Apple App Store(アメリカ)の売上100万ドルのパブリッシャーは164社、Google Play Storeの倍だった

AppleのApp Storeは長年、アプリ内購入やサブスクリプションも含むデベロッパーの収益性で、Google Playを上回っていた。そしてモバイルアプリの経済的側面を分析しているSensor Towerのレポートによると、2018年に収益が100万ドル以上となるアプリはApp StoreがGoogle Play Storeの倍近くとなる。

Sensor Towerの分析によると、2018年のアメリカのApp Storeでは164のパブリッシャーが100万ドル以上の売上を獲得した。対してGoogle Play Storeでは、それがわずか88社だった。

しかしそれでも、100万ドルパブリッシャーを作りだすGoogle Play Storeの能力は、Appleよりも速いペースで成長している。

すなわち、上図で見るとアメリカのApp Storeの百万ドルパブリッシャーは2017年の143から2018年の164へと、約15%増加しているが、Google Play Storeでは71から88へ、24%増加している。成長率ではGoogleが大きい。

新しい100万ドルパブリッシャーの多くが、当然ながらゲームだ。アプリストアの売上におけるゲームの貢献率を見てみよう。2018年には、Apple App Storeの164のミリオンダラーパブリッシャーのうち、その33%に相当する54がゲームだ。トップはFoxNext GamesのMarvel Strike Forceで、今年1500万ドルあまりを売り上げた。

しかしそれでも、App Storeでは他のカテゴリーが伸びているため、ゲームの比率は10%下がった。たとえばLifestyleのカテゴリーは前年比で5から10%に伸び、Health & Fitnessは6から12%へ増加した。

Google Play Storeでは、100万ドルパブリッシャーの65%がゲームで、Apple App Storeの33%よりも大きい(下図下)。次位はSocialの6%である。

どちらのアプリストアも、ダウンロード数と消費者支出の両方が伸びている。全世界では、両アプリストアの計で今年のダウンロード数は1130億回、消費者支出額は760億ドルとなる。これらは、12月半ば現在の数字だ。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自動運転スタートアップZoox、カリフォルニアで客乗車の許可取得に一番乗り

米カリフォルニア州で、ドライバーなしの車両テストの許可を受けている企業は60社以上にのぼるが、そうした車両で客を輸送することができる許可を初めてZooxが取得した。カリフォルニア公益事業委員会(CPUC )は今日、同州の自動運転車両による客輸送サービス試験にZooxが参加する許可証を発行した。

試験期間中、Zooxは安全のためのドライバーを運転席に待機させる必要があり、乗車した客に課金することは許されない。そして試験事業の一環として、ZooxはCPUCにインシデントや乗客を乗せて走った距離、乗客安全プロトコルについてデータやレポートを提出しなければならない。

「これは、完全自動運転を使った商業サービス展開に向けての重要な節目となる」とZooxのコーポレート規制問題の責任者はTechCrunchに対し電子メールでこう述べた。

今回の許可に先立ち、3カ月前にZooxはグローバル気候行動サミットの一部として自動運転乗車をテストしていて、4カ月前の8月下旬にはZooxの創業者Tim Kentley-Klayが追放されている。さらに追放の1カ月前にZooxはGrokベンチャーズのMike Cannon-Brookes主導で5億ドルを調達し、これにより累計資金調達額は8億ドルとなった。

Zooxは最終的に2020年までに自前の配車サービスという形で自動運転車両の商業展開を目指している。車両は全電動で完全自動運転だ。一方、この分野大手となるいくつかの企業と同様にUberやLyftといった配車サービス会社もまた自動運転車両に取り組んでいる。

CPUCによるZooxへの許可は2021年12月21日まで有効だ。経験を積むために、CPUCは2種類のパイロットプログラムを行う。1つはセーフティードライバー付きの客を乗せてのテスト、もう1つはセーフティードライバーなしで客を乗せてのテストだ。

イメージクレジット: Zoox

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(翻訳:Mizoguchi)

AppleのApp Storeではアプリ内購入をギフトにできるようになる

今週見つかったApp Store Review Guidelinesによると、近い将来、iOSのユーザーはアプリだけでなくアプリ内購入をギフトにできるようだ。デベロッパーはこれからのアプリに、ユーザーが仮想グッズや、あるいはサブスクリプションさえもそのアプリから買って、それをほかの人へのギフトにできるツールを作りこむだろう。

ガイドラインの変わった部分を水曜日(米国時間12/19)に最初に発見したのは、MacRumorsだ。そこには、変更前と後の文言が引用されている:

前: “アプリはアプリ内購入のコンテンツや機能、消費されるアイテムなどを直接にも間接にもほかの人たちへギフトできるようにしてはならない。”

後: “アプリはアプリ内購入の対象となるアイテムをほかの人たちへのギフトにできるようにしてもよい。そのようなギフトの返金は最初の購入者に対してのみ行われ、他のアイテムと交換することはできない。”

デベロッパーから見ると、知りたいのはこの変更がどう実装されるのか、だ。デベロッパーがどう対応すべきか、その詳しい情報はいずれAppleがデベロッパーコミュニティと共有するだろう。

アプリの収益化の方法が近年、有料アプリからアプリ内購入や、より最近ではサブスクリプションへ大きくシフトしているから、この方針変更は理にかなっている。

ゲーマーたちは、アプリ内通貨やそのほかの仮想グッズを、ギフトとして受け取りたいだろう。一方サブスクリプションはとても人気があるから、iOSとAndroidの両方で来年は収益に大きく貢献するだろう。両者を合わせると、アプリストア(iOS+Android)における2019年の消費者支出は1220億ドルを超える、とApp Annieは予想している。

しかしながら、一部のアプリはサブスクリプションという仕組みを悪用して、無料アプリがあるのにそれを使いづらくしたり、無料の試用版が数日後には勝手に有料アカウントになってる、などの被害が報告されている。サブスクリプションのアプリ内ギフト化を広めるためには、悪者たちに対するAppleの適切な対応が必要だ。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

IoT/M2M関連ソリューション提供のアプトポッドが8億調達

自動車産業をはじめとするさまざまな産業に向けIoT/M2M関連ソリューションを提供するアプトポッドは12月20日、シリーズBラウンドで総額約8億円の第三者割当増資による資金調達を実施したと発表。引受先は鴻海ベンチャー投資のパートナーである2020、未来創生2号ファンド、そしてSUBARU-SBI Innovation Fund。

2006年に設立され産業IoTミドルウェア/サービス製品を開発・提供しているアプトボットは2017年2月に実施したシリーズAの資金調達以降、大型案件やグローバル展開へ向けた人材採用の強化、製品機能の拡充、そして革新的な産業 IoT の実現に向けた新たな研究開発に注力してきた。

2018年、同社は1月に動車産業における研究開発向けクラウドサービスパッケージ「Visual M2M Automotive Pro」、そして5月に産業IoTミドルウェア「intdash」ならびに時系列データの可視化・ 解析を支援するWebアプリケーション「Visual M2M」を正式リリース。

同じく2018年5月にはサイボーグを開発するメルティンMMIとサイボーグ技術と高速IoT技術の融合によるアバターロボットプラットフォームの実現を目指した共同研究を開始したと発表している。

自動車、産業機器、ロボティクス/ドローンなどの産業における「大容量モバイル通信(大容量 LTE/5G)を視野に入れたデジタルトランスフォーメーションプロジェクト」や「次世代に向けたコネクテッドサービスプロジェクト」、「MaaS社会に向けた実証プロジェクト」など先進的なプロジェクトにおいて、アプトポッド製品の採用が進んでいるという。

アプトポッドいわく本ラウンドは「これらの採用実績や急増するプロジェクトへの対応を踏まえ、事業会社との関係性強化 による事業拡大、経営資源の確保、製品開発の加速」を目的とした資金調達。具体的には、様々な次世代要件に向けた技術開発を深化、製品機能の拡張開発・急増するプロジェクトへの安定対応体制の強化、そして海外事業展開を目的としている。

SoftBank Corpの株価は初日に14%下げたが過去最大のIPOのひとつであることは揺るがず

SoftBank CorpのIPOは快調に始まったが尻すぼみとなり、東京証券取引所の初日に株価は14.5%落ち込んだ。

同社はコングロマリットSoftBank Groupのモバイル部門で、Groupの保有資産にはSprintと1000億ドルのVision Fundが含まれる。

SoftBank Corpの株価はIPO設定プライス(レンジではなく)1500円を下回る1463円で始まり、1282円で引けた。提供された1億6000万株は、親会社SoftBank Groupが保有するトータルの約1/3である。多難な出足ではあったが、それでもSoftBank Corpは総額で2.65兆円(約235億ドル)を調達して日本最大のIPOとなり、Alibabaが2014年にニューヨーク証券取引所で達成した記録、250億ドルに次ぐ額になった(SoftBank GroupはAlibabaの大株主でもある)。

Bloombergによると、SoftBank Corpの株を1500円の開始価格で買った投資家の90%は個人であり、同社は彼らを異例なほどのマーケティングキャンペーンによりターゲットとしてねらった。

投資家の熱気を冷ましたかもしれない要因には、ソフトウェアの証明の期限切れによって生じたEricsspnの機器のシャットダウンによって今月初めに起きた、ネットワークのサービス停止も含まれる(イギリスのO2の顧客も被害を被った)。

そのサービス停止は、SoftBank Corpの通信インフラストラクチャに関するその他(ほか)の懸念も浮き彫りにした。先週の日経の記事によると、同社はセキュリティの懸念によりHuawei Technologiesのハードウェアの使用を停止し、これから数年をかけてそれらの機器をEricssonとNokia製に置き換えるという。

同社によると、ハードウェアの入れ替えは大きな経費にはならないというが、しかし来年同社はより厳しい競争に直面することになるだろう。SoftBank Corpの現在のライバルはNTT DoCoMoとKDDIだが、2019年10月には楽天が携帯電話サービスを立ち上げる。これにより楽天は、日本で4番目のモバイルネットワーク事業者になる

さらにまたSoftBank Groupは、9月末現在で、総額18兆円の大きな負債を抱えている。それは、同社の営業収入の6倍以上である。したがってVision Fundはサウジアラビアの政府系ファンドにとくに大きく依存することになり、それは480億ドルの投資額により、このファンドの最大の投資家になっている。

サウジアラビアの政府系ファンドはPublic Investment Fundと呼ばれ、サウジのMohammed bin Salman皇太子が運用しているが、彼はジャーナリストJamal Khashoggiの殺害を計画したとしてトルコ当局とアメリカの中央情報局から、犯罪への関与を疑われている。皇太子bin Salmanは殺害への関与を否定したが、現在の状況はSoftBankへのサウジアラビアの関与に疑問符を投じている。しかも皇太子bin Salmanは10月に、サウジアラビアは第二Vision Fundに450億ドルを投資する計画だ、と発表したばかりだ。

画像クレジット: Bloomberg/Getty Images

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Teslaの中国工場と失われた成長機会

【編集部注】著者Chandrasekar IyerはTataコンサルタンシーサービスからClayton Christensen研究所に客員研究員として出向中。著作にDriving Disruption: Catching the Next Wave of Growth in Electric Vehiclesがある。

Teslaは、中国に工場を建設する意向を発表したとき、世界征服という野望をも明らかにした。中国は世界最大の自動車マーケットであり、そうした動きは理にかなっている。しかしやや近視的な動きだったかもしれない。

すでに構築されたマーケットの高級メーカーの後を追い続けることで、Teslaはこれまでにない規模の新マーケットの先頭を切って走る代わりにマーケットシェアのゼロサムゲームに加わることになる。BMWやAudiのような既存メーカーは、彼らの富裕客をキープし続けるとみられることから、競争は激しいものとなる。

その代わり、どの車メーカーにとってもより大きなチャンスが、破壊的イノベーションを通してマーケット全体に出てくるーシリコンバレーではない。破壊的なイノベーションのアーキテクトについて、ハーバードビジネススクールの教授Clayton Christensenは、ディスラプションはハイテク機能や派手なデザインで飾られたエンドでではなく、マーケットのローエンドで起こると説明する。

破壊的なイノベーションは、複雑で高価なプロダクトをシンプルで入手しやすい価格に変えることでうまくいき、それゆえに多くの人がその恩恵に授かることができる。そして当然のこととして、マーケットを拡大し、新たな成長の源であり続ける。

ディスラプティブの脚本のページをめくるより、Teslaはイノベーションの維持に注力している。同社は新工場モデル 3とモデル Yの製造に使う計画だ。Teslaが現ポジションを維持するだろうと想像したとき、Teslaの他のモデルと同じくモデル 3とモデル Yは、加速性能やスタイル、ラグジュアリーさといった既存のパフォーマンス指標で競争するマーケットに置かれることになる。

イノベーションを維持するということは、業界をリードするという意味においては重要だ。しかし、全ての消費者がそうしたものにアクセスできるわけではなく、イノベーションの維持では本当の成長はわずかだ。そしてイノベーションの維持は業界に利益をもたらす消費者をターゲットにしているため、主要な自動車メーカーがコアな客を取り込むために必死の戦いを繰り広げることが予想される。それに引き換え、破壊的な戦略は中国マーケットに踏み込むための、より簡単な手段となるーすでにTeslaやその他の主要自動車メーカーの鼻先で実際に起こっている。

ディスラプションはマーケットのローエンドで起こる

低速電気自動車(LSEVs)ー通常トップスピードは45mphほどの小型自動車で、航続距離に限界があり、わずか2000ドルほどで売られているーの中国メーカーは、これまで車を所有したことがない中国の農村部に住む人に車を売ることで、これまで存在しなかったマーケットを作り出している。我々はこうした客を車の非消費者と呼んでいる。非消費者が重視するパフォーマンスの基準はスピードやスタイル、快適さではなく、買えるものであるかどうか、アクセシビリティ、そしてシンプルさだ。LSEVである限りこの基準に合致し、非消費者は大体において喜んで買う。結局のところ、あまり長い距離を走れない、スピードも速くない車を所有するというのは、自転車やバイク、農業用の車両といった他の手段よりもずいぶんいいのだ。

非消費者をターゲットにすることで、LSEVメーカーは、資金や工場、サプライヤーとの関係といったリソースを存分に持っている既存の車メーカーとの直接的な競合を遠くに押しやり、効果的に足がかりを築き、これにより着実に高級市場に近づいている。

ディスラプティブなルートを取ることでLSEVメーカーは、Teslaや他の車メーカーが切望するであろう新たな成長の波を手にすることができた。LSEVが中国で販売されてきたこの10年、売上はうなぎ登りだ。国際エネルギー機関の“グローバルEV展望2017”によると、2016年に120万〜150万ユニットが中国で販売された。同じ年に世界で販売された電気自動車とハイブリッド電気自動車の台数にまさる数字だ。間違いなく、中国におけるLSEVのさらなる成長の可能性はかなり大きいものだー2016年、5億人超の中国人が農村部に住んでいた。

LSEVのメーカーが収益性のある成長を高パフォーマンスのマーケットに持ち込めるかどうかは、今後明らかになる。確かなことは、中国と他の新興マーケットに、巨大な手付かずのポテンシャルがあるということだ。

イメージクレジット: Joe Raedle

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(翻訳:Mizoguchi)

死亡事故から数か月経ったUberが自動運転車のテストを再開

ロイターの報道によれば、Uberは同社の自動運転車のテストの再開をペンシルベニア州から認められた。

Uberはペンシルベニア州交通局から認可証をもらったが、まだ自動運転の運用を再開していない、と同社のスポークスパーソンが確認した。

Uberは今年の3月にアリゾナ州テンピーで歩行者の死亡事故を起こして以来、自動運転車の試験走行をやめていた。セーフティドライバーを乗せたUberのSUVが北へ向かって走行中に女性にぶつかり、その女性は病院に運ばれたが重傷で死亡した。

警察の取り調べによると、ドライバーのRafaela Vasquezは、43分間のテストドライブの間204回、下を向いてスマートフォンを見ていた。テンピー警察署の計318ページの報告書には、そう書かれている。

事故後Uberは、ピッツバーグ、トロント、サンフランシスコ、およびフェニックスにおける自動運転車のテストをすべて休止した。

最近発表されたUberの安全性報告書によると、今後同社は自動運転車の試験をより慎重に行なうことになる。まず、すべてのテスト走行において、2名の社員をフロントシートに乗せる。自動ブレーキシステムは常時有効とする。同社のセーフティドライバー等に対する監視をより厳しくする。

Uberは自動運転車の開発を2015年に開始し、その翌年にはテストを開始した。その同社は二週間前に、秘かにIPOを申請した。同社の現在の評価額は720億ドルで、来年おそらく1200億ドルという大きな時価総額で上場すると予想されている。

関連記事: Uber、密かにIPO申請

画像クレジット: Uber

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

本田技研も使っている「ゲームAIで自動運転AIを鍛える」学習シミュレータ

AI学習シミュレータ「Dimension」の動画像

クーガーは、大勢の人々が街角や商業施設内を歩き回る状況を生成するAI学習シミュレータ「Dimension」を開発、提供を開始した。同社が持つゲームAIの知見を応用したプロダクトで、自動運転車や自律移動型ロボットのAIのトレーニングやテストに利用する。1億通り以上のシーンを生成できる自由度と、動画像とLIDAR(レーザーを用いた測距技術、関連記事)データの両方を生成できる点が特徴。すでに本田技術研究所や中部大学が研究目的で利用中である。

このAI学習シミュレータが登場した背景には、自動運転車、自律移動型ロボット、ドローンなどの研究開発ニーズが拡大している状況がある。クーガー代表取締役CEOの石井敦氏は次のように説明する。「自律的に行動するロボットや自動運転車は、やがて人が行動している状況の中で一緒に活動するようになる。ところが人の外見や行動は多様なので、AIが理解する上ではまだハードルが高い。髪型や服の色、持ち物が違うと認識を誤る場合がある。例えばスケートボードに乗って移動する小さな子供のように行動が大幅に異なる存在も認識できる必要がある。このような状況を数多く体験して学習し、テストを繰り返すことが重要だ」。多様な姿形の人々が自由に動き回る複雑な状況をシミュレートする技術では、大規模オンラインゲーム制作に参加した経験があるクーガーの技術が活きると石井氏は説明する。

路上を走る自動運転車の研究は盛んだが、それ以外にも商業設備内を自律的に移動するロボットなどの取り組みも多数登場している。多くの種類の状況(シーン)を生成できるDimensionには、AIの学習やテストのためのニーズが大きいと同社は考えている。現実の人間とロボットを一緒に歩き回らせて学習するやり方も考えられるが、それは「エキストラを連れてきて映画を撮影するようなもの」(石井氏)で限界がある。多くの状況をシミュレートできるDimensionはより多くの学習データを作り出すことができるという訳だ。

動画像とLIDARセンシングデータを生成

LIDARセンシングデータ

Dimensionの機能上の特徴は、1億通り以上のシーンを生成できること、また動き回る人々を含めた動画像とLIDARのセンシングデータの両方を生成することだ。動画像は人間に見せるためのものではなく、AIの機械学習の学習データに利用する。そこで「学習させて精度が出るデータ」を作る上では「服の色、持ち物の色などでどのようなランダム性を保たせるべきか」など独自のノウハウがあるとのことだ。

一方、LIDARのセンシングデータはCGで生成した動画像と異なり現実との違いが出ない。そこで自動運転車やドローンでは画像センサーとLIDARを併用する例が多い。

AIトレーニング用シミュレータの試みは、Microsoft ResearchのAirSimがあり(参考記事)、Elon Mask氏らが立ち上げたOpenAIでも学習プラットフォーム「Universe」の取り組みがあった(関連記事参考記事)。また、DeepMindがBlizzardの戦略ゲームStarCraft IIをAI学習に用いた例もあった(関連記事)。人が登場する複雑なシーンをシミュレートできるゲームAIを学習(トレーニング)に用いるアイデアはすでにいくつも登場している。その中で、クーガーは「ゲームAIとロボット用の機械学習の両方の知見を持つ会社はまだ少ない」と自信を示している。

クーガーは、最近では感情表現を取り入れたCGキャラクターによるAIアシスタント「バーチャルヒューマンエージェント」の開発にも取り組んでいる(関連記事)。将来的には、例えば自動車の自動運転のトレーニングにはシミュレータを使い、自動車内部の人と機械のコミュニケーションにバーチャルヒューマンエージェントを活用するといった活用も視野に入れている。

これはマツダ版Uber!? コネクティビティ技術を活用した移動サービス実証実験を開始

マツダは、広島県三次市において地域住民と行政機関である広島県および三次市と連携して、コネクティビティ技術を活用した移動サービス実証実験を開始した。

マツダは、将来のライドシェアを見据えたこの移動サービス実証実験をとおして、地域の活性化とその地域において、いつまでも安心・安全で自由に移動することが可能な、心豊かな暮らしにつながる社会貢献モデルの構築を目指しているとのことだ。

昨今、中山間地域における公共交通の空白化などにより、高齢者や身体の不自由な方を中心に移動手段の不足が社会問題となっている。マツダでは、このような社会問題に対して、クルマとコネクティビティ技術を活用できるようにすることにより、地域住民が助け合うコミュニティ、そこに参加する地域内外のドライバー、そこで生まれる人と人とのつながりを創出していきたいと考えているとのこと。

マツダは、今回の移動サービス実証実験において、地域移動サービスで用いる運行管理システムおよび利用者用アプリの開発を担当。このアプリ開発によって、地域住民が運行する地域移動サービスの運営を省力化するとともに、アプリ内のコンテンツを充実させることによって人々の参加を促し、地域の活性化につながる様々な付加価値を生み育む取り組みに貢献していくとのことだ。

なお、マツダは今回の実証実験で得られたデータを蓄積し、次世代コネクティビティ技術や自動運転技術と組み合わせたライドシェアサービスの開発を目指しているとのことなので、将来的には地域限定のマツダ版Uberのような形になるのだろうか。

ちなみに、ダイハツも、高齢化の進行や地域の生活を支えるモビリティサービス事業への期待が、年々高まっていることを踏まえて、持続可能なまちづくりにおけるモビリティのあり方について検討を開始し、日本総合研究所が、2018年8月29日に設立した「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム」に参画することを発表している。

ダイハツは、地域の人々に幅広く利用されている軽自動車サイズの車両を用いて、生活に寄り添った乗合サービスに最適な車両要件を検証。幅員の狭い生活道路など、環境に見合ったサイズと乗車人員を両立する「アトレーワゴン」をベースとしたダイハツらしい最小単位の低コストな車両を提供し、地域受容性・乗降性・快適性を主に検証する予定だ。

なお、将来の地域移動に必要なハードとソフトを見極めるべく、まずは自動運転ではなく交通事業者の運転士による手動運行で実施されることになっている。

高齢化の進行や地方や都市近郊のニュータウンなどの交通インフラの弱体化を踏まえると、今後の自動車メーカーの役割は、自分で運転するためのクルマを作るだけでは不充分であり、運転できない人も含めて、いかに人々の移動を快適に、スムーズにしていくことも大きな役割となりそうだ。

■関連リンク
マツダ 公式サイト
http://www.mazda.co.jp/
日本総研ニュースリリース
https://www.jri.co.jp/company/release/2018/1214/

AutoBlog 日本版からの転載。

カリフォルニアのバス、2040年までにガス排出ゼロへ

気候変動とそれによる破壊的な影響についてまとめている重大な米政府のレポートが先月発表されたのを受け、多くの都市や州が、大気質を脅かし、また経済への影響ももたらす温室効果ガスの排出を抑制する方策を模索している。

よくあることだが、カリフォルニアは変革においては主導的な存在であり、大量輸送交通機関に2029年から電動バスのみを購入することを命じる初の州となった。公共路線バスは2040年までにすべて電動バスとなる。

この新ルールに伴い、新たに1万4000台のガス排出ゼロのバスの製造・購入が見込まれる。

そうした取り組みを行う初の州となるのを満場一致で決めたカリフォルニア州大気資源局(CARB)の局長Mary Nicholsは今月初めにTrucks.comに対し、カリフォルニア州は喘息や心疾患に関係している慢性的な空気汚染の問題を抱えているため、政府よりも“より先進的な基準を推進しなければならない”と述べている。

この取り組みは、CARBが産業グループ、公衆衛生グループとともに数年かけて行なった調査に基づくものだ。まとめられた調査結果は、トランプ政権が燃費性能基準を低く設定し、化石燃料の使用を促進するという動きをものともしない内容となっている。

実際、トランプ政権は米国がガス排出抑制にどれくらい責任があるのかと初めから疑問符をつけ、最新の政府レポートでも大統領は考えを変えていない。地球温暖化が米国経済に甚大な影響を及ぼすと指摘した政府のレポートについて先月尋ねられた際、大統領は「私は信じない」と答えた。そうしてこうも付け加えた:私を含め、人々は高度な知性を備えているが、我々は必ずしもそうした考えを信じているわけではない。

政権が考えを改めるのを待つ代わり、カリフォルニアの新たなInnovative Clean Transit(革新的クリーン交通)ルールはカリフォルニアの公共バスにーこれらの多くが現在は天然ガスやディーゼル燃料で運行されているー電動か水素燃料電池への移行を促す。

こうした動きは、設立14年、カリフォルニア・バーリンゲーム拠点のProterraのような電動バス会社に恩恵をもたらすことになりそうだ。Proterraは排ガスゼロの電気バッテリーで動くバス製造のためにこれまでおおよそ5億ドルを投資家から調達している。また、中国の大手自動車メーカーBYDも恩恵を受けることになるかもしれない。TechCrunchもこれまで報道してきたが、BYDは公共交通機関システムの電動化で中国各地の都市とものすごい勢いで提携していて、その取り組みをいまグローバル展開しつつある。

カリフォルニアが導入しようとしているのは今回の新ルールだけではない。今年初めにThe Hillが報道したように、カリフォルニアは新築住宅にソーラーパネル設置を義務付ける初の州となった。9月には、カリフォルニア州知事Jerry Brownは、2045年までに州内の全電力を再生エネルギー電力にするとした法案に署名した。

CARBはまた、米環境保護庁(EPA)にアドバイスもしている。EPAは先月、Cleaner Trucks Initiative(よりクリーンなトラックイニシアチブ)を発表した。EPA当局は、このイニシアチブを通して窒素酸化物の排出を抑制し、業界が経済的に負担だと感じている要件を廃止する方向でトラック公害基準を改訂する計画だ、と述べている。

L.A. Timesが報道で指摘しているが、そうした発表はあったものの、EPAがより厳しいガス排出制限や、CARBが健康を害しないようスモッグをなくすために必要と言っている窒素酸化物90%減といった厳しい制限の導入を計画しているのかはまだ明らかではない。

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(翻訳:Mizoguchi)

影響力の強いAppleアナリストMing-Chi Kuoが来年のiPhoneの販売台数を低めに予想

TF International Securitiesの著名なAppleアナリストMing-Chi Kuoが今週、iPhoneに関するあまり芳しくない予測を発表した。タイトルもずばり、“2019 iPhone shipments likely to be under 190 million units”(2019年のiPhoneの販売台数は1億9000万台に達しない)、この書簡によると来年のAppleのハンドセットの売上は、先にアナリストたちが予測していた2億2100万台をかなり下回る。

KuoのApple予測は株価などへの影響力が大きいことで知られていて、とくに売上の台数や今後の新製品に関してはよく当たる。それには、彼とAppleのサプライヤーたちとの特別な関係も原因している、といわれる。前四半期も、彼の予測で株価が動いた。〔今回もAppleの株価下げを起因…12/15現在〕。

“iPhoneの旧機種の受注増は季節要因が弱いためXRとXSシリーズの減少をオフセットしない”、とKuoは書いている。低価格製品だから伸びる、と一般的に期待されたXRに対しても否定的なのが、彼独特の見方だ。

でもそれは、Appleだけの話ではない。今年はスマートフォン全体が落ち込んでいる。数年間爆発的な成長を続けたあと、多くの企業でペースは鈍っている。2月にGartnerは、スマートフォンに関しては初めて、前年比の減少を指摘した。強力な魅力を持つアップグレード要因がないことも、低迷に貢献している。

でも5Gは、また新たな起爆剤になるかもしれない。来年は少数の企業が5Gのハンドセットを出すが、Appleの5Gハンドセットは2020年と予想されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DeNAのタクシー配車アプリ「MOV」 がタクシー無線・配車システムと2019年に連携

20181214_img01ディー・エヌ・エーは12月14日、2019年中に同社のタクシー配車アプリ「MOV」(モブ)と配車システムの連携を目指す計画を発表した。タクシーの配車システムなどを開発している、システムオリジン、⻄菱電機、JVCケンウッドとの共同開発となる。具体的には、システムオリジンの電話受付・配⾞システム「テレハイAVM」、⻄菱電機のタクシー配車システム「AMCOSS」、JVCケンウッドの配⾞システム「CABmee」とMOVが連携可能となる。

MOVは、ユーザーが配車を依頼するとタクシー車内の乗務員専用端末に配車依頼が直接かかる「アプリ連携方式」を採用しており、電話配車などで使っている無線機システムなどとは独立しているのが特徴。タクシー事業者は無線機システムの入れ替えタイミングなどの影響を 受けずに「MOV」を導入できる。さらに「MOV」はタクシーメーターと連携して実空車情報をリ アルタイムに反映可能なので、タクシー事業者は従来の電話配車と重複することなく追加の配車依頼を受けられるという。

今回の取り組みは、MOVと3社の無線機システムを連携させることで、MOVの乗務員専用タブレットでMOVアプリ経由と電話経由の配車依頼の一元管理を目指すもの。タクシー事業者は、既存の無線機システムと「MOV」の配車システムを併用できるほか、無線機システム用に必要な車載端末をMOVの乗務員専用タブレットに置き換えて導入コストが圧縮することも可能だ。タクシー乗務員は、電話配車とアプリ配車で別々の端末を操作する必要がなくなる。なお、MOV用乗務員専用タブレットについてはレンタル料がかかる見込みだ。

Google Mapsが世界の13の都市のLimeの自転車とスクーターの場所を表示

Googleが電動スクーターのLimeとパートナーして、世界の13都市のレンタル自転車とスクーターの場所をGoogle Mapsに表示することになった。Limeのスクーターが近くにあったら、Google Mapsはそこまでの距離や目的地までの推定利用料金、走行時間などを教える。

Google Mapsは前にもUberを統合したが、LimeでもタップするとLimeのアプリが開く。まだインストールしていない人は、Apple App StoreやGoogle Play Storeへ連れて行かれる。

今利用できるのは、オークランド(ニュージーランド)、オースチン(テキサス州)、ボルチモア(メリーランド州)、ブリズベン(オーストラリア)、ダラス(テキサス州)、インディアナポリス(インディアナ州)、ロサンゼルス(カリフォルニア州)、サンディエゴ(カリフォルニア州)、オークランド(カリフォルニア州)、サンノゼ(カリフォルニア州)、サンアントニオ(テキサス州)、スコッツデール(アリゾナ州)、シアトル(ワシントン州)だ。Googleによると、そのほかの都市も目下作業中だそうだ。

9月にLimeは、開業14か月で1150万の自転車とスクーターの利用者を記録した。Limeはこれまでに4億6700万ドルの資金を調達している。いちばん最近は、GVがリードしUberが参加する3億3500万ドルのラウンドだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Lyft、食の砂漠エリアで住民に食料品店への足を提供

健康的な食品を手に入れるというのは、食の砂漠エリアでは特に難しいー世帯の40%超が車へのアクセスがないようなエリアは、食料品店から半マイル以上も離れたところに位置し、D.C.ポリシーセンターによると、そうしたエリアの世帯平均収入は州の個人所得レベルを185%下回っていて、食品を入手しやすい状況にあるかというのは貧困と交通に直接関わってくる。来年第一四半期にIPOを準備しているLyftは、この交通エリアで貢献しようとしている。

Lyftが昨日発表したグローサリー・アクセス・プログラムは、世帯に健康的な食品や衣服、教育を提供する活動を行なっているD.C.拠点の非営利団体Martha’s Tableとのパートナーシップによるものだ。このプログラムは食料品店がたった3店しかない第7、8区に住むファミリーに割引されたLyftの乗車を提供する。

来年1月から6月までの6カ月の試験期間、Lyftは食料品店との行き帰りの乗車で2.5ドルの定額料金を適用する。このサービスを利用できるのは、これらの区にある7つの学校のどれかに子どもが通っている世帯に限定される。

「Martha’s TableとLyftのプログラムは、買い物にかかる時間や交通バリア、食料品店に買い物に行くのに何百もの世帯が抱えている重荷を減らすのが目的だ。これは、世界で最も優れた交通でもって人々の暮らしをより良いものにするというLyftのミッションでもある」とLyftはブログに記している。

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(翻訳:Mizoguchi)

クルマを買えない世界の20億人を救う、新たな金融の仕組みーーGMSが11億円を調達

自動車の遠隔起動デバイスを活用したプラットフォームを通じて、これまで金融にアクセスできなかった人たちに向けた新たな金融サービスを提供しているGlobal Mobility Service(GMS)。同社は6月8日、イオンファイナンシャルサービスなど10社を超える東証一部上場企業から11億円を調達したことを明らかにした。

今回GMSに出資した企業は次の通り。

  • イオンフィナンシャルサービス
  • 川崎重工
  • 凸版印刷
  • 大日本印刷
  • 双日
  • G-7 ホールディングス
  • バイテックグローバルエレクトロニクス
  • そのほか非公開の一部上場企業

各企業とは資本業務提携を締結し、事業の拡大へ向けて取り組んでいくという。なお同社は2017年4月にもソフトバンク、住友商事、デンソー、クレディセゾン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、SBI インベストメントなどから総額約7億円を、2015年8月にもSBI インベストメントから3億円を調達している。

与信審査の概念を変える新たなファイナンスプラットフォーム

GMSが取り組んでいるのは、既存の与信審査の仕組みでは自動車を手に入れることのできない人達を救うためのデバイスとプラットフォームの開発だ。

同社代表取締役の中島徳至氏によると「リースやローンといったモビリティファナンスが利用できない人が世界に20億人いる」とのこと。特に新興国では劣化した車両を長年使い回すことにもつながり、騒音や排気ガスといった新たな問題の原因にもなっているという。

前回の調達時にも紹介したとおり、GMSでは自動車を遠隔から起動制御できる車載IoTデバイス「MCCS」を開発。月額の料金支払いがないユーザーの自動車を遠隔で停止、位置情報を特定できる手段を作ることで、従来とは異なる新しい金融の仕組みを構築した。

これまでの与信審査を省略することで、より多くの人が自動車を手に入れるチャンスを掴めるようになる。

中島氏によると、現在GMSのサービスは2000台を超える車で利用されていて、毎月導入台数が200台ペースで増えているとのこと。中心となっているのはフィリピンの三輪タクシーで、日本やカンボジアでもすでに事業を展開している。

最近フィリピンではGMSの仕組みを利用して三輪タクシーを手に入れたユーザーが、1回目のローンを完済した上で、次は自動車を入手するべく2回目のローンを組む事例も増えているそう。新たなエコシステムが生まれてきているだけでなく、三輪タクシーから車に変わることで金額も一桁変わるため、ビジネス上のインパクトも大きい。

日本でも年間約190万人がローンやリースの審査に通過できないと言われている。従来は金融機関が保証会社を通じて審査をするのが一般的だったが、GMSの仕組みを使って自分たちでやってしまおうという企業もでてきた。

すでに西京銀行やファイナンシャルドゥとは業務提携を締結済み。今後も金融機関やメーカー系のディーラーと連携を深めていくという。

「今までは台数を重視するというよりも『この仕組みでビジネスが成り立つのか、そもそもユーザーからニーズがあるのか』を検証しながら関係者とのパートナーシップを進めてきた。結果として新興国のファイナンスではデフォルト率が15〜20%が一般的と言われている中で、(GMSでは)1%以内に押さえることができている」(中島氏)

事業会社10数社とタッグ

これまでは技術開発と市場開発に加え、金融機関からの理解を得るために話し合いや実証実験に時間を費やし、少しずつ体制が整ってきたという。たとえば今回出資しているイオンファイナンシャルサービスとは実証実験からスタート。手応えがあったため資本業務提携に繋がった。

同社以外にも今回のラウンドには東証一部に上場する各業界の事業会社が10社以上参加している。GMSによると「国内Mobility、IoT、FinTech の各業界における未上場ベンチャー企業の中では最多」とのことで、各社とは業務提携を締結し事業を推進していく方針だ。

「たとえば初めのベンチャー投資となる川崎重工は、GMSの中で最も取り扱いの多いバイクを開発している企業。今後はタッグを組むことでさらにサービスの価値を向上させていきたい。また当社の事業において『セキュリティや個人認証』が大きな鍵となる。凸版印刷や大日本印刷とはお互いのナレッジやリソースを活用しながらサービスを強化していく」(中島)

今回調達した資金をもとに、GMSでは組織体制を強化しプラットフォームの機能拡充とともに、ASEAN各国での事業開発を加速する計画。直近ではインドネシアでの展開を予定しているという。

「GMSが取り組んでいるのは『Financial Inclusion(金融包摂)』と呼ばれる、これまで金融にアクセスできなかった人たちをサポートする仕組み作り。その点では、導入台数を増やすというよりは、どれだけの雇用を創出していけるかを大事にている。20億人がローンを組めないという中で、まずは1億人の雇用を生み出せるようなサービスを作っていきたい」(中島氏)

Lyftとディズニーが提携して、ディズニーワールドの中で「ミニーバン」を走らせる

Lyftは新しい強力なパートナーを得た。Disney Parksだ。ゲストのための追加のホスピタリティとして、選ばれたリゾート内でのオンデマンド移動を提供する。このサービスには、「ミニーバン」が使われる。すなわちミニーマウスのトレードマークのドレス柄でペイントされたミニバンだ。格好のオヤジギャグネタでもある。

このバンはフロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールドリゾート内のあらゆる目的地に客を連れて行く。それぞれ6人までのゲストが乗ることができる。各バンには、幼い子供たちのために2席のチャイルドシートも用意されている。試験運転はディズニーのボードウォークとヨット&ビーチクラブリゾートでサービスを開始している。バンはフルコスチュームに身を包んだキャストによって行われる(おそらく視界を遮るフルフェイスマスクは使わないだろう)。

リゾートのゲストは、既存のLyftアプリを使用してサービスを利用することができる。なおこのオプションは限られたサービスエリアのみで表示される。

これはLyftによる、また別の興味深いビジネスモデルの進化例の1つだ。最近はTaco Bellとも提携を行なっており、乗客が途中Taco Bellへの立ち寄りを追加することができるという車内ネイティブマーケティングのタイアップも始めている。リゾートでの統合は、Lyft共同創業者のJohn Zimmerが、ホスピタリティ業界出身であることに光を当てるものだ。このことはLyft自身の発表資料の中に書かれている。 

ディズニーワールドのような観光地はLyftにとって興味深い対象だ。そして、このようなシャトルサービスが自動的に運行される段階に向けて、Lyftがパートナーとなる後押しもしてくれることだろう。このような用途には自動運転は通常の路上よりも早く採用される可能性がある。何故なら環境条件はより制御可能であり、経路は決まっていて、不測の動きを見せる他の車両もいないからだ。

Uberが組織の中心課題に注力を続けなければならない状況は、Lyftにとって1つのチャンスだ。こうしたユニークなパートナーとの提携は彼らが有効な時間の使い方をしていることの証だ。

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(翻訳:Sako)

ソフトバンク、次は数十億ドル分のUber株取得を検討中との噂

東南アジアの配車サービスGrabへの20億ドルにおよぶDidiとの共同出資が発表されてから1日も経たないうちに、ソフトバンクは上記2社とライバル関係にあるUberに投資しようとしているとの噂が立っている。

Wall Street Journalの報道によれば、ソフトバンクは「数十億ドル分の株式」取得に向けて、Uberと連絡を交わしているとのこと。ちなみにUberはこれまで合計で120億ドルを調達しており、評価額は600億ドルにおよぶと報じられている。

Uberはコメントを控えており、ソフトバンクからの返答はまだない。

ソフトバンクがOla(インドにおけるUberのライバル)にも出資していることを考えると、いかなる形の投資であれ思い切った動きだと言えるが、全くの寝耳に水というわけでもない。Bloombergは今月に入って、Uberの将来に関する不安が広がる中、ソフトバンクが既存株主から同社の株式を購入しようとしていると報じていた。これは前CEOトラビス・カラニック、前シニアVPエミル・マイケルをはじめとする上層部の退陣や、元エンジニアのスーザン・ファウラーによる女性差別・セクハラ行為の暴露を発端とし、6月に結果が発表された元司法長官エリック・ホルダーによる調査などとも関係している。

WSJによれば、Uberは次のCEOが決まるまでは、いかなる財務活動(ここにはセカンダリーマーケットでの売買を越えた新規株式発行も含まれるかもしれない)も控える意向だとされているが、CEO選びにはある程度時間がかかりそうだ。

先日ソフトバンクは巨大ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を発表し、5月に総額930ドルの初回出資を完了させたが、同ファンドがUberの投資に関わることはないようだ。というのも、ビジョン・ファンドはソフトバンクとの利益相反を背景に、配車サービス企業への出資を行わないと決めている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

配車サービスGrab、ソフトバンクとDidiから20億ドル調達――今後は決済サービスにも注力

東南アジアでUberとライバル関係にあるGrabが、中国でUberを破った既存株主のDidi Chuxingとソフトバンクから新たに20億ドルを調達した。

他の既存株主や新しい投資家の意向を考慮すると、ラウンドの規模は最大25億ドルになりえたと同社は語っている。またGrabの広報担当者によれば、ソフトバンクからの出資はビジョン・ファンド経由ではなく、ソフトバンクグループ株式会社によるものとのこと。

さらに情報筋によれば、今回の資金調達によってGrabのポストマネー評価額は60億ドルを超えたとされている。これは、2016年9月に同社が7億5000万ドルを調達した際に報じられていた、30億ドルという評価額の倍以上だ。

「Didi・ソフトバンクとの戦略的関係をさらに深めることができ大変嬉しく思っている。また、先進的な両社が私たちと同じように、東南アジアや当地のオンデマンド交通市場、決済市場に期待していて、Grabがその巨大なチャンスを手にする上で有利な立場にあると考えていてくれていることにも勇気づけられる」とGrabの共同ファウンダーでCEOのAnthony Tanは語った。

要するにDidiとソフトバンクは、昨年8月にUberが中国事業をDidiに売却したのと同じように、Grabには東南アジア市場でUberを負かすだけの力があると考えているのだ。今月に入ってUberがロシア事業を現地の競合Yandexに売却したこともあり、その期待は高まる一方だ。

「市場でのポジションやテクノロジーの優位性、現地市場へのフォーカスといった特徴を備えたGrabが、配車事業を手始めに、東南アジアのネット経済でリーダー的な立場を築きつつあるのは明白だ」とDidiのファウンダーでCEOのCheng Weiは声明の中で述べた。これはUberにとってはかなり痛烈なメッセージだ(中国事業を買収したときの契約に基づき、DidiはUberの株式を一部保有している)。

現在Grabは東南アジアの7か国・36都市で営業しており、アプリのダウンロード数は5000万以上、ドライバーの数は110万人にのぼるとされている。サービスの中心は、営業許可を保有するタクシーや自家用車を使ったものだが、国によってはバイクタクシーやシャトルバス、カープーリングなどのサービスも提供している。

Uberは東南アジア事業の数字を公開していない一方で、インドネシアでGrabとしのぎを削るGo-Jekは、同国ではマーケットリーダーとして考えられている。

またビジネス面に関し、Uberは昨夏に東南アジアの一部で黒字化を果たしたと言われていた。しかし同社は中国市場から撤退した後、東南アジア(+インド)市場への投資額を増やしている(前CEOトラビス・カラニックは中国事業には年間10億ドルかかると語っていた)。Grabの広報担当者は「特定のサービス・都市に関しては黒字化を果たしているが、細かな分類は行っていない」と語ったが、同社が以前行った調査では、東南アジア全域に関し、営業許可のある車両を使った配車サービス市場の95%、自家用車を使った市場の71%をGrabが握っているとされていた。

今後ビジネスをひとつ上のレベルに押し上げるため、Grabはモバイル決済プラットフォームの開発にも取り組んでいる。そのかいもあってか、サービスローンチ当初は現金のみの支払いだったのが、クレジットカードも利用できるようになった。さらに決済プラットフォームの開発を進めるうちに、Grabは東南アジアで最大規模の経済、そして世界第4位の人口密度を誇るインドネシアでのフィンテックサービスに商機を見出した。

昨年Googleが共著したレポートによれば、東南アジアの配車サービス市場の規模は、2015年の25億ドルから2025年までに131億ドルへ成長すると予測されており、インドネシアがその半分以上を占めることになると言われている。Grabもインドネシアの古びれた銀行システムの影にその可能性を感じており、パイを拡大するためにも現代的な金融システムの開発を行っているのだ。

今年のはじめに、同社はインドネシアでのサービス開発に向けた7億ドルの投資プログラムを発表し、そのうち少なくとも1億ドルを企業への出資や買収に投じるとされていた。その後、発表から2か月ほどでオフライン決済スタートアップKudoを買収し、関係者によれば買収額は1億ドル近かったと言われている。

Go-JekもGrabが手をつけ始める前から決済サービスを提供しており、両社の正面衝突は必至だ。Go-Jekに近い情報筋よれば、同社は今年の5月にTencentを中心とする投資家から12億ドルを調達したと伝えられているが、当時Go-Jekはそれを認めず、それ以後も資金調達に関する発表を行っていない。しかし今回のGrabのニュースを受けて、Go-Jekは財務面のプレッシャーを感じていることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

”走るリッツカールトン”――アメリカで話題の寝台バスCabinに乗ってみた

寝台バスのCabinが目指すのは、車輪がついたリッツカールトンホテルだ。

先々週、サンフランシスコ―ロサンゼルス間をCabinのバスで移動したので、その様子を以下にお伝えしたい。まずサンフランシスコの乗り場に到着すると、笑顔の乗務員が私を迎え、チェックインを済ました後に荷物を持っていってくれた。いざバスの中に入ってみると、乗車後すぐに寝たくない人のために設けられた談話ラウンジが目に入ってきた。

しかし私はそこを素通りし、まずは上階に上がって自分のベッドを選ぶことに。避難口付近の1番上に設置されているカプセルが今日の私の寝床だ。避難口横に並んだカプセルは、他のものに比べてスペースにゆとりがある。それぞれのカプセルには耳栓や水、メラトニンサプリ(睡眠導入剤)などバスで夜を過ごすのに必要なものが備え付けてある。寝床を選んでから少しすると、近くの人が写真を撮ろうかと聞いてくれたので、もちろんお願いした。

寝台バス仲間が撮ってくれたくつろぐ私の図

サンフランシスコからの出発時間は午後11時だったので、仕事を途中で切り上げる必要はなかった。さらに到着時間はサンタモニカに午前7時なので、土曜日をまるまるロサンゼルスで過ごせた。復路はロサンゼルスを日曜の午後11時に出発し、月曜の朝7時にサランフランシスコに到着というスケジュールだった。

SF―LAの往復で料金は230ドルだ。この料金には寝具、Wi-FI、水、紅茶、コーヒー、耳栓、メラトニンサプリが含まれている。バスの下部にはひとり2つまで荷物を預けることができ、自分のカプセルに収まるサイズの小さな荷物は1つだけ持ち込める。

Cabinは決して価格重視の交通手段ではない。BoltやMegaBusを使えば、SF―LA間を50ドルくらいで往復できる。もちろん飛行機という選択肢もある。移動にかかる時間は飛行機が1番短いし、(いつ頃チケットを予約するかにもよるが)そこまで高いということもない。

「ロサンゼルスまで行くのに1番安い選択肢ではない、ということは正直に伝えています」とCabinの共同ファウンダーで社長のGaetano Crupiは言う。彼は私たちと一緒に、初運行となるCabinに乗っていた。

とはいっても、Cabinがもっとも快適な選択肢であるのは間違いない。SF-LA間を50回以上往復している私が言うのだから信じてほしい。ただ、ベッドが装備されたカプセル自体は快適なのだが、デコボコ道が問題だ。往路ではなかなか寝つけなかったが、それが昼寝のせいなのか、デコボコ道のせいなのかはよくわからない。朝”目が覚めた”ときに、本当に自分は寝ていたのかわからなくなるような感覚を味わった。

それに比べて復路はかなりよかった。乗車後すぐに眠りに入って一晩中ぐっすり休め、寝台バスに乗っている夢まで見た(なんとメタな夢だ……)。朝を迎え、ラウンジがある下階へ向かうと、乗務員がエスプレッソを勧めてくれた。そしてモーニングコーヒーを飲み終えるころには到着時間が迫っていた。

  1. bus-morning

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SleepBusからCabinへ

正式なサービスを開始する前に、CabinはSleepBusという名前で、LA―SF間を移動する寝台車を運行していた。このパイロットプロジェクトのチケットはすぐに売り切れ、4000人以上があぶれてしまったとCrupiは話す。Crupiともうひとりの共同ファウンダーTom Currierは、資金調達を行った後に何がそこまで好評だったのかを考え始めた。

「ただバスの中で寝たいなんていう単純なものではありません」とCrupiは笑いながら言った。「それが顧客の心に響いた理由ではありませんし、それではプロダクトにも成りえません」

そこでふたりは実際に顧客の一部から意見を聞き、全ては時間が理由なのだという結論にたどり着いた。しかし彼らはただの寝台バスではなく、ホステルのようなサービスを提供しようと考えたのだ。

「私たちの考えが反映されているのはここからなんですが」とCrupiは続ける。「今やどの会社も自動運転技術の開発を行っているため、将来的にこの技術はコモディティ化していくと思います。では車内で2時間過ごすとして、運転に気を使わなくてよくなったら、そもそも従来の車と同じかたちをしている必要もありませんよね?」

そんなCabinが目指すのは「リッツカールトンのような空間」だとCrupiは話す。さらに彼は、アメリカの長距離交通網の問題にも触れ、「本当にひどい状態」だと語った。また彼は、今後自動運転技術が発展するにつれて、高速道路を利用した長距離交通網が発達していくと考えている。

「私たちが考える未来は、”高速道路を走る電車”です」とCrupiは言う。「そして『顧客は車内に7時間いることになる』と考えると、デザインやサービスの重要性がわかってきますよね」

だからこそCabinは、乗務員やプライベートな空間、アメニティといった細かなところにまで気を配っているのだ。最終的にはコーヒーやお茶などの車内販売も考えているという。

「私たちは自動運転車のエクスペリエンスを、将来ではなく今提供しているんです」と彼は続ける。

Cabin設立当初から、CrupiとCurrierは常に自動運転車のことを考えており、将来的にはエクスペリエンスだけでなく本当の自動運転寝台バスを提供するようになるかもしれない。

Crupiいわく「私たちは、自動運転車が人の生き方にどのような影響を与えるか、ということにとても興味を持っています。通勤にエネルギーを使わなくてもよくなれば、都市部への人口集中が緩和され、子どもを自然の中で育てられるなど、街づくりや住む場所と働く場所の考え方に関し、さまざま良い変化が生まれるでしょう」

自動運転技術の実用化にはまだ時間がかかりそうだが、CrupiとCurrierは今の時点で自動運転車のエクスペリエンスを顧客に提供したいと考えたのだ。「車に乗って寝て起きたら目的地に到着している、というアイディアにずっと魅了されています」とCrupiはその理由を説明する。

走るホテルの運営にあたって

夜間に運行できるよう、Cabinはこれまでに3台の寝台バスを製造した。SF→LA、LA→SFに1台ずつを走らせ、もう1台をバックアップとして使っている。さらにこれから9月1日までに、だんだんと運行数を増やしていく予定だ。

先述の通り、私が乗ったのはCabinとしては初めて運行されたバスだった。先週末には2度目の運行が行われ、今後徐々に洗濯物やゴミ、排泄物の処理といったオペレーションのすり合わせが行われる。

「バスは常に動き回っているので、どこかと協業しないと運営していけません。洗濯物はどこかで回収してもらって、またどこかでピックアップしなければいけませんし、燃料についても同じです。その一方で、空港のような場所が要らないというのは、Cabinのような交通手段の大きなメリットのひとつとも言えます」とCrupiは語る。

営業時間外のCabinはさまざまな場所に停まり、乗客を拾うときはツアーバスの乗り場を使っている。サンフランシスコとサンタモニカでは運営許可を取得しているので、法的な準備も万全だ。

「多くのスタートアップは『規制対応は後から』という姿勢ですが、私たちは警察に没収されるかもしれない資産を使ってビジネスを行っているので、サンタモニカの都市設計部門から路線の許可をとりました。コンプライアンス面はバッチリです」とCrupiは話す。

彼によれば、次の四半期の間にCabinはホスピタリティの部分にさらに力を入れる予定だが、カプセルの大きさや見た目についても試行錯誤を重ねていくようだ。

路線拡大に関しては、ポートランドとラスベガスを次なる進出先として検討しているとのこと。その一方で、アメリカ中部にも「大きなチャンスが眠っている」とCrupiは関心を寄せている。

「線路が要らない高速道路網を使えば、割高でも利用したい人がたくさんいるというのに気づいたのは大きかったですね。限られたインフラを使って、ヨーロッパ旅行のような体験をアメリカ国内で提供しているようなものです」と彼は話す。

最近Cabinは330万ドルを調達し、新しい都市への進出を考えている。Crupi自身、Cabinは何億ドルという資金を調達できるようなタイプのビジネスではないと認めているが、今のところ同社には「十分に利益が見込めるビジネスモデルと、私たちに新たな洞察をくれる顧客ベースがある」と彼は言う。

FAQ

  • 車内で眠れた?
    往路に関しては多分。復路はしっかり寝られた。
  • カプセルに鍵は付いてる?
    付いていないが、特に不安は感じなかった。
  • 車内で騒いでる人はいた?
    ラッキーなことにいなかった。むしろ皆かなり早い段階で寝始めたので、物音さえほとんどしなかった。例え眠れない人がいても、ラウンジが用意されているのでそこまで問題になることはなさそう。
  • トイレは汚かった?
    全く!バスのトイレとしては綺麗な方だったと思う。タンポンも完備!
  • 飛行機の方が安いのでは?
    チケットを購入するタイミングにもよるが、ほとんどの場合飛行機の方が安い。
  • もう1度乗りたいと思う?
    長距離移動するとき、私は何かと不安に感じることが多い。フライトだと空港に遅くとも1時間前には着かなければいけないし、ようやくセキュリティゲートを抜けたとしても、天候やその他のくだらない理由(サンフランシスコ国際空港の滑走路の工事など)で遅延することもある。車での移動だと、何時間も起きていないと行けないし、助手席に乗っていたとしても脚は完全に伸ばせない。しかしCabinだと、出発10分前に乗り場に着けばよく、コンパクトながらもちゃんとしたベッドで寝られるのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

韓国のチャットアプリKakao、モビリティ部門を分社化し4億3700万ドルを調達

およそ5000万人のMAU(月間アクティブユーザー)を誇る、韓国で一番人気のメッセージングサービスKakao。その運営元のKakao Corp.は、国内ではUberにも勝る配車サービスを運営しているモビリティ部門を分社化し、引き続き事業の多角化に取り組んでいる。

さらに「Kakao Mobility」の分社化を受け、米投資会社TPGは5000億ウォン(約4億3700万ドル)を同社に投資した。なお、TPGのポートフォリオには、AirbnbやSpotifyのほか、Kakao Mobility最大のライバルUberが含まれている。

分社化は「意思決定の迅速化と積極的な市場拡大」を目的にしていると、2014年に数十億で大手ネット企業Daumと合併したKakaoは述べた。

Kakaoの成長維持に関してプレッシャーを感じている36歳のCEO Jimmy Rimは、主要部門の分社化を通してビジネスの増強を図ってきた。今回のニュースの数か月前にも、同社はモバイル決済サービス「Kakao Pay」やその他の金融サービスを運営するKakao Pay部門を分社化し、Alibabaのフィンテック子会社Ant Financialから2億ドルを調達していた。

Kakao Mobilityが運営するプロダクトの中でもっとも有名なのは、2年前にソウルでローンチした配車サービスのKakao Taxiだ。同プロダクトは、韓国におけるKakaoの支配力(国内で利用されているスマートフォンの95%にインストールされている)を活用し、メッセージングサービス以外の分野に進出するためにつくられた。なお、Kakao Taxiでは現在1日あたり150万件の配車依頼を受け取っており、既に日本への進出も果たしたとKakaoは話す。

一方、Uberは韓国での業績を発表しておらず、苦戦を強いられているようだ。

韓国政府は2014年に、当時CEOだったトラビス・カラニックに対して逮捕状を発行しており、UberXに関しては、2015年に無許可営業を理由に同国から撤退して以降、復活の話は耳にしていない。同年にはどうにかUber Blackのサービスが再開され、外国人や公務員、65歳以上の高齢者の利用に限るというルールもようやく撤廃された。

つまり、Uberは韓国市場には未だ十分に入り込めておらず、KokaoやCallbusといった競合サービスが現在でも幅をきかせている

配車サービス以外のKakao Mobilityの事業としては、270万人のMAUを誇る運転代行サービス「Kakao Driver」や、2016年2月のローンチから登録ユーザー数が1000万人まで増えた地図サービスの「Kakao Navi」などが挙げられる。

今回調達した資金は、さまざまな新サービスの導入に使われることになる。具体的には、法人向けのKakao Taxiや、Kakao PayのKakao Taxiへの導入、試験走行サービスのほか、日本以外の海外市場への進出などが予定されている。さらに同社は、Kakao DriverとKakao Naviの機能拡充も行おうとしている。

「これまであまりインターネットと関係していなかった業界のオンライン化が、世界中で急速に進んでいる。特にモビリティ分野には大きなチャンスが眠っており、注目が集まっている」とKakao MobilityのCEOに就任したJoohwan Jungは声明の中で述べた。

さらに彼は、「無限大の可能性をつかむため、戦略的パートナーシップや優秀な人材の採用を通じて、モビリティサービスのユーザーや顧客企業に新たな価値を提供していきたいと考えている」と記した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter