MediumがグラフィックデザインツールのProjectorを買収、経営陣を強化

コンテンツパブリッシングプラットフォームのMediumが、Projectorという小さなスタートアップを買収する。これにともない13人のProjectorチーム全員がMediumにジョインし、Projectorの共同創業者でCEOのTrevor O’Brien(トレボー・オブライエン)氏がMediumの最高製品責任者になる。

Projectorについてご紹介しよう。同社はブラウザベースのグラフィックデザインツールを開発してきた。ポッドキャストのアートワーク、Facebookイベントのロゴ、Instagramのストーリーといったソーシャルの投稿に使うグラフィックスをわずか数回のクリックで作れる。

プロ級のデザインスキルがなくても、Projectorのテンプレートライブラリを利用し、テンプレートの画像とテキストを置き換えて自分のグラフィックスにすることができる。

ProjectorでアニメーションGIFやプレゼンテーションを作るユーザーもいる。他の人と一緒に作業をしたい場合はリアルタイムでコラボレーションできる。完成したら、プレゼンテーションやデザインをリンクで共有する機能もある。

Mediumは買収の条件を明らかにしていないが、Projectorは10万人のユーザーを抱え、3回の資金調達ラウンドで2300万ドル(約26億2000万円)を調達した。Projectorには、Upfront Ventures、Mayfield Fund、Foundry Group、Upside Partnership、Homebrew、Mantis VC 、Van Wickle Venturesが投資した。Mark Suster(マーク・サスター)氏とRishi Garg(リシ・ガルグ)氏がProjectorの経営陣として参加した。

画像クレジット:Medium

Projectorの共同創業者でCEOのオブライエン氏はこれまでにCoda、Twitter、YouTubeでプロダクトチームを率いてきた。同氏がMediumの最高製品責任者になるが、Mediumには今回の買収まで最高製品責任者はいなかった。

Projectorの共同創業者でエンジニアリング担当VPのLuke Millar(ルーク・ミラー)氏は、Mediumのエンジニアリング担当VPになる。

オブライエン氏は「Mediumは、長期的にはProjectorを独立したプロダクトとして運営し続けることはありません。Mediumのコアのプラットフォームに集中し、Projectorのテクノロジーと専門性を活かして世界有数のクリエイターツールと読者のエクスペリエンスを構築します」と述べている。

さらに同氏は「Projectorは、既存のお客様が今後の利用を停止し、停止前に作品を書き出せるようにするために、2022年3月まで運営を続けます」と補足した。

MediumがProjectorの実績を今後活用していけば、ユーザーが自分のMediumサイト、投稿、ニュースレターをカスタマイズするデザイン機能の充実が期待できるだろう。リアルタイムのコラボレーション機能も増えるかもしれない。

Mediumの投稿エディタは多くのコンテンツマネジメントシステムからヒントを得て、すっきりとした直感的なデザインになっている。Mediumが文章だけでなくさまざまなメディアのコンテンツにも同様にデザインを重視したアプローチをとるか、注目される。

画像クレジット:Medium

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(文:Romain Dillet、翻訳:Kaori Koyama)

超党派グループがソーシャルメディアの推奨アルゴリズムを制限する法案を提出

下院の超党派グループが、ユーザーのオンライン体験を方向づけるアルゴリズムの使用について、ユーザーがもっと制御できるようにする法案を提出した。このフィルター・バブル透明性法案が通過すれば、Meta(メタ)などの会社は、 “input-transparent”(入力透明性)アルゴリズムと呼ばれる推奨にユーザー・データを使用しないバージョンのプラットフォームを提供しなければならなくなる。

同法案は、「不透明」な推奨アルゴリズムを禁止するものではないが、ユーザーがその機能をオフにできるスイッチをつけることを要求している。さらに、推奨アルゴリズムを使い続けるプラットフォームは、その推奨がユーザーの個人データから生まれた推論に基づいていることを告知しなければならない。告知は一回限りでよいが、「明快で目に付きやすい方法」で伝える必要がある、と提案に書かれている。

法案を提起したのは、下院議員のKen Buck(ケン・バック)氏(共和党・コロラド州)、David Cicilline(デビッド・シシリン)氏(民主党・ロードアイランド州)、Lori Trahan(ロリ・トラハン)氏(民主党・マサチューセッツ州)、およびBurgess Owens(バーゲス・オーエンス)氏(共和党・ユタ州)の4名だ。これは、上院議員のJohn Thune(ジョン・スーン)氏(共和党・サウスダコタ州)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタル)氏(民主党・コネチカット州)が今年6月に提出した法案のコンパニオン法案だ。「消費者は、ユーザー固有データに基づく秘密アルゴリズムによって操作されることなくインターネット・プラットフォームを利用できる選択肢を持つべきです」と、本法案を最初に報じたニュース機関、Axios(アクシオス)にバック氏は語った。

議員らは、ソーシャルメディアの巨人たちがユーザーの取り込みを強化するために推奨アルゴリズムを使っていることを頻繁に批判してきたが、これまでにアルゴリズムの使用を抑制する法的措置はほとんど取られていなかった。1月6日の米国議会議事堂襲撃事件を受け、民主党議員30名以上からなるグループが、Meta(メタ/当時の名称はFacebook[フェイスブック])、Twitter(ツイッター)、およびYouTube(ユーチューブ)に対し、推奨エンジンに本質的変更を加えるよう要求したが、結局は脅威となるような規制措置には至らなかった。今回のフィルター・バブル透明性法案は、下院、上院の超党派支持を得ているものの、成立するかどうかは不明だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシック)氏はEngadgetの編集協力者。

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画像クレジット:POOL New / reuters / Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターが暗号技術チーム「Twitter Crypto」設立、ブロックチェーンとWeb3の研究拠点を目指す

Twitter(ツイッター)がNFTを無料で配布したり、ビットコインによる投げ銭を可能にしたことを覚えているだろうか?創業者兼CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏のTwitterプロフィールが文字通り「#bitcoin」であることを考えれば、同社が暗号資産やその他の分散型技術に関心を持っていることは驚くことではない。米国時間11月10日、Twitterは暗号技術チームを正式に立ち上げると発表した。このチームは「ブロックチェーンとWeb3に関するあらゆることの中核的研究拠点」になることを目指していると、同社はTechCrunchに語った。

このチームは当初、暗号支払い(ビットコインによる投げ銭、チケット制スペースの暗号支払い)、クリエイターの収益化の機会(NFTツール構築)、ソーシャルメディアの分散化(web3に向けた一般的な動きの一部)を検討する。このチームのリーダーに指名されたエンジニア、Tess Rinearson(テス・リネアーソン)氏のTwitterスレッドによると、Twitter Cryptoは「アイデンティティ、コミュニティ、所有権などで可能なことの限界を押し広げる手助けをしたい」と考えているという。

短期的には暗号支払いやNFTギャラリーが最も低いハードルだが、今回の動きは、Twitterがソーシャルメディアの分散化に向けてより広範囲に推進していることを示している。それにより、ネットワークはAmazon Web Services(AWS)のような企業がホストするサーバーではなく、ブロックチェーン上で独立して運営されることが可能になる。しかし、一部の研究者は、これらの分散型システムが、特に過激な政治的コンテンツに関連したコンテンツモデレーションの問題にどのように対処するかを懸念している

Twitter Cryptoは、「分散型ソーシャルメディアのオープン標準」を構築することを目的とした「bluesky(ブルースカイ)」という、Twitterが出資している初期段階のイニシアティブと密接に連携していく。ビットコインやイーサリアムなどの暗号通貨をコントロールする銀行がないのと同じように、blueskyプロトコルの開発はTwitterが主導しているが、1つのソーシャルネットワークがblueskyプロトコルをコントロールすることはないだろう。

ブロックチェーン技術を模索している主要なソーシャルプラットフォームは、Twitterだけではない。つい2日前の米国時間11月8日、Discord(ディスコード)の創業者兼CEOであるJason Citron(ジェイソン・シトロン)氏は、Discordが人気の暗号資産ウォレットサービスであるMetaMaskとの統合に取り組んでいることをツイートで示唆した。一方、Reddit(レディット)はNFTプラットフォームのエンジニアを募集している。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

アップルにEpic Games訴訟のアプリ内課金をめぐる裁判所の決定に従うよう命令

カリフォルニア州でのEpic Games(エピックゲームズ)対Apple(アップル)訴訟の判決で、米連邦判事はAppleがApp Storeポリシーの更新期限を延期することはできない、と裁定した。この訴訟では、Epic Gamesが主張していたような独占的な行為をAppleが行っているわけではないと判事が宣言したことでAppleはほぼ勝訴したが、アプリ内課金の制限に関するAppleの反ステアリングポリシー(「転向」行為の禁止)の問題では、裁判所は「Fortnite」メーカーのEpic Gamesに味方した。裁判所の当初の判決では、開発者がApple独自の決済システム以外の決済手段を取ることをAppleが禁止することはもはや許されないとしていたが、Appleはこの決定を控訴審の判決が出るまで保留とすることを望んでいた。保留となった場合、App Storeの変更は事実上数年後に延期されることになる。

具体的には、Epic Gamesの反トラスト訴訟について米地方裁判所のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンザレス・ロジャーズ)判事が2021年9月10日に下した判決では、Appleが以下のことを開発者に禁止しないよう命じていた。

「……アプリとそのメタデータボタンに、外部リンク、またはアプリ内購入に加えて顧客を購入メカニズムに誘導するその他のコールトゥアクションを含めること」

裁判所はまた、アプリ内でのアカウント登録を通じて顧客から自発的に取得した連絡先を通じて顧客とコミュニケーションをとることを、Appleが開発者に禁止することはできないとしている。

Appleは、開発者がユーザーとコミュニケーションを取れるよう、10月にApp Storeの規則を正式に更新した。この変更も、同じ問題で集団訴訟を起こした米国の開発者グループとの和解の一部だった。しかし、Epic Gamesとの訴訟を控訴したAppleは、ゴンザレス・ロジャーズ判事が下した、App StoreをApple以外の決済システムに開放することになる差し止め命令の保留を求めた。

判事は、9月10日の判決から90日以内に差止命令を実施するよう命じたため、判決によると、求められるApp Storeのポリシー変更は12月初旬が期限となっていた。つまり、Appleが差止命令の保留を認められなかった場合、同社は開発者がiOSアプリ内で代替の決済手段を示すことを許可しなければならない。

11月9日に行われた差止命令に対する双方の主張の公聴会で、Appleの顧問弁護士は、Appleが実施を余儀なくされている変更は「プラットフォームを混乱させる」と主張した。

「消費者に害を与えます。開発者にも悪影響を及ぼします。それが事実なのです。これから起こることです」と、Epic Gamesの訴訟でAppleの主任弁護士を務めたGibson, Dunn & Crutcherのパートナー、Mark Perry(マーク・ペリー)氏は述べた。ペリー氏は、アプリ内のリンクを許可することは、iOSエコシステムにセキュリティやプライバシーのリスクをもたらす可能性があるというAppleの立場を繰り返した。

Epic Gamesの弁護士Gary Bornstein(ゲーリー・ボーンステイン)氏は、Appleは裁判中に、同社のファーストパーティ決済プラットフォームはウェブ決済と競合すると述べていた、と指摘した。方向転換して、この競合する代替手段について消費者の認識を高めることは「回復不能な損害」をもたらすとはいうことはできない。ボーンステイン氏はまた、これまでのところAppleがApp Store開放のために取った措置の多くは、集団訴訟や法規制の動向に対応するためのものであったため、Appleが自分たちだけで変更を整理するようにはすべきではないとも付け加えた。Appleは、App Storeのプライバシーラベルのような、消費者に配慮した他の変更を指摘し、同氏の主張に反論した。

最終的に判事は11月9日、Appleが保留を求める訴えをうまく主張できなかったと判断し、申し立てを却下した。

ゴンザレス・ロジャーズ判事は「要するに、Appleの申し立ては、当裁判所の所見を選択的に読んだものであり、差止命令を支持した所見のすべてを無視しています。超競争的な手数料率を含む初期の反トラスト行為は、非常に高い営業利益率をもたらし、知的財産の価値とは相関していません」と判決に書いた。「このような初期の反トラスト行為は、Appleが競争を阻害するために実施した反ステアリングポリシーの結果でもあります」。

コメントを求められたAppleは、再挑戦するつもりだと述べた。

「Appleは、この訴訟のすべての控訴が解決されるまで、追加のビジネス上の変更を要求すべきではないと考えています。このような状況に基づき、当社は第9巡回区控訴裁判所に保留を求めるつもりです」と同社広報担当は述べた。

Epic Gamesは直ちにコメントを出さなかった。

判決が支持された場合、App Storeの事業モデルに大きな影響を与える可能性がある。というのも、Appleの手数料を回避したいと考えている開発者は、ポリシーが更新された場合、ユーザーに他の支払い方法を紹介することができるからだ。この決定の影響は、どれだけのデベロッパーがこの機会を利用するか、またどれだけの消費者がApp Store以外での支払いを決断するかによって変わってくるが、Appleに数十億ドル(数千億円)損害を与える可能性がある。

すでに市場では、ポリシーが正式に改訂される前に、その潜在的な変化を利用しようとする動きが見られた。

例えば、サブスクリプション事業のソリューションプロバイダーであるPaddle(パドル)は、差し止め命令が発効すると同時に、iOS開発者向けにApple独自の決済システムを置き換えることができる新しいアプリ内課金システムを導入すると、見切り発車的に発表した(ただし、Appleのアプリ内課金システムを完全に置き換えることはできず、外部リンクのみとなる)。一方、Facebook(フェイスブック)は、App Storeを通さずにクリエイターに直接支払うシステムを導入した。このシステムは、Facebookが当面クリエイターの売上から手数料を取らないため、技術的には認められていた。しかし、他の支払い方法を認める決定が下されたことで、このシステムは将来的に変更され、Facebookの新たな収益源となる可能性がある。

裁判所がAppleの申し立てを認めなかった場合、Appleが裁判所の決定に従うためにどのようにルールを書き換えるのかは不明だ。韓国がアプリストアに他の支払い方法を認めることを義務付ける新しい法律を施行したとき、Google(グーグル)は手数料を調整しながらこれに従ったが、Appleは法律内容に現在のポリシーは準拠している、と述べた。

裁判所はAppleに対し、当初の判決では差止命令に従うために90日間の猶予があり、発効までにはまだ約30日あることを念押しした。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックがユーザーの政治的信条、宗教、性的指向を広告ターゲットにすることを禁止予定

Facebook(フェイスブック)は米国時間11月9日、個人の健康、性的指向、宗教的・政治的信条などの、潜在的に「センシティブ」な属性に基づいてユーザーをターゲティングすることを、この先広告主に許可しないことを発表した。たとえば「Lung cancer awareness(肺がんの知識)」「LGBT culture”(LGBTカルチャー)」「Jewish holidays”(ユダヤ教の休日)」などが、2022年初頭からターゲット外となるカテゴリーの例だ。

同社はブログに「こうした詳細なターゲット設定オプションを削除する決定は容易ではなく、この変更が一部の企業や組織に負の影響を及ぼす可能性があることは承知しています」と記し、その上で公民権の専門家、政策立案者、その他の関係者からの意見が今回の決定を後押ししたと述べている。広告収入はFacebookの主要な収入源であるため、広告ポリシーの大幅な変更は大きな副次的影響を及ぼす可能性がある。

Facebookは年齢、居住地、性別(ジェンダー)など、プロフィールに記載されている情報に基づいて、ユーザーをターゲットにすることができる。しかしFacebookプラットフォームが、ユーザーのプロフィールに記載されている性的指向に基づいてターゲットを絞ることはこれまでもしていなかったと、同社の担当者はTechCrunchに語った。この先、削除される広告とは、ユーザーのプロフィール内の関心カテゴリーに基づいて提供されている広告を指すという。

これまでFacebookは、ユーザーのアクティビティに基づいて、そうした関心カテゴリをユーザーのプロフィールに割り当てていた。Facebookのコンテンツにどのように関わったかに応じて、ユーザーには「米国のユダヤ文化」「LGBTの権利」「バラク・オバマ」など、Facebookが「センシティブ」と呼ぶカテゴリーが割り当てられる可能性がある。2022年1月19日から、広告主はこれらのような関心事に基づいて広告をターゲティングすることができなくなる。なお「ロッククライミング」や「編み物」など、センシティブではない他の関心グループは引き続きターゲットとして使われる予定だ。センシティブかどうかに関わらず、そうしたカテゴリーは何万もあるのだ

いまでもユーザーは、デスクトップの「設定とプライバシー→設定→広告→広告設定→広告のターゲット設定に使用されるカテゴリ→興味・関心のカテゴリ」で、自分のプロフィールにひも付けられた関心グループを確認することができる。また特定の関心事に基く広告を見たくない場合は、そこでオプトアウトすることができる。

この広告ポリシーの変更は、Facebookプラットフォームの親会社として新たに社名を変更したMeta(メタ)が、内部告発者のFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏がリークした文書に関連した一連の上院公聴会の後、厳しい監視の目に晒されていることに起因している。より多くの文書が報道機関にリークされるにつれて、Metaは一部のジャーナリストの報道が同社の振舞を誤って伝えていると主張し、防御の姿勢を強めている。

とはいえ、Facebookの広告ポリシーは何年も前から問題視されていた。2020年の米国大統領選挙に向けて、Facebookは、作成できる政治広告の種類に制限を設けた。また2018年には、米住宅・都市開発省(HUD)が、家主や住宅販売業者たちが公正住宅法(Fair Housing Act)に違反する行為をFacebookが幇助していた件告発したことを受けて、Facebookは広告の5000以上のターゲティングオプションに対して同様の削除を実施した。その前の2016年には、Facebookは住宅、雇用、クレジット関連の広告に関する「民族的親和性」ターゲティングを無効にしている。これはProPublica(プロパブリカ)のレポートで、そうした機能が差別的な広告に使われる可能性があると指摘されたことを受けたからだ。住宅や雇用に関しては、特定の社会属性に基づいて広告を出すことは違法なのだ。また、ProPublicaの別の報告書によって、Facebookは反ユダヤ的な関心事のカテゴリーに基づく広告ターゲティングも削除している。

また同社は「私たちは、プラットフォーム上でどのように人びとにリーチできるかについての広告主の期待によりよく沿うと同時に、私たちが利用可能にしているターゲティングオプションを広告主が乱用することを防ぐことの重要性に関する公民権専門家、政策立案者、その他の利害関係者からのフィードバックにも対処したいと考えています」とブログ投稿を行っている。「こうした、詳細なターゲティングオプションを取り除く決定は容易ではなく、この変更が一部の企業や組織に負の影響を及ぼす可能性があることは承知しています」。

Facebookは、データが悪意ある者に悪用される可能性を懸念してこれらの決定を下したとしているものの、このデータが潜在的にポジティブな方向に使用される場合もあるため、一部の関係者を心配させている。たとえばこれまでは「糖尿病の知識」に興味がある人には、コンディションの管理に取り組んでいる非営利団体を紹介することができていたのだ。

それでも、Facebookには、特定のオーディエンスにアクセスするためのツールがまだ数多く残されている。例えばユーザーがiPhone上で広告トラッキングを許可した場合、Facebookの広告主はその情報を広告のターゲティングに利用することができる。また企業は「エンゲージメントカスタムオーディエンス」「類似オーディエンス」などを活用して、ユーザーにリーチすることができるが、その概要については同社のブログ記事で紹介されている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

さまざまな便利機能が使えるツイッターの有料サブスク「Blue」が米国とニュージーランドでも提供開始

Twitter(ツイッター)の有料サブスクリプションサービス、Twitter Blueが米国時間11月9日から米国とニュージーランドで始まる。Twitterに最も魅せられているユーザーにアピールするさまざまな機能を提供する。同サービスはiOS、Android、ウェブのいずれにおいても月額2.99ドル(約340円)で利用可能。Twitter Blueは2021年の夏、まずカナダとオーストラリアに登場し、ブックマークを整理したり、Twitterスレッドをきれいなフォーマットで読んだり、ツイートのタイプミスを投稿される前にすばやく修正するなど、さまざまなツールをサブスクライバーに提供した。今回の提供範囲の拡大にともない、Twitter Blueのユーザーは最近公開されたTwitter Labsを通じていくつかの新機能を早期に利用できる他、数百社のパブリッシャーが提供する無広告のニュース記事を読めるようになる。後者はScroll(スクロール)の買収によって可能になった。

そして、追加のボーナスとして、TwitterはScrollのニュース集約サービス、Nuzzel(ナッツェル)を「Top Articles」という名称の新機能として復活させる。

Nuzzelには少数ながら熱心なユーザーベースがおり、TwitterがNuzzelの親会社であるScrollを買収した後、同サービスを終了させたことを残念がっていた。同サービスはTwitterに欠けているツイートの集約レイヤーとして振る舞い、ユーザーのTwitterでつながっている人たちがプラットフォーム上で何を読み、何をシェアしているかを見せてくれる。Twitterのトレンドをただスクロールしていくのと比べて、何が話題になっているのかをよりパーソナルな形で提供する。

画像クレジット:Twitter

この日Twitterは、これと同じ機能をTop ArticlesとしてTwitter Blueサブスクライバーに提供すると発表した。ユーザーは過去24時間に自分のネットワークでもっともよくシェアされた記事を知ることができる。

他にも、保存したツイート(別名「ブックマーク」)をフォルダーで整理して見つけやすくしたり、Twitterのテーマのカスタマイズや、カスタムアプリアイコンの選択、Twitterの長いスレッドをワンタッチで読みやすくフォーマットされた形で閲覧する方法などがTwitter Blueで標準提供される。

画像クレジット:Twitter

そしてもちろん、Twitter Blueは、Twitterで一番求められてきた機能である「edit」(編集)ボタンに最も近いものとして、「Undo Tweet」(ツイートを取り消す)ボタンをサブスクライバーに提供する。これは、ツイートの投稿が完了する前にユーザーがタイプミスを見つけて修正できるもので、すでに公開されたツイートを修正することはできない。

画像クレジット:Twitter

Twitter Blueにはパーソナライズ機能もいくつかある。テーマの変更、カスタムアイコンに加えて、アプリ下のナビゲートタブを、Twitteスペース、ブックマーク、Top Articles、Monetization(収益化)など、好みのTwitter機能に変更できるようになった。これによってユーザーはTwitterがよりパーソナライズされたと感じられるだろうが、Twitterにとっては、今後推奨したい新機能を目立つ場所に設置する機会が制限を受けることになる。

画像クレジット:Twitter

BlueのサブスクライバーはTwitter Labsも利用できる。Twitterが初期段階の機能をまず実験する場所だ。Twitter Labsは当初、10分間の長いビデオをウェブからアップロードできる(一般ユーザーは最大2分)機能と、気に入ったダイレクトメッセージ(DM)の会話を受信箱のトップにピン留めする機能を提供する。いずれも以前発表されたものだ

画像クレジット:Twitter

他に、Twitterにシェアされているニュース記事を、広告や邪魔なものを見ることなく読める機能が追加された。この機能も、TwitterがScrollを買収したことで実現したもので、Scrollがやっていたのと実質的に同じように動作する。同社は数百社のパブリッシャーと提携して、リンクをクリックしたTwitter Blueサブスクライバーに、高速読み込み、広告無しの閲覧体験を提供する。主な参加パブリッシャーには、The Washington Post、BuzzFeed / BuzzFeed News、Rolling Stonre、Variety、Deadline、The Hollywood Reporter、IndieWire、Huffpost、The Atlantic、Insider、USA Today、MacRumors、BGR、Slate、Daily Beast、Miami Herald、Stylecaster、TV Line、Salon、Mother Jones、 The Sacramento Bee、The Philadelphia Inquirer、SEJなどがいる。

Twitter Blueメンバーが対象サイトにリンクされたニュースをクリックすると、広告のない閲覧体験を、Twitterではなく、パブリッシャー自身が提供する。現在300社の米国拠点サイトがTwitter Blue上にあり、今後「もっと増える」とTwitterは言っている。

画像クレジット:Twitter

高速読み込みや邪魔の入らないニュース閲覧は、FacebookのInstant ArticlesやGoogleのAMPなど他のテック巨人も提供している機能だ。しかしこれらの取り組みは、パブリッシャーを特定のフォーマットに縛り付けることで、プラットフォームにおける発見性を支配しかなねい、として議論になっている。プラットフォームが収益の増額などの約束を守らない、あるいはパブリッシャーに提供するユーザーデータが限られているなどという批判を受けたこともある。

しかしTwitterは、同社のニュース閲覧機能はサブスクライバーがお気に入りのサイトを支援する方法の1つであり、Twitter Blueのサブスクリプション料金の一部は協賛パブリッシャーに直接支払われると強調した。アプリには、ユーザー自身が閲覧したことでどのサイトが支払いを受け取ったか、いくら収益を上げたかがわかるグラフもある。

このプランは、少額支払いが広告よりも多くの収益を生むようにするためのものだとTwitterは言っている。

「私たちのゴールは、各サイトがユーザー1人あたり、その人に広告を配信するよりも50%多く収入を得られるようにすることです」とTwitterのプロダクト担当シアニディレクターのTony Haile(トニー・ヘイル)氏が新機能の紹介で語った。「Twitterでは、すぐれた公共の場での対話には、ジャーナリズムエコシステムの繁栄が必要であることを認識しています。そのためにBlueでは、サブスクライバーにとってのよりよいインターネットだけでなく、ジャーナリズムにとってもよりよいインターネットを実現しようとしています」と付け加えた。

しかしこうした少額支払いは、読者にサイトを直接訪れさせることで、広告だけでなくサイトが提供するその他のプロモーションや取り組みと出会うことから得られる潜在収益を完全に置き換えるまではいかない可能性がある。サブスクリプションや無料 / 有料ニュースレター、チケットなど、パブリッシャーが読者に見せたいものはいろいろある。Twitter Blueの読者は、一般ウェブ読者のようにサイトを再訪問できなくなり、総合的なエンゲージメントがを減らす可能性もある。

画像クレジット:Twitter

Twitterは、Twitter Blueの機能の一部は、開始当初、地域やプラットフォームによって変わる可能性があると語った。

Top Articlesは、Androidおよびデスクトップでまず提供される。アプリアイコンやテーマなどのパーソナライゼーション機能、カスタムナビゲーションとDM対話のピン留めはiOSのみだ。長時間ビデオのウェブからのアップロードは、当然、デスクトップのみ。

この日の公開によって、Twitter Blueは米国、カナダ、オーストラリア、およびニュージーランドで利用できるようになった。同社は今後このサブスクリプションを他の市場でも提供する予定だが、現時点では計画についてコメントできないという。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

NetflixがiOSのキッズユーザー向けにショート動画機能提供へ、まずは英語圏で

Netflix(ネットフリックス)は2021年初め、アプリ内でTikTok(ティックトック)のようなFast Laughs機能を立ち上げ、コメディ番組や即興お笑いスペシャルなどを会員に紹介する短編のおもしろい動画を提供してきた。そして今、アプリ内にあることが明らかになったKids Clipsを使って同様の機能を子ども向けに開発中で、今週中に提供を開始することを認めた。

この機能は、デベロッパーSteve Moser(スティーブ・モーザー)氏が発見したもので、Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じた。モーザー氏は、NetflixのiOSアプリ内でこの機能に関する記述を発見したことをTechCrunchにも明らかにした。アプリのコードに記載されている説明によると、この機能は、若いユーザーが「テレビ番組や映画からの、面白くて、くだらない、音楽的な短編クリップ」を視聴するための方法だ(この機能の以前のバージョンでは「クリップ」を「ビット」と表記していたようだが、その後変更された)。

Netflixは TechCrunchにこの機能の存在を認め、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、英国、およびその他のすべての英語圏で今週から提供されると述べた。また、スペイン語圏のラテンアメリカ市場ではスペイン語の吹き替え、ブラジルではポルトガル語の吹き替えで提供される予定だという。

Netflixは以前、短編ビデオコンテンツに目を向けたのは、扱うコンテンツを会員に「楽しく、早く、直感的に」紹介するディスカバリー機能をより機能させるためだと説明していた。しかし、大人向けの既存のFast Laughs機能とTikTokアプリとの間には、顕著な類似点がある。どちらも縦長のフルスクリーンのビデオフィードと、右側に積み重ねられたエンゲージメントボタンを備えていて、ユーザーは反応を示したりやシェアしたりすることができる。しかし、TikTokとは異なり、大人のユーザーはコンテンツにコメントできない。その代わり、おもしろいコンテンツをNetflixの見たいものリストに追加できるボタンが用意されている。

新しいKids Clips機能は少し異なる仕組みになっている、とNetflixはTechCrunchに語った。

画像クレジット:Netflix

Kids Clips機能は、TikTokのような縦長のビデオフィードを提供する代わりに、タブ内ではなくフルスクリーンのウィンドウに表示される横長のビデオを表示する。クリップは自動再生されるが、保護者は設定でこれを無効にすることができる。クリップのセレクションは毎日更新され、予告編ではなく、Netflixの既存の番組を中心にキッズカタログの全コンテンツから選ばれる。ただし、子どものプロフィールに特定の成熟度設定がされている場合は、キッズクリップ機能はその設定を反映したものになるとNetflixは説明した。

展開するにあたり、この機能は10〜20個のクリップに限定され、画面の右上にクリップの数を示すカウントダウンが表示される。

Netflixの担当者は、この新しいクリップ機能によって、子どもたちが新しいコンテンツを発見したり、お気に入り作品の再視聴につながったりすることを期待していると話した。

画像クレジット:Netflix

この機能の目的は、主にカタログのディスカバリーに関連しているかもしれない。だが、TikTokのような動画アプリがモバイルデバイス上でユーザーの時間をより多く獲得していることも事実だ。例えば2020年のあるレポートによると、米国では、4〜15歳の子どもたちの1日の利用時間がYouTube(ユーチューブ)の85分に対してTikTokは80分と、YouTubeとほぼ同じであることがわかった。

Netflixがソーシャルメディアからアイデアを借りるのは今回が初めてではない。Netflixは以前「Previews」という独自の「Stories」機能を追加し、ユーザーに新しい番組や映画を紹介していた。

Kids Clips機能はiOSでのみ展開され、現時点ではまだ「テスト」とみなされている、とNetflixは述べた。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

NetflixがiPhone、iPadユーザーにもモバイルゲーム提供開始

先週、Netflix(ネットフリックス)は初のモバイルゲームのラインナップを全世界のAndroid(アンドロイド)ユーザーに提供した。本日、そのゲームの提供がiOSユーザーにも拡大された。「ストレンジャー・シングス」のゲーム2本と、その他いくつかのカジュアルゲームが含まれているラインナップは、Androidと同じ方法でiOSユーザーに配信さる。つまり、クラウドからストリーミング配信されるのではなく、App Store(アップルストア)から直接ユーザーの携帯電話やタブレットにインストールされる。

Android版のリリースにともない、Netflixは、ユーザーがカタログを閲覧してプレイしたいゲームを見つけることができる「ゲーム」タブをアプリ内に導入した。しかし、実際にゲームをプレイするには、Google Playにアクセスして、ゲームを端末にインストールしなければならない。最初の起動時に、ユーザーは、Netflixの認証情報を使ってゲームにサインインすることになる。

Netflixによると、iPhoneおよびiPadでのNetflixゲームの提供でも、同様のシステムを採用しているとのことだ。ただし、今回ゲームのダウンロードは、Google Playではなく、Apple(アップル)のApp Storeからになる。また、ゲームを開始する際には、Netflixの会員情報を使った認証が必要となる。

このシステムは、ゲームアプリに対してより寛容な内容に、2020年変更されたAppleのApp Storeのルールに準拠していると同社は考えている。

クラウドゲームサービスの増加に対応するために更新されたものだが、Appleのポリシーによると、開発者は、カタログ内の各タイトルが専用のApp Storeリストに掲載されている場合に限り、ゲームカタログへのアクセスを加入者に提供する集中型のアプリを提供することが認められている。これにより、Appleは各ゲームタイトルを個別に審査することができるという。このシステムは、定額制のゲームサービスGameClub(ゲームクラブ)が、会員のみがプレイできるクラシックゲームのタイトルをより幅広く提供するために開発したものだ

しかし、iOSでのNetflixゲームの実装と、Androidでの仕組みには、1つの違いがある。

Android版のNetflixユーザーには、アプリに専用の「ゲーム」タブがあるが、iOSユーザーにはない。その代わり、iPhoneユーザーには、アプリ内にゲーム専用の列が表示され、そこで任意のゲームを選択してダウンロードすることができる。一方、iPadユーザーには、(6番目に固定された)「ゲーム」タブが表示され、カテゴリのドロップダウンメニューからゲームにアクセスすることができる。

画像クレジット:Netflix

NetflixはTechCrunchに対し、AppleはNetflixのゲームにおいてすばらしいパートナーである一方で、ゲームタブが、独自の「アプリストア」を提供するアプリを禁止するApp Storeのポリシーに抵触するかどうかは、Netflixにとって完全には明らかではなかったと述べている。Netflixは、iOSユーザーにゲーム体験を提供する上でゲームタブは重要ではないと考え、ゲームタブなしでサービスを開始することを決定した。ただし、将来的にこの規則がより明確になれば、現在Androidで提供されているタブのように、iOSアプリに「ゲーム」タブを追加できるようになるかもしれない。

発売にあたってのゲームのラインナップは、Android版と同じだ。これには、BonusXP(ボーナスXP)の2つのタイトル「ストレンジャー・シングス:1984」と「ストレンジャー・シングス 3:ザ・ゲーム」の2タイトル、Frosty Pop(フロスティ・ポップ)の「ティーター」と「シューティング・フープス」の2タイトル、Rogue Games(ローグ・ゲームズ)の「カードブラスト」の1タイトルが含まれる。前者2作品は、Netflixの人気番組「ストレンジャー・シングス」のスピンオフ作品で、後者3作品はカジュアル作品だ。

長期的には、Netflixはこのカタログに他の追加要素やジャンルを加えて拡大する計画を持っている。例えば、同社は9月に「Oxenfree(オクセンフリー)」などのストーリー性のあるタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社のNight School Studio(ナイトスクールスタジオ)を買収し、Netflixゲームのライブラリーをさらに充実させている。

Netflixは、ゲームへの関心を、直接収益を得る方法ではなく、加入者を楽しませ、維持するためのもう1つの方法であると説明している。現在のところ、ゲームは無料でダウンロードでき、広告もなく、アプリ内課金もない。同社は、カタログが充実してくれば、テレビ番組や映画だけでなく、同じアルゴリズムを使ってモバイルユーザーに新しいゲームを提案することも可能だとしている。

Netflixは「私たちは、ゲームを、オリジナル映画やアニメーション、台本のないテレビへの進出と同様に、当社のもう1つのコンテンツカテゴリーであると考えています」と2021年第2四半期の株主向けのお知らせで述べ、まずはモバイル機器向けの無料ゲームに重点を置くとしている。そして「オリジナル番組への進出から約10年が経過した今、会員のみなさまがゲームにどのような価値を見出しているのか、より深く知るべき時期に来ていると考えています」と述べた。

編集部注:US記事では全世界での開始となっているが、本稿作成時点(2021年11月10日)、日本でのiOS端末ヘの同サービスノ提供は確認できていない。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

検索エンジンをよりユーザー中心なものに再構築するYou.comが約22億円のシードを獲得

元SalesforceチーフサイエンティストであるRichard Socher(リチャード・ソッハー)氏と、同氏のYou.com共同設立者たちは2020年来、これまでとは異なるタイプの検索エンジンを構築するというミッションに取り組んできた。そして米国時間11月9日、You.comはパブリックベータ版を公開するとともに、2000万ドル(約22億円)という多額のシード投資を発表した。

この新しい検索エンジンは、そこらにある検索エンジンに見られるような、縦にスクロールする検索結果のセットは使用しない。ソッハー氏とチームは、思い込みを捨て、まったく新しいものを考え出したかった。

「デザインは実際に何度も繰り返し行われました。私たちは初心者のような考え方で、検索に革新をもたらそうとしました。ある意味ではクレイジーなことですが、縦型リストでは(広告のような)他のものがどんどん散らばってしまい、20年間変わっていませんでした」とソッハー氏は筆者に語った。

You.comのチームはこの状況を打破するために、まったく違うものを作った。まず、検索結果のページは、Medium、Yelp、Redditといったさまざまなアプリにリンクされている。それらのアプリの重要度をカスタマイズすることも、特定のアプリをまったく使わないようにすることも、思いのままだ。

検索結果は、ウェブ検索結果のカテゴリーとともに、アプリ別のカテゴリーで表示され、左から右にスクロールすると、特定のアプリやカテゴリーの検索結果を見ることができるようになっている。さらに、実際に新しいタブを開かなくても、ビデオやコードスニペットなどの結果を見ることができ、タブのオーバーロードを減らしつつ時間とキー入力を節約すことができる。

気に入った検索結果があれば、それを上位に移動させられる。そうしたことをYou.comは記憶し、次回はユーザーがもっと気に入るような検索結果を提示する。

You.comで検索したサンクスギビングの添え物料理(画像クレジット:You.com)

創業者らがYou.comという名称を選んだのは、ユーザーとしてのあなたが検索エンジンに何を求めているかを表しているからだ、とソッハー氏は話す。「我々はこの名称に忠実です。それはあなたのことです。だから、あなたはここで、『もっとRedditを見たい』とか『Redditをさほど見たくない』とか選ぶことができるのです」と説明した。

近くのタイ料理店を探しているときのように、Redditからの検索結果を表示することに意味がない場合は、代わりにYelpの検索結果がトップに表示される。Yelpの検索結果が気に入らなければ、単にウェブの検索結果を表示することもできるが、このようにカスタマイズできることで、表示される検索結果にかなりの柔軟性とコントロールが生まれる。

特にニュースソースを選ぶとき、このレベルのカスタマイズによって結果が一面的になりすぎるのではないかと懸念するかもしれないが、目立たせたくない項目は消えてしまうのではなく、結果のリストの下に移動するだけだ。カスタマイズ機能を気にしないのであれば、検索エンジンに結果を表示させることもできる。

You.comはまず、開発者やプライバシーを意識したユーザーに焦点を当てている。ソッハー氏らはショッピングを主要ユースケースとして考えていたが、テストの結果、小売業者の製品カタログにリンクした場合、検索結果が実際にはカタログのページであるにもかかわらず、初期ユーザーは広告だと思ってしまうことがわかった。そこで、他のユースケースを検討することにした。

開発者は、コードスニペットのようなものを検索することができる。スニペットのセットを水平方向にすばやくスクロールし、何かを見つけてコピー&ペーストすると、Googleや、DuckDuckGoのようなプライバシーを重視した検索エンジンよりもはるかに早く作業を終えることができる。

プライバシーを気にする人のために、ソッハー氏が「真のシークレットモード」と呼ぶ機能では、IPアドレスを含むあなたに関するすべての情報が隠された状態にすることができる。この検索エンジンは、シークレットモードへの出入りが簡単にできるように設計されており、レストランを探すのに位置情報をオンにする必要がある場合は、プライバシーモードをオフにして、すぐにオンに戻すことができる。

収益化については、ユーザーのデータを第三者に売らないことを誓っているが、今は単にデザインを落ち着かせてユーザー数を増やすことを目指している。ソッハー氏は、収益化は後回しにすると話す。おそらく、いずれ広告が表示されることになるだろうが、その際には検索結果とユーザーを結びつけることなく、また検索結果があちこち散らばることがないようにするという。

例えば、空気清浄機を検索すると、その広告が表示されるかもしれないが、その広告を出している企業は、現在展開されているほとんどのオンライン広告と同様、ユーザーのデータに直接アクセスすることはない。もちろん詳細は不明だが、ソッハー氏はそのように説明する。

同社はまた、2000万ドルのシード投資を発表した。これは、ソッハー氏の元上司であるMarc Beniof(マーク・ベニオフ)氏のプライベート・ベンチャー・ファンドであるTime Venturesが主導したもので、Breyer Capital、Sound Ventures、Day One Ventures、そして業界のエンジェル投資家たちが参加した。

これまで、この検索エンジンは数千人のユーザーを対象としたプライベートベータ版だったが、11月9日からは誰でも試すことができる。Chromeを使っている人は拡張機能をダウンロードできる。

画像クレジット:you.com

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Airbnbはホスト保護を強化し、新型保険など多様な新機能を追加

Airbnb(エアビーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、Twitter(ツイッター)で同社のデータから見えてきたことを伝えた。大まかな内容は、パンデミックの影響で仕事に柔軟性が出てきたことで、より多くの人が平日に旅行をしたり、さらには数カ月間旅行をしたりして、効果的にAirbnbで生活しているというものだった。

このような行動の変化に対応するため、Airbnbは米国時間11月9日、プラットフォームに多様な新機能をリリースする。

その内容を詳しくみてみよう。

旅行への新たな関心とともに、どこでもいいから長期間旅行したり住んだりしたいと思うようになったことの、おそらく最大の課題の1つは、供給が需要を満たさなければならないことだ。Airbnbは、カスタマーの需要の変化に対応できるだけの十分な数のホストを確保したいと考え、ホストの体験をより良いものにするための投資を行っている。ホストの保護を強化するために、AirbnbはAirCover(エアカバー)を導入する。

AirCoverは、家の上から下までをカバーするもので、現在、プラットフォーム上のすべてのホストに無料で提供されている。最大で100万ドル(約1億1290万円)の損害補償と100万ドル(約1億1290万円)の賠償責任補償がついている。また、所得損失保護、ペット損害保護、ディープクリーニング保護も含まれている。

この補償商品は、14日間の申請窓口を設けており、請求を行ったホストにはより迅速な払い戻しを約束し、スーパーホストにはさらに迅速な対応を行う。

Airbnbのホストプロテクションプランは、以前から、損害保護と賠償責任の両方で最大100万ドル(約1億1290万円)の補償を提供してきたが、その補償内容には多くのギャップがあった。例えば、プラットフォームを休む必要があるスーパーホストや、修理のために予約をキャンセルしたりする場合の収入減は補償されなかった。また、ペットによる損害も補償の対象外だった。

ペットによる損害の補償は、ホストにとってもゲストにとっても大きな変化になるだろう。パンデミックの影響で、多くの人々が毛で覆われた友人を手に入れ、今度はその人々が旅行をしたいと思うようになった。しかし、ホストは、ペットの持ち込みにはあまり積極的ではなく、需要と供給の間に大きなギャップが生じている。

ペットの損害補償は、自然とそのバランスが調整するはずだ。

AirCoverは、家の構造はカバーするが家の中の物はカバーしないというホストプロテクションを超えて、非常に大きな意味を持っている。AirCoverは、美術品、通貨、自動車、ボートやジェット機などの乗り物、武器、セキュリティカメラ、貴金属や宝石などのいくつかの除外項目を除き、家の中のほとんどの品物をカバーする。これらの除外項目があっても、家具の損傷や物品の盗難などをカバーしていなかったオリジナルの保険からは、大きな進歩が見られる。

除外項目の詳細はここで確認できる。

細かい詳細について言えば、AirbnbのAirCoverは、ほとんどの地域でZurich Insurance plc(チューリッヒ保険)が発行する保険で提供されている。Airbnbによると、規制により現地で発行された保険が必要な一部の地域では、Zurich Insurance plcのパートナー企業が補償を提供する場合がある。

画像クレジット:Airbnb

AirCoverに加えて、AirbnbはTranslation Engine(翻訳エンジン)を導入する。このエンジンは60以上の言語に対応しており、物件の説明やレビューをユーザーの選択した言語に自動的に翻訳することで「クリックして翻訳」ボタンを削除する。Translation Engineは、クリックして翻訳する必要性をなくすだけでなく、実際により良い翻訳をするとのことだ。

画像クレジット:Airbnb

Accessibility Review(アクセシビリティ・レビュー)とVerified Wifi(ヴェリファイドWiFi)は、正確さを追求した2つの新機能だ。リスティングでは、アクセシビリティの要件を満たしているや、超高速Wi-Fiを完備しているなどと書かれていても、実際には期待を裏切られることがよくある。

Accessibility Reviewでは、ホストがアクセシビリティ機能の写真を提出すると、実際の人間のチームが手動で審査する。このチームはこれまでに、世界中の2万5000軒の住宅で10万件のアクセシビリティ機能をレビューし、その正確性を確認してきた。

Verified Wifiでは、ホストがAirbnb自身から物件の接続をテストし、その速度を検証することができるため、そこで遊ぶだけでなく、仕事をするために訪れるゲストは、その接続を信頼することができる。

これらの新機能は、Airbnbが今回発表する最大のもののうちのいくつかだが、Airbnbはまた、非常に人気のあった製品をさらに強化している。

例えば「I’m Flexible(柔軟な検索)」は、2021年2月に公開されて以来、5億回以上も利用されている。柔軟な検索は、ゲストが行きたい場所や旅行の日程、さらには滞在したい住居のタイプなどを柔軟に選択することができる。

この柔軟な検索コンセプトに人々が惹かれたため、Airbnbは日付の範囲を拡大し、6カ月から12カ月先までの柔軟な検索を使用できるようになった。また、同社は「人里離れた暮らし」「スキーイン・スキーアウト」「Luxe」「風変わりな家」など、4つの独特なカテゴリーも追加した。

サービスの細かな調整に関しては、AirbnbはMy Tripsタブのデザインを一新し、予約のカウントダウンタイマー、チェックインの詳細、今後の予約リスト、パーソナライズされた経験の提案など、必要な情報を一か所にまとめた。

数時間後にチェスキー氏と話す機会があり、今回のニュースや、彼が見ている旅行分野のトレンドに基づいた会社の長期的なビジョンについて話を伺う予定だ。

画像クレジット:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(文:Jordan Crook、翻訳:Yuta Kaminishi)

Tableauが自然言語で質問してSlack内でデータのクエリができる統合機能を発表

組織全体にわたって多くの人がデータをもっと利用しやすくすることを目指すTableauが、米国時間11月9日の#Data21カスタマーカンファレンスで、自然言語で質問するとSlack内でデータのクエリができる機能を発表する。これは、Slackとのこれまでの統合をさらに発展させるものだ。

最高製品責任者のFrancois Ajenstat(フランソワ・アジェンスタッド)氏は米国時間11月8日、カンファレンスに先立って開催されたプレス対象のイベントで、この新たな統合によりTableauのデータのフルパワーをSlackで利用し、さまざまな方法で共同作業ができると述べた。注目しているデータが変化したときにアラートを受信し、しかもアプリを切り替えることなくSlack内でデータを扱える。

同氏は「Slackがデータについて問い合わせをする場にもなるので、1つのインターフェイス上ですべてのコンテンツが見つかります。Slackを離れる必要はありません。Tableauのリポジトリ全体を検索できます。すべてのダッシュボード、すべてのデータソースをSlackで利用できるのです」と説明した。

重要なのはデータのクエリができることだ。同氏は「見たいものを見つけたらすぐに質問(の入力)を開始できます。この場合、Tableauの自然言語クエリインターフェイスである『Ask Data』を用いて、自然言語で質問します。本当に簡単で誰にとっても使いやすいものです」と述べた。

Amalgam InsightsのCEOでチーフアナリストのHyoun Park(パク・ヒョウン)氏は、実はこの統合は以前にTableauが発表したAsk DataやExplain Dataなどの機能をベースにしていると述べている。同氏は、こうした機能、特にクエリの機能によって、これまではデータを深く扱うことがなかった人々にもデータ分析の扉が開かれると考えている。

パク氏は筆者に対し「自然言語を使う分析ソリューションとSlackの統合にはThoughtSpotなどがありました。しかしSlackとTableauを簡単に連動し、自然言語で幅広い分析ツールを利用できる機能はこれまでで最大級のニュースで、データのスキルを身につけているわけではない多くの人々がTableauの分析結果を深く検討できるようになります」と語った。

同氏は、Tableauのこのようなアプローチはデータを広く活用できるようにするだけでなく、本質的にはSlackをTableauのコアプロダクトのユーザーインターフェイスにするものだと述べ、この機能はTableauでSalaeforceのAIエンジンを活用するためのEinstein Discovery for Tableauもベースになっていると指摘した。

TableauはEinsteinの機能について「仕事の流れの中で予測をするものです。ビジネスパーソンは重要度の高いデータに対してAI予測を実行し、主な要因を特定して次のアクションを提案するインテリジェントな予測を得ることができます」としている。

Salesforceは2019年に157億ドル(約1兆7700億円)でTableauを買収し、2020年末には270億ドル(約3兆480億円)でSlackを買収した。このような巨額な買収をしたとあってSalesforceが高価な買い物をうまく組み合わせようとするのは当然で、今回の発表はSalesforceプラットフォーム全体のさまざまなところでSlackをインターフェイスにしようとする取り組みの1つだ。

Salesforceは2021年8月にSalesforce製品ファミリーとSlackの初の統合を発表し、Slackは同年9月にさらに別の統合を発表していた。

画像クレジット:Tableau

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Tencentとの提携でApple Musicに中国の音楽が増える

世界中のApple Musicユーザーはこれまで以上に多くの中国ミュージシャンの音楽を聴けることになりそうだ。Tencent傘下でオンラインミュージックのTencent Music Entertainment(TME)が現地時間11月8日、同社の「Music Cloud」プログラムに参加する「レコードレーベルとアーティスト」の作品が今後Apple Musicで配信されると発表した

Tencentが欧米大手のオンラインミュージックと手を組むのは、これが初めてではない。2017年に同社はSpotifyと株式交換について合意した。この合意にはコンテンツの共有は含まれていなかった。

TMEの発表は具体的ではなく、TMEもAppleも今回の計画について詳しく述べていない。この計画のポイントはTMWの「Music Cloud」とは何かということだ。これについてTMEは以下のように説明している。

TMEが公開する新しいグローバル音楽配信プラットフォームのTME Music Cloudには、コンテンツのセルフマネジメント、オンライン配信とプロモーション、利用料金の処理、音楽データのインサイトの機能もあり、幅広いパートナーレーベルやクリエイターに世界レベルでの多チャンネル配信を提供します。同時にTMEが持つ業界のリソースとTencentのソーシャルエコロジーにより、コンテンツクリエイターに対してコンテンツ制作やプロモーション、商業化に関して総合的に支援します。

この説明からすると、Music Cloudは大手レコードレーベルからの配信やマーケティングの支援がない、あまり売れていないアーティストに提供されるようだ。

この4年間、TMEはインディーズのミュージシャンを対象とするプラットフォームを構築し、作品の配信、ファンへのアピール、バーチャルコンサートの開催、そして最終的には収益化ができるようにしてきた。その代わり、TMEは作品に対してライセンスの権利を取得する。

しかしTMEにとっての本当の収入源は、台湾のJay Chou(ジェイ・チョウ)のようなトップミュージシャンの権利だ。ジェイ・チョウはユーザー確保の上で極めて価値が高い存在で、TMEは2017年にチョウの権利を侵害したとしてNetEase Musicを提訴した

TMEは長年にわたり、レコードレーベルの「ビッグ3」と呼ばれるユニバーサルミュージック、ワーナーミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメントから独占ライセンスを確保するために多額の資金を投じてきた。しかし中国がテック業界に対して独占的活動を取り締まり、TMEの厚い壁が壊れ始めている。2021年7月に中国の市場規制当局はTMEの「不公平な」市場活動に対して制裁を課し、オンラインミュージックの独占権を放棄するように通告した。

TMEが高額なライセンスの音楽をApple Musicと共有するとは考えにくい。もし共有すれば、この提携は代償をともなうだろう。TMEとAppleが詳細を明らかにすれば、さらに多くのことがわかるはずだ。今のところ、世界中のオーディエンスに聴いてもらえる可能性に中国の新人ミュージシャンが大きな魅力を感じることは確かだ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

米アマゾンがPayPalと提携、2022年からVenmoでも支払い可能に

PayPal(ペイパル)は米国時間11月8日、Amazon.comが2022年から、米国ユーザーの精算にVenmoオプションを追加すると発表した。そのニュースとともに、オンライン決済大手の同社は、第3四半期に前年同期比13%の増収という堅調な業績を発表した。

Amazon(アマゾン)の利用者は2022年中に、Amazon.comとモバイルショッピングアプリのいずれで購入した商品についても、自分のアカウントを人気のモバイル決済サービスにリンクさせることができるようになる。

「当社の顧客が、Amazonでの買い物の方法に選択肢と柔軟性を求めていることは理解しています」とグローバルペイメントアクセプタンス担当ディレクターのBen Volk(ベン・ボルク)氏は声明で述べた。「Venmoと提携し、顧客がVenmoアカウントを使って支払いができるようになり、Amazonで新しい支払い方法を提供できることをうれしく思います」。

この取引が双方にとって有益であることは間違いない。PayPalによると、同社のユーザー数は現在、米国内だけで8000万人を超えている。同社はまた、最近行われた社内の「行動調査」を引用し「Venmoユーザーの65%が、パンデミックの間にオンラインでの購買行動が増えたと答え、47%が加盟店で精算する際にVenmoで支払うことに興味を持っている」と指摘する。

問題は、これまで何の支障なくクレジット決済に頼ってきたAmazonのユーザーが、このサービスをどれだけ利用するのかということだ。Amazonでは現在、クレジットカード、デビットカード、ストアカード、当座預金、HSAやFSA、EBTカードなどの支払い方法が用意されている。だが支払い方法としてPayPalをサポートしていないため、Venmoが加わったことはPayPalにとってうれしい勝利だといえる。

広く言えば、PayPalがもうすぐAmazonへ組み込まれると、多国籍電子商取引企業であるAmazonに、待望した暗号資産(仮想通貨)という先進的な一面をもたらす可能性がある。

PayPalは3月、米国の消費者が何百万ものサイトで暗号資産による支払いができるようになると発表した。一方、Venmoは最近、Venmoクレジットカードを使って買い物し、そこで得たキャッシュバックを利用して暗号資産を購入できる新機能を用意し、暗号資産への対応を拡大した。

しかし、それは現時点では現実というよりもビジョンにとどまっているのかもしれない。Amazonは、デジタル通貨とブロックチェーン技術の責任者を募集しているが、最近では、支払いに暗号資産を受け入れる計画についての噂を否定した。PayPalは、TechCrunchへの声明で、Venmoが暗号資産に全面的に対応しているわけではないことから、今後の提携に暗号資産は含まれないと示唆した。

「本日の発表は、米国におけるVenmoの顧客が精算時にVenmoで支払えるようにするためのものです。今後もこの関係を発展させていきたいと考えていますが、現時点ではこれ以上お伝えできることはありません」と同社は声明で述べた。

画像クレジット:Venmo

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(文:Brian Heater、Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

テレスペが平日の空室に悩むホテルなど1万室募集開始、2022年1月中旬公開の法人対象テレワーク個室予約新サービス向け

テレワーク・テクノロジーズは11月9日、空室に悩むホテルなどに上場企業テレワーカーを送客する新サービス「テレスペ」を2022年1月中旬より開始することを発表した。それに先駆け、本日よりホテル施設など1万室を募集している

上場企業専用の法人向け新サービスを2022年1月中旬スタート

テレスペは、上場企業専用の法人向けテレワーク個室予約サービス。利用側の上場企業法人会員6万人を確保しており、オフィス縮小による家賃のコストカット、全国の社員居住地近くに個室を提供する職住近接の実現など、人口減少社会における「上場企業総務部の新しい働き方導入」を支援する。

従来のホテルなどのテレワークプランは、ホテル側主導で空き時間を提供するプロダクトアウト型サービスであり、企業がオフィス代わりに利用するには難しい側面があった。そのため、個人の単発利用に終わり、市場として大きく成長することはできなかったという。

これに対してテレスペでは、実験を重ねて作り上げたマーケット主導型サービスとして提供を行う。ホテル側ではなく、利用する法人側と2021年3月より対話を開始し、利用側の希望に合わせたUX設計を行なったそうだ。法人社員が家の近くで丸1日、毎月2回反復して利用するというスタイルを想定している。コロナ禍をキッカケとしてオフィスを縮小した企業が、削減したオフィス経費で社員の自宅近くに「フレキシブルなオフィス」として使える場所を提供するものとなる。

ホテルなど施設側のメリット

テレスペの予約は、1週間前まで行なえないシステム(火曜日の予約は前週火曜日から予約受付)になっているほか平日の日中だけを利用するため、団体旅行や個人旅行といったホテルの本業を邪魔をしないという。1週間前に売れ残ってしまった部屋やドタキャンで空いた部屋だけを収益化するとしている。

またベッドとシャワーの利用NGという条件で掲載可能なので、ベッドメイキングの手間も必要ない。上場企業総務部もそうした利用法を希望しているとのこと。東京都心部に一極集中するシェアオフィスとは異なる経済圏を生み出し、将来的にはワーケーションや移住など地方との連携も視野に入れているという。

従来のレンタルスペースサービスと異なる4つの特徴

  • 利用が1日単位:1時間単位の時間貸しではなく、1日から数日の利用
  • 法人社員がリピート利用:個人は1回きりだが、法人社員はオフィス代わりに毎週利用
  • 6万人の利用登録:すでに6万人の登録がある。1日6000人の利用が見込める
  • 利用者は上場企業限定:1月中旬のサービス公開時は、利用者は上場企業社員のみ

さらに、ホテル以外の施設も募集しており、旅館、カラオケ、シェアオフィス個室、シェアハウス個室、空きマンション、ワークブース、飲食店の個室なども想定しているという。電源、Wi-Fi、机、良い椅子、ウェブ会議の声が漏れない程度の防音性を満たす個室であれば業種を問わず掲載可能。Wi-Fiや椅子などの手配をテレワーク・テクノロジーズ側が支援する用意もある。ただし、オープンスペースや天井が空いているなど個室ではないスペースは登録不可。1名用がメインとなる。

現在は、東京・神奈川を中心に全国主要都市での募集となる。首都圏南武線沿線、東横線沿線、川崎周辺などを重点エリアとしているものの、東京都以外なら利用したいという声もあるため、全国からの問い合わせを待っている状態とのこと。

テレワークプランの料金は、施設側が自由に設定することが可能。テレワーク・テクノロジーズ側としては、午前8時~午後7時までの1日プランで、3300円から7700円程度を想定している。テレスペへの掲載料は初期費用・月額掲載料は0円、手数料が予約金額の22%となる。ただし、2022年1月中旬のサービス開始前までに掲載完了した部屋については、2022年中の手数料が11%になる。

Disney+がマーベル映画13作品のIMAXアスペクト比版配信

Disney+は、11月12日より、マーベル映画13作品のIMAXの拡張アスペクト比で提供する。IMAXの拡大アスペクト比は1.90:1で、同社によると一部のシーケンスで最大26%増加した画像になる。一般的なテレビの16:9の比率にも近くなる。

発売時に提供される13本の映画は以下のとおりだ。

  • 「シャン・チー/テン・リングスの伝説」※11月12日より配信開始
  • 「ブラック・ウィドウ」
  • 「アベンジャーズ/エンドゲーム」
  • 「キャプテン・マーベル」
  • 「アントマン&ワスプ」
  • 「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
  • 「ブラックパンサー」
  • 「マイティ・ソー バトルロイヤル」
  • 「ドクター・ストレンジ」
  • 「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」
  • 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
  • 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」

新フォーマットでストリーミング配信される映画は、Disney+情報画面に目立つラベルが表示される。なお、標準的なワイドスクリーン版の映画も引き続きストリーミングサービスで視聴可能だ。

Disney+社長のMichael Paull(マイケル・ポール)氏は声明の中で「Disney+でマーベルファンや観客のみなさんに新たな価値を提供できることに興奮しています」と語った。

新しいIMAXフォーマットは、NetflixやAmazon Prime Videoなどの競合他社に対してDisney+に優位性を与える。このコラボレーションにより、将来的にはDolby Atmosと競合する可能性が高いDTSによる没入型IMAXシグネチャーサウンドなど、さらに強化されたオーディオビジュアル技術をDisney+に提供するという

新フォーマットの発表は、ストリーミングサービス開始からちょうど2年目となる「Disney+ Day」に行われた。また、同社は「Disney+ Day」で今後配信予定のコンテンツのファーストルックや新予告編を複数公開する予定だ。

画像クレジット:Disney+

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(文:Aisha Malik、翻訳:Katsuyuki Yasui)

2021年、アップルの米App Storeはホリデーシーズンも休まず営業

Apple(アップル)によると、App Storeは、例年と違い2021年はクリスマス休暇中も通常どおりに営業する。この方針変更は、1年で最も忙しいシーズンに緊急のバグフィックスがあったり重要なアップデートがあっても十分対応することができるため、開発者的にはうれしいことだろう。またiPhoneなどのApple製品をギフトにもらった顧客は、新しいアプリを探したり、好きなアプリを再びダウンロードできる。休日が増えた消費者は、新しいアプリやゲームを探して。1年の最後を過ごそうとするだろう。すると第4四半期におけるApp Storeの利用も上向きになる。

通常、AppleのApp Store Connectサービスは、ホリデーシーズンには完全に休みになるため重要なアップデートがある開発者はその前に間に合わせようとして焦ってしまう。しかし2021年は、ホリデーにも営業を行うが、11月24〜28日と12月23〜27日は、レビュー完了まで時間がかかるかもしれないと人が少ないことを示唆している。

この変更は、AppleがAppp Storeのビジネスモデルをめぐって世界中の規制当局からの締め付けがますます厳しくなっている時期に行われた。問題のビジネスモデルとは、有料アプリのダウンロードやアプリ内購入に対してAppleが手数料を取ることだ。そこでAppleは、App Storeの提出プラットフォームを閉鎖して、これ以上議員や批評家などから攻撃されたくない。しかも提出プラットフォームには開発者が手数料のかたちでお金を出しているのだ。料金を徴収するのはデベロッパーコミュニティへの奉仕のためだ、というApple側の理屈があるのならなおさら閉鎖はおかしい。

もちろん、同社が単純に理解していたのは、ホリデーの期間中にはトラフィックの増加で実際にショップを閉鎖するには最悪の時期だということだろう。だからむしろ、店をずっと開けておくことを解決策とした。

ホリデー期間中のストアの人減らしについてAppleは詳細を言っていないが、もっぱら少数の契約社員に頼ったり、この時期に特有の社内業務で店の人が減るのかもしれない。Appleにコメントを求めたが、今回は応えがない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Instagramのクリエイターサブスクが一般公開間近、App Storeの説明で発覚

2021年5月、Instagram(インスタグラム)は、クリエイターサブスクリプションを検討中であると語り、後に、クリエイターサブスクリプション契約者だけがアクセスできる独占Stories(ストーリーズ)を開発していることが発覚した。そしてこのたび同社は、クリエイターサブスクリプションのテスト範囲を拡大しようとしている。サードパーティーアプリ調査サービス2社によると、最近Instagramは、アプリ内購入オプションを米国向けアプリに追加し、それは「Instagram Subscription」のためだという。

Sensor TowerApptopiaの両社は、いずれもランキング動向、アプリのユーザー定着率、マーケティング情報などを調べてモバイルアプリのエコシステムを追跡している。しかし、それ以外にアプリに見られる微妙な変化にも注目している。たとえばApp Storeの説明文の変更、スクリーンショットの入れ替えなどで、今回はApp Storeの説明にアプリ内購入の記述が加えられた。

こうした変更は、近々やってくる機能を見つけるきっかけになることがある。例えば新たに追加されたアプリ内購入オプションを追跡することで、App Store観察者たちはTwitter(ツイッター)のプレミアムサブスクリプションサービスであるTwitter Blueが公開間近であることを突き止めることができた。同じように、新しい「Instagram Subscription」アプリ内購入オプションは、Instagramのサブスクリプションベースのクリエイタープラットフォームが広く公開されることを示している可能性が高い。

Sensor Towerによると、米国App Storeの一覧に「Instagram Subscription」のアプリ内購入が最初に追加されたのは11月1日で、価格は4.99ドル(約560円)だった。2日後の11月3日には、0.99ドル(約110円)のアプリ内購入が追加された。

同社によると、これまでに利用できたアプリ内購入は、「Instagram Badges」のさまざまなオプションだけだった(お気に入りのクリエイターにライブストリーミング中に投げ銭するためにファンが購入できるバーチャルアイテムで、価格は0.99~4.99ドル)。

App Storeのスクリーンショット

Instagramユーザーの中にも追加機能を見つけた人がいる。たとえば英国のソーシャルメディアコンサルタントであるMatt Navarra(マット・ナバラ)氏とBrian Kofi Hollingsworth(ブライアン・コフィ・ホリングスワース)氏が、それぞれサブスクリプションの記述についてツイートしている。

通常Instagramは、新機能を一般公開する前に少人数のクリエイターとともにテストする。このため、もし近い将来、新しいアプリ内購入が示しているように、米国でInstagram Subscriptionsを公開するつもりだとしても、あなたがフォローしているクリエイターのところで今すぐこのオプションを見つけられるとは限らない。

Instagramは、クリエイター向けツールを拡張して、サブスクリプションやNFT(非代替性トークン)などを導入することでクリエイターにとってより使いやすいプラットフォームにする計画があることを公言している。サブスクリプションが導入されれば、ファンは少額の料金を支払うことによって、お気に入りのクリエイターの限定コンテンツにアクセスできるようになる。

同社はこの夏、開発中のサービス「Exclusive Stories」(イクスクルーシブストーリー:独占ストーリー)の一機能と思われるものを開発しているところを発見された。この機能は有料でサブスクライブしているファンに、一般ユーザーは見ることができないストーリーを提供するもので、スクリーンショットを撮ることもできないが、サブスクライバーは「Highlights」(ハイライト)として表示することができる、と開発中の機能を発見したリバースエンジニアAlessandro Paluzzi(アレサンドロ・パルッチ)氏はいう。同氏はさらに、サブスクライバーは特別なメンバーバッジを与えられ、独占ライブビデオもアクセスできるようになることも、Instagramアプリ内で発見した内部コードに基づいて暴露した

Instagramはサブスクリプションの計画についてまだ全容を説明していないが、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は6月のCreater Week(クリエイター・ウイーク)で、一般論として同社の収益化戦略について語った。同氏は3種類のクリエイター向け収益化ツールに言及した。1番目はコマースで、ブランド付きコンテンツ、物販、アフィリエイト・マーケティングなどからなる。2番目が収益分配。3番目が決済サービスで、チップやバッジなどの直接支払いや「ゲート付きコンテンツやサブスクリプション」などだ。

「私はこれらを大いに気に入っています。なぜなら、クリエイターがファンと直接触れ合うことができるからです。これは長期的に持続可能かつ予測可能だろうと私は考えています」とモセリ氏が決済サービスの計画について語った。

クリエイター人材を巡って競争しているのはInstagramだけではない。増え続けているスタートアップやクラウドファンディング・プラットフォーム、そしてTikTok(ティックトック)、Snap(スナップ)、Pinterest(ピンタレスト)、YouTube(ユーチューブ)などのソーシャル分野のライバルたちに加えて、9月にはTwitter(ツイッター)も独自のサブスクリプション・プラットフォーム、Super Follows(スーパー・フォロー)をスタートさせた

新しいアプリ内購入オプションについてInstagramにコメントを求めたが、同社は計画についてこれ以上情報提供することを拒んだ。

画像クレジット:Stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

イオンネットスーパーの「先取り配送便」で最長10日先までの配送便が予約可能に

レシピ動画「クラシル」がネットスーパー機能開始、イオンと連携しレシピ検索から買い物まで提供

最長10日先までの配送便を予約できる──。これを約220店舗(イオン / イオンスタイル)で展開されているイオンのネットスーパーにて行えるようになりました。

イオンのネットスーパーは、専用サイトで注文した食料品・日用品を最短即日配送(一部地域・店舗を除く)することが可能なサービス。コロナ禍での外出自粛や自宅での食事が増えたことが追い風となり、同様のサービスが増えています。

利用者は、注文時に「先取り配送便」という項目を選択することで、最長10日先までの配送便を予約できます。ただし、配送日の2日前に商品の注文を完了する必要があり、指定日までに手続きをしなければ、自動的にキャンセル扱いとなります。

イオンネットスーパーの「先取り配送便」で最長10日先までの配送便が予約可能にイオンネットスーパーの「先取り配送便」で最長10日先までの配送便が予約可能に

このほか下記も注意点です。

・関東・北陸信越・東海・近畿・中四国の店舗で、一部対象外エリアがある

・注文先の店舗にて選択できる配送便の日時が異なる

イオンのネットスーパーをはじめとするネットスーパー事業は、注文を受けた商品を各家庭へ配送する便利なサービス。これによりレジ待ち解消だけでなく、店舗のない地域の買い物需要をカバーできることから、今後も業種の枠を超えた競争が激化しそうです。

(Source:イオンネットスーパーEngadget日本版より転載)

Clubhouseがライブルームを録音して共有できる新機能「Replay」を導入

Clubhouse(クラブハウス)のホストとモデレーターは、米国時間11月8日から新しいツールを手に入れる。Clubhouseは、クリエイターがオーディオルームを録音し、ライブを逃した人が後にチェックできるようにする新機能をiOSとAndroidのアプリで公開した。同社は9月末にこの機能を発表していた

「Replay」と呼ばれるこの機能では、公開ルームをその場で録音し、クラブやユーザーのプロフィールに保存することができる。Replayはダウンロード可能なので、ルームをホストしている誰もが「ポッドキャスト、YouTubeのクリップ、Instagramのストーリー、TikTokのビデオ、その他」としてClubhouse外で共有することができる。

Replayはまた、Clubhouseが以前導入した機能で、モデレーターがルームの上部に関連リンクを表示できるリンクのピンにも対応する。加えて、録音されたルームを聴く人は、次のスピーカーにスキップしたり、1.5倍または2倍のスピードで聴いたり、一時停止したり、30秒のクリップを作成したりすることができる。

クリエイターは、ライブルームが終了した後、誰がルームのReplayを聴いているかを確認することができ、これによりリアルタイムで体験を聴いていない他のユーザーとつながることが可能だ。Replayは来週以降、検索を含むClubhouseの既存のディスカバリー機能にポップアップ表示される。また「トータル・ルーム・カウント」機能を導入し、特定のルームを累計何人が聴いたか、より有益な分析結果をホストが得られるようにしている。

画像クレジット:Clubhouse

オーディオルームの再生機能は、ライブオーディオイベントをあまり聴かない人にとって、Clubhouseの魅力を大幅に拡大するもので、誰もがポッドキャスト発見エンジンのようにClubhouseを使うことができる。また、クリエーターにとっても、ライブイベント終了後に、自分が作った最高のコンテンツをより多くの人の耳に届けられる機会を得るというのはうれしいはずだ。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

YouTube、閉じたショート動画をそのまま「ショート」で再開するテストをモバイルアプリで展開

YouTube(ユーチューブ)は、TikTok(ティックトック)のライバルであるShorts(ショート)が競争で優位になるようにしている。現在展開中のテストでは、ユーザーがYouTubeモバイルアプリを終了する前にショートのビデオを見ていた場合、デフォルトでショートが直接開くようにしていることを同社は認めた。つまり、ユーザーがYouTubeアプリに戻ってきたときに、YouTubeのホームページに移動するのではなく、ショートの短編動画に案内されることになるということだ。

YouTubeによると、先に公開されたこのテストは、全世界のごく一部のユーザーを対象に、iOS上で実行されているとのことだ。YouTubeは現在、この実験をAndroidにも拡大する準備をしているという。

テストの対象となるのは、ショートとして知られるYouTubeのTikTokに対する回答に参加しているユーザーだ。ショートは、1年以上前にインドで開始され、2021年3月に米国に上陸し、その後2021年に他のグローバル市場にも拡大してきた。この短編動画プラットフォームでは、クリエイターがショートでのコンテンツの再利用を拒否している場合を除き、音楽、オリジナルオーディオ、または他のYouTube動画からの「リミックス」コンテンツに合わせて、最大60秒の動画を作成することができる。

TikTokやInstagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)と同様に、ショートには動画作成ツールが搭載されており、ユーザーはアプリ内で直接動画をアップロードしたり、新しいコンテンツを撮影したりすることができる。また、動画の速度調整、タイマー設定、クリップの結合、グリーンスクリーン効果などの基本的な編集機能も提供している。

YouTubeの広報担当者によると、同社は、今回のテストで、ユーザーが前回アプリを閉じたときの続きから始めることが有用であると感じるかどうかを把握したいと考えている。

しかし、このテストは、YouTubeがTikTokやより一般的な短編動画へシフトを、自社のビジネスに対する潜在的な脅威として捉えていることを示している。TikTokは、短編の縦型フィード形式を普及させたが、その後、YouTubeの領域に少しずつ入り込んできている。例えば、2021年の夏、TikTokは、動画の最大長を60秒から3分に延長した。また、最近では5分間の動画をテストしていることも確認されている。

TikTokに対抗するため、YouTubeは2021年、2021年から2022年にかけて1億ドル(約113億円)規模のYouTube ショート基金とともに、ショートクリエイターに直接報酬を支払う計画を発表した。この支払いは、ショート動画の契約や視聴率に応じて、100ドル(約1万1300円)から1万ドル(約113万円)におよぶ。

しかし、単にクリエイティブなコミュニティにインセンティブを与えるだけでは、YouTubeが優位に立つことはできない。そこでYouTubeは、最後に視聴したのがショートであれば、ユーザーがアプリを再起動したときに、ショートから起動するというより積極的な戦術を試みている。そうすることで、ユーザーがアプリで何かをする前に、スクロールしていくつかのビデオを見る可能性が増えるというわけだ。また、時間を持て余してYouTubeを起動したユーザーの関心を、ショートコンテンツで引きつけることを狙っている。

このテストは、ショートの利用が成長している時期に行われる。YouTubeの親会社であるAlphabet(アルファベット)は、第2四半期の決算において、ショートの1日の再生回数が150億回を超え、第1四半期の65億回から増加したことを発表した。しかし、この増加の一部は、市場の拡大によるものであり、必ずしもユーザーの需要が増加したわけではない。

YouTubeは、これらの新しいテストがどのくらいの期間行われるかについては明らかにせず、指標に加えてユーザーやクリエイターからのフィードバックに基づいて判断するとだけ述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)