益予測に役立ったか?答えはイエスだが、シブランディ氏はそれをはっきりとは話そうとはしなかった。
  • オープンソースは今や障害ではなく利点となっている。この点は、先月スタートアップ企業に関して指摘したことと同じですが、いずれにしても指摘しておく価値がある。オープンソースのコードは、開発者との長期的な関係を築きたいと願う企業にとって、大きなメリットとなっている。敢えて言い切るならば、製品主導の成長に関してしばしば重要な意味を持つ。これは、10年前の世界とは正反対を向くものであり、おそらくMicrosoft(マイクロソフト)がオープンコードに対する考えをしばらく前に変更した理由でもある。
  • そして、将来GitLabはDevOpsだけでなくMLOpsにも参入するようになるのだろうか?おそらくは。シブランディ氏は、この件について明言はしなかったが、MLOpsの世界が加速しているいま、GitLabがそのうちにその領域に入り込んだとしても、私は驚かないだろう。確かに、いまはしたいことを何でもすることのできる資金があるのだから。

Cloudflareと世界

2021年9月下旬に発表された、Cloudflare(クラウドフレア)が「サービスとしてのストレージ」市場に参入するというニュースを振り返ってみよう。このニュースは、Cloudflareが世界中のデータセンターを束ねてクラウドストレージを提供しようとしているというものだった。この製品に関するニュースは、ウェブサイトをより速く、より安全に表示するという、Cloudflareが最も得意とするこれまでの仕事からはかけ離れていた。

関連記事:Cloudflareが「R2」でクラウドストレージ市場に参入、「第4の大型パブリッククラウド」を目指す

なぜいまさら上場企業が、ストレージというコモディティ化したものに参入したのだろうか。当時、Ron Miller(ロン・ミラー)記者は、Cloudflareは自分のために作ったものを他の人向けに転用していると書いていた。また、Cloudflareのストレージサービス「R2」は、一部の料金を省くことで、たとえばAmazon(アマゾン)が提供するインフラサービス「AWS」を介して使うストレージよりも安くなるという。

ある考えが浮かんだ。つまり、超巨大企業ではないものの、世界的に事業を展開し、特定のデジタルサービスを提供している大規模なハイテク企業が、始めはニッチと思われるインフラツールの提供に乗り出し、AmazonやMicrosoftが現在AWSやAzure(アジュール)を通じて提供しているものと、最初は控えめながら競合するようになったとしても、私はまったく驚かないだろう。

これはまったくの妄想かもしれないが、アナロジーである程度説明できる。私の主張は、Intel(インテル)が長い間、特定のCPUに関わり世界を牛耳ってきたにもかかわらず、いまや暗号資産の採掘に使われるGPUだけでなく、例えばAIにチューニングされたシリコンを作るスタートアップの台頭にも未来を奪われてしまったことに似ているというものだ。このたとえ話の中では、AWSはIntelで、AIチップはCloudflareのR2のようなものに対応している。

AWSとAzureが価格の駆け引きを繰り返していた時代は終わった。次は何だろう?

関連記事:AIチップメーカーのHailoが約155億円調達、エッジデバイスにおけるAIモジュールの機会を倍増させる

その他のこと

  • 中西部のVCが350万ドル(約4億円)を投じたPresidio(プレシド)は、一般消費者向けのデジタル情報金庫スタートアップだ。フロリダにある同社は、2022年のローンチを目指している。これについては、無数の疑問が湧いてくる。しかし、この時代にストレージを中心としたスタートアップを作っている人がいるということが私の目を引いた。
  • 資本政策表(キャップテーブル)ソフトウェア企業のCartaが、私が楽しんで触っていたデータ製品を発表しした。時代や会社の種類ごとに分類された多数の資金調達データをいじくり回したい人には、とても楽しいソフトウェアだ。
  • 英国のスタートアップが、母国での個人情報保護規則の変更を受けて、EUへの再進出をどのように進めているかというエッセイに対するメモを書こうと思ったのだが、我らがNatasha Lomas(ナターシャ・ローマス)記者に先を越されてしまった。ということで、彼女の投稿を読んで欲しい。私が思いついたものよりも良い内容だ。
  • また、英国といえば、同国のFreetrade(フリードレード)が100万人のユーザーを獲得した。この数字は、Robinhoodブームがまさに、多くのスタートアップのボートを上昇させる国際的な消費者運動であることを示しているので、とても重要だ。

画像クレジット:Nigel Sussman

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

AIコピーライティングツールのCopy.aiが2021年2回目の資金調達を完了

Twitter(ツイッター)でCopy.ai(コピーエーアイ)を発表してから1周年を迎えた同社が、再び資金調達ラウンドを確保した。Copy.aiは、GPT-3 AIを搭載し、ビジネス顧客向けにコピーライティングツールを生成するプラットフォームだ。

同社は1100万ドル(約12億5000万円)のシリーズAラウンドを引き寄せた。Wing Venture Capitalがリードし、既存投資家からCraft VenturesとSequoia、新規投資家としてTiger GlobalやElad Gilなどが参加した。3月に発表した290万ドル(約3億3000万円)のシードに続くラウンドとなった。資金調達総額は1390万ドル(約15億8000万円)に達した。

Copy.aiのソフトウェアは月額35ドル(約4000円)かかる。例えば、数行の文章をもとにブログ記事のアウトラインを用意したり、Facebook広告用のリンク説明文を作成したり、さらには会社のモットーを作り出すこともできる。

CEOのPaul Yacoubian(ポール・ヤコビアン)氏とChris Lu(クリス・ルー)氏が共同で創業してから1年、まだ利益は出ていないが、年間経常収益はゼロから240万ドル(約2億7000万円)に増えた。また、従業員も3人から13人になったと、ヤコビアン氏はTechCrunchに語った。

2021年初めに資金を調達したものの、ヤコビアン氏とルー氏はシリーズAの時期がきたと感じていた。チームを拡大し、新しい製品機能実現に向けエンジニアを増員するためだ。最近の機能としては、ユーザーがアプリ内で直接、考えを整理したり、アイデアを保存したり、メモを編集したりすることができる「Editor」がある。Copy.aiは、長編コンテンツ制作のための製品も開発している。

「AIはパターンマッチングに長けており、ビジネスに関する情報を多く与えると、そのビジネスが何なのかを推定することができます。そのため、私たちはチーム製品も開発しています。AIがより多くを学習すると、他のビジネスユーザーを招待して登録することができます」とヤコビアン氏は付け加えた。

同社は、新たな資本を採用に投入する。完全なリモートチームで、全国に従業員がいる。eBay、Nestlé、Ogilvyなど、すでに30万人以上のマーケターがCopy.aiのツールを利用している。シードラウンド以降、25万人以上が無料トライアルに登録し、5000人以上のプレミアム顧客を抱える。

ヤコビアン氏によると、Copy.aiはAIによる自然言語生成に早くから取り組んでいる。まだ表面的なものにすぎないため、今後もアプリのコアとなる体験や生成するテキストの質を向上させていくとのことだ。

創業者らは、Wing Venture CapitalのパートナーであるZach DeWitt(ザック・デウィット)氏とも意気投合した。ヤコビアン氏によると、デウィット氏は、Copy.aiのビジョンと人工知能がどれほどマーケターの役に立つかを理解しているという。

「AIのクリエイティブな能力を前にして、自動化が仕事を奪うという話はよく聞きますが、自分や自分の会社のために価値を生み出すという語り口はあまり聞きません」とヤコビアン氏は話す。「AIが進化すれば、エンパワーメントの源となり、無限の可能性を秘めたもう1つのツールとなるでしょう。人的資本を解放し、フルタイムの代理店を雇う余裕のない小規模な企業に対し、迅速でシンプルな問題解決ツールを提供できる点が興味深いと思います」。

デウィット氏は、デジタル化の進展とともに、顧客はオンラインへ移行する一方であり、企業はニュースレター、ブログ、ソーシャルメディア、電子メールなど、顧客が読むものに合わせて対応する必要があると述べた。

同氏は、Copy.aiを利用する中小企業の顧客と話をする中で、書かれたコンテンツの量に圧倒されている人がいること、また、マーケターや創業者が優れたコピーを書けるようにするには、AIを利用するのが最適であることを感じたという。

デウィット氏自身、この製品を使って、最初の社内向けのメールを作成した。また、毎週ブログを書き、Twitterでも活動しているため、ブログ記事のアイデアやコンテンツのフォーマットを考える際にCopy.aiの製品を重宝しているという。

さらにデウィット氏は、Wing Venture Capitalが出会った若い会社の中でも、Copy.aiは最も急速に成長している会社の1つだと付け加えた。また、ソーシャルメディアを活用し、Copy.aiの諸数値を公開している。それがロイヤリティを生むとともに、当初Wingがこの会社に惹かれた側面を他の人も公に知ることができる。

「今回のラウンドは大幅な申し込み超過でした。会社への関心の高さ、チームの質の高さ、勢いの強さを感じていただけると思います」とデウィット氏は付け加えた。「クリスとポールには、将来の成功のために投資家を選ぶ贅沢がありました」。

画像クレジット:Copy.ai

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

DXを推進する日清食品がアプリを内製、ノーコード・ローコードで営業担当が25時間で完成

日本マイクロソフトが10月11日から14日にかけて開催中の「Microsoft Japan Digital Days 2021」では、生産性や想像力を高め、組織の競争力に貢献するソリューションや、その導入事例について学べるプログラムが提供されている。

Day 2の10月13日13時5分に行われたセッション「外注から内製化へ。製造業が取るべき次なる一手!日清食品グループが実現した『低コスト』『高スピード』のアプリケーション開発の世界」では、IT企業ではない日清食品がDX推進の一環として行ったアプリ内製化について語られた。その様子をレポートする。

登壇者は日清食品ホールディングスのCIO成田敏博氏と情報企画部係長武田弘晃氏だ。

老舗食品製造企業がアプリ内製化に取り組むようになった背景

日清食品ホールディングスCIO成田敏博氏

日清食品は1948年に設立された70年を超える老舗の食品製造企業だ。売上収益は約5000億円、営業利益が約550円という企業規模である。

2030年に向けた成長戦略テーマ「既存事業のキャッシュ創出力強化」「EARTH FOOD CHALLENGING 2030」「新規事業の推進」を達成するのに欠かせないのが「フードテックイノベーション」であるとしており、デジタルのみならずビジネスの変革も含むためNBX(日清ビジネストランスフォーメーション)としてDXに取り組んでいる。

取り組みを大きく2つの柱に分けており、その柱の1つ「効率化による労働生産性の向上」内に「ツールの最大活用」がある。

同社では、従業員にSurface Proを支給しており、ほとんどの業務がSurface Pro、つまりノートPCで行われているが、工場内作業中、取引先への移動中などではモバイル端末のほうが操作しやすい。腰を落ち着けて作業できる環境であっても、スキマ時間にノートPCを取り出し、起動し、テザリングをし、検索するといった動作は時間や手間がかかる。

そのため、ツール開発に「モバイルファースト」を掲げ、できるだけモバイルで業務を行えるようにすることを目指した。

しかし、製造業のためエンジニアを多数抱えることは現実的ではない。かといって外注では社内のニーズに迅速に対応できない。

そこで、2021年に入ってから内製化のため「ノーコード・ローコード」でのアプリ開発を検討。Power Appsを活用したアプリ開発に取り組むことになったのだ。

25時間で開発した営業活動を助ける商品検索アプリ

日清食品ホールディングス情報企画部係長武田弘晃氏

どの企業でもそうだが、日清食品グループでも営業担当者は商談など外回りが多い。移動中やスキマ時間に、得意先から質問されるであろう商品について調べるには、ノートPCよりモバイル端末に優位性がある。

とはいえ、商品データベースにアクセスするには、支給されているノートPCからしか行えず、開くのが難しい場合は社内の営業事務担当者に当該製品の検索を依頼していたという。場合によっては、検索してもらったものが正しいかを確認後、取引先へメールしてもらうということも行っていた。

これでは、営業事務担当者は、その都度、行っていたかもしれない作業の手を止めて、依頼に応えなければならないし、外回りをしている営業担当者にもストレスがかかってしまう。

そこで、すでにMicrosoft Listsに格納している商品データベースをスマホで検索できるような商品検索アプをMicrosoft Power Appsで開発することにした。

アプリの開発に要した時間は、開発のためのトレーニング、フィードバックを受けての修正の時間も含めてわずか25時間。内訳は、ハンズオントレーニングが2時間、大枠の作成に10時間、日清らしいデザインや使い勝手の追加に7時間、営業戦略部門へβ版の説明を行うのに1時間、そしてフィードバックを受けて行った機能の追加開発に5時間だ。

同アプリの特徴としては、商品検索時に品目コードでも略号でも商品名でも検索できること、入力文字列も全角半角、大文字小文字、ひらがな・カタカナを問わず直感的に利用できること、フィルターやソートはコンボボックスではなくワンタップで検索できるボタン形式を採用していること、ヘルプのキャラクターに同社のキャラクター「ひよこちゃん」を使っていることなどがある。

また、閲覧履歴を設けて移動中に調べた商品情報にすばやくアクセス可能にした他、手元にある商品のバーコードをスマホカメラで読み取って、当該商品の情報もクイックに得られるようにした。

フィードバックによって追加された機能は、商品情報を得意先へメール送信するというもの。おかげで、社内にいる営業事務担当者へ都度連絡する必要がなくなったという。

Power Appsを選んだ理由として武田氏が挙げた理由は3つ。1つ目はすでに同社内で使ってたMicrosoft 365製品群との相性が良いこと、2つ目はその契約範囲内で使えたため追加コストがかからなかったこと、最後は短期間でユーザーが望む機能拡張が行われていることだ。

これまでは、Microsoftパートナー企業に開発を依頼していたという武田氏。しかし「それでは社内ナレッジが蓄積できず、いつまでたっても自社開発が行えない」と考えた。それでは、社内のニーズに迅速に応えるというNBX取り組みの趣旨に反してしまう。

そこで、MicrosoftパートナーであるAvanade(アバナード)に、アプリ開発のハンズオントレーニングや開発に必要な情報のQ&Aといったサポートを依頼。その甲斐あって、25時間という短時間でのアプリ開発に成功した。

アプリβ版を営業戦略部門へ公開した際の反応は「早く使いたい」「いつから使えるの?」といったポジティブなもの。「ユーザーが、使ってハッピーになれるUI / UXであると確信した」という。

完成版のリリースには、事前告知として全国の営業担当者向けにデモを行い、ついでリリース時にイントラネットとオンライン社内報などを使って告知を行った。その結果、使い勝手の良さもあいまってリリースから短期間で浸透し、多くの人が利用するようになった。

成功の要因は開発環境にPower Appsを選んだこととユーザーファーストの思想

Microsoft 365とのシームレス連携を考えてPower Appsを選んだ日清食品グループだが、メリットが多かったという。それはUIの作成が容易だったこと、標準機能が充実していること、ローコードであることだ。

Power Appsを選んだこと以外に、プロジェクトの成功要因として、武田氏は3つのものを挙げた。

1つ目はユーザーファーストに基づいた開発を行ったこと、2つ目ははUI / UXにこだわったこと、最後はAvanadeのサポート力の高さだ。

「ソリューションファーストだったら、ユーザーがハッピーになるソリューションを開発できなかったはず。また、日清らしい親しみやすさや直感的な操作感へのこだわりをもって開発したため、ユーザーが使いたいと思うようなものを作ることができた。そしてこれらは、アプリ開発において不慣れだった自分たちの質問や相談にクイックに応じてくれたAvanadeの高い技術力なしにはなし得なかった」(武田氏)

外部にツール開発の依頼を出していれば得られなかったナレッジは、部内で共有した。それにより、Power Appsができることを把握し、アプリのメンテナンスも行えるようになり、ユーザーのニーズにアプリ開発で応えられるかもしれないという選択肢を持つことができ、同社のモバイルファーストをさらに推進することが期待される。

日清食品グループでは「ハッピー」「クリエイティブ」「ユニーク」「グローバル」という4つの思考をバリューとして捉えている。

アプリ開発の内製化は、ユーザーが抱く課題を解決するものになるため、またノートPCでは作業しづらい環境でもモバイルで業務ができるため、さらに使いたくなるUIであるため、ユーザーにハッピーをもたらすものとなる。

「製造、販売、倉庫といったそれぞれの現場で業務をしやすくするため、またBCP対策としても有効なモバイルファーストを今後も推進していくことで、日清食品グループのDX化をさらに推進していきたい」と武田氏は述べて、セッションを終了した。

Linked Idealがナレッジベース構築プラットフォーム「Toposoid」をオープンソースとして公開

Linked Idealがナレッジベース構築プラットフォーム「Toposoid」をオープンソースとして公開

人工知能を活用したデータ分析を行うLinked Ideal(リンクトイデアル)は10月10日、ナレッジベース構築プラットフォーム「Toposoid」をオープンソースソフトウェア(OSS)として公開した(GitHub)。ナレッジベース(知識ベース)とは、人の知識を可視化して蓄積し、検索可能にしたデータベースのこと。

Toposoidには次の3つの特徴がある。

文章を入力するだけでナレッジベース構築が可能

普通に文章を入力するだけで、文章が解析され、ナレッジグラフ(知識グラフ)構造としてデータベースに蓄積される。ナレッジグラフデータは、グラフデータベース「Neo4J」で管理している。

文章入力でナレッジベースを探索し説明可能性のある結果が得られる

ナレッジベースと照合したい文章をそのまま入力すれば、解釈、照合が行われ、真偽判定結果を得ることができる。同時に、その判定が論理的に支持される理由の説明も示される。

オープンソースを活用したプラットフォームで推論エンジンを拡張

OSSなので、開発者による拡張が可能。推論エンジンのプログラムは、開発者が使い慣れている言語で拡張や差し替えが自由に行える。

アメリカの市場調査会社IDCの2020年5月の調査では、2020年のデジタルデータ総量はおよそ59ZB(
ゼタバイト。59兆GB)に相当し、2000年から比べると1万倍に増えたとのこと。Linked Idealは、「ヒトは文章という情報に限ってもその膨大な情報の理解をコンピューターにサポートしてもらわざるを得ない時代に入った」と話す。そこで、文章を加工せずそのまま入力して知識の蓄積が行え、また文章で探索が行えて、説明可能性のある結果が得られるToposoidのようなツールがますます重要になるとしている。

今後は、OSSで提供される機能に加え、商用ライセンスの形でさらに高度な推論機能を備えたバージョンをリリースする予定だとLinked Idealは話している。さらに大規模なデータ処理機能、高負荷の耐用性および高可用性を持たせるために、クラウドから利用できるサービスを構築中。「社会課題に対してより安定したサービスを提供できるよう進化してまいります」とのことだ。

1Passwordがリンクでパスワードを安全に共有できる新機能「Psst!」発表

職場や家庭において、パスワードの共有は普通に行われていることだが、それを安全に行うのは難しい。1Password(ワンパスワード)は、この問題を解決するために、アカウントを持っていない人とも安全な方法でログイン情報を共有できる新機能の提供を発表した。これは、Password Secure Sharing Tool(パスワード安全共有ツール)を略して「Psst!」と呼ばれるもので、ユーザーから最も要望の多かった機能の1つだという。

同社の調査によると、多くの企業で従業員による認証情報の再利用が行われているという。そのうち約36%の人が、電子メール、チャットアプリ、スプレッドシート、文書、テキストなどの安全でない方法を介して、他の従業員や顧客とログイン情報を共有していることを認めている。また別の調査では、ほとんどの家庭では家族の間でパスワードを共有しており、その場合もパスワードを書き留めたり、メッセージで送信するなど、安全ではない方法で伝えていることが明らかになったという。

Psst!は、1Passwordのアカウントを持っていない人でもアクセスできる情報のリンクを生成することで、誰とでも認証情報を共有することができる。リンクの有効期間は、1時間から30日の間で選択でき、その後は自動的に期限切れとなる。また、リンクを知っている人全員と認証情報を共有するか、特定の人のみと共有するかを選択することもできる。後者を選択した場合、このサービスでは、アクセスを許可する前に、受信者のメールアドレスを使って本人確認が行われる。

この新機能とともに、1Passwordでは獲得した企業顧客が10万社を超え、従業員数が500名に増えたことも発表された。1PasswordのJeff Shiner(ジェフ・シャイナー)CEOは、声明の中で次のように述べている。

パスワードやその他の認証情報を社外や家族で共有できるようにすることは、最も要望の多かった機能の1つです。1Passwordのお客様だけでなく、すべての人がオンラインで安全に過ごせるようにするために、本日Psst!を発表することができ、私は大変うれしく思います。当社の企業顧客が10万社を超えたことは、企業がパスワードやその他の機密情報をオンラインで保護する必要性を理解していることを明確に示しています。

画像クレジット:1Password

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:1Password

原文へ

(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」が離乳食時期メニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」を追加

カラダノートは10月11日、離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」において、離乳食時期に合わせたメニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」機能を公開した。iOS版での先行公開としており、2021年内にAndroid版でもリリース予定。

ステップ離乳食は、月齢によって食べていい食材や食べられる状態を確認できるアプリ。乳児を育てるために離乳食を進める保護者をサポートするという。

離乳食スケジュールとは、離乳食が始まる生後5~8カ月頃に何からあげ始めたらいいのかわからない方向けに役立つ情報をまとめたもの。

アプリ内では、離乳食時期をゴックン期 前期/後期・モグモグ期の3つにわけており、各時期ごとに28日分の離乳食スケジュールを掲載。それを参考に、見てマネる形で離乳食を進めることで、迷う時期を短縮できるとしている。

カラダノートは、家族向け、事業会社向け、その両者の大きく3つの領域で事業を展開。家族向けの事業としては、記録や共有を中心とした子育て・ヘルスケアアプリを提供しており、ユーザーの生活環境の効率化を支援している。マッチング領域では、データベースを用いて集めたユーザーに対し、適切なタイミングでレコメンド・サービス提案を行い、企業やサービスとのマッチング支援を行ってる。事業会社向け領域では、家族生活周辺産業においてサービスを展開する事業会社に向け、DX支援を提供。

乗組員の変更管理、海賊などの潜在的なリスクの予測などを提供する海事情報プラットフォーム「Greywing」が資金調達

シンガポールを拠点とするGreywing(グレイウイング)は、船舶運航会社をはじめとする海事産業の人々が重要な意思決定を行う際の役に立つために、2019年に設立された。同社が提供する製品には、乗組員の変更管理、海賊などの潜在的なリスクの予測報告、新型コロナウイルスの影響による渡航制限の更新などのツールが含まれている。

米国時間10月7日、Greywingは250万ドル(約2億8000万円)のシード資金調達と併せて、船舶運航会社が乗組員の交代によって生じる二酸化炭素排出量を監視するための新しいソリューションを発表した。参加した投資家は、Flexport(フレックスポート)、Transmedia Capital(トランスメディア・キャピタル)、Signal Ventures(シグナル・ベンチャーズ)、Motion Ventures(モーション・ベンチャーズ)、Rebel Ventures(レベル・ベンチャーズ)、Entrepreneur First(アントレプレナー・ファースト)そしてY Combinator(Yコンビネーター)など。GreywingはY Combinatorの2021年冬のバッチに参加していた。

今回よりGreywingの提供するプラットフォームは、船舶運航会社が乗組員の変更にともなう潜在的な二酸化炭素排出量を事前に見積もることができるようになった。

この炭素排出量計算ツールは、乗組員の現在地、母港、経路変更の可能性などのデータを取り込み、ウェイポイントが入力されると、乗組員が利用可能な定期航空便を調べ上げる。それらの航空便情報には、そのフライトで排出されるCO2の量が料金とともにリストアップされるので、船舶運航会社は運航コストに大きな影響を与えることなく、総排出量を削減できる航空便を手配することができる。

最高経営責任者(CEO)のNick Clarke(ニック・クラーク)氏は、世界のCO2排出量の3%が船舶によるものであり、そのうち約3分の1が「スコープ3」と呼ばれる、乗組員の交代など船舶の燃料消費以外の要因によるカーボンフットプリントであると、メールで説明している。多くの船舶運航会社は、道義上の理由から炭素排出量の削減に取り組んでいるが、国際海事機関が設定した2030年および2050年の脱炭素化目標に適応する必要にも迫られている。

Greywingは、この炭素排出量測定ツールを導入する3カ月前にも、船舶運航会社が乗組員の検査、検疫、その他の新型コロナウイルス関連規制を管理するための「Crew Change(クルー・チェンジ)」というツールを発表している。

Greywingは、クラーク氏と最高技術責任者のHrishi Olickel(ヒリシ・オリケル)氏が、シンガポールのEntrepreneurs Firstで出会い、2019年に設立した。オリケル氏がTechCrunchにメールで語った話によると、同氏のバックグラウンドはパラメトリック保険やロボット工学だったので、共同創業者候補をマッチングするこのプログラムに参加する前は「海事産業についてほとんど何も知らなかった」という。

Greywing創業者のNick Clarke氏とヒリシ・オリケル氏(画像クレジット:Greywing)

「私がGreywingのミッションに惹かれたのは、ニックと、海事産業がデジタル化の瀬戸際にある極めて重要な産業であり、私たちが変化をもたらすことができると気づいたからです」と、オリケル氏は語る。

Greywingは、船舶運航会社が航海の準備をする際に必要な作業量を減らすために構築された。このプラットフォームは、民間および公共のソースからデータを収集し、ユーザーフレンドリーで航行に適したレポートに変換する(このプラットフォームはモバイル向けに設計さている)。

「私たちのオペレーティングシステムが登場する以前は、これらの重要な詳細情報を別々のチャネルから入手し、電子メール、初歩的な船舶追跡システム、人事業務のERP(企業資源計画)、電話、あるいはExcelのスプレッドシートまで、多くの手段を利用して意思決定を行っていました」と、クラークは語る。「想像されるとおり、これらのデータポイントをすべて整理して、実用的なインテリジェンスに変えることは困難です」。特に、1つの間違った判断が、コストや環境への影響、乗組員の危険につながる場合はなおさら難しい。

Greywingの目的は「この業界で現在行われている無益な情報報告から、リアルタイムの意思決定、さらには予測的な警告へと移行させること」であり、そのために二酸化炭素排出量と乗組員交代を管理するツールを構築したと、オリケル氏は述べている。

Greywingは今回調達した資金によって、より多くの海事データソースを活用し、アルゴリズムの複雑さをさらに高めて、より自動化の進んだインテリジェントな船舶管理システムを開発することができる。

「今回の資金調達は、Greywingのソリューションを海運業界に普及させるために役立ち、それによって私たちは、他の方法では手がつけられない世界の二酸化炭素排出量の1%に取り組むことができます」と、クラークは語る。「私たちはすでに、世界の商業船隊の3.5%に相当する2000隻以上の船舶に当社のソリューションを導入することに取り組んでいます。これにより、23万トン以上の炭素を地球の大気から減らすことができます。これは、7隻の船舶を海から排除することに相当します」。

画像クレジット:Suriyapong Thongsawang / Getty Images

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがiOS 15.0.2リリース、「活発に悪用されている」バグのセキュリティを修正

Apple(アップル)は米国時間10月11日、活発に悪用されているゼロデイバグに対する「重要なセキュリティアップデート」を含む、iOS 15およびiPadOS 15の2回目のマイナーアップデートを公開した。

現在、サポート対象デバイスでダウンロード可能なiOS 15.0.2およびiPadOS 15.0.2には、アプリケーションがデバイスの最高レベルのアクセス権を持って任意のコードを実行できるメモリ破壊の脆弱性に対する修正が含まれていると、Appleはセキュリティサポートページで述べている。

関連記事:【インタビュー】アップル幹部が語る次期iPad OSのメンタルモデルとマルチタスクの強化

この脆弱性の詳細は今のところ明らかにされていないが、Appleは「活発に悪用されている可能性がある」と警告している。したがって、すぐにでもデバイスをアップデートすることをお勧めする。

今回のアップデートでは、MagSafe対応のiPhoneレザーウォレットが「探す(Find My)」サービスに接続できない問題「持ち物を探す(Find My‌ Items)」タブにAirTagsが表示されないことがあるバグ、CarPlay(カープレイ)でオーディオアプリが開けなかったり、再生中に接続が切断される問題など、iOS 15およびiPadOS 15の他の多くの不具合にも対応している。また、メッセージアプリからライブラリに保存した画像が、関連するスレッドやメッセージを削除すると削除されてしまう不具合も修正された。

Appleは現在、最初のメジャーアップデートとなるiOS 15.1のテストを行っている。このアップデートでは、FaceTime(フェイスタイム)のSharePlayが再び有効になり、iPhone 13 ProおよびPro Maxのカメラの新機能が追加され、Apple Walletに新型コロナウイルスの予防接種証明カードを追加できるようになる。おそらく、いくつかのバグ修正も含まれるだろう。

関連記事
アップルがFaceTimeのアップデートを発表、Androidユーザーも利用可能に
アップルがiPhone、Macなど全端末でセキュリティアップデート、政府機関も利用するというNSOのゼロデイ脆弱性を修正

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)

いまだExcelファィルに頼る建築業界にGraneetは財務管理SaaSを提供する

フランスのスタートアップ企業であるGraneet(グラニート)は、Point Nine(ポイント・ナイン)とFoundamental(ファンダメンタル)が主導するシードラウンドで240万ユーロ(約3億1200万円)を調達したばかりだ。同社は、建設業界とそこに存在する無数の中小企業に特化した、垂直型のSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)を提供している。

Graneetは、建設会社がプロジェクトをより良く管理できるように、最も優れた財務管理ソリューションを構築したいと考えている。大半の建設会社は、いまだに複数のExcelファイルに依存しており、情報のサイロ化やデータ入力の煩雑さに悩まされているのだ。同社には他にも、Jack Newton(ジャック・ニュートン)氏、Renaud Visage(ルノー・ヴィサージュ)氏、Alexandre Guinefolleau(アレクサンドル・ギネフォロー)氏、Arthur Waller(アーサー・ウォーラー)氏、 Philippe Gelis(フィリップ・ゲリス)氏、そしてColonies(コロニーズ)の創業者たちが出資している。

Graneetの共同設立者でありCEOのJean-Gabriel Niel(ジャン・ガブリエル・ニエル)氏の母親は、建設会社を経営している。「彼女は私に、『これはおかしい、2つの建設プロジェクトのうちの1つで、利益が出るのか損失が出るのかがわからない』と言いました」と、同氏は筆者に語ってくれた。

そこでニエル氏は、受注処理や請求管理など、この会社の社内プロセスを調べてみた。彼はその時、Microsoft Excel(マイクロソフト・エクセル)が依然として主要なソリューションであることに気づいたのだ。

Graneetは見積、請求そしてリソースプランニング(経営資源計画)という、3つの基本的なことを解決する必要があると考えている。同社はまず、請求書の作成から着手した。Graneetでは、依頼主が支払う予定の金額、これまでに受け取った金額、そして次の請求予定を、信頼できる唯一の情報源として確認できるようにする。これによって未払いの請求書があるかどうかを確認し、支払いがあったものをマークすることができる。

続いて同社は、見積もりとリードジェネレーション(見込顧客の獲得)に取り組み始めた。ユーザーはGraneetのプラットフォームから直接見積書を作成することができる。依頼主が見積書を承認すると、建設プロジェクトを進めていき、完了率を入力できる。これはこの業界では重要な指標だ。

そして今回の資金調達により、Graneetは3つ目のリソースプランニングを開発したいと考えている。近いうちに、Graneetから下請け業者を管理し、複数の請負業者に向けて請求書を複数のパートに分割して発行できるようになるはずだ。

Graneetの顧客である建設会社は、このプラットフォームに下請け業者を招待できるようになる。下請け業者はすべてを見ることはできないが、自分たちが取り組んでいる部分を確認することができる。同様に、Graneetを利用している下請け業者であれば、毎月の進捗報告を依頼主の企業に送ることができるようになるというわけだ。この機能が実現すれば、Graneetは間違いなく新しい顧客を引きつけることができるはずだ。

将来的には、既存の顧客にもより多くのサービスを提供できると、Graneetは考えている。例えば、多くの建設会社は資金繰りのために、ファクタリング会社を利用している。ファクタリング会社は、未払いの請求書を買い取り、その割り引いた額を直ちに支払うが、Graneetはプラットフォーム上で直接前払いを提供することもできるようになる予定だ。

以上は、Graneetがどのように役立つかという例だ。その発想の背景には、建設会社は現在、ソフトウェアソリューションに関して、十分な備えができていないということがある。もし、Graneetがそのギャップを埋められることを証明できれば、他にも多くの製品がチャンスを得られることになるだろう。

画像クレジット:Graneet

画像クレジット:Greyson Joralemon / Unsplash

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Instacartが事前注文とケータリングソフトウェアのFoodStormを買収

オンデマンド食料品配達プラットフォームのInstacart(インスタカート)は米国時間10月7日、食料品小売業者向けにエンド・ツー・エンドの事前注文とケータリングを提供するSaaS型オーダー・マネジメント・システム(OMS)のFoodStorm(フードストーム)を買収すると発表した。両社は取引条件を明らかにしていないが、買収の一環として、InstacartはFoodStormの技術を自社の一連の企業向け食料品eコマースソリューションに統合する。

FoodStormは、マルチチャネル注文、注文管理、決済、フルフィルメントをカバーするSaaSを開発した。FoodStormの技術は、販売時点情報管理システム(POS)を含む複数のサードパーティのシステムも統合する。また、食料品店がフィードバックを集めたり、プロモーション機能を活用するためのCRM機能も提供している。

「我々の目標は、小売店のパートナーが売上を伸ばし、小売店の顧客の毎日の食事がそうした小売店からのものになるようにすることです。そのため、FoodStormの優秀なチームをInstacartに迎え、FoodStormのエンド・ツー・エンドの事前注文およびケータリングのプラットフォームをInstacartの主要な企業向けプロダクトに統合できることをうれしく思います」と、Instacartの最高技術責任者であるMark Schaaf(マーク・シャーフ)氏は声明で述べた。

14年前に設立されたFoodStormは、Bi-Rite Market、Mollie Stone’s Markets、Uncle Giuseppe’s、Roche Brothersなど、Instacartの既存の小売パートナー数社と提携している。Instacartは、FoodStormの技術をより多くの小売店に提供していく予定だ。

この新しい企業向けソリューションによって、小売業者がより多くの在庫をオンライン化し、顧客のニーズを満たしながらeコマース機能を強化することができるとInstacartは話す。また、顧客にとっても、この技術によってレストランのデリバリーに代わる、より手頃な価格のサービスが可能になるとも指摘する。

「食料品は非常に複雑な小売カテゴリーであり、FoodStormやInstacartのような法人レベルのソリューションは、私たちが食卓を支えるために頼っているこの業界の長期的な成功に不可欠です。Instacartのチームに加わり、小売業者が事業や顧客の絶え間ないニーズに応えるための新しい方法を創造することを楽しみにしています」とFoodStormのCEO、Rob Hill(ロブ・ヒル)氏は声明で述べた。

Instacartは、事前注文技術のソリューションが、食料品小売業者に大きな成長機会を提供すると話す。例えば、調理済み食品やケータリング商品(温・冷のおかず、ケーキ、寿司など)を食料品店で購入するInstacartの顧客は、購入しない顧客に比べて購入量が多く、買い物の頻度も高くなる。また、小売店にとっても、青果やパッケージ商品などの従来の食料品よりも、事前注文した商品や調理済み食品の方が一般的に利益率が高いと説明する。

Instacartは2021年初め、Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、D1 Capital Partnersなどの既存投資家から、2億6500万ドル(約297億円)を調達した。この資金調達により、同社の評価額は390億ドル(約4兆3760億円)に達した。また、Instacartは最近、米国とカナダの一部の市場で、より迅速な配達サービス「Priority Delivery」を開始した。これは、少量の買い物やかなり急ぎのニーズのために、これまでは店に駆け込んでいた顧客を引き付けることを目的としている。

関連記事
買い物代行サービスのInstacartが283億円を調達、評価額は5カ月で2倍以上の4兆円超に
スーパーの商品を最短30分で届けるサービスをInstacartが導入

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトがOKRソフトウェア企業のAllyを買収

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月7日、OKR(objectives and key results「目標と主要な成果」の頭文字を取ったもので、経営者が個人や会社の進捗状況を測定する一般的な方法)ソフトウェアサービス企業のAlly.io(アライ・アイオー)を買収したことを発表した。両社は買収額を明らかにしていない。

マイクロソフトはAllyを、従業員エクスペリエンス・プラットフォームの「Microsoft Viva(マイクロソフト・ビバ)」ファミリーに組み込むことを計画している。同社によれば、VivaとAlly買収の背景には、会社の目標や目的を従業員に伝えるためのより透明性の高い方法を提供するという考えがあるという。

「従業員の仕事を会社の戦略的ミッションやコア・プライオリティと一致させることは、すべての組織にとって最重要課題です。そのためには、リーダーは企業の大きな選択に関する透明性を伝達するツールに投資し、組織のあるゆるレベルで意欲的な目標を達成して結果を報告するための方法を構築する必要があります」と、マイクロソフトのエクスペリエンス&デバイス担当チーフ・オペレーティング・オフィサー兼コーポレート・バイス・プレジデントであるKirk Koenigsbauer(カーク・ケーニグスバウアー)氏は、今回の買収を発表したブログ記事の中で書いている。

一方、Allyの方では、CEOで創業者のVetri Vellore(ヴェトリ・ヴェールール)氏は、これによって自社が単独で行うよりも、マイクロソフトの一員として製品をより早く成長させることができると語っている。

「Ally.ioは、Microsoft Vivaの一部として、リーダー、チーム、個人に、日々の仕事を会社の最も重要な目標に合わせて集中させる能力を、引き続き提供していきます。私たちは、Teams(チームズ)、Outlook(アウトルック)、Slack(スラック)、そしてあなたが毎日使っているそれ以外のシステムも含めて、チームが仕事をしているどんな環境にも、目標と目的をもたらすお手伝いをします」と、ヴェールール氏はAllyのウェブサイトに掲載されたブログ記事に書いている。

自分の仕事の目的を理解して、それが会社のより広範囲な目標とどのように合致するのかを理解することは、多くの人が自宅で仕事をするようになり、経営陣と直接対面する会議の機会がなくなった時代において、ますます重要になっている。これらの目標や可能性を明確にし、リモートで仕事をする社員が使うツールに組み込むことで、全員が同じ方向を向いて仕事を順調に進めていけるようになる。

マイクロソフトは今回の買収額を公表していないが、PitchBook(ピッチブック)のデータによると、Allyが最後に資金調達した時のポストマネー評価額は3億4500万ドル(約386億円)だった。この金額は、同社が2021年2月に調達した5000万ドル(約56億円)を含め、合計7600万ドル(約85億円)を調達した際に算出されたものだ。

Allyがマイクロソフトに売却されたことによって、OKRに特化したソフトウェア市場の統合が始まる可能性がある。この市場では、WorkBoard(ワークボード)、Koan(コーン)、Gtmhub(Gtmハブ)、Perdoo(パードゥー)、WeekDone(ウィークダン)など、多くの企業が首位を競っている。

これらのスタートアップ企業群は、ベンチャーキャピタルを惹き付けて、初期段階の収益を伸ばすという点において、驚異的な成果を上げてきた。そして今、Allyがエグジットを成し遂げたことで、これらの企業は、ベンチャー資金による成長アプローチをそのまま維持するか、それともメガテック企業へのエグジットの可能性をともなうデュアルトラックのプライベートラウンドにシフトするかを、選択しなければならなくなるだろう。

マイクロソフトが同じワシントン州に本社を置くAllyを買収したことを切っ掛けに、他の大手プラットフォーム企業が同じようなツールを買収して提供するようになるかもしれない。Salesforce(セールスフォース)、ServiceNow(サービスナウ)、SAPなど、買収に積極的な他の企業が同様の動きを検討し、これらの資産を市場から引き抜こうとするのではないかと想像することは難しくない。

しかし今のところ、市場を外れたのはAllyだけであり、この動きの結果から、市場の他の企業がどのように発展していくか、見守る必要がありそうだ。

画像クレジット:Chen Yuyu/VCG / Getty Images

原文へ

(文:Alex Wilhelm, Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「初めてECサイトを開設した」ショップが全体の57%、メルカリ内にECショップを作成できるメルカリShopsが本格提供開始

メルカリShopsが本格提供開始。写真はソウゾウ代表取締役CEOの石川佑樹氏

メルカリ傘下のソウゾウは、フリマアプリ「メルカリ」(Android版iOS版)内に簡単にEコマースサイトが作成できる「メルカリShops」の本格提供を開始した。スマートフォンだけでショップを開設して、個人でも自由に商品を簡単に販売できるのが特徴だとしている。メルカリ独自の配送サービス「らくらくメルカリ便」などにも対応し、メルカリで出品するように商品が販売できる。

初期費用や月額利用料などの固定費は不要で、販売ごとに10%の販売手数料が必要となる。ただし、12月31日までは、販売手数料を無料とするキャンペーンを実施する。同社の代表取締役CEOである石川佑樹氏は、「月間2000万人以上が使うメルカリのユーザーに商品を届けられる」とアピールする。

メルカリShopsは、7月28日からプレオープンとして先行登録者向けにサービスを提供。農家、飲食店、アパレル、雑貨など、様々な商品を扱うショップが登録されており、「初めてECサイトを開設した」というショップが全体の57%に達し、EC初出店にもかかわらず月商1000万円を超えたショップもあるという。

先行登録者の商品カテゴリ。幅広いジャンルで登録された

先行登録者の商品カテゴリ。幅広いジャンルで登録された

出店者の一例

出店者の一例

全体の約6割が地方から一都三県、愛知、大阪の都市部への発送で、地方の産業活性にも貢献できるている、と石川氏は強調する。ソウゾウでは、地方自治体と連携することで、EC化が困難な事業者への支援も提供していく考えだという。

ソウゾウが連携の取り組みを行っている自治体

ソウゾウが連携の取り組みを行っている自治体

正式オープンでは、誰でもメルカリShopsでの出店が可能になった。出品ができるカテゴリーも拡大し、新たに酒類の取り扱いも可能になった。こうした販売に許認可が必要な商品の場合、メルカリShops登録時に証明書の提出が必要になっているという。

先行登録者からの声。メルカリでの出品の延長線にある操作性で簡単だったという声や、すぐに売れたという声が寄せられたという

先行登録者からの声。メルカリでの出品の延長線にある操作性で簡単だったという声や、すぐに売れたという声が寄せられたという

実際の出店者もゲストに登場。左は熊本県の果実農家でハナウタカジツを運営する片山さん。メルカリShopsでは3日で20万円を売り上げたという。中央は岐阜県のトマト農家で丸かじり農園を運営する石垣さん夫妻。6日で約10万円、1カ月で170人が購入したそうだ

実際の出店者もゲストに登場。左は熊本県の果実農家でハナウタカジツを運営する片山さん。メルカリShopsでは3日で20万円を売り上げたという。中央は岐阜県のトマト農家で丸かじり農園を運営する石垣さん夫妻。6日で約10万円、1カ月で170人が購入したそうだ

発表会にはお笑いコンビ・チョコレートプラネットも登場してメルカリShopsを解説。実際にコント内で使われたという一点物の小道具を販売していた(発表会中に売り切れ)

発表会にはお笑いコンビ・チョコレートプラネットも登場してメルカリShopsを開設。実際にコント内で使われたという一点物の小道具を販売していた(発表会中に売り切れ)

新たにらくらくメルカリ便にも対応した点も大きい。全国一律料金での発送が可能で、宛名書きも不要。匿名での配送が可能なため、個人でショップを開設しても気軽に販売が可能となっている。利用者側にはフォロー機能を提供し、気に入ったショップをフォローすれば、出品時に通知が届くようになる。

本格提供で追加された機能

本格提供で追加された機能

今後アップデートで追加予定の機能

今後アップデートで追加予定の機能

今後はさらに、送り状を一括発行するなど、大口個数でも対応できるようにするほか、クール便を使うことで生鮮食品の販売も可能にする計画だ。また、メルカリアプリだけでなく、ショップのウェブページを作成する機能や、一括での商品登録などをPC経由で行う機能も提供する予定。

キャンペーンでは、売上金10万円まで販売手数料を無料にすることで、ショップの開設を促したい考え。12月31日までに購入と発送通知が行われた取引が対象で、1回の決済が10万1円を超えた場合は対象外。売上金入金の際の振込手数料は必要だが、固定費は掛からないため、安価にECサイトを運営できる。

キャンペーンの概要

キャンペーンの概要

利用者側には、異なるショップで購入するたびに還元率が上がり、最大50%を還元するポイント還元キャンペーンも実施。1回あたり1000ポイント、合計4000ポイントまで還元される。

こうした取り組みによって、EC化に二の足を踏んでいた中小個店、個人の副業などのニーズを取り込み、8.08%という低い日本のEC化率を高めていくことを目標とする。もともと、コロナ禍でオフラインの店舗の厳しい現状を目の当たりにしたことがきっかけだったというメルカリShops。店舗のEC化に対するニーズは高まっているが、それが難しいという人も多く、そうした課題に対して「簡単に作れて売れる」という点を強みとして利用促進を図る。

東京・渋谷のセンター街にあるシャッター店舗に、メルカリShops出展店舗のイラストを掲載する「3D店舗」を設置。店舗の様子が分かるとともに、記載されたQRコードから購入も可能になるそうだ

東京・渋谷のセンター街にあるシャッター店舗に、メルカリShops出展店舗のイラストを掲載する「3D店舗」を設置。店舗の様子が分かるとともに、記載されたQRコードから購入も可能になるそうだ

フリマアプリとしてメルカリは今後も提供し、個人が不要品などを販売する場を想定しているが、メルカリShopsは、事業者としてネットショップを構築したいという人に向けたサービスで、在庫の登録も可能になっており、そうした事業者にとって便利な機能を随時追加していく計画。

石川氏は、プレオープン期間中にも様々な要望を貰い、想定以上の反響を得ているという。要望の多さから需要の大きさを実感しているというが、「テストのために試しに開設した」という人も想定以上に多く、そうした利用者が定着し、新規開設も増えるようにサービスを強化していく考えだ。

Epic GamesのCEOがアップルはiPhoneの「設定」で自社サービスを宣伝していると非難

Apple(アップル)を相手取った反トラスト訴訟(現在控訴中)で大きな注目を集めているEpic Games(エピック・ゲームズ)CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は米国時間10月7日、iPhoneメーカーは他社が利用できない広告枠を自身に与えていると非難した。その場所はiPhoneの設定画面だ。一部のiOS 15ユーザーが、Appleが設定画面のトップ、Apple IDのすぐ下で自社サービスを広告していることを報告している。提示されるサービスは、端末オーナー向けにカスタマイズされていて、すでにサブスクライブしているサービスに基づいていると見られる。

関連記事:Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

例えばApple Musicをサブスクライブしていないユーザーには、6カ月の無料トライアルをすすめる広告が表示される。一方現在のApple Musicサブスクライバーには、AppleCareなどのまだ利用していないサービスの追加が促される。

スウィーニー氏は、この種のファーストパーティー広告はAppleによる反競争的行為の可能性があることを指摘している。推奨されているサービスの中にはApp Store(アップストア)で提供されているサードパーティー・アプリと直接競合するものがあるためから。しかしそれらのサードパーティー製アプリは、もちろんiPhoneの設定画面に近づくことができない。できるのはApp Store上の広告スロットに入札することだけだ。

「Fortnite(フォートナイト)を締め出した連中の新しいやり口。自社の音楽サービスのための設定画面広告は実際の設定画面より早く現れ、他の広告主、Spotify(スポティファイ)やSound Cloud(サウンド・クラウド)は利用できません」とスウィーニー氏はいう。

スウィーニー氏は、Mobile Dev Memo(モバイル・デブ・メモ)のアナリストであるEric Seufert(エリック・スーファート)氏の別の投稿をリツイートしており、スーファート氏はGlassfy(グラスファイ)の共同ファウンダーFrancesco Zucchetta(フランセスコ・ズチェッタ)氏の作成した画像をシェアしている。

ズチェッタ氏はTechCrunchに、その広告は自身が所有するiOS 15が動くiPhone 8で見つけたと語った。しかしもっと新しいデバイスで広告を見た人もいる。中には、Appleの宣伝をプッシュ通知でも受け取ったと指摘するコメントもあった。

この問題が微妙なのは、こうした広告は、Appleが自身の利益のために他社を不利な立場においているとは必ずしも言えないことだ。

例えば私たちのiOS 15.1が動作しているiPhone 13 Pro Maxでは、その掲示がAppleCare+(アップルケア・プラス)の保証を追加できる期限までまだ一定の日数があることを知らせるために使用されていた(我々はすでにAppleの他のサブスクリプションをほとんど利用している)。この場合、SpotifyがApple Musicと直接競合するのと同じようなAppleCareと直接競合するサードパーティーアプリは存在しない。Asurion(アシュリオン)などの保証会社はAT&T(エー・ティー・アンド・ティー)やVerizon(ベライゾン)などの 携帯キャリアと提携して、iPhoneの保険プランを販売し、App Storeを通じた消費者への直接販売は行っていない。

保証追加の喚起は有益な情報であり、望まない侵入ではないと指摘する向きさえある。

スウィーニー氏のツイートは、設定アプリ内のファーストパーティー広告の認知度を高めたが、実際これは新しいことではない。

AppleはこれまでにもiPhoneの設定画面を使ってユーザーに自社サービスを売り込むことがよくあり、今回と概ね同じやり方だった。

たとえば2020年、AppleはApple ArcadeAppleCare、およびApple TV+のプロモーションを設定アプリ内で展開しているところを見つけられた。設定画面以外にも、Appleは別の変わった方法で自社サービスを宣伝しており、プッシュ通知を使ったものもあった。さらに同社は、何年も前から自社アプリの中で別のアプリのクロスプロモーションを行っている。例えばApple Musicのサブスクリプションのおすすめが、iTunesを使っている時に表示されるといったものだ。

しかし現在規制当局は、プラットフォームが自らのマーケティングパワーを利用あるいは濫用する様子を綿密に監視している。現在Google(グーグル)は、端末製造メーカーが自社のスマートフォンを販売する際に一連のGoogleアプリをプリインストールすることを必須としていることに対するEUの記録的な罰金命令を控訴している。一方Samsung(サムスン)は、Galaxy(ギャラクシー)端末上で自社アプリの広告を掲載することを中止すると発表した(これまで同社は、他の企業が自社製品を宣伝する広告を時々掲載していた)。

Epic Gamesのスウィーニー氏のツイートについて補足コメントを出しておらず、同社がこのちょっとした最新情報を次の控訴審で使用するかどうかも明らかにしていない。Appleにはコメントを要求しているがまだ応答はない。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

App Storeの変化を期待してPaddleが「アップル税」回避する代替アプリ内課金システムを開発中

サブスクリプション型ビジネスのソリューションプロバイダーであるPaddleは、App Storeのデベロッパーがサードパーティの決済システムを利用できるようになる未来に賭けている。そして、そのようなシステムが認められた暁には、いち早く代替手段を提供したいと考えている。同社は米国時間10月7日、iOSデベロッパー向けの新しいアプリ内課金(IAP)システムを発表した。このシステムは、Apple(アップル)が提供するIAPに代わるものとして設計されている。このシステムにより、デベロッパーは獲得した収益のより多くをキープできるとPaddleは述べている。

これは大きな賭けであり、報われるかどうかはわからない。

Paddleによると、同社のシステムは、デベロッパーが顧客のライフサイクル全体を通して顧客データにアクセスできるようにし、直接サブスクリプションを管理したり一時停止するツールを組み合わせて提供するとともに、PayPal(ペイパル)などの他の支払いメカニズムにも対応するという。また、多くのデベロッパーが以前から望んでいた、デベロッパー自身による返金の管理も可能になる。手数料は、10ドル(約1110円)未満の取引では10%、10ドル以上の取引では5%となっている。これは、Appleの手数料30%よりも低い水準だ(サブスクリプションベースのアプリの2年目、およびスモールビジネスプログラムとApple News Partnerプログラムの参加者は15%に下がる)。

関連記事
アップルがApple Newsを提供するニュースパブリッシャーのアプリ内購入の手数料を引き下げ
アップルのApp Store外での決済方法への誘導ブロックが禁止に、Epic Gamesとの裁判で

しかし、Paddleの製品は、Epic Games対Appleの訴訟における裁判所の判決が控訴審でも支持され、Appleがその判決をうまい具合に解釈し、Paddleのような代替決済システムの利用が可能になるという信念に基づいている。これは、現時点でPaddleが明確に知り得ないことだ。

9月、米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンサレス・ロジャーズ)判事は、App Storeでのサードパーティによる決済の問題について、Appleは反トラスト行為を行っていないと判断したものの、Fortnite(フォートナイト)の開発元であるEpic Gamesを支持する画期的な判決を下した。Epicは、独自の決済システムを使用することに加えて、iOSユーザーに直接ゲームを配信することもできるようにしたいと考えており、裁判所の判決を不服として控訴すると述べている

関連記事:Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

一方、今回の判決では、Appleはデベロッパーがアプリ内にボタンや外部リンク、その他のコールトゥアクション(CTA)を含め、ユーザーを別の決済メカニズムに誘導することを禁止することはできないとされた。

控訴後に判決のこの部分が調整されなかったとしても、サードパーティによる支払いの問題に関する判事の表現は、Appleにとって解釈の余地がある。現在のところ、この判決は、Appleがストア外の他の決済手段にリンクされたアプリをリジェクトすることを阻止するだけであり、アプリ自体に組み込まれた競争力のある支払いシステムをサポートするまでには至らないだろうと考えられている。このPaddleシステムがApp Reviewを通過する可能性については、すでに専門家が反論している

しかし、Paddleはその可能性があると考えている。

Paddleは声明でこう述べた。「当社および当社の法律顧問の理解では、Paddleのアプリ内課金システムはApple対Epicの法的判決の範囲内で許容されます。iOSデベロッパーや市場に大きな影響を与えるこの問題をより明確にするために、Appleがこの点について同社の解釈を示すことを歓迎します」。

Paddleは、裁判所の判決に合わせて、2021年12月7日から同社のシステム提供開始する予定だ。

現在、3000社以上のソフトウェアクライアント(販売者)がPaddleのプラットフォームを他のサービスに利用しており、同社は年間数十億ドル(数千億円)の決済量を処理している。このAppleのIAPの代替サービスを実際に導入するデベロッパーが出てくるかどうかは興味深いところだが、その場合、アプリがApp Storeからリジェクトされるリスクがある。これまでのところ、Paddleによると、MacPawを含む何社かのデベロッパーがこの試みに同意しているとのことだ。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターがアバター関連スタートアップFacemojiに出資

アバター関連のスタートアップ企業はここ数年の間に次々と生まれては消えていったが、その背後にいる起業家の多くが当初想像していた未来は、多かれ少なかれ正確であることが証明されている。Apple(アップル)はMemoji(ミー文字)によるアバター表現に関心を高めており、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook(フェイスブック)をメタバース企業にしたいと考えている。また、ユーザーが仮想世界に入り込み、自分のキャラクターのためのアクセサリーを購入するRoblox(ロブロックス)のようなプラットフォームは、かつてないほどの人気を博している。

Facemoji(フェースモジ)は、ゲームやアプリの開発者が同社のSDK(ソフトウェア開発キット)を使ってアバターシステムをアプリに導入するためのプラグアンドプレイ技術プラットフォームを構築している。Facemojiは、Play Ventures(プレイベンチャーズ)を中心に、Twitter(ツイッター)、Roosh Ventures(ルーシュベンチャーズ)、エンジェル投資家が参加した300万ドル(約3億3400万円)のシードラウンドを実施した。

チームによると、この分野の他の多くの企業は、開発者が扱いたくないUnityのプラグインに依存しているが、Facemojiの軽量ソリューションは、独自のレンダリングパイプラインに依存している。また、開発者が望むのであれば、すぐに利用できる多様なアバターアートのシステムをすでに持っている。

画像クレジット:Facemoji

Facemojiは、より多くのゲームメーカーが独自のアバターシステムを簡単に構築したいと考えているが、必ずしも他のネットワークに接続したいとは思っていないと考えている。初期のアバタープラットフォームの弱点は、独自のメタバースとして機能する一貫したクロスプラットフォームのアバターシステムを構築しようとする野心にあることが多い。それは、製品を開発するスタートアップやユーザーにとっては意味のあることだが、ゲームメーカーにとっては、独自のプラットフォームを作る機会をただテーブルの上に置いておくのは無駄なことだった。

Facemojiは、AppleがMemojiを開発者コミュニティに開放することは予想しておらず、Snap(スナップ)の方がより顕著な競争相手であると述べている。Facemojiのスタートアップの競合企業は、ますます速いペースで買収されている。2020年には、RobloxがLoom.aiを買収し、Epic Games(エピックゲームズ)がHyperSense(ハイパーセンス)を買収した。

関連記事:ゲーミングプラットフォームのRobloxがデジタルアバター作成のLoom.aiを買収

Facemojiの創業者たちは、メタバースの流行や最新のNFTブームに強く惹かれており、開発者が統合してユーザーにアバター用のアクセサリーを購入させることができるプラグアンドプレイのNFTストアフロントを開発している。Facemojiは、初期の暗号化されたTwitterのプロフィール写真の使い方は、一般消費者が自分のアバターをカスタマイズすることに興味を持つようになった証拠だと考えている。

「最終的には、エゴに帰結します」とFacemojiのCEOであるRobin Raszka(ロビン・ラズカ)氏は、TechCrunchに次のように述べた。「バーキンのバッグを持っていることをどうやってアピールするか、Twitterのアバターはそのための主要な領域であり、人々はただ見せびらかしたいだけなのです」。

企業への投資をあまり行わないTwitterにとって、これは特に興味深い投資だ。Facemojiのチームは、画面共有ソーシャルアプリSquad(スクワッド)がTwitterに買収される前に、Squadのチームとアバターの統合についていくつか会話をしたと述べている。また、Twitterは、現在進行中のNFTプロジェクトについて詳しく説明しており、CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、この分野のスタートアップ企業を積極的に支援している。

Facemojiチームは、ゲームに加えて、人々がアバターとして次のZoom(ズーム)にダイヤルしたり、クラスに参加したりすることが簡単にできるようになり、実写のアバターがこれまでの汚名を返上し、カメラのオンとオフの間の自然なメディアとして扱われるようになることを期待している。

関連記事:Twitterがスクリーン共有ソーシャルアプリのSquadを買収

画像クレジット:Facemoji

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Yuta Kaminishi)

OpenStackがパンデミックで大幅成長、稼働コア数が1年で66%増加し24度目のメジャーリリース

大企業やパブリッククラウドプロバイダーが、自社のデータセンターでAWSのようなプライベートクラウドを運用するためのツールを提供するオープンソースプロジェクトOpenStackは米国時間10月6日、「OpenStack 24」のリリースを発表した。コードネーム「Xena」と名づけられた今回のリリースでは、特にシステムの周辺部分を磨き上げている。

現在、OpenInfra Foundationの傘下にあるOpenStackプロジェクトが浮き沈みを繰り返していることは周知の事実だ。そのため、最近の利用者数が大幅に増加していることは、多くの人にとって驚くべきことだ。財団が発表したとおり、OpenStackで管理されている総コア数は、2020年の1年間で66%増加している。

OpenStackは現在でも多くの通信企業のバックボーンであり、最大手通信企業10社のうち9社がOpenStackを利用している。最近Verizonで5Gの通話をした人は、OpenStackがその通話を支えたのだ(なおVrizon傘下のVerizon MediaはTechCrunchのオーナーだったが、最近そうでなくなった。明らかにそれは、同社の損失だ)。通信以外にも、例えばWorkdayとWalmartは、OpenStackをデプロイして動かしており、その総コア数は100万を超えている。しかしそれでも、たとえばChina Mobileは、独自に突出して600万コアを抱えている。

OpenInfra FoundationのCOOであるMark Collier(マーク・コリアー)氏は次のように語っている。「これまでで最大の飛躍だと思います。パンデミックの影響でインフラへの需要が大幅に増加したことはよく知られています。また、ハイパースケールのパブリッククラウドについても多くの記事が書かれていますが、彼らは突然、より早い成長を必要とします。私は、このことがOpenStackの需要を確実に促進していると考えています。私たちは1年で1000万コアを追加しました。これはすごいことです。この1年で100の新しいクラウドが構築されました。現在、7つの組織が100万コア以上を稼働させています」。

画像クレジット:OpenInfra Foundation

さらに注目すべきは、数週間前にMicrosoftが、年会費35万ドル(約3900万円)という最高位のプラチナ会員としてOpenInfra Foundationに参加したことだ。同社を迎え入れる既存のプラチナ会員は、Ant Group、AT&T、Ericsson、Facebook、FiberHome、Huawei、Red Hat、Tencent CloudそしてWind Riverなどとなる。

OpenStackはリリースを24回も重ねており、コンピューティング、ストレージ、ネットワーキングなど、プライベートクラウドを動かすために必要なコアツールはすでに完備している。しかしそれでも、ありとあらゆるPCIデバイスをサポートするためには欠けている機能がある。たとえば企業は、OpenStackのコンピュート部位NovaとネットワーキングサービスNeutronに、プログラマブルなネットワーキングデバイスであるSmartNICsを接続することを求めている。

OpenStackで、上流開発のデベロッパーたちに対応しているKendall Nelson(ケンダル・ネルソン)氏は次のように説明する。「この度のリリースにおける特定のテーマとなるのは、1つは複数のプロジェクトの統合です。ハードウェアアクセラレーターをサポートするOpenStack CyborgやNova、Neutronなどでは、このPCIデバイスを中心とする周辺的部位の相互接続をサポートする柔軟性という部分で作業量がとても多くなり、OpenStackはその各部を組み合わせて総合的に使う方がベターであることを証明しようと努めました」。

これには、統合されたOpenStackコマンドラインツールに、より多くのコンポーネントから、より多くの機能のサポートを追加することも含まれる。

関連記事:Open Stack FoundationがOpen Infrastructure Foundationに改称、AntGroupなど4社がプラチナティアに追加

「これまでは、1つのサービスに対して個別のクライアントという対応でした。彼らはAPIに近い位置にいて、個々のプロジェクトごとにそのメンテナンスをしました。特に過去2回のリリースでは、OpenStackのクライアントとその下のOpenStack SDKにフォーカスしていたため、プロジェクト固有のクライアントを大量に取り去ることになり、ユーザーがたった1つのコマンドラインでインタラクティブな操作をし、何でもできるようにしました」とネルソン氏はいう。

その他のアップデートも多いが、それらに関しOpenInfra Foundationのエンジニアリング担当副社長Thierry Carrez(ティエリー・カレス)氏は、それらのアップデートはハードウェアの新しい要件が契機になっているものが多く、OpenStackのユーザーの多くが現在運用しているスケールに対応するためのものもあると述べている。

「興味深いことに、開発のプライオリティが最近は変わっています。現時点においては、コア機能はかなり安定していますが、今回の開発で忙しかったのはハードウェアの有効化の部分でした」とティエリー・カレス氏はいう。

また、この開発サイクルでは、過去10年間に蓄積された技術的負債に対処するために、長い間使われていなかったAPIのサポートを削除するなどの取り組みも行っている。

Kata Containers、CI/CDプラットフォームのZuul、エッジ・コンピューティング・プラットフォームのStarlingX、ライフサイクル管理ツールのAirshipなどのプロジェクトを支援しているOpenInfra Foundationは、本日、対面式のカンファレンスを再開することを発表した。6月7日から9日までベルリンで開催される。それに先立ち、2021年11月にはバーチャルイベント「OpenInfra Live: Keynotes」を開催する。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スマホからノーコードでウェブサイトを作るUniverseがテーマやブロックの新機能を公開

モバイルでウェブサイトを構築できるプラットフォームのUniverseがアップデートを公開し、同社のグリッドベースのウェブビルダーに高度な制作用コントロール、便利なテーマ、ブロック機能などが追加された。Universeを使うとスマートフォンから直接、コーディングをすることなくシンプルなグリッドシステムでオリジナルのサイトを作ったりeコマースのストアを開設したりすることができる。新たなアップデートであるGRID System IIは、これまでの複雑なコーディングのプロセスを直感的なジェスチャーにして、ウェブサイトをもっと簡単に作れるようにすることを目指している。

Universeの創業者でCEOのJoseph Cohen(ジョセフ・コーエン)氏はTechCrunchのインタビューで「Universeの特徴はグリッドシステムで、今回はそのグリッドシステムの大幅なアップデートを発表しました。これにより、専門知識がなくてもこれまで以上に多くのことができるようになります」と語った。

コンテンツをドロップできる広いグリッドが用意されたプラットフォームで、シンプルなブロックをベースにしてウェブサイトを作っていく。今回のアップデートでは制作用のコントロールが再設計されてグラフィカルインターフェイスが改善し、グリッド内のブロックのパディングやテキストの細かな間隔をコントロールできるようになった。コーエン氏は、グリッドを詰めて最大7列にすることができるようになったと述べた。新しいインターフェイスではカラー選択ツールも強化されている。

さらに、30種類の新しいテーマから好みのものを選んだり、オリジナルのテーマを作ったりすることもできるようになった。テーマが登場する前は、ブロックの1つ1つにその都度スタイルを設定していた。今回のアップデートでテーマが導入され、フォントやページの背景、ボタンの色といったデザイン要素に一貫性を持たせることができる。テーマを使うと、テキスト、背景、見出し、カラーなどがサイト全体の外観に適用される。

コーエン氏は「我々はサイト全体に適用できる、30種類の魅力的なテーマを作りました。ユーザーがオリジナルのテーマをゼロから作ってもかまいません。我々が提供するテーマの中のいずれかを適用したりカスタマイズしたりすることができます。変更を加えると、サイト全体に反映します。テーマは基本的に、サイト全体にわたってすべてのスタイルを美しく、使いやすく変更する手段です」と説明した。

新しいテキストスタイルを利用して、テキストをタイトル、サブタイトル、キャプションなどに分類することもできる。タイトルのインジケータを使うとサイトのSEOが向上し、アクセシビリティも拡張されるとUniverseは説明している。

新しいレイヤー機能も追加され、ブロックの上にブロックを重ねられるようになった。これまでは画像のブロックとテキストのブロックというように2つのブロックを重ねることはできなかった。今回の新しいレイヤー機能を使うと、ウェブサイトのデザインに関する制作の自由度がずっと高くなる。

さらにUniverseは、1つのサブグリッド内で複数のブロックを組み合わせて集合体を作る、新しいグリッドブロック機能も公開した。サイトにブロックを追加するとそのブロック内に別のグリッドが作られるもので、フォトギャラリーなどを追加するのに使える。グリッドブロックでブロックをグリッド上に正確に配置した後、サブグリッドをページ上の任意の場所にドラッグできる。

UniverseはShopifyやWixといった人気ウェブサイト構築ツールの競合だと思う人もいるかもしれないが、コーエン氏はまったく違うものだという。

画像クレジット:Universe

同氏はこう説明する。「我々はグリッドと呼ばれる新しいインターフェイスを開発しました。これは基本的には、テック系でない人、あるいはプロのデザイナーではない人が完全にオリジナルのウェブサイトを構築できるようにするものです。Squarespace、Shopify、Weebly、 Wixなどのシステムがありますが、これらはデスクトップベースでテンプレートベースのウェブサイトビルダーです。Universeで利用できるテンプレートはありますが、テンプレートベースではありません。テンプレートで制限されないため、グリッドそのものが制作のためのインターフェイスです」。

利用状況についてコーエン氏は、コロナ禍で多くの人がビジネスや副業を始めてウェブサイトを作ろうとしたことからUniverseのユーザーが増えたと語る。同社はコロナ禍の初期に、サイトで製品を販売し出荷できるようにした。そのためユーザーは、Shopifyなど他社のeコマースツールに登録する必要がなかった。

同氏は「コロナ禍が始まってからの1年半、当社は急速に成長しました。全体としては、作成されたアクティブなサイトの数が10倍ほどになりました」と述べた。

またコーエン氏は「リンクインバイオ」サイトを求めるインフルエンサーのユーザーが増えていると語る。「リンクインバイオ」サイトとは、Instagramのプロフィールの最後に書いておいてInstagram外のウェブサイトに誘導するURLのことだ。誘導先のサイトは、製品を販売したり、他のソーシャルメディアアカウントにリンクしたり、ポートフォリオを紹介したりするのに使われることが多い。同氏によれば、Universeで作られるサイトの40%が「リンクインバイオ」で、このようなサイトがコマースと並んでUniverseで最も大きく成長している領域だという。

Universeには現在数十万のアクティブなサイトがあり、同社は今後もプラットフォームの成長に合わせてコンシューマにとって使いやすいアップデートをリリースしていく予定だという。

コーエン氏は「今回のアップデートで我々は飛躍を遂げましたが、今後もこのグリッドシステムの改良を長く続け、いずれはインターネット上で可能なことはすべて我々のグリッドシステムで実現できるようになるでしょう。中心となっている制作の機能だけでなく、ビジネス構築に関わるコマースの機能も充実させていきます」と語った。

画像クレジット:Universe

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)