2022年型シボレー・シルバラードに大規模なテクノロジー系アップグレード、ハンズフリー運転支援機能も採用

GMは米国時間9月9日、フルサイズ・ピックアップトラック「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」の2022年モデルを発表した。ハンズフリー走行が可能な先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」や、Google(グーグル)サービスを組み込んだインフォテインメントシステムなど、大きなテクノロジー系のアップグレードを受けた他、インテリアが一新されている。また、新たなフラッグシップモデルとして、工場出荷時にサスペンションのリフトアップを施したオフロードトラック「ZR2」もラインナップに加わった。

シルバラードのリフレッシュは、シボレーとGMCのピックアップトラックを含む、GMの電気自動車攻勢に先駆けて行われた。GMは2025年までに30台の新しい電気自動車をグローバル市場に投入し、2035年までに全車をゼロエミッション(排ガスを一切出さない)車に移行することを目指している。GMによれば、この新しいシルバラードは2022年春よりディーラーに並ぶ予定だという。

2022年モデルのシボレー・シルバラードは、エクステリアもリフレッシュされ、新しいフロント・フェイシアや、ドライバーが車両に近づいたり離れたりすると光がアニメーションするデイタイム・ランニング・ライトなどが採用された。しかし、本当の意味での変化は、このトラックのキャビンと、そこに搭載されたハードウェアとソフトウェアの根幹に見出すことができる。

2022年型シボレー・シルバラード ZR2と新型ヘッドライト(画像クレジット:GM)

最もベーシックなエンジンは、2.7リッター直列4気筒ガソリンターボ「High-Output(ハイアウトプット)」エンジンで、その最大トルクは前モデル比20%増の420 lb.-ft.(569Nm)を発生する。これを搭載する2輪駆動モデルの最大牽引力は9500ポンド(約4.3トン)。組み合わされる8速オートマティック・トランスミッションはシフトスケジュールが見直され、シフトがスムーズになっただけでなく、すばやくシフトダウンして必要なパワーを引き出せるようになった。

3.0リッター直列6気筒ターボディーゼル「Duramax(デュラマックス)」エンジンも改良され、最大牽引力が1万3300ポンド(約6トン)になった(2輪駆動車)。グレードによっては、5.3リッターと6.2リッターのV8ガソリンエンジンも選ぶことができる。

より広々とした印象に刷新されたインテリアには、13.4インチのタッチスクリーンと12.3インチの表示変更可能なデジタル・メーターパネルを「LT」以上のグレードに標準装備。オーナーはリアカメラミラーやヘッドアップディスプレイを追加することもできる。

2022年モデルで追加されたシボレー・シルバラード ZR2(画像クレジット:GM)

インテリアは新色が用意され、シートのデザインも変更を受けた。新たにプレミアムな素材も採用されている。バケットシートを装備するモデルでは、センターコンソールに電子制御式シフトコントローラーが内蔵された。

シボレー・トラックのリード・インテリア・デザイナーを務めるAlexandre Scartezini(アレクサンドル・スカルテジーニ)氏は、より現代的で洗練された「デザインのDNAにCorvette(コルベット)からの影響を感じさせる」ものになったと述べている。

すべてGoogle

車内のさらに奥、すなわちインフォテインメントの部分では、Google、さらに言えばAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)がオペレーション・システムの中核を担っていることにユーザーは気がつくだろう。つまり、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Playが、すべてインフォテインメント画面に統合されているのだ。

Android Automotive OSと、Android Auto(アンドロイド オート)を混同してはいけない。後者はオペレーション・システムの上に載せる二次的なインターフェースだ。ユーザーのスマートフォン上で動作するアプリであり、車両のインフォテインメントシステムと無線で通信する。新型シルバラードは、Android AutoとApple CarPlay(アップル カープレイ)の両方に対応している。GMによると、このシステムはAmazon Alexa(アマゾン アレクサ)とも連携するという。

一方、Android Automotive OSは、Linux上で動作するオープンソースのモバイルOSを原型としているる。しかし、スマートフォンやタブレットを動かす代わりに、Googleは自動車メーカーが自動車内で使えるように改変した。Googleは以前から、このOSのオープンソース版を自動車メーカーに提供してきた。近年では、自動車メーカーはグーグルと協力して、Googleのすべてのアプリやサービスが組み込まれたAndroid OSをネイティブに構築している。

ハンズフリードライブ

シルバラードの全車には、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告および車線逸脱防止支援、前方衝突警告、車間距離表示、ハイビーム自動切り替え式ヘッドライト、前方歩行者検知ブレーキという6種類のアクティブセーフティ機能が標準装備されている。

今回の大きな変更は、さらにハンズフリー運転支援技術「スーパークルーズ」が追加されたことだ。これは最上級トリムの「High Country(ハイカントリー)」にオプションとして設定される。シルバラードのスーパークルーズは牽引中でも使用できるのが特徴だが、レーンチェンジ・オン・デマンドやオートマティック・レーンチェンジなど一部の機能は、牽引中には制限される。

スーパークルーズは、LiDARマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー類の組み合わせで実現する機能だ。併せて、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムも搭載されている。Tesla(テスラ)の運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」とは異なり、スーパークルーズのユーザーは、ハンドルから手を離しても大丈夫だ。ただし、目線は前方に注意を向けていなければならない。

GMは2017年にスーパークルーズを導入して以来、着実に改良を重ねてきたが、その採用は何年もの間、同社の高級ブランドであるCadillac(キャデラック)に限定されており、ハンズフリー運転が可能な場所も特定の高速道路の定められた区間に限られていた。しかし、それは2019年にGMがより多くのモデルやユースケースに拡大する計画を発表してから変わった。現在、このシステムは米国とカナダの20万マイル(約32万キロメートル)以上の道路で作動させることができる。

他にもシルバラードには、牽引するトレーラーの長さも考慮に入れて、車線変更時に死角にある車両を警告する機能など、牽引時に役立つ運転支援機能が採用されている。

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画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】シェアードマイクロモビリティは住民に健康的で公平なコミュニティを構築する

20年前、私たちの多くは「シェアードマイクロモビリティ(共有型の小型移動手段)」という言葉を聞いたことはなかったし、ましてやそれがより健康的で公平なコミュニティを発展させるためのツールであるとは考えもしなかった。

しかし、2020年現在、北米の200以上の都市では、少なくとも1つのシェアードマイクロモビリティシステムが運用されており、合計16万9000台の車両が利用されている。この業界が成長するにつれ、人の移動手段のような一見小さなものでも、生活の質に大きな影響を与えるということを多くの人々が認識するようになった。

最近、マイクロモビリティが果たしている役割の中で、最も驚くべきものの1つは、人種的正義への取り組みやイベントのサポートだ。

North American Bikeshare & Scootershare Association(北米バイクシェア&スクーターシェア協会)の2020年シェアードマイクロモビリティ業界の現状レポートによると、代理業者や運営機関は、デモ参加者がイベントに参加するために無料または割引で移動手段を提供し、多くが人種的正義を訴える非営利団体に寄付や募金を行ったという。

重要なのは、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包含)への関心が高まったことで、至らない点がさらに浮き彫りになり、業界全体の組織改革につながったことだ。例えば、シェアードマイクロモビリティを運営する企業の71%が、2020年には多様性の観点がすべての採用決定の要素に含まれていると述べ、69%が、組織のすべてのレベルで女性と有色人種の社員が管理職を勤めていると報告している。

もちろん私たちはみんな、まだ望んでいる状態、あるいはあるべき状態には到達していないことを理解している。しかし、これらの指標は、彼らの意思を表しており、シェアードマイクロモビリティ業界におけるエクイティ、ダイバーシティ、インクルージョンの改善に向けた進歩を示している。

シェアードマイクロモビリティの業界では、低所得者向けの割引プログラムの提供や、身体能力の異なる人のための柔軟な車両の提供など、サービスを提供するコミュニティのニーズに合わせて、ポリシーやその実践を継続的に適応さえてきているが、移動というのはすべての人における権利であるということを理解している。

それ以上に、代理業者や運営機関は、人々やコミュニティがより健康的な習慣を身につけるために、アクティブな移動手段を提供することの重要性と、それが最終的には経済的、社会的、環境的にプラスの効果をもたらすこととなることを認識している。

2020年には、シェアードマイクロモビリティを利用したことで、北米の人々は1220万時間も多くの身体活動を行い、結果的に約2900万ポンド(約1,315万kg)の二酸化炭素削減に繋がった。

さらに、コロラド州立大学の研究者は、平均的な年では、バイクシェアの利用者によって米国の医療機関は3600万ドル(約39億5500万円)以上節約したと計算している。また、別の研究では、スクーターの利用者が、飲食店でスクーター1台あたり921ドル(約10万円)の予定外支出を行ったと結論づけている。

コミュニティの利益を最大化し、真の機能的な都市を構築するためには、シェアードマイクロモビリティを公共交通ネットワークの一部として考慮する必要がある。多様型通勤手段はより一般的になってきており、都市部の移動者にも多く求められている。2020年には、利用者の50%が公共交通機関への接続にシェアードマイクロモビリティを利用したと報告しており、同年に利用された8340万回のシェアードマイクロモビリティによる移動のうち16%が公共交通機関への接続を目的としたものだった。シェアードマイクロモビリティのオープンデータ標準であるGBFS(General Bikeshare Feed Specification)の使用と必要性が増えてきているのは、統合型移動手段のユーザー体験の重要性がより高まっていることを明らかにしている。

シェアードマイクロモビリティは、十分に活用されれば、都市をより良い方向に変えてくれる強力なツールだ。都市、州、省、国が公平性や社会問題、気候変動の問題に直面している今こそ、変革のための重要な要素として、シェアードマイクロモビリティに取り組む必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Samantha Herr(サマンサ・ハー)氏は、North American Bikeshare & Scootershare Associationのエグゼクティブ・ディレクターで、2012年からマイクロモビリティの分野で活躍している。Destinie Hammond(デスティニー・ハモンド)氏はNorth American Bikeshare & Scootershare Associationのコミュニケーションマネージャーで、以前はJUMP by Uberのコミュニティ・エンゲージメント・マネージャーを務めていた。

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画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Samantha Herr、Destinie Hammond、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フォードが電動カーゴバンの市場投入に先立ち、商用車部門のリーダーシップチームを構築

Ford(フォード)は、新たに設立した商用車・サービス事業部に6名の上級幹部を採用した。これは商用車ユーザー向けの新たな主力製品となる電動カーゴバン「E-Transit(イートランジット)」と、電動ピックアップトラックの商用バージョン「F-150 Lightning Pro(F-150ライトニングプロ)」の市場投入に先立ち、準備を整えるためだ。

フォードは、新ビジネスユニット「Ford Pro(フォード・プロ)」のリーダーシップチームを、社内外から招集した。新たに採用されたのは、6月にフォードが買収したバッテリー管理および車両監視ソフトウェアのスタートアップ企業であるElectriphi(エレクトリフィ)でCEOを務めているMuffi Ghadiali(マフィ・ガディアリ)氏だ。同氏はElectriphiにおける職務を継続し、フォード・プロの充電部門を統括する。

関連記事:フォードがEVバッテリー管理ソフトウェアのElectriphiを買収、法人顧客向けEV事業を強化

また、これまでフォードの米国マーケティング・販売・サービス担当コントローラーを務めていたTim Baughman(ティム・バックマン)氏は、フォード・プロ・ノースアメリカのジェネラルマネージャーに任命された。

フォード・プロの新しいCFOには、Ford Autonomous Vehicles LLC(フォード自動運転車有限責任会社)に在籍していたNavin Kumar(ナビン・クマール)が就任する。

Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー・カンパニー)から移籍してきたTracey Pass(トレーシー・パス)氏は最高人事責任者として採用され、Ford Autonomous Vehiclesのソフトウェア開発責任者だったRahul Singh(ラフル・シン)氏はCTOに就任。Samsung Electronics America(サムスン電子アメリカ)のチーフ・マーケティング・オフィサーだったWanda Young(ワンダ・ヤング)氏は、フォード・プロで同じ役職に就くことになった。

フォードはすでにHans Schep(ハンス・シェップ)氏がフォード・プロの欧州地域担当ジェネラル・マネージャーに就任することも発表している。

フォード・プロが力を入れているのは単に商用バンだけではない。Ted Cannis(テッド・カニス)氏が率いるこの部門は、フリート管理やメインテナンス、充電サービスなども顧客に提供することを目指している。フォード・プロはハードウェアとそれに関連する新サービスから、2025年までに450億ドル(約4兆9500億円)の収益を上げることを期待しているという。

2019年に商用車部門の売上高が270億ドル(約2兆9700億円)だったことを考えれば、これは大きな収益増だ。フォードはこの目標を達成するために、バンやフルサイズのピックアップトラックに、内燃機関とハイブリッド、そして近い将来に追加される電気自動車バージョンを組み合わせて販売し、さらにそのEVのために、車両基地だけでなく自宅でも充電できる設備や、顧客のフリート管理およびメインテナンスに役立つデジタルサービス、サービスセンターのネットワーク、そしてもちろん融資を提供することを計画している。

フォードの商用車事業は欧州で先行しており、同地域では6年連続で商用車ブランドの首位に輝いている。北米では、クラス1からクラス7までのフルサイズ商用トラックおよびバンで、フォードのシェアは40%を超えているという。

特に欧州では、各国政府が都市部における排ガス規制を強化していることから、EV事業に力を入れている自動車メーカーには、より多くのシェアを獲得するための新たなチャンスが生まれている。フォード・プロの計画には、2021年後半に納車が開始予定のE-Transitと、2022年春の発売が見込まれるF-150 Lightning Proが重要な役割を果たすことになる。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがシボレー・ボルトEVの生産中断をさらに2週間延長

GM(ゼネラル・モーターズ)はミシガン州オリオン組立工場の閉鎖期間を2週間延長した。Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)とBolt EUV(ボルトEUV)のリコールにともなうバッテリーパックの不足が理由だ。

GMはオリオン工場の閉鎖は9月20日まで延長されると語った。同工場は8月23日から閉鎖している。

リコールは、Chevy Bolt EVおよびEUVの2017年型以降が対象で、メーカーがバッテリーセルに2件の火災危険度を高める恐れのある製造欠陥を発見したため発行された。火災危険の恐れから、GMはBoltオーナーに対して充電状態制限を90%に設定し、走行距離70マイル以下までバッテリーを消耗させないよう推奨している。幹線道路交通安全局はBoltのドライバーに対し、火災危険度を減らすために自宅から離れた場所に駐車することを推奨している

関連記事:米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

同社は車両の供給元であるLG化学とともに「製造プロセスの改訂」に取り組んでいると語った。

オリオン工場は当初8月に半導体チップ不足を理由に閉鎖された。その後GMは従業員に対して、リコールに関連するバッテリー不足のために工場閉鎖が継続することを通知した。

このリコールによってGMは18億ドル(約1977億6000万円)の損害を受けると予測されている。GM広報担当者は、今回の閉鎖期間延長によってその数字が大きくなるかどうかについて情報を提供していない。自動車メーカーはLG化学に償還を求めるつもりであると語った。

半導体不足

世界的な半導体不足が続く中、GMは今後2週間にいくつかの工場で製造を再開できる見込みだと語った。

同社のインディアナ州Fort Wayne(フォート・ウェイン)組立工場とメキシコのSilao(シラオ)組立工場でフル生産が始まる予定で、世界的半導体不足による小規模な影響のあと、Chevrolet Silverado 1500(シルバラード 1500)およびGMC Sierra 1500(シエラ1500)モデルの生産が9月13日から開始される。

GMの北米にあるフルサイズトラックとフルサイズSUVの工場は来週フル生産に入る予定だ。

7月中旬以来閉鎖していたGMのテネシー州スプリングヒル組立工場は、GMC Acadia(アカディア)とCadillac(キャデラック)XT5およびXT6の生産を9月20日に再開する。同工場は、新モデルの器具取り付けのために9月27日の週から11月22日の週まで予定されていた延長閉鎖期間の一環として再び閉鎖される予定だ。

2月8日以来中断しているCadillac XT4の生産は、カンザス州フェアファクス組立工場で再開する。GMによると、同じくフェアファクスで生産されるChevrolet Malibu(マリブ)の生産は引き続き停止する。

同社は、ミシガン州ランシング・デルタ・タウンシップ工場とミズーリ州ウェンツビル工場の閉鎖期間を1週間延長、メキシコのラモス・アリスペ工場でのChevrolet Blazer(ブレーザー)の生産中断を1週間延長した。

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画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがウェアラブルのチーフ、ケヴィン・リンチ氏を自動車部門のリーダーに任命との報道

Apple(アップル)は、秘密裏に進めている自動運転車部門の開発を指揮するために、新たな幹部を任命したと報じられている。Bloombergによると同社は、今週初めにiPhoneメーカーからFordに移った役員Doug Field(ダグ・フィールド)氏が後任として、Project Titanの統括にKevin Lynch(ケヴィン・リンチ)氏を起用したという。

関連記事:フォードがアップルの秘密自動車開発プロジェクトを率いた幹部を採用

初めて見る名前かもしれないが、ここ数年のAppleイベントを見ていた人は、ステージ上でリンチ氏を見たことがあるはずだ。リンチ氏は2013年にAdobeからAppleへ移籍して、同社のウェアラブル&ヘルス部門を統括し、watchOSの新しい機能が発表されるときには、紹介役を務めることが多かった。

Bloombergによるとリンチ氏は、2021年の早い時期に同事業部に参加したが、現在、その全体を統括している。同報道によると、リンチ氏の任命はAppleが、リリースすれば誰の目にも明らかな自動車そのものではなく、その走行を支えるソフトウェアに力を入れていることの表れだという。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:BRITTANY HOSEA-SMALL/AFP/Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国WeRideが同社初の自動走行の電動貨物バンを発表、運送会社と提携も

中国の自動運転会社WeRide(ウィーライド)が同社初の貨物バンを発表した。この車両は都市ロジスティクス業界に自動運転を持ち込むものだ。同社は、初の自動運転バンを大規模に商業展開するために中国の自動車メーカーJiangling Motors (江鈴汽車、JMC)、速配会社ZTO Express(ZTOエキスプレス)と協業する。

9月8日に開かれた「The Next」というWeRideのオンライン記者会見で、WeRideの創業者でCEOのTony Han(トニー・ハン)氏、JMCの代表取締役副社長Wenhui Jin(ウェンフイ・ジン)氏、ZTOの副社長Renqun Jin(レンクン・ジン)氏が業務提携に署名した。取引の一環として、WeRideとJMCは、JMCの組立ラインで大量生産するRobovan専用モデルを共同でデザインする。そしてZTOの声明文によると、同社はRobovanを自社の都市ロジスティクスサービスで活用する。WeRideの広報担当は、Robovanが非常に充実している車両プラットフォームを備えるJMCのバッテリー電動車両モデルをベースにし、WeRideのフルスタックソフトウェア、ハードウェア自動運転ソリューションと組み合わせる、とTechCrunchに語った。

WeRideは2020年に商業展開に向けて現金をかき集めた。5カ月の間隔を空けてシリーズBとシリーズCラウンドで6億ドル(約658億円)を調達し、現在のバリュエーションは33億ドル(約3618億円)だ。6月に同社は広州拠点の自動運転トラック会社であるMoonX.AIを買収したが、同分野における商業プロダクトの開発にはまだ取り組んでいない。いずれにしても、配車サービスや自動運転バス、都市ロジスティクスの展開、そして自動運転トラックのほんの少しの準備は、WeRideの自動運転ポートフォリオを多様化する動きが競争で優位性を確保していることを意味する。

関連記事:中国のロボットタクシーユニコーンのWeRideが5カ月で660億円を超える資金を調達

中国の検索エンジンBaiduの自動運転部門は2021年4月時点では主にロボタクシーとバスに注力している。Pony.AI はロボタクシーに加え、少なくともラストマイルロジスティクスを試験し、このほど中国でトラックのテストも許可されたばかりだが、これまでのところバスは対象としていない。Waymo Viaはラストマイルとトラックは対象としておらず自動運転タクシーが同社の看板だが、自動運転バスについては何も情報を出していない。GMが出資するCruiseは小型車両に注力しているようで、同社が展開している車両サービスにはライドシェア配達がある。

関連記事:Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中

WeRideのバンはすでにレベル4の自動運転能力を持つ、と同社はいう。レベル4車両はハンドル操作ができ、大半の場合において人間の介入を必要としてないが、人間がマニュアルで操作する選択肢を持っている車、と米自動車技術者協会は定義している。レベル4車両は限定的な環境で走行でき、だからこそ直近ではライドシェアで使われている。しかし配達車両もおそらく同様にジオフェンス内で自動走行できる。

WeRideはすでに一般向けのRobotaxiサービスのテストを2年展開しており、Robovanが都心からトンネル、高速に至るまでZTOのネットワーク内のさまざまな交通状況に対応することができると確信している、と話す。ZTOによると、同社のネットワークは中国の都市・郡の99%超をカバーしている。

WeRideの広報担当は、Robovanがすでに生産され、人知れず中国内でしばらくの間テストされてきた、と話す。いつWeRideとJMCが大量生産を始めるのか、詳細なタイムラインを発表するのは時期尚早だが、WeRideの次のステップは車両とシステムの安定性を立証するパイロット試験を行う場所を1〜3カ所選ぶことになる、と広報担当は語った。

「そのすぐ後に当社はいくつかのエリアで真のドライバーレスを目指し、都市ロジスティクスへの応用でRobovans運用のノウハウを構築します」とTechCrunchに述べた。「RobovanとRobotaxiがどちらも都市部で展開されていることを考えると、RobovanにはRobotaxiと同じような規制が適用されます。中国の規制は、自動運転テクノロジーの開発に追いつくために一歩ずつ進化しています。3〜5年以内に真のドライバーレスRobovanの応用を目にするでしょう」。

画像クレジット:WeRide

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国Geelyの配車サービスCao Caoが事業拡大へ約650億円調達、ライバルDidiはトラブルまっただ中

中国の自動車メーカーGeely Automobile Holdings(浙江吉利控股集団)の配車部門であるCao Cao Mobilityは38億人民元(約650億円)のシリーズBラウンドを発表した。同社が出した声明文(中国語)によると、調達した資金はテクノロジーのアップグレードと車両の拡充に使う。

現地時間9月6日に発表した新たな資金調達により、Cao Caoの累計調達額は約50億人民元(約850億円)になった。蘇州市相城区が出資する投資会社Suzhou Xiangcheng Financial Holding GroupがシリーズBラウンドをリードし、Suzhou High-Speed Rail New City Group、その他国営企業3社も参加した。

今回の資金調達はCao Caoの最大のライバルであるDidi Globalがトラブルのまっただ中にある中でのものだ。中国の配車アプリDidi Globalは現在、中国政府によるサイバーセキュリティ調査を受けている。そして、一時的に中国のアプリストアから削除されていて、これは同社の株価の急落を引き起こした。Didiは中国で定番の配車サービスであり、同社の挫折は同業他社がその穴を埋める乗っ取りを生み出す。

現在、国内62都市で利用可能なCao Caoの2021年7月の乗車は32%増えた。同月、Didiは中国のアプリストアから排除された。運輸省によると、eコマース大企業Meituanの乗車も7月に24%増えた。しかし、MeituanとAlibabaの配車・ナビゲーション部門のAmapはDidi同様、中国政府に「公正な競争を歪め、ドライバーと乗客に不利益をもたらしている」と非難されているとBloombergは報じている。

配車サービス業界の他のすべての事業者も政府の調査に苦慮しており、Cao Caoは公正に事業を行う限り、さらに成長してマーケットシェアを広げられる立場にある。

関連記事:中国で配車アプリDidiがストアから削除、不正個人情報収集疑いで

画像クレジット:Cao Cao Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

インテル子会社モービルアイとレンタカー大手Sixtが2022年にドイツで自動運転タクシーサービスを開始

Intel(インテル)の子会社で先進運転支援システムの開発で知られるMobileye(モービルアイ)と、レンタカー / カーシェアリング大手のSixt SE(シクストSE)は、2022年よりミュンヘンでロボタクシー(自動運転タクシー)サービスの開始を計画している。両社のCEOが、9月7日にドイツで開幕したIAA MOBILITY 2021(IAAモビリティ2021)ショーで発表した。

このロボタクシーサービスは、近年開発または買収してきたIntelの(そして特にMobileyeの)資産をすべて活用したものになる。それらの中には、2020年に9億ドル(約990億円)を投じて買収したMoovit(ムーヴィット)の技術も含まれる。このイスラエルのスタートアップ企業は、都市の交通パターンを分析し、公共交通機関を中心とした交通手段の提案を行うアプリを提供している。

このパートナーシップにより、乗客はMoovitのアプリを使ってロボタクシーのサービスを利用できるようになる。また、このサービスはSixtの「ONE(ワン)」アプリを介しても提供される。これはユーザーが配車やレンタカー、カーシェアリング、サブスクリプションなど、Sixtのモビリティサービスを利用するためのアプリだ。

当初は大規模な商用サービスとして展開されるわけではない。Mobileyeのロボタクシーは、2022年にミュンヘンの街中で、アーリーライダー(先行乗客)によるテストプログラムを開始する予定だ。他のアーリーライダープログラムと同様、まずは小規模なグループの乗客を募って試験運用を行い、それからサービスを拡大していくことになるだろう。その後、規制当局の承認が得られれば、試験運用から商業運用に移行する予定だと、両社は述べている。

IntelとMobileyeは、このサービスをドイツ全土に拡大し、10年後には他の欧州諸国でも展開を計画している。両社がドイツを選んだ理由は、同国では最近、運転者なしの車両の公道走行を許可する法律が制定され、Mobileyeがすでに自動運転技術のテストを行っているからだ。

「ドイツは、重要な自動運転法を促進することで、自動運転モビリティの未来に向けて国際的なリーダーシップを発揮しました」と、IntelのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)CEOはIAAで語った。「私たちが来年、ミュンヘンでロボタクシーの運行を開始することができるのは、この新しい法律のおかげです」。

IAAの基調講演で、MobileyeはMoovitAVとSixtのブランドが施された車両も公開した。Mobileyeの自動運転システムを搭載したこれらの車両は量産され、ドイツでロボタクシーサービスに使用される予定だと両社は述べている。

2020年の売上高が約9億6700万ドル(約1066億円)だったMobileyeは、高度な運転支援システムを実現するコンピュータビジョン技術を自動車メーカーに提供していることでよく知られるが、自動運転車技術の開発にも取り組んでいる。

現在は「Mobileye Drive(モービルアイ・ドライブ)」と名付けられている同社の自動運転システムは、システムオンチップベースのコンピューター、カメラやレーダー、LiDAR技術をベースとする冗長性を持たせたセンシングサブシステム、REMマッピングシステム、論理規則ベースのResponsibility-Sensitive Safety(RSS、責任感知型安全論)運転ポリシーで構成されている。MobileyeのREMマッピングシステムは、100万台以上の車両に搭載されているREM技術を活用することで、基本的にデータをクラウドソーシングし、先進運転支援システムや自動運転システムのサポートに利用できる高精細な地図を作成する。

そのデータは、動画や画像ではなく、1キロメーターあたり約10キロビットで収集される圧縮テキストだ。MobileyeはBMW、日産、Volkswagen(フォルクスワーゲン)など6つのメーカーと契約し、先進運転支援システム用の画像処理チップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車両では、Mobileyeが商用事業者に販売しているアフターマーケット製品からデータを収集している。

Mobileyeの社長兼CEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が、過去にTechCrunchに語ったように、同社はこの戦略のおかげで、商用ロボタクシーサービスを効率的に立ち上げて運営することが可能であり、また、2025年までには一般向け乗用車にもこの技術を導入することができるという。

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画像クレジット:Intel

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

固体バッテリー開発のSolid Powerが生産能力拡大、2022年にフォードとBMWに試験用バッテリーを納入

Ford(フォード)とBMWが投資するバッテリー開発企業のSolid Power(ソリッドパワー)は、2022年初めの固体電池パイロット生産の準備のため、コロラド州にある工場を拡張する。

新しい生産施設は、同社の主力製品の1つである硫化物系固体電解質材料の生産に特化し、現在の最大25倍の生産量を見込む。また、この新施設には、商用グレードの100アンペア電池をパイロット生産する最初のラインを設置する。これらのパウチ型電池は、2022年初めにFordやBMWで自動車試験が行われる予定で、2020年代後半の自動車での実用化を目指す。

固体電池は、長い間、電池技術の次のブレークスルーだと考えられてきた。TechCrunchのライターであるMark Harris(マーク・ハリス)が説明しているように、固体電池には液体電解質がない。従来のリチウムイオン電池では、液体電解質が正極と負極の間でイオンを移動させる物質だった。固体電池の開発者によれば、この技術によって得られる利益は、エネルギー密度の向上、コストの削減、優れた電池寿命などだ。

また、開発者らによれば、固体電池はより安全だという。GMがChevrolet Bolt(シボレー・ボルト)を3回にわたってリコールしたように、火災の危険性を考慮すると、それは重要なポイントだ。Solid PowerのCEOであるDoug Campbell(ダグ・キャンベル)氏はTechCrunchの取材に対し「熱暴走を引き起こす火種」となるのは電解液であると述べた。「現代自動車とGMが現在直面しているこうした問題は、固体電池で解決できると強く信じています」。

同社は新しい電池のパイロット生産ラインを建設するものの、最終的には電解質材料のみを生産し、OEMや電池メーカーに電池のライセンスを提供する計画だ。

「長期的に見れば、当社は材料メーカーです」とキャンベル氏は話す。「固体電解質材料の業界リーダーになりたいと考えています」。そのため、今回の電池生産への進出は、同社にとって最後のものになるだろうとキャンベル氏はいう。予定しているパイロット生産ラインでは、複数のOEMメーカーに自動車の認定試験用の電池を供給するのに十分な量を生産し、より大規模な生産は自動車メーカーや電池セルメーカーが行う想定だ。

電池を自社で生産するのではなく、パートナーにライセンス供与するという決断は、常識的なアセットライトモデルだと同氏は語る。

「正直なところ、小さなSolid Powerが成長して、パナソニックやLG、CATLのような企業を駆逐する可能性がどれほどあるでしょうか」。スウェーデンのNorthvoltのようにそれに挑む企業もあるが、材料事業の利益率は高く、直接の競争相手となる大手はいない、とキャンベル氏は付け加えた。「資本的には軽いものの、現実的でもあります」。

このスタートアップは2021年6月に、白紙小切手会社であるDecarbonization Plus Acquisition Corp IIIとの12億ドル(約1320億円)の逆さ合併により株式を公開すると発表した。キャンベル氏によると、この取引で約6億ドル(約660億円)の現金が得られる見込みで、2026年または2027年までの十分な資金となるという。

特に、2027年までに年間10ギガワット時の電池容量を支えるだけの電解質材料の生産を目指しているため、2030年まで乗り切るためには十分な資金が必要となる。そのためには、今回の発表と比べ「桁違い」の電解質生産能力が必要になるとキャンベルはいう(発表の内容自体が桁違いではある)。

Solid Powerは、電解液の生産だけに留まるつもりはない。キャンベル氏は、低コストの正極材の開発にも取り組んでいることを示唆した。この正極材は、電池の原材料の中でも最もコストのかかるニッケルやコバルトを含まないものだ。

「この業界は材料費に支配され、材料費はニッケルとコバルトを含む正極材のコストに支配されることになるでしょう」とキャンベル氏は話す。「2021年の終わりに公開するこの特定の化学物質は非常に低コストで、今日の(ニッケル・マンガン・コバルトの)陰極のコストの20分の1から30分の1になります」。

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画像クレジット:Solid Power

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

Wrightが大型機の動力源になる2メガワット電動旅客機用モーターの試験を開始

自動車業界と同様に、航空業界も電動化を目指している。だが、バッテリー駆動のパワーユニットで空を飛ぶことは、地上を走るよりも難しい。Wright(ライト)は、小型機以上の規模で電動化を実現しようとしているスタートアップ企業の1つで、その2メガワットのモーターは、第一世代の大型電動旅客機の動力源となる可能性がある。

電気自動車はすでに大きな成功を果たしているものの、自動車は飛行機と違って、自らの重量を空中に保つために十分な揚力を発生させる必要がないという利点がある。だが、電気旅客機の場合は、そもそも乗客を乗せて遠くまで飛ぶために必要なバッテリーの重量が、重くなり過ぎて空を飛べなくなるという根本的な問題があり、実現には至っていない。

この難問から逃れるためには、電力1ワットあたりにどれだけの推力を出せるかという効率性を高めることが重要だ。電池の質量を軽減させるための技術革新にはまだしばらく時間がかかるため、現状では素材や機体、そしてもちろん原動機など、他の方法で革新するしかない。従来のジェット機では、巨大で非常に重く、複雑な内燃機関が使われてきた。

一般的に、電気モーターは内燃エンジンよりも軽く、シンプルで、信頼性が高いと言われているが、飛行を可能にするためには、かなりの高効率を達成しなければならない。ジェット機が1秒間に1000ガロンの燃料を燃やしていたら、離陸に必要な燃料を保持していられないからだ。そこでWrightやH3xのような企業は、同じ量の蓄積エネルギーからより多くの推力を生み出せる電動機を作ろうとしているのだ。

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H3Xが、おそらくより早く飛行が実現できそうな小型機に焦点を合わせているのに対し、Wrightの創業者であるJeff Engler(ジェフ・エングラー)氏は、航空業界の二酸化炭素排出量を削減したいのであれば、商用旅客機に目を向けなければならないと説明し、同社では旅客機の製造を計画している。とはいえ、その社名に関わらず、同社は完全にゼロから旅客機を作らなければならないわけではない。

「私たちは、翼や胴体などの概念を再発明しているわけではありません。変わるのは、飛行機の推力を発生するものです」と、エングラー氏はいう。同氏は電気自動車を例に挙げ、エンジンがモーターに変わっても、自動車の大部分は、100年前と基本的に同じ機能を果たす部品で構成されていると説明する。とはいえ、新しい推進システムを飛行機に組み込むのは容易なことではない。

原動機は出力2メガワット、つまり2700馬力に相当するパワーを発生する電気モーターで、その効率は重量1キログラムあたり約10キロワットという計算になる。「電動航空機用に設計されたモーターの中では最もパワフルで、従来の2倍以上のパワーを発生し、しかも他社製品よりも大幅に軽量化されています」と、エングラー氏はいう。

この軽さは、永久磁石を使用したアプローチと「野心的な熱管理戦略」で、徹底的に設計を見直したことによるものだと、同氏は説明する。通常の航空機用途よりも高い電圧と、それに見合った絶縁システムにより、大型機の飛行に必要な出力と効率を実現したという。

画像クレジット:Wright

Wrightは自社のモーターを後付けで搭載できるように設計しているが、既存の機体メーカーと共同で独自の飛行機も開発している。その最初の機体は、軽量で効率的な推進装置と液体燃料エンジンの航続距離を組み合わせたハイブリッド電動機となるだろう。水素に頼れば複雑になるが、電気飛行への移行をより迅速に行うことができ、排出ガスと燃料の使用量を大幅に削減することができる。

複数のモーターをそれぞれの翼に取り付けることで、少なくとも2つの利点が得られる。1つ目は冗長性だ。巨大な原動機を2基搭載した飛行機は、1基が故障しても飛ぶことができるように設計されている。6基や8基の原動機を搭載していれば、1基が故障してもそれほど致命的ではなく、結果として飛行機は必要な原動機の2倍も搭載する必要がなくなる。2つ目の利点は、複数のモーターを個別にあるいは協調するように調整することによって、振動や乱流を抑えることができ、安定性向上と騒音低減が可能になるということだ。

現在、Wrightのモーターは海面位での施設内試験を行っているところだが、試験に合格したら(来年中の予定)、高度シミュレーション室で運転を行い、それから実際に4万フィートまで上昇する。これは長期的なプロジェクトだが、業界全体が一夜にして変わるわけではない。

エングラー氏は、Wrightに多額の資金、資材、専門知識を提供しているNASAや軍部の熱意とサポートを強調した。同社のモーターが新型の爆撃用ドローンに搭載されるかもしれないという話を筆者が持ち出すと、エングラー氏はその可能性には神経質にならざるを得ないが、彼が見てきた(そして目指している)ものは、防衛省が延々と行っている貨物や人員の輸送に近いものだと語った。軍は大量の汚染物質を排出しているが、それを変えたいと思っていることがわかったという。そして、毎年の燃料費を削減したいと思っているのだ。

「プロペラ機からジェット機に変わったときに、何がどう変わったかを考えてみてください」と、エングラーはいう。「それは飛行機の運用方法を再定義したのです。私たちの新しい推進技術は、航空業界全体の再構築を可能にします」。

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画像クレジット:Wright

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EVバッテリーの充放電をクラウド管理し再エネ電力需給バランス調整向け蓄電システムに変える「Yanekara」が5500万円調達

EVバッテリーの充放電をクラウド管理し再エネ電力需給バランス調整向け蓄電システムに変える「Yanekara」が5500万円調達

EVをエネルギーストレージとして活用する充放電システムを開発する東大発スタートアップ「Yanekara」(ヤネカラ)は9月8日、シードラウンドにおいて、J-KISS型新株予約権による5500万円の資金調達が完了したことを発表した。引受先は、オープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(AOI1号ファンド。東京大学協創プラットフォーム開発)、ディープコア、エンジェル投資家など。

Yanekaraは、「屋根から自然エネルギー100%の未来を創る」ことを目指すエネルギーテック領域のスタートアップ。現在、1基で複数台のEVに太陽光で充電できる充放電機器(V2X)と、EVを含め多様な分散エネルギー源を群管理するクラウドシステムを開発している。

それは、日本のカーボンニュートラルを実現させる再生可能エネルギーを大量導入する際に、常に変動する再生エネルギー電源からの発電量と電力需要量を一致させるための蓄電システムだ。駐車場で眠っているEVのバッテリーを有効活用すると同時に、EVによるモビリティーの脱炭素化も進める。太陽光でEVを走らせ、その蓄電能力を電力の需給調整に利用することで、「再エネが主力電源化した日本を1日でも早く実現します」とYanekaraは話す。

今回調達した資金は、充放電器の実証実験、量産準備に使われる。また、充放電器とクラウドシステムの開発を行う人材も採用するとのことだ。

石油・ガス大手BPの投資部門BP Venturesが車内決済プロバイダーRydに13億円出資

石油・ガス大手BPの投資部門であるBP Venturesは、ドイツの車内デジタル決済プロバイダーであるRyd(ライド)に1000万ユーロ(約13億円)を出資すると発表した。声明によると、この新たな資金は、Rydが国外の市場に参入し、提供するサービスを充実するために使用する。

Rydのサービスでは、同社のアプリやスマートカーシステムと統合すると、ユーザーは燃料の購入、EV充電、洗車などのサービスの対価をオンラインで一括して支払うことができる。BPはすでに英国とオランダで、BPmeアプリを通じてデジタル決済の選択肢を提供している。BPは、Rydへの出資と同社との提携により、Rydの安全で柔軟なデジタル決済サービスに学びつつ、自社のデジタルサービスを拡大していきたいと考えている。Rydは、同社の技術を欧州全体のBPの顧客に提供することで、利益を得ることができる。

「車内デジタル決済は、顧客が当社の小売店に期待するシームレスで便利な体験に不可欠な要素です」とBPの欧州・南アフリカ地域のモビリティ&コンビニエンス担当上級副社長であるAlex Jensen(アレックス・ジェンセン)氏は話す。「Rydの技術は、まさにそれを実現するのに役立ち、しかも増えつつあるサービスの幅にも対応しています」。

これは、BPがスマートビークル分野で行う最初の投資ではない。そして、おそらく最後の投資になる可能性も低い。6月には、IoTechaに700万ドル(約7億7000万円)を投資した。IoTechaは、IoTを利用して充電器を電力網に接続し、充電料金の支払いを自動化するスマートEV充電会社だ。こうした戦略的な投資は、最終的にBP Venturesのエコシステムを強化することになる。このエコシステムは、BPが総合エネルギー企業として生まれ変わる力になるとともに、二酸化炭素排出量の削減にも貢献する狙いがある。

Rydは現在、7カ国3000カ所の提携サービスステーションで利用可能だ。また、140万人の直接の顧客に加え、Mastercard(マスターカード)や複数の自動車メーカーとの提携により、最大1億人の顧客にアクセスできる。コネクテッドカーのデータ市場は、2030年までに世界全体で190億ドル(約2兆900億円)に達し、また、燃料以外の小売市場は同年までに世界全体で2850億ドル(約31兆3500億円)に達すると予想されていることから、同社は現在、より多くの車に同社の技術を組み込む戦略に力を入れている。

「Rydは、手間がかからず安全な自動車とのインタラクションを実現したいと考えています」とRydの創業者で会長のOliver Goetz(オリバー・ゴエス)氏は声明で述べた。「BPは、私たちにとってパズルの最後のピースであり、金融、自動車、エネルギーのすべての事業分野における強力な戦略的パートナーとともに、私たちのエコシステムを完成させてくれます。BPは、数千万人のドライバーが、自動車のデータとガソリンスタンドなどの決済システムの両方に接続されたダイレクトデジタル決済システムに移行すると予想しています。この新しい決済方法は、より速く、より簡単で、より快適です。Rydは、欧州におけるこの動きをリードしていきます」。

RydのCEOであるSandra Dax(サンドラ・ダックス)氏によると、同社は2021年第4四半期にBPのガソリンスタンドで初の稼働を見込んでいる。

画像クレジット:REUTERS/Arnd Wiegmann

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードがアップルの秘密自動車開発プロジェクトを率いた幹部を採用

ソフトウェアと他の高度なテクノロジーで優位に立ちたいFord Motor(フォード・モーター)は、Apple(アップル)の特別プロジェクトチームを率いていたDoug Field(ダグ・フィールド)氏を社に迎え入れた。

かつてTesla(テスラ)のエンジニアリング担当上級副社長だったフィールド氏は米国時間9月7日に、Fordの高度テクノロジーと組み込みシステムの最高責任者に指名された。フィールド氏は直近ではAppleの特別プロジェクト担当副社長を務めた。この特別プロジェクトのチームは、いわゆるTitanカープロジェクトにも取り組んでいた。

Fordでの新しい役職では、フィールド氏は同社会長兼CEOのJim Farley(ジム・ファーリー)氏に直接報告する立場で、同社の組み込みソフトウェアとハードウェア構成を監督する。ソフトウェアとハードウェアは今日、車両コントロール、企業コネクティビティ、機能、統合・認証、アーキテクチャ・プラットフォーム、運転支援技術、デジタルエンジニアリングツールから構成される。これは、フィールド氏がインフォテーメントやナビゲーション、運転支援技術、コネクテッド・サービス、車両サイバーセキュリティなど、FordやLincolnのブランドの車両で使われている全テックスタックのデザイン、開発・実行を受け持つことを意味する。

フィールド氏の参加は、Teslaや他の新規参入企業などと競合するテクノロジーを搭載した乗用車やトラック、SUVを提供できると顧客や投資家に示したいFordにとって宣伝となるかもしれない。フィールド氏のTeslaでの経験、特にModel 3に関わった経験は、Fordが新しい電気自動車を開発・販売するのに伴い、重要であることが証明されそうだ。

Fordの次世代のコネクテッドプロダクトやエクスペリエンスを創造すべく、フィールド氏はプロダクトプラットフォームとオペレーションの最高責任者であるHau Thai-Tang(ハウ・タイ・タン)氏と緊密に連携する、と同社は述べた。タイ・タン氏は引き続き製品開発、購入、デザイン、研究・高度エンジニアリング、EPLM / D-Ford、高度な製造、Ford Ion Parkを監督する。

今回の採用で、フィールド氏は1987年から1993年にかけて開発エンジニアとして働き、キャリアをスタートさせた古巣に戻ることになる。

「私は常にFordと深いつながりを感じていました。私の父親の農園にあったF-150、結婚式で乗車した1965年製造のContinental、そしてModel Tのデザインにあるすばらしい優雅さを発見したときの感動など、Fordのプロダクトは物心ついたときから常に私の人生にありました」とフィールド氏は声明文で述べた。「チームが次世代のアイコン的Ford車両をつくり、今後何百年もFordが続くようサポートする機会に感謝しています」。

画像クレジット:Ford

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

現代自動車グループが2028年までに全商用車に水素燃料電池モデルを投入へ

Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)は持続可能性のための最優先エネルギーソリューションとして水素を支持している。今後数年内に展開する新しい燃料電池システムで、韓国の自動車メーカーである現代自動車グループは2028年までに同社の全商用車に水素燃料電池バージョンを提供すると明らかにした。

同グループは米国時間9月7日、同社のHydrogen Waveカンファレンスのライブストリームで水素を活用した未来戦略を発表した。同グループの代表取締役副社長で燃料電池センター責任者のSaehoon Kim(セフン・キム)氏は、2030年までにEV(電気自動車)バッテリーに匹敵するコスト競争力を獲得するのが目標だ、と述べた。

同社はまた、高性能で後輪駆動の水素スポーツカーVision FKの詳細も明らかにした。Vision FKは停止した状態から時速100kmに達するまで4秒もかからない500kWの燃料電池システムを搭載し、航続距離は600kmだ。生産開始時期については明らかにしなかった。

大半の自動車メーカーが乗用車EVと商用車EVの展開を始めているが、水素タイプはまだニッチなマーケットだ。しかし欧州、中国、米国が野心的な二酸化炭素排出削減目標を設定したのに伴い、成長中のマーケットでもある。トヨタ自動車、BMW 、Daimler(ダイムラー)も程度の差こそあれ、EVの開発を続けながら燃料電池テクノロジーを受け入れ始めた。この点において、現代自動車の水素への傾倒はEVへの傾倒を阻んでいない。現在のような気候状況では、あらゆるソリューションが必要だ。最高の燃料が選ばれるといい。

イベントでキム氏はまた、2023年に2種の水素燃料電池パワートレインを立ち上げる、と発表した。同社は2040年までに水素を主流にしたいと考えている。現代自動車の水素燃料スタックの第3世代は、乗用車向けが出力100 kW、商用車向けは200kWとなる。

現代自動車、Kia(起亜自動車)、Genesis(ジェネシス)を傘下にもつ現代自動車グループは現在、燃料電池バス「Elec City Fuel Cellバス」を展開していて、韓国で115台が走っている。また燃料電池トラック「Xcient Hyundai」も展開中で、こちらは45台が2020年スイスで導入された。

現代自動車は燃料電池SUVの「NEXO」を誇っていて、水素で駆動する多目的車両モデルとともに次のモデルを2023年に投入する計画だ。同社はミュンヘンで開催中のIAAモビリティカンファレンスで、大型の燃料電池で走るSUVを2025年以降に発売し、2030年までにさらに4種の商用車を投入する、とも発表した。同社は緊急車両や船舶、貨物トラック、トラム、フォークリフト、その他にも産業で使用される車両など異なるユースケース向けに燃料電池テクノロジーを提供することを目指している。

「燃料電池は水素のメリットをさまざまな分野の世界中の人に届けることができる実証済みのテクノロジーです」とキム氏は述べた。「基本的に燃料電池はエンジンのような発電機です。電気を蓄えるバッテリーとは異なります。燃料電池システムは発電する燃料電池スタック、水素供給システム、空気供給システム、熱管理システムで構成されます。水素と酸素を合わせることで発電し、内燃機関車両のエンジンと似ていますが、二酸化炭素を排出しません」。

同氏は続けて、燃料電池システムが化学反応を通じてエネルギーを生み出し、受動的にエネルギーを蓄えるだけのバッテリーと違って水素燃料が供給される限りエネルギーを生み出し続ける、とも説明した。現代自動車は生産、貯蔵、燃料電池テクノロジー、インフラなど、水素分野で成功するために必要なエコシステムの構築に取り組んでいる、と述べた。インフラの多くは、水を酸素と「グリーン」な水素に分解するためのクリーンパワーを生み出すのに必要な再生可能エネルギーを生産する太陽光と風力の発電施設となる。

独自のR&Dに加えて、現代自動車グループはH2Proのような水素スタートアップにすでに投資していて、政府が協力的で再生可能エネルギーリソースが豊富な国でグリーンな水素インフラを確立する計画も発表している。

この分野における取り組みの多くは、2040年までに二酸化炭素排出レベルを2019年の75%以下に削減し、2045年までにカーボンニュートラルになるという発表に続くものだ。現代自動車グループは全車両の30%が2030年までにゼロエミッションになり、全車両の80%が2040年までにバッテリー電気自動車と燃料電池車になると見込んでいる。

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画像クレジット:Hyundai Motor Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

スマートドライブとパナが物流車両の運行管理を行う「ETC2.0 Fleetサービス」実証、ETC2.0活用で新たな専用デバイス不要

スマートドライブとパナが物流車両の運行管理を行う「ETC2.0 Fleetサービス」実証、ETC2.0活用で新たな専用デバイス不要

「移動の進化を後押しする」をビジョンとするスマートドライブは9月7日、パナソニックとの共同事業として、物流車両を利用する企業向けに、ETC2.0を活用した運行管理サービス「ETC2.0 Fleetサービス」の提供を開始すると発表した。今回は、参加企業を限定した実証サービスとなっており、キャンペーン価格で提供する。9月7日から申し込み受け付けが開始している。

物流業界では、貨物量の急増と高齢化によるドライバー不足が深刻化しており、2024年4月に労働基準法の年間残業時間規制が開始されると、状況はさらに厳しくなるという。それに対応すべく車両管理を厳密化しようとすれば、運送事業者の負担が大きくなる。既存の運行管理サービスを利用して業務の効率化を図ろうとすれば、新規に専用デバイスを導入しなければならないなどの金銭的な負担が生じる。

そこで、スマートドライブとパナソニックは、すでに普及しているETC2.0を搭載している車両なら、新たにハードウェアを導入することなく運行管理が行える「ETC2.0 Fleetサービス」を開発した。

ETC2.0 Fleetサービスは、ETC2.0車載器に備わっている乗用車の経路情報や急ブレーキを把握する機能と、高速道路・直轄国道合わせて約4100基ある路側機を連携させて行うサービスという。

運行管理の実施により、車の稼働状況・業務状況の可視化が可能となり、走行履歴も見える化される。これにより、複数のドライバーの走行ルートを把握することで、配車を最適化するなどドライバーの業務効率化も図れるとしている。運行管理業務のデジタル化は、保有車両の台数や形態が適切かを見極めることにもつながり、保有車両台数の削減や配車最適化による業務効率の改善も期待できる。

またドライバーにとっても、運転日報の作成を補助する機能により記入の抜け漏れを防ぐことができるなどのメリットがある。

おもな機能は以下の通り。

車両位置の把握

高速道路や国道に設置された路側機からのデータを利用して、最新の車両位置を把握(車両位置や渋滞情報の更新にはタイムラグが発生するため、リアルタイムを保証するものではない)。渋滞情報などから到着時刻の予測が可能になり、荷待ち時間の削減にもつながる。

安全運転管理

ETC2.0に備わっている急ブレーキを感知する機能を利用し、危険な場所の把握や、ドライバーの安全運転指導が行える。

運転日報の作成補助

走行履歴が残るため、日報作成での記入漏れが防げる。過去の日ごとの走行履歴も一覧で確認可能。

ドライバーの高速時間管理

月間高速時間累計が上限の293時間に近づくと注意喚起がなされる。拘束時間累計の上限に近づくドライバーが出るとアラートで表示する。

運行履歴管理

過去の走行ルートや速度が示されるため、ドライバーの管理や配車計画の検討に役立つ。地図上に速度レンジを色分けして表示する。

同実証サービスでは、2021年12月末まで参加企業を募集するものの、社数が限定されているので早めにお問い合わせをとのこと。対象となるのは、高速道路を使った移動が多い業態、たとえば、センター間輸送、長距離輸送、高速バス、サービスエリアへの配送、高層道路メンテナンスなどを行う事業者だ。保有車両にETC2.0が装備されていなくても、ETC2.0車載器のリースが提供される。

参加を希望する場合は、まずは「https://lp.smartdrive-fleet.jp/FreeDEMO-Form.html」にアクセスして個別説明の予約を行う。希望時間を選択し、「ご要望・ご質問があればご記載ください」欄に「ETC2.0」と記載して予約してほしいとのことだ。

EV時代を見据えてCox Automotiveがバッテリー関連サービス企業のSNTを買収

自動車関連サービス企業のCox Automotive(コックスオート・モーティブ)が、電気自動車用バッテリーのライフサイクルビジネスに参入する。

同社は米国時間9月1日、オクラホマ市に拠点を置くSpiers New Technologies(スピアーズ・ニュー・テクノロジーズ、SNT)を買収したと発表した。SNTは、EV用バッテリーパックの修理、再製造、再生、再利用などのサービスを提供している企業だ。

両社は買収額などの条件を明らかにしていない。Coxは今回の買収により、今後とりわけ「EVが中心的な存在になる」中で、バッテリーに関するサービスの提供を確立することができると述べている。同社によれば、電気自動車は、内燃機関の自動車とはサービス業務の内容がまったく異なり、その多くはバッテリーに関連するものだという。EVのバッテリーパックは車両コストの40%を占める場合もあるため、そのバッテリーをサポートすることは特に重要だ。

米連邦政府による電気自動車への投資が増加し、多くの自動車メーカーがEV事業の強化のために数十億ドル(数千億円)規模の投資を発表しているにもかかわらず、依然として一般の人々の多くはEVに対して懐疑的だ。Coxの調査によると、電気自動車の購入を検討していない人の10人中8人が、バッテリーの価値や耐用年数について懐疑的な見方をしているという。

Coxは現在、SNTのソフトウェアプラットフォーム「Alfred(アルフレッド)」を使用したバッテリー健康度診断ツールをSNTと共同で構築している。Coxは、この診断ツールを使って、電気自動車に対する信頼性を高めていくとしており、それは自動車の価値評価で知られる「Kelley Blue Book(ケリー・ブルー・ブック)」が、従来の(内燃機関で走る)自動車の状態に関する透明性を高めて消費者に提供してきたのと同じだと、同社は述べている。

今回の買収により、Coxはバッテリー再利用事業への投資も行うことになる。SNTは、自動車での使用に適さなくなったEV用バッテリーに「第二の人生」を与えることを専門とする数少ない企業の1つだ。SNTが受け取るバッテリーの約80〜90%は自動車メーカーからのもので、残りは自動車解体業者からのものだと、同社は数カ月前のTechCrunchによるインタビューで答えている。この事業分野は、EVの普及にともなって今後も拡大する可能性が高い。今回の買収によって、Coxは使用済みバッテリーの販売にも参入することになるだろう。

画像クレジット:Xu Congjun/VCG / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

IAA MobilityでEV挑戦状を叩きつけるメルセデス・ベンツ

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、ドイツで開催されるIAA Mobility(IAAモビリティ)ショーに先立ち、初のAMGブランドの高性能EV、セダン、GクラスSUVコンセプトなど、多数の電気自動車(EV)を発表した。いずれも、2020年代の終わりまでにEV専業メーカーになる決意の一部である。
メルセデスはすでに完全電気自動車であるEQSの生産を開始している。これは、Sクラスの電気自動車版カウンターパートとなることを目的とした、先進的で洗練されたフラッグシップカーだ。IAA Mobilityでメルセデスは、次の大きなEV関連の動きを紹介することを目指している。

2021年の初めに、メルセデスは400億ユーロ(約5兆2100億円)に及ぶ完全電気自動車化計画を打ち出した。このことによって、会社をより緊密に上流から下流まで統合し、従業員を訓練し、製品に利用するために必要なバッテリーを確保することを目指している。この計画は、実際には、より多くのEVを生産して販売するという以前の目標をさらに拡大したものだ。メルセデスは2017年に、2022年までにラインナップ全体を電気化すると発表していた。これはガスハイブリッド、プラグインハイブリッド、またはバッテリー式電気自動車を意味している。そして先の7月には、その2022年までに現在車両を提供するすべてのセグメントで、バッテリー式電気自動車を提供すると発表した。

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メルセデスは、2025年には以降のすべての新車の基礎となる、3つの完全電動アーキテクチャを立ち上げることを目指している。MB.EAプラットフォームは中型から大型の乗用車に使用され、AMG.EAはメルセデスAMG車を支え、VAN.EAは電気乗用ミニバンと小型商用車専用のアーキテクチャだ。同社はすでに、MMAという名で知られる「電気ファースト」のコンパクトカーアーキテクチャを発表しており、2024年までには車両に搭載される予定だ。

メルセデスベンツの責任者であるOla Källenius(オラ・ケレニウス)氏は、新しいEQEの詳細を発表する際に「特にメルセデスが属する高級車セグメントでは、EVシフトが加速しています」と語った。「それこそが『EVファースト』から『EVオンリー』へと加速した理由です。2022年には、サービスを提供しているすべてのセグメントにバッテリー電気オプションを提供します。そして2025年までには、製造するすべてのモデルに少なくとも1つの電気式代替製品を提供します」。

ケレニウス氏は、全電気自動車への道を進むメルセデスは、2030年まで市場の状況が許す限り、メルセデス車を2台売るごとに1台のEVを販売することを目指していると語った。

メルセデスベンツEQB

画像クレジット:メルセデスベンツ

メルセデスが2021年初めに明らかにしたこの車種は、同社のイベントに登場した。そして今回、それらが2022年のある時期に米国で発売されることを含め、さらにいくつかの詳細が共有された。2021年の終わりにはヨーロッパと中国で発売される予定だ。

EQBは、ハンガリーのケチケメート工場から送り出される最初の電気自動車となる。中国市場向けの車両は北京で生産されている最中だ。米国に登場するEQBには、2つのバリエーションがある。最初に登場するコンパクトSUVは168 kW(255馬力)のEQB 300 4MATICだ。その次に215 kW(288馬力)のEQB 350 4MATICが発売される。前者は、390ポンドフィート(528.77ニュートンメートル)のトルクを持つ。どちらの場合も、航続距離は約419kmとなる。これは、米国時間9月5日に明らかにされた他の車種の航続距離よりも少し短い。メルセデスは、前輪駆動モデルと並んで、長距離バージョンも続いて提供される予定だという。

また電動パワートレイン(動力伝達機構)は、電動モーター、ディファレンシャル付き固定比トランスミッション、冷却システム、パワーエレクトロニクスで構成されるコンパクトな統合ユニットだ。前輪車軸には非同期モーターを採用している。

コンパクトなEQBは普段は5人乗りだが、大家族のために追加のスペースが必要な場合は、7人乗りにすることができる。

メルセデスベンツEQE350

画像クレジット:メルセデスベンツ

EQEセダンは、フラッグシップEQSを望んでいるものの、それを買う余裕がない人たちからの要望に応えるモデルだ。このセダンは、288馬力と391ポンドフィート(530ニュートンメートル)のトルクを発生する単一の電気モーターを備えている。気にしている人たちのために付け加えると、それはEQSより41馬力ほど少ない。90kWhのバッテリーは、約660kmの航続距離を提供し、急速充電を行うことで15分以内にさらに250km分を充電できる。市場投入時には、仕様の異なる2番目のモデルもリリースされる予定だが、メルセデスはそれ以上の詳細を発表していない。

EQSに備わるの機能の多く、すなわち先進運転支援システム、自動的に開くフロントドア、後輪車軸ステアリングなどは、弟分のこの車種にも搭載される。マルチスクリーン接続型エンターテインメントシステムのMBUXハイパースクリーンはオプションとして利用可能だ。ボディはやや小さめだが、室内はゆったりとしており、現在のEクラスに比べて、フロントシートのショルダー部が27mm広く、シートポジションが65mm高く、キャビン全長が80mm長くなっている。

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EQEは、メルセデスが2021年発表した4番目のEQ車であり、ケレニウス氏によると、ほどなくEQSとEQEのSUVバージョンが続くという。生産は世界市場向けのものはブレーメンで、中国市場向けのものは北京で行われ、2022年半ばには順次全世界での発売が開始される。

メルセデス-AMG EQS 53 4MATIC +

画像クレジット:メルセデスベンツ

さてパワーとパフォーマンスの登場だ。AMG EQSは、EQアーキテクチャに基づく最初のバッテリー式AMG生産モデルだ。メルセデス-AMGの本拠地であるアファルターバッハで生まれたこのクルマは、パワー、ボディ、豪華さを完璧に組み合わせたゼロエミッション車を具現化することを目的としている。その雰囲気を高めるために、このクルマは走行時に唸るような音を出すことができるようなサウンドシステムを備えた、特別なハードウェアで構成される。このことによって車内、車外の人たちに本物のAMG感を与えることができる。

AMG EQSは2台のAMG電気モーターを搭載し、システム全体の出力は484kW(658馬力)である。「レーススタート」まで踏み込んだ場合には、560kW(761馬力)と1020ニュートンメートルのトルクが得られ、3.4秒で0から時速100kmに到達し、最高速度は時速250kmとなる。

合計108kWhのストレージ容量を持ち580kmの航続距離を提供するバッテリーに対して、回生ブレーキシステムがエネルギーを送り返す。またこの車両は、200kWを超える高速DC充電にも対応している。

AMG EQSは、シュトゥットガルト郊外のジンデルフィンゲンにある、メルセデスベンツのカーボンニュートラルな工場の「Factory 56」(ファクトリー56)で生産されている。メルセデスは2021年末にこの車両を市場に投入することを計画している。

メルセデスコンセプトEQG

画像クレジット:メルセデスベンツ

さて「マイティG」のお目見えだ!EQGはGクラスの電動オフロードコンセプトカーで、EQモデルの先進的豪華さをともなった4×4 Gの強力な特徴を備えている。量産の前にはまだ多くの変更が考えられるため、メルセデスはEQGに関してはあまり多くの詳細は提供しなかったが、私たちが知っているのは以下のようなものだ。すなわち同車は「十分なパワーを持った」4基のモーターを持ち、それぞれのモーターは独立して制御できるようにそれぞれ車輪の近くに置かれている。またオンロードおよびオフロード走行用の新しい後輪車軸と、2速ギアボックス装備されている。

そのオフロード走行は、シリーズモデルへの開発の最後に、グラーツのシェークル山(標高1445m)にある、メルセデスのテストトラックでテストされる予定だ。

メルセデス・マイバッハ・コンセプト

画像クレジット:メルセデスベンツ

このSUVコンセプトカーは、比較的長い伝統を誇るマイバッハの歴史の中で、初の完全電気自動車となる。マイバッハEQSは、ツートンカラーの塗装仕上げなど、従来モデルのクラシックな特徴を備えながら、EQラインナップの先進的ドライブテクノロジーを備えた車種だ。おそろしく洒落た車両でもある。白いピアノラッカーの内装は豪華でなめらかで、映画「エリジウム」の後半で空中の楽園にたどり着くために使われた乗り物を思わせるかもしれない。仕事や休憩を快適に行える場所となるが、特に「エグゼクティブシート」や「ショーファーパッケージ」を選んだ場合にはなおさらだ。

このSUVは2023年には市場に出回る予定だが、メルセデスは早ければ2022年にも次のSUVのプラットフォームを導入すると発表しており、その予想される航続距離は約600kmである。

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文: Kirsten Korosec、Rebecca Bellan、翻訳:sako)

フォルクスワーゲンとArgo AIが初のID Buzz自動運転テスト車両を公開

小型商用車の開発と販売を手がける独立したVWブランド、Volkswagen Commercial Vehicles(フォルクスワーゲン・コマーシャル・ビークルズ)と、自動運転テクノロジー会社のArgo AI(アルゴAI)は米国時間9月5日、ID Buzz AD(自動運転)の初バージョンを公開した。

ミュンヘンで開かれるイベント、IAA MOBILITY 2021に先駆けて開催されたVWナイトイベントで、2社は共同開発した全電動自動運転のバンを今後4年間でテスト・商業展開する計画を明らかにした。計画している最初のテスト車両5台の1台であるプロトタイプの試験はすでに始まっていて、ミュンヘン近くのノイファーンにあるArgoの開発センターならびにミュンヘン空港近くにある同社の9ヘクタール(9万平方メートル)あるクローズドコースで続けられる。試験は、欧州の運転コンディション特有のさまざまな交通状況と、米国にあるArgoのテストトラックを想定して行われる。

「当社の5年にわたる開発と、大きく、複雑な米国の都市でのオペレーションから学んだことに基づいて作り上げており、MOIAとの自動運転商業ライドプールサービスの立ち上げ準備のためにミュンヘンの路上で間もなくテストを開始することを楽しみにしています」とArgo AIの創業者でCEOのBryan Salesky(ブライアン・セールスキー)氏は声明文で述べた。

モビリティソリューションで地方自治体や地域の公共交通事業者と協業しているVW Groupの子会社であるMOIAは、2025年に自動運転ライドプールシステムの一環としてハンブルグでID Buzzを商業展開する。ライドプールサービスは都心部の混雑を和らげるために自律システムのパワーを活用する。

自動運転専門の部門を別に設け、Argo AIの株式を獲得したVolkswagen Commercial Vehiclesはイベントで、自動運転システム経由のライドシェア(相乗り)が交通の流れの管理でいかに役立つかデモンストレーションしてみせた。

「LiDAR6台、レーダー11台、カメラ14台を車両のあちこちに備える環境認識システムは人間のドライバーが運転席からとらえることができる以上のものを把握できます」とVolkswagen Commercial Vehiclesの自動運転責任者、Christian Senger(クリスチャン・センガー)氏はイベントで述べた。

VWは2017年に、ファミリーキャンパーバンとして懐かしさを呼び起こすクラシックなマイクロバスに未来的な要素を加えたID Buzzをコンセプトカーとして発表した。Buzzのルーフの上に設置されているArgo独自のセンサーであるArgo LiDARなど、自動走行に必要なすべてのものを含んでいる最終プロダクトの外観は、アイコン的キャンパーとは少し異なる。Argo AIによると、同社のLiDARは1300フィート(400メートル)以上離れたところにある物体を検知できる。Argoは4年前にLiDAR企業のPrinceton Lightwaveを買収した。これによりArgoは、黒い車両など低反射率の物体をとらえて感知し、そして正確に認識することができるよう、最小の軽粒子である単一光子を感知できる特許取得済みのGeigerモードテクノロジーを備えた新しい高精度センサーを製造できるようになった。

関連記事:Argo AIの新型LiDARセンサーでフォードとVWによる自動運転車の大規模な実用化が加速する予感

VWの声明文によると、Argo AIのシステム全体は、コンピューターが車両の周囲360度を見ることができるようにするセンサーとソフトウェアで構成され「歩行者や自転車、車両の動きを予測し、経験を積んだドライバーが運転するように車両が安全かつ自然に走行することができるよう、エンジン、ブレーキ、ハンドル操作システムに指令を送る」。

Argoの技術が人間輸送に今後使用される例は今回が初ではない。ArgoとFord(フォード)は2021年7月、今後5年間で少なくとも1000台の自動運転車両を配車サービスLyft(リフト)のネットワークを使ってマイアミやオースティンといった都市で展開する計画を発表した。また同月、カリフォルニア州公共事業委員会はArgoにドライバー付きAVパイロット許可証を発行し、Argoはカリフォルニア州の公道でテストできるようになった。VW GroupがArgo AIへの26億ドル(約2860万円)の投資を最終決定してからほぼ2年、Argo AIの直近のバリュエーションは75億ドル(約8240億円)となった。

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画像クレジット:Volkswagen Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

NASAが「空飛ぶタクシー」目指すJoby製eVTOLの飛行試験、新たな空の交通基準策定に向け性能・騒音など情報収集

NASAが「空飛ぶタクシー」目指すJoby製eVTOLの飛行試験開始、新たな空の交通基準策定に向け性能・騒音など情報収集

Bradley Wentzel / Joby Aviation

NASAがJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)が開発する電動垂直離着陸機(eVTOL)の飛行試験を開始しました。この試験は8月30日から9月10日にかけて行われこの試験機が安全に安定した飛行を行うかを確認し、各種データを収集します。

Jobyは2009年創業のeVTOL企業で、NASAのAdvanced Air Mobility(AAM) と称するキャンペーンに参加する企業のひとつ。AAMキャンペーンは都市近郊や地方の地域環境における新たな旅客および貨物輸送の市場を開拓することをことを目的とし、農村部または都市部での半径約50マイル(約80.5km)のローカル輸送、または最大数百マイルの地域内輸送をそのミッションに含みます。

NASAがeVTOL機の試験を行うのは今回が初めて。この試験飛行では、機体の性能や騒音に関するデータを収集、シミュレーションを通じて現在の航空規制および政策とのギャップを特定し、将来の空域利用のコンセプトを形成することを目標とします。わかりやすくいえば、ヘリコプターやその他の化石燃料を利用する輸送手段に比べてどの程度優れているかを計ろうということです。

NASA AAMキャンペーンの指揮をとるDavis Hackenberg氏は「キャンペーンの開発テストは、AAM産業のタイムラインを加速させるというNASAの目標において、重要な戦略的ステップ」だとし「テストシナリオは、現在の標準のギャップを知るために役立ち、いつかAAM機を空域利用に統合して業界に進歩と利益をもたらす」と述べています。

なお、NASAはJoby以外のeVTOL企業とも同様のテストを実施することを計画しています。またNASAはこのキャンペーンで得た情報をもって連邦航空局(FAA)に助言を提供することを考えています。

ちなみおにNASAは以前Uberが行っていたエアタクシー事業計画についてデータ共有契約を締結していました。しかしUberは収益改善のためこの計画を手放すことになり、2020年12月にJobyへとこの事業を売却しました。

Jobyやその他のeVTOL企業は、最終的にFAA認定を取得し、商業運航を目指していますが、それには様々な法規制や安全性、信頼性の面で越えなければならない問題がまだたくさんあり、早くても数年の時間がかかると見積もられています。Jobyは、2024年にエアタクシーサービスが開始できることを望んでいます。それが実現できるかはまだわかりませんが、今回のAAMキャンペーンによる試験飛行は、今後に向けた重要な一歩になるかもしれません。

(Source:NASAEngadget日本版より転載)

Rivian電動ピックアップトラックの航続距離を米国環境保護庁が発表

Rivian(リビアン)は、電動ピックアップトラック「R1T」の初期生産仕様車が、EPA(米国環境保護庁)基準で314マイル(505.3キロメートル)の航続距離を達成したと発表した。同様に、電動SUVの「R1S」は航続距離316マイル(508.5キロメートル)とされている。

航続距離と電力消費率の公式値は、米国EPAのウェブサイトに掲載されている。これらの数値は、Rivianがこれまでに公約していた航続距離300マイル(約482.8キロメートル)を上回るものだ。

EPAの試算では、さまざまな運転スタイルまで考慮できるわけではないが、同機関のテストサイクルは十分に信頼でき、電気自動車を購入する消費者に正確なベンチマークを提供するものだ。

今回の場合はRivianにとって、これが市場で販売される初の電動ピックアップトラックであるという点において有利である。Ford(フォード)の「F-150 Lightning(F-150ライトニング)」は、2022年春までに発売になる予定だが、その目標航続距離は、標準仕様で230マイル(約約370.1キロメートル)、拡張仕様では最大300マイル(約482.8キロメートル)となっている。EPAはまだフォード F-150ライトニングの公式な航続距離を発表していない。

Rivian R1TとR1Sの初期生産モデルとなる「Launch Edition(ローンチ・エディション)」には「Large(ラージ)パック」と呼ばれる135kWhのバッテリーパックが標準装備されている。このLaunch Editionのの納車は今月中に始まる予定だ。

当社のローンチ・エディション車のEPA公式航続距離値は以下の通りです。
R1T ラージパック:314マイル
R1S ラージパック:316マイル
その他のエディションのEPA情報については、随時お伝えします。

リヴィアン

R1TとR1Sには「Explore Package(エクスプロア・パッケージ)」と「Adventure Package(アドベンチャー・パッケージ)」という2種類の仕様が設定されている。標準バッテリーの容量はどちらも135kWhで、スポーツ・インテリアを装備するR1TのExplore Packageは6万7500ドル(約740万円)から、装備が充実したプレミアム・インテリアのR1T Adventure Packageは7万3000ドル(約800万円)からという価格設定だ。

SUVのR1Sは、Adventure Packageが7万5500ドル(約830万円)から、Explore Packageは7万ドル(約770万円)からとなっている。

Launch Edition以外の「Adventure」と「Explore」パッケージは、2022年1月に納車開始が予定されている。

Rivianは同時期より「Max(マックス)パック」と呼ばれるさらに大容量のバッテリーパックの提供も始める予定だ。この大型パックは1万ドル(約110万円)の追加費用が必要になるが、これを装備するR1Tの航続距離は400マイル(約643.7キロメートル)を超えると予想されている。なお、現時点ではこのMaxパックや、今後予定されている小型バッテリーパックのオプションを装備する他のエディションの公式な航続距離は、まだEPAから発表されていない。

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​​Rivianが電動車両R1TとR1Sの納車時期を9月以降へとさらに延期

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)